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1950-09-22 第8回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十二日(金曜日)     午後二時十三分開議  出席委員    委員長 松井 豊吉君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 青野 武一君       青柳 一郎君    岡延右エ門君       奧村又十郎君    甲木  保君       金光 義邦君    久野 忠治君       黒澤富次郎君    小山 長規君       塩田賀四郎君    志田 義信君       田中不破三君    野村專太郎君      橋本登美三郎君    田中織之進君       前田榮之助君    前田 種男君       池田 峯雄君    井之口政雄君       砂間 一良君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局検査部         審査課長)   福田 久男君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      熊崎 正夫君         農林政務次官  島村 軍次君         農 林 技 官         (農地局災害復         旧課長)    川名 進一君         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (鉄道監督局保         安課長)    柴内 禎三君         運輸事務官   渡辺謙一郎君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君         運 輸 技 官 揖場  幹君         海上保安官         (海上保安庁次         長)      柳澤 米吉君         海上保安官         (海事検査部海         難防止課長)  土屋 研一君         建設政務次官  渡邊 良夫君         建設事務官   前田 壽雄君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         経済安定事務官 石田 政夫君 九月九日  委員池田峯雄君及び砂間一良辞任につき、そ  の補欠として川上貫一君及び加藤充君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十二日  委員加藤充君、川上貫一君及び木村榮辞任に  つき、その補欠として井之口政雄君、砂間一良  君及び池田峯雄君が議長指名委員に選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員より報告聽取  災害対策に関する件  委員派遣承認申請に関する件  災害復旧工事に関する小委員会設置に関する件     —————————————
  2. 松井豊吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  ジェーン台風による被害状況に関する件を議題といたします。  本委員会におきましては、議長承認を得て、ジェーン台風による被害状況調査のため、近畿地方並びに四国地方委員を派遣いたしましたが、それぞれ調査を終了いたしましたので、これより派遣委員より報告を聽取いたしたいと思います。  まず第一番に近畿班より報告を願います。橋本登美三郎君。
  3. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 第一班近畿地方調査報告を申し上げます。われわれ第一班は委員会の議を経まして、去る七日議長承認によつてジェーン台風による近畿地区災害被害状況調査のために、八日午後十時東京を出発して、翌九日午前九時二十七分大阪駅に到着して、ただちに府庁において被害調査資料に基いて、知事並びに府関係各部長の説明を聽取し、午後一時現地被害地区調査し、終始愼重なる調査行つたのであります。  まず派遣委員の氏名を御報告いたします。派遣委員委員長松井豊吉君、田中織之進君、加藤充君、井之口政雄君並びに私であります。なお井之口君は加藤君の大阪調査後にかわつて参加せられました。また事務局委員部より高原参事、建設省より道路局篤技官、農林省より農地局須藤技官林野庁藤井技官が随行いたしました。  次に大阪府における被害状況について御報告いたします。まず今回の風水害について申し上げますと、九月三日大阪府を襲つた台風は、昭和九年の室戸台風より少し弱いのでありまして、風速において十メートル余の差がありますが、その被害高は数倍になるところの甚大な影響と損害を受けております。その原因とするところは、自然的條件におきましては、第一に風速室戸台風の六十メートル余に対し、ジェーン台風は五十メートル余でありますから、その風速は弱いのでありますが、通行速度においては、室戸台風は毎時六十キロないし八十キロの早さで通過したのに対しまして、ジェーン台風は毎時三十キロないし六十キロというのでありますから、このためにジェーン台風の方が暴風雨の継続時間が長かつたのであります。第二には台風による高潮が満潮時と一致しておつたのであります。満潮時における表面積は二一・六メートルの高潮に及んでおります。第三には十数年以来大阪市及び尼崎市方面は毎年地盤の沈下がありまして、約二メートル及んでおるのであります。平時においてすら満潮時には浸水し、平常の降雨があつて相当浸水を来しておるのでありまして、常時排水作業を必要とする特別異常の地区であります。人工的條件としましては、第一に以上の自然的條件を補充するための積極的な対案が立てられておらなかつた。また多少の工事は行われておりますが、戰時中並びに戰後の日本経済の貧困からいたしまして、これが十分なる実現を見ることができなかつたということが原因であります。第二には、これらの予防工事がいろいろの理由からして重点的に施工できなかつたために、全面的な被害が多かつたわけであります。  次に、詳しい点については意見として最後に付したいと思いますが、一応各県下の災害状況を申し上げますと、降雨状況は、淀川においては百六十四ミリ、大和川においては六十ミリ、神崎川においては九十五ミリ、猪名川においては七十五ミリ。潮の高さは天保山観測所でありますが、四メートル三七、朝日橋三メートル六〇。東淀川区の最高潮位は三メートル五〇、西淀川区四メートル〇五。此花区四メートルであります。  なお次に被害見込額についてでありますが、これは大阪当局資料によるものでありますけれども、その主張によりますと、被害見込総額は一千三百三十四億七千万円であります。これを各関係別で申し上げますと、土木関係、上下水道を含めまして九十六億四千二百万円、住宅関係二百六十八億六千万円、学校関係十九億一千八百万円、農林畜水産業関係三十六億三千万円、耕地関係が一億一千五百万円、工業関係が二百五十一億円、商業関係が七十九億四千七百万円、交通事業関係が十二億七千四百万円、電気事業関係が四億五千万円、電信電話事業関係が五億円、一般船舶関係が五億八千五百万円、その他生活必需品関係が二百八十四億五千百万円、応急災害救護費が二十億円、小計一千八十四億七千万円、罹災による間接的被害でありますが、これが二百五十億円、以上であります。  次に人的関係被害について申し上げますと、人の被害は死者が二百三十五名、行方不明百三十二名、重軽傷六千五百四十七名、罹災者五十三万八千七百五名、住宅被害は全壊が九千五百十七戸、半壊が三万四千六百四十五戸、流失が百八十戸、浸水が十三万一千二百二十四戸、非住宅被害が一万六千二百八十六戸、船舶被害が一千六百五十一隻、四万七千八百四十七トン以上、通信施設被害が三千百四十七箇所、耕地被害が三千九十八町歩土木工作物被害河川関係が四百十六箇所七十五億七千三百万円、道路関係が七十四箇所三千三百万円、橋梁が十三箇所一千八百万円、海岸五十一箇所六億八百万円、港湾が三十三箇所二億六午五百万円、漁港が七箇所二千万円、大阪港が十箇所で十億円、合計六百二箇所で九十五億一千百万円に及んでおります。  次いで現地調査でありまするが、大阪当局とともに大阪市役所当局も同行いたしまして、西淀川区、千船、出来島、此花区、伝法、島屋町、川岸町、港区、大阪港、大正区、小林町、堺市、三宝、大浜、諏訪町の調査行つた次第であります。  以上の各地の状況について別紙の資料によつて報告申し上げますが、至るところ家屋倒壊がありまして、災害一週間後でありまするが、浸水がいまだに三尺ぐらいに達するところが多くて、目にあまる惨状を呈しておつたのであります。大阪市におきまするところの市内各区のこまかい資料につきましては、別紙報告をもつてごらん願いたいと思います。  以上の大阪府関係災害調査をいたしたのでありましたが、なおわれわれ調査班といたしましては、直接に被害者の実情を調べ、及び要望を開く必要があると感じましたので、大阪府庁におきまして、九月十四日午後二時、和歌山県下の調査が終了しました後に、農業関係団体代表者労務者関係代表者工場経営者関係代表者等に集合していただきまして、それぞれ被害の実情に関して説明を求めると同時に、その調査行つた次第であります、  以上が大阪府関係でありまするが、この際大阪府からいたしまして、特に委員会に対しかつまた委員会を通じて政府に対しての要望事項がありましたので、これを御報告申し上げます。  一、今回の災害にかんがみて、西大阪地盤沈下に対し恒久的防潮堤を完成すること。  二、将来の災害最小限度に食いとめるために必要なる道路兼用横断堤を完備すること。  三、道路河川港湾海岸堤防その他土木施設を急速に復旧すること。  右の事業に要する資金に関しては格別なる国の援助を要望するものであります。以上のような土木関係要望であります。  次に兵庫県下の被害状況につきまして御報告申し上げます。阪神間における風速は大体三十五メートル、瞬間は四十八メートルに及んでおりまするが、雨量は九十九ミリのものでありまして、その期間が相当の長時間にわたつております。ことに尼崎市内におきましては、四メートルに近い高潮が襲来しましたために、全市ほとんど浸水し、甚大な被害をこうむつております。尼崎市以西の海岸線におきましても、高潮の襲来によりまして全線にわたつて浸水家屋を出し、相当被害を受けております。淡路島におきましては午前中は東海岸、午後は西海岸に二メートル半の高潮豪雨の襲来によりまして、海岸線一帯に甚大な被害を受け、漁船流失、破損を伴うところの漁業関係方面損害も莫大であります。但馬地方台風の中心が出石郡資母村であつたので、同地方豪雨となり、合橋村では雨量二百十八ミリ、豊岡市では百七十二ミリの降雨を見まして、風速は瞬間二十八メーターを示しております。但馬一帯といたしましては近年にない大きな被害をこうむつておるわけであります。本県下におきまする阪神聞及び淡路島但馬地方被害の大体は、県当局調査によりますると、死者行方不明が二十八名、重傷者四百九十二名、住宅被害六万八千余戸、田畑被害が十三万二午九百九十九町歩、その他道路橋梁堤防、鉄道、船舶などの被害が非常に多くなつておりまして、被害者数は約二百十七万五千名に及んでおります。被害見込総額は三百十一億一千七百九十二万円でありますが、今後調査の進行に伴つて土木建築及び衛生を連合国財等において相当増額する見込みであるというような報告であります。  これを関係別に申し上げますと、一、土木関係は二十五億五千百七十一万円、建築関係が三十六億七千八百七十五万円、経済関係が三十六億六百六十七万三千円、工場関係が十九億円、水産関係が三千二百二十万円、民生関係が一千六百三十万円、衛生関係が五百万円、農地関係が五億九千七百万円、労働関係が十一億三千七百九十五万円、連合国財産関係が五十九万円、合計して三百十一億七百九十二万二千円になつております。特に兵庫県下におきましては、兵庫県における工業の中心地区である尼崎市でありますが、この附近の損害が質的にも量的にも最も激甚でありまして、これに続くのが姫路附近及び丹波、但馬に相当被害を受けておるのであります。尼崎地区におきましては、平時におきましても工場地域地盤低下と年女の浸水のために、主要工場防潮壁を築造いたしまして非常時に備えてはおるのでありまするが、今回の高潮は非常に激烈であつたために、ついに十数箇所におきまして決壊いたしまして、その惨害を見るに至つたのであります。なお九月十日におきまして決壊箇所防潮手段が施行されておらないために、満潮時になりますと、常に侵水を繰返しておるという現状でありまして、これがためになお電動機その他主要機械損害が増加の一途をたどつているような悪條件のもとにある次第であります。なおこれらの中には復旧には半月あるいは三箇月を要するような工場が多数含まれております。この被害工場の総数は八百八十、工場被害見込みが百九十億円と言われております。このうち尼崎地区工場関係被害が百二十億円でありまして、その他が五十億円であります。関係当局においてこれが復旧所要額として百五十億円くらいを必要とする、こういうような意見であります。  次に淡路島における被害状況について御報告いたしますが、調査団一行は、明石より淡路島に渡りまして、島内の被害状況を詳細に調査いたしました。特に各部にわたつて調査を進めたのでありまするが、各地たおきまして熱心なる陳情を受けて、これが被害の甚大なることを痛切に感じたのであります。気象状況から申し上げますと、本島の東海岸が今回の台風の通過の道にあたつておりまして、昭和九年の室戸台風と比較すべき被害を受けております。九月三日は早朝より降雨がありまして、台風の到達前までに二十三ミリに達する降雨がありました。時間の経過するに伴いまして、豪雨を伴いました北々東の風が強度を刻々に増して、午前十一時二十分に至りまして風速三十一メーター三、雨量八二・二という数量に達しております。このときに高潮が起りまして、その高さは最高四メーター以上に及んでおります。海岸線一帯にわたつて港湾及び道路損害がはなはだしい結果を招来したわけであります。  被害状況を申し上げますと、九月四日現在の調査によりますれば、災害者罹災者数は四万六千九百八十人、家屋被害が、世帯数でありまするが、九千四百四十三世帯、非住家が一千四百六十三戸、田畑が二千七百一町歩道路決壊が九百五十一箇所、橋梁が百五十三箇所、堤防決壊が三百二十六箇所、船舶関係被害漁船の大破が百十五隻、中破が百七十八隻、小破が百四十一隻、機帆船が、大破が三十隻、中破が十九隻、小破が四十一隻、こういうような数字になつておりまして、水産関係被害額は一億五千二百四十六万一千四百六十七円であります。林業関係が二千八百三十六万百円というような数字であります。  なお兵庫下県庁及び関係当局からのこの災害に対する特別要望事項といたしましては、  一、防潮堤復旧費全額国庫負担で実施せられたい。  二、土木関係その他の復興に対する起債については希望額の金額を認めてもらいたい。  三、住宅復興計画中、六百戸は高額国庫負担で実施されたい。  四、住宅金融公庫の貸出し條件を緩和して、新築費のほかに大修理費などについても国庫補助費特別融資方法を講ぜられたい。  五、復興諸資材のあつせんについては、強力な支援を賜りたい。  六、米作の被害に対しては、病虫害用の農薬の購入費助成及び肥料の旧価格による放出などの措置を講ぜられたい。  七、漁具及び漁船等助成並びに融資あつせんなどについては特別の方途を講ぜられたい。  八、伝染病予防費概算支拂いについて特別の方法を講じてもらいたい。  九、平衡交付金並びに国庫補助金算定基準となる本県二十五年度の普通税收見込み額が二十六億円の推定であるが、地方財政委員会においては、三十五億円と見積られておるのであつて、この基準的財政收入額を過大に見積らぬように特に考慮せられたい。  十、各起債についても特別の御配慮を賜りたい。  十一、工場防潮壁構築資金及び企業復興資金供給確保について特別の措置を講ぜられたい。  十二、本年度産米の補正割当については特別に御考慮願いたい。  十三、水稻保險金概略拂いを緊急に実施してもらいたい。  以上のような要望がされたのであります。  次いで和歌山県下の被害状況について御報告申し上げます。