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1950-10-23 第8回国会 衆議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月二十三日(月曜日)     午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君       天野 公義君    川村善八郎君       鈴木 善幸君    田渕 光一君       永田  節君    平井 義一君       松田 鐵藏君    岡田 勢一君       小松 勇次君    水野彦治郎君       井之口政雄君  委員外出席者         電波監理委員会         委員長     富安 謙次君         電波監理委員会         副委員長    網島  毅君         水産庁長官   家坂 孝平君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁水産部         水産課長)   水野  榮君         農 林 技 官 益子 四郎君         農 林 技 官 中川 三雄君         参  考  人         (フイッシユミ         ール協会理事         長)      木本 瑛一君         参  考  人         (フイッシユミ         ール協会常務理         事)      成島嘉一郎君         專  門  員 杉浦 保吉君 十月二十三日  委員川端佳夫君辞任につき、その補欠として天  野公義君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任に関する件  漁業経営安定に関する件  水産貿易に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 これより会議を開きます。  漁業無線の問題につきまして発言を求められておりますからこれを許します。電波管理委員会からは富安委員長網島委員長、その他長谷長官、それから莊文書課長松田法規経済部長石川無線課長山崎事務官方々が見えております。
  3. 松田鐵藏

    松田委員 漁業無線電信局のこのたび省令として発布された問題について、富安電波管理委員長お尋ね申し上げたいのでありますが、現在無線局利用しておるものはラヂオだとか、無線電信局とかいうものと、協同組合及び県営または官庁試験所等において無電局を設置しておるものと、大体において二手になつておると考えますが、この問題に対しては漁業者の一人として私も今までこの無電局を十分に利用して来た者であります。それで無電局漁業者利用しておる点にどのような不都合があるか、現在のままでやつてどのような弊害があるか、何のためにただいま発布された省令のごとき方法をとらなければならないか。この点に対して御説明を求めたいと存ずるものであります。以下これに対しての私の質問を継続します。
  4. 富安謙次

    富安説明員 お尋ねの点につきましてお答えを申し上げます。  漁業無線の今日の状態考えまして、これに何らかの規制を新たに加えなければならないという必要を委員会が感じましたのは、大体におきまして二つ方面から考えております。一つ電波法の第一條から参るのであります。電波法は御承知のように去る六月から実施されております。その第一條におきまして、電波の公平にしてまた最も能率的な利用を本法によつて期待をいたしておるわけであります。現在の漁業無線利用状況を見ますと、たれでも漁業無線利用したいという人に対して、広く一般的に機会均等的に利用のできるような建前になつていない面が非常に大きいと思うのであります。それは、具体的に申しますと、漁業無線は今日三十数局というような、共同施設によつているものが三分の二くらいを占めておると思いますが、その共同施設漁業無線建前から申しますと、漁業協同組合漁業施設が、漁業協同組合建前から申しまして、中小漁業者と申しまするか、言葉は必ずしも当らないかもしれませんが、そういうものを趣旨とする建前でできている法律に基いておりますので、その利用者はおのずから局限をされるのであります。利用者局限をされるということは、電波法精神から申しますと、だれでも漁業者であれば、これを利用したいと思うときに広く利用できるという趣旨にはかなわぬのであります。その点におきまして、電波法が新しく出発して、今までと違つて電波を公開する、機会均等的に電波利用し得るという精神から考えまして、妥当でない、この点に対して規則を加えて行く必要を感じたのであります。  もう一つ方面は何かと申しますと、電波漁業者側のただいまの利用状況というものが、必ずしも電波の公正な利用精神に沿わないというのは、具体的に申しますと、公衆通信專用通信との限界が、今まで混乱して実際に利用されていたという面が多大であるように見られるのであります。具体的に申しますと、県で施設をしております水産指導のためにつくられている海岸無線、これが漁業の船舶と船主との間の通信を仲介している面が多大にあつたのでありますが、これは公衆通信を国の專用にしているという法制の建前から申しまして、法律の違反と考えなければならぬのであります。この点につきましては、漁業者のそういう無線利用方法につきまして、注意を喚起することをしばしばいたしておつたのでありますが、なかなかそれが改められていなかつたのであります。これはどうしても、何か漁業者利用建前から根本的な面に規制を加えることによつて、さような公衆通信專用通信の名によつて犯している面を改めなければならないという必要を痛感して参つたのであります。その点からも、やはりただいまの漁業無線利用方法について、自然経営の形態までも触れて免許面規制する必要があると考えまして、大体におきまして、その両面から現在の状態を改めるべく電波監理委員会規則をもつてごらん通りに制定をいたし改正を加えたわけであります。さように御承知を願います。
  5. 松田鐵藏

    松田委員 あなた方委員会は、日本漁船の何そうが電波利用しておるかということを、御調査になつておられますか。またもう一つは、漁船はどの程度漁船無電を使用することを可能とするか、こういうことを調査されておられますか。
  6. 富安謙次

    富安説明員 漁船無線利用状況、どれだけ数があるかというようなことは、ここに表がありますけれども、これを申し上げるよりも、この点については、委員のあなた方がよく御存じだろうと思います。根本は、いかに漁業にとつて無線が必要であるかということを十分に認識しておるかというお尋ねかと私は了解いたします。十分に認識をいたしております。認識をいたしておりますればこそ、現在の漁業無線利用状況は、このままには捨ておけないということを考えておるのであります。現在においても御承知通り、ずいぶん数は多くて、無線利用の重要なる部分を占めておるのであります。しかもその利用はますます増進するばかりであります。一面におきまして、これに割当てる電波の方の状況を見ますと、御案内の通りに、日本電波を使い得る数は制限をされておりますので、それをだんだんと増加して参る漁業のために、時間を割当てたり、あるいは新たに許可をいたして参りますと、数は減るばかりでありまして、しかもそれがたくさんにあり、どこまででも利用に応じてつくり得るというものであればいいのでありますが、そうでないために、ごく碎いて申しますれば、前途は心細くなるばかりであります。これはどうしても、このままに捨ておいたのでは増加するばかりである。需要とこれに與えることのできる残りであります。それの心細くなる現象とを考え合せまして、このままにおけば、むしろ私ども考えよりいたしますると、無線に対する漁業利用というものは、強い言葉で申しますれば、破局に陷るほかないくらいに考えておるのであります。これはどうしても今のうちにこの状況を改めて、もつと能率的に、もつと公平にするということを法の建前で改めなければならぬということを痛感したのであります。しかも申すまでもないことでありますけれども電波の限りあるものを漁業のみに使うこともできず、他の方面にまでも電波全体の規制から考えなければならぬのであります。電波に対する必要というものは十分に考えながら、しかも電波を最も公平に、もちろん漁業重要性考えながら、どういうところで線を引いて、そうして長く将来のことも考えながら、漁業に対する無線利用を公平に、そうして適正に、能率的にするかということを、ずいぶん長く研究したあげく、この結果に立ち至つたものであります。
  7. 松田鐵藏

    松田委員 日本漁船は十二万そうあることを、あなたも御承知のことと存じます。その十二万そうのうちに、五トン未満の動力を持つておる漁船は九万五千そうある。しからばあと二万五千そうというものは五トン以上の船である。無電をつける船は、五トン未満の船でもつけて、将来漁業の発展を期そうというお考えでありまするか。または二十トン、二十五トン以上の船でなければ、漁船無電をつけ得る段階になるかならぬかということをあなたはどういうようにお考えになつておるか。どの船がつけ得るか、これから使うかということです。
  8. 網島毅

    網島説明員 多少專門的な問題になりますので、私からお答え申し上げます。今まで使われておりました比較的遠距離の無線通信に使う設備は、あまり小さな船には載せることは不適当でございます。しかしながら最近無線の技術が非常に進歩して参りましたので、非常に簡單な、しかも超短波あるいは極超短波というような、非常に波長の短かい短波利用するようになりますれば、あるいは五トン未満というものも利用されるようになるかとも存じます。電波監理委員会といたしましては、波長あるいは船のトン数というものにつきまして、制限考えておりません。従いまして、これが利用されるということになりますれば、五トン未満のものにつきましても、波長割当をやるという考えであります。
  9. 松田鐵藏

    松田委員 重ねてお尋しますが、いかに科学が進歩しても、無線をつける漁船というものの程度はきまつておるものと考えられる。あなたのように、五トン未満漁船でもつて電波をつけ得る可能性というのは、現在の日本漁業段階からして、なかろうと私は考える。ところで一台の価格として現在、また五年後、十年後について考えてみても、一そうの船に電波をつけるのにどれだけの経費がかかるか、あなた方は御存じであるか、また調査をされておるか、この点をお伺いいたします。
  10. 網島毅

