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1950-07-26 第8回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十六日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 田中織之進君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       佐久間 徹君    苫米地英俊君       三宅 則義君    宮幡  靖君       武藤 嘉一君    宮腰 喜助君       高田 富之君    竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      石田  正君         大蔵事務官         (国税庁総務部         長)      正示啓次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      松田 文藏君         運輸事務官         (鉄道監督局総         務課長)    佐藤 光夫君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         日本国有鉄道営         業局長     藪谷 虎芳君         参  考  人         (日本交通公社         專務理事)   瀧  清彦君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 七月二十五日  地方自治法第百五十六條第四項の規定い基き、  税関支署及び出張所設置に関し承認を求め  るの件(内閣提出承認第一号) 同日  未復員者給与法の一部改正に関する請願(鈴  木善幸君外一名紹介)(第四八〇号)  特別未帰還者給与法の一部改正等に関す請願(  受田新吉紹介)(第四八一号)  人形類に対する物品税撤廃請願天野公義君  紹介)(第四八二号)  陶磁器に対する物品税撤廃請願中村又一君  紹介)(第四八三号)  水あめ及びぶどう糖に対する物品税撤廃請願  (川端佳夫紹介)(第四八四号)  同(仲内憲治紹介)(第五七二号)  同(尾崎末吉紹介)(第五七三号)  同(北川定務紹介)(第五七四号)  同(永田節紹介)(第五七五号)  同(川端佳夫紹介)(第五七六号)  同(川本末治紹介)(第五七七号)  同(田中元紹介)(第五七八号)  同(池見茂隆紹介)(第五七九号)  同(松永佛骨紹介)(第五八〇号)  同(柏原義則紹介)(第五八一号)  同(橋本龍伍紹介)(第五八二号)  台東区における国税滞納処分調査に関する請願  (園田直紹介)(第四八五号)  揮発油税軽減に関する請願世耕弘一紹介)  (第四八六号)  同(生田和平紹介)(第四八七号)  同(中野四郎紹介)(第八八号)  同(小平忠紹介)(第四八九号)  同(金光義邦紹介)(第四九〇号)  同(高木松吉紹介)(第四九一号)  同(清水逸平紹介)(第四九二号)  同(佐瀬昌三紹介)(第四九三号)  同(川西清紹介)(第四九四号)  同(赤松勇紹介)(第五五〇号)  同(橋本金一紹介)(第五五一号)  同(大橋武夫紹介)(第五五二号)  同(高橋等紹介)(第五五三号)  同(中島守利紹介)(第五五四号)  同(阿左美廣治紹介)(第五五五号)  同(飯塚定輔紹介)(第五五六号)  同(前田郁紹介)(第五五七号)  同(庄司一郎紹介)(第五五八号)  同(島村一郎紹介)(第五五九号)  同(尾関義一紹介)(第五六〇号)  同(松田鐵藏紹介)(第五六一号)  同(高田弥市紹介)(第五六二号)  同(中村幸八君紹介)(第五六三号)  同(水谷昇紹介)(第五六四号)  同(田中角榮君外一名紹介)(第五六  五号)  同(大澤嘉平治紹介)(第五六六号)  同(塚田十一郎紹介)(第五六七号)  同外一件(坪川信三紹介)(第五六八号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第五六九  号)  同外一件(前尾繁三郎紹介)(第五七〇号)  同外四十八件(佐藤榮作紹介)(第五七一  号)  同(越智茂君外一名紹介)(第五八三号)  同(田中萬逸紹介)(第五八四号)  同(高木章紹介)(第五八五号)  同(安部俊吾紹介)(第五八六号)  同(石原圓吉紹介)(第五八七号)  同(吉田省三紹介)(第五八八号)  同(保利茂紹介)(第五八九号)  同(林讓治紹介)(第五九〇号)  同(田中啓一紹介)(第五九一号)  同(橋本龍伍紹介)(第五九二号)  同(中村純一紹介)(第五九三号)  同(根本龍太郎紹介)(第五九四号)  同(小笠原八十美紹介)(第五九五号)  同(星島二郎君外一名紹介)(第五九六号)  同(福田一紹介)(第五九七号)  同(亘四郎紹介)(第五九八号)  同外一件(西村英一紹介)(第五九九号)  酒税引下げに関する請願山本久雄君外四名紹  介)(第四九五号)  同(遠藤三郎君外二名紹介)(第四九六号)  同(金光義邦君外三名紹介)(第四九七号)  同(宮幡靖紹介)(第五四一号)  同(坪内八郎君外二名紹介)(第五四二号)  同(亘四郎紹介)(第五四三号)  同(福田一君外一名紹介)(第五四四号)  同(大澤嘉平治君外四名紹介)(第五四五号)  同(小平久雄君外四名紹介)(第五四六号)  同(牧野寛索君外一名紹介)(第五四七号)  同(南好雄君外二名紹介)(第五四八号)  同(松本瀧藏君外一名紹介)(第五四九号) の審査を本委員会に付託された。 同日  農業協同組合連合会等融資促進陳情書  (第八八  号)  預金部資金中小企業融資陳情書  (第一〇二号)  消防用揮発油税免除陳情書  (第一〇九号)  積雪寒冷地方に対する減税及び平衡交付金の増  額に関する陳情書外一件  (第一一三号)  脱税取締に関する陳情書  (第一二三号)  酸土改良用炭カル導入に米国対日援助見返資金  割当の陳情書外一件  (第一二八号)  証券取引法の一部改正に関する陳情書  (第一三三号)  酒税引下げに関する陳情書  (第一  四六号)  同  (第一五二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  税関支署及び出張所設置に関し承認を求め  るの件)(内閣提出承認第一号)  徴税状況に関する件  日本交通公社経理状況に関する件     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  昨二十五日本委員会に付託になりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関支署及び出張所設置に関し承認を求めるの件を議題とする予定でありましたが、都合によりあとまわしにいたしまして、金融政策に関する件を議題といたします。本日は、昨日の委員会における決議に基き、日本交通公社より專務理事瀧清彦氏が参考人として出席なつております。  これより日本交通公社経理面の問題を取上げたいと存じます。
  3. 竹村奈良一

    竹村委員 運輸省の方は来ておられませんか。
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 見えております。
  5. 竹村奈良一

    竹村委員 少しお尋ねいたしたいのですが、国有鉄道の方から交通公社に対して、いろいろ乗者券その他を販売いたしておられるわけでありますけれども、これの関係の詳細、また一箇月における決済報告等をお伺いしたいと思います。
  6. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 私国鉄営業局長でございます。運輸省から答えるのがほんとうかと思いますが、私から今の御質問にお答えいたします。大体国鉄公社に代売せしめておりまする金額は、月五億程度あります。それから一応それは公社の金として收入されまして、政府に納まるものは、清算いたしまして、平均一箇月後に国鉄乗車券の払うべき金を納めております。
  7. 竹村奈良一

    竹村委員 大体一箇月で決済するということになつていると承知いたしますが、そういたしますと、従来は大体一箇月にそういう未決済というようなことはなくして、常に順調に決済されているかどうか伺います。
  8. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 従来から嚴格にこちらも督促をしておりますから、順調に納めております。
  9. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは交通公社の方にお伺いいたしたいのでございますが、最近巷間伝えられるところによると相当問題が出ております。それは別にわれわれの関知しないところでありますけれども交通公社といたされましては財団法人ですから、それに必要ないろいろな事業をおやりになつておることだと思いますが、たとえば雑誌その他出版等に対しましてもどのくらいの業務をされておりますか、ひとつお伺いしたいと思います。
  10. 瀧清彦

    瀧参考人 お尋ねの交通公社事業といたしましては、交通関係のありまする仕事ということで附帯事業をやつておりますが、従来百六十ほどの案内所を持つておりまするので、案内所におきまして、旅行に必要な書類あるいは旅行に関連する書箱販売いたしております。また昨年からは、そういう本の取次販売というようなことをいたしております。
  11. 竹村奈良一

    竹村委員 交通公社では、それに要するたとえば金融業に匹敵するようなことを、おやりになつておることはございませんか。
  12. 瀧清彦

    瀧参考人 これは事業ないし事業に関連いたしまするものにつきましての資本を持ちますとか、あるいは金を出しますとかいうことをいたしておりますが、その取次販売の面につきましても、業務という面でいたしております。
  13. 竹村奈良一