まず一般概況から申し上げますと、九月三日午前十一時四十五分、本県に上陸いたしました台風は、本県一帯、特に北部は雨量二百十四ミリ、最大風速四十六メートルに達する大暴風雨となりまして、家屋の倒壊、樹木の折損が相次ぎまして、前日よりの降雨と相まつて河川は増水いたしまして、橋梁を破壊流出し、堤防は決壊いたしまして、家屋田畑工場施設土木、交通、林業教育施設などに甚大なる損害を與えて、海岸地区におきまして高潮が襲来して港湾施設を破壊し、漁船漁具水産増殖施設民家などを流失し、海水が人家田畑浸水するなどその猛威は非常なものであります。本県昭和二十一年の南海の震災以来、おもなる災害のみをあげましても、昭和二十二年の水害昭和二十三年の震災と水害昭和二十四年デラ台風並びに七・五水害などの累年の災害によりまして、深刻なる打撃を受けているところへ今回のジェーン台風でありまして、非常なる県の民生上重大なる被害を受けておるわけであります。  これを各関係別被害状況を申し上げますと、九月四日現在において県当局の御調査によりますれば、死傷、死者三十人、行方不明が二十四人、負傷者千八百二十四人、計千八百七十八人。罹災家屋及び罹災人員住家におきましては全壊二千九百八十五戸、人員が一万三千七百五十七人。流失が七十八戸、人員が三百二十五人。半壊が一万三千七百三十五戸、人員が六万千四百六十二人。浸水が一万千七百十五戸、人員四万六千七百三十五人。計家屋におきましては二万八千五百十三戸、人員においては十二万二千二百七十九人。非住家が一般三万千百八十九戸、公共千四百一戸、計三万二千五百九十戸に及んでおります。これが被害顧は百二億千百三十万円、復旧総額が六十五億九千六百八十七万円、なおこれが応急復旧費として要するものは七億九千七百五十五万円になります。  これを産業別に申しますと、被害額が六十五億七千二百五十六万円、各部門で申し上げますれば、耕地関係が十一億千二百万円、林業関係が六億八千八百万円、食糧関係が三千八百万円、開拓関係が一億二千二百万円、水産関係が三億八千三百万円、農業関係が三十四億二千六百万円、商工関係が八億百万円、これらの細目につきましては別紙資料をもつて報告申し上げます。  次に土木関係被害でありまするが、土木関係においては被害が七億五千五百五十万円でありまして、これが復旧を要するものが回顧の七億五千五百五十万円ということであります。なお応急復旧費として二億六千四百万円を要望しております。このごまかい点については報告書によつてごらん願います。われわれ調査班調査地域大阪より和歌山市に参りますところの農村、和歌山市、海南、箕島、藤並、湯浅、御坊、南部、田辺、朝来、兵浜、すなわち海草郡、有田郡、旦局郡、西牟婁郡下の海岸線河川、農村の各被害地を実地に調査したのであります。これらの調査地域海岸は、至るところ防潮堤が決壊し、紀の川、有田川、日高川の沿岸の砂防工事も不完全でありまするために、沿岸農漁村は、高潮によりまして七割以上の被害を至るところ見ております。漁港漁船の流出、その他甚大なる被害を受けて、林地はほとんど倒木しておりまして特に果実の被害は全滅的な打撃を受けております。今一例を申し上げますと、田辺市におきましては、水稲の被害は百六十町歩に及びまして、かんしよは三十一町歩、蔬菜が十一町歩果樹三十七町歩、これを減收で見ますと、水稻では八割一分、果樹におきましては九割の全滅的な被害となつております。漁船におきましては、芳養、由良、江川、湊の各漁港におきましては十四隻、建物におきましては三十件、道路におきましても延長一千四百十五メートルの道路がやられております。特に和歌山県下におきましては全国一の果樹、すなわちみかん、梅などを持つておるのでありますが、その被害はまことに甚大であつて、その大半が被害を受けておるのであります。われわれは調査愼重を期するために、各町村長より、その被害報告現状調査したのでありますが、いずれもその被害が甚大であり、想像に絶するものがあつたのであります。  次にわれわれ調査班は、地元民からして熱心なる衷情を傾けての陳情がなされたのでありまするが、本県要望事項を御報告申し上げます。  一、大幅の国庫助成  イ 累年災害を考え、土木関係において原形復旧工事のみならず、ある程度の超過工事を施行する場合でも、全額国庫負担を認められたい。  口 船溜り、船揚場、林道、荒廃林地耕地復旧に対しましても、全額国庫負担とせられたい。  二 国庫助成金早期決定概算交付とを行われたい。  三 大幅な起債の許可、県單独復工事及び災害復旧公共事業費に対する県市町村負担額については、国において起債わくを拡大の上、全額起債を認められたい。  四 平衡交付金増額交付をしてもらいたい。なお固定資産税対象となる家屋が大惨害をこうむり、県におきましても、事業税特別所得税などに影響甚大で、相当減税を余儀なくせられておるのでありますから、これらの事情を十分に考えでもらいたい。  五 復旧進捗のための資金措置。  イ 産業資金特別措置生産再開のための必要な資金は、政府特別措置により預金部資金浄放出して、貸付の方途を講ぜられたい。  ロ 罹災民救済資金、厚生、生産資金については、従来のわくを拡げて、融資の道を至急講ぜられたい。  ハ 公共施設復旧費に対する融資土木林業水産耕地、教育などの公共施設復旧に対して、国庫補助あるいは起債を受領するまでのつなぎとして、一時融資をせられたい。  ニ 農業災害補償法による共済金あるいは漁船保險保險金を早急に支抑われたい。  六 罹災者に対する住宅対策  イ 庶民住宅建築に対する国庫補助戸数の増加をほかられたい。  ロ 罹災による引揚者住宅応急修理に対する国庫助成を行われたい。  ハ 住宅金融公庫融資対象区域を全県に拡張するとともに、融資わくを拡げて、罹災者に対して優先的に貸付を行われたい。  ニ 災害救助法により国庫助成を得て、市町村営住宅の建設をしてもらいたい。七 罹災者災害に対する国税の減免措置を講ぜられたい。稻作の被害甚大であるから、事前割当生産量の六割減收、これを事前割当供出量として全免をざれたい。  なお左のごとき応急物資の配給またはあつせんをせられたい。  イ 食糧の特別配給並びに県外米の輸送。  ロ 排水工事用石油の特配。  ハ 建築用その他復興用資材の確保あつせん。  以上が和歌山県当局よりの要望事項であります。  以上、大阪府、兵庫県、和歌山県のジェーン台風災害状況報告申し上げましたが、現地調査の結果、本調査班としては、次のような意見を附加して御報告申し上げたいと思うのであります。  上述の報告に示されておりまする数字は、関係府県当局の提出せられましたものでありますが、その正確度におきましては、原則的に信憑し得るものであると信ずるものであります。しかしその莫大に上る被害高に対して、現在の規定をもつて復旧または救済し得る金額というものは、比較的少いのであります。すなわち公共事業などの災害復旧対象になる物件の損害は、被害総額に比してきわめて僅少であります。しかるに大阪、神戸、すなわち阪神地区のごとく、委員各位も御承知の通り、日本産業の重要なる地区でありまして、これが復旧復興は、現在の国際経済状況から見て、日本経済の主力という観点からも、その復旧の一日も早く行われる必要を痛感するところであります。政府災害後におきましては、従来に比して、急速に一部融資方法を講じておりますが、その大半は公共事業関係災害復旧費の一種の前渡し的な短期融資でありまして、直接に産業復旧に使用せられる性質の金ではないのであります。従つてこの際政府は急速に、これら重要なる日本産業地区災害復旧を目途として、中小企業を含めての産業復旧資金として、預金部資金または見返り資金による相当多額の融資を強力に実行することを希望するものであります。もしこれらの措置が不必要に遅延し、あるいはまた軽視せられるような場合におきましては、阪神産業地区はまつたく麻痺状態に陷るとともに、この結果はゆゆしき社会問題となり、あるいは労働問題を引起すことは必然であるのでありますからして、この点についての強力なる措置を勧告する次第であります。また上述の報告にありましたごとくに、一般住宅、労務者住宅、また開拓者住宅の破損は、その数においてもその質においても莫大なる数字に上つております。これが自力によるところの復旧は、われわれ調査団が現地において調査いたしました結果は、ほとんど不可能な状態であります。ことにわが国は災害の多い国でありますからして、これらの財政的及び金融的な対策が従来全然規定せられておらなかつたということはひとつの欠陥であると考えますので、この際災害住宅金庫のごときものを設定して、計画的に復旧整備をはかる必要を感ずるものであります。特に大都市におけるところの労務者住宅については、関係産業団体とも相はかつて、恒久的な労務者アパートなどを建設するような措置が必要であると感ずるものであります。  第二には、農業関係の産業復旧に関する資金の問題でありまするが、この種の災害台風及び大洪水の場合におきましては、まつたく全滅的な性質を結びておりまして、相当集団的に災害が引起されておるのであります。六月、八月の豪雨によるところの災害と同様でありまして、前回の委員会で御報告がありました通り、茨城県下の小貝川決壊により二町五箇村の全滅のごとき、まつたく全滅的な打撃を受けておるのでありますからして、これが救済に当つては、農業協同組合によるところの相互扶助の力を利用するということは、かくのごとき集団的な災害の場合においてはまつたく不可能であります。特に最近におきましては、農業協同組合が経済的に困難な状況にあることは全国的に同一でありまして、この点は各位のまつたく御承知の通りでありますから、農業関係復旧または復興のためには、当然政府資金措置をとらなければこれが回復は不可能である。以上の観点から考えましても、この際政府は中央農林金庫を通じ、あるいはまた県当局を通じて相当額の預金部資金を、この農業関係災害対策費として特別のわくを與えて融資しなければ、最近政府が食糧一割増産というような積極的な政策を掲げましても、これが実現は不可能であるばかりでなくして、従来の生産力を維持することも困難であることを痛切に感じたものであります。もちろんその他の問題といたしましては、共済保險によるところの保險金額の点につきましても、従来のごとくではなくして、今後單作農家の場合のごときは、従来の保險金制度は実際上において不合理な点があるのみならず、その金額におきましても、現在の状態におきましては、まつたく再生産資金どころではなくして、生活費の一部をも負担することも困難であるというような金額にすぎないのであります。これらの点につきましても、農林当局が急速に対策を決定せられんことを要望するものであります。  今回の災害が想像以上に甚大をきわめました主要なるところの原因は、防災工事が不完全である、あるいはまた不徹底であるということが大きな原因をなしております。阪神地区のごとくに、十年前から地盤の沈下が起きておりまして、その沈下が数尺に及んでいる。従つて一たび今回のごとき災害がありますれば、その被害の甚大であることは事前において明瞭であつたわけであります。しかるにこれが対策が積極的に行われておらなかつた。阪神地区のごとき網の目のような水路があり、これがまた整理統合といいましようか、対策も不十分である。單に従来の災害復旧が、必要による応急的な、平時の満潮時に対するような対策であつて、従つて今回のごとき高潮の場合においてはその上を一メートルもしくはニメートルも越えて高潮が襲来する、こういうような結果をつくつているのであります。しかもこの高潮堤は阪神地区ばかりではなくして、今回の台風にかんがみましてこの地方一帯、すなわち淡路島環状線道路にいたしましても、あるいは和歌山県下の海岸国道にいたしましても、これらの災害の主力が高潮にあつた。であるからして、この方面におけるところのこの種の公共事業の主体は、災害防除の目的を達成するためにはこの高潮を防ぐ、いわゆる高潮堤の事業が少くとも災害防除の基本的な対策にならなければならぬし、これを中心として総合的に企画が行われなければならぬことを勧告するものであります。台風はもちろん水産関係にも大きな影響を與えておりまして、漁船あるいは漁港の破損、破壊、これはもちろん災害復旧でありまするからして、全面的に復旧を要するものでありますけれども、われわれ調査団が現状を調査いたしました結果からいうと、もちろん当地方は瀬戸内海を中心とするところの重要なる漁区でありますからして、漁港の多く設置されんことを希望せられることは当然の人情ではありまするが、現在の日本の国情から考えましても、ただ單に多く漁港をつくるということであつては、必ずしもその目的が達成できない。今回の場合におきましても、もし強力なる漁港が適当に配置せられておつたならば、これだけの漁船損害、これだけの水産関係損害がなかつたのではなかろうかと感ずるのであります。従つて今後の措置といたしましては、恒久的の措置は最も必要なる地区に、最小限度において急速に、しかも重点的に、強力なる、優秀なる漁港をつくるということであります。これらがいずれも中途半端な漁港設備で行われた結果、今回においてはどの漁港におきましても、ほとんど一隻の漁船をも守ることができなかつたというような、まことに中途半端な漁港が現在歯を並べておる状態でありますからして、この点については厳重に再検討を加えて、かかる場合においてもなお漁船を救い得るような措置が講ぜられんことを要望するものであります。これらのことが一面においては、一般からして政治力の不足を非難せられるところの理由にもなるのでありまして、これらを考慮して強力なる政治的措置が必要と考える次第であります。  特に最後に申し上げたいことは、公共営造建築物、ことに学校などでありまするが、これらの損害がまことに莫大に上つております。もちろんこの原因につきましては、戰後におけるところの資材の不足、あるいは予算の節約というような事情もあげることができますけれども、いやしくも公共事業体が施工するところの建造物あるいは工事が、建築間もない建物においてもほとんどやられておるというような現在の状況であつては、これはむだに国費もしくは地方費を消費するというような結果になつて参るのであります。従つてこれらの施行につきましては、将来十分なる監督が必要であると同時に、それに必要なる予算措置も行われて、かくのごとき災害を防止し得るようにいたしたいものと考える次第であります。  以上が大綱にわたつての勧告でありますが、なおこの機会に当委員会におきまして、次のような新機関を設置せられんことを要望してやまないのであります。それは毎年災害復旧費に対しまして、五百億円前後の莫大な国費あるいは地方費を費消しておるのでありますが、各地の災害状況調査いたしました結果、それらのうち、前年度の施行部分の相当の数量が再び災害をこうむつておる。こういうような状態であつて、何ら工事が完全に有効に作用しておらない。しかもこれらの費用は常に国民の血税によつて行われているのでありますから、国会としては、この莫大な国費が完全に使用せられるがためには、これを厳重に監督し、調査する必要がある。われわれ調査団が各地において調査いたしました結果は、はたして完全にこれらの国民の血税が使用せられているかいなかを、まことに疑問とせざるを得ない点が多々あるのであります。従つて委員会内に小委員会として、災害復旧工事調査委員会のごときものを設置いたしまして、強力にこれらの復旧工事に対して監督調査する機関をつくることが必要であろうと考えるのであります。  なお本調査班といたしましては、詳細なる資料は別書をもつて提出しておりますので、この点各位の御了承を願いたいと思うのであります。  要するにわれわれが調査いたしましたのは、台風直後でありましたが、各県ともによくその救援あるいは復旧対策を樹立せられて、乏しい資材、資金をもつて、実に涙ぐましい活動を開始せられておつたのであります。しかもわれわれの調査に対しましても、災害のもとでありまして非常に多忙であり、困難であるにもかかわらず、きわめて熱心に誠意を惜しまない御協力をしていただきまして、この点につきましては、知事及び関係課長に対して、心からお礼を申し上げるとともに、この調査ができましたことにつきまして、地元各市町村民に対しましても御礼申し上げる次第であります。  これらの災害にかんがみましても、われわれ調査班といたしましては、今後国会が一丸となつてこれが復旧復興に努力をいたしまして、一日も早くこれらの被害をこうむりました人々が、前に増しての民生安定の道を得ますことのできますように、当委員会においても急速にこれらの対策を樹立せられんことを切にお願いいたしまして、御報告を終る次第であります。(拍手)
  4. 松井豊吉

