運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-10-17 第8回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十七日(火曜日)     午後二時四分開議  出席委員    委員長 松井 豊吉君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小淵 光平君 理事 小平 久雄君    理事 吉川 久衛君 理事 青野 武一君       青柳 一郎君    岡延右エ門君       金光 義邦君    川端 佳夫君       黒澤富次郎君    志田 義信君       高橋 權六君    飛嶋  繁君       野村專太郎君    金子與重郎君       笹森 順造君    吉田  安君       前田榮之助君    砂間 一良君       田代 文久君    石野 久男君  出席国務大臣         建 設 大 臣 増田甲子七君  委員外出席者         大蔵政務次官  西川甚五郎君         農林事務官   宮下 好男君         農 林 技 官         (林野庁指導部         治山課長)   塚野 忠三君         運輸事務官         (港湾局長)  黒田 靜夫君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         経済安定技官         (建設交通局計         画課長)    矢野 勝正君 九月二十五日  委員井之口政雄辞任につき、その補欠として  田代文久君が議長指名委員選任された。 同月二十九日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  福田昌子君が議長指名委員選任された。 十月十七日  池田峯雄君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件 ○理事の互選 ○派遣委員より報告聽取災害対策に関する件     —————————————
  2. 松井豊吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  本日の日程理事補欠選任の件、キジア台風調査派遣委員より報告聽取の件及び災害対策に関する件であります。  まず理事補欠選任についてお諮りいたしますが、すなわち理事池田峯雄君が去る九月九日委員辞任されて以来欠員になつておりますので、これより理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松井豊吉

    松井委員長 御異議ないと認め、池田峯雄君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 松井豊吉

    松井委員長 次に本委員会におきましては去る九月二十五日に議長承認を得まして、キジア台風による被害状況調査のため、九州地方及び中国四国委員を派遣いたしておりましたが、それぞれ調査を終了いたしまして、これより派遣委員より調査報告を聽取することにいたします。まず第一班の九州班より報告を願います。金光義邦君。
  5. 金光義邦

    金光委員 これより九州全土及び四国中国地方を襲いましたキジア台風による被害状況につきまして、九州地方災害調査班を代表して、その調査経過並びに結果の概略を御報告にいたしたいと存じます。  本調査班九州地方におけるキジア台風被害状況調査のため、議長承認を得て、去る十月一日より十日間の日程により、鹿兒島県宮崎県、大分県、福岡県の各四県に本委員会より派遣せられたのでありますが、派遣委員は私と小山長規君、青野武一君、田代文久君の四名で、それに随員として農林省青野事務官建設省大野事務官及び衆議院委員部より緒方参事を加え、一行七名で現地被害状況調査をいたした次第であります。  まず本調査班は、十月一日の朝東京を出発いたしまして、翌二日夜鹿兒島到着、三、四日の二日間は鹿兒島県下大隅半島方面災害現地を、五、六日の二日間は宮崎県下の災害現地を、七、八日の二日間は大分県下の災害現地を、最後の九日は福岡県下の災害現地をそれぞれ順次熱心に調査いたし、県当局説明及び地元民の涙ぐましい陳情等を受けまして、十日に東京帰つて参つた次第であります。なお熊本県は、県当局及び地元民の熱心なる懇請がありましたので、日程余裕がありますれば参るつもりでおりましたが、十日間ではどうしても不可能なので、熊本県庁からは特に大分まで来ていただいて、災害状況説明及び陳情を受け、資料を取寄せて、現地視察にかえた次第をつけ加えて御報告いたしておきます。  さて被害実情につきましては、各県ともに当初予想されておりましたよりも相当大きい被害をこうむつており、昨年のデラ台風において鹿兒島宮崎の両県が他県に比し激甚なる被害をこうむつたのに対し、今般のキジア台風におきましては、大分宮崎鹿兒島福岡熊本の各県とも総額五十億内外の被害を受けておるのでありまして、本年に入り、七月のフロシー、グレイス台風による災害のあとを受け、その痛手もいまだいえぬうちに、さらに今回のキジア台風に見舞われて、その現状はさんたんたる様相を呈し、応急復旧工事を施してある箇所も、このまま放置せらるるならば、季節的台風通過地帶としてのこの地方は、白砂の特殊火山灰質降雨量の大なることとのために、来年度におきましてはより大なる災害をこうむる危險性が大で、まことに憂慮せらるるのであります。  また特に今回の台風におきましては、北部周防灘沿岸年間を通じて最高潮位季節にあたり、海岸線被害が甚大で、漁農家流失倒壊著しく、数千の避難民を出し、また海岸堤防決潰のため田畑の冠水したところが多く、数百町歩收穫皆無となつて、まだ茫然自失状態にある農民の痛ましい姿を見たとき、われわれ災害地対策委員は、一刻も早くこれらの人々をこの惨状から何とか救済してやらねばならぬ責任を痛感いたした次第であります。  ただいまのは一例であります。このようにきわめて悲惨なる現地を見て参つた次第でありますが、次にいま少しく詳細に調査順路従つて被害実情をここに御報告いたし、調査の結果得ました結論を申し述べたいと存じます。  まず十月三日鹿兒島県庁におもむき、県下全般にわたつて災害状況につき、その実情を総合的に知事以下各関係官より聽取いたしましたところによれば、今回の台風により最も被害の大きい地方大隅半島シラス地帶鹿兒島湾海岸線であり、その被害額は、土木関係におきましては県工事分中、道路二億八千九百万円、橋梁一千百万円、河川二億八千六百万円、砂防二千五百万円、合計六億一千三百万円、市町村工事分といたしまして一億九千万円、合計八億四百十一万の巨額に上つております。この数字は九月十一日より九月十四日の間、建設省河川局防災課調べ資料によるものでありまして、本県における九月二十日現在による調書によれば、土木関係被害総額十億六百万円になつております。なお時間の関係上こまかい数字は省略いたしたいと存じまするので、この点につきましては資料によつてごらん願いたいと存じます。  次に耕地関係につきましては、本県及び宮崎西南部に特有の火山灰砂層の広大な分布のため、被害が拡大し、水田の流失埋没が六百二十四町歩九千九百万円、農道、水路、堤塘護岸井堰溜池橋梁等公共施設崩壊または流出等によりまして五億七千万円の被害を受けているのであります。  次に今般の台風開花期という最悪の條件のためと、シラス土壤崩壊流出のため、農作物被害が特に著しく、水稻は四〇八%、陸稻は五三%の被害率を示しており、その他甘藷、蔬菜、あわ、そば、桑等合計三十二億円の被害をこうむつております。その他戰時中の過伐、防空壕等が原因となつております山林関係が一億三千万円、学校関係が二億五千万円余、港湾関係五千万円等で、被害総額五十三億の巨額に上つているのであります。  以上が鹿兒島県庁における今次キジア台風によります被害のおもなものの内訳でありますが、この事実を調査し、これを裏づけるため、ただちに実地踏査に出発して、鹿兒島湾北部海岸を一週し、海岸堤防欠壊箇所視察、悪路の中を南下して、護岸工事の強化と路面鋪装の必要を痛感いたした次第であります。  ついで鹿屋市に至り、大隅半島を横断し、志布志町に出たわけでありますが、時間の関係視察箇所細部を省略し、おもなもののみを申し述べますと、何といつて本県シラス土壤崩壊土砂流失が目立つのでありまして、たとえば串良町中山谷陥没状況視察いたしましたが、シラス台地よりの土砂流出により、下流三百町歩余が埋没しており、また西志布志村の荷返というところでは、同じくシラス土質のため、豪雨による土砂流出著しく、瞬時にして二キロにわたる畑地が陥没いたしており、さんたんたる光景を呈しておるのであります。これをこのままに放置すれば、土壤崩壊は拡大する一方で、早くこれが対策を講ずべきことを痛感いたしたのでありますが、県当局説明によりますれば、原形復旧よりは土壤保全恒久対策を講ずべきで、溜池をつくり排水計画を確立するとともに、砂防堰堤構築が必要で、目下計画実施中であるとのことでありました。  以上は鹿兒島県特殊事情を述べたのでありますが、これら災害復旧にあたりましては、たとえば農地課関係では、二十四年度災害復旧費は、農林省の査定で十四億七千万円で、うち昨年が三億円、本年が約二億七千万円、八月末の超過出来高二億九千二百万円、残高九億で、来年三月までには四億七千万円かどうしても必要であるという実情にあるので、融資方法を考慮してほしい旨の陳情県当局よりありましたが、災害復旧費の問題は緊急を要するもので、これが対策予算の許す限り早急実施せらるべきを痛感いたしたのであります。  次に宮崎県の災害状況について申し上げたいと思います。  本県はとりあえずまず実地調査を進めることになり、五日まず都城付近大淀川支流の荻原川の高木原用水路崩壊状況視察、ついで同じく沖水川、高木付近大淀川本流欠壊状況視察、さらに志和池村のシラス台地状況、高崎町の高崎川上流井堰欠壊状況町倉橋堤防欠壊状況加久藤長江井堰欠壊状況等を次々に観察、小林市役所において管内各町村長の熱心なる陳情を受け、大淀川の流れに沿つて調査を進め、東諸県郡高岡町の堤防崩壊状況視察して第一日の調査を一応終了した次第であります。  なお視察途中におきましては、県会議員及び県当局より熱心なる御説明を受け、夜暗くなるまで懐中電燈の光をたよりに視察を続行し、調査の実をあげることのできたことを、県当局及び県会方々に感謝いたしておる次第であります。  翌六日は宮崎市内高松橋流出状況穆佐付近水害状況、綾南川護岸欠壊状況等調査の後、延岡市に至り、延岡、高千穂間における五ケ瀬川の護岸堤防欠壊状況及び田畑橋梁流失道路崩壊状況をつぶさに視察いたしました。  以上調査の径路の概略を申し上げましたが、本県被害状況も、本年のグレイス台風の直後を受けて、相当被害をこうむつており、特に本県降雨量において、九州各県毎年の降雨量が二十箇年間平均一千九百十・三ミリであるのに比し、宮崎県の平均は二千五百五十四・八ミリの多きに達しており、今回の台風にも開花期稻作相当な打撃を與えているのであります。今その被害額を見ますと、農作物関係が二十三億七千五百万円、土木関係が十七億五千万円、耕地関係が十三億五千万円、建物関係が四億六千五百万円、山林関係が二億九千五百万円、その他林産物、水産物関係等総計六十五億円からの巨額に達しているのであります。本県におきましては、災害復旧について特に地元民が熱意をもつてこれに当られ、県会の方も熱心に災害復旧に当られておられたことを痛感いたしました。  次に大分県の災害状況につきまして申し上げます。七日午後大分県に入り、まず佐伯市の地方事務所におきまして、地方事務所長より災害状況報告を聽取した後、関係町村長より熱心なる陳情を受けたのであります。それによりますと、この地方高潮による被害が大きく、海岸線護岸道路及び港湾欠壊が著しくて、漁船漁網等流失相当数に上り、漁民生活に恐怖を與えているので、至急に護岸工事、船だまり、漁港施設等行つてほしい旨の切実なる要望があつたのであります。関係町村長陳情を受けた後、ただちに佐伯より舟に乗つて大入島、東上浦に向い、その間の海岸道路及び護岸欠壊状況をつぶさに視察し、一応本日の日程終つた次第であります。  夜宿舎におきまして、県当局より県下災害状況の概要について説明を聽取した後、多数の災害地元民よりの陳情を受けたのでありますが、大分県の今回の災害は昨年のデラ台風をはるかに上まわるもので、総額五十三億九千万円余に上つておるのであります。その内訳を申し述べますと、本県高潮のため、海岸線堤防道路被害大きく、ために土木関係被害は十九億九千六百一万円に上り、また開花期でありましたため、稻作に與えた被害厖大でありまして、農作物被害額十六億六千万円の大きに達し、その他耕地が十一億五千万円、山林一億八千万円等が被害額のおもなるものであります。  翌八日、班を二つにわかち、第一班は大分沿岸大分郡、玖珠郡方面を、第二班は北部海岸地方実地調査いたしたのであります。細部視察箇所は省略いたしますが、海岸堤防及び河川堤防老朽化のために、一度堤防から欠壊いたしますと、冠水面積が非常に大きく、農民生活状態は極度に貧困化しておりますので、これら罹災農民の立ち上りのためには、農業災害保險の概算拂い、供出の補正を考慮するとともに、罹災農漁民を急速に復旧工事に吸收することがぜひとも必要であることを痛感した次第であります。  なお北部海岸線堤防欠壊によります被害はきわめて甚大で、至るところ破堤の惨状を呈しておりまして、これにより冠水した田畑は一箇所で数十町歩のところがざらにあり、中津市の海岸破堤の場所は百五十町歩が收穫皆無の状態で、罹災農民茫然自失して、生活資金の不足から、立ち上り得ない痛ましい状態が見られたのであります。  これが対策として、地元より現在応急工事をもつて潮どめをしておるところは早急に恒久的な工事実施せられたい。原形復旧よりは改良工事に重点を置いてほしい、国庫補助の繰上げ支給をしてほしい旨の切実なる要望がありました。  最後福岡県の災害状況について申し上げます。九日中津市に到着県庁側関係係官及び県議、地元市町村長等多数の出迎えを受け、ただちに現地視察向つた途中、福岡県の災害状況概略について説明を聽取いたしましたところによりますと、福岡県は年間高潮期であつたため、海岸線被害がことに甚大であるが、海岸線、特に周防灘沿岸漁農家流失倒壊が著しく、その被害額農産物関係が十七億六千九百万円、土木関係が十五億三千六百万円、農地関係が四億六千万円、山林関係が二億四千万円、水産関係が二億二千万円、その他家屋被害が四億二千万円、農作物関係が六百九十五万四千円で、被害総額四十六億六千百四十一万円余の厖大な額となつております。  現地調査はまず築城郡の吉富村海岸堤防欠壊状況調査し、逐次北上、西角田、椎田の海岸堤防欠壊状況視察した後、行橋公民館において関係町村長陳情を受けたのであります。午後は引続き簑島漁港護岸欠壊状況、小波瀬村の白石海岸、苅田の塩浜海岸、小倉市曽根町の海岸堤防欠壊状況柄杓田漁港高潮による被害状況等調査いたしましたが、いずれも甚大なる損害をこうむつておりまして、特に一例をあげて申し上げますと、たとえば小波瀬村の白石海岸のごときは二百五十米からの海岸堤防欠壊いたしており、六十町歩からの畑地が冠水し、蔬菜は八割以上の損害で、ほとんど全滅に近いさんたんたる光景でありました。なお応急工事土嚢に使用したかます四十万俵でありまして、これも一月くらいで崩壊する危險があり、早急に恒久的工事実施していただきたい旨の切なる要望があつたのであります。なお県当局から有明海岸堤防につき、今回のキジア台風では部分的な破壊であつたが、この地方は潮の干満の差が大で、現在欠壊危險性を有するところ多く、堤防の幅、高さともに強化するよう防潮堤防構築をこの地方においても考慮してほしい旨の要望がありました。  最後に熊本県災害状況について一言いたしておきます。本県につきましては、初めに申し上げました通り日程の都合により、やむを得ず現地調査を行い得なかつたのでありますが、県当局説明によりますと、強風による高潮豪雨のために激甚な被害をこうむつており、ことに球摩川流域の人吉、八代等堤防欠壊橋梁流失田畑冠水等相当被害をこうむつておるようであります。今資料によりまして、被害総額四十六億六千九百万円の内訳を申し述べますと、土木関係が十億五千九百万円、農産関係が二十八億八千百万円、耕地関係が四億六千万円、山林関係が一億二千五百万円、民生関係が一億六百万円、水産関係が二千六百万円、建築物関係が一千二百万円となつております。なお詳細なる数字につきましては、委員長の手元に提出してあります資料によつてごらん願いたいと思います。  以上が鹿兒島宮崎大分福岡熊本五県のキジア台風による被害状況の大要でありますが、以上の調査から、本調査班といたしましては、今回のキジア台風による被害は昨年のデラ台風に劣らないくらい甚大なるものがあり、各地の報告と事実との大差のないことを認め、さらに次のごとき結論を得た次第であります。  まず第一に、今次台風によつて何ゆえにこのような莫大な被害を惹起いたしたかというに、第一に本年七月に来襲したグレイス台風によつて荒廃し、いまだ完全な復旧並びに改修工事の終らないうちに、また今回の豪雨に見舞われたため、異常な出水を生じ、各河川は氾濫溢水して堤防護岸欠壊せしめ、各所に甚大な被害を生ぜしめたのでありまして、可及的すみやかに復旧し得るよう措置せられたいと思うのであります。なかんずく先刻申し上げましたように、鹿兒島県及び宮崎県の西南部は、その特有な火山灰質土壤、いわゆるシラス土壤のために一層被害を甚大ならしめております。このシラス地帶に対しましては、災害防止のため特別大幅の予算的措置をとつてほしいと思うのであります。  次に九州地方季節的台風通過地帶に当り、毎年のごとく災害を受け、その被害箇所の完全なる復旧改修工事がなされずにおり、各所に脆弱な地点が残存し、それほどの台風でなくとも、その被害が莫大なものとなつて現われて来る現状にありますので、特にこの地方は、單に原形復旧にとどまらず、改良工事をあわせ行い得ることも、場合によつては認められたいのであります。なおまたたとえばから積みのごとく、資材を極度に切り詰めた復旧工事は、一切これを行わないようにしてほしいと思うのであります。  次に大分福岡の両県は、今回の台風にあたり、年間高潮季にあつたため、海岸堤防が至るところ欠壊して、農産物に莫大な損害を生ぜしめておりますが、これは堤防老朽化不完全工事により被害を大ならしめておる現状でありますので、現在応急工事をなしておる箇所に対しては、すみやかに恒久的工事の必要を痛感いたすもので、この点御配慮願いたいと存じます。  次に現在災害復旧事業費国庫補助額の僅少と、例年の災害の累積による県財政の窮迫のため、十分なる工事費の支出が思うにまかせず、復旧工事がきわめて遅々として進捗しない状況にあるのでありまして、国としてはこの点をよく考慮せられ、すみやかに国庫補助増額をせられたいことと、農村関係災害に対しましては、国庫補助金は来年度の灌漑期までに間に合うよう希望する次第であり、なお農林中金等を通じ、つなぎ資金として短期融資増額を配慮せられんことを望む次第であります。  次に本年度予算に計上せられた百億円の災害復旧予備金は、本年八月までの災害に支出した五十億円、その後のジエーン台風に支出せらるる分を差引けば、残りはきわめて僅少であると思われるから、補正予算相当額を計上せられたいと思うのであります。  次に復旧工事の十五万円以下のものに対しましても、たとえば同一水系に属し、数多くある場合等には、国においてその救済手段を講ぜられたいと思うのであります。  以上の結論に達した次第でありますが、これが実施のためには、各関係当局被害地実情調査を遅くとも十月末までに完了せられることを希望するものであります。要するに今回の調査にあたりましては、派遣委員各位も非常に熱心に調査せられ、しばしば班を二つにわけ、地元方々の熱心なる協力によつて調査せられたのでありまして、地方では国会の名による見舞に対し衷心より感激せられたのであります。政府当局におかれましても、これら罹災地方々の苦衷を察せられ、すみやかに恒久的対策を講じ、適切な処置を講ぜられんことを希望して本報告を終ることといたします。なお具体的な点につきましては、各派遣委員より後刻質疑のときに補足説明していただくことにいたします。
  6. 松井豊吉

