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1950-10-30 第8回国会 衆議院 考査特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月三十日(月曜日)     午後一時十八分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 島田 末信君 理事 内藤  隆君    理事 吉武 惠市君 理事 小松 勇次君    理事 猪俣 浩三君 理事 横田甚太郎君       安部 俊吾君    井手 光治君       岡延右エ門君    鍛冶 良作君       黒澤富次郎君    佐々木秀世君       田中不破三君    西村 直己君       福田  一君    南  好雄君       柳澤 義男君    石田 一松君       椎熊 三郎君    坂本 泰良君       梨木作次郎君    岡田 春夫君  委員外出席者         証     人         (通商産業省資         源庁電力局長) 武内 征平君 十月二十七日  委員玉置信一君及び中川俊思君辞任につき、そ  の補欠として鍛冶良作君及び田嶋好文君が議長  の指名委員に選任された。 同月三十日  委員塚原俊郎君及び福井勇君辞任につき、その  補欠として福田一君及び南好雄君が議長指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員会報告書に関する件  証人出頭期日変更に関する件  電力事業編成問題     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。本委員会設置の決議によりまして、月一回調査報告書を提出することになつておりますが、委員会関係で延び延びになつておりましたので、この際簡單経過を、報告書を作成いたしまして提出したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なきものと認めます。それではさようとりはからいます。     —————————————
  4. 篠田弘作

    篠田委員長 次に、電力事業編成問題に関する証人喚問につきましては、委員長及び理事に御一任を願つておりましたが、本日通商産業省資源庁電力局長武内征平君、元電気事業編成審査会議長松永安左衞門君、三十一日に元日本発送電株式会社総裁大西英一君、関東配電社長高井亮太郎君、以上四名の諸君に本委員会出頭を求めることに決定いたし、所要の手続をとりましたので御報告いたします。  なお本日証人として出頭を求めておりました松永安左衞門君より、急性気管支炎のため本日は出頭をいたしかねる旨の届出が診断書を付して提出してありますが、同君喚問を後日に延期するか、または同君容態いかんによりましては臨床尋問を行うかにつきましては理事会で協議いたすこととし、本日の欠席を正当なる理由あるものとして承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。     —————————————
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 それではこれより証人より証言を求めることといたしますが、ただいまお見えになつておりますのは武内征平さんです。  これより電力事業編成問題について証言を求むることになりますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。     〔証人武内征平君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  7. 篠田弘作

    篠田委員長 では宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求むることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際はその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なおこちらから質問しておるときはおかけになつてよろしいですが、お答えの際は起立してお答えを願います。  証人の職歴の概略を述べてください。
  9. 武内征平

    武内証人 お答えをいたします。昭和四年六月三十日地方警視、十二年七月十四日特許局事務官昭和十五年七月三十一日商工省機械局生産機械課長、十六年四月企画院書記官、十八年十一月軍需省機械局動力機械課長、二十年三月回機械局機政課長動力機械課長、二十年十二月貿易庁輸入第一課長、二十一年八月東海北陸地方商工局商工部長、二十三年四月商工省機械局長、二十四年五月資源庁電力局長、現在に至つております。
  10. 篠田弘作

    篠田委員長 電力局はいかなる事務を管掌しているか。
  11. 武内征平

    武内証人 電力行政一般でございます。
  12. 篠田弘作

    篠田委員長 たとえば……。
  13. 武内征平

    武内証人 電力需給調整電気施設監督、あるいは電気事業会社会計監督業務監督、あるいは電力局内の人事、会計執行等でございます。
  14. 篠田弘作

    篠田委員長 電力事業はなぜ再編成しなければならなかつたか、そのいきさつについて御説明を願います。
  15. 武内征平

    武内証人 御承知のように昭和二十三年の二月に過度経済力集中排除法によりまして電気事業指定せられたのであります。現在過度経済力集中排除法によりまして指定をせられた事業でありまして終結決定をしていないのは、おそらく電気事業だけではないか、かように考えております。従いまして現在に至るもなお集中排除指定が解けないということでありますれば、この方法にはいろいろの方法がある思いますけれども、再編成をしなければならぬというふうに考えております。
  16. 篠田弘作

    篠田委員長 電力事業の再編成に関し、政府のとつた政策はどういうものであつたか。
  17. 武内征平

    武内証人 お答え申し上げます。昭和二十三年二月に日発及び各配電会社集排法によつて指定されましてから今日までの経過を御報告申し上げますれば、委員長の御質問にお答えすることになると思いますので、経緯を簡單に申し上げます。  昭和二十三年二月に、集排法によりまして日発及び各配電会社持株整理委員会から各再建計画の提出を求められたのであります。二十三年五月におきまして日発は全国を通ずる発送配電事業の一社化案を、また各配電会社現行配電会社営業区域内における発送配電一貫事業会社案をそれぞれ委員会に提出いたしたのであります。政府におきましては電気事業編成国民経済におきまするところの重要性にかんがみまして、広く民意を徴しまして再編成案を検討いたすべく、昭和二十三年四月商工大臣諮問機関といたしまして、民間委員十九名をもつて構成いたしますところの電気事業民主化委員会設置いたしたのであります。この委員会は御承知と思いまするが、大山松次郎先生委員長といたしまして、電気事業編成につきまして前後十九回にわたりまして討議をいただいたのでありますが、その結果十月に次のような事項骨子といたしますところの答申案を得たのでありまして、通産省といたしましてはこの旨を関係方面にも御連絡申し上げ、討議経過につきましても詳細に説明いたしたのであります。その案と申しますのは、本州及び九州におきますところの電気事業は当分の間現状のままとするというのが第一でございます。第二といたしまして、北海道及び四国におきますところの電気事業はこれを一本といたしまして、発送配電を一貫的に経営する新会社を設立するというのが第二でございます。第三といたしまして、電力管理法及び日発法はこれを廃止いたしまして、また電気事業経営自主性を尊重するため、これに対しますところの政府監督はでき得る限り緩和するが、しかしながらもともと電気事業公益事業でありますので、その公益事業及び各産業に対する基礎産業としての電気事業の本質上必要とする政府監督については、一層徹底した規定を置くように改正する。この三つを骨子とするのが、いわゆる民主化委員会答申でございます。一面関係方面におきましては、いわゆる電気事業の五人委員会におきまして再編成につきまして検討を加えられておるようでございまするが、昨年の五月中旬でございますか、バーカー委員から——バーカー委員と申しますのは、五人委員会のうち電力を担当せられておりました委員でございますが、日発の現在の副総裁森理事に対しまして、非公式に、いわゆる七分割案と称せられる再編成の案を示して、これに対する意見を求められたのであります。最近におきまする再編成経過はこの辺から初まるのでありまして、これに対しまして政府におきましては、右の動向から急速に七ブロック案が指示されるのではないかという推測をいたしたのでありますが、五月二十五日に、当時は稻垣通商産業大臣でありましたが、私もお供をいたしまして、通商産業大臣からマーカツト経済科学局長に対しまして、経済の逼迫しておりますところの現状にかんがみ、再編成指令経済が安定し、電源開発によりまして、電力需給が安定するまで延期していただきたいということ、及び再編成につきましては政府において権威ある委員会を設けまして、そうして検討いたしたいから、しばらく待つていただきたいということを懇請いたしたのであります。しかしながらその後政府は懇請以後の情勢からいたしまして、どうも延期していただきたいということでは済みそうもないという観点からいたしまして、同年六月八日に、さらに通産大臣からマーカツト経済科学局長に対しまして、再編成指令が出されるような情勢にあるようでありますが、もしそれが出される場合におきましては、あらかじめ政府意見を徴していただきたい。さらに指令内容は再編成根本方針を示すにとどめまして、具体的実施案政府内閣に設ける電力審議会で検討作成せしめていただきたい。第二点といたしましては、再編成の実行は経済の状況に応じまして、時間的、地域的に一挙に国全体にわたつてやらないようにしていただきたい。第三といたしましては、旧電力外債が現在あるのでありますが、この外債権者アメリカ、イギリスが主でありますが、政府にこれらの外債権者意見を聞く機会を與えていただきたいということを懇請いたしたのであります。ところがその後バーカー委員は本国に帰られまして、現在経済科学局のケネデイ氏がかわつて来られて、電力編成問題を検討せられるということになつたのであります。それから前に申し上げました政府よりの要望にこたえまして、司令部におきましては編成方針及びこれ民主的な委員会設置することを承認せられ、事業の再編成方針及びこれが実施のための具体的措置ばかりでなく、電力行政機構の再編成をも審議勧告せしめようとする、すなわち一つの民生的な委員会を設けて、再編成根本方針ばかりでなく、電力行政機構についても審議せしめる案を政府側に通達して来たのであります。そこで政府は昨年十一月四日の閣議におきまして、通商産業大臣諮問機関といたしまして、電気事業編成審議会設置を決定いたしました。審議会は十一月二十四日以後約二箇月にわたりまして十六回の会合を重ね、審議の結果成案を得て、二月一日本審議会から大臣答申が出たのであります。  ここでちよつとお断りを申し上げたいのでありますが、実は私命によりまして一月五日に立ち、アメリカに参りまして、アメリカ公益事業委員会研究参つたのであります。四月六日に日本に帰つて来たわけであります。従いまして一月五日から四月六日の間私は不在でございまして、この期間に最も電力編成の問題の重要なる事項審議された期間でございます。その期間私は不在でありました。従いまして本日証人として参りますにつきましては、その間の事情につきまして、できるだけ詳しく、当時おられた、また現在おられる方々の話も聞き、また書類も読んで参りましたけれども、何分にもおりませんときでありますので、その間にわたりますことは、さようなわけで書面であとで見ましたこと、あるいは報告を聞いたこと、あるいはまた皆から聞いたことによつてお答えをいたすということになりますので、その点は御了承を政府におきましては、この答申案につきまして研究いただきたい、かよう日にいます。この二月一日はすでに私本におりませんので、そこでちよつとその点を申し上げた次第でございます。この答申骨子は、地帶間電力融通円滑化料金の著しい地域差を防止するために、九ブロックによる地域別発送配電一貫会社をつくるほかに、融通会社をつくるということでありまして、その融通会社の能力は、大体現在日発の持つておる設備の四二%を融通する電力融通会社本州及び九州に設けようとする案であります。そこで政府といたしましてはただちにそれの飜訳にかかり、二月六日にその答申書の英訳を司令部に提出いたしたのであります。かたがたその間日本をいたしておつたわけであります。一月三十日に経済科学局長名をもちまして——これは二月六日にさかのぼるのでありますが、一月三十日に早く出せという発意味督促状があつたということをここでつけ加えておくわけでありますが、この二月六日に提出いたしました答申書に対しまして、二月十一日に経済科学局長名をもちまして、答申に対する司令部の反対の意見が表明せられたのであります。その内容は、この答申案については、これを採用するかしないかということは、まだ日本政府はきめていないようであるけれども、この答申案集中排除の精神に合致する案でない。またこれに試案としてつけられた松永氏の試案も期待された効果をあげることができない。こういうようなことが書いてありまして、そして至急に二月十五日までに、政府の案を出して来い、こういう指令が二月十一日に参つたのであります。
  18. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと途中ですが、司令部から賛成できないと言つて来た案は三鬼案ですね。再編成審議会でつくつた……。
  19. 武内征平

    武内証人 審議会答申案でございます。
  20. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると三鬼案と違うのですか。
  21. 武内征平

    武内証人 いわゆる三鬼案です。正式の融通会社案答申案でございます。世上三鬼案とか言いますけれども、答申案であります。続けてよろしゆうございますか——。稻垣通大臣といたしましては、諸般の情勢を考慮いたしまして、答申案参考意見として附加せられました松永ブロツク案を採用いたしまして、これをもつて司令部と交渉することといたしまして、十五日のマーカツト会談においてこの旨の申入れ行つたのであります。実は二月二十日に稻垣通産大臣池田兼攝大臣と御交替になりました。一応十五日に申入れをしたのでありますが、二十日に御交替になりました。そこで政府は問題を根本的に検討する必要を認めまして、あらためて二月二十一日の閣議におきまして、おおむね二月十五日の申入れの線に沿いまして九ブロツク案を採用するほか、料金地域差調整につきましては、水力発電所に対する特別の賦課金を財源といたしまして、火力発電所のキロワツト・アワーに対しまして補給を行つて調整するということ、それから行政機構については現状を維持しまして、すなわち現在の電力局は存置する、別に公益事業審議会通商産業大臣諮問機関といたしまして設けようとする趣旨の、電気事業の再編成及び公益事業行政機構に関する件というものを決定いたしまして、二十三日に司令部へこの旨を申入れ行つたのであります。  次に電気事業の再編成についての司令部の御意向は、ブロツク別発送電会社はその供給区内電源を所有し、地帯間の融通についての調整は、これは公益事業委員会で行うようにということでありまして、ブロツクの数については、当初は七つあるいは九つを妥当とするという空気であつたのでありますけれども、突如といたしまして一月十九日の審議会司令部との会談におきまして、十ブロツク案というものがケネディ氏から提示されたのであります。この十ブロツク案と申しますのは、信越地区一つ会社を設けるのでありまして、福島、新潟、山形の一部、長野の一部を含めまして、主として電源地帶一つ会社を設ける案、これが十九日に示されたのでありますが、その際に同時に公益事業委員会法案が示されたのであります。司令部といたしましては、この十ブロツク案の線に沿いまして答申が出されることを期待した模様でありますけれども、審議会は十ブロツク案を実情に即せざるものとして答申しなかつたことは前に述べた通りでありまして、この十ブロツク案が出ましたのは一月十九日、審議会答申は二月一日でございます。二月二十一日の閣議決定に基きまして、二月二十三日、当時の池田大臣司令部に交渉せられまして、その結果三月十日付をもちまして、大体日本政府の案は異存ないから、通商産業省案実施するために、すみやかに適宜な措置をとることが望ましいという旨の回答があつたわけでございます。それに引続きまして、さらに三月十八日付をもちまして、三十五箇條にわたりますところの公益事業法案要綱司令部のミスター・ケネデイから示されたのでありまして、政府といたしましては、右の要綱趣旨に基きまして法案の整備を急ぎ、関係官庁との打合せを遂げまして、四月八日の閣議におきまして、電気事業編成法案及び公益事業法案を決定し、ただちに司令部民政局へ提出いたしたのであります。四月十三日に経済科学局から修正案が示され、それにつきまして検討いたした結果、十九日あらためて修正案司令部民政局に提出いたしましたところ、ただちに司令部からの承認がございましたので、四月二十日に関係法案国会に提出いたしたのであります。ところがその法案審議未了に……。
  22. 篠田弘作

    篠田委員長 それは聞いていない。そこまででいいです。  ちよつとお尋ねしますが、民主化委員会でつくつた案が、本州九州現状のままにおいて、北海道四国を一本にするとあなたが言われましたが、それは北海道を一本、四国を一本、それぞれ一本にするというのですか。
  23. 武内征平

    武内証人 さようであります。
  24. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは第七国会に提出した政府案概要と、これが審議未了なついきさつについて説明をしていただきたい。
  25. 武内征平