    松井委員長 次に、第二班四国班より御報告を願います。野村專太郎君。
  5. 野村專太郎

    ○野村委員 第二班におきまする調査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。  本班は、四国地方におきまするジェーン台風による被害の概況調査のため、一週間の予定をもちまして、久野忠治君及び吉川久衛君が派遣せられることになつたのでありますが、久野委員はやむを得ない事情がございまして、私がかわつて参りまして、吉川委員とともども調査をいたして参つた次第であります。  さてわれわれ調査団は九月九日に出発をいたしまして、まず香川県より調査に入りまして、土器川、香東川、鴨部川等の川筋の決壊箇所及び海岸線調査いたしまして、海岸沿いに南下をいたしまして、徳島県に入つたのであります。この間、今次のジェーン台風によりまして、香川より鳴門に入る最短唯一の海岸道路でありまする鳴戸、引田線が、香川県相生村上徳島県の北灘村間の約十二キロにおいて、ほとんど寸断されておるという状況でありまして、引田より鳴門までやむを得ず船に乗りまして、その海岸線及び塩田地帯の被害状況調査いたしたような次第でございます。  しかしてこのごろより発達し、北進しておりました台風キジアが、四国に接近いたしましたために、その余波を受けまして、連日暴風雨に見舞われながら調査を続け、しかし調査としましては、災害状況をつぶさに体験をいたしながら調査ができたことは、絶好の機会だと思つたのでございます。里浦大手海岸、松茂村開拓地、川内村、及び六百ミリ近い雨最に見舞われました勝浦川筋の生比奈村、横瀬町等を調査し、さらに坂野大手海岸、今津大手海岸を経て、高知県に入りまして、室戸岬を経て、高知において調査を終了いたしたのであります。しかして限られた日数のために十分な調査をなし得なかつたことは、まことに遺憾でありますが、これら被害一般の予想をはるかに凌駕いたしまして、甚大なものがあるのであります。  この際当時の気象概況を簡單に申し上げますと、硫黄島付近に発生いたしましてぐずついていた台風ジェーンは、九月二日午後四時奄美大島東海上四百キロから一路北進し、三日午前四時には四国足摺岬の南方二百キロ沖に接近し、ここにて方向を北東に転じ、八時には室戸岬の南西二十キロ沖合いに接近、十時には室戸岬の北東十キロ付近を通過して、毎時四十キロの速度で北東または北々東に進路をとつて中心示度九百四十ミリバール、中心付近の風速は五十メートル以上に達し、この中心より二百五十キロ以内は風速二十五メートル以上の豪雨を伴う猛烈な風雨となつて、室戸岬に午前十一時西の風四十一メートルを観測し、瞬間風速では実に五十五メートルを記録目し、高知市では二十七メートル、徳島市では三十六メートル七、高松市では最大三十四メートルを記録し、各地に平均二百ミリ前後の降雨量を見たのであります。すなわち香川県におきましては、高松において七十三ミリに達し、山嶽部においでは美合村二百八十二ミリ、安原上西村二二〇西ミリ、徳島県におきましては、徳島市において二百二十七ミリ、川内において二百十七ミリ、鬼龍野において三百七十六ミリ、桜谷において三百九十五ミリへ福原において五百八十四ミリを記録いたしまして、高知県におきましては、高知市五十六ミリ、野根百三十九ミリ、吉良川が二百三十七ミリ、田野二百九ミリ、安芸百七十四ミリという豪雨に見舞われ、また本台風はまれに見る高波を伴いまして、室戸岬では七・五メートル、高知では五メートル、佐富浦六メートル、徳島県の北灘大手海岸では四・五メートル、里浦、小松両海岸が五メートルという状況でありまして、各河川につきましても、警戒水位を一倍半ないし二倍半を突破するという状態でありました。これがために各県とも高瀬風害による倒壊、流出、浸水等の罹災家屋を多数出しまして、土木関係におきまして、東部海岸地帯にありましては、高潮と南海地震による地盤沈下と相まちまして、この大波浪は各所で護岸堤防を決壊し、また山間奥地部におきまする豪雨洪水により道路橋梁、護岸堤防の欠壊流出の被害甚大をきわめたのであります。平地部においても河川の氾濫、浸水のため相当なる被害をこうむつたのであります。従いましてこれら被害に伴い、農地関係においても、海岸地帯においては波浪により護岸提防を決壊し、沿岸耕地に海水の浸入がはなはだしく、河川流域においては山間地帯に短時間に多量の降雨があつたため、急激の出水となり、耕地の埋没、流出、農業土木施設に多大の被害をこうむり、ために農作物に多大の被害をこうむつたのであります。  その他林務関係水産関係開拓関係等に甚大なる被害を受けまして、徳島県におきましては、総被害額実に八十五億七千九百万円の巨額に達し、高知県におきましては九億七千四百万円、香川県は七億二千五百十万円という被害をこうむつたのであります。ここに注意いたしますことは、四国におきましては台風と名称のつかない各種の熱帯性低気圧による豪雨に見舞われまして、昨年のデラ及びジユデイス台風等の被害もわずかに二、三割程度しか復旧しないという実情にもかかわりませず、本年に入りましても、おもなものでも七月下旬及び八月上旬の熱帯性低気圧る豪雨により、甚大なる被害をこうむつておりまして、かかる被害分を含めますれば、各県ともさらに数十億を加算せねばならないのであります。  しこうしてこれら各県の被害原因といたしましては、直接的には、すでに申し述べた通り、短時間に多量の豪雨に見舞われ、きわめて出水が早かつたことでありますが、間接的には昭和二十一年の南海地震の影響が四国全般に及んでいることでありまして、すなわち土木工作物は至るところでゆるみ、あるいは狂いを生じ、これらは表面には現われないが、ささいな衝撃にも耐えられないという状態でありまして、さらに加うるに上流山地が降雨ごとに崩壊、土砂礫を流失し、河床の上昇を来したため、河積が極端に縮小し、洪水の包容能力を失つているごと等が被害を増大している大きな原因と考えられるのであります。この傾向は四国全河川にわたつて見られるのでありまして、室戸岬方面において特に、はなはだしく、二メートルくらい河床が上昇し、佐喜浜川、野根川、西ノ川、東ノ川、安芸川等は二・五〇メートルないし三メートル近く上昇しているのが見受けられる状態であります。これが対策といたしましては、河床堀撃をして断面の増大をはかるとともに、上流部に土砂礫の流出を防ぐ施設をなして、河状に悪影響を及ぼす根源を絶つ一必要が痛感されるのであります。  また海岸地帯においては、室戸方面においては地盤が一メートルも隆起しておりますが、その他の海岸線においては逝に一メートル弱地盤沈下しておりまして、この地盤沈下と満潮時の高浪によりまして、高知市及び徳島県の北灘大手海岸、里浦大手海岸、小松大手海岸及び坂野、今津等の各海岸のごとくに甚大なる被害をこうむり、また地盤沈下により香川県の白鳥本町のごときは、潮が吹き出して来る始末で、精が二十町歩にわたり育成しないという状態であり、これらは沿岸各地で見受けられるのであります。  さてわれわれ調査中に当りましても、ジェーン台風の応急復旧をやつておるそばからキジアによる豪雨に襲われ、応急の土嚢も流失するという状況を目撃したのであります。特に開拓者に対しては非常な同情を禁じ得ない状態も拝見をいたしためであります。これが対策には各県及び市町村当局並びに住民諸君も一体となつて不眠不休の努力をいたしておるのでありますが、何分にも窮迫せる地方財政ではとうていこれが完全復旧を望み得ない実情にかんがみて、これが早急に復旧し得るような予算的措置を希求してやまないのであります。われわれといたしまして、その調査の使命の重大性を痛感いたした次第であります。  以下調査箇所における被害状況を県別に簡單に申し上げますが、これらは被害のごく一部分であり、これらの状況を推定しましても、ジェーン台風被害の激甚なることが御納得がいただけると思うのであります。  まず香川県下について申し上げますと、本県は東西に細長き半月形の地形でありまして、河川は阿讃国境の山岳地帯より発源して北流し、河幅狭く、傾斜が急でありまして、常には水利の便はまつたくない状態であります。林地一般に表土が浅く、乾燥地にして地方が乏しいため、優良林種に恵まれず、加うるに人口稠密のため、戰時戰後を通じ濫伐はなはだしく、用材、薪炭としての伐採量は標準年伐量の五ないし六倍に達し、また行き過ぎた開墾のため、森林の持つ保水機能は失われておるのでありまして、一度二百ミリ以上の降雨がありますれば、たちまちにして河川は氾濫をして、多大の被害を生ずる状態であります。従つてジェーン台風本県の東部を北東に向つて通過いたしましたため、河川の氾濫、堤防の決壊を各所に生じまして、沿岸耕地は高浪のため海水の侵入はなはだしく、また農業土木施設は八月六日に発生した豪雨による被害直後でありまして、応急修理中に今回の災害が発生いたしましたため、その被害は予想外の拡大をみたのであります。われわれは香東川筋、土器川筋、鴨部川筋を調査いたしましたが、各地耕地の流出、埋没、道路の欠壊を生じておりまして、まず民生関係においては「行方不明二名、重軽傷五十一名、床下浸水千七十六戸、家屋全壊五十四戸、家屋半壊二百七十四戸を数え、土木関係におきましては県工事分といたしまして、河川百七十一箇所で一億三千二百二十四万二午円、海洋堤防十三箇所で九百三十六万九千円、砂防設備五箇所で二百九十二万七千円、道路三十二箇所で千四百四十七万円、橋梁五箇所で百十九万一午円、その他市町村工事として九十一箇所、三千六百八十一万円、計約一億九千八百万円になつておるのでありまする  農耕地関係につきましては、農地三千五百万円で、そのうち田千五百万円、畑五百万円、畦畔千五百万円等でございます。  公共施設につきましては五百四十五箇所でありまして、一億六千五百万円、そのうち水路三百五十箇所八千五百万円、溜池三十箇所四千五百万円、井堰八十箇所二千万円、堤壊五十箇所一千万円、農道三十五箇所五百万円、計約二億円であります。  次に農作物の被害につきましては、水稻は九千七百十町歩でありまして七千八百万円、六万石の減收見込みであるのであります。かんしよは二千五百町歩でありまして六千万円、蔬菜六千町歩で一千五十万円、果樹——かき、ぶどう、なし等でありまするが、六千五百十万円、計約二億二午万円であります。  水産関係につきましては、漁港は三十九港七千百九十一万円、漁船は百五隻二千四百三万五千円、漁具につきましては四十件三千九百二十万円、共同設備十件六十七万五千円、計一億一千四百万円であります。林地被害といたしましては二千二百八十万円、林道被害として二千万円、木材、木炭の流失は九十八万円、木炭施設については九十万円、一般林等の施設について二十五万円、計四千四百九十三万円であります。  次に徳島県について申し上げますると、四国中最も被害の多いのは徳島でございまして、海岸線、平坦部、山間部等の各地域にわたつて方面にはなはだしい損害をこうむつておるのであります。特に徳島市、鳴門市、名東郡、勝浦郡、板野郡、那賀郡、海部郡等の惨状は激甚をきわめておるのでありまして、特に勝浦川筋の生比奈村、横瀬町、または小松大手海岸関係ある川内村等は非常な惨状をきわめておる状態で、まことに同情にたえないものを目撃したのであります。しこうして全県については罹災者総数十八万九千六百四十六人を数え、死者十一名、行方不明十五名、重傷五十九名、軽傷百三十五名の多きに達しまして、全壊した家屋は四百四十六戸、流失九十一戸、半壊千八百九十七戸、床上侵水七千六百十八戸、床下侵水三万四千四百八十二戸、その他非住家全壊半壊合せて二千四十五戸であります。  土木関係につきましては、まず河川におきまして、勝浦川で破堤箇所十箇所、園瀬川七箇所等でありまして、堤防、護岸決壊合計四百三十八箇所、約六億一千五百万円、海岸につきましては、北灘大手海岸、里浦大手海岸、小松大手海岸等、護岸、堤防決壊百八十八箇所約六億七千万円、道路につきましては、おもに海岸沿いのものでありまして、県道鳴門引田線は十二キロの間に十九箇所二千三百万円、木頭徳島線は三十箇所千九百二十五万円、鬼籠野徳島港線は十二箇所五百万円、川井石井線では二十四箇所千七百万円等を初め、決壊、崩壊四百三十七箇所、二億二千万円の被害を受けておるのであります。砂防につきましては、吉野川流域で中野谷等八十四箇所六千九百万円、橋梁につきましては、破損流失したもの四十一箇所四千万円、港湾被害につきましては、徳島港の護岸決壊六百メートル、及び防砂堤、導水堤の根固め流失二千五十メートル、また小松島港の護岸決壊千メートル、上屋六棟半壊、防波堤根固め流失千七百メートル等約二億七千万円、その他市町村工事関係分を合計いたしますと約二十五億円に達するのであります。  次に農地関係について申し上げますれば、農地の流失埋没は二千九十七町歩八億五千万円、農道、橋梁、溝池、井堰、水路等の流失破壊一千四十九箇所、約十一億五千万円、その他開拓関係農地流失埋没二百三町一千三百万円、農道、水路等の公共施設九箇所三千四百二十万円、住宅被害四百六十九戸で、合計約二十億七賢万円になるのであります。  農業関係につきましては、水稻被害面積二万七午百九十二町歩被害数量十九万五千石、約九億七千六百万円を数えておるのであります。時あたかも早生の乳熟期、中生出穗開花期、晩生の穂孕期でありましたため、本県作付の大部分を占むる中晩生の被害は甚大なるのがありまして、特に堤防の決壊、崩壊等によりまして、耕地の埋没、流失並びに海水、濁水の入つた地帯の稻は收穫がほとんど皆無を予想されるのであります。雑穀の被害面積は二千九百町歩被害数量八千四百石、被害総額三千四百万円に上りました。かんしよにつきましては被害面積三千三十一町歩でありまして四百六十一万六千五百貫、被害瀞は一億三千八百五十万円に上るのでありまして、表土の流失浸水等により大なる被害を受けまして、特に長期間にわたります浸水のためほとんどが腐敗をいたしておるような状態でございます。その他蔬菜、果樹等合計いたしましても、約十三億一千万円の被害をこうむつておるのであります。  林業関係につきましては記録的な雨量と驚異的な時間雨量によりまして、林野は躁欄されまして、十億四千余万円の損害を受けておりまして、中でも林野の崩壊一千三十九町、林道の崩壊延長二十八万四千余メートル、その他木材流失量十万石を生じたのであります。また水産関係につきましては、漁船流失、大中小破するもの一千百艘六千四百万円、漁業用資材流失破損するもの、燃料及び船舶付属品等の流失によります被害額は九千二百万円でありまして、水産施設その他これらの水産関係被害総額は約二億八千万円の多きに上つておるのであります。また県下主要産業であります製塩業につきましては二億二千万円の被害をこうむりまして、徳島県総機害額は、全般を通じて前段申し上げました八十五億八千万円の巨額に上つておるのであります。  最後に高知県について申し上げますならば、まず民生関係につきまして死者一名、行方不明二名、重傷者三名、軽傷者十一名、全壊した住家二十四戸、半壊千六百二十戸、床上侵水六十五戸、床下侵水五百九十五戸、計二千三百十五戸、その他非住家百七十戸を数えておるのであります。  次に土木関係におきましては、まず河川につきましては百三十二箇所で約一億七千万円、海岸六箇所におきまして四百四十五万円、道路六十五箇所につきまして二千四百万円、橋梁十箇所につきまして四百五十万円、港湾六箇所につきまして一億二千万円、漁港十五箇所につきまして七千九百万円、合計いたしまして被害総額は約四億を算えておるのであります。  次に林務関係につきましては、山地治山施設が百九十六箇所でありまして、千三百二十三町歩で約五千二百万円であります。防潮林につきましては、十六箇所三百五十五町歩、約千七百五十万円であります。林道関係につきましては、路線数百二十七、約五千百七十万円、その他木材流失は二千五百万石、約二百万円でありまして、計一億二千三百十万円であります。  次に耕地関係被害は、安藝郡の一部に片寄つたために、町村としてはひどいのでありまして、農地、公共施設合せて一億九千万円に達するのであります。また農産物関係につきまして建水稻の冠水七百五十町歩、風害四千町歩で、約二万千五百石の減收見込みであります。かんしよにおきましては、約八十一万貫の減收見込みであるのであります。とうもろこし、大豆、そば等合算いたしますれば、約一億二千五百八十万円の被害をこうむつておる状況であります。  まだ水産関係につきましては、三十九箇所約一億三千二百万円を算えておるのでありまして、約九億八千万円の被害をこうむつておるのであります。  以上でありまするが、高知県におきましては、高知市周辺のほか、安藝郡の被害がひどいようでありまして、甲浦、羽根村及び吉良同時、あるいは安田、馬路を結ぶ県道、久木、奈年利線が幅員わずか二・八メートルでありまして、今次災害によりましてまつたく交通不能というような状態になりまして、住民諸君は非常に苦しんでおる状態でございます。  以上がジェーン台風によります被害状況でありますが、この際キジア台風によります被害状況をもごく片鱗でありまするがあわせて御報告いたしたいと思います。何分にも電信電話等の普通の箇所が多く、またわれわれの調査日程の都合等によりまして、全般にわたる状況はもちろん不明でありますので、これによりましてジェーン台風被害はさらに倍加されたものと考えるのであります。  その気象概況を簡單に申と上げますると、九月九日硫黄島南方付近から発生いたしまして、毎時十キロで北々西に進み、九月十一日には鳥島の南西約五百キロ海上を毎時二十キロで北西及び北々西に進んで、中心示度九百四十五ミリバール、最大風速五十メートル、十二日高知の南方六百キロを十キロで西北西に進んでいたのでありますが、このとき北西から北々西に転向の気配を示しまして、十三日種子島の北端にありて毎時十二キロで北に進み、高知県に接近いたしたのでありまして、この発生以来、その速度が著しく緩慢でありまして、長時間停滞いたしたために、暴風圏内にあつた高知県のごときは、幡多郡、高岡郡北部にありましては三百ないし四百ミリの降雨を見たのでありまして、これがため各河川は十三日以来増水を続けまして、仁淀川におきましては十一メートル、渡川におきましては七メートル増水し、各河川とも警戒水位を突破いたしまして、高知市付近及び海岸地帯に出水、高潮のため家屋耕地並びに土木施設に甚大なる被害を受けたのでありまして、高知市付近一億円、吾川郡三千万円、高岡郡七千万円、幡多郡二億八千万円、これらはごく予想でございますが、そういう状況でありまして、その他相当被害を見込んであるのでありますが、これらは十三日現在の調査でございまして、このときは増水中並びに激浪のために調査ができないというような状態でありまして、時間が許しまするならば、確報をつかんで御報告ができるとよかつたと思うのでありますが、時間の関係でごく概況の一部を追加したわけであります。  以上三県におきましては、その被害状況の御報告を申し上げたのでありまするが、調査の結果、四国地方におきましては、今回のジェーン台風のみの被害額を元といたしまして災害の実体を推定いたしたならば、大きな間違いでありまして、過ぐる昭和二十一年の南海地震によりまする地盤の変動、あるいは各種熱帯性低気圧によりまする被害をも加算すべきであると申して過言でないのでございまして、被害額もこれらを合算しますると莫大になるのであります。しこうして今次台風によりまする被害原因といたしましては、すでに申し上げました通り、特に雨量の多かつ先ことと、出水のきわめて早かつたことと、河床が上昇し流水の激突溢流によつて、裏法の決壊等に起因いたしまして破壊いたしたのでありまするが、間接的には南海地震に起因するところ甚大なるものがあるのであります。従つてこれが対策も看過し得ないものがあるのでありまして、この南海地震に基く地盤変動によりまする被害につきましては、震災当時はその実体が十分判明しないのでございまして、その後におきまして、漸次関係各地に現われて来るという状況で、四国地方におきましては、約五十億円の巨額に達し、海岸堤防港湾道路橋梁上下水道の被害はもとより、浸潮によりまする農作物の塩害による減收四万石、将来被害を受けるおそれのあるものを含めまして、耕地被害二万町歩に及ぶ等、まことに甚大なるものであります。これがためこれらの被害地域におきましては、耕地復旧、排水施設の設置、道路堤防、上下水道の復旧改良等の事業を行わざるを得ないような現況でございます。しかるにこれらは災害に基くものとの認識もきわめて薄いのでありまして、單なる一般の改良事業のごとき取扱いを受けている現況でありまして、民生の安定、国土保全より、これらに対する早急かつ恒久的な対策は焦眉の急と考えるのであります。しこうして海岸地帯において地盤沈下対策の完成せざるところは比較的被害が僅少で済んでおるのでありまして、積極的に工事促進をはかりまするのは、災害防止の最善の策と考えるのであります。しかしながら既設工事の脆弱なるものについて、蒿上げのみを施工しようといたしまするのは、今回の災害に徴しましても明らかなごとく不適当でございまして、地盤沈下工事におきましても、工事施行の際は既存工作物を調査し、完全なる対策を立てるべきであります。また全般にわたりまして、河川海岸等工作物はその構造やや脆弱のきらいがあり、積極的な工法をとるべきでありまして、具体的には堤防堤体の増大、蒿上げ護岸工事はコンクリート工法による永久工法とすべきでありまして、再度災害を断つために、復旧対策ととましては、今回の災害実情にかんがみ、原形復旧にとらわれることなく、災害原因を精査検討の上、許される範囲内におきまして、一部改良を加味した復旧を考慮すべきであると思考せられるのであります。  しかしてこれら対策がすみやかに講ぜられませんければ、毎年のことながら巨額の国富がただ失われ、来年も同じ災禍を見ることは必定でありまして、文化国家を目ざすわが国にとりましては、自然の暴威を手放ししてこれを傍観することはもちろんできないのでありまして、国土保全に思いをいたしたならば、すみやかに科学的総合対策の樹立の必要がどうしても確立されなければならぬと考えるのであります。  しかしてこれがために各県及び市町村当局におきまして、地方財政の許す限りにおいて努力いたすことは論をまたないところでありまするが、累年相次ぐ災害のために、災害復旧等に要する歳出額は地方財政を極度に圧迫せしめ、応急復旧費にすら智慮せざるを得ない実情でありまして、これが窮乏せる地方財政を考えるときにおきましては公共事業費の大幅なる増額、災害復旧費全額国庫負担制度の維持、あるいはまた起債わくの拡張、融資の拡充等深く考慮いたされなければならないと思うのであります。地方におきましては、急速に復旧工事ができるよう予算措置身希求いたしておるのであります。しかして予算措置を講ずるに当りましては、中央に反映する政治力の強弱により、被害の大小を左右することなく、あくまでも厳正公平にその被害の実態を把握して、もつて適正なる配分を行うべきであると信ずるのであります。  以上をもちまして第二班における調査の概要につきまして御報告を終る次第であります。(拍手)
  6. 松井豊吉

    松井委員長 以上をもつて派遣委員よりの御報告を終ります。調査団の御報告に対し政府の御答弁を求めます。大蔵省、経済安定本部、建設省、農林省、運輸省、厚生省の順序に御答弁を願いたいと思います。——それでは経済安定本部からお願いいたします。
  7. 石田政夫

    ○石田説明員 今回のジェーン台風によりますこのさんたんたる惨状に対しまして、罹災地の方々に対しまして衷心より深く御同情申し上げる次第でございます。経済安定本部建設交通局におきまして、このジエーン台風の起りました直後並びにその後とりました措置につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。  この台風の直後、内閣に災害対策協議会が開催いたされまして、災害救助法に基きます応急救助その他公共事業関係の各種の応急対策、あるいは応急復旧等につきまして協議をいたされました。これに基きまして第一、第二、第三分科会が設置され、経済安定本部におきましては第一、第三分科会の幹事役を相勤めまして、至急に関係各省担当官を招集いたし、このジェーン台風に対しまする応急並びに恒久の対策について種々具体的に協議いたした次第でございます。それにつきまして内容を申し上げますと、まず第一分科会におきましては、災害の各種の報告を至急にとりまとめまして、との報告のうち特に公共事業対象となり得ます費目を整理し、かつ各府県別の報告をとりまとめ、これに対して各省の査定を急ぎ、あるいは府県別の国庫補助対象額各省査定を至急に進行いたし、これによりまして国庫補助の額、財源措置をきめようということを目途といたしまして、これに関する各種の被害報告並びにその後の各省の措置について協議をいたした次第でございます。第三分科会におきましては、応急復旧と同時に、先ほどるるお話もありました防潮堤の問題、あるいはその他各種の災害恒急対策について、この機会にいろいろ審議を重ねて参つた次第でございます。災害救助法に基く災害応急救助関係につきましては、主管省の厚生省からいろいろお話があると思いますが、私ども経済安定本部の建設交通局といたしまして、総被害のうち特に公共事業対象となり得ます費目につきまして、詳細にこれを検討いたした次第でございます。すなわちこの内容といたしましては、先ほど来種々御説明のありました河川道路橋梁堤防海岸堤、漁港港湾あるいは耕地、農業用公共施設あるいは山林、荒廃地の復旧とか水源林の問題、その他林道の復旧の問題、あるいは各種厚生施設の問題、上下水道の復旧、あるいは学校その他文教施設の復旧、あるいは航路標識その他各種の公共事業対象事業につきまして、それぞれ関係機関の詳細な報告を求めた次第でございます。  内容について申し上げますと、何分この厖大なジェーン台風の直後でございまして、実は被害が早急の問には集まらなかつたのでございます。刻々に入ります情報をその都度私ども経済安定本部におきまして内容をとりまとめまして、その都度の経過的な報告があつて、現在この報告額の内容を詳細な検討調査の結果、あるいはふえ、あるいは中には報告額が減つているのもございます。  そういたしまして、これに対する公共事業関係の対策といたしましては、実は率直に申し上げまして、私どもとしてはこの厖大な被害額並びにさんたんたる状態に対しまして、一刻も早く被害地の皆様方に財源対策の検討を終えて国費の支出並びにその他各種財源措置につきまして、御要望におこたえ申し上げたいと衷心より感じておりますので、それぞれ関係各省の担当官を招集いたしまして、種々早急な実施につきまして案を練つたわけでございますが、ただいま申し上げました第一、第三分科会の結論といたしまして、現在の段階におきましては、とりあえず集まりましたこの経過的なる被害報告額、これを一応整理いたし、これを土台にいたしまして、そのうちとりあえずの措置といたしまして、預金部資金によります緊魚融資を大蔵省預金部にお願いいたすということが第一の結論でございました。この結論に基きまして、私ども安本におきましてとりまとめました経過的な報告額——厖大な報告額でございますが、この報告額を基礎にいたしまして、大蔵省預金部に連絡いたし、大蔵省預金部より各府県に対しましてすでに若干ではございまするが、この早急なる短期融資の実施が決定いたされたのでございます。すでに各府県に御連絡して参つたわけであります。この詳細な内容につきましては、大蔵省所管でございますから、大蔵省から御説明願いたいと存じます。ともあれこの融資の内容は公共事業の国費をつなぎ資金といたしまして、とりあえずの応急の財源といたしていただくという意味合いでございます。これに続きまして、第一分科会におきまして至急に各公共事業費の内容につきましての報告額をとりまとめ、同時にこれに対しまして各省のこの報告に対します原局査定の報告だけでは、ものによりましては内容がくつきりと実態がつかまれていないのもございます。(「調査に行かぬからだ」と呼ぶ者あり)それで、ともあれこの実態の調査につきまして各省とも協議いたしまして、至急に査定を完了する手配を整えるということを協議いたしました。しかしながらこの厖大な内容が一応調査を完了いたしますのは、どんなに急ぎましても、これは現実の問題といたしまして若干の日時を要します。そういたしまして大体この前の分科会の結論といたしまして、今月内に各省の査定を一応完了するということを申し合せた次第でございます。そういたしまして至急に各省の査定を完了いたしました後、安本においてこの内容をとりまとめまして、これに対しまして予備の支出につきまして緊急に具体的な支出の措置を講じたい。かようなことに第一分科会の結論は相なつた次第でございます。  次に第三分科会の結論といたしまして、災害恒久対策等につきましていろいろ論じたのでございまするが、先ほどるる申し述べられました防潮堤の問題その他につきましても考究を遂げまして、実はまだいろいろ予算的問題その他がございますので、引続きまして現在これを検討中でございます。現在におきまして、私ども極力この内容の早期確定につきまして幾分でもお役に立ちたい念願に燃えておる次第でございます。率直に申し上げまして、現実の問題としまして若干の日時を要しまするのが現状でございます。とりあえずただいままで経済安定本部といたしましてとりました措置の概要につきまして申し上げた次第でございます。
  8. 福田久男

