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1950-07-24 第8回国会 衆議院 水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十四日(月曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長代理理事 田口長治郎君    理事 小高 熹郎君 理事 川端 佳夫君    理事 林  好次君 理事 上林與市郎君       石原 圓吉君    川村善八郎君       鈴木 善幸君    田渕 光一君       永田  節君    平井 義一君       福田 喜東君    松田 鐵藏君       岡田 勢一君    小松 勇次君       水野彦治郎君    佐竹 新市君       井之口政雄君  出席政府委員         水産庁長官   家坂 孝平君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   水野  榮君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 曽根  徹君         経済安定事務官         (貿易局計画第         一課長)    佐藤 健輔君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 齋藤 一郎君     ————————————— 七月二十四日  委員井手光治佐藤親弘君及び田中彰治君辞任  につき、その補欠として久野忠治君、五島秀次  君及び福田喜東君が議長の指名で委員選任さ  れた。     ————————————— 七月二十四日  漁業法の一部を改正する法律案川村善八郎君  外五名提出衆法第八号) 同月二十二日  長部漁港修築に関する請願鈴木善幸紹介)  (第一三八号)  瀬戸内海漁区東部境界線確保に関する請願外二  件(橋本龍伍紹介)(第一三九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  漁業法の一部を改正する法律案川村善八郎君  外五名提出衆法第八号)  水産金融に関する件  水産貿易に関する件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長代理 これより開会いたします。委員長が不在でありますので、私は委員長の職務を代行いたします。ただいま出席になつております政府委員及び説明員は、水産庁長官家坂君、説明員水産庁次長山本君、説明員水産庁経済課長奥田君、説明員水産庁水産課長水野君であります。  水産貿易に関する件を議題といたします。まず政府から水産貿易現状について御説明を求めます。
  3. 田渕光一

    田渕委員 議事進行について……。議題に入る前に、当水産委員会権威のために発言いたしたい。と申しますのは、第七国会の当水産委員会が非常に面子を失し、他党の各位に非常な御迷惑をかけているのであります。もちろんわれわれ自由党員は、この水産委員会国会水産委員会と確信しておるのであります。自由党水産委員会であるがごとく動く結果がこういうふうになつておるのであります。それは私伺つたところでございますけれども、水産委員長の富永君は相当永い距離旅行をされておるように伺つております。一昨日非常に血圧が高いために入院されておるように伺つておりましたが、相当距離旅行されるというのでは、私は御病気はさして入院するほどではなかつたということを推察するものであります。また今回国会は、十四日か、二十日かということが非常にもめたことは水産委員各位、およそ国会議員として、十分会期のことに関しては関心を持つてつたのであります地方税を主といたしておりますが、当水産委員会といたしましては、参議院において握りつぶしを食つたという問題、また当水産委員会が非常に軽率な動きをしたというような委員発言もありましたが、かような意味合いにおいて当水産委員会権威のために申し上げたいのは、少くとも一昨日の土曜日午前十時に、当水産委員会を開会していただいておりましたならば、六時半の本会議の開会までに各党代議士会を開き、各党国会対策の審議を通じて、十分本会議に上程できたのであります。しかるに午後二時というようなことを伺いまして、これを当時の小委員会に伺いますと、ミスプリントだと逃げておるのであります。もしミスプリントであれば、重大な問題であるから、私は事務当局責任を問うつもりでおりましたがやはり委員長から、どうしてもオーケーは昼からであろうと思うから、二時ごろからでよかろうというようなことで、結局、二時からの公報になつたということがわかつたのであります。ところがオーケー状況は、その前日われわれが水産庁へ参りまして久宗課長を通じまして、GSよりNLSへ三時前に通達があつたのであります。少くとも国内の問題であり、大した問題でありませんから、オーケーが来るということは、そのことははつきりしておつた。少くとも午前九時に持つて来て十時に委員会を開けば十分できたにもかかわらず、ことさらに、わが党のまことにみつともない問題でありますが、原委員共産党委員退場戦術をとつて自由党代議会役員会を開いて、結局六時半まで引きずつてしまつた、こういうことであります。かようなことではいかなる法案が出ましても、これは国会水産委員会であるということをはつきりしておきたい。決して自由党水産委員会ではありません。こういうように多数を擁しておるからといつて、他党の各位に御迷惑をかける。たとえば社会党であろうと、国民民主党であろうと社会革新党であろうと国会水産委員会というものをその党の政策、その党情によつて冒涜するようなことがあつては、民主政治というものは保持できないのであります。私はこの意味において、自由党の幹部のとつておること、また自由党党員で、しかも一昨日原君が共産党諸君とまで、この利害に関しては共同してやつたというようなことに対して、非常にこの水産委員会権威を失墜したと思うのであります。自由党は元来団結をもつて天下にすべてを認識されておるのであります。しかるにこれを分裂させ、あまつさえ、私がこの可決の最後に五日間の負傷を受けたのであります。かようなことをして、かりにもその地区の代表であり、一国の選良たる者委員会においてそのようなことを起したということは、少くとも私は委員長の処置が完全でなかつたということは、私として十分断定できるのであります。将来水産委員会権委のためにもう少し公平に、私は決して紀伊水道を今国会で通そう、来国会で通そうというさもしい根性はありません。時期至るときには通るでありましよう。しかしながら私も、和歌山県から選出され、選挙民がこれを通せというので代表として来ておる以上は、やらなければならぬところの責任があります。その責任において行くものを、党情あるいはその他のために国会が断とうとするようなことは、将来慎んでもらいたいということを申し上げる。ほんとうの民主国会を守らんがために申し上げるのであります。どうかお病気だけはいたし方ありません。御病気ならば十分御養生願つておるものと思つたら、相当距離の御旅行をなさつておるように伺つておりますので、後日委員長が御出席なさつたとき伺いますが再びかようなことをして、委員会運営を誤つて議員同士負傷者を出すような、こういうみつともないことのないように、ひとつ運用願いたいのであります。事務当局にお願いしたいのでありますが、私伺いますれば先ほど專門委員室の加藤君が、あすの本会議に上せられないようなうわさがありますから、印刷をしないでおきましようかと言つたというようなことをも、まことにもつてけしからぬことであります。通るか通らぬかということを予想する必要はない。事務当局委員会を通過したものは本会議に必ず上げるものなりとして印刷を準備をするのが当然であります。かような予測あるいは政治の微妙なものを算定に入れて、なすべきことをなさぬということはいけません。国会議員は、すべからく人事を尽して選挙民のあらゆる要望にこたえるのがあたりまえであります。もしも一昨日の土曜日の運営が午前十時から開かれておりましたならば、おそらく地方税と一緒に今日ただいま参議院で審議されたかもわからない。もしもあすの本会議であれば火曜日であります。水、木、金、土と四日しかありません、おそらくこれではできないでありましよう。またこれの見通しについても申し上げます。第九国会にも私は提案いたします。第九国会で否決されるようなことがありましても、第十国会にも出します。もし第十国会に出しましたときに、参議院がこれを握りつぶしたならば、六十日の期間が過ぎれば当然確定するのであります。かような見通しのついたものを何がゆえにわざわざじやまするか、私は非常に遺憾であります。一昨日までの運営が公平を欠いておりはせぬかというような点について、いささか不安を持つものであり、疑点を持つものでありますから、この点を申し上げ、ひとつすべてがうまく行くように、自然に行くように、策略のないように願いたい。私は参議院には策略をいたしません。参議院参議院としてやるべきことをやられたらいいのであります。私は衆議院議員として、衆議院の職責を全うすればいいのであります。私は衆議院議員として、過失なく国民の期待に沿つて衆議院の公職を完全に遂行するだけを念願しておるものであります。
  4. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいまの田淵君の発言に対しては、私も同感の点がたくさんあるのであります。この会期中に解決しなければならぬものが、かなりたくさんあるのでありまして、その意味から本委員会が済んだ直後に、わが党委員諸君だけの懇談をいたしたいと思うのであります。そういうことを御了承の上御進行あらんことを願います。
  5. 田口長治郎

    田口委員長代理 ただいま田淵委員から昨日の委員会について、多少遺憾の点があつたというような御意見でございますが、私らも多少そういうような感がするのでございます。この問題につきましては、いろいろ委員会としても教えられる点がありまして、お互いにさようなことがないように、将来注意をしたいと思うのであります。それから会議を一昨日二時に開会した問題につきましては、一昨日当時の委員長代理から詳細御説明がありましたから、その点は御了承になつておるものと考えます。一旦水産常任委員会を通過した議案でありますから、この議案の通過ということについては、全員できるだけの協力をしなければならないと思いますから、どうぞ皆さんにあらかじめお願いしておきます。  最後石原委員から本件に関しまして、あと委員懇談会をやりたいというようなお話でございますが、皆さんお異議ありませんでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田口長治郎

    田口委員長代理 それでは本委員会散会懇談会を開きたいと思います。
  7. 松田鐵藏

    松田委員 私どもがこの紀伊水道の問題に対して、相当深慮を持つて採決まで土曜日の委員会にやつたのでありまするが、けさ私の手元へ兵庫県から陳情書参つたのであります。その陳情書皆さんのお手元へ参つたかどうかは存じませんが、この陳情書を見るにつけても、実際問題としていかに今日紀伊水道漁業が乱脈をきわめて、いるかということがわかり得るのでありましてこの中には、水産庁でも御調査になつておるかも存じませんが、明細にこの違反事項が書かれておるのであります、しかも写真までついて参つておるのであります。この写真がついて参つておりまして、かようなトロール漁業に使われるようなトロールをあえてしておる。トロール類似——機船底びき類似漁業を脱却して、もはやトロール類似漁業を営んでおるのであります。かようなことになつて行つたのでございます。どうしてあの海区の漁業の実態を守ることができるが、また繁殖保護を確立することができ得るかということは、この写真を見ても一目瞭然となるのでありまして、かようなことをなからしめるために、紀伊水道の漁民は一致団結して、民主的にみずから現在やつておる漁業を放棄して、瀬戸内海取締り規則に基くまじめなる漁業を営み、しかして漁族繁殖保護をはからんとするものであつて、あの土曜日の委員会においてとつた行動は、まことにここにはつきりと現われて来ておるのであります。社会党の反対した方々はよくこれを見ていただきたい。かように考えるものでありまして、みずからの謀略がはつきりしておる資料が、陳情書としてけさ参つておるので、あと懇談会の席上でこれを皆さんに見せてやつていただきたい、これだけであります。
  8. 田口長治郎

    田口委員長代理 それでは水産貿易現状について山本説明員を願います。
  9. 山本豐

    山本説明員 水産貿易の最近の状況でありますが、お手元資料をお配りしたいと考えておるのでありますが、とりあえずごく概略を申し上げますと、二十五年度に入りまして、上半期、つまり一月から五月までであります、この間はその前期に比しまして、価格の下落が若干あるわけでありますけれども、数量的におきまして比較的順調と申しますか、よい成績を示しつつある状況であります。二十五年度の年間の計画は、金額にいたしまして二千百七十九万ドル程度になつておるのであります。これに対しまして上半期実績は、一千六十二万ドル程度になつておりまして、この計画に対する実績の比率は、四八・五%に相なつております。従つてまず順調に進行しておるものと考えられるのであります。少しこまかくなりますが、そのうち特に顕著なものを申し上げてみますと、油類のものが大体七二%くらいの成績を占めております。カン詰類におきましても、四五%くらい占めております。寒天は非常によくなりまして。今日一〇〇%に達しております。種がき等におきましても一一二%、冷凍魚介におきまして三八%、塩干魚介におきまして四四%、こういうふうに、大体において数量的には順調に進んで来ている状況であります。この仕向地関係でありますが大部分アメリカでありまして、その他関係地方といたしましては、カナダあるいはイギリスとかマレー、こういう方面に若干出ておりますが、大体七七%に相当するものはアメリカ仕向地にいたしておるような状況であります。詳しい資料は後刻お手元に参ると思いますが、それについてごらん願いたいと思います。
  10. 田口長治郎

    田口委員長代理 ただいまの政府説明に対しまして、質疑がございましたらお願いします。
  11. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 最近の水産物輸出状況について御説明があつたのでありますが、昭和十年当時におけるわが国水産貿易実情について資料等を頂戴できれば、最近の貿易事情と対比いたしまして、今後の対策を講ずる上に非常に有意義であると思うのであります。つきましては、昭和十年当時における各品目別、また輸出入先別資料等を、次回の委員会までに御提出を願うように、委員長からおとりはからいを願いたいと思います。
  12. 田口長治郎

