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1950-07-21 第8回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十一日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 田中織之進君       淺香 忠雄君    鹿野 彦吉君       川野 芳滿君    島村 一郎君       田中 啓一君    苫米地英俊君       三宅 則義君    西村 直己君       宮幡  靖君    宮腰 喜助君       高田 富之君    竹村奈良一君       羽田野次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      石田  正君         大蔵事務官         (管財局長)  吉田 晴二君         証券取引委員会         事務局長    湯地謹爾郎君         大蔵事務官         (国税庁総務部         長)      正示啓次郎君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局公団清         算室長)    阿部 達一君         運輸事務官         (海運局監督第         二課長)    辻  章男君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 七月二十一日  委員中野武雄君及び佐久間徹君辞任につき、そ  の補欠として三宅則義君及び島村一郎君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十日  関税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  五号)  喫煙用具に対する物品税軽減請願(上林山栄  吉君紹介)(第三九号)  酒税引下げに関する請願池田正之輔君紹介)  (第四〇号)  同(中野武雄紹介)(第四一号)  同(小金義照君外二名紹介)(第四二号)  同(淺利三朗君外七名紹介)(第四三号)  同(小峯柳多君紹介)(第四四号)  同(植原悦二郎君外二名紹介)(第四五号)  同外一件(増田連也君外二名紹介)(第四六  号)  同(松澤兼人君外一名紹介)(第四七号)  同(藤枝泉介君外一名紹介)(第四八号)  同(根本龍太郎紹介)(第四九号)  同(飯塚定輔紹介)(第五〇号)  同(廣川弘禪君外十五名紹介)(第八四号)  同(多田勇君外八名紹介)(第八五号)  同(木下榮君外二名紹介)(第八六号)  同(中村幸八君外二名紹介)(第八七号)  同(細田榮藏君外一名紹介)(第八八号)  同(山口六郎次紹介)(第八九号)  同(古島義英君外一名紹介)(第九〇号)  同(福永健司紹介)(第九一号)  同(東井三代次君外二名紹介)(第九二号)  同外一件(橋本龍伍君外五名紹介)(第九三  号)  同(門脇勝太郎紹介)(第九四号)  同外一件(島田末信君外二名紹介)(第九五  号)  同(岩本信行君外二名紹介)(第九六号)  同(福井勇紹介)(第一二七号)  同(奧村又十郎紹介)(第一二八号)  同(多武良哲三紹介)(第一二九号)  同(久野忠治紹介)(第一三〇号)  同(千賀康治紹介)(第一三一号)  同(大野伴睦君外二名紹介)(第一三二号)  同(川野芳滿君外五名紹介)(第一三三号)  同(塩田賀四郎君外九名紹介)(第一三四号)  同外三件(玉置實君外二名紹介)(第一三五  号)  同(高間松吉君外一名紹介)(第一三六号)  同(青木正紹介)(第一三七号)  地方税法案不成立に伴う預金部資金融資利子の  国庫負担等に関する請願神田博紹介)(第  七六号)  同(江崎真澄紹介)(第七七号)  畜産課税適正化に関する請願大野伴睦君紹  介)(第一二四号)  揮発油税軽減に関する請願畠山鶴吉紹介)  (第一二五号)  同(岩本信行紹介)(第一二六号)  の審査を本委員会に付託された。  所得税申告納税適正課税等に関する陳情書  (第二号)  農村及び中小企業融資対策に関する陳情書  (第一一号)  未復員者給与法の一部改正に関する陳情書)  (第一九号)  名古屋財務局静岡支部及び静岡清水両税務署を  関東地区に編入の陳情書  (第二三号)  葉たばこ耕地増反に関する陳情書  (第二八号)  陶磁器製品に対する物品税撤廃陳情書  (第五六  号)  商工会議所に対する物税、市民税及び土地家屋  税免税陳情書  (第五七号)  特別未帰還者給与法適用範囲拡張に関する陳  情書  (第五八号) 本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二号)  関税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  五号)     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  昨二十日本委員会に付託されました関税法の一部を改正する法律案議題として、まず政府説明を求めます。     —————————————     —————————————
  3. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました関税法の一部を改正する法律案について、提出理由を御説明申し上げます。  今回改正しようといたしますおもな点は、次の二点であります。  その第一点は、税関職員がその職務を行うにあたつて、武器を携帯することができる規定を設け、最近特に凶悪化しつつある密貿易の取締りの徹底をはかろうとするものであります。  その第二点は、私設の保税地域等に対する税関官吏の常時派出に関する従来の規定整備するとともに、その定員については、派出職員の特質にかんがみて、これを定員外といたそうとするものであります。  以上が本法律案提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に前会に引続き、証券取引法の一部を改正する法律案議題として質疑に入ります。
  5. 高田富之

    高田(富)委員 この法律実施を予定いたしまして、現在の証券業者のうち、大体数にしましてどのくらいのものが、欠格者になる予定でありますか。
  6. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 現在の証券業者の数はこの六月末で千八十三あります。それから今の御質問趣旨は、この法律を施行すれば、現在の証券業者のうちで適格性を欠くものはどのくらいあるか、こういうお話のようでありますが、これはさしあたり現在の業者につきましては、この附則の2にあります通り、この法律の施行の日から二年を限つて適用しない。言いかえれば経過規定を置いております関係上、この法律適用によつて、ただちに不適格になるという者は出て来ないわけであります。新しく始める証券業者について、資本金の制限というようなことが適用されることになるわけであります。
  7. 高田富之

    高田(富)委員 もう一つお伺いしたいのですが、最近日米合弁証券会社をつくるというようなうわさを聞きますが、それは根拠のないものでありますか。それとも、もしあるとすればどんなふうな動きになつておるか。わかつておる範囲でお答え願いたいと思います。
  8. 西川甚五郎

    西川政府委員 私もそういううわさを聞いたのでありますが、実際にはそういう問題は何も起つておりません。
  9. 高田富之

    高田(富)委員 それではついでにお伺いいたしたいのですが、今後こういうような法律も出て、いろいろと条件等もむずかしくなつて来る。やはり相当資本力を持つて大きくやつて行ける力のあるものが、中心になつてつて行くことを育成する法律だと思いますが、そういう点からいつて今後やはり外国方面からの相当資本の力が、そういう点では相当の役割を果すということが予想されるのですが、当局としてはそういうことを予想し、あるいはむしろでき得る限りそういう方面も促進する考えでおりますか。
  10. 西川甚五郎

    西川政府委員 今度の定めまする資本金額で押えようというのでありますが、それは地域的に外国資本を入れなくても行ける資本額によつてなされるのでありまして、今の貨幣価値から見ますとしたならば、そう大きいものではないと思います。その点において外国資本をここで注入するという必要はないと思います。
  11. 小山長規

    小山委員 ただいまの高田君の質問と関連するのでありますが、現在の証券業者は、法律によつて今後何箇年間は一定基準まで来なくてもよろしい、こういう規定になつておりまするが、この何箇年後において適格性を失うであろうような状態証券業者というものは、現在何店ぐらいありますか。
  12. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 これはなかなかむずかしい問題であろうと思いますが、現在の証券業者の中でも、ここ数日来取引相当活況になりましたが、それまでの業態では、やはり全国にある程度多数の事実上休業をしているというような証券業者があります。これはやはり取引量が十分でないために、日々の営業の収支が赤になるというような関係もあつて開店休業をしている店があります。そういうような店はおそらくこの二箇年の間に、一定資本金額に達するということが困難になろうと思います。そのほか現在の法律に基いて検査をいたしました結果、やはり取消しをしなければならないという業者も幾らかはあろうと思います。今そういうような資料証券業者整理の問題と関連いたしまして、集めておるような状態であります。
  13. 小山長規

    小山委員 聞くところによると、この業者整理について当局においては、何か腹案があるように聞いておるのでありますが、どのような方法でもつて開店休業ではなくて、現在開店はしておるけれども純財産が少い。赤字が多い、あるいは債務が多過ぎるというような会社を、金融的な措置あるいは債務肩がわりというような方法で、これを逐次内容を堅実にして行くのに、政府においてある程度の助力をしようというようなお考えがあるやに聞いておるのでありますが、その内容について御発表できたら伺いたいと思います。
  14. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 証券業者整理の問題に関連して、証券業者に対してどういうようなことを考えているかという御質問でありますが、これはただいまのところこういうようなことを考え、またそれを関係方面といろいろ話し合つて、具体的に準備しておるわけであります。それはこの席でこの前お話申し上げたかと思いますが、現在の証券業者の数が、最近までの株式取引量に比べまして多過ぎるという点がありまして、これは証券業者の数が減つて取扱い手数料でも営業がやつて行けるという程度になることが一番好ましいのでありますが、この整理の問題につきましては、委員会の方といたしましては証券業協会並びに証券取引所、これはおのおの実施機関でありますが、この協会なり取引所なりにおきまして、お互いに自主的にその整理計画を立てるということを勧奨しておるのであります。  それから証券業者資産改善等に対しまする手続といたしまして、まず証券業者の持つておりまする営業用不動産資金化する。そうして今まで不動産があまり活用されておらなかつたのでありまするが、この整理の問題と関連いたしまして、不動産資金化して、その金でもつて証券業者の従来の高利債をかりかえるとか、あるいは運転資金をゆたかにするというようなことを考えております。  それからいま一つ証券業者資産内容をよくする意味において、あるいは減資する者もあります。減資してまた増資する者もある。そういう者に対しまする増資資金に対しまして、金融をつけるように関係方面にあつせんをしておる、こういつたことが今さしあたり考えてやつておることであります。
  15. 小山長規

    小山委員 不動産資金化するということでありますが、これはどんな方法でこれを勧奨されるのか。またその資金の源でありますが、どの方面からそういう金を持つて来ようとされるのか。またその金額はどの程度かわかりませんか。
  16. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 不動産資金化方法としてただいま考えておりますのは、勧業銀行中心にして、各証券会社所有不動産に対して融資をしてもらうということを、勧業銀行及び日本銀行方面に交渉しております。金額につきましてはまだはつきりきまつておりません。
  17. 小山長規

