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1950-07-22 第8回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十二日(土曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君    理事 田中 角榮君 理事 天野  久君    理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       今村 忠助君    宇田  恒君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       内藤  隆君    西村 英一君       三池  信君    山本 久雄君       中島 茂喜君    福田 繁芳君       増田 連也君    砂間 一良君       高倉 定助君  出席政府委員         大蔵事務官         (管財局長)  吉田 晴二君  委員外出席者         議     員 田中伊三次君         議     員 東井三代次君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君         衆議院参事         (法制局第二部         長)      福原 忠男君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一号)  京都国際文化観光都市建設法案田中伊三次君  外十六名提出衆法第二号)  奈良国際文化観光都市建設法案東井三代次君  外十五名提出衆法第三号)     —————————————
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより会議を開きます。  昨二十一日付託になりました京都国際文化観光都市建設法案田中伊三次君外十六名提出衆法第二号及び奈良国際文化観光都市建設法案東井三代次君外十五名提出衆法第三号を一括議題といたします。この際提案理由説明を求めます。田中伊三次君。     —————————————
  3. 田中伊三次

    田中(伊)委員 京都国際文化観光都市建設法案につきまして、提案者を代表して、私よりきわめて簡單提案理由を御説明申し上げたいと存じます。まず総括的な説明を一言いたしまして、続いて各条についての簡單説明を申し上げたいと存じます。  わが京都市は、皆様承知のごとくに、五百三十平方キロメートルにわたる広い面積と、百十万に上る人口を持つておりまして、延暦十三年に遷都以来、延々実に千年を越える都市の生命を保ちつつあるところの、古くてまことに美しい都でございます。まず国際文化観光都市としての姿を眺めてみますると、教学の機関としましては、京都大学、立命館、同志社、女子大学等、十指に余る最高学府を有し、その学問の水準自然科学人文科学ともに、首都東京にはもちろん、世界水準に比肩して劣らざるものがございます。比叡山延暦寺を初めとして、あまたの神社佛閣を持ち、さらに国有財産皇室財産、古美術国宝重美等の多数の歴史的かつ美術的な重要古文化財が存在をすること、皆様の御承知通りでございます。比叡山より伏見、桃山に連なる東山連峰は、都を貫流する加茂川の流れとともに、世界いずれの地にも讓らざる文化観光の都というべきであります。  京都市は、ローマ北京、エジプト、アテネ、平壤などとともに、世界の古き都として世の人々に記憶せられて参つたのでございますが、ローマ北京や平壤が戰火や天災によりましてだんだんと荒廃衰徴をして参りました今日におきましては、今やわが京都は、一千年の歴史を誇る、ただ一つ世界的な文化観光の都となつたのであります。人類文化を戰争の惨禍から守ろうとする、国境を越えたアメリカの尊い願望によりまして残された、こわされない国際文化都市なのであります。  かくのごとくにして、歴史的美術的重要文化資源を持つております京都市を、世界的文化観光の都として建設いたしますことは、世界恒久平和の大理想を達成して行く上に多大の貢献をもたらすものであると信じまして、これが法律的適当なる措置を講ずるために、ここに本法案提出した次第であります。  つきましては、法文内容につきまして逐条的に一言ずつ御説明を申し上げたいと存じます。  第一条は、ごらんの通り法案目的を記述したものでございます。ついでに説明をつけ加えますが、ここに規定せんとする本法案の運営によつてその対象となりますものは、国宝重要美術、すぐれた風致、名所、史蹟、有名な庭園等対象といたすのであります。なおこれらの施設につきましては、道路、河川、港湾、ホテル、衛生設備等諸般設備がございますが、これらの設備はいずれも都市計画法により、あるいは文化財保護法によつて保護の十分ならずと考えられる点につきまして、この法案によつてさらに一段の強力なる保護施設の完備を全うしたい、こういう心構えでございます。  それから第二条は都市計画内容でございます。  第三条は地域指定に関する問題でございまして、都市計画法文化財保護法との関係について若干の問題があろうかと存じますが、いずれも従来の法律とその内容を一にいたしておりますから、説明を省略することにいたします。  第四条は、特に市長執行という点をうたつたのでございますが、この条文は、かくのごとき明文を特に設けなくても、市長がこれを執行することは、都市計画法特別都市計画法等の命ずるところ、当然のことでありますが、実は特に関係方面の希望がございまして、これを挿入せよとの言葉がありまして、実はこれを挿入することにいたしたのであります。なくとも、当然この権限市長が持つことになるものであろうと存じます。  第五条は事業の助成でございます。国家並びに京都市中心として、これに隣接いたします一切の府県市町村人々が、これに対して、この法律によりまして、この事業の遂行の上にできるだけの援助を与えていただくことができるようにこの条文によつてなるのであります。  第六条は、国有財産法二十八条の規定にかかわらず、普通財産譲り渡しを受けるという規定でございます。これは用途が廃止せられました国有財産法にいわれる普通財産を、負担をいたしました費用範囲内でのみ譲渡を受けるというのが二十八条の規定でございますが、この法文の制定のお許しをいただきますならば、負担の限度を越えて譲り渡しを受けることができる。また全然経費負担をいたしておりません場合におきましても、経費の分担なきにかかわらず譲渡を受けることができるように、その二つ制限を解除していただこうという目的で、この条文をお願いをするわけであります。  第七条は、従来の法律と同じように建設大臣進行状態を六箇月ごとに報告をいたしまして、建設大臣内閣総理大臣にこの報告を持つて参りまして、総理大臣はこの報告によりまして、京都国際文化観光都市事業進行状態を年に一回国会報告する義務を規定したものでございます。  最後の第八条は、これは都市計画法適用されると同時に、特別都市計画法の第三条を特に準用するという規定を設けたのでございます。この観光事業特別都市計画法による事業として都市計画法適用を受けることは当然なことでございますが、特に特別都市計画法第三条の準用を受けるようにしたいと考えましたのは、第三条を摘出したのでありますが、これは都市における緑地地区指定でございます。この緑地地区は、当該市町村の長がこれを建設大臣に申請をすることによつて指定を受けるのであります。この指定を受けました場合においては、その指定範囲内において京都市長がこれに執行権を持つ。こういうことに法文の結果当然になるものであると考えるのであります。  附則につきましては、公布施行の時期と憲法九十五条によります住民投票のことを念のためにここに記入したのでございますが、国会法六十七条、地方自治法第二百六十一条などの規定によりまして、これは住民投票前に国会可決をいたしました場合は、国会可決後に住民投票をいたしまして、住民の過半数の同意を得ました場合に、初めて国会の議決が確定して法律の効力を発生するという、国会法六十七条と地方自治法二百六十一条の規定によりまして、国会で先に審議をいただき御可決をいただきまして、その後において住民投票を行いたい、こういう考え方でございます。  なおつけ加えて申し上げたいことは、この住民投票に要する費用でございますが、今国会において京都観光法案を御可決をいただきます場合におきましては、まことに幸いなことに、来る十一月の十日には、京都市のこの法案適用する全区域に及びまして、ちようど教育委員会委員選挙を施行することになつております。この十一月の十日の委員選挙にこれをつけ加えてともに投票を求めることになりますならば、その費用もほとんど負担が僅少になるのではなかろうか。申し上げるまでもないことでございますが、地方自治法施行令の命ずるところによりまして、これは国庫負担となつておりますが、国庫負担はほとんどなくて、よい便宜な方法によることができるのではないか、こういうふうに考えまして、まことに会期の短かいにもかかわらず、本法案を特に各位のお手数をわずらわすことに決意をするに至つた次第でございます。何とぞすみやかに御審議を賜わりまして、御採決いただかれんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 奈良国際文化観光都市建設法案について、提案者説明を求めます。東井三代次君。     —————————————
  5. 東井三代次

