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1950-07-29 第8回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 松井 豊吉君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小淵 光平君 理事 小平 久雄君    理事 吉川 久衛君       青柳 一郎君    岡延右エ門君       奧村又十郎君    甲木  保君       金光 義邦君    川端 佳夫君       小玉 治行君    小山 長規君       高橋 權六君    永井 英修君       野村專太郎君   橋本登美三郎君       三浦寅之助君    金子與重郎君       前田榮之助君    前田 種男君       石野 久男君  委員外出席者         農林事務官   宮下 好男君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      賀屋 茂一君         経済安定事務官 小笠原喜郎君     ————————————— 七月二十九日  委員江田斗米吉君辞任につき、その補欠として  橋本登美三郎君が議長の指名で委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中審査申出に関する件  委員派遣承認申請に関する件  昭和二十五年度発生災害復旧事業費に関する件  グレース台風による被害状況に関する件     —————————————
  2. 松井豊吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  本日の日程は、昭和二十五年度発生災害復旧事業費に関する件、グレース台風による被害状況聴取の件、及び閉会中の審査申出の件であります。  まず日程の順序を変更いたします。グレース台風による被害状況聴取の件を議題といたします。農耕地及び山林等被害状況につきまして、農林事務官宮下好男君より御説明を願いたいと思います。
  3. 宮下好男

    宮下説明員 七月二十日前後に九州被害を及ぼしましたグレース台風被害状況報告いたします。  本災害による被害は目下調査中でありまするが、七月二十六日現在までに判明いたしました被害額は、農地関係におきましては熊本大分宮崎鹿児島、この四県が報告なつております。長崎もあると思いまするが、まだその報告に接しておりません。熊本におきましては農地面積が陥沒流失されたものが三十一町三反、被害額が一千四百万円、それから農業用施設におきましては、数量として水路とか護岸とかの延長で数えるものが一万四千百五十九メートル、それからため池とか樋管とか箇所で数えるものが五十八箇所、その被害額が一億二千三百二十一万円、被害の計が一億三千七百二十一万円と報告なつております。それから大分におきましては、農地面積はまだ完全なものが出ておりませんが、被害額においては百万円、それから農業用施設におきましては被害額が五千百万円、合計で五千二百万円となつております。それから宮崎におきましては、農地面積が陥沒、流失等が三百町歩、被害額が七千万円、それから農業用施設におきましては、延長で数えるものが九万三千三百メートル、箇所で数えるものが百五十三箇所、その被害額が五億五百万円、合計で五億七千五百万円となつております。それから鹿児島におきましては、農地農業用施設箇所数とか被害額がはつきりしておりませんので、とりあえず被害合計といたしまして一億五千万円、トータルにおきましては農地関係が九億一千四百二十一万円、こうなつております。これは目下引続き調査中であります。  次には林野関係でありまするが、林野関係におきましては、これは民有林においては崩壊林地林道、その他とわかれておりますが、崩壊林地の方は大分宮崎鹿児島、それから林道の方は長崎大分宮崎鹿児島、その他は宮崎だけでありますが、そういうふうになつておりまして、崩壊林地の方の被害額は八千五百万円、それから林道が七千百四十三万四千円、その他が四千百五十万円、計が一億九千七百九十三万四千円。それから国有林として熊本がありますが、熊本局を統合したものでありますが、それが崩壊林地が八十万円、林道におきましては百五十七万二千円、計が二百三十七万二千円、トータルにおいては林野関係が二億三十万六千円となつております。これも目下引続いて調査中であります。  それから水産関係でありますが、水産関係漁港ですが、漁港といたしましてはまだ詳細な報告なつておりませんが、電報等でとりあえずまとまつたものは、漁港の数が熊本大分宮崎鹿児島で四十七漁港、それから漁船の流失とか損害をこうむつた数が、大分だけでありますが、百五十二隻、それから漁具の方は件数だけでまだわかつておりませんが、熊本は五十一件、その金額を申し上げますと、熊本は一千二百十二万四千四百円、大分が二千九百十一万円、宮崎が一千四百万円、鹿児島が一千百万円、そのトータルが六千六百二十三万四千四百円となつております。農地関係、それから林野水産の総計においては十一億八千七百五十万円になつておるのであります。台風被害状況については以上であります。
  4. 松井豊吉

