○
増田国務大臣 天野さんは
建設大臣個人の
意見を申し述べろという御
意見でございますが、やはり閣僚の一員として申し上げにくい点もございますので、その点は御了恕願いまして、一応
建設大臣という立場から
意見の一端を申し上げます。
全額国庫負担というものは、
シヤウプ氏がどういうわけでリコメンドされたかと申しますと、
一つの
保險思想であると思
つております。
天災地変というものは非常に気の毒である。四十六
府県がありますが、そのうちのどの
府県に落ちて来るかわからないのであ
つて、かりに数
府県にとどまるというような場合は、他の四十
府県は非常に楽をするというわけでもありませんが、
元通りであります。とにかく不幸な目を見ないにもかかわらず、他の六
府県だけが不幸な目を見る。そこで四十六
府県をも
つて構成しておるところの
国家が、危險や不幸を共同に
負担しよう、そらすべきである。こういう思想から出ておるのではないかとわれわれ想像いたしております。いわゆる
保險思想でありまして、やはり
国家が
全額持つということはしかるべきことである。
シヤウプさんのリコメシドは私は
理由があつたと思
つております。ところで私
どもは
ほんとうは
災害復旧が
目的でありまして、
災害の
復旧さえできればよろしいというのが、
建設大臣の
利己主義というわけではありませんで、将来の
災害を予防する
見地から申しましても、
災害が
復旧されることがわれわれ
建設省をあずか
つておる者としては第一の
目的でございます。そういう
見地から見まして、
全額国庫負担、あるいは三分の二
負担、いずれでもよろしいということは私は申しませんが、ともかくもいかなる道を通して行きましても、過去に起きた
過年度災害というものが、いつまでも
復旧されていないという
状況は一番困るのであります。
そこで過去の
状況を見ますと、
昭和二十三、四
年度の
建設省所管の
災害が、千二十億ばかりでありますが、今までのところ
本年度の
予算を使い切つたといたしましても、まだ四百八十八億、半分も残
つております。これが御
承知の
通り、三〇%、五〇%、二〇%で行きますと、
ほんとうはこんなに残
つておるべきはずのものではないのであります。当然もう少し少くなるべきでありますが、まだ四百八十八億も残
つておる。しかるに
災害復旧関係は
本年度は二百数十億しか計上されておりません。三百七十億のうち
各省分もございまするから、
建設省関係は二百数十億である。従いましてわれわれは
災害復旧という
見地から見れば、非常に遺憾な点が多々あるのであります。そこでかりに
富裕県があり、それから
貧弱県があるといたします。
富裕県等におきまして、みずから力があるならば、国で三分の二十すならば、おれの方は三分の一出そうとい
つて、どしどし早く
復旧してもらちと、将来の
災害予防のために便利じやないか。ところが四十六
都道府県の中には
富裕県のみではございませんで、
相当貧弱県もあるのでありまして、そういうところも同じように三分の一
負担するということでは、これはなかなかやりきれませんし、
災害復旧も
延びくになる。結局
具体的妥当性を得るのが一番よろしい。
建設大臣から言わせれば、その
府県々々をしらみつぶしに当
つてみまして、あるいはその
市町村々々々を当
つてみまして、
相当に
財政的に余力のある
都道府県、
市町村は三分の一持
つてもらうし、
貧弱県、あるいは
貧弱市町村は
全額負担をする。もとより
財政交付金はその間を調査するために存在しておるものでありまするが、そういうふうにいたしたならばよろしいのではないか。そこで理想から申しますと、
岡野地方自治庁長官の方で
財政交付金をうんとと
つてもらいまして、
富裕県には少しの
調整交付金、それから
貧弱府県、
市町村には
相当多くの
交付金をや
つてもらう。これで初めて
地方財政の
調整になる。そうしてわれわれの念願としておるところの
災害復旧がすみやかに実現する。こう
考えておる次第であります。
ほんとうはこの
わくを超越したあるいは
建設省利己主義になるかもしれませんが、とにかく
建設が早く済むことが一番のわれわれの眼目とし、主張するところであります。そこで
全額国庫負担でかりにありましても、
財政の
理由といいまして、ちびつとしか金を出してくれませんと何にもならぬ。結局三百間
堤防が流れた所を、二百間しか
工事ができないで、いつまでもほ
つておくということになりますから、われわれは三百間流れた
堤防なら三百間全部早く直したい。しかも二年間にやらないで初
年度ぐらいに完成すること、これだけが
目的でありまして、
全額あるいは三分の二という
わくは、どつちかといいますと、すべてこれ
抽象論、観念論である。これは
事務当局と別に話合いしたわけでありませんが、われわれの庶幾するところ、また念願するところ、主張してやまざるところは、多くの
予算をもら
つて来て、そうして
建設関係、ことに
災害だけは
元通りにするということは、大した
欲望じやないのですから、この
欲望だけは早く満足さしてもらいたい、
原形復旧だけはぜひともさしてもらいたい、こう
考えております。そこで従来一年間やつただけでありまするが、多少
府県と
市町村によ
つては普遍的な例ではございませんが、国で出してくれるまでは、おれの方はやらないのだというようなことを
言つて、
復旧が延び
延びになつておるところもなきにしもあらず、つまり
市町村が主体性を持
つて、
市町村の
災害であるから直そうという気だけは起してもらわねばならぬと思う。ところが、ほつとくのだ、国から金をくれないのだから直るのが遅いのはいたし方がないというようなことも、きわめて少い例であるが、あるそうであります。要するに、先ほど私が
西村さんにもお答えいたしました
通り、もし三分の二になりましたならば、
財政調整交付金を、ことしは四百七十億
災害がありまするからもつとも農業その他は
全額ではありません。
全額持つべきものをかりに三百億といたしまして、そのうも三分の二になりますと、二百億だけしか今度は持ちませんから、百億だけは
地方財政調整交付金の方に、
自治庁関係の
予算に組んでもらわないことには、私
どもの方では困る。めつたに昔の
わくに返ることは承服できない。こういう立場をと
つておる次第であります。