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1950-10-18 第8回国会 衆議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十八日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 田中 角榮君    理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君    理事 天野  久君 理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       今村 忠助君    瀬戸山三男君       内藤  隆君    西村 英一君       三池  信君    中島 茂喜君       増田 連也君    佐々木更三君       池田 峯雄君    砂間 一良君  委員外出席者         建設政務次官  渡邊 良夫君         建設事務次官  中田 政美君         建設事務官         (管理局長)  澁江 操一君         建設事務官         (住宅局住宅金         融課長)    前田 光嘉君         建 設 技 官         (管理局企画課         長)      落合 林吉君         経済安定事務官         (総裁官房経済         復興計画室長) 佐々木義武君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      山崎小五郎君         国土総合開発審         議会会長    飯沼 一省君         住宅金融公庫理         事       師岡健四郎君         住宅金融公庫業         務部長     南部 哲也君         住宅金融公庫建         設指導部長   山口  登君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 九月十二日  委員山本久雄君辞任につき、その補欠として高  田弥市君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国土総合開発に関する件  住宅金融に関する件     —————————————
  2. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 これより会議を開きます。藥師神委員長が病気のため出席できませんので、本日は私が委員長の職務を代行いたします。  日程により国土総合開発に関する件を議題といたします。最初に去る第七国会に成立いたしました国土総合開発法の公布に伴いまして、先般国土総合開発審議会が総理府に設置せられたのでありますが、その後の審議会活動方針等に関し、会長飯沼一省君より説明を聽取したいと思います。なお国土総合開発法関係につきまして、政府側よりの出席者といたしまして、国土開発審議会会長飯沼一省君、経済安定本部佐々木義武君、同じく経済安定本部建設交通局次長山崎小五部君、以上三君が出席されております。飯沼君。
  3. 飯沼一省

    飯沼説明員 先般御審議によつて成立いたしました国土総合開発法によりまして、国土総合開発審議会が成立いたしたのであります。その後の経過の大要を申し上げますと、中央において国土総合開発審議会が成立をいたしまして、総会を今日まで開きますこと八回、一番初めにまず従来各省において、国土開発関係のある仕事をそれぞれやつておりますので、それの今日までの実績と申しますか、仕事状況を聽取いたしまして、さらに審議会としてどういう計画を立てて行くべきかということについての方針決定する必要がありますので、お手元に差上げてありますような国土総合開発計画運営方針、こういうものを決定いたしまして、これを基準として今後計画を立てて参るつもりでございます。その一々こまかいことを申し上げることは省略いたします。それからこれを各地方に示しまして、これによつて今後の計画を立てて参るつもりでございます。なおさらに計画を立てるにつきまして、その基礎資料となるべきものをできるだけ正確にとりまとめておく必要がありますので、最近の会議におきましては、その資料調整方法、これは全国同じ形式をもちまして調査する必要がありますので、その調査資料のつくり方、基本資料となるべきもののつくり方を決定いたしまして、これを各地方に示すつもりでございます。そうしてだんだん審議が進んで参りましたので、審議会の中に部会をつくりました。今日のところでは総合部会資金部会、すなわち計画実施の財源となるべき資金関係、そういうものについての検討を進めて参る資金部会、この二つ部会をつくりまして、今後当分この二つ部会によつて計画の立案をいたして参りたいと思つております。それから各地方においては、法律にも書いてあります通り府県において審議会をまたそれぞれつくることになつておりますが、この方の準備も着着進んでおりまして、その陣容のだんだん整つたことの報告をそれぞれ府県から受けておるような次第でございます。さらに数府県にわたる計画につきましては、関係府県の間で協議をいたしまして、地方総合開発計画を立てることになつておるのでありまして、これにつきましては具体的にそういう審議会ができたという報告はまだ出ておりません。いずれ地方審議会から示しますところの計画運営方針なりあるいはまたその計画の立て方についての方針等によりまして、そういうものがだんだん具体化して参るものと考えておるような次第でございます。ごく大体の御説明を申し上げたような次第でございますが、なおまた御質問によりましてお答えを申し上げたいと思います。
  4. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 以上の御説明に続きまして、事務当局としての経済安定本部補足説明を求めます。
  5. 山崎小五郎

    山崎説明員 私、建設交通局次長と同時に国土総合開発審議会事務局の主事みたいなものをやつておりますので、この機会にただいま会長から御説明のありましたことに補足をいたしまして、簡單に御説明を申し上げておきます。  まず国土総合開発審議会が発足いたしまして、地方からいろいろ具体的な開発計画ができて参りますときに、それを総合調整いたします役目を審議会がするわけであります。つきましてはその総合調整する方法基準等をきめておりませんと、調整方法がございませんので、まず最初審議会で、国土総合開発計画運営基本的な方針決定を願つたわけでございます。これはただいま会長から御説明をもらいましたように、抽象的にこういうものをきめたのでは意味がないということで、これを受けますいろいろな基礎的な考え方といたしまして、安本建設省その他各省でいろいろ国土総合開発関係につきまして持つておるいろいろの計画資料を聽取いたしまして、それを聞きました上でこの方針決定なつたわけでございます。この方針の中で問題になりますのは、まず国土総合開発計画基本方針でございます。日本国土総合開発計画をどういう方向に持つて行くのが最も実情に適したものであるかということが問題になると思います。この基本方針できめてありますことでここに書いてありまするように、法律におきましては、国土総合開発はあらゆる施設総合開発でございますので、その総合開発が完成された姿は、すべてのことにつきまして開発ができるわけでございますが、実際の進め方といたしましては、やはり重点をおく方向をきめませんと、いろいろ議論が錯綜するわけでございますので、まずその方向といたしまして、第一に書いてありまするように、国内資源高度開発合理的利用による経済自立基盤育成ということでございます。これはただいま安本の中に経済自立審議会が設置されておりまして、二十八年度を目途といたしまして、日本国内経済自給度を高度化して行くという線で、いろいろの生産計画が立てられておるわけでございますが、その生産計画に基きまして資源開発するものは、やはりこの開発のまず第一の目標にしなくちやならぬということでございます。  第二に、現在最も建設関係で問題になつておりまする災害問題でございますが、これをやはり今度の開発計画の中の主要目的にすべきであるという議論がございまして、一応災害恒久対策樹立と、日本経済の現状からきわめて緊要なる生産開発いたして行くということを、この開発計画目標にしたわけでございます。もちろんこれは一つ重点的目標でありますが、これだけをやるという意味ではないのでありまして、これを重点的目標にいたしまして、これにつけ加えましていろいろの総合開発計画をして行くということでございます。  次に総合開発計画作成要網でございますが、これも議会で御決定になりました法律に基きまして、大体日本国土総合開発計画は、地方において自主的に開発計画を立てさせて、中央においてそれを総合調整するということになつておりますが、その調整方法につきましても、いろいろなやり方があるのでございまして、でき上つたものをあとから調整する方法と、地方でいろいろ開発計画を立てます場合に、あらかじめある程度中央方針を示しまして、それに基いて具体的計画を立ててもらつたのをさらに調整する方法がございますが、その調整方法として、ここに書いてあるような方針をきめてもらつたわけでございます。  第一が都府県総合開発計画でございますが、地方産業経済発展合理的見通しに立脚して、その推進をはかるため、公共施設総合計画を作成するものとして、国土総合開発審議会において調整するということになつております。  次に地方計画でございますが、法律によりまして、二府県以上にわたります開発計画は、地方計画なつておりますが、大体その地方計画を立ててもらうのは、こういう地域がいいじやないかというふうなことを決定なつたわけであります。これは下に書いてありますように、二つ以上の都道府県区域にわたつている重要河川流域及びその関連区域、それから大都市及びその周辺府県を含む地域、第三がそのほかのものでありましても、二つ以上の都府県区域にわたつて資源開発国土保全上一体として開発または整備計画を必要とする地域、こういう地域地方開発計画としては取上げてもらうことが望ましいのではないかということでございます。  その次に特定地域総合開発計画でございますが、法律によりまして、地方計画なり、あるいは都府県計画において、国の立場から特に必要、あるいは推進を必要とするものは特定地域にいたしまして、そのためには特別な補助制度考えるということになつておりますので、この特定地域の選定というものも、ある一定の基準をもつてやりませんと、非常に問題を起しますので、いろいろその点につきまして御協議を願いました結果、特定地域総合開発計画につきましては、都府県及び二つ以上の都府県にわたる区域につきまして下記の基準より見て緊要なるものを指定するということになつておりまして、まずaが電力食糧その他重要なる資源開発及び産業振興並びに緊急に国土保全災害防除対策樹立を必要とする地域で、総合開発計画実施により著しく効果の増加が見込まれる地域、こういうことになつております。特定地域の特色は、まずそれが電力とか食糧、その他日本経済自立上重要なる資源開発をしなくてはならぬ、あるいは重要なる産業合理化をやるために、いろいろ都市計画その他特別な施策、その次に災害防除国土保全上やる。こういうふうになつておるわけであります。  次に計画期間は大体一応十年ということになつておりまして、その第一期計画は、経済自立審議会が一応二十八年を目標といたしておりますので、それを一期としてやるということになつておるわけでございます。  あとは特別に御説明することは少いのでございますが、次に4の国土総合開発計画基準でございます。いろいろ開発計画をやります場合の基準として考えていたのでありますが、これはすなわちここに書いてありまする開発計画によつて生産をする物資、どういう物資目標として開発して行くか、その次に資源開発上あるいは高度利用上必要な技術的な基準、それから総合開発計画経済性評価基準、共同費用振りわけの基準、それから開発計画に投資し得ますところの財政的、金融的な限度、どのくらいの金がこれに投資できるか、この開発に必要なる資材の供給はどれぐらい見込まれるか、こういうふうなものを先ほど御説明ありました総合部会資金部会におきまして、この基準につきまして今審議会をやつておるわけであります。  最後に政府にいろいろの措置を要求しておりますが、この中で特に注目すべきことは、こういう総合開発計画をやりまして、その実際の効果実績によつて示してもらいたい、こういう措置政府に要求しておる点が、この審議会のこの決定が、注目すべき点であると思つております。以上簡單でありますが、説明を終ります。
  6. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 以上をもつて一応政府側出席者説明を終りまして、質疑に移りたいと思います。なおこの際申し上げますが、同問題に関し、建設省澁江管理局長落合同局企画課長が出席しております。
  7. 砂間一良

    砂間委員 国土総合開発法第二條に、この総合開発計画を立てるについてのいろいろな項目がこまかに掲げられてあります。またただいまの御説明によりましても、地方計画の場合においては、地方産業経済発展合理的見通しに立脚し、その推進をはかるため公共施設総合計画を作成するとか、非常に文句の上、言葉の上ではだれが聞いてもむりのないような、ごもつともに聞えることが説明されてあるわけであります。しかしこれを具体的に今の日本情勢に応じて、財政、経済産業、その他の状態からして、何を第一に着手すべきかという、重点をどこに置くかということが、私は具体的には当面非常に重要な問題になつて来ると思うのですが、この点について国土開発審議会におかれましては、何を、どこに重点を置いてやつて行かれようとしておるのか、これはたとえば災害防止というような点に重点を置くとか、あるいは電源開発という点に重点を置くとか、あるいは食糧増産重点を置くとか、あるいは地域的にも、まずどういうところに重点を置くというふうなことがあるだろうと思うのですが、この総合開発をやつて行く場合において、どういうところに重点を置いてやつて行かれる御方針かということを、審議会の方にお伺いしたいと思います。
  8. 飯沼一省

    飯沼説明員 先刻事務局の主管をしておられる山崎君から御説明を申し上げました通り、この運営方針にも、その点を特にはつきりさせておく必要があろうと考えまして、お手元に差上げてあります計画運営方針の一番初めに、特にこの点を重視して、そしてこれが実現を推進しよう、すなわち一番初めの一の中に、一の1及び2として、「国内資源高度開発合理的利用による経済自立基盤育成」ということを第一に上げ、さらに第二に「治山治水恒久対策樹立による経済安定の基礎確立」、この二点を特に重視して参ろうということを、この基本方針としてきめている次第であります。
  9. 砂間一良

    砂間委員 その点は先ほど御説明伺つたのですが、たとえば国内資源高度利用合理的利用と申しましても、具体的にその内容をもつと御説明していただきたいのです。国内資源高度開発合理的利用ということは、これはだれが聞いてもむりのないことで、この点は、この前国土総合開発法審議するときにも、そういう抽象的なことではだれも異存がなかつたと思うのですが、しかしこの審議会が具体的に発足してもうすでに数回もこの会合をやつておられるからには、ある程度もつと具体的に、何を取上げてどこから着手して行くかということも、およその見当というか、目鼻がついているのじやないかと思います。ですから、ただいまのようなそういう御説明では、まるで雲をつかむようなことで、私どもによくわからないので、たとえば、何をどういうふうにどこから取上げて着手して行くということを、もう少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  10. 飯沼一省

    飯沼説明員 それは、これからだんだん各地方計画が立つて行くと思いますが、その地方々々によつて、どういう点をまず第一に着手して行くかというようなことにつきましては、それは各地方特殊性がそれぞれあろうと思います。ある地方におきましては、まず電力の問題を早急に着手して行こうというようなところもあろうかと思います。あるいはまた地下資源開発、こういうことが先決問題であるといろところもあろうと思います。そういうようなぐあいに、今後の計画を立てましたその結果によつて、各地方それぞれ違つて来る問題であろうと私は考えております。
  11. 山崎小五郎

    山崎説明員 今の会長の御説明補足いたしますが、その問題は四の1に、「経済自立促進上緊急開発すべき物資別目標」というのがございますが、これは、ここにおられます佐々木君からいろいろ御説明願いたいと思いますが、経済自立審議会におきまして、二十八年度の目標といたしまして、なるべく日本経済自立をやるということで、いろいろ生産目標ができつつあるわけでございます。そういう経済自立審議会におきましてできましたその生産目標によりまして、たとえば食糧はどの程度電力はどの程度、その他の石炭はどの程度と、いろいろ生産目標が出て来ると思いますので、それを大体目途といたしまして、そういうものを出すにはどこの地域開発すれば一番その目的を合理的に、経済的に、達し得るかということから、具体的になつて来ると思います。それでございますので、その具体的な生産目標は、経済自立審議会がいよいよ結論を出しましてから、はつきりして来ると思います。
  12. 池田峯雄