    網島説明員 五トン未満の船のことについてちよつと申し上げますると、現在でもこういう船で無線を使つておる船が絶無ではございません。私たちが申上げるまでもなく、外へ出まして、親船と小さな船との間で共同して漁業をやる場合がございまするが、そういう場合に、その間の連絡その他につきまして、現在すでに五トン未満の非常に小さな漁船無線を使つておる例もございます。しかしながら委員会といたしましては、あくまで受身でございまして、積極的にこういうものは使つた方がよいということは申しません。要するにそういうものを使いたいからと言つて参りましたときに、波長割当をするということを先ほど申し上げた次第であります。  なお漁船の現在使われておりますところの設備はどういう設備であつて、どれだけの価格であるかということは、もうすでにこの方面事業者、あるいは船主御存じでございますし、われわれとしても、いろいろなデーターを持つて調査しているつもりでございます。
  11. 松田鐵藏

    松田委員 どれくらいの価格ですか。
  12. 網島毅

    網島説明員 もちろん漁船と申しましても、御承知のように非常に大きな漁船もございます。南氷洋に行くような、ああいう大きな船になりますと、五百ワツトあるいは三百ワツト、二百五十ワツトというような無線設備を持つておりますので、そういうものは何百万円とかかりますが、普通いわゆる漁船として考えられているところのものは、大体三、四十万円見当ではないかと私どもは思つておるのでございます。
  13. 松田鐵藏

    松田委員 五トン未満の、母船を持つている船で、母船との連絡のため無線をつけている船があるという先ほどのお話であるが、後刻でよろしいから、どこの県でどういう漁業者が五トン未満の船でもつてそういうことをやつておるかということを、お知らせ願いたい。  それかもう一つ電波無電局というものにどれだけの創設費がかかつて、どれだけの維持費がかかつておるかということを、あなた方はお調べになつておられますかどうか。
  14. 網島毅

    網島説明員 調べておるつもりでございます。もちろんこれは電力によつて違うのでありまして、またアンテナのつくり方、その他いろいろ使う機械の種類並びにその通信方法でかわりますが、私どもといたしまして、大体数百万円、安いものは二、三百万円、高いものは四、五百万円、電力を増し、あるいはアンテナをよくすればもつとうんとかかるかもしれませんが、大体そういうふうに考えております。
  15. 松田鐵藏

    松田委員 維持費はどうですか。
  16. 網島毅

    網島説明員 維持費につきましても、私ども全国的に調べたことがございます。現在私、数字的には覚えておりませんが、もちろん御必要があれば、後刻調べたものを刷物にして差上げてよいと思います。
  17. 松田鐵藏

    松田委員 その維持費はどういう方法によつて、だれが負担しておるかということを、あなた方はお調べになつておるかどうか。
  18. 網島毅

    網島説明員 これも私ども、及ばずながらできるだけ努力して調べているつもりであります。御承知のように県が負担しておるものもございまするし、また漁業者組合をつくりまして、そうして漁業者自身負担しておるものもございます。またあるいは協同組合という形で負担されておるものもございます。いろいろあると思います。
  19. 松田鐵藏

    松田委員 県以外のものは、その維持費を、現在の日本漁業をやつておる大半の者が負担しておるところが多いのであるが、この維持費というものは、現在の漁業の実態から過重であるかないかということを、あなた方はどうお考えになつておるか。
  20. 網島毅

    網島説明員 その点は私ども自身が判断することより、やはりその方面の專門家なり漁業者あるいは監督官庁という方の意見を聞くことに私どもは非常に努力して来たつもりでありまして、大体現在の漁業状況においては、負担は相当むずかしい、なかなか現在の漁業者收入では、無線局負担は相当重荷であるというふうに承つております。
  21. 松田鐵藏

    松田委員 重い負担である場合において、この無電局経営し維持して、しこうして漁船にもこの無電をつけて、文明の利器を使おうとしておる漁民のまじめな姿というものを、私はあなた方も当座御認識なすつておることだと考えておる。しかして一台三十万円、四十万円かかる無電機を、十二万そうの漁船のうち、どれだけこれを使用する可能性があるかないかということを、まずあなた方も御認識されたい。今各地の漁民においては、あらゆる困難を克服して、われわれ委員会に対しても、漁業経営が成立たぬと訴えておる。また五トン未満の船で無電をつけておる船があるとあなたが言うようなことは、大きな漁業会社はいざ知らず、零細漁民では、さような無電機械をすえつけて漁業をやつておるものは皆無と私は考えておる。しかもその他の五トン以上の二万五千そうのうちは、何ほどの船が無電をつける可能性ありやいなやということも、あなた方はよくお考えを願いたい。しかもこの維持費が非常に苛酷であるにもかかわらず、今無電をつけて今日の漁業のために努力しておる方々、この人々のつくつておる無電局を、現在の法規によつてあなた方は任意組合をつくつて、この維持費をどのように負担をさせる確信を持つておるかどうか、また責任を持つておるかどうか聞きたい。
  22. 網島毅

    網島説明員 おそらく先ほどからの御質問の御趣旨は、その点にあつたのではないかと思いますが、今回電波監理委員会が定めましたところの委員会規則が、非常に漁民にかたきをしいておるというふうに考えられ、またそういうふうに宣伝が行われていることを私ども非常に遺憾に思うのであります。この委員会規則につきましては、先ほど委員長から御説明もありましたように、これは委員会といたしまして、発足以来十数回にわたりまして議論をし、その途中におきましては各方面、ことに監督官庁水産庁でありますとか、あるいはまた漁民責任者その他から意見を求めまして、それらの意見によりまして、できるだけ漁民負担をかけないで、しかもこの新しくできましたところの電波法精神にのつとつた無線の運用というものを両々満足させるように、委員会としては考えたつもりでおります。従いまして、今の負担の点でございますが、不幸にも私ども多少誤解をなすつておる点があるのではないかということを申し上げたいのであります。この規則をつくります道程におきまして、公聽会も開かれたのでありますが、この公聽会の席上におきましても、やはり財政的負担の点がるる述べられたのであります。ことにこの点に関しましては、公聽会以前におきましても、漁業者の代表の方からるる述べられまして、この電波監理委員会は七人の委員からなつておるのでありますが、委員会としても、この点にもつぱら論議を集中されまして、いかにしたら漁民負担をかけないで済むかということに努力が傾注されたのであります。その結果この規則ごらんになればわかりますように、実質的には現在の負担の所在をかえずに、法的に合法的な行き方をとり得るという結論に到達いたしまして、その思想がこの規則の上に盛られておるのであります。御承知のように、この電波法の第四條には、公衆通信は国でなければやつては行けないということがはつきり明示されております。ところで従来の漁業無線、ことに県が経営しておりましたところの漁業無線局は、私どもから見ますと、公衆通信に非常に類似した、それに近い通信が行われておつたのであります。すなわち漁船から船の持ち主でありますとか、あるいはまた漁港の各方面に対する電報の取扱いを県の漁業無線局がやつてつたのでございますが、これは明らかに法の、いわゆる目的外通信に該当するものでありまして、法律としてはこれを禁止しております。また船の乗組員からその家庭あるいはその船主への電報というものは、公衆通信と非常に類似しておりまして、電波法の第四條に抵触する疑いが多分にあるのであります。しかしながら委員会といたしましては、公衆通信を取扱うことができなくなることは漁業上困るということを考えまして、いかにしたら従来通りそういう通信が将来も行われるようになるか、それにはやはりここに一つ專用通信の形をとらなければ、電波法第四條との関係はつきりしない、その專用通信的な色彩を持たせるにはどうしたらよいかということになりまして、これには無線利用する団体が集まつて一つ組合的な組織をつくる。そうしてその組合的な組織の中において行う通信は、專用通信とみなそう。そうしてこれは公衆通信ではない。公衆通信ではないということになれば電波法の第四條には抵触しない。こういう形をとりまして、ここに一つ組合組織あるいはまた公益法人組織というものを考えたのであります。しからば新しくできますところの組合なり、公益法人が、自分みずから無線を持つということになりますれば、そこに先ほどからお尋ねのありましたような、何がしの経費がかかりますとか、また維持費もかかります。従つて将来そういう経費維持費が捻出し得るようになれば非常に幸いであります。私どももそれを期待しておるわけであります。また現在におきましても、そういうことが可能な組合でありますれば、ぜひそういうふうにやつてもらいたいと存ずるのでありますが、差向きそういうことが困難であるというところに対しては、どうしたらよいかということも考えておるのであります。現在そういうところは、大体において県の無線局県営水産指導用無線局がそれらの電報取扱つておるのであります。たとえば靜岡県の例をあげますれば、御承知のように、燒津漁業無線、それから清水港に無線がございます。燒津の方はこれは漁業者経営でございまして、漁業者みずからこれの経費負担し、維持しておるのでございます。一方清水の方はこれは県営無線局でございまして、県がその経費を全部負担しておるのであります。一つの県の中におきましても、こういうような二つの行き方をとつている漁業無線がありまして、私どもとして、現在においてもまつたく自力で無線を運用することは不可能だとは考えておりません。     〔委員長退席田口委員長代理着席〕 しかしながら一方県営無線局が従来相当の経費負担してやつてつたものを、今ただちに肩がわりするということは困難であるという事情が考えられますので、私どもといたしましては、施設者というものとその無線局利用する者、いいかえますれば、法的には無線局免許者というものを別個に考えようというところまで来ておるのであります。すなわちもう少し言葉はつきり申し上げますれば、ここに專用漁業無線利用するための一つ団体というものは、必ずしも自分自身無線局を持ち、自分自身その無線局を維持しなくてもよろしい、従来通りそのそばにあるところの県の無線局利用する。従来県は無料でもつてそれらの電報取扱つてつてつたのでありますから、おそらく県といたしましても、無償でその利用を許すに違いない。そういたしますれば、県は県でもつて従来通り県水産指導用通信をやる。そしてその県の施設をそのまま無償で、新しくできたところの団体利用するならば、その間に新しい団体というものは、いささかも経費がかかることなし、あるいは創設費維持費両方ともかけることなしに、従来通り県無線局利用できる。しかも法律的にはこれは合法のわくのうちで漁業通信が行い得るということを私ども考えまして、そういう趣旨でこの基準案ができておるのであります。この趣旨を私どもは県の水産関係者あるいはまた私どもが地方に出ましたときに、水産事業者とよく御相談いたしまして、こういう趣旨でありますということを御説明申し上げた場合には、ほとんど全部の場合、それなら私もよくわかつたと言つてもらつてつたのであります。そういうふうに規則ができておりますので、ただいま御質問がありましたような財政的な懸念ということにつましては、私どもは、もう少しきこれを理解していただけば、そこにいささかの不安も心配もなくできるのだということを、御了承願いたいと思います。
  23. 松田鐵藏