    松井委員長 次に第二班の中国四国班にお願いいたします。岡延右エ門君。
  7. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 過般のキジア台風による被害状況並びに復旧状況調査のため、議長承認を得て、中国四国班として調査に派遣されましたが、その経過並びに結果について、派遣委員を代表いたしまして御報告をいたします。  われわれ中国四国班は、資料によりまして、特に災害のはなはだしい中国広島山口の両県、四国愛媛県を予定の視察コースとして日程を立てました。一行は不肖と金子與重郎君の二名並びに委員部徳永参事建設省高橋事務官農林省畑江技官、以上三名を加えまして、現地被害状況実情調査をいたした次第であります。  まず調査班は十月一日東京を出発いたしまして、翌二日松山市に到着、三日、四日両日愛媛県下の災害現地を、五、六、七の三日間広島県、八、九の両日山口県の災害現地を順次調査いたして、十日に帰京いたしたのであります。  まず視察三県にわたるキジア台風による被害一般特色について簡單に一言いたしますと、御承知通り、本台風は初め関東地方、次いで東海地方かあるいは紀伊半島を襲うかのような予報でありましたが、ついに九州南端に上陸、九州を縦断、次いで視察三県を通過、暴威をたくましくしたものであります。かように来襲のあるまで数日の余裕がありましたので、防災、防水に対しまして、当局では予報並びに警報を出しまして、河川、貯水池の警戒重要物資警戒疎開等を行わしめ、特に船舶に対しましては嚴重な注意を出しまして、この方面での被害相当食いとめることができたのでありますが、高潮に対しましては、瀬戸内海に面した海岸線がきわめて長く、また高潮も予想以上の線まで上りましたるため、この面の被害の甚大であつたことは真に遺憾であります。愛媛県のごとき、北海道に継ぐ長い海岸線を持ち、山口県は三方に海をめぐらして、これまたきわめて海岸線の長い線であり、広島もまた島嶼を加え、海岸線相当長いところであり、今次の台風による高潮のため、海岸稻作は枯死いたしたのでありまして、今後この面の施設は特に留意すべきものがあると思われるのであります。なおこの際特に強調しておきたいのは、地盤変動対策であります。御承知のように、瀬戸内の各県は徳川時代以来、海岸線はその多くが干拓の耕地でめぐらされておるのでありまして、去る昭和二十二年の南海地震以来、その地盤沈下が七十センチないし一メートルに及び、今日なお沈下を続けつつあることは、科学的にも実証されるところであります。高潮による被害の多くは、この地盤沈下に起因するとも考えられるのでありまして、沿岸住民はひとしくこの実情を訴えております。この対策については、一層科学的な根本対策の樹立こそ急務と思うのであります。  次には風害によるものでありますが、本年度稻作は、さきのグレース、ヘリーン、ジエーン等々の風のため、平年作を維持することは困難ではないかと思われたのでありますが、今次の台風乳熟期の中稻出穂、開花期晩稻に、まさに時期的に一致して、一晩にして決定的な被害を與えたのでありまして、前後二、三日のずれで被害を免れるところであつたようでありますが、品種によつては、この風によるも收穫にさほど減收を見ないようであります。ただこの種のものについても、坪刈り等をいたしまして検査いたしましたところ、二割程度の減收を予想される場合があるとのことであります。  次に降雨による被害でありますが、各県とも山間部における降雨量は、気象統計的にも珍しい多量であつたことであります。愛媛の宇和島、大浜を中心とする南予地方広島の太田川奥地、山口の佐々並、川上、吉部の地方でありますが、山口のごときはキジアに次ぐ豆台風により、一週間連続降雨量六百五十ないし七百ミリという空前のものすごい雨量でありまして、河川の氾濫、堤防の決壊、橋梁流失田畑流出、地盤のゆるみのための山くずれの被害をこうむつた、のであります。戰前は、被害降雨量は二百ミリの線であつたということでありますが、近年は百五十ミリで警戒しなければならないそうであります。今申しました地区のごとき、三百、三百五十、七百ミリというのでありますから、山峡は一大河川の面貌を呈するのは想像にかたくないのであります。  以上、高潮による被害、風による被害、降雨による被害、その他、これを二重にも三重にも受けた諸地域を視察して参つたのでありますが、現場は真にさんたんたるものでありまして、いまだに多くの危險地区を残しているのでありまして、たとえば海岸決壊、堤防の土嚢によるもの、河川の仮橋の応急の施設等がこれでありまして、これがため民生いまだ安定せざる事実とあわせ考えまするとき、われわれ対策委員といたしましては、寸時もおろそかにでき得ない多くの問題を含んでおると思うのであります。  以上、現地状況の大要でありますが、次にいま少しく詳細にわたり、調査順路に従つて、その被害視察実情をここに御報告いたしたいと思います。まず十月三日、愛媛県庁におもむき、県下全般にわたつて災害状況について、その実情を総合的に、各関係官より聽取いたしましたところによりますると、県下の被害は大体三様にわけられるのであります。すなわち、海岸線一帶の高潮、降雨による被害、水害は河川沿岸、特に宇和島、大洲地方、風害は温泉、越智、周桑という、県下穀倉地帶の被害が顯著であつた事実であります。  さて、県下の人的被害は死者五名、重軽傷者九十二名を出しております。住家の被害は全壊、半壊、流失合計八百十四戸であり、家屋の浸水に至つては、床上八千百余戸、床下三万一千六百余戸でありまして、住家の被害合計四万六千余戸に上つているのでありまして、いかに高潮、降雨、ともどもに激甚であつたかがうかがわれるのであります。  次に被害の最も甚大なるものは土木関係でありまして、道路六百三十六箇所河川六百一箇所海岸三百八箇所被害をこうむり、その他を合せまして、被害額実に二十七億に上るのであります。  次は農産物でありますが、米どころでありますので、水稻は二十七万四千余石、金額において十四億四千七百余万円の被害を受けているのであります。その他農地、公共施設七億三千八万百円、林業関係において四億円、水産二億五千九百余万円等々、その合計額実に六十五億九千十七万余円という巨額に上つておるのであります。  以上説明を聽取いたしまして、さつそく現地実地踏査に出発いたしました。  まず主として高潮河川氾濫による被害をこうむりました菊間町、波止場町、今治市、西條市、和気、松前、郡中町、北山崎村、長浜町、櫛生村等々町、予讃線に沿う沿岸の各市町村に視察に参つたのでありますが、海岸堤防は所々決壊し、道路橋梁の決壊による被害もまた甚大なるものが認められたのであります。このあたり一帶高潮、降雨のため農作物が、おもに水稻でありますが、すつかり枯死し、腐敗して、臭気鼻をつく惨状でございました。  なお長浜町における高潮現状でありますが、町の中心部の二百余メートルの海岸防波堤が決壊、破損しております。この防波堤の前に、数年前までは相当広い洲があつたそうでありますが、南海地震沈下のためなくなり、八十センチないし一メートルの沈下を来したとの説明がありました。視察当日は北の風が吹いており、相当波もありましたが、この風が真北より吹けば、またまた町全体が浸水するのではないかと、町民は不安におののいておりましたが、これと同様な所は長浜町の隣村、櫛生村沖浦にもありまして、人家数十戸が海沿いにあり、軒先まで沈が打寄せており、一刻も早い工事施行を陳情されましたが、まことにその現状を見て、危險この上ないと痛感いたした次第であります。  次に風水害による地域として周桑郡石根村、中川村、田野村、温泉郡小野村の各部落を訪れたのでありますが、この辺一帶は、晩稻の千石あるいは農林十八号というものが開花、出穗期を風にたたかれ、かつ河川の提防決壊をも加えまして、一望すすきの穗を見るような野草の原となつておるのでありまして、減收四割ないし七割という驚くべき説明がありました。一部農耕地がまつたくの河原と化しているところも見受けたのでありまして、中でも被害を全面的に受けた農民は、今やまつたくぼう然として、農耕地被害をこうむつたまま、何らなすところない放棄の状態であります。また農村における收穫皆無の農民については、さつそく生活保護法の適用を受けねばならぬ、明日の米に事欠くという状態で、いち早く生業を考えられるよう、転落の一歩手前であるから何らかの救済を願いたいとの陳情を受けました。この点については他の県についても同様であります。  次に広島県について申し上げます。五日午後、県庁において、山本代議士を交えて、県当局者より説明を聽取いたしましたが、被害の概要は、連続降両量は県西部において最大四百三十ミリに及び、太田川、木野川、可愛川等、主要河川警戒水位を突発いたし、また沿岸、島嶼部においては、高潮と波浪のため、提防の決壊となり、道路橋梁の破流失、農水林産の諸施設に多大の損害を與えたのでありますが、その被害額は、土木関係二十三億七千余万円、建築物関係十九億三千百余万円、耕地関係十六億七千七百余万円、農産関係九億三千百余万円、林業関係五億三千四百余万円、水産関係、一億三千七百余万円、衞生関係七百五十余万円、以上集計いたしまして、実に七十五億九千四万余円となつております。  人的の被害は、死者四名、行方不明二名、負傷二十八名の報告がありました。  農作物被害は、海岸線、谷河川の流域でありますが、特に太田川の流域、安佐郡と西部の佐伯郡において甚大であるとのことでありまして、減收見込み十万二千余石、金額にして五億三千三百余万円とのことであります。なおまた最近風水害のあとを受け、高田郡、双三郡方面での虫害が目立つて来て、相当の減收を来すのではないかとのことであります。  なおおもなるものは、島嶼部における果実の被害、あるいは蔬菜被害を合せまして、三億五千万円であります。  次に水産関係におけるかきの被害は一億二千余万円に上るのであります。御承知通り広島かきは、二百年の歴史を誇る県下重要産業の一でありますが、このたびの災害により、八割の設備を流失し、生産は全滅に近い被害でありまして、県、市当局は目下かきの種の獲得に、宮城、宮崎両県に対して奔走中とのことでありまして、かき專業者三千戸の死活にかかる問題として、鋭意努力中とのことでありました。  六日より県内視察を始めましたが、広島市の東西を結ぶ天満川の木橋は、六橋とも全部流失、目下仮橋ができて居りますが、災害当時はこの橋に水道管がつけてあつたため、これまた全部破壊されまして、市民十万に給水ができず、海をまわつて応急の給水をしたとのことでありますが、これは市の下水設備の問題とともに、将来広島の国際平和都市の問題ともあわせ考え、恒久的な施設とすべく、財政面の難関打開に努力中との由でありますが、またわれわれに対しても、善処方を強く訴えられたところでありました。  ついで太田川上流にさかのぼりまして、可部町、加計画、戸河内町の被害現場を視察いたしました。この山間部地域は、近来しばしば起る風水害は主として河川堤防の決壊でありまして、総合的な河川改修を実施すべきものであると痛感いたしました。またこの地域の灌漑用の井堰はきわめて貧弱でありまして、一度洪水に見舞われるとすぐ破壊されるのでありまして、地方民の要望通り恒久的の施工をなす要があると考えられたのであります。また太田川の氾濫を助止するには、防災ダムの建設を要望する声が強くあげられておりますが、これまた傾聽すべきものがありました。なおこの流域には九つの発電所がありまして、ふだんの水量は真に貧弱でありまして、ために河床が上つているのではないかとの言もありましたが、参考のため申し上げておきます。七日は廿日市、八幡川方面災害視察いたしました。  次に山口県の状況を御報告いたします。七日夕刻山口市に到着、吉武、坂本、青柳各代議士、重宗、中川両参議院議員を交えて、県当局、県議、市議等より県の災害事情を聽取いたしました。その大要を申し上げますと、本県の特色を台風と満潮時が一致し、海岸地帶に強烈なる高潮を越したことと、いわゆる豆台風といわれた小さな台風が未曽有の豪雨をキジア災害直後にもたらしたため、河川も減水せず、応急工事も着手できないうちに再度の豪雨に見舞われるという結果を招来し、被害は想像以上に上つたのであります。また地理的環境において、海岸線がきわめて長いこと、河川の急流等の特異な地形でありますため、一たび災害にあえば、現場の決壊、家屋、耕地流失並びに浸水、冠水、主要交通路の杜絶等、各地の惨状は直に目をおおわしむるものがあるのであります。その被害状況は、人的被害死者十二名、重軽傷百七十七名、罹災人員は十四万五千人を算しております。  次に施設、生産被害は実に百二十一億六千百余万円の巨額に上り、視察三県中最大の痛手をこうむつたのであります。その内訳を見ますると、土木関係三十四億一千九百余万円、耕地関係三十三億五千四百余万円、農産物関係二十七億九千九百余万円、山林関係七億二千二百余万円、建造物関係四億四千七百余万円、水産関係二億七千七百余万円、一般罹災関係四億五千八百余万円、その他六億八千余万円の厖大な額と相なつておるのでありまして、なお詳細な説明によりますれば、土木関係におきまして三億円以上の土木出張所管内が下関、萩、柳井、岩国と四管内、一億円以上が七管内に及んでおるのでありまして、被害が全県下にわたつているのが特色であります。耕地関係被害においては、五千万円以上が二十市町村、三千万円以上十四市町村、他の市町村も大半一千万円以上の被害であります。林道関係も全県被害をこうむりまして、薪炭の需要期を控え、県内消費分の生産も危ぶまれる状態であるとの説明もありました。次に水稻でありますが、七割以上の減收三箇村、五割ないし七割十六箇村、三割ないし五割が全県下の大半でありまして、果実、蔬菜類の被害も、三割以上の市町村が大半を占めているとのことであります。  さてわれわれ一行は、八日早朝田中知事、県会議長、県出身代義士諸君の御案内をもつて、佐々並村、明木村、川上村、萩市、福川村、吉部村、弥富村、小川村、江崎町、須佐町の順序で現地視察をいたしたのであります。道路の決壊、河川堤防の決壊、流失田畑状況、山津波の現状を親しく見たのでありますが、その惨状はまことに想像以上のものがありました。なかんずく川上村の二百八十メートルの堤防決壊でありますが、この箇所は去る十九年の災害で決壊し、今春竣工したばかりで、村では久しぶりにゆたかな稲作を待望し、肥料も標準以上に施し、その待望がまさに実現せんとしたそのやさき、今次の水害で十五町歩の水田を一瞬にして喪失して生気を失つていましたが、農民代表は、復旧さえ実現すれば、離村することなく、また耕作に従事すると、その決意を語つたのであります。  次は福川村の山崩れの状態であります。この山間部の多くの農家は、山津波のため破壊され、原形をとどめないものがあり、中には屋根のみを現わして埋没している惨状を目撃しましたが、高さ二百メートルくらいの急傾斜の山はだがはげ、岩石、土砂、生木が川原に山をなしておるのであります。一瞬間耕地七町、林地一町五反を喪失した現場でありますが、これに近い山津波は、福川村、川上村等随所に起つた現象でありまして、降雨による地盤のゆるみの最大のものと思われます。ただ晝間のできごとで、死者のなかつたことが不幸中の幸いでありまして、住民は不安にかられ、一時は離村の議が一部に起つたという話でありますが、今は生気をとりもどし、生業に従事中であります。  当日の行程は主として山間部でありまして、道路決壊現場を通過するに難行に難行を重ねまして、宿舎に着いたのが午後十一時というありさまでありましたが、この郡内その他においても交通杜絶のため、調査不能の地も多数あるとのことでありました。  翌九日よ、海岸線被害視察のため早朝より出発、宇部市、厚狭町、下関王司海岸の順路をとりました。前段申し述べました通り、この地方河川決壊、高潮による被害であります。  次に宇部市においては、宇部市の被害並びに西沖の山炭坑を船によつて視察いたしました。この地区は高さ六メートル、延長六千メートルの堤防で囲まれた五百町歩の干拓地でありまして、石炭の埋蔵量七百万トンの優良炭坑であります。決壊原因は高潮による波浪でありますが、また專門家の言によりますれば、地盤沈下も遠因をなしているとのことであり、六メートルの堤防ではもはや低過ぎ、復旧は八メートルを計画しているとのことであり、復旧工費三億円を要するとのことでありますが、この干拓地五百町歩は、御承知通り宇部鉱産会社が経営しているのでありまして、同社は従業員ほぼ二万人を擁し、硫安、セメント、化学製品、機械、石炭を主製品として、宇部市における産業の一翼をになつておるのであります。さきの災害により阪神間の重要産業の大被害があり、復興期にあるわが国産業の痛手は遺憾ながら一層加わつたのであります。会社側より、これら主要産業の一刻も早い復旧に対し、強力なる国庫補助を與えらるるようにとの熱烈なる陳情を受けたのであります。  なお現場を見得なかつたのでありますが、防府、徳山、下松、光を中心に県下にまたがつております塩田がほとんど全滅の形であり、その面積は六百六十町歩にわたり、被害額四億七千余万円に達するとのことで、復旧の一日も早いことを願つておりました。  最後に岩国市における文化財錦帶橋の流失であります。復旧について県下あげて熱望するところでありますが、文部、建設両省の特別な措置をもつて緊急に復旧でき得るよう、格段の御助力を願いたいとのことでありましたので、ここにつけ加えておきます。  以上が愛媛広島山口三県のキジア台風による被害状況の大要でありますが、以上の調査にかんがみまして、各地の報告とその事実は大差のないことを認め、これらの結論といたしまして、まず第一に災害復旧に要する経費の増額はもちろんなるも、さらに高率補助による各種防災事業を公共事業として大幅に取上げることが肝要である。  第二に、農村関係においては、耕地被害程度は特に甚大なものがありまして、單に農作物の減收のみにとどまらず、その生産組織をも破壊せしめたところに痛手があるのでありまして、施設の公共性等を勘案して、諸般の見地から資金の獲得、融資の道を考える。農作物被害の激甚なる現状にかんがみ、米の供出割当の減額補正、水稲被害に対する農業災害補償制度による共済金の概算拂い、ないしは早期支拂い並びにこれを見返りとする系統金融機関よりの融資の措置、農業協同組合共同施設復旧助成、水稻病虫害防除用の薬品購入助成等の項目が特に考えられるのであります。  次に林政関係においては、濫伐の弊を是正する治山事業については、特に植林事業に重点を置く必要あり、また林道のすみやかなる復旧ともに、木炭生産の支障を来している炭がまの施設に対し、国庫助成並びに資金融資の措置をとる必要があると思われます。  次に水産関係においては、両三年間、自然現象ではありますが、漁民は不漁に次ぐに不漁であり、打ちのめされた現状であります。かてて加えてこのたびの災害であります。至急に漁業施設の早期復旧、諸資材の入手及び喪失した漁船、漁具の調達に対しては国庫の補助を強化し、また資金の融通等に対しては根本的な法的措置を講ずる必要を痛感するものであります。  最後に一般的な恒久対策として、次の観点より考える必要があります。まず今次台風による災害がなぜかくも莫大な額に上つたかというに、第一に考えられますのは、降雨の絶対的多量であつた点でありまして、各県下、各地の土壤の含水率は飽和の状態となり、前回の災害を受け、荒廃のままいまだ完全なる復旧並びに改修工事の終らぬうちに豪雨に襲われたため、異常の出水を生じ、各河川は氾濫、溢水し、堤防護岸を決壊流出せしめ、各所に甚大な被害を生ぜしめたのでありまして、これら脆弱な箇所災害復旧法規の現形への復旧の観念を飛躍して、一段の恒久性ある施工を断固なすべきであります。脆弱と知りながら現形に復旧し、洪水ごとに流される愚を再び繰返さぬよう、関係当局要望するものであります。  第二は、高潮により災害対策でありますが、瀬戸内海全海岸は一メートルに及ぶ沈下を見る所もあり、この沈下により、平常の満潮時においてさえ堤防を乗越え、決壊が危ぶまれるという実情でありまして、特に今次の災害の最たるものであり、一箇所数十町歩より数百町歩に及ぶ美田も、わずかの間に收穫皆無となるのであります。これを放置しておけばこれら田畑の荒廃はもとより、今後の食糧対策の上より見て、重大なる禍根を残すことになるのであります。また瀬戸内海海岸全線にわたつて、科学的な研究と相まつて恒久的な対策を要するものと思われるのであります。これには災害事業費の国庫補助額の僅少によるものと県財政の窮迫によるため、十分なる工事費の支出が思うにまかせず、ためにその進捗が遅々としているのでありますが、この際国としては、この点すみやかなる国庫補助の増加を考慮されたいと考えられるのであります。また各地においての要望として、起債の増額であります。これについては種々制約のあることでありますが、これら災害各県については、特別の考慮がなさるべきでないかと思うのであります。引続く災害によつて災害各県の農漁村民の苦しみは大きく、民生の安定を欠き、経済は窮迫しておるのでありますが、しかも自主的にあらゆる手を盡して涙ぐましい努力を続けておるのであります。政府はこれら災害地住民に対し、早急適切なる処理を要望しまして報告を終ることといたします。(拍手)
  8. 松井豊吉