    池田(峯)委員 関連して……。ただいまの御答弁ですが、先ほど砂間君の質問はこういうのではないかと私は推測して、関連して質問したいと思うのです。たとえば生産を上げる、漠然と生産を上げるといつても、これはいろいろあると思います。たとえば大きく言いますと、日本は一体農業立国でやつて行くのか、あるいは工業立国でやつて行くのか、こういう問題でも電力をどういうところに開発して行くか、どのくらいの電力が必要であるかということが問題になる。だからそういう政策としての根本的な面、それをお伺いしたい。これが砂間君の御意見ではないかと思う。軍艦をつくるような工業発展さして行くのか、飛行機工業発展さして行くのか、それとも平和的な産業発展さして行くのか、中共貿易をやるのか、それともアメリカ一国との貿易だけでやつて行くのか、あるいはアメリカ産業下請工業にするのか、こういう問題がやはり総合開発計画と密接な関係をもつて論ぜられなければならぬと私は考える。そういう根本的な問題をお伺いしておる。私はそれをお伺いしたいのです。
  13. 佐々木義武

    佐々木説明員 経済復興計画室長佐々木でございます。ただいま研究中でございますので、これが最後的な結果だというわけではありませんが、その研究の途上の状況を御説明いたしますと、ただいまの御質問に若干触れるかと思いますので、御説明いたしたいと思います。現在現内閣で一番要望しております日本経済自立という問題に関しましては、いろいろ審議を進めておるのでありますけれども、ただいままでの大きい考え方といたしましては、従来のように国際收支をただバランスするというのみでは少くとも現在の情勢には沿わない。なぜかと申しますと、輸出ないしは特需有効需要が非常にふえて参りましたので、その方は伸びる可能性が多分にあると思いますけれども、反面輸入の面に関しましては相当困難な條件考えられますので、あるいは国際收支バランスとしては近き将来にバランスするかもしれない、均衡するかもしれない。しかしそれは場合によつては非常に小さい規模で、従つて国内生産水準なりあるいは生活水準なりというものが小さい規模バランスする場合を考える。そうした場合には、特需なり輸出の面が非常に強うございますので、あるいは物資のアン・バランス関係、特に内需の逼迫等関係から物価の騰貴、あるいはインフレといつたような危險も起るやも知れません。そういたしますと、せつかく一旦バランスしました国際收支も、再び時期を経ずして、もう一ぺん援助に頼るというような、逆転するような方向なつては何の自立かわからぬというので、單に国際收支バランスするというだけでなくて、もつと大きい経済基盤を持つた従つて国内的には経済面から治安あるいは社会の不安をかもし出さないような、高い生活水準を持ち、あるいは特需ないしは輸出に見合い得るような、そういう需要に対応し得るような高い生活水準を持つた強い彈力性のある経済体制を確立する。これをもつて一つ自立経済と称すべきではなかろうかというような考えでやつております。さてそうなつた場合に、それでは今問題になりました国内資源高度開発並びに合理的な利用という具体的な産業は何かと申しますと、それには大体考え方といたしましては三つあるのではなかろうかと思います。第一点は極力輸出を伸ばすという、すなおな考え方であります。第二点は輸入を防ぐという面であります。できますならば国内資源開発するという面、もう一つ貿易外收入を増すという面、この三つが大体基点になるのではないかと考えます。そうした場合に、輸出を伸ばす産業として今何が一番緊要であるかと申しますと、もちろん紡績あるいは重工業、これが基本的なラインになつておりまして、重工業のうちでも鉄、それも素材のままでなしに機械、あるいは総合工業としては車両、船舶等、こういうものがまず出て来ると思います。それから第二段目の極力輸入国内資源でもつてカバーしたいという面で申しますと、最近の国際情勢の変化もありますけれども、極力食糧を増産するという点と、できますれば合成繊維等そういつた面を増産いたしまして、国内自給を高めて行くという点が当然現われて来ると思います。次に貿易外收入を増すという面で申しますと、どうしても造船が必要になりますので、特に外洋貨物船の建造というものが中心にならざるを得ないと思います。そのほかにもいろいろ問題があると思いますが、そういうものを全部また公約数で一本としますと、何といつて日本で一番必要なものは電力でありまして、電力開発のために、あらゆる産業の伸びというものは、国内的に非常なネツクがありますので、電力開発というものが一番重大な、基本的な要求として出て来るのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  14. 池田峯雄

    池田(峯)委員 もう一ぺん質問させてもらいたいのですが、現在の日本政府がどういうお考えを進めましても、なかなか自由に行かない面があることはわれわれも知つておる。ですから日本政府と、それから日本を占領している国々との関係が、やはりこういう国土総合開発の面にも相当強く作用して来ることは、これは事実であろうと思います。そういう意味で、しからば日本は今占領されているが、近いうちに講和も結ぼうというふうに考えておりますが、それではそういう講和を結んでからの日本経済は、それらの国々がどういう形を欲しているか、その後の日本政治経済のあり方というものがどういうふうにありたいと欲しているか、こういう問題がやはり論ぜられないと、なかなかあなたたち日本政府人たちだけの考え方では思うように行かない面があるのではないか、これが一番強いのではないか、私は日本政府自主性があるというふうには考えられない。むしろ自主性のない政府であるというところが、現在の政府の最も特徴的なところではなかろうかというふうに考える。そうすると、これは秘密会でも何でもいいのですけれども、そういう面で関係当局の御意見というものは一体どういうものなのか、これをひとつお伺いしておかないと、ここで論議いたしましても、これは机上の空論になるのではないかというふうに考えるのであります。ですから関係当局は、総合開発計画とはこういうふうにあるべきであるというふうな考えを持つておるとするならば、その点をまずお伺いしてみたいのであります。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 池田君に一言申し上げますが、池田君の質問の御要旨はしごく重要な問題ではありますが、非常に高踏的な問題だと思います。なお本国土開発法制定に対しては、本安員会が審議をしたのでありますから、その意味においてもつと大きな、しかも研究を要する問題を今御出席の当局に求めることは不可能だと思いますので、本問題は後刻に讓つていただきたい、こう思います。なおさきの発言の内容に対しては委員会として考えてみたいと思うので、その点御了承願います。発言者が非常に多うございますので、なるべく簡潔に、ひとつ要を得た御質疑を願いたいと思います。
  16. 砂間一良

    砂間委員 先ほどこの国土開発重点ということについてお伺いしたいのですが、何かはつきりしないようです。しかしその問題はそのくらいにしておきまして、次にお伺いしたい点は資金計画についてであります。先ほど飯沼会長の御説明の中にも、総合開発部会資金部会との二つ部会をつくつて、それぞれ專門的に御研究なつておられるような御報告でありましたが、実はこの総合開発を具体的に推進して行く場合において一番問題になつて来るのは資金の面だろうと思うのです。総合開発では、一箇所の総合開発をやるにいたしましても数千億あるいは数兆にも上るような莫大な資金がいる。この方の目鼻がつかなければ、計画は書いても絵に描いたぼたもちであつて、結局実現できないというわけでありまして、この資金計画が非常に重要性を持つて来るわけであります。たとえば只見川の総開発にいたしましても、ある程度調査やプランは立つている。しかしそれが投げやりの形になつているようなことは、一つはやはり資金の面にかかつていると思います。この資金計画の面につきまして何か御研究なつて、目鼻がついている、こういう資金計画でやつて行きたいというようなことがありましたら、その点をもう少し詳しく御説明願いたいことが一つ。  第二点は、行政官庁との関係であります。この点はこの前国土開発法の審議のときもいろいろ問題になりまして、現在ある各省間のセクシヨナリズムのために、いろいろ計画や何かが齟齬したり摩擦があつてうまくないので、総合国土開発法というものを設けて、ここで調整して行くという建前にはなつておりますけれども、実際上において担当事務、あるいは実施の面なんかについて、それがはたしてうまく調整されて行くかどうかという点についてまだ多少不安の感がある。開発審議会も発足したばかりで、仕事を進めて行く面についてはまだ深くは進んでおらないと思うのです。それらの面の調整が実際上いろいろ問題になつて来ると思います。たとえば安本であるとか、あるいは建設省であるとか、あるいは農林関係だとか、その他運輸交通とか、いろいろな関係の問題になつて来ると思いますが、そういう点の調整がはたしてうまく行くかどうかという点について、見通しというか、そういうものをひとつ会長さんの方からでもお知らせ願いたいと思います。
  17. 飯沼一省

    飯沼説明員 国土総合開発計画と行政官庁との関係についてのお話がありましたが、今日のところ私といたしましては、ただいまお述べになりましたような各省間のセクシヨナリズムというようなものは、少くとも国土総合開発計画を立てようということを志している限りは、私はないものと考えております。また私といたしましては、そういうようなことの将来起りませんように、審議会運営をいたして行かなければならぬと考えているのでありまして、ここにも現に建設省御当局と安本の当局がおられますが、少くとも国土の総合的な計画を立てようということを考えておられる以上は、そういうことがないものと思うのであります。現に絶えず関係省の担当の方々は幹事会を開いて連絡をとつておられますので、今日のところ私はそういうことはないものと、またあつてはならぬものと考えている次第であります。
  18. 佐々木義武

    佐々木説明員 前段の資金関係の問題でありますが、ただいまのところでは、資金の蓄積の源泉は御承知のように三つくらいにわかれるのでありまして、一つは財政資金一つは民間の資本、一つは外資というふうにわかれるのであります。今のところでは、大体国民経済予算と申しますか、国民所得の総支出部分を検討中でありまして、国内財政資金あるいは民間資本として出す限度はどのくらいかということを検討中であります。それがだんだん進んで参りまして、財政資金あるいは民間資金としてどれほど動員されるかという、それ以後大わくのことになると思います。  外資問題に関しましては、ただいま見返り資金の問題が一番大きい問題と思いますが、この見返り資金は、次第に援助というものが細まつて行くという傾向になつておりますので、これにかわるべき国内の資本蓄積、あるいは今までのような援助の形態にかわるような外資といつたものが非常に重要な問題になつて参ります。そういう問題もあわせて検討しながら、できるだけ計画実施資金面で裏づけできるような方途を講じたいというので研究中であります。
  19. 内海安吉

    ○内海委員 砂間君の御質問に関連いたしまして、ちよつと御質問申したい。なおこれは安本御当局でもいいと思います。先般の委員会でちようど安本長官もお見えになり、また建設大臣もお見えになつておりました席上で、私は建設方面の予算についての質問をいたしたのでありますが、一千二百億の公共事業費のうちにおいて、いわば公共事業費といえばただいま問題になつておる国土総合開発審議会の担当されておる大部分であると思うのでありますが、その予算のぶんどりについて、ややもすると安本当局が農林方面に加担するがごとき情勢が見えたのであります。私は與党でありますから非常な好意を持つて実は質問したのでありましたが、安本長官が千二百億の公共事業費を配当するにあたつて、あなたがまず第一に考うべきことは、現在の公共事業そのものに対しての行政上の問題である。まず今行政審議会において、いろいろな観点から、公共事業そのものに対する一元化といつたような考えを持つておられるか。安本ともあろうものが、行政機構の運営そのものについて、まず重点的に研究すべきがほんとうではないか。しかるにある一省についたり、ある一省のために便宜をはかるというようなことでは、はなはだわれわれの審議上おもしろくない。まずもつて安本長官が、この機会において行政審議会の上に立つて、しかも行政機構はかくすべきものであるというようなことを示されるぐらいの勇気はないか。もしそういうような観点に立つてのお考えがないとするならば、安本長官なんというものは大したものじやない、こういうようなことをここで述べたのであります。ところがその点については十分安本としても考えている、こういう御答弁であつたのでありますが、ただいまここに問題になつておりまする国土総合開発審議会審議すべき事項は大体今きまつておる。しかしその調査、審議にあたつて先決問題として考えるべきことは、まず行政機構の問題を考えねばならない。行政機構の問題を考えないで、ただいたずらに電気に重点を置くとか、あるいは農業土木に重点を置くとかいうようなことではなく、もつと明朗な、しかも一元的な一つの行政機構ができてこそ、初めて私は国の政治の円滑を期することができると思う。そういう意味においてのただいまの砂間君の御質問で、そういうような点をしつかりと見きわめをつけて、そしていろいろな開発計画審議なり立案なされることが至当ではないかという御質問に聞いたのでありますが、決してそういうことはありません、こういう御答弁自体に非常なあやまちがあるのではないか。これは非常に発足にあたつて認識不十分ではないか。この点についてもつと掘り下げた、ほんとうのお考え飯沼さんにこの機会に御答弁を願いたいと思うのです。なお安本方面においても、これに関連して御答弁ができますれば承つておきたい。
  20. 飯沼一省

    飯沼説明員 私はほかのことは存じませんけれども、とにかく国土総合開発計画を立案し、またその総合調整をいたし、さらにまたその中から事業を実施すべきものがだんだん出て来ることと思いますが、今日のところまではまだ発見早々でありまして、ただいまお述べになりましたようなことは直接問題になつておりませんので、先ほどのような御答弁を申し上げた次第でございます。御心配の点はよく私も拜聽いたしましたので、今後ともこの国土総合開発計画運営につきましては、十分その点は留意して参るつもりでございます。今日のところこれ以上のお答えはできません。今後の問題として十分その点は留意して行くつもりであります。
  21. 山崎小五郎