    武内証人 第七国会の提出いたしました電気事業編成法案及び公益事業法案骨子を御説明申し上げます。まず電気事業編成法案について申し上げますと、経済民主化要請に即応いたしまして、電力国家管理態勢を刷新いたしまして、電気事業の再編成実施するため、集中排除法指定を受けた日本発送電株式会社及び九つ配電会社を解体いたしまして、現在の配電図案そのまま供給区域といたしますところの九つ電気事業会社を新設いたしまして、民有民営基礎の上に企業運営上活発なる創意を発揮せしめるとともに、発送配電一貫経営によるところの責任態勢を確立せんというのがその趣旨でありまして、その際これらの新規会社はそれぞれ供給区域内の発送配電設備を保有することを原則といたしますけれども、各地区電力需給の均衡を保持し、なおかつさらに水火力発電所不可分一体として運営せしめる見地からいたしまして、特定の発送電設備につきましては、その所在にかかわらず帰属を決定いたしたのであります。かように民有民営、しかもその需給のバランスを保つために、地域外にも発電所を持たせることによりまして、電気会社としての供給責任がとれるというふうに考えたのであります。かような経営合理化供給力の増強、サービスの改善が招来せられて、ひいては電気事業に対する外資導入の再開の前提條件が成就するものであるということを考えたわけであります。今回のこの電気事業の再編成は、單に集中排除要請に対応するという消極的の見地ばかりでなく、国の最も大切なる基礎産業としての電気事業の正常かつ健全な発達を促進するという積極的な目標のもとに、この再編成が行わるべきであるというふうに考えたわけでありまして、持株会社整理委員会のほか、特に公益事業委員会が再編成実施の衝に当ることといたしたのもその理由によるのであります。  なおこの再編成法案は再編成に伴いますところの登録税の免除でありますとか、あるいは電気事業会社工場財団の特例でありますとか、あるいは資産評価法に対しますところの例外的規定等を定めまして、再編成の円滑なる実施をはかつております。なお本法案におきましては、公益事業民有民営原則に徹すべき旨の要請に基きまして、国または地方公共団体が新会社の株式を取得するということにつきましては一定の制限を設けた。しかしながらこの規定を強行いたしますことによりまして混乱が生ずるおそれがありますので、これを最小限度に防止するために一定——三年間の猶予期間を認めたのであります。さらにこの再編成法実施とともに、電力管理法及び日発法のうちの国家管理に関する規定は、これを廃止するということになつているのであります。  以上は再編成法案概要でございまするが、次に同時に提出いたしました公益事業法案概要を申し上げますと、公益事業法国家管理廃止後の公益事業行政機構及びこれによる公益事業監督調整に関する規定の大本をきめてあるのであります。すなわちこの法律国家行政組織法規定に基き、総理府外局として公益事業委員会実施することといたしておるのであります。公益事業委員会は、実は私がアメリカ研究に行きましたのは、この公益事業議員会研究参つたのでありまして、その範を米国のいわゆるレギユラトリー・ボデイにとつたのであります。わが国の憲法が議院内閣主義を採用し、行政各部内閣のもとに統一せられて内閣を通じて国会に対して責任をとるという建前をとつておりますので、委員会の性格につきましても、これを行政部の一部とすることといたしまして、総理府外局として設置することといたしたのであります。委員会内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する委員五人をもつて組織せられるのでありまして、委員長委員の互選であります。公益事業委員会使命公益目的の達成のために、電気及びガス事業及びその需要家並び投資家、その他利害関係者相互間の利害関係を調節いたしまして、これらの公益事業を指導監督し、特に料金その他経理面監督によりまして、間接電気及びガス事業の運営を規整することとしたのでありまして、料金の面から間接に規整するというのが公益事業委員会のポイントであります。従来の国管法はこれをコントロールしておつた。しかしながら国管法がとれて後にできたこの委員会式行政機関でありますところの委員会は、レギユレートする、ここが従来と違うところであるのであります。今後公益事業委員会実施せんとする行政は、公益事業休廃止、合併、解散及び設備讓渡等を認可あるいは許可し、公益事業会計基準を定め、資産価額を査定いたし、並びに資本金額変更利益金の処分、社債の募集、資金の借入れ等を認可いたしまして、電気及びガス料金その他の供給條件を設定あるいは変更を認可し、発電水利に関する調査調整をすること等でありまするが、特に再編成後におきましては、電力地帶間融通の円滑な実施を確保することがこの大きい使命なつておるのでありますが、さらに電気料金地域差の拡大を防止するため、委員会電力融通及び料金調整に関しまして、必要な命令を発する強力な権限を付與せられたことが注目すべき事実だろうと思うのであります。  最後に電気事業編成法案は、電力国家管理から電気事業民主化への切りかえのための臨時立法でございます。公益事業法案は、従来の電気事業法及びガス事業法にかわる恒久立法でございまして、同時に両法案が不可分の関係にあることは、再編成実施事務の大半が公益事業委員会によつて担当されておるということを見ても明らかであります。以上が両法案趣旨でございます。  引続きまして第七国会における審議未了なついきさつを申し上げます。先ほど申しましたように四月二十日に提案になりまして、たしか四月二十二日でございましたか、ただちに審議が始まつたのでありまして、そのときの第七国会は五月二日までであつたと私記憶いたしておりますが、その間におきまして以下のような点が国会で最も議論せられたのであります。  まず第一は地方公共団体の既得権の保護ということで、次のことが議論されたのであります。その一つ電気事業編成法案第八條を修正いたしまして、地方公共団体については電気事業会社の株式取得並びに保有を認めることとし、地方公共団体の既得権を保護し、同時に株式処分が株式市場に及ぼす悪影響を防止する。再編成法案第八條によりますと、「国又は地方公共団体は、いかなる名義によるかを問わず、指定会社又は新会社の株式を取得してはならない。但し、指定会社の株式に代えて新会社の株式の交付を受けるときは、この限りでない。」「2 国又は地方公共団体は、この法律施行の際現に所有する指定会社の株式をこの法律施行後四箇月以内に、前項但書の規定により取得する新会社の株式をその取得後四箇月以内に、処分しなければならない。」これが問題になつたのであります。それから三項といたしまして「公益事業委員会は、前項の規定による株式の処分が当該株式の相場に著しい影響を與えるものと認めるときは、この法律施行後二年を超えない範囲内において、前項の処分の期限を延長することができる。」その中に特に財政に著しい悪影響を及ぼすと認めるときは三年というふうにしてありまして、しかも第四項には、地方公共団体または国が議決権を行使してはならないということでありまして、しかも最大限三箇年以内に処分してしまわなければならないという規定があるのであります。御承知のように現在におきましては、日発、配電の株の大体一〇%くらいを国または地方公共団体が保持しておる、それを三箇年以内に処分してしまわなければならないということは酷であるということが非常に議論になつたのであります。  第二点といたしまして公益事業法案第二十八條第三項を修正して、これによつて特に必要な場合に新電気事業会社供給区域内に公営の電気事業を許可することを法律的に可能ならしめる。公益事業法案第二十八條三項には、一地域に重複して二つの会社を許してはならないというような規定があるのでありまして、これは新しくできる会社に独占を與えるものである、地方公共団体がこれをなすならばさしつかえないのではないか、こういう議論があつたのであります。  第三の論点といたしまして、公益事業法案の第三十二條の次に一條を追加し、公共の利益を増進するため、特に必要がある場合に委員会電気事業者の事業地方公共団体に讓渡することを命ずることができる。第三十二條は公益事業電気事業ガス事業の一部讓渡の問題でありますが、公共団体が電気事業経営したいという場合におきましては、それが公共の利益を増進するために必要であるならば、既設の電気事業会社事業を讓渡せしめることができるという規定を置いたらというのが、地方公共団体についての論議であります。  第四の論点といたしましては、公益事業法案第四十五條の地域差料金調整の問題であります。第四十五條の第三項には「委員会が前項の規定により作成する協定においては、一般電気事業者が水力発電設備の出力又は水力発電設備により発生した電力の量に応じ支拂うべき一定の金額が第三十九條第一項の認可又は第四十一條第二項の規定による変更に際し、当該料金の算定の基礎なつた原価に算入された限度をこえることを定めてはならない。」という規定があるのでありまして、大体水力発電の認可出力一キロワツト十五、六百円、それから火力発電の一キロワツト・アワーに対しまして六十五、六銭を補給するというようなことで、水力発電をやつておる会社あるいは補給を受ける火力の会社おのおの料金の中に片方は支出するものとして、片方は受けるものとして、入れておるというのでありますが、これはあたかも電気事業会社から見れば、とられる方から見れば、税金のようなものであるから、とられる最高限をきめておいたらどうかというようなことでありまして、この点につきまして御議論があつたのであります。  第五の論点は地帶間電力融通の問題でありまして、これを円滑に実施するために、委員会電気事業者相互間に給電会議を組織することを勧告し得るものとした。第七国会に提案いたしました案によりますと、特に関東、関西につきましては地域外発電所を相当持たせまして、その地区をベースとして成立いたします会社需給を極力バランスせしめるような、いわゆる潮流主義をとつた発電所の帰属が決定されておるのであります。ところがそれでもやはり新会社間と申しますか、地帶間融通ということが必要でありますので、第七国会に提出しました政府原案におきましては、公益事業委員会の権限といたしまして、融通に関する命令を発することができるようになつておりますが、融通というものは非常に微妙なものであり、非常に困難なものである。従つて單に公益事業委員会の命令だけで融通が円滑に行われるかどうかということにつきまして議論がありまして、これについて何か機関を設ける必要がないかというような点につきまして御議論があつたのであります。  第六点といたしまして、この公益事業の土地の立入り、植物の伐採、土地使用等に関するいわゆる既得権規定を復活するために公益事業法案第七十五條が定められたのでありますが、現在の電気事業法におきましては電気事業者が新たに発電所を建設し、または送電線を建設する場合に、土地立入り、植物伐採あるいは土地使用等に関する特権規定が存在するのであります。しかしながら政府原案におきましては、この規定が落ちておるのであります。それは所有権の絶対、所有権の尊重という点から、土地收用法の原則によつて、立入りしたり、伐採したり、あるいは土地使用したりしなければならないという関係方面の強い意向があり、またこれらにつきましても、存続するために交渉いたしましたけれども、時間的の関係で折れたのでありますが、政府原案にはこれが落ちておるのであります。なぜこれを落したのか。この規定は、かつて現在電気事業法になるとき苦労して入れたのに、どうして新しい法には入つておらぬかというような議論もありました。  第七といたしまして、電気事業会社の資金調達を容易ならしめる。公益事業法第五十一條及び第五十二條に修正を加え、電気事業会社の社債発行限度の特例を認める期間を一年から三年に延長して、さらに今後の社債発行についても一般担保の規定を適用する。すなわち現在日発、配電の資本金は七十二億でございます。ところが日発につきましては資本の三倍まで社債の発行ができるというふうな特権規定がございます。配電会社は一般商法の規定従つておりますので、これは資本の限度までしか社債が発行できない。ところが日発、配電合せまして七十二億の資本金である。ところが現在社債はたしか八十五億と私記憶いたしておりますが、十数億も社債がオーバーいたしております。それで再編成法においては、電気事業法なるがゆえに社債発行の特例を認めることは関係方面が認めなかつためであります。しかしながら現在において社債の方が資本金を十数億オーバーいたしておりますので、新会社成立と同時に社債をそれだけ直すとか、あるいは資本を増加するとかいうことは不可能でありますので、一年間を限つて社債が資本金を越えてもよろしい、その間にアジヤストする、こういうような規定があつたのでありますが、一年間はむりじやないかというような議論がありまして、これを三年に延ばしたらどうかというような議論があつたのであります。それから社債につきましても、現在ではゼネラル・モーギジと申しまして、一般担保の規定がございまして、自発の株を持つておりますると、特別に担保をとらなくても、日発が持つておる担保財源に対して当然に担保権を有する、こういうような電気事業に対しまして非常に固定資産税が多い、しかも各地域に固定資産が分散しておるような事業に対しましては、この一般担保の規定というものはわれわれといたしましては非常に有効なる、便利なる制度であるというふうに考えておつたのでありまするが、原案におきましては、関係方面の御主張もありまして、四月十五日以前の社債権者にのみ一般担保の規定を認めまして、それ以後の社債権者にはこれを認めないというようなことになつておる。しからば今後の社債権者は一般担保でなくて、特定担保ということになりますると、一般担保制度がおのずからくずれるということになりますので、これはこの案ではいかぬじやないかというような議論があつたのであります。さらに九分割についてのいろいろの御意見もあつたのでありまするが、條文の修正等につきましては以上の点が問題になつたのであります。  審議期間も非常に短かつたのでありまするから、御熱心に御検討はいただいたのでありまするけれども、成立に至らず、ついに審議未了に相なつたというのが結果でございます。
  26. 篠田弘作

    篠田委員長 電気事業の再編成に関して、関係業者団体、たとえば日発配電会社、電産、あるいは電力需用者及び公営復元論者というような方面でいろいろの運動があつた事実がありますが、これについて知つている事実を述べてください。たとえば片一方は反対、片一方は賛成といつたようないろいろ運動があつた……。
  27. 武内征平

    武内証人 その運動という意味は、各界からの意見という意味でございますか。
  28. 篠田弘作

    篠田委員長 たとえばあなた方の立場において受けた意見もあつたろうし、具体的な運動もあつたろう。
  29. 武内征平

    武内証人 われわれのところに書面で届きました、あるいは書面を携えて関係の方々が来られたということは、非常に多いのでありますが、それを法案提出前と法案提出後、それから最近とにわけまして大体申しますと、法案提出前においては九十七件、陳情と申しますか意見書が出ております。それから法案提出後、すなわち四月の終りから八月までに七件、それから九月以降におきまして十一件ございます。これは書面によつて正式に受理したものがおもでありまして、はがき等で、個人の名で賛成とか反対とかいうのはこのほかにございますけれども、一応われわれの方として記憶にとどめてあるものとしては以上であります。この全体の傾向をたどつてみますると、御承知のように、電気事業者のこれに対する意見と、それから需用者であられる全国の方々、及びその地方を所管しておられるところの知事とかあるいは県会議長とか府会議長とかというようなものがあるわけでありますが、日発は二十三年の二月に指定せられて、全国一社化案を提出いたしておる。しかしながらその後の経過において一社化案を必ずしも推進しておるようにはわれわれ拜見していないのでありまして、大体現状維持という御意見のようにわれわれは存じておるわけであります。それは現在電力が不足しておる。従つて分割することによつて融通が不円滑になりはしないか、あるいは分割することによつて料金地域差ができやしないか。従つて分割に根本的には必ずしも反対ではないという意見を言われる方もありますが、その時期方法についてはどうか、こういうような言いまわしをせられる方もありますが、大体現状維持というふうに私は考えております。配電会社は、すでに持株会社整理委員会から提出を求められた意見には、九つの現配電会社の地域を区域とする発送配電会社分割案をとられまして、それ以来今日まで経過しておるのであります。それから一般業界、地域ということによつて分類いたしてみますと、大体九州北海道四国、中国、時期によりましては近畿等が、大体再編成反対という意向が最初には強かつたのであります。しかし再編成反対の理由も、地域によつて異なり、また時期によつて賛成、反対の議論がかわつて来ておるのであります。ことに東北地方とか、あるいは北陸地方は、再編成には賛成であるけれども、電源の所属は属地主義という條件づきの賛成がありますが、これは東北地方あるいは北陸地方の公共団体、あるいは経済団体一般の意見であります。特に北陸につきましては、富山、石川、福井を合せて一ブロツクにした北陸の会社を残すということを條件とする、あるいは東北におきましては、新潟、福島を含めた東北の会社設置するということを前提とする、こういうふうになつております。あるいは一部におきましては、延期と申しますか、今ただちにこの実施をすることは、いろいろな意味において経済が過渡期であるから、従つてこの時期に再編成することは、混乱を招くおそれがあるから延ばしたらいいというようなところもありました。     〔委員長退席、安部委員長代理着席〕 賛成の地区は、大体関東、中部、東北、北陸、最近に至りましては、関西は賛成であるが、電源の所属については潮流主義をとるというようなことで、時期により、また賛成、反対の理由もおのおの異なるのですが、要するに再編成の反対、賛成のポイントは、電力料金調整の問題と、それから電力融通の問題でありまして、分割することによつて電力地域差がつくことを恐れるから反対するというのと、それから電力が不足している現在、これを分割することによつて融通が不円滑になるであろう。従つてこれに反対するというような二つが、おもなる反対の理由なつているように考えるのであります。
  30. 安部俊吾

    ○安部委員長代理 次に電気事業に対する政府監督方法について、お述べください。
  31. 武内征平

    武内証人 日本発送電株式会社法、あるいは配電につきましては、電気事業法に基きまして、政府は、たとえば社債の募集でありますとか、資本の増加あるいは利益金の処分でありますとか、あるいは財産の電気施設の処分といつたものにつきましては、政府の許可または承認を受けるということになつております。ことに收支の決算につきましては、大体日発は一年決算でありまして、配電は二期決算でありますが、会計規程によりまして、その決算の終つた後に、一定期間の間に検査をいたしておるわけであります。     〔安部委員長代理退席、委員長着席〕 もちろん事業監督、それから会計の監査と申しましても会計の検査はことに事後になりますので、会計検査院が公団を検査するといつたような立場と多少異なりまして、会計規程に適合して検査されているかどうか、会計の整理方法が統一されておるかどうか、あるいは整理方法が適切であるかどうかといつたような面、あわせてこの企業の合理化という面から、われわれは監査した後に、おのおの指示、注意を與えておるのでありまして、いわば電気事業公益事業でありますから、国民経済見地から監督をいたしております。従いまして、先ほど申しました会社の出します資本の増加、あるいは利益金の処分、あるいは社債の募集、一定の財産の処分といつたようなことにつきましては、許可認可をする。また会計につきましては、一定期間にこの報告をとり、規程によりまして一定の時期に実施監査をいたすというのが現状でございます。
  32. 篠田弘作

    篠田委員長 何か委員の方から御質問ございませんか。
  33. 福田一

    福田(一)委員 証人に二、三の点を御質問申し上げたいと思うのであります。御存じのように、本件は天下の耳目を衝動さした大きないまわしい問題が含まれておるやに考えられまして、われわれ考査特別委員会として、この点を明瞭にしなければならないという見地から、今その審査に当つているのであります。しかもわれわれとしては、同僚議員の中に何かいまわしいことがあつたというような疑問を抱かせている。そういう意味合いにおきまして、これは国会の名誉、あるいはまた同僚議員の名誉というものを傷つけるものであるというような意味においても、よほどこれを明瞭にいたす義務があると考えておる次第であります。先ほど証人が申されました、この法案が第七国会に提出されましたが、その提案が遅れた期間、三月の十日前後から四月の二十日前後までの間におきまして、どういうような経済があつたために、議会に法案の提出が遅れたかということを明らかにしていただきたいのであります。というのは、われわれ議会におりまして聞いておつたものの中でも、日本発送電株式会社は、この法案に反対であるために、法案を議会に出すことを遅らせる運動をしておつた。その結果として、法案の提出が遅れたのであるというようなことをうわさしておつた者もあるのでありますが、はたして三月の十日から四月の二十日までの間に、当然提出し得るものであつたかどうか、それが提出できなかつたのはなぜかということを、もう少し明らかにしてもらいたいと思います。
  34. 武内征平

