○砂間
委員 たいへんのんきなことを申しておられるように私は思うのですが、地方のそういう被害を受けるところの人たちとしては、これはもう実に切実な真剣な問題なんです。私も静岡県でありますけれども、静岡県の御前崎の西の方から愛知県にかけまして—先だ
つて水産庁の漁政課の何とかいう方が来て、漁民に説明したところによりますと、東西四十海里、南北十一海里、非常に広範なところが禁漁区域に設定される。地図等によ
つて見ますと、これらの海面は底引き漁業であるとか、かつお漁業であるとかの、一番いい漁場の
中心をなしているので、静岡県だけでも数万の漁民が全然生業を失
つてしまうわけです。
関係産業の人たち、たとえばかつお節だとかあるいは魚を加工するとか、そういう
関係している産業の人たちを含めると、静岡県だけでも莫大な人口になるるわけです。特に沖に出ておる漁師というものは、陸に上
つて転業するということが非常に困難なんです。普通の陸の工場で働いている人は一旦解雇されましても他の工場に就職するとか何とかいうことができるのですが、小さいときから船に乗
つて、海の上で漁業というふうな特殊な技術で生活して来ている人は、転業ということが非常に困難で、ほとんど一生生計の資料を失うということになるわけです。この補償なんか、単に補償とい
つて、名目的な一時的なすずめの涙ほどの金でごまかされて、それでもう十分補償したというようなことでは、これは泣いても泣き切れないです。しかもこれが何もきのうきよう突如として始ま
つたことではなくて、静岡県の場合なんかは、ことしの春ごろからの話でありますけれども、たとえば千葉県の片貝等におきましては、数年前からこういう問題があるわけなんです。それを荏苒今日まで放擲して来ておいて、まだ
考えておるのだとか何とかいうようなことは、私はこの
政府のやり方は非常に怠慢だと思う。これは地方議会においても問題にな
つておりまして、静岡県などにおきましては、昨年の十二月の県議会においてもいろいろ問題にな
つて論議されていて、知事や副知事が被害区域とか、被害漁民とかいうような
言葉まで使
つておるようですけれども、これは地方だけでは解決できない問題なんです。ですからそういう問題については、たとい占領下にあるとはいえ、日本の国民の生活を見てやるということは当然
政府の義務でありますから、もつと事態を国会で明らかにして、国会の協力も得て、そうしてこれを何とか救済してやるということを迅速にやるべきだと思うのです。これは単に海上ばかりの問題ではありません。陸上にもそれに類似するようなところがたくさんあるわけです。それを何か隠したようで、発表しないで、こそこそ何かや
つておるようで、や
つていないようでいてちつともわからない。こういうことでは国会はまるでつんぼ棧敷に坐らされているというか、明盲にされている。事実を率直に発表して、
政府はどういう
対策をとろうとしておるのか、これを
はつきり言うていただきたい。