    東井三代次君 提案者の代表といたしまして、私から皆様提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  奈良国際文化観光都市建設法案につきまして、ただいま皆様に御審議を願つておるのでありますが、御承知のごとく奈良は、日本屈指観光地であり、世界観光都市であります。それは、すぐれた天然の景勝と、日本古代及び東洋文化の尊い遺産がことごとく古都奈良の名のもとに蓄積集成されておりまして、奈良全体が歴史であり、絵であり、詩の都市であるからであります。ことに今回の世界大戰のさ中においても、ことにわが奈良が爆撃の目標から除外されたのは、奈良の持つ人類文化戰火から守ろうとする、國境を越えた文化愛願望であり、今この残された日本の宝庫ともいうべき奈良市をして、さらに新しい平和文化国家の象徴として擁護することは、奈良市民のみならず、日本国民すべての責務であります。  奈良都市自体一つの大きな博物とであり、その包蔵している数々の文化遺産、一例を引きますれば、国宝重要美術品史蹟名勝等指定されてあるものとして、建物九十一、その建物の中には東大寺、薬師寺、唐招提寺、極楽院、興福寺、法華寺等があり、さらに宝物千三百六十七点、その宝物のおもなるものは、いわゆる正倉院の御物、西京薬師寺の本尊などを初めとして総計千三百六十七、重要美術品五十四、史蹟名勝天然記念物、たとえば平城の宮跡及び奈良春日野の奥山の原始林、そういつたもの総計十七、これらのものは、市民生活から遊離した單なる古代文化財としてあるのではなく、奈良の持つよき自然環境のうちに古典的な風俗、行事、芸能などと溶け合つて市民の教養と生活の中に生きているのであります。  奈良国際観光文化都市として、広く内外人の注目を浴びていますのも、奈良が持つ美しい風光と日本文化遺産、伝統が東洋の生きた古典風俗環境を味わおうとする旅行者の憧憬の的となつているからであります。また国際観光の観点から見ましても、奈良はいずれの都市にも劣らない日本の重要な観光資源であり、日本見えざる輸出振興の最良の資本であります。さらに奈良文化的意義と、日本国際観光事業が当面している切実な要請とにかんがみますとき、観光都市としての奈良は、奈良観光資源たる古文化財自然風致等保護するというだけにとどまらず、日本資源としての奈良そのもの開発育成するという高次の立場にまで進めるべきであります。奈良日本国際的な観光資源として設定し、日本文化観光中心都市一つとして建設することは外資獲得の有力な手段であり、見えざる輸出振興の民族的な資本を大きく培養することを意味しておると存ずるのであります。しかるに奈良文化的、観光的施設の現状は、いまだ国際文化観光都市としての水準には遠く及びません。終戰後いち早く諸般計画を策定したのでありますが、一小都市の限られたわくをもつてしては、とうてい十分な成果をあげることができ得ないのは、まことに遺憾とするものであります。よつて国際文化観光都市としての特別計画を実施して、奈良をして真に名実ともに恥ぢない国際文化観光都市としての近代的施設と、奈良固有の美しい自然環境と、その中にある観光資源との完全な調和を完成いたしまして、奈良文化が持つ世界的意義にふさわしい国際文化観光都市の実現を期しておるのであります。奈良国際文化観光都市建設を通して、人類の貴重な文化遺産を永久に擁護するとともに、国際間の親善と東西文化の交流を深め、もつて日本経済の自立を促進して、世界恒久平和の保持に資したいと存ずるのであります。このために本法案提出した次第でございます。  なお逐条の説明につきましては、ただいま京都田中代議士から御説明がありましたので、この法律内容につきましては、ただ京都奈良、この二つ文字がかわつておるだけでございますから、重複を避けるためにはなはだ失礼でございますけれども、田中代議士の御説明をそのままに引用させていただきたいと存ずるのであります。どうか御審議を賜わりまして、御採択いただきますようお願いする次第でございます。  以上簡單でございますけれども、提案理由説明をいたした次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。
  6. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより質疑に入ります。なおこの提案者以外に政府側から建設省の八嶋都市局長と、大蔵省吉田管財局長並びに法制局福原第二部長が見えております。
  7. 内海安吉

    内海委員 提案者の方に二、三御質問申し上げて何とか御期待に沿うようにしたいと思つておりますが、その前にちようど都市局長がお見えになつておりますから、ちよつと基本法について伺いたいと思います。  この問題は第七国会におきましても、別府、あるいは熱海伊東というがごとき、皆ことごとく提案者理由説明がありまして、満場一致本委員会においては特別都市建設ということを認めましたが、毎議会かかる案が提出せらるるということは、ほとんど予見し得るのであります。自由党といたしましても、どうあつてもこの機会において基本法をつくらなければならぬという考えのもとに、われわれ研究したのでありますが、政府当局としてこういう問題に対して基本法という一つ法律によつて、かような問題を取扱う法制上の施策についてお考えがあるならば承つておきたいと思います。
  8. 八嶋三郎

    八嶋説明員 ただいま内海先生の御意見に対しまして現在政府提案として單独の都市計画法というものを提出するというところまでは準備をいたしておらないのでございます。根本的には私どもといたしましても、都市計画法という法律を、民主的によく改変をいたして参らなければならぬという考え方は持つておるのでございます。その中にはやはり観光的なものまで一応含めて考えて行かなければならないのではないかという気持で今準備を進めておるのでございますが、これは主としていろいろな施行主体の問題であるとか、あるいは禁止、制限といつた問題が中心になることであろうと存じますので、その条文の一項といたしまして、国がいろいろの都市計画に関して予定をして参るということは、はつきりその中にうたおうとは思つておりますが、ただ観光だけで一般法政府提案として提出しようということは、現在のところ政府として準備をいたしておらないわけであります。ただ今内海先生からお話のありましたごとくに、こうした観光の問題が次から次へ出て参るということであれば、これに対して都市計画法とは別箇に一つ基準法をつくつて統制をして行くことはいかがかという御意見がございますれば、この点は傾聽に値する問題であろうというように考えておる次第であります。
  9. 内海安吉

    内海委員 單に傾聽に値するということじやなく、都市局長として、いわゆる基準法をつくる御用意があるか、御意見を承りたいと思うのであります。
  10. 八嶋三郎

    八嶋説明員 現在のところは都市計画法によつてある程度の形を整えて行きたいというぐあいに実は考えておるのでありまして、政府提案として、直接に今すぐ観光の問題だけを取上げて特別法をつくるという意思までは、今のところ持つておらないのであります。
  11. 内海安吉

    内海委員 それでは提案せられました田中さんにちよつと承りたいのですが、御説の通り京都奈良都市は一千年の歴史を持つてつて日本国宝あるいは天然物保存といつたような、文部省の指定国宝に値するものは、京都奈良をもつて数えられておると言つても決して過言ではないのであります。さきには熱海伊東別府というような都市観光都市として認められたのでありまして、大体この条文内容を見ましても、それと同じでありますから、条文の字句についてちよつと承りたいと思います。それは第一条の中に「文化観光資源」という文字があります。それと続いて「文化観光施設」ということがありますが、これをどういうように解釈してよいのか、簡單でよろしゆうございますから、御説明願いたい。
  12. 田中伊三次