    松井委員長 次に建設省河川局防災課長がお見えになりましたので御説明を求めます。
  5. 賀屋茂一

    賀屋説明員 グレース台風概況は、先般その当時の概況だけを御説明いたしたのでございますが、正確な報告が逐次集まりまして、ただいま昨日までの状況をお配りしたわけでございますが、またこの表から申しますと、今朝は宮崎あたりがまだ相当ふえておりますので、これは宮崎県は四億八千万円となつておりますが、今朝また電報によりますと六億一千六百万円、こういうような電報が入つております。ほかの県も多少増加があるのではないかと思いますが、昨日までの状況では、土木工作物被害は、お配りしましたように十五億七千六百余万円、こうなつておるのであります。これにつきましては、まだ県の報告でございまして、検査をいたしたわけではないのでございますが、引続いてヘリーン台風というようなものが、来ておりますので、県の方としましてもまとまりませんので、われわれの方といたしましては査定まで待つておれませんので、とりあえず係官を二班くらいにわけまして、被害激甚地を一応視察せしめる。大きな県は宮崎県でありますが、宮崎あたり状況を申しますと、グレース台風だけでも来月の八日ごろでなければまとまるまいという状況でありますので、これも実は待つておれませんのでとりあえず来週月曜あたりから二班ぐらいにわけまして、宮崎大分鹿児島長崎熊本、この程度のところを視察させようと思つておるわけであります。福岡あたりは比較的被害が少いようでありますから、これは検査報告準備も早くできようと思いますので、視察の方は手控えたいと思つております。  それからグレース台風状況はこの程度でございますが、二十七日以来のヘリース台風は、御承知通りに二十七日ごろになりまして、非常に本土に近づいて来てわかつたような状況でございまして、当初は九州東海岸通つて豊後水道に拔けるだろう、こういうふうな予想でございまして、当時はこのへリーン台風の前に熱帯性低気圧が一つございまして、ほとんど同日に、ほぼ同じ程度の所を北上しておつたわけであります。これが二十七日の午後に至りまして、豊後水道の方に向わないで、鹿児島湾を横断いたしまして、天草の方に拔けたわけでございます。これは大して大きなものではございません。九百九十ミリバール程度のものでございまして、天草方面至つてこれは解消いたしました。それからその次にヘリーンと名づけられましたものが同じコースを北上いたしまして、これもすぐ引続いて二十七日ころには豊後水道に来るだろう、こういうふうな情報であつたのでございますが、これがまた九州鹿児島の南海上で非常に方向をかえまして、東海岸に出るだろうと思つたものが、西海岸に出まして、さらに北上いたしまして、九州の西側を通りまして、本朝来朝鮮に拔けておる、こういうような状況でございます。これも大した大きなものではございませんが風が相当強いのでございまして、今まで調べましたところでは、雨量が百ミリに達したところは非常に少いという状況でございまして、水害の方に比較的少かろうと思つております。その余波で九州方面から東北地方にかけて——現在関東にも降つておりますが、全国的に雨が降つておるわけでございます。今までの状況では百ミリ以上というところが大分出ております。関東地方でもそのあおりがございます。河川方面から見ます被害は未だ大した大きなものじやございません。このヘリーン台風状況につきましては、まだ被害が判明いたしませんので、きようあすのうちに大分正確なものが出て来はせぬかと思つておりますが、全般的には大した被害ではなかろう、こういうふうに予想いたしております。概況は以上の通りであります。
  6. 松井豊吉

    松井委員長 以上説明を聴取いたしましたが、質疑がありますればこれを許します。
  7. 川端佳夫

    川端委員 ただいまグレース台風被害状況を概略承つたのでありますが、今見受けまするに、安定本部係官見えておるようでございますが、今年は百億の予備費もとつてあるわけでありますし、この予備費の問題については、各関係委員会あたりでも過年度災害で追われて困つておるのだ、何かその措置に利用する方途はないかというようなこともときどき委員会へ出ておつて聞いたのでありますが、来るべき台風のためにとつてあるのだ、不幸な事態を予想して待期しておるのだということであつたのでありますが、不幸にしてこういう不幸な現象が起つて来たことに対して、この予算的措置の用意をどういうふうに敏速に講ぜられる構えをとつておられるか、この点を伺いたいと思うのであります。
  8. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 本年度発生災害につきましては、ただいま仰せのように百億の予備費がございまして、すでに六月二日までに発生いたしました被害について、報告に基いて査定額をつくりまして、緊急復旧費を一応計算いたしましたものを、閣議決定をいただきましたので司令部と交渉中であります。司令部の方の考え方とわれわれの案とに非常に大きな距離がありまして、いまだにこれを予算配分をする事務的手続をする段階に至らないのでありますが、われわれは一昨日、昨日と二日にわたりまして先方と交渉しておりますが、まだ適当な案ができ上つておりません。新しい今度のグレース台風につきましては、まだ各省からの報告がありませんし、確定案もいただいておりませんし、こちらの緊急復旧額のいわゆる査定案もまだできておりませんが、二十四年度発生災害予算措置のできなかつたものにつきましては、すでに計算ができ上つておりまして、先だつて閣議決定になりました金額の中に含まれておるのは三億余りでありまして、これは今後とも動かない数字でありますので百億の予備費のうちのこれ以外の金額は本年度発生災害のために用意されておるわけでありまして、われわれは各省の御報告のあり次第、緊急やむを得ない復旧費を計上いたしまして、すみやかに配付手続をいたしたいと思つております。
  9. 小山長規

    小山委員 これは安定本部でもよろしい。建設省でもけつこうですが、災害発生しますと、ただいまちようど田植え終つて今稲の発育の途中でありますので、県なり市町村としてはほつておくわけに行かないのでありますが、この災害に対する予算配分が確定するのは相当時間がかかろうかと思います。ただいまのお話につきましてもかかりそうでありますが、実際に工事を始める場合の資金についてはどういうふうな指示をされておりますか。これを一つ伺つておきたいのでりあます。予算配分されるまでの間のつなぎ措置はどういうふうにやつておりますか。各省で考えておりますか、あるいは安定本部で考えておりますか、考えておられる点をちよつと御答弁願いたい。
  10. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 大体災害復旧費は、相当程度過年度災害に対して配付してありまして、本年度発生災害に対しましても、府県におきましては、その応急の手当をするだけの余裕はあると私たちは思つておりますので、措置は急いでおりますけれども、つなぎ資金は一応そう困つてないのじやないかと思つております。
  11. 小山長規

    小山委員 実に驚き入つたお話伺つたのでありますが、これは公式にはあなた方はそういうふうにおつしやらなければならぬのかもしれませんけれども、府県災害の実情をごらんになつたことがありますか。全部予算が足りないために、国家予算範囲を逸脱して仕事は進めて行かなければならぬ状態にあるので、府県は来年度の金も使いたいくらいに金に逼迫しておる。それを二十四年度災害配付があつたから、資金的な余裕があるはずだというそんなのんきなことを言つておられたのでは仕事ができない。おそらくただいまのは公式の声明でありましようが、非公式の声明でよろしゆうございますから、お聞かせ願いたい。
  12. 宮下好男

    宮下説明員 農林省関係におきましては、とりあえず預金部資金運用をはかるべく、目下対策考究中であります。それから農林中央金庫の自己資金というようなものの運用をはかるべく、目下対策考究中であります。それ以外の起債等についても、極力その面においてできるだけの努力を払うように努めておる次第でありまして、農林関係としては以上の通りであります。
  13. 小山長規

