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1950-09-18 第8回国会 衆議院 考査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十八日(月曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 島田 末信君 理事 塚原 俊郎君    理事 内藤  隆君 理事 吉武 惠市君    理事 小松 勇次君 理事 猪俣 浩三君       安部 俊吾君    井手 光治君       岡延右エ門君    鍛冶 良作君       黒澤富次郎君    小玉 治行君       田渕 光一君    福井  勇君       柳澤 義男君    石田 一松君       椎熊 三郎君    坂本 泰良君       高田 富之君    中村 寅太君       岡田 春夫君  委員外出席者         証     人         (東京石炭協同         組合理事長、製         鉄原料輸送株式         会社社長)   野村宗一郎君         証     人         (大阪石炭協同         組合理事長)  大西善四郎君 九月十六日  委員大森玉木君、稻葉修君、平川篤雄君及び松  本六太郎君辞任につき、その補欠として小林運  美君、椎熊三郎君、石田一松君及び中村寅太君  が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員梨木作次郎辞任につき、その補欠として  高田富之君が議長指名委員に選任された。 同日  理事久保田鶴松君の補欠として猪俣浩三君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  公団をめぐる不正事件配炭公団関係)  不正入出国並びに密貿易問題に関する件  証人出頭要求に関する件     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。
  3. 猪俣浩三

    猪俣委員 緊急理事会開催せられんことの動議を提出いたします。その目的は、緊急理事会におきまして、今問題になつておりまする日発事件調査を正式に委員会に提出することについての審議をしてもらいたい。その理由は、今天下の問題になつておりまするがゆえに、国民の疑惑を解く意味におきましても、正式に委員会にかけてやつてもらいたいというのであります。
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは今理由を言われましたが、委員会にかけるということの調査の済まない先は公開しないことに申し合せてある。それを今ここで、公開の席上においてこれをやられるということになると、前からの申合せがこわれることになる。緊急理事会を開きたいという御要求は承つていいが、理由を言われることは、ここでは言うべからざることを言うものであると思うから、お控え願いたい。
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいまの猪俣君の緊急理事会開催動議がありましたが、委員長といたしましては、本日の日程にも現在まだ載つておりません。また本日は証人喚問もしてありますので、それも相当時間待たしてあるような状態でありますから、現在喚問してありますこの証人尋問が終りましたあとに、猪俣君の緊急動議を取上げまして、本日理事会を開くかどうかという問題についてご協議申し上げたいと思います。さようご了承願います。
  6. 椎熊三郎

    椎熊委員 動議が出た以上は——理事会を開くべしとの動議なんだ。それの最後的決定をしておくべきだ。開くか開かぬかということはきようの考査委員会に何も影響はない。(「必要なし」と呼ぶ者あり)必要ないことがあるものか。理事会を開くか開かないということを何の理由反対するか。
  7. 篠田弘作

    篠田委員長 椎熊君に申し上げます。委員長理事会を開かないというふうには申しておりません。同時にまた……。     〔「動議が出たからには、始末をつけなければ他の議案に移ることはできない」と呼ぶ者あり〕
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 その動議については、今委員長が申し上げたのは、証人喚問してあるし、時間も遅れておるから、その動議を後ほど取上げたらどうかということであります。
  9. 椎熊三郎

    椎熊委員 動議が出てしまつたから、結末をつけなさい。
  10. 篠田弘作

    篠田委員長 猪俣君どうですか。
  11. 猪俣浩三

    猪俣委員 簡單なことなのだから、理事会を開くか開かぬかをここで決定して、そうしてお晝の休みにでも理事会を開いて審議すれば、きようの間に合うじやありませんか。何もこれは自由党といえども審議未了にしようという考えがないと思う。であるから開くかどうかということの……。
  12. 塚原俊郎

    塚原委員 ただいま猪俣君は、妙にわざわざ問題を起すような発言をしたのですが、私は猪俣君に一つ言いたいのです。猪俣君は大体十三日の理事会にも出ておらぬ。社会党久保田君ですか、民主党小松君も来ておられました。われわれの方で小玉君が調査要求を出しましたときに、共産党の諸君は默つておりましたけれども、民主党並び社会党、それから理事ではありませんが岡田君までも、そういう問題を取上げることはよろしくないというような反対をやつておいて、きようになつて妙に含みのある言葉を含めながら言うことは、かえつて不明朗にするものだと思う。何も委員長理事会を開くことを拒否しておるわけでもない。われわれも開くつもりでおる。ただ証人喚問しておるのであるから、それをやつてからでも、きよう中に開かれるから、今の委員長の取扱い方は決して不当でないと思う。あんまり野党側が妙な言い方をするのだつたら……。
  13. 小玉治行

    小玉委員 今、猪俣君の緊急動議の説明が中途で終つたのでありますが、その言い出しを聞きますと、日発問題について正式に委員会に取上げるように理事会できめてもらいたいというふうな発言があつたけれども、それはおそらく猪俣君の誤解ではないかと思う。去る十三日の理事会に、私ほか三名のわが党の委員をもつて日発問題を考査特別委員会で取上げてもらいたいという調査要求を正式に提出し、その理事会において、これは従来の当考査特別委員会の取扱い方に従つて、事務的に命じて調査員をして下調べさせるということに決定しておる問題であります。でありますから、猪俣君の仰せられるような理由によつて理事会を開く必要はないのであつて、おそらく猪俣君は法律に詳しいし、この考査特別委員会の従来の取扱い方については十分御承知のはずでありますが、遺憾ながら欠席しておつたがために、日発問題が正式に考査特別委員会に提訴され、これを取上げるということに決定したということをまだ御存じなくて、さような錯覚に基く提案をされるのではないかと思うのであります。さような意味であれば、私は今委員長が申されたように、この委員会終つた後にも、さような問題について理事会で論議する必要すらないと考えている。
  14. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほど塚原君からのお話がありましたが、私が取上げることを反対したということは全然ありません。それは自由党諸君が出された調査要求書がきわめて不明確であるから、この点についてはつきりしたことをもつと調べて、徹底的にやろうじやないかということを私は申し上げた。特に先ほどから自由党諸君からお話のあつたように、いろいろお話を承つておりますと、前委員長である鍛冶委員からもお話があつたように、内容については触れてはならないというのだが、自由党諸君が、実は今小玉君も内容に触れておられる。しかもこの問題については、先ほど猪俣君も言われたように、理事会を緊急に開けという動議を今提出したのでありまして、これについて、どうしましようかというようなことを委員長動議提出者に対して御相談になるならばともかくとして、正式に提出された動議あとにまわしますというように、かつて委員長がおきめになることは專断であります。もしさような手続をされなければならないとするならば、これは正式にこの委員会において手続をされることが必要であります。その手続を行わないで、これはあとにまわしますということは專断である。
  15. 篠田弘作

    篠田委員長 委員長から申し上げます。ただいま猪俣君から緊急理事会を開けという緊急動議を出されました。その前に猪俣君は委員長の席においでになりまして御相談になりましたから、私が、きようは証人喚問してあり、長時間待たしてあることであるから、この証人喚問終つた後、晝休みのときにでも緊急理事会を開くかどうかという懇談をしたらどうかと言つたところが、猪俣君もそれでよろしいと言つて引き下られたから、それで言つたのであります。関係のないあなた方が、それをわからずに專断であると言うことは、それこそ專断であります。
  16. 猪俣浩三

    猪俣委員 私はそういうふうに受取らない。今緊急動議を出すがどうだ、そうしてその決定緊急理事会を開くことは、この証人尋問あとにしてもらいたいという意味にぼくはとつておる。それはそれでよかろう。本日の日程を終了してから理事会を開いてもよろしいが、開くか開かぬかどうかは緊急動議で出すからと言つたら、そうしようとあなたおつしやつた。だから私はその動議を出した。それに対してこんなに紛糾するとは思わなかつた自由党諸君もやろうというお考えは相当ある。ただその緊急理事会を開くのは、この証人喚問終つてから理事会を開こう、こういうあなたの意味だと思つて、それでよろしいというので私は引き下つた。あなたの今の話のように、動議をどうするかということだけを全部終つてからやろうというふうにぼくはとつておらぬ、それからなお私が十三日に出席しなかつたから何もわからぬというやじが飛んでおりますが、今までのやり方は、理事会でこれを下調査するかどうかをまず決定して、下調査をさせて、その下調査基本にして本委員会で取上げるかどうかということを決定して来たのであります。そこで十三日は下調査をするかどうかを決定されたものだと私は思う。そしてその結果によつて、今度は本委員会で取上げるかどうかということでまた理事会を開いて、その審議の結果それを本委員会に取上げるのが今までのやり方だ。だから私は念のために、今までのやり方が丁寧にやつてもらいたいと思つて出したので、もし十三日にすでに委員会にかけることが決定しておるとするならば、何も理事会を開かないでもいい。そこが一体決定しているのかどうか、そこをはつきりさせていただきたい。
  17. 井手光治

    井手委員 従来理事会議案を付託して取上げるときは、何らかそこによるべき根拠を求めておるというのが前例になつておる。ところが、この問題に関する限りは、わが党から提出いたしましたにかかわらず、各党とも何ら材料を持つておらない。材料のないものを、單なるうわさだけで取上げてはいかぬじやないかという議論も出たのでありますが、問題が重大であるから、材料はなくても、うわさだけでまことに申訳ないけれども、それを下調査することはさしつかえないということにわれわれも賛成した。でありますが、今日材料がそろつてつて、さらに理事会を再開して、その材料に基いて、本委員会を開くかどうかということでありますれば、私はその動議賛成するにやぶさかではない。しかし十三日は、少くともそういううわさの程度であるけれども、従来の慣例を破つてこの問題を理事会で取上げたのであります。だから十三日の理事会申合せ通り進行せられんことを希望いたします。
  18. 椎熊三郎

    椎熊委員 十三日の御決定はどうあろうとも、きよう午後日発の問題に関して理事会を開くべしという緊急の動議、これは当然開くべきだと私は思う。うわさに基いてどうとかいうようなことは別なので、そんなものであつたならばさらに理事会が必要であるし、確実な材料があれば一層必要だ。いずれにしても緊急理事会を開く必要を私は認めます。委員長猪俣君の私的な交渉のごときは、われわれは知らなくて何らそれはさしつかえないのだ。緊急動議の表面の命題に基いて判断するのがわれわれの職責だと思う。従つて緊急動議を出した以上、この決定を後刻に譲り、結末つけずして他の議案に移るというのは違法だ。議事運営上の適法なるやり方ではないと考えますから、とにかく猪俣君の動議について採決されんことを希望いたします。
  19. 田渕光一

    田渕委員 私は猪俣君の動議反対するものであります。なぜかというと、少くとも日発問題という天下の耳目を引いたものを、理事会理事諸君承知していることでありますから、少くとも本件に関する限りは理事会の必要なく、堂々と委員会において天下に明らかにするよう、ガラス張りの中で超党派的にやつてもらいたいと私は思う。
  20. 小玉治行

    小玉委員 今猪俣君、椎熊君からるる申されたが、私の言わんとするところは、理事会を開く根拠がはなはだ薄弱であるということを申し上げておるわけであります。日発の問題に関して理事会を開くことに私としては不賛成ではありません。ただこの間やつたことをむし返して、同じことをやるのでは意義をなさぬではないかということが私の言うところであつて、私として、もし理事会を開くべき理由が十分備わつておれば、これは今日の午後、終つてからでも開くことは何らさしつかえないが、はなはだ理由が薄弱であるということを申しておるわけであります。
  21. 椎熊三郎

    椎熊委員 理事会開催の仕方は、鍛冶委員長のときは、この会議を開く前には連日のようにやつてつた。新たなる事態が発生しなくても、運営上それが必要だと思えば、当然理事会を開き、そうして本委員会の運営を円滑にするためにやつてつた従つて今こういう動議が出た以上は、断じて理事会を開くべし、こう決定するのが当然だ。反対するなら堂々と反対したらよろしい。とにかく採決なさるのが当然である。
  22. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは今椎熊君が言われた通りですし、この問題については鍛冶君の言われたように、内容についてはこの委員会において触れてはならないという今までの話もあるのですから、私は内容の問題については言わないが、篠田考査委員長としても、理事会を開いて、この問題について何か報告をしなければならないような新しい事態が起つておるのではありませんか、どうですか。そういう点から考えましても、あなた御自身としても、われわれから動議を出さなくても、ここで理事会を開きましようとおきめになるのが当然だと考えます。ところがこの理事会あとにことさらまわされるということでは、かえつてわれわれは何かふしぎな感じを受けるのですから、この際理事会を開くように希望いたします。
  23. 篠田弘作

    篠田委員長 それではちよつと申し上げます。岡田君は、委員長としても、何か理事会を開いて報告するような事態が起つておりやしないかというお話でありますが、委員長といたしましては、何らそういう事態が起つておりません。それは先般の理事会におきまして、現在の状態ではまだ材料が非常に不足しておるから、理事会はつきりとこれを委員会に上程するという決意をするための材料を下調査してもらいたいという決定によりまして、委員長事務局に命じて、目下その材料收集中であります。しかしながら調査を始めたばかりで、現在まだその中間報告の段階にも至つておりません。従つて委員長といたしましては、岡田君が言われるような事態の変化もないし、同時にまた新たに理事会を開くべき必要も目下のところ感じておりません。(「動議を取上げろ」と呼び、その他発言する者あり)動議を取上げることは別に取上げます。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員 いろいろ議論があるようですが、今すでに委員会を開いて証人が出ておるのですから、一応証人を調べまして、そうして証人調べが済んだら、懇談をしてやろうじやありませんか。(「動議が出てしまつておる」と呼び、その他発言する者あり)動議について、こんなに議論する必要はないじやないか。(「採決すればいいじやないか」と呼ぶ者あり)採決すれば反対論もある。
  25. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは委員長から猪俣君に申し上げます。ただいま猪俣君の緊急動議は、多少内容に触れたことがあるというので鍛冶委員からも反対論が起つておりますので、猪俣君から内容に何も触れない、ただ緊急理事会を開きたいという動議だけを出してもらいたい。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 緊急理事会を至急開会願いたいと思います。なるべくならばお晝休みにでも開会願いたいと思います。あらためて動議を提出いたします。     〔「適当な機会がいい」と呼ぶ者あり〕
  27. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいま猪俣君より、緊急動議によりまして、お晝から緊急理事会を開きたいという申出がありま  したが、これに対して採決を行います。猪俣君の動議賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立
  28. 篠田弘作

    篠田委員長 起立多数。証人喚問中でありますから、緊急理事会を開く時間につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは本日午後四時から緊急理事会開催することにいたして御異議ありませんか。     〔「委員会終了後ではどうですか」と呼ぶ者あり〕
  30. 篠田弘作

    篠田委員長 委員会終了後、適当な時間に開きますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 篠田弘作

    篠田委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  32. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは引続き配炭公団をめぐる不正事件について調査を進めます。本日は東京石炭協同組合理事長製鉄原料輸送株式会社社長野宗一郎君、大阪石炭協同組合理事長大西善四郎君、十九日には配炭公団清算事務所大阪支部長小澤幸助君、三井鉱山株式会社顧問山本定次君、以上四名の諸君に本委員会出頭を求める手続をいたしておきましたのでありますが、以上の諸君を本委員会証人として証言を求めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なきものと認めます。それでは証人として証言を求めることにいたします。     —————————————
  34. 篠田弘作

