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1950-07-25 第8回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十五日(火曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 田中 角榮君 理事 天野  久君    理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       宇田  恒君    小平 久雄君       瀬戸山三男君    内藤  隆君       西村 英一君    三池  信君       山本 久雄君    中島 茂喜君       増田 連也君    佐々木更三君       池田 峯雄君    衞藤  速君  出席国務大臣         建 設 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君  委員外出席者         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         経済安定事務官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君         経済安定事務官 石田 政雄君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 七月二十四日  千保川上流改修工事促進請願橘直治君紹  介)(第二八一号)  高岡、石動間国道十一号線改修請願橘直治  君紹介)(第二八二号)  川俣村地内利根川堤防拡張工事対策に関する請  願(青木正紹介)(第二八三号)  河川改修に伴う附帯工事費負担に関する請願  (西村英一紹介)(第二八四号)  鵜戸峠トンネル開設請願田中不破三君紹  介)(第三三二号)  明治橋下流北上川両岸に堤防築設の請願山本  猛夫君紹介)(第三三三号)  最上川中流及び支流改修工事施行促進に関する  請願池田正之輔君外一名紹介)(第三三四  号)  同(志田義信紹介)(第三三五号)  江花川改修請願圓谷光衞紹介)(第三三  六号)  松山市に国際観光温泉文化都市建設法適用の請  願(川端佳夫君外二名紹介)(第三三七号)  雲仙国立公環観光道路開設促進等に関する請願  (坪内八郎紹介)(第三三八号)  関、犬山間県道幅員拡張並びに田原橋架替の請  願(武藤嘉一紹介)(第三八八号)  長良川千疋橋架設促進請願武藤嘉一君紹  介)(第三九五号)  川内川総合開発に関する請願中馬辰猪君紹  介)(第三九六号)  花里ダム築設に関する請願岸川與助紹介)  (第三九七号)  戦災復興事業費国庫補助率復元に関する請願(  上林山榮吉紹介)(第三九八号)  災害復旧費査定標準是正に関する請願上林  山榮吉紹介)(第三九九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害復旧費国庫負担に関する件
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより会議を開きます。
  3. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより会議を開きます。  災害復旧費国庫負担の問題について審議をいたします。本日は経済安定本部の方から小澤建設交通局長石田公共事業課員、それから地方自治庁の方から小野政務次官建設省の方から目黒河川局長出席を願つております。特に小野政務次官地方税の問題でお忙しいそうでありますから、小野政務次官に対する質疑をお先に願いたいと思います。
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 災害復旧費の問題でありますが、地方自治庁の次長さんに対しては、災害復旧費全部についてはお尋ねをいたしません。ただ昭和二十五年度に限り、災害旧費の大部分は、国が負担してやるという法律ができたのでありますが、二十六年度予算編成時期にあたつておりますのに、あの法律は二十五年度で打切るというような、閣議決定かどうかしれませんが、話合いがあつたということを仄聞いたしているのであります。あの法律を審議いたしますときに、その点が非常に問題になつたのでありますが、その当時所管大臣自治庁長官であつたように思うのでありますけれども、これは何も大蔵省の問題でなくて、国の政治の根本の問題でありますので、各関係大臣見解をお尋ねしたいと思うのでありますが、その当時益谷建設大臣が、本法は二十五年度限りでありますが、災害復旧はこれで打切りをいたすというような考えは毛頭ございません。その他の場合でも、これは実施状況を見るために、一応二十五年度といたしておるが、将来も全額国庫負担を続ける考えであると明言されたと思つております。もしこれを本年度で打切るということになるならば、今年度全額国庫負担でやられた部分はよろしゆうございますが、やられない部分相当問題が起ると思います。その点についてどういうふうな御方針でおられるかということを簡単でよろしいからお答え願いたい。
  5. 小野哲

    小野政府委員 お答え申し上げます。ただいま瀬戸山さんから御指摘通りに、災害復旧全額国庫負担につきましては、前国会におきまして、その特例に関する法律の御決定を見たのであります。その際政府におきましても、災害復旧の実情に徴しまして、さらに将来これを存続するかいなかにつきまして、十分に考えて参りたいということを御答弁したと記憶いたすのであります。ただいまお話がございましたように、昭和二十六年度予算編成にあたりまして、この問題を検討いたさなければならないことは御指摘通りであります。政府としましては、二十六年度予算編成方針を立てなければなりませんので、自然災害復旧費全額国庫負担の今後の措置につきましても、検討を加えなければならない段階にあるのでございます。この災害復旧費全額国庫負担につきましては、前国会において特例法律案をつくつて提案いたしますに際しまして、いろいろと議論があつたのでありますが、昭和二十五年度予算編成方針が、災害復旧費全額国庫負担を基礎として編成をいたされておりますのと、地方団体における負担をなるべくなら軽減をはかつて行くということが、地方財政現状から考えまして必要である、こういうふうな点を種々勘案いたしまして、ともかく昭和二十五年度については特例を認めて、全額国庫負担の道を開くということになつたわけであります。二十六年度において全額国庫負担制度を持続するかどうかということにつきましては、目下二十六年度予算編成方針を立てるための一つの問題として検討が加えられておることは事実でございます。御承知のようにシヤウプ博士も近く来られることになつておりますのと、また国会における御論議の状況等から考えまして、まだ正式に予算編成内容決定されておりませんので、この全額国庫負担の問題につきましては、これらの事情を勘案いたしまして、愼重に検討を加えて参りたいという考えをもつておるのでございます。シヤウプ税制報告書にありますように、災害につきましては、国が全額負担するということを原則とすることがよいのではないかという勧告に基いて、政府もこれを尊重して法律案を提案いたしたような事情もございますので、シヤウプ博士の御意見等をも相当しんしやくをいたしました上で決定することが適当ではないか、かように考えておる次第であります。
  6. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 閣議内容を私はもちろん知らないのでありますが一閣議で本年で打切るというような話に相なつたということを聞いたしているのであります。その際に非公式でありましたが、大蔵省主計局長にどういうわけで打切ることになつたかということを聞いたのでありますが、弊害が件うようだからというような簡単な非公式な話であります。建設省当局者にどういう弊害があつたかということを公式に尋ねてみましたけれども、いまだ実施至つて間もない時期であるから、まだ弊害が出るとは思わない、これは当然であります。何かの理由がありますれば私ども納得をいたすのでありますが、もう少しつつ込んで御説明を願いたいのであります。幸い建設大臣も見えましたので、この点は災害復旧に対する根本の問題であります。特に地方財政に対しても重大なる影響があると思いますので、これは小さな問題ではないと私は考えますから、特にとり立てて問うわけであります。
  7. 増田甲子七

