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1950-07-28 第8回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 鈴木 仙八君 理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    今村 忠助君       宇田  恒君    小平 久雄君       瀬戸山三男君    内藤  隆君       西村 英一君    山本 久雄君       中島 茂喜君    増田 連也君       佐々木更三君    池田 峯雄君       砂間 一良君  委員外出席者         議     員 三浦寅之助君         議     員 松澤 兼人君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         衆議院参事         (法制局第二部         長)      福原 忠男君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 七月二十七日  木曽川総合開発計画による犬山ダム建設計画反  対に関する陳情書外一件  (第二二四号)  地盤沈下対策樹立に関する陳情書  (第二三一号)  災害復旧費全額国庫負担陳情書  (第二四一号)  災害復旧費予算増額に関する陳情書  (第二四五号)  福島県海岸の侵しよく防止に関する陳情書  (第二五六号)  道路法の一部改正に関する陳情書  (第二六〇号)  鹿児島市、枕崎市間の県道を国道に編入の陳情  書  (第二六八号)  都市不燃化事業の促進に関する陳情書  (第二七九号)  西部南薩地帯に対する災害防除に関する陳情書  (第二八〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  横浜国際港建設法案三浦寅之助君外百二名  提出、衆法第六号)  神戸国際港建設法案松澤兼人君外百二名提  出、衆法第七号)     ―――――――――――――
  2. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 これより会議を開きます。  横浜国際港建設法案及び神戸国際港建設法案について審議いたします。前会に引続き質疑を継続いたします。
  3. 砂間一良

    砂間委員 横浜国際港建設法案提案理由を見ますと、貿易海運及び外客誘致の一層の振興をはかり云々のため特別の措置を講ずる必要があるというふうに書かれております。横浜神戸の港都としての発展をはかるというためには、もちろんいろいろな施設をすることも必要でありましようけれども、しかし国全体が繁栄して来なければ、輸出にしましても、あるいは貿易にしましても、海運にしましても、その繁栄を期することはできないと思うのであります。たとえば非常に不景気であつて産業がどんどん衰微して行く、そういう状態のもとにおきましては、貿易の額も必然的に減つて来る。また海運方面もやはりこの国の不景気を反映して不活発になつて来る。従つてせつかく施設をしましても、その施設もあまり利用されない、こういうことになつて来ると思うのであります。従つて日本全体の産業経済貿易ということを拔きにして、横浜神戸だけを繁栄さして行こうということを考えても、それは困難だと思うのです。きのう上林山さんの質疑の中にも明らかにされましたように、そのことを非常に強調されておつたわけでありまして、上林山さんはその点から、最近のいろいろな情勢からにらみ合せて、これは時期尚早ではないかというようなことも言われたわけであります。この点について提案者はどういうお考えを持つておられるか。最近では朝鮮戦争が始まつて以来、特需等もありまして、やや状況がかわつて来ておりますけれども、あの朝鮮戦争が始まる以前においては、国会の中でもいろいろ論議されておりましたように、デフレとか、デイス・インフレということが論議されておりまして、中小企業工場閉鎖、あるいは首切りだとか、あるいは税金だとかいうことで、国民経済は非常に圧迫されておつたわけです。貿易なんかにしましても、非常に滯貨が増加したり、東南アジアに対する貿易も、最初の予定のようには進行していなかつた。ことに中共や朝鮮ソビエトとの貿易も再開されておらないという点で、いろいろな矛盾や不合理があつたわけです。そういう点からいたしまして、必ずしも日本産業が順調なる復興発展を遂げておるというふうではなかつた。なかんずく、国民の大多数の生活は非常に窮迫しておつたわけであります。そういう状態のもとにおいて、横浜神戸だけを繁栄さして行こう、それで国際港都として大いに拡張発展さして行こうと考えても、それはむりではないかと私は考えるのでありますが、その点について提案者はどういう御意見を持つておられるか。お伺いしたいと思います。
