運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-09-21 第8回国会 衆議院 厚生委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十一日(木曜日)     午後二時九分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君    理事 松永 佛骨君 理事 金子與重郎君    理事 岡  良一君       堀川 恭平君    松井 豊吉君       丸山 直友君    亘  四郎君       柳原 三郎君    福田 昌子君       松谷天光光君  委員外出席者         大蔵事務官   加治木俊道君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     森本  潔君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君 八月十六日  委員原田雪松辞任につき、その補欠として岡  崎勝男君が議長指名委員に選任された。 九月十九日  委員堀川恭平辞任につき、その補欠として畠  山鶴吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員畠山鶴吉辞任につき、その補欠として堀  川恭平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月三十一日  生活保護結核対策医療制度社会保險、社  会事業水道事業公衆衞生婦人兒童保護に  関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  医薬制度に関する件  災害救助法に関する件     —————————————
  2. 寺島隆太郎

    寺島委員長 これより会議を開きます。  医薬制度に関する件を議題といたします。まず医薬分業問題の経過等について、厚生省森本総務課長説明をしていただくことといたします。森本君。
  3. 森本潔

    森本説明員 前回委員会におきまして、調査会設置に至るまでの経過につきましては、事務次官より詳細御説明申し上げましたので、その後の状況概要を申し上げたいと思います。  八月七日に臨時診療報酬臨時医薬制度と、両方調査会の第一回の会議を開きました。当日は大臣あいさつサムス准将あいさつがあり、それから続きまして両調査会会長選挙を行い、両方調査会とも赤木朝治さんが会長になられたわけでございます。  特に申し上げておきたいと思いますのは、当日サムス准将あいさつが約一時間ほどにわたつてございました。その概要は、大体従来役所の者、あるいは関係団体等に対して説明のありましたこととほぼ同様のことでございまして、簡單に申し上げますと、日本におきますところの医師歯科医師薬剤師等仕事を見ますと、非常に適当でないと思われる。たとえば医師につきましては、薬を売ることに非常に重きが置かれております。それから歯科医師においては、歯科用の金を売るということに依存しておる。また薬剤師も同様の傾向があつて專門技術に対して適当な報酬を得るということがないのが、日本医薬制度としては非常に変な印象を受けたという話がありました。日本においてはこれらの專門家が、專門的技術家というよりも、むしろ何か小事業家という感じを受けたというような話がありました。従いましてこれらの專門家については、その專門的知識に対して、適当な報酬を拂うように制度を改める必要があるだろうという話がありました。続いて進駐軍がこちらへ参りまして以後、これらの点についていろいろな訂正を加えて来た。たとえて申しますと医師歯科医師薬剤師の試験の免許についての制度を改めるとか、それから教育制度を改める。たとえばインターンの制度を設けるとかして教育内容を向上する、あるいは医療施設の規格をつくつて適当な診療施設をつくるようにする、あるいは薬事法改正をするとか、こういう数個の改正をして来た。最後に残つておるのが、診療報酬を適正にするということを考えなければなるまいということであります。それから去年の九月にアメリカの薬剤師協会調査団が来て薬事に関する勧告があつた。その中で医薬分業という点にも触れておつたので、サムス准将としては、この問題を解決するために、関係団体の協議というか、話合いを希望しておつたのであるけれども、これがうまく行かなかつたので、今後は厚生省調査会を置いて、この問題を審議するようにしてもらいたいという話があり、それからこの医薬分業の問題について若干の誤解が世の中に行われているようである。たとえて申しますと、医薬分業になると、病院には薬剤師がおつても薬を出すことができないとか、あるいは医者応急措置のための薬品も投與ができないとかいうような誤解があるが、それはまつたく誤解であるというような点について話がありました。最後に大体この調査会におきましては、三、三箇月以内程度結論が出るようにしてもらいたいという希望がございました。大体従来断片的に話がありましたことをまとめてあいさつとして申し述べられました。  これで第一回の八月七日の調査会は終了いたしました。続いて八月十九日に臨時診療報酬だけの調査会開催いたしました。この二つ調査会がございますが、順序といたしまして最初臨時診療報酬調査会診療報酬関係基準をきめて、そのうちに医薬制度の問題を研究する、こういう段取りなつておりますので、とりあえず第一回の診療報酬調査会を開くことになつたわけであります。  八月十九日の第一回の調査会におきましては、審議方法につきまして、各委員からそれぞれ発言があつたのでありますが、具体的な結論は出ません。ただ厚生省、各関係団体に対して資料を出してもらいたい、それらの資料が出た後において、審議方法、とりまとめ方等について研究するということでございまして、第一回の調査会におきましては、資料提出関係者がすみやかにしてもらいたいという結論でございます。それから続いて第三回の調査会でございますが、九月五日に開催になりまして、当日は厚生省薬剤師協会から資料提出がございました。この厚生省薬剤師協会から提出しました資料も、ありていに申しますと、この調査会の問題を解決するには、必ずしも本質的な資料ではなくて、むしろ單なる参考資料程度のものが多かつたようでございます。従いまして関係資料提出者からその資料内容説明して委員がこれを聽取し、これに対して質疑をしたという程度でございまして、格別の結論は出ておりません。それから最後に、ごく最近の会合といたしましては、九月十九日、二十日と、第四回目の会議を開きました。この会議におきましては、厚生省薬剤師協会から補足的な資料提出がございました。これは取立てて申すほどのことはないのでございます。特に医師会の方からは、非常に厖大な資料が出て参りましたこれについて、主として医師会の方から説明がございました。この資料は、非常にこの問題の解決について参考になるものをたくさん含んでいるように考えます。しかし当日は、ただこれの説明でございました。なお医師会資料としましては、まだ次の会にも相当多数の資料が出る予定でございます。それで一応昨日、一昨日の会議資料説明で終りました。次回は十月三日、四日に開催予定でございます。大体次回までに医師会の方では残りの資料を出していただく、厚生省の方としても十分の資料を出す、薬剤師の方としても、あるだけの資料を出すということにいたしまして、次回におきましてほとんど全部の資料がまとまるのではないかと思います。その資料説明が終りまして、それからこの資料の取捨選択、まとめ方等について審議されまして、答申案の作成にとりかかつていただく、かような段取りになるかと思つております。一口に申しますと、これまでに四回ばかり会議を開きましたが、資料説明経過したという状況でございます。以上でございます。
  4. 寺島隆太郎