    増田国務大臣 瀬戸山さんにお答え申し上げます。明年度予算編成方針というものが先般の閣議において論議された次第でありまして、そのときに大体の話として今のような話があつたわけでありますが、ただいま小野政府委員からも御答弁申し上げたように、まだ決定的というわけではございません。それから大体全額国庫負担というのはどういうわけで全額国庫負担なつたかというそのよつて来るゆえんのものは、今皆さん御存じ通りに、シヤウプ勧告に胚胎いたしているのでありますが、しかし去年の予算編成のときに、またGHQのESSと相談をいたしまして、とりあえず本年度だけというような含みで政府と総司令部との間では予算が組まれたというように聞いております。そこでとりあえず本年だけというようなわけで、ことしはそれではまた昔通り原則にもどろうかな、こういうような話もあるわけであります。しかしシヤウプさんもいずれ来朝されることでもあり、またもし従来通りの三分の二国庫負担というようなことになりましても、種々除外例等も設けてもらわぬと困ると私は考えております。たとえば三〇%、五〇%、二〇%彩の振り合いが、過年度災害にわたつてそれぞれ支払われておりますから、その関係本年度全額負担である。しかも本年度起きた災害でなくして、本年度支出すべき金を全額負担をする、こういうふうに予算なつておりますから、事業自体をとらえて全額負担ではないのですから、少しおかしな話になつております。その点の調整も必要でございますし、かたがた明年どういうふうにやつて行つたらばよろしいかということについては、調整について大いに研究してほしいという条件を、私といたしましては閣議の中につけてもらつたような次第でございますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  8. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 災害復旧費を国で全額負担するのがいやかどうかということについては、相当議論があつたし、今日も議論があると思います。ただ地方財政負担がきわめて大きいので、しかも災害地は経済的に打撃を受げて、その上に復旧費負担するということは、地方財政をますますきゆうくつにするからという趣旨が多分にあつたと思います。でありますから、地方財政が拡充されますればこの問題も相当に解決されるわけでありますが、ただいま建設大臣が言われましたような、きわめて不合理な結果が生ずることに相なつておるのであります。そこで、地方税法も大体改正を見る時期に達しております。また平衡交付金制度もあるわけでありますが、災害復旧費に対して地方負担し得る能力を与えてもらいさえすればかまいませんけれども、今建設大臣も心配しておられます通りに一二十五年度に多くの仕事をやつたところは利益するということに相なつております。その点を、特に災害地に対して、普通の調整以外に平衡交付金をたくさんやるというようなことを当然に考慮されて調整していただかなければ問題はきわめて大きくなると思います。せつかく大臣がさような考慮を払つておられるということを聞いて私は安心をいたしておるのであります。どうかどちらにきまりましても、さようなことのないように調節していただきますことと、災害復旧費に対してはこの前の委員会でも十分なる御答弁がありましたが、予算を獲得していただきたいということを申し上げて私の質問を終ります。
  9. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 その他建設大臣並びに小野地方自治政務次官に御質疑ありませんか。
  10. 西村英一

    西村(英)委員 災害復旧費の問題が出たのですが、大体は瀬戸山委員からお話がありましたが、私もその問題についてちよつとお尋ねしたいのであります。  災害復旧費全額国庫負担は、地方財政の窮乏を救うということと、また災害地がひんぴんに見舞あれる所と、そうでないような所との財政のバランスというような点からも、全額国庫負担でするということに、シヤウプ勧告がなくてもそれ相当理由があつて今日に至つたものであろうと思うのです。それでわずか二十五年度一箇年だけ全額国庫負担をして、その成績もまだ十分わからないときにもうそれをやめて、二十六年度からは従来の例に返るということは、現在の災害復旧対策に対する根本の問題ではなかろうかと私は思うのであります。もしかりに全額国庫負担でいたさなくても、従来の災害復旧費に対するやり方がよかつたかどうかということをもう少し見きわめた上、すなわち現在の状態をもつと経験を積んで、そうして今後災害復旧費に対する対策根本的に立てることが必要ではないかと思うのです。端的に申しますと、全額国庫負担は必ず地方民の喜ぶことであります。現在の状況においてはこれはいい制度である。従いましてもう一年ぐらいこれをやりまして、そうしてその結果を見ましてこれに対する拔本的な方法を講ずるとか、あるいは恒久的な立法をするとかいうことにしたらどうかと思うのですが、その点に対して大臣並びに小野次官、どちらでもよろしゆうございますから、御見解を承りたいと思います。
  11. 増田甲子七

    増田国務大臣 西村さんにお答え申し上げます。お説は首肯すべき点が多たあると思う次第であります。そこで小野政府委員からお話なつたと思いますが、もし全額国庫負担が従来のわくに返るとするならば、地方財政をもう少し強固にする必要がある。そうして財政交付金その他の方であんばいしない限りは、むやみに従来のわくに返り得ないということは、私なり、岡野君の意見であります。この点につきましては十分気をつけて参りたい。従来以上地方財政が強固にならない、收入の道が格別増加七ないということになれば、また元へ返つて来るのではないかと考える次第でございます。
  12. 西村英一

