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1950-07-27 第8回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 大上  司君 理事 奧村又十郎君  理事 小山 長規君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 田中織之進君       淺香 忠雄君    川野 芳滿君       佐久間 徹君    西村 直己君       三宅 則義君    宮幡  靖君       武藤 嘉一君    竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      石田  正君         大蔵事務官         (国税庁総務部         長)      正示啓次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      松田 文藏君         国民金融公庫理         事       最上 孝敬君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 七月二十六日  日本銀行盛岡支店設置に関する請願山本猛夫  君紹介)(第六二〇号)  引揚者收容施設のため固有財産関係地方公共  団体に無償讓與の請願山本猛夫紹介)(第  六二九号)  マツチに対する物品税撤廃請願首藤新八君  紹介)(第六三七号)  白下糖に対する砂糖消費税撤廃促進請願(長  野長廣紹介)(第六四一号)  冷蔵器に対する物品税減免即時実施請願(三  宅則義紹介)(第六四二号)  未復員者給與法の一部改正等に関する請願(山  本利壽紹介)(第六四三号)  遺族補償制度確立並びに未復員者給與法の一部  改正に関する請願青柳一郎君外四名紹介)(  第六五一号)  松尾寺駅から大波地区に至る旧軍用鉄道引込線  の一時使用許可に関する請願大石ヨシエ君紹  介)(第六六二号)  陶磁器製植木鉢に対する物品税軽減に関する請  願(久野忠治紹介)(第六六七号)  化粧品に対する物品税撤廃請願島村一郎君  外一名紹介)(第六六八号)  日本勧業銀行農村金融機関としての機能整備  に関する請願本多市郎紹介)(第六八五  号)  農民に対する課税軽減に関する請願本多市郎  君紹介)(第七〇九号)  預金部資金地方還元に関する請願本多市郎  君紹介)(第七一一号)  家具に対する物品税撤廃請願西村直己君紹  介)(第七一五号)  陶磁器製花器に対する物品税免税点設定に関  する請願久野忠治紹介)(第七四四号)  病院用寝台等に対する物品税免除請願西村  直巳君紹介)(第七四七号)  アルバムに対する物品税撤廃若しくは軽減に関  する請願三宅則義紹介)(第七四八号)  運動具に対する物品税撤廃請願小西英雄君  紹介)(第七五八号)  ラジオ受信機等に対する物品税減免請願(長  谷川四郎紹介)(第七七五号)  織物消費税並びにメリヤス製品物品税の廃止に  伴う業者損失補償に関する請願小林運美君  紹介)(第七七八号)  国民金融公庫法の一部改正に関する請願(野村  專太郎君紹介)(第七八〇号)  瓦製造業者に対する適正課税請願三宅則義  君紹介)(第八〇三号)  揮発油税撤廃若しくは軽減に関する請願三宅  則義紹介)(第八一〇号)  揮発油税軽減に関する請願武藤嘉一紹介)  (第八一一号)  同(石田博英紹介)(第八一二号)  同(山崎岩男紹介)(第八一三号)  同(松木弘紹介)(第八一四号)  同(北川定務君外一名紹介)(第八一五号)  同(高木松吉紹介)(第八一六号)  同(河原伊三郎紹介)(第八一七号)  同(竹村奈良一君紹介)(第八一八号)  同(木村公平紹介)(第八一九号)  同(伊藤郷一君紹介)(第八二〇号)  同(武藤運十郎君外一名紹介)(第八二一号)  同(神田博紹介)(第八二二号)  同(小高熹郎君紹介)(第八二三号)  同(松野頼三君紹介)(第八二四号)  同(宇田恒紹介)(第八二五号)  同(塚原俊郎紹介)(第八二六号)  同(田中元紹介)(第八二七号)  同(畠山鶴吉紹介)(第八二八号)  同(井上知治紹介)(第八二九号)  同(橋本龍伍紹介)(第八三〇号)  同(夏堀源三郎紹介)(第八三一号)  同(菅家喜六紹介)(第八三二号)  同(岡村利右衞門紹介)(第八三三号)  同(山村新治郎君紹介)(第八三四号)  同(河原伊三郎君外一名紹介)(第八三五号)  同外一件(菊池義郎紹介)(第八三六号)  同外一件(大石武一紹介)(第八三七号)  同外一件(尾崎末吉紹介)(第八三八号)  同外一件(大上司紹介)(第八三九号)  同外一件(星島二郎紹介)(第八四〇号)  同外三件(山口喜久一郎紹介)(第八四一  号)  同外三件(首藤新八紹介)(第八四二号)  同外五件(佐藤榮作紹介)(第八四三号)  同外十八件(滿尾君亮君紹介)(第八四四号)  酒税引下げに関する請願橋本登美三郎君紹  介)(第八四五号)  同(尾崎末吉紹介)(第八四六号)  同(庄司一郎君外二名紹介)(第八四七号)  同(佐々木秀世紹介)(第八四八号)  同(小野瀬忠兵衞紹介)(第八四九号)  同(山崎猛君外二名紹介)(第八五〇号)  同(塚原俊郎君外一名紹介)(第八五一号)  同(金塚孝紹介)(第八五二号)  同(原彪君外一名紹介)(第八五三号)  同(大和田義榮紹介)(第八五四号)  同外一件(武藤嘉一紹介)(第八五五号)  同外一件(鈴木明良紹介)(第八五六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  農業協同組合に対する特別融資等に関する陳情  書  (第  一五八号)  閉鎖機関整理委員会所有生糸放出に関する陳情  書  (第一九六号)  農業協同組合に対する課税に関する陳情書  (第二〇一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  税制に関する件  金融政策に関する件     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  議案の審査に入ります前に、小委員会設置の件につきましてお諮りいたします。会期も終りに近づき、本委員会に付託されました請願件数は二百九十八件、陳情書送付件数十一件の多きに上つております。この際請願及び陳情書審査のための小委員会を設置いたし、その審査を進めたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議ないようであります。請願及び陳情書につきましては小委員会を設置し、その審査を進めることに決定いたしました。  なおこの際小委員及び小委員長選任をお諮りいたしたいと存じます。、
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員 その小委員並びに小委員長選任委員長に一任いたしたいと思います。
  5. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 委員長に一任という動議であります。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは、御異議ないようでありまするから小委員及び小委員長は、委員長において指名することにいたします。  請願及び陳情書審査小委員会委員    大上  司君  小山 長規君    奧村又十郎君  川野 芳滿君    三宅 則義君  宮幡  靖君   宮腰 喜助君 早稻田柳右エ門君    田中織之進君  高田 富之君  なお小委員長三宅君にお願いいたします。(拍手)     —————————————
  7. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは、次に税制に関する件を議題として質疑を行います。三宅君。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員 今般シヤウプ博士が御来朝になるにあたりまして、税制改革並びに現存の税法に関しまする改革試案を、大蔵当局では立案せられつつあると聞いておるのであります。この際ひとつ主税局長からざつくばらんに、こういう点をぜひ改正したいということを聽取いたしたいと存じます。
  9. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話通りシヤウプ博士は今月末多分日本に着かれる予定のように、私ども聞いております。税制改正問題につきまして、おそらく今回は昨年の勧告に対しまして若干の検討を加え、さらに必要な補正的補充的な勧告をするのが目的じやなかろうかというふうに、私ども承知いたしているわけでございます。大蔵省といたしましては、大体におきまして前回シヤウプ勧告ラインに基きまして、若干の調整は加えましたが、基本的にはそのラインに基きまして提案して、国税の分は御承知通り先般御審議を煩わしまして成立し、実行いたしております。地方税につきましては、目下参議院で審議中という状態でございまして、基本的な点につきましては、あまり大きく変更するというのはこれはどうもいかがであろうか。やはり税制根本あまりたびたびかえるというのは適当ではございませんし、シヤウプ勧告にもありましたように、根本的な制度等につきましては、なるべく長期に安定した税制ということを言われているようでもございますから、これを再び根本的にかえるというようなことはどうであろうか、そういうことにはおそらく行かないのじやないかというふうに考えております。ただ問題はまだいろいろございまして、まあ私どもとしましてはさらに強く願つて勧告してもらいたいような事項もございますし、それからさらに新らしく税法実施状況等を見てもらつた上で、相当細目点等につきましては、再び勧告してもらつた方がいいような事項相当あるようにも考えられます。かような事項につきましては、私どもとしましてもでき得る限り事前に研究いたし、あるいは資料等をとりそろえまして、日本実情に即して、税の問題ができるだけ円滑に、かつ目的を達成し得るようにいたしたい、まあこのよう趣旨で目下いろいろの資料を集めまして検討中でございます。  その中で、いろいろ問題がございますが、私どもとしまして一番大きな問題は、所得税酒税物品税、こういうような種類の税率控除等の問題を、でき得る限りさらに一層合理化する。碎いて申しますならば、相当減税に努めるということになるわけでありますが、この問題は一面におきましては、来年度予算をはたしてどの辺まで圧縮できるか、そういう問題にかかつていると思います。そういうことにつきましても、大体のところにおきましては目下見通し等もいたしまして、いろいろ検討いたしておりますが、具体的にはやはり各省から予算の要求がありまして、それを査定した上でないと、はつきりしたことはなかなかできにくいという点がございますので、大臣お話になつておりますように、ごく大づかみの見当としましては、目下いろいろ考えておるわけでありますが、まだ最終的に所得税酒税やほかの税をどのくらい減税し、合理化し得るかという段階までは実は参つていないのであります。できますれば所得税につきましても基礎控除家族控除等を引上げ、さらに税率等につきましても、前回委員会で御指摘になりましたような個々の不十分な点を——相当よくなつたと思いますが、なお不十分であることは指摘された通りでございまして、そういう点につきましては、さらに一層合理的なものにかえるように努めたい、このように考えております。  なお物品税酒税その他の税率につきましても、とにかく相当高い税率でございますことは、皆さんからたびたび御指摘を受けておる通りでございますから、これも財政事情等をにらみ合せまして、できる限り合理的な軽減をはかるように努めたい、こういうふうに考えております。かような問題につきましては具体的に資料が集まりまして話がつきますのは、おそらく大分あとの方じやないかと思つております。私どもできるだけ材料をとりそろえまして、十分検討してもらうつもりでおるのであります。それに関連しまして、朝鮮の事変を中心にしまして、日本経済情勢が若干かわつて来ておりますので、そういうような問題が、あるいはある程度考慮に入れられるのじやないかとも考えられますが、かようなことにつきましても、極力よく注意いたしておきまして、できるだけ所期の目的を達成するように持つて行きたい、このように考えておるのであります。  それからその他の問題といたしましては、制度の面におきましても、細目の点につきましては、やはりもう一歩進んで検討してもらう問題がありはしないかと思うのであります。なお前回シヤウプ勧告がありまして、本議会までに実現を見なかつた事項相当ございます。たとえば社会保障税問題等は一応研究はいたしましたが、まだ実行案として国会に提出するに至つておりませんが、その問題をどうするかということが社会保障計画と相関連しまして、一つの問題であろうと考えます。  それから例の株式の名義書きかえの問題等につきましても、一応株価の情勢等にかんがみまして、一般経済界に著しく影響を與えるような措置は見送ることにいたしておるのでありますが、そのような問題につきましてもどうするかという問題につきましては、やはり検討をする必要があるのじやないかと考えております。  それから税務代理士制度等につきましても、いろいろ研究いたしましたが、成案を得るに至りませんので、御審議を煩わしていないのでありますが、こういう問題につきまして、もう一応検討しましてはつきりした案を立てるようにして参りたい、かように考えております。なおそういう問題がいろいろございます。  それから各税の中におきましても、細目の問題はいろいろあろうかと思いますが、私はやはり一番大きな問題は、税務執行面に実はあるのではないか。ことに申告所得税申告納税中心にしまして、今度の税制改正申告納税制度をいかにすればうまく行くようになるかということについて、いろいろ制度面改革を御承知通りいたした次第であります。青色申告制度、前年の実績による制度協議団制度、その他税法の上におきましても微細の点にわたりまして合理化なり、民主化等につきましても妥当なる改正をはかるというようなことにして、いろいろ改正を加えて来たわけであります。この運用改善ということはなかなかむずかしい問題でありまして、そのことにつきましてはたびたび委員会等におきましても御指摘を受けておる通り、なかなか一がいに制度改正と違いまして、簡單に行かない問題であると思います。何といたしましても、この運用がうまく行くように努めなければ、結局制度改正ができましても、いつまでたつて租税の紛争の問題が絶えないということになりますから、こういう申告納税制度の合理的な運営という問題と関連しまして、これが改善をはかるためには、どういうふうにすべきかといつたような問題につきましても、今後さらに立ち入つた検討を加えて参りたいというふうに考えております。理想としましては、たびたび申しておりますように、申告納税制度でありまするから、更正決定について実は個別的によく調べて、調べた人についてだけ更正決定をやる、それで相当收入を上げ得る、こういうところに行かなければ、ほんとう理想ではないのでありまして、外形的な調査等でやむを得ず一定期間までに決定をはかりまして、そうして收入を確保するというような措置は、実は申告納税制度の本旨から申しますると、やややむを得ない措置としてやつておるわけであります。将来の理想としましては、やはりよく調べて、調べた人についてよく事前に話合うと同時に、更正決定をやつて行く。それによりまして、円滑に納税をはかつて行く。ただ、今の状況では遺憾ながらそういう方法をやりますると、收入申告の高さが非常に低いために、なかなかうまく行かないという事情がありまして、今年からはやはり申告制度においては、前年の実績によるという制度を採用いたしております。経済界事情も大分おちついて来ておりますので、今までほど急いで年度末までに、ある程度調査更正決定をやつて片づけてしまうというような行き方をする納税が、どつちかというと、今後は若干少くなるのではないか。そうなつて来ますとやはり丁寧に調べまして、更正決定等も愼重にやる。一方納税者につきましても、税法の普及なり、申告指導等を十分にいたしまして、申告相当税額を納めるようにする。理想を申しますと、私はやはり申告納税制度というものは、少くとも徴收すべき人聞から申しますと七、八割、税額から行きましても八、九割程度申告で納まる。あとの二、三割を税務署でよく調べて決定をする。税額としましても、それによつて比較的少くて済む。こういうふうに行くのが将来の理想であるというふうに考えておるわけであります。はたしてどうすれば、そういうふうに行き得るか。それからそういうことにつきまして、いかなる対策を講ずべきかという問題につきましては、委員会等の真劍に御討議になつております事項十分考慮に入れまして、今後どうするかという問題は、これは私どもよほど検討に値する問題であると考えておるのであります。このような運用面改善、それに関連した制度改正というような問題は、やはり一つの大きな問題として十分検討に値する問題ではないか、このように考えております。  それから地方税の問題につきましても、地方財政実情につきまして、やはりよく検討を加えるということは必要でないかと私ども考えております。一般的に地方財政が最近まで非常に窮迫して来たということは事実であります。必ずしも一律でないようでありまして、ところと場所、団体によつて相当違うようでありますが、その辺の事実をよく把握いたしまして、地方財政制度につきましてもさらに若干の補正を加える必要があるかどうか、このような問題についてもなおよく検討する必要がある、かように考えておるわけであります。かようないろいろの問題につきまして、できる限り私ども勉強をいたしまして、日本実情によく即しまして、租税問題は非常に皆様に御迷惑をかけておる点がございますから、かようなことがあまりなくして、スムースに相当税收が入り得るような方向に一刻も早く行くには、どうすればよいかというような点、これが一番の中心になつておりますが、かような点につきまして一段と検討を加えまして、よりよき租税制度及び租税運用ができますように、勉強して行きたいと考えておるわけでございます。  なお細目はいろいろございますが、一応それだけお話をしておいて、あと質問に応じてお答えいたしたいと思います。
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員 今主税局長の御答弁を伺いましたが、根本のことを一、二申し上げて次に移りたいと思います。  実は本国会でも前の国会でもそうでありますが、税法改革にあたりましては主税局は非常に骨を折つて立案せられたようであります。本国会会期が非常に切迫しておりますので、シヤウプさんとのほんとう連繋と言いますか、会見と言いますか、交渉等につきましては会期が済んで後に行われるべき段階であると思うのであります。今までの慣例でありますと、当局のみが接触しておつて議員の方はあとでそれを承るというような、まことに手ぬるい手段であつたのでありますが、今回の改正税法等につきましては、試案というものはその前によく当局とも相談し、われわれもそれに対して関與をいたし、ほとんど国会閉会中も随時随所に会合を求め、シヤウプさんとも連繋をとつて、われわれの意のあるところを十分の尊重願いたいと思うのでありますが、当局も注意せられたいと思います。これが第一点。  第二の問題は所得税並びに物品税改廃等につきましては、非常に陳情があるのであります。また酒税につきましては、特に本日ここにおいでになる方々から御意見があろうと思います。こういうような点がかなりあるわけでありますから、どうか今までのような祕密主義といいますか、でき上るまではあまり接触がないというような主義は捨てて、もつとざつくばらんに委員会とも接触を密にせられまして、円満な進行に協力せられたいと思うのでありますが、政府根本のお考えを承りたい。
  11. 平田敬一郎