    山崎説明員 私事務当局でございまして、むずかしい問題はあまりわからないのでありますが、今年の公共事業費の編成にあたりまして、われわれ事務当局といたしまして、どこの省に特別にひいきをするというような考えは全然なく、立案に当つておることだけは、ここではつきり申し上げることができます。それから機構の問題がございましたが、これは審議会の問題というより、行政管理庁の方でございまして、そこでやつてもらうことになつております。そちらの方で最も合理的な機構をお考え願えれば、われわれとしてはけつこうと存じておりますが、ただ機構である程度合理化しましても、全部を一つの省にするとかなんとかいうことはなかなか困難な問題もございましようし、やはり数省にまたがるような問題も残つて来ると思いますので、この予算を編成いたしますときに、特に妥当なる結論が出る一つの基礎データーと申しますか、基準というものがございませんと、見方によりまして非常に意見が対立するわけでございます。そこで国土総合開発審議会といたしましては、そのためは基礎資料の調査に非常に重点を置いておるわけでございます。最初会長が御説明になりましたように、基礎資料の調査を各省みなやつておられたのでありますが、それをできるだけ総合的に調査をいたしまして、その調査の上に立脚して、各省の政策なり開発計画を立てる。同じ基準の上で価値判断すれば、そこにおのずから結論が出て来やしないかと考えまして、大体月末から各省安本と共同いたしまして、地方ブロツクごとにその基礎資料を集めますための会議を開きまして、今年度一ぱいでその調査ができ上ることになつております。もちろんその調査だけでは十分でございません。今日本政府でやります調査は大体河川なら河川、あるいは山林なら山林といういろいろの調査がございますが、金に限度がある場合に、どこにプライオリティをつけて行くかという材料が実は非常に欠けておりますので、国土総合開発事務所といたしましては、その点に重点を置まして今資料を集めておりますような状況でございます。先ほど四の中で御説明いたしました七つからの基準というものは、そういう観点に立ちまして今基準を作成いたしまして、できるだけすつきりした明瞭なる基準でいろいろな開発計画をまとめて行き、その結果結論を出して行くということになつておる次第でございます。こういうものがだんだん軌道に乘つて参りますと、セクシヨナリズムというようなことはあまりなくなつて来るのではないか、またそういう方向開発審議会としては努力するつもりでございます。
  22. 淺利三朗

    ○淺利委員 大分いろいろ質疑があつたようでありますが、私は実質の問題について承りたいと思うのであります。この国土総合開発の必要性は第一国会の国土計画委員会当時から論議されたのであります。ことにさきに当委員会においても国土総合開発の促進を必要と考えまして、小委員会を設けてこれを十分に研究して、もし政府において国土総合開発を提案しないならば、当委員会においてこれを提案するという意見も表示いたしたのであります。その当時今委員長席におられる田中角榮君が小委員長として検討されたのであります。そういう意味からいたしましても、この国土総合開発は一時も早く目鼻をつけていただきたいというのがわれわれの念願なのであります。もとより出発以来まだ日が浅いでありましようけれども、しかしながらこの運営が一日も急を要するという場合において、はたして現在の機構で十分であるか、審議会会長はこの現状をもつて満足するか、何か御希望があるか。第一にこの予算的の措置が十分であるかどうかの問題であります。第二にさきに各省の間のセクシヨナリズムの関係上、建設省安本、官房長官といういろいろの方面のうち、この議案をどこで取上げるかという問題は、結局これは内閣に審議会を置いて、安本がその執務をするという形に終つたのであります。しかし本来から申しますれば、国土開発促進のためならば、内閣においてこの審議会事務局を特設して專心これに当るという態勢でなければならぬ。便宜上安本がこれに当つておりますけれども、安本安本とし、その職責があり、もしこれをやればややもすれば副業的になるという結論に達するのであります。でありますから、もしこの問題を真劍に取上げて早急に促進するというならば、やはり各種の調査に專心するところの、完備した事務局を置いて、一日も早くこれを完成するという建前にならなければならぬと思うのであります。安本が実質上その事務を取扱うということから、先刻いろいろ問題になつておるセクシヨナリズムというような意見も出て来ると思うのでありますが、こういう点については、審議会会長は現状をもつて満足するかどうか、また現機構をもつてはたしてこれが早急にこの目的を達し得るような成案を得る見込みがあるかどうか、まずその点を最初質問しておきたい。
  23. 飯沼一省

    飯沼説明員 淺利さんから総合開発計画の将来についていろいろ好意ある御心配をいただいておる点を厚く御礼を申し上げます。私は、とにかくこの議会においてたいへんなお骨折のもとに成立いたしました国土総合開発法による審議会仕事を引受けろということで、お引受けしたのでありまして、今日のところでは私といたしましては、できるだけ現行法を生かして、これをできるだけぐあいよく適用いたして参ることが私の職責と考えましてやつておるような次第でございます。今日のところではこの点がぐあいが悪い、あの点がどうも不十分であるということを考えますよりは、私どもとしましては、まず何をおいてもこの現在の制度によつてできるだけこのことをして参ろう、かように考えておる次第でございます。だんだんこれをやつて参りました場合において、あるいはただいま淺利さんのお述べになりましたようなことに突き当るかもしれませんけれども、今日のところではまだそういうような段階に達しておりません。われわれとしましては、先ほども申しましたように、できるだけこの現行法を生かしまして、これによつて法律の企図しておりますところを十分に達成いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 淺利三朗

    ○淺利委員 ただいまの御説明はよくわかりますが、ただ問題は、この審議会運営いかんの問題であります。敏腕の飯沼会長初め、学識経験者が手ぞろいでありますから、われわれの期待は裏切らないこととは信ずるのであります。しかしながらこの開発審議会のいわゆる審議、あるいはまた実際上これを進めて行くという手続が遅れれば、各地方においてはとうていこれを待ちきれぬということからして、地方において各種の建設法案が続々出るというような動きもあるのであります。現にこの総合開発法においては都市の建設も一つの項目になつております。これが先年来各種の都市建設法として続々出て参つて、ほとんど統制がつかぬ。その緩急軽重というものをどこで統制するかということもわからぬというような状況であります。また最近においても、先般利根川の問題について安本の政務次官が総合開発的の予算措置を講ずるという言明をされた。これらもほとんど国土総合開発審議会と無関係安本当局の一存でそういう計画もされておる。そういうことになりますれば、各地において続々とこういうことが地方の切なる希望によつてつて参ると思うのであります。そういうことに地方考え方が先行して参るということになり、全国的に広い視野から見るところの国土総合開発審議会がこれに立ち遅れておるというような形になりますると、そこにこの法案をつくつてこの審議会を設置した精神がどこに行つてしまうかわからぬようになると思うのであります。そういう点から見ても、総合的に広い見地から見て、一日も早く国家的再建の基盤をつくり上げるということに力を注いでいただきたい、こう思うのでありますが、そういう点から申しますれば、今のような機構ではたしてできるかどうかということをわれわれは憂えておるのであります。こういうように個別的に各種の建設法案、あるいは各地方開発法案というものが出た場合には、政府当局はこれをどうされるつもりであるか。そのなすがままに、あるいは国会において通過してこれを押しつけられるままにするのか、あるいはここに何らかの調節を考えるのか、国家的の総合的見地からどういうふうにこれを調整する御意思があるか。これは安本当局でも、また建設当局でもよろしゆうございますが、政府を代表して、そういう場合にいかに処するかという御方針を伺つておきたいと思うのであります。
  25. 飯沼一省

    飯沼説明員 早く国土開発計画を立てよという御意見に対しましては、私どもまつたく同感でございまして、そういうような趣旨から、事務当局初め、また委員の方におきましても極力急いで具体的な計画に入りたいつもりでやつておる次第でございます。  それから各地方において待ちきれずにおるというお話でございましたが、府県計画なり地方計画は、われわれといたしましては、各地方がそれだけの熱意を持つておられることは、まことにけつこうな、喜ぶべきことと考えておるのでありまして、天くだり的でなしに、どこまでも地方人たちが自分たちの郷土をりつぱなものにしようという熱意の盛り上つて参りますことは、これはまことにけつこうなことと考えておるのであります。ただその間に矛盾がありましたり、計画の間に抵触がありましたりすることは、これは好ましからぬことでございますので、そういうことのないような一つのこちらの基準を早く示す、あるいはまたその総合調整をして参るということは、われわれはこの審議会の職分として当然これは遅れないように努めねばならぬ点であろうと思うのであります。その点、私どもも御趣旨のような方向に向つて進んで参りたいつもりでおります。  それから数府県にわたる計画を早く立てなければならぬような問題が全国各所にあることは、お話の通りでございます。これは私どもといたしましては、せつかくこういう国土開発法というものができました以上は、この法律で解決できるものは解決して行つたらどうだろうか、数府県にわたるようなものは、ここにもありますような地方計画を早くその関係府県協議によつて成立さして行くことが一番手取り早い方法ではないかと私は考えております。  それから各都市の特別建設法、これは直接この法律でまかない得るかどうか、大都市の問題につきましてはこの法律においてもこれは予想をいたしておることでございますが、その他の中小都市の計画にまでこの法律がはたして及ぶことができるかどうか、その辺についてはもう少し研究させていただきませんとわかりませんが、いずれにしてもせつかくこういう法律ができました以上、この法律の運用によつて解決し得るものは解決して参りたいと考えておる次第であります。
  26. 渡邊良夫

    ○渡邊説明員 建設省あるいはまた政府方面等の意向を総合してみますると、あくまでこの国土開発法というものを尊重して、この基準の中で生かして行きたいと考えております。
  27. 淺利三朗

    ○淺利委員 御趣旨はわかりますが、実際地方の熱意があつて、それから盛り上つて来るならばそれでけつこうだという審議会長の御意見でありますが、地方の熱意は至るところに盛り上つておるのであります。ただこれは全国的に見ていずれに重点を置き、どこを先にやるか、緩急軽重をはかるという中心がなければ、地方の熱意そのままに現われて来たならば、続々として各種の單行特別法が出て参つて、国の予算ではとうていまかない切れないという結果になるのであります。それでありまするから、私どもはこの国土総合開発審議会において、どこに重点を置くか、またどこを先に着手するかということを早く調べ上げてこれを着手しなければ收拾のつかぬ問題ではないか、結局いろいろ單行法によつて、国会によつて法律を押しつけられ、事務官僚において予算の裏づけはかつてに左右する、こういうことになるほかはないのであります。そうすればこれは一つは国会の責任でもあります。そういうことでむやみに提出するということの責任は国会自体においても自粛せねばならぬのであります。しかしそういうことがこの審議会においては怠慢とは申しませんが、その調査なり、あるいは立案が遅々として進まないということになれば、それに先行してそういう問題が続々と起つて来る。この場合にこういうものを一応審議会を通してやるという方針にするのか、あるいはそれは審議会が間に合わぬからそのままにするというのか、そういう点について、何かそういう問題が起つたならば、この審議会にかけて一方的にこれを決定するということをなさる御意向があるかないか、その点まで実は伺つてみたいと思うのであります。そうでありませんと、各地方から出ておる意見の緩急軽重をどこで押えるか、そういうものについてこそ審議会が重要なる役割を務めるのではないか、そういう点から実は伺つてみたわけでありますが、ここについて何かそういう場合にこの審議会と各地の総合開発法との関連性をどう見るか、こういう点について伺つてみたいと思うのであります。
  28. 飯沼一省

    飯沼説明員 大体審議会といたしましては今後計画の進むにつれまして、国内の重要な地域につきましては、特定地域総合開発計画という点について先ほども御説明申し上げたのでありますが、そういうものを決定することになつておりますので、早急に計画を進めまして、この特定地域というものを決定いたしたいつもりでおります。できるだけこれは急いで審議会といたしましてはこの問題の対策を進めております。
  29. 淺利三朗

    ○淺利委員 まだ徹底しておりませんが、地方から出て審議会にかけたものは審議会でおやりになるのでしよう。ただ私が今申し上げたのは地方審議会を通して、提案するにあらずして直接單独立法として国会に提案されて、国会がこれを決議したというような場合が往々にしてあるのであります。また今後あり得ると思うのでありまして、そういう場合にこの審議会との関連性がなく、そのまま進むという現在の案ではたしていいのか、これに対して審議会との関連性を持たせる必要は感じないかという点であります。
  30. 飯沼一省

    飯沼説明員 審議会の立場といたしましては、この国土総合開発法で解決し得るものはこれによつて解決することが適当な方法であろうと考えております。もし将来国土総合開発法と同じような精神を盛つた、各地域別の法律ができましたならば、それとこれとの関係がどういうふうになるかということにつきましてほ、なかなかむずかしい問題でありまして、国土総合開発審議会の立場としては、そういうような事態になることはあまり希望をいたさぬことであるということを申し上げるほかはないと思います。
  31. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 この際淺利三朗君の質問にかかる国土開発法と同種の單独法との関係につきましては、本委員会といたしましても十分研究をいたしたいと思うのであります。これに関し委員長から一言だけただしておきたいと思います。それは国土開発法が現に公布せられておるのであり、かつ国土開発審議会事務局経済安定本部が担当しておるにもかかわらず、さきに提出をせられるがごとく流布されました、利根川開発法というものが経済安定本部の名において発表せられておるというこの事実、こういう問題に関し国土開発審議会経済安定本部との間に緊急な連絡があつたかどうか、しかもこの問題に対して経済安定本部は独自の見解において国土開発審議会と協調性を欠いて発表したものであつたならば、それに対する審議会としての意向はどうかという二点を伺いたいのであります。
  32. 飯沼一省

    飯沼説明員 利根川開発計画についてどういう案が発表せられましたかは、実は私承知いたしません。そういうような問題があつたということは仄聞をいたしておるのでありますが、公の問題としてそういうような案が計画せられておるということは存じません。国土開発法によつてそういうような問題は解決に至つたものと、先ほども申しました通り考える次第であります。
  33. 砂間一良

