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1950-10-21 第8回国会 衆議院 水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月二十一日(土曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君       川村善八郎君    鈴木 善幸君       田渕 光一君    永田  節君       平井 義一君    松田 鐵藏君       岡田 勢一君    小松 勇次君       水野彦治郎君    井之口政雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (臨時税制調査         室長)     泉 美之松君         水産庁長官   家坂 孝平君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁港課長)   林  眞治君         專  門  員 杉浦 保吉君 十月十一日  委員田渕光一辞任につき、その補欠として江  田斗米吉君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員江田斗米吉辞任につき、その補欠として  田渕光一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業経営安定に関する件  水産金融に関する件  水産貿易に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  水産金融に関する件を議題といたします。その前に、松田委員より発言を求められておりますので、これを許します。  なおこの機会に説明員出席をお知らせいたします。大蔵省からは臨時税制調査室長泉美之松君、国税庁間税部山市仲治君、農林省食料品検査所益子四郎君、水産庁長官家坂孝平君、同じく漁政部長松任谷健太郎君、同じく調査研究部長藤永元作君、漁港課長林眞治君、以上の通りであります。
  3. 松田鐵藏

    松田委員 水産委員会といたしまして水産に対する水産貿易重要性を痛感され、小委員会を設けておる次第であります。今日日本水産貿易なるものが遅々として進まない。その理由はいずこにあるかということが、非常に論議されておる次第であります。このときにあたり、斯界の権威者意見を聽取して、水産貿易の隆盛をはかりたいと考えておるのでありまして、ここにフイツシユ・ミール協会常務理事成島嘉一郎氏、肝臓油興業株式会社社長木本某、この両氏が当委員会に御出席になつて水産貿易の一部でも、その意見を徴することができたならば、水産貿易に対する非常なる貢献になることと考えまして、この両氏の御出席を願えるように、委員長においてしかるべくおとりはからいを願いたいと存ずるものであります。この点を提議するものであります。
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま松田委員より御発言がありましたように、水産貿易重要性にかんがみまして、民間側より参考人として御出席を願いまして、意見を承りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。なお意見を聞く日時は二十三日といたします。
  6. 田口長治郎

    田口委員 私は真珠物品税に対しまして、大蔵当局意見を伺いたいと思うのであります。  わが国の真珠養殖業戰時中禁止をされておりましたために、戰後になりましても復旧が遅々としておつたのでございますが、最近この事業が著しく伸びまして、昨年度におきましては、大体輸出額が八億五千万円程度に達しております。しかるにこの真珠養殖業におきまして、ただいま非常に困つておる問題が一つあるのでありまするが、それは物品税の問題であります。日本真珠は御承知通り、九割七分程度までは輸出をしておられます。わずかに百分の三だけが物品税対象になる内地販売のものになつておるのであります。なおこの百分の三の内地販売のものにつきましても、詳細に調べてみますと、進駐軍あるいは外国からの観光客、こういうようなものが大部分を購入するのでありまして、嚴密な意味から言いますと、もし販売業者が親切でございますれば、当然物品税を免除する手続をして販売する、こういうような事情になつておるものを、その手続をしませんで、百分の三だけの分について物品税をとつておる。この物品税金額についていろいろ研究してみますと、二十四年の三月から一箇年間の数字を調べてみますと、わずかに二百三十万円程度しか徴收があつていない。しかるにこのわずかの二百三十万円の物品税のために、輸出をされる百分の九十七の真珠につきましても、非常に煩雑な手続をして、移動手続をそのたびにやらなければならぬ。御承知のように、日本真珠養殖は家庭工業的に発達をしております。非常な辺陬な地で養殖をしておる。その養殖場から加工業者がまずこれを購入する。加工業者はそのままで販売できませんから、自己の工場移動をいたしまして、真珠のために穴を通し、また別な工場であるところの連をつくる一つ工場の方に運搬する。それで、養殖業者から加工業者が受取ります場合においても、移動手続をして免税を出願しなければならない。また加工業者が自分の工場移動する際においても、免税手続をする。また連をつくる場合においても免税手続をする。完成品を販売しようと思つて、この場合移動しますときに、免税手続をしなければならない。あるいは本店から支店に移動しますときにも、また免税手続をしなければならない。持つてつて売れなかつたものを持ち帰るのに、また免税手続をしなければならない。こういうような事情でございます。この真珠業者が、現在事業に力を入れるその力の大部分というものが、この何にもならないところの免税手続に没頭しなければならない。こういうような事情にあるのであります。真珠養殖昭和十三年ごろは、日本におきまして三千貫程度生産があつた。どうしてもわれわれといたしましては、今輸出第一の時期でございますので、少くとも昭和十三年程度生産高にしなければならない。こういうようなことで、極力水産庁あるいはわれわれも、生産増加を期しておるわけでございますけれども、実際に税收入にならない免税手続というような煩瑣なことによりまして、各業者はほとんど生産力をそれで障害されておる。こういうような実情にあるのであります。われわれは、この養殖真珠奢侈品である、こういうような点から申しまして、たとい物品税が二百三十万円のわずかの金額でありますけれども税率を変更してくれ、あるいは税額を少くしてくれ、こういうような問題でなしに、業者も、おそらく税務関係者も、一厘の收入も期し得られない手続について非常に困つておる問題について、何とかこの煩雑なる手続を省略するような方法を講じなければならない、こういうふうに考えます。いかなる方法をもつてこの煩雑な手続を省略するかということをいろいろ研究してみますと、結局この問題は、真珠小売の段階におきまして税金をかけるか、あるいはこの「真珠又は真珠ヲ用ヒタル製品」こういうようなことが課税対象になつておりますから、「真珠又ハ」という言葉を削除して、「真珠ヲ用ヒタル製品」こういうようなことに法律を直すか、この二つよりほかに方法はないと考えるのであります。国の実際の收入に何も関係のない、そうして業者もあるいはおそらく税務署も、非常に手続煩瑣で困つておるこの問題に対しまして、何とかこの日本輸出に最も重要でありますところの真珠養殖事業というものを進展させる意味におきまして、この煩瑣なる手続を省略する御意向がありませんか、どうか。その点をまずお伺いしたいと思います。
  7. 泉美之松

    泉説明員 私は主税局の税制課の者でありますが、ただいまのことにつきまして、立法の問題につきまして申し上げます。手続の問題は国税庁の方になりますから、従つて国税庁の方から申し上げます。真珠につきましては現在最高税率の七割を課税しておりますが、今お話のような点は、いろいろ承りまして、私どもといたしましても現在七割の物品税については、既製品あるいは半既製品であるとかいうようなものがたくさんありますので、それは製造者課税というものよりは、むしろ小売業者のところにおいて販売する際の課税ということの方が最も適当であるというように考えまして、すでに研究もいたしておつたのでありますが、昨年の改正に当りましては、時期が少し早かつたということと、それから研究もまだ十分に行かなかつたというような点と、もう一つはその時分の徴税機構の問題がありまして、十分実現できなかつたのでありますが、今度の改正にあたりましては、できるだけそういうふうな点で小売価格の問題も十分研究して、実情に沿うようにやつて行きたい。それから今のような「真珠ハ真珠ヲ用ヒタル製品」に対して課税するということにつきましても、いろいろお話を承りますと、真珠として課せられるものはごくわずかであるという点から、製品のみに課税することにおいて何らさしつかえないという点を十分研究の上、できるならばそういう方法をとるかという点も、国税庁とも十分打合せいたしましてなお研究をやつたのであります。大体において小売課税の制度になるか、真珠製品のみを課税対象にするか二つ方法を考えております。実施されるならば今のような煩瑣な手続は十分緩和されるじやないかと思います。一応申し上げます。
  8. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの御答弁によりまして、大体この次の物品税処置につきましては、真珠に関する物品税については小売——「真珠又ハ」という名称を省いて、少くとも国も業者も非常に形式上のことでめいわくしておるところの煩瑣なる手続を省略する。こういうような御意思でおられることを私どもは了承をいたしまして、私の質問を打切りたいと思うのであります。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつとお伺いしたい。真珠の国際的な需給の関係はどうなつているか、日本がその中に占めている割合はどれくらいのものであるか、日本方針によつて国際市場を左右することは可能なりやいなや、その辺御調査はございませんか、ありましたら御返事願いたい。
  10. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 手元に数字の持合せがございませんので調べましてからお答え申し上げます。
  11. 川村善八郎