    平田政府委員 ごもつともな考えと思いまして、私もそのように極力努めたいとは考えておる次第でありますが、ただあの案も最終的に固まつた案と、それ以上どうにもならぬ案ということになりますと、これは場合によりましては、ある程度新聞紙等に出ましてもさしつかえないと思うのですけれども、その段階に至らない予備的なものでございますと、外部に漏れるということが実は交渉なり、話合いをして行く上におきまして、なかなかうまく行かぬ場合も非常に多うございますので、これは十分注意をいたしますが、私はむしろ国会国会としまして、やはりでき得る限り接触あるいは交渉その他をいたしまして、意見等十分お話になる機会を持つのがいいのじやないかと考えておるのであります。それでもしも必要でありますならば、私ども折衝をいたしまして、そういうチヤンスも十分つくつてもらうようにいたしたいと考えるのであります。もちろん先ほばも申し上げましたように、でき得る限り御連絡を申し上げまして、そういうようにいたしたいとは考えますが、むしろ私は国会としましても、できる限り直接にシヤウプさんともお会いになりまして、意見交換をされた方が、あるいはより以上効果があるのじやないかというように考えておるのであります。各省との関係におきましても大蔵省むりに案をまとめて話をするということは、昨年も避けまして、それぞれ各省立場において必要なことを主張したいことは、幾らでも言つてくれというように、昨年もある程度その通りつてもらつた例があるのでありますが、そういうわけでありますから、それぞれの立場から十分御意見交換等を行うようにして、全体としてうまく行く方法考えているのであります。御了承を願います。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員 先ほどのお話通り、前国会もしくは第五国会等におきましても、シヤウプ氏の勧告の出る前にわれわれ先に交渉したいと思つておりましたが、池田大蔵大臣も非常にお忙しかつたために、そういう機会のあつせんの労をとられなかつたのでありますが、今度のそういう機会におきましては、本大蔵委員会としても国会代表としてたびたび折衝機会を得たいと思いますから、そうしたような税制に関しては、われわれ国会といたしまして独自の見解もしくは政府と協力する意味において、交渉を持続せられんことを委員長にお願いいたしたいのであります。  次に政府当局に申上げたいと思いますが、やはりわれわれは資料を得なければならぬ点があるのであります。でき得べくんばその資料については、当局は一年中やつておられることでありますから、われわれ委員会の要求いたした資料はどしどしお與えくださいまして、そうして政府交渉する。われわれ国会交渉する。むしろ政府よりも国会議員の方が、意見がよく通るということも聞いておるわけでありますから、その点強く要望するわけであります。
  13. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの三宅君の御意見については同感であります。本委員会税制関係については小委員会を設置して、特にシヤウプ氏がお見えになりましたら、委員会としての案を通じて十分に接触を求めたいと考えております。
  14. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいま三宅委員から最初に質問いたしました今度のシヤウプ氏の来朝機会に、税制根本的な点について、大蔵省の方でどういう構想で折衝するかということに対しての主税局長の御答弁は、まだ大蔵省としても根本的な方針がおきまりでないやに承つたのでありますが、この点をせつかくの来朝機会でありますから、特に残されておる問題については、思い切つてこの際に改正するという方向をとつていただきたいと思います。  それにつきまして一、二お伺いをいたしたいのでありますが、大体先般の国会で成立いたしました税法によりますと、明年度における所得税中心とするところの税收が、どの程度二十六年度に見込まれるか。従つてこれが来月でき上るであろう二十六年度予算との関係におきまして、どの程度の歳入の要求があるかということとの兼ね合いの問題になると思いますが、まず第一にお聞きいたしたいのは、先般の国会で通過いたしました税制によりますと、二十六年度通常の税收としてどの程度のものがはじき出されておるかということが第一点、それから第二点は、ただいまの平田局長の御答弁の中には出ておらなかつたのでありますけれども所得税の中における源泉課税の勤労所得税です。これが非常な比率を占めて来ておるという事実を見のがすわけには行かないと思う。しかし問題は最近のように、給與所得というものがベースもくぎづけになつておるというような観点からいたしまして、若干物価の面における値下り等の事情考えられなくもないのですが、どちらかといえば物価の趨勢を見ますと、ぜいたく品は下つておるけれども、生活必需品の面における物価の値下りという傾向は、そう顯著に見ることができないのであります。一面現在のベースがくぎづけされておるという関係から行きまして、現行の勤労所得税税率では給與所得だけによつて生計を営む者にとりまして、生活に対する非常な重圧になつて来ておると思うのです。従いまして近くシヤウプ氏が来朝せられますならば、その機会所得税の面について特に考えていただかなければならぬ点は、やはり勤労所得税税率を引下げる。これは勢い基礎控除の問題、あるいは扶養控除の問題等にも触れて参りますけれども、この点について思い切つた改正方向を進めていただかなければ、早急に今の内閣の方針ではベース改訂が望めないような情勢のもとにおきましては、この面が非常に重要になつて来ると思うのであります。勤労所得税の面につきまして、次の税法改正にあたりまして、特にこれは取上げてもらわなければならないと思いまするが、この点に対する大蔵当局の御意向はどういうものでございましようか。この二点についてお伺いいたします。
  15. 平田敬一郎

