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1950-07-15 第8回国会 衆議院 水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十五日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       久野 忠治君    鈴木 善幸君       田口長治郎君    永田  節君       平井 義一君    福田 喜東君       松田 鐵藏君    林  好次君       水野彦治郎君    上林與市郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         農林政務次官  島村 軍次君         水産庁長官   家坂 孝平君  委員外出席者         大蔵主計官   佐竹  浩君         大蔵主計官   鈴木 喜治君         農林事務次官  山添 利作君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君         農 林 技 官         (水産庁生産部         長)      十川 正夫君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 齋藤 一郎君     ————————————— 七月十三日  漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律  案(参議院提出 第七回国会参法第五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事互選  小委員会設置に関する件  水産行政に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  お諮りいたします。去る十二日に委員が改選されましたので、これに伴つて理事互選を行わねばなりませんが、その方法はいかがいたしましようか。
  3. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 理事はその数を五名といたしまして、委員長において指名されんことを要望いたします。
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいまの鈴木君の御動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議ないと認めまして   小高 熹郎君  川端 佳夫君   田口長治郎君  林  好次君   上林與市郎君  以上の五名を理事に指名いたします。     —————————————
  6. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に小委員会設置についてお諮りいたします。去る十三日議長に提出いたしました国政調査承認要求書に対しまして、同日議長承認を得ましたので、これに基きまして小委員会設置いたしまして、調査事項を慎重に審査いたしたいと考えております。それは次の六つを予定しております。漁業制度に関する小委員会漁業経営安定に関する小委員会水産金融に関する小委員会戦災漁場復旧に関する小委員会水産貿易に関する小委員会水産行政の充実に関する小委員会、以上の六つの小委員を設けまして、審査の慎重を期して参りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、以上の小委員会設置することに決定いたしました。  なお次にこれらの小委員会の各小委員及び小委員長選任をいたすのでありますが、委員各位の御意見、御希望もあることと思いますので、委員長の手元にそれぞれ希望の旨をお出し願いまして、これを参照して、理事会において決定いたしたいと思います。なお選任方法につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めましてさようとりはからいます。     —————————————
  9. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁港災害国庫助成予算に関する件、漁船保険に関する件、及び水産金融に関する件を議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。鈴木善幸君。
  10. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 まず漁船保険に関する件につきまして農林当局質疑を行いたいと存じます。  わが国漁船保険制度は、漁業における災害補償唯一制度でございます。農業におきましては、御承知通り農業災害補償法等がございまして、手厚い国の保護を受けておるのでありますが、漁業におきましては全漁民諸君要望がありますにかかわらず、漁業災害補償法等制定をいまだ見ていないことは、遺憾に存ずるのであります。ただここに漁船保険制度のみが、漁民諸君唯一の財産であるところの漁船対象といたしまして、漁民共済制度として存立いたしておるのでありますが、この重要な、しか唯一災害補償制度に対しまして、今日まで政府のとつて参りました態度はきわめて冷淡であり、無施策であるとわれわれは考えるものであります。この漁船保険は、民間の保険会社等が救済できないところの無動力船、あるいは動力船にしましても、きわめて規模の小さい、いわゆる零細漁民対象としておる制度でございますから、その保険組合にいたしましても、また国の再保険の面からいたしましても、きわめて採算のとれない救済的な施設にこの実情が相なつておるのであります。そこで戦争中以来戦後にかけまして多大の漁船が遭難をいたしておるのでありますが、この採算のとれないような零細漁船対象といたしまする結果、その漁船保険経済はきわめて今日危機に瀕しておると申さなければならぬのであります。戦争によるところの災害だけにいたしましても、約五千万円に上るところの特別会計赤字を来しておりますし、また最近頻発いたしますところの異常災害によるところの災害を見ましても、その損害は三千万円程度に及んでおるのであります。これら約八千万円に及びます戦争あるいは災害によるところの漁船損害、これによるところの特別会計の大きな赤字を補填いたしますのには、零細漁業者が今後納めますところの保険料によつては、とうていその赤字を補填することができない。これがわが国漁船保険制度実情であります。これを放置いたしますれば、せつかく唯一のこの漁船保険制度はまつたく危機に瀕し、この制度の運用は不可能に相なると思うのであります。また農業災害補償制度に対しましては、政府におきましては一般会計から十億三千万円の繰入れをいたしておりますし、また食糧管理特別会計から二十六億九千万円の繰入れをいたしております。こういうふうに約四十億になんなんとするところの基金を、一般会計並びに食糧管理特別会計から、農業災害補償制度に対しまして繰入れをいたしまして、これを基金として運用いたしておるにかかわらず、漁船保険に対しましては、何らこれらの対策が講ぜられていない。私どもは、このように農業に比較いたしまして重要なる産業であるところの漁業に対して、政府がとつて来たところの対策がきわめて冷淡であるということを、遺憾に思うのであります。これに対しまして、農林当局はいかなる対策をお立てになつておるか。近く省議におきまして、二十六年度予算編成、あるいは補正予算に対する方針を確立さるるやに聞いておるのでありまするが、省議においてすみやかにこれらの対策を確立されて、安本あるいは大蔵当局に対して、強力にこれが実現に当らるる御意思があるかどうか、これらの点につきまして山添次官より御答弁を煩わしたいと存じます。
  11. 山添利作

    山添説明員 ただいま御指摘になりましたように、農業関係におきましては、保険という名前補償というような名前に切りかえておるのであります。この思想は、内容保険基礎としつつ、農業に対する国の補償という思想が表われたのでありまして、そういうことと同時に、一面最近におけるドツジ政策によりまして、各特別会計をも通じて赤字のバランスをとるというようなことから、特別の繰入れ制度というものをとつておるのであります。漁船の方におきましては、そういう考え方程度が、御指摘のようにまだ薄いのが現状でございます。また内容におきましていろいろ問題があるようでございまするが、これにつきましては、十分研究の上、ただいまお述べになりました御趣旨のような方向で研究をいたしたい。漁船の問題も、事は零細なる漁民に関することでございまするので、これは思想的にも、農業に対するものとさしたる区別をなすべきでないと考えておる次第であります。従つて適切にしてかつ合理的なる案を得ることに努め、それによつて案を得ましたならば、関係方面とも十分折衝に努めたいと考えておる次第であります。
  12. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 次官の御答弁で大体御当局の意図はわかつたのでありますが、国が再保険をいたしております以上は、この保険金支払い等につきまして、災害を受けた漁民に対して、緊急にこれが支払いを行いまして、今日深刻な金融難にあえいでおりますところの面からいたしましても、代船建造その他に支障を来たすことのないように、十分なる御配慮を願いたいと思うのであります。そういう意味合いからいたしまして、先ほど申し上げましたところの異常災害による損失、また戦時中のほとんど保険組合では支払い不能に近いところの五千万円の赤字、これらを考慮いたしますと同時に、なお農業災害保償法政府がとつておりますように、支払い資金一般会計から御支出になることが必要であります。これらを合算いたしますと、私ども三億程度一般会計からの支出が必要であると思うのでありますが、少くとも八千万円の赤字補填と、一億程度資金計上、これは最低の線として、ぜひとも来るべき補正予算編成、あるいは遅くとも二十六年度予算には、ただいま次官から御答弁のありました御趣旨を必ず実現していただくように、特に希望を申し上げる次第であります。  次に漁港災害に関するところの予算措置に関しまして、農林当局大蔵省及び安本に対しまして、お尋ねをいたしたいと存じます。  漁港災害復旧に関する国の補助金の問題につきましては、去る第七国会におきまして、本委員会の重大な問題として取上げまして、その際関係各省に対していろいろ折衝を続けました結果、一般港湾と同様に、漁港災害復旧に関しましても、全額国庫助成を行うという決定を見ておるのであります。すなわち昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律の中には、漁港ということは明記いたしておりませんけれども漁港に対する適用についての覚書というものが、経済安定本部建設局長大蔵省主計局長水産庁次長地方自治庁財政部長の四者の間に交換されておりまして漁港災害につきましても、国の助成全額をもつてこれを行うということに決定を見ておるのであります。しかるにこのような決定をいたしておりますにかかわらず、その予算措置が十分に講ぜられていない。現在政府計上しております額は四億四千万円であります。この四億四千万円の予算をもつていたしましては、二十三年度災の残量の五〇%、二十四年度災の二一%という事業量をまかなうには十分でありません。もともとこの四億四千万円の予算は、従来の補助率すなわち半額助成基礎といたしまして計上したところの予算額であります。従いまして漁港災害に対する全額国庫助成決定がなされました以上は、その予算補正を加えることが、当然事務的に行われなければならぬと思うものでありますが、これが何ら行われていない。今後水産当局やあるいは安本当局大蔵当局は、これらの措置をいかにされる御所存であるか、この点について関係当局より御答弁を願いたいと思います。
  13. 家坂孝平