    西村(英)委員 地方財政の問題からそういうことが起る。それからもう一つはこの金額国庫負担にいたしますと、市町村災害復旧に対するやり方が従来と非常にかわりまして、その点につきまして非常に事務的に煩雑を来す、あるいはまた河川につきましては、その監督の衝に当るところの市町村が、県を通さずして直接打合せをしなければならぬために、非常に事務的に煩雑で、おそらく運用し得られないのではないかということを感ずるのでありますが、全額国庫負担にした場合の、今までの集積において非常に不便をこうむつておる。これは復旧費の査定なり、あるいはまた工事監督なりにつき産して非常に不便をこうむつておるというような点を聞くのでありますが一今までの実績でおわかりになりましたら、お話願いたいと思います。
  13. 目黒清雄

    目黒説明員 この前防災課長からお話申し上げましてから、まだ間もないので、はつきりした実績がつかめないのでありますが、今お話のよろな町村関係で直接国がやらなくてはならぬというのは、全額国庫負担法律の中にそういうことが明記してありましたので、その当時からこれは複雑でやりにくいということをわれわれは言つてつたのですが、地方自治尊重というか、市町村自主性を尊重するという意味で、県を通さぬことに相なりました。これは金額国庫補助のために起つた問題ではありませんで、たまたま法律にそういうことをうたつたという結果によるのであります。もしこれは将来全額国庫補助という現在の法律が生き得るような時代になりましても、この点は訂正して行かなければならぬではないかという気もしておるのであります。これは今度法律を施行しました欠陥なつて現われて参つております。次の欠陥なつて現われて参りましたものは、災害が起きますと、普通の県では県の自主性をもつて災害応急復旧をやり、国庫から出る金が多少遅れましても、その間は県の財政でこれをまかなつて行けるという彈力性があつたのですが、全額国庫補助になりますと、まだ割当はきまらないという観点から地方は手をこまねいて見ておるというような形に陥りやすいのであります。この点は非常に困つたことと考えております。国に頼り過ぎる、県の自主性がなくなつて来たというようなことが現われて参りました。この二点が大きな欠陥考えております。
  14. 西村英一

    西村(英)委員 私も全額国庫負担趣旨はいいけれども、そのやり方が非常に地方自主性がなくなる、国家依存主義になる。そのほか全額国庫負担をするということに付随したいろいろな問題のために、非常にやりにくいということも大いに原因するのではなかろうかと思いますが、現在ひんぴんと起りますところの災害につきまして、これを全額国庫負担でやるという根本趣旨は、私はいいと思います。そういういろいろな煩雑するような点をもう少し実績を見まして、従来の復旧費やり方ではなくして、根本的な方法研究するために、さらに現在の全額国庫負担のやわ方を一年くらい継続すべきではなかろうかと考えるのでありますが、それに対して今増田建設大臣のお答えがありましたが、将来に向つてただ単にこれを二十五年度一年限りというような、べらぼうなことはなかろうと思う。まだいいか惡いかもわからぬのに、一年限りでやめて、もう二十六年度からは前の方法の三分の二の補助はやるのだということは「はなはだおかしいと思うのでありまして、御研究の上今後善処されんことを希望いたしまして、私の質問を打切ります。
  15. 小野哲

    小野政府委員 ちよつと私から地方財政関係の点もありましたので、簡単に所見を述べさせていただきますが、西村さんのおつしやいますように、地方財政現状から考えまして、またシヤウプ税制報告書趣旨をも尊重いたしまして、全額国庫負担制度考え方を具現して参つたのでありますが、これが実施に当りましては、御指摘のような問題もないことはなかろうと思いますので、なお将来の問題としては関係政府機関の間におきまして十分に協議をいたしまして、最後的な決定をいたすように取運んで参りたいと思いますので、地方財政委員会におきましても、地方財政の運営の点から考えまして、これについても関心を持ち、また研究もいたしておるような次第でございます。
  16. 天野久

    天野(久)委員 この際大臣にお伺いしておきたいことは、先ほど来各委員お話になるように、全額国庫負担の可否が論じられております。そこできよう大臣ははつきり言われるかどうかわかりませんが、大臣としてのお考え、いわゆる全額国庫負担を廃止して、前に戻つて三分の一負担にするようにしようというお考えか、あるいはまた全額国庫負担をいま少しく見きわめるまでやつて行こうというお考えか。特に大臣のお考えを承つておきたいと思います。
  17. 増田甲子七