    平田政府委員 いずれもきわめてごもつともなお尋ねでございまして、私どももそういう問題は、目下実はいろいろ資料等も集めまして検討を加えております。  第一番目の来年度收入見込みの問題でありますが、これは今御指摘のように、最近の経済事情が若干かわりつつありますので、どうも的確な見積りをつくるということはなかなか困難な事情にありまして、今実はこういう仕事をやつておりまして、まだその途中の段階にあるということを申し上げまして、御了承を願いたいと思うのであります。所得税の見積りというのは、前国会でも申し上げましたように、二十五年分の見積りは申告所得税につきましては二十三年分の課税実績をもとにいたしまして、生産、物価、雇用、賃金、そういうものの増減状況を見て、それで課税所得を見積つて、それに対しまして税法改正いたしました場合におきまして、どのような移動があるかということを詳細に検討いたしまして見積つております。従いまして昭和二十六年分につきましては、昭和二十四年分の課税実績をもとにして見積るのであります。そういたしまして、今昭和二十四年の決定実績がやつと、先般七月初めに各税務署、国税局から報告がありまして、資料がまとまりましたので、それをもとにしまして、今後の生産、物価等の移推等も考慮に入れまして課税所得を算定し、それに改正税法を当てはめて税額を出す、このような仕事を今実はやつておるわけであります。これはなかなか簡單なようでありますけれども改正等でいろいろ事情がかわつおる関係上、なかなか簡單でないのであります。できるだけ見込みを立てます場合におきましては、最近の事態を考慮に入れなければならぬ、将来の事態もある程度予測に入れなければならぬというむずかしい問題が出まして、計数的に幾らぐらいというところを言い得るまでにはなお若干の時日を要するようであります。でありますが、大体の大づかみを申し上げますと、御承知通りことしは千五百億と申告所得税を見積つております。勤労所得税状況は大体今予算を見積つておりますものと大差ございませんで、むしろ若干増加の傾向にあるのではないかと見ておりますが、申告所得税の方は今御指摘がありましたように、一部のものにつきましては物価値下り等がありまして、前回見積りました際よりもむしろ若干下つておるものも中にはあるようであります。そのような問題につきまして全部総検討いたしまして、今の段階においてどれぐらい見込み得るかという問題を、今実は検討いたしておるわけであります。最終的に予算として確定いたしますのは一応やつておきましてぎりぎりのところで全部やり直すわけであります。来年度予算がきまりますのはおそらく十一月ごろかそこらと思います。指数等も前回申し上げた通り、去年は九月の指数を標準に見積つたわけでありますが、ことしもそのころでないとはつきりした最終的のものは出て来ない、こういうような状況でございます。しかしその一つ前におきましても、今の状況ならどうであろうかということで、実は今いろいろ研究をしておるところであります。その案ができましたならば、必要によつてお知らせするのはさしつかえないと思いますが、今の段階はそういう段階であることを御承知願いたいと思います。従いましてことしの問題といたしましても、昭和二十五年度で千五百億の申告所得税を実は見積つておるわけでありますが、これがはたして最近の情勢に応じて、それだけ入つて来るかどうかという問題もよく調査して参らなければ、この問題はなかなかフアクターが今申しましたように錯綜いたしておりますので、うかつな見当で申し上げると、かえつて非常に判断を間違うということになりますから、私どもといたしましてはいろんな角度から検討した上で、ある程度自信のある段階に至つて申し上げる、こういう事情でございますから御了承願いたいと思います。  第二の問題でございますが、勤労所得税申告所得税のバランスの問題でございます。この問題につきましては、今御指摘の点もごもつともなところがたくさんあるようであります。すなわち最近の状況を見ますと、勤労所得税の方は非常に増收がありまして、申告所得税はなかなか伸びない。去年の実績によりますと、勤労所得税は千四百億入りまして、申告所得税は千三百七十億、実は勤労所得税よりも下まわつてしまつた。ところが決定の方は全体で千九百億でございまして、所得の決定から申しますとややバランスがとれている。ところが実際は納税状況その他が悪く、あるいは決定自体も若干悪いところがあるのかもしれませんが、逆に申告所得税が下まわつている。内容を見ますと、農業所得者はおおむね八〇%以上納めているが、営業所得者は五五%くらいしか年度内に納まつていない。こういう問題に関連してこれはどのように考えるか。これはなかなかむずかしい問題でございますが、一番の論点は、今年の改正から御承知通り勤労所得の控除を一割五分にいたしたわけであります。シヤウプ勧告では一割にすべきだというのを五分だけよけいにいたしまして、今まで二割五分控除をとつたのを一割五分の控除に改めているわけでございますが、この問題はなかなか簡單な問題ではございません。むしろシヤウプ勧告の趣旨から申しますと、この幅は圧縮するのが合理的だという意見のようであります。その反面、申告所得税納税者等につきましては把握を徹底いたしまして、つまり税法通りの査定、税法通り納税ということを確保いたしまして、その面でバランスをはかつて行く。そうしまして、勤労所得と事業所得との間における税法上の負担の差というものを、あまり多くしない方が理論からいつて正しい、こういう見解のようであります。これに対しましては相当反省すべき点も多いと思いまするが、大体の傾向はその辺に来ておりまするので、むしろ私は全体として税率控除をさらに合理化しまして、所得の把握を徹底して、実質的に勤労所得者と事業所得者の負担のバランスをはかつて行く。将来においてはこのような方向に向うのが正しい方向ではなかろうか。控除率を上げるというような方向は、前のシヤウプ勧告あるいは今後の行くべき方向にやや逆行するのではなかろうか、このように考えております。今御指摘の点はいろいろ問題をたくさん包蔵しておりますので、私どもよく研究いたしまして、できる限りいくつのつく方向に持つて行くように努力いたしたいと思います。なかなかむずかしい問題であることを御了承願いたいと思います。
  16. 田中織之進

    田中(織)委員 前段の点でありますが、私はやはりその点が一番問題だと思います。なぜ私はその点を申し上げるかというと、ただいま平田局長の御答弁の中にもありましたように、結局は税法通りの徴收をやるんだということになりますと、現実の歳入歳出の関係、特に歳入の面を見ますと、相当予算に予定した以上の歳入が上つている。この点はこの間も国税庁の総務部長に対して質問した点とも関連して来るわけでありますが、問題は一方において相当多額の滯納があり、さらにその上に相当の歳入超過金を毎年度持ち越している、こういう実情から見まして、私はやはり税率の問題あるいは基礎控除の問題というようなことを考え直さなければならない。これは一種の逆算的なものとなりまするけれども、それがやはり正しいのではないか。税法通りとるということは、徴收の面から見まするならば、これが一番合法的なことであることは言うまでもないのでありますが、そういうことでは、先般も有田委員等からも指摘されましたように、卵を生む母体である鶏を結局つぶしてしまうような結果になるのであります。一度きりで税金は済む問題ではないのでありますから、税源を培養して行くということが考慮された形において、やはり税率決定並びに基礎控除等の問題について、考えなければならない問題じやないかと思うのです。そういう点から見まして、やはり現在のままの税率税法通り徴收するとすれば、大体どの程度のものが把握できるかということ、これが来年度における歳出関係から来るところの歳入面に対する需要とのにらみ合せで、勢いそこに私は現在片一方に多額の滯納があり、その上にさらに年度の切りかわりの時期には、結局前年度相当の歳入超過金を持ち越しておる。これは最近の趨勢だと思うのです。そこに考えなければならない問題がある。そういう意味から、特に来年度においてこの税法のままとしてどの程度把握できるかということと、来るべき改正との間に調整しなければならない問題か出て来るということを申し上げておるのでありまして、特にその点は、現在の日本所得税の負担率というようなものを、すぐアメリカであるとか、あるいはイギリスであるとかいうような国とよく比較されて、それに比べればまだなんだ、こういうようなことを言われますけれども、完全に武装を放棄した日本におきまして、もちろんわれわれは敗戰の日本経済、社会、あらゆる面における再建を進めなければならぬのですから、その面における建設的な需要が必要である。これはまた国民も納得すると私は思うのでありますが、その意味でありますならば、やはり日本と、現在相当の軍備を持つておる国とにおける所得税の負担率というものは、おのずから私は別な数字が出て来るのが当然だと思います。そういう点から決して比較対照にはならない。そういう意味で全般的な最近の歳入超過の現実とをにらみ合せて、来るべきシヤウプ博士との折衝にあたつては、大蔵当局は特に税率あるいは控除というような問題について、考えていただきたいということだけを申し上げておきたいと思うのであります。  なお勤労所得税の面に対しましては、先般の第一次シヤウプ勧告方向からいたしますならば、私らの期待しておることが困難だろうと言われる局長のお言葉は、私らも一応理解できないことはございません。しかしながらやはり日本の、特に勤労者に対する社会保障制度全般がきわめて不十分な段階におきまして、私はやはり現在の勤労所得税の負担が過重なものであるということは、これは局長等におかれても身をもつて体験しておられる点だろうと思うのであります。従つて事業所得のような彈力性のあるものではないのでありますが、まさに主客転倒した形になつておるところに、特に来るべき税法改正にあたりましては、勤労所得税軽減の問題について、重点的に考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
  17. 平田敬一郎

    平田政府委員 前段の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、基本的な考え方といたしましてはお話通りだろうと思います。私どもやはりできる限り税率、控除等を合理化いたしまして、税はあくまでも税法通り嚴正に執行いたしまして、そしてほんとうに負担の公平をはかつて行く、こういうような方向に行かなければ、いつまでたちましても真の負担の公平ははかり得ない、こういう考え方をとつております。従いまして見積りその他におきましても、もちろんそのような見地から、あくまでも正しい見積りをするということで進めて参りたいと考えております。たださつきもちよつとお話が出ましたが、元を残すという意味で、運用で手加減するということは実は邪道でありまして、やはり正道といたしましては、税制自体を根を枯らさぬような税制にして、そのきまつた税法は、あたかも勤労所得のごとく事業所得の場合も的確に捕捉され、的確に收入が入つて来る、こういうような方向に行かなければ、いつまでたつてもよい税制はできないのではないか。もちろんこれは一挙に一ぺんには理想通りできませんが、方向といたしましてはそういう方向になるべく早く行くように進まなければならぬじやないか、このように考えております。  第二段の問題につきましては先ほど申し上げました通りでございまして、やはり今申しました方向によりますと、どうしても勤労所得ははつきり把握されて徴税がよいから、特別控除をするという方向では問題は解決しない。逆にほかの所得を的確に把握しまして、徴税もはつきり入つて来るようにして、それで勤労所得とのバランスをはかつて行く。そうして全体として控除なり税率考えて、ほんとうに実質的公平をはかる。それによりますと、今まで課税漏れになつてつたような税が入つて来ますから、これはもちろん運用の問題でございませんが、立法の問題といたしましては全体として税率、控除等の引下げ、引上げができまして、それでほんとうの負担のバランスがとれる。そうしますと勤労所得者の負担もおのずから軽くなる。このようなことに行くのではないかと思いますが、そのような方向におきまして極力実質的な負担の均衡をはかるように努めて参りたい、このように考えております。
  18. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この五月末現在の滯納が約千二百億、特に申告納税の滯納がひどい。言いかえれば昭和二十四年度の徴收歩合が非常に悪い。これが今度シヤウプ博士が来られての一番検討を要する問題でなかろうか。シヤウプ税制では所得税に非常に重点を置いておる。その所得税で昨年千九百五十億の課税をして、実は千二百億余りしかとつておらない。そうであるならば、第一に税の公平ということが欠けておるということなんです。そこで国税庁の方にいろいろお伺いしておるが、なぜこの滯納がふえたかということについての原因がはつきりいたしません。シヤウプ博士がお越しになるについて大蔵省も十分御検討なつたはずですが、私どもがどうも納得行くような御答弁ができておらぬ。国税庁の方では、金詰まりあるいは物価の下落というような、非常に漠たる御説明でしたが、それでは納得できぬ。金詰まりがこのままで行くならば、来年も滯納はこういうぐあいになつて行くということになるので、もう少し御研究になつておるはずだと思う。ひとつ局長から御答弁を願いたい。
  19. 平田敬一郎

