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1950-07-19 第8回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十五日       内海 安吉君    鈴木 仙八君       田中 角榮君    天野  久君      前田榮之助君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十五年七月十九日(水曜日)     午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君    理事 田中 角榮君 理事 天野  久君    理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       今村 忠助君    宇田  恒君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       内藤  隆君    西村 英一君       三池  信君    山本 久雄君       中島 茂喜君    福田 繁芳君       増田 連也君    池田 峯雄君       砂間 一良君    高倉 定助君       衞藤  速君  出席国務大臣         建 設 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         建設政務次官  渡邊 良夫君  委員外出席者         議     員 石原  登君         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      米田 正文君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 啓一君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 七月十七日  委員砂間一良辞任につき、その補欠として井  之口政雄君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員井之口政雄辞任につき、その補欠として  砂間一良君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員池田峯雄君及び寺崎覺辞任につき、その  補欠として井之口政雄君及び高倉定助君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 七月十九日  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一号) の審査を本委員に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  建設行政に関する件     —————————————
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 それではこれより会議を開きます。  建設行政に関する件を議題といたしまして、まず天竜川治水計画に関して、当局より説明を聽取することにいたします。米田治水課長
  3. 米田正文

    米田説明員 私から天竜上流計画について御説明申し上げます。天竜上流改修工事は、天竜川の二十年の災害のために治水の議が起りまして、さつそく二十一年に計画を立てまして、二十二年に事業に着工いたしたのであります。計画の概要は、天竜が静岡県分までを全部包括いたしますと、約五千平方キロの面積を持つております。長野県だけで約三千平方キロの流域面積を持つております。洪水量昭和二十年の洪水基準にいたしまして、長野県の最下流で一秒間に五千立方メートルの水が流れるというのを計画基準にいたしておるのであります。上流に至るほど計画の水の量は減つて参りますが、辰野附近で約三千立方メートルということにいたしまして、川の幅、深さを決定いたしたのであります。水害面積長野県だけで五千七百町歩に及んでおります。昭和十年から十九年までの十箇年におきまして、その当時の金で、大体毎年平均にいたしますと、百万円程度災害額であつたのであります。最も大きかつたのは、昭和十三年の災害がひどかつたのであります。このときは平均額の約三倍に当ります三百万円に達する被害があつたのであります。計画の骨子は、御承知のように天竜川諏訪湖にその源を発しておりまして、ただちに渓谷に入つて参りますが、辰野附近から平野地に出て参るのであります。支川のおもなるものは三峯川であります。われわれの技術語で言いますと、左支——左支川三峯川が出て参りまして、これが天竜川支流のうちでは最も大きい流域を持つておるのであります。その次には小澁川が流れ込んでおります。この二つが、たくさんあります支流のうちで最も大きいのであります。当時の改修計画は、長野県の県境から上流辰野附近に至るまでの区間を堤防式水制護岸というようなものを中心にして河川計画を立てております。これはその後御承知のようにこの流域内——本川内三つ発電所があるのでありますが、そのうちの最も下流にあります泰阜堰堤のために非常に河床が上つて参りました。特に天竜峡から川路附近河床は非常に上つて参りまして、そのために災害が非常に激増をいたして参つたのであります。泰阜堰堤のすぐ上流では、二十メートル以上の川底が埋つております。川路附近でも相当つておりまして水位から申しましても二メートル以上の水位が常時上つております。これらの対策につきましては、日発の側とも交渉をいたしまして——これは二十二年から交渉を開始しまして、この日発ダムによる被害についての話合いをいたしたのであります。これは県の知事の名前で許可をいたしておる建前上、県が中心になつて日発交渉いたしまして、建設省といたしましてもこれと同時にその話合いに加わりまして、かつ通産省も日発所管庁という意味で四者で会談をいたして、その災害に対する処置として、一昨年千三百万円の補償料支出させまして、建設省天竜川改修事務所がその工事の委託を受けて今日実施をいたしております。その千三百万円のうち、ほとんど使つて川路附近護岸水制をやつたのでありますが、一部岩盤の掘さく等の仕事が残つておるだけでありまして、大部分工事完成をいたしております。しかしながらことしの災害でその附近がまた相当荒れましたので、その災害対策計画を今立てておるのであります。今年度で二十二年から第四年目になるのでありますが、今年度は予算も三千万円程度でありまして、さほど大きな工事をいたしておらぬのであります。最も被害のひどかつた附近中心にして、改修工事を進めております。たまたま今年の災害が起きましたので、これが原因についてはただいま調べおりますが、いろいろな原因があるようであります。たとえば諏訪湖調節そのものの問題があり、それから水源における砂防の問題があり、あるいは上流洪水調節をする問題があり、いろいろありますので、先月来百万円の調査費を調達いたしまして、現在調査をいたしております。その主眼といたしますことは、諏訪湖調節をいかにするかという点、それから支流三峯川あるいは小澁川等で洪水調節をし得るかどうか、あるいはその附近砂防をいかにすべきやというような問題を調べると同時に、本川の全流域にわたりまして河床がいかに変化しておるか、この変化に対応するための処置をいかにするかというような問題を研究いたす予定であります。  御承知のようにこの川は、三峯川の支川筋では、方向から申しますと西半分は砂防関係も大分古くからやつておりまして、大分できておるのでありますが、東半分の支川筋砂防はまだ進みが大分鈍いのでありまして、現在小澁川附近砂防をやつておるのでありますが、これはまだ今後相当にやらなければならぬ状況であります。三峯流域も一時やつておりましたが、今は予算関係等もありまして、十分な砂防をいたさないで、一時工事を中止いたしておるような状況であります。先ほど申し上げましたこれらの調査が全般的にでき上りました上で、それらの水源から本川支川にわたりますところの砂防河川関係改修等を来年度から新たに計画をいたしたいと考えております。今後なお、現在の計画でも十六億程度予算を要することになつておりますが、新しい計画になりますと、なお相当予算増額、総工費の増額をいたすことが必要になつて参ると存じます。概略でございますが……。
  4. 今村忠助

    今村(忠)委員 今の御説明に対して、時間の節約上ひとつまとめて御質問申し上げます。  第一は改修工事が着々なされておるということでありますが、なされた改修工事が今回六月上旬の雨で東春近のごときは全部そのまま流れてしまつております。約二億の金をかけて、県にまだ引渡さないうちに流れてしまつた。そこで私は過日河川局次長にこの席で質問しておいたのでありますが、従来の堤防やり方では、また持たないのではないか、今回の予算の組み方を見ますと、従来のものより多少経費もよけい見積つてあるようでありますけれども、何か技術面一つの改良を加えない限り、同じことを繰返すおそれがあるのではないかと思いますので、この点に対してひとつ当局の所信を承つておきたい。  第二に、すでに今のお話の中で三つダムがあつて、そのダムのうちの一つ泰阜ダムがあるために、いわゆる河床が二十メートル以上も上つておることは認めておる、こういうのでありますが、それに対して適当な処置が今日まで行われるべきであつたのが行われておらぬ。しかも河川改修費三千万程度のものであるとこういうのでありますから、私ははなはだ事務的に怠慢であつたというような感じがいたすのであります。一体今までに、このダムに対する被害について、具体的にどういうことをしたかということを承りたいのであります。  第三段には天竜川改修根本企画を立てるために、百万円の調査費をあげて調査するということでありましたが、その調査する事項の中に、ダム原因するところのものを調査するという言葉がなかつたのでありますが、それは調査の中に加わつておるかどうか、第三番にそれを承りたい。  第四段に災害応急対策費というものが災害復旧費の中に含まれておらないのでありますが、これがために災害を受けておる村では、実際応急対策に費した何百万の金というものの支出に困惑しておるわけであります。わずかなものでありますれば、村の財政から切り盛りすることもできますけれども、今回の豪雨による被害というものは、ちよつと大きいところでは、応急対策として数百万の資材、あるいは專門的請負業者たちを頼んで、河川本流締切り等をいたしておりますから、村では負担しきれないものがあるのであります。私ども実情を実際に見ても、ずいぶん災害応急対策費というもののあるものは、どうしてもやはり復旧費の中に含めて国庫で負担してもらわなければ、貧弱な農村では、とうてい負担しきれぬものがあると思うのでありますが、一体今回の場合においては、これがどう扱われておるか、この点をお聞きしたい。  第五段に、見返り資金についての、ここに説明すべき主要計画表というものをいただいたのでありますが、従前から比較いたしますと、非常にゆたかにといいますか、今までにない尨大な金額がこれに振り向けられたことは、まことにわれわれ建設委員として喜ぶ点でありまして、当局の苦心のほども大いに感謝しなければならぬかと思うのでありますが、ただ一つ天竜川の大きな水害があつたのに、天竜川が入つておりません。これは一体どういうものか、大臣初め実際の現場を見ていられまして、相当被害であるとともに、あれは時期はずれとでも言うか、秋の増水期をなお近く控えておるのでありますので、どうしても相当な金をかけて応急処置をしなければ、被害はますますその箇所を増大せしめるおそれがあると思うのでありまして、そう考えますと、やはり見返り資金から相当額のものを、天竜の今回の災害復旧、あるいは将来の根本対策にもわたる、いわゆる中小河川砂防等の方面に振り向けなければならぬ、こう思うのであります。これは当然の常識的処置と考えるのでありますが、どうしたものか、これが加わつておりません。これについてひとつ説明願いたい。以上五つの点について、ひとつ簡單でけつこうでございますがお答え願いたいと思います。
  5. 米田正文

    米田説明員 ただいまお尋ねのうち第一の問題、工事の一部できたもので、それが破壞されたという問題は、確かに今度の災害の現象の中に認められるものであります。これは私どもまだ詳細なる研究はいたしておりませんが、概略報告を聞いたところで考えますと、工事の全体の計画ができておらないために、ごく部分的な工事をやつておるために、破壞せられたという原因が最も大きなフアクターのように考えられるのであります。特に川路附近護岸水制工事のやられたごときは、一部の川路川の護岸水制の完全にできたところはほとんど破壞をすることなく、そのためにかえつて対岸の関係が非常に被害を受けたというようなことになつておりますので、これらは部内的な改修工事、あるいは災害復旧工事ではなくて、総合的な、全体的な工事を今後進めることによつて解決をいたしたいと考えておるのであります。  次の問題はダムによつて埋沒し、河床が隆起しておりますものについては、これは全国でも今二、三問題になつているところがあるのでありまして、たとえば泰阜の問題、あるいは宮崎県の大淀川上流の問題、あるいはその他和歌山県における問題等日発発電のために災害を生じておるものが各地にあるのであります。最近その事例が著しく浮び上つておるのであります。われわれといたしましても、この問題については非常に重大な関心を持ち、研究もいたしております。どういう処置とつたかというお尋ねがありましたが、それぞれできるだけの手当をいたしておるのでありまして、この泰阜堰堤については、先ほども御説明申し上げましたように、日発から一部の補償金支出させまして、さしあたりの問題、川路附近の問題の工事を一部実施をいたしたのであります。今年度また災害を受けた区域がその附近にありますけれども工事をやつた川路川の部分は、従来受けたような災害は今度はなかつたという点で一部の効果を発揮いたしておると存じております。  それから今度やつております調査の中で、ダムの問題が調査の中に入つておるかどうかというお話でありますが、主眼本流の方の調査中心になつておりますが、支流ダムの問題もこの際調査をする予定であります。それから泰阜ダム被害調査、あるいは埋沒調査、いわゆる河床隆起調査については、今日まですでに継続をいたして現在調査をいたしておりまして、相当資料が集まつておりますので、これはその総合計画のときに、同時にその資料を織り込んで研究をいたす予定であります。それからすぐさしあたつての処置をする応急復旧の問題につきましては、これは県災害直轄災害と二通りありまして、県災害の方は、県の独自の処置ですぐに金の支出をしてその応急復旧処置をとつておるのでありますが、直轄関係のものは、実は災害復旧費支出が別途にないために、その処置ができない箇所があると存ずるのであります。最近閣議できまりました四十億円の内訳がきまつて参りますと、天竜川直轄復旧費も当然その中に入つておりまするので、これが決定を見ますると正式に支出ができますので、それから正式の工事になるのであります。しかしながらやむを得ないものについては、何とか便法を講じて、現地応急復旧をすることになつている。今日それをはたしてやつておるかどうかまだ私どもの方に正確な報告が参つておりませんが、もしそういう緊急やむを得ざる直轄災害復旧のものがあれば、何とかして処置を講じたいと考えます。
  6. 目黒清雄

    目黒説明員 ただいま安本から出しました見返り資金の表の中には、確かに天竜川砂防の問題は入つておりません。それはここへは一応司令部の承認を受けたものが入つておるのでありまして、まだ懸案中のものがありますので、これはまだ将来の問題として考慮中であります。
  7. 今村忠助