    増田国務大臣 天野さんは建設大臣個人意見を申し述べろという御意見でございますが、やはり閣僚の一員として申し上げにくい点もございますので、その点は御了恕願いまして、一応建設大臣という立場から意見の一端を申し上げます。  全額国庫負担というものは、シヤウプ氏がどういうわけでリコメンドされたかと申しますと、一つ保險思想であると思つております。天災地変というものは非常に気の毒である。四十六府県がありますが、そのうちのどの府県に落ちて来るかわからないのであつて、かりに数府県にとどまるというような場合は、他の四十府県は非常に楽をするというわけでもありませんが、元通りであります。とにかく不幸な目を見ないにもかかわらず、他の六府県だけが不幸な目を見る。そこで四十六府県をもつて構成しておるところの国家が、危險や不幸を共同に負担しよう、そらすべきである。こういう思想から出ておるのではないかとわれわれ想像いたしております。いわゆる保險思想でありまして、やはり国家全額持つということはしかるべきことである。シヤウプさんのリコメシドは私は理由があつたと思つております。ところで私どもほんとう災害復旧目的でありまして、災害復旧さえできればよろしいというのが、建設大臣利己主義というわけではありませんで、将来の災害を予防する見地から申しましても、災害復旧されることがわれわれ建設省をあずかつておる者としては第一の目的でございます。そういう見地から見まして、全額国庫負担、あるいは三分の二負担、いずれでもよろしいということは私は申しませんが、ともかくもいかなる道を通して行きましても、過去に起きた過年度災害というものが、いつまでも復旧されていないという状況は一番困るのであります。  そこで過去の状況を見ますと、昭和二十三、四年度建設省所管災害が、千二十億ばかりでありますが、今までのところ本年度予算を使い切つたといたしましても、まだ四百八十八億、半分も残つております。これが御承知通り、三〇%、五〇%、二〇%で行きますと、ほんとうはこんなに残つておるべきはずのものではないのであります。当然もう少し少くなるべきでありますが、まだ四百八十八億も残つておる。しかるに災害復旧関係本年度は二百数十億しか計上されておりません。三百七十億のうち各省分もございまするから、建設省関係は二百数十億である。従いましてわれわれは災害復旧という見地から見れば、非常に遺憾な点が多々あるのであります。そこでかりに富裕県があり、それから貧弱県があるといたします。富裕県等におきまして、みずから力があるならば、国で三分の二十すならば、おれの方は三分の一出そうといつて、どしどし早く復旧してもらちと、将来の災害予防のために便利じやないか。ところが四十六都道府県の中には富裕県のみではございませんで、相当貧弱県もあるのでありまして、そういうところも同じように三分の一負担するということでは、これはなかなかやりきれませんし、災害復旧延びくになる。結局具体的妥当性を得るのが一番よろしい。建設大臣から言わせれば、その府県々々をしらみつぶしに当つてみまして、あるいはその市町村々々々を当つてみまして、相当財政的に余力のある都道府県市町村は三分の一持つてもらうし、貧弱県、あるいは貧弱市町村全額負担をする。もとより財政交付金はその間を調査するために存在しておるものでありまするが、そういうふうにいたしたならばよろしいのではないか。そこで理想から申しますと、岡野地方自治庁長官の方で財政交付金をうんととつてもらいまして、富裕県には少しの調整交付金、それから貧弱府県市町村には相当多くの交付金をやつてもらう。これで初めて地方財政調整になる。そうしてわれわれの念願としておるところの災害復旧がすみやかに実現する。こう考えておる次第であります。ほんとうはこのわくを超越したあるいは建設省利己主義になるかもしれませんが、とにかく建設が早く済むことが一番のわれわれの眼目とし、主張するところであります。そこで全額国庫負担でかりにありましても、財政理由といいまして、ちびつとしか金を出してくれませんと何にもならぬ。結局三百間堤防が流れた所を、二百間しか工事ができないで、いつまでもほつておくということになりますから、われわれは三百間流れた堤防なら三百間全部早く直したい。しかも二年間にやらないで初年度ぐらいに完成すること、これだけが目的でありまして、全額あるいは三分の二というわくは、どつちかといいますと、すべてこれ抽象論、観念論である。これは事務当局と別に話合いしたわけでありませんが、われわれの庶幾するところ、また念願するところ、主張してやまざるところは、多くの予算をもらつて来て、そうして建設関係、ことに災害だけは元通りにするということは、大した欲望じやないのですから、この欲望だけは早く満足さしてもらいたい、原形復旧だけはぜひともさしてもらいたい、こう考えております。そこで従来一年間やつただけでありまするが、多少府県市町村によつては普遍的な例ではございませんが、国で出してくれるまでは、おれの方はやらないのだというようなことを言つて復旧が延び延びになつておるところもなきにしもあらず、つまり市町村が主体性を持つて市町村災害であるから直そうという気だけは起してもらわねばならぬと思う。ところが、ほつとくのだ、国から金をくれないのだから直るのが遅いのはいたし方がないというようなことも、きわめて少い例であるが、あるそうであります。要するに、先ほど私が西村さんにもお答えいたしました通り、もし三分の二になりましたならば、財政調整交付金を、ことしは四百七十億災害がありまするからもつとも農業その他は全額ではありません。全額持つべきものをかりに三百億といたしまして、そのうも三分の二になりますと、二百億だけしか今度は持ちませんから、百億だけは地方財政調整交付金の方に、自治庁関係予算に組んでもらわないことには、私どもの方では困る。めつたに昔のわくに返ることは承服できない。こういう立場をとつておる次第であります。
  18. 天野久

    天野(久)委員 さすがは名大臣として国民が敬慕の念を払うだけありまして、われわれのほんとうに念願しておる施策を持たれて、敬意を表しますが、私は最初から国が全額負担をすることには反対をいたして参つたのであります。一年限りでやめるということはどうかという御説もありまするが、私は一年限りであろうと何であろうと、つまり災害復旧国庫全額負担、これはただちにおとりやめになつて、そろしてこの災害復旧をすみやかならしめることが、最もとるべき道じやないかと思う。人間というもののほんとうの性格は、どうしても自分の都合のいい、率直に申しますならば、欲の深いものであつて、人がやつてくれるということになれば、自然そのやつてくれる人にまかせる、やつてくれる人に頼るという気持がある。しかし自分がやらなければならぬという責任を持てば、必ずそれをやる。従つて個人にしても県にしても、町村にしても、やはりそういう気持は出て来るのであつて、従つて今日のように、国が全額負担してくれるならば、こわれたままでは困るけれども、国がやつてくれるまで待とうというのが自然である。しかしその結果というものは、災害を受けた一小部分の国民が非常に迷惑をして来る。従つて村なり県なりが、やはりそのうちの何分か出すというなら、やりはその部分だけは応急にやろうじやないか、そうして大部分は国にたよろうじやないかという気分が出て来ることは自然の結果であるとともに、また国が全額国庫負担をしてくれるというなら、自然に予算の獲得ということに非常に大わらわなる運動を展開しなければならぬ、こういうことが自然出て参りまするので、これはひとつ以前のままに返る、そうして以前の惡いところは直さにやならぬと思います。従つて大臣が先ほどおつしやつた通り、やはり平衡交付金というか、何かの形で貧弱県補助してやつて災害というものは県も自分の責任によつてやらにやならぬ部分もあるぞということでやつて行くことが一番いいと思いますので、この改正に対しては、私は元の方法において惡いところをためて、そして改正していただきたい、こんなふうに考えております。なお続いてお伺いしておきたいことは、本年度災害復旧費、いわゆる予備費が四十億か出されるということで、閣議できめられたという話を聞いておりまするが、この金はすでに出ておるかどうかということをお伺いしておきたいと思います。
  19. 増田甲子七

    増田国務大臣 予備費の使用は大体において話合いをいたしまして、関係方面と折衝中でございます。まだ関係方面から許諾が来ませんと実施はできないと思います。今せつかく督促中であります。
  20. 天野久

