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1950-09-07 第8回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月七日(木曜日)     午後二時三十五分開議  出席委員    委員長 松井 豊吉君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小淵 光平君 理事 小平 久雄君    理事 吉川 久衛君 理事 青野 武一君       青柳 一郎君    岡延右エ門君       奧村又十郎君    甲木  保君       久野 忠治君    塩田賀四郎君       志田 義信君    高橋 權六君       仲内 憲治君    永井 英修君       野村專太郎君   橋本登美三郎君       笹森 順造君    石井 繁丸君       田中織之進君    砂間 一良君  出席国務大臣         建 設 大 臣 増田甲子七君         国 務 本 臣 周東 英雄君  委員外出席者         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官         (国税庁長官) 高橋  衞君         厚生政務次官  平澤 長吉君         厚生事務官         (社会局物資課         長)      熊崎 正夫君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (農地局長)  佐野 憲次君         農林事務官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         運輸事務官         (鉄道監督局施         設課長)    宮澤 吉弘君         運 輸 技 官 高橋 淳二君         運 輸 技 官         (鉄道監督局民         営鉄道部土木課         長)      富田 惠吉君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      賀屋 茂一君         経済安定事務官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君 九月七日  委員福田昌子君辞任につき、その補欠として田  中織之進君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ジエーン台風による被害状況聴取の件  災害復旧に関する件  委員派遣承認申請に関する件     ―――――――――――――
  2. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の御都合により、その指名によりまして私が暫時委員長の職務を行います。  災害対策の件を議題といたします。前回の委員会におきまして東北、関東、信越及び九州の各地方被害状況を聴取いたしたのでありますが、去る三日ジエーン台風阪神地方を襲い、甚大なる被害を及ぼしましたので、本日はその状況について政府当局より説明を伺うことにいたしたいと思います。まず建設省河川局長目黒清雄君。
  3. 目黒清雄

    目黒説明員 御承知通りに今度のジエーン台風は、三日に室戸に上陸しまして淡路島、神戸を通り、若狭湾に抜け、さらに北陸沖を本土に沿い北上して北海道に抜けたのであります。特に大阪府は累年地盤が沈下しつつあり、加うるに高潮防禦施設がまだ不完全であつたというために、烈風にあおられた異常高潮が市内に氾濫し、大正、西、港、此花、西淀川、福島の六区及び堺市西部、約六十平方キロというような広いところに氾濫したのであります。行方不明を含めて二百六十三の人名が失われ、七万五千戸の浸水罹災者が四十万というような非常な被害がありました。これがかつて室戸台風と比較しましていかなる状態であるかということを、ちよつと申し上げたいと思うのであります。  昭和九年の室戸台風におきますものと今回のとを比較して考えますと、室戸台風は低気圧の中心示度が九百五十四ミリバール、風速が瞬間六十メートル以上、これは風速計ではかれなかつたというほどの大きなもの、潮位大阪港で五・一メートルでありました。今回の台風中心示度はそれよりも幾らか少くて九百六十ミリバール、風速が最高四十四メートル、潮位が四・三七メートル、五・一メートルと比較しまして多少少いのであります。いずれも前者に比較しましては少いのでありますが、なぜそれならばこれだけの被害が起きたかということになりますと、この原因は、大阪は御承知通りに年々地盤が沈下します。そのために浸水面積が非常に拡大した。昭和九年の当時よりも地盤が約二一五メートル程度沈下しております。これが一つ原因。  次に暴風雨の風速が四十四メートル――六十メートルに比較しましてはいくらか低いのでありますが、この風速四十四メートルで吹いた時間が非常に長かつたということは、室戸のときには六十メートルは瞬間でありますが、今度は二十メートル母上の風が一時間以上も続いた、そのためにいろいろな工作物に対する被害が多かつたというのが第二の原因であります。  それからもう一つは、先ほど申し上げます通りに、高潮防禦その他の工作物が非常に貧弱であつた。府当局としましては、昭和二十一年からこの高潮防禦応急策を講じておつたのでありますが、いずれも職後のことであります。室戸台風が起きました直後この問題が論議されれば、ある程度これが防げたのではなかつたか、こう思われるのでありますが、不幸にして最近になりまして、地盤沈下のために高潮防禦をやつたということで、この仕事が単なる応急的な貧弱な工事きりできておらなかつたというのが第三の原因であります。  被害総額あるいはその他につきましては、もう御承知通りでありまして、この被害は、われわれ土木に対する被害より以上に産業上に及ぼした損害が大きいと思うのでありまして、われわれとしては、これに対して十分なる施策を施さなければならぬと考えております。
  4. 小平久雄

  5. 平澤長吉

    平澤説明員 委員長からただいまお話がありましたこのたびのジエーン台風は、ちようど先般の第八国会できめれました災害救助法が今年度の初めにさかのぼつて施行されることになつておるのでありますが、法律ができてから今度のは被害が比較的大きい初めてのものでありまするので、厚生省といたしましては当日から手配をいたしまして本省からも現地に参り、地元とも完全な連絡をいたしまして、この災害救助法によるところの国庫の負担に属するものに対しては、すでに概算拂いといたしまして、それぞれの被害府県に経費の支弁をいたしておるのでございます。先ほど建設省からもお話がありましたように、被害が單に数字的に計量せられるばかりでなしに、日本の産業上の中心地であるということから、施策を万全にせねばならないというので協議をいたしまして、即刻いろいろな手当をいたしたのであります。爾後とともにだんだん詳しい事情がそれぞれ判明して参りましたが、一応私ども厚生省といたしましては京都大阪兵庫岡山地方に一番緊急の処置をしなければならないと考えまして、それらに手当をいたしております。なおただいま現地調査に参り、救助の方法についてそれぞれ実際に携わつた者並びに災害対策本部施策について携わつておる者を連れて来ておりますから、数字その他についておさしつかえなければ申し上げます。
  6. 小平久雄

  7. 西川甚五郎

    西川説明員 今回の災害につきまして、大蔵省といたしましては去る六月までの分といたしまして二十七億、八月までの分といたしましてただいま二十七億はもうきまつておりまするが、あと加えまして約五十億となると思います。そういたしますと、本年度の予備金のうち五十億が今日残つているわけであります。今回の災害相当ひどいのがございますし、今後また各地にこういう災害が起りました場合は、この五十億でまかなつて行かなければならないという問題もありますので、それにこたえられない場合は、補正予算でも組んで何とかしてこの災害復旧に努力したい、大蔵省としてはこういうように考えております。そのほか今度の災害は、特に今までと違いまして商業都市工業都市相当ございますから、この方面金融問題も相当つて来ると思います。これにつきましては、後ほど局長から御説明いたします。また税金の問題も起つて参りますが、これは国税庁長官が参つておりますから、長官かち御説明いたさせたいと思います。
  8. 小平久雄

  9. 佐野憲次

    佐野説明員 今回の台風は、御承知のように四国近畿北陸中心といたしまして約二十県程度にわたりまして、相当大きな被害各地に與えておると考えられるのであります。農林省といたしましては、さつそく係官各地に派遣いたしますとともに、出先の機関を督励いたしまして目下調査を急がせておるのでございまするが、何分にも農林省関係被害箇所数が非常に多く、また僻取な地に散在をいたしております関係等もございまして、被害全貌がつかめるところまではまだ参つていないのでありましで、現在まで参つておりますのはごく一部分だけであります。現在までにわかつておりまするところだけでも、農地被害、これはごく一部分でありますが、すでに二十三億程度報告されております。また山林の関係でありますが、山地の崩壌でありますとか、林道の破壊されましたもの等、現在までに判明いたしておひますものが十七億程度になつております。このほか漁港、漁船等被害相当数字に上つておるのであります。今申しましたのはごく一部分でありまして、今後相当な額になるものと考えております。できる限りすみやかに調査いたしまして、これの対策を急速に講じて行きたいと考えております。
  10. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 次に運輸省関係被害状況について説明を聴取いたします。
  11. 石井昭正

    石井説明員 最初に国鉄関係被害について申し上げます。今回の台風につきましては、昭和九年の室戸台風とほぼ類似の性格でございますが、先ほど建設省から御説明になりましたように、風速相当ございましたが、降雨量はさほどございません。この点が今回の台風の特徴になるのではないかと思うのであります。ただ大阪湾付近は満潮時と台風の通過とが時を同じくいたしましたために、高潮被害相当あつたのであります。これが施設関係相当被害を及ぼした大きな原因でございます。鉄道施設関係被害は、線路関係につきましては、雨量が比較的少なかつたことと、台風の速度が早かつたために割合に大きな被害はございません。列車運転がとまりましたのは、むしろ風関係によつたものが多いのでございます。全管内を通じまして線路関係被害のおもなものは、線路浸水が三十箇所、築堤崩壊が二十四箇所、切取り崩壊が二十八箇所という程度であります。むしろ風害のために一番大きな影響を受けましたのは、大阪臨港線西成線及び尼ケ崎線の三線でございます。これらはいずれも高潮のために線路上の浸水が大きな原因であります。なお建物関係は風が強かつたために相当倒壊、あるいは半壊、傾斜等をやつております。また全般的に屋根、建具類の破損がはなはだしくて、被害が甚大であります。すでにわかつております倒壊建物のうちで大きなものは、和歌山機関庫今宮信号扱所等がございます。それから通信設備につきましても、風がひどかつたために、鉄道通信はいずれも架室式になつておりますので、通信設備が非常に多く被害を受けまして、電柱の傾斜倒壊、あるいは架線の切断等ありまして、東京から大阪以西通信線は全滅いたしました。しかしながらこれらはいずれも、ほぼ五日中には回復をいたしました。そのためいろいろ大きな被害はございまするが、列車関係といたしましては、三日の当日並びに四日朝にわたりまして相当運行に支障を来しましたが、いずれも五日ごろから正常に復しまして、目下のところは西成線が開通をしておらないという程度になつております。浸水のために受けました車両損害は、貨車二百四十四両、機関車四両、電車二両が水浸しとなりました。大体その程度になつております。運転事故も二回ほどございますが、いずれも職員あるいは乗客等の死傷はございませんでした。大体損害額国鉄関係といたしますと、応急費及び復旧費の全部を入れまして、線路土木関係では約二億八千万円、建物関係が五億五千万円、信号通信関係で二億二千万円、電燈電力関係が約三億円等でございます。合計して十四億程度に達するのではないかと考えておびます。これはきわめて早急の際の調査でございますので、精密に計算いたしますると、相当まだ移動は生ずることは御了承願いたいと思います。それから私鉄関係でございますが、私鉄被害会社は総数約十七会社ございますが、通信連絡不能のために、他にも相当ありはしないかと思つております。一番大きな被害を受けましたのは、やはり大阪附近でございまして、なかんずく阪神電車におきましては、尼ヶ崎の車庫に浸水いたしましたために、車両が約六十両水浸しとなりました。そのほかに線路浸水等によつて、いまだに復旧に至つておらないところがあります。大阪市電目下相当不通区間を残しておる次第であります。大体全体といたしまして、被害金額は約三億三千万円相度に上つておると考えておる次第でございます。なおそのほか車両製作会社は、大阪付近汽車会社、住友、席帝国車両近畿車両等にそれぞれ被害があつたようでございますが、これは詳細な連絡がございませんので、具体的な被害状況は現在わかつておりません。詳しくはお手元に差上げました資料をごらん願いたいと思う次第でございますが、御質問がございましたら答えさせていただくことにいたしまして、私の報告を終ります。
  12. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 次に港湾関係につきまして港湾局計画課高橋淳二君。
  13. 高橋衞