    砂間委員 ただいま飯沼会長の御説明を聞いておりますと、利根川総合開発法案というふうなものは見たことも聞いたこともないというふうなことを申されておるのでありますが、私ははなはだ怠慢だと思う。きようもらつたこの委員に配付された資料の中にも、これは建設省かどこかで出しておる「治水」という新聞に載つておるのでありますが、その中にも法案としてすでに起草されて、こうやつてずつと案文までできておるのですよ。にもかかわらず総合開発審議会会長ともあろう者がそういうものを知らぬというのはまつたく怠慢だと思う。さつきから問題にされておる点は、私はこういうことだと思うのです。  これは話が違いますけれども、別府国際観光温泉都市法という法律が出まして、それはまあ委員会の審議を省略して本会議で一挙に通過してしまつたものですが、これ一つが通過したところが、これが例になつて、あとは続々として出まして、熱海だとか伊東だとか、あるいは横須賀の旧軍港地転換法だとか、あるいは東京にも首都建設法だとか、單独法がめちやくちやに出て来まして、なおあと続いてまだいろいろたくさん出て来そうな形勢になつておる。これは立法技術としても非常にまずいのですけれども、こういうふうに一つ地方的な法律が出ますと、われわれとこの際早くそういうふうなものを通さなければ、自分のところが損だというふうな、こういう偏狭な気持からして出て来るわけなんです。こういうにがい経験もあるわけなんです。ところがこの国土総合開発法が成立して、その審議会まで設けられておるにもかかわらずその審議会の方の仕事が遅々として進まないために、すでに利根川は利根川で、この総合開発法をつくつて、そうしてそれを議員提出か何かの形で出そうとしておる、あるいは北上川の方でもやろうとしておる。各地でそういうふうな動きがすでにあるわけなんです。そういうふうな法律が続々として出て来て、もし不幸にしてこの国会で成立するということになれば、総合開発というものはもうめちやくちやになつてしまう。それをそういうふうにさせないで、全国的な見地からそういうところを重点的にやつて行くというのが、総合開発法の目的だろうと私は思う。だからきようの委員会でもまつさきにその重点がどこにあるか聞いたのですが、まるで雲をつかむようでちつとも要領を得ない。そういうふうなぼんやりした審議会だもんですから、だから現にこうやつて出ておる全国の動きも知らないし、まるで高殿にあぐらをかいているようなことになつておるのだ。だからそういう点について、出て来た法律が通過した場合、その案と総合開発法との関係がどうなるか、こうなるかということの詮議はあとまわしにしましても、審議会が発足した以上はもつと早く仕事をどんどん進めて行つて、そうしてどこから着手し、どこを重点に置いてやつて行くかということで、審議会仕事を早く進めて行かなければ非常に立遅れておるということを、さつきから淺利委員が言うておられると思うのです。そういう点をもつと猛反省されまして、もつと誠意ある答弁をされ、同時に自分たちがこれまでサボつていて非常に仕事が進まなかつたということを率直に白状されましてこれから大いにそれを勉強して行くという態度をとられたらいいと思うのです。
  34. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私の質問も大体淺利君その他の方からお話のあつた点になるわけなのですが、そういう重複するような質問を避けまして、大体審議会におきましてもう八回か九回か会議を重ねられたというのでありますが、ここに御配付になりました国土総合開発計画運営方針というようなものは、別におつくりにならなくても大体わかりきつた話なのです。大体それよりも大切なことは、今日本は戰争のために非常に遅れておるのを、急速に国際経済の水準にまで引上げなければならぬという重要な役目があるわけなのでありまして、そういう上から考えましても、非常に速度を早めなければならぬことがあるので、ただ運営方針などというようなことよりも、実際にいかに早く日本総合開発の具体的なものをきめて、これを実施にかかるかということでなければならぬ。それで会長にお尋ねを申し上げたい点は、運営方針でなしに、審議計画といたしまして、たとえば二部会を設けられたようでありますが、資金計画というものは何月何日ごろまでに立てて行く、あるいはまたその他の国土開発計画の各特殊地域計画というものは、ほとんど全国の北海道から九州の鹿兒島——日南総合開発計画の間における特殊地域のものはほとんど出そろつておるのです。こういうものをいかに重点的に取上げて実施にかかるかという点にかかつておるのでありまして、今から拾に集めるのじやないのでありまして、大体に出そろつておる。こういうことを考えますと、これらの審議を、たとえば資金議画は二箇月間かかつてやる、あるいはまたその他の電源開発や特殊地域開発計画の点は何月何日までに審議を終るようにするとかいう審議計画はできておるのかどうか、こういうことをまず第一点にお尋ね申し上げたいと思う。
  35. 山崎小五郎

    山崎説明員 この委員会が実は発足いたしましたのは八月の終りでございまして、大体九月一日から委員会は正式に実は発足したわけでございますが、安本ではその前からその準備を実はやつてつたわけであります。大体今あそこに国土開発事務所というものができまして、現在三十八人の人間がそれにかかつておるわけであります。なお来年度の予算におきましては、大蔵省で四十八人の人間をそこに充てるように大体内部的には御了解を得ておるようなわけでありまして、全力を集注いたしまして仕事をやつておるわけであります。今日一応資料はつくつておりますが、こういうものをつくります基礎的な考え方になりますと、いろいろなデーターもでてきておりまして、この委員会にも御説明申し上げようと思つておりますが、今いろいろそれの地図化をやつておりまして、二十日過ぎにはこの地図ができ上りますので、地図ができまして、非常に明瞭にしたものにしていろいろ御説明をした方がいいと思つて、大きな地図の作成にかかつておるわけであります。それから今この地方具体的計画ができつつございますが、やはりこの計画が出ましたときに、審議調整に乘り出しますときの材料というものがございませんと、非常に主観的な意見になりまして、議論の統一ができませんので、先ほど申し上げました大体四に書いてありますそういう具体的な計画調整いたします基準を、実は今つくつておるわけでございまして、こういうふうなものを大体今年一ぱいにつくることを目的としてやつておるわけでございます。おそらくすでに地方によつて開発計画のあるところもございましようし、今からできるところもございましようが、こちらでそういう基準をつくると同時に、地方におきましては、具体的な開発計画をだんだん立てて参りまして、具体的な開発計画が出ますと、これらの基準によつてそれを料理して行くという段取りになつておるようなわけでありまして、一応そういうようないろいろな地方開発計画実施をするために、少し迂遠かもしれませんが、ある程度根を掘つて、いろいろな基礎データーをつくり上げておきませんと、実際に出ましたときに收拾すべからざる状態になつて参りますので、この方面に力を入れておりますが、これがある程度でき上りますと、料理は早くなつて行くわけでありますので、そういうお含みで御了承を願いたいと思います。大体私どもといたしましては基準、それから先ほど申しましたいろいろな取捨選択をやりますのに必要な基礎データー資料も大体今年一つぱいにまとめ上げることを目途としてやつておるわけであります。
  36. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私の御質問申し上げたのは、審議の期間の計画はできておるかどうかということであつたのでありますが、大体御説明によりますと、それはできておらぬと言われたのと同様であると思うのでありまして、これは非常に遺憾だと思うのであります。それから今利根川水系の総合開発法の問題が部分的に出ましたが、これと同じような問題があるのは、たとえば瀬戸内海の利用をどうするかという問題から、過般漁業法の一部改正法律案が国会に出て参りましたが、この日本国土開発とあわせて、海の利用というものがやはり総合開発の中に織り込まれなければならぬのでありますが、魚族保存等に関しまして、もし漁業法の一部改正法律案が成立いたしておりましたならば、瀬戸内海の漁族はどうなるか、魚族の保存、養魚等の関係はどうなるかということを考えなければならぬことになるわけで、これは総合開発の上から行きますと、逆な方向に行くのであります。これは私はただ一例に申し上げるだけでありますが、かようにこの総合開発の中には非常に緊急を要するものと、国全体をにらみ合わせた総合開発のために相当準備期間の必要なものと、二通りあると思うのであります。従つて準備期間の必要なものに対しましては、それは今年一つぱいにデーターを集めて、それを総合的に審査をしてきめて行くという方法もやむを得ぬことでありますし、それもよいことでありますが、そういうように待ち切れないものがあるのでありまして、そういうことのために今の利根川の問題等も起ります。従つて総合開発を担当される審議会としては、これらの緊急を要する問題と、恒久的にどつしり構えて研究しなければならぬ問題と、二つにわけて審議方法を進めなければならぬと思うのであります。そういう点に対する用意ができておるのかどうか、私が審議期間をきめよというのは、そういう点もにらみ合せてお尋ね申し上げておるのでありまして、そういう点についてきわめて不用意な漠然とした審議の進め方をなされておるのではないか、こういうことを心配するのでありますが、その点会長はいかがお考えなつておるか、お答えを願いたいと思います。
  37. 飯沼一省

    飯沼説明員 計画のうちに、恒久的なものと、早く実施すべきものがありますこと、これはもちろんの話でありまして、それらの点につきまして、今後十分に検討を重ねまして、誤りのない措置をいたして参りたい、かように考えております。
  38. 前田榮之助

    前田(榮)委員 もう一点、非常に重要な点がありますが、これはさきに御説明になりました資金関係等に関して、貿易関係等のお話があつたのでありますが、少くとも基本的になる総合開発というものは、国際情勢の上から特殊的に起つた事件等を考えて、しよつちゆうぐらぐらしたような関係に置くべきものではないと思うのであります。特殊需要がどうである、あるいは朝鮮問題をめぐる貿易関係がどうなつたからというようなことで、総合開発をきめるべきものではないのであつて日本の国際的な特殊な事情における総合開発は何に基準を置くべきか、こういう点を基本的に根本的な問題をきめてかからなければならぬと思うのでありまして、貿易の消長の関係で、それがぐらぐらしてはならぬと思うのであります。総合開発をやる基本的な問題は、日本特殊性、すなわち日本国土が狭くて、動力源が石炭等には将来頼られない、電力に頼らなければならぬ、こういう点で電力中心の動力源による工業立国をやらなければならぬ、こういうような基本的なものはすでに日本経済学を研究された者はだれでも気がつく問題であると思うのでありますが、こういう点でまだいろいろぐらついているようなお話を聞くのは非常に心細いわけです。この点に対するもつと根本的なものに触れた基本方針が明確にならなければならぬと思うのですが、この点についての御説明を承りたい。
  39. 佐々木義武

    佐々木説明員 先ほどの御説明で、若干誤解があるようですから御説明申し上げますが、この審議会方針として定めました中に、一と二と二つ重点がありまして、その一の中の国内資源高度開発というものは、一体何をさすのかというお尋ねでありましたので、先ほどああいう説明をしたわけでございます。もちろんお話のように、そういう基本的なと申しますか、その二にあります治山、治水等の国内の全般の産業、あるいは文化、あるいは交通等の一切の基盤になる国土そのものの保全、あるいは開発という問題に関しましては、これは基礎的な問題といたしまして、当然この国土総合開発委員会で基本的に取上げる問題だと思いますが、そういう御質問ではなくて、一の方の高度開発という、その資源の主たる内容は何かという御質問であつたので、先ほど申し上げたような御返答をしたわけでございます。
  40. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 要するに本日の質問は一貫して一つのものにすることができると思うのです。そうして今日御出席の方の御回答は一つも満足を與えられておらぬということです。そこで最後に結論的に安本の態度を聞けばはつきりするのですが、一体実例をもつてすれば、ここに配付された、利根川水系総合開発計画を一都五県で強力推進しておると書いてある、しかも周東安本長官が賛成した、こういうものをいわゆる單行法として出して来たときにおいて、一体あなた方安本の人はどういう態度をとるか。きよう出席された人たちの責任ある回答を求めます。そうでなければ、われわれ建設委員会が四回にわたつて何とかして建設行政を一本化し、それにはどうしても総合開発というような形のものにして行かなければならぬ。それはまた各省のどれに当るというのではなくて、みんなをまんべんなくした総合的なものでなければならぬという、われわれ建設委員会の努力が、この一つの問題によつてくずされてしまう。言いかえれば安本がかつてにこういうようなことをやるとなれば、建設省も建設委員会もいらなくなるということであります。そこでそれに対する安本の責任ある御答弁を願いたい。しかもこれは名前まで出ておる。今日御回答ができなければ、安本会議を開いて、責任ある回答を建設委員会にはつきり申してもらいたい。
  41. 山崎小五郎

    山崎説明員 実は私もこの新聞を見ましたのは、ここで見せていただきまして初めて知つたような状況でございまして、この法律は、安本が何か関係してやつておるということは、全然、私に関する限り、ないのであります。それから先ほど飯沼会長からお話になりましたように、私どもとしましては、国土開発関係、あるいは予算等の関係をやつておりますが、しかもたくさん單行法ができましても、実際その裏づけになりますところの関係が十分にしてございませんと、実は非常に処理に弱つておるわけでございます。先ほどいろいろの都市計画法につきましても、実はそれの予算の裏づけができればけつこうでございますが、與えられましたわくでやりますことは、そこになかなか困難を伴うような状況でございまして、できるだけ国土開発法で処理できる範囲は処理していただきたい、この気持だけははつきりいたしておるところでございますが、問題は具体的にどういうふうな法律になるのか、国土開発法は大体プランニングの法律でございますので、その国土開発法だけでは足りない。実施の面において政府が、国土開発審議会で取上げました計画を実際の実行に移す場合に、それに特別な法律を必要とするような問題があるかどうかというふうな、具体的な問題になつて来て見ませんと、その法律国土開発法以外にいるかいらぬかという問題を審議しますときに、具体的問題で特に研究してみませんと、わからないのであります。
  42. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 つまりその点を先ほどから問うているわけでありまして、安本の方では、この審議会等の活動がもう少し進んでみなければどうしていいかわからない、こうあなたは言われておるようですが、結局この問題は今いろいろ質問したのはそこに帰するわけで、つまり今後国土総合開発というような問題が起きて来た場合において、このいわゆる総合開発審議会というものを一応通して、そうして政府案というか何というか、案にして出すという事務的な手続をとるのかどうか、簡單に言えば、安本の方で経済的の裏づけさえあると認めればこれはもうそれだけで單行法になるか、こういうふうなことを、簡單に言えば、安本が独自にやるかどうか、これは二つであるけれども、一つの問題なんです。それをお聞きしておるわけなんです。
  43. 山崎小五郎

