運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-31 第8回国会 衆議院 人事委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十九日       今村長太郎君    藤枝 泉介君       淵上房太郎君    平川 篤雄君       松澤 兼人君 が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和二十五年七月三十一日(月曜日)     午前十時四十二分開議    委員長 田中伊三次君    理事 藤枝 泉介君 理事 平川 篤雄君    理事 松澤 兼人君       天野 公義君    岡西 明貞君       小淵 光平君    角田 幸吉君       加藤隆太郎君    小平 久雄君       高橋 權六君    玉置  實君       西村 久之君    成田 知巳君       加藤  充君    岡田 春夫君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         内閣官房長官 菅野 義丸君         人事院総裁   淺井  清君         人事院給與局長 瀧本 忠男君  委員外出席者         議     員 山崎 岩男君         議     員 土橋 一吉君         議     員 浦口 鉄男君         判     事         (最高裁判所人         事局給與課長) 守田  直君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      磯田 好祐君         專  門  員 安倍 三郎君 七月十九日  委員土橋一吉辞任につき、その補欠として加  藤充君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤充辞任につき、その補欠として河田  賢治君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員小玉治行君、田中不破三君及び河田賢治君  辞任につき、その補欠として田中豊君、中島守  利君及び加藤充君が議長指名委員に選任さ  れた。 同月二十一日  委員中島守利辞任につき、その補欠として田  中不破三君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員今村長太郎君、大野伴睦君、小澤佐重喜君、  加藤隆太郎君及び田中重彌君辞任につき、その  補欠として玉置實君、角田幸吉君、高橋權六君、  小平久雄君及び天野公義君が議長指名委員  に選任された。 同月三十一日  委員田中豊辞任につき、その補欠として加藤  隆太郎君が議長指名委員に選任された。 七月二十日  石炭手当増額に関する請願浦口鉄男紹介)  (第一〇一号) 同月二十二日  裁判所書記官等特別俸給表設定請願一件(  佐藤親弘紹介)(第一四九号)  家庭裁判所少年調査官等特別俸給表設定の請  願外一件(佐藤親弘紹介)(第一五〇号)  青森在勤公務員石炭手当支給請願山崎  岩男君外六名紹介)(第一九一号) 同月二十四日  政府関係機関職員給與改訂に関する請願(  成田知巳紹介)(第三八五号)  同(成田知巳君外一名紹介)(第三八六号)  石炭手当増額に関する請願柄澤登志子紹介  )(第三八七号) 同月二十五日  裁判所書記官等特別俸給表設定請願外一件  (角田幸吉紹介)(第五一五号)  公務員給與改訂に関する請願赤松勇紹介  )(第五一六号)  同(大矢省三紹介)(第五一七号) 同月二十六日  医師たる技術者俸給特例設定請願山本  猛夫紹介)(第六二七号)  新庄市の官公職員地域給支給請願(圖司安  正君外三名紹介)(第六八九号)  裁判所書記官等特別俸給表設定請願(田万  廣文紹介)(第七二六号)  公務員給與改訂に関する請願土橋一吉君紹  介)(第七四五号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十日  公務員給與ース改訂促進陳情書  (第五〇号) 同月二十五日  公務員給與ベース改訂に関する陳情書  (第八九号)  検察事務官等待遇改善に関する陳情書  (  第一〇五号) 同月二十六日  勤務地手当地域差制度改正に関する陳情書  (第一九〇号) 同月二十七日  裁判所書記官等特別俸給表設定陳情書外五  十六件  (第二六五号)  少年調査官待遇改善等に関する陳情書外二十  三件  (第二六六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会審査に関する件  委員派遣承認申請に関する件     ―――――――――――――   請 願  一 石炭手当増額に関する請願浦口鉄男君紹    介)(第一〇一号)  二 裁判所書記官等特別俸給表設定請願外    一件(佐藤親弘紹介)(第一四九号)  三 家庭裁判所少年調査官等特別俸給表設定    の請願外一件(佐藤親弘紹介)(第一五    〇号)  四 青森在勤公務員石炭手当支給請願(    山崎岩男君外六名紹介)(第一九一号)  五 政府関係機関職員給與改訂に関する請    願(成田知巳紹介)(第三八五号)  六 同(成田知巳君外一名紹介)(第三八六    号)  七 石炭手当増額に関する請願柄澤登志子君    紹介)(第三八七号)  八 裁判所書記官等特別俸給表設定請願外    一件(角田幸吉紹介)(第五一五号)  九 公務員給與改訂に関する請願赤松勇君    紹介)(第五一六号) 一〇 同(大矢省三紹介)(第五一七号) 一一 医師たる技術者俸給特例設定請願(    山本猛夫紹介)(第六二七号) 一二 新庄市の官公職員地域給支給請願(圖    司安正君外三名紹介)(第六八九号) 一三 裁判所書記官等特別俸給表設定請願(    田万廣文紹介)(第七二六号) 一四 公務員給與改訂に関する請願土橋一吉    君紹介)(第七四五号)   陳情書  一 公職員給與ベース改訂促進陳情書    (第五〇    号)  二 公務員給與ース改訂に関    する陳情書    (第八九号)  三 検察事務官等待遇改善に関する陳情書    (第一〇五号)  四 勤務地手当地域差制度改正に関する陳情    書    (第一九〇号)  五 裁判所書記官等特別俸給表設定陳情書    外五十六件    (第    二六五号)  六 少年調査官待遇改善等に関する陳情書外    二十三件    (第二六六号)     ―――――――――――――
  2. 田中伊三次

    田中委員長 それではこれより人事委員会を開会いたします。  まで政府委員が参つておりませんが、間もなく参りますから、ちようど参りましたころに陳情に入ることになろうと思います。  議事に入るに先立ちまして、お知らせを申し上げておきます。去る十九日本委員会決議によりまして、議長に対して承認方を求めておりました国家公務員給與並び人事行政に関する国政調査の件は、去る二十日議長において承認をいたしました。これを御報告申し上げておきます。  また去る十九日には、土橋一吉君が委員辞任せられまして、加藤充君が委員となられましたが、同日再び加藤君が委員を辞せられて、河田賢治君が新たに委員となられました。また去る二十日には、小玉治行君、田中不破三君及び河田賢治君がそれぞれ委員辞任せられて、田中豊君、中島守利君及び加藤充君がそれぞれ新たに委員となられました。また二十一日には中島守利君が委員辞任せられ、田中不破三君が再び委員となられました。また去る三十日には今村長太郎君、大野伴睦君、小澤佐重喜君、加藤隆太郎君、田中重彌君がそれぞれ委員辞任せられまして、玉置實君、角田幸吉君、高橋權六君小平久雄君、天野公義君がそれぞれ新たに委員となられました。また本日田中豊君が委員辞任せられ、加藤隆太郎君が新たに委員となられました。以上お知らせを申し上げます。     —————————————
  3. 田中伊三次

    田中委員長 次に閉会中の継続審査に関する件についてお諮りを申し上げたいと存じますが、御承知よう国会法第四十七條二項によりまして、委員会議院決議で特に付託された事件について、閉会中といえども継続して審査を行うことができることとなつております。従いまして閉会中の継続審査を行うためには、議院決議で特に事件を付託されるよう議長に対して申出をする必要がありますので、当委員会といたしましてもこの閉会審査申出議長に対して行いたいと存じます。これに異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。よつてよう決定いたします。  それでは閉会中の審査申出書についてお諮りをいたします。これは委員長の手元において作成をいたしました案がございますので、これを読み上げます。    閉会中の審査申出書  一、閉会審査すべき事件   一、公務員福利厚生施設に関する件   二、公務員勤務地手当支給地域に関する件   三、公務員寒冷地手当及び石炭手当に関する件  一、閉会審査の目的     公務員福利厚生施設充実促進並びに勤務地手当寒冷地手当及び石炭手当支給適正化  右により閉会中もなお審査いたしたいから、しかるべく取計い願いたい。   昭和二十五年七月三十一日      人事委員長 田中伊三次   衆議院議長 幣原喜重郎殿 こういう案文であります。これを議長に提出いたしたいと存じますが、諸君の御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中伊三次

    田中委員長 異議なしと認めます。よつてように決定いたします。     —————————————
  6. 田中伊三次

    田中委員長 次に、閉会中の委員派遣についてお諮りをいたします。ただいま御決定を願いました閉会中の継続審査ができることになりました際には、各地に委員派遣をして、実地にその地方の実情を調査いたしたいと存じますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。よつてように決定いたします。  なお議長に提出いたします委員派遣承認申請の書類につきましては、派遣委員の人数は大体十二、三名、期間は約七日間といたしまして、委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————
  8. 田中伊三次

    田中委員長 次に、今国会におきまして、当委員会審査を付託せられました請願は、本日の請願日程にあります通り、全部で十四件でございます。ただいまよりこれらの請願について審査を行います。紹介議員関係がありまして、日程の順序はやや変更することがございますが、その点は御了承いただきたいと存じます。  まずお急ぎの様子でございますから、日程第八を第一番に審査いたしたいと存じます。日程第八、裁判所書記官等特別俸給表設定請願外一件、角田幸吉君御紹介の件であります。
  9. 角田幸吉

    角田委員 請願の要領を簡單に申し上げます。新憲法下において、裁判所任務は増大し、勤務する職員も一層高度の法律的素養と識見とを要し、中でも裁判所書記官任務は重大であることは、最高裁判所裁判所書記官昇任試験方法等によつてわかるのであります。かようにほかの公務員と比較いたしまして、その試験が非常に嚴重なのでありますので、こういう点を御考慮くださりまして、ほかの一般公務員よりは特別なる俸給制度をつくられまして待遇されるよう、新たなる考慮を拂われたいというのであります。以上であります。
  10. 田中伊三次

    田中委員長 これについて政府側の御意見を聽取いたします。
  11. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 裁判所書記官俸給につきましては、最高裁判所の方からもその要求がございまして、われわれ現在事務的に研究いたしております。ただ今お話がございましたように、試験が非常に嚴重であるということだけをもちましては、現在の給與法の範囲内において、これを特別扱いにするということはできないのであります。われわれの方といたしましては、その作業がどういうふうに困難である、危險である、またその責任の程度はどういうふうであるというようなことにつきまして、最高裁判所の方に御要求申し上げまして、詳細な資料を作成していただいたのであります。現在その資料に基きまして検討いたしておりますので、その結果に基きまして、あるいは調整号俸というようなものを適用するなり、そういう方法で参るのが至当ではないか、こういう見解で目下研究を進めております。
  12. 田中伊三次

    田中委員長 この請願について何か他に御発言はございませんか。——それではこれはあとで一括して採決をいたします。     —————————————
  13. 田中伊三次