    高橋説明員 港湾のおもに土木施設につきまして、被害状況を御説明申し上げます。今般の台風につきましては猛烈なる強風、暴浪等のために、各地の防波堤、あるいは繋船岸、その他船舶の沈没による港湾被害といつたような事故が発生しておりまして、この被害復旧に要する金額目下調査中でございますが、ただいままでに大略判明しておる金額を概計いたしますと、大体二十五億程度になつております。目下なお引続いて報告が入つておりますので、今後なお十億から二十億見当の増加が見込まれております。特に被害の大きい地区といたしましては、大阪兵庫地区でありまして、大阪地区被害状況をかいつまんで申し上げますと、港湾施設並びに工事用の諸施設被害といたしましては、概計いたしまして約十億の見当であります。内訳としますと、土木繋船岸、あるいは護岸等被害としまして四億五千万円。上屋倉庫起重機等被害が約一億。工事用施設としまして、工事用船舶を含みまして三億五千万。航路泊地の沈船による障害を除去するために要する費用としまして約一億、合計約十億を要するという見込みであります。このうち特に緊急に復旧を要するものといたしましては、航路泊地の清掃を急がなくてはなりませんので、これがために要する金額は約五千万円。岸壁、物揚場等の修理のために要する金額は約一億円。上屋倉庫の補修のために要する費用が約四千万円。その他一千万円で、合計約一億を要するということに報告が来ております。  それから港湾施設といたしまして、民間会社等の所有するものの被害を受けましたものにつきましては、桜島地区の東洋埠頭のクレーン一基桜島荷役会社クレーン一基、これはいずれも倒壊しておりまして、その推定被害額は約二億ということになつております。その他第二突堤付近に汽船の掴坐したものが二隻、安治川沿岸で一隻、尻無川、木津川地区艀船の沈没したものが約五百隻、大阪泊地につきましては約五十隻ということになつております。その他特に今度の災害によりまして、従来運輸省港湾関係防潮堤並びに盛土かさ上げの工事臨港地区において施行して来たのでありましたが、全計画の二割程度は一応完成しておりまして、この地区は非常に良好な状態に保持されておりまして、今度の災害によりましてもさほどの被害は受けなかつたのでありますが、未完成地区につきましてははなはだしい被害を受けております。今後ともこの種の防災工事の進捗を一層促進いたしまして、この効果をますます発揮するように努力したいと考えております。その他尼ケ崎地区等につきましても浸水被害相当に上つておるのでありますが、この方面被害は現在まだ調査中でございまして、詳しいことはわかつておりません。一応数字関係につきましては、お手元資料によつてごらんいただいたら仕合わせと思います。     ―――――――――――――
  14. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 これをもつて政府当局よりの説明聴取を了したのでありますが、質疑に入るに先だちまして、この際委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  ただいま政府当局よりジエーン台風による被害状況を聴取いたしたのでありますが、本委員会といたしましても、その被害状況調査のため近畿並び四国の両地方にそれぞれ調査団を派遣いたしたいと考えます。従つてその委員の氏名、期間等につきましては委員長に御一任願うことにして、議長委員派遣承認を申請いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  16. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 それではこれより政府当局に対する質疑を許します。
  17. 吉川久衛

    吉川委員 状況報告はいただいたのでありますが、それに対して政府のとられた措置について、あわせて御報告を願つておきたいと思います。
  18. 平澤長吉

    平澤説明員 私から厚生省でとりました処置についてお答え申し上げます。  このたびの災害は九月三日でありましたので、厚生省といたしましては災害救助法による対策をいたすのでありますが、第一には被害府県からの通報によりまして一応災害救助法による国庫が負担しなければならない費用概算を出しまして、その五割の費用大阪府、兵庫県、和歌山県、徳島県に補助概算額を交付することといたしまして、それは手続を了しました。概算額政府が負担すべきものの五〇%だけは交付いたしました。従つて精算をいたしますれば、さらに五〇%が残つておるということになつておるのでありますが、それを交付いたしました。  なおお手元に差上げてあるかと存じますが、本日まで厚生省といたしますれば、この被害直後の応急処置といたしましては、各般の物資被害者に対する配給、あるいは食糧の問題、衛生の問題等に対する処置でございますので、これは現地調弁し得るものは現地においてこれをやる。それの間に合わないものに対しては中央からこれを急送しておるのであります。本日等も引続き毛布とかその他の物資の要望がありましたものは送つておるのであります。御承知通り先ほども申し上げましたが、その県だけでできますものはその県で調弁してもらつておるのであります。実情現地だけでできない種類のものがあるようでございます。従つて一例を申し上げますと、たとえば毛布のようなものは東京調弁をいたして送つているという実情であります。本日までに諸種の報告によりますると、十分とは申せませんけれども、大体においてかつこうがついたというような事情になつております。なお詳しいことはお手元数字を差上げてあると思いますが、御了承願いたいと思います。
  19. 舟山正吉

    舟山説明員 大蔵省側対策といたしましては、先ほど政務次官から申し上げましたように、災害対策公共事業に対する予備費の現在残つておりますものを使いますほかに、なお補正予算を組むかどうかということは、目下検討中でございます。なお大蔵省といたしましては、各地方の国税局、財務局からいろいろ資料が集まつておりまして、実情調査しております。こういうふうに財政資金対策を講ずるということが本筋になるかと存じますが、なお金融面につきましても、地方公共団体災害対策を立てますについては、預金部資金でもつてつなぎ資金を出すということは命によつて行いたい。これは御承知通り、国からの補助金の大体の額がきまりますれば、時期を失しないようにつなぎ資金を出しております。また地方債を出すということになりますれば、これにつきましては前貸金で出す建前になつておりますが、まだ個別に金額を申し上げる城川には達しておりません。  それからまた産業地帯相当やられましたので、これにつきましては普通の金融機関からの金融ということも大いに必要であるというふうに考えております。必要資金は日本銀行から出す手配をいたしております。  なお税務につきましても、法律の規定によります租税の減免ということについて用意をいたしておる次第でございます。
  20. 目黒清雄

    目黒説明員 われわれといたしましては、浸水しておつてまだ水がポンプ・アップできない。ポンプ・アツプできないというのは、普通送電線の故障によつてポンプ・アップできない――まだ水につかつておる状態ですが、ただちに現地係官を派しまして、まずその措置を講ずべく出かけております。おそらく今明日中には現地においてその行き方を明示できると考えますが、予算的な措置は、災害査定を終つてしかるのちということになりますと、おそらく二箇月以上は要することであろうと考えております。それではとうてい現実には適合しませんので、余儀なく大阪兵庫、こういう県におきましては地方債でまかなつておいてもらいたいということで、大阪府は明日府会を開きまして、三億円の予算を計上することになつておるそうであります。そういうことで応急的な措置を講じてもらうということをやつておる次第であります。いずれ現地からの報告、あるいは査定官報告等がまとまりますれば、全貌がはつきりすると思いますので、これをただちに要求したいと思いますが、われわれ仕事をやつておりますものといたしましては、預備金の百億をこの際出していただくことは非常にけつこうでありますが、今までの例によりますと、このために数箇月を要するというようなぐあいでありまして、これは何とか便法を講じてもらいたい。そのためには短期融資なりともこの際出してもらいたいというつもりで、目下安本と交渉しております。
  21. 佐野憲次

    佐野説明員 農林関係土木災害につきましては、大体河川局からお話がありました通りであります。極力その査定を急ぎまして、これがきまりました上で、予備金その他の予算措置を講じて参りますとともに、これが出まするまでの間のつなぎ資金融資につきましても、関係方面にお願いをいたしまして、できるだけつなぎ融資ということにつきまして考えて参りたいと思つております。
  22. 藤田巖

    藤田説明員 遅れて参りましたので、農政局関係の農作物に対する被害報告をいたしておりませんが、まだ被害県から全部の数字がまとまつておりませんが、現在までおかつておりますところでは、水稻につきましては、被害面積が約四十七万町歩減収量が約百四十九万石、そのほか畑作物等につきましては、現在までの報告は一万三千町歩ばかりございます。なおこの報告被害の非常に多くございました京都大阪和歌山等の県が調査中でございますので、先ほど申しました数字には載つておりません。従つてこの被害はさらに大きくなるだろうと考えております。農政局といたしましては、災害が発生いたしますとすぐ現地調査のため係官を派遣いたしました。北陸方面被害につきましても、至急調査の係を出したいと考えておりますが、対策といたしましては、災害跡地に病虫害の発生するおそれがありますので、その防除を督励いたしますほか、なお災害共済保険金支拂いをできるだけ早く、なお必要ならば、それまでの間のつなぎ資金等についても、できるだけ早くめんどうをみたいと考えて、目下災害額について調査中であります。調査ができ次第やつて参りたいと思つております。
  23. 石井昭正

    石井説明員 国鉄関係につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、五日にはほとんど全般的に運転系統も回復いたしまして残されておりますごくわずかのものについての開通に努力いたしております。これは近く開通する見込みであります。応急復旧をいたしましたあとは、本格的復旧にかかりますが、これもただいまのところ、予算的には現在持つておりますところの予備金等を充当いたすつもりで努力いたしております。
  24. 富田惠吉