    ○福田説明員 本日は銀行局長が伺う予定になつておりましたのですが、やむを得ない用件がございまして、私かわりまして伺つたわけであります。一応ジェーン台風について金融的な措置をとつた点について、あるいはとろうとしておる点について御報告申し上げたいと思います。  まず第一は公共施設関係、この点については先ほど経済安定本部からもお話がありましたが、公共事業として国庫から補助金の出るものを、それが出るまでのつなぎとして応急の融資をやることにいたしたのであります。預金部資金から当初七億円を大阪その他の府県に出したのでありますが、その後これを増加して、十一億五千万円今のところ融資されております。その内容のおもなるものを申し上げますと、大阪府に五億円、兵庫県一億五千万円、和歌山県一億一千万円、広島県に二億一千万円、その他三重県、京都その他の府県にも若干融資が行われております。これは先ほど申し上げましたように、国庫から出る公共事業への補助金のつなぎでありますから、その国庫から出る補助金がきまらなければ最終的に決定できないのであります。一応この程度をとりあえず応急融資として実施したのであります。その他公共施設の災害の中で、地方の負担において措置する分につきましても、起債前貸しという形で、できるだけ預金部資金からなるべくすみやかに融資したいというように考えております。まだその内容がきまつておりませんので、金額が決定しておりません。それから短期融資の総額が一般のものを含めまして二百億という制限がございまして、これはお説のような地方税等の関係もあつて相当前貸しが行われておりまして、余力があまりありませんので、これの増額についても目下研究もいたしております。公共施設のそういつた事業の計画とにらみ合せまして、できる限り早く融資したいというふうに考えております。  それから次は民間企業の関係でありますが、中小企業その他一般の民間企業とにわけて申しますと、一般の民間企業につきましては、原則として市中金融機関からのコマーシャル・ベースによる融資によることを建前といたしまして、それに伴う所要の資金繰り等についてできる限りの措置をとるというのが基本的の考え方であります。とりあえず災害地に住所あるいは営業所を持つてつて被害を受けた手形の取立てにつきましては、大阪銀行協会が中心となりまして、つまり手形支拂い期日の延期と申しますか、九月いつぱいまでは支拂期日が来ても支拂いを延ばしてもよろしいという措置がとられたのでありますが、それ以後においても個々の企業の実情に感じて、支拂い期日についての所要の調整を行うように、通牒によつて銀行の方へそういつた協力方を要請いたしております。それから災害地に限りまして、本年度末まで災害復旧資金融資につきましては、融資順位の産業資金貸出優先順位表の適用を停止することにいたしました。なお市中銀行にこれら災害復旧に対する協力を求めますと同時に、そのために必要な資金繰りにつきましては、日本銀行から資金的な援助を行うことはもちろんでありますが、そのほかにやや安定した金をそちらの方にまわしたいという考えから、預金部資金の市中預託ということを考えておるのであります。現在市中銀行に対して百億円の市中預託が行われておりますが、災害のためにこれが増額を考慮いたしたのでありますが、関係方面の了承が非常に得にくい状態にありましたので、これの調整、つまりある地方から引揚げてこの地方へまわすといつたような、そういつた調整でいつたらどうであろうかというように考えまして、目下その方向へ進めておるのでございます。それから災害地の保險の支拂いにつきまして、迅速に行うように保險会社に督励いたしておりますが、御承知のように現在の保險では、火災保險等は対象になりますが、今度のような水害については、海上保險と運送保險だけしか保險事故としての対象がございませんので、金融的には船舶で約四億円程度、積荷で十億円程度、両方で十四億円程度が保險金として拂われるであろうと見込まれておりますが、保險会社のこれら保險金の支拂いのために必要な資金繰りにつきましては、各保險会社の資金繰りの状況を検討いたしまして、おおむね自分の力で資金調達ができる模様でございます。それから災害地の企業につきましては、復金の貸出金の回收計画につきまして、これに再検討を加えて、実情に応ずるようにしたいということで連絡をいたしております。  次に中小企業の関係について申し上げますと、一般の大企業と異なりまして、中小企業については一歩進んだ特別の措置が必要であろうと思われまするので、次に申し上げまするようなことを措置することといたしたのであります。その一つは、興業銀行、勧業銀行及び商工中央金庫が日本銀行から中小企業の別わく融資として、従来四十一億円を限度とする融資を受けて中小企業金融をやつておるのでありますが、これを今度の災害のために興業銀行に二億円、商工中金に二億円、勧業銀行に一億円、合計五億円を増額することに決定いたしたのであります。それから中小專門店鋪というのが市中銀行にございますが、その中小車町店舗の特段の活用をはかつて関係の銀行に対して協力を求めておりますが、特にこの中小專門店舖の活動を促進いたしまするために、災害復旧資金につきましては、この中小專門店舖の行う災害復旧資金融資につきましては、日本銀行において高率適用を受けない、優遇した方法資金的援助を行うことになつております。なお中小企業の金融につきましては、従来あります信用保証協会というものの機能をこの際画期的に拡充する必要があるということで、その信用保証協会の機能の拡充を期待しておつたのでありますが、承るところによりますと、大阪府では三億円程度を信用保証協会に出資される趣であり、大阪市では一億円、兵庫県も若干出資を増加して、災害復旧のために行うこれらの中小企業金融に担保力を増加することによつて融資活動を促進することになつた模様でございます。銀行側といたしましても、特に信用保証協会の機能を活用することを要望いたしておつたのでありますが、着々と実現を見つつあるように聞いております。なお見返り資金の中小企業融資につきましては、これがわくの拡張について努力いたしておりますけれども、御承知のように見返り資金そのものの性質論からいうと、見返り資金はこれらの用途に向けるのが一番いいと思いますけれども、見返り資金の管理の形態が御承知のような状態になつており享ために、なかなか関係方面の了承が得にくい状態になつておりまして、努力中でありますが、見通しは非常に困難だと申し上げざるを得ないと思います。なお罹災者の自己調達をなし得ない零細な資金につきましては、でき得れば地方公共団体を経由いたしまして、預金部資金の融通をするように目下話を進めておりますが、まだ返事を得るに至つておりません。  なおこのほかに国民金融公庫の活用ということも考えてみましたけれども、この点につきましては予算的な措置をどうしても伴わなければならない。御承知のように国民金融公庫は公団等と同じように、歳入歳出が予算で縛られておりまして、預金部から二十億ないし三十億借りるということは、予算的措置さえあればできそうでありましたのですけれども、歳出の面で貸出しができない、貸出しの予算的わくを超過する結果になるというようなことで、残念ではございますが、予算的裏づけがあるまで見合さざるを得ないという実情になつたのでございます。  次に農林水産関係につきましては、これは先ほど申し上げました公共事業としての対象になるものが多いと思いまするが、金融的な観点から見れば、農林中金を極力活用することが最も適当であろうと思います。新聞等でちよつと出ておりますような農林復興金融金庫というものがあれば、それを活用する道もありますが、現状といたしましては、農林中金を広く活用するという方向で、ちようどこれから農林中金といたしましては米の代金がだんだんと預金として集まつて参りますので、来年の春ごろまでは資金繰りは比較的楽になると思います。但し来年の春になれば、また春肥の購入その他で資金が非常に繁忙になりますので、その間にこれらの資金源について何らかの措置が必要であろうと思いますが、預金部資金の金融債引受けという問題もなかなか実現いたしかねておる現状としては、とりあえず農林中金の自己資金が楽になるという意味において、その資金を活用していただきたいというふうに考えております。農業の災害共済保險金のつなぎ融資につきましても、その保險額等が概定いたしますれば、必要があれば農林中金からつなぐということも考え得るかと思います。  次に住宅金融につきましては、これも予算的な面から、公共事業として住宅の問題が一部取上げられておりますが、ここで申し上げますのは金融面から見た点でありますが、金融面から見まして、住宅金融としては住宅金融公庫を活用するということで、住宅金融公庫にもその旨を連絡いたしまして、その方向で進めて通ります。たとえば住宅の規格等の融資條件につきましても、なるべく法律上許される限りこれを緩和して、災害地については住宅建設が容易になるように、あるいはまた融資の地域的配分につきましても、災害地に重点を置くような調整を加えていただきたい。これらの関係で、金額的に見まして数億円程度がこちらに向うのではないかと思います。住宅金融公庫は、御承知のように新築の場合のみしか融資対象といたしておりませんので、今度の水害のごとき、修理を要するものがかなり多いと思いますが、そういつたものには住宅金融公庫から貸出しができない。法律上制限されておる。もしそれらの問題を取上げるとすれば、法律改正という問題を伴うことに相なりますので、ちよつと今応急の間には合わないというような状態であります。しかしながら先ほど申し上げました預金部資金地方公共団体を経由しての貸出しにつきましては、先ほど申しましたように関係方面と話を進めておりますので、もしも許されますならば、住宅関係にも地方公共団体を通じて出ることになるかと思います。  なおこのほか私の方の銀行局の分ではありませんが、財政の面におきましても、私あまり詳しく知りませんが、災害救助法による応急救助というものがございまして、それに基く支出が行われたと思います。これは災害の応急のものであつてきわめて簡易なバラツックとか、あるいは必要な医薬品とか、あるいはそういつたごく応急のものだと思いますが、これらは地方庁を通じて出ることになる筋合いのものであります。大体金融関係につきましては、以上申し上げたような措置を実行ないしは考究中であります。
  9. 松井豊吉

  10. 渡邊良夫

    ○渡邊(良)説明員 このたびのジェーン、キジア二つの風水害につきましては、各議員の方々は政党政派を超越いたしまして、不眠不休の御協力をしていただいたことにつきましては、建設省といたしまして深く御而を申し上げる次第でございます。このジェーン台風におきましては、建設関係におきましては、府県災害が百六十億、直轄が四十億であります。キジア台風におきましては、府県災害が百六十億、直轄が約四十八億となつておるような次第でございます。今月一ぱいにその査定を終えまして、できるならばこの臨時国会に補正予算を出しまして、今年一来年、再来年くらいにこれを全部建直しをいたしたい、かように努力しておるような次第でございます。詳細につきましては事務当局から説明いたさせます。どうぞよろしくお願いいたします。
  11. 松井豊吉

  12. 關谷勝利

    ○關谷説明員 運輸省関係の件につきまして御報告申し上げます。運輸省関係全般の被害は約百五億であります。その中におきまして港湾被害が四十八億あるのでありますが、そのうち二十五年度におきまして緊急復旧を要すべきものが約二十四億であります。これに対しましては現在内閣に設けられております災害対策協議会に対しまして説明をいたしまして、予算の実現方を要求いたしますとともに、安本に対しましても、補正予算を要求いたしておるような状態であります。  なおまた防災計画でありますが、いわゆる防潮堤関係であります。この被害が五十五億であります。この中で緊急復旧を要すべきものが十八億八千万ありまして、これまた同様補正予算を要求いたしておるような状態であります。なおその他船舶あるいは造船所等に対しましては、金融のあつせんをいたしておりまして、金融のつき次第に復旧に着手いたしますように努力いたしておるような状態であります。国有鉄道は、これは国有鉄道自体で復旧に着手をいたしておるのでありますが、民有鉄道にありましては、これは何と申しましても資金関係上早急に復旧ができ得ない状態にありますので、これは金融の方途を講じますと同時に、以前に福井の地震並びに室戸台風の際におきまして、復旧費の約半分が国庫補助をいたされておりますのにかんがみまして、今回も同様に補助をしてもらいたいということを事業家の方からしきりに申し出ておりますので、これまた安本その他と交渉を続けておるような状態であります。その他に関しましてはまた事務当局より詳細申し上げます。
  13. 松井豊吉

    松井委員長 川名農林技官。
  14. 川名進一

    ○川名説明員 山添次官が参つておりましたが、急な用事がありましてやむを得ず帰られましたので、私からかわつてお答え申し上げます。  農林省関係災害復旧事業公共事業の補助の対象になつておりますのは、林野、水産農地関係でありますが、今集まつております数字から見ると、農地局関係は、今回のジェーン台風で大体六十六億であります。便宜林野、水産数字だけを申し上げますと、林野関係が四十二億七午七百万円、水産関係が二十二億、合計百三十一億二千九百万程度と考えられます。農地局関係から申しますと、この六十六億の中には入植者住宅が約六千戸、そのうち半壊以上のものが約三千五百戸、これを損害額に見ますと二億五千万程度のものが一応入れてあるわけでありますが、これは先ほど他の方からもお話がありましたように、現在では公共事業の全額補助の対象になつておりませんが、今回の被害が非常にひどかつたこと、この数量が多かつたこと、それからなお入植者がまだ一本立ちになつておらないというようなことから、何とか補助の対象に入れていただきたいというので、各関係筋に強力にお願いしておる次第であります。しかしまだ結論には達しておりません。その他の関係につきましても、集まりました数字を安本あるいは大蔵省の方に持ち込みまして、一日も早くその決定を願つておるような次第であります。私も実はジエーン台風のありました三日の翌日、島村政務次官に随行して関西方面に参つたのでありますが、先ほど御報告のありましたように、被害も非常な甚大なもので驚いておつた次第であります。特に先ほど来御意見のありました災害対策の問題、それから復旧並びに改良の問題、なお四国、大阪方面地盤沈下に対する対策の問題などにつきましては一々御同感でありまして、私ども現局といたしましては、できるだけ御趣旨に沿いたいと考えて関係筋に交渉をしている次第であります。簡單でありますが、私からこの点だけを申し上げておきます。  それから先ほど山添次官からお言ずてがありましたのですが、災害補償法による保險金の概算拂いであります。これは政令等の手続がいるのでありますが、目下着々その準備中でありまして、何とか一日も早くこれを実現したいと思つております。
  15. 松井豊吉