    今村(忠)委員 先ほど課長さんの説明で多少不安と思う点は、第一の堤防改修に関しまして、一応災害復旧費が計上されて、これをするということでありますが、第一は時期的な問題であります。昨晩現地から電話がかかつて参りまして、県の担当すべきところは着々もう復旧にかかつておるけれども直轄のところはまつたく手がついておらぬ、雨が降るとすぐ流れてしまう、これでは意味がないから、すみやかに直轄区域応急といいますか、復旧工事に着手してほしいということで、同じある一定経費を計上いたしましても、時期を失してしまいますと、秋の洪水期に、せつかくとりかえたものをまた流すということがある。相手があることで、しかも時期をかまわず来る水ということでありますから、最も適切なる時期において処置してもらいたいと思うのでありまして、これはひとつ現場とも連絡して措置するようにしてもらいたいと思います。  第二に、この改修復旧費でありますけれども先ほど来申す通り激流災害であつたのでありますから、ある程度一定の金をかけて完全なものにしなければ、御説明のあつた通り再びむだをすると思うのであります。これは時期はずれの六月の雨による被害でありますから、私はこの秋における増水期のことを考えますと、実に寒心にたえないのでありまして、被害地からは頻々と陳情並びに訴えが来ておるのであります。これに対してすみやかに応急処置をしてもらいたいということを重ねて申しておきます。  見返り資金の中に天竜川が入つておらなかつたが、将来考慮するということでまことにありがたいことでありますが、とにかくこういうものが現実にできて、ある程度の力を入れない限り、したものはむだになる。現に私は事実をあげて二億円からかけたものが県に引渡す前に流れておるということを指摘しておるのでありまして、ここである程度かけたものが不十分であつたから、秋の洪水で流れたといつて責任回避はできぬと思うのでありまして、これはどうあつてもこれならいいというだけの技術的に自信の持てるものでやつていただきたいと思う。金が足りなかつたから、金が足りたかつたからというのであれば、私は過日も申した通りに、技術上昔やつた手を組んで蛇かごを入れた方が、かえつて一時的でもしのぐということにおいて確実味があると思う。豆板式の砂利を集めてセメントを張つたものは不可であるということを指摘しておるのでありますから、さようなことを繰返して、それによつて被害を受けたということを、当局予算が少かつたからということで逃げるわけに行かぬということをこの際はつきり申し上げておきたいのであります。言いかえれば、昔やつた古いやり方であつても、手を組んで蛇かごを入れた所は残る、ここが技術的な、当局責任を持つてつてもらいたい点なのです。必ずしも金をかけても流れるようなものをつくるよりは、安くて済む昔のやり方の方が、一時的であるけれども、確実に防げるのではないかということを私は指摘するのであります。どうかこの点をひとつ再検討していただいて、重ねて災害の起きないように善処していただきたい、こう思うのであります。
  8. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 本件につきましてはこの程度にとどめます。  次に一般建設行政に関して建設大臣に対する質疑を願います。瀬戸山委員
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 新たに建設大臣になられましたので、お祝いを申し上げながら、建設大臣建設行政に関する御決意と申しますか、将来の建設行政に対する御熱意のほどを伺つてみたいと思います。全部申し上げるわけに行きませんので、四、五項目にわたつてお伺いいたしたいと思います。  まず第一番に、今日私から申し上げるまでもなく、日本治山治水ということは一番大きく取上げられておる、国民といたしましても、また国会、行政府といたしましても、取上げておるわけでありますが、それについて治水行政に関する建設大臣の所見を明確に伺つておきたいと思います。これは前の委員会でもほかの委員から質疑があつたと思いますが、今度発行されております国土建設現況などにも、きわめてよいことが書いてあるのでありますけれども、これについて建設大臣が、もしくは国務大臣として、この建設行政の一元化ということを強力に推進されることがあるかどうかということであります。私から説明するまでもなく、治水計画であるとか、山林砂防とかいうものに一貫性がなければならないということはすでに叫ばれておるところであります。行政制度審議会におきましても、農林省の林野庁に関する行政を、何と申しますか、国土省という一つの総合せる建設行政機関に統合すべきである、かようなことが当委員会において常に叫ばれておるのでありますが、今日なおその緒につかないという実情であります。建設大臣はさきの委員会において、自分建設行政に関する意見は国土建設現況に現われておる通りであります、かように言われておるのでありますが、これを強力に推進され、実現されるおつもりかどうかということを、まず第一番にお伺いいたしておきます。
  10. 増田甲子七

    増田國務大臣 瀬戸山さんにお答え申し上げます。もつともこの前の委員会において内海さんから御同様の御質問があつた次第でありまして、私に時間がございますれば、私の建設行政一般に対する建設大臣としての所懐を申し上げるべきでございますが、時間の関係その他の関係がございまして、内海さんにお許しを願つてつたようなわけでありますから、私はこの機会において少し所懐の一端を申し上げたいと思つております。というのは、建設行政というのは、もとより一言にして言えば、国土保全開発であると考えております。国土保全開発については総合一貫性のある行政が必要であると考えまして、私官房長官をしておりましたときに、総合国土開発審議会というものを、自分も自発的の提唱者の一人といたしまして、閣議決定を求め、閣議決定を基礎として過去一箇年総合国土開発審議会内閣に設置され、相当強勉してもらつたことは御承知通りであります。また一面行政制度審議会も私ども提唱いたしまして、内閣にこれを設置し、過去一年有余にわたつて非常な勉励をいたしてくれまして、各種答申をいたしておる。総合国土開発審議会は御承知のごとく答申が得られまして、その結果は国土開発法というのに結晶いたしたのであります。それから行政機構関係におきましては、各程の答申行政制度審議会から政府になされまして、でき得る限り答申趣旨を尊重して行政機構を修正して参りたいと考えた次第であります。総合国土開発法趣旨を見ましても、また行政制度審議会答申を見ましても、国土保全並びに各種資源開発は、総合性のある、一貫性のある方針のもとに、また行政機構のもとになすべきであるという、同じような結論に到達いたしておる次第であります。そこで国土保全開発のうち一番大事なものは何かと申しますと、皆さんが御同感くださると私が確信いたします通り、また瀬戸山さんの御指摘の通り治水事業である。もとより道路の開発なり、その他の関係は非常に大切でございますが、川を治めるということが根本であると考えております。  これは私から申すまでもなく、支那の三皇五帝というものも、元来水を治めてあの三皇五帝といつたような名君が出ておるわけでありまして、政治は君主政体であろうと、民主政体であろうと、どんな政体であろうと、水をりつぱに治めるということがやはり政治中核一つである。あるいは大部分であるといつてもよいのではないかと考えております。そこで治水関係を見ますと、日本治水はまだなかなか完成いたしておりません。財政の許す限りしなくてはならぬのでありますが、遅々として——たとえば利根川にいたしましても、遠い歴史を振り返るまでもなく、徳川時代から、あるいはその前の時代から、おそらく治水事業は開始されたでございましようが、今日完成の域に到達いたしていないのでありまして、治水事業には特に力を入れて参りたい。もとより治水は一番上の方の、山のてつぺんから港に至るまで、すべてこれ治水事業である。あるいは木を植えるというようなことからして、林野資源開発というようなことに影響を及ぼして行きます。また港をつくればこれが貿易というような関係影響を及ぼして行きますが、やはり治水中核をなすものは川を治めるということである。その川をよく治めなくてはいけないのでありまして、植林及び山林砂防が農林省の所轄であり、渓流砂防とそれから河川改修が建設省の所管するところであり、港湾の建設は昔は土木局の港湾課というところで所管いたしておりましたが、今日ただいまは運輸省の港湾局の所管するところである。ちりちりばらばらな行政機構がそれぞれ治水事業を分割して所管しておる。こういうわけで、お説のごとく総合一貫性というものがなかなか得られない状況であります。もとより行政機関が一元——一元的という言葉が戰争中よくはやりまして、私はあまりこの言葉はすきではありませんが、たれか一人がやればすべてよくなるというようには考えておりません。しかし総合性、調和性、一貫性というようなことについて特に必要性を感ずることは、瀬戸山先生と同様でありまして、行政機構がかりにわかれておりましても、その間のハーモニーはできるだけ気をつけて参りたい。そこでいつも問題になるのは、御承知のごとく山林砂防と渓流砂防河川改修の関係であると私は感じております。天竜川に今度災害が起きましたが、やはり元をただせば——もとより災害復旧が第一でなければなりませんが、復旧すると同時に上流の方の渓流砂防をする、さらに災害のないところでも山を治める、木を植える、それから山が露出したところは山腹砂防をするということだけは、一つ行政機構が所管する必要があるというふうに私は感じております。そこでそういう方向が、あたかも行政制度審議会答申の内容と合致しておりまするので、建設委員の皆様の御協力を得まして、ぜひとも山林関係のことと、渓流砂防以下のこととは、同じ行政機構の所管でやる方向に進めて参りたいと考えておる次第であります。そこで建設行政の事柄につきましては、時々皆様の御指導、御鞭撻をいただきまして、私といたしましても職務を遂行して参り、御期待に沿いたいと考えておる次第でありますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま建設行政の、特に治水行政一貫性については、われわれが常に申しておりますところと同じ見解を披瀝されたのでありますが、ただ今日までかような議論がありますけれども、実際はそれが実施されないというところに日本政治のきわめて遅々たるものがあると私は考えております。かような御見解を持つておられる以上は、すみやかにその態勢を整えることにひとつ御盡力されんことを切望して、この点はやめておきます。  そこで建設省の仕事を私から説明申し上げるまでもなく、いかにその計画されたことを実施に移すか、簡單に申し上げますれば、予算を現下の日本の経済財政状態の中で、その方にどのくらいのウエイトを置くかということによつてきまる問題であると私は思つております。そこで建設省は非常に努力されまして、今日まで河川改修、砂防その他道路、すべての行政について多くの計画を立てられておることは御承知通りでありますが、その計画がいわゆる机上の政策に終つて実施に移されないのは、現在の日本の苦しい立場はよくわかるのでありますけれども政府中心がそこに置かれていないというふうに私は考えております。わが吉田自由党内閣は、治山治水というものを大きな目標といたして、ある程度の努力の結果が現われておりまするけれども、現在の程度ではとうてい日本国土保全などということは望まれない実情であることははつきりいたしております。そこで多くを申しませんが、建設省で現在計画いたしております治水計画、これが昭和二十四年以降国直轄改修工事が九十四億あげられております。もちろん今後これに附加されるものがあろうと思いますが、一応この計画に基いて申し上げるのであります。この完成の費用として大体二千二百億円、それから府県でやります中小河川が千八百本と計上され、千百七十億円、そのほかに北海道の河川の三百九十億、合計三千七百六十億円、大体四千億に及ぶと私は考えております。それを実行しなければ、すでに問題になつております日本国土の荒廃は防ぐことができない。もちろんこれを一挙にすることはできないのでありますが、ところがこの計画に基いて直接支出しております予算はどうかというと、昭和二十四年度において四十七億円、昭和二十五年において大体百十三億円であります。もちろん先ほど示されたように、ある程度見返り資金の放出がありますけれども、こういうことでは、せつかくこの日本国土保全しようという計画を立てても、この計画が少しも日本国土保全する実効を現わさないということを、すでに私は憂えておるのであります。それから大臣はすべて御承知でありますので、内容を詳しく申し上げませんが、砂防計画についても、砂防をしなければ河川の改修が完成されないのだということは先ほど天竜川の問題と同じであります。昭和二十五年度以降の砂防の全体計画に要する事業費は三千百億円と計上されております。ところがこれに対する実際の予算が、去年が大体二億一千万、本年度が五億五千万、これは国直轄であります。府県砂防は、昨年度が八億一千万、昭和二十五年度が十八億九千万ということになつております。こういうことで、国土保全が、治山治水であるということは、計画はよろしいのでありますけれども、実際の効果を現わさない。そのために、どのくらいの日本災害があるかと申し上げますと、おおよそ言つて、二十五年度からなお災害復旧をしなければならないというのが、建設省その他の関係を総合いたしまして、一千六百億と称せられております。こういう損害の起ることを防ぐのが国土のほんとうの保全だと思う。もちろん国の財政はさほどに裕福でありませんので、いくらむちでたたきましても、これを一挙に解決するということはできませんが、もう少し治山治水経費を拡充される必要がある。ちようど予算の編成時期でありますので、私は新たに建設大臣になられた、しかもあらゆる行政に通じておられる増田大臣に対して、どうかひとつ昭和二十六年度の予算からはもう少し強力にこの経費を組んでいただきたいとお願いしたいのであります。建設省技術官は、大いに日本治水計画を立てたい熱望を持つておりますが、その働く余裕を與えられておらないというのが日本の現状であります。せつかく予算編成の時期でありますから、ひとつ増田建設大臣に強力に予算増額に御奮闘していただきたいということをお願いするのでありますが、それに対する御決意をお伺いしたいと思います。
  12. 増田甲子七