    松田委員 とんでもない間違いである。あなたは県の無線局というものをお調べになつてそういうことを言われるが、無線局を持つている三十三の漁業協同組合の実体をどのように考えておるか。この無線局を持つておる漁業協同組合には、これを利用するためにつくつた施設費というものは莫大なものである。あらゆる漁業会において、今赤字財政になつて、この固定資産の償却さえでき得ない今日である。これをあなた方が他の組合無償で讓るなどということはでき得るかいなや。もしこの漁業協同組合赤字整理する場合においては、どのような方法であなた方は補償するか。要するにあなた方はこの法律をつくるために、今まで漁業協同組合があらゆる苦難をしのんで漁業者利用をはかり、自己の一つの財産として帳簿上なつてつて帳簿の経理はこの面に記載されておるものもあるが、これを他に移動する場合において、漁業協同組合整理をしなければならないであろう。この問題に対してあなた方はどのような整理方法——これを買收する意思ありやいなや、疑義が生じて来るじやないか。新しい任意団体がこれを買收しなければならないじやないか。新しい任意団体資格漁業協同組合資格、人格というものは別個なものである。これを整理するときにどのような方法をとるか。私はあなた方の制定されたこの法というものに対して、これを理想的なものであると考えるが、現在の段階においては不可能なことであると考えておる。まず漁業協同組合施設費をいかにするか。この点に対するあなた方のまじめなる、責任ある答弁を伺いたい。     〔田口委員長代理退席、冨永委員長着席〕
  24. 網島毅

    網島説明員 協同組合の問題でございまするが、この規則の第五條の第一項にございますように、この新しい考え、あるいはつくられるでありましようところの組合に対しましては、一つ団体としても加入することができるということになつておるのであります。従いまして、協同組合自体としてここに一つ組合に加入する。現在の協同組合におきましても、員外利用という制度がございますることは御承知通りであります。ところがこの協同組合自体でも、もちろんもしも協同組合が無差別にだれでも加入できるものでありまするならば、私どもとしてちつともさしつかえないのであります。ところが残念ながら、現在この協同組合が、無差別にだれでも加入できるということになつておりません。先ほど委員長からも説明がありましたように、これには使用制限が伴つております。この利用制限があるということが、電波法の第一條電波の公平かつ能率的な利用を確保しなければいかぬということに沿わないものですから、この新しい団体というものを考えまして、そこには協同組合そのものでもつて加入して行く。従つて協同組合と、それから員外利用をしたいと思われるところのものと一緒になつてこの組合をつくるということになりますれば、協同組合自体としてその中へ入れるのでありまするから、従つてどもといたしましては、協同組合自分自身、やはり従来通り施設を持ち、施設を維持し、しかも従来員外利用を認めておつたのでありまするから、新しい組合に対してもその利用を認めて行けるのじやないか。そういたしますれば、先ほどからるる御説明申し上げましたように、公衆通信との関係、いわゆる法律的な関係も円満に解決できるのじやないかと、私ども考えておる次第であります。
  25. 松田鐵藏

    松田委員 今日本漁船で、漁業を営み、無電をつけておる漁船で、漁業協同組合に加入していない漁船が、あなたは一そうだにあるということを考えておられますかどうか。おそらく日本の現在船舶を持つて漁業を営んでおる漁船の所有者は、どなたであつても、ただの一そうであろうが、漁業協同組合に加入をしていない持主はないと私は断言できるのである。しかも現在の無電局を持つておる漁業協同組合といえども、他の組合漁船利用させないという実例があるかどうか。おそらくその地方に行つたならば、その地方々々に準会員という制度を設けて、でき得るだけの利用をさせておつて、一そうの船に対しても迷惑をかけていないというのが現在の無電局を持つておる漁業協同組合の行つておる方法である。しかもこの話はこの程度にして話はかわるが、あなた方は電波監理委員会というものをつくつて、民主的に委員を七人選定して、この委員会の結論によつてこの法案をつくつたとあなた方はおつしやるが、はたしてこの委員会というものをつくつたその当時のその行程において、どのような方法をとつておられたか。しかもあなた方は、委員会の結論が出ないうちにあなた方の原案を——この結論は原案の通りになつておるじやないか。しかも結論が出ないうちに、翌日各県庁に対して指令を発しているじやないか。そんなにあなた方の委員会というものは、事務がスムースに行つておるものでありまするか。委員会の結論というものは賛否両々ではあつたが、どういう行程を盡しておつたか。もしこの方法に誤まりがあつたならば、あなた方はどういう責任をとられるか。あなた方のやつて来た委員会の行程を見ると、まつたく官僚独善の、民主主義をはき違えたものではないか。なぜもつと委員会というものをまじめにあなた方はこれに説明し、これに対してまじめなる方法をとらなかつたか。ぼくはあなたに言うのではない。委員長に申し上げる。もしこれに対して一点の非かあつたならば、あなたは責任をとるかどうか。この点を私は強調します。
  26. 永田節

    ○永田委員 ただいま松田委員からの御質問に関連いたしまして御答弁を求めます。ここに各業者の十二くらいの団体から陳情が参つておりますが、いろいろ書いてあります。そこで去る二十三年の二月ないし五月ころ、水産通信委員会というものが、司令部方面で開かれたそうでございますが、これには電波庁の安本という課がありますか、それらからの案といたしまして、電波の会社を設立するという案をお出しになつた。それについて中山琢三という人が反対をされた。そこで委員会の方では、反対をされるということはぐあいが悪いということでむりにやめていただいた、辞職を強要された、こういう事実を承つておるのでありまするが、この真相はいかがでございますか。また二十五年の八月十八日、電波庁において公聽会を開いた。それには水産庁側からも、同じく業者を出すことを要望したにもかかわらず、主催者側ではこれを拒んでおるこの事実。それから、これによりますと、聽聞会以前に電波庁職員が地方に出張して、組合をつくらなければ今後許可しないよう、近く法令を改めることになつておる旨を宣伝しておる。かような点から行きまして、どうにもわれわれ委員会においては承服できない。なるほどこの法の設立を見ましたその当初におきまして、われわれも十分承知いたしておりますが、この法は、水産行政には全然御迷惑をかけないものであるというので、この委員会でも一応審議されたことを記憶いたしております。しかるにその後は一片の省令を設けまして、かような乱脈きわまるところの過程を経て、傍若無人の処置をとられるということは、私どもとして、はなはだ承服いたしかねます。先ほど松田君の質問にあわせて、私のこの質問にお答え願いたい。
  27. 富安謙次

    富安説明員 先ほどの私に対するお尋ねは、委員会の運営について間違いがあるならば、責任をとるかというお話でございます。間違いと申しましても、どういうことであるか、具体的にその場合に接しなければ、それについて、私が責任をとるとか、とらないとかいうことを申し上げるわけには参りませんが、私は自分委員長といたしましての責任をとるべき場合には、とるということについて、決してそんなものを避ける気持がないということだけは、はつきり申し上げておきます。  それから委員会の運営につきまして、まだきまらない案を出したばかりのときに、公聽会の前にその案をすぐに地方に云々ということがありましたが、さような事実のないことも、あわせてお答え申し上げておきます。  それから何か二十三年ごろの話でございますが、そういうことにつきましては、実は私がこの委員会に携わるようになりましたずつと以前のことでありますので、私承知いたしておりません。御必要があれば調べまして、お答え申し上げることにいたしたいと思います。  なお公聽会に来てもらう方の人選につきましては、私どもは各方面を十分考えまして、これこれの方ということで、選定をいたしたのでありまして、決してその間に、私どもは私意をさしはさむことはなかつたということを申し上げたいと思います。ただつけ加えて申し上げますが、公聽会と申しましても、御承知のように、すべての人を幾日も幾日もかかつてということも参りませんので、私どもの良心的な判断によりまして、この方面からこの方、こういう申出があつたから、なるほどこの方面の方というので、それに要する時間なり日時なりを考えあわせまして、適当と思う方をお呼びしたのでありまして、その間に何ら、ただいま仰せのような、私をさしはさんでいるということはなかつたということを、御了承願いたいと思います。
  28. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 この際、委員方々並びに説明員の方に御了解を願いたいと思います。もう大分時間も過ぎておりますが、いましばらく延長したいと思いますから、御了承願いたいと思います。
  29. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 富安さんにお尋ねしたいのでありますが、この委員会規則をおつくりになります際に、特に漁業無線につきまして、関係方面から有力なサゼスチョンなり、あるいは指示なりがあつて、この委員会規則がつくられたものであるかどうか。また委員会がまつたく自主的な立場から、この委員会規則をおつくりになつたものであるかどうか、この点をまずお尋ねいたします。
  30. 富安謙次