    寺島委員長 本件についての発言を求められておりますので、これを許します。岡委員
  5. 岡良一

    ○岡(良)委員 今度厚生常任委員会においては、この問題を中心といたしまして、医療制度等についての熱心な検討が始まるので、私どももその機会にいろいろ当局にもお伺いをしたいと思いますが、この間の第八臨時国会において、私が葛西事務次官に御質問を申し上げた。これはこの二つ調査会性格について御質問を申したのでありましたが、その点について、総務課長のお考えとの間に多少食い違いがあるようでありますから、なお一応念のために伺つておきたいと思います。  第一点は私は前回質問においては、この調査会はいわゆる医療強制分業のための前提となるべき基礎資料をつくるための目的をもつてつくられたものであるかどうかという点については、葛西事務次官は、速記録でも明らかでありますが、決してそういう性格を持つものではない、調査会の出す結論の間に間に厚生省としては、必要とあれば法律改正をするゆとりのある態度で臨んでおるのであるというお話でありましたが、その点について今の総務課長お話では、たまたま当日御出席関係方面の御意見等々を総合的に御報告せられたその印象から行きますと、厚生省としては、この調査会を通じて、医薬分業のための基礎的な前提條件を得ようという意図があるやに承るのでありますが、まずその点について、はつきりとしたお考えを承りたいと思います。
  6. 森本潔

    森本説明員 この前の葛西次官説明内容を、私よく記憶しておりませんが、今度できました二つ調査会において、医薬分業をやるということを前提としておるかどうかという問題でございますが、そういうことはございません。御存じ通り最初委員会におきまして技術料と薬価の適正なる基準をきめるということが一つあります。それから第二の、調査会におきましてやつてよいものか悪いものかということを御審議願う、かようなわけでありますので、医薬分業前提とするということはすぐには出て参らぬと考えております。
  7. 岡良一

    ○岡(良)委員 それで先ほどサムス准将の八月七日の総会の席上におけるお話として、今御報告を承りますると、従来の日本医者は薬を売つておる、歯医者は金を売つておるということ、これはひとつ切りかえて行かねばならないということ、そのことに関して調査会の任務がうたわれてあり、かつまたその結論二、三箇月後に出るやうに期待するということを言われたということを今御報告せられましたが、もしその調査会結論医薬強制分業に対しては不可なりという結論が出るならば、厚生省としては、やはり不可なりとして、現行任意分業のままに行くだけの決意なり勇気がおありなのかどうかという点を、明確にひとつ承りたいと思います。
  8. 森本潔

    森本説明員 調査会答申分業を可なりとするか、あるいは不可なりとするか、二つの場合があろうかと思いますが、その場合におきまして、政府としてはその御意見を十分尊重すべきであると思つております。そして医薬分業をやるかやらぬかということは、また政府としては別個考えがあるのではないかと思いますが、しかし調査会答申の線を尊重するということは、これは間違いないと思います。
  9. 岡良一

    ○岡(良)委員 その別個考えがあるというが、具体的にはどういう別個考えがあるのですか。そのために調査会を開いたのではないのですか、どういう具体的に別個考えがあるのですか。
  10. 森本潔

    森本説明員 これはあまりりくつの話を申し上げるようでありますが、諮問というのと、それから政府決定とは別であろう、こういう意味で申し上げたわけでありますが、実際としましては、調査会答申を尊重するということだと私は思います。
  11. 岡良一