    篠田委員長 次にお諮りいたします。先船来種々問題になつております不正入出国並びに密貿易問題について、調査部において鋭意基礎調査を進めて参つたのでありますが、一応の調査を終了いたしましたので、この際不正入出国並びに密貿易問題について、委員会において本調査に着手いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なきものと認めます。それでは調査することに決定いたします。  なお委員会は、二十一日に国立療養所長島愛生園長光田健輔君、堺刑務所長土谷正光君、大阪国警本部警備部長山本弘君、国立療養所長島愛生園医官櫻井方策君、二十二日に大阪調査課長間林潔君、法務検務局刑事課長神谷尚男君、熊本県刑務所長田中士郎君、島根県国警本部警備部長大朏恕助君、二十五日に法務府民事部第六課長長谷川信藏君、警視庁刑事部長古屋亨君、兵庫外国人登録証明係長佐野克己君、兵庫国警本部警備部長高木貞年君、以上の諸君にそれぞれ本委員会出頭を求める手続をいたしておいたのでありますが、以上十二名の諸君を本委員会証人として決定いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう手続をいたします。     —————————————
  37. 篠田弘作

    篠田委員長 これより配炭公団をめぐる不正事件について証人より証言を求めることといたします。  ただいまお見えになつている方は野村宗一郎さん、大西善四郎さんですね。——あらかじめ文書で御了承願つておきました通り、本日正式に証人として証言を求めることに決定いたしましたから御了承願います。  ただいまより配炭公団をめぐる不正事件につきまして証言を求めることになりますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。傍聽者も全部起立してください。  それでは野村さん、代表して宣誓書を朗読してください。     〔証人野村宗一郎君各証人を代表して朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  38. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは署名捺印を願います。     〔各証人宣誓書署名捺印
  39. 篠田弘作

    篠田委員長 最初に野村さんから証言を求むることになりますから、大西さんはしばらく元の控室でお待ちください。  野村さんですね。
  40. 野村宗一郎

    野村証人 さようでございます。
  41. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求むることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また発言の際は、その都度委員長の許可を得てなされるようにお願いいたします。聞かれるときは、そのまますわつていてよろしいですが、答えるときは、立つて答えてください。  証人はいつ東京石炭協同組合理事長になつたか、また就任の事情について御説明願います。
  42. 野村宗一郎

    野村証人 昭和二十五年の四月十一日の総会で選任せられまして、理事長に就任いたしました。事情と申しますか、後ほどお尋ねがあることと思いますが、東京石炭協同組合は四月十一日に改組、強化せられましたので、それまでは私は監事の役割をいたしておつたと思います。その総会の選任によつて理事長になつたのであります。
  43. 篠田弘作

    篠田委員長 製鉄原料輸送株式会社資本金設立事業等について、その概要を説明願います。
  44. 野村宗一郎

    野村証人 製鉄原料輸送株式会社は、資本金は現在一千五百万円拂込済でございます。当社の設立は、昭和十四年一月二十五日の登記設立でございます。当初は資本金十万円の会社設立いたしたのであります。その後漸次増資いたしまして、今日に至つておるわけでございます。  業務概要を申し上げますと、設立当時はもつぱら石炭販売業を主といたしておりました。その後昭和十七年三月まで販売業務を継続いたしておりましたが、企業整備によりまして販売業務は全部整備せられました。当時石炭積地からの輸送等の経験を基本にいたしまして、日本製鉄並びに日鉄鉱業の生産炭等輸送代行を命ぜられまして、もつぱら両社の現場の機関としてやつて参つたのでございます。その業務は、現在でも引続き継続いたしております。昨年九月一日に石炭統制解除になりまして以来、石炭販売業務を再び復活いたして今日に至つております。以上概略を御報告申し上げます。
  45. 篠田弘作

    篠田委員長 東京石炭協同組合結成の経過について述べてください。
  46. 野村宗一郎

    野村証人 東京石炭協同組合結成でありますが、東京石炭協同組合は、当初昭和二十三年三月一日に東京鉱産燃料商業協同組合という名称のもとに設立いたしたのであります。事業といたしましては、おもに統制燃料以外の鉱産燃料を取扱う業者六十一名をもつて結成いたしまして、出資総額は八十六万円でございました。その後昭和二十四年十月八日に東京石炭コークス販売協同組合と改組いたしました。同年九月一日から石炭コークス統制が解除せられましたために、定款を変更いたしまして、地区を従来の東京都内一円に限定いたしておりましたものを、さらに神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、長野県、群馬県、山梨県、新潟県、静岡県といたしまして、当該事業者六十六名、総資本金一百万円といたしたのでございます。その後昭和二十五年四月十一日に至りまして、東京石炭協同組合を改組いたしました。組合員八十六名、出資金総額一千三百八十二万円といたしまして、現在に至つておるのでございます。但しこの出資額の一千三百八十二万円は、設立の当時は金額が多少低かつたと思うのであります。一千三百十二万円で、当時より強化いたしたのでありまして、その後七十万円増額いたしておりますが、目下の登記面出資総額は一千三百十二万円でございます。七十万円の増加につきましては、目下登記手続中でございます。  事業概要につきましては、先刻申し上げましたように、当初統制外の鉱産燃料を取扱うことを主といたしておりましたのですが、昨年九月一日に石炭コークス統制がはずれ、しかも配炭公団が九月十六日から廃止せられまして、その手持貯炭等の買取り販売が許されるようになりましてから、これをぼつぼつ組合員が必要といたします数字の範囲内でずつと買い取つて参つたのでございますが、今年の三月に至りましてから、その貯炭の残量全部を買い取るというようなことになりまして、全面的に強化せられまして、今日に及んでおるのでございます。
  47. 篠田弘作

    篠田委員長 事業者団体法の違反によつて公正取引委員会の審判を受けているとのことであるが、その内容並びに経過について説明してください。
  48. 野村宗一郎

    野村証人 公正取引委員会の審判の問題について御報告を申し上げます。公正取引委員会より昭和二十五年七月十九日付査第二十七号の文書によりまして、審判開始決定書の送達を受けたのでございます。その審判になりまする主たる理由を申し上げますと、当組合は中小企業等協同組合法によつて設立した組合で、事業者団体でありまするが、以下申し上げまする九株式会社が、従業員数、資産数及び資本額を総合いたしますれば、いずれも小規模の事業者とは認めがたい。かようなことに主たる理由があるのでございます。その九会社は、共同石炭鉱業株式会社、日本海陸運輸株式会社、品川燃料運輸株式会社製鉄原料輸送株式会社、三鱗無煙炭株式会社、株式会社宗像商会、株式会社常盤商会、株式会社吾妻商会、中央石炭販売株式会社、この九会社が、先刻申し上げましたようなことに該当いたしたのでございます。  なお組合が公団東京支部の貯炭貯骸を一手に買い受けまして、その指摘業者が輸送しているから適法でない、よつてその行為は事業者団体法の第五條の第一項第十三号の規定に違反する、こういう指摘でございます。  なお二におきましては、組合は事業者団体法第九條により、私的独占禁止法第五十一條の規定に従つて八月十一日までに答弁書を提出すること、同十四日の午後一時までに審判手続の準備手続のために出頭すること、二十一日の午前十時に公正取引委員会の審判廷に出頭すること、なお当組合が審判廷で争うことができる範囲と方法というようにものを指摘せられて、審判開始決定通知書の送達を受けたのでございます。  その後公正取引委員会に対しまして、われわれこの組合員中の九名のものの指摘は、一応取引委員会の指摘いたします角度からごもつとものようには思われるのでありますが、何分にも石炭の小売販売業者というものの特異性という点から見ますと、二十名という従業員数で押えられますることが、ほとんど小売業者全体の大部分を網羅することになります。なお資本金や資本額も少く、現在小売に該当いたしますものは、最終申込みは六千円くらいになるものもございますし、安いものでも四千円程度の金額のものが家庭用とかあるいはその他の小規模の需要の大部分を占めております関係上、この協同組合法による組合を結成いたしましても、石炭の業者の実情からいたしまして、それはまことにむりであるというような点をるる開陳いたしまして、この中小企業等協同組合法の特例と申しますか、その精神を尊びまして、われわれは運営に十分愼重な経過をたどつている実例等をるる申し述べまして、了解を得るべく努めたのでございます。その結果、さきに指摘せられておりました答弁書の提出等の期間を延期していただくことに御了解を得まして、中間におきまして、その答弁書の提出その他の延期願いを提出いたしたのでございます。その期日は八月十九日を答弁書の提出期日にしていただきたい。それから同月二十二日を準備手続のための出頭にいたしまして、八月三十一日に公正取引委員会の審判廷に出頭ということにして、審判廷を受けたいというので、願書を出しまして、受理せられたのでございます。われわれといたしましては、現在まだ相当の石炭コークス等を手持ちいたしておりますので、以上申し上げましたような取引委員会の指摘せられた見地から、この九社の指摘会社は除外する、あるいは組合を解散するというようなこともなかなか簡單には結論づけられませんので、とにかく八月三十一日の審判廷において相当の理由をもつてこれは争うということになり、審判をしていただくという心組みでいろいろ準備もいたしておつたわけであります。その後公正取引委員会にわれわれの実情なり、あるいは石炭の現場の状態なりを詳細に検討していただきまして、われわれの意のあるところも十分くみとつていただき、最終的に組合が大きな損害を受けずに、しかも協同組合法の精神の範囲内において、これを尊重して終末を告げるということの見通しをつけていただく意味において公正取引委員会と合議が成立いたしまして、同意審結の申請をいたすことになつたのでございます。この同意審結を申請いたしましたのは八月の十七日付で、大阪石炭協同組合と連名で公正取引委員会へ出したのでございますが、その同意審結を受けます申請の概要を申し上げますと、一、当組合は審判開始決定書の事実及び法律の適用を認めるが、左記具体的措置を承認されることを前提として、私的独占禁止法第五十三條の三により同意審結を申請する。左記具体的措置といたしまして、一、当組合は本年八月十五日現在の貯炭、貯骸量を自発的に指摘組合員以外の組合員にのみ配分する。二、当組合は前項の貯炭、貯骸を一掃した後ただちに解散する。三、当組合は第一項の配分を審結後六箇月以内に完了する。四、当組合は毎月十日までに前月分の配分数量、価格、配分先を公取に報告する。五、当組合は解散後六箇月以内に清算を完了するよう措置する。六、清算人が清算事務結了後その報告書を公取に提出するよう措置す。かような具体的処置をもちまして同意審結の申請をいたしておるのでございます。その後の模様を、一応私どもの公正取引委員会との折衝の経過をつけ加えて申し上げますと、九月十四日の公正取引委員会において、ただいま申しましたような骨子に基いて、その承認を得たそうでございます。そうして十五日にGHQのアンチ・トラスト関係筋への報告をいたしたそうでございます。これが大体了承をいただきますと、本日は月曜でございますが、ここ一両日中に同意審結の通知をいただく、こういうことに相なつております。しかしまだ最後に申し上げました同意審結の通知を受けるということにつきましては、これはそういう情勢の仄聞でございますことをつけ加えておきます。
  49. 篠田弘作

    篠田委員長 価格裁定委員会における査定の状況を説明してください、
  50. 野村宗一郎

    野村証人 価格裁定委員会に臨みまして、まず東京支部から買い取る対象になりました帳簿面数字は二十二万八千百八トンであります。これを一応帳簿面数字と認めまして、これに対して、しごく短時日の間でありましたが、われわれ業者といたしましての十分なる研究のもとに計算いたしました欠斤数量は、四万六千二百八十八トンと計算いたしました。なお廃棄炭数量を四万八百五十五トンと押えております。それで三月三十一日末の実在数字を十四万九百六十五トンと計算をいたしております。これを配炭公団の標準価格により計算いたしますと九千四百二十八万一千八百三十円となるのでございます。これがトン当りは六百六十八円六十三銭になるわけでございます。これは実在数字に対してであります。全帳簿面数量に対しましては四百十三円三十二銭という数字になるのでございます。なお長期貯炭でございますので、その引受けをいたしました後販売するに至りまするまでの期間の品質低下等をにらみ合せて、これによつて各品種別に格下げをいたしまして、その格下げいたしました価格をもつて計算いたしました総金額は五千八百六十八万三千二百十円となつたのでございます。これは実在数量に対して四百十六円三十二銭、全帳簿面数量に対しては二百五十二円二十八銭という金額になるのでございます。この数字を一応基本といたしまして、われわれ組合が引受けました以後の諸掛、当然支出いたしまする直接諸掛、また間接諸掛等をこれから差引いたしたのでございます。まず第一に貯炭場諸掛八百七十九万五千円を差引きました。それから金利を四十五万円差引きました。協同組合の経費を二千万円計上いたしました。搬出横持ち余分費用を三百五十万円差引きました。差引処分価格といたしまして二千五百九十四万二千二百十円という金額になつたのであります。これからさらに廃棄せられました石炭をそのまま置くわけに参りませんので、これを取捨てなければならないことになりますので、この取捨て費用を五百万円計上いたしました。それから新潟から京浜市場へどうしても転送しなければならない実情にあります数字に対する転送の実費を計算して、これを一千五十万円計上いたしました。それで差引いたしました最終処分価格が一千四十四万二千二百十円という金額に落ちついたのでございます。これが価格裁定委員会における最終の結論でございます。
  51. 篠田弘作

    篠田委員長 最近のバランス・シートによつて、收支の状況を説明してください。
  52. 野村宗一郎

    野村証人 ただいま申し上げました買取りを基礎にいたしまして、当初われわれはこれを基本の仕入額といたしまして、それに対しまする組合の実行予算と申しますか、先刻申し上げました十四万九百六十五トンと査定になりましたものを、さらにわれわれの手で嚴密に時間をかけまして、容積計算等によりまして再査定をいたしましたところ、その実数は一応十四万一千二百七十六トンという数字が出て参りました。わずかでありますが、実際の実在数字が公団より買い取ります数字よりも、最終数字において多少ふえましたことを。まず御了承願いたいのでございます、なおそれによりまして、売り上げます総金額、売上げ目標を七千三百二十一万三百六円と踏んでおります。これに対しましての貯炭場諸掛を八百七十九万五千円——中間でございますが、先刻申し上げまするような組合経費その他、委員会で査定いたされました項目だけでは、どうしてもその実際の実行がむずかしいのでございます。と申しますのは、組合経費は二千万円と押えられましたが、われわれの主張はそれよりもはるかに高額であつたのでありますが、公団ではなかなかそれを認めないというようなことで、ついに結論的に二千万円に削除せられたのであります。組合経費といたしましては、どうしても三千二百五十一万七千円という組合経費の計算が出ますので、その他の貯炭場料の節減とか、あるいはいろいろの点の節減をいたしまして、バランスをとるべく実行予算を立てたのが、ただいま申し上げております実行予算でございます。再び申し上げますと、売上げ目標が七千三百二十一万円と踏みまして、それに対して貯炭場諸掛が約八百八十万円、金利が四十五万円、組合経費を三千二百五十万円、横浜での余分諸掛が三百五十万円、それから水洗いたしましたり、廃棄を処理いたしましたりいたします費用を四百万円、新潟の余分費用諸掛が六百五十万円、こういうことで、さらに貯炭場の管理費と売掛金損失、その他の損失の引当金といたしまして、百五十万円の予算をとつております。そうして先刻最終には決定いたされました公団の炭代一千四十四万二千二百十円というものを、総体の売上げ目標から差引きまして、差引五百万円の利益があるという計算のもとに、この組合といたしましては実行にかかつておるのでございます。その後四月から八月までの実績をこれによつて申し上げますと、販売数量は十一万二千四十六トン販売いたしております。これの総売上高が五千三百三十万九百六十六円二十銭でございます。これに対しまして、八月末までに支拂いました貯炭場の諸掛が二百九十一万九千八百三十一円でございます。組合経費といたしましては、一千百六十万二千七百十八円でございます。横浜の余分諸掛は百九十七万五百四十六円、水洗いたしましたものの廃棄分を廃棄いたしますと、余分一費用というようなものが百七十九万四千四百円、新潟の余分諸掛が二百四十三万円というような支出になつております。そのほか管理費といたしまして百六十六万八千九百十三円を支出しておる状態でございます。まだ実際の総体の損益計算が中間でございますので、明確に出ないのでございますが、この組合の実行予算をつくりましたことと、現在までの実績とがほとんど足並をそろえておりますので、巷間伝えられますような厖大な利益等は出るようなことには想像いたしておりません。バランス・シートは本日実は私の連絡が悪かつたのと、非常に多忙をきわめましたために、手元に持つて来ておりません。これはできておるはずでございますから、もしなんでございますれば、後ほどお晝休みに向うから連絡しまして、取寄せましてもけつこうでございます。午後に御提出申し上げることに御了承を願いたいと思つております。
  53. 篠田弘作

