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1950-07-17 第8回国会 衆議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十五日       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    林  好次君       上林與市郎君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十五年七月十七日(月曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 小高 熹郎君 理事 川端 佳夫君    理事 田口長治郎君 理事 林  好次君    理事 上林與市郎君       石原 圓吉君    川村善八郎君       久野 忠治君    田渕 光一君       永田  節君    平井 義一君       福田 喜東君    松田 鐵藏君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         水産庁長官   家坂 孝平君  委員外出席者         農林事務官        水産庁漁政部長 松任谷健太郎君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      山崎小五郎君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 齋藤 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任  連合審査会開会要求に関する件  参考人選定に関する件  水産金融に関する件  漁港に関する件  漁業制度に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより会議を開きます。  去る十四日の本委員会におきまして、六つの小委員会を設置いたすことに決定いたしたのでありますが、その各小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いましたので、理事会等で協議いたしておるのでありますが、まだ御希望も出そろつておりませんので、後日公報によつて指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。   なお小委員長は決定いたしておりますので、御指名いたします。漁業制度に関する小委員長川端佳夫君、漁業経営安定に関する小委員長永田節君、水産金融に関する小委員長田口長治郎君、戦災漁場復旧に関する小委員長平井義一君、水産貿易に関する小委員長松田鐵藏君、水産行政の充実に関する小委員長石原圓吉君、以上六名の方々をそれぞれ小委員長に御指名申し上げます。     —————————————
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 次にお諮りいたします。ただいま地方行政委員会において審査されております地方税法案につきましては、本委員会におきましても重要な関連がありますので、本委員会より連合審査会を申し入れたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。なお協会の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。     —————————————
  7. 冨永格五郎

    冨永委員長 次にお諮りいたします。水産金融に関する件につきまして、民間における金融機関会社役員等を、参考人として委員会出席を求め、つぶさに金融の実態を調査いたしたいと思いますので、日本銀行農林中央金庫興業銀行勧業銀行、北海道拓殖銀行より、それぞれ水産金融担当役員出席を求めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、参考人を呼ぶことに決定いたします。  なお参考人の人選、その他委員会開会日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。     —————————————
  10. 冨永格五郎

    冨永委員長 なお本日の議題は、公報をもつて御通知申し上げております通り水産金融に関する件、戦災漁場復旧に関する件、漁港に関する件を議題に供します。  なお川村委員より緊急質問の通告がありますが、適当な機会を見てその発言をお許しいたします。  議題に関する御質問を願います。田口委員。     〔委員長退席川端委員長代理着席
  11. 田口長治郎

    田口委員 本日舟山局長が御出席になつておられますから、水産金融について質問いたしたいと思うのでございますが、御承知通り、ただいま水産界では、漁業も、加工も、あるいは流通部面も、金融の梗塞によりまして、ほとんど各方面停止状態にならんとしておるのでありますが、この状態大蔵省としてはいかようにごらんになつておりますか。またこの状態に対していかなる金融政策を実行されんとするか、その点をまず第一にお伺いいたしたいと思うのであります。
  12. 舟山正吉

    舟山政府委員 現在の金融情勢のもとにおいて、漁業関係が非常にお困りであるということは、承知いたしているのであります。しかしこれを広く見ますれば、現在の金融情勢のもとにおいて、産業界方面において、金融の問題にはいろいろ苦心があるように思います。政府といたしましては、金融を全般的にゆるめてしまうということは、現在の予算の建前、それからそれに基きましてデイスインフレの線を守つて行きます上において、これは困難といわざるを得ないのであります。大体の基調は、現在の金融を基礎といたしましてしかし非常にお困りになつている、そしてまたそれに金融をつけますことが必要な部面におきましては、これを個々的に拾い上げまして、いわゆる健全金融のベースの上に乗せて行くという措置をとりたいと考えている次第であります。
  13. 田口長治郎

    田口委員 従来水産業者は、設備資金については、仕込資金、一時金と、長期資金を利用いたしまして設備をやつておりまするが、仕込資金だけは、これは各漁業ともに、あるいは各加工業方面におきましても、そのときどきに地方銀行から融資を受けまして、その融資を受けた仕込資金を大体漁期中に返して、また来年の仕込資金銀行から受ける。こういうようなことで事業を継続して来たのでありますが、今年に限つてこの仕込資金を打つ手が全然各銀行に対してない。各銀行も相手にしない。こういうことで、この秋からの出漁に対しまして、各種漁業が非常に困つておる状態にあるのであります。銀行に聞いて見ますと、どうも預金貸出しの金額が非常に接近をしている、従つて銀行自体資金が全然ないということを申されているのでございまして、私らの考えといたしましては、何らかの方法で各銀行資金を持たせることができれば、地方銀行もまたつなぎ資金融資をする、こういうような気持でいるように考えるのであります。この市中銀行資金を持たせるという問題が、ただいまのところ非常に重大なようでございますが、この点に関しまして大蔵省としては何かお考えになつておられますか、重ねてお伺いします。
  14. 舟山正吉

    舟山政府委員 現在金融根本方針といたしましては、財政金融とは分離する、金融金融機関の責任において、財政にたよることなく、これを行つて参るということでございまして、従来ございましたごとき、国家保証制度あるいは国の力によつて金融機関融資をするという建前は、とられておらないのであります。従つて産業界に対しまして、金融機関から金を貸すか、貸さないかということは、銀行その他の金融機関が自分の手元資金考え、そして危険を考えて行くという建前になつているのでございます。ところで現在金融問題が論じられますときには、絶えず話題になるわけでございますが、政府資金、特に見返り資金とか預金部資金市中還元が許されておりませんので、市中資金は極度に枯渇をしている。これを日本銀行からの貸出しによつて補つているという状況でございます。従いまして、お話にございましたような、銀行手元資金がないから貸出せないという場合も、多多起つて参るかと思うのでございます。しかし必要な方面銀行資金を出さなければならぬことは、その本来の職能として当然なことであります。どうしても金融しなければならぬ場合には、銀行に対して、日本銀行から借入れをしてもこれを貸すように、また日本銀行に対しても、銀行に対して資金供給をはかるように、という指導をしているのでございます。ただこれは程度の問題もあるかと存ずるのでございまして、確かに銀行といたしましては、オーバー・ローンという形、すなわち資産構成上、貸出しが非常に多くて、これ以上むやみに貸出をふやしますと、これは対外的な方面から見て、銀行資産内容が不堅実であるというかつこうになつて参りますので、銀行といたしましては、これを警戒することもむりからぬことかと思うのであります。先ほど申し上げましたように、政府資金が十分に市中に還元せられますならば、これは銀行預金ともなり、そうすれば銀行貸出源も出て参りまして、十分資金の需要にも応ずることができるのであります。現在その方面が不円滑になつているのであります。私どもといたしましては、その政府資金市中還元ということにつきまして全力を尽しているのでございますが、思うように参らぬ実情でございます。こういうような状況でございますから、先ほど申し上げましたような趣旨にのつとりまして、必要な方面については、ぜひとも政府なり日銀なりがその間にあつせんをして、資金供給の円滑を期して参りたい、こういう方針をとつているのでございます。
  15. 田口長治郎

    田口委員 日銀その他のあつせんによつて地方銀行融資をさせるという問題、これは一昨年も昨年も、いろいろな場合におきまして、私らもお願をいたしますし、日銀でもいろいろ考慮されたことがあるのでございますが、実際はなかなかうまく行かない。実現されたものはごくわずかでございます。何らか具体的に中央から地方資金を出していただくような手を打たれなければ、ただあつせんするだけでは、銀行銀行自主性でやつているのでございますから、なかなかうまく行かないわけなのでございます。その点に関しまして、現在の金融状態から申しますと、金融技術的に考えて、非常にむずかしい段階にまで突入しておりますが、多少思い切つたことで、地方銀行資金を持たせるというような方法はないものでございますか。この問題が解決しなければ、日銀のあつせんその他ということを申されましても、なかなか実際は運ばないわけなのでございます。一昨年以来、日銀のあつせんで、日銀のあつせんでという言葉を聞いているのでございますけれども、実際はなかなか運ばない実情にありますから、何か地方銀行資金を持たせる、こういうことについて具体的な方法があるかないか、その点をお伺いしたいのでございます。
  16. 舟山正吉

    舟山政府委員 お説の通り、あつせん融資は限界がございまして、個々にわたりごく小さな問題までも取上げて、これをあつせんして参るということはできないのでございます。またそういう比較的小さい金融につきましては、それぞれ地方銀行配慮によりまして、あるいは農林中央金庫のごとき特殊機関配慮によりまして、調達を期して行くべき問題であろうと思うのでございます。そこで地方銀行あたりに、もう少し政府から資金をまわしたらどうかという御意見でございますが、これにつきましては、今申し上げましたように、たとえば預金部資金等につきまして、政府といたしまして、ぜひこれを各方面にまわしまして利用してもらうということが必要であると考えているのでございますが、今日までのところ、なかなかそれが実現しないということでございます。  なお預金部資金につきましては、昨年末の金融対策といたしまして、市中金融機関に百億円ばかり預託いたしたのであります。これはその後引揚げずに今日に至つております。まだしばらく置いておく考えであるのでありますが、もう少しこれらの政府資金を出させる方法に、私どもといたしましては極力努めておるのでありますが、今日までなかなか実現の運びに至らなかつたことは、まことに遺憾に存じておるところであります。
  17. 田口長治郎