    小山委員 適切な御答弁をいただいたのでありますが、預金部の金を使うとき、あるいは農林中金の金を使いますときには、一応の目安があるはずだと思いますが、その目安はどういうところに置いておりますか、預金部から幾ら借りてやるとか、あつせんしてやるとかというような目安です。
  14. 宮下好男

    宮下説明員 中金の自己資金については、土地改良事業を含めまして、十億くらいの運用ができると思います。それから預金部資金の方については、今その総額については記憶がありませんが、計画としては一応立ててあるわけでございます。今その数字を持つておりませんが、自己資金の方は多分十億くらい災害にまわせるという計画を立てております。
  15. 小山長規

    小山委員 建設省の方を伺いたい。
  16. 賀屋茂一

    賀屋説明員 災害建設省災害関係が一番大きいのでありまして、緊急の復旧に非常に困つておることは仰せ通りでありまして、ただいま農林省お話にありましたように、預金部資金、これを緊急の資金としては一番に考えておるのであります。府県町村に対しましては、一時借りの方法をするとか、あるいは歳計元金があれば、とりあえず立かえさすということでやつておるのでございます。なかなかそれも現在ないのでありまして、借りる金とすれば、預金部資金を借りなければならぬということで、あつせんはしておるのでありますが、さて預金部資金を借りますときは、ただいまお話のありましたように、裏づけがなければ貸してくれないのでありまして、そのために予備費でどのくらい出せるかということで、閣議決定等を急いでおるわけでございまして、ほぼ閣議決定いたしまして、各県に配付できるだろうというわくがきまりますれば、これを預金部あたりに話しますれば、一応その範囲で金が貸せるという状況でありまして、それを急いでおるのであります。予備費の支出もいろいろの関係で遅れるわけであります。われわれといたしましては、閣議決定を待つて配付額をきめて、預金部の方に府県とともに折衝して行こう、こういう方法をとつておるわけであります。
  17. 小山長規

    小山委員 安定本部にお伺いしますが、六月二十日までの一応数字が出て、閣議決定を仰いだ、こういう説明ですが、その後のグレース台風についても若干の資料が出そろつておるのでありますが、こういうものについても逐次準備にとりかかつておられますか、または荏苒日を送つておられるのですか。
  18. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 グレース台風については資料はまとまつておりません。きようあたり各省から資料のまとまつたものを持つて来ていただくと思いますので、きようからとりかかろうというところでございます。
  19. 床次徳二

    床次委員 今のことに関連して、過年度災害におきまして各府県復旧が忙しい関係上、割当補助を越えてすでに実施しておるのであります。そのために必要な経費は立てかえ、あるいは僭越しの形で補つておるので、その負担相当に大きい。今年のごとき地方団体の苦しいときは、この負担は大きいものである。そこに持つて来て、引続いてこういう台風がありますと、ただいまおつしやつたように、その分の経費も必要になつて来るのであります。従つて今起つたところの災害に対して特別な金の融通をしてもらうことはもとよりでありますが、過年度の超過の分を早く出していただいて、少しでも地方財政を楽にしてもらう配慮が必要だと思います。特にこれは各関係方面にお願いしたいと思う。しかもただいま小山さんからお話がありましたように、新しい災害に対して、大体の目安がついたらすぐに融資の方法を講ずる、それだけの配慮をしていただかないと、連続被害を受けますところの南九州のごときは非常に困つておるのであります。特に御当局として考えていただきたいと思います。
  20. 飯塚定輔

    飯塚委員 小笠原安本事務官にお伺いしますが、台風は次々起つて、もうすでにゆうべあたりからの雨を見ますと、非常に心配になつておりますが、まだ資料が集まらなければむりのないことでありますけれども、予算的措置ができないと、工事ができないということになり、復旧ができないということになりまして、復旧工事量がだんだん多くなつて、あなた方の予算的措置がますます困難になつて来る。先ほどのお話の中に、司令部との折衝で、何か予算の額においてギヤツプのあるようなお話でありましたが、それはどういうようなことであるか、もし伺えればその点をお伺いしたい。
  21. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 六月二十日前後までにわれわれは本年度発生災害被害報告をまとめまして、査定案をつくり、さらに緊急やむを得ない金額査定をいたしまして、われわれの事務当局案を作成したのでありますが、閣議におきましては四十二億という最後的決定をなされましたので、われわれはこの案の趣旨を司令部説明して了解を求めたのでありますが、司令部では、今年はまだいわゆる名のついた大きな台風は来ていないようだし、ほんとうの台風シーズンに入つていない、それにわずかに百億の予備費から四十二億は少し出し過ぎるんじやないか、今年はいろいろ予算の面においても、予測のできない問題が起るかもしれないので、なるべく金は大事に使つてもらいたいということでありまして、ほとんど相談にもなりませず帰つて参りまして、四十二億の事業内容事業種別その他につきまして詳しい資料をつくりまして、再度折衝いたしましたところが、先方では、やはり四十二億は多過ぎるということでございまして、一昨日あたり大体どのくらいなら先方承知してくれるかという金額をこちらが想像できるところまで折衝が進みましたので、昨日から第二案を作成中でありまして、われわれ想像いたしますところ、四十二億の半分くらいでなければ話がつかないのではないかと想像をいたしております。大分距離があるのでございます。それから先方係官は、昨年度災害に対する手当の実施などもよく覚えてるわけでありまして、われわれも実はこの点は十分研究したのでありますが、御参考までに申し上げますと、昨年度は大体雪どけの災害から始めまして、台風の時期の八月の終りころまでの被害を大体集計いたしますと、九百三十八億程度なつております。本年度災害は現在までに大体二百七十六億程度報告なつております。これに対しまして昨年度手当は八十五億でございまして、わずかに九%の手当ができたにすぎなかつたのであります。今年は災害復旧に非常に重点を置きまして、いわゆる四十二億円案では一五%程度復旧ができるという計画でわれわれは折衝したのでありますが、先ほど申し上げましたように、まだまとまつておりませんので、われわれはただいま第二案を事務的に作成しておるわけであります。
  22. 飯塚定輔