    ○富田説明員 被害を受けました大阪地方における不通線の開通を一刻も早くすべく係官を派遣いたしまして、大阪陸運局を指導督励いたしまして、開通に全力を盡しております。大体阪神、大阪市電の一部を除きましては、四日ないし五日に開通を見るようになつております。ただ阪神が車両の三分の一ないし二分の一程度浸水いたしておりますので、モーター対策などにつきまして督励をいたしております。それから大阪市電はなお港区の方面は水が引きませんために運転ができませず、なお車両が八十両ほど浸水いたしておりますので、これもモーターの対策のために幾分減車をして運転せざるを得ないというような傾向になつております。なおこれに要します資金につきましては、自己資金で行けるもののほか、あるいは短期の融資もお願いしなければならないのではないかと思うのでありますが、この点つまびらかでございません。今後現地報告をまちまして、お願いすべき筋にはよろしくお願い申し上げたいと思つております。  以上簡單に御報告いたします。
  25. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 二、三関係省の方にお伺いしたい。先ほど来大体の話を聞いて状況は多少わかつたのでありますが、なお期間の短かいせいでありましようが、資料等も十分出ておりませんので、詳しい点についてわれわれまだ了承できないのであります。お聞きしておりますと、非常に災害が大きいためか、少し闘志を失つておられるのじやないかというような感じがいたします。われわれせんだつて災害地を調査いたしまして、現地の連中がいかに災害の現実にぶつかつて苦闘しているかということをまのあたり見て、関係当局の非常な努力に対しては心からわれわれ感謝の意を表して帰つて参つたのであります。東京には災害がありませんでしたから、関係省も多少感じの上で違うところがあるのじやないかと思われるくらい元気がないように考えるのであります。なお具体的な問題として、先ほど来大蔵省お話によると、災害予備金として百億円を原則としてやろうというようなはつきりした見解でないようで、必要とあれば、追加予算も考えたいという話でありますけれども、六月及び八月災害に対する緊急の復旧工事査定は大体一割二、三分程度のようであります。これは従来の災害から考えると、従来は二割七、八分ないし三割程度が緊急の災害費として振り向けられている。今回は予備金というものがありますから、その予備金からということも一応の原因でありましようが、本年度においては一割一二、三分で緊急の災害復旧をすれば、あとは普通の災害予算において行えばよろしいと、建設省あるいは農林省関係の実施省においては考えておられるのであるかどうか。あるいはこれでは足りない、自分らの所管から考えれば、当然一割二、三分の緊急災害復旧では不可能であるけれども、実際上予算措置ができないというので、この辺でがまんしておられるのか、この点明確に責任を持つておられる実施省としての御見解をお聞きしたいと思う。
  26. 目黒清雄

    目黒説明員 本年の実績が、例の十七億の配当が一割二、三分にすぎないということは事実でありますが、昨年度は予備金がありませんでしたが、昨年度もいろいろ融資その他の方法で補正を打つ光が、これもやはり一割二、三分にすぎなかつたのであります。そこで二割以上出したということは今まではないのでありますが、昨年それで十分であつたかというと、十分ではなかつたと申し上げるのであります。われわれとしては、初年度に最小限度三割いただきたいというのが掛値のない予算要求なのであります。この程度いただきまして、さらに次年度は五割程度、そのうちの大部分は出水前にわれわれに使わしてもらうということによつて、八割程度災害復旧が来年の出水期までに間に合うという形が一番望ましいのであります。
  27. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいま建設省関係お話によりますと、一応建設省として責任を持てる範囲は、本年度の災害をもつてすれば、その三割程度を緊急災害としてやりたいが、それが実際上できない情勢にある。われわれ現地調査した結果われわれの参りました県においては、すでに三割を越えるような相当災害復旧の事業をやむを得ずやつておる。これは六月及び八月というような、なお農作物を保護しなければならぬという時期的な関係もありましよう。そういう関係からして、当局との了解を待たずして災害復旧にとりかからなければ、九月、十月の出水に対してこれが防災ができないという点もありましようが、県によつてはすでに二割以上になんなんとする事業をやつておるという関係からしてこの点について大蔵省にお聞きしたいのでありますが、先ほど政務次官お話によると、本年度は災害予備金百億円があるので、これを原則としてやつて参りたい。なお足らざる場合においては、追加予算も考えなければならぬというお話でありましたが、大体六月及び八月の災害に対して、五十億という限度をきめたのは、必ずしも緊急度合いに応じてきめたのではなくして、予備金の百億円というものの使い方から出て来ておるようにわれわれは聞いておる。できれば災害が百億円以内でとまつてもらえればたいへんけつこうでありますが、現実の問題として、まつたく緊急の措置に要する金が予備金であつて、もちろん形式的に、本年度の緊急に措置すべき災害は百億円程度でとめるという考えはありますまい。しかし先ほどの目黒河川局長お話によりますと、この緊急の金の支出が、二箇月ないし、三箇月遅れる事実、今回の場合においては三箇月近く遅れている。そういうような予備金であるならば、予備金の必要がないのではないか。去年においては予備金はなかつたけれども、臨時国会を招集してこれが措置を行つたのであります。今回は昨年及びその前の例から考えて、急速に災害に対応すべき措置を行うために、予備金の財政的支出が行われたのであります。にもかかわらず、それが二箇月ないし三箇月、四箇月という時間を要する事情については、もちろん現在は日本が敗戦下でありますからして、いろいろと関係方面の了解を必要としますけれども、それにしても国会はすでに予備金百億円を決定しておるにかかわらず、これが数箇月も遅れるということについては、どうも政府当局において、熱心にはやつておられるでしようが、なお足らぬところがあると考えるのであります。その点大蔵当局の御説明を承りたいのであります。
  28. 西川甚五郎

    西川説明員 お答え申し上げます。今建設省の方から三割何ぼというお話がございました。この問題につきましては、御存じの通り大蔵省は各関係省と十分な連絡をとりまして、あの決定をいたしておる次第であります。なお総額等にらみ合せてやつておる次第であります。先ほど私が申しました百億の予備金が足らぬ場合はどうするか、そのような場合は補正予算をお願いせねばならぬ。そのわくが必ずしもきまつたものでなくして、もしも大きな災害がございましたならば、必ず補正予算をもつてやらなくてはならぬということは、申すまでもないと考えます。
  29. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今大蔵次官の御答弁でありますが、前回六月及び八月災害の五十億円の決定の経緯については、建設省並びに関係省も了承したということでありますが、われわれの聞いておるところでは、必ずしも了承ではないと考える。この点はもちろん大蔵省としてはいろいろな事情があつて、この点についての説明を十二分にすることのできない点は了承いたしますが、少くとも今回の災害が――もちろん六月、八月災害並びに今回の近畿災害でありますが、これらを百億円のわく内で考えるという考え方を一倒してもらいたい。もちろん財源問題もあるし、大蔵当局としては非常な苦心の存するところではありましようが、中途半端な災害予算を行うために、かえつてそのあらが蓄積されるような結果になつておる事実、災害というものに対する復旧予算がなお五百億円のものが残されておるという現状でありますから、この点特に大蔵当局に今後の措置についての善処方を要望したい。ことに先ほど申し上げました百億円の予備金が国会を通過しておりながら、それの支出が数箇月も遅れるというに至つては、言語道断と申し上げてもよいと思います。これは当然短期融資をまつまでもなく、その予備金からして緊急な措置を行うことが、国会が承認したゆえんであつて、国家予算がありながら短期融資をまたなければならぬというのであれば、何のために国会がそれを通過させたか、何の意味もなさないことたなりますから、その点は特に御考慮願いたいと思うのであります。
  30. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほど来金の出し方につきましていろいろ御意見があつたのでありますが、私もその点に関連して、ひとり強く政府当局の方に要望申し上げたい点があるのです。と申しますのは、今橋本委員からも申されましたように、金の出し方がとても遅れているのです。これは政府の役人が頭が鈍いというのか、感じが鈍いというのか、てんで間に合わないのです。罹災地の被害者からしてみれば、何をやるにしてもすぐ先立つものは金なのです。ところがその金が来ないために、いろいろな応急の仕事ができない。この前の、六月以前の今年の災害にしましても、この間九月二日に建設委員会をやつたのですが、そのときに明らかになつたことでも、まだその金が渡つていない。これではまつたく何のための予備金だかわからないのです。いろいろ当局に説明を聞けば、どこの査定がどうの、書類がまわつて来ないからどうのこうのと言つておりますけれども、どういうややつこしい官庁の手続があるにしましても、大体被害の大要はわかつているのですから、概算拂いでもなんでもいいですから、応急にすぐ出してやつたらいいと思います。たとえば先ほどから説明を聞いておりましても、大阪なんかに運輸関係ですぐさしあたり一億、二億、あるいは三億必要だということが言われております。それを建設省河川局長の話を聞いておりますと、まず地方でまかなつておいてもらつて、大体きまつたら、こつちが出すようにしてやろうというふうなお話ですが、そんななまぬるいことではとても間に合わないと思います。どういう官庁の手続があるにしましても、大体のわくは押えることができると思います。ですから百億被害があつたとしましても、それは一ぺんに百億金がいるわけでもないでしようから、その一割なり、あるいは五分というものはやつておいても間違いないと思います。それで地方大阪府とかあるいは兵庫県とかで心配するくらいは、国庫にある予備金をさつそく応急の費用としてある程度出してやつていただきたいということを、まず第一に強く要望しておくわけであります。  それからその次にお伺いしたい点は、貧困な罹災者の救済並びにその更生についてであります。大体国が受持うまうな公共事業、道路であるとか港湾であるとか、あるいは橋梁であるとか交通機関というふうなものは、災害があつても一応まつ先に取上げられていろいろ心配してくれます。それからまた私鉄であるとかあるいは大きな会社であるとか、そういうふうなところは、先ほど銀行局長お話もありましたように、日銀から融資をしてやるとか、いろいろ一応救済の対象として取り上げられて、だれもが心配してくれるのでありますが、一番気の毒なのは非常に貧困な罹災者です。この人たちは、たとえば水浸しになつて家が流れてしまいますと、十日か二週間くらいはお寺か学校へ避難いたしまして、そうして災害救助物資をもらつたり、握り飯をもらつたりしてやつておりますが、一定期間たちますと、あとは突きつ放しであります。ところでこの人たちは銀行へ金を借りに行こうとしましても貸してくれません。それはもう信用がないから貸してくれない。そうしてその日から食うにも困る。それからまた何か仕事をやろうとしましても、バラックを建てようとしても、すぐ困るのは生業資金でありますが、そういうような点については、国庫ではおそらく何も見てくれていないというのが実情であります。災害救助法等もありまして、応急のところは多少めんどうは見ておりますが、それもほんとうに形式的でありまして、すずめの涙ほどであります。特に最近は国家が税金なんかもしぼれるだけしぼり上げまして、そうして給料は安いというので、勤労者は生活力がとことんまで行き着いておる。そういう人たちが災害にあいますと、とても再起できないというような状態であります。こういう人たちに対して一体国はどうしてくれるか。その点についてひとつ政府委員の方の、あるいは厚生省関係になるかもしれませんが、御見解を承りたいと思います。
  31. 平澤長吉