  4. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 横浜神戸貿易港を完備せしめることも、要はわが国国際文化の向上と経済復興とに寄与することを主眼としていることは第一条に書いておるのであります。もちろん日本産業全般発達振興がなければ貿易自体振興もできないということもその通りでありましようし、また日本産業ばかりでなくして、貿易ということを考えるならば世界の国際的情勢にも影響あることは当然だと思うのであります。こういうような日本を代表している横浜神戸というような港の整備発展によつて、私どもが同時に国際的な信用を得る一つともなりましようし、またそれがやはり国内産業発展基礎ともなるということを信じているのでありまして、そういうような点から見ましても、こういう法律案は一日も早く必要であろう、こう考えているのであります。
  5. 砂間一良

    砂間委員 その点について、提案者方々は何か錯覚というか誤解というか、少し考え方が混乱しておるのではないかと思うのです。きのう松澤さんの御説明の中にも、地元諸君が非常に熱心にこれを願つている、望んでおられるからというふうな御説明がありましたが、地元諸君が今日のこの不景気あるいは生活難という点からして、何とかして景気をよくして行きたいということを熱望されるあまり、国際港都としての施設を完成して行きたいという考えを持たれることは、これは私はまことに自然な考え方だと思うのです。しかし国全体の政治経済産業、そういうものとの関連なしに——国全体がこんなに疲弊し、不景気で衰微していても、それとは別箇に、横浜神戸だけが繁栄して行こうというふうなことを期待することはできない相談だと思うのですよ。今の自由党吉田内閣政策をもつてしては、横浜神戸にだけいろいろな施設をしましても、貿易の点においても海運の点においても、その繁栄を期するということは、私は非常に困難だろうと思う。そういう国全体の政治経済政策関連して行かなければならない問題だと考えるわけであります。たとえば理由の中に外客誘致というふうなこともあります。きのうの説明の中にも外国人が喜んで来られるようにいろいろな施設をしたいということがありましたけれども、しかし横浜神戸にだけ一、二の国際ホテルをつくつたり、あるいは娯楽場等設備しましても、そこだけにりつぱなホテルがあるからといつて、何も外人がたくさん観光にやつて来るわけじやないと思うのです。日本の国がゆたかになつて、貧乏人がなくなつて、みんなりつぱな生活をして行く、文化発達して行く、そうして道路交通国立公園観光施設もりつぱに完備されたそのときになつて、初めて外人日本観光に来るということができるわけです。ところが今そういうものは何もできておらない。外人が来ましてもまつたく恥をさらすようなものでありまして、日本の貧乏な生活難勤労大衆の奴隷的な姿を見せるということは、まつたく恥さらしみたいなことになると思います。あるいは道路交通にしましても、非常に不完全である。そういう状態のもとで横浜神戸にだけ外人の宿泊するような設備、あるいは衛生施設、あるいはダンスホールキヤバレーとかそんなものをつくつたつて、それだけでは外客誘致を期待することはこれはどうも私は本末転倒しているように思うのです。それらの点について、どうも横浜神戸にだけこういう特別法を制定するという理由が私にはまだのみ込めない。それらの点についてもう一度三浦さんなり松澤さんなりの御説明をお伺いしたいと思う。
  6. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 横浜神戸だけよくしても、それは大して効果がなかろうというお話でありますが、もちろん日本全体がよくなるような政治の行われることは熱望いたしておるのでありますし、また政府自身全力をあげてやつているのみならず、国会議員諸公全力をあげて、日本経済復興のために、日本国民ほんとうによくなるように努力されることは、いまさら申し上げるまでもないのであります。ことに私は自由党立場でありますけれども自由党立場から行きましても、全力をあげてやつているのでありまして、あるいは見解の相違上、自由党政府ではできないというような御意見もあるのでありますが、私はむしろ自由党内閣においてこそ、ほんとう経済復興も、国民生活の安定も、産業振興もでき得るという確信を持つているのであります。しかもそういうような立場に立つて日本経済振興全力を尽しているのでありまして、大体におきまして、終戦後今日まで日本状態がこのように復興されて、そうして国際的にも相当頻繁に往来もでき、認められ得る状況なつたことは申すまでもないのであります。そういう意味におきまして、何も横浜神戸だけがよくなつてもどうこうというような御意見でありますけれども、ほかにもいろいろ京都、奈良等観光の問題、あるいは他の都市等における特殊性をもつて、同種の法律案が提案されていることは御承知のことでございまして、本法案は、横浜神戸という都市特殊性を十分発揮することによつて、そうしてこの両港の港湾施設港湾都市としての完備をなるべく早く期する。このことが同時にまた国内産業振興と相まつて国家の隆昌にも十分に寄与することができると思うのでありまして、決して横浜神戸だけをよくすることを念願するのではないのであります。これがすなわち国家全体のために、あるいは国際的にも信用を得ることによつて、将来の日本貿易振興、また日本国民生活安定、より住みよきところの日本建設という面に向つての十分な努力をし、また寄与することになると確信を持つている次第であります。