    松井委員長 これをもつて派遣委員よりの報告は終りました。     —————————————
  9. 松井豊吉

    松井委員長 これより政府関係省より順次以上の報告に対する決意並びにキジア台風災害対策について、御説明を聞くことにいたします。大蔵、安本、建設、農林、運輸の順序で御意見を承りたいと思います。
  10. 西川甚五郎

    ○西川説明員 災害復旧費と申しましてよく皆さん御存じの通り、本年度の百億のうちから六月に二十七億、八月までの災害に対して二十三億、あと残り五十億あつたのでございます。そこにおきましてジエーン台風が起り、しばらくしてキジア台風が起つた。その節にこの五十億という残りは全部使いたいというので、その方面に使うことにきめたのでありますが、今度補正予算を組みます際におきまして、財政の許す限り出したいというので、最初三十数億を組んだのでありますが、いろいろとまた財源を探しまして、全部で五十一億という補正予算に組んでおります。しかしてその五十一億のうち、この災害の実際に使います公共施設に対する資金と申しますか、その災害復興費というものは、五十一億のうち四十一億であります。従つて年度の残りの五十億と四十一億、すなわち九十一億がキジア並びにジエーン台風に使うことになつて来ると思います。しかしながらこの四十一億はまた補正予算に組みました程度でございまして、司令部の折衝もございまするし、また皆さんの御決議によりましてこの予算を成立していただきますれば、この四十一億はすぐに出るものでございます。でありますから、特に残りの五十億のものを至急に出しまして、一応あとの四十一億を加えてやりたい。承りますとただいま安本の方では、この九十一億をまとめて司令部と折衝中のようでございます。予算関係はそういうことでありますが、これをまた来年度について見ますと、二十六年度予算には災害復旧費といたしまして四百七十億組んでおります。その約三分の一は地方で負担いたすことになりますが、ただいま考えておりまする点におきましては——三分の一というのは被害の少かつたところでありますから、四分の一あるいは全額を国庫で負担する。全部が三分の一でなくして、あるものは四分の一、あるものは全額を国庫で負担する、あるいは三分の一を地方で負担していただく、あるいは四分の一を負担していただく、こういうふうなやり方がいいのではないかということで、大体その金額が百六十億ぐらいになると思いますが、そうすると四百七十億に百六十億を加えまして、六百数十億が来年度災害復旧に使用される。こういうようにいたしまして、本年度災害復旧費地方の負担を別にいたしまして四百七十億でありますから、地方の負担するところの分がそれだけの仕事がふえて行く、こういうことになつて行くと思います。また私、先般ジエーン台風のときに大阪並びに兵庫、和歌川に参りましたが、実際に今おつしやいましたところの御報告通り、実にさんたんたるものでございますから、私も帰りまして、これは災害復旧費以外に相当の融資、たとえば水産業、あるいは農業の方面、あるいは中小企業の融資の方面について何とか手を打ちたいと、その融資の方法についていろいろ検討いたしました。要するに結論といたしましては、これは預金部から引出すよりほかに方法はないのでありまするから、大臣初め各関係者がたびたび指令部へ行つてお話申し上げたのでありまするが、はなはだ申訳ないのでありますが、今のところ預金部資金は動いておりません。それでありますから最近ドツジ氏が来られまして、今一般に申しまする金融面と、そうして財政資金の面との両方の均衡、すなわち今の金融面のオーバー・ローンの問題と、この財政面との両方の均衡によりまして、多分ドツジ氏はこの財政資金を相当出してくれるのではないか、そういうふうな考えに私はたいへんな希望を抱いて、せつかく先週より資料を提出して努力をいたしておる次第であります。また来年度のこの預金部の地方債の問題も、本年は三百七十億でありましたですが、ただいまの考えではこれを五百億に伸ばしたい、またでき得ればもつと伸ばしたいということをただいま検討いたしまして、これもドツジ氏と交渉したい、こういうような考えで今日やつておる次第でございます。大蔵省といたしましてはこの点を申し上げて、また御質問かあれば申し上げたいと思います。
  11. 矢野勝正

    ○矢野説明員 キジア台風によりまして、公共事業関係の総被害額は、現在わかつておりますところを全部総計いたしますと、約三百七十億ということになつております。これは関係各府県から被害額として報告されたものでありまして、実際に関係各省が査定をしたものではございません。従つて実際に査定いたしますと、これの七割か八割くらいになるかと思います。ジエーン台風の総被害額は、現在のところ約五百六十億ということになつております。両方加えまして、かれこれ一千億近くの厖大災害を受けたわけでございます。ただいまお聞きしております通り、御意見書並びに報告書中に、災害復旧工事原形復旧であるから、同じことを繰込す、だからこれに改良的な計画を加味して、二度と災害を繰返さないというような策をとるべきだという御意見がございました。これは私どもはかねて考えておるところでありまして、一応災害復旧費が累増することを避ける意味におきまして、原形復旧という原則はとつておりますが、再度災害を繰返すというようなことがはつきりしておるものに対しましては、過去においても原形復旧の名にとらわれず、若干の改良は考慮しておつたわけであります。しかしながらこれは非常に姑息なことでありまして、今回ジエーン台風に対する阪神、阪和地区、主として大阪港と尼崎地区でありますが、この地区に対しましては、従来の原形復旧の方針ではとうてい完全を期し難いので、目下これが改良計画を検討中でありまして、大体災害復旧費以外に百億程度の改良費を加えることによつて、再度災害を防止できるというような見当を持つております。それからキジア台風に対しましては、先ほど報告中にもございましたように、九州海岸堤防の問題が、他の災害に比べまして大きく考えなければならぬ問題だと思つております。不知火、有明並びに九州の東海岸中津川から行橋方面にかけて、海岸堤防相当こわれておりますので、九州海岸堤防を増強するという一つの大きなテーマが浮び上つて来ておりますので、目下検討中でありますが、大体二十五億くらいの改良費を加えなければならぬというようなことも考えております。いずれにしましても、二つ災害は非常に大きな災害でございましたので、従来の原形復旧という名にあまりにとらわれずに、若干恒久的な改良策も考究したい。  これの予算的措置をどうするかということが一番大きな問題になるのですが、ただいま安定本部といたしましては、補正予算並びに来年度予算で極力この問題を解決したいと思つておりますが、とうていそれは十分なことはできませんので、二十六年度の見返り資金の額がどうなるかわかりませんが、その方面においても加えて考慮したいと思つております。それから災害に対する災害復旧費予算的措置につきましては、今大蔵省の方から御説明がございましたように、二十五年度におきましても補正予算が確定しておりませんが、おおむね九十一億円と、明年度はこれも案が確定しておりませんが、四百五十億から四百七十億程度の災害復旧費を計上してやつて行きたいと思います。しかしこれは御承知通り、すでに昭和二十五年度までにも、もう一千億近くの従来の災害復旧費が未着工で残つております。そこへ持つて来て、本年もまた一千億程度の災害費が出たので、とうてい五百億足らずの予算では、累増して行く災害費をまかなつて行くことができませんので、この点は非常に憂慮している点であります。  それから最後報告書にもありました九州シラス地帶災害対策問題、これは宮崎県の南の方から鹿兒島にかけてその大きな問題であることは、私から申し上げるまでもないので、このシラス地帶災害復旧対策というものは、従来のような、さつき申し上げた災害原形復旧方針のみでは、解決のつかない問題だと思います。特にシラス地帶の飲料水の問題だとか、あるいは洪水対策の問題、治山治水の問題に至つては、相当拔本的な計画を立てなければならないので、安定本部におきましては、この基礎的な費用並びに研究をするために、資源調査会におきまして基礎的な研究を現在いたしておりまして、その対策につきましても、近く結論が得られますので、それによりまして、二十六年度においてどの程度のことができるかまだわかりませんが、二十七年度以降においてはつきりした項目をつくつて対策を講じたいと考えております。
  12. 松井豊吉