    平田政府委員 今奥村さんの御指摘の問題は確かに大きな問題でありまして、おそらくシヤウプ博士もそのような点につきましては、非常な関心を持つであろうと思います。私どもいろいろな角度から検討いたしておりますが、やはり理由といたしましては、経済情勢が一部あるいは相当部分におきまして下り坂になつて来ておる。それに関連しまして金詰まりがはげしくなつて来ておる。そうしますと、御承知通り納税者は資金に困りますと、どうしてもやはり税金を遅らすというのが一番手取り早い解決ですから、まず生活費を出し、仕入れ資金を出し、納税資金は最後にまわす、こういうような方向に行きますのが、ある意味から言いますと、そろばんをはじいて企業を経営して行く場合におきましては、自然の勢いみたいになり、やはりどうしてもそういう傾向に行く。これがやはり一つの大きな理由じやないかと思います。それに反しまして物価が値上り気味で、資金はどんどん回転するということになり、税金を納めてもまた入つて来るということになりますと、税金が上つても税金は納まる。ところが資金が詰まる、あるいは今詰まらなくても、将来詰まりそうだということになると、やはりついあとまわしにする、こういうような気持になりまして、それでつい遅らせるというような傾向があることが、やはり私は相当大きな理由じやないかと思います。これは納税道義の問題もございますが、農村は八〇%以上納めております。これは大部分は御承知通り供出で十二月から一月ごろに固まつて資金が入つて来る。納期がそのころでありますから、割合に資金的にも納めやすいときに税金が来る。そういつた事情がありまして、割合にいいのであります。ところが営業者でありますと、毎月資金を動かしておるわけでありますから、納税者の方々には税金をその場において計算してリザーブしてもらつて、そうして税金を納める。こうやつてもらいたい思いますが、現実はなかなかそう行つていないのであります。納期になつて納めるということになると、金が詰つて来ますから、今申し上げたように遅れるということになる。こういう事情があつて、特に都会になればなるほど滯納がある。同じ営業者でも地方の営業者よりも大都市になればなるほど実は悪い。これはお配りいたしました資料によつてもおわかりと思いますが、その辺はやはり資金の動きとともに敏感に動いておるというのが一つあると思います。そのほかにもいろいろあると思いますが、これはやはり私率直に申し上げまして、税務署の仕事のやり方、役所の仕事の全体のやり方、これが非常に仕事が重大でありかつ多いのに比べまして、十分あがつていないという点も確かにあるかと思います。たとえば一ぺん納めた人にまた税金の通知をよこす。それで非常に納税者の気持を悪くする。私は会う人ごとに一ぺん納めた人に納税の通知を出すというと、百の宣伝もゼロにしてしまうから、絶対にそういうことはすべからずということをやかましく言つておりますが、今の現状では税務署の仕事の繁忙から、並びに現在の職員のレベルをもつていたしますると、大分少くなつて参りましたが、やはり出て来る。こういつた点から見ましても、私は税務署員の能率の向上によりまして、もつとよくし得る部面も相当にあるのではないかと考えております。それからもう一つはこれはやはり全部でございませんで、一部と思いまするが、ほんとうに金詰まりを来していない納税者も、一般の、金詰まりだ、やれ不景気だ、税金は高い、やれなんだ、こういう声に、悪く言いますと便乗でございますが、よく言いますと用心をして、自分の将来のことを考え過ぎて税金をあとまわしにする。結局つい税金を——非常なむりじやなくても、ある程度むりをしてもらえれば納まるのが、それだけむりをする決意をしない、ついやはり滯納してしまう、そういう方が納税者の方々の中にもやはり相当いるのではないか。ことに毎日現金收入がある小売なんかの場合におきましては、少しむりして納めてもらえれば、納まる面も中にはやはりあるのではないかと考えます。税務署におきましては、そういう納税者ほんとうに、これは少し熱心に督励を加えれば納めるのか、その辺のところの見さかいをつけまして努力をいたしますれば、従いましてまだ相当入り得る部面もあつたのではないか。そういういろいろな原因が錯綜しておるのでございます。  それからもう一点つけ加えておきたいと思いまするが、昭和二十四年度所得税というものが非常に高い。御承知通り勤労所得税は月給で天引きしますから、これは納まるようなものでございますが、申告所得税のように、一旦所得を自分のポケツトに入れて税を納めるということになりますと、所得税が高いと、なかなか納まらない。こういうような事情もやはり相当あるのではなかろうか。従いまして二十五年度改正でその点はよほどよくなつておると思うのでありますが、今後さらにそういう点につきましては、財政需要等の圧縮をはかりまして、所得税自体をそう減じなくても、納め得る限度の所得税にする。若干のむりはいたし方がないと思うのでありますが、しかし今の状況からそういうような税制にすることがやはり必要ではないか。そういうような事情も私はやはりある程度影響しておるのではないかと思います。かような点はこの間も関係筋といろいろ議論をして、最後の点は私特に強調しておきましたが、やはりいろいろ錯綜いたしまして、このような事態になつておるのではないかと思うのであります。従いまして問題の解決も一筋なわでは行かないのだ。いろいろ対策を考えまして、でき得る限り政府としては努力をいたして行きたい、かように考えております。
  20. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 竹村君。
  21. 竹村奈良一

    ○竹村委員 今度シヤウプ博士が来られて、いろいろ案を出されると思うのですが、その内容を一点お聞きしたいと思います。大体申告所得税の中で、たとえば、前年度の所得より減額することはできない。もし減額する場合においては、減額承認の申請を要するということになつて、何か実際において納税者にとつては実に煩雑なことがやられておるわけでございますが、現在のようにいろいろ変動のはげしい、いろいろな点において所得も年々かわつて来るというような場合におきましては、申告するのには前年度より低くしてはいかぬという、あれを改正するようにお話しになる意思があるかどうかということをお聞きしたいことと、そうして全体から言いますと——全体の問題は申すまでの必要もないと思いますが、結局においていろいろな形における今度の税制改革は、資本家の資本の蓄積がおもに置かれて、結局における大衆收奪ということになるわけであります。しかし実際そういうような点から考えて、あたかもそれがいろいろな形において納税成績の低下になつておると思うが、そういう点についても特に改正するような構想を持つておられるかどうか。  それからもう一つは、先ほど聞きますると、たとえば朝鮮事変が起つておるということに関連して、少しは影響するのじやないか、こういうお話があつたのでございますが、そういう点については、この税制の問題と、朝鮮事変が起つたがゆえに、一応どういうふうな点で関連性があるかという点をお伺いしたい。
  22. 平田敬一郎

    平田政府委員 予定申告の前年実績による制度は、今年初めてやつておるわけでございますが、これは一面におきまして、前年の実績あるいはそれ以上で申告さえすれば、仮更正という非常にめんどうなむずかしいことはしない。納税者としても前年実績あるいはそれ以上に申告して納めて置きさえすれば——これは税金ではありません。所得でございます。税金は改正法によつてうんと減りますことは、御承知通りでございます。とにかく申告が低過ぎると、あとで仮更正をやつて、期待倍数等を示しまして、少くともここまで申告してもらいたい、こういう申告をして来なかつたら仮更正で決定をやつてトラブルを起す、こういう問題が実はある程度なくなりました。従いましてその半面全部前年実績で押しつけるということはむりでございますので、御承知通り一定の時期までに届出をしてもらいまして、なるほどこれはもつともだと思われるような場合には、それを認める。しかし水かけ論に終つて、どつちかわからぬというような場合には、まず納税者の方々も、予定申告ですから、一応前年度実績で所得金額を計算して税金を納めてもらう。そうして確定申告段階で、ほんとう実績がわかりますから、それで正確に計算して、税金を納める。納め過ぎたら返しますし、不足分は納めてもらう、こういう制度とつたわけでございまして、運用の最初の年におきまして必ずしもうまく行つていないところも相当あると思いますが、私は制度としましては、このような事態になりますと、やはりこの申告所得税の円滑なる徴税、納税という上におきまして、相当有力な一つ方法ではなかろうかと考えております。従いましてこの制度を全般的にやめるとか何とかいう考えはないのでございますが、この制度につきましての若干の補正あるいは運用につきましての一層の改善ということにつきましては、なおよく研究して参りたいと思つておるのでございます。  それから第二の問題は、資本の蓄積と大衆課税の問題ですが、これはどうも竹村さんは少し資本蓄積の方に重きをとられ過ぎまして、大衆課税をまたひどくやつておるというお話なんですが、勤労所得税だけでも、税法改正しなかつた場合に比べますと五百億以上の減税になつております。これは正直に申し上げまして、税法改正しないでことし一ぱい実行した場合に比べて、その差額は五百億以上になります。それから農業所得者でも、御承知通り平均所得十万円で、家族四人ぐらいが平均でございますが、この辺が一番軽くなりまして、二十四年度は賦課で五百億、徴收で四百二十億となつておりますが、今年は少くとも半分以下になる。地方税はふえますけれども、この地方税の増を見ましても、農民等の負担は軽くなる。勤労者の場合も家族の多い人は、地方税がふえましても確かに軽くなる。ただ独身者で所得が比較的多いところは、地方税を加えますとかえつてふえるところのあることも事実であることは、前から率直に申し上げておる通りでありますが、全体として税制改正の減税としまして、やはり一般大衆の負担が一番減つておる。配当所得の課税等につきましても、そういう見地から、この際大いに資本の蓄積をはかりまして、日本経済の復興をはかることが緊要であるという点からいたしまして必要じやないか。しかしそういう点に非常に重きを置かれて全体の減税額の大きな分を食つているとお考えになるならば、これは私は少し誤解しておられるのじやないかというふうに考えております。所得税も資産家の場合でございますと、富裕税という一種の財産税をかけまして、これに相当課税しますから、やはり相当高い課税になります。單に一般的に何でもかんでも資本蓄積の点は軽くしたのだというふうには、おとりにならないようにお願いいたしたいと思います。相続税のごときも、下の方は割に軽くなつておるが、上の方は九〇%という高い相続税に引上げられておる。全体をながめていただきまして御批判を願いたいのであります。  最後の点は朝鮮事変との関係でございますが、今申し上げましたのは、事変でいろいろ日本経済情勢にも影響がありそうだ。そういう経済情勢の影響等も十分考慮に入れて、見積り等もしなくちやならぬだろうし、また増税減税等の場合におきましても、そういうような見地をある程度やはり考慮に入れまして、インフレとの関係、今の経済情勢との関係考えて最後にきまることだろう、このような意味におきまして申し上げたのであります。
  23. 竹村奈良一

