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1950-07-26 第8回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十六日(水曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 金光 義邦君 理事 三宅 則義君       高塩 三郎君    高橋 權六君       田中 角榮君    藤枝 泉介君       本間 俊一君    山口六郎次君       畠山 重勇君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         経済安定事務官         (物価庁第一部         長)      渡邊喜久造君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局飼料課         長)      酒折 武弘君         農林事務官         (食糧庁監査課         長)      高橋  清君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      岡部 邦生君         運輸事務官         (船舶局造船課         長)      山下 正雄君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         検  査  官 下岡 忠一君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      池田  直君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  各公団経理に関する事項     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいまから決算委員会を開きます。  本日は各公団経理並びに監督に関する事項につき、関係官庁方々から御説明を聽取いたします。御承知の通り前国会には価格調整並びに食糧配給の二公団に対して、審査をしたのでありますが、爾余の公団等についても、経理に関しとかくのうわさもあり、目下検察庁において調査中のものもあるやに承知しておるのであります。この際行政監督官庁公団に対する監督の詳細につき、聽取することといたしたいと思います。すなわち各公団経理監督上の責任を持つておる各関係官庁当局の方から、従来どんな監督をしておつたか、また現在まで判明しておる経理上の不都合について、その概要並びに原因、今後かかる失態を繰返さぬようにするにはいかなる構想をお持ちになつておられるか等につき、それぞれ各関係方面官庁方々から御説明を願いたいと思います。  まず最初に、経済安定本部長官から御説明を願う予定でございましたが、安本長官はただいま参議院に出席をいたしておるので、後刻こちらへ見えると思いますので。ただいまここにお見えになつております運輸省船舶局山下造船課長から、運輸省関係の御説明を願いたいと思います。
  3. 山下正雄

    山下説明員 運輸省造船課長山下であります。局長が渡米いたしておりまして、私が局長代理をいたしておりますので、かわりまして御説明を申し上げたいと思います。  初めに船舶公団沿革につきまして、ごく簡単に御説明申し上げたいと思います。船舶公団船主と協同いたしまして、船舶の建造、改装、修繕及び引揚げの注文を行いまして、その費用を分担してこれを共有し、またこれの工事に必要な造修用資材を確保活用して、船舶造修を促進して、戦争によりまして甚大な打撃を受けましたわが国の海運のすみやかなる復興をはかるのを目的といたしまして、昭和二十二年の五月に設立されたものでございます。ところが去る三月末に各種公団制度廃止するという方針に従いまして、解散をいたしたのでございますが、現在は大蔵大臣の所管になつておりまして、九月末までに清算を結了することになつております。船舶公団解散に至るまでに、新造船修繕船等を合せまして、三百十九隻、約六十六万総トンの工事を完了いたしております。船舶公団資本金は五十六億九千七百万円で、二十三年度までは事業資金復金から借り入れて事業を行つておりました。現在の借入金は約七十億残つております。  また船舶公団は毎期国庫剰余金を納入して参つておりますが、二十四年度分を含めまして、今までに合計約一億七千五百万円を納入いたしております。船舶公団解散にあたりまして最も問題になりましたのは、船舶共有持分約百三十億円の処分の問題でございましたが、これは船主に一挙に公団持分を買い取らせるということは、とうてい困難でありますので、一応公団持分は国が引継ぎまして、国と船主の間に共有関係を結びまして存続いたしておるわけでございます。  第二番目に船舶公団に対する監督につきまして御説明申し上げます。  船舶公団船舶新造修繕等この事業を行うにあたりましては、経済安定本部総務長官の定める海上輸送に関する基本的な政策及び計画に基きまして、運輸大臣監督することになつております。具体的な監督につきましては、法律または定款規定してございますが、おもなるものを申し上げますと、大体次のようなものでございます。  第一番目に経済安定本部総務長官認可または承認を要する事項としましては、第一に事業計画資金計画の作成、変更、二番目に財産目録貸借対照表損益計算書承認、三番目に業務服務特例承認、四番目に剰余金国庫への納入についての承認でございます。  それから二番目の事項といたしまして安定本部長官運輸大臣との認可を必要とする事項でございますが、これは定款変更でございます。  第三番目に運輸大臣認可または承認を必要とする事項でございますが、これは役員及び参与の任命、これが一番目でございます。二番目といたしましては、業務規定制定変更、三番目に特別の報酬規程制定したり、またはこれを変更するというようなこと。  第四番目に大蔵大臣承認を必要とする事項でございますが、これは一番目に毎四半期の收入支出の計画書でございます。二番目に経費の流用、または移用に関する、別な用途に使う場合の承認でございます。三番目にはその他予算書類及び決算書類の提出。  五番目に会計検査院会計検査を必要とします。そのほか日常の公団業務細部にわたりまして監督する必要がございますので、船の新造修繕する場合におきましては、発注内容とか事務上の必要な契約書制定または変更等につきましては、運輸省船舶局長承認を要するというようにいたしておつたわけでございます。  特に船舶公団経理につきましては、前ちよつと申しました監督のほかに、船舶公団経理規程船舶公団経理細則船舶公団業務監査規程、または公印の取扱規程等制定させておりまして、厳重にそれらの規定決算従つて事務をやつて来たわけでございます。また公団の取扱います金の問題でございますが、この取扱い方法は、各業務部門では全然出納をいたしておりません。ただ経理部のみが取扱う、そのためにいろいろの間違いが起きないように、経理部責任をもつて金の出入りをやつてつたわけでございます。  最後に船舶公団が扱いました船舶造修用資材は、旧海軍工廠から引継いだ資材等でございまして鋼材、電線等約八万トン、約十八億でございましたが、そのうち現在在庫しておりますものが約二億円ございます。このものにつきましては、清算人におきまして、競争入札によります売却の準備を進めております。  以上申し上げましたのが、大体公団沿革と、それから公団に関する監督の面、また事業内容を御説明申し上げました。
  4. 菅家喜六

    菅家委員長 ちよつと船舶局造船課長に伺いますが、船舶公団には現在まで何か経理上の不都合などはございませんか。
  5. 山下正雄

    山下説明員 経理上の問題は一件ございまして、現在取調べを受けております。
  6. 菅家喜六

    菅家委員長 ですからさつき開会前に委員長から申し述べたように、大体各公団経理監督責任を持つておられる関係方々においでを願つたので、従来どんな監督をしておられたかということが第一点、それからもう一つは現在まで判明しておる経理上の不都合なものがあつたら、その概要原因、また今後かかる失態をどうしたら防げるかというような方策を聞きたい、こういう意味なんです。今お話なつたような沿革等は、われわれ各委員船舶公団法を見れば、どんなことになつておるかわかることであります。この委員会においてわれわれの最も聞きたいことは、今までの監督上の不行届と経理上の不都合なことに対しての概要であつて、それを御説明願つて、それから各委員のそれに対する質問をいたしたいと思います。その点あなたの方にございましたら、ひとつ説明していただきたい。
  7. 山下正雄

    山下説明員 経理上の問題につきましては、毎四半期收支予算等船舶公団から出してもらいまして、その計画につきまして、関係運輸省の者一同集まりまして十分審査を加えまして、そうしてさらにこの規定にございますように、内容によりましては、大蔵省承認を要するものとか、あるいは経済安定本部総務長官許可を要するというような事項がございましたので、それぞれまたその承認なり許可を受けるというような手続を進めております。私ども見ております点からいたしますと、業務上大きな失策はなかつたように思つております。ただ公団の一、二の者が、これは監督上まことに申訳ないことでありますが、何か資材の一部を横流ししたことで取調べを受けておりますが、はつきりしたことはまだわかつておりません。
  8. 井之口政雄

    井之口委員 結論は出なくても、今どういうことで取調べを受けておるか伺いたい。
  9. 山下正雄

    山下説明員 はつきりは存じておりませんが、資材の特定の業者に利益を与えて、それから若干の金を收賄したというように聞いております。また詳細なことはわかつておる限り調べまして、後刻お知らせ申し上げたいと思います。
  10. 菅家喜六

    菅家委員長 次に物価庁の渡辺第一部長より御説明を願います。
  11. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 私の方で御説明申し上げたいと思いますのは、価格調整公団でございます。価格調整公団につきましては、あらためて申し上げるまでもありませんが、終戰後におけるインフレ時においての低物価政策を遂行する意味におきまして、価格調整をはかる仕事といたしましては、財政の方から与えます補給金支給につきまして、この調整公団を使いまして与えていたほかに、運賃プールとか価格プール仕事をさせておつたのであります。  監督につきましては、一応法律に定められておることをごく簡単に念のため申し上げますと、大体物価庁長官が一応主務大臣としてなつておりまして、定款変更認可物価庁長官安本長官役員任命物価庁長官、それから給与服務等特例承認は、物価庁長官安定本部長官と協議してやつております。それから業務方法認可事業計画認可は、安本長官物価庁長官大蔵大臣に協議しております。それから決算承認安本長官、これも物価庁長官大蔵大臣に協議しております。それから監督命令安本長官物価庁長官役員の解任は法令定款命令に違反した場合は物価庁長官、それから仕事に不適任、職務遂行に適切でないという場合には、安本長官、それから役職員に対する特別報酬認可安本長官、これは法令規定してありますので、あらためて申し上げることもありませんですが、この法令の趣旨に従いまして、われわれの方といたしましては、業務方法認可事業計画認可という場合に、それぞれの案を公団からとりまして書面審査の上でその適切を期しておりますほかに、時々職員検査に参りまして、いろいろ調べて適切を期するという措置に出ておつたのであります。  御質問の第二の、最近どういう点において価格調整公団を取巻いて問題が起きておるかということについて一応申し上げます。こういう事実が一応出たことについて、遺憾の意を表したいと思うのでありますが、今日まで一応検察当局のお取調べを受けましたものは、理事が四人と、参事が一人、それから副理事長が受けております。問題は、私が一応嫌疑内容として聞いておるところによりますと、一番大きな問題といいますか、大体問題は給与の問題に結びついておるようであります。昭和二十三年の五月、六月のころ、それから昭和二十三年の十二月のころ、昭和二十四年の七月のころ、この三回にわたりまして、労働攻勢と申しますか、職員の方から給与の引上げの要求が出たのに対しまして、理事者としましてそれに応ずるわけには行かなかつたのですが、同時に絶対に断り切れませんで、結局貸付金の形におきまして、ある程度の金を出しております。一応その給与関係の金が総計して二千二百万円くらいになるのじやないかという話を聞いておりますが、その金がまず第一に出ておる。それの穴埋めの方法としまして、たとえば運賃を二重に払つたようなかつこうをとりますとか大体そういう方法によつてつじつまを合せようとした事実が一つと、もう一つ、これも非常に妙なことですが、いわゆる浮貸し的な金を出しまして裏金利でかせぎまして、その給与の穴を埋めようという措置をした。あとの、裏金利の方の関係におきましては、結局一千万円ほどの金が一応銀行の無記名定期なつておるのですが、銀行の方では——証書公団が持つておりまして、無記名定期として公団の方としては債権を有効に主張できると言つておりますが、銀行の方はまたこれが担保に入つていて払うわけに行かぬといつたような争いになつておりまして、これは公団として現在民事訴訟を提起しておる、こういう問題になつております。理事参事が個人で自分のふところに入れるために経験をごまかしたという事実は今のところ全然聞いておりません。ただ給与関係におきまして、今申し上げましたように、労働攻勢に押されまして、結局表向きにも出せぬ。といつて、何とか出さなければ納まりがつかないというところに追い詰められまして、今申したような措置をしたという事実があつた。これはまだ、最終的にどういうことになりますか、一応そういう事実があるという嫌疑のもとに、現在検察庁において問題を取上げておる、こういうふうにわれわれは聞いてもおりますし、見ております。
  12. 菅家喜六