    田中委員長 それでは次に移ります。山崎岩男紹介の、日程第四、青森在勤公務員石炭手当支給請願でございます。これについて紹介議員の御説明を聽取いたします。山崎君。
  14. 山崎岩男

    山崎岩男君 青森県下の公務員石炭手当支給方について請願趣旨を弁明いたしたいと思います。昭和二十四年法律第二百号、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律中、石炭手当に関する條項青森県内公務員にも適用せしむるよう法律改正方請願いたしたいのでございます。すなわち昭和二十四年法律第二百号、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律中「北海道在勤する者」とあるを「北海道及び青森県下に在勤する者」と改めるようにお願い申し上げたいというのがその趣旨でございます。  理由とするところは、寒冷地に住む職員にとつて最も必要である寒冷地給は、昨年法律第二百号として法制化されたのでございますが、法律第二百号によれば、北海道在勤する職員に対しては、寒冷地給のほかに、さらに石炭手当支給することになつておるのであります。ところが青森在勤職員に対しては同種の手当支給がないのでありますので、この点についてぜひとも政府並びに国会において取上げられまして、青森県に対しても北海道同様に支給方をお願い申し上げたいのでございます。北海道南部青森県の冬季間の気候状況を比較してみますと、その差異が認められないのでありまして、むべなるかな、寒冷地給北海道青森県は同率の四級地であります。そこで気候状況、気温の状況、積雪の状態、風力、日照、あるいは降水等総合指数は、札幌が三六・六となつており、青森県は三六・七となつておるのでありまして、この点においてすでに当局の法制化されておりますところによりますと、青森県と北海道には差異を設けてないのであります。その採暖の方式を比較してみましても、北海道の一般家庭同様、青森県もおおむねストーブを用いておるのであります。北海道は大体において石炭使つておりますけれども、長い間の戰争のために石炭需要関係があまりよく行つておりませんので、青森県としましては、石炭にかえるのに炭あるいは薪を使つてつたのでございます。それだけの差異なのでありますが、石炭状況が非常によくなつて参りましたので、このごろでは青森県におきましてもストーブ使つて石炭を燃料にしておるよう状態でございます。住宅の建築の構造も、北海道のそれに比較いたしましては、まことにこれは不完備と言わなければならないのでありまして、北海道はまことによくできておりますが、青森県のそれはまことに粗末である。その点から比較してみましても、青森県の公務員というものはまるで寒さにさらされておるといつたよう状況にあります。それで年間の生計費中、北海道同様に青森県におきましても、その三分の一というものはこの薪炭料に消費されておるといつた状況にあるのでありまして、公務員日常生活というものはまことに困窮をいたしておるよう状態であります。紹介議員でありまする山崎岩男は、少年時代北海道に育ちまして、ただいま青森県に居住しておるのでありますが、北海道の寒さと青森県の寒さは紹介議員自身が身をもつて体験しております。従いまして真劍に私はこの委員会において公務員の要望をお願い申し上げる次第でございますから、政府及び当委員会におきましては、段々の事情を御勘案くださいまして、何分にも特別なる処置を講ぜられるようお願いする次第であります。
  15. 田中伊三次

    田中委員長 それでは政府側の御意見を聽取いたします。
  16. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御説明ございました青森県に石炭手当支給してもらいたいというお話でありますが、お話ように、北海道南部一部分と、青森県内一部分におきましては、気象條件もほぼ同等であるということにつきましては、われわれそれはまことに適切であるというふうに考えておるのであります。しかしながらこの石炭手当あるいは寒冷地手当というものは、これは将来にわたつては全般的に検討を要するというふうに思つておりますので、将来のことはまた別に考えたいのでありますけれども、現在におきましては、ただいまのよう北海道南部と、それから青森県の一部におきましては、気象條件も同じであるというようなことから、青森県でそういう要求をされるという点に至当なものがあるというふうにわれわれ考えております。
  17. 山崎岩男

    山崎岩男君 政府当局におかれましても、青森県の要求が至当であるということをお認めになつておりますから、何分にもこれを早く法制化されまして、公務員が安心してその職に盡瘁できるようにおとりはからいのほどをお願い申し上げます。
  18. 西村久之

    西村(久)委員 山崎君の御紹介の、青森県に石炭手当支給せよという御趣意に対しましては賛意を表するものでありますが、私は特に青森県という名前を指定しないで、北海道の次に、並びにその他の寒冷地という文句を入れた方が、今後の扱い上かえつてよいのではないか、かように実は考えるのであります。決して御趣意に反対するのでありませんけれども、青森県以外に、秋田方面も非常に冷い関係等が伴うことは当然であると考えますので、その他の寒冷地といつた方がかえつて効果的であるのではないかと考えますがゆえに、一言意見を申し上げておきたいと存じます。
  19. 田中伊三次

    田中委員長 ただいま西村君の御意見はまことにごもつともと存じます。それについて政府側の御意見をつけ加えて伺つておきます。
  20. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 石炭手当につきましては、これは議員発案でできております法律でありまして、われわれその趣旨を尊重いたしまして、それの命ずるところによつて忠実にいろいろ事務を取運んでおる次第であります。しかしながら先ほども申し上げましたように、将来にわたつてはこの給與体系全体として見ますならば、これは再検討を要するのではないかというふうに考えておる次第であります。そうして青森県ということにしない方がよいというお話でございますが、私も先ほど申し上げましたように、このほんとうに必要なところは、青森県の中におきましても一部分でありますし、あるいはまた他府県におきましても同等のものがあるのでありますから、これは特に名前を指定されない方が、もしやるとしても適切である、こういうように考えております。
  21. 田中伊三次

    田中委員長 本件についてもその採否は後に決定することにいたしまして、次に進みます。     —————————————
  22. 田中伊三次

    田中委員長 次に日程第一四、土橋一吉紹介の、公務員給與改訂に関する請願、これについて紹介議員の御説明を承ります。
  23. 土橋一吉

    土橋一吉君 私は公務員諸君給與改訂に関する請願の内容を御説明申し上げまして、各委員諸君の御賛同を得たいと思うのであります。  御承知ように、現在国家公務員諸君は、六千三百七円ベース給與標準でおります。なお公務員諸君が、業務の面におきましても、昨年の八月十二日を契機といたしまして公務員諸君行政整理が行われまして、労務の過重なることは、いまさら私が申し上げるまでもないと存ずる次第であります。この給與ベースは、一昨年の七月の物価標準といたしまして、一昨年の十二月に人事院勧告をしたのであります。ところがこれが昨年及び本年引続いて実施されておりますが、御承知ように、一九四七年の七月二十二日、マツカーサー元帥は書翰を寄せられまして、公務員諸君罷業権、及び罷業権を伴うところの団体交渉権が剥奪をせられたのであります。従いまして国家公務員法は、明確に公務員諸君給與改訂厚生福利拡充強化、あるいは就職、退職に至りますすべての條項は、国家公務員法規定に従いまして、人事院が適切なる勧告行つた場合には、これは内閣と言わず国会も、その勧告趣旨を十分尊重いたしまして、公務員待遇是正には、内閣国会も全力を傾注すべきことは言をまたないのであります。しかるにかかわらず、人事院がすでに一昨年の七月の物価指数基準としまして、勧告をいたしまして以来、今日ではすでに物価上昇関係は、関係方面のあらゆる資料皆さん方がごらんくださいましても明瞭でありまするように、物価は一昨年の七月当時に比べまするならば、おそらく一三四%、ものによりましては一四〇%以上上つておるのであります。従いまして国家公務員法が第二十八條で明記いたしておりまするように、人事院はこの給與改訂につきましては勧告をしなければならぬのでございます。ところが過日、今年の一月の八日であつたと記憶いたしまするが、人事院は七千八百七十七円の勧告をしたのでございまするが、吉田政府及び本国会におきましては、これを取上げまして勧告の精神を具現するよう給與改訂が行われなかつたのであります。でありまするから、今日でも引続いてこの勧告の効力は法的にも存在するものと考えられるのであります。私が委員皆さん方にぜひ御了承願つておきたい点は、少くとも公務員諸君が、労働組合として当然持つておりまする罷業権罷業権を伴うところの団体交渉権を持つていない現在の段階におきましては、人事院が第二十八條規定によつて勧告をしたものにつきましては、少くとも物価上昇関係生活実態を考えまして勧告をいたしておるのでありまするから、その勧告基準というものは、現在の法的な措置にかんがみましても、また生活実態を考えましても、当然この勧告を受け入れまして給與改訂をする。同時に厚生福利の点につきましても、最善の努力をするということは、国家公務員諸君の公務の執行につきましても、各業務分担を行う上におきましても、絶対不可決の要件であるのであります。かよう観点からも、われわれはつとに各委員諸君にもこの点を力説をし、お願いをしておつたのであります。ところが、第八臨時国会が開会せられまする直前において、すでに淺井人事院総裁は、給與改訂があることをあらゆる機会を通じて声明をし、さらに吉田政府におきましても、去る参議院の選挙を契機としまして、公務員諸君給與改訂を公に五大綱領の一つとして宣言をしたのであります。かかる観点から、公務員諸君一般国民大衆はこのたびの給與改訂は、当然人事院総裁の名をもつて明確に勧告をせられ、国会及び政府は全努力を傾注することを期待しておつたのであります。ところが淺井人事院総裁もきようお見えになつておりまするが、参議院において七月の十五日、淺井総裁は本会議の議場において、給與ベース改訂は目睫の間にあるということを公言せられたのであります。ところがその三日の後の七月の十八日には、たなごころを返すように、ねこの目がかわりまするように、給與ベース改訂を行わぬ旨を声明せられたのであります。このよう淺井人事院総裁のこの給與改訂に関する国会及び内閣に対する勧告を差控えられておりますることについても、非常な責任を同総裁は感ぜられなければならぬと思いまするが、なお人事委員会といたしましても、このよう状況にありまして、物価の変動あるいは特に朝鮮の南北統一鬪争戰争が行われておりまする際には、すでに新聞でも書いておりまするように、食糧品あるいは纖繊維品、その他この基本をなすところの鉄鋼あるいは戰略物資的なものは、どんどん高騰する傾向にあることは、諸君の御承知通りであります。こういう状態において公務員諸君が依然として六千三百七円ベースにあるということは、これは何と申しましようとも、少くとも政府の政策でありましようとも、経済の基本的な原則の遂行を行うと言いながら、きわめて不都合な問題でありまして、当然公務員諸君給與改訂は実際の生活の面から、実際の労働階級の消費生活の面から考えまして、当然これは遂行すべきものであるし、また本委員会におかれましても、各委員が全努力を傾注されまして、私は少くとも本委員会が淺井人院総裁に対して、すみやかに人事院の考えておる給與改訂を行うことを決議をするという態勢が必要であると考えておるのであります。それに加えまして、六千三百七円ベースから今日の物価状態を考えまして、当然生活の補給金、そのようなものが必要であると考えるのであります。従つてとりあえず本委員会におかれましては、生活補給金として全官公庁の諸君が現在要望されておりまする五千円の支給を即時決定していただくように、また人事院勧告をすみやかに——本国会は本日をもつて終了でありまするが、しかしながら最後まで努力せられまして、淺井人事院総裁も幸いに本席上におられることでもありまするので、皆さんの全会一致の結論をもちまして、人事院はすみやかに勧告をし、政府及び本委員会はその先頭に立たれ、公務員給與改訂する。これが本請願の根本的な趣旨でありまするので、私はこの際に人事委員の各位にぜひともお願いしたい点は、この問題は国家の行政執行と言わず、あるいは逓信その他の作業官庁と言わず、公務員諸君生活の基本をなす問題でありまするので、従来の天皇制の時代と違いまして、給與の実質的裏づけなく、厚生福利の実質的な給與が與えられないで、公務員諸君に時間の嚴守や労務の加重を強要することはきわめて不当であることは言をまたないのであります。昨今特に朝鮮の動乱を契機としまして、公務員諸君が公務の執行の面において煩雑な仕事が非常に激変をしてふえておるのであります。特に逓信関係におきましては、逓信員の強制募集と申しましようか、あるいはその他の公務員諸君の労働過重は、平時に比べまして私は二倍以上にも余るものが各所においてあるやに聞いておるのであります。従いましてこういう労務加重の上に、さらに低賃金ということは、何としてもわれわれは容認ができませんので、ぜひこの点を御了承くださいまして、自由党諸君は現在の政府が低賃金さらに低米価をもつて政策を強行する考えをもつておるでありましようが、少くとも公務員諸君給與に関する限りは、きわめて不当であるということを、私は諸君に御了承願いまして、さらに昨日及び一昨日の新聞が一斉に報道しておりまするように、人事院はすでに資料を発表しておるのであります。これによりますると、公務員の実際の給與の面においては、民間の同種業の一般の労働者に比べまして、三割五分ないし四割も給與水準が低いということをすでに新聞は報道しておるのであります。これは人事院からそのような発表をせられたことはきわめて明瞭な事実だと思うのであります。こういう面から考えて、国家公務員が、一般民間給與よりは四割も給與が低くして、しかも時間嚴守を強要し、あるいは事務の過重なるものが負担されておる。こういう現状におきましては、とうてい公務員諸君の本来の罷業権を奪い罷業権罷業権を伴う団体交捗権を奪つておる国家公務員法の精神から考えても、また人事院が不覇独立の立場において物価の変動にかんがみて常に勧告をする。これは人事院が少くとも行政府の、特に政府の圧迫を受けることなく、自主的な見解をもつて責任をもつて勧告をする。こういう態度が、今の情勢においては疑いを持たざるを得ないよう状況で差控えられておる。こういう事実につきましては、何としてもわれわれは了承ができないのであります。でありまするので、少くともここに出してあります請願は、皆さん方の全会一致の御賛成を得まして、これが実現されるように切に要望する次第でございます。
  24. 田中伊三次