    ○岡(良)委員 大体総務課長にし対して、たいへん私ども質問がいろいろ意地の悪いようなかつこうになつて来ますので恐縮ですが、ただこれは際実問題としてよくお考えを願いたいのです。現在は御存じ通り任意分業ですから、患者処方箋をくれと言えば医者処方箋を当然発行しておるわけです。そこでたとえば、こういうような話がある。專門技術というものは尊重されねばならない、しかも医学にしても、薬学にしても、相当高度に発達しているのだ。その高度に発達した医学薬学を一人の人間がマスターできない、だから医学薬学というものはこれはやはり分離すべきである。それを法律で強制的に分離すべきであるというような考え方があるのです。しかしここをよく総務課長御存じないから、この際よくのみ込んでいただきたいのですが、医者処方箋を発行するためには、診断をして処方箋を発行する。それには医者はどういう條件がいるかということです。それは診断をする技術がいることは当然です。その技術に対して、どういう薬をどういうふうに配合すれば、それが正しくその病気を治療するための処方箋になるかという薬学知識がなければ、処方箋は書けない。従つて、それだけの條件を持たなければ、処方箋は発行できないのです。そこでその処方箋患者にどうしても出さなければならぬということで、患者がその処方箋を持つて薬剤師のところに行きます。薬剤師は、その医者が発行した処方箋を、自己の独断で変更することはとうていできないわけです。そんなことをしたら、日本医療体系はめちやめちやですからね。そうしたら薬剤師がどういう條件でその処方箋通りの処方ができるかということは、日本語が読めるということです。書かれておる薬がそこにあるということです。グラム天秤かメスチリンデルではかつて、何グラムか、〇・〇一のところまではかれるということです。それを一日分三服ならそれを三つに割つて三服にすることは、小学校を出て少し経験があればやれる仕事です。そこのところを、なぜあえて強制分業としなければならぬかという点が、われわれは今日までの医者としての体験から、非常に疑問に思つているのですが、どうですか。今ぼくが申し上げたような点で、あなた御自身は、それでも法律強制分業しなければならぬと思われますか、どう思われますか、これは打ち割つたところをお聞きしたい。
  12. 森本潔

    森本説明員 実は私この調査会関係庶務を仰せつかつてつておりますが、医薬のことについてはしろうとでございまして、皆さんの御意見を承る、ことに調査会等でいろいろな議論か出ると思います。まあそういう議論庶務的にまとめるというのが私の仕事でございます。ただいままでの段階においてどう思うかと言われますと、実は私自身明確にお答えする自信はございません。
  13. 岡良一

    ○岡(良)委員 実は重ねてどうせこの問題がいろいろ取上げられましようから、これはそういうことが実施された場合における保險財政の影響とか、あるいは医師の投薬が非常に雑になつて、実際において医療内容が低下するとか、いろいろな具体的な点において、われわれとしては医師会の利益から私ども申し上げておるのではないのですが、国民医療費の負担とか、医療内容適正化とか、向上とかの観点から、非常に多くの問題があると思う。そこでわれわれがこの際特にお願いしたいことは、それは日本が占領されているのだから、連合軍司令部の方の命令にはわれわれは率直に、すなおに従わなければならぬことは当然なんである。しかし口頭で與えられた示唆というようなものに対して、やはりそれがほんとう国民のためになるのかどうかという点を十分にお考えなつて、そうしてこういう事情であり、日本の実情はこうであるから、やはりこの方がいいのだといういろいろな意見を申し出ることの方が、ほんとう意味占領政策への協力だと思う。ただ向うがそう言われたから、ごむりごもつともで何でもやらなければならないと、そういうことでは、ほんとう政府自主性というものもないし、いわんやそれが命令とか覚書等で来れば当然なことですけれども、そうではない手順において来た場合、それはやはり日本の現実に即して、国民の納得の行く解決をするということは、これは調査会の特に庶務責任者であるあなたの重大な責任だと私は思うので、ひとつぜひともそういう意味で、十分勉強せられてやつてもらいたいと思うのです。これは希望なんですが、大体この程度で……。
  14. 寺島隆太郎

  15. 丸山直友

    丸山委員 今の二つ臨時調査会進行につきまして、総務課長庶務的にまとめるお役目だそうであります。庶務的と申しましてもパツシーヴに、だんだん会の進行従つておまとめになるのもまとめ方でございましようし、またある意欲を持つて、まとめようという熱意を持つて、積極的にまとめなさるのも一つのお役目だろうと思います。それにつきましていろいろたくさんの資料が出ると思います。この資料検討を、サムスさんが言われたように、二箇月とか三箇月とかいう期限にこだわつて、その審議を抑圧するとか、あるいはあなたがそれを意識的に動かそうというふうな運営をなさる危險があると私には考えられるのですが、そういうことのないようにおやりを願いたいのであります。それに対する御覚悟がありましたら、お漏らし願いたいと思います。
  16. 森本潔

    森本説明員 庶務という言葉が出ましたのですが、いつごろを目途として会議をやるか、あるいはどの資料をどうするとかいうことは、一に調査会仕事でございます。会長以下委員の方々の判断と御決定によることでございます。その決定されたことを、早くいえば書記の仕事をするのが私の仕事でございますので、そこにパツシーヴもなければ、アクテイーヴもございません。会長以下調査会の総意のあるところを文書にいたしますとか、手続をするとか、そういうのでございまして、ここには別にアクテイーヴもなければパツシーヴもございません。もしあるとすれば、調査会自体アクテイーヴ考え方なりパツシーヴ考え方だろう、そういうことじやないかと思います。
  17. 福田昌子

    福田(昌)委員 この二つ調査会はどういう法律的な根拠のもとに生れたのでございますか。
  18. 森本潔

    森本説明員 この調査会は、法律根拠はございません。厚生大臣が自分の意見をまとめるに際して、参考になる意見を聽取したいという意味でつくつたわけでございまして、法律的な根拠はありません。
  19. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、予算的な関係において、どういうことになつておりますか。
  20. 森本潔

    森本説明員 法律根拠があれば予算が出るとか、あるいは法律根拠がないから予算が出ないとか、予算法律とは一応別個なものと考えております。その関係は、今申したように法律があるがゆえに予算が出る、法律がないがゆえに予算が出ないという、こういう関係ではないのでございます。
  21. 福田昌子