    小山委員 増資の方はどうですか。
  18. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 増資の問題も、証券業者の自主的に考えております整備計画がまだ出ておらない関係上、この金額もまだ出ておりません。
  19. 宮腰喜助

    宮腰委員 今の問題に関係した質問をいたします。現在の東京市場取引員の中でも有力なる証券会社があります。そういうような有力な会社資産内容について、われわれの常識から考えても、ほとんど五十万円以下になつておる会社が何社かあるようです。こういうような会社に対しましては、あるいは増資する必要もあるのじやないかと考えるのですが、おそらくそういう証券会社増資することはとうてい不可能ではないか。またこれに対し、今の小山委員質問に対して、局長営業用不動産資金化して行くと言われましたが、資金化もただ慫慂だけであつて、具体的にどういうような方法で交渉しておるか。今日勧業銀行にしてもそういう資金化が非常に困難なようでありますが、これを具体的に現在交渉しておりますか。あるいはまた会社側の方でも積極的にそういうことに出ておるかどうか。現にある有力証券会社は、ほとんど五十万円ぐらいで、塗炭の苦しみをしておる会社もあるようです。この点について、もう一回お願いいたします。
  20. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 各証券会社が具体的に銀行と交渉をしているという段階には、まだ参つておりません。と申し上げますのは、やはりこういうような融資をあつせんするというのは、一面証券業者整備の問題と関連して参るのでありまして、その整備計画と並行してそういう融資の問題が起つて参ると思います。ただそういうような場合に、勧業銀行等不動産融資をしてもらうという原則の問題につきましては、すでに了解を得ておるわけであります。
  21. 宮腰喜助

    宮腰委員 この五十万円以下の資産整理されるような会社では、もちろん一般の小さな証券会社であり得る場合もありますが、この際大きな証券会社で、おそらく五十万円以上になつておる資産状態会社も大分あるようです。この場合に、そういう小さな証券会社と大きな証券会社とどういうように取扱つて行くものでしようか。こういうような場合には一般債権者保護の立場から、大きい証券会社の方が被害が大きいから、こういうような大きい証券会社を優先的に保護して行くというようなことでございますか。その点をひとつお願いします。
  22. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 投資者保護という観点から見ますと、大きな会社がもしつぶれるといたしますれば、その影響する範囲が大きいのであります。そういうような意味からいたしましても、できるだけ大きな会社がつぶれて、多数の投資者に迷惑をかけないということに、まず重点を置かなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。
  23. 宮腰喜助

    宮腰委員 そうすると、実質的に大きな証券会社と小さな証券会社とは、やつぱり差別をする。資金関係営業用不動産を担保化しようという場合に、両方を差別をして行こうというお考えでしようか。
  24. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 融資をするとかいう場合に、これは別段その差別はないと思います。
  25. 宮腰喜助

    宮腰委員 私はこの際、ひとつ根本のことをお伺いいたしたいと思います。今まで証券業者というものは金融難で困つておるということを、たびたび聞いておつたのでありますが、今日の活況を呈するに至りまして、金融難ということは解消いたしたと思つておりますか。しかもまた現在どのくらいの金融が必要であると思つておられるか。その辺をひとつ承りたい。
  26. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 現在証券界活況を呈している。証券会社は従来金融難言つてつたが、どういうわけでこういう活況を呈するか、また金融難とすればどれだけの金がいるかという御質問でございますが、御承知通り昨年末ごろから各取引所の所在地に、証券金融株式会社というのができたのであります。東京では二億五千万円の資本金大阪では一億万円、名古屋では五千万円、神戸で五千万円、大体そういうような取引所の規模に応じた資本金を持つた証券金融会社ができまして、そうしてそういう金融会社に対して各市中銀行が共同融資して、その資金でもつて証券担保金融をやつておるのであります。最近取引高が非常に多くなつた点は、証券会社自身の金を使うと言うよりは、株を買う人が証券会社のあつせんによりまして、証券金融会社融資を申し込んで、それで株を買うというような意味で、日本証券金融会社資金も、ほとんど枯渇するくらいに使われておるのでありますが、これも取引量が多くなつた一つ原因であろうかと思います。そのほかに、先週の金曜日ごろから大衆の買付も入つておるということが、これが大きくなつた原因であろうと思います。それから今後の金融をつけるというような意味におきましても、今までの証券金融では十分でないというふうに、われわれは考えておるのでありまして、できるだけ証券業者自体に対しましても、低利の金で融通をして高利の金を借りかえる、あるいは証券金融株式会社自体に対しましても、この貸付資金を充実するというようなことが必要ではないか、こういうふうに考えております。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員 先ほど小山委員並びに宮腰委員から御質問がありましたが、現在の証券取引法におきまして純資産金が五十万円以上ということになつておりますが、これははなはだ少な過ぎるということを私どもはかねてから考えておる。第七国会におきましても痛烈にこの点を政府迫つたのでありますが、多分純資産五十万円でよかろう、こういう説明があつたわけでありますが、私はむしろこれよりも増大する必要があると思います。現在政府といたしましては、現在の各業者資産内容について調査資料があるはずだと思つておりますが、どのくらいの平均になつておるか、これをこの際承ることができれば仕合せであると思います。
  28. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 この純資産計算は、各証券会社純資産について、最近の数字は実はまだ集まつていないのであります。というのは、この純資産計算というのは毎日々々かわるわけであります。その持株の評価が動くたびにもかわり得るのでありまして、委員会としては大体毎月末の報告はとつておるのでありますが、御承知通り、中にはこの純資産を割つておるのも相当あります。この純資産の問題につきましては、前の国会三宅さんからいろいろお話があつたのであります。われわれ当時といたしましては、純資産というものは証券業者営業を営んで行く上において、少くとも五十万円はしよつちゆう有して行かなければならぬというふうに考えておるのでありまして、ただ初めて証券会社をつくるというような場合におきましては、別に不動産を持たなければ、あるいは別に所有株を持たなければ——極端に言いますれば、純資産五十万円でも場合によつては維持し得るというので、最初の登録する際に五十万円の純資産額を有しなければならぬということになつておりますが、これはあまり資産内容がよくない証券業者も加わるということをおそれまして、今回資本金の方からもこれを制限しようというふうに、改正案を出したような次第であります。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員 今資本金をどのくらいにいたそうと思つておるか知りませんが、私どもは今後は相当増額してもらいたい。資本金のみ増加しても、債務がふえて純資産がゼロになつても困るのでございますが、その兼ね合いというものを政府としてもお示しになることが必要であろう。ただ漫然と高くするということでははなはだ不見識きわまると思う。  次にもう一つ関連してお聞きしておきたいことは、私どもは常に経済界の安定を期し、また向上をはかりたいと念願いたしております。取引委員会では常々月報をとり日報をとつておることと思つております。資産内容の悪化しておるような場合におきましては、厳重に警告を発し、もしくはこれに対して注意を促すことは、当然の任務であろうと思います。ところが今まで注意を促したことがあるかないか。もしないといたしますれば、怠慢ではないかというふうに私どもは思う。これらの点についてひとつ明確なる御指示を願いたい、かように思います。
  30. 西川甚五郎

    西川政府委員 お答えいたします。資本金基準はまだはつきりきまつておりませんが、かようにかえたらどうかと思つております。有価証券の引受をいたします会社がざいますが、これを三千万円、東京大阪そのほかの地域、こういうふうにわけまして、東京都は大体証券取引会員であればこれを千万円くらいにしたらどうか、また非会員ならばこれを五百万円くらいに持つてつたらどうか、またそれ以外の名古屋というような地方になりますと、大体これも五百万円くらい、もう一つ地方になりますと、三百万円から二百万円くらいの間がどうかというふうに今考えております。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は今の資本金を増大せられるという点は、はなはだけつこうだと存じます。ただ私は先ほども注意いたしましたが、証券取引委員会業態に対する注意警告を発する任務があると思う。今まで警告を発せられたことがありましようか。ないでありましようか。もしないとすれば証券取引委員会として、はなはだどうも監督不行届きのそしりを免れないと思いますが、これについての答弁を承りたい。
  32. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 証券取引委員会は常に証券業者を監督しております。そして始終検査官を派遣いたしまして、証券業者検査を実行しております。その検査の結果資産内容が悪いとか、あるいは法令に違反した事項があるというものに対しましては、業者を呼びまして——これを審問言つておりますが、審問をやつて、そうして処分するものは処分をする、こういう手続でやつておるのであります。最近はほとんど連日審問をやつているというような状況であります。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はもう三点ばかりありますからごしんぼう願いたい。前国会株式名義書換に関する法律案が出まして、それが廃案になつたわけでありますが、今度政府はこれに関連するような法案を次の国会に出すような用意をいたしておりますか、どういう考えですか、承つておきたいと思います。
  34. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいまのところはそういう考えはいたしておりません。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員 これははなはだ露骨な例でありますが、今証券取引委員会のいろいろの案がありますが、場を通さずに私的にやつているところがあると聞いておりますが、はたしてありましようか。その辺を証券取引委員会は監督せられつつあるものと思いますが、いかがになつておりますか承りたい。
  36. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 今の御質問趣旨はよくわからないのでありますが、取引所会員が場を通さないでやる、こういう意味でしようか。非会員でありますれば、これは取引所を通じなくてもいい建前になつておるのであります。会員上場証券についての売買という場合には、取引所を通じてやらなければならないので、取引所を通じないでやるような例はない、こういうふうに考えておりますが、御質問趣旨が十分わかりませんですが……
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員 会員以外の者はやりませんか。
  38. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 会員以外の者は売買をする場合に、取引所を通じなくても、また通ずるわけには行かないわけであります。その場合のことでしようか。その点よくわかりません。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員 会員外でやつておるものもあると思つて聞いておりますが、そういたしますと、そういうものは場を通しませんから、口銭などは入らぬかと思いますが、その辺の事情を承りたい。
  40. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 会員外証券業者証券売買をする場合には、会員のように特別の手数料ということはきまつておりませんが、これは仕切り売買をやりまして、その売買をする値段の中に口銭と言いますか、手数料と言いますか、それを込めた値段で売つたり買つたりしておる、こういうわけであります。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一つだけで質問を終ります。私は現段階におきまして、証券の民主化ということについて賛意を表するものでありまして、今までの結果から見まして相当数の人が株を持つておると思いますが、実際全国民といたしましてどのくらい民主化されたものでありましようか。たとえて申しますと、戦争中はこのくらいになつた、戦後はこのくらいに進歩して来て、現在はこういうぐあいに発展して来た、こういうことを証券取引委員会では調べておると思いますが、どのくらいになつておりますか、ちよつと承りたい。
  42. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 お答えいたしますが、今の御質問は実は非常に必要な調査ではあるのでありますが、ざつくばらんに申し上げますと、この調査が非常にむずかしいのでありまして、同じたくさんの会社の株主の中から、同じ人の持つている分を集計しないと実は出て来ないのですが、大体の達観といたしまして、証券民主化の結果と申しますか、戦前に比べて約倍くらいになつているのではないか、こういう大よその達観は持つておりますが、具体的に何百万人という数字はただいまのところ持つておりません。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員 おそくなりましてはなはだ恐縮ですが、その辺をよく調べておかないと、実際に証券民主化が徹底しておるかどうかということがはつきりしないわけです。ぜひ最近の機会にそういうものを調べまして、特に大蔵委員会くらいにはお配り願つて、われわれといたしましても証券民主化議員連盟の一員にも加わつておることでありますから、適切なる方策を示して、われわれと協力せられんことを特にお願いする次第であります。
  44. 宮腰喜助