    増田國務大臣 お答え申し上げます。たいへん有益なる御鞭撻を受けまして、感謝にたえません。御質問の御趣旨に沿うて不肖私全力を傾倒いたしまして、来年度予算はもとより、建設行政は刮目して見るべきものがあるというふうにいたしたいと、一生懸命努力をいたしますから、何とぞよろしくこの上とも御協力御鞭撻のほどをひとえにお願いいたします。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 必ずその言明を実際に現わしていただきたいということを申し上げておきます。  そのほかにもう二、三、これは全部建設行政に関することでありますが、建設大臣の意向はわかりましたので、簡單に申し上げてみたいと思います。日本の道路についてでありますが、日本の道路はきわめて悪い状態にあるということは、これは身をもつて体験されておられるのでありますから、内容は申し上げません。建設省が計算いたしておりますところによると、日本の道路が悪いので、自動車や燃料の損害だけでも、年に二百五十億と計算されております。ところが道路費はどのくらいかというと、昨年が四十七億、今年が五十億、少くとも損害がこれだけできておりますので、この損害を半減するくらいの道路建設行政ができるように、これも先ほどと同じく予算増額に対して努力されんことをお願いするわけであります。  戰災都市復興については、これも十分御承知通りであります。現在の戰災都市復興に対して政府が冷淡であるとは申し上げませんけれども、昨年の改訂縮小五箇年計画が、真に五箇年間に遂行されるかどうかということについて、百十五億その後減りましたけれども、戰災都市はきわめて不安な状態になつております。そればかりでなく、そのために民生の安定を阻害し、経済の復興を阻害いたしておりますので、現在戰災都市に対する時別措置を講じなければならないという空気が起つておることは、御承知通りであります。でありますから、何もかもというわけには行かないと思いますけれども、私は建設行政に対して、もう少し政府全体が強力に推進していただきたいということを申し上げるのであります。  次に住宅の対策、これも住宅がきわめて不足いたしておる現在、建設省が計算いたしておりますのは、三百五十万戸といわれております。ところが昨年は大体国庫補助住宅が三万、この前の国会でできました住宅金融公庫の融資によります八万一千戸、これはもちろん吉田内閣の功績だと思いますけれども、これは微々たる功績であります。こういうことでは、現在の非常にきゆうくつな住宅不足を緩和するには、まだ非常に少いということを私ども常に痛感いたしておるのであります。そこで来年度においては、現在本年度のいわゆる国庫補助による三万戸以上に、賃貸住宅増加しなければならない。それはなぜかと申しますと、私どもこの前の国会で、住宅金融公庫法を修正するために相当の努力をいたしました。それはどういう点で努力いたしたかというと、現在実施されて相当の物議をかもしておりますが、あの状態ではなかなか低賃金の労務者、勤労者には利用されない部面が多い。そこでそういう人にもなるべく広く利用させるために、金利を引下げるとか、もしくは償還年限を延ばすとか、それから貸出率を多くするとかいうことに努力いたしましたが、そのときの関係方面の言葉では、そういうふうなものは、国の補助住宅によつて補うべきものである。これはそういうものを対象にしておらないということで、私どもの努力は水泡に帰したのであります。そこでどうしてもあの線に入れない、いわゆる收入の少い方々の住宅は、もう少し国の力によつて強力に建設しなければならない。こういうふうに考えておりますが、これに対して建設大臣の真剣なる御見解を伺つてみたいと思います。
  14. 増田甲子七

    増田國務大臣 瀬戸山さんにお答え申し上げます。治水関係のみならず、道路関係、それから都市計画関係、戰災都市の復興、いずれもお説のごとく大切でありまして、特に力を入れて参りたいと考えております。  それから住宅政策についての御高見は、非常に有益に拝聽いたしました。住宅金融公庫の貸出対象は、お説のごとき庶民、それから比較的裕福な者との中間の——庶民住宅にもならず、さらばといつて住宅金融公庫の貸出條件をもつてしては、いろいろな困難やさしつかえがあるというクラスに対しては、需要に応じがたいという点があろうかと存じております。この点につきましては、関係方面はもとよりのこと、住宅金融公庫総裁、並びに幹部、住宅局長等をも督励いたしまして、あまりむずかしいことを言わずに、住宅金融公庫であるから、住宅金融梗塞公庫というようなことにならないように気をつけて、早く、しかも正確に回收し得る人々に、むずかしいことを言わないでどしどし貸出をしてほしい、そうして住宅緩和に努めてほしいということを、監督者として私は督励いたしておるつもりでございまするが、なおこの後とも注意をして参りたいと思つております。それから庶民住宅は、瀬戸山さんからの御指摘のごとく、住宅金融金庫関係が八万一千戸でありまして、もしそういうことならば、庶民住宅は比率から申すと二万九千戸ということになつておりますが、あるいは八万一千戸、それ以上必要であるというふうにも私も考えております。しかるにかかわらず、その数の比例がやや逆な現象を呈しておるということは、御同様遺憾でございますから、将来とも庶民住宅の増加につきましては特に力を入れて参りたい。それから住宅金融公庫の貸出につきましても、今年八万一千戸をもつてして十分というわけではございませんから、将来とも継続的にあの事業をどしどし展開さして参りたい、こう考えておる次第でございます。
  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 次に現在日本の住宅不足と向わせまして、住宅が年々火災その他の災害によつて減少して行くので住宅の補充ができないという実情であります。そこで御承知通り、現在建物は原則としていわゆる不燃住宅、永久住宅を建つべきである、永久構造の建築物にいたすべきであるということが論ぜられておるのであります。衆議院においてもさような決議がなされたこともあります。しかも前の国会において通過いたしました、いわゆる建築基準法によりますと、相当嚴重なる不燃建築物の規定があるのでありますが、さて実際問題としてなかなかそう簡單に不燃構造の建築ができるというものではないのであります。もし防火地区に入つたならば、そこには住めないという状態になる場合も私どもは考えておるのであります。この際政府はさような不燃建築をしなければならないものに対して、ある程度の国庫助成の方法を考えられはしないか。そういうことでなければ、せつかくできました建築基準法も、その実効を現わさないのみならず、日本の都市の不燃化ということもとうてい望めないという実情でありますが、これに対して大臣はどういうお考えを持つておられるかということをお伺いいたします。
  16. 増田甲子七

    増田國務大臣 瀬戸山さんと全然同意見であります。すなわち防火地区におきましては、不燃質材料をもつて建築すべきでありまして、不燃質材料は、普通の可燃性材料に比べて非常に高いというのが欠点であることもお説の通りであります。これにつきましては本来防火壁をつくるとか、あるいはそういう関係で幾分補助が出ておつた時代が、私は過去の、ごく薄れた記憶ではございますが、そういう記憶も持つておる次第でございまして、終戰後不燃質材料をもつて建築するものに対しては、ほことうにどしどし補助が行くべきであつた、また行つておるのではないかというふうに誤解をしておつたということが、私個人としてもあるわけでございまして、終戰後五年目に初めて補助なら補助というものを持ち出しても、あるいは財政関係でやや困難かとは存じまするが、元来終戰後初年度から私はそういうものは計上すべきものであるというふうにも考えておりますから、国庫である程度の助成をして、防火地区はたきぎをもつて家をつくらないということをどしどし励行して参るために、できるだけの方法を講じたい、こう考えております。
  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 終戰後五年にして、今日までそういうふうになつてつたつもりだ、こういわれるのは、これはおかしな話でありますが、そういう問題は、これはそうしなければ私は日本の都市の不燃化などということはできないと思いますので、国家財政とにらみ合せましてひとつ実現さしていただきたいと希望を申し上げておきます。  あとは、これは建設行政一般とは離れますが、昭和二十五年度の災害復旧費であります。百億の予備費を出すのに、安本では二十六億ぐらい、私はこの意見を聞いて実に残念に思つたのでありますが、幸いにして閣議では四十億ということに相なつたそうであります。これでも私は不満でありますけれども、あとでまた大きな災害が来るだろうという予備の心もあろうと思いますので、これは追究いたしません。ところが最近この四十億を一体どういうふうに配分するかということについて、相当に問題になつておると思つております。そこで私は、何も建設省の肩を持つわけでもなんでもありませんけれども先ほどから問題にいたしておりますように、災害は原則として河川の氾濫から起るのであります。河川の氾濫を未然に防ぎさえすれば、こういうことはない。起りましたならば、その起つたところをすみやかに復旧するということが、他の部面における災害を防ぐ根本方策であると思つております。そこで聞くところによると、建設省関係がこの四十億のうち大体十八億ぐらいである。私どもは四十億全部使つても、これは大体百億以上の損害が建設省関係であるのでありますから、それでもまだとても手ぬるいと思つておりますが、ないそでは振れないということになりましようから、それは申し上げません。一体百億以上の損害を受けており、今年も災害は必ず来る。きようすでに私ども心配いたしておりますのは、昨晩からけさにかけて、南九州に三十五メートル以上の大きな台風が上陸するということを心配して、問合せをいたしておりますが、今のところ東支那海に行くだろうということで、はつきりいたしておりませんが、そういうことで必ず来るのであります。建設大臣は十八億や二十六億でこの四十億に対する配分がよろしいというお考えでありますか。私の聞き違いであるかもしれませんが、何とかもう少し御努力をお願いしたいと思います。その内容がもし聞いてよろしいものならば、はつきりさしていただきたいと思います。
  18. 増田甲子七

    増田國務大臣 お説のごとく、二十六億をもつてしてはとうてい九牛の一毛にもなりませんから、閣議におきまして不肖私提案いたしまして、四十億にするように全閣僚に承知してもらつたわけであります。そこでその四十億の配分でありますが、私お説は全然同感でありまして、災害復旧といえば、堤防のくずれたところを直す、そうして来るべき災害に備える。それから橋が流れたところは、橋を元通りに原形復旧をする。これが最小限度の災害復旧であり、災害復旧の本質はやはり河川災害復旧であると考えております。そこで河川災害復旧に主力を注いで、予算は必ず出してもらうつもりでございまして、現在せつかく努力中でございます。まだ数のことはあまり私も申しかねますが、今お聞きのような数では絶対にないことを期します。
  19. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 砂間君。
  20. 砂間一良

    ○砂間委員 増田建設大臣お尋ねしたいと思います。先ほど大臣は、建設行政に対する抱負の一端といたしまして、国土保全開発ということを申されました。またそのために国土開発総合審議会等を内閣に設置して、いろいろ努力されて来たということも申されたわけであります。さようなことでありまして、この前の国会におきまして国土総合開発法等も通過いたしましたので、その後着々としてこの方面が進行しておるものと思つてつたのでありますが、最近巷間伝うるところによりますと、たとえばこの七月十七日の建設工業新聞でありますが、この総合開発の点につきましては、建設省におきましても十四箇地点かを選びまして、一応調査等もこれまで部分的になされて来たようでありますが、それが全面的に打切られるようになつた。あるいは全面的ではなくて、一部分かもしれませんが、たとえば只見川にいたしましても、熊野川流域その他の地点が大分何かまずくなつたように伝えられておりますが、それらの点はどんな模様になつておりますか。その国土総合開発の進行状況といいますか、それらの点について御説明を願いたいと思います。
  21. 増田甲子七

    増田國務大臣 砂間さんにお答え申し上げます。総合国土開発法が皆さんの議決によつてでき上りまして、開発審議会がまず発足しなくてはならぬのでございますが、これはあるいは率直た御答弁になり過ぎるかもしれませんが、従来建設省関係総合国土開発審議会の事務当局のお手伝いをしておりました。非常によく手伝つてくれて、私も官房長官として感謝しておりましたが、今度は事務当局が安本に移つたという関係もあり、また仕事の出足が少しおそいのではないか、こう考えております。近々総合国土開発審議会はメンバーもおおよそきまつたようでありますから、発足いたしまして、そうして一生懸命勉強してもらうつもりでございます。  それから地方のそれぞれの地域の指定については、従来建設省として調査はいたしております。また現在も総合国土開発審議会の事務当局がどこに行きましても、調査は継続的にいたしておりまして、遅れるというようなこと、あるいはめざましくないというようなことは、多少新聞その他の関係でこのごろあまり記事にならぬからかもしれませんが、調査は非常に愼重にやる必要があるという関係もあり、かたがた一生懸命調査はいたしております。
  22. 砂間一良

    ○砂間委員 調査は進行しておるかもしれませんが、たとえばこの只見川の総合開発のごときは、アメリカのウエステイングハウスあたりからもいろいろ調査員がやつて参りまして、外資導入とも関連しまして、相当進んでおるように聞いておつたのでありますが、それが最近は何か中止か、打切りみたいになるそうだとかいうふうに聞いておるのですがその他の地点もどうもあまり進行しておらないようなんですが、それはどういう事情でそういうふうになつたか。さらにこの総合開発の中でも、その主要な内容をなす電源開発等について申しますと、たとえば日発のいろいろな発電所工事どもこれまでは見返り資金等を借入れて相当進んでおつたわけであります。ところがことしになりますと、日発の電気事業に対する見返り資金なんかも、第一・四半期の分もほとんど出ておらないというために、十数箇所の地点において継続工事も打切らなければならないようなことになつた。そのために数万の労務者等も失業状態になつておるというようなことが出ております。一般的な総合開発というだけでなくて、現にこの継続工事として過年度からやつて来た発電所工事等も中断するというふうなことになつて、業者や何かが非常に困つておるという話を聞いておるのでありますが、どういう事情でそういうふうになつたのか。安本の本年度の最初における見返り資金の配分計画等によりましても、相当の百何十億かが電気事業の方にも出ることになつてつたように聞いておつたのでありますがそれが第一・四半期においてはほとんど何も出ておらない。これは安本の方が本筋かもしれませんが、建設省におかれましても、もしその事情がおわかりでありましたらひとつ説明願いたい。
  23. 増田甲子七