    飯塚委員 この二十日の災害対策特別委員会において、増田建設大臣もお見えなつていろいろお話を伺いましたが、そのときには、百億の予備費はとりあえず災害の起つた場合にどんどん使つてもいい、そしてそれ以上に起つた場合には補正予算ででもやるというように、閣僚の大体の御意見がそういうふうにまとまつておるということを聞いて、非常に意を強うしたのでありますけれども、ただいまの司令部との折衝の経過を伺つてみますと、何だかそれとは逆に行つているような感じがいたしまして、百億の予算の中で、司令部が二十五年度に起り得るものと仮定しておる災害に対して、そのわくの中で経費を出すというような考えではないかというように想像されますが、その折衝あたりましては、どうかそういうことのないように御努力を願いたいと思います。なお四十二億の閣議決定の額は、第二案においてどれだけのものを見ておられるか、まだこれはお漏らし願えないかもしれません、お漏らし願えなければいたし方ありませんが、できるならばその腹案をお伺いして、さらにそれ以上は質問いたしませんけれども、その案をできるだけ早く決定せられんことを希望しておきます。
  23. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 まだ第二案は、われわれ上伺の方に十分説明が済んでおりませんので、ちよつと申し上げかねるのでございます。
  24. 石野久男

    石野委員 関連してちよつとお尋ねいたしますが、予備費百億の使い方についてでありますけれども、先ほども同僚委員から言つておりますように、当局としては、特に大臣はどしどしととにかく使つてもらいたいというような御意向のことを前の委員会で言つているわけであります。ところがただいまの小笠原説明員説明によりますと、その筋ではそれは多過ぎるとか、あるいはいろいろな理由があつてなかなか思うように行かないというようなことを聞いたわけでございます。しかし私どもからいたしますと、災害は例年累積して行くのでありまして、皆さんがすでに御承知のように、昨年からあるいはその前年度から起つておる被害は、逐年私どもそれを補修して来ておりますけれども、それが毎年の降雨あるいは暴風雨によりまして、一層大きいものになつて行く、昨日来出ておりますヘリーン台風によりましても、おそらく関東一帯においては、このくらいの量でもすでに相当大きな被害が出て来るのじやないかということを私たちは懸念する。グレース台風によりまして、南方の諸地域が非常に大きく被害を受けておると同様に、きのうからの降雨によりまして、また大きな災害関東一帯に起きるだろうということを懸念しております。そこで百億の使い方についてどういうような考え方でこれを使うのか、総花的に次々に起きて来る台風に少しずつ予算を置いて行こうという考え方安本は持つておるのか、政府はそういうような考え方を持つておるのか、それともある所を重点的に大きく復旧作業をしようというような考え方を持つておるのかという基本的な考え方について、一応小笠原さんから御意見を承りたいと思います。
  25. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 百億の予備費使い方につきましては、百億以外に今後補正予算が出るか出ないかということも、われわれは実はよくわかつておりませんので、これを今関係各省の御報告なり査定額によりまして御要求通り出すということは、金額の点から申しましても不可能であります。非常に苦心するところでありますが、大体は河川災害それから農業におきましては、特に公共施設復旧重点を置いております。そのほか山林災害も、下流の平野の方面の川とか耕地に非常に大きな被害を及ぼしますので、山林のひどい荒廃を至急復旧すること、こういうことに大体重点を置いておりまして、予算配付の割合も大体そういうふうにいたしております。必ずしも総花的というわけでもありませんが、災害発生を予測することは非常にむずかしいのでありまして、非常に残念ではありますけれども、大体現在のところ、緊急復旧費に対して二割程度しか予算配付できないような計算なつております。
  26. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 二、三の点を事務当局に聞きたいのですが、ただいまのお話を聞いておりますと、せつかくの百億の予備費というものが、予備費的な性格ではなくして、お預けを食つておるような予算のようにわれわれは感ずるのです。二十五年における予備費が置かれた理由のものは、緊急やむを得ざるものは一応関係当局の了解が必要でありましようが、最後の了解はすでに予備費を置いた場合において行われておるのであつて、あらためてそれがために特別なる了解を必要とするものではなかろうと思うのでありますが、もしこの地方の今回の災害査定が行われて、その査定範囲においてというか、その何分の一しか予算支出ができないというようなことになりますと、これは政府に対する信用ばかりではなくして、公共事業それ自体に対する一般民の信用、不信用の大問題になると思うのであります。従つて政府が緊急に措置をすべきものであると考えられたものに対しましては、当然予算的措置を講じてもらわなければならぬのであります。もちろん当局としては、関係方面に対して非常な努力をしておられるとは思いますけれども、現実の問題としてすでに災害が起きておるのでありまして、橋を半分かけてよろしいというわけには行かないのでありますから、当然これはあらゆる努力を払つても、政府が考えた四十二億何がしの緊急必要な工事はやつてもらわなければならぬと思うのであります。  のみならず第二の問題として、一応これは予備費でありますからして、なお今後の災害状況によつては、政府は追加予算を出すべきものと考えるのであります。大臣もそういうようなことを言われておるのでありますが、事務当局としてはその点どう考えておられるか、はつきりお伺いしたい。  第三には、これは大臣でなければ御迷惑かもしれませんが、去る閣議において、来年度予算の編成方針として、災害復旧費というものは二十五年度は法律によつて全額補給ということになつておりますけれども、これを来年度においては三分の二程度のものを補給して、三分の一は県もしくは地方団体負担というようなことに方針をかえるように聞いているのでありますが、そうなりますと、地方財政に影響があるのでありますが、たとえば平衡交付金の問題、あるいは地方税法によるところの收支の問題と関連して、三分の二に打切るということを事務当局は考えられているか。その点について事務当局の方で考え得る範囲内において御返答をいただきたいと思うのであります。
  27. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 百億の予備費の支出につきまして政府当局の承認を経ずに配付決定することはちよつとむずかしいのであります。今までそういうことをやつたことはもちろんありませんので、やはり四十二億なり閣議決定せられた金額配分するまでには、一応政府の了解を願わなければいけないと思つております。それから予備費が百億以外に補正予算で出るかどうかということは私十分に存じておりません。これは財政当局から、大蔵省なり何なりもう少し上の方から答弁願いたいと思います。来年度以降の災害負担の問題につきましても、全額国庫負担の場合のいろいろの欠点を、実施に当りましていろいろ研究いたしておりますので、全額国庫負担ということは今年度限りの法律になつておりますので、あるいは明年は多分変更になるのじやないかと思いますけれども、まだ案もできておりませんし、どういう方法でやるかということについてはまだ私たち存じておりません。研究が済みましてからお答えすることにいたします。
  28. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 三分の二の問題は、事務当局としてはまだ決定はできておらぬようでありますけれども、問題は地方財政に大きな影響があるのであります。昭和二十五年度地方財政のきめ方は、災害に対する全額国庫負担という建前においてあれだけの金額がきめられているのでありますから、従つて全額国庫負担によつていろいろの弊害があることもわれわれは承知していますが、今度は三分の一だけ地方財政にかかるわけでありますから、その際安本当局が三分の二で打切るという方針ならば、地方財政関係も考慮して、その場合に大蔵当局なり関係当局の方において、それだけのものを他の形式、交付金の形式なりによつて出すことを考えての上でおきめ願わないと、地方財政の点に大きな影響があると思いますが、その点を加えての御意見をお聞きしたい。
  29. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 よくわかりました。地方自治庁、大蔵当局とこの問題は連絡しておりまして、よく協議してもちろんきめることになろうと思います。
  30. 床次徳二

