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1950-11-13 第8回国会 衆議院 考査特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十三日(月曜日)     午後一時二十六分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 吉武 惠市君 理事 小松 勇次君    理事 猪俣 浩三君 理事 横田甚太郎君       井手 光治君    鍛冶 良作君       黒澤富次郎君    小玉 治行君       佐々木秀世君    田中不破三君       塚原 俊郎君    南  好雄君       柳澤 義男君    石田 一松君       椎熊 三郎君    吉田  安君       久保田鶴松君    坂本 泰良君       梨木作次郎君  委員外出席者         証     人         (通商産業省資         源庁電力局水力         課長)     山岡 包郎君         証     人         (通商産業政務         次官)     首藤 新八君 十一月十三日  委員福田一君及び田中織之進君辞任につき、そ  の補欠として塚原俊郎君及び久保田鶴松君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員報告に関する件  電力編成問題     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。電力事業編成問題について調査を進めます。  この際御報告いたします。去る十一月一日の委員会において申し上げておきました通り、十一月七日に岡君、柳澤君、西村君、小松君、横田君、それから委員長猪俣君は都合により欠席をいたしましたので、以上六名の委員をもちまして、小田原市板橋町の自宅において証人松永安左衞門君の臨床尋問行つたのでありますが、派遣委員を代表いたしまして、私から松永証人証言概要につきまして、簡單に御報告いたします。  松永証人に対しましては、委員長より証人の略歴、証人電気事業編成審議会委員となつた経緯審議会の構成と審議経過概要審議会答申案及び参考意見、いわゆる松永案概要とその成立の事情松永事務所設立経緯、その活動状況及びその経費の出所及び使途等五項目にわたる総括尋問を行い、なお他の委員より補充的な尋問行つたのでありますが、その詳細にわたりましては、臨床尋問速記録をごらん願うことといたしまして、委員会の今後の審査心要と考えられる松永事務所関係をめぐる政治献金の点のみについて、簡單証言概要を御報告いたします。  証人電気事業編成審議会委員に就任したのは昭和二十四年十一月二十四日であり、解任の辞令は二十五年二月八日付でもらつておりますが、いわゆる松永事務所は二十五年二月末か三月ごろ、銀座の中部配電ビル内にこれを設け、電気事業編成問題調査、宣伝、外資導入のための諸通信連絡来朝外人接待等に使用したのでありまして、松永事務所を設けるに至つた事情は、二十五年一月中旬、進藤資源庁長官及び日発配電各社代表を加えて電気事業編成に関する種々調査を実施しようという話合いがあり、その後日発配電が対立的となつて配電側だけが残つたので、委員解職後それらの人のせわで松永事務所を設けたのであります。同事務所経費は、電気事業編成関係の文書、パンフレットの作成、翻訳、交際費、その他人件費等、漸次かさんで来たのでありますが、証人がいくばくかを支出したほかはすべて配電会社側から援助を受けたのでありまして、その金は証人から頼んだわけではないが、二十五年二月中旬ごろから、何回にもわたつて三百八十五万円の応援を受けるようになつたのであります。  次に政党その他の方面に対しては、松永事務所関係からは一円の政治献金も行われておらず、証人は二、三月ごろ再編成問題に関するスキヤンダルを聞いたので、松永事務所配電会社人々を呼んで、再編成について説明したり、賛成を求めるのはよいが、金銭上の間違いを起して、われわれの心血を注いだ電気事業編成の公正なる運動に汚点を残さぬよう、二回も繰返し注意しておいたという証言をなしております。このほかに証人電気事業再編成案作成についての基本方針、また審議会答申案作成中に当面した種々困難等について詳細なる証言があつたのでありますが、これらの点につきましては、速記録を見ていただくことにいたしまして、私からの報告はこれをもつて終ることといたします。  なお従来委員を派遣して行つた尋問記録は、参考資料として保存しておいたのでありますが、今回からは、これを会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。     —————————————
  4. 篠田弘作

    篠田委員長 次に前会の委員会におきまして、十三日以降七名の証人喚問することを決定いたし、喚問の日時については委員長に御一任願つておりましたが、本日通商産業省資源庁電力局水力課長山岡包郎君、通商産業政務次官首藤新八君、十四日に前日本発送電株式会社総裁櫻井督三君、電気事業経営者会議事務局長藤田友次郎君、十六日に日本発送電株式会社総務理事水岡平一郎君、日本発送電株式会社総務理事山本善次君、十八日に日本発送電株式会社建設局次長平井彌之助君、以上の通り決定いたし、所要の手続をとりましたので、御報告いたします。  これより電力事業編成問題について、証人証言を求むることといたします。ただいまお見えになつておる方は、山岡包郎さんですね。
  5. 山岡包郎

    山岡証人 さようでございます。
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいまより、電力事業編成問題につきまして証言を求むることになりますが、証言を求める前に、証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのに、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人山岡包郎朗読〕    宣 誓 書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います
  7. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 山岡さんですね。
  9. 山岡包郎

    山岡証人 はい。
  10. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求むることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際は、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なおこちらから証言を求める場合は、おかけになつていてけつこうですが、お答えの際は御起立を願います。  電力局水力課の所管の事務は、どういう事務をやつておりますか。
  11. 山岡包郎

    山岡証人 分課規程におきましては、水力課仕事は、水力発電施設の変更、保守、保安、その他水力発電施設に関すること、それから発電水力使用、その他発電水力に関すること、こういうふうになつておりますが、おわかりにくいので、実際やつておりますことを申し上げますと、水力発電所工事につきまして、認可申請がありますと、これは発送電におきましては届出でございますが、その水力発電所土木工事面につきましては、設計審査をいたします。それから工事に移りますと、法規に基く検査は、高堰堤——高さ十五メートル以上の堰堤でございますが、高堰堤規則によりまして、コンクリートを打つ場合、岩盤の検査を実施しております。それから発電所ができ上りますと、その発電所竣工検査をいたします。それから工事中におきまして随時、設計通りのものができておるかどうか見てまわつております。工事につきましては、大体以上のことでございます。  それから保守改良についても大体同様でございますが、保守につきましては、発電所事故があつた場合、その事故報告によりまして、事故原因とか、今後の対策とかを立てております。  それから、そのほかに水力調査のことをやつております。水力調査は、日本包蔵水力がどのくらいあるか、どういうふうになつておるかというような、一般的の計画を立てるための水力資源の所在というものを、時代とともに考えております。そのために、全国に約三百三十箇所程度の、河川の水量をはかるための測水所を設けておりますが、その大部分は電気事業者に命令いたしまして、測水をやつておりますが、通産省直轄といたしまして、約二十箇所の測水所を持つておりまして、それらの水量のデーターを集め、集計いたしまして、水力調査基本となしております。その他、これは新規建設以外の水力発電所についてでありますが、水利権関係、その他水力地種権益、そういつたものの調整関係をやつております。大体私の仕事範囲は以上申し上げた通りでございます。
  12. 篠田弘作

    篠田委員長 証人は本年九月上旬局議の席上で、日発工事請負費から工事金の一〇%をいわゆるリベートとして受取つておるという旨を発言したことがありますか。あるとすればどういう根拠でそう発言したか。
  13. 山岡包郎

    山岡証人 局議におきましても、またいかなる場所におきましても、そういつたことを申したことはございません。こういうところでこういうようお尋ねを受けますこと、それから新聞紙上にそういうようなことを伝えられましたことは、私にとつては非常に心外に思つております。
  14. 篠田弘作

    篠田委員長 証人御存じように、この日発問題が考査委員会に取上げられるようになつた原因は、政界スキヤンダルがある。いわゆる政治献金問題があるということが中心となつておるということは証人御存じだと思います。そこでいろいろ今までの証人喚問の中において、証人が何かの席上において政治献金があるとすれば、工事請負金の中から大体一〇%ぐらいのリベートがある。拂いもどしをするその金の中からおそらくあつたものではないかという想像を述べたということを、証人から聞いた人がある。こういうことなんです。そこで先般武内電力局長証人にお呼びして証言を求めた際にも、自分はいろいろ方々に当つて聞いてみたが、山岡水力課長がもしそういうことを言つたとすれば、山岡水力課長はもしかりにそういう政治献金というものがありとすれば一〇%ぐらいのリベートから出したものであろう。そうすると四十億円の工事であるから、結局四億円ということになるのじやないか、あなたがそういう想像を話したことを聞いた者がある。だれが聞いたか。これはもちろん調査をすればわかることでありますが、そういうことから結局四億円の政治献金政界に行われておるというよううわさが立つて、それがいかにも事実らしく新聞紙上その他に伝えられるようなつて、当委員会政界淨化のために動き出したということが順序であります。あなたが言わないとすれば、もちろん今までの証人喚問の中においてそういうことを聞いたというようなことを言つておる人もあり、またあなたから直接聞いたという人もあるそうでありますが、あなたはいかなる場合においても絶対にそういうことを言わなかつたかどうか、もう一度はつきりと証言をしてもらいたい。
  15. 山岡包郎

    山岡証人 委員長お尋ねは、四億円の割もどしといいますか、リベートを、日発請負業者からとつた。とこういうふうに言つたというお尋ねですか。
  16. 篠田弘作

    篠田委員長 そうじやなくて、政治献金の問題が相当やかましく世間に伝えられたときに、あなたが何かの会合の席上で、——ここでは局議なつておりますが、その席上で、大体日発工事請負金額の一〇%をリベートとしてとつておる。もし政治献金が行われたとすれば、おそらくその中から行われたのではないかという意見をあなたが吐いた……。
  17. 山岡包郎

    山岡証人 そう言つたことはありません。
  18. 篠田弘作

    篠田委員長 そのほかの席上でもありませんか。
  19. 山岡包郎

    山岡証人 ございません。
  20. 篠田弘作

    篠田委員長 山岡君に対する委員長尋問はこれで終ります。
  21. 猪俣浩三

    猪俣委員 武内電力局長証言によれば、もしかりに献金ありとすれば、土建業者から談合金でとつたものをやつたのだろうということをあなたが言つたということを、考査委員会証言しておるのですが、あなたは一体そういう、今四十億円の一〇%、四億円というものを談合金として出したというふうな確実なことでなくとも、土木業者談合金からそういう政治献金が出たのじやないかというようなことを、あなたは言つたことはないのですか。そういうことについて何ら発言したことはないのかどうか。もしそういうことを言つたとすれば、どういう意味のことを言つたのか。もしあなたがそういうことをちつとも言つたことがないとすると、武内電力局長証言と食い違うのだから、そこをはつきり言つてください。四十億円の一割、四億円という意味でなしでも、何らかの意味において土建業者談合金をとつてつたのじやないか。それを政治献金したのではないかと思われるようなふしのことをどういう会合かにおつしやつたことがあるのかどうか。またないとすれば電力局長証言と食い違いますよ。その意味において御答弁願いたい。
  22. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつとその前に証人に申し上げます。先般の武内電力局長の本委員会における証言を、速記録によつてあなたにお聞かせします。「武内証人山岡君自身はいつどういう会合言つたということは自分記憶ないのであります。しかしそういううわさが出ている以上は、全然無根でもあるまいということで」——これはあなたのことですよ。あなたは記憶にはないだろうけれども、「そういううわさが出ている以上は、全然無根でもあるまいということで、私が実はよく局議に出るよう人々に当つて聞いてみたのです。山岡君も同時でありますが、そうすると、そんな金は出るはずがないし、出ようはないのだけれども、かりに出たとするならば、そんなよう請負者から一部を融通するという方法もある。こういうふうに言つたということであれば、それが事実を指摘して言つたように誤り伝えているのでありましようということでありまして、」武内電力局長があなたに聞いた。そうしたところが、そういう記憶はないけれども、うわさが立つ以上は——自分がそういうことを言つたといううわさが立つ以上は、全然事実無限ではないだろう。もしかりに言つたとするならば、請負業者から一部を融通する方法もある、こういうふうに言つたのが、事実そういうことがあるといつたように誤り伝えられておるのでありましようというあなたの局長に対する回答であつたとありまして、「山岡君がかりにそう言つたばかりでなく、それを聞いたという——実はこれは電力課長吉岡君でありますが、それから私は聞いたのです。ただいま私がそういう報告を申し上げたことは間違いないようであります。従つて山岡君自体も事実も確かめていないのに明言するということはあり得ないと私も考えます。以上が私が調査いたしましたことであります。」だからあなたが言つたということは決して言つていないのです。武内電力局長言つていないけれども、かりにそういうことを言つたとすれば、今言つたような事柄であろうということを、あなたが武内電力局長に答えたということを、武内電力局長がここで証言しておる。ですからあなたは武内さんにお会いになつておると思いますから、それを間違いないようにここで証言をしていただきたい。
  23. 山岡包郎

    山岡証人 先ほどの委員長の御質問は、四億円をリベートしたという、そういうことを言つたかということでありますから、こういう意味でもつて絶対に言つたことはない、こういうことでございます。その意味で私は言つたことは絶対にない。こういうふうにお答え申したのであります。それで詳しく申し上げればいいんですが、その一部分でございますので、新聞はたしか読売か毎日だつたと思いますが、当時の新聞に、社説つたと思いますけれども、それに日発問題に言及いたしまして、日発請負業者から工事費の一部の融通を受けておるらしいことを示唆しました社説が出ておりましたので、そんなことが話のきつかけになつた同僚間の雑談つたと思いますが、私はそのときに、そんな方法もあるいは考えられるかもしれないけれども、日発請負の実際等から見ましてそんなことはできないことだ。こういうよう意味のことを言つたことを記憶しておるのであります。
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、あなたの証言はそういう土建業者献金とか談合金といつたようなことは、たとい仮定にしても一切口から出した覚えがない、そういうことですか。
  25. 山岡包郎

    山岡証人 御質問は、仮定……どういうことですか。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 仮定の問題にして、何にしろ、土建業者献金とか談合金とかいうような問題は一切口に出したことがないと言うのですか、どうなんですか。
  27. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと猪俣君に御注意しますが、今証人はそういう新聞の論説が話題なつて話し合つたときに、かりにそういうことがあるとすれば、日発の会計は嚴重であるから、請負者の方からよこしたような金でやつただろうということを言つただろうということを言つているのです。そうでしよう今のは。そうじやないのですか。
  28. 猪俣浩三

    猪俣委員 いや、そうじやないですよ。考えれば考えられないことはないということを言つた
  29. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうことはあり得ないけれども、考えれば考えられないことはないと言つた
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 考えれば考えられないことはないが、そういうことはないのだということを言つた。こう言うのですか。
  31. 山岡包郎

    山岡証人 その通りです。
  32. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかしふしぎだね。聞いた者が多数あるんだがな。九月の上旬に局議というものがあつたでしよう電力局の局の会議が……。
  33. 山岡包郎

    山岡証人 局議は毎週水曜日が定例でやつておりまして、まあそれは定例でございますが、それ以外にも、その日にやらないこともありますけれども、必要の都度招集されております。
  34. 猪俣浩三

    猪俣委員 九月の上旬の水曜日というと九月六日だが、その日あたりに局議にあなたがそういう発言をしたことはまつたくないのですか。
  35. 山岡包郎

    山岡証人 局議やそんなところでは話したことはございません。
  36. 猪俣浩三

    猪俣委員 しからば局議が、済んでから、あなた方関係者雑談をしている際にもそういう話をしたことはないのですか。
  37. 山岡包郎

    山岡証人 雑談のときには先ほど申し上げました通りでございます。
  38. 猪俣浩三

    猪俣委員 先ほどどう言つているんです。もう一ぺん言つてください。どういうことを言うたのか、雑談のときに。
  39. 山岡包郎

    山岡証人 そういうよう新聞記事を見まして、そんなことが話題になりまして、そんな方法は考えられるかもしれませんけれども、日発請負なんかから考えまして、そんなことは考えられない。そんなことはできないことだな、というよう意味のことです。
  40. 猪俣浩三

    猪俣委員 そのころ、電産労組人たち武内電力局長に面会に行つて、あなた方の雑談する部屋へ入つたのではありませんか。そういうことがあるかないか。
  41. 山岡包郎

    山岡証人 電力局長室などでは雑談をした覚えはありませんが、雑談する機会があるのは、予算のときに、夜中の三時まで、大蔵省で待たされましたが、そういつたときには局長雑談をしましたが、その以外には記憶はございません。
  42. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするとさつきあなたの読売新聞記事を土台にして雑談したというのはどこでやつたのですか。
  43. 山岡包郎

    山岡証人 部内だと思いますか……。
  44. 猪俣浩三

    猪俣委員 その部内であなた方が雑談しておるときに、電産労組人たちが入つて来なかつたか。
  45. 山岡包郎

    山岡証人 私は電産労組の人は存じませんから——労組言つて発送電の社員という意味でございますか。
  46. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうです。
  47. 山岡包郎

    山岡証人 私は発送電土木屋さんと総務部人たち関係がございますが、そんな人がいる所で話をした記憶はございませんですな。
  48. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういう人たちですか、あなたの雑談したというのは……。
  49. 山岡包郎

    山岡証人 はつきり記憶はございませんけれども、部内同僚吉岡君がいたらしいことはうろ覚えに知つておりますが、雑談のことですから、だれだれとはつきり記憶がございません。
  50. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたは鈴木鹿藏という人を御存じですか。
  51. 山岡包郎

    山岡証人 よく存じております。
  52. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたとどういう御関係の方ですか。
  53. 山岡包郎

    山岡証人 鈴木さんは土木の大先輩でございまして東邦電力鈴木さんがおられたころは、私は逓信技師でございまして、やはり水力の監督をやつたものですから、そういう意味でもつて関係がございましたが、配電会社ができたのは十二、三年前と思いますが、鈴木さんも偉くなつて、副社長になられたものですから、それで自然関係もなくなりましたので、お目にかかつておりません。それから二、三年前、中部配電をやめられましてから関係がございません。
  54. 猪俣浩三

    猪俣委員 その鈴木氏にあなたはそういう話をしたことはないですか。
  55. 山岡包郎

    山岡証人 ございません。
  56. 猪俣浩三

    猪俣委員 われわれの調査によると、あなたが鈴木氏にそういう話をし、鈴木氏が永野護氏に話をし、永野氏がGHQに行つて話をしたというニユースがあるのだが、そういうことはあなたは知りませんね。
  57. 山岡包郎

    山岡証人 そのお調べが一体どこから出ておるのですか。ぼくはしやくにさわつてたまりません。一体どういうところから出たのですか
  58. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたは水力課長にいつおなりになつたのですか。
  59. 山岡包郎

    山岡証人 二十四年の六月一日に安本からかわりまして、本務は開発二課長本務で、兼務として水力課長でございます。それから二十四年の十月十五日に水力課長本務になりました。
  60. 猪俣浩三

    猪俣委員 そのときあなたは官庁その他あなたの知人のところにあいさつまわりをなさいましたか。
  61. 山岡包郎

    山岡証人 あいさつはいたしました。
  62. 猪俣浩三

    猪俣委員 それではもう一つお聞きしますが、あなたは秋島組という土建屋御存じですか。
  63. 山岡包郎

    山岡証人 存じております。
  64. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういう御関係ですか。
  65. 山岡包郎

    山岡証人 秋島組とは関係がございませんが、秋島組に私の同期生がおります。
  66. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたはそのあいさつまわりをなさるときに、三日間ばかり秋島組の自動車を借り切つてあいさつまわりをされたと言う者があるのですが、そういう事実はありませんか。
  67. 山岡包郎