    武内証人 お答えいたします。先ほど経過として御説明をいたしました際に、三月十日に司令部から法案についてのアプルーバルが参つたということを申上げておいたのでございますが、三月十日に経済科学局長から、異存がないから通産省としてはその案を実施するために急速な処置をとれということがあつたが、それ以来四月二十日に提案までの間期間があるが、どういうわけで遅れるかという理由説明しろ、こういう御質疑でありますが、この三月十日に司令部が承認せられましたのは、実はわれわれの再編成の日付表がございますが、それを繰つてみますと、三月六日には当時の池田大臣がケネデイ氏と最後にお会いになりまして、そうして再編成の大部分について了解を得たという会談の日が六日でありまして、その六日の一致いたしました点は九分割案によること……。
  35. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと証人に御注意申し上げますが、委員からの質問にだけ明瞭に、簡單に答えてください。
  36. 武内征平

    武内証人 三月十日に認がありましたが、しかし九分割すること、あるいは地域外の所属はこれを認める、料金地域差調整異議はない、それから公益事業委員会内閣に置くというような根本方針につきましては御了解があつたのでありまするけれども、そのほか内閣に置く公益事業委員会の性格、あるいは料金調整の具体的方法、あるいは需給調整の権限を公益事業委員会が持つかどうか、あるいは保安施設の監督といつたような面をボデイに行わせるかどうかといつたような、まだまだ大きい問題が残つおりまして、十日によろしいと言いましたその実施方法、またボデイの性格問題、それ以外でなお議論する問題がたくさんあつたのでありまして、そのために折衝にひまがかかつたのであります。それが三月の末までにやつと片づきまして、四月一日から立案をいたしました。立案後は四月八日の閣議決定、それからさらに司令部に提出いたしましてもこまかい点で審議が遅れたのでありまして、われわれ事務当局といたしましては、大臣以下司令部と折衝を重ねてやつたのであります。もちろんその間司令部の御都合もありまして、御審議の決定的の意見をいただけないという期間もございましたけれども、日本政府といたしましては、大臣以下非常に馬力をあげてやつて、それで四月二十日の提案ということになつたように私は聞かされ、また四月七日以降は私自身も折衝に当つたのでありまして、それが大体の経過でございます。
  37. 福田一

    福田(一)委員 次に先ほどの証言によりますと、電気事業の再編成については、関係業者や団体等から相当たくさんな陳情があつたということを承つたのでありますが、そうするとその場合には、もちろん需用者側から反対も相当多かつたものと思うのであります。特にわれわれが了承しているところでは、当時ずいぶん全国的に需用者側から、先ほど証人が申されましたように、電力が不足しはしないか、電気料金が上りはしないかということで、たいへんな反対があつたと私は了承しておるのでありますが、そういうような非常な不安あるいは反対があつたにもかかわらず、あえてこの点を無視したような九分創案を出されたという理由を、もう一度簡單でよろしいから御説明願いたいのであります。
  38. 武内征平

    武内証人 先はども御説明いたしましたように、集中排除による指定によりまして、分割はどうしてもやらなければならぬという状態にあることが一つ。それから各方面の反対を総合いたしますと、要するに料金地域差がつめに料金調整のシステムをとり、それから融通の問題につきましては、極力地帶間融通の限度を少くするということが一つと、さらにその少くなくということ。それから分割によつて融通が不円滑になるということが、集約いたしました反対の理由であります。従いまして再編成はしなければならぬ、しかしながらこの二つの反対をカバーできるような案であれば、これは再編成案に適するものであると言い得るというふうに考えまして、一つ地域差の程度を開かさないたつた限度において、公益事業委員会に最後の調整の命令権を與えることによつて目的を達するであろう、こういうところから九分割案ということになるのであります。
  39. 福田一

    福田(一)委員 その間のそういうような陳情その他の場合には、需給調整るとかいろいろな問題があつたと思いますが、そういう場合にいわゆる銀座電力局と言われた松永さんの事務所で、日発関係者あるいは配電の関係者と電力局あるいは資源庁関係の人たちが特に会合をしたとか、あるいはそういうところへ出入りしたというようなことがあるかどうかお伺いしたいと思います。
  40. 武内征平

    武内証人 松永委員長委員であられますときは、事務の連絡その他で委員長の方からお呼びのあつたこともありました。できましたのをこちらからお届けするということもありました。当時はたしか虎の門の辺にあつたと思いますが、そこに書類の関係等で連絡に参つたということはあるのでございますが、答申案が出まして、すなわち委員長をおやめになりましてから、特に再編成の問題で出て来たということはないように聞いております。特に日発、配電の方々はわれわれとは相一体になりまして電気事業の運営をやつているわけでありますから、常に役所にもお出でになりますし、また会議のためにわれわれの方が行くのでありますが、特に再編成の問題につきまして会合したということはあまりないのであります。陳情にお見えになることはありまするけれども、これをどうしようああしようという案の検討といつたようなものにつきましては、私自身はそういう会合を持つたことは記憶がございません。
  41. 福田一

    福田(一)委員 証人は先ほどの証言でもつて電気事業に対して政府監督をいたしておる。日発、配電については毎年一回の会計監査をやつておるというような御説明があつたのでありますが、私たちから見ますと、昭和二十三年度にはわずか日発の雑費というものは三千三、四百万円であつた承知しておるのが、二十四年度になりますと、これが七、八千万円の倍額以上になつたように了承いたしておるのであります。そうすると二十年度のちようど再編成の時期にあたりまして社用の雑費が非常にふえておるということになるのでありますが、この点については毎年監査をされ、ことしも監査をされたと思いますが、その監査をされたときに疑問の点があつたかなかつたか、その監査は満足すべきものであつたかどうかということを、ひとつ説明願いたいのであります。
  42. 武内征平

    武内証人 日発につきましては五月十九日から六日間会計の監査をいたしております。御指摘になりましたように、二十三年度の雑費が三千数百万円ということは事実でありまして、このときの二十三年度全体の收入が二百六億になつております。この二十三年度は御承知のように日発は火力をたく機関もないといつたような状況でありまして、赤字々々を続けて来たときでございます。もちろんこの年の雑費は会議費でありますとか、あるいは交際費といつたようなもの、いろいろございまするが、そういう時期でありまして非常に逼塞した、出したくても出せないといつたような状況であつたと思います。二十四年度は七千万ばかりになつております。しかしながら二十四年度の全体の收入を見ますと、年間二百八十億あまりになつております。わずか〇・三%に至らないのでありまして、二十三年度は全体の收入に比べまして〇・一六%といつたような程度であります。これを一般の会社に比べますと一般の会社で二、三、そういう意味で局内で研究いたして見ましたが、一%程度は大体常識であるというようなことも言われております。従つてそれに比べますと〇・何%ということでありまして、これは必ずしもわれわれは社内雑費として多いとは考えません。なお二十三年度と二十四年度の比較におきましても、二十三年度は先ほど申しましたように日発は赤字を続けていた。二十四年度は料金も上りまして、従来押えていたものを出して行くといつた点、それから二十四年度から例の見返り資金等も出まして、日発としては事業内容が相当活気を帶びて来た。また一面増資、あの金融の困難なときに倍額増資をしているというようなことで、社の活動が全面的に活発になつて来たというような面等を考え合せますと、必ずしもそれは二十三年度二十四年度の比較において二十四年度が多過ぎるということは言えないと思います。さらに他の会社との比較におきまして、決して社内雑費というものが多いと考えませんので、ただ節約をするということは、これは望ましいことでありますから、われわれの監査の結果といたしましても、できるだけ節約をするようにということは申してありますけれども。このように考えております。
  43. 福田一

    福田(一)委員 実はこれは新聞紙上で見たことでありますが、電力局の山岡課長が、今度の見返り資金による電源開発について、ある公開の席上で約四億円くらいの令を請負師から出させて、そして日発が運動をしているというようなことを言つたということが新聞紙上に発表されているのでありますが、これは一体事実かどうか、あなたが御存じであつたならば申し述べていただきたい。
  44. 武内征平

    武内証人 ただいま御指摘の点につきましては、私新聞を見ましたので、ただちに山岡課長を呼びまして質しましたところ、山岡君はさようなことを言つた覚えはございません。しかしその後もう一ぺん私は、局内で申したというのを、他の課長等も呼びまして、山岡君がそういうことを言つたことがあるかということを各方面に当つたのであります。山岡君は世上伝つているように、相当の金がもし出たとするならば、あるいはそのカウンター・パートの金が業界にまわつているから、その金が融通されたということも考えられるかもしれないということで、事実を本人はもちろん知つておりませんが、出たとすればそういうことであるかもしれぬかというようなことを仮定に基いて話した覚えはあるということでありますから、大体そういう仮定に基いて話をしたことが、事実を申し上げたように間違つて伝えられたのだろうというように、私はただいま考えております。
  45. 福田一

    福田(一)委員 そこで私は非常に意外に感ずるのであります。それは何かといいますと、あなたは日本発送電株式会社法というものを、監督者としてよくおわかりになつていることと思うのでありますが、その第六章には「監督及義務」ということがあります。三十三條から三十八條までその條文があるのでありますが、その中で特にこの場合重要と思いますことは、三十六條には「主務大臣日本発送電株式会社監理官ヲ置キ日本発送電株式会社ノ業務ヲ監視セシム」と書いてあります。そのほかに監督のことについては、いろいろ規定があるのでありますが、電力局というものは、当然日本発送電会社監督すべき義務があるわけであります。その義務があつて、しかもこういうふうに監督することができるような條文が掲げられておるにもかかわらず、電力局課長をされておるような方が、あるいはそんな方法があるかもしれませんというようなことを言われたということだけでも、実は非常におかしいことだ。むしろこれはあなた方の方で、毎年よくお調べになるなり、あるいは監理官でも置いておかれて、今回のような疑惑をもつて見られるような問題があつたならば、当然電力局としては、われわれは今まで十分監督をしておるのであるが決してそのようないまわしいことはないということを、天下に向つて公表する義務が私はあると考える。この法律の條文によつても、その義務は裏づけられるわけである。そういうような放言があるにもかかわらず、今まで監理官を置いて常時監督されなかつたのは、私としてははなはだ遺憾である。もし電力局がそういうような監督方法とつておられたならば、今回のような疑惑をもつて見られるような事件は、起きなかつたであろうし、またたとえそういうような問題が社会的に発生したとしても、電力局責任をもつてこれを解明することができたと私は考えるのであります。しかるに今までこれを放置されておいたということは、非常にわれわれとしては遺憾でありますが、一体第三十六條にこのようにはつきりと條文が規定されておるにかかわらず、今まで何ゆえに監理官を置いて監督をせられなかつたかということについて、明快なる答弁をお願いいたしたいのであります。
  46. 武内征平

    武内証人 ただいま御指摘のように、監理官を置くことに法文上なつておりますが、実は監理官は、たしか昭和十八年に軍需会社法ができまして、生産責任者の権限が拡大いたしまして、事実上監理官がいらないというような状態になつたものですから、十八年の末ごろから実は監理官を置いておりません。また終戰後におきましては、経済民主化と申しますか、官僚の監督とか統制というものは、あまり希望せられないというようなこと、またかたがた日発内部におきましては監事の制度がありまして、相当に有力なスタツフがありまして、これを監督しておるというような点からいたしまして、また従来監理官を置いておきました当時におきましても、大体本省の課長あるいは部長が監理官を兼務しておるというようなことで、專属的にやつてないし、また監理陷官がみずからその権限によつて監督するためには、有力な人を選んで、相当なスタツフを持たなければならぬというようなところからいたしまして、実は今日まで監理官を置かなかつたのであります。しかしながら御指摘のごとく、法規もかようになつておりますし、また監理官制度というものは必要だというふうに考えますので、この点はひとつ上司と相談をいたしまして、この監理官を設置するかどうか、任命するかどうかということについては、後日まで留保させていただきたいと思います。
  47. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御説明では、私が聞いたのでは、今までなぜ置かなかつたかということについては、昭和十八年に特殊の事情が起きて、置く必要がなくなつた。その後終戰になつた後も、その当時の事情をそのまま継続して、今まで置かなかつたのだ。こういう私に対する答弁があつたと了承するのでありますが、私が言つているのは、そういうものを置かなかつたというのは、はなはだ怠慢でなかつだかということを、実はお聞きいたしたのであります。ところであとで御説明がありましたが、こういうような法文があるのでありますし、また今後電気事業の再編成をやらなければならぬ。再編成をやる場合には、電源の帰属の問題、あるいは送電線の問題、あるいは株式の問題、あるいは付属建物の問題、いろいろな問題がありますが、これに対していろいろ財産権を主張するようなものが多いのであります。さように相成りますと、今後もいろいろ世間から疑惑をもつて見られるような事件が起きては、われわれ国会におる者としても、はなはだ迷惑である。従つて私は政府としては、当然この監理官制度というものを、これを機会にひとつ復活さしてはどうかというような考えを持つておるのであります。但し、この問題は、單に考査特別委員会の問題でなく、これはむしろ通産委員会の問題でもありますので、これは別の機会にお伺いすることにいたしますけれども、今あなたはその制度をもう一度考慮してみるというお考えであつたようでありますから、どうか私としてはぜひこういう制度を復活さして、今後再編成を行うにあたつても、そういう疑惑の目をもつて見られるようなことが、起きないような措置とつてもらいたいという希望を申し述べまして、私の質問を終ります。
  48. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 今の山岡課長のことに関連いたしまして、一言お尋ねいたしたいと思います。去る九月十日ごろ、電力局において電力局議、電力局会議というようなものを開かれましたかどうか、お尋ねいたします。
  49. 武内征平

    武内証人 ただいまのお尋ねは、九月十日でございますか……。
  50. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 十日前後です。その前後において、局会議が開かれたことがあるかどうか。
  51. 武内征平

    武内証人 ちよつとただいま記憶がございません。大体局議は水曜日の午後やつておりますが、お尋ねの十日は日曜でございます。
  52. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうするとその前後はいつごろ開かれましたか。
  53. 武内征平

    武内証人 定例は水曜日の午後でございますから、十三日か、その前は六日でございますが、臨時的にやりましたり、都合によりまして定例の局議が延びたりいたしますので、そのころいつやつたか記憶いたしません。
  54. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 六日か十三日かわかりませんが、そういう会議をお開きになつたことは事実でありますね。定例会議を毎週やるのだから……。
  55. 武内征平

    武内証人 やつております。
  56. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それにはどういう人たちが参列するのでありますか。
  57. 武内征平

    武内証人 課長、部長、局長でありますが、課長不在の場合は課長補佐が出て参ります。
  58. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたも大体それには御出席になるのでございましようね。
  59. 武内征平

    武内証人 私が原則として出席いたすことになつております。
  60. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、九月の十日前後の局議におきまして、山岡水力課長が、日発は土建業者から一〇%のリベートをとつておるということを発言したという確実な情報を得ておるのでありますが、さようなことはありましたか、ありませんか。
  61. 武内征平

    武内証人 私が出席いたしております局議におきましては、私はさようなことを承つたことはございません。
  62. 椎熊三郎

    椎熊委員 今の電気会社監督権のことなのですが、監督いたして不当と認めたような財産の処分、あるいは不当と認めた收入支出があつた場合にはどういう措置を講ずるのですか。
  63. 武内征平

    武内証人 許可認可事項につきましては、これはあらかじめ許可認可を受けなければ効力を発生しないという場合が多いのでありますが、ただ決算等につきましては、すでにやつてしまつたことについての批難でありますので、これは大体こちらから指示をいたしまして、整理上誤つておる、すでにできた工事が仮勘定に載つてつたり、資産勘定に入るべきものが仮勘定に載つておるというような場合には、整理方法を指示して改めさせるといつたようなことで、会計整理、それから経費の節減というようなことにつきまして監査の結果、監査委員報告に基きまして、電力局長名あるいは資源庁長官名で示達をいたしまして、そうして一定期間にそれに従つて直した報告をとるというようにいたしております。
  64. 椎熊三郎

    椎熊委員 同じことのようですが、別の角度からそれを聞きたいのですが、具体的に日発あるいは配電会社会計の監査で不当と見られるような事実は過去においてなかつたのですか。
  65. 武内征平

    武内証人 実は日発、配電につきまして個々に指示をいたしておりますが、非常に大きい不当があつたというようなことは、私が電力局長に就任いたしましてからは記憶をしておりません。しかしここに指示事項が個々の会社にありますから、もし御要求があれば、こういうことを指示しておるということは申し上げてさしつかえないと思います。
  66. 椎熊三郎

