運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-08-31 第8回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年八月三十一日(木曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長 松井 豊吉君    理事 飯塚 定輔君 理事 小淵 光平君    理事 吉川 久衛君 理事 青野 武一君    理事 池田 峯雄君       青柳 一雄君    奧村又十郎君       川端 佳夫君    久野 忠治君       塩田賀四郎君    高橋 權六君       仲内 憲治君    永井 英修君       野村專太郎君    金塚  孝君       笹森 順造君    床次 徳二君       石井 繁丸君    前田 種男君       木村  榮君    砂間 一良君       石野 久男君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 黒川 武雄君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局災害復         旧課長)    川名 進一君         建設政務次官  渡邊 良夫君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         経済安定事務官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君         経済安定事務官 石田 政夫君     ————————————— 七月三十一日  災害地対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  派遣委員より報告聽取の件  災害対策に関する件     —————————————
  2. 松井豊吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  本委員会におきましては災害調査のため、議長承認を得て委員を派遣したのでありますが、各班とも調査を終りましたので、これよりまず派遣委員より報告を徴します。次に政府当局に質疑を行いたいと思います。  なおこの際御報告申し上げますが、八月初旬に東北地方を襲いました豪雨による被害状況調査のため、緊急委員を派遣する必要が起りましたので、閉会委員を派遣する必要があるときは委員長に一任することになつておりましたので、委員長よりただちに手続をとりまして、東北班を編成いたしましたのでその点御報告申し上げます。     —————————————
  3. 松井豊吉

    松井委員長 それでは、これより派遣委員より報告を徴することにいたします。  まず第一班よりお願いすることにいたしますが、第一班は私も参加いたしましたので、私より報告いたします。第一班の調査の結果を概略御説明申し上げます。  災害対策特別委員会派遣委員第一班、すなわち黒澤富次郎君、橋本登美三郎君、池田峯雄君及び私の四委員は、八月四日委員派遣を議長に承認されましたので、関東、信越地方豪雨による災害状況調査のため、八月十二日の朝上野を出発いたしまして、ただちに茨城県の観察を開始し、それから四日間、連日早朝より日暮れに至るまで視察を行つたのであります。次いで長野県を八月十六日から四日間にわたり視察をし、八月十九日に調査終つた次第であります。その間両県の関係各位の熱意ある協力により、かなり詳細な調査もでき、資するところすこぶる大なるものがあつたのでありますが、何分限られた日数等のために、全被害箇所を見ることはできませんでしたが、その被害は予想よりもはるかに甚大で、六月及び八月の豪雨による水害によつて倒壊、流失、浸水等罹災家屋河川橋梁、道路、砂防施設、港湾、漁船、漁具等に甚大なる被害を受け、農地の冠水による農作物の莫大なる減收が予想されます。被害額は、茨城県においては七十四億一千六百余万円、長野県においては五十七億余万円の巨額に達し、各県とも九月の雨期を眼前に控えて、これが復旧に鋭意努力しているのでありますが、遺憾ながら現在の窮乏せる地方財政では、とうていこれが完全復旧を望み得ないという実情であります。この視察中、被害状況説明聽取は二十五回に及び、視察箇所は五十余を数えましたが、これを詳細御報告申し上げることも、時間的に制限もあり、困難でありますがゆえに、被害状況を県別に概要申し上げることにいたしますが、これら一部の被害状況から推察しても、六月、八月の豪雨による被害がいかに甚大であつたかを容易に御推察願えることと考えます。  まず茨城県について申し上げます。本年六月初旬から中旬にかけて、連続梅雨型豪雨が本県並びに水源地帯である栃木、群馬に多量降り続き、遂に県下各河川湖沼は一齊に氾濫するに至り、三十五億二千四百余万円に上る甚大なる被害をこうむつたのであります。さらにまた七月末及び八月三日夜半から五日の夕刻にわたり、強風を伴つた豪雨が断続的に降つたので、河川湖沼の増水を見、多くの堤防が決壊し、各沿岸地帯に氾濫し、特に小貝川下流は昭和十年以来の大災害を惹起したのであり、八月災害被害見積り総額は三十八億九千二百余万円に達する巨額であります。この両度の被害を合算いたしますと、実に七十四億千六百余万円に達する見込みであります。その内訳を申しますと、農林関係で三十四億七千万円、耕地関係で八億四千万円、土木関係では二十一億四千万円、建物関係では四億円、林野関係では一億二千万円、水産関係では三千万円、家畜、穀物、物品では二億九千万円、湛水排除経費八百三十万円、水防経費では一億円余であります。  最初に小貝川地区災害状況を申しますと、八月の豪雨により利根本流の高水位による逆流のために、小貝川の水位は高須村では六日午前七時十一メーター余に達し、遂に七日午前一時十五分ごろ字大留地先堤防約九十メーターは遂に決壊し、欠所は二百メーターに増大し、このため高須村、六郷村、相馬町、取手町、山王村、寺原村、小文間村の二町五箇村は一面の泥海と化し、刻々水魔にのまれていつたのであります。濁流の氾濫速度は早く、かつ深夜のため着のみ着のままで、身をもつてもよりの堤防の上に避難をした者は約八千三百余名に及び、堤防に遠い者は自家の屋根または台地上にのがれ、これらの人たちの救出には二百六十余隻の舟艇を動員したほどであります。この氾濫地域は約四十八平方キロで、利根川小貝川堤防により三方が囲まれ、一方は寺原村の高台で盆地をなしておる低濕地であるため、推定約九千六百万立方メーターの悪水が停滞し、水深は一丈余に達し、交通は杜絶し、三千余町歩農作物は水底に沒し罹災者総数は一万二千百九十一名に達し、家屋の被害は流失三棟、全半壊一千八百九十二棟、浸水三千六百三十九棟、建具類は無数に押し流され、牛馬、家畜の水死も多く、收納麦類保有米、ほとんど水沒したのであります。被害見積り総額は十億三千四百余万円と推定され、県下八月災害損害額の約二十六パーセントを占めることからしても、いかに被害が甚大であつたかが理解できるのであります。小貝川決壊場所締切り工事を完工し、機械排水により一刻も早く湛水を排除し、罹災者に生気をとりもどし、復興の意気に燃え立たしめることが必要である。また小貝川地区の全耕地はほとんど被害を受けたので、この全地区を対象にした広範な復旧計画に基いた各方面の対策を、すみやかに実現されることが望ましいと考えられます。  次に県南地区について被害状況を申し上げます。六月豪雨により植付直後被害を受け、再播種、再植付を余儀なくされながら、その後の農民の涙ぐましい努力と、惠まれた天候により、頭をたれた稻穂の刈入れ寸前に、今回八月の豪雨により、一朝にしてこれまでの努力は水泡に帰し、九千二百町歩の冠水を悲しむ呆然たる農民諸君の姿に、まつたく同情を禁じ得ないのであります。このため利根水系及び霞ケ浦、北浦の中小河川徹底的改修を急ぐとともに、霞ケ浦、北浦及び利根川下流堤防新設、増強を急速実施されることが必要と認められます。  県北地区について、被害状況を申し上げます。六月九日より十四日までの連続降雨は二百七十一ミリに達し、各河川氾濫し、九月の出水を予期して緊急復旧に努力中のところ、七月二十八日より八月四日に至る連続降雨二百八十七ミリとなり、河川は氾濫し、諸所の護岸堤防は逐次決壊増破し、耕地の被害も甚大、また山間部橋梁は将棋倒しに流失し、河川周囲の田畑は一面に冠水流失するありさまでありました。これらの災害降雨絶対量が大であつたことが根本原因ではありますが、上流地区の森林の濫伐による急速なる増水、かつ数次の増水による河底の上昇と一貫せる河川防災工事の不備なるに加えて、当地方の急流によるものと思われますので、この地区山林砂防等防災工事が緊急になされる必要を認めた次第であります。  次に県西地区について被害状況を申し上げます。桜川、小貝川、勤行川、鬼怒川、東仁連川、飯沼川及び西仁連川が南北に流れ、利根川が県境をなしており、それぞれの間に小河川及び数多く用排水路が設けられておる地区でありまして、利根川小貝川の河底、河床上昇により、これらの諸河川の氾濫は著しく、累年水害を繰返しておる状態であります。六月上旬、中旬にかけての連日の豪雨は三百五十ミリ以上に及び、各所の河川、湖沼の大増水と、内水氾濫により、農作物にきわめて甚大なる被害を與え、挿秧直後の稻作はまつたく見込みなく、收納前の麦類も発芽を来し、裏作の菜種も全滅となる被害を受けたのでありますが、各方面よりの援助により七月上旬に挿秧は一応完了し、農家は安堵したのでありますが、七月上旬より八月上旬にかけては、また六月の水害をしのぐ豪雨をもたらし、水魔は耕地をのみ、農作物に甚大なる損害を與え、冠水田はほとんど絶望に瀕し、再度の水害により、農家経済はほとんど枯渇の一途をたどり、再起不能に至ることも憂慮される状態であります。小貝川及び東仁連川の改修工事完成促進排水機の完備が、何をおいても緊急なものと思考されるのであります。  次に長野県について申し上げます。昨年豪雨、台風のために相次いで災害を受け、復旧の緒についたばかりのところ、本年六月九日より降り続いた豪雨は、南信地区を中心として全県下に出水し、特に諏訪、上伊那、下伊那地方被害は激甚をきわめ、死者五名、行方不明二名、負傷者六十七名、罹災戸数二千三百五戸を数え、各地堤防の決壊、道路橋梁の流失、交通杜絶数十箇所に及び、その他山林、耕地、農林産物に甚大なる災害をこうむり、被害額は実に三十五億一千八百余万円の巨額に達したのであります。また八月五日早朝より降り続いた豪雨は、全県下出水し、行方不明三名、負傷者二十三名、家屋の流失倒壊等罹災戸数五千二百二十九戸の多きに達したのを初め、各地の堤防決壊、道路、橋梁その他山林、耕地、農作物や林業、漁業にも甚大なる被害を與え、八月豪雨被害見込み総額は実に二十一億九千五百余万円に及ぶ巨額であります。この両度の水害を合算すれば、本年の水害被害見込みは実に五十七億余万円の巨額に達する見込みであります。その内訳を申し上げますと、土木関係二十一億五千万円、耕地関係では十三億九千万円、農作物では四億六千万円、林務関係では十七億円、水産関係では八百五万円となります。視察した順路に従い、初めに北信の北佐久郡を中心として、その被害状況について申し上げますと、七月二十八日及び八月四日より五日にかけての豪雨は、この地区一帯に甚大なる被害を與え、浅間山麓一帯の道路は河となる状態で、北佐久郡全体としての被害見積額は六億四百余万円に達したのであります。町村は一面泥海で被害が甚大であつた。浅間劍ケ峯一帯国有林であり、この山間部砂防施設の不備は早急に完整すると同時に、山麓に堰堤を設け、下流部には流路工の施設を必要と認められました。  次に上田市及び周辺の千曲川水系被害状況について申し上げます。八月四日、夜来の豪雨により、多量の洪水量が増水し、出水速度もきわめて早く、道路の側溝、路面はあたかも河のごとく流下し、このため道路、橋梁堤防及び人家にも甚大なる影響を與えたのであります。このため上田市及び周辺の千曲川堤防決壊破損箇所のすみやかなる完整が望まれるが、その原因としては、戰時中のセメントなどの不足のため不十分な工事で、一時しのぎをしていた結果であると考えられ、今後の復旧工事に考慮を拂う要があると思考されるのであります。  次に上高井、下高井郡の災害状況を申します。八月四日夕刻より五日にわたる豪雨により、松川、百々川、鮎川、保科川等を増水せしめ、被害総額三億六千七百余万円に達したのであります。特に須坂町南部を流れる百々川は土石の流下はなはだしく、河床が堤防よりも高くなり、本堤の外側を本流が流れる状態で、このまま放置すれば、今後小量の雨にも再度の被害に見舞われることは必定と考えられますので、百々川を被害箇所のみの原形復旧にとどまらず、一定の計画によるいわゆる中小河川改修工事として採択するとともに、砂防工事のすみやかなる完整が必要と考えられるのであります。  下高井郡については、八月四日より豪雨のため中小河川は増水し、ことに角間川、夜間瀬川、樽川、馬曲川等が氾濫し、堤防の決壊が頻発し、耕地の流失、埋沒、冠水等激甚なる被害を惹起したのであります。なかんずく角間川堤防決壊、樽川の氾濫による被害が最も激甚で、特に穗波村、平穏村はともに温泉郷なるゆえに、罹災による二百余の失業者に対する職業指導に特別の考慮が望ましいと思われます。往郷村、上木島村は樽川の出水氾濫による被害が大で、樽川の堤防強化が即急に実施されることが必要と思われます。  次に南信の災害について申し上げます。天龍川一帯襲つた水害は、六月九日より十四日にわたる降雨により惹起され、六月十一日天龍川は意外の大出水となり、三峯川を初め大小多数の河川は未曽有の大洪承を起し、随所に被害が発生し、沿岸各町村の道路、橋梁堤防浸水流失、損壊、埋沒のほか人家、農耕地林野関係被害も甚大であり、川路、龍江村は一面の湖水となつた状態であり、上下伊那郡の被害は二十一億の巨額に達したほどであります。天龍川災害について付言したい点は、まず水防費の問題で、毎年のことながら本年もすでに四千五百四十六万円余の莫大な費用と労力をかけて堤防を守つている地元民の労苦に対して、これに報いる方策が必要と思われます。また天龍川下流にある発電所ダム設置により、天龍川の河床が上昇し、この河床上昇を防ぐため、天龍流入河川上流地帯砂防工事を完整するとともに、浚渫対策が必要であります。  なお九月の出水に備え、河川復旧工事を急ぐのあまり、完璧を期していない箇所も見受けられますので、この方面の監督にも格別の考慮が拂われねばならないと考えます。  次に諏訪湖を中心に申し上げますと、六月初旬から中旬にかけて三百ミリ以上の豪雨が霧ケ峰及び八ケ岳山麓方面に降り、諸河川を増水させ、これらが諏訪湖に流入し、平素の二倍近くの水量をたたえる結果となり、諏訪湖は六月十二日水位四尺八寸にも達し、約三億円の被害を與えたのであります。諏訪湖を三郡の安全弁たらしめるには、老齢となつた諏訪湖を若返らせるべく諏訪湖を中心とする広汎な治山治水根本対策が必要である。このために近年おびただしい土砂を流入させる諸河川上流地帯砂防工事の急速なる実現をはかり、諏訪湖の浚渫と湖岸の護岸工事が必要であると思考されます。長野県は日本の屋根であり、水源地であるため、河川工事とともに上流砂防に重点を置く必要があります。植林はもとより必要でありますが、国有林内重要個所防災堰堤を数多くつくるとともに、民有林防災補助費を支出し、水源地区から流出する水の速度をゆるめ、徐々に河川に落すことを積極的に考慮すべきであります。以上をもつて長野県の被害状況の報告を終ります。  以上が茨城、長野両県の調査の結果でありますが、この際私たち派遣委員一行の到達した見解をごひろういたしますと、六月、八月の豪雨による被害は、各地ともに当初の予想よりもはるかに大でありまして、被害箇所復旧対策を講ずることが先決の問題であり、九月十日の台風襲来期を目前に控えまして、今般の災害地帯復旧工事こそ緊急に緊急を要するものであり、これらの遅延はさらに数倍する災害を招くおそれを感ずるものであります。このため度重なる災害に対し、各県及び布町村当局におきましても、地方財政の許す限りにおいて防災復旧に努力いたすことはもちろんなので、窮乏せる地方財政を考えますとき、政府においては次の諸点をすみやかに処置することが肝要であると思うのであります。応急対策といたしましては、第一災害金額国庫負担金早期交付、及び応急復旧費を急速に交付するとともに、災害復旧費大幅増額をはかること。第二、融資の拡充を迅速化をはかり、低利長期資金を融通すること。第三、地方財政を考慮して、地方財政平衡特別交付金の大幅な増額交付と、災害起債の承認に特別の考慮を拂うこと。第四、再播種、再植付の経費、漁船、漁具等復旧に対する国庫補助水防費湛水排除費に対し、国庫補助金を交付すること。第五、罹災者厚生資金貸付制度を設けること。第六、税の軽減、免除の処置をすみやかに講ずること。第七、食糧増産及び供出制度との関連により、農業災害補償金の仮支拂い、事前割当減額補正、または排除と、生産者価格による還元配給、または来年度現物返還を約して飯米の前渡しを特に考慮すること。第八、罹災地に衛生、厚生物資及び応急復旧用資材として揮発油、燈油、軽油等の配給を行い、農業の種子、農業薬品等についてもすみやかに確保をはかること。第九、測候所等気象設備拡充強化をはかること。  次に恒久対策といたしまして、毎年のことながら巨額の国富がただ失われ、同じ災禍を繰返しておることが多く、不可避な自然の暴威と諦めることなく、進んで国土保全食糧増産に思いをいたし、一日も早く科学的な総合対策を樹立する必要があると信ずるのであります。今後来るべき災害に対しては、国会内に常置の機関を設け、災害最小限度に食いとめることができる根本対策を講ずる機関を設けることが望ましいと思うのであります。  なおこれと関連して災害予防災害救済予算的措置等に対する包括的な、しかの機動性を持つ法案をつくり、これが対策に万全を期すべきであると考えるのであります。  以上が関東、信越地方災害状況の報告でございます。
  4. 前田種男