    田口委員 地方銀行資金を持たせる問題で、結局見返り資金の問題、それから預金部資金の問題、この二つについていろいろ考えてみますと、見返り資金の二百八十一億、これは繰越金の性質において保留しておるのだというような意見でございますが、この二百八十一億の金を、水産金融の方に政府努力によりましては道がつくのではないか、こういうふうにも考えますし、また特殊銀行増資金額といたしまして、六十億とつてある。その中で五十二億だけが実際の増資になつて、八億残る。この八億の金を、何らかの方法水産金融の方にまわしていただくような方法とか、あるいは公債——おそらく来年は買い上げることができないのでございますが、地方銀行、ことに水産関係地方銀行に対してできるだけ買い上げていただく、こういうような問題、あるいは農林中央金庫から復金に対して償還されておる金があると思うのでありますが、復金で集まりました資金を何とか水産金融の方にまわしていただくような方法とか、こういうことを一々具体的にこれは何とか努力すればできる、あるいはこれはどうしてもできない、こういうような具体的な問題について、詳細に御説明を伺いたいと思います。  もう一つわれわれ困つておる漁業手形の問題は、昨年七月ごろから実施した制度でございますが、これはこの前からお願い申しますように、中小企業金融方法としては、どうしても集団信用ということに重きを置かなければならない。そういう意味におきまして、まず水産の方にこの漁業手形制度を創定したわけでありますが、あいにく今年の春から引続き漁が十分でなかつたために、積立基金というものが予定通りに実行されておらない。こういうようなことからいたしまして、この制度日銀の別わく手形としてとるかとらぬか、こういうような問題についてただいま論議をされておる状態でございますが、水産金融の問題といたしまして、この漁業手形の活用、これが最も手取り早い方法でございますから、わずかに短期間実施をして、そうして積立てが多少目標に達しないにいたしましても、ただそれだけのことでこれを停止状態にする、あるいはしばらく様子を見よう、こういうようなことにされるということは、水産金融上ゆゆしき問題と思うのでございますが、この積立金目標に達する金額を、何らかの方法で埋めるとか、あるいはできるだけ指導によつて積立金目標まで達せしめる努力はいたしますけれども、この制度はあくまでも継続してもらわなければ、水産界としては非常に困る問題があるのでございますが、この漁業手形の問題について、大蔵省といたしましては、何か日銀と交渉されて、そうして継続すべきものであるというような結論に持つて行く努力をしていただいておられるかどうか。その点を前の地方銀行資金を持たせる方法と同時に、お伺いする次第でございます。
  18. 舟山正吉

    舟山政府委員 まず第一に、見返り資金運用につきましては、これは特殊な資金でございますので、大体大口のところに目的、使途を定めまして運用して行く、従つて個別審査をして行くということになつておるのでございますが、しかしこの間接的と申しますか、包括的と申しますか、この運用金融機関の手にまかされておる面もあるのでございまして、その一つはたとえば中小金融に対しまして、中小金融資金といたしまして毎月一億出すという面がそれでございます。大体金融機関審査によつて、これは水産金融だけに限りませんが、広く中小企業に対して出す建前になつておるのでございます。それからまた金融機関に対します優先株式または優先出資の引受けという形で、すでに五十二億出ておるのでございます。これも金融機関手元資金となりまして、あらゆる方面に放出されておるわけでございます。ただいま水産金融ということだけに限定してお話がございましたが、特に水産金融に対して幾らというわくはございませんけれども、これらは間接的にはあるいはそちらの方にも流れておるとみなければならないと存ずるのでございます。そのほかにつきましては、見返り資金を特に水産金融わくを設けてそちらの方にこれだけ出すということは考えられておらないのでございますから、私どもといたしましては、見返り資金をできるだけ市中にもどすためには、あるいは国庫その他の金融機関に対する出資ももつとふやしてもよかろうし、ことに中小金融資金としての見返り資金といたしましては、増額方努力いたしておるような、次第でございます。  それから次に政府から資金民間に供与いたします方法といたしましては、今年実施いたします国債償還方法がございます。これは市中金融機関の持つております国債を国から償還いたしまして、この資金を使つてもらうという考え方でございます。先月実施いたしました第一回分につきまして、八十億ばかりの金が市中金融機関に入つておるのであります。先ほどお話がございましたが、地方銀行その他の市中機関資金供給するという意味合いをもつて、この第二・四半期から以後、債務償還はまず市中に優先して実施するという方法をとつておるのでございます。それでありますから、市中金融機関でもし資金が不足するという面がございましたならば、これを要請して参れば、これに対して政府資金を流す道もあるわけでございます。  それから次の復興金融金庫につきましては、これは実は昨年の四月以来新規貸出しの機能を停止いたしておりまして、現在は回収のみということに限定せられております。世上この復金機能停止につきましては、いろいろの御要望もございますが、関係方面の意向といたしまして、復金は一応閉鎖して、もう清算すべきだという考えがございますので、この点はいたし方がないのではないかと考えておるようなわけでございます。  それから最後にお話のございました漁業手形の点は、一昨年でございましたか、創設以来逐次進展しておるように見受けるのでございます。実は積立金の問題につきましては、当初の計画通りに発展しておらぬ。特にこれを地域的に見ますと、積立金目標額に対して、つとめて積立てのできておる地方と、特にその成績の悪い地方とあるようでございます。こんなような事情からして、先般も特につなぎ融資として一時の過渡的な便法を講じております部面について、何とかこの制度を一時停止すべきではなかろうかという意見も出たのでありますが、大蔵省といたしましては、着々この実績を上げております趣旨にかんがみ、またこれが漁業金融の操作上最も適切な措置であると考えます趣旨からいたしまして、この制度指導いたしておるわけでありまして、今後もこの改善発展ということについて努力いたしたいと考えておる次第であります。
  19. 川村善八郎

    川村委員 ただいま田口委員から、漁業の当面の資金の問題についてるる質問があつて舟山銀行局長から御答弁があつたのでありますが、いずれもどうも楽観を許されないような御答弁でありまして、まことに私たちは今後を憂えるものであります。何とかこの打開のためにはいろいろな方法をとつて、しこうして漁民の生産力の増強のために資金の融通をしていただくことを、まずもつて懇願したいのであります。  私のお伺いしたいのは、漁業協同組合固定資産、また連合会も同様でありますが、これに対する措置を何とか講じなければならぬが、その措置をどういうふうにするかという問題についてであります。御承知通り漁業協同組合が発足いたしましてから、すでに一年有余となるのであります。いずれもその地方にふさわしい運営をしておるものとはいえ、必ずしもその運営の万全を期しておらない。言いかえるならば、まつたく期待に相反しておるということが現実の姿であります。何ゆえかと申しますと、これは資金の裏づけがなくて、ただ法律で保護されたというだけにすぎなかつたので、新協同組合法の制定によつて発足した協同組合並びに連合会は、いずれも窮地に陷つておるということは事実であります。中でも一番困つておる問題は、かつて漁業会から引継ぎをしますところの固定資産、それに付随したところの借入金であります。言いかえるならば借金であります。これが多大にあるために、引継ぎはしたいものの、それをいたしますと多大な借款をしなければならぬ。従つて少しばかりの金融措置を講じてもらつても、その借款のために動きがとれないというのが今日の実情であります。従つて多年この協同運動をやつた者から見ますと、少くも以前の統制時代に、いろいろな政府の要請に基いて運営をして参りました面から、いわゆる固定資産となつておるもの、あるいは固定の借財となつておるもの等は、何らか政府において援助をしなかつたならば、今後協同組合運営はとまるのではなかろうか、かように考えるのであります。このことについては何回もお聞きでありましようから、私からこれ以上申し上げませんが、とにかくその固定資産に対する資金の面を、いかにして協同組合運営がとまらないようにやることができるか、この点をまずもつて銀行局長並び水産庁長官からお伺いしたいのであります。それによつてまた質問いたしたいと思います。
  20. 舟山正吉

    舟山政府委員 旧漁業会の処理問題、ひいては漁業協同組合金融問題につきましては、これは要するに農林中央金庫からのこれらのものに対する債権の処理問題ということに帰着するかと思うのであります。農林中央金庫も一面特殊な金融機関ではございますが、その運営にあたりましては、一応財政とは切り離して、健全金融ということを建前とせざるを得ないのでございまして、債権回收その他につきまして決してむりはしない、実情に即するように配慮をいたしておると思いますし、また政府といたしましても、農林中央金庫に対しましてむりをしいる気持はないのでございます。ただ債権回収ということにつきましては、やはり金融のペースによらなければならぬという制約がございまして、これを中途において免除するとかいうことはできないわけであります。その他の問題につきましては、あるいは財政上の問題になるかと思うのであります。金融面といたしましては、農林中央金庫並びにこれを監督いたします当局といたしまして、協同組合活動に支障がないように、むしろその活動を助成するように配慮をいたしておるのであります。
  21. 川村善八郎