    平澤説明員 さしあたり、仰せられるごとく当面のことをいたしますが、その後における恒常的生活、そういう面に対して国はやれるだけやらなければならぬという御意見に対しては、ごもつともであると思います。当今のところでは、仰せられる通り災害救助法がありまして、私ども厚生省といたしましては、当面のことに携わつてそれを処置いたしておるのでありますが、恒常的な面におきましては、その現われた事態から、たとえば生活保護法のきめられた問題もありまして、それぞれ事後において新しくまた処置しなければならない問題が出て来るかと思うのであります。しかしながら根本の問題といたしまして、仰せられるごとく恒常的生活、いわゆる正常な生活のよりよき向上ということに対して施策がないように仰せられておりますけれども、私どもはこれらの面は決して目をおおうておるのではございません。そういう実情に対しては、私どもは十分に認識しておりまして、厚生省の方におきましては、生活保護の問題あるいは医療その他衛生の問題等についても、現在行われておりますところの制度下におきましては、それぞれ最善を翻して参りますほかに、さらにいわゆるそういう面については、社会保障の精神並びにその制度も漸次かたまつて参るような域に達しておりますので、その方向に進んで私どもは施策をいたして参りたい、こういう心がけでおりますことを申し上げておく次第であります。
  32. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 砂間君、ちよつと待つてください。農林省農地局長がやむない事情でお帰りになりたいというのですが、何か特に局長に質問はありませんか。
  33. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 農地局長に聞きたいのですが、たとえば茨城県でこの間災害がありまして、二町五箇村が全滅したのであります。これは大体農村でありますが、この農村の現場をわれわれ見て参りますと、いわゆる農地局長の方で言われる災害補償になるようなものが非常に少い。というのは救助地帯でありません関係上、堤防が切れましても、その付近の数町歩は土砂によつて災害補償の対象になるのでありますが、その他の二千何百町歩というものはいわゆる災害補償の対象にならないというような実情になつておるのであります。これらの救済というか、あるいは再起というものが大きな問題になつておるのでありますが、こういう問題をひつくるめて、何か農家の再生産に必要な資金の融通の道を考えられておられるかどうか、もちろん今回の近畿方面台風においてもこの点はあるだろうと思うのでありますが、ことに農地関係――商工関係においても、あとで銀行関係の方でお聞きしたいと思うのでございますが、農地関係において、この点については何らかの御配慮あるいは御考慮があるかどうか、お聞きしたい。
  34. 佐野憲次

    佐野説明員 お答えいたします。お話のごとく、先般の小貝川の決壊により浸水いたしました農地のごとく、これはおそらく土木災害として考えられまするものは、ごくわずかであろうと思うのであります。土木災害といたしまして補助の対象になりまする限度は、御承知のように法律でもきまつておりますので、災害復旧といたしまして現在のところこれ以上に考えるわけに参らないのでございます。お話のような点もございまするので、もしその付近におきまして、われわれの関係仕事でどうしてもやらなければならないというような仕事がございますれば、こういう地方の生活の援護の一助といたしまして、そういう仕事を優先的に取上げるというようなことも考えて参りたいと思います。われわれ農地関係といたしましては、その程度の事柄しか考えられません。小貝川の問題についてもいろいろ苦慮いたしておりますが、現在までのところ、あまり適当な仕事もなさそうであります。これは広くお考えをいただきたいと思います。
  35. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほど厚生政務次官からお話があつたのでありますが、応急の救済措置としてなべやかまをやる、あるいは毛布や乾パンをやる、あるいは衣料の給付をやるとかいうことで努力していただくのはけつこうでありますが、それも現地をまわつて見ますと、なかなか十分に行きわたつてつておらないので、なるべくそういう面も努力していただきたい。しかしそのあとで立ち直つて行くためには、やはりどうしても資金関係なんかで非常に困るわけなんです。これに対し、たとえば銀行局長さんあたりにひとつお尋ねしたいのですが、まじめに更生して行こうという罹災者に対しては、もちろんこれは担保に入れるようなものもなければ、信用もないのですが、まじめに復興して行こうといろ人に対しては、たとえば五万円とか十万円とかいうふうなものを、長期にわたつて無利息で国の方で貸してやるという措置をひとつ講じていただけないでしようか、どうですか。
  36. 舟山正吉

    舟山説明員 災害に際しまして、金融の疏通ということには十分いろいろな手段をとらなければならぬと思うのでありますが、しかしそういう普通では金が借りられないような人に対して資金を融通するということについては金融の面を離れまして、あるいは公共団体の施設あるいは財政資金による救済ということによらなければ徹底しないものであろうと思うのであります。普通の金融機関におきましては、やはり申すまでもないことでありますが、べースに乗つた金融をしなければならないということでございますので、別途国の損失補償がある、あるいは財政支出による資金を使う、こういう道がない限り、そういう普通の金融をやれない人に金融をつけて行くことはなかなか困難であろうと思うのであります。この二つをはつきりわけて対策を講じて行くべきであろうと思うのであります。
  37. 砂間一良

    ○砂間委員 その普通の金融機関で道のつくことを私、問題にしておるわけではない。これは具体的に言いますと、今度の嵐にしましても、淡路あたりの漁民などは、船も網も船部屋も、あるいは自分の家まで高潮にさらわれてしまつたという人もたくさんあるだろうと思うのであります。あるいは農家にしましても、洪水のために田地田畑、家までみんな流されてしまつた。そういう人はたくさんあると思う。そういう人が元の漁師を始める、あるいはあきない屋を始める、あるいは田圃を直すにしましても、普通のままでは国は何も見てくれないわけです。銀行に金を借りに行つても一銭も貸してくれません。しかもこういう人を生活保護法で見るといつても、ほんとうは見てくれない。また見てもらつたところが、世間からはまつたく軽蔑される。まるで慈善事業か何かみたいに見られておりますし、また生活保護法でもらつただけの金ではとても食つては行けない。まあないよりはましでありましようが、そんなものにすがるのでなく、やはりまじめに自分のもとのような仕事をやつて行きたいという人に対して、金融機関なんかでできないところを、ひとつ国の方で助けてやる、見てやるということを私は要望しておるわけです。大きなところで道路を直したり、橋を直したりということは、国なり県なりで、多少年月はかかりましても一応やつて来ておる。そのやり方も非常に不十分でありますけれどもやつているのですが、そういう対象とならない、世間の下積みにされている罹災者に対して、国が何か援助の手を差延べるような方法を政府当局に真剣に考えていただきたいということを言うておるわけなのであります。     〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 舟山正吉

    舟山説明員 漁民でも農民でも金融を受けるにつきましては、資力信用が普通の場合でも弱いのでありまして、なかなか資金を借りられない。従つてこういう場合には協同組合を組織するとか、その他の受入れ態勢をこしらえて金を借りるというようなことになるのであります。そうしてそういう場合には、たとえば農林中央金庫その他特殊のそれらの専門的な金融機関がございまして、政府はこれらに対してできるだけ資金を出すように指導もし、監督もしておるわけであります。これらの災害につきましても、そういうようなことによりましてできるだけ多くの場合が金融ベースに乗るようにそうしてまたそこには、金融機関の側におきましてもできるだけめんどうを見るように指導をして参りたいと思うのであります。これ以上になりまして、まつたく救済的なものになりますと、別途財政資金処置しなければならないということを申し上げた次第でございます。
  39. 吉川久衛

    吉川委員 銀行局長にお伺いします。農民や漁民の力の弱い者は金を借りる方法がない。そこで協同組合等をつくつて、そうして中金あたりから借りるように政府は指導し監督をしている、こうおつしやいましたが、現実に協同組合では借りる方法がないのです。どういうように御指導なさつていらつしやるか、ちよつとお教えを願いたい。
  40. 舟山正吉

    舟山説明員 漁民とか農民とかにつきまして、協同組合のことを申し上げましたのは一例でありますが、たとえば漁業につきましては、これは普通の場合でありますが、漁業手形制度が特にできておるのであります。また農民につきましても農業手形の制度ができておる。こういうふうにいたしまして資力信用の弱小なものを補強しつつ、そうしてこれに金融することが実施されておるのであります。災害の場合はこれとまつたく趣を異にいたすのでありますが、これは一例で申しましたことでありますが、こういうふうにして信用を補強して、普通の金融を受けるということを督励して行くということが必要ではないかと申し上げた次第であります。
  41. 吉川久衛

    吉川委員 銀行局長になおお伺いしますが、その手形の制度はあります。けれどもそれは生産の資材を獲得するような場合には、わずかにそういう制度が認められておりますけれども、生活資金、消費的な資金については何らの配慮がないわけであります。そういうものがなければ今の生活が成立たないというような、こういう災害をこうむつた場合に、協同組合ではこういう点について救済の方法が全然ないのです。これは一例でしようけれども、せめて一例でも何とか皆が安心できるような御指導を願わなければならぬと思いますが、どういうふうにしたらよいでしようか、その点お教えを願いたいのであります。
  42. 舟山正吉

    舟山説明員 普通の金融機関の普通の金融と申しますと、これは大衆から預金を預かりましてこれを運用するのであるから、初めから損失を覚悟して金融することはできない。こういう意味において、普通の金融にたよりまするときは、ベースに乗つた金融が受られるような態勢をつくらなければならない、こういうことを申し上げたのであります。それ以上に非常に零細資力者が不時の災害にあつて復旧困難だというような際には、主として公共団体なり、あるいは国なりの直接の施設によらなければ、今の金融機関の行き方では、普通の金融を得られないと思うのでございます。
  43. 吉川久衛