    田中委員長 この際ちよつと委員長より政府委員諸君に一言申し上げます。ただいまの紹介議員土橋君の御説明は非常に熱心な御説明であり、かつきようは全国の公務員の代表者の諸君が多く傍聽をしておられることでもありまするから、政府側の御答弁はでき得るだけ丁重に、御意見を拜聽いたしたいと思います。
  25. 淺井清

    ○淺井政府委員 お言葉までもなく、われわれは常に国会を尊敬し、丁重に答弁をいたしておるつもりでございます。土橋さんの御質疑はまことにごもつともでございまして、御決議案を御提出になりましようとも、なりませんとも、人事院といたしましては、できるだけすみやかにこの勧告をいたす方針に少しもかわりはないということを申し上げればよろしいと思います。
  26. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 公務員給與を何とかして改善をいたしたいと考えておりますことは、政府のみならず、私の所属しております自由党においても事実でありまして、そのために先般も公務員給與ベース改訂ということを政策のうちに盛り込みまして、しかもこれを党から政府に移されまして、政府においてもその趣旨でできるだけの努力をするということに決定しております。ただ御承知ような現下の財政状況でありますから、これをいつやるか、またこれと同時に国民全般の希望である減税をどういうふうに取上げるかということが二つありまして、この点では政府においてはもちろんのこと自由党においても熱心にただいま研究中であります。来年度におきましては必ずベース改訂を実現するという固い決心でやつておりますが、その前にいかなる措置がとれるかは目下研究中でありまして、ここに明言することができないのははなはだ残念でありますが、予算執行上の結果も見なければなりませんのでありますから、いかんともいたしがたいのであります。
  27. 土橋一吉

    土橋一吉君 ただいま淺井人事院総裁から、勧告をしたいという熱意のほどは承つたのでございます。しかしながら少くも臨時国会が召集せられておる直前に勧告をするということは、これは政治的に考えましても、実際の勧告の効果をよりよくならしめる意味においても、ぜひ必要だと考えられるのであります。国会が終了いたしまして、次期昭和二十六年度の予算編成のみぎりにやるというようなことであつては、まことに不都合でありますので、かりに来月の上旬なり中旬に勧告をしてくださいましても、国会閉会中でございます。次期臨時国会を召集するようになりますと、昨年の例もありますように、おそらく臨時国会は通常国会にすべり込むよう状態が考えられるのであります。こういう時期におきまして、いかほど勧告を願いましても、すでに昨年の四月以降から今日この八月の当初に至るまでの生活の補給的な意味、そういうものの出費というものは、各公務員諸君は、人によりましてはおそらく数万円の負債を負つた者もございましよう。また人によりますと、数千円の方もありましようが、いずれにいたしましても、生活補給的な意味において莫大な負債を公務員諸君は負つておるのであります。こういう点を考えて見ると、淺井総裁としてはなるほど関係方面のいろいろなこともございましようが、すみやかに勧告をして、あなたが常々申されておりますように、公務員諸君のために、政府が何であろうと国会がどうであろうと、一応われわれは国家公務員法規定に従つて勧告をするという態度をあなたが貫かれるという必要があると私は考えておるのであります。ところが本日はもはや最終日でございますので、今から申してもしようがないのでございますけれども、こういう情勢で国家公務員法の忠実な最高責任者として執行する立場において、これが行われないということについては、私は個人淺井総裁としても非常な責任を痛感されておると思う。特に国会内におきましては、私は言い過ぎであるかも存じませんが、本会議の席上で、近いうちに勧告するというようなことを御声明になつてつて勧告できないということについては、これは人事院の仕事のうちでも、給與改訂をするとか、厚生福利拡充強化をするという問題は人事院の仕事として最も重要な、最も大切な仕事の一つであります。それすらできないという状況においては、淺井総裁個人の資格におかれましても、非常に遺憾であろうと思いますので、この点につきまして、将来さらに現在、この給與改訂について所信のほどをさらに御説明くださいますれば、けつこうだと存じております。  次は官房長官の今の御発言私は一応了承します。しかしあなたの仰せられることにつきましては、非常な相違があるのでございます。それは参議院議員の選挙の直前に、池田大蔵大臣が米国から帰りまして、そうして五大スローガンを掲げて参議院選挙に自由党は出られたが、その当初において公務員給與改訂ということをあなた方は明言して、参議院選挙をおやりになつたのであります。その参議院選挙を終りまして、第八臨時国会を召集するや、このことにつきましては、内閣総理大臣以下官房長官各位もほとんど本会議においては発言がないのであります。少くも来年度するというようなことは、ただいま八月でございますから、来年度と申しますと、普通の人の常識では来年四月一日以降の問題であります。一体給與というような問題が、来年四月一日以降に改訂せられるであろう、あるいは一月以降において何かの措置を講ずるであろうというようなことで、昨年の十二月以来の給與の是正という問題が解決するでおりましようか。私は政府が少くとも国民に対して公約しておいて、そうして選挙終了後初めての第八国会においては、何らこれを取上げないというような態度は、私は政府が国民を欺瞞するものではなかろうか、と考える。こういつた欺瞞的な政策を発表し、それが実現できないで、この委員会を過そうというような態度は、何といたしましても吉田政府の——そういうものが本質的な政府でございますならば、これに何をか言わんやでありますが、天下の公党として、すでにこういうことを発表されまして、それが実現できないということならば、よろしく吉田政府はこの際責任をとりまして、私は総退陣すべきであろうと考えるのであります。従いまして私たちは、このような公党としての面目、公党としての公約、こういう観点から考えましても、重大な責任吉田政府は負わなければならないというふうに考えておりまするが、それについてはどう考えておられるか、こういう点を明確に承りまして、私は紹介議員としての責を果したいと思うのであります。  なお御答弁の内容いかんによりましては、さらに御所見を聞いて明確にしておきたい点が多々あるのでございます。どうかひとつお忙しいところでありましようが、私今申し上げたようなことについてさらに御答弁を願いたいと思います。
  28. 淺井清

    ○淺井政府委員 土橋さんに丁重に御答弁をしようと存じます。お示しの点まことにごもつともでございまして、この人事院のベース改訂勧告と申しますのは、御承知のごとく国家公務員法二十八條によるものでございまして、これは一方におきまして、公務員の団体行動等を規制いたしましたかわりに入つておるという点を特にわれわれは頭に置きまして、常に熱心に勧告をいたして参つたのでございまするが、この勧告をいたし、または計画いたしたことは都合三回でございます。六千三百七円ベース、七千八百七十七円、そうして今回でございまするが、ただこの国家公務員法二十八條を現在施行しておりまするところのわが国並びにそれを取巻きまするところの情勢、ことに経済的な情勢というものが非常にいろいろ困難なものがあるということは、これまたよろしく御了解くださると存じます。ゆえに人事院が過去において三回勧告いたしましたときには、常に大きな困難にぶつかつておるのであります。にもかかわらず、われわれはともかくこの勧告をするよう状態になつたのでございますが、ただ今回におきましてはそれができない状態に一時なつておるということでございます。そのことは私が声明をいたしましたものの中にもございまするように、予算と結びついておるということでございます。もとより土橋さんの重ねての御質問をお受けするまでもなく、予算と勧告は別のものであるという根本方針にはかわりはないのでございまするけれども、政府に対して更正予算を提出することができない、拘束を加えますれば、その一機関である人事院に対して、勧告をなし得ない拘束もまたあり得るということを御了承を願いたいと存じます。この事情につきましては、私はこれ以上ここに申し上げる自由を持たないことは残念でございます。ただ問題は来年の予算の編成に間に合うように、人事院勧告をいたすことにはかわりはないのでございます。
  29. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 ただいま土橋君からいろいろお話がありましたが、選挙のしまいごろにおきまして、自由党の方針を発表いたしました際には、その当時の新聞をごらんになればよくわかると思いますが、来年度においては給與ベース改訂をする。その以前にはまだわからない。こういうことをはつきり言つてあるのであります。従いまして決して公約無視とかいうような問題は、私は起らないと確信しております。臨時国会でどうとかいうことはありますが、これはたとえば同じようなことは、早期講和という問題につきましても、自由党は綱領を発表しておるのでありまするが、これはやはり方針でありまして、臨時国会に必ず早期講和を実現するという意味でもないのであります。ただ給與の問題につきましては、今お話のありました点も十分勘考しておりまして、できれば財源の許す範囲においては、なるべく早くまたできるだけ多くの改訂をいたすことに、できるだけの努力をするという点はかわりはないのであります。この点御了承願いたいと思います。
  30. 土橋一吉