    富安説明員 お答えを申し上げます。この委員会規則を制定いたすについて、関係の向というのは、いわゆる客観情勢ということをおさしになつておるのでありますか。
  31. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 司令部。
  32. 富安謙次

    富安説明員 司令部から特別のサゼスチョンがあつたか、なかつたかということでありますが、これは申すまでもなく、占領下におきまする日本の行政は、司令部との交渉を免れないのでありまして、どういう行政につきましても、どういう担当者も、司令部を離れて行政を行つてはいけない情勢であることは、御承知通りであると思います。本件につきましても、その点は同じでありまして、特に本件について司令部とどうこう——司令部関係が特別に他の行政部面の場合と違つて、特に濃密であつた、あるいは特に薄かつたという関係はないと思います。     〔川村委員「そんなことではない。はたの行政面のいろいろな説明をしろというのではない。鈴木君が聞いているのはそういうことではない。あつたか、ないか。なかつたら、ない。あつたら、あつた。それ一言でいい。」と呼ぶ〕
  33. 富安謙次

    富安説明員 それはあります。
  34. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 漁業無線について、関係方面からサゼスチョンがあつた、こういうぐあいに承知してよろしいのですか。
  35. 富安謙次

    富安説明員 漁業無線関係につきましても、やはり向うの方と——サゼスチョンというと言葉に捉われる危險がありますので、言葉のみにお考えくださると、あるいはそのために誤解を生ずるかもしれませんが、そのサゼスチョンという意味は、普通の、他の行政においても用いているその意味におきまして、やはり向うと交渉、連絡があつた、こういう意味であります。その意味においてサゼスチョンはありました。
  36. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 この漁業無線の発達につきましては、漁業の実態に即応しなければ、わが国の漁業無線の発達は期せられない、こう考えております。しかるにこの委員会規則が制定されまして、これが実施に移されましてから、漁業の実態に沿わざるものとして、全国ほとんど津々浦々の漁業関係者から、猛烈な反対が起つております。このことを委員長は十分御承知であるかどうか。また先ほど申し上げましたように、漁業の実情に沿わざるところの漁業無線という行政は、決してわが国の漁業無線を発達せしむるゆえんでない。そういう観点から今後漁業無線の発達のために、業界の要望を十分お入れになつて、そうして委員会として、かく改めれば漁業の実際にも即する、漁業者の満足をも與え得る。こういう結論が出た場合には、この委員会規則を改めるだけの余地があるかどうか、この点お尋ねいたします。
  37. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 説明員の答弁はできるだけ簡單に願います。
  38. 富安謙次

    富安説明員 この規則を出したときに、非常な反対が猛然としてあつたのを知つておるかというお尋ねに対してお答えいたします。私どもはこの委員会規則を出しまして、この規則趣旨従つて、各地方においても順調に進みつつあるものと考えております。十月十二日のこの陳情を私は初めて拜見をいたしたのでありまして、さようなことがあるとは私は考えておらなかつたのであります。
  39. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 私、岩手県の選出でございますが、去る十五日に県下の水産大会がありまして、その際におきましても、この問題が非常な論議の中心と相なつております。私どもは、委員長もおそらく同感であろうと思うのでありますが、委員会の單なる立場にとらわれず、漁業者の利便、わが国の漁業無線の発達ということを念願として、これらの委員会規則等の制定及び今後の運用をなされるものと、われわれは了解する。この点について、もしわが国の漁業無線の発達なり、漁業者の利便の見地からいつて不都合な点がある。業界がどうしても納得が行かないという場合には、それらの輿論をお聞きになつて、そうして民主的にこれを改正されるお気持があるかどうかということを、お尋ねしたい。
  40. 富安謙次

    富安説明員 私どもは過般制定されました電波法精神に従いまして、その趣旨にもつぱら忠実であるように行政を運行するようにしようというほか考えていないのであります。その精神から考えますれば、法律がかわらない以上は、そうして一面において漁業ということをも考慮に入れて参りまするならば、この規則に到達するほかに道を考え得なかつたのであります。法律がかくのごとき精神をもつて出発いたした以上は、私どもはそれに忠順に従うほか道はないのであります。
  41. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 それではそれを前提といたしまして、具体的に御質問申し上げたいと存じます。まず漁業協同組合無線局の取扱いの問題でありますが、現在の漁業協同組合が持つております無電局をそのまま專用通信としてお認めになる御意思は、先ほどの御説明ではないようであります。任意組合組織がえをしなければいけない、こういうように御説明を承つております。私どもの見解をもつていたしますならば、漁業協同組合協同組合法に明定されておりますように、漁民あるいは水産加工業者の協同の組織といたしまして、これらの水産関係業者の経済的、社会的な向上を促し、もつて国民経済に寄與しようというような目的で協同組合が設立されているわけであります。しこうしてその協同組合の事業の中には、漁業者の共同の施設を行いまして、そうして漁業の発達なりあるいは生産力の向上をはかることに寄與しよう、こういう事業の目的が明らかにあるのであります。その協同組合の設立の目的なりあるいは事業なりの立場からいたしまして、従来の古い漁業会にいたしましても、また新しい協同組合にいたしましても、陸上無電局を敷設いたしまして、そうして組合員たる漁業者の共同の利益をはかり、漁業の発達をはかる、こういうことに鋭意努力して来ているわけであります。ただ問題になります点は、組合員以外の者でもこの無電局利用するという面があるわけであります。しかしこれは協同組合法でも認めておりますように、員外利用の道は協同組合には開かれております。その組合施設なり事業なりを、組合員はもとより組合員以外の一般の漁業者も、員外利用の道としてこれを認めておる。そういう員外利用の面につきましては、組合がそれらの常時利用する者を限定いたしまして、そうしてこれと契約を結ぶことによつて專用通信としての運用ができるのではないか、こう考えておるのでありますが、漁業協同組合無電施設專用通信として、そのまま組織がえをせずに活用する道がないかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  42. 富安謙次

    富安説明員 ただいまお尋ねの問題でありますが、お尋ねのように員外利用という道が開いているのであるから、ただちにもつてこれで專用通信であるということに解釈か。運用かはできないかという御趣旨でありますならば、それは法の建前からいつて困難だと思います。員外利用ということでなく、何人でもその施設利用し得るというようなことでありますならば、使用者団体として、そこで初めて一つ專用通信ということが、国の公衆通信に対して認められるのでありますが、例外的に員外利用であるからというぐらいの程度をもつてしては、ただちにそれで專用通信ということに持つて行くということは、法律の解釈上私どもとしては困難だと存じております。
  43. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 もつと簡明にお尋ねいたすのでありますが、協同組合組合員は当然常時利用するわけであります。その他の組合員以外の者、これは常時使用する者を組合が契約をいたしまして、利用者を限定するわけであります。そうすることによつて協同組合施設そのものとして專用通信が認められるのではないか、こう思うのでありますが、その契約関係によつて專用通信が認められるかどうか。
  44. 富安謙次

    富安説明員 やはりおつしやるようでありましても、何人でも自由にこれに加入できるということの趣旨には違うのでありますから、何人でも自由にこれを利用し得ることができるということでないと、專用通信だと認めることにはならないと思います。
  45. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 それはおかしいですね。專用通信というのは、限定された人たちだけで使うのが專用通信でしよう。
  46. 富安謙次

    富安説明員 何人でも自由にこれを利用することができたときに初めてその団体の專用として、国の独占の公衆通信に対して例外が認められるのでありますから、協同組合ということでありますと、特別の目的対象としている中小漁業者というものがありまして、それを原則として、その例外として員外の利用が認められるということでありましては、何人でもそれを利用できるということとは違うと思うのであります。
  47. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 どうも御説明が十分納得行かぬのでありますが、何人でも利用できるということになりますれば、これは公衆通信ということになろうかと思うのであります。そうでなく、特定の限定された人たちだけが、公衆通信と別に利用できる、限定された範囲内の人たちが利用するというのが、專用通信だと了解しております。そこで漁業協同組合組合員及び契約関係なり何なりによつて、特定の限定された範囲内の人たちだけがそれを利用するというものを、別個に二重組織として任意組合等をつくらずに、そういう煩瑣を避けて、協同組合自体がそういう仕組によつて持つものが、專用通信として認められるかどうかということをお尋ねしておるのであります。
  48. 富安謙次