    宮腰委員 簡単に三点お伺いいたしますが、現在の朝鮮事件があつて以来、株価も順調に上昇しつつあるようで、また大きな値幅の動きも少いので、金融状態も順調でないかと私は考えておるのですが、この問題に関連しまして、前国会において池田大蔵大臣は、証券対策の問題では、政府でやるところの証券保有金庫と言いますか、そういうものはいかぬけれども、民間でこしらえるところの証券保有会社に対しては、見返り資金なり適当な資金融資する。これによつて対策を考えて行きたいということを、はつきりこの委員会で言明しておつたのです。ところがその当時すでに大阪東京証券金融会社ができておつたのですが、池田大蔵大臣の考えておられる証券保有会社を、今後やるお考えがありますかどうですか。その点お伺いいたします。
  45. 西川甚五郎

    西川政府委員 たいへんけつこうなお話でありまするが、現在のところ政府資金を出しましてやつて行くことは、ちよつとむずかしいのではないかという考えでございます。
  46. 宮腰喜助

    宮腰委員 これは税金に関する株価対策の問題ですが、私この委員会からたびたび日本橋の税務署の署長や法人係長に会いまして、譲渡利得税の捕捉の問題で交渉に行つたことがありますが、その当時税務署長やまた法人係直税課長の意見では、とうてい譲渡利得税というものはとり得ないのだ、従つて移転税をつり上げた方が株価対策としてもいいし、とりいいということを言つておられたのですが、こういう問題について取引委員会では、税務署なり国税局と交渉したことがありましようか。
  47. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 委員会といたしましては、健全な投資家が株式に投資するということは非常に望ましいのであります。しかし一面、税の問題ということも非常に重要な問題で、理論を通すという意味においても、この譲渡利得税を徴収するということは、やむを得ないのじやないかというふうに考えておるのでありまして、この問題につきましては、いろいろ主税局等とも話し合つたことはあるのでありまするが、ただいまの通りになつておるわけであります。
  48. 宮腰喜助

    宮腰委員 それからこれも税に関する問題ですが、富裕税の問題であります。この前に局長さんにもお話をしたことがありますが、大阪証券業者国会との懇談会の席上で、高橋理事長からも富裕税の問題でお話があつたのです。富裕税の場合にもし現金を調査しないと、持つている株券を投げ出して、現金をたんすの中にしまつてしまうというようなことのために、株価が暴落する危険があるのじやないか、こういうことで大阪証券業者はぜひこの問題について、委員会並びに関係当局に聞いていただきたいということがあつたのですが、富裕税の現金調査の問題について、取引委員会で何らかそういうことを研究されたことがありましようか。これも株価対策にある程度関係のある問題だと思う。
  49. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 富裕税に関しまして、なかなか現金類の調査が困難であるというところからしまして、お話のように富裕税は毎年ちようど十二月三十一日現在の財産額を押えまして、課税する建前からいたしまして、その前後に現金化が行われはしないかという心配が大分あるようであります。これは実際問題としては結局若干そういう傾向は免れないと思いまするが、程度といたしましてどの程度になりまするか。富裕税の負担等の関係もあわせて考えてもらいますと、さほどなことはないのではないかと考えます。この前の財産税でございますと、御承知通り最高は九〇%まで課税する。中間におきましても相当な高税率でございましたが、今回の富裕税では御承知通り比較的低率である。そのかわり年々課税いたします。一種の所得税の補完税でございまして、これがためによほど変なことをして、むりなことをするということになりますと、逆に、いつかシヤウプさんが言つたように、損をするというような場合も出て来ますので、そうはげしいことが起ることはないのではないか。むしろ所得税等の課税を免れるために、あるいはあわせてそういうことをやる場合も考えられるかと思います。さような点につきましては御承知通り、今回大所得者と申しますか、所得で七十万程度以上の所得者につきましては、毎年バランスを出してもらいまして、それによりましてできるだけ財産の移動等をとらえて行くというような方法も講じておりますし、大所得になりますと納税者の数が比較的少数でありますから、調査の徹底をはかりますれば、それほど顕著な傾向になるようなことはないのじやないかと考えております。ただ、富裕税は実施しておりまするが、一ぺんも課税の時期がございません。今年の暮れに初めて課税になるわけでありますから、そういう際の状況ともにらみ合せまして、できる限りの対策は講じて参りたいと考えている次第でございます。
  50. 宮腰喜助

    宮腰委員 ついでに主税局長にお願いがあります。株を買つた場合、その株を買う金をどこから持つて来たかというので、盛んに税務署でつつつくので、株を安心して買えないと大分心配して、証券業者もぜひあまりそうむりな取調べをしないようにということを言つておられます。この点について何かお考えがありましたら伺いたい。
  51. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 税務署におきまして、所得の適正な調査に努めるということは、職務上当然やるべきでありまして、調査の手がかりといたしましては、やはりいろいろな資料を集めまして、それによつて調査の完璧を期するのは当然の職務であろうと思います。はたして納税者が申告された所得額が正しい所得額であるかどうか、いろいろな見地から資料を集めまして取調べるわけなのでありまして、こういうやり方をやめろというのはどうも少しどうかと思うのでございます。ただあまり微細なものまで一々調べまして、実益のないむだなことをやるのは、忙しい際でもございますのでその必要はないと思いますが、相当まとまつたような場合におきましては、やはりそういうものにつきましてはよく内容を調べ、あくまでも適正な課税をすることに努力すべきじやないかと考えます。
  52. 田中織之進

    ○田中(織)委員 すでにほかの方からあるいは質問をされたかもしれませんが、一、二点伺います。投資家を保護するという見地から、証券業者の登録制度を整備するという趣旨は、われわれ賛成するものでありますが、問題はこういう証券業者資産内容、その他の確実性を期するという消極的な形ではなく、もつと積極的に取引員の資力を充実する方が、ほんとうの意味における投資家の保護ではないかと思うのです。そういう見地からこの間も、一昨日でありましたか、大蔵大臣にお伺いしたのでありますが、大蔵大臣は株式市場の問題については、できるだけ政府はあまり手を下さない方がいい。しかしながら取引員の資力を充実するという面について、必要があれば国家資金をその方面に融通するということについても、考えて行かなければならぬ。こういうお話があつたのでありますが、この際まず第一にお伺いしておきたいのは、その取引員の資力の充実という面において、大蔵省として積極的にどういう手を打たれようとしているか。率直に申しますならば、証券金融の改善問題につきましては、さらにどの程度積極的な施策を講じられようとしておるか。
  53. 西川甚五郎

    西川政府委員 現在の証券会社には相当資産内容が悪いものもあります。それで何といたしましても田中委員のおつしやる通り資産内容をよくしなければならぬための不動産金融、これがまず第一に必要だと思います。また増資につきましても、何とかして内容をよくしようとするよりほかに方法がないと思います。ほかにコール・コンパニーというようなものをつくりたいと思つておりますが、これもやはり折衝がうまく行きませんし、結局現在やつております以外には、まず第一に不動産の担保をもつて資金を動かしたい、こういう考え方をいたしております。
  54. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私のお聞きしたいのは、そういう不動産担保による資金の充実をはかるということも、一つ方法には違いないだろうとは思いますが、それよりももつと積極的な方法が必要じやないかと思うのです。ことに取引員に対する融資関係等の回収の問題につきましては、やはり取引所を通ずる一種の天引き制度が徴収というか償還の方法においては一番確実な方法じやないかと私は思うのです。そういう面でもつと思い切つて政府資金のこの方面への放出が一番必要じやないか。ことに今度ちよつとおちつき出したようでありますけれども、最近にありましたような一種のブーム的な株式市場の活況を呈するというようなときには、特にそういうことが機動的に行われる必要があるのではないか、こういう意味で申し上げているわけでありますが、この点については別途われわれのつくつている証券民主化議員連盟においても、ひとつ具体的な考えをまとめまして、当局と折衝いたしたいとも考えておりますので、それ以上追究することはここで控えたいと思います。  先ほど宮腰委員質問にありましたように、たとえば見返り資金関係による証券保有会社、そういうようなものの設立も、従来大蔵省並びに証券委員会等の方でお考えになつてつたと思うのです。ところが見返り資金関係を、ただちにそういう証券方面に運用するということについての最終的な了解が得られなかつたので、立消えになつているようにも聞いているのであります。これには賛否の両論がわかれているやにも聞いているのでありますけれども、こういうような面もほんとうの意味において、積極的な施策としての大衆投資家の保護ということに帰着すると思う。こういう方面についての研究なり、あるいは急速なる処置をお願いしておきたいと思います。  なおこれは東京の場合の例でけつこうです。また一段階ではないと思うのでありますが、この資本金額及び資産の額について、証券取引委員会が公益上投資家保護の見地から、取引委員会規則で定める額に満たないもの云々ということがありますけれども東京の場合は、これは現在幾段階にわけているのか、またどの程度の額を最低の必要額としているか、規則による金額の決定が行われているものと思うのでありますが、数字について伺いたいと思います。
  55. 西川甚五郎