    田中伊三次君 この場合に資源と申しておりますのは、たとえば国宝重要美術、すぐれたる風致名勝史蹟庭園などをさしておるのでございます。そこでその「観光施設の整備」と申しますのは、そういう国宝重要美術風致名勝史蹟庭園そのものだけにとどまらないので、そのもののよつてつております周辺観光施設というようなもをも含めるのでございます。たとえて申しますと、京都の町のまん中には相当あわただしく雑沓しておりますところに国宝建造物などがたくさんございますが、国宝保存法文化財保存法等によつて保護を受けますものは、その建造物たる国宝そのものでございます。そのもの周辺地域観光的にこれを取扱つたり、施設を施したりするような事柄は、法律によつて保護を受けるととができません。これは本法などによつて保護を受けたい、こういう心持でございます。従つて施設と申しますのは、これらのものを観光的に視察することができますような交通、あるいは観光その他の設備をさすものである。ころいうふうに御承知おきをいただきたいと思います。
  13. 内海安吉

    内海委員 次に第二条第一項でありますが、都市計画法第一条による都市計画のみで十分ではないかという考えを持つ者もあるのです。私自身としても、この点に対してちよつと疑問を持つておるのでありますが、この点について御説明願います。
  14. 田中伊三次

    田中伊三次君 都市計画法によつて十分ではないかというごもつともな御意見でございますが、実は都市計画法適用によつて実行のできます計画事業内容というものは、私たちがこの法律で企てております観光資源開発なり観光資源開発に対する施設というものには至らない場合が多いのであります。一例をあげて申しますと、たとえば道路でございます。都市計画法によりますと、地下鉄を通したり、あるいは電車道路を通したり、こういうことは十分に可能でございます。しかしその地下鉄の中にどういうレールをしいて、どんな姿の観光的の気持のいい、衞生的な通風、採光のいい電車を通すのか、また同じ道路の上にバスを通すにいたしましても、日本京都特有バス奈良バスというような、すばらしいバスをここに走らそうといたしますと、これは都市計画保護によつてはできません。こういうようなことでございますので、都市計画法事業の基礎の基準を示してその保護をしてくれるもの、それをさらに飛躍いたしまして、観光的に活用して諸設備を強くして参りますためには、どうしても都市計画法のほかに本法のような法律がいるのではなかろうかという考えを持つたわけでございます。
  15. 内海安吉

    内海委員 まことにくどいようでありますけれども、これはどうしても後日の記録に残しておきたいと思うので……。  次に第三条の規定でありますが、都市計画法第十条による、風致地区等文化財保護法第四十五条による環境保全のための地域指定で十分な保存が可能ではないかという議論もあるのであります。この点に対して……。
  16. 田中伊三次

    田中伊三次君 まことに御説の通りでございますが、実は一例をあげることが最も早いかと存じますが、ただいまお話を申し上げました国宝建造物といたしますと、その国宝建造物そのもの保存保護は、文化財保護法でできることになつております。ところがその国宝建造物を單に文化的な財としてこれをながめるだけではなく、観光対象としてながめて行こうといたしますには、その建造物周辺観光的に施設することが必要であると同時に、その国宝建造物に至ります道路には、観光にふさわしいバスを通し、電車を通し、タクシーを通すということが必要となるのみならず、その道路の上にはすばらしい樹木を植えまして、ここに並木の道路建設するようなことが必要となつて参ります。こういう事柄につきましては、国宝そのもの保存でなく、国宝保存に付随する幾多の観光施設であると考えます。そういう場合を考えまして、文化財保護法による保護だけでは十全でなかろうというので、この条文を設けた次第でございます。
  17. 内海安吉

    内海委員 さらに第四条の規定に明記されておる事業執行者でありますが、これを單に市長にのみ限定せられたという理由はどこにあるのでありますか、この点をひとつ……。
  18. 田中伊三次

    田中伊三次君 これははなはだ恐縮でございますが、この条文がなくとも、地方自治体を首長、チーフが当然事業執行の責任を持つことに関係法令でなつておるのでございます。実はお説のごとく、この法律条文はないままで関係方面に持つて行つたのでございますが、一体都市計画法とか特別都市計画法とかいうもので、首長に力強い指示権を与えるなどということはもつてのほかだ、そういうことが起らぬように、強度の指示が与えられないように、できるだけこの法律によつて市長の持つ自主的な自治的な権限を誤らしめることのないように、特にそういう条文をつけて、わかり切つたことだが、明らかにしてはどうかというような関係方面に強い御意見がございましたので、夜を徹してこの条文の一項を案出いたしまして、これによつてようやくオーケーが与えられたような次第であります。お説の通りなくてもよろしいものでございますが、特に明記することにいたした次第でございます。  なおつけ加えまして、今までの法文条文と違います点は、第二項に「地方自治精神に則り」ということが書いてございます。これもただいまのお説の通りと同様の趣旨で、特に地方自治精神にのつとりこれに努力するのだという、精神条文でございますが、これをあわせてつけ加えることによりまして、最後の御承認が与えられた次第でございます。
  19. 内海安吉

    内海委員 最後にもう一点承つておきたい。それは東京都においても問題になつたのでありますが、住民投票費用の問題であります。本日大蔵省あるいはその他からお見えになつておるのもおそらくこの問題だろうと思う。これは一体どのくらい費用を要するお見込みであるか、京都奈良別々に承りたい。
  20. 田中伊三次

    田中伊三次君 わが京都の場合は二つにわけてお答えを申し上げます。それはこの法案承認を求めるため、独立して投票を行う場合、それから他の選挙に付随して投票を行う場合と二つにわけることにいたしますが、独立していたします場合は、現在の京都投票権を持ちます有権者六十一万三千名、その六十一万三千名が一票当り二十五円という計算で一千五百万円余りの経費を、独立でいたします場合は、必要とすると考えます。幸いにしてこの十一月の十日に先ほど御説明申し上げたように、京都市教育委員会委員の改選を行います。これに付随をいたします場合は、一切の宣伝費がいりません。同じ一枚のポスターで二つ事柄を宣伝させます。それから投票用紙のペーパーの代金とプリントをいたします印刷代金の二つの代金がありますれば事が足るのでありまして、およそその二十一分の一程度国庫の補助を受けることができれば、十分に投票ができるものと京都市考えております。
  21. 東井三代次

    東井三代次君 ただいまのお尋ねの点につきまして、ただいま京都の計算と奈良の方も大体同じような計算を持つておるのでありまして、奈良市の有権者数、約四万三千でありますが、その四万三千人の投票に対しまして、一人当り大体二十五円と計算いたしますと、大体百万円であります。百万円の財源は奈良市において現在十分用意をいたしておりますが、これは国庫の方で補助されるということになりますと、国庫の方は予算措置をこれについて講じていただくことになろうと思いますが、これはただいま間に合いませんので、一時、従来の例によりまして地方の自治団体、すなわち奈良に振りかえを要求されることと存じておるのでありますが、いずれにいたしましても、奈良といたしましては、この住民投票に要する財源は、ただいま百万円の用意をいたしておるような次第でございます。
  22. 内海安吉

    内海委員 この前東京都において行われた住民投票経費を聞きますと、参議院の選挙に便乗して一票平均二十円かかつて、四千万円かかつたということを聞いております。京都の場合、便乗しないで一票二十五円かかるとすれば千五百万円であるが、教育委員会選挙に便乗すれば二十分の一で足るというのは、計算の基礎において何か違つた点がないでしようか。
  23. 田中伊三次