    ○竹村委員 これ以上は議論になりますのであまり申し上げたくありませんが、大体減税申告の問題、これは昨年度と所得が同じであつたならば、申告せぬでもよいというので便利な点もありますが、しかし実際上において、たとえば農民の場合なんかは、事実減税承認申請を出せといわれた。これは出さなかつたらそのときはそれでいいが、あとで調整するといわれますけれども、実際上税務署におきます扱いは、あれがなかつたら今度の一月の確定申告のときにはなかなか認めない。しかし減税承認申請を出そうといたしましても、実際麦の値がきまらない。米の値がきまらない。肥料の値段は大体七割上るということははつきりわかつておりますが、しかしこういうようになつて来ると、どういうようになるかわからない。そういうときに減税承認申請を出せという。しかも出すのか農繁期の忙しいときであつて農民がやり切れない。その結果ははつきりとこの表に現われておる。あまり減税承認申請を出すのが少いから、上から見れば昨年度より所得が少くないから出さぬのだろう、こういうことになるかもしれませんが、しかし実際農業方面においては、出そうと思つても出せない。そういう点について、いろいろな措置考えていただきたい、こう思つております。なお全体として減税になつてこれは大衆收奪じやない、こうおつしやいますが、これはたびたびの議論になりますし、実際はいろいろな面において所得が少くなつているが、しかし総額があまりかわらないという点から申しましても、私はそうおつしやつたようなことにはならないと思います。しかしそれは議論になりますからやめたいと思います。全体としてたとえば問題になつておるいろいろな間接税、タバコや酒あるいはその他の点におきましても、いろいろ改むべきものが非常に多いと思うのですが、そういうような点もこの際特に大蔵省においては、一応愼重な案を立てられたならば、シヤウプ博士に出す案が大体きまるならば、できるだけ早くさしつかえない程度において、大蔵委員会に一応お示し願いたいという希望を申し上げて、私の質問を打切ります。
  24. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの問題で各委員政府委員との質疑の中で、大体方針は明らかになつたわけでありますが、二、三補足的なことを伺いたいと思います。ただいま実施準備中の納税協議団でありますが、その事務運営の方法につきましては、先般国税庁の方から御説明をいただきまして、大体了解を得たのであります。この内容を見て参りますと、どうも原決定の——税務署長あるいは国税局長の場合もあるかと思いますが、そういうふうな決定に押されると申しますか、もつとわかりやすい言葉でいえば、協議団の権限が大分薄弱ではないか。自主性といいますか、もつと独立いたしました独自の権限を持たせていただきまして、とかく官庁の原決定をいたずらに守り拔くというような気風が、この協議団の中に流れないようにすることがいいのではなかろうかと思つております。従いまして協議団の権限強化というような問題について、将来にわたつて改正をなさろうという御意向がありましたら、この際伺つておきたいと思います。
  25. 平田敬一郎

    平田政府委員 協議団制度は、実は納税者の利益を擁護する最も重要な機関として今回創設されました。従いまして運用の方針は、極力国税庁に対してはそういう角度から、しつかりした協議団ができるように常日ごろ注文を加えておるのであります。ただ民間の委員を民間の資格において入れろということにつきましては、そういうのよりも、むしろ責任のある官吏として民間の経験者を入れて、しつかりやらせるということになりまして、あのような案になつたわけでございます。まだこの協議団ができたばかりでございまして、そろそろ活躍を始めるころだと思いまするが、これをどうするかということにつきましては、もう少しその辺を見た上でよく検討を加えて参りたい。私は常日ごろその機関というものは十分独立性を與えて、最初の国税庁の決定したものよりも、納税者のいうことに耳を傾けていただきたい。特にこの運用方針を間違つたら、協議団としては十分機能を果せぬということを、会合のたびごとに強調いたしております。その決定方法は、あくまでも内容をよく調べまして税法を正しく適用いたしまして、正しい解決を求めるという方向へ進めて行きたいと思うのでございまして、そういう点は十分注意して、むしろ納税者の味方になつてもらいたいということを強く言つておるのでございますが、運用の結果に基きまして必要な修正は加えて行きたいと思います。  それからもう一つは、裁判所の組織につきまして実はシヤウプ勧告があつたわけでございます。これは法務府と打合せしたのでありますが、今のところケースが少いものですから、特に裁判所を置く必要はなかろうということに一応なつておりますが、簡易裁判所みたいな組織をさらにつくるかつくらないか、これはもう一度検討してみてもいい問題じやないか。納税者も文句があつたらむしろそういうところにかけつけて解決してもらう。いい加減な妥協やなれ合いとか、知つた人に頼んで何とかしてもらうという方法によらずして、あくまでもそういう方法を開いておきまして、それで表面から堂々と救済し解決して行く。こういう方向へなお一段と進むべき必要があるのではないかと考えておりますので、その辺の問題は再検討してみたい、このように考えております。
  26. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの御方針は了承いたしました。けつこうだと存じます。  次にきわめて事務的なことでありますが、富裕税に基きまする納税者の提出いたしまする貸借対照表のこの内容調査の具体的方法について、すでに御決定がありましたら伺いたいと思います。
  27. 平田敬一郎

    平田政府委員 お尋ねの趣旨はよくわかりかねますが、貸借対照表は例の青色申告者につきましては、個人といえども貸借対照表を出す義務を命じております。法人は前から税法で貸借対照表を提出する義務がございまして、それをやはり税務官吏にはでき得る限り簿記及び会計学の知識を養成させまして、事実に即するかどうか調べさせておるわけであります。個人の納税者につきましても根本は同じことでございますが、ただ青色申告納税者につきましては、微細な点まで荒立てて、そのために青色申告自体の承認を取消すということは極力いたさないように、一生懸命記載してさえあればよく調べて、制度自体は認めて行く。よく話し合つて正しい制度にして行くような、こういう方向で進んで行く考えでございます。
  28. 宮幡靖

    宮幡委員 青色申告の御説明はそれでけつこうだと思います。私の方の伺い方も悪かつたのでありますが、富裕税法に対しまする貸借対照表、この内容を調査して参りますことは、これは脱税逋税を取締る意味が、多分にこの立法の中に織り込まれておるわけであります。従つてこの調査の方針が行き過ぎになると、家宅搜査、財産調査という問題が起るわけであります。その点具体的にどういうふうな程度にやるのか、それを伺いたいのであります。また御決定がないのかどうか、今後の問題としてけつこうでありますが、その方向で行き過ぎにならないか、その限度がどこにあるか、こういうことを知りたいのであります。
  29. 平田敬一郎

    平田政府委員 富裕税、それから所得税で所得七十万以上の人は、個人でも七十万円ですが、そのバランス・シートを出さなければならぬ、こういうお話であろうと思います。この問題は目下運用につきましても国税庁で研究しておるだろうと思いますが、お話のようなことを考慮して、行き過ぎにならぬように常に注意しなければならないと思います。そういう点につきましてもよく注意いたしまして、訓令等を出して参りたいと思います。
  30. 宮幡靖

    宮幡委員 もう一つ伺いたいのは、いろいろお話がありますが、中小企業に対する金融問題等が非常にやかましく言われておる。中小企業に対しまして、特段の減免の手続をとつております国は、アメリカを初めといたしまして、英国等にもいろいろあるわけでありますが、日本がこれを取上げましても、あえて事新しいことではありません。かつての戰前の税法の中にも、法人に対しまして超過所得税軽減税率を置いたというような事例もありまして、今こそ中小企業の振興のために、ぜひ特段の軽減税率でも設くべきであろう、こういうことはシヤウプ博士でありましても、日本立場におきまして十分国会なり政府が強調してよい点だと思うのです。これらの点につきまして、すでに何か具体的な案でもありましたならば、この際お示しをいただきたいと思います。
  31. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話のような点につきまして、いろいろな提案が行われておることも、私ども承知いたしておるのでございますが、何と申しましても今年の所得税は約二千五百億ですか、勤労所得者の源泉課税が千億、それから農家が二百億以上だと思います。それから申告所得税の千五百億のうちには、中小商工業の納めるものが大部分を占めておるわけであります。従いまして、中小商工業者租税を特に軽減するということは、これは勤労所得者についても当然考えなければならぬ問題だと思います。農業所得者につきましても同様な問題になつて来ますから、結局これは所得税全体の控除なり税率の問題、これは納税者納税力というか、実態に即応し得るように解決をはかるというのが、一番の根本的解決の方法でありまして、何か特別の差別を設けることをいたしましても、気休め的の措置になるかとも思いますけれども、実質的な対策となり得るのは、まさにこれは所得税全体の合理化の問題ではなかろうか。これはひとり中小商工業のみについて相当広汎な特別措置を講ずるようなことは、これは勤労所得者、農業所得者等とのバランス等からいつても、なかなか簡單な問題ではないのでございまして、従つて問題はむしろ所得税全体の問題の解決をはかるということが、正しい方向ではないかと思います。もちろん具体的の細目の問題については、提案等がございますれば検討してみたいと思います。
  32. 宮幡靖

    宮幡委員 大綱としての大蔵省の御方針は、そのことが悪い方向だとは考えておりません。しかしながら各国におきまして前例もありまして、中小企業に対する特別の措置を講じたということは、これはやはり何か教えられるものがあると思います。そこで将来にわたつて十分の御考慮を願いたいと思うのであります。また今の質疑応答にもありましたように、結局税の軽減は各業種、階層を通じての基礎控除なり、税率軽減という普遍的な方法で行くべきだ。このこともわかるのでありますが、さらにこういうことを考えられるような段階になりましたならば、一歩進んでただいまの税込み課税主義を改良して、税拔き課税ということになりますれば、これはほんとうに実質の所得に実質の負担を課するものでありまして、一番公正なる税務行政だと思います。もちろん国の財政負担力も考えなければならないわけでありますから、一がいにただちにこれに明年度あるいは明後年度に移行しろという強い意味ではありませんが、要するに税込み課税制度をやめまして、税引きの課税によつて基礎控除あるいは税率軽減という一般的問題と合せて、この税制改革考えるべきだと、私は個人としては少くともそう信じております。こういう意味におきまして、大蔵当局においてさような含みをもつて、あるいはシヤウプ博士あるいはGHQ等の交渉についても、そういう意図のもとにお話いただけるものかどうか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  33. 平田敬一郎