    家坂政府委員 漁港災害復旧に対しましては、昭和二十五年度の事業量は、当初経済安定本部におきまして、各年度災害について、おのおのその残工事量に対する一定比率によつて定められておつたのであります。これに対しまして、従来予算的措置としまして定められていた補助率適用して、漁港災害復旧に対しては、総額四億四千万円の補助金が一応解決されておつたのであります。当時は昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律を立案中であつたのでありますが、漁港適用から除外するという考え方であつたので、従前通り補助率で算定されたのであります。右の考え方は妥当でないので、これを是正するため各方面から強力に推進しました結果、前述の特例法が公布されたときには、この法律漁港にも適用することが確認されまして、具体的には経済安定本部大蔵省地方自治庁水産庁の四者間の覚書となつて解決を見ているのであります。従つて当然予算上におきましても増額の措置をとるべきで、水産庁としましては、この確定に伴う国費の増加分として、一億八千万円の要求をしておりますが、いまだ解決を見ていないのであります。既定公共事業災害復旧費わく内における操作によりまして解決されんことを要望しておるのでありますが、これが困難な場合は、追加予算計上されたいことを願つておるのであります。
  14. 佐竹浩

    佐竹説明員 主計局長が後ほど参る予定でございますが、とりあえず私からお答えいたします。  この災害復旧全額国庫負担特例に関する法律というものの漁港に対する適用につきましては、先ほど御指摘のありましたように、たしか漁港もこれを含めるのだということが、覚書によつて確定しておるのであります。そこでわれわれといたしましては、二十五年度におきましては、漁港に対して災害復旧費全額つけて行くということについて少しも問題はないのでありますが、ただ何分にも問題は予算わくでございまして、先ほど来御指摘のごとく、災害復旧費予算額としては四億四千万円計上されておるのでありますが、これをもつてしてはとうてい足りない。これもまたまことにごもつともなことであると存じます。しからばいかにするかということでありますが、道は二つしかないと思うのであります。一つ既定公共事業予算約一千億ございますが、このうちから計画変更をいたしまして、何らかの経費を節減することによつて漁港にまわすという方法一つ考えられましよう。それから第二の方法といたしましては、補正予算を組む、すなわち新たなる財源調達することによつて補正予算を組む、こういうことに相なるかと思うのであります。ところでこの第一の方法でありますが、これは御承知のごとく、国土の保全ないしは農業生産力の拡充といつたような、いろいろな面で非常な強い要求もございましたものを、千億というわくにしぼり込まれておる関係上、既定費をやり繰るということは、実はなかなかむずかしいのであります。そこで第二の補正予算の問題でありますが、これも新規財源見通しがはつきりいたしませんと、ただちにただいまどうと申し上げる段階に至らないのであります。そこでわれわれといたしましては、現在の段階では、実はこう考えておるのであります。とりあえず四億四千万円で全額補助工事をいたしまして、そういたしますと、この事業分量はおのずから当初の計画量よりも減らざるを得ないのであります。減らざるを得ないのでありますが、さしあたつてそれでともかくもいたしまして、今後において節約の見通しが明らかになるというようなときになりまして、何とかして既定費をやり繰ろう。さらには新規財源調達の目途が明らかにつくというときになつて、これを補正予算でもつて直そうじやないか、もしそれが諸般の情勢から許されないということでありますならば、来年度以降にある程度事業分量を繰延べざるを得ない、こういうようなことになるかと思います。しかしながら漁港復旧は、おつしやるまでもなく焦眉の急でございますので、あらゆる努力をいたしまして、できるだけ事業分量をふやして行きたいと実は念願しておる次第であります。
  15. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの水産長官並びに主計局次長の御答弁の間に、相当の食い違いがあるのであります。水産当局の御答弁によりますと、安本において決定をいたしましたところの港湾関係災害復旧事業量は、二十三年度災は工事残量の五〇%を施工する。または二十四年度災の二一%を施工することに決定を見ておるのでありまして、運輸省関係地方港湾に対しては、そのような決定の線に沿う事業量を二十五年度においてこの特例法によつて施工することに相なつております。であるから四億四千万円ならば、漁港関係の二十三年度災の残量の五〇%、二十四年度災の二一%の工事量施工するには一億八千万円の不足を生ずる、これはどうしても予算措置を講じなければならぬという見解でございますが、これは特例法制定に伴う当然の政府責任であり、これは行わなければならぬのであります。ところが大蔵当局の御説明によりますと、諸般の事情を勘案してどうしても四億四千万円で、工事量は少いだろうけれどもつてもらう。それと並行して何とかできるだけ考えようという御答弁でありますが、大蔵省当局特例法施行精神を何ら尊重していない。これをまじめに実行する意思はないようにわれわれは承るのであります。漁港に対してもこの特例法を実施するということが、国会において決定を見ました以上は、これを施行することは当然の政府責任であります。また事務当局がこれに必要なる予算補正をなすことは、当然過ぎるほど当然であるにかかわらず、事務当局間の連絡の不十分といいますか、予算軽視考え方といいますか、従来の補助率を、そのままの予算計上して、国会において決定したるところの全額国庫助成精神を蹂躪して、何ら事務的に予算計上をしていない。これに対して何ら責任を痛感するような言明のないことは、きわめて遺憾であります。私どもはこれに対して、主計局長あるいは大蔵大臣から明確な答弁要求するのでありますが、その一つ方法として、まず第一に、今議会あるいは予定されますところの次の臨時国会等において、補正予算政府が提出する場合には、その補正予算の中に不足額一億八千万円を計上する御意思がないかどうか、これが第一点。それからなおその措置といたしまして、百億円の予備費がございます。これは二十五年度に発生するところの災害に対して支出をするということに予定されておるわけでありますから、そのままこれを流用することは現在の段階ではできませんが、科目の変更等措置によつて予備費百億の中から政府の手落ちによつて生じた一億八千万円を支出する御意向がないかどうか。この二点についてさらに当局の御意見をただしたいと思います。
  16. 佐竹浩