    松井委員長 次は建設当局、目黒河川局長
  13. 目黒清雄

    ○目黒説明員 ただいま安定本部から総括的なお話がありましたが、そのうち、私の方のキジア台風被害は百七十億程度であります。これは一応の各府県の報告でありますから、これを現地査定をいたさなければなりませんが、目下査定官を各地に派遣いたしまして、大体今月中にはこの結果がまとまると思つております。  そこでこの百七十億でありますが、すでにキジアその他で相当被害をこうむり、さらに今度の百七十億ということになりますと、河川関係で五百数十億という金に相なるのであります。それに対して本年度の百億の予備金の中、すでに五十億円を出しましたので、残りの五十億をもつてしてはとうていまかないきれないというので、安本にいろいろお願いしておるのであります。これは聞くところによりますと、五十億と四十一億ということになると、九十一億という勘定になりまして、この程度では大体私の方では本年度被害の一割程度の費用ということに相なると思うのであります。ただこれも今後補正予算をとつてみませんと、この金がはつきりいたしませんので、さしあたりわれわれとしては、何とかこの一時の融資をしていただきたいというお願いをいたしました結果、キジアに対して十二億五千万円をすでに各県に融資したのであります。これで一応応急的な措置を講じておると思うのでありますが、いずれにいたしましても、この厖大災害をこういうふうに毎年受けるということになりますのは、結局その根本が立たなければどうしてもいかぬということで、われわれは来年度といたしましては、根本的な積極策に乗り出したいということで、来年度予算の獲得をやつておるのであります。その中で最も重点を注がなければならぬのは、上流地方の荒廃した山林と、それに土砂をとめるための砂防工事というようなもの、これをやりたい。さらに防災的な堰堤工事、これによつて洪水の調節を行い、下流の浚渫、あるいは堤防のかさ上げと相まつて、これらのものに重点を置いて参りたい、こういうふうに考えておりますので、できるだけ早く毎年起る災害を最小限度に食いとめる時代の来るのを待つておるのであります。本年度のキジアの災害を見ますと、大部分が海岸堤防であります。しかもその海岸堤防被害は、山林被害よりも相当大きいのであります。これはすでにありました海岸堤防は、修理を怠つた結果、あるいは地盤の変動その他の原因もありますが、非常に荒廃して参つたのであります。とうていこういう高潮には耐えきれないような脆弱なものに相なつておるのであります。これに対しては、災害復旧費以外に積極的な恒久対策を講じなければ、こうやく張りの災害復旧ではとうてい持たないのでありまして、この点は強く安本に要求して予算獲得をやろうと考えております。以上で終ります。
  14. 松井豊吉

    松井委員長 次に林野庁治山課長、塚野君。
  15. 塚野忠三

    ○塚野説明員 キジア台風に関しまする林業関係被害は、大体三十六億六千万になります。このうち林野庁で扱いますものは、山くずれの治山事業、それから林道の災害復旧であります。いずれも御案内の通り公共事業費でありまして、私どもの調査とさらに県よりの御説明、御要望等によりまして計画を一応立てておりますが、本年度におきましては、山くずれの方で大体七億、林道におきまして同様約七億、合計十四億。これは事業費でありまして、そのうちそれに見合う補助をもつて対処したい。かように計画を立てております。ただ治山にいたしましても、林道にいたしましても、総被害に比べますと、その一部分であります。従いまして最も公共性の強い順位からこれをとり、あるいは林道におきましても、先ほどお話がありましたように、当面山村の経済的問題に非常に大きな支障がある。たとえば林産物が搬出できなくて、この冬に困るというような重点的な箇所を選びまして、十四億の計画をもちまして、着々安本の方に折衝をしてお願い申し上げております。ただそのほかに、これは予算化が、先ほどお話がありましたようにジエーン関係もありまするし、補正予算関係もございまするので、地元におかれましては、お話がありましたように早急に何とかしなければならぬというようなお話の点につきましては、二十五年度一般事業で出しております同じような費目のものを、重点的に振りかえて行くというような措置も講じております。さらにまたつなぎ融資に関するものにつきましては、いろいろ県の御計画に従つて、最も重点的なところから着手して行く、かように進んでおります。先ほど調査の御報告にもありましたように、さらに根本的な問題としてもつと山を植林しろ、こういう御鞭達をいただいたのでありますが、われわれ災害復旧にいたしましても、とうからそういうような考え方で仕事をいたして参つておるのでありますけれども、何分にも連年災害が起りまして、災害のあとが片ずかぬうちにさらにまた災害が進む、年々赤字がふえて来るというような形になつておりますので、特に来年度からは安本、大蔵省いろいろ特別なご了承をいただきまして、治山の拡充的な植林事業の躍進というようなことに格別の計画をもちましてやりたい、かように考えます。
  16. 松井豊吉

    松井委員長 運輸省港湾局長黒田君。
  17. 黒田靜夫

    ○黒田説明員 キジア台風被害の私の方の所管になつておりまする港湾関係では、被害総額は二十一億円の報告がございます。北海道を初め十五県にまたがつておりまして、このうち六億五千万円は緊急に予算として計上してもらいたいということを、先ほどお話がありましたように、安本方面に折衝いたしております。港湾関係といたしましては、港湾の数が少いがために、被害総額は少いのでございますけれども、被害を受けました港湾自身にとりましては、経済的面から言いましても、また地元の民生の安定の方面から言いましても、死命を制するものでありまして、私どもといたしましては、これが復旧にできるだけの努力を盡してやつて行きたいと思つております。  ジエーン台風につきましても、被害総額は五十六億あつたのでございます。これは大阪、尼崎の高潮被害がその最たるものでありまして、五十六億のうち大阪、尼崎港で約七割五分の被害額をあげておるような次第でありまして、同地の工場なりあるいはその他の住民の生活の上に甚大な影響を及ぼしておりまして、両者の被害等にかんがみまして、これを原形復旧をするだけではなく、私どもは将来のことを考えまして非常に寒心にたえませんので、早速これは理論的方面あるいは技術的に検討いたしまして、また公共施設方面だけでなく、民有施設方面には融資のあつせん等も考えて、できるだけあつせんして行きたいという立場から、先般来運輸省の中に大臣を会長といたします復旧対策協議会というものをつくりまして、技術的方面あるいは民有施設の融資の方面に、この対策をできるだけ迅速にやつて行きたい。あるいは技術的に恒久的な防災対策か樹立して行きたいというふうに進んでおる次第でございます。簡單でございますが、以上でございます。
  18. 松井豊吉

    松井委員長 農地局災害復旧課宮下君。
  19. 宮下好男

    ○宮下説明員 農地関係災害状況を申し上げます。  農林省農地局関係の農地の関係でありますが、農地の関係被害といたしましては、農地関係が百二十五億七千万円という数字になつておるのであります。これが復旧費は約八十七億余となるのでありますが、現地について正確なる査定をなした上の数字はまだはつきりしておりませんが、約百七十億ぐらいの復旧費となるのであります。一番大きかつたのは山口が三十三億、宮崎が十八億、広島が十七億、大分が十一億、それに次いで愛媛鹿兒島熊本、滋賀、福岡というような順序になつております。これは目下査定中でありますが、これに対する農林省対策といたしましては、資材としていち早く石油の配給をしております。この石油の配給は被害の激甚地を重点といたしまして配給しておるのであります。それから種子については、これは各府県の種子が一応その分がとつてありますので、その分から放出しておる。なお申請のあつた分に対しては、和歌山のごときはそば十俵というようなものを特に放出しておるのであります。それからなお肥料の方につきましては、司令部と折衝の上で、相当の量を放出しておるのであります。この融資の問題でありまするが、これはつなぎ資金とかいう問題は、もう御説明なつたと思いますから申し上げませんが、自己資金、これが一番問題になつておりますので、この自己資金の問題につきましては、農林中金から緊急復旧に対して約二、三十億の自己資金を出したいということで、目下折衝に努力いたしておるわけであります。それからなお現地工事の方法でありますが、法律上は災害原形復旧ということが原則になつておりますけれども、原形復旧ではまた再災害を起すというような憂いがありますので、でき得る限り改良を加えた工事を進めておるわけでありますが、遺憾ながら農林水産業の災害復旧法におきましては、修正する余地がなかつたために、原形復旧以外の改良の分に対しては地元負担ということになつております。この点は全額国庫負担の特例と同時に出た法律といたしましては、非常にお気の毒なのでありますが、国会が切迫したために修正をすることができなかつたのであります。今後これらの改正も考えておるのでありますから、その際にはどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  それから特に私の方からお願いしたいことがありますが、本年度施行する災害の分は、この被害復旧のうちの約三分の一くらいに大体なるのではないかと思いますが、その三分の一、それに対する国の補助というものは約二、三十億の分が本年度補助金として流れることになるのでありますが、そうしますと、農地は五割、公共施設は六割五分ということからいいますと、大作五十億くらいが事業費になるのであります。そうしますと大体一割以上の起債を要しますのでその起債の額は約五億円ぐらいを要するのであります。そうしまして本年度既定の予算が大体決定したのが七十二億ということになつておりますからこの方の事業費は百二十億で、この起債が公共団体、それからまたは公共団体がその他の団体、組合等に一割以上の助成をしなければならないという法律でもつてその負担を義務づけておりますから、その関係上納二十億くらいの起債が必要になつて来るのであります。その二十億のうちでどのくらい本年度起債がついたかといいますと、わずか二億七千万円きりついておらないのであります。そういうような状況でありまして、ことに公共団体が施行する分においても非常に苦しい立場になつておるのであります。大体十五億あれば農地の災害の起債の点としては十分なのでありますけれども、それが三億程度のものきりついておりませんので、あとの分を今後拡大する起債で持ちたいということを、行政委員会の方に申し出ておるのでありますが、なかなかうまく行かないのであります。自治庁にももちろんこれは折衝に努力をしておるのでありますが、もし行政委員会等から何分の連絡がありましたら、この方にお力添えを願いたいと存ずるのであります。
  20. 松井豊吉

    松井委員長 それではこれより政府当局に対する質疑を許します。発言の通告があります。これを許します。高橋權六君。
  21. 高橋權六

    高橋(權)委員 私は海岸堤防のことについて各方面から説明していただきたいのであります。特に建設大臣がいらつしやいますから……。海岸堤防破壊の箇所が非常に多いのですが、どういう方法でお手入れになるか、ちよつと伺つて御答弁のいかんによつて、またお尋ねしたいと思います。
  22. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 高橋君にお答え申し上げます。今度のキジア台風の特徴は、先ほど河川局長からも御説明申しました通り、防潮堤、防波堤が非常な被害を受けております。私どもの方の損害で申しますと、ジエーン台風災害復旧費が百六十二億、キジア台風災害復旧費が百六十億、ほとんど同じ額であります。災害損害総額から申しますと、また集計はできておりませんが、一方は二千二、三百億円、キジアの方はそれより下まわつて、半分くらいになるのではないかと思いますが、土木災害から申しますと同額であります。というのは防潮堤、防波堤が非常な災害を受けておるからであります。私どもはぜひとも防潮堤、防波堤の復旧に努力をいたしたいと思つております。復旧が第一、それから防潮堤、防波堤のないところも、防潮堤、防波堤を相当施設することが必要であると感ぜられる点が多々ありまして、この点は先ほど安本当局においても言及されたようですが、要するに復旧関係は大体原形復旧を旨とするということなので、これだけではとうてい災害の予防ができませんから、もとより復旧をいたしますと同時に、防潮堤、防波堤の施設を要する点は、どしどし施設をして参りたい、こういう意味合いにおいて予算等も要求いたしております。明年度予算にはでき得る限り頭を出したい、積極的の改修関係、あるいは新しい施設関係において予算面に頭を出したい、こう思つておる次第であります。
  23. 高橋權六

    高橋(權)委員 非常にありがたいことを承りました。大体急いでやつていただくということでありますが、特に海岸は塩分を含む水でありまして、稻なんかの枯れるのが早い。これが淡水で被害を受けたところは助かるが、塩水で受けたところは絶対ゼロになります。それでせつかくそれだけのお考えをいただいておるならば、ゆつくりせぬで、金はあとで出してもいいからもう今から始めて、風が起らないうちに完成さしておいてもらわぬと、またつかつた、腐つた……。どうも塩水というやつは人間に役に立つこともあるかわりに、また悪いこともある。その点を私は大いに強調しておきたいと思うのであります。しかるべくお願いします。  それから先ほど目黒局長もお話になつて、根本的のことからやりたいという非常にうれしいお言葉をたまわつたのでありますが、熊本方面宮崎方面損害を受け、わが福岡県も九州地方として至るところ損害を受けております。季節風としてこれはのがれることができない。そういう結果か知らぬが、私みたいに短気者が生れるようになつておるのじやないかと思う。しかし今申し上げるのは、宮崎県の上椎葉のダムについては、何か土地の買收が進渉しつつあるということを承つて喜んでおります。これとともに今度私らの方の地方も相変らず山くずれをして、はなはだしきところは六才を頭に三名の幼兒があつて、そのうち二人ががけくずれのために圧死している。一人の一番小さい子供が合掌といいますが、木で家を組んである物があつて、幸いにそれが保護してくれたから、ほとんど死んだと思つて掘り出したら生きていたというようなこともあります。このがけくずれなどは山潮——先ほど岡先生は山津波とおつしやいましたが、山津波というところもありますが、山潮とも言います。この出潮のようなものは、やはり濫伐によつて生ずるものであります。これは農林関係、あるいは農地関係にも答弁をしていただきますが、先ほど堤それがしという者が——私そういうことは申さないつもりであつたのですが、目黒局長が、どうも高橋議員が反対しておるから困るということを言うから、やむを得ずこれはあなたに申し上げ、お伺いしなければならぬ。議員でもないくせによけいなことを言うやつがありますからお伺いいたしますが、八女郡の矢部川の上流にダムをつくるということは、九州地方建設局において、去年の七月十一日に、あすこにダムをつくつても水がたまらないからだめだということをちやんと言つておるのであります。それにこのごろしやにむにつくろうとする者がある。私はその金を上椎葉のダムに投じて、大きいダムをつくつて、送電をしてもらう方がよいと思う。まして御前岳というものがあつて、これは筑後一の高山であります。御前岳から向うは分水嶺によつて大分県であります。大分県の備後水道から海水でも持つて来ましたならば水はありますが、諏訪湖のような湖もなく、新高山のごとき高山もないのであります。新高山のごときは雨が降つて十日も十五日もたつてから増水するから、上の方に雨が降つたなと思うくらいの大きな山を控えておるのであります。しかもこの間から私らの方も、道路堤防各所が決壊して非常に危ぶいところができておる。その原因は何かというと、山津波はそうたびたびは出ない。今度は少かつたのでありますが、山林に水を持たない結果であります。しかも九州地方建設局において、去年の七月十一日に絶対水がたまらないということを言つておるのを、しやにむにつくろうとする。パージにかかつておる前代議士、元代議士——このごろ解除になつた者もあるかもしれませんが、そういうものと私の縁家の酒屋と一緒になつてしやにむに体面にかけてでもつくるという、そういうことを言うのであります。これについて建設大臣はもう先日から自分のお国に、あの通りダムではない諏訪湖。口のところにあるただの井堰ですら、あのくらいの損害を與えておることを痛切に考えておられる。また雨というものは、このあたりにはこのくらい降つてくれと、スイツチでかげんする頭の持主はない。先日から私の方の八女地方に降つた雨が二百五十ミリにすぎなかつたが、これが長野県の方のごとき、先ほど岡先生のおつしやつたように、七百ミリも降るようなことがあつたらとうするか、しかもダムというものは調節しなければならぬ。このくらい以上水がたまつたならば流すということもある。おまけに山がはげ山であるためにたまらない。幸いに水がたまつたにしても、今申し上げましたように洪水が出たときにはどうするか……。
  24. 松井豊吉

    松井委員長 高橋君、大臣は時間がありませんので……。
  25. 高橋權六

    高橋(權)委員 それではその点はあとに保留しておきますが、今申し上げますダムの問題、これはあくまでこさえるというから、私は反対するのだ。しかも衆議院議員でも何でもない人間が容喙するということはけしからぬ。なぜ反対するかということを言うやつがいるから、やむを得ず言うのだ。これは建設局長の目黒先生が、どうも高橋代議士が反対するから困るとおつしやつたから、あなたも福岡県におられたから、一ぺん矢部の山がどのくらいはげ山になつておるか、しかもこれは農地関係にも説明してもらうが、どのくらいの程度ならば開墾できるか、あのけわしいところの、人間もろくろく登れないようなところまで開墾して、そばを植えている、こういうところでは水は持たないのです。これに対しては私は多くは語りませんが、そうまでしてしやにむにダムをつくらなければならぬ、その点をひとつお伺いしておきたい。
  26. 松井豊吉