    前田(種)委員 この際厚生大臣に質問したいのですが、厚生省からきようの審議の資料として配付されました内容を見ますと、どうも最近の災害は、数年前から非常に全国的に多いので、それで政府当局も案外災害に対しては麻痺しておるのではないかというような懸念がするのであります。この日誌的に報告されております内容を見ましても、特に茨城県のようなところは東京から近いから、大臣みずから車を飛ばしてでも現地を見るというような熱意があつてしかるべきだと考えます。根本的な対策は、建設省あるいは安本その他の所管対策を立てますが、厚生省としては水害をこうむつたあとの応急処置を講ずるのが、所管省として緊急な役目でありますから、そういう対策には少くとも大臣みずから飛んで行つて現地を見て、遺憾のない対策を立てるとともに、水害をこうむつ住民が、災害の中から立ち上ろうとすることに対して、鼓舞激励をやるということが、こういう場合の緊急な処置であると思つております。もちろん四、五日経過してから各事務官現地に行つたり、課長が行つたりしておりますが、私はこうした場合に対して、大臣みずからが飛んで行く。万やむを得ずして大臣が行けなかつた場合には、次官をして代行せしめるというような処置をとつて、気の毒なこうした天災に対して、政府の積極的な心組み、あるいは心構えを実際に見せ、またそれだけの熱意を持つて諸君は立ち上つてもらいたい、意気込みを持つてやつてもらいたいと思います。どうも茨城県、宮城県、長野県の実情を見ても、それほどの熱意がないように見受けられます。これは私先ほど申しましたように、数年来災害が全国的に多いので、どうも手がつけられないというような麻痺状態なつておりはしないかというような思いもいたしますが、私はこうした場合に対する対策として、そうした積極的な対策をしてもらいたいという熱意を持つておりますので、この際大臣の御意見を承つておきたいと思います。
  5. 黒川武雄

    黒川国務大臣 ただいまの御意見ごもつともでございます。厚生省といたしましては、決して麻痺状態にあるわけではございません。当時あいにく私は視察旅行中でございましたので、大臣としては視察ができませんでしたが、その後も時々刻々状況を調べておりまして、そうして防疫に対する万全の策を講じております。
  6. 松井豊吉

