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1950-07-25 第8回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十五日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 大上  司君 理事 奧村又十郎君  理事 小山 長規君 理事 早稻田柳右工門君    理事 田中織之進君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       川野 芳滿君    佐久間 徹君       高間 松吉君    三宅 則義君       宮幡  靖君    武藤 嘉一君       宮腰 喜助君    中崎  敏君       高田 富之君    竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官         (国税庁総務部         長)      正示啓次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁総務部         徴收課長)   田所 正幸君         大蔵事務官         (広島国税局         長)      鹽見 俊二君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 七月二十四日  衣服用及び頭髪用ブラシに対する物品税撤廃の  請願押谷富三紹介)(第三一六号)  勤労学生の所得中一定額学資金として非課税  とする請願宮腰喜助紹介)(第三一七号)  揮発油税軽減に関する請願坂田英一紹介)  (第三一八号)  同(佐藤榮作紹介)(第三一九号)  同(宮幡靖紹介)(第三二〇号)  同(庄司一郎紹介)(第三二一号)  同(關谷勝利紹介)(第三二二号)  同(内藤隆紹介)(第三二三号)  同(保利茂紹介)(第三二四号)  同(坪内八郎紹介)(第三二五号)  同(押谷富三紹介)(第三二六号)  同(河原伊三郎紹介)(第三二七号)  同(岡崎勝男紹介)(第三六六号)  同(三浦寅之助紹介)(第三六七号)  同(志田義信紹介)(第三六八号)  同(千葉三郎紹介)(第三六九号)  同(白井佐吉紹介)(第三七〇号)  同(林讓治紹介)(第三七一号)  同(門脇勝太郎紹介)(第三七二号)  同(高木吉之助紹介)(第三七三号)  同(飯塚定輔紹介)(第三七四号)  同(千賀康治君外一名紹介)(第四三二号)  同(土井直作紹介)(第四三三号)  同(森幸太郎紹介)(第四三四号)  同(栗山長次郎紹介)(第四三五号)  同(花村四郎紹介)(第四三六号)  同(井手光治紹介)(第四三七号)  同(高橋英吉紹介)(第四三八号)  酒税引下げに関する請願平澤長吉紹介)  (第三二八号)  同(水野彦治郎君外二名紹介)(第三二九  号)  同(井出一太郎君外二名紹介)(第三三〇号)  同(小川平二君外二名紹介)(第三三一号)  同(飯塚定輔紹介)(第三七五号)  同(前田正男君外二名紹介)(第三七六号)  同(大西正男紹介)(第三七七号)  同(小川半次君外二名紹介)(第三七八号)  同(鈴木幹雄紹介)(第三七九号)  同(小坂善太郎紹介)(第三八〇号)  同(森曉君外二名紹介)(第三八一号)  同(寺島隆太郎君外二名紹介)(第三八二号)  同外一件(岩川與助君外八名紹介)(第三八三  号)  同(森幸太郎君外一名紹介)(第三八四号)  同(西村直己君外二名紹介)(第四三九号)  同(田渕光一君外二名紹介)(第四四〇号)  同(尾関義一君外二名紹介)(第四四一号)  同(飯塚定輔紹介)(第四四二号)  同(降旗徳弥君外二名紹介)(第四四三号)  同(稻田直道君外一名紹介)(第四四四号)  同外五件(生田和平君外二名紹介)(第四四六  号)  山林の資産評価に関する請願野原正勝君紹  介)(第三五二号)  冷蔵器に対する物品税減免即時実施請願(田  中萬逸紹介)(第三五三号)  果実エツセンスに対する物品税撤廃請願(田  中織之進君外一名紹介)(第四一三号)  蓄音器針に対する物品税撤廃請願天野公義  君紹介)(第四一四号)  児童乘物類に対する物品税撤廃請願)(天野  公義紹介)(第四一五号)  児童乘物類に対する物品税免税点設定に関す  る請願天野公義紹介)(第四一六号)  身辺用細貨類に対する物品税課税方法改正に関  する請願天野公義紹介)(第四一七号)  かみそり類に対する物品税撤廃若しくは軽減に  関する請願天野公義紹介)(第四一八)  ガス器具に対する物品税軽減及び免税点設定に  関する請願天野公義紹介)(第四一九号)  照明器具に対する物品税軽減に関する請願(天  野公義紹介)(第四二〇号)  革手袋に対する物品税免除請願天野公義君  紹介)(第四二一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  徴税に関する件  金融政策に関する件     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、徴税状況に関する件を議題として、質疑を続行いたします。本日は本委員会の要求により、鹽見広島国税局長が出席されておりまするので、同君に対する質疑がありますれば、この際これを許します。三宅君。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこの際せつかくこちらに出頭せられました鹽見局長お尋ねをいたしたい。何百万円かの買職容疑で他の数名とともに取調べを受け、送検せられたという記事があつたのでありまするが、これに対しまして、一応その真相をこの際本委員会に発表せられんことを希望いたします。
  4. 鹽見俊二

    鹽見説明員 広島国税局長鹽見でございます。ただいまお尋ねがありました広島事件につきまして最近新聞に発表になりまして、その影響も甚大であり、非常に遺憾に存じておるわけであります。この点につきましては深くお詫びをしたいと考えております。これらの事件につきましては、私は一昨日広島を出発したわけでありますが、その直前に警察の方とも連絡をいたしたわけであります。しかしながら警察の方といたしましても結論はまだ出ず、私そのときにお伺いすることができなかつたのでありまして、この結論につきましては、はつきりしたことは、実は残念ながら申し上げかねるわけであります。しかしながら最近いろいろ取調べを受けておつたわけでありまして、その取調べ状況について申し上げたいと思います。  実は私どもの方に、監察官あるいは監察課職員非行事件につきまして、いろいろ調査をしあるいは指導するという職の職員を置いておるわけであります。実はすでにそういう職員を使いまして、非行未然防止また自粛自戒ということにつきましては、いろいろ注意をいたしておつたわけであります。たまたまそういう監察課職員によりまして、昨年の暮れごろ一職員公金横領しておるという事件が発覚いたしまして、実は本年の四月十七日に津田という大蔵事務官を、国税庁長官名前によりまして懲戒処分免職させたわけであります。この事件に関連いたしまして警察の方にも、さらにお取調べを願つたわけでありまして、このお取調べにつきましては私ども極力御協力いたしまして、非は非とし、是は是とする。そうして税務の粛正をはかりたいということは、私どもの念願でもありますので、十分にいろいろ御協力申し上げまして御調査を願つたわけであります。この調査に関連いたしまして若干の問題が出て参つたわけでありますが、先ほど申し上げました通り、その結論はただいまはつきりはいたしておりませんが、二、三の「職員があるいは容疑のような状況に、今あるのではないかと考えておるわけであります。なお新聞紙によりますと、国税局長あるいは経理部長その他が送庁というふうな新聞記事がありまするが、そういう事実は現在のところまつたくないのでありまして、私どももまだ警察の方の結論を伺つていないわけであります。この問題につきましては、ただいまのところ概略だけははつきりしておるわけでありますが、公金横領でありますとか、あるいは公の目的以外に使用しているというような事実はまつたくないのであります。ただ予算の技術的な手続につきまして、御調査を願つておるのではないかと存じます。しかしこの点につきましては、私どもは潔白と申しますか、あるいは良心に恥じないと申しますか、この点は十分に確信を持つている次第でありまして、この点は特に御了承をお願いいたしたいのであります。大体以上であります。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの鹽見局長お話まことに概要でございまして、もう少し責任のあるお話をしていただきたい。部下のうちに、もちろん結論は出ておらないかしれませんが、どのくらいの横領があつたということがわかつておれば、その内容を知らせていただきたいのであります。免職させたということはあなたの責任でありますから、もう少し具体的に何のたれがしがどうしたと、かようにはつきり述べていただきたいのであります。
  6. 鹽見俊二

    鹽見説明員 実はただいまも申し上げました通り、現在新聞には送庁になつたというふうな記事になつておりますが、実はまだ送庁にも何にもなつていないわけであります。警察の方のお取調べがあつたというだけで、その結論がまつたく出ていないのでありまして、だれがどうしたということは、本日のところ実はまだ私の方にははつきりしていないわけでありまして、その点は御了承をお願いしたいと思います。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 鹽見局長は誠意が少し足らぬと思う。どういう者を免職したか名前も言わぬ。またどういうふうなことで責任があるということがわからぬ。そんな無責任なことは聞く必要はない。もつと誠意ある真相を発表してもらいたい。
  8. 鹽見俊二

    鹽見説明員 どうも失礼しました。免職はつきりしておりまして、大蔵事務官津田茂、これは国税局税務講習所というのがありまして、そこの会計をやつてつた事務官であります。  これが昭和二十二年から昭和二十四年末まで二年間に、私どもの方の監察課で調べました結論によりますと、七万四千円を横領費消しておりました。この結果といたしまして、これは官の信用を傷つけますし、また公務員としてもつてのほかの行為でありますので、国税庁に稟申いたしまして、国税庁長官名前で本年の四月十七日に、公務員法第九十條の規定によりまして懲戒処分にいたしたのであります。
  9. 有田二郎

    有田(二)委員 その事務官の懲戒免職さしたということはわかる。それの監督の衝にある係長あるいは課長、これらに対する処分はいかような御処分をなされましたか。
  10. 鹽見俊二

    鹽見説明員 ただいま申しました通り、私どもとしては公務員法によりまして、懲戒処分をいたしたわけであります。同時にこれが刑事事件になりまして、警察の方の取調べを今願つておるわけであります。それでこの結論によりまして、あるいは責任者につきましても責任を問われたと考えております。
  11. 有田二郎

    有田(二)委員 刑事事件の問題は別でありますが、金を使い込んだということははつきりしている。それによつて懲戒免職をしたのだ。その事実に対してその上長監督者処分をしなかつたわけでありますか、承りたいと思います。
  12. 鹽見俊二

    鹽見説明員 ただいまも申し上げました通り、実は私どもの方でこれを処分いたしたわけでありますが、同時に刑事事件として扱われでおるわけでありまして、私の方では七万四千円の横領費消ということを、内部の監督によりまして発見をいたしたわけであります。しかしながら警察の方ではさらにこの問題を取上げまして、現在調査は大体完了したと考えておりますが、まだその結論につきまして伺つていないわけでありまして、その罪状の程度あるいはその他の問題等ともあわせて考慮しなければならないと考えておるわけであります。その結論によりまして、責任その他の問題につきましては、国税庁とも御相談をして善処したいと思つております。
  13. 有田二郎

    有田(二)委員 刑事事件としての処分真相の結果を待たないでも、金の使い込みということははつきりしておる。それによつて懲戒免職をなさつておるわけですが、それに対する責任、これは單に広島事件だけではなく、全国のいわゆる国税局管内あるいは税務署において、将来こういう事件が起つたときの、国税庁としての処分方針に関する問題でありまして、單に広島の、あなたの方の問題だけではない。こういつたものを使い込んだら、使い込んだ者だけが処分を受けて、それの監督の衝にある者は何ら関知しないということは不合理だと思います。しかもこれに対して国税局の中の監察官が取上げておやりになつた。これはそういう主任を上の課長の方が監督上摘発して行つたという場合においては、これは処分をしなくてもいい。他の監察官から摘発されて行つて、それが発覚したということになれば、その上長の会計課長なり、その下の係長というものがあるとすれば、その人たちにも重大なる責任があると思う。この点についてもお伺いしたい。
  14. 鹽見俊二

    鹽見説明員 あるいは正示部長よりお答えした方が適切であるかと考えますが、直接私どもの方の事件に関連しておりますので、お答えを申し上げておきます。  実は先ほど申し上げました通り事件はつきりまだ結末をつけていないということでありますが、ともかく税務講習所というのは監事という職がありまして、これが大体いろいろな職務一般をやつておるのであります。これがこのときの津田監事をやつておりまして、この問題といたしましては、なお考えるところがありまするが、ともかくもー応実転職をさせておるわけであります。しかしまた結論によりまして、公務員法上の責任の問題も考えなくてはならぬのじやなかろうかと思います。
  15. 有田二郎

    有田(二)委員 十分まだこれから調べようと考えておりますが、国税庁のいろいろな非行事件に対する処分方法が手ぬるいように考える。これを嚴重にやることによつて非行の件数も私は減るのじやないかと思う。單に悪いことをしたら転職になつた、それだけで責任が済んだという筋合いのものではないのであつて、少くとも七万何千円というものが消費されて、その監督が十分でなかつたために、いやしくも広島国税局長としてあなたの名前新聞に出て、東京のわれわれの耳にまで達するということは、広島国税局管内の全体の徴税者に対する心理的影響も、十分われわれは考慮しなくてはならぬ。従つてかかる事態を起して来る根源で、十分なる監督が行き届いていなかつたという、この責任を單なる転職だけで済ませた、こういう御方針国税庁全体の御方針であるかどうか、ひとつ総務部長に御方針を承りたい。
  16. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま有田委員の御指摘のように、非行を犯しました職員だけでなく、その監督の地位にある者に対しても嚴重処分をする。これによつて非行の再発を未然に防ぐという御趣旨は私もまつた同感であります。私どもは常に遺憾なる事件がございますと、その監督者につきまして、監督上不行届きの点はなかつたかという点を調べておるわけであります。また非行程度いかんによりましては、監督者に対しても相当の処置をとる、こういう方針でやつております。今回のこの事件税務講習所広島支所事件でありまして、これは監事というのが一応監督者立場におるわけであります。実は部内の監察官の調べるところでは、先ほどお話がありましたように七万円余りの費消になつておりますので、とりあえず目下のととろその監事を、その職から離れさせたのでありますが、事件がただいま取調べを継続中でありまして、さらに事件結末をつけました場合にその内容ともにらみ合せまして、場合によりましてはさらに処分をつけ加えたいと考えておりますが、一般に申しまして監督者に対しましては相当処分をいたしておる、こういうふうに御了解願います。
  17. 有田二郎

    有田(二)委員 私は大阪で南税務署管内間接国税納税組合長をしておつたときがありましたが、その当時におきましても税務官吏員が待合に行つて酒を飲む。飲食税国税でありました関係上、料理屋行つて酒を飲む、あるいは芸者を抱いて寝るというような事態がたくさんあつたのです。しかし組合長としてはなるべく管内の円満なる納税を期したいというので、そういうような非行に対してもわれわれは長年その当時大目に見て来たのであります。しかしながらこういつた慣例が今なおずつと引続き全国国税局内、あるいは全国税務署内にあつて、しかも当時労働組合の運動も活發でありましたような関係から、どうしてもいろいろ非行の事実がある。またわれわれ代議士としてもその選挙区からいろいろな情報を得るのであります。こういう悪いことをした者に対しては、上の監督の衝にある者も処分を受けるという嚴重なる国税庁としての通達方針をお立てになると、自然と私はこういうような不心得な者、また非行職員の数も減つて来るのではないか。表面に現われている非行の事実というものは、ほんの氷山の頭のようなものでありまして、一部分が出ておるだけであつて、多くの非行の問題は表面に現われていないのであります。われわれの知る範囲内においては、かようなことが相当あるのじやないかと思います。従つてたまたま広島国税局長のこの事件を取上げてお話を申しておるのでありますが、單に広島国税局管内の問題だけではなく、全体の問題として処分方法について、嚴重なる方向に進まれたいと思う。しかし今日は失業者がちまたに満ちておるのであります。優秀なる人が職がなくて働けないという現状にあるから、もう悪い税務吏員はどんどん首にして、優秀なる税務吏員にかえていただくということも、今日の段階においてはでき得ると思うのであります。従つて少くとも金を使い込んだということははつきりしておるので、刑事事件として全貌が現われなくても、これによつてその監督者としての責任が不十分であるという建前から、将来こういうものに対してはこういう方針で行くという大方針を、高橋長官がお帰りになりましたならばぜひともつくつていただいて、そして処分するということになると、監督上にある者も結局は自分の身に振りかかつて来る問題であるから、十分部下監督をやるところに、間違いが少しでも少くなつて行くのじやないか、かように考える。ところが今日の問題を考えてみると、單に転職で済ませておる。こういうようなやり方では、非行職員の数がどんどんふえて行く一方であつて、何ら私は効果のある結果を生むことはできないと思う。ですからこの点を境として、十分ひとつ国税庁においても考慮を願いたいと思うのであります。私はこの点についての質疑はこれにて終ります。
  18. 三宅則義

    三宅(則)委員 今有田委員から詳細にお話がありましたが、もう少し私はつつ込んだことを聞きますから、ざつくばらんにお答えを願いたい。津田君というのは生年月日はいつてですか。それからどういう職務についておりましたか。それから今日はやめさせたわけですが、その前歴を知らせてもらいたい。
  19. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの三宅委員の御質問は、正確を期するためにちよつと調べさせていただきたいと思います。後刻調べました上お答えをいたします。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員 それではその方は後刻に讓ることにいたします。私はもう少しく国税局長に御質問いたしたい。あなたは毎月各税務署長を集めて訓辞をしておりますか、おられませんか。またおられるとすればどういう方法をもつてつておられますか。ことの筋道をお話願いたい。
  21. 鹽見俊二