    増田國務大臣 砂間さんの御質問は、実は通産大臣がお答えすると一番いいのじやないかと思いますが私の知つておる限りのことを申し上げます。見返り資金が百数十億、すなわち百四十億を自発に貸しつけられるということは、われわれの予想しておたとをころであります。そこでできるだけ早く貸しつけてもらうように今政府としては努力中でございまして、貸付が延期されたわけでも何でもない。事業が継続して行われるように、中間に休みがないように一生懸命政府は努力しておる、こういうように、通産大臣もおそらくお答えをするであろう、こう考えております。  それから只見川につきましては、外資関係もございましたけれども、外資がかりに入らないにいたしましても、ただいまの田子倉とそれから奥只見の両貯水池のダムをつくることは五箇年継続事業でありまして、これについては国費も見返り資金も、それぞれ支出する目途がついておるわけであります。もし外資が入るとすれば、只見川の出力可能量二百万キロワツトを田子倉と奥只見のほかにさらに埋蔵出力を開発する。こういう問題が新たに起きて来るだけでありまして、現在の問題を処理するための予算の手当もそれぞれ目途もついておるわけであります。それから熊野川の上流の北上川につきましては、これはまだプランニングだけの程度である。私はまだ事務当局にあまりこまかいことを聞いておりませんか、私の従来の知識ではプランニングの程度でありまして、奥只見あるいは田子倉の両ダムとも御承知通り只見川の上流でございますが、こういうようなところまでまだ進んではおりません。この計画ができますれば、あるいは見返り資金でやるとか、あるいは外資でやるというさらに第二段の問題が展開して来ると思いますが、まだ第二段の問題にまではなつておらないと思います。  そこで最初の問題に返りまして、見返り資金百四十億はどうなつておるか、これは現在五箇年計画でわれわれに許されました百二十万キロワツトの五箇年間開発計画、あの事業が足ぶみしないように、どしどし予算措置なり、あるいは見返り資金なり、支出されるように政府としては一生懸命努力しておる。これが通産大臣としてのお答えであろう。また私としも知つておる限りのことをお答え申し上げた次第であります。  それから百四十億の日発に対する貸付金、見返り資金のほかに、百十億を公共事業へ使用してよろしい、貸付以外にただ使用してよろしいという見返り資金があることは、建設委員の皆様は特に御存じの通りでありますが、そのうち堰堤関係が岩手県の猿ケ石とか、あるいは湯沢とか、あるいは関東の五十里堰堤とか、群馬にもう一つ何かありましたが、要するに百十一億の堰堤ができます。この堰堤によつてやはり電気の方も相当開発される。それから河水統制にもなり、洪水統制にも役立つて、電力資源開発にもなりまして、事業量は相当ございますから、その方面でも相当の雇傭を吸收できる、こう考えておる次第であります。
  24. 砂間一良

    ○砂間委員 国土開発といい、あるいは電源開発といい、これらは日本の平和産業を発展さして行く基礎的な事業でありまして、非常に重要であると考えております。ところがこれが最近足ぶみするというか、中止というが、うまく行かないようになつたということにつきましては、何か事情があるのではないか。私どもしろうと考えからいたしますと、朝鮮で戰争が始まつたということのため、一方においては伝えられる日本の軍事基地化ということのために、そういう方面の工事を取急ぐために、こういう長期にわたる平和的な建設事業というものがサボられているのじやないかというふうな気がするのでありますが、しかしこれは臆測であります。  そこで建設大臣にお伺いしたいことは、朝鮮のあの戰争が日本の建設事業に対して、直接間接にどういう影響を持つておるか。あるいは全然そういう影響関係というものはないのか。あるいはあるとすれば、どういうふうな影響があるかということをまず大ざつぱな点からお伺いしたいと思います。
  25. 増田甲子七

    増田國務大臣 砂間さんにお答え申し上げます。朝鮮動乱の見通しその他については、総理大臣ですらお答えできないわけでありまして、いわんや私はお答えはできないわけであります。ただこういうことは言えます。朝鮮事件関係と内地の建設行政とは何ら関係がない。こういうことははつきり申し上げられると思います。というのはセメントにいたしましても、鉄にいたしましても、幾らでもあるのでありまして、結局日発という会社に購買力をつけてやればよろしい。日発に金を貸して現在幾らでもあるところの鉄やセメントを買わせて事業をさせればよろしいのであります。
  26. 砂間一良

    ○砂間委員 日本建設行政関係がないということをきつぱり申されるというのでありますが、それは少し独断に過ぎるように考える。たとえば七月六日の建設工業新聞によりますと、総工費数十億の国内某工事が行われることになつたということが出ております。そうして六月の十二日と二十三日に、合計マル個所の入札もすでに行われて、それを引受けた土建業者の名前をずつと列記してあります。     〔委員長退席、鈴木(仙)委員長代理着席〕 そうして工期は四十五日ないし百日という非常に短期間の施行ということになつております。そうしてこの費用が数十億かかる。これは業者が直接調達することが困難であるからして、建設省のあつせんで、日銀の方から融資をしてもらいたいということもやつておるということも出ております。これは工事のいろいろな資材の点から申しましても、たとえば砂利だけでも、関東におけるある一箇所工事でも二十五万トンもいる。そうして関東だけでも全体で三十八万トンいります。この三十八万トンの砂利を調達するためには、これは莫大な輸送力といろいろな労力なんかがいるわけです。そうしてこの工事に使われる砂利は、二寸砂利三寸砂利といつたふうな大粒なものだそうでありますが、それを調達するためには、普通の平和産業に使う——住宅なんかを建設するときのコンクリートに使う材料の小さな砂利なんか全部中止しなければならぬ。こういうようなことで、某大工事を推し進めるために、しかもこれを短時日の四十五日ないし百日の間に推し進めるために、さつき瀬戸山委員が不燃化住宅のことを言われましたが、日本の全部のそういうコンクリート住宅を建築することも中止しなければならぬ、こういうような問題が現に出ておるのです。ですから建設大臣が朝鮮事件と日本建設行政は全然無関係といつて、空うそぶいておるということは、国民を瞞着するものだ、そういうようないいかげんな答弁をするのでなく、これはもつとはつきり国民に実相を伝えるということを正面にやつてもらいたいと思うのです。きのう吉田総理は参議院におきまして、警察隊の設置について共産軍が日本へ侵入して来るかもしれぬから警察隊を置くんだ、こういうことを明らかに言つておる。警察関係のこと一つを見ましても、朝鮮の戰争のことが問題になつておる。そのほかアカハタの禁止といい、あるいは共産党の追放といい、直接間接にやはりそういう国際関係というものが影響しておると思う。ですから、そういうふうに全然無関係だなんていうことでなしに、このことはいろいろな材料を出せと言えば、まだ幾らでも出しますけれども、やはり日本建設行政に非常に大きな影響を持つている。あとこまかな点については、道路や橋やいろいろな点については、もつと具体的に私は質問したいと思いますけれども、とにかく一般的なことについて、そういういいかげんな答弁でなくて、もつと実際の面に即した説明をしていただきたいと思います。
  27. 増田甲子七

    増田國務大臣 風が吹けばはこ屋がもうかるといつたように、森羅万象すべて因果関係があります。私が関係なしと言つたつて、それは常識の線で、必ずあなたはそういうふうに私の答弁を受取つてくださると私は考えます。そこで建設は遅滯しやせぬかというような今のお尋ねでありますが、私は建設行政がそういうような遅滯を来すというようなことはない。たとえばセメントにいたしましても、今オーバー・プロダクシヨンで困つているのですから、せつかく使つてもらいたいということで、メーカーは滞貨に困つておるのですから、この滯貨ぐらいはどしどし処理することが、有効需要を喚起するゆえんである。そこで日発がセメントを買うためには見返り資金をそこへ貸して、日発に購買力をつけてやる。そうすればセメントが動き出すので、とにかく鉄にしても、セメントにしても、いわゆる建築資材というものは今プロダクシヨンはオーバー・プロダクシヨンというところであります。
  28. 砂間一良

    ○砂間委員 それでは具体的にお尋ねしますが、ただいま瀬戸山委員からも災害の問題や治山、治水のことがいろいろ言われました。それは道路の補修や改修もそれから港湾の施設ももちろん必要だとは思いますけれども、しかし一番緊急を要するのは災害復旧だと思うのです。ところが災害復旧工事にしましても、この建設省で発表した総合国土建設現況によりますと、大体災害復旧工事は初年度三〇%第二年度は五〇%第三年度で一〇〇%を完成するという建設省の方針のようでありますが、それが一つ完成しておらないのですよ。大体二十三年度の災害で、もうことしは一〇〇%完成しておるべきはずのものが、この建設省の発表によりますと五三%しかできていない。二十四年度の災害にしましても、予定つたら八〇%完成しておるべきものが三七%ぐらいしかできておらない。こういうような状態なんです。ですからことしもこういうふうに復旧されないところに、また台風でもやつて来れば、ますます災害が大きくなるということは目に見えておると思う。しかしそういうのを予算がないとか何とかいつてやらないでおる。しかし一方においては道路の補修なんかどんどんやつているわけです。どつちが緊急を要するかと言えば、私はやはりないそでは振れないかもしれませんが一定の財源の中では急を要する方を先にやつて行くのがあたりまえだと思う。それは道路の改修もけつこうです。大いにやつてもらいたい。ことしは東海道を十八億か二十億出してやつてくれるそうで、私は靜岡県出身でありますが、靜岡県附近の者は大いに喜んでおりますけれども、しかし今の道であつても通れないことはないのです。それをりつばな道路にすることよりも今災害で橋が落ちた、そうして堤防がくずれておる、そつちの方により重点を置いて災害復旧工事を先にやる方が順序じやないかと思うのです。ところが道路のことは平和的な意味にもなります。それはりつぱな道路ができれば産業の発展ということになるので、けつこうなことでありますけれども、しかし一方今の国際関係、なかんずく朝鮮海峡の向うでああいう動乱が起つていて、そうしてアメリカが国際警察軍かなんかでどんどんやつているという動向とにらみ合せてみるときに、特に道路や何かの方に金をよけい出してそつちの方を急いでやつて行くということは、何か軍事的な意味があるように感ぜざるを得ないのですよ。ですからこういう問題は——もつとも日本があの朝鮮の戰争に介入して、アメリカの側かどつちかの側について、それの肩を持つて応援してやるということであるならば、それはやむを得ないかもしれませんが、しかし国連にもまだ加盟していない、そうして憲法に平和国家をうたつて、いずれの戰争にも介入しない、そういう立場をとつている日本政府とするならば、もつと冷靜な立場から、日本独自の立場から建設行政も考えていただきたいと思うのですよ。そういう点において、私は現にやつていられる工事なんかについていろいろな意見があるわけです。たとえば橋をかけるにしましても、ことしは長大橋をかけるというので、いろいろ予算もやつておられるようでありますが、しかしその橋のつくり方にしましても橋げたをこまかくやつて、いつ爆撃されてもすぐ修理ができるような、そういう設計をされておるようであります。しかしそういうふうにすれば、水が流れて来れば、脚柱がたくさんこまかく並べられておれば、氾濫の危險が一番多いということは、あの利根川の栗橋の脚柱を見てもわかる。脚柱が並んでこかまくなつておるので、水が出たと言えばいつもあすこから切れるのですよそういう軍事的な意味を考える必要はないのですよ。われわれは平和国家ということを建前にして行く以上は、そんな爆撃を食つた場合のことを考えて橋までつくる必要はないと思うのですが、(「脱線だ」と呼ぶ者あり)いや脱線じやない。
  29. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 砂間議員にお願いしますが、今安本長官も参りましたので、ひとつまたあとで御質問願いたいと思います。
  30. 砂間一良

    ○砂間委員 そういう点について一般的なこまかな部分的な点についてはあとで……。
  31. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 簡單にひとつお願いします。
  32. 砂間一良