    菅家委員長 次は農林省の方に食糧公団関係する部分について高橋監査課長より御説明を求めます。
  13. 高橋清

    高橋説明員 食糧庁関係公団は、御承知のように食糧配給公団油糧公団でございます。そのほか現在までに廃止になりました食料品配給公団等についても問題がございますが、一般的な監督の事情につきましては、先ほど委員長お話がありましたように、法律をごらん願うことにいたしまして、総括的に申しまして公団監督は第一次的に安本長官がこれをする。それから事業運営にあたりまして具体的の面については農林大臣がいたすことになつております。  過去一箇年間における犯罪と申しますか、問題になりましたことを概括して申し上げますと、食糧配給公団で、昭和二十四年の四月から二十五年の三月に至る間において、いわゆる刑事事件として問題を起しておりますものは、全国で百十二件でございます。これに関係をいたしておりまする人員は大よそ二百三十名に及んでおります。被害金額でございますが、三千五百万円を少し越えておるというような状態であります。そのうちで検察庁の捜索を受けましたものが七十六件でございまして、その関係する人員は百五十五名ということになつております。  それから犯罪の傾向でございますが、大体において詐欺あるいは横領というようなものが大半でございまして、しかもそのものは商品を適当に扱つて、この問題を起しておるというのが食糧配給公団犯罪現状でございます。  次に廃止になりました例の食料品配給公団の問題でありますが、昭和二十四年の十月から問題になりました当時の経理課長飯田義雄氏に関係ある問題であります。この犯罪方法は、経理課長の地位を利用いたしまして、売掛金及び差入保証金の入金をごまかしまして、これを不正に貸付をいたしたという問題てございます。この被害金額は一千四百九十九万円という数字になつております。これらにつきましてはそれぞれの手段を尽してこの回收等をいたし、あるいは職員処置等はとつておりますが、現在は訴訟中でございます。  次に食料品公団のうちでみそ、しようゆ関係でございますが、二十三年の三月から六月に至る間に福岡の支部で起つた問題でございますが、これはしようゆ売上代金を適当にしたということでございまして、その金額は約四十万円程度ということになつております。  その次の問題は業務上の横領のものであります。これは北海道の支局において荷さばき料金横領したという事件でございます。これが解散になりましたが、食料品配給公団のおもだつた状態であります。  それからその次は油糧公団の問題でございます。これは昭和二十四年の九月の二十六日から十月の二十六日に至るいわゆる委託加工業者のから売り事件でございます。これは場所は宮崎県の問題でございますが、この発見の動機は、庫出しをします際にその物がなかつたということが原因をいたしております。被害状況は米ぬかの油が十五トンほど、金額にいたしまして百七十五万円に達する事件でございます。  その次の問題は、いわゆる保険金支払いをしましてそのリベートされたもので予算外の定員のまかないをしておつたという問題でございまして、これはすでに先年問題になりましたので、油糧公団の副総裁の西川さんの問題は御説明を申し上げる必要がないかと存じます。  その次は油糧公団東北支部経理課員が公金を横領をいたしております。これは仙台でございますが、経理課松岡某という者ほか四名ほどでこの事件を起しているわけであります。  大体以上が昭和二十四年四月から二十五年三月まで私どもが報告を受けまして見た事件でございます。なお、食糧配給公団等事件につきましては非常にこまかいので、資料は持つておりますが、省略させていただきます。  これに対します方策の問題でございますが、御承知のように公団現状解散気構えをしております。あるいは問題はあるでしようが、公務員としての責任を十分に訓練されない者が、にわかに公務員のようなことになつておるということ、それから人手下足監督が十分に行かないこと、そういうことが本件を惹起いたしました重要な原因であろうと存じます。まことに責任者といたしましては赤面の至りでありますが、これらの事犯が生じましても、一々出張をいたしましてそれらの細部にさわることができない、報告を受けて、ひどいものにつきましては責任者に今後こういうことが発生しないようにと言う程度のことをする以外に手段がないという状況でございます。  以上大体御説明を申し上げます。
  14. 菅家喜六

    菅家委員長 次に経済安定本部平井官房長に御説明を願います。
  15. 平井富三郎

    平井説明員 公団監督関係につきましては、すでに各個々の公団について安定本部及び各省との関係は御説明があつたことと存じますが、総括的に申し上げまして、ます第一條に、たとえば貿易公団で申し上げれば、輸出入の基本的計画を定めるというようなことがうたわれておりまして、基本的な事項についての監督方策といいますが、そういうものを定めて行く権限と責任を持つているわけであります。従いまして公団事業計画でありますとか、決算認可であるとか、その他各省主務大臣承認をいたすものにつきまして、事項によりまして安定本部長官承認を受けしむというような間接的な監督も行つているわけでございます。  次に公団予算につきましては政府予算の一環といたしまして、国会予算承認を受けるということから、予算執行面につきましては大蔵省においてそれぞれの措置をとつている次第であります。公団のいろいろな問題に対しまして、安本といたしまして経済調査庁公団監査を昨年行つたのでございますが、調査庁監査公団運営に関しまする諸問題につきまして、これがいかに経済的合理的な面で運営上問題があるかというような諸点につきまして監査行つて参つたのでございます。公団監査の結果につきまして、本年の三月ごろと記憶しておりまするが、閣議の決定をいたしまして公団取扱い物資の買取り方式合理化の問題、あるいは自家保険積立金制度の採用の問題、手元現金預金効率的運用の問題、売掛金回收延滞利息徴收の促進、あるいは請負契約をしている分を直接公団が行うというような点につきまして、関係各省に注意を促しまして、これによつて改善を行うことを企図いたしました次第であります。その第一の取扱い物資、買取り方式合理化と申しますことは、公団が設立されました当初におきましては、非常に物資需給が逼迫しておつたわけであります。従いまして生産されましたものを全部買い取つてこれを配給して行く、こういう建前をとつたのであります。逐次物資需給が緩和されまして、そのもの売先需要面からの問題が生じて参りましたので、公団の買取り方針につきましては、生産されましたものを直接すぐ買い取つてしまうという直接買取り方式のほかに、やはり買取り方式自体につきましては、その売先を見て買い取る、すなわち生産者ただ物をつくれば公団が買い取つてくれるということでなく、有効需要要見合つて生産をいたすということを促進いたすような買取り方式の問題も出て参りましたので、これらについての運営方式改善を加える点がある。自家保険の点につきましても、公団尨大物資につきまして特に在庫の相当多い公団もございまするので、これらはむしろ自家保険でやりました方が経済的ではないかという点から、海上保険の場合を除きまして、原則的に自家保険制度をとるように慫慂いたした次第であります。  その他、現金預金効率的運用につきまして、これが改善方につきまして指示をいたした次第でございます。安本といたしまして、公団運営につきまして経済調査庁報告の結果というものを、ただいま申し上げました数点に集約いたしまして、これの改善方各省に要求し、それに従つて各省といたしまして具体的な手を現に打ちつつある状況でございます。
  16. 菅家喜六