    篠田委員長 以上の問題につきまして、何か委員の方から御質問はありませんか。
  54. 田渕光一

    田渕委員 この協同組合が公正取引委員会から審判を受けるというようなことがあらかじめわかつており、大阪東京石炭協同組合というものに安本、大蔵、通産、ここらの局長がタツチし、全日本石炭におつた国光その他の諸君が立会つて裁定委員会をつくつておる。資格のない協同組合に拂い下げをするということは、すでに根本が間違つておるということは前会の証人から調べてるるわかつておるのであります。ただここにひとつ証人に聞きたいのは、この組合が八月三十日で、公正取引委員会より同意の審結書を受けるというような線に持つてつて東京は八月十五日以前は問わず、大阪は八月一日以前は問わぬ。資格のない協同組合が、当時無能な局長を出したために、政府側の局長級のまつたく無知識に乗じて、資格のない組合が拂下げを受ける。しかも今証人が言うような採算をすれば、一千何百万円ということは結局プール計算にして百四十円になつておるのであります。資格のない組合が不正な拂下げを受けて、なおかつ二千万円の組合費をもらつて、これに対して何ら証人は言及しておりませんが、たとえば大阪は一箇月三百万円、この組合は一年六箇月かかるという仮定のもとに、十八箇月間五千四百万円を差引いたものが、石炭の百四十円の価格の算定の基礎になつておるのであります。東京の百四十円も今証人から伺いました通り、組合費の二千万円、あるいはもろもろのものを引いて、結局差引一千四十四万二千百十円で売れた。こういうことになつておりますが、証人はこのまつたく資格を備えない——協同組合法なんということは、証人でなくてもだれでも、三才の童子でもわかつておる通り、ほんとうの小規模なものを協同組合にするものである。それに九社が公正取引委員会から、お前らは協同組合になる資格はないのだという審判を受けておるにかかわらず、まだ二千万円という組合費を政府に返そう、あるいは石炭に対してこれを価格に計上しようというようなお言葉はないのでありますが、まずこの二千万円を返す意思ありやいなやということから伺いたいのであります。
  55. 野村宗一郎

    野村証人 東京の協同組合の二千万円というただいまのお話は、組合経費として見ていただいた二千万円を返上する意思があるのかどうか、かようなお話でございますか。
  56. 田渕光一

    田渕委員 そうです。
  57. 野村宗一郎

    野村証人 それにつきまして、私はさようなことは今まで考えたことはないのでございます。
  58. 田渕光一

    田渕委員 まつたく協同組合の法的資格を欠いている。いわば仮想的な協同組合をつくつて、そうして政府の局長級の無能なものを形式的に裁定委員会に並べさして、しかもこの組合費の一箇月三百万円とかあるいは百万円とかいうようなものを、政府の石炭を拂下げして売つてもらうのに、その組合の費用まで国費で負担しなければならぬというようなことは、あるべきはずはない、それが大阪では五千四百万円、東京では二千万円、しかもこれが現実公正取引委員会に触れて解散をするというような状態になつて来ると、これまたアンチ・トラストや経済科学局へ運動して、八月三十日まで待つてもらつて、同意審結を受けるようにした。この間並々ならぬ暗中飛躍をしている。しかもまだ今日この二千万円から余つている金を政府に返す意思はないというに至つては、われわれは納得できない。これはまず意思があるかどうか、証人の心情を聞きたい。これは一番はつきりしている問題です。
  59. 野村宗一郎

    野村証人 ただいまの田淵さんの御意見でございますが、私どもは当初から公正取引委員会の審判にかかるというようなことは、実際は予期しておりませんでした。また実情といたしましては、先刻も申しました通り石炭販売業者というものはむしろ小運送業との兼業のような形になつておりますから、人数はやはり会社の給仕なり会社の重役等を算入いたしますれば、従業員は二十名以内で業が営めるというようなわけには参りません。得意先まで届けます中には、商品代と小運送業の運賃諸掛等々が含まれたものが最終販売価格になる。得意先からいただく金額になるということのために、ほかの小売業種と多分に違う点がございますので、そういう点等から考えまして、二十名という制限のありますことは当時承知いたしておりましたが、それではもはやほんとうに石炭を一箇月に七トン一車か、あるいは三トン程度をかますに詰めて売る販売業者、炭まき業者以上の者は、ほとんど石炭に関しては大手業者になるというようなことでございまして、石炭の大手業者というのは、申すまでもなく生産業者であり、しかも年間何百万円、何千万円というものの販売をしております人がむしろ大手でありまして、われわれ販売業者は一箇月に二千トンや三千トンのものを、はしけや貨車あるいは船で販売いたしましても、決してそれは大手業者ではない、いわゆる小売業者であるというような見地でおりました上に、しかも公団の貯炭をどうしても三月末日までに絶体的に、政府の方金としても売りさばかなければならぬのだ、これが公団の解体といいますか、最終の解散をいたしまする場合の国家の方針である、よつて君たちは何とかしてこれと協力してくれというような見地に立つて、われわれはこの引受け会社というものをつくつたのでございます。その当時われわれは、決して協同組合ということにこだわつたのではございません。公正取引委員会等にも連絡をして、意見の聽取といいますか、指示を受けてみたのでございますが、やはり事業者団体法等によりまして、二以上の同一業者が協同いたしまして経済行為をすることはできぬというようなところからせめて協同組合法による小規模業者という観点に立つて協同組合をつくらしてもらうことで、団体といいますか、そういう母体をつくることになるというような点において、やむを得ず協同組合によつたこともこれは実情でございます。おつしやいますような架空な機関をつくるというような意思は毛頭ございませんでした。     〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕  しかもこの価格でございますが、東京におきましては、百万トン以上九月十六日現在ありましたもののうち、その後優秀なものだけをえり拔きにえり拔いて、残りました数字の二十二万八千トンでございまして、ほとんど常磐の、しかも茨城無煙と一口に申しますると非常に水分の多い、自然発火の條件の備わつておりますものが多いのでございまして、われわれが販売をいたして参りますのに、販売価格その他についてもとうてい自信がない。しかも夏場に向うというようなことで、自信のあるところということになれば、安全線をとるというところに心が行きますことも、一応御了承願えることではないかと思つております。しかもその品質低下を見込んだとは申しましても、その販売価格は、従来公団が一応市場へ整理炭として販売をいたしておりました価格でございまして、一口に申しまする卸売問屋が小売屋へ売るというような意味においての卸売値段には決してなつておらないのでございます。  なお従来協同組合といたしまして経費を見込んでいただいた点について簡單に申しますと、公団が継続して販売をいたしましても、あれだけの機構でありまするので、毎トン相当価格の費用がかかる。それを土場で引受けて、公団が今まで行つておりました役割をわれわれ組合が実施いたすのです。売ります価格もその公団の今までの販売価格が基準になつております以上、組合の経費は負担していただいてさしつかえないのだ、かような考え方をもつてわれわれは強く主張もし、また公団にその点を了承していただいて、この計算をしていただいたのでございます。以上のところ御了承いただきたいと思います。
  60. 田渕光一

    田渕委員 まず二千万円の余つた金を返す返さぬという御意思を伺つたので、そういう長つたらしい説明はいいのです。返す意思がなければそれでよろしい。そこでこの七十万円、先刻証人は資本を追加した、最初百万足らずの会社でできていて、最後には八十六名の組合で、資本総額一千三百八十二万になつたけれども、一千三百十二万へ七十万円追加して、組合員は幾人ふえたのでありますか、それを伺いたい。
  61. 野村宗一郎

    野村証人 七十万円の追加は新潟が一人ふえましていたしました。
  62. 田渕光一

    田渕委員 協同組合というものは大勢の者がいなければならぬのに、この東京石炭協同組合大阪石炭協同組合はいずれも百名足らずである。しかも東京で一千三百八十二万円の資本を持つているのに八十六名である。なぜもう少し中小企業の者を入れてやらなかつたか。東京大阪を通じた百四十円で拂下げたので、安いから私たちも入れてくれ、私たちも入れてくれと大阪あたりは非常に組合員がふえた。もうかるから入れてくれというのであつて証人は言わぬが、損をしている組合に入つて来ることはない。そういうことがあるが、東京には現実にそういうことがあるかないか伺いたい。
  63. 野村宗一郎

    野村証人 東京では、当初こんなに資本金額をよけいにしたくなかつたのでありますが、公団側から一千万円以上の資本を要求せられたのでございます。それで一千万円を目標にして、業界全体に、東京で申しますと、百軒も百五十軒もございます業者全体にくまなく呼びかけて勧告いたしたのでありますが、当時はその貯炭を引受けることは無謀であるという見方の方が圧倒的で、一千万円に及ばなかつたのでございます。それで私ども義務的に相当の出資を持ちまして、今まで二口か三口しか持つておらなかつたものが百口出しあるいは五十口出すということで引受けまして、率先して幹部が義務的に業者に勧誘をいたしたのでございます。その結果ようやく一千万円という数字になつたのでございます。その後情勢の変化に伴いまして、見きわめをつけて、多少希望があつたのを受入れたために、一千三百万円という金額になつたのでございます。
  64. 田渕光一

    田渕委員 あなたの関係しておられる東京石炭協同組合の持主があなたの名前で百口、そうして大阪大阪石炭協同組合に対しては、東京製鉄原料輸送株式会社の成瀬嘉弼さんの名義で二百五十一口、大阪の今日呼んでいる大西君や証人たちが大口を持つて、協同組合の趣旨に沿う小さい石炭屋を入れなかつたと思うのでございますが、こういうことはわからずに済むと思つてつたかどうか。もし公正取引委員会がこれを取上げなければ国会がこれを取上げたでありましよう。公団におつて、しかも売手と買手が同一体、こういうことをやつちやいかぬということは前副総裁の八代君が言つている。われわれにも十万トン取つてくれと押しつけて来たが、自分らは配炭公団の副総裁として、しかも売手と買手と同一体であるということはあとで疑惑を受けるから断る、こういうような正義の人もあつたのであります。そこで証人に伺いますが、藤井前総裁とあなたとはどういう関係でございますか。
  65. 野村宗一郎

    野村証人 藤井総裁と私との間には、何ら申し上げるような関係はございません。
  66. 田渕光一

    田渕委員 ただ知合いだけですか。
  67. 野村宗一郎

    野村証人 さようでございます。
  68. 田渕光一

    田渕委員 まだほかの方もありましようから……。
  69. 島田末信

    ○島田委員 ちよつと委員長の質問の中に省けておつたようですからお伺いします。製鉄原料輸送株式会社公団から買受けた石炭コークスの数量、金額並びに販売状況を要領よく……。
  70. 野村宗一郎

    野村証人 お答えいたします。製鉄原料といたしまして公団から買い受けました数字は、北海道の釧路におきまして太平洋の三号並粉の帳簿面数字二万三千三百四十七トン七百キロ、これを金額にいたしまして二百三十三万四千七百七十円で買いとりました。それから九州におきまして、煽石を一万九千二百六十五トン五百キロ、全額にいたしまして七十七万七千八百七十円五十銭で買い受けました。大阪におきまして原料炭及び一般炭といたしまして四万二千八百五十トン五百五十三キロ、金額にいたしまして一億八百八十四万五千百七十九円六銭、合計八万五千四百六十三トン七百五十三キロでございまして、金額が一億一千百九十五万七千八百十九円五十六銭でございます。おもな販売先を申し上げますと、まず大阪の原料炭及び一般炭の四万二千八百五十トン五百五十三キロは、そのまま日本製鉄株式会社への全量販売でございます。つけ加えて申しますと、日鉄からの委託によりまして買付をいたしまして納入をいたした数量でございます。それから九州の煽石は、関東地区で二千百八十八トン、金額で四百五十九万四千八百円、但しこのうち運賃諸掛といたしまして、三百二十六万八千八百七十三円七十六銭を支拂つております。それから四国に一千三十トン、金額にいたしまして七十六万八千円を販売いたしております。このうち三十七万五千五百二十七円七十銭を運賃諸掛として支出いたしております。なお九州におけるところの煽石で一千六百十トン、百二十七万三千七百五十円、うち諸掛の五十八万六千九百八十九円九十銭を含んでおります。合計いたしまして四千八百二十八トン、金額で六百六十三万六千五百五十円になつております。そのうち諸掛が四百二十三万一千三百九十一円三十六銭でございます。北海道で買いつけました太平洋の三号炭は、目下こちらへ輸送途中でございますので、販売の実績はありません。
  71. 島田末信

    ○島田委員 次は協同組合から買い受けた数量、金額、販売状況を示してください。
  72. 野村宗一郎

    野村証人 お答えをいたします。協同組合から買い受けました数字は、東京の組合から買い受けました数字が四百二十六トン、金額にいたしまして十七万六千四百四十円でございます。四国の香川で買い受けましたものが百トン、これは八万円でございます。それから名古屋の東海の組合から買いましたものが百三十五トン二百キロ、十万七千三百五十六円でございます。それから加越の組合で買いましたものが、二千三百九十八トン、二百六十万五千九百七十五円でございます。大阪で買いましたのが九万七千三百六十七トン百九十キロ、金額で三千七百八十四万七千六百三十二円八十銭でございます。販売いたしました数字は東京は四百二十四トン、販売価格が四十八万四千九百円、うち諸掛の二十六万六千七百二十円を含んでおります。香川の百トンは十万円に売つております。そのうち八千五百円の諸掛を含んでおります。東海の百三十五トン二百キロを十八万九千二百八十円で販売しております。うち諸掛が二万百八十円となつております。加越の組合が二千三百九十八トン、三百三十五万六千四百円で販売しております。うち諸掛が四十六万二千六百六十五円であります。大阪で買い受けました数字のうち一部が販売の実績になつております。これは数字で二万二千六百十六トン五百九十キロ、金額で五千三十四万一千四百十五円でございます。このうち諸掛が九百四十七万五千二百四円二銭となつております。以上総数量を申し上げますと、販売の総数量が二万五千六百七十三トン七百九十キロ、金額で五千四百四十七万一千九百九十五円でございます。
  73. 塚原俊郎

