○
馬屋原証人 公団当時の
正量受出し並びに品質の問題につきましては、先ほど申し述べたような
事情で、極力
努力したわけでありまするが、
何分にも
石炭は
地下資源であ
つて、天産物であるということと、これを地上に出しまして、日にさらした場合には、
炭質の変化を来し、なお
石炭は坑内から掘りまして、
市場に渡すまでは、
輸送に次ぐ
輸送でありますので、その途中等の
荷こぼれも相当あるということの最も悪い点が重な
つて、今日の
情勢にな
つたように私想像しておるのであります。ことに昨年のたしか五、六月ごろから、
需給が
アンバランスになりまして、いわゆる
供給過多になりましたために、
公団といたしましては、
需要者からの
供給希望がないために、やむなくこれを
貯炭しなければならぬというようなことが、五、六月ごろから起りまして、これが
最後には数百万トンの
貯炭をしなければならぬというような
情勢にな
つたのであります。つきましては、これらの
費用が非常に重な
つて、大
部分の
赤字にな
つたように
承知しておるのでありまして、
貯炭の問題も、なるべくならば
費用のかからない
地元に
貯炭することが最も経済的であるのでありまするが、
地元の
貯炭も一ぱいになりますし、自然これを
揚地の方に運ばざるを得ない。そうしないといわゆる
生産を阻害する。こういうような
関係上、やむを得ず
運賃諸掛をかけまして、
揚地にもこれを送炭いたしまして、これを
貯炭する。なおその
揚地の
貯炭も充満いたしましたために、いわゆる普通の
貯炭場としてはなかなか不経済な箇所までも、
貯炭場を物色いたしまして、これを荷揚げしてやる。自然当初は海岸とか、いわゆる
荷揚げ場所に近いところに多くの
貯炭をしたのでありますが、だんだんこれが奥地に入りまするに従いまして、諸
経費がかさみました
関係上、莫大な諸
経費がかか
つた。これが当初から普通のルートで
行つたならば、そんな
経費はかからないのでありますが、今言
つたような
事情やむを得ないような
情勢に
公団が押し込まれまして、これらの大量の
貯炭をやむなく不適当な
場所にまで
貯炭をしたために、
石炭は
炭質によりましては発火いたしまするし、また
炭質がよくても風化するとか、いろいろなことがここ一年間に起
つた貯炭が現在残
つておるのでありまして、従いましてこれらにつきましては、いわゆる全然使えない
廃棄炭もありましようし、またこれをふるいわけまして売る場合におきましては、これらのふるいわけ賃とか、いろいろな諸
費用がかさむものですから、こういうような点からおおむね
公団の
赤字が出たように私は
承知しておるわけであります。なおその後、私が
公団を退社いたしまして約一年になるのでありますが、その後の
炭界の
情勢は、皆さんも御
承知の
通りに、一年前と今日とは非常な
需給な
アンバランスと申しますか、
経済界の変動によりまして、いわゆる
需要がないために、
炭価はだんだん下り坂にな
つて行く。従いまして
買手がなかなかないというようなこともございまして、現在の
市場炭価というものは非常に値下りしておるわけであります。以前私
配炭公団の
業務局長をしておりましたが、
公団の廃止に伴いまして、私も食えないために、現在当社にごやつかいになりまして、長年の経験を生かすべく、現在
努力しておるわけであります。従いましてわれわれも
商売なものですから、
商売本位に、できるだけ有利にわれわれも
商売して行きたいというようなことから
——しかしながらこの点につきましても、いろいろ考えまして、
公団といたしましても、
貯炭の荷さばきに苦心しておられるわけでありますから、おこがましいのでありまするが、われわれといたしましても、やはりこれに協力して、荷さばきしなければならぬという点も考えまして、これが買取りにつきましては、いろいろそういうような点、なお
採算点を詳細に
公団側に提出いたしまして、これで拂い下げていただけるならばひとつお願いしたいというようなことで、
公団内部の
事情は最近は存じませんものですから、われわれの
商売上から見ましたいわゆる売値から逆算いたしまして
採算したものを、御当局に出しまして、御
査定願つて、それならばよろしかろう、こういうことで実は拂い下げていただいたわけでありまして、そのうち私のところのおもなるものは、
若松の煽石が、
前回も申しましたように、二万トン弱の一万九千幾らと、
中国の三
ツ子島と、その他二箇所にありますところの六万トンが
一括処分の大きなものであるわけでございます。まず順序といたしまして煽石の買取りの
値段及びこれの
販売の
値段を取調べて参りましたから、これをひとつお聞き願いまして、御判断を願いたいと思います。
若松港の
公団当時の煽石の
貯炭重は約六万トンございまして、それをわれわれも
商売になる
値段で拂い下げていただけるならば、ひとつお願いしたいということでお願いしました結果、私の方が二万トン弱の一万九千五百トン、
地元の
日本石炭が七千トン、
中央石炭が一万四千トン、