    松井委員長 河川局長はあとでお答えするそうです。
  27. 志田義信

    ○志田委員 実は大臣はお忙しいようで、あとで大蔵次官の方にお尋ね申し上げたいと思うのでありますが、この前以来私は最上川の下流の改修工事の問題につきまして、申し上げておるのでありますが、特に大臣にお尋ね申し上げたいのは、建設大臣としてでなく、国務大臣としてこの際考えていただきたいと思いますのは、中央から参ります監査が非常に複雑多岐をきわめております。私が今度帰つた場合におきましても、現地の所長その他から言われるところを見ますと、まず建設省から来る、安本から来る、大蔵省の財政監査がある、会計検査院はもちろん来る、それから内閣にこのごろ公共事業監査委員会というものができて、それも来る、人事院からも来る。労働基準局からも来る、職業安定局からも来るという状態で、まことに監査にいとまなくやつて来られるために、いろいろこれについての問題が起りがちだということを言つておるのでありますが、こういう監査は、直轄工事に関する監査というものは、もちろん会計検査院は必要でありましようし、建設省も監査しているでありましようから、せいぜい建設省、安本、会計検査院あたりぐらいで終るようなことを考える必要があるかと思うのでありますが、その点についてちよつとお伺い申し上げておきたい。
  28. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 志田さんにお答え申し上げます。御質問の点、私も全然同感であります。本日閣議において、大勢の方が東京陳情に来られるというようなことは、地元関係の冗費の一つになつているというようなことについて、申合せをいたした次第でありますが、その際も、中央から地方へ出かけて行くということも、これまた地方に非常に迷惑をかける。その一例としては、自分の省の地方建設局なり、あるいは土木事務所なりそれぞれ参るけれども、参る先が、こちらの出張する方面が、今志田さんの御指摘の通り六つも七つもあつて、所長あるいは局長としてはほとんど送迎にいとまがない。ところが予算を審議議決するのは国会であり、国会の審議議決された予算を執行するのがそれぞれの行政官庁である。ところがその執行どころでなくて、送迎にいとまない。また弁当代その他でもなかなかやり切れなくて、結局最上川のようなぐあいに、非常によろしくないことでありますが、やみでやる——といつても決して私腹を肥やしているわけではないけれども、何とか費目の流用をしない限りは中央官庁から出て来る方に対する弁当代も出ないというようなことで、おもしろくないことでありますけれども、ああいうような一種の不当な予算の流用ということも、一般地方庁なり、あるいは出先官庁の一つの公然の秘密と申していいか、悪例になつているのではないか。弁当代くらいはがまんするとしても、一月のうち中央から監査なりその他に来てない日はほとんど数日ぐらいしかない、あとの一月の大部分はあげて中央官庁から来る監査の方々の送迎にいとまがないほど忙殺されておる。こういうようなことは予算の執行に任ずべき行政官庁としてはまことによろしくない。議決にかかる予算を忠実に執行するのが本職であるのであつて、検査を受けるのは第二次的の仕事であります。第二次的と第一次的との仕事を混同するような結果を惹起しつつあるということを、私も強く建設大臣として発言をいたしまして、その点については各省大臣の反省を求めまして、それから各省に属さない、たとえば会計検査院なり、あるいは人事院なりについても私はこの際考え直しを願いたい。できれば一緒に来るとか何とかしないことには、一人のお客様をお送りしたところが、もうそこへ来ておる。あるいは一ぺんに両方からそれぞれ監査に来ておる。こういうようなことではとても普通の行政はできませんから、なるべく直したいという点については、志田さんと全然意見をひとしくするものであります。そこで今度の閣議の決定事項の中にも、そういうような意味のことについて地方の事務能率なり、行政の執行の妨害をしないように注意するということの一箇條を特に入れてもらいましたが、なお具体的のことについては研究いたしまして善処するつもりでございます。
  29. 志田義信

    ○志田委員 将来の点についてお考えくださつたことにつきましては、非常に感謝いたしますが、現に最上川の上流及び下流の工事をしておる建設省の役人は、法によつて近く起訴されるのではないかというところまで来ておるので、かような場合に、かようなことで起訴されることになりますれば、もし不幸にして警察フアシヨのような傾向が出た場合には、全国的にこれらの影響を受けることがもうすでに考えられております。すでに山形県の県土木部におきましても、今日におきましては非常に周章狼狽いたしまして、建設省に来たから今度はわれわれに来るんだという心配を持つておる。そこで大臣にこの際ぜひお尋ねしておきたいと思いますが、もしかりに——かりにではございません。これは公文書偽造ということによつて起訴されるという事実が不幸にして現われるのではないかということを憂えてのあまりですが、そういう場合に悪意でなく善意に、機構の不備の点からそういう問題を起して、公文書偽造に問われて起訴になつたときに、それらの所長に対しまして建設大臣としてはこれを休職にするというような方法をとるのかどうか、もしさようなことで休職にするということになりますれば、今最上川は御承知通り二億及び二億、合計四億の見返り資金による大きな事業を起され、災害復旧にようやくとりかかつておる状態でありまして、それらの職についておる人々が安んじて職務を執行することが困難であると思いますが、大臣はそういう場合においてこれを休職にするというようなことを考えておるか、考えてないか、その点をひとつお漏らし願えれば、地方に在勤しておりまする建設省の役人の諸君も非常に安堵するのではないかと思いますから、お漏らしを願いたいと思います。
  30. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ああいうような事件は、この前の災害委員会においても申しましたが、要するに大蔵省といいますか、国の予算の建て方が、弁当代というのは組んでないものですから、結局人夫でも雇つたことにして、一人人夫を雇うと一日四百円なら四百円、そこで弁当代が四人分出たから助かつたというようなことが、一つの公然の秘密になつておる。それは非常に悪習慣であつて、私は非常によくないことだと思つております。今日も大蔵大臣にその点は考え直しを願つたのであります。これはよくないことですから、爬羅剔抉されるのはしかたがありませんが、しかし受けた本人から見れば非常に気の毒である。事業執行にさしつかえを生ずるおそれがあるということも志田さんの御承知通りであります。しかしながら検察庁でいわゆる検挙されて起訴されたということになりますと、人事院関係もありますから、従来通りの扱いをいたすよりしかたがない。情状その他従来のひとつの悪習慣であるというようなことについてのことは、検察当局の賢明なるはからいに待つよりほかありませんが、起訴された本人をそのまま事業の執行にあたらしめるということは、私の一存では行きかねる次第でございます。
  31. 志田義信

    ○志田委員 起訴されるということは、大臣御承知通り、それは別に判決を言い渡されたのではない。従つて起訴される前提において、それが機構上の不備であるということを十分お察しになつてつて、このままではいけないと閣議で御発言なさつておる大臣でありますから、これらの人々を、起訴になつたからというので従来の考え方でただちに休職処分などにしないようにお願いしたい。特にこれを大臣に御考慮願つていただかなければ、工事の促進について重大問題が起る。ことに最上川は東北における非常に荒廃しておる河川で、ようやく今ここで見返り資金その他によつて補修、改修ができようとするやさきでありますから、ぜひ公文書偽造等によつて起訴された場合におきましても、正当な判決の下るまではその職にとどまるような、温情ある御処置を——建設大臣の部下を愛する日ごろのお気持を察しましても、ぜひそうしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。しかしその点につきましては、ここであまり深くお尋ね申し上げることも何かと思いますから、大臣に対する質疑はこの程度にとどめておきたいと思います。
  32. 松井豊吉

    松井委員長 岡君。
  33. 岡延右エ門

    ○岡委員 大臣のおられるときに一言だけ申し上げますが、災害地をわれわれが視察いたしますと——視察するまでもなくその声は輿論でありますが、査定なり金の配分が遅いということです。これが一番欠陥です。われわれが視察いたしました山口県あるいは愛媛県にいたしましても、冬になりますと北風、西風あるいは西北西の風が一番多いのでありますが、そういう風を受けますとゆゆしい問題である。ところが査定が非常に遅い。目黒局長その他安本の係官から伺つても、まだ査定ができておらない。そして配分にまだどれだけかかるかわからない。これが一番の問題であります。われわれは地方で悲痛な叫びを聞いたのですが、役人はポケツト・マネーを出すくらいの気持でおる。要するに忌憚のない言葉で言うと、役人は統制経済時代甘い汁を汲つたことに醉つておる。これをひつぱつておくならば、陳情も受けて手みやげにありつく。さらに極端にいえば宴席にもありつく。そういうことのためにひつぱつておるとまで言つておる。これを称して地方の人々は人災だと言つておる。天災ならば台風が来なければ免れることはできるが、しかし人災は役人がおる限り避けがたきものである。でありますから、あなたは閣僚としてこういう人災をなくしてもらいたい。役人がポケツト・マネーを出してやるのだというような気持を一掃してもらわなければゆゆしい問題であります。要するに今回の災害がなぜひどかつたというのは、前のきずがいえてないからである。ですからこの点は閣僚として特に留意していただきたい。建設大臣の御感想を伺いたい。
  34. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 岡さんの御質問には、私も同感できる点が多々あるのでありまして、役人といいますか、財政当局が国民の税金で、自分の金でもないのに自分の金を出すような気持で出し澁つたりすることはとかくありがちで、私も遺憾に存ずる点が多々あるのであります。しかしながら役人がごちそうにありつきたいために延ばしたというようなことは、あまりないと思う。結局従来の惰性で延び延びになるのが通例ではないかと思います。それにいたしましても、罹災者からみれば非常に迷惑でございますから、私どもの省といたしましても、関係省にもよく話合いをいたしまして、できるだけ早く復旧費を支出するように、そうしてどしどしやつてもらうようにこれから努力いたします。
  35. 松井豊吉

  36. 青野武一

    青野委員 建設大臣に二つ三つ一緒に御質問しておきます。今御質問がありましたのに関連しておりますが、一応国庫から補助金がきまりますと、急速に支給さるべきものが非常に現実には遅れておる。また私も栃木県から東北方面から九州方面をずつと台風被害を見てまわりましたが、どこの県でもそれを同じように、口をきわめて遺憾の意を表しております。たとえば宮城県のごときは、三年前の台風で国庫の補助金がまだ半分も来ていない。だから結局中途半端な工事をせざるを得ないから、八月の水害、六月の水害で元も子もなくなつてしまう。こういう意見が多くの人から述べられておるわけでありますから、これは急速に大臣の責任において督励をして、災害のあつた際には急速にこれを支給する。決定したものはその県の復旧工事の最大能力に達する補助金を出すといつたような方針に改めてもらいたいと思いますが、その点についてのお考えを承りたいと思います。  それからもう一つは、今度キジア台風九州方面視察に同僚議員と一緒に参りましたときに痛切に感じたのでありますが、御承知のように九州一帶は、大隅半島から北九州の門司の辺まで岩壁は総くずれ、どこ一箇所もこれを復旧せずに放置することはできません。單に大分福岡県の境の中津市だけでも、土俵に二百万円の金を投じて岩壁のいわゆる堤防のくずれた所を応急に押えておる、それが各所にある。ところがこれは災害復旧費として国家から一文ももらえない。塩かますであれば二十五円か三十円でできまするが、米や麦を入れまするかますに土を入れましても——足元も多少見られておりまするが、どこを開いても一俵五十円につく、それがわれわれの班長からの御報告にありましたように長くて二箇月、悪ければ一箇月でかますが腐つて、あとは砂でありまするからぼろぼろいつてしまう。普通の満潮のときでももうだめであります。それが九州の沿岸あるいは愛媛県、山口県を含めますると、少くとも何億円という金が投せられていると思いますが、こういう点について、国庫の補助金の中からこれを支弁して行くような方法をとつていただかないと、財政的に貧弱な各被害県の財力ではどうすることもできない。こういうことを各県当局が非常に陳情をしておつたのを聞いておりますが、この点についてのお考え方も承つておきたいと考えます。  それからこれは希望でありますが、終戰後五箇年間、私ども災害地対策委員として痛切に感じていることは、いろいろな災害がありましたときに資料を集めておりますが、一目見て大体の見当がつくような資料がほしいのでありますが、これは四十五人全部委員諸君の希望するところでありますが、終戰後五箇年間全国的な各種の災害、それを県別に大別して内訳、種類、公共事業費に対する国家が支弁しておるのは現在どのくらいの程度支給すべき補助金が残つておるか、こういつたことを、キジアまでの総計をひとつ全国的に、県別にわれわれ一同に一つずつ印刷をして配付してもらいたい。  それから最後にたとえば災害予備費が百億円組まれておりましたが、六月までの災害に対しては二十七億、八月までに二十三億、合計五十億はすでに関係方面のオーケーをもらつて支給済みのものもあるし、現在支給しつつあるということもつておりますが、あとの五十億に加えて四十一億、補正予算を入れて九十一億円という政府側の答弁を聞いて、私どもはその点に関しては了承しておりますが、こういつた災害関係は急速を要します。建設大臣はジエーン台風のときにはほかの閣僚と一緒かどうかしれませんが、大阪方面行つて、新聞紙を通じて見ますると、大阪方面は気の毒である。だから皆さんの御希望に近いものをひとつ予算に計上して努力をする。こういつた力強い声明をなさつたということを新聞紙で承つておりますが、地元被害民は、あるいは被害県の理事者は一日を争つておりますが、そういうときには何とかして政府の方から進んでつなぎ資金を出してやるようにする、あるいは災害予備費のあとに残つておる五十億円はかなり困難でありましようが、関係方面と交渉して、政府の責任でただちにこれが出せるように、一々オーケーをとりに行くのに十日も十五日もかかつて、ようやく予備費として組んである予算すらも政府の手で使えないというようなことでは間に合いませんから、この点についてはおそらく総司令部も了解してくれると思いまするが、われわれ委員会としてもまた努力をするのでありますが、政府としても、こういつた災害の予備費なんかで残つておる五十億円くらいは、ただちに災害が起れば、せめて四、五日のうちに現地にこの金を振り向けてやるといつたようなやり方のできるように、総司令部あたりと御交渉して決定してもらいたいと思いまするが、この点についての御所見を承りたいと思います。  それから最後に、時間がないそうですから、簡單に御質問しておきますが、私どもも災害を防止するために、委員会の中に総合的な国土の保全のための小委員をつくつて研究しておりますが、こういつた終戰後五箇年間の次次の台風だ、大水害だ、震災だといつたような災害は、ちよつとやそこらの金ではこれの復旧をすることは非常に困難であります。それでたとえばこれは私個人の見解でありますが、七百億円の減税は国民全体の一応了解を求めて、一年延期してでもこれを災害復旧に振り向ける。あるいは少しむりかもわかりませんが、大蔵省預金部の金を思い切つて五百億円くらい一ぺんに出す。あるいはこれも困難でありましようが、総司令部と交渉して、見返り資金の中の五百億円くらいは一年限り一ぺんに出してもらう。残つたものは何らかの方法、あるいは補正予算であるとか、あるいはいろいろな財源を見つけて、少くとも三千億円くらいの程度の金を見つけ出して、一ぺんにこの微弱な堤防の決壊しようとするやつを改良する、河川の改修をやる、河石を取除く、砂防工事をやる、堰堤をつくる、洪水を調整するためのダムを建設する、そういつたものを恒久的と臨時的と二つにわけて、災害を最小限度に食いとめるという一般的な基本的な方針を立てるためには、どうしてもここに三千億円くらいの金は最小限度必要であります。むりを言つて私どもは恐縮でありますが、政府がその気になり議会がその気になるなら、われわれの国に予算がなければ、どこか第三国に向つてこの災害復旧のために、三千億か五千億くらいの金は特に頼んで借り出して、低利で借りて来ても、ここに一つの大きな復旧工事を二箇年計画くらいでやらなければ、賽の河原の石積みになつてしまう。せつかく国民の血税で入れたものが、全然むだになつてしまうということを終戰後五年間繰返しております。この点について、政府側として責任ある建設大臣という立場から、この最後の点につきまして、もし御所見がありましたら、腹蔵のないところの御意見を承つておきたいのであります。以上四点であります。
  37. 松井豊吉