    鹽見説明員 税務職員に関する監督の問題、これは私どもも非常に重大な責任と考えておるわけでありまして、この方法といたしまして、結局いろいろの通牒あるいは指示その他文書によつて流しておるわけでありますが、そのほかに大体一年に——場合によつて多少違いますが、少くとも二箇月に一ぺんは全管内税務署長を集めまして、一日あるいは二日、少くとも満一日は会議をやつております。最近におきましては、今月の十八日に署長会議をやりまして、このときは特にこの問題等もありましたので、非行事件も特に題目に取上げまして、またそのほかの予算の問題もありましたが、その際に十分に局としての方針、あるいはそのほかの事務的ないろいろな問題等につきまして指示を與え、またその際にいろいろの問題を協議いたしております。大体平均いたしまして二箇月に一ぺん程度になつております。
  22. 三宅則義

    三宅(則)委員 局長は二箇月に一回ずつ首実験をして管内状況を視察している、こういうお話でありまするが、私はひとつ局長にお伺いいたしたいのであります。局長の前に参りますときには、まことにねこをかぶつておりまして、さつぱり様子はつきりしないこともあり、また聞き流し程度であるから、実は局長なりあるいは査察官なりがときどきだしぬけに各税務署を観察いたしまして、真実を把握するということが一番必要だろうと思うのですが、そういうことをやつておりますか、やつていませんか、それをひとつ承りたい。
  23. 鹽見俊二

    鹽見説明員 その点はまつたく私ども同感でありまして、会議だけで徹底するというようなことは毛頭考えておらぬわけであります。やはり実態を把握するということが何といいましても困難でありますから、その点はまつたく御意見通りだと存じておるわけであります。それで私ども直税、間税あるいは徴收その他各部から構成されておるわけでありますが、その職員といたしましても、これはむしろ監督立場でありますので、極力各税務署の実情を把握するということにつきましては、私どもとしても懸命の努力を拂つておる次第であります。
  24. 三宅則義

    三宅(則)委員 私の構想の一端をこの際申し上げたいと思うのでありまするが、お互いに同じ穴のむじなが検査いたしておつたのではいけないということに中心を置くわけであります。昨日も高橋国税庁長官代理示政府委員は、長官直属査察をときどきつかわすということを言つておられるのでありますが、そういうようなものをあなた方の管内にもつかわされたことがありますか、承りたい。
  25. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 昨日申し上げましたように、国税庁創設の際に本庁直属監察官という制度を新しく設けまして、これは従来各財務局——国税庁創設までは財務局言つて参つたのでありますが、各財務局監察課というのがございまして、各財務局長指揮を受けて職員監察に当つてつたのであります。しかしこれはただいま三宅委員もおつしやられますように、同じ穴のむじなであると、とかく同僚をかばう傾向があるという事情はわれわれも耳にいたしておつたのであります。そこで国税庁の発足いたしました際に、本庁直属監察官制度を新しく設置いたしまして、この監察官のうち一部は本庁に置きまして、これは機動的に随時随所に必要に応じて派遣して行く。なおまた残余の監察官は、管内職員の数等とにらみ合せて各国税局に分駐さしてあるわけであります それは国税庁の部屋を借りておりまするが、局長指揮は受けないわけであります。長官直属監察官が各局に検査に行き、広島局にもたしか三人くらい派遣になつております。もちろん事件が起りますると、局長の方に連絡をとり、監察官としての意見を申し述べるということになつておりまするが、この監察官はいわば局長指揮命令を受けない、すなわち同じ穴のむじなにあらざる監察官、こういう趣旨でただいま派遣いたしております。
  26. 三宅則義

    三宅(則)委員 先ほど有田委員お話になりましたごとくに、われわれは事件の勃発を、起つてから見るということはあまり思わしくない。起らないようにするというにが、われわれ行政もしくは政治に携わる者の真意であると思う。でありまするから、局長もときどき訓示をなさつたり、あるいは各税務署を視察なさつたりするのでありましようが、やはり今申したような自分と同じような穴のむじなでないということによつてはつきりするわけでありますが、それは多少お若い人であつて経験が足りない人でありますか。それとも相当経験を積んだ署長級の人でありますか。普通の事務官ではありませんか。
  27. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 監察官は大体——昨日有田委員から御質問があつたのでありますが、税務署長よりもむしろ上位に位するような人を監察官責任者にしております。しかしながら事柄の性質上、相当体力を要する問題であります。取調べのために各地を走りまわることが非常に多いのであります。そこで私ども監察官を選考する基準としましては、人格識見が高邁で、人の師表に立つに値するような人ということを基本要件にしておりますが、なおあわせまして、御承知のように先般国会においてお認めになりました司法警察官の職務を、一部行うということにもなつておりますので、身体の強健な者をとつております。大体署長と同格あるいはそれ以上の者でありまするが、比較的優秀な、若くて署長をやるというような人も中には行つておるわけであります。われわれとしては、今後とも監察官にはその人を得て、優秀な者によつて、ただいま御指摘のように犯罪の非行事件未然防止という点に、力を注ぎたいと考えておるわけであります。
  28. 三宅則義

    三宅(則)委員 これと関係のあることとは存じませんが、やはり愛知県の西尾の税務署にも八人ばかり検察当局に検挙といいますか、あるいは送検といいますか、書類を送られておる者があるわけでありまして、これはあながち広島もしくは愛知県のみではない。全国的にあるものと私は思うのでありまして、なければけつこうでありますが、あるのが今日の場合常識じやないかというふうに私は今想像しておる。かような意味合いにおきまして、私ども国税庁本庁の正示政府委員が今仰せになりましたことを、ずつと各税務署に徹底してもらいたい。先ほど有田委員が言われた通り、少し間違つたといつて訂正するというくらいになりますと、ますますそうしたことについて注意力が足りなくなることと思うのです。私は特に未然に防止するということに重点を置かれまして、今後ともひとつ国税局長はもちろんのこと、各税務署長にまで徹底してもらいたい。およそ今考えてみますると、政府といたしましては流してはおりまするけれども、その結果がはつきりわかつていない。結果がわかるようにひとつよく調べてもらいたい。せつかく広島からおいでになりました鹽見局長もおりまするから、一体あなたのお考えとしては、今後もそうした不正退治に熱意がどのくらいあるか、はつきりここで発表してもらいたい。
  29. 鹽見俊二

    鹽見説明員 税務の問題は、私どもその衝に当つておるわけでありますが、今税金問題も非常に重要な問題でありまするし、また全国民のまつたくの関心の的でありまするし、相当に重い租税負担を、あえて国のために、あるいは日本国民のためにということで、非常な苦しみをなさつておることは、十分私どもも拜察しておるわけであります。従いまして、こういう仕事におりながら不正事件その他が生じて来るというようなことは、私どもといたしましては、まつたく申訳ない次第であると考えておるわけでありまして、その問題につきましては、今お尋ねがありましたが、私どもといたしましては、まつたく真劍に、最重大な問題として考えておるわけでありまして、この点につきましては十分御期待に沿うように、万全の努力をいたしたいと思います。
  30. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこの際正示政府委員並びに広島局長に聞いていただきたい点がある。これは毎回申しておることでありますが、戰時中は軍部が一番国民にこわがられておりましたが、終戰後におきましては、警察官よりむしろ税務官吏の方がこわいというように言われておるのであります。これに対しまして納税者としては、何とかきげんをとりたいということで、納税者の方にも悪い者もありますが、またこれに乘る悪い税務官吏もあるわけであります。私どもは親しまれる税務官吏になつてもらうことが中心である。こわがられる税務官吏というのはあまりよろしくないと思うのでありまして、必ずしも納税者の言うことばかり聞いておるわけには参りません。嚴として法を守るとはけつこうでありますが、あまりにも非常識なる税務官吏がなおかつあると思うのであります。こういうものを一体局長は常に監査をし、もしくは監督をし、あるいはこれに対する注意を行つておりますかどうか。税務署長から来ます又聞きくらいのことでは、ある程度まで信用できぬと思います。もう少し徹底するように各税務職員の履歴あるいは素行その他について、常に監督する責任があると思いますが、これに対して答弁を求めます。
  31. 鹽見俊二

    鹽見説明員 まつたく御意見通りでありまして、その問題につきましては、私どもも常に心を痛めておるのでありまして、実は御承知の通り現在の日本の税務機構というものは、終戰後非常に急激に膨脹して参りまして、しかも二十二年、二十三年に採用した職員が現在におきましても大体六割近い人数を示しておるのであります。こういうような関係でありまして、まだ訓練が若干行き届かないというような点を、実ははつきり私ども認めなくてはならぬことを常に残念に思つておるわけであります。しかしながら昨年、一昨年と、私も第一線をちようど三年やつたわけでありますが、この三年前から今年にかけましての経過をたどつてみますと、相当改善されたと思つて喜んでいるわけであります。しかしながらまだまだ全体といたしまして、いろいろ世間をお騒がせする、あるいは御迷惑をかける、ただいまお話になりました通り、親切でない、あるいはまた十分に調査が行き届かないというような点も間々あるわけでありまして、こういう点につきましては、私ども非常に心労をいたしておるわけであります。それで結局私はこの職員の資質の向上ということが、税務の建直しの根本であると考えておるわけでありまして、この点国税庁においても、いろいろな協力機関等も設けていただいておりますし、ただいま私が申しました通り、局全体といたしましても、常時職員の行動に注意し、また税務署長はそれぞれ職務に注意する。職務に注意するのは当然でありますが、また同時に局といたしましてもその動向に注意いたしまして、できるだけそういう不正事件未然に防止する、あるいはまた事実があれば、これを税界から追放するというようなつもりでやつておるわけでありまして、今後も十分注意をいたしたいと思います。
  32. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は悪徳税務官吏をなくすることが最も必要であると思いますが、同時にまた善良なる官吏、親切御熱心にまた忠実に業務をやつておる税務官吏に対しては、表彰の必要があると思います。つきましてはそうした善良なる官吏に対して、表彰というようなことをやつておられますか。締めるばかりが能ではありません。税務官吏の模範として表彰して、ますます全体の空気を刷新する必要があると思いますが、どう考えられますか。
  33. 鹽見俊二

    鹽見説明員 非常にありがたいお話でありまして、実は率直に申し上げまして、私のところに参りますいろいろな外部からの投書は、従来はほとんど職員に対する悪い投書ばかりであつたわけでありますが、最近におきましてはちらほらほめられる投書もいただくようになりまして、その点は非常にうれしく思つておるわけであります。ただ従来のように賞與を多くするとか、あるいは月給を上げるとかいうような方法はできませんので、そういう善行のある者につきましては、実は局長名義で最近も表彰いたしておるわけであります。ごく最近税務署の落成式でその表彰をやつたわけでありますが、そのときも私は、そういう職員の行動というものが、一般納税者の方々に非常にいい影響を與えることが多いということを、十分に感じたわけであります。しかしそういう場合に制度上なかなかうまくやる方法がありませんので、局長名義でさしあたり表彰をいたしました。
  34. 三宅則義

    三宅(則)委員 あまり長くなりますからこの程度にいたしたいと思いますが、せつかく広島からお出ましになつたのでありますから、どうかこの空気をお帰りになつたら管下の署長なり課長を集めて国会においても熱意をもつてやれと言われておるし、本庁では高橋さんのかわりに正示政府委員と話を打合せて来たということをお話して、こういう精神を徹底してもらいたいということを切にお願い申し上げておきます。
  35. 有田二郎

    有田(二)委員 今の局長の御答弁で、先般新聞に載りました件につきましては、局長の方にはあやまちがない。従つて新聞記事は誤報であるとわれわれは解釈していいものであるかどうか、この点を伺います。
  36. 鹽見俊二

    鹽見説明員 ただいま申し上げました通り、これは実は私が出る面前に警察関係の方に会つて来たわけでありますが、要するにこれについて私は刑事上のいわゆる責任問題はないということを確信しておりますから、さよう御了承を願います。
  37. 有田二郎

    有田(二)委員 もしも将来お調べになつた結果、そういう事実がないという場合には、ぜひとも国税庁長官名前あるいは大蔵大臣の名前で、大橋法務総裁の方に、こういうような間違つた記事が発表されるということははなはだ不穏当であるという意味合いにおいて、広島の自治体警察に対して嚴重なる警告をしていただきたい。さなきだに今日徴税で国民が悩み、また国税局としても非常に御苦労をなさつておられるときでありますから、国税局長がそういうような疑いを受けるような記事が、新聞に載ることによつて受ける影響ということを十分に御勘考願いまして、これは單に広島国税局の問題だけでなく、全国の問題として、十分愼重なる記事の発表を要請していただきたいと私は考えるものであります。  さらに広島国税局長お尋ねしたいことは、広島は非常に狭いのでありますからおわかりだろうと思いますが、査察あるいは調査その他の職員の中で、よく晩、宴会に行つて飲み食いをするような者があるかないか。国税局の方々の月給は非常に少いのでありますから、従つて飲み食いに行く余裕はないと思うのでありますが、大阪においては間々あるようであります。広島においてそういうことがないかどうか、これをひとつ承りたいと思います。
  38. 鹽見俊二

    鹽見説明員 いろいろ非行事件は、常に生活程度が過度に華美でありますとか、あるいはそういうような遊興飲食があるというような場合に、おおむねそういう事件があるわけでありまして、そういう職員の外部的な行動あるいは生活内容等につきましては、実は常に注意をさせておるわけであります。ただいま調査官、査察官について、広島でそういう事実がないかというお尋ねでありましたが、実は全般的にそういうようなことについては、自分としては取締りはいたしておるつもりでありますが、具体的にそういう話を直接にはまだ聞いておりません。
  39. 有田二郎

    有田(二)委員 具体的に局長の耳に達するまでにはなかなか間がある。局長みずから陣頭指揮をして、そういうようなことのないように——全国的に花柳界のお客はどういうお客かというと、銀行屋さんと税務官吏、こういうお客さんが非常に多いとわれわれは承つております。それで今三宅委員からお話がありましたように、とにかくあなたがじつとして聞えて来るのを待つているというのでは監督が十分に行つていない。今日のこの税務講習所の会計の不始末も、ひいては国税局長としての腰の入れ方が足りなかつたのではないか。もつと積極的に金の使途、あるいはそういう面において十分なることをやつておれば、こういうことも起らなかつた、かように私は考えております。今三宅委員が言われたように、以前統制経済がはなやかであつた時代は、警察もこわいが税務署もこわいというように言われておつた。それが統制経済がだんだん自由経済にかわつて来た結果、警察はこわくなくなつた税務署がこわい、こわいというところに問題が起つて来る。今の局長お話を聞くと、広島国税局管内では一人も間違いないような御報告のようでありますけれども、おそらく調べればほこりが出て来るのではないか。相当の税金をかけられて、それを安くしてもらうというのには、いろいろの方面から手をまわして運動するというようなことはあり得ることだと思います。従つてこれらに対しても、局長が積極的にそういうものに対して関心を持つて取締るというのと、風の便りに承るというのでは非常に違う。今までの広島国税局長の態度としては、風の便りで入つて来たものを処分するという行き方に見受けられる。しかしこういうことは局長みずから陣頭指揮をして、そういう間違いのないようにしてもらいたい。今日国民は担税力の限界点に達しておる。しかも税金では非常に苦労しておられることは、局長みずからよく御体験になり御存じのことだと思います。従つて国税局としてもあるいは税務署としても、その方々の行くべき道は私ははつきりしていると思います。この点についてひとつ国税局長の御所見を承りたいと思います。
  40. 鹽見俊二

    鹽見説明員 私の説明が非常に十分でなかつたところがあつたかもしれないわけでありまして、この点はおわび申し上げます。御意見つたく私も同様でありまして、また先ほどお話がありました通り、この議会が職員の態度、この事件につきまして非常に重大な関心を寄せられておるということを、目のあたりここで体験をいたしたのでありまして、帰りまして、私自身が反省するばかりでなく、部下職員全部が今後十分気をつけてやつて行くように努力いたしたいと思います。どうぞ御了承願いたいと思います。
  41. 有田二郎

    有田(二)委員 広島国税局管内税務吏員の方々の数も相当多いと思うのでありますが、これらの方々の徴税にあたりまして、一般納税者からの非難をお聞きになつたことはないのですか。われわれ国会は税務吏員に対して権限を與えている。たとえば家の中に入る権限を與たり、いろいろの特権を與えているのは、徴税が非常に大切であるから、そういう権限を付與しておるのでありますが、その権限を濫用して、そうして被徴税者に対しておもしろくない事件を惹起したことがないかどうか、こういうことについて御所見を承りたいと思います。
  42. 鹽見俊二