    田口委員長代理 ただいま鈴木委員から昭和十年ごろの品種別仕向先輸出現状資料提出してくれということでございます。御提出になるように要望いたします。
  13. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 次に最近突発いたしましたところの朝鮮における新しい事態、並びに朝鮮問題をめぐる国際諸情勢が、今後のわが国水産物輸出貿易に対していかなる影響を与える見通しであるか、当局の御所見を承りたいと思います。
  14. 山本豐

    山本説明員 朝鮮問題関係は、各方面影響はあろうかと思うのでございますが、われわれといたしましては、現下の情勢でもつてただちに一年後あるいは二年後の判断を軽々しくできないのではないかと考えるのであります。しかしごく最近の状況と言いますか、これも確たる資料によつてではありませんけれども、カン詰方面等につきましては、かなり活発な動きがあるわけであります。これは朝鮮事変関係しておるのかしていないのか、この点も明らかにつかみ得ないのでありますが、最近南方方面二箇船団を出しました、例のまぐろの油づけ等の問題にいたしましても、一部には、将来においてアメリカでそういうものの輸入の制限があるのではなかろうかというような見方もあるやうに聞いておりますけれども、現状におきましては、幸いにして非常に売れ行きがいいわけであります。一部では、朝鮮問題等を控えまして、その兵站と申しては語弊がありますけれども、その意味合いにおきましてカン詰等が、ここしばらくはかなり需要が増すのではないかというふうにも見られるのであります。しかしまた一方この事変が長引きますと、せつかく南支あるいは南方方面への輸出の市場といいますか、そういう方面の開拓の問題がまた困難になる可能性も出て来るのではなかろうかと、いろいろ想像はできるのでありますが、現状においては、そう悲観をする位置には達していないのではないか、むしろカン詰等を通じまして、上まわつて行く傾向にあるのではなかろうかと思つておるわけであります。しかし今後まだ相当に持続する関係もありますから、十分に注意して情勢判断をいたしまして、それに対処して水産庁としては考えて参りたいと思つておるわけであります。
  15. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 今回の朝鮮の問題につきまして、情勢はかわつて来ると思うのでありますが、この二、三年来南鮮方面からわが国輸入されておりますところのふのり、あるいはほしのり等輸入が、その価格の面あるいは内地同種水産物清流関係との計画的な配慮が足らないために、国内産のふのりあるいはほしのり等相当価格的な圧迫を加えて、内地業者が非常に困窮をしておるような事態が発生いたしたのでありますが、この南鮮方面から輸入されますところのふのり、ほしのりその他の輸入水産物と、わが国水産物との清流事情について、何らか政府として調整の対策をお立てになつておるかどうか。そのために内地生産者に一体どういうような影響があつたか、その影響並び水産庁としてこれに対しとつ対策につきまして、御説明を願いたいと思います。
  16. 田口長治郎

    田口委員長代理 関連はいたしますから……。ただいまふのり、ほしのりの問題もございましたが、私の知つておるところでは、煮ぼし問題も同様な事情にあるように考えられます。水産製品全体について御説明を求めます。
  17. 水野榮

    水野説明員 ただいま鈴木委員から、南鮮方面から入りますところのふのり、ほしのり及び委員長からの質問いりこ輸入に対して、内地生産者にどういうふうな影響があるか、またこれに対してどういうふうな対策をとつておるかという御質問でございます。実はふのり輸入につきましては、あのふのりは要するに高級織物の製造の場合に使うのでありますが、現在程度繊維製品生産でありますれば、およそ国内ふのりでも間に合うような状態であつたのでありますが、最近非常に繊維品輸出も盛んになりましたし、若干朝鮮方面から入つても、以前ほどの影響はないかと思いますが、このふのりもほしのりも、それからいりこも、ともに民間貿易になりましてから、これを政府の方でチエツクするというわけには行きませんが、この輸入の時期なり数量なりを、相当考えて行けば、わが国生産者に与える影響というものも、そう大したことはないのじやないか、なお貿易はやはり相互依存関係にございまして、朝鮮から米を輸入するという点にも関連をして来るのでありまして、われわれとしては好ましくない品物ではありますが、やはりこの輸入を認めざるを得ない。そのかわりに、その影響を極力最小限度にとどめるように貿易業者輸入業者とも懇談をいたしまして、この輸入について積極的な指導ということでなくして、むしろこういうふうにしてもらいたいというような、懇請的な指導をしておる次第であります。
  18. 小高熹郎

    小高委員 水産貿易関連しておると言えば言えるのございますが、資材輸入についてお尋ねをいたしたいのでございます。  私が昨年秋以来調査しました範囲において、カリフオルニアの綿花の耕作及びインド方面綿花事情等、いろいろ綿花生産方面を研究いたしますと、ここ二、三年豊作が続いて、すでに世界綿花というものは、一応潤沢に相なつたやうに了承をいたしておるのであります。しこうして、この綿花輸入に伴いまして、わが国に入つて参りますと、これが統制伴つて綿糸及び漁網の面が関連的に統制されて、今までおつたのでございまするが、かくのごとき世界原綿情勢が緩和いたした今日において、今までこの綿糸及び綿漁網統制があつたために、幾多のトラブルを起しておる。先般来、また前々国会以来問題となつておりまする、当委員会において追究中の数量の合致せぬ点、これらの数字の不一致をどう答えを出すかということが、いまだ未解決でありまするが、これらの過去におけるいろいろの問題等から関連して考えまするとき、かくのごとく綿花事情が緩和した際に、水産庁当局は、通産大臣及びその他国内関係方面にわたつて水産資材中、綿糸漁網等統制をする必要がないと思う。原綿は緩和しておるではないか、ゆえにこれに対する緩和方を講ずる意図はないかというような交渉をした事実があるかどうか、その点まず第一点として伺いたいのでございます。
  19. 山本豐

    山本説明員 水産庁におきまして、現在各資材のうちで特に重点を置き、また従つて統制の下にあるものといたしましては、石油綿糸漁網があるわけであります。これらの物資につきましても、見方によりますると、相当今日品物があるわけでありまするから統制をはずした方がよくはないか。統制があるがために、特に水産関係はみずからの手足を縛つておるような関係になるのではなかろうかというような批判も、われわれ巷間承つておるのであります。特に石油等につきましても、民間貿易相当に復活されて参りまするに従つて、実際の石油量はかなりあるのではなかろうかというような想像もできるわけであります。そういう場合に統制があるということは、かえつてその部面のみが損をしているというふうな事情もあるかと思うのであります。しかしこの綿糸等につきましてまた考えてみなければならぬ点は、現在漁網方面にまわしていただいておりまする綿糸の割当でありますが、これがなかなか思うように参りません。御承知のように大体需要量の七割程度がせきの山というふうな状況に依然としてあるわけであります。そういう事情のもとにおきまして統制をはずすということになりますと、結局資金を持つているものであるとか、あるいは実力のある資本漁業家であるとか、そういう方面にはもちろん資材は流れるであろうと思うのでありますが、そうでない方面では、やはり手も足も出なくなるのではなかろうか、そういう点も考慮してみなければならぬかと思うのであります、ただ残る問題は、特にこの綿糸等輸入につきましては、やはり資金関係もあり、そういう意味で十分とは行かないまでも、入つて参りましたものを漁網にまわすというようなことにつきまして、通産省と種々交渉しておるわけであります。われわれとしましては、いやしくも割当てた以上のものは、必ず漁網なら漁網に確保できるというふうをことを再々申しているわけであります。しかし実情業者の立場となつて参りますると、最近輸出相当に上まわつておるわけでありまして、この漁網の方が、ややもすれば資材の方の圧迫を受けて、あとまわしになるというような実情は確かにあるわけであります。そういうことのないように、われわれとしましては、いろいろとやつておるわけでありますが、ただいま御質問の全体として、世界綿花事情は非常によくなつたから、この際大量に輸入できるように交渉したことがあるかどうかという御質問でありまするが、これは率直に申しまして、そういうふうな概括的な交渉はまだやつておりませんが、しかしわれわれといたしましては、政府のいろいろの資金計画その他によつてつて参りまする綿花のうちで、漁網にまわる部分だけは、絶対に確保してもらいたいということは常に申入れをいたしておるわけであります。今後もその線で極力努力いたしまして、いずれ近い将来において、数量的にまあまあというところまで参りますれば、われわれとしても、こういう統制は一日も早くはずしたいと考えておるのでありますが、現状はさように参つておりません。以上申し上げたような事情にあります。  それからもう一つ、最近朝鮮事件の関係も入つてつておりますので、綿糸もたいへん大切でありまするけれども、むしろマニラの方が少し先に飛んで輸入をはかる必要はありはしないかというようなことも、今頭に持つておるのであります。これらも目下朝鮮事情の推移いかんをもう少し見きわめまして、その他の物資等と同様に、そういう面について遺憾のないように処置して参りたいと考えておるわけであります。
  20. 小高熹郎

    小高委員 ただいま山本水産庁次長の答弁で一部は了承いたしましたが、私は常に行政方面に携わるあなた方に期待するところは、たとえば先般来問題となつておりまする漁網数量の合致せぬ点、これらをどうして今後あやまちを再び繰返さないようにするかということに対して、私どももむろん研究をいたしまするけれども、鋭敏なる感覚において、しからば国際事情から見たところの綿花生産、また国内事情から見るところの環境それから見て、こういうものは統制がない方がいいのだというような、常に上から下つて来るところの施策を遵奉するのみでなく、こちらから進んで問題を提起して、そうして閣議の課題とするくらいのことをやつていただかなければ、とうてい今日魚価がかくのごとく低落し、あるいはまた塗炭の苦しみを受けておるところの水産業界の指導官としての責務が、全うせられないのではなかろうかというようなことを考えられるのでございます。これはたいへん申しにくいことでございまするが、国際経済に通ずるところの祖国日本の経済をどう建設するか、輸出の面においてあるいは輸入の面において、あるいはまたいかにしたならば、生産に自由に楽な働きができるかという、これらの点について常に関心を持つて行動を願いたいために、少し耳ざわりでございましようが、この質問をしておる次第でございます。どうか天くだり的の指令を待たないで、進んで開拓という気持を持つて、特に行動を願いたいことを、希望として申し上げておく次第であります。
  21. 田口長治郎

    田口委員長代理 ただいま経済安定本部貿易局計画第一課長佐藤君が出席になりましたからお知らせいたします。
  22. 川村善八郎

    ○川村委員 私は水産貿易、特に北海道で生産の最も多いこんぶ、するめ、みんたいその他の塩干魚、これについての見通しをお伺いしたいのであります。戦前は御承知の通り、朝鮮にはみんたいが多量に行つてつた。戦争前は日本領土でありましたので、直接売買ができたのでありますが、こんぶ、するめ、その他の塩干魚等は、朝鮮を通じて、相当に満洲あるいは中国方面輸出されておつたことも事実であります。われわれは一日も早く講和条約を結んでこれらの輸出をしない限りは、一番生産の多い、しかも原始的なる製品で、最も漁民の期待を持つておりますこんぶ、するめその他塩干魚といつたようなものが、講和條約の締結が延びておるために、非常にそれを生産する漁民が困つておる。従つてわれわれは一日も早く講和條約を望んでおつたのであります。ところがたまたま朝鮮の事件が勃発いたしましたので、近い将来の講和條約は何か不安に相なつたのであります。従つて先ほどから申し上げましたような、この多量な水産物の将来の貿易見通しはどうであるか、もつと端的に申し上げると朝鮮輸出するところのみんたい、支那方面で最も希望しておりまする、こんぶあるいはするめ、いりこ、あるいは塩干魚等の見通しはどうかということを、お伺いしたいのであります。
  23. 水野榮

    水野説明員 ただいま川村委員からの御質問でありまするが、こんぶ、するめ、みんたい、これは御指摘の通り、最も原始的な方法で採取され加工されておる水産物で、特に北海道を中心にして量産されるものでありまして、私どももこれらの品目の輸出が、一日も早く昔のように盛大になることを希望しておるのでありますが、国際政局の関係で、以前と同じような割合をもつて中国方面に伸びるということが期待されて参りました。最近するめなどにつきましては、これは端境期の点もあるかもしれませんが、朝鮮問題がおそらく大きな影響だと思いますけれども、朝鮮から支那へ入ることがなくなつたために、最近非常にするめの輸出も好景気になつたというふうな情報を得ております。それからこんぶの輸出にしましても、漸次輸出の増大を見ておるようであります。しかしながら、このこんぶの輸出にしましてもするめの輸出にしましても、もう少し国際情勢が変化をいたしませんと、伸び方が非常に緩慢であることはやむを得ないと思うのであります。以上簡單でございますけれどもお答えいたします。
  24. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま水野課長から、やや輸出が上昇しかけたということでありますので、われわれは非常に喜びを持つものでありますが、しかしながら実際問題といたしましては、少しくらいの上昇では、北海道で生産するものを、とうていこれを消化するわけには行きません。過去はこんぶにしてもするめにいたしましても、日本の食糧が枯渇しておつた時分には、相当国内の消費も旺盛でありましたので、消化をすることができたのでありますけれども、終戦後漁民もたくさん帰還して、そして生産がますます増大いたしまして、むしろするめのごときは、戦前よりも生産が多くなつたのであります。このまま何ら手を打つことなく自然の姿にまかせておりましては、特に北海道の漁民の死活の問題となりますので、これらの点において、何らかの手を打つ方法を考えておるかどうか。この点をお伺いいたします。
  25. 水野榮