    塚原委員長代理 ほかに委員の方で御質問ありませんか。
  74. 田渕光一

    田渕委員 先ほど私はこの点を留保しておいたのですけれども、私的独占禁止法によつて公正取引委員会に調べられた。ところがまたその公正取引委員会がけしからぬ。これもまた証人に呼ばなければならぬのでありますが、証人に私はそのまま言つてもらいたいために申し上げるのですけれども、少くとも公団の炭を処分するのに、売手と買手と芝居をして、大きな共同謀議のもとにやつたということは事実である。そうして安本の産業局長、通商産業省の炭政局長、大蔵省の主計局長、官財局長、あるいは経済調査庁の連中をひとつもタツチさせないで、下の方の青二才にみな立ち会せて、これまたうまく裁定委員会をごまかしてしまつた。数字は二十二万八千何ぼあつたものを、結局実在数量十四万何ぼにした。二十二万八千トンもあつたものが、そう簡單に風化し廃棄するものではないのだから、この裁定委員会はまるつきりあなた方にごまかされてしまつた。それでいよいよ値段がきまつてどんどんやり出して行くと、今度は組合に資格がなかつた。資格がなかつたことについて公正取引委員会にやられると、今度はまたあなた方は総会を開き、あらゆる組合の機関をもつて、あなた方の案通り、ここにまた公正取引委員会の同意審結ができた。どこまで行つて石炭屋連中はことごとく自分らが指導的にやつておる。これは公正取引委員会がしたのじやない。あなた方が提出しておるところの記録によつて、八月十五日に答弁書を出したり、八月二十二日に準備手続をしたり、同月三十一日に調べてもらい、その通りよろしゆうございます、こんなぐあいにひとつ処分したいから、こういうぐあいに判決願いたい、その通りよろしゆうございます、こうなつておる。ことごとくやつてしまつた結果、八月十五日以前の炭——たとえば東京だけ言いましよう。あなたが証人だから……。八月十五日以前に処分したところの不正に対して、あなたは国家に対してこの損害を賠償する意思ありやいなや、これをひとつはつきり伺いたい。いろんな七めんどうくさいことはいりません。八月十五日以後のものは公正取引委員会で小さい組合にやれということになつたが、その前に大部分のものはあなた方によつてみな処分されておる。至るところ最初からずつと石炭屋が、官僚の無能なものどもをすつかりごまかしてしまつておる。だから東京石炭協同組合においては、審判をまつまでもなく、八月十五日以前に不正にもうけたところの組合の資格がないのにかかわらず、組合として拂下げを受けてしまつておる。それだけやつてしまつて、その八月十五日以前に一括処分を受けた炭に対してそれを返す意思があるかどうか、石炭組合の二千万円を返す意思があるかどうかということを聞いたところが、そういう考えはないように私は伺つた。今度はその組合の二千万や三千万の小さいものではない。少くとも二十二万八千トン、約二十三万トンに近いものを十四万九百六十五トンで実在数字を出しておる。しかもこれが結局百四十円になつておる。審判を受けて組合員の資格がないことになつたのに、そういうものがこれを拂下げさせて、裁定委員会をごまかし、公正取引委員会をごまかしてしまつておる。いろいろ会議した通り進めて行つて、案通りに審結案ができておる。東京大阪石炭協同組合審結主文案というもの、これはおそらく一両日中にあなたのところへ来るだろうと思う。そのようにずつと白晝公然と無能な官僚たちをごまかして、そしてこれが国会を通るとあなた方は思つておりますか。それは第二義的でよろしい。とにかく八月十五日以前に処分したところの石炭を返す意思があるやいなやを伺いたい。
  75. 野村宗一郎

    野村証人 国家に損害をかけたというお話でありますが、私どもはさように考えておりません。従つてこれを返すかということについても、さようなことについて私どもは考えておりません。
  76. 田渕光一

    田渕委員 これは重大な証言でありますから、留保しておきましよう。そこで少くともこういうぐあいに、この配炭公団の問題を当委員会で調べ出してみると、ずつと計画的に来ておる。公団がよすらしい、いよいよ公団法の廃止があるらしい、こうわかると、総裁、副総裁がかわり、あるいは業務局長の馬屋原君が買手の方の日本海陸運送というのに行つてしまつて、全部首脳部が買方にまわつて、売方、買方が一体となつて売り買いでごまかしておる。それで数量の査定においては、地方の経済調査庁や、無能な連中が立ち会つて、ちよつともわからなかつたということで、数を半分にごまかしておる。これは一貫しておるのだ。この配炭公団に関する限りは、まつたくけしからぬ。そうして裁定委員会があると、主たる局長は一回も出ておらぬ。そこでこの間私は安本の青柳という事務官に一ぺん聞いてみた。むりからぬことだと思いました。とうていわれわれはああいうことは責任を持てないので、あとは出ませんでしたと言う。すつかり石炭屋にごまかされてしまつて、この連中が職責を果さなかつた。彼らの職責を果さなかつたことにおいて、私は後刻告発を要求するつもりでありますけれども、これは一応留保しておきましよう。そういう意味において数量もごまかし、価格もごまかしてとつてしまつて、今度はこの協同組合が無効のものだということがわかると、公正取引委員会にまた暗躍して、これまた自分らで会議した通り引きずつてつて、そうして自分らで案をこしらえて主文案をとるというに至つては、この公正取引委員会喚問して調べなければならぬということになる。かようなことで、この組合の二千万円を返す意思もない、八月十五日以前の不当なる利得に対して、国家に返すという意思もないことにおいては、私は一応告発してみたい。しかしこれはもう少し調べるまで留保しておきましよう。かようなことが公然と行われて——われわれが国会議員として一生懸命働いて一万何千円の税金を拂い、小さい事務員が三千円、四千円の税金を拂つておる。こういう国家の税金をやみからやみに——百三十何億も公団が赤字を出して恬としておるのに、この考査委員会が馬屋原一人を告発するかしないかという状態に置いておるということは、私は考えてもらわなければならぬと思う。おそらく公団関係においてこれほど大きな損害はない。出て来る証人はことごとくあいまいで、良識を疑う。日本民族であるかどうか、私は実際良心を疑う。そうしててれんぷらん逃げるから、われわれは六班にわかれて現地を実態調査してみると、ことごとくこれは計画的である。終始一貫ことごとく配炭公団、旧石炭商、あるいは石炭を取扱つた人々の計画通り来ておるということを私は速記録に残しておきたい。
  77. 塚原俊郎

    塚原委員長代理 御質問ありませんか。——野村君に申し上げますが、最近のバランス・シートによる收支の状況について、きようは何も資料を持ち合せておらぬというお話でしたが、これは至急当委員会の方に御提出願います。     —————————————
  78. 塚原俊郎

    塚原委員長代理 この際お諮りいたします。理事久保田鶴松君から理事辞任申出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 塚原俊郎

    塚原委員長代理 御異議なきものと認めます。それでは許可するに決しました。なお補欠は先例によつて委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 塚原俊郎

    塚原委員長代理 御異議なきものと認めます。猪俣浩三君を理事指名いたします。  暫時休憩いたします。一時四十分から再開いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  81. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  委員長事故がありますから、しばらくかわつて委員長席を汚します。  それでは大西証人よりさつそく証言を求めることといたします。証人の前職と、それから現職は何ですか。
  82. 大西善四郎

    大西証人 前職は、昭和二十二年六月から昨年九月まで配炭公団大阪配炭局の次長として勤めておりました。現在は株式会社宗像商会の專務取締役をいたしておりまして、かたわら大阪石炭協同組合の理事長を兼務しております。
  83. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 次は大阪石炭協同組合の沿革、構成、事業内容についてお述べください。
  84. 大西善四郎

    大西証人 大防石炭協同組合は、昨年の九月石炭の自由販売が行われました際に、ちようど当時公団の手持貯炭を拂い下げるという場合に、公団指定の団体あるいは生産業者以外には拂下げができない、こういうことになりましたので、一般販売業者は団体をつくろう、協同組合をつくつて、そうして公団の貯炭の拂下げを受けることにしようというようなことが動機になりまして結成したのであります。その構成しておりまするメンバーは当時五十三名、出資額一口一万円で五十三万円の資金であつたわけであります。ところが今年の三月、公団の手持貯炭を一括してこれを処分するという場合に、いろいろ処分を受ける機関について議論されましたけれども、結局協同組合が最も適当であろうというようなことになりまして、協同組合は内容を強化拡充しまして、当時公団大阪配炭局管内の手持貯炭、帳簿面で七十五万トンを協同組合が引受けることになつた。協同組合の大体の事業の目標は主として公団貯炭を引受けてこれを処分するということにあつたわけであります。その強化拡充しました後の組合員の数は九十四名、出資金額が二千百万円になつております。
  85. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 公正取引委員会の審判を受けるに至つた事情を説明してください。
  86. 大西善四郎

    大西証人 大阪協同組合の構成メンバーのうちに、比較的大規模と認められる業者が相当ありました。公正取引委員会が指定されておる業者は十九社になつておるわけですが、なぜそういう業者を協同組合に加入さしたかということがさかのぼつて問題になるわけなのであります。この七十五万トンと称せられる貯炭を引受ける場合に、当時の組合ではこれを引受ける能力が足りなかつたわけなのです。それでこの処分の事業に協力してもらいたいということで販売業者に呼びかけて、積極的に参加を求めたわけであります。その際に中小企業協同組法合によりますと、従業員二十名以上の場合には、一応資格の点において問題になるのであります。当時これを研究いたしまして、通産局の指導課なり、あるいは公正取引委員会なりに連絡して、それが絶対條件であるかどうかということを伺つたわけなのです。従業員二十名以上云々というのは必ずしも絶対條件でない、中小企業に属する、大規模でないという何か理由があればさしつかえないということであつたので、当時その理由を具して、届け出ておいたわけなのです。その際もし二十名以上のもの、あるいは資本金の比較的大きいものが組合員としての資格に欠けるところがあつていけないのだということであれば、はつきりいけないということを言つていただきたい、そうすれば加入もさせなければ——させない結果は、あるいは組合が成立しなかつたかもわからぬから、われわれとしては一応伝達をしたわけなのです。今申し上げたように、少々人数は多くても、大規模でないという理由があればそれでいいのではないかというような、相当緩和的な解釈であつたように伺つてつたわけであります。一方貯炭の方は、三月末限りこれを引受けて行かなければならない。他にこれを処分する適当な方法がこの際なかつたわけです。組合としてはそういう成行きを承知してはおりましたが、今申しましたような事情で組合を結成し、さらに引受けることにいたしたわけなのです。
  87. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 それでは一括処分数量七十五万一千六百八十七トンの買取り価格は一億七百八十九万一千四十一円となつておりますが、これはトン当り約百四十四円、これを算出した根拠について説明してください。
  88. 大西善四郎

    大西証人 実はこの価格の点は組合が引受ける場合に、ここに炭種数量を検討してきめる余裕がなかつたものですから、大体公団の方で示されております数量表によりましてすべてを判断したわけなのです。当時の石炭事情、ことに公団貯炭の七十五万トンというものの内容を見ましても、百二十万トンくらいの貯炭のうちから、日発、国鉄、あるいは進駐軍管理という方面に優先的にいいものからよつて出して、なお一般業者、希望者にもこれを必要に応じて選択して販売したということで、その間に五、六十万トンの消化はしましたが、全部いいものをより食いしてとつてしまつたわけなのであります。あとにきわめて粗悪炭が残つたわけなんであります。その上に近畿市場の需給状態を見ましても、大体一箇月三十二、三万トンの需要に対して生産炭が三十五、六万トン入つて来る、毎月二、三万トンの貯炭がふえて行く、なお当時三月、四月の候ですから、おいおい炭況も季節的に悪くなり、非常に前途が不安な状態にあつたわけなのであります。その際にこの七十五万トンと称せられる石炭が、公団ではこれを五十四万トンと推定しておつたのですが、そういう数字がはたして消化されるであろうかということをいろいろ考えました。当時の近畿の三十二、三万トンの需要のうち、生産業者が直接納めているものが七〇%あるいは七五%という数字になつておるわけで、あとの二割半ないし三割見当のものを一般販売業者が扱つておることになつております。数量的に見て一箇月業者の扱うものが八、九万トン、十万トン以内と私どもは推定しているのです。そういう需要の中にこの石炭が何割割込んで行けるであろうか、消化できるであろうかということを考えました時分に、今申し上げました最も粗悪炭であり、また生産炭がどんどん出て来ている際に、とてもこれは消化できまいということで、これを引受ける以前にいろいろな面から検討いたしまして、これはだめだという意見の者もあり、何とかしてやらなきや他にやる人がないじやないかというようなことでいろいろ検討しました結果、とにかく引受ける、しかしその引受ける場合には、何が一番目標であるかといえば、まあ炭価が安ければ一部はこれを消化することができるであろう。また相当数量を廃棄したり、一部を水洗等をして、商品価値を持たして売る場合には、これはまた消化もできるであろうが、いずれにしても炭価がうんと安くなければ問題にならぬ。こういう大体の見方でありました。総括的にどういう品種が幾らあるという検討をする余地なくして、まつた公団のリストをうのみにして、そうして当時の組合としての内容を申し上げれば、一億円以内でならば引受けてよいではないか。それ以上ならこの仕事にはタツチせぬ方がよかろう、業者の多くはすべて生産業者とのつながりがおりますから、生産炭を売ることが自分たちの使命であり、また生産炭が余りかけておる際ですから、これを消化するためには目先のそういつたものにはたるべくタツチしない方がよいというような立場のものも相当ありまして、値段にかかわらずそれはいけないというようなことであつたが、結局全体の数量が一億円以内なら引受けよう。こういうことになりまして、価格裁定委員会に臨みましていろいろ折衝いたしました結果が、一億七百八十九万一千円というところに落ちついたわけであります。
  89. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 その裁定委員会が査定をしたてんまつをもう少し詳しく述べてください。
  90. 大西善四郎

    大西証人 あの当時の模様は議事録みたいなものができていると伺つたのですが、私どもの方では今言つたように総額を一応押えて、そうしてこれを公団の帳簿にある数字にいかようにして割当てるかということであつたわけです。公団公団として一つの標準価格のきめ方があつたらしいのです。それによつていろいろ割当をして、個々の炭種別の値段を出されたわけです。われわれの方はさつき申し上げたように、炭種の内容が、上級炭が幾らあるといつても、あるかないかわからぬ。数量がこれだけあるといつても、あるかないかわからぬから、総額において大体この見当であれば、内容の割振りについては公団のきめられた原案に大体準じて行こう、こういうことで進んで行つたわけです。この基準の炭価を出しましたよりどころは、公団の方でいろいろ議事録を持つておられると思うわけです。
  91. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 それでは今までに販売した数量、金額、炭価等はどのくらいになります。
  92. 大西善四郎

    大西証人 現在までに販売いたしました数量は、数量を改斤して荷渡ししたものが十三万百八十九トンであります。それから貯炭場にあるままで、いわゆる送状面の数量、BL面で渡したものが三十四万一千三百五十九トン、合計四十七万一千五百四十八トンになります。その金額が一億四千五百五十四万四千円、こういうことになつております。
  93. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 その炭価は。
  94. 大西善四郎

    大西証人 炭価はパー・トンは出していないのですが、もう一つ、今残つております数量を御参考に申し上げます。今後売れるであろうと予定しております数量が、そのほかに六万三千七百九十五トン、三万七千九百八十五トン、これをまじえて組合として全体に売ります数量を一応出してみたわけです。これが五十七万三千三百二十八トン。これは今申し上げたように予定が少し入つております。その総金額が一億六千九百七十二万七千円、この全体を処分した場合のパートンが二百九十六円となつております。先にお尋ねの今まで売渡したもののパー・トンはあとで計算して出します。数字の面ではそういうことになつております。
  95. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 そうすると、大体残炭が十万トンあるわけですね。
  96. 大西善四郎