    山崎説明員 国土開発審議会の立場として説明いたしますと、これはひとつの諮問機関でございまして、結局政府の方がこれに対して諮問をするかどうかということできまつて来るわけでございますが、安本の私どもの立場といたしますれば、これはこういう国土開発全体の計画を見ておりますと、有力なる審議会がありますのに、そこに全然かけないでこういうものが突如として出るということは、せつかくできました審議会を活用するゆえんでないと思つておりますので、審議会としてはぜひそういうものについては、審議会としての意見政府に勧告するなり、申し出るなりする機会を與えてもらうことを希望いたしております。
  44. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 その問題については大体わかりましたが、それに関連した問題で実例があるのです。それは実は六月の天龍川流域の水害の際に、建設大臣がそれぞれ係を連れて実情を調査に行かれた。その際、安本からそれがしという課長がついて来て、そこで地元の陳情を建設大臣にしておる際に、その陳情の内容は、つまり今度の水害の起きた原因のうち、最も大きな一つの理由として、発電所と発電するためのダムをつくつたことが大きな原因でありますということを、地元の者が陳情したときに、安本としてはさようなことは大きな原因にならないというように方針がきまつておりますということを、陳情の最中に大臣に課長自身が言うておるのです。こういうことは科学的に見ても、その土地の事情その他いろいろあるのにかかわらず、あたかもこれが決定的のもののごとくに、安本としてはさようなことが大きな理由になつておらぬというように認めるということを、しかもあたかも討論するがごとく大臣に説明しておる。そういうようなことは、はたして安本において事実水害の原因としての発電ダムというようなものについての意見がまとまつておるものかどうか、参考までに聞きたい。これはみな関連しておるのです。今ここで問題にしておることと同じです。
  45. 山崎小五郎

    山崎説明員 私はまだその問題につきまして詳しく聞いておりませんので、帰りまして、そのときの担当者に会つてみまして、事情を聞きました上で御答弁いたしたいと思います。
  46. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 それでは安本は個々の問題について、きまつた一つ議論をまとめておらぬということのように聞くのですけれでも、その点をひとつ明らかにしておいてもらいたい。そうでなければ、総合開発の際に、いつでも安本が特別の意見を持つては出て来て、せつかくこうであろうという決定事項に対してくつがえしてしまうということが——くつがえすというのは、さつき言う通り、予算の面からくつがえしてくるという手が打てる。そうなれば、ここでみんなが心配する総合開発ということは不可能になつてしまうということです。関連事項でありますから、特に申し上げておきます。
  47. 山崎小五郎

    山崎説明員 安本はいつでも、そういう問題につきましては、各省と連絡しまして、各省意見を総合いたしておるわけでありまして、直接は大体各省がやつてもらつておるわけでございますので、そうお願いしたいと思います。
  48. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 よろしいですか。よろしいようでしたら、私から特に発言を求めまして、本問題に対して、飯沼議会会長並びに事務局に対して三つだけ希望條件を申したいと思います。  第一は特別地域の指定であります。第二は、組織、機構、人員整備についてであります。第三は、実施企業形態についてであります。  第一は、申すまでもなく飯沼会長は、かつて経済安定本部の中に設けられておりましたところの国土開発審議会会長として、十分審議を盡されており、その実情は熟知せられておるのであります。しかも各省間におきましても、すでにこれが十分審議済みでありまして、価値判断はおよその結論を持つているはずであります。よつて特別地域の指定ということを早急に行つていただきたい。  第二の、組織、機構、人員整備についてでありまするが、総合調査立案につきましては、建設省を初め各官庁において、すでに調査済みのものがたくさんあるのであります。しかもその資料を早急に集めるとともに、その技術陣を高度に動員し、かつその調整を遂げ、結論を早急に出していただきたい。  第三は、事業施行の形態及び資金計画面の早期立案という上から見まして、公共事業費で行うか、特別予算科目を設けるか。または会社のごとき企業形態をつくるかという、実施上における企業形態に対しても具体的な案を早急におつくり願いたい。以上三件を御希望申し上げておきます。  時間が非常に過ぎましたので、午後の開会の都合もありますので、午後一時半から会議を続行することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  49. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 休憩前に引続きまして会議を開きます。  日程により住宅金融に関する件を議題といたします。住宅金融公庫の運営に関しましてはいろいろ非難されておるようでありまするが、最も大切な点は、あれほど要望せらた百五十億円の資金が国民にいかに利用されておるかという問題であります。この点を中心に公庫当局より運営の現況に関し説明を徴したいと思います。なお金融公庫よりの資金貸出し状況がどうも予想せられたよりはかばかしくないのは、貸付條件にむりがあるのではないかとのうわさもあるのであります。政府原案の修正に関しましては、本委員会におきましても相当検討せられたのでありまするが、諸般の情勢上原案のままとなつたのであります。いよいよ本法が施行せられました今日、政府当局においてはその改正等に関し何らかの腹案を持つておられることと存じますが、その点もあわせて政府側意見を徴したいと思うのであります。  本日本問題に関し政府側よりの出席者は、建設省住宅金融課長前田光嘉君、住宅金融公庫理師岡健四郎君、業務部長南部哲也君、建設指導部長山口登君の、以上四君であります。まず住宅金融公庫の現況について説明を求めます。師岡健四郎君。
  50. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 住宅金融公庫は六月の五日に設立になりまして、それからただちに諸般の準備を進めまして業務を開始いたしたのでありますが、第一回の受付は、東京、神奈川、大阪につきまして六月の二十八日に申込みの受付を開始したわけであります。その他の地域につきましては、七月の三日に第一回の受付をいたしました。それから引続きまして第二回、三回の申込みをとつておるわけでありますが、現在までに、申込みからいいますと、第一回の申込みが二万四千百七十八件、第二回が三万四千八百三十一件、第三回が二万七千二百九十五件、総計しまして八万六千三百四件の申込みがございます。なお引続きまして、第四回の申込みを受付けておりますが、この分は目下受付中でありますので、まだ報告なつておりません。金額にいたしまして百七十七億余万円ということになつております。そのほかに賃貸住宅を建てますためのアパートの会社その他の法人、この申込みがありまして、それが大体九千二百二十七件、金額にしまして二十九億一千余万円ということになつております。合計しまして、二百六億の申込みになるわけであります。で申込みに対しまして、金融機関におきまして貸付可能かどうかという信用調査をいたしまして、それにパスしたものにつきましては、公共団体へ設計申請をしてもらいまして、その設計審査に合格いたしますと、公庫の方におきまして貸付の決定をいたすわけでありますが、この設計申請を公共団体に対していたしましたものが、ただいまのところ一般申込分について申し上げますと、二万八千九百八十一件ということになつております。その金額は大体五十六億ほどになると思います。審査に合格いたしまして支所の方で貸付けてよろしいということになりまして、契約いたしました件数が一万一千百八件、金額にいたしまして二十一億ということになつております。なおただいま申し上げましたように、第四回の申込みも受付中でありますし、第一回、第二回、第三回分の契約の設計審査の申請もただいま公共団体に続々と出ております。まだその報告はございませんが、これをはるかに上まわるのではないかと考えております。受付を開始しましてから七、八、九、三月の大体の成績でございますが、さらに申込みも増加いたしましようし、さらに大体において事務処理の体制も整いましたので、だんだんに貸付の審査とか、あるいは設計の審査等も順調に参つておりまするので、相当に成績をこれから今までよりもずつと上げ得るのではないか。従いまして年度中には大体予定しました百五十億の予算を消化し得るのではないか。しかしこれにはいろいろの問題も含んでおりまして、こういう点は建設省、大蔵省とも十分に相談の上、公庫としましても、なお検討を要する点もありまして、相当努力を要する次第でありまするが、大体におきまして予定通り仕事が進むのではないかという見通しを持つておる次第であります。
  51. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 以上をもつて政府側説明を終り、質疑に移ります。
  52. 逢澤寛

    ○逢澤委員 この機会にちよつとお尋ねしておきたいと思いますが、建築をする場合に、官有地といいますか、公有地といいますか、公有地を拜借いたしまして、公庫から金融を受ける場合、その土地の所有者の移転登記とでもいいますか、そういうような要件がいるのだそうですが、ところがおそらくこの公庫から貸し出す家屋の中には、官有地といいますか、公有地といいますか、そういうようなものに建てる場合が非常に多いと思います。ところが、公有地といたしましては、移転する場合に、それを承諾する——貸すということは三十年とか五十年とかいう年期を切つて貸すのでありまするが、他に転売をすることに対しての承諾がなかなか困難だという実例があるのです。こういうような場合には、お互いに貸付住宅をやろうという趣旨から考えると、何とかお互いの官庁間において、そこに了解事項の必要があると思います。一応貸すというので貸しておる。ただそれを他にまた貸しをするということについては、官庁の取扱いとして、従来の慣例といいますか、何かの関係で、これが困難であるということはわかりきつておる、これは一応了承できる、しかしながら貸付をする場合においては一応貸すということで貸してあるのだから、公庫から建築資金として貸す場合の取扱いとして、官庁同士間で、この場合にはどういうようにやるというような了解を私はしておく必要があると思います。ところがその了解を本省の方で、あるいは中央公庫の方ではやつておるかどうか、あるいは地方でそれを知らないのであるかどうかということにつきまして、一応ちよつとお尋ねしてみたいと思います。
  53. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 お尋ねの趣旨がちよつと不明な点がありまするが、借地に対しては土地の資金は貸さないわけでございますが、借地の上に建てる建築に対しては金融いたします。ただいまのお話の点の、公有地に建てます場合は、借地であつてももちろんかまいません。ただ建物が移転した場合に、所有者がそれを承知しないという場合が起ろうかと思いますが、これらの点につきましては、なお当局と打合せしまして、何らかの解決をはかりたいと思います。
  54. 逢澤寛

    ○逢澤委員 土地の借地権は持つておる。借地権ある土地の上に建てるのです。その場合に金融公庫の方から言うと、貸付金を保全するために、もしそれを契約を履行しなかつた場合に、自分の方に沒收するというような関係上、その移転という必要が出て来ると思う。それは当然だと思う。しかし借しておる方の官庁、借しておる方から言うと、それは考えていない。今までの考え方からして……。ところがそれだけの親切味は私はあつてもいいと思う。それで今のお答えで私は大体了承するのでありますが、急速に実現をしていただきたいと思う。私は岡山県でありますが、岡山県にも二、三件それがあるらしい。だんだん私がそれを聞いて、これは何とかしなければ——おそらくぼくらのような立場の者が相当あるだろう。二十年という期限を付して官庁から借りておる。その上に建つておるのだから、官庁がこういうような事業をやる以上は、そのくらいの親切味があつてもいい。せつかく十数万円も出してやりかけた。やろうと思うとその判がないと借りられないということになると、非常に迷惑するというような例が、たまたま岡山県だけでも二件ある。この点何らかの方法で急速に解決をお願いしたいと思います。
  55. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私はちよつと遅れて参りましたので、当局の御説明を十分開いておりませんが最後の一点だけ聞いておりますと、大体予定通り貸付は終るもののような御説明であつたように承つたのでありますが、この現況の説明書によりますと、現在契約金額は二十一億七千七百万円になつておりますが、大体この契約金額は、契約が成立したということであつて、まだ、現金は支出してはいないのではないかと思うのでありますが、大体現在の社会情勢から申しますと、この公庫ができて以来、相当物価の値上りが行われて参りまして、当時の計画通りの予算では家が建たないという情勢があるように思うのであります。従つて契約は成立いたしましても、そこに契約通りその借りる方でも資金計画に狂いができまして、それを借りられないで中止するものもできるのではないかと思うのでありますが、そういう点の実情はどうなつておるか。あるいはそれの見通しはどうであるか。これをまず第一にお尋ね申し上げたいと思います。
  56. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 標準建築費のお尋ねだと思いまするが、実は東京について言いますと、坪一万八千円ということになつております。各地によつて違いまするが、大体これは公庫の発足当時におきましては、大体公庫が要求しておりまする建設基準によりまして、この建築費で大体足りるという考えでおつたのであります。しかしその後におきまして朝鮮事変等も起りまして、その結果多少建築費の値上りを見ておるというような状況でございます。この点につきましては、公庫としましても、十分に注意を拂いまして検討しておるのでありまするが、まだ現在の値上り程度におきましては、急速に今すぐにこの建築費を上げるという結論に到達しておりません。しかしながら最初に要求しました建設基準を相当緩和いたしまして、この建築費の値上りに実質的に対応しておるつもりでございます。
  57. 前田榮之助

    前田(榮)委員 そうしますると、ただいまのところでは、契約をしたものでも中止を申し出たものはないという情勢であるのか、あるいはまたもう一つは、大体この公庫が発足して計画を立てた当時と、現在の物価の値上りによるとろの建築費は何パーセントくらい値上りになつたとお考えなつておるのか。この点公庫の見解をお聞かせ願いたい。
  58. 山口登

    ○山口説明員 ただいま御質問になりました契約の問題でございますが、これは現在の單価で請負と建築費の相談がまとまりまして着手したものの契約でございますから、現在のところでは変更はございません。それから建築費のことでございますが、これは大体前に見積りました材料の程度からいたしますと、現在におきましては木材は約一割ぐらい上つております。それから屋根瓦等も上つておりまして、大体において一割ぐらいは上つておると思いますが、その当時考えました品質を落してやれば、現在の標準建設費の範囲内で何とかできるのではないかと思います。ただ初め考えました程度の品質のよいものをつくりますと、若干現在の標準建設費より上まわることになると思います。
  59. 前田榮之助

    前田(榮)委員 品質を下げるなんということはもつてのほかであつて、公庫の設立趣旨に反するものだと思うのでありまして、実際工費から資材の値上りということを考えますと、現実において発足当時の計画ではむりがあるということだけは間違いないと私は思うのであります。それに対する処置が行われぬということは、はなはだ不当だと思うのでありますが、これはまあさておきまして、こういう観点から考えますと、昭和二十六年度に政府計画されておるところの公庫の貸付金を、大体政府出資五十億、見返り資金の百億から百五十億を見込んでおられるようでありますが、政府におきましては、この二十五年度に行われた計画と同じような計画で二十六年度も行う御方針でありますか。これは公庫から御回答を得るのがほんとうか、あるいは建設省から聞くのがほんとうか知りませんが、いずれでもいいですから、その御見解を承りたいと思います。
  60. 前田光嘉