    鹽見説明員 実は私ども第一線にありまして、部下職員納税者の方々に対する態度等につきまして、いろいろの御非難も現実に現在承つておるわけでありまして、また職員の中にはあるいは非常に仕事熱心なあまりに、御気分を害するというような場合もあると思うのでありますが、またそのほかにおきましても、態度が十分でない、そのために余分に皆さんに御迷惑をかけるような場合もあるのではないかということをおそれております。また現実にそういう話も承つたことがあるわけであります。幸い昨年苦情相談所というものを広島にも設けることになりまして、ここでそういつたような職員の直接的な外部に対する態度が十分でない、あるいは不親切である、あるいは職権を濫用する、あるいは正当でない、そういうものにつきましては、この苦情相談所に言つていただくように窓口を一つ開いたわけでありまして、現在におきましても、大分これを御利用なさつていただいておるわけであります。もちろんこれは一つの方法でありまして、そのほか役所全般といたしましても、特に納税者の方々に対する態度その他につきましては、常に嚴重に訓戒をいたしておるわけであります。しかしながらやはりいろいろ問題がありまして、その点ははなはだ申訳ないと考えておりますが、この点につきましても今後なお十分に気をつけたいと考えております。  また苦情相談所につきましても、知らない納税者の方々もおありになるようでありますので、その点に関しましても、なお今後よく周知方をはかりまして、十分にこの相談所を利用していただくような方法もとりたいと思つております。
  43. 有田二郎

    有田(二)委員 日本は民主的になつたと言いましても、なかなか民主的な方向には進んでいないのであります。どうしても官尊民卑である。そうして苦情相談所に持つて行くというのは、私はそのうちのほとんど一部分にすきないのではないか。従つて官尊民卑であるわが日本で、結局税務吏員の行動が一般国民に與える影響は、非常に大きいものがあるのではないかと私は思います。従つて苦情相談所があるから、それに言つて来てもらうという考えではなくして、局長みずから第一線に乘り出していただきたい。税金をとつていただくことは、ぜひともとつていただかなければならぬのでありまして、それに対する権限も付與いたしておるのであります。ちようど警察官にピストルを持たしておると同様に、権限を持たしておる。しかし警察官がそのピストルを濫用することがいけないと同じに、持たしておる権限を濫用することのないように、十分あなた方のお力によつてセーフしていただきたい。特に私の聞くところによると、異議申請をとなえたものに対しては、徹底的にこれを過去五箇年にさかのぼつて調べてやつつけるという風潮が、大阪の国税局にあるということでありますが、広島国税局管内にはそういうことがあるかないか、承りたいと思います。
  44. 鹽見俊二

    鹽見説明員 広島国税局管内に関する限りにおきましては、そういうことはございません。
  45. 有田二郎

    有田(二)委員 広島国税局管内にはないということを聞いて、私はまことに意を強うするのでありますが、おそらく二十二年、二十三年は相当やみでもうかつた方もあつたと思いますが、二十四年度の税金については、大体所得よりよけいな決定が来ておるところが間々あるように聞いております。それに対して異議申請をやると、今度は異議申請をしたところに対しては徹底的にメスを入れて、徹底的にこれをやつつけるというような気風が、税務官吏の中にあるように私は考えられるのであります。またわれわれの聞いておる範囲ではそういうことがよくあるのでありますが、とにかくひとつ十分税務吏員を指導していただきたい。私がいつも申し上げることでありますが、鶏を殺してしまつたのでは卵を産まないのであります。鶏を育成しながら卵を産ませる、十分税金をとつて来ていただくという方向に、国税局長としても十分なる御協力をひとつ願いたいと思います。どうかその点も将来よろしくお願いいたします。  最後に国税局長お尋ねしたいことは、国税局長として今仕事がやりにくい、こういうような方法で仕事をやつてもらつたら仕事がやりやすいということがないか。国税庁総務部長がおられても、遠慮することなく、国税局長立場から、国税庁はこういうことがいかぬ、あるいはこういうふうにしてもらうと非常にやりやすいのだが、こうだというところ、われわれよく地方の国税局に行きますと、大体見積り予算が多過ぎる。大阪国税局に持つて来る予算の額が多過ぎる。これを有田さんもつと減してもらいたいという。ところがここで質問すると、そういう見積り予算なんか国税庁としては出していない、こういううその御答弁を承つたのでありますが、そういうことでなく、国税局長としては管内からいろいろな不平をお聞きになつておられるので、これに対して国税局長として、国税庁はかくあるべきだ、あるいは国会はかくあるべきだ、また大蔵省はかくあるべきだというような御意見がありましたならば承りたいと思います。
  46. 鹽見俊二

    鹽見説明員 実は昭和二十二年度、二十三年度は目標額というものが設定されました。私はそのとき熊本の財務局長をやつてつたのでありますが、目標額が多過ぎる、これは見当違いじやないかというようなことで何回か大蔵省と折衝いたしまして、そのときは大蔵省としてもむりな要求のような感じを持つてつたのであります。私どもの方と税務署との関係はちようど国税庁と、主税局との関係と同様であると考えまして、昨年におきましてはこの目標額はなくなりましても、各税務署から見積額はとつてつたわけであります。この見積額は私の方でも検討いたしました。たとえば農業なら農業につきまして、各税務署管内におきまして、一反当りの所得に大きな地域的な不均衡が生ずると困りますので、さような地域的な権衡という点から、総額というよりも田なら田、麦なら麦、あるいは営業にしますれば、木材なら木材というものの具体的な課税の権衡という問題につきまして、いろいろ検討いたしたわけであります。その結果といたしまして、税務署の見積額がときどきかわつて来る。また税務署におきましても、時日の進行、調査の進行に従いまして、見積額が数回かわつているというような状況でありまして、この点目標制度がなくなりまして、われわれ国税局といたしましても、税務局と致しても、何となく解放されたようなよい気持になつたわけであります。  なお、今非常に御同情のあるお話で、この際文句を言えということでありますが、実は私ども税務署行政には困難をするので、たとえば選挙演説その他におきましても、税金につきまして何とか応援をいただくような御配慮をしていただくと、ありがたいと思うのであります。
  47. 有田二郎

    有田(二)委員 なかなか名答弁で非常にけつこうであります。ただ一つ正示さんにお願いしたいことは、今の国税局長の御答弁では、各税務署から参考資料をとつているというお話でありましたが、先般の総務部長の御答弁ではそういうものはとつていないというお話でありまして、広島国税局長の答弁と国税庁の答弁との間に相違があるので、この点についてちよつと御答弁を願います。
  48. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 たびたび申し上げたのでありますが、あるいは私の表現が悪かつたかと思うのであります。昨日申し上げましたように、上級官庁から下級官庁に指示をする、こういう形は昭和二十四年度は一切行わなかつたということをはつきり申しあげたのでありまして、下から上へ参考資料を出すということは、これは規制はいたしておらなかつたのであります。ただただいま広島国税局長から、第一線の実情についての普遍的なお話がありまして、私その点啓発されたのであります。要するに目標額でございますと総額税額で、全体として幾らというふうに上から下へ行つてつたのでありますが、そういうことはいたさなかつた。ただ内容的に、たとえば麦の畑作であればどのくらいであるとか、田の稻作であればどのくらいであるというような内容の資料を税務署からとつて検討した、こういうことでありまして、この点は私きのうさらにつけ加えて御説明すべきであつたかと存じます。従いまして、私が申し上げましたように、署全体としての税額を幾らというふうにきめて上から指示するということは、二十四年度は一切いたさなかつたことは間違いないので、よろしく御了承願いたいと思います。
  49. 有田二郎

    有田(二)委員 国税庁から国税局への指示のなくなつたことは事実でありましよう。いやしくも正示さんが誓約される限り間違いはないと思う。しかしながら、参考資料を下から持つて来るのだとおつしやるが、それは詭弁であつて、こういうことをすれば結局はやはり同じことである。私たちの負担が多いので、これを減してもらわなければならぬというので税務署行つてみると、先般の大阪市東成の国税調査によつても、京都の調査によつてはつきりしている。ですから正示さんの御答弁は頭隠してしり隠さずで、実際においてはそういうことが行われている。この点さらにつつけば大いにあるのですが、将来に讓ります。しかしながらこの方法については、国税庁としても御検討願いたい。国税庁だけはうまいことをやつて、頭隠して逃げてしまうが、国税局あるいは税務署課長あるいは係長は、それぞれ栄転したいからできるだけ成績をあげて持つて行くということになりますので——先般私は人事の点でも申し上げましたが、管内人たちとけんかしながら、何でもよいから国会から與えられた権力をもつて、その権力でめちやくちやにやつて行くというようなやり方でなくして、管内の方々とよく協調し話合いをして、今年だけ税金をとつたら、来年から税金はとらぬでもよいという夜店のようなものなら別でありますが、百年先になつても税金はとつて行かなければならぬ。従つてその管内人たちとよく協調しながら、できる限りよけいに徴收をして行くということが税務署の行くべき道であり、そういつた税務吏員こそ栄転に値いするものであると思う。この点今までの国税庁の人事は、めちやくちやに、ただ金さえとつて成績をあげた者が栄転して行くように承つておりますので、そういうことのないように、管内人たちから不平のないように、なごやかなうちに、このくらいの税金はしようがないだろう、国家に御奉公だというような気持で税金を出していただくような方向に向けて行くような、よい税務官吏の育成をしていただきたい。ただいままでのところよい税務官吏はめちやくちやに税金を取上げる。国会から付與された税務吏員としての職権を濫用して、税を取立てて行つた者が栄転して行つて、なごやかに管内の不平を聞いたり、実情とよく協調しながら税金をとつて行く者は左遷されるというようなことのないように、十分将来ともやつていただきたい、かように思います。
  50. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま有田委員から重ねてたいへん大事な点を御注意いただき、まことにありがとうございました。まず前段でお話がございました見積りをとるという点につきましては、有田委員の御指摘になりましたように、これはやはり弊害があると思います。よほど注意しないといけない。この点はシヤウプ勧告の中にも二十四年度は目標の指示はやめておるが、しかし下級官庁から見積りをとつていることは、やはり適当でないというふうに指摘をされております。私どもとしましては、ただいまお話のような弊害があるという点につきましては、十分注意いたさなければならぬ。つきましては、二十五年度におきましては、軽軽に見積りを徴するということは避けなければならぬ、こういう考え方をただいまいたしておるわけでございます。ただ非常に税收の確保ということが困難でございまして、その点今非常に悩んでおるわけでありますが、少くともただいままでのところ、二十五年度に関してはまだ見積りをとつておらぬのであります。御注意の趣旨は十分愼重に扱つて参りたい。できればなお他の適当な方法によつてつて行きたい。たとえば先ほどお話のありましたような所得の種類別に、どの程度の所得の見積りをするか。やはり総額的な見積りをとるとどうしても弊害がございますので、その辺のバランスを得るような資料を集めるという点について、ただいま検討いたしております。近く長官も帰えられますから、アメリカの実例等も参考にして、さらに改善して参りたいと思います。  なお職員の素質の改善につきまして、重ねての御注意でございます。この点まつたくわれわれとしては同感でございます。昨日来申し上げましたように、各般の方策並びに今後御注意の趣旨に沿いまして、執務の態度等につきましても十分注意を加えて参りたい。人事の運営もさようないわゆる愛される、また納税者の心を心とした税務官吏、親しまれる税務官吏、こういうものを育成助長して行くような人事の運営をやつて参りたい、かように考えますので、念のために申し上げておきます。
  51. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 ちよつと申し述べておきますが、本日で徴税問題に関する件を議題として、三日間にわたつて愼重に審議をして参りました。委員諸君の発言は、いかにして国民が笑つて税を納め得るかそういう方向に持つて行つてほしいという発言のようであります。しかるにあなた方徴税当局の方では、指摘されたようないろいろな行為がある。はなはだ望ましくない、けしからぬ問題であるという点も指摘されております。国家再建の場合に、徴税問題は非常に大きな問題であつて、しかも国民はその大きな国に対する義務を果すために、実際自分の生活をさえ犠牲にして、物を売つても税金を納めようとしておるものが多数あるのであります。にもかかわらず、いわゆる徴税当局の方では、今委員諸君が指摘したような行為が事実ある程度はあると思いますので、それでは結局非常に国民は悪感情を抱いて、この納税義務に対して今後どうすればいいのか。場合によつては対立するという気分ができて来るじやないだろうか。これはゆゆしき問題であると存じますので、本委員会はなお今後休会中においても十分にこの問題を取上げて、国政調査によつて、当局にもし誤つた方向があれば忌憚なくこれを指摘して、その反省を求めるということにいたしたいと存じます。  塩見局長はきようはお忙しいところ御苦労さんでありますが、またこれからときどき御出席を願つて、いろいろ話を伺うことがあるかもしれませんから、さよう御承知願います。
  52. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は特にこの際五月末現在におきまする過年度の帶納千二百億余に関して、これはいまだかつてない多額な帶納であるが、その原因及び今後の見通し、これは今後の補正予算編成にも関連して非常に重大な問題でありますので、これを十分こまかい資料に基いてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、まだ国税庁の方でこまかい資料の御準備ができておらぬようでありますので、これは午後にまわしまして、舟山銀行局長が来ておられますので、局長に預金部資金の運用に関して簡單に二、三お尋ねを申し上げたいと思う。
  53. 宮幡靖

    宮幡委員 ちよつとその前に徴税問題に関して質問がありますので……。ただいまの広島局長さんからの御説明をいただいた点に、若干関連があるわけでありますが、あるいはすでに当委員会でお考えくださつて国税庁初め税務当局で、何らか具体案も考えておられることだろうと思いますが、税務行政を非常によい方向に持つて行くというためには、いろいろのことが考えられておりますが、やはり第一線の税務官吏が責任ある行政をとる。ただ口の上で言います、あるいは公僕であるとか、国民のための税務官吏であるとかいうことでなく、実際において責任を持つていただくという態勢が必要だと思う。そこで過去のことはあまり申しませんが、将来にわたりまして、たとえて申せば直税関係の所得税の決定等についても、一人の受持が何千軒となる税務署もあるわけでありまして、その調査は模範調査をやるなり、あるいは一応の標準によつて右へならえで並べることもやむを得ないことでありますが、その場合に異議の申立てがある。これが手不足やあるいは見方の相違で善意無過失にさようなことが起つたといたしましても、これはあえてとがむべきではないと思いますが現段階におきましては、とかく故意にいろいろな数字をつくるといううらみがあるのであります。これは実例を申し上げれば決して乏しい件数ではないのであります。さようなものが審査請求の結果、明らかに税務官吏の持つております資料の方が、帳簿において説明され証拠づけられたものに比べまして不完全である。しかも故意にさような数字を並べたということが明らかになつた場合には、その責任税務官吏に負わしめるという方法を考えるべきだと思います。これは見方によつて所得の違うという点もありまして、従来の税法では、なかなかこれを強行することはできなかつたのでありますが、シヤウプ勧告案によります国税、諸税の改正によりまして、いわゆる富裕税、所得税、相続税、あるいは固定資産税等の税金がそれぞれ相交錯いたしまして、所得を容易にのがれることができないことになつた。そういう面におきまして、確実なる所得を裏づけする税法上の措置が講ぜられておるのでありますから、従つてむちやくちやな決定をいたしましたその担当官は、事務煩雑の中でお気の毒とは思いますけれども納税者を保護いたしまして、適切なる納税をさせるという上から行きまして、これらに対しまして、何らかの、あるいは大蔵省令でもまた内訓でもけつこうでありますが、そういうようなものを設けまして、決定当初においていわゆるむちやくちやなことをもしやつたならば、その責任はやがて自分の方へ帰つて来るのだという自覚のもとに、やつていただけるような方法を考えていただきたいと思います。これについて国税庁はどういうふうにお考えになつておるか。所得の存在は、ただいま申しましたシヤウプ方式によりまして、ある程度確実なものが把握できるわけです。しからば間違つた決定に対する責任というものは、みずからとるべきだと私は考えております。将来税法の中にも、もし政府自身お考えがなかつたならば、当委員会におきまして一文を草しまして、あえて司令部交渉も辞せず、この方面に進んで参りたいと考えておりますが、幸いにして国税庁を主体といたします大蔵当局に、さようなお考えがありといたしますならば、この際承つておきまして、その方向に御協力申し上げる、かように考えておりますから、ちよつと御所見を伺いたいと思います。
  54. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの宮幡委員の御質問でございますが、御趣旨は非常にけつこうなんで、われわれとしても方向としてはぜひともそういう方向に行かなければならぬと思います。先般の税法改正の結果、ある程度の負担の調整、合理化ということも行われましたし、また青色申告制度が創設されまして、その他納税者におかれての收入、支出に関する記録を正確化するという、それを助長、奨励するような考え方が非常に多く入つております。他方税務官庁としてはどこまでも実額を捕捉して参るべきである、こういう考え方が強く出ておりまして、その両者の、納税者と税務官庁側との一つのくさびとして、協議団という制度が新しくできておるわけであります。御承知のように協議団は、納税者の方につきましても調査いたしまするし、この納税者の所得を調査いたしました、いわば調査官の方についてもさらに調べるわけであります。その場合納税者側の記録その他の材料についても調べ、また役所側の資料についても調べまして、そこから公正妥当なる結論を出す、こういうねらいであると存じておるのであります。従いまして、方向はただいま宮幡委員の言われましたように、どこまでも客観的に正しいところをねらつて最終的に決定される、こういう方向に行くわけでございまするが、しからば税務官庁側の方で調査に当りましたものが、最終的に間違つてつたということが出た場合、その責任について法令上何かの措置を講ずべきではないか、こういう御意見かと私拜聽いたしたのであります。これは私どもといたしましては、やはりその場合々々をわけて考えなければならぬかと思います。善意でもつて法令の解釈、あるいは課税標準の調査その他において十分誠意をもつて、また善意で努力をしたが、なお材料の不足等において不十分であつた。その結果協議団で再調査さたところ、結局納税者側の方が正しかつた、こういうような場合には、やはりそのケース自体について、さらに税務官吏に勉強させまして、将来さようなあやまちを繰返さぬようにすべきである、こういうことになろうかと思います。反対に故意あるいは重大な過失があつたというふうな場合におきましては、これは一種の非行事件として職員責任を追究すべきではないか、かように考えます。なお先般当国会におかれまして、政府の機関が国に損失を及ぼした場合の責任の規定があるわけであります。これは一種の消極的な、会計官吏等におけるさような場合の責任を規定されておつたと思うのでありますが、この法律も適用いかんによりますと、歳入面において消極的に損失を及ぼすような行為、こういうことでその場合故意または重大な過失があれば、会計検査院等において調べられた結果、收税官吏の責任問題が起るのではないか、こういうことも考えておるわけであります。一般的に、特に税務に関して税務官吏の調査が間違つてつた場合の責任に関する特別の省令をつくるべきかどうかについては、今後なお研究を要する問題ではないかと思います。納税者側の記帳もだんだん整備されて行くわけでありますから、さような状況ともにらみ合せまして、今後におきまして十分検討を要する問題ではないかと考えまして、目下のところでは、ただいま申し上げましたように、その場合々々によく事情を調べまして、中には職員責任を追究しなければならぬような場合もあろう、かように考えておるわけであります。
  55. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの御答弁は、私といたしましておおむね満足いたすわけでありますが、やはり責任追究の問題は、その原因、経過、結果等によつて必ず同じではありませんので、強くこれを更正しなければならぬと考えておるものであります。何か内訓のようなものとか、運用を間違わないようにしていただかなければならぬということが本旨でありますので、これは念のためにつけ加えておきます。ただ、ただいまお話のように、これは先般平田主税局長にお願いしまして、納税協議団の実施要領をお書きになつて頂戴することになつたので、それを見まして、何か意見がありましたらまたお尋ねしますが、談がたまたま協議団運営についてお話になりました。そこで協議団の運営は、ただいま御説明になのましたように、納税者の方からも資料を調査する、決定の方も調査するのだ、こういう運営であることは大綱においては間違いがありません。ところが納税協議団を構成しております構成員を見ますると、そんなふうに総務部長さんの仰せられますような方向に組織されていない。むしろ税務署の決定を、さらに違つた機関でもつてするというか、やはり個々に守り拔こうというような顔つきと心構えを持つた人間を集めておるきらいがある。これは一つ一つ名前を申し上げてもいい。決して私資料がなくて申し上げるのではない。もし納税協議団が御説明のように民主的に運営されるとするならば、これはああいう札つきの古い方々のみをたくさん集めるよりも、むしろ民間の、この方面すぐれた至公至平な方々を若干加えるというくらいの方向に考えていただかないと、せつかくの協議団もやはり名目倒れ、政府機関の伏在するところの、政府の意図を何か含んでおりますところの、かえつて納税者の利益を圧迫するというような運用になろうというおそれがある。これではせつかくのよい機関がまつたく死物となるのみならず、弊害が生じまして、また納税者側からはうらみを買う、こういうことになりはせぬかと思うのでありまして、この構成員のメンバー等につきましては、ただいまのようないわゆる札つきの人間を集める、あるいは税務官吏の捨場というような考え方をしておる、こういう点をぜひ改めていただきたいと思うのです。それがうまく行きますならば、おそらく処罰せんがためのものではありませんので、この際省令か何かで法律的な措置をもちまして、お前はそういうことをすればこうだというような煩わしさでもつて税務官吏を縛るほどのこともないと思いますが、もし協議団の運営が、私が心配しておりますように構成されて行き、また運営されるといたしますならば、これは従来よりかえつて悪くなる。そこが私どものお願いしたい意味でありますので、別にこれに対しては御答弁はいりません。これをお含みいただきまして、この運営をお間違いないようにしていただきたい。よい機関をひとつよく実施していただきたい。なおお願いいたしました資料を頂戴いたしまして、つぶさに拜見した後に、これについてもう一度発言の機会を與えていただきたい、かように考えております。
  56. 奧村又十郎