  17. 岡部邦生

    岡部説明員 貿易公団につきまして御説明したいと思います。鉱工品貿易公団につきまして、今年の一月の十二日に、去年の鉱山部預金帳簿残高銀行残高証明書帳簿を調べておりますときに一致しないものがございまして、それが端緒でいわゆる浮貸しが発生いたしましたことは、まことに申訳ないことと存ずるのであります。この被害金額につきましては、ただいま検察庁の方でお調べを願つておりまして、まだはつきりいたしておりません。大体不正に取扱いました金額は三億五千三百万円でございますが、そのうち外部に流出してないものが一億九百万円ございました。外部に流出いたしましたものが二億四千三百万円でございます。そのうち返還されましたものは一億四千四百万円でありまして、結局返還されないものが九千九百六十万円でございます。その後に回收いたしましたものが百八十七万円でございます。被害残高は目下のところ九千七百七十三万円に相なつておるわけでございます。  この事件が発生いたしまして、通産省といたしまして、ただちにとりました措置といたしましては、どうも公団内部機構に不十分な点がございましたので、公団の取扱います代金の受払いは——今までは各部々々が取扱つていたのでございますが、それをすべて本部経理部に集中する、また経理部におきましても、業者との間に直接現金小切手等を授受することをやめさせる、支払い受入れとも取引銀行の口座に振込む制度に改めました。同時に公団関係官を派遣いたしまして、出納事務の実施その他を監査さしたわけでありますが、なお大臣官房監査委員を設けまして、公団機構及び運営方法につきまして検討いたしまして、それが改善策をはかり、次いで通産省内部公団経理事務及び決算事務をもつばら担当いたしますために、監査一課及び二課を設けまして、前者が鉱工品公団、後者が繊維公団を所管することにいたして参つた次第でございます。民営形式がこの一月からとられまして、目下のところ公団の扱いますものは、いわゆる政府輸入契約に基くものだけでございますが、これについても一方、通商業務局を設けまして、援助物資関係のもの、及び新たな政府輸入のものを業務局で扱つて行くことにいたしまして、繊維公団貿易公団鉱工品公団自体は事実上清算過程に入つておるわけであります。ただいま三月の決算報告書を作成中でございます。不正事件ができました関係もありまして、これはぜひ正確なものにいたしたいということで極力指導をしております。これがきまり次第、早急の機会に解散をいたしまして、清算の方に移したいと考えておる次第でございます。
  18. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいま見えておられるのは、どちらかというと下の方の実際の係りだけでございまして、いやしくも国家の決算でございますから——もちろん説明のために係官の御出張もけつこうでございますが、もう少し政府を代表する責任のある大臣が出られなければ政務次官、政務次官も出られなければ局長くらいの人の説明を聞く必要があると思う。ただ末端の官吏のみに依存しておるとういことははなはだ不見識であると思う。委員長からひとつ嚴重に各省に対して、大臣なり次官、政府委員出席するように申込んでもらいたい、かように希望します。
  19. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいま三宅委員からの御要求でございますが、今日の委員会は、大体各種公団に対する各関係官庁監督の実際の事務に当られた方においでを願つてこの説明を徴するということでございます。ただいまここにお見えになつた各関係方面の方の御説明を承りましたので、最後に会計検査院からおいでになつております方の御説明を承つて、しかる後に各委員の御質問がある際には、もちろん各省責任者の方に来てもらうことにいたします。さよう御了承を願います。それでは会計検査院の下岡検査官。
  20. 下岡忠一

    ○下岡会計檢査官 会計検査院といたしまして、公団会計検査は、その会計経理の適正を期し、是正、改善をはかる目的をもつて公団経理の実態に即応しながら実施して参りました、ただいま事務官以上五十一名、書面の検査を常時やつているとともに、随時実地検査も行つております。今日まで疑問の点に関しまして公団当局または監督官庁に対しまして文書をもつて照会を発した事項はおよそ千三百件に及んでおりまして、このほかにもときどきに実地検査の者がその場所に参りまして、質疑あるいはまた口頭をもつて絶えず注意した事項、これは非常にたくさんある次第でございます。今まで検査員が会計検査の主眼としていた事項及び検査成績の概要については、詳しいことはお手元に差上けた書類をごらんくださればおわかりと思いますが、公団の発足当時は、実は御承知の通り、人件費、事務費をまかなう財源とか、あるいは業務用の固定資産の保有限度とか、いろいろな公団に関する経理の基本事項が定まらなかつた。そういうようなことで非常に事務がこんとんとしておりまして、検査院といたしましては、その経理制度を整備確立させるという必要を認めまして、ときには監督官庁に対してこれが改善方の意見なども表示したりいたしまして、経理を軌道に乗せるということに非常に力を尽しておつたのでございます。その結果、いろいろな法令制度に違反している事項とか法令定款に違反している事項とか、あるいはまた不当と認める事項なども相当あけたわけでございますが、詳しくはお手元に差上げましたものでごらん願いたいと思います。それには御承知の新聞などもよく賑わしておりますが、收納が非常に遅れている、支払いが非常に遅れている、そんな関係でもつてやはりとかくいろいろ不正事件の生ずる温床になるというようなこと、あるいはまた資金が公団に滞留していることのためにやはりいろいろな不正の事件の温床になつているというようなことを検査の結果摘発したものも相当あるのでございます。それからまた公団の現品の把握が十分でなかつたために、現品と実際の帳簿とが食い違つている、その管理が妥当を欠いていたという事件も相当たくさんございます。そのおもなものについてはお手元に差上げたものでごらん願います。また事業費についても、ややもすると法令または定款規定などに違反してこれを目的外に使用したり、あるいは放漫な使用を行う傾向がいちじるしくございましたので、その節減と適正な使用を期するため嚴重な検討を加えさしております。そういう事柄についておもな事項もお手元に差上げたものでごらん願います。そのほか商品などの売却に当つれ、価格の改訂あつたにもかかわらず昔のままの安い値段でもつてつてしまつたとか、そのほかいろいろ措置が妥当でないために、会計経理の適正を欠いて公団に損失をかけているというようなものが相当ございます。これもお手元に差上げた書類でおもなものはごらんを願います。もちろんこれ以外にもこまかいことについては相当たくさんあるわけであります。公団決算の概況もお手元に差上げたもので大体おわかりと思います。  会計検査院法令規定によりまして公団決算承認するということになつておりまして、二十四年度についてはまだこちらの手元に参りませんから承認、不承認というところまでに至つておりませんが、二十三事業年度について申しますれば、検査院が違法あるいは不当と認めて承認を与えなかつた事項が各公団を通じて合計百三件ございます。お手元の資料にも書いてありますが、二十三事業年度において承認を行わなかつた事項にはどんなものがあるかということを分類別にして見ますと、第一に資金を目的外に使用したもの、十七件、商品代金徴收措置が妥当でなかつたもの九件、経費の使用が妥当でなかつたもの十五件、たなおろしが妥当でなかつたもの十三件、決算の整理が妥当でなかつたもの四十一件、その他八件、合計百三件となつております。もちろんこういう中に検査の結果気がつきまして事前に是正をさせたという事項もたくさんあるのでありまして、それについてもお手元に差上げたものの中におもな一、二の事例を書いてありますがそれをごらんを願います。先ほども申し上げましたように、公団の二十四事業年度の決算はまだほとんど結了になつておらない状況にあるので、会計検査院としてはその促進方について厳重注意を与えておりますが、二十四年度の会計に対する検査はできるだけ早く済ませたいと存じまして目下努力中なのであります。今残存しておる公団清算中の公団も、御承知だと思いますが、職員が動揺いており、あるいはまた有能かつ責任に富んだ職員が減少しておるということや、定員が縮小しておるというようなことのために、事業面も経理面も事務能率の低下が著しくございます。特に合計経理措置の不円滑と事務の渋滞ははなはだしいように認められております。二十四事業年度及び油糧配給公団については二十三事業年度の後期の分が承認を留保してありますので、その後今日まで行つた検査の結果について見ますと、すでに検察当局で摘発したたくさんの不正事件はしばらく別といたしまして私が先ほど申した資金の経理については、正規の帳簿外に個人名義の預金口座を設けて運用したものとか、資金を職員の生活資金として貸付けたもの、資金が取扱い銀行に入金済になつておるのに、長い間公団の預金として記帳整理を遅滞したものとか、二重支払い、解約などによつて、返還を受けなければならない保険料金などの回收をわざと遅らせて業者に資金の融通をするものも相当たくさんあります。また商品の方を見ますと、商品の管理処分について、公団が保有または保管しておる物資業者に委託して保管させ、監督よろしきを得なかつたため業者のほしいままに処分することになつてしまつて、その代金回收が困難になつておるものとか、あるいは価格の改訂後に低廉な価格で売り払つたものとか、特定産業向けの安い石炭に対する価格調整補給金の廃止の前後において、割当て発券を予定を越えて石炭を値引きして、業者に利益を与えたものとかいうような事件も相当にございます。また商品の代金徴收とか支払い及び経費の使用というような点について見ますと、予算を著しく越えて使用したもの、諸掛りなどの支払いにあたつて、これと売掛金とを相殺して払わなければならぬものを、支払いだけの方は済ましておいて、売掛金の方の回收はそのままにして、回收を困難ならしめているようなもの、あるいはまた事業費を予算の目的外に使用して、職員給与を増加したというようなこと、あるいはまた公団解散の直前に、不要な物品をわざわざ買つて公団のために損失を与えた、あるいはまた物価事情の変化などを考えないで、運送費などを昔の高いままの運送費を払つて平気でおつたというような事件、そのほか商品のたなおろしとか、決算の整理が妥当でないものが相当多うございます。  さて各公団を通ずまして、その会計経理に関しまして不正事件が続出いたしましたことは、会計監督責任にあるものとして、会計検査院としてははなはだ遺憾にたえないところでございますが、元来会計検査におきましては、会計の経理の適正を期し、是正改善をはかることを会計監督の第一目的としているのでございまして、不正事項の摘発ということは実は副目的であつて、第一目的ではないのでございます。従つて公団検査につきましては、初めの間はその会計の経理を軌道に乗せることが先決問題であつたのであります。これに重点を置かざるを得なかつたのでございまするが、しかしながら最近公団解散も次々に行われ、不正事件の頻発もあるので、検査の重点をこの不正事犯の検討、精査ということに向きをかえまして、たとえばある事件について疑わしいと思えば、公団の内部の帳簿とか物品を調べるばかりでなく、たとい会計検査院に権限はなくとも、相手方の取引先などに行きまして、その協力を得まして、金錢、商品の調査、取引の真正かどうかという調査なども徹底的にやつて、もつて不正事件などの究明を期している次第でございます。会計検査院として二十五年六月末現在で公団当局から報告を受け、または検査の結果摘発をしたものだけでも、公団職員等により、横領または騙取されたと思料される総被害金額は概算六億七千万円、これはごく内輪に見積つているのでございますが、このうち回收済額を除いた実損額は概算二億二千余万円、こう踏んでおります。不正事件の一千万円以上のものについてはお手元に差上げてありますから、それでごらんを願います。  次に、それでは会計検査院としてこれから将来どういうところに重点を置いてやるかということについて申し上げまするが、従来のやり方のほかに、特に留意を要する事項といたしましては、御承知の通り公団が次々に解散されて参る。その解散前後の会計経理の秩序が保持され、解散公団清算事務が迅速的確に処理され、そうして公団会計の損失が国の財政負担となることのないように、会計監督上私どもは最善を尽して行かなければならぬことはもちろんでございますが、これらの観点から特に一、二重点を置きたいことについて申し上げると、第一に滞貨の処理、昭和二十五年の三月末における公団の滞貨のおもなものは、これも新聞で御案内と思いますが、二十五年の三月末で見ますと、鉱工品貿易公団二百九十四億、繊維貿易公団三百八十四億、油糧、砂糖配給公団百億というような、そのほか非常に莫大な額に達しておるのでございますが、この滞貨の処分の適否ということが、公団の損益に重大なる結果を及ばすことは明らかなのであります。こういう巨額の滞貨を生ずるに至つた原因については、いろいろやむを得ない事情があるとは申せ、この保管による品いみだとか、保管費、その他諸掛の増大のため、公団が受ける損失というものははかりがたいものがあるというべきでありまして、特に滞貨の処理が適正に行われるかどうかということについては、厳重に検査をして行きたい、こう期しておる次第であります。  それから次に売掛金回收の問題でございます。各公団を通じた売掛金の二十五年の三月末の見込みの残高によりますと、全部で四百八十億円ばかりの売掛金がございます。内訳について見ますと、繊維貿易が一番多くて百三十四億、鉱工品貿易公団百四億、配炭公団百七億、価格調整公団五十三億というような相当大きな売掛金がそのままになつております。売掛金回收促進について、絶えず嚴重に今までも注意を与えておる次第でございますが、その成績は必ずしもよろしくございません。お手元に差上げました資料でも、おもなものについてごらんになる通り、遺憾ながら妥当でない事項が相当多いのでございます。売掛金回收措置が適切でなかつたため、公団債権の確認上支障を来しまして、特に解散公団清算事務の円滑な処理を阻害している事例がはなはだ多いのでございます。そういう点については、今後特にまた意を用いて検査をして行きたいと思うのであります。以上御報告いたします。
  21. 菅家喜六