    前田説明員 計画のことでございますから、私の方から申し上げます。御承知のように、二十五年の初年度は百五十億円の資金で当初は八万一千戸という計画でありましたが、その後多少物価の値上りもありましたが、申込みの内容を見ますと、当初想定した以上に大きな家の希望者が多いのであります。平均十二坪で計算しましたが、実積を見ますと、十五坪か十三坪半くらいに上つておりますので、途中で計画が多少かわりまして、二十五年度は百五十億円をもちまして七万数千戸になるだろうと思つております。二十五年はそういう結果ですが、二十六年度はまだ予算が確定しておりませんので、確定的なことは申し上げられませんが、大体われわれが聞いておりますところでは、政府出資が五十億と見返り資金が五十億くらいだろうと思つております。こう考えますと、今年度よりは五十億ばかり資金が減りますので、おのずから戸数が減つて参ります。その点で今年より戸数において減つて来ますが、財政上その他の関係上今のところそういうことでございますが、ただこの公庫の戸数の面と同時に、ほんとうに、公庫の利用率、利用の仕方、だれがどういうふうに利用するかということをさらに検討いただきまして、できますならば、二十六年度からは今年の一年間の実績によりまして、公庫の利用の仕方を、もつと国民一般が利用しやすくなるように、具体的に申し上げますと、貸出し條件を緩和する方向に持つて行くことに重点をおく、その計画におきましては財政上の都合で今年は一応申し上げましたように、百億程度なつております。
  61. 前田榮之助

    前田(榮)委員 この際重ねてお尋ね申し上げておきたいのは、この公庫法が本委員会で審議をされる際においても、委員全体の意向といたしまして、貸付け條件に対する修正意見がまとまつたのでありますが、当時関係方面の了解が得られず、現公庫法のようなものにまとまつたのであります。国民全般の声といたしましても、公庫法が成立いたしまして、この発足が行われましても、最初国民の期待したほどの制度でなかつたということに、国民は非常に落胆しておるようでありまして、これは單に国会においての意見のみならず、住宅対策審議会意見書を見ましても、やはり国会の意見と同様な意見が述べられておるのでありまして、これは国民全般の識者を加えての意見であつたのでありますが、問題はそうなりますと関係方面の了解いかんということが問題になると思うので、関係方面の了解さえつけば、国会も承認できることでもありますし、政府もその意図をもつて行われることになると思うのでありますが、関係方面と現在までにそういう点での交渉を行われたかどうか、また行われたとするならば、その交渉経過の概要をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  62. 前田光嘉

    前田説明員 まつたくただいまお話の通りでありまして、せつかくできました公庫が当初原案ができまして、内容がわからなかつたときほど、すべての人の期待がなくなつたと申しますか、できてみると、なかなか利用しにくいというふうな声が出ましたことは非常に残念であります。その一番大きな問題は、頭金と申しますか、自分で負担しなければならない額、これが公庫法では二割五分となつております。この額が七、八万円から十万円近くになりますので、ほんとうに住宅に困つておる人、特にサラリーマンの申込みが多いのでありますが、サラリーマン階級ではとても七、八万円の金は一挙になかなか出し切れません。このために公庫を利用したくても利用できない。先ほど逢澤さんからお話がありましたように、一応申し込んで来たけれども、いよいよ具体的に建築の設計書をつくる段階になりまして、初めて自分の出す頭金の二割五分が高いので、その調達に非常に奔走しておつたがうまく行かぬというので、実際に契約まで行つたものが少いという結果になつておりますが、この点はその後だんだんと関係方面と話合いをしております。日本の例だけではいかぬと思いまして、世界各国の例を調べました話もいたしましたが、幸いこの点は了解が大体ついたといいますか、向うの意向もわかつて来まして、二割五分は日本の現在の住宅に困つておる人から見て困難であろうと一応考えられる。八割五分ぐらいまでならば、緩和してもいいじやないかということを漏れ聞いております。これもまだ正式に回答はございませんので、具体的にはどうなるかわかりませんけれども、一応係の意向として、その程度ならば緩和してもいいのじやないかということを聞いておるのであります。もしこれができるとすれば、非常に利用がしやすくなるだろうと思います。  その次の問題は毎月の負担でございます。毎月の負担と申しますのは、利率と年限にかかつて来ます。そのうちの利率の点につきましては、最近預金部の利子も六分にきまりましたし、一般の金利も下つて行く傾向にございますし、大体世界の、アメリカもそうですが、非常に利子が低いのでございます。ところが日本におきましては、まだ一般に利子が高いことと、現在五分五厘以下の低い利子はちよつと考えられませんので、これは非常に強い意見を持つておりまして、なかなか困難でございます。しかしこの利子を下げませんと、毎月の負担も重く、あとで申しますアパート会社の経営が非常に困難になる。その二点から申しましても、何とか利子を下げたいと思います。これはまだ全然向うの方は何ら解決の見込みがあるような回答を得られませんけれども、なるべく早い機会に少しでも下げていただくようにしたいと思います。年限につきましても、大体利子と同じように、特に緩和しそうな意向はありませんけれども、これは利子よりも多少見通しがあるのじやないか。木造の場合につきましても、アメリカでも二十年資金を貸しております。なお鉄筋コンクリートのビルデイングにつきましては、七十年、八十年の金を貸しておる実例がございます。その例をお話し、それからいろいろ日本の住宅の経営の実情なり、一般の住宅ないし国民大衆の生計費のことを詳しく話しますれば、理解ができるだろうと思つて今努力しております。できるだけ早い機会に話会いをつけまして、もし一部でも改正ができますならば、さつそく原案の修正をいたしたいと思つて、ただいま日々機会をつかみまして折衝中でございます。
  63. 前田榮之助

    前田(榮)委員 もう一つお尋ね申し上げておきたいのは、この物価の値上りによつて、当初の計画通り行きにくいものの中で、最も影響の大きい問題は、いわゆる貸家を営むための法人に対する融資でありますが、自己住宅を建てる場合においての問題は、いろいろ工面もいたしましようけれども、法人に対する融資は、物価の値上りによる採算不能という点が、一大支障になつて来るのでありまして、これは條件を下げて建るとかなんとかいうくふうに参らぬのでありまして、おそらく私は今のところこの方面の融資は、一大支障を来しておるのではないかと思うのであります。世間のうわさによりますと、こういう方面のもので今いろいろ画策しておる連中の中には、非常な不純なものがあるといううわさまで飛んでおるようなことを耳にするのであります。これは事実か事実でないかは、私まだそこまで調査いたしておりませんが、そういうことでありますならば、この公庫の設立の方針に反し、一大問題であると思うのでありますが、現在までにこの方面の御予定はどうなつておるか、予定通りやはりそういう方面の契約が行われておるか、どういう状態で行われておるか、これがおわかりになればお示しを願いたいと思います。
  64. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 アパート会社の申請は、先ほど金額にしまして約二十九億あると申し上げたのでありますが、件数にしまして約三十件近く出ております。それでただいまお話の点でありまするが、その後申請に対していろいろと調査いたしまして、大体計画が妥当であるので貸し付けてよろしいという承認をいたしましたのが相当数になつております。調査中のが数件でございますから、大部分は承認しております。これはすでに工事に着工しておるのもございますし、まだ着工しないのもあります。工事に着工するには契約に付するのでありますが、その場合に、今の値上りの問題もあります。この状況は、まだ承認して間もないのでありまして、十分にわかりませんが、場合によるとそういう事態も出るのじやないかと思います。そういう場合には、貸付高はただいま一坪三万円でございますが、これを上げるという問題も出て参ろうかと思います。しかしこの点は、先ほど金融課長からも話がありましたように、家賃計算にただちに響く問題でありますので、そういう点を実は先に解決して行かなければならぬと思うのでありますが、いずれにしましても、契約をいたします場合に、三万円ではどうしてもできないというような事例がありましたら、これはある程度考えなければならぬのじやないかと考えております。
  65. 前田榮之助

    前田(榮)委員 このアパートの問題につきましては、今お話のありましたようなことで、私はこれを運営して行く点において、将来十分警戒、監督しなければならぬ問題ではないかと思うので、ひとつその点は特に御注意を願つておきたいと思うのであります。貸付契約しても、その方の資金のために、十分計画通り行わないで、それを他の方面に流用するなどというようなことが行われるのじやないかというようなうわさまで飛んでいるわけでありますから、この点は特に公庫といたしましては、愼重な態度で御注意を願いたいと思うのであります。従つてこうした方面の採算につきましては、非常に困難な状態が出て来るので、本委員会でたびたび問題になりましたように、この公庫法を改正いたしまして、公共団体等に十分これを活用せしめるような方途を講ずべきものではないかと私は考えるのでありますが、そういうような御意思があるかどうか。  またもう一つは、現在の月々の家賃の負担ということでは、とうてい一般庶民階級の利用は困難なことだと思うので、これは他の方面から、政府は家賃の補助などというようなことをも考えなければならぬのじやないかと思いますが、これはただ單に公庫として行うということは、困難な事情もあると思うのでございます。大体この公庫の主管省といたしましては、建設省が主となつておられるようでありますが、厚生省が今後こうした生活困難な者に対する住宅の供給というようなことを考えなければならぬのじやないかと思います。ことに最近戰災都市の復興等において、いろいろ区画整理が行われ、住宅の移転等が行われる際におきまして、現在の状態では、自分の住宅を移転しなければならぬが、次に住宅を求めることは非常に困難だ、またそういう住宅は、個人住宅でなしに借りた住宅で、前は安かつたけれども、今度入る住宅はたいへん高い住宅へ入らなければならぬというようなことのために、生活困難者がどんどん出て来るという情勢であるように見受けるのでありますが、こういう問題等について、建設省は厚生省との間で、こうした人人のために、何か処置をしてやるというようなことのお打合せ等が行われたことがありますかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  66. 中田政美

    ○中田説明員 生活困窮者の住宅対策ということは、窮極においては低家賃ということになるわけであります。生活困窮者という中にもいろいろございまして、今までとつております住宅対策は、いわゆる二分の一の補助をして、公共団体をして、勤労大衆で比較的收入があまり多くないというような人のために、間接的には一種の実質補助になるわけでありますが、建築費の二分の一を政府で補助して公共団体に建てさせる。この政策は困窮者という意味ではありませんが、普通の観念から言えば、コストを割つた家賃ということで、一般の勤労大衆の便宜をはかるという政策をとつておるわけであります。厚生省の方で要望する、いわゆる生活困窮者のうんと安い家賃の家がほしいということについては、わわれれも耳にいたしておりますし、相談もいたしておりますが、しかしここで考えなければならぬのは、いわゆる生活保護法の対象になるような、いわゆるカード階級の住宅の問題につきましては、生活保護法による生活保護費の住居費の標準が非常に安いのでございます。どう考えても今日の時勢に合わないような標準になつておるわけでありまして、厚生省としては、まずその大筋の生活保護法の住居費の標準を少し上げたらどうかということを、われわれは要求しておりますが、なかなか思うにまかせないということもあるらしいのでございまして、ごく安い、ごく狭い家を建ててこれらの者に供給したいという要望も、その生活保護法の住居費の標準が安いというところに原因があるわけでございまして、これも同時に考えなければならぬと思います。しかしながら現実の問題としてそういう階級の人方に、狭くても安い家賃のものを供給したいということについては、われわれも同感でございます。しかしながら一般の住宅政策には、これは一種の例外になるわけでございまして、それかといつてすぐこわれるような家を建てるということは、これはもう住宅政策から言つてよくないことでございまして、国民経済から言つても不経済でございます。質は落したくない。そうしますと結局においては、坪数をなるべく圧縮して、狭いところでがまんしていただくという意味で、家賃を下げるということが一番妥当ではないか。従いまして従来十坪あるいは十二坪等の家を建てておりますが、さらにくふうをこらして、生活の内容はあまり落ちないけれども、狭くても合理的に住めるという家を考案いたしまして、たとえば七坪か八坪ぐらいのそういうものをくふういたしまして、そうして家賃を下げるようにして行くということは、この庶民住宅の建設計画において十分ひとつ取入れて、厚生省側の御要望にも沿いたいとせつかく勉強いたしておりますので、さような対策でしばらくひとつやつてみたい、こう考えております。
  67. 逢澤寛

    ○逢澤委員 住宅金融公庫に対する融資の申込みは、先ほどの御説明によりまして予定の百五十億を超過したそうでありますが、実際の建設状況はなかなかはかばかしく行つていないように伝えられておるのであります。しかしそういうような結果から相当多額の資金が未消化に終るのではないかということがわれわれ心配の一つなつておるのであります。そこで公庫の首脳者の方々は、私どもが考えておるこの未消化になるという不安を感ぜられておるか、おらないか。感ぜられておるとすれば、未消化資金がどのくらいになるだろうかというような大体の見当がありますか、ありませんか。ありますならば、この未消化分に対するものをどういうふうな方面にお使いになるか、こういうことについて御尋ねいたしたいと思うのであります。たとえば未消化金に対しては、個人建設がなかなかはかどらぬといたしますならば、特殊団体によるあのコンクリート・アパートのようなもののわくを増大して資金消化をはかるとかいつたような一つ考え方がありはしないかと思います。その考えがありますれば、この際ひとつお伺いしてみたいと思います。
  68. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 未消化の問題につきましては、先ほど申し上げたわけでありますが、実は私どももちろんこの点は相当努力を重ねなければいけない問題だと考えております。この点につきましては、言うまでもなく頭金の問題や、あるいは土地がきまらぬというようなことで足踏みをしている人もあるわけであります。また公共団体の事務の処理が従来から円滑を欠いておつたというような点もあろうかと思います。こういう点につきましては、法律改正を要する点はさておきまして、公共団体の事務処理状況等につきましては鋭意連絡いたしまして、非常に成績を上げて参つております。御参考にちよつと申し上げますと、東京事業部でございますから、関東地方一円と、長野、新潟等が入りました管内、これで申しますと、最初のスタートにおきましては非常に申込みをしたが、実際は着工が少なかつたわけであります。だんだんそれが上つて来ております。数字的に申しますと、初めの十日ごとに統計をとつてみたのでありますが、最初の十日間におきましては、一日平均件数にしまして実は〇・三件というような状態でございます。その次の第二旬におきましては、一日の消化件数が十件、それから第三旬におきましては、一日平均二十六・七件でございます。それから第四旬におきましては六十四件、第五旬におきましては八十九件、第六旬におきましては百四十一件、これに伴いまして、もちろん金額も非常に急速に累増しておるわけであります。公庫発足以来、先ほども申しましたように、実はまだ三月でありますので、申込みはすでに三百億を突破しておるのでありますが、この消化が全体としましては二十数億であるというような状況でありますが、ただいま申しましたように、漸次公庫並びに住宅金融機関、あるいは事務を委託しておりますところの公共団体の事務処理の状況も順次順調になりますし、またとりあえず申し込んでおつた、そういう連中の準備も漸次整いまして、あとになるほど非常に成績が上つてつております。さような状況でありますので、いろいろ問題はありますが、大体年度内には百五十億消化できるのではないか、ある程度の不安は持つておりますが、一応そういう予想を立てておるわけであります。もちろん今お話になりましたように、なお第四回の申込みも引続きとつておりますし、それから公共団体その他の計画いたしますところのアパート会社の建設も、いろいろと相談に応じまして進捗して参りたい、かように考えております。
  69. 逢澤寛