    ○奧村委員 銀行局長にお伺いいたします。金融政策の中で、預金部資金の運用の問題が非常に重大であると思いますので、これに関連してお伺いいたしますが、預金部資金でもつて金融債を処理するということは、前国会の銀行の債券発行等に関する法律案通過の際からの問題でありますが、これはまだ司令部の了解を得ていないか、またいつごろ了解を得られる見込みか、全然了解を得られる見込みはないのか、その御交渉のてんまつをお伺いいたしたいと思います。
  57. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 預金部資金で金融債を引受けることが、現在の金融を正常化する最大の道であるというふうに考えまして、債券発行等に関する法律案の際にも、その構想を織り込んで考えたのでございます。その後司令部に始終折に触れて督促いたしておるのでございますが、今日までまだ私のところに参つておりません。この問題につきましては、考え方に根本的の相違があるようでございまして、司令部では、預金部に集まりました資金、特に郵便局に集りました資金を金融的な資金と見ませんで、どうも財政的な資金であるから、財政的な用途にだけ使うべきである、こういう考えが強くあるようでございます。従いまして、将来金融債の引受けを認めてもらいますについては、なお相当の努力が必要であると考えられるのであります。
  58. 奧村又十郎

    ○奧村委員 預金部資金は財政的な使途に使わなければならぬという関係筋の意見であるから、金融債の処理ということは当分見込みがない、こういう御答弁であります。しかし関係筋からかねて預金部資金運用について出された指示の精神は、国民の零細な預金の集まりであるから、国民の信託にこたえて十分安全に運用しなければならぬという意味のものであつて、何も財政資金であるからどうこうという意味ではないというふうに、その指示そのものを承知しておるが、それでは司令部の関係筋の方の意見が、最近においてまたかわつたのかどうか。その指示の精神と幾分違つたような御答弁でありましたから、その点重ねて明らかにしていただきたい。
  59. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 昭和二十一年の司令部の指示によりますれば、原則として預金部資金は政府筋で使え、つまの国債、地方債に使えということでございまして、それを字句通りに読みますれば、原則としてと書いてあるのであつて、決してその他の用途を否定してはおらないように読めるのであります。しかし当時その指示が出ました事情としては、インフレ高進期でもございましたので、預金部資金は原則として出さないのがよかろうという気持が根本であつたように思います。その指示指示といたしまして、その後の担当者の意向を伺いまするに、先ほど申し上げましたような考えで、国債、地方債あるいは公団くらいに、預金部資金の運用を制限すべきであるという意向が強いのでございまして、急に昨今かわつたわけではございません。昨年あたりから私どもは累次に交渉いたしましたが、そういう思想が非常に強いのであります。
  60. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ちよつと速記をとめていただきたい。
  61. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  62. 小山長規

    ○小山委員 時間の関係もありますので、この辺で休憩に移られんことを望むものでありますが、この預金部の問題はまだ相当残ります。そこで引続いて午後あるいは明日継続されることにいたしまして、午前中はこの辺で休憩されんことを望みます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 休憩いたします。午後  二時より開会いたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後二時二十四分開議
  64. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  徴税状況に関する件を議題として質疑を続行いたします。
  65. 小山長規

    ○小山委員 正示さんに、この法人税の取扱い方について、あなたの方の根本方針を承つておきたいと思います。  それは現在法人税を、あなたの方の更正決定をされておるのを見ますと、大体昭和二十一年度あるいは二年度をやつておられるように思う。そうしてそこで、あとで申し上げますが、税務署方針によつてある所得が追加せられまして、その追加せられたために非常に莫大な所得額が出て、それに対して追徴税、加算税が来るわけです。これはいわば正当に申告しなかつたというこの一つの懲罰であるかもしれませんが、法人の側から言えば、自分たちの計算が、会社が正しいと思つてつておるのに、税務署あるいは国税局の解釈によつて新たなる所得を加えられた。そこへ追徴税、加算税を加えるということになりますと、まるできのう有田君が質問されたようにおもしろ半分に税をとつているのではないかというような結果にもなりますし、自分たちの怠慢を納税者に罰を加えて行く、こういう結果になろうと思うのでありますが、それについての一般的な御所見からまず伺いたい。
  66. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。法人税につきまして、ただいま小山委員のおつしやいましたように、税務署なり、国税局あるいは本庁においてもやつておりますが、調査が非常に遅れまして決定自体が過年度の未決定の分が相当累積されておる。そのために何年か前にさかのぼつて決定をされておる。そうして追徴税あるいは加算税というようなことで、法人に非常な負担をかけておる、こういう事態は確かにあつたのであります。そこでわれわれとしては、いわゆる未決件数の一掃ということに非常な力を注ぎまして二十四年度におきましても相当程度に整理いたしたと存じております。先般歳入状況等で御説明申し上げましたように、法人税は非常に予算等に対しましても超過になつておりますが、これは相当程度に既往年度分のものを整理いたしたということも、一つの大きな原因になつております。一般方針としては、そういうふうに未決を一掃しましてぜひとも二十五年度からは、御承知の通り非常に法人税は軽減になつておりますので、今までの高い税率の分については、一日も早くこの決定を了しまして、各法人とも新税制のもとで適正なる納税をしていただくように持つて行きたい、こういう基本方針で臨んでいるわけであります。
  67. 小山長規

    ○小山委員 その場合に私がお尋ねしたい根本のところは、いわば税務署あるいは国税局の怠慢によつて出て来たところの追徴税を全額とるのは、非常に苛酷じやないか。これは場合によつては八○%くらいは、税務署側の怠慢によつてできたものかもしれない。そこでこれは国税庁方針として、そういう場合の一般的な方針をきめられて、それで、ある場合には追徴税はがまんする、あるいはある程度のときは、そのうちの一割なら一割、二割なら二割とるとか、これは国税庁に自由裁量の権限があるわけでありますから、そういうふうなことでおとりにならないか、こういうようなことであります。
  68. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは法律の建前は御承知のように、はつきりした申告納税制度ということになつておりますので、どうしても法人の方で税法に従つて申告をし、納税していただく、こういうことが基本的な建前になつておる。そこで法人の中に百パーセント法律に従つて納税をされるような法人と、相当の含み、あるいは何と申しますか、経費等の見積りを相当多額に見るというような関係で、更正をせざるを得ないというふうな法人、それからさらにひどいのは全然申告してない法人、こういろいろ態様がわかれおるわけであります。税の基本はやはりどこまでも法律に従つて、自発的に百パーセント正当なる申告をしていただくというところに、基本を置いて参らなければならないのでありまして、その百パーセント誠実な申告をされた法人とのバランスということを考えなければならぬ。法律はそういう見地から追徴税、加算税というものを定めておられるわけであります。そこで御指摘のようにいろいろの態様があるわけでありますから、そういう場合に税務官庁の責任で、非常にバツクせざるを得なかつた。もう少し早くきめれば追徴税等も相当程度つたであろう。しかるにいわば法人としては善意な経理をし、申告をしておつたが、税務官庁の方で見落しがあつたという場合に、百パーセント追徴税をとるのは酷じやないか。こういう御趣旨であろうかと思います。私の方は先ほど申しましたように、基本方針はほんとうに百パーセント正しい申告をされるものとして、その公平ということを重く見ておりまするから、そのときの情勢によりまして、いわゆる真にやむを得ないような事情があつた場合には、追徴税についてある程度免除という手段を講ずることができる。こういう方針で臨んでおります。やはり自主的に法定納期に百パーセント申告をされた法人との権衡ということを考えなければなりませんので、追徴税を一律に何割か免除するという扱いをいたすことは、法律の趣旨に照していささかいかがであろう、こう考えておるわけでありまして、やはりそのときどきの個別ケースに対応して、税務署所長なり国税局長の判断によりまして、追徴税についての適用を決定するのが妥当じやないか、こういう見解を持つております。
  69. 小山長規

    ○小山委員 そのあなたのおつしやる理論はよくわかるのです。ところが実際問題としては、善意な申告をしておつて、それがたまたま三年もたつてから更正決定を受けた、こういう場合が非常に多いのでありますが、その場合にもう一つちよつと伺つておきたいのは、軽減という措置はなくて、免除か、全額か、こういう方法でありますか。
  70. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これはその事案によりまして、一部免除ということもございます。たとえば数事業年度の分があつたような場合、一つの事業年度につきまして、やはり申告漏れがある。しかしその申告漏れの分が、たとえば経費のうちの資本的支出と認めるべきかどうかというふうな点について、非常にアンビユアスだ。解釈上相当の何と申しますか、疑義を残しておつたような場合におきましては、これは当該事業年度については、非常に恕すべき理由がある。しかるにほかの事業年度においては、ことさらに経費として認めることのできないようなものを計上しておるというときには、事案をわけましてあとの分は追徴税をとるが、先の分は免除するというふうなこともいたしております。大体事案によつて決定いたしておりますので、一がいに全額免除であるとか、一部軽減というふうにはきめておらぬのであります。
  71. 小山長規

    ○小山委員 そうしますと、要するに免除か、全額か、こういうことで、その期に関する限りはお進めになつておる。それでどういう場合に免除し、どういう場合に免除しないかという基本方針というものは、国税庁から末端の税務署長行つておりますか。それとも税務署長が任意にお考えになるのでありますか。
  72. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これはユニフオームの場合、統一的な場合というものを通牒したことはございません。非常に予測しないようないろいろなケースが出て参ります。ただ疑義のある場合には、本庁に稟議をするということにして統一をとつております。
  73. 小山長規

    ○小山委員 正示さんは最初に税務署は法律によつて決定し、また法人は正しい申告をする、こういう前提であるから追徴税をとるのだという仰せであります。ところが実際に法律できめておる範囲内は、一から十までの範囲内をきめて、そうしてその取扱いは全部国税庁にまかしてある。ところが私が最近調査した事案によりますと、具体的な例を申し上げますと、こういう例があります。たとえばあるガス会社が創立以来十数年間、月の十五日から二十日の間に検針をして、その検針をした部分については、そこまでの分を收入金として計上し、それ以外の分は翌朝にまわしておる、こういう慣習の会社がある。それを昨年度に国税庁方針がかわつたのか知りませんが、たまたま昭和二十一年度にさかのぼつて、その分を未收金として計上されたということになつて来たのであります。その場合にはその会社は、その期に関して非常に莫大な利益の計算をされることになり、それに対して追徴税、加算税が来る。これは一つの事例であります。つまり国税庁の解釈によつて、その会社はその習慣が従来正しく、かつ税務署においても何ら疑義を持たなかつたようなものを、突然国税庁方針変更によつて昭和二十二年にさかのぼつて税の決定をし、同時にそれに対して追徴税、加算税を加えるという例がある。それから第二の事例としては、こういう場合があります。これは大体機械会社あるいは特に科学工業機械をつくつております会社、あるいは造船会社というものに多いのでありますが、一つの品物を納めましても、それの売上金は一応計上するけれども、その原価がわからない。原価がわからないために未決算勘定というものを残しておる。その未決算勘定のあることをこれまた従来何十年の間税務署も承知し、そうしてそれを従来の慣習として認めて来ておつたにかかわらず、突然に国税庁方針がかわつたのか知りませんが、それを昭和二十二年あるいは二十一年にさかのぼつてその未決算勘定に関する部分に対する利益推定を出しまして、そうしてそれをもとにして追徴税、加算税を加える、こういうふうな突然の方針変更が、三年以前にさかのぼつてやられるということになつて来ると、これは重大問題だと思うのです。この場合に、ことに未決算のような場合には、未決算の習慣をもし認めないとするならば、原価の計算が出るまでに、六箇月あるいは八箇月を要するような会社は、一体幾ら申告納税すればいいのか、見当がつかない。自分たちの計算によつて未決算勘定と売上げ掛金勘定というものが残つておる。ところが税務計算によつてその未決算勘定はある一定の——それはその徴税官自身の推定による計算ですよ。徴税官自身の推定によつて利益を計算して何年か前にさかのぼつて課税される。そういうことになりますと、その会社は一体どういう方法自分たちの計算を出して、申告納税をするか見当がつかない、こういうような事例か起るのであります。そういう意味で、そういうようなものに対して、追徴税をかけるということは、はなはだ間違つていないかということと、同時にそういうような長年の習慣によつて来ておるような制度は、税務署はそう軽々に、あるいは国税庁はそう軽々にこれを否定すべきものではない、こう思うのでありますが、そういうことは国税庁の一方的の解釈によつてつてよろしいものであるか。こういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  74. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま小山委員からガス会社と科学機械関係の具体的な事例についての御質問がありましたが、この具体的なケースにつきましては、十分これを調査いたしましてなお申し上げたいと思いますが、一般方針といたしまして、ただいま御不審にお考えになりましたような、長年の慣習として官庁側でも認めて参り、また会社でもそれによつて来た。そういう場合にこれを突如変更するということは、私は常識から考えても非常におかしいと思う。従つて一般方針としては、さようなことを行うべきではないと考えるのでありまして、もしこれを行うとすれば、よほどこの事案につきまして、本庁とも相談をいたしてやるべきであると存じます。また実際課税を受けられる会社の方とも、それらの点についてはよく協議をして御納得いただかない限り、これは軽々に改むべきじやない、こういうふうに私は考えるのであります。ぜひともこれにつきましては、具体的なケースをさらに検討いたしまして申上げたいと思います。一般的にはさように考えております。  それから従来とかく税法上ただいまのような税務計算と、それから会社の経理というものとの間に、いろいろと食い違いがあつて、それを中央の通牒というふうなもので律しておつたために、会社側では、あるいは納税者側では、その通牒その他について十分御理解がなかつたというふうな遺憾な点があつたと存じますが、それにつきましてはぜひともこの二十五年度の先般の改正せられました税法に基いて、総合通達をつくりまして、これを公開いたしたい。また所得税につきましても、今月の末までにはぜひともそういうことをやりたいと考えております。法人税につきましてもこれを公開いたしましてシヤウプ博士の指摘されましたように、税務に関する問題は、とかく従来祕密のとびらの中に隠されておつたという傾向があつたと思いますので、これらはできる限り公開してもらいたいと思います。さらにまた先般の改正において、相当程度に従来のいわゆる通牒事項が、法律の中にも規定されたようになつておるのでありまして、これらの点につきましては、ただいま御指摘のように私は税務官署の思惟の範囲というものをできるだけ局限して、法律なり総合通達なりにおいてはつきりときめるべき問題であろうかように考えておるわけであります。
  75. 小山長規