    土橋一吉君 淺井総裁は、そうしますと、政府が財政的の措置ができない、あるいはただいまの国会においては、補正予算とか追加予算というようなものが出し得ないという現状で、勧告してもしようがない。こういう御所見のようである。ところが人事院勧告というものは、時の政府が自由党でありましようとも、他の会派が政権を担当しておりましようとも、人事院はその行政府と独立いたしまして、公務員の実際の生活状況から考えまして、民間の給與の実際の標準から考えまして、公務員諸君が実際生活が困難である。特に物価が百分の五%以上引上つたという場合には、随時常に勧告をする。こういう建前に相なつておるのでございます。ところがお話なつた内容でございますと、政府の財政政策、政府一般の空気が追加予算を計上しないことになつておるというようなことで、人事院勧告をするというこの重大な義務と重大な権限が、常に国家財政の面から制約を受けるということになりまするならば、人事院国家公務員法規定しておりまする第一條なり第三條、第五條、第八條というよう規定が明記しておる基本的な態度に反すると思うのであります。国家財政がどうであろうと、いかなる政党がいかなる政策をもつてやりましようとも、公務員諸君の現実の給與が民間給與と非常な差額がある。今あなたの方で発表されておりまするように、三割五分から四割、ほとんど半分にも近いよう給與を受けておるという現状を調査の上、あなたもこれを確認せられても、なおかつ勧告ができないというならば、これは單に国家公務員法の二十八條の違反の問題ではございません。人事院そのものが成立をしておりまする基本的な態度は、公務員諸君罷業権を伴う団体交渉権がないというところに、人事院勧告は非常な権威と法的な力を持つておるのであります。それをやり得ないということは、少くとも淺井総裁としてはまことに不都合千万でないかということが、私がこの紹介議員として、給與ベース改訂に関して説明をしておる第一点であります。  第二点としては、そういう事態であるならば、人事院総裁としてはどういう決意をもつて内閣あるいは国会にこの勧告のできなかつたことについて、責任を負つて、あなた方が実際に調べておられまする給與の非常な差というもの、生活補給金の問題、あるいは民間給與との差というものについて、どういう方法で是正をしようとされるのか、あるいは厚生福利の点につきましても、どういうことを一体今日人事院は考えておるのか、共済組合法の問題にしましても、あるいは現実の労需物資の配給等の問題にしましても、あるいは施設の拡充強化の問題にしましても、どうしてもあなたが明確に御所見を出されなければ、私は解決しないものであると思うのであります。こういう点を私は重ねてあなたの所信を明確にしていただきませんと、人事院は常に政府と同調し、政府の従属物であつて、そうして自由党なるがゆえに、絶対多数を持つておりまする與党なるがゆえに、いかんとしても頭が上らないよう人事院であるならば、これは人事院の存在価値がないのでございます。それならば人事院というものは政府の付属物でありますので、そういうものならば大蔵省でけつこうでございます。あなた方が国家公務員法という規定に基いて、時の政府が自由党であろうと、絶対多数党であろうと、自分の所信に従つて勧告をする。この明確なものをあなたの方で堅持されまするならば、かりにあなたの方で勧告が出まするならば、政府は急遽閣議を開きまして、追加予算の問題なり、補正予算の問題について、関係方面とも折衝するなりして全力を傾注する。こういう問題が考えられる。  特に私が申し上げたい点は、国家警察予備隊というものをつくろうとしておるのであるが、この問題にいたしましても、これがただできるものではございません。おそらく五百億以上の金がかかるのでございます。海上保安庁の問題にいたしましても、私が申し上げるよりあなたがよく御承知のことと存じます。こういう莫大な費用を要して、国債償還の金をそちらの方へまわすとか、終戰処理費はすでにただいまのところにおいては全部使い果しておるという状況である。こういう状況下において、政府の政策を遂行しておるのでありまするから、人事院は特に不覇独立の立場を堅持して、勧告をするということが必要であつて、そういう政府の政策に動かされて、人事院勧告しないというならば、吉田政府の従属物である。吉田内閣総理大臣及びその一党の政策に従つて、何もできないということであります。この点を私は明確にしていただきたいということを申し上げておるのであります。  さらに官房長官にも私は申し上げたいのでありますが、官房長官は来年度の方針を申した、こういう御答弁でございまするが、私はもう一回あなたに承つておきたい。それは政府は一体そういう方針、そういうような考え方をただ発表して、そうして選挙戰に臨むというものではないでしよう。およそ今日のいかなる政党でありましようとも、自分の政策を発表する限りは、これは必ずこの参議院選挙を終れば実現をするぞということが基本でなければならないのであります。いわんや来年度と言つておりますが、世間では来年のことを言えば鬼が笑うと申しております。そんなようなとぼけた話をして、それを本委員会で御答弁なさるということは、どういうわけでありましよう。少くとも政府が政策を掲げる限りは、この参議院選挙で国民の支持を得て、多数をとれば、私どもはすぐこれを実行するのだということで、政策を発表するのが基本的な態度であります。それを来年度にするというような、そういう鬼も笑うようなことを言つておる。そういう態度がまず吉田政府の基本的な態度であるとするならば、吉田政府の申しておる政策、自由党の諸君の申しておる政策は、常にこういうものであるということを国民の前に公表しなければならないのであります。私はそういうことを非常に遺憾とするのでありますが、一体官房長官は、そういう来年度にまわるようなことを発表して、そうして多数の参議院議員を獲得して、自分らの吉田内閣総理大臣、及びその一党の政策を、ただやろうというようなことでありまするならば、これは私党であります。公党ではないのであります。そういう政党には政権を担当せしめるわけには行かないのであります。国民大衆に対して偽善と欺瞞と悪意に満ちた政策をやつておるのであります。これは私があえて申すまでもない事実であります。ことに日本共産党に対しましては、暴力とか偽善とか欺瞞とか申しておりますが、これは自由党に全部返上してもなお私はつりがたくさん出ると思うのであります。こういう点について、人事院はどう考えておられるか、この点を明確に……     〔発言する者多く議場騷然〕
  31. 田中伊三次

    田中委員長 お靜かに願います。
  32. 土橋一吉

    土橋一吉君 委員の発言中に妨害するものがある。これが自由党諸君のすべての態度であります。こういう暴力的な……。
  33. 田中伊三次

    田中委員長 土橋君、できるだけ簡單に……。
  34. 土橋一吉

    土橋一吉君 こういう自由党の態度でございますので、委員皆さん方も、十分こういう点を見ていただきたい。それで私は政府及び総裁の御答弁を願いたいと思います。
  35. 淺井清

    ○淺井政府委員 土橋さんにお答えいたします。勧告を出さねば内閣の手先と申されまするけれども、出せば閣内野党と申されることもあろう。この両方からこもごも非難を受けまするところが、かえつて人事院の公正な立場を表明するものであり、どつちにまわつても損な役だと思いまするが、そんなことはどうでもいいのです。われわれはともかく公務員の福祉のためにかくなしたるごとく将来ともやつて行く、その気持だけで私は十分でありまするから、両方からの御非難は喜んで受けていいのであります。ただ土橋さんの第一点に対する御質疑は、かようなことは私はお答えした覚えはございません。人事院は予算が出せないからだめだろうと思つて勧告をやめたのでは毛頭ございません。政府に対して更正予算が出せない、拘束を加えられた場合には、その一機関である人事院勧告を出せない、こういうこともまたあり得るという情勢について申し上げた次第でございます。
  36. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは、土橋君がやつたあとまわりをやりますので、簡單に一、二点の質疑をさせていただきたいと思うのですが、結局今までの淺井人事院総裁や岡崎官房長官の御答弁で、全面講和をから念仏だと人をばかにしたようなことを言つていた吉田さん自体が、から念仏の大臣頭であるということがわかつた。それは選挙公約の裏切り、第八回臨時国会の冒頭の施政方針もから念仏に終らしてしまつたのであります。それからまた淺井さんは首相の演説があつた直後に、首相の方針はまことに時宜を得たものである、わが意を得たりというような、非常なる決意のほどを表明されたのでありまするけれども、これも巷間伝えるようにその後どうなつたのかわからない。においのないへのようなものになつて消えてしまつた。鰻香声明ということが言われていますが、鰻香だつたら少しは芳ばしいにおいもするのですが、臭くないへみたいなもので、これはかんでも処置なしということである。私はそういう意味では淺井さんの御了承願いたいと言つているその言葉自体が、どうも淺井人事院総裁は鰻香大居士というようなことだということをはつきり表明したと思う。
  37. 田中伊三次