    ○砂間委員 あとで局長さんか何かの方にこまかくお伺いして行きますけれども、とにかく大臣一つの大方針として私は伺つておきたいと思うのです。簡單に結論を言えば、吉田総理は国連に協力するというふうなことを公然と言つておりますけれども、そういうことは国民は反対しております。ですから日本政府建設行政をやる上におきましては、日本独自の立場から外国の軍事基地になつたり、戰争のお先棒に使われるようなことはひとつやめて、そうしてほんとうに国民の立場から、橋をかけるにしても、道路をつくるにしても、あるいは災害復旧についても、やつていただきたいということを強く要望するわけです。あとこまかいことは別の機会にお伺いいたします。
  33. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 次に災害復旧費国庫負担の問題について検討いたしたいと思います。ただいま安本長官がおいでになりましたので、この際大臣に対する質疑を許します。
  34. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま議題となりました昭和二十五年度災害復旧費支出の問題に対しまして、経済安定本部長官の意見をただし、私の希望を申し述べたいと思います。  先ほど瀬戸山君より、建設大臣にもこの問題に対する御質問並びに御意見が述べられましたので、簡單に申し上げたいと思います。申すまでもなく本年は災害時期とも申すべき八月、九月が近づいて参りましたし、本日の新聞は台風の南九州襲来の警報を発しておるような状態であります。その意味におきまして、昭和二十四年度、二十二年度を顧みるまでもなく、本年度の災害も非常に大きくあろうということは考えられるのであります。それに対して政府は万全なる対策をとられておるとは思うのでありますが、二十五年度災害予備費といたしまして百億円計上しておる。それが支出が非におそいのではないかとさへ考えておつたのでありますが、現在閣議の席上で、まず第一回に四十億の支出決定せられるようなことを仄聞するのであります。私は四十億の数字も必ずしも大きなものではなく、ただちに百億の全額を支出するも私は妥当だと思うのでありますが、いろいろな事情で四十億という大体の数字がきまつておるように仄聞するのであります。まだ閣議におきましてこれが各省各局別の配分が決定せられたというのではありませんので、私の推測ということを基準にして申し上げることは非常に失礼なことであるかもわかりませんが、仄聞するところによると、この配分に対していろいろな議題が出ておるようであります。なお公共事業費の配分に関する権限は、安本長官の主管でありますので、その意味においてこれが配分に対しては万全を期せられたいということをまず申し上げておきたいのであります。  申すまでもなく昭和二十五年度の災害復旧費三百七十億の配分は、河川七十一、農業十九、林道一、漁港一・二、道路が〇・一、港湾五・五というがごとき配分をもつてわけられておるのであります。この意味でわけますと、災害復旧の最も大きなものは、申すまでもなく河川災害でありますが、その分は大体災害復旧予算を各年度別に見ましても、総予算の七〇%ないし七一、二%程度を占めておるのが通例であります。その意味から申しますと、河川といたしまして大体四十億の十分の七というと二十八億というような数字が出るのでありますが、安本としては大体このようにおきめになるおつもりであるかどうかという問題を、まず第一番に承りたいのであります。  第二には、そういうことは万々ないとは思いますが、少い予算でありますので、農業土木その他に割り込まれて、これが十七億ないし二十億の線にとどまるのではないかという心配の声も出ております。しかる場合は例年災害復旧費の配分に対しては基準を設けて配分をいたしておりますが、今次四十億の支出に対しては、その配分の比率をかえて、すなわち基準がかわつたということになりまして、例年の配分基準と、今度の四十億に対しては、別にかわつたことがあるかないかという問題を第二に伺いたい。もちろんこの第二の問題も同断でありますということならば、二十八億河川関係に頂戴できると私たちは考えるのでありまして、以上の二点に対して御答弁をわずらわしたいと思うのであります。
  35. 周東英雄

    ○周東國務大臣 ただいまのお尋ねにお答えいたします。非常に仮説をもつてお尋ねのようでありますが、仮説じやなくしてこれはそういうことをお聞きになつてお尋ねと拝承いたします。災害に対して従来の比率がこうであるからという、比率によつてわけること自体が形式論であると私は思います。私は客観的に見まして、その場合における復旧の急を要するもの、実質的に必要なものについて考えて行つたらよかろう、こう考えておるのでありまして、漫然と従来の河川なりその他のものと比率がこうであるから、あとから起る災害のものにつきましても、常にその比率でわけるということで進むことは、かえつて間違いじやないかと思います。しかし具体的の問題につきましては、目下次官の間に事務的に折衝している最中でありまして、もう少しお待ちを願いたいと思いますが、今日、お話のように、河川というものに対する現実問題といたしましては、これが急を要することはよくわかりますが、しかしその観念があまりに強いために、今度の四十億円について、その他の災害につきましても、山において木が濫伐下にあつたということからする災害復旧は、過去の例がそうであるからといつて、いつまでもこれを捨てて置いて起る損害、災害というものは、これをなおして行かなければならぬ問題であります。そういう意味におきまして、公平な立場に立つて、実質的なものからやつて行きたいと考えますので、さよう御承知を願いたいと思うのであります。しかし四十億の具体的の問題につきましては今折衝中でありますから御了承願います。
  36. 田中角榮

    田中(角)委員 どうも重ねてお尋ねするのが少しむりなようではありますが、一応申し上げたいと思います。周東安本長官は常識的なお話で、過去の比率をもつてつてやるということは当を得ないのではないか、正すべきところは正してということは、まことに常識的な御論ではありますが、私は現在の段階において、過去の災害状況を見るときに、少くとも二十五年度予算の配分をやりまするときにも、私は公平な目で——私も建設に関しては技術者でありますので、各地も見て参つておりますが、公平な目で見て七一%では幾らか少いのではないかとさえも当時考えたのであります。その意味から考えまして、二十五年度の予算で、各省、各部門別の実際を観察するときに、また統計をとつていろいろ調査をいたしますときに、少くともこの四十億を現在の台風の襲来の直前において支出する、しかも河川関係においては、すでに二十五年度災害が、百億以上にも上つておるということを考える場合には、申すまでもなく災害といえばすぐ防堤の修理は少くともやらなくてはいかぬ。こういう復旧を前提としましても、四十億の配分というものは、これはまだ事務的折衝であり、本日、明日にきまるものではないとはいいながらも、この金を私たちはきようにもあすにも出してもらいたい。しかもそれは百億円全部でも出してもらいたいという立場から申し上げますと、少くともこの四十億を最小限にお出しになるという場合は、安本長官に、これはお願いであるかもわかりませんが、少くとも私は客観的な種々の情勢を詳細に検討しても、私の場合においては、一般的に、過去において配分をした率以下に河川関係がなるとは考えられないのであります。その意味において七〇%以上くらいのものを、ぜひ全日本災害復旧という大前提の前に、ひとつ確保いただきたいということを希望申します。
  37. 池田峯雄

    池田(峯)委員 私は増田大臣にちよつと御質問したいのです。とにかく川はなおさなければならない。川をなおすには何といつても金です。しかしその金にはいろいろ使い方があるのです。たとえば利根川にいたしましても、制限のある金をどこに使つたならば一番有効適切になるか、利根川のどこを握れば、その全河川に響いて、そうしてこれが有効的に働くかということです。ここに一つのポイントがある。ところがこういう点で金を使つているかどうか。こういう技術的な面は特にあとで河川局長からでもお伺いしたいと思いますけれども、とにかく利根川をなおさなければならぬ。小貝川にしても、鬼怒川にしても同様である。その砂防が大事であるならば、その砂防に重点的に使う。あるいは東京湾に注ぐあの放水路がありますが、その放水路をやることが利根川の洪水を防ぐ重大な点であつたならば、やはりこれに重点的に使う。これをやらないでちびりちびりやつてつたのではだめだと思う。こういう点についてまず御意見を伺いたい。  それからさらにもう一つは、そういう金を使つても、これが不正に支出されてはだめです。これは最上川の例を私は申し上げたい。これは七月八日のあちらの新聞に出ていたものですが、最上川上流事務所の所長を初めとして、事務官、技官がぐるになりまして、そうして莫大な幽霊人夫を使い、げたばき労賃で約六百万円からのあくどい詐欺をやつておるのであります。たとえば四月から五月まで一箇月間の人夫賃五十八万円のうち十五万円しか拂わない。四十三万円は着服してしまつた。一日の使用人夫六十五名であるのに、これを百三十五名という賃金を受取り、そうして人夫賃は二百円の割で請求受理しておりながら、百三十円から百五十円しか拂わない。残りは賃ばねしていた。こういうような事実があるのでありますが、これはれつきとした政府の役人がこういうことをやつているのであります。いやしくも直轄河川工事をやる場合に、二重にも三重にも監督の方法があるはずであります。これは安本もやつておりますし、会計検査院もやつておりますし、建設省もやつておるので、いろいろな点から会計検査はやつておるにもかかわらず、こういつたようなあくどい不正が行われるということであつては、これは百年河清を待つといつても、百年たとうが、千年たとうが、川はとうていなおりつこないと思うのでありまして、こういう点について、一体どういう態度をもつて、こういう不正を防止するような方法を講じているかということをお伺いしたい。すなわち第二には、技術的な問題で、河川のどこを押えれば、その河川洪水を大体なおすことができるか、その点について重点的に金の使い方をしているかどうか。  さらにもう一つは、こういうような金が不正に使われていることに対して、これを未然に防止するために、政府は一体どういうことをやつているか、またこういうような不正官吏に対しては、どういう態度をもつて臨んでいるか。この前の委員会で、大臣はあの小貝川の提防が決壊したのは、共産党が堤防のかさ上げに反対したからだというようなことをおつしやいましたけれども、これは大臣が地元え行つてつぶさに見て参りましたから、そういうことはなかつたということは十分見て来たと思いますが、男らしく取消してくださればけつこうです。これは取消されなくても、地元の人はたれ一人として、共産党が決してそういう悪い政党でないということは、これははつきり知つていることであります。むしろ自由党の人こそ対岸の堤防を山のごとく築いてしまつたがために、こちらの川の堤防が切れたんだということは、これは村長さんも私に手紙をよこしております。そういうわけですから、この点は大臣の方で取消す御意思があれば取消していただく、意思がなければないで、大臣みずからが見て来たことですからけつこうです。それはともかくとして、この最上川の例をとりまして、金の使い方を御質問する次第です。
  38. 増田甲子七

    増田國務大臣 まず砂間さんの先ほどの御質問も多少あつたようでありますが、大部分は御意見のようでありますから、その御質問の部分についてお答え申し上げます。われわれは建設関係については、党派によつてその所見が違うものではない、こう考えております。今池田君の御質問の中にもそういう趣旨が現われておるようでありまして、しかるところあなたは非常にポリシーに属することで、各種の珍しい意見をおつしやいましたが、私はこれは御答弁の限りではありません。ただ橋梁についてだけ申し上げます。橋梁は橋脚を何か空襲があつたときにどうこうと、そういう見地からつくつておりません。国防本位ではつくつておりません。災害予防、国防にあらずして水防本位で橋梁をつくつておるということを明言いたしておきます。  それからその次は池田さんの御質問にお答え申し上げます。小貝川のことについてまず申し上げます。小貝川の堤防かさ上げを反対したというのは間違いでありまして、これは明瞭に取消します。しかしながら河川の流れを切りかえをやろうとする問題があるのであります。千葉県と茨城県の境でこの流れを切りかえをする、河床を変更いたしまして直流にいたしまして災害を未然に防ごうとして一生懸命努力した。これは建設省関係の出先機関であります。けれども地元の諸君は耕地が非常に減るというような関係があつて、どうしても聞き入れなかつた。そのうしろにある政党があつたとかなかつたとかいう問題は依然としてあるのであります。あえて共産党であるとは言いませんが、このことは明瞭に申し上げておきます。私は現にお約束通り見て参りました。  その次は、最上川の問題については私は非常に主務大臣として恐縮に存じております。これから後綱紀粛正については極力引締めて参る。これが予防方法でありまして、それ以上うまい方法がまずないことを遺憾といたしますが、しかしやはり給與関係についても、これも超党派的にすべて同感くださることでございますが、官吏の勤務條件の維持改善をはかつて参ることも一方法である。かたがた綱紀粛正に努めて参るつもりであります。  それから建設行政を重点的に、金の絶対量が少いならば重点的に施して行くということは、全然池田君と所見を同じうするものであります。私どもはウエートの軽重に従つて重点的にそれぞれ予算を使用して参りましたし、これからも池田君の所見の通り参りたいと、思つております。
  39. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 本件についてはこの程度にとどめます。     —————————————
  40. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 次に住宅金融公庫現況につきまして当局より説明を聽取をいたしたいと思います。伊東住宅局長
  41. 伊東五郎

