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野村証人 公正取引
委員会の審判の問題について御
報告を申し上げます。公正取引
委員会より
昭和二十五年七月十九日付査第二十七号の文書によりまして、審判開始
決定書の送達を受けたのでございます。その審判になりまする主たる
理由を申し上げますと、当組合は中小企業等協同組合法によ
つて設立した組合で、
事業者団体でありまするが、以下申し上げまする九株式
会社が、従業員数、資産数及び資本額を総合いたしますれば、いずれも小規模の
事業者とは認めがたい。かようなことに主たる
理由があるのでございます。その九
会社は、共同
石炭鉱業株式
会社、日本海陸運輸株式
会社、品川燃料運輸株式
会社、
製鉄原料輸送株式会社、三鱗無煙炭株式
会社、株式
会社宗像商会、株式
会社常盤商会、株式
会社吾妻商会、中央
石炭販売株式
会社、この九
会社が、先刻申し上げましたようなことに該当いたしたのでございます。
なお組合が
公団の
東京支部の貯炭貯骸を一手に買い受けまして、その指摘業者が輸送しているから適法でない、よ
つてその行為は
事業者団体法の第五條の第一項第十三号の規定に違反する、こういう指摘でございます。
なお二におきましては、組合は
事業者団体法第九條により、私的独占禁止法第五十一條の規定に
従つて八月十一日までに答弁書を提出すること、同十四日の午後一時までに審判
手続の準備
手続のために
出頭すること、二十一日の午前十時に公正取引
委員会の審判廷に
出頭すること、なお当組合が審判廷で争うことができる範囲と方法というようにものを指摘せられて、審判開始
決定通知書の送達を受けたのでございます。
その後公正取引
委員会に対しまして、われわれこの組合員中の九名のものの指摘は、一応取引
委員会の指摘いたします角度からごもつとものようには思われるのでありますが、何分にも
石炭の小売
販売業者というものの特異性という点から見ますと、二十名という従業員数で押えられますることが、ほとんど小売業者全体の大部分を網羅することになります。なお
資本金や資本額も少く、現在小売に該当いたしますものは、最終申込みは六千円くらいになるものもございますし、安いものでも四千円程度の金額のものが家庭用とかあるいはその他の小規模の需要の大部分を占めております
関係上、この協同組合法による組合を
結成いたしましても、
石炭の業者の実情からいたしまして、それはまことにむりであるというような点をるる開陳いたしまして、この中小企業等協同組合法の特例と申しますか、その精神を尊びまして、われわれは運営に十分愼重な経過をたど
つている実例等をるる申し述べまして、了解を得るべく努めたのでございます。その結果、さきに指摘せられておりました答弁書の提出等の期間を延期していただくことに御了解を得まして、中間におきまして、その答弁書の提出その他の延期願いを提出いたしたのでございます。その期日は八月十九日を答弁書の提出期日にしていただきたい。それから同月二十二日を準備
手続のための
出頭にいたしまして、八月三十一日に公正取引
委員会の審判廷に
出頭ということにして、審判廷を受けたいというので、願書を出しまして、受理せられたのでございます。われわれといたしましては、現在まだ相当の
石炭コークス等を手持ちいたしておりますので、以上申し上げましたような取引
委員会の指摘せられた見地から、この九社の指摘
会社は除外する、あるいは組合を解散するというようなこともなかなか簡單には結論づけられませんので、とにかく八月三十一日の審判廷において相当の
理由をも
つてこれは争うということになり、審判をしていただくという心組みでいろいろ準備もいたしてお
つたわけであります。その後公正取引
委員会にわれわれの実情なり、あるいは
石炭の現場の
状態なりを詳細に検討していただきまして、われわれの意のあるところも十分くみと
つていただき、最終的に組合が大きな損害を受けずに、しかも協同組合法の精神の範囲内において、これを尊重して終末を告げるということの見通しをつけていただく
意味において公正取引
委員会と合議が成立いたしまして、同意審結の申請をいたすことにな
つたのでございます。この同意審結を申請いたしましたのは八月の十七日付で、
大阪石炭協同組合と連名で公正取引
委員会へ出したのでございますが、その同意審結を受けます申請の
概要を申し上げますと、一、当組合は審判開始
決定書の事実及び
法律の適用を認めるが、左記具体的措置を承認されることを前提として、私的独占禁止法第五十三條の三により同意審結を申請する。左記具体的措置といたしまして、一、当組合は本年八月十五日現在の貯炭、貯骸量を自発的に指摘組合員以外の組合員にのみ配分する。二、当組合は前項の貯炭、貯骸を一掃した後ただちに解散する。三、当組合は第一項の配分を審結後六箇月以内に完了する。四、当組合は毎月十日までに前月分の配分数量、価格、配分先を公取に
報告する。五、当組合は解散後六箇月以内に清算を完了するよう措置する。六、清算人が清算事務結了後その
報告書を公取に提出するよう措置す。かような具体的処置をもちまして同意審結の申請をいたしておるのでございます。その後の模様を、一応私どもの公正取引
委員会との折衝の経過をつけ加えて申し上げますと、九月十四日の公正取引
委員会において、ただいま申しましたような骨子に基いて、その承認を得たそうでございます。そうして十五日にGHQのアンチ・トラスト
関係筋への
報告をいたしたそうでございます。これが大体了承をいただきますと、本日は月曜でございますが、ここ一両日中に同意審結の通知をいただく、こういうことに相な
つております。しかしまだ最後に申し上げました同意審結の通知を受けるということにつきましては、これはそういう情勢の仄聞でございますことをつけ加えておきます。