    福田(昌)委員 私は別に法律予算とを結びつけて御質問申し上げたのではないのであります。予算はどういうことになつておりますか。
  22. 森本潔

    森本説明員 この調査会を開きますにつきましては、若干の会議の招集の費用とかいうのがございますが、これは目下のところ額が多額でございませんので、特別な予算要求等はいたさずに、既存予算のわく内で処理したいと考えております。
  23. 福田昌子

    福田(昌)委員 既存予算というものはどこから出ておりますか。
  24. 森本潔

    森本説明員 この問題に関係ありますのは、たとえば医務局薬務局、それから保險局あるいは社会保障というような意味も若干ございますが、そういう関係予算を流用すると申しますか、そういう方式になつております。
  25. 福田昌子

    福田(昌)委員 私、厚生省内部予算はよく存じませんけれども、そういうふうに調査会ができた場合に、かつてに少しずつ流用するということは、いかなる場合にも可能でございますか。
  26. 森本潔

    森本説明員 予算の流用は正式なものになりますと、大蔵省の承認を得るとか、また大きくなれば国会承認を得るとか、そういうことになつております。予算の面は私詳細に存じておりませんが、大きな額、事項によつては議会の承認、軽易なものについては大蔵大臣承認という運びになつておると思います。
  27. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、この調査会はきわめて小さなものであるという前提のもとにおつくりになつたと承知してよろしゆうございますか。
  28. 森本潔

    森本説明員 小さいと申しますか、規模につきましては、規定にあります通り規模でございます。委員の数等は……。それから臨時という意味等もございまして、ごく短期に終了するであろうという見込みのもとにつくつたのであります。
  29. 福田昌子

    福田(昌)委員 その人員とか、調査事項研究事項というものに対しての形式はいろいろあると思いますが、ただいま御質問申し上げた條件からいたしますと、外観はいかに美しく整えられてありましようとも、結局調査会というものを厚生省自体が軽視しておるという結論になると思うのですが、そういうふうに解釈してさしつかえありませんか。
  30. 森本潔

    森本説明員 軽視しておるという気持はございません。こういう大事な問題でございますから、こういう調査会をつくつて知惠を拝借しなければならぬと考えておるわけでありますので、軽視するという考えはございません。それから大体今の人員期間等で足りるんじやないかという見込みでつくつたもので、まあ適当なものと考えております。
  31. 福田昌子

    福田(昌)委員 言葉じりをとらえてたいへん失礼でございますが、今の人員と、二、三箇月以内に結論を出し得るという程度で足り得るというお言葉でございますが、どういう條件をもつて二、三箇月以内に結論を出し得ると御観測ができるでしよう。
  32. 森本潔

    森本説明員 これは見通しの問題でございまして、二、三箇月でできるのかどうか。二、三箇月ということは、別に私たち考えておりません。たまたまサムス氏がそういうあいさつをされたのであります。期間については別ですが、そう長くかからないだろうという考えでございます。
  33. 福田昌子

    福田(昌)委員 これはその調査会内容関係いたしますが、調査会内容として取上げていただいておりますのは、結局日本現行薬剤師会報告と、現行日本医師会報告と、現行日本歯科医師会報告、この範囲にとどまつておりますか。
  34. 森本潔

    森本説明員 ただいまの報告と申されますのは、資料でございますか。
  35. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういう意味でございます。
  36. 森本潔

    森本説明員 現在調査会ができますまでにお集めなつ資料がございます。それから仄聞するところによると、こういう問題が起りましたころから大いに勉強されまして、この調査会に使うべくお集めなつ資料も、各団体それぞれあるように承つております。
  37. 福田昌子

    福田(昌)委員 そうしますと、三志会資料にとどまるのであつて、多少時代的にさかのぼるものもあるというふうな程度でございますね。
  38. 森本潔

    森本説明員 さようでございます。
  39. 福田昌子

    福田(昌)委員 この医薬分業が是か非かということを、現状日本の国内の事情だけの調査で事は足りるとお考えになりますか。
  40. 森本潔

    森本説明員 第一に必要なのは、日本現状のいろいろな調査であろうと思います。現状調査というのは、現在ある姿であります。それから将来これをどういうふうに持つて行くかという意味調査も必要と思います。たとえて申しますならば、現在の医療費医療内容を向上するに足らないものであれば、これは将来どの程度に持つて行かねばならぬかという意味調査も必要と思います。それから外国の実際のやり方、実例その他も必要と思います。そういう広い意味の、順序といたしましては今申しました順序になろうかと思いますが、大体現状と、将来の理想的な姿、それから外国状況、この三つのものが必要じやないかと考えます。
  41. 福田昌子

    福田(昌)委員 外国調査が必要だというお話でございますが、ごもつともでございます。私も外国の事例の調査は必要と思いますが、それに対してはどの程度研究調査がなされておりますか。
  42. 森本潔

    森本説明員 これは非常にむずかしい状態であります。厚生省の方にも資料を出すように要求がございまして、調べつつありますが、なかなかまとまつたものは得られません。なお関係団体等においても、御調査中のことと思いますが、非常に困難ではないかと推測しております。
  43. 福田昌子

    福田(昌)委員 外国では医薬分業というものが行われているということを、私どもは聞くのでありますが、現行調査というものは、なぜそれほどに困難なのでございますか。
  44. 森本潔