    ○伊東説明員 前の国会で成立いたしました住宅金融公庫法の設立並びに業務運営の状況に関しまして御報告申し上げたいと思います。住宅金融公庫法が五月の六日に公布になりましてからただちにこの公庫法に基きまして設立委員を任命いたしまして、八日に第一回の設立委員会を開きまして、そしてただちに政府に対して出資の請求をいたしました。それが六月五日にとりあえず資本金の一部五億円の出資があり、総裁、理事の任命がその前にございまして、その日に設立の登記をいたしました。すなわち六月五日に住宅金融公庫が発足いたしたわけでございます。その後法律に基きまして実際の業務方法その他いろいろの手続に関する諸規定をきめまた実際の業務を委託いたします金融機関その他を決定いたしまして、六月二十六日に東京都その他の主要府県、七月三日にその他全地区につきまして申込みの受付を開始いたしました。この申込みは東京、大阪等の地区につきましてはとりあえず七月十日、その他の地区につきましては七月十五日に第一回の締切りをいたしまして、ただいまそれを集計いたしております。きよう報告がございましたが、申込みの件数といたしまして全国で二万九千二百三十七、金額にいたしまして五十六億三千二百万円余、こういうことになつております。大体予算で認められております一般の貸付割当に対する比率を申しますと、件数にいたしまして四〇%程度、金額にいたしましては大体二分の一、五割程度になつております。これからだんだん申込みがありますが、早い者勝ちになることを防ぐために、その全部は認めませんで、大体その八〇%程度を抽籖によつてきめ、さらに審査の上で貸付の契約をするというふうに進めたいと思つております。  なおもう少しつけ加えて申しますが、最初の第一回の貸付につきましては、取扱い金融機関の窓口店舗の関係どもありますので、全国の金融機関窓口店舗は百六貸付の区域は全国の百四十五市町を第一回にきめまして、申込みを受付けていたわけでございます。これはだんだん準備が整い次第、区域も拡張いたしたいと思つておりますし、取扱い店舖も若干増加いたしたいと思つております。なお法律によりましては、店舗付の住宅なども貸付の対象になるわけでありますが、最初は專用住宅に限定いたしまして、又土地につきましては、借地権の購入費についても融通ができることになつておりますが、これも十分に調査ができなかつたために、借地権の購入費については融通をしない、土地の購入費だけになつたというような点がございます。さらに、大体来月の十日ごろまでを期限としまして、第二回申込みの受付を開始いたしておりますが、この際は若干店舗の数もふやし、貸付の区域も増加したいと思つておりますし、また店舗付の住宅なども貸付の対象にするというふうに、だんだん業務の範囲を拡張して行く予定でございます。何分最初なれないことをやりまして、実際の窓口などで申込みの手続がわかりにくかつたりして、いろいろと非難もございましたが、そういう点につきましては十分研究をいたしまして、逐次改善して行くようにいたしたいと存じております。
  42. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 この際申し上げておきます。鈴木住宅金融公庫総裁が出席しておりますので、質問がありましたら……。
  43. 田中角榮

    田中(角)委員 建設委員として質問すると多少愚問になるかもわかりませんが、私たちはこの法律の成立にあたりまして審議をいたしましたし、私たちに対しまして各方面からこの住宅金融公庫の運営という問題に対して問合せが参つておりますので、これらの住宅金融公庫を利用しようとする人たちの知りたいということを、質問というよりも希望であるかもわかりませんが、二、三申し上げたいと思うのであります。  住宅金融公庫法案を審議中、このままで行つたならば庶民はほとんど借入れの対照にならないのではないかという質問が各方面からされました。私たちもこの問題に対しては十分考えておつたのでありますが、いわゆる回收の確実ということと、最も高度の社会性を帶びた政策の一つとして、なるべく庶民に住宅を與えるというこの相反する二つの問題を同時に解決することは、非常にむずかしいと思つているのであります。その意味において、この法律案が成立をいたして、実際にこれが運営せられるときには細心の注意を拂つていただきたいということを考えておつたのであります。住宅金融公庫が発足しましてから、まず第一番目に、大衆の感覚と申しますか、いわゆる批評はあまりよくなかつたようであります。それは、家を持たざる数百万の人たちが、住宅金融公庫ができたならばただちに自分の家ができるというような錯覚を一面に起し、悪く言えば非常に大きな希望を寄せただけに、これか発足を見た直後におきましては、あまりにも手続その他がむずかしく、官僚的であることが各所に散見されたよりであります。しかも先ほど申し上げましたように、回收ということとまつたく相反する二つの問題を同時に解決するために、当然こういう措置がとられるのでありますが、本法の目途とする本旨をゆがめてはならないということだけ私も考えておつたのであります。しかし、わずか一箇月たちました現在の状態では、申込数も非常に少い。今日の新聞等では予想外に少かつた。しかもその八〇%はほとんど無籤減の状態で当籤されたといつことで、ほつと胸をなでおろされておられるような向きもあると思いますが、なぜ申込みが少かつたかといつことを当局は十分考えてもらいたい。つまり一箇月前に大衆としてのみ込めないよつな煩瑣な書式であつたということはいなめないことであります。法律をつくつても、法律の企図したことと全然逆効果をあげることが多いのであります。法はすなわち運用する人のいかんによつてその価値を判断せられるのでありますが、この住宅金融公庫というのは非常に深刻な問題であるし、特にわれわれ自由党員としては、自由党の一大社会政策の一つとして取上げたのでありまして、そういう意味から申しましても、大衆のなじめるように、大衆が簡易に申込みができるように、ぜひひとつお考えを願いたい。これに対しましては、今まで金融機関が準備されてなかつたということもあるのですが、この手続を全部廃止してしまつたら、これは査定も非常に困難になりますが、われわれは委員会が最後に修正しようとしたときに、金融機関ではなく、地方公共団体にまかせた方がよいのではないかということを申し上げたのですが、私はこの実施にあたつて特にそれが痛感された。市町村で信用状態を調査し、各市町村がこれを引受けるということであつたならば、こんなことは絶対になかつたと考えているのです。これは改正法律案としてお出しになるかどうかわかりませんが、とにかく現在においては窓口を広くして、大衆に懇切丁寧に教えてあげられるような態勢をぜひ整えていただきたいということをまず一つ御注文を申し上げたいと思います。  もう一つは当籤をした人は、もうすでに明日からでも家が建つのではないか——そういうふうな感覚を持つ大衆がいかぬというには、あまりにも住宅事情が深刻であるということを考えたならば、当籤をした入に対してはなるべくすみやかに貸していただきたい。この次に信用の調査その他がありますし、当然地方公共団体に移しての調査もありますので、これもなかなか時間的にかかると思うのでありますが、これも当籤をした者は二箇月、三箇月後にはほしいという希望を持つておる、この希望をまとめ上げてやつていただきたいということだけを、今から希望として申し上げておきます。  もう一つは、現在約八〇%の方々が当籤せられたのでありまするが、非常にむずかしい五万三千もあるのではないかという申込み予想に対して、出した人は、いわゆる住宅金融公庫法なるものが要求する條件をよく読み、しかもそれをのみ込んで、これに適合するという相当の自信を持つてお出しになつた方であると思います。その意味において、一部の者が不適格であるかもわかりませんが、この当つた方々に対しては、ひとつ特段の配慮をしていただいて——この特段の配慮と申しますのは、中には現在多少の不備があつても、指導の仕方によつて、なおかつ一箇月、二箇月の時間的な余裕をかすことにおいて、適格者となり得る人も当然あるのであります。これに対しては特に親切丁寧なる採用方法をとつていただきたいというのが第三の希望であります。  第四に私の希望申し上げますのは、これは私として正式な委員会で申し上げていいかどうかわかりませんが、窓口に出して当籤した方の中に、非常に心配している人がたくさんあるのです。それは土地の問題です。借地権を第一回に認めなかつたということはやむを得ない事情ではありますが、私は現在の日本の情勢においては、画龍点睛を欠いたという状態だろうと思います。私は借地権を認めあてもらつことが、まさに錦上花を添えるものと考えております。この借地権ということで、まことにいろいろ悩んでいるのでありますが、現在当籤すれば大体買い得るけれども、場合によつては破談になるかもしれない。但し一箇月か一箇月半のうちには必ず土地を見つけ得る自信がある、しかもそれだけの金は用意している、但し現在もう時間的に間に合わない、今買えても千五百円である、これを一箇月、二箇月の期間をかしてくれるならば一千円で買える換地を見つける自信がある。これを認めないという問題で非常に苦労せられているようであります。しかも東京都内においては、伊東住宅局長はそういうことはないのですがと言われたのですが、私たちのところへ持つて来た方々の中で、時間的に間に合わなかつた一番最後の條件としては、区画整理に入つているものは対象にならぬ、こういうのであります。これはいわゆる五箇年計画で、道路敷内等において当然五箇年間に取壊されなければならないというものは論外でありますが、現在各区役所にある原図によりますと、当時の最も大きな都市計画のもので、区画整理のところはみな色を塗つている。区役所に行つて大衆が聞いたところが、大体みな区画整理のところに入つているために、時間的に遂に時機を失した人がたくさんあります。ですからこういう問題は大衆に徹底するように、新聞広告でも大いにやつていただきたい。とにかく家をほしいということは非常に深刻でありますので、どうぞ大家さんになられるつもりで、一日も早く建つようにお願いしたい。以上私の希望を申し上げましたが、これに対して実際の衝に当られる総裁から、何か希望的意見を述べられれば仕合せだと思います
  44. 鈴木啓一

    鈴木説明員 私は大部分の方に初めてお目通りすると思いますが、先ほど住宅金融公庫総裁に御任命を受けました鈴木啓一であります。どうぞよろしくお見知り置きの上、将来とも御指導、御支援を切にお願いいたします。  ただいま田中さんからの御意見を含められた御質問でありまして、要領的に申しますと田中さんのおつしやいました数箇條の点に触れての御意見は、私自身まつたく同感と申し上げるほかない次第であります、私自身に対する、あるいは公庫の運営者に対する教訓ともいうべきものも含まれているよつに思いまして、しごく感銘したわけであります。  お説の通りに、法は運用にありといつことはその通りであります。住宅を国民大衆になるべく広く住宅資金によつて供給するということと、政府財政資金見返り資金で出た金でありまするから、これを確実に極力回收するということとは、両方ともに重要な使命でありまして、またお説のごとく、一面においてはたいへん矛盾しているとも見えるよつな両面であります。この間にありまして、これを巧みに、適当な程度において、両面の目的を達するということは、ありていに申しまして、至難な使命だと思いますので、私浅学非才であり、なかなかこの重任は私の能力をもつて果し得るかどうかということを考えておりまするが、せつかくの御任命でありますので、他の理事その他職員一同とともに相励まし合いまして、お引受けして以来、多大の労力をこれに傾注いたしまして、もつぱら御要請に合うように努力しておる最中でございます。何分初めての政府事業でありますので、ずいぶん苦心いたしまして、御要請に合うように努力はいたしておりますものの、事と次第によりましては、実現しつつ、さらに改善をなすといつたような部面も少くないのでありまして、先ほどから大分諸條件がむずかしいというような批評もあるというお示しでありましたが、この両面の使命を達成しますために、まつたくやむを得ずいろいろなめんどうなこと等も御要求しておるような点も現在ありますので、これらにつきましては実現しつつ、さらに改善すべき点は改善して参りたい。何らその点についてやぶさかではない。法律の許す限りにおいては、そういうような方向に努力したいと思つております。その第一点の最後に、なるべく親切丁寧に処置してやれ、これもわれわれは心がけておりますものの、関係者も多いことでありますし、また私初め一同の者がなれておりませんので、思いながら及ばぬというような点が、ことに末端等におきましては多々あることと存じます。今後もこれらは十分に戒め合いまして、大衆の希望に沿うように懇切丁寧に努めたいと思います。  それから今度くじに当つて審査を受けることになりました人たちに対しましては、なるべく早急に、各種の審査を遅滯なく、円滑に通られて、一日も早く家が建ち上つて、痛切な希望である住宅の獲得ということに向つて実現されるように、関係機関お互いに勉励し合つて参りたいと思います。ただ一面においては、われわれ公庫としては全国で百五十人の人間が極力努力をしておるのでありまするが、一面において金融機関、一面においては建築審査の公共団体、これらに、われわれの意のあるところ、いなむしろ立法の趣旨をとくとのみ込ませまして、親切丁寧に、しかも敏速に、円滑に運びますようにいたすことにつきましては、十分努力はいたしますものの、やはりこの際その普及徹底までには若干の日数をおかし願いたい。一日も早くわれわれ満足するような状態に導きたいということを、日夜念願しておる次第であります。なおその他御意見もございましたが、しごく同感であり、田中さんのおつしやつたような線に沿いまして今後も極力努力いたしたいということをもつて、御答弁にかえてさしつかえないかと思います。なおまた他の建設委員の方々におかれましては、従来ともこの公庫法の生れることに多大の御盡力をいただき、また前国会におきましては修正意見等も苦心してお立てになり、いろいろ従来おせわになつたのでありまするから、さような従来の御縁故をもちまして今後ともこの公庫の事業が円満に達成できますように、あらゆる機会にお助けを願いたいと思う次第であります。以上をもつてお答えといたします。
  45. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一言だけ、これは法律案を起案せられた伊東局長に御言明を願つておけば一番よいと思うのでありますが、最後に私が先ほどの質問の中に申し上げましたように、実際現在の状態では敷地が購入されるという状態にあるのですが、審査の結果までは相当の日時がかかりますので、ざつくばらんに申し上げますと、その間に金に詰まつてつてしまつたというような場合があるのです。この場合申し込んだ人は不実記載をやつたわけでも何でもありませんし、当籤するまでには当然買い得る。金を貸してくれたら売ります。こう言つてつた。中にはきのうあたり、十万円の土地代金に対して三万円だけ手金を打たなければ、当籤しても売り飛ばすぞという人も出て来ておる。当籤したとなると、すぐそうなんです。そうすると、三万円今拂いましようか、どうですかということを言つて来たのですが、私はどうも当局者でないからわからぬ。こういう問題を私が考えているのは、だんだん半月、一箇月間と御決定が延びておりますと、とにかく、あなたは住宅金融公庫から土地代も借りられるのだから、土地代だけは十万円全部拂いなさい。拂わなかつたら売り飛ばしますよという問題が起きて来るだろうと思う。その場合やむを得ず頭金だけととのえておつたものが、土地代金を全部拂わなければならぬということになると、非常に喜んでおつたものが画餅に帰してしまうという場合、当然かえ地をみつけなければならぬわけです。この問題に対しては、今度地方公共団体で建築申請その他いろいろ審査をせられますので、これが受付けられたもの、それから末端の審査をせられる方方との間にこまかい点までお打合せがないと、これはすぐ蹴飛ばしてしまうという場合が起きてくるだろうと思います。こういうものに対しては、新しいことだから試験的であつて非常にむずかしい問題であろうと思いますけれども、すでに現在になると大体住宅金融公庫に対する大衆の希望というものと、それからあぶないという場合の條件はほとんどそろつておると思いますので、これに対しては早急に対策を立てられて、いわゆる原則を大衆にはつきり明示して、こういうものはいろいろな問題が起きても、究極においてはあなたは貸付の対象になるということをよく示してもらうような処置を早急にとつていただきたい。しかもこれはかえ地をしても私は借り得るという前提で申し上げておるのでありまして、これに対しては私の考えが正しいと思うのですが、法律上から考えて住宅局長はどういうふうにお考えになつておるか。こういうデリケートな問題がたくさん出て来ると思うのでありますが、いわゆるしろうとでありますので、何でもないと思つておりましたら、建築線を入れなければ受付けない。建築線を入れるまでには一箇月、二箇月かかる。それから敷地を分讓しなければ受付けない。今度は建築基準法上の手続の上でやむを得ずかえ地をしなければならぬという問題がたくさん出て来る。この問題は土地さえ解決すれば住宅金融公庫の使命はほとんど達成せられた、こう言つても過言でないと私は思つているのでありまして、特に特別都市、それから都市計画をやつておられる戰災都市などに対しては、この問題が本問題を解決する最も大きな問題であるというので、これに対する伊東局長の原則的な御意見を発表しておいていただきたいと思うのであります。
  46. 伊東五郎