    竹村委員 運輸省の方にお伺いいたしたいのでございますが、たとえば交通公社設置されましたのは、日本交通運輸に対する国際文化紹介とか、あるいはその他の交通関係に関するいろいろな便宜をはかるために、公益法人としての任務を持つておるわけでございますが、運輸省としてはこのことについて、それに逸脱するようなことがあるかどうかということを常に考えて、いわゆる監督というわけではないが、交通公社に対して、いろいろな面から見ておられるかどうか、こういう点をお伺いしたいのであります。
  14. 石井昭正

    石井説明員 交通公社事業がその設立の目的に対して適正であるかどうかという点について、監督運輸省はしておるかという御質問でございますが、これはもちろん御質問の通り、十分にやつて参るつもりでございます。また法人監督権を持つておりますので、その業務監査等も定期あるいは臨時にこれをいたして、交通公社事業の適切な運営に留意いたしたいと考えております。
  15. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは一つお伺いいたしますが、巷間伝えるところによると、交通公社におきましては、たとえば雑誌等も三つか四つぐらい——これはお出しになつているという程度でないかもしれませんけれども、いろいろそれに対して買掛金か何かで金が出ておるということでございますが、そういうような点で買掛金の形でどんどん金を出し、あるいは日歩をとつて金融をやる、そうしてその会社にいろいろな役人等を送つて、あたかも一応自己姉妹会社と言いますかそうまで行かなくても、そういう事業を拡張して行くというような方法は、交通公社としてやつてもいいと運輸省ではお考えなつておりますか、あるいはそれはどうも都合が悪いではないかと考えておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  16. 石井昭正

    石井説明員 ただいまの御質問でございますが、交通公社旅行に直接あるいは間接関係のある雑誌等出版あるいは販売いたしますことは、別に公社事業としてさしつかえないことだと考えております。なお他の出版社に出資あるいは役人を送るというようなお話でございますが、そういうことは、まだ私ども事実をよく調査いたしませんとお答え申し上げにくいのでございます。その仕事関連性におきまして、必ずしも旅行のあつせんというようなことを狹義に解釈することは——旅行便宜あるいは旅客の愉快を増すというようなことに、交通公社が健全な経営の基礎の上において仕事をいたすということは、格別さしつかえないことではないか、かように考える次第であります。
  17. 宮幡靖

    宮幡委員 議事進行……昨日午後の委員会にやむ方ない用事で出来ませんでしたから、きよう運輸省及び交通公社の方々を参考人かでお呼びになつて、この委員会で聞かれるように御決定なつたようでありますが、そのことについて私は直接異議をさしはさむものではありませんけれども、ただいまの御質問の内容を伺つておりますと、もちろん国会といたしましては、各行政機関及びこれに付随いたしますいろいろの機関責任者なり担当者を招致しまして調査することは、これはできるわけでありますが、ただ国会の中には常任委員会が幾つもありまして、ただいま御質問管轄等は、私の知る範囲では運輸委員会あたりでやつていただいた方が適当ではなかろうか、こちらでもつてこれを論議しまして、かえつて横の連絡等に欠けるところがあつて、それがためにいろいろな異論もあつてはどうかと思いますので、せつかく決定なつておやりになつたことでありますから、ここでよせというような意見は申しませんが、大蔵委員会としてのふさわしい範囲に限度を詰めていただきまして、これをお取進め願いたい。特に金融政策という問題となつておりますが、これは当面非常に重大な問題であります。運輸省管轄下にあります交通公社なり、かような関係を今、ここで結論的にいろいろな問題を出そうといたしましても、それは余裕のあつたときにやつてもおそくないことであります。なるべくならば範囲大蔵委員会本来の権限範囲内にとどめる、こういう程度にひとつ委員長のおとりはからいをいただきたいのであります。せつかくの御決定でありますからやめろというわけではありませんが、その点を十分お含みくださいまして、御進行をはかられんことを希望いたします。
  18. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの御発言に私は賛成するものであります。昨日の委員会における参考人招致決議は、公社の浮貸しに関する調査ということでありますから、なるべく大蔵委員会としての、そういう金融上の問題について、それに限つての御質問を願う、こういうことにいたしていただきたいと思います。
  19. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいま宮幡君、奧村君からの発言がありましたが、それは委員長としても同感であります。大蔵委員会大蔵委員会の立場において、適当にそれを皆さんがお考えの上でお願いしたいと思いますから、あまり他の方にわたらないように簡単にお願いします。
  20. 竹村奈良一

    竹村委員 私は実はきのうの委員会出席しておりませんので、どういう御趣旨で呼ばれたのか。私としてはわからぬのでございますが、大体一応大蔵委員会において私の考えではこういう点で、たとえばこれは公通公社だけに限つていないのでありますが、特殊な財団法人等が、多くの利潤を得ることを目的としないにもかかわらず、もし利潤を得るというようなことが見えて、それに対してなお金融の面もありますが、もう一つ私の考えておることは、それとたとえば税金徴收関係であります。その点を——多くの利潤を得ているにかかわらず、税金の面はどうなつておるかという点をお聞きしたがつたので、その前提としてお伺いしておつたのであります。その点ひとつ御了承願いたいのであります。そこでもう一つお聞きしたいのでございますが、先ほど運輸省の方の話では、たとえばそれに必要なものに対するところの金を出す。あるいは社員を送り込むということも、これは広義に解釈するならば問題じやない、こういう考え方であつたのでありますが、それではこういう場合はどうかということをひとつお聞きしておきたい。というのは、たとえば先ほどから国鉄関係から聞きますと、公社販売せしめましたところの切符その他の決済は、一箇月で確実についておるということでございますので、後日これは表にしてお出し願いたいと思いますが、しかしこういう以外の金であれば別でありますけれども、そういうふうな金がもしもいろいろの決済等が遅れておつて、それが会社に金が出されておつてしかもそれが高利で金が出されておるというような場合があつたときにおきましては、これは一体どうなるか、これをひとつお聞きしたい。
  21. 石井昭正

    石井説明員 決済が実は——これは国鉄との決済関係でございますので、国有鉄道の方への決済が遅れた場合はどうするかということは、国鉄当局の方からお話願つた方が適切ではないかと思うのでありますが、運輸省といたしましてただいまの御質問のようなことはないと思うのでございます。かりにもしありといたしますれば、これは交通公社経営のよろしきを得ないということになると思うのでありまして、そういう事態が発生いたしましたならば、これはやはり運輸省といたしまして、法規上持つております権限に基いて、適当な措置を講じなければならぬことになる、かように考える次第でございます。
  22. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 竹村君に御相談申し上げます——竹村君に御相談申し上げますが、この問題は運輸委員会等において取上ぐべき問題であると存じますので、大蔵委員会においてあまり強くこれを取上げるということはどうかと思いますのて、いま一回だけ質問を願います。
  23. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは単刀直入にお聞きしたいのでございますが、これはうわさでありますが、たとえば今日本交通公社雑誌等金融されていると目される金が、大体二億円に達しておるということを聞いておるのでございます。しかもこれが焦げついておるということでございますが、そういうことは別問題といたしましても、そういう金融された事実があるかないか、この一点だけお聞きします。
  24. 瀧清彦