    富安説明員 こういうふうにお考えいただいたらどうですか。免許人が利用するならいいですけれども協同組合組合員外の人がそれを利用することは、免許人でない、他人で、組合員自身が利用するのではないのですから、やはり免許人が使用するのでなければならぬと思います。それで団体がきまつて、免許人自身ということになれば、それは免許主体になるのであつて、それが員外ということになりますと、よそからこれを利用することになりますから、やはり專用通信ということにはならぬと思います。
  49. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 委員の皆さんに申し上げます。電波監理委員会に関する質疑は、まだ委員の皆さん相当あるようでございますが、きようはこの程度に打切り、また適当な機会においで願つて、さらに質疑を続けたいと思いますが、いかがですか——電波監理委員会に関する質問は、委員の各位から今後なお質議が継続されるものと考えますが、委員会の時間の関係もございますので、本日はこの程度にとどめ、適当な機会に委員の招集をいたしまして、さらに質疑を続行いたすことにいたします。     —————————————
  50. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 なおこの場合、漁業経営安定に関して小委員長から発言を求められております。これを許します。
  51. 永田節

    ○永田委員 北海道底びき機船入会権につきまして、小委員会の結果を御報告申し上げます。  一、資源枯渇防止法の建前より急速に大海区を制定し、もつて沿岸漁民の安定をはかること。  二、前項に基き、暫定措置として入会船は百五十隻以内とし、昨年許可船のうち違反行為の船は入会を許さない。  三、宮城県の船団は悪質違反多数なるがゆえに、入会を許さないことを妥当とする。  四、現行機船底曳取締規則を参照し、福島県新潟県の入会も認めないことを妥当とする。  五、青森県は三十五トン以上の船に限り、入会を認める。  六、操業期間は青森、北海道ともに太平洋海区に限り、十月一日より翌年五月三十日までに変更するを妥当とする。  七、釧路海区は四十二度二十五分をもつて境界線とすることを妥当とする。  八、その他は昨年の入会協定事項に基くものとする。以上でありますから、委員会におかれましてはよろしく御審議願いまして、早急に御決定あらんことをお願いいたします。
  52. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 ただいま漁業経営安定に関する小委員会において、東北地方底びき漁業機船の北海道入漁について検討の結果を、永田小委員長より報告がありました。本委員会はこれについてただちに質疑を許すべきですが、出席少数のため、これを盡し得ないことは遺憾でありますが、しかし問題は今日以上遷延を許さざる緊急を要するものと認めますので、今後本日欠席せられた委員より質疑の申入れがあれば、委員長において必要と認めた場合これを許すことがあるものとして、今日のところ本委員会は永田小委員長の報告の通りこれを了承して、水産庁当局に要望いたしたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。  水産庁当局におかれましては、ただいまお聞きの通りでありますから、行政処置に万遺憾なきよう至急善処せられんことを要望いたします。
  54. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま漁業経営安定小委員長の永田委員から、大体その小委員会としての結論を発表されたのでありますが、もちろんこれにはいろいろまだ議論も残されておるのでありますが、一応委員長から適当な機会において意見の開陳を許す場合を條件として今日われわれも賛成したいと思います。そこで私は入会の問題について、私も班長として調査の報告をしなければならぬ義務があるのでありますが、大体調査内容はいずれの機会において本委員会に報告するということにいたしますが、とりあえず入会船の問題で特にこの際申し上げなければならぬことは、われわれが調査の最中におきまして、わずか二十日間の調査期間のうちに四隻も宮城県の漁船が違反を起しておるという事実がはつきり現われておるのであります。従つて私たちは、今後の入会についての問題は、いずれいろいろな協議を重ねてきまることと思いますけれども、北海道といたしましては、この入会に対して非常な深い関心とさらに取締りの強化について、それぞれ当局は考えておるようであります。そこで私本日この新聞を手に入れましたのは、昭和二十五年の十月十五日付の北海道水産新聞の記事の中にかようなことが出ております。「入会船に備えて取締陣万全強化保安官に拳銃携行」こうしたような題で、「小樽第一管区海上保安部では九月二十一日から青森県の漁船七十四隻が入会操業しているばかりではなく、今後福島、宮城、岩手、新潟などから水産庁の入会許可あり次第続々入漁するので、それに備えて取締陣を強化して万全の計画を立てている。それによると保安官には全部ピストルを持たせ、巡視船栗橋丸(一〇八〇トン)ともちどり丸(三〇〇トン)あさみどり丸(三〇〇トン)に乗り込ませるほか道庁監視船海王丸、昭洋丸の二隻には水射銃を備えて取締りに当らせることになつた。」こういう記事が出ておるのであります。従つて北海道といたしましては、この入会の問題はいかに海賊的行為であるかというようなことは、如実にこの新聞紙上にも現われておる通りであります。取締陣としてもかようなことまでしなければならぬということは、水産庁としての取締の緩漫から、かような行為に出なければならないのではないかと、かように考えるのであります。従つて今後入会を認めるにいたしましても、各県に十分な責任を持たせると同時に、水産庁としても必ず責任を持つということによつて、本委員会も多分了承するだろうと考えますので、どうか今後の取締りその他入会に対する方法等については、万全を期せられんことを特に要望する次第であります。  それからなおもう一つ惠山魚田の入会の問題であります。これはひとり入会船の問題ばかりでなく、道内船の問題も関連するのでありますが、あの惠山魚田は魚族豊富であり、かつ最も沿岸に近い所まで魚族が回遊することは、御承知であろうと思つております。現にあの地方では卒先をいたしまして、水産庁案の小型手繰り網漁業の整備に従つて、一隻の小型船もなくしたということは、沿岸漁業との摩擦から生ずるいろいろな問題を解消しなければ、沿岸漁民の保護にならない。いわゆる経営の安定を期されないということから、水産庁案の線に沿うて転換をしたのであります。ところでややもすれば、あの方面に入会船ばかりでもございませんけれども、道内船も沿岸に近づいて漁撈をして、さし網とかあるいは延べなわとか、その他いろいろな漁業に支障を與えておるということは事実であります。先般も大挙私らのところに参りまして、ぜひ今度の入会を契機にして、あの地方の禁漁区域の拡張をしてもらいたいという要望もありますので、この入会船の問題等とも関連しますから、この禁漁区域の拡張のことも一応考えて、第一項に小委員長から報告になつたように、資源枯渇防止法の建前より急速に大海区を制定し、もつて沿岸漁民の安定をはかること、こうなつておりますが、沿岸漁民の安定をはかるような方法をとられんことを特に申し添えまして、私は小委員長の報告の案に賛成するものであります。
  55. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま議題となつておる了承されたこの内地船の入会問題は、昨年は北海道関係代議士と、内地府県の関係代議士と水産庁との話合いによつて協定が成立つたのであつて、昨年度措置をされたのであります。ところがわれわれは実に満足すべき方法であるとかたく信じておつたのに、非常なる悪質違反を出したために、北海道における反対の意見が依然として強まつてつた。ゆえにわれわれは内地関係府県と、北海道関係のものとのみの協定では、公正なる妥結点を見出すのに困難を来しておつたために、委員会に取上げられ、小委員会を設定されて、しかしてこの問題について今までの日時を要して小委員会の結論が出たわけであります。委員会もこれを了承して水産庁に申入れされたような次第であります。水産庁においては、この重大なる問題の一年の経過をよく観察されて、あらゆる謀略があろうとも、委員会意見を尊重して、行政面に対する万遺漏なきを期していただきたい。かように水産庁長官に対して私は要望するものであります。
  56. 井之口政雄

    ○井之口委員 ただいまの入会権の問題については、小委員会において大体の意見をまとめたが、今日は出席しておられない方もあるので、将来質問があれば質問する。一応小委員会の報告として聞き置くという性質のものと私は了解するのです。これを何か法律的な効果を持つものとして、さらにこの委員会の決議として本会議に出すとかなんとかいう性質のものではない。こう理解するのでありますが、それはどうなんですか。
  57. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 今井之口委員からの質問は御解釈の通りでありますが、ただ聞き置く程度のものではございません。本日の委員会はこれを了承して水産庁に申入れをいたしたことは、お聞きの通りであります。但し本日欠席の委員方々から質疑がありました場合には、委員長において必要と認めたものはその質疑をお認めすることにいたす考えであります。それも先ほど申し上げた通りであります。  この場合委員各位にお諮りいたします。昨日委員会の決議によりまして、参考人のおいでを願いましたところ、フイッシユ・ミール輸出協会理事長木本さんと成島常務理事がお見えになつておりますが、大分時間が経過いたしましたので、この場合四十分休憩いたしまして、この御両人の御出席を求め、委員各位から御質疑を願いたいと思いますから、ぜひ御出席願いたいと思います。さようとりはからつてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 それではさよう決定いたします。  休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————     午後三時二十五分開議
  59. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 午前に引続いて会議を開きます。  この際お諮りいたします。去る十一日田渕光一君が委員を辞任せられ、十三日再び同君が委員に選任されましたので、同君を従来つかれておりました各小委員補欠選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 御異議なしと認め、漁業制度、戦災漁場復旧、水産貿易及び水産行政の充実に関する各小委員に指名いたします。     —————————————
  61. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 水産貿易に関する件を議題といたします。幸いここに日本フイッシユ・ミール輸出協会から理事長木本英一君、常務理事成島嘉一郎君が見えておられます。委員各位の御質疑をしていただくことにいたします。この場合発言を求められております。これを許します。松田委員
  62. 松田鐵藏