    松井委員長 次は厚生省。
  16. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 厚生関係のことにつきまして概略を申し上げます。厚生省の方は、御承知の通り災害救助法による応急救助の方の仕事をやつておるのであります。災害が突発しまして一週間ないし二週間くらいの間に、人命救助その他のたき出し、避難所の設置あるいは医療助産というような応急的な措置を早急に県の方でやつていただきまして、その費用につきましての概算拂いを至急やるということが、災害時に際しましてまず第一に着手しなければならない仕事になつておるのであります。その他救助物資で必要な要請があつたものにつきましては、これをただちに東京から送付するということにつきましても、厚生省は中心になつておるわけであります。災害が突発いたしますと、ただちに災害対策本部を厚生省の社会局内に設けまして、社会局長はただちに現場に行き、県の方とは非常電話の通知によりまして、刻々情報をとりまして、大体一週間くらいのまとまつた情報によりまして、大蔵省と折衝しまして、概算交付の手続をとります。順序といたしまして、まず第一には災害救助の概算交付の内容、二番目には災害救助法によります応急救助期間の延長、この応急救助期間の延長と申しますのは、大体災害救助法によりましては、災害が突発いたしましてからたき出しについては三日間、あるいは避難所については五日間というような一定の示された基準があるわけでありまして、これが災害の規模に応じまして、厚生省の方の承認を得て期間延長をするわけでありまして、この期間の延長の点、第三番目といたしましては応急收容施設の設置費、第四番目といたしましてララ物資の送付、第五番目は救助物資のあつせん、第六番目は公共事業費の関係、これらについて簡單に申し上げます。  第一点の応急救助費の概算交付につきましては、大阪府につきまして四千四百万円程度、兵庫県につきましては一千九百万円、和歌山県につきましては一千二百万円、徳島県の方は八百三十万円、合せて約八千五百万円の予備費支出を決定いたしまして、これはちよつと手続は遅れましたけれども、大体今週中には全部通るというふうなことになつております。それから概算交付をいたしましたあと、精算の分につきましてはどうするかという点が残るわけでありますが、従来の災害の取扱いといたしましては、一大体翌年度ではつきりしたものを精算をする、こういろ形をとつておりますが、このたびの災害につきましては、ぜひとも今年度内に完了したいということで、大蔵当局とも話しまして、補正予算を現在組んで大蔵省の方と折衝中であります。  それから第二番目の救助期間の延長につきましては、大体現在までずつとたき出し、あるいは避難所の給與につきましては、救助期間の延長をやりまして、現に大阪あたりではたき出しを続行中であります。  それから收容施設の設置につきましては、これは実は災害救助法におきましては、收容施設を設置するということについては、今までは残念ながら財務当局との折合いがつきませんで認められなかつたわけであります。と申しますのは、災害救助法につきましては、大体避難所を設置する——避難所を設置すると申しますのは、学校だとか、あるいはお寺だとかいうところに罹災者を救助して、そこに入れるということで済むのじやないか。またそういうことが不可能な場合には、あるいは天幕あたりで一週間や二週間くらいの期間は過せるのじやないかというふうなことで、住宅まで建設することは応急救助の段階を過ぎた問題であるということから認められなかつたわけでありますが、今回の災害につきましては、特に大蔵省の方と話し合いました結果、事務的には——金額としては非常に不満でありましたけれども、大体前回の交付金の一割程度の応急收容施設を設置してもよろしいというふうな決定を見まして、それぞれ罹災県におきましては、現在すでに收容施設の設置をやつておるような状況でございます。前回の交付金の一割という点につきましては、内容的には非常に微々たるものではありますけれども、一応今まで例がなかつたことが、今回の措置によつて新しく開かれたということで御了解をお願いいたしたいと思います。  それから第四番目のララ救援物資の送付につきましては、これは特にララ中央委員会というアメリカのララの代表三人の方を入れました委員会がございますが、その委員会災害突発後ただちに開いていただきまして、大体大阪その他の罹災県につきまして十二万二千三百人分のララの救援物資をすでに送付いたしております。内容につきましては、男物、女物あるいは子供物をとりそろえました衣料品でございます。  それから五番目の救助物資のあつせんでございますが、これは現在では、原則的には罹災地の府県で調達ができるようになつておりますけれども、このたびの災害につきましては、非常に大阪でも物価が高騰いたしまして、新聞紙上でもごらんになつていると思いますが、毛布などにつきましても、大体千円前後で普通ならば人手できるものが、大阪では二千円を突破するような価格の暴騰があつた。それで結局東京の方へ何とか手をまわして送つてもらいたいというふうな現地の要望がありまして、私の方でいろいろと業者の方と連絡いたしまして、かろうじて数量的には微々たるものでありますが、大阪一万三千枚、兵庫は一万一千枚、和歌山三千五百枚、徳島三千枚、合せて大体三万枚程度の毛布と、ろうそくは大体三千万本くらいを送りました。ろうそくなどにつきましても、なかなか現地では調達ができませんので、ようやく東京の方を通じて送つたわけであります。  それから第六番目の社会事業施設の復旧につきましては、年寄りの人やあるいは困窮者を入れておりますそれぞれの施設が、非常に災害によつていたみましたので、金額的には非常に少い金額ではございますが、千百六十七万円程度の公共事業費の要求を経済安定本部の方へ出しておるような状況でございます。  以上簡單でございますが、厚生省の方の説明を終ります。
  17. 松井豊吉

    松井委員長 政府説明に対する質疑の通告がございます、これを許します。小山君。
  18. 小山長規

    ○小山委員 大蔵省にお伺いいたしますが、農林水産被害について農林中金を活用する。こういうことに先ほど御説明がありましたが、具体的にはどのくらいの金額が農林中金を通じて流れて行くことになつておりますか。またその資金の調達方法はどういうふうにされておるか。それを具体的にお答え願います。
  19. 福田久男

    ○福田説明員 農林水産関係被害につきましては、その被害の内容といたしまして、公共事業対象となる被害と、融資対象となる被害というような区分が一応必要ではないかと思いますが、まず前者の公共事業的な被害におきましては、農地の災害というような関係で、公共事業費の方で負担する。農林中金の方の対象とするものは、さしあたり果樹園の被害とか、あるいは漁業関係等が主で、割に農業関係は、先ほど申しました農業共済保險の関係はありましようが、それ以外では比較的に少いのではないかと思いますが、はつきりした金額は私承知しておりません。一応農林中央金庫に今その話がありますわけですが、農林中金からどの程度出たか実は確めておらないので、ちよつと答弁いたしかねるのであります。資金源の息につきましては、先ほど来申しましたように、これからは御承知のように農業関係資金は割に楽になりまして、米の供出に伴いましてほかの地方の米の代金も集まつて参りまして、それが全国からずつと集中的に農中に集まつて参りますので、資金では来年の春までは比較的楽になるというふうに考えております。従つてとりあえずその資金によつて、農林中金で応急の資金の融通をやつて行きたい。その間いろいろとほかの農業復興関係の機構の設立等の問題もございますので、その間に別途農林中金のこれらの融資に対する資金源の問題は考えて行かなければならぬというふうに考えております。
  20. 小山長規

    ○小山委員 大蔵当局は、農林中金の金繰りが楽になるというように考えておられるようでありますが、これは非常な誤りであると思います。と申しますのは、現在長林中金系統、ことに農業協同組合が困つているのは、もうすでに預金の支拂い資金がない状態で、制限抑いをやつておる農業協同組合が非常に多いのであります。そこでかりに災害をこうむらない府県の供出代金が農林中金で集まつて来ましたといたしましても、それは農林中金自体が若干資金繰りがよくなるだけであつて災害をこうむつた府県の農業協同組合の資金は、一向潤つて来ない。そこでそのほかにまた災害復旧をいたします場合には、来年度の作付に間に合うように工事復旧しなければならぬ、こういう期限的に差迫つた問題がある。かりに国の方では公共事業の予算がきまつていないとか、あるいは災害の査定ができないというような問題がありましても、時間的にいつて、来年の三月なら三月、四月の麦の作付までに復旧しなければならぬ施設というものが非常に多い。この金を、ただ單に予算がきまらないからというようなことで、この金については何らめんどうを見ないのか、あるいはその部分については特別な考慮を携われるのか、その辺大蔵省ではどういう協議をされたか伺つてみたいと思います。
  21. 福田久男

    ○福田説明員 お話のような問題点もあると思いますが、農林中金としては、やはり一つの金融でございまするので、国庫からの公共事業としての補助金が出るという目安がつくとか、何らかの、そういつた回收についての一応の見通しがなければ、農林中金特有の力での金融では、非常に困難な場合が起りはしないかと思います。聞くところによりますと、府県等が、農林中金の行う特定の融資につきまして、損失補償の措置を講ずることによつて、一応それらの困難な事態を補填しよう、つまり農林中金の貸金の回收について、府県が損失補償をするという方法によつて、金融の疏通をはかるようにしておるところもあるやに聞くのであ七ますが、それらの措置が講ぜられますならば、農林中金としてむ、資金が出し得る可能性が強くなつて来るのじやないかというふうに思いますが、農林中金自身としては、やはり回收という点について見通しを持たなければなりませんので、公共事業対象となるごときものにつきましては、中金自身ではなかなか困難な立場におかれおるということを御了承願いたいと思います。
  22. 小山長規

    ○小山委員 それでは本家本元の農林省の方にお伺いいたしますが、ただいまのような預金部を代表する大蔵省の考え方は、まことに春風駘蕩たる考え方なのであります。しかし実際問題として、たび重なる災害を受けておるところの農民、ことにその台所を預かつておる農業協同組合、これは御承知のように、農林省は非常な資金の逼迫を来しておる。そして国家の予算がきまらないとか、あるいは災害の査定がきまらないとかいうことのために、金は一向出て来ない。そうしていつ事業にどういうような計画で着手していいやら、さつぱり見当すらつかないで、農民は非常に困つておるのでありますが、これについては農林当局としてはどのような構想を持つておられますか、この点を伺つてみたいのであります。
  23. 川名進一

    ○川名説明員 お答え申し上げます。私の方といたしましては、これは農地局関係のことだけで御了承願いたいのでありますが、大体災害が起りますと、それを府県の計画によつで査定いたしまして、それで安本からの公共事業の補助金の割当によつて仕事をするわけでありますが、実情は本年度の所要額がもちろん全部来ることにはなりません。大体地元の実情を聞きますと、どうしても次の作付までにやらなければならない工事がたくさんありますので、地元が負担金を立てかえることができればいいのでありますが、なかなかそうは参らない場合が多いのでありまして、不拂いのままやつておる。こういつた実情がたくさんあると思います。つまり人夫賃を抑えずに、そのまま補助金が来るまでやつておる。そういつたような場合、それから農協から借りられるならば借りてやつて行く、あるいは個人で融資をやつて行くといつたような、いろいろな場合があるかと思いますが、今われわれが考えておりますのは、そういつたようなことにつきまして、何とかつなぎをさせなければならないということで、この府県は補助金がこの程度来るということがわかりました場合に、それを裏書きをしまして、それによつて中金から金を借りる。つまり来年度には、この程度の補助が来るということを裏書きすることによつて、金を借りてつないでおるというような実情もあるように聞いております。農林省といたしましては、補助金が来るまでのつなぎには、何とかして融資をさして行きたいと考えております。
  24. 小山長規

    ○小山委員 大蔵当当にもう一ぺん伺いますが、先般の議会で通過いたしました、銀行等の債券発行等に関する法律によつて、農林中金は五十二億の起債余力ができたはずでありますが、その金は今度の災害復旧に、問に合うように、大蔵当局としてはいろいろ起債の引受けその他について真劍に考えて、その対策を練つておられましようが、どのようないきさつになつておりますか。
  25. 福田久男

    ○福田説明員 銀行等の債券発行等に関する法律のあの立案の当時におきましては、小山委員も御承知のことと思いますが、ああいう金融債を預金部によつて相当消化しようというような構想を持つておつたわけであります。その後いろいろと交渉いたしましても、なかなか金融債を預金部で持つことについたの結論は得られませずに、今日まで荏苒日を延ばして来ているようなことになつております。農林中金といたしましては、債券発行限度も増資によつてふえましたが、長期のものはまだ出すに至つておりませんけれども、中期ないし短期のものを出しつつありますが、先ほども申しましたように、大きな引受先と予定されておつた預金部の方がはかばかしく進まないために思うようには進んでおらないという実情でございます。これは市中金融機関からも引受けてもらい、あるいは関係団体からも引受けてもらうことによつて、若干は出ておるようでありますが、五十何億というふうに達するのは、まだ大分先のことではないかというふうに思います。先ほど農林中金の資金繰りは今後一本になるであろうと申し上げましたのは、繰返して申しますと、来年の農林中金の資金は、過去においては第一・四半期を一といたしますと、第二・四半期は二、第三・四半期は三、第四・四半期は四という状態で推移しておつたのであります。つまりあるいは米、あるいは麦というものの供出と見合つて一農林中金の資金繰りは楽になつたり、きゆうくつになつたりしている。ちようどこれから米の出初めになりますので、他の地方から上つて来る米の代金が農林中金を通じて携われて、それが相当部分預金として残りますので、農林中金の預金はかなりふえて来る。ただ何分この預金は、比較的短期の資金でありまして、もちろん一部には一年とか二年の定期預金となるものもありますが、相当大部分は短期の資金が多いということで、今度年が改まつて春肥の資金を利用するころになりますと、ほかの地方でも預金の描出しが多くなりますから、それまでの間が何とか資金ボリュームとしてはやりくりがつく、しかしそれまでの間に恒久的に何らかの引当てということを考えなければならぬであろうというふうに思うのであります。  なお公共事業に関連いたしまして、先ほど申しました公共事業のつなぎとして十一億何千万円が預金部から出ておりますが、これは公共事業が国から幾ら出るときまる前に、この程度は大丈夫だろうということで出したので、その中のどの程度かは私存じませんが、その中にもやはり農業災害関係のものも含まれておると思います。
  26. 志田義信

    ○志田委員 私は主として建設省にお尋ね申し上げたいと思います。実は建設省のなさつておられる、特に直轄河川工事、あるいは砂防工事道路工事というものの中には、直轄という点から考えますると相当緊急工事であると思うのでありまするが、こうした災害ももちろん含めました緊急工事に対しまして、建設省はあるいは企画したり、あるいは監督したり、施工したりすると思うのでありますが、監督、施工についてどういう方針をとつて今やつておいでになりますか、お尋ねいたします。
  27. 目黒清雄

    ○日黒説明員 直轄工事の監督の方針でありますが、大体直轄になりまする河川は重要な河川でありまして、一朝事があれば相当被害を及ぼしますので、他の河川よりは優先してこれらの地区はやらなければならぬというふうに考えております。従つて監督の行き方といたしましても、十分なる施工をやつて行きたいと考えております。
  28. 志田義信

    ○志田委員 ただいま河川局長の御答弁によりますと、直轄工事につきましては、きわめて緊急を要するとの考え方から、国の機関としての建設省が重要な監督と施工をしておるという話であります。そこで私は特にこの際お尋ね申し上げたいのでありますが、この前の委員会におきまして、私は山形県の最上川の上流工事事務所の不正事件が起つておるということを建設大臣にお尋ね申し上げたのであります。そのときに建設大臣は、今後さようなことのないように十分監督施工するということを明言しておりました。ところがはからずも再びまた最上川下流工事においてさきに十分監督して、再びそういう不祥事のないことを期しておる建設省の下流工事事務所におきまして再び監督上の欠陥あるいは機構上の欠陥からか、こうした不祥事件がまた起きております。こういうことになりますと、直轄工事はきわめて緊急工事であるという建設省のお考えのもとになされておる監督施工において、何か欠点があるのではないかということを私たちは考えるのでありまするが、その点についてはいかがでございますか。
  29. 目黒清雄

    ○日黒説明員 最上川上流の不詳事件がさらに下流に延長して——まだ詳細な報告はありませんが、上流につきましては目下検察庁当局でお調べになつておりますが、内容はいろいろの雑費の支出にからまる流用問題であります。これはわれわれとしても十分その点を自粛しなければなりませんが、また終戰後の思想の弛緩といいますか、これから来ていることも相当あるように考えられております。ただいまのところは、われわれの聞いておりまする範囲内においては、その事件は自分自身の利益のために、あるいはまた自分のポケットに入れるためにというような原因はないようであります。ただ使い方が事務的にルーズであつたというようなところが多々ある。この点は今後われわれとしても十分自粛いたしまして、監督を厳重にしなければならぬと思います。
  30. 志田義信

    ○志田委員 今回起きている最上川下流工事事務所の事犯の内容と、先の委員会で私が質問いたしました最上川上流工事の事犯の内容とは、その内容はまつたく別のもののようにわれわれは聞いているのであります。上流の工事事務所に起きた事犯は、私腹を肥やしたものでないという局長のお話でありますが、これは明らかに私腹を肥やして、あるいは自宅をそれで建築したりなどいたして盛ります。しかしこのたびの最上川下流工事事務所の事犯はむしろそれとはまつたく趣を異にした機構上の欠陥ではないかと私は思うのであります。局長はその点については、何もただいままだ報告に接していないということを言われておりますが、いやしくも二十五年度の公共事業費の九百七十億のうち、建設省の移しかえになつたのは五百十億円であります。この五百十億円は御承知の通り河川経費もありましようし、あるいは維持費もありましようし、砂防もあり、道路改良費もあり、また災害復旧関係もあるのであります。ことに最上川の河川は重要河川ではありまするけれども、きわめて原始的な河川になりまして、これが一たび災害を受けまする場合におきましては、その下流の平野面積につくられるところの庄内地方の産米五百万石というものが常に危殆に瀕しなければならぬという現実があるのであります。今局長が食べられている御飯は主として最上川下流の平野から来る米が大部分ではないかと私は思つているのであります。かような場合に何ゆえにかような事件が起るかということについて、いま少しく急速にお調べになる必要があるのではないか、現に私たちが聞いておりまする範囲におきましては、このたびの下流工事事務所の不正事件として検挙取調べを受けているものは、むしろ同情に値するものがある、それはあなた方は直接河川工事というものが直轄しておるのだ、建築も施工も建設省がやつておる、というのは企画ももちろんやつておるのだ、従つて河川にしても砂防にしても道路にしても、一として建設省の委管、監督、施行以外に来るものはないというお考えを持つておられるところに、私は誤解があるのではないかと思います。あなた方直轄工事をさしておる、その直轄工事の内容について私お尋ね申し上げておるのであります。これは直轄でなくて下請けではないのですか。一部下請けさして、そして人夫賃の低廉をはかつて、しかも帳面の上においてはそれを予算通りの人夫賃を請求するところに、帳簿上の不正として最上川下流工事の今回の不正事件が起きておる、そうした機構において何か考えがあるかどうかということを私は承りたいと思つております。
  31. 目黒清雄

    ○日黒説明員 工事の施行上、直轄でありながら下請けをやつておるというお話でありますが、これは大体において下請けを認めることが本筋ではないのであります。もし下請けをやります場合には、当然請負契約をやるべき筋合いのものでありまして、大分そういう声も方々に聞きますので、最近は嚴重に下請的な仕事はやめて、純然たる直轄工事か、もしくは請負工事にすべきだというふうに指示して参つておるのであります。ただ、今のような問題、非常に忙しいというようなことから、一部切投げ的な仕事をやる場合があるかもしれませんが、大体においてわれわれの指示いたしますのは、純然たる直轄かもしくは請負か、こういうふうな行き方をとつております。
  32. 志田義信

    ○志田委員 純然たる直轄というものがはたしてあるかどうか、私はこれは非常に疑問だと思つておるのであります。現に直轄の工事の中には、建設省以外の委託工事もあろうと思います。たとえば鉄道の委託工事、最上川に例をとりますれば、酒田港の一部をやりました委託工事、あるいは公共団体、日本国有鉄道であるとか、日本專売公社等の委託工事もやつておられるのであります。いま一つは、砂防の点の直轄でありますが、砂防は必ずしも国家が全額を負担しておるものではございません。同じ直轄工事といたしましても、三分の一か何かの受益者負担が府県に課せられております。してみますれば、その工費というものは、建設省の予算の中で全部まかなつたものではないのであります。今申し上げておるのは、私は建設省の方々が今後こういう事犯を繰返さないという自信があるかどうか。今のような機構においては、検察当局が一たび手を入れれば、最上川のみに限らず、東北府県全部の重要河川、国費河川というものについてみな犯罪を構成する要素があるというふうに検察当局は見ておる。そういう機構上の不備をなくする何か方法をお考えになつておるかどうか、重ねてお尋ね申し上げたいと思います。
  33. 目黒清雄