    ○逢澤委員 先ほど申し述べましたように、住宅金融公庫による建設が、私どもが考えておつたようにはかばかしく進まないということは、結局貸付條件にも若干のむりがあるのではないかというようなことはお考えにならないだろうかということに疑義を持つのであります。この委員会におきましても、すでに若干この貸付條件にむりがあるのではないかというようなことも考えられるのでありますが、政府当局は今までの実行過程においてそういうことを考えられたか考えられなかつたか、もし考えられたとすれば、これを改正する考え方を持つておられるかどうか、しかしながらこれは、進駐軍との関連のあることでありますが、この方面に対しましても了解といいますか、いろいろの打診をされたことがあるかないかということにつきましてちよつとお伺いしたい。
  70. 前田光嘉

    前田説明員 御指摘の通り申し込んでみましたが、それが具体化するまでに時間がかかつておるということは、やはり公庫の條件が具体的仕事が進んで来るにつれて、身にしみまして出ることと思います。今までいろいろな方面、経験者の意見を聞きますと、まず頭金が二割五分で高いという点と、利率、償還期間をもつと緩和してもらいたいという点、それから手続が非常にめんどうである点、それから建設基準、建物の基準が相当嚴格であるというような点で非常に利用しにくいということを聞いております。二割五分の頭金のことにつきましては、先ほどお話いたしましたように、できるだけ近い機会に関係方面の了解を得まして、これを一割五分なり、あるいはもう少し一割にでも改正をいたしまして、当初の頭金を少くすることによつてスタートをしやすくしてやる。それから利率、償還方につきましては、これは現在の利率、償還期間より以上に緩和された金融というのは考えられないというような見地から、修正は相当困難と思いますけれども、せつかく努力いたしまして、できるだけそういうようにいたしたいと思います。  それから手続の煩瑣な点につきましては、これは不動産金融である関係上、やむを得ないときは登記をするとか、公正証書をする点とかございますが、できるだけ簡單にいたしまして、窓口もなるべく開放いたしまして、敷居をなるべく低くするということに努力中でございまして、ただいまのところある程度すでに実施をしております。それから建設基準につきましても、目的法律にありますように健康で文化的な家をつくる必要がありますが、それ以上に要求する点がありますならば、公庫といたしましてはなるべく一般の法律に従う、先般改正していただきました建設基準法に従つてやるというにとになりますので、その点のめんどうさもなくなると思いますから、結局法律の改正によりまして頭金と、それから貸付利率、償還期間というものが緩和されることによつて、はるかに公庫の利用率が高まると期待しております。
  71. 逢澤寛

    ○逢澤委員 今次の二回にわたる台風によりましても、住宅の被害は相当甚大のことを報じておるのでありますが、これは結局戰争以来の補修、修繕を怠つてつたことと、終戰以来建てました建物がにわかづくりの関係上、非常におそまつな質の低いものが相当あつたことに原因すると思うのであります。先ほど次官からもお話がありましたように、相当質のいいものをつくらなければいかぬということは、そこから出て来ていると思う。しかしながら被害はすでに大きく受けておるのであります。そこで公営住宅の中にもこういうような質の悪い住宅が少くないと思うのであります。すでにこれらが建てかえの時期に達しておるものがあると思う。それから都市計画の進捗に伴いまして、街路や公園の予定地などに建てられたバラツクなどは、取拂われねばならないものがたくさんあるのです。また取拂つていただきたいというものがあると思うのです。それから災害地には罹災者の応急收容施設が喪失戸数の約一割を目標として建設されておるそうでありまするが、これは半年か一年の後には恒久的の公営住宅に切りかえてもらわねばならないように考えている。これは急速に一時のがれのものをこしらえておるものでありますから、なるべく早く恒久的なものにかえてもらわなければならぬというように考えております。この対策として公営住宅の建設が最も必要であるのでありますが、特に負担力の低い者並びに被害者に対しては特別の措置が講ぜられねばならぬと思います。政府はこういうような場合に対して、家賃の補助を行う意思があるかどうか、あるいは建設人に対して現在以上に高率の補助、たとえて申しますならば国で八割とか、県、市で苦干を負担いたしまして、家賃を引下げる用意があるかないか、少くとも来年度におきまして、低收入者のために住宅の必要戸数を調査して、基本的な対策に資するという調査費が予算で組んでありますかどうか、その点につきましてお伺いいたしたいと思います。
  72. 中田政美

    ○中田説明員 戰後建てた家が非常に被害をこうむつたことは、はなはだ遺憾の至りでございますが、何しろ資材の不足しました終戰直後の公営住宅は、今日の場合から見ますと、まことにおそまつ至極でございまして、過般の風水害には相当被害を受けております。これにつきましては公営住宅の災害復旧として、いずれ臨時国会等で御審議を願う補正予算で災害復旧費の増額をもちまして、その中から所要の金を出してもらうようにせつかく折衝いたしておりますが、この中にも一部分の修繕で済む場合もございますが、しかしながら風水害で家を壞され、あるいはすつかり流されてしまつて、自分の資金で建てられぬ、あるいは公庫から借りて建てるだけの二割五分の頭金すらないという階級も相当ございますので、この災害対策として新たに庶民住宅を建てるということについても、若干の用意をするように関係方面と努力いたしております。従いましてこれらの対策によりまして、ある程度災害を受けた人にも住宅問題に資するところがあろうかと期待しております。来年の予算の問題につきましては、まだいろいろと折衝過程でございますので、本きまりになりませんので、住宅の戸数その他内容については目下種々調査をいたしておりますが、前段お述べになりました低收入者に対し、家賃の比較的安い家を建てることについても、坪数をもう少し圧縮して家賃をなるべく下げて行くという方法を織込んで行きたいと考えます。
  73. 逢澤寛

    ○逢澤委員 住宅政策の一元化につきましては、先ほど前田さんからもお話があり、また次官からも回答があつたのでありますが、その際厚生省でも低收入者に対する住宅建設に対しては一つ考え方を持つておる、こういうお話であつたのであります。しかし私どもは一元化の明確化をはかる意味合いにおきまして、そこで低收入者、いわゆる生活保護の適用を受けるような階級に対するもの、それから今災害云々というのがありましたが、そこらのものとはきわめて不可分の関係を持つて来ると思うのであります。そこで私は住宅政策の一元化という意味合いにおきまして、建設省と厚生省がいま一般の話合いを遂げられまして、そこに明確なる方法をとつていただきたい。願わくは厚生省とのいろいろのお話合いによりまして、住宅一元化の実施ができるようにやつていただきたいことをお願い申し上げまして、私の話を終ります。
  74. 田中角榮

  75. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私はもういろいろお話もありましたので、簡單に要望だけ申し上げておきたいと思います。  大体この金融公庫法を審議いたしますときに、この法律の制度はきわめてよろしいけれども、羊頭を掲げて狗肉を売るようなことになりはしないかということを私申し上げたのであります。悲しいかなその通りなつておる。その当時、この制度はよろしいが、制度の内容が悪いということで、貸出率をふやさなければならない、利率を下げる、年限を延ばす、その他事務を最も簡素にして、これを高度に利用されるようにしなければならないということで、本委員会といたしましても、最大の努力をいたしたのでありますけれども、不幸にして現在の法律なつておる。そこでこれをどうするかということについては、現在それぞれ当局の方で御盡力をされまして、この制度の悪い点は十分にわかつておるわけでありますから、これを云々は申し上げません。ただ先ほど師岡理事の方からは、大体百五十億年度内に消化する可能性があるということを言明されましたので、それをぜひ遂げていただきたいということを申すのであります。  現在この表にあります通り、二十一億幾らの契約金額が出ておりますけれども、現金はそれほど出ておらないと思うのであります。そこできわめて小さな実例を申して失礼でありますが、私は宮崎県でありますので、宮崎県の例を申し上げます。今度帰りまして、住宅金融公庫というものは、あれは何のためにつくつたのだということを言われまして、私ども現在の実情を見まして、答弁に困るような実情であつたのであります。そこで大体銀行の取扱いが悪いのじやないかと思つて——都城市内の実例だけを申し上げます。日向興業銀行の都城支店というところで扱つておりますので、一体銀行でむずかしいことを言うて、出さないじやないかと言つたら、とんでもない。大体多くの申込があつたが、いろいろ審査をいたして、六十七件福岡の金融公庫の支所へ一切の書類を完備して出してある。ところが今日まで一銭の貸出しを許されておらない。それでこの表は十月十日でありますが、大体十月八、九日ごろであつたと思いますが、ちようどその日に、しかしそれほどの緊急を要する住宅金融公庫の仕事について、銀行は一向熱がないじやないかということを申し上げましたところ、係の人は、もう一箇月以上にもなるので、もちろんこれはりくつから言うと間違いであるかもしれませんけれども、着々工事を始めておる。ところが請負の方では金が来ないので、途中で工事を中止して、非常に困つておる。家を建てる方も困るし、工事をする方も困つておる。銀行としてはたびたび電報で催促しておるけれども、それに対して一言の返答もなくて今日になつている。ちようどそういうことを言うておりますときに、六十七件のうち、三件だけ貸出してよろしいということが、福岡の方から連絡があつたという状況であります。もちろんそれは貸出してよろしいという通知だけで、一銭も出ておらないという実情であります。そこで銀行としては、請負者が非常に資金が困るので、銀行自身が公庫と全然別に、それを一つのひもつきという考え方から出しておる実情である。こういうお話であつたのであります。先ほど師岡理事のお話では、だんだん成績が上つておる統計を示されましたので、成績は上つて来るとは思いますが、現在さような実情で、全国的にこの金融公庫制度に対しては、非難の声が強いということは御承知だろうと思いますから、繰り返しませんが、どこにさような手続のむずかしいところがあるのか、私十分承知いたしませんけれども、この制度がきわめて不円滑であるということは事実であります。もう少し事務を早くして、せつかく利用されるように、特に物価が上りかかつておりますので、非常にみなあわてておりますから、もう少し親切にと申しますか——親切にやつておられるとは思いますけれども、結果において不親切に相なつておりますので、どうかひとつ最大の努力をしていただきたい。中央ではよく考えてもらつておりますけれども、すべての政治がさようでありますが、末端の方はきわめて不円滑になつておつて、制度の根本自身を攻撃するというのが、現在の日本の政治の大方であります。この制度に関しても、どうかひとつ末端の方を十分督励していただきまして、本委員会でもあれほど心配をしており、せつかくよい制度としてできたのでありますから、なるほどこの制度はよいのだということが国民に徹底するように、担当の係の方が努力していただきますことを、私要望いたしておく次第であります。
  76. 中田政美

    ○中田説明員 私から一言だけ御指摘の点について申し上げておきたいと思います。確かに公庫発足以来まだ期間も短いのでございますが、なかなか思うにまかせぬ点がありまして、必ずしも国民の期待に沿うていないことを率直に私は遺憾に存じております。建設省といたしましても住宅金融公庫に、あらゆる機会においてこれを改善し、また国民の期待に沿うように、敏速適正にやつてもらうように、御注意を申し上げておるわけでございますが、この中には公庫自体の責任に期すべからざる制度上の問題もございます。また公庫といたしましても、非常に手不足のために、心はあせつても、なかなか思うように手足が動かぬということもございます。ことに手続上の問題につきましては、いろいろと意見はありますが、何といつても金融機関と県庁の二本建で、二筋道を歩んで、それを一本にしたところで金が出るというので、なかなかここにむずかしい点がございます。それらを考えまして、まず今のところにおいては、公庫で一生懸命に勉強していただいて、現行法のもとにおいても、ある程度の成績を上げてもらうようにする。建設省におきましては、過去数箇月の実績に照らしまして、また初めから無理だという問題もよく承知いたしておりますので、制度上の問題、手続上の問題等につきましても、次の国会等にはこれらの改善案を御審議願うようにぜひしたいということを申し上げまして、いろいろの御指摘については十分われわれも心して、今後遺憾のないようにやつて行きたい、こう考えております。
  77. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 福岡の問題で、はなはだ恐縮いたす次第でありますが、実は今次官からもお話がありましたように、公庫も非常に手不足でありまして、非常に勉強をいたしておるつもりでございますが、福岡支所も、支所全体で六人の職員でやつておるようなわけであります。ただいお御指摘のような点は、私どももある程度承知しておりますので、この十月から本部の職員が全部手わけをして各支所へ参りまして、そういう事務の澁帶がないように督励をいたしております。目下総裁が福岡へきようごろ着いておる予定でありますが、参つておると思います。
  78. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ちよつと簡單質問したいのですが、銀行と県庁と二本建でやるがために、手続上非常に複雑な問題が起る。こういうわけですけれども、銀行でどういうわけでそんなにやかましいことをやるのですか、ちよつと納得が行きませんのですが、あなた方の調べたところで、こういうところにあるのではなかろうかというところをお答え願いたいと思います。
  79. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 銀行の貸付承認予定通知でございますが、これは今まで聞いておりますところでは、そうむずかしいことはございません。大体償還額に対しまして七倍見当の收入があればよろしいということで、申込み者について調査しておりまして、その結果、貸し付けてよろしいということをきめるのでありますから、銀行において非常にめんどうだという話はないと思います。
  80. 池田峯雄