    天野(久)委員 われわれが災害の起つたことを聞いたのは何箇月か前のように思います。またわれわれは休会中にもかかわらず、これが急速なる支出と工事復旧の施行をせにやならぬということで委員会を開いたことも記憶しております。大臣お話関係方面と折衝中であるということであつて、それがどうしても癌をなしているなら余儀ないことでもありましようが、しかしその点についてあるいはどこかに行き違い、怠慢等がなきにしもあらずというような気がします。大臣は非常に民情にたけておりまして、私が申し上げずともいろいろ御存じでありましようが、災害を受けた地方の国民の苦しみ、これは腰をかけて机に向つている人にはつきりわかるかどうかと思います。これは使うべき予備費であつて、出すべき金であるので、ほかの費用とは違いまして、災害復旧に一日も早く金を出して、どうか復旧されるように御努力を願いたいと思います。
  21. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 同僚議員から相当質問がありましたので、あとそう大して残つておりませんが、ごく簡単に建設大臣にお尋ね申し上げておきたいと思うのであります。全額国庫負担の問題でありますが、全額国庫負担は税制の改革とあわせてシヤウプ勧告案による日本政府への勧告であつたわけで、従つて近くおいでになるシヤウプ博士はおそらく全額国庫負担ということには反対ではないと思います。それから日本政府といたしましても全額国庫負担を実行するということにつきましては、オーケーの必要も認められないだろうし、そいうことについてはシヤウプ博士の意思に沿うことになつておるわけであります。それを最近におきまして全額国庫負担は一箇年で打切つて継続をしないというような論議がかわされたということになりますと、これは相当弊害か、あるいは他の支障があるということが強く認められない限りには、そういう論議が起るわけはないと思うのであります。目黒河川局長からの自主性の問題や、あるいはまた地方財政確立の問題と関連した問題も、いろいろあるでありましようが、これらの問題にいたしましても、政府が積極的にこの災害復旧を急速に行わなければならぬという熱意があつて行いまするならば、地方の中央依存というような惡い風習等についても相当これは弊害を除去されるところだと思うのでありますが、それにもかかわらずとれが論議になつたという点がわれわれ建設委員といたしましては十分のみ込めぬのであります。それでその弊害というものをずいぶん大きく見ておられるのじやないかと想像する以外にないのであります。ただこれがいかなる形に、いかなる状態になるかというようなことは、まだ確定しておらぬ。仮定の上に立つての論議は本日はやめるへきじやないかと思いますから申し上げませんが、ただその弊害が起ると自然いろいろかえなければならぬ、日本の国情が非常に要求しておるというような重要な点がいかなる点であつたのでございましようか。そういうことはまだはつきりせぬというなら、これが論議に上つて来るわけはないのでございますが、閣議内容なんかはお漏しになることも困難だと思いますが、建設大臣といたしまして、その点にわれわれの審議に参考になるような点がありますなら、ひとつ漏していただきたいと思うのであります。
  22. 増田甲子七

    増田国務大臣 前田さんにお答え申し上げます。災害復旧全額国庫負担というのは、シヤウプさんの勧告に現われたのが初めてでありまして、一般民衆の声がそれほど熾烈に要請されて来た結果こうなつたものではないことは前田さんも御存じの通りであります。そこで実施したのも本年だけでありますから、一年くらいでとりやめるのはおかしいではないかという先ほどの瀬戸山さんや西村さんのお話も一理あるわけでありますが、私どもといたしましては、どろしても事業量が多い方が一番よろしい。結局災害復旧が早くでき上ることが一番よろしい。そこへ着眼すべきものである。これは国民共同福祉の増進という見地から考えても、原形に復帰するだけなんですから、それを早くやる。これがわれわれの最も力を入れて着眼すべき点である、こう考えておるのでありまして、まだ全額国庫負担を取上げるということが決定的になつたわけでも何でもございません。そこは前田さんが前提を置かれて御質問でありますが、せつかく検討中である。ことにシヤウプさんがおいでになつてあとどうなるか、率直に申しましてまだわからないわけでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
  23. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 地方財政全額国庫負担というものは非常な密接な関連があるわけであります。地方財政が確立すれば、お話通り富裕県相当負担能力があるから、工事量についても施工の量が非常に増大されるために、結局大臣のおつしやる通りに、災害復旧が量的に早く済むということの目的を達するという点で非常にいいわけでありますが、しかしシヤウプ勧告案そのものは地方財政確立という点に税制改革の大きい主眼点があるのでありまして、全額国庫負担勧告を加えられておる点は、地方財政が確立するものということが前提になつておると思うのであります。従つて富裕県にいたしましても、工事の性質といたしまして、これらは国が全額負担すべき性質のものであるという点に強い意味があると思うのであります。従つて私は工事量が地方負担させるためにふえて行くというようなことの考えを起さないで、もし必要ならば、税金等によつてでも国が統一した一つ災害復旧については大きな手を打つのだ、こういう建前に立つことが合理的であり、また国家のためにも非常にいいのではないかと思うわけでございますが、その点に対する大臣の御意見はいかがですか。
  24. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほど天野君にお答えしたところで御了解願えると思つておりましたが、重ねての御質問ですからお答え申し上げます。全額国庫負担になることが、貧弱府県市町村には最もよろしいという点は全然同感であります。ただしかし、私はシヤウプさんの勧告というものは保險思想であり、結局危險とかあるいは負担とかいうものを共同の負担にする、こういう思想から出ておるというふうに感じます。そういう見地から見ますと、貧弱でない地方公共団体に対しては、その思想は多少当てはまらないのではないかと考えます。いずれにいたしましても、百パーセント確かであるというふうには考えられない次第であります。そこで全額国庫負担にして、もう一つわれわれの論理的におかしいと思われるのは、今指摘した点でありますが、財政的におかしいと思う点は、全額国庫負担にいたしまして三百七十億の予算を今年計上いたしておりますが、十五万以下の箇所は別といたしまして、十五万以上の箇所は本年度は三百七十億事業するだけですから、市町村府県はまるきりしない。なるほど公共事業としては、国会において、相当政府としてはいばつておりますが、三百七十億きり事業をしないのですから、もし府県市町村を、三分の一加えてもつと大きく事業できるならば、その方がけつこうということにならぬとは限らぬと私は思つておりまするが、この点前田委員はいかがでございましようか。
  25. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 その点は全額国庫負担を当委員会で論議されたときからの、すでに明確な問題でありまして、あるいは十五万円以下は国がやらないということになりますと、地方が全部見ることになるじやないか。それを十万円にしろとか、あるいは七万円にしろとかいうような意見等もいろいろ出たので、その点はすでに当委員会でも論議になつたわけであります。ただ全額国庫負担ということを政府が強く主張されまして、それをわれわれが論議して、政府がやろうという御意思を了承いたしまして、それならばおやりくたさい、今後もその意見をもつて貫いてください、こういうことであつたので、もしおやりになるならば、むしろ一箇年間やつてみて、地方が十五万円以下では非常に負担が多いということ」なれば、それを七万円にするとか、五万円にするとかいうように、漸次地方負担を軽減するようなことを考えやるべきものだと考えたわけであつたのであります。  全額国庫負担の問題はそのぐらいにいたしておきますが、ついでに大臣ちよつとお願いのようなことになるかもわかりませんが、昨日本委員会におきまして、予備金支出の問題が問題になりまして、当委員会委員全部は、この支出が、どうも融雪災害等が早くから起つているのにいまだに十分その金の出る道が開かれておらないために非常に遅れておる。こういうことではこの秋の災害についてもまた非常に災害が起つて、前のが直つておらぬために、少しばかりの小さい災害が予想以上に大きくなるのではないか。こういう心配があつて、当委員会では、すでに査定も終つておるものについては、急速に金を出すように安本長官なり、あるいは建設大臣なり、関係閣僚に当委員会として要求すべきものであるということに実はぎまつたわけなんでございますが、ひとつ大臣の御努力をお願いいたしだいと思います。
  26. 増田甲子七