    田中委員長 加藤君、公務員給與改訂に関する土橋君の請願に関連のあることを簡明に言つてください。
  38. 加藤充

    加藤(充)委員 だからそういう前提のもとに私は以下簡單に質問をするのです。人間に値する生活の保障というものは、政府人事院勧告し、また支給しなければならない義務を持つているものだと私どもは理解いたします。これは憲法の規定上明らかであります。民間の会社におきましては、金がないから拂えないとかいつて、まことにかつこうのつかない支拂いや、分割拂い、あるいは欠配というようなものが給料において行われておりまするが、職責を果さない公務員については、公務員法に人事院規則その他嚴重な処罰、首切りということがなされておりまするが、人事院自体あるいは政府自体が自分が使つておる職員に対して給與を拂わぬ、金がないから拂えないというだけでは、私はこれはまさしく公務員としての職責を果さざるものとして、相当な処分と責任をみずからとらなければならない問題だと思うのであります。そういうふうな機関なり公務員が許されていいかどうかということを第一点にお伺いして、それからそのことについて国家公務員は、人事院がそういうふうな状態であるならば、進んでは人事院の廃止あるいは職責を果さなかつた人事官の罷免彈劾というような要望の声を全国的に大きくする。国会にもその要望は届けられていると思うのですが、こういうふうな公務員の理解の仕方、こういうふうな要望に対して、今申し上げました諸点から岡崎官房長官並びに人事院総裁としての淺井さんの御所見を承りたい。  それからなお第二点は、新聞では、このたびどこへ行つたかわからなくなつてしまつた勧告の内容が、前の七千八百七十七円ベースよりも幾らか下まわる見通しが強いということが言われておるのであります、またこの次に勧告をなさるという一応の決意だけは承りましたが、地方がが通過いたしまして、二十七日ころの読売新聞でしたかの記事を拾い読みいたしましても、地方税が通つて最高去年の十倍ということが言われております。それからみそは二、三倍で、しよゆうは二割方値上げになつておる。これについては食糧庁の見通しはみごとにはずれて、待つてましたとばかりに、そういうふうに物価の値上りが出て来ておる、それから朝鮮内戰の問題でさらにこの傾向はやみ米の値上り等々を通じましてたいへんなことに予想されるのでありますが、こういうふうな諸情勢、諸條件を加味されずに、先申し上げましたように、前の勧告よりも下まわるということになりますれば、戰争による異常な経済界の諸負担を勤労者、とりわけ乏しいことを確認されておる国家公務員諸君に、さらに重い負担で戰争の間犠牲を拂わせるということに相なると思います。以上申し上げましたような諸点から、次に勧告される勧告の條件の中には、朝鮮内戰の問題、それに付随する先ほど申し上げましたような諸條件を十分に加味されなければならないと私は思いますけれども、どういうものになるか、淺井さんの御答弁を承りたいと思います。
  39. 淺井清

    ○淺井政府委員 第一点は民間の給與の不拂と政府の不拂いを御比較になりましたが、これは不拂いの意味が違つておると思います。政府法律上に規定されております給與を拂わぬということはないように思つております。ただ問題は今の給與が低いということであります。この点においては人事院といたしましては上げるということに努力を続けて参りましたことは、御承知通りだろうと思つております。それから人事院責任云々のお言葉がございましたが、十四日の参議院の本会議であのように申しましたときには、私は勧告をなし得るという見通しを持つていたのでございます。決して内閣その他と談合いたし、またはその他の理由によつて勧告を中止するに至つたのではございません。なおこの点について申しますが、内閣その他より勧告をとりやめるようにいうような企ては、全然人事院に対してなかつたことを御了承願いたいと思うのであります。  第三点といたしまして七千八百七十七円を下まわるのではないかというのでございますが、これは非常に技術的な問題でございますが、二百八十円というものの範囲内におきましてはこれは非常に動く可能性がある。この二百八十円といいますのは、今年度の予算に計上してございます特殊勤務手当の額でございます。この特殊勤務手当を幾らベースの中に入れますか、御承知ようベースの中には特殊勤務手当を含んでおることになりますから、この範囲内においては動くのでございますが、これは数字の動きでございまして、実質的に下るという観念ではございません。また物価の値上りその他についてお示しになりましたが、将来物価が上れば、人事院のやる方式に従いますれば、必ずベースは上つて出て来るということはもう当然のことであろうと思つております。
  40. 加藤充

    加藤(充)委員 簡單に一点だけお伺いします。努力を拂つておる、努力をいたしますという言葉では腹の足しにならないものだ。これは給與問題ですから、淺井さんにもう一回確認していただきたい。勧告をなし得ないという事情がもう通告後に迫つたときに、勧告をなし得るものだということを考えて、時期至れりということで公言なすつた淺井さんは、悪意ではないにしても、少くとも大きな無能である。あるいはその公言に対して期待した公務員に対しては大きな裏切りをやつてしまつたということは、事実としてこれは隠せないと思いますが、その点について淺井さんのあらためて責任のある御明答をお願いしたいと思います。
  41. 淺井清

    ○淺井政府委員 結果論から申しますれば、御批判にまかせるほかにしかたがないと思いますが、その情勢は私の参議院における声明の以後において起つたものでございまして、私としては、決してそのために参議院であの勧告をすると言つた声明がうそとかかけ引とか、そのようなものでなかつたということを申し上げておきたいと思います。     —————————————
  42. 田中伊三次

    田中委員長 次に日程第五、政府関係機関職員給與改訂に関する請願、及び日程第六は同一趣旨請願でありますから、一括議題といたします。紹介議員成田知巳君が御不在ですから松澤兼人君にかわつて説明願います。
  43. 松澤兼人

    松澤委員 この政府関係機関職員給與改訂に関する請願は、復興金融金庫職員組合委員長鈴木実氏が請願者となつているのであります。復興金融金庫、持株整理委員会、閉鎖機関整理委員会、証券処理調整協議会等の四政府関係機関の給與ベースは、昭和二十四年法律第二十七号公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律の実施に伴いまして、従前のべースの賃金の計算と異つた計算がなされまして、はなはだしく切り下げられているという意見を持つているのであります。従来のこれらの関係機関の職員は、現にそれぞれの関係の仕事に従事しておつたものであり、それらの職業に従事している間、相当高い給與をもらつていた、それが政府機関に就職するようになりましてから、一般公務員と同じよう給與を受け、ただ公団特別手当として三割の手当を加算されているのであります。その公団の運営というものはそう長期にわたるものではなく、当然それらの政府関係機関は暫定的なものでありまして、従つてその仕事に長く従事していることはできないというよう関係で、一般の六三ベースよりよりも特別な高給を與えられていなければならないということになつているのであります。そこで六千三百七円ベースは一昨年十二月に実施されまして、その後の物価情勢などを考えてみますと、今日では当然九千七百円支給でなければならないという考えを持つているのでありまして、請願者は六千三百七円ベースを九千七百円ベースに引上げてもらいたい、それとともに従来から公団特別手当として出している三割の加給をしてもらいたい、こういう趣旨陳情であるのであります。  第三八六号は同一内容のものでありますが、先ほど申しました四機関の一つであります持株会社整理委員会職員組会長山本孝明君から提出せられている請願であります。内容は先ほど申しましたのと同様でありますから説明を省略いたします。
  44. 田中伊三次

    田中委員長 それではこの請願について政府側の答弁を求めます。磯田給與課長。
  45. 磯田好祐

    ○磯田説明員 ただいまお話のありました復興金融金庫ほか三政府機関の給與の問題でございますが、これはただいまお話通り従来復興金融金庫等につきましては、予算的な制限がなかつた問題でございますが、従来この種の仕事を民間でやつておりました人々を吸收いたしました関係上、お話ように当初この四機関の給與を受ける場合におきましては、民間の給與をもらつていたと同じ程度のものを支給するという建前で参つたのであります。従いまして、今日に至りましても当時の給與程度のものは、おおむね保障されておるのでありまして、従いまして現在のところにおきまして、特にこの四機関の給與が民間の分より低くなつておるということは、言えないと思うのであります。  それから次に公団の給與につきまして、本俸の分につきましては、六千三百円ベース改訂があるならば、それとあわせて改訂すべきではないか、さらにまた公団の特別手当につきましても、これを引上ぐべきではないかというお話でございますが、この問題は他の一般公務員給與ベースの問題とあわせて考うべき問題だと思います。すなわち公団の本来の給與に相当いたします分につきましては、一般の公務員のべースを同じ基準によつてつておるわけでございまして、従いましてこの基準を変更するかどうかという問題は、他の一般給與ベース改訂の問題とあわせて考えて行くべき問題と考えております。
  46. 松澤兼人

    松澤委員 それではこの件に関連して給與局長にお伺いいたしたいと思うのであります。今日給與実施本部は人事院に移つていると思うのでありますが、官公吏諸君はもし給與改訂が差迫つてできないとするならば、暫定措置として夏季手当ようなものをいただきたいという非常に熱心な要求があるのであります。そこで私どもはぜひともこの際、政府給與ベースの引上げということを言つているのでありますから、もし政府がそれだけの親切を持つているならば、何かの措置を講ずべきものであるというふうに考えているのであります。何か承りますと、各省において多少の臨時的な手当が出されているということを聞いているのでありますが、これは人事院の方でなすつておるのか、あるいはまた大蔵省の方でなすつていらつしやるのか。この点を承りたいと存じます。
  47. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまのお話でございまするが、われわれといたしましても、給與の体系を合理化して行くということが一つの目的になつておりまして、何としてもその本則であります賃金ベースの引上げということでやつていただかなければならないというふうに考えておるのであります。ただいまの臨時手当お話でございまするが、これはわれわれ関知いたしておりませんし、もしそういうことがあるとしますならば、現在の法令の範囲内では違法であると言わなければならないと思います。
  48. 磯田好祐

    ○磯田説明員 ただいまお話の臨時手当の問題につきましては、大蔵省といたしましても何ら関知いたしておりません。従いましてもしこの支給という事実があるといたしますならば、ただいま人事院瀧本政府委員からお話のありましたように、違法の措置だと思います。
  49. 松澤兼人

    松澤委員 こういう問題を出せば、人事院給與局長はそういうふうに御答弁になることは当然だと思います。われわれも本筋におきましては、給與体系一本やりで行かなければならない、こう考えておるので、人事院給與改訂のために全力を盡して勧告するなり、あるいはその勧告の実現をはかるなりということはもちろん本筋であります。しかしながらそれは当分できない。来年の四月以降にならなければ給與改訂ができないという場合におきましては、これは人事院といたしましても、または政府といたしましても、公務員生活の現状から考えて、何か出すべきであるという考えを持つておる。これはどこまでも暫定的であります。しかしながら今こういう問題を公式に取上げれば、それは給與法によらない給與であるから違法であるという結論が出て来るのであります。しかしこの現状の困つておる問題を考えるならば、これは瀧本給與局長なり、あるいはまたは大蔵省の給與課長なりがここで言明するということは困難であることはよく知つておるのです。しかし現に私どもは昨年の十二月の年末手当を出す場合におきまして、政府は絶対に財源がないから、給與改訂はできないという公の声明をしておきながら、実際には国鉄に対して三千一円、政府職員に対しては二千九百二十円という年末手当を出したのであります。私たちは予算の詳細のことはわかりませんけれども、ある程度の暫定的な給與をしぼり出して出すということは決して不可能ではない、こう思うのでありまして、この点もし政府に誠意があり、かつまた人事院の職責とは多少筋が違うかもわかりませんが、公務員生活の現状に照して、ここで何かすべきが当然である、こういうふうに考えておるのであります。これは今政府委員の方に答弁を求めても不可能である、こう思いますので、後ほど官房長官にもう一度御出席を願いまして、さらにこの点をお願いいたしたいと存ずるのであります。     —————————————
  50. 田中伊三次