    川村委員 私のお伺いいたしたいことは、北海道沿岸内地機船底びき綱入会についての件をお伺いいたしたいと思います。一問一答の形式でお伺いをいたしますから、そのつもりで御答弁を願いたいと思うのであります。  一昨年までは、青森県を除いて北海道沿岸には入会を認めておらなかつたのであります。従つて岩手県を初めとして福島県、宮城県その他の県からも、相当北海道沿岸に無許可船密漁をしておつたことも事実であります。しかし戰争中並びに終戰直後食糧事情から水産庁もこれを認め、われわれ漁民もある程度まで認めざるを得ぬ実情にあつたことは申すまでもありません。しかしいよいよ乱脈となりまして、これを何らかの形で制限をしない限りは、北海道沿岸の魚族というものは絶滅してしまう。かような点から、水産庁で昨年その案を立てまして、すなわち要綱をつくりまして、八十五隻という新たな機船底びき網の入会許可する。旧来のものを合せれば百五十、こういうようなことで、暫定措置として、一年の期限を限つて入漁を許したのであります。そこでこの問題は、とにかく取締りの緩慢とか、あるいはいろいろな事情から違反を起して、北海道では相当問題になつて、今日でも相当入会反対の気勢をあげておるのも御承知通りであります。本委員会におきましては、このままに放置しておくならば、北海道内地漁業問題で円満を欠くばかりでなく、将来にこの漁業をめぐつて、いろいろな問題も起きる可能性もありますので、何とかすみやかに調査をして、円満解決をつけたいということで、水産委員会から、私が班長となつて調査のために派遣をされたのであります。大体調査結論から申しますならば、北海道は、入会全面反対であります。過般札幌市において、業者並びに道議会その他沿岸漁民の代表から、るる全面反対理由陳情があつたのであります。なおまた水産庁に対しても、業者並びに道議会その他道庁からも、それぞれ反対陳情があつたと思いますけれども、われわれが調査した資料から申し上げるならば、道議会全面反対決議をしており、さらに業者もこれに全面的反対決議をしておる。それぞれ猛運動を起しておる現地の姿を見るならば、また沿岸漁民といたしましても、必ずしも内地ばかりでなく、機船底びき網の全面的な検討を加える必要があるのではないかというような声も承つて参つたのであります。さらに資源の面から調査しましたところが、年々沿岸に近いところの資源は減つております。一年々々に沖合いに行かなければ魚をとることができない。本日会つたのでありますが、ひとり入会ばかりでなく、北海道の底びき網についても再検討を要することは、これは言をまたないのであります。なかんづく内地入会については、相当違反船を出しておる。現に四十九隻に上つておるという実情であります。さらにわれわれが調査のまつ最中に、宮城県の船が二隻監視船につかまつております。そのほか青森県でもつかまつておるというようなぐあいで、水産庁取締り並びに保安庁の取締りだけでは、とうてい違反の絶滅を期すことはできないというのが、われわれの調査結論になつておりますので、この場合こうしたような実情から、水産庁は昨年の暫定措置一箇年をさらに延長して、それを許可する意思かどうか。すなわち入会を許すかどうか。まずこの点を承りたいのであります。
  12. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 北海道入会問題につきましては、昨年以来水産常任委員会と密接な連絡を保ちながら、円滑な運営をはかつて参つたのでありますが、今年の入会問題につきましても、各府県協議会を事務的に開きまして、いろいろと昨年の実績検討並びに今年の処置といつたようなことを協議したのでございますが、いろいろと問題がございまして、現在までのところ事務的な話合いのまとまりがついておらないのでございます。なお一方昨年の要綱実施の問題につきまして、それが遵法されているかいないか、それに対処する対策はどうかといつた問題につきましても、問題があるようでございまして、水産庁といたしましては極力昨年度実績にかんがみまして、とにかく悪いところは是正して参り、お互いの話合いによりまして方向を決定して参りたいと考えておるのであります。なおその場合において、ただいま川村委員からお話のございましたように、水産常任委員会におかれましても、いろいろとこの問題について現地御視察をされ、その事情を御調査になり、その対策について御意見をとりまとめ中であると聞いておりますので、そういう事情もよく承つた上で、今年度入会問題につきましては、善処して参りたいと存ずるのであります。
  13. 川村善八郎

    川村委員 ただいま松任谷部長からの説明は、あいまいな御答弁であります。私は水産庁として入れる意思があるかどうかというので、業者話合い云々ということを聞いておるのではありません。部長のおつしやられることからいいますと、つまり昨年一箇年の入漁を許した結果において、いろいろ不利な点ができた、不満足な点ができたというので、話合いをした結果、是正すべきところは是正して、そののちにいろいろ決定するというような御意見に承つたのでありますが、もしその話合いがつかなければ、その点では水産庁は入れるというのか、入れぬというような意思を持つておるのか、はつきり答弁を願いたい。
  14. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 端的に申し上げますれば、昨年度実績検討いたしまして、その検討結論をもつて年度入会実施ができますならばということを申しておるのであります。
  15. 川村善八郎

    川村委員 そこで昨年の実績云々と言われますが、昨年の実績がどうであつたか、たとえて言えば、違反船が四十九隻あつたということを、北海道調査をして来ております。そのうちにはもちろん許可船もありましよう、また無許可船もあるはずであります。これに対する行政処分なり、刑事処分なり、その他の実績がどうなつておるか、その点を承りたいのであります。
  16. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 お話違反船の問題につきましては、要綱の線に従いまして、処罰すべきものは処罰して参つておるのでございますが、なおいろいろ海上保安庁方面で取調べ中の関係もございますので、水産庁といたしましては、係官を現地に派遣しまして、この処分が迅速に行われますように促進をしておるような現状であります。
  17. 川村善八郎

    川村委員 もちろんこれはもうすでに行政処分なり、刑事処分をした者もあるはずだと思つております。また今後いろいろ行政処分をすべきか、または調べて軽微のものは許すべきかといつたような問題もあると思つております。そうしますと、こうしたような問題が解決つかない限りは、水産庁としてはその意思を決定することができないというのか、それはそれとして話合いを進めるというのか、この点をお伺いしたい。
  18. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 処分関係はできるだけ急ぎまして、それと並行いたしまして話合いを進めて参りたいと存じております。
  19. 川村善八郎

    川村委員 もちろんそうでなければ、もうすでに来月に漁期が迫つておることであつて、当然そうしたような措置行政庁としてはやらなければならぬと思いますが、しかし北海道は劈頭に申し上げました通り業者道議会全面反対をして、今のところではとうてい話合いはつきそうもないのであります。ただ一縷の望みといたしまして底びき業者は昨日も私が会つたのでありますし、前回もいろいろ陳情あるいは話合いをした結果、北海道出身水産委員に一任をするということに相なつております。従つて、われわれはまかせられた以上は、どうでもいいというのではありません。すなわち違反を起したものをどういうふうに処置したらいいか、あるいは入れると決定したならば違反したものを許すかどうか、あるいは違反の中には無許可船もあるでしようし、許可船もあるでしよう。その府県責任をどうするかというような問題も検討しなければなりません。そこで水産省に承りたいことは、軽微のものはこれからまだ調べなければなりませんが、行政処分をしたもの、あるいは刑事処分をしたものが、これがさらに代船を入れて、隻数を減らす意思がなく、許可したいという意思かどうか。それから無許可船を出した責任は各県で責任を負うという要綱になつておるのでありますが、それを無許可船から違反船を出しておるのであるから、その出した県の責任をどうとらすかという問題を承りたいのであります。
  20. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 端的に申しますると、現在水産庁の本年度入会実施方針という問題につきましては、細部にわたつてきまつておることはないのでございます。従いまして、ただいまの御質問の問題につきましては、まだはつきりした話合いはついてないのでございますが、水産庁の気持を端的に申し上げますると、違反船を出した県につきまして、その違反船隻数というものは本年度入会数から省いて参りたいというふうに考えておるのでございますが、ただ無許可船違反の問題につきましては、今までのところ実は話合いが進められてなかつたのでございまして、これはまた検討の上お答え申し上げた方が適当である、かように存ずるのであります。
  21. 川村善八郎