    田中伊三次君 実は宣伝費を加えますと、御説の程度の経費がいるのではないかと存じますが、教育委員選挙をいたしますには、ポスターを張つて宣伝をいたしますので、そのポスターに二つの色わけをして印刷をいたしますと、一銭も宣伝費がいらないのではなかろうか、それで十分やれることでございます。しかも教育委員会選挙それ自体はすでに一回やりまして、今度は改選で二度目でございますので、そうくどく徹底しなくても宣伝は行けるのじやないか、そうするとその余裕ある宣伝力をその方にまわして、紙を二分の一削ろう、こういうふうに苦心をいたしますと、二十分の一の七、八十万円程度ございますと、十分まかない得るのではなかろうか。国庫の補助は頂戴しなくても、またそれが遅れましても、やれるような手順はできておる次第でございます。
  24. 内海安吉

    内海委員 ちようど大蔵当局がお見えになつておるようですが、東京都の場合に、一体こういう問題に対して補助金といつたようなことがあつたかどうか。それからさらに奈良の代表の方の御答弁でありますが、国庫から補助を受ければ云々という言葉もあつたようでありますが、こういう問題に対して大蔵省はどういう処置をとられるか、御意見を伺います。
  25. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいま予算関係の者がおりませんので、後ほど調べてからお答えしたいと思います。
  26. 藥師神岩太郎

  27. 田中角榮

    田中(角)委員 簡單に二、三点御質問を申し上げたいと思います。  まず第一番目に、この種法律案を第七国会審議をいたしましたときに、この両法律案にも第六条に「国有財産法第二十八条の規定にかかわらず」ということを書いてあるのであります。これは国有財産法を改正した方がいいということを考えておるのですが、当時から大蔵当局でも、国有財産法の改正を現在立案中でありますという御答弁でありましたが、もちろん基本法規でもつてこういうことを改正するのが一番いいと考えておるのですが、現在の段階においてはどうでしようか。なお将来この種のものに対しては、国有財産法を改正する意思があるかないかということだけをお伺いいたします。
  28. 吉田晴二

    吉田政府委員 御質問の点でございますが、われわれといたしましては、公共団体の公共の用に供するような事業の問題につきましては、国有財産法の場合の規定に除外を設けまして、ある一定の範囲については無償譲渡をするというような規定は、先般立案をいたしまして、関係方面に折衝をいたしたのでありますが、その際関係方面からは、そういう規定はまだ早いということで承認を得られなかつたのであります。なお、しかしながら、われわれといたしましては、将来においてもさらに折衝を続けまして、この法律を改正するつもりでございます。ただ国会は臨時国会関係もございまして、緊急のもののみを提出することになつておりますので、まだその準備は本国会にはいたさなかつた次第でございます。
  29. 田中角榮

    田中(角)委員 吉田さんにもう一つお聞きしたいのですが、もうすでに別府熱海伊東、東京都というものが出ておるのですが、その住民投票も行つておるという現在、これがいわゆる第六条の無償譲与を受けることを得ということで、譲与の申請をやられたところがあるかないか。それからなおそれに対して許可を与えたというような事実があるかないかということをひとつ伺いたい。
  30. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいまのところは、まだ具体的にどこどこの土地を譲与してくれという申請はございませんので、その事例はまだ全然ございません。
  31. 田中角榮

    田中(角)委員 この法律案の一番の目的は、この第六条でありまして、この六条が論点になるわけでありますが、この種の法律案別府熱海伊東、東京都、このたび奈良京都が出て参つたのですが、別府熱海伊東奈良京都を除いた東京についてつくりました首都建設法案は、第六条の後段の「普通財産を譲与することができる」という字句が、譲渡することができるというふうになつております。実はこれを審議するときに、この種法律案の性質上、別府よりも熱海よりも伊東よりも東京がいいというような感覚をもつて申し上げておるのではありませんが、私たちはこの法律案目的普通財産を譲与することができるということが非常に大きなウエイトを持つておると思つておりまして、そのために東京の場合はこれが譲渡でありましたが、現在譲与、譲渡というものに対して、大蔵当局はこの字句の認定、定義というものを別に考えておられるかどうか。これを別に考えられると、非常に大きな結果が起るのでありまして、私たちはその筋の許可の関係考えますと、同じ趣旨の法律案でありますので、当然譲渡と譲与は同じことであると思うのですが、東京都に行われました首都建設法案は、与えるを渡すに特に直されておるのです。そういう意味で大蔵当局はどういうふうにこれを定義をし、しかも処置をせられるおつもりであるかということを伺いたい。
  32. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいまの御質問の点は、国有財産法の用語の問題といたしましては、非常に明白になつておる次第でありまして、国有財産法上、譲渡と申しますと、これは一般的に有償譲渡の場合をさして規定いたしております。譲与と申しますと、これは一般的に無償譲与の場合をさして言つておることであります。
  33. 田中角榮

    田中(角)委員 だからその意味で譲渡も譲与も同じ法律案で、東京都だけが譲渡になつておるのです。その意味で私たちも当時も大蔵政務次官にそれを言つてあると思うのですが、譲渡も譲与も同じものと考えて、この種の法律案精神を生かしていただきたいということを申し上げておいたのですが、吉田さんはその主管者でありますので、なるべく同一に御解釈を願いたいということを希望申し上げておきます。  もう一つ、これは都市局長に対してですが、大蔵省当局としてはあまりこういう法律が出ることは感心しないというようなことが第七国会における大蔵省の表現であつたようであります。しかし立法府である国会においてこの種法律案が制定せられた場合に、当然官庁は予算的措置をいたします。いたさなければならぬのだからこれは当然のことでありますという御答弁でありましたが、二十六年度の予算もすでに現在組みつつある状況下でありますので、もうすでにこの種法案も二、三通つておりますし、通つておるもの、なお通るであろうこの種法律案に対して、現在都市局は二十六年度に予算的処置を講ずるというようなお気持があるかどうか。大蔵省との御折衝の状況はどうか。これはもうこの法律案をつくられた目的が六条にあるとはいいながら、立法をした以上当然国家は予算的処置をして、この法律案の使命を達成しなければならないという建前上、また特にこれが議員立法であるという建前から、予算的処置も当然要請せられるわけでありますが、それに対する御確信のほど、現在の段階においてはどうかという問題について御答弁を煩わしたいと思います。
  34. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 ただいま田中先生からの御質問でございまするが、私どもといたしましても、立法のもとに行政をいたします者といたしましては、立法が正式に成立いたしますれば、その立法の精神をくんで、これがいろいろな予算的な措置、またいろいろの行政的な措置というものは講じていただかなければならぬことは、これは当然だと思つているのでございます。そういうような意味におきまして、実は昨年この議会において御提案になり、また住民投票において確定をいたしました都市につきましての特別な措置は、何とか講じたいというような気持をもちまして、現在安本方面と折衝いたしたいと実は思つておるのでございます。ただその際におきまして、一番大きな問題になりまするのは、やはり観光都市の問題であろうと思うのであります。つきましては、観光都市といたしまして特別に銘を持ちましたもので現在通りましたのは、御承知通り別府熱海伊東でございます。しかし私どもといたしまして観光的に見まするならば、やはりもつと都市として整備して行かなければならぬ都市が相当にあると思います。こういう意味におきまして、実は観光審議会というものが内閣にございまするので、その方面で一つのルートを定めて、こういうような都市はひとつ観光指定都市として取上げて行こうというような意見もあるようでございまするので、そういう都市の中で重要なものにつきましては、別個に観光都市の整備事項ということの項目を起しまして、実は予算要求をいたしたいという気持を持つておるのでございます。しかしこれが安本におきまして、また大蔵省におきまして、いかなることになりまするか、その最後の何はわかりませんけれども、都市局といたしましては、一応そういうような気持を持つておるのでございます。ただ京都奈良の問題につきましては、特別に項を起すというような問題につきましては、本日ようやくこの案が出て参りましたし、また住民投票の結果もわかりませんので、そこまで別個のわくとして要求しておるというような段階ではございません。ただ一般の観光都市整備事業というものの中に、京都奈良というものは他の都市と一緒に含めて要求はいたしたいと思つておる次第であります。
  35. 田中角榮