    ○小山委員 これはたいへんなことを伺つたのであります。正示総務部長お話によると、そういう会社の習慣をかえる場合には、上級官庁と打合せてやるべきものだ、こういうお話であります。ところが私が東京国税局において調べたところによると、これは東京国税局長方針としてやられておる。それで一、二の会本社の場合にそういう事例を認めるならば、税の均衡上それは不可能である、こういう答弁であります。そうすると国税庁と打合せなしに、東京国税局長はあなたの方針と違つた方針をやつておられることになりますが、そういうことになりますか。
  76. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど申しましたように、具体的には内容を伺つて申さなければならぬと存じますが、前提としてこういうことを長く認めて参り、従つて会社としても当然それで承認されるものとしてやつて来たような方針を、突如として変更することは、私は非常に問題がある、こういうことを申し上げたわけであります。その片一方の権衡上という……。
  77. 小山長規

    ○小山委員 ほかの会社も途中で解散した、こういうのです。
  78. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これはどうも最近になりまして、従来の長い慣習を根本的に改革するような考えは持つておらなかつたのでありまして、ひとつ具体的にケースを伺いまして、本庁の方においても検討してみたい、こう考えます。
  79. 小山長規

    ○小山委員 私は正示政府委員の説に実は賛同するものでありまして、同じやるならば今度の資産再評価の法律が出たこの機会に、そういうふうな一つの方針をきめられるのはいいかもしれませんが、先ほど申上げましたように、今調査しておるのが昭和二十二年度、二十三年度というインフレーシヨンの上昇期であります。この上昇期においては名目的な利益はどんどん出て来ると思う。その名目的な利益がどんどん出て来るところに持つて来て、さらにただいまのような会社の習慣をむりやりにかえさせて、税務計算上はこうあるべきであるという方法をとられますと、従来の法人税によるならば超過所得税だとぐんぐん出て参ります。そのためにほとんど会社の運転資金にも因り、あるいは借りて来た金は、全部税に納めなければならぬというような事態の会社も出て来るだろうと思います。これは私は税務行政としては非常な失態だと思う。特に私は一、二の事例を知つておるにすぎないのでありますが、長官代理の御意見がそうであるならば、すみやかにこれは改めさしていただたなければならぬと思う。この法人税法がかわつた今年度、あるいは資産再評価が行われた今年度からは、従来理論上違つてつた会社計算は、この際税務計算に改めるべきであるということでおやりになるならいいが、十数年来、あるいは長きになると二十年来の習慣を持つて来ておる会社計算を、三年前にさかのぼつて否認して来るということになると、もつとこまかいことになりますと、会社計算をそういうふうに否認して行きますと、最初は六箇月間の期間が、ある場合には八箇月あるいは十箇月間の税をとることになる。その税をとりもどすには、会社が何十年か先、会社を解散したときでなければ拂いもどしができない。つまり何十年先の税を今とつているというようなりくつになるのでありまして、私はこれは非常に税務行政の失態じやないか。少くとも正示総務部長の御意見がそうであることを確認いたしましたから、ぜひこの線に沿つて——東京国税局長がやつておるくらいですから、おそらく全部の国税局長がその方針でやつておるに違いない。これは至急、私はこの委員会で具体的に会社の例を持出すのははなはだ失礼でありますから、具体的な例は後刻申上げることにいたしまして、この辺でとどめますが、ぜひこれは税務行政そのものを改めていただきたい、こう思うのであります。
  80. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私はこの一千二百億の滯納の原因について、とつくりお尋ねをいたしたいと思います。どうかひとつ率直に御答弁を願いませんと、納得が行かぬと重ねてお尋ねをいたしますから、またことしの予算にこれは関係がありますので、どうか率直な御答弁を願います。  昭和二十四年の申告納税については、徴收決定額が千九百五十九億円になつておる。実際徴收したのは千二百三十五億円、わずかに決定額の六三%しか入つておりません。大体シヤウプ勧告などで見ますると、徴收の歩合が七割四分くらいはとれるという見込みでありますが、六割三分しか入つておらぬ。予算に比較しても、昨年は予算に対して八○%しか入つておらぬ。一昨年は九三%、相当率が落ちておるのであります。非常に收入歩合が悪い。従つて滯納が千二百億も出た。この原因について率直な当局のお考えを承つておきたいと思います。
  81. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま奥村委員から御指摘の通りに、昭和二十四年度の申告所得税は、徴收決定額で千九百五十九億、しかるに收入済み額は千二百三十五億でわずか六三%、きわめて遺憾な成績に終つております。この原因につきましては、いろいろとあろうかと存じまするが、さらにただいま申上げましたこの徴收済み額をわけて申上げますと、納税者の方が自発的に申告をされましたのが、そのうち千三百六十六億でありまして、残りの五百九十三億というものが申告不足額あるいは申告漏れ額として、税務官署の方で更正決定をいたした分でございます。さすがに納税者が自発的に申告をされました分につきましては、千三百六十六億のうち千五十八億、すなわち七七・五%の收入済みになつておるにかかわらず、税務官選側の更正決定分は五百九十二億のうちわずか百七十六億、すなわち比率から申しますとと二九・八%、三○%にも満たないように非常に徴收成績が悪い。その根本原因はやはりそこにあるのでありましてどうしてもまずもつて申告所得制は、その本来の姿であるところの納税者の自発的申告ということに、もつと力を入れてお願いしなければならぬ。あるいは適当な言葉であるかもしれませんが、指導して参らなければならぬ、こういうふうに確信をいたすのでありまして、二十四年度の総体の收入歩合が六三%という低調でありますのは、やはり申告額においてもつと申告をしていただくべきである。これを遺憾ながら五百九十三億の更正決定をされたということが、一つの最も大きな原因であると考えるのであります。  第二に、しからば二十四年度の税務行政は、非常なる不成績であるということに一応結果的にはなるのでありますが、しかし千三百六十六億の申告をしていただいたということはこれは相当の進歩である、こういうふうにも考えます。すなわちわれわれ二十四年度の年度当初からの経過を考えてみますと、ちようど本年の二月、三月、すなわち年度末に近くなるまでは成績も非常に順調に行つておるのであります。国税庁ができまして、先ほど申しましたような、実額調査相当程度確充強化する。それからいわゆる個々の標準率等につきましても、さらに分析を加えまして、できるだけ実情に即応した指導を加えて行くということで、努力をいたしたのでありまして、実額調査の歩合も、昨日も申上げげましたように、前年度は一割未満であつたのが、二割くらいに上つておるのであります。そういう点から申告につきましては、これは相当改善の跡があつたと考えます。しかるにそれがどうして七七・五%という收入率の低調に終つたかということになれば、これは私が先ほど申しました原因のほかに、いわゆる税務以外の経済、金融その他の客観情勢の変化というものが、税務の方においてある程度の改善があつたが、これを追い越して結局において総合的には税務の方の改善を相殺して、なお悪い結果を出さざるを得なかつた。こういう客観情勢の変化ということが第二に大きな原因であつた。こういうこと、すなわち大きな原因は、さつき申したようになお税務の方における努力の不足、第二は客観情勢の悪化、この二つの根本的な原因である、かように考えております。
  82. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうも御答弁は散漫に流れて要点をはずしておられる。こういう重大な滯納の問題については、すでにこの原因は国税庁で十分に御検討になつておるはずであります。どうか要点をはつきりとおつしやつていただきたい。それで今の御答弁を承つておりますと、どうも確定申告が少ないので、また更正決定を五百九十三億もやらざるを得なかつた、こういう御答弁でありますが、これは答弁になつておらぬ。なぜならば確定申告千三百六十六億、これが全部入つたなら御答弁になる。これがすでに三百億滯納になつておる。この滯納の額がことに多くなつた原因、それからいま一つは客観情勢の変化である。客観情勢の変化ということはあるでしようか、滯納の原因ということとはこれは別です。客観情勢で、つまり金融状態が悪い、あるいは所得が減つたということならば、決定そのものが減つて来なければならぬ。決定が千九百五十六億もあつて、実際の收入が千二百何ぼ、七百億以上もの滯納がなぜできたかというその御答弁にはこれは当らぬ。それで昭和二十三年度までの税務行政は、かなり終戰後の混乱にまぎれて、税務署税務行政は十分であるとは言えない。しかし昨年は税務署の行政はかなりまとまつて来た。それにもかかわらず一昨年とくらべてなおかつ二百億、三百億ものひどい滯納はなぜ起つたか、この点をお伺いしておるのであります。
  83. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの重ねての御指摘でありますが、所得は二十四年中にありましたが、納期は翌年の一月末日が最終の納期であります。それが申告は二十四年中の所得に基いて一応申告はした。しかしながらいよいよ納める段になりまして、いわゆる客観情勢の変化と先ほど申し上げましたように、いわゆる金詰まり現象というものが非常に起つて参り、所得としては一応申告はしたが、手元資金の不如意のために納められないことが相当つたかと思うのでありまして、それがここにただいま奥村委員の言われましたように、申告はしておるにかかわらず、実際納めたのは七七・五%にしかなつておらぬのじやないか、こういう御指摘の通りであると私は考えるのであります。それが先ほど私が第三の主たる原因として申し上げた、納税資金の面におきまして非常に窮迫して、それが滯納というものになつて来た、さように考えております。
  84. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それではもう少し具体的にはつきりお尋ねしますが、確定申告で千三百六十六億を納税者が自発的に申告したら、納税者は当然納めるべきものと自覚しておるはずだ。それが申告は出したが実際は税金は三百億も足らぬ。この現象はちよつと理解できない。すでに予定申告をして三分の一ないし三分の二は納めておるはずなのです。それが申告書を出して実際の税金は三百億円足らぬ。この現象は何によつてそういうことになるのか。
  85. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 結局私は先ほど申し上げましたように、一番大きな原因は、たとえば具体的に申し上げますと、営業所得におきましては売掛をした。これは売掛も所得には違いないのであります。しかしながら売掛の相手先が非常に営業不振のために——といいますか、資金のまわりが悪くて回收がつかぬ。こういう場合にはその債券は焦げつきになるが、所得はあつた。その所得に対して税法に定める税率によつて申告するが、代金の回收がつかぬから、やむを得ず滯納せざるを得ないということになつておる部分が、相当あるかと存じます。
  86. 奧村又十郎

    ○奧村委員 その点は局の方でももう少し徹底してお調べになつておるべきはずと思いますが、それではもう一つ、つつ込んで具体的に参りますと、この滯納が国税局によつて非常に差異がある。特にはなはだしいのは大阪国税局であります。これは年々悪いが、特に昨年は確定申告の分で営業が悪い。確定申告で五割五分しか入つておらぬ。あるいは更正決定の分は一割七分しか入つておらぬ。こういうことではいかに公正な課税をしても、事実税金が納められなければ、これは公正な課税とは言えぬことになる。特にこの大阪国税局が例年悪い。昨年は特にはなはだしく悪い。この原因はどこにあるかお伺いする。
  87. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 大阪局が特に收入歩合が悪くて滯納額が多いということの原因でありますが、その原因はいろいろあろうかと思いますが、最も大きな原因は、やはり主体的な原因である。主体的には大阪局管内——これは私どもとしましても、従来から非常に税務行政上困難なところでありますから、役所側におきましても事務が相当押せ押せでもつて遅れております。すなわちこれは二十四年度だけでなくて、その前の年度から滯納等もほかの局と比較すると多いのであります。そこでどうしても従来からの仕事で押せ押せで遅れておる。更正決定をいたすにしましても、あるいは申告をするにいたしましても、従来からの累積された事務のために、ほかの局と比較して大阪が遅れている。これが一番の主体的な原因であります。また納税者の側といたしましても、御承知のように大阪管内は、いわゆる経営その他の面におきまして、非常に経済観念が発達したところでありまして、それだけに税務に関する批判的な考え方も非常に強いわけであります。いわゆる納税者の素質からいいましてもむずかしいところである、私どもはこういうふうに考えておるのであります。また金詰まり等の影響についても非常に敏感でありまして、そういう点からもなかなか納税者としてもつい金佛いが悪いといいますか、そういうふうな関係もあろうかと思います。すなわち税務署側におきましても、あるいは局側におきましても遅れておりますし、また納税者の側におかれても、ほかの局管内に比較いたしますと、相当特殊事情があります。その両方からの原因が重なつてかような結果になつておるものと考えております。  なお先ほどちよつと申し上げようと思つていたのでありますが、私の方で、これは一部の納税者についてでありますが、どういうわけで滯納しておるかという一種の輿論調査をやつたのであります。その結果を見ますと、やはり金詰まりというのが約五二%くらいになつておりまして、課税自体、所得自体は一応この程度にあることはわれわれ認めるが、金詰まりのために納められない。手元不如意であるというような資料が五二%、これは全国の局の一部について出したものでありますが、こういう結果が出ておることをこの際あわせて申し上げます。
  88. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうもただいまの御答弁は不満足に思います。大阪の方は税務の事務が澁滯して押せ押せになつておるということでありますが、すでに昭和二十三年度分の、つまり繰越し滯納の分の処分は、昨年の十月ごろまでにほとんど全部ついておるわけであります。これはすでにあなたの方からお出しになつておる資料によつてわかつております。大体昨年十月までには二、三百億程度にまで滯納処分はついておる。従つて事務が遅れておるというのは、どの事務が遅れておるのか。事務が遅れておるために大阪で特に滯納がひどいという理由にはならぬ。事務が遅れておるから滯納がひどいというのはどういうわけであるか。それはどうも理論にはならないと思います。
  89. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 奥村委員は大体大阪の事情は非常によく御存じでありますが、それは事務が遅れておればどうしても、何というか、年度末になりまして、早目に確定更正をやつて、そうして年度内に收入するということに進めば、それだけ進捗するわけでありますが、確定更正自体をやはり年度末に迫つてから出さざるを得ない。管内調査等に遅延がありますと、やはりそうなるわけであります。やはり東北とか金沢という方面は、これらの点において事務が早目に済んでおります。それだけ調査も行きわたつておりまして、年度末が迫つてから大量に更正決定をやるということになりますと、調査等の点においても不十分の面がありますし、また納税者側においても、年度末が迫つてから決定を受けたのでは、年度内に金が納められないということになるのであります。私が申しました事務が遅れておるというのは、税務に関するいろいろの事務が押せ押せで来ておるのでありまして、滯納整理は去年の十一月まで全国一齊にやりましたが、これまた大阪局は一番むずかしいだけに遅れておつたのであります。なお私どもとしては、この委員会においてたびたびお指摘のように、すでに納めておるにかかわらず、督促が来るというようなことがたびたび指摘されておつた。そういうことを絶対にしてはいけないということを強く言つております。そうしますとどうしてもまず内部整理を非常に念を入れてやつて、それで初めて滯納整理というふうなことになるわけであります。大阪局においてはその内部事務等についても相当遅れておりまして、その内部整理に非常に時間を食われた。そのために結局において去年の滯納整理は十一月ごろまでかかつております。ほかの局では十月ごろに終つたが、大阪局の方は十一月までかかつたのであります。課税の面においてそういうように遅れておりますから、当然に納税者にいろいろな都合もありまして、ほかの局に比べると比較的滯納が多い、こういうわけであります。
  90. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうも政府委員の御答弁は答弁になつておらぬ。私のお尋ねするのは、確定申告というものは納税者が自発的に自分の所得を申告しておるわけであります。それが五割五分しか現実に納税されていない。従つてこの点については何も税務署の方の仕事が遅れておるからどうのこうのという問題とはかけ離れておる。その点について特にあなたが口の上で言いくるめようとなさるから、そういう御答弁になるが、私が聞くのは、納税者が自発的に確定申告を出したにもかかわらず、特に大阪は五割五分しか出しておらぬ。その理由は税務署の仕事が遅れておるというか、それとは全然別個の話であります。そういう不誠意な御答弁では私は満足できぬ。もう一度重ねてお尋ねいたします。
  91. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私は原因はやはり両者にあるということを先ほど申し上げたのであります。税務署側において事務が遅れると調査等においても不十分になつて来る。こういうことも一つの原因でありますが、やはり納税者の側において早めに資金を準備して納めるというふうな気風の納税者の多いところでございますれば、申告をしたものでありますから、当然納めるということは奥村委員のおつしやる通りであります。しかし管内納税者の伝統的な一つの特徴と申しますか、最終的ないわゆるぎりぎり一ぱいのところへ来ないと、納税されないというふうな伝統的な特質もあろうかと思います。この二つの原因が相寄り合つてさような結果になつておる。かように考えるのであります。
  92. 高間松吉