    川村委員 ただいま舟山局長から御答弁があつたのでありますが、いかにしてこれを打開するかというわれわれの切実な訴えでありますので、局長におかれましては、でき得るならば財政措置に持つて行かれることを希望いたしますが、もしもそれができないとするならば、長期資金にこれを切りかえ、さらに利息等の引下げをなして、これは国家負担にまつか、あるいはその地方、すなわち道府県においてと、両面でこの金融負担して行つて、そうして長期資金利息のかからないような措置を講じて、着々増産に励まして、協同組合並びに連合会を救済して行くより方法がないじやないか。もちろんこれは全面的にそれをたな上げをしてしまつて支払いをしないというようなことは、私もあまり賛成できません。その方法をとられれば一番いいのでありますが、今後いろいろな面から考えますと、借金したものを払わないで、それなりになつたというようなことでは、思想上にも、また経済上にもおもしろくない事態が来ると思いますので、ただいま私が申し上げたような措置によつて、いわゆる長期支払いと、さらに利息国家負担、もしくはその地方とあわせて負担をして行つて救済をするのが一番いい方法でなかろうかと思いますので、この点について舟山局長はいかなる御意見を持つておるか。また水産庁長官にも御意見があつたらお伺いしたいのでございます。
  22. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この協同組合債務の問題でありますが、これは川村委員と同様、旧団体の財産を新団体へ全部引継いだのでありますが、その引継いだことは法律上やむを得ないのでありますけれども、しかるところそれが焦げつきとなつて団体が動かない。それに対しては金融機関融資しない。ことに中金でありますが、ほとんど絶対というてよいほど戸締めを食わしておるのであります。これによつて団体も旧団体も死滅に近づいておるのでありまして、これをどうして救済するかということは、当面の急務であります。むしろ大蔵省よりは水産庁において、これに対する的確な案を立てて、これを実行に移すことのできる時期が遅れておるのであります。御承知のように、戦争中にいわゆる総動員法によつてできた団体でありまして、そのものが、たとえば金融機関にあつては、興業銀行でも勧業銀行でも、また中金でもそれぞれ形がかわつたのであります。そうして中金のごときも旧出資、いわゆる戦争中の出資に対しては出資を打切つておるのであります。これは興業銀行においても、その他の金融機関は、民間銀行でも旧出資を打切つて新出発をしている。それにかかわらず、産業団体はさようなことはないのでありまして、かかる不公平があるということはもつてのほかであると思うのであります。であるから旧団体より新団体へ引継いだ負債に対するところの処置がここに的確に立たない限りは、新団体も行き詰まつている、成立たないという情勢にあるのでありまするから、これは大蔵省の救済方法を立てると同時に、その方法については水産庁も的確なる立案をするということが、すでに遅れているのでなかろうかと思うのであります。それらの点についてどういうお考えを持つておられるか、この際あわせてお尋ねをしておく次第であります。     〔川端委員長代理退席、委員長着席〕  なお復興金融金庫の問題であります。現在復興金融金庫は営業を停止されて、ただ貸金の取立てということだけが任務であるように承つておるのであります。それにかかわらず、金庫の機構というものは人的には営業している時代とかわらぬのではないか、理事長もあれば、その他の役員もあり、職員も全部そのままであるように私は思うのでありますが、そういう場合には復興金融金庫の使命なるものは、適切なる産業助長のために金を貸すというこの貸出しの面の仕事が大部分であつて、取立てという仕事はごく少い人員でよいはずなんであります。むしろ取立てるだけならば、日銀であるとかその他の銀行へ委託して、金庫は閉鎖してもさしつかえないと私は思うのであります。国の経済の上から莫大な損失をしておるのではないかと私は考えるのであります。但し私はまだ一るの望みを嘱しておるので、希望を持つておるのであります。何とかしてこれを復活して、機構をかえて、やはりこの行き詰つたわが国の産業資金融資機関にする方法はないか、さような考え銀行局長は持つておられぬか。私の聞くところでは、かなり閉鎖以後の回収が順調に行つて、相当の回収金を復金はストックしておると聞いておるのであります。これは非常にもつたいない話であります。国へ還元して、国庫へ還元して利用するというか、あるいはそのストックしておる金を産業に使うというか、何らかのそこに方策がなければならぬと思うのであります。漫然と人はみなそのまま営業時代のものを置いて、そうして取立てた金もストックして、国へも移さなければ民間にも貸し出さない。かようなことがこの窮迫した金融の時代にあるということは、私は奇怪だと思うのであります。そういう点に対してどういうお考えを持つておるか、承つておきたいのであります。
  23. 舟山正吉

    舟山政府委員 まず川村委員のお尋ねに対してお答え申し上げます。申し上げるまでもございませんが、この二、三年間インフレ進行中におきましては、金融機関長期の金がなかなか集まらなかつたのであります。従つて金融機関としましても、長期貸出しができなかつたのでございますが、昨年以来インフレが安定して参りましたので、農林中央金庫初めその他の金庫の債券を発行することができるということに相なりました。この農林中央金庫も今月から始めまして、逐次債券を発行して参ることになるのであります。そういたしますれば、今度既往の貸付につきましても、短期でありましたものを漸次繰りかえ、長期を要するものは長期貸付にして行くという措置がとれることになつたのであります。まだ現在のところ非常に長期の債券の発行もできませんし、また金利も比較的高いので、この点はまだ理想的な形態ではございません。これに関連いたしましては、私どもはぜひ預金部資金でもつてこれらの債券が引受けられるようにいたしたい。そうすれば資金が非常に長期であり、かつ低利であり得るのでありまして、この点を懇請いたしておるのでありますが、今日までまだその運びに至つておりませんことは、はなはだ残念でございます。しかしそういうような情勢にございますので、営業部門に対する貸付につきましても、長期融資の方は漸次そちらの方に繰りかえて行く操作をとり得る段階になつておるのであります。その方向に努力して行きたいと考えております。  それから私どもに関係いたします御質問で、復金の問題につきましては、第一は復金の人員が余つておりはしないかという御尋ねでございますが、これは復金が盛んに仕事をやつておりました時代には、興業銀行その他から一時人員を差繰りまして、復金の職員として仕事をやつてもらつておつたのでありますが、これらは復金の新規貸出機能の停止とともに、もとの勤め先に復帰されておる方が多いのでありまして、特にむだな人員を擁しておるというふうには見ておらないのであります。反面この回収ということにつきまして非常に困難があるのであります。この復金に全然人がいなくなつてしまつて、それが店をとじたような観になりますと、回収できるものもできなくなるという面もございまして、復金当局といたしましても非常に苦労いたしておるようなわけであります。これに関しましては、この機会に復金をもう一度新規貸出しができるように、機能を回復したらどうかというようなお尋ねがあつたのでありますが、いろいろの関係がございまして、復金は一応とじてしまうという話で、復金当事者といたしまして、ぜひ必要限度でもいいから貸出機能を営みたいという考えもあるようでありますが、これらはまだ未解決のままになつておるような次第でございます。それから復金回收しました資金につきましては、即時国庫に納付するのでございまして、復金のところにたまつておるということはない。結局国庫資金になる。国庫資金の余つた分、あるいは吸上げ超過の分をどうするかという問題につきましては、冒頭にもちよつと申し上げましたが、別途大きな問題があるように考えております。復金自体としてはこの資金を遊ばしておるということはないのでございます。
  24. 川村善八郎

    川村委員 ただいま舟山銀行局長から、これまではインフレが増強しておつたので、長期資金に切りかえることが困難であつたが、だんだんインフレもとまりましたので、長期にすべきものは長期に切りかえるような方法を講じてある、また将来は、近いうちに預金部資金からこれらをもつてまかなう方法もとりたい、これに努力したい、かような答弁があつたのであります。その中で、金利も安くしなければならない、それに努力するという御答弁もあつたのでありまするが、われわれ漁業協同組合もしくは連合会では、利息を払つたのでは漁民の負担はとうてい耐え切れないというのが現状であります。そこで、何とかこれを漁民の負担においてでなく、他の方法利息を支払つてもらいたいという私の考え方から、国または都道府県において利息を支弁する方法を講ぜられないかという質問もしたのでありますが、舟山局長から御答弁がなかつたのでありますが、水産長官は少くも私がただいま申し上げたようなことにするという御努力をなさる御意思があるかどうかということを、まずもつてお伺いいたします。  それからもう一点は、以前からこの委員会において、漁業金融のために独得のいわゆる水産金融金庫をつくる意思がないかどうかということが問題になつて、始終質問を展開されたのでありますけれども舟山局長はこれに対して、漁業は周期的なものであつて、どうも預金も一時になり貸出しも一時になるといつたようなぐあいで、その必要性はないというような御答弁があつたのでありますが、われわれはそうではなく、やはり日本の漁業の実態から考えて、漁業に独特の金融金庫をつくるべきではないかということを、常に考えておるのであります。先般貿易に対する特別の措置をして、金融金庫を設けるということになつたのでありますから、この漁業に対する特別の金融金庫をつくるべく、われわれも努力いたしますが、長官にはその努力の御意思があるかどうか。  それからもう一つは、昨年から問題つてつておりました北海道の小手繰網の整備に関する金融の問題であります。水産庁は四月に要綱を出し、さらに六月に北海道庁でもこの整備に関する要綱を出しまして、それぞれ小手繰網の整備に着手したのであります。中でも、もうすでにその整備が完了いたしまして、大型機船底びき網に転換したのでありますが、その小手繰網の整備転換をしたものに対して金融措置を講ずるという一項があるにもかかわらず、今日まだその実現を見ない。水産庁に交渉いたしますれば、中金に交渉しろ、あるいは道庁がその腹ができておらないといつたようなことで、中金あるいは道庁に交渉しますとその要を得ない。かようなことになつてつて、まだ転換の資金も目鼻がつかないのであります。かようなことでは、いわゆる国家の施策として転換さした場合、あるいは減船をした場合において、資金が出ないとか、あるいはその補償がないとするならば、まつたく漁業者は、絵に書いたぼたもちのような要綱なり、規則によつて縛られるということに相なるのであります。従つて、一旦法律をもつて制定した問題、あるいは要綱を出してそれを実現さした場合においては、その責任を水産庁なりあるいは道庁に負わしめなければならぬということを、われわれは考えております。これが北海道の小手繰網の転換の資金の問題でありまして、まだ現実に行われておらないということはまことに遺憾でありますが、この点は水産庁として一体どうお考えになつているか、いつごろこれが実現する可能性があるかということを、お伺いいたしたいと思います。  もう一つは、これは資金ではないのでありますが、資源枯渇防止法の制定に伴つて、以西底びき網の整理が前提となり、また司令部との間に、これを前提として漁区の拡張が約束されたということで、われわれはその資源枯渇防止法を通したのであります。ところが今日に至るもまだその補償が出ておらぬ。これもやや絵に書いたぼたもちになるようなきらいがあるのでありまするが、こうしたことも、一旦その法律を制定した、あるいはその方針をきめて出発した以上は、やはり水産庁として責任を負うて、業者にそのことを尽さなければならぬ、かように考えるのでありまするが、この点に関しまして、水産庁長官はいかなる御所見を持つておられるか。今後実現にはどの程度見通しがついておられるかということを、お伺いいたしたいのであります。
  25. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 協同組合の育成対策につきましては、五月に地方の係官並びに実際組合を運営しておられまする方々にお集まりを願いまして、その席上種々の実態を御説明願つて、私どももそれに対策を練つたのでありまするが、なかんずく金融問題が大体中心をなしたのであります。ことに戦争以来旧組合や団体が、いろいろの施設その他に費消しました借入金といつたものが、そのまま譲り渡された新組合としましては、非常な苦難に陷つておられるということがはつきりわかつたのでありますが、特にそのこげつきの借入れ資産としまして、連合会だけでも約十二億というものが数字に現れておるのであります。これをまずどうしよう。それの解決がつかない限りにおきましては、今後の新組合の信用と経営の死活の問題でありまして、これがためにどうしたらいいかということにつきまして、爾来庁といたしましても、いろいろ研究、考慮をいたしたのでありまするが、結局これは最も低利な資金を獲得いたしまして、これをもつて償還計画を確実に打立てまして、この難局を切り抜けることが最も妥当じやないか。しかし低利と申しましても、今いろいろの金融機関あたりからではなかなか困難であるから、まず預金部資金を出していただいて、それをもつてこれに充てて参つたらどうかということで、よりより関係当局並びに主務官庁とも折衝を続けておるような状態であります。ただいま川村委員から、利息を何かの形で負担してもらいたい、その意思ありやいなやというお尋ねでありまするが、私といたしましては、その利息を他で負担するということにつきましては、今後も努力を続けて行きたいと思つております。  それから独立金融金庫の問題でありますが、これは以前からも水産庁といたしましては、いろいろ対策を考えておつたのであります。しかし最近の情勢ではなかなか実現が困難ではないか、かように考えておりますけれども、これはあくまでも趣旨を貫徹すべく、私どもの計画は着々と進めて参りたいと考えております。  それから小手繰りの転換資金金融でありますが、この点は、私どもといたしましても若干手ぬるい状態であつたかもしれませんが、最近いろいろ委員会の御意見、あるいは委員の方の御意見もありまするので、私どもといたしましては、早急にこれが実現をはかりたい、その具体策といたしましては、まず中金に当りまして、その転換資金をぜひ出してもらうように努力を続けて行きたい、かように考えます。  なお以西減船の補償額の問題であります。これは一応私どもからは去年以来業者とも打合せまして、大体一組について三百万円ぐらいならばよろしかろうというようなことで話があつたものでありますから、その案に基きまして、大蔵省当局ともいろいろその実現方を御相談申し上げておつたのでありまするが、大蔵省の査定といたしましては、その約三分の一程度のものでありまするので、なおこれではとうてい業者が納得もしないし、私どもの立場としても不足であると考えまするので、原案通り出せるように、再びその査定につきましていろいろ折衝を続けております。それからなおそうした査定案の了解ができない場合には、いろいろこれを政治的に取上げていただきまして、これが実現方を完成したい、かように考えております。
  26. 川村善八郎