    森本説明員  外国状況を知りますためには、直接調査目的をもつて外国に出て行つて調べて来る、これが一つ方法、それから出版物その他によつて知るのが一つ方法、それからもう一つは、向うから見えた方にいろいろなことを教えてもらうのが一つ方法、およそこの三つ方法があると思いますが、そういう問題について、直接外国に出まして調査したことが、終戰後これまであまりないように聞いております。厚生省からも出て参りまして調査はいたしておりますが、いろいろな調査と重なつておるものでございますから、ごく断片的な報告しか聞いておらないということが一つ。それから出版物の点につきましても、今入手されますのは、おもにGHQの系統であるとか、CIEの図書館、ああいう系統から出版物が手に入つておりますが、これもこの目的と申しますか、薬価のきめ方についてのことを書いた資料が非常に少い。それからまたもう一つ方法の、向うから見えている人に教えてもらうという方法、これもなかなか專門的に知つた人が少いというような状態でありますので、非常にまとまつた総合的な観察が困難ではないかと今のところ考えられます。
  45. 福田昌子

    福田(昌)委員 困難だとおつしやることはよくわかります。しかしさりとて日本人が全然外国に行けないような状態でもないし、厚生省の各局長が幾人もすでに外国においでになつておられ、それぞれいろいろな事項を視察なされ、調査されておるように聞くのでありますが、これほど重大な医薬分業というものに対して、一向に御調査ないというそのお言葉からいたしますと、これはやはり厚生省御自体、全員の方が医薬分業というものを実に軽視して考えておられる、大して重要な問題として取上げられていないということにお答えが出るのであります。そういうふうに私は解釈いたしますが、よろしゆうございますか。
  46. 森本潔

    森本説明員 御存じ通り、この問題が話題になりましたのはごく最近であります。問題は古いのでありますが、具体的に研究しようということになつたのは、ごく最近であります。そういうことからいたしまして、従来厚生省から出張した方もありますが、さほどのことではないという感じは持つていたようであります。問題が具体的になつたのが非常に最近であるというような点からして、資料の收集、それから外国に出ての調査というものが、不十分であつたと考えます。
  47. 福田昌子

    福田(昌)委員 私は医薬分業の問題が持ち上つたのは、最近であるとは考えないのでございます。すでにアメリカの医師団の来朝も一昨年になつておりますし、昨年の初頭から医薬分業というものが声を大にして叫ばれて来たのでございまして、決して私は最近突然起つたような簡單な問題とは考えておりません。もし厚生省自体が、ほんとうに、日本の医療体系を真劍に考えなければならない問題だというふうにお考えになれば、私はもつと積極的な御調査なり、あるいはまた外国に行かれる場合に視察がなされなければならないと思います。ところがただいまの御答弁から推察できますように、厚生省当局は、これに対してきわめて熱意がなかつた。一方的にサムス准将の勧告に対して——これは占領下でありますから、占領政策には服従しなければならないのでありますが、しかしこれに対して日本の国情に関する十分の説明が足りなかつたと思うのであります。そういう点もいなめない点であろうと思います。こういうことは、結論として申し上げれば、厚生省自体国民生活の実態とかけ離れた政治を行われている。厚生行政というものが、国民生活とぴつたり行つていないということが言えると思います。医薬分業というものは、国民生活と離して考えられない問題でありますが、それを厚生省の御答弁では、強制分業というお答えはありませんが、いろいろの行動からして、厚生省自体強制分業をやりたいという意向に進んでおるということは、いろいろの線から私、推察できるのであります。そういうふうに持つて行くことは、厚生省が何らの批判なくして、ただ庶務的にいろいろな調査資料をまとめて、その線で結論を出したいというふうに動いているにすぎない。国民生活の実態からまつたく離れていると考えられるのであります。私はそういう観点に立ちまして、厚生省の猛省をお願い申し上げたいのであります。  第一、医薬分業というものは是か否かということの結論を出したいとお考えであります場合においては、医薬分業日本よりいろいろの形で取上げている国がたくさんあるわけであります。そういう国においてどういう現状なつているか、国民がこれによつてどれだけの利益を受けているかということに対する先進国の調査を、まずしていただきたいと思います。これは日本医薬分業に対します制度をしきます上において、きわめて貴重な参考になると思います。そういう先進国の参考資料ともなるべきものに対しては、困難だという一言において全然調査がなされていない。この困難であるということは、結局やる気がないということになるのでありまして、困難だといつても、やる気があればやれないことはないのでありますから、そういう点において、まず第一番に外国の情勢を取上げて御調査を願いたいと思います。そうして、医薬分業が強制的にされているのはどういう国であるか、国民はそれによつてどれだけの利益をこうむつているか、医師会の方から、あるいは患者の方からして、どういうような批判があるかということを、まず御調査願いたいと思います。  次に、日本現状ということをお考え願いたい。日本現状だけを調査することにとどめて、しかもその資料というものが、ある一つ目的に都合のいいように、その目的に適合する資料集めるような形にとられるということは、調査会自体の権威においても非常に御損なわけでありますから、そういうことのないように愼んでいただきたいと思います。  大体日本の国情から申しましても、医薬分業というものの法律関係におきましても、明治五年でしたか、日本の医制というものが問題になりましたときからいたしましても、再三医薬分業というものが問題になつておりますが、その明治五年以来の法律におきましても、結局初めの方はむしろ医薬分業のような形の法律なつておつたようであります。それがだんだん緩和されて、昭和二十二年の医療法の改正においては、むしろ医者が見た患者においては、医者みずからが調剤してよろしいというように、従来附則になつていたのが本文に入つた。法律的には、まるで医薬強制分業の逆コースをたどつているということが、日本の医制に関する法律からは言えるのであります。そういうふうに、医薬分業に対して、法律的にはむしろ強制分業の逆コースをとるということは、これはもう国民生活の実態そのものが、強制分業では非常に困る、非常に不都合だということの結果、そうなつたのでありまして、私たちは現実においては、その点は少しもかわることがないと思うのであります。そういう国民生活の実態を離れて、厚生省自体が音頭とつて、さも強制分業をやらなければならないように、私どもには聞えるのでありますが、そういう態度をとることは、大いにお愼みを願いたいと思うのであります。そういう観点に立ちまして、私は調査会というものに対して、もつと大きな権威を持つ調査会にしていただきたい。そのためには法律根拠のある調査会にしていただき、また研究事項におきましても、もつと外国事情調査いたしまするところの広汎なものにしていただきまして、厚生省自体医薬分業というものに対してもつと真劍な態度をとつていただきたいと思います。これは私の希望でありますが、一言お願いいたしておきたいと思います。  それからもう一つ重ねてお伺いしたいのですが、この調査会に対しましては、四回にわたります調査審議経過というものは、速記にとられておるのでありますか。
  48. 森本潔