製鉄原料が一万九千五百トン、こういうふうな
拂下げの
内容の結果にな
つたわけであります。私の方の煽石の
値段の
採算を出しました
内容を申し上げますれば、御
案内の
通り煽石の
向け先はおおむね
石灰業者であるわけでありまして、この
需要先は大体栃木、群馬の
関東地区と
岐阜の
赤阪を中心といたしますところの
東海市場が
需要先といたしましての大宗であるわけであります。そのほかには
山口県とか
四国方面に若干の
需要家があるわけであります。従いまして、われわれといたしましては、まずこれらの大きい
市場ではどのくらいでこの煽石を買
つていただけるだろうかということを
調査したわけであります。この
二つの
市場の
調査の結果が、大体
関東地区におきましては、
葛生ORで二千百円
見当なら買
つてもらえそうだ、また
東海市場におきましては、
岐阜の
赤阪ORで二千円
見当なら買
つてやれる、こういうふうなお話合いの目途が大体ついたものですから、これを逆算いたしましては、
中間費用が幾らかかるだろうか、こういうふうな点を取調べました結果、
中間費用は、大体
若松の
貯炭場からEOBまでで四百円、それから
若松、
川崎間または芝浦間の
船賃が六百八円、この
船賃の六百八円は、大体今は
統制運賃にな
つておりませんが、
マル公の八百四十円に対しまして、そのときのいわゆる
市況を勘案しまして、大体二割八
分引き見当ならば運んでもらえるだろう、こういうことも取調べまして、大体二割八
分引きの
運賃で
採算したわけであります。そのほか
保險料が五円、
揚地の
荷揚賃が四百七十八円二十銭、これの
内訳は、船内が九十七円六十銭、
艀賃が百十一円、
沿岸荷役料、いわゆる
揚賃が百二十四円六十銭、それに
貯炭場料が十円、なおこれを
貨車に積み込みますから、
貨車積込賃が百三十五円、それに
市場に参りました以後の
川崎から
葛生着までの
貨車運賃が二百七十円、それに
欠斥を約三パーセント見込みまして、これが約三十六円六十七銭、それにいわゆる
市場で普通計算しますところの金利の二銭八厘を百二十五日分六十六円六十銭見込みまして、そのほか
店費口銭といたしまして二百円をいただきたい、こういうふうな
採算でお出ししました結果が、先ほど申しました、
市場がこれなら買
つてくれるという
値段の二千百円から今の諸
費用を差引きますと三十四円七十三銭になるのであります。なおこれと同等の
市場といたしましての
東海地区の
値段は、約二千円
見当でありますので、今い
つたような
運賃その他をずつと引いて行きますと、四十六円八十七銭とな
つたわけです。これを大体
関東地区が六割、
東海地区が四割といういうな
市場の
需要高の
割合等を見まして、プールいたしました結果が三十九円八十銭、これで私の方の
トン数総額にいたしまして、七十七万七千百円という計算が出たものですから、これならば
商売になるからひとつこういう
程度にお願いしたい
——それまでにいろいろと折衝が重ねられたのでありますが、われわれといたしましては、
市場値段の逆算でないとどうにも荷さばきできない、先行きの
市況等も勘案いたしまして、これ以上なら拂い下げていただいてもどうにもならぬというので、いろいろ御懇談、お願いをしました結果、
公団側におかれましても、他の
貯炭との振合いとかいろいろな
條件を御考慮願いまして、
最後にこの
値段で拂い下げていただくことに決定したような次第であります。これが当時の
査定事情でございまして、しからば現在どういうふうな
値段でこれを売
つておるかという点を取調べて参
つたわけであります。
販売先は二十数箇所あるわけでありますが、これはいわゆる
山口方面、
四国方面とか、いろんな近距離にもさばいておるわけでありますが、
トン数の
内容から見まして、大
部分が
東海地区と
関東地区にな
つておるわけであります。
東海地区を代表した一番大きなものは、
上田石灰、それから北陸におきましては
富山石灰とか、こういうものが
数量といたしましては何百トンというような大量にな
つておるわけであります。こういうものをずつと総覽いたしましての、いわゆる終局の先方への
沖渡しの
値段が、一番高いのが
東海で二千百五十円であります。それから安いのは二千円、それから
地元におきましては、
運賃諸掛というような諸費がかかりませんので、七百円、四百円とかいうのもあるわけであります。先ほど
採算の基礎にいたしましたところの
東海地区その他から見ました場合において、これを二千百五十円の
採算の
内訳は大体積込み諸掛及び
輸送費が千四百七十四円、それにさらにその他の諸掛を加えまして千八百八十六円、この残りを引きましたところの普通の
利益という面が二百六十六円、もちろんこれから今後
決算によりますれば税金とか
営業費とか、そういうものを差引いた場合には、これでぺイするかせぬか、
決算の
内容によるのでありますが、一応の、いわゆる常識的の
利益といたしまして二百六十六円、
トン数の