    西川政府委員 この問題につきましては先ほどちよつとお答えいたしましたが、もう一度申し上げます。有価証券の引受けを営業といたしまする会社は、大体三千万円以上のものをというような考えでおります。また東京方面におきましては、証券取引会員は千万円、それからそれ以外の非会員は五百万円くらい、こういうふうにしたいと思つております。その他の取引所のありますところの大都市は会員を大体五百万円、それから非会員を三百万円、その他の小さな地方におきましては、大体三百万円か二百万円くらいの間できめたらどうかという考えを持つております。
  56. 田中織之進

    ○田中(織)委員 よろしゆうございます。
  57. 淺香忠雄

    ○淺香委員 この法案提出された根本理念について一つお伺いしたいのですが、先ほどからの質疑応答を聞いておりますと、政府委員からの答弁では、最近ではなく、従来取引高というものがあまりに少な過ぎた。それに対して現在では反対に業者が多すぎるというようなお話がございまして、それを抑制する目的、少くとも今後あまりこれをふやさないというような御方針でありますか。やはり進んでこの際にこれを積極的に整備して行く、こういう方針でありますか。昨今の出来高を見ておりますと相当多量に取引ができております。この昨今の状況を勘案しつつ、そうしてただいまにしましたように、現状のままであまりふやさないという方針をとるつもりであるか。それとも一歩進んで積極的に整備を目的としたところのこの法案提出趣旨なのか。この二つの問題について、どちらに重点を置いておられるか承りたい。
  58. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 今度の法案を出した目的が、積極的に現在の証券業者整備する趣旨か、あるいは現状をあまりふやさないという意味の消極的の目的を持つているのか、こういう御質問だと思いますが、証券業者整備の問題につきましては、委員会としてはまず業界なり取引所が、自主的に計画を立ててやつてもらいたいというような考え方であります。従つてこの法律を出すことによつて、積極的に整備をするという目的はないのでありまするが、一面証券業者が自主的にでも整備をしようとしている矢先、現在のような登録制度で、片一方に新しいものがふえるということは好ましくないということと、もう一つは、新しくふえる以上はりつぱな証券業者がでて来てもらいたい、こういうような趣旨でこの法案をだしたわけであります。
  59. 宮幡靖

    宮幡委員 大体この法案の審議も尽されたことと思いますが、一点だけこの際明らかにしておきたいのであります。政府委員からの御説明で、もうその言葉の中に私のお尋ねしようとすることが、関連的に説明されているかもしれませんが、この改正によりまして、登録を拒否する規定を設け、または資産状況等を大いに勘案するようになつたわけでありますが、これをもつと突き詰めて考えてみますると、登録拒否というような微温的な措置でなく、もう一歩進みまして、これはもう免許制にすべきであると私は考えます。もしまだ免許制にすることがいけないという流れがあるとするならば、むしろ自由登録ということの方がまさるのではなかろうか、かように考えております。従いまして関係方面とのいろいろな御交渉もあろうと思いますので、将来におきまして、これを免許制にするのだというようなお見通しを持つているか。あるいは関係方面との現段階の交渉は、どの程度までお進みになつているか。おさしつかえない程度におきまして、当局のお考えと見通しをお知らせいただきたいと思います。
  60. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 証券業者営業をする場合に、自由登録か、免許制にするかという問題でありまするが、これは実はこの証券取引法の前に、やはり証券取引法ができておつたのでありまして、これは実施を見ずに、今度新しい証券取引法になつたのでありますが、そのときには証券業者は免許営業になつてつたわけであります。そういうような意味で、われわれといたしましても、当初から免許制にすることを望んでおつたのでありまするが、当時関係方面との折衝でうまくゆきません関係上、アメリカ式の自由登録制ということにしたのであります。しかし最近関係方面におかれても、日本の実情をだんだん認識していただき、登録制度にすることもやむを得ないであろうというようなことになつておるのであります。この点実はわれわれといたしましても、この際登録制にすることは望ましいのでありまするが、何分本国会が臨時国会であり、自由登録制にするということは、制度の切りかえでもあります関係上、この国会提出することは穏当でないということで差控えたような次第であります。今後としてはそういうふうにしたいというつもりはもつておるわけであります。
  61. 三宅則義

    三宅(則)委員 皆さんの御質問があるかと思いまして控えておりましたが、皆さんがないようですから、もう一点だけお伺いいたしておきたいと思います。というのは、証券業者営業保証金の問題であります。これは相当の保証金をとつているものと思うのでありますが、この金額等を伺いたい。  次に保証金に充てまするのは国債もしくは現金だと思いますが、この分布状況を伺いたい。その次には、「地方証券、特別の法律により法人の発行する債券又は社債券」と書いてありますが、その割合がもしわかりましたならば、この際伺つておきたい。別に政府を困らせるのではありませんが、内容を知つておくことが必要だと思いますから、もし資料がありましたら、この際お伺いしておきたい。
  62. 湯地謹爾郎

    湯地政府委員 証券業者営業保証金の問題は、従来の法律で定められておりまするが、本店については十万円、支店その他については五万円、こういうことになつております。そしてこれは現金で納めるのが建前でありまするが、国債証券をもつて代用することができるということになつております。御承知通り現在の国債は、相当償還されて参つておりますし、またこの場合において、ほかの担保に使う必要もあると考えられますので、今回の改正におきまして、地方債については全部、それから特別の法律によつて発行される債券、たとえば銀行金融債というようなもの、それから社債につきましてただいま考えておりますのは、日本銀行で優遇しておりますいわゆる優遇社債というようなものを入れたい、こういうふうに考えております。
  63. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本案に関しては、ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御質疑がなければ、本案に対する質疑は打切りたいと存じますが、この点異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議がないようでありまするから、さよう決定いたします。  これより証券取引法の一部を改正する法律案議題として、討論、採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。高田富之君。
  65. 高田富之

    高田(富)委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本案に反対の意思を申し述べたいと存じます。  第一に、この一証券民主化ということを政府においてはかねてから主張いたしまして、実行して参つたのでありますが、この状況を見ますと、結局におきまして政府は、一方ではいわゆるドツジ・ラインによる金融の引締め、金詰まり政策を強行いたしまして、企業は資金の調達に非常に苦しみまして、増資にたよるよりほかには方法がないということになり、各方面相当活発に増資が行われるようになつたのでありますが、民主化の宣伝によつて、零細なる大衆のふところから資金を集めまして、これらの増資を行つて参りました。この過程におきまして、政府は持株委員会等の保有証券の放出等も行いましたが、いよいよこの株価の暴落に際会いたしましても、これらの大衆の持ちました株式値段の急落による不測の損害に対しまして、ほとんど妥当な措置を講ずることをしなかつたのであります。こういうふうな状態で、株式恐慌はずつと最近まで進化の一途をたどつて参りました。その犠牲はまつたくこの零細なる大衆に嫁せられたのであります。そうして大衆の保護を名とし、投資者保護ということを名といたしまして、今回ここに出ましたような証券界の企業整備ということを実行して参り、今後もやろうとしておりますことは明らかでありますけれども、このようなことによりましては、実際に大衆の投資者の保護にはならないのであつて、まつたく単なる美名に隠れまして、今日までやつて参りました財政経済政策を、一方においては推し進めて行く。そうして中小証券業者もまたこのための犠牲に供せられて行く。また今後といたしましては、先ほど来の各委員の御質問にもありましたように、あるいは見返り資金が使用され、あるいは日米合弁会社うわさが飛ぶというようなわけでありまして、有力な外国資本が次第にこの方面にも入つて参りますことは、想像にかたくないのでありまして、すでに外資導入法あるいは交換円制度というようなものも用意されて参つておりますので、今後はこうした過程におきまして、おそらく外人筋による日本の有力株の買占めというような事態も、起つて来るのではないかということを想像するわけであります。従いまして私どもは、こうした方法で、結局大衆が犠牲になり、結果においては日本の少数の有力資本家及び外国資本家の手に、わが国の証券界が牛耳られるということを考えざるを得ないのであります。かような意味におきまして、本案に反対するものであります。
  66. 夏堀源三郎

  67. 小山長規

    小山委員 私は自由党を代表して、本案に賛成の意見を述べるものであります。  本案の改正の第一点は、従来の登録拒否事項のほかに、登録申請者の資本金額一定額に満たない場合には、登録を拒否する条項を入れようというのでありますが、これは従来の証券業者の実態等に徴しまして、大衆資本家を保護する上においては、このような条項が入らなければならないという、この従来の実績に徴して当然のことでありまして、ただいま共産党から述べられました理由とまつたく反対に、大衆の投資家の保護にさらに厚きを加えるというような意味でありますから、これは当然賛成すべきものと考えるのであります。  第二点は、証券業者営業保証金でありますが、これはまつたく技術的な問題でありまして、従来公債あるいは現金で保証金を納めることになつておりましたのが、公債がだんだん少くなつて参りますので、特殊な社債あるいは一般の社債をもつてこれにかえようというのでありますから、第二点については議論の余地はなかろうかと思うのであります。このような意味におきまして賛成の意を表するものであります。
  68. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 宮腰喜助君。
  69. 宮腰喜助