    山岡証人 そんなことは覚えておりません。
  68. 猪俣浩三

    猪俣委員 あつたかなかつたか、覚えておるのかないのか、あつたけれども忘れたのか。
  69. 山岡包郎

    山岡証人 秋島組の自動車を借りたのは一、二回あつたと思います。
  70. 猪俣浩三

    猪俣委員 秋島組の自動車を一、二回お借りになつた。それはどういう場合ですか。
  71. 山岡包郎

    山岡証人 これは役所部内の話ですが、あれは人員整理がいつでしたか、行政整理があるというので、水力課の中で何か二人か三人やめなければならぬということで、その行先を考えて、そして緊急に頼みに行きますのに、あれは松本君だつたか、それを急に会うというので、役所自動車がなかつたので秋島組に頼みまして、大石さんのところは何組だつたかな、とにかく一緒に乘つけて、人をとつてもらうように直接頼みに行つたことがございます。そのときに借りたことは記憶しております。
  72. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは何回くらいありますか。
  73. 山岡包郎

    山岡証人 それ一回はつきり覚えているだけで、それ以外は覚えておりません。
  74. 猪俣浩三

    猪俣委員 一回しかない、こういうのですか。
  75. 山岡包郎

    山岡証人 一、二回あるかもしれませんが、それ以外に覚えておりません。どういう場合にどうだと言われたつて……。
  76. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたはしよつちゆう借りておるから覚えていないのだろう。
  77. 山岡包郎

    山岡証人 しよつちゆうならそんな不確かな答弁はいたしません。
  78. 猪俣浩三

    猪俣委員 それじやこの秋島組という組の非常に懇意な人に三浦義一という人はおりませんか。あなたはその関係は存じませんか。
  79. 山岡包郎

    山岡証人 このごろ問題になつておるので、三浦義一という人の名前は新聞や何かでちよつと見ますが、三浦義一さんが何者であるか、そういつたことはちつとも存じておりません。
  80. 猪俣浩三

    猪俣委員 その秋島組というのが三浦義一が非常にあつせんをしておる土建業者であるというようなことをお聞きになりませんでしたか。
  81. 山岡包郎

    山岡証人 そんなことは全然知りません。
  82. 猪俣浩三

    猪俣委員 なおもう一点お聞きしますが、私のところに参りました文書があるのでありますが、それによりますと、あなたはこの秋島組のほとんど事実上の顧問技師になつておるのだ、こういうことを言うて来た者がありますが、あなたはそういう深い関係はないのですか。
  83. 山岡包郎

    山岡証人 私の同期生が一人入つておりますので、同期生としてのつき合いだけでございまして、秋島組とは何ら関係がございません。
  84. 猪俣浩三

    猪俣委員 その同期生というのは何とおつしやる方ですか。
  85. 山岡包郎

    山岡証人 圷と申します。
  86. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこであなたは、この圷という方を同期生でよく御存じで、この組の自動車なんかも借りて乘りまわしておられたようですが、そこでこの秋島組というのは、いわゆる新興土建屋さんのように見受けられますが、こういう人から談合金のやりとりというような問題をお聞きになつておるのじやないですか。
  87. 山岡包郎

    山岡証人 私は圷君とは同期生だけのつき合いでありまして、そんな話は全然聞いておりません。
  88. 猪俣浩三

    猪俣委員 秋島組からも談合金を出し合うておるような話は絶対に聞いたことはありませんか。
  89. 山岡包郎

    山岡証人 絶対に聞いたことはございません。
  90. 横田甚太郎

    横田委員 あなたの所管事項日発工事とどういうよう関係があるのですか、監督関係を承りたいのです。
  91. 山岡包郎

    山岡証人 私の日発との関係でございますか。
  92. 横田甚太郎

    横田委員 日発工事ですね。自己資金でやつているのでなしに、もつと嚴密に言いましたならば、見返り資金とかあるいは政府の許可による資金によつてやる発電工事、あるいはそれ以外の資金による諸工事に対するあなたの監督権ですね。
  93. 山岡包郎

    山岡証人 私の日発工事に対する監督は、土木工作物の設計とか施工ですね。そういう土木工作物のよしあしというか、その工作物がどういうふうにできてこういうふうにやるのだということと、そいつは設計上いいか悪いかというようなことを判断し、それが所定の目的のようにできておるかどうかというよう検査をする。そうして保守につき保安上支障がないかというようなこと、工作物関係の監督といいますか、そういうことをやつております。
  94. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと発電工事も入りますね。
  95. 山岡包郎

    山岡証人 はあ。
  96. 横田甚太郎

    横田委員 で日発のいわゆる発電所の建設、そういうよう工事は大体がつちりやつておりますか。もつと逆に言いましたなれば、その工事のうちで、いわゆる不正と目されるようなものがちよちよい出ますか出ませんかということです。
  97. 山岡包郎

    山岡証人 いや、私の見るところでは自発の工事は非常にいいと思つております。
  98. 横田甚太郎

    横田委員 いいと思つているというのは、全然不正がないという意味ですか。不正はあるけれども、ほかの会社のやる諸工事に比べて不正が少いということですか。
  99. 山岡包郎

    山岡証人 不正というのはどういうことですか。私は工作物、たとえばコンクリートがいいとか悪いとか、この岩盤上に堰堤ができるのに不安がないか、そういうようなことを監督しておるのでありまして、変な岩盤のところヘコンクリートを打つとか、そういう不正は日発に関する限りは全然今まで私が発見したことはございません。
  100. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと、今あなたは仮定と言われるかもしれませんが、私は仮定でない前提のもとに言うのですが、もし日発が政府の金を使つて不正工事をやつた場合、それが発覚した場合において、あなたはどういうふうな権限を持つて、どういうような処置に出られるのですか。
  101. 山岡包郎

    山岡証人 もし工作物の手を拔いたら保安上危險でありますし、そうしたら私は電力局長に話して、こういうところをこういうように直せと言つたり、あるいは検査に参りましたときにそういうものを発見したら、口頭でもただちにやりますし、そういうよう仕事はやつております。
  102. 横田甚太郎

    横田委員 そうすると、そういうようないわゆる忠告を発せられたような場合はございませんか。
  103. 山岡包郎

    山岡証人 忠告といいますか、最近の例で申し上げますと、これはちよつと地元に不安を與えるかと思いますが、しやべらなければなりませんから実際のことを申し上げますと、京都にあります新庄ダムにつきまして、岩盤に断層ようのものが——断層ではございませんけれども、一部派遣いたしました者が断層だというようなことを言つたものですから、それを究明いたしまして、ここまで掘つたらどうかということを協議いたしまして、そうして対策を協議して立てた、こういうことは最近ございます。
  104. 横田甚太郎

    横田委員 私が大体こういうようなことを聞きますのは、あなたたちの頭の中に、言葉だけでありましようが、大体日発工事請負單価はかたい、帳簿は間違いない、こういうようなことを品で言われることそれ自体に対して私は疑いを持つのです。なぜかというと、日発ほどややこしいところはない。一例をあげますと、あなたは日発のこういう工事関係を監督なさる方でありながら、どこに不正でありますか、そんなことはありません。それもしいて言えば、京都の新圧ダムで、それも地元に不安を與えるからというようなややこしいことを言つておられますが、ここに新潟県の鹿瀬の発電所がございますね。ここの発電所の堤防は一体何回切れたか、これはだれが監督したのですか。日発というところは大体電話の器具を買うときにも十五円で買えるものを八円に値切る。値切られたら非常に弱る。弱つたやつにむちやなことを言われるという場合には、今度伝票には十二円と書かれるのは常識になつているのでしよう。ここの提防は一体なぜ切れたのですか。この監督の一切を報告してください。
  105. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつとその前に横田君に御注意いたしますが、手を拔いたとか拔かないとかいう工事の不正関係と申しますと、主として経理関係なつて来ると思うのです。本日の証人は、技術的にただこの岩盤の上にコンクリートを置いたらいいか悪いかというような、いわゆる技術的な関係だけを監督するであつて、その経理関係の方には本日の証人関係がないということを頭の中に置いて御質問を願いたい。
  106. 横田甚太郎

    横田委員 それでは委員長ちよつとお伺いいたしますが、あなたはそうおつしやいますが、この問題の発端は現にこの山岡君である。ここまで言われているのであつて、しかもこの人が一割のいわゆるリベートの問題についても、言うたとも言わぬともはつきりしたところの見解を私は言つておらぬと思う。たとえばここに言葉として出ておりますように、あなたの言葉をかりて言うならば、四億云々、そんな意味で言うたのではありません。ややこしいことを言つている。そんならどんな意味言つたかと聞きたくなるのはあたりまえだ。だからあなたは單に監督したというだけではないのであつて、何かあなたがこういうことを言わなければならないような立場におられるのではないか。それで知つておられるのではないか。現に先ほどの自動車にいたしましても、自動車の名前は忘れました。乘つているのか乘つておらぬのか。二回ほど乘つていると思います。そういうふうに実にあいまいだ、だからそういう意味において、もつと人民生活に直接関係のある問題と結びつけて聞いて行かなければならぬ。日発の帳簿はみんなだめ、そんなこと知りませんと言つてつた新聞記者に笑われる。ですから私はそういうことを聞くのです。そのことを言えたら言つてください。おそらく何かうまく行つておらないのをうまく行つているように思う。実際うまく行つておらなかつたならば、これは明らかに一割のリベートなんです。それを言つてください。     〔「質問の内容がわからない」と呼ぶ者あり〕
  107. 山岡包郎

    山岡証人 質問の内容が、何をお答えしたらいいかちよつと……。
  108. 横田甚太郎

    横田委員 質問の内容がわからないと言われますけれども、質問はあなたに言つているのでよくわかつているのに、委員長が茶々を入れられるのでわからないのだ。新潟の鹿瀬の発電所はどういう監督をなされたのか、これを聞いているのです。(「それをはつきり言えと」呼ぶ者あり)いらぬことを言うな。
  109. 山岡包郎

    山岡証人 鹿瀬の堤防が切れた……。
  110. 横田甚太郎

    横田委員 それを監督しなかつたのですか。
  111. 山岡包郎

    山岡証人 堤防は発電工事ではないのですから……。
  112. 篠田弘作

    篠田委員長 関係のないことは関係ないと言つてもちつともかまわないのだ。さしつかえない。
  113. 山岡包郎

    山岡証人 それはもし水力施設が原因でこわれたならば、発送電から報告があるはずですが、報告記憶しておりません。
  114. 横田甚太郎

    横田委員 それでは確かに記憶しておられぬと言われるのですね。
  115. 山岡包郎

    山岡証人 ええ。
  116. 横田甚太郎

    横田委員 それからもう一点尋ねますが、たとえば発電所の建設に対しましてはセメントが行つておるが、そのセメントは特殊なセメントでございますね。特別にいいセメントでございますね。
  117. 山岡包郎

    山岡証人 発電所に使うセメントもいろいろございまして、隧道に使うセメント、それから高いダムに使うセメント、それからいろいろな裏込めのセメント、いろいろございますから、裏込めのセメントなんかできるだけ金をかけたくないという考えでございましよう。品質の悪いものを使う場合もございましようし、それから高いダムなんかになりますと、特に上質物を選んでやりますが、水力発電所に限つて特にいいセメントということはございません。いろいろなセメントを使つております、
  118. 横田甚太郎

    横田委員 これは証人が苦しめられるよう質問ですから、簡單に答えてもらいたい。大体あなたの言われたようなセメントのうちのいいセメントが発電工事に使われる。それが横流しにされたような場合、しかも大重に横流しされたような場合には、あなたはどういうふうな監督をするんですか。
  119. 山岡包郎

    山岡証人 どうも水力課長としては所管以外のことだと思いますので……。
  120. 横田甚太郎

    横田委員 そうしますと、これは日発としては経理の面において損になる。しかしそのいうようなことをやられては政府としても困るので、政府ではだれが一体これを監督しますか。
  121. 山岡包郎

    山岡証人 御質問意味はセメントを横流しにするというのですか。日発が横へ売つてしまうというのですか。
  122. 横田甚太郎

    横田委員 そうです。やみです。
  123. 篠田弘作

    篠田委員長 日発工事に割当てられたセメントを横流しされた場合の責任はたれか、こういうことを言つておるのです。
  124. 山岡包郎

    山岡証人 それは経理関係です。経理関係なら役所としては業務課長でございましよう
  125. 横田甚太郎

    横田委員 業務課でございましようか。
  126. 山岡包郎

    山岡証人 ええ。
  127. 横田甚太郎

    横田委員 どこの業務課ですか。
  128. 山岡包郎

    山岡証人 電力局の業務課です。とにかくそんなことは経理関係でございますから、業務課長の所管でございましよう
  129. 横田甚太郎

    横田委員 大体こういうことにああいうふうに言うとややこしいのですが、こういうふうなセメントは、澁川というところがございますね、あの澁川のわきに、町とは非常に似合わないところの名前をつけておる佐久発電所がございますね。その佐久発電所工事に対して大量のセメントが横流しされて、しかもこれが澁川署に相当あがつておりますね。しかもこれが問題になつておらない。だから私はこういうふうな問題、これはまだありますよ。ありますが、これは時間の都合で出しませんが、こういう二つの問題を出したのは、日発工事は何も万全ではない、実に不正だ、しかも工事の内容として請負單価も非常に不正である。たとえて申しますと、一億なら一億の金で工事をさせる、その一億で交渉されたやつで、どうしてもその工事がうまく行かないというような場合になつた工事を遅らせる。それでは困るというので二十日なら二十日で仕上げてくれという場合に、これで仕上げた請負者に対して特別に金を出してやる、こういうことばかりやつておる。そういう事実は御存じありませんか。
  130. 山岡包郎

    山岡証人 私は存じておりません。
  131. 横田甚太郎

    横田委員 存じておられない……。
  132. 山岡包郎

    山岡証人 はあ。
  133. 横田甚太郎

    横田委員 こういうことは一体だれが御存じですか。官庁でこういうことを知らないのですか。
  134. 山岡包郎

    山岡証人 それは工事を早くやつたために工事資金を多く出した。こういう事実があるということですが、そういうことを調べるのはだれか、こういうことですね。
  135. 横田甚太郎

    横田委員 そうです。
  136. 山岡包郎

    山岡証人 それは金のことですから、主管はやはり業務課長でございましよう。その工事面によつても違いましようけれども、資金関係の主管、そういう経理関係の主管は業務課長だと思うのです。
  137. 横田甚太郎

    横田委員 もう一言でしまいですが、そうしますと、あなたから見られた場合に、私がこういうふうに申しましても、やはり日発請負單価はかたい、工事はうまく行つておる。こう思われるのですね。
  138. 山岡包郎

    山岡証人 私はどつちかといえば保安が主なのでありまして、私の方から見ますと、たとえば堰堤の岩盤なんかはできるだけ安くという意味でもつて——そんなことを言うと発送電とか各電力会社を誹謗することになりますけれども、考え方としてはわれわれの方は保安を重点に置くものでございますので、ややもすれば必要以上の方へまで安全をとりたがるので、金のかかる方向へ、そのことをしいて求めてはおりませんけれども、保安のことを重点に考えますので、かえつて金のかかる方向に工事を監督するきらいがあるくらいでございます。
  139. 横田甚太郎

    横田委員 発電所の名前はたしか佐久であつたと思います。あるいは名前を少し忘れたかと思いますが。どうしてこれを聞くかというと、日発工事がうまく行つていると考えておられるが、どうしてそう考えるかということを聞くために言うのです。それはこうなのです。電産に藤川君という人がおります。これは労働組合の相当の幹部です。この方は電気技術の非常に達者な人でございます。特に工事の方に関係しているそうです。この方がその発電所を見に行つたら、その発電所工事では必ず切れるに違いないと見た、あのダム、このダムはこんなになつてはあかんと言うたところが、切れてしまつた。次のもまた切れてしまつた。次に行つたときはこれはあかんであかんでと言つたら、いや大丈夫とむしろをかぶせて見せなかつた。ところが二日目に切れて飛んでしまつた。こういうふうな工事に対してあなたたちは検査行つておられますか、行つておられないのですか。
  140. 山岡包郎

    山岡証人 私は昭和七年から水力発電に関係いたしておりますが、ダムが切れたというのは、小さな堰堤ではエプロンがこわれて拔けたというのが二回くらい、それも古い発電所でございます。それ以外に最近つくられたとか、高堰堤につきましてはダムが切れたというのは絶対ありません。小さなダムでもつて洪水のときに切れたときがありますが……。
  141. 梨木作次郎

    ○梨木委員 たとえば発電所を建設する場合、あなたの方は具体的にどういうような監督をするのですか。その方法として、出張してときどき見に行くとか、報告を受取るとか、いろいろやり方があると思いますが、監督の具体的な方法を聞きたいのです。
  142. 山岡包郎

    山岡証人 先ほど所管事務のことを委員長から問われたときに、御返答した通りでございます。発送電に関する限りで申し上げますと、建設命令が出たあと、いろいろな手続ができました後に、こういうふうに工事をやるぞという工事施行の届出が出て参ります。それにはダムがどういうふうな高さで、こういう地点からこういうふうに水を取入れて、隧道の大きさはこうだというよう土木設計が出て参ります。それを見ております。建設命令の内容や何かが違つた場合には、それに対する処置をとりますけれども、設計の内容がよければそのままにしておきます。それが普通でございます。それから工事にかかりますと、先ほど申し上げましたように、規則として検査しなければならないのは、十五メートル以上の高いダムの岩盤検査、新しく基礎にコンクリートを打つ場合には検査を受けろという規則がございますので、それによつて検査をいたしております。それから最後に発電所ができ上りますと……。
  143. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでけつこうです。そうしますと、発電所工事が進行して行くその進行の程度が刻々具体的にあなたの方にわかるのですか、わからないのですか。
  144. 山岡包郎

    山岡証人 毎月一回定期的に発送電から工事の模様の報告があります。
  145. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは具体的にお伺いします。富山県に成出という発電所が建設中でありますが、これはいつか着工されてそのままになつていて、その後また二十五年五月の下旬にさらに工事を再開している事実があるわけです。そこで私がお伺いしたいのは、今年の五月に工事が再開されるまでは中止しておつたらしいのであります。中止しておつた当時におきまして、あなたの方で成出の発電所の建設工事がどの程度竣工しておつたかおわかりでしたら聞きたいのです。
  146. 山岡包郎

    山岡証人 そういう御質問があるのでしたら資料を持つて参るのでしたが、持つて参りませんでしたので調査いたしまして……。
  147. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは富山県の成出の発電所がいつ着工しまして、それで今年工事を再開する当時におきましては、どの程度に発電所の建設工事が竣工しておつたか、その工事の竣工の程度をひとつ資料として出していただきたいと思います。  その次にもう一つ聞きたいのであります。この点もあなたに今直ぐ資料がなければ調べてお答えを願いたいのであります。最初成出の発電所日発の直営であつたわけでありますが、その後今年から再開された後におきましては、これが土建業者請負わせてやつておるのであります。その点間違いないか、この事実は御存じですか。
  148. 山岡包郎