    松田委員 当委員会においては、日本水産貿易に対して、最も外貨獲得の点から日本建設の第一歩を築く理由にもなり、またあらゆる水産資材が見返り物資として、援助物資として今日日本に輸入されておるのであつて、これに対して、将来講和会議が成立後においても、今まで戦争以前において確保されておつた日本水産貿易の実績に照して、諸外国に輸出せんがために、当委員会といたしましても、これを強く要望し、論議され、小委員会の設定も見ておるような次第であり、今回はまた二階堂委員委員会を代表いたしまして、アメリカに水産貿易重要性にかんがみて、その視察に参つておるような次第であります。  ときに本委員会といたしましても、現在日本から輸出されておるあまたの輸出品がありまするが、中にもフイッシユミールだとか、肝油だとか、こうしたものは安易に製造され、将来も約束されておるような次第でありまして、この点に対する斯界の権威者であり、またその輸出協会会長または副会長であられる方々の外国に対する深い御造詣もあられることとも存じまするし、日本のこうした貿易関係を、将来どのように持つて行こうかという御意見もあることと存じまするので、簡單にひとつ本委員会に対して、この御抱負を御披瀝あらんことをお願いしたい、かように考えるものであります。
  63. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 この場合委員各位にお知らせ申し上げます。政府からは益子農林省輸出検査長、中川農林省官房検査官御両氏が出席せられております。
  64. 木本瑛一

    ○木本参考人 御指名によりまして御質問に対してお答え申し上げたいと思います。今松田さんからお話のありましたように、フイッシユ・ミールは、日本の輸出水産物の中でも非常に重要なものでございまして、戰前は一番多いときには、日本から十万トン以上のものが輸出されたのであります。従いまして、戰後私どもは早くからフイッシユ・ミールの輸出の再開ということを熱望いたしまして、その時分いろいろ統制その他やかましい羈絆がありました中にも、みんな協力いたしまして、当局にいろいろなお願いを申し上げた次第でございますが、漸次内地の肥料事情、飼料事情がよくなるにつれまして、だんだん許されることになりまして、ことしの春ごろから、ようやくこの実施に入つたわけであります。このフイッシユ・ミールは海産物の多い日本としますと、将来とも外国に多量輸出されるものだろうと考えられます。仕向地は大体ドイツ方面、アメリカ方面がおもでございますが、日本でもそれに対応いたしまして、品質のいいものをなるべく安く生産するように皆さんのお力で御指導願いまして、たくさん外国へ出せるようにいたしたいと考えます。
  65. 松田鐵藏

    松田委員 戦前輸出されておつたフイッシユ・ミールは、どのような方法をもつて製造されておつたか、たとえばおもに輸出されておつたものはいわしのミールだと考えておるのでありますが、いわしのミールは、たとえばミイキン式のような機械をもつて科学的な方法をもつて製造されておつたものが輸出されておつたか。または各生産者が従来日本において行われておる魚かすをつくつて、その品質のいいものを選択いたしまして、それを粉碎してミールとして輸出されておつたか。この点はどのようなものでありましたでしようか。
  66. 木本瑛一

    ○木本参考人 それは両方とも出ておりましたお説の通りいわしが大部分でありまして、ただいま申し上げました十万トンの中で七万トン余りはいわしでございました。機械でやつた方は機械ミールと言い、今の日本のいわしかすを乾燥したやつは乾燥ミール、あるいは天日ミールというような両方の名前を使いまして、両方とも出ております。
  67. 松田鐵藏

    松田委員 ところで私は常に考えておるのでありますが、あなたの方のミール輸出協会は、どのくらいの貿易業者が集まつてメンバーを結成されておられますかということと、もう一つは従来日本の貿易業者は、ややもすれば自己の営業のみ考えて、生産者の採算などということは全然無視して商売をとりはからつて来たようにもわれわれは思うのであります。そういう点と、今日における生産者は、御承知通り非常なる金詰まりと、資材のあらゆる面における値上りと、魚の値段の安いためと、こうした関係上非常に苦境に立つておる今日であるが、ややもすれば先ほど申しましたように、自己の営業を守るために、生産者の経済を度外視しての営業の方針を考える向きが多いと思うのであつて、われわれ委員会においても、その点を十分考慮して、いかにしなければならないかという考え方を研究しておるのでありますが、あなた方の輸出業者はどのくらいの人数をもつて協会をつくられており、そうした方々がおられるかどうか。真に紳士的な日本再興のための輸出業者の集まりであるかどうかということをお伺いしたいのであります。
  68. 木本瑛一

    ○木本参考人 現在私ども関係しておりますフイッシユ・ミール輸出組合の会員は二十九名おります。それは全部貿易業者のみであります。戦前におきまするミール組合と申しますのは、生産者と輸出業者とほとんど半分々々の組合でございましたが、職後われわれがこの会を創成いたしますときに、生産者の方々にもお諮りしようかというような説もございましたが、それは将来のことにして、とりあえず輸出業者だけ集まろうじやないかということで、今申し上げましたように、貿易業者のみが現在集まつております。従つてこの中には生産者の方は入つておられない建前になつております。  それから第二の御質問でございますが、前からも大体そうでございましたが、現在では貿易業者が自分の勘定で買仕切る、つまり幾らならば買いますと言つて、それを自分の勘定で外国へ高く売る、あるいは安く売るという自分の計算でやるということはほとんどないのでございます。従つて外国から注文が入りますと、何ドルで注文が来ましたが、これでお引受け願えないかというようにやりまして、いわば委託的なとりはからいをしております。
  69. 松田鐵藏

    松田委員 あなたのフイッシユ・ミール輸出協会という協会のほかに、あなた自体が輸出貿易業者であられますか。
  70. 木本瑛一

    ○木本参考人 私はそうでございます。
  71. 松田鐵藏

    松田委員 それから成島さんはその專務でおられますか。
  72. 成島嘉一郎

    ○成島参考人 私は常務理事ででございます。
  73. 松田鐵藏

    松田委員 ときに本年日本で輸出されたミールの数量はどのくらいでございましようか。
  74. 成島嘉一郎

    ○成島参考人 ちよつと申し添えておきますが、私はどこにも立場がございませんことを申し上げておきます。  本年の十月までにできました契約高は、欧州とアメリカを加えまして、キロトンに直しまして四千二百二十五トン契約ができました。この内訳を申し上げますと、アメリカが千二百五十トン、それからドイツが二千四百五十トン、それからスイスが二百トン、これだけであります。そのうち現在まだ積んでおりませんのが千四百五十トンございます。その内訳を申し上げますと、ドイツが千トン、アメリカが四百五十トン、これだけ残つております。
  75. 松田鐵藏

    松田委員 木本会長の輸出会社というものは、お名前は肝臓油興業株式会社とおつしやいますか。
  76. 木本瑛一

    ○木本参考人 そうでございます。これは主としてビタミン油を扱つておる会社であります。
  77. 松田鐵藏

    松田委員 そこであなたの方では、本年ミールはどのくらい輸出契約をされて、どのくらい輸出されておりますか。
  78. 木本瑛一

    ○木本参考人 契約高は九百トンになります。それで今までに全部積みました。
  79. 松田鐵藏

    松田委員 あなたは副社長である方を北海道の日東水産株式会社というところへやつて、どうか契約をしてくださいと言つてお願いしたことはありませんか。
  80. 木本瑛一

    ○木本参考人 今年の夏でございましたか、今のミールの輸出再開という問題が取上げられました時分に、われわれはこのミールというものの品質その他につきまして、非常に注意深く取扱わなければならぬということを考えましたので、私どもと一諸に働いております今松田さんから副社長と言われましたが、私と同じような代表取締役になつておりますが、フイッシユ・ミールの品質につきましては私以上に深い経験を持つておりますので、それが北海道で買付けるというよりは、むしろ視察に参りましたその時分に、各方面にひとつ出してもらえないかということはお願いしたことはあるだろうと思います。時にお話のように日東さん云云ということでなしに、各方面にお引合い申し上げたことはあるだろうと思います。
  81. 松田鐵藏

    松田委員 陳情人からよく陳情を受けておるのでありますが、あなたの会社は外国と契約をしたので、その数量が不足なるがゆえに、どうかその数量に満たせるために契約をしてくださいと言つて、日東水産及び松田漁業に参上したという事実はありませんか。
  82. 木本瑛一