    吉川委員 抽象的なお答えで、私のお願いしているのは具体的にどういうふうな融通の方法があるかということを伺つている。銀行局長は協同組合というものを御存じないのじやないかと思います。協同組合はみんなが金を出し合つて協同組合を経営しているから、そこで組合員の預金等をその中で融通し合えるのではないかとお考えになつているのじやないかと思うのです。上からあるいはもつと系統機関、中金等から融資を受けるという道は全然ありません。政府は全然そういう指導もしておりません。そこで協同組合が自己資金をもつてやればいいじやないかということになるでしようけれども、今日の協同組合は御案内の通り、全国的に見てほとんど倒壊の危機に瀕しているのです。私は長野県の天龍川の流域に住んでおりまして、六月災害をこうむりました。そのとき資金が二十七億と決定されまして、待てど暮せど一向にまだ交付になりません。聞くところによれば(安本では申請が出ないからだめなんだ、こういうことでございますが、地元の人はそれを待つていられないのです。裏作もしなければなりません。そこで応急の措置を講じております。それらの資金は全部農協の肥料資金、秋肥の資金その他のいろいろの購買、販売の関係の資金を全部この応急の対策にたたき込んでおるのです。そうして農協そのものの運営さえもでき得ないような状態になつておる。それに対して中金から何らのめんどうもみてくれないし、つなぎ資金なんか全然見てもらえない。しかも百億というのはそういう場合にすぐ出せるようにということでとつておる百億なんです。それが待てど暮せど二箇月にも三箇月にもなるのに、びた一文も来ないという状況で、これで一体災害復旧ができるでしようか。国土の保全ができるでしようか。地元の人々はほんとうに戰々兢々です。雨のたびに眠られない思いをしておる。しかも先ほどからの各省の御説明を伺いますと、今回これほどの災害が起つているにもかかわらず、現地に大臣や次官や局長の責任ある人々が飛んで行つて、地元の人々を督励して、すみやかに調査を進めて、早く手当のできるような手配をしてやるということを私は伺いたかつた。ところがさような手配一つもできてない。不眠不休でこの災害防止のために働いている地元の人々の身になつてつてください。そういう思いやりがなければ国民は安心しておられない。政府を信頼できない。どうかひとつそういう点に深い思いをしていただくことが政治であり、行政であります。私はただいまの銀行局長の協同組合の融資についてのお考え方については、ひとつうんと御検討を願つて、今後その道から、そのルートから十分につなぎ資金なんかは出るように御配慮をお願いしておきたいと思います。
  44. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほど私の質問に対しまして、銀行局長は協同組合をつくつたり、あるいは漁業手形や農業手形もあるからというふうなお話がありましたが、そのことがうまく運営されていないということはただいま申された通りであります。たとえば民間の団体で、中小商工業者なんかは信用保証協会というようなものをつくつて、各方面から資金を出してやつておりますが、あれを持つてつても銀行は貸してくれない。実際信用保証協会に入らなくても、十分銀行から金を借りられる、そういう人は保証協会に入つていても貸してもらえますけれども、その資力のないような、ふだん銀行から見放されているような人は、信用保証協会でいくら保証するからといつても実際は何も貸してくれてない。  それから協同組合の実情は、ほかの委員からもお話があつた通りでありまして、また漁業手形や農業手形も同様です。しかし私が申しますのは、そういう協同組合も組織し得ない、それから協同組合にも入つていないそれ以下の貧乏な人があるわけです。しかもそれが自分の責任によらずして天然の災害、今度の台風みたいなああいう自然の災害のためにまつたくひどい目にあつて、そのままでは再起不能というような状態になつておる。それに対して何らか国で見てやるということは、政治をとる為政者として当然考えてやらなければならぬ問題だと思う。ふだん平常の場合におきましては、税金なんかもしぼれるだけとつて、まるで苛斂誅求をやつている。そうして一旦こういう自分の意思によらない災害なんかにひどくたたきのめされると、一週間や十日は学校やお寺で虫のわいたような乾パンなんか持つて来て、多少めんどうを見てくれたようなことはございますが、その期間が過ぎればあとはもうつつぱなしてしまつて、全然鼻もかけないというのが実情なんです。これではまつたく国家というものは吸血鬼みたいなものでありまして、血を吸い上げられるだけふだん吸い上げて、いよいよかれてしまえばあとはどうなつてもいい、こういうような結果になると思う。少くとも罹災地のほんとうの立ち上れない国民はそういう感じを持つだろうと思う。それに対して国でひとつ見てやる方法を講じていただきたい。それについて政府は何か考えがあるかどうかというのが、私の質問の趣旨なんです。一般の公共事業なんかの復興につきましては非常に不十分ではありますが、多少救済の対象に上つていろいろ論議され、われわれ国会議員が調査に行きましてもそういう施設は見て来、それからどうしなければならぬ、ああしなければならぬということも言いますが、その対象からこぼれている気の毒なたくさんの罹災した国民があるわけなんですが、そこまで目をとどかしてもらいたい。そうしてもつとあたたかい手を差延べてやつて、そうして国民が生きて行かれるように、生活が立つて行かれるような対策を、ひとつ政府当局に真剣に考えていただきたいということを、私は言うておるわけであります。この点につきまして、何か具体的な御方針があれば伺いたいし、もしなければ、そういう点について政府はひとつ今からでも真剣に緊急に考えていただきたいということを、私は強く要望しておく次第であります。
  45. 西川甚五郎

    西川説明員 先ほどから伺いますと、実に私ほんとうに災害地の深刻なることを以前から感じておりますし、今のお言葉を聞きましてごもつともだと存じます。実はこの問題につきまして、先ほども申されました六月のものもまだ出ていない、また八月のやつもまだきまつておらぬ。これはもつてのほかのことでありまして、今日まで四箇月も遅れておるということは、たいへん申訳ありません。その点につきまして、一昨日でございますか、私各省と連絡いたしまして、速急に促進するために、各省が集まつて、そうしてやろう、ここ二三日うちにやるということをきめまして、促進の委員会をつくることにいたしました。各省と連絡いたしまして二、三日中にやろうと思います。そういたしまして、早くそれを持つて参りましたならば、先ほどおつしやいますその一端に、たしかに寄與できるものと思います。また今日まで不足しております点につきましては、私も真剣に考えてみたいと思います。
  46. 高橋權六