    山岡証人 成出の工事再開前に日発が直営をやつたことはない。それは小さな工事は直営ですが、しかし大きな新設の発電所は全部請負いだつたと思いますし、あそこは再開前も請負工事つたと思います。そういう記憶でございます。
  149. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは今の点だけをひとつ調べて、資料を出していただきたい。
  150. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 運営委員会を開いておりまして、遅れまして申訳ありません。これは重複するのではないかと思われますけれども、非常に重要な問題でありますので、私もう一応証人にお聞きしたいのですが、四億円のリベート云々というデマの問題ですけれども、それに対して先般武内電力局長をここへ喚問いたしましたところ、もし出たとすれば、それはいろいろな想像をした話ではないかという証言があつたのです。そこでたまたま本日お出での山岡水力課長、並びに吉岡電力課長の名前が出たのですが、そういうデマにしても、局長としてそのデマの根拠を突き詰めた調査をした覚えがあるかということを尋ねましたところが、証人はこういうことを言つております。「先ほど委員長からお話もあつたろうと思うのですが、実はそのことにつきましては、私はよく局議に出入りするよう人々にあたつて聞いてみたのであります。山岡君も同時であります。」と言つておりますが、電力局長から、あなたがそういうことについて一応調査——というよりも、むしろ座談的であつても、そんなことがあつたのかどうかということで、武内電力局長に調べられたことがあるかどうか、承りたい。
  151. 山岡包郎

    山岡証人 あれは十月二十二日でございましたか、私のことが新聞に出された。あれが日曜日でございましたので、月曜日か火曜日かのときに局長に呼ばれまして、そんなことをどう思うかというふうに聞かれました。
  152. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そのとき武内電力局長に返答なされたことを、もう一回ここではつきりとおつしやつていただきたいと思います。
  153. 山岡包郎

    山岡証人 その言葉通りは言えませんけれども、そういうことならばそんなことも考えられるかもしれません、というようなことを言つた覚えがあると思つております。
  154. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そこが重大な問題です。そういうことならばそういうふうに考えられることがあるかもしれない、とあなたがおつしやつたということでありますれば、われわれはこの四億円の金の行方をここで追求しているのです。單なるデマであつたか、ほんとうに四億円出たのか、これがいわゆる日発スキヤンダルの重要な問題であります。そこであなたが、そういうようなことが考えられるならばこういうことがあるというような、はつきりした言葉でなく、武内電力局長にあなたが言つた。その言葉はそのままでなくともよろしゆうございますが、大体その根拠がわれわれはわかればいいのであつて、そのことをここでもう一回具体的に、たとえば四億円という数字を入れてそんなことがあつたのか、なかつたのか、あるいは想像すれば、こういうこともあるのじやないか、というふうに言われたというようなことを、はつきりここでおつしやつていただくことが、この日発スキヤンダルを根本的に追究する根拠になるのでありますから、どうかここでもう一回繰返していただきたいということを、私はお願いするのであります。
  155. 山岡包郎

    山岡証人 先ほど申し上げたのですが、新聞社説に、日発請負業者から工事金の一部を融通を受けておるらしいということを、そういう方法論までデイスカツシヨンして書いてあつたのです。そんなことが原因雑談していたのですが、それに対して私は、そんなことは考えられるかもしれないけれども、日発請負いはああいうふうに明らかにやつているのだし、そんなことは考えられないじやないか、と言つたのが、こんな問題になつたのですから、ぼくも真劍になつて考えたのですが、伝えられたことは全然逆もはなはだしいので、ぼくとしては、こんなところへ課長が呼ばれて、何か言われるのは、しやくでもあるし、憤慨にたえないのです。
  156. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、私からそれをまとめるのはおかしいですが、あなたは、四億円のいろいろなスキヤンダルがある、もし出れば、こんなことをすれば出るかもしれないけれども、そんなことはあり得るはずがないということで、否定するために、こういうことは考えられないこともないというような、否定せんがための言葉を吐かれたことがあるかどうかということを、私はお聞きしたいのです。
  157. 山岡包郎

    山岡証人 先ほど申したように、言葉の一部分は、技術屋ですから、そういう話し方はまずいので、局長にはその一部分だけ話したので、これはこんなことがあるかもしれないと言つたことが、あるのだといつて、その一部分だけとられたので、真意はそんなことではなくて、まるで逆の心境なんです。
  158. 小玉治行

    ○小玉委員 あなたの、局会議の終つたいつかの座談会の席でおつしやつたことが、誤解を生むのは、私はそういう点にあるのじやないかと思いますが、毎日あるいは読売の記事に、日発工事請負わせた請負人から金の融通を受けているという記事があつた。その記事のことが、たまたま座談会の席上で話題に上つた。そこであなたが、そういうことを考えれば考えられるかもしれないけれども、しかしそういうことは考えられない。そういう言葉であなたが述べた。そこがそもそも誤解を招くもとになつたのではないかと私たちは思うのです。そこで、そのあなたの言葉を分析して私考えてみますと、あなたのおつしやつた趣旨は、新聞人あるいはジヤーナリズム、ないしは一般の世間の者は、いわゆる工事請負人から日発工事請負金の一部を融通しているのじやないかということを、世間ないしはジヤーナリズムはそういうことを考えているかもしれないけれども、しかし実際通産省の役人として、多年日発工事請負人に工事をやらしている実態を知つている自分としては、さようなことは考えられないのだと言つて、その新聞記事にあることをあなたとしては否定した。そういうことを否定したのが、あなたの真意ではなかつたか。ちよつと聞いて、そんならばあなたとしては、そういうことを考えれば考えられないことはないが、しかしそういうことは考えられない。それはあなたの真意は、あなた自身としても、そういうことを考えれば考えられないことはないと思うのです。自分自身としては考えられないが、世間の一般の人ないしジヤーナリズムの人は、そういうことを考えている。それは誤りであつて自分の経験、知識からすれば、そういうことはないのだ。こういうのか。そこの分界が、先ほどからお聞きしておつてはつきりしない。どういうのか、そこをはつきりしてもらいたい。
  159. 山岡包郎

    山岡証人 雑談でありますから、どういうような言葉でどういうふうに言つたのかあれですが、事の趣旨はそういつたことを批評するために前提として考えた程度でございまして、日発はああいうふうに競争入札や何かやつているのだから、そんなことはないのだという意味のことを言つたのであります。
  160. 小玉治行

    ○小玉委員 そこで重ねて聞きますが、あなた自身としてはそういうことはあり得ないという確信を持つておいでになるのでしよう日発工事請負人から工事金の一部を、いわゆるリベートをもらつておるというようなことは、あなた自身の確信としては、通産省の役人としての確信からすれば、そういうことはあり得ない。こういうふうに確信しておるわけでありますか。
  161. 山岡包郎

    山岡証人 私は経理やそういうものを直接担当しておりませんから、今の質問は通産省の役人としてというより、一個人としては、ああいう競争入札をやつているのだから、そんなことはあり得ないという確信を持つております。
  162. 小玉治行

    ○小玉委員 そうしますと、先ほど私がお聞きした、考えれば考えられないことはないかもしれぬけれども、という点は、それは世間一般の人はそういうふうに考えておるかもしれぬけれどもということになるのですか、そこをはつきりしてもらいたい。あなた自身がそういうことを考えれば考えられないことはないということは矛盾だと私は思います。考えれば考えられるかもしれないけれども、しかしそういうことは考えられないということは、はなはだどうも私は矛盾じやないかと思う。そこであなた自身はそういうことは考えておらぬ。自分としてはそういうことはないと確信しておるというならはつきりする。その全般の意味がはなはだあいまいだから、私はかようなデマの根源になつたのかもしれぬと思う。
  163. 山岡包郎

    山岡証人 それは雑談だから不用意なんですけれども……。
  164. 小玉治行

    ○小玉委員 あなたの確信とそのとき言つた言葉の意味というものがはつきりして来れば、それはあなたのいわゆる伝えられる四億というものがデマであつたということがはつきりすると私は思う。あなた自身もその点について一種の疑いを持つておれば、やはりデマの根源になり得る余地がある。
  165. 山岡包郎

    山岡証人 事の真意は、そういうことを前提として見て——その前提は新聞に出たから、そういうことを前提として見て、そしてそんなことは考えられないのだ……。
  166. 小玉治行

    ○小玉委員 それだから私の言う通り、そこをはつきりしてもらいたいのだ。その前提となつている新聞記事で、新聞社の記者なんかはそういうことを考えておるかもしれぬ、しかしそれは間違いだということのとどめというか、結論をつける意味で、あなたは雑談でお話になつたわけですね。
  167. 山岡包郎

    山岡証人 そういうことであります。
  168. 小玉治行

    ○小玉委員 それではつきりしました。そこでそれをお話になつたのは部であるというのですが、部のどういうところですか。
  169. 山岡包郎

    山岡証人 それは部内雑談ですから……。
  170. 小玉治行

    ○小玉委員 どれくらいの人が集まつてつたように、また部屋なんかはどこのよう記憶がありますか。
  171. 山岡包郎

    山岡証人 はつきりそういう記憶がないのですが……。
  172. 小玉治行

    ○小玉委員 そこは新聞記者とかその他一般の陳情者とか来訪者が自由に出入りする場所なんですね。
  173. 山岡包郎

    山岡証人 いや、そういうようなところではないと思います。そんな雑談は部外者のいるようなところではやりませんから……。
  174. 小玉治行

    ○小玉委員 何人くらいいたか記憶ありませんか。
  175. 山岡包郎

    山岡証人 これは証言ですから、あんまりあてずつぽ言つてもあれですから……。
  176. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 今小玉委員からお話があつたのですが、その四億の問題が新聞に出てから、あなたがそういうことを考えれば考えられないことはないと言つたのか。それともそのことが新聞に出たのか、どつちですか。新聞に四億のスキヤンダル問題が発表になつてから、あなたの雑談の中にそういうお話があつたのかどうか、それを承りたい。
  177. 山岡包郎

    山岡証人 そういう新聞を見てから話しましたのですから、そういう新聞記事にあのスキヤンダル問題が出て、社説なんかで、取上げているのですから、それ以後でございます。
  178. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたが雑談していたときに電力課長はおつたのですか。
  179. 山岡包郎

    山岡証人 吉岡君とは仕事が非常に緊密ですし、しよつちゆう会つておりますから、あるいは吉岡君がおつたかもしれません。
  180. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私から名前を言います。竹山業務課長、それから中岡技官、廣澤技官、それから酒井という電政課にいる人ですが、そういう人がいたかいないか、御記憶ありませんか。
  181. 山岡包郎

    山岡証人 記憶はありませんけれども、そういう仕事の分担から、業務課長電力課長仕事関係がなくても集まりますけれども、あとの課長、中岡君は資材のことをやつておりますし、それから廣澤君は需給関係をやつておりますし、竹田氏は業務課長ですから、もう一人電政課の酒井君は、これは法規のことをやつておるのですから、そんな集まりは想像もされませんし、また会議というかそんな集まりは記憶はありません。ないと思います。
  182. 井手光治

    ○井手委員 証人に伺いますが、この問題はただいままで両委員から御質問があつたように、あなたはたまたま部内のどこかで雑談をしておつた。この雑談新聞記事を前提として、新聞記事に出ておるが、われわれの常識として、そういうことはあり得ないということで否定した。そうして四億円のリベート日発がとつて、それを政界の大きなスキヤンダルの問題にしているということを、あなたはある人に漏らしたというようなことを根拠に、大きな事件になつている。そこで私が伺いたいのは、あなたはその雑談をしておるときに、そういう話をしたという記憶が、うろ覚えにあつて、そこで何か電力編成をめぐつて部内からあなたに対して何か特殊な考え方でも持つて行つて、それを部外に漏らして事件を拡大して行こうとか、何かこれを種にして問題にしようというような、そういうふうに思われる節にぶつかるような人物がその間に効いたかどうか、これをひとつ伺いたい。記憶はつきりしておらぬかもしれませんが、確かにそこから出ておる。雑談を部外に漏らして大きな事件に拡大して来たということになつているようです。あなたとしても大事なことですから、そういう部外者と連絡をとつてスキヤンダル問題と結びつけて、何かこしらえ上げるような人がその雑談の中におつたか、それをあなたはひとつ記憶にあれば、この際はつきりしておいた方がいいのではないかと思います。
  183. 山岡包郎

    山岡証人 今の質問は私にとつて非常にありがたい質問でございまして、私はどういうことでああいうことになつたのか、その点究明していただきたい。それが一番のお願いなんでございますけれども、言つたことはそんなことを言つたことがあるのであつて、だれがどうというよう記憶は、日記でも雑談なんかつけておりませんし、もしできましたら、その情報が一体どこから出たかということをつきとめていただきたいと思うのです。
  184. 井手光治

    ○井手委員 巷間、この委員会の席上等にそういう発言がちらほらあるのですが、鈴木鹿藏さんとの関係をもう少し明瞭にしていただきたい。というのは鈴木鹿藏という人は、あなたの技術的な先輩であつて、親分である。しかもこの問題を鈴木鹿藏君の方にあなたは直接持ち込んで行つて、この話をして、それがまたある人に話された。こういうことが私ども今まで聞いた範囲では筋のようなつているのですが、あなたと鈴木鹿藏氏との関係をひとつ明瞭にしてもらつて鈴木氏にあなたは話したか、あるいはあなたの雑談の中にあつた人が鈴木鹿藏氏にこの問題を持ち込んで、鈴木鹿藏氏がそれを第三者に持ち込んで、これが大きなスキヤンダルに発展さして来たという経路になつているのですが、その辺のところをもう少しはつきりしてもらいたい。
  185. 山岡包郎

    山岡証人 鈴木鹿藏さんとの関係を、私もはつきり申し上げたいのですが、中部配電をやめられてから、もう全然電気事業というものに関係はありませんから、一番最後に会つたのは昨年の暮と思うのですけれども、松永さんが委員長時代に、松永さんのところで、私安本で河川総合の調査をやつていたものですから、そういう河川総合の大計画について調査したら、ひとつ話を聞かせてくれという要求があつたので、そんな仕事で松永さんのところへ行きましたときに、鈴木さんにお目にかかつて、そのときあいさつしたのが最後でございます。最近までお目にかかつたことはありません。  もうひとつあれが残るといけませんから、それからずつと会わないのですが、最後にあれは新聞記者が出てから、二十五、六日だつたか、役所へごあいさつに見えたのです。その間は会わぬですから、絶対に記憶はありません。記憶じやない、絶対に会つておりません、
  186. 井手光治

    ○井手委員 そうすると、ここに鈴木鹿藏という実在する人物を登場させて、この人からあなたがそういうことを発言したということが出ておるということは、捏造の事実であるということがきわめて明瞭になつて、たいへんけつこうだと思うのです。そこでもう一つ伺つておきたいのですが、この問題があなたの雑談を中心として拡大強化されて来て、いろいろ新聞紙上にも大きな問題として出て来ている。そういつたふうなことを何か一つの筋書があるように世間体に大きく取上げられたのですが、この間のあなたの発言、あるいは雑談の内容、あるいはあなたが四億円のリベートによつて、大きな政界スキヤンダルがなされているというようなことを、巷間伝えられていることについて、あなたに何かそういつたふうなことの内容を聽取に来たり、あるいはあなたが何かそういうことによつて捜査されていると申しますか、調査されているというよう関係の人とお会いになつたことがあるか、あるいは水力課長自分発言しているのだという大きな問題として、あなたが中心人物になつておりましたから、そのことであなたに何か資料でも求めて来たような人がありますかどうか。またこの事件について、あなたが特別な関係範囲において、何か話をしたようなことがありますか。そういうことはありませんか。
  187. 山岡包郎

    山岡証人 この関係については、月曜日か、この調査事務局の第二部長さんでしたか、調査に見えられまして、そのときにそんなリベートの問題は言つたことはないというふうにお話をいたしました。それ以外に調査というものはありません。
  188. 井手光治

    ○井手委員 そうしますと、雑談のときにあなたがこれを否定したという言葉が誤り伝えられたばかりでなしに、逆にあなたが四億円のリベートによつて政界スキヤンダルをなしておるという大きな問題として発展したのでありますから、その雑談のときの状況等を十分ひとつ今後あなたは記憶をたどられて、部内のことでありますから、計画的にそういうふうな調査もおそらくできると思う。重大な問題でありますので、もう少しそれらの関係を明らかにして、一点の疑点なからしめるという態勢をとつて、それに適格な資料がありまするならば、証拠として委員会の方へ提出していただきたい。單なる雑談であつたということを明瞭にするように、私は希望しておきます。
  189. 小玉治行

    ○小玉委員 鈴木鹿藏さんは電力再編或問題についてはどういうお考えをお持ちになつておる人か、あなた御存じありませんか。電力編成については分割に賛成するか、不賛成であるか、そういう点についてはどういう立場をとつておる人であるかということについて、あなたお知りありませんか。
  190. 山岡包郎

    山岡証人 私は鈴木鹿藏さんにそんな深い話をしたことはありませんから、知りません。
  191. 篠田弘作

    篠田委員長 これにて証人山岡包郎君に対する尋問は終了いたしました。証人には御苦労さんでした。  次に通産省政務次官首藤新八君より証言を求めることにいたします。なお同君には三時から出頭を求めたのでありますが、同君の御了解もありましたので、これより引続き証言を求めることにいたしますから、御了承願います。——それでは五分間休憩いたします。     午後二時五十六分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  192. 篠田弘作

    篠田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより、電力事業編成問題について、引続き証人から証言を求むることにいたします。  証言を求める前に、証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定むるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人首藤新八朗読〕    宣 誓 書   良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  193. 篠田弘作

    篠田委員長 では宣誓に署名、捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  194. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求むることになりますが、証言証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際は、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なおこちらから証言を求むるときはおかけになつていてけつこうですが、お答えの際には御起立を願います。  証人お尋ねいたしますが、証人が通産省政務次官に就任されたのはいつごろでありますか。
  195. 首藤新八

    首藤証人 本年七月十二日であります。
  196. 篠田弘作

    篠田委員長 大西前日発総裁、櫻井前日発副総裁を更迭した事情について御説明願います。
  197. 首藤新八

    首藤証人 大西前総裁、櫻井前副総裁の更迭に対しましては、別に大臣からこれこれの理由によつて更迭するという御相談は受けていなかつたのであります。しかしながら、私の主観的な考え方といたしましては、電力分割法案が見返り資金とからみまして、どうしても早く解決しなければ相ならぬ。これにつきまして、日発の首脳部が、分割法案に対しまして、單にこの分割の方法に対する反対意見を述べられるのはけつこうでありますけれども、全面的に分割そのものに反対するというようなことを承つておりました。御承知の通り日発の総裁、副総裁は、政府が任免権を持つておる特殊会社でありますので、この特殊会社の首脳部が政府の意思に反した行動をとるということは、この法案を推進する上においておもしろくない。かように私は考えたのであります。かよう意味合いにおいて、大臣から更迭したいということを申されましたので、これに御同意申し上げた次第であります。
  198. 篠田弘作

    篠田委員長 証人に対する委員長質問は終りました。委員各位から御質問願います。
  199. 椎熊三郎

    椎熊委員 首藤政務次官は、大西前総裁、櫻井前副総裁を更迭せしめて後、新たに新総裁を迎えるにあたりまして、現在の総裁小坂順造氏の就任に反対があつたということを承つておりますが、そういう事実があつたでしようか。
  200. 首藤新八

    首藤証人 反対ということは申し上げたことはないのであります。ただ私は日発の後任総裁、副総裁の選任に対しましては、御承知のごとく日発は解散しなければならぬという運命にありますので、経済的、社会的に著名の方を迎えるということは実際問題として困難ではないか。むしろそれよりも会社の内部を十二分に御承知の方、しかもまじめな方、かような方を自発の内部から起用した方がこの際はいいのじやないか。ことに御承知の通り日発は解散せられる運命にありますので、長年勤続された社員に対する一つの論功行賞という意味からも、社員を起用することがこの際おだやかでいいのではないか。またかりに外部から迎えるといたしましても、かえつてその方に火中のくりを拾つてもらわなければならぬ。それにもかかわらず入れるということになれば、何か野心があるということを世間から誤解されて、その方に対してもお気の毒だから、むしろそういうことのないような方がいいのじやないかというよう意見だけは大臣に申し述べたことがあります。
  201. 椎熊三郎