    菅家委員長 次に農林省酒折飼料課長に、飼料公団のことについてひとつ説明を願いたいと思います。
  22. 酒折武弘

    ○酒折説明員 畜産局の飼料課長酒折でございます。飼料公団関係のことをおもに御説明いたします。飼料公団は御存じの通り本年の三月をもちまして解散いたしまして、現在は清算段階にありまして、大蔵省の所管になつておるのであります。なお公団の存在中における監督関係につきましては、他の公団と同様でございますので、あらためて繰返しません。最近公団存在当時の事件が摘発されまして、相当数に上つておりまして、はなはだわれわれも遺憾に存じておりますが、その内容を御説明いたしたいと思います。  まず元の総裁植松正久の事件でございますが、これは業務横領の容疑でございまして、百四十四万円の金を横領したという嫌疑なつております。なおこの損失につきましては、相当法律的に解釈上問題がございまして、現在のところは公団の穴にはなつておりません。帳簿上は正当な支出となつております。  第二番目に、経理局長の大澤助夫の、これもやはり業務横領事件でございます。これは公団の金を三百八十万円自己の預金名義にいたしまして、それを担保として金を借りて、それで公団職員の住宅の方に、それから職員給与に充当したという嫌疑でございます。なおこれもすでに住宅の媒介とかいつたような手でもつて穴埋めは終つております。  それから第四番目に、業務局長楠本正之の事件でございます。これは関係業者からの收賄事件でありまして、従いまして、特に公団法律上の損失というものはございません。  それから次に、経理局次長藤野時雄の背任でございます。これは魚かすま代金百三十七万円というものの未收金がございまして、これを何とか回收したいということであせつてつたときに、公団の金二千万円を短期間自分名義に預けてもらえばそれを返すからという相手方の詐欺行為にひつかかりまして、結局それを承認した。ところがその二千万円の第三者名義の金を、預金通帳を担保といたしまして相手方から金を借りて、それを着服したという事件でございます。それでこれは二千万円のうち七百万円回收いたしまして、現在未回收千三百万円であります。なおこれにつきましては、回收に努力するとともに、銀行を相手取りまして、債務存在の提訴をしております。  それからその他公団本部支部、支所関係で九件の浮貸し、または横領事件が問題になつております。この金が約千八百万円、合計いたしまして、現在のところ一応公団の穴となつている金額が三千百万円ということになつております。なおこれと別に、公団の損失としましては、これはむしろ公団被害者でありまして、詐欺にひつかかつたわけでございますが、魚かす代金八百三十三万円が損失になつております。これを加えますと合計三千九百万円の損失になつております。これが現在取調べられている事件概要でございます。
  23. 菅家喜六

    菅家委員長 なお御質問願うことにいたしますが、先ほど三宅君よりも御要求あつたのでございますが、今日はこちらから大蔵省経済調査庁の方に説明のために出てもらうようあらかじめ要求しておいたのでありますが、今の時間まで大蔵省経済調査庁はお見えになつておりません。     〔「経済調査庁は参つております」と呼ぶ者あり〕
  24. 菅家喜六

    菅家委員長 いつ来たんですか。報告してもらわなければ、私の方ではお見えになつていることがわからないですよ。とにかくこれだけの案件を示してやりまして、委員諸君においても御承知の通り、今会計検査院検査報告書を見ましても、何億という金が不正に横領もしくは使われております。考査委員会で調べましたところに私どもよりましても、配炭公団だけでも百四十億の欠損、これが国民負担になります。このほか全体を通ずれば一千億以上の国民負担になるというような、こういう重要問題に対してどういう監督をしているか、その監督の実情と、今後いかに処置するかということについて、委員会がその実情を調査するために出席を要求しているのに、時間までにその関係の人が来ないということは、これは国会軽視の傾向があると思います。ひとつこの点強く皆様の御同意を得て、今日時間までに来ない官庁に対しては嚴重に通告したいと思います。御同意を願つておきます。それでは質問に移ります。
  25. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 会計検査院の下岡検査官がおいでですから、一応根本のことをお聞きしたいと思う。政府の決算に対しまして、会計検査院はこういう報告書を御提出になるのでありますが、損害を与えた場合には、官庁の当局者は責任を負わずして、国民全体が血税で補うという段階になつておりますが、これに対して下岡検査官は何と考えておるか、承りたいと思います。
  26. 下岡忠一

    ○下岡会計檢査官 私実は民間におりまして、官吏の出身じやないのでございますが、御承知でございましようが、今度予算執行職員に関する責任法律ができました。今三宅委員のおつしやるように、それは実に不思議に思つてつたのであります。ああいう制度が今度できまして、故意または重大なる過失によりまして、会計経理の執行に当る職員にああいう責任を負わしたということは、まことに当を得たことなんでございまして、今までは残念ながら出納官吏、ああいう弱い者いじめのような、責任ばかりを追究いたしまして、大きな責任が追究されないといううらみは確かにございました。今までは残念ながら、御承知かもしれませんが、会計検査院法上そういつた国の会計経理に関して損害を与えた会計官吏に対しては、懲戒処分を関係の長に対して要求するということはできますけれども、損害を賠償までさせるとか、刑事上の責任を負わせるというようなことは、この場合は遺憾ながらできない状況でございます。
  27. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は第七国会で大蔵委員会でもつて今下岡さんのおつしやつた出納官吏の責任に関します法律案を審議いたしました。もちろんその案は知つておりますが、今までの会計検査院の御報告によりますると、責任はほとんどない、いわゆる減俸もしくは免職くらいのことであつて、最後の責任は国民全般が負担する、こういつた責任回避論を非常にやつてつたわけですが、今日は主権在民であり、ことに官庁あるいは公団のようなものも国民のための公僕であり、国民のためにサービスする人であると私は信じているのでありますから、お互いに日本人でありますから人のあらを探し出すことが芸ではありませんが、責任をある程度まで追究するということはもちろん必要であると思いまするから、過去のことではなはだ恐縮でございまするが、この公団等につきましては、検察当局のその審議をまつまでもなく、国会においてもある程度まで考査委員がもちろんやつておりますが、決算委員会におきましても相当そういうものは追究し、もしくは政府といたしましてもよほど考える必要があると思うのですが、これに対しまして政府当局側ではないかどうかわかりませんが、ひとつ御感想を伺いたい。どういう信念でこれをやつて行こうとしておられますか、答弁があれば伺いたい。
  28. 下岡忠一

    ○下岡会計檢査官 ただいまの御質問にお答え申し上げます。会計検査院出納官吏の責任をたいがい無責任にしてしまうということを今おつしやつていらつしやいますが、これは事実とたいへん違つておりまして、どんどん責任のあるものは有責にしております。ただいまちよつと手元に材料の持ち合せはございませんけれども、もし必要ならば材料も差上げますが、それは事実でありませんから、その点ちよつと申し上げておきます。
  29. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今のお話でございますが、私はこう思うのです。やはり司法権が独立であるごとく、会計検査院というものは政府に対してよほど強い権限があつてしかるべきであると思うのでありまして、その責任は一出納官吏だけに追究するというのでなくして、もう少し上の方までお考えを願いたい。今度の法律によりまして少しかわりましたが、もう少し上の方まで責任を負うということになりましたならば、各省とも重要な人物がその道を担当いたし、決してあやまちはない、かように思うのであります。  もう一つ会計検査院に御注意申し上げたい点がある。と申しますのは、会計検査院検査の結果のおそいことをわれわれは心配しておるのでありますが、もう少し事前審査と申しますか、直前審査と申しますか、四半期ごとぐらいに御注意あそばしまして、あとの四半期にはそういう間違いがないというような方向にまで積極的にやる用意と決意がありますか、伺いたい。
  30. 下岡忠一