    高橋(權)委員 私は河川、港湾関係している方面について、要望しておきたいと思います。  日本国民は非常に無意識な者が多い。平生塵埃を河川に投じている。その結果、港湾もおのずから浅くなつて来るということは、非常に微々たることであるかのようにして、大した問題であります。特に今日の大阪方面被害は、高潮のみの損害でなくて、そういうふうで、かねてあの沿岸の川が浅くなつている結果も、大いに影響しているのであります。こういうことは全国相当目撃することが多いのでありまして、河川、港湾関係する当局から、そういう塵埃を朝早く起きて、競争のように捨てているような者がありますから、こういうのは大いに私は取締る必要があろうと思いますが、当局は今後そういうものに対しては厳罰に処するお考えがあるかどうか、それをお願いしたいのであります。ただ工事云々のみ言つてつてもいけない。  第二には、ダムの建設が今後至る所にとなえられるでありましようが、流水というものは、川の沿岸に非常な力を持つてつて、年々歳々岩石もこの水勢によつて削られて、河川を深くするものである。ところが石本国の大河川を見ると、常に水力電気のために水をとられている。昔はちよつと雨が降つても、大井川は渡れないと、俗謡にまであつたように、水が多かつたときは非常に河底が深かかつたのである。そういうようにして、常に水を流さないということは、よほど考えなければならぬことである。河川を平生において、時には浚渫されているようなことも見受けるが、今少しく大々的にやつておく必要がある。そういうことにすれば、相当量の雨量があつても、ただちに田畑を荒すようなことも少くなると思うが、そういう点に今後意を用いられるかということであります。その次には、これはやはりいつも損害を受けている、先日から当局にお願しましたことに対して、当局の答弁は筑後川の沿岸であつて、城島野方面、つくり酒屋の多いところの方面の排水のことのみに頭を用いているようである。私が先日から申し上げた通りに、海面に一刻も早く放水するということは、その沿岸をして安心せしめることになるのである。紆余曲折して洪水を防ぐ方法もあるが、直流さして洪水を防ぐ方法もあるのであります。私が先日からお願いいたしましたのは、六五郎橋というものが設けられているのでありますが、その方面に流すように、われわれは昭和十二年の県会議員当時その方法をお願いし、それに要するところの土砂も十分に用意してあるのであります。それがまだまだあくまで紆余曲折さして城島の方面に流れるようにしている。それよりもそういう六五郎橋の方に直流さして、一刻も早く海に流す、有明海方面に流すということを、あまり当局では好んでいないような御答弁があつたのであります。これが直流すれば、城島のその紆余曲折している方面に大量の水が流れないために、排水も楽になるということは、常識からわかつているのであります。こういういつも水害に見舞われるところの筑後川の流域のごときも、一つの例である。私はあながち一箇所を言うのではない。そういうところがあつたならば、でき得る限り注意していただきたい。特にこの筑後川の直流についてはお願いしておくのであります。あながち高等数学を知つている者のみが偉いのではない。先日も申し上げたが、加藤清正は小学校を卒業していないけれども、あの地震でもびくともしないところの、りつぱな築城をやつている。熊本も同じである。加藤清正は、流水を緩にしなければならないということで、わざわざ紆余曲折するようにした。その川をこのごろのなまいきな技官たちが、まつすぐに水を流すようにしたから、熊本はいつも大水に見舞つてもらつている実情にあるのであります。こういうことは、ただ談笑裡にすべきことでない。真剣に私は考えてもらいたい。そういうことをお願いすると同時に、洪水の際に一日も早く出張命令さして、このくらいの水量のときにはこのあたりが打撃を受ける、このくらいの水勢になつたらこの方面が非常な水の力を加えられているということを知つて、そうしてまつすぐにする場合もあり、曲折させる場合もある。こういうことは実際の問題として考えなければならないことであります。そういうことに御留意してもらいたい。  もう一つは何であるかというと、工事請負であります。アメリカから来ている将校が言つておりました。このごろは少しよくなつたけれども、日本に参つた当時は、請負工事をかりに千万円で請負わせると、ある大きな土建屋は千万円で請負つて、次の人間が八百万円で請負つているというようにして、五、六段ぐらいにずつと下請々々とやる。そのために一番下のものは五、六百万円になる。あまりもうからないからというので、優遇されないから人夫たちは青空を見て寝ている。その結果請負期限よりも遅れる、そういうことになる。ところがアメリカあたりにも下請はあるけれども、一つくらいしかない。ただ大きな土建屋が請負つたならば、その下の請負人くらいが請負つておる。そうして期限より厚くするか、期限通りにきちつとやる。もし期限より遅れたならば、今度は政府当局が請負人かち罰金を一日幾らといつてとるようにしておる。そういうような方法を今後建設省あたりでも考えられるかどうか。これは今日非常に日本国民の道徳がすたつておる場合に、私は道徳教育上からでも必要なことだと思うものであります。  もう一つは、今まで他委員から質疑応答されておるのに、百億円の金のためにその出し方が遅いとか早いとかいうようなことを言つておる。私は今日ただちにその百億円以上の金がとれる方法をここに考えておるのである。何であるかというと、今日官公吏の人も、ちよつとした人でも、やみタバコをたくさん吸つておる。やみタバコのために百五十億くらいの脱税はらくにやつておるということは、私は当局方面が詳しいと思うのであります。今日このやみタバコをより以上に取締つて、そういう金を災害対策費用に用いることができはしないかと思うのであります。子供に至るまで、やみタバコを堂々と吸つておる人がたくさんある。しかもこの院内においても吸つておる。先日私はタバコ専売公社のある出張所の祝賀式に行つたとき、その祝賀式の場所においてもやみタバコを堂堂と芸者にやつておる者があるから、それを私はふんだくつた。そこで高橋代議士からなぐられるか、告訴されるかと思つて青くなつておつたが、そういうことはしないけれども、しかも専売公社の関係の祝賀式においてそういうものを見るということは、私ははなはだけしからぬと思う。今後はやみタバコを吸つておる者は、子供でもいいから、ただちにこれを届けた者には報奨をやつて、一割やつても大したものだ、百五十億円も、より以上の脱税があるというならば、このやみタバコを防止するということ。それから私らも関係しておりますけれども、どぶろくをつくつて飲んでおるような者は厳罰に処して、営業不振のために納税の義務を盡すことのできないものを、極端なる差押えをしてとるよりも、こういう横着なる人間に対してこそ、堂々と法律を設けて、そうして脱税の現行犯を押えて、幾倍でもよいところの徴税をして、そういう費用をこういう災露地の費用に使つたならば、百億円をことしも来年も議するよりも、私は楽だということを常に考えておるのであります。そうすると、ただこの百億円の災害対策費用に用いるのみならず、働かないで金をとつておるやつは別であるけれども、まじめに働く官公吏の賃金ベースも上げられると私は考えておるのであります。私はその点について当局から、いかなるお考えがあるか、簡単でもいいから、ちよつと答弁をお願いしたいのであります。
  47. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 高橋君にお答え申し上げます。塵芥を運河にどんどん捨てる、そして運河の効用を減殺するということについては、もしそういう事実があるとすれば、私どももあなたと同様でありまして、非常に遺憾に存じます。これは衛生関係からする多分軽犯罪法というようなものに触れるのではないか。一面浚渫をしながら、一面塵芥をどんどん捨てたのでは、何にもなりませんから、あなたの御意見ごもつともであります。これから気をつけてどしどし取締まりの方も要請しますし、善処して参りたいと思つております。  それからダムは洪水統制に非常に効果がある。これは私も全然あなたと同感でございまして、方々に堰堤をつくるのも、一応そこに河水をプールいたしておきまして、そうして徐々に流すことによつて洪水による害を未然に防ぐ、これは相当金もかかりますが、現在河川改修費、あるいは見返り資金によつて方々にダムをつくり、また一面電源の開発にも資する、こういうようなことを努めておる次第であります。現に方々に実施中でございます。  それから筑後川を紆余曲折がよろしいか、ショートカットがよろしいか、これについてはおそらく技術当局が水勢というものを科学的に検討した結果あの計画ができましで、その計画にのつとつてつておることとは思いますが、その具体的なことはよく存じませんから、後刻河川局長から御答弁申し上げます。  それから請負関係の下請があまり多いということは、工事がずさんになる。これもあなたと全然同感でございます。いやしくも本人が落札したからには、本人がとことんまで責任をもつて工事を完遂すべきものである。それを下に流す。さらに下に流すというようなことになれば、勢い無責任な工事になりかねないのであります。どういう状況か私はつきりこまかいことは存じませんが、あまり下請がないように建設省は従来努めておる次第であります。  それからなお吉川さんにお答え申し上げます。先だつてきまりました二十七億はそれぞれ工事が認証されるに従いまして現に金を流しております。それからこれくらい長野県へ行く――長野県へ三億一千万円、すでに公文で通達いたしておりますし、各府県にもそれぞれ通達をいたしております。そこで安本で一つ一つ工事を認証いたしますが、認証済み次第どしどし金は渡しておりますから、この点御了解を得たいと思つております。それから大阪の風水害は、これは衷心より御同情にたえない次第でありまして、政府といたしましては遅滞なく措置をとつたつもりでございます。すなわち私は四日の晩に夜行で参りまして、きのうと、おとといと現地において、府あるいは市の当局、あるいは県の当局とそれぞれ相談いたしまして大綱ではございますが、善後策を講じて参りました。なおただいま御質問にもありました金融措置その他――大阪はほとんど風水震災とも申すべき大災害でございまして、これは従来の公共事業の復旧というようなことだけではいけません。中小企業が軒並生産設備がやられております。非常に同情にたえません。また特需物資等の発注を受けて喜んでおつた中小工場も大工場も操業ができない。それは何ゆえかと申しますと、工作機械なり生産設備が浸水している。今罹災者四十万とか五十万とか言つておりますが、軽微な罹災者まで加えれば、関西地方の全住民は罹災者であると申してもさしつかえない次第でありまして、そこで災害復旧等、ことに住宅や工場施設等の復旧で従来法律にない部分についてはどんな措置をするとか、従来の例がないとか、あるいはわくがないとかいうことを離れまして考えたい。すなわち従来の例なり、わくにない災害が起きたのですから、その災害に対する善後策というものは、従来例がないからといつて災害自身がわくにない災害であるから、これはできる限りわれわれは努力をいたしたい、こういうわけで、きようも結果を閣議に報告いたしまして、またこの政府の背景である與党の自由党の総務会においても報告いたしまして、政府におきましては官房長官を会長とする臨時関西災害対策協議会というものをつくりまして、各省次官、政務次官、その他関係責任官吏を時々招集いたしまして、連日にわたつて善後策を講ずることにいたした次第であります。党のことは省略いたしますが、われわれといたしましては、総理も非常に心配をいたしておりますし、災害の対象はすべてどの省も関係のない省がないというくらいの広範囲にわたる災害でありますから、各国務大臣力を合せまして、罹災民各位の御期待に必ず沿うということで、これから一生懸命努力するつもりでございますし、現にいたしておりますから、どうぞ御了承を得たいと思います。
  48. 西川甚五郎

    西川説明員 お答えいたします。進駐軍のタバコの問題でございますが、御存じの通り、今から二週間ほど前に全国に通達をいたしまして取締らせたのでございます。その結果たいへんタバコを表向きに吸うような者がないような程度になつておりますが、これは悪く言えば、ちようどはえを追うようなものでありまして、この点については今後ますます何回も重ねまして取締りをして行けば、仰せの通りこの税の増収の方へ寄與するのではないかと考えております。
  49. 目黒清雄

    目黒説明員 筑後川の河川改修の方針の問題でございますが、一般的に河川改修と申し上げまするのは、いろいろ技術的の研究が必要でありまするが、それと同時に、河川そのものが地方によりましていろいろ状態がかわつておりますので、地方的ないろいろのフアクターをそこに入れて考えなくちやならぬ、われわれの方では河川は生きものと称しておりますが、その通りでありますので、地方の古老の意見を相当参酌しなければならぬのであります。そういうわけで、たとえば筑後川の問題がシヨート・カットがいいという御意向がありますれば、われわれもこれを研究してみたいと考えておりますが、ただいまのところは、現地の方からその話がまだ出て参つておりません。まだわれわれの研究の課題にもなつておりません。それでそういう意見を今後どしどしお申越し願いますれば、われわれの研究の対象といたしたいと考えております。
  50. 高橋權六

    高橋(權)委員 先ほどの河川の問題でありますが、表面は十数箇町村が同意して直流することを望んでおつたが、先ほど申し上げた酒の産地の城島あたりが盛んにまた裏面から反対しているということが私の耳には入つております。私の耳は地獄耳だから聞きのがすことはない。それはそうとしましても、この六五郎橋ができたばかりでも非常に流水に影響しておることを私は知つている。まして堤防を築いて直流させるか、今のままにうつちやらかすかということについては、局長さん初め専門家の方はよくわかつておられると思います。私近いうちにその問題をお願いに参るつもりであります。また多数地元民は要望しております。ぜひともそういうふうにはからつていただきたいと思います。それからもう一つ今大蔵当局から御丁寧な答弁がありましたが、まだまだ私の見るところでは、議院内でも販売されておるのではないかと思う。私は報酬をもらわぬでもよいから、これから吸つている者は片つぱしからくくりつけてひつぱり出してやろうと思う。また子供にもそういう奨励をしようと思う。子供でも正義をとなえるやつは奨励すべきものだ、道義心の高揚ということにもなり、同時に当局においては百五十億円を越すとも、それより少くはならないというが、あながちアメリカ・タバコばかりではない、アメリカ・タバコならばラツキーとかモーリスとかいろいろありますが、そういうものばかりでなく、支那方面でできたものもあるかもしれない。それから国内においても不潔きわまるのは、落ちたものを拾つて浅草あたりへ持つてつて、これを再製して売つているばか者がおる。それをまた買つて吸うばか者がおる。タバコを吸う者はよほど頭が悪い。しかし大蔵政務次官はさすがに偉い、光か何か吸つておられる。口に正論をとなえ、国民の師表となる者はそういうことこそ私は一番大切だと思うのであります。どうかそういう点に留意されて、どぶろくも取締つて税金でも安くして、どうせやみで売つている米があるのであるから、それだけ多く清酒をつくらして、そういうふうにして脱税を防止する、脱税がなくなればより以上にタバコの税金がふえてその方面からは百億円も二百億円も災害のために出せると私は確信しているのでありますから、私はそういう点に留意してもらいたい。  先ほど建設大臣はダムをつくるのがよいというような御答弁であつたが、ダムをつくるのもよいけれども、私はあまりダムダムと言つて、ダムをつくるために河川に流れる水が中断されるために、洪水のたびに土砂が流されて河川が浅くなつている。きから浚渫をするとともに、流水ということに意を用いるようにして、今後私はむちやくちやにダムをつくることをやめてもらいたい。この点が建設大臣と私とのはなはだ相違している点であります。それをちよつと申し上げておきます。
  51. 久野忠治