    ○日黒説明員 実際問題といたしまして、請負工事にするか、直営工事にするかというその岐路が、非常に問題になるのであります。大体われわれといたしましては、堤防それ自身の工事は、これは非常に重要なものでありますので、この土工は直営でやるということを原則といたしております。従つて直営でやります場合には、たいていの場合能率を増進する意味で、これはこまわり式の行き方をとるのが普通であります。これを請負工事と言うか、直営工事と言うかということになりますと、これは解釈の点で非常にむずかしい点でありますが、われわれは大体においてその程度のことであるならば、直営工事と言つてさしつかえないというふうな解釈をしております。ただそれが一括して請負的な仕事を下請けさせるというようなことになりますと、これは純然たる請負工事である。こう解釈しておりますので、その場合には、相当指名なりあるいは一般公入札によつて、請負契約をすべきだという解釈をしおります。われわれのところでは土工をやります場合には、たいてい機械を使うのが多いのでありまして、この場合に請負工事がなかなかそういう機械の入手が困難であるというふうな事情もありますので、これらはなるべく直営でやつて十分なる仕事をやりたい、こういうつもりでおります。ただ請負と直営の配分の線のとり方、解釈の仕方が、どこまでが請負であり、どの程度が直営であるかということにつきましては、紙一重のところでありますので、非常にやつかいでありますが、われわれとしては今のような解釈で指示して参つております。
  34. 志田義信

    ○志田委員 今のお話は、何も私は直轄工事と下請工事との一線を聞きたいというのではないのです。直轄工事としてやつておる工事の内容が寸たまたま幽霊人夫を使わなければならぬような機構がいけないのじやないかと言つておるのです。それであなたは、今われわれの直轄工事土木機械を使わなければできない仕事が多いからというようなことを言つておりましたが、そういう場合はもちろんあるでありましようけれども、河川に関する限りは、たとえば練り積みをやる河川は幾つありますか。みな手でやつて、そうして人夫の力で川から石を上げて、そうしてから積みをやるというような状態が多いのであります。ことにこのたびのようなことは——私は先ほどまでは大分歯に衣を着せた言い方をしておつたのでありますけれども、言いかえれば、各地方の地建及び工事事務所に何も余分の金がないということが問題じやないのです。たとえば皆さんがいろいろ企画であるとか、監査であるとか、監督であるとか、施行であるとか、こういう点で御出張なさる。もちろん局長さんが出張なさるときにはそうではないでしようけれども、たまには下僚の中には、せつかく最上川まで来てくれたんだから、これに対して一夜のごちそうもして上げなければならない。これは人情のしからしむるどころであります。しかるに地方工事事務所はまつたくそういう金がない。従つてそういう直轄工事でありながら、人夫賃を人頭割をふやして、そうして帳簿上の賃金をそこに載せている。ところが事実においては、飯場長というものを置いて、あるいは人夫頭というものを置いて、それに一切を請け負わせてその差額を使用したということによつて、法律上の事犯を起しておるのであります。こういうことをやめる方法を講じない限り、安心して地方の農民なり住民は、その工事の完成を期待することはできないし、また任を帯びてわざわざ東北まで行つて仕事をしている方々も、事実においてはそういう渉外的な予算とか、あるいは多少の含みのある予算が全然ないために、知らず知らずの間にそうした法律上の違反に問われなければならないという事態に来ているのではありませんか。そういう点を機構上の不備として見のがしてこのままにしておきますと、そういう犯罪者が続々起つた場合に、罪を犯した者は工事事務所の役人でありますけれども、そういう機構をつくつていることに対しては、監督官庁としての責任は私は重大だと思つている。そういう機構をすみやかにやめる方法を講じて、これに予算的な方面で足りない点はまたお考えくださることが、一番合理的ではないか。ひとり最上川だけではないと思います。検察庁は上流の問題をやり、下流をやり、今度は中流をやると言つております。そしてしまいには飯米の問題にまで及んで来るのであります。そういう事犯を繰返さないように、直轄河川工事の、しかも緊急工事であるという建前から行きますならば、すみやかに工事が完成できるような機構を、本庁として十分に考えてやらなければならぬと思つておるのであります。そういう点についてお尋ね申し上げておきたいのであります。
  35. 目黒清雄

    ○日黒説明員 非常に御同情ある御意見で、われわれも常にその問題に苦慮しておりますので、いろいろ予算措置をお願いしてありますが、これは各省一般的な共通の問題になつているのであります。なかなか思う通りにこの予算がとれないのであります。  もう一つは、これは結局は職員の給與の問題とひつからんで参りますので、その程度のことはお互いの給與の点で交際をすべきであつて、公の費用を使うべき運びではなかつたのでありますが、やはりその点いろいろひつからんで参ると思うのであります。やはりわれわれ自身は、どうしてもそういう点はお互いに気をつけて、自粛しなければならぬという段階に参つておると思うのであります。
  36. 志田義信

    ○志田委員 局長の御答弁を拝聽いたしまして、私も御同情申し上げるのでありますが、第一に直轄工事というのは、私が知つている範囲においては、工事がきわめて技術的で、地方に下請けさせてはできがたいものがある、あるいは国土開発とかその他国の一定計画があつて、それに基いて改良工事をやらなければならぬようなもの、あるいはその地域が二つ以上の府県にまたがつているようなもの、あるいはさらにここをやるとしても、山形県なら山形県だけでまかないきれないというようなものは、直轄工事としてやるという建前から出たのであつて、いたずらに犯人をつくることが直轄工事の生れた原因でないことは、局長もよく御承知だろうと思うのであります。そこで私は今のお話を聞きましたが、どうしてもこれは機構をかえなければいけません。もうすでに山形県の重要河川に働いている建設省の役人の方々は、自分たちはいつでも公判に引出されて、法のさばきを受けなければならぬような機構になつている、建設省に職を奉ずることは、刑務所につながる道であると言つております。ここまで言つているのでありますから、この際機構をぜひ考えていただきまして、その点を改良しなければなりません。つきましては委員長にお願いいたしたいのでありますが、最上川の上流、中流、下流の工事事務所にどういう直轄の工事方法が行われておつて、実態はどうであるかということを、当委員会において調査することを私は切望いたしたいのであります。その結果によつて建設当局とよく御懇談申し上げまして、金がいるのであれば、犯人をつくらないために、多少の金の増額などはやむを得ません。国家財政のいかに迫つておる状態といえども、罪人をつくるということを私たちは見のがすわけに行きませんから、その点の財政的な処置につきましては、国会がこれを処置せべきであると思います。委員長に特にお願いいたしまして、これらの問題の調査に、特別委員の派遣を私からお願いいたしておきます。
  37. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今回の関西、四国方面並びに九州を襲いましたジェーン沼風並びにキジア台風被害のいかに甚大であつたかということは、先ほどの近畿調査班並びに四国調査班の両班長から報告された通りでございますが、われわれ本日のこの特別委員会に臨みまして、まことに遺憾に存ずるのほ、これだけ大きな、国の予算の半分に匹敵するだけの大きな災害が起つておるにもかかわらず、政府当局のこの災害に対する認識が欠如しておるために、本日のこの重大なる委員会にかかわらず、また委員長からは、委員長みずから今度の災害調査近畿班の班長で出ました関係から、本日の委員会のことについては、政府に十分の連絡をとつておることと私は確信するのでありまするが、いまだに閣僚の一人も責任ある者が出て来ないという態度は、実に政府の無責任さを暴露したものであると同時に、われわれ国会の権威を無視するものとして、遺憾にたえないのであります。同時にきようは事務当局から若干の方々が見えておられますから、私は二、三重要な点について、またあなた方のお答えできると思われる問題についてのみ質問を申し上げますけれども、しかしながら政府のこうした無責任な態度というものは、勢いやはり責任の一端をあなた方事務当局にも負うてもらわなければならなぬことに相なると思うのであります。先ほどの大蔵省の銀行局の審査課長の御答弁を伺つておりましても、災害のためにさしあたしどうしなければ、国の生産が維持できないか。国民は家をぶちこわされて水浸しになり、いまだに屋根をふくこともできない。勤労者のこういう住宅の対策をどうしてやるかという真劍さをもつて、事務当局ももう少しこの災害についてお考えになつておられるならば、私はおのずからあなた方の事務的な答弁の中にも、それがにじみ出て来ると、思うのでありますが、遺憾ながらわれわれは、それを見だすことのできないのを、これまたまことに残念に思うのであります。私らは災害調査委員長以下参りましたときに、国会の調査班が来てくれて、これを国会として取上げてくれたならば、さしあたりどういう対策を講じてくれるかということについて、これらの罹災地の諸君が——きようも多数見えておられますが、現内閣のやつてくれることを期待して、われわれの調査班を迎えてくれたのでありますが、私はそれが本日何ら具体的に、われわれがそうしたものを罹災地の関係者に見せることのできないのを、たいへん残念に思う。ことに先ほどから伝え聞くと、今夜は林副総理以下閣僚三、四名が大阪に行かれて、あす現地で調査と同時に会議を開くということでありますが、現地へ参りまするならば、きようの国会で答弁しているようなこういう無責任な答弁では、決して済まされないと思う。私もいろいろの都合で、あす大阪の方に参らないつもりでおりましたが、こういう態度であれば、現地へ行つて徹底的に首の根つこを押えてでも、はつきりさせるものはさせなければならぬ。私らは罹災関係の議員として、その責任を痛感するのでありますが、少くともあした現地へ行つて、現地解決で同かの方針を示さなければならぬとすれば、その方針はきようのこの委員会で、政府側から当然進んで示すべきであると私は考えるのでありますが、これらのことにつきましては、委員長を通じて、政府に対して嚴重なる反省を求めるように、ひとつ委員長からしかるべき処置をとつていただきたいと思うのであります。  そこで私二、三重要な点について安本当局からお答えを願いたいと思います。今度の災害はものすごいものでありますが、先ほどの調査班長の報告にもありましたように、必ずしもこの災害全部が国の補助の対象にされておらない、国の補助の対象になるものはその中のきわめて一部分にすぎないことをわれわれも認めるものであります。それにしましても二千二、三百億に達する今度の災害の中で、緊急にやらなければならない部分というものは、少くとも五%や一〇%あるものだと私は思うのです。災害が起つてからすでに二十日を経過しておるが、一体国会を通つて承認されておる予算が幾らあつて、その予算の中から現在までに幾らの金を出しておるかということをまずお答えを願いたいと思います。
  38. 石田政夫

    ○石田説明員 今回のジエーン台風の総被害額は、先ほども申し上げましたように、刻々に増加しておりますが、一応現在までの報告額で四百五十億程度をただいま数えております。これに対しましては、私ども率直に申し上げまして、国費の相当大幅な支出の必要性を痛感いたします。国会で認められた百億の予備費の中から一応すでに予定しておるものとしてはどの程度のものがあるか。こういう御質問に対しましては、すでに大多数の方は御承知と思いますが、百億の予備費の中から第一次として二十七億を支出いたしました。それからこれは七、八月の災害でございますが、第二次として二十三億を近日中に支出する予定でございます。残りが五十億ございます。私どもとしても努力はいたしておりますが、もし幸いにして補正予算が許されるといたしますれば、この施大なジエーンの総被害額に対してのある程度の国費の支出をいたしたい、かように私どもは希望しております。  御参考までに今年度発生災害の大体の数字を申し上げますと、第一次六月二十日ごろまでで報告額にいたしまして二百七十六億でございます。これに対しまして各省の査定額が百九十六億でございます。これは査定通りでございます。御承知の災害土木全額国庫負担の方針によりまして、これ以外のものをとりますと、現実の一定の補助率に基きます国費の負担分が各省の査定額百九十六億のうち百九十億であります。次に七、八月の発生災害に対しまして報告額三百四十九億、これに対しまして各省香定額が二百八十一億であります。これを国費にいたしますと二百四十五億でございます。
  39. 松井豊吉

    松井委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  40. 松井豊吉

    松井委員長 速記を始めて……。
  41. 石田政夫

    ○石田説明員 極力何回も運ぶべきところには足を運び、連絡すべきところには連絡をいたして参つた次第でございますが、どうしてもそういつた根本的な事情のために遅れて参つた。そういたしまして、私どもといたしましては、先ほども申し上げたこの緊急の復旧に充てますために、預金部資金の短期融資、これが最も具体的には手取り早い方法でありますので、連絡いたして参つたのでございまするが、実は率直に私見を申し上げますが、これとても、限られた一定のわくの範囲内ではとうてい額としては非常に少いということを事務的には痛感しております。しかし漏れ聞きますところによりますと、これも関係方面の一定のわく、全体を通じまして二十五億のわくに制限いたされまして、そのためにこの緊急融資の配分も実はそう多くは期待し得ないというのが実情でありまして、われわれといたしましては、この緊急融資並びに国費の配分につきましては、非常に心配しておるのが衷心の偽らざる告白でございます。
  42. 田中織之進

    ○田中(織)委員 一応予算上の可能な数字説明をいただいたのでございますが、先ほどから盛んに関係方面の了解を得ることが困難だということでありますが、われわれも現在占領下にある関係から、そういう渉外的な方面において、あなたたちが相当困難な條件に置かれているということは、理解には決してやぶさかではないのであります。しかしながら、まだまだ私これは前段に委員長を通じて要望をしました政府の政治力の問題も関連すると思うのでありますが、司令部に対しまして十分今回の災害の認識を願うという面における努力が、私は足りないのではないかと思う。  それから今の説明にありましたように、各省の査定の上に安本の査定がある。その上に大蔵省が乗つかつておる。さらにその上に司令部があるというような関係に相なつておるのでありまして、現地から見ますると、あるいは五階か六階の高層建築へ実は気持の上から見れば一足飛びに上りたいという気持でおるものですから、非常に強い言葉も出るわけでありますが、私は各省の査定並びに安本の査定、さらに大蔵省がそれをまた査定するというのが実際の実情だろうと思うのでありますが、その点についてはこうしたものをもう少し役所間の連絡をよくして、東京で会議をやるのではなくて、現場へあなたたち責任者が出て行つて、各省間が話し合つて査定するような方法を講じてもらいたい。従つてかりに四百五十億といたしましてもそれの二割を緊急工事でやるといたしましても九十億いる。そうするならば、この五十億の残りの予備費をただちにそれに振り向けるような処置は、私は相当あなたたちの努力いかんによつては、現在ずれて来ているのを縮めることはできると思う。七、八月の災害の問題についても、二十三億でありますか、予算の予備費から出すわくはきまつておるけれども、まだ現実に配分ができないというようなことでは、これはけんかが過ぎての棒ちぎれになる。遅くなつてもこれは出してもらわなければならぬということで、関係の方々はきようの委員会を傍聽しておりますし、率直に申しまするならば、この緊急の工事のための支出というような面について、事務当局においてももつと積極的な努力をやつていただきたいと思うのです。われわれは予備費の残りがすでに五十億になつておる。これではまかない切れないので、これは当然補正予算を組まなければならぬ。その点からわれわれは憲法の規定によつて臨時国会の要求をすでにしておる。しかし臨時国会の召集の時期がいつになるかということについては、政府から答弁は得られないから、その点についての質問を私は保留しておくのでありますが、当然にこれは補正予算をもつて振り向けなければならぬ。ことにその点の財源もある。警察予備隊の問題については、日本の国始まつて以来ない、旧憲法時代においてすら予算を緊急勅令で出したことがないにもかかわらず、警察予備隊のためには、いわゆるポツダム予算というものが出て来た。そういう実情に、現在この災害関係阪神、ことに尼崎なんかは特需関係中心地帯なんです。政府が言う国連協力というような観点から見ましても、早急にこれらの工場災害が応急的な修理なり、そういうような処置を講じて動き出すような方向へ持つて行くということが、私は絶対の急務だと思う。そういう点から見れば、財政的な処置についても、大蔵省の銀行局の審査課長もおられますから、こういう議論が田中議員から出たということは、これは責任をもつて主計局長の方に伝達をしてもらいたいと思う。それから財政的な処置は今申しましたように、国会を開かなければならぬということはわれわれも十分承知しているので、すぐにも臨時国会を開けということを要求しているのでありますが、言わば予備費の五十億があり、さらに補正予算はどうしても組まなければならぬ、これは閣議でも補正予算を出さなければならぬということを先般発表しておつたようだ、そういたしまするならば、結局もどつて来るかどうか、回收されるかどうかということを心配する銀行屋であろうけれども、一応引当てがある。まだ漠然とはしているけれども、そうするならばこの予算的処置ができるまでの間、勢い金融的な処置によつて、何かこの場を塞がなければならぬことになるのでありまするが、金融的な処置の問題については、先ほどの銀行局審査課長の御説明を私は納得ができないのでありますが、一体大蔵省は今度の災害関係で、責任者が現地を視察されましたかどうか、その点について銀行局、特に金融関係の問題で何百億という要求があります。大阪の通産局長の関係だけでも、どうしても二百億の緊急融資をしてもらわなければならぬということを通産局の関係だけでも要求しているのでありますが、そういうことはすでに連絡があると思いますが、あなた方責任者は今度の災害状況、これを早く手を打たなければ、大蔵省の土台からくずれて来るということを調べるために現地に行かれたかどうかお答え願いたい。
  43. 福田久男

    ○福田説明員 委員長の簡潔にという御注意でございますから、率直に結論を先に申し上げますが、政務次官を初めといたしまして、官房地方課長並びに銀行局でも事務官がそれに随行いたしまして現地に行つて参りました。なお銀行局長は今晩の汽車で現地の方に参ることになつております。
  44. 田中織之進