    松井委員長 ただいま青野君より資料提出の要求がありましたが、まことに重要な資料でありますので、早急に提出を願いたいと思います。
  38. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 青野さんにお答え申し上げます。二十三年度災害がまだ残つておるという点についてのおしかりでございますが、私ども建設白書で皆様に申し上げました通り、二十二年度災害が本年度予算によつて完了いたしました。二十三年度災害は本年度の四百七十億の災害復旧費をもつてしては、まだたしか五十三、四パーセント完了したたけでありまして、あと四十数パーセント残つております。元来起債がもし許されるならば、初めから府県においては起債をして、その年あるいは翌年までに全部事業をやつてしまつて、それから国庫の方から行く金が県の方から見れば債権の形、国から見ればその府県に対する債務の形になつて、返納という形であとで拂い込む。復旧事業だけは完了していれば、先ほどの高橋さんのお話でありますが、お天道様と災害は待つてもらえませんから、復旧だけは鉄道だとか、電気通信だとかいうものと同様に、われわれはできればその年度内あるいは一月のうちにでもやりたいのでありますが、起債も許されず、また災害復旧費にも限度があつて、非常に不本意でありまするが、そういうことになつております。ただし明年度においては、二十三年度災害くらいは完全に復旧いたしたい。こう私は考えておる次第であります。  それから応急復旧の金は、国庫から出すようにしたらよろしかろう。この御質問はごもつともでありまして、私ども今度の予算編成に際しては、その点強く財政当局に要求をいたしました。ところが応急復旧だけは財政の都合上困るということで、これまたがまんせざるを得ない次第になつたのでありまして、この点は非常に私ども遺憾に存じておる次第であります。  それからその次に今五十億の予備費があるのであるからして——あと四十一億の来るべき臨時国会における補正予算の問題は別として、五十億を早く出したらいいじやないか、これも一応ごもつともであります。私どもできれば五十億早く出したい、結局九十一億によつてジエーン台風キジア台風の本年度における復旧をいたしたい。こういうことで向うさまに要求しておるのでありますが、やはり全体の振合いを見るまでは、五十億の支出がはかどつていない。但し四十一億の補正予算を皆様から議決していただくまで待たなくてはならぬということもないようにいたしたい。すでに皆様が予備費として議決されたのですから、この五十億は早く出したい、また早く出すように努力するつもりでございます。  それから最後災害復旧というようなことはもう懲り懲りであるし、災害をなからしむるための予防の方面へ全力を注げ、河川改修を根本的にやれ、このお説は私ども全然同感であります。建設白書にも書いてあります通り河川改修を三千七百億円、それから砂防を三千億円。山林砂防のことは農林省からよく聞いておりませんが、おそらく三千億円くらいありましよう。結局一兆何がしの金をこの際投じたならば——もつとも事業をなす人がそれだけあるかどうかは疑問ですし、資材関係も疑問でありますが、これだけの資材があるとして、金を投じ得たならば、かりに台風があれほど頻繁に日本を訪れましても、今日ほどの災害を招来せずに済むのではないか。私は非常に残念に思つております。ところで減税なり、あるいは向うからクレジツトを持つて来るなり、あるいはガリオア・エロア・フアンドなりを向けろというお話もございましたが、御承知通り年度はガリオア・フアンドから三十数億を河川改修費に向けたわけであります。これは皆様の議決にかかるものであります。河川改修費以外の費用として三十数億を向けられ、明日五十里ダムの起工式に私も参るわけでありますが、そういうふうになつております。ただ御希望のごとく三千数百億円付近でできないことは残念であります。私としてはお説と全然同感でありまして、一兆億円ぐらい順に繰越しになるために数兆億円の損害があるのである。本年度ジエーン、キジアだけで四千数百億円の損害がありますが、結局一文惜しみの百知らずということになつております。三千数百億といえばなるほど大きいかもしれませんが、それぐらい国家が出したならば、あとで災害を受けて泣かないで済む。私はその方向に向つて全力を、将来とも皆様の御協力を得て進むつもりでございますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  39. 松井豊吉

    松井委員長 前田榮之助君。
  40. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私はこの際建設大臣に一点だけお伺いしたいと思います。ただいま政府当局からの説明によりますと、本年度災害に対する災害復旧費が、建設関係では、大体建設省の施行すべき額の一割程度ではないかというようなお話であつたのであります。建設大臣は従来こうした災害を初年度三割、二年度五割、三年度二割程度で復旧を行いたいという御意見であつたように記憶いたしておるのでありますが、そういう点からいたしますと、本年度まだ相当事業期間もあり、また災害によつて生活困難な状態におかれておる農民が全国に無数にあるのですが、これらの人々の生活を救う方法にもなるわけで、至急に工事を施行されることを各員が希望されておるわけであります。この災害に対して本年度何割程度の復旧工事が行われるか、またそれは何割程度行えば適当と考えられるか、この点の建設大臣の御所見をこの際伺つておきたいのであります。  それからもう一点お伺いしておきたいのであります。災害復旧については、本年度は全額国庫負担で行うことになつておるのでありますが、明年度は、政府の御意見では全額国庫負担の方針をかえて——あるいはいろいろ工事の性質によつて違うでありましようが、三分の一程度は地方負担でやるという従来の方針に返つて来るのではないかというように新聞には報道されておるのであります。この点に対する建設大臣の御意見、全額国庫負担でやるべきであるという御所見であるけれども、各種の予算関係、あるいはGHQ関係等で困難な事情があるのかどうか、この点の事情をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  41. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 この三割、五割、二割というのは一応のわくでありまして、大蔵当局にもそれで要求しておりますが、ただいまのところ九十一億でがまんせざるを得なかつた次第であります。私としては、百億の要求をいたし、合計百五十億を支出してほしいと強く粘つたのですが、そのことも大分新聞にも出ましたが、結局財政の都合上ああならざるを得なかつた次第であります。この点やむを得ないものとして、建設大臣としても了承いたしておる次第であります。但し九十一億をもつてしては決して満足いたしておりません。なお大蔵大臣は引続き何らかの方法において努力を継続する、こういう條件のもとに私も了承いたした次第であります。本年度の事業は大体前田さんの御承知通り、今度のジエーンにいたしましても、キジアにいたしましても、冬期において工事を続行し得る関西あるいは中国四国九州でありますから、来るべき災害に備えるためにでき得る限り早く復旧工事をなすべきである。一、二、三といえども工事は続行し得る気候のよいところで災害が起きたわけでありますから、今年できれば三割と言わず、もつとやりたいところでありますが、平均にいたしまして一割よりはもつと多うございますが、それだけにとどまつておることは非常に遺憾である。これをもつてしては決して満足しておりません。なお大蔵大臣等が各種の努力をされるということに期待を置いておる次第であります。  それから災害復旧費の全額国庫負担に対して建設大臣としてどういう考えを持つておるかという御質問でありますが、私といたしましては、災害復旧工事量ができるだけ多いこと、そうして来るべき災害に備え、あるいは災害の予防をすることに努めたいと思つております。ところで四百七十億という全額国庫負担はなるほど額は多うございますが、それだけしか復旧事業量はないわけでございまして、もし三分の一を市町村、府県でになつてくれるとすれば、四百七十億かける二分の三、そうなりますから、あらつぽく言いまして約七百億の復旧が完了する。これは非常に災害復旧ないし予防から見ていいことであると考えております。但し府県、市町村等は近来各種の負担に耐えがたいという状況でありますから、この災害復旧関係の三分の一がかりに許されるということになりましても、全額起債に仰ぐということでないと、府県にあるいは市町村に三分の一を負担させることはよろしくない。こういうことを私は常にとなえておりまするし、閣議においてもそういうことをとなえ、大蔵大臣その他においてもそういうことを條件としつつ、全額国庫負担を本年度限りでやめたいという方針で関係方面とも折衝をいたしておる次第であります。
  42. 田代文久

    田代委員 大臣に答弁願いたいのですが……。
  43. 松井豊吉

    松井委員長 大臣は四時二十分までということでしたが、今田代君だけに何とか願えないでしようか。
  44. 田代文久

    田代委員 もしできなければ——大臣がいないとこれは話にならぬ。ですから、あすにでも来るということをはつきりしてもらわないと困る。まだあとにおられますが……。
  45. 松井豊吉

    松井委員長 それでは簡單に大臣に五分ぐらいひとつ願いたいと思います。
  46. 田代文久

    田代委員 五分、三分といわず、これは大事な問題ですから……。
  47. 松井豊吉

    松井委員長 簡潔に願いたいと思います。
  48. 田代文久

    田代委員 とにかく簡潔に申し上げますが、今まで各当局の御説明によりますと、先ほど増田大臣はジエーン、キジア合せて本年度四千億以上ということをおつしやいましたね。そうですか。ちよつとそれをはつきりしていただきたい。
  49. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ジエーン、キジア合せて四千億と言つたのは少し語弊がありまして、ただいまのところジエーンが二千三百億くらいであります。それからキジアはまだわかつておりませんが、その半分くらいではないか、こう思つております。それで融雪災害と、それから八月五日までの災害というのが非常に多うございました。これは要するに土木災害というのではございませんで、一般国民大衆の、たとえば收穫物が減少したとか、あるいは垣がこわれたというようなことまで見積つたとして、しかも、正確な計算はありませんが、およそ損害総額がそのくらいではないかと、こう申し上げた次第であります。
  50. 田代文久

    田代委員 先ほど私は大体ジエーンとキジアを合せまして、本年度被害総額は一千億見当だつたかと思つておりましたが、ただいまの大臣の御説明によりまして大体四千億見当ということがはつきりしたのであります。こうなりますと、これはますます私は驚き入らざるを得ないのであります。と申しますのは、四千億にも近い厖大なる大災害が起つておるのに対しまして、今からこれに対する手当といたしましては約九十一億しかない。建設大臣自身言われましたように、四千億に対する九十一億となりますと、これは大体何分何厘になるかということでございます。つまり結果から申しますと、この厖大なる災害に対しては、政府は何らの手を打たないということになると思うのです。つまりこの災害対策に対しましては何らの対策を持たない、この災害に対して、この被害者大衆に対して政府は見送つてしまうという結果になると思うのです。こういう立場で災害対策が事実とられていいかどうか、私は政府自身の災害対策に対する根本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。
  51. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 田代君にお答え申し上げます。先ほど申した四千数百億は損害総額をおよそわれわれの常識で見て、それぐらいになるんじやないか、たとえばかきが落ちたのも、りんごが落ちたのも、りんご一個二十円というふうに勘定をしてみて、そうなるだろう、土木の災害は先ほど田代君がいらつしやらなかつたのじやないかと思いますが、ジエーンが百六十二億、キジアが百六十億であります。
  52. 田代文久

    田代委員 いずれにしましても、この厖大なる災害に対する政府の施策というものはほとんどゼロに近いというように、私たちはここに被害者大衆の気持を代表しまして言わざるを得ないのであります。すでに今までの災害に対しましても、まだ未復旧の分が先ほどの御説明によりましても約千億見当あります。それからまたことしのこの厖大なる災害に対しまして、わずかこういう復旧費その他を合せまして、これで実際手が打たれたことになるかどうか、聞くところによりますと、大体政府の災害に対する考え方といたしましては、非常に消極的な意味しか持たない、災害復旧するというようなことは、日本の普通の復興あるいは生産に対してそれほと積極的な意味を持たないというようなことから、むしろこういうことのために金をうんとつぎ込むよりは総合開発の方にうんと金をつぎ込むべしというような見解がある。それは單に日本政府だけの見解かどうか知りません。これはあるいは外国の見解も入つておると私は考えるのでありますが、もしこういうことになりますならば、実際に政府のとつておる災害対策いうものは、われわれ国民あるいは被害者大衆に対しまして、まさに憤りを感ぜざるを得ないのであります。またこういうことが建設されました場合に、実際に日本の国土はどうなる。先ほど青野君も申されましたが、思い切つて金をつぎ込んで、そうして可及的に頑強な復旧改修をなしますならば、私はその後はこれに対する金はいらなくなると思います。そういう手を打たずして、金はあるのです。(「金はどこにあるのだ」と呼ぶ者あり)幾らでも予算の組み方によつては措置が講ぜられる。実際の組み方ではどうです。事実来年度予算に対する見通しに対しましても、わずかに四百七十億しか見てありません。しかもそれに対しまして地方の財政は破綻しておる。破綻しておるということがはつきりわかつておるにもかかわらず、三分の一の百六十億円を出させようと言われます。事実出す能力があるかどうか。それでなくても十五万以下の小さい災害に対しましては、これは見てやらなくちやならぬということを地方の自治体は知つておりながらも、実際におきましては放置されております。それほど地方財政は破綻しておる。そういうことを見込みながら、なぜこういう不可能なことが対策として説明されるか、はつきり根本的な政府の施策を聞きたいのです。
  53. 松井豊吉

    松井委員長 田代君にちよつと御注意申し上げます。重点的に簡潔に願いたい。
  54. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 一言だけお答え申し上げます。田代君は災害復旧をないがしろにしておるというお話でございますが、共産党にも各種の機関誌があつたようでありますが、自由党にも機関誌がありまして、再建という機関誌があります。その中に私が「水害の国」という論文を書いて、災害復旧が優先するということを特に強調しております。災害復旧が第一、それから第二が災害の予防であります。この点については、私は災害関係の主務大臣の一人として全力を傾倒しておりまするから、あなたの説は間違いであります。
  55. 松井豊吉

    松井委員長 石野君。大蔵、安本がそれぞれおりますから……。
  56. 田代文久

    田代委員 議事進行、議事進行。この重要な問題に大臣が出ぬとは何です。しかも質問中に退席するとは何です。
  57. 松井豊吉

    松井委員長 いや、きようは大臣は四時二十分までというので、時間です。
  58. 田代文久

    田代委員 だから議事進行だ。私は本日はこれで閉会にして、あすはつきり——これは総理大臣がむしろ出るべき会議です。しかも大臣もいなくて質問者をほうりつぱなしにして出るとは何です。
  59. 松井豊吉

    松井委員長 田代君にちよつと申し上げます。われわれ委員会は、委員諸君の御意見のあるように、財源を一日も早く被害地に配付すべきいわゆる中間の根本を運動しております。そこで建設省はわれわれと意見の一致する場合もあり、財源をとることについては協調しております。ですから重大問題は大蔵、安本にあると思うのですが、それらをひとつ中心にやつていただいて、次会に必ずまた建設大臣に願いまして、田代君の要望に沿いたいと存じます。     〔田代委員「そこで議事進行」と呼ぶ〕
  60. 松井豊吉

    松井委員長 石野君。——田代君、平等にまたその次に願いますから、第一回はずつと平等に発言を許します。石野君。
  61. 石野久男

    ○石野委員 私は大臣に一つだけ聞いておきたかつたのでございます。それは先ほど災害対策の問題については、大蔵省等に特にその重点があるのだというお話でございましたけれども、大蔵省の予算に対する考え方について、安本とか、あるいは建設省等の意見が非常に重要である。特に災害対策につきましては、建設省の意見は非常に重大な問題だと私たちは思つておるのでございます。そういう意味合いで、来年度予算をとるにあたつて、建設大臣の意見を特にここで聞いておきたかつた。ことに私どもが委員派遣をしまして、その委員派遣の報告の中に、原状復旧よりも恒久対策としての処置をとるべきであるという強い意見が出ておる。これについて建設大臣の意見を私は聞きたかつた。それが中途にして大臣が退席されたということは遺憾だと思つております。私はこの点についてあらためて大臣からその根本的な考え方を、特に先ほど青野君あるいはただいまは田代君等から災害対策に対する基本的な問題について聞かれたこととあわせて聞きたい、こう思つておるのであります。そこで私はただいまも申しましたように、建設省の局長さんにまたその点は伺つてもよろしうございますが、特に原形復旧という問題と、それからそうでない恒久対策との問題は、予算の額等に大きな相違を来すことは言うまでもないのであります。ことに二十二年度、二十三年度災害がいまだにまだ千億を残しており、今度の災害においても年度内に約千数百億のものが残つておる。こういうときに原状復旧ではなくて、恒久対策をとろうという場合に、大蔵政務次官の言われておりまする来年度予算約四百七十億では、その意図が全然通らないであろうというふうに考えておるのであります。この点について建設省の御意見をお伺いしたい。これが第一点。  それからついででございますから、私は大蔵次官の方にお伺いいたします。来年度予算につきまして、ただいまのように災害厖大に出ておりまするときに、本年度予算の中に組まれた四百七十億と、来年度予算とが同じ額として四百七十億計上されておる。これについてはもちろんその筋との折衝の結果でありましようから深くは申し上げませんが、ただ大蔵当局としまして、来年度予算の編成にあたりまして、災害対策のためにする根本的な考え方がほんとうに復旧しようという心構えでおられるのか、ただ形式だけその額を計上しようというおざなりのやり方をなされておるのかということについて、私は根本的な御意見をひとつ聞きたいのであります。この点を特に大蔵次官の方にお伺いいたしまして、まず最初の質問を終りたいと思います。
  62. 西川甚五郎