    大西証人 いや十二万トン余りありますが、その中でさつき申し上げました六万三千七百九十五トンというのはもう売約をしておりまして、受渡しは改斤をして渡さなければならぬということになつておりますので、実は契約はできているが、まだ荷渡しをしておりません。
  97. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 そうすると、売渡し契約のできていないものが三万七千九百八十五トンということになりますか。
  98. 大西善四郎

    大西証人 さようであります。その他に改斤するものがありますが……。
  99. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 ごく最近のバランス・シートによる收支の状況を説明してください。
  100. 大西善四郎

    大西証人 一応初めから八月までのものを急に集めて参つたわけですが、あるいは後日数字等で少し異動があるかもしれませんが、大体ここに出ておりますから申し上げます。  支拂いの方から申し上げますれば、買入れの石炭代金が、公団から買いました今の一億七百八十九万一千円のほかに、石炭協会から荷後炭を少し、百万円ばかり買いましたから、石炭代として拂つたものが合せて一億九百三十七万二千円、その他にまだ公団に未拂いのものがあるわけであります。石炭の直接のいろいろ諸掛、地料とか、あるいは現場における倉庫の蔵がえの費用、いろいろなものをまぜして千九百六十七万四千円、そのほかに人件費、事務費等を差引きまして、一応利益として予定されているものが二千四百七十万円あるわけであります。その收入の面は石炭の売上代金が一億四千五十一万三千円、それから手持商品で残つておるものが千八百六十万円、そのほかに組合員から賦課金をとつておるのが收入になつております。分析の事業をやつておりまして、これがわずかの收入があります。合計一億六千四百七十三万七千円という收入を見まして、そうして今申し上げた支出をいたしまして、結局二千四百七十一万円見当の剰余金が今出ておるわけであります。ところが、これは八月末までの一応のかりの中間計算でありまして、今後九月からこの貯炭を全部消化するために要する費用を計上しなければならぬわけなのです。大体これをいつごろに整理して組合業務を完了さすかということをいろいろ研究いたしまして、予定は立ててみたわけであります。今度の水害で、受渡しなり取引なりの面において相当遅れては参りますが、一応三月末までに完了をしたいという目標で、今後の予算を立てたわけなのであります。
  101. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 売上高の一億六千四百七十三万円余りから、結局石炭代と諸掛を引いたもののあとというのは、大体事務費と見てさしつかえないですね。
  102. 大西善四郎

    大西証人 さようでございます。そうして今、今後の予算を一応申し上げる途中にあつたわけです。九月一日から三月末までに收入すべき金額、支拂いまする諸掛等を出してみますると、この期間では千八百五十五円の損失が出る。九月から三月までの、今の残炭とすべての残務の整理である。そうしてこれを集計しまして、四月から来年三月三十一日までに組合業務が大体完了するまでの全部の收支予想を立てますると、お尋ねの利益の見込みは、六百十六万円見当ということが一応出ておるわけなのであります。これを実際には確保できるか、あるいは諸掛その他を切り詰めてもう少し増加するか、あるいは予想しない水害の影響のために、予定しておる数量より以上に少い、あるいは売掛なんかの回收のできないものがもし出て来れば、そういつたものは予定してない、あるいは減ずるかもわからないという多少の不安が残つておるわけであります。
  103. 島田末信

    ○島田(末)委員長代理 何かお尋ねはありますか。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員 さつき説明された中でちよつとわかりにくかつたのは、石炭協同組合をつくつた事情について、どういうものが引受けていかぬから、それで協同組合をつくつたといわれたのですか。
  105. 大西善四郎

    大西証人 公団が廃止になりまして、自由販売になつた当時、公団には全国的に四、五百万トンの貯炭を持つてつた。それを処分する場合に、生産業者にこれを売りもどす、あるいは公団の指定する団体にのみ渡すという期間は、八月から一箇月間扱つたわけなのです。その後公団は自由販売をいたしましたから、最初に協同組合をつくつて共同購入をしようという目標は一応解消したわけなのです。ですから実際は、二十四年の九月に組合をつくりまして、三年までは事実上貯炭の売買はなかつたわけで、開店休業をしておつた。ところが今年の三月に、当時大阪管内で持つておりました七十五万トン——実際は五十万トン余りですが、それを処分することになつたわけです。その際に、これはどういう方法で拂い下げたらいいか、放出したらいいかということを、公団側においてもいろいろ研究されたので、大阪の方面では、今まであらゆる方法で売り渡して来た結果が七十五万トン残つたのだから、今これを新聞広告しようが、あるいは入札しようが、條件の悪い炭であるからとうてい処分しにくい。しかし何とかせなければならないので、ぜひ業者の力でこれを処分したいというような立場から、一時は有力な業者の有志を糾合して一つの会社をつくつて、これを引受けてやろうという気がありましたけれども、これは事業者団体法によつて許されぬ、こういうことになつたわけであります。そこでもし入札した場合に、一部の落札はあつても全部引受手はないというような事情でどうしても販売業者を全部結集してやる以外に引受手はないのであるから、またこういつた国の持つておる財産ですから、一部の者に随意契約等をもつてやればいろいろ弊害もあるのじやないかというような点も考慮されたのじやないかと思うのです。それで一番公正に扱い得る協同組合を利用すれば、販売業者全部がこれに関與することになりますから、すべてガラス張りの中で処理して行ける。むろん組合運営には、御承知のようにいろいろ難点もありますけれども、その方が無難であろうというところで、組合の内容を拡充して、今年の四月から新組合が発足してやつたわけであります。
  106. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そこがわからぬのです。生産者へ売りもどすこともおもしろくない、それから公団が指定する販売業者へもやつていかぬ、こういうのですか。
  107. 大西善四郎

    大西証人 生産業者には売りもどすけれども、生産業者は今年の三月には買受けの希望が全然ないわけであります。生産業者に売り渡す。あるいは公団の指定する団体へといつたことは、昨年の八月十六日以後、九月十五日までの間に切りかえの過渡期にそういう方法をとつたわけであります。その後生産業者は、自分の生産炭を持つて来ておつて公団のものを許しを受けて扱う必要がなくなつておるから、生産業者はおそらく公団の貯炭はその後一トンも買受けておらない、何らの関心も持つておらぬわけであります。その他の業者といいますか、それも一箇月間だけの暫定期間中に公団が指定した団体にのみこれを渡す。こういうことになつたわけであります。その指定される団体になりたいがために協同組合を当時結成したわけであります。ところがその後自由販売になつて公団はたれにも売るということになつたから、その必要がなくなつたわけであります。ちよつと短期間のものを申し上げたからわかりにくかつたかもしれませんけれども、そういう期間を経まして、実際にこの貯炭を引受けたのが今年の三月三十一日現在であるわけであります。
  108. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると各個の業者は引受け手はない。そこで新しいものにやろう、こういうので協同組合をつくつた。こういうことになりますね。
  109. 大西善四郎

    大西証人 引受け手がないということは、これは断定できないかもしれませんが、三月三十一日までに公団があらゆる方法で宣伝し連絡したが、結局それ以上買い進んでおらないわけです。結局七十五万トンという数字が三月末において残つて来たわけなんです。もしこれを入札にしますか、あるいは随意契約にした場合に、どういう結果になつたかということを想像してみれば——これはやつてみなければわからぬかもしれぬけれども、六箇月間にあらゆる手でやりましたが、結局それ以上買手がなかつた。希望のあるものはだれでもめいめい買つて手持ちになつておるわけです。
  110. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そこがわからぬのですよ。これ以上どうしても買手がないということになつたのでしよう。業者に言うても……。しかも協同組合をこしらえれば買うだろうという、その見通しがどうして出て来るのか。かわつた業者を集めるのならこれは別ですよ。同じ業者が、買手がないのだけれども、協同組合をつくれば買うだろうという見通しのつくことがふしぎなんです。
  111. 大西善四郎

    大西証人 いや、それは数量の少い場合にはこれは引受け手がありましようけれども、さきに申し上げたように、七十五万トンという多量のあの粗悪炭を一手で引受けてやるということは、おそらくあの場合業者としてはなし得なかつたと思う。ですから協同組合がやりますれば、協同組合全体の責任において、全体の事業としてやる場合には、これはやり得るのじやないかということで、協同組合といういわゆる団体の力でこれを処分しようということになつたわけなんです。
  112. 鍛冶良作

    鍛冶委員 六十何社……。
  113. 大西善四郎

    大西証人 九十四社になつております。
  114. 鍛冶良作

    鍛冶委員 九十四社ですね。あなたの説明ではわれわれは理論的にはわからないのですが、一応そうしておきましよう。個々のものは買わない、しかしこまかいなら買うかもしれぬ、それならこまかく売つたらよさそうなものだ。それを一まとめに売らなければならぬということの……。
  115. 大西善四郎

    大西証人 後不審はごもつともですが、これは相当かすに時日をもつてして、二年かかつても三年かかつてもいい、売れるだけ売つてよいのなら、これは最後にはいつか売れてしまいますけれども、あの量を三月末までに処分しなければならぬという事情になつてつたわけですから、そこに非常な悩みがあつたわけです。そういう非常手段をとつて、団体の力で一応買いつけよう、こういうことになつたわけです。そうではなくして、二年かかつても三年かかつても、成行きでよいということであれば、それは業者に引受る者はあつた、こう思うわけなんです。
  116. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それであなたは、前は大阪配炭局長だつたのですね。
  117. 大西善四郎

    大西証人 局長は明日召喚される小澤氏です。私は次長として……。
  118. 鍛冶良作

    鍛冶委員 配炭局次長ですか。
  119. 大西善四郎

    大西証人 はあ、そうして昨年公団が廃止になつて自由販売になる際に辞任しまして、長らく勤めておりました宗像商会の方に復帰したわけです。
  120. 鍛冶良作

    鍛冶委員 しこうしてこの石炭協同組合の理事長になられた。こういうわけですね。
  121. 大西善四郎

    大西証人 しこうしてというわけではないけれども、他に適任者がなかつたので、やつてもらいたいということで、とりあえずやつておるわけであります。私は個人的なことを申し上げて恐縮ですが、こういつた仕事は不得手でもあり、またなるべくしたくないということで、実は理事長を固辞したのですけれども、他に適任者がないからぜひやれということで、組合役員全員の希望もありまして、やむを得ず今まで続けているわけです。
  122. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうなりますと、この石炭の売人は配炭公団ですね。買人は協同組合ですね。
  123. 大西善四郎

    大西証人 さようでございます。
  124. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、あなたは配炭公団大阪配炭局次長という重責におられたわけですね。
  125. 大西善四郎

    大西証人 かつてはね。
  126. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その売人の重責におつた者が、今度はかわつて買人の責任者になるということはさしつかえないとお思いですか。世間非常にこれに疑惑を持つとお思いになりませんか。
  127. 大西善四郎

    大西証人 私は九月に公団をやめまして、そしてこれを買つたのはことしの三月末でありまして、その間に六箇月間のブランクがあるわけです。その間公団は自由販売で各方面に売つてつたわけです。私は業者として出まして、皆さん心の輿望を受けて責任者の地位に立つたということでありまして、私自身といたしましては、買手、売手と言いますけれども、全然性格も違つているし、また時期的にもそういうことになつておりますので、この点については何ら良心的に問題になることはない。こういうふうに信じているわけです。
  128. 鍛冶良作

    鍛冶委員 売手の責任者であつた次長が、今度は買手の責任者になつても、世上疑惑を持たれるようなことはないと今でもお信じですか。
  129. 大西善四郎

    大西証人 それは時期的に六箇月間というブランクがあり、その間公団が自由販売をやつている。私は全然性格の違う会社の役員として、また会社が組合のメンバーとなつたために、その組合の理事ということになつたわけです。性格が全然違つておりますし、また内容についても売手と買手という全然別個の立場においてすべてを判断しておりますから、私の信念には何らその点は問題ない。こう考えているわけです。
  130. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それ以上は議論になりますから、問題をただ投げておきましよう。それから先ほどあなたの方で見積られた基礎については、あなたの方の値段一億七百八十九万一千何十円という——これはあなたの方で大体公団から示された数字に基いて、今までの経験からこういうものを出した。こう言われたのですが、先ほど聞いていると裁定委員会でこれをやるについての基礎は、御説明にならないのですが……。
  131. 大西善四郎

    大西証人 これはさつき申し上げましたように……。
  132. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたの方で一応これだけならよいと言うて値段を押えた。こういうのでしたね。
  133. 大西善四郎

    大西証人 さようでございます。総括的に非常にこれは大まかな考え方で妙に考えられるかしれぬが、あの場合の数量なり品質なりすべてから見て見当がつかない。しかし大体この程度なら引受けても心配あるまいじやないか、万一悪ければ理事者全部の共同責任において何とか始末するという腹で、最低最高額というものをきめて、そうして価格裁定委員会に臨みました。そうして公団側から示された原案と、われわれの腹とを折衝しまして、こういう金額に落ちついたわけです。
  134. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、あなた方から出された数字に結局落ちついたわけですね。
  135. 大西善四郎

    大西証人 必ずしもそうじやないのです。私の方では一億円というわくが、理事会では組合的には入つてつたのです。その後東京へ参りまして、いろいろ折衝途中に、公団の方の貯炭を引当てに二、三あるところへ納入しておつたところが、それが全部廃棄になつた。電報がじやんじやんやつて来るということで、この見込みは大分違う、何とかこれは下目に切下げておかなければ組合は損失になるから、このわくは再検討を要するというような議が途中であつたわけでありますけれども、私もかつて公団におつたのでありますし、一応腹をきめてやりかけているのであるから、今そういつたようなことがあつても、これを途中でかえることはどうかというようなことで、既定の方針で裁定委員会には臨んで、この程度に落ちついて来たわけです。
  136. 鍛冶良作

    鍛冶委員 最初のあなた方の見積りよりか上つたのですか、下つたのですか、たいてい似たものですか。
  137. 大西善四郎

    大西証人 私の方では一億円と押えておつたのですが、ここでは一億七百万円、七、八百万円の値上りになつたわけです。
  138. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたの方で一億なら一億、一億七百万円なら一億七百万円ときめられたのはわかるのですが、この裁定委員会できめられたのは何か基礎があるのですか。
  139. 大西善四郎

    大西証人 これは一応裁定委員会の方に基準があろうと思いますから……。
  140. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたは、頭で大ざつぱにこれだけと押えたから、それに基いてこれこれと部分わけをした。そういう説明をしましたね。
  141. 大西善四郎

    大西証人 私どもはそういう金額しか出ない。それを公団の方で内容的にどう割り振るか、また基準に当てはめるかということについては、私の方は別に基準は持ちませんでした。公団の方で原案をそれに当てはめたわけです。
  142. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたの説明を聞いていると、こつちでこれだけで買うと言つたものだから、裁定委員会ではそれにはまるようにいろいろはめられたかしらぬが、頭で押えて来た額が出て来たんだと聞えるのですが……。
  143. 大西善四郎

    大西証人 それにはめたために、結果において多少の狂いが来ておるわけなんです。
  144. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、裁定委員会というものは何をやるものですか。あなたの方から申出られた価格を何かの規格に当てはめるだけの仕事をするものだつたのですか。われわれの聞かんとするのは、裁定委員会はどういう基礎をもつてこの値段をつけたかということなんです。おれの方は頭で押えた。あとはそれにはまるように裁定委員会でやつた。そうすると裁定委員会というものは何をしたのですか。
  145. 大西善四郎