    ○伊東説明員 一応の申込みを受付けておきまして、それを抽籤いたしたわけでありまして、それに当つた人が一応の資格者になるわけであります。しかしこの申込みの際には、こまかいところまで調べてからやるということになりますと非常に時間がかかりますので、とりあえず簡單な申込書に記載して、それに不備がなければ受付ける、こういうことををやつております。しかし抽籤で当籤いたしましてからいろいろな調査がございますが、これは先ほど来のお話で、できるだけ簡單に必要最小限度のものにいたしたいと思つております。それにいたしましても、土地が入手できるとか、はつきりした保証人がつくとか、また都市計画的ないろいろな制限がございます。道路の予定地とか、公園の予定地とか、そういうところに当つておらないかどうか、そういつたようなことがありますので、これは必要最小限度にいたしたいと思いますが、しかしやはり調査をしなければならぬと思つております。こういう点につきまして、周知方について御要望がございました。従来もそういう点につきましては、こういう方は借りられるということは、パンフレツト等も出しまして、できるだけの努力はいたしておりますが、今後ともそういう点につきましては、公共団体や金融機関などの窓口を利用いたしまして、周知するようにいたしたいと思つております。  それから今のお話の事例でありますが、土地を買おうと思つたところが、何らかのことでそれが買えなくなつて、別なところに行かなければならぬ、こういうことも認めるつもりでおります。全然違つたところに建てなければならぬという事情が起きました場合には、それも認めるということにいたしたいと思つております。何分土地の問題につきましては、一つの例としてお述べになりましたが、資金の点が目途がつきますと、土地が一番のネツクになります。現在土地も多少値上りの傾向があるとか、貸ししぶるとかいうようなことがございまして、申込件数が思つたほどに多くないという原因一つの大きなものがやはり土地にあるようでございます。もちろん相当な頭金、五万円とか十万円とかいうような頭金を用意しなければならぬ。まずそれで着工しなければならぬというような点も大きな制約になるわけでありますが、これとともに、土地もなかなか大きな障害になつておるようでございまして、この土地についても何とか対策を講じなければならぬのじやないかというふうに考えまして、研究だけは進めております。十分研究いたしまして、何らかの対策を講じたというふうに考えておる次第でございます。  それから先ほどの総裁に対する御質問の中にありましたが、戰災都市の区画整理地区の中に建てる場合に、区画整理をやるのだから、まだその換地がきまらぬからということで貸付の申込みのときに断わられた、こういうような事例でございますが、この点は末端の金融機関などに十分徹底してなかつたような場合に、間々そういうような例もあつたように伺つております。これはただちに改正をいたしまして、ただいまお話がありましたように、戰災復興の五箇年計画区域、こういうようなものはやむを得ないと思いますから、これは調べました上で、さしつかえないものは貸付の対象とする。それ以外の区画整理地区が相当あります。東京で申しますと、全体で六千万坪の区画整理地区があるわけであります。そのうち五年計画として今事業を進めておりますのが、一割足らずの五百万坪でございます。この五百万坪の部分については、具体的に設計をやつておりますから、その設計にさしつかえないように建てていただくというようにいたしまして、そのほかの五千数百万坪につきましては、一応建てていただくということにはつきりいたしたいと思つております。それでただいまの御懸念の点は明らかになると思います。
  47. 天野久

    天野(久)委員 ただいま田中委員からの御質問によつて大体盡きておると思いますが、補足的にちよつとお伺いしておきたいと思います。  本法案を審議いたしますときに、委員会といたしましてこういう問題が起きやしないかということは実は予測をいたしておりました。しかし修正は時間が間に合わないということで、そのまま通したのでありますが、今田中委員は借りる人たちからの話でありますが、私は今ここにいろいろな細則の書類をいただきましたが、まだよく目を通すひまもありせんし、貸付に当るその人たちが言われるのに、非常に條件がむずかしくて困る。そこで戰災都市などで実際市営住宅などに入つておられて、ほんとうに人間が住むようなところでないところに長くおられた人たちが申し込みに来られて、いろいろ事情を聞いて、それではわれわれは一生家らしい家に入れぬのか。今度はこういう住宅金融金庫法案が出たので、われわれもどうにか家に入れると楽しんでおつたが、これを聞いてみてがつかりしたというようなことで、銀行の頭取さんはその窓口に行員の最も優秀な人をあてて、そうしてその借りに来られた人の説得に努力した、こういう話を聞いておりますが、われわれは法案はこしらえましたが、その細則はどちらでこしらえたかよく存じておりませんが、せつかくこういう法案ができましたのにかかわらず、これが国民の上に均霑いたさないということはまことに遺憾に存ずるのでありまして、こういう点につきまして、いま少し親心をもつて貸し付けてもらえるような細則に直さるるお考えがあるかどうか。それからまた限度ある貸金でありますので、多数の人々に全部貸すことはできないといたしましても、相当な收入があるとか、相当な資格がなければやることはできないということでなくして、そこにいま少し零細な人たちにも正しい気持であるならば、これに申し込み得る資格を與えたらどうか、こんなふうに考えますが、そういう点について何か御意見があつたら聞かしていただきたいと思います。
  48. 伊東五郎

    ○伊東説明員 せつかくこういう住宅金融機関をつくつたにもかかわらず、国民の相当部分の人に対して均霑しない。この恩典に浴しないという点について、何か細則でも改正して均霑するようにする考えがあるか、こういうお尋ねのようでございますが、お話通り住宅金融公庫ができますと、これはもうみな自分の家がこの金によつてできる、こういう非常に大きな期待を持たれまして、かなり窓口に殺到いたします。しかしよく聞いてみると、二割五分という相当の頭金がいる。それから毎月の負担も、自分の希望するような家を建てると、千五百円とか二千円とかいうものを毎月拂わなければならない。それが支拂える能力があるかどうかということから、資格がないということが言われます。先程申しましたように、特に土地の関係で資格がない。そういうようなことがございまして、かなり多くの方が失望されたということを聞いておりますが、この点はわれわれももう少し條件をよくしたいということについては、努力もいたしましたし、またこの建設委員会といたしましても法律の立案の際にいろいろと御努力になつたわけでございますが、ああいう條件にきまりますと、一番大きな障害になる点は、法律で定められておりまして、これは法律を施行するわれわれの立場としてはいかんともできないわけでございます。ただ細則などにおいてまだそういうような障害があるじやないか、こういう御懸念でございますが、細則につきましては、償還の確保という点から言いまして、ある程度調査をいたしましたり、資格などの調査をいたしたりしますが、これが国民一般に均霑しないという根本的な障害ではないように私ども考えております。ただ細則的なことで手続が非常にうるさい、ひまがかかる、こういう点がありましたならば、これは今総裁から申し上げましたように、根本的の障害のない限りできるだけ改善をして行きたいと思つておりまして、現にすぐに第一回やりましたことにつきまして座談会を開いたりいろいろな方面の意見を聞きまして、改むべきことはただちに改めるように措置いたしたいと思つておりますし、なお続けて研究して、そういう方向に向いたい、こういうように考えております。
  49. 天野久

    天野(久)委員 今の御答弁で大体了解いたしますが、これは事実の話なんですが、たまたま申込みに来る。そうすると少くとも一万五千円以上の收入がなければならないとか、敷地がなければいけないことはむろんのことでありますが、非常に條件がむずかしいので、窓口から失望して帰られる人が相当ある、こういうことです。今も田中委員お話を聞きますと、無抽選で割当てるということである。これは実際においてどこかに相当きゆうくつなところ、むりなところがあるということを考えなければならぬと存じます。従つてせつかく親心をもつてこしらえて、国民のためにやろうという法案が、国民をして失望させ、そして自暴自棄に陥らしめるようなことをしたならば、かえつてこの法案が社会を害することになる、こういうようなことを憂うるものでありますが、どうかひとつこういう点につきまして、局長はあの法律案の審議のときにもたびたび臨席されておりまして、あの法案の審議状況は御存じだと思います。従つてもし時日がありますならば、あるいはあれが修正されて、いま少し緩和されたものができ上つたのではないか、こんなふうに考えておりますが、時日がないために修正ができ得ないという事実があつて、これをかりに審議未了にするよりかも、まだ通した方が国民のためにいいだろうということで原案を通したのでありまして、そういう点もよく加味されて、いま少し一般大衆が気安く申込み得るように、そうしてかりに現在の收入が——人間の收入なんというものは、現在かりに收入があつたしても、あした收入がなくなるか、あるいは現在なくても努力してあしたから收入を得るようになるかもわからないので、従つてそういう点についても、正しい心構えを持つ人ならば、それをよく認めて貸してやることが国民の救済になるのじやないかと考えております。どうかそういう点につきまして、局長ないし総裁はよく考慮されて、せつかくできましたこの法律が国民のためにほんとうに有意義に使われ、そうして日本の再建のために国民がほんとうに心からの協力ができるようにやつていただくことを切望いたしておきます。
  50. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 それではこの際委員諸君にお諮りをいたしたいと思います。議員石原登君より委員外の発言の申出がございますから、これを許すに御審議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 御異議がなければ、さよう決定いたします。石原登君。
  52. 石原登

    ○石原登君 委員外発言をお許しいただきましてお礼を申し上げます。伊東局長と鈴木総裁にちよつとお尋ねいたしたいのですが、ただいま伊東さんの御説明の中に店舗付の住宅にも貸す予定である。それから住宅も貸付の対象になる、こういうようなお話を聞きまして、実は私の質問はなくなつたと考えておるのでありますけれども、そういうような方針はいつからそうなつたのか、まずその点をお聞きいたしておきたいと思います。と申しますのは、実は私わずか数時間前ですが、きようたまたま金融公庫に参りまして、名前は聞きませんでしたが、とにかく理事の方に会つたのであります。その方に会つて、いろいろ貸付の問題について聞きましたら、店舗付住宅が貸付の対象にはなつていないという言明を受けて来たばかりであります。そういたしますと、国会の局長さんの御答弁と実際行つておる公庫の、しかも責任者の言は、完全に食い違つておる。こういうことが考えられますので、こういうことをその公庫の人たちは知つておるのかどうか、あるいは局長のこの場限りの御答弁であるのか、まずその点から承つておきたいと思います。
  53. 鈴木啓一

    鈴木説明員 ただいま公庫の理事からお聞きになつた云々といろお話もありますから、私から便宜お答え申し上げます。おそらくそういうお答えを申し上げましたのは、話の行き違いがあつたかと思います。と申しますのは、五大府県で二十六日から受付けて、十日で一応締切つた分と、それからその他の府県については、七月三日に受付を開始して、十五日に締切つた分とがございますが、これをわれわれの方では第一回貸付と申しております。その第一回貸付では、專門住宅に貸すことにいたしまして、店舗付その他の併用住宅は扱わないことにいたしておりました。ところが第二回の貸付、すなわち五都府県では十一日からのわけでありますが、現在は第二回貸付をやつておるのであります。第二回貸付では、店舗その他の併用住宅も貸付対象にすることにいたしまして、現在やつておりますのは、併用住宅も貸付対象に認めております。でありますから、何かお尋ねと答えとの間に、今締切つて抽籤の済んだ分についてと、第二回分として現在受付けておりますのと、かれこれ混同した話になつて、誤まつたお答えをお聞きになつたのじやないかと思います。だから第二回貸付は併用住宅も貸付対象にいたしておりますことは事実でございます。第一回はそうではありませんでした。さようなことに、あらためて御了承を願つておきたいと思います。
  54. 石原登