    平田政府委員 税込み課税というのは、おそらく所得税を控除した残りの所得に所得税なり法人税を課税するという、こういう御意見だと思いますが、これは古く第一種所得税、法人所得税は大正十五年までそういうことをやつてつた。個人の所得については昔からそういうことはいたしておりませんが、これは理論的に考えると、実は非常におかしいのであります。所得税というのは要するに所得が生れまして、その所得の中から拂うのであつて、所得が生れたときに所得の中から拂つたから、それで問題は解決する。その税がその次の所得税課税をする際に、課税所得から引いて所得税を計算する。これは私どもかねて研究しておるのでありますが、どうも所得税というふうに考える以上は、妥当でないのではないか。率直に申し上げましてそのように考えております。世界各国どこの税法でも、日本の昔の第一種所得税法式の所得課税をやつておるところはないようであります。所得税の性質から申しますと、やはりそういうふうにあるべきではないかと思います。税引き課税と申しますと、勤労所得税はどうするか。去年の勤労所得税あるいは先月納めたものを引いてやるのは、計算がなかなか出ないのであります。昔の法人の所得税は全期分を四期にわけて拂うのであります。拂つた期の所得のものを差引いて所得税を出しておるのであります。これはどうも所得税の理論上十分納得いたしがたい点がございますので、むしろ営業税のごとく経費的の税金で、所得から必ずしも拂うのではない。一種のコストの要素を考慮した税金だということになりますと、これは明らかにされておる一つ考え方でありますが、所得税に関する限りは法人といえども個人といえども、どうもやはり所得税は引かないでやる。必要ならば、できれば税率全体を高くする。そういう方向で行くのが所得税のシステムとしてはよいのではないか、かように考えておるのであります。あなたのおつしやることも一つの御意見であり、昔やつたこともございますので、ごもつともなところがございますが、どうも少し賛成いたしにくいということを申し上げておきたいと思います。
  34. 宮幡靖

    宮幡委員 もう專門的に御研究をなすつておるのでありますから、そういう御説明で私も一応納得せざるを得ないのかもしれませんが、しかしながらいずれの国にもない例だと思います。日本税法でかつて行いました税引き課税という言葉が適当であるかどうか知りませんが、これは当時の日本の産業を育成するために、日本独特の税法として取上げられたものでありまして、それを取上げたところに当時十分の利点があつたわけであります。当時のこれに対しまする記録を調べてみましても、これが当時世界に例がないからやつたのではなくして、日本としてはかくしなければ当時の産業は育成できないという見地から生れておることが、やや明らかになつておると私は思います。従つて経済再建の過程にありまする日本税法といたしましては、いたずらに諸外国の例にのみ追随することなく、日本に例があります。今や中小企業を初めとして、あらゆる産業を育成しなければならないときでありますので、かような制度は十分御考慮に人れて、この際勤労所得とこれとの比較もお話がありましたが、勤労所得につきましては、前から基礎控除、勤労所得の控除があります。所得の把握ができないならば一定の段階を設けまして、これらの間に定額の税を課するという方法でも、国の財政負担力さえ出て来ればできるものでありまして、あえて勤労所得のバランスだけでは、これは論ぜられない問題だと思います。  なお地方税等の関連もお考えますと、所得の中で税を納めればそれで済むではないかといいますが、あとの形式的な諸税におきましては、もし所得を超過するというような現実になつた場合には、これは税込み課税という意味にはならないのであります。国民負担力の上から見れば、いわゆる所得を越えての諸税はないはずであります。こういう意味から考えますと、この際十分お考えいただく余地があるものだと存じます。昨年初めてシヤウプ博士がおいでになりましたときに、私ども大蔵委員会を代表しまして、当時の川野委員長とともにシヤウプ博士に第一回会見をいたしましたが、そのときにも総括的な意見として、かような日本の産業の特殊性について強調したわけであります。その後中絶いたしまして交渉がなかつた関係で、あるいはシヤウプ博士の耳たぼに残つておらないかもしれません。しかしあくまでも日本には日本式の税法がなくてはなりません。それでこれらのことがかつて行われまして、すばらしい成績を上げておるのに、これを行うことは、私は強い意味で申しますと、行政上の邪道ではないかと考えます。どうかこういう意味におきまして、前にありました税法を再検討せられまして、ぜひともかような面におきまして、脱税をしなければ産業がやつて行けぬのだ、脱税することによつて金繰りができるのだと、先ほどより繰返しお話がありましたような税制から早く拔け出す、こういうことを考えるべきではなかろうかと存じます。そういう意味で申し上げたわけで、御方針に別に異議があつて申したのではないのであります。心からかような問題につきまして、ぜひとも当委員会は熱意を拂つて検討を続けたいと、かように考えておる次第であります。  この際あわせて委員長にお願いいたしておきますが、今政府当局と各委員との質疑応答を伺つておりますと、本問題に関しましては、当然この国会閉会の後におきましても、いわゆる国政調査の形式におきまして継続的に調査をし、またこれに関心を寄すべきだと存じておりますので、委員長からぜひ理事等にもお諮りをいただきまして、本委員会決定をもつて、休会中におきましても本問題を取上げ、引続き調査研究の機会がありますように、おとりはからい願いたいということを、希望的な動議といたしましてお願いいたします。
  35. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 了承いたしました。
  36. 川野芳滿

    川野委員 ただいま議題となつております案件につきまして、まことに恐縮でありますが、動議を提出いたしたいと思います。それは先ほど議題になりました請願審査の件についてでありますが、先ほど大蔵関係請願につきましては、小委員会をもつてこの審査に当る、こういうことが決定され、さらに委員及び小委員長決定を見ました問題につきまして、異議をとなえますことはまことに恐縮でございますが、実は今回の請願の中には、酒類の値段の引下げのことについての請願紹介議員が二百数十名もおられ、さらに全国から数百万の消費者の陳情書もあるような問題があり、さらにその他にも相当大きな請願の案件もあるようでございますので、この際全委員において今回の請願審査に当り、もし請願途中等におきまして、さらに小委員においてやる必要がございます場合には、そのときあらためて小委員会において審査する。こういうことにいたしたいと存じますので、先ほどの決定を見ました小委員会において審査をする、この案を一応御撤回願いまして、大蔵委員全員をもつて請願審査に当る、こういうことにしていただきたいという動議を提出いたしたい次第でありますので、各位の御賛成をお願いする次第であります。
  37. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの川野君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なければさようとりはからいます。
  39. 三宅則義

    三宅委員 私は簡單に資料を二、三お願いいたします。今まで各委員から御質問があり、政府当局からも御答弁がありましたが、本国会におきましての問題の中心であります所得税に関する納税者別の、たとえば十万円の所得者とか十五万円の所得者とか、二十万円の所得者とか二十五万円の所得者とか、三十万円の所得者とかというように、五万円ずつの段階をとりまして、その納税者数、金額等を国税局でつくつていただきたいと思うのです。それはなぜかと申しますと、どういうものをもう少し軽減したらよろしかろうかという参考資料になるのでありまして、ぜひ主税局長並びに国税庁長官にお願いしたい、かように考えます。  次は第二番目で、これは物品税であります。物品税はわが党といたしましても非常に関心があり、また陳情相当来ておるのでありまして、どれを一番先にはずすかということも研究したいと思いますから、これもまた七十何種類かの課目にわかれておりますが、各課目別に予定額もしくは実績額等を御記入願いたいと思うのであります。はなはだ恐縮ですが、それを参考にお願いしたいと思います。  第三番目には、協議団のことを今宮幡委員から御質問になつたようでありますが、中にははつきり了承していない方もあると思いますから、プリントにして資料として各委員にお配り願いたいと思います。  最後に四番目でありますが、資料関係のないことでございますが、委員も非常に勉強したいと思いますから、先ほど宮幡委員も申されました通り国会閉会中といえども国政調査の名において本委員会等も開会いたしまして、密接に政府と連絡をとりまして、この点の審議をしたいと思います。ぜひとも委員長において特に大蔵委員会を開くことの御許可を願いたいと思います。
  40. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 了承いたしました。
  41. 大上司

    大上委員 簡單にお伺いいたします。まず第一に、先般来奥村委員から滯納について、国税局の正示総務部長並びに主税局長の御意見を聞いておりますと、この原因がいわゆる金詰まり、あるいはその他商品の値下りによるような御説明があり、これはきわめて常識的な考え方から言えばわれわれも納得するのですが、さらにそれを深く考えてみて、反対にいわゆる申告納税制度ができまして、今日のように申告をする制度が嚴然とありますが、諸般の事情から見ましてどうもこれが賦課課税、旧来のようないわゆる一方的な決定のように見られる点が多々ある。そうなると結局国民的な感覚と申しますか、国民感情から申しまして、例の青色申告にしても、していいやら悪いやら非常に動揺しておりますが、こういう面から見て税が苛酷でなかつたか。しかも課税方法が期待倍数とか、あるいは努力目標というようなことが議論になりましたが、要するに国民所得の把握が課税面から、あるいは所得の上から十分つかんでおられなかつたのではないか。この一点が原因ではないかと思つて、われわれは聞きたいと思つたのでありますが、その点の説明が出ておりませんので、そういう点はどういうふうにお考えになつておるか。すなわち滯納それ自身は全部が金詰まり、あるいは商品の値下りによるのではないではないか。その反対に課税上の誤りがあつたのではないか。この点をお伺いいたします。  もう一点、さいぜん竹村委員からの第三問に平田局長が答えられて、いわゆるインフレ云々というお言葉がありましたが、これは私の聞き誤りかもしれませんが、税というものはわれわれの考えとしてはどこまでも税法にのつとつ課税方法でなければならぬ。これによつた徴收をしなければならぬ。こう考えておるのですが、主税局長のお考えとしましては、税はインフレの收束というような財政金融的な操作にお使いなさる気持かどうか。あるいは国の財政的な需要に応じてこれを立案なさるのか。国民の所得を一応たな上げにして、国の歳出上非常に必要であるというので、そういう面から考えられるのか。私は税法の本旨にのつとつて運営するのが至当であると考えるのですが、さいぜん竹村委員の質問に答えてインフレ云々という言葉がありましたので、まずこの点を明確にしていただきたい。
  42. 平田敬一郎

    平田政府委員 国民所得の把握というお話でありましたが、国民所得の把握ということは御承知通り非常にむずかしい問題であります。安本で計算しておりますのもごく大まかな方法で推定を加えておるわけであります。実は所得税の査定はこの程度調査では不十分でございまして、各納税者ごとに的確な調査をしまして、税法通り所得をつかんで査定をして行く、こういうふうに行かなければならぬのでありますが、完全に全部はなかなかできません。しかも申告相当低いのが多いために、やむを得ず大まかな推定の方法によつて課税していることは御承知通りであります。これにつきましては先ほどもつたように、申告納税であるからにはあくまでも帳面を個人的によく調べて話合つて決定をする、こういうふうに行くのが一番の理想だと思いますが、遺憾ながら申告の成績があまりにも悪いために、そうして置きますと猛烈な歳入不足を来すというので、やむを得ず短期間に決定をやつておるのでありまして、私はこういうやり方はよほど考えなければならぬということを、先ほど申し上げたわけなのであります。最近は急いで歳入を得るという考え方をあとまわしにしまして、よく丁寧に調べた上で——更正決定をするようにするかしないか、いつごろになつたらこれをやるか、こういう問題は先ほど申し上げましたように、今後の申告所得税改善の問題として、実は一番大きな問題だと考えておるのであります。  それから今申しましたように、最近までは急いで決定をしておりますので、決定に対する不満のあることは御承知通りであります。またこの不満が納税の促進にある程度の障害になつていることも事実だろうと思う。これは單に金詰まりだけではなく、そういうことも確かに原因の一つであろうと思います。しかしそれが大部分かというと、必ずしもそうばかりではありません。二十四年度決定を二十三年度に比べますと、職員もなれて参りましたし、情勢もややおちついて来ましたので、私はよほどよくなつていると見ております。しかしよくなつてはいますが、間違いがあり不満があつた。これが現実でありまして、つい滯納せざるを得ぬような気持に納税者を追い込んでいる。これもお話通りだと思いますが、そういう問題も将来は改善をはかりたいと考えております。  それから税とインフレの関係でございますが、先ほど申しましたのは、所得税收入を見積る場合におきましては、経済状態がどうなるか、物価がどうなるか、生産がどうなるか、それによつて所得がどうなるかということを見積るわけでありまして、財政政策にとりましては御承知通り非常に関係があるわけであります。減税をやるか増税をやるかということは、インフレ政策と申しますか、インフレ、デフレ経済政策の重要な一環をなすわけであります。その意味におきまして情勢に著しき変更があり、また将来それが予想される場合におきましては、減税の問題もそういう角度から研究して行かなければならぬだろうということを申し上げたわけであります。ことしの予算、ドツジ予算等ももちろん税收がどうなるか、歳出がどうなるか、財政政策をどういうふうに行うか——租税の政策は財政政策の中で最も大きなフアクターでございます。これはもちろんインフレ政策のそういうようなことに関する重大な一つの問題だろうと思いますが、これも情勢が非常にかわつて来ますればやはり考えて行かなければならない。実は最近までの情勢でございますと、大した問題はなくやつて行けるのではないかと思います。そのようなことが問題としてあり得るのではないかということを、御留意までに申し上げたわけであります。
  43. 大上司