    床次委員 ただいまお話がありましたが、毎年度災害が、予備費が少いためにことしも十分要望に応ぜられないということはことしの状況で、昨年におきましては、予備費がなかつたために災害の応急対策に非常に困つた従つてわれわれは、災害の応急処置に対するために、特別な基金を設けて早急に対処し得るようにいたしたいというのが、本委員会においての長い間の懸案であつたのであります。今日小委員会ができまして、あるいは特別会計に対する基金まで設置したいという意見において研究を続けているのでありますが、これに対する各関係事務当局意見は、あまり必要を感じていないような意向を漏らしているのが今日までの状況であります。これにつきまして私は特に委員長にお願いしたいのでありますが、実情から申しますと、ただいま政府委員から御答弁がありましたごとく、金がないために非常に困つていることは明らかであります。これにはぜひとも将来の方針として、特別な基金というものをこしらえることが必要緊急なものであるということは明らかだと思う。しかしかかる基金設置に対して一面において不熱心な意向を漏らしているということは、私は非常な矛盾であると思う。この点については特に委員長より関係方面にも反省を求めていただきたい。そして今委員会で協議しているところの、そういう特別な基金を設置して、何時でも応急災害に対処し得るような処置をとるというこの方法を促進するように、特に委員長からおはからい願いたいと思う。どうも事務当局の実際と案に対する態度というものは非常な開きがある。単に当局意見を信用してこの際資金を設置しなくてもいいという結論には、私なり得ないのだと確信する次第であります。  それから第二に、これもきよう御出席の政府委員にお尋ねすることはむりでありますから、特にこれは委員長にひとつお願いいたしたいのでありますが、ただいま橋本さんも御質問がありましたところの災害の全額負担の問題であります。この点については地方行政委員会におきまして、特に委員から強い要望がありましたので、従つて担当の岡野国務相も全額負担について大いに今後努力する、たとい予算の編成方針におきましては全額負担についてこれを変更するかのごとき予算編成方針を一応きめられたけれども、これはあくまで案であつて、将来の方針についてはさらに研究して、地方財政確立の根本方針でありましたところの全額国庫負担——これは平衡交付金並びに地方税制と密接な関係を持つておりますから、引続いてその原則のもとに全額国庫負担制度を来年も維持するように努力して行きたいということを弁明しておられるのであります。この際災害対策委員会といたしましては、やはりこの全額国庫負担の方針を依然として堅持することが必要だと思う。当委員会意見としても、やはり当局の方に意思表示をしていただくことが必要だと思うのでありますが、ただいま橋本さんからも御質問がありまして、当局ではいろいろ協議中であるというような話でありますが、当委員会として、これはひとつ委員長から強力な申入れをしていただくことが必要ではないかと思うのであります。実はこの前の全額国庫負担法の審議のときに、これは本年度だけの特別法であつて、将来は考慮したいというような御意見もありましたが、しかし同時に本年度だけ全額負担をやりますと非常に不公平が生ずる、でき得れば来年度もやはりその原則を延長して行きたいということを同時に述べておられるのであります。従つて予算の額にも関係いたしますが、建前といたしましては、今日の全額負担を引続いて維持して行くということがむしろ現在としては必要であり、地方としてもそれを期待している、本年度限りでもつてこれを打切られるとなると非常な不公平であつて、本年度全額負担を受けたところだけが得をするというようなことになるのであります。地方民といたしましてはまことに迷惑であります。ぜひ委員長としても、この際委員会にお諮りを願うとか、その他の手続によりまして、強力にこの趣旨をひとつ政府に申し込んでおいていただきたいと思うのであります。
  31. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の床次さんの御意見、われわれ非常に同感ですが、先ほどの安本の事務官のお話では研究中であるというお話でありますが、事実はすでに建設省からの来年度予算に対する原案の提示は、三分の二によつて安本の方に提出されているのではありませんか。そういうようにすでに三分の二の案によつて予算面は進行しているというような実情にあるにかかわらず、いまだその問題はもちろん正式には決定しておりませんが、事実上はそういうように進行しているように私どもは聞いている。この問題をどういうふうに解決するか。いろいろ事務当局にも案がありましようが、全額負担によることの欠陥もありますけれども、地方財政からいえば、全額国庫負担という原則のもとに地方税法がきめられておるのでありまするからして、この点はわれわれとしては絶対に動かしがたいと思うのであります。ただ全額国庫負担のために金額がある程度上げられておるのでありますから、それ以下のものに対して今後新しい措置——かつてつたような三分の二あるいは二分の一の補償をする新制度を加えるというならば別問題でありますけれども、根本的に全額負担をやめて一部負担にするという考え方については特に御考慮願いたいと思うし、ただいま床次さんのお話のように、委員長においても特にこの点は御考慮願いたいと思います。
  32. 松井豊吉