    森本説明員 議事の要領を記録に残しておくというやり方をいたしております。
  49. 福田昌子

    福田(昌)委員 それでは委員会のあとで、大体こういう要領だつたということをおまとめになつている程度ですか。
  50. 森本潔

    森本説明員 委員会の席上に書記が出ておりまして、それが要領を筆記いたします。そしてこれは全部ではたいへんでございますから、要点だけをまとめて書類にして、そうしてそれを次の委員会に配付いたします。要領でございますので、速記でも同じかと思いますが、間違いがあるかもしれません。間違いのある点は、次の委員会で是正をしてもらう。そうして要点だけについては間違いのない、調査会全部がよろしいというものにして発表いたしたり、それから外部に出したりする、こういう取扱い方をしております。
  51. 福田昌子

    福田(昌)委員 要領だけの御報告もけつこうかと思いますが、しかし私はこういう微妙な問題に対しましては、一応詳しい、要領でないところの速記をおとり願いたいと思うのでございます。もしこれに対する予算でもないということであれば、この調査会自体が私には了解できないいろいろな予算を流用してできておるわけでありますから、速記の予算くらいは、どこからでも流用ができるはずであります。ぜひ詳細にわたるところの速記をおとり願いたいと思います。  それからもう一つでございますが、私どもはこの調査会の動きというものを非常に心配しているわけでありまするが、そういう意味におきまして、私は先ほど希望として申し上げましたところの外国事情に対するいろいろな調査というものを、これはぜひまず第一に取上げて、していただきたいのであります。それに対する総務課長さんのこの際の御意見というものを承りたいと思います。
  52. 森本潔

    森本説明員 外国事情調査しますには、先ほど申したような三つ方法考えられますが、いつごろ、だれがどこへ行くか、あるいはさらにどういうような書類を取寄せて研究するか、そういう方法があると思いますが、まだ私もよく考えておりませんし、また私自身から申し上げるのは適当でないと思いますので、差控えたいと思います。
  53. 福田昌子

    福田(昌)委員 委員長にお願いしたいのでございますけれども、そういつたいろいろな調査内容に関して、この委員会としても、何らかの決議において取上げていただきたいと思います。そういう点を委員長のお考えにおいてお願いできませんか。
  54. 寺島隆太郎

    寺島委員長 善処いたします。
  55. 金子與重郎

    ○金子委員 一つだけ希望というか、お願いしておきます。それはただいま総務課長の答弁によりますと、今度の今問題になつておる調査会は、医薬分業に関する問題だけで立てたものではないというふうなお話でありまするけれども、逆に医薬分業の問題が起らなかつたら、おそらくこの調査会も起らなかつただろう。こういうことにおそらく結論が行くのじやないか。これは実際に実施されたときに、ただいま厚生委員のお医者專門の方々から大分御意見が出ておるようでありまするが、とにもかくにも国民の立場において大きな問題であることは確かであることと、またさればと言つて今の医療制度が万全であるとも思えない。そこでこの問題ばかりではありません、とかくどこの委員会でも共通性はありますが、ことにこの委員会の今までのあり方を見ましても、一つ法律がきまつて行くときの最後国会責任を負わなければならぬ。にもかかわらず、国会の研究機関であるところの專門委員会というものが、ややもすればあとまわりになつて、国会が開かれて最後の期日直前、両三日をもつて、これで何とか通してくれという妥協的なことで、とかく法律を通している。これは過去にもあつた例であります。そういうことではわれわれは責任上申訳ないということで、本日も厚生委員会として、厚生省厚生省別個委員会なり調査会なりをもつて研究なさるが、われわれはまた国民の感覚から同時に調査して行かなければいけない、調査会厚生省意見を出したら、厚生省がそれにのつとつて法律案をつくつた、それを期日がないからのんでくれというような、今までとかくありがちのことではいけないというように考えておりますので、今後両委員会に出ますところの資料を、私の方で重複して資料をとることはむだでありまするから、そのたびごとに委員会に集まつた資料、いわゆる審議資料というものは、さしつかえなかつたならば、同時に私の方の專門委員室へも、二重にとる必要のないように提示願いたい。そういうことを希望しておるわけでありますが、それはいかがですか。
  56. 森本潔