  7. 砂間一良

    砂間委員 横浜神戸も主要な貿易港でありまして、ことに神戸大阪等の関西の港は、以前は対中国貿易相当繁栄していたと思うのです。具体的な数字は私今ちよつと持つておりませんが、そうだと思うのです。ところが、現在の日本状態のもとにおきましては、まだ講和会議も成立しておりません。中国朝鮮ソビエト、なかんずくあの中国の巨大な市場に対する日本との貿易関係というものが、まだ正式には開かれておらないわけです。ですからたとえば神戸貿易発展をはかるという、そういう国策が立てられて、そうして貿易量もどんどんふえて行つて、出たり入つたりする船の数、海運繁栄して行くということになつて、初めて私はこういう貿易港発達ということができると思うのです。ところが今の吉田内閣政策をもつてしますと、講和の問題にしましても、單独講和あるいは多数講和というようなことをとなえておりまして、中国朝鮮等の、日本と最も密接な関係にある隣国との貿易の再開、あるいは正常な外交関係を結ぶというようなことを将来に押しやつている。そういう状態のもとにおいて、ただ神戸にある種の施設をする。それも外国人日常生活様式及び事業経営方式考慮に入れたいろいろな建設計画を立てるというふうな、そういう部分的なことだけで、この港湾都市ほんとうの中味のある繁栄発達ということが期待し得られるかというのです。ですから私はこの神戸にしろ横浜にしろ、あるいは日本の全都市、農村、全国民繁栄ということを考えておるわけでありますが、そういうことと無関係に、こういう特別法をつくつて、そうして莫大な金をかけて、またその内容貿易なら貿易内容も整わないうちに、いたずらにこんな施設方面だけに莫大な費用をかけて行くという理由が、どうものみ込めないのです。これらの点について社会党松澤さんの御見解等もお伺いしたいと思います。
  8. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいま砂間君からいろいろお話がありまして、特に社会党松澤というお話で答弁を要求されたのでありますが、社会党政策をここで申し上げる考えはないのでありますけれども、ただ全般国民生活が安定し、あるいは経済が安定した、その後においてこういう計画をなすべきであるという御議論は、一応ごもつともであります。しかし私どもは同時にこういう港湾設備をフルに運営し、かつ外国物資がすみやかに陸揚げできるような方途を講じ、また逆に輸出する場合におきましても、どんなに天候の悪いときも、計画通りに積荷ができるというような設備を、現在においてやることは結果におきまして、わが国経済自立もしくは民族の独立ということに非常に関係がある。もつともそういう技術的な問題はきわめてささたるものでありますけれども、こういう技術的なものが完備されることが、産業復興再建に資するであろうということを私ども考えておるのであります。またいろいろ御指摘のありましたように、横浜神戸だけにこういう厖大計画をするということが、日本経済現状、あるいは貿易現状からして、どうであろうかという御議論はごもつともでございますが、私どもがここに一種の建設計画として持つておりますものは、これはあらゆる国際港都としての性格を総合的に検討して計画立案いたしたものでありまして、特に国際港都として神戸がこれだけの施設をやらなければならないというものではないのであります。いろいろ市民に対する負担関係も、これだけ厖大な仕事をすればあるいは相当に重い税金市民にかかつて来るのではないかという御心配もあるかと存じますが、大体におきましてこういう計画相当先の将来まで見通して、総合的な計画を毎年々々順次に行つて行く、そういう総合的な計画国際港建設という大きな目標に向つて進むのであるということを、ここに法律の中に盛つたのでありまして、その意味におきましては、特にこういう計画市民の上に、あるいは国民に対して、現実に今日あるいは明日、非常に大きな負担をさせるということは、私ども考えていないのであります。簡單に結論を申し上げますならば、こういう計画が現在において着々として実施されることが、同時に逆に観光客の招致、あるいはまた貿易振興ということになり、それは結局において国民生活を安定させ、かつまたわが国経済を復興させる、こういう逆な結果を期待しておるのでありまして、現実において市民あるいは国民厖大負担を強制するものでなく、結果においてそういうようにまわりまわつて経済再建、あるいは勤労者生活の安定、あるいはこういう施設がだんだんと完備されて参りますならば、雇用のチヤンスもふえて来るでありましようし、それが結局勤労者としての市民、あるいは国民生活に大きな均霑を与える、こういうことを私は考えております。社会党松澤というわけではございませんが、私の考えを申し上げれば以上のような通りであります。
  9. 砂間一良