    大上委員 税にも酒税物品税その他いろいろありますが、所得税という面で端的に言うと、国の財政要求が先であつて、金額はあとである。主体性を個々に考えた場合に、税法にのつとつた徴收の方が先行するのか、逆に財政面が先になるのか、この点をお伺いします。
  44. 平田敬一郎

    平田政府委員 私はそれは両方だと思います。所得税としてもそんなにむちやくちやなものはとれぬと思います。しかし財政が許さなければ、ある程度低い控除でしんぼうしなければならぬ場合もあるだろうと思います。税のつくり方としましては、両方の見地を考慮しまして、そのときどきにおいて妥当なものを考えて行く。しかしいくら財政に必要があるからといいましても、むちやくちやな税はとれません。反対に、財政上の需要がないからこの程度にしてくれといつても、それは通らぬ場合があるかもしれません。これは両方考え合せまして適当にやる必要があると思います。
  45. 大上司

    大上委員 税法というものが嚴然とありながら、国の財政需要によつて二十二年度ないし三年度においては、相当苛酷な操作をせられたのではないかと思いますので、この点を最後にお伺いいたします。
  46. 平田敬一郎

    平田政府委員 運用で財政的な操作をすることは絶対におかしいのです。運用におきましては税法をできるだけ適正に実行して、可能なる範囲におきましてやるだけであります。税法に当てはめると百円になるが、ことしは財政がゆるやかだから八十円に負けておくということは、いかなる場合においても絶対にあり得べからざることであります。税法は嚴正にやつて行くべきで、財政政策上財源が少くて済むというならば、税率を変更すべきである。財政政策でどうしてもしようがないというならば、これはやはりある程度重い税金もいたし方がない。税法をつくる際におきましては、財政ということからいろいろな問題を考えますが、税金はあくまでもきまつた税法で実行する。ただインフレ時代におきましては、税法通り税金が入つて来ないとえらいことになりますから一生懸命やりまして、とにかくむずかしいが税法通りつてくれ、こういうことであつて、インフレで困るから税法から離れて税金を納めてくれというようなばかなことは絶対にいたすべきでないし、またあり得べからざることであると思う。その点は両者をわけてお考えくださいますようにお願いいたしたいと思います。     —————————————
  47. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に、金融政策に関連して竹村委員より発言を求められております。この際これを許します。竹村委員
  48. 竹村奈良一

    ○竹村委員 金融公庫の件について、先般本委員会におきまして大蔵大臣は、大体中小工業に対しまする金融的な措置として、それを円滑にするために国家が別に保証制度を設ける、こういうことを言われた。その際に、われわれの質問に対して大蔵大臣は、庶民金融について、金融公庫の資本金を二十五年度においては少くとも十八億以上増額する予定である、こういうふうに言われておるのでございます。そこで私は、現在行われております金融公庫の貸出しの状況、しかもその対象となつておるもの、こういうことのあらましを一応お伺いいたしましてから、また伺いたいと思いますので、現在行われているアウト・ラインをお伺いいたしたいと思います。
  49. 最上孝敬

    ○最上説明員 私どもの貸付は御承知のことと思いますが二種類ありまして、本来の貸付が一つ、ただいま増資問題などにひつからまつておりますのは本来の貸付であります。もう一つ引揚者、戰災者その他の特殊の者に対します更生資金貸付と両方ございます。更生資金の方はごく簡單でございますから、その方を先にちよつと申し上げまして、それから普通貸付の方に入りたいと思います。  更生資金貸付は、大体毎月の申込みが七、八千件見当、金額にいたしますと一億二、三千万というところであります。それに対しまして貸付高は約四割、半分にちよつと欠けるところでありまして約三千件、金額にいたしまして五千万円というのが、大体毎月かわらない状態でございます。これに対しまして今一番問題にされております私ども本来の貸付、この方は毎月の申込高が約一万件、金額にいたしまして十二、三億から多いときは十四、五億まででございます。これは店の窓口に御相談に見えられる方の全部を記録したものではございません。そのうち窓口でいろいろお話を伺いまして、見込みなきものとしてお断りするものもあります。一応資格がおありのようだということで、ちやんと申込書をお書きになつてお出しになつた方がこれだけであります。それに対しまして、お貸付いたしております金額は大体二割程度でございます。月によりまして多少の大同小異というものはあります。たとえば五月で申しますと約二千六百五十件、金額にいたしまして二億七千三百万円というところであります。六月はこれより一億ほどふえましたが、大体二、三億というところを毎月お貸付しておるわけであります。これはいろいろ議論になるところでございますが、私ども第一線の者のいろいろの経験から判断いたしますと、一体お申込みを受けましたうちの少く見て三割、多く見て四割というものは実際お貸付のできる、回收のできるものであり、そうしてまたそれによつて仕事がりつぱに成立つて行くと思われるものでございますが、資金の関係上この程度に制限してお貸付いたしております。資金量は本年度十二億いただいたのでありますが、こういうふうなわけでありまして、四月に約二億、五月に二億七千、六月に三億五千、七月は推計でありますが、今までの進み方から参りますと四億ほど出るのではないかと思います。八月が実は四億お貸付いたしますと、八月限りで大体資金を使い盡すようなぐあいになりますので、多少下げまして三億五千、九月にまた下げまして二億程度、それで大体本年度の十二億という資金が使い盡されるような状態であります。これは毎月の回收が一億一千万ぐらいになると思います。それと今の十二億の資金でやつておるのでございますが、今申し上げました通り第二・四半期、九月末になりますれば、その回收以外の余裕金というものはなくなり、あとは結局回收金をもつてつて行かなければならぬという状態でありまして、先ほどお話がありましたような増資とか、そういう問題が必要になつて来るわけであります。
  50. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それで大体現在の国民の要求の二、三割にも達しないような資金でやつておられるということはよくわかつたのでありますが、そこで問題は、こういうような形で貸付をやられれば、みなの要求を満たすことができないという結果になるわけであります。そこで毎月割当てられる資金というものは、全国各地における支店あるいはそれの代理店をやつているところに割当になるわけでありますけれども、その割当の基礎をなすのは一体どういう形でおやりになつているのか。あるいは特定の都会地を問題にしておやりになるのか。あるいはどういうところを基礎にしてやつておられるのか。大体割当になられるところの方針をひとつお聞かせいただきたい。
  51. 最上孝敬

    ○最上説明員 ただいま正確な資料を持つて参りませんでしたので記憶で申し上げますが、従来割当てますときに、各地方の人口あるいは中小商工業者の数について近年調べられたものがございまして、それを一つの標準にいたします。もう一つは私どもの方の実際貸付を行います業務の態勢、これがまた関係いたすものでございますからして、各地におきます支所の人員数、それから代理所となりますと代理所の処理能力、そういうことを勘案して割当をいたしております。なおだんだん経験を積むに従つて過去の実績というものもございますので、今お話申しました二点のほかに、過去の申込みの状況をさらに加味いたしまして、これははつきり覚えておりませんが、その三点にあるウエイトをつけまして、機械的に算定いたしました。それをまた多少考慮して直すというふうにやつております。
  52. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういう結果になりますと、それを受取つた代理店あるいは支所において、実際に個々に貸し出す場合においては、私は非常に因ることが起つて来るのではないかと思う。先ほどお話のように三割ないし四割しかお出しにならぬ。そうするとその人員の選定についてはどういうふうにお考えになつておりますか。これが非常に問題になるわけであります。これは国民の必要とするところの大半がこの制度を利用するわけには、もちろん資金の関係で参りませんけれども、しかしながらたとえばその申込順によつて貸されるのか、そういうような形でもとらなければ、たとえば十件なら十件申し込む、その十件とも同じように資格はあるけれども資金がない、そういう場合にはどういう形において貸出しをきめられているか。そういう場合におきましてはこれは出張所員の、あるいは代理店の任意におまかせになつているか。これに対する大体の基準をこしらえられているか。これをひとつ伺いたい。
  53. 最上孝敬

    ○最上説明員 ただいまの点は実際良心的に考えて非常にむずかしい問題になるのですが、ただ先ほど私が三割ないし四割が実際貸付可能だと申し上げたのは、全部一様に可能なわけではないのでございます。中にいろいろ段階がございますので、従つてどうしてもいいもの、事業の成功の確実なもの、またその事業が社会全体の上にどの程度有効なものであるか、そういう社会性というようなことも考慮して選択いたしております。ですからこれは何べんかいろんな機会にお聞きになつたかと思いますが、比較的遊興設備と申しますか、單なる消費を進めるような方面の資金は押えるようにいたしております。そういう点で選択いたしているのでございまして、ときによりまして、ある場合は單なるブローカーのような仕事を押えるということも、さしずいたしております。
  54. 竹村奈良一

    ○竹村委員 こういうような経済状態になつて参りますと、特にこういう制度は私は必要だと考えておりますので、特にこの資金の増額——大蔵大臣は十八億だと言つておりますけれども、十八億ではちつとも問題は解決しないと思います。そういう点からも聞きたいのでございますが、結局そういうように資金が少いがゆえに、いろいろな点においてそういう選択はされておりますけれども、各地方出張所においては、勢い資金の少いことが土台となりまして、出張所あるいは代理店のある限られた附近、こういうところだけが勢い利用することになつて、せつかく国家において一つ制度を設けながら、それは実際に今おつしやつた生産的な部門の、貸出しが可能であるというような該当者がありましても、これが利用できないというような実情が非常に多いと思うのでありますが、こういうような点について、各地方において紛糾等が起つた例がありましたらお知らせ願いたいことと、こういうような貸出しを、実際において附近だけに限つて、それ以外は同じ県であつても、その該当者が借りられないというような場合に対してはどういうようにするか、次の機会にでもするのか、あるいはそれは永久に全然利用ができないのか、こういう点をひとつお伺いしたいと思います。
  55. 最上孝敬