    佐竹説明員 お答えいたします。第一の問題は補正予算、すなわら臨時国会ないしは次の国会において漁港災害復旧費不足額として一億八千万円を計上する意思はないかという御趣旨であつたと存じます。この点につきましては、ただいま申し上げましたように、災害全額国庫負担法律精神は、われわれといたしましても十分尊重いたしておるのでありまして、決して御指摘のごとくこれを蹂躙するとか、ないしはまつたくこれを考えないとかいうような考えは、毛頭ないのでありまして、十分これは認識しておるのでありますが、何分にも既定費のやりくりでありますとか、新規財源調達とかいうところにいろいろ難点もございますので、十分ひとつ検討の上で考慮させていただきたいと存じます。  それから第二の点につきましては、二十五年発生災害に対する復旧費百億を流用する意思はないかということであつたと存じます。この点につきましては、まず第一は実態的な議論でございます。第二は形式的な議論でございますが、第一の実態論から申しますと、二十五年発生災害に備える百億と申しますのは、水産委員皆様方、十分御承知のごとく、わが国は非常に災害が多いものでございますから、百億をもつて、はたして今年発生災害をまかなえるかどうかという点については、実は非常に疑問があるわけでございます。予算に明示されました点は、あくまでも二十五年発生災害復旧費でございますから、二十五年発生災害が百億どうしてもかかるということでありますと、これはまるまる使わなければならないという形になると存じます。もしも幸いにして今年の秋の水害その他の災害が比較的軽微に済んだという場合に、百億に何がしか余剰が出るという場合には、これはまた第二の問題となつて参ります。その際にこれを技術的に流用が可能であるかという点でございます。これは前にも申し上げました形式的な議論に属するのでありますが、御承知のごとく二十五年発生災害復旧費と申しますのは、一つ予算上の款をなしているのであります。一款一項となつておりまして従つて異なる款の間におきましては、移用ができないという形に今日縛られておりますので、そのまま移用をいたすことは技術的に法的にできないことであります。しかしながら補正予算という方法をもちまして、この百億から余剰財源何がしかを移しまして、それを財源として新たに災害復旧経費にこれを盛り込むということは、もちろん技術的に可能でございます。いずれにいたしましてもその場合には補正予算を要する、こういうことでございます。すなわち補正予算なくして流用ができるかという点につきましては、それはできません。補正予算を要する。こういうことになつております。
  17. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 次長にお尋ねいたしますが、安本各省と協議をいたしまして決定をいたしましたところの、二十五年度にこの特例法をもつて施工する事業分量、すなわら先ほど申しましたように、二十三年度災の工事残量の五〇%、二十四年度災の二一%を施工する。このことを大蔵当局は御承知であるのかどうか。また四億四千万円で、その安本決定工事量施工できない。一億八千万円の不足がある。この場合に予算計上しなかつたところの政府には責任がないかどうか。この点をお尋ねいたします。
  18. 佐竹浩

    佐竹説明員 過年度災害復旧を極力短期間に完成しなければならないことは申すまでもない点でございます。しかしながら財政わくその他の関係もございまして、何らかの年度割を設けて、これをなしくずしに行つて行く必要もございますので、それの一つの目安といたしまして、先ほど御指摘のありました比率が出て参つたのでございます。この安本の定めました比率については、もちろん私どもも十分存じております。それで漁港につきましても、極力この線に沿うように持つて参りたいということは、実は日夜念願しておるところなんでございますが、何分にも先ほど来申し上げますように、財源等関係で早急に手が打てないという現状であります。
  19. 冨永格五郎

    冨永委員長 佐竹説明員にちよつとお尋ね申し上げますが、今局長が追つて出席するという伝言でしたが、あなたがここへ出席して答弁せらるる前に、局長とこの問題について大体お打合せなさつて答弁なさつておりますか。
  20. 佐竹浩

    佐竹説明員 大体了承しておりますが、ただ決定的なことは局長があとで来られまして………
  21. 冨永格五郎

    冨永委員長 私が大蔵省主計局長にお会いして、この問題についてかなり事前に話合いをしたのと若干食い違いがあるように思いますが、大体局長が来ても、今あなたから御答弁なつたような内容だと考えられますか。
  22. 佐竹浩

    佐竹説明員 大体そういうふうに思います。
  23. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 もうこの程度で大体御当局の腹もわかつたのでありますが、結論といたしまして、この特例法適用についての覚書は交換しておりますけれども、実質的にはこの適用がそのまま実施されてない。法案の中に漁港を含むとあります以上は、その工事量施工についても、補助率についても、港湾と同等でなければ、この覚書精神は蹂躙されておると断定しなければなりません。そういう意味におきまして、港湾においては安本査定事業量施工されておるにもかかわらず、四億四千万円をもつてしては漁港の所要の事業量施工ができない。これは明らかに覚書精神を蹂躙する結果になります。この点につきましては、さらに主計局長、あるいは大蔵大臣出席を求めてただしたいと思います。この程度で私の質疑を保留いたします。
  24. 冨永格五郎

    冨永委員長 この場合佐竹説明員並び鈴木説明員に御希望申し上げておきます。ただいま鈴木委員から御要望がありましたが、今この席に主計局長が来られるならば別ですが、万一来られないような場合には、次の機会にぜひ責任者出席願つて、はつきりお願いいたしたいと思います。  それでは次の質問を許します。松田委員
  25. 松田鐵藏

    ○松田委員 私は水産庁生産部長に対して質問を申し上げたいと思います。また長官にも関連しておりまするから、どうかその点よくお打合せの上御答弁を願いたいと思います。  最近におきまして、長崎県に起つた問題、機船底びきがあやまつて一マイルか二マイルマッカーサー・ラインを越した問題であります。これに対して水産庁は何らの司法処分が決定していないのにかかわらず、行政処分をもつて許可の取消しをするというようなことが通告された、かような事件がわれわれに陳情されておるのであります。また北海道においても同様、稚内根拠の機船底びきが六そう許可の取消しの通告を受けたとか、かような件がただいま明らかになつておるような次第であります。そもそも機船底びき取締規則から行きましても、今までは、司法処分を受けない以前においては、行政処分としては、場合によつては停船命令及びそれに関する取締りの方法が規則に示されているのみでこれが実行されておつた。しかし個人の企業というものはどこまでも尊重して行かなければならない今日の建前において、ただちにこれの行政処分を行うということは、あまりにも苛酷過ぎることでなかろうか。またその実体をどのように御調査なさつてつて、かような問題を取上げておるか。この点に対する水産当局の御意見を承りたいと存ずるのであります。まずこれの御答弁によりまして、また関連して質問することがありますから、この点を第一に御答弁を願いたいと思います。
  26. 十川正夫

    ○十川説明員 私しばらく留守をいたしておりましたために、お話になりました事件が、具体的にどの事件であつたかはつきり今承知いたしておらないのであります、違反の事実が取締船によつて発見されました場合と、それからほかの方面から違反の事実を通報された場合とあります。それで取締船によりまして発見されました場合に、一マイル程度の——お話になりましたのは一マイル程度と思いますが、一マイル程度の操業区域の違反の場合には、これは普通航海術の技術の上におきまして、その程度の誤差はあります関係から、これはただちに取消しはしない方針になつておつたと私は記憶しております。しかしこれが非常に正確な方法によりまして、間違いなく、たとい一マイルでありましても、半マイルでありまても、いろいろの方法によりまして確実に操業区域を違反しておるということが立証されました場合には、取消す場合がございます。しか水産庁漁業調査船でやりましたような場合には、その程度のゆとりはとつて行政処分はいたしておると思います。なお行政処分と司法処分との関係でありますが、これは従来司法処分をまつて行政処分をいたしておりましたのが戦前の慣例でございましたが、現在は司法処分が非常に遅れまして、二、三年前の司法処分すらそのままの状態においておきまして、これがいろいろの方面にいろいろの影響を及ぼします関係から、建前から申しますと、行政処分と司法処分とは別問題でありますから、司法処分をまたずして行政処分をしたものがあると記憶いたしております。
  27. 松田鐵藏