    ○高間委員 関連して……。ただいま奥村委員から、確定申告をしたものの税金がどうして遅れるか、こういう御質問に対しての政府の答弁が不満足のようでありますが、私ども自分たちのやつて来ました業についての確定申告につきましては、こういうところに原因があるのではないかと考えております。というのは二十四年度、もちろん二十三年度も同じでありますが、また確定申告ももちろん同じでありますけれども、その前に自分たちのふところぐあいが悪いので申告を出すことができない。申告を出せばすぐ金を納めなくてはならないというのが不安の種になつて、申告することができないで苦しんでおる矢先に向つて、とにかく申告書を出さなければ脱税によつて押えられる。脱税によつて押えられたときには何倍もの税金をとられる。それでは税金は納めなくてもいいから、とにかく申告だけはしておかなくては損であるというような声が、盛んに起つたことがあります。それが申告をした税金でも、納められない原因ではないかと考えるのであります。でありますから今奥村委員の御質問の、申告をしたものがどうして税金を納めないのか、どうして滯納が起きるのか、不審が起きるのでありますが、そういうのがたまたまありますし、それに客観情勢は極端に昨年十一月ごろから本年三月ごろまで、品物によつては五分の二ないし三分の一くらいに暴落した結果、納める意思はあつても、納めることのできないような状態に立至つた業者が八分通りであります。そこがつまり確定申告あるいは申告納税の税金が納められない深い原因であると私ども考えておりますので、一言私の所見を申し述べます。
  93. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこで問題は、確定申告は納税者が自発的に申告を出しておるのでありますから、当然これは金を添えて納税と同時に申告すべきであります。それでたとえばほかの管内の農業などを見ますと九割五分近くも納めておる。また納めるのが当然であるところが特に一部のものが五割五分しか納めぬ。そういうものをそのままにしておくということであれば、あるいは勤労所得税を納めるもの、あるいは農業所得税のような九割五分までも納めるものに対して、非常に不公平になるということで、これが特に問題になると思うのであります。そこで政府委員からの御答弁は、非常に率直を欠くように思われるので、御参考のために私ども大蔵委員会で調べた、特に注目すべき問題をここに提示して御参考に供しておきます。大蔵委員会がことしの四月に大阪国税局管内税務署を調べた。すでにことしの四月においてその税務署長の予想によると、今年末の確定申告税の徴收見込額は、決定額の約五割五分が精一ぱいであると言つております。税務署の署長が委員会にそう言つておる。その原因としては、はつきりは言うておらぬけれども、申告所得税の確定申告が昨年の七割五分増しである。徴收予定額、つまり国税局署長会議においていわゆる参考指示額を與えた、その指示額の九○%であるということを言うておる。ここらに問題があるけれども、それを率直に言われるということはちよつと御都合が悪かろうと思うので、これ以上は私はつつ込んで言いません。一応問題として提示しておきます。さてそれでは、特にこういう大阪のような成績の悪いところに対して、今後いかなる対策をおとりになるか、この点をお伺いいたします。
  94. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 今後の税務行政の改善のこと、特に大阪局のごとき成績の悪いところに対して、どういう方針をとるかという御質問でございますが、一般的に先般の税制改正によりまして、相当程度に負担の調整合理化が行われております。これは税務行政を刷新改善する千載一遇の好機である、かように考えておるのであります。結局先ほど私が申し上げました主体的、客体的、この二つの原因にメスを入れて行かなければならぬのでありまして、まず最初にわれわれとしては税法の改正されました機会に、この税法の趣旨納税者の方に十分御理解を願いまして、特に自発的申告の基本ともなるべき記帳その他については、青色申告の制度も新しく開かれたのでありますから、ぜひとも青色申告の線にできるだけ多くの納税者の方が入つていただく、こういうふうに持つて行かなければならぬと考えるのであります。すでに申し上げましたように、今のところ青色申告の申請をされました納税者の方は比較的少うございますが、今後におきましてはますます青色申告をされる納税者を多くすることを、きのうも申し上げましたように助成、助長して行くという方針で進んで参りたいと考えます。なお青色申告をされないような納税者に対しても、できるだけ資料の整備をしていただきまして、それによつて自発的な申告を期待して参りたいと存ずるのであります。それにはどうしても振り返つて税務官署側におきましても、常に実態の調査ということを大いに拡充して参らなければならぬのでありまして、昨日申上げましたように、前年に比べますと二十四年度はある程度の改善でございましたけれども、まだまだわれわれとしては不充分であると考えております。わずか全体の納税者の二割程度の実調しかいたしておりません。さらにこれを三割、五割というふうに実調の歩合を高めることによりまして、申告指導に際しましても、また更正決定にいたしましても、個々の納税者の実情に即応した決定を行わなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。私は税務行政が円滑に行くかどうかは、帰するところ納税者の御納得を得ることにあると確信をいたしておるのでありまして、その面から、ただいま申しましたように、納税者の方でまず十分資料を整えていただけば御納得も早いのであります。そうすればこちらから申し上げるまでもなく、御納得いただけるのであります。こちらが調査したところによつて決定をする場合にも、個々の実情の調査が行き届いておればなるほど御納得が早いと存じます。この納得を得るという点に主力を注ぐためにはどうすればよいか。問題はこういうことに帰着すると考えておるのでありまして、記帳の普及という面からできるだけ納税者の納得を得まして、円滑な税務行政をして行くように努力したい、かように考えております。
  95. 奧村又十郎

    ○奧村委員 特にこの四月の国政調査においては、大阪管内は各税務署長が品をそろえて、いわゆる参考指示額に対する慫慂というか強制というか、それがむりであるからどうしても滯納が多いというふうなことをかなり強く言つてつた。この点について、われわれ委員会調査を御参考のためにお耳に入れておきます。——この問題は水かけ論になりますからこの程度でやめておきます。  そこで問題は千二百億の滯納が今後いかに処理されるか。政府の收入として今年度中に一体どれだけ入るか。これが重大な問題になつて来ると思います。これは申すまでもなく、昭和二十五年度の予算の中に繰込まれて来るわけでありますから、これの見積額によつて徴收歩合によつて補正予算にも関係して来る。要するに千二百億のうち滯納整理をやつてどれだけの金が入つて来るか。昭和二十三年度、つまり昨年の滯納整理においては六百八十三億の滯納のうち、政府の收入としては百五十六億入つておる。あとの約四百五十億は一つは不納欠損になつており、一つは誤謬訂正になつて落されておる。これが問題になると思うのですが、不納欠損額、それから誤謬訂正の約四百五十億という金額の原因を、徴收課長がお見えですから、具体的にお伺いしてみたいと思います。
  96. 田所正幸

    ○田所説明員 先ほど二つにわたつて御質問がありましたが、まず第一番の二十四年度から繰越しました申告所得税のうちで、どの程度現金收入になり得るか、そういう見通しでございますが、これは現在のところ確実な見通しを立てることははなはだ困難であります。二十五年度の予算の上では二百七十六億、これが繰越し分の現金收入として見込まれておる額であります。われわれといたしましては、この二百七十六億はぜひとも達成いたしたい。また八十億程度の繰越しをしております関係で、それぐらいはどうしてもとれるであろうと考えております。  それから第二番目の二十四年度、去年やりました不納欠損と誤謬訂正の額が非常に多いが、その理由は何かというお尋ねであります。本件につきましては、実は二十二年度に申告所得税の制度をしきましてから、税務署職員が不足しておりましたので、漸次補充して参つたのでありますが、施行の当時は相当に不足をしておりました。また申告納税制度に対する事務にも不熟練でありました。のみならず納税者の側におきましても、この制度を十分にのみ込んでいなかつたというような問題もありますし、社会的にも経済的にも非常に混乱をしておつた時代であります。従いまして、不納欠損をいたしました大部分は、所在不明のものでございます。たとえば終戰時神戸のある税務署管内では、確かに露店とかその他のものをやつてつたに違いない。ところがそれが半年、一年とたちますうちに転々と住所をかえている。今はそれに比べますと、営業なさつている方の状態は比較的おちつきましたが、終戰当時、全体といたしましたならばこれが非常に混乱をしておりました。従いまして二十二年度、二十三年度内にその事務の処理が的確にできるほどの税務職員と組織がありましたならば、ある程度まではやつておると思いますが、先ほど申しましたように、この制度自体初めてしかれたもので職員も足りなかつた。また熟練度も落ちておつたというような状態にからみ合せまして、住所をかえる者が非常に多いためにその処理ができなかつたので、繰越した大部分のものを二十四年度になりまして整理した、そういう関係が主たる原因でございます。  それから訂正その他の件でございますが、これも前の不納欠損で申しました原因で二十二年、二十三年に整理しておくべきものが整理されずにたまつて来ておつた。それをこの際一期に勉強して整理をした、そういう関係でこの数字が太つております。今後の見通しといたしましては、不納欠損の数字は非常に少くなると思います。  また誤謬訂正につきましても、これはまだはつきりした数字は出ておりませんが、大体七月上旬にわかりました数字で百五十億程度たしておりますので、おそらく二百二、三十億程度でとどまるではないか、こういうような推定をいたしております。
  97. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいま御答弁の、昨年不納欠損や誤謬訂正が多かつたということは、昭和二十二年以来のものが滯つてつたので、それを一挙に整理したのだ。今度の総額では千二百億、所得税の分だけでも八百億余り、ことしの整理においては不納欠損は少い、誤謬訂正も少い、こういうお言葉、これは非常に心強いわけでありますが、ただいま私の見ましたところでは、五月、六月の実績で行きますと、両月でわずかに四十三億しか入つておらない。それで、ずつとその率で行くと、これは成績が落ちるわけです。ところが七月は非常に成績が上つているので、もう一度七月のきようまでの実績をお伺いします。
  98. 田所正幸

    ○田所説明員 七月の実績は実はまだ速報がまとまつておりませんので申し上げかねますが、なるほどおつしやいましたように四、五、六の実績を見ますと少うございます。これは、徴收方面から申しましても、ちようど決算の時期に相なつておりますので、全力を集中して外部の滯納処理に当るということはできない状態であります。六月中にあらかたの内部的な決算に関する事務をいたしますので、その後は国税職員を増員すること等によりまして相当力こぶを入れてやれる、こう考えております。先ほども申しましたように、約八百三十億の申告所得税の滯納ということになつておりますが、このうちに若干先ほど申し上げました誤謬訂正の増が入つておると思います。その訂正をされましたあとがそういうようになつておると思いますが、まだ今後訂正によつて前後することも相当あるであろう。この額は私どもちよつと指定いたしかねておりますが、その額をとつてのけましたあとが、結局不納欠損と現金という問題になるわけであります。現金につきましては先ほど言いましたように、予算に組みました額はどうしでもとりたい、またとらなければならぬものだと思います。その残りの問題がすべて不納欠損になるとは私考えておりません。この分は非常に小さいものだ。それがどうなるかという問題になりますが、これはもちろんわれわれの努力によりますが、一つは社会的な一般の経済的な問題にも関係すると思います。な場合によりますれば経済界が好転するという事情がなければ、ある程度は二十五年度からさらに二十六年度に再繰越しせざるを得ないのではないのか、こういうことも考えられます。
  99. 竹村奈良一

    ○竹村委員 ちよつとお尋ねしたいのですが、滯納額ですね。たとえば百万円以上は何件であり、五十万円から百万円までは何件である。それから二十万円から五十万円までは何件であるか、あるいは十万円以下は何件であるか、こういう件数はわかりませんか。わかつたお答え願います。もしわからなければあとで資料をいただきたいのであります。
  100. 田所正幸

    ○田所説明員 こまかい報告は実は私どもも統計的にとつておりませんので、これは調査が不可能だと思います。ただ五十万円以上のものにつきましては一応の資料もとつてございますので、これは後刻参考資料として御提出することにいたします。
  101. 竹村奈良一

    ○竹村委員 ついでにお伺いしておきたいのでありますが、大体滯納整理にあたつては、大口の滯納整理というものは実に緩漫にしか行われでいないというのが、各府県におけるいわゆる納税者の声なんです。こういうことも徴收相当影響を與えると私は思うのですが、こういう点に関してはどうですか。
  102. 田所正幸

    ○田所説明員 滯納整理をいたしますときには、常に大口を並行してやれということを申しております。一部緩漫に見られる状態にありますし、また事実局署の力がそろつていないということもあると思います。実はこれにつきましては国税徴收官を相当増員いたします場合に、大口專門に整理に当る国税徴收官というものを、特に分別して配置する予定でございます。従いましてそういう機構が充実いたしましたならば、もつと活発にやり得ることと思います。現在といたしましてはそういう非難が起らないように極力努めておりまして、目ぼしいものにつきましては財産の差押え、それから公売処分もいたしておりますが、何分大口のものにつきましては、不動産関係の財産が実は多いのでございます。その不動産の換価処分というものが、一回や二回の公売処分ではなかなか行われないのであります。従いまして完結に至りませんで依然として滯納報告書に上つて来る、こういう点がございますが、手の及ぶ限りは申告所得税等の公平の観念におきまして、それをやつております。今後もまた活発にやろうと思つております。
  103. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一つは、たとえば大口の脱税の問題等が、国民の中から摘発された場合における処理が、出先の国税庁においては非常に緩漫なような印象を受けるわけであります。たとえば御承知だろうと思いますけれども、大阪の問題でございますが、山林の大きな脱税問題を告発した。しかも告発していろいろな証拠書類を整えて、だれが見ても当然わかつておるようなものが、これを処理されるのに、たとえば本年の一月ごろ告発されたものが、実際の処理にいよいよ当られるのは六月か七月になつてからだ。しかも一見これは証拠書類等も完全にそろえて出されておるにもかかわらず、そういうような形でやられるから、大口のものに対してはなかなかいろいろな関係でやられないのじやないか。おそらくなるという疑惑を受けておるようなことがあるのですが、こういう問題についての処理方法は、一体どういうようにされておりますか。
  104. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。大口脱税につきまして処理が緩漫ではないか、こういう御趣旨でありますが、これは私どもとしましてはまことに意外な御質問でありまして、実は大口の脱税の査察につきましては、ただいまのところ非常に活発に行つております。少し活発に行き過ぎて、むしろ現在の経済情勢からいうと、これが滯納の面に現われておるというふうなことが実情じやないかと考えております。ただいまの竹村委員の大阪の具体的な事例は私承知しておりませんが、大きな脱税でございますと、その調査に非常な時間がかかるのでございます。これは各方面に支店があり、出張所があり、作業所があるというようなために、全国にわたつて調査をしなければならぬような事例が相当あります。そのために一つの脱税事件の処理完結までに六箇月を要することがございますが、着手につきましては、その時期を選びまして非常に活発にやつております。今後も一罰百戒という趣旨によりまして査察の面は相当強化して参りたい、かように考えております。
  105. 大上司

    ○大上委員 先般要求しておきました欠損処分に落したものの一覧表を頂戴しましてこれまた意外に感ずるのです。われわれの最初にお尋ねしたいことは、昨日も村山所得税課長から、また平田主税局長からあるいは正示総務部長から、指示目標あるいは目安あるいは努力目標、その言葉の中に期待倍数ということがあるということを聞いたのでありますが、まず第一点としてお尋ねしたいのは、課税は所得に対して実質的な課税をなさるのですか。あるいは資料によつたところの形式的な課税をなさるのですか。まずその点からお尋ねしたいのであります。
  106. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 大上さんは税に非常にお詳しいので、私の答弁はあるいは適切でないかと思いますが、私どもはどこまでも実態に即応した課税、こういう方針であります。形式的な所得であるか、実質上の所得であるかという御質問でございまして、その御質問の御趣旨が了解しがたいのでありますが、税法に従つた所得によつて課税する、こういうふうに考えております、
  107. 大上司