    松井委員長 次に第二班の報告をお願いいたします。小淵光平君。
  7. 小淵光平

    小淵委員 過般南九州地方を襲いましたフロシー及びグレイス両台風による被害調査のために、議長承認を得まして、去る十二日より十日間の日程で鹿兒島県宮崎県、大分県の三県に出張いたしたのであります。その経過と結果につきまして、派遣委員を代表いたしまして御報告を申し上げます。  本調査に際しましては、種々の都合によりまして、私と小玉治行君の二名、並びに衆議院委員部より倉持主事を加えて現地被害状況調査をいたしたのであります。  まず本調査班は、十二日の朝東京を出発いたしまして、翌十三日の夜鹿兒島に到着いたしました。十四、十五の二日間鹿兒島県下災害現地を、また十六、十七の二日間宮崎県下災害現地を、十八、十九の二日間大分県下災害現地をそれぞれ順次調査いたしまして、二十一日に東京帰つて参つたのであります。被害実情につきましても、各県ともに当初各種機関によつて報道されておりましたよりは、その被害額はきわめて大きく、また現状も惨憺確たるもので、いまだに多くの危險地域を残しておるのであります。これに対して何らの施策も施されずに放置されておるままの状態で、九、十の両月、台風期目前に控えてまことに寒心にたえぬ次第であります。またある箇所におきましては、隣村への唯一の交通路であるところの橋梁流失いたしまして、附近住民交通を遮断いたしまして、いまだに日々の生活の上にまつたく言語に絶する不便を甘受させられておる所も随所に見受けられるありさまで、その惨状は、われわれ対策委員の寸時もおろそかにでき得ない多くの問題と責任を含んでおるように考えて参つた次第であります。  このようにきわめて悲惨な現地を見て参つたのでありますが、次にいま少しく詳細に、調査順序従つてその被害状況をここに御報告いたしたいと思います。  まず八月十四日鹿兒島県庁におもむきまして、県下全般にわたつての災害状況について、その実情を総合的に各関係官より聽取いたしましたところによりますと、本県における今次フロシー、グレイス台風によります被害の最も甚大なる地方は、屋久島、種子島、大隅中部南薩地方鹿兒島湾海岸線であります。その被害額を見ましても、土木関係におきましては、河川四億一千六百余万円、海岸五千五百七十余万円、砂防三千八百九十余万円、道路一億八千百余万円、橋梁四千七百五十余万円、合計七億三千九百余万円の巨額に上つているのであります。以上の数字は建設省関係の分でありまして、なお県單独河川砂防道路橋梁等被害額は一億八千七百余万円でありまして、本県下における土木関係被害総額だけでも実に九億二千余万円にも上るのであります。  また港湾における被害も決して少くなく、三十四箇所一億二千八百余万円にも達しておるありさまであります。  さらに耕地関係におきましては、直接グレイス台風による被害は、農地二百五十町歩、三千四百七十五万円、公共施設二百二十箇所、三億九千五百八十万円、計四億三千五十五万円でありますが、本県においては五日以降豪雨にしばしば見舞われておりまして、その被害と今次台風による被害の額とを合算いたしますると、実に農地六千万円、公共施設九億六千余万円、計十億二千万円以上の巨額に達する被害を受けているのであります。また林道の被害は路線数七十五箇所、延長二万二千百十メートル、被害額一千七百七十八万余円でありまして、治山関係における被害の最も重要なる箇所三十四箇所、面積二十七町歩、一千六十余万円であります。  以上が鹿兒島県庁における今次フロシー、グレイス台風によります被害のおもなるものの説明の内訳でありますが、この事実を調査し、これを裏づけるため、実地踏査に出発して、まず薩摩半島を山川港まで南下いたしましたところ、海岸堤防は所々欠壊し、悪路はなはだしく、相当被害甚大が認められたのであります。最も危險を感じたのは、喜入前の浜海岸のごときは、住民の軒先まで波が打寄せており、しかも堤防は今回の災害によりまして全部欠壊され、今後一波食うことがありますならば、この村落全部は海にさらわれることを予想されるのでありまして、これと同様な箇所に別府川河口に松原町がありますが、この堤防も欠壊されて、これはこの町のほかに三百余町歩の水田が海水に浸る危險な箇所もありまして、非常に危險な状態に見受けられておるのであります。  山くずれは、新川上流の姶良地内、ハイヤバイとスゴバイの両台地の谷合いと、霧島山地内のものを実際に見たのでありますが、これらはこれから申し上げるような理由があることをつけ加えておきたいと思うのであります。それは鹿兒島県におきまして、このように河川道路及び耕地等の災害が最も激甚をきわめておるのでありますが、これら災害の拡大の根本原因なつているものは、本県特異の土質にあると考えられるのであります。すなわち当初の全地域の七〇%が火山灰系シラス質土壤により成つているのであつて、このシラス土質は非常に吸水力が大きい割に、その耐久力がきわめて脆弱な性質を持つているのであります。これがために、大豪雨によるところの異常の出水は、各河川において氾濫溢水し、堤防、護岸を欠壊流失せしめる結果となり、土砂の流出によつて農耕地はまつたくの河原と化してしまうのであります。さらに農地災害のはなはだ大なる原因は、前に述べましたシラス土質によるもののほか、地形的な原因もその大きな課題となつているのであります。もつともこれは專門家の言を聞くと、往時主として姶良火山地帯のほか、霧島、桜島等の噴火の際、その流れ出した火山灰で大体に水平に平地となつていたものでありますが、河川中心といたしまして、この脆弱な土質が漸次切り取つたようにくずれて流出いたしましたために、絶壁状となるも、上は比較的平坦ないわゆるテーブル式台地ができ上つたと言つておるのであります。この台地の下に水田地帯があり、台地上に溜つた水がこの台地を崩壊せしめて土砂を伴つて下に流出し、水田、河川を次第々々に埋沒せしめて行くのであります。ゆえに鹿兒島県におきましては台風、ことに豪雨を伴う場合には、これらの理由から最も災害の程度を大ならしめるのであつて、少くとも本県における災害対策の樹立を考慮するにあたつては、このシラス土質に対する科学的分析の上に立つた根本対策が樹立せられない限りにおいては、災害の続発を防止することはできず、本県災害は連年繰返される結果となるのであつて、この点われわれも大いに研究する必要があると考えて参つたのであります。  以上は鹿兒島県の特殊事情を述べたのでありますが、本県における現在までのこれらの災害復旧の進捗状態は、大体三割ないし四割程度のものでありまして、いまだ多くの危險な箇所がそのままに放置せられておる実態であるのであります。  次に宮崎県について申し上げたいと思います。十六日午後都城に到着いたしまして、瀬戸山代議士を初め、県当局、県議会その他多数の出迎えを受けて、とりあえず宮崎市までの間まず実地に調査をすることになつて、都城附近五十市村地内上村の堤防、北諸県郡新馬場地間、及び沖水村沖水川両堤防の欠壊状況調査し、さらに国道を宮崎に向つて進み、途中高城村、志和池村等の堤防欠壊による水田浸水状況調査し、進んで東諸県郡高岡町の堤防調査して、当日はそれで一応調査を終了し、翌朝県庁にて川野、瀬戸山両代議士を交え、当局より被害の総括と各担当者よりそれぞれ各関係部門にわたつて詳細な説明を聽取いたしたのであります。それによりますと、宮崎県におきましても、フロシー台風に引続くグレイス台風による連続の襲来によりまして、長時間にわたる強風に見舞われ、ために家屋並びに公共建築物の倒壊、樹木の倒折等多数、港湾における施設、船舶の破損並びに農作物等の減收等、その被害は甚大であるとのことでありました。その被害の最も大であつた地方は、北及び西諸県地方でありまして、人的被害は死者二、行方不明一、重軽傷者四を出しておりますが、このほかの施設被害及び生産被害被害総額は二十六億五千七百余万円でありまして、このうち施設被害額が十五億一千七百余万円で、その内訳は建築物一億三千三百余万円、土木六億一千百余万円、耕地六億五千四百余万円、山林七千三百万円、水産七百九十八万円、電気一千五百六万三千円、通信一千五百万円、そのほか鉄道等の若干を加えておるのであります。生産被害額は十一億四千三十万円で、その内訳は、農作物十一億百余万円、林産物三千万円、畜産九百万円で、合計二十六億五千七百余万円の厖大な額に上つておるのであります。さらに土木関係被害内訳を見ますと、道路が九千三百四十余万円、橋梁が五千百三十余万円、河川三億二千三百万円余、砂防一千八百余万円、港湾一千五百余万円となつております。この内、河川被害状況宮崎県の全体の土木関係被害総額の五割余に及ぶものであるとのことでありました。以上の数字によりましても明らかなように、本県におきましてもその被害はきわめて甚大なものでありまして、その原因のおもなるものと見られるものは、鹿兒島県において見らるるごとく、本県におきましても、地質学的に見て、いわゆる火山灰系の脆弱な土質を持つているからであるのであります。その上、戰時中における森林の濫伐が災いし、豪雨を伴つた今次台風のごとく、長時間にわたる波状時襲来によつて被害が特に大きくなつたものと考えられる次第であります。  調査してまわつた北諸県郡高城町、三股町、大淀川花見橋上流、東諸県郡綾町附近及び兒湯郡妻町附近及び広瀬村一ツ瀬川流域の河川道路耕地等の災害は最もひどく、いまだに応急の処置すら施し得ない現場もあり、きわめて憂慮せらるる状態にあるのであります。ことに兒湯郡富田村と広瀬村を結ぶ国道にかかる大淵橋の流失は、まつたく附近住民交通を遮断しておるのでありますが、いまだに何らの改修工事も施しておられないのでありまして、この間の連絡は小さな小舟をもつてなしておる有様で、この間を往来するものの不便は筆舌に盡しがたいものがあるのであります。もつともこの大淵橋は五年間に十二回落ちたということで、ほとんど年間半年は渡ることができ得ず、地元民の熱意と陳情は実に驚くほど熱烈なるものがあつたのであります。なかんづく婦人会の幹部までが出て、この熱烈な陳情をされたことについては、一層その感を強くいたしたのであります。これについて、国道架橋の関係にある建設省におきましては、特にこの問題に留意いたしまして、早急にこれが解決するようにいたしていただきたいことを要望しておきたいと思うのであります。  ことにこの地方において感じられましたことは、災害復旧についていかに地元民が熱心であるかということでありました。地元の代議士はもとより、県議団等も熱心であります。特に土木副委員長のごときは、非常なる病躯を押して徹頭徹尾その期間中説明をされるという熱心ぶりを示しておつたことについても、私どもはひそかに感謝いたしたような次第であります。  次に十八日夕刻大分県に入りまして、佐伯市の地方事務所において県庁より各担当者出席、報告聽取の後、多数の陳情を受けたのであります。その状況は、今次フロシー、グレイス両台風による被害総額は、昨年のデラ台風による本県のこうむつた総額二十五億円に比べますと、ほぼその半ばではありますが、鹿兒島県宮崎県、両県に比して、その激甚さは決してまさるとも劣らない状況であつたのであります。  今その内訳を各種類別に見ますると、土木工作物が二億五千九百二十余万円、農作物四億三千七百九十余万円、耕地二億二千七百七十余万円、開拓一千余万円、水産七千五百七十余万円、畜産三万五千円、山林九千六百八十余万円、公共施設一千四百六十万円、家屋百十余万円、総額十一億二千三百三十六万円の巨額に達しておるのであります。なかんずく本県においては学校関係の被害額は一千四百米十万円の莫大な額に達しておることは、国民教育の強く叫ばれておる今日において、見のがすことのでき得ない問題を含んでおるということを考えさせられたのであります。  本報告聽取後、ただちに災害現地を実地調査いたしましたが、原因はほぼ鹿兒島県宮崎県、両県と同様の原因によるものと考えられ、前二県同様に、いまだに災害当時の状態そのまま放置せられている箇所を多く見聞いたしたのであります。なかんずく翌日実地調査いたしました各現地の内、大野郡百枝村向野橋の流失は、付近住民交通をまつたく文字通り隔絶の状態に追い込むものでありまして、向野橋は百枝村の中央を流れる大野川に架設されて、百枝村にとつてはまつたく生命線とも申すべき橋梁であります。大野郡の二大中心地であるところの三重町大野町間を結ぶところの最短距離で、大野郡の産業交通上最も重要地点となつておるのであります。この橋によらなければ、両岸の交通は上流大野橋か、あるいは下流にある原田橋のいずれかに頼らなければならないのでありますが、これらの橋梁まで行くには人馬の徒歩で三、四時間を要し、また貨物等の重量物資運搬はおよそ困難な橋梁なのであつて、この橋梁はどうしても一刻もすみやかに解決しなければならないと考えられたのであります。これが緊急復旧はもとより、この工事費の捻出に町村財政をもつてしてはとうてい負担し切れぬほどの災害を受けておるのでありますが、まつたく開通の見通しは現在においてはない状態にあるので、これが開通は焦眉の急と考えた次第であります。また南海部郡米水津村の村道、港湾被害も激甚をきわめ、当村のみの被害総額だけでも三百三十六万円にも達しているとのことであります。ちようど本県では八月十三日の突風があつて、その被害も三百九十六万余円あつたとのことでありました。この突風では木立村の中学校が全懐いたしておつたのでありますが、その現場を調査したのでありますが、あれだけの校舎が何ゆえに、倒壊いたしたか。しかもこの校舎は普通の講堂とは異なつて、教室に間仕切りがあつて、筋かいは相当きいているのでありますが、この大きなる校舎が横倒れに倒壊いたしたということは、いかにその強風であつたかということが想像できるのであります。付近の樹木のごときもほとんど太い枝が折れて、見るも悲惨な状態のいまだになまなましい姿を見て参つたのでありまして、この点もつけ加えて報告いたしておきたいと思うのであります。  以上が鹿兒島宮崎大分三県のフロシー、グレイス両台風によるところの被害状況の大要でありますが、以上の調査から本調査班といたしましては、各地報告と事実との大差のないことを認め、さらに次のごとき結論を得た次第であります。  まず今次台風によつて何ゆえにこのような莫大な被害を惹起いたしたかというに、第一に考えられることは、今次フロシー、グレイス両台風が長時間に、しかも波状的に連続して来襲し、なおかつそれが相当の雨量を伴つて来たことによるものであります。のみならず、本年五月以降、特に南九州方面には相当量の強雨がしばしば襲い、ために各県下各地の土壤の含水率は飽和の状態となり、前回の災害を受けて荒廃し、いまだに完全なる復旧並びに改修工事の終らないうちに豪雨に見舞われたために、異常の出水を生じて、各河川氾濫溢水し、堤防、護岸を流出せしめるとともに、根固めを洗掘して、各地に甚大なる被害を生ぜしめたものと考えられるのであります。なかんずく、鹿兒島県及び宮崎県の一部に持つところの特有の火山灰系土壤、いわゆるシラス土壤の地質とを加えて、さらに一層被害を激甚ならしめたものであります。それゆえに、当地方将来の災害対策の樹立の上に、これらの特異の土壌に対するところの根本的対策が樹立せられぬ限りは、当地方災害を防止または軽減を期することは不可能と考えて参つたのであります。まず、とりあえずわれわれが考えるのは、このシラス地帯の台地の周囲に幅二、三十メートルくらいの森林地帯をつくるということが、このシラス地帯の決潰を防ぐに最も重要なことではないかというようなことを考えて参つたのであります。第二に考えられることは、例年の災害によるところの被害箇所の完全なる復旧改修工事がなされずにいるために、各所に脆弱地点が残存いたしておりまして、それほどの台風でなくても、その被害が莫大なものとなつて現われて来る現状にあるのであります。それには災害復旧事業費の国庫補助額の僅少によるものと、例年の災害の累積によつて、県財政の窮迫によるために十分なる工事費の支出が思うようにできず、ために工事の進捗が遅れて遅々としておるというところに原因しておるということも考えられるのであります。この際国といたしましては、この点すみやかなる国庫補助の増加配付を考慮せられるべきであると考えるのであります。また各地において異口同音に陳情を受けておりますのは、起債の増額の点であります。これについても、もとより種々制約はありまするが、この地方には特に考慮の要あることを認められたので、つけ加えて報告いたしておきたいと思うのであります。  引続く毎年の災害によつて、各県の農漁村民が苦しみ、その経済は窮迫しておるにもかかわらず、自主的にもこれが対策に腐心するその努力は実に涙ぐましいものがあるのであります。よろしく政府におきましても、これら災害地の住民に対するところの早急適切な処置を希望いたしまして、報告を終ることといたします。
  8. 松井豊吉