    ○下岡会計檢査官 ただいまの御質問にお答え申し上げます。三宅委員のおつしやる会計検査院検査の結果が非常におそいということは、私今でも実に遺憾に存じております。それはその原因を見ますと、大きな会社とか、官吏組織というものは非常なセクショナリズムなんでございまして、こういうところに悪い点があるとすぐそれをみんなで総合的に検査してそこだけを追究する、そうしてこういう成果をあけるいうことになかなかなつておりませんで、これはもう数年来新しい検査院法になりまして、検査院会議のメンバーの者は事務当局に対して絶えずそういう機動的な検査をするように指導し鞭撻して参りまして、私の見るところではこの二、三年間非常にその点は改善されたと思つております。ただそれぞれ元がそういうふうになかなかなつておりません、昔の会計検査院の建前はそうなつておりませんでしたので、なおよそさまの目からごらんになりますと、まだ遺憾の点が多少あるのではないかと思つておりますが、大分改善されて来たということは、この席でお答えできると思います。
  31. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 委員長は考査委員会においてかなりお調べになつたわけでありますが、どうも政府の方は末端の官吏にのみ責任を負わしておいて、もう少し上の方の上長長官というものがほとんど責任を知らぬ、ほとんど浮き上つているのではないか、こういうおそれを持つのでありますが、今下岡会計検査院検査官によつて御発表になりましたように、大機構を持つておりまするからそう簡単には直らぬ、こういうお話でありますが、すでに主権在民ということになつて、国民の行うことは議会を通じ、もしくは法律をつくつていつでもできることでありますから、政府自身で自分の首を締めるようなことではなはだ恐縮でありますが、もう少し積極的に改善策を考究する必要があると思う。つきましては、最も近いうちにわが委員会に対しまして会計検査院としての試案でけつこうです、これを御報告してもらいたい。また過日井之口委員質問せられた点でありますが、過去二十三年のことばかりをやるべきが決算委員会の審議ではない。やはり国政調査という意味合いにおきまして、二十四年もしくは二十五年度でもけつこうでありますが、これと関連を有しますものにつきましては、随時随所においてわが決算委員会各省検査し、監査し、もしくは調査する必要があると思うが、下岡検査官はどう考えておられるか。
  32. 下岡忠一

    ○下岡会計檢査官 ただいまのご質問にお答えいたします。まつたく三宅委員のおつしやる通り同感であります。ただとこまでも会計検査院検査と申しますものは、過去においてあつたことを事後——事前の検査ということは、御承知の通り法律上も許されませんし、また法律でなくても憲法上にも疑義もあるのだそうでございますからできませんが、どこまでもある事件に対して、なるべくならその直前直後に参りまして、悪いことが摘発できれば一番いいのであります。また目下そのようにせつかく努力しているのでございますから、その点で御了承願いたいと思います。また今の検査機構をどういうようにしたらいいかという機構についてのことは、やはりこれは立法の方でお考えくださることでございますが、もし私どもの方の事務当局の者が実地に検査をし、あるいは書面の検査をし、いろいろこういう点が不都合つたとか、こういうふうに権限があればよいということの材料を出せとおつしやるならば、それぞれ担当に当つている者から説明なり意見も申し上げさせます。
  33. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今下岡さんのおつしやつた材料と申しますか、参考意見と申しますか、試案をぜひひとつ出していただきたい。と申しますのは、国の財政というものにつきましては、私ども言うまでもなく非常に複雑ではありまするが、緩慢に動いているわけでありまして、改善をするのにはなかなか時間がかかる。今より始めて、行われるのは一年ぐらい先である、もしくは二年先であるといわれるのであります。私どもは早急にそういうものの改善をはかりたいというのが希望なんであります。先ほど委員長もおつしやつておられましたが、公団というものはほとんど全部の公団が欠損である。公団というものは政府の監督機関であると思いまするが、おそらく政府の監督が十分ではないということを如実に現わしているものであると思う。その責任はどこにあるか、それを聞きたい。
  34. 菅家喜六

    菅家委員長 これは三宅君に申し上げますが、その点はきようの説明に来られた政府委員の人はわずかであつて説明に来られたので、それは後日日を改めて委員会を開きましたときに、相当の責任者出席を求めてしかるべく御質問を願いたいと思います。きようは説明の範囲内における御質問を願つておきたいと思います。
  35. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今委員長のお言葉がありましたので了承いたしました。あまり末端の方に深く聞くのは恐縮ですから、きようの御説明の範囲内に譲ることにいたします。  これはごく簡単なことでございまするが、食糧配給公団というものは全国にあるわけでありまして、これは今回廃止になるわけでございますが、その廃止に至りますまでに、いわゆる昔の米屋さんが急に食糧公団の役人になり、あるいはその担当者になつておつたというような意味合い等がありまして、はなはだ権力の監用あるいは越権等々が重なつて来たものと思つておりまするが、現在当局としてはどのくらいの欠損をお見積りになつていらつしやるか。もし当局でわかつておりましたら伺いたい。いかがでありますか、これは二十五年の今日まで来たことであります。
  36. 高橋清

    高橋説明員 食糧配給公団の二十四年度の決算がまだ確定をいたしておりませんが、ひそかに内査をいたしました結果のほんの部分的なことでございまするが、現在の程度に不適格品がさばいて行けるということであれば、大体つうつうに行くのではないか、あるいは一億程度のものが出るのではないかというのが、食糧公団の現在の見方でございます。
  37. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 先ほどの御説明を伺いますと、二十四年の四月から二十五年の三月までに、刑事事件が百十二件、その人数は二百三十二人という御説明でございましたが、それは大なる事件でございましようか、小さい事件でございましようか。それはどのくらいの事件か、内容を知らしてもらいたい。
  38. 高橋清

    高橋説明員 いろいろ具体的な例をお話申し上げた方が適当と思つておりますから、これをアツトランダムに申し上げますと、熊本県は代位配給所で一名、支局の考査課員の調査によりますと、売上金の回收済みのものを未收入として六十五万円を長期流用の疑いであります。それから小さな問題になりますと、大分県で一名、商品横領で搬出の途中警察署員に摘発されました。米が五十六キロ、二千百十七円四十五銭で後日返還されたという事件があります。それから宮崎県は一名、商品横領容疑で宮崎市署に摘発されましたが、勾留中証拠書類等も押收されているため、事件はすべて不明。こういうようなものだと思います。
  39. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 小さい事件はそうでありましようが、もう少しく金の出入りの経理上の監督状況を御説明願いたい。
  40. 高橋清

    高橋説明員 どうも公団経理上の問題は、非常常に組織が大きいのでありまして、私どもの監査課は、去年皆さんの意見等によりまして初めて発足を見ました。総職員が三十名ございまして、公団監査をいたすことが專門になつております者は、三級官が二名ございますので、いかんとも申し上げることはございません。
  41. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今監査状況の金の出入りのことを知つておりますか、知りませんか。知る範囲でけつこうです。
  42. 高橋清

    高橋説明員 大きい動きだけをとらまえているというだけでありますから、知つておるというのには、少しはずかしいような状態でございます。
  43. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 仕事がわからぬという方に、むりをして聞く必要はありませんから、わかつている範囲のことで御質問いたしましよう。油糧公団の方はやはりあなたの方ですか。
  44. 高橋清

    高橋説明員 さようでございます。
  45. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 油糧公団の方もそういうような意味合いにおいてわからぬというのですか。
  46. 高橋清

    高橋説明員 さようでございます。
  47. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それではしかたがないから、ほかの方へ行ききましよう。  それでは通産省の方にお伺いいたしますが、通産省の方は、鉱工品公団や産業復興公団繊維公団等がありまして、非常に大きいものであると思いますが、これに対しまする経理上の流れて行きます段階、いきさつをもう少し明細に伺いたい。
  48. 岡部邦生

    岡部説明員 私の所管いたしますのは貿易公団だけでございますので、産業復興公団のことはまた係官に説明いたさせます。この貿易公団は、貿易再開に伴います一つの政府の取扱い機関として発足いたしたわけでございます。当時は輸出も輸入も全部政府関係でやつておりましたので、その仕事といたしまして公団が発足して来たわけですが、片一方におきまして、貿易特別会計がございましたので、その貿易特別会計の金を使いまして、貿易公団が輸出入の事務をやつてつたということになるわけでごごいます。しかるに漸次貿易取扱い関係が民間に委譲されて参りましたので、ただいまのところでは、先ほど申しますような清算期間に入つておるというわけであります。ただし貿易特別会計の方は、依然といたしまして業務局の関係等において活躍をしておるというわけでございます。
  49. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 かつて鉱工品公団繊維公団というものにつきましても、相当新聞にも出ておつたと思いまするが、いかがわしい問題があつたわけであります。これに対しまして、何か政府として感想がございまするか。ただいきなりしかたがなかつたという意味で、簡単に思つておりますか。その辺のことについて、事務当局としての御意見を承りたい。
  50. 岡部邦生

    岡部説明員 繊維公団につきましては、世間に問題になりますような不正事件はございません。鉱工品公団につきましては、先ほど申しましたような不正事件がありました。これはひつきよう内部の組織が不完全であつたということにつきまして、不心得の職員がその間隙を利用したということでございます。もちろんわれわれとしましても、はなはだ遺憾でございますし、申訳ないことであるというように考えております。
  51. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今繊維公団というお話でありましたが、私はあるいは感違いかもしれません。繊維の配給のことかもしれませはが、それによりますと、役人と結託いたしまして、切符を二重に発行したということを聞いておりますが、そんなことはありませんか。
  52. 岡部邦生

    岡部説明員 私はそういうことは聞いておりまん。
  53. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もし聞いてないということであれば、それは聞きません。  しからばお伺いいたしまするが、通産省とか鉱工品公団につきましての関係になるわけですが、いわゆるかつての大資本家がこれに入つておる。そういう意味におきまして、相当自分のかつてつた会社と結託いたしまして、ある程度までもうけた人があるということを聞いておりますが、そんなことはありませんか。
  54. 岡部邦生