    瀧参考人 ただいまの御質問でございますが、たいへんロマンス社の問題が新聞等に出ましたために、非常に誤解されておりますので、ちようど皆様の前で御釈明申し上げるいい機会を得ましたのでございますが、新聞にも何か公社の浮貸しが雑誌社に対してある、こういうことでございましたが、これはそういうことでございませんので私どもの方といたしまして主としてロマンス社を中心にしまして、雑誌取次販売というものを附帯業務としていたしたのでございますが、それをいたしますにつきまして、たとえば七月分でございますと七月分の雑誌ロマンス社から何部か受けまして、それに対しましてある程度返本の予想をいたしまして、それ以外の金を本と引きかえに代金雑誌社に支払うのでございます。そういたしまして手に入れました本を、私どもの方の案内所が全国に百六十ほどございますので、これに届けまして、案内所の方から本店あるいは自分の店にやる、こういう仕事をいたしております。  それから本のことでございますが、実際とりましただけの本は、売れます場合と、またこれが返本になりまして本屋からもどります場合がございますが、特にロマンスの本につきましては、七月号以降が購買力等関係でございましようか、返本が非常にふえて参つたのでございます。その返本が本社の方で確認されますまでには約二箇月半ないし三箇月を要しますから、返本が固まりまして、これを雑誌社出版元の方へ返しまして、これだけの返本がありましたから、これの代金については次の支払いにおいて調節してもらう、あるいはそのとき金がつけば差引き返してもらうということができることになつておるのでございます。それが一月以降の趨勢が非常に返本がふえて参りまして、いわゆる支払いました代金の方が先払いになりまして、支払いの方が過超になつたのでございますが、これが数箇月積りましたために、一方ロマンス社の方が御承知のような状態になりましたために、次の新しい本を入れましてこれとの決済を差引く、あるいはロマンス社からとるという金についての決済ができませんために、積りました前払金というようなものなのでございます。これは出版社融資して貸すとか何とかいう性質の金ではないのでございます。その点をひとつ御了承いただきたいと思います。  なおちよつと申し落しましたが、こういう資金のことにつきまして、何か私ども資金鉄道部門資金だけのように見られているようでございますが、私どもの方で事業いたしておりますために、その事業自体自己資金、あるいは事業のために銀行から借りておりまする銀行借入資金、というようなものを相当高く見積りまして、こういう金で社会事業運転資金にいたしておる部分が相当に多いのでございますから、この点を敷衍して御説明申し上げます。     —————————————
  25. 夏堀源三郎

  26. 田中織之進

    田中(織)委員 もし大蔵政務次官がお急ぎであれば、先ほど議題にされました税関支署及び出張所設置に関し承認を求める件の提案説明を先にここで御説明願つても私はけつこうだと思うのですが、質問を続行してよろしゆうございますか。     〔「提案理由説明を先にしろ」と呼ぶ者あり〕
  27. 夏堀源三郎

  28. 西川甚五郎

    ○西川政府委員 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関支署及び出張所設置に関し、国会承認を求めるの件について、提出理由を御説明申し上げます。  まず第一に、最近における外国貿易趨勢に対応し、税関行政の円滑な遂行を期する必要がありますので、東京税関支署羽田飛行場出張所、及び門司税関津久見出張所税関支署とすることであります。東京税関支署羽田飛行場出張所は、近時航空機による輸出入貨物取扱い実績の増加、及び空港としての国際性にかんがみ、また門司税関津久見出張所は近時の貿易実績、並びに税関行政上九州における東海岸地区には税関支署が置かれていない現状にかんがみ、今回両出張所税関支署とする必要があるのであります。  次に横浜税関高島埠頭出張所外出張所設置することでありますが、横浜高島埠頭及び神戸港中埠頭、同兵庫埠頭における輸出入貨物集散状況にかんがみ、横浜税関高島埠頭出張所神戸税関埠頭出張所及び同兵庫埠頭出張所を新設し、また八幡市における近時の貿易の伸展にかんがみ、若松税関支署八幡出張所を新設するとともに、長崎県の針尾においては、関係方面の指示に基く沖繩朝鮮等に対する強制送還港としての現状にかんがみ、長崎税関支署針尾出張所を新設する必要があるのであります。  以上税関支署及び同出張所設置に関し、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基きまして、本件を提案いたしました、次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  29. 田中織之進

    田中(織)委員 日本交通公社関係につきまして私も二、三点お伺いしたいと思います。昨日の午後の委員会で、この問題を取上げることにきまつたということを私委員会終了後伺いまして、特に具体的な調査を進めるまでの余裕がなかつたのでありますが、最近の公団あるいは特殊の法人等経理面に関しましては、国民全般相当疑惑を持つておられるので、この機会にそういう点についての国民疑惑を一掃するために、ひとつ率直にお答えを願いたいのであります。  ただいま竹村委員からの質問で、雑誌社取次附帯業務としてやれば、雑誌取次関係から来るところのいわゆる前払金の滞積したものが、相当の額に上つておるという事実が、交通公社の浮貸としての新聞に誤り伝えられておる、こういう意味の御答弁があつたのでありますが、新聞もこれは単なる一、二の新聞だけではなくて、新聞雑誌等かなり広範にこの問題が伝えられておるのでありまして、われわれは火のないところに煙は立たないと、常識的に判断をいたしておるわけでありますが、具体的にロマンス社に対する先払金の滞積いたしましたものが最近においてどれだけあるか、それの決済関係がどういうふうになつておるかということについて。交通公社の方からお答え願いたい。
  30. 瀧清彦

    瀧参考人 ただいまのロマンス社関係は、さつき申し上げましたように、そういう雑誌を受けまして、それとひきかえに金を支払いまして、それがどれだけ売れて、どれだけ返本が入つて来るかということが二、三箇月後にわかりまして、それをロマンス社の方にもどしまして、返本の分について過払いになつておればもどす、また本が売れておればお支払いする、こういうことになるのでありますが、そういうような事業についての過払い、あるいは過少払い等の調節の関係の金であります。たまたま最近が過払いになりましたのでこういう結果になつたのであります。その性質の金が現在で約五千万円前後になつております。
  31. 田中織之進

    田中(織)委員 五千万円という金は相当大きな金額でありまして、これは六月二十四日の東京新聞の右の中央部にあります放射線というものの中に、やはりロマンス社に対する交通公社のいわゆる債権が八千万円あるということと、三千万円の開きがありますけれども、五千万円といえば相当の金額であります。私はその点から見まして、雑誌取次等を付帯業務としてやられるということは、一応交通公社仕事としては必ずしも適切ではないとは私は思いません。しかしながらあなたの方は、たとえば鉄道弘済会のように、雑誌取次販売というようなことを主たる目的としてやつておるのではないのでありますから、ロマンス社の方との関係におきましても、雑誌取次は私から申し上げるまでもなく、あなたの方では若干の返本を見込んで、現品とひきかえに金を払つておる、そういうような雑誌取次をやつておるのは、おそらく交通公社一社だけじやないかと思う。ほかの雑誌取次業者と雑誌出版社との間における契約関係が、そういう甘い状態におかれておるようなところはおそらく私はないと思う。そこに、最近のように雑誌返本が非常に多くなつて来ておるときに、そういう若干の返本率というものを見込んで、その誌代を全部先払いするというところに——少くとも五千万円という金額は非常に大きな金額の問題だと私は思うのでありますが、現実に残つておるということをただいまお述べになつたわけでありますが、その債権確保のためにはどういう処置をとつておられるのですか。われわれの聞くところによると、ロマンス社と新ロマンス社との間で、内部的な相剋関係も起つておると思うのでありますが、その五千万円という金額は、少くとも交通公社の出資金関係から見まして、これは少からぬ金額だと思うのです。従つて、たとえば鉄道公社の方へ支払うべき切符の売上げ代金等の支払いに、当然影響を持つて来ると私は思うのでありますが、そういう点で債権保全のためにはどういう処置をなさつておるか、この際明確にお答え願いたいと思います。
  32. 瀧清彦

    瀧参考人 ロマンス社という出版社が、順調に営業が継続できておりますれば、またロマンス社の中の仕事の合理化、あるいは経営コストの引下げというような問題を——ロマンス社自体が更生いたしまして、そうして今のような金融梗塞、購買力低下というようなむずかしい情勢に立行くようなロマンス社が継続しておりますならば、ロマンス社の編集自体の問題、あるいはこれについておりまするところの読者層の数の多い少いの問題、これは非常に社会的に認められておりまする問題でありますから、これが継続さえしておりますれば、また経営が建て直つてさえ参りますれば、私どもの方の過払いになりました問題も、今後ロマンス社雑誌を私どもが受けて、取次販売をして行きます将来の過程におきまして、これが調節できる、こういうふうに考えておるのであります。そうしてこの合資会社の元のロマンスというものは、これは債権者各位が非常に多うございますので、私どもの方もそういつた意味の債権者の一人といたしまして、債権者団というようなものができております。その一員といたしまして、債権者の立場から債権の確保というものをはかつておるのでございます。債権者各位もやはり一部は取次販売業という面から、あるいは印刷業という面から、あるいは紙の面からというぐあいに、債権者各位も旧ロマンスが非常に人間が多うございますし、また経営の仕方も非常に放漫であつたという点を十分に認識いたしまして、合資会社ロマンスというものを解散いたしまして、そうして株式会社ロマンス社というものを新しく建てまして、その株式会社ロマンスが債務を継承いたしまして、そうして事業経営合理化をはかつて、将来においてこの債権者への債務を果して行くというようなお約束のもとに、また企図のもとに、新ロマンス社というものをつくることに、債権者各位とともに私どもの方も努力いたしております。ただその過程におきまして、御承知のように内部にいろいろの紛争がございまして、これを二つに割つた会社なつてはなかなか立ち行くものではないし、やはりその紛争を一つにまとめまして、一つロマンス社としてそしてまた経営を合理化し、編集を強化しまして、新ロマンス社としての出発をさせたいという努力を、ここ二箇月債権者が懸命に努めて参つたのであります。その間にあるいは何が、あるいはこれがというような方面から、いろいろ具体的な動きも出て来まして、あるいは新聞紙上その他というようなケースが出て来た次第でございます。
  33. 田中織之進