    ○松田委員 もしその場合において、司法処分が——行政処分によつて許可の取消しになつた場合において、司法処分が無罪の判決を受けた場合においては、水産庁はどのような考え方をするかまたそれに対する営業の損害の賠償に対して、どのような考え方をもつておられるか。この点を承りたいと存じます。
  28. 十川正夫

    ○十川説明員 司法処分で無罪になりました場合には、おそらく行政処分が間違いだということになると思います。しかし事実問題としまして、今までまだその例はございませんけれども、おそらく私はさように思います。
  29. 松田鐵藏

    ○松田委員 そこで私申し上げたいことは、私どもは第五国会以来、われわれ自由党所属代議士は、自由党は資本主義を標榜しておるのである。ゆえにわれわれは資事主義を土台としての会社に対して、その営業について、社会党や共産党のイデオロギーとは異なる考え方を持つておるのであるが、いかに自由党の所属代議士といえども、大資本漁業が中小資本漁業者の域にまで食い入るということは、まことに今日の時局からしてよろしくないじやなかろうか。たとえて言つたならば、以西底びきのごとき、従来その許可を水産庁から得ておる漁業は別として、北海道及び東北地方における中小企業の機船底びき漁業に対して、五大会社の大漁業会社がこの領域に入るということは、これはあやまてる考え方でなかろうかということを、われわれは力説したのであつて、また水産当局においても、それを是認しておつたのであります。しかるに今回北海道における六そうの機船底びき漁船が稚内において、ただいま申し上げたような結果において許可の取消しを受けた。この場合において、そのうち林兼の会社がこの漁船の所有者であつたということがわかつた。これに対して、どういう理由によつてかあの北海道の一そうか二そうずつやつておる中小漁業者の中へ、林兼の大洋漁業の大貸本漁業がこれに食い入つておるが、私どもは常にこの点に対する関心を持ち、警威を持つておる。もしこの事実が明らかになつた場合においては、水産庁はどのような方法をもつて、この脱法行為を是正する用意ありやいなや、この点に対して私はお伺いしたい。重ねてまた質問いたします。
  30. 十川正夫

    ○十川説明員 今お話の点は、船主が林兼商店であつて、そうして許可の名義人が別の人であつたというお話と承りますが、これは許可を受けます場合に船を普通の傭船計画によりまして、傭船で許可を受けることが機船底びき網漁業取締り規則にございますために、傭船で許可を申請いたしました場合に、これを水産庁といたしましては、単に傭船であるということだけで、その許可を拒否することはできないわけであります。それでその内容につきまして、単にそれが裸傭船であるのか、それともその経営の内容まで立ち入つておるのであるか、これは十分に調べるべきでありますけれども、実際問題といたしましては、きわめてその見きわめは困難でありまして、要求されております手続の上から申しますと、傭船で出願いたしましたものを拒否することはできないことになつておりますので、お説のようなことがあつたのではなかろうかと考えております。
  31. 松田鐵藏

    ○松田委員 この点に対しては、私は責任ある代議士の立場において、この水産常任委員会において、私ははつきり申し上げる。林兼大洋漁業は、この船舶は自己の船舶であり、機船底びき網漁業の権利を買収して営業をやつておるものであります。しかも私どは第五国会以来、青森において北海道の海区に対しての不法なる入漁をしたものも林兼であり、大洋漁業であり、また入漁問題の盛んに論議されておつた当時においても、大洋漁業漁船が利尻水道において拿捕されておる。この点も前の委員会において述べてあることであります。かような点において、中小漁業の域に大資本漁業が入つて来るのみならず、こうした国際的なマツカーサーラインを打破してまでも、違反をあえてして営業を続けて行つておるような現状が、今までありとあらゆる違反行為によつて現われておる。かようなものは水産庁としても十分存知しておるはずだと私は考えておる。なぜならば第五国会、第六国会において、私どもはこの委員会において、ただいま申し上げるごとき責任ある立場においてこれを論議しているものである。かような点からいつて、この調査をただいま生産部長がおつしやるような考え方を持つてつて、いまだその調査をしていないということであつたならば、一体どのような結果が成立つか、議会の質問に対してどのような責任をもつてこれに対処されておるか、またわれわれが単にこの大資本漁業のみ攻撃するものでなく、現在母船捕鯨漁業として南洋に行くことも、あの大資本漁業でなければでき得ないことである。母船式のまぐろ漁業においても資本漁業でなければでき得ないことである。かような点から言うならば、こういう国家的の大きな漁業に対しては、彼ら大資本漁業が大いに国のために努力しなければならない立場にあるのである。しこうして零細漁民、中小漁業の域に、彼らは入つて来ることは、水産、行政の立場からも相当関心を持つ、これを警戒しなければならないことでなかろうか、また現に大分県において、機船底びき漁業が、わずかの大分縣の漁船五そうか六そうのものがあの禁漁区域において操業していることを奇貨として、あの林兼漁業の大機船底びきが大分縣の海区を荒しておるのを、大分県の縣民の方々は、自分の漁船が五そう、六そう荒しておるがために、遂にこれを摘発することできずして、涙をのんでその思うままにまかせているという実態がここに生じて来る。かようなことであつたならば、現在の世相においてまことにゆゆしき問題が出て来るものでなかろうかと、私どもは憂えるものである。この点に対するわれわれの質問に対する調査は、どの程度にされているか、先ほどのお答えであつたならば、ほとんど調査というものをしていないように私どもは考えるものであります。今後においてどのような御処置をとられるか、どのような調査をされる意思を持つておられるか御答弁を承りたいと存ずるものであります。
  32. 十川正夫

    ○十川説明員 先ほど申し上げましたのは、違反に対する調査をしないと申し上げたつもりはないのでありまして、これは従来も松田委員もよく御存じと思いますが、入会問題等に関連いたしまして、海上保安庁ともよく連絡をいたしまして、取締船が現在ある設備の範囲内におきまして、違反の事実がないように極力調査をいたしておるわけであります。なお大資本家の漁業について、以東底びき網の入るべきでないという御意見に対しましては、私は松田委員の御意見を承つておきまして、なおよく研究いたしまして、御趣旨の意のあるところを考えるわけでありますけれども、この点については私からは何事も申し上げられません。
  33. 松田鐵藏

    ○松田委員 昨年の七月の何日とか思いますが、北海道の利尻水道におきまして、監視船に拿捕された林兼の漁船に対してどういう処分をされておるか。その点を承りたい。
  34. 十川正夫

    ○十川説明員 私の記憶では、その当時トロール船が、利尻水道でありましたか、その方面で操業いたしておりましたことを発見いたしまして、これを行政処分にいたしました記憶がございます。
  35. 川村善八郎