    岡部説明員 どうも残念ながら今のところそういうことも聞いておりません。
  55. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それでは物価庁のことで渡辺さんにお伺いいたします。物価庁というものは今度なくなることになつたそうでありますが、現在ございましようか。また今後もあるつもりですか。
  56. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 物価庁の将来につきましては、前議会に御審議願いました安定本部の設置法の附則だと思いましたが、明年の三月までに物価庁廃止するといつた意味の附則がついておりますので、現在のままの状況で行きますと、いずれ国会で立法措置をおとり願わなければなりませんが、一応物価庁は来年の三月におしまいにするという意味内容が設置法に出ております。大体その方向に進んで行くものと思います。
  57. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 物価庁のことを聞きまして恐縮でございますが、かつて物価庁というものがありまして、非常に時代の趨勢と逆行しておつたということを聞いております。逆行というと語弊があるかもしれませんが、物価を上げ下けするのは、需要供給による自然価格が一番よろしかろうと思つておる。ところがかつて戰時中、戰後におきまして価格統制が行われた。これはだんだんとはずされることになりましたけれども、この統制に対しましては、官吏の方が一方的に民意をよく察しないで机の上できめておつたという場合があつたし、今度は逆に業者と結託をいたして了解した上で、ばかにげたをはかせて高く上げたものもあるし、上げないものもあるというふうに聞いております。この点どういうふうに考えておられるか承りたい。
  58. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 物価庁仕事のやり方につきましていろいろの御批判がありましたことは、われわれも聞いております。ただ物価庁といたしましては、当時の経済上の必要に基きまして措置し、役人としましては、誠心誠意国民のためになるように、われわれは動いて来たつもりでおります。
  59. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今のはたいへん大ざつぱなお答えで、私満足いたしておりません。と申しますのは、この価格を決定いたしますのは、いつも業者の代表者にお聞きになるのではないかと私は思うのです。業者の代表者というものが、たいへんに自己によろしいようなそろばんを立てまして、それに利潤を加えて価格を申請する。そういたしますと、物価庁の方では、これに対してある程度まで了解した上で許可する段階になるのでありまするが、それを許可する前に、すでに業者の中では、悪徳業者といいまするようなものが、その値の上るときのことを想像いたしまして、買いだめいたしたしたり、あるいは品物に対する工作を施して、不当な利潤を得た者があるということを聞いておりまするが、政府といたしましては、その当時どう考えておられたかを承りたい。
  60. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 物価が上昇状態にありました当時でありまして、値上げ気構えの時代に、買いだめがあつたり、売惜しみがあつたということは、事実だろうと思います。ただそれは御承知のように物価が上りぎみであり、公定価格がもう大体従来の動きがきかなくなつて来て改訂の時期になるということは、あの当時におきましては、世間が外で見ておつて、かなりわかりましたものですから、物価庁としましては、こういうことのないようにというので、御承知のように、昭和二十二年には千八百円べース、その後三千七百円べースといいますか、できるだけ改訂の措置で進んで参つたのでありますが、しかし一時にそういうわけにも参りませんので、その間をうめる措置としまして、いわゆる価格差益の措置をとりましてあまり買いだめ、売惜しみをしてもそれだけ利益にならない、そういう措置をとることによりまして、お話のような弊害をできるだけなくそうとして参りました。現在振りかえつてみますと、いろいろ御批判もあろうと思いますが、その当時としましては、物価庁としては一応もつともよかれと思うところをやつて来たのではないかと思います。
  61. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今価格差益金のことをちよつと仰せになりましたから、承りたいと思います。くずタバコというものがありまして、これは專売局から出るタバコのくずであろうと思いますが、くずタバコを処分しております者が組合をつくつてつておるそうです。これもやはり価格差益金をとられることになつたそうでありますが、近ごろ、物価庁がなくなつたからどこへ持つて行かという質問を受けたのですが、物価庁がなくなつたのではないとすれば、やはり物価庁に納めることになるのでありましようか。
  62. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その点につきましては、実はこういう措置がとられております。価格差益はずつと物価庁が所管いたして参つたのでありますが、時勢がこういうふうにかわつて来ましたので、新しい値上げによる価格差益の徴收は、昨年の十二月一日からやめました。従つてそれ以前の価格差益の徴收だけの仕事が残つております。それから先ほど申しましたように、物価庁は大分先が見えて来たというこの二つの理由からしまして、議会の御審議を経ました安定本部設置法と、大蔵省設置法の改正に基きまして、今年の六月一日以後におきましては、差益の徴收事務は国税庁の方に移管することになり、従つて現在では国税庁にその責任を負つていただいております。
  63. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 この通産省関係並びに物価庁関係でありまするが、物価庁は今度なくなるから別といたしましても、ただこういう点を全般の委員の人に聞いておいていただきたいと思います。およそ食糧公団でもその他の公団も同じでありますが、配給公団をやめるということになるどさくさの一年間が一番いけない、店をしまうときのどりさくさが一番不正が起る段階であると、私は思うのであまして、やめるためには、ある程度まで今後転業する資金と申しますか、支度金と申しますか、準備金といいますか、それを何かの形式において出すおそれが、かつての配給公団その他の公団にあつた。そういうことはしてはならぬはずであります。また悪いことでありますが、商人の通念といたしまして、失礼ですがわれわれよりそういう方面においては進んでおるという意味におきまして、もつと嚴重に全般の各省方々監督せられることが一番必要であると思いまするが、これに対してどなたか代表的な意見を御答弁願いたい。
  64. 平井富三郎

    平井説明員 配給公団その他において解散間近になるととかく不正が起きやすいということは、これはまことに御同感でございまして、私どもも、配給公団廃止につきましては、廃止ということが決定いたされました場合は、なるべくすみやかに廃止してしまうことが必要だろうと思いますし、またその間の業務運営につきまして、常時より一層強い監査監督を行つて行くべきものである、かように考えておる次第であります。
  65. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今官房長の言われたことは、まことに適切なものでありますから、そのことを各省のそうした監督機関に全部刷りものにして渡していただきたい。はなはだ越権のようでありますが、そうではない。各公団廃止によりまして、おそらく何十億、何百億というものを国民の血税で補わなければならぬという段階に至つておるものと私は信ずる。はなはだ遺憾なことでありますがそういう点がある。その点は、やはり官吏の方々にも、一方の監督責任が十分あると思うのでありまするから、本委員会で今官房長の言われたような事柄は、ぜひ各省監督官に御伝達願いたい。同時にもう一つ参考に伺いたいと思いますのは、これは各種公団に対して適用されることでありますが、いわゆる自己の前途に、転換期が来たというわけで、各業者と結託して、ある程度まで工作をやつてつた者があると思うのでございます。はなはだ蛇足のようでありますが、もう一段と精励せられまして、そういうことを未然に防ぐということが、今日の段階上必要であろうと思います。  次に下岡検査官にもう一つお伺いいたしたいと思います売掛金が非常にたくさんある、滞貨がたくさんあるという御説明であつたと思いまするが、この滞貨の起りました原因は何であるかということを承りたい。
  66. 下岡忠一

    ○下岡会計檢査官 ここに検査事務を担当しておる第一局長がおりますから、その方からお答え申し上げたいと思います。
  67. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 ただいま御質問の滞貨の生じました原因でございますが、お手元に差上げてありまする資料によつて申し上げますれば、鉱工品貿易公団のこの三月末の滞貨の見込額が二百九十四億、繊維貿易公団の三百八十四億、それから油糧砂糖配給公団の百億、肥料配給公団の七十三億、この滞貨の原因は、私から申し上げるまでもなく、貿易公団等につきましては、貿易公団自体の保有の物資と貿易会計の品物でありまして、公団が保管いたしております品物もございます。これらのものは、計画生産その他政府の施策によつて生産いたしまして、それを公団で買取りました品でございます。それから政府が輸入いたしました品とか、そうしたものがたくさんございまして、それらの品がいろいろ経済事情の進展等に伴いまして、公団等でたくさんの背負い込みになつた。それから油糧砂糖配給公団が持つております滞貨、油脂関係でございますが、これもやはり今申し上げました事例のものが多いと思います。肥料も私から申し上げるまでもなく、やはり政府で統制をとつておられます関係上、生産いたしました肥料はこれを公団で買いとりまして、それを一定のル—トに乗せて配給する。そうした統制の結果から、いろいろな経済事情の変化に伴いまして、滞貨が生じて来たものでしようから、公団自体の責任に帰すべき滞貨とは考えられない、こう考えます。
  68. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 政治的問題は別として、実際問題としてそういうふうなたくさんの滞貨があるわけでありますが、これは事務当局といたされては、どういうふうに処分することが一番穏健であろうかということを、事務的に御説明願えれば仕合せであります。
  69. 岡部邦生