    田中委員長 それでは次に移ります。日程第一、石炭手当増額に関する請願紹介議員浦口鉄男君の御説明を伺います。
  51. 浦口鉄男

    浦口鉄男君 この請願は全道府労働組合代表中央執行委員長渡辺正虎君の請願にかかるものであります。本請願の要旨は、人事院においては、昭和二十五年六月十七日国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律第三條第二項に基きまして、これら手当支給額、支給時期、支給方法等に関して勧告をしましたが、政府は現在それよりもはるかに下まわつた支給額を決定していることは、地方の実情を無視したものであり、特に石炭手当については不合理であり、かくては冬期における公務の執行に大なる影響を與えることは必然であります。ついては少くとも人事院勧告通り石炭手当支給方法をすみやかに講じていただきたいというのが要旨でございます。実は去る六月五日北海道在京市長会議要請額におきましては、本年度の石炭手当は三トンで二万一千円を支給すべきである、こういう案が出ているのでございます。内訳を申し上げますと、石炭は六千八百カロリー、一トン五千二百円、石炭一トン分の小運搬賃が四百円、右に対する税金千四百円、これを加算いたしまして、一トン七千円で、合計三トン二万一千円というのがこの要請額になつております。しかし組合といたしましては、この北海道在京市長会議の要請額よりもなお下まわりまして、三トンで合計一万九千八百七十五円というものを要求をいたしているのでございます。ところが人事院勧告は御承知ようにさらにこれを四割も下まわりまして、三トンで合計一万二千四百五十円というのが勧告になつております。ところが最近聞きますところによりますと、閣議決定額はさらにこれを下まわりまして、三トンで合計九千円、こういう額が決定をされたと聞いているのでございます。御承知よう北海道におきましての石炭というものは、ある場合には食糧よりも非常に重大な意義を持つているのでございます。一部食糧を減らしても寒いときには石炭がなければとうてい暮して行けないというのが北海道の実情であることは、すでに御承知と思うのであります。そこで全道の一般世帶の石炭の平均需要額は最低三・六トンないし四・二トン、こういうことになつているのでございます。ところがこの閣議決定額の九千円を標準にいたしますと、おそらくことしの実情におきましては、一トン半しか買えぬであろうということは当然われわれとしても考えられることであります。実はこの春におきましては、九月ころになれば石炭は少くとも一トン千円ないし千二、三百円は値下げになるであろうということは、石炭販売業者の一致した意向でもありましたが、御承知ように朝鮮の動乱の影響も大であつたと思うのでありますが、現在の見通しにおきましては、石炭の値下りも今は見込みがないのでございます。閣議によつて九千円と決定された当時におきましては、官房長官あるいは大蔵大臣は、現在の石炭価格が秋において値下りになることを見越して御決定になつた、こういうことも聞いておるのでございますが、現在はその見込みがないということを考えましたときに、この請願書にもございますように、組合の要求額の一万九千八百七十五円はまずおきまして、最低人事院勧告一万二千四百五十円はどうしてもこれを支給してやらなければ、実際に公務員として安心してこの冬の勤務ができないということは、われわれ北海道の選出の議員といたしましても、実によくわかることであるのであります。どうぞそういう意味合いにおきまして、閣議決定というものが絶対のものであるかどうか。何とかここにひとつ今一段方法を講じていただいて、最低人事院勧告まで、この要求を満たしてやることができないかということをお願いをする次第であります。
  52. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 石炭手当の問題につきましては、人事院といたしましては、いろいろ精細な資料を用意しまして検討いたしました結果、北海道においで現実に入手し得る、しかもまた現実に入手しておる石炭というものは、大体トン当り四千百五十円程度の炭であるということを研究の結果知つたのであります。そうしてこの四千百五十円という炭は、大体六千カロリー程度の品質の炭である。塊炭、粉炭を平均いたしまして、大体六千カロリー程度の炭であるということを知つたのであります。それから今後石炭の価格がどういうふうに変動するであろうかというようなことも研究いたしました結果、大体においてそれほどの変動はないものである。しかし今後幾らかの値下りはあるかもしれないというようなことも見込みまして、いろいろ小運搬関係の費用というようなものも勘案いたしまして、四千百五十円が適当であるというふうに考えた次第であります。このことにつきましてはこの算定の基礎の妥当である旨を、大蔵省の方にも御説明申し上げておる次第であります。
  53. 磯田好祐

    ○磯田説明員 お答えいたします。ただいまの石炭手当の増額の問題につきましては、先日参議院におきましてもいろいろと問題になつたものであります。ただいま実は私ここに詳細な資料を持つて来ておりませんので、あるいは多少御説明の違う点があるかもしれませんですが、そういうお含みでお聞き取り願いたいと存じます。大蔵省におきまして今年度の石炭手当支給の金額を、世帶主におきまして九千円、非世帶主におきまして三千円という案を立てまして、先般閣議で決定になつたわけでございまするが、そのいきさつは、人事院勧告せられました四千百五十円の石炭の單価でございまするが、この点は本年の一—三月のCPSの石炭購入費を、購入数量をもつて除した單価でございます。従いまして現実に何カロリーのものが四千百五十円に相当するというのではなしに、現実にCPSによつて支出した石炭購入金額を、支出数量をもつて除した金額でございます。これに対しまして大蔵省といたしましてこのCPSを分析いたしましたところ、二十四年度中におきまする平均のCPSの支出單価は、四千九十円程度に相なつております。しかしながらこれも先ほど申し上げましたように、石炭のカロリーというものを一応拔きにいたしております。しこういたしまして他方二十四年度中におきまする石炭購入の総支出金額は、CPSによりますならば、六千七百円ということに相なつております。すなわち二十四年度中を通じまして、六千七百円の石炭購入費用があればよろしいということに一応計算上は相なるわけでございます。しかしながらこのCPSの六千七百円の石炭購入金額の中には、あるいは現物配給なり前年度からの繰越しなりの分が多少拔けているものがある。これは二十三年度中におきまして、資源庁の調べ等によりましても、あるいは一、二割程度のものが落ちているのではないかというような話もありました。従いまして二十四年中におきまする六千七百円の総支出金額に、かりに三割拔けておるといたしましても、八千数百円をもつて足りるというような計算に相なるのであります。それからトン当りの單価を一応計算上三千円というふうにきめたのでありまするが、これは昭和二十四年度の石炭手当の算出の基礎にいたしました石炭のカロリーは五千二百カロリーということに相なつております。また昭和二十五年度におきまする石炭手当の予算の積算の基礎も五千二百カロリーということになつております。すなわち予算上一応石炭手当支給いたします場合の積算の基礎としては、五千二百カロリーというものが基準になつておるわけでございまして、従いましてこの五千二百カロリー程度の石炭の單価は、どういうふうに推移しておるかということを分析いたしたわけでございます。私ども大蔵省といたしましては物価庁の調べによりまして、いわゆる中級炭の單価の推移を見たのでございますが、おおむね昨年の十二月以来石炭はデイ・コントロールになつたのでございますが、大体統制以前と同じ程度の足取りをたどつておるのでございまして、従いましておおむね中級炭におきましては、單価は昨年度通りの足取りをたどつておるということを一応考えたのでございます。従いましてこれに対しまして五千二百カロリーの塊粉を五〇%ずつというふうに、一応旧公定価格で換算いたしますると、これが二千七百円になるわけでございますが、これはデイ・コントロール以後における輸送費用なりマージンなりというものを見まして、トン当りの單価を五千二百カロリーに置きまして三千円というふうに押えたのでございます。なお法律の建前を尊重いたしまして、三トンというふうに仮定いたしますると、世帶主に対して九千円ということに相なるのでございます。大蔵省におきましては、こういうふうに現実における北海道地区におきまするCPSの調べを尊重いたしまして、また單価につきましては物価庁の調査を尊重いたしまして、それによつていろいろな事情を勘案して決定いたしたのでございます。なお念のために申し添えますが、CPSによりますると、北海道地区におきまする燃料費の総支出金額は、約九千七百円ということに相なつておりまするが、これに対しまして東京地区におきまする燃料費用は、五千七百円ということになつておりまして、その間約四千円ぐらいの差しかないということになつておるわけであります。従いましてもしかりに石炭手当支給するといたしましても、東京地区にはまつたく石炭手当はないわけでございますから、純理論的に言うならば、その差額である四千円程度のものを支給すればよいというような考え方も一応成立つわけでございます。しかしながらそう一概にも言いかねるのでございまして、いろいろな資料検討分析いたしました結果、さように決定したのでございます。
  54. 淺井清

    ○淺井政府委員 石炭手当の問題について一言いたします。ただいまお聞きの通りこの点に関しましては、人事院と大蔵省との見解は全然異なつております。しかしながら私ども人事院の立場から申し上げたいことは、法律の建前によつて内閣総理大臣は人事院勧告に基いてこれを支給する、こういうことになつておるのでありまするから、人事院勧告は尊重せらるべきである。しかるに大蔵省の建前はこの人事院勧告を尊重しないばかりではなく、全然その他の資料と同じところにおいてやつておられる。この点に将来問題が残つておるだろうと思います。これは私といたしましては別途に解決いたしたいと思つております。
  55. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今淺井さんのお話で非常にはつきりして来たのですが、大蔵省のやつているいろいろな算定を言われておるが、先ほどその前段においては人事院石炭手当の算定の基礎の批判までされておつた。そうなると先ほど瀧本政府委員が話をした六千カロリーをベースにおいてトン当り四千百五十円という勧告が非常に違つた解釈で、瀧本さんの説明とは大分違つて大蔵省では理解しているらしいわけであります。こういう点はともかくといたしまして、淺井さんとしてはここではつきりさしていただきたいと思いますが、四千百五十円の勧告をしながら大蔵省では三千円しかしない。そうすると三千円の石炭手当ではたして妥当であるかどうか、この点を一言だけもう一度伺つておきたい。
  56. 淺井清