    水野説明員 ただいまの御指摘の通り、こんぶはその生産数量は三分の一程度に落ちておりますけれども、するめに至つては三倍ないし四倍の生産増を見ておるのであります。最近漁業資材の値段はむしろ上る傾向にあるし、それにひきかえて鮮漁初め水産加工物はむしろ下落の傾向にありこういう情勢によりまして、われわれとしては、何とかしてこの魚価の維持ということについて考えておるのでありますが、その一つの方策といたしまして、来年度の予算には、水産物の取引の改善に要する経費を予算に計上いたしまして、主として従来統制の安易さになれまして——漁民なりまた産地の取引機関が行つておりました、売り方についてのふなれの点を是正するという意味からいたしまして、消費地の市況を産地に流してやつて、都市だけでなく、中都市はもちろん、農山村の方にも需要を求めて進み得るよう、情報網を整備する予算を組んで、販売面をもつと有利にして行くというふうな施策を、考えておる次第でございます。
  26. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま水野説明員からの、こんぶの生産は三分の一になつたという御説明、事実はそうでありますが、実を申すと輸出こんぶ、すなわち齒舞を中心とした根室支庁管内、釧路支庁管内のこんぶは劣等で、中国へ行かなければ生産が合わないから減産したので、まだまだ増産はできるのです。であるから、これはひとりこんぶばかりではなく、するめにしてもいりこにしても、輸出に全力を注いでこれの生産を旺盛ならしめるよう手を打たなければなりません。国内の販売の改善をするというくらいではおそらくこれを消費がし切れないのではないか、かように考えております、最近北海道に高度利用で一億の見返り資金が流れて行くというようなことになつておりますが、これらはそういうものに手をつけているのではありません。従つて、私のあなたに申し上げたいことは、今まで輸出が旺盛であつたが、輸出がとまつたために生産したものが消化できないものに対しても、高度の利用ができるように、やはり日本人の嗜好品となつて日本の国内で消費ができるように、製造加工の部面への施策も、販売と並行してとられましたならば、日本の蛋白質食糧の補給ができるので、米の節約ができるのではないか。今朝鮮から米を輸入しているから、のりも不満ではあるが利用しなければならぬ、こういうことを言つておりますが、水産物の加工の改善によつて、日本人がそれを食糧とすることができるならば、朝鮮から米を入れなくともいいではないかと思う。食生活の改善もそれによつてできるのではないかと思いますので、これらの点も販売網の改善等とあわせて御考慮願いたいのであります。これは要望しておきます。
  27. 田口長治郎

    田口委員長代理 水野説明員にちよつと申し上げます。先ほどの説明ふのりだけの話ですね。いりこあるいはほしのりについて何にも触れられなかつたようでありますので、あわせて説明願います。
  28. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水野君の御答弁は、委員長から御指摘になりましたようにふのりだけでありますが、この際水産庁の方よりも、安本の方にお尋ねする方が適当だと思いますので伺います。  申し上げるまでもなく、わが国水産物は、最近生産が非常に上昇いたしまして、四月一日の統制撤廃以来、魚価は非常に低落いたしております。また六大都市等における入荷の状況から見ましても、現在の購買力に比しまして相当出まわつていると思うのでありますこういう際に、朝鮮方面からいりこあるいはほしのりふのり等の輸入をすることは、水産物価格の低落しておるわが国の現況におきまして、沿岸漁業生産者圧迫する結果にならないかどうか。長崎方面では非常に増産して、いりこの販売に困つておるような状況下において、朝鮮からさらにいりこやほしのりのようなものを輸入しなければならない事情を御説明願いたいと思います。
  29. 佐藤健輔

    佐藤説明員 お答え申し上げます。実は朝鮮との貿易協定を締結いたしますときに、常にその問題が起りまして、日本側といたしましては、のりないしいりこ等は絶対に希望しないということを、強く言つて先方と折衝しておるわけでございますが、御承知の通り、朝鮮といたしましては、日本側から買いたいものは山ほどある。ただ日本側が朝鮮から輸入を希望いたすものが非常に少いため、いつも金額の点で問題になるのでございまして、もし日本側が朝鮮の方から絶対に希望する品目のみに協定を限定いたしました場合には、日本から逆に輸出いたしますものが非常に少くなりますので、かれこれ考えまして、のりないしいりこ輸入もある程度はやむを得ないのではないか。こういうことになりました結果、協定にはそういうものが載つておるのでございます。ただ協定に載りましたからといつて、これを絶対に置こうという必要はないのでありまして、協定により外貨予算の方でそれを買うという態度をとりましても、もし値段その他内地輸入業者ないし業界におきまして、朝鮮から絶対に輸入を希望しない。価格その他の点で朝鮮からそういうものを入れましても、内地でさばける見込みがないということで、具体的に商談が成立しない場合には、日本側としては協定以上の義務を免れることになつておりますので、そういう観点からいたしまして、朝鮮との貿易の相対的見地から、これを載せざるを得なかつたということになりますわけで、一部業界へ非常な不安を与えておるということは、重々承知しておるわけでございますが、朝鮮とのいろいろな関係上、ああいうものを、載せざるを得なかつたということは、御了承願いたいと思います。
  30. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御説明でその事情はだんだんわかつて参つたのであります。そこで問題になりますのは、日本の朝鮮に対する輸出を増進するために、漁業者の犠牲において、日本の好まないところのこういういりこ、あるいはほしのりのようなもの、日本であり余つて処分に困つておるようなものまで入れざるを得ないというようなことは、もう少し日本の水産業の実態、漁村経済の窮状を、当局が同情ある気持で御検討願えれば、さような非常な魚価の低落に悩んでおる日本の漁業者を圧迫し、さらに拍車をかけるような協定は、おとりになるべきでないと考えられるのであります。また先ほどの御説明で、かりに協定の中に輸入品目として載つても、それが採算上、国内輸入してはける見込みがなければ、あえて、輸入しなくてもよいのだというようなお話でありましたが、朝鮮品物が、内地のこれらの製品に比しまして相当価格も安い、品質も落ちておりますけれども、そういうようなものが大量に入つて参りますれば、悪貨が良貨を駆逐するの原則によりまして、相当内地のそれらの製品を圧迫することは、火を見るよりも明らかであります。そのような観点から、輸入物資の中にあげておりまする以上は、どうしても安い朝鮮品物が入つて来て、そうして国内のこれらのいりこ等の価格を一層低下せしむる。こういうような結果になることは当然であります。つきましては、水産当局において、かりに貿易の協定の中にこの品目が載つておりましても、これをいかにして内地水産物価格圧迫しないように、内地水産物生産、消費のバランスを十分保持できるような施策を講じておられるかどうか。先ほどのお話では、きわめて不徹底な御説明でありましたが、ほしのり及びいりこ等についても、いかなる具体的な対策お講じておられるか、この点を水産当局から御説明願いたいと思います。
  31. 水野榮

    水野説明員 先ほど説明でほしのりいりこ輸入に対する措置に関しての答弁を落しておりましたので、またただいま鈴木委員からの質問にも同時に答えてみたいと思つております。ほしのりいりこ等は、やはりふのりと同じように、われわれとしてはほしくない品物でありますが、先ほどの経済安定本部からの説明のように、やむを得ず入れておるというのが実情でありまして、ほしのりに対しましても、いりこに対しましても、それぞれその輸入が話題に上りますたびに、われわれのところへ陳情があるのであります。そしてわれわれといたしましては、在京の貿易業者に対しては、生産者の意向はこうであるから、輸入をする時期についても、また数量についても、できるだけ影響のないようにということを伝えておるのであります。そしてほしのりいりこも、日本の業者としては、向うの品物が悪いので損をした業者もありまして、輸入につきましては非常に警戒をしておるのであります。そしてことしのほしのり輸入の場合には、その時期が、内地のり生産者から問屋筋に入つた後において、ほしのり輸入になつたのであります。そしていりこはちようど日本の内地の端境期のときに入りましてこれはかえつて、主として関西以西の方の市場に出まわりまして、そう大した影響がなかつたように考えております。強硬な態度でもつてこの輸入の制限をするとかいうことは、なかなかむずかしいのでありまして、たかだかこれは輸入の関税をかけるというような点でありますけれども、輸入の関税を高くすれば、朝鮮から入つて来るほかのものについても、同様なことをされるのではないかというふうな懸念もあるわけでありまして、はなはだ手ぬるいやり方でございますが、以上説明を申し上げましたような措置をとつて来たのであります。
  32. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 このほしのり輸入内地のり生産者を非常に圧迫しておるということは、これははつきりした事実であります。本年度ののり生産は、相当内地でもあつたのでありますが、価格が非常な低落をいたしましたために、のり業者は全国的に非常な窮境に立たされておるのでまります。先ほどの御説明でありますと、端境期に輸入したために、その影響はきわめて少かつたように思うとの御答弁でありましたが、実情を見て参りますと、決してさようではございません。商人は朝鮮方面から相当大量のほしのり輸入されることを計算に入れまして、内地産のほしのりの購入につきまして、相当価格をたたいておるような状態であります。これらの商人の価格操作によりまして、相当の中間商人が暴利をむれぼつており、生産者は非常に窮境に立つておるわけであります。もとよりわが国の現在の占領下の特殊事情からいたしまして、関税等によつてその弊害を防遏するという対策は講ずることができませんけれども、輸入に当りまして政府が一定の條件を付しまして、内地のこれらの生産品を圧迫しないように、適当な時期までこれを保管せしむる等の強力なる指導、あるいは輸入についての強い條件等を付しまして、今後内地産のこれらの業者圧迫しないような万全の措置を講じていただくことを、ここに強く御要望申し上げる次第であります。  次に水産物輸出の面につきまして、先般アメリカその他に設置されましたところの在外事務所を、いかように水産庁は活用されておられるがどうか。また水産輸出業者をしてそれらの機関を十分に利用せしむることについて、いかなる御指導をなさつておるかどうか。在外事務所の利用状況について御説明を願いたいと思います。
  33. 水野榮

    水野説明員 在外事務所の利用でございますが、これは水産貿易といわず、すべての貿易の伸張策として非常に重要なことでありますので、現在われわれといたしましては、各水産物の主要な輸出業者手元に、一体どういうふうな要望を持つておるのか、どういうふうな情報がとつてもらいたいのかという照会を出しておるのでありまして、この照会がまとまり次第、外務省を通じましてその要望を伝えて、そうして情報の收集等に万全を期したいというふうに考えております。
  34. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 かつて戦前におきまして、農林省は特に生糸の輸出を増進せしむるために、ニユーヨークその他に生糸のあつせん所等を設けてやつた事例があるのでありますが、この在外事務所の中に、水産の輸出貿易を振興せしむるために、水産庁から水産物輸出に関する專門家を在外事務所に駐在せしむるというようなこと等について、外務省当局と御折衝なさつたことがあるかどうか。今後そういう必要を認めないかどうか。この点について長官より御答弁を願いたいと思います。
  35. 家坂孝平

    家坂政府委員 ただいま鈴木委員から御質問の点は、私もその点まつたく同感でありまして、私自体といたしましても外務省と話を進めたい、かように考えております。
  36. 松田鐵藏