    岡部説明員 滞貨について御説明いたしますが、輸出向けのものにつきましては、見込み生産自体のものが結局滞貨になつたというわけでございまして、大きいものはやはり織維関係でございます。これは御存じのように、去年から国内放出をいたしております。会計検査院の方でお話がありましたように、今年の三月末までに、輸出関係のものの総滞貨が、鉱工品が十億、繊維が百八十一億ございましたが、これは以前に引続いて、早く国内放出いたしまして払い下げをするという方針をとつております。この四月、五月の間に八十億放出いたしました。それで五月末日現在高は、鉱工品関係におきまして輸出滞貨が七億九千万円、繊維関係におきまして百三億というわけでございます。これをさらに十二月末までに六十五億ほど放出いたします。残りはどうしても少しずれますが、これは清算関係に入りましたと同時に、これを引続き早く処分いたしたいと考えております。それから輸入関係につきましては、鉱工品関係におきまして、三月末に百八十四億繊維関係におきまして二百三億ございましたが、現在は業務局で一部引継ぎましたものがございますが、残りといたしまして六月二十日現在でございますが、鉱工品関係が百七億、総維関係がゼロというわけでございます。こういうもののできましたゆえんは、先ほどの会計検査院お話の通りでございますが、見通しといたしましては、まだ決算が終つておりませんので何とも言えませんけれども、大体鉱工品関係におきまして、先ほど申しましたような不正事件が、全部回收が不可能であるということを前提にいたしまして、大体二億五千万円ばかりの損になるかと思います。それから繊維関係におきましては、仮決算として大体二十億ぐらいのプラスになると存じます。貿易特別会計自体といたしましては、これをしめますと二百五十億から三百億ぐらいの黒字になりまして、国庫に繰入れるということになります。
  70. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 大分長くなりまして、皆様に御迷惑をかけましたが、最後にもう一つ会計検査院の方にお尋ねいたします。承りますと、不承認なのが百三件あつたということでありますが、不承認のものに対しましては、一体あとはどうなりますか、承認せざるを得なくなるものであるか、事務的に原因を承りたい。
  71. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 不承認のものにつきましては、不承認の理由はいろいろ示してありまして、これはお手元に差上げてあります。従いましてこの適法でなかつた、あるいは妥当でなかつたという事項につきましては、公団自身に対しましても、こういうふうに決定したからという通知を差上げます。それから主務官庁並びに最終責任者でありまする安本長官に対しましても、こういうふうに決定したからということを通知いたしまして適当にあとの処置をしていただくように、私の方では御注意いたしております。あとの善後処理でございますが、是正できまする部分は、相当程度是正されてあります。ことに事業諸掛費で、これにもありますが、非常に放漫な経費の使用であつたというので指摘いたしましたもので、千万円以上を、公団におきまして業者に返納させたというような事例もありまして、是正できる部分につきましては、公団でも誠意をもつて是正しておられます。ただどうしてもあと是正できない部分がございまするが、これは私どもといたしましては、できるだけ是正方を注意いたしまして、将来こんなことがないように注意いたしております。  それから身分上の関係でございますが、会計検査院の従来の建前から申しますると国の会計事務職員が、故意または重大な過失によりまして、国に損害を与えた場合には、これは懲戒処分の要求ができました。しかし従来の公団職員に対しましては、国の会計事務職員に対すると同様の権限が私どもにございませんでしたから、懲戒をするようにというような趣旨の要求をいたすことができなかつたわけなのでございます。これは主務官庁監督官庁におきまして、適当に処置していただくという以外に手がなかつたわけであります。
  72. 菅家喜六

    菅家委員長 井之口君。
  73. 井之口政雄

    井之口委員 大分時間が遅くなりましたから、簡単に二、三お尋ねをいたします。  会計検査院の方から先ほどの報告を聞いておりますと、六月末までに各公団から受けた報告によると、実損額が約二億二千万円ぐらいだろうというふうな結論的なことがございました。これは第一、公団から受けた報告は、実際は半ば調べずにそれを全部承認なさいますか。今からもつとその中に入つて調査して、はたしてそれが実損額二億円ぐらいのものだろうというようなことを、会計検査院において断定なさいますか。そのときにもつとどんどん出て来ても、あれは報告だけによつたのだからよくわからなかつたというような、不確かなものなんですか。その辺を伺います。
  74. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 ただいまの御質問でございますか、会計検査院といたしまして、今報告を受けております金額でございますが、大体はただ報告をうのみにするというような取扱いはいたしておりません。ただこのうち大きな事件で、報告を受けまして、私どもも時を移さずすぐ調査をいたしまして、その真実の把握に努めておりまするが、検査当局の書類の引上げ等のために調査ができなかつた関係で、その真実がつかめなかつたというものも一、二ありまするが、ここで御報告いたしておりまするのは大体書類その他につきましてこの金額は間違いないという心証を得ております。ただこれが刑事事件として取上げられまして有罪になるかどうかということは、爾後の裁判所の決定にまつほかはないと考えております。
  75. 井之口政雄

    井之口委員 二億二千万円の実損額というものは正確なものでしようけれども、それよりもふえるという予想は持たれないのですか。
  76. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 私どもが調べました結果に徴しまして御報告いたしておりまする不正使用金額の範囲外に、多少ふえるということもままありました。
  77. 井之口政雄

    井之口委員 薪炭公団だけでも欠損額は五十四億だし、配炭公団の場合は百十九億ですか、非常に多くの損失補償をやつておるわけです。ああいうふうなものの中にもやはり多くの不正が含まれていると思われるのです。わずかに二億二千万円くらいの実損額といたしますれば、かなりそうしたものが中に多大な補償をやつているようにも思われるのでありますが、その辺の点を詳しく調査をなさつての言明でございますか、どうでしよう。
  78. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 御承知の通り配炭公団等につきましても相当の損失額が予想されております。その損失額の生じまする原因につきましては、できるだけ私ども検討いたしております。しかしその中に多少不正と思われるような原因で損害が起つたかもわからないというようなものにも、ままぶつかるのでありますが、私どもといたしましてはその不正がいわゆる刑事事件等に取上げられるかどうかということにつきましては、使命ともいたしておりませず、それもなかなか私どもといたしましても適当でないのでありますから、実損額が正当な理由によつて出て来ているかどうかということには十分調査いたしますとともに、一方いわゆる不正使用金額はその赤字の原因とは別個に調査いたしまして、今大体世間で取上げられている不正事件金額は、私ども相当心証を得まして調べて得ました金額が、報告申し上げているような数字でございます。
  79. 井之口政雄

    井之口委員 この実損額の二億二千万円というものは、そうした今まで、六月までの食糧公団や一切の公団の総決算において、全体のうちにこれだけの赤字が出るだるだろうという御報告なんですか、どうですか。
  80. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 これはただいま出るだろうというのではなくて事実これだけ実損を生じているという金額でございます。それから食糧配給公団のような非常に機構の大きい、末端機関の大きい公団につきましては、いわゆるこそどろ的な不正事件が非常に多いのであります。そうしたこまかい金額は、この際調査の便宜上、なるたけ早くここに御報告する便宜上、省いておりまするのも相当ございます。そうしたこまかい金額は大数観察からいたしまして、二億二、三千万円の金では大した影響はあるまいという考えで処置いたしました。
  81. 井之口政雄

    井之口委員 二億二千万円の実損のうち、一番大きいのはどれであるか伺いたい。
  82. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 それはただいまお手元に配付してありまする資料でおわかりと思います。また各公団監督官庁から御報告がありました通りに、一番大きいのは別冊二として配付してありますが、先ほど御報告がありました鉱工品貿易公団の九千七百七十三万余円、その次は油糧配給公団が二千八百万円、それから食料品配給公団のアミノ酸局の千五百万円、これは少しふえる見込みであります。それから飼料配給公団、これも先ほど御説明がありましたが。お手元に差上げてありまするのは二千万円の不正貸付関係でございますが、これは大体穴になりまするが千六百万円見当であります。それから価格調整公団の福岡の砂利支部のものでございます。これは千七百万円の不正の金額に対しまして、国といたしましては六百四十万円だけはすでに回收いたしておりまするので、千万円とちよつとが実損額ということになつております。それから一番初めの一になつております価格調整公団、この無記名の定期預金の一千万円の使用でございますが、この関係も、先ほど御説明がありましたように千代田銀行を相手取りまして公団から提訴いたしておりまするので、これは私どもの大体の見込みといたしましては回收できるのじやないかという感じを持つております。裁判所の決定にまつほか仕方がない。これが大体実損額千万円以上のものの例でございます。
  83. 井之口政雄

    井之口委員 実損額のお話はわかりましたが、各公団の全般にわたりまして、たとえば会計検査院公団別にできておりますならば、六月までの間の今までの赤字の報告というものは願えないものでありましようか。
  84. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 先ほど下岡検査官からもお話がありました通り、各公団の二十四年度事業年度末、二十五年三月末の決算になりますが、これは産業復興公団を除きましてまだできておりません。私どもといたしましては先ほど検査官からお話がありましたように、早急にとりまとめ方を公団当局に対しまして注意をいたしております。この七月末には公団の決済は結了しなければならない建前になつておりますので、今大体取調べておりますところによりますと、およその見込みということになつております。一両日に相当正確な見込みの損益関係を御報告することはちよつと至難でございます。
  85. 井之口政雄

    井之口委員 大ざつぱでもよろしいですから……。
  86. 菅家喜六

    菅家委員長 井之口委員に申し上げますが、あとで大ざつぱな資料を提出するそうです。
  87. 井之口政雄

    井之口委員 その点はあとで資料を出していただきたいと思います。実は先ほどの委員の方からもおつしやいました通り、さあこれが閉鎖となりますとどかどかと出て来る。その前に会計検査院責任ある報告をしておいでになりますと、それとの関係でわれわれは不正を働くことができないというので、国民の負担を未然に防止することができます。そういうことでも会計検査院の方でしていただきませんと、会計検査院なんて無用の長物になつてしまうから、一刻も早くこれはぜひやつていただきたい。できるならば正確なものがほしいのでございますが、大体の概算でもよろしゆうございますから、報告していただきとうございます。  それから鉱工品貿易公団調査が打切られているのではなかろうかと思いますが、この点どうでございましようか。会計検査院においては進められておりますか。刑事上の調査はもう今打切られているように聞いておりますが。その点どうでございましようか。
  88. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 鉱工品公団事件につきましては、私どもといたしましては、時を移さず事実の真相をつかむために検査をいたしました。しかし途中書類が全部引上げられました関係上、全部の検査は終えなかつた次第でございます。しかしできるだけの努力をして調査いたしまして、そのうちにはやはり不正と思われることもありましたので、さつそく告発をいたしたような事案もあります。それから資金の経理等につきましても、非常にひどいという面は、お手元に差上げてありまする報告の中の二十四事業年度の分をごらんいただきたいと思つております。  なお先ほど下岡検査官からもお話がありました通りに、なるだけ早目に事実の調査をすることが必要でありまするので、従来と多少検査のやり方を違えまして、あるいは資金面とか、あるいは現品面とか、絶えず調査を進めるという方式によりまして、大がかりな調査ではありませんが、特殊の事項につきましては、現在でもやつております。刑事上のことにつきましては、私はつきりしたことをお答えいたしかねます。
  89. 井之口政雄

