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高橋(權)
委員 私すべてのことについてお伺いしたいのでありますが、それは皆様方が各所でや
つておられるから、私は九州の方面として特に筑後川及び矢部川のことについて申し上げます。これについては
相当いろいろ御
配慮にあずか
つておるわけでありますので、その点は感謝しておりますが、この際お願いしたいのは、せつかく
災害を
復旧するということについては、
工事請負のごときは入札の際の安いものに与えるということが、これは昔からの習慣にな
つております。かりに請負をさせる場合には安いものにということできま
つておる。ところが日本人には悪いくせがありまして、またこわれたらまた請負わしてもらうということで、この点はアメリカ
あたりから笑われておる点であります。よくあることですが、また川がこわれた、またこわれたとい
つて、同じ箇所がこわれるということは、これは
工事人の人格の現われであります。今後全国に洪水の出ました場合は、出水期から水の引く
程度というようなものを、全国もよりもよりに
当局者がおるのでありますから、どのくらいの水のときには彼岸のどこに当るとか、こちらのどこに当るとか、大いにその水勢のいかんということを
考えて早くや
つていただきま
せんと、あながち高等数学ばかりでや
つてお
つてもいけないと思います。一例を申し上げますと、熊本の城を築いた加藤清正は、何ら尋常小学校も高等小学校も卒業しないで、高等数学以上の頭でも
つて熊本に洪水が入らないようにした。ところがこのごろの新知識の頭の人が高等数学でいじつたりしたものですから、熊本市中にはたびたび洪水が入るように
なつたのであります。これは昔の高等数学が偉かつたことになるのであります。そこで今後
工事を請負わせる場合には、出水、水の引けぐあい、そういう点をもよりよりの係の者を早く出張させて
——いらない出張などさせないで、そういう場合にこそ欠かさず出張させて、
災害には
関係なく、水勢のいかんによ
つて護岸
工事をやるというようなことをひとつしていただきたい。
もう
一つ私お願いしたいのは、本年六月八日、木曜日でありますが、矢部川のことについて本省の村技官に御出張いただいておるのであります。また六月十五日、これもふしぎにも木曜日にな
つておりますが、本省の佐藤事務官においでいただいておるのであります。これは多分長い間の矢部川の
復旧その他のことでおいでいただいておると思いますが、ある半面聞知しておるところによりますと、ある人間が矢部川の上流の大淵村の松瀬というところにダムをつくろうと策動しておるのであります。この策動しておる人間は、大体これは名が出ておる人であります。だれであるかというと、前の商工大臣の石井光次郎、それから元の代議士であつた増永元也、この二人が私らの近所の木下光太郎
——やはりつくり酒屋のおやじでありますが、これらと一緒に参
つております。そうしてこの松瀬のダムをつくることを強要しておるのであります。このダムというものは、諧謔を言いますと、ダムダム世の中を悪くするというわけで、この松瀬というところはふしぎとほかにはない自然の岩盤であります。こさえるのには非常に都合のよいところであるけれ
ども、ダムをつくるというのは、ただセメントのみでつくることはできない。ところが地元農民はこれには皆反対しておる。現に
農林省で犬山のため池というものをつく
つておる。私は十五年前に反対いたしましたが、それをしやにむに始めましたために、
ちよつとした……。(「簡単々々」と呼び発言する者あり)山潮を知らぬ者は出て行きなさい
——それでそのダムをつくるとき、そのダムがどういうふうにな
つておるかというと、犬山ため池に引く水は矢部川本流の水である。もう
一つ北川内、これは本省の福岡の
地方建設事務局の役人さんが間違
つておると思いますが、星野村の池の山という元噴火山であつたという説のあるその大きなため池の水を入れる。もう
一つは串毛村の田代川という水を引いて、そうして犬山ため池に水を引いて行く。五月、六月の渇水期においてため池をからにしても現在既存の田畑の水をまかなうには足りないということを、去年の十一月十七日に福岡県