    川村委員 今松任谷部長は、許可船に対しては大体方針がきまつておるようであるが、無許可船違反については腹がきまつておらない、こう察するのであります。そうすると許可船はいじめられて、無許可船は放任されておるということになつたならば、一体漁業秩序が保たれるかどうか。私はむしろ許可船の方をこれまでにどうして一体解決をつけないか。いわゆる県の責任を明らかにしておかないかということを、まずもつて責めなければなりません。従つて業者の方々はわれわれにまかせてございますが、まだ道議会方面はまかせるかどうかということははつきり聞いておりませんので、いずれになるかわかりませんが、道議会業者のごとく、われわれ北海道出身水産代議士に一任するということになりますれば、水産庁とわれわれとの間に話合いをつけなければならぬのであります。従つて許可船の問題ははつきり隻数もトン数も人もわかつておりますからこれはいいでしよう。しかし無許可船をそのままに放置しておいて、許可船は、かりに部長の言うように違反したものだけ減らすということであつても、今度はその減らされたものが無許可船になつて密漁に来たならば、かえつて混乱するのではないか。むしろこれまでに無許可船違反を起した県に対して、強硬なる制裁を加えなければならぬにもかかわらず、それを何ら手を打たないで、無許可船についてはまだ考えておらぬ、これから話合いを進めるんだ。こういうふうなことでは、まことにどうもわれわれ北海道業者にとり、さらにわれわれ北海道出身水産代議士から言うと、なまぬるいやり方ではないか。こうしたなまぬるいやり方を続けて行くならば、他の議員はいざ知らず、私だけは、北海道意思をくんで全面反対しなければなりません。しかしわれわれがとるべきところを水産庁でとるならば、日本漁業の状態から考え、さらに北海道と最も近接の地にある青森岩手は特にこのことを考えてやらなければならぬ。こうしたようなことも十分われわれは腹に入れて、皆さんと協議を進めなければならぬと思つております。さらにこれは特に陳情の中に強く織り込まれたことは、宮城県におきましては悪質な違反船がある。のみならず、先ほど私が申し上げたように、われわれが調査のまつ最中に四隻も違反船を出しておる。こうしたようなことから、宮城県だけは一隻も許可してはならない。これだけは代議士諸君十分がんばつてもらいたいということを陳情を受けておるのであります。その船は無許可船でありまするがゆえに、部長の言われるようななまぬるい方法をとつておりましたならば、なおさら無許可船増加するのではなかろうかということを考えますときに、今あなたの御答弁を聞いて、私は不満足の意を表せざるを得ないのであります。そこでその話合いを進める過程として、まず私は北海道内の底びき網の問題も相当に考慮に入れて、入会と結んで行かなければならない、かように思つております。と申すのは、これまで二百数十隻の許可船があるのに、今度水産庁の御意思道庁の御意思によつて北海道の小手繰網が整理されまして、大体これも二百隻近くの大型機船底びき網が許可されることになつております。合せますと、北海道内にも大体五百に近いところの許可があり、おのおの時期には採業するだろうと思つております。そうしますと、限りある資源を、これまで二百七十余隻で操業していたのが約五百近くになり、内地から百五十入りますと、大体六百四、五十になるというようなことになつて、ますます北海道資源の枯渇になるのではなかろうかと、かように考えます。また北海道機船底びき網業者といえども、数の増加によつて相当経営が困難になるのではなかろうかという点も、われわれ十分に考えております。そこで北海道機船底びき網の経営合理化、あるいは利益の均霑、こうしたようなことも十分考えて、そうして入会のことと結びつけて行くこともその一つでなかろうか、かように考えております。でありまするから、水産庁の腹は、大体部長答弁がほんとうの腹だということを察しますので、入会をするという御意思であるならば、一日も早くあなた方の方で十分道内、道外すべてを勘案いたしまして、その方面に運んだらどうかということを、私は進言するのであります。  そこで道内の問題として、私は去る九月の二日に意見を六つ出しております。ところがそれに対しまして九月の七日に、一部を除いてその他は了承する、そうして今後はこの線に沿うて実施に努力する、こういう回答書が私のところへ来ております。この実施をいつおやりになるかどうか。これによつてもわれわれは入会の問題を相当に考えて行かなければならぬのじやないか。極端に言うならば、道内の問題を解決つけずして、ただ入会をさせようがためにそれに汲々としているということには、われわれ了承できません。従つて道内漁業秩序をまずもつて先に立て、しかして道外入会の問題を、資源とにらみ合せて、違反船を切るか、あるいは違反船というものにかかわらず、半分にするとか、あるいは三分の一は減らすとかいうようなことも、考えて行かなければならぬ。かりにその三分の一減らすという中に違反船をまずもつて第一に切るとか、いろいろなことをここでお考えになつて、すでに案ができ上つていなければならぬにもかかわらず、十一月の漁期を控えて、まだ何らその運びもしておりませんし、もちろん道議会道庁その他北海道業者とは、話合いもまだ済んでおらないものと思います。また内地方面意見もあなた方の方でとりまとめて北海道と折衝する段階にもなつていないような状態でありますので、どうか一日も早くわれわれに対して、水産庁のほんとうの腹から立案するところの、いわゆる道内、道外の機船底びき網に対する処置についての意見を、お出しになつてくださることを、申し入れまして、私のまず第一点だけはこれで質問を終ります。  次に第二点であります。北海道の根室方面の一部の漁港を除きまして、大半を調査して参りました。ところが、いずれの漁港も、完全利用のできておるという漁港は一つもありません。例を申し上げるならば、明治時代に築設したものは、今日でもそのままにしておつて、狭くて使いものにならぬとか、あるいはせつかく外廓は大きく巻いておるけれども、中を掘鑿しないために、完全に船が入ることができないとか、あるいは荷揚げ施設が不十分なために、接岸をして魚の荷揚げができないとか、あるいは給水ができないとか、給油ができないとか、その他全然破壊されてしまつて、形もないというようなものも、災害復旧でやつておらない。白糠港のごときはほとんど形がありません。それにもかかわらず投げ放しで、災害復旧をしなかつたというようなことも、われわれは見て参りました。総括的に申し上げるならば、いずれの漁港も現代の漁業と沿わない、いわゆる完全に利用することができないような状態である。もうほとんどがほとんどそうしたような漁港ばかりであります。これをこの機会に整備をしなければ、北海道漁業の発展はあり得ないと思います。また一面新魚田を開発しようとして、予算の面におきましても、あるいは漁業の面につきましても、いろいろ研究を続けて参つておりまして、その新魚田は数箇所発見されております。そこに新しい漁港の修築をしなければならぬということを、われわれは十分に見て参つたのであります。こうしたような北海道の漁港のいろいろな問題がありますので、この点について林課長はいかなる御所見を持つておるか。  それからもう一つは、私は三浦三崎から大阪の堺まで、六県を漁港調査して参りました。北海道の漁港よりは相当に大きい漁港で、利用価値が相当高まつておりますけれども、これらもまだ完全利用ができておりません。もちろん北海道同様に、これは整備をして行かなければならぬけれども、特に私が感じましたのは、運輸省と水産庁話合いも、もちろんまだついておらないでありましようけれども、その県におきましては両天秤をかけておる。たとえて言いますならば、今年は水産庁から予算をもらつて行こう、来年は運輸省から予算をもらおう。また中には、ここまでは水産庁の方の予算で行こう。第二次の問題は隠しておつて水産庁からもらえればけつこうだが、もらえなければ運輸省の方からもらつてやろうというような、すなわち予算分取りの悪質な考え方を持つておる県が多かつたということを、痛切に内地で感じて参つたのであります。その事例を一、二あげますと、伊豆の伊東のごとき、それから勝浦のごとき、これらははつきりしております。われわれは図面の上で、あるいは現地の上で、こうした方が漁港の施設に最も適当であつて、こうすれば完全利用ができるじやないかと言うと、いや、それは実は私の方では観光に使わなければならぬので、そう漁港施設ばかりやられると、観光の施設がなくなりますから、それはどうもせつかくだけれどもお断りする。こういうふうなことをわれわれに言つておる。漁港を観光の施設に使うというようなことを考えておるところを漁港の指定をして、はたして一体今後そこの漁港の発展があるかどうか。こうしたようなあり方を見て参りましたので、この点について今後そうした漁港はどういうふうな考えで進むべきかということを、まず承りたいのであります。この二点であります。
  22. 林眞治

    ○林説明員 お答えいたします。まず第一点の北海道の問題でございますが、北海道の漁港は、おおむね非常に小型と申しますか、規模が小さいと申しますか、従つて現在の漁業情勢、漁業経営の面から見まして、これに対応するだけの施設がないではないかというお話だと思います。これは私も確かにそう考えるのであります。ただ現在におきまして、大体ある程度仕事が行われて、漁港というものができておりますものは、古くから拓殖費等でやつて来られたものであります。これは当時といたしますれば、漁船も現在とは違いまして、当時の漁船に対してはある程度有効であつたという結果から、比較的規模の小さい港がたくさんあるということであろうと思います。従いまして、今後の問題といたしましては、漁場の関係等によりまして、第一に考えねばならぬ問題は、既設の漁港におきまして、将来の発展性が相当あると考えられまするものは、まず規模を大きくするということが第一であろうと思います。と同時に、お話にもありました、いわゆる新魚田開発の計画もあるわけであります。これと並行的に考え合せまして、まず重点的にやらなければならぬと思います。なおまた北海道なら北海道といたしまして考えました場合に、配置的な問題もございますし、さらに少さい漁業地におきましても、漁港修築を放置いたしますことは、社会政策的に見ましても、あるいはその部落の発展という点から見ましても、当然取上げなければならぬ問題ではありますが、先ほど申し上げました二点をまず重点としてやつて行くということは、当然われわれとして考えなければならぬことだと思います。  それからこれは主として北海道以外の、いわゆる内地におきまする問題についてでありますが、漁港法と港湾法によりまして、一般港湾と漁港とを分離するという方針が確立いたしましたわけでありますが、御承知のように、私の方にいたしましても、漁港の指定という問題につきまして、目下いろいろ準備中でございまして、確定を見ていないわけであります。御承知のように、従来はただいまお話にありましたような、便宜主義と申しますか、私の方で漁港としての補助費をつけまして修築いたしましたものについては、一般港湾的と申しますか、商港的と申しますか、そういつた施設をやつたことはないのでありますが、これは御承知のように予算が少いという点も原因であろうかと思います。ただ運輸省所管といたしましては、相当やられたものもあるように存じております。そういう関係で、今後かりに漁港の指定ということが終りまするならば、そのあとにおきましては、漁港となりましたものについては、おのずから所管もはつきりして来る、こういうことになつて来るわけであります。それからたとえば和歌山県の勝浦等につきましては、もちろん勝浦の現状におきましては、勝浦港の大宗は何であるかといえば、やはり漁港である。しかし和歌山県南部におきまする、いわゆる一般港湾としての性格から見た重要度というものも相当あるわけであります。それで県あるいは地元の直接の関係者の方々といたしましては、漁港法による漁港になりますれば、要するに漁業專門ということになる。従つてそれだけでは、その他の使命が果せないというようなことが出て来るわけであります。そういう意味におきまして、漁港の指定においても、私どもといたしましては、そういつた港につきましては区域を分離いたしまして、漁港になりまする区域あるいは一般港湾になりまする区域、こういうものにわけて参りたい。従つて漁港として考えられまする区域において漁港の指定を行いまして、これについては、漁業專門の立場からいろいろな施設をして参りたい。漁港の指定区域外になりまする問題については、われわれは一応タツチしない、こういうことに当然なつて来るわけであります。  それから伊東の問題につきましても、これはまだ完全なる調整が済んでいないと思いますが、お話のように、地元関係ではいろいろなことが考えられておるようであります。これはわれわれとしては、努めて漁業としての立場から、必要な最小限度と申しますか、適当な区域を漁港の区域にするようにという、何と申しますか、勧誘と申しますか、勧告と申しますかはやつておりますが、しかしこれは地元の利用関係の御意見によることであります。それ以上の、強制というようなことはできかねる。従つてそれが極端になりますならば、漁港の指定をしないという問題が出て来ると思います。しかしある程度区域の分離ができまするならば、その分離された地元の使用者の方々の御意見によつて、一応きまりました区域内において、最善の施設を考えるというふうにして行きたい、大体こういうふうに考えております。
  23. 川村善八郎