    田中(織)委員 私の伺わんとする債権保全の処置といたしましては、私きわめて不十分だと思うのです。さらに私伺いますけれども、大体この五千万円というのは何箇月の間に堆積したものであるか。それからあなたの方とロマンス社との間で、雑誌取次の契約関係というものがあると思いまするが、ロマンス社関係雑誌を月に大体何十万部なり何百万部なり取次がれてその関係で、たとえば返本率をどの程度に見込まれて代金を支払われておつたのか、その点についてもつと具体的にお答えを願いたいと思います。われわれはどうも雑誌取次関係ロマンス社以外にも、あなたの方は、ほかの雑誌社との取次関係もあると思うのでありますが、特にロマンス社との間に、最近ロマンスがつぶれたと同様の状態にあることから、ある程度の未收の債権が起つたということも考えられないことはないと思います。私の別途今朝伺つたところによれば、この債権保全の方法が、今お答えになつたより以上の的確な方法が何か講ぜられておるやに、私けさほど伺つたのでありますが、どうも私けさ伺つたのと、ただいまの御答弁とは一致いたしませんので、さらにこの五千万円の債権というものがどうして発生いたしましたか。毎月々々の雑誌取次量が大体何十万部なら何十万部で、その関係から来るところの未払い分がこれこれあるのだ。そうするとその取次がれた関係においても雑誌の方の、あなたの方は全部現金取引をやつているわけでありますから、売上金と返品との間の差額というものは当然あなたの方の收入にもなつて来ますから、ロマンス社の方へ現在なお五千万円という金額、これはあるいはこの間の鉱工品公団ではありませんけれど、二億何がしの金は女中のつまみ食い程度だというような認識でおられると、五千万円ということは莫大なものにはならないかもしれませんけれども国民一般の常識から見ますならば、五千万円という金は軽々にできない莫大な金だと思うのです。しかも交通公社の一箇月の收支の金額が一体どの程度であるか、そういうようなこともあわせて伺いたいと思いますが、五千万円という金額は、交通公社の鉄道関係の切符の売上げ代金の五億何がしのもの以外のこういう取次関係附帯業務関係の收入金が大体どの程度あるかというようなことも、あわせてお答えを願いたいと思います。
  34. 瀧清彦

    瀧参考人 ロマンスの方の関係につきましては、大体支払い関係は、昨年度あたりは、返本の率というものは割合に低く見て、一割程度を見ておりましたが、一月の新年号の雑誌返本の率が多くなるというようなことから、大体二割程度返本と見まして年初は、支払いをいたしておりました。最近になりまして返本が盛んに累積するということでございますので、大体支払いました金額は、多いときには一箇月に五千万円前後の支払額になつておりますが、返本の多くなるにつれまして順次減らして参りまして、これが四千万円になり、三千万円になり、二千万円になるというようなぐあいに、本年度に入りましてからは支払額を減らしまして、返本率を多く見積りいたしております。  それから債権保全の方法でございますが、これは新ロマンス社をスタートさせてという一つの面を申し上げたのでございますが、また債権確保という面におきましては、ロマンスの、あるいは婦人世界の標章権でありますとか、あるいは本社の建物でございますとか、あるいは自動車、什器というようなものを債権者の名前において確保しております。
  35. 田中織之進

    田中(織)委員 それでは五千万円という、現在ロマンス社一社に対して持つておる債権が、どうして発生して来たかということの発生過程の御説明にはならないと私思います。そこにどうもやはり雑誌取次で、あなたの方が先ほど述べられたように、出張所が百六十箇所全国である。ところがこれは弘済会なんかと違つて、各駅の売店等を持つているとかいうような関係とは違うので、大体雑誌取次業務ということは、私は必ずしも附帯業務でないとまでは申しませんけれども、どうもやはり附帯業務として結びつける。しかも雑誌社のうらであなたの方が取次いでいる関係のものは数社に限定されている。そういうところにやはりこれは雑誌取次という名目による一種の金融行為だという疑いを、われわれは持たざるを得ないのです。そこに浮貸し云云というよな問題も出て来ると思う。そこで鉄道公社の方もおられますけれども、これは先ほど竹村委員から御質問を申し上げたのでありますが、鉄道公社関係の切符を取次いでいるものにいたしましても、これはすべて現金なんです。そして鉄道公社交通公社との間の関係は、一箇月ごとに精算するということになつているという先ほどの答弁でありますが、一箇月にして五億数千万円に上るといたしますならば、やはり交通公社で売り上げた関係のものは、ちようど駅の切符売場と同じような形で、毎日のように公社の方へ売上金がもどつて行くというような仕組みにはなつておらないのですか、どうですか。今度のロマンス社関係の五千万円、これはそれ以外にもあるいはこういう不良債権というものがあると思いますが、こういうことによつて鉄道公社の方が当然交通公社から受取るべき切符の代金、これは現在交通公社というものは、鉄道公社は公共企業体にはなつておりますけれども、料金その他の決定は、これはすべて法律に基いて議会の協賛を得て始めてなされるもので、言うてみれば税金と一向かわらない。それだけ重大な性質の金が交通公社の方で切符を取次販売するという関係から出て来るのでありますが、それは毎日交通公社の売上金が鉄道公社の方へ入るというような仕組みにはなつていないのですか。また現にこの五千万円の不良債権の問題が鉄道公社の方の收入の面に影響を及ぼすようなことはないかどうかということを、鉄道公社側から御答弁願いたい。
  36. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 田中さんから今いろいろと御質問や御注意がありましたが、国有鉄道といたしまして公社関係のあるのは、先ほど申しました通り切符を代売せしめて、その手数料をやるだけでありまして、そのほかに、公社事業を営んでおりまして、まず予算から申しますと、大体二十億程度公社の予算でありますが、その中で手数料は一億八千万円くらいです。そのほか社線等いろいろありますが、それだけの大きさにおいて関係をいたしております。その監督権運輸省にありまして、私の方は契約を結んで事業をやつているわけでありますが、先ほどから御注意のこの一箇月が適当であるか、日納にできないかという問題でありますが、現在のところでは精算手続等から見て一箇月を適当としておりますけれども、できるだけ收納の手続等を合理化しまして、期間を短かくして行きたい、こういうふうに考えております。それからもしも事業の面におきまして、他の事業において欠損ができた場合、国鉄への收入金に支障を来すというようなおそれがありますれば、これは警告を与えますし、また契約の日限が過ぎれば延帯利子をどんどんとりまして、今のところでは何ら支障は起しておりませんが、今御注意のような点を今後とも注意して、私たちにも監視いたしたいと考えております。
  37. 田中織之進