    ○淺井政府委員 それは低過ぎると私は思つております。人事院といたしましては、あの人事院勧告の線というものは、実は最低のもので、あれならばなお忍び得る数字である、こう思つております。
  57. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、この間参議院においても、岡崎官房長官がたしか、閣議において再度これを協議し直す、こういうことを答弁をしておられるわけでありますが、この場合において人事院としましては、ぜひとも四千百五十円の実現のために御努力を願いたいと思います。特に大蔵省の三千円の算定の基礎につきましては、ただいまるると詳しくお話になりましたけれども、これは石炭の実情を全然知らない、石炭をたいたことのない人の言うことであつて、机の上ではいくらでも計算はできる。これは物価庁の資料で調べておるそうですが、家庭用石炭と大企業における石炭の価格の開きというものは、全然考慮されておらない。今、算定をして出されて参りました説明というものは、家庭用炭の問題ではなくて、大企業における石炭の炭価の問題を基礎にして大蔵省がやつておるわけでありますから、従つてこれは石炭手当に関する家庭用炭の問題とは全然関係ございません。こういう点は人事院としても十分お調べを願つて、あなた方の四千百五十円を最低として実現されるように、特に要望いたしておきたいと思います。
  58. 淺井清

    ○淺井政府委員 もう一つつけ加えますが、その点につきまして、私から国会にお願いいたしたいことは、あの法律の中に公定小売相場という、今ないものがある。この点は改正が必要であろうということ、それからあの法律を通しまする必要上、予算の範囲内において——これはあの当時の既定予算ということでございますからして、従つて大蔵省でその既定予算の範囲内で算定するということが生じて参つておるのでありまして、これはまたその法律改訂等をお願いいたしたいと思います。
  59. 松澤兼人

    松澤委員 淺井さんからそういうことを言われると、こちらはいかにも怠慢のようですが、しかし御承知ように、この法律はわれわれがつくつた法律でありまして、人事院がやらなかつたことを、こちらがやつたのだから、やつたことがちよつと何か足らないことがあつたといつて、その何もおしかりを受けるにあたらないと思つております。長官も見えておられるようでありますから、この法律は御承知ように議員提出であり、しかも前の人事委員長であります星島二郎君の名前で出ているのです。まわりまわつて考えますと、法律国会でつくつて、そうしてその国会でつくつた法律に基いて、人事院勧告しておるのであります。この勧告勧告通りに行われないということは、結局われわれ国会の意思が無視せられるということになるわけです。私どもはどこまでも、法律によつてされた勧告に基いて、政府が予算的な措置を講ずべきものである、こう考えているのであります。従いまして、政府におかれては、今申されましたいろいろの経緯があるのでありますから、もう一度石炭手当の問題について、少くも人事院勧告を完全に実施するというお考えがあるかどうか、お伺いしたい。
  60. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 人事院勧告を尊重すべきことはもとより当然でありまして、私どもその点につきましては異論のあるわけではないのでございますが、ただ人事院のきめました通りのものを、そのまま実施するのでございましたならば、法律にも予算の範囲内とか、あるいは公定価格ということはないと思います。私どもの方では、法律趣旨を十分にくみまして、既定予算の範囲内において、できるだけ合理的に多くをやるように計算いたしまして、閣議決定をいたしたような次第であります。
  61. 松澤兼人

    松澤委員 それでは、もし各官庁におきまして、予算のやりくり等によつて支拂い得るような、予算の残りが出たならば、それは閣議の決定をもう一度していただきまして、当局は適当な措置を講じ得られるような道を開いていただきたいと存ずるのでありますが、この点は政府において適当な措置を講ぜられるお考えがありますかどうか。
  62. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 石炭の炭価の問題は、御承知通り法律には小売公定価格となつておりますが、それが現在ございませんので、できるだけ合理的な算出方法でもつて計算して、予算の範囲内で支給する。こういう二つの條件の中に入つて決定するわけでございますが、ただいまの御質問の、予算がかりにある省で余りましても、もう一方の合理的に計算しました政府の三千円という価格については自信を持つておりますので、その点で、予算のある省だけが特別な価格でもつて支給するということは、困難であると考えております。     —————————————
  63. 田中伊三次

    田中委員長 それからちよつと皆さんにお聞きを願いたいのですが、日程第八、角田幸吉紹介の、裁判所書記官等特別俸給表設定請願でありますが、この請願とまつたく同様の趣旨のものが日程第二、日程第三、日程第一三と出ておるのであります。これについては法務委員会の総意として、委員長からも懇切な申出があつたことであります。きようは幸いにこの席に最高裁判所の人事局の守田給與課長が来ておられますから、守田給與課長より裁判所職員の特別俸給表の設定に関する必要性について、簡單にお伺いいたします。
  64. 守田直

    ○守田説明員 請願されておりまする裁判所書記官及び少年調査官でございますが、本来裁判所には、直接裁判事務自体に関與する職員と、司法行政をやつている職員と、大わけして二通りあるのであります。裁判書書記官と少年調査官は、これは裁判自体に関與する職員であります。行政事務をやつている職員ではございません。大体御承知くださつていると思いますが、裁判所書記官は、公判あるいは口頭弁論、また法廷に立ち会いまして、当事者が権利関係あるいは犯罪事実をめぐつてそれぞれ陳述いたしますその要旨を、法律的に明確にキヤツチして、それを調書に再現して行くという仕事を主たる任務といたします。なおそのほかに執行文を付與するとか、送達事務をやるとか、訴訟書類のエツセンスでありますが、訴訟の集約された訴訟記録なんかを保管するとか、そういう仕事をしているわけであります。それから少年調査官は御承知ように、家庭裁判所にありまして、犯罪をするおそれのある少年、あるいは検察庁から送つて来ましたところの犯罪少年、こういつた少年に対しまして、科学的な調査をし、その少年の処分について意見を述べて行く、そういう仕事をやつているのであります。いずれも裁判に直接関係いたしまして、もしこれらの職員の仕事が誤まりますと、裁判にすぐに影響いたします。その結果、裁判所自体が国民の基本的人権の擁護を目的とするのでありますが、その裁判所書記官やあるいは少年調査官の仕事の誤りのために、判決に直接影響して、当事者がかえつて不幸な結果を見るということも、なきにしもあらずといつたような、非常な危險な職務ということも、半面から言えば言い得るのであります。こうした非常な重要な嚴格な構成が要望せられる裁判所職員としての裁判所書記官少年調査官でありまするが、この人たちの現今の給與状態はどうなつているかということを大体申し上げますと、裁判所書記官は現在裁判所書記官の職務を行う少年調査官等を含めまして三千九百二人ほどおります。それから少年調査官は現在二百七十一人ぐらいおります。裁判所職員、ことに裁判に関與する職員はアメリカにおいてはいわゆるザ・ナシヨナル・パブリツク・サービス・ロー、国家公務員法の適用を除外された特別職とされておりますけれども、わが国におきましては国家公務員の一般職とされているために、いわゆる特殊の手当がされずに、大体一般俸給表が適用されているわけであります。そうしてその一般俸給表では四級職から十二級職ぐらいの間にそれぞればらまかれておるわけでありますけれども、大部分の職員が大体六級から四級職の間にある下級職員が非常に多いということになるわけであります。それでその裁判所書記官の平均俸給單価を申し上げますならば、四千百十一円程度になつておりまして、少年調査官の方はそれよりは少し上つておるわけであります。御承知ように刑事訴訟法がかわり、あるいは民事訴訟法が改正されまして、これらはいずれも憲法の要請に基いてかわつたのでありますけれども、この訴訟法の改正は裁判所書記官あるいは少年調査官の職務の執行に非常な大きな変革をもたらして来ておる。今まで検察庁やあるいは検察官で取調べられたところの記録が裁判所に起訴状とともにやつて参ります。そこで裁判所書記官はこれらの記録を見まして、そうして法廷に臨むことができたのですけれども、今度は訴状一本が来るだけで、すなわち犯罪事実を書いた起訴状だけが来るわけであります。そこで裁判所書記官はその起訴状しか知らない。そういう状況におきまして、法廷で当事者から耳新しいところの攻撃防禦論、いろいろな訴訟行為に接するわけでありまして、それを聞くことは容易でないということになるわけであります。かようなわけでありますから、裁判所書記官の仕事は、従事大体一つの事件に証人なんかも五分の一くらいの割合の証人だつたわけです。すなわち五件に一人ぐらいの証人を呼んでおつた。ところが最近に至りましては、これが一つの事件に一人の証人ぐらいの平均になつて、約五倍くらいの事務量がふえておるということ、それから審理期間、これは交互尋問になりましたために非常に延びまして、順次審理期間が延期されつつある。こういつた状況におきまして、しかも訴訟事件は順次増加しつつありまして、こういつた事件は増加する、そうして訴訟手続は複雑になる、仕事はきわめて困難になる。こういつた状況下におきまして、職員は執務しているわけであります。  それから少年調査官におきましても、近時終戰以後非常に少年犯罪が激増しまして、それと集団犯罪も相当あるのでありますが、そういつた第一線に身をさらしまして、そうしてそこから少年を探し出して、それを調査するわけでありまして、常に身の危險にさらされるといつた例もしばしばあるわけであります。大体少年調査官裁判所書記官のやつている仕事並びに給與状況はそういつたものであります。  これを要しまするに、結局裁判所書記官少年調査官は相当高度の法律知識や経験、そういつたものが必要でありますけれども、しかも現在の状況におきましては、非常に給與は低いといつた状況になつているわけであります。従つて今回ここに請願されたような事態になつたと思うわけでありまするが、どうかひとつ十分御理解くださいまして、よろしくお願いします。
  65. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 簡單にやりますが、先ほど官房長官の岡崎君と淺井総裁から給與ベース引上げ勧告の問題について答弁があつたのでありますが、そのときにこれは見逃し得ない重大な食い違いがありました。それはどういう点かというと、岡崎官房長官の答弁は、来年度の給與引上げの問問については大体やるつもりでいる。しかし本年度中の給與ベースについても現在研究中である、こう言つた。ところが淺井さんの言われたのは、来年度のベース勧告についていたします、今年度はもう勧告をしないのだ、こういうように言つておられる。そうなつて参りますと、人事院というのは給與の問題についても、これは国家公務員法の立場に立つて、あくまでも賃金の値上げの勧告努力される機関でなければならない——まあこういう点を長く言つていると時間がかかりますから省略しますが、こういう点、現在の給與ベース六千三百円が安いということをはつきり淺井さんでも認められながら、しかも本年度中は勧告しないというふうに先ほど答弁をしておられます。うそだと思うなら速記録をごらんになるとよいと思います。これはこうなると、人事院の方が政府よりも、公務員については給與の問題を考えないで、来年度の問題だけしか考えない、ことしの問題は考えないのだという、こういうような意味にお話なつた。これはきわめて重大な問題だと思います。こういう点をもう一度明確にお願いしたいと思います。
  66. 淺井清