    増田国務大臣 前田さんの御鞭撻は、深く傾聽いたします。
  27. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 他に御質疑はございませんか。
  28. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 安本の小難建設交通局長にお尋ねいたします。今災害復旧費の問題が前田委員からも言われたのでありますが、今年度災害復旧予備費の出し方について、私は相当不満を持つてつたのであります。どういう点かといいますと、今年の災害額は大体百億以上になつておりますが、百億以上の予備費があるのであります。これを全部この際使つてしまえということを私は申し上げるのではないのでありますけれでも、融雪災害、六月の長野県その他に対する災害が百億以上ありますが、それに対する安本の案が立てられたときには、二十六億五千万円だつたと私は記憶いたしておるのでありますが、そういうふうな案が立てられたということについては、私は立案事務当局の人たちの災害復旧に対する考え方に、理解できない点があるのでございます。小澤局長は、専門家でありますから私から申し上げる必要はないのでありますが、災害復旧はできるだけ急速にする。しかももう九州等にはグレイス台風が起つたのでありますが、今後数回の台風をわれわれは予定しなければならないのであります。そういう場合に、今言われました通りのおそいのも問題でありますが、百億のうち二十六億五千万円くらいで応急の対策ができるとお考えなつておるのか。それが幸“と申しますか、閣議において四十億の線が出た。しかも私聞くところによると、諸般の情勢から四生一億という案にただいま折衝中と承つております。そこで局長に、大体災害復旧に関してどういう見解を安本の事務当局は持つておられるか、ひとつ御見解を承りておきたいと思います。
  29. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 百億の予備費に対しまして、事務局案といたしまして二十六億を出しましたが、それに対する見解ということでございますが、実は大体毎年の例によりますと、あまり今回出せないのです。といいますのは、これまでは大体初年度におきましては一二%くらいしか出ていないのであります。それはノルマルな状態ではありませんで、災害が非常に多い。しかし災害費が少いというので、一二%くらいしか初年度は出ていないのであります。ところが今年は災害が早く参りましたので、もう少し工事量も増し得るだろうということで大体一八%くらい一応緊急措置として出す。そうして八月、九月には、毎年のこれまでの例といたしまして災害があるから、それに備える。そうしてそれがもしも少くて済めば、そのときまた出したらよかろうというのがわれわれの案でございます。閣議において、それが非常に少いから増すという仰せに従つて、そういうことになつたのでございます。
  30. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 従来のやり方がそうであつたからというお話でありますが、さらにまた今後、先ほど私が申し上げましたように、災害予定をしなければならない。そういう各種の情勢を考えてやつていただくことはもちろんけつこうであります。しかし八月、九月の災害が出るかもしれないから、それと見合せてという考え方は、私ども納得が行かないのであります。現在起つておりまする災害箇所をそのままにいたしておいて、それが二倍、三倍になるということが当然考えられるのでありますが、少くとも予備費を持つておる以上は、全部これをつき込んで行くことはもちろんできませんけれども、できるだけ早くそういう穴をふさいでおくということが、私ども災害復旧の最も大事なことであると思います。今のようなお考えでありますれば、閣議で四十億ときめた、それに対して、安本の事務当局としては、反対の御見解を今日も持つておられるか。さらに四十二億になされたゆえんはどこにあるかということを私は承つておきたい。
  31. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 安本事務当局としては、二十六億が閣議で四十二億となりましたことに対しては、別に反対の意見を持つておりません、それから四十二億になつたことにつきましては、四十億と一応閣議できまりましたが、いろいろ全額を踏みますと、あれやこれや増すことがあつて、四十二億ということになつたわけであります。
  32. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 私は局長を追究するわけではないのですが、災害復旧に対しては、災害地の全住民が非常に苦労をいたしておることは国会の問題にもなり、本委員会でも非常に真剣に努力を払つておるのであります。そこでどうかひとり価額の調整をされる安本当局でありますから、いろいろ御苦労はあると思いますけれども、もう少し災害復旧について、積極的な考え方を持つて対処していただきたいということを希望いたします。
  33. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 四十二億の内容をちぐはぐでなしに、わかつておる範囲で御説明願いたい。特にわれわれが考えてみると、建設省関係が大体六十三億に達しているのだから、われわれがこれまでの例から見て竜、その四〇%、大体二十五億になりますが、これくらいのものを四十億の場合でも想定して行つたわけであります。それが聞くところによると、建設省関係が比率の上において非常に惡いように思われる。こういう間の事情を、さしつかえのない程度でひとつ御説明願いたい。
  34. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 それではこの四十二億の内訳を御説明いたします。建設省関係河川が二十二億五千でございます。これは国費だけのことであります。それから農業が十億でございます。それから山林が四億五千二百二十六万六千、水産が四億四千四百二十万八千、港湾が二億九千五百何がし、都市計画が四千五百、地盤沈下による上下水道が八千四百、それから厚生施設と申しますか、神戸の海港検疫だとか各府県の伝染病院でありますが、これが八百万円、それから文教施設、これは東京大学の乗鞍の観測所、京大演習林の護岸、静岡大学、名古屋大学の復旧でありますが、これが七百八十四万、それから住宅では、熱海、上松、鷹巣あたりが焼けましたので、それに対しまして一千四百万円、それで四十二億ということになります。
  35. 天野久