    ○久野委員 安本長官にお尋ねいたしたいと思います。八月三十一日の先回の災害対策委員会においても、相当われわれ委員が共同いたしまして、安本当局にも要望いたした問題があるのであります。それは御承知通り災害対策委員会を開きまするたびごとに、年年累増しまする災害について各種の論議がなされ、それについての被害状況が逐一報告されておるのであります。ところがわれわれが考えますに、こうした累増されておりまする災害復旧するということも、もちろん緊急要事であろうと思う。しかしながらこれらの災害を未然に防止する、すなわちこの災害が起るであろうと予定されておる地域に、未然に防除施設を講ずることこそ、私は災害を防ぐ唯一の道であろうと思うのであります。そこで私のお話申し上げることは、災害復旧費と並行して、すなわち防災的な事業費を大幅に増額して、こうした事業を推進することが将来における災害を防ぐ唯一の道であろうと思うのであります。ところが最近安定本部あるいは大蔵省あたりから、各種の内示案等が示されておるようでありますが、それらによつて私推測いたしまするに、これらの防災的な処置といいますか、防災的な事業費というものが、相当われわれの意向に反しているように思うのであります。さいわいに今日は大蔵当局、あるいは建設大臣、あるいは安本長官もおいでになりますので、この三相に特に強く要望いたしたいことはこの点であります。地方に参りますと――ここにも陳情の方がたくさんおいでになりますが、われわれの県の立場から見ましても、中小河川改良事業費というものは、特定の河川にのみ運営されておるものでありまして、この中小河川を除いた他の四千数百河川に上る重要河川というものは、すべて従来防災事業費による改良事業によつてこれが対策が講じられておつたのであります。すなわち四千河川からのこれらの小河川が、わずかな五十万円か、百万円の少額な費用によつて改修され、また一部改良が行われることによつて、私は相当程度災害が未然に防止されておつたと思うのであります。直轄河川を改修することもけつこうだと思います。中小河川を改修することもまことにけつこうだと思いますが、さらに重要なことは、その上流地域、あるいはこの中小河川を除いた小さな河川を一つずつ改良して行くことがすなわち将来災害を防ぐ道ではないかと思うのであります。ところがこれらの中小河川から除かれた準用河川の改良費が相当程度大幅にわれわれの要求と食い違つておるように思いますので、その点いかなる御見解を安本長官はお持ちになつておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  52. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お答えをいたします。ただいまのお話はまつたく同感であります。今日の日本の状態は、積極的に資本の蓄積をなすことの必要なときに到達しております。いわんや蓄積されておる過去の資本、国土が減損破壊されて行くことを未然に防止する施設こそ急務中の急務と考えるのであります。従つて私どもは、ただいま予算編成に当つて、その観点から予算相当大幅な増額を計画しておるのでありまして、目下財政当局と折衝中であります。その中におきまして、お話のように河川については河川の上流、渓流砂防、今日かく荒れておる、山の濫伐されておる状況従つてそれから起る渓流の土砂を流しておる状況、この荒れておる状況に対して段階的に砂防堰堤をつくることはもちろん、また水に対して、先ほど建設大臣がお話申し上げたように、ダムをつくつて河川に対する抵抗を少くしつつ、かつ用排水に関する水の調節をするというかつこうに向つて、山及び川、上流、下流一貫しまして各種の施設を講じたいと目下予算の増額を要求中であります。
  53. 久野忠治

    ○久野委員 ただいま安定本部長官よりまことに懇切なるお答えを得まして、私まことにありがたい仕合せに存じまするけれども、なおその言葉が真に裏づけされるがごとき予算を御計上いただかんことをお願い申し上げたいのであります。ただいま建設大臣殿より関西の災害実情についての御報告がありましたが、今回の関西地方を襲いました台風による被害は、特に大阪市などから考えましても、高潮による災害であつたやに聞いております。防潮堤を築造する、すなわち高潮による波よけをつくることによつて、私はこの災害が防ぎ得たと思う。私の方でも海岸地帯に防潮堤のあつた箇所と、なかつた箇所とは画然と区別がついております。実りの秋に達せんとしておりまする田の中に潮水が流れ込んで、何十町歩という田畑が赤くなつております。こういう意味合いから行きましても、あくまでも防潮堤の築造ということは緊急要事だと思います。そういう意味合いから、安本長官のただいまの御意見には私満幅の敬意を表しますけれども、どうかそのお言葉の通り、真にわれわれの期待するがごとき対策を講じていただきたい。これを切望いたしまして私の意見を終りたいと思いますが、委員長殿に一言お尋ねをいたします。先回の八月三十一日の災害対策委員会の席上、この防災事業費の増額について委員が一致して要望いたしましたことを、委員長が取上げられまして、委員長の責任において関係当局と折衝するということで散会いたしましたが、関係当局とのその後の折衝の経緯、またいかなる経過をたどつておられるかを一言お答えいただきたいと思います。
  54. 松井豊吉

    ○松井委員長 お答えいたします。あの翌日建設、農林、安本当局に参りましたが、安本長官はちようどお留守でございましたので、次官に会いまして、それぞれ委員会の空気要望についてお願いをいたしたのでありますが、いずれも私たちの要望する点に一致をした次第であります。なお続いて予算の増額については努力をいたしております。
  55. 久野忠治

    ○久野委員 ただいま委員長のお言葉も、安本長官のお言葉と同様まことに私は敬意を表します。しかし夢物語りに終らぬようにお願いをいたします。  地方においては特に災害防除事業費というものを要望しており、輿論がもうそこに一致して来ておるので、むしろ厖大な災害補助費等の一部を削つてでもこれに充てることが、すなわち将来の災害を百分の一あるいは十分の一にし得ると思う。一箇所決壊いたしまして百万円の損害があるといたします。ところが事前に防除施設を講ずればおそらく百分の一で済むと思う。そうした意味合いから、あくまでも災害復旧費と災害防除費とは並行して、同じような重要度において予算措置を講じていただくことが、すなわち将来の災害を絶無とするゆえんである、かように私は考えますので、その点建設大臣もここにおいでになり、あるいは大蔵当局の方もおいでになりますから、どうかぜひその点に留意されて、御配慮をいただきたいと思うのであります。
  56. 志田義信

    ○志田委員 大分各委員から御質問がありましたので、私は簡単に二、三の点につきまして、建設大臣並びに大蔵政務次官にお尋ね申し上げます。  まず第一番に、先ほど大蔵省銀行局長から預金部の資金でつなぎ資金その他を出しているという話がありましたし、あるいは大阪では地方費で一時まかなうというようなお話もありましたが、地方費でまかなうというような事態が出て参ります場合におきましては、この緊急災害に付属いたしまして、特殊な財政需要が出て来るが、地方団体としては非常にたえがたいものがあるではないかと思うのであります。さような場合におきまして、地方公共団体といたしましては、この金のない現状におきまして、さらに他の必要なる資金をこれに使わなければならぬというような見地から、他の仕事にさしつかえを来し、地方起債による以外方法がないという場合も生ずると思うのであります。従前の経緯にかんがみますると、地方公共団体から申請いたしまする起債は、申請額と承認額との間に非常な食い違いがあります。この点に対して何らかお考えがあれば承りたいと思います。  いま一つは、せつかく建設大臣がお見えになつておりますのでお尋ね申し上げます。大臣が早急にこのたび大阪方面に御出向遊ばされまして現地をごらんくださいましたことは、感謝にたえません。そこで、大臣は車中の記者団会見におきまして、今回の災害等を考慮した場合に、災害復旧金庫を創設することが必要であると申されておるようでありますが、災害復旧金庫の構成内容についてお漏らし願えればたいへん仕合せと存ずるのでございます。  さらに、これも建設大臣あるいは建設省の方でけつこうでありますが、最近私が北海道及び東北の災害を順次視察して参りましたときの各県道の関係官からの陳情は、一に金、二に建設省災害工事に対する監督その他につきまして、非常に煩瑣な状態が申し述べられておる。かような緊急災害の場合におきましては、早く工事を行うということが、拙速をとうとぶという意味におきましても、私は必要でなかろうかと思いますので、いろいろと建設省から係官が出て行きまして、二度も三度も設計について現地を見て協議をするということでなく、取急いで概算拂いまでするという情勢でありますならば、設計協議でもつてこの工事を施行するというお考えがあるかないか、その点についてお尋ね申し上げておきます。
  57. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 志田委員にお答え申し上げます。まず起債の問題でありますが、これは地方自治庁の主管ではないかと思いますが、政府の閣僚の一人として私はこういうことを考えております。もし中央から国庫補助ないし全額負担の立てかえができないならば――また府県費支弁という拂いも相当あるわけでありますから、現在でも十五万円以下は府県費支弁あるいは市町村支弁であります。そういうものに対しては起債は優先的に許してほしい、あらゆるものに先行すべきものである。何もほかにむだに使おうというのじやないのですから、災害復旧したい、しかも元々にするというだけで、改修したいというわけではないのでありますから、これは起債としては大蔵省といわず、地方自治庁といわず、関係方面におかれましでも優先的に取扱つていただきたいものである、このことを私は強く考えております。  それからなお土木関係について、査定その他を煩瑣にしないこと、迅速にやること、これは従来も気をつけておりますが、御意見ごもつともでございますから、将来も特に気をつけて参りたい。但し事業々々が一つ一つ経済安定本部の認証を得るといつたような関係もあり、かたがた各省があちこち判をもらわなければならぬところが多いというような関係で、結局時間を食つておることと思います。これらの手続も将来はできるだけ簡単にやります。設計協議というような専門語は私は存じませんが、そういうようなことはあとで政府委員からお答えいたします。  それから災害復興金融金庫、これはシヤウプさんの報告書に書いてあるわけでございまして、できれば私どもは建設もすると同時に――市町村税制体系、府県税制体系も非常に改まりましたが、それと同時にシヤウプさんがせつかく推薦されたようなことは、リコメンデーシヨンの一つでございますから、ぜひとも実現してほしいというくらいな漠然とした考えでありまして、具体的な考えはまだ持つておりませんが、向うに参りまして、あるいは住宅関係の資金を融通してほしい、あるいは生産設備の復元に資金をぜひ必要とするというような強い陳情を受けまして、いよいよその必要性を痛感いたした次第でございまして、今度政府におきましても、せつかく災害対策協議会を開くのでありますから、その際にも具体的に考えてもらいたい。どろぼうを見てなわをなうというような行き方でありますが、これから考えたい、こう正直にお答え申し上げる次第であります。
  58. 西川甚五郎