    松田委員 私はこの水産貿易に対する考え方をまつたく異にしているものであります。まず第一に、日本の魚の価格というものから、お互いがよく考えて行かなければならないものでなかろうかと考えるのであります。魚価は戦争の以前から比べますと、約二倍半から三倍に高騰しているのが現在の日本の価格であります。外国においては二割か三割より高騰していないのであります。そこで日本の魚の価格というものが、世界の物価の水準と比較したときにおいて相当高いところにある。まずこれを是正しなければ、日本の貿易というものが振興しないのであります。この点に対して、要するに自由党世界の物価の水準と同一にせんがための自由経済をもつて、この政策を現在現わしているのであつてこれによつて今日の魚価の安値になつているというので、漁業が成立たぬということになつているのであります。だが魚価はそのような形態になつているが、漁業に使うべきあらゆる資材の点に対しては、これは管理貿易を今までやられておつた関係上、また必要資材が非常にきゆうくつな状態になつているがために、この資材相当高いものになつているのであつて、これを政府の政策として昔の程度、要するに世界の物価の水準に達する、それにバランスをとつてこれを引下げて行く方針をとらなければならないのでなかろうかと考えるのであります。ここに大きな政策が必要であり、努力が必要である、かように私は考えているものであります。また先ほどからいろいろ論議されおりまする、戦前の日本の貿易資料があるはずである。たとえばカン詰であろうが、またミルであろうが、今まで貿易されておつたあらゆる品物資料が完全にあつた。この資料に基いてよく調査することによつて輸出貿易をせんとする場合に、あらゆる国々に対するその向け先というものがはつきりするものである。これを確立しなければならない。しかもその資料を確立したときにおいて、輸出される品物の確保というものが必要であり、その確保が必要であるものに対して、今日の漁業の行き詰まり、つまり金詰まりの関係上これを確保することができ得ないような現状であり、結局において金融の道がここに講ぜられなければならないという結論に達するものであり、しかもその金融の裏づけがあつた場合において、外国との貿易の衝に当つているものが、あらゆる点、たとえばフイリピンであろうとか、またタイ国であろうとか、あらゆる点からの輸出入の——これは安本において一番重要なことと思いますが、この資料がないために、今日調査ができていないために、何を輸入したらよいか、何を輸出したらよいか、輸入に対する輸出を何にしたらよいかということに重点を置いていないのが、今日の水産物輸出貿易の一番振わない原因になるものであります。この点に対して、第一に必要なのが戦前の資料ということになる。この資料をたく研究されて行つたならば、たとえばシャムから輸入する米に対して、やれ発電機であろうとモーターであろうと、あらゆる機械のところに、日本の水産物をこのわくの中に入れてやるようにしなければならないのであります。また先ほど川村委員から言われているするめにおいても、戦前の資料さえはつきりとするならば、そこに水産物の相手国に対する相当のわくというものを、ここにつくり上げることができ得るのでありまして、この点が水産物輸出貿易の一番振わない原因になつているのであります。また先ほど申した通り、それに対する金融の裏づけというものが必要だ。私はかように考えているものでありまして、自分の研究の程度を申し上げておき、水産庁においても、安本においても、この資料というものに対して重点を置いて行かなかつたならば、とうてい輸出水産物といううのが将来発展する機運に立たぬ。それに対する金融の裏づけというものの御研究を願いたい。かように存ずるものであります。
  37. 林好次

    ○林(好)委員 ちよつと松田さんの質問に対しまして、関連して私伺つてみたいと思いますが、ただいま松田委員自由党の政策として、すなわち魚価を引下げなければならない、魚価を世界の標準まで引下げなければ輸出の振興はないのであるということのお話であります。それに伴いまして資材の値下げをしなければならぬ、かようなお話でありますが、私ももちろん現在の魚価をこれ以上引下げるということは賛成はできません。現在の漁村の状態は、資材価格とか、あるいは労賃であるとか、あるいは汽車賃も上つておりまして、バランスがとれていないのでありまして、現在の魚価では漁村がほとんど破滅の状態に追い込まれておるのであります。しかしながら、自由党は昨年度までありました資材価格補給金を撤廃しておられるのでありまして、私は、今松田委員の言われることに対しましては、何としても納得が参りません。少くとも自由党が魚価の低物価政策をとられるならば、従来の資材に対する価格補給金というものは、撤廃すべきでないと私は考えるのでありますが、自由党の方々はいかなるお考えを持つておられるのか、私はまつたく納得が参りませんので、これは政府委員に御質問申し上げておるわけではないので、松田委員からでもけつこうでありますが、自由党の方から、はつきり御説明願いたいと思います。
  38. 松田鐵藏

    松田委員 事政策に関したことでありまして、政調会の会長でないのでありまするが、私ども自由党の立場から申し上げたいと存ずるものであります。資材の点に対する補給金の打切りということは、わが党においては、国民の税によつてまかなわれておつた補給金、及び日本の産業助長の意味で援助されておる援助資金をもつて、この補給金に充当しておつたことは、民主党も御承知のはずであります。また民主党においてもこれを行つて来たし、社会党は最もこれを行つて来たものでありまして、このことによつてインフレ政策なるものができ上つて、今日の状況まで進んで来たのでありました。わが党はこの点に対してこれでは国民の税は年々増して行く、減税を断行しなかつたならば、いつの日にこのインフレーシヨンを克服することができるかという建前と、日本の国の健全なる財政を行わんとするために、あらゆる援助資金をもつて日本の産業の基盤に使うというのが自由党の政策であることは、政調会の発表においてもよく御承知のことと存ずるものであります。しかも重油あるいはマニラロープ等あらゆる資材に対する補給金の打切りということは、さような大きなわが党の政策によつてこれが断行されたのである。しかして今日の世界状況世界の経済から行きましての問題でありまして、この重油に対しても、アメリカの重油の価格と現在日本において販売されておる価格とに相当大きな幅のあることは、林議員も御納得が行つていただくであろうと存ずるものであります。この点に対する是正をせんがために、日夜安本及び通産省において努力されつつあり、近くこれは自由販売にまでならんとする機運がここに現われておるのであります。また日本の石油政策との比較もあることであり、この点に大きな留意が持たされておるのが今日の状況であります。かような点から、油に対する私個人の考え方をもつてわが党の政策として、これを輸入するわけには今日は行かないことになつているが、そうした日本水産と油との大きな関係、またアメリカの油の価格と日本の現在の価格との差に対する調整というものに、わが自由党においては今大わらわであります。その次はマニラの繊維製品でありますが、この点に対しても、世界のマニラの原料というものが戦前よりもどれほど不足であるかというと、残念ながら、日本の軍隊のためにほとんど荒廃に帰した結果、必要なるマニラの原料というものが、七年後、八年後でなかつたならば元に回復できないというのが、発表されておる原因であります。  世界の物価はないもの高が原則であるから、ここに創意くふうをもつてこれに対処するのがわれわれの役目である。この点に対する林議員の深い御関心もあることだろうと存じます。またわれわれは、ここにおいて油の消費に対して、油の価格を是正すると同時に、みずからがこの点に対する創意くふうを持たなければならない。われわれが水産庁に対して、機械のデイーゼル化を叫んでおる理由もここにあるのであります。金融の道さえ講ぜられたならば、油の半分より使わないデイーゼルに切りかえるのが、最も水産経済を円滑にする道であるのであります。かようにして、あらゆる点において世界の物価水準に達するように、われわれは創意くふうをして行かなければならないのであります。  またもう一つは綿の問題である。昔はインドの綿も入つております、アフリカの綿も入つておりますが、現在入つている綿はほとんど米綿であります。この米綿は戦前においてもインド綿またアフリカ綿よりも相当高価なものであつたのであります。かような点から行きましても、アメリカの戦前から高い綿を今日どのように安くするかということに対しても、相当の努力が必要であり、インド綿またアフリカ綿を輸入しなければならない時代も来るのであつて、ここにおいて、日本の水産物をインドなりアフリカなりに輸出するための資料をつくらなければならないというのが、われわれの考えるところであります。物を必要なところに売つてやり、そこから安いものを買うことが貿易であり、貿易すなわち自由経済でありますが、日本の物価の引下げは、お互いが創意とくふうと努力によつてなさなければならぬので、政府にのみたよつて他力本願の心がけを持つてつたならば、いつの日にかわれわれの経済の確立ができ得るかということに、私どもは深く関心を持つておるものであります。魚価がこれ以上安くなることはいけないとおつしやいますけれども、自然のなり行きとして魚価はもつと安くなるものであると私には考えられるのであります。この点に対して、われわれが魚価の安くなることをどうして防ぐかということには、高度利用の方法もあるでしよう。また鮮度の維持もある。またそれを加工することによつて、お互いの努力によつて相当経営上の調整をはかるということも考え得ると、私は考えるのでありまして、現在私自体の営業というものも成立つておりません。しかしこれは今日の日本経済の段階として、やむを得ないことでなかろうか。ここにわれわれの創意くふうと努力が結ばれるときにおいて、輝かしい日本の全体の経済が樹立するものと、私は考えるのでありまして、自由党党員として、政策の一端を申し上げてお答えにするものであります。
  39. 田口長治郎

    田口委員長代理 御相談申し上げます。まだ質疑がたくさん残つておるようでございますから、午後引続いて審査を継続することにいたしましたらいかがでございましようか。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  40. 田口長治郎

    田口委員長代理 なおこの際、ごく簡単でありますれば、永田委員の漁場復旧に関する説明を許します。
  41. 永田節

    ○永田委員 昨日大分県庁から本員に向つて電報が参りまして、グレイス台風による本県水産関係災害は、現在までに判明せるもの、漁船百五十二件、被害三百三十一万円、船だまり十七件、千八百二十二万円、船揚場七件、七百六十万円、その他計四千四十一万円、かような報告が参つておるのであります。かようなこのたびのグレイス台風によるところの災害は、ひとり大分県のみではなく、九州各県に相当被害のあることが予想されるのでありますが、いずれにいたしましても、毎年のことではありますし、緊急を要する問題であるだけに、すみやかに解決をはからなければならないと思うのでありまするが、水産庁において今年度の災害の対策の所見を承りたいと思うのであります。
  42. 山本豐

    山本説明員 グレイス台風のありましたことは、新聞で私も拜見して承知しておるものであります。ただいま大分県からのとりあえずの被害の報告が永田委員のお手元に参つておるようでありますが、そのほか鹿児島県及び二、三、主として九州であろうと思いますけれども、追つて参ると思うのであります。これらの扱いにつきましては、政府におきまして、大蔵省として本年度のいわゆる災害の予備費いうものも百億だか二百億だかあるようであります。また今後再々起り得る台風につきまして、その金が足らなければ、あるいは追加予算というような方法もあり得ると思うのでありまして、全体として台風の被害が判明いたしますれば、それらの被害の状況に応じて、適当に処置いたしたいと考えておるわけであります。
  43. 永田節

    ○永田委員 ただいま次長の御説明でよくわかりましたが、適当な御処置とおつしやることは、すなわら年度内における御処置という御所見と承知してよろしうございますか。
  44. 山本豐

    山本説明員 けつこうです。
  45. 小松勇次

    ○小松委員 この機会に関連した問題でありまするから、お尋ねいたしたいと思うのであります。輸出水産加工品といたしましては、寒天がその大宗をなすように私は承つてつたのでありまするが、その寒天の輸出がきわめて不振の状態にあるということを耳にいたしておるのでありますが、その輸出状況はどんな状態であるか、今日の国内生産がどういう状態であるか、ストツクがどのくらいあるかという点を、まずお伺いしたいと思うのであります。
  46. 水野榮

    水野説明員 寒天の輸出状況生産状況でございまするが、昨年の十月にフロア・プライスが撤廃されまするまでは、非常に輸出状況は悲観的であつたのでありまするが、フロア・プライスが撤廃されましてから、急激に輸出状況が好転をして参りました。しかしながら値段は、二十四年の十月二十五日のフロア・プライスは、一ドル七十セントというところでありましたが、これが七十八セントないしは七十七セントまでに、つまり半分値以上に落ちておりまして、非常に輸出状況はよくなつたのであります。そうして去年の暮から今年の五月ごろまでにかけまして、約百万ポンドの輸出を見ておるのであります。これは主としてアメリカでありますが、ただアメリカだけではなくして、イタリー、ドイツ、ベルギー、カナダ、オランダ等、戦前にも輸出をしておりました方面にも伸びておるのであります。しかしながら、以前の輸出の滞貨が災いをいたしまして、生産者は非常に金融に悩んでおるわけであります。この点につきましては、全国寒天加工協同組合を通じまして、昨年は釜洗い資金を出しましたし、また現在草の買入れ資金につきましては、そういう資金を目下、中金等を通じてあつせんを交渉中でございますが、大体生産高は昨年と同じで、おそらく二十五万か三十万貫くらいはことしもできると思います。なおただいまのところ百万ポンド近くの滞貨はあるのでありますが、これはただ輸出の滞貨というふうに了解をしないで、国内にも向く品物がありますから、そういうものを差引いて、ほんとうに輸出適格品というものを考えてみますれば、大体本年度の品物ができるまでには、おそらく滞貨もなくなるのじやないかというのが業界方面の観測であります。
  47. 小松勇次