    川村委員 ただいま私の質問に対して、水産長官のまことに誠意ある御答弁をいただいたので、実現までは安心はできないのでありますけれども、一応了承いたしたのであります。長官に特にお願いいたしますことは、これまでいつでも答弁は上手であるけれども、実現は下手であるというきらいもないでもないのであります。従つてどうか答弁が単なる答弁に終らせないように、どこまでも誠意をもつて実現するように努力せられんことを要望いたしまして、私の質問を打切りたいと思います。
  27. 松田鐵藏

    松田委員 銀行局長にお尋ねいたします。政府の政策といたしまして、水産貿易に対して、貿易振興の意味から金融の円滑をはかる、かようなことが論議され、またその発表も見ておるのでありますが、現在の水産に対する貿易に対して、その金融の円滑ということが非常に渋滞しておる。たとえば信用状が、外国から来たものに対しても、金融機関はこれの貸出しを拒否しておるというような現状であるのであります。こういうことは日本の水産金融を著しく拘束するものであり、私どもは第五国会以来水産庁に対して、水産貿易に対する金融措置委員会を通じて強力に要望し、また大蔵省に対しても要望しておつたのでありまするが、たとえばこういうような問題があるのであります。一例をあげますと、魚価の値下りから、どうしても貿易にその製品を持つて行かなければならない。要するに北海道や九州に生産される魚類は、内地の需要を見ているのに、なかなか遠隔の地にあり、また魚類の嗜好ということからいつても、なかなか思うように行かぬのであつて、つまり九州においてはいわしのカン詰を製造して、これを貿易に持つて行こうとする。それに対する金融方法を講じたらいかん、かようなことを強力に申し入れておつたのであります。また北海道においてはひらきだらなどのようなものも、南方に輸出するために、これに対する金融方法を強力に大蔵当局、水産当局に対して申し入れておつたのでありまするが、その実現を見なかつたがために、昨年の暮には、ひらきだらにおいて二十四ドルという価格であつたのが、本年になりまして、最も需要期である七月において、その金融ができ得ないためにこれを投売をしなければならない。貿易業者はそれを奇貨としてこれを買入れる。かような現象が現われたのでありまして、わずかに九ドルに満たない金額で売つた者もあり、私どもは十二ドルでこれを売つておるのであります。かような点から行きまして、この需要期における金融の今までの措置が、三箇月ないし四箇月この措置ができ得なかつたばかりに、かような安いものを外国に売らなければならないような実態にあるのでありまして、この点十分と将来に考えを及ぼしていただかなければならないではなかろうか、かように考えるものであります。そういたしますのには、何といつても先ほどから皆様の述べられておらるるように、この特殊金融機関を設けるか、市中銀行に対し、また日本銀行政府の施策に忠実に協力しなかつたならば、とうていこの実現をいたすことはできないのではなかろうかと、かように考えるものであります。新聞には、大蔵省において発表され、政府において発表されておるものが、日銀において、また市中銀行において、これを打消すような報道がたまたま見受けられるのでありまして、この点に対する銀行局長の強力なる政治力と、金融機関に対する指導を要望したいと存ずるものであります。  またもう一つは、私どもかねてから業者を代表いたしまして、銀行局長の非常に熱心なる御努力、御協力を得まして、北海道における見返り資金の問題の解決を見たのでありまするが、大蔵当局として、大蔵大臣及び銀行局長は、ほんとうに将来の中小企業家に対する思いやり方が、はつきりと現われておるのでありまするが、この政府の政策を拓殖銀行及び日銀においては、むしろじやまをするというような考え方を持つておるのでありまして、大蔵省において決定された問題も、二週間を経過しておるのでありまするが、いまだに目鼻がつかないというようなのが現状の姿であります。これは一つの証左であります。かようなことで、政府の行わんとすること、政府の政策が——水産庁であろうが、大蔵省であろうが、いかにこれを怠慢にしておつたところで、一週間を経過したならば完全に物事は成り立つものであります。ところが市中銀行においては、内閣の政策に対して、二週間たつても、三週間たつてもその方針を決定しない。かようなことは政府の政策をどのように考えておるか、監督指導の立場におる銀行局長はどのような考え方を持つて金融機関を統率されておられるか、いな指導されておられるか。かような点が、将来政府の政策というものが、まじめに迅速に進行し得るようになるのか、またはただいまのような金融の梗塞を、より以上に深めて行くかということに、非常に大きな関連を持つて来るのでありまして、この点に対する銀行局長の御意見を承りたいと存ずるものであります。
  28. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの状態から申しまして、日本再建にはどうしても輸出貿易の振興ということを期さなければならないと思うのでございますが、水産物の輸出につきまして、その進展に著しく支障を来しておる問題に、金融方法がどうも悪い、この点が大きな作用をしておるように考えるのであります。ただいままでの輸出水産物に対する金融は、貿易業者がライセンスをとりまして、そのライセンスによつて貿易業者に金融をして、そうして貿易業者から生産者の方に金をまわしておる、こういうような状態でございますが、戦争以来日本の貿易業者は、大きい貿易業者というものがほとんどなくなりまして、非常に小さい貿易業者だけが残つておる。このためにその貿易業者の引合いをしておる地方は、ごく小局部だけが引合いをしておる。そこにもし支障を来すと、その貿易業者はほかに品物をまわす部分を持たないのであります。以前のように大きな貿易業者がありますれば、甲の地点に支障を来せば、乙あるいは丙のところに品物を送る、こういうことができるのでございますけれども、今日の貿易業者は、甲という一箇所しか持たない。従つてそこに支障がありますと、ほかの貿易業者によつて輸出するよりほかに方法はない。生産者の立場からしますと、その小さな貿易業者に、金融のためにくくられておりますために、品物は製造したけれども、その貿易業者を通じなければ輸出はできない、こういうような実情にあります。この点は非常に日本の水産貿易の振興を妨げておる大きな一つの原因でありますから、将来の貿易に関する金融は、貿易業者を通じないで、生産者にひとつぜひ直接に金融をしてもらう。そういたしますと、製造いたしました品物は、どの貿易業者を通じてもいい、そのときどきに実行できる貿易業者を使つて、そうして貿易をすることができる。こういうようなことにならなければ、戦後の日本の貿易業者の細分された状態から申しまして、貿易業者を通じて金融をするということは、非常に輸出上大きな支障を来しております。これが第一点。  第二点は、水産物の製造はすべて漁期がございます。この漁期に製造しなければ、一年間遂に製造ができない。こういうような特殊事情がございますから、輸出品に対する水産金融はライセンスだけによらずして、見込み生産によつてぜひ金融をしてもらわなければ、輸出のできる時期になりましても、生産をしなかつたから輸出ができない、こういうようなむずかしい事情がございますから、貿易の金融は生産者に、そうしてライセンスだけの金融でなしに、見込み生産に必要なところの金融をぜひつけなければ、水産の貿易伸展ということは期せられない、こういうふうに考える次第でありますが、現在の矛盾した状態によつて、非常に日本の水産貿易を阻止しておる、この実情に対しまして、舟山局長はいかにお考えになりますか、御意見を承りたいと存ずるのであります。
  29. 小高熹郎