    椎熊委員 当時新聞等はいろいろなことを伝えておりまするが、あなたの所属する自由党では、小坂君の就任に首脳部は多く反対の意見があつたということで、そのためにあなたを自由党本部に招致して、通産省においても反対すべきものでないかという話合いがあつたということを聞いておりますが、そういう事実はありましたでしようか。
  202. 首藤新八

    首藤証人 そういう具体的な事実はなかつたと思います。ただ党の幹部から、日発の内部から起用した方がいいじやないかというような御意見も承つたことはありますけれども、それ以上は聞いておりません。
  203. 椎熊三郎

    椎熊委員 党の内部では、日発の内部から起用した方がよかろうということがあつたらしいということですが、それは党の内部においては、分割に反対だという意見が圧倒的に多いために、分割論者を総裁にすると、党の政策と食い違うおそれもあるので、なるべく分割しない方へ持つて行く必要上、そういうことが考えられたのではないかといううわさもあるのでありますが、こういう点はいかがでしようか。
  204. 首藤新八

    首藤証人 そういうことは絶対にありません。
  205. 小玉治行

    ○小玉委員 証人は、大西前日発総裁並びに櫻井前日発副総裁が、日発の分割の方法のみならず、全般的に日発の分割というのには反対しておつた。それが政府の意思に相反するから、さよう意味において更迭したいとおつしやいましたが、大西氏並びに櫻井前副総裁は全面的にこの日発の分割に反対しておつて、その飜意を促すということはできない状態にあつたのですか。
  206. 首藤新八

    首藤証人 これも私個人の主観的考え方でありますが、昨年この分割案が取上げられて以来、全国の電産関係者から反対の陳情を受取つた数は、およそ何千通に私個人としても上つておるところであります。しかくさように、日発の会社は全部が非常な強い団結のもとに、全面的に分割に反対しておるということに同調しておりましたので、おそらく首脳部を説きましても飜意させることは困難じやないか。一応私はさように考えておつたのであります。
  207. 小玉治行

    ○小玉委員 法の建前と申しますか、日発は独占禁止法の建前ないしは過度経済力集中排除法の建前から、分割の方法は別といたしまして、全面的に日発当局がこれに反対するということは、これらの法律との抵触の関係が生ずるという関係にはなかつたかということをお尋ねいたします。
  208. 首藤新八

    首藤証人 その通りでありまして、この分割法案は過度経済力集中排除法という絶対的命令のもとにやらなければならぬのであります。にもかかわらず、日発全体が総裁、副総裁を首脳として全面的反対をやつておるということを承つてつたのであります。
  209. 小玉治行

    ○小玉委員 その考えと申しまするか、日発内部のさような反対の事情というのは、前大西総裁や櫻井副総裁も心からさように考えておつたのでおるか、ないしは電産その他の勢力に制せられて、やむなくさような反対をしておつたのであるかどうか。そういう点については、どういうふうに次官なり大臣はお考えになつておつたか。
  210. 首藤新八

    首藤証人 この点は非常に簡單ようでむずかしい問題でありまして、半ば内部の事情から反対されたかとも思いますが、また同時に首脳部もいろいろの観点から全面的反対を支持されたのではないかと考えます。どちらにウエイトがかかるかということは、ちよつと申し上げかねます。
  211. 猪俣浩三

    猪俣委員 総裁、副総裁の更迭の問題を、最初大臣から正副総裁に話があつたのはいつごろでございましようか。
  212. 首藤新八

    首藤証人 八月の月末か、九月の一日か二日ごろだつた記憶しております。
  213. 猪俣浩三

    猪俣委員 九月じやないですか。九月六日の午後二時ごろに、大西と櫻井が横尾さんに呼ばれて行つたときに言い渡されたのじやないですか。
  214. 首藤新八

    首藤証人 大臣が前総裁、副総裁にお話になつたのは九月の六日でありますが、総裁を更迭したいということを大臣から私が承つたのは、先ほど申し上げましたように、八月末か九月一日であつた記憶しております。
  215. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたが相談を受けたのはそうでありますが、正式に言い渡されたのは九月六日、そのときに、大西、櫻井は七日まで待つてくれろと言つてつた。七日の日、今度は大西が行かぬで櫻井が横尾大臣をたずね、九日に理事会をやるからそれまで待つてくれということで、横尾は承諾して帰つた。そこで九日に理事会を開いた結果、九日の午後二時に通産省に参上してあなたに会つたと思うのですが、九日にはあなたはだれとだれにお会いになつたのでありましようか。
  216. 首藤新八

    首藤証人 櫻井副総裁お一人であつたと思います。
  217. 猪俣浩三

    猪俣委員 櫻井が一人であなたに会つた。そのときに櫻井は、理事会ではどうも辞表を出すなというような決定になつたが、もう少し考えるから、あすは日曜であるから十一日まで待つてくれということをあなたに歎願したのではなかつたですか。
  218. 首藤新八

    首藤証人 理事会にかけて相談をしておるが、まだ最後的に決定していない。そこで明日、日曜であつたと思いまするが、もう一度理事会を開きたいから、それまで待つてもらえぬか、月曜日まで回答を待つてらもえぬかという要請が実はあつたのであります。
  219. 猪俣浩三

    猪俣委員 それに対して、あなたはどういう処置をおとりになりましたか。
  220. 首藤新八

    首藤証人 すでに七日に回答するということであつたにもかかわらず、七日においでになつて、九日まで延期してもらいたいという要請があつた。さらに今日三たびそういうことを要請されるのはちよつとおかしいではないか。何とかこの際、もうきようちようどあなたがお約束なすつた九日であるから、理事会の方にいろいろ御相談しなければならぬこともあるかもしれぬけれども、あなたの一身上の問題であるから、あなたで御決意ができるはずと思う。そこでなるべくきよう中に御決定を願いたいということを申し上げたのであります。
  221. 猪俣浩三

    猪俣委員 その際にあなたは、あなたがやめなければ横尾通産大臣の政治力を疑われるようなことになるので、横尾氏自身がやめなければならぬようになるがというようなお話をなさいましたか。
  222. 首藤新八

    首藤証人 大臣の権威にも関するからということを申し上げたよう記憶もあります。
  223. 猪俣浩三

    猪俣委員 横尾氏がその政治力を今疑われているのだが、そこで総裁、副総裁がすなおにやめないということになると、横尾氏自身の進退問題になつて来るというよう意味のお話をなさいましたかどうかというのです。
  224. 首藤新八

    首藤証人 大臣の権威に関するということは申し上げたと存じまするが、進退に関するとまでは申し上げてないと思つております。
  225. 猪俣浩三

    猪俣委員 その際に、とにかくもう一日、二日待つてくれという話を、なお櫻井氏から申し出た。そうするとあなたは、絶対まかりならぬと威たけだかになられて、きようの七時までに出せ。それまで出さぬならば自分たちに考えがあるというようなお話をなさつたかどうか。
  226. 首藤新八

    首藤証人 威たけだかになつたというお話でありますが、その当時はまつたく懇談的なお話であつたのでありますから、そういう話は必要なかつたのであります。七時までということは、櫻井氏の方から発言されて、そうしてそれをこちらが了承したというふうに記憶しております。
  227. 猪俣浩三

    猪俣委員 まるであなたの答弁は、われわれ聞いたのと逆なのです。この七時までということは、あなたが自分の方から時間を切らぬことは事実ですか。よくお考えになつて答弁願いたい。(「そう威たけだかにならぬでもいい」と呼ぶ者あり)いや、政務次官ともあろうものが、違つたことを言われては困る。午後七時まで出せ、出さぬならば考えがある、ということをおつしやつたかどうかということを聞いておる。時間を切られたかどうか。
  228. 首藤新八

    首藤証人 ちようどお話をしておる際に、大西総裁から櫻井氏に電話がかかつたのであります。そうしてその電話に対して、櫻井氏かわれわれとの話の内容を大西に話しました結果、それでは電話だけでは済まぬから、一応今から大西のところに行つて、さらに電話をして御返事を申すということであつと思うのであります。それで時間の点は、私の方から申し上げたか……。先ほど申すことを言い落しましたが、櫻井氏に会つたのは、私と事務次官の山本君と櫻井さんと三人であります。七時の問題をどちらから発言したか。多分私は、櫻井氏が、今から大西総裁と会つて御返事申すということでありましたので、それではいつごろまで御返事をしていただくかということをお尋ねしたのに対して、七時までには御返事するというふうに言われたと記憶しておるのであります。
  229. 猪俣浩三

    猪俣委員 櫻井氏は帰つてから、日発の幹部と労組とか組織いたしております経営協議会に、詳細にその当時の様様を報告しておる。それによると、あなたの方から、七時までは役所に待つておるけれども、それ以後はまかりならぬ、というお話かあつたという報告を、櫻井氏自身がしておるのであります。  まあそれはそれでよろしいとして、昨年の十二月の二十二日に、いわゆるGHQからメモランダムが出ておつて——電力編成の完了するまでは、現幹部の異動をするなというメモランダムが出ているということを聞いておりますが、さようなことがありますか、ありませんか。
  230. 首藤新八

    首藤証人 昨年の十二月二十四日に、ただいま申された趣旨のメモランダムが到達いたしておつたのだそうであります。しかるに本年の一月十三日に、関係筋から返してもらいたいという通知がありまして、それに応じて、同日関係筋に返したということになつておるのであります。
  231. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、あなたの理解するところによれば、このメモランダムは現在においては効力がないという解釈になるわけですか。
  232. 首藤新八

    首藤証人 その通りであります。
  233. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは参議院におきましても、稻垣氏と横尾氏との証言が食い違つておるのであります。そうすると今年の一月十三日ですか、それを返してくれと言われたときには、もうこのメモランダムは効力を失つたというのが、あなた方の解釈ですか、そう承知してよろしいのですか。
  234. 首藤新八

    首藤証人 その通りであります。
  235. 猪俣浩三

    猪俣委員 労働組合側が、GHQをたずねて質問した際には、いやあれはまだ効力があるのだという答弁をしたのだそうでありますが、あなた方はその効力の問題についてGHQと交渉をなさつたことがありますかどうか。
  236. 首藤新八

    首藤証人 交渉したことはありません。但し常識的に、そのメモランダムを返してもらいたいという通知が来たこと自体が、このメモランダムを取消すという御趣意による結果だと、かようにわれわれは了解しておるのであります。
  237. 梨木作次郎

    ○梨木委員 このメモランダムを一月の十三日に返したということは、当時の大臣は承知しておつたのでありますか。
  238. 首藤新八

    首藤証人 この問題につきましては、一昨日の参議院電力委員会で、実はいろいろな御質問があつたわけでありますが、その当時の担当官であります通産省の渉外課長並びに官房長は、メモランダムという重要性のある文書であります関係上、当然当時の大臣に対しまして了解を求めていなければならなかつたはずだ。また渉外課長は、大臣の了承を得たということを主張しておるのでありますが、当の稲垣大臣はその記憶はないということで、実はその間に食い違いがあるのでありまして、参議院の方では引続きこれを検討するということになつておるやに承つておるのであります。
  239. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは横尾さんがメモランダムを返したことの報告を受けたのはいつかということは、あなたにおわかりになりますか。
  240. 首藤新八

    首藤証人 確実にその報告を受けたのは何日かということは存じません。先ほど申し上げました八月末日か九月一日であつた記憶いたしますが、大臣から日発総裁を更迭したいというお話のあつた席上で、官房長並びに事務次官も同列しておりましたので、その際に、このメモランダムの問題がたまたま話が出まして、さような状態になつているということが了承されたのであります。
  241. 椎熊三郎

    椎熊委員 先ほど議院運営委員会に官房長官が来ておりましたが、次の第九臨時国会には電気事業編成法案を出したいつもりで、目下準備中であるというお話でありました。その通りだと思いますが、その内容は、前々国会に出された九分割案なのでございましようか。
  242. 首藤新八

    首藤証人 まだ最終的に決定をいたしておりませんけれども、分割そのものは九分割になると存じております。ただその電源所在地の付属問題ということが現在なお未決定のままになつておるのであります。近いうちに解決いたしたいと考えております。
  243. 小玉治行

    ○小玉委員 先ほどの証人証言によつて日発総裁の更迭の事情は明確に承りましたが、しかし国民としては、なおこの問題について疑惑を持つているのではないかと思われますので、私としては最後にお聞きしておきたいのです。大西総裁及び櫻井副総裁を更迭させる際に、いわゆる今日世上問題になつている日発をめぐるスキヤンダル問題、日発電力再成を阻止するために、金をまいているのじやないかというスキヤンダル問題があるから、それも加味して、両総裁を更迭するようになつたかどうかという点について、世上なお私は疑惑を持つているのじやないかと思いますから、その点を確かめる意味において聞くのですが、そういう点は総裁更迭の際には全然考慮に入れられなかつたかどうか、この点をお聞きしたい。
  244. 首藤新八

    首藤証人 全然考慮に入れなかつたのであります。
  245. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつと証人にお伺いしますが、証人は七月の十二日に政務次官に就任なさいまして、その就任なさた直後、当時の日発の総裁並びに副総裁にお会いになつたことはありませんか。
  246. 首藤新八

    首藤証人 日にちはよく記憶しませんが七月の末か八月の上旬ごろにお目にかかつたことがあると存じます。それはただ儀礼的にごあいさつにおいでになつたので、就任のあいさつということであります。
  247. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと、就任直後の七月末か八月初めに儀礼的にごあいさつに、多分日発総裁並びに副総裁の方から通産大臣並びに政務次官に一応のお祝いの言葉か何かをお述べにいらつしやつたと思いますが、その際に少くとも日発にとつては、総裁、副総裁にとつて自分たちが最も反対の意思を持つているところの再分割というものがなされないために、見返り資金の云々という問題が出て来ておりますので、この点に関して、その日はあいさつだけであつたかもしれませんが、その後その担当の局にある行政の長である横尾通産大臣に対して何らの意思表示とか、これに関する問合せとか、あるいは今後どういう方法で行くつもりであるかということが全然話がないということは、ちよつと私たちは常識的にも受取れないのでありますが、もしそのときにごあいさつがなかつたとすれば、正式の手続か何かで、あなたの就任後そういう話はお聞きになりませんでしたか。
  248. 首藤新八

    首藤証人 私がお会いしたのは、先ほど申しましたごとく、まつたく儀礼的なあいさつだけでありまして、ただ電力分割はどうしても次の国会ではやり遂げなければならぬので、格別の御協力をお願い申し上げるというだけに終つたのであります。その後私の方からは、この問題に対して正副総裁に何ら折衝したことはありません。但し大臣あるいは資源庁の方面から交渉したかもしれませんが、これは私は一向関知していないのであります。
  249. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと、あなたは参議院の委員会において御証言をなさつている中に、日発の首脳部は陰に陽に政治的に動いていると、こうおつしやる。陰の方は、要するにこれは最近デマといいますか、何といいますか、社会的に報道されている問題の、政治的な動きが陰の方であると私は思う。陽というのは、これは堂々と政治的な動きをなさつたことを意味するものだ。こう思うのです。これは言葉じりを問うのではありませんが、陰に陽にというのは非常に含みがあるので、少くとも陽にということをおつしやるからには、あなた自体が、日発総裁あるいは副総裁の首脳部が政治的に公然と陽に動いたということを御承知であつたから、この表現があつたのだと私たちは思うのですが、ただいまのお話によりますと、日発の総裁、副総裁は、陰にはどうか知りませんが、陽にはあなたに関する限り、横尾通産大臣に関する限りは、一つも政治的には動いていないということになるのでありますが、これはいかがでございましようか。
  250. 首藤新八

    首藤証人 私が参議院で答弁いたしましたのは、九月八日の参議院の電力委員会であります。その後新聞紙で、私がこの委員会で悪質な政治行動をとつている云々というような記事が載つてつたのでありますが、当日の速記録を見ますと、そういうことは一向申し上げていないのであります。当時吉田法晴氏から日発首脳部の更迭に関連いたしまして、首脳者が政治的に再編成あるいは九分制に反対したというならば罷免ということも首肯できるというような御質問に対しまして、私から答弁申し上げたのは、こういうふうに申し上げてあるのであります。「更に首脳部が政治的に反対運動をやつたかどうかという御質問であります。これは私から申上げなくてもすでに社会的には相当政治的に動いておるということが問題になつておるのであります。ただここで然らば具体的にどういうことをやつたかという点になりますると、そこまでの事実は把握しておりませんが、少くとも世評では政治的に相当動いておるということは一つの定評と申上げてもよいまでになつておるのではないかと我々の方では見ておるのであります。」かように御回答を実はしたのでありまして、当時の情勢を顧みますると、相当品発の首脳部が政治的に反対運動をやつているということは、あちらこちらで話題なつておつたと思うのであります。この問題を取上げまして、私はかように答弁いたしたのであります。
  251. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいま証人速記録でお答えでありますが、私もここに速記録を持つております。しかもこれは参議院の速記録であります。その参議院の速記録の第三十一部の第五ページ第二段の末尾の方に、あなたは「今日までの経過を考えますると日発の首脳部は陰に陽にこの分割案に反対して参つたのであります。」こうおつしやつておるのであります。そこで私はこの「陰に陽に」ということは、もちろんこれは政治的に動くことであるというふうに解釈をしてお尋ねをしておるのであります「陰に」というのは、もちろん今言われている、いわゆるスキヤンダルの方であろうと思います。しかし「陽に」という方は堂々と総裁として、副総裁として、その管轄の長である、行政の長である大臣あるいは政務次官、事務次官に対していろいろ交渉があつたことであろうというふうに考えましたので、今も就任直後お会いになつたかどうか、お会いになつたらこの問題についてお話があつたかどうかということをお答尋ねしたのであります。
  252. 首藤新八

    首藤証人 たしか「陰に陽に」ということを申し上げておりますが、別にあらたまつた意味があつて申し上げたのではないと思うのであります。この就任後の総裁、副総裁に会いましたのは、先ほど申し上げましたのは、先ほど申し上げましたごとく、わずかに一回だけ儀礼的にお会いしただけでその他は一切お会いしていないのであります。
  253. 篠田弘作

    篠田委員長 これにて証人首藤新八君に対する尋問は終了いたしました。証人は御多忙のところ御苦労さまでございました。
  254. 椎熊三郎

    椎熊委員 ちよつと委員長質問があります。私先般国会内に起りました非常な不名誉な事件、不祥事件と申しましようか、衆議院の通産委員会の九月二十七日から三十日までの間恐るべき事実が展開されておりまして、そのために同僚たる議員が、はたして真実の発言をしたかどうか、あるいは一国の国務大臣として権威ある立場にある方の名誉を傷つけて、それが日本再建の途上にある今日、内外に非常に重大な疑惑をもたらすという事件が起りました。これは日本の国会の名誉を尊重し、同僚議員の名誉を尊重し、あるいは閣僚であつた人々の名誉のためにも、事態の真相を明らかにしなければならぬと考えます。当時の速記録を証拠に指摘いたしまして、委員長の手元まで文書をもつて、この問題は考査特別委員会において断じて取上げるべしと要求しております。その後数回にわたつて口頭をもつて督促もしておるような状態でありましたが、今もつてこの問題に対する理事会も開かれませず、今もつて委員長から当委員会にこの問題の扱い方に関する意思表示もございません。これはこのままにして、もし握りつぶし等のことが行われるとするならば、国会自体において発生したる世間非常なる疑惑を持つておる重大事件を、隠蔽してしまつたかのごとき印象を與えまして、日本の国会政治の上において非常な悪影響をもたらし、国民はよつてつて国会に対する信用を失うであろう。こう心配するのでございまして、委員長におかれましては、その後私の文書における請求に対して、いかようなる処置をとられておりますか、承りたいのであります。
  255. 篠田弘作