    ○川村委員 私のお尋ねいたしますことは、多年北海道に東北関係県の入会の問題が論議されまして、昨年の十月にようやくその要綱ができまして、入会を表向きに認めたのであります。大体一年の期間でありましたので、いよいよまた本年もその入会に対する方針をきめなければならぬかと私考えております。ところが七月七日付で北海道田中知事から私あてに書面が参つたところを見ますると、ややこの入会の反対の意思表示をして参つております。  その理由といたしまして、水産庁が、本道の沿岸に棲息する、すなわち底びき網の漁獲する資源の調査が十分できておらないために、多数の入会船をいれて、いわば濫獲した。その結果沿岸の資源の減少は非常にはつきりして来た。であるから今後北海道の海底に棲息するところの魚族の資源の維持は、楽観を許されないというのが、一つの理由であります。  それから第二の理由といたしましては、そうした資源が年々減つて来るのを十分考えて行かなければならぬにもかかわらず、今度さらに北海道でも、どうしても小型手繰りの転換をしなければならぬので、数百隻の小手繰りを整理いたしまして、なおまた密漁船も整理いたしまして大体二百に近いところの小手繰網を大型にさせなければならぬ。かような理由が第二であります。  第三の理由といたしましては、取締りがまことに不徹底である。各県及び水産庁とよく相談をして、取締りの万全を期して、違反のないようにするという約束であつたにもかかわらず、その取締りが緩慢であつたために、かえつて入会を認めなかつた場合よりも違反が多いということが、第三の反対の理由になつております。  それから第四の理由といたしましては、違反船に対しまして、司法処分なりあるいは行政処分が、まつたく強化されておらない。投げやりにして置くというようなことがあげられております。そうしてそれに事実を指摘して、ここに表ができておりますが、この入会を認める以前に三十二隻の違反船があつたのに対し、行政処分が二十八隻されている。しかもその中から十一隻の司法処分もしている。入会を認めた今日、四十四隻で違反船がよけい出ている。それに対しては行政処分が七で、司法処分が三よりしておらない。こういうふうな緩慢なやり方をしておるから、どうしても反対をしなければならないので、水産当局にその旨を十分伝えておいてくれという手紙が添えて、私に参つたのであります。  従つてこの問題は、水産庁でも本年の年末からまた出漁させるという御意向であるならば、すみやかに道庁と連絡をいたしまして、しかるべき処置をしなければならないと私は考えておりますので、この今指摘しました事柄についてどういう考えを持つているかということと、また本年も継続的に入会を認める御意思があるかどうか、この二点をお伺いいたしたいと思います。
  36. 十川正夫

    ○十川説明員 これは御存じと思いますが、以東底びきは漁政部の所管になつておりますし来年にわたることもございますから、漁政部長の方から…
  37. 川村善八郎

    ○川村委員 私は首悩部に聞いているのであつて、漁政部とか何とか言つたのではなく、水産庁当局といえば、長官もおられるので、長官なり次長なりが答弁すればいい。これは北海道、水産庁、東北関係県の大きな問題なんです。今指摘したように、資源の調査が十分できておらない。年々減つている。さらに北海道で小手繰りを整理しなければならぬ。底びきがたくさんふえている。取締りが緩慢である…
  38. 山本豐

    ○山本説明員 ただいまの御質問でございますが、北海道長官からこの入会の問題について御提案のありましたこと、またその反対せられる理由としてあげられましたことは、大体においてわれわれも気づいている点であります。資源の点につきましては、まだ確たる調査は完了はいたしておらないのでありますが、しかし方向としましては非常にきゆうくつになるということは、概念論をいたしましても、今日言うことができるのじやないかと思うのであります。特にまた最近小手繰りの整理もからんでおりまして、北海道の地元とされましては非常な大きな問題だと思われるのであります。この秋にまたこれをやるかどうかというお尋ねでありますが、水産庁といたしましては、何とか道庁とその後の経過等を相談をして、納得をつけて、ぜひ本年度もこれを実施いたしたいと、ただいま考えていのであります。しかしながら一年間の経緯等にかんがみまして、道の言い分等についても十分再考する必要があろうと考えるのであります。ことに違反船の取締り問題につきましては、昨年実施いたした後におきましても、たびたび会合等も催しまして、いろいろとその徹底方をはかつて来たのでありますが、御承知のように取締船その他が非常に手薄でありまして、十分期待に沿うような効果をあげ得なかつたのは非常に遺憾であります。これらの点も考慮に入れまして、道庁当局ともさらによく折衝をいたしました上で、相なるべくはぜひ本年も條件その他については十分再考いたしまして、実施いたしたい、こういう希望を持つているわけであります。
  39. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま次長から御答弁がありましたので、御当局の御意向はよくわかりました、要は資源の問題の見合せと、さらに取締りの強化が私は問題だと思つております。ただ口ばかりでなく、資源も十分に調査もし、さらに取締りも十分強化をいたしまして、沿岸漁業との摩擦の絶滅をはかられるようにして北海道庁と協議した上で、入会を決定したらいいじやはいか、かように考えておりますので、善処あらんことを切望いたしまして、私の質問を終ります。
  40. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 漁港災害復旧予算措置につきまして、先ほど来佐竹さんから御答弁を願つたのでありますが、遺憾ながら局長がお見えになりませんので、責任ある御答弁がなかつたわけであります。この漁港災害の問題につきましては、前国会におきまして、河野主計局長から非常な御同情ある御配慮をいただきまして、ようやくにして漁港もまた一般港湾と同様に、全額国庫負担をもつてこれを施行するという決定を見たことは、本委員会として非常に感謝いたしておつたのであります。しかるにその予算措置をあとで検討いたしてみますと、全額助成という名は与えたが、予算措置において何らその実を与えていないこういうことがわかつてつたのであります。河野局長もおそらく御承知と思うのでありますが、安本当局において二十五年度において施工するところの災害工事量は、二十三年度災の工事残量の五〇%、二十四年度災の二一%で、これを港湾関係について行う、こういう事業量基礎として予算措置が講ぜられておると思うのであります。従いまして、当初漁港については特例法に明記されないために、関係官庁間においては、従来の補助率による四億四千万円しか計上していなかつたのでありますが、国会政府の協力によつて、それが港湾と同等に扱うということが、四省の覚書によつて確定いたしました以上は、その四億四千万円に修正を加えて、全額助成予算措置を講じなければならぬわけであります。すなわち一億八千万円の不足額を生じますから、これは当然計上しなければならぬのでありますが、それが講じられていない。従つて予定の工事量施工することができないという段階に立至つておるのであります。これに対しまして大蔵当局はいかなるお考えを持つておられるか、その点をお尋ねいたします。
  41. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 漁港を地方の一般港湾と同じように、全額負担をもつて災害復旧をいたすことになつたのは御承知通りであります。法律がそういうふうになりまして、従いまして地方港湾漁港とは同じような歩調で進むべきものであろうと私は考えるのであります。御趣旨のような点を今御指摘になつたのでありますが、この点につきましては、災害全額復旧費は二百億円ということになつておりまして、これを経済安定本部の認証するところによつて、認証するものを全額負担してやるのだ、こういうような建前に現在の予算としてはなつておるわけであります。従いましてそういう法律が通つた以上、双方において権衡をもつてやるべきものであろうと私は思うのでありますが、そういうふうなお話を聞いたことは私としても遺憾に存ずる次第であります。これは上半期につきましてはすでに認証があるのでありますが、今後において御趣旨のような点を勘案いたしまして、下半期の認証等におきまして、相当調整してやつてはいかがと私としては考えております。
  42. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 非常に御理解ある御答弁で、私ども大蔵当局の御意向を了とするものであります。今の御答弁によりますと、安本当局において認証したものはこの特例法なり、四省間の覚書精神によつて大蔵当局予算措置を完全に講ずるという御趣旨に承つたのであります。そういたしますと、この四億四千万円の予算措置はこれは安本の認証と申しますか、それの事業量の査定、つまり認証の際における手落らから生じた問題であつて大蔵省安本が認証したものについては、全額国庫負担予算を完全に計上しておる、大蔵省には責任なくして、認証を怠つたところの、あるいは間違えたところの安本当局にあるというように承つたのでありますが、安本当局に対して私どもさらにその間の事情をお尋ねいたしますと同時に、ただいま河野局長から御答弁がございましたように、今後下半期において認証があつた場合に、現在の予算には四億四千万円しか計上していないのであるが、その不足額である一億八千万円を、もし認証があつた場合に、これをいかなる措置によつて支出される御腹案があるか、あるいは予定される次の臨時国会等において補正予算を提出される際に、大蔵当局は今の御同情あるお気持に基いて、補正予算計上される御意向であるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  43. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 補正予算の問題につきましては、ただいまのところ確定的な意見をきめているわけではございません。それは予算執行後の状況を見て勘案すべきものだと思うのであります。ただいまの問題につきましては、災害復旧費につきまして二百億という全額負担の経費総額の割振りの問題であろうと思うのであります。すでに上半期の分は認証がついているのでありますが、御趣旨の点につきましては、総額二百億の範囲内において御趣旨を入れまして十分配分に考慮いたすべきものと私は思つております。
  44. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 大蔵当局のお考えは大体わかりました。そこで廣川農林大臣にこの際希望だけを申し上げまして大臣の御配慮によつてこの問題が解決されますことを、お願いいたしたいと思うのであります。  これは水産庁事務当局から大臣にもお話があつたと思いますが、漁港災害復旧につきまして、現在四億四千万円の予算しか計上されていない。これは従前通り補助率でやる場合、四億四千万円の予算があればできるのでありますが、大臣御承知通り、二十五年度の公共事業全額国庫負担をもつてこれを施行するということが第七国会の最後に国会政府の間に話合いがつきまして、漁港につきましても一般港湾と同様に取扱うということになりました以上、当然四億四千万円、すなわち五〇%の従来の補助額を全額に改めますと、それだけ予算を増加しなければならない。一億八千万円の増加を来すべきものが予算措置が全然講じられていない、従いまして全額国庫助成でやると、一億八千万円の不足が出ますが、これを大臣の御配慮によつて予算措置が十分講じられますように、待にお願いいたします。
  45. 冨永格五郎