    川村委員 ただいま林課長から漁港の内容の整備、すなわち完全使用されるような方法と、さらに魚田開発すなわち漁村の資源とにらみ合わして修築して行く、こういう方針で行く、これはもつとも北海道ばかりでなく、全日本の漁港に対してもそうでなければならないと、かように考えております。ただあとの漁港区域とそれから港湾区域との指定の問題であります。それはもちろん法律では、指定すればはつきりそうなりますけれども、一体その海の中に境を立てるのですか、どうですか。陸上ならばさくを立てて、これからこれへは、人を入れない、こつちは観光地域、これは漁港施設だと、こうできましよう。同じ勝浦に例をとると、丸い噴火湾を小さくしたようなところであつて、あの構想から言うと、図面の上で線を引いております。一体船は図面の上で線を引いたところに碇泊して、はたしてそつちに入つて行かない、こつちに入らないとかいうことができるかどうか。入らないためにアンカーを置くが、そのアンカーがこつちから風が入るとそつちにずれて、アンカーを越えて五間や十間は動いてしまう。こういう場合に漁船が観光施設、すなわち港湾施設に入つたという場合には違反になるか。他の、漁船にあらざる船舶が、アンカーが風のかげんでなびいて漁港の方に入つて行くという、そういうふうなことがもしあつたとすれば、かえつて混乱をするから、これは相当に大きい港でない限りは、まあ漁港ならば、七割だとか六割とかといつて漁業の方に重点を置くという所は、私は全部漁港に指定すべきだと思う。ただし漁港だからといつて、他の漁船以外の船が入つちやならないということはできないので、必要とあるならば漁港法あるいは港湾法を改正して、不自由のないようにした方がいいのじやないかと、かように考えております。ただ私の聞いておることは、そういうふうなことを聞いておるのでなくて、予算分取り主義の精神でやつておることは明らかであるから、一口に言うとそういうものをどうするのだ、こういうのです。特にこの港湾を持つてつて温泉を持つておる所には、そういう気運がある。そうすると、遊ぶ船を浮かすために港をつくるのか、ほんとうに漁船を入れて全面的に漁業増産をはかつて行くのか。私調査に行つて聞いたのですが、そういうものがあつた場合に、あなたの方でどうするのだ。もちろん法律で指定するとかこうだとかいうことは、われわれやるのであつて、そのことは法律的にやればいいが、実際はそういうふうな内容である場合に、水産当局としてどういうことを考えておるかということを聞いておるのですから、責任を法律に負わしたり、責任を地元に負わせないで、はつきり、あなたの方の意見はどうであるかということを、私は聞いておるのであります。  それからもう一つ結論を出すには早いでしようけれども、これは先ほどの課長の言われるように、地元の漁業のためということと、魚田開発というようなことで、すなわち重点的にやつて行くということでありますので、その通りでなければなりません。しかしそうなりますと、内地方面資源がなくて、すでに北海道入会する、あるいは密漁に来ておるという現状であります。資源のない所に漁港をつくると密漁団をつくるようなものだ。この間私が北海道調査に行つた時分に、大分県からもたくさん来ております。そうしてその入られた漁港の所在地の叫びは、内地から来て狭いから大きくしてくれ、こういう切実な訴えであります。ほとんどがそうであります。そうすると、内地の漁船が行かないとその港で満足するのだ。そこで私は、二十四日から大阪から向う、すなわち瀬戸内海、四国、九州、これらを調査するのでありますが、大分県に行くとすれば九州から行くということになつております。行くことは決して悪いわけではありません。北海道資源を活用することも大いにけつこうでありますが、さて今度は、漁港の予算は今十二億になるか十四億になるかというようなことであり、資源は、先ほど課長のお話のように、重点的にやるとすれば、ほかにはつくらなくて、北海道だけに新しいのをつくればいい。ほかに資源がなくなれば、隣りの県とけんかしている。現に紀伊水道の問題で、私もいろいろ聞いて参りましたが、和歌山県ではぜひ特別海区を設置してくれ。大阪に行つたところが、大阪の連合会長はまつこうから反対だ、こう言つている。しからばお前の方はどこに行つて一番資源を求めるのだと言つたら、結局われわれは紀伊水道に行つて資源を求めて漁業をするのだ、こういうことで、人の所にどろぼうに行くことをまずもつて前提にして、漁港をつくつてくれということを言つておる、そうなりますと、内地で新しい漁港をつくつてやる必要はない。北海道につくつて内地の船を迎えた方がいいと思うが、一体どういうお考えをもつておるか。特に大分県出身の永田代議士が現状を見て、これは北海道にはどうしても漁港を多くしてやらなければならぬ。つくらなければならぬ。そうして内地の船をどんどん入れて、内地の技術も取入れ、北海道の人に勉強さして、北海道漁業の進展をはからなければならぬ、こういう意見でありますので、私は永田君の意見はまことに妥当な意見だと思つておりますが、さて今度は漁港の予算になると、内地がよけいとりたがる、この点についてどういうお考えを持つておるかということを、お伺いします。
  24. 林眞治

    ○林説明員 たとえて申し上げますれば、勝浦というような関係であろうかと思います。なるほど勝浦の附近には温泉もあります。しかし勝浦の漁業の現状から考えまして、川村委員もごらんになつたと思うのでありますが、あそこの漁業情勢に対応する施設というものは、現在の接岸の関係におかれて、あるいは陸上の諸施設をいろいろ入れまする用地につきましても、全然ないと申していいくらいなのであります。これは従来の勝浦といたしましての、漁業実績に現われておるわけであります。そういう点から、われわれは勝浦漁港の修築という問題を取上げまして、ただいま実施に移しておる段階なのであります。従つてどもといたしましては、たとえば観光等の問題が地元においてあるといたしましても、漁港の問題を考えまするにあたつて、それを云々しなければならないほど重要なフアクターとして入つていない、こういうふうに従来見ているわけであります。やはり勝浦といたしましては、県の方針といたしましても、あるいは勝浦町といたしましても、漁業関係からいたしましても、勝浦はまず漁業として生きて行くべきであるということは、みんな相当な確信をもつてつておる、こういうふうに考えておるわけであります。従つてそういう点からわれわれは取上げておるわけです。将来の運輸省との関係は、先ほどもありましたが、たとえば運輸省所管の仕事でやつてもらいたいというふうに考えておりまするところは、多分三千トンの汽船を接岸いたしまするピーヤーの問題であろうと思います。これは当然私どもの方ではどうにもならない対象である。将来の希望といたしましては、和歌山県あるいは勝浦町といたしまして、そういう希望を持つということは、これはまたやむを得ない点もあるのではないか、そういう希望をもつて将来それに対して対処すべき余裕を残しておくということも、これはまた考えなければならぬ問題ではないか、そういう意味で区域をわけるということを一応考えたわけであります。従いましてふらふらしているからどうかというふうには私どもはまだ考えておりません。もちろんお話にもございましたように、境界なんということは、これは所管の問題で一応できる問題であります。実際上は何もそこに制限があるわけではありませんが、利用上から申しまするならば、さしつかえないというふうに考えておるわけであります。
  25. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合御了解を願いたいと思います。今質問の通告は鈴木委員、永田委員からございますが、まだ小高委員井之口委員からも質問の通告がございますけれども、もし御了解願えれば、大体鈴木、永田の両委員にとどめられまして、二十三日午前十時半から委員会を開会する際に御発言を願いたいと思いますが、いかがですか。——それでは川村委員
  26. 川村善八郎