    小高委員 水産金融が著しく不円滑である、不自由であるということから、いろいろ議論がかわされておるのでありますが、私は一般金融が楽になれば、水産金融も緩和するだろうと思う。ところで一般金融が楽にならない。特殊機関としての農林中金等の元請も貧弱である。それじやどうすればいいのだということから、水産に対するところの特殊な金融方途を講じて行かなければいけないという議論に相なつておると思うのであります。一般金融にちよつと触れてみたいと思うのでありますが、今一般金融は各銀行において、きよう入金して、あした引下げられる当座預金等の金をもつてしては、とうてい安心して長期の貸付はできない、こういうことを言うておるのでありますが、これはまことに当然のことと思われるのであります。しからば市中銀行長期の金を預け入れたらどうなるのだ、長期資金を預け入れれば、これが解決するではないか、また農林中金等の特殊機関に、預金部資金等を繰入れたらいいではないか、という議論が当然現われて来るのでありますが、私が仄聞するところによりますと、毎日夜さえ明ければ、郵便局の預金は一億ずつふえておる、年額四百億の郵便局の預金が、預金部資金として増大しておるという事実を聞いておるのでありますが、それを振りかえたらどうか。すなわち水産債券というような、かつて勧業銀行が発行した勧業債券のように、水産債券という債券を発行せしめて、そうして水産債券を発行した場合に、これが二百億発行しても、おそらく二十億か三十億しか消化できないかもしれない、その際に百八十億なり百七十億なりを預金部資金、すなわち郵便局の蓄積したその金で政府が肩がわりしてやる、こういうことをするならば、これは解決するのでありますが、その施策を講じない限り、いつまでたつても解決いたさない。これは市中一般金融においても、やはり同様のことが考えられると思うのであります。今大衆は何で苦しんでおるか、不動産はあるけれども、不動産担保の長期金融がつかない。そこで長期金融をつけてほしい、不動産担保によるところの長期金融をつけてほしいことと、ことに水産業者については、水産独特の金融の方途を設けてもらいたい、こういうところにあるのでございますから、水産債券というものを発行せしめて、もし消化しきれない場合は預金部資金でもつてこれを肩がわりするということをやれば、これは何でもないことです。こういうことをやらなければ、政治も政治家いらぬです。そういう意味において、政府においてはさだめし——ことに舟山銀行局長等は金融の大本山でもありますので、これらの問題については日々御研究なすつておることと思うのでありまするが、こういうやればできることをやることは当然であると思われますので、これらに対して、ひとつ明快なる政府意見を聞かしていただきたいと思うのであります。
  30. 舟山正吉

    舟山政府委員 最近信用状に対する金融が円滑を欠いておる。そのために特に水産のごとく商機を非常に大事にする取引に支障を来したというお尋ねでございますが、この信用状附の貿易手形の金融につきましては、五月ころその声が非常に起つたのでございます。これの原因をいろいろ探索いたしたのでございますが、当時における日銀貸出方針に伴いまして、市中銀行でこのLC附の貿手を割引くことをあとまわしにして、資金の限られておりますときに、この貿手金融を他の、その銀行がやつております普通の金融よりもあとにまわしたということが、この貿手金融の梗塞の大きな原因であるようでございます。そう申しますのも結局銀行資金が足りなかつたからなのでございます。しかしこの貿易振興、従つて貿易手形の扱いということにつきましては、最優先の扱いをしておることは御承知通り、これははなはだ遺憾なことでございましたので、その後政府も注意いたしまして、現在では、その問題は改善されておると確信いたすのでございます。なお貿易手形の問題といたしましては、先ほど申しましたように、そういうあとまわしにされたという問題のほかに、たとえば新しい貿易業者——貿易によつて一旗あげてみようという業者であるが、反面力が足りないという方面におきまして、その金融機関が、その扱う貿手に信用を与えなかつたというような、例外的な事情もあるようでございます。大体は今申し上げたようなことであると思うのであります。ただいまは貿易手形の扱いは非常に改善されておるのでありますが、松田委員の御指摘の通り、対外貿易は商機を尊ぶもので、それらについて金融の不円滑がないように、今後も注意して参りたいと存ずるのであります。  これに関連いたしますが、日銀あるいは市中銀行大蔵省方針に協力しないのではないかというような御指摘でございますが、日銀を含めましてこれらの金融機関は、もちろん大蔵省の政策のもとに動かなければならないのでございます。もちろんこれらの金融機関の信用につきましても、遺憾のないように指導して参りたい。ただこの例としてお示しになりましたような、北海道における高度利用の見返り資金の問題、これらの問題になりますと、金額が一億単位という大きなものになります。そこで市中銀行も、自分の責任において、かつこれを比較的長期にわたつて貸し出すことに相なると思うので、この事前の審査として、いろいろ手続調査等に時間がかかるということも、やむを得ない点もあると思うのでありますが、これらも極力促進をさせまして漁業の仕事をお進めになる上において、御不便のないようにいたして参りたいと存ずるのであります。これは余談にわたるかもしれませんが、本日も関係者に会いましたときに督促しておいたような次第でございます。御了承願いたいと思うのでございます。  次に田口委員のお尋ねで、貿易関係の金融を貿易業者につけるだけでなく、生産者にもつけたらどうかという御意見でございます。現在金融が各方面でなかなかむずかしい問題になつて、そこで貿易金融だけは是が非でも円滑を期さなければならないという扱いにいたしております上におきましては、その商品がぜひ輸出されるものである。必らず輸出されるものであるということを確認しなければならぬ。その意味におきまして貿易業者に着目いたしまして、必らずLCがついておるということを要求いたすわけでございます。生産者といえども、比較的大きいところは、それなりに金融がついておることと思うのであります。どれもこれも生産者に金融をつけまして、見越し生産をさすということにつきましては、なるほど漁業につきましては特殊性はあるように了承いたすのでありますが、それは全体の建前といたしまして困難ではないかと考えておるのでございます。  それから最後に小高委員の御質問といたしまして、政府資金、特に預金部資金を一般金融機関に還元いたすべきであるということでございます。これらにつきましては、私ども鋭意努めておるのでありますが、ただいまのところ、預金部資金につきましては司令部の覚書がございまして、国債の引受け、地方債の引受け、あるいは公団に対する貸付というようなことに限られておりまして、一般金融債券の引受けは認められておらないのであります。私どもといたしましては、これを解決することが非常に現在のいろいろ山積しております金融問題の解決の大きなかぎであると考えまして、努力を続けておる次第でございます。この問題が解決いたしませんと、たとえば水産金庫のごとき特殊の金融機関をこしらえましても、実は資金の調達方法がないわけであります。この普通の債券を出して一般から公募させて、資金をこしらえるということは、特に水産の問題につきましては、なかなか望めないことであります。従つて預金部資金のごとき特殊のものを使うことがきわめて望ましいのでございます。また預金部資金がこういう水産債券のごときものに応募できる建前になりますれば、また特に水産金庫をこしらえませんでも、農林債券あたりを特にひもつきで、この目的のために債券を発行させて、預金部が引受けるということも可能なわけでございます。ここらに問題があると存じまして、解決に向つて努力いたしておる次第であります。
  31. 川端佳夫

    川端委員 私は、先ほど川村委員から、りつぱな答弁をされるがその実行が危ぶまれる部面がしばしばある。あるいは先ほど松田委員から、大蔵省銀行に対するにらみが非常に乏しいのじやないか、そういうことで金融の行き詰まりを業界に非常に及ぼしておる面があるのではないかというような御意見も出ておつたのでありますが、私は漁業手形の例をもつて意見を伺いたいのであります。実は漁業手形積立金が、非常に所期の目的通り進んでおらない。そうしてその三分の一程度しか進んでおらないというようなことで、先ほども銀行局長の話に、あるいはこの制度運用の前途を危ぶんだこともあるというような話もありましたが、実際末端へ行つて見ますと、銀行がこれを扱う態度の上に、非常にあいまいなものがあるのであります。積立てをして、その二倍の金額を借りるという、まずその積立ての前のつなぎ資金として、それだけの程度のものを借りて、そうして生産の何分ずつか納めて行くというようなことで、先に借りるような制度になつておる、あるいは最初二五%を積み立てて、それから金を借りるということになつておりまするけれども、末端の銀行へ行きますと、つなぎ資金を出す。つなぎ資金を出すが、そつくりそれを積み立ててくれ、そういうようなことを談合いたしまして、そしてそれを積み立てる。積み立てるが、そのあと、それじやすぐ二倍相当額を出してくれというような話をしますと、銀行の方に目下手持ちの資金がないというようなことを口実にいたしまして、なかなか出して来ないというような実例があるのです。そうしてこれを、特に静岡あたりは非常に成績のいい所でありますが、静岡においてはそういうような例がありまして、そうして漁業手形の契約を解除するというような実例もあつたのであります。こういう面を銀行局あたりは御存じなのかどうか。末端の銀行においては、ほんとうに運用の万全を期しておらぬというような実例があつて積立てもまた遅れているというような結果になつている面もあるのじやないかと思われるが、銀行局あたりはそれを御存じかどうか。また市中銀行あたりでは、その手持ちの資金の関係というものを、あるいは日銀あたりが手形を適格担保として取扱つて、裏づけしてくれるのなら円滑に出せるのだが、というような態度もある。従つてそういうような方法日銀銀行局あたりが慫慂されて、そういう制度をつくられるお考えを即時に——適格担保として日銀が取扱つて市中銀行資金の裏づけをして行くというようなことを日銀に慫慂される気持を持つておられるかどうかという点を、お伺いいたします。
  32. 舟山正吉

    舟山政府委員 漁業手形の問題につきまして、中央の方針に食い違つておるような方針を、末端においてやつておるのではないかというお尋ねでありますが、銀行局といたしましては、中央において制度をきめたのでありますから、その通りつてもらうことといたしまして、個々の具体的の事例につきまして、気がつきませんことがある場合には、御指摘をいただきまして制度の円滑なる運用を期して参りたいと思つております。
  33. 小高熹郎