    冨永委員長 廣川農林大臣から発言を求められております。これを許しをす。廣川農林大臣。
  46. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 今度農林大臣に就任いたしまして皆さん方に何かとお世話になるわけであります。どうぞよろしく願います。  ただいま鈴木さんの質問ですが、十分考慮いたします。
  47. 川村善八郎

    ○川村委員 廣川農林大臣に御質問申し上げます。私はかねて漁業制度改革に伴うて、漁業法並びに漁業法施行法が制定されたのであります。この漁業法案をわれわれが審議した場合に、漁業審議会の重要性と、さらに漁業海区調整委員会委員選任、あるいは海区の設置ということは、行政上最も重要な役割をなすところの機関であります。この重要な機関の人選をまずもつて誤つたということ、これをもう少し端的に申し上げますと、漁業中央調整審議会の委員選任について、不適格なる人選をしたということが第一点。それからさらに海区の設定につきまして、水産庁当局国会の本委員会におきまして説明したこと、並びに水産庁経済課が編集いたしました「漁業制度改革の解説」という。パンフレツトに書いたこととは、まつたくかわつた海区の設置をしたのであります。これに対して、私は過般の委員会におきまして、その責任のありかを問うたのであります。すなわち国会での説明は、北海道の海区は市町村ごとに置く、それから各県の海区は三つないし四つ置く、こういう説明をはつきりしておるのに、今度北海道は海区を四十九海区にした。それからさらに、パンフレツトに記載しておりますこの百十四海区がまつたく踏みにじられておる。すなわち先ほど申し上げましたように、四十九海区に設置された。こうしたようなことはわれわれ国会議員を欺瞞したものである。もつと強く言うならば、立法府を無視して、行政官がかつてにその措置を講じたのだ、こうしたことが言えるのであります。これは断じて許すべからざるものであり、その責任を問いましたところ、七月一日の委員会であつたと思いますが、長官からはつきりその責任をとりますという答弁があつたのであります。その後何らそれに対して措置をとられておらないように考えますし、その責任者の一人をすでに安本に転任をさせておるというようなことも、私昨日安本に行つてその本人松元氏を見て参つたのであります。かようなことで、行政官吏で悪いことをした者を栄転させるというならば、みな悪いことをするということになりますし、また国会を侮辱しておる者もその責任を問わないで栄転させるということになりますと、みんなかようなことをやるのではなかろうかと思いますので、私は農林大臣に、就任早々にそのことを訴えたいのであります。今日幸いに農林大臣が御出席願われましたので、農林大臣からその責任をどうとるかということについて、お答えを願いたいのであります。
  48. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 川村さんからの御質問でございますが、前からこれをお聞きいたしておつたのであります。中央漁業調整審議会の委員の選定にあたりまして、委員会方面と了解をつけなかつたということでございますが、これはあくまでやはりすべきものだと私は思つております。遺憾の点は重々おありでしようが、その点は御了解を願いたいと思います。なおまた海区の問題でございます。これもやはり輿論というか、漁民の声というか、これをあまり取入れなかつたということでありますが、関係方面等のいろいろな示唆もあつたようでありまして、これをあまりにどうか取上げずに——取上げずにというと語弊があるようでありますが、この辺も何かもう少しやわらかく話合つてしかるべきものではないか、こう私は考えます。なおまたその責任問題でありますが、これはどうか私におまかせを願います。
  49. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいま廣川農林大臣から御答弁されたことは、常日ごろ廣川氏は円満主義でありますので、円満な解決をつけようという御意思は、まことに私はけつこうであると思います。しかしやつたことはまつたく立法府を無視しておる。この責任は何としても私はとつていただかなければ承服はできないのであります。円満主義もいいのでありますけれども、すべてが円満に行けばいいのですが、一方は円満をすでに欠いておる。私もそういう関係方面との関係があつたことはよく承つたのであります。なぜそれならば本委員会に、実は今度やらんとすることは違うようなことになりますけれども関係方面の御意向もあり、どうしても四十九海区にしなければならぬから、私らが説明したことについて虚偽があつたというようになるのであるが、その方法は何とかおまかせ願つて承認願いたいというふうに了解を得なかつたかということで、私はどうしても責めなければならぬ。なぜかというと、これは第七回国会委員会がまだ開かれておつたときの問題であります。その委員会が開かれておるにもかかわらず、何らわれわれに連絡も、あるいは了解もなかつた。このことさえ運んでおつたならば、われわれはこうまで紛糾させなくてもよかつたと考えますので、この点も十分お考えの上で、どうか御処置あらんことをお願いいたします。  さらにもう一つ委員長にこの責任を問いたいと思います。なぜかというと、私は第七回国会の最終日の委員会において、新任委員長がどなたになるかわかりませんが、石原委員長はきよう一日で委員長を辞さなければならぬから、新委員長に残された問題を十分お引継ぎをし、また引継ぎを受けたところの委員長に、ぜひとも実行させるべきであるという意見を強調しておつたのであります。ここに前委員長の石原氏がおられますが、もし違つておつたら違つておつたでよろしい、速記を見ればわかります。そして前委員長である石原氏は、新委員長の冨永氏に十分連絡をしておるはずであるし、あるいは引継ぎをしておるはずであります。かりに引継ぎをせぬでも、私のあとに現冨永委員長がはつきりと聞いておつた。しかも今は冨永委員長の時代で、五月に問題が起きておりますので、委員長を引受けてから後の問題であります。委員長は何ゆえに一体そういう中央漁業調整委員会委員長選任にあたつて、重要性を認めないで、水産庁と打合せをしなかつたのか。あるいは水産庁から打合せがなかつたのか。さらに海区の設置についても、この問題は重要であるから、特に北海道出身の委員長として、十分北海道の海区の設置に対して関心を持たなければならぬにもかかわらず、委員長はこの四十九海区にされて、黙々として、ただ単に水産庁当局責任を問わせておるということについて、まことに私は委員長に対して不満の意を表するものであります。委員長みずからも責任をとるかどうかという問題について、私はこの際委員長に質問をいたします。
  50. 冨永格五郎