    西川説明員 地方債の問題でありますが、本年度は三百七十億でありまして、預金部の金も相当余裕があります。しかしながら関係当局とたびたび折衝いたしておりまして、でき得るだけのわくを広げて行くというので今日までやつてつております。金融面と財政面との関係で一応問題になつておるようでありますが、でき得るだけ努力いたしましてわくを拡大して参りたいと存じております。
  59. 目黒清雄

    目黒説明員 災害査定簡素化の問題でありますが、これはわれわれとしても常に考えております。ただいまのお話の設計協議というようなことでありますが、設計協議といいまするのは、結果においては地方庁が災害の折設計をつくりまして、こちらに持つて来て協議するということに相なると思います。大阪のような大災害が起りましたときには、おそらく設計をやつておるひまがないと思います。現地においては、その善後措置に忙殺されておりまして、正確な設計をつくるまでには相当落ちつかなければならぬということの関係上、相当設計をつくるのに手間どる関係もありまするので、かえつてわれわれの方から現地に出向いて行つて設計を先に指示した方が、かえつて早道ではないか、こういう意味で現地に参つております。時間的にもこれが一番早い道かと考えております。あるいは他に適当な方法がありますれば、いい方法にかえてもさしつかえないと考えております。
  60. 志田義信

    ○志田委員 現地においでくだすつて見ることが一番早い、それは文字通りその通りなのであります。百聞一見にしかずということもありますから、ごらんくださることは非常にけつこうなことであります。それは道府県においても非常にお待ち申し上げておるのではありまするし、それまでは非常にけつこうなのであります。ところが一回が三回、二回が三回、数回に及んで前に建設省の技官の方が来て決定いたした設計すらも、そのあとから来て変更するというような事態がありまして、融雪災害が今日なお直らないという状態にある。それが根本になりましてこのたびのような災害になるということは、大阪方面はとにかくといたしまして、東北方面災害には非常にそれが多いのであります。従いまして、現地に来て百聞は一見にしかずで、間髪を入れざる御指示をいただくことはけつこうでありますが、それがダブつたり、ダブル上にもつてつて、前の現地監査のためにおいでくださつた方の承認を得たことがひつくり返ることのないように、建設省としてはひとつ今後お考え願いたいと思います。  それから今大蔵次官から、わくを広げるとかひろげないとかいう問題が地方起債の問題についてありましたが、わくを広げる広げないというよりも、申請額と承認額との間にあまりに隔たりがあるのではないかということを私お尋ね申し上げたのであります。地方自治体が地方自治庁に対してお願いしましても、地方自治庁がほとんどそれを承認して大蔵省にまわしておるにかかわらず、大蔵省査定が非常に厳格をきわめまして、地方自治庁の承認いたした地方自治体の申請額に対して大蔵省の承認額は非常に少いという点を指摘申し上げたのであります。もし先ほどの、預金部資金によつてつなぎ資金等は出すというような地方公共団体に対する御理解ある御尽力を賜わるということでありまするならば、財政資金の面から行きましても、郵便貯金等は千百七十六億もありまして、これは八割八分くらいの資金の状況になつておるのでありまするから、もう少しその点を勘案しまして、申請額に近いものを出すようにお考え願いたい、この点をお尋ね申しておるのであります。
  61. 西川甚五郎

    西川説明員 お言葉を返すようでございますが、その差額があるということはないと思います。三百七十億のわくを決定いたしておりますが、そのうち地方自治委員会大蔵省の間に開きができておるということはないと存じます。
  62. 松井豊吉

    ○松井委員長 この際お諮りいたしますが、本委員会におきましては、前会において各地方災害状況について派遣委員より御報告を聽取し、また本日は今次のジエーン台風による被害状況について説明を聴取いたしたのでありますが、その被害は想像以上のものがありますので、本委員会としては、政府当局に善処方を要望するため、災害復旧に関する決議をいたしたいと考えますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 松井豊吉

    ○松井委員長 それではその案文を朗読いたします。    災害復旧に関する件  近時我が国においては、国土の荒廃甚しく、台風その他災害による被害は終戦後の国家並びに地方財政のひつ迫による災害復旧事業の不完全と相俟つて、逐年累増せられる状況であり、洵に寒心に堪えない。  而して本年に入るや、つとにフロシー、グレース等の相つぐ台風並びに豪雨により甚大なる被害を蒙つたのであるが、更に今次のジエーン台風は、四国近畿地方等に職後最大と看做される被害を及ぼし、漸く安定しつつある我が国経済及び民生に及ぼす影響は量りしれないものがあり、今にして抜本塞源的対策を講ぜざれば、我が国は更に疲弊の度を加え、遂に災害亡国の運命にたちいたるであろう。  よつて政府はこれに留意し、災害地に対しては、可及的速かに適宜なる措置を講ずるとともに、明年度の予算編成にあたつては、災害関係公共事業費の大幅なる増額を図り、以て国土の保全に万遺憾なきを期すべきである。御異議ないでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 松井豊吉

    ○松井委員長 御異議がなければただいまの案文通り決定することにいたします。  なお関係政府当局に対する手続に関しては委員長に御一任願いたいと思います。
  65. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ただいまの災害対策特別委員会の決議はつつしんで拝聴いたしました。まことにごもつともな内容でございまして、先ほど久野さんからも御質問がありましたが、結局従来の災害対策というものは、一文惜しみの百知らずという結果になつておると思います。西洋にもそういうようなことわざがありまして、まことに一文を惜しむために百の損害がある。今度も防波堤、防潮堤がもし完全であつたならば――おそらく大阪府市一千億円の損害兵庫県は四百億円、和歌山県百億円、滋賀県三十二億円、京都府三十五億円、福井県三十三億円というように、私現地に参りましでそれぞれ現地府県知事に集まつてもらいまして、集計を得た災害額であります。石川県知事は私のところに参りませんで、石川県からは報告が参つておりませんが、おそらくそれくらいのものであろう、愛知県、岐阜県等もそれに次ぐ額でございます。徳島県は和歌山県ぐらいであろうと思います。そういたしますと千八百億ないし二千億の災害でございます。そのうち大阪府のごときは、もの防潮堤が完全であつたならば、従来土木災害の三倍ぐらいがその府県全体の災害と言われておりますが、今回の大阪府の土木災害は大体百億円でありまして、三百億円ぐらいにとどまるであろう、こういうのが普通府県災害でありますが、大阪府は市街地でありまして、しかも日本経済の中心とも申すべき重要工業施設のたくさんあるところでございます。これらの大中小企業設備は軒並すべて参つております。隣の尼ケ崎もまた大阪に類似した市街地を形成しておりまして、大阪の縮図とも申すべき重要な産業工業地帯でありまして、これも大阪と同様に、比率としてはあるいはもつとひどいのではないか。尼ヶ崎市は二百億円の損害といわれております。これも防潮堤に数百億の金をかけておつたならばあれほどの損害はなかつたろうと思います。ことに、昭和九年よりは今度は波の状況はひどくなかつたのでありますが、しかしながら地面低下が昭和九年よりも二メートル低下しております。従つて災害は、この前よりも人命の関係は少うございましたが、損害額はこの前より多い。しかもまだ減水しておりません。此花区等は減水するのは、おそらく四十五日ないし二月を要する。すなわち、海面下の市街地をつくつておるからであります。海面下の市街地をつくるならば、防潮堤を完全にしておいて市街地をつくるべきである。ちようど河床よりも下に農耕地がある場合は、これは当然川の堤防をつくつてからでなくては、河床より下に農耕地はつくれませんが、それ以上に必要であるにもかかわらず閑却されておる。頼みがたきを頼みとして、多分来ないであろうといつたようなことであつたと思いますが、府県においても、あるいは国においても非常に責任を私ども痛感いたしております。将来一文惜しみの百知らずにならぬように、特に気をつけたいと思います。この御決議の御趣旨はまことにごもつともでございます。どうか委員の皆様におかれまして、この上とも私どもに御協力、御鞭撻を賜わらんことをひとえにお願い申し上げます。
  66. 松井豊吉

    ○松井委員長 他に御質疑はありませんか。
  67. 石井繁丸

    石井委員 今度の災害は京阪神中心に起りましたが、こういうふうに政治経済の中心地に起りますと、とかくその近郊というものは閑却されるようなことになります。特に今度は農村方面被害は新聞等にも比較的扱われないで、工場建物等が多いのでありますが、農村方面被害についての対策はどうなつているか、お伺いしたいと思います。  なお京阪神方面中心として起つたので、災害対策も京阪神を中心としての委員会をつくるというふうに慰設委員長からのお話があつたようでありますが、石川県等はただいまの建設大臣のお話だと非常に大きな損害であつて、特に水稻方面被害等も多く、また一昨年の福井震災のあとで建物がバラック建が多いということで、建物の被害も非常に多いということになつております。そこで京阪神に対する災害対策の中に、やはり石川県をも一緒に含めて十分な御対策を願いたいと思いますが、この点につきましてはいかがになつておりますか、ちよつとお尋ねしたいと思います。
  68. 藤田巖

    藤田説明員 農村方面被害は、近畿地区に劣らず北陸方面相当大きい被害のようであります。われわれといたしましては、もちろん現在調査をいたしておりますが、至急調査を完了いたしまして、適当なる措置をすみやかにとつて参りたいと思つております。
  69. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 石川県からも報告が参つております。それから私どもの主管に関する公共土木事業関係相当要求しておりますから、これは現地に至急査定官を派遣いたしまして――現に今日派遣いたしましたから、適切なる措置を講じて御期待に沿いたいと思つております。
  70. 松井豊吉

    ○松井委員長 それでは速記をとめてください。     〔速記中止〕
  71. 松井豊吉

    ○松井委員長 速記を始めてください。  それでは次回は公報をもつて御通知申し上げることにして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時十四分散会