    宮腰委員 私は民主党を代表いたしまして、本案に希望条件を付して賛成をしたいと思います。  本案の趣旨は、前国会に成立した法律の、資本金五十万円以内になると取消となつておりましたことを受けて、業者整理をするということが大眼目のようであります。今まで証券民主化のために、大衆保護ということを盛んにとなえられて参りましたが、そういう意味合いからも、当然こういう整理をして行かなければならぬのじやないかと考えております。また整理するにしても、近ごろ朝鮮問題あつて以来、市況が非常に活発になつて来ておりますので、はたしてそういう整理がこの理想通りに行くかどうかということに、非常に疑問を持つものであります。しかしこの制度は届出にするような制度であつたために弊害を生じたので、ぜひ将来は認可制あるいは許可制というような方法によつてやれば、大衆保護の一助ともなるのではないかと考えるのでありまして、そういう希望条件を付したいのであります。  また第二点に、国債がだんだん償還されて少なくなり、有力なる地方債、特別社債がある。しかしその中には破産に瀕するような状態の自治団体並びに法人もありますので、そういう点も十分審査の上、その保証金の中に代行できるということをきめていただきたい、こういう希望条件を付しまして、本案に賛成するものであります。
  70. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 田中織之進君。
  71. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を申し上げます。  最近まで政府のとり来りました証券対策につきましては、われわれ幾多の不満を持つております。特に今度の朝鮮事変を契機といたしまする最近の株式市場の活況に至るまでの間に、相当長期にわたりまして、非常に株価が低位にあつて、その過程において、勢い証券業者整理等も、相当強行せられた形に相なつておるのでありますが、この当時におきまして、特に金融面の逼迫状態から、もう少し株式に手が差し伸べられなければならないものを、政府が手を差し伸べなかつたという点において、重大なる欠陥があると思うのであります。ことにわれわれは現在の段階におきまして、証券市場というものの存在を前提とし、またこれが純粋なる資本主義の運営方式によつて動いて行くものであります以上、もつと純経済的な見地から、証券市場の証券金融等の問題を考えなければならないと思います。そういう点において、欠けるところはございまするが、今回のこの法律改正によつて政府が達成しようといたしまする改正点につきましては、先ほども申し上げたのでありますが、消極的な効果しか期待できませんが、大衆投資家を保護するという意味において、一つの役割を持つておると思うので、わが党といたしましてはこれに賛成をするものであります。ただ先ほども質問の形において申し上げたのでございまするが、ほんとうの意味における証券市場の健全なる発達ということになりますれば、勢い最近のように証券民主化運動が相当進展いたしまして、大衆投資家がこの方面相当関心を払い、また実際にこの面に進出して来ている段階におきましては、もつと積極的な形における取引員等の資力の充実のための施策こそ、最も重要なことではないかと思うのであります。そういう点について、政府は今後格段の努力をせられることを強く要望いたしまして、本案に賛成するものであります。
  72. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 討論は終局いたしました。  これより本案を議題として採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  73. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成その他につきましては、委員長に御一任願います。     —————————————
  74. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これは午後の予定になつておるそうでありますが、平田主税局長がお見えになつておるので、しかもきわめて私の方で急いでおる問題でございますので、税の問題についてお伺いしたいと思います。昼の休憩時間中に私の方で海員組合との間で話を進める関係がありますので、大蔵当局に伺つておきたいのであります。  それは朝鮮関係の事変が起りまして以来、日本人の海員がこの方面の航路に従事いたしておるのであります。それに対していろいろの名目で手当が出ておるのであります。これは海員組合と総司令部との折衝によりまして、アメリカの海員と同率の手当を出すように話がまとまりまして、それに基いて実施されておるのであります。これは別に終戦処理費とか、そういうようなもので支払われているのではなくて、直接アメリカの方から海上労働者が取得しておるものでございますが、一種の戦争地帯に従事する関係から、たとえば特殊航海手当の十割、その他の名目による手当が相当つておるのであります、これに対する源泉徴収の関係でございますが、今までの税法の建前の、所得のあるところには当然課税するという考え方で参りますと、大体増加収入の半分を税金でとられるという計算に相なるのであります。占領軍の占領下にある日本の現状におきまして、特殊な業務に従事するこれら労働者の待遇改善と、そうした面における生活権の擁護のことこそ、強く国としても考えなければならない問題であるという建前をとつておるのであります。こうしたものを占領軍と申しますか、アメリカ軍と申しますか、そういう方面から直接支払われておる。またその意味において、生命の危険の代償として与えられておるものに対して、日本の税率をそのままかけることによつて、増加収入分の半分も税金で取上げられることは非常に過酷なことだと思います。その意味で特に事変関係そのほか進駐軍労務、あるいは電信関係、鉄道輸送関係その他において、いわゆる特殊任務に従事しておる者の課税の関係については、特例を考慮しなければならない段階に入つておるのではないかと思います。時間がございませんから数字的にはこまかく申し上げませんが、主税局長の方では、海員組合から折衝をいたしていることでおわかりと思いますので、数字は省略いたしますが、こうした朝鮮事変関係の特別収入を持つておる労働者の所得税の面におきまして、特別の例外的な処置を講ずる必要があると思います。これに対して大蔵当局としては、どういう御方針を持つておられるか承つておきたいと思います。
  75. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ただいま田中委員からお述べになりました点につきましては、実は二、三日前運輸省からお話がございました。それから昨日も海員組合の方とお会いしまして、実情をいろいろお聞きいたしたわけであります。御承知通り、戦時中は船員は軍属ということになつておりまして、やはり航海危険区域に出る船員の給与につきましては、軍人の給与と同じように免税していた例がございます。その後そういうことは予想されませんので、所得税法におきましては軍人、軍属に対する免税制度を廃止して来ているわけであります。従いまして今の税法を単に法文的に解釈いたしましても、いやしくも所得である限りにおいては、危険手当に対しても所得税がかかることになりそうでございます。その場合におきまして、お話通り非常に下級の船員の場合は五割までも行かないのではないかと思つておりますが、中堅以上の船員の方々に対しましてはやはり五割前後の、相当の負担に相なりますので、この問題はどう処理しますか実は今研究中でございます。前からの例と、それから今後こういうようなものの先例を開きますと、やはり重要な一つの先例になりますので、そういう点もあわせて考え、諸般の事情をも考えましてどうするか。なるべく早く一応の結論を出してみたいと思つておりますが、目下それに関連しましていろいろな資料を取集めておりますので、その資料が集りました上で私どもとしてもよく考えまして、妥当な措置をとるようにいたしたい。今のところ、当然に免税しかるべきだというところまで申し上げますのはどうかと思いますが、よく研究いたしまして、早急にいたしたいと考えております。解釈で行けないかという議論もございますが、解釈で行きますと、たとえば炭鉱の労働者の危険手当をどうするか。危険の程度に若干差がありまするが、いろいろ危険手当的な性質のものをもらつている労働者の方々が多数あります。そういう者とのバランスをどうするかというようないろいろ問題がございますので、なかなか簡単に行きそうでございません。そのような点もなおよく研究いたしまして、なるべく早急に結論を出しまして、その上で適当な措置をとるようにいたしたいと考えている次第であります。
  76. 田中織之進

    ○田中(織)委員 早急に考えをまとめて処置をとられるということでございますが、すぐ源泉徴収でこれらの従事しておる人たちの特別危険手当に対する課税が行われることになりますので、われわれも現行法の解釈で行かないとするならば、一つの所得税法の特例に関する法案を用意して、各党の賛同を得たいとも考えておるのでありますけれども、この点は、根本的な考え方においてはわれわれと対立しておるわけであります。しかし現内閣の方針といたしまして、朝鮮事変の国連軍の行動に対しては、もちろんあとう限りの協力をするという方針をとつておる現内閣の建前においても、これは早急に何らかの処置を講じなければならないと思う。われわれはまた別な立場からこれを要求しておるのでありますが、そういう意味において、この点は特に——今炭鉱労働者の危険手当等の例も引合いに出されましたが、特に戦争状態にある所に向けての航海に従事する者の危険手当でありますから、最もすみやかなる時期に御方針を決定されまして、必要とあらば、会期も非常に短いのでありますから、法案等の提出政府の方からやつていただいてもいいと思いますが、特別の御配慮を願います。
  77. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩いたします。午後は一時より会議を開きます。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後三時二十八分開議
  78. 小山長規

    小山委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  関税法の一部を改正法律案議題として質疑に入ります。
  79. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま議題になりました関税法の一部を改正する法律案につきまして、質疑をいたしたいと存じます。前国会にも関税法の一部を改正する法律案が出まして、質疑をいたしたのでありますが、現段階におきまして非常に国際情勢も変化いたしておると思いますから、当然このような改正案が出されたことと思います。今の状況において、資料もいただきましたが、密貿易というものが相当あるわけでありまして、これの検挙の数もここに発表になつておりますが、このために今まで相当人間が足りなかつたということを、政府もお考えだろうと思うのであります。これにつきまして、海外との密貿易をますます厳重に取締る必要があると思いますが、これに対する政府のお心持をひとつ承りたいと思います。
  80. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ただいまのお尋ね、まことにごもつともだと存ずる次第でございます。御承知通り終戦以来、朝鮮、台湾、沖繩等に至るまで外国になりまして、その間の輸出入はそれぞれ外国貿易になり、その間の貨物の移動に対しましては、関税法適用を受ける必要が生じて参つた次第でございます。それに応じまして、また日本の国内の経済の混乱と申しますか、変態的な状況あるいは海外の状況等に応じまして、密貿易が大分増加いたして来ましたことも御指摘の通りでございます。これに対しましては、税関といたしましても極力少い人手をもちまして、有効な取締りを行うべく努力して参つたのでございますが、なお十分でなかつたことも御指摘の通りだと思います。しかし順次検挙の成績等も上つて参りまして、お手元にお配りしておりますように、本年度におきましても、昨年度に比べますと、すでに五月ごろまでの統計によりますと、検挙件数が相当増加いたしております。このようなことにつきましては、なお今後も十分努力しなければならぬと思つておるのでございますが、ただいかんせん人手等の関係もございますので、そういうことにつきましても、予算、法律の許す範囲内におきまして、将来さらに一段とこの改善をはかりまして、御趣旨に沿うように努力いたして参りたいと存ずる次第でございます。
  81. 三宅則義