    小高委員 先ほど舟山銀行局長からの答弁のうちに、農林債券を発行することも、一つの研究事項であるような意味を含めた答弁がありましたが、私は制度の上から、水産という名目がつけ得られないとするならば、農林水産債券というものを至急発行せしめて、そうしてこの資金を、先ほど申す郵便局の預金部資金をもつて肩がえする。この基礎を確立しない限り、いかように議論をしても、一つの基礎ができないことには、金融の源が確立されないというような点から——これはくどいようでありますが、今日これ以上のお答えをいただかなくてもよろしうございますから、お帰りになつて大臣及び首脳部と御相談の上で、この次御出席の機会にこの答えができるように、ひとつ相談をしていただきたい、そうして答弁を願いたい。これだけお願いしておきます。
  34. 平井義一

    平井委員 漁港の災害予算につきまして、安本の山崎次長にお尋ねいたしたいと思うのであります。一昨日大蔵省の主計局長が見えまして、安本が認証したものはやるということをはつきり申したのでありますが、この点につきまして、山崎次長はいかなる御見解をお持ちであるか。この災害予算の金額国庫負担につきまして、第一、事務的にこれが三百七十億の中から流用できるかどうかということをまずお尋ねする次第であります。  第二点は、これが不可能になる場合におきましては、補正予算において解決をするかどうか。この補正予算につきましては、百億円の予備費の中からこの一億八千万円の災害予算を捻出できるかどうか、あるいはまた来るべき議会において、追加予算でこれを補うかどうか。第三点といたしましては、一と二が不可能な場合におきましては、認証した事項についてはまずこれをやらせまして、支払い義務を二十六年度の予算に特別に組むことができるかどうか。第四点におきましては、一億八千万円の融資であります。これを短期に融資していただいて、来年度の予算が決定いたしましてから、それから支払いをするという融資の面ができ得るかどうか。安本の山崎次長は、この四点についていかなる所見をお持ちであるかということをお聞きしたいと思うのであります。
  35. 山崎小五郎

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。昨年度災害復旧費の補助制度が改善されまして、漁港は道路や河川並みに全額国庫負担になるかどうかという点が、最後までいろいろ問題がありましてきまりませんで、最初の政府の案としましては、漁港は全額国庫負担ではないという線で進んでおりまして、結局議会に入りまして、この委員会で非常な議論がございまして、実質的に漁港についても、相当大きい漁港については、一般港湾と同様に、全額国庫負担運用上やつて行こうというふうな御相談がきまつたと存じております。つきましては、そのかわりました態勢に対して、予算的にどういう措置を講ずるかということになりますが、先ほどから御質問がございましたように、最も正しい方法は、そういう線がきまりましたときにただちに予算につきましてもそれに対応する調節をいたしまして、議会の御承認を得べきが当然だと思います。ところがいろいろいきさつがございまして、その手続がふんでないのでございまして、いわゆる事務的にこの対策を講じなくちやならぬのでございますが、まず最初に現在各河川や道路その他に起きておりまする問題につきまして、これを調節いたすにつきましても、各議会に、いろいろ災害復旧費につきましては各費目別に金が出してございますので、政府だけでできない問題でございまして、この点につきましても、やるといたしましても議会の御承認を得なくてはならないと存じますが、事務的に考えてみまして、この問題は次の問題にありました予備金の方から何とか操作ができるという面がありますれば、そららの方がいい案でございまして、私どもといたしましては、できれば第二の案の、現在ありまする予備金の中から漁港の災害復旧費の調節をするのが、実質的には非常に望ましい案だと存じております。ただこれは形式論から申し上げますと、この百億の災害復旧費というものは、その予算書に本年度発生した災害ということが明示してありますので、この点につきましても、政府でやるといたしましても議会の承認を経てやるということになると思います。  その次に第三点の、それができない場合については、一応先ほどから申し上げました線で行きますが、ことしの予算的措置は年度をずらしてもらつてつてもらいまして、事業量は一応ことしの線でやつてもらつて、全額国庫負担をするに足らない部分だけは来年度の予算支出ということで見て行く第三の考え方もございますが、これも予算技術的に申しますと、いわゆる国庫負担契約の一種でありまして、政府だけでかつてにできるものではないのでありまして、やはり議会の御承認を得てやるというかつこうになるのであります。そういうことをやるにいたしましても、第四の御質問として御指摘になりましたように、おそらく地方といたしましては、金のあとの措置は来年度までにするにしても、工事をやつている場所といたしましては、当然必要な資金はいるわけでございまして、その資金はおそらく一時借入金か何かで融資するかつこうになると存じております。そういう措置をとらない限りは万全の措置がとりにくいのでございます。私どもといたしましては、第一の、各省で一応きまつておりまする災害復旧費につきましては、やはり水産と同様に事業計画ができて済んでおりますので、途中においてそれを措置することは、実質的に非常に困難でありますので、できれば第二の線あるいは第三の線で、そういうふうに委員会等できまつております以上は、その措置だけは講ずるように努力をいたしたいと思つております。この点につきましては、まず政府部内で大蔵省あるいは関係方面等につきましても御了解を得なければなりませんが、それができますればなお議会の方の御承認を得てやる、私どもといたしましてはできるだけその措置を、御期待に沿うように解決をいたしたいというように存じております。
  36. 平井義一

    平井委員 山崎次長の御説明で大体了承したのでありますが、こういう予算の問題になりますと、大蔵省は安本に責任があるごとく言います。安本といたしましては、金を握つているのは大蔵省であるというふうで、大蔵省は安本に責任を塗りつけ、安本はまた大蔵省にその責任の所在があるがごとく、問題を繰返しております場合においては、これが解決を見ないのでありますから、安本といたしましては、大蔵当局と十分打合せ、また十分研究して、すみやかに解決をするようにお願いをして私の質問を打切る次第であります。
  37. 久野忠治

    ○久野委員 ただいまの次長の観念的なお話では、私は絶対に了承できません。これはもちろん災害復旧費が全額国庫負担ときまつた場合に、漁港だけが除外されたというのはもつてのほかである。それが今日まで放任されておるということは、これは地方的にも非常に重大な問題である。私の方の事情から申し上げましても、一方に運輸省関係のものを全額国庫負担をやつておるにかかわらず、すぐ隣の漁港が地元負担が課せられておるというようなことは、地方的にも政府そのものに対する不信の声も高まつておる。これは議会側といたしましても、この問題は当然取上げまして、早急に解決をつけなければならぬ問題であると私は考えております。しかしながらただいま御説明がありまして、一応はそういう取扱い方が妥当ではありましようけれども、われわれから考えますれば、なおそこに幾ばくかの予算上の措置においてゆとりが出て来るのではないか、それは省内におけるゆとりではない。例をあげて申しますと、私は建設委員会に長らくおりましたが、二十四年度に査定を受けて、二十五年度に予算づけられた箇所が、すでに本年度の災害で決壊した場所なのです。そうすると新しい工事箇所として申請をいたしますれば、当然前年度に予算づけられたものはおそらく抹消されると思う。そういう場合が起きて来る。その場合には当然予算が浮かび上つて来ると思いますので、各省間において、お互いに融通ある認証の変更をおやりになれば、これはでき得ると思う。五千万円や一億くらいの金は、予算上の、何と言いますか、融通によつてでき得るように私は考えておるのであります。そういうことが安本当局ででき得ないと言われればやむを得ないのでありますが、先般大蔵省の方がおいでになつた場合に、安本当局が認証変更をやつてくれさえすれば、必ずこれはできます。私の方は出しますということを、大蔵省側がはつきり言明しております。この問題は一にかかつて安本御当局の誠意ある御解決のあるやなしやにかかつておりますので、どうかそうした意味合いにおきましても、もう少し、いかなる方法をもつてすればそれが妥結できるかという、誠意ある御回答を願いたい。
  38. 川端佳夫

    川端委員 今ちよつと久野さんからお話がございましたが、ただいま次長のお話の二案、三案というような方法になりますと、二十三年度の残の五〇%、二十四年度の残りの二一%、こういう事業量が含まれての四億四千万円になつており、これが全額国庫負担になれば、当然その額がふえなければならぬ。そういう事業の計画を織り込みながら、そのうちであるものを翌年に残すという方法は、どういう方法でお立てになりますか。
  39. 山崎小五郎

    ○山崎説明員 まず最初の御質問でございますが、私が申しましたのは各省のつけてあります災害の中から、できるだけ一次的に考えるという努力をしないとは決して申しておるのではございません。当然その問題が第一操作でありまして、それをやつてみまして、その結果どうしてもカバーのできない場合は、二案、三案のような方法考えると申し上げたのでありまして、その点は御了承願いたいと思います。  それから次の問題でございますが、これは結局、私どもから申しますと、前の予算が全額国庫負担でないという建前でできておりますので、それを全額国庫負担にするのは、その結果、結局事業量が減るということになりますので、事業量を減らして全額国庫負担をしてみても何にもならないことであつてそれを救うためには事業量を減さない。予算は今のわくで事業量を減さないという考え方をすれば、まず予備費からこれを出して行く、あるいは予備費からいろいろ議論があつて出せないということになりますと、事業だけは今度減さないでやつてもらいまして、そのあとの金の操作を来年の予算でやるというふうな、来年度の災害費をつけるときに、その漁港につきまして、その部分を織り込んで予算をつけるというふうな自主的な考え方でございますが、これも先ほど申し上げましたように、厳密なことを申しますと、国庫負担契約というようなかつこうになります。あるいはそれについても、現実の資金のためには、やはり一時借入金をもしなければ処置ができないので、われわれといたしましては、ひとつできるだけ先ほど申しました、現在あります災害復旧費の中での操作、これができなければ予算金の中から出して行くことが、一番いいんじやないかと思います。
  40. 川端佳夫