    ○大上委員 どうも実質課税らしいですが、ではお尋ねいたしますが、この資料の第二ページの、これは京都の上京の税務署ですが、柿畑さんの決定が、所得税、取引高税等をつつ込みまして相当の金額を決定なさつておる。それが処分のてんまつを見せていただきますと、差押えの物件がない、葬儀資金にも困る、古物商組合においても徴收不納と認めておる。じようだんじやない。課税において今お説の通り、実質的なしかも税法に基いた所得の決定をなされるならば、このような処分てんまつは出て来ないはずであります。だからこれはわれわれが考える場合には、形式的な決定じやなかつたろうかと思う。その当時に所得税という税目があがつておるのだから、所得があつたことは事実である。なお取引高税の税目があるから、これも事実である。その事実を処分てんまつ書を見てみますと、こういうことが書いてある。これではわれわれといたしまして、いわゆる税の定法面から見て大いに反省しなければならぬ点が出て来る。その次をめくつてみますと、いろいろありますけれども、二十三年度の久留米市石橋正実さんの決定が、当初十万八百七十七円という税額であります。これも結局所在不明で財産権なしの処理てんまつになつております。これを見た場合に、なるほど実質的になれば、はつきり所在不明である。しかしたとえば風水害等によりまして決定通知交付不能というのがよく出ております。大きな天災地変等によつて居所がわからないのは一応認めますけれども、このようなはつきりした二十三年度の所得税の処分てんまつがみな所在不明で、財産権なしということでは、われわれとしてはどうも納得できかねる。  さらにお尋ねするのは、実質課税か形式課税かということから進んで、税務行政上の欠陷があるのかどうか、立法上の欠陷があるのか、あるいはこの行方不明となつておりますのは調査する税務官吏の怠慢か、あるいはまた徴税費用に対するわれわれの見積り方があまりに少いのか、もう少し旅費、手当等を支給すべきなのではないか、こういう点からも考える場合、われわれとしてはどうも納得できない。もう一つお尋ねしますが京都の中京区寺町吉田榮太郎これは、入場税という税目になつております。しかしこれも詐欺罪で服役中であつて所有財産なしとなつておりますが、実質上は常にもうけておつて、しかもほかの罪状ならわかりませんが、詐欺罪のような軽微な罪で二十年、三十年というような長期間服罪することは、われわれの常識から考えてあり得ないこういう面から見れば、これもこののまま落していらつしやるということになりますと、われわれとしてどうも納得できない。  最後に質問を要約いたしますと、いわゆる実質課税なりや形式課税なりや、さらに税務行政上に何らかの欠陥はないか、第三に京都のごとき件についてわれわれは大いに不満であるから、もう少し徹底した調査を願いたい。その上でまた質問を続けます。
  108. 田所正幸

    ○田所説明員 三点をあげられて御質問がありましたがわれわれの欠損に対する考え方から一応申し上げたいと思います。欠損に対しましてはいろいろなケースがございますから、一がいには申し上げかねますが、たとえば自殺してしまつた。それに系累がなければ、その事実を確認いたしまして、遺留財産その他によつて一箇月後に処分する場合もございます。しかしながら、なるほど現在は非常に困つているけれども、これが立ち直ることによりまして、将来において納税するであろうというような見込みの立つものについては、欠損処分を急いではやりません。これは現在の徴收法の十二條に根拠があるのでありまして、いつまでにやるべしという規定はないのであります。従いましていつやるかということにつきましては、われわれとして客観情勢その他を考えて、相当愼重に取扱つておるわけであります。大体現在の気持といたしましては、一年ぐらいは様子を見た方がよくはないかと私も考えております。これはそのケースに従つて判断するわけであります。ただいまおつしやいました久留米とか京都などの件につきましては、おそらく課税をする当時——二十二年、二十三年にまたがつておりますが、そのときには確かにそういう処分があつたかもしれません。しかしながら当時の経済界におきましては、もうけたり損をしたということも、個人的に見ればはげしかつたと思います。この欠損処分をする時期に至りましたならば、その人がすでに費消いたしておりまして財産がなかつた、こういうことになつてつたかと思います。また久留米のようなものについては、当時は久留米管内に住んでおりましたが、経済事情が混乱しておる時期でありまして、転々と住居をかえておりまして、今度処分をしようと再度、あるいは三度、四度目に調査いたしましたときには、どこヘ行つたかわからない、そういう状態が出て来たかもしれないと思います。従いましてその欠損処分をする時期そのものは、課税決定以後の個人的な経済事情によりまして、これは財産がない、いくら追求してもとりようがないという段階に至りまして、処分をしたものと思います。なおこまかい点につきましては資料を持つて来ておりませんので、調べてから御報告申し上げます。
  109. 奧村又十郎

    ○奧村委員 徴收課長が見えておりますのでこの点特にお伺いしたいのですが、農業と営業と比べますと徴收状況が非常に違つている。農業は平均して九○%、営業は七○%、これは毎年こういうふうに違つているように思うが、この徴收ぐあいが特に農業と営業との間にこういう開きがあるということは、公平という大原則に非常に逆らうものであると思う。この理由はどういうところにあるのでしようか。
  110. 田所正幸

    ○田所説明員 これはまだ精密な調査をいたしてはおりませんので、大体のところをお答えいたしたいと思います。大体日本の農村自体は比較的爆撃も受けておりませんので、資本の蓄積と申しますか、所得でもつて家を建て、商品をあがない、そうして明日の生活にまわす。いわゆる資本の回転につきましては比較的農村は必要がない。家屋敷、田地田畑というものは、これは大部分が現存しております。従つて物の価格の変動によりまして、所得自体には響きましようが、それをもちまして明日のかてにまわして行かなければならないような事態がないと思います。従いまして徴收率も相当に上まわつている。営業の方では、所得がかりにありましても、その所得でもつて交際費に充てる、広告費に充てる、あるいは商品の値上りを見越して多く買う、あるいは家の修繕に持つて行く、そんなふうな関係で、いわゆる所得を資本化しようという傾向が強いのではないか。従つてそういう点については納税にまわす金が現実に少いのではないか。しかも営業所得の中心地はおおむね爆撃を受けておりまして、目下資本の蓄積に営々としていりのではないかと思います。そういう関係で農村方面は徴收率がよく、営業方面は税金の納付率が比較的に悪い、こういうふうに言われております。
  111. 高田富之

    ○高田(富)委員 先ほど門司や大阪のような、成績の悪いところの今後の処置ということについての御答弁がございましたが、これについて小さいことについて非常に参考になることを、ひとつ申し上げてみたいとおもいます。それは過般の四月の行政調査によりまして、私ども委員会は高崎の税務署調査をしたことがあるのです。日本人は、古来やることはやつても、あとの立ちまわりをすることは少いと思う。縁日へ行つても、翌朝その縁日の場所を見に来るのは少い。高崎のその後の状況というものをちつとも見きわめておらないのであります。しかし私ども選挙区が群馬県に近いものですから、ひんぴんとその状況が入つて来るのであります。つい七月の十一日と十三日に、御承知の通り群馬県には非常な旋風といいますか、私どもの地方の方言で言いますとたつ巻があつて、農作物に——家屋、人畜にはたくさんの被害はありませんでしたけれども、莫大な被害があつたのであります。そのときに、その翌日すぐ高崎の税務署では、被害状況についてすべてのことを調査をした。町村よりまた県より前に、一課全部の職員を派遣してやつたということを聞きましたので、どんな状態かと思いまして、私一日高崎の付近をまわりまして、最後に高崎の税務署へ行きましたが、あの付近では藤岡と新町の付近が非常に被害が多かつた。太田あたりも非常に被害が多かつたのですけれども、太田へは行きませんでしたが、あの付近の状況調査した結果を高崎の税務署へも行つて聞きましたし、また地方民にも聞きました。税務署がまつ先にそうした被害の調査をしてくれたことは今回が初めてである。税務署がそういうようなことをするのですかという反問を受けたのが、ごく最近のことであります。従つてあの問題を起した高崎税務署の決定を、今度の直税課長が、何という方か知りませんが、やつたことは、人によつて円満裏に解決がついたというのが主たる原因であると思います。従つて大阪のような成績の不良なところを改善するのには、ある程度まで人によつてでも解決がつくと思うのであります。御承知の通り大蔵省は、人事もすべての面で大蔵省直轄でありまして、他の官庁にはこういうふうな人事はないのであります。従つて高崎の税務署も、ああした問題を起す状況ではなかつたのでありますけれども、群馬県は御承知の通り上州長脇差でありまして、やり方によるとなかなか言うことを聞かないのです。しかしまた持つて行き方によると、ふところ金をはたいても納めよう、そういつた妙な気風があるところですから、地方の官庁では人を適材適所に利用すれば、必ず税務の行政が円滑に行くということで非常に参考になると思います。事は小さいようでありますけれども現実にこの七月の十二、三日ころにあつたことですから、私非常にその感銘が深かつたので、一言御参考までに申し上げておきます。
  112. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま高崎税務署の実例をあげてまことに有益なお話をいただいたのでありますが、私どもも行政刷新改善が、結局人によつて行われなければならぬということは、その通りに考えております。昨日来申し上げましたように、現在おります者の素質、教養、訓練を高めるとともに、新しく採用する者につきましても、非常に嚴重な試験をやり、これによつて税務に適材を導入して行く。結局素質のいい税務官吏によりまして、同じ税を納めていただくにしても、調査も十分やり、また態度その他においても納税者の納得を得るようようにやつて行かなければならぬ。今のような場合には、積極的に進んで公僕としての当然の勤めを果して行く、必要な調査行つて行く、こういうふうな人材を税務の方にできるだけたくさん取入れることによりまして、税務行政の刷新改善を人の面より行つて参らなければならぬということは、まつた同感に考えております。非常に有益なお話をいただきましたので、一言申し上げておきます。
  113. 宮腰喜助

    宮腰委員 正示さんにちよつとお伺いいたしますが、ごく最近大口脱税者が非常に多いので、国税庁査察部あるいはまた国税局あたりの査察部で盛んに調べておりますが、この脱税を取上げてどんどん追究することは、非常に税徴收から言つても公平な立場から言つても、妥当だと思うのであります。この場合に利益から減価償却を盛んに行つておりますが、減価償却が否認される場合が非常に多いのです。しかし今後国際経済に乗り出すこの産業界においては、ある程度減価償却をどんどんやつて、合理的收支に切りかえて、産業の発展をはからなければならない場合が非常に多いようですが、この減価償却を、会社側で考えた償却を否認されまして、さかのぼつて尨大な追徴金をとられて、しまいにはやり切れないでつぶれそうな会社が大分あるようです。そういう場合に、外国資本とまた外国産業と対抗する意味において、ある程度の減価償却を見て行かなければ、外国との経済上の交流において競争ができないのじやないか、こういう意味合いから、なるべく減価償却を、ある程度に緩和する必要があるのではないか、こう考えておりますが、まず第一番に減価償却について法の規定があるものでしようか、ないものでしようか。
  114. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの御質問でございますが、減価償却の規定は、もちろん税法に従つて行われるのであります。これを否認するために、国際競争において今後日本の産業が非常に脆弱な面が出て来はしないかという御質問でありますが、根本対策は今回の資産再評価によつて行われるのであると考えております。従来は税法によつて精一ぱい認めましても、とかくこの資産の評価自体に非常なむりがございまして、適正な減価償却というものが行われなかつた。これが産業の基本を非常に弱体化しておつたと存じます。
  115. 宮腰喜助

    宮腰委員 それからまだほかにもあるようですが、次に移りまして後日またお伺いしたいと思います。法人税の問題について、昨年の十一月の委員会での大蔵大臣の説明によると、自然増收が大体二百二十七億あるということを聞いておりますが、われわれは自然増收でなく、自然増徴であるということで、大分大蔵大臣と言い合つたことがあります。これなども話に伺いますと、全法人税の徴税收入の約四割に匹敵するような追徴税、加算税があるようですが、こういうことがあるということを聞いておるだけで、実際に調べたわけではありませんが、実際に追徴、加算税合算して四割近くの徴税をしておるものでしようかどうか、その点をちよつとお伺いします。
  116. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど小山委員からも追徴税の問題で御質問があつたのでありますが、従来はさかのぼつて既往輝度分の調査をいたしましたために、相当の追徴税、加算税が入つております。たしか昨年も法人税は七百億ぐらい決定しておりますが、追徴税がそのうちで五十数億に上つておると思います。加算税がそれの約三倍ぐらいになつてつたと思います。従いまして四割には至りませんが、三割ぐらいには合せてなつてつたかと思います。
  117. 宮腰喜助

    宮腰委員 追徴税ですが、今後いろいろ決算を調べられて、過年度——二十三年度、二十二年度とさかのぼつて決算を調べる場合に、追徴税もとるのでしようか。あるいは考慮するものでしようか。これがために営業が成立たないでつぶれる会社もあると思いますが、この点を伺います。
  118. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 この点は先ほど小山委員に申し上げたのでありますが、私どもとしましては、どこまでも法人なり個人なり、納税者の自発的な申告に期待いたしておるわけであります。やむを得ず既往年度にさかのぼるような場合におきましては、その納税者がどういうわけで税法通りの申告をなさらなかつたか。その原因、目的、動機というふうな点につきまして、十分実態を調べまして、追徴税につきましてはその実情に即応して、減免あるいはこれを追徴するというふうなことを現在やつておるわけであります。どこまでも自発的に百パーセント申告された、いわゆる善良なる納税者との負担の権衡ということを考慮に入れながら、追徴税を課しあるいは減免する、こういうことに運用いたしておるわけであります。加算税は、御承知のように、当然つく利子ということに相なつておるのでありまして、これは昨年までは普通日歩十銭、延滯加算税日歩二十銭といううふうに非常に高率でございました。これは今年度から四銭ということに改正されましたが、なお本年度からは、御承知のように、各種の加算税が創設されたのでありまして、その基本的な、趣旨は、やはり正直な善良な納税者との権衡ということに重点があるものと考えております。従いまして理想としては、できるだけ申告でもつてその時期々々に遅れずに出していただくことによつて、追徴税なり加算税をとらずに済むようにいたしたいと思うのであります。たまたまそういう時期を逸せられるような納税者につきましては、どういうわけでそれが遅れたか、あるいはどういうわけで申告漏れになつたかということを十分吟味して、加算税、追徴税の減免あるいは賦課を適正に行つて参りたい、かように考えております。
  119. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは国税庁の方に、終りに臨んで資料要求をしておきます。かねてたびたび要求しておきましたが、とうとう間に合わなんだのでありますが、ただいまお出しになりました昭和二十四年度の各局別の徴收決定額と徴收済み額と、その歩合、これを各委員に出していただきたい。
  120. 田所正幸

    ○田所説明員 五月十日現在で、少し古くなつておりますが、それでよろしゆうございますか。
  121. 奧村又十郎

    ○奧村委員 けつこうです。それからいま一つ、昭和二十四年度の過年度の滯納整理状況の明細、それと誤謬訂正で三百三十五億、これはほとんど税務署の決定が誤謬であつたとして訂正しておるはずですが、その内訳の資料をお願いしたい。
  122. 田所正幸

    ○田所説明員 これは非常に尨大な数量にわたつておりますので、おそらく不可能だと思います。どういう点をお調べになるのか、ポイントをおつしやつていただけば、そのポイントを考えて、簡單なものならば考えようもあろうかと思います。
  123. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私の知りたいと思いますのは、たとえば大阪局のように、徴收が五割五分しかない。あと四割五分のうち、かなり誤謬訂正として落すとすれば、大阪局の納税者は特にこれは税金を軽くするということになるので、その誤謬訂正として落した中で、税務署の更正決定が誤りであつたとして訂正しておるもの、それからほんとうに書類上の誤謬であつて取消したのか、つまり税務署の決定の誤りとして税務署自体が訂正した、これがかなり多い。多いとすれば、これは税務署が水増し決定をしたという一つの証拠になる。その数字を知りたい。
  124. 田所正幸

    ○田所説明員 それは不可能とは申しませんが、非常に困難であるし、手数がかかると思います。できますれば、大阪のどの署というように御指定願えましたならば、事務的に非常に仕合せと思います。
  125. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この六百億近くのうち、半分以上にわたるこの誤謬訂正は、ほとんど大部分税務署の決定が誤りであつたとして、税務署がこれを撤回している、こう思うのでありますが、それに間違いないか。もしそれでないとすれば、一体どういう原因でもつてこれを訂正しておるか。その原因をひとつ伺います。
  126. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 昨日来、たびたび申し上げましたように、二十二年度、二十三年度の課税につきましては、私は相当不備があつたと思います。今はつきり何パーセントが課税の誤りであつたかということは調べておりませんが、私は相当程度課税の不備があつたということはこの際率直に認めます。しかしだんだんとそれは改善されておるというふうに御了承願います。
  127. 奧村又十郎

    ○奧村委員 三百三十五億のうち相当課税の誤りであつたというものを訂正しておる。課税の誤りでなくて、誤謬訂正で落すその原因は何でありますか。課税の誤り以外の原因は何ですか。
  128. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私かただいま申し上げましたように、実体的な誤り、單なる手続の誤り、両方あろうかと思います。手続的なものは、けたが違つてつて、それを訂正する。非常に混乱しておりまして、内部の記帳も不十分でありましたから、そういう面もあつたと思います。しかし大部分課税不備のために訂正をしておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  129. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そういたしますと、これは税務署の方の誤りである。訂正した分は全部そうなんですか。税務署の誤りで訂正したんだ。納税者の誤りで訂正したのは、この中には含まれておらぬはずではないかと思うが、どうですか。
  130. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 それは全部税務署側の責任であります。
  131. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そういたしますと、この三百三十五億はほとんど全部税務署の決定が誤りであつたとして訂正した、こういうことなんですか。もしそれでなければ、そうでない理由をお示し願いたい。
  132. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 さようでございます。
  133. 三宅則義