    ○田中(織)委員 時間も大分経過しておるし、その他にまた質問があろうかと思いますから、私はあと一、二点まとめて御質問申し上げたいと思うのでありますが、先ほどの福田課長の御説明によりますと、産業関係復興のための融資の問題でありますが、これも今そういうようなことで銀行方面に何か手形の支拂い期日の調整の問題をやつておるというようなことでは問題にならない。私ら災害調査行つた。ことに重工業地帯の大阪の港区、大正区あるいは此花区、西淀川区というようなところは、率直にいえばまだ水がある。ことに尼崎関係から見ますならば、私は委員長らが一応調査を終られて帰京されたあとで十六日の日に行つたのでありますが、これは普通の満潮のときには、やはりひざ上まで来るだけの水がいまだにつかる。電燈線も電話線も復旧しておらないというような状況なのです。こうした中に、やはり労働者は不可抗力とはいいながら、仕事を休んでおつても、自分の家は水びたしになつたり屋根が飛んでしまつてつて、その上賃金がもらえなければどうにもならない。もしもここで経営者を通じて金融的な措置を考えてやらなければ、それこそあの阪神工業地帯を中心にして重大な事態が発生するということは、尼崎なりあるいは大阪の港区のあの付近の災害地に足を一足踏み入れればどんなに鈍感な男でもわかる。そういう点から見てどうも大蔵省のこうした生産関係方面に対する処置は手ぬるいと思う。そういう点から見て、これはまあ最後は司令部との折衝の問題になると思うのでありますが、大蔵省としては本腰を入れて、銀行局長は今夜行かれるということであれば、あるいはぼくも大阪であす会えるかもわかりませんが、舟山君には申し上げるつもりでおりますが、あなた方はもう少しやはり本腰を入れてやらないことには、ことに尼崎なんかは製鋼関係が、日本の著名な会社の中で川崎製鋼と淀川製鋼を除いたほか、尼崎製鋼、神戸製鋼、大同製鋼、日亜製鋼、尼崎製板、新扶桑金属、久保田鉄鋼、大阪製鋼、これは一例ですが、これが今度の高潮と風水害のために現存操業できないような状態である。新扶桑金属だけがようやく会社で自力でやつた防潮堤がものをいつて——これもしかし多少の被害は受けておるけれども、比較的早く操業が復活しておるのですが、大部分のところはこういうような状態ではしようがないということで、すでに移転の問題さえ深刻に出て来ておるのであります。委員長には特に久保田鉄鋼とか、あるいはそういうような関係の具体的な資料を出しておるので、あとで福田課長にも一部差上げておきたいと思いますけれども、こういう工業地帯では大きな労働問題を惹起するおそれが現に起きておりますから、そういう点から見てもこれは重大な問題になると思いますので、また特需関係のものもずいぶんあるのでありますから、司令部の方でも、そういう実情を十分話せばある程度の理解を得られることと思うので努力してもらいたいと思うが、その点について何か御意見があれば伺いたい。  それから農林水産の金融の問題については、小山君から適切なる質問がされたので私は重複を避けたいと思いますけれども、福田課長のような認識であれば、やはり今度の災害地の農作物というものはよく見ても半作程度、半作以下なんです。そういうようなものはもちろん供出したり何かするどころでなくて、自分の飯米すら確保できるかどうかという深刻な問題になつて来ておるのであります。ことに冠水地帯で塩水の入つた所なんかは、ごらんになればわかりますけれども、もうマッチで火をつければ燃えるような態勢になつております。そういうようなところに向つて、農林水産業の金融の関係、——船だまり場が洗われてしまつておるし、船は流される、定置なんかの網は飛んでしまつたというような漁民が、明日の配給物をもらう金もないという状態になつておりますから、そういう観点に立つて、やはり農林水産金融の問題は考えていただかなければならぬ。農林省の関係官も、そういう実情はあなたたちが一番よく知つておられるはずなんですから、その点についてはやはり大蔵省とほんとうにひざつき合して、この農林水産業に対する国民の窮状をいかにして救うかということについて、もう少し熱意を出してもらいたいと思う。  それから住宅金融の問題につきましてもいろいろ予算の点で縛られておる。住宅金融公庫の利用というようなことは、これは先ほどのわれわれ調査班意見書の中にもありますけれども、しかしほんとうにこの住宅金融公庫の金でも貸してもらえるならやりたいというような地域は、現在は住宅金融公庫法の適用地外になつております。そこに先ほどの和歌山県からの要望にあるように、全県的にこれをやつてもらいたい。しかしこれにもやはりまくら金が十万なり十五万なりいる関係がありますから、その金を一体どう調達するかという問題がある。また福田課長の御説明の中にもありましたように、新築というような問題、ほとんど半壊以上になつてつても、やはり古いものを使つてこれを修築して行かなければならぬ。そういうような方面の金の貸出しの問題についても、あなたたちがもう少し真劍になれば、たとえば庶民金庫、国民金融公庫の利用というようなものも、貸出しの点については制限をされていると言うが、やはり貸出す一方に相当回收されている面もあるのでありますから、そういうようなことについては、さらにいろいろ法の運用によつてできる面が私十分あると思う、率直に言えば、市中銀行から金を貸してやれという声がかかりさえすれば、銀行屋さんというものはやはり国のそういう意味におけるギヤランティを信用して私は出すことになると思う。金融問題については、政府がその災害復旧のための必要な資金を出してやるという腹をきめるかきめないかということによつて私は金融機関が動くものだと思う。その点についての努力をやつていただきたい。  それからなおいろいろ問題がありますが、大蔵省関係でも責任者が来ておりませんから、これも福田課長を通じて要求してもらいたい問題は、税金の徴收が実際不可能な状態なんです、地方税の成立が遅れた特殊のところに向つて今度の災害が起つた。地方税は徴收できないが、支出はしなければならぬというようなことになるわけでありますから、この点についての対策をどうしてやるか。シヤウプ勧告によれば、滞納整理も年度末までに強行しろという勧告がなされておるようでありますが、災害地にそんなことでも言おうものなら、それこそ重大な事態が、もし国税庁がやろうとするならば、これはもう発生する。そういう素地が今度の風水害でできている。これに対する対策も考える。一言にして言えば、結局予算的な措置法律的な措置を伴わなければならぬので、これは惨状を救つてやるためには、こうした法律を改正しなければならぬ、予算も何しなければならぬということを、あなたたちは一応やはり事務当局であつても、政府部内の関係者の一人でありますから、その点についての政府の政治的な、そういう判断の材料を強力につくるために、これは災害地の罹災者の惨状をくんでやつていただきまして、即刻私はそういう態勢に移つていただきたいと思うのであります。その点についての御意見があれば承つておきたいと思います。
  45. 福田久男

    ○福田説明員 非常に強い御鞭撻をいただきまして、その御趣旨に滑つて極力努力いたしたいと思いますが、先ほど来私御答弁申し上げました言葉に、まあ何と申しますか、少し意を盡さざる点があつたようでございますので、多少敷祈さしていただきたいと思います。一般民間企業関係につきましては、お話のように近畿財務局、あるいは大阪通産局、あるいは大阪銀行協会などの報告なり話なりを総合してみますと、二百億ないし二百五十億程度の復旧所要資金がいるであろうということはおおむね一致したところであります。少いところで二百億程度のようであります。これにつきましては、先ほどのお話にありました給料の支拂い資金であるとか、あるいは仕掛品の損害に基く費用であるとか、あるいは設備資金——設備資金震災ほどは多くないようでありますが、設備資金とか、そういつたものも含まれておるのであります。これにつきましては、現地の銀行の方のお話を聞いてみましても、大企業については、つまり中小企業以外についてはおおむねコマーシヤル・ベースでまかなえるであろう。そういう場合は多いであろう。中には若干コマーシヤル・ベースに乗りがたいものもあるであろうが、概して市中銀行からの融資が可能であろう。問題はその資金源をいかにして調達するかという点であると思います。日本銀行からの借入れということも一つの方法であります。またそれも活用していただかなければならないと思いますが、これは建前としてあまり長期ということを初めから言い得ないものでありますので、われわれとしてはできれは相当額の預金部資金をそれらの資金源に充てたいということで極力努力中でございます。努力が足りないというおしかりを受けたのでありますが、ますます先ほどの御鞍撻の趣旨に沿つて関係方面に了解を得べく努めたいと思つております。むしろ私どもとしてに、中小企業関係の方が問題が深刻ではないかということを考えております。中小企業金融の方面につきましては、先ほど申し上げましたようなラインで、あるいは地方公共団体の信用保証協会の強化のための出資等を一つのたてといたしまして、それに対して市中銀行の中小專門店舗なり、あるいはそれに対して日銀が高率適用をしない融資をするとか、つまり日本銀行がそれらの市中の中小企業店舗で行う中小企業に対する災害復旧資金については、高率適用を課さない、安い率による貸出しを行う、あるいは従来行われておつた日銀の中小別わく融資をふやすとか、それらの措置、もしで、きれば、これは住宅にも関係するのでありますが、先ほども申しましたが、罹災者が自己調達し得ない部分について預金部資金地方公共団体経由で貸す、これも家は関係方面との間の懸案の一つでありますが、そういう努力もいたしております。そういうような観点からでき得る限りの努力をいたしつつありますけれども、成果が上らない面が多いためにおしかりを受けるわけでありますが、その間の事情も御了承いただきたいと思います。  なお国民金融公庫につきましては、あらゆる観点からこれを活用すべく研究をいたしたのでありますが、何分にも国民金融公庫法によつて、先ほど申しましたように、その金庫そのものの借入れも貸付も予算で縛られておる。これは非常にきゆうくつなことなのですが、予算で縛られておりがために、事業体でありながら、貸付の累計額が予算できまつておるので、それをオーバーしては貸せない。借りる方も予算に上つていなければ借りられないというようなかつこうで、預金部から二、三十億は貸し得る状態にありながら、前回の国会で補正予算を出さないという一貫した思想で終始いたしましたために、それもできなくて、次の国会によつてそれを補正していただければ、非常に困つておられる特に零細な生業資金等については、国民金融公庫をぜひ活用する方法を早く開くごとにいたしたい。次の国会では、どうかひとつ国民金融公庫のそれらの補正予算については、すみやかに御協力、御賛同いただきたい、こうあらかじめお願いいたしたいと思います。  なお租税の問題についてお話がございましたが、これは私実は門外漢でございますので、詳しく知りませんけれども、すでに法律上の措置はそれぞれ恒久法としてとられておるようであります。その法律といたしましては、災害減免法という法律がございまして、その災害減免法の規定による減免及び徴收猶予並びに所得税法による雑損控除という二つの方法がありますが、納税者がいずれか有利な方法をとることによつて徴收猶予なり、あるいは確定申告の際にそれを減免してもらうという措置が講ぜられておるわけであります。ただ地方税につきましてはそれらのものがなかつたのでありますが、先般大阪でしたか、大阪の府議会で国税に準じたような減免及び徴收猶予の措置が講ぜられたやに聞いておりますので、大体先ほどのお話の線で進んでおるのではないかというふうに思います。
  46. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今の税金の問題でありますが、国税の面なり、あるいは地方税の面で罹災者から徴收上ない、また徴收延期をやるということは、現行法でもきわめて不十分であるけれども、若干できる。しかし問題は徴收できない、ことに地方税の問題で徴收できなかつた場合に、それでは地方自治体がやつて行けない。これを国が財政的にめんどうを見てやるとか、資金的にめんどうを見てやるとかいうほかはない。その面についてはこれは銀行局の所管にもなると思いますが、どうぞ今考えておられることは私も想像つくからあえて答弁を要求いたしませんが、そういう面について、これは特に災害地は資金の必要に迫られておるわけでありますから、先ほど御説明なつた緊急融資の問題でも、大阪関係はわずか十一億か十二億だけでは、これはまさに淵に塩みたいな形です。そこでもう少し特にその金融関係資金繰りを握つておる大蔵省が、これに本腰を入れてもらいたいということが私の申上げる要点でありますから、その点特に御努力願いたいと思います。
  47. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 簡單に一言だけ申し上げます。これはどの委員からも、特に安本に対して、むしろ質問というよりも御鞭撻というような形になる質問であると思いますが、春の水の災害地に対して二十七億を先に決定し、そのあと上十三億決定した。二十七億の分は各府県の要求によつてこれはもう各府県に渡つておると思いますが、そのあとの二十三億の分は、各府県から要求があつて初めてそれに金をやるのだ、しかもそれに要求のある前に預金部資金融資するということを、この前の委員会のときも言つておられたようでありますが、そういうことはできるだけ早くやつていただきたい。しかも二十三億のはつきりした査定もやらず、地方にも金をやらずにおるうちにジェーン台風だとか、キジアだとかいうものが起れば、前のものは忘れられてしまう。そうなれば結局春水でやられたものがまた来年の大きな水でやられてしまうということになるから、八月十九日に閣議決定された二十三億の分は今どういうふうになつておるか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  48. 石田政夫

    ○石田説明員 二十七億に次ぎまして、二十三億の配分が非常に遅れておる。これに対してまた緊急融資等をいち早く講ずべきではなかつたかという御鞭撻のお言葉をいただきまして、私どもまつたく同感であります。結論を先に申上げますと、実は二十三億該当分につきましては、緊急融資を——全体のわくで非常に制約されましたが、総額六億五千万、これも大分前でございます。ちよつと日にちの記憶はございませんが、すでに一箇月ぐらいになると思いますが、実施いたしております。そういたしまして、二十三億該当分の国費の配分につきまして、実はその後関係各省の査定を非常に急いで御連絡願うようにいたしておりまして、集まりまして、その内容につきまして検討し、その配分を実はただいままでに了しまして、もう近日中に決定になります。これははつきり申し上げますけれども、実は私ども事務担当者としましては、この配分につきましてすでに個個に検討を遂げまして、合理的なものをつくつております。後にこれが次官会議、閣議、それから関係方面、こう段階がありますので、その間極力事務的にも急いでおりますけれども、今度の場合には、二十三億の前に包括的な承認関係方面にございますから、今度はそう遅れないと思います。今まで非常に遅延しまして申訳ございませんが、今後極力可能な範囲の国費の支出の促進につきまして、全面的な努力をいたしたいと思います。
  49. 金光義邦

    ○金光委員 大蔵省の方にお伺いしますが、今度のキジア台風に関していわゆるつなぎ融資というものはもうおきめになつておるかどうか。まだおきめになつておらないならば、できるだけ早くひとつやつていただきたい。もうおきめになりましたか。
  50. 福田久男

    ○福田説明員 お答えいたします。公共施設関係災害に対する国庫補助金のつなぎ資金につきましては、今年度分として増額をいろいろ関係方面と折衝いたしまして、総額二十五億円という金額承認を得たのであります。その中で六億五千万円はジエーン台風以前のものとして融資いたしました。十一億五千万円がジエーン台風に対して今まで融資した額であります。残り七億円の酬分についてほまだ決定しておりませんので、あるいはジエーン台風の調整なり、あるいはキジア台風関係等に充当されることになろうと思います。またおしかりを受けるかもしれませんが、被害状況についての調査報告が十分整備されるに至つておりませんので、キジア関係はまだ配分が決定しておりません
  51. 金光義邦

    ○金光委員 今の配分の決定につきまして、安本の方の大体の調査を要件とするかどうか、ちよつとお伺いします。もしもこれを要件とするならば、安本の調査は大体のところ済んだかどうかお伺いしたい。
  52. 福田久男

    ○福田説明員 なるべく緊急に、これは必要なつなぎ融資でございますから、一応信頼し得る資料ができますれば、早急に実施したい。前のジェーン台風の例で申しますと、近畿財務局の課長が現地のそういつた調査を持つて上京して参りましたので、とりあえずそれによつて七億円を融資いたしました。その後経済安定本部の資料も出て参りまして、いろいろとそのほかの状況等をも加味いたしまして、七億円を補正いたしまして十一億五千万円にいたしたのであります。従いまして被害の全体にわたる一応信頼すべき報告がまとまりますれば、できるだけ早く措置いたしたいというふうに考えております。
  53. 金光義邦

    ○金光委員 今度のキジア台風についての被害状況は、各県からすでに関係各省に全部出ておるはずである。かように私は考える。してみればこれは一日でも半日でも、やろうと思えばまとまることでありますから、ひとつできることならば月曜か火曜日あたりまでに御決定願いたい。県にもよるであろうが、ある県のごときは非常に急いでおりますので、どうかひとつこれは私から特に強くお願いいたしておきます。これで終ります。
  54. 松井豊吉

  55. 前田種男

    前田(種)委員 時間がありませんので私は簡單にします。しかも政府の方も私が要求しておる関係者が参つておりませんので、簡潔にしたいと思います。  大阪中心にするところのジェーン台風に対しては、報告書あるいは各位の発言で要をつくしております。それに対する政府の熱意のないということをはなはだ遺憾に思う。今晩林副総理が大阪に行くならば、少くともこの委員会に顔を出して、そうして委員長報告も聞いて大阪に行くべきであつたと思うのです。私が河川局長に一言だけ質問したいと思いますことは、今度の被害の中で、直接管理をしておりますところの淀川の問題です。これは今年九月、十月が一番危險ですが、十月までの間にもう一度暴風雨が来ぬとは言えないのです。もし参りますと、この間の風水害で破損しておりますところのあの状態では、それがなくとも危險状態であります。それに対する応急対策を一体どうするかということと、決壊箇所の応急処置、さらに先ほど建設政務次官が、本年と来年と再来年の間に被害地区の完成をやりたいというようなことを言われましたが、それだけの熱意をもつてほんとうにやつてもらえるかどうかという点について、局長に私はだめを押しておきたいと思います。財政的の方面において非常に苦しい状態にある、あるいは財政の支出に対して困難であるということは、先ほどから銀行局の審査課長の答弁でもよくわかりますが、問題は臨時国会を開けば何とか補正予算の対策が立つと思いますが、臨時国会の開く時期が今日決定されておりませんので、この災害の対策が一日延ばしで時間的にずれているというその時間的にずれることによつて、それだけ被害がさらに大きくなるという点を憂慮されるのです。そういう点等を考慮いたしますと、一体はたして政府はそれだけの熱意をもつて応急対策なり恒久対策を一、二年の間にやつてもらえるかどうか。また早急に応急対策をやつてもらえるかどうかという点をはつきりとここで答弁願いたい。  それから文部省関係の方がおられますならば、大阪の小学校を中心にする校舎は、倒壊している学校は今度の被害では少いのでありますが、非常な危險状態になつている学校が相当多いのです。今のような状態では、小学校に多数の児童をやつて授業ができないほど危險状態に瀕しているところの校舎も相当ございます。こうした校舎に対して一体どういう手を文部省は打とうとしておられるか。文部省の人がおられるならば答弁を願いたい。その他私さらに現地の者として、しかも被害を受けた私自身として、いろいろの点を聞きたいのでござ、いますが、それは時間がありませんからもう私はやめます。このあと共産党の代表者の質問もあるのでございますから、私はむしろこの委員会を早く済ましていただきたいと考えますから、これ以上質問はいたしませんが、その点に対して河川局長と、文部省からおいでになつておられまするならば、文部省の方から御答弁願つておきたいと思います。
  56. 目黒清雄

    ○日黒説明員 大阪被害が非常に激甚であることは御承知の通りでありますが、これに対して対策といたしましては、一応災害復旧をするというのが第一段でありますが、御承知の通りに大阪高潮防除の堤防がまだ未完成なのであります。全然高潮防除の堤防がないというのが現状なのであります。しかも地盤は一メートル以上も沈下しておるというようなことから、これは応急的なというのみでは、とうてい大阪は守り切れない。従つてある程度の恒久策を講じなければならぬということで、われわれの方では目下現地に出向きまして、その調査をやつておりますが、大体において大阪のみの金を申し上げますると、八十億前後かかるようであります。八十億の金のうち二十数億は大体災害復旧費、それ以外は恒久対策費と相なると思うのでありますが、これらもひとつわれわれとしては同時に要求したいと考えておるのであります。  それから淀川それ自身の問題でありますが、これも応急的な復旧はただちにやらなければなりませんが、御承知の通りに国の方でやります直轄工事の金は、国から予算的措置が講じられなければ仕事に着手できないというのが現状でありますので、これでは非常に困るのでありまして、私の方といたしましては、現在ついております淀川の予算、これは大体四億程度ありますが、これにさらに近く見返り資金でつこうとする淀川下流の予算、これは二億五千万円、これらを早急に仕事をいたしますことが、結局大阪、淀川を守る仕事と一致するのでありまして、これらの仕事を早く進めて行きたい、こう考えておるのであります。
  57. 石田政夫