    川端委員 今のお話を伺いますと、どうも安本の事務当局というのは、国庫負担法律がきまつても、事務的にできにくいものは、押してそれを裏づけることはしないのだという法律がきまつて、方向が決定されながら、イージー・ゴーイングに行こうというような考え方が見えるように思うのであります。全額国庫負担の方向を決定されて、いわば事務当局に対しては至上命令でする、その方向を決定された以上は、これを裏づける予算措置は、万難を排してやられることを、あなた方は猛反省をもつて考えてもらわなければならぬ。要するに、どうも事務的に多少困難だから、安易な方法へというような、非常に消極的な態度が見えると思うのであります。私は今のお話を伺つて——もうくどくは言いませんが、もう少し熱意をもつて、積極的にこの裏づけをやつてもらわなければならぬと思います。
  41. 久野忠治

    ○久野委員 それでは私の結論だけをちよつと申し上げますが、各省間における予算の認証がえはできますか。
  42. 山崎小五郎

    ○山崎説明員 できます。
  43. 久野忠治

    ○久野委員 それならただいま私が例を申し上げたように、建設省において二十三年災、四年災で今年度予算づけられた箇所がある、ところが二十五年の新規災害によつて決壊した箇所があつて、そのために二十三年災四年災は消されて、新しく二十五年災として査定を受けた箇所がある、そうすれは当然二十五年災として予定された予算というものは浮び上つて来ると思う。そういうものをなぜ一方で不公平な立場に置かれているところへ認証がえしてくださらないか。これはでき得ないわけはない。この額はおそらく全国では数億に達しておる。この間私は査定官について各省をまわりましたが、私のまわつた個所だけでも相当額出ている。それを各省のセクシヨナリズムによつて、あくまでも建設省が、おれの方のわくだからおれの方がこれは処理するということであるならば、このセクシヨナリズムを打破するくらいの覚悟がなくて、どうして安本当局はこれができるか。私は先般まで建設委員会に席を置いておりましたので、この間の事情はよく知つておるのでありますが、とにかく特例か何かをあなたがお出しになれば、これは即座に解決する、少くとも全国では数億という予算が浮び上つて来る、そういうことができるかでき得ないか、できるとすればこれはいつごろできるか、ひとつここで言明を願いたい。
  44. 山崎小五郎

    ○山崎説明員 今のお話のように、まず第一の段階としては、各省についておりますものの調節の問題であります。これは形式的には安本が決議すればできるということになつておりますが、実質的には各省が十分連絡をとりまして、いろいろ具体的に考えてみなければならないので、ただいま御指摘のような方向で私はできるだけ努力をする。そうしましてなおできなければ、第二段三段の点も考えておるのでございまして、それは私どもできるだけ努力をいたします。
  45. 川村善八郎

    川村委員 山崎次長に御参考までに申し上げます。実は災害に関する国庫負担の特例法が設けられる時分に港湾というものに漁港も含まれておるという、いわゆる主計局長の御答弁があつたのであります。で私は含まれておると言うけれども、取扱いはいつでも差別待遇を受けておるから、ぜひ漁港並びに港湾と入れろと主張したのであります。ところが主計局長のいわく、入れなくとも必ずあなた方の要望にこたえて、全額国庫負担においてやりますということを言明されたのであります。どうかその言明に基いてぜひ実行せしむるように安本では立案をいたしまして、強力に御主張あらんことを特に御参考までに申し上げておきます。  さらに次に私がお伺いいたしますことは、漁業法の制定に伴うところの疑義のある点を二、三明らかにしたいと存じますので、水産庁当局にお伺いいたしたいと思います。  水産当局がかつて国会の委員会において説明したことと違つておる事実が現われましたので、特に私はこの際明らかにしたいと思いますことは、第一に漁業法施行法第四條には、漁業権の貸付契約の解除等の制限になつておりますので御参考までに読みますと、「第四條漁業権の貸付契約であつて新法施行の際現に存するものについては、借受人が賃貸料を滞納する等信義に反する行為がある場合、一時的に貸し付けた場合、貸付契約の内容が事情の変更によつて妥当でなくなつた場合その他正当の事由がある場合を除き、その解除若しくは解約(合意解約を含む。)をし、又は更新を拒むことができない。」二項に「前項の貸付契約の解除若しくは解約(合意解約を含む。)をし、又は更新を拒もうとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。」こうなつておりますが、これは解除の場合のことのみを現わしておるのでありまして、貸付の契約の変更とかいうようなことは、一方的の意思においてできるものであるかどうか。たとえて言いますと、借人が承服しない場合でも貸主がかつてこれを変更することができるかどうか。もしそれがどうしても一方的に解除しなければならぬとなつた場合に、都道府県知事の承認さへ受ければこれが解除ができるかどうかということを、まずもつてお伺いしたいのであります。
  46. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お尋ねの第四條の解釈の問題でございますが、この規定はさきに廃止になりました。漁業権等臨時措置法とまつたく同一の規定でございまして漁業法の実施の準備期間中におきまして、いろいろ不当に契約等あるいは経営者が変更されるといつたようなことを防止するという意味の趣旨の規定でございます。従いまして、お話通り、この規定にございますように、新法施行の際に現に存する貸付契約につきまして解除を禁止し、あるいは更新の拒否を禁止いたしておるのでありまして、それをやります場合には、やむを得ない場合に限つて、知事の認可を受けてやるということになつておるのでございます。従いまして契約内容の問題につきましては、この規定にはないのでございまして、一般の法理に従いまして、当事者の合意がございますれば自由にできるという建前になつておるのでございます。しかしながら貸付人が一方的に要求して、賃借人がそれに応じないような場合があるわけでございますが、その場合は知事の認可を受けて解除し、または更新の処置ができるというような解釈になるのでございます。しかしながら知事が認可をするにあたりましては、この規定にございますように、貸付契約を変更せんとする場合におきまして、従来の契約内容が事情の変更等によつて妥当でなくなつた場合でありますとか、その他の正当な事由がある場合というようなものであるかどうかを検討して、認可を与えるというふうな建前になつておるのでございます。
  47. 川村善八郎

    川村委員 そうしますと、知事の認可さえ受ければ拒否もできれば変更もできるというふうに解釈できるのでありますが、もし知事が不当な認可を与えた、もちろん知事は施行法の四條の第三項に海区調整委員会意見を聞いて承認を与えるかいなかを決するということになつておりますが、もしそれでも不当な承認を与えて解徐したという場合には、解除された賃借人はこれを提訴することができるかどうかという問題をお伺いしておきます。  それから次にお伺いいたしますことは、漁業法がいよいよ施行されまして、八月の十五日には海区調整委員会委員の選挙に相なるのであります。もちろんこの海区調整委員会と中央漁業調整審議会はこの法の運用のよきも悪しきも、すなわち重大な責任を持つものでありますから、特に私はお伺いするのであります。それで中央漁業調整審議会の委員選任については、もうすつかり水産庁は黒星をつけたということは明らかになつておりますので、特にこの場合明らかにしておくのであります。  まず八十五條に学識経験者と公益代表から知事が選任をすることに相なつております。そこで学識経験者という解釈であります。私の解釈は学識者と経験者とはそれは同一の場合もあるでありましようが、別な角度に現われるものじやなかろうか。すなわち学識者または体験者、こうするのがほんとうだと思います。学識者でありいわゆる経験者である人が漁業を経営しておれば理想でありますけれども、なかなかそういうわけには行きませんが、学識経験者と続けて読むと一つのものに見られますが、私たちは常にこの漁業の経営その他漁業の問題を処する上において学識者と経験者とは違つておるという解釈を持つておりますのですが、この点はどういうふうに水産庁として解釈をしておりますか、その点をお伺いしたいのであります。
  48. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 学識経験者と一般に規定がございました場合につきまして、通常の場合におきましては、当該事業に経験のあるといつたような点に重点をおく場合と、それから純然たる学者的な学識者といつたようなところに重点をおく場合と、二通り解釈しておるのでありまして、具体的な海区調整委員会の専任委員の選考方針につきましては、目下いろいろと補償委員会並びに内水面の管理委員会等の専任委員等の関係もございますので、慎重にその方針を考究をして、近いうちに決定いたしまして、各府県に通知をするというふうな段取りになつておるのでございます。御質問のございました学識経験といつたような問題につきましても、海区委員会の性格等から見まして妥当な選任ができますような方針考えて参りたい。かように存ずるのでございます。
  49. 川村善八郎

    川村委員 ただいま松任谷次長の御答弁で、大体私の考えているように、学識者と経験者とはこれは二通り考えてよいということでありますので、私もその通り了承しておきます。  次に、この公益者代表とみなされるもの、こうしたようなことも法律にうたつておりますが、公益者とはどういう人を公益者とみなすか、その点をまずお伺いいたします。
  50. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お尋ねの海区委員会におきまして、委員のうち公益を代表する人を選任することになつておるのでございますが、この公益と申しますのは、広く漁業のみならず、一般の産業等の関連等を判断いたしまして、国民と申しますか、地域に限定がございまするが、その地域における一般の都道府県の各般の事情を、漁業との関連において調整できるような立場の人を考えております。端的に申しますと、具体的な例が悪いとは思いまするが、町長といつたような立場の方が、常識的に考えまして公益を代表できるということも言い得るのではないかと思つております。
  51. 川村善八郎

    川村委員 ただいま公益者代表というのは、大体において市町村長であるというようなことでありますが、市町村長必ずしも私は公益を代表しているものではないとも考えられる場合があると思います。要するに、漁業が主たるいわゆるその地方経済を受け持つているという場合は、あるいは漁業協同組合長でも、公益者代表でなかろうか、あるいはその他大都市には、いわゆる商工会といつたようなものもあるのでありますが、漁業と関連してこれらも公益代表とするといつたような場合もありますので、必ずしも市町村長のみが公益代表でないと思いますが、この点の御見解はいかがでございましようか。
  52. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 私は単に一例を申し上げたのみでございまして、市町村長だけが公益を代表するというような意味ではございませんで、市町村長というような立場になつておりますと、その地域全体の産業なりその他諸般の関係が見られるし、また全体の村民なり町民なりの利益が代表できるといつたような意味合におきまして一つの例としまして申し上げたのであります。
  53. 川村善八郎