    三宅(則)委員 たいへん具体的なことを申しまして恐縮でございまするが、場合によりますると、密貿易のことでありますからして、夜中あるいは未明というような、人目にさわらないようなときに、相当数量のものが交換されるということを聞きます。はなはだしきに至りましては、愛知県のごときは名古屋港外、もしくは川の中までも来て、綿糸もしくは綿布のごときを数年来取引しておつたということを聞いております。はなはだ不見識きわまるものと思いますが、事実あるそうであります。こういうことは今後は大分なくなつて来ると思いますが、最近に至りますまで、海岸地帯はもちろんのこと、内部深くまで入つて来て、国内の悪徳商人と申しますか、業者と申しますか、それらの者と多少結託いたしまして、かような悪性な方面にまで進歩しておつたと申しますか、合流されておつたのであります。はなはだおもしろからぬ現象であつたと思つておるのでありますが、そういうものは一掃されたように私も信じたいのでありますが、なおそういうふうに内部深くまで入つて来て密貿易をやつております現状がありましようか、これをひとつ承りたいと思います。
  82. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お話通り、内部に入りまして密貿をやつております事績も絶無でないようでありまして、まことに遺憾なことであります。そういう面につきましては、今後一層目を光らせまして、絶無を期するように努力いたして参りたいと考えておる次第であります。
  83. 三宅則義

    三宅(則)委員 この法案によりまして、今までの税関の官吏というものは、相当な権限を持つてつたわけでありますが、今回新たに武器を携帯することになつたのでありますが、武器というのはどの程度の武器でありましようか。もしわかりましたならば、具体的にこれについて御説明を願いたい。
  84. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいまのところではピストル程度でございます。
  85. 三宅則義

    三宅(則)委員 ピストル程度のものを一ちよう備えておつて、完全というふうにお考えになつていらつしやいますか。もしくはもう少し何と申しますか、今は軍隊ということは言われませんが、もう少し堅固な装備をする必要がありはしないかと思いますが、それについて用意はありましようか、承りたい。
  86. 西川甚五郎

    西川政府委員 先ほど申しました通り、ただいまのところピストル以上の許可がないものでございますので、ピストルだけでやつて行きたいと思つております。これがもしも、もう少しはげしくなりましたら、そのときはそのときに応じたものをやはり考えなくちやいけない、こういうふうに考えております。
  87. 三宅則義

    三宅(則)委員 時期に応じまして、相当進んだときには進んだような考えをするという西川大蔵政務次官の御答弁でありますが、私どもは今までのような軽装備と申しますか、簡単な装備でなくして、相当な準備を整えたる税関官吏の装具と言いますか、準備が必要であろうかと思つておるのであります。過去のことを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、場合によりましては、密貿易をする者の方が相当な凶器を持つておるということも聞いておるのでありますが、そんなことのないように、厳重にやつてもらいたいということを、この際国会を通じて申し上げたいと思います。
  88. 小山長規

    小山委員長代理 宮腰喜助君。
  89. 宮腰喜助

    宮腰委員 港湾内の取締りについて、この前大蔵委員会がわざわざ横浜の税関を調査に参りました際に、税関長の御意見に、港湾内の海上保安隊の取締りと、税関の取締りとダブつておる。何とか税関の港湾の——横浜港湾ならば港湾内の関税に関するところの取締りというものを、あるいはその一切の取締りを税関にまかしてほしいのだ、こういうような御要求がありまして、私らも船で港湾の中をずつとまわりましたが、なるほどと思う点がありました。こういう問題について、この海上保安隊と、港湾内における税関の監視、またはその取締りについて、何らか税関一本にまとめるという方法がおありになりましたら、その点御返答願いたいと思います。
  90. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お話はごもつともだと了承するのでございますが、現在の法規の中におきましても、建前としましては、海上保安官の権限を行使する場所と、税関官吏が権限を行使する場所とにつきまして、一応の規定はあるのであります。すなわち関税法の第百一条の三の規定でありますが、これは海上保安官の制度が設けられました際に、調整をはかつて設けたのでありますが、これによりますと、「海上保安官ハ税関官署ノ所在スル港ノ港域内及税関官吏ノ配備サレタル海上又ハ沿岸水域ニ於テ税関官吏ノ要求アル場合又ハ税関官吏ノ在ラサル場合ハ本法違反事件ノ予防及取締ヲ行ウコトヲ得」ということになつておりまして、大体開港内におきましては、原則として税関の官吏が密貿易の取締りを担当するという建前になつております。実際問題としましては、海上保安官の数が今後も相当増加することと考えられますので、いろいろ運用上問題があろうかと思いますが、大蔵省としましては、職務権限につきましては、ある程度はつきりと限界を設けておきまして、それぞれその限界内におきまして、適正に職務を執行しまして、責任を果して行くというような方向に行くべく、実際問題としましても努めたい、かように考えておる次第であります。
  91. 宮腰喜助

    宮腰委員 それからこの海上保安隊で——横浜税関でこの保安隊ができる前から持つてつた船舶、監視艇を全部保安隊に持つて行かれまして、小さな小艇が二隻ばかりで監視しているそうですが、それでは非常に不十分であるから、海上保安隊に持つて行かれた船を返してもらえないか、こういう御意向がありました。  それからもう一つは、棧橋の真上に埠頭倉庫というものがありまして、税関はあの大きな建物を接収されて、非常に狭隘なる小さな棧橋の中に入つているそうですが、しかも棧橋の上に埠頭倉庫があるので、何らかの方法であの倉庫を買収して、税関の施設に使えないか、民間会社が棧橋のまん中に倉庫をつくつておくということは非常に不合理だ、こういう税関側の御意見があつたのですが、その点について大蔵省ではどういうお考えでありましようか。
  92. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 まことに適切なことを御視察願いまして、恐縮に存ずるのでございますが、税関が再開いたしました際に、税関の施設につきましては、極力充実をはかるように努めたのでございます。ただ遺憾ながら、税関が一時廃止になりました際に、税関は全資産をわけまして実は海運局に持つてつた。ところが分離しましてできました際に、なかなか話合い等がうまく行きませんで、施設等も不十分なところが多々あつたようでございます。一時は非常に古いものを調達いたしまして、小汽艇等も動かしていたのでございますが、なかなか用を足さないというので、本年度におきましては、別途予算をさいていただきまして、一隻ずつ新造するということをやつておりますが、これはとうてい一隻ではお話通り足りませんので、今後予算の許す限りにおきまして、さらにこういう施設の増加もはかつて参りたいというふうに考えておる次第でございます。その際には十分御協力をお願いしたいと考えておるのでございます。  なお税関の構内におきまして、今お話のように私設の倉庫がありますことも、しかもそれが最近になつてできましたことも、私どもも聞いております。これも連絡不十分等のために、どうも必ずしも国家的に見ると、妥当な結果でなかつたのじやないかと私ども考えておりまするが、ただこれもできてしまつておりまするので、税関といたしましては、別途に適当な予算措置を講じてもらいまして、棧橋の近くのほんとうに税関として職務を尽すに適当な場所に、必要な事務所等の増設につきまして、今後計画を立てて実行に移すように努力して参りたいと考えております。そういうわけでございまして、税関の施設につきましては、戦前は御承知通り相当な施設を持つておりましたが、戦後におきましても、なお不十分な点が多々ございますので、今後鋭意努力いたしまして、十分な機能を達成し得るように努めたい、かように考えておるわけであります。
  93. 宮腰喜助

    宮腰委員 ただいま私のお尋ねしました埠頭の棧橋の上にある倉庫ですが、この倉庫はどうなさるおつもりですか。
  94. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 この倉庫は御指摘の通り、それぞれの所管の官庁におきまして許可をして建設しておりますので、今となりましてこれをどうするということはどうも困難ではなかろうか。従いまして税関といたしましては、別途に適当な場所を求めまして、そこに必要な施設をつくるべく目下研究いたしておる次第であります。
  95. 宮腰喜助

    宮腰委員 おそらく常識で考えても、あの棧橋の上にああいう倉庫があるということは、私ばかりでなく、行つた委員の一行がことごとくあれは不合理である。また税関長初めおもに部長さんの御意見ですが、何とかあれを買収するかどうかして、他に越させてもらえないか、こういうような御意見でありまして、棧橋であるから公用徴収もできるはずでありますが、そういう方法で何とか急速に解決をつけてほしいという税関官吏の御意見であります。
  96. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 一応倉庫として設計して建設してありますので、これをそのまま利用するのも必ずしも妥当でないところもございますから、やはりあの近くの——御承知かと思いますが、少し手前のところに若干の空地もございますから、その辺のところに、円滑に話しまして、必要な施設をつくるようにした方がむしろ妥当ではないかと、かような方向に向つて目下研究しておる次第であります。
  97. 宮腰喜助