    松井委員長 ただいまの床次君と橋本君の御質疑に対し、第一、第二の問題に対して、委員長もできる限り努力する考えを持つております。なお理事諸君は申すに及ばず、委員各位にできる限りの協力を願いたいと思います。
  33. 石野久男

    石野委員 ただいま委員長から床次同僚議員、あるいは橋業議員からの御意見を了とされたような御発言がありまして、私も非常にうれしく思います。事実上私どもがここ三年来たびたびの台風被害を各地で見ておりまして、その復旧工事というものが微々たるものであつて、ほとんど被害の一〇%に満たない実情であつたということは、先ほど小笠原説明員の言われておつた通りだと存じます。そこでどうしてもやはり全体としての額をふやすということについては、今委員長が言われましたように、予算的措置を全面的にこの委員会としては考えると同時に、それを積極的に政府に要望して措置していただきたいというふうに重ねてお願いしたいと思います。  そこでこの際安本小笠原政府委員にお尋ねいたしますが、特に災害が累年累積しまして非常に厖大なものになつておりますので、今のような実情の予算措置ではほとんど九牛の一毛にすぎないという処置しかできないのでありまするから、従つてこれの処置方針というものに対して基本的な対策がはつきりしなければ、今まで毎年々々行うところの復旧工事というものはみな水のあわになつてしまうのでございます。私どもはこうしたことで、日本の再建というものは非常に遅れて行くというように考えまするので、この際としてはどうしても、やはり災害復旧に対する基本的態度というものを明確にしなければならないのではないか、そのような意味合いからも重点的な施策ということが——特に三、四年間の災害の歴史的な傾向をずつと見まして、累年重なるところの災害地点について、河川問題にしましても、あるいは農業問題にしても、山林問題にいたしましても、重点的に考えると、いうようなことをこの際ぜひしなければならないのじやないかというふうに考えまするけれども、そういう点について当局はどのような御意見をお持ちになられるか、お伺いしたいと思います。
  34. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 過年度の累積した災害を今後どういうように処置して行くかということにつきまして、本日は詳しい資料を持つて参りませんでしたけれども、大体二十五年度予算を策定するときから、いわゆる治山治水に重点を置いて、今後五箇年間に大体において過年度の累積災害を全部完了する案を一応つくつたのでありますけれども、案をつくりましても、その年度にまたどれだけの災害発生するのかということはなかなか予測しにくいのでありまして、どれだけの予算を計上すれば今後完了するかということを、数字で予想することもなかなかむずかしいのであります。けれども仮定といたしまして、今後どの程度金額を支出して、どの程度の事業量を消化して行けば、今後何年間には大体過年度のものは済むかという一応の予算もできております。重点的に災害を防止するということはわれわれも常に心がけておるところでありまして、一河川ごとの予算配分状況を一々御説明いたしませんければ、十分な御納得はいただけないかもしれませんが、われわれの努力の結果は見ていただけると思います。たとえば北上川の問題、あるいは利根川の問題とか信濃川、木曽川、吉井川、筑後川、ああいう有名な川につきましては、今年度公共事業費以外に援助資金重点的に配付いたしまして、われわれは大きな災害を予想される河川につきまして、重点的に予算配付を行うように努力しておるのでございます。
  35. 川端佳夫

    川端委員 最初からいろいろお話をうかがつておりまして、私は総括的に役所の災害復旧に対する態度についての注意を喚起するという意味で、少し伺つてみたいと思うのであります。  いろいろお話を伺つておりますると、かりに今度のグレース台風の問題につきましても、役所関係資料がととのわない、もう少し資料を整備してからその取扱いを決定いたしたいというような遁辞を盛んに用いられております。いつも災害復旧の際に、時期が適しない、すぐに応急緊急の措置を講じますと言いながら、応急緊急の措置にならないというような例は、われわれは非常に齒がゆく思います。ここにお見えの役所の方々は大体その中堅の面々でありますから特に申し上げたいのでありまするが、特に今年のこういう突発的な災害あたりは、予算の面でもちやんと措置が用意されているのでありますから、事務的な措置を急速にとつて行けば、その効果は大いに倍加して行くのであります。かりにそういう観点から見まするときに、先ほどから御出席の政府の関係当局は、資料がまだ不備であるというようなことを言つておられまするが、建設省の防災課から出しておる資料農林省から出しておられる書類と、これに大いに食い違いがある。河川局の方が正しいとすれば、農林省の方はその調査が怠慢であるというふうに見受けられる箇所があると思います。たとえば田地の関係にいたしましても、防災課の方では、これは単位が何であるか知らぬが、ちよつと箇所別に見ても違うように思われるのであります。あるいは水産関係として出されておりまする農林省資料を見ましても、鹿児島あたり河川局の防災課では被害があるという。ところが農林省では何もないというふうな資料を持つて来られておりまするが、予備費の趣旨等にかんがみまして、応急対策を講ずるためのものである、こういう緊急な災害復旧に対する事務の取扱いについて、私は役所側の態度に注意を喚起したいという気持を持たざるを得ないのであります。先ほどから再三繰返された資料が整備しておらぬというようなことについて、私はこういう点を見受けるのであります。一体防災課の資料が新しくて正しいのか、あるいは農林省のものが正確なのであるか、こういう点を伺つておきたいと思うのであります。
  36. 賀屋茂一