    ○小松委員 大体の状況はわかりましたが、現在のストツク品に対して、業者の悩んでおる問題は金融だと思います。今お話にありましたごとく、いろいろ金融の道もごあつせんなさつておるようでありますが、これらに対しましては一層力を入れて、そうして生産をますます向上しむるように、特に御努力をお願いしたいのであります。
  48. 石原圓吉

    石原(圓)委員 貿易金融公庫というものの内容の説明を聞きますると、重工業その他機械工場等の関係の金融より扱わないということでありまするが、一般輸出水産物に対して何らかそれに参加して、同一に公庫を利用するような方面の御交渉を、安本及び水産庁はなさつたのであるか。ただ成行きにまかしておられるようであるか、今後輸出水産物に対してはどういう金融の対策をとろうとするのか。それらの点を詳しく御説明を求めるものであります。元来転々と生産し、それを輸出せなければならぬところの輸出水産物に対する金融を、金融公庫に参加ができないのに、そのままだまつておられるということは、はなはだ意を得ぬ次第であります。重工業、機械類でそういうことをするならば、ひいて輸出水産物はどうしろという、最も適切な案を立てて、理由をつけて強く当局にその実現を迫り、実現を期さなければならぬと考えるのであります。その点についてどういう方針を持つておられるか、お尋ねしたいのであります。ことに朝鮮の事件が起つて一箇月になるかならぬの今日、相当われわれは考えなければならぬ情勢にあるものだと思うのであります。先刻水産次長は、むしろ好影響のような情勢であると言われたことは、私はもつてのほかだと思うのであります。全然考えが違つておりはせぬのか、たとえば、ただいま問題になりました寒天及び真珠、この二つのものは戦争中は全然輸出が杜絶をしておつたのであります。そして戦後においてようやく道があいて来たのでありますが、最近において朝鮮事変が起つて以来、ここに相当影響を来しておるのであります。真珠のごときも相当暴落をしたのであります。また寒天も、輸出の見込みが一時ないのじやないかという情勢であります。真珠は御承知のように、従来の生糸にかわる大きな金額を予想されておる輸出対象物であつて、このものがもし朝鮮事変拡大のために、アメリカが実用品でないから輸入しないという問題が起つたならば、非常に重大なことになると思うのであります。そういう問題に対して、どのような考え方を持つておるのか、私はこの点を具体的に聞きたいのであります。また朝鮮関係でありますのりでもいりこでも、朝鮮の未開時代に日本が指導をして、のり生産をはかり、いりこの増産をはかつて、加工生産指導してやつたものであります。そういう意味からいつて、今これの輸入を拒絶するわけには行かぬのであつて輸入はするけれども、季節的に、内地生産時期と朝鮮からの輸入時期とがぶつかることによつて、両者が非常な打撃を受けて、みずから投売りをして欠損を招いておるのでありまして、こういうことを調節するのが安本なり水産庁の任務ではないか。たとえば朝鮮輸入のりに対しては、保税倉庫等を利用して、一時濫売をしないような方法をとつて内地のりの需給度の調節をはかるというようなことを、やらなければならぬ問題ではないのか、またこの朝鮮事変に際して、今年ものりいりこも前年通りに朝鮮の海岸では自由に漁業ができて、輸入がやれるかどうか。また事変が起つたならば、朝鮮も自然食料品の必要の額も増すのでありますから、朝鮮内地においてどういう消費になるか、その辺の状況並びに内地輸入される状況について、今より人を派して調査をせしめる必要があるのじやないか、また戦争中でも、シンガポール、香港等を中心にして中国貿易をやつてつたのであります。現実でもやつておるものであります。こういう場合に、戦争がどうなつても、中国へ向くものは向けるような便宜をつけなければならぬものであつて、それには、やはり香港やシンガポールで、商務官というか、適当な人が調査をして、そうして事変のいかんにかかわらず、日本の輸出物が相当に行けるような計画を立てるべきではないかと思うのであります。さような方法に、もう一段と進歩した方法を打開する努力が必要でないかと私は思うのであります。  たとえば真珠のごときでも、終戦後バイヤーにまかし切りであるが、終戦前にはニユーヨークやロンドンや各地に、日本の真珠の販売店があつたのであります。それがそういうことには全然関心を持たずして、今日に至るも、ただバイヤーのやるがままにまかしているという、この日本の輸出貿易関係の官庁の冷淡さには驚くのであります。そういう、やればいろいろの方法があるのにかかわらず、それらのものが進んでいないということは、安本及び水産庁の、この問題を解決して行くところの関係におかれて、たとえば輸出水産物の審議会と申しまするか、何かそういう新しき、着々と進んで行けるところの道をあけるということに、もう少し創意くふうがなければならぬと思うのでありますが、それらの点につきまして、どのような御方針並びにお考えを持つておられるか、一応承つておきたいのであります。
  49. 山本豐

    山本説明員 輸出の振興につきまして、いろいろとお話を承つたのであります。御説は一々ごもつともなことであると思うのであります。ただ現状非常に冷淡のように見えまするのは、終戦後いわゆる生産とか増産とか、そういう方面のみに意を用いておりまして、貿易の方が非常に遅れておるということは、いろいろな事情もあるわけでありまするが、一例を申しますると、水産庁自体の予算におきましても、その貿易振興というような内容について、特に確たるものを持つていないような事情なのであります。そこで今石原委員からお話になりましたような点を取上げまして、少くとも二十六年度からは、遅まきでもこれに対処して参りたいというふうに考えておるのであります。先ほどどなたかからの御質問にありました、外務省の在外事務所の設置問題も、ごく最近発足いたしたような実情でありまするし、まだ必要な各地方すべてに置かれたようなわけでもないのでありますが、これらの方面にも連繋をとりまして、海外市況の情報を集めるとかいうようなことも、ぜひやつて参りたいと考えておるわけであります。ただいま石原委員のお話のありましたような、中央協議会というようなものを設置しろということもごもつともであると思いまして、われわれといたしましては、来年度の予算にはそういう項目もぜひ設置して、広く活発に、海外の状況の連絡とかあるいは調査というようなことを、こういうところで検討いたしまして、最も能率的にそういう情報を集め得るようにいたしたいと考えておるのであります。  それからただいまのもう一つのお尋ねの、輸出金融公庫の問題であります。この話はわれわれも聞いておるのでありますが、ただ、まだはつきりした構想もないようでありますし、正式にはわれわれの方にも相談がないのであります。しかし新聞その他でいろいろな話は聞いておるのでありますが、この水産金融等について、こういう機関ができれば、必ず一枚入りたいという希望は持つておるのでありますが、しかしまた輸出金融が全部やるようになるかならぬかというような問題も、これはいろいろ大蔵省方面の御構想もあると思いますので、その点はただいま、はつきりしたお答えはできないのでありますが、こういう機会に、われわれといたしましても必ずこういう方面に一口乗せてもらいまして、この輸出金融が少しでも打開できるようにいたしたい気持は持つておるわけであります。
  50. 石原圓吉

    石原(圓)委員 時間の関係上この程度にとどめますが、輸出金融公庫につきましては、一部のものにとどめず、一般輸出物へもこれを均霑せしめるということは、絶対理由があると思うのであります。ゆえに、農林省、安本、通産省と、それぞれ関係の各省が十分これに対する協議をなさつて、これに割込むように、ぜひともその点を強く要望をいたします。  また輸出に対する対策につきましては、先刻申したように、大蔵省、通産省、安本、農林省等関係の各省より委員を出すところを急速に実現するように、これまた強く要望をいたして一応打切ることにいたします。
  51. 田口長治郎

    田口委員長代理 それでは水産貿易に関する問題につきましては、本日はこの程度にいたします。  暫時休憩をいたしまして、午後二時から水産金融に対する問題の審議をいたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  52. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 休憩前に引続き、会議を開きます。  会議に入るに先だつて、小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。去る十七日井之口政雄君、二十日に松本一郎君、二十二日に久野忠治者、五島秀次君、福田喜東君がそれぞれ委員を辞任されましたので、各小委員が欠員となつております。此の際その小委員補欠選任を行いたいと思いますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 御異議なしと認め、漁業制度に関する小委員久野忠治君を、漁業経営安定に関する小委員五島秀次君及び原健三郎君を、水産金融に関する小委員には久野忠治君、福田喜東君を、戦災漁場復旧に関する小委員には五島秀次君、福田喜東君、原健三郎君及び井之口政雄君を、水産貿易に関する小委員には五島秀次君、福田喜東君、原健三郎君及び井之口政雄君を、水産行政の充実に関する小委員には久野忠治君、福田喜東君及び井之口政雄君をそれぞれ指名いたします。     —————————————
  54. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 これより水産金融に関する件を議題といたします。まず政府より水産金融、特に協同組合の金融関係について説明を願います。松任谷説明員
  55. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 水産金融につきましては、水産庁といたしましても、現在の漁業経営の実態にかんがみまして、この問題に重点を置きまして打開の道を講じたいというふうに、いろいろと考えておるのでございまするが、御承知の通り、これは大体企業金融といつたようなものと、協同組合といつたような二つの大きな分類にわかれております。企業金融につきましては、見返り資金の問題、あるいは融資あつせんの問題といつたふうに、比較的信用がある企業金融というべースの上に立つてつておるのでございまして、そういつた線に沿つて極力ごあつせんを申し上げるという立場をとつておるのでございますが、沼岸の中小零細な漁業者を構成員としております組合員の金融ということになりますと、いずれも信用力が薄くて、その間何らか政府の施策を待つのでなければ、金融のベースにも乗りがたいという実態にあるので、水産庁といたしましては、とにかく組合金融というものは、漁業の中心をなすべき沿岸漁業の経営のせわでもございまするので、この点についてはいろいろと組合の育成の問題と関連して考えておるのでございます。具体的に申しますると、現在いろいろと問題がございまするが、組合金融は、御承知のように農林中央金庫を中心にしてはかられておるのでございまして、その間農林中央金庫の傘下のもとに、従来の漁業会が協同組合にかわつたというようなことで、いろいろ旧債の固定した部面がそのまま引継がれておる。そうしますると、組合育成の方針から申しまして、こういう固定した部分を何とか動かすような形において金融の道を講じてやらなければ、せつかく設立された協同組合が、半身不随のような形になつてしまつて、将来の強化とか整備とかいうことが、及びもつかなくなるような状態になるという問題が、一つ中心的にあるわけでございます。この第一番の問題をさらに具体的に数字的に申しますると、現在旧水産業団体の資産を承継するために、大体固定資産で十八億程度、流動資産の固定した部分で二十二億程度資金が必要になつているのであります。そこで現在の金融の関係から申しますると、極力自主態勢と申しまするか、出資金なり貯金の増強といつたような面で、カバーして参るだけ参らなければいかぬというようなことになるのでございまするが、初めに申し上げました通り、沿岸中小零細な漁業者の経営状態から申しまして、そういう自力によつてこれをまかなうことが、なかなか困難な状況でございますので、これをたとえば財政関係、あるいは預金部資金といつたようなものに期待いたしまして、長期かつ低利の借入れによりまして、これを打開して参りたいというふうに、現在のところ方針を立てまして進んでおるのでございます。この点は御承知の通り、農業協同組合にも同じような問題がございまして、その方面と方向を一にして、かつ方法を一つにして、水産庁といたしましては解決の道をはかりたい、かように存ずるのでございます。かたがた協同組合自体の問題といたしましても、自主的にそういう方向でやつて行きたいという機運が、今のところ動いておるのでございます。これがまず第一の協同組合関係に関する前提の問題でございまして、こ問題を解決することによりまして、新しい資金の法人が協同組合になされますならば、すなわち販売なり購買というような事業についての、新規の資金というものが注ぎ込まれますならば、非常に生きて動いて参るということになるのではなかろうかと考えるのでございます。  それから第二の問題といたしましては、現在農林中央金庫で、御承知の通りエイド・フアンドによりまする増資の問題がございまして、それによつて農林債券を発行する、現在発行しておりますが、その債券による資金を、水産関係にぜひともこの際まわしたいということで、農林中央金庫の方とも具体的に折衝しておるのでございますが、この問題につきましては、大体の方針といたしまして、農林中央金庫では、農林、水産業といつたふうに種類別にわくを設定することを考えずに、具体的なケースにつきまして支店の審査を経て、本店に持つて来たものにつきまして、めんどうを見て行きたいということを考えておるようでございまして、この面につきましては、水産庁といたしましては、各資金需要関係に呼びかけまして、そういつた方向で設備資金なり、運転資金の解決に当りたいというふうに考えておるのでございます。  それからなお協同組合関係の金融の問題といたしましては、漁業手形の問題があるのでございまして、これは現在のところ、全体から申しますると、御承知のように、基金目標というものによつてつなぎ融資が行われておるのでございまして、現在つなぎ融資が約十四億程度出ておるのでございます。それに対して基金の積立てが三億程度になつておる。非常に基金積立ての状況が悪いのではないかというふうなおしかりを受けておるのでございますが、これにつきましても極力金融機関に対しましては、実際にまじめに経営して、計画を立てましても、魚が寄らぬというような場合には、資金の造成も困難であるという実情もよく話しまして、この制度の存続をはかつたのでございまするが、基金の積立てがいかにしても約束通りになつていないということは、申訳ない次第でございますので、水産庁といたしまして、この基金が約束通り積立てられ得るように、いろいろと考えて、県等にも督励をして参つておるのでございます。ただこの手形の問題は、現在のところ企業関係と組合関係とで約半々ぐらいの実績になつておるのでございますが、できますれば将来手形基金といつたようなものを業種別なり、あるいはその他の分類によりまして、全国的なプールにまで持つて行きたいというふうなことを考えております。  さしあたり組合金融の問題として問題になりますのは、そういつた点と、さらにもう一つ見返り資金の利用の問題でございますが、これは組合金融としては、はなはだ関係の薄い部面に現在なつておるのでございまして、直接に見返り資金が組合に対して貸され、あるいは農林中央金庫を通じて貸されるというようなことは、魚田開発の問題以外には、現在のところ問題になつておらないのでございまして、あとの高度利用の問題でございますとか、あるいは南氷洋の母船等の問題は、比較的大中の企業を中心にしまして金融機関が直接審査し、融資をするというような建前をとつておるのでございます。  以上申しましたように、組合の健全な育成といつたような点にまず重点を置きまして、そのつなぎの資金を考えるということと並行して、組合が動けるような資金のめんどうを見て行く、それがとりもなおさず組合員である事業者の経営の改善の方向であるというふうに考えております。つけ足しになるかもしれませんが、例の漁業権証券の問題等につきましても、具体的ないろいろの金融方策を通じまして、その用途を考えて、その制度が確定されるという見通しのもとに、漁業権証券による資金化の問題を打開して参つたならばどうかというふうに、実は考えておるのでございます。  以上が大体水産金融、ことに協同組合金融の現状のあらましであります。
  56. 川端佳夫