    宮腰委員 局長さんはその点はつきりしないようですが、政府であれを買収して他にあの倉庫をこしらえてあげる意思があるかどうか。それをはつきりお伺いしておかないと、私ども税関に報告できないのです。
  98. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 実際問題としまして、今の段階におきまして、そのようなことをやりますのは、少ししどろもどろであろうかと考えまして、別途な措置で同様な目的を達成するようにできるだけ努めたいと、本省としては考えておる次第であります。
  99. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は前国会にも関連して質問しておりますから、その続きをもう少しお願いいたしたいと思います。ここにたしか密貿易に関しまする犯則者の人数が書いてあるわけであります。この前の説明によりますと、犯則にあがます者は、これはもちろん想像でありますから的確なことはわかりませんが、二割ないし三割ぐらいが検挙されて、あとの七割、八割というものは検挙をのがれておる状況であるという御答弁があつたのですが、現在でもそういうような御観察ですか。その辺をもう少しはつきり承りたいと思います。
  100. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お尋ねの点はなかなかむずかしい問題でございまして、結局適当な推定なり聞き込みによるわけでございますが、犯則で検挙されました者等につきまして、いろいろ調査したところによりますと、おそらく三倍、四倍ぐらいのものが実際に行われれているのではないか、こういうふうに推測すべき筋合いがあるようでございますので、大体今お話のようなところではないかと存じておるのでございます。
  101. 三宅則義

    三宅(則)委員 前国会におきまして、人間の数を私が質問いたしましたときに、犯則者の数において、朝鮮人が千五百七十三人、日本人が一千三百八十五人、台湾人が百四十一人というふうに聞いておつたわけでございますが、その後もやはり朝鮮人というものが中心にやつておりましようか。さらにまた琉球人あるいはまた大隅、大島人というふうに発展しておるかどうか。もし状況がわかつて来ましたらば、もう少し詳しく承りたいと思います。
  102. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 統計に現われたところによりますと、若干朝鮮人の方は減りまして、遺憾ながら日本人の方がふえておるようでございます。一九四九年つまり昨年の五月までは全体が千八百四十六人のうち、朝鮮人が五百七十二人、内地人が九百二十一名でございましたのが、本年の五月までの実績によりますと、朝鮮人が二百八十九人、日本人が千三百六十二人というふうになつておりまして、日本人におきましても相当密貿に従事しておるものが多いのは、まことに遺憾に思つておる次第であります。
  103. 三宅則義

    三宅(則)委員 私の次にお伺いいたしたい点は、私設の保税地域内におきまして、税関官吏が臨時に派出せられておる。かように聞いておるのでございまするが、私設の保税地域というものは相当地域がありましようか。ある程度まで明細にわかりましたら、この際承ることが必要であると思うのでありまするが、いかがでございましようか。
  104. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 本年の七月一日現在で特許を受けておりまする保税地域等の数が四百八十程度でございます。なおこれは今後若干増加するものと見ております。
  105. 三宅則義

    三宅(則)委員 本法によりますると、この私設保税地域に対しまして、臨時に派出するのは定員外に置くということになつておりますが、これもやはり定員と関連があるように思いまするが、それは臨時にふえる必要があるために、そういうふうに定員外に置くという意味でありましようか。これを承りたい。
  106. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 保税地域に特派しまする官吏を、特に特派官吏と称しておりまして、これは御承知通り、月たしか七千円でございましたか、特許手数料をとりまして、特派いたしておるわけでございます。官吏と申しましても、身分はもちろん普通の官吏と同じでございますが、そうい意味合いにおきまして、少し違つた趣を持つておる制度でございます。従いましてこの特派官吏につきましては保税地域等相当年間におきましても増減等があります関係上、定員外に置くといたしていたのでございます。ところが定員法を制定いたしまする際に、できますればあれは定員内にした方がいいじやないかという考え方をとりまして、定員内にしてみたわけでございますが、その後相当増減がありまして、こういうものの性質上定員外にいたしておきまして、むしろ予算で縛つて行くというような方向の方が、妥当ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。そういうような意味合いにおきまして、定員外にすることにいたしたのであります。さしあたりといたしまして、七月一日以後例の外国人等の輸入する物品につきましても、関税、内国税を相当課税することにいたしたのでございますが、それに関連いたしまして、若干免税を必要とするものもございますのでOSS類似の場所に対しまして、私設保税地域といたしまして、指定することにいたしたのでございます。そういうもの等が臨時に増加いたしましたので、なお今後も状況の推移に応じまして、やはり妥当増減があるのじやないかということを考えますると、これはやはりこの際定員外といたしまして、旧来の制度と同じようにした方が妥当ではないかということで、各方面とも打合せをいたしました上、このような改正案を提案することにいたした次第でございます。
  107. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ちよつと関連して……。そういたしますと、特派官吏に対して毎月増減がある。従つて月ぎめで給料を払う、こういうふうなことになるのですか。     〔小山委員長代理退席、委員長着席〕
  108. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今七千円と申しましたのは、特許を受けたものから国が収入として得るわけでありまして、官吏の身分は普通の官吏とかわりません。普通の官吏を派遣するにいたしまして、それだけの手数料は別途にとるというわけでございますから、一応財源的に一種の手数料をとるわけでございまするが、それだけの官吏をそこに特別に置くというような関係ではないのでございます。従いまして、必要な官吏を必要に応じまして特派して行く。官吏が特派されまするならば、月七千円あたりの特別手数料を徴収する、このような関係になるわけでございます。
  109. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうも少しはつきりしないと思うのですが、四百八十名は常時国から給料を支払い、なお特派した場合に、特別にまた七千円ずつ払うような御答弁のようですが、そういうことになるのですか。
  110. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 そういう意味ではございませんで、特許いたしますると、特派官吏を何人置くかということをその際にきめるわけでございます。一人当り七千円の手数料というものをとりまして、これは国庫の雑収入として入つて来ることになります。必要に応じまして、特派官吏を特派いたしまして、その官吏はその七千円に関係なく、普通の税関官吏の身分におきまして、妥当な給料を支給いたしまして、それが特派されまして、そこで必要な仕事をするということになるわけでございます。
  111. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それではやはり四百八十名は常時この税関におる政府職員でありますから、取立てて定員外にするという理由はどこにあるのですか。
  112. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほども申し上げましたように、保税地域の特許というのが、年間の途中におきまして相当かわることがあります。本年におきましても、先ほど申し上げましたように、七月一日からOSS等に対する課税を変更いたしましたために、新たに相当の保税地域を設定しなければならない、こういう事態を生じたわけでございます。それから保税地域を設定されておりまする場所におきましても、業者の都合によりまして増減がある場合もございますので、そういう点から申しますと、やはり若干伸縮性がある定員の制度にしてもおく方が妥当ではないか、このような意味におきまして、定員外にいたしたわけでございます。定員外にいたしておりましたのは、実は多年昔からそういう制度にしておつたのでございまして、定員法が設けられました際に、できれば定員の中に入れてきめてみようかということできめてみたのでございますけれども、たとえば七月一日の事態等にかんがみまして、むしろ適当でないと考えられますので、定員外にいたした、こういう趣旨でございます。
  113. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私この定員法を詳しくは知らないのですが、定員外になると、たとえば退職金その他の待遇がかわるじやないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  114. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほども申し上げましたように、身分その他は一般の官吏と全然違いございませんので、退職その他の点はすべて同様でございます。さつき申しましたように、そういう官吏を特派するにつきましては、これは保税地域の特殊性にかんがみまして、昔から一定手数料をとる際に今申しましたように、一人当り月幾らという手数料を徴収しまして、国庫が別途に雑収入にあげております。それと身分、給料その他は直接の関係はございません。やはり税関官吏はそれぞれ必要に応じまして、勤務することになるわけでございます。
  115. 小山長規

    小山委員 今の関連ですが、臨時雇いなんでしようか。それともほんとうの役人ですから、ちやんと試験を受けて、一定の身分を保障されているだろうと思うのですが、臨時雇いだという声がその辺からありますけれども、私はそうではないと思います。その場合に、そうすると仕事がなくなつたら、あぶれている人間がおつて、要するに過剰人員が出て来る、こういうことになりませんか。
  116. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 臨時雇いではございませんで、これは普通のちやんとした官吏でございます。従いまして、増減があつて、全体の税関の普通の定員内の職員と、それからこの職員とを通じまして、どうしても過剰になりますならば、それぞれやはり整理をする必要が出て来るかと思いますが、その官吏自体は普通の官吏と一向差はございません。
  117. 川野芳滿

    川野委員 定員外の官吏ということになりますと、定員法によりましても、何か法的規定があるものと考えますが、どういう規定でそういう定員外の官吏がありますか。その辺の御説明を願いたいと思います。
  118. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お手元に資料としまして新旧対照表をお配りいたしておる次第でございますが、この新旧対照表の二枚目の裏側にございますが、「前項に定める大蔵省の職員の定員の外、私設の保税地域その他税関法規の適用上特殊の取扱をする場所に常時派出するため、税関に、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、必要な職員を置くことができる。」この行政機関職員定員法を改正いたしまして、それで実行をはかりたい。その改正案をこの関税法規のうしろの附則の中に提案いたしておるような次第であります。
  119. 川野芳滿

    川野委員 ただいまの点はわかりましたが、実はこの法案の中に、税関官吏は武器を持つことを得という規定がございますが、どういう武器を持つのですか。その武器の種類をお尋ねいたしたい。
  120. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 税関官吏は武器を持つことを得ることにいたしたのでありますが、先ほどもちよつと政務次官から税明しましたが、現在大型のピストルを予定いたしております。
  121. 川野芳滿