    田中(織)委員 今、もし遅れた場合には延帯利子を払わせるということでありますが、問題は、やはりこの一箇月間は交通公社の方で国鉄関係だけで五億千万円になる切符の売上金を持つていて、国有鉄道の方へは一箇月後に精算をするということになりますと、大体ロマンス社への出資その他の関係、これは出資ではないというお話でありますけれども、そういう関係の間に実際に動かされている金利等との関係から見ますならば、これは俗に言われる浮貸し等の事実が発生する可能性は十分あるわけであります。それで一箇月期日を過ぎました場合に、初めて延帯利子の問題が問題になるのだろうと思いますけれども国有鉄道の方へ払う延帯利子のおそらく何十倍かの利子を、こういう金を融通することによつて取得できるということは、これは今日のやみ金融の実情から見ましてうなづけることなんです。そういう点から、これ以上追究してもどうも的確な資料があるわけでない。最近の交通公社の逐月の経理の問題であるとか、あるいはロマンス社その他の雑誌社取次が、たとえば一月には幾らあつて未払いが幾らになつているというような的確な資料が全然ないわけでありますから、これ以上追究しまして何かのれんに腕押しのような感じがいたしますので、大体ここらでこの点は打切りたいと思いますけれども、どうも私の本日この短かい間における質問並びにそれに対する御答弁を通じまして、遺憾ながらこの関係交通公社が切符の売上金その他の関係の、これを払うべきところへ払うまでの間における金の融通ということについて、相当疑惑を実は解くことができないのです。これは本日は参考人として来ていただいているのでありますが、せつかく委員会としてこの問題を取上げたのでありますから、委員長に対するお願いでございまするが、最近の日本交通公社のバランス・シートなり、あるいは特に本委員会で今問題になつているロマンス社との債権債務の関係等について、少くともその推移がうかがわれるだけの資料を、ひとつ本委員会提出していただくように、委員長の方でおとりはからいを願いたいと思います。
  38. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 了承いたしました。
  39. 有田二郎

    ○有田(二)委員 日本国有鉄道業務局長さんですか、藪谷さんにひとつお尋ねいたします。日本交通公社がこういう本屋の卸屋をしているということは、あなたの方の大切な切符の料金を預けているという建前からいつて、こういうロマンス社の問題から考えて妥当であると思われるかどうか、ひとつ御答弁願います。
  40. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 公社の寄付行為の第三條の第三項でしたか、附帯業務というものがあるのでありまして、その範囲を逸脱してはいない、こうわれわれは解釈いたします。
  41. 有田二郎

    ○有田(二)委員 逸脱してはいないというお考えでありましようが、すでに実例がこういうように五千万円という債権となつて現われておる。そのために、ひいては切符代にまで影響を及ぼして来て、広く国民全体に迷惑をかけるというようなことが考えられるわけです。交通公社の定款の中にある一つの職権外に出ていないことはもちろんでありまするが、切符を扱わしておる建前からいつて、しかも交通公社以外には切符を扱わせていないのですから、交通公社が非常な赤字をこしらえて、日本国有鉄道に非常な迷惑をかけないということは断言できないわけです。そういう点から考えて、こういうことは望ましいことであるかどうか。定款にあるから、定款に触れない範囲のことなら何をやつてもいいとすると、そのかわりにそれによつて日本国有鉄道が迷惑を受けるかもしれぬ。私は日本国有鉄道をつくるときの運輸委員長として、その点について非常に心配を持ちますので、あなたの単なる政府答弁でなくして、こういう危険なことは望ましいことであるか、望ましいことでないか、承りたいと思います。
  42. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 先ほどもお答えいたしましたように、現在では鉄道に納むべき金には何ら影響はしておりませんが、有田さんの御注意のような事態が起らないように、十分注意いたしたいと思います。その事態そのものは、たとい鉄道に関係なく、交通公社の独自の責任においてやつておりましても、大穴を明けるようなまずい経営は、決して私も望ましいものとは存じておりませんから、御注意のような点を十分今後とも監視したして行きたい、こう思つております。
  43. 有田二郎

    ○有田(二)委員 藪谷さんの御答弁で非常に満足したのですが、同時にひとつ交通公社の方に、こういう事態を生んで来たということについて——これはロマンス社だけでありまするが、交通公社のお扱いになつているのは、ロマンスという雑誌だけでなく、いろいろの雑誌をお扱いになつておられると思いますが、その他のところでこういう事態が起つていないか、また将来起る危険性があるか、この点を承つておきます。
  44. 瀧清彦

    瀧参考人 私ども取次販売といたしましては、ロマンス社が実は大部分でございます。ロマンス社の発行しております「ロマンス」「婦人世界」「トルー・ストリイ」「映画スター」「フオトプレイ」、こういうような雑誌類が、取扱つておりまするものの六割五分ないし七割を占めております。従いまして、今後の私どもの方針といたしましても、問題はだいまのような債権の確保という点だけに主眼点を置きまして、取次販売業務というものを今後拡大する、あるいは増加するというようなことは、ごく消極的に考えておりまして、できるだけ債権を確保する面が必要な最小限度ということで努力して行きたいと考えております。
  45. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ちよつと関連して……。ただいまロマンス社だけと言いますが、あるところの調査によりますと、ロマンス社に対して九千五百万円、婦女界社に対しては四千万円、八木書房に対しては二千万円、こういうような貸し方をして、大体一億五千万円くらい融通しておるようですが、これは違いましようか。正確なる調査だと思いますが……。
  46. 瀧清彦

    瀧参考人 ただいまも申し上げた点でございますが、事業といたしまして、そういう支払い方法において仕事をしておる。たとえば附帯事業としてホテルのような仕事もございまするが、ホテルをいたしますと、ホテルについての事業資金を出しております。これと同じように、取次販売の面につきましても、そういつた事業に必要な資金を出しております。これは大部分がロマンス社でございまして、ただいま御指摘のございましたロマンス社以外の数字につきましては、こまかいものは私担当でもございませんものですから存じませんが、大部分はロマンス社でございます。
  47. 有田二郎

    ○有田(二)委員 日本交通公社というものの使命から考えて、こういうような、うまく行けばもうかる、うまく行かなければ損をするというような商売を交通公社がやるということは、おもしろくないと思うのであります。定款にあるから自由にやつているのだという考え方をなされるのですが、こういうような、もうかるときはもうかるが、損をするときは損をするというようなことは、交通公社ではやらない方がいいのじやないか。かような見解を持つが、あなたの御意見をひとつ承りたいと思います。
  48. 瀧清彦

    瀧参考人 そもそもこういう取次販売を私どもが昨年度いたしましたということにつきましては、実は御意見の通り、内外旅客のあつせんでございまするとか、あるいは対外宣伝でございまするとか、あるいは観光事業の実施面を取扱うとか、あるいはこういう面に必要なホテルの経営というのが、私どもの本来の姿でございます。また出版にいたしましても、そういう観光宣伝資料についての写真等の收集、あるいは出版物の出版頒布、こういうのが本来の姿なのでございます。ただ昨年の四月に、交通公社といたしましてはまことに大きな痛手だつたのでございまするが、従来鉄道の切符を販売いたしてその手数料をちようだだいいたしておつたのが、さる方面からの指示で六月以降ストツプになりました。計算いたしますると、二億八千万円になる手数料がストツプになつて、交通公社の本来の生存に関するようなことになりました。ただいままでも交通公社としては、海外事務所を持つておりまして宣伝活動をいたしております。また人員にいたしましても、観光事業。あるいは外国への宣伝、またはさらに終戦後ふえて参りまする内地への観光客のあつせんという問題につきましての人員を、他日の万一に備えようということから、戦争中も終戦後も確保し、また養成して参つておりますから、最近の観光事業、また日本を訪れる外人の人たちの画期的な増加というものに対しまして、これの国内旅行というものは、ほとんど自分の方の一手で外人のスケジユールをつくり、またこれにあつせん員を乗せまして、おせわを万端申し上げたということを感じておるのでございまするが、昨年度の四月におきましても経営ができなくなるからといつて、みすみすこういうような專門家を首切つてしまいまして、目の前に迫つておるこういう事業に支障を来すということはいたすに忍びなかつたのでございます。そこで鉄道の切符を売つているのでございまするから、また店舗を持ち人を持つておるのでございまするから、他日こういうようなことは解けて、何分の手数料は出るであろうということは感じておりましたが、何分にもある方面からの指示でストツプになりまして、そういうような仕事を持ち、そういうような人員をもう目の前の他日に備えて養成し、かかえておかなければならないものですから、何らか附帯事業の面において收入を得まして、一時のつなぎをしてもらわなければならないというところに、昨年の上期には追い込まれたのであります。そういたしました仕事一つというものがこの取次販売ということでございまして、昨年度におきましても、利益金といたしましては、二千数百万円の利益をあげるだろうという予想と計算のもとにいたした仕事でございまするが、たまたま金融事情やロマンス社の内紛、こういうことになりましたので、取次販売業というものは、成功というよりもむしろ失敗ということになつたのでございます。ただこういう仕事を始めました動機が、そういうようなところから出ました点を、ひとつ深く御了察いただきまして、御理解いただきたいと思うのでございます。ただいまの御意見のように、私どもの方の仕方といたしましては、今申し上げましたような本来の仕事に向いまして、精進いたしたいと存じておるのでございまして、取次販売業務というようなものにつきましては、ただいま申し上げましたように、手を出しました仕事でございまして、しかもひつかかりができましてございますから、これをできるだけ確保するという消極的な範囲だけにとどめて、今後の出版の取扱いというような業務につきましては縮小し、また再検討が終りましたならば、こういう仕事はやめて、本来の仕事に早く帰りたいと思つております。
  49. 有田二郎