    田中(角)委員 最後に、これに関連するものでありまするが、ちよつと伺つておきたいと思います。議員立法でありますので、通過し、法律なつた場合、議員としてもその実績を大いに見守らなければならないわけであります。その意味で、予算という面に対しても重大な関心を持つておるのですが、二十六年度の予算を組みつつある現在、事業予算はなおまだこれを折衝するつもりであるというような段階であるようでありますが、もうすでに通過したものに対しては、幾ばくかの建設予算は当然入れて行かなければならぬ。そのお説については強硬に主張になり、特段の処置をとつていただきたい。これをなぜ申し上げるかといいますれば、事業予算といわず、東京首都建設法のごときは、国会議員を構成メンバーとするところの建設審議会をつくらなければならぬというのですが、予算がないために建設審議会もつくれないという状態なんです。あのような尨大なる住民投票費用をひとつもさくことができない。当然国庫予算をもつてやらなければならぬということになりますと、首都建設法が通つても何もならない。現に両院の議員を構成メンバーとするところの審議会をつくらなければならぬという焦眉の急にありながら、これさえつくれないという状態であつたなら、まさに議員立法としてはこの種法案を通すためには非常に考えなければならない。その意味においても、立法当局として私たちが審議をし、この種法案を通過せしめたならば、政府も大いにこれが予算化に努力をしていただけなければならぬ。特にこれを強く要望するわけであります。その意味において、何か特段の処置をもつて、この首都建設法に対する審議会をおつくりになる、——臨時国会でもいわゆる追加予算というものが出せないというような状態ですが、このままで行くならば、次の国会にというような状態になつて延び延びになるということになるのでありますが、これに対して何か別個に考えておられますか、特段の処置があるか、同じ種の法律案が通るのですから、それに対して御答弁ができたらお願いしたい。もしできないような状態であつたならば、何とか御捻出をして、錦上花をそえてもらいたいということです。これで私の質問を終ります。
  36. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 ただいまの御意見は、私ども法律を施行いたして参りまする者といたしましては痛切に感じている問題であります。予算の措置といたしましては、あれは最近内閣の外局となつておりまするので、内閣予算として内閣の会計から要求いたすような形になつておるのでございます。ただしかし、仕事を実体的に考えて参りますれば、私の方としても非常な重大な役割を持つておりますので、私の方として実は先般も大蔵方面に対しまして、側面的と申し上げてはあるいは語弊があるかもしれませんが、何とか早く措置をつけてもらいたいというような話を申し上げておいたのでありますが、ただ今回の国会においては追加予算が出せぬというような話もあるから、その点で実は非常に困つておるのだという話は聞いておるのですが、その後における情勢といたしましては、ひとつ大蔵省当局に十分御意見を拝聽していただきたいと思います。私どもの気持としては、一日も早く委員会をつくつていただきまして、これが活発に動いて行くようにお願いしたいのであります。
  37. 砂間一良

    ○砂間委員 提案者の方にお伺いしたいのですが、今年の五月奈良市におきまして発行された奈良国際文化観光都市建設計画案というものを拝見いたしますと、いろいろこまかな具体的計画がおありのようであります。これらの建設計画を完成するに必要な全体の費用というものは、どのくらいかかるようなお見込みでありますか。なお奈良ばかりでなく、京都についても、ひとつ概算でけつこうですからお伺いいたしたい。
  38. 田中伊三次

    田中伊三次君 お手元に配付申し上げております建設計画の第一項より第十項までを実現をいたすための経費は、ただいまのところ約五千億円と見ております。
  39. 東井三代次

    東井三代次君 実は計画案は立てておりますけれども、予算を現在はつきり算出するということはむずかしい問題であります。大分年度もずつと延びて参りますので、逐次財源と見合わして、実行に移して行こう、こういう考えを持つております。ただいま概算幾らという、そこまでの計算はまだいたしておりません。御了承願います。
  40. 砂間一良

    ○砂間委員 とにかく非常に莫大な費用がいるように思うのでありますが、その費用の調達について、一応どういうような目安をされているか。国や地方公共団体の関係機関から、できる限りの援助を期待するというようなこともありましようけれども、なおそのほかにいろいろお考えになつている腹案もあるのじやないかと思う。たとえば奈良の場合におきましては、外資というようなこともこの計画案の中にあるようであります。講和条約ができない前においては、すでにクレジットを設定したいというふうなこともあるようでありますが、たとえば当面の財源をどうするかというような問題についての、およその目安というか、予定というふうなものがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  41. 東井三代次

    東井三代次君 先ほど御返答いたしましたごとく、確固たる財源については、まだ十分の検討をいたしておりません。計画の概要を構想しておる次第であります。財源については、お示しのような、たとえば見返り資金とか、あるいは外資を導入してどうこうという、そこまでの具体的な構想は持つておりませんので、御了承願いたいと思います。
  42. 田中伊三次

    田中伊三次君 京都のこの五千億円に及ぶであろうと予定している経費でございますが、先ほどお話を申し上げました一項より十項までの実現のために、五千億円に上る経費がいるであろう、こう考えられますのは、ただいまの物価を基準とする想定をしておりまして、時期は十年計画を十期にわけ、百年計画の一環としての十年計画をただいま非常にまじめに京都市考えておるわけでございますが、この大観光施設の完遂には、どうしても百年を要する。その一環として十年計画を立てる。その十年計画の第一回の経費を三百億前後とにらみたいという考え方でございます。この財源につきましては、税收入、税外收入、特に競輪その他公益的な收入というようなものに全力をあげて、この財源を観光事業の先途の方面に使つて行こう。さらにでき得ることならば観光事業に必要なる財源のために、特に観光事業の起債をお認めいただきたい。これはまだ正式の申請には及んでおりませんが、目下その準備を熱心にしているような状況でございます。将来わが国の中央、地方を通ずる財政状態に若干の好転を来します場合においては、いち早くこの法案によつて特別の温情ある処置によつて、地方起債のお認めをいただきたい。これによつて着手いたします事業は、恒久的な施設をあとまわしに、当面緊急を要する、ただちに收入になる、ただちに電車に乗る人の数がふえる、ただちにバスを利用する人の数がふえるであろう、こう考えられます面、たとえば金閣寺が焼失になりましたが、この金閣寺はすみやかに復興したい。これを復興いたしませんと、京都市バスの收入、電車の收入は、その三分の一を減ずるのではないかと言われるほどの大影響があるのであります。そういう緊急当面の観光事業の方面に全力を傾ける。恒久的な方面はあとまわしにいたしまして、一切の支出を節約をして、その方面に財源を充当して努力をいたしたいと思つて苦心をしておる状態でございます。
  43. 砂間一良

