○田口
委員 ただいま松田
委員から、
漁業の生産費を切り下げるという問題がございましたが、長崎でいわしのカン詰をつく
つておりますが、あのいわしのカン詰は、原料がマル公九十三円六十銭した場合には絶対に輸出ができなかつたものが、マル公を撤廃して、一貫匁が五十円
程度になりましてから、どんどん輸出ができて、ほとんど品物がないまでに行
つておるということであります。これはなぜかと申しますと、カリフオルニアの生いわしが一トン三十ドルでございまして、これを三百六十円のレートに換算いたしますと、結局一貫匁五十円になる。この五十円のいわしと競争しなければならぬために、マル公時代の九十三円六十銭の場合は、どうしても輸出ができなか
つたのであります。日本の水産業が、あらゆる
方面でペイができなくな
つておる、こういう観点から申しまして、どうしても生産費を軽減させる、そうして魚は安くても経理ができる、そこに持
つて行かなければならないと考えるのでありますが、生産費を軽減させる
方法といたしまして、まず第一に、ぜひ油の問題を考えていただきたいと思うのであります。あの油は、輸入の場合三千八百円のものを、ただいま
漁業者は九千五百円で使
つております。その理由は、国家が当然補助し、奨励をしなければならない内地の油の試掘費まで
漁業者が負担をしておる。こういうことで、大体五億円
程度を
漁業者が負担しております。それからなお販売
方法が内地の油とプールにな
つてお
つて、中間業者が非常に大きなもうけをしておる。こういうような点を是正いたしますと、非常に安く
漁業者が使用できるのじやないか。以前
漁業用の燃油は少くとも国家が税金をとらないで使わせておつた。それでようやく
漁業が成り立
つてお
つたのでありますが、ただいまのように、内地の試掘費から何からすべて
漁業者に負担させる。三千八百円の軽油を九千五百円で使わなければならぬ、こういう事情に立ち至
つておるのであります。この油の問題を第一に生産費切下げの要件として考えていただきたいのであります。
第二に、日本の水産業は、あらゆる種類のものが今金融問題で破滅の第一歩に突入しております。われわれは連日この融資技術の
方面から立案したものでありますけれ
ども、いかんせん預金部
資金及び見返り
資金が御
承知のような状態にな
つております場合におきましては、技術的な案として立案ができないような状態にな
つておるのでございます。この問題に対しましては、何か大臣におきまして政治的の処置をぜひお願いしなければならないと思うのでございますが、あらかじめお願いをしておく次第でございます。
第三に瀬戸内海の底びき網の整理の
補償金の問題でございます。これは大臣がいろいろ骨折くださいまして、大体順調に進んでおるようでございますけれ
ども、まだ大蔵
事務当局におきまして、からつとしない点があるようでございます。先日から業者の陳情を聞いてみますと、実際に
経済人が計算いたしますと、一組について一千万円
程度の損失があるのでありますけれ
ども、業者は必ずしも一千万円を主張するのではありません。少くとも
水産庁の案だけは何とか国家で見てもらいたい、こういうような悲壯な叫びをいたしておるのでございます。この点もひ
とつぜひお含みを願いたいと思います。