    ○有田(二)委員 切符の手数料が入らなかつた期間は何箇月間くらいですか。
  50. 瀧清彦

    瀧参考人 従来は五分の手数料をいただいておつたのでございまするから、そのままに昨年入るとしますれば、約二億八千万円の手数料が入るわけでございました。それが四月、五月の二箇月だけで、六日以降はストツプということになりました。しかしその後さる方面も、全部ストツプということが行き過ぎであつたということをお考えいただきまして、急行ができるようになりましてからは、急行についての急行券と、寝台ができるようになりましてから、寝台の切符についての手数料、それから遊覧券等の手数料、こういうようなものにつきまして、手数料がとれるようになりました。しかしこれらの高級の乗車券と申しまするのは、数が非常に少うございまするし、金額が少いものでございまするから、ごく小数な金額でございます。それにさらに昨年は、私どもの方としましては、それでは鉄道の増收にも寄与するようにということで、団体募集をいたしまして、団体募集の方の手数料をいただくというように方向をとりまして、それらを合せまして、昨年度は約一億五千万円で、結局一億三千万円ほどの手数料の減があつたということになつております。
  51. 有田二郎

    ○有田(二)委員 それではただいま一般の切符の売却に対しては、手数料は入らないわけですか。
  52. 瀧清彦

    瀧参考人 まだ一般の乗車券につきましては、手数料は入つておりません。
  53. 有田二郎

    ○有田(二)委員 パブリツク・コーポレーシヨンとして日本国有鉄道が昨年の六月発足して以来、日本交通公社が非常に苦難の道を歩んだことは、今の御説明でよくわかりました。どうかひとつ日本交通公社の使命が非常に尊い使命であるということをお考えつて、こういうような事態が発生して、そうして国民に迷惑のかからない、また日本国有鉄道に迷惑のかからないように、将来とも最善の努力をしていただきたい、かように希望して私の質問は終ります。
  54. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ごく最近巷間に伝えられるところによると、交通公社は一大財閥をなし、あらゆる事業に投資してそれを押えている。こういうようなことが盛んに言われておりまして、私らも心配いたしております。これがために交通公社が成立たない、従つてまた販売した切符代金国有鉄道に納らないということになつた場合には、結局最後は一般会計から繰入れて、血税によつてこれを整理しなければならない場合がないとも限らない。こういう意味合いから心配したのであります。先ほどから交通公社の方の御意見によると、本来の目的を逸脱しないということをおつしやつたのでございますが、中に観光社という子会社がありまして、ここでほとんど営利行為同様の行動をとつている。たとえば資金の豊富なところから、電気部品などを非常にたたいて買つて、そうして地方に電気相談所というような看板を掲げて、そこでむりな投売りをするために、付近の中小の電気業がたくさんつぶれたという例があります。決して目的を逸脱しないと言いながらも、観光社という看板を掲げて、範囲を逸脱して行動している例がたくさんあります。また観光社においても、月六分だとか七分とかで金を貸した事実は確かにあります。私の知人もその交渉に行つた経験がありまして、その方から報告を受けたことがあります。事実そういうようなことをやつたのであります。こういうぐあいに、いわゆる本来の交通公社の使命の範囲を逸脱しないというていさいをつくるために、観光社をつくつておりまして、観光社において脱法的にあらゆる営利行動をやつているということを聞いておるのであります。しかしまたその内容があまりにルーズな関係で、ごく最近にはうまく行つていないということも聞いております。またほかに印刷方面にも投資しておる。日本交通印刷株式会社に投資しまして、切符の売上げ收入金を利用して、政府資金を固定させ、社員を役員として入れているという事実もあります。それから先ほど話した金融の問題ですが、これはロマンス社が五千万円だと言つておりますが、ロマンス社には九千五百万円あります。婦女界には四千万円、八木書房には二千万円、こういうぐあいで一億五千万円くらい出ておるようでありまして、この日歩が十銭となつているよううであります。それからこれがために借りた会社はほとんど破算の状態に瀕しているので、必ずや交通公社の損害に赤字として経理面に現われて来ることは、確実であると聞いております。さような損失が間接に影響の結果、こういうやみ金融のために国有鉄道が損害を受けるということを、われわれは非常に心配をしているものであります。それから日本図書販売株式会社にも投資しているようで、これにも社員を送つて役員としておるようです。こういうぐあいにして、ごく最近のあり方は、一つの財閥的な存在であり、また集中排除法の精神、独占禁止法の精神にも反するようでして、各業界から、ごく最近の交通公社の出方が、昔の財閥のようなやり方をやつているという話をたびたび聞いておりまするので、本委員会にもたびたびこういう話が出たのでありまして、今日の委員会の開催となつたわけでありますが、こういう点を十分御考慮いただかないと、交通公社経営が結局破綻に瀕するのではないか。また運輸省なり国有鉄道においても、あそこが運輸省関係のおば捨て山だということのないように、今後この経営面を十分確実にしていただきたい。先ほど他の委員からも特にお話があつたのですが、今申し上げた二、三の点、特に観光社の問題についてお答え願いたい。
  55. 瀧清彦

    瀧参考人 ただいまの観光社の問題でありまするが、これもちようど戦争中は、戦線の進むに従いまして、朝鮮、満州、中国、南の方へというぐあいに、観光社のあつせんの仕事の網をふやして参つておりました。また大陸とか満州の交通公社というものは、満鉄とともに、相当進んでおつたのでありますが、こういう大きな外地の交通公社網が終戦後全部なくなりました。従来は東京が本部となりまして、全部の交通公社網をここですべておりましたが、終戦とともにこれらの人々が大勢引揚げて参りました。もちろん全部を吸收するということはできなかつたのでございまするが、できるだけこういう人たらを幾分でも拾い上げようという意味から、観光社というようなものを設けまして、そういう仕事をやらせておつたのでありますが、これもそういうような人の一時の職場をこしらえてあげなければならないという意味から、スタートしたのが、その目的つたのであります。しかしだんだん観光社の仕事も縮小する方面に方針を持つて参りまして、本年度といたしましては、ただいま私が申し上げましたように、附帯事業の面はできるだけ收縮いたしまして公社本来の業務に立帰りたいという大きい目的のために、整理縮小という線を強化しております。
  56. 奧村又十郎

    奧村委員 ちよつとお尋ねしますが、交通公社は口マンス社からは雑誌だけを買い入れておるのか。どういう雑誌を毎月何部程度買い入れておるのか。それからその販売交通公社の各支店、出張所ですか。その店だけに限られておるはずで、交通公社から鉄道の売店その他へ元卸から取次いで、またほかの売店にも売つておるのか。交通公社だけの店で販売しておる数量だけであるとするならば、毎月何万部を取扱つておるか。その点をお伺いします。
  57. 瀧清彦

    瀧参考人 私どもの方が今まで取扱つておりましたのは、うちの百六十ほどの案内所の店でだけ売るのではございません。うちの案内所から町の小売店に卸すという仕事もいたしております。それからもう一つ、種類の方でございますが、これはロマンス社雑誌でございまして、全部いたしております。ロマンス、婦人世界、トル—・ストーリイ、フオトプレイ、映画スター、少年世界——これは廃刊になりましたが、こういうロマンス社雑誌を全部扱つております。それからその他の雑誌につきましては、うちの取次販売で扱つております分の三割程度です。七割程度ロマンス社雑誌であります。
  58. 奧村又十郎

    奧村委員 そういたしますと公社の店だけでなしに、一般市中の書店にも取次販売をしておるのですか。それは鉄道の構内ですか。全然鉄道に関係なしに、全国の書店に販売しておるのですか。
  59. 瀧清彦