    ○砂間委員 大蔵省吉田管財局長ちよつとお伺いしたいと思うのでありますが、奈良及び京都における国有財産は、土地だとか建物だとかいろいろあると思いますが、金額に見積つて、ごく大ざつぱにいつてどれくらいあるのですか。もしこの法律が通つて譲与するといつた場合に、どれくらいのものが譲与できるか、概算でいいですから伺いたい。
  44. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいま御質問の京都奈良の国有普通財産の問題でございますが、詳細な資料を手元に持つておりませんので、数字をはつきり申し上げるのは、多少むずかしいのでございますが、大体京都奈良とも社寺がおもでございまして、これらのものは、別に社寺の境内地移管に関する譲与の法律がございます。この法律によつて社寺の方に譲与するものは相当多い。従つてこの法律によつて将来国有財産になるものができれば別でございますか、現在の状況において京都あるいは奈良の方に譲与になるというようなものは割合に少い。たとえば広島でありますとか、長崎でありますとか、あるいは旧軍港であるとか、旧軍港の所在地でありました所では、これは相当の国有財産があるわけであります。京都奈良のようなところにおいては、割合少いわけでございます。大体概略申し上げてそういうことであります。
  45. 砂間一良

    ○砂間委員 第五条によりますと、国及び地方公共団体の関係諸機関は云云、できる限りの援助を与えなければならないということがあります。これはこれまでの別府熱海伊東等の観光文化都市法案にもよく使われて来た言葉でありますが、京都及び奈良提案者の方は、どういう具体的な援助を期待されておるか。また政府の方としてはどういう援助ができるかということを具体的にお聞かせ願いたいと思います。これは今突如始まつた言葉ではありません。先ほど申しましたように、すでに別府熱海伊東等の例もあるのでありますから、多少のお考えが具体的になつておると思いますが、その辺のことをお尋ねいたします。
  46. 田中伊三次

    田中伊三次君 大蔵省の局長のところで調査が十分にできておりませんか、私のところで幸い調査ができておりますからお答え申し上げます。国有財産法による普通財産として当面予定されておりますものは、具体的には京都右京区にございます嵐山公園でございます。それから京都市中にあります円山公園、こういうものを筆頭といたしまして、数十種目に上ります。その土地の坪数の総計は二十七万三千坪に及んでおります。これがこの法律対象になる可能性があると思います。
  47. 砂間一良

    ○砂間委員 そうすると、国から受けるできる限りの援助と申しますものは、これらの国有財産をできれば無償で京都市に払下げてもらいたいということが、ここに言われている法律の具体的内容になるわけですか。
  48. 田中伊三次

    田中伊三次君 まあざつくばらんに申し上げますと、こういう苦しい財源の中で百年計画ともいう計画を立てているのでありますから、できることならばお説の通り無償で頂戴したい、譲渡ではなしに譲与を受けたい。また、できることならばこの二十八条に規定してあります費用負担額の範囲内においてという制限をとつていただいて、費用負担額の範囲を越えて、言葉をかえれば、できるだけ負担金額よりは安い金額で払下げを頂戴することができるようになれば、財源が大いに助かる、こういう気持でございます。この本法第六条がお許しを得て制定ができます場合においては、先ほどもちよつと説明いたしましたように、無償で頂戴することもできる。それから金を拂うにしても安くまけていただくことができる、こういう趣旨になるわけであります。
  49. 砂間一良

    ○砂間委員 奈良東井さんにちよつと伺いたいと思いますが、たとえば国際観光ホテルを建てるにいたしましても、この計画案によりますと、一億四千万円ということになつておりますが、これは今の金融その他の情勢では、なかなか簡單に建たないと思うのであります。しかしまた他方におきましては、外資を入れてその合弁なんかでホテルをつくるということもあるようでありますが、何かその辺のことを、——そういう点もお考えになつておられますか。
  50. 東井三代次

    東井三代次君 できればさように早く実現したいと思うのでありますが、やはり国際情勢もいろいろございますし、なお講和条約もまだ締結されないという状況でありますので、具体的に外資をどうする、あるいはまた観光ホテルをどうするということは、まだ計画を持つているだけで、いかにしてその金を生み出すかという金策については、先ほど来いろいろ申し上げておりますごとく、まだそこまで具体的に実は申し上げられないような状況でございます。御了承承願いたいと思います。
  51. 砂間一良

    ○砂間委員 奈良の場合におきましても、京都の場合におきましても、国際観光文化都市ということになつておりまして、上に国際ということがついておるわけであります。また先ほどの提案理由の御説明の中にも、これによつて外資の獲得にも資したいという意味の御説明もあつたと思います。ところが、今日の日本の置かれている状況を考えますと、占領下にありまして、まだ講和条約もできておらないような状態であります。従つて外国人の日本入国ということも、いろいろ制限されておりまして、戰前のように外客がアメリカからもイギリスからも、濠州からもソビエトからも、中国からも、朝鮮からも、自由に日本に行つたり来たりできるような条件は、まだできておらないわけであります。こういう今日の客観条件のもとにおいて、この国際観光文化都市をつくるということは、実際問題としてある特定の国、たとえば單独講和を結びますならば、その講和を結んだ少数の国の外客を誘致して、その少数の特定国の外客に対してだけサービスするという結果になりはしないかと思うのでありますが、その辺のところはどういうお考えを持つておられますか。
  52. 田中伊三次

    田中伊三次君 本法案のねらいとしましたところは、こちらが外国に出て行くのでなしに、外国の客を日本に入れるのであります。今お尋ねの御説明にありました通り日本から外国に行く手続はむずかしいのであります。しかしながら外国人が日本に参ります場合は、アメリカたるとソ連たると中国たるとを区別しない、きわめて簡單な申出によつて来ることができるわけであります。やつて来て、日本国土において事業をするとか資本を持つとか、土地を持つとか建物を持つとかいう手続はむずかしいが、やつて来て観光をして、大いに日本で遊んで帰るという簡單な目標でありますと、すこぶる簡單な手続によつて、ただいまはほとんど講和が完成したと同様の状態に取扱われ、御存じのごとくに、年々歳々順次日を追うに従つて多くの旅客が日本に入国している状態であります。本法案はやがて近く成立をいたしました場合には、住民投票によつてその効果を発生するのでありますが、これは数年後、数十年後、数百年後を目ざす百年計画の一環としての十年計画を想像しているほどの、広大な時間的想定を持つておる状態でありますから、ただいまの状態は、入国についてはよくなつても悪くはなるまい。ただいまの状態においても、観光客の誘致ということは、この法律によつて必ずできる、こういう確信を持つて提出している次第でございます。
  53. 砂間一良

    ○砂間委員 その辺のことになりますと意見になりますから差控えます。  そこで次にお伺いいたしたい点は、たとえば奈良観光会館を建てるという計画があるようであります。この観光会館は一部を食堂、喫茶室、観光みやげの展示即売場にするとか、また酒場を設けるとか、賭博の奨励場なんかもつくるように計画されておるようであります。あるいは宿泊、休養施設建設整備等のところを見ますと、観光ホテル、レストラン・ハウス、キヤバレー、ダンス・ホール云々というように出ておるわけであります。また先ほどの田中議員の御説明によると、いろいろな財源として競輪だとか競馬だとか、ああいう政府公認のばくちを大いに奨励いたしまして、そうして財源に充てるというようなこともあつたよりであります。こういう賭博の奨励や、キヤバレーや、ダンス・ホールをどんどんやるというようなことが、日本の健全な国民思想にどういう影響を与えるか。日本の善良な風俗や習慣に対してどういう影響を与えるかということを、提案者は十分考えておられるかどうか。その辺についての御見解を承たりいと思います。
  54. 田中伊三次

    田中伊三次君 この法案で賭博をやるというのではない。賭博をやるには賭博をやることのできる法律が別個にあるわけでありますし、その法律国会審議を通して制定されたものでございまして、賭博の法律でこの程度のかけ金による、この程度のクレームの、この程度の賭博はやつてよいのだということで立法せられました以上は、その法律によつて得た收入を観光方面に使いたいという努力を拂うことはさしつかえがないのではなかろうか。この法律でこういう賭博を許してくれというならば、お説のようなことを考えてかからなければならぬが、許すのは他の法律によるので、それが審議せられて、よいということになつたならばそれでやらしていただいて、その收益を観光事業に使いたい。こういう気持があるのみでございます。
  55. 砂間一良