    松井委員長 次に東北班の御報告を願います。野村專太郎君。
  9. 野村專太郎

    ○野村委員 先ほど委員長から御報告がありました東北班、すなわち第三班の災害調査の結果について御報告をいたしたいと思います。  青野武一君及び私は今回の宮城県及び福島県の水害につきまして、宮城県におきましては、委員飯塚定輔君、福島県におきましては、前委員長大内一郎君に特に御参加をいただきまして、十九日より二十五日まで一週間、その実情につきましてつぶさに視察をして参つたのでありますが、私どもの視察して参りましたのは、限られた日程でありますので、その視察範囲もおのずから限られましたが、許される範囲にわたりまして視察をいたして参つたのであります。わずか一週間でありましたが、各県の関係各位の熱心なる御協力によりまして、私らの調査に多くの便宜を得、特に二百十日をまのあたりに控えまして、災害以来県官民一致、文字通り不眠不休、応急の処置に敢鬪せらるる実情を目撃いたしまして、深い感銘を受けたのでありまして、これらの方々の努力に対しまして感謝の念を持ちつつ、ここに御報告いたしたいと思う次第であります。  まず当時の気象の概要並びに今回の水害の特徴につきまして御説明をいたしますと、八丈島付近に停帶いたしておりました低気圧は、発達いたしまして、毎時二十ノットの早さで北上し、八月四日午前四時、宇都宮を中心示度九九五三ミリバールで通過をいたしまして、北々西に進み、酒田沖に出、宮城、福島両県はその影響圈に含まれたのであります。従つて各地豪雨をもたらしたのであります。  次に今回の水害の特徴につきまして申し上げますと、降雨の総量におきましては、昭和二十三年のアイオン台風には及びませんが、約十時間内外に二百ミリないし三百五十ミリに達しまして、急激なる増水を来したことが特徴であります。特に山間部の雨量は、平地よりはるかに多いのでありまして、宮城県の広瀬川上流の作並におきましては、五八九・五ミリ、福島県の川内におきましては、四六二ミリにも達するまれに見る降雨でありまして、荒廃いたしました山地は各地に山くずれを惹起いたしまして、土砂は河川に流出し、各河川増水氾濫は大水害を招くに至つたのであります。  これより被害状況を申し上げるのでありますが、今回の災害の全般をながめまして、直接土木被害もさることながら、広汎なる範囲にわたりまして深刻な農業被害の甚大なるを認められるのであります。一例を宮城県にとりましても、宮城県の総被害額六十三億四千九百八十一万六千円のうち、土木被害十七億千五百二十九万一千円に対して、農業被害は十六億九千九百八十五万円に達しておるのであります。  まず第一に土木被害につきまして申し上げますと、宮城県におきましては、ただいま申し上げましたように、実に十七億一千五百二十九万一千円、福島県におきましては、五億一千七百五十三万五千円の被害を受けているのであります。まずこの原因を考えてみまするに、これは單に短時間に大豪雨が来襲したという原因のほかに、次のことが考えられるのであります。すなわち戰時中及び戰争直後の濫伐、過伐で水源が荒れに荒れまして、洪水のたびごとに荒廃した山地の土砂は流出し、河床のいやが上にも上昇を招き、河床耕地より高くなつているところが諸所に見られるのであります。また戰時以来地方財政は逼迫し、改良工事はおろか、公共土木施設の維持管理さえ單独ではできない実情でありまして、未改修河川が多く、在来の堤防は低弱でありまして、屈曲もはなはだしくて、河川工作物も不十分であつたために、災害が発生しやすい状態にあつたためであります。これを河川砂防道路橋梁及び海岸等につきまして説明いたしますと、まず河川及び砂防につきましては、宮城県におきましては河川の破堤崩壊四百五十七箇所砂防では護岸の決壊流出、堰堤の破損等を合せまして三十三箇所被害総額約十億八千万円、福島県におきましては河川の破堤崩壊二百九十九箇所砂防二十四箇所被害総額約三億五千万円に達しているのであります。前にも申し上げました通り、年々上流からの土砂の流出がはげしく、その河床は年々隆起し、堤防は年を経るにつれて増大強化しなければならない現状にあるのであります。しかしこれらの堤防はすでに堅牢性を欠いているものが多いのでありまして、その関係上年々災害が絶えないのは当然でありまして、今回のように短期間のうちに相次ぐ災害をこうむりましたような場合は、災害復旧と繰返しているというよりは、むしろ応急復旧工事着手前とか着手中に災害をこうむりまして、被害をますます大きくしているというのが現状であります。宮城県の迫川の例を見ましても、今回の水位はアイオン台風における水位よりも、三十ないし三十五センチも高かつたのでありますが、破堤なく、よく洪水より免れましたのは、まつたく災害助成工事のたまものなのであります。これらに見ましても、完全にその工事を終つておりますれば、いい結果をあげていることは、実際に目撃しておるわけであります。  以上は堤防について述べたのでありますが、今次洪水におきましては、河川の高水位持続時間は、いずれも六、七時間にすぎないのでありまして、堰堤を設けてこの部分の洪水を調節すれば、下流の洪水は低減せられるとともに、貯水を利用して灌漑、発電等に利用するならば、民心安定に及ぼす影響は甚大であるのでありまして、これを設置されたいという声が災害地の数箇所で聞かれているのであります。  次に砂防の問題でありますが、このたびの原因の一つが、山地の荒廃による土砂の流下によるものでありまして、これを放置いたしますならば、土砂の流出がますますはげしくなりまして、下流地帯の河床はいよいよ隆起の一途をたどり、災害を免れないことになるわけで、各地には砂防ダムの設置をする声を聞くのであります。  次に水防につきまして申し上げますと、宮城県におきましては北上、阿武隈、名取、迫、江合、鳴瀬等の大河川を有しておりますが、訓練を経ているのでありまして、昭和二十二年、二十三年の大洪水におきまして、鍛えられました組織、技術等をもつて今次水害に抗し、あらゆる危險を冐し水防に挺身いたしましたために、災害の未然防止及び被害の拡大防止に意外の成果をあげられたことを見受けたのであります。すなわち迫川筋におきましては、栗原郡若柳町新山付近及び南二又附近におきまして、四日約七十メートルに漏水が始まりましたが、水防団員約三百名に、これに地元の方々多数が応援に出動いたしまして、破堤前において食いとめ、また佐沼付近において、四日、水位五・二メートルに達し、かつ一時間十五センチの増水により、未改修区域堤防は溢水の危險となつたので、水防団員及び住民三百名の方々の出動によつて事なきを得たのであります。また福島県におきましては、鮫川の堤防を不眠不休の水防作業によりまして、山田村及び下流町村を救つた実例があるのでありまして、今次水害におきまして、水防活動は実に偉大なる効果をもたらしておることを拝見して参つたのであります。  次に道路橋梁について申し上げますならば、宮城県におきましては、道路決壊二百五箇所、約八千六百万円。橋梁流失八十箇所約七千三百万円。福島県におきましては、道路決壊六十八、約二千七百万円。橋梁流失三十四箇所、約四千万円の被害をこうむつておるのであります。今回の降雨は山岳地方に多かつたために、被害の多くは主として山岳地方でありまして、道路橋梁はこの方面において至るところ決壊し、一時ほとんど交通不能の状態に陷つたところが少くないのであります。橋梁につきましては、この山岳方面の木橋はほとんど流失、もしくは破壊され、特に広瀬川の木橋は、永久橋を除きまして、大部分は落橋いたしたのでありまして、永久橋の架設が強く要望されているのであります。宮城県に川崎町という町がありますが、この町の人々の多くは、炭焼きを業としておりまして、この町だけでも年産三十五万俵の生産があるのでありますが、このたびの水害によりまして町の橋梁流失十三、道路決壊箇所被害をこうむつたのでありまして、そのために木炭の滞貨二万俵も出て、非常に困つておる実情でございまして、仮の橋をかけるにいたしましても、町に予算がないということで、金融措置もつかない。どうしても困るから国の御援助を待つという深刻な実情に触れたのであります。橋梁道路決壊交通不能となつて、経済面に及ぼす影響はきわめて大なるものがあるのでありまして、これを放置いたしますならば、復興をそれだけ遅延せしめるものでありますので、この点十分考慮しなければならぬと考えるのであります。  次に海岸について申し上げますが、宮城県におきましては、護岸決壊箇所、約五千百万円。福島県におきましては五箇所、百七十万円の被害をこうむつたのであります。宮城県におきましては日程の関係で、十分現地まで視察することかできませんでしたが、福島県におきましては、新地すなわち釣師及び請戸におきまして海岸の護岸状態を見て参つたのでありますが、アイオン、キテイ両台風、さらに今回の災害により、護岸はかなりいためられているのであります。この海岸一帯は年々侵蝕を受けておりまして、釣師はこの二、三年の間に約四十メートルもの侵蝕を受けておるのでありまして、まだ一部には護岸がないところがありまして、このまま放置いたしますならば、ますます海岸は侵蝕を受けまして、耕地、住宅等はきわめて憂うべき状態にあるのでありまして、また護岸決壊による塩害の被害も、年々多くの被害を当地方は受けておる状態でございます。  以上土木被害につきまして御説明いたしたのでありますが、災害復旧につきましては原形復旧を原則とせず、防災的見地に立ちまして復旧計画なり、改修計画なりをしなければいけないということを痛感するのでありまして、防災的見地を無視いたしまして、原形復旧に満足しておるならば、災害復旧を繰返し、復旧は何の役にも立たない、災害はいつになつてもなくならないということを考えるのであります。  第二には農林関係でございますが、これは便宜上農地被害と林業被害にわけまして御説明をいたしたいと思います。  まず農地被害につきまして申し上げますが、宮城県の各河川は広大な耕地を包容しておりまして、耕地は海拔八メートル以下という所が非常に多いのでありまして、これは出水すると、幾日も幾日も滯水するという宿命を持つておるのであります。また水稻單作地帶が多い上に、ちようど稻の出穗期に冠水されましたために、農民諸君の精神的、経済的面に與えました影響はきわめて大きいものがございます。その被害について申し上げますと、宮城県におきましては水稻冠水四万五千九百九町三反、流失埋沒五百十町七反、減收量は実に二十八万四千七百石であります。その他の農作物を合せますと、約十七億円の巨額に達するのであります。福島県におきましては、約四億八百万円の被害をこうむつておるのであります。特に宮城県の南郷村、鹿島台村、涌谷町、石越村におきましては、低地帯であります関係上きわめて大なる被害をこうむつたのであります。なお南郷村におきましては、作付面積二千八百四十二町歩のうち冠水二千四百五十町歩、しかもそのうち收穫皆無とみなされるものが八百町歩、涌谷町におきましては、水田総面積千二百六十町のうち流出、埋沒、冠水千二百十町歩、畑総面積五百十一町歩のうち流出、埋沒、冠水三百二十六町歩、鹿島台町におきましては耕地千六百三十七町歩のうち冠水面積千五百二町歩、三日以上の冠水千百二十二町歩に及び、石越村におきましては七百八十町歩のうち、十二日間も実に冠水いたしまして、全然收穫皆無というような状態でございます。その被害一万八千七百二十石に達するものでありまして、石越村のごときは従来富裕にして平和な村とされておつたのでありますが、昭和十九年、二十二年、二十三年及び本年の実に五回の惨禍をこうむりまして、復興の悲願も遂にむなしく、村民は物心両面に大打撃を受けておる状態でありまして、村民のうちには、せつかく稻を植えても、こうたびたび水害にやられてしまうくらいならば、むしろ農業を放棄して国家の生活保護を受けなければ立つて行けないというような、深刻な実情に触れたのでございます。ことに本年度は水害をこうむらなかつた所におきましては、御承知の通りに終戰以来の大豊作でありまして、これらの人々に及ぼす心理的な影響はきわめて大きいものがあると感じられておるのであります。国といたしましては、河川復旧及び防災に全力を注ぐとともに、農地復旧に絶大の努力をなし、農民の再起を補助しなければならないと考えるのであります。  次に林業の被害でございますが、戰争による山林の荒廃と林地の脆弱は、最近のたび重なる豪雨によりまして急速に崩壊地の面積を拡大いたしまして、今回の災害により林地四百三十五町歩、約三億八千万円、林道二千六百四十七箇所、約二億三千万円、林産物約六千七十万円、その地合計いたしまして、約六億九千万円の被害を受けて、福島県におきましては、林地百八十五町歩、約一億六百万円、林道約九千四百五十万円、林産物約百三十四万円、その他合計いたしまして、二億三百万円に達する被害を受けておるのであります。そのためにこれらの崩壊地は豪雨のあるごとに多量の土砂を押し流しまして、河床を高め、洪水の原因となるばかりでなく、この被害をこのまま放置いたしますことは、林産物の搬出はもちろん、需給の間に一大支障を来すのでありまして、いずれも緊急復旧をしなければならないのであります。  以上をもつて概略を説明いたしたのでありますが、最後につけ加えて申し上げたいことは、まず第一に国庫負担金の問題であります。その一つは国庫金支拂いの遅延の問題でありまして、その二は国庫負担の問題であります。まず前者について申し上げますると、アイオン台風による災害復旧はすでに三箇年を経過いたしましたが、国庫負担の交付金がいまだにその半ばにすぎない状態でありまして、一方地方財政の現況は応急工事に対するつなぎ資金の捻出等はできない状態でありまして、本年度のごとく短期間のうちに相次いで災害をこうむりました際におきましては、前回における災害に対する金融措置がつかず、これが応急復旧への着手のできないうちに次の災害をこうむつたのでありまして、この災害を倍加しておるような現況であります。特に宮城県におきましては、冬期は積雪のため工事のできない期間があるのでありまして、交付金はできるだけすみやかに交付されなければいかぬと思うのであります。  第二には全額国庫負担の問題でありまして、今回の水害は前にも申し上げましたように、小河川被害はきわめて多いのでありまして、十五万円以下の被害が非常に多いのでありまして、福島県はこの点不明でありますが、宮城県におきましては千九百二十箇所、金額にいたしまして一億八千五百六十万円に達しておるのであります。これを地方財政でまかなわなければならないとするならば、復旧見込みは立たず、災害のうき目を繰返さなければならないのでありまして、この十五万円を七万五千円ぐらいにしてもらいたい、そういう措置をとつてもらいたいという要望が非常に強かつたのであります。  以上ごく概要でございましたが、調査団にかわりまして御報告申し上げ、皆さんから御質疑によりましては青野代議士からでも補足していただきたいと思います。以上をもつて御報告を終ります。
  10. 松井豊吉