少い分でいいのは六百円以上のものも、わずかな三十トン四十トンの所にはあるわけであります。現在まで売りましたところの総平均の
差益金は二百十六円というようなことにな
つておる次第であります。今後残
つておりますところの煽石は、大体今まで七級以上のものが大
部分出ておりましたが、あとは十ばかり残
つておりますので、むしろこれは
廃棄炭に近いものが大
部分であるわけで、なおこの残
つたものも、大体六級の
採算にいたしましても、そう莫大な
手数量をいただいておるようには現在まではな
つておらなか
つたのであります。なお今後残
つたものもそう莫大にな
つておりません。むしろ今後の分につきましては、もう少し
利益を出すように
販売方面に
努力してみたい。こういうふうに考えておるわけであります。
次に
中国地区であります。
中国の先ほどより御
尋問になりましたところの三
ツ子、
糸崎方面の
貯炭を約六万トン拂い下げていただいて買いつけておるわけでありますが、これも
採算内容を一応御説明申し上げまして御了解を得たいと思います。私の方で拂い下げていただきました
数量は、
広島地区におきまして合計六万五百九十五トン五分ということにな
つております。
貯炭の
場所は
糸崎地区を大体
二つにわけまして、第一が三千三百三十八トン、第二が千二百二トン、木原に三千六百四十二トン、仁方に千七百二十一トン、
尼鉄に九千七百十二トン、三
ツ子に四万九百四十五トン五分、これを合計いたしまして先ほどの六万五百九十五トン五分ということにな
つております。現在これをどういうふうに荷さばきしているかと申しますと二万九千九百七トン五分、こういうものが一応の
販売の口約にな
つております。実際の
荷渡しは二、三千トンしかまだ渡
つていない次第であります。しからばこの
公団の買取り
価格につきましては、
広島地区におきましては、当初話がありましたのは三月ころの話でありましたので、
公団が四月以降は一切三月末で全部の
貯炭をさばけ、こういう
最高司令部の指示によ
つて、
公団はやむなくこの
貯炭を急速に荷さばきしなければならないから、ひとつ君の方でも協力してくれというお話がありましたので、いろいろわれわれの方といたしましても
貯炭等をお尋ねいたしまして、実地にこれを
調査いたしまして、大体残
つているものを物色した結果が、ここに述べました三
ツ子、
尼鉄その他の残
つておることを
承知したものでありますから、
現地の広島支店の方で交渉したわけであります。当初は
値段等が煽石のごとく使用先がはつきりしておりませんので、私の方といたしましては大体
市場は
大阪、名古屋を中心に
販売を開拓しておりますものですから、この
方面の
値段等もいろいろ
調査したのでありますが、
何分にも
大阪には
公団貯炭が七十万トンもある。名古屋
方面にも相当の量があるというようなことで、まだ
大阪、名古屋
方面の
公団貯炭の
値段がはつきりしないので、これと競争と申しましてはおかしいのですが、見合う
値段でないととうてい売れないというようなことから、われわれといたしましては、まず他社の買付
値段と均衡のとれたもので拂い下げていただきたい。従いまして、そういう
値段にしていただければ、私の方はこの
数量はお引受けいたしましよう。こういう話で当初は話を進めて来たのであります。その後
大阪市場の
値段、名古屋
市場の
値段、いわゆる
値段の決定というものが遷延されて来たわけでありますが、その後
公団の
方面、
大阪、名古屋、
四国方面、また当社以外の
中国方面の大量一括買付の
拂下げの
値段がきま
つたものですから、いわゆるその
値段の振合いを示されまして、
公団からこういうような
値段ならばどうか、こういうような話にな
つたのであります。その
値段が、大体四国とかその他の
市場の、こちらが取調べた
値段よりも高くなるように勘定が出たものですから、それではとても売れないから、七割くらいにしていただけないだろうかという話もしたのであります。そういうことはとうていできない。しからば、ぎりぎりどのくらいの
値段で拂い下げていただけるだろうかということで、
公団の方にいろいろ御研究願い、一括拂い下げの
値段等を勘案されまして、
最後にこれでなくては絶対売れない。これ以下ならもう売らぬと、こういう
値段が出たものですから、われわれといたしましてその
値段をいろいろ研究しました結果、当時の
市況といたしましては、これでは実際の売る見込みがつくかつかぬかわかりませんから、これくらいの
値段ならば何とか
商売になるだろうというような
採算を立てましてお願いしたのが、例のトン当り百二十八円、総額におきまして七百七十四万五千二百二十円、こういうようなことにな
つたわけであります。以上はなはだ簡單でありますが、私の方の
中国地区の買いつけた成行きであるのでありまして、私どもの方といたしましては、あくまでもよそより安く買おうと申しておらないと思います。他社との振合いを失しない範囲において私どもお願いしたいということは、
公団においても一貫してお話を申し上げているのであります。