当局が答弁しておるのであります。それをしやにむにつくろうとする。引水をするためにその山間地帯の二十五
町歩という美田がつぶれるのであります。それではなぜそういうことをするかというと、田畑を増すための灌漑用水のためにやる。もう
一つは発電のためにと、こうい
つておりますけれ
ども、現在戦争であまりはげ山にな
つてしまつたために、もう水が足りない。今花廻の発電所で、三瀦郡の甲木さん
あたりが出ておられる方面の発電の水すら危うい。そういうのにどうでしようか。三瀦郡、八女郡、三池郡と、さらに欲張
つて大牟田の工業用水まで間に合せようとしている。それはしろうとの言うこと、頭のはげた人に雨が落ちると、すぐつるつると落ちてしまう。われわれのように頭の毛がしつかりはえている者にと
つては、いつまでもしずくの落ちるがごとく
——あまり詳しいことを言うと簡単という人がありますから申し上げま
せんが、とにかく樹木が鬱蒼としておるならば必ず水は持つのであります。しかも私の反対している理由は、この矢部村というところに行きまして、よく見てみますと、このダムをこしらえて、かりに運よく水がたまつたとするならば、戸数において一箇村二百三十三戸というものが、建設大臣に請願を出しておりますが、その二百三十三戸、人口において千二百幾らという人間は大分から熊本に引越さなければならない。山の頂上には家は建てられない。しかもこの
地方は植林をも
つて業としておる、そういうことにな
つておるのであります。せつかく全国の頭のいい代議士さんがおいでにな
つて災害対策のことを言われるならば、将来これは山潮の出ないようにするためには、私は植林が一番大切であると思う。私はきよういなかの新聞を忘れましたが、上椎葉のダムが
予算で行き詰ま
つておる。それから二十六億の見返り
資金を借りてやるというようなことが新聞に書いてあります。そういうことであつたならば、私は宮崎県のその上椎葉のダムに、その二十六億の金を使
つてより以上発電をして送電してもらいたい、こう思
つておるのであります。しかもこの矢部川というものは非常に昔から
水害のはげしいところであります。大正十年この方私の言うことを県
当局が用いなかつたために、
昭和二十一年には私の言つた箇所の堤防が決壊して、瀬高町というところはほとんど水につか
つて困つたことがあります。これはしろうとはかえ
つて言い当てるものであ
つて、くろうとが間違いやすい世の中である。世がさかさまにな
つております。それで私は今お願いする。このダムがつくられるのならば、そういうふうにたくさんの人間が困るのであります。おまけに私にうちわをあげておるものは、朝鮮鴨緑江のダムをつくつた権威者であり、また台湾の日月潭のダムをつくつた権威者がこの
高橋權六にうちわをあげております。なぜならば新高山、琵琶湖、諏訪湖のごとき湖を控えておるなら両手をあげて私はこのダム建設に賛成するけれ
ども、今言うように、追放該当者を今後立入りさせるやいなや。追放該当者、パージにかか
つておる元商工大臣であつたものであろうと、元代議士であろうと、絶対入ることのできない人間が、それを無視してそういうことに尽力して、あくまでやらせようとすることは、私はその山奥に豊富に水があるなら賛成するけれ
ども、はげ山であります。権現嶽とい
つておりますが、これは御前嶽であります。これが筑後で一番高い山であります。ところがこの分水嶺の向うは大分県であり、大分湾の水を用水とするわけに行かぬ。塩水を入れたら淡水になおさなければならぬ。こういうことにな
つておるのでありますから、このダムをつくることについては建設大臣から、これは水のある方に見返り
資金をまわしてもら
つて、こういうつまらないダムはつく
つてもらいたくないのであります。どうか今の宮崎県の上椎葉のダムは行き詰ま
つておりますから、そういう方面に私は金をまわして発電して、安い電力が使えるようにしていただきたい。こういう問題はあまりないことでありますから、お願いする次第であります。どうか大臣におかれましてはこの点どうぞきびしく御詮議くださいまして、絶対そういう者の立入りのできないように、ほかの方に御命令あるようにしていただきたい。またそういうお
考えがあるかどうか、
ちよつとお伺いしたい。