○
今村(忠)
委員 われわれ
建設委員はさきの
国会において水防法の制定に努力いたしたのでありますが、水防法実施後日もないことでありますから、一面われわれは
当局を苛酷に責めませんけれ
ども、せつかくできた水防法を、今回の
水害状況から見て、またその準備というか、水防訓練の点において、また水防を実施する必要の施設の点において、はなはだ不十分のものがあ
つたと見受けるのであります。第一は水防に必要な資材というようなものが、非常に特殊なものであるということが
一つ、また非常に多量のものを要するということが
一つ、そうしてまた資材がありましても、これをも
つて応急修理をいたすというようなことが
一つの
技術を伴う。しかも激流の中でしなければならない作業というようなことにな
つて参りますと、なかなか人が集ま
つてもそれでいいというものではないのでありまして、何とかしてこれにある一定の
技術的な訓練というものを與える必要を私は感じたのであります。そこで私はせつかくでき上
つております水防法をして意義あらしめるために、当然その衝に当
つておる
建設省としては、少くともかようなことを
考えてもらいたいと思うのでありまして、それに対してどう
考えるか、所信を承りたい。第一は今言う
通り一定の資材等を貯蔵する水防小屋とでもいいますか、そういう場所を要所々々につくらなければならないと思いますが、御承知のように川の流れておる村というものは、全国を通じてどこにでもあるわけではないのであります。特殊の
事情にある村にその必要を感ずるのでありますから、その村の全額負担でやるというようなことになりますと、なかなか今日の農村経済では困難だと思います。
従つてある
程度これが施設に対しましては国庫において見てやるべきであると痛感いたすのでありますがこれに対して
当局はどう
考えられるか。
第二には、
先ほど申した水防の
技術的訓練というものを必要といたすのでありますが、これがなかなか困難でありまして、直接川に接触して田畑を持つ者といたしますればば、言いかえれば利害
関係のある者といたしますれば、熱心に当然いたすのでありますが、また実際利害
関係のある者の数というものもはなはだ少い結果、それだけの人の集合と訓練というだけでは、今回起きた
水害の
状況から見ましても不十分であります。これを補うために、水防常備員とでも申しますか、ある村の水防団のうち、一定の数を限りまして、
技術的な訓練を與えるとともに、その村でわずかしかない
数字のものを
各地集めて、
災害の起きた所を協力して守るというような方法をとる。それはなぜかと言いますと、火事でありますとせいぜい焼けても二日や三日であります。
水害の方は、今回の例を見ても本流が切れて流れ込むというようなときにおいては、その
対策はわずか三日や四日では済まない。どうしても十日、二週間というような非常に長い日を要するのであります。そういたしますと、将来にわたりわずかな人々では疲れ果ててしま
つて、応急処置にももう手が出ないという
実情に現にあ
つたのであります。そうなると、どうしても
各地の水防要員というような人が参加して協力してやるということが必要になると思うのでありまして、そうだとするなら、ここに昔江戸時代に防火に当
つた火消しが、実際、仕事に出て消火に当
つた場合には手当を出したという古い例があるのでありますが、何かやはり
技術を持
つた者が自分の利害
関係のある所を離れて、他の地域に応援に行
つた場合においては、何かこれを経済的に
簡單な言葉で言えば日当のごときものを與えて、長き期間協力してもらえるというような制度をつくる必要があるのではないかと、こう思う。言いかえますならば、せつかくできた水防法を活用することに対して、
当局はどの
程度の
研究をしたといいますか、熱意を持
つておられるのかを、この際お聞きしたいと思う。