    大西証人 裁定委員会のことを私がかれこれ申し上げるのはどうかと思いますが、裁定委員会では、原案が出まして、それによつていろいろ検討され、査定されたものと承知しております。
  146. 鍛冶良作

    鍛冶委員 この裁定委員会にはどういう人が入つていたのですか。
  147. 大西善四郎

    大西証人 裁定委員会には売手側では公団の清算人と経済局長、業務局長と大阪の配炭局長——今の支部長でございます。買手にある組合側としましては、私と專務理事とほかの常務理事、どちらも四人ずつ出まして、あと官庁方面から四、五の方がお見えになつておりました。中立委員といいますか、民間側の委員としましては、国崎さんと山本さんのお二人方が出ておられたわけです。
  148. 鍛冶良作

    鍛冶委員 かりに役人が入つていたところで、ことに東京の役人なら実情も知りませんし、何といつても一番知つておる者は大阪公団におつた人だろうと思います。そういう人が親方になつてつたのですか。
  149. 大西善四郎

    大西証人 その人は売手の一人として列席しております。
  150. 鍛冶良作

    鍛冶委員 次長であるあなたが買手の責任者になられた。こういうわけですね。
  151. 大西善四郎

    大西証人 いや、次長と言いますけれども。私は六箇月前に公団を去りまして、その後の事情はどうなつているか、また立場が違うので、そういうことには何ら関與しておりませんから……。
  152. 鍛冶良作

    鍛冶委員 けれども、あなたが次長のときには、この裁定委員会大阪の責任者になつた小澤という人が局長だつたことは間違いないでしよう。
  153. 大西善四郎

    大西証人 それはそうです。
  154. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その間にあなた方とどういう関係があるか。とにかくあなたの上におつた局長が売手の責任者になるし、その下にすぐおつた次長のあなたが買手の責任者になられたということは間違いのないことですね。
  155. 大西善四郎

    大西証人 そうです。
  156. 田渕光一

    田渕委員 証人は六箇月前だと今おつしやいましたが、公団をよしたのはいつであるか。私は実は陳情が来ておりまして、ちよつと席をはずしたために証人尋問事項の八までは伺つておらないのです。そこでもう一度伺いたい。証人大阪配炭公団支局の次長をしておつたことは、私も現地において事業をしておりまして、面識があつてよく知つております。そこでいつよされたかということを伺いたい。
  157. 大西善四郎

    大西証人 公団は二十四年九月十四日付になつております。
  158. 田渕光一

    田渕委員 九月十四日に配炭公団をよされた。私はあなたを知つているから率直に伺いますが、同僚鍛冶委員に答えたようなあいまいなことでは困る。あなたは、大阪石炭の宗像の総支配人として、石炭界においては大物なんですから、知つていることは知つているとはつきり言つてもらわなければ困ります。かつてはねというようなことを鍛冶委員に答えられましたけれども、一九四九年八月二十四日に、配炭公団の廃止及び石炭の価格統制撤廃に関する件という経済科学局長の通知があり、マーカツトは八月二十七日までに処分する計画を出せという指令を出された。それに対して安本並びに内閣は、閣議の決定によつて二十八日に、二十五年四月までに処分するということを目途としてやりますといつたずさんな報告をしている。そうして八月二十四日、経済科学局長から公団を廃止しろという指令があつてから数日ならずして、八月は一週間、九月は二週間、わずか三週間であなたは公団をよしている。がつてはねなどというしらばくれたことを言うては困る。公団をよすということは明的だから——大体アンチ・トラスト、あるいは経済科学局と交渉の結果公団をよすということがわかつたので、手持のやつを売手と買手でうまくやろうと支局長の小澤君、次長の大西君とで小澤君を売手にまわして、自分が買手の方にまわつて協同組合つくつた。そうして公団の廃止になつた九月十五日に、五百九万トンあつた貯炭のうち約三百万トンは進駐軍あるいは日発、鉄道に入れてしまつて、残つた二百万トンをこの価格裁定委員会にまわした。そうしてこの価格裁定委員会でどういうように処分するかということを、四月のちようど第七国会の大蔵委員会に四十三億五千七百万円という赤字補填の法案が出ている最中に、表裏一体となつてつていることはわれわれの調査によつてわかつている。しかも百二十何億の赤字であるから、二十三年度、二十四年度の余剰金において足らず、四十三億五千何百万円出している。そうして四十三億五千七百万円の金が使い切れなくて、清算人の加藤君は三十何億円をもらつたけれども余つたといつている。こういうような結論に大体来ている。しかるに今年の六月二十一日に近畿、東海の配炭公団不正事件調査班となつて、私と民主党の大森玉木委員とが参りましたときに、大阪であなた方は何と言われたか。よく記憶を呼び起すとわかる。小澤君がどういう御感想でしようかと言いますので無感想無思だと言つてつて来た。大阪に少くとも七十五万トンあつた石炭を頭で四十三万トン切り捨ててしまつた。そうして三十五万トン何がしを一億七百万円で売つている。四千円からについている石炭を百三十四円で拂下げて、しかもわれわれの名古屋の調査が峻烈であつたから、大阪でごまかすつもりで、あの尼ケ島の日発の前の貯炭場の埋立地に石炭を入れましたからもぐり込んだと言つているが、われわれが現地へ行つてみたら石炭はちつとももぐつておらぬ。確かに悪い石炭もあつた。あつたけれども公団の次長として、かつて君は責任者であつたじやないか。なぜ公団法の買取り規定によつて、完全なものを買わなかつたか。一週間なり二週間前に公団の次長であつて、いよいよ売れそうになつたからといつて、売手買手にわかれて、今度は女房が買手になつておやじが売る方で、安く売れ安く売れ、買えよ買えよというので買つた。こういうようなことは大阪では通るかもしれぬが、衆議院の考査特別委員会では通りつこないよ。しかも委員が聞いたときに、価格裁定委員会でやつたでしようというけれども、この価格裁定委員会は当時の配炭公団の経理局長であり、今は清算人である加藤八郎君——仏様みたいな男だ。まつたく人格者だ。これは人がよいというだけのものだ。木像にひとしいような人間だ。そこへ安本の動力局長の増岡、それから炭政局長の中島、大蔵省の主計局長、管財局長、これらは一回もこの会議に出ておらぬ。青二歳の二十七、八歳の小僧を出しておる。君らはみんなこういうものを押してしまつた。そうして価格裁定委員会は、ちようど配炭公団の赤字補填の四十三億五千七百万円の赤字補填法案が通過するのとにらみ合せて、この四十三億五千七百万円が参議院を通つた日に、この値段にくつつけたのが百四十円である。こういうようなことをしておつて、私たちはまつたく良心的にやつていましたなんて、よう言えたものだ。とにかくそういうような意味で、この四十万トンというものをどうして切捨てたかということを、まずはつきりあなたから聞きたい。七十五万トンの石炭を、四十万トンを切捨てたと小澤局長は言つておる。なぜ四十万トンを切捨てたのか、それをはつきりしてもらいたい。
  159. 大西善四郎

    大西証人 田淵さんにお答えいたします。今私が辞職したのは、そういう公団の廃止のことがはつきりしたのを知つて、そして買手の立場になり、また売手の局長である小澤氏と表裏一体となつて、何ものかを策するかのごとき口吻に私は伺つたのですが、私は小澤氏との間に売手買手、そういうような関係においては一切考えておりません。私は元来二十四、五年販売業者で終始一貫したわけでございます。途中統制された時分に統制会社に入り、継続して公団に入りましたが、自由販売のできまする場合には、進んでいつでも自由販売の商売人としてその方をやつて行きたいという念願でやつたわけでありますから、公団の廃止までは手伝いましたけれども、その機会に潔くおひまをちようだいしただけであつて、以前おつた者が買手売手になつて、表裏一体になつてうまくやつたのだというようなお考えについては、御想像におまかせしますが、私としては、そういうことについては何らやましいことがないということを、この際はつきり申し上げておきたいと思います。  それから切捨ての数量の問題でありますが、これは私の説明がまずいので徹底しない感じがしましたのですが、私の買い受けます総金額は、さつき申し上げましたように、組合として理事会で何回か検討しました結果、一億円限度で買いたい。その内容が七十五万トンであろうと、三十万トンであろうと、あるいはどういう品物があろうと、要するに示されておるものをうのみにして、総金額でこれを買おうということになりましたために、それを私の方の最後の線として委員会に臨んだわけであります。その内容の切捨てとか、あるいは炭価おのおのの基準とかというものは、これは公団側できめられた原案によつて、われわれが委員会でこれに従つたということになつたわけであります。その点は、公団側のこの基準をつくりましたその理由なり内容なりをお尋ね願えば、むしろ徹底するのではないかと思います。こう考えております。
  160. 田渕光一

    田渕委員 私はそんなくどくどいしことは聞きたくない。七十五万トンという石炭を、四十万トンまず切捨ててしもうて、そうして三十五万トンで売つたというその算定をどこから出して来たか。われわれ国民の納める税金で、四千何ぼの石炭を七十五万トン大阪公団が荷受けしておる。そのあなたの買つた石炭を、わずか三週間でよしてつくつた協同組合へ売るのに、四十万トン切捨てなければならぬというのは、あなたが在職中に不正な買い方をしたのか、実際あつたものを、自分らが一億円という値段で買いたいから四十万トン切捨てたか。筆の先では四十万トンかそこらだが、四千円の石炭とすれば十六億万円の命になる。その四十万トンというものをなぜ切捨てたか。その算定について国会が納得の行なくようなあなたの答弁を求めたい。
  161. 大西善四郎

    大西証人 切捨てた、切捨てたとおつしやいますが、私の方では全体の数字は公団の原案である七十五万トン、それから公団が五十四万トンの数字であると言えば五十四万トン、さらに三十八万トンにいろいろな基準の構成上なつたといえば、示される数字は三十八万トンであろうと、七十五万トンであろうと、私の方はそれを一億円でちようだいしたいということでやつたわけでありますから、切捨てた切捨てたということは、公団の技術上の問題ではないか、私はそう信じております。
  162. 田渕光一

    田渕委員 その裁定委員会に小澤君も列席しておる。馬屋原証人を呼んで来て徹底して聞いておるので、速記録に出ておりますから、私はくどくどしく申し上げませんけれども、大阪の部分の裁定委員会の二日目に、小澤君は、まず四十万トンを切捨てて三十五万トンを一億七百何十万円で売る。四七、二十八億円近い石炭を二十八分の一の一億七百万円で売るということを小澤君が言つておる。小澤君が配炭公団の支局長として、いかに安く売りたくてそう言つても、あなたが協同組合をつくるまでその間三週間しかない、八月二十四日の経済科学局長の覚書から見ても三週間しかない。協同組合の理事長が七十五万トンの石炭を買うときに、売る方が四十万トン切捨てて三十五万トンで買つてくれと言つても、むりだろう、国民がかわいそうだ、私が買つたときには七十五万トンあつたのに、一割切れても七十万トン、そういう常識が出て来ないか。私はしろうとの加藤君なら言わぬ。安本の増岡局長なら言わぬ。何十年石炭で暮して来ておるあなただから聞くのだ。四十万トンというものをなぜ切つたか、今のあなたの話では納得できないから、納得の行くように説明してもらいたい。
  163. 大西善四郎

    大西証人 今七十五万トンから四十万トンを切捨てて私の方で一億円で買うということに対して、かつての次長であつた大西がなぜこれを良心的にとめなかつたかというような話でしたが、先ほども申し上げましたように、私はあの際あの炭を引受けることは、根本的にあまり望ましくない。率直に言えば、賛成してなかつた。なぜかといえば、先ほどるる申し上げましたように、あの多量の粗悪炭を協同組合が引受けてやる場合には、大阪の市場は非常に圧迫される。そういう渦中に——私は大体が他の生産業者の特約店が主であるわけであるから、こういうものはなるべく触れたくないので、数量がどうあろうとも、できるだけこれは他の方法で処分してもらつて、組合というものはなるべく介入すまい。もしやるにしても、組合員の必要な最小限度のものにとどめる程度にしたらどうかということであつたわけですが、公団として三月末にどうしてもやらなければならぬというために、やむを得ず組合に押しつけられたという感じを今でも持つておるわけです。今あなたが言われるように、小澤氏と表裏一体となつてこれを安く買つたということは毛頭ありませんから、この点私から申し上げておきます。
  164. 田渕光一

    田渕委員 弁解はいいんだ。四十万トンをなぜ切り捨てたかということを本員は聞いておる。
  165. 大西善四郎

    大西証人 切り捨ててはおりませんよ。
  166. 田渕光一

    田渕委員 いや、切り捨てておる。裁定委員会の数字において四十万トンというものが切り捨てられ、まず三十万トンをこれこれにして、にんじん、ごぼうを切るごとく、これは配炭で何万トン、これはトラツクで捨てなければならぬからトンで何百円、貯炭料が幾ら、はなはだしいのはその組合の毎月の経費というものを国家に三百万円持たして、これを一年六箇月かかるだろうというので、十八箇月分の金を五千四百万円引いておる。これは裁定委員会の議事録を取寄せた結果、この四十万トン切り捨てておるという証拠が本員にあがつておる。裁定委員会にあなたも小澤君も出て、しかも局長が出ずに、課長の小僧ばかり出た会議で君たちがこれをやつておる。その四十万トンを切捨てておらないとはつきり言うならば、それでよろしい。そうすると価格裁定委員会の議事録は偽造なんだ。
  167. 大西善四郎

    大西証人 切捨てるというのは、これは私の考え違いかもわかりませんが、最初に七十五万トンという帳簿数字が出ておるわけです。われわれは帳簿数字の内容のいかんにかかわらず、これを一応うのみにして処理して行く。その中に改斤、欠斤、あるいは内容がどういうことになるか知らないが、全部これを引受けるという総括的な頭でこれを持つてつたわけなんです。それでこれをあの裁定委員会で、表の面で三十八万トンになり、四十万トン近いものを切り捨てたという場合には、三十八万トンに対する炭価のパー・トンというものは上つて来ておるわけなんです。もし七十五万トンであれば、それが安い炭価になり、三十八万トンになれば炭価が上るという算術的に出て来る数字であつて、これを切捨て切捨てという、そういう意味でやつたものでないと私は信じておるのです。
  168. 田渕光一

    田渕委員 その四十万トンという数字は、はつきり出ておる。数字はごまかせません。その四十万トンは何としてもできるんだ。それはもう一つあとにしましよう。それはあなたによく考えていただくことにして聞きましよう。そこでわれわれが大阪の経済調査庁を呼びつけて、あるいは大阪の鹿島財務局長をいろいろ調べてみますと、大阪の経済調査庁ではこう言つておる。今次のたなおろしに調査庁が関與しなかつたならば、公団自体のたなおろしは、ほとんど帳簿面のたなおろしに終わつていたであろうということを報告しております。あなたが今四十万トンのその切捨てに対して、はつきりしたことをおつしやいませんが、あなたが買う間はそれだけ公団の帳面はいいかげんなものであつたのか。七十五万トンも記帳できたものを三十八万トンにしなければならなかつたということは、あの近畿の厖大な石炭の消費地の、しかも配炭公団大阪支局の次長という重職にありながら、実際において買うときにそれほどずさんな買い方をしておるかどうかということを、大阪石炭協同組合をつくるわずか三週間前まで身分がその職責にあつたということから考えてみて、あなたはどう思いなさるか。
  169. 大西善四郎