    松井委員長 これをもつて派遣委員よりの報告を終りました。  厚生省より厚生大臣及び社会局施設課長、経済安定本部より建設交通局長、農林省より災害復旧課長建設省より建設政務次官河川局長がお見えになつておりますので、これより質疑を許しますが、特に厚生大臣はお急ぎのようですから、大臣に御質問の方から願います。
  11. 砂間一良

    ○砂間委員 各省の係の局長さんだとか課長さんだとかおいでのようですけれども、私はもつと政府の政策についてお尋ねしたいと思うのです。それでただいまそこにお見えの大臣厚生大臣だけのようでありますから、ひとつ内閣の方針について黒川厚生大臣よりお答え願いたいと思うのであります。と申しますのは、この災害対策委員会で毎年々々洪水がありますと、その視察行つては、きよう詳細になされたようなそういう報告を私どもは耳にたこのできるほど聞いている。そして年年災害がひどくなつ行つて、日本の国土が荒れほうだいになつておる。そのたびに国民の大多数が非常に苦しんでいるということは、今各委員の血のにじむような報告の中にもあつた通りであります。こういう現状を見て、政府は一体根本的な災害対策というものをどういうふうに考えておられるか。大体これまで大臣の答弁を聞いておれば、できるだけ努力するとか、予算の関係もありましてとか、どうとかこうとかいうことを言つておるのですけれども、しかし予算の関係だつて、少い予算の中でも、もつと他のむだな経費なんかを切り詰めてやれば、災害や何かの方に相当力が注げるはずなのです。政府の政策をほんとうにこの方面にやろうとすればできるはずなのです。いいかげんなことをやつておいて、年々災害が増大して行つておる。予算がないないと言つておきながら、たとえば警察予備隊のごときは、数百億の金を国会にも諮らずにかつてに出してやつておる。むしろこれからすれば、警察予備隊などというものは、今急に設置する必要はないと思うのです。そういう方面には国民の血のにじむような税金をどんどん出しておきながら、国土の破壊や荒廃ということについては、何ら見るべき誠意のある施策をやつておらない。きよううしろの方にも、おそらく災害地の傍聽者の方だろうと思うのですが、こうやつて遠くの方から旅費と日をつぶして来ておられるのですが、しかしここにわざわざ傍聽においでになつておられる方々は、数百万の罹災者のうちのほんの少数の代表であります。来たくても来られない罹災民がたくさんある。そういうことを真劍に思うならば、政府としても政策の上でよほど真劍に考えてもらわなければならぬことだと思うのです。きよう建設大臣その他安本長官等がお見えになつておりませんので、黒川厚生大臣政府を代表して、ひとつ政府災害対策についての根本方針を知らしていただきたいと思うのであります。
  12. 黒川武雄

    黒川国務大臣 国務大臣としてお答えいたします。政府は真劍に災害対策について考究いたしております。安本長官、増田建設大臣も非常に熱心に主張し、そうして研究し、努力しております。それだけのお答えをいたします。
  13. 松井豊吉

    松井委員長 簡潔に願います。
  14. 砂間一良

    ○砂間委員 時間もありませんようですから、簡單にお伺いしますが、ただ熱心にやつておるというだけではだめであります。やつておるのだつたら、ちようど安本あたりで二十六年度予算をいろいろ検討しておるようでありますが、どれだけの誠意を持つて組むつもりであるかというくらいのことは、たとえばこの公共事業費もどのくらいにするというような大まかな目安ぐらいは立つだろうと思う。たとえば今年の六月の末に建設省で発表した建設白書を見ても、いわゆる過年度災害が数千億も残つておる。そうしてきようもらつた資料の報告を見ても、三年たてば過年度災害復旧できているはずですが、その半分も三分の一もできていないということが各府県の陳情の中に掲げられている。こういうことを、この委員会の席上で言葉の上でごまかして逃げようとしてもだめですから、それを来年度の予算の中には、過年度災害を全部復旧してやつて行くつもりだとか、全額国庫負担でやつて行くつもりだとか、十五万円の限度を七万円あるいは三万円に切り下げるつもりだとか、先ほど各派遣議員の報告の中で結論として申されたようなことをどの程度実行するつもりかというようなことについて、もう少し具体的に御説明願いたいと思うのであります。
  15. 黒川武雄

    黒川国務大臣 来年度の予算をごらんくだされば、必ず御満足が行くと私は信じております。
  16. 池田峯雄

    池田(峯)委員 現地災害救助法が発動になつた地域を視察して、現地住民はみんなむしろや何かを雨露をしのぐ道具にして、堤防に起き伏ししておる。雨が漏つてもそのまま、こういうような状態である。便所もありませんので、その付近で用を足すという状態であります。こういうことに対して、政府はテントを若干送つたというのですけれども、このテントはほとんど各官庁のいわゆる災害対策本部であるとか、救護班本部だとかが使つておりまして、罹災民はそのテントを使つておりません。こういう現状を大臣は御存じであつて、それに対してどれだけの努力をなすつたか、そこのところをまず第一にお聞きしたいと思うのです。  それから第二は、生産物が全部だめになつてしまいまして、特に茨城県などの水害地においては、農作物、稻が全部だめになつてしまいました。一年間食べるだけの米もありませんし、金ももちろんありません。こういう人たちに対して、一体政府はどういう対策をおとりになるつもりなのか。食えないのです。この間までは災害救助法で無料で米を支給してもらつたのでありますが、これがなくなりまして、現在では配給を受けなければならない。しかしその配給米を受ける金もないという人たちがたくさんある。これを一体どうするか。これから寒くなつて参りますが、ふとんも何も全部だめになつてしまつた。着物もどろ水につかつたので全部だめになつてしまつた。一体こういう人たちの衣食住に対してどういう対策をおとりになつて救助するつもりか。それをひとつ厚生大臣の立場でお答え願いたい。
  17. 黒川武雄

    黒川国務大臣 水害後の被害を受けられた国民の方々の御困難に対しましては、十分同情しておりまして、困窮者に対しましては、生活保護法によりまして処置して行きたいと考えております。しかし私自身といたしましては、何らかできれば精神的にでも十分同情の意を表したいという決心でおります。
  18. 池田峯雄