    砂間委員 日本経済自立ということにつきましては、私は中国との経済関係が非常に大きな要因を持つておると考えております。現在の吉田内閣がとつておるような政策のもとでは困難だというふうな考えを持つておりますが、しかしこれらの点については問題も大きくなりますし、また今討論の時間でもありませんから、別の機会にすることにいたしましてこれ以上質問は重ねません。  その次に三浦さんにお尋ねしたいことは、昨年五月、横浜市の建設計画委員会で立てられました横浜市建設計画概要というのがございます。この中の横浜拡張計画説明の中にこういうことがあります。「然るに経済九原則による我国復興計画樹立即ち労働力輸出主眼とする港湾整備充実は焦眉の急を告げている」ということがございます。「我国復興計画樹立即ち労働力輸出主眼とする港湾整備充実」という内容をもう少し具体的に御説明願いたい。私の説明から受けた印象は、労働力輸出主眼とするというふうな表現のしかたはまつたく以前のソシヤル・ダンピング、日本奴隷労働に近いあの飢餓輸出、そのことと関連があるような印象を受けるのでありますが、こういう建前の上に立つて横浜神戸貿易振興ということを考えておられるのでありますか。
  10. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 この内容の今の点については、もし何なら横浜の当事者ともよく相談してみて、もう少ししてからお答えした方がよいと思います。
  11. 砂間一良

    砂間委員 言葉じりをとらえて申し上げるわけではありませんが、こういうものの考え方、こういう観点に立つて、そうして横浜神戸港湾拡張計画を立てておられるということ自體に、私は根本的な反対意見を持つておるのであります。こういうものの考え方、これは徹底的な独占資本主義の搾取である。ただ一部少数の独占資本家さえもうければよいという考え方の片鱗がここに現われていると思う。しかしこの点は今三浦さんも申されましたように、よく御説明ができないようでありますから、これはこれ以上追究しません。  その次にお尋ねしたいことは、横浜国際港建設法の第二条の第一項に「国際港都にふさわしい諸施設計画」ということがありますが、この国際港都にふさわしい諸施設計画し、建設して行く場合、具体的にはどういうものを計画され建設されて行かれる御方針でありますか、これをひとつ具体的に内容を御説明願いたい。
  12. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 これにふさわしいということは、いろいろ考えられるのでありまして、その次に書いておるところの「外国人日常生活様式及び事業経営方式を」取り入れたような、そういう国際的の方式考慮に入れたいろいろなる施設もありましようし、また昨日もこの点について簡單に触れておつたのでありますが、横浜のように外人が来ましてもホテル一つない、それからそれに対する娯楽機関もない。あるいは応接するような一つ場所もなければ、あるいはいろいろ集合するような場所もない。何らそういうような設備がないということは、国際港といたしましては、まことに残念なことでありまして、やはり港といたしますならば、横浜に上陸いたしましたならば、そういう外国人に最も喜ばれるような、また御案内のできるような、またただちに用事が足りるようなあらゆる機関ということも十分に考えなければならないだろうと思います。またさらにだんだん外人が多くなつて来るならば、外人住宅建設するために、いろいろそういう計画考えられるだろうと思います。またそういうような住宅建設とか、あるいはいろいろ見物するような場所や、あるいは遊覧するところの施設もいろいろ考えられるのでありまして、そういう具体的の個々の問題につきましては、この法律案が通過するならば、さらに当局といたしましては、いろいろ各方面意見も参照いたしまして、十分満足の行くような設備考えて行くべきだろうと思います。
  13. 砂間一良

    砂間委員 ただいま三浦さんの御説明によりますと、横浜国際港都として建設して行くその建設事業及び内容の主要な部分が、外人の宿泊するホテルだとか、娯楽場だとか、遊覧施設、あるいは外人住宅などをやるというようなことでありまして、また先に申しました横浜建設計画概要を見ましても、五十四万坪にわたる金沢観光地だとか、あるいは二万一千坪に達する鶴見川河畔遊歩地だとか、いろいろ歓楽街だとか、享楽観光をかねた地区とか、ありますが、もつぱらそういうふうに外国人遊覧、歓楽、享楽を対象として、横浜神戸港を外人淫売窟——と言つたら少し言い過ぎかもしれませんが、そういう享楽都市植民地都市にすることがおもな内容であるような印象を受けたのでありますが、しかしこれは、私先ほども申しましたように、横浜神戸ほんとう発展拡張繁栄ということは、正常なる貿易発達ということで、輸出物資もうんとふえ、輸入物資もどんどんふえる、そして日本産業全体が繁栄し、そして外国人でもバイヤーでも何でもやつて来るということが基本であつて、ただホテルをつくるとか、ゴルフ場をつくるとか、ダンスホールをつくるとか、キヤバレーをつくるとか、あるいは接待婦を置くとか、そんなことだけで、横浜港の国際港都としての発展を期待するというふうなことは、これはまつたく笑うべき売国根性であるというふうに考えるわけであります。もしこの特別法の中に言つておる横浜国際港建設計画及び事業内容の主たるものが、そういうふうなことをかりに意図しておるとするならば、これはとんでもない特別法だと思うのです。そのほかにはどういうような御計画が今あるのですか。