    ○西川説明員 来年度四百七十億で建設省の希望あるいは災害の継続の事業ができるかどうかということでありますが、これは大蔵省といたしましては、やはり関係各省とよく連絡いたしまして、そうして財政の許す範囲内においてできるだけの予算を組んでおるわけであります。それであまりするから、本二十五年度と二十六年度との間に、四百七十億で同じではないかとおつしやいますが、実は先ほど申しました三分の一という意味でありますが、その三分の一という意味はすなわちその災害状況によりまして、三分の一にするところもあれば、また四分の一にするところもある、あるいは国家が全部その災害復旧を負担するというような案をもつてつて行きたいというのが、大蔵省の考えでございます。
  63. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの御答弁によりまして、三分の一の額を地方において、またそれぞれの事情により率は若干違いますけれども、三分の一を地方で持たせようという考え方は、政府の方針として、来年度災害対策の考え方として起債を考えて行く、起債を許すという建前に立つものであるかどうかということを、はつきり御答弁願いたいと思います。
  64. 西川甚五郎

    ○西川説明員 先ほどから何回も申し上げておりますが、地方債というものは実は預金部の方から出るものでありまして、この金は実は七月にも一応わくをふやしていただきたいというので、関係方面にあたつております。ところがこれが今日まで許されません。でありますから来年度はドツジ氏が来られたときに、一応大蔵省としては見返り資金あるいは預金部の金がこれだけ残つておるということを提示しまして、今ドツジ氏の判断を受けております。それで来年度はまた地方債のわくを今年の三百七十億を五百億にふやしたいという提案を今進めておる次第であります。
  65. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの件につきまして、災害対策とそれから政府の財政その他とのからみ合いが非常に微妙だと思うのであります。ことに最近における特需インフレの傾向が非常に強くなつておりますときに、当然再びシヤウプ博士あるいはまたドツジ氏等の意見が出まして、ここでいわゆるインフレに対する收束手段としてなお一層預金部資金を締めて行くという形が出るであろうということは、私たち予測にかたくないものであります。しかし今の政府当局の御答弁によりますと、できるだけそういうことをしないように、起債の方に預金部資金を使うような希望的観測をもつてこれに折衝して行くというふうにおつしやつておられますが、それについていま少しつつ込んで、ひとつどういう見通しを持つておられるかということについて御所見を承りたいのであります。
  66. 西川甚五郎

    ○西川説明員 これは先ほどから私申し上げておりますが、私の考え方といたしましてお答えいたしたいと思います。今日この金融面の日銀からのオーバー・ローンは千六百億円出ております。通貨は三千三百億、オーバー・ローンの問題について相当ドツジ氏の方は気にしておられるようであります。でありますから、一応私の考えといたしましては、やはりオーバー・ローンを押えつつ、財政面の資金を出すのが当然かと考えます。それでその方面に向つて私は進んでドツジ氏の了解を得たいと考えて進んでおります。
  67. 松井豊吉

    松井委員長 川端君。
  68. 川端佳夫

    ○川端委員 私も数点お伺いする予定でおりましたが、建設大臣もお帰りになりましたので、簡單に一、二点を伺つておきたいと思います。特に委員長にお尋ねいたしたいのは、次会を近日中にお開きになるかどうかということについて伺います。近くお開きになりますか。
  69. 松井豊吉

    松井委員長 やりたいと思つております。
  70. 川端佳夫

    ○川端委員 それで近くお開きになれば、あらためてまた政府当局にも伺いたいと思つておりますが、本日は特に先ほど岡委員から御報告のございました四国地区の問題について、特殊な事情を申し上げまして、御考慮を願いたいと思うのであります。四国四県並びに和歌山地区というのは、過般終戰直後の南海の大震災の結果地盤が沈下いたしておる、こういう大きな特殊事情がございます。それを前提として今度の災害復旧を考えていただきたいというのが私の申し上げたい点なのであります。先ほども災害復旧原形復旧であるから、これに改良の計画を加味したものにしたい、こういう御意見も関係官から述べられておりましたが、特に四国地区の地盤沈下というような特殊事情の上に起つた災害につきましては、改良計画というものを優先的に加味して災害復旧をはかるというふうな御配慮を願えるかどうか、こういう点を関係の各省から聞きたい。特に安定本部では、基本的にそういう考え方を持つことができるかどうかという点をまず伺います。
  71. 矢野勝正

    ○矢野説明員 災害復旧工事に対して全面的に改良計画を加味した、いわゆる恒久対策を今後組むかという問題ですが、これは安定本部としては現在のところ考えておりません。ただ非常に大きな災害、たとえて言えば東京の大震災だとか、福井の大震災だとか、あるいは今度の大阪を中心とした大水害だとか、こういう大災害が日本の復興計画に及ぼす影響は非常に大きい。そういう特定のものに対しては恒久的なものを考慮する、こういうふうに考えおります。もちろんわれわれも財政が許せば、災害復旧原形復旧であるという方針はとりたくないのです。極力改良面を加味して改修的な復旧工事を行うという意図は持つておりますが災害だけでもさつき申し上げましたように、累年非常に増加いたしておりまして、財政的に困つておりますので、こういつた方針をとり、それにさらに改良工事を加えますと、公共事業費は全額改良事業費ということになりまして、とうてい拔本的な改良が考えられないということになります。従つて現在のところは、普通の災害復旧工事に対しては、改良的なものを考えておりません。答弁が非常に抽象的ですが、しからば大災害と普通の災害との区別をどうするかというような問題になりますと、これらにつきましてはまだはつきりした基準を設けておりません。
  72. 川端佳夫

    ○川端委員 それでは、地盤沈下に伴う災害復旧というのは、一応打切られておるような現状でありますが、この地盤沈下という現象について、あるいはあなたは御承知ないのではないかと思う。今普通の災害と同じような災害と考えておるようなお話でありましたが、地盤沈下というものをごらんになつたことがあるかどうか。私はそんなところまで伺いたくないのでありますが、地盤沈下というのは非常な大きな異変でございますから、この点を役所の係の人ともよくお打合せを願います。安定本部にもよく知つておる人がおりますから、地盤沈下の大きな異変ということをよく御認識願つて、そうして御答弁を願いたい。そうしないと、今のような答弁ではまるきり認識がない者のおざなりの答弁のようで、この上お話を伺いたくなくなるから、もう少し御考慮を願つて御答弁を願いたい。  本日は林野庁と農地局からおいでになつているようでありますが、この次は食糧庁あるいは農政局の人を呼んでいただくことを委員長にお願いしておきます。私はそういう面の質問が相当あるわけなんでありますが、本日はこの程度にしておいて、もう一点伺います。  安定本部では、公共事業費関係で、農業協同組合の施設復旧につきまして、倉庫等の復旧の助成金が今度予算から削られておるやに承つておるのでありまするが、これはどういう意味で落したのか、これを再び復活することはできないかどうかという点を伺つておきます。
  73. 矢野勝正

    ○矢野説明員 四国地盤沈下は、私も一度まわりまして一通り見て参りましたが、あれは地理調査所で十分測量いたしましたところ、ひどいところは一メートル五十センチくらい、普通のところでも七、八十センチ下つておるというようなことを聞いております。それに対する対策は、今大学等においてもいろいろ練つておりますが、非常に厖大予算になりますので、目下種々研究いたしております。  それから倉庫あるいは農業施設、小学校、病院等の建物に対する助成が、本年度予算で省かれておるとおつしやいましたが、私どもが今つくつておる中には一応入つております。
  74. 吉川久衛

    ○吉川委員 今川端君より四国災害の問題について質問がありましたから、それに関連して簡單に一つだけ伺つておきたいと思います。  災害復旧の融資のことについて格別の御配慮がなされていることは承知しておりますが、その配分について、日銀の政策委員会でこれを大阪へまかせた。そうすると大阪では、大阪府でこれを全部使つて、そのほかの徳島県だとか、あるいは兵庫県だとか、和歌山県等には配分されなかつた。それで兵庫県や和歌山県から盛んに陳情されたけれども一向に取合つてくれない。徳島県も最近非常に熱心に陳情して来ておりましたけれども、大蔵省の審議会が問題にしてくれないという。こういうことではジエーン台風復旧に一大支障を来すので、大蔵当局か、安本か、とにかく関係当局から輝く御注意を願つて、すみやかに公平に配分されるように御配慮願いたいと思いますが、その点はどういうふうになつておりますか。
  75. 西川甚五郎

    ○西川説明員 配分につきましてはまつたく御説の通りです。ただいま数県のみになりましたが——これは日銀のポリシイ・ボードが扱つておりますが、確かにおつしやる通りであります。私の方も一応よく連絡をとりまして善処いたしたいと思つております。
  76. 川端佳夫

    ○川端委員 今の安定本部のお答えは、よく調べてからにしていただきたい。確かに今年の今度の補正予算には、計画の中に入つておらない、それで私はあと幾らも項目はございますけれども、これは後日にまわしまして、ひとつ委員長にお願いを申し上げておきます。  ただいま山口県、徳島県、福岡県、宮崎県、鹿兒島県、長崎県、愛媛県、その他西日本各県から代表が、農業関係災害について陳情に参つております。そして委員会散会後各委員陳情をいたしたいと言つておりますから、おとりはからいを願います。
  77. 松井豊吉

    松井委員長 高橋權六君のさきの質疑に対する答弁を願います。
  78. 目黒清雄

    ○目黒説明員 矢部川の上流に堰堤をつくるという問題ですが、御承知通りに矢部川は、下流は一応改修は行われたのでございます。ところが最近のいろいろの工事状況から調べまして、とうてい現在の河川断面では持ち切れない。現に下流におきましては、災害を瀕発しまして、筑後平野を荒しておるというのが現在であります。それで矢部川の改修方式をどうするかということか現在の悩みであります。それを下流から築堤を変更しまして、川幅を広げてこれを改修するのも一方法でありまするが、そのためにはいろいろの施設、工作物の移転その他で厖大な費用を要するというような関係から、上流においてダムをつくり、これによつて洪水を調節する方法がないかどうかというのが、現在調査しつつある矢部川の上流のダムであります。従つてこれらの結果がはつきりいたしませんと、ダムによる洪水調節の効果ということも決定しかねるのであります。地建の方から全然洪水調節ができないというふうな報告もまた聞いておりません。ただ地元から、堰堤をつくるために、その地方が埋没するというようなことのための反対の声は聞いております。でありますから、われわれとしては、両方の声を聞いて最後の決定をしなければならぬというふうに考えております。以上簡單でありますが、お答えといたします。
  79. 高橋權六

    高橋(權)委員 地方建設局から聞いてないとおつしやいましたが、地方建設局に去年の七月十一日、地元の助役並びに村会議員たちが行つたときには、ダムをつくつても水が足りないからだめだと言つておる。実際それを証明するものは、現在あるところの花廻の発電所の水すら困難である。また水というものは森林が欝蒼としていなければ持たない。その証拠には、今までは谷川として流れておつた所が、雨が降つて三日もすると、その谷川はからからになる。上に登つて見ると、はげ山です。しかもこれを主張している人間が、はげ山の酒屋だ。頭に水をたたえて流してごらんなさい。つるつるしているから、頭に水が持たない。このように治山治水、水を持たせるのには山に植林をしなければならない、今申し上げるように御前嶽、あの頂上から東の方が大分県で、これは分水嶺である。それで先ほど岡委員からも御報告なつたうちにあつたように、七百ミリも降つた場合、実際はたまらないが、たまつたとひいきして言つても、ダムに水がたまつておる際に、七百ミリの雨が下流にも上流にも降つた場合、下流の方で堤防を越さんとしておるような場合、ダムというものは調節しなければならぬが、いかにしてダムを調節するか。ダムは人間の力によつてこしらえたものであつて、ダムのこわれたことはたびたびある。谷合いの渓谷の所を流れて行く場合に、大きな岩石を流し、その下から山潮ができる。少くとも箇所、あるいは二十箇所、三十箇所出るかもわかりませんが、そういう場合にわれわれの郡内はほとんど流されてしまう。三瀦郡の大川町は流されてしまうということを覚悟しなければならぬ。しかも大川町、それから城島方面の水が停滯する原因はどこにあるかというと、山に水が持ち切れないから停滯する。それは朝から晩まで見ているわれわれでなければわからない。そういう原因であるから、もうひとつあなたから、ダムをいかなる方法でつくられるか、その方法についてお尋ねしたい。あのままコンクリートでこしらえるか、どういう方法でなさるか、その答弁によつて私は再質問いたします。
  80. 目黒清雄

    ○目黒説明員 非常に荒廃しておるのは高橋さんの仰せの通りでございます。荒廃しておらないで、山林あるいは湖水等がありますと、洪水もそう起らないで済むのであります。結局ダムの必要がなくなるのであります。ところが非常にはげ頭になつて来た関係で、つるりつるりと水が出ますので、急に下流が洪水を起すというようなことで、洪水の出ました山に保留できない水を一時何とかしようというのが、洪水調節のダムなのであります。そういうわけでありますから、農業用水のように平水を保つというような目的のものでありますと、なるべく早く山に水を保留させるというのが理想的な姿でありますが、これはなかなか一朝にしてはできないのであります。植林も長くかかりますので、なかなかできません。従つて下流の洪水調節のためには、ダムでもつくつたらというのが、現在の形です。そこでダムをつくりますと、ダムの破壊による下流の心配が起つて来るのも当然でありまするが、これは最近の技術の進歩では、絶対にこわれないダムを築造するというだけの自信を持つて参りました。もちろんそのダムをつくるためには、長年かかりまして、地質の調査その他をやつて自信をつけませんと、その形や構造を決定しかねるほど愼重にやるのであります。簡單に図上で、これでやるというような早計なことはできないのであります。と申し上げますのは、先ほどのお話の通り、一朝事があります場合の被害を想定いたしますると、簡單には参りませんので、目下着々調査を進めております。従つてその調査の結果によりませんと、それをコンクリートに築造すべきか、あるいは他の工法によるダムを建設すべきかは決定いたさないのであります。現在はまた調査中でありますから、もうちよつと調査が進みましてから具体的なものを申し上げたいと思います。
  81. 高橋權六