    川村委員 それでは結論的にお伺いします。今勝浦の例をちよつととつたのでありますが、それは予算の分取りから行つておることは明らかなことです。ただ問題は、漁業経済一本に依存しておる所を先に修築してやるか、観光とかあるいは商港とか、その港が二つにも三つにもわかれて、経済が分散しておる所を重点的にやるか、私はこの点を聞きたい。言いまわしでとにかく長くしておりますけれども、漁村経済一本で行くのだ、こういう所もありますし、いわゆる観光あるいは港湾関係の輸送、そうしたもので行こうという港に二いろも三いろもあります。どちらを一体先に漁港の整備を立てて、予算の裏づけをして行つた方がいいか、行政当局の考えがどうだということを承ります。
  27. 林眞治

    ○林説明員 簡單に申し上げます。ただいまの問題につきましては、私どもといたしましても、当然漁村と申しますか、漁業一本であります所を第一に重点的に考えるという考えは、堅持しております。ただ特定の場合におきましては、他の原因から重要度が出て参りまして、特に取上げる問題はあるかもしれません。根本原則としてはそういうふうに考えております。
  28. 永田節

    ○永田委員 先般北海道の方を視察をいたしまして痛切に感じた問題でありますが、先ほどから川村委員より、入会の問題につきまして御議論もございましたが、この入会の問題は、当然われわれが愼重に解決しなければならない問題である。特にまた北海道方面漁民各位の御主張もごもつともであり、また関係委員の御主張にも一応耳を傾けざるを得ない点もあるのでありますが、私は北海道漁民のおつしやることに、ちよつとふに落ちない点があるのであります。それは主としてさばの漁におきまして、釧路方面の状況と記憶いたしておりますが、たとえばきんちやくあるいは流し、さし網、揚繰りというふうな方法でやつておるように承つておりますが、なかんずくきんちやくの漁業におきましては、相当の資本がなくてはこの経営は成立たない。いわばこの厖大な経費というものは、早急に回收できるものでもない、従つて單なる沿岸漁民漁業でなく、一部の資本を用意した人の漁業である、私はかように考えるのであります。ところが、このきんちやくによるところのさば漁の許可というものが、はなはだ明朗を欠いておるといいますか、許可の過程においてその権威がないと申しますか、單に一枚の権利を持つている人が、その権利をみずから漁業を施行するということでなく、内地の他の船にある契約のもとにこれを譲渡しておるというふうなことが見受けられたのでございます。この問題は、当然本委員会においても、議論せられる問題と思うのでありますが、さしずめ今日の段階においては、このきんちやくのさば漁に対する許可というものは、どういうふうな方法によつて許可が與えられておるものであるか、これを私は水産庁に御質問したいのであります。承るところによりますと、北海道庁が許可をしておるというふうに承つておりますが、もし道庁のみの許可ということになりますと、先ほど私が申し上げましたように、大資本家少くなくとも資本家対道庁関係上、地方的のいろいろと不明朗なことが原因いたしまして、道庁意思に反するようなことも、たまたま許可しなければならないというような実情にあるのではないかということが、想像されるのであります。従つてかような資本を要し、早急に経費の回收が及ばないというような漁業許可制は、当然これは水産庁において嚴重に調査をしまして、何々の所有の船というように、申請者の船の実態を見届けまして、愼重に水産庁の方において許可をするのが当然ではなかろうかと、かように考えるのでありますが、水産庁においてはどういうお考えを持つておられるか、御質問申上げます。
  29. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 お話のさばきんちやく網漁業許可の問題については、お話がございました通り、現在地方庁の許可になつておるのでございます。そこでさばきんちやく網漁業が他の漁業経営に及ぼす影響等をも考えまして、現在の数程度になるべくとどめて、その将来の対策を考えたいというような意味合いにおきまして、昨年の暮ごろと記憶いたしておりますが、水産庁から各地方庁に通牒を出しまして、なるべく現在の許可数以上に許可増加しないようにという趣旨の通牒を出しておるのであります。しかしながらこの通牒は、一方におきまして資源及び他の漁業との関係を考えまして、余裕がある地域につきましては、その方針を緩和しておるというような現状になつておるのでございます。そこで現在水産庁として考えておりますのは、いろいろとお話のございましたように、他の漁業、たとえば定置漁業でございますとか、あるいははえなわ漁業でございますとか、そういつたような沿岸各種漁業との実態的な関係がどうあるかというようなことを、十分調査いたしますとともに、さばきんちやく網漁業の繰業区域というものを、どの範囲に持たすべきであろうかといつたようなことも考え合せまして、中央許可制に移行して参りたいというふうに考えておるのであります。なおこの関係は、現在漁業制度改革の実施途上にある際でもございまして、海区の漁業計画との関係並びにその調整委員会の意向の関係等も考慮しなければいかぬ問題でございますので、そういつた点もあわせ考えまして、なるべく早くお話のような許可制がとれますならば、許可制の方に移行して参りたいというふうに考えております。
  30. 永田節

    ○永田委員 そこで重ねて御質問申し上げますが、早晩この底びきというものは、ある程度制限を加えなければならない。しかもその時期はすでに今日到来しておると私は考えておるのであります。たとえば、先ほど川村委員から大分県の船が北海道入会しておるというお話がございましたが、これなどもその一つの現れでありまして、主として北海道に寄港いたしておりましたものは、日高支庁における幌泉、この港に四、五はい、あるいはまた広尾港に一ぱい、大分県のまぐろ漁のものが入つてつたのでありますが、事情をだんだん聞いてみますともつともな理由がありまして、この事情はいずれまた二十三日に大蔵省の金融関係の方をお呼びしまして、御相談したいと思つておるのであります。そうして大分県としても、何も不自由な危險な思いをしまして昔ながらの旧式な漁業によらなくても、近海においても相当漁業ができるようにとりはからつて北海道のごやつかいにならないというような方法を、すみやかに講じて行きたいと思うのでありますが、一方において北海道入会反対されておる。その反面においては、権利を侵して入会を歓迎しておる、こういうふうな形になつておるのであります。一体こういうふうな段階において、水産庁が何らこの対策を考えぬということはどういうことか、私はそれが合点が行かない。こういつた問題は、われわれから指摘されなくても、むしろ諸君において今日すみやかに案を出して、こういうふうなことがやりたいのだというふうな段階になくてはならないと、私は考えるのであります。先ほど川村委員から仰せられたように、私は北海道入会というものにはやはり反対するものであります。北海道のものはその海区の資源を開発するものであるという原則的の理論を持つておる。しかるに今日各県のものが密漁をいたしまして、われわれが調査いたしましたのは、九月の二十四、五日ごろだと思いますが、このころにおいて宮城県の船が密漁によつて検束されておる。宮城県の入会許可というものは十二月の一日をもつて始まつておる。それをはるかにさかのぼつて今日捕獲されておる。かような実情から申しまして、あまりにも水産庁関係当局は怠慢ではないか。いかなる方針をもつてこれを指導しているのか。ただ罪を問うのではならない。かような犯罪を犯させないというふうな指導方針は一体どこに置いてあるのか、それを一応説明してもらいたい。
  31. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 お話違反船の問題につきましては、これは何といたしましても、十分取締りを嚴重にいたすことが前提になつておるのでございまして、取締り強化という方向に水産庁の方も努力をいたしておるのでございます。従つて年度の予算につきましては、御承知通り、現在のところ海上保安庁の取締りに大分依存しておる点を多少改めまして、水産庁といたしましても、取締船を三隻予算上認めていただくようになつておりますのと、さらに今年度におきましても、補正予算と申しますか、予算の流用の関係になりまするか、その点は予算技術の問題もございまするが、二隻の取締船を配置するというようなことに大体内定しておるのでございまして、将来ともこういつた部面におきまして取締りの強化をはかりまして、全国的に無許可船といつたようなものがなくなりますように努力して参りたい、かように存ずるのでございます。なおただいまのお話違反船処分の問題につきましては、お話のような点も多少あつたように思うのでございまして、われわれもさらに処分の迅速化ということにつきまして努力をいたしたい、かように存ずるのであります。
  32. 松田鐵藏