    川村委員 次にお伺いいたしますことは、漁業法の第九十五條に、委員は、都道府県の議員を兼ねることができない、いわゆる、兼職の禁止となつております。そこでこれは都道府県とうたつておりますが、かつて北海道では、この国会の委員会において、市町村に置くということを明らかにしたのであります。すなわち北海道は市町村ごとに海区を設置するということを明らかにしたのであります。ところで、その当時北海道では、海区が市町村で制定される以上は、市町村議会の議員が、海区の委員を兼ねることができないというような解釈をしておつた向きもあつたのでありますが、今度はその国会で説明したことは御破算になつてしまつて、いわゆる数箇町村を単位とした海区調整委員会ができた。しかしながら選挙に関しては市町村の管理委員会がこれを管理するということを八十五條にはつきりうたつております。でありますので、こうした面からいつて、北海道は、市町村に関する問題は御破算と考えて、やはり兼職のできない者は、道会議員だけと解釈していいかどうか。これをまずもつてお伺いいたします。
  54. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お尋ねの点は、漁業法の九十五條に兼職禁止の規定がございまして、海区委員は、都道府県の議会の議員と兼ねることができないという一條があるのでございます。この趣旨は立法機関というものと行政機関というものが混同されるということのないようにという趣旨でございまして、市町村の議員につきましては、法律において明文がございませんし、法律上可能であるというふうに解釈しておるのでございます。従いまして、これは具体的に実は通牒も出ておるのでございますが、市町村の議員と、海区漁業調整委員会委員との兼職を禁止する積極的な規定がないので、現在市町村の議会の議員の地位にある者は、海区漁業調整委員会委員選挙に立候補することができるし、また当選した後といえども委員とその議員を兼ねることが可能であるというふうに出ておるのでございます。ところが、ちよつとお断り申し上げて御注意願います点といたしましては、公職選挙法というもの、これはいろいろのいきさつを経てあとから公布になつたのでございますが、それによりますと、海区漁業調整委員会委員である者が、今度は反対に、その期間中に市町村の議会の議員の任期満了等の関係で選挙が施行された場合について、これらの候補者として立候補する場合につきましては、公職選挙法の八十九條及び九十條といつたような規定によりまして海区漁業調整委員会委員を辞職しなければならぬというようなことになつているのでございまして、この場合につきましては、結果的には兼職ができなくなるというようなことに相なるわけでございます。従いまして、この点は、はなはだ漁業法の建前と公職選挙法の建前とが食い違つたような関係になるわけでございますが、現在の法規の規定から申しますと、かような結果になつているのでございます。
  55. 川村善八郎

    川村委員 それで大体市町村会議員の兼職が事実上できないというようなことが明らかになつたので、その点はまず私了承いたします。  そこで今度は、中央漁業調整審議会の委員とそれから海区調整委員会との委員でありますが、これは参衆両院に対しては兼職ができるともできぬとも規定はありません。多分国会議員は国会法によつて兼職を禁止されているので、この漁業法にうたわないのだ、かように考えますが、この点はどう解釈したらいいでしよう。
  56. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話通り、国会議員の方々につきましては、国会法三十九條という規定がございますので、それによりまして規制されるということになるのでございます。三十九條は、議員は一定の場合を除きまして、任期中、国または地方公共団体の公務員と兼ねることはできない。しかしながら国会の議決に基きまして、その任期中内閣行政各部における各種の委員、顧問、参与、その他これに準ずる職務につく場合はこの限りでない、という規定があるのでございます。従いまして、中央漁業調整審議会の委員との兼職につきましては、その但書によりまして、国会議員の方々にも国会の議決があればできるのでございますが、海区漁業調整委員会委員につきましては、内閣行政各部における規定に該当いたしませんので、兼任することはできないというようなことになるわけでございます。
  57. 川村善八郎

    川村委員 大体兼職の禁止については明らかになつたので、これ以上御質問申し上げません。ただ最後に一点お伺いしておきたいことは、私たちは漁業法の審議中に総司令部と折衡をしたのであります。その場合に、兼職についてずいぶん強い意見があつたことは事実であります。大体兼職を禁止するということは、ただいま部長の答弁した以外にいわゆる中央漁業調整審議会なり、あるいは海区漁業調整委員会なりが政治化されてはいけない。つまり政治の具に供されてはおもしろくない、あるいは政党がこれに介在してはおもしろくない。従つて、これはどこまでも兼職の禁止をしなければならない。そういう強い意見をわれわれは聞かされたのです。従つて、私たちは今日までかように思つておりましたが、ここに水産経済新聞にかようなことが出ております。「政党、漁調委選挙戦に着手、社会、特別対策本部を設置、漁村の党勢拡張を強力推進か」こういう見出しで、以下読みますことが記載されているのであります。「社会党では去る八日の党中央委員会において、漁業調整委員選挙に活発な党活動を開始するむねを討議し、具体的には関係支部連合会に特別対策本部を早急に設置する等が決定された。これは明らかに参議院議員青山漁民対策部長より提議されたものであるが、社会党としてはさきに鈴木、奥村の水産関係議員を失い、党の水産方面に対する運動が手薄と見られるところから、本選挙を機として漁村方面の党勢拡張を行わんとするものと推測され、党本部においても本案を積極的に推進するものと予想されるが、この社会党の漁調委選挙の対策採択を機として他政党においても同様対策案が本格化するものと思われ動向が注目される」かように記載されておるのであります。そこで私が先ほど申し上げましたように、司令部から相当強い意見として、政党化すとか、あるいはこの両委員会を政治の具に供するというようなことは、これは絶対思わしくない、こういう御意見があつたのでありますが、もしこの両委員会の選挙におきまして、各政党が競うて政治問題として取上げるとするならば せつかくの漁業法が漁業の民主化をはかろうという線において、大画期的改革をされたのでありますが、これが破壊されるおそれがないか、どうかということを懸念するものであります。かつて中央漁業調整審議会の委員選任するにあたりましても、司令部の相当の勧告があつたということも聞いております。さらに海区の設置問題についても、司令部から非常に強い勧告があつたということも承つております。今かような新聞に出たことに対して、この問題をどう処理するかという点について、司令部に水産庁が伺いを立てる意思ありやいなやということをまず伺いたいと思います。
  58. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 ただいまのお話は、私初めて承つたのでありますが、その事実の有無を確めまして、一応司令部側の考え方も聞いてみたいと思つております。その答弁はあとでいたしたいと思います。
  59. 川村善八郎

    川村委員 今家坂長官は初めて承つたとおつしやつて多分水産庁にも行つておるはずでありますので、これはかりに長官がごらんにならぬでも、おそらく水産経済新聞である以上は、各課長なり、係なり、その職員が見ておるはずであります。私たちは決して社会党の政治運動のじやまをするというのではありません。  漁業の民主化から各政党がこれを政治の問題として取上げるならば、もういつでもこれは政党で調整委員会運営なりあるいは中央漁業調整審議会の運営なりに干渉することを私たちは恐れるのであります。この干渉によつて漁業の民主化が阻害されるということを恐れるのであります。従つて私はこの委員の選挙にあたつて、政党はすべからく公平の立場において監視すべきであつて、介在すべきではないという私は解釈を持つておるのであります。この点において長官の見解はいかがでありましようか。若し私と見解が同じであつたとするならば、一日も早く司令部の方へ意見を伺つて、そうしてそれぞれ手配をすべきではなかろうかと考えるのであります。もし政治運動が可なりとするならば、わが党でも積極的に運動をして、これはもう中央漁業審議会なりあるいは海区調整委員会委員の選挙に猛運動をしたいという私は所存を持つております。この点をどうか一日も早く解決つけられるようにお願いすると同時に、長官の御所信を伺いたいのであります。
  60. 家坂孝平

    ○家坂政府委員 調整委員会の性格から申しましても、これをあまりに政党色を濃厚ならしめる委員を選ぶというようなことに至りますことは、好ましくないと私は考えます。そういつた考え方に沿いましてなお司令部側の考え方も確めたいと、かように考えております。
  61. 石原圓吉

    石原委員 ちよつと時間が遅れましたけれども、一言委員長に希望を申し述べておきたいのであります。  先刻漁港の災害復旧に関する問題が相当論議されたのでありますが、私は非常に心細い感じがするのであります。御承知のように漁業法案ができまして、次年度には相当多額の予算を計上させなければならぬということは、お互いにそのときより深く決意をしておつた次第であります。その場合におきまして安本があのような気持であつては、私は非常に前途を心配するのであります。ゆえに水産庁にあつても、その次年度の予算の計上については、よほど決意を持つて増額に努力せねばならぬと思うのでありますが、それについては安本の方の態度がまず鞏固でなければいかぬと思うのでありまして、次の委員会には安本の新長官の出席を求め、その心構えを十分ただす機会をつくられんことをここに要望しておきます。
  62. 冨永格五郎

    冨永委員長 お答えいたします。趣旨に沿うようにいたします。  本日はこの程度で終ることにいたします。なお次会は十九日午前九時三十分より理事会、午前十時より委員会を開会いたします。  なお小委員長各位におかれましては理事会に御出席をお願い申し上げます。議題は本日議題になりました三件と、それに漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案が去る十三日に付託されておりますので、これを議題に追加して審議いたしたいと思います。  先ほど地方行政委員会との連合審査会開会の申入れを決議いたしましたが、地方行政委員会の方で、本日の午後ならば都合がよいということでありますので、地方行政委員会、大蔵委員会、農林委員会、通商産業委員会連合審査会再開より連合審査会の方へ御出席を願います。  この機会に申し上げますが、小委員会も設置されておりまして、小委員会活動も始まろうとしておりますが、小委員会において審査しております事件でありましても、重要な問題は委員会においてもこれを取上げて、小委員会と並行して審査いたす場合がありますから御了承願います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時二分散会