    篠田委員長 椎熊君にお答えいたします。ただいま椎熊君からの御質問は具体的にどういう事実であるかということの御指摘がありませんでしたが、委員長椎熊君から受取つております文書は、いわゆる小滝炭鉱事件であろうと想像いたします。この小滝炭鉱事件は、通産委員会におきまして一応結了しておるのでありますが、これをまた考査特別委員会に移してほしいという調査要求書は、確かに委員長の手元に受取つております。これにつきましては、椎熊君も御存じように、理事会において一度討議をいたしましたが、未解決のまま保留ということになつております。従つて来るべき理事会におきまして、これを検討することにいたします。
  256. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は当委員会におきましては、具体的の内容に触れず、人名をあげません。それは旧来の考査委員会の慣例、申合せ等がございまして、世間普通の風評、新聞記事等によつてただちに人の名誉を傷つけ、世間を騒がすような行動に便乘するがごとき行動を、この委員会は愼まなければならぬという固い申合せがあるので、私は特に抽象的に申し上げておる。しかし私の請求した文書の中には、明らかにこのこと自体の真相を明示し、りつぱな証拠物件を指摘して、委員長の手元まで差出してあるのでございまして、次の理事会においてお取上げくださいますということを承りまして、私は安心いたしました。なるべく早い機会においてこの問題を正式に取上げて、当委員会がガラス張りの中において、天下の疑惑を晴らすことをひとえに希望いたしまして、委員長の御努力をお願いいたします。
  257. 篠田弘作

    篠田委員長 明十四日は午後一時から委員会を開会、証人日発総裁櫻井督三君から、三時より電気事業経営者協議会事務局長藤田友次郎君から、おのおの電力編成問題について引続き証言を求めることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十四分散会      ————◇—————   〔参照〕    証人松永安左衛門君臨床尋問速記録 日時 昭和二十五年十一月七日 場所 小田原市板橋町松永安左衛門君自宅  派遣委員    篠田 弘作君  岡延右エ門君    西村 直巳君  柳澤 義男君    小松 勇次君  横田甚太郎君     —————————————    午後一時四十分開始
  258. 篠田弘作

    篠田委員長 それではこれより電力編成問題につきまして御証言を願うことにいたします。  御承知のごとく衆議院の考査特別委員会におきましては、現在電力編成問題について調文中でありまして過ぐる十月三十日この問題について証言を願うため証人として委員会に御出頭を求めましたのでありましたが、御病気のため出頭できない由医師の診断書を添えられての御申出でありましたので、十月三十日の委員会に諮りまして、御申出を正当の理由あるものとして了承することとなりまして、さらに理事会で協議の結果、証人の御意向並びに主治医の意見をも聞いて連絡打合せをした上で、よければ臨床尋問をすることが委員会調査を早急に進捗させ、かつこの問題に関する世間の疑惑をも解いて、委員会の結論をつける上に適切な方法であるということに一致いたしまして、十月三十一日の委員会におきまして、委員を派遣して証人臨床尋問を行うことを決議し、派遣委員の氏名、尋問の日時等は委員長に一任ということになりました。そこで先日調査を連絡に参上させましたところ、証人の方でも一日も早く証人として尋問してもらいたいという御意見であることがわかりましたので、委員会としましては、本日証言を求めることにいたした次第であります。なお本日委員会から派遣されました委員は、あらかじめ御通知申しましたが、自由党の岡延右エ門君、西村直己君、柳澤義男君、国民民主党の小松勇次君、共産党の横田甚太郎君の五委員委員長の私を加えまして六名です。  御証言を求めるに先立ちまして主治医に承りますが、尋問の時間その他につきまして、証人の御病状等から何か御注意を承つておくことがありましたら、申していただきたいと思います。
  259. 片倉主治医

    ○片倉主治医 私主治医の片倉と申す者であります。私はずつと松永さんの健康の相談にあずかつておりますが、今度の御病気は、九月の半ばからの御要務が多いので、常時安静が保てませんので、熱の動揺が相当あつたのであります。それから私はそれではいけませんからというので、お見舞に出ましたのですが、こういうわけで東京に参りたいと申されましたが、第一お年を考えてごらんなさい——気管支炎が悪いのでございます。二十二年にも同様に長い間気管支炎を患いました。その後もおやりになつたのですが、そういうわけでまあお休みなさいと申し上げまして、二十八日からずつと安静にしております。ダイアンジという薬がありますが、これはたいへんいい薬で、あれによつて熱が下りまして、熱がやや落つきぎみでありますけれども、なお動揺も相当あるのであります。しかしながらどうもこういうことは避けられないことですし、私も医師でありますから、あまり長い時間では困ります。興奮が一番いけない、まだまだ既往歴があるとか、肺炎をやつたとか、かぜ引きやすいとかいうことがあるものですから、私は悪くなるのがこわいので、前もつて非常に大事をとつております。あまり長くお話なさるようですといけませんから、その点はどうぞ医者が申すことでございますから、何分時間をあまり長くなく、お願いしたいと思つております。これは医者の立場から申し上げるのでございます。
  260. 篠田弘作

    篠田委員長 承知いたしました。なお尋問中御病人のことですから、病気に影響を及ぼしたり、何か変化でもありますときは、大事なことですから医師の立場から遠慮なく申していただきたいと思います。  松永安左衞門さんですね。
  261. 松永安左衞門

    松永証人 はい。
  262. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいまより御証言を願うことになりますが、証言を求める前に、証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内血族もしくは三親等内の姻族またまたは証人とそれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外は証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。宣誓書朗読していただきます。     〔証人松永安左衞門宣誓書朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います
  263. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは宣誓書に御署名、御捺印を願います。     〔証人署名捺印
  264. 篠田弘作

    篠田委員長 それではただいまより御証言を願うことになりますが、まず私から総括的に尋問を行い、次いで各委員の方々より個々にわたる尋問を行うことといたします。なお証人は御承知のごとく病気中でありますので、委員の諸君も特に御配慮願いまして、もし証言を求められる場合には、きわめて短時間にお願いいたしたいと存じます。  証人の略歴をひとつ申してくださいませんか。簡單でよろしうございますが……。
  265. 松永安左衞門

    松永証人 略歴は、原籍長崎県壱岐郡石田村三百六十番地、神奈川県小田原市板橋町五百十七番地、松永安左衞門、明治八年十二月一日生、学歴、明治三十一年慶応義塾卒業、主なる職業というものはたくさんありますが、まず明治四十四年九州電燈鉄道株式会社重役、昭和六年東邦電力株式会社社長、——東邦電力というものは昭和十一年にできたのですが、ちよつと日が違つていますね。昭和十一年に東邦電力株式会社副社長になつたわけです。ここのところは違つておるからそう書いていただきます。もうそのほかはこれにございますから、あとは略しまして、大したことはありません。何か申し上げることは……。
  266. 篠田弘作

    篠田委員長 東邦電力の社長は……。
  267. 松永安左衞門

    松永証人 東邦電力の創立は十一年で、そのときは伊丹が社長で私が副社長ですから、この通りでしよう昭和六年東邦電力株式会社社長、それじやこの通りにしておきます。私また思い違いをしておりました。それから昭和十二年東邦産業研究所理事長、昭和十四年日本発送電株式会社理事、それから昭和十五年東邦瓦斯株式会社会長、それから昭和十八年に東邦産業研究所理事を辞し、昭和二十一年一月再び東邦産業研究所理事長となる。昭和二十四年十一月二十四日電気事業編成審議会委員の委嘱を受く。昭和二十五年二月八日委員の委嘱を解かる。現職は実業界の関係はありませんが、慶応義塾評議員、国立博物館の評議員であります。それから海外旅行は明治四十四年中華民国……。
  268. 篠田弘作

    篠田委員長 海外旅行はいりません。それだけでけつこうです。  それから証人電気事業編成審議会委員となつた経緯について、簡單に述べてください。
  269. 松永安左衞門

    松永証人 十一月のいつごろでしたか、十一月の十日ごろと思いますが、そのころ京都に侍医と一緒に旅行をしかけておつて、途中名古屋まで行つておりましたが、そのときに、その当時の資源庁長官の進藤武左衞門君から名古屋に電話がかかつて来て、ぜひ君に帰つてくれないかという。何の用だい。いや、実は通商大臣稻垣平太郎氏があなたに会うつもりでお会いに行つたところが、旅行に立たれたというので、今おつかけて名古屋に電話したわけなんだが。何の用だい。と言つたら、ぜひこれは承知してもらわなければならぬ。審議会をやつてくれ。委員なつてくれ。それはもうとても年をとつてだめだから、だれか若い人にやつてもらつた方がよかろう。いや、どうしてもいろんな事情で、あなた以外にはないのだ。ぜひお引受けを願いたい。というようなことをしきりと言います。電話もなかなか切らず、ぜひという。いわば強談的に、稻垣氏がおつかけてでもそちらに伺いたいけれども、何かの用で大臣がどうしても伺えないから、あなたに帰つていただいて、大臣に会うか、それでなければ何か返事してくれ。と言う。それからいろいろ考えてみましたが、事柄が事柄だけに、場合によつては、これは御奉公せんならぬと思つたが、ともかくもぼくは約束があるのだから、京都、奈良方面に旅行して、その約束を果さなければならぬ。それで帰つて詳しい條件を聞いて、大臣に会うて御返事しようということで切つた。それから京都かどこかにまたかかつて来たと思いますが、ともかくそう急いで帰れぬからというので、帰つてさつそく進藤武左衞門君に会い、続いて稻垣君とも会つて、いろいろな事情も聞き、自分も進んで再編成の任に当つてようという気分になつて、お受けしたのがもとであります。
  270. 篠田弘作

    篠田委員長 その次は審議会の構成と、審議の経過の概要を御説明してください。どういうメンバーで構成しておつて、その審議経過はどうであるか……。
  271. 松永安左衞門

    松永証人 これは間違つたことがあつてはいかぬと思いますから、もしあれば御訂正を願います。大体この審議会議事録なるものと何もかわりませんが、ただ記憶が間違つておりました場合、御訂正を願いたい。審議会のメンバーは、学識経験者というので私がなつた。それからむしろ金融方面を代表したのじやないかと思いますが、それは工藤昭四郎君、復金の副理事長か何かをそのころしておりました。それから小池隆一君というのが慶応の法科の主任教授ですが、これは法律関係、レギユラトリー・ボデイその他の調査書のために選ばれたものと思います。それから三鬼隆君、これは製鉄所の社長か何かしておられるのでしよう、私はあまり知らない人ですが、これが大口需要家を代表し、それから水野成夫君というのが国策パルプか何かの重役をしておられる。その方が小口需見家代表というわけで、要するに事業家二人、法律家が一人、それから金融のことの明るい方が一人、この四人、それから学識経験者というので、電気のことに何に経験のあつた者、その知識を持つておる者だというわけでございましよう、私がなつた。それからここに書いてありますが、大臣の官邸へ寄り合いまして、みなが選挙みたいなことをして、私に委員長をやつてくれということになつて、私がお引受けした。それから日にちが二日か三日後になりますが、副委員長みたいなものを選んでもらわなければならぬ、老人だから、あるいは欠席する場合等があると、議事とまとめ方について困るというので、だれがよかろうかということで、小池隆一君が副委員長なつて、小池君はおもに法律問題と、それから私の欠席した場合は小池君がやつてくれる。それが大体メンバーの組織であります。それから会合は、初めはほとんどきめずにおりましたけれども、そのうちに会合の日をきめるということになつて、一週間に三度ばかり寄り会うことになつた。そうして三度のうちの一度は、たしか火曜日であつたと思いますが、GHQは行つて、GHQとの打合せをする。午前に会議をして、午後はそれをやるというようなことになつた。そんから私はどうも長年お茶人みたいなことになつて、電気事業から大分離れておりましたから、自分を輔佐する意味において、前の東邦電力におつて自分が技術者として一緒に仕事をした人でもあり、またそれから後に日発理事なつて、電気関係をやつた宮川竹馬君に、一緒に手伝つてもらうということを審議会に申し出まして、同時にまた三鬼君は、自分も電気のことは明るくないから、自分調査課に高橋という電気の博士がおるから、その方を自分の参考人にときどき出席さすからというようなことで、ときどき宮川君に必要なときに来てもらい、それから高橋君にも来てもらう。それからなおこの問題は、持株委員会が集中排除法で半面の力を持つておるものですから、持株委員会の人が——これは人がきまつていなかつたようです。名前がそこに書いてあるかもしれませんが、必ずどなたか一人の方が御出席になつた。あとは電政課長の小室という人が、おもに役所との連絡のたいめに出席し、それからまたいろいろ記録をとつたり、あるいは参考書類を出したりする必要があるというので、役所から四、五人始終人が見えておりました。そんなことです。
  272. 篠田弘作

    篠田委員長 それで結局二月一日に答申案を出されまして、その答申案は世間ではこれを松永案と称しておるわけですが、その松永案というものの内容、これはもちろんあなたの方の会議速記録その他でわれわれは承知しておりますが、あなたのお口から簡單にそれを説明していただきたい。
  273. 松永安左衞門