  14. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 横浜市建設計画概要に詳細に掲げておるのでありまして、それをよくごらんいただけばわかると思うのでありますけれども、街路の整備であるとか、公園整備であるとか、交通整備、あるいは港湾拡張復興計画整備下水処理というような項目にわかれて計画しておるのでありますが、やはりたくさんの人が出入する、あるいは外人が多く来るということになりますれば、今言うように道路もよくなければなりませんし、あるいは衛生施設というようなことも今後もちろんしなければなりませんし、あるいは公園というようなもの、あらゆる面が必要になつて来るのであります。同時に私はやはり人がたくさん出入りするようになりますれば、先ほど申し上げましたように、当然ホテルとか、そういうような設備も必要でありましようし、あるいはたくさんの人が出入りする場合におきましては、娯楽機関も必要だというように、自然とそれは備わらなければならないと思うのでありまするし、またそういうものがあることによつて、そうした外国から来た方々がいろいろ商取引をする場合はそこででき得ると思うのでありまして、何らそういう設備のないところに足をとどめるということもなかなかできないのでありまして、そういうような施設をやることが、すなわち貿易港としてはまず必要であるというように考えるのであります。今の質問はまつたく極端なる考えでありまして、何もそれを考えるのみが目的ではないのであります。またそんなことは、私は考えておるものとは考えられないのであります。ただ人が多数集まれば当然娯楽機関というようなことも必要になるのでありまして、それが売国的な行為というようなことはまことに当らないというように考える次第であります。
  15. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいま三浦君からお話がありまして、そういう面もあるでありましようけれども、しかし現実に私ども数字を見ますと、たとえば神戸の場合には、外国人がもうすでに相当数その都市に住みついているのであります。従つてこれが神戸あるいは横浜国際的性格になつているわけです。戦前相当数外国人がおりまして、たとえば昭和十五年におきましては、神戸において七千三百五十二人、それが戦争中、たとえば昭和二十年には四千七百九十九人というふうに減つておりますけれども、しかし昭和二十五年におきましは五千百三十三人というふうに、相当数外国人がすでに日本に帰つて来ておる。あるいは戦争中もいた人があるのでありまして、この中には中国人——たとえば昭和二十五年には三千八百九十九人という、戦前に比べましてもちろん少いのでありますが、漸次中国人も復帰しておる。こういう都市の国際的な性格というものを基礎にして考えてみますと、今のように、一時的な観光客に対する設備が必要であるということは申すまでもございませんが、同時に基本的にそこに住みついている人、もしくは一時的観光者として参りました者がいろいろ事業計画やその他の点においてその都市に住みついてもらうというためには、一般の都市計画以上に、国際的な性格を加味した計画考えられなければならないであろうという点を私どもは強調したいと考えるのであります。
  16. 砂間一良

    砂間委員 ただいま松澤さんの御説明もありましたが、なるほど昭和二十五年には神戸において在住外国人が五千百三十三人ということはこの資料の中に出ております。しかし神戸の人口は、昭和二十四年末でありますが、七十万人からある。七十万人の人口に比べれば、五千人の外国人というものはごく少数だと思うのです。この七十万の人口の大部分が戦災をこうむつて、そしてまだ復興もできないで非常に悲慘な生活をやつている。この人たちにいろいろな重い負担をかけて、そうして四百数十億あるいは六百数十億という計画をやつて行くわけでありますが、その計画のおもなものの一つが、こういう外国人のためのホテル娯楽場ということになりますと、それは宿泊の設備住宅を供給するということも確かに必要でありましようが、この在住外国人の中で一番比重を占めている中国人のごときは、ただいまの御説明にもありましたように、大方もうそこへ住みついている。そういう住みついている人たちに、別にホテルを提供する必要はない。住宅を持たない外国から来たバイヤーだとか、いろいろな一時的にやつて来る人たちに対する宿泊の設備ということは必要だと思うのであります。それにしても、やはり横浜なり、神戸なりの人口の圧倒的多数を占める人たちの生活もやはり同時に考えて行くことが、日本国民である限り私は重要だと思うのです。しかし、だからといつて、何も一方的に外人の入つて来るホテルや宿泊の設備、その他のものを否定するわけでありません。