    ○砂間委員 奈良京都の由緒ある日本の古都を、ある特定の外人のための享楽場やばくち場にする。また世界の植民地的なモナコにするということについて、私は別の考えを持つておりますが、これは意見になりますのであとで討論のときに申し上げます。  そこでその次にお伺いしたい点は、奈良計画によりますと、ドライブウエーをつくつたり、野球場をつくつたり、ゴルフ場をつくつたり、いろいろな計画がたくさんありますが、京都でもやはりそういうような計画を立てておられるだろうと思います。ところがそういう施設をいたしましても、今六千三百円ベースでしばられて、そうして重税、悪税のもとに苦しめられ、そうして失業者が職業安定所へ出かけて行つても仕事が与えられない、こういうまつたく生きて行くことすらもできないような状態なのです。今の日本はそういう情ない状態にあるわけでありますが、そういう情ない状態に、国民の大多数があるときに、五千億とかいうような莫大な予算を伴うところの長大な計画を立てて観光施設をつくりましても、それをはたして日本の国民大衆、勤労大衆が利用できるかどうか。また外人が京都奈良に来て、一方においては輪奐の美を誇るところの豪莊な施設があつても、その都市の中に住んでいる住民京都奈良住民がまつたくこじきのような、奴隷のようなみすぼらしい生活をしておるということでは、これは決して日本の誇りでもなければ、りつぱなことでもないと私考えるのです。してみれば、まず国民生活を安定し、豊かにしてそうして、緊急な仕事をどんどんやつてつて、あるいは災害復旧だとか何だとか、そういうことをやつてつて、しかる後に全面講和もできて、そうして世界の国の人が自由に来られるというような時期になつて、そうして十分財源の余裕ができたときに、観光の方の施設に着手しても、私はおそくはないと思うのです。今こういうみじめな状態のときに、特にこういう單独法まで制定して、至急これにとりかかりたいという提案者気持が奈辺にあるかという点につきましてひとつ御意見を承りたいと思います。
  56. 田中伊三次

    田中伊三次君 お説まことにごもつともでございまして、私たちもそれについては同一の意見を持つておる状態でございます。そこで今奈良の方とも打合せしたのでございますが、お説の通り法案が成立いたしましたあかつきに、とりあえず観光施設として行いまする娯楽方面の内容は、たとえばスポーツ・センターであるとか、動物園であるとか、美術館であるとか、博物館の拡充強化であるとかいうような健全娯楽の方面に、取急ぎ愼重な努力を拂つて行きたいと存じます。いろいろなことがここに書いてありますが、奈良は二十五年五月にこういうものをつくつたのでございまして、今このままの気持ではないように提案者も申しております。そういう御趣旨に従つて愼重に健全な娯楽の方面に努力をすることにいたします。
  57. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 他に御質疑はありませんか。
  58. 天野久

    ○天野(久)委員 ちよつと大蔵省の方に伺つておきたいのでありますが、奈良及び京都観光地であることは非常に望ましいことであります。そこでこれから見ると、国の財産を譲与することができると、こうしてありますが、そこで奈良京都においてかようなことがあるとは考えませんが、この種の法案があるいはまた他に出ないとも限らないのでありますが、その譲与した財産について、その後の保護ということと、完全に目的通り使われておるやいなや、こういうことに対しての監督が何か法定されておるかどうか、こういうことを承りたいと思います。
  59. 吉田晴二

    吉田政府委員 これは、この法律の趣旨から申しまして、国際文化観光都市建設事業の用に供するために必要ありとして譲与いたしますので、その場合は大体そういう条件を付して譲与契約するということに取扱いたいと思つておる次第であります。従つてそれが譲与したとたんに他の何でもないことに使われるということはないようになるというふうに考えております。
  60. 天野久

    ○天野(久)委員 こういう大きい都市であればそういうことはないでしようが、やはり自治体において財政が窮迫する、こういう場合が何年かの後になきにしもあらず、こういうことになります。その場合にその財産を処分して自治体の費用に使う、これらのことが長い間にはなきにしもあらず、そういうことに相なりますと、せつかく国がこれを譲与いたし、国が持つておればりつぱに寺院なら寺院、あるいは、公園なら公園として保護されておるが、小さな自治体に移つた場合、その自治体の財政が窮迫した場合に、これを売つて使おうじやないか、これを売つて学校を建てようじやないか、ということが出やしないか、いわゆる自治体などで学校とか、あるいは公設の施設などが火災にあつた場合に、これを復興しよらじやないか、その場合に市の所有しておる財産を処分しようじやないかということが時折起つて来る。従つてこれに対してははつきりと目的通りに永久に使われて行くということが保証されないと、国の財産をそこに無償譲与して、その目的を達しなかつた、こういうことになるとわれわれはその責任を感じなければならぬ、こういうことでありますので、はつきりとした目的保護するだけの法律、あるいは何か規定があるかどうか、こういうことを承つておきます。
  61. 吉田晴二

    吉田政府委員 これは先ほどからお話のございました、他の同様な法律にも規定がございますので、その場合におきましても同様なことが起ると思います。ただいま申し上げたように、法律の上に明文はないのでございますが、法律の趣旨から申して当然のことであるとして、そういう譲与の際に条件をつけて、かりにそれが他に転用されるような場合には、無償ではなくて、当時の時価でもつてやはり国へ支拂うという措置をとるようにいたしておりますので、その点の御心配はないと存じます。
  62. 天野久

    ○天野(久)委員 建設省の方に承つておきたいのでありますが、私は、最初別府都市法案委員会を省略いたしまして、本会議によつて一気に可決されたのでありますが、そのときに、実はこういうことがあると、これから次次とこういう法案が出て来るであろう、こういうことを予測いたしたのであります。そこで基本法をこしらえてこういう必要のあるものは、その法を利用してやるようにしたらどうかというようなことも委員会で申し上げたことがあつたと思いまするが、その後におきまして熱海伊東等が出て参りまして、これも火災等が助けて通過いたしております。この法案も、これのみならず今後も続々と出て参るだろうと考えておりまするが、そういう場合に、建設省は順次この法案可決いたしまして制定いたして行くということに協力されるお考えがあるのかどうか。それからまたあとから続々出た場合には、その都市やその他の事情並びにいろいろな周囲の環境等を考えて整理する考えがあるかどうか。その点についてちよつと伺いたい。
  63. 八嶋三郎