    池田(峯)委員 たとえば公庫から銀行を通じて貸付をやる場合に、その金はまだ貸しつけるか、貸しつけないかわからないうちに、一定限度の金を銀行に前渡ししておくというようなことはないのでしようか。
  81. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 貸付がきまりまして金が出るわけでありますが、現在すでに、ほんのわずかでありますが、必要な貸付金額は銀行に預託してございます。
  82. 池田峯雄

    池田(峯)委員 銀行へあらかじめ預託してあるのは、百五十億のうちどのくらいのパーセンテージになつておりますか。
  83. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 大体十二億くらい今預託しております。
  84. 砂間一良

    砂間委員 天災等の、災害のために住宅を喪失したという者に対する貸付の場合、公庫の運営上何か特別の措置を講じてやるというふうなことはやつておられるか、おられないか。あるいはそういうことはできるのか、できないのかということをお尋ねしたいのです。これは單に、一般に住宅難というだけでなく——いろいろな事情によつて家がない人はたくさんあると思うのですが、思わぬ災害によつて、自分の過失とか、あるいは自分の意思に基かない、台風だとか、あるいは火事だとかいう災害で家を失つた、その場合、財産的な大きな損害も受けるわけでありますが、いろいろ商売をやつて行く上においても、まず家が必要だ。たとえばせんだつてのジエーン台風で関西方面で罹災された方々なんかに対して、住宅建設について申込みがあつたという場合に、何か特に條件を緩和してやるとか、あるいは優先的に扱うというふうな、そういう措置は講ぜられないものかどうかという点です。
  85. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 ジエーン台風の対策は一応研究いたしたいのでありますが、ただいまの頭金のような問題につきましては、これは法律改正を要するので、できなかつたのでありますが、その他の手続につきましては、できるだけ便宜をはかつてやるようにということを申しております。ただ頭金のない人たちに対しましては利用ができないことになるのでありますが、これは預金部等から貸出しができればいいのでありますが、その話はまだきまらぬのじやないかと思います。
  86. 砂間一良

    砂間委員 なお住宅の維持補修について公庫の金を利用するということは、公庫法の法律の建前からいえばできないことになつていると思うのです。しかも実際の場合は、先ほど前田委員の方からも御意見がありましたように、戰時中いろいろな資材の不足なんかで応急的な、バラツク的な建築をやつたため、非常にいたんでおるわけです。そういうものをここで手を加えて修繕しておけば、まだ十年や十五年は使えるというのがあるわけですが、そういうものに対して金融的な措置が非常にむずかしくなつておるわけです。金融公庫の建前からすれば、新しく建築するというものだけに限られておるのでありますが、しかし今日の住宅難を緩和するためには、そういう方面の維持補修ということもめんどうを見てやることが必要ではないかと思うのですが、この点について建設当局として公庫法をそういうふうに改正するか、あるいは別途に維持補修についての金融的な措置を何らか考えておられるかどうかということをお尋ねしたい。
  87. 前田光嘉

    前田説明員 御指摘の点ごもつともでございまして、事務的には、二、三年前からそういう補助金と申しますか、考えたこともございます。金融公庫でこれをやるという案で研究しておりますが、公庫法の改正によつてつたがいいかどうかというところまでは、まだ検討しておりません。もしこれを公庫でやつた場合には、その査定が非常に困難になります。新築でありますと割合にその審査も簡單でございますが、修繕の程度で建築の査定ということは相当困難になりますので、この少い、しかも貴重な金が流れるという流れ方につきまして非常に見方が困難になりますし、むしろ弊害が伴いはせぬかということも考えますので、実は目下研究いたしておりますけれども、これを近い機会に法律の改正によつてお願いするかどうかということまでは結論は出ておりません。しかし維持補修について何らか特別の措置をしてやる必要があるということは、私どもとしても痛感しております。
  88. 砂間一良

    砂間委員 その点ぜひ真劍に取上げて考えていただきたいと思う。  その次にお尋ねしたい点は、公庫の余裕金の運営についてですが、百五十億の出資金をもつてスタートしたわけですが、そのうち契約済みの金額は、先ほど御報告がありましたように、二十一億ということになつております。しかしこの契約済みの二十一億も、一ペンに前渡ししてしまうのではなく、何回にもわけて、棟上げしてから第一期の金を渡すというようなことになつておりまして、大部分の金が遊んでおるわけだと思うのです。そのうち十五億はあらかじめ銀行に預託してあるといたしましても、百数十億の巨額の金が一応余つておるわけだと思いますが、その資金の運用はどういうふうになされているかということについて御説明願いたい。
  89. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 ただいままでに出資を受けました金額は、財政支出におきまして五十億、見返り資金におきまして二十六億四千万円かでございます。七十六億四千万円ほどでございます。ただいま御指摘の通りこの余裕金の運用でございますが、これは国債等を買いつけまして、そして有利な運用をはかつているわけです。ちよつと数字を本日持つておりませんので、正確な数字は申し上げられませんが、国債を買入れまして、そして有利な運用をはかつているという状況でございます。
  90. 砂間一良

    砂間委員 先ほどの住宅の維持補修の点とも関連いたしまして、この余裕金を三月とか、半年というように短期間貸しつけてやつて、いろいろ修繕させるとかいうような方面には運用できないものですか。
  91. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 この運用利子は、予算の上におきまして、公庫の事務費その他に入つておりまして、ただいまの補修の用にまわすということは法律関係もありまして考えておりません。
  92. 砂間一良

    砂間委員 それでは、その次にお尋ねしたい点は、これは先ほどから問題になつておりますが、低收入者、低所得階級の住宅のことについてであります。私どもはこの公庫法が審議されるときからいたしまして、こういう法律をつくつても、今ほんとうに家がなくて困つている勤労階級の住宅緩和にはならないということを強く主張したのであります。当時当局の方の説明を承りますと、これは中産階級以上の住宅の供給ということをおもな目途としておるのであつて、それ以下の人たちのことは別途に考えておるのだという説明つたのです。しかし今一番住宅難で困つておる人は頭金もなければまた償還能力もないような、そういう階級の人であります。一例をあげますと、たとえば九月二十四日の毎日新聞に、厚生省の発表の数字として出ておりますが、今なお壕舍生活あるいは神社や寺の軒に住んだり、あるいは傷痍軍人で病院へ入つていて、大体病気は全快したけれども、家がないために出られない、こういうふうな人たちが五十四万三千人おるということが言われております。これはほんの極端な一例でありますけれども、その他に工場に行つたり、いろいろ働いておりまして、そうして住宅がない、非常に悲惨な生活をやつておる。しかし自分で建てる能力もなければ、また借りて家賃を拂う能力もない、こういう人が全国では非常にたくさんあるわけなのです。こういう階層の人たちの住宅問題の解決を、この金融公庫法とは別にどういう政策方針をもつて解決されようとしておられるのかということについて、建設省の御見解を承りたいわけであります。
  93. 中田政美

    ○中田説明員 公庫の対象が、一般大衆よりやや上の階級になるというのは、いずれにしても金を貸してとろうというわけでありますからどうしても中産階級以上になることになるのは、これまたやむを得ぬことであります。今御指摘のように、それ以下の勤労大衆については、将来の償還能力なり頭金の問題からして、てんでこれは問題にならないわけでございまして、そういうことは望ましいのですけれども、実際においては公庫の対象にはなり得ない。そこで建設省におきましては、住宅政策とじて、その一般の大衆を相手とする庶民住宅をどうしても建てなければならぬ。従いまして住宅金融公庫ができましても、従来いわゆる低家賃の住宅として政府が建設費に補助をして、そうして市町村で経営させるという、いわゆる貸家住宅の建設は、どうしても続けなければならぬ。さらに続けるどころではない、これまでの金はなかなか財政上の都合で出ないが、どうしてもこれは相当量やらなければならぬという意味からいたしまして、公共事業の中で住宅建設費の補助をやはり続けておるわけでございますが、来年度におきましても、この方針はさらにでき得れば強化して、相当量の住宅を供給したい。なおこれは建設省一つの予算要求でございまして、はたしてこれが通るかどうかまだ未定でございますけれども、ごく低額所得者に対して低廉な家賃の家をつくるためには、どうしても公共団体の負担能力ではできないということもございますので、できれば国営住宅を建てて、それによつてまず四百円くらいまでの家賃のもので、ひとつそういう階級を相手にしたアパート式のものを建てたらどうかというので、構想を練りまして国営住宅という建設費を要求しておりますが、従来の二分の一補助による住宅、いわゆる庶民住宅については、もちろんこれは相当量認めてもらえる見込みがございますが、ただ金額国費でもつてごく低家賃の住宅を建てるという新構想につきましては、いろいろと安本その他でも意見がございますので、これはまだはつきりきまつたわけでもございません。いずれにいたしましても、公共事業による貸家住宅の供給につきましては、お説のような低收入——まあ貧困者と言わぬまでも、低收入の人に低家賃で小さいながらも、しつかりした住宅を供給したい。これにはせつかく努力したいと考えております。
  94. 砂間一良

    砂間委員 二分の一国庫補助による公営住宅でありますが、これを来年度においてもつと大きくして行きたいと言われる方針はけつこうだと思いますが、しかしこれは本年度、二十五年度の予算を見ましてもごくわずかなのであります。一昨年はたしか二十四、五億だつたと思いますが、今年度は三十一億、しかし一方においては住宅公庫に百五十億を出しておきながら、そういう公営住宅の補助は三十一億しか出さない。これはむしろ逆にして、公営住宅の補助金の方を、住宅公庫の出資金において百五十億も出すなら、公営住宅に二百億も三百億もやつて、庶民階級の住宅難を緩和するというふうに努力していただきたいと思います。少くとも国の方針としてはそういうふうにやつていただきたいと思います。しかしその場合においても、やはり地方公共団体の二分の一の負担ということが、今日の地方財政の現状をもつてしては非常に困難になつておるわけであります。また借りる方の側といたしましても、公営住宅の家賃は相当高いのでありますが、その高い家賃の上に固定資産税までおつかぶせられて行く。この公営住宅は自分の家ではないのですよ。市営や、県営の住宅を借りておるのでありますから、それに対して固定資産税までかけて行くという点は、私ははなはだ不合理だと思うのでありますが、実際はそうやつてつておる、この税金の免除というようなことも当然ひとつ——單にこれは建設省としてではなく、政府として考えていただきたいと思います。しかし今申しましたような二分の一国庫補助の公営住宅にいたしましても、今日の地方財政の現状の関係においては、いろいろ困難がありますので、今中田次官も申されました国営住宅、私はこの国営住宅にひとつ大いに力こぶを入れていただきたい。そもそも今日の住宅難というのは、何も個人の責任で家が燒かれたというばかりではないのでありまして、あの無謀な戰争の結果燒夷彈が空から降つて来て、みな都市という都市が燒き拂われたという一つの戰争犠牲でありまして、従つてこの住宅難に対しましては国が国費をもつて住宅を供給してやるというのが当然のことであると思います。そういう点からいたしまして、どうしても低家賃の、ある程度国が損をするようなことになつても、国営住宅を大々的に建設して、そうして低收入階級の勤労者の住宅難緩和ということをはかつていただきたい。少くとも国の住宅政策としてはそういう点に重点を置いて、二十六年度予算編成にあたつては努力していただきたいということを要望いたし私の質問を終ります。
  95. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 他に御質問がないようでありますから、私から一言当局に希望を申し上げたいのですが、一般住宅の金融につきましては、種々の方途も考えられますが、現在の公庫の運用について、当局に対し希望を二、三申し上げます。現在の状況では年度内に消化はできないと思いますので、その意味におきまして高能率に運用し、法の使命を遺憾なく達成するために、法律改正を要する部門に対しましては、時期を待ち、早急に改正することといたしまして、法律によらない規則等の変更によつても、適切なる処置をとることにより、効果を上げ得ることがあつたならば、遅滯なくこれを行つていただきたいということであります。その具体的な事実をちよつと申し上げますと、地上権所有者をも貸出しの対象にしてはどうか。次は木造建築物の構造上強度の制限をやつておりますが、この程度の制限は必要以上に強過ぎるという気持を持つております。次は貸付対象の規模、すなわち坪数を十八坪の限度を三十坪程度まで増してはどうか。もう一つは算定基準となる坪当り單価を、現在の物価指数の変動に準じて適宜伸張していただきたい。次は不燃建築という立場からも、消化ができないと確実な見通しをつけてある部分に対しては、不燃化の趣旨にのつとりまして、不燃建築物に一部転換をすることを考えられてはどうか。もう一つは、二十五年度に四回目、五回目と申し込んでおると思いますが、これは当然二十六年度予算にも続くのでありますから、二十五年度で審査終了の分は、二十六年度もこのまま書類上の手続を認めるというようなことを公表する必要があると思います。  最後に申し上げたいことは、先ほど建設次官も申された通り地方庁のいわゆる建築基準関係の手続が非常に時間がかかつてあるようであります。なお建設基準関係の、地方庁委託物の査定期間に制限を付する必要がある。これはもう受付の日より一週間、これは金融機関においても同一であります。少くとも本法の趣旨によつて確実なる貸出しを行うことを必要以上に強化するために、実際最後の貸出しが完了するまでは、五回ないし六回の現地視察を行う場合、現在の速度で行つたならば、半年間を要するということは何人も否定できない事実であります。これを実際木造の住宅は、現在降雪期に向つておる地域などにおいては、ほとんど四十日、五十日でこれをぶち上げなければならないという現状には全然合わないというところに、今年度消化し切れないという、技術的な立場から申し上げるのでありますから、以上の観点についてひとつ大きな転換をしていただきたいということを希望として申し上げます。  明十九日午前十時より会議を開くことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十四分散会