    松永証人 ただいま委員長のお話の通り、いろんな記録がすでに出ておりまするので、ことごとく申すことも困難であり、かえつて煩雑になりますから、簡單に筋だけを申し上げます。あるいはお答えが直接にそれに当らぬことがあるかと思いますが、そのいきさつを少し申し上げます。  私は自分として再編成に臨むにあたつて、まず電気の問題を一通り知ることが必要である。案を立てる上について、人の話を聞いたというよりも、自分自身の考えを一つ持たなければならぬ。また同時に持つということは、人の意見を聞かなければ持てない。話が長くなりましようが、その意味が少し徹底くださると、なるほどああいうふうなことがああなつたというこを御了解くださる元になろうと思います。むしろ座興とおぼしめして、しんぼうしていただきたいと思います。  私は昨年の十月まで遊んでおる間に、もうすでにこの再編成の問題というものは、なかなかひんぴんとして私の耳に入つておる。入つておるというのは、その前から集中排除法によつて、政府にはポツダム政令による一つの命令が来ておる。それから持株委員会というものは、すでにそれの実行に着手しておる。これをどうするかということは、外国人の方では方針できまつてつたけれども、日本の方ではむしろその命令を受ける方だろうと思います。まあ私どもそのころの想像です。そこでいろいろのことを西洋人が言うておる。あえて西洋人のことを悪く言うとかいうよう意味じやありませんが、私どものくろうとの目で見ると、ずいぶん西洋人の言うことはむりがある。けれども日本の産業の組織及び軍国主義の組織では、彼らがそう言うのもまたむりはない。また日本の現在の制度というものは、御承知の通りに何といいますか、戰時何とか法で、配電会社の組織は軍国的命令でやられておる。産業的基礎を持つたものと言うわけに行かない。それが産業的基礎を置くということになると、自然この問題は、相当産業的、合理的にせんならぬらいうことも当然である、ですから西洋人の言うことは少しむりだと言つてみたところで、こちらがそのまま押し通すということもできない。日本の利害のためにも不利益である。そうすると、ここによほど愼重に実行可能な道を考えない限りはだめです。両方とも実行可能たことは、昨年の三月、四月ごろ、あるいは七月ごろまでできておらぬ。その前に五人委員会というふうなものがGHQの中にできて、それにいろんな人が来て、二度も委員長などはかわつたはずです。それがいろいろなことを言うている。たとえば七分割以上の分割。それでその分割案というのがたまたま新聞などに漏れるのを聞いてみると、配電会社の人などはまことに困つてしまう。分割の方法がどうも日本流にうまく行つていないと思う。思うけれども、まさかそういうできもせぬ話は行われはせぬだろうというふうに、配電会社の人は思うておる。それからまた日発の方から言わすと、いや、今本気になつて、戰争も済んで、これから金さえあればうんと日発はやろうと、力こぶを入れておるばかりのところを、いまさら分割しろとか何とか言うのはけしからぬ——けしからぬとは思わないけれども、はなはだ不本意である。何とかこれをせずに、われわれの初志を貫きたいということを当然思うわけです。ですからこれは電気会社の人たちも、ごめんこうむる。ごめんこうむるという方の空気ばかり強くて、どうせなくちやならない、それを引取つて自分のものにするというふうには行つていない。これは当然経験も浅いのです。何しろ十年間ばかりの空白の時代が電気にはあるのです。そこで古い、いろいろ知つている池尾とか、増田とか、小林とかいう連中は、みなパージである。これは口を出すこともできず、考えることもできない。私はむろん隠居して何もできない。突然ですからその話を聞いて、今度出たときには、どちらもどうもできないということばかりじやだめだから、これは自分でどうしても案を立てなければならぬ。なぜ案を立てるかというと、二つも三つもいろいろなことを考えてみた。一つは、それが議会になるべく通りよいような案にする。日本の議会が了承してくれるような案でないと困る。それから同時にGHQがまた了承してくれる案でないと、向うから出されて、日本からも出して、向うと直角に突き当るような案では、とてもだめである。両方せり合つて、そのうちに一本の糸となるような案を立てなければならぬ。そうすると、これまでの委員会というものは、一体どういうふうなことを考えたのだろう。日本の側ではどうやつたのだろう。西洋人の側ではどうやつたのだろうということを調べてみますと、そのころの委員の人が全部帰つておる。アメリカ人が帰つておる。残つておる人は下の方の役人は残つておる。そこでこれの様子を聞くよりほかにないと思つて、出かけて行つて話を聞くと、なかなか責任を持つて言わぬです。前の人がどう思つたということはなかなか言わぬです。言わぬからこつちで探るよりほかない、それから日本の側も、いわゆる大山委員会などはどういうふうにこれを取扱つたということを聞いて来ようとい思ますと、これは私の考えかもしれませんが、どうもいくらかイデオロギー的になつていないかというふうに考えられる。つまり何と言いますか、自由経済的に資本を立て直して、構成して、それから能率本位にやつて行くというふうなことよりも、何か公正な分配というふうなことで、能率というようなことよりも、むしろその方に重きを置いておる。ところがアメリカ人の希望を探つてみても、あるいは日本の経済の行き方を見ても、もう法だとか統制だとかいうことよりは、むしろ自立経済を立てなければならぬということは明らかである。そうでない案を立ててみたところで、またGHQにぶつかる。現に大山案というのは一向GHQは問題にしていない、調べてみますと、政府の手続も悪かつたのでしようが、委員長あたりは委員の辞令をもらつていない、あの案というものは、だれが受取つたかというと、水谷商工大臣あたりがやめられた後あたりに出ておる。それを受継いで、通してしまつたというものははなはだ不完全である。不完全かどうか、その当時のことは知りませんけれども、私か見て批評するとそうなつておる。ですから日本側のほんとうの輿論、ほんとうの日本の時流から見たものはどうかということは、どうも空漠にして私にはつかみどころがない、西洋人の意向もまたつかまえどころがない、ですからその間この二つのことを見るために、委員長なつてから相当時間がかかつておるというのは、何とかして合理的に、それから外国人も日本の側も承知の行くような案を立てなければだめである。これが一つのねらいです。 次のねらいは早くしなければだめだというねらい、これはあとにも重複して申し上げるかもしれませんが、時間の遅速ということは、くろうとの者は非常に気にしますけれども、しろうとの方は平気なのです。たとえば政府というものも割合に平気です。GHQなりあるいは議会なりみな円満に行くがいい、これは当然輿論政治であり、民主政治であればそうであるべきでしよう。ところが事業というものは時々刻刻需要の増加、あるいは貿易の変化、あるいは産業の動力を必要とする状態が、私どもくろうとになると、一日も一刻も争うことができない状態に追い込まれておる。早くこれを立て直さぬと外国資本も来ないことは当然である。乱れておるところに外国資本が来るはずがない、外国資本なくして、たとえば見返り資金もむろんでありますけれども、そのほかの資金の入つて来ない限りは、日本の今の貯蓄力で五年も十年も遅れた電気事業、しかも日本の工業が再建される場合のその動力をつくるということは、時間的に非常に困難であることはわかつておるのでございます。早く再編成の方針をイージーにできるだけ簡略に、できるだけスムースに仕上げて時間をかけないようにしなければならぬということが必要です。九つに分割したり、七つに分割したりいろいろりくつはあるだろうけれども、もうともかく今の九つにわかれておる電力会社を中心にして、そうしてそれもどうせ解散されるのです。解散されるけれども、何年間に需用家に電力を幾ら売つたとか、メートルを幾らつけたとか、ちやんと数字を持つております。それに日発というものがどうせ分解される、そうして配電会社を分割されるならば、九つのものの上にその日発の計算を加えて行きさえすれば計算が非常に容易である、計算を容易ならしめる、すなわち成立を容易ならしめる、計算を紛乱させないということが、これが第二に考えられる。  それから次に考えなければならぬのは、電力のバランスということです。電力というものは、需用と——需用というものは現在の需用、現在の供給しておる状態、たとえば大阪は将来どういう需用あるか、それが今どういうふうに大阪におもにどの辺の電力が供給されておるかというと、たとえば大阪で言えば、大体庄川の電力が供給されておる。あるいは今中部配電区域は木曽川から供給しておる。これに送電線が行つておる。大阪ではそれでもつて需給が動いておる。日発が一緒にやつておりますけれども、結局大阪は大阪、東京は東京というそのあとのものが連絡しておるだけ、大体はそこの需給の状態はそのまま動いておる。ですからこれは需給のバランスというものを大阪なら大阪、東京なら東京、名古屋なら名古屋、北陸なら北陸、中国なら中国、——九州、北海道、四国は独立した島ですから別ですが、この大陸と言いますか、本土というものは、そのバランスを失わないように考えなければならぬ、これは技術的であり、経済的に各方面に考えなければならぬ、そこでバランスをはかることになると、どうしても北陸に現在ある電力でも現在大阪に供給しているものは大阪につけておかぬと、たちまち大阪という会社ができたところがかたわなものになる。このごろ新聞は大阪が運動しておるということでありますが、それはそのはずです。私はそれのないように最初から自分では考えたつもりでありますが、考えは考えです。  それから四番目に考えなければならぬのは、みながそれぞれ外債を背負つておる。これはめんどうな話を申し上げると時間がかかりますが、むしろ電気事業者の中でもこの外債についてはみな知らぬですね。私は外債をやつた一人ですが、今は外債をやつた社長は一人もいない。ですからこれをみな知らずにのんきに考えていて、これをやらぬと各自に会社を引受けたはいいけれども、外債の担保になつているやつがずたずたに部分に切られると——それが一かたまりに外債の担保になつて、不可分の契約になつておるのですが、今の日本の外債というものは戰時中に中断されております。いわゆるデホルトの形になつております。しかしそれは戰争のために中断されたので、契約そのものは死んでも何してもいない。それは国際的の問題でもあるし、当然処理したければならぬことになる。ですからわれわれの仕事もそうであつて、金を借らずに済むならいいけれども——こういうことを言うと品が悪い話ですが、しかし利害のために信義を滅するということを言うのじやありません。利害のために信義を守るということを言うのも一つですが、一つは実際の信義のためにも、何も知らないアメリカの債権者のものを、こつちでかつてにずたずたに切るわけに行かぬことは当然です。それは行くものも出て来ますよ。九分割の間にも八割以上は元の担保にくつつけるようにしておくことはこれは日本人の信義です。これは将来に向つて国際資金の信用の元なのです。これはGHQがどう言おうとも、日本政府がどう言おうとも、私ども事業を知つた者は、何人とも議論してその信義を守らなければいけませんということを言うのです。これはアメリカ政府に対する信義じやない。アメリカの債権者、個々の債権者に伺うわれわれ個々の借りた人の信義です。それがみなのりくつの通りにするとぶつぶつ切りになるおそれがある。それをできるだけないようにするのには、やはり今の東京の関東配電の区域は関東配電で独立させ、大阪は大阪で独立させ、それから北陸あたりに抵当になつておるものは北陸を独立さす。そうせぬと一億万円なら一億万円の借金がかたわになるわけですから、担保物が——これはもう当然技術的に、信義的に将来の信用上せんならぬ一つたのです。しかしこれは非常に難関にぶつかりました後に——難関にぶつかつたというのは、日本政府とぶつかつたのじやない、GHQとぶつかつたのです。それでとうとう私どもの審議会までそれが通らなかつた。これはあとで申しますけれどもそのくらいの難関にぶつかつた問題でありますが、これを私は最初から考えた。そこですつと考えてみますと、日本の今日発のやつておる電力のつくり方、流し方というのは、これはこのままじやいかぬ、このままでは日発の一貫主義でやつて行くから方々どこも困らぬけれども、結局北陸、大阪、名古屋、東京あるいは東京から北陸、東北という間のカーレントの流れ方についていま一つ考えないと非常に技術上むだなものになる。これを技術的にどうしても処理しなければならぬ、これをひとつ考えなければならぬということをずつと考えますと、これまでの、只見川という大きなものをこしらえて、それからまた大阪方面に流すという計画——このごろは日発の人もようやくわかつておると思いますけれども、その当時はわからぬで計画しておる。現に安本の計画も実際のところそうなつておるのです。けれどもそれはできないことです。たとえば只見川でたくさんつくつて、何百億の金で大阪まで持つて来るような、そういう計画はだめなのです。ですからそのころの計画は当然やめて、只見川というものは編成のほかに置くよりほかにない。なぜ置かんならぬかというと、その編成のカーレントに入ればむだが多いということが一つでありますけれでも、一つは積極的な意味で、日本の貿易を振興さすのに、化学工業を非常に盛んにしなければならぬ、化学工業の源泉はないのです。たとえば大きなアルミニユーム工場をやろうといつたつてないでのす。住友などは現に持つてつて遊ばしておる。現に新潟あたりに私が行つてみると、あの辺にかけて化学工業をやろうというのに、十万キロも現に電力が足らぬ。ありさえすればすぐにやれる。そういうものを大阪あたりに持つて来る計画が立てられぬ。これは立てるのが間違いです。それはとつておきにすればよい。そうして只見川だけは離すという考えを起した。しかしこれも大分難関がありますけれども、総理あたりの考えも大体そうらしかつた。このころフロアーという人が調査にやつて来た。これ幸い、私はこれを外債の中に入る金、何十億万ドルでも、日本の再編成以外の金として、この金を日本にとらぬ限りは、いわば貧血状態ですから、日本電気事業は非常に大きな輸血をしなければならぬ。見込みがあるかといえば別にあるわけでも何でもない。けれども大体腹をきめなければならぬ。しからば只見川はどうかというので、幸い私は九月に視察しておりましたが、私が再編成委員になつた時分にフロアーなどがちようど来ました。それでフロアーと会いまして、これは入れずにここで使うような考えにやつて行く、おれはその腹でやる。それから委員の方々にもあるいはGHQにもどうしても只見川だけは別に考える。そのほかまだあるだろう、北山川とかあるだろう、そんなのはとても間に合わぬ。せめて日本で何百万キロを早くつくれ。それで現在の再編成以外の手を打たなければいかぬ。つまり手が遅れておる。これが第五で、私の再編成というのはこの意味において外資導入は今見返り資金以外の導入が頭にある。それがフロアーなどが来てごたごたやつてつたときで、ちようど私が委員長になつたときです。ですからフロアーにも会いましたし、よく宣伝して、かれらの方針も相当やつた。だからなかなか忙しいのです。だから委員会はどうかといいますと、それで委員会の形勢がわかります。委員会というのはまたどうだれが言うたものか、稻垣君など新聞などにそのころ書いて、自家用の、住友とか三池の日本電産とか、ああいうもとの自家用を認めるようなことを大臣などが大阪で演説したりなんかしておる。ちようど私その委員長なつておるときです。私はそれで稻垣君に苦情を言うた。君はおれを委員長にしてまかしておいて、それで自分でかつてなことを言うては困るじやないか。いやあんなことを言うたが、あれは何とか……政治家ですから……。その他みな大阪あたりに行くと、実業家が寄つて何とかしてくれ、何とか委員長が今度はうまくやるだろう——委員長がやるだろうと言わずに、私がやるだろうというふうになつたのだろうと、まあ冗談に言つてつた。ところがそれを稻垣君が言わせられるほど、なかなか運動が強いのです。住友とか三井系統、何とかかんとかあるのです。それから毎日々々押しかけて来る。なかなか委員会を開くどころの騒ぎじやない。しようがない。その陳情を受付けなければならぬ。事務所があるのですけれども、その事業所に行つたつて、向うは会議をしたり何かするから、一週間に二へんくらいの委員会のときは席が開いておりますけれども、私が行つて事務をすることができない。しようがなくて、困り切つてつたところが、城南ビルに友人の中村が事務所を持つていて、あそこにおつたつて困るだろうから、私の事務所にいらつしやい、石炭も入つているから温い、かぜをひいてはいかぬから、というので、そろそろ寒くなるし、そこでそこへ行つてはそういう連中を受付けておつた。ところがときどきヒヤリングをせんならぬ。また日発なども反対陳情をするとか何とかで、日発の言うことも聞かなければならぬ。そのうちに前の大山委員会委員長も呼んでヒアリングをせんならぬ。私は一方そういうことをずつとやつてつた。ところが稻垣君——と言うおかしいけれども、通産省あるいは資源庁の進藤君の方から、どうしても一月の半ばごろに議会へ出したい、それでないと、三月とか四月までになかなか案が通らない。そしてGHQも、ぜひ案を早く出してこの議会を通せとやかましく言つている。審議を早くやつてくれ。早くやつてくれと言われても、ぼくはうろうろして、十二月にろくに何もできていない。いやそんなことでは困る。ともかく正月休まずにでも、一月の半ばごろまでに出してくれ。一月の半ばといつても、十二月が済みかかつている。しかしとにかく急ごう。それからまたGHQに交渉に行く。交渉に行くと、どうでもよいから早くやつてくれ。今度はレギユラトリー・ボデイというものを一緒にやるのだから、これはいわゆる電気事業の民主化、つまり電気事業者に独占で勝手にやらしてはいかぬ。これをコントロールしなければならぬ。コントロールという文字を使うと、支配ということになる。支配ということは民主的でない。そこで公益事業者というものは、やはり公衆のために働いているというのが信念で、利益のためにのみ働くのが信念ではない。それを支配するということはおもしろくない。だからレギユレートする、つまり公衆とその事業者との間もレギユレートする。またその事業者と他の官庁あるいは民衆、たとえば土地の買收とか、ダムをつくる場合の地方との折衝というときに、その利害あるいは意見の対立がある時分に、レギユラトリー・ボデイがほんとうにそれをレギユレートして、緩和し、あるいは調整する。いわば産婆役みたいなものです。証券委員会とか海事委員会みたいな働きをする。つまりレギユレートする。コントロールでない。言いかえると、政府でなくて政府である。おもに議会、民衆に責任を持つ、そして総理大臣の指図でないというふうに考えている。それをしてもらわぬとモノポリーになる。分割しても、モノポリーになることは、そこに弊害を生む。だから料金その他を損させてもいかぬし、もうけ過ぎさせてもいかぬ。それをレギユレートしなければならぬ。始終計算をし、よく知つて、これはもうけ過ぎている、これは高過ぎているというふうにやる。それで会社が不平があつたら、会社は訴訟してもよろしい。公聽会を開いてもよろしい。訴訟の権利もある。しかしこつちはレギユレートする力を持つている。それでどうにかこうにか公衆と政府との間のレギユレートするものがないと、今度の分割というものが死んでしまう。これは非常に大事だから、それをやつてくれ。さあむずかしい。これは皆さんも大分もうそれを御研究になつたろうと思いますが、私どもはその話を受けたときに、それはもつともだとはいうものの、いかにも私は、前にいわゆる官僚政治のもとにおつた電気事業者が、今度その話を受けて、そういう考えに法律をとりかえるという場合に、それを稻垣君などにも言つたところが、それはとんでもない話だ、そんなことは日本ではとても通りはせぬ。それでなくとも人事院などは困つているのだ。打明けた話ですが、そういうむずかしいものをこしらえてくれては困る。私たちのいうことをきかぬようになる。と言うわけです。それで小池君が法律の專門でしよう。ところがこれも電気とか何とかを知つているわけじやない。大体独法がおもだから、あまり英米法の気持がわからない。しようがないから、パブリツク・ボデイの研究をする。人に頼んで英語を読んでもらう。ごたごたする。それが十二月でしよう。きめろきめろという間に、それをやらなければならぬ。しようがないから、私は三淵忠彦さんのところに行きました。あの人は小田原に住んでいる。私の大先輩であり、懇意な人です。あなた困るだろう。しかしどうも日本の憲法の精神からいつて、それはアメリカ人のように行き過ぎたことはやはり困るから、それはアメリカ人にひとつがんばつてください。そのかわり官僚政治にならぬことを向うに言わなきやならぬ。要するにこれは人の問題ですけれども、ともかくしつかりやつてください。それからあそこに何度行きましたか、ずいぶん足を運んで、三淵さんが自分で人に調べさせてくれた。それを小池君に言い、小池君とも討論し、それからまたGHQに行つた。どうにかこうにかやる。政府はそれでもなかなかか難色がある。ですからレギユラトリー・ボデイが十二月にきまらない。それじやとても一月までにはきまりはせぬ。それを一月十五日に法律を出せといつたつて、出しもできやしない。それからGHQに行つたんです。あなた方がそう急ぐならば、ほかのことはともかく、レギユラトリー・ボデイだけははつきり日本政府の苦んでいることを承知してくれ。なかなかきかない。きかなければしようがないから、こつち流におつぽり出すよりしようがないと、覚悟はきめておつた。しかしできるだけGHQと折衝した。日本政府は、西洋人に負けずにやつてくれというような気分ですね。それで一月十五日になつてもできはしない。私は先刻申し上げた四つか五つの点から見て、一貫作業の会社をつくるというけれども、もうからぬ会社をつくつたところが何もできない。一体もうかるのか、もうからないのか、そろばんをはじかなければならぬ。そこではじくといつたつて、資料も何もないでしよう。資料は電力局が持つている。そこで電力局の来ている連中に、君たちはぼくの言う通りに九つにわけて見てくれたまえ、私は松永の腹の中にあるものをほぼ言うた。そうしたら、だめですよ、そういうわけ方は私どもは反対ですと言う。反対でも何でも、ともかくそれをせよ、大阪の関西配布は北陸につけるようにする、これだけは北陸につけるようにする。それに資本が幾らになるか、それで売つたり買つたり、発電と何と差引きして経費を引くと、結局大阪が幾ら残るか、五箇年間にどういうふうに損益が出るかやつてくれ。今からやるのですか。やるのだ。もう二十五日か六日で、とても正月だからできない。済まぬけれども、ひとつ休まずにやつてくれ。ところがあまり賛成じやないでしよう、どういうわけだか、役所はそういうふうにごちやごちややることはね。しかも私は一体あまり役人さんにお世辞が悪いものだから、はなはだごきげんが悪い。非常にむりなことを頼む。そうして何か議論が違うと、君ら役人は委員会におらぬでもいいじやないか。ぼくに言わぬで、かつて発言してはいかぬ、というような、かつてなことを言う。頼むは頼む。それで不精々々に、正月休みをやめてやろうというので、それではやつてくれ。九つにわけたときの收支予算をとつてもらう。そうせぬと、分割しても、もうかる会社ともうからぬ会社がわからぬ。借金を幾らすればよい、幾ら返せばよいということを計算しなければならぬ。それではしようがないから、手をわけてやろうというので、それが二十五、六日ごろ頼んだのが、正月の十二、三日ごろ概算ができましたかな。それから一方配電会社日発に向つては、何を頼んだのです。今の松永のこれこれで日発はわけて持つて行くのだ。それであとはいつごろ動力ができるとか、それから一方大阪なら大阪は、五箇年間にどう電力が増すのか、それが出合うのか出合わぬのか、その配電バランスの計算書をこしらえてくれ。いつまでこしらえるのか。それは君ら配電会社と自発と協力して、十二月の末までにぼくの手に渡るようにしてくれ。それはむりです。十日しかない。いや十日あつたら徹夜してやつたらやれぬことはない。こまかいことはどうでも、見当だけはつけてくれ。そうして東京ができ、九州あたりは多少遅れましたけれども、それは九州、四国は遅れてもかまわぬ、割合にわかれておりますから、計算しやすい。こつちはわけなければならぬ。それでずつとにらみ合せてみると、大阪だけが間に合わぬ。これも脱線の一つですが、いかに苦心したかということですが、正月の元日に、ちようどあすこの何とかいう技師がむすこを連れて来ました。私のところが一番遅れたそうですが、ようやくできました。こんな厚いものをこしらえましたと言つて、大阪の電力五箇年計画というものを持つて来た。しかしいかにも日発の方が材料をくれぬものですから、想像もあつて、間違つている。ちよつと見ても相当ずさんです。ずさんでも、およそこれで見当はつく。それは何かというと、それで私は一つは財政の見通しをつけますが、もう一つはGHQと——言葉は悪いかしらないが、闘わなければならぬ。というのは、GHQはどうしてもそのころからいかんのです。電力の分割の方法が違つている。これはアメリカのレギユラトリー・ボデイというのは、アメリカの州自身に独立してある。フエデラル、連邦の公益委員会は、また別にある。ところが日本はフエデラル一つしかない。アメリカは幾つもある。各州にレギユラトリー・ボデイがある。ですから川が両方にまたがつたようなものは、その周囲は取扱わないのです。よそのところは、めんどうですからね。それですからレギユラトリー・ボデイをつくると、州が一体アメリカの法相及び人民の権利の中心ですから、それで公益事業というものは、人民の権益及び企業の権利を保護する立場にあつて、レギユラトリー・ボデイは、それを保護せんならぬ立場になる。それで北陸と大阪とまたがるようなことはいかんのです。どうしても北陸と大阪とを一緒にせよと言う。それはなるほど大阪の人はそれを喜ぶ。大阪から見るとなるべく多い方がめんどうがない。ところが私どもから見ると、もう九つにわけて計算をするのに、それは北陸は北陸の立地的條件があり、経済的條件があつて、大阪にくつつけたら悪いということは、それは東京の実業家をヒヤリングして調べましても、それの理由ははつきりしている。しかしGHQの方から見ると、北陸の電力は北陸でコントロールするのがいい。もしも北陸を置きたければ、大阪はそこからそれを買えばいいじやないかと言う。日本では何でも所有権を重んずるけれども、アメリカでは契約権を重んずる。所有権を重んずる日本とかドイツのようなものは、何でも自分が握らなければならぬという所有欲が強いが、英米人の思想は、人と約束すると、その約束ということが非常な力になる。そこで北陸は北陸で独立するのはいいけれども、大阪はそこから現在の電力を買えばいいじやないか。それはコントロールじやないか。じようだんじやない。北陸のような小さいところで、あの大きな電力を開発するとか、それをコントロールするとかいうことは、先刻申し上げた外債の関係で、そんなことはできない、と言つても、向うは承知しない。今、外債のことに触れてはいけない。電力編成関係がない。それは関係はなかろうけれども、これからやる日本の若い人は皆関係する。そんなことはお前干渉せぬでいい。しかし干渉せぬでいいと言つても、私はそのためにやつているのだ。それこそあなたは干渉してはいかぬ。あなたは日本人が合理的であるならば、その通りにしなければならぬ。アメリカの州の法律通りせんならぬというようなことを言つてもだめです。これを毎日言いに行つている。それで寄り合うと、きようはレギユラトリー・ボデイでけんかする。次の週はそれでやる。  話はまたもどりますが、そういうふうで、ずつと計算をして、北陸は北陸、どこはどこ、電力が分割された状態、そのころ、たこの足を出すと言われましたが、たこの足の出た状態の計算をつくり、電力バランスをつくる。要するに二通りできた。それを私がおよそできたものを英文に直して、GHQに持つてつた。それはいつでしたか——一月の十二、三日か十五日ごろです。この通りです。私にまかせてくだされば、この通り行けるのだから、どうしても私もこの案で——分割は前の五人委員会とか何とか、あるいはこのごろあなた方の考えておるような案じやどうしてもいかぬのです。一体それじやお前はそういう計算を自分でかつてにしたのか、それは委員会全体の意見か、委員会全体の意見なんだ。これはあなた方に対して、あなた方の通りじや計算が立たぬし、また間に合わない、これだとちやんと分割して商売が成立つて行くことを明らかに示す材料をつくつて来たというようなことを言つた、ところが一方ではとにかく日発の反対がぼつぼつありました、これがまたなかなか運動といつてはおかしいが、私は委員長ですからやつて行く、配電会社は私がやかましく言うたから、ほとんど目がさめたごとくなつた。これまで日発とどういうふうにしておるか。ただ買いさえすれば——たとえばタバコ屋で言うと、小売店のばあさんみたいなことをやつておる。タバコをつくるところから買つて来て売るだけで、タバコを製造する原価がどうなるかは一向われ関せずえんで十年間も暮しておるから、元のところはちよつとも頭がないのに計算を命ぜられたものだから、不精々々それをやつてみると、なるほどその方が二重の費用が減つて、あるいはいろいろな能率がよくなる、原価を下げるというりくつがわかつて来た、そこで自分たちも前に言うたように、分割はやはり九分割がいいのだというふうなことにだんだん熱意が増して来た。それでずつと一月の初めころまではそうなつて来た。およそ私も見当はつき始めた。そこで今度は急ぐものですから、審議会はもう月に二度か三度くらい増そう、増さなければいかぬ。一体委員長自分でいろいろなことをやつておるが、分割案についても一向われわれに案をお示しにならぬが、どういうわけです。どううわけといつたつて、一生懸命やつておるのだから、そのことはときどきお話しておるつもりだ。ときどきの話じやいかぬ、われわれも意見がある。委員長は一体横暴独断だ。そうか、まあそうかもしれぬ。そうかもしれぬが、実にぢいさんへとへとになつて調べておるところで、やや見当がつきかかつたところだ。まあ私がそういう案を出しましよう。早く出してあなた説明してください。それじや出しましよう、いつ何日に私の分割案の意見を出そう。ちよつと待つてくれ、それではあまり行き過ぎる。それではわれわれが賛成しておるように世間は誤解する。ああそうですか、ぼくは賛成してもらえるかなと思つた。それが間違いだ、あなたは一人でほとんど日発というものを裸にしてしまう、そうして関東配電とか何とかみなくつつける、そうすると今の日発というものはまつたくなくなるのです。けれども君GHQでも政府でもそう思つているようだよ。それはあなたのかつてです。大阪の経済連盟、東京の経済連盟、日経連の寄り合いでも、みな反対です。そうか、ぼくはどうもこのごろ……。いや、委員長は一体時勢に遅れておる。あなたは昔の自由思想で、今はもうこういう思想ではいかぬ、よろしく輿輪を重んじなければいかぬ。そうかなあ、ぼくは輿輪がぼくの通りに来るかと思つたが、ぐあいが悪いかなあ。ともかくあなたの委員長意見と言われてしまうと、われわれもどうにもならぬから、われわれの意見も一緒に聞いてくれ、けつこうだ。そうやりましよう委員長意見と交換しましよう。よかろうというので、いつでしたか、日を忘れましたが、ぼくは意見を出すというならば——しかしほんとうはGHQにまだぼくの正式の意見を出していない。これは感情の上から言つても、委員長意見委員会にこういうつもりだということは、政府やGHQにあらかじめ言うとかなければいかぬ。それだからぼくが言う日に君らと一緒にやろう、君らが早く言いたければいつでもきめよう。それではこつちも用意しますというので、高橋君を頼んだのです。それがその融通案なんです。約四割三分ばかり送電線発電所を残すと言う。残すと言うが、根本に残すということは、ぼくはGHQにも、日本政府にも通らぬと思う。通らぬでもやるというのかと言うたら、通る。通らぬ。いやしくも委員会でやつた以上は、委員会の見識でやる。見識もいいけれども、通らぬことはわかり切つておる。ぼくがくろうとの目で見て通らぬような案を、めちやくちやに気ばつてみたところが、ただこれは引延ばしだ。ところが日本電気事業は引延ばすことを許さないほど切迫している、あなたは電気会社の立場から言うのだろう。われわれ需要家の立場から言うと、電力が不足した上に、また不足しますぞ、そうして非常な格差金が起りますぞ、それはわれわれたえるところではない。電気というものは、一体電気事業者のみで勝手にきめるべきじやない。それはわかつておる、需要家と供給者は対立したものでありながら、実は利害が供通したもので、どつちもギブ・アンド・テーク、言いかえると同じものなんだ。電気事業者が成立つているのは、お客さんが成立つから成立つ。そういうふうに目色をかえると、あなたは電気屋をひいきする、われわれは需要家をひいきする、そんなことを言うと、公益事業とか、大きな動力供給事業は成立たない。これはお互いのものなんだ。私は後にこの電気事業編成についてという本にも書いておきましたが、そんなことを言うても、なかなか聞かぬ。そこでたいへんな表や何やらできておる、君、これをおれに読めというのかいと言つたら、それはもちろんだ。けれどもあなた方の数字を点検すると、今妙に日発が反対の立場に立つて日発のほんとうの数字を出してくれない。ぼくらには日発の方から出された表というものは、つくり方でどうでもなる。何かの表が拔けてもかわつて来る。電気の受渡しをしたその日その日の計算をメモにとつて締め上げなければならぬ。これがなかなか大ごとであつて、君方は前から用意しておるが、これは点検して間違つておるとたいへんだ、しかし大体考えてみると、やりとりしておる区域というものは、何万キロかきまつておる。そのうちにかりに一割君の言つた通りに減つたとしても、何キロじやない。しかるにそう大きな数字が出るはずがない。出るはずがないというと、表をつくるとそうだけれども……。
  274. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは大体時間になりましたから……。
  275. 松永安左衞門