    八嶋説明員 都市局の考え方といたしましては、法案のあるなしにかかわらず、それぞれの都市の性格に応じまして、整備するところはできるだけ整備をはかつて行きたいという気持を実は持つておるのでございます。従いましてこの法案として、特別にいわゆる国有財産等の問題といつたようなこと、その他この京都あたりの問題になりますれば、第三条でございまするか、それからまた第八条でございまするか、いわゆる保存地区の問題であるとか、あるいは緑地地域適用の問題といつたような問題が、実は現在の都市計画法としては解決されておらない問題の一つでございます。そういうような特別なものを一つ法律の中に包括して行かなければならぬ点が相当あると思つております。第八条あたりの一つの例を申し上げれば、これは緑地地域規定でございますが、実は私どもといたしましては、都市計画法の改正の際において入れて行きたいという気持を持つてつたのであります。最初この緑地地域規定特別都市計画法の中には書いてあるのでございますが、私どもといたしましては、都市計画法を改正して入れてもらいたいということで、実は法制局と協議をいたしたのでございますが、その際におきまする法制局意見としては、都市計画法の部分的な改正はしたくない。たまたま特別都市計画法というものがあるから、その中で一応解決して行こう。しかしこれには都市指定いたしまして、戰災都市だけに限定されるというようなことになりましたので、私どもといたしましては、日本国内における大都市から緑地地域の問題を考えて行かなければならぬので、戰災都市といたしましては、やはり東京、大阪、神戸、名古屋といつたようなところが大都市でありますが、非戰災都市として残されておつたのは、実は京都でございます。京都あたりを例にとりまして強硬に申し入れたのでありますが、省かれたような次第でございます。こういうような問題等は、今後この都市計画法を全面的に改正する際におきましては、戰災都市、非戰災都市にかかわらず、緑地地域あたりの問題を考えて行かなければならぬと思つておるのでございます。  それからまた文化観光保存地区あたりの問題につきましては、これは風致地区、美観地区というようなものが法律規定にはございます。今度の建築基準法におきましては、特別地区というようなものが設定されますので、これはまたそれによつて解決し得る道はあるだろうと思います。ここにはつきり文化観光保存、地区として出ておる、いわゆる天然の風景のみならず、いろいろな人為的な文化施設保護というような点は、これは従来の法律では解決されておらなかつたような問題等も相当あると思います。こういう点をつけ加えていただくことは、私は非常にけつこうなことではないかというぐあいに考えておる次第でございます。そういう意味におきまして、それぞれの都市におきましては、多少やはり違う点もあるだろうと思います。現在の法律だけによつて解決できない問題があるだろうと思います。これは、要は都市計画法を全面的に改正いたしまして、一つの大きな、こういうものが入り得るような道をつくつておくことが必要だと思つて居ります。これは今後私ども都市局の大きな研究課題として研究しておる次第であります。先ほど申し上げましたように、個々別々の都市について、都市局は協力するかというお話でございますが、これは法律のあるなしにかかわらず、私どもといたしましては、御協力申し上げて行きたいという気持でおります。ただこういう法律がありますれば、やりやすいという点が多少あるだろうと思います。
  64. 天野久

    ○天野(久)委員 今お話を聞くと、都市局は進んでこれをやりたい、こういうように解釈してもさしつかえないように聞きます。そうであるとするならば、私は国として、この都市とこの都市観光都市として育成すべきである。この都市はこうすべきである。こういようなりつばな計画を立てられて、むしろ建設省が進んでこれを指導されたらどうか。今これにおきましても、奈良京都などはむしろもつと前に、一番先に率先してこの法案が施行さるべき都市であるということは、われわれわかつております。従つてこれに準じた都市、あるいはまたこれに準じなくても近いような都市は、こういう法案を出して来るでしよう。そしてこの法案を出されるその県の方々などは、非常なる努力を払つてあちらこちら運動をなさらなければならぬ。そういうことはこの非常に忙しいときにむだなことではないかと思います。従つてどうか建設省は、それだけのお気持があるならば、むしろ進んで国として全体をにらみ合せて、これとこれとこをこうしようというような法案を、基本法と申しましようか、何かこしらえて指導されることをわれわれ希望いたしおります。
  65. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 お諮りいたします。大体質疑も尽きたようでありますが、この程度で打切ることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑は終了いたしました。これより討論に入ります。通告順によつてこれを許します。
  67. 内海安吉

    内海委員 議事進行について……。この際討論を用いず、即決可決されんことを求めます。
  68. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 内海君の動議に対して賛成の方は御起立願います。     〔賛成者起立〕
  69. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 起立多数。よつて内海君の動議は成立いたしました。  それでは採決いたします。賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 起立多数。よつてこの両案は原案の通り可決いたしました。  なおお諮りいたしますが、以上の両案に關する報告書の作成並びに提出手続につきましては、恒例によりまして、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議なければ、さように決します。     —————————————
  72. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 それでは次に前会に引続き、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を継続審議いたします。  本法案につきましては、前会においてすでに質疑を終了しております。これより討論に入ります。通告がありますので、これを許します。砂間君。
  73. 砂間一良

    ○砂間委員 私はただいま議題になつております住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に反対であります。反対の理由は、本案によりますと、これまで国家公務員として恩給法の適用を受けることができた公務員が、住宅金融公庫の職員に転任した場合において、この職員にだけ恩給法を適用するというのでありますが、これは住宅金融公庫の他の職員と比べまして非常に不公平になるのであります。  この間の提案理由説明、その他質疑を通じて政府委員説明を聞いておりますと、他の職員は共済組合で救済されるから、それでいいじやないかというふうな御意見でありましたけれども、もし共済組合でいいならば、何も特定の職員にだけ恩給法を適用して特権を与える必要はないと思います。また他の公団及び公庫等の例を見ましても、特に特例を設けて、それらの職員に恩給法を適用するというふうな例はこれまでなかつたのであります。大体建設省や大蔵省からこの住宅金融公庫に入つて行つた人たちは、いわばごく少数の高級の公務員でありまして、そういう高級官僚だけを特に優遇するという必要はないのであります。大体恩給法それ自体が、日本においては歴史的な伝統もあるのでありますが、官吏、近ごろの言葉で言えば公務員ですが、公務員に非常に厚い。労働者の場合は退職手当すらも十分に支給されていない。ことに農民などは一生まつ黒になつて働いても、何ら国家が見てやるというふうな規定はないのであります。去年の七月の行政整理なんかを見ましても、国鉄や全逓において多年動続して、もう半年か一年たてば恩給がつくという人であつても、これが共産党員であるとか何とかということで、ばさばさ首を切つている。一方においてはそういうことをやつておきながら、特にこの公庫に入つた特定の高級官僚にだけは、そういう特別の恩典を与えるという理由が私にはわからない。恩給などという制度はやめにしてしまつて、社会保障制度を拡充して、百姓でも、漁師でも、自由労働者でも、すべての人が、まじめに働いて、一定の年齢に達して働けなくなつたら、国がその生活を見てやるというふうにすべきがあたりまえだ。まだ日本ではそこまで行つていない。公務員だけは、こういう恩給法という特権を持つておるのでありますが、それを住宅金融公庫の場合にも濫用いたしまして、特定の高級官僚に、特例を設けて恩典を与えるというふうな行き方には、私はどうしても賛成できない。以上の意味におきまして、私は本法案に反対であります。
  74. 藥師神岩太郎

  75. 田中角榮

    田中(角)委員 自由党、民主党、農民協同党、三党を代表いたしまして、本法案に賛成の討論を行います。  この種法律であるところの日本国有鉄道法、並びに日本專売公社においても、この改正法律案と同様なら条件を認められておりますので、住宅金融公庫法の一部改正法律案に対しては、その意味において賛成をいたす次第であります。
  76. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 前田榮之助君。
  77. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 住宅金融公庫法の一部改正につきましては、日本社会党といたしましては賛成でありますが、ただこの際希望を申し上げておきたいのは、恩給法の改正が本筋でなければならぬという観点から、恩給法を将来全面的に改正をして、そうしてこの職員のかかる給与については、各公団その他と同一な取扱いをされるような希望を付して賛成をいたします。
  78. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 お諮りいたします。これにて討論を終了いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議なしと認めます。よつて討論は終了いたしました。  採決をいたします。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 起立多数よつて本案は原案通り可決せられました。  お諮りいたします。本案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、恒例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議がなければ、さように決します。  本日はこの程度にとどめまして、次会はいずれ公報をもつて御通知申し上げます。これにて散会いたします。     午後三時二十四分散会