    森本説明員 ごもつともなお話でございます。出ます資料国会の方に差上げることといたします。なお機会のあります都度、状況経過等も御報告することにいたしたいと思います。
  57. 金子與重郎

    ○金子委員 なお、これは非常に私の方の專門委員室を助けるような話になるのですが、そのうち参考になるような資料がありました場合には、この委員会資料になるだけの部数で御報告願いたいことを、あわせてお願いしておきます。
  58. 森本潔

    森本説明員 そういう意味で申し上げたのであります。     —————————————
  59. 寺島隆太郎

    寺島委員長 次に災害に関連しての発言を求められておりますので、これを許します。松永君。
  60. 松永佛骨

    ○松永委員 今日は木村社会局長並びに関係の方がお見えになりまして、過般九月三日のジェーン台風が近畿一帯を襲いました際の、かつての昭和九年の大風水害にまさるとも劣らない大被害を受けたこの災害に対しましての処置及び将来の方針等について承りたかつたのでありますが、木村局長が何か重要なる用事で出席ができないそうでありますので、それは他日に譲りまして、幸い今日は大蔵省からお見えだそうでございますから、特に大阪府の民間社会事業団体の協会から、われわれの方へもいろいろ陳情参つておりますので、その点について一、二御意向を承りたいと存じます。  御承知の通り、ジエーン台風によりまして、大阪府には民間社会事業というものが百七十四団体ございますが、この民間社会事業団体一つも漏れなく全部大被害を受けたわけでございます。御承知の通り、九月三日からすでに二週間を経ておりまする今日、まだ大阪市内の一部では、浸水が床下までありまして、排水が完全にできないところが数千軒残つておるという実情で、その被害の大きなことは、現地を視察された人以外は想像のできない実態であります。そこでこの民間社会事業団体百七十四の各施設が、そのほとんどが大破もしくは中破あるいは全壊といつたような、非常な大災害をこうむつておりまして、調査いたしますると、これが復興のためには大体四千万円以上の金が最小限度必要とされておるのであります。ところがこの四千万円の復興費というものは、とうていその施設自体の財力をもつてしてはできない実情にございます。そういつた関係から何とかしてこの民間社会事業団体に対しまして二千万円程度の国庫補助を第一に頂戴いたしたい。もしこの国庫補助が不可能事であれば、何とか御配慮賜わつて四千万円程度の低利資金の融資の便法を講じていただきたい。これは大阪府の民間オール社会事業団体希望として強く国会の方へも要望し、かつ陳情もされておるわけでありますが、これに対して大蔵省当局としては何らかの対策をお持ちでありますか、あるいはお考え方を一応承りたいと存じます。
  61. 堀川恭平

    堀川委員 今松永委員から大阪府の社会事業の問題に対しての復旧あるいはそれに対しての補助のことを述べられたのであります。一般的にお聞きしたいのは、今度の災害は近畿一帯でありますが、なかんずく大阪に近いところが被害が多かつたということであるのであります。それに対しまして、大蔵省として対策費といたしまして、住宅復旧対策とか、あるいは公営住宅の新築とか、あるいは県営住宅の応急復旧とか一般住宅の復旧に対する融資というような面について、すでに何かお考えがあることと存じますが、それに対して一応聞かせていただきたい、かように考えます。
  62. 加治木俊道

    ○加治木説明員 ただいまの御意見一一、ごもつともなことと存じますが、国の補助ということになりますと、本年度の災害補助として百億の予算が組まれております。そのうちすでに六月以前の本年度の災害としては二十七億、ジエーン台風以前の分として約二十三億が引当て済みとなつておるようであります。従つてジエーン台風以降の本年度の災害に対してちようど五十億ばかりが国庫の補助金として用意されておるわけであります。これがいかなるふうに配分されるかということは、実際の調査の結果によつて明らかになるわけでありますが、私銀行局の預金部の者でありまして、その方面のことを詳しく存じませんので、この点はまた適当な者からお害えするよう別の機会に讓つていただきたいと思います。ただいま民間社会事業施設に対する低利資金融通、あるいは災害住宅に対する預金部資金の融通等について御質問があつたのでありますが、御承知のように、預金部資金の運用につきましては、実は昭和二十一年以来国債及び地方債に、運用が原則として限定されているのであります。戰前の常時の状態でありますならば、当然こういつたような災害等が発生いたしました場合には、民間災害についても、その復旧の一助といたしまして、低利しかも長期に預金部資金の中から、何がしかの金が出たのでありますが、そういつたような運用はただいまのところ、原則として認められておらないのであります。これは当時といたしましては、インフレを押えるという目的でもつてそういう措置が一つにはとられたのでありますが、今日においては安定計画の施行に伴つて、預金部資金の運用は主として通貨及び金融情勢の観点から、特にこまかいめんどくさい制約が加えられておるのであります。大蔵省といたしましては、この災害が発生いたしますと、いち早くジェーン台風分として、すでに現在では十一億五千万円の緊急融資をいたしたのでありますが、これは主といたしまして、地方公共団体の災害復旧資金として国庫補助を期待している、その国庫補助のつなぎ融資という意味で実施いたしたのであります。従つてこの十一億五千万円では、民間施設に対する直接の、何らかの形の資金援助というものは、期待されないのであります。ただしかし、住宅関係で公営住宅なり、そういうものに対しましては、この損害の復旧については、ある程度この中から出ることが当然期待されるわけであります。われわれとしては、この十一億五千万円は各府県別に配分いたしましたが、事業別には配分しておりません。これは各府県の判断に従つて、最も緊要と思われるところに使つていただくことになるわけでありまして、これは具体的にどういうふうに使われるかということは、実は承知いたしておらないのでありますが、われわれとしては、少くともこの程度の金が、国庫補助として本年度に出るであろうというところを見積りまして、十一億五千万円をすでに配分いたしたのであります。この民間の被害については、單に社会事業施設ばかりではなく、民間の庶民がとうてい自力でもつてしては復興できない住宅建設、復旧、その他中小企業等の事業災害に対する復旧も、実は非常に巨額の要望が出ておるのであります。先ほど申し上げましたように、ただいまのところ預金部資金の運用が原則として国債または地方債のみに限定されておるという状況にありまして、今ただちにこれに対して何らかの形で実効性のある対策をここで立てるということは、非常に困難な状況にあるのであります。われわれといたしましては、こういう民間災害復日資金についても、戰前と同様、場合によつては地方公共団体が経営してもよろしい、場合によつては一般の市中の金融機関を通じてもよろしいから、何らかの形で出したいということを寄り寄り協議し、かつ関係方面にも熱心に陳情に参つておるのでありますが、いまだに実ははつきりここでお答え申し上げる程度結論に達していない次第であります。そういうような状況なつております。
  63. 松永佛骨