    冨永委員長 委員長から答弁をいたします。委員長といたしましては、五月二日の当日委員長選任いたされたのでありますが、ただらに参議院選挙のため帰郷いたして、選挙後上京いたしました際に、中央漁業調整審議会委員の発表並びに会合があつたことを知つて、ただらに当時の農林大臣、政務次官水産庁長官に、われわれの意のあるところをはつきり表明いたしております。なお新農林大臣にも、それぞれ川村君から述べられた点等につきましては、はつきり委員長として責任のある態度をとつて話合いをいたしております。
  51. 川村善八郎

    ○川村委員 そうしますと海区の設置の告示は五月十三日でありますが、そのことを知つておつたかどうか。もし知つておらないとするならば、北海道出身の委員長といたしまして、北海道の漁業に対して無関心であるということを私は言いたいのであります。知つておつたかどうか。知つておつたとしてとるべき処置をとつたかどうか。この点であります。
  52. 冨永格五郎

    冨永委員長 お答えいたします。ただいま川村委員から御指摘のありました海区の問題は、選挙中承知いたしましたので、御承知通り休会中ではありましたけれども、ただらに委員会を招集して、皆様にこの議題を提供して、御審議を願つた次第であります。
  53. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 この海区の問題と、もう一つの問題になる点は、ちようど水産庁の最高官吏があき巣ねらいをやつた。一口に言えばそうであります。農林大臣もすでにかわろうということは、はつきりわかつておるが、後任はわからない。水産庁長官も飯山君がやめて、あとがどうきまるかわからない。国会は第七回臨時国会が終りを告げて、そうして全部の議員は参議院選挙にはせ参じた。そういうあき巣を少くも山本水産次長以下がねらつたのであります。このねらつたのに対して一番中心となるものは、久宗、松元であります。これらに乗ぜられて、この生産部長、山本次長等が、あるいは人がよ過ぎるというか、あるいはまたルーズであるというか、とにかくもあき巣をねらわれて、そうして非常に水産庁の権威を落したということは、争われない事実であります。その紋がわれわれ常任委員会にも来た。われわれ常任委員は漁村に対して、この問題で非常な不信を買つておる。こういうことになつておるわけであります。しかしこれを荒立てても、われわれ全体としての価値は増さない。幸いにもここに賢明なる、最もわれわれのの信頼する農林大臣ができたのでありますから、今後かようなことが起らないように十分に粛清並びに整理をしてもらう。そうしてただいま問題となつておる川村委員の言われた久宗、松元は、これは厳罰に処す。この者は、たといどの役所へ転任しておつても、政府のもとにあるところの官吏であるからして、政府はあくまでそれに対する処理はでき得るはずであると思う。その資料に不足の点があれば、われわれが十分提供してもよろしいのでありまするから、絶対にこの二人は処分をする。同時に今後かようなことの起らないように、新大臣が十分御監督あらんことを切に要望をいたします。
  54. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 お答え申し上げます。あき巣というお言葉でありますが、第七回国会の最末端は、御承知のように地方税法で非常に混乱しておつたので、連絡がつかなかつたということを私聞いているのであります。しかしそれはそれといたしまして、今後あき巣のようなことがないように、十分注意いたしたいと思います。なおこれは人事に関する問題でございますから、先ほど私が申し上げた通り、ぜひひとつ私におまかせ願いたい、こうお願いいたします。
  55. 平井義一

    ○平井委員 先ほど来問題になつておりました中央漁業調整審議会の委員であります。問題の富山県の安居馬孝六十三歳、これをひとつ何とか新農林大臣が片づけて、そうして円満に解決をしてくれれば、非常に仕合せと思うのであります。久宗、松元両氏の失敗は失敗といたしまして、何とか円満に納めていただきたい。それには問題の人物をとりかえなければならない、この点をひとつ農林大臣にやつていただきたいということをお願いいたします。
  56. 川端佳夫

    川端委員 いろいろと中央漁業調整審議会の委員の問題について御議論があつたのでありますが、私たちは本日政府責任ある委員の選考経過を聞くことを期待しておつたのでありますが、議論が非常に飛躍しておるようでありますので、この際大臣もお見えになつておることでありますから、委員選考の経過について、責任ある御説明をまず伺つてから議論を進めたいと思います。
  57. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 選考経過等はもう何回も当事者から話があつたように私は承つております。ただ平井君のお話でございますが、これはいろいろな法規上の手続もあるようでございます。先ほど私が申し上げた通り、どうかひとつ私におまかせを願いたいと思います。
  58. 松田鐵藏

    ○松田委員 農林大臣に重大なる水産庁行政に対する要望をするものであります。それは、われわれは常に自由党の政策からいつて、鮮魚の統制を撤廃しろ、そうして日本の物価を世界の物価の水準と同一の程度に引下げなければ、日本の貿易は振興するものではないと、かような観点から自由経済を主張し、しこうして魚価の統制を撤廃したものであります。農林大臣は幹事長としてその当時大いに努力せられたことを、私どもは非常に敬意を表するものでありますが、ここに農林大臣といたしまして、今日資本漁業に対する日本の国策といたしまして、まぐろ母艦漁業に対する金融をし、これを奨励しておる。また司令部においても海区を広げて、これを許可しておることは、私どもといたしまして非常に感謝にたえない次第であります。ところがこのまぐろ母船に対しては、その漁獲されたる鮮魚にどのような措置をされる心構えでおるか。現在統制経済の撤廃によつて、日本の物価の水準を世界の物価の水準に持つて行く階段において、今日は魚価が非常に安くなつておる。これもわが党の政策だと私は考えておる。しかしこの魚価の下つておることによつて漁民大衆は非常な苦労をしておる。あらゆる点に対して、農林大臣は考えておられることだろうと思います。たとえば金融の問題資材の問題、あらゆる点に対してこれを研究されておつて、近いうらにはこの成案を如実に政策として示されることだろうと思います。この母船漁業によつて漁獲されておるその漁獲物をたとえば小さな二百トンや三百トンの船で持つて来て、日本の国内で市販にするのであれば、市価の維持はできるのであるが、何千トン何万トンの船でこれを一ぺんに日本に持つて来た場合においては、魚価の暴落というものは火を見るよりも明らかである。ゆえにこうした漁業の漁獲されたるものは、ただちにこれを国家的に貿易に持つて行くべきであり、これをもし怠つて、日本の国で市販を行うようなことであつたならば、日本の漁民の一大脅威である。この点に対して、私どもはあらゆる日本の国の政策を実行に移す場合においては、この母艦漁業の持つて来るものは、日本の国内の市販にすべからず。しかして外国の外貨獲得のために、必ずこれを絶対に外国の貿易品に持つて行くように、その政策をきめておらるるか。またきめておられなかつたならば、これをきめて実行に移してもらいたい、かように要望するものであり、また農林大臣の御意見を承りたいと存ずるものであります。
  59. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 私に対する要望でありますから、よく承つておきますが、ただ大きな船団を組んで参ります遠洋漁業等に対する金融等も、これを十分考えてやつております。持つて来たものをただらに内地の市場に出すということは、確かに零細漁民を圧迫することになりますので、さようなことのないように、輸出の方に向けるように私は考ております。ただその間におきまして、製カン業者等のこともいろいろ勘案いたしまして、カン詰にする場合’に、カン詰のカンが昨常に高かつたり、あるいはまた世界市場と日本とが相一致しないような点もありますので、そういつたようなことを十分研究いたし、また対策を講じて海外に出すようにいたしたい。幸い今までありましたストツクも非常に少くなつているようなわけでありまして、今後船団がとつて参りましても、そう市場を圧迫しないというように私は聞いております。
  60. 松田鐵藏

    ○松田委員 その考え方は非常に甘過ぎます。ゆえにもう少し辛党になつてお考えを願いたいと思います。十分な政策を考えていただきたいと思います。それでは甘過ぎる。
  61. 永田節