    ○最上説明員 ただいまの御説は、一一私どもも日ごろ非常に痛感いたしている点でございまして、今一番力を盡して、何とか改善策を講ぜねばならぬと思いつつある問題でございます。最近はだんだんよくなつておると思うのでありますが、それはこういうふうな方法をとつております。要するに出張所の人手の問題がからんで来るのであります。それと経費の問題がからんで来るのでありますが、なるべくそういうふうな人手に余裕がつくように、人の配置を考えまして、それから遠隔地の調査の経費というものも、できる限り乏しい中で差繰りしてまわすようにいたしております。ですから遠方からの申込みがありましても、全然お断りするということは、最近はまずなくなつているのじやないかと思います。ただお申込みがあつて、すぐさまそこへ飛んで行くというわけには行きませんので、人手の差繰りがあり、手のあいたときに、それから同じ方面のものをある程度まとめましたときに、そちらの方へ出てお調べをする、そういうふうな方法を講じております。出張貸付と申しておりますが、それをどんどん拡大して参りたいと思つております。これは人手と経費の問題であります。
  56. 竹村奈良一

    ○竹村委員 たとえば代理店等におきましては、大体市街地の信用組合等が指定されておると思うのであります。大体こういう低利の国の金というものを利用するのは、各県に設けられておりますところの中小企業に対する保証制度、いわゆる信用保証制度協会等の保証を受けられないような、大体規則で最高五万円でありますから、そういう零細な人に貸し付けられておると思うのであります。従つて、もちろんこれは先ほど申されましたように、いわゆる生産の面の部門に貸されるといたしましても、ごく小さい設備だと思うのですが、しかし実際の面におきましては、各市街地信用組合にそういう代理店をまかされております関係上、勢いそういうものに金が行かないで、実際は中小工業として、前の大蔵大臣が今考案中だと言われている、たとえば国の保証制度によつて金を借りられるような人、あるいは保証協会等の保証によつて銀行から金を貸し出されるような人に、実際この金が利用されているようなきらいがあると私は思うのであります。こういう点についてはどういうような方法をもつて、いわゆる庶民金融金庫としての本来の任務を果すような査察をおやりになつておるのか、それをお伺いしたいと思います。
  57. 最上孝敬

    ○最上説明員 この問題も、私どもにとつて一つのむずかしい問題でございまして、前から悩んでおるものの一つであります。もちろん代理店の中にも、非常に良心的に私どもの趣旨をよく了解して、協力してくださるところもありますが、しかし必ずしもそうは行かない。全国四百幾つございますので、中には今お話のような傾向が確かに見えます。私ども出向く場合は、極力口では申しますが、なかなか実効はにわかに上げがたいのであります。私どもはその対策といたしまして、つとめて直接店を拡大していただく、そういう方向に持つて行きたいと思いまして、実は来年度も十箇所ほど増設をお願いしております。どうもいいものもございますが、悪いところにおいてはそういう方法をもつてするよりしかたがないじやないかと思います。
  58. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうすると今度こういうふうに増設されるという場合においては、査察された結果、そういうような、実際において金庫本来の使命を果さないような代理をやつておるところは、お取消しになる意思があるかどうか。代理店をやめさせてしまうというような考えを持つておられるかどうか。そうしないと、やはり元の実績だけであつて、その代理店を存続して置くというならば、結局その代理店に行く資金だけは、本来の使命を果さない以外のところに金が流れる、こういうように考えるのですが、この点はどうですか。
  59. 最上孝敬

    ○最上説明員 明らかに私どもの趣旨と違うようなやり方をしているところがありますれば、それは非常にやかましく言いまして、それを改めなければ取消す、こういう方法は当然とらねばならないと思いますが、実際は非常にデリケートでありまして、どうもけじめがはつきりいたしません。人々のうわさなどから聞きまして、どうも組合の関係者、組合員にはよく行き渡るが、それ以外には行かない、そういう程度のことでありまして、取消すというほど、私どもの方に十分とがめるだけの根拠がないのであります。それからもう一つは、取消した結果は、その地域に全然貸付の足場がなくなりまして、出張貸付によるといたしましても、これまたはなはだ迂遠な方法でございますので、そういう点でもなかなか取消しということは、実際は行いにくいのじやないかと思つております。
  60. 竹村奈良一

    ○竹村委員 たとえば、こういう実際問題があるわけでございます。これは申込みを本年の三月ごろにいたしまして、しかもその申込みをした人は、大体貝ボタンの製造をやつている人であつて、これは輸出するわけです。しかし実際は家内工業的にやつている人でありまして、従来は大体貿易公団か何かで材料を買つていたのですが、今度はそれがなくなつたために、自分で材料を買わなくてはならない。そういうので申し込んだのですか、実際の調査をされたのはこの六月です。しかもこれは出張調査であつたのですが、その申し込んだときには、一人や二人では困る。だから少くとも借りたい者が六、七人いないととても調査に行けぬ、こういうことであつて、大体電車に乗れば一時間ほどで来られるところでございますけれども、そう言われるので、そこで六、七人の人が実際みな金を借りたいので一緒に申込みをやつたところ、その後六月になつて調査に来られた。調査の結果は、それは該当する。実際営業状態その他を調査されると、五万や十万貸しても十分回收がつくと、調査に来た人も言つておりますし、まただれにでもわかるように、工場を持つてつてそこに労働者もいるのです。そういう人から私のところに手紙が参つたわけでありますが、その後この二十四日にか、その調査されたところへ行きますと、どういうことを言つておるかというと、調査をしたらその財産状態その他から回收の見込みは十分ある。その点については全然異存がない。しかし今あなたに借りられると、またあとからそういう申込みがあるから、その人に貸すことができなかつたら困るからお断りすると言うのです。これは私はとんでもない断りの理由だと思います。調査をしたら、該当者ではあるけれども、実は資金が全然ないから貸すことができぬ、こういうのであつたら話はわかるのでありますけれども調査をしたら、それは資格は十分ある、あなた方に今貸す金はあるけれども、しかしあなた方に貸したら、またあとからそういう人が申込んで来たときに断るのに困るというのでは、それは断る理由にならぬ。この資金が限定されているのだから、遅くなつて資金がないときは、資金がないと言つてつたらいいのですが、そういう断り方というものは、私の考えでは、勢いこれは何か特別な考えがあつて、個人的な何かでなければ、そういう断り方はないと思うのです。こういう場合はおそらく全国いろいろなところにおいてあると思うのですが、幸い私に手紙を出した人があつたので、たまたまこういうことがわかつたわけであります。そういう場合に一体どういうふうにされるか。私は不公平だと思う。資金がないから貸さないということはいいけれども、あるのにまたあとから申し込まれたら困るからというのは——申し込むというのは制度があれば当然です。こういうことに対してはどういうお考えですか。そういうことに対して改める措置をとられるか伺いたい。
  61. 最上孝敬

    ○最上説明員 ただいまのお話はどちらのことでございますか、後ほどでも場所を御指摘いただけますれば、実情を調べまして善処するようにいたしますが、私の考えもただいまのお話と同様に、そういう場合はほんとうによければ貸し付けて、いよいよないときにお断りすればいいのではないかと思います。資金か何かの関係で非常に言いにくいものがあつて、あるいはそのためにこういうようなことを申し上げたのではないかと思いますが、その点よくわかりませんので、よく実情を調べました上で、はつきりまた御説明申し上げたいと思います。
  62. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私は最後に申し上げたいのですが、ともかくそういうふうないろいろな問題が起ります原因は、やはりこの庶民金融金庫というものを大体政府は軽んじている。従つてこの重要性というものを——はなはだ失礼でございますけれども、その事務を担当しておられる当事者の人たちが、政府に対して実情を知らされないのではないかというふうにわれわれは考えるわけであります。本委員会において大蔵大臣は、今度は十八億増資すると言つておられますが、私は十八億ではとても問題にならないと考えます。しかも今日十八億といえば国全体から見まして、またその他のいろいろな情勢から見ましても、こういう庶民金庫に対して本年度三十億くらいでも問題にならない。もつともつといろいろな点から言うと、こういう方面に出す金が十分あると私は見ているわけでありまして、われわれとしてもそういう問題についてはこの委員会を通じ、あるいはいろいろなことを通じて政府に要求いたしますが、ひとつ当事者としては、私が先ほどいろいろ申しましたように、不公平じやないかという問題が起るのは、実際における必要度が政府に知らされておらないからというように考えますから、特に当事者は力を入れて、今日中小工業者で倒れたりあるいは税金で困つたりしていて、わずかの金があるならば何とか息をつく、事業がやれるのだというような困つている人が全国にずいぶんある。こういう人たちが一方の者は恩惠に浴するし、一方の者は全然手放しにされて困つておるという状態が起つておるという現実を、あなた方から政府に要求されることを特に希望いたしまして、私の質問を打切ります。
  63. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は三点ありますから簡單にお答え願います。  私の考えるところによりますと、資本が少な過ぎていかぬから、もう少し出してもらいたいという事務当局のお考えでしようか、ちよつと伺いたい。
  64. 最上孝敬

    ○最上説明員 確かにそういう点はあると存じます。
  65. 三宅則義

    三宅(則)委員 どのくらいほしいのですか。
  66. 最上孝敬

    ○最上説明員 とつさにちよつとはつきりした数は申し上げるわけに参りませんが、大体今年度は十二億増資をいただきまして、回收の予定が六億でしたか、これがもう少しふえますので、二十二、三億の貸付ができると思います。これでは需要の半分にも満たないのじやないか。現在のままでやりまして、もし先ほど申し上げました通り店をさらに増設いたしますれば、もつと需要はふえると思います。
  67. 三宅則義

    三宅(則)委員 一旦断られたとき、あとどのくらい過ぎたらもう一ぺん申し込んでよいのか。これは事務当局のことで恐縮ですが、三回目のもので調査も完全にできないものもありますが、実情を知らせていただきたい。
  68. 最上孝敬

    ○最上説明員 これは事情によつていろいろ違うと思うのでございますが、たとえばお断りする場合にも私どもの人手が足りません関係上、書面で審査いたしてお答えする場合、また書類を持つて来ていただいて調べてお断りする場合、さらに実際に調べに行つてお断りする場合は、相当手を盡してあるのでございますから、事態がよほど改まりませんと——別段一箇月、二箇月とございませんが、余つたときにお申込みになられるとよいと思います。
  69. 三宅則義

    三宅(則)委員 第三点、これでおしまいですが、調査員があまりどうも親切でないということを聞いておる。私ども調査する人はなるべく経験を持ち、年齢からいつても、社会情勢についても相当の有能なる人をまわしてもらいたいと思いますが、その辺について政府当局のお考えを承りまして打切りますから、これに対する御答弁を願います。
  70. 最上孝敬

    ○最上説明員 ただいまのお話まことに恐れ入りました。従来私どもの伺つておりましたのは、あべこべにたいへんに親切だということで喜んでおりましたが、そういうケースもあるいはあるのかも存じません。十分それは気をつけさせますし、また人選に力を注いで行きたいと思います。大体全体のうちで優秀な者を表に出して調べる、あるいはうちの中でお目にかかつて調べる——われわれは鑑定員と申しておりますが、それに充てておるのでございますが、間々何と申しますか、悪意はないのでございますが、言葉づかいなど、たとえば軍隊帰りの人などがおりまして、よくお客さんに失礼なことがあるのでございます。せいぜい気をつけましてそういうことのないようにいたしたいと思います。
  71. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十八分散会