    ○川端委員長代理  ただいまの説明に対して、御質疑のある方はこれを許します。
  57. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 漁政部長の、主として協同組合金融に関するただいまの御説明で、全貌が概略わかつて参つたのでありますが、御説明の中で、旧水産業団体の旧債の総額は固定資産関係で十八億、流動資産で固定せるものが、二十二億という御説明でございましたが、これらの古い水産業団体の債務の資金的な内訳と申しますか、このうち長期資金で融資を受けたものが、どれだけ現在焦げついているか。また短期資金でどれだけ焦げついておるのか。この十八億の固定資産関係の中に、運転資金でまかなつておるものもあるのであるかどうか、その内訳をちよつとお尋ねしたいと思います。  それから金融機関別に借先がどういうぐあいになつておるか。農中関係と市中銀行、その他の金融機関別の内容を承りたいと思います。
  58. 曽根徹

    ○曽根説明員 ただいま御質問の、旧水産業団体の旧債の分でございますが、現在までに調査し得ましたところによりますと、固定資産に見合う負債になつておりますものが十八億、流動資産の固定した部分と見合つたものとして報告されておりますものが二十二億、その大部分は短期の借入金の固定したものであります。固定資産に見合う分につきましては、幾分繰越しの損失等も含まれておると思いますが、詳細につきましては、県によりましては詳細な報告を得ておるところもございますが、全体的に、措入金の性質ごとの集計、分析はできておりません。なほ借入先も、ほとんど八〇%以上は農中の資金というふうに考えられますが、これも連合会についての部分は大体推定がつきますが、単位の協同組合の分につきましては推定がつきません。ただ固定資産の十八億と申しますものの内訳は、県水のものが八億、単位の漁業会の分が大体十れで、十八億というふうに推定がつきます。それから流動資産の部分としましては、固定した、部分が二十二億でありますが、県水の分が三億六千八百万、漁業会の分が十八億七千四百万という集計を得ておりますが、単協のさらにこまかい内訳については、まだ集計に至つておりません。
  59. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御説明によりますと、まだ調査が途中の段階にありまして、整備していないようでありますが、今後これらの旧債関係を処理いたしますためには、どうしても金融機関別の融資の内訳、それからその融資がいかなる資金であるか、長期の資金であるか、中期の資金であるか、また短期の資金であるか、従つてそれらの旧債の利息、及び償還期限がすでに経過している延滞利息の関係、そういうふうなものが具体的に把握できませんと、具体的な対策が立ち得ないと思いますから、この点もできるだけ早く御調査をお願いしたいと思うわけです。現在新しい協同組合は、旧水産業団体の、ただいま御説明いたしました古い債務の重圧のために、その金利負担はもとよりのこと、新しい団体の事業計画運営するための新規の融資さえ、この旧債関係のためにほとんど阻まれておる。これが現在新団体が漁村の民主化と漁業経済の再建のために発足しながら、期待通りの活発な活動ができ得ない根本の原因であると思うのであります。これに対しまして、先ほど漁政部長の御説明にもありましたように、これらの旧債を長期かつ低利の資金に置きかえたい、その方向に向つて努力を払いつつある、こういう当局の御方針でありますが、この長期かつ低利の資金に置きかえるために、具体的にいかなる対策をお立てになつておるか。この点をお尋ねしたいと思います。
  60. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話の点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、農業団体におきましても同様の問題があり、同様の方向へ動いておるのでございますが、水産庁といたしましては、とにかくさきにそういつた問題を取上げて処理しております農業関係に遅れませんように、大蔵省でありますとか、安本でありますとかいつたふうな、関係機関にもよく説明もし、でき得ることならば内部的に閣議等にも問題を持出すようなことにいたしまして、この資金の獲得ができますように考えて参りたい、かように思つておるわけでございます。なお協同組合側の動きといたしましても、現在御承知の通り、漁村経済協会を中心にいたしまして、組合長会議等を開催せられておるようでございます。そういつた実情を伺いますると、中央にこれを処理するための民営の協議会というものを設置しまして、具体的にこの問題の推進に努力されるようでございます。その場合に、中央にもまた地方にも、そういつた協議会を置かれまして、組合側で今後の持つて行き方に努力したいから、役所の方も協力してほしいというような申入れもございますので、私の方といたしましては、そういつた組合側の動きに対応しまして、極力努力をして参りたい、かように思つておるのでございます。
  61. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 今後のこの問題を解決するための御腹案につきましては、大体お考えのところはわかつて参つたのでありますが、まずそのためには、具体的な資料の整備が必要かと思うのであります。いずれはこのような問題は、大きな政治問題として、政治に、これを国会政府とが協力して解決しなければならぬ段階に立ち至ると思うのでありますが、まずその前提をなしますところの資料でお尋ねしたいと思うのであります。この旧水産業団体の旧債、固定資産関係と流動資産で固定せるものの関係、合計いたしまして四十億のうち、先ほどの協同組員課長の御説明によりますと、大体八〇%程度は農林中金から出ておるのではないかという御説明でありますが、大ざつぱに考えて、農中はやはり主たる融資銀行であると私も推定がつくわけであります。しからば、すでに農中からこれだけの、四十億の中の七、八十パーセントのものが出ておるといたしまして、このうち新しい協同組合団体が、その債務償還のための合理的な長期の計画、しかも農林中金が納得するようなところの今後の資金計画と事業計画を確立して参つた場合に、この旧債を、一時償還期間を資金計画に基いて延ばしてもらつて、そうして今急速にこれを取立てない、旧債の関係は、一定の償還計画を立てるのであれば、それを承認をして、そしてそれにかかわらず新団体に対して、新しい事業資金を供給しよう、こういうようなことも中金との間に話合いがつくと思うのであります。要はこの旧債を一ぺんに払うということは、なかなか困難でありましようが、これを長期にわたつて合理的な償還計画、事業計画に基いて、確実に返し得る、農林中金も、十分審査の結果納得し得るという計画が立ち得ますならば、そのような取扱いもできると思うのでありますが、一体そういうような面について、協同組合団体に対して水産庁当局は今日までいかなる御指導をなさつて来ておるか。またそういうような旧債の処理問題について、農林中金等と御折衝なさつてみたことがあるかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  62. 曽根徹

    ○曽根説明員 ただいま御説明申し上げましたのは、旧水産業団体の固定した負債の部分でございますが、これは水産協同組合の方から考えました場合に、水産業協同組合は先ほど申しました十八億の固定資産があります。この固定資産はぜひとも新しい協同組合がこれから仕事をやつて行く上に引継がなければならない、いわば相続すべき財産でございます。これを引継ぎますのに十八億の資金が必要と考えるのであります。しかしながら、それは元来形式的に申しますれば、出資金等の自己資金で買い取るべきもの、こう考えるのでありますが、この経済事情の困難なときに、一度に自己資金でこれを讓り受けるということは、とうてい困難なことであります。これはこの十八億の固定資産と見合うところの負債によつて引継がれ、あるいは引継ごうとしている現状でございます。しかしながらこの負債が、先ほど申し上げましたように、大体が固定資産で、償還期限が短かく、かつまた利子等も高いわけでありまして、引受けましても、その利払いに非常に困難をいたします。また償還等に追われまして、そのために、せつかくの新たな事業資金の借入れができたといたしましても、十分に事業資金の運用はできないというような事情にあるわけであります。これにはどうしても、この十八億の固定資産を引継ぐべき、いわば出資金の立てかえとなるような資金を、ぜひとも預金部資金の融通を受けて、一時立てかえてもらう必要があるというような点から、ただいま部長から説明せられましたように事業当局といたしましては、大蔵省の銀行局の方へ、あるいは経済安定本部の産業金融局の方へ連絡をいたしまして、折衝を続けておるのであります。一方ただいま御指摘のございましたように、この借り入れた負債につきましても、その大部分が、たとえて申しますれば十億——連合会の部分、県水の部分として考えられる固定資産の七億、それから流動資産の固定した部分に見合う負債としての部分三億、概算いたしましても十億ございますが、現在中金からの借入れ残高がやはり七億前後になつております。こういう関係で、ほとんど大部分が中金から資金を仰いでおるわけであります。従いまして、中金と折衝いたしまして、かりに預金部の資金の手当がつくとしても、それ以前に差迫つた問題がある。固定資産に見合つておる短期の負債というものは不合理でもあるので、農林債券の部分で、できることならば一時これを借りかえをして、しかる上にさらに先ほど御説明申しました、出資金の立てかえ金というような考え方によるところの引継ぎ資金によつて立てかえ、そしてはつきりした増資計画のもとにこれを償還して行くというような必要がある、またそういうふうに委員会等を通じて意見を述べて行きたいと考えておりますので、中金にそのような考え方から折衝をいたし、中金といたしましても、これは結局は貸付條件の問題であるけれども、なるべくそういうことのできる部分につきましては、そういうふうにとりはからつて、組合の固定資産の財務についての健全化をはかつて行くことは、これは妥当なことだと思うので、そういうふうにとりはからいたいというような意見を得ておるわけであります。しかしながら、これは個々の問題になりますので、一律に規定するわけにも参りませんが、個々については、そういう設備については、農林債券等で中間的にこれを書きかえをして、そして資産内容の健全化をはかつて行くというふうな考え方に中金はなつております。私どもそういうような見地から、一方においては貯金等の運動を推進するとともに、一方においてはそういうような心組みを伝えまして、新しい協同組合の資産内容の充実をはかつて行きたい、かように考えておる次第であります。
  63. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産当局のお考え方はよくわかつておるわけであります。ただこれは念のためにお伺いしておるわけなのでありますが、預金部資金一本に淡い期待をつながずに、もしも預金部資金等が出ない場合に、幸いに農林中金がおもな融資機関でありまするから、農林中金との間に話をつけまして、すでに償還期間が来ております分につきましても、これを一定の償還計画協同組合課長からお話がありましたところの、今後の増資計画、そういうようなものとにらみ合せまして、一時農林中金への償還を、ある一定の期間、一定の計画に基いて引延ばしていただいて、そして農中の手によつて一定の増資計画を進行せしめて、それを解決し得るまで、一定の計画のもとに、この旧債処理の打開の道がないかどうか、その点をお尋ねいたしておるわけであります。農中として、いろいろ水産業団体に貸出しをしております資金の性質から、さようなことはできない、増資によつてこの旧債を整理するような悠長なことでは困るというような、内部事情もあるかと思うのでありますが、その辺のことについて、農中との間に御折衝をなさつたことがあるかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思います。  またもう一点、新しいお尋ねをするのでありますが、農林中金が現在国債の手持が幾らあるか、つまり今後は、政府は債務償還によつて逐次買い上げて行くわけでありますが、農林中金が現在保有しているところの国債の手持量いかん、この点もお尋ねをいたしたいと思います。
  64. 曽根徹