    松永証人 そういうふうなことでその問題は急いでおりましたために、私が聞かぬものですから……。それからもうお聞きでもありましたろうが、だんだんに困つてどうにもならぬ、急がれるものですから……。第一GHQからそのころ十分割案が出て来ました。ところがそれはみな委員が反対だ。やはり九分割がいい。九分割は一致しましよう。それで何とかかんとかほかの原則は大体一致をした。そうすると残るところは四割三分の融通会社をどうしてもつくらなければ不安であるというので、つくらぬでも大丈夫だ、ロスもなければ何もさしつかえない、レギユラテイヴ・ボデイができれば必ずやつて行ける、それはぼくを信じてくれたまえと言つたけれども、信じない。それは議論ではとうてい間に合わぬ。そうすると政府が何とか折衝するだろう、われわれはGHQに折衝し過ぎておる、これは政府にまかせるよりほかはない。ぼくは委員長として君らの通りに判を押すが、ぼくの意見は一体どうしてくれるんだい。それではあなたの意見は尊重して松永案として一緒に出します。それはけつこうだ、要するにぼくは何ら融通会社というものを認めないというのだ。ほかは松永案というのは何も君らと一緒だ。GHQの十分割については、九分割がいいということは一致した。それでぼくはGHQと闘う、その方はぼくは勝手にやるよ、審議会はこれで終ろうといつてつたのです。終つたあとは御承知の通りなかなかGHQが聞かないで、ここにも稻垣君から手紙をもらつておりますが、いろいろお骨折りくださつたことはありがとう、そこで二月一日をもつて意見を御提出くださつて、衷心より……。しかし委員会は本問題の処理そのほかについては、なかなか重要なことがあるから、あなたは個人として今後御支援を願いたいということを言うて来ておる。なお口からも丁寧に御依頼がありました。それはあるはずなんです。委員会の九分割に対して、十分割を讓らないのです。それが松永事務所にいつまでもひつぱつた一つの原因と思います。
  276. 篠田弘作

    篠田委員長 しかしこれは二月八日付になつておりますね。二月八日に委員は解職されておりますね。
  277. 松永安左衞門

    松永証人 まあ、そういうことになりますか……。
  278. 篠田弘作

    篠田委員長 解職ということは手紙だけで来ておるのですか。何か辞令が来ておりますか。
  279. 松永安左衞門

    松永証人 辞令が来ております。それで二月一日に次の活動を始めなければならぬということを感じましたから……。実際はこれで打切るということもはつきり言うて……。
  280. 篠田弘作

    篠田委員長 それは読みました。それは一月三十一日でしよう。わかりました。
  281. 松永安左衞門

    松永証人 これに署名したら、ぼくは公職は解けたものと見るよと言つた
  282. 篠田弘作

    篠田委員長 それはわかりました大体非常な御苦心をなさつた経緯、それはよくわかりました。それからアメリカではフエデラルが一つの憲法を持つておりますから、それを一つのレギユラテイヴ・ボデイとしてやつておるので、こつちの事情との違いはよくわかりました。そういういきさつはわかりましたが、大体松永案の骨子というもの、あるいは高橋さんの融通案というものはどうして出たかということは、こちらとしてはわかりました。その問題はもうこれで打切ります。  その次にお尋ねしたいのは、あなたがちよつと言及されました個人としても当時の稻垣通商産業大臣から残つてくれというお話ですが……。
  283. 松永安左衞門

    松永証人 残つてくれというよりも個人的に援助してもらいたい……。
  284. 篠田弘作

    篠田委員長 そういう依頼もあつたそうですが、そこで松永事務所というものが銀座にあつて……。
  285. 松永安左衞門

    松永証人 それはずつとあとです。
  286. 篠田弘作

    篠田委員長 俗称銀座電力局とか、何とか……。
  287. 松永安左衞門

    松永証人 それは三月ころです。
  288. 篠田弘作

    篠田委員長 それは二月でしよう
  289. 松永安左衞門

    松永証人 松永事務所ができたのは三月ころでしようなあ。初めは電気協会に行つてやりよつたのです。それで電気協会でみな配電会社の人や何か手伝つてもらつて新聞記者とか、日経連とか、輿輪といいますか、三鬼君や何か友達がおりますから、石川一郎とか——これは悪口ではないがわからず屋で、どうもわからぬ。これも電気ということについては……。
  290. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと待つてください。要するに証人尋問です。証人尋問しておることに対して答えていただけばいいのです。私の言うところに答えればいいのです。松永事務所というものはいつころできて、どういう仕事をしておつたか、それをひとつ……。
  291. 松永安左衞門

    松永証人 それで松永事務所というものは二月十日ごろ、十四、五日ごろでしたかな、電気協会に行つて始めたころからずつと続いて、それから電気協会では狹いものですから、配電会社日発の人に相談して、これはみんなでやつて行かなければならぬのだからとお頼みした。それから電力編成ということの法制上以外の実際上の仕事、計算と技術上の調査もしなければならぬ。これ議会中でもわれわれは調査して行かなければならぬことがたくさん残つておる。それを各社、日発も何も協力してやろうじやないか。それから進藤武左衞門君が資源庁長官をそのころしておりました。それでみな各社の連中が進藤君からの話で私の方にいろいろ寄り会つて、一応日発ほか九社、つまり十社の方面からいろいろ有力な人を集めて、そうして各調査を始めようじやないか。場所が狹いから日発ちようどよかろうというくらいのところまで、なかなか元気がよかつたですよ。それがいつの間にかむずかしくなつて、対立の状態になつて、それでとうとう配電会社ばかりのようなことになつてしまつたんです。そうなつたらしかたがない。日発にしめ出されて初めの間電気協会でやりよつたが、そのころはそうきげんも悪くなかつた。それから電気協会がどうも狹くて人が集まりません。新聞記者の諸君に寄つてもらつたり、それからヒヤリングみたいなことを日経連の連中でやつて、しまいにはもう少し広いところでやろうというので、関配に相談して君のところにありはせぬか、私のところは労働何とか研究会があつて労務員が部屋をとつておるからかえつてぐあいが悪い、狹くていけません。それからまたみなでとうとう松永事務所を探してくれたのが三月ころです。その間宿なしでうろうろしていたんですよ。松永事務所というのはそのころからすでに名前は松永事務所ですが、そういうことのために宣伝及び調査日発はあいかわらず資料をとうとう出してくれませんが、その一月ごろまで集めた電力バランスとか、收支計算というものが不備ですから、それをまたこういうふうに書いてくれ、ああいうふうに書いてくれというので、一方じやそのうち只見川を見に行かんならぬとか、九州の大きな電力をせぬと格差が非常に大きいというのですが、それで政府も格差金で心配して九州も見に行こうというので見に行つて、そこで事務所というものがなかなか忙しい問題になつていつの間にかそういう人方のお世話になつて、費用も多少出していただいたというようなわけです。この事務所の性格、成立ちは……。
  292. 篠田弘作

    篠田委員長 わかりました。それからあなたは二月一日に答申案を出されて、二月八日に解職されておられるので、松永事務所はその後にできた。こういうふうに了承してよいですか。
  293. 松永安左衞門

    松永証人 そうです。
  294. 篠田弘作

    篠田委員長 その経費の問題ですが、配電会社関係から松永事務所経費として二百六十万円、それから人件費として百二十五万円、合計約三百八十五万円ばかりのものが松永事務所行つているわけですね。
  295. 松永安左衞門

    松永証人 そうです。
  296. 篠田弘作

    篠田委員長 どういうものに使われたかということは、この委員会事務局の調査によつて全部細大漏らさずわかつておりますから、それをお尋ねする必要はないと思います。その経費配電会社があなたにお出しするようになつたいきさつについて、これも簡單でいいですから、お話願いたい。
  297. 松永安左衞門

    松永証人 それも金がいるので、私が少しは持つておりましたのもあつたろう、使つたろうと思いますが、いつの間にか皆さんのお世話になつて、あるいは自動車を貸してもらうとか、費用の一部も持つてもらう。それから新聞社の方を呼んで話したり、あるいは旅行をしたりする。そのうちに宮川君や中村君あたりの費用等も幾らかいりますから、それも月給としてみなもらいに来るものですから、私がその金からあげたのです。
  298. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、あなたとしては、いつとはなしに応援をしてもらつたというかつこうで、何回かにわかつて……。
  299. 松永安左衞門

    松永証人 そういうことになつております。ぜひこれだけくれという、割当とかいうことではなくて、自然に、日発はそういうふうに締め出され、東電は忙しいので、あそこに行くと、用事が多くて、いろいろ手伝つてもらう、こちらもまた。パンフレットや何かを私の方で書いたり何かする。その費用が錯綜したのでしよう
  300. 篠田弘作

    篠田委員長 大体二十七回にわけておられますから……。
  301. 松永安左衞門

    松永証人 こまかいことは、どうも記憶違いがあるかもしれませんから……。
  302. 篠田弘作

    篠田委員長 それは別にあなたの方からこういうものを応援してくれということを言われたわけではないけれども、自然とそういうふうな仕事の状態となつたために、経費もかかり、いつの間にか応援をしてもらうというかつこうになつた、こまかいことは自分ではよくわからぬ……。
  303. 松永安左衞門

    松永証人 再編成、それから外資関係、それから西洋人が来まして、その後四国を見に来たウエステイングのジード、あれは昔知つた男で、それからGEの昔の社長をしておつたスオープというのが来ますし、それから東電や東邦の外債をやつたフーセーという弁護士が、何とかいう大きな土建屋と一緒に来まして、ぜひ日本でその土建屋工事をやる、そこで案内してくれとか、文書を出してくれ、それからいろいろた、北上川の人とか九州の屋久島とか、熊本県営でやろうとしているところとか、それから只見川の図面とか絵図をつくつたとか、そういうことなんか相当金がかかつたでしよう
  304. 篠田弘作

    篠田委員長 わかりました。それでは委員長からの御質問はこれで一応打切ります。委員の方からの質問に移ります。
  305. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 一点だけお伺いします。この間高井亮太郎君が証人としてわれわれの委員会に出まして、松永さんというのは電力界の権威者である、要するに元老である、松永さんというのは、日本の再建のためには、どうしても輸出貿易を盛んにしなくちやならぬ、それについてはもちろん産業を起さなくちやならぬ、産業の基礎は電力にあるという固い信念を持つておられる、だからその松永さんにお願いをしておけば、ひとり電力の再分割、そういつたような現実の問題だけでなくして、必ずあの権威ある松永さんは、電力界の向上発展のためにいいような案をつくつてくれるだろう、こういうような気持で、特に分割案にからんで金を出したわけではないが、あの人の権威と経験に負託しておけば、必ずや電力界のためにいいことがあるだろう、こういう意味でお渡しした。こういうふうな話をしておりましたが、大体そういうことですか。
  306. 松永安左衞門

    松永証人 向うの気持はよくわかりませんけれども、私から言うと非常にありがたい。実においぼれの身で私がかなり無礼なことげかり言うて、調べが君ら足らぬじやないかとか、発電の方面は知らぬ。知らぬといつてそれで済むか、というような小言を言いながら、いろいろな資料を向うも集めてくれてずいぶん骨が折れたろうと思います。非常に私の方で感謝いたしております。向うが非常な好意でやつてくれたことはいまだにありがたく思つております。
  307. 小松勇次

    小松委員 簡單お尋ねします。松永さんの事務所のことでちよつと伺いたいのですが、現在の事務所へお移りになる前の事務所のお仕事は、もつぱら電力編成に関しまして、松永さんが審議会委員長としてのお仕事調査をなさつたのですか。そのための事務所であつたわけですか。
  308. 松永安左衞門

    松永証人 事務所というのは、三月ごろからできた松永の事務所ですか。
  309. 小松勇次

    小松委員 その以前の事務所です。
  310. 松永安左衞門

    松永証人 その以前は申し上げた。電力問題などは、今言う四割三分やらぬと推力が足らぬとか何とかいう民間人の誤りを解くために、図面をこしらえて説明するとか何とかいう、啓蒙運動ということも大分あります。
  311. 小松勇次