    ○永田委員 廣川農林大臣に御質問をするわけではないのだが、大臣は参考に聞いてもらいたい。関係はあります。そこで水産庁に御質問申し上げるのですが、瀬戸内海の底びきです。この瀬戸内海の底びきの問題は、あの沿岸の零細漁民はまつたく生活が脅かされているような実情でありまして、ひいては思想的であるとか、あるいは地方財政に非常に影響して参つておるのが実情であります。なかんずく大分県に今津という町がありますが、その今津町はここ五、六年まつたくえび一尾、えびといつてもざこです。ざこ一尾とれないという悲惨な状態であつて、漁村が農村にかわろうとして、今日干拓を計画しつつある。その干拓もなかなか新規で思うように行かない。こういう実情にあるのであります。さらにこの底びきの実情はどうかと申しますと、私も現場を見たというふうなわけではございませんので、あまりはつきりは申し上げかねるのでありますが、主として林兼の船らしいのです。これが下関に根拠地を置いておりまして瀬戸内海を思うままに先ほど石原委員からあき巣ねらいということを言われましたが、この林兼の漁船はまつたく海賊の行為だ。これをどういうふうな方法で取締つておられるのか。聞くところによると、取締るその船が、たまたま沖合いで仲よくなつてしまう。さらにその取締の漁船をもう一ぺん取締るような何か新しい取締機関を設けなければならないというふうな実情にあるということを、われわれは聞いております。私たちの希望するところは、瀬戸内海の底びきというものは一応期限を切つて制限するとか、ないしは根本的に……(「それは違反だ」と呼ぶ者あり)違反はもちろんわかつております。違反の取締りは徹底的にできないとしたならば、どういう方法で取締ることができるか。その方法をひとつ聞きたい。またどういうふうに努力しつつあるのか。それも聞きたい。
  62. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員に御相談申し上げますが、今農林大臣は時間がないので、参考としてお聞きいたしたいと思います。  あと関連がなければ打切ります。関連があれば許します。
  63. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま松田委員から、漁業の生産費を切り下げるという問題がございましたが、長崎でいわしのカン詰をつくつておりますが、あのいわしのカン詰は、原料がマル公九十三円六十銭した場合には絶対に輸出ができなかつたものが、マル公を撤廃して、一貫匁が五十円程度になりましてから、どんどん輸出ができて、ほとんど品物がないまでに行つておるということであります。これはなぜかと申しますと、カリフオルニアの生いわしが一トン三十ドルでございまして、これを三百六十円のレートに換算いたしますと、結局一貫匁五十円になる。この五十円のいわしと競争しなければならぬために、マル公時代の九十三円六十銭の場合は、どうしても輸出ができなかつたのであります。日本の水産業が、あらゆる方面でペイができなくなつておる、こういう観点から申しまして、どうしても生産費を軽減させる、そうして魚は安くても経理ができる、そこに持つて行かなければならないと考えるのでありますが、生産費を軽減させる方法といたしまして、まず第一に、ぜひ油の問題を考えていただきたいと思うのであります。あの油は、輸入の場合三千八百円のものを、ただいま漁業者は九千五百円で使つております。その理由は、国家が当然補助し、奨励をしなければならない内地の油の試掘費まで漁業者が負担をしておる。こういうことで、大体五億円程度漁業者が負担しております。それからなお販売方法が内地の油とプールになつてつて、中間業者が非常に大きなもうけをしておる。こういうような点を是正いたしますと、非常に安く漁業者が使用できるのじやないか。以前漁業用の燃油は少くとも国家が税金をとらないで使わせておつた。それでようやく漁業が成り立つてつたのでありますが、ただいまのように、内地の試掘費から何からすべて漁業者に負担させる。三千八百円の軽油を九千五百円で使わなければならぬ、こういう事情に立ち至つておるのであります。この油の問題を第一に生産費切下げの要件として考えていただきたいのであります。  第二に、日本の水産業は、あらゆる種類のものが今金融問題で破滅の第一歩に突入しております。われわれは連日この融資技術の方面から立案したものでありますけれども、いかんせん預金部資金及び見返り資金が御承知のような状態になつております場合におきましては、技術的な案として立案ができないような状態になつておるのでございます。この問題に対しましては、何か大臣におきまして政治的の処置をぜひお願いしなければならないと思うのでございますが、あらかじめお願いをしておく次第でございます。  第三に瀬戸内海の底びき網の整理の補償金の問題でございます。これは大臣がいろいろ骨折くださいまして、大体順調に進んでおるようでございますけれども、まだ大蔵事務当局におきまして、からつとしない点があるようでございます。先日から業者の陳情を聞いてみますと、実際に経済人が計算いたしますと、一組について一千万円程度の損失があるのでありますけれども、業者は必ずしも一千万円を主張するのではありません。少くとも水産庁の案だけは何とか国家で見てもらいたい、こういうような悲壯な叫びをいたしておるのでございます。この点もひとつぜひお含みを願いたいと思います。
  64. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 ただいま田口君の要望ですか、質問ですか、どつちでもよろしゆうございますが、今の金融問題、これも零細漁民に対する金融と、大きな業者に対する金融とおのずから道は違うと思いますが、あなたのおつしやつたことは大きい方の金融のように聞えますが、これについても十分今水産当局と相談し、あるいは日本銀行、あるいは大蔵大臣等と話し合つております。ぜひこれも解決しなければならぬ問題であると私考えております。  それから油の問題でありますが、油の問題も政府といたしましては、現在基礎資材をたくさん入れさせたいと考えております。その中に油の問題も入れて幸いドル資金もありまするので、油も多量に入れて十分活用でき得るようにしたいと私考えております。  それから底びき網の問題ですが、これはまだ大蔵省が全面的に納得できないということ、これは事実であります。でありますが、整理される漁民に対して、将来この整理されたことによつて国家が非常に大きな利益を得ますので、その点を了解させるように努めておるような次第であります。
  65. 家坂孝平

    家坂政府委員 永田委員の御質問にお答えいたします。底びきの漁業は非常に漁民も多数でありまして、しかも終戦後漁場が荒廃しておる度合いも相当大きいのでありますので、たいへん困窮しておることも十分私ども承知しております。それで、そういう場合に、先ほど申されました資本漁業家の船が荒しまわるというようなことがあるのは、非常に遺憾なことだと私は考えますので、十分事実を調査いたしまして、措置を講じたいと考えております。
  66. 松田鐵藏

    ○松田委員 水産庁長官答弁はなつていないと存じます。機船底びき漁船は瀬戸内海には入ることができ得ない規則になつておることを、私どもは知つております。いつあすこに機船底びきが許可をされたか、まつたく奇怪な考え方を持つております。あそこには機船底びき漁業は操業区域がないのであります。それをほしいままにやつておるということは、道義の頽廃であり、また私が先ほど申し上げたように、自己の力を過信して、いかようなことをやつてもいいという考え方を持つておるやからがおるから、かようなことになつておる。水産当局といたしましては、この点に対して、やつた者を見たならば、それこそ嚴重なる許可の取消ししかるべしと私は考えるものでありまして、参考までに長官に規則をお知らせしておきます。
  67. 冨永格五郎

    冨永委員長 本日はこの程度で終りたいと思います。来週の議題は、水産金融に関する件、漁場回復に関する件、漁港に関する件等について質疑を行いたいと思いますが、もちろんそれぞれ関連質問を認め、議事の進行をはかりたいと思います。  なお委員会の開会は原則的には月、水、金曜日を予定いたしておりますが、あるいは変更の場合もあると思いますので、正確には公報をもつて御通知申し上げますから、御了承願います。  質疑のある方はあらかじめ委員長の手元まで御通知願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十七分散会