    大西証人 今お答え申し上げたのですが、私が三週間前に現職であつて、その時代に買つたものが非常にずざんなものであり、あるいは粗悪なものであるというがごとくに伺つたのですが、この貯炭の大部分は、私が出ました後に累積されたものであると思つておるわけであります。
  170. 田渕光一

    田渕委員 ところが価格裁定委員会で、ずつと長い間の貯炭で風化減耗しておるからというので、風化減耗配給炭とまで言つておるのだ。あなたが配給公団ができる当時次長であつたことは私は知つておる。そうでしよう。最初から一つも狂つていないでしよう。小澤君が局長で、あなたが次長だつたでしよう。
  171. 大西善四郎

    大西証人 そうです。
  172. 田渕光一

    田渕委員 そうすると、この近畿の厖大な消費工場の石炭の買入れ並びに配炭の面というものは、小澤君よりもあなたがほとんど全部女房役でやつてつたのだ。それが四十万トンの石炭を切捨てて買うときに、一言くらい、こんなことをやつたらあくど過ぎるから、国会で問題になるくらいのことは気がつかなかつたかね。ずうずうしいにもほんとうにほどがある。——委員長、返事ができなければ進みましよう。そこで先へ進んで行きますが、この大阪石炭協同組合が、なぜ一般の小さい石炭屋を入れてやらなかつたですか。それを伺いたい。
  173. 大西善四郎

    大西証人 協同組合は、希望者は一人も阻まずに全部入れておるわけであります。今小さい、大きいの問題になりましたが、全販売業者に呼びかけて、希望者は進んでこれに参加してもらいたいということで、申込者は全部入れておる。断つたというのは、小さいから断つたのではなくして、一、二あるかもわかりませんが、それははつきり記憶しておりません。その業体自身が石炭販売業者でないというように認定されたものが一、二あつたかと思いますけれども、私どもは全部入れておるのであります。
  174. 田渕光一

    田渕委員 その後において入れてくれというので、あなたがふやして入れておるでしよう。八十三名を百何名の組合にふやしておるでしよう。いかに政府の石炭だからといつて、安くたたき買い過ぎるから、協同組合はもうかく過ぎる、おれも入れろ、おれも入れろ、入れなければあばくぞというような脅迫を受けたので、こまかい石炭屋を組合の方で入れたでしよう。そういう事実はありませんか。
  175. 大西善四郎

    大西証人 それは事実ありません。何かの御想像かと思いますが、現在の協同組合員は九十四名であるわけであります。そうして途中で二、三ふえて参りました。それは漸次ふえて来たものは入れておりますけれども、組合としては来る者は拒まずで、全部入れておるわけであります。
  176. 田渕光一

    田渕委員 私も亜炭の協同組合をやつてつて、よく知つておるが、これは加入も脱退も自由な組合なんだ。     〔島田(末)委員長代理退席、塚原委員長代理着席〕  しかし少くともこの協同組合というものは中小企業でなければいかぬ。今日のいわゆる中小企業、この協同組合が石炭協同組合でなければならぬのに、少くとも大阪石炭の一流問屋である宗像商会の大西君などが入つて、この協同組合が後日公正取引委員会で審判を受けるというようなことをあなたに予知しておつたか、おりませんでしたか。
  177. 大西善四郎

    大西証人 先ほど総括的にちよつと申し上げたのですが、私口不調法なために十分おわかりにならなかつたかと思うのですが、この貯炭を引受けることは、公団の貯炭処分に業者が協力しよう、全部これを円滑に処分しよう、それをすることがやがて大阪炭界の癌であるこの貯炭が円滑にさばけるのであつて、これは業者の手によつて処分したい。それにはこれを引受けることを許可されたいということで出発したわけですが、さつき申し上げたように、中小企業協同組合のあの二十名以下の者だけでは、おそらくこの貯炭は引受け得ない、また処分はでき得なかつたわけであります。これを処分するために、あえてその当時入つていなかつた大きな業者もこちらから慫慂して参加してもらう、組合からいえば協力してもらうという形になつてつたわけであります。その点はいろいろ御想像があるようですが、あの当時の事情なり趣旨から見て、私は当然組合が公団貯炭の処理に協力をした。こう信じておるわけであります。
  178. 田渕光一

    田渕委員 あなたがそう信ずるのはかつてであるし、またわれわれは想像でものを言つておるのではない。少くともあらゆる資料からわれわれはこの調査をしておるのであつて、決して想像で言つているのじやありません。たとえば指摘九社という九つの会社——共同石炭鉱業、日本海陸運輸、品川燃料、製鉄原料輸送、三鱗無煙炭、あなた方の会社の宗像商会、常盤商会、吾妻商会、中央石炭販売というこの九つは、少くとも協同組合に入る資格はない。私的独占法に違反しておるのだとはつきり言つておるのではありませんか。当時使用者が各本店、支店を合せて二十人を越える業者は、組合員となることはできないということになつておる。この規定の解釈の相違によるといつて——中小企業法においては、二十人以上使つておるものは中小企業と見ておらぬ。こういうようにどつちかというとあなた方の今言うた九社以外の小さい石炭屋たちが寄つて協同組合をつくつて、それで国家奉仕のサービスをするならばいいけれど、大口ばかりで協同組合をつくつてしまつて、売手と買手とやる。これは何といつても、大阪石炭協同組合でおどつたのはあなたである。小澤君はおどらされたのである。これは明日調べるからわかる。結局協同組合法に違反をして、公正取引委員会で審判を受けるということになると、これはまたどういう方面に暗躍したのか知らぬけれども、あなた方の言うような日付で、あなた方の言うたような案で公正取引委員会が主文を出そうとして、あなた方が言うた通りに、ここにいわゆる東京大阪石炭協同組合の審結主文案というものができておる。これはまるで吉田総理がワン・マンだというけれども、配炭公団に関する限りは、公団のことごとくがこれをやつている。価格裁定委員会も数量の査定委員会も、あるいはこの公正取引委員会を引きずつた謀略も、これほど徹底したものかとわれわれはほんとうにびつくりしておる。あなた方の言うた通りである。ここにちやんとあなた方のことが出してある。東京協同組合はずつと経過を出しておる。公取審判開始の決定及び顛末というので主文書を書いた。八月十一日に答弁書を出せ、八日十四日の一時に審判手続をとれ、二十一日の午前十時にやつて来いと言つたらこれに向つて、時間がないから、八月十一日に出せというものを八月十九日に答弁書を出すようにしてもらいたい。それから十四日の審判手続を八日延ばして二十二日にしてもらいたい、そうして二十一日の午前十時に公取でこれを審判すると言つたら、これを三十一日までひつぱつてくれ。よろしいとみな公正取引委員会でやつている。それは石炭屋の会合だ。この通り、こういうぐあいにしてもらおうじやないかという案が出て来た。たとえば組合は、今年八月十五日現在の貯炭量を、自発的に決定調査された業者以外の組合員にのみ配分する。こういうようなことで、あなた方がきめている。その通りこの主文の案ができて、これを持つて司令部へ行つてOKをもらつて来た、司令部の許可を受けたのだ、こうおどかすつもりでかかつた。これは最後の結論の——一番最初の配炭公団がつまり解散になるというときのマーカツト指令、非公式な指令ではありますが、本員たちが本年の六月にいろいろ大阪調査したときに、司令部は幾らでもいいから早くたたき売つてしまえと言うから、われわれは早くたたき売つたのだとたんかを切つた。ところがたたき売れということは一つも書いてない。一九四九年八月四日の経済科学局の覚書というものは、あらゆることをずつと書いて来て、最後に、経済安定本部長官は、上記対策実施に関する計画を作成し、おそくも八月二十七日までに提出されたいとマーカツト経済科学局長は言うて来ておる。これはわれわれが大阪に行つたら資料がなかつた。だがあなた方が言うておるように、幾らでもいいから司令部がたたき売れと言つたということは書いてない。これはうそだ。公団がいよいよ最後に追いつめられて、公正取引委員会の審結審判を受けて、審結の主文案までも君らがつくつて、この通り出てしまつておる。これでもはずかしくないのか、私はそう思う。  それからもう一つ、私はこういう例から言つて、少くとも主文案も、百四十円で買つた石炭をぱつぱつと売つてしまう、あるいは残つておる石炭も朝鮮事変で上るのは事実だ。それで八月十五日は東京、八月一日は大阪でそれ以前に売つたものは審判を受けない。あとつたかすだけは小さい石炭屋へ売つてやれという主文案が出ておる。これはもう実際お話にならぬ。もちろん私は、公正取引委員会も当考査委員会喚問して調べる必要があると思いますから、これを要求いたしますが、かようなことをして、とにかく八月十五日の前に処分した石炭において不当の利益を得たものを、国家に返還する誠意があるかどうか、これを伺いたい。
  179. 大西善四郎

    大西証人 るる御意見をまじえての御質問がありましたが、最後の利益があつた場合に国家に献金するやいなや、こういうことでございますが、組合としましては、現在のところ、今予定したものは先ほど申し上げた程度のものであつて、これが今後どうなるかということは予断を許さぬわけなのであります。ですから今ここで仮定的にもうかつた場合、余剩金の多い場合に国家に寄付する、あるいはしないということは、申し立てることを保留させていただきたい。私の一存でやりかねるわけであります。
  180. 田渕光一

    田渕委員 そこでこの不正な、資格のない大阪石炭協同組合が拂い下げますという一つの形式をつくつて、裁定委員会で拂い下げを受けたところにすでに出発が間違つてつた。あなたの方でこの謄本も出しておるのですが、はつきり協同組合は資格がなかつた。公正取引委員会で調べたところが、協同組合の資格がない。協同組合の資格のないものが一箇月三百万円の組合の経費を国家の税金からとつて、しかもこれを一年半は売るのにかかりましようというわけで、十八箇月五千四百万円というものを石炭代から控除して引いておるのがこの裁定委員会の数字であります。今日かりに八月一日以前にいかにもうけようとどうしようと、それはわれわれは知らぬとしても、八月一日以降は、この三百万円の会社の金を国家に返す意思がありやいなや、これを伺いたい。
  181. 大西善四郎

    大西証人 三月三十一日で解散する場合には、おそらくその後事業を勘定すれば何物もなくなるわけであります。そうしますとこの組合の剩余金といいますか、收支の内容というものはどうなりますか、その時分に至つてみないとわからない。組合として今公団から買い取つた炭を組合員にどういう建前で売つておるかと申し上げれば、一応公団からはこの炭価で買いましたけれども、組合は組合独自の立場でその現物なり、置いてある場所の條件なり、あるいは整理をする必要上から考えて一つの基準を設けて、そうしてすべて手続をとつてやるわけです。組合が組合員に売る場合は必ずしもこの査定された炭価とか、あるいは方法では売買されてないわけです。実際問題としてはそこに差があることを一応この機会に申し上げておきたいと思います。
  182. 田渕光一

    田渕委員 私はそんなことを聞きたくはないのであります。この八月一日以前は、あなた方大阪石炭協同組合というものが売つたものはまあ認めようというようなことで、これはいわゆる談合というのだろうが、不正なる談合審結文ができておる。そしてあなた方はこれを解散するのだが、八月一日以降はもうこのあなた方の組合、つまり宗像商会とか私的独占禁止法によつて除外されたものは買えない、のみならず組合自身の根本もぐらついて来た。そういう組合が十八箇月かかるのを予想して、まず最初に一箇月三百万円、五千四百万円の金を石炭代から引いているのだから、この八月一日以降あなた方が、この資格のない組合と談合でできた審結主文、これもおそらく来るでしよう、もうきようあすにも来るだろうということを先ほどの野村証人も言つてつたが、来るでしよう。これであなた方手が切れるのだから、これ以後毎月三百万円ずつ何箇月か残つている。かりに三月、四月といたしましても、来年の十月までの金をあなた方三百万円ずつとつている。一トン四千円近くもした政府の石炭を、百四十円くらいでたたき売つてしまつて、おまけにこれを売るのに、売つてやるのだといつて毎月三百万円ずつ金をとつている。この八月一日以降毎月三百万円浮いて来る金があつても、これを国家に返す意思はありませんか。あなたの誠意いかんによつては、本員は告発の動議を出す意思がある。
  183. 大西善四郎

    大西証人 今、組合が買受けする場合に、一年半の予算を持つている。三月であれば一箇年だから、あとの六箇月間は余裕の経費ができるはずだ。これだけでも返す用意がありや、こういうお話でございますが、組合といたしましては、先ほど申し上げましたように、組合が一応この値段で買い取つた以上、組合としては組合独自の経営法で、経費の切詰めるべきものは切詰め、必要なものは出して行く、また炭価においても、その後の情勢もかわりましたが、売れる値段で売つて行きたいということでやつておりますので、その剩余金が必ず出る、出たものはお返しするということは、この際ここでは申し上げかねると思います。
  184. 田渕光一

    田渕委員 それではよろしい。あなたに意思がなければないでよろしい。しからば、組合が国家奉仕のためにやるのだというなら、一例を申し上げると、たとえば、熊野炭田でとれたところの無煙炭が、和歌山県の日高郡の由良港に五千何百トン貯炭されておつた。これを七百何十トン和歌山の扶桑金属、元の住友金属工業に対して二千二百円で売つているが、これに対してあえて利益を得ておらぬということが言えるかどうか、それを伺いたい。
  185. 大西善四郎

    大西証人 今のはちよつとお尋ねしたいのですが、私はその点はつきり記憶がありませんが、公団から買つた組合の石炭を扶桑金属へ売つたというのは、組合員のたれかが売つたということになつているのでしようか。あるいは以前の話であるか、どちらでありましようか。
  186. 田渕光一