それはもちろん必要でありましようが、やはり国力と均衡のとれたものをだんだんにやつて行けばよいことになるのではないかと思うのです。しかし、これらの点は深く議論いたしますと、意見にわたる部分も出て参りますので、この程度にとどめておきます。  次にお尋ねしたいことは、横浜にいたしましても、神戸にいたしましても、いろいろな港湾設備なんかやつて行く上に、現在日本政府あるいは横浜神戸の市当局が、自由にその建設計画ができる状態にあるかどうかということです。昨年デラ台風でしたか、何台風であつたか忘れたのですが、横浜で非常に大きな被害をこうむつたことがある。その場合に内防波堤の中にいた外国の船舶は大体安全であつた。ところが日本の船舶はその内防波堤の中に入れなくて、外の方に船をつないでおらざるを得なかつた。そのために何隻かの船が破損したり何かして、相当の被害をこうむつたということがあつたと思うのです。そういうような事実を見てもわかりますように、現在まだ横浜神戸の港なり、あるいは設備なりの管理権と申しますか、日本の自主権というものが完全に認められておらないのではないかというふうに、私今考えておるわけです。それがもし間違つてつて日本でやろうと思えば、何でも自由にできる。別に関係方面から何らの拘束もないという状態であれば、いろいろな建設計画も非常に順調に行くわけでありますが、それらの点はどういう状態になつておるかということをお伺いしたい。
  17. 松澤兼人

    松澤兼人君 最近の朝鮮の問題を別といたしますと、関係方面におきましては、外国貿易地帯、及び内国貿易地帯、それぞれ市に返還しようという話があつたのであります。ところがこれの受入れ態勢がまだ十分できておりません。つまり港湾法によりましてこの港湾を管理する母体であるポート・オーソリテイーというような組織がまだ十分にできておらなかつたということで、返還の実施がやや遅れているということを聞いているのでありますが、朝鮮事件によつてその事情がどういうふうに変化されているか存じませんが、それ以前の状態は、すでに返還される状態になつて来ている。従いまして、港湾の運営につきましては、まだ関係方面におきまして大きな権限を持つていると存ずるのでありますが、漸次こういう関係方面の管理あるいは指揮権というものが、民間あるいは日本側に移りつつある状態にあるのでありまして、この点は漸次関係方面の方におきましても、日本側の要求をよく了解し、漸次そういうことが実現される。特に港湾法によるポート・オーソリテイーの問題が解決いたしますならば、非常に巾広く日本港湾が返還されるという大きな希望を持つているのであります。それに関連いたしまして、本年の四月から船舶が運営会から民間の手に還元されているのでありまして、こういういろいろの条件が漸次日本の自主権回復ということに向いつつあることは事実であると申し上げていいと思うのであります。
  18. 砂間一良

    砂間委員 近き将来の見通しとしまして、そういうふうに自主権がだんだん日本側に移されるような見通しがあるということは、たいへんけつこうでありますが、しかし現在はまだそういう状態になつておらない。そうであるとしますならば、たとえば港湾を運営するにしましても、まだ現在は日本の自由にならないという状態のもとにおいては、この横浜神戸国際港都としての建設計画というものも、非常にゆがめられた形で行くのではないかと考えるわけでありまして、そういう点からいたしましても、時期尚早であるというふうな感じを持つわけであります。全面講和によつて完全に日本の自主性が回復せられた後においてこの計画を進めても、決しておそくないのではないかというふうに考えるわけでありますが、しかしこれらの点もあと意見になりますので、この程度にとどめておきます。  その次にお伺いしたいことは、最近自由港区というふうなことがちよいちよい論議されておるようであります。神戸はどうか知りませんが、横浜等においても大体そういう計画もあるやに伺つてつたのでありますが、そういうふうなことも、やはりこの建設計画の中に含められておるか、あるいは考慮されておるかということをちよつと伺つておきたいと思います。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 自由港区の問題につきましては、横浜神戸その他の港湾都市におきましても、非常に大きな熱望を持つているのであります。神戸におきましても、自由港区設置の運動が非常に盛んに行われているのであります。もしこれが実現いたしますと、輸入物資に対する加工等をいたしまして、これをさらに再輸出するというようなことも考えられるのでありまして、この点、まだ現状におきましては非常に困難が多いのでありますが、実現いたしますならば、相当の雇用のチヤンスを与えるということを期待いたしまして、貿易そのものと同時に、われわれは勤労の機会を与えるという点において歓迎すべきであつて、そのために努力いたしたい、こう考えております。もちろん、この港都建設計画の中には、そういうことも考慮に入れて考えられている、かように申し上げるのであります。
