○奧村
委員 私は、酒税
請願の審査につきましては、議事進行の便宜上、日程順によらずに、
紹介議員の御出席になつている
請願より審査を行つて行きたいと存じます。引下げに関する
請願に関して本院に総計百六件提出されているのでありますが、この
紹介議員を代表いたしまして一括して趣旨を述べたいと思います。
この趣旨は、酒税率を五割引下げられたい。清酒第二級は特に大幅に引下げられたい。第三に強力な密造対策を実施せられたい。こういうことになつております。昨日の予算
委員会における大蔵大臣の答弁によりますと、来年度は七百億の減税をやり、その中でまず第一に
所得税の減税をやる。次に酒税の減税を実行するという御答弁があつたのでありますが、
請願としましては来年度までは待てない。ぜひ今年の十月から、またその率も現行の五割引下げの実行をお願いいたしたい、こういうことであります。最近やみタバコは非常に影をひそめました。反対にやみ酒は日に日に氾濫しております。二、三日前の新聞によりましても、千葉県における大仕掛な密造酒の取締りにおきましては、二百数十名の武装警官を動員してようやくその執行をやつている。これは言いかえるならば、それほど大仕掛にやらなければ、地方における小仕掛な取締りでは、とうてい効果を現わすことができないということでありまして、今や密造は全国津々浦々に至るまで氾濫いたしております。密造の石数は少くとも三百万石以上、これに要する米は少くとも二百万石以上、これは
政府の方におかれましても、この二百万石以上の米が密造に使われておるということは、大体予想しておられる向きに承つておるのであります。そこでこの密造は全国あらゆる面、たとえて言いますれば、村の議会あるいは町村の公開の席上において、警察官と言わず、官吏と言わず、ともに密造酒を公然と飲んでおるのであります。密造酒をつくつた者も販売する者も飲んだ者も、すべて五年以上あるいは十年以上の懲役である。また五万円以上の罰金である。そういう厳重な処罰をするという法律を、公然とまたあらゆる国民階層が平気で踏みにじつておるという、こういう法律はまたおそらくほかになかろうと思う。この現状を
政府は一体何と見られるか。こういう法律はすなわちあまりにも酒の価格が高過ぎる。清酒、しようちゆうその他の酒類があまりに高くして、国民の生活から遊離しておるということのために、こういう現象に至つておると思うのであります。こうした国民の遵法意識の低下は、ひいてはあらゆる方面に非常な罪悪を広げて行くと思われますので、かかる現状は、これはまず大蔵大臣の責任であり、ひいては国
会議員の責任である。この際においては何としてもこの酒に関する重税を一日も早く大幅に引下げて、実情に即するようにお願いいたしたいと思うのであります。われわれは酒税の率の引下げを要望いたしますと、いかにもすぐ酒税率引下げが酒の税の減収になるかのごとく考えられておりまするが、これは大いに間違いであります。六月の実績を調べてみますると、昨年六月の清酒二級酒の庫出しと比較いたしますと、今年の六月の庫出しはすでに半分に減つております。おそらく将来ますますこの庫出しは減つて行きますでしよう。現状で行くとするならば、おそらく
政府が今年予算で見積られたところの酒の石数は、とうてい消化できないということは明らかであろうと思います。従つてここで酒税の税率を引下げるならば、むしろ消化が進められて、税収全体としてはむしろ増収になるとわれわれは考えるのであります。これについての詳しい資料は、
請願書に添付いたしておりますので、時間の関係上この点については省略いたします。
政府御当局においてはよくこの点をごらんになつて御善処を願いたいと思うのであります。酒税値下げの
請願の理由はまだほかにいろいろあります。他の同僚議員からもお話があると思いますが、要は全国におけるほうはいたる
酒税引下げの要望をこの際よくお考えになりまして、前の国会においても約三百六十万通の書類が
請願書として出ております。この機運をよく御了察くださいまして御善処あらんことを希望する次第であります。