    ○木本参考人 先ほども申しましたように、私どもは品質その他に非常に懸念を持つて、この取引きを注意深く歩いておりましたので、大体買付けが済んだものだけを外国へ売つておりました。従つて原料は九百トン以上を持つておりましたが、その時分に売つておるのは、八百五十トンしか売つておりません。そういうような取引きをいたしましたので、特に契約に足らないからというようなことは、東京におります私どもとしてはちよつと考えられないのです。ただ北海道には私の方の支店がございますので、支店とすると、できるだけの数量を集めるために、いろいろ取引先にお願いしたことがあるかもわかりませんが、本社からは特にそういうことを指示したことはないと思います。
  83. 松田鐵藏

    松田委員 あなたの方の今年の九百トンというのは、どこからお買い求めになつておられますか。
  84. 木本瑛一

    ○木本参考人 内容を申し上げますが、ミールとして買い付けましたものは、釧路の中村水産の二百トン、それから魚粉工船の百トンだけであります。それ以外のものは全部われわれ自分で原料を集め、その他いたした次第でございます。
  85. 松田鐵藏

    松田委員 益子検査官にお尋ねしますが、あなたは中村水産のミールと日東水産のミール及び松田漁業のミールを検査されましたか。
  86. 益子四郎

    ○益子説明員 中村水産のは見ておりません。松田漁業のものと日東水産のものは見ました。
  87. 松田鐵藏

    松田委員 大木フイッシユ・ミール輸出協会からこのような書類が出ておることを御存じでありますか。「ミール二三第五三五、昭和二十五年八月五日、フイッシユ・ミール輸出協会長、協会員殿」。
  88. 木本瑛一

    ○木本参考人 そういう書類が出ておりますことは承知しております。そのことにつきましては常務理事である成島君からお話いたしてもよろしゆうございます。
  89. 松田鐵藏

    松田委員 この書類を見るときにおいて、北海道の生産者のハタ売りと今後の買付けの注意ということも書いてあります。私はあなたが業者で権威者であるということを信頼しておるのでありますが、ホワイト・ミールの油分がわずか四、五%のものが輸送の途中に発火する憂いがあるものでありましようか。この点を承りたいと思います。
  90. 木本瑛一

    ○木本参考人 油分が五、六%のものは絶対に発火する心配はございません。ただ戦前に発火いたしまして、船を焼き大騒ぎをいたしましたのは、一二%を越えたものでありました。
  91. 松田鐵藏

    松田委員 ハタ売りという問題はどうですか。
  92. 成島嘉一郎

    ○成島参考人 このハタ売りにつきましては一言申し上げたいのですが、実は私は戦前前水産庁長官の飯山氏と日本油脂におりましてミールを製造しておりましたが、昔は朝鮮のかすが相当たくさん入つておりました。また北海道及び内地においてもそれぞれミールが製造されておりました。従つて契約数量は相当多かつたのですが、当時といたしましては、実は一回に千トンというような契約はなかなか容易に行われなかつたのであります。まして戦後御承知通り、ミールの生産地は北海道だけである。ほかのものはほとんどいわしその他なんです。しかも北海道ではにしんはとれますが、食糧になり、いわしはとうてい望めないということになると、すけそうとかあるいはかれいその他雑かすを主として使うよりほかにない。実は当時ドイツに千トン、スイスに二百トン、合計千二百トンという契約が大体時を同じくしてできたのであります。それは当時松田さんのものと日東水産のものと御一緒であつたと思いますが、実はそれについて、私は当時の事情からみまして、千トン以上の契約ができるということについては、非常に不安に思つてつた次第であります。それは実は当時私の方で依頼しておつた前フイッシユ・ミール水産組合の検査長をやつておりました清水淳三君が北海道へ参りまして、紋別を中心とした地域を調べたところが、製品として六、七百トンぐらいしかない。そうするとあとの四百トンないし五百トン以上のものは、当然これからとれるものを対象にしなければならない。こういうような報告もございました当時のいろいろな事情から申し、また松田さんと日東さんのほかのミール工場の設備から見ましても、なかなか今後相当数量を期待することはできない。まして本年度の日本の輸出計画としてドイツ二千トン、アメリカ一千トンというのもこれはごくあぶないような数字を計上しておるために、私としても当時の事情から見まして、これは非常にあぶないものじやないかというような不安がございました。従つてこれはハタ売りというのは——現在製品と言いますか、魚かすになつておるものか、それでなければ完全なミールとなつておる製品を対象としたものがいわゆる現物売りで、そうでないものはいわゆる先物ないしハタ売り、こういうふうな習慣で、私ども戦争前からやつておりましたものですから、一応、まだ輸出も当時二月に、わずかアメリカへ五十トン、松田さんの方が出ただけで、今後外国へ出る大事なときでもあるので、もしとれない場合には、これをどうして補充するかというような点で、関係方面あるいは役員の方面が心配して、なるべくこれは愼重に契約したり、限月履行もしなければならぬという頭もございましたものですから、私は会員の指導という意味で、当時の事情からそういう文句を使つた次第であります。
  93. 松田鐵藏

    松田委員 官房検査課の中川技官に私はお礼を申し上げたい。それはかつて、ことしの春、たまたま私が日東水産松田漁業からの依頼を受けて、本年度のミールの輸出というものに農林省は全面的な協力をしなければならない。それに対しては、生産資金を出すような方法を講じられ得ないかということであつた。そのとき中川技官は、どうしても輸出貿易に重点を置かなければならない。ゆえにバイヤーとの仮契約でもいいから、契約があつた場合においては、通産省ともあらゆる点から論議されて、この金融の措置を講ずるであろうという見解から私は今はつきりした記憶がありませんが、約一千トンのミールの生産資金を貸し出すべく努力をされたのが、ここにおられる中川技官であつたのであります。それが銀行の関係でどうしてもやり繰りができ得ないということで、その資金の調達はでき得なかつたのであります。かようなところから、あなた方業者も、そうした卓見を持つておらるる中川技官であるということを御認識されて、将来中川技官によるべきところが多くあろうと考えるのであります。  ところが今成島さんの言われておることは、あなたは業者でもない、またどこにも、所属されていない人である。ただこのミール協会の事務を担当されておると先ほど申されておる。またこの協会の責任者は木本さんであられる。私どもは会社においても、一人の給仕のやつた行為でも、社長である者の責任であると私ども考えておる。あらゆる問題をそう考えておるのであります。ゆえに最も重要な位置にある成島さんのやられた事柄は、社長である木本さんの御指示であり、また責任があることと存ずるのであります。あなた方はどのようにお考えになるかは存じませんが、私はそう考えておるのであります。  先ほど申したこの書類は、單なる会員に対しての御注意であるか。誹謗であるか。この現品が現在どのようになつておるか。日東水産の製品にクレームがついておるかどうか。これをまずあなた方に確かめたい。それから、松田漁業の契約はハタ売りであるかどうか。これをまず確かめたい。これに対して、あなた方は、ややもすれば、現在の生産者はどのような苦しみになつておるかということを御存じなく、ただ自己の営業をすればいいというお考えしか持たない方の行つた行為でなかろうかと、私は考えるがゆえに、あえてあなた方に対して、この書類の責任はどなたにあるかということをお尋ねするのであります。
  94. 木本瑛一

    ○木本参考人 今松田さんからお話があるまでもなく、私が理事長という職に甘んずる限り、この協会の責任は私にございます。この書類の出た当時、私どもは、ここにおる成島君から発送したときに、私はこれを見せられまして、これは少し書き過ぎているなということを申したのであります。しかしその責任は私にあることは申すまでもないのでございます。それから今のお話のありました、ハタ売り云々ということは、ここに文字に出ております。しかしその後松田さんのおやりになりましたその実績に対しては、実は非常に感服しておるのです。また敬服しているのです。あれほどの大きな数量を、みごとにお放しなすつたということについては、非常に私どもはびつくりもし、感服しておるわけであります。それからその契約の一つに、東亜交易というものにもお売りになりましたものもありましたが、この品質などは、ドイツに着きまして、エキセレントというような報告も入りましたことを聞いておりますので、それにつきましても非常に感心しておるわけであります。御質問の日東云々というものにつきましては、まだどこからも私は聞いておりません。クレームがあつたかないか、それもまだ聞いておりません。まあ何分こういうふうに、非常にドイツの方も相場が上つたことでございますから、うまくそのまま行くのじやないかということも考えております。
  95. 松田鐵藏