  20. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 砂間君、ちよつと御注意申し上げます。どうも聞いていると意見の方が多いようですが、それは討論に譲つて要点だけに願います。相当時間もたつたのですから……。
  21. 砂間一良

    砂間委員 自由港区の問題は、それが実現すれば雇用量も増加するというふうな御説明もありましたが、私どもは根本的に違つた考えを持つております。しかしこれも意見になりますので省略いたします。  最後にお尋ねしたいことは、たとえば港湾に関する問題は、これは運輸省でやつておるわけであります。それから戦災都市の復興等については特別法ができて、区画整理や何かは建設省でやるというふうに、それぞれの行政官庁によつて区分ができて、計画が進められて行つておるわけです。その場合、こういう特別法をつくつて、そうして横浜なり、神戸なりが独自の大きな計画を立てて進めて行くということになりますと、たとえば運輸省あたりでやつていた運輸の計画だとか、港湾計画というものの権限、その施設、費用というふうなことも、全部横浜市長なり、あるいは神戸市長なりの権限と責任にゆだねられるということになるのでありますか、それらの関係はどうなつていますか。
  22. 松澤兼人

    松澤兼人君 港湾の管理運営の問題につきましては、港湾法によりましてこれを管理する主体であるポート・オーソリテイーというものができます。そうしますと、そのポート・オーソリテイーがこれを管理運営する主体となると存ずるのであります。従いまして市長という公共団体の長の権限から離れて行くと存じます。そういたしまして、都市計画その他の点につきましては、これは都市計画法によりまして行政庁がこれを行うというふうになつておりますが、この法律では神戸市長、横浜市長がこれを執行するということになつておりまして、この点では自治権の伸張であるというふうに考えている次第であります。
  23. 砂間一良

    砂間委員 いろいろまだお尋ねしたいこともありますが、時間の関係もありますので、この程度にとどめておきます。
  24. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 お諮りいたします。大體質疑は尽きたと認めますので、これで打切るに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑は終了いたしました。  ただいま瀬戸山委員より、自由党国民民主党、日本社会党の三派共同提案になる修正案が委員長の手元に提出されております。これを朗読いたします。神戸国際港建設法案を次のように修正する。  第五条 国は、神戸国際港建設事業の用に供するため、必要があると認める場合においては、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十八条の規定にかかわらず、その事業の執行に要する費用を負担する公共団体に対し、普通財産を譲与することができる。横浜も同様であります。  本修正案につき趣旨の説明を求めます。瀬戸山君。
  26. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 ただいま自由党国民民主党並びに日本社会党三派共同の提案になります修正案が朗読されたのでありますが、その修正をいたしたいという理由について簡單に御説明を申し上げます。  すなわち両法案の第五条第二号の規定は「都市計画法第六条の二の規定にかかわらず、その事業の執行に要する費用につき国と公共団体との負担の割合に関する特例を設けること」ができるというふうになつておりますが、さきに国会を通過いたしております、——なお現在審議中のものもありますが、広島平和記念都市建設法その他ほとんど同様の特別都市建設法案がありますが、これらの法律並びに法案にはこの種の規定はなかつたのであります。しかも昨日の委員会におきまして、私から建設省の都市局長さんにこの点に関する質疑をいたしました際にも、現在のところではかような特例を政府といたして考えておらない。こういうふうな御答弁もあつたような次第であります。そこで従来のこの種特別の法律の前例もあるのでありますから、この際この第五条の第二号の規定を削るのが適切である、かような考えから本修正案を出したわけであります。どうか委員諸公の御賛成を願いたいと思う次第であります。
  27. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 これより両案の原案及び修正案を一括して討論に入ります。通告により順次これを許します。前田君。
  28. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私は自由党国民民主党、社会党三派を代表いたしまして、本修正案並びに修正部分を除く両原案に対し、賛成をいたすものであります。  本修正案は主都建設法その他の特別法の例にかんがみまして、妥当であります。さらに修正部分を除く両原案は、横浜神戸両市をわが国の代表的な国際港都としてその機能を十分に発揮し得るよう建設することは、わが国貿易及び外客誘致振興ともなり、経済復興に寄与するもの大なるものがあると存ずるのであります。従いまして修正部分を除く両原案に賛成するものであります。