    小松委員 それはどこにあつたのですか。
  312. 松永安左衞門

    松永証人 それは電気協会に行つたり方々へ行つてつたわけです。
  313. 小松勇次

    小松委員 事務所はなかつた……。
  314. 松永安左衞門

    松永証人 事務所はありとすれば、初めは電気協会……。
  315. 小松勇次

    小松委員 なかつたのですね。もつぱら電気協会内の事務所……。
  316. 松永安左衞門

    松永証人 私が行つて、みんなが来てくれてやつておる。固定した事務所ができたのは、三月の幾日ですか、あるいは二月の末でしたか、松永事務所ができたのは、日にちは今ちよつと記憶しておりません。
  317. 小松勇次

    小松委員 現在の事務所はどういうお仕事を主として……。
  318. 松永安左衞門

    松永証人 今申し上げたよう外資導入関係で西洋人に文書を送つたり、それから英訳したり、只見川なり北上川はどういうものである。それからあの人たちの発起人がおります。北上川はたとえば堀朋近がおり、それから鹿兒島の尾久島は何とかいう私の友人がおる。その連中が来て、外国人の話をしてくれと言うから、西洋人のところに連れて行つたり、いろいろな覚書みたいなものをつくつたり、その世話をしてやりました。いまだにその往復連絡を持つております。それから電力の再配置について、今のように大きなダムを持たないと、渇水のときに石炭ばかりに頼つてはいかぬという考えは、GHQでも持つてつた。今度の西洋人なども持つておる。私などもそれはわかつておるものですから、早くから方々ダム地点を調べておる。それで今の配電会社といかにコネクトするかを調査し、それをやはり英文で書いて、外国に出したりしておる。それも相当いそがしい仕事です。それで電力の再編成という以外に、大分その後広くなつております。
  319. 小松勇次

    小松委員 なお重ねてお伺いしたいのですが、現在そういうお仕事をなさるについて、いろいろ配電関係の方たちがあなた様のお仕事の援助のために、現在三百五六十万円の後援のお金を出した……。
  320. 松永安左衞門

    松永証人 出しました。
  321. 小松勇次

    小松委員 その以前は、別にそういう後援の意味を持つたお金は出ておりませんか。
  322. 松永安左衞門

    松永証人 一文ももらつておりません。
  323. 小松勇次

    小松委員 みなあなたの御負胆で……。
  324. 松永安左衞門

    松永証人 ええ。ちよつと申し上げますが、審議会の金を政府からもらいました。
  325. 小松勇次

    小松委員 政府からどのくらい……
  326. 松永安左衞門

    松永証人 一万円二度もらつたと思う。感謝しておりますよ。
  327. 小松勇次

    小松委員 なお承りますと、松永事務所に対して一千万円からの金を皆さんが集めて、松永事務所の後援費に充てる、こういう予定であつたが、現在集まつている金が九百三十万円ある。そのうち、いろいろ使つたものもあるけれども、まだ多少なりともあなた様の方に応援しまうというような御意思があるよりに承つたのです。今後そういう松永事務所を応援するというようなことが、電気関係の方からありました場合には、やはり今まで通り後援費用はずつとあなたの方で受けられますか。
  328. 松永安左衞門

    松永証人 それは今のところ、八月以後は私は病気で、七月の末に伊豆に行つて九月六日ごろこつちに帰つて来ました。それから風を引いたり何かして一向活動が実際できないのです。その間西洋人が来たり何かしましたが、これも会わずにいる。ときどき日本人か来るくらいで、あまり今金はいりませんが、今後その人たちが金を出すというならば、今度は北山川なら北山川の世話人が出すでしよう。それを今私はただで翻訳も何も働いている。けれどもそれを一々金をくれとも言えないし……。
  329. 篠田弘作

    篠田委員長 小松委員の聞いているのは、あなたは日本電気事業界としては大先輩であり、今後日本電気事業の将来もあなたにいろいろやつてもらわなければならぬことがあるから、応援したいという気持を持つている。そういう場合に、あなたはお受けになるかどうかということを聞いておるのです。
  330. 松永安左衞門

    松永証人 それはありがたいけれども、受けても、年寄りでなかなかお返しできませんので……。
  331. 柳澤義男

    柳澤委員 簡單にお伺いします。配電会社は、配電会社だけ集まつた経営者会議というようなものをつくておつたのでございますか。
  332. 松永安左衞門

    松永証人 あれは詳しいことは存じませんが、経営者会議というのは日発の入つたものじやないのですか。
  333. 柳澤義男

    柳澤委員 いや、配電経営者だけの会議はなかつたのですか。
  334. 松永安左衞門

    松永証人 それはよく知りませんな。
  335. 柳澤義男

    柳澤委員 何か聞くところによると、日発も入れた一つの電気事業の経営者会議というものと、配電会社だけの配電事業の経営者会議というのと、二つあつたようですが……。
  336. 松永安左衞門

    松永証人 それは二つあつたというのではなく、一緒であつたのが、日発がああいう態度に出たために、自然、日発と話し合いができないから、そうなつたのじやないですか。それは先刻ちよつと申し上げたことと関連しているのです。
  337. 柳澤義男

    柳澤委員 そうすると、事務所の方に応援されたという三百八十五万円の数字が出ておりますが、これは配電会社の今お開きしました経営者の団体、経営者会議、そういうたところから出たのでしようか。あるいは各配電会社から出たものでしようか。あるいはこの配電会社を支配する個人から出たものでしようか。
  338. 松永安左衞門

    松永証人 どうもそこは詳しく知りませんが、多分みんな話合いをして、出してくれたのだろうと思います。個個でなく……よく知りませんが……。
  339. 柳澤義男

    柳澤委員 それから帳簿によると、たとえば分担金というような名目になつておるのですが……。
  340. 松永安左衞門

    松永証人 そういう名目じやないかと思います。それは私はよく存じません。
  341. 柳澤義男

    柳澤委員 そうすると、あなた様の方から別に出た計数ではない、全然寄付される方からの話であつたということになりますか。
  342. 松永安左衞門

    松永証人 まあそういうことになつておるでしようね。
  343. 横田甚太郎

    横田委員 いろいろお聞したいのですが、御老体で御病気のことですから、ほかの人に聞いてわかることはほかの人に聞きますが、今度の事件の関係で一番政策的なことを知つておられるのはどなたで、松永事務所の経理上のことはどなたが知つておられるのか、人事上のことはどなたが知つておられるのか、その人を教えていただきたい。
  344. 松永安左衞門

    松永証人 経理ということもありませんが、小づかいみたいなものを事務所の人がつけておつたでしよう。それから一番私の秘書的な親玉は、一番年が上で、年来の友だちですから、鈴木鹿藏君が見ておつてくれたろうと思います。
  345. 横田甚太郎

    横田委員 人事関係もこの人が知つておりましようね。
  346. 松永安左衞門

    松永証人 人事関係も、大体私の秘書的なことはやつていましたから……。
  347. 横田甚太郎

    横田委員 次に本年七月二十二日ごろに、栃木県の日光付近で会合を持つておられますが、そのときの場所とか、あるいは参加した人の名前とか、目的というような点を聞かしていただきたい。
  348. 松永安左衞門

    松永証人 日光に……どういう御質問ですか。
  349. 横田甚太郎

    横田委員 外分鬼怒川だと思いますが、あなたもこれに行つておられると思います。ここに特に有名な外国人一人が参加しておりますが、その会合に集まつた人とか……。
  350. 松永安左衞門

    松永証人 会合とか何とかはありません。
  351. 横田甚太郎

    横田委員 絶対ありませんか。
  352. 松永安左衞門

    松永証人 絶対ありません。ただこういうことはお話してよいと思います。会合とか参加の人という意味のお答えは否認しますが、ただケネデイさん夫婦がますつりに行く。それからぼくの友人で中村のお父さん、今村繁三というものがますつりの名人です。ケネデイさんのますつりが好きだ。そこで今村が行つてくれる。そして青木という人がおります。元青木子爵の息子夫婦ですが、それが英語もできる。奥さんともかねて交際を願つている。その連中が行くという話だつたけれども、今村繁三というのが病気で行けなくなつた。これは七十幾つの老人です。そこでそれではぼくが行こうというので、ぼくが行つたところが、私がどうかして遅れて、その朝遅れて行つたので、行こうと思つたけれども、そのますつりに行かなかつた。そこであの連中は青木さんや何かと話をし、私は青木さんの奥さんや、ケネデイさんの奥さんと、しようがないからみんな日光から帰るのを待つて、日光から帰つて、そこでつつたますを頂載して、それからその日ラジオを聞いてみると朝鮮事件が起つた。これはたいへんだ、遊んじやおられぬというわけで、それから私は帰りました。それはその通りです。だから会合とか参加とかいうことは何も……。
  353. 横田甚太郎

    横田委員 では簡單に伺いますが、このとき日本の電源地帶の視察ということを相談されたのですか。
  354. 松永安左衞門

    松永証人 そんな時間がないのだ。朝鮮事件が始まつて……。
  355. 横田甚太郎

    横田委員 絶対にないのですね。
  356. 松永安左衞門

    松永証人 絶対にない。そういう相談や何か、GHQに行つて議論しておる。
  357. 横田甚太郎

    横田委員 他に会合のことが二、三。あとは松永事務所の金銭関係。あなたは、これはまざつておる場合もあるのです。築地二丁目の八番地にある細川旅館で、配電会社関係会合を持つておる。三十一回持つた。三十一万円の費用を計上されておるのでございますけれども、ここに参加なさつたことはございませんか。
  358. 松永安左衞門

    松永証人 そんなことはありませんな。あれは私の宿で、むろん配電会社といつても、若い人は知つておるから、その人たちが来て、私から呼びつけられもするだろうし、あなたが思うように割合親しいのですから、ちよつとわからぬから来てくれというたら、行つたかも知れない。
  359. 横田甚太郎

    横田委員 あれは普通の旅館ですか。
  360. 松永安左衞門

    松永証人 旅館ですよ。
  361. 横田甚太郎

    横田委員 それから八月の二十四日ごろに松永さんと白洲さんが会合された。こういう噂もあるのですが、これは……。
  362. 松永安左衞門

    松永証人 それはどこでですか。
  363. 横田甚太郎

    横田委員 般若苑。
  364. 松永安左衞門

    松永証人 般若苑、絶対に般若苑に行つたこともありません。
  365. 横田甚太郎

    横田委員 三浦さんにお会いになつたこともありませんか。
  366. 松永安左衞門

    松永証人 般若苑は宿やかな、私は行つたこともありません。三浦さんという方は新聞で有名ですが、ぼくは知らないなあ。だからかれこれ三浦さんを批評することもできません。
  367. 横田甚太郎

    横田委員 そうしますと、今度は金のことをちよつと伺いますが、配電会社からあんたに三百八十五万円ほど金が出ております。これはおもらいになつたんだが、税金や何かどうなつているのですか。
  368. 松永安左衞門

    松永証人 今委員長の御質問にお答えしたばかりですから、それ以外のことは言いまわしで間違いますから、もう御返事しません。
  369. 横田甚太郎

    横田委員 これはあんたが小さいことで御存じないなら、だれか知つておられる方はありませんか。
  370. 松永安左衞門

    松永証人 委員長にお話しました。
  371. 横田甚太郎

    横田委員 もらつた金の税金……。
  372. 松永安左衞門

    松永証人 私の所得でも何でもない。
  373. 横田甚太郎

    横田委員 松永機関というところに働いた方、この人に給料をお拂いになりますね。それはいくらですか。
  374. 松永安左衞門

    松永証人 給料ということはない。義勇兵みたいなものです。しかしただということはない。費用がいるから……。それは私の手元からあげてあります。
  375. 横田甚太郎

    横田委員 それに対しては勤労所得税も何もとつてないのですね。
  376. 松永安左衞門

    松永証人 それは届けてない。給料となつておりませんから……。なるべく今税金のかかるようなことは言わせないようにしてください。
  377. 横田甚太郎

    横田委員 もう一つだけ聞きますが、電源視察にケネデイさんが行かれるようなつておつたはずだが、シンクレアさんが行かれた。これはついて鈴木鹿藏さんが一緒に行つたということについては御存じございませんか。
  378. 松永安左衞門

    松永証人 ロームスとシンクレアと行つて、私にも行つてくれ。私は行こうと思つてつた。一等の汽車に乗つてまかないつきで行くのだから、いい気持だと思つて行かうと思つたが、かぜ引いて行かれない。しようがない、行かぬと席が明いておるからだれかやつてくれ。それじや鈴木をやろうというので、鈴木君をむりやりにやつたけれども、鈴木君が英語ができず途中で閉口して、どこかで逃げて帰つて来たようです。
  379. 西村直己

    ○西村(直)委員 私西村でございます。お疲れと思いますから二点だけ聞かしていただきますが、あなた様を中心としておつくりになつた松永機関とか、銀座電力局とか、世間でずいぶんでつち上げられたようなことを書かれたことは、非常に御迷惑であつたろうと私は思うのでございます。あれがどういう根拠からあんなふうに、だれのいたずらでどういう意味でああいうふうなことをでつち上げたか、あるいは一部の策士あたりが何かわざとああいうことをやつたのか。そういう点でお感じになつたことはありますか。
  380. 松永安左衞門

    松永証人 別に感じませんね。まあ災難と思つておりますね、言われたのは。世の中というものは、ただ無心というか、一心というか、無心も一心も一緒ですけれども、無心と一心でやつておると、こういうことは起る問題です。これは怒つたところがくやんだり人を恨んだり、出所がどこだろうと考えて見たりしたところが当然のことです。昔からそういうことはあるのですから……。
  381. 西村直己

    ○西村(直)委員 ある程度これにかかる場合に御想像になられましたね。大体こういうようなデマを飛ばされやしないかと……。
  382. 松永安左衞門

    松永証人 雑誌を読みますが、「真相」だとかその他だれか送つて来ますが、ははあ、なるほどなるほどと思うことはありますね。それは読んで後に思うことで、ほとんど私はそういうことは想像もできぬことが多いですね。「真相」なども真相であるか、あれも怪しいものであると思つております。
  383. 西村直己

    ○西村(直)委員 それからいま一つ、これもどの程度真実であるか存じませんが、虎ノ門電力局とかいつてやはり一部のうわさが出ておりますが、元逓信省の大和田悌二さんあたりが動いて……。これもお聞きになつておりますか。
  384. 松永安左衞門

    松永証人 それも聞ました。私どもも高橋君と一緒に審議会のときにそこに飯に呼ばれたことがあります。そうして晝飯を政府の人がごちそうしてくれた。そこに中島という人があつてね。これがなかかな作戰地だということをだれかが言いよつた
  385. 西村直己

    ○西村(直)委員 どんなメンバーでやつてつたのですか。
  386. 松永安左衞門

    松永証人 知りませんけれども旧官僚がときどき集つてやるのだそうです。
  387. 西村直己

    ○西村(直)委員 商工会館ですか。
  388. 松永安左衞門

    松永証人 商工会館です。あすこに飯食い所がある。特別な部屋があるね。ちよつと話のしよいような……。おいでになつたことはありませんか。
  389. 西村直己

    ○西村(直)委員 私は建物は知つております。そこでは別の考えをもつてつておるのですか。
  390. 松永安左衞門

    松永証人 どうもよく知りませんけれども、そういううわさがある。要するにそういう旧官僚とか実業家でも本を読んだ人とか、われわれのような老いぼれた者との思想の相違はむろんありましようね。
  391. 西村直己

    ○西村(直)委員 ありがとうございました。
  392. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 岡ですが最後に一言だけ……。先ほど私申しましたが、これも結論的にイエスかノーかだけをお答え願つたらけつこうですけれども、高井という配電の社長が、私が先ほど申しました通り、要するに松永さんは電力界の大御所であつて、この人をお助けすれば再分割の問題だけでなく電力界のためにいいだろうというので、喜んでお助けしたのだ。こういうふうに申しておつたのですが、この点をわれわれ委員会は追究しておるのじやない。少くとも私はこう受取つておる。問題のポイントは、きようはどなたもその点に触れないのですが、実はこれは要するにこの問題にからんで、政治家としてスキヤンダルがあるかどうか。新聞等はどこを根拠にああいうことを書かれたか私は知りませんが、政治家に四億の金がばらまかれておる。こういうことを言われるのは非常に迷惑千万であるから、われわれ委員会としてこの点を鮮明しようというのが、今回われわれの委員会を開催して、そうして病床まで御迷惑をかけておるゆえんなんですが、ポイントは要するにその問題にからんで賛成あるいは反対の投票権を持つておる、職務権限を持つておるところの代議士に対して、その金が行つたかどうかということがただ一つのポイントたんです。そこで松永機関が配電会社から三百数十万円をお受取りになつた。これは大体使途は明らかになつておるので、そういうことはないと思いますけれども、その中から職務権限を持つておるところの代議士に対してその金があなたの手からか、あなたの代理からか渡つたかどうか、その点だけをお尋ねしたい。
  393. 松永安左衞門

    松永証人 一言はつきり御返事申しますのは、一円の金も松永事務所関係から行つておるまいと思います。これはこの点だけをお答え申しておきたます。  それからそれを裏書きするためにもう一つ私が申し添えたいのは、スキヤンダルの話がそろそろ二月、三月ごろいろいろうわさがある。分割反対運動というのはこれはつくり話であるかどうか知りませんが、そのときに私は配電会社の人にわざわざ二度も事務所の上に集まつていただいて、晝めしを食べてお話をした。あなた方郷里に帰られたり何かすると、地方々々の代議士や何かに自分意見を通してもらうように御依頼になることもあるだろう。また事実を説明なさる必要もあるだろうけれども、どうか願わくば金銭上あるいは物品上のあやまちを起してくれるな、何となればそのたつた一点にこのことは汚点を残して、遂にわれわれの公共に対する熱意、精神というものか水のあわになります。それから利害の点からいつてもそれは遅い。あなた方がもしもスキャンダルやるなら早くやらなければならぬ。もう世間のうわさなつて大きな問題があると思つているときに、そんな零細なことをやつたら、利害の点から言つてもばかなんだ。だからそんなばかなことをせずに清潔運動ということをひとつ考えて見たい。私はお茶人ですから和敬清寂ということを言う。清ということは一点のやましいところを持たずに行くということです。ですから直接公務員、あるいは代議士諸君に向つて、どうぞ賛成してくださいということは、それは言うがよろしい。けれども何らかのスキヤンダル的のお約束をする。あるいは物をあげるというようなことは絶対に清潔運動ということを濁すものだ。今度われわれが成功すれば、その清潔運動が成功したのだと、二度も繰返して私は言つたのです。これだけははつきり申し上げておきます。
  394. 柳澤義男

    柳澤委員 一点だけ言い漏らしましたから……。  先ほど話題なつておりましたが、三百八十五万円が松永事務所に出て、松永事務所の活動が始つたのは、あなた様が審議会委員を解職された後でございますか。
  395. 松永安左衞門

    松永証人 後です、むろん。
  396. 柳澤義男

    柳澤委員 従つてその三百八十五万円という寄付のあつたのもその解職された後で、委員長でなくなつてからですね。
  397. 松永安左衞門

    松永証人 そうです。それはまつたくその通りです。
  398. 篠田弘作

    篠田委員長 それではこれをもちまして証人尋問は終了いたしました。本日は御病床にお伺いいたしまして、病気靜養中のところ長時間にわたり、御証言をいただき、まことに御苦労様でございました。御証言によりまして、今度の委員会調査の上に多大の参考になつたと存じます。御病気の方は十分御靜養の上一日も早く御全快のことをお祈りいたします。  ではこれで終ります。    午後三時五十五分終了