    瀧参考人 うちの案内所が全国に百六十ほどありますが、その百六十ほどある案内所を通じまして、町の小売店に卸をしております。
  60. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまのあなたの御答弁によると、ロマンス社に対する払いだけで、毎月四千万円ないし五千万円と言われる。そうすると、かりに一册が原価四十円ないし五十円とするならば、月百万部ずつ扱うておられる。大体よほど繁昌する雑誌社でも、月に二、三十万部出れば売れる方である。そうすればロマンス社の発行の雑誌は一手引受けで元受けさばきをやつておられる、こういうふうに考えられるが、その通りですか。
  61. 瀧清彦

    瀧参考人 ロマンス社出版のものは、私どもの方で一手販売ではないのであります。私どもの方で扱います分と、それからほかの取次販売業者の方から流れます分と、やはり幾つにもわかれております。ロマンス社という雑誌社は、一時は非常に盛んな雑誌社でございまして、ロマンスが六十万部とか、婦人世界が七十万部とかいうような発行部数を一箇月に出ておつた大きい雑誌社でございます。ロマンス社自体の昨年の最盛期におきます雑誌全体の発行部数というものは、ちよつと記憶いたしておりませんが、二大雑誌ロマンスとか婦人世界は、おのおの六、七十万部毎月出ておつたような事情でございます。
  62. 奧村又十郎

    奧村委員 いずれにいたしましても、百六十何箇所の店で販売する数量は、これは微々たるもので、その店を通じて一般市中の書店に販売しておるのは相当の部数になる。これはとり立てて調べようと思えば、いろいろ問題はあろうと思いますが、この点は拔きにして、一体鉄道で売るのは、旅客の愉快のためによろしいでしようが、鉄道でなしに、一般市中に売る本の取次をやるということは、交通公社仕事であるかどうかということが問題で、この点もなおかつ国鉄の方で、公社が行き過ぎではないとお考えになられるかどうか。国鉄の方の関係者の御答弁を承ります。
  63. 石井昭正

    石井説明員 お答えいたします、ただいまお尋ねの点、これはそれ自体だけを見れば、なるほど交通公社本来の仕事とは言い切れないかと思うのであります。しかしながら交通公社の各地の出張所を通じまして取次をいたすということは、日配がなくなりました後におきまして、各雑誌社がいろいろ取次網につきまして苦労をいたしておるようでございまして、そういう関係で、各地の支店網における販売と同時に、あわせて附帯的に、先ほど公社の方からお話がありました事情で、取次をいたしておるということは、もちろんそれ自体に公社が專念いたすのはおかしいのでありますが、附帯的に行いますことにつきまして、特にこれがけしからぬというように考える必要はないかと思うのであります。ただもちろんこのために、経営よろしきを得ないというような点に相なりますれば、これはまた別個の問題であります。
  64. 奧村又十郎

    奧村委員 それではお尋ねいたしますが、公社の資本金は五百万円で、ロマンス社だけに対する焦げつきの赤字が五千万円、その間の金融のやりくりはどういうふうにしておられるか。
  65. 瀧清彦

    瀧参考人 資金についてでありますが、交通公社自体の收入が、全体で年間五億五千万円ございます。それから銀行から大体月二億前後の借入れをいたしております。そういうような金でもつて事業関係資金に充てております。
  66. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ただいまの奧村委員からの質問に関連いたしまして、われわれのふに落ちない点が一つあります。ロマンスの今度できた会社の資本金なり、これからの発展の資金というものは、一体どこから出ているものでしようか。またそうやつた場合には、運輸省としては交通運輸目的以外に、そういう資金を使うということは、当然妥当でないと思うのですが、この間の事情を、交通公社の方と運輸省の方に御答弁を願いたいと思います。
  67. 石井昭正

    石井説明員 私どものところにおきましては、ロマンス社、新ロマンス社というのでございますか、ロマンス社資金がどこから出るかということは、まだ私の手元においては調査いたしておりません。また運輸省といたしまして、新ロマンス社自体につきまして、われわれの方の仕事関係から、どういう調査をいたすかというようなところには、まだ参つておらないと思うのでございます。まことに申訳ないのでございます。ただいま新しい会社関係は存じておりませんので、御答えいたし得ないことを御了承願いたいと思います。あるいは新ロマンス社関係しております交通公社においては存じておるかと思いますが、私どもはまだ存じておりません。
  68. 瀧清彦

    瀧参考人 新しいロマンス社のことでございますが、これは四百五十万円ほどの資本金で設立いたすことになつております。これは主としてやはり債権者各位が非常な関心と努力をいたしておりまして、各債権者間に資本金が割当てられておる、こういうことになつております。
  69. 有田二郎

    ○有田(二)委員 この問題はいわばさつき交通公社からお話があつたように、日本国有鉄道、パブリツク・コーポレーシヨンができたために、今までの切符の收入であつた二億何千万円がなくなつて来たということから端を発した問題で、結局は非常に損をしたという結論になると思うのです。しかしながらこの委員会としては、目下非常にはやつておる浮貸しをやつておるのじやないかという考えのもとに、われわれは調査を始めておるのであります。結局現状のところのれんに腕押しというような感があるのでありまして、各委員からの御要求である資料を頂戴して、またあらためて本委員会において審議するということで、この問題は本日はこの程度で打切られんことを望みます。
  70. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 有田君からこの問題の打切りの動議がありましたが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ではこの問題については本日はこの程度にいたします。     —————————————
  72. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 国税庁の方の間税部長がおいでになつておりますから、お伺いしたいと思いますのは、租税滞納が最近になつて五億とか六億とかありますが、最近部長さんのお知りになつておる滞納の額はどのくらいありましようか。それに対する処置はどうなされましようか。ひとつお伺いしたいと思います。
  73. 松田文藏