    高橋(權)委員 私は目黒局長さんとはかたきでも何でもないけれども、変なことを言う者があるからお伺いしているのだが、大体本式なダムをつくるならば、有明海の水面と水位を同様にしなければならぬ。そうするためには、あの岩盤を三百メートルも掘り下げなければならぬ。ちようど矢部は火山地帶で、温泉も出ているくらいですから、もし掘り下げなければ意義をなさないことも私は知つておりますが、掘り下げた場合に、岩盤にあのままにして、風景のいいダムをつくるかのように言つて近所の人をだましておるが、犬山のため池すら、十余年以前から私は反対をして来ておるが、十五年かかつてもまだできない。それを新聞紙上に彼らは三年くらいででき上るようなことを言つておる。一反三百円を負担するのも、第二期目がまた納つてない。私は十五年前に、ここには水がたまらないということを言つておる。そのときは樋口正作という初代の水利組合長が、私を日本刀で切ると言つてつて来たが、あの世に行つてしまつた。二代目も、今年の四月には水がたまりますと言つていたが、あの世に行つた。三代目も遠からずあの世に行くだろうと思う。しかもそういう小さいダムすら、私らの言うことを守らぬと水が十余年たつてもたまらんじやないか、しかもそのため池ができなくても、私らの八女郡、山門郡が旱魃で飢饉になつたことは、私物心ついてから四十年になるが、一回もない。それを水をためるためると言つておる。おまけにもうかつたのは何かというと、囚人と近所の青年がけんかして病院に行つたくらいが関の山である。しかも二十六億円のものが、紙の上に落ちるかごとく新聞に書いている。この前それを持つておつたが、きようは電報であわててとんで来たから持つて来なかつた。そういうことからいろいろダムの計画をやるならば、もう三百メートル掘らなければならないということは、專門的な頭で私が申し上げておきます。そうすると、火山地帶であるから三百メートルもあの岩盤で押えているのを、掘鑿した結果、噴火したらそういうことをあなたはどうしますか。また噴火しないと断言し得るものがどこにありますか。また洪水が七百ミリも降るような場合にはダムは持ち切れない。片一方は昔から火山で噴火した岩盤である。片一方は人力でつくつたダムである。しかもダムというものは專門家などは知つておるはずだ。そういうときにそれもあながちないと断言できますか。そういうことでいらない金を使つてもらつては困る。われわれ国民は納税に困つている。何千万円という調査費を使うのだつたら、もう少し災民救済でもしてもらつた方がいい。税金を減らしてもらつた方がいい。地方建設局から去年の七月十一日に、ここにダムを建設するには非常によそに類例のない好適地であるけれども、水はたまらないという答弁をちやんと得て来ている。その書類を持つております。それが報告がないならば、何か報告する前に酒でも飲まされたから報告がないのだろう。そんなに酒がほしかつたら私の家も酒屋でありますから、持つて来て飲まさせてあげます。そういうことはあなたも福岡県におられたから、そういう意味でここにダムをつくるということは、何の意味もなさぬのは知つているはずだ。おまけに花廻の発電所は、灌漑用水として三瀦郡に使つている水すら困難しておることを、あなたは一ぺん行つてごらんなさい。あれはたまらない。なぜかならば今言つた通りである。それでこちらから水が一ぺんに流れて来るから、上流に山から山潮がときどき出ている。もしそのダムの上流に山潮が出て、ダムを流して、またそれと一緒になつて山潮が十箇所も二十箇所も出た場合に、私ども福島町が埋まるどころではない。海岸の大川町まで流される。しかも今の城島町の水がたまつて困るが、三瀦郡の言うことを聞いて、六五郎橋の方に水を流すことは絶対できないという原因は、今言つたように、池の中に水が持ち切れないということを神様が証明しているではありませんか。そういうことから、私はこのダムをつくるということについては、絶対反対である。しかも千二百三十何名という住民は熊本県から大分の方へ転居しなければならない。  それから飯干校の学校のごとく、水田のごとく、私たちは長年県会議員当時から今日まで、政府の補助まで受けまして開墾してこしらえた水田が、五十町歩も水底に沈むということであります。しかも鉄道の便もよく、風景もいい。この間から大阪毎日新聞に、福岡県の渓谷としては日向神だというのが出ている。その風景のいい日向神が水底に沈んでしまう。そうしたら三瀦郡には何にも見物するものはない。しかもそれは発電のためとちやんと言つております。はたして日発がそういうことをする採算がとり得るやいなやということまで、九州地方建設局の人が言つている。あなたの部下だろう。その部下にしてそういうことを正直に言つているのだ。私はたびたび山潮で悩まされている。矢部川の上流になつている辺春川、それから白木谷の方も、その上流の田代川も山潮でたびたびやられる。そういうことを考える。しかもこの間の新聞によると、このダムの壽命は三、四十年だと書いておる。三、四十年ではない。五、六年のうちに——あの急流だから、私みたいな小さな石もあるけれども、あなたみたいな大きい石も流されて行く。朝鮮の鴨緑江のダムを建設し、台湾の日月ダムを建設した権威者が、高橋さんの言う通り、この山にひびが入つている。しかもこれはわからないから、それをセメントで塗りつぶすために、山を全部掘り返すわけにはいかぬ。こういうことをしたならば、植林をもつて暮している人間はどうするか。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)そういうことは、損害にならぬように言うから黙つておれ。(「君一人の時間じやない」と呼ぶ者あり)今度長く言うとほうり出すぞ。それで今申し上げるのは、下流が非常な損害を受けているから言うのだ。私の言うことは駄弁ではない。それで私はダムの建設の調査なんというのはやめてくれということを前から言つている。三百メートルも掘つたら火山が出ないとも言えない。これを証明してもらつたら私は賛成する。それよりも二十六億円をほかの方にまわしてもらいたい。答弁をお願いします。
  82. 目黒清雄

    ○目黒説明員 お答えします。いろいろそういう話もありましようから、十分研究いたしまして、将来善処いたしたいと思います。
  83. 砂間一良

    ○砂間委員 時間もおそくなりましたので、簡單に質問いたします。質問いたしますが、それよりも前に、この重要な災害対策委員会に、大臣が一人も出席しておらないということを、私ははなはだ遺憾に思います。たつた一人出席されていた建設大臣も途中から退席されまして、見渡したところ政府委員は寥々たるものであります。このことが災害対策に対して、今の吉田内閣がいかに不熱心であるかということを私は証明しておるものと思う。国会議員がわざわざ調査団までつくつて、そうして地方調査行つて、それを報告して、その大体であるところの対策を審議しようというこの委員会に、大臣が一人も出て来ておらない。これでほんとうの災害対策ができるかどうか、これは單に国会軽視というばかりではなくて、吉田内閣が災害対策に対して不誠意であり、不熱心であるところの証拠である。もしそうでないならば、この次の委員会にはもつと関係大臣が出て来て、そうして熱心に討議に参加すべきだと思う。このことを一言最初に申しておきます。  私の質問したいと思いますことは、国や地方復旧や救済の対象にならない個々の国民が受けた民間の災害に対して、これをどう救済し、助け、復興さしてやるかという点についてであります。これは先ほど来キジア台風ジエーン台風等、ことしの災害だけでも民間災害を含めると四千億にも達するであろうというようなことを言われておりますが、そのうち国が公共事業あたりで復旧するというその対象になるものは、わずか数百億であります。その他莫大な災害というものは、これは個々の国民が受けておるのでありまして、これはまつたく国民が自力でやつて行かなければならぬということになつておるのであります。しかし私は問題はここにあると思うのです。一例を最近靜岡県に発生しました降雪の被害について申しますと、この十月六日の午後三時ごろからごくわずかの時間、わずか三十分足らずの間に起つた被害であります。また関係面積も割合に少いのでありまして千八百町歩、米の收穫にいたしまして二万五千石くらい、関係農家の数が数千戸くらいになつておるのであります。しかし実地行つてみますと、この被害は実に甚大であります。雹と申しましても、普通の小豆大とか、あるいは大豆粒くらいのものではありませんで、鶏卵大くらいおるのであります。鶏卵大と申しましても、別にまるいのではないのでありまして、非常に四角ばつた形で降つて来た。そのために稻は全滅であります。それからまたその他のかんしよであるとか、あるいはさといもであるとか、野菜等の蔬菜類も、あるいは梨やお茶等も全部つぶれてしまいまして、ほとんどさんたんたるものであります。ところがこれに対して国の方からみてもらえるのは、わずかに農業災害の共済保險の保險金だけでありますが、これはいわばすずめの涙ほどでありまして、これだけではどうにもならないのであります。この地帶は單作農家でありまして、主として稻をつくつておるのでありますが、稻を收穫してそれで一年間の食糧をつなぐ、供出したり売つたもので、それで家計を立てて行くというのでありますが、それが全部收穫がだめになつたために、飯米からして買わなければならない、ところが金は一銭もない、こういうことになつておるのであります。国全体から見ますと局地的な被害でありまして、ジエーン台風キジア台風のように大問題にもされないのでありますが、しかしこの被害を受けたところの関係農民はまつたくその日からどうしようもない、こういうことになつている、それで災害救助法はありましても、これは、たとえば熱海の大火のように、火事で焼けたときに応急の措置として学校やお寺に收容されて、そうして毛布をもらつたり、握り飯をもらうという程度のことでありまして、災害救助法すらもこの降雹の被害に対しては適用されないのであります。その他食糧の購入にしましても、あるいは肥料その他の営農資金にいたしましても、そういう資金の融通を受ける道すらないのであります。私はただ降雪の被害を一例として申し上げたのでありますが、しかしこれに似たことは、キジア台風の場合においても、あるいはジエーン台風の場合におきましても、こういう個々の国民が受けた被害というものは莫大に達するのでありますが、これに対しては、何ら国の法律として政治の上で救済されるような措置が講ぜられていない、しかもこれはこのままほつておきますと、再起不能であります。で年々高い税金を納めて行く、つくつた米は供出々々でまつたく安い値段で收奪されて来ておるのでありますから、こういつた天災を受けた場合に、これを助けてやつて、更生さして行くという措置が何ら講ぜられておらないということは、私は、これは單に政治の貧困というだけではないと思います。政府はこういう気の毒な人たちに対してどういう対策を持つておられるかということをお伺いしたいのでありますが、関係大臣がおられませんので、大蔵政務次官からでも、ひとつ政府の方針というか、対策というものを、大綱をお伺いしたい。  さらにそれに関連いたしまして、農業災害共済保險の保險金の支拂いでありますが、これが普通にやつていますと三月も半年もかかる、これでは間に合わないのです。罹災農民は概算拂いでもいいから一時も早くほしい、一刻も早くこれを望んでおるのでありますが、これについて大蔵省としても何か緊急の措置を講じていただきたいということ、それから食糧等につきましては、これは本来年間保有を持ち得る農家であります、それが收穫が一粒もないというのでありますから、これに対して配給はもらえると思うのでありますが、二合七勺の配給ではとても農家の重労働はやつて行けません。それで少くとも保有並の四合の配給をしていただきたい、またその配給価格も一般国民の配給価格ではなくして、生産者価格で配給してもらいたい。その代金もできれば掛売りみたいなように講じてもらいたいという要望を持つておりますが、こういう措置ができるかどうかということ。  それから営農資金としましては、農業協同組合あたりに農林中央金庫あたりからでも少くとも五千万円か八千万円くらい融資してもらつて、そうしてこの肥料の購入資金や何かにあててもらいたいという要望を、県並びに地方事務所関係町村の代表者が集まつて要望しておるのでありますが、これらの点についても考慮していただけるかどうか。それから町村財政が地方税が入つて来ない、その他面においては非常に出費がかかるわけでありますが、普通の状態ではやつて行けない。これに対して平衡交付金なり、あるいは地方起債なりを許すなり、特別の措置をひとつお願いしたい。それからごく貧窮の罹災農家に対しては、生活保護法の適用ということが、これは村や地方事務所その他県当局等においても問題になつております。問題になつておりますけれども、これまた予算のわくで縛られておつて、実際には適用される資格といつたらおかしいのですが、そういうものがたくさんあるのでありますが、それが実際には予算の面で縛られておるために、適用を受けることができないという状態になつておりまして、法律はあつても実際においてはまつたく役に立つておらないという状況であります。こういう点についても何らか特別な措置が講ぜられるかどうか。その他こまかい点につきましてはまだ六項目も七項目もありますけれども、とにかくこういう自分の意見によらないで、天災——自然の災害によつて一瞬にして非常に大きな打撃をこうむつた、これをこのまま放置しておいては、とてもその日から食つて行くこともできない、再起不能、こういう気の毒な人たちがいろいろな災害の場合にたくさんあると思うのでありますが、それに対して政府として何らか救済の法律なり、あるいは措置を講ずるような考えがあるかどうかということをお伺いしたいと思います。時間もありませんのでこれで終ります。
  84. 西川甚五郎

    ○西川説明員 最初の災害において個人的な救済と申しますか、その問題につきましては最初の農林関係でありますが、ただいま農林中央金庫の方に二十二億ほど申込みが各県からあるようであります。金庫といたしましては何とかして貸出しを早くいたしたい、それを貸しますと、それは営農資金に間に合いますし、そういう方針を今県としてやつております。ただこの資金の問題でありますが、先ほども申しました預金部の金が中金に動かなくてはならないということも考えられるのでありますが、中金といたしましては、現在ありまするその資金において何とかやりくりをしたいというので、今検討しておられます。これは私実は先般申しました通りに、ジエーン台風のときに和歌山に参りまして、あの付近が塩水にやられまして、ほんとうに一石もとれないというような状態にありましたので、私もたいへん御同情申し上げて、帰つてからその方法について、この漁業家の船を失い、網を失つたこの方々の個人的な援助がないかというので、懸命に各方面に走つたのでありますが、結局預金部の金を引出さなくては、現在の状態ではどうしてもできないという結論になりまして、私もその方面に懸命に交渉をいたしておるのであります。今の農業方面の方は、今農林中央金庫から申込みがありまして、農林中金から行けるようにやつております。但し相当金利が高いものですから、この点を政府としては考えなくてはならないということは考えておる次第であります。  それから共済保險の問題でありますが、これもやはり先ほども申します通りに、預金部の金が動かないと、一応早くお拂いするということができないのじやないかという結論になつております。  それから地方財政の問題でありますが、確かに現在徴税の方面においてたいへんお困りと思います。しかしながら最近地方長官会議がありまして、その長官が皆集まられまして、ここに本年度の年末の賞與の問題、あるいは千円ベース・アツプの問題等につきまして、各地方公吏も中央における公務員と並んで給與したいという問題で、財源の問題で長官会議を二、三回やつておられまするが、確かに県当局の方がたいへん苦しいように思います。しかしながら市町村の方は徴税さえうまく行けば、うまく行くのじやないですか。確かに先ほどおつしやいました通りに、徴税の方法がむずかしいというのでありますが、やはり市町村へ参りますと、顏と申しますか、よく見知つておりまするから、請求するのもやりにくい、あるいはまた差押えをすることもできないという関係にあるわけでありますが……。
  85. 砂間一良

    ○砂間委員 災害を受けておるから全部つぶれてしまつていて、とれないのです。
  86. 西川甚五郎

    ○西川説明員 それに対しては税関係で……。
  87. 砂間一良

    ○砂間委員 税はむろん減免になります。
  88. 西川甚五郎

    ○西川説明員 それで、そういう場合には平衡交付金の最後のところでアジヤストされるようになつております。
  89. 砂間一良

    ○砂間委員 増額してもらえるのですか。
  90. 西川甚五郎

    ○西川説明員 私は地方自治庁の方じやありませんが、結局百五億というものが残つておりまするから、とれない地方に対しては、平衡交付金をプールして渡すというふうになつております。
  91. 吉川久衛

    ○吉川委員 委員長は日夜災害予算増額のことで非常に骨を折られて、われわれ非常に敬意を表し、感謝をしているのです。しかしながら本日のような重要な会議に、この委員会がほとんど無視されるような、大臣がほとんど見えないという状態、こういうことではまことに残念にたえないのです。ことに農林大臣のごときは、私は電報によつてこの委員会へ出て来たのですが、農林大臣は逆に私の郷里の天龍川の災害調査に御出張になつておられます。天龍川の災害は六月災害ですが、時の森農林大臣も、建設大臣の増田さんも、ないし政府の関係官もたびたび来られて十分御視察くださつてある、また本委員会委員長初め他の委員の皆さんがわざわざ御視察をしてくださつて、その実情は十分わかつているはずなんです。その後に八月災害ジエーン、キジア等の災害が頻発いたしまして、その対策も今非常に問題になつている。こういう重大な委員会に、六月災害のあたりをぶらぶら歩いていないで、ここえ出て来て、もう少し真劍に考えてもらわなければならぬと私は思うのです。はなはだ誠意がない。しかもここへ出て来られた増田さんは、何か先約があるとか言つて帰られましたが、非常におまじめな大蔵政務次官が初めからおいでをいただいておりますけれども、農業共済の問題についてだつて、預金部の資金を云々とおつしやいますけれども、これは共済の法規にちやんと明記されて、再保險の額は法律で当然とれるようになつている。そういうものは初めにとつておかないで、そして後から補正予算の際にやつとこさ組んでいるというような状態である。だから、半年も一年もたたなければ保險金がとれないというような状態になつている。そんなことで一体災害復旧ができるのか。農民は安んじてほんとうに農業の再生産に働くことができるのか。これは考えるまでもない問題なんだ。こういつた問題について十分なるお答えもできないような大蔵政務次官がおいでになつている。しかもむりはない。担当外でしよう。それじや農林省の係官はといえば、どういう立場の方が本日おいでになつて、ここで農林省の立場を説明されたか。実に驚くべき問題であります。どうかわれわれの委員長におかれては、今後この委員会をもつと重視するように、日ごろ御熱心なわれわれの委員会の信望の厚い委員長は、政府を鞭撻して、各大臣をこの席にひつぱつて来て、十分われわれの叫びを聞かせて、政府の真劍な御答弁をいただけるように御配慮を願い、御希望を申し上げておきます。
  92. 松井豊吉

    松井委員長 吉川君に一言お答えいたしますが、きようは大臣も来る予定でございましたけれども、いろいろの都合がございまして、建設大臣一名で遺憾でございますが、そのかわりに大臣にかわるべき御答弁なり、御研究のあるそれぞれ局長、あるいは課長さんが参ることになつてつて、ただいま農林省の云々の問題がございますけれども、林野庁からは塚野君が参つているし、農地局からは災害復旧課の宮下君が参つておりますが、徹底いたしませんことは遺憾でありますが、明後十九日に開会いたしまして、きようの吉川君初め他の委員からの要望にこたえて、できる限り大臣にお願いいたしまして、この問題を根本から解決つけていただきたいと思つております。  本日はこれで散会いたします。     午後五時十八分散会