    田渕委員 以前じやありません。東京石炭協合組合の組合員であり、ことにあなたの最も右腕として働いた、あなたの方の組合の持分も一番多く持つている——それではあなたが御存じなければ、一々資料で私はゆつくり行きましよう。そう出られれば、こつちも資料できちきち行かざるを得ない。東京石炭コークス岩井長政理事東京石炭協同組合理事ですが、これはあなた方の手下として、当時配炭公団東京支局では総務部長をやつてつた。これが大阪石炭コークス株式会社という資格で、あなた方の株を三百株近く持つておる。たいていは一株だとか、十株だとか、六株だとか、いろいろあるが、この岩井長政は熊野無煙炭を二千二百円で売つておる。私の言うのは百四十円で下げた石炭だから、国家再建のために、手数やその他をもうけても、みんなが納得できるトン百円ぐらいのもうけで、二百四十円なり二百五十円ぐらいで売つたら文句は言わぬ。この紀州の無煙炭のごとき石炭は百四十円になつておるが、無煙炭はただの八十円で拂下げして、由良港に五千トンもあつたものを、船で持つてつて二千二百円で売つておる。これはあなたの組合員がやつていることだから、あなたの組合員全部がこれをやつているとは言いませんが、今日石炭か六月二十五日の朝鮮事件以来上つたというのを私は言うのじやないが、少くとも今日東京で売つている石炭は四千円から五千円している。いかに宇部炭の悪いものといえども、二千円や三千円で売れる。それを無煙炭を八十円で拂い下げる。よう大西さん考えてごらんなさい。きようび大阪で馬力で土一トン運んだつて、トン八十円じや馬方は食えやしない。それを二千二百円で売つている。こういう非人道的なことをして、三百万円もとつている。これはあなたの組合でやつている。それをあなたは知らぬというふうに言われている。しかし組合員がやつたんだからというようなことでここが通り拔けられるとあなた思うか。こういうことは考えなければならぬ。私は少くとも資料をもつてぐんぐん何時間でもやりますよ。あなたがわかるまで、今晩十二時までやるかもしれない。さつきから言うた、少くともあなたの組合でこの五千四百万円という金をとつているが、これを返す意思があるかと言つても、あなたは聞かぬ。私が大阪であなた方を調べたときに言うたでしよう。大阪事務局で五千円か三千円とつている者でも何百円という税金を拂つている。われわれ議員も約三万円月給もろうているが、一万何千円という税金を拂つている。そういう金であるのに、何十億という金を大阪でいいかげんなことをしてしもうておいて、石炭も返す意思はない、もうけたやつも何とか国家奉仕しようという気もない。いわんや解散されるような協同組合でやつてつた金も返す意思はない。ここに至つては、私どもとしてはおそらく大きな決心をしなくちやならぬ。もつと考えていただかぬと、私は告発を要求しなければならぬと思う。あなたがほんとうに調べてみて、われわれのしたことが悪かつた、むりであうたということに対しては何とか考える余地があるというなら、また私は考えるところもあるが、もう大阪安治川の石炭の取引は済んだんだから、どうなろうとこうなろうともかまわぬということでは、この国会は納まりません。われわれは国民の代表として、ほんとうにまじめに働いて食えない者までが、税金を拂つて、横着なことをやつた者——公団の廃止の前後、つまり火事場どろぼうのようなことをやつたやつらを国会ははつきり調べなければならぬ。国会を国民が信じなければ、税金というものは拂う気が起つて来ないのです。そこでもつて私がさつきから四つも五つも言つているが、あなたは一つも国家へ返すという意思がない。何のために考査特別委員会が去年からこれだけかかつて骨を折つてつているか。諸君の不正に対して何とか反省させ、ほんとうにそれは国家へお返ししますというふうにさせなくちやならぬからだ。われわれは何のために動いているか、民主憲法の番人としてわれわれはやつている。大阪の安治川の石炭をごまかしたようなわけに行かぬ。あなたの弁明をはつきり聞きたい。
  187. 大西善四郎

    大西証人 今何かと重ねて御質問がありましたが、先ほど申し上げましたように、組合の收支の結果はやがて三月三十一日には出るわけであります。これがあなたの想像されるように、多額の剩余金がある場合には、献金とか何とかいう形でなくても、組合は当然税金として納めなければならぬことは、むろん覚悟しているわけでありますし、今はたしてこれがどういう結果になるかということがわからぬものを、仮定で、必ず返しますということは、一応責任者としては、思いますけれども、簡單に申し上げかねますから、これは結果を見てやらしてもらいたいと思います。
  188. 田渕光一

    田渕委員 一応結果を見てという、そこまでの誠意があればまた考えましよう。  そこであなたがこの配炭公団の次長として、かつて——あなたの過去を私は云々するわけじやありませんが、少くとも小澤君を局長として、石炭で生れて来た石炭に明るいあなたが、こういうような価格で拂い下げなければならぬというような粗悪炭を買つた配炭公団の次長在職中の責任をどうお考えになりますか。
  189. 大西善四郎

    大西証人 今私の公団時代の前職の責任についてお尋ねがありましたが、石炭を買いますのは、配炭局長あるいは次長でなくして、これはあるいはりくつめいたかもわからぬが、出たものは一定の価格で買う、そういうように機構的に自動的になつておるわけですから、その品物は当然本部できめられた価格と方法によつて買い取られており、大阪の一次長がこれを買い取るということは、当時の組織等においてでき得なかつたことは御承知願えると思う。ただ結果においては、そういう粗悪炭をなぜ大阪が受けたか、こういうことはあるいは言い得るかもわかりませんが、公団経営中に、相当時日もたつておりますし、また各所に貯炭をしておるものを、貯炭場を掃除といつては語弊がありますが、一応大阪に持つて来る。あるいはほかの山のものを全部受入れてこつちへ入れるということはあり得たわけです。当時大阪が一番大きな市場であり、いつの場合にも粗悪炭のダンピング市場としては大阪が目されたために、まず大阪へ持つて行けば何でも売れるであろうというような意味で各所からどんどん送つて来た。大阪としてはそれを受入れなければならぬ実情にあつたわけです。それを一々来たものを分析して、これはいいとか悪いとかいうようなことは実際においてはでき得なかつた。また公団積地において受取つたものを大阪へ持つて来たのだから、同じ公団の立場にある以上、そのものは大阪としてはそのまま受取つておる。それをいろいろ売り渡して、たまたま最後に残つた、それが悪いのであつて、その最後のものを当時次長であつた私がどうこうというふうに即断されては、はなはだ私としても遺憾な点があるわけであります。
  190. 田渕光一

    田渕委員 われわれが本年の春ごろから、配炭公団の中央本部の業務局長であつた馬屋原証人を調べましたときに、その責任も聞いております。中央で調べれば、現地でやつたのだからわからぬ。現地へ行けば、中央でやつたのだからわからぬといつて、責任の転嫁をお互いにやり合つておる。そこでわれわれが現地で十分調べたのでありまするが、少くとも配炭公団法の業務規定の中には、買い取る石炭に対しては、何級は何千カロリー、灰分何パーセントまでというように、きちつとできておる買取り業務規定もあれば、また売渡し規定もあるわけであります。その規定によつてつておる。中央のものはペーパー・プランでやつておるのだからそうかもしれないが、しかし現地で、たとえば宇部あたりから船に積んで安治川へ揚げる。この石炭に対して、この買取り業務規定に違反しておるように石炭があれば、これが買取りを拒否してくれというために、君らを配炭公団の次長に置き、国民が高給を出して雇つておるのではないか。なぜそれを断らなかつたか。あなたはまた想像だと言うかもしらぬけれども、配炭公団におつたたとえば馬屋原業務局長が、今度配炭公団が廃止になるというので、輸送会社をつくつた。その輸送会社の機帆船の雇い船が安治川へ列をなして、どんどんぼたであろうと土であろうと運んで来て、毎日々々荷揚げが間に合わぬから、その滯船料として何億という金をとつておる。全部公団の連中が組んでやつておるのだから、あなたが自分の宗像商店の支配人の大西善四郎であつたならば、あんな悪い石炭を買いつこないということははつきりわかつておる。公団の貯炭場に置いてある石炭と、現在宗像商店が買つておる石炭とは、光つたものと黒いものと違うほどの差があるではないか。自分の私的経営であるならばそこまでやらなければならぬのに、国民の税金でやつておるものに対しては、相手は日の丸だ、相手は公団だというような無責任からああいうものを買つたのではないかと思う。あなたが現在買つている三井の山あるいは古河の炭をずつとわれわれは着いておるところを見たが、よい石炭が来ているじやないか。中央がやることで、あなたに責任がないと言うけれども、現在少くとも日本の工業都市である大阪配炭公団の次長である責任にあるものが、なぜそういうものを一々拒否しないか。これはあなた方がやる意思がないのならば、やる権能がないのならば言わぬけれども、かつてわれわれが熊野炭坑で苦労して売つた時代には、よい石炭を持つてつても、これは欠斤だとか、へちまだとか言つて、クレームをつけて返して来て石炭屋を泣かしているじやないか。それが昭和十六年に総動員法が議会を通つたから、日本石炭株式会社というものをつくつて、その石炭株式会社ができたときに、諸君は宗像商店として数百万円の金を国家からのれん代としてとつておるじやないか。そうして今度は戰争で負けて配炭公団ができた。それで日本石炭株式会社の看板をはずして、人間はそのままで公団をつくつて、末端のものから賄賂をとつてつておる。公団の職員がそれだけよいことをして、そうして今度いよいよ公団が解散になるとみれば、売方買方一体になつてどんどん運ばして、滯船料をとつたというようなことが、結論として百二十何億という赤字になつておる。少くともこの赤字に対する責任はあなた方にもある。安本の動力局長とか、大蔵省の主計局長というような、何にもわからぬばかものを呼んで来て、われわれは調べるわけじやない。石炭にかけてはわれわれより博士であるその人に、ここでほんとうにはつきりしたことを言うてもろうて、われわれは何がゆえにこの百二十何億という赤字が出たかという真相をつかみ、もし政界にでも官界にでも財界にでも不正なものがあつたら、小菅の刑務所にぶち込もうというのがわれわれの信念であります。ほかの議員も質問されるでありましようから、私はこれでやめておきます。
  191. 大西善四郎

    大西証人 私も公団の一職員であつたがために、公団の大きな損失に対して責任があるというお話であります。なるほど職員である限り、そういう結果を招来したことについては責任がないとは言えませんが、すべての経営の基本方針は中央できめられまして、われわれは大阪においてその與えられた範囲内の仕事をしております。     〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕  ただその際に、今田淵さんも言われたように、非常に悪いものが入つて来たではないか、それをそのまま受入れてしまつたということはけしからぬじやないかというおとがめを伺つておるのでございますが、その点についてはわれわれも気づいたときもありますし、その際は係員なり現地なりにそれぞれ連絡をして、注意は促して参つたわけであります。当時といたしましては、私としてはできるだけのことはやつてつたつもりであるわけであります。ひとつその程度で御了承をお願いしたいわけであります。
  192. 鍛冶良作

    鍛冶委員 さつき聞きますと、あなた方はどこまでも七十五万トンあるものとしてとつたので、廃棄しようとしたことはないというお答えでしたね。
  193. 大西善四郎

    大西証人 全然そう廃棄がないということを申し上げたのではなくて、この裁定委員会の時分の経過表にありますように、計算の上におきまして、帳簿数量として七十五万トンでありましたが、三月末に公団が一応調査いたしました欠斤及び廃棄炭を差引きますと、五十四万トンになつてつた。その後今後廃棄せなければならない、あるいはこういう市況のために品質が低下するであろうという数字を、一応ここに書いて来まして、そして三十八万六千トンという取引対象の数字になつておりますけれども、私どもの方はこの三十八万六千トンでありましても、あるいは五十四万トンでありましても、最初の帳簿価格の数量の七十五万トンというあのリストを一応見て、そしてこの数量があればとにかく一億円限度でちようだいしようということにきめましたので、この切捨てた理由云々のことについて、先ほど来糾明されておりますけれども、私としてはそういう成行きであつたがためにこの公団の示された数字全体を対象として、その金額でいだきたいということになつておるわけであります。
  194. 鍛冶良作

    鍛冶委員 先ほど田淵君が、今三十八万トンと言われると、七十五万トンですから約半分ですね。半分は廃棄になつておるのでしよう。それはどうして廃棄にしたということをあなたに聞いても、われわれはそういうことは考えておらぬ。七十五万トンあつたものとして計算しますよと言われた。これを私は聞くのです。あなた方は七十五万トンあつたと信じておつたのか。それとも三十八万トンよりないというのは、あなた方が言われたのか。あなた方はどこまでも七十五万トンあるとして計算されたのか。それを念を押して聞くのです。
  195. 大西善四郎

    大西証人 私は七十五万トン実在すると申し上げたのではなくして、帳簿上一応こういう数字が示されたから、示されたままをのむ。これが公団的に廃棄欠斤を調べて、そして三月末の五十四万トンの実在数量、こういう数字があれば五十四万トンでもよろしいということで、要するにこの全体の数字を一括した値段で買うという考えでやつたわけなんです。この表の面の内容、内訳については、先ほど来いろいろ追究されますけれども、その程度の考えであつたわけなんです。
  196. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それじやあなたはどれだけあると思つてつたのか。もう一度はつきり言つてもらいたい。あなたはどれだけ実在すると思つていたのですか。
  197. 大西善四郎

    大西証人 大体私は現物は五十四、五万トン見当かという推定はしておつたわけです。
  198. 鍛冶良作

    鍛冶委員 しからばそこに三十八万トンと書いたのはだれです。買うものが五十四万トンあると考えておるのに、売る方で三十八万トンと書いたのはだれですか。
  199. 大西善四郎

    大西証人 それはその後今後消化する期間中において、自然発火のおそれもあり、また品質低下もし、実際に出す場合には欠斤も出るであろうというので予定されたわけです。
  200. 鍛冶良作

    鍛冶委員 だれが予定したのですか。あなた方が予定したのか。それはあなた方が予定されぬのなら、だれが予定したのです。それをさつきから田淵君が聞くのです。あなたが予定したとすればどういうところで予定したのか。あなたが予定されぬのならだれが予定したのか。それを聞かなければ問題にならない。
  201. 大西善四郎

    大西証人 これはどう申し上げたらよいのか、公団の標準炭価というものが一応あつて、そういうものを基準にして炭価を出すという場合に、そういうことで公団としては作表しなければいけないように伺つてつた。ところが私の方では総金額をこれ以上どうにも出せない、こういうことで腹ができておりますから、公団の出されました標準炭価そのままではとても値段が出会わぬわけです。そうして今後欠斤ができ、品いたみがするものが相当あるという見込みを立てて、一応標準炭価にしたのじやないかとこう思われるわけです。これは非常に説明しにくい点です。
  202. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、あなたに聞くと、実際は五十四万トンあつたが、廃棄にならぬものを廃棄になるものと仮定して書いたのですね、そう思うより仕方がありません。
  203. 大西善四郎

    大西証人 それは誤解を招くといけませんから——数量はかりにありましても、今後廃棄せなければならぬものも出て来る、数量はあつても、これは金にならないものがたくさんあるわけです。欠斤も出て来る……。
  204. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それではあなたの方で五十四万トンあるというのに、そういうことを仮定して三十八万トンよりないと、公団のだれがそういうことを決定したのですか、それを承りたい。それから聞いてかからなければ問題にならない。だれがそういうことを見込んだのです。買うものが言いもせぬのに、あなた方に売るものがそういうものを見込むに至つては言語道断と思いますが、一体だれが見込んだのです。それを承りましよう。
  205. 大西善四郎

    大西証人 これは先ほど来申し上げますように、総金額の買手の値段というのは、私の方として一応きめているわけです。
  206. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはよろしいが、そういうことはわれわれは今聞いたらあきれるほかないのだが、だれが五十四万トン実在するものを三十八万トンなりと決定したか、だれがそういうことを見込んだのですか。その責任者はだれですか。それは裁定委員会のだれかであることはわかつておるではないか。公団か裁定委員会のだれであるか……。
  207. 大西善四郎

    大西証人 公団で大体の原案が出たわけです。
  208. 鍛冶良作

    鍛冶委員 公団のだれですか、つくつたのは……。
  209. 大西善四郎

    大西証人 人はだれということは、私は記憶しておりませんが……。
  210. 鍛冶良作

    鍛冶委員 公団でそういうものを出すときは何局から出すのです。大阪の配炭局でしよう。
  211. 大西善四郎

    大西証人 これは東京で、委員会でそういうものがきまつたわけです。
  212. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは決定委員会であろうが、これだけあるということは現地でなければわからぬわけです。大阪でしよう。
  213. 大西善四郎

    大西証人 大阪では七十五万トンと——その当時調査した欠斤を見込んだ五十四万トン、この数字は、さきのものは……。
  214. 田渕光一

    田渕委員 証人は大分疲れているようでありますし、この問題に対しましては、もう少しわれわれは掘り下げなければ納得できませんから、後日の機会にしまして、本日はまだあと日発問題がありますから、どうか証人にひとつゆつくり氷で頭を冷やす時間を與えてやつてください。
  215. 篠田弘作

    篠田委員長 他に御質問はありませんか。別になければこれをもつて本日の大西証人に対する尋問は終ります。いずれまたお呼びすることがあるかもしれませんけれども、きようはこれで終ります。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時散会