    池田(峯)委員 生活保護法でと言いますけれども、予算も少いのですし、あしたから金がほしいのです。そういう点はどういうふうに処置なさつておるのですか、現に何も処置がないのですか、その点をひとつ……。
  19. 黒川武雄

    黒川国務大臣 ただいまのところ、生活保護法以外には何ら手は打てないと思います。
  20. 松井豊吉

    松井委員長 ちよつと大臣にお聞きしたいのでございますが、私ら調査団一行が特にどうしても責任を果したいと痛切に感じたことは、茨城県の二町六箇村に関係のある、ほとんど全村が水浸しになつておりまして、実際私八日に見舞に参りまして、——御承知の通り先刻御報告にもあつた通り、堤防に八千三百人の避難者がおる。そこで家財道具初めほとんど何もない。裸にひとしい状態です。そこで厚生施設として予算に出すような先例がないということも承知しておりますが、この際あの状態を見て、あまり被害が大きいから、何とか厚生大臣のお力によつて特例でも御設置できるならば、ぜひあの問題を根本から救助願いたいという考えを持つておるのですが、それに対して大臣はどういうお考えであるか。一言伺いたいと思います。
  21. 黒川武雄

    黒川国務大臣 実は茨城県の水害状況の映画も拜見いたしましたし、現場のことにつきましては十分聞いておりますが、まことに同情にたえない次第でございます。私といたしましては、県当局ともこれ以上協力いたしまして、また指示をいたしまして、災害地の復旧努力いたしたいと思つております。
  22. 松井豊吉

    松井委員長 茨城県が御承知の通り想像以外の状態である。また長野県に参りましても、あの角間川に連絡しておる沿線の小さな町でございます。温泉地帯でありますが、これらも二十数人の死亡者を出しておりまして、いずれもそれに関連して、厚生施設の、いわゆる補助融資の先例がないということで、その人々が非常に困難をしておりまして、特に言われたのでありますが、厚生大臣のお力によつて、ぜひとも何らかの方法で実現願いたいということを申し上げておきます。
  23. 久野忠治

    ○久野委員 先ほどの被災地の視察調査の結果の報告を承りますと、災害地は收穫皆無であり、災害を受けてないととろは近年にない大豊作である。そのために人心に及ぼす影響は大なるものがあるというような報告の一節があつたのであります。まつたく災害復旧の問題は緊急要事であることは論をまたないわけである。そうした意味合いから行きまして、私は安本御当局が目下来年度の予算編成中であるようでありますので、特に要望を申し上げたい事項がありますので、一、二御要望申し上げたいと思うのであります。その第一は、先ほどの報告にもありましたように、原形復旧にのみたよる災害復旧は不可である。すなわちこれと並行して災害防止、すなわち予防といいますか、防災的な事業を並行して行くことが、将来災害を減少させる一つの道であるというような御報告も今あつたのでありますが、ところが災害防除費なるものは年々減少しておる。昨年度の予算においては約五億程度であつたものが、本年度は三億八千万円程度になつておるのであります。ところが伝えられるところによりますと、来年度は実に一億をも下まわるのではないかというようなうわささえ飛んでおる。こういうこと自身は、すでに安本御当局が災害のよつて来る原因について認識を欠いておられると私は考えるのであります。特に災害の起きまする主要な原因というものは、中小河川あるいは大河川下流部ではなく、上流の重要河川といいまするか、全国数千箇所に及ぶような小河川氾濫をいたしまして、それが原因なつて、ついには中流地域もこの被害を受けるというようなことであるように私は思うのであります。ところがもちろんこの防災費は改良費でありまするけれども、来年度の予算編成にあたつて、中小河川の改良事業費を相当程度増額されるやに承つておりますが、かりにこの中小河川の改良費が四百河川やあるいは五百河川くらいに見込まれたとて、とうていこれは災害を防止し得ないと思う。そうした意味合いから言つても、この防災工事費の果す役割というものは実に大なるものがあります。特に今次の災害実情等から推察いたしてみまするに、防除施設を施した地域は災害を免れたという意味の御報告が今ありました。宮城県の迫川のごときは、この災害防除施設実情を私は昨年視察いたしたのでありまするけれども、この地域はアイオン台風の当時よりも三十センチ以上増水したにもかかわらず、その被害を免れたというような御報告の一節があつたのは、いかにこの防災工事というものがその使命を果しているかということを如実に私は物語つておると思うのであります。そうした意味合いから行きまして、でき得るだけこの災害工事費と防災工事費とを並行して行うことが、即災害を真に予防する意味からいつて適切な方法である、さように私は考えるわけであります。特にこの重要河川は全国で四千六百河川にも及んでおるのであります。そのうちのわずか四百河川程度が中小河川として取上げられて改良されましても、他の残された四千二百河川というものはそのまま放置されておるのであります。わずか一小部分五十万円か百万円程度の改良費を投じさえすれば未然に防ぎ得るという個所が幾らもあります。ところがこの事業費がないために、これを傍観している。一旦雨が降りますれば、増大する雨量のために、ついに決壊をして、十分の一でできるものがその十倍あるいは数十倍に及んだというような実例は全国各所にあるのであります。そうした意味合いから行きまして、この防災工事等に対する予算編成についての局長の御抱負といいますか、御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。
  24. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 災害を防除するという工事につきましては、来年度におきましては重点的に見たい、決してこれを無視するという考えはございません。
  25. 久野忠治

    ○久野委員 ただいま局長からまことに心強いお話がありまして、私まつたく胆に銘じたわけですが、事実さようであるならば、私はこの際申し上げません。防災工事費が非常に少額に失するという声はちまたにすでに伝わつております。局長さんにお願いを申し上げたいことは、各県の河川関係の実務当事者に輿論を聞いてみなさい。いかにこの防災工事場費を要望しておるかという実情を聞いていただきたい。どうかその内容にわたつて、もう少し詳細にひとつ御説明をいただきたい。
  26. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 実は今予算編成中でございまして、まだはつきりした数字が出ません。今おつしやつたことをわれわれよく拜聽いたしまして、その点を加味して行きたい、かように考えております。
  27. 久野忠治

    ○久野委員 それだけでは私は黙つて引き下るわけにはどうしても行きません。ほんとうにその御意思でおやりになるならば——おそらく河川局から今回の予算編成に際しまして、防災事業費として五十億を要求している。その五十億に近いくらいの数字が私は計上されて当然だと思う。特にこの防災改良費は二分の一補助でありまするから、五十億計上されれば百億の工事ができます。特に私は愛知県の出身でありまするけれども、愛知県あるいは東京、大阪あるいは三重、和歌山、あるいは四国地方のように、先年の地震によりまして相当程度地盤沈下をした地域があります。そういう地域などに対して、高潮防禦対策の事業費も計上されておるようでありますけれども、これなども事前に思い切つた措置を講じておきさえすれば、災害は未然に防ぎ得るのであります。そういう箇所が多数見受けられるのでありまして、そうした意味合いから、でき得る限り努力するというくらいの簡單なお言葉では、私は納得できない。万一予算編成が終りまして、やむを得ず僅少なる予算であるからこの程度で編成をしたが、がまんをしてくれというようなことで、おそらくこの災害対策委員会で将来御報告なさるだろうと私は思う。そのときには、もう何ともいたし方ないというような実情ではないかと私は想像いたしますので、この際思い切つて安本当局に要望と申しまするか、お願いを申し上げたいことは、最初の予算編成において、ひとつ思い切つた災害防除費を御計画いただきたいということを、この際要望いたす次第であります。もう少しどうですか——私はまあちまたで話していることをうわさに聞いておる範囲内でありまして、事実はどうか存じませんけれども、そのうわさの程度が真意であるということであれば、私はどうしても納得でき得ない。そういう意味でひとつもう少し親切にといいまするか、納得の行くような御説明をいただきたいと思うのであります。私はここでひとり喋々と申し上げておりますけれども、どうか全国のどこの県へでもお尋ねください。おそらく各県ともこの災害防除費の増額ということは真に熱望しております。災害原形復旧ということも、それは当然でありましようけれども、それと並行して、この防除施設を講ずるということも熱望しておるところであります。その点をぜひとつ認めていただき、もう少しつつ込んで御説明いただきたいと思います。
  28. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 実はまだ計数的にまとまつておりませんので、私先ほど来十分に考慮すると申しておるわけであります。
  29. 石田政夫

    ○石田説明員 ただいま御質問の災害に対しまして、根本的な各種の対策がございますが、そのうち維持費と局部改修と並行いたしまして、その箇所ごとに防災的な対策を講じますことは、非常に重要な問題でありますので、実は建設当局といたしましても真劍に考えまして、昨年御承知と思いますけれども、維持費と局部改修につきまして若干の金額を見込んだのであります。これに対しまして実情に即した十分な災害対策経費が非常に少いということで、今まで私どももいろいろ検討いたしました、まだ決定的な計数にはなつておりませんけれども、実はまだいろいろ御議論もございますので、今ここではつきりしたことを申し上げることを、私どもといたしましてはちよつと差控えさせていただきたいと思いますが、少くとも昨年の予算に対しまして、これだけで、防災対策として大体前年度くらいでよろしいというような考えは毛頭持つておりません。昨年に比べまして相当飛躍させて考えております。
  30. 久野忠治

    ○久野委員 私の申し上げたいことは維持費の点じやなくて、改良費の点です。改良費というのは、中小河川に対する改良費は計上されておりますけれども、これはおそらく特定の中小河川にのみ改良費というものが投ぜられておるようであります。ところが実際に災害を受けた小河川というものは、中小河川に指定された箇所よりも、むしろそれ以外の小河川である。これは準用河川でありますが、これを今日困窮しておる地方財政状態において負担せよという方がむりです。今日防災工事費というものにどれくらい地方がたよつておるかしれません。防災工事費があることによつてすなわち小河川の改良ができ得ておるのです。それを昨年度よりも下まわるということであるならば、むしろこれは倍額——あるいは公共事業費は相当大幅に増額されるということであるから、倍額あるいは十数倍に及ぶほど増額されることが私はむしろ至当じやないかと思います。そういう輿論が高くなつて来ておると思うので、特に私は念を入れて申し上げておきます。ここにも災害地の代表の方がおいでになつておりますから、どういう河川が決潰したかを聞いてみてください。それを原形復旧のみによつて復旧することがはたして正しいかどうか、あるいは原形復旧と並行して、いわゆる準用河川、小河川の改良事業をやつて行くべきかどうかということを聞いていただきたい。
  31. 石田政夫