    松田委員 先ほど川村委員からもいろいろ北海道実情につきましての説明がありましたが、私ども北海道選出の水産常任委員に、北海道業者入会の問題に対しては一任しておられるが、われわれとしては、昨年以来のこの重要な問題であるがゆえに、委員会にこれを提出し、小委員会をつくり、永田委員が小委員長となつてこの問題を取上げておるものでありまして、この点に対し、小委員会に早く結論を出していただいて委員会に報告をし、水産庁に対し意見を具申したい、こういう考え方を持つておるものであります。委員長が言うべきでありますが、現在われわれ北海道選出の水産常任委員としての立場から申し上げておきたい、かように考えるものであります。しかもまたこの入会の問題、また先ほど永田委員の言われておるさばの動力巻網の問題、こうした問題が論議されておるときにあたつて、この解決方法というものは一つよりないのではなかろうかと私は思うのであります。この問題は、かねて水産庁において、全国の海区を定めようと考えておられるように仄聞するものであります。この点が今日どのようなところまで進んでおるか。要するに北海道内地との入会の問題に対する唯一の解決点は、大海区制による海区の設定ということが、その結論として見出されるところではなかろうかと私は考えまして、この点に対する海区の設定の今日まで進んでおる過程をお示し願えるならば、たいへんけつこうだと考えるのであります。要するにこうした場合において、定着しておる魚族の底びきに対する問題及び浮動性を持つておる魚族のいわしとか、あるいはまたさばとか、その他さけ、ますとか、かようなものに対する問題は、おのずからその入会方法はつきり限定して来るものではないか、かように考えておるものでありまして、これが内地北海道入会のポイントであると私は考えるのであります。この点に対して、もしさしさわりがなかつたならば、どの程度までに進捗しておるか、御説明願えればたいへんけつこうだと思います。
  33. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいま松田委員からの御質問でございまするが、松田委員が言われましたように、資源維持の問題と漁業調整の問題、この二本を元にしまして、何とか底びき漁業あるいはきんちやく網漁業というようなものにつきまして、相当広い範囲の海区を設定することによりまして、底びきにつきましては、この前の委員会で御説明申し上げました底びきの基本対策要綱といつたような線をもちまして、無許可船を絶滅いたし、健全な許可船の操業が維持できますように考えて参りたいという意図をもつて、やつておるのでございますが、現在は御承知通り、ある程度日本関係で、そういつた小規模ながらの海区関係というものができておるはずでございまして、太平洋方面につきましては、千葉、茨城、福島といつたような三県がその海区の関係協議して、これも話合いが済んだ程度でございまして、その他の海区につきましては、今後関係沿岸府県北海道はもちろんでございますが、十分協議いたしまして、この海区制の確立というようなことにつきまして一層努力したい、かように存ずるのでございます。従いまして、ただいま松田委員のお尋ねに対する回答といたしましては、おおむね今のところ、関係府県と相談中であるというふうに御了承願いたいと思います。
  34. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 以東底びき網の漁業調整の問題につきまして、各委員からいろいろ御発言があつたのでありますが、この問題につきましては、ただいま松田委員から御提案がありましたように、永田委員を中心とする小委員会において急速に結論を出されまして、本委員会から当局に対し勧告をすることは、きわめて緊急を要する問題だと考えておるものであります。その小委員会の審議及び本委員会結論を出します際の参考といたしまして、家坂長官から二、三明確な御意思を承つておきたいと思うのであります。  その第一点は、北海道及び内地入会の問題は、昨年北海道選出の水産委員諸君の、非常な国家的な見地からする大乘的な御協力によつて円満に一応結論を得たのでありまするが、取締りの不徹底のために、また内地業者の非協力と申しますか、要綱を遵奉しない者が一部にありましたために、今日紛糾に拍車をかけておるような状態でありまして、この点は内地選出の水産委員といたしまして遺憾の意を表する次第であります。この取締りの強化は、当然あのような入会協定を遂行いたしますためには大前提をなすものでありまするが、この取締り問題につきまして、当局がやつて参りました程度のことでは、当然いろいろな違反の問題等が起るのは火を見るよりも明らかであるわけであります。つきましては、二十五年度補正予算並びに二十六年度予算案で内定しておりまするところの五隻の取締船は、重点的に底びきの漁期におきましては、三陸及び北海道海区に配属すべきものであると思うのでありますが、この点につきまして、当局は重点的に取締船を配属する御意思があるかどうか、これが第一点であります。  それからさきに青森に対しましては、その他の府県と分離いたしまして、入会を今年度において認めて、現に操業いたしております。私ども北海道海域における底びき網漁業の操業は、内地北海道との全体の総合的な見地から解決さるべきものであつて青森県のみを特定分離して先にこれを入れるということは、あまりにもイージー・ゴーイングであつて、安易な道を選ばれておるのではないか、こう思うのでありますが、この点につきまして当局はいかにお考へになつておるか、これが第二点であります。なお内地のその他の漁船につきましても当局は急速にその態度を明示すべきであると思います。一体今年度入漁を許すのであるかどうか、当局の態度を早く明示することによつて、これらの関係業者が他の漁業に転換する等の資金的な、あるいは資材面における用意も、急速に準備する必要に迫られている段階でございますから、青森県のみでなく、その他の府県入会船に対しましても、当局は急速にその方針を明示されたい。これに対していつごろその結論を出される御予定であるか、この点もお伺いしたいのであります。  なお根本的にはこの定着性の底魚の漁業につきましては、永田委員も御指摘になりましたように、すでに整理の段階にあると思うのでありまして、私ども岩手県下におけるところの漁業者間におきましても、底びき網の整理は全漁民的な要望に相なつておるのでありますが、これに対して、さきに決定いたしましたところの資源枯渇防止法を適用されまして、以東底びき網を整理する御意思があるかどうか、この点を長官にお尋ねをいたします。  またこの底びき網漁業に限らず、全漁業が現在相当漁業調整に苦しんでおりまして、紛糾を重ねておるのであります。さんま漁業におきましてもしかりであります。燈火を用いるところの大きなさんま棒受網、いか釣り漁業、定置あるいはその他の漁業との間の紛糾という問題につきまして、急速に秩序ある漁業制度を確立する必要があると思うのでありますが、漁業法に明定されましたところの連合海区漁業調整委員会等の機能を十全に発揮して、すみやかに新しい漁業秩序を確立すべき段階にあると思うのであります。これに対して、当局は今日まであまりにも熱意が足らなかつたが、この漁業調整の問題について、急速に対策を立てられる御意思があるかどうか。しかもこの問題は單に北海道とか、三陸とか、あるいは常磐とかいうような狭い海区でなくて、広い海域にわたつて漁業調整ということが、現在の漁船の機動力その他から見まして、当然考慮さるべき段階にあると思うのであります。私どもは一面において連合軍司令部に対して、マツカーサー・ラインの拡充、漁区の拡張を懇請しておきながら、日本近海におきましては、各都道府県がそれぞれのなわ張りを固執して、高度の総合生産力の発展をはばんでいるというようなことは、大きな矛盾であると考えるのであります。こういうような見地からいたしまして、資源枯渇は断じてこれを防止すべし、しかしながら高度の漁業調整によつて、それぞれの企業の安定性を確保し、生産力の総合的な発展をはかるということが、今日の漁業施策の根本的な方向でなければならぬと考えるものでありますが、これに対して長官はいかなる御方針で臨んでおられるか、これらの点について御答弁を煩わしたいと思います。
  35. 松田鐵藏

    松田委員 私は鈴木委員の長官に対する質問に対しては、非常に奇怪に考えているものであります。なぜならば、昨年われわれは、北海道水産常任委員内地関係の代議士と、真にただいま鈴木委員のおつしやるように、高度な考え方からいつてあの入会の協定に努力をした一人であります。そのときの協定の内容は書類にもある。それ以外に、もし内地府県におけるところの漁船がこの違反を起した場合においては、その県自体が責任を負うということを約束しておるのであります。私どもはその言葉を信じて、北海道のあらゆる反対を押し切つてその協定を結んだものであります。しかるにその自己の県の行つている違反の行為を、あだかも官庁の取締りが不徹底であるから違反を起したような言葉をもつて、取締船の強化ということを叫んでおるのであります。この点に対しては、もちろん取締船の必要があることは、われわれもそれを痛感するものであり、また予算面の獲得に対しても努力をしておるものでありますが、漁民みずからの考え方が今日の段階のごとき、今宮城県の漁船がやつているような行動をとつているときにおいては、一隻に一隻の取締船をつけなかつたならば、とうてい防止することができ得ない。この点に対する第一の質問に対して、私は非常に遺憾の意を表する。  それから第二の質問に対して、私は自分の意見を申し上げたいと思います。
  36. 冨永格五郎