    川野委員 実は先般大蔵委員の一行が横浜の税関を視察したわけであります。当時税関長のお話をいろいろ承つたのでありますが、近ごろの密貿易に使う船舶というものは、相当速力の早い、しかも武器を持つておるところの密輸船をもつて、どしどし密貿易が行われておる、こういうようなお話を承つたのであります。これが対抗策といたしましては、優秀船すなわち速力の早い船をひとつつくつてもらいたい、さらに武器も新鋭式器を備えてもらいたい、こういう御要望があつたのでありまするが、私なども最も適当なる御要望であると考えておつたわけであります。そこでただいま御説明のピストルくらいでは、おそらく完全な取締りは不可能であると存じますので、さらに一歩を進めまして機関銃程度のものは備える必要があると考えるのでございますが、将来に向つてこういうような新鋭武器を備える御意思がないかどうか、この点を伺つておきたいと存じます。さらに速力の早い優秀船を相当に大きな港湾に備えておかなければ、十二分の密輸取締りはできないと考えますので、この点についても御抱負を承つておきたいと思います。
  122. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ごもつともなお尋ねかと思うのですが、ただどうも税関吏にあまりに強度の武器を持たしても、またどうかと思いまするし、現在のところはやはりさしあたりピストル程度で、職務を十分果して行くように鞭撻して行く。もちろん今後の状況次第ではあるいは考えなくちやならぬかもしれませんが、今のところはその程度考えておるのでございます。なお汽船の点につきましてはまつたく御指摘の通りでございますので、本年度も予算を少しもらいまして、各税関に一隻ずつ小型汽船をつくりまして配置いたします。しかし一隻ではとうてい不十分でございますので、今後さらに予算措置等をとりまして、適切な、速力の早い舟艇をでき得る限り整備して行くように努力いたしたい、かように考えておるのでございます。
  123. 川野芳滿

    川野委員 実は私が御質問申し上げましたのは、武器の携帯の問題でありますが、これは税関官吏個人に持たせる、こういう意味ではないのであります。税関官吏に持たせるのはピストルでけつこうでありますが、ただいま申し上げましたような新鋭の機関銃船舶をおつくりになる場合には機関銃あたりを備える必要を痛感いたしますので、その点において、新鋭武器を備えられる必要はないか、この点を御質問申し上げておるのであります。
  124. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 おそらく海上保安官につきましては、相当な装備が今回行われるのではないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、税関官吏が主として取締りに当りますのは、税関の構内でございますので、今のところどうしても急いでお話のようなことを考える必要があるというところまでは、実は考えておらないのでございます。ただ状況の推移等に応じまして、必要のある都度適切な措置を講ずるようにいたしたい、このように考えます。
  125. 三宅則義

    三宅(則)委員 先ほどの続きでありますから、もう二、三点だけ申し上げます。この関税法の一部を改正する法律案に対しまして、かつて国会外国為替及び外国為替管理法の施行に伴いまして、財産並びに貨物の輸出に関しまして政令が改正せられました関係上、関税法においての旅行者の携帯品その他についても検査することになつたのですが、今日では日本から外国に行く人もありますし、また向うから来る人もありますからして、外国人に対しましても一様に検査と申しますか、関税をかける必要があると思つておりますが、これに対して実際上どの程度にしておりますか。その辺もしわかりましたら承りたいと思います。
  126. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 外国人の輸入する物品につきましては、一時課税の範囲相当狭まつていたこともあつたのでございますが、この七月一日から相当全面的に課税することに相なつたのでございます。ただ課税になりませんのは、外国人が需要のために輸入するものに対しては、これはなお日本の関税率の制度が、まだあまりにも最近の事態に応じまして合理化されておらない等の関係もございまして、課税しないことにいたしておりますが、その他の場合におきましては、原則としまして外国人が輸入する物品に対しましても、課税することにいたしておるのであります。もちろん連合国軍人、軍属の場合におきましては、これは国際法上特例でございますが、その他の場合におきましては、今申し上げましたようなことに相なるのでございます。実際問題といたしましても、私どももその趣旨に従いまして、適切な措置をはかるように目下努力いたしております。
  127. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一点、実は前国会の続きでありまするが、この改正税法によりまして、ことに所得税法の改正によりまして、外国人の給料等につきましては、特に免除するということを私どもつたわけであります。これに関係あると思いまするが、相当の人が外資導入と同様に入つて来ておりましようが、この機会に関連いたしまして伺いたいと思います。そういうような人がどのくらい入つて来ておられるか、ひとつ参考に承りたいと思います。
  128. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 日本に在住いたしておりまする外国人の数につきましては、たしか前回租税特別措置法を御審議願います際に、資料をお手元に差上げたと存じます。私は数字をこまかく記憶いたしておりませんが、やはり米英人の方は相当な数字になつてつたかと思いますが、正確なところは今ちよつと資料を持ち合せておりませんので、申し上げかねます。
  129. 三宅則義

    三宅(則)委員 それではあまり長く時間をとつてもいけませんから、この程度でやめますが、私は関税法の一部改正にあたりまして、今度は航空機—前は汽船とか貨物船が多かつたのでありますが、航空機というものが相当重要な地域に入るものと思います。航空機に関しましては、ある程度空港に税関があるわけだと思いまするし、その他におきましても、今後はどしどしとそのような方面に発展する可能性があるやに考えておりますが、政府といたしましてはどういうふうに考えておりますか、この際承りたいと思います。
  130. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ただいまのお尋ねまことにその通りでございまして、現に空港が相当発達しつつございます。羽田の空港に私も二、三度行きましたが、相当やはり飛行機の出入が頻繁でございまして、税関官吏がやはりあそこの中に入りまして、それぞれ公正に職務を執行いたしております。しかも飛行機で出入りする人は、最も良識の高い人が多い関係もございまして、私も特にその取扱い等につきましては、親切に、かつやるべきところはやるということで努めてもらいたいということを、申して来たような次第でございますが、その他におきましても、そのようなことは今後ふえて来ると思います。それにつきましても何しろ予算等の関係もございまして、施設が十分でないことを残念に思つておりますが、もう少しできますれば予算等をとりまして、施設を十分にするように配慮して行きたいと思います。
  131. 三宅則義

    三宅(則)委員 その空港でございますが、相当貴金属と申しますか、高価なものが輸入もしくは輸出されるおそれがあると思うのでありまするから、これにつきましては相当精鋭なる官吏と申しますか、新鋭なる税関官吏を配置されまして、合法的に脱税のないようにすることが、主税局長といたしましての任務であると思うのであります。特に御留意あらんことを切望いたします。
  132. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 まことにごもつともな御注意をいただきまして、ありがたく拝聴する次第でございます。私どもとしましても、できる限り優秀な人間を置きまして、丁寧に、かつやるべきところはやるというようなことが十分できるように、努めて参りたいと考えております。それにつきまして、ことに夜間等に飛行機が着く場合がございますので、どうしても勤務する近くに宿舍がないと、なかなか完全な職務の執行ができません。そのような関係につきましても現在非常に不十分でございますので、そのような予算を、できますならば国会に提案しまして、御承認を得たいと考えておる次第でございますが、何とぞそういう点につきましても御協力を願えますと非常に仕合せと存じます。
  133. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この関税法一部改正法律案に少し関係のない附則がついておるように思う。一番末尾に『附則第四項中「第二条第二項」を「第二条第三項」に改める』これはどういうことなんですか、ひとつ説明願います。
  134. 石田正

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。今の点は引揚援護庁の定員のことが規定してある部分があるのであります。そのところに定員法二条二項という言葉が書いてあるわけでありますが、これをいじくりませんと、今度項を改めました関係から申しまして、項が違つて参ります点、形式的な変更をいたしたわけであります。
  135. 奧村又十郎

    ○奧村委員 なるほど、つまり今度の税関の定員外規定を入れたからこう改めたということですね。よくわかりました。  そこでもう一つ重ねてお尋ねしますが、先ほどの局長の御答弁によりますと、どうも大蔵省管轄内の定員の数をなるべく少く表面に出しておきたいというふうな気分で、この規定をなさつたように感じられてしかたがない。と申しますのは、特派官吏四百八十名を一応定員外とするが、それじやその四百八十名は常時人数がかわるのかというとそうでもない。一年のうちに何回も人数がかわるわけはない。人数がかわるならば、これは月ぎめで支払うべきである。そうでなしに税関内にはおられるわけでありますが、どうもほんとうに定員外にする意味がのみ込めぬので、もう一度重ねてお尋ねいたします。
  136. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今お尋ねのように、定員法に規定されました定員の数を少くするというつもりでは全然ないのでございます。むしろ今お話のように年の中途におきまして、国家官吏を増減する必要がある場合が出て来る、そういう場合におきましては、それぞれ定員法に定めるところによらないで、増減できるようにしたい、こういうわけであります。それならばその人間が臨時雇いでもいいのではないかというようにお感じのようでありますが、これはやはりちやんとした官吏にしておかないと、職務が勤まりませんので、あくまでも普通の官吏としておるわけであります。従いまして、真に増減がありまして、運用上さしつかえができた場合におきましては、やはり雇いから官吏に引上げたり、あるいは必要な官吏の整備をしたりするようなことも出て来るのでありまして、これは事柄の性質上いたし方ない。むしろそういう方が、こういう制度のしきたりに即するのではないか、こういうふうに考えております。
  137. 奧村又十郎

    ○奧村委員 しよつちゆう増減があるというわけですから、一年を通じて俸給を支払うということにはならぬということになるはずですが、その点はどうですか。
  138. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 しよつちゆう増減というお話でございますが、やはりある地域が保税地域として用をなさないからやめるという場合もございます。それからまたある地域を新たに保税地域として指定する場合もございます。従いまして若干ふえたり減つたりするわけでございますが、傾向としましては、やはり減るよりも徐々にふえて行くというのが、実際問題としては多いようでございます。そのような意味におきまして、先ほどりくつを申し上げましたが、年度の途中におきまして、減らさなければならぬという事態はどつちかというと少い。理論上は両方ありますが……そうして必要によりまして増設しました際に、必要な官吏を雇員等から登用いたしまして官吏にします。これはもちろん税関官吏全体として動かすわけでございますが、規定としてはこのようになると思います。
  139. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十四分散会      ————◇—————