    天野(久)委員 ちよつと安本の方にお尋ねしたいのですが、どうもいつも惡口ばかりたたいて安本にはお叱りを受けますが、お許し願います。実はわれわれが、災害の問題、予備費の支出について論議をいたしたのは、約一箇月前だと思つております。そのときに安本の方がいらつしやいまして、なかなかすぐ出そうとは言わなかつたのです。われわれがほんとうに詰め寄ると、それでは出しましようということになつた。それでわれわれが不可解でならぬのは、そのときからすでに一箇月かかつております。災害が起きてからは、もう何箇月もたつておるというのは先ほど申した通りであります。一体何でそんなに時間をかけなければならぬかということをわれわれは了解に苦しむ。しかも予備費というものは、災害が起きるであろうということを想定して百億とつてある。それをどうして出さないか。一体どうしてそういうことを安本はやつておるのか。一体その筋の了解を取るというのだが、その筋はおそらく三箇月も四箇月も一つの問題を抱きかかえて、あたためておることはないと思う。そこで査定を終らなければと言われたということも聞いておりますが、査定が終らなくても概算で幾らやつておこうじやないか、追つて査定してはつきりした補助額をきめると言つて、金を出しても間に合う。災害が起きるとすぐ人類の生活に困るのは、水道がこわれる、道路がこわれる、橋がこわれる。こういう橋が流れる、水が断たれるということは災害につきまとうておる。それを二箇月もかかつて、まだきように至るまでその金がその筋と折衝中である。一体どうしてそんなにひまをかけるのかという、ひまをおかけになる方法をひとつお聞かせ願いたい。
  36. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 実は六号の十五日前後、それから二十日前後に非常に災害がありまして、各所から被害報告があつた。それから査定して参りまして、その査定を基準にして実はつくつたのです。それで約一月くらいかかつております。私どもといたしましては、なるべく早くいたしましたことを御了解を願います。
  37. 天野久

    天野(久)委員 災害の起きたのは、すでに融雪という——雪解けの災害というのですから、相当前だとわれわれは記憶しますが、それはともかくとして、われわれが出しなさいと言い、それで大蔵省から来た方が必ずただちに出しますということをわれわれは聞いて、安心して帰つた。それからにしても約一箇月たつております。それは事務上の手続はいろいろありましよう。われわれが思うようにはなかなか行かぬこともありましようが、しかしあまりにもひまがかかり過ぎると思う。もし今後の災害が起きたら概算で幾ら出しておこう、今は応急の仕事をしておけ、あとはしつかり査定して出すからという、そういうお出しになる方法も私はあると思います。われわれの山梨県は災害県で、その災害の味はよく味わつております。明日からすぐ仮橋をかけなければならぬ、明日から仮工事して水路を通さなければならぬということがある。それで安本様は高い所におられるから災害には関係はないでしようけれども、住民は困つておる。従つてあるべき百億の予備費がなぐなつたら困るのですが、百億はやがて不時に起らうとするところの予備の百億なんですから、どうかひとつ、もし今後災害があつたら、まず概算でお出しになるように手続を願いたい。もし安本の方が行つてお聞きにならぬならば、われわれがよく災害状況をその筋に御説明申し上げて御了解を得てよろしゆうございます。それは災害を受けたところの住民の不安、嘆きあるいは困り方というものは、これは言語に絶するものがありますので、どうかひとつ——丁寧に、ほんとうの万遺憾のない対策をお立てにならないでも、まず概算でやつていただきたいと思う。それを強く要望しておきます。
  38. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 今後の問題でございますが、災害があつたらなるべく早く出すということに努力いたします。
  39. 逢澤寛

    ○逢澤委員 今日は安本の長官も見えるというお話を聞いておりましたのですが、私は一般建設行政のことについてちよつとお尋ねいたしたいと思います。幸いにして小澤交通局長は長官より実際の面にお詳しいのであるから、主としてあなたにお尋ねいたしたい、かつ私の信念も披瀝して御批判を仰ぎたい。私ども実際に関係しております者から見ますと、民主主義下の建設行政というものに、非常に残念なところがある。かつての旧憲法時代に行つておつた建設行政をそのまま引継いでおる面が非常に多い。あなたは実務家とせられまして、これに対してどういうようなお考えを持つておられるか、改善するというような考え方があるかないか。改善するときはどういうふうなことを改善なさるのかということについてまずお尋ねいたしたい。
  40. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 私ども新憲法になりまして民主的にやりたいというふうに実は努力しておりますので、むしろどういう点が足りませんかおつしやつていただきまして、私ども十分気をつけてやつて行きたいと思います。
  41. 逢澤寛