    冨永委員長 松田委員に申し上げます。質問にとどめておいて、長官の答弁を……。
  37. 松田鐵藏

    松田委員 第二の質問に対しては、私は自分の意見を申し上げたいと思う。われわれは現在においても、内地の代議士と協定して、小委員会までつくつて内地の漁船を入れるべくわれわれは構想を練つておるものである。ところが昨年の青森県の入漁の期間は九月一日であつた。しかも北海道から業者、また道議会からも反対陳情があるので、われわれは北海道調査に対して、私は正式の調査委員ではなかつたが、川村班長に同道して、小委員長である永田君とともに、北海道実情いかんをわれわれは調査に参つたのであります。そのときにおいて、去年と同様に、内地府県の漁船をも北海道に百五十隻入れる考えでもつてわれわれは参つたのであります。ゆえにその調査結論のつくまで、どうか青森県だけ九月一日を延ばしてくれということで、われわれは水産庁に申入れて行つたのであります。調査の最中において、札幌に参つたときにおいて、道議会は依然として昨年と同様に、水産常任委員会において、これほど内地との間の調整をはかろうとしておるのに、昨年と同様の意見を持つてわれわれに陳情された。もはやこうしたことでは、北海道の道会議員、道水産常任委員会とは語るに足らぬという結論において、班長である川村委員及び小委員長である永田委員の名をもつて、われわれ行政面にはタツチできないが、調査団の意見として、水産庁に対して善処方を申入れたのである。その後において許可されたか、されないかは、これはわれわれの関知するところではないが、かようなことであるのであります。ところがその調査中において、あにはからんや、十二月一日から昨年は入漁許可を與えておつたが、宮城県の船が九月二十日において、何十そうというものが、北海道のしかも禁猟区域の中へ入つて来て操業しておる実態が、北海道庁の監視船につかまつてしまつたということを、われわれが二十一日に道庁に会合したとき、海洋丸から発せられたあの電報を突きつけられて、われわれはほんとうに赤面をしたのである。かような協定をも道義をも無視するような県の漁船というものは、たとい一そうであろうとも廃止すべし、これらに対しては許可なんか與えるべきじやないという考えを私は持つたのであります。われわれの意思をも蹂躙し、水産庁の面子をも蹂躙するかかる県の漁船があまたあるということでは、何そうの監視船が必要であるか。少くとも一そうに対して一そうの監視船が必要ではなかろうか。国家の予算としてさようなことができ得るか。まず漁民の道義から、協定を無視するような県の漁船に対して、一そうだにこれを許可する必要があるかということを私は考える。しかしこれは小さな問題であるがゆえに、先ほど申したように、海区制を早く確立、設定すれば、こういう紛糾がないようになろうと思う。もしこの海区の設定をするときにあたつても、お互いの協定や法規を守らざる県は除外すべきである。真に協定を守つておる県と道とが相協定して、海区の設定をすべきである。これが沿岸漁民に対する福利増進であり、また鈴木委員の言われるように、資源枯渇防止にもなり、りつぱな漁村を築き上げて行つて、あらゆる点に対して日本再建のためになると私は確信いたしておる。この点に対して水産長官はよろしく鈴木委員に対して御答弁あらんことを私は望む。
  38. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 松田君は非常に興奮されておるようであります。しかし先ほど私が申し上げました内容につきましては、速記録を審査なされば明らかに相なると思うのでありますが、昨年の協定におきまして、北海道選出の水産委員諸君が、非常に大きな立場から御協力いただいたことに対して、深く敬意と感謝をささげ、かつ今年の違反が起つたことは、取締りの不徹底と、もう一つは、内地漁民の一部の者がこの協定を守らない、遵法精神に欠た点があるからであることに対しては、私は明らかにこの席上から遺憾の意を表してあつたのであります。このような点でございますから、松田委員の誤解と申しますか、その点につきましては、十分御了承をいただきたいと思います。
  39. 家坂孝平

    家坂説明員 鈴木委員の御質問にお答えいたします。  第一の取締り強化の問題でありまするが、この点につきましては、昨年度取締り状況にもかんがみまして、予算その他の措置も講じておりまするので、その力をもちまして、十分これらの効率を上げまして、取締りを強化して参りたい、かように考えております。  それから青森入漁をまず許可したという点につきましては、先ほど松田委員からもお話があつたようでありまするが、大体北海道方面の空気、そういつたものも勘案いたしまして、私どもが昨年の実績をも考え合せまして、とりあえず九月の二十二日に許可をしたのであります。たしかそのときも去年の違反船は取除いてやつたかに私覚えております。  それから今後この北海道入漁を、従前のように各県に許可するかどうか、こういうお尋ねでありまするが、これは先ほど部長からも御説明申し上げましたように、この小委員会の御結論もよく勘案いたしまして、私どもとしては、去年のあのままの姿でなくとも、あの線に沿つて内地の漁船を入れて行きたい、かように考えておるのであります。また漁期といたしましては、大体十二月ごろに入れたいものであるというふうに私考えております。  それから第四に底びき網の整理の問題でありまするが、これは鈴木委員お話通り漁業生産力は、漁船にいたしましても、あるいは漁法にいたしましても、あるいはその他の施設にいたしましても、漸次高度に相なつておりまするから、この線に沿うように、漁区のできるだけの拡大も考え合せまして、将来その方針で調整をとつて参りたいと考えております。
  40. 川村善八郎

    川村委員 関連して。ただいま鈴木委員の御発言に対して長官から御答弁があつたうち、青森県の入会の問題については、私にも責任がありますので、ちよつとお話しておきます。われわれが調査中に、電話並びに電報等で、委員長青森県の入会を何とかぜひ早く認めていただくようという懇請があつたということでありますので、私は調査した結果、道議会意見業者意見も、青森県と北海道とは特殊な関係があるということと、さらに青森県が違反がまことに少い、なおその違反も、悪質な違反でなくして、ほんとうに軽微な違反であるから、青森県については大した異論がないという調査結論が出ましたので、そこでわれわれは違反船を除いて、十一月三十日までの暫定措置とつた方がいいということを委員長に申し入れたのであります。委員長から多分そうした意味の電報なり電話で、水産庁にお伝えしたことと思いますが、暫定措置であるか、あるいは同じ暫定措置でも一年の暫定措置であるかということを承つておきます。もつと簡單に申し上げますと、十一月末までの暫定措置を講じておれば、そのうちに内地の他の府県入会の問題もきめるにいいのだ、ほんとうの許可というものは一緒に出発させよう。ただし青森県だけは九月一日からの漁期で認めておる。その間二箇月も青森県をつるしておくということは私らは忍びないので、先ほど申し上げたように、青森県については特段の措置を講ずるというようことを委員長に伝えたのであつて、決して青森県だけ先に許可をして、内地の他府県を投げようというわけではないのでありますが、その措置がどうとられるかということを承つておきます。
  41. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 お話通り暫定的に許可しております。
  42. 松田鐵藏

    松田委員 今鈴木委員の御質問に対して、あまりにも宮城県の漁船の横暴なる措置に対して遺憾であつたため、昨年の協定によつて鈴木委員も非常に御努力されたので、宮城県と誤つて鈴木君の意見に対して反駁を加えたのでありまして、鈴木君の意見に対しては了承するものであります。
  43. 小高熹郎

    ○小高委員 北海道の巻網の入漁問題について意見があるのでありますが、これは二十三日にあらためて質問いたしたいと思うのでございまするが、ただ一点、先ほど漁港問題につきまして川村委員から紀州の勝浦港に対する御意見があつたように思いまするが、私は去る三月十日から十六日間、三重県、和歌山県の南海大震災による漁港被害の調査調査班長として、三重、和歌山の漁港を一通り調査研究いたして参つたのでございます。  勝浦あるいは串本は、全国的に利用されておる天然の良港であるにもかかわらず、あまり大自然に惠まれ、人工を加えなかつたがゆえに、いまだ勝浦港においては、道路へたくさんの魚を水揚げしておるという非衛生ぶりであり、あるいは進駐軍等がこれを見まして、はなはだわが国の文化の低さを冷笑しておるという事実を聞きまして、非常な羞恥心を感じて参つたのでございます。一たびこの港が開発されますならば、それは漁港として生きて行くことが当然であると私は確信いたしておるのでありまするが、たまたまその裏作として観光に用いられてどこが悪いのだ、物持たざる日本資源をどうして生み出すか、この点につきまして、観光もやはり天然自然を利用したるところの大なる国富のもとである、こういうことから考えますと、あえてさような問題にこだわる必要はないじやないか、重点を漁港に置いてするならば、その裏作に、裏の岸壁が何に利用されようと、さような小さい議論をしておつたのでは、わが海国日本の建設ということはほど遠いといわざるを得ない。かような意味におきまして、私はあえてさような点にこだわらないで、漁港課長はよろしくただいまの問題となつておりますところの海区の問題にいたしましても、高度の視野において率直な御見解をはつきりしていただきたいことを、これはお答えをいただかないで、希望意見として述べておきます。
  44. 川村善八郎

    川村委員 小高君の御意見は、私は決して否定するのではありません。私の見たことは小高君と同じ見方であります。そこで私は小高君の言われるように、漁港の施設のうちその一端を使うことにしたらいいだらう、こういうふうに進言して、漁港の施設はかようにやればこの道路も使わなくてもいい。道路の方をむしろ観光施設に使つた方がいいのではないかと勧めたところが、いや、あれはあれでまた助けておくのだ。こつちの方はここだけは漁港施設にして、ここからこつち温泉のある方は今伏せておいて、観光施設に使う、こう言うのであります。そうなるとまたまことに狭いもので、今度はまた別に漁港施設をしてくれということが出ることは明らかであります。そうでなくわれわれは、ここからここまではやはり漁港指定地として、温泉のある所だけを観光施設にした方がどうかというような意見を加えましたところが、いやそれでは港が狭くなる、こう言つております。そこで、港が狭くなるならば、何ゆえに個人にこういう水面の埋立てを許しておるか、あの埋立てをすることによつて狭くなるんじやないか、こう言つたところが、とつちめられてしまつて、あれは別の村だからと言う。別の村にしろここの漁業権はどこが持つているかというと、勝浦の漁業会がこの水面の專用漁業権を持つている。これを何ゆえに認めたか、こういうことで談じたのであつて、決して勝浦の観光施設を否定するものでもない。しかし漁港の施設を重点に置いてやつた方がいいんじやないかという意見から、私はかえつて勝浦のためになるように言つたのだが、はたして勝浦はどういうふうに聞いているか。あるいは小高君がどう判断しておられるかわかりませんけれども、とにかく私もあそこに一晩泊つて、次の日半日調査して十分意を盡したはずであります。観光も必要であり、漁業も必要であり、その他輸送関係も必要であることは申すまでもありません。いわゆる国土開発をしたいという念願だけは、小高君と同じであります。漁港課長もよろしくそこを判断して、今後の漁港政策を持つて行けばいいのであります。最後にこの町が漁業経済一本によつて、いわゆる重点を置いていることを了承して、質問を打切つたようなわけであります。
  45. 井之口政雄