    松田委員 私どもは当委員会といたしまして、日本の輸出業者が自主的に、最も信頼ある貿易の実態に進んでいただきたいと念願しておるものであつて、また生産者もでき得るだけ安い製品、いい品物を外国へ出して、外貨の獲得をしなければならないものと、われわれはそれを奨励しておるのです。ところが輸出業者の中で、先ほども申しましたように、ややもすれば自己の営業のみにとらわれて、生産者の利害得失は一向考えていないというようなことが今まで往々あつた。私は昭和五、六年の当時、さけ、ますのカン詰をつくつてつたことがあつた。その当時三井物産にそのカン詰を委託販売をしておつた。地中海を全部のカン詰が船に載つて航海中に、貿易業者である三井物産が、今イギリスにおいて非常に暴落をしておるのであるから、今のうちに仕切つたらどうかということで、一箱わずか五円何十銭に仕切られたことがあつて、それがために私は破産をした。わずかに一週間後において着いたときには十四円何十銭である。かような苦い経験を持つておるのである。われわれは日本の貿易業者がこのような考え方を持つていては、生産者は絶対うだつが上らぬということを考えているがゆえに、松田漁業なり日東水産に対して、みずからの手で輸出すべし、みずからの手で輸出することによつて品質の改良もでき、あらゆる世界の情勢も知ることができる、かような点から、永田代議士と冨永委員長、私と三人でこれを指導し、またそれに力をつけて、生産者がみずから貿易をするように指導して来たものである。ところがあなた方は、現在日東水産のものは決済ができてしまつておる、クレームは一つもついておりませんと言う。しからばこの書類を出したということからいつて、これはどういう犯罪を構成するかということをあなたはお考えになつてつたかどうか。もし事実が、あらゆるハタ売もなかつた、クレームもついていない、完全にこの品物が外国に渡つて一つも問題がなかつた場合において、この書類は名誉毀損になりはしまいか、こうした名誉毀損をまでしでかすような書類をもつて、何のためにあなた方協会は——結果から生れたことではあるが、私どもが一番心配するものは、あなた自体が協会の理事長であり、あなたが貿易業者であるという観点からいつたら、ここに何らか問題がなかろうか。しかも先ほど申し上げるように、松田漁業の社長、日東水産の常務が先ほど来ておつて、あなたのところの副社長であるか常務であるかと契約をした後であつて、あなたこそハタ売りをして契約をしたのであるから、幾ら高くてもいいからわけてくれということを両方の会社へ行つて申し上げておるということを、私も永田委員委員長も陳情を受けておるのである。かようなことで日本の貿易業者が生産者に迷惑をかけ、またはこれを誹謗するがごとき態度に出るようなことがあつたら、われわれ水産常任委員会として、水産貿易の発達は見ることができ得ないという心配があるがゆえに、この書類を出したあなた方に対する責任はどこにあるか、またこれに対してあなた方はどういう考えで出されたか、大きに貿易を阻害するものでなかろうかと考えるのであつて、今日あなた方の意見を聞きたいというのがわれわれの考え方である。
  96. 成島嘉一郎

    ○成島参考人 今松田さんからお話がございまして、今回私がこれを書いた当時の気持をまず申し上げたいのですが、先ほど木本理事長から申し上げました通り、実は本協会が設立するときには、大分海外からミールの引合いがあつた、しかし内地が魚かす統制をしておる。当時は実は私日本漁肥協会の常務理事をやつておりまして、何とかミール輸出の振興のために資したいということで、当時水産長官の飯山氏とも相談いたしまして、本協会を一昨年四月創立したものであります。そのときに飯山氏からも、実はフイッシユ・ミール輸出協会をこしらえるには、やはり生産者を交えなくちやいかぬ、生産業者とエキスポーターとは切つても切れない関係にあつて水産の事情、海外の事情はお互いに交換して、車の両輪のように行かなくてはいかぬということを言われまして、実は一応定款の案として輸出業者を加えたのでございますが、まだメーカーの方がこれといつてまとまつてもおらぬようですし、單に食料魚粉の指定生産者だけは水産庁の方でわかつておりまして、当時水産庁でいろいろお調べつたのですが、どうもミールをこしらえる、その他のことが一向わからないために、それでは一応輸出業者だけということにして創立いたしました。しかしその後になつても、ぜひごく最近の機会に入れなければならぬというので、ここに御出席の水野水産課長とも相談いたしまして、水野水産課長も、これは何とか早く一緒にしたらどうか、そうしたらいろいろの事情もわかるのじやないか、私も賛成だ。しかし一応北海道の方でまとめて、生産業者の方がまとまればなおこれに越したことはないから、よろしくお願いしますというように、これは非公式の話ですが、そこまで申し入れて、その後聞くところによりますと、松田さんが会長になられた輸出用魚粉協同組合とかいうものがおできになつて松田さんが今後おやりになるというお話を聞いたので、その内容を伺つて、どういうお仕事をしておるかわからぬが、ぜひ私の方で一緒に提携してやりたいということまで参りましたが、まだこれというお仕事もなさつておらぬということで、実はそのままになつておりまして、私としても中央水産協会におりました関係上、この漁業生産についてはよく努力もいたしまして、決して輸出だけということでなく、今の魚かすの値段からいつても、松田さん、日東さんができた当時の価格からいつても非常に安い値段だ、これでは生産者に犠牲をしいるようなものになるのじやないかというところまで実は懸念いたしまして、あまり生産者を刺戟して、むしろ安くたたくことは生産者も困ることであるから、それまでにして飢餓輸出する必要はない。むしろ内地で魚かすが相当高い値段で売れる場合には、内地に売つた方がよろしいということまで会員に申し上げたような次第であります。私としては、決して水産貿易振興のために生産者に犠牲をしいるとか、また生産者を誹謗するとかいうような考えは、毛頭その当時も現在もございません。ただミールについていろいろ懸念したことは、当時輸出のものについては、水検では検査をしなくてもよい、單に今年の七月二日から実施されました輸出取締法第四條によつてのみ、実は検査を受けるということのために、その点についても統制検査というような字句がないために、関係者としても多少不安の念もあつた、それやこれやでこういうものを書きましたわけであります。決して私としては生産者を誹謗するとか、そういうことは全然ないことを御承知願いたいと思います。
  97. 松田鐵藏

    松田委員 たいへんお話は上手でありますが、これが結果として現在はもう結論が出ておるのであります。松田漁業なり日本水産なり名誉毀損としてこれを訴えたとき、あなたはどういう措置をとられるかということであります。もしこれが名誉毀損で成立した場合において、どのような処置をとられるかということであります。私は決して名誉毀損で訴えるようなことはいたさせません。しかしそうなつた場合はどのような措置をとられるかということです。
  98. 木本瑛一

    ○木本参考人 今の御質問は非常にはつきりした質問であります。私どもとしますと、成島君からお話申し上げましたように、そこに故意ないし作為があつてこういうものを成島君が書いたものではないというように考えております。今お話のように、これが名誉毀損というようなことになれば、私どもとしますと、その裁決に従うよりしかたがないと思います。
  99. 松田鐵藏

    松田委員 水野課長にお尋ねいたします。私ども考え方は、輸出振興を念頭として、今まで水産庁とあらゆる点に対して打合せをして来ておるのであります。業者の中に自己の営業を守るために、人を誹謗してかような書類を会員に配るなどということは、結果において日東水産の輸出したミールはクレイムはついておりません。松田漁業はハタ売りはしておりません。かような現実がはつきりしておるものに対して、このような誹謗をした書類を出されるような業者があなたの指導下にあるということであつたならば、水産庁はこの業者に対してどのような措置をされますか。
  100. 水野榮

    水野説明員 これは私拜見するのは初めてでございますが、もし先ほど申された内容のことでございますならば、私らも注意を喚起するということが、当面とるべき手段と思つております。実はフイッシユ・ミール輸出協会というのは、水産庁の直接の指導団体ではないのでありまして、これは元来がフイッシユ・ミールのエキスポーターの協会でありまして、現在所管ということから見ますれば、むしろ総務局なり、官房なりまたは通産省関係だと思いますが、これがやはり水産物ということからわれわれが連絡を受けており、またフイッシユ・ミールの規格というような点につきましては、国内向けの検査については、われわれの方で指導をしておるという関連性があつて、われわれの方もいつも連絡を受けておる次第ですが、業界内のことを誹謗したようなことがあるとするならば、関係の省なり、局とよく連絡をいたしまして、皆さんが円満に行きますようにとりはからいたいと考えております。
  101. 松田鐵藏

    松田委員 水産常任委員会としての意見は、どこまでも輸出貿易の振興にあるのでありまして、ただいま私が申しましたことは、まことに行き過ぎだと存ずるものでありますが、あらゆる点に対して私どもは努力をして来たものであります。ところが一方業者において、かかる誹謗を協会の名をもつて、しかも肝臓油興業の社員が、自分が註文を受けて渡さなければならないから、どうか売つてくださいと製造業者にお願いに行つておる。それができ得なかつたためにさような噴飯的な行動に出でたことであり、われわれ水産委員会として、かようなことがあつてはまことにまじめな業者に対して非常な迷惑をかけるものであります。ゆえに水産庁においては、この委員会の模様を逐次業界または新聞において発表されて、かかる業者の行動の将来なきように善処されんことを希望するものであります。
  102. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 松田委員長に申し上げます。松田委員より参考人に尋ねられた言葉の中に、もし速記録を調べた上で御考慮願う字句があるならば、委員長において適当にとりはからいたいと思いますから、御了承を願います。  ほかに御質疑がなければ本日はこれにて散会いたします。     午後三時十八分散会