    ○曽根説明員 第一の御質問につきまして、先ほど御答弁申しましたときに、非常に的確でなかつたようでありますので、あらためて申し上げます。先ほど御説明申しました農中の農林債券によるところの一時肩がわりと申しますのは、御承知の通りただいまほとんど借り入れておりますのが三箇月あるいは六箇月等の短期資金でございます。これをこのたび、御承知の優先株式によりまして、農中が新たに発行し得る農林債券に肩がわることにいたしますと、ただいま発行いたしておりますのは、六箇月のきわめて短期の農林債券でございますが、この次から発行されるものは三年もしくは五年等の長期の農林債券が発行されますので、この債券によつて得た農中の資金によつて証書に書きかえて、返済期間を引延すということで折衝したということについて御説明申したわけであります。しかしながら設備資金を三年ぐらいのことではなかなか苦しいことでございますし、三年等ではなかなか出資の充実もはかれない、どうしてもこれは、さらに償還の見通しのつくものについてはもちろんよろしいのでありますが、建物であるとかあるいは土地等の收益率、ことに協同組合等においては、收益率は低めに考えなければならないのであつて、そういうものにつきましては、さらに長期の資金にこれを書きかえる必要のある部分があると思います。これにつきましては、どうしても預金部資金のただいま預金部資金についてはなかなかむずかしい問題があるように伺つておりまするが、どうしてもこの一般の貯金等からでき上つております預金部資金の導入をはかつて、これにさらに切りかえて行く必要があるというふうに考えておるのでありまして、その中間的処置としまして、ただいま御説明申しました農林債券によつて、農中が得ますところの新しい長期の貸付資金にこれを借りかえるということについて、大体の了解を得たということを申し上げたのであります。  なお第二の点でございますが、中金の五月末の残高によりますと、有価証券の手持量が百三十九億千二百万円であります。これは全部国債とは考えられませんけれども、有価証券の五月末の残高はただいま申し上げたような数字であります。
  65. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この有価証券百三十九億千二百万円のうち、国債がどれだけあるか、これは後日お調べになつた上で御報告を願いたいと思います。  それから具体的な調査の内容がまだはつきりいたしませんので、抽象的になるわけでありますが、一体現在の水産業団体の古い負債の四十億のうちには、農林漁業復興資金の中から、農中を経て出ているものもあるでありましよう。また三年なり五年なりの長、中期の負債もあるでありましよう。それらの四十億の負債の中のいかなる性質の資金によつてその負債が構成されておるかということを、具体的にお示しを願いまして、そうして現在の情勢下において、預金部からかりに資金が出ません場合でも、それぞれによつて手を打つということも一応考えておく必要があると思いますので、具体的な調査した結果をお知らせ願いたいと思うのであります。  それから次に、ただいま農林中金が国費をいかほど保有しておるかというお尋ねをいたしましたのは、もしも預金部資金からこの肩がわり資金が出ない場合に、現在現内閣は、債務償還として国債の買上げを計画的にいたしておるのでありますが、もしも百四十億近いこの有価証券のうち、相当部分国債があるといたしますならば、政府がこの国債を買上げる場合に、一定の率以上に農林中金の国債を政府が買上げをいたしまして、そうして一定率以上の余分に買い上げた部分について、ひもつきをもつてこれを水産業団体の旧債の処理の資金に充てるという、ひもつきの形におきまして、国債を買い上げて、そうしてその資金源を確保するという道も、一つ考えられますので、この点をお尋ねいたした次第であります。  それから次に、農林中金の今回の整備計画に基きまして、長中期貸金の融資能率が増大いたしておるのでありますが、今年度の資金計画を一応新聞等によつて拜見いたしますと、債券発行額の見込みが六十億九千万、そういたしまして優先株の引受けが二十億、計八十五億九千万円でありますが、うち五十五億九千万を今年度中に融資をする、こういうことになつておるようでありまするが、このうち日銀借入金の返済に三十億充てる、農業関係に四十一億九千二百万、林業関係に五億一千二百万、漁業関係に対しましては漁船建造であるとか、共同施設関係をも含めましてわずかに八億八千六百万、こういうような数字が発表されておるのであります。先ほど曽根課長のお話によりまして、旧水産業団体の旧債をこの長中期の金に振りかえたいという話のようでありますが、今年度わずかに八億八千六百万程度のものでありますと、とうてい旧債の借りかえということにも満たないわけでありますし、今度新しい協同組合が共同施設なり、あるいは漁業水産組合を中心とするところの沿岸漁業の組織化、生産資金の確保の面からいたしましても、十分期待をいたすことができないというような状態にあると思うのでありますが、この五十五億九千万円のうち、大体当局としては、農業との関係において、もつと漁業方面に金融をつけられるように、農林中金との間にいろいろ御折衝になつておると思うのでありますが、その経過等について御報告を願いたいと思います。
  66. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話の点につきましては、水産庁といたしましても、新聞発表にあつたような数字が確かかどうかということにつきまして、その当時さつそく問合せをいたしたのでございまするが、あの数字は別にきめた数字でもないということであつたのでございます。最近私の方といたしまして、いろいろと債券発行による融資につきまして、水産関係として具体的に問題が多いから取上げてほしいというようなことで、折衝をいたしたこともあるのでございますが、その際、先ほど申し上げましたように、この増資による現在の短期なり、将来における長期融資の問題については、農林省内部でもわくをきめることも考えておらないようでございまするし、農林中金といたしましても、農業、林業、水産といつたようなぐあいにわくをきめるというようなことをいたしませずに、具体的な需要によつて、そのケースで考慮して参りたいというふうに言つておるのでありまして、これは端的に申しますと、早い者勝ちになるようなおそれもあるのでありますが、そういう弊害ができない間は、とにかくそういう需要に基いて農林中央金庫においては考慮して参りたいというふうに言つておるのであります。
  67. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま融資のわくの面についてお尋ねいたしましたのは、この農林、漁業、その他の基準をわけずに、五十五億九千万円の融資は、具体的なケースについて審査をして貸出しをする。こういう御方針であつたようでありますが、ただいままで当局からも御説明がありましたように、新しい漁業協同組合の系統団体は、非常に旧債の重圧の下に苦しんでおる。また組合員である漁民諸君の現在の漁業経営の実態を見ますと、魚価の値下りを資材高騰、その他によりまして、経営は非常に危殆に瀕しております。言葉をかえますと、金融べースに乗らないというのが現在の漁村の実情であるのであります。そこでこれを個々のケースによつて審査をして、それによつて貸出しをするということになりますと、金融ベースに乗らないような漁業協同組合関係の沿岸漁業に対する融資というようなものは、ほとんど融資の対象にならないというようなことが憂慮されるのでありますが、当局はこれに対していかなる御見解を持つておるか。わくを設けて、そうして政府が積極的に一定の計画のもとに、現下の漁村を救済するためには、全体の沿岸漁業に対する政策との関連において、金融はかくあるべしという強力な指導なくして、ただ金融べースの面からこれを金融当局にまかしておくというようなことで、はたして漁業協同組合金融、沿岸漁業の金融が確保されるとお考えになつておるかどうか、その点をお尋ねしたいと思うのであります。
  68. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話の点につきましては、役所の側といたしましては、まつたく同意見でございまして、水産関係ことに沿岸の中小、零細な漁業経営の現状にかんがみまして、これを金融べースに乗せますために、何らかの国家的施策なり、特別な制度的なものを考えて行かなければ、打開し得ないというふうな感じを持つておるのでございます。従いまして、水産業のそういつたべースを引上げる制度的な問題といたしましては、御承知の手形制度におきます基金制度というようなものの再検討を加えまして、それを極力中心にして、漁業者の連帯保証というような建前で、金融の信用力をつけて参るということを考えておるのでございます。さらに漁業災害その他の点につきまして、前国会以来いろいろと政府に御忠告がございました共済制度といつた問題に対しましても、目下検討を進めておるような状態でございます。  なお農林中金を中心といたします先ほどのわくの問題でございますが、農業にいたしましても、林業にいたしましても、同じような原始産業といたしまして、同様な問題に悩んでおるようでありまして、農林中金内部におきまして、その甲乙を特別に取扱わない限り、水産の関係につきましては、平等に取扱つていただけるというふうなもとに、交渉を進めておるような次第であります。
  69. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 どうも水産当局のお話を聞いておりますと、きわめて楽観的と申しますか、現在の窮迫しておる漁村の事態を、真剣に身をもつてお考えになり、御心配になつておるかどうか。また問題の本質がどこにあるかということ等について、掘下げた、突き詰められたお考えを持つていないようであります。今お話のようなことでは、とうてい沿岸漁業の金融問題は解決し得ない。これは当局が漁村の現下の実情を直視されまして、真に沿岸漁業者の生活安定のためには、沿岸漁業がまさに危殆に瀕しておるこの危急な状態を打開するためには、よほど当局がしつかりして金融機関を鞭韃、指導していただかなければならぬと思うのであります。  そこでお尋ねしたいのでありますが、今申し上げるように、沿岸漁業者は、旧水産業団体の古い負債を背負つておる。また現在の漁業経営の実態は非常に苦しい、金融のべースに乗らないような実情に相なつております。そうなりますと、このままに置いてはとうてい金融の対象になり得ないのでありますから、どうしても別の面から、これに対して信用の保証を与えなければならないということが考えられなければならぬと思うのであります。そこで岩手県あるいは宮城県等々におきましても、すでにこの火急を要する、危殆に瀕しておりますところの協同組合の運営を解決するために、県が保証等をいたしまして、そうしてまず流動資産で固定せる部分等について、県保証のもとに融資を受けるような対策すら講じております。先般岩手県におきましても、五千万円の資金の借入れにつきまして、県がこれを保証いたしまして、そうしてこの解決の一端に資そうということをやつておるのであります。このように府県に依頼をして、この問題に対して、四つに組んで解決に努力しておるのに、わが国の沿岸漁業の全体の指導に当られるところの水産当局の今日までのお考えは、きわめて悠々緩々たるもので、炉辺に閑談するような悠長さしかわれわれに感じられない。もつともつと真劍にこの問題を取上げていただきたいと思うのであります。そこで具体的にお尋ねいたしますが、新しい漁業法の施行に伴いまして、二箇年後におきましては漁業権証券が交付されることになります。沿岸漁業団体に対しましは、概算百三十億程度漁業権証券が交付されると思うのでありますが、この漁業権証券に対する期待権と申しまのか、当然これは漁業法政府が約束しておるところでありますから、この百三十億程度漁業団体に出ますところの漁業権証券の期待権、これを信用の基礎として何らかこの切迫したところの沿岸漁業組合団体に対する金融措置をお考えになつておるかどうか。この点についてお尋ねいたしたいと思います。
  70. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話のように、沿岸漁業関係の信用力を向上させるといつたようた問題につきましては、お叱りのような点も多々あると思うのでございますが、現在問題になつておりまする漁業権証券等の資金の処置につきましては、これは具体的に補償額が決定する時期等をにらみ合せまして、その資金の問題を考えたいというふうに存じておるのでございまして、それまでの間のいろいろの沿岸漁業金融の基礎的な問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、漁業手形等の基金制度の整備の問題、あるいは共済制度に関する基金整備の問題等を中心といたしまして、具体的な対策を立てて参りたい、かように存ずるのでございます。
  71. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 それではお尋ねいたしますが、大体この漁業権証券の交付額についての査定につきましては、補償委員会の設立を待つて具体的に作業が進められると思うのでありますが、いつごろまでに大体の各府県に対する、それの見通しがつくお見込みであるかどうか。漁業法審議の際に、大体沿岸漁業団体に対しては、百六十億のうち、百三十億程度が交付されるであろうという御説明を承つておるのでありますが、補償委員会が生れ、その活動によつて、大体いつごろまでに、各府県に対する沿岸漁業団体の漁業権証券の交付額の見通しがつくかどうか。その点をお尋ねいたします。
  72. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 本年末を大体目標にいたしまして、現在漁業権のセンサス等の資料を検討しておるのでありまして、その検討と相まちまして補償委員会が設立され、それに具体的に漁業権ごとに補償金額が決定して参るというふうなことを考えているのであります。大体本年終りぐらいまでには、ぜひその見通しをつけたい、かように存じておるのでございます。
  73. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この漁業券の期待権を信用のべースにするという問題は、非常に重要な問題であると考えまするので、できるだけ早く、各都道府県に対するところの漁業権証券交付の概算でも把握できるように、極力お進めを願いたいことを御要望申し上げておくわけであります。  次に先ほども申し上げましたように、各府県が県の保証に基いて——沿岸漁業団体の融資について県が信用保証を与えるという措置を、今後窮迫しておるところの金融事情からいつて、各県ともそれぞれ手を打たれると思うのでありますが、その場合に、融資あつせんについて水産当局は熱意を持つてその融資のごあつせんをなさるお気持があるかどうか、地方銀行等については、資金の給源その他の面でいろいろ問題があると思いますが、これは大きく農林中金なり、その他の面において水産庁がおせわなさる御意向があるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  74. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 具体的な問題につきましては、県と打合せを行いまして、極力ごめんどうを見たい、かように存じておるのでございます。
  75. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま鈴木委員から、農中の金融のわくを設定しないことは、今のような金融の対象にならない状態にある沿岸漁業者としては、非常に困る問題ではないか、こういう御意見がございましたが、私もまつたくその問題につきましては同感でございます。金融難のみから判断いたしますと、今の農中の資金の運用ということにつきましては、結局漁業組合が最も大きな損をする実情にあると考えるのであります。そもそも政府が農林中央金庫のような特殊金融機関を設置しておりまする理由は、国家の産業として産業政策からいかに金融をしなければならないか、こういうような観点に立つた事業のできる機関であるということが主眼であると思うのであります。この点につきましては、農林中央金庫はいかなる意見を申されようとも、やはりこの農中の資金融資のわくを設定して、少くとも国家がそのわくの大小ということについては常に発言をして、そうして弱い産業も強い産業も、大体において均衡のとれるような融資にしなければならないと考えるのでございます。その点については、水産庁といたしましては十分な注意をされて、自由放任の形でないような金融を農中が施行するように、その点を十分監視をされ、また御相談されてしかるべきものと考えるのであります。  第二に、二年後に発行さるべき漁業権証券の問題でございますが、少くとも第七国会、あるいは第六国会におきまして議会に示されました百七十億の算出基礎につきましては、各府県別に順次計算もされ、集計された金額がああいう金額になつておると考えるので、今この百七十億の資金を全部信用担保にするという問題でなしに、百七十億の三〇%か、あるいは四〇%の金額を保証金額に充てようというような問題でございますから、大体あの案を提案されましたときに、各府県別の漁業権証券の金額は決定しておると考えるのでございますが、私は必ずしも詳細にあの金額を算出し直して、すぐ資料によらなければ保証金額にされないというような性質のものでなしに、そのうちのごく一部分だけを使用することについては、ただいまでも実行できるのではないかということを考えるのでございますが、その点につきまして政府の御所見を伺います。
  76. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話のように、役所の側といたしましても、現在その期待権が資金化できますれば、それに越したことはないと存じておるのでございます。問題は、まだ補償の漁業権証券等につきましても金利の問題、あるいは償還期間の問題等、なるべく水産庁といたしましては、漁業者の立場において有利に解決して参りたいというようなことも考えておりますし、いろいろとまだ未解決な問題があるようでございますので、そういつた面についても並行して解決をして参り、極力早くその計算のめどを押えて行きたいと考えておるのでございまして、先ほどお話になられました三十億とか、あるいは百七十億といつた計算につきましては、実は机の上の計算になつておるのでございまして、現在具体的に一県一県当つてみますと、各県ごとにいろいろのアン・バランスがあり、また漁業権のセンサス等についても、補充を要すべき点も出て来ておりますので、そういつた部面も至急にとりまとめまして、お話のような趣旨で努力して行きたいと存じておるのであります。
  77. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいまの説明大体了承ができるのでありますが、少くとも百七十億は、各県の金額の合計でああいう数字が出たものと考えるのでありますが、全体にいたしまして百七十億が八十億になり、あるいは七十億になるということは想像できないのでございますから、各府県別の金額につきましても、動いてもそう大きな動きはないと思うのでありますが、その大して動かない金額の四〇%程度のものを、この方に使用しようという考え方であれば、ただいまでもできることではございませんか。重ねてその点を伺いたいと思います。
  78. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 御承知のように、漁業権証券は、法律上は数十箇年の年賦償還といつたような形になつておるのでございます。その期間を何年ぐらいにして、利率をどの程度でやつたならば一番有利であるかといつたような問題でありますとか、そういう証券が出ましたあかつきにおきましては、それを一括して資金化することができるかどうかといつたようなことにつきましても、はつきりとした話合いはまだできておらないのでございますが、水産庁といたしましては、証券が出ますれば、なるべく一括した資金化の道を講じまして、それをまとまつた漁業者の経営の将来の策に用いられたならば、どうであろうかという考えを持つておるのでございます。しかしながら、現在のところは証券の内容、先ほど申しましたように、内容そのものが具体的にきまつていない部面もございまして、証券がまだ出ないうちに、これを一括資金化することもなかなかむずかしいと思いますので、そういつたいろいろの具体的なケースを関係当局とよく打合せまして、約束をとりつけた上でこの問題を取扱つて参りたい、かように存ずるのでございます。
  79. 田口長治郎