    ○石田説明員 ちよつと速記を控えていただきたいのですが……。
  32. 松井豊吉

    松井委員長 速記をやめてください。     〔速記中止〕
  33. 松井豊吉

    松井委員長 では速記を始めて……。
  34. 久野忠治

    ○久野委員 私は維持費は相当御配慮になつておるようにうわさを聞いておりますけれども、改良費が非常に少いと思います。私は何も安本御当局に不服を言つたり怒つておるわけではないのです。地方から非常に要望が高まつておりますし、先般もこの八月の災害の査定がありました際に、岩手県あるいはその他の地方の方が災害の査定の書類を持つておいでになつたときにも、その地方の方々といろいろお話合いをいたしましたら、とにかく防災対策事業費というものを相当大幅に増額していただくことが、すなわち災害を防ぐ唯一の道であるということは一致した意見です。ところがうわさによると、改良費が非常に少い。だからぜひ改良費を大幅に増額していただきたいというのです。それから特に安本御当局で原案をおつくりになつて、大蔵省とおそらく御折衝になるだろうと思いますが、大蔵省と御折衝になる際に、それを三倍にも五倍にもふやすということはおそらく困難であろうと思います。そこで今のうちに、安本御当局で立案の中にある程度この点を御配慮いただいて、相当程度の防災費を御計上いただくことがすなわち輿論にこたえる道であるというふうに考えるわけで、私は怒つておるわけでも何でもありません。お願い申し上げておるわけであります。これはいろいろの点から考えてみますと、改良維持だとか、防災だとか、災害の費目、あるいは予算をとるのに相当程度考えが及んでおられぬと申しますか、防災工事費の果す役割というものについて案外安本御当局は御存じないのじやないかというように私は考えております。くどく申し上げるようでありますが、河川局あたりでは專門の方がおいでになることでありますから、そうした要望等についてもとくに御調査いただきまして、でき得る限りの御配慮をいただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  35. 吉川久衛

    ○吉川委員 時間がございませんから、私は簡單に二、三の点についてお伺いしてみたいと思います。先ほど黒川厚生大臣は国務大臣として、災害復旧の問題については政府は非常に熱心にやつておると言われましたけれども、六月の災害復旧工事につきましても、政府の交付金、助成金等がいまだに通達になつていないのです。そのために地方財政は非常に窮迫しておりますので、工事が進められないような状況にある。またただいま二百十日、二百二十日の厄日を控えて、地元の住民は戰々兢々としておるのですが、これは災害をもつと大きくして、土建業者に仕事を與えてもうけさせようというような考えを政府は持つておるのじやないか、国土の保全を妨害するようなことを政府は考えておるのじやないかというように、国民は政府を非常に疑つております。どうかこの点について、どういうわけで交付が遅れておるのか、その事情をひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。  それから土建業者のことで思いつきましたのですが、建設省は土建業者を推薦されるそうであります。そのために地方のある県のごときは、土木委員建設省から推薦されたのだから、この業者にやらせなければならないのだ、そうしなければ補助金がもらえないのだ、予算を多くしてもらえないのだというような口実を設けて、県外の業者に仕事を請負わせる、そのためにせつかく地方にまわされたところの交付金がいつの間にか中央へ吸い上げられてしまうというような問題が起きております。ことに土木委員の問題等については、これはいろいろな弊害を生みますから、こういう事実があるかないかということを伺つておきたいと思います。  それから水防活動につきまして政府はどういう対策をお持ちになつていらつしやるか、これも伺つておきたいと思います。  それから農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の第二條の第五号でありましたか、一箇所工事の費用が十五万円以上のものでなければいけないということになつておりますが、地方を歩いて今回の災害状況を見ますると、一村内で十五万円未満の箇所が数十箇所もございまして、これを合せますと一町村ではるかに数層倍の額に達するのであります。しかるに一事業十五万円未満のものは補助の対象にならないということになりますと、これは非常に矛盾した現象が現われて来るわけでありますが、こういう問題について何らか格別の御配慮があるのかないのか、この四つの点についてお伺いをいたしたいと思います。
  36. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 六月の災害につきまして、まだ金が出ていないというお話でありますが、これは合河川とか、農業関係とかいうふうに区分をきめまして、各省からの申請を待つている次第であります。各省から申請の来たものは進んでおる次第でありますが、申請の来ないものに対しましては、催促をしているというような状態であります。
  37. 目黒清雄

    ○目黒説明員 府県の災害復旧その他の土木事業に対して、建設省が請負人の推薦をするというようなお話でありますが、そういうことは全然通牒はいたしませんし、実際もありません。ただ建設省には建設業課がありまして、ここへ請負人のいろいろな資格といいますか、力量を登録してありますので、府県がそれを参考にいたす場合には、いつ何どきでも供覧に供することになつております。それでありますから、府県からの希望がありますれば、いつ何どきでも請負人にかくのごとき者ありということだけは申し上げなければなりません。  次に水防対策でありますが、水防は先ほどもお話になりました通りに、最近めきめきと発達して参りまして、その効果も非常に多いのであります。ところがこれに対する国の補助が全然ない。われわれとしては常にこれらの水防費に対する予算について、何とか国庫補助の道を講じたいと思つておりますが、なかなか予算当局の承認に相なる段取りにならず、今年もこれに対して折衝を進めておりますが、応急的な水防費の負担に府県は非常に苦しんでいるということも事実でありまして、茨城県のごときは水防のために一億の費用を投じたとも言われておりますので、これもお気の毒な次第と考えております。
  38. 石田政夫

    ○石田説明員 第三番目の御質問は、町村によつては十五万円以下の災害箇所が非常に多くて、そのためにこれが補助の対象にならなかつたために、町村財政が非常に苦しんでおるというお話でありました。実情はその通りでございますが、これに対して安本として考えましたことは、例の全額国庫負担の法律の際に、当時は農業災害は一箇所当り十五万円で、建設省関係が七万五千円でありましたが、それ以外に事実上において港湾とかその他は、それぞれ内容によりまして三十万、四十万以上の災害も多いのであります。従つていろいろ総合的に検討いたしました結果、十五万円以下のものを落したのであります。その理由といたしましては、一つは、御承知の例の地方財政平衡交付金一千五十億のうち、約一割程度の特別平衡交付金というものがございます。これが災害等を主たる対象としておりますので、こういう府県市町村の財政面から見まして、一応災害の県單位を含めまして、財政的に非常に窮迫したところは特別平衡交付金の中から若干補填する、そうして補助対象といたしましては、前年度農業の十五万円と、河川の七万五千円とを考えまして、一応十五万円に引上げて基準を考えたわけであります。御承知だと思いますけれども、大分前には一箇所当り二千円でありました。それが最近の貨幣価値から申しますと、実は二千円が十五万円以上になつております。そういうことをいろいろ考えました結果、一応十五万円と押えました。あとは県單位におきましては、それぞれ地方財政委員会に連絡いたしまして、例の平衡交付金の方で、その総合的な地方財政ができるようにという考えで進んで参つております。
  39. 吉川久衛

    ○吉川委員 ただいまの一箇所工事費の十五万円以上の問題は、これは実際問題として非常に問題になつております。一町村單位合計幾らというような点をひとつ研究してみていただきたいと思います。お願いをしておきます。
  40. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 これは委員長に希望をするのでありますけれども、二十六年度の災害対策の予算等については、はつきりしたことをお伺いすることは早いというか、まだそこまで行つていないような気がいたしますし、二十六年度予算等に関する問題は、これ以上質問いたしましても、今日はおそらくお答えは十分に得られないから、なるたけ近い機会に委員長が折衝せられました上で、それを知り得る機会を早くつくつていただきたいと思います。  なお二十六年度の予算編成に際しましては、先ほど来同僚各位から御希望がありましたように、防災関係の経費はわれわれの地方においても非常に要求しております。そういう点は特に御注意くださいまして、予算の編成に当つていただきたいと思います。  なお先ほど来同僚議員の方から、政府災害復旧に対して全然誠意がないということを言われた向きもありましたけれども、われわれはそうばかりは思つておりません。二十二年以来の災害に対して、あの当時の経費と今の方針とを比べてみても、また去年と比べただけでも、災害復旧に関してだけでも、今年は大体倍額になつていることは、どなたでも事実を認めております。なお来年度の災害復旧に対しましても、その方向を間違いないようにやつていただきたいと存じます。さらになお災害対策特別委員会でこのように各党から意見が出るということは、ほとんど超党派的な立場から国の災害をなくするという意味であることを、よくお考え願いたいと思います。  それからこれは二十五年度の予算でありますからぜひお伺いしたいと思いますが、この春の雪解け以来の災害について、この前の国会の終りごろにちようだいした材料によりますと、六月の十四日までの災害状況でありますが、これは総額において六十六億九千三百万円ということを伺つておりますが、その後八月われわれの調査等に参りました各地災害によつて、これはおそらく数百億に上つているのではないかと思いますが、その概算額でよろしゆうございますから、その額と、それに対して八月の十五日だつたと思いましたが、六月までの経費と六月以降の経費を閣議で決定したということを新聞でちよつと見たような記憶がありますが、それがはたしてどれだけの決定額であるか、その決定された額をどういうふうに今運んでおるか、その点についてお伺いいたします。
  41. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 これまでの災害につきまして、六月一ぱいまでの報告額が二百七十億であります。それから七月から八月十日までの災害額、これも報告額でありますが、二百三十億であります。それに対しまして関係筋といろいろ交渉した結果、リリーズされた金額が六月一ぱいのは二十七億であります。それから七月以降八月十日までの災害に対しましては二十三億であります。その二十七億の内訳につきましては、すでに今月の中旬、十四、五日ごろに閣議にかけまして各省に申し上げ、各省が認証申請をすればすぐ出ることになつております。そのうちの一部分は認証申請が出ておりますが、いないものにつきましては、今催促しまして、早く出してくれということを言つております。  そのあとの二十三億でありますが、これは今各省が査定しておりまして、その査定額をきめまして、それから河川とか農業というふうに按分して出したい、かように存じております。ただ二十三億につきましては、若干遅れるかもしれないという見通しがありますので、別に災害がありました県に対しては、金融措置を一応つけたい、そういうふうに進めております。
  42. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 そうしますと各省で申請すれば出す、申請しなければ遅れる。これはよくわかりますけれども、二十三億の各省の査定、これを今各省において査定しておる。しかも遅れるといけないから、金融措置をとるということをやつておりますと、先ほどどなたかからの御質問のように、災害をもつと大きくして、経費をよけい使わせるような結果になるおそれがある。そういうお話がありますが、どうかそういうことのないように早くやつていただきたいと思うのであります。
  43. 吉川久衛

    ○吉川委員 関連して……。ただいま伺つておりますと、六月の災害について二十七億ということでございましたが、これは百億のいわゆる予備費の中から四十二億を閣議できめたやに伺つた。それが二十七億に減つてしまつた。そういたしますと、ほんとうは四十二億なければ完全な災害復旧はできないのだけれども、どうもしかたなしに二十七億になつてしまつたのだということになりますと、二十七億で一体全体四十二億だけのものをどういうふうに補うのか。何か魔術でも使われるのか。何かそこに特別な技術的な操作をもつて、さようなことができるのか。それとも四十二億というのは、大分水増しのものであつたのか。二十七億で完全なことができるか。そこが非常に私不安に思うのでありますが、そこらあたり納得の行くようにひとつ御説明願いたいと思います。
  44. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 四十二億の問題については、私からもこの前の国会の終りといいますか、七月に伺つておりましたが、それは私の解釈では、おそらく六月までの分として二十七億で、七月中のものを含めて四十二億でやつているのではないかと思いますが、その点はつきりしていただきたいと思います。
  45. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 今の四十二億に対しましては、七月分のは入つておりません。  それからただいまの御質問のありました四十二億のものが二十七億になつて云々ということについては、結局は工費が減りますと、それだけのものができませんから、われわれといたしましては関係筋に、大臣にも二、三回足を運んでいただいて折衝したのでありますが、それができませんので、そのうちの緊急なものだけやるというふうになつておるのであります。
  46. 床次徳二