  29. 砂間一良

    砂間委員 私は共産党を代表いたしまして、この二つの法案に反対であります。  こういう法案を提出したいという、横浜及び神戸市民諸君の熱意に対しましては、私はその気持はよくわかるのです。それは不景気で非常に困つておるのですから、何とかして生活もつとよくして行きたい、そういう点からしてこういう案が出たと思うのです。しかしこれは日本全体の政治経済との関連において、今の吉田内閣がやつているような、ああいう産業破壊、不景気政策をもつてしては、これはだめです。もつ日本産業貿易振興して、初めて横浜や、神戸のような、こういう貿易港繁栄して行くわけであります。国内的に見ましても、まつた産業経済政策は誤つておる。また国際的な関係を見ましても、全面講和を一日も早く締結いたしまして、そうして中国ソビエトや、あるいは朝鮮等の隣国等とも貿易経済関係外交関係を結んでやつて行くというふうにしなければ、ほんとう日本経済自立も、あるいは貿易発展も、従つて神戸横浜繁栄ということもできないわけです。そういう政策を拔きにして、ただ横浜神戸に若干の港湾施設をつくるとか、あるいはホテルキヤバレーや、ダンスホールゴルフ場をつくり、そうして外人のサービスだけやつたつて横浜神戸ほんとう振興発達ということは絶対できない。この両国際港建設法案の具体的な内容をいろいろお伺いしましても、そこに住んでおる百数十万の市民生活を安定し向上して行くというふうなことは何にも考えてない。焼けトタンで今なお壕生活をやつておるような、そういう悲惨な人たちがたくさんおるにもかかわらず、そういう方面のことは何にも考えず、ただ外国人を喜ばせる、お迎えするというふうなことばかりやつておられるのでありますが、外国人というのはこれは講和会議ができていない今日、特定国の外人でありまして、特定国の外人だけにこびを売るような考え方は、私は自主性ある日本国民として歓迎しないのです。それからまた横浜にしろ神戸にしろ、また港湾の管理にしましても、完全に自主権というものが日本に渡されておりません。そういう点からいたしまして、こういう特別法をつくるということには反対であります。  最後にもう一点申し上げておきたい点は、別府の国際文化温泉都市建設法以来、広島、長崎、伊東、熱海、横須賀、呉、佐世保、その他最近では奈良、京都というふうに、こういう單独法が議員提出によつて次から次に無限に出て来る。このあとでもおそらくたくさん出て来るでありましよう。そういたしますと、まつた国会というものは何ら統一性を持つていない、見通しのきかない、まつたく行き当りばつたりというような気がすると思うのです。こんな拙劣な立法技術はないと思うのです。初めに松澤さんの御説明を聞いておりましても、こういう立法の仕方は決して好ましくないけれども、これまですでにもう出ておるのだから、この際便乗してどんどんつくつて行かなければ損だというふうな意味に解されるお言葉があつたのでありますが、こういうふうな意見を国会議員が持つておるということは、私はおかしいと思うのですよ。それは自分の方の県会議員や市会議員であれば、自分の市のことだけ考えておればいいということが言えるかもしれませんが、いやしくも国政を審議する国会議員は、もつ日本国全体の政治なり、あるいは経済ということを考えて、統一ある立法をしなければならぬと思うのですが、こういうふうな、ただ地元の自分の選挙区かなんかの利害関係だけ見て、何かわけ前をよぶんにとるというような提案をされるということは、国会議員としても賛成しかねるのであります。そういういろいろな点からいたしまして、修正案を含めた原案に反対であります。
  30. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 お諮りいたします。これにて討論を終局するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 御異議なしと認めます。よつて討論は終局いたしました。  これより両法案を一括して採決を行います。  まず両法案の修正案について採決を行います。両案の修正案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  32. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 起立多数、よつて両案の修正案は可決いたしました。  次に原案のうち修正部分を除く他の部分について、賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  33. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 起立多数。よつて両案は修正議決いたしました。  この際お諮りいたします。両案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 御異議なければさように決します。  本日はこれにて散会いたします。    正午散会