    三宅(則)委員 奥村委員から大分明細なる質問がありましたから、ちよつと申し上げますが、私の観点では、全国で訴訟を起しておるものは二百件と聞いておりますので、各税務署から国税局の方へ審査請求にまわつておりますのは、二十四年度から五年度にかけましての四月現在どのくらいの数ですか。それを各局別にお知らせ願いたい。  もう一つは税務署に、今度は再調査ということになりましたが、再調査を申し出た者は二百万、三百万という話を承つておりますが、それ以上に審査の方に、いわゆる局にまわつたものが幾つあるか、こういうことを各局別にお願いしたい。
  134. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 三宅委員のは資料として作成いたします。
  135. 三宅則義

    三宅(則)委員 たいへんお忙がしいところ恐縮です。もう一つは、シヤウプさんがおいでになるときに、大蔵省として、試案でありましようが、これに対する改革案、あるいは税徴收に関する改革案をお示しになると思いますが、いつも官僚の方のみが折衝されて、われわれ議員の方はその結果を聞かされるだけで、これはおもしろくない。委員会とも御了解の上で審議をしていただきたいと思いますから、ぜひ主税局長の草案に対する意見を聞きたいと思うので、主税局長をあす午前中に呼んでいただきたい。     —————————————
  136. 小山長規

    ○小山委員 銀行局長にお伺いいたします。問題は預金部資金及び見返り資金の金融関係の問題でありますが、最近朝鮮事変によつて若干事情はかわつて来ましたものの、根本的にはまだ事情はかわつておりません。それは金詰まり金詰りと言われておりますのは、御承知のように民間預金の増勢が非常に鈍つて来たことが一つ、同時に政府に滯留しておるところの預金部資金あるいは見返り資金が、民間に還流されないということが一つであることは、これは與党、野党を問わず財界の常識なのでありますが、その中で特にこの際取上げて問題にしたいと思いますのは、預金部資金であります。先ほど奥村委員から質問なさいましたが、われわれが金融債の発行に関する法律を審議しましたときには、預金部資金をもつてこれらの特殊銀行の金融債を買い入れて、民間に還流するのであるという構想であつたのであります。それがその後一向実現されないのでありますが、聞くところによりますと、この預金部資金は一種の財政資金であつて従つてそれは民間産業に投資すべきではないという議論が、関係筋にあるというお話でありますが、その根本の思想について伺つてみたいと思います。
  137. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 最近銀行の債券発行に関する法律の立案と関連いたしまして、ぜひとも預金部資金でもつて金融債が引受けられるようにいたしたい、またその可能なことを信じまして、本年度の政策の基調といたしたいと考えておつたのでありますが、今日までのところまだ金融債の発行については、承認が得られないのであります。その理由につきましてもいろいろあると思うのでありますが、大体預金部資金に関する関係方面の意向といたしましては、これは国民からトラストされた資金であるから、万が一にもこれに損失を及ぼすような運用方法は避けなければならない。資金の性質がこういうことであります上に、去年の秋以来特に市場における資金については、引上げをこそ必要といたせ、特に追加して市場に資金を供給することはまだ時期尚早である。こういつた両面の思想から預金部資金はさしあたつて国債、地方債、公団等の政府機関に限つて使用しておればいいではないか、こういうように示されておるのであります。預金部資金の本質につきまして、私どもといたしましては、これはちようど貯蓄銀行に集まつた資金と同じであるから、産業界に還元することが適当である。またこうすることが財政方面の資金引上げによつて、金融を圧迫するという状態を緩和できるのであると確信いたしておるのでございます。ただいま申しましたような考えもありまして、今日まで預金部資金の還流が認められないのであります。
  138. 小山長規

    ○小山委員 預金部資金が、ただいま銀行局長の言われたようないきさつで民間に還流していない。そしてまたそれに対しては銀行局長としても相当御不満のようであります。それで、しからばこの預金部資金というものは民間に還流しないで、そのままにほうつておくとすれば、一体どういう結果に相なるか。それをこの際明快にしていただきたいと思います。
  139. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 預金部資金にいたしましても、また見返り資金にいたしましても、これらの資金が引上げられまして国庫に滯留しておるということでありますれば、市場において必要な資金は日銀の信用供與によつて、これを供給しなければならないのでありまして、その結果として日銀の貸出し膨脹、従つて市中金融機関における資産構成の不自然さというようなものを生するかと思います。
  140. 小山長規

    ○小山委員 市中金融機関がいわゆるオーバー・ローンになつておるということは現下の最も顯著な事例であります。そしてこれは市中銀行側から申しましても、現在のように預金がふえて行かない状態のもとにおいては、たとい日本銀行が再割引をする、あるいは担保で銀行に対して貸出しをするということを表明いたしましても、銀行側の方でこれは断つて行くのか実情ではないかと思う。と申しますのは、日本銀行から借りました市中銀行の金は、これは何としても返さなければならぬ。ところがその借りて貸し出したところの貸出金というものは、はたしてどういうことになるかわからない、こういう現在の状況から考えますと、市中銀行といえども需要家がいかに貸出しを請求し、またそれに対しては十分に日本銀行が再割引をするという態勢をとりましても、やはり私は貸出しというものは伸びて行かない、こういうふうに思うのであります。ところで反対に預金部に滯留しておる金が、ある形でもつて民間に放出されて行きますならば、それは市中銀行の預金という形で銀行の窓口に入つて参ります。そうすると、このようなオーバー・ローンというような問題も自然に解消して行きますし、堅実な産業に対しては銀行は喜んで貸出しをして行く。こういうふうな経済状態の循環性が出て来ると思いますが、現在のように預金部資金が滯留しておりまして、それが食糧証券その他で遊んでおるというような状態のもとにおいては、健全な金融状態というものは現出されない。そこで大体預金部の金は一体どういう方面に運用すべきものであるかという根本問題に突き当つて来るのであります。預金部の金が財政資金であるということは、実に愚の骨頂の話であると思います。これは銀行局長もお認めになつた通りに、郵便貯金が集まりましたものは、あたかも貯蓄銀行の預金が集まつておるのと同じ状態でありまして、これは政府の信用こそバツクにしておりますけれども、これは政府が強制的に取上げた金ではない。任意に預金者が預金した金であります。この任意に預金者が預金された金は、国民経済の側から言えば、国民経済に奉仕されて初めて国民の福利増進のために役立つのであります。それが今のような状態においていつまでも保留しておくという状態では、これは国民経済そのものを破綻に導く。聞くところによると現在のままでこのような預金部資金の運用の方針、つまり地方債あるいは国債に対してのみ投資しなければならぬという方針が守られて行くとしますと、三月末までには一千億に余る余裕金が、預金部に生じて来るのではないかというふうに言われておるのでありますが、この場合の処置について政府としてはどのような御方針、あるいはお考えをもつておやりになつておるのか。その点を、ちよつと横道にそれましたけれども念のために承つておきたいのであります。
  141. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 預金部資金と金融市場との関係についていろいろ御意見がございましたが、大体において御同感でございます。ただいまの預金部資金の状況につきましては——その前に本年度における増加見込みを申し上げますと、本年度中源資として九百六十三億増加する見込みを立てております。そのうち郵便貯金が四百億、簡易生命保險が百二十億等であります。これにもし預金部の持つております国債に対して債務償還が行われますならば、その額を二百八十億円といたしますれば、合計千二百四十三億、これに対しまして現在まで長期運用の確定しております数字は地方債の三百七十億であります。それでありますから年度を通じて見ますると、それ以外の金額につきましては運用の目当がないということになるのでございます。しかしこれを期間的に見て参りますと、その間にはこれが全部遊んでおるというわけではございません。たとえば最近ございます例といたしましては、地方税法の不成立に伴います地方公共団体へのつなぎ資金、それから公団に対しまする運転資金、こういうふうなものがございまして、特に最近の第一・四半期におきましては、預金部資金の市中への放出は相当活発であつたのでございます。御参考までに二、三申し上げますと、三月末におきましては食糧証券として二百六十億、当座預金としまして十九億ばかり持つてつたので、二百八十億ばかりの余力がございました。これが四月に入りまして運用いたしました金額は、長期運用としては六十六億、短期運用としては三十九億、計百六億。それから五月になりましては長期運用、短期運用合せまして四十四億、それから六月には八十九億、第一・四半期の計としましては二百四十億の運用をしておる。それに対して源資は百八十六億しか集まつておりません。この資金を調達いたしますために、食糧証券を日本銀行に買い取つてもらつたという事実があるのでございます。こういうふうに期別に見て参りますと、必ずしも郵便貯金、その他によつて資金を引上げつぱなしにするわけではないのでございますが、今年度を通観いたしますと、たとえば年度初めに出ました地方公共団体へのつなぎ資金のごときも、年度内の短期運用でございますから、年度中には回收される。それから公団も漸次閉鎖の方向に向つて参りますと、これが預金部に返金されて来るというような関係になるのでございます。     〔委員長退席、奥村委員長代理着   席〕  そこで一応の資金の見通しを立てて参りますと、第四・四半期の末におきましては、数百億に余る資金が運用未済として残つて来るという計算になるのでございます。
  142. 小山長規

    ○小山委員 われわれが一番問題にしておりますのは、年度末における余裕金の増大、従つて通貨の縮小、これを実は問題にしておるのであります。現在のところ預金部に非常にたくさんの余裕金が残つてつて、遊んでいるのでないことは承知しておりますが、今お話のありましたように、公団に対する貸付も間もなく返つて参るでありましようし、地方税が徴收されるにつれて地方に対する前貸金も返つて来るだろう。その場合その余裕金の運用については、よほど今から考えておかなければならぬ。その意味で、私は根本的な問題としては、国民の信託預金であるという点については、一応納得するのでありますが、これが地方債に対して——この際は地方債だけ問題にします。国債は大してありませんから……。地方債に対して貸出しをすればそれは安全である、金融債に対して貸出しをすればそれが安全でない、このりくつが一向わからぬのでありますが、それはどういうふうにお考えになつていらつしやるのでありますか。
  143. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 国債及び地方債につきましては、それが公共団体であつて、最終的にはその債務について外部のものに迷惑をかけることがないという前提のもとに立つているのであろうと想像されるのであります。金融債につきましては、なるほどこれを発行いたしますものは市中のプライベートな金融機関でございますけれども、わが国において実際問題としてそういうような金融機関が破綻を示して、債権の償還不能が起るようなことはないと私ども考えるのでございますが、そこはやはり公共団体と私的団体ということに対する考え方を、嚴格に区別しているためではないかと存ずるのであります。
  144. 小山長規

    ○小山委員 一応それは形式論として成立つのでありますが、地方債は地方税をとつて初めてこれは償還せられるのであります。ところが地方債が償還せられるための地方税をとるためには、地方に財源がなければならぬ。ところが現状は地方における財源は、預金部資金あるいは政府資金が民間に還元されないことによつて、漸次枯渇して行くような状況にある。そういたしますと、地方債に投資すると言いながら、片一方においては地方債の発行を停止しておる。こういうような状況においては、依然として預金部資金の還流の道はないのでありますが、これが逆に銀行債を通じて民間へ還流して行きまするならば、地方財政の財源を涵養して行く。こういう意味において現在持つておる地方債の元利償還についても安全感を與える。こういう意味から言えば、預金部の貸出先は地方債あるいは政府機関でなければならないというりくつは、どうにも通らないのじやないかと思うのであります。この点はわれわれはおそらく與党、野党を通じてこの感を深くしておると思うのでありますが、この意味においての折衝をされたことがありますかどうか。一応銀行局長関係筋との折衝において、こういうことが議題になつたことがあるかどうかをひとつ承つておきたい。
  145. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 今お尋ねになりましたその言葉通りの問答を、繰返したというわけではございませんけれども、大体安全確実ということを第一とするという趣旨から、まず国家及び公共団体に限つた方がよろしかろうということで、それ以上に話がなかなか進展しないというのが実情でございます。
  146. 小山長規

    ○小山委員 これは單なる資金の用途としての形式論で言えば、それで済むのでありますが、この預金部資金が環流しないであろう。環流しないあとの社会問題あるいは経済問題を考えてみると、相当重大な問題なんであります。つまり経済が混乱し、社会が混乱して来るということになると、もう資金の運用とかいうような騒ぎではなくなつてしまう。この点をわれわれは心配しておるのでありますから、局長におかれても、先方との折衝の際には、この資金がプールされることによつて生ずるところの日本の経済の混乱という点を、よほど先方にも認識させていただきたいのであります。ことに年度末において六、七百億円の余裕金がそのままプールされるということになれば、これは当然に通貨発行高に影響して来ざるを得ない。そこでこの年度末に、朝鮮事変がどうなるかわかりませんが、通貨の発行高が三千億を割つて、二千六、七百億円というようなことになつたときには、これは一政党、一内閣の寿命の問題ではないのであります。これは日本の経済状態の混乱というところに帰着するのでありますからして、その点は十分な認識のもとに折衝され、またわれわれもそれを側面からら助力したいと思うのであります。この点は希望として申し上げ、この程度にいたしておきます。  次には、金融問題で、現在の預金部の問題よりもさらに重大な問題は、見返り資金が放出されないということであります。現在見返り資金がいわゆる財政資金として遊んでおる金額はどのくらいでありますか、お示しを願いたい。
  147. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 けさほども御催促がありました見返り資金に関する資料につきましては、その後調べました結果、すでに国会の方にお届けしてあるということでございます。それでその資料によりますれば、六月末余裕金といたしまして、三百五十億ばかりございますが、その後なお百三十億ばかり繰入れがあつた。運用の方はほとんどないという実情で、これを合計いたしますと、約四百五十億ばかりの余裕金があつて、その大部分が食糧証券に運用される、こう了承いたしております。
  148. 小山長規

    ○小山委員 食糧証券の購買者はほかにあるのでありますから、そのようなことでなしに、この見返り資金というものは相当広範囲に使われて行かなければならぬものである。むろんアメリカの対日援助によつて得られたところの資金でありますから、連合軍の許可を要するということはもとより当然でありますが、政府としてはこれをどのようにして、適時適切に産業界あるいは民間経済に流して行くかということは始終考えて行かなければならぬはずであります。そこで先般発表になりました見返り資金でもつて銀行の増資に充てるという案が、新聞紙上に見受けられたのでありますが、あの構想は関係筋と打合せの上の発表でありますか、あるいは大蔵省自身の思いつきでありますか、伺つてみたいのであります。
  149. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 見返り資金自体のことにつきましては、実は理財局でやつておりますので、詳細存じない点もあるのでございますが、先般の新聞紙上に出ました銀行の優先株式を見返り資金で引受けるという構想につきましては、これは司令部の関係官より、大体そういうような構想についてはどう考えるかということを、きわめて非公式に当局にお話があつたのであります。従つてまだ正式の指示その他ではございませんので、大規模に公表せられること自体もいかがかと思うのであります。それに対しまして、当局といたしましては、とにかく見返り資金が市中に還元せられるということはけつこうなことである。従つてその方法といたしまして、優先株式の引受けという形になることも時宜を得たものであろう、こういう結論を出しまして、これを関係方面に申し述べたような次第であります。特に具体案が進行しつつあるという段階には達しておりません。
  150. 小山長規

    ○小山委員 当局の示唆程度であるということでありますが、この見返り資金の問題は、何とかして早急にある方法をもつて民間に放出して行くべきものであるという点については、局長も御同感のようであります。ただこの問題は、この銀行の増資優先株を見返り資金が持つという構想は、われわれも構想としては非常に賛成なんでありますが、何分この構想が実現するまでには立法的な手続もありますし、また各銀行が株主総会を開いて決議をする時間のこともあります。従つて時間的には三箇月あるいは四箇月後のことであろうと思う。それ以外の方法においても、この見返り資金が適時通切な方向に放出せられますように、国民はひたすら首を長くして待つでおるわけでありますが、それ以外には見返り資金の用途については何か構想はありませんか。
  151. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 見返り資金の配分につきましては、今年度初めの計画といたしまして、公企業四百億、私企業四百億等というわくが定められたのでありますが、それ以外に特に具体的に話の進行しておるものはないようでございます。ただ今般提案される予定になつております輸出金融公庫につきましては、ぜひとも見返り資金から資金を出してもらいたい。また中小金融の長期資金につきましても、見返り資金から出してもらいたいという希望を持つておるのであります。そうしてこれらにつきましては、見返り資金の今年度の運用計画であるところの公企業、私企業のわくをなるべく食込まないようにして、債務償還分として予定せられております五百億、そちらの方からまわしてもらいたいという希望を持つておるわけでございます。しかしまだこれも希望の程度でございまして、具体的にどのわくから幾ら出すかということは、まだ司令部でも研究中でございまして、われわれに示されておらないのでございます。
  152. 小山長規

    ○小山委員 この輸出金融公庫法は、今国会に提出の御予定のようであつたのでありますが、いつお出しになりますか。
  153. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 輸出金融公庫につきましては、先週中に各省の意見が一致いたしまして、日本政府としての一つの成案を得ましたので、昨日司令部にその案を提出し、説明をいたしました。若干の資料を要求せられまして、木曜日あたりには何らかの返答があるということであります。     —————————————
  154. 奧村又十郎

    ○奧村委員長代理 この際ちよつとお諮りいたします。それは参考人招致の件についてでありまするが、日本交通公社にからむ浮貸し事件につき、関係当局及び日本交通公社よりの出席を求め、本問題を究明いたしたいと存じます。つきましては、日本交通公社より参考人として責任者に出席説明を求めたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 奧村又十郎

    ○奧村委員長代理 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時四十一分散会