    松田説明員 実ははつきりした確定した数字ではありませんけれども、六月末で九億五千万円というような滞納に大体私の方では見当をつけております。この滞納につきましてはわれわれといたしましては、そのよつて生ずる原因を十分検討して対策を講じなければならぬのでありますが、すでに最近とつて来ておる措置は、あるいは御存じかと思いますけれども、延納を今後とも認めて行く、また延納に必要な担保もなるべく許せる範囲内において拡張して行く、こういうことで最近は確実な社債はこれを延納の担保として取上げて行く。また保証人等も銀行保証の場合には、税務署長が適当と認めた場合は保証人として取扱う。こういうふうに保証人の担保物件と申しますか、担保の方法も拡大して行く。それからもう一つは、従来は、その三分の二の延納を認めておつたのでございますが、この際全額について担保を提供すれば延納は認めて行く、こういうことで一応延納という措置によつて、滞納をなるべく出さないようにいたしたい。それからもう一つは何と申しましても、よつて生ずるものは代金の回收が円滑に行かないためでありますので、従つてそれが資金繰りに影響して来て滞納ということになつて来ておりますので、製造業者なりあるいは販売機関方面の融資について、われわれの力でできるだけのことはひとつ極力努力してみよう、こういうことで先般来金融機関方面と折衝いたして実情を十分説明して、金融機関の御協力をお願いしているような次第であります。  それからこれと相関連することではありますけれども、取引自体が最近の情勢になつて非常に現金取引ということがなくなつております。あるいは手形で代金決済をやる。しかもその期限がはなはだしいのにあつては、二箇月というのも出ておるような関係にありますので、そういう取引の内容について極力現金取引を励行していただく。あるいはまた手形でやる場合にしても、極力短期で決済して行く。こういう方向で極力資金の回收の迅速化を促して行くということによつて、一応滞納のふえることを防止して行きたいというふうに考えております。
  74. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 たいへんできるだけ御尽力願つておることは、感謝しなければならぬ点であろうと思いますが、しかしよく掘り下げてみますと、事ここに至つた原因は税の比率が非常に高いということであります。それからまた同時に、大蔵省の当事者は非常にお考えなつていらつしやいますが、どうも最高幹部においては理解がないのか、統計上酒は非常に例年通り出ておるのであるからよいのではなかろうかということで、実際はただいまお話の通りに売掛になつて、回收が非常に遅れておるというようなことをお気づきにならないで、ただ数字の上の売上げだけをおとりになつて減税問題その他に対して熱意がないように聞いておるのでありますが、ぜひ部長におかれてはこの際積極的に上司に働きかけて、一日も早く根本問題であり、拔本的政策である減税の方へ持つてつてもらいたいと思います。なおこの機会金融の面も非常に御努力願つておることは、今申します通りまことに感謝いたしておるのでありますが、酒税に対する大蔵省の方針が、近ごろ多少占領治下であるからかもしれませんが、かわつて来ましたので、これがどうもぐらついて来ておるので、問題が起つておるのではないかと思います。元来比率の非常に高い酒税を扱われておりますので、私ども考えでは、独占というと悪いのでありますが、半專売に近いような形態の業態であるのであります。それが一面自由経済、放任経済、こういうことがうたわれて、酒も同じように放任経済であるかのごとき観をやや呈しておりますので、これに錯覚を起されまして、いかにもこれも自由経済でよかろう、こういうことになつて来るようでありますが、実際に自由経済であれば、今までこんなに全国に清酒において約一万、合成酒において、しようちゆうというような面から申しますと百もあるようなたくさんの業者があるはずがありません。もしほんとうに自由経済で超資本主義時代であれば、全国の会社が五つか六つに併合さるべき運命ではないかと思います。それにはいろいろ技術の面において集中生産の行われない面があります。ことに清酒においてはしかりでありますので、そういう事情でここまで来ておる。従つて大蔵省の従来の方針というものは、なるほど自由経済でないからいけないという点もあるかもしれませんが、非常に独占的であつて、何と申しますか、親心をもつて業者をかわいがつておる。何というかパトロナイズすることが盛んである。ところが最近は今の自由主義の勢いで、大企業でもどんどんこれを小企業とも同等に競争させる、こういうことであれば、全国の七千あるいは一万の清酒業者の過半——おそらく残るものはわずかに数軒でありまして、大部分はこれで一応倒産するようなことになりはしないかということを、私は第一に憂慮するのであります。そういたしますると、その結果しからば全国の五社か六社かの業者によつてその運行ができるかというと、これはできないのでありまして、現在全国津々浦々にあるから最近まで配給は円滑に行つておる。これがもし全国五社か三社になつて、たとえばビールの製造会社のごとく、三社なら三社ということに限定されて来ましたならば、おそらく配給面においては非常に支障を来すのではなかろうかと思うのであります。のみならず、はたしてかようなるウルトラ・キヤピタリズムというようなものが出現することがいいことであるかどうかは、現在独占禁止反対の強い時代において、私はこれは当然考えていただかなければならぬ問題であると思う。こういう点から、大蔵省は従来もやつて来たところの親心主義を、ぜひともこの際積極的にやつていただきたいのであつて、自由主義の風に吹かれて、これに幻惑と申しますか、錯覚を起されまして、大きいものは大いに伸ばすのがよろしい、小さいものはつぶしてもよろしいという弱肉強食のような方向に持つてつていただかないで、ほかのところはよろしいが、酒税は税の比率が売価の七、八割を占めておるのですから、ぜひともこの方針は過去以上に強化されてもらいたいと思いまするが、部長の御方針はどうでございまするか。
  75. 松田文藏

    松田説明員 酒税が非常に高率でありまして、酒という商品が、いわゆる財政物資として特別に違つた性格を持つておるということは、私はもとしましてはあくまでもこれは看過できない事実でございます。     〔委員長退席、小山委員長代理着席〕 従いましてほかの商品と同様に考えて、これを自由競争の企業形態に持つて行くということは、よほど考えなければならぬということは万々承知いたしております。ただ私の方でもう一つ考えますことは、同時に多く売つて、しかもそれを円滑に売つて、円滑に酒税を徴收して行くという一つのわれわれの根本的な立場がありますから、こういう点からも考えてみて、自由主義と申しますか、ある程度の競争を取入れるということも、またそうした線においては決してむだではないんじやないか、こういうところでもつて問題を考えておるのであります。先ほど仰せになりましたような弱肉強食と申しまするか、小さい業者はつぶしてしまう、こういうことは絶対に考えておりません。そういうことになつて酒税が滞納になり、焦げつきになるということは、財政收入の上にこれは非常な影響をいたすのでありまして、われわれとしては、どこまでも事業の助成を考えて、そうして円滑に酒税を徴收して行く、こういうことを考えておりますので、ひとつ御了承願います。
  76. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 本日は公社の問題が取上げられましたので、せつかく昨日から注文いたしておりました税改正案に関しまする、もしくはそれに対する調査のために主税局長を呼んでおつたのでありまするが、司令部に行かれたそうでありますから——実はシヤウプ博士も今明日中に東京へ来着される予定であります。政府としましてはシヤウプさんには原案を示されるはずであるが、その示される前に、われわれ国会議員として、政府にのみかつてにまかしておくということは、これはどうもいけない話であると考えますので、ぜひ明日午前中に主税局長並びに原もしくは忠両課長、また国税局の正示さんその他の課長をここへ呼びまして、その原案に対して多少の意見を申し上げ、またわれわれといたしましても、シヤウプさんにも直接面談いたしまして、国会議員として申し上げたいと思いますが、これに対して委員長から完全に取扱われんことを希望いたします。
  77. 小山長規

    ○小山委員長代理 御希望のように取扱います。
  78. 奧村又十郎

    奧村委員 間税部長にお尋ねしますが、酒税値下げの輿論はほうはいとして起つております、ところが早急実現は困難。そこで一番手取り早く具体化し得る方法として、農村その他重要事業方面に対する特配のわくがある。その特配のわくをうんと広げて、たしか四百円前後で二級酒が売れておりますが、あれを倍以上に広げれば事実上値下げをした効果があるわけでありますから、それを早急に実現していただいて、そうして全面的な値下げの時期を待つ、こういうふうにすれば最も効果があり、けつこうと思いますが、そういう御用意がないか。それが可能であるか可能でないか、御意見を承りたい。
  79. 松田文藏

    松田説明員 一つの対策の問題として取上げるべき問題であります。私どもといたしましても研究をいたしております。ただ最近の配給酒の消化状況を見て参りますと、数字は押えておりませんけれども相当部分消化されていないという数字が出ております。現に先般二万石程度清酒を農村用として配給をしたのでありますが、相当に配給辞退が出ておるというようなことになつております。これは結局そういうことになりますと、販売業者がこれを買い取りまして、そうして適当な価格で売る。こういうようなことになつて、弊害が一面出て参りますので、われわれとしましては、いよいよもつて酒の売れ行きが悪くなれば、最後にはそういう手も考えなければならぬと思つておりますけれども、最近の配給酒の状況は必ずしもそう簡単には消化していないという状況になつておりますので、なお今後の状況を十分検討さしていただきまして、この問題を考えてみたいと思います。御了承願いたいと思います。
  80. 奧村又十郎

    奧村委員 その四百円ですか、そのごく安い配給酒ですら配給辞退があるということは、すでに配給酒の価格ですら高過ぎるというこれははつしきりした証拠です。であるとすれば少くとも配給酒価格で配給して、配給辞退があれば、その辞退の分は小売店にかつてにまかせればよい。事実上値下げの効果をここで発揮させたらどうか。積極的にお考えになりませんか。実は大蔵大臣にとくとお尋ねをする参考資料にもなりますから、部長のお考えをひとつ伺いたい。
  81. 松田文藏

    松田説明員 これは私の方ではきわめて慎重を要する取扱いで、配給酒は消化されておるかどうかということを十分検討した上でないと、これを流しますと、先ほど申しましたようないろいろな弊害が出て参りますので、そのことがひいては酒税の確保全体の上に大きな影響を持つて参ります。最近の実績から考えてみますと、配給酒はよけいに流してもむだだという——だめだというような感想を実は私持つております。それから先ほどの配給酒でさえ売れないではないか、こういう向きでございますが、これに対してはこういうふうに考えております。実は酒は全般としましては相当に出ております。昔と違いましてある程度消費者もいつでも買える。また従来に比してある程度つて来でおりますので、時期的にまた実際に飲みたいという人に一律的に配給しておつたのでは、これが全般的に消化されぬ、こういうことになつておるので辞退が起きておるわけでありまして、そのことからただちに、配給酒の価格でさえ高いのではないかという結論は、出ないのではないかと思つております。
  82. 小山長規

    ○小山委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十一分散会