    椎熊委員 日発は二十三年度までは非常に会計上不況にあつた。その後見返り資金の融資なんかがありまして、業態が活発になつた。従つていろいろな費用が多分にかかつたのであろう。そういうことを証言されましたが、監督官庁たる通産省と、日発あるいは配電会社との間の事務上の関係は、二十三年度と二十四年度においてよほどの開きがありましたのですか。
  67. 武内征平

    武内証人 実は私は二十四年の五月二十五日に拜命をいたしたわけであります。従いまして二十三年度につきましてはあまり存じないのでありますが、聞くところによりますと、やはり見返資金の許可をいただきます前に、これは一件につきまして厖大なる資料がいるのでありまして、伝えられるところによりますと、この申請書をコンプリートするためにのみ二、三百万円かかる、こういつたようなこと、またその書類は日銀、大蔵省を通じまして司令部に参るのですが、これはフアイナンスの方に参るのであつて、ユーチリテイ・アンド・フユール・デヴイジヨンの方には電力局を通じてやるということでありまして、そういう書類は一見しましても製作困難でありますから、それが日発だけでも三十か四十あるのでありまして、相当なのであります。開発が始まつてから、ことに電力局の開発部というのは大体それに対応する部でありまして、それ以前は部になかつたのでありますが、そういうために部長を置いて三十数名の部員がいる、こういつたようなわけでありますから、プロパーの仕事よりは確かにふえているということは申し上げられると思つております。
  68. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは二十三年度の分は御存じないことはしかたがありません。二十四年度の会計の監査について、当委員会調査員が調べた資料を当委員会は持つております。それによると、渉外関係の費用だけでも千四百万円を越えております。監督官庁どの関係においては七百二十二万円、労務関係においては数千万円の金。まず第一に、あなたが直接御関係なつている監督官庁の関係において消費せられたという七百万円からの厖大な金の内容をあなたは御承知であるかどうか、使途等について伺います。
  69. 武内征平

    武内証人 私存じておりません。
  70. 椎熊三郎

    椎熊委員 この監査された当の責任者はあなただろうと思うのですが、そういう監査の内容について詳しいことは知らぬとおつしやるのですか。
  71. 武内征平

    武内証人 知らなければならぬと思うのでありますが、これにつきましては調査いたしましてお答え申し上げたいと思います。
  72. 椎熊三郎

    椎熊委員 実はこういう点に非常にわれわれとしても疑問を持ち、渉外関係だけでも千数百万円の金を使つたということについては、渉外関係の人でも、それじや千数百万円もすき焼を食つたのかと言つて、笑い話のようですがびつくりした。いわんや、監督官庁との間に七百万円からの金が消費せられて、多くはこれが饗応費というがごとき疑惑を持たれている点を明らかにしてもらいたい。あなたがおつしやるように、一つの書類を出すにしても非常な部厚な書類であつて、そのために何人もの人を増設しておる。そのために渉外関係の費用がいるのだというならば、世間の疑惑が解けるのですけれども、その内容をあなたが全然知らぬということであるならば、疑惑は一層深まるということなんです。ことにあなた方と日発、あるいは配電会社との間において、事務所以外の会合等が当委員会から資料として提供されておる。そういうことはきようは質問しようとは思いませんけれども、そういうことも兼ね合せてあなた方の立場を明瞭にし、この事件の真相を糾明するためには、あなたがこれを知らぬという状態でははなだけしからぬことだ。ことに昭和十八年以来今日まで法文を無視して、監理官を置かなかつたということはお認めになる。それは確かにあなたの怠慢である、官庁の怠慢であるということをお認めになるのかどうか。あなたは今渉外関係あるいは官庁との連絡費用に使つた金の内容を知らぬという、あなたの怠慢をお認めになるのかどうかお答えを願いたい。
  73. 武内征平

    武内証人 実は私就任いたしまして一年数箇月になるわけでありますが、日発関係の方と役所以外でお会いしたということはほとんどないのであります。特に官庁関係にお金を使つておるというようには実は私考えなかつたものですから、さようにお答えいたしたのであります。この点につきましては今後私もよく気をつけまして注意をいたしますと同時に、調査の上お答え申し上げたいと思います。  ただ監理官制度につきましては、御指摘のように、実は先ほど申し上げましたように、監理官制度があるのでありますけれども、必ずしも従来成績をあげていない。また経済民主化の波から官僚統制というものは一般には受入れられないということからいたしたのでありまして、この点は今度上司の指揮を仰ぎまして至急改善いたしたいと考えております。
  74. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは就任以来非常に年月も短いようですし、その間外遊等もなされまして、実際職務を管掌しておられた期間が短期間であつたので、御存じないと思いますので、あなたに関する限りこれ以上私は聞こうとは思いませんが、最後に一点だけ聞いておきたいことは、今日まで監理官を置かずして、しかも重大なる監督責任を持つておる官庁が、日発あるいは配電会社に対する経理上の責任を役所内で担当して、直接お調べになつておる方はどなたであるか。あなたは直接やつておらぬと想像するのですが……。
  75. 武内征平

    武内証人 経理関係事務を所掌いたしておりますのは業務課でございます。課長は現在竹田と申します。実は前任者が職務上結核で倒れまして、それを引継いでつい二、三箇月前に業務課長になられた。かような次第でありますから業務課で、現在の責任者は竹田と申します。
  76. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 先ほど委員長から、電気事業編成に対して関係業者並びに団体等はいかなる動きを示したかという質問がありましたのに、証人から証言があつたのですが、関係業者並びに団体等につきましては、日発はいわゆる現状維持、それから配電会社は分割に賛成ということですが、電産の動きに対しての証言がなかつたのですが、電産の動き等について御記憶の点がありましたら、電産がどういう動きをやつたかということについて御説明が願いたい。
  77. 武内征平

    武内証人 大体電産は一社化案でやるという従来の持論を持つております。分割には反対でありますが、一社化案ということでしばしば私の方に書面をいただき、またお話もあるのであります。ここに電産からの書面がありますから、ちよつと読み上げますと、二十五年一月二十六日、電産労働組合山形県支部、再編成に当つて日本経済全体の観点から愼重に検討し、分断絶対反対の線を堅持されるよう要請する。かような文面が出ております。それから二十五年一月二十四日、電産労働組合東京分会、分断絶対反対危機大会において左のごとく決議した。産業を破壊する電気事業分断反対、電気事業の一社化促進、電源開発促進、料金の値上げ反対、こういうようなことであります。
  78. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 電産関係で分割反対という決議をして、相当運動をしたということも聞いておりますが、今度の問題で一番問題になりますのは、いろいろ電気事業の再編成に対しては賛否両論がありますので、その立場々々において賛成反対の運動をされるのは当然だろうと思うのです。ただそこにかかわるのは、いわゆる金銭の問題でありまして、幾ら幾らもらつたとか、あるいはどこどこにおいてこういう会合をやつたということが非常に世間の疑惑を生んでいるのでありますが、あなたに対してそういう書面による決議案とか、あるいは書面による反対賛成のいろいろな陳情があつたろうと思うのですが、個人的に配電会社とか、あるいは日発とか、電産関係とかいう人たちから、強力なる一つの立場上の主張をあなたがお聞きになつたことがふるかどうか承りたいと思います。
  79. 武内征平

    武内証人 ちよつと御質問の趣旨が……。
  80. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 もちろん電力局長としてのあなたの立場……。
  81. 武内征平

    武内証人 私は始終電産の諸君、あるいは日発配電の方々に会うわけでありますが、私が先ほど申し上げましたように、おのおのの主張に従つてパンフレツトや印刷物等を持ちまして私の方に見えるのであります。しばしばそういう点でお目にかかつたことはあります。
  82. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 しばしばそういうことについて会合——会合と言うと語弊がありますが、会われたということでありますが、その内容についてはもちろんその立場々々であつたろうとは思いますが、日発などにおけるところのいろんなうわさは、先ほどから問題になつております通り、二十三年度の経費の問題等があつて、二十四年が非常にふえておるということは、あなたの説明で大体私も了承したのですが、そういう金のことで、あるいは配電関係なんかのことをお聞き及んでおる点がございませんか。
  83. 武内征平

    武内証人 配電関係につきましても、一応社内雑費的なものを全部調べてみました。これまた全收入に対する社用雑費の例でありますが、あるいは、〇・三一、〇・一五、これは二十四年度でございますが、〇・三、〇・二八、〇・五二、〇・一七、〇・二六、〇・四一、〇・二三、〇・三〇といつたようなもので、やはり日発も配電と似たようなものでありまして、他の一般の例と比べて特に多いというふうには私感じません。
  84. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 日発、配電のお話は承つたのですが、次は電産でありますが、電気事業全般に対しての政府のあなた方は、いわゆる監督する立場にあるのですが、電産の労働組合等に対してのあなた方のお立場ということを概略お話願いたい。
  85. 武内征平

    武内証人 御承知のように電気事業の従業員は現在十四万二、三千おる。その大部分が組合に属しておりまして、しかも電気事業につきましては相当高度の技術がいる。従いましてこの電産従業員諸君の公共性に徹した積極的な協力がなければ、決して電気事業の運営はうまく行かない、かように私は考えておるのであります。従いまして労働組合の趣旨に沿つたりつぱなる組合の活動に対しましては、私といたしましては従来も理解をもつてこれに当り、今後といえどもその方針で行きたい、かように考えております。
  86. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 電産の労働組合が十四万二千数百名、その方々がやはり健全なる労働組合として労働者の生活の改善、あるいは待遇の改善等に対して日夜努力しおることをわれわれは承つておるのでありますが、ただこういう問題があるときに、労働組合自体として非常に行き過ぎたと言つては語弊がありますが、政治的な活動にまで入るというようなことをたまたま聞かされるのでありますが、そういうことになると、せつかくのこの自主的な労働組合の動きというものに世間が非常な疑惑を持ちますので、私重ねて承りたいのですが、労働組合の人たちは現に一箇月一人当り百三十円程度の労働組合費、闘争資金というものを出しておると聞いております。そうすると労働組合の組合員の生活向上のために、あるいは待遇改善等には、わずかしか使われないで、その他の運動のために相当莫大な費用が使われるということをわれわれが聞くことは、非常に遺憾なのでありますが、そういう点に対してあなたは、いわゆる電気事業全般の監督の任に当られておるのですが、そういうことがはたしてあるものかどうかということを承りたいのであります。
  87. 武内征平

    武内証人 実は私寡聞にいたしまして、ただいま御指摘のことにつきまして存じないのであります。
  88. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そのことについては今わかつていないということであれば、これ以上つつ込んでもしようがありませんが、最後にひとつ、あなた方の考え方に対しわれわれはちよつと納得の行かない点があるのです。たとえば監督ということでありますが、先ほどから閣僚委員からいろいろ話がありました、たとえば山岡水力課長がそうであろうと想像して話をしたというのかもしれないということを証人が言われたのですが、もしそういうことが、たとえば仮定の上に立つて話したことについて、世間が四億の金云々というような大きな問題になつたならば、その簡單に発した言葉それ自体に非常な責任を感じなくちやならないのでないか、こう思うのであります。そこであなたがいわゆる課長の上司として、ただそういう仮定に立つて話したのではないかというようなことで、それをそのままにしてしまつたのか、それとももつとつつ込んで、かくも大きく問題をした一つの原因もそこにあるとわれわれは考える。それに対してあなたは今後山岡水力課長がもし想像でもして、そういうことを話したという事実があるならば、どういう処置に出られるか、その御決心があるかどうか承りたい。
  89. 武内征平

    武内証人 山岡君がそう言つたことが誤解されたのであろうということでありまして、もし万一世間でうわさされているように金が出るとすれば、こういうことかもしらぬということを言つたことが誤解せられているのでありますので、私はいやしくも世間の誤解を生ずるような言論は今後絶対に愼しむべきことを嚴重に申し渡しておる。しかしながら今後におきまして再びさようなことがあるということでありますれば、これは上司の指揮も受け、課長の処分もしなければならぬ。かように存じております。
  90. 小松勇次

    ○小松委員 日発電源開発その他に対しまして、見返り資金を利用することが停止されておる。そのことによりましてわが国の産業界に及ぼした影響は甚大なものがあると思うのでありますが、それらの点につきましては、この委員会で問うべきものでないと思いますから、本日はこの問題は差控えますが、この際私がお伺いしたいことは、見返り資金をもつて二十四年度、二十五年度に日発、配電においてどのような工事をする予定であつたか、それをまずお伺いしたい。
  91. 武内征平

    武内証人 御承知のように、二十四年の十一月、それから年末、それから二十五年になりまして三月までに数回出ておりまして、これが日発、配電を通じまして約九十七億という金が出ておりまして、それによつて設計をせられました。設計と申しますか、スタートされました工事が、水火力合せまして、日発の水力が二十一箇地点、配電が四箇地点、合計二十六箇地点で、キロワツトが三十五万七千五十、それから火力は日発が七箇地点、配電はございません。合計火力が七箇点で二十二万一千キロワツトでございます。総計いたしまして三十三箇地点で五十七万八千五十キロワツトというものが見返り資金でまず第一にスタートをいたしたのであります。その中ですでに完成したものが十箇地点ございます。これは日発におきまして水力が六箇地点、火力が二箇地点、八箇地点完成した。配電が水力二箇地点完成いたしまして、合計十箇地点完成いたしまして、その出力十万四千五十という見返り資金工事によつてスタートしたものが完成をいたしまして、稼働を始めておるのであります。これは今までの経過でございますが、二十六年度におきましては大体水力十六箇地点、火力五箇地点、二十一箇地点、その合計三十七万五千キロワツトというものが完成を予定されております。ただいま見返り資金をつけて着手いたしたもので二十七年度以降に進行を予定せられておるものが二箇地点でありまして九万六千、これで全体の五十九万八千五十というものになるわけであります。従いまして現在行いつつある工事は、見返り資金がそのまま出て参りますと、大体来年の十二月、遅くも二十六年度の三月までには大部分が完成する。かような実情であります。
  92. 小松勇次

    ○小松委員 そういたしますると、二十四年度の工事は予定されたものはほとんど着工できたと考えてよろしいのでございますか。
  93. 武内征平

    武内証人 着工と申しますか、仕事を始めますには順備調査というものと、ほんとうに工事に着手することとありまして、御承知のように奥只見などは準備調査でありますが、それ以外の地点につきましては大体着手いたしておると思います。あるいは資金の関係で、新たにスタートするのをしばらく待つているというものがあるかとも思いますが、私は現在その場所、金額等につきましては記憶しておりません。
  94. 小松勇次

    ○小松委員 さらにお尋ねいたしたいのは、自己資金によつて工事に着手したもの、あるいは今日工事を完成しておるものが二十四年度においてどのくらいあるか、おわかりでしたならばお答え願いたい。
  95. 武内征平

    武内証人 自己資金によるものは非常に件数も多いのであります。金額はそうたいしたものでもなく、たしか日発が三十六億くらい、配電が九社でたしか七十二、三億くらいのものと思いますが、これも実は資料を持つて参りませんでしたから、正確ではないかもしれないと思うのであります。そのうち完成したものが幾らかというお尋ねでありますが、この点は後ほど資料によつてお答え申し上げたいと思います。
  96. 小松勇次

    ○小松委員 この自己資金によつて工事に着手するについても、監督官庁たるところの通産省あるいはその他の関係方面の認可を要すべきものと思いますが、これらの工事はみな認可手続は済んで着手しておりますか。
  97. 武内征平

    武内証人 御承知のように日発、配電はともに集排法による指定会社でありますから、一定の工事については持株整理委員会の認可がいるわけであります。従いまして普通の修理は認可はいりませんけれども、自己資金による改良工事につきましては認可がいるというわけでありまして、ただいま認可申請をいたしておるわけであります。
  98. 小松勇次

    ○小松委員 私のお尋ねするのは、自己資金による工事をなしたもの、着手したものが認可をとつておるかどうかということを伺いたいのであります。現在認可申請中であるということはこれからする工事のことでありまして、今なした工事が認可をとつて着手したのか、ここを伺いたい。
  99. 武内征平

    武内証人 自己資金で行いました工事がどれだけ完成しておるか、また二十四年度の予定のものはまだ許可になつていないと思いますが、具体的にはただいま資料を持たぬものですから、お答えいたしかねるのであります。
  100. 小松勇次

    ○小松委員 私は二十四年度に着手する工事、自己資金によつて着手する工事に対しては認可をとつておるかおらないかということをはつきり伺いたい。
  101. 武内征平

    武内証人 二十四年度分につきましては許可があつた、認可があつた。許可のないものは二十五年度分についてだと思います。
  102. 篠田弘作

    篠田委員長 小松委員は、二十四年度分に着手したものについて、全部認可をとつておるかどうかということを聞いておるのですから、簡單にそれだけあなたはお答えになればいい。
  103. 武内征平