    井之口委員 いつもわれわれがいろいろな不正事件調査の場合に憂慮することは、刑事的な調査のために一切の書類が持つて行かれてしまう。そうしてあと会計検査院調査ができなくなる。そのうちに刑事上はいろいろなもみ消し運動が起つてしまつて、かんじんな証拠品がどこへ行つてしまつたかわからなくなつて時機を失してしまうという弊害があるのであります。この点を除去するために、会計検査院は、今自分らが調査することができなくなつているという調書に対しましてはどうなさいますか。至急にそれを調査する権限をお持ちですかどうですか。
  90. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 私どもといたしましても、検察当局に連絡いたしまして、引上げられているような書類につきましても、検察当局の同意のもとにお借りいたしまして調べたような事例もございます。現在でも検察当局にできるだけお願いしまして、私どもの調査もなるだけ支障のないようにお願いしております。検察当局も幸いに私どもの希望につきまして十分理解されまして協力をいただいております。  それから鉱工品公団等につきましても、逐次書類も返つて来ているようでございまするので、なるだけ早目に調査ができるようになりましたら、また検査を進めたい、こう思つております。書類の紛失等につきましては、そんなことのないように、私どもといたしましても、大体こんな書類があるはずだということは見当がついておりまするので、今お話のようなことのないように努めておるのであります。
  91. 井之口政雄

    井之口委員 それでは最後にもう一つお聞きいたしますが、それは大がかりの調査がないというお話でありましたが、希望としてはなるべく大がかりの調査をしていただきたい。  それから平井さんにちよつとお伺いいたしますが、先ほど平井さんの御説明の中で、経済調査庁調査報告で、その内容がまだ発表になつておらないようなものがあるというお話のようでありますが、公団取扱いについてのいろいろな調査の態度、それから取扱い形式の合理化についての御意見やらいろいろなものがその中に調査上意見として盛られてあるだろうと思います。その点の報告をひとつ委員会に至急出していただきたい。
  92. 平井富三郎

    平井説明員 先ほど発表問題について何も申し上げなかつたと思いますが、対策につきましてはすでにこれは秘密にして置くべき事項でもございませんし、すでに閣議で決定いたされまして、その趣旨で着々実行に移してあるところであります。なおその対策等の詳細な事項あるいは調査内容等につきましては直接調査をいたしました経済調査庁の方から御報告申し上げたらいいかと、かように考えております。
  93. 池田直

    ○池田会計檢査院説明員 先ほど井之口さんの方から大がかりな検査をやめているのがいけないというような御意見かと承りましたが、大がかりな検査をやめて特殊な事項ちよちよこ何回もやるという意味は、大がかりな検査でありますと資金面も現品面も、その他いろいろの面を全部ある時期に見ますことは、私どもの職員の配置の関係それから、受ける公団側といたしましても必ずしも便利じやありません。従いましてこの月は資金面を見る。来月は現品面を見るというようなことで、常時検査をするという心構えからちよちよこやるという意味でございまして、一年に一回か二回大がかりなことをやつて、あとは見ないという方式でない。従来と同じように見る面は大がかりに見ますけれども、そのやり方、事項等を限りましてひんぴんに検査をする。そういうような意味でありますのでちよつとお話し申し上げておきます。
  94. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私ももう一言だけ総括的なことを申し上げます。会計検査院を中心に承るわけであります。三権分立といいまして、政府、国会、最高裁判所、これは御承知の通りであります。この政府の行政機関に関しまして、会計検査院はあたかも最高裁判所というわけでもないが、そういうようなある一極の優越というのではありませんが、その任務上検査するという意味合いにおきまして嚴重にやつていただいて、国に損害を及ぼさないようにしてもらうことが一番必要だと思いますから、はなはだ露骨なことでありまするが、今の会計検査院制度もしくは人員経費等では足らぬじやないかと思いますが、下岡検査官はどういうふうにお考えになつているかということを承りたいとともに、先ほど申しましたところの各行政官庁監督せられる上において、不十分の点もあろうと思いますから、試案でけつこうなんですが、遠慮なく国会決算委員会に御報告願いたいことが一つ。  第三点は、この前も井之口委員から御説明がありましたが、検査報告というものは院長、検査官二人、つまり三人の合体いたしましたものでなければ検査報告はできぬということであります。もちろんそうでありましよう。私は検査報告でなく、調査書もしくは資料という意味合いにおきまして、二十四年度もしくは二十五年度に関連のありまするようなものはどしどし検査なさいまして、その資料を御提出願いたい。これはあまり法律的ではございません。政治的のことでございまするが。なおわれわれ国会議員といたしまして、審議をして、未然に損害を防止いたしたいという念の余りであります。どうぞひとつわれわれの意のあるところを付度せられまして、十分誠意ある御回答を下岡検査官から承りたい。
  95. 下岡忠一

    ○下岡会計檢査官 ただいまの御質問にお答えいたします。会計検査院が国の経理をこれだけ検査するのに、人が足らぬじやないかというお話でございますが、実は戦時中は会計検査院事務官二百人くらいの非常な小さい世帯だつたのが、この新憲法になりまして、急に会計検査院の独立を強化して、機能をうんと発揮させなければいけないということで、新しい検査法になりまして、組織もかわりまして、そんな結果私も実は検査官を拜命したわけでありますが、その二百人の世帯が、今事務官だけでも八百人くらい急にふえ、全体の世帯としては千二百人ばかりふえたのであります。これがちようど終戦後のこんとんたる状態のときに人を採用したり、急に人がふえたということで、こちらの内情を率直に申し上げますれば、必ずしも質がそろつていないとか、あるいはまた研修、再教育が足らぬという面も非常にあると思います。私参りましたときなんかも、たとえば公団なんかの検査をするのに、今の官吏じやだめなんでございまして、やはり貸借対照表がはつきりわかるような人を迎えたいのであります。またほかの二人の検査官にも、君ひとつそういう人を迎えてくれぬかというような御依頼もいたしましたけれども、御承知の通り公務員給与では、計理士のりつぱな資格のある人とか、そういう人はなかなか来手もございませんし、外地あたりで相当有能に働いた方で、まあ内地に来ればほかに職がないから、検査院ででも働こうというような方になかなか有能な人もございまし、また特殊な事情で民間から来られた方になかなか有能な方もおりますが、それに在来の検査に従事した老練なエキスパートにひとつ勉強してもらつて、それで検査の徹底を期したいというようなことで実は参つたのであります。でございますから、私の考えとしましては、今やさらに量をどんどんふやしてみても、御承知の通り、検査というものはほかの事務と違いまして、やはりその主任になつて行く者が、相当見識も備え、また私も民間では経験ございますが、やはり相手よりも一段高い地位に立つて、ものを公平に見て行くというような、そういう修養と申しますか、識見も必要なのでございまして、それと会計経理の、在来の会計検査院がやつていたような国の会計事務のエキスパートでもなければならないし、その上に公団とか、あるいは政府が出資していたり補助金を与えておる団体なんかの検査にあたつては、何と申しますか会計計理士的の面も働かさなければならぬ。むしろその方が大事なので、大事な面が今まで企業会計などで、むしろ私の方から言えばおろそかになつていたと思うのでありますが、そういう点にも力を注がなければならぬ。こういう要求を一度に突然受けてやつたのでございまして、その点において今までの面ではずいぶん足らぬ点があつたと、私も残念ながら認めざるを得ないのでございますが、先ほども申し上げました通り、最近においては大分その点は研修も積んで参りましたし、私どもが実地検査に行きますと、いろいろな検査報告なども私どもの手先に出すわけでありますが、中には敬服するような検査をして来る者もずいぶんふえて参りました。そういう事情でありますから、その点ひとつ御了承願いたいと思います。  それから改革試案もむろんございますが、しかしこれはなかなか法制上の問題にもなりますし、できるかできないかわかりませんが、理想案は私ども実はいろいろ検討しております。それから検査院内部でも、最近改善課という一つのセクションを設けまして、そこであらゆる検査のやり方とか、進んでまた会計検査院法の今の状態で悪い点は改善しようというようなことも企てており、優秀な課長がそこを担当しておりまして、あらゆる面から改善の方途を講じております。その点御了承願います。  それから検査の結果を早く出すということについて、私は事前監査をしたいのでございますけれども、これは法律上許されませんし、また疑義があるそうであります。外国の立法などで見るように、会計検査院がどんどん事前監査的なことをやるといいのじやないかと思いますが、これは立法の方でありますから、私から申し上げるわけに参りません。  それから早く報告を出せという点は、実は会計検査院というのは、意思決定機関としてはやはり検査の判断の公正的確を期すと申しますか、会計検査院の意思決定機関、検査官会議というものは、三人イコール・ボードとなつておりまして、私も三分の一のボードを持つておるだけでありまして、そういう組織の上から検査院の意見として申し上げる場合には、必ず三人合議しなければ申し上げられないという点での、普通事務官庁では、こういう合議制は事務の渋滞を来すというおそれがあるかもしれませんが、どうも人のことを批判する官庁としては、裁判所などと同じように、やはり相当慎重を期さなければならぬので、多少遅れることはお許し願いたいのでありますが、会計検査院としての意思はなるべくすみやかに決定して参りたいと思います。
  96. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつと会計検査院にお聞きいたしますが、今朝鮮事件で、国鉄でいろいろな輸送をやつております。大分東海道線なども増加して貨物が輸送されておりますが、こういうものの運賃支払いはどこから出ておりますか。会計検査院で調べておられますか。国鉄の会計でございます。  それからもう一つは、朝鮮事件のためにいろいろな物資の買上けが連合軍によつて行われておると思いますが、そういう物資支払いはどういうふうになつておるか。この点を一つ……。
  97. 平井富三郎

    平井説明員 最近の事変に関連いたしまして、いろいろな物資の買付、その他の問題が起つておりますが、これの支払いは、結局ドル払いで、一種の輸出と同様な決済関係なつておるというふうに承知しております。
  98. 菅家喜六

    菅家委員長 本日はこれにて散会いたします。  次会は二十八日午後一時に再開することにします。     午後四時散会