    賀屋説明員 先ほど差上げましたグレース台風の一般被害でございますが、ここにも書いてございますように、防災課から出しましたものは実は国警本部に報告されたものを出したわけでございまして、土木の方といたしましては、一般被害はないわけなんでございます。これは警察の方に来たことは事実なんでございますが、ほんとうであるかどうかということは実は握れないのでございます。実は参考のために出しましたので、あるいは食い違いがあるかもしれませんが、国警本部に来たそのままでございます。その他土木の方の被害は、大体県の土木部の方でにらんだものでございまして、この分について査定いたしますので、少少の減は生じると思いますが、まず間違いないと思います。
  37. 小平久雄

    ○小平(久)委員 本年度災害復旧予備費の件につきましては、先ほど来同僚の委員諸君から各方面にわたつてお話があつたようでありまして、私は遅れましたので、あるいはすでに質疑があつたかとも思いますが、一点だけ伺つておきたいと思います。  先ほどの安本事務官の御説明によりますと、さきの閣議で今回約四十二億を支出することが決定いたしましたので、それに基いて関係方面折衝した。ところが今後災害がどれほど起るかわからぬから大事に使え、従つて見込みでは大体半分ぐらいしか許されぬのじやないか、それに基いて安本としても第二案を作成中であるというような御趣旨のお話があつたと思うのであります。今回の予備費の支出につきましては、われわれの聞いておるところでは、最初安本当局は約二十六億程度の案を立てた。ところが閣議において、予備費の支出はこれだけに限つたものではない、今後の災害についてはまたそのときにしかるべく考えるというような趣旨で四十二億の支出をこの際しようということにせつかくきまつたというふうに聞いておるのであります。この点については、建設大臣も本委員会、あるいは建設委員会において再三質疑が出ました際に、今後の災害を心配して予備費の支出を決して出し渋るのではない、災害というものは申すまでもなく予定がつくものでないんだから、今後起きたならば起きたようにひとつ努力する。こういうことを再三にわたつて言明いたしておるのであります。従つてこの建設大臣の言明とただいまのあなたの御説明とを聞くと、そこにわれわれのどうしてもふに落ちぬ点が出て来るのであります。私の受けた印象からしますならば、元来安本は当初から二十六億くらいしか出さぬつもりであつた。たまたま関係方面に四十二億を持つてつたところが、大事にしろと言われた。それでひつ込んで半分ぐらいの案を出そうとしているというようなことなんで、どうも安本はこの点について少し腰が弱過ぎるのではないか、われわれはこういう印象を受けざるを得ない。従つて承りたい点は、関係方面からそういう御注意と申しますか、お話を受けた後において、安本長官なりあるいは建設大臣はみずから出向いて関係方面折衝された事実があるかどうか。従来の委員会における大臣の言明等からすれば、私は当然それだけの努力を払つてしかるべきものと考えておるのでありまして、関係方面から注意されたから安本ですぐ半額ぐらいの第二案をつくつてつて行くというようなことは、閣議の権威から申してもはなはだ不当だと思いますし、また事務当局としましても、それをすぐのみ込んで第二案を持つて行くというようなことは、少くとも日本の官吏として閣議決定に忠実なるゆえんではないと考えるので、その点についてひとつ承りたいと思います。
  38. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 四十二億案が通らなかつたということは、われわれの説明がおそらく不本分で、十分先方がのみ込めなかつたからだろうと思いますが、それ以外に財政上の都合等もあると思います。それで、第二案をつくつていると申し上げましたのは、われわれが第二案をつくりまして閣議決定関係なしに向うと折衝するというのではなく、先ほども申し上げましたように、これは資料でありまして、上司とよく相談してから持つて行く考えであります。われわれは閣議決定を拔きにいたしまして先方と交渉するというようなことは、絶対にいたしません。
  39. 小平久雄

    ○小平(久)委員 大臣が行つているのじやないか。
  40. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 大臣先方と直接折衝したということは聞いておりません。
  41. 小平久雄

    ○小平(久)委員 すでにお話があつたかしれませんが、第二案の内容はどういうことなんですか。半額ぐらいのものをつくろうという御意思なんですか。
  42. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 先ほどもちよつと申し上げましたけれども、それは私たち先方折衝したときの感じであります。第二案の内容につきましては、われわれが参考的につくつた資料で、御説明申し上げかねますので、ごかんべん願いたいと思います。
  43. 小平久雄

    ○小平(久)委員 単に事務当局折衝をして受けた印象から、せつかく閣議決定までいたしておるものを、下まわつた第二案を、大臣の直接の折衝も待たずに用意するという自体、私は腰が弱いと思うのです。先ほども申しましたが、最初の安本案よりも増額したものを閣議では決定いたしておるのでありますから、あなた方がそういう印象を受けられたならば、こういう印象だが閣議せつかく四十二億の決定を見たんだから、これをぜひ通してくれ。私は、この第二案をつくる前に、事務当局としてはまず大臣を鞭撻して、大臣みずから折衝の任に当つてもらうのが人間常識からして当然の筋道であると考えているのでありますがその辺どうお考えになりますか。
  44. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 われわれは、先方折衝しました結果はすぐ上司に報告をしておりまして、上司からそういう案をつくられたという命令を受けているわけではございません。ただ案を三つも四つもつくるものですから、事務的な案を用意しただけであります。
  45. 石野久男

    石野委員 ただいまの小笠原事務官の説明は、再三にわたつてわれわれが聞こうと思つている重点に触れていないのであります。これはやはり理事の方からお諮り願いまして、委員長から関係の責任者に出ていただいて、はつきりした御答弁をいただくようにしていただきたいと思います。なおそれまでの間、私は小笠原事務官に、せつかく安本でつくつた案が、関係当局との間に不調に終つておるという事実から、それが正確なことは申し述べられないにしても、あなた方がつくつた案よりも上まわつたものが第二次案として計画されておるものか、それともそれが著しく下まわる程度のものかというくらいの御答弁でもいただければけつこうだと思います。
  46. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 ただいまの御質問は、先方考え方に対するわれわれの現在の参考案のことですか。
  47. 石野久男