    ○田口委員 先に質問いたしました、農中のわくの問題について御説明を願います。
  80. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 たとえば、従来の農林中央金庫の復興融資等の実績を考えますると、わくを作りましたために、水産関係がより多く圧縮されたといつたような実情になつてつたのでございます。当時はわくに対しまして水産関係より十倍以上も要求が出ておつた農林中央金庫としましては、具体的に問題を取上げました際に、わくがなければ多少取入れられたであろうといつたようなケースも非常に多かつただろうと申しておるのでございます。そういつたいきさつにかんがみまして、農林中央金庫方面では、実はこのわくをつくることは、水産のためにはかえつて損であろうというような見解を持つておるようでございまして、そういつた意向も私ども承つているのでございます。しかしながら、御意見のように、とにかく最初は均衡のとれたわくを設定すべきであると考えられますので、もう一度農林中央金庫に当つて、水産の金融の道が打開されますように、大いに努力してみたいとは思つておるのでございますが、以上のような理由によりまして、そういうふうな状態に一応なつておるわけであります。
  81. 田口長治郎

    ○田口委員 協同組合に対しまして、国としては、大きなものも小さいものも、あるいはまじめなものもふまじめなものも、弱いものも強いものも、一切を育成し強化をする、こういうような考えであるようでございます。漁業手形の問題にいたしましても、一箇年間実施をいたしました結果、基金の積立てが、ある地方は理想通りに行つたけれども、ある地方は非常に成績が悪い。あるいは協同組合にしても、比較的よく行つているものを、どうしても行かないものといろいろ階段があるのでございますが、これらのものを全部同じように育成強化しよう、あるいは金融をつけよう、こういうような考えでなしに、よいものはこれをますます助成して、模範を一般に示す、こういうような別個の考え方がありはしないかと思うのであります。農村工業なんかも、期間工場というような制度を設けまして、国が指定した期間工場に対しましてはあらゆる援助をして、ほかのものはあれにならえということで、非常に注目をされているあの実情から考えまして、水産の場合におきましても、やはり模範組合をつくつて県下に示したり、模範県に基金をつけてまじめにこういう方法をとつたところはかくのごとくうまく行くんだと例を示す、こういうような行き方が必要でないかと考えるのでございますが、政府はやはり不公平なしに、強いのも弱いのも、あるいは大も小も一緒に助長をしなければならぬ、こういうお考えでありますか。あるいはその反対の考えを持つておられるか、その点をお伺いしたいと思うのであります。
  82. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 御意見の点につきましては、政府といたしましては、とにかくまじめにやつている漁業者の方々のごめんどうを見て行きたいという立場におきまして、やつておるのでございます。その場合に、水産業全体の問題といたしまして、伸び得る場面がございますれば、できるだけ伸ばして参りたいというふうなことを考えておるのでございます。たとえば、一番初めに申し上げましたように、金融の部面につきましても、企業金融があり、組合金融があるのでございますが、企業金融につきましては、信用ベースと申しまするか、生産経営の関係で信用力のある部面が多いものでございますから、役所が力を入れる部面が少くて済むというような状態でございます。中小零細な漁業関係についての組合金融の面については、役所が十分力を入れておせわをしてやつても、なかなか効果のあがらぬものがあるというふうな状態になつておるのでございます。
  83. 田口長治郎

    ○田口委員 私がただいま尋ねておりますことは、模範組合なんかの制度をつくつて政府がこれに対して強力に援助する、こういうお気持はないかどうかということであります。
  84. 曽根徹

    ○曽根説明員 模範組合の育成ということにつきましては、ただいまのところ、調査いたしまして、非常に経営あるいは資産内容等良好な、あるいは民主化の線に沿つて努力をしておるといつたような協同組合について、紹介をいたして行きたいというふうに考え、調査もいたしておりますし、あるいはラジオ等をもつて、少しずつ実施しております。しかしながら今御指摘になりました模範組合の指導というようなことにつきましては、ただいま予算等も考え、研究中であります。ただ一つ警戒しなければならないのは、かつての興国農村指定のような、非常に官僚的なものになるような結果になつてはまずいのではないか、その点の運用の仕方について考究しておる次第であります。しかしながら、そのようなモデル組合の指導というようなことは、きわめて必要なことだと考えております。
  85. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 これよりただいま付託になりました漁業法の一部を改正する法律案を日程に追加して議題といたします。提案者より趣旨の説明を願います。川村委員。     —————————————
  86. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま議題になりました漁業法の一部を改正する法律案は、「漁業法第八十五條第三項第一号中「七人」の下に「(北海道の海区漁業調整委員会にあつては十一人)」を加える。附則、この法律は、公布の日から施行する。」かように改正するというのであります。  その提案の理由といたしまして、北海道は御承知の通り日本の生産の三八%を持つておるところの、非常に生産の高いところであります。第二点は、漁業の種類、たとえて言いますれば、内地方面にないところのにしん、さけ、ます、その他各種の漁業種類があるのであります。従つてこれに対して專用漁業権その他定置漁業権等の種類並びに数が非常に多いこと、第三点は、漁業資源は他府県よりも非常に豊富でありますので、今後の新魚田の開発等においても、漁業の発展性が非常に大きいこと、第四には、終戦後引揚漁民が北海道に非常に多くおること、さらに内地方面の資源の枯渇によつて、北海道の魚田開発のために、相当数の内地方面からの移住漁民があるのであります。かような漁民も日本の漁業振興のために、北海道において十分に取入れて行くことがよかろうということが第四点、次に交通並びに通信等の機関が、内地府県よりも非常に不便なので、せつかく漁業法によつて漁業の民主化をはかろうとしましても、普及が非常に困難なのであります。かような理由から、北海道に限つて内地七人の委員の数を十一人置いて、これらの問題を解決して行く、すなわち調整して行くことが最も妥当である、かような意味合いで提案したのであります。もちろん第五回国会におきまして、北海道は市町村ごとに海区調整委員会を置くということであつたのでありますが、客観情勢から四十九海区にされたという状態も、その理由の一つになりますけれども、これらはもとより私たちは市町村単位に、すなわち総合的に海区調整委員会を設置することが、今後の漁業調整に最も公平を期するという意味合でありましたので、現在の四十九海区を、さらにある時期においてこれを縮めなければならぬということを考えておりますけれども、先ほど申しました五点の理由から、どうしても現在の七人の委員では十分なる調整をはかり得ないということで、漁民の選挙による委員を十一人にしたいというのがおもなる理由であることをここにつけ加えて、提案の説明といたす次第であります。
  87. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 質疑を許します。小高委員
  88. 小高熹郎

    小高委員 ただいま上程せられております漁業法一部改正法律案については、質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決せられんことを望みまり。
  89. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 ただいまの小高委員の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 御異議なしと認めます。よつて質疑を打切り、討論を省略してただちに採決いたします。  本法案について原案の通り可決するに御賛成の方の御起立を法います。     〔総員起立〕
  91. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 起立総員。よつて本案は原案の通り可決せられました。  なお本法案に対する報告書の作成に関しては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 川端佳夫

    ○川端委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこの程度でとどめたいと思います。なお次会は、明二十五日午前十時より、水産行政の充実に関する小委員会を、午前十時半より本委員会を開きたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十一分散会