    井之口委員 委員長のおはからいによりまして、野党の唯一の私に発言を許してくださつたということは、これはきわめて公平な委員長だと思つております。ひとつぜひ将来もこの方針を堅持してもらいたいのであります。そうでありませんと、自由党の内部の、漁港行政に関する單なる意見の調整委員会というふうな性質のものになつて、この委員会自体の権威を失墜するものとなると思います。  ただいま川村、小高、永田の各委員からいろいろ御意見が出たようであります。これは相当根本的な問題を含んでおり、あらゆる矛盾がまず尖鋭化した形で出されておるようでありまして、まず漁港の問題と、あるいは入会いの問題、この二つにわけて考えてみまするのに、漁港の問題は、先ほどから南海方面調査に行かれた委員の方々からも御発言がありましたが、震災の被害でさえもまだ十分に復興していない、そこへ今度ジエーン台風でもつて相当被害を受けております。なお私もこの間行きましたが、白浜のごときは、去年つくつた提防がまたひつくり返つている、それから淡路のごとき東岸方面の二、三の漁港が、みんな堤防が破壊されております。こういうふうなものは、震災の被害でさえもまだ復興していないところに今度の災害を受けて、それは予算が少ししかないというので、はたしていつになつたらこれが復興するのか、ほとんど見込みがないような状態であります。そこでそういう場合に、今度は観光方面の港湾の施設というふうなことになりますと、どうしてもそつちが強いのであります。今の資本主義の社会におきまして、漁港、とりわけ小さな漁民が、漁業協同組合によつて利用しておりますところの漁港への国家の投資ということは、きわめておろそかになりがちなものでありまして、何といつてもこれは観光の方に大きな予算がとられてしまうのであります。この点は、先ほどから意見の衝突となつて現われております。この一事をもつてしても、今のやり方ではとうてい漁民の利益というものは守られないような状態になつております。さらに漁業自体を考えてみましても、たとえば北海道に漁港をこしらえて、北海道の漁港に内地の漁船がどんどん入つて一面内地入会権を遮断してしまうと、これは向うが許可を與えて、何ら労せずしてその漁業権を貸し付けるというふうな形が現われて来る。不労漁業利用者というものを発生させる形になつて来る。そうかといつて、今度は日本のその他の方面の漁港を開発いたしまして、それで宮城県から大分県にかけてりつぱな漁港をこしらえて、大きな船が入るようになつて、地びき網がどんどん沿岸を荒して行くということになつて来ると、日本漁業の全体を荒廃せしめるという結果になつて来る。あつちを立てればこつちが立たず、こつちを立てればあつちが立たず、この弊害というものは一体どこから来るか。これは今日の資本主義の政府をもつてしてはもうだめだということ、総合的な漁業行政というものは、日本の全国家的な立場から見た場合、もはやこれではどうしてもやつて行けないという現実に来ているものと、われわれは考えるものであります。復興さえもできない。さらにその間の矛盾は、予算の分取り運動となつてつて参りまして、合地方自治体は中央の方の政府に頭を下げるために、非常に大きな機密費を使つて上京して来る。あるいは調査員が行くというと、調査員を歓待するために、非常に大きな金を使う。また使わなければやれないというのが、今日の現状であります。地方自治体自身もこれには困つておるような状態で、しかも困つていて、どうやつてこれを解決して行つたらいいかという道もつかないという状態であります。こういうふうなことを根本的に解決いたしまするためには、やはり共産党の主張しておりますところの人民の政府というものを、どうしてもつくらなければならない。そうでなかつたならば私はいかぬと思う。私はこの点に対してひとつ長官の御意見を伺いたいと思います。  そこでこういうことも考えられるのであります。こういう漁業行政長官に非常に大きな権限を與えて、総合的な日本の全漁業行政を統括させるような方法とつたらどうか、こうなりますと、今度は司法、立法、行政の三権分立の中で、行政機構が非常に強くなるのでありまして、そうしてここから出て来るものは何か、收賄事件です。そうして家を建ててもらうとか、小切手をもらうとか、めちやめちやなことが起つて来る。日本の一部の独占資本家と結びついて、この日本全体の漁業行政というものをまつたく堕落させてしまい、そうしてますます一部の大資本家に利益を與えて、資源というものを枯渇させてしまうということになつて来るのであります。先ほど長官は、日本漁業生産力は次第に増加したということを言つておられます。生産力増加し、そうして船の馬力が上り、いろいろな資本が漁業方面に投下されて、技術が高進して参ります。そうしますと、わずかの労働力をもつてよけいとれることになる。これは非常にけつこうなことであります。ところが一方生産力増加ということが、他方においては資源を枯渇せしめるという結果をもたらしておる。資源を枯渇せしめるから、資源の保護をやろうとすると、今度は今まで拡張された生産力を破壊しなければならないということになる。破壊するということになると、国家の予算をもつてこれに賠償金を與えて、繋船させるところの船に幾らの金をやらなければならぬ。これじや税金が労働者農民の上にたんまり来ることになる……。
  46. 冨永格五郎

    冨永委員長 井之口君、簡單に願います。
  47. 井之口政雄

    井之口委員 こういうことで、根本的な問題に行き当つておる。この根本的な問題を私は一応ここで在野党の立場としてはつきりし、そうして……(「井之口は追放だ」と呼ぶ者あり)追放になつたら、そのときはそのときのことで、また方法がある。しかし今はひとつ長官の国会におけるところの明瞭な責任ある御答弁を承つておきたいと思う次第であります。  そういうふうで、生産力はせつかく上つて来ても、喜んでうれしいと思つておると、またこれを押えなければならぬ。押えるには金を使わなければならぬ。こんなことになつて来たら、日本漁業行政はいつまでたつてもできない。これも総合的な日本全体の漁業を育成し、資源を開拓して行くような大きなことをやらなければならぬ。と同時に、われわれはさらにこれを広げなければならぬ。これにはどうしても独立を必要とする。日本が一日も早く独立国として、人民政府のもとにやらなければならぬと思うのであります。  なお北海道入会権の問題もありますが、これは兵庫の淡路辺にもある。あの辺でも困つております。それはよそから入つて来て密漁をやる。あるいは自分の船でも底びき網がどんどん出て来て、近海を荒すというので、非常に困つております。それは取締船を強化して、これを一々やるということになると、先ほど松田さんのおつしやつた通り、そんな取締船ばかりこしらえたら、予算がよけい要る。船一そうには幾らつけなければならぬということになつて来る。これも困つたことだ。結局それはどうすることもできない。こういう場合にも、漁民自身が自主的な精神によつて、自主的に管理する。漁民相当取締りの権限を與えなければならぬ。これをなそうとするお考えがあるかどうか。そうしないと、目の前に違反漁がおつても、漁民は手がつけられない。そうして結局は、やはり海上保安庁の方に、ちよつとばかり袖の下を使えば、どうにでもできる。小さな船はつかまえても、大きな馬力の船は追つかけてもどんどん逃げてしまう。こういうふうでありますから、これも非常にぐあいが悪い。また今度は取締船をよけいつくられるそうでありますが、これはまた壱岐、対馬の方から以西の方にずつと監督権を伸ばすとすると、これは朝鮮、中国に対する干渉である。そういう危險を含んで来るのであります。そこに領海を犯すということになつて参りまして、これも非常に困つたことである。こういう方面からも考えて、全面的に日本漁業行政を考えて、どうしてもこれはやはり共産党の主張しておるところの、人民政府の漁業方針でないといかぬと思いますが、長官の方はどう考えておられますか、時間がないので、一応結論としてそれをお伺いいたします。
  48. 家坂孝平

    家坂説明員 たいへんむずかしい問題を投げかけられましたが、私の態度といたしましては、私も一公務員でありまして、現政府の公務員として、公僕として、現在の法律下におきましてこれを百パーセントに完全に実施できるように、法に沿つてすべての処置をして参りたいと、かように考えております。  それからなお取締りの問題につきましては、御承知のように、今度漁業調整委員会が各海区にもできましたので、こういつた民主的な声も十分聽取いたしまして、これを大きな私どもの施策の基礎として、すべての方法を講じて参りたい、かように考えております。
  49. 冨永格五郎

    冨永委員長 本日はこの程度で終りたいと思います。次会は明後二十三日午前十時半より開会いたします、なお十時より漁業経営安定に関する小委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十八分散会