    石野委員 それでもいいです。
  48. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 先方考え方に対するわれわれの案というのは、まだ具体的に事業内容まではつきりしておりませんので、ちよつとここで申し上げかねます。
  49. 吉川久衛

    ○吉川委員 小笠原事務官にちよつとお伺いしておきますが、あなた方が先方とお打合せをするときの考え方でございますが、災害の分量に比例して費用を考えなければならぬと思うのでありますが、初めからわくをきめておいて災害の分量に比例しないで、わくの中で操作するというところに非常な矛盾があるのです。建設大臣が先日答弁されたところと小笠原事務官のお答えとは、たいへんなギヤツプがあると飯塚委員が御指摘になつたけれども、そこなんですがね先方お話なさるときは、あなた方の考えというか、はつきりした態度をどういう点に重点を置いて御交渉になるのかということが第一点と、それから先方との交渉があなた方のところでいつもきめられておるのか、それともあなた方のところは予備交渉であつて、最後は最高の責任者が行つて決定を見るのか、その辺の関係ちよつと伺つておきたいと思います。
  50. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 わくを初めからきめて向うへ折衝するということはいたしませんので、大体災害の実情と災害報告額と各省査定額と、それから事業内容その他を先方説明いたしまして、それで大体はきまりますが、結果におきましては、われわれの意見も一応は添えて行くわけであります。従来はそう予備的折衝をいたしまして、その結果を閣議決定する場合が多かつたのでありますけれども、このたびは閣議決定の方が先になりまして、われわれの交渉があとになつたのであります。われわれが先に司令部と予備的折衝をいたしますと、少し出過ぎたような感がありますので、その点の注意もありましたので、このたびは閣議決定の方が先になりまして、そのあとでわれわれが事業内容その他を説明した次第であります。
  51. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この予備費の百億円というものは、それを関係当局から承認せられたのは、災害が起きた場合においては、なおその使用方法をきめるという前提條件できめられておられるのですか。去年の場合においては予備費がないから、事前に関係当局の了解を得て追加予算を計上したということは当然ですが、今回の場合には、災害が起きた場合には、とりあえずこの範囲内なら使つてもよろしいというようになつておつた。にもかかわらず、あらためて予算をとるような形で、向うさんと了解を求めるというのがどうもわれわれには納得できないのですが、この百億円の予算を使うには、災害の起きた場合には、その予算の使途については、あらためて相談するという内約でもあるのですか。
  52. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 本年度発生災害復旧費の百億につきましても、一般の公共事業費と同じように、安定本部で認承いたしております。認証いたしまして予算配付いたしますのは、司令部の了解をとるという従来の扱いになつておりますので、その通りいたしております。
  53. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと、普通の公共事業の認証を受けると同様の方法でもつて事務当局で前もつて了解を受けるというような御見解のようです。二百七十六億というのが六月末までの災害の総額ですが、この点については関係当局の方では、それだけの災害は認めておるのですか。ただ緊急として四十二億はやる必要はないという見解で災害の総額は認められておるのですか、それとも日本政府の出しておる数字が多過ぎるという見解のもとに四十二億が削られようとしておるのであるか、その点をお伺いしたい。
  54. 小笠原喜郎

    小笠原説明員 災害の二百七十六億につきましては、過年度災害復旧として先方は十分認めております。     —————————————
  55. 松井豊吉

    松井委員長 今は質疑中でありますが、大臣がお見えになるまで、次に閉会中審査申出に関する件について、皆様にお諮りいたしたいと思います。  御承知のごとく本国会の会期もありますところの二日となりました。しかるに現在台風期を迎え、さきに関係係官からの御説明にもあつたように、すでにわが国土はその暴威によつてきわめて甚大なる被害をこうむつておるのであります。また報道によりますれば、グレース台風に引続いてヘリーン台風が国土にすでに迫つて来ておる現状であるのであります。このように朝去暮来の台風に対して、わが国民の人心は常に不安動揺の状態にある次第でありまして、本委員会災害対策樹立のために、今国会におきましても引続き設置せられました使命にかんがみましても、このような問題は一日といえどもゆるがせにすることはできないと考えますので、国会法第四十七條第二項により、閉会中もなお継続いたして審査いたして行きたいと思います。閉会中の審査を行いますには、その旨を議長に申し出、許可を得なければなりませんので、閉会中の審査要求を議長に申し出たいと思います。これにつきまして閉会中審査すべき事件として、災害地対策に関する件、その目的として災害地対策樹立のためとして、閉会中の審査申請書を議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 松井豊吉

    松井委員長 御異議なきものと認め、委員長においてさようとりはからいます。     —————————————
  57. 松井豊吉

    松井委員長 次に閉会中継続審査の件に基き、閉会中においてその実地調査を必要とする場合におきましては、委員を派遣いたし調査いたしたいと思いますが、委員派遣の手続等に関しましては、委員長並びに理事に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 松井豊吉

    松井委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  59. 松井豊吉

    松井委員長 防災課長にちよつとお伺いいたしますが、仄聞するところによりますると、四十二億円の予算をきめられたという公共事業費のうち、災害に実際予算に編成されたる額はどの程度でございますか。
  60. 賀屋茂一

    賀屋説明員 四十二億の閣議決定の額に対しまして、まだ各省に対する配分額は正式に受けておりませんが、閣議に提出されました内容を漏れ聞いておるのでありますが、河川関係災害復旧費には二十二億五千万円程度が大体四十二億円の内訳であるというふうに聞いております。
  61. 松井豊吉

    松井委員長 それでは次会は来る三十一日午後一時より開会することにして、本問題を継続して審査をいたしたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時三十七分散会