    ○逢澤委員 いろいろ方面があると思いますが、まず私はこれは一年目でしたか一昨々日でありましたか、この委員会からもお話があつたことなので、繰返すようでありますが、日本の建設行政というものがあまりに多岐にわかれておると思います。建設省河川とか道路とかいうものをやる。同じ道路の延長である港湾は運輸省でやる。水力電気は通産省がやるとか、こういうようなことは、建設行政に対しては、もう一つ総合的のことをやることが、国家の経済あるいは国民の福利の増進のために、私ども考えると必ずそうしなければならぬことだしと思う。しかしながらこれはいろいろな伝統がありましたりする関係上、残念ながらこういうようなことになつておると思いますが、ここにあなた方のような実際の建設行政をおやりになつておられる方から見ると、相当考えがあると思います。そういうようなことにつきまして、まず忌憚のない御所見を承りまして、国民の福利の増進に資して行きたいと思います。忌憚のない御意見を拝聽。ごせていただきたい。
  42. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 建設行政のあり方でございますが、これについては、私個人としては意見を持つておりまして、ただいま私の申し上げることは個人の意見になるのでございますが、それを御承知の上お聞き願いたいと思うのでございます。各建設が多岐にわたつておる、これを一元化しなければならないというふうにわれわれ実務の方に携つております者は、個人としてはそういう意見を持つております。それによつて建設行政の簡素化ということが必要じやないかということを個人の意見としては持つております。
  43. 逢澤寛

    ○逢澤委員 そこで前提に申し上げましたように、ひとつあなた方のような実際家のお考え方から個人の意見をさらに延長していただきまして、行政の上に反映するようにひとつやつていただいて、国民の福利の増進に資していただきたいと思うのです。そこでそれをやるのに、私は一応いろいろの建設行政に関する法規の改革をやらなければいかぬと思います。現在行われておる法規のうちには、三十年も五十年も昔のものでそのままになつておるものがたくさんあると思う。一例をあげますと、内務省の道路規則などというものがある。道路規則というようなものによりまして、地方庁は非常な制約を受けております。いわゆる革新的な仕事をやつて行こうとしても、これに縛られてやつて行くことができないというような事例がたくさんあります。うわさに聞きますると、道路規則などというものは廃止をするという話があるやに聞いておるのでありますが、その点につきまして、廃止をするとか、あるいは改正をするとかいうようなことがありますかありませんか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  44. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 そのことにつきまして仄聞するところによりますと、建設省の方におきまして改正を吟味中だということをわれわれは聞いております。
  45. 逢澤寛

    ○逢澤委員 すみやかに改正すべきものは改正をしていただきまして、先ほど天野委員からお話になりましたように、事業遂行に対しまして機を失しないようにすみやかに事業を断行する、そういうことになりますとたとえて言いますと、災害が起つてすぐやればで済むものが、それを数日間あるいは十数日間ほつておくことによりまして、それが十になり、百になることはたくさんあります。そこで昔の法規がそのままありますために、そういうものが支障になつてすみやかにやれない、あるいは請負に付託することができない、あるいは請負に付託するのにこれが支障になるとか、あるいは直営でこれを施行することができない、こういうことがたくさんあるそうですが、こういうこともひとつ御研究を願いまして、すみやかにこれをやつていただくことをお願いいたしておきます。  それからもう一つお伺いをいたしたいことは、道路規則と並行いたしまして、大蔵省の会計規則がある。大蔵省の会計規則に拘束されまして、官庁としましてもいろいろ事業の遂行の上に非常な支障のある点があるそうである。それから一般の国民側でこれを施行するにあたりましても非常な支障の点がある。大蔵省の会計規則というものはこれまた今から三十年も四十年も前にできたものがそのまま続いておりますので、これに対しまして何か改正するとか何とかするというよろなお考え方がありますか、あるいは御研究なつたことがありますか、ありませんか、ちよつとお伺いいたしたい。
  46. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 実は私そちらの方面につきましてはよく知らないのでございまして、ひとつ関係大蔵省の方にお尋ね願いたいと思います。
  47. 逢澤寛

    ○逢澤委員 実は大蔵省の会計規則は、この委員会に関連のある事項が大分あると思いますので、逐条にわたりましては拔粋いたしまして、皆さんの御審議を煩わしたいと思うのでありますが、総合建設行政の元締めをなしておる安本の、しかも建設関係の元締めである小澤局長におかれましても、十分私の方から資料は出しますから御研究願いまして、建設行政の遂行に支障のないように御研究を煩わしたいことをお願い申し上げまして、私の質問を打切ります。
  48. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ちよつと安本に聞きたいのですが、たとえば予備費などを出す場合に、一々関係当局にお伺いを立てて、オーケーをもらわなければ出せないようになつておるのですか、それともあなた方の自主性でどんどん出せるようになつておるのですか。その点をはつきり。
  49. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 その点につきまして、やはり向うさんにアブルーヴを得まして、それからやりませんとわれわれからはやることができない。
  50. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そうすると予備金というようなものばかりでなくて、河川改修費とか災害復旧費とか、こういつたようなものも全部そうなんですか。
  51. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 それは予算をつくるときは、一応向うに相談しまして……
  52. 池田峯雄

    池田(峯)委員 予算を出す場合に、たとえば鉄道などの場合では、どこそこからどこまで電化してほしいというような地元の陳情がある。こういうような場合に、予算の許す限りにおいて支出しなければならぬような状態が起る。それは河川費で幾らといつたような大きなおくは款項目でできておりますが、その範囲で出さなければならない場合が出て参ります。そういう場合も一々関係当局のオーケーをもらわなければならぬようになつておるのですか。
  53. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 大きいわくは、たとえば河川とか道路とか、そういう大きいわくは認証を得なければいけませんが、その中におきましては向こうの認証を得ませんでもやれます。
  54. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そうすると予備金という大きなわくがきまつているのだから、その予備金のこまかい支出である限りは自由に出せるということになるのですが、その場合は違うのですか。
  55. 小沢久太郎

    ○小沢説明員 その区別、内容につきましては、向こううのアプル—ヴを得ませんと出せないのであります。
  56. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 本日はこの程度にいたしたいと思います。大体明日午前十時から継続審議をする予定でありますが、追つて公報をもつてお知らせをいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二分散会