    ○松永委員 ただいまとりあえず十一億五千万円の支出があつたという話でありますが、今度の災害復興のために大阪府、大阪市から国家の方に何らか国庫補助、もしくは融資といつたような方法で御援助を賜わりたいという金額が多分千二百億円以上であつたように記憶いたしております。それが今回大阪府、和歌山県、兵庫県その他を加えて、実際には七億円配分されとたいうように一昨日大阪府知事から聞いているのですが、そういう事情でありまして、文字通り二階から目薬の実態であつて、これは将来の日本における最も担税能力のある大阪府を対象とする場合における国家のとるべき方途ではない、もつとすみやかに勇猛果敢な方途を講ずる必要があるということを私ども痛感いたしております。なお各方面の陳情もやつておりますが、幸い今日見えられた加治木事務官からそういつた意図をひとつ十分お伝え願いまして、何とか曙光の見出せるようにしていただきたい、かようにお願いいたします。
  64. 堀川恭平

    堀川委員 十一億五千万円の緊急融資の内容は各府県別によつてわかつておりますか。
  65. 加治木俊道

    ○加治木説明員 大阪府が五億円であります。それからその次が徳島県でありましてここに二億一千万円、それから次は兵庫県であります。これに一億一五千万円、それから次は和歌山県で、これに一億一千万円、それから三重、京都、鳥取おのおの四千万円、それから福井、石川県に各三千万円、こういうふうになつております。この配分のいたし方は先ほども申し上げましたように、これは国庫補助のつなぎということでありまして、一応五十億の国庫補助のうちのつなぎということになるわけであります。これは緊急の国庫補助が一体どこに何ぼ出るかということは、実はいまだにわからないのでありますが、預金部としては、安本等の関係当局からの数字を待つてつたのでは間に合わない、少くともこの程度はまかり間違つても補助金が行くであろうということを押えまして、一応各府県からの災害の報告に基きまして、大ざつぱなやり方でありますが、大体のところを按分して配分したのがこういう数字になつております。
  66. 堀川恭平

    堀川委員 そうすると、今おつしやつたように、預金部資金は、現在は国債と地方債のみだということであるのでありますが、大蔵省におかれましても、これに対する低利資金を、現在はそうであろうが、それを何とかの方法でやるという御意思のもとに研究しておられるのですか。
  67. 加治木俊道

    ○加治木説明員 先ほど申し上げた通り、われわれとしては非常に熱意を持つているのであります。戰前もやつておりましたし、また今後災害は、日本には毎年あるのでありますから、ことに恵まれない層に対する資金的な援助は預金部以外に期待できないのでありますから、われわれとしては何ぼでもいいからぜひやらしてくれというとで、今折衝中であります。
  68. 堀川恭平

    堀川委員 見通しはどうでしようか。
  69. 加治木俊道

    ○加治木説明員 実は預金部資金の運用の問題は、関係方面も何といいますか、非常に興味を持つておるといえば興味を持つておるのでありますが、通貨情勢なり、金融情勢の検討から出て来る結論に密着させて考えられるものですから、なかなか容易に具体的な、たとえば災害復旧なり、輸出金融の問題も全部持ち上りまして、いろいろな各事業々々の必要の面から考えられ、むしろ通貨金融的な大局的な判断にひつぱられてしまうものですから、簡單に結論は出ないのでありまして、私どもとしては必ずしも見通しは悪いとは思わないのでありますが、その程度の御返事しか申し上げられないのであります。
  70. 寺島隆太郎

    寺島委員長 他に何か御発言はありませんか。——なければ本日はこれにて散会いたします。  なお閉会中にもかかわらず、御出席くださいました委員諸君に、厚くお礼を申し上げます。     午後三時十四分散会