    ○石原登君 ただいまの御答弁並びに先ほどの局長の御説明で、今後の貸付対象のことについては一応了承いたしました。しかしながら私も実はあいまいなお尋ねをしたのではなくて、また向うもあいまいなお答えではなかつたと思うのです。それはなぜかというと、実は具体的に話をしたわけであります。と申しますのは、店舗付の貸出しというのは住宅が店舗の一部分であつて、店舗が大部分の場合は、どうも住宅金融公庫の貸付対象とはならない、そういうのは当然他の機関において考えらるべきものである。こういうような話もあり、だから私は根本的に意見が食い違つたので、それは住宅金融公庫法案を審議するときの精神とまるで違うというようなことを話しましたが、実はきよう午後からここでこの委員会があるということを聞きましたので、私はわざわざ出て来た次第であります。残念にしまして名前を私、聞いて参りませんでしたが、これはいずれ私が参れば、どなただつたということがはつきりいたしますから、その上でもし私の方に間違いがあれば何ですが、間違いがなかつたら、あなたの部下に対しては、十二分にそれが徹底するようにぜひ御指導を願いたいと存じます。  それからその貸出しのことについて一言お尋ねいたしたいのでありますが、先ほども同僚議員の諸君からたびたびお話があつて、これは要するにこういうふうに逼迫した状態になつておる住宅を何とか解決してやりたいというのがもちろん主眼でございます。同時にこの金は国民の汗とあぶらの税金でできる金であるから、この回收には当然十分の対策が講ぜらるべきことは申すまでもないことであります。でありますから、この法案の骨子は住宅をつくつてやるということと同時に、その回收が十分でなくてはいけないというのが主眼であろう、また法の運用もそういう方向でなくてはならぬ、かように私は考えるものでございます。そこでここに具体的に取上げてもらいたい問題があるのでございますが、それは今東京都で——これは東京都に限りませんが、全国の学生諸君が非常に住宅難のために困つておる。これはただ配偶者を持つているとか、あるいは兄弟、親子が住まつておるとか、そういう人だけが問題ではないのでございまして、みな困つている。そういう人はあたかもこの法律においては対象になつていない。対象外に考えていらつしやるようであります。現にこの住宅金融公庫の案内の中にも何かそういうようなことが書いてあるように見受けられる。私はこれは皆さん方の解釈の独断であつて、こういうような解釈はあつてしかるべきものではないと考える。皆さん方がこういうような解釈をされたということについては、この回收というような面に十分意を用いられた関係もあろうかとは存じまするが、ただいま申しましたような多くの学生諸君も、非常に住宅に困つておる。そこで私どもは、こういうような学生諸君を救済する意味で、在京の有志が集まりまして、何かアパート的な学生寮をつくつてやろう、こういうようなことを計画いたしたのであります。当然こういう者も住宅金融公庫の貸付の対象となり得ると思う。また同時にこれが返済については在京のわれわれ有志が責任を持つてやろうじやないかと実は考えているような次第であります。ところがこういう者は全然対象にならない。あくまでも夫婦者でなくてはいないとか、あるいは親子一緒に住んでおらなければいけないとかいう解釈を堅持しておられるようでありますが、私はどうもこの法案のどこからそういうふうに解釈していらつしやるのか、その根拠が見当がつかない。今後もやはり住宅金融金庫の実際の貸出しについてはそのようにお考えになつて、その通り運営なさるおつもりであるかどうか、このことを鈴木総裁にお尋ねしておきたいと考えるのであります。
  55. 鈴木啓一

    鈴木説明員 先ほどの御質問に補足いたしてお答えいたしますが、店舗その他のつきました併用住宅は貸付の対象にいたしておりますが、住宅以外の用途に供する部分、すなわち店舗もしくは事務所等は、その建物の三分の一以上にわたつてはいけない、その住居用以外の店舗もしくは事務所の部分の建築費については貸さない、併用住宅は貸付の対象になりますけれども、貸す部分は住居部分について貸す、こういうことになつております。従つてそういうようなことで何か話の行き違いがあつたのじやないかと心得ます。すなわち他から金融を仰ぐほかしかたがあるまいと申したということでありますが、それは店舗もしくは事務所用の部分について、こちらからはお貸しできないから、他からの金融あるいは御自身の手持ちの金でおやりになるほかあるまい、このようにお答えするようなことになつたのじやないかと思います  後段のお尋ねの、学生が宿舎に困つているから、その合宿所というか、そういうものを融資の対象にしないかということでありますが、正直に申し上げて、そういうものは一応今考えの範囲に入れておりません。というのは、なるべく数多くの人が自己所有家屋を持つように、多くの人に貸してあげたいという考えでおりますので、合宿所等はなお十分考究すべきものとは心得ておりますけれども、数の上から申しまして、必ずしも夫婦者でないまでも、一世帶を持つて、自己所有家屋を持ちたいという部分の、都市あるいは都市以外でもよろしゆうございますが、住宅に困窮している者をなるべくたくさん拾い上げるという意味から申しまして、そういうのを先にすべきであろうというようなことで、ただいまのところそういう世帶持の個人というようなものを優先的に考えておる次第でありまして、お尋ねのごとき事件は、将来さらに十分考究をいたしたいと思つております。
  56. 石原登

    ○石原登君 たびたび発言しましてはなはだ恐縮でありますが、ただいまの前段の御答弁ですが、私は実はそれに非常に根本的な考え方の相違があるわけであります。今の総裁の御答弁を聞いていると、何か疊を敷いて寝ころんでいる所であるならば対象になる、これをもつと具体的に、あなた方のそういうお考えをもつとたち悪く御解釈申し上げますならば、夏の暑いときに盡寝するために使う部屋であつたならば、無為徒食をしておつて住宅金融公庫の貸付の対象になる。しかしながら、たとえば満州なら満州から引揚げて来て、職業もない、住む家もない、幸いにして住宅金融公庫が金を貸すから、この金を借りて働く場所も得たい、住む家も得たい、こういう者が金融の対象にならないということは非常におかしいと思う。ただ單に月給取りのために住宅をつくつてやる、こうい意味にはわれわれは絶対に考えていないのであつて、住宅に困つておる者であれば、たとえば失業しておる者も、あるいは引揚げて来て全然仕事のない者も、やはり同じである。むしろこういう人たちが住宅を得られることによつて、食うて行くこともでき、あるいは仕事の対象も見つかるということになるならば、これはほんとうに一石三鳥であつて、むしろそういう面にこそわれわれは融資していただきたいと考えております。住宅のない苦しみは深刻でありますけれども、それ以上に、住宅も仕事も両方ともない者の苦しみはさらに大きいと考えております。食うて行くためには、たとえ二疊でも三疊でもけつこうだ、住む所はある程度犠牲にしても、まず食うことを解決したいという人が多いのでございます。現に皆さんに見てもらいたいと思いますが、新宿あるいは澁谷の盛り場におきましてわずか二疊か三疊かを住むために充てて、その大部分のスペースをあげて生活のための方途に活用しておる人が多いのであります。こういう点をあなた方は知らないで、ただ單に疊を敷いて横になれるスペースがあることをもつて住宅と解釈せられることは、われわれどうしても承服できないのであります。どうしても三分の一以内でないと、そういうような生産面に使われるスペースは貸付の対象にならないというお考えを今後とも堅持されますかどうか、この点をさらに重ねてお尋ねいたします。
  57. 鈴木啓一

    鈴木説明員 重ねてお答え申し上げます。私どもといたしましては、法律なり、それは準拠した範囲内で運営をはかつておるようなわけでありまして、住宅の建築資金を供給するということが根本に相なつておりますから、お役所の調べによりましても、現在三百四十万戸住宅不足だ、そこでただいま二十五年度としていただく予定になつております百五十億は、財政困難の政府として相当思い切つた出資であると、ありがたく考えておりますが、それで建ちます予定は、建設省からかえつて示された数字で、御承知のごとく二十五年度八万戸内外でございます。全体の住宅不足から申しますと、きわめて微々たるものと見られますが、これは今後とも何年か続けていただきまして、ぜひぜひ相当の数量に達したいとは思つておりますけれども、さしあたりとしまして八万戸前後の金でございますから、まず專用住宅ということを主眼にいたして参るのが当然の推移じやないか、かように考えます。併用住宅にも貸すことは貸しますけれども、やはり住居部分を重んじてかかるのが本来ではないか。店舗もしくは事務所等は個々の営業状態、執務状態によりまして、いろいろな設備もいりましようし、また大小広狹いろいろありましよう。それはやはり一々そういうところまで貸付対象を広げますことは、專用住宅、住居の部分について困窮しておるということを主眼にしなければならぬから、それが根本である。かような考え方から、運用といたしましても、併用住宅にも貸すのは貸しますけれども、住宅部分のみについて貸しまして、広く住民に困窮した人になるべく数多く貸せるようにという趣旨で、ただいま運営しておるような次第であります。さよう御了承願つておきます。
  58. 石原登

    ○石原登君 どうも私の言つておる趣旨が総裁にぴつたり来ないようですが、私が言つてるのは、その住居のほかに、営業あるいは働く場所のスペースをふやしてもらいたい。こういう趣旨では絶対ないのであります。あなた方がきめられた範囲において、まず食うことに何とかして努力しなければならない人の働ける場所、それがほしい。具体的に言うと、あなた方の貸出しによつてできた家を、あるいは魚屋に使うとか、あるいは雑貨店に使うとかして、その大部分をたといそれに使つても、その家に住居してその家で食うすべがあるならば、さらにけつこうじやないか。ただ單に恩給をとつて遊んでいる人が住む家がない、あるいは月給をもらつておる人が家がないということだけではなしに、根本の生活に脅かされておる人が、その家を活用することによつて住宅問題を解消し、あるいはそのような最も大事な問題である生活の問題も解消する。こうなれば私はそれ以上の問題はないと思う。私は少くともこの法律のできたゆえんも、そういうところが十二分に考えられているのであつて、ただ單に皆さんが解釈される專用住宅というような狹義なものでないと私は解しているのであります。いわゆる住宅というのは、その人がそこに住まつて、そこで雨露をしのんで行くのが住宅であつて、別に住宅は持つておりながら一つの商売の場所、あるいは働く場所としてそういうものをつくるというのであつたならば、当然対象にならないはずであります。しかしながらそこに住まつてその家を高度に活用しようというのにりくつのあろうはずはないのであつて、この解釈はあくまでも皆様方の解釈が非常にこまかい、それで狹い。言い過ぎかわかりませんが、官僚的な法文の解釈にあまりも汲々如として忠実な考え方じやないかと私は考えておりますが、どうかこの点はひとつ委員長にもお願いしておきますが、委員会でももう一ぺん御研究願いまして、この点の解釈にはつきりとした国会の意思を御明示をいただきたい。かように考えております。それからもう一つ先ほどの問題でありますが、どうも住宅というものは何か家で飯をたいて、夫婦そろつて鼻をそろえて食うところのみが住宅だ。こういうようよらな観念のようですが、私はさように考えたくない。またさようなものでないと考えておる。少くも人間が生活して行く上において、野天では生活ができないのは、たとい夫婦者でありましても一人者であつても当然だと思う。さようにいたしますと、この住宅金融公庫が国民に及ぼされるべきところの均霑したいわゆる福祉というものは、これは一人者、男でも女でもすべての者に十分活用さるべきものだと考える。ただ問題は、この貸出しが貸倒れになりはせぬか、こげつきになりはせぬかというところにあるのであつて、この問題が円満に解決さえして行くならば、もつともつとわくを広げて、多くの人に同等に均霑すべき性質のものだ、かように考えております。さようにいたしますと、それが学生でありますしようと、あるいはまた労働省であろうと、月給取りであろうと、自然に権利があるのであつて、ただ一部の人のみにそれを適用するというような考え方は、どうしても是正してもらわなければいかぬ。かように考えております。ここで押し問答を申し上げてもなかなからちが明く話であるとは思いませんが、こいねがわくは、どうか建設委員の各位にお願いいたします。この問題に対する解釈をどうか皆さんの国会の意思によつてはつきりと御解明願いまして、この住宅金融公庫を、当初国民が大いに期待しましたような方向に向つて活用されるように、お願いを申し上げたいと思います。長い時間をおさきくださいまして、心から感謝をいたします。
  59. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員長代理 それでは本件についてはこの程度にいたします。  次会は明後金曜日午後一時といたします。なお追つて公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会をいたします。     午後四時二十七分散会