    武内証人 二十四年度分につきましては認可があつたと私は記憶します。あるいは記憶違いかもしれません。
  104. 小松勇次

    ○小松委員 最初は認可がなかつたと思うというようなお話であつて、今は認可があつたと思うというようなことでありまするが、そこがはつきりしません。そこが重要な点ですから、いま一度私ははつきりしておきたい。
  105. 武内征平

    武内証人 二十五年度分は今申請中でありまして、二十四年度分は私は許可になつたと思います。もし前のが間違つておれば訂正いたします。
  106. 小松勇次

    ○小松委員 日発からここに工事予定表が出ておりますが、これは大半見返り資金の部分であります。そのほか私どもの聞くところによりますと、工事にも着手し、また工事の竣工したものもあるように聞いておるのでありますが、この二十五年度の見返り資金の工事の予定表を見ますと、丸山と然別の工事云々が書いてあります。しかしこれは何か字がはつきりいたしませんが、繰越し工事とか繰延べ工事とかいうことになつております。この工事がすでに完成しておるということを私ども耳にいたしておりますが、その点どういうことになつておりますか。
  107. 武内征平

    武内証人 丸山はまだ工事は完成しておりません——丸山につきましては全面的に工事はスタートいたしておりません。然別は第一でありますか、第二でありますか。
  108. 小松勇次

    ○小松委員 表にあるのは第二です。
  109. 武内征平

    武内証人 然別は第一もまだ完成しておらないと思いますが、これは調査してお答えいたします。
  110. 小松勇次

    ○小松委員 この点は私どもちよつとまだ疑問がありますから、御調査願いたいと思います。  それからお尋ねしたいことは、いろいろあなたの方で日発の帳簿その他の検査の結果のお話がございましたが、伺つた程度におきましては、その帳簿の内容を掘り下げての検査ではないように思われるのであります。そこでお調べを願いたいことは、考査委員会において私どもの手に入つておる資料によりますと、先ほども問題が出たのでありますが、日発の労務対策の費用として三千六百六十七万円が出ておる。その中で電力防衞後援会の費用が千九十三万円、そうしてなお二千四百七十四万円という費用の使途が不明になつておる。伝票もないそうであります。これがはたしてどういう方面に使われておるかというようなことを、あなた方のお立場において正確に御調査なつて本委員会に御報告願いたいと思うのであります。
  111. 武内征平

    武内証人 できるだけ調査いたしまして御報告申し上げます。
  112. 小松勇次

    ○小松委員 これはお願いいたします。さらにお尋ねしたいのでありますが、日発において突如として正副総裁が更迭せられたのでありますが、その間の事情にはいろいろ世間取沙汰されておりますが、もしも正副総裁がおやめになれば、見返り資金の停止が緩和されるであろうというようなあなた方のお見込みで正副総裁が更迭したのであるか、これはあるいはあなたにお尋ねするのはむりかもしれませんが、念のためにお伺いしておきます。
  113. 武内征平

    武内証人 日発正副総裁の問題は、大臣が最高政策としておやりになりましたことで、私からは何とも申し上げられません。
  114. 西村直己

    ○西村(直)委員 私は二、三聞きたい点がございます。第一は日発の見返り資金を中心にした工事についていろいろ世間で疑惑が飛んでおりますが、日発の見返り資金を中心とした工事を請負うについてような意見も出ておりますが、いずれにしましても見返り資金が放出になつて工事が施行された場合に、どういうの形体、たとえばどういう形で、また行政機構としてはどういうところで監督して行くか、こういう点をお伺いいたします。先ほど水力課長のうわさ話などもあつて、疑惑を招いたというふうにされるか、それを担当する監督官、日発の機構並びに電力局系統の関係者をお聞きしたいと思います。
  115. 武内征平

    武内証人 見返り資金工事の請負は、ほとんど全部かしりませんが、大部分の場合におきまして指名入札でございます。おそらくそのやり方は指名の範囲内におきまして行うということになつておると思います。それから実は見返り資金の関係につきましては、御承知のように見返資金運用規則というものがありまして、見返り資金の運用につきましては大蔵省が貸主といいますか、その立場においてやつておるのであります。電力局といたしましては、やはり監督下にある日発あるいは配電の経理の一面にも入るものでありますから、その方の監査に行きますと同時に、そのときに一応の眼を通しますけれども、大蔵省が責任官庁として責任を負つて監督なつております。私の方の関係は、見返り資金につきましては第二次的の立場でございまするけれども、やはり開発に関係いたしますものでございますから、工事の進捗状況につきましては開発第一課、経理の面は業務課ということになつておりまして、逐次具体的の監査をいたしております。
  116. 西村直己

    ○西村(直)委員 これは直接御関係のないことであれば後日に保留しますが、なぜこれが指名契約になつておるのかということについて、日発監督するお立場にある電力局長としての御意見はありませんか。
  117. 武内征平

    武内証人 指名入札にするか、一般入札にするかということにつきましては、これは日発総裁がおきめになりまして、われわれの方にはあまり御相談もないのでありますが、しかし最初に見返り資金がスタートいたしますときには、従来土建業者の方々もあまり仕事がなかつたということを聞いておりますので、私も日発総裁あるいは建設局長等にも、一つの工事をわけることができる場合には、なるべく多くの方方に請負つてもらうようにしたらいかがかという意見は申し述べておきました。それからまた水力発電につきましては、過去の実績と申しますか、火力につきましても同様と思いますが、過去におきまして水力発電工事におきまして相当腕があるということの確認をして、できる方に請負わしたいということは、日発全体の空気のようでございました。あるいはそういう点から指名入札ということになつておるのかもしれませんが、非常に嚴格なる指名ではなくして、相当広範囲に指名しておるというふうに私は感じております。
  118. 西村直己

    ○西村(直)委員 その広範囲という意味がちよつとわからないのですが、どういう意味ですか。
  119. 武内征平

    武内証人 たとえば過去においてある発電所のフアウンデーシヨンを受持つた。その会社は相当堅実な仕事をするということが確認された場合は、もちろん指名入札になる資格があるということになるでしようけれども、今まで土建関係にも向き向きがあつたようでありまして、必ずし電気の開発工事に関係しておられなかつた土建業者の方でも、——單に道路をつけるとか、隧道を拔くとかいう程度のものであつても、もちろん場所々々によつて異なると思いますが、そういう場合においても会社が適当と思えばそれにやらせる、従来実績を持つた人のみに限るということはなかつたのではないかと思います。
  120. 西村直己

    ○西村(直)委員 この問題は後日に保留いたしまして、次に問題をかえまして、先ほど雑費といいますか、機密費の使途について問題になつたうちで、あなたは知らないと言つておられる。監督官庁ということがあつたのですが、その監督官庁というのはどこを指すのですか。たとえば通産省はもちろんですが、自治体も監督官庁になつておるのですか。これはあなた方の立場としては非常に大きな問題だろうと思います。
  121. 武内征平

    武内証人 電気事業監督官庁は通産省ですが、ただ見返り資金のことにつきましては大蔵省も監督しております。われわれは実は日発と会合を重ねたということは全然覚えはないことでありますから、かような数字をわれわれのために使つたということは私は全然知りません。しかし御指摘のように、よく調べまして御報告申上げます。
  122. 西村直己

    ○西村(直)委員 先ほどだれかが監督官庁と言われたが、今事務局の方の調査では関係官庁と言われたようですから、その点訂正しておきます。  次に、あなたが外遊に一月前後行つておられた間に——あなたが行く前と帰りて来られてからの間に、日発問題に非常に大きな変化があつて、あなた自身が考えておつた以上にかなりかわつてつたことがあつたかどうか。それからその間において電力局長の立場にかわつて責任を持つておられた方はどなたですか。その二点をお聞きしたい。
  123. 武内征平

    武内証人 実は私は一月五日に外遊をいたしたものでございます。松永委員会が始まりましたのは十一月二十四日でございました。まだ私が立ちます前は、松永委員長を初ちめとしまして、五人の委員の方々が各方面からヒヤリングをやるという程度でございまして、何分割といつたような問題にまで至つておりませんでした。従いまして立ちます前とあとの比較と申しますけれども、先の方はほとんど再編成の問題に入つていないときでありましたし——もちろん、私のいません間にあの案ができましたということについては、これは相当な努力であつたということは認めますが、変化と申しましても、最初はまだ全然本腰に入つておりませんでした。ただ出ます前とあとにおいてつくり上げたということにつきまして、私は関係当局の努力に対しまして敬意を表しております。  私が留守中は、当時資源庁次長でありました始關君が——現に長官がありますが、最初は主として電力局事務取扱いになつておつたと思います。しかし長官になられてからは当時の電政課長の小室君、それから資源庁次長——その後長官になられた始關君が主としてやつておられました。
  124. 西村直己

    ○西村(直)委員 最後に今のに関連して……。実はあなたが外遊をされる前後からこの問題が非常に複雑になつて来たわけであるが、この分割案が、あなたが帰つて来たときに、あなたの意図された方向に来ておつたかどうかという点、これが第一点。それからただつくつてくれた人に非常に感謝するという意味でなく、もう少しあなたの心境をはつきり述べていただきたい。それともあなたが立つ前に自分たちで大体考えておつたのと非常にかわつてしまつて来ておるので、意外に思つたことがあるかどうか。そのところの考え方をひとつ
  125. 武内征平

    武内証人 実はわれわれ電力局といたしましても検討はいたしておりましたけれども、この案という決定的な案はなかつたのであります。従いましてその案と比較するということになりますとなんでありますが、実は事務局の案は私が外遊するまではなかつたのであります。
  126. 西村直己

    ○西村(直)委員 事務局の案は、あなたが外遊される前はなかつたというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  127. 武内征平

    武内証人 事務局の決定案はございませんでした
  128. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 日発の増資の際に、増資の費用として一億円、それに関連のある雑費として一億二千万円の金が日発から出ておるということを聞くのであります。昭和二十一年には十四億六千八百万円の日発が、二十三年にはもうすでに集中排除法。の目的物に指定せられて、再編成問題でてんやわんやになつておるのに、昭和二十四年の七月に十四億円を三十億円に増資した。これは日発としては実に豪胆な行動だと考えるのでありますが、こういう集中排除法の目的物になつておる会社が、いきなり倍額以上に増資をするということは並々ならぬ決心を要する。それには相当の政治家たちがみな活躍したといううわさであります。そうしてその増資に関する費用が莫大に計上せられておつて電力局から注意をせられたということを聞いておるのでありますが、さようなことがありましたか、ありませんか、お教えを賜わりたい。
  129. 武内征平

    武内証人 私自身は注意申し上げた覚えはございません。
  130. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それではあなたは、昭和二十四年七月二十一日増資決定の際在任中でありましたか。
  131. 武内征平

    武内証人 在任中でございました。
  132. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この増資に関する費用のごときものを調査なされたことはありませんか。
  133. 武内征平

    武内証人 特に増資の費用を調査いたしたことはありません。
  134. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 もちろん、監督官を置かぬような始末だから放任なさつていたわけだ。実はこれが非常なデマとなりまして、政治家も迷惑している。この増資の際あるいは二百万円、あるいは三百万円という金がだれとだれとだれにまかれたということまで私のところに情報が入つておりますけれども、しかしこれは私は確信もないし、さようなことはなかろうと思いまするから、公表をしないのでありまするけれども。この再編成がてんやわんやの最中に増資を断行するというようなことは並々ならぬ背景があつてつたものではないかと考えられるので、このうわさも一概に荒唐無稽なりとは考えられたい。しかるに電力局はこれに対しては何らの調査をなさつておらないわけでありますか、重ねて聞きます。
  135. 武内征平

    武内証人 これはもちろん一般に年度が終りますれば会計の監査がありますから、その際に合せていたしたいと思います。
  136. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると二十四年度の増資にからむ費用のごときはいつ監査するんですか。二十四年の七月ですよ。それ以前に出ている金なんだ。これは一体いつ監査するのか。
  137. 武内征平

    武内証人 日発は年度決算でございますから、二十四年度の分はこの五月の十九日から六日間監査があり、もし二十四年度として整理されておれば、その際に当つておるはずです。
  138. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 今年の五月にやつているんでしよう。あなたの言うことはどうもはつきりせぬ。二十四年七月二十一日増資になつた。その以前にこういう一億あるいは一億二千万円という金が使われておるのかどうか、経費として計上されておつたかどうかということは、一体いつ監査なさるんですか。
  139. 武内征平

    武内証人 それは先ほどもお答えいたしましたように、この五月十九日から一週間にわたり監査に当つております。
  140. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 五月といえばもう済んでしまつたじやないか。
  141. 武内征平

    武内証人 一応七、八名の者を派遣いたしまして監査いたしたのでありますが、その点についてはただいま内容についてデータは持つて来ませんでしたから……。
  142. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 監査はしたのであるが、局長の耳には報告が来ておらぬということに承つてよろしゆうございますか。
  143. 武内征平

    武内証人 その報告の中においては、特にその費用につきまして、不相応であるという報告は来ておりません。
  144. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると増資の際に、いかなる費用がかかつたかということに対しては、報告はない、こういうわけですか。
  145. 武内征平

    武内証人 それは決算の面に現われております。従つてその点につきましても、派遣いたしました係官は調査いたしております。ただそれについて、特に多いという報告は私の手元に参つておりません。
  146. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、あなたの手元に来ているのは、どの程度ですか。
  147. 武内征平

    武内証人 示達事項がございまして、特に注意すべきことは、ここにあるように十項目ばかりにわたつて指示をいたしたのであります。
  148. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それをちよつと聞かしていただきたい。
  149. 武内征平

    武内証人 これは昭和二十四年度の決算につきまして日発に示達いたしました事項でありますが、一、経費節減について、(イ)基準外賃金は一般に節減するほか、特に火力発電所については合理的な運営を図ること。(ロ)諸費の雑費計上の社用雑費は極力節減に努めること。(ハ)諸費の雑費中、物資斡旋口その他の名称により相当額の雑給與が計上されているが、これが合理化に努めること。二、会計整理について(イ)石炭拂出單価に関しては、本店における期末修正は原則として行わず、発電所別整理とし、適正な会計整理を行うこと。(ロ)非社宅の従業員住宅修繕補助費を修繕費に計上してあるが一般厚生費に計上すること。(ハ)一般厚生費計上の団体生命保險料は雑損失計上のこと。(ニ)需用者指導費の区分整理を一層明確にすること。(ホ)諸費の旅費中には修繕関係旅費を含むも、これが区分を明かにし、修繕費計上とすること。(へ)検收のできていない貯蔵品の前拂金を貯蔵品整理としたものがあるが、これは正規の科目通り仮拂金に計上すること。(ト)特別修繕工事の一部が特別建設勘定に振替整理せられたが、工事の性質上、資本的支出と收益的支出との区分整理を一層明確にすること。(チ)特別修繕工事勘定償却に関し、同勘定より特別資金勘定へ振替えた分に対しても償却の対象としたのは適正でないから改めること。三、修繕の遂行状況はなお不充分と認められ、諸経費を節減して、これが実施に努め、設備改善に一層努力すること。四、工場財団の組成物件中変更があつたに拘らず、変更登記がなされていないが、速かに登記手続をとること。五、本格的貯蔵品棚卸を速かに実施し、その整理を図ること。六、発送電興業所有の北海道北陽炭鉱試掘権は近く期限満了となるが、速かにこれが適切なる処理を講ずること。七、対日援助見返資金工事に関しては特に内部監査制度を確立し、その運用に遺憾なきを期すること。八、送電損失並びに無効放流の減少を期し一段の努力をなすこと。以上が二十四年度決算についての示達事項であります。
  150. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 今の件は日発会社自身に聞げばわかるかと思いますが、増資に関していかなる金が支出せられておるかということについては、世上疑惑があるのでありますから、監督官庁である電力局におきましても、これを調査されまして、それを委員会まで報告していただきたい。これは、どこの会社でも増資するときは費用があるわけで、その費目が出ておるはずであります。  それから日発及び配電会社におきまして、需用者指導費というものが計上されておる。これは款項目のうちの款じやないかと思いますが、これは一体どういう法規に基いて、いかなる目的のための費用であるかを、お教え願いたいと思います。
  151. 武内征平

    武内証人 需用者指導費について、私の記憶しているのに間違いなければ、需用者指導費は、特に電力需給調整の面でありまして、たとえば需用者の協力によりまして、ピークを避けることができるといつたようなことがございますので、主として需給調整の面から、需用者に電気会社の事情をよく理解していただいてその線に沿つて電気を使つていただけば、お互いに迷惑せずに、停電とかいうようなことがないように行かれますので、そういう意味の啓蒙宣伝と申しますか、それをやる費用であるというふうに、私は指導費というのを聞いておりますが、はたしてこの費用がそれでありますかどうか。たしか需用者指導費というのは、さような意味であるというふうに私は考えております。
  152. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 これは電気事業会計規程という需令にきめられておるのですか。日発も九配電会社も、みなこういう費用を多額に使つておりますが、法令にそういう費用を出さなければならぬようになつておるのかどうか。
  153. 武内征平