    ○床次委員 一言委員長にお願いしたいのです。当委員会といたしましては、災害復旧に対しまして根本的に多額の経費をとつてこれに当らなければ、将来の災害を絶滅することはできない。累増するにとどまるという結論を得ておりまして、できるだけ災害予防に対しての予算をとるということは、昨年以来この委員会で議決いたされ、その後この方針で委員会は進んでおるのであります。今日さらに当局の説明あるいは同僚各位の御意見等を聞いてみましても、要するにその方針においては、依然として当時とかわつておらない。しかしながら委員会の実態を見ますと、單なる災害の陳情委員会に終るのではないかという感じがするのでありまして、まことに遺憾だと思います。特に今予算の編成期であります。今日はいかにしてわれわれの委員会の結論通り、これを要求するかという時代にあると思います。先ほど他の委員から政府に御質問がありましたが、政府に要望する時代は過ぎておる。われわれの委員会の希望を予算に反映せしめる、率直に申してそういう時代だと思います。この点におきまして委員長は、従来の委員会意見をよくお考えいただいて、なお委員長自体も今回の災害視察でよくごらんになつて、詳細をきわめられておりますので、どうかその結論を十分に政府当局に反映するような御努力をいただきたい。なおこの問題に関しましては、政党的なことをかれこれ申す余地はない。これは超党派的なものでありますが、要するに今日の委員会の様子を見ましても、出席者の大多数は実は野党である。先ほど與党の方が、非常に熱心に御努力なつて、予算を多額にとられたというお話でありましたけれども、予算は多々ますます弁ずで、現在のような状態では私どもは満足できない。ひとつこれは特に與党の方におかれましても、格段なる努力をされまして、委員会の要望するような予算を実現するようなお骨折りを願いたい。特に私はこの際お願いいたしたいのは、かねがね当委員会におきましては、災害防止国土保全に関する小委員会を設置いたしまして、予防法の設置、立案中であります。その骨子になりますのは、いかにして予算をとるか。予算が相当ありますならば、小委員会の希望しておりますところの、災害予防に対する応急の基金並びに恒久対策の恒常の基金を設置することができ、先ほどお話のありました、災害がありまして工事が遅れてしまうというような非難はなくなつて、災害がありましたならばただちに金をつぎ込み得るような、われわれが希望するような施設になる。このためにも何としても予算をしつかり獲得しなければならない。特に委員長におかれまして、ただいまは予算編成時期でありますから、十分当委員会意見を予算編成に反映させていただいて、政府当局にたのむというのでなしに、国会の意思においてその予算を成立せしめるよう、特に御援助をいただきたいと委員長にお願いする次第であります。
  47. 松井豊吉

    松井委員長 ただいまの床次君の御指摘に対しましては、委員長としても同感であります。御承知のごとく災害対策特別委員会は、予算に対しては相当権限を有するので、結論的に申し上げれば、先輩同僚各位が努力をされておるのです。そこで小委員長も、一応小平君が選任されまして、起案中でありまして、これらの問題もよく了承いたしております。そこでなれない私委員長でありまして、前大内名委員長のあとをお引受けをいたしたのでありますが、各位からできる限り御指導御鞭撻を願いまして、皆さんから策を授けていただくならば、私は骨が碎けても努力を惜しむものではございません。御承知の通り形式の委員会ではないと信じております。われわれ災害対策委員会は各関係省に何ら遠慮することもございません。できる限り皆さんの御熱意によつて努力いたしまして、実現いたしたい、こう思つております。そこでぜひ委員各位におきましても、多数の御出席を願いまして、そうしてその声を所管大臣、局長あたりにも御認識願つて、熱意を見てもらう。われわれは断じて形式の委員会に終る考えはございません。よろしくお願いしたいと思います。
  48. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 私は、四、五日のうちにお話合の上で委員会を開かれる、主管大臣が出るというお話でありますから、大きい問題についてはその際にお尋ね申し上げ、いろいろ意見を申し上げたいのでありますが、本日はただ私写真その他を見ておりまして、幾回となく附近に水害を受けまして、いかなる模様であつたか、いかに悲しい思いをしたことかと、近所の方々を見ても同情する一人でありますが、本日この宮城県澱橋付近の写真を見ると、片方は避難しておる者があるのに、笑つておる子供がいる。この写真を見ると、あながち砂防工事というようなことのみに努力を用いないで、精神的の工事も施しておく必要があろうと思うのであります。こういう写真を見ていると、同情ではなく、かえつて憤慨せざるを得ない場面があるのであります。ただ写真を見ていてはわからぬ、微に入り細にわたつて見ると、そういうことがわかるのであります。  それからもう一つは、ここに政府当局から出してあるところの厚生省の社会局において書いた資料の中に、国家地方警察という文句がある。これはわれわれだから国家地方警察と読むが、米人あたりから見たら口家地方警察と読むに違いない。次の国の字は御丁寧にはつきり書いてあるから、もう少し国字も忘れぬように願いたい。小さい問題ではなく、こういうことも注意しないと、日本人を誤まらしめることになると思うのであります。  もう一つは、この間アメリカの将校が水害のときに、自分の身の危險を冒して日本人を救助したということを私は聞いておるが、身命を賭して水害からのがれるわが国民を救助した、この人情あふるる将校に対して、表彰状でも送つたか、あるいは感謝状でも送つたか。こういうことに対してこそ、ほんとうに人間らしいところの行動をひとつしていただきたい。しているか、していないか。もししていなかつたら、ただちにこの人命救助に当られたアメリカの将校などに対しては、より以上の表彰状、あるいは記念品でも送るような気持が当局にはあつてほしいと思うのです。
  49. 松井豊吉

    松井委員長 高橋君に申し上げますが、きようその御答弁する担任の人が来られないので、追つて時機を見て御報告申し上げます。御了承願います。
  50. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 決して私は事を好むのではない。ほんとうにこの写真を私は涙をもつて見ているのに、笑つている子供を見るとしやくにさわる。今後教育を……。(「それは文部大臣だ。」と呼ぶ者あり)あながち文部大臣でも何でもいい。大臣でなくてもいいが、これではほんとうに日本国民の教育が届いていないということになる。学校の先生がいろいろ騒ぐようになつている今日だから、教育からやり直さなければならぬのかもしれぬけれども、こういう点はよほど注意しなければ、笑つているような写真を写されると、アメリカあたりから同情して義捐金を送ろうと思つているのを、やめることになるかもしれぬ。それから国の字のことも、これは小さいようで大きい問題であるから、そういうところは当局がはつきり文章を書く場合には注意していただきたい。これでは国とは読めぬ。四角なんだ。口家としか読めないのです。  それから今委員長からおつしやつたのですが、当局がおられたならば、どうか一日も早く——この将校は大佐であつたと思いますが、その大佐に対しては、私はより以上の表彰状と記念品ぐらいは、日本国から送るのが至当ではないか。どうか委員長によろしくお願いいたします。
  51. 松井豊吉

    松井委員長 安本の小沢局長にちよつとお伺いいたしますが、私も長い間建設委員の席を汚しておりましたが、いずれも予算の問題になると安本の責任ということになつておりまして、その範囲がどこにあるかということもいろいろ調査研究されたのでありますが、先日建設委員会が開かれましたときに、今泉という次長が参られまして、全国災害被害地の問題で、一応それぞれ御質疑があつたのでございますが、今泉君は災害復旧工事費として第七国会において予算を計上されたが、その金を使いたくないと言つておる。全国の被害が二十億円内外であるから、融資か何か小出しに出して、九月の大きな災害の時期を見てそれを使いたいということでありました。そこで本日委員諸公の多数から小沢局長に御質問がありまして、石田事務官からもそれぞれ御答弁がありましたが、そんな手ぬるいことでは断じて承知ができないということは、何回も繰返しておる。われわれが関東、信越を調査いたしましたけれども、先刻も委員からいろいろ御意見がありましたように、ほんとうにその防災費の予算もなし、水防費の予算もなし、またすでに設計をして入札をして工事に着手しようというのに予算がない。それだから大きな災害をこうむつておる。さらに昨年度完成した堤防も、われわれが調査した関東、信越区域内におきましても、何千メートルという堤防決壊させられております。これらも予算関係にあるのでしようが、これらは追つて調査をするとしても、しかしながらきようの小澤君の答弁についても、もちろん大臣を代行しておるでしようが、この予算に対する認識がないということは、はつきり申し上げて過言でないことは、先日来建設委員会の席上でとことんまでたたいた。閣議で四十二億円が大体確定したことは通ると思う。おそらくその予算に対して、安本は阻止するお考えはないと信じておりますけれども、どうも経済を担当されるその責任者が、向う方面に参りまして自発的にこの被害地の状況報告し、予算をどうしても百億使うという御意思があるならば、先日来今泉次長が参りましてあんなばかげた答弁をする必要はなかつた。これらを総合いたしまして、百億の公共事業費をどう考えておりますか、どうもそこにきようの委員各位の質疑に対する重点があつたように考えるのでありますが、小沢局長は大臣にかわつてぜひ百億全部使うという腹をきめていただき、向うの方面にその実情を述べて自発的に御努力願いたいと思う。いろいろ向うの方面に対して御努力されておることは、われわれ十分信じておりますけれども、もう一段の努力——百億使つちやつてなければ、さらに更正予算を計上してやるほかに道はないと思う。私はぜひこの際、安本関係はお考えがあると思うが、あつたとしたならば根本からまとめてもらつて、ぜひこの声を本年こそは実現願いたいということを要望いたします。
  52. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 先ほどほかの委員からおつしやつたように、出席がどうも少いのでありまして、この次の委員会には全部出席するように。私なんかきのうわざわざ九州から電報によつてはせ参じたのでありますが、現在東京にいながら、先ほどから数回迎えに行つて、しかも出て来ないという不熱心さであります。私は妻が入院して、約三箇月の大手術をして、死ぬか生きるかというような妻をほつたらかして来ているのです。そういう熱心な方面からこの委員会は開会していただきたいと思うのであります。それにかかわらず、そうであるかないかわからぬが、私の見るところでは個人の会社関係か、あるいは地方の小さい部分的な問題のために、議員が面会でもしているようであつたならば、私ははなはだこれを許すことはできないと思うのであります。よかつたならば、今後の委員会は来月の五日なら五日に招集して、全部出席して、ほんとうに真心の質問応答をしていただきたいということを委員にお願いしておきます。     —————————————
  53. 松井豊吉

    松井委員長 ほかに質疑はないでしようか。——この際小委員会設置についてお諮りいたします。すなわち本委員会におきましては、第八回国会において災害防止国土保全法案起草小委員会を設置いたしまして、同法案の起草に努力して参つたのでありますが、本閉会中も引続きその審議をいたしたいと思います。つきましては、小委員長及び小委員は従前通りとして、同小委員会を設置するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 松井豊吉

    松井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。それでは小委員は、    青木  正君  飯塚 定輔君    岡延右エ門君  小淵 光平君    久野 忠治君  小平 久雄君    仲内 憲治君  吉川 久衛君    床次 徳二君  青野 武一君    前田榮之助君  池田 峯雄君    寺崎  覺君 に、小委員長は小平久雄君にお願いいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 今指名された名前を見ると、欠席された者ばかりでありますが、もつと出席をする者を出さなければなりません。何か次官になるとか、平大臣になるときにはわざわざ出て来る。出て来ない者はなるべくやめさせるようにしていただきたい。まじめに出て来る者がばかを見る、そうしてもらいたい。
  56. 松井豊吉

    松井委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時五分散会、