    ○淺井政府委員 それは私の先ほどの答弁に少しくお聞き違いがあるじやないかと思うのです。私は勧告をすべき時期について申し上げた。すなわち来年度の予算の編成に間に合うような時期に勧告をいたすということを申し上げたのであります。その勧告をいかに御実現になるかということは、それは国会内閣の御仕事である。このようなつもりで言つたのであつて、何もすみやかに給與ベースをできるだけ上げることにわれわれが反対をしているとか、怠つているとかいう意味では決してないのであります。
  67. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 もう一点、来年度の予算に間に合うようにということは、来年度の予算の問題を含みとして淺井総裁勧告をされるという意味でないかと私は考える。人事院自身がそういう含みで勧告をされるならば、先ほど政府とは談合してないとお話になりましたけれども、談合しなくとも、政府の方はおそらく喜んで年度内の賃金は上げないで、来年度の賃金のときにだけ考えてくれるだろうということは淺井さんもよくおわかりだろうと思う。  それからもう一つは、今月十四日に参議院におきましては、今国会の会期中に勧告をするのが適当であると考える、こういうふうに淺井さんはつきり答弁しておられるのであります。ところが、予算上不可能であるからといつて、その数日後において実は勧告をしないことになつたわけであります。その理由としては、政府機関としてこれはできない問題になる。こういうふうに総裁としては答弁されている。ところが、政府機関としてそれができないというのならば、これは先ほど土橋君もお話をいたしましたように、そういうよう給與ベース事務をやるならば、これは大蔵省の給與局で十分であります。予算の面を考慮しつつやられるような機関であるとするならば、人事院はいらないと私は思う。人事院国家公務員法の精神からいつて、そういうことは淺井さんとしては多分に言い過ぎのお話としてお話なつたじやないか、強調するのあまり言い過ぎられたんじやないかと私は考えます。それに関連してお伺いしますが、今の政府機関としてという点から考えまして、公務員法の二十八條は、それじや政府機関として不可能である場合には全然これは生かさないのかどうか。二十八條を認めないのかどうか。人事院の最も大きな仕事である公務員法の二十八條勧告をしなければならないという義務関係は放棄されるのかどうか。この点をもう一つお伺いしたいと思います。それから現在の場合、先ほど主観的には非常に自分は努力しているのだが、実際の問題としてできない、こういうことをいろいろるると、それこそ詳細にお話を願つたのでありますが、これは主観的な意図をお話になればきりがないのであります。どろぼうをしておいてから、つい悪心を起してどろぼうをしたんですから、悪心が主観なんですから、何とかかんべんしてくださいといつて、どろぼうが泣訴嘆願するのと同じなんだ。問題は客観的にこれがどのように行われるかということであります。人事院勧告の問題なんだ、その客観的な勧告を行わないで、主観的にこういうふうに努力したんだが、だめだつたんだということでは、淺井さんの職責は果されないと思う。客観的にそういう勧告ができなかつたならば、淺井さんはこの客観的な責任を一体どのように負われるのかどうか、客観的な行われなかつた責任というものをはつきりしていただきたいと思う。ほかの人がこの事情をどう見るのかというようなことを私は伺つておるのではない。淺井さん自身が人事院総裁として勧告を行い得なかつた責任は一体どういうようにされるつもりなのか。先ほどの答弁では、ほかの人がどう見ようとかまわないというお話ですが、私はそういうことをお伺いしたのではない。勧告のできなかつた責任を淺井さんはどういうようなお考えになるか、この点をお伺いいたしておきたいと思います。
  68. 淺井清

    ○淺井政府委員 第一点は、来年度の予算を含みとしてというのは、人事院の考えとして来年度の予算を含みとして出すという意味ではございません。ただ、今の客観的な情勢といたしまして、この予算と非常に結びつきがあるので、人事院勧告をする時期の見通しとしては、来年度の予算の編成に間に合うようにということだと申し上げたのでございます。  第二点といたしまして、責任について御追究がございましたけれども、今回のことたるや、何人が私の地位におりましても、これは同じ結果だろうと思うのでございます。  なおつけ加えて申し上げまするが、二十八條の根本的な考え方は違つておりませんし、ただこの二十八條勧告を今現実に行われ得ないところの一時的な事情があるということでございます。
  69. 高橋權六

    高橋(權)委員 簡單にお伺いいたしますが、これは一道一都二府四十二県中この寒冷地手当その他については京都府、北海道青森県ほか二十二県と基準に載つておるのでありますが、私らは戰時中も、その後もともに寒冷地方面に同情いたしまして、石炭の輸送なんかには相当協力したと思うのでありますが、ここにちよつと考えたのは、日本国はそのほかに二十二県あります。この寒冷地に対しての同情もありますけれども、これは石炭の反対になりますけれども、わが九州初めその二十二県に対しては、今日ここにおいでになつておるところの当局の幹部方が冷房装置をしていただきたい。なぜならば、寒いことばかり知つておるような体験のない人にはわからない。わが九州特に熊本県のごときは冬は非常に寒いのであります。そういうことはまだここに御議論なさつていられる方々は夢寐だに知らないことであります。その寒い熊本県などはまた夏は極端に暑い。そういうことからして、この寒冷地手当以外に二十二県と、それから東京のごとき、そういう方面に対しても私は相当考慮すべきではないかと思う。しかし今日人間は若い者ほどなまけて金をとることばかりやつでおるのですが、そういうものは例外として、まじめなる青年もある。(発言する者あり)寒冷地関係しておるじやないか。そういう意味から、私どもはこの方面のことに今後考慮をしていただく必要はないか。もしそういうことができないならば、この前にお願いしておつたように、サンマータイムでも九州方面の暑い方面だけはやめてもらうというような、何かそこに交換するよう方法でも考慮していただきたいと思います。雪の日やあれも人の子たる拾い、やはり日本人はみな日本人でありますから、何か人気とりのために質問する人間と違つて、私は簡單にこの点について、今後いかなる御考慮を遊ばすかということについて、お伺いしておきたいと思います。
  70. 淺井清

    ○淺井政府委員 寒冷地手当石炭手当は寒い所へ出ているには相違ございません。それならば、暑い所へは氷の手当でも出すか、こういうことになりますれば、結局これはどこもここも高くいたす、すなわちこれはベースを上げるよりほかに解決のしようはないように思うのであります。ただ冷房の云云のお話でありますが、これはそこへ冷房を設置するというお話でございますが、各公務員の住宅全部にということはどうも考えられない。また官公庁、勤務地にやるということでありますれば、もとより理想でございますが、これは現状としてなかなか実現が困難である、こういうわけであります。しかしそういういろいろなお考えが出るというのは、寒い所へばかり金を多くやつているかのようなお疑いによるかと思いますが、これは将来第一種の地域給に振りかえるとか何とかいうよう方法にいたされば、そういうこともないように思つております。
  71. 高橋權六

    高橋(權)委員 今おつしやるように、私はむちやなことはお願いしない。この手当は一々まとめてやるとか、その方法は個人の家に冷房装置をやるというようなことはあまりぜいたく過ぎますから、私は望みませんが、もしできることならば、扇風機ぐらいは備えてやつていいと思う。そして過労の結果病気にならないよう方法を考えることが必要です。それは暑い所の者もやはり人間です。私らは今申し上げるように、寒い所のお方のために、石炭の御不自由をしているだろうと思つて、配給を受けないで送つたんだ。それはわれわれ炭鉱地で実際一般より以上に詳しい。そのときに寒い所の人間とか、暑い所の人間とか、そういう区別をしておつたとは思えないけれども、さぞ北海道は寒いでしよう。私も北海道方面に行つて、寒い体験はしております。今申しますのは、暑い所の人間に、そういう物質的なものは望めないから、サンマータイムでもやめてもらうよう方法——これは金がいらないで、非常に便利なことであります。しかも九州と東京方面は一時間近く夜明けが違うことも考慮して、アメリカ人あたりでもアメリカと日本と夜明けの時間が違つていることはわかりつつあるくらいでありますから、私らはあながち物質的の要望のみはいたしません。そういう方面もひとつ考慮していただきたいのであります。
  72. 田中伊三次

    田中委員長 ただいま高橋君の御意見に対しましては、政府当局におかれて十分に御参考にしてお考えおきを望みます。  それから残余の請願につきましては、紹介議員がおいでになりませんが、その趣旨は文書表によつてよく御了解をいただいておることと存じますので、その説明はこの際省略いたしましてただちに各請願について採否の決定を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。  それではただいまより本委員会に付託になりました請願十四件を一括議題として採否を決定いたします。その十四件の内容は、石炭手当に関するもの三件、裁判所書記官その他裁判所職員特別俸給表設定に関するもの五件、給與改訂に関するもの五件、地域給に関するもの一件でございます。現下の公務員給與支給実態にかんがみ、当委員会といたしましては予算の許す範囲内において、政府側はこの請願趣旨を能う限り達成することに努力をなすべきものと考えます。また公務員の勤労意欲の向上に資することも、大いにこれによつて影響があると存じますので、これらの請願はいずれもこれを議院会議に付して採択をいたしまして、内閣にこれを正式に送付することを適当と認めるのでありまして、そういう決定をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。よつてよう決定いたしました。  なおこれらの請願の報告書につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願つておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長に御一任をいただいたものと決定いたしました。  次に本委員会に送付となつております陳情書は、本日の陳情書日程にある通り全部で六件でございます。なおこの六件のほかに日程の印刷ができなかつたのでございますが、大阪府の官公署労働組合協議会所属の人々の国鉄労働大阪中央支部ほか十八支部から陳情書が参つております。その要旨は、昨年の十二月人事院給與ベースの引上げの勧告をしてからすでに一年になんなんとするにかかわらず、政府は何らこれに対して有効適切なる処置を講じないために、われわれ官公吏はまさに生活破綻に追い詰められておる。よつてわれわれはここに九千七百円ベースを即時実施すること、及び一人一律に五千円の生活補給金をすみやかに支給せられんことを要望する旨の陳情でございます。この陳情は熱心かつ適切なるものがあると存ずるのでありまして、私の手元にただいま参つております陳情資料を拜見いたしましても、数千名の人々が熱心にこの陳情努力をしておられることがわかるので、そこでこの陳情を右の日程の六件に加えまして、合計七件として陳情書を一括議題にいたします。  お諮りいたします。各陳情書趣旨は文書表により、文書表にない一件は今私が説明いたしましたことで御了解いただいたことであると存じますが、国民の偽らざる声であると認められますので、先例によりまして、これらの陳情書はいずれも当委員会において了承をいたしまして、政府関係筋に丁重に申達をいたしたいと考えます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。  本日はこれにて散会をいたします。     午後零時四十四分散会      ————◇—————