    武内証人 その項目を設けることが、会計規程に規定してあるかどうか、私今存じません。
  154. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 これはお調べになつてひとつ提出していただきたいと思います。  そこで、あなたはこの電力会社会計の方の最高責任者になつておるのでありますが、ただいまのこの需用者指導費というものが、はなはだどうも私どもには解せない状態になつている。巷間伝うるところによれば、これがいろいろの政治活動の費用にまぎれていると言われているのであります。私どもははたしてしかるか、まだその確証はありませんけれども、ただ疑わしきは、この昭和二十三年度におきまして、たとえば関西の需用者指導費なるものは、私の調べたところによりますれば、千三百七十万九千四百四十一円と相なつている。しかるにこの電力編成問題が活発に活動を開始いたしました昭和二十四年度には、これがいきなり八千六百二十六万九千百五十二円とはね上つて、実に六・三一倍に相なつている。一体今あなたの説明せられたような目的の費用であるならば、たつた一年違いで六・三一倍にはね上るというようなことが想像ができないのでありますが、かようなことに対して電力局はいかに考えておられるか。お教え願いたいのであります。なおこれは東北配電におきましても、昭和二十三年度は千六百七十九万五千八百円であつたのが、昭和二十四年度にはいきなり六千七百六十五万九千九百九十六円という、ほとんど四倍にはね上つておる。関東におきましても、二千二百六十三万一千百四十三円なのが、昭和二十四年度には七千一百六十六万五千八百八十六円、三・一八倍にはね上つておる。これは需要者指導費なるものがその目的の通り動くものであるといたしますならば、一体どういうわけでこういう差異が生ずるのか、電力局はこれに対していかにお考えになつておるか承りたい。
  155. 武内征平

    武内証人 その詳細につきましては調査の上で御報告申し上げたいと思いますが、実は二十三年度までは、御承知のように日発、配電は赤字でございまして、非常に苦しんだのであります。昨年の十二月の料金改訂以後、またこの冬の異常なる豊水のために、現在何とか收支もできて、多少の財政的の余裕もできて来たという状態でありまして、二十三年度と二十四年度におきましては、全体的の收入におきましても相当違うのでありますから、支出の面においてもある程度違うということは想像されるのであります。ただどの程度が適当であるか、どの程度は不当であるかということにつきましては、使途の内容その他につきまして、調査の上御報告申し上げたいと存じております。
  156. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それは收入がふえたから増したんだという、最初からのあなたの御説明であるけれども、かような目的の限定せられておる費用というものを、いきなり六倍半にもする。いかに收入がふえたからといつても、公益事業であるところの会社が、さようなふうにいきなり引上げるというようなことは、私どもはけげんにたえない。それで巷間、これが全部会社の機密費となつていろいろな方面にばらまかれたという、デマであるかほんとうであるかわかりません、それをこの考査委員会は調べるのでありますが、いま一応デマだとしておきましても、説明がつかぬ。でありまするから、監督官庁である電力局におきまして、いかなる事情でこうなつたか、その詳細なる需要者指導費の内訳を御調査願いたい。どういう方面にどういうふうに使つたためにこういうふうな金額が生じたのであるか、それをお調べ願いたいと思います。  それからこの配電会社なり日発なりは、あなた方の監督下にあるところの会社として、月一回くらい経理の報告をしておるのじやありませんか。
  157. 武内征平

    武内証人 業務課長との連絡はあると思うのでございますが、実は私に対しまして、今度から月一ぺんずつの報告をとるというふうな改正を——これは料金調整に関しまして、標準料金を幾らにするか、標準料金供給すべき電力量を幾らにすべきか、もし相当收益があるならば、標準料金でたく石炭を多く見てもよろしいというような関係を調節するために、月一ぺんずつ報告するように改正をいたす予定になつておりますが、今までは正式に月一ぺんずつの報告ということにはなつていないように思つております。ただ実際、業務課と会社との関係においては、接触があるというように考えております。
  158. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、月一回ということになつたのだけれども、まだそれは実施しておらぬということですね。私の聞いたところによれば、月一回ずつ報告をしておるというふうに聞いておるのですが、それもお調べください。  なお配電会社においては、同じ政府でありまするところの物価庁に対する報告と、あなたの電力局に対する報告とが、同じ項目について違つておる。物価庁に対しては、あまりたくさん電力量を取扱つたような報告をすると、電気料金値上げのときに都合が悪いというので、なるべく減らして届ける。電力局に対しては、なるべく電力をたくさん配給を受けなければならぬから、実績をふやすためにふやして届けるというようなことから、同じこの官庁に対しまして電力量の申告が違つておる。昭和二十四年の第四・四半期、一月から三月までの統計を見ますると、物価庁に対するところの電力量は五十九億八千五百二十三万四千キロワツト時、しかるに同じこの期間における電力局に対するところの報告は六十一億二千三百三万六千キロワツト時、ここに一億数千キロワツト時の数字が違つておる。かようなことに対しまして、電力局調査なされたのでありますかどうか承りたい。
  159. 武内征平

    武内証人 この点は、私業務課長から報告を受けたのでありますが、考査委員会の方から担当官がおいでになりましてお調べになつたときに、さようなことがあるというふうに話を伺つたのであります。それは同じ項目の收入なり支出なりについての数字も、時期が九月と十一月ということになれば違う。同じ事項についての調査の時期のずれと、それから料金決定の際には、たとえば昨年は十二月十三日に料金改訂になつたのでありまするが、それ以後四・四半期の料金のエステイメート——どれだけの電気が発生するであろうという一つのエステイメートをいたしまして、料金が決定になるわけであります。ところが実際に発生せられました電力料と、料金決定の際のエステイメートとは違うことがあり得ることであり、また実際に完全に一致するということはあり得ないのでありますから、さような意味の違いでありまして、実質に違つた数字を出しているということではないという報告を受けたのであります。
  160. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 われわれはは電気の技術家でないのであるから、いいかげんに言われるとそうかなと思うのでありますが、とにかくこういうトータルが出ておりますので、はたして違つているかどうか。これは考査委員会調査員において、なおその月日のずれがあるというのでありますから、ずれのないように押えてなお御調査していただきたい。電力局におきましても、ただ一応のごまかし説明で満足なさらずに、これを追究していただきたい。ということは、この配電会社は二重帳簿、三重帳簿を持つているといううわさがもつぱらである。営業所においては大体真相の帳簿があるが、支店へ行くと二重帳簿になる。本店へ来ると三重帳簿になるといううわさがある。一体そういうことはあり得ないと考えますけれども、官庁に対する報告があまりに違つているものが出ているということになると、そういう甲の帳簿から報告するの、乙の帳簿から報告するのということが推定されやせぬかと思いますので、われわれは重大関心を持つております。この点につきましても十二分なる御調査を願いたい。  それから中部配電に関しまして、ラジオ料金を需要者から取立て過ぎている。これは三十キロワツト時を境として二重価格制度になつておつたものを、最高額をみな取立てておつたということが需要者に指摘せられ、三千数万円をかえすというような醜態を演じたということを聞いておりますが、そのいきさつちよつと御説明願いたい。電力局長は始末書をとられたとかとつたとかいううわさもあるのですから、ちよつと御説明を願いたい。
  161. 武内征平

    武内証人 実は中部配電のラジオ料金の問題は、十二月十三日の料金改訂以後、機器に関する料金の徴收方法が異つたのでありまして、五十キロ未満、二十キロ未満、五十キロ以上と三段に機器に対する料金制度がかわつたのであります。従来はさようにわかれておらなかつた。それで新しい料金制度に切りかわる際にエステイメートで少し正確にやればよかつたのでありますが、何か放送局の標準のラジオをとつて参りまして、大体これこれ使うということに回答を得たものですから、それをあてはめた。ところが大体最高の料金とつてしまつたというようなことで、会社もただちに気がつきまして、それは私の方から嚴重に通牒を出しまして、八月末でございましたか、過拂い、過徴收に対しましては、返還はもちろんのこと、全部利子をつけまして皆様にお返しした、こういうことであります。
  162. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 実は配電会社に関しまして、さような電力料金についていろいろ私ども不審にたえないのがありまするけれども、これはあなたにはお聞きすることをやめまして、会社の当局者に聞きたいと思うのでありますが、それはそれで打切ります。  さきのこの日発の問題につきまして山岡水力課長の言つた言葉について、はなはだデリケートな表現をあなたはなさつておる。もしかあつたとすればこうなのだろうというような言葉ですが、それはいつごろどういう会合で山岡さんはおつしやつたということになつておるわけでありますか。
  163. 武内征平

    武内証人 山岡君自身はいつどういう会合で言つたということは自分が記憶ないのであります。しかしそういううわさが出ている以上は、全然無根でもあるまいということで、私が実によく局議に出るような人々に当つて聞いてみたのです。山岡君も同時でありますが。そうすると、そんな金は出るはずがないし、出ようはないのだけれども、かりに出たとするならば、そんなような請負者から一部を融通するという方法もある。こういうふうに言つたということであれば、それが事実を指摘して言つたように誤り伝えているのでありましようということでありまして、山岡君がかりにそう言つたばかりでなく、それを聞いたという——実はこれは電力課長の吉岡君でありますが、それから私は聞いたのです。ただいま私がそういう報告を申し上げたことは間違いないようであります。従つて山岡君自体も事実も確めていないのに明言するということはあり得ないと私も考えます。以上が私が調査いたしましたことであります。
  164. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この九月になりましてから開かれましたる電力局議において、あなたはもちろん、今言つた吉岡電力課長、竹田業務課長、中岡技官、廣澤需給課技官、あるいは酒井という電政課の技官、こういう方々が臨席されているところに、山岡水力課長は、日発電力業者から十パーセントのリベートをとつておる、およそ四十億円の工事費であるから四億円に相当する。そこでさような発言をなさつたということが事実ではないかと思われるのであるが、あなた方の立場として、それをお認めになると非常に困るから、非常にデリケートな表現をなさつているのではないか。そこでなおお尋ねいたしますが、鈴木鹿藏という、いわゆる松永機関のメンバーと称せられる人と山岡という課長さんとの御関係はお知りになりませんか。
  165. 武内征平

    武内証人 私存じません。
  166. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 これは山岡さんに聞いてみればわかると思いますが、なおあなたも念のために聞いておいてください。山岡水力課長がさようなことを鈴木鹿藏氏に発表し、鈴木鹿藏氏がこれを宣伝した、それで四億円の見返り資金を使つたという評判が出たということであります。これは山岡氏に聞いてみればわかると思いますから、あなたが否認されるとすればいたし方がないのでありますが、あなたがこの会議に確かに出ておつて聞いているはずであります。重ねて念を押しますが、あなた聞いたことありませんか。偽証になりますよ。
  167. 武内征平

    武内証人 私はそういう覚えはございません。
  168. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 よろしうございます。
  169. 横田甚太郎

    ○横田委員 会合の支出についてお伺いいたします。  大体電気関係の再編法案の作成経過をすらすらと述べていただいた。ところが監督しなければならない金のことになりますと、あまりお知りでない。この点が非常にややこしい。これは椎熊さんの御質問にもあつたのと少し関連するわけです。大体ここで私は、電気関係法案関係の各委員と、いわゆる役所の人たちが集まられた、これに疑いを持つのです。一例をあげますとこうなつているのですが、椎熊さんも言われましたように、渉外関係では千四百五十二万円使つている。労務対策では三千六百六十二万円を使つている。官庁関係では七百七十二万円、こう出ているのですが、これ以外にまた妙なものが出ている。これは昭和二十三年から二十四年、二十五年にかけて日発の総務課の社用雑費になつているのです。これが二十三年には千二百万円出ている。二十四年には千五百万円出ている。二十五年には八月までに四百三十七万円出ている。さつきの七百七十二万円のいわゆる官庁関係に使つた日発の人たちが信じているところのこの金にいたしましたところが、これを年別にわけますと、二十四年が十二箇月で四百五十三万円使つている。二十五年は八月まで五箇月間で二百六十四万円使つている。そうしますと二十四年は一箇月に約三十八万円、二十五年になりますと一箇月五十二万円、これに先ほども申しましたように、総務課の社用雑費を割つてみますと、一箇月約百四十万円使つている。ここで問題になるのですが、日発関係の帳簿では、同時にそれを調べました考査委員会事務局並びに考査委員会委員長である篠田委員長報告によりましても、官庁関係その他となつている。ところがあなたは官庁関係ではそんな金は使つた覚えがないと言われる。そこで非常に妙な問題が出るのだ。この間もたしか「みやこ」という料亭であつたと思う、そこであなたたち、武内君も入つておられたという噂でありますが、こういうようなもので、こういうようにやつているように思うから調べてくれというと、考査委員会関係調査においてはそれはない。ところが日発関係の帳簿ではやはり役員官庁関係なつている。だから役員としてのあなたがお会いになつたか、これは一体どんな形でお会いになつたか。どういう形までは責任を持てるか、この点を承りたい。
  170. 武内征平

    武内証人 日発とわれわれとの会合を料亭でなしたということはほとんどございません。それで官庁関係を招待した費用として七百七十万円という金が出ていることは私も信じられないことです。実は日発と会合をしたのは、二十四年資源庁ができました直後、進藤長官が日発副総裁から資源庁長官になつたときに、あいさつするということで行つた。これは日発会議室で、日発の手料理で、そこであいさつがあつた、こういうようなわけでありまして、私はほとんど日発の方から御招待を受けたということはあまり記憶ないのでございます。
  171. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは、一つの会合の形は言つていただきましたが、それ以外に、いわゆる電気関係事業家たちと役所の方がお会いになる形は一体どんなものですか。たとえば商工省のどの場所の何室で会うた、そのときにはどんな形で、單に茶が出る程度であつた、そんなことをちよつとこまかく承りたいのです。
  172. 武内征平

    武内証人 大体電気事業者の方々の来られるときは、各会社個々の場合はなんですけれども、全体の関係でありますと、経営会議を代表せられまして——実は電気事業者の関係の方は金魚の糞みたいに連なり合うというのは世上よく言われているのですが、十名くらい連なつてくるのであります。私の部屋は挟いものですから入り切れないという状況ですが、そんな形以外にはわれわれと電気事業者の方々がお会いする機会はほとんどない。ただ資料が日発でなければないというようなものの調査のときは、われわれの日発担当の関係官が日発に行つて調査するということもあり得ると存じます。それ以外に特に日発配電の方々と定期の会合を持つているということもございませんので、会合の形式といつて特にございません。
  173. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではあなたがお会いになる限りにおいては、日発関係の方方とは金のかかるような会い方をしなかつた、こう解釈していいのですか。それともまたあなた以外に何か別にこういう人たちと会うようなことがあるのですか。あるのだつたら承りたいのです。
  174. 武内征平

    武内証人 御説の通りでありまして、また特に私の部下でさような何をしている人は、私ただいま存じておりません。
  175. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと横田君に申し上げます。ただいま事務局からの話では、主として官庁関係ということで、社長の取扱いになつておるのであつて、これは全国で使つたものであり、主として官庁関係という説明だそうであります。全部官庁とか、中央で使つたという意味ではないそうであります。
  176. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうです。主としてその官庁関係がややこしい。ここの武内君の証言を聞いておりますと、官庁関係は茶以外には飲んでおらない。單にこの間何か日発関係で安い料理をお食いになつ一つ証言は出ておる。ここに官庁関係その他となつておるが、日発の方と官庁関係と会つたような形はどういうような形であるかを私は聞きたいのです。あなたは役人として会うておられる。そのときは官吏であつて、あなたがゆかたに着かえてお会いになるときは関係者じやない。その点がわからない。とにかく帳簿には官庁関係その他ということが明らかに出ておつて、そのことは考査委員会でも報告されたし、委員長報告した。しかもあなたはそれを知らぬとおつしやる。しかもあなたはその金自体の監督をしなければならない官庁におる方なんだから、そこがややこしい。そこを聞かしてもらいたい。
  177. 武内征平

    武内証人 その関係につきましては、調査をして御報告することにいたします。
  178. 横田甚太郎

    ○横田委員 それからもう一回聞いておきますが、渉外関係に千四百五十二万円金を使つておる。これはあなたの関係じやないでしようが、日本の民間の人と渉外関係の人がお会いになる、渉外関係というのはおそらく外人関係だろうと思うのですが、外人はおそらく日本の国において赤を排除して、日本のほんとうの民主化のために来ておられるのだろうと思う。そういうようなまじめな人と交渉するのに、交渉の経過中におきまして一千四百五十二万円も使うというような渉外関係の実態は、どういうような交渉をしておられるか、それをどう監督しておられるかを承りたい。それがもしきよう言いにくかつたら、あとで詳細に説明して答えていただきたい。
  179. 武内征平