    ○石田説明員 文部省の関係官がおりませんので、私かわりまして文教関係災害復旧につきまして簡單に一言申し上げます。文教関係の直轄学校並びに公立学校の災害復旧に対しましては、一応公共事業費の方でも補助の対象となるようでございます。大体今度の場合でも非常に被害額が多うございまして、被害報告をとつて見ますと、非常に莫大な数に上つております。これに対して一応大破、中破、小破と一定の段階にわけまして、先ほど申し上げました全体の国費のわくの範囲内におきまして、河川道路、ガス、水道それぞれ合理的に調整いたしまして、その上で決定いたすことに相なる見込みであります。簡單でありますが、かわりまして以上申し上げます。
  58. 井之口政雄

    井之口委員 先ほど田中委員から総理大臣並びに各省大臣がお見えにならない、こういつたふうでは災害の対策というものを実際やるつもりなのかどうか、その誠意さえも疑われるというふうな意見がございましたが、まつたく同感の至りであります。責任ある当局の方々、主務大臣がおいでにならなくして、そうしてただ事務官だけを派遣されましたならば、ただ單なる今日の法律内におけるところの解釈並びにその範囲におけるところの救済がやられて行くということだけの返事しかできないはずだ。このように今日の災害と申しますものは、たとえばこの間われわれが視察して参りました大阪兵庫並びに和歌山県、これだけをとりましても、二千八百億あるいは二千億というふうな大きな被害である、その上に四国あるいはさらに最近九州におきまして大きな被害が起つております。これらの大きな被害を今日の政治上の重要な問題として内閣が取上げることなくして何の一体政治でありますか。これこそは最も集中的に、全力をあげて政府当局は解決しなければならないところの重要な問題である。それにかかわらず各大臣がおいでにならないというふうなことであつては、これはまつたくその誠意を疑わざるを得ない次第であります。今の災害復旧に対しましても、あるいは救済に対しましても、これは今日存在しているところの法律で救済するというわくを通り越している、新しい法律もつくらなければならぬ。今までの各委員並びに政府の御答弁の中にも、補正予算を組まなければならぬだろう、あるいは臨時国会を開かなければならぬだろうというふうなことを述べられておりましたが、臨時国会において新しい法律をつくるもよかろう。また予算の裏づけもしなければならぬ、そういう重大な問題が控えております、そこで共産党におきましては、一刻も早く臨時国会を開催するようにという緊急動議を本委員会に出したいと思いまして、申込みをしている次第でございますが、とりあえずこの間七日に災害復旧に対する件を本委員会が決議をされております。その決議によりましては、政府はこれに留意して、災害地に対しては可及的すみやかに適宜なる措置を講ぜよというふうな希望が述べられておりますが、もうこれだけではいけないのであります。もつと進んでやらなければ、今日の国民を災害から守つて行く道はその以外にはないだろうと思う次第でありますが、臨時国会に対しましてどういう意思があるのかどうか、おおよその見当はどうなつておるのか、先ほどからいろいろな次官の方々も述べておられますからして、その点をひとつ次官の方からでもよろしいし、事務当局の方からでもよろしいと思いますが、述べてもらいたいと思います。
  59. 松井豊吉

    松井委員長 井之口委員に申し上げますが、今の御質疑に対しては、委員長からそれぞれ所管大臣あるいは次官、局長に御通告いたしまして、二十五日の理事会でお答えいたしますから、御了承願いたいと思います。
  60. 井之口政雄

    井之口委員 けつこうでございます。委員長においても一緒に調査に参りました節、きよう二十二日には各大臣もひとつぜひ呼んで、総理大臣も呼んで、そうしてほんとうにこの対策を練りたいというふうな意思を漏らしておいでになつたことを非常に頼もしく思つていたわけであります。しかしいろいろな手違いもあつたと思いますが、どうかその点も引続いて努力のほどをお願いいたします。  さて、まず厚生関係の問題からひとつ御質問申してみたいと思いますが、これだけの罹災民に対してやれ毛布を三万枚やつたとか、一体こんなことでどうなるのでしようが、罹災民が何人いると思いますか、毛布一枚に対して罹災民何人入つておりますか、これをひとつお聞きしたい。
  61. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 厚生関係のことにつきましてお答えいたします。先ほど申し上げました毛布三万枚ということは、これはあるいはそれで済んだというふうにお考えになつたかもしれませんけれども、災害救助法の建前といたしましては、現地の都道府県知事が責任を持つてやるということになつておりまして、現に罹災地におきましては、現地の知事の責任において物を調達いた心ておるわけであります。ただ非常に物が高いということで、東京の方で安い物があればあつせんをしてもらいたいという現地の要望によりまして、極力いろいろと当つてみたところ、それだけしか集まらなかつたし、結果的には現地の方では相当量の毛布は確保して、これを罹災者に配つておる、こういう報告が参つております。
  62. 井之口政雄

    井之口委員 これは都道府県当局においてのみ責任があるのでありますか。災害対策協議会ですか、これによりますれば、国家においてもそれをやはり負担する道がきまつておるはずじやないか。この点も全然都道府県の責任であつて、都道府県がやらなければどうにもしようがないというふうな性質のものではなかろうと思います。かつ物資がないのか、あるいは今お話を聞いておりますると、物資は東京の方面からまわすというふうなことを言つておられますが、それだけの費用が都道府県にあるのか。あるいは国家においてさらにこれを補助する意思があるのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  63. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 お答えいたします。救助法の建前は、一応国の責任であるけれども、その仕事を都道府県知事に機関委任する、こういう形をとつております。結局機関委任をされました知事が責任を持つてやりますけれども、究極的には国の責任をもつてやる、こういうかつこうになつおります。  それから金の方の問題につきましては、大体県の方がやりました金につきましては、あとで国が法律に基きました補助率によつて負担をする、こういう形をとつております。簡單に申し上げますと、先般国会で改正をお願いいたしましてでき上りました法律で、都道府県の普通税の当該年度の收入見込額の百分の一を超過した場合に、二定の補助率によつて補助する、こういう形をとつております。このたびの災害では、大体私の方で概算をはじいてみましたところ、補正予算としてお願いをしなければならない金が四億を越えたような金額になつております。
  64. 井之口政雄

    井之口委員 四億でろうそくもやらなければならぬ、脅もやらなければならぬ、被服もやらなければならぬ、あるいは毛布をたくさんやらなければならぬというふうなことでありまして、そういうことをして一体どれくらいの救済ができるのか、たつた三日間くらいのこういうたき出しとか何とかいうもので、今日の罹災民が救助できるとお考えになるのでしようか、どうでしようか。私は現地尼崎なんかに行つて参りましたが、昨日までまだ道路に水があるような状態で、家の中から水につかつて腐つたところの豊を持ち出しているような状態であります。それだのにもう三百どころか十日間、二十日間ぐらいも過ぎてしまつた。こういうことでありますから、今言つたような、ちびつとしたようなものではとてもこれは救済できぬと思いますが、救済できると思うのかどうか。これはしかたがないから、まあ政府にはそれぐらいしかできないのだというふうなお考えなんですか、どうですか。
  65. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 尼崎のお話が出ましたからお答えしますが、尼崎の方は現在のところ、九月十五日までたき出し、あるいは避難所の設置の期間を延長するという措置をとつておりまして、これは現地からの要請がありましてこれをそのまま認めております。  それから金額は四億円程度で非常に少いではないかというふうな御疑問はごもつともとは思いますが、一応災害のときの応急救助の対象といたしましては、たとえばたき出しに例をあげますと、非常に副食物やその他につきましても、災害のときにカロリーの多いものをとるということも不可能だということも考えられまして、たとえば梅ぼしやあるいは福神漬で、にぎりめし程度でがまんをしてもらわなければならぬし、それから避難所あたりにつきましても、結局毛布を敷いて学校あたりで休んでいただく以外にはないというふうな、ほんとうの応急的な救助だけを法律の内容として規定しております。こういうことでありまして、結局災害が終つたあとの困窮者に対しましては、生活保護法あるいはその他のそういつた一般社会法の方の対策で、これを保護して行くというかつこう以外にないと思います。
  66. 井之口政雄

    井之口委員 今の意見でようわかりましたが、つまり政府としては災害救助法をもつてしては、今のような程度しか救済はできないということを告白されたわけであります。それでこれから漏れた者は生活保護法によつてやるというようなお話でありますが、しからばこの際生活保護法を拡張して、そうして罹災証明書でもどんどん出して広汎にやるようにするつもりでありますか。そういう方面の予算でも増額されるつもりでありますか。
  67. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 お答えいたします。直接生活保護法の運用のことにつきましては、私は所管外でありますので、はつきりした明確なお答えは毛頭できないとは思いますが、生活保護法の給與の内容につきましては、よく皆さん御承知の通り、最低生活を保障するという建前にはなつておりますけれども、財政上その他の理由によりまして、金額的にはあるいは低い点があるかもしれませんけれども、最低生活を保障するだけのカロリーなり何なりは保障されるという目途のもとに組まれた予算がございまして、当然最低生活が侵されるというふうな結果になつた場合は、ただちに申請をしまして、保護声開始する措置をやるつもりであります。
  68. 井之口政雄

    井之口委員 まだその時期は来ないのでありますか。
  69. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 これは逐次これからあと行われることになるだろうと思います。
  70. 井之口政雄

    井之口委員 それからひとつ罹災者住宅の問題について、建設省の方にお聞きしたいと思いますが、今度は別に家をこしらえて、学校なんかに收容しているものをこれに收容する新しいやり方をやつておるというお話がありました。そういうふうにしてつくる家は、一体どれくらいの予算を組み、坪いくらくらいの予定でつくるおつもりでありますか。あまりきたないものをバラックでつくられて、かえつて衛生の中に追い込まれるようなことになりはしないかということを懸念するわけであります。どれぐらいのものをつくられるか。
  71. 石田政夫

    ○石田説明員 応急住宅の問題でございますが、関係官がおりませんので、私かわりまして私のわかる範囲でお答え申し上げます。  応急住宅は一応公共事業といたしまして、この補助の対象になり得るのでございます。そういたしましてこの補助率は四分の三でございまして、実は今度の災害でも非常に住宅被害が多いのでございまして、これに対しまして一応先ほど来申し上げました予算のわくの範囲内におきまして、それが足らなければ先ほどの追加予算の問題でございますが、その範囲内におきまして河川道路港湾、農、漁、山林と、それぞれの詳細な内容を、公平に規準をつくりまして、その範囲内でまかない得る範囲の応急住宅建設することになるだろうと思います。  なお内容につきましては、実際被害内容を整理いたしまして、その上で——決して單なる一時的な仮小屋式のものではなくて、規格にはまつた応急住宅をつくるべく努力いたしたいと思います。
  72. 井之口政雄

    井之口委員 では明確な返事ができなければそれでもいいですが、住宅金融公庫の中から、それを広げて家を建てさせるというようなことも先ほどお話があつたようでありますが、あれは二割五分の頭金というものがある。これがあるためにほとんど中産以下の人たちが手が出ない。これに対して何らかの手を打たぬ限りは、こういう法律をつくつても、これは描けるもちであつて、くその役にも立たぬということになるのですが、その二割五分に対して、こういう災害の場合には、これを免除するとか何とかいう特別の規定を設けるような意思はないかどうか。
  73. 福田久男

    ○福田説明員 住宅対策といたしましては、これは一般論になりますけれども、頭金の拂えない人は公共団体の住宅に入るとか、あるいはそういつた措置を講ぜられて、頭金の拂える人が住宅金融公庫を利用するというのが一般の建前であります。今度の場合に頭金が拂えないという点につきましては、私はつきり記憶いたしておりませんが、たしか法律にそういつた制限があつたのじやないかと思いまするし、のみならず住宅金融公庫住宅の規格等につきましては、法の許す範囲内における緩和措置を講ずるということで進んでおりますから、住宅金融公庫では頭金の免除ということは困難だと思います。
  74. 井之口政雄

    井之口委員 できなければできないとおつしやればいいのです。  それから建設省にちよつとお伺いしますが、堤防で、先ほど約十八億くらいの防潮堤をつくるというふうなことをおつしやつておられましたが、十八億くらいで、阪神地帯の堤防だけでどれくらいのものができるかということを非常に懸念するわけであります。でありますから、早い話が、尼崎方面堤防決壊は六十何箇所、淡路の方に行きますと、東浦、西浦の道路、防波堤、みなこれは決壊している。それから東浦の漁港堤防がみんな決壊している。そこでこの十八億のうち、尼崎方面だけに割当がおよそどれくらいの見当にあるか、大体これは例でありまするが、一例をもつてみれば全般を推しはかることができますから、この十八億というものがくその役にも立たぬことがはつきりわかるだろうし、あるいはこれで実際にりつぱなものができるだろうということで、それによつて政府に対する信頼がわくだろうと思いますが、それはどれくらいに割当てられるか言つていただきたい。
  75. 目黒清雄

    ○日黒説明員 大体被害総額は、今手元にあります報告では百六十億であります。そのうち大阪は十八億ではなく八十億でございます。八十億のうち三十数億がいわゆる災害復旧として対象になるものであり、それ以外が恒久策であるというふうに申し上げたのであります。
  76. 井之口政雄

    井之口委員 どうもそれでは要領を得ぬのであるが、尼崎堤防は、御承知の通り堀が縦横十文字に入つている。そこで堀のぐるりをぐつととりまかないことには防潮にはならぬ。そうしますと、それは扶桑金属がやつているような、ああいうものを先ほど田中織之進委員も言つておられましたが、各所に堀の四角いのをみなまかないことには、これは十分に防波の用を達しないと思います。そういうことに対して、今どういうことをやつているかというと、砂を前の日に持つてつてちやんと応急策をやる。そうすると夜満潮のときにこれをみんな流してしまう。翌日またやる、また流してしまう。こういうふうな状態で、今日県当局は当然やらなければならぬ責任も、今のようなことだけしかやつていない。これではたとい復旧事業をやつたからとて、それはちよつと風が吹けばまたまた同じような結果になる。ひとつこういう点において、根本的な対策を立てて、単なる復旧でなくて、一歩進んで、将来二度とこれの起らないようにするような方針というものはないものか、またこれは大いに予算の問題と関係するのでありますから、予算面を考えての上で、そういう自信があるのか。
  77. 目黒清雄

    ○日黒説明員 ただいま大阪の例を引いて申し上げました通りに、八十億のうち応急的な復旧費は三十二億で、その大部分が恒久策、いわゆる再びこわれぬというような堤防をつくるというのでありまして、おそらく尼崎相当恒久的な対策を講じなければならぬという情勢に立ち至ると思うのでありますが、ただここで尼崎の問題として考えなければならぬのは、公共的な堤防というものはどこに線を引くべきかという問題であります。各工場がありまして、工場の周辺を公共事業としてやるということが、はたして妥当であるかどうかというような問題があるのでありまするが、人家連帶した箇所の堤防でありますれば、これはおのずから公共性も認められまするが、それより海岸によりまする各工場周辺の堤防というものは、これは公共費という費用から出すべきか、あるいは会社独自で堤防を築造すべきかというような問題がありまして、目下調査中であります。近くその案がまとまると思うのでありますが、それによりまして対策を立てるという考え方でおります。
  78. 井之口政雄

    井之口委員 非常に重要な問題に突き当つたようであります。つまり人民から取立てた税金をもつて、一会社のぐるりに大きな堤防を築いて、そうしてその会社を保護すれば、人民は税の負担に耐えられない。人民の税金をもつて一私的な会社を保護したにすぎないという意味からいたしましても、どうしてもこういう重要な尼崎地帶の大産業というものは、国営にする必要がある、国有にする必要がある。ここにやはりわれわれの主張するところの社会主義の根底がある。そうすれば何らの矛盾なしにやれる。そんな人民の膏血をしぼつて会社にみんなくれてやるようなことをやる、これでは災害復旧というものは両方からはさみ撃ちになつてできないであろうことは、赤ん坊が見たつて、これはすぐ類推がつく結論である、われわれはこう考えるのであります。そこで農民と漁民の問題についてお聞きいたしますが、私たちは淡路方面から和歌山方面調査に参りまして非常に痛感することは、漁民が船を失う、網を失う。しかるにこれに対するところの補償の手、救済の手がちつとも延びていない、この点であります。この点に対して、今日の救済法がまつたく欠陥だらけであるために、こうした被害者の多くを路頭に迷わせる、塗炭の苦しみに放置するという結果に立ち至つておると思いますが、その点に対しまして、どうやつたらこれを救済することができるか、少くとも少しの良心があるならば、政府の方においても、そこに何らかの計画をお持ちになると思いますが、新しい法律をつくるか、もしつくるとすれば、簡単にその内容はどんなものか。さらに農民に対しまして、單に農民の供出その他のものだけを減免してやるというようなものではなく、こういつた被害をこうむつた農民に積極的にあたたかい手を差延ばす、こここそほんとうに人民の大衆なのであります。こここそ災害を救済してやるという方法を講じなければならぬのに、それに対する法律が何もない。これに対してわれわれは、国会に対して大いに法律も出したいと思いますが、共産党は、いつも出させないように圧迫する自由党のやり口に対しては、天下にその罪を鳴らして責めなければならぬ。
  79. 松井豊吉

    松井委員長 井之口委員に一言申し上げますが、非常に御質疑の内容がむずかしいので、おつて次会にそれぞれ所管責任者を呼んで了解を得るように努力いたします。御了承願いたいと思います。
  80. 井之口政雄

    井之口委員 それでは委員長のおつしやる通り次会にはもつと責任のある人を呼んで、根本的な日本の災害の対策をどうするかということを私は質問したいと思いますが、今日は委員長の言に従いまして私はこれで終ります。     —————————————
  81. 松井豊吉

    松井委員長 この際委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。すなわちキジア台風による被害状況調査するため委員派遣をいたしたいと思いますので、派遣委員指名、期間等につきましては委員長に御一任願いたい。議長にその旨を申請いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 松井豊吉

    松井委員長 異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  83. 松井豊吉

    松井委員長 次に小委員会設置に関してお諮りいたします。すなわち先ほど橋本委員報告にもありました通り、本委員会としては、災害復旧工事に関してはさらに調査研究し、その適正をはかる必要があると思いますので、災害復旧工事に関する小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 松井豊吉

    松井委員長 異議なしと認め、さよう決定いたします。  なおその小委員長及び委員の選任につきましては、委員長より指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 松井豊吉

    松井委員長 異議なしと認め、委員長より指名申し上げることにいたしますが、その指名は都合により公報をもつて指名いたしたいと思います。     —————————————
  86. 松井豊吉

    松井委員長 この際宮崎県財務課長より被害状況を御陳情の御希望がありますが、これを許しますが、しばらくお聞き取り願いたいと思います。ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  87. 松井豊吉

    松井委員長 速記を始めてください。  これをもつて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後六時四十二分散会