    武内証人 ただいま日発がどのようなところで何しておられるか、よく存じませんが、これもよく調査してお答えすることにいたします。
  180. 梨木作次郎

    ○梨木委員 最初に伺いたい点は、政府日発監督しているわけでありまして、昨年の増資を許可されたわけでしようが、この増資を許可された理由をまず伺いたい。
  181. 武内征平

    武内証人 御承知のように、電気会社の資本金というものは、その持つております資産に比べまして非常に小さいのであります。今日発、配電を合せまして、日発が増資後でやつと七十五億であります。ところが、資産というものは帳簿価格だけで三百数十億というものがあるわけであります。それは日発が終戰直後の電気需給が非常に苦しかつた時分から今日まで何とか需給にこたえて参りましたのは、日発が非常に力を入れまして、戰時中破壞されました発電所、特に火力発電所の修理に力を入れて参つたのであります。現在約二百万キロワツトの火力の能力を持つております。能力というものは現実に動かし得る火力能力を持つている。それが終戰直後は七十万しかなかつた
  182. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ちよつと、発言中でありますが、私のお聞きするのは、集配法で指定されているのに、これを認めた理由をお聞きしたい。
  183. 武内征平

    武内証人 それは持株の方で許可をせられたわけでありまして、私の方もそれに同意したわけであります。というのは、修理のために金がたくさんかかる。しかも復金の金が出なくなつてしまつたので、みずから金を生み出して修理をし、改良工事をしなければ需給に追つつかなくなつたことが原因であります。
  184. 梨木作次郎

    ○梨木委員 持株の方でそういう増資に対する同意の意見をつけたので、それに対して政府も同意した。こうおつしやるのでありますが、当時政府といたしましては、この増資を許可すれば、この集配法による分割と申しますか、再編と申しますか、それがますます困難になつて来る見通しをお持ちでなかつたでしようか。そこのところを伺いたい。
  185. 武内征平

    武内証人 特にさようなことも考えませんでした。ただ修理その他で、どうしてもここで増資しなければ資金が出ないという意味から……。
  186. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ではその質問はその程度にいたしまして、電力の割当というものが行われておりますが、電力を割当する法的な根拠はどこにあるのでしようか。
  187. 武内征平

    武内証人 電気事業法でございます。
  188. 梨木作次郎

    ○梨木委員 何條ですか。
  189. 武内征平

    武内証人 電気事業法の十五條ノ三でございまして、「主務大臣電気需給ヲ調節スル為必要アリト認ムル場合ニ於テハ電気事業者又ハ電気使用者ニ対シ地域、用途又ハ其ノ他の事項指定シテ電気供給若ハ使用ヲ制限シ又ハ其ノ制限ノ為必要ナル措置ヲ命ズルコトヲ得」という規定がございまして、それに基きまして需給調整規則というのが省令でできております。それに基いてやつております。
  190. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それではこの規定に基いた割当の基準というものはどういうぐあいにしてつくり出されておるのか、それを聞きたい。
  191. 武内征平

    武内証人 割当の基準は、この十月一日に改正いたしました現行のシステムは、契約三千キロ以上に対しましては毎月々々その需用の実態を調査いたしまして、それに対しまして三千キロ以上に対しまするトータルのキロワツト・アワーというものが予定されておりますから、その範囲におきまして電力局が主管官庁と協議をいたしましてアローケイシヨンをきめるというやり方であります。それから三千以下の電力及び業務用または小口電燈につきましては、昨年の六月をさかのぼる一年間の電力の実績、または当初割当の実績に対しましては、夏は九五%、冬は八〇%をかけたもの、あるいは当初割当のどちらか多いものをとりまして、今年の割当とするのであります。それから一般家庭用のライテイングの方は、これは定額はもう一定の金額がきまつておりますが、従量の方は、これは地域によつて違いますが、夏が四十五キロまで、冬は二十キロまでということになつておりまして、電力の割当とライテイングの方の割当のシステムは異つておりますが、大体以上のような割当をいたしております。
  192. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると、そういう実績を最初届出をさせて、それから官庁がその実績を調査するというような手続をふんで決定するのでありましようか。
  193. 武内征平

    武内証人 当初割当とか実績というものは、配電会社あるいは需用家がみずからわかるのであります。しかも今度の制度のいいところは、昨年の当初割当あるいは実績の何割ということで、これは動かすべからざる事実でありますから、これによつて事業経営の見通しをつける、こういう意味からやつたのでありまして、これは別に申請でなくして、もうすでに配電会社の帳簿を見れば、あるいは各需用家需用家の記録をよく保持せられている方はわかるわけであります。申請は特に必要はありません。三千以上だけでございます。
  194. 梨木作次郎

    ○梨木委員 実際はそれはわかるだろうと思いますが、その間において配電会社と需用者との間に不正が行われる危險があるわけだから、それを監督官庁としてどういうような監督的な措置とつておられるかをお聞きしたいのです。それは実際客観的にはわかつているわけだが、そこのところを監督しないと、電気の量の割当の問題に関連して不正が行われる危險性があると思うのですが、それをどう監督官庁としてお考えになつておるか。
  195. 武内征平

    武内証人 ただいま御指摘の点は非常に重大なる点でありまして、十月一日にさようなシステムにかわつたのでありますが、われわれといたしましては、そのやり方等につきましては、関係方面もさように申しておりますが、地方の通産局等も動員いたしまして、さような点のないようによく計画を立てまして、監査に出るつもりであります。
  196. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この割当量の決定は、官庁のあなたの方としては、どういう構成要員でつくられておりましようか。大体これは官庁側とだれとだれがこの委員会のようなものをつくつて、そこで決定するというような組織になつておるのではないでしようか、それをお聞きしたい。あるいは民間側から民間の意向を代表して入るというようなことがあり得るのかどうか。つまり電力の割当を決定する機関ですね。それは正式なものでなくてもいい。実際上決定している機関をお聞きしたい。
  197. 武内征平

    武内証人 電力割当の委員会というものはございません。それでほとんど官庁でやつております。ただ五百キロ以下の小口のものにつきましては、算術計算的に計算し得るもの、たとえば今まで二百キロの計算であつたけれども、三百キロに契約を直した、そういう場合においては、一キロワツトについて何キロワツトアワーつくかということが一応この計算できまつておりますから、そういう算術計算のものにつきましては、事実上配電会社がやるということもございます。しかしこれはだれがやつてもわかる計算でありまして、それ以外はすべて役所の方でやるというのが実情でありまして、われわれといたしましては特に割当委員会というものはございません。
  198. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは割当委員会はないといたしましても、その実務をやつているのは官庁側ではだれですか。
  199. 武内征平

    武内証人 本省におきましては需給調整課であります。それから各地方通産局の電力部においてはやはりひとしく調整課というのがありまして、そこが割当の調整事務をやつております。
  200. 梨木作次郎

    ○梨木委員 昨年の十二月に電力の改訂がありまして、今度また——今おつしやつたのは十月でございましたか、改訂になつたと記憶しておるのでありますが、これはメモランダムか何かでこういうことになつたのでしようか、そこのところをお聞きしたいのであります。
  201. 武内征平

    武内証人 十月の改訂は、実は非公式のメモランダムがもとになりまして改訂になつたものであります。
  202. 梨木作次郎

    ○梨木委員 これは昨年の十二月の分と同じようなものでありますか。それとも大分違つておりますか。
  203. 武内征平

    武内証人 昨年の十二月十四日の改正は、あれは料金の改正でございます。今度の十月の分は割当方法の改正でございます。もちろん料金と割当方法とは関連があつて、お使いになる需用者の方々の方には影響いたしますけれども、事柄を申せば、料金自体の改訂と割当方法の改訂、そういう区別でございます。
  204. 梨木作次郎

    ○梨木委員 今度の改訂は、まだそれを改訂した結果の具体的な実情をよく知つておりませんが、昨年の十二月の改訂の結果といたしまして、料金が大口には影響はなく、小口には非常に大きな影響がありまして、特に地方においては、農村なんかではほとんど電気料金が拂えないという実情が起つておることを私も知つておるのでありますが、あなたの方へ電気料金の値上げの結果拂えないような実情が起つて来ておることについての報告か何か集まつておりましたら……。今お答えができなければ資料を出していただきたいと思うのですが……。
  205. 武内征平

    武内証人 農村の小口電力が拂えないということについての具体的な報告はありませんけれども、これだけ多くては拂いにくいというような陳情を受けたことはございます。ただ農村の脱穀調製用とか、灌漑排水用、ことに灌漑排水用のものにつきましては、調整によりましてほとんど全部標準料金でもつてあてるという方針でやつております。ただ十二月十四日の改訂によりまして、従来農村の、先ほど申し上げました種類の電力につきましては、普通のものよりも三割引であつたのであります。ところが今回は三割引をやめて、なおかつ三割上げたものでありますから、かつての恩惠が現在となつてはかえつてあだとなつたということであります。しかし昨年の改訂は電気を同じ量を使つたものは同じだけの料金を拂うべしというような公平の原則と申しますか、そういうものに貫かれておるのでありまして、電気の政策によつて料金は立てない。各産業の方でこれに応ずる政策を立てていただきたい、かような方針で全部料金の改正をいたしておりますが、ただ標準料金で使うのと、火力料金で使うのは非常な違いがありますから、さような方法を講じて極力影響の少いようにと考えております。
  206. 篠田弘作

    篠田委員長 梨木君、時間も非常に切迫しておりますから、簡單に願います。
  207. 梨木作次郎

    ○梨木委員 新聞によりますと、自由党に対しまして、電力業者から百万円の寄付があつたということが伝えられておるのでありますが、あなたの方でこの監査をされまして、百万円の金がいつどういう名目で自由党の方面へ献金されたか、お調べになつておりましたらお答えを願いたい。
  208. 武内征平

    武内証人 それは調べておりません。あるいは経営会議から出ておりますか。電気会社の方から特に監査の結果そういうことは私は聞いておりません。
  209. 梨木作次郎

    ○梨木委員 日発に対して最後的な監督権を持つておられるあなたの方といたしまして、電気業者からこういう莫大な寄付が政党になされた。しかも電力再編問題を決定するのは当時におきましては一応政府ということになるだろうと思うのであります。従いましてこういう電力再編問題が当面問題になつておるときに、そういう業者から政党に献金がなされるということは重大な問題でなければならぬ。これをお調べにならないのはどういうわけでありますか。私は非常に怠慢だと思うのでありますが、その理由を伺いたい。
  210. 武内征平

    武内証人 特に献金したということにつきましては、今日まで知らなかつたのであります。
  211. 梨木作次郎

    ○梨木委員 現に百万円の献金をしたことを知らないとおつしやるのはいささか私もあなたの常識を疑いたくなるのであります。これは当時の新聞には大きく出たのであります。従つて本日証人としてお出になる限りにおきましては、たとえば日発がもしそういう金を政党に献金しておるならば、それはどういう経理関係においてどういう目的でいつ出されたか、これを……(「ほんとうのことを言え」と呼ぶ者あり)ほんとうのことを言つておるじやないか。もしも日発から出たらどうするかということを言つておるんだ。だから最初私は電気業者と言つたじやないか。
  212. 篠田弘作

    篠田委員長 仮定の問題に対して答弁を要求する必要はありません。
  213. 梨木作次郎

    ○梨木委員 だからなぜ調べなかつたかということについて聞いておるんだ。
  214. 篠田弘作

    篠田委員長 梨木君に御注意申し上げます。本日の証人監督官庁からの証人でありまして、法律的に監督すべきものについては調査をしておるでありましようが認めません。でありますから、もし業者から献金があつたとするならば、業者を呼んだ時にお聞きになつたら、全然筋違いの仮定に立つた問題について答弁を要求する必要を委員長においてよろしいと思います。
  215. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは……。
  216. 篠田弘作

    篠田委員長 簡單にお願いします。
  217. 梨木作次郎

    ○梨木委員 簡單にやります。その次に伺いますが、この見返資金を使う場合におきまして、たとえば一つ発電所の建設工事をやる場合に、戰時中に着手されて中止されたものにも見返り資金が出ておるのでありますが、それらのものは、なるべく竣工間近いものに優先的に見返り資金を注ぎ込むというようなことが方針として決定されておつたように聞くのでありますが、そういう事実はありませんか。
  218. 武内征平

    武内証人 特にさような方針があつたということを私存じておりませんですが……。
  219. 篠田弘作

    篠田委員長 梨木君は簡單にすると言つていながら、依然として質問を継続しますが、もしそれでしたら、あとまわしにしますから……。
  220. 梨木作次郎

    ○梨木委員 もう少しだから。  それでは富山県に成出という発電所の建設工事がありますが、これはいくら見返り資金が出ることになつておつたのでありますか。この資料にも出ております。
  221. 篠田弘作

    篠田委員長 計数の問題ですから、もし記憶になければあとで調査して出してもいいです。
  222. 武内征平

    武内証人 あとで調査して出します。
  223. 梨木作次郎

    ○梨木委員 あとで調査して出してください。これで終ります。
  224. 篠田弘作

    篠田委員長 島田君。
  225. 島田末信

    ○島田委員 証言を総合してみますと、日発だとか、あるいは電産だとか、あるいは電力需要者というものが、大体電力編成には猛反対をやつたようでありますが、それはそれぞれの立場から利害関係を持ち、反対意見は必ずしも一致しなかつたと思います。ただ反対運動をやつたということだけでは一致しておつたと思われるのでありますが、その当時の実情をわれわれが見聞きした範囲では、いわゆる日発を原動力とした一貫した一つの反対運動であつた。かようにも受取れるのですが、これについて局長の御存じのところをお聞かせ願いたい。
  226. 武内征平

    武内証人 日発自体の御意見と、電産の方々の御意見は、結論においては現状維持、あるいは分断反対ということになりますけれども、そのよつて来るイデオロギーは違つて来ておると思います。最後の終局点は同じようでありますから、あるいは原動力というように解釈できるかもしれないのでありますけれども、日発が中心になつて方々を動かしたというようには考えておりません。
  227. 島田末信

    ○島田委員 私はその当時の実情から推して、結局日発、電産、電力需要家、それぞれ意見は違つてつただろうが、一つの反対運動にかり立てられた原動力は日発であり、すべての諸経費が日発自体でまかなわれたのではないか。かように想像される節が多いのですが、この点はどうでしよう。
  228. 武内征平

    武内証人 御承知のように日発現状維持というのが意見でありますが、政府案によつて分割するとどういうふうになるかというようなことについての資料は、非常にたくさんつくつております。しかし他の需用家の反対とか、あるいは電産の反対のために特に非常に大きな金をお使いになつたというふうにも私は必ずしも聞いておらないのであります。あるいはその点は私の調査不十分かもしれませんが、日発日発自体の御主張のために相当な資料をつくり、配付したということは事実ではないかと考えます。
  229. 島田末信

    ○島田委員 私は日発あるいは電産、電力需用者というようなものを一応原動力として、あらゆる諸経費をまかなつたということの処理のために、昭和二十四年度の金が非常にかさんでおる、あるいは各地方における、先ほど猪俣君から申しておられたような需用者指導費ですか、そういう名目で処理された経費もそのために処理されておるのではないか、かようにも想像されておるのですが、この点重ねてお聞きしたいと思います。
  230. 武内征平

    武内証人 その点につきましては、特にそういう観点から調査をいたしておりませんので、御要求によりましては、われわれといたしましてもそういう点からひとつ調査をいたしてみたい、かように考えております。
  231. 島田末信

    ○島田委員 先ほどの証言によりますと、こういう反対意見というものが政府案にある程度参酌され、取入れられ、尊重されたというふうな何かあつたようですが、その取入れたといいますか、あるいはそういう意見政府案に織込まれたと申しますか、その重要な点だけをもう一度お聞かせ願いたい。
  232. 武内征平

    武内証人 電気事業者の反対は別といたしまして、各需用家あるいは需用家を代表する各府県の自治機関、あるいは決議機関等の要点をまとめますと、分断することによつて地域差が開いて来る。ということに対する反対が一つ。それから分断することによりまして、融通が不円滑になるということが第二点であります。第一点の料金地域差が開く、従つて分断反対であるという線は、主として火力地域にあります中国、四国九州あるいは北海道というところが、分断されて現在のプール・システムがなくなれば裸料金になる。従つて現在におきましても、ある程度の地域差はついておるけれども、さらに一層の地域差がつくから反対であるというのが理由であります。ところが政府原案によりますと、水力の出力の一キロワツトに対しまして、われわれの計算によりますと年間千五百円、それから火力の方が——火力を燃しました場合に、高い石炭を使つて燃しますから、その一キロワツト・アワーに対しまして大体六十銭から七十銭くらい補給いたしますと、大体現在の地域差くらいになるようであります。これがわれわれの料金調整制度でありますが、この制度によりまして、大体年間九十億くらいの金が動くのでありまして、これが料金調整によつて地域差の開くことに対する非難に対する対策であります。  それから融通関係でございますが、各地域におきまして、需給をバランスする。すなわち関東と関西でありますが、関西におきましては、北陸、中部の電源に依存する。それから関東供給力におきましては東北の猪苗代、信濃川に依存しておるというのが現状であります。従いましてこの地域内の発電所の所属を認めるとしますならば、再編成後においては関東、関西の会社もそのと需用とが大体マツチしますので、地帶間融通が減るわけであります。もちろん融通公益事業委員会の権限によつて、また会社間の協力によつて、契約の遵守をしていただこうと思つておりますけれども、融通量がふえますことは、やはり融通しにくいということに、これは設備的の要請もありますけれども、なります。そこでなるべく電力調整によつて会社需給をバランスさせて、そうして融通を減して行く。そうすれば少くなつ融通量の範囲内において公益事業委員会が各会社調整してやりますからうまく行く。従つて分割しても必ずしも融通が不円滑にならない、こういう二点を政府原案は持つてつたわけであります。この二点がうまく行けば、究極の反対の二点がカバーできる。こういうことで原案ができておるということでございます。
  233. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 今、島田君の質問でわかりましたが、一、二点聞きたいのです。それは電力編成法案について、政府法案作成の経過について一、二点聞きたいのですが、ただいま御説明のように、反対論がある、それから賛成論がある。日発、電産は反対、配電は賛成ということになつておるのですが、政府は四月一日から一気呵成にこの法案の作成に当られたのですが、四月一日この法案の作成に当られるときは、九分断をするという方針を決定して、その法案審議に当られたかどうか、その点をお聞きしたい。
  234. 武内征平

    武内証人 四月一日におきましては、すでに九分断ということは決定して、それに基きまして法案の作成をいたした。かように考えております。
  235. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そこでお聞きしたいのは、その以前において強力なる反対であつた際に、集排法における指定会社は、約半数その指定を解除されておる。日発その他の分断反対、現状維持の建前から行けば、集中排除法指定を解いてもらえばそれでいいわけです。政府はこの集排法指定の解除について努力されたかどうか、この点は全然無視して九分断について方針をきめてやられたか、その点をお聞きしたい。
  236. 武内征平

    武内証人 この分断の再編成の問題が起りました最初におきましては、政府といたしましては、戰後経済が安定しないただいま、また電力需給が逼迫しておるただいま、再編成はやめていただきたい、むしろその意味におきましては、指定を解いていただきたいという点までは口では申しませんけれども、延ばしていただきたい。今することはやめていただきたいということは申したのであります。しかしながら、その後の情勢におきまして、しばしば非公式の書面もありますし、早くしろ、早くしろということでありますので、その後の経過においてはもう解除してくれということを持ち出す余地がなく、むしろその方向で指導されて来たというわけでありまして、最初におきましては、さようなわけで、先ほども御説明申し上げましたように、さような方向で政府は交渉いたしておつたわけであります。
  237. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そこでもう一つお聞きしたいのは、いわゆる民主化委員会の大山案が分断反対の意見であつた電気事業編成審議機関の答申案も反対である。いわゆる九分断でなかつた。それをあえて松永試案と言われておるところの九分断を決定してやられた。いわゆる集排法指定の排除の要望を持つていたけれども、それは時機を失した。そうしていわゆる九分断の松永案をとつてやつた。これは先ほどの説明によりますと、司令部からの指示は十分断であります。それを十分断のような指示をせずに九分断にする。またこの審議会答申案に反対をしてやつた。その点はどういう見解で政府はその九分断をとられたか。その三つと関連しての見解を承りたい。
  238. 武内征平

    武内証人 大山案は御承知のように……。
  239. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと証人に御注意します。坂本君にも申し上げます。大山案とかバーカー案というものは一番最初に証人説明している。それを今再びここでもつて繰返すということになれば非常に時間がかかる。あなたの発言も簡單にするということでありますから、そういう重複するようなことはここで遠慮してもらいたい。
  240. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 説明は聞いた。説明は聞いたから、いかに九分断をとつたかというその関係簡單に聞きたい。今までは何もその関係を言つていない。政府がどうしてとつたかということの関係を言つていない。
  241. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは証人はその点だけを簡單に言つてもらいたい。
  242. 武内征平

    武内証人 松永委員会答申案は九分割をする上において、日発の約四二%の融通会社を持つということであつた。それを司令部に出しましたら、司令部は二月十日に、これは趣旨に沿わない、従つて政府案を出せ、こういうことになつたのであります。そこで政府といたしましては、この新しくできる会社はなるべく需給がマツチする会社にしたい。再編成を行うにつきましても、なるべく現在の実態に即して、しかも再編成のスムースなる経過を望むといつたようなこと、また電力の施設の活用につきましては、水火力の併用といつたようなことのできるような案が望ましいということからいたしまして、その点は松永案と同じであります。しかしながら松永案におきましては、電力融通につきましても積極的に意見が出ておりません。ことに料金調整という問題については全然触れておりません。そこで融通案が答申されたゆえんのものは、電力料金調整融通を完璧にするために暫定的に融通会社をつくれ、こういう答申であります。従いまして政府といたしましては、この融通会社をつくらずして、なおかつしかも融通会社をつくるというアイデアはこれは非常に大切なポイントでありますので、その点を盛り込んだ案をつくることが必要であろうというところから、原案におきましてはなるべく融通の範囲を狹めるようにして、しかも融通の範囲を狹めたものを、公益事業委員会融通の最後の命令権を與えて融通を完璧にするということと、それから料金調整のためには、一定の水力料金とつて、火力地帶にこれを補給するということで目的は達するであろうということから、政府原案にしたということを、当時私はおりませんけれども聞いております。
  243. 篠田弘作

    篠田委員長 坂本君に注意いたします。坂本君はさつき一分間の発言を許せということでありましたが相当長くなつております。
  244. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 もう一点だけ。そこでその答申がわかりましたから、先ほどの説明に基き補足してもらいたいのは、日発、配電、電産なんかの運動形態はどういう形態でやつて来たか。ただ反対だ、賛成だという。われわれのところにもいろいろ資料も来おりますが、日発、配電、それから電産はさつき読まれたああいう要求書だと思う。だから日発と配電と二つの会社は、日発は反対、配電は九分断賛成という、この運動をどういうふうに電力局長にやつて来たか、その点をお聞きしたい。
  245. 武内征平

    武内証人 日発、配電もおのおの趣意書をつけて、趣意書の裏づけとしての資料をたびたび私のところに送つて参りました。またその資料の説明等にもおいでいただきました。そういう運動方法であつたと私は考えております。
  246. 篠田弘作

    篠田委員長 坂本君に御注意いたします。あなたはさつきもう一つと言われた。その日発、配電の運動方法につきましては、先ほど来他の委員からも言われておる。
  247. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 書類による反対、賛成を念を押すだけなんです。
  248. 篠田弘作

    篠田委員長 それだけですか。
  249. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それだけです。今の説明によると、書類による賛成反対の点だけですが、そのほかにいわゆる金銭を持つて来るとか、あるいは饗応をしたとか、そういうような運動方法をしなかつたかどうか、それをお聞きしたい。
  250. 武内征平

    武内証人 その点につきましては私は寡聞にして存じません。聞いたことはございません。
  251. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 簡單に伺いますが、まず第一に、武内電力局長は中村博吉という人を御存じですか、どうですか。
  252. 武内征平

    武内証人 存じております。
  253. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 この人はどういう役目でお会いになりましたか。
  254. 武内征平

    武内証人 中村博吉君は、鉱山局の鉱政課でたしか廃兵器処理の仕事をやつておりました。当時私は名古屋の商工部長で、その関係でその時分から知つております。
  255. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 松永安左衞門氏の祕書として中村博吉氏がいるということを私たち聞いておるのでありますが、松永委員長の祕書あるいは松永機関、銀座電力局の祕書としてお会いになつたことがありますか。
  256. 武内征平

    武内証人 電力編成審議会ができまして、松永氏が会長になられたときに祕書になつたと言つて私のところにあいさつに来られた。
  257. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 再編成問題について、松永氏の代行として再三中村氏にお会いになつたり、御相談になつたことはございませんか。
  258. 武内征平

    武内証人 再編成の問題につきまして、特に中村氏とだけ会つたことはございません。
  259. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどもちよつと質問がありましたが、松永安左衞門氏の事務所であると言われておる中部配電の松永事務所に、武内電力局長も頻繁に出入りされているという話をわれわれは聞いておるが、そういうことは事実ありますか。
  260. 武内征平

    武内証人 私は中部配電の所在も知りませんし、一ぺんも行つたことはありません。
  261. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは中部配電の中に松永事務所があるということも御存じないのですかどうですか。
  262. 武内征平

    武内証人 あるということは聞きました。
  263. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは聞いてはおられるけれども、これに対しておいでになつたことはない、こういう点ははつきりしておりますね。
  264. 武内征平

    武内証人 さようであります。
  265. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それからもう一つ、白洲次郎という方は御存じですかどうですか。
  266. 武内征平

    武内委員 名前は聞いておりますけれども、私はお話をしたことはありません。
  267. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは白洲さんには全然会つたことはないわけですね。
  268. 武内征平

    武内証人 会つてお話したことはありません。
  269. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それからもう一つは、小室電政課長が実は辞任をしておるのでありますが、先ほどの話ではあなたの渡米中においては、実質的に電力局長の補佐というような役割を果しておつた、それほど重要な役割を果した人が突如として辞任をしたという理由はどういうわけですか。
  270. 武内征平

    武内証人 御承知のように人事院試験というものがありまして、この試験の結果通産省におきましても相当大きい異動をやらなければならないということでありました。当時事務次官から各局長が呼ばれまして、今同人事異動をやるけれども各局長に相談しないからそれを了承せいということでありました。理由理由であり、いろいろやりくりがあることでございますから、それもいたしかたなかろうということで電力局長は了承したのであります。その後突如としてかわつたのでありまして、私自体は小室電政課長がかわつたことのために非常に困つたのでありますが、さようなことでかわつたのでありまして、これはもつぱら人事院試験の結果でありまして、別に辞任したからどうということではありません。
  271. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の聞いておる限りでは、小室電政課長は分断問題には反対で詰め腹を切らされた。この点が事実であるかどうかという点と、この人は現在役所におられる方でありますか、どうですか。
  272. 武内征平

    武内証人 詰め腹を切らした覚えは全然ございません。それからその人はただいま通商局の通商政策課長であります。
  273. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それは現在の人事院の試験の点からいいますと、課長の地位についての試験であつたと思うのでありますが、電政課長としての試験に不合格であつて、そちらの方には合格した。こういう意味でありますかどうか。
  274. 武内征平

    武内証人 これは電政課長としてのポストの試験に落ちたというわけでありません。全体のやりくりがございまして、ほかにぐあいの悪い人があればぐつとまわらないととまらない。課長のポストが百五十も二百もあるのでありまして、そういう全体の一環としてやつたのでありまして、小室君が試験に落ちたわけではありません。優秀な成績で通うたのであります。
  275. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これは実は私通産委員会を傍聽しておつて聞いたのでありますが、この間、たしか先月の二十九日であつたと思いますが、この電力問題が通産委員会で問題になりましたときに、あなたの方の大臣は、小室電政課長は試験がうまくなかつたからやめたのだということを答弁しております。これは速記録にも載つておりますが、この点は事実でないということをあなたはお認めになりますか。
  276. 武内征平

    武内証人 大臣の御答弁になつたことについては私存じませんのでお答え申し上げられませんが、小室電政課長は、試験の全体の操作の関係でかわつたことは確かであります。
  277. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 待合でみやこというところにあなたがお見えになつておるということを——調査関係で待合の方で言つておるのでありますが……。
  278. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと岡田君に申しますが、調査とは事務局の調査ですか。事務局の調査ではそういうことを言つておりません。
  279. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の方の調査です。
  280. 篠田弘作

    篠田委員長 それをはつきりしてください。考査委員会調査というと、事務局の調査を指すのです。
  281. 武内征平

    武内証人 今のはどこのですか。
  282. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 葭町です。
  283. 武内征平

    武内証人 それは私がアメリカへ行きますときに、ある友人が送別会をやつてくれたうちに、たしかみやこという家があつたと思いますから、あるいはそれかと思います。
  284. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 電力経営者協議会というのがさつきもちよつと問題になつたのですが、経営者協議会のメンバーは、日発あるいは配電とはどういう関係にあるか、御存じですか。
  285. 武内征平

    武内証人 経営者の会合でありまして、法人でも何でもない。ただいろんな対組合関係とか、あるいは配当をどうするとかいつた、共通的な問題を協議する一つの会合であります。
  286. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 経営者協議会に参加されておられる方、これはたとえば配電会社の場合に社長が参加されるのですか。正式のメンバーになつておるのですか。
  287. 武内征平

    武内証人 会社の代表者でありますから、各配電の社長及び日発の総裁、副総裁……。
  288. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今の証言で非常に明らかになつたと思いますが、電力関係の各関係会社、あるいは配電、日発関係の全会社関係が代表者として入つておる。そこで実質問題として、あなたは行政監督の立場から、実質的に監督すべき配電会社あるいは日発関係、こういう関係の代表者が電力経営者協議会という名目のもとに一つの政党の参與になるということは妥当であるとお考えになるかならないか。もう一つ公益事業の性格として、そういうことが正当であるかどうか、行政機関の立場から御意見を伺いたい。
  289. 篠田弘作

    篠田委員長 岡田君に申しますが、本日は証人として出席を求めておるのであつて、本人の意見を聞く会合ではありません。政党支持の自由は、行政機関がこれを統制するようなことはありません。
  290. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどお話があつたように、配電会社日発関係に対して監督の権限をお持ちになつておる。そういう行政監督の立場に立つて公益事業の性格から見て適当であるか、こういう点を行政監督の立場として証言を願いたいと思います。
  291. 篠田弘作

    篠田委員長 この問題はあなたの御意見でありますから、宣誓した委員会において証言される必要は委員長においてないと思います。     〔「証人の発言を制限するのは不当だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  292. 篠田弘作

    篠田委員長 岡田君に注意いたします。個人の意見を聞く会合ではありませんから、あらためて申し上げます。
  293. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ただいま委員長はこれは意見であると御解釈になつたようですが、関係行政監督一つの権限の問題として、どういうようにこれを扱うかということを伺つたのであります。特に委員長として私は壇断であると考えますが、この意見を解釈して、証人がこれに対して意見を述べるかどうかということをあなたが勧告をされるならば委員長として当然であろうと思いますけれども、述べる必要はありませんと断言的なことを委員長が言うのは、明らかに壇断である。
  294. 篠田弘作

    篠田委員長 委員長委員会を運用する権限を持つております。宣誓をした証人に対して意見を求めた先例はありません。
  295. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 意見じやありません。
  296. 篠田弘作

    篠田委員長 岡田君の時間はもう経過しておりますから……。
  297. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あなた自身がそんなことを言うから、時間がかかつてしまうんです。  最後に一つだけお伺いしておきます。どうせまた来てもらうのだから、ゆつくりお伺いしますが、最近日発関係持株会社整理委員会からいわゆる集配法の指定なつておる。現在再編成中である。当然再編成によつて新たに編成がえをやつて行くというようにさつきから証言をされておるわけであります、ところがすでにこの再編成中の日発の中から、発電所の中でどんどん身売りをする準備が進められておる。たとえば具体的に申し上げますと、関東変電所というのが日本軽金属に讓渡される準備が進められておる。あるいはまた新潟県の鹿瀬という変電所が昭和電工に売られることになつておる。こういう事実をお聞きになつつておるならば、こういうのはどういう手続、どういう関係で進められておるのか、こういう点を具体的に御説明願いたい。
  298. 武内征平

    武内証人 特にさようなことは私聞いておりません。施設物の処分につきましては電気審議会の認可がいります。ただ軽金属につきましては、あの発電所調整規則のわくをはずれまして、ほんとうの自家発にかわりましたから、その関係はあるいはあるかと思いますが、その他のことについては全然存じません。
  299. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 実は今の鹿瀬、それから九州にもまだある。一々名前はあげませんが、あなたの方でも御存じのはずでありますが、こういう点を具体的に御調査なつて、考査委員会に資料として御提出願いたい。  もう一つは、先ほどあいまいでありましたが、労務対策費の三千六百六十七万円の内容について、あなたの方で具体的に御調査なつ内容を考査委員会の方へ御提出願いたい。
  300. 篠田弘作

    篠田委員長 本日の武内証人に対する証言を求めますのは、これをもつて終了いたしました。証人には長時間にわたつて御苦労でございました。  この際お諮りいたします。明日午後一時から大西日発元総裁、高井関東配電社長、両証人出頭を求めておるわけでありますが、本日の武内証人に対する尋問の模様から見まして、明日午後二人の尋問はとうていむりかと思われますので、明日になつて急に変更いたしますより、高井証人は明後日の午後一時から出頭願うことにした方が実際問題としていいと思われますので、そういうふうにしてはいかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  301. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なければ、さよう決定いたしまして、委員会において手続いたします。  明日は午前十一時から理事会を開いて、先刻の松永証人の処置について協議いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  302. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時三十四分散会      ————◇—————