運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-10-21 第8回国会 衆議院 経済安定委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月二十一日(土曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 勝間田清一君       金光 義邦君    寺本  齋君       細田 榮藏君    宮原幸三郎君       村上 清治君    有田 喜一君       森山 欽司君    松尾トシ子君       川上 貫一君  委員外出席者         公正取引委員会         委員      赤木  曉君         総理府事務官         (公正取引委員         会調査部調査第         一課長)    丸山 泰男君         厚生事務官   越田 得男君         農林事務官         (農政局農業協         同組合課長)  平木  桂君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   立川 宗保君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 曽根  徹君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部協同組合課         長)      谷敷  寛君         参  考  人         (食糧配給公団         総裁)     梶原 茂嘉君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君 十月二十一日  委員高田富之君辞任につき、その補欠として川  上貫一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  事業者団体法に関する件  協同組合制度に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより会議開きます。  事業者団体法の件に関し、まず参考人食糧配給公団総裁梶原茂嘉君より参考意見を聽取したいと思います。梶原茂嘉
  3. 梶原茂嘉

    梶原参考人 御承知のように食糧配給公団は、来年の四月一日をもちまして廃止になることに方針が決定いたしておるわけであります。そういたしまして食糧配給公団としては、その存続中に、取扱つております主要食糧配給について、これを民営機関において運営いたしますように切りかえを行うわけであります。第一段といたしましては、九月から十月にかけまして末端小売機構民営に転換いたし、来年の三月に卸の段階民営において運営されまして、その上で公団廃止するという段取りになつておるわけであります。御承知のようにほかの公団相当趣を異にいたしまして、主要食糧配給統制自体も、現在におきましても、また公団廃止後におきましても、多少の内容におきまする変更は、食糧事情の変化に伴いましてあり得るでしようけれども、米それ自体配給統制は、依然継続するものと考えられるのでありまして、配給統制が継続しながら、これを処理する配給面における機関民営になるのであります。そこに相当困難なかつ複雑な問題が存在するわけでありまして、私たち公団運営をいたしておりまする者の立場から考えましても、また新しく民営性格においてこの仕事を担当するであろう立場機関から申しましても、きわめて困難な事情があるのであります。そういう面に関連いたしまして、公正取引観念、また事業者団体法関係考え方等の間に、適当な調整と申しますか、検討を必要とするであろうと思うのであります。  御承知のように公団ができますときは、配給統制のごとき性質のものは、公の機関においてこれを処理するを建前とするという理念から、公団が発生したものと思うのであります。今度公団が解体いたしまして、その取扱い配給統制基礎のもとに民営において行うのでありますから、当然そこに一つの問題が起つて参ります。しかしすでに決定されております公団廃止並びにこれを民営形体において行うという線を円滑に実現するために、特別の考慮が拂われなければならぬとひそかに考えるのであります。  いま少しこれを具体的に申し上げますと、第一点は価格の点であります。御承知のように全国消費者配給いたします消費者価格は、いずれの地たるをとわず一定いたしておるのであります。それから数量の点でありますが、数量も、消費者に対します配給数量は、これまた一定いたしておるのであります。ところが配給仕事の行われますところは、申すまでもなく大きな消費都市から、僻遠の山間地帶あるいは島嶼地帶等全国にわたるのでありまして、経済的の立地がすべて異なるのであります。従いまして、多数の民営形体業者がこれを担当するのでありますが、おのずからそこに自由の経済の場合にはあり得ないような制約が、必然的に起るのであります。これを円滑に、適正に処理して参りませんと、それぞれの民営機関運営が、ものによつては非常に有利になり、ものによつては採算がとれないという事態に当然当面するのであります。たとえば運賃のごときを例にとりますと、現在におきましても、各府県におきましてプール的な制度をとつておるのであります。公団といたしましては、さらにそれを全国プール收入としておるのでありますが、各府県相互間におきましても、北海道と他の県を比べますと、相当運賃開きがあるのであります。それから県内におきましても、御承知のように相当運賃開きがあるのであります。それから牛馬等を使いますところ、極端なところでは、人力によつて米を運ぶ地帶もあるのであります。トラツクを自由に使い得るところ、いろいろ違うのであります。そういうところで最終価格が一定しております條件のもとに、いかに各それぞれの機関に適正な運賃基礎にしたマージンをきめて行くかということになりますと、もちろん不可能ではありませんけれども、ほとんど不可能に近い困難に当面すると思うのであります。従いましてそれぞれ卸売り機関についてマージンを異にして行きますことが、民営観点から見ればそうあるべきでありましようけれども半面配給統制を円滑に実施するという観点からいえば、必ずしも適切とは言い切れないと思うのであります。少くとも政府が買い上げます価格は一定しておるのでありまして、最終価格は一定しておるのでありますから、配給経費として重要な部分を占めます輸送費のごときは、適当な機関においてこれをプールして参るということの方が、主要食糧の現在のあり方から見て適当であろうと思うのであります。しかしこれは半面私よくまだ存じませんけれども公正取引理念からいえば、あるいは相反するのではなかろうかという懸念を持つているわけであります。小売段階におきましては、これは卸機関において直接小売店舗まで運ぶという方法をとつておりますから、別段さしたる困難さはないと思います。問題は卸の段階にかかるのであります。卸の段階運賃等を考えます場合に、でき得れば経済立地的に適当に地区をわけまして、そこで一つの卸を考えて行くという構想も初めはあつたのであります。ところがある地区をきめまして、そこで一つ卸機関ということでは、これまた自由経済における公正取引観念に、必ずしも合わないという考え方のもとに、一地区重複いたしましての複数制度を、卸売りについて採用されているわけであります。こういう方針のもとでいかに卸が発生し、それがそれぞれ適正なマージンをもつて大切な主要食糧を円滑に運営し得るか、はなはだ疑問と心配があるのであります。事業者団体法関係と申しますか、公正取引観点から、ぜひ配給統制を前提として、それを扱うところの民営機関あり方というものを御検討願いたい、かようにお願いするわけであります。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまの食糧配給公団梶原茂嘉君の御意見に対して、質問があればこれを許します。
  5. 多田勇

    多田委員 大体の内容につきましてお話を伺いまして、非常に御苦労なすつておる点については、敬意を表する次第でありますが、大体問題になつております運賃プールというような作業を、どういう形でやろうという考えを持つておられるかどうか、あるいはその見通し等について具体的にお話願いたいと思います。
  6. 梶原茂嘉

    梶原参考人 ただいまのところ、実は具体的に運賃プール等につきまして構想を持つに至つておらないのであります。公団といたしましては、まず九月から十月にかけまして、第一線の切りかえに全力を集中いたしまして、これをともかく円滑に完了いたして、そしてただちに第二段の卸の段階に入つて行きたいというので、今御意見なり、お尋ねのその段階につきましては、十分なる検討を遂げるに至つておらないのでありますが、第一の問題をして、はたして運賃プールなるものが、現在の制度から、民営形態において許され得るかどうかという根本の問題があるのであります。これにつきましては、政府当局におかれましても、いろいろ御検討中と存じますが、相当の困難がありはしないかということを、私自身は心配いたしておるのであります。しかし困難がありましても、これを実現しなければならないと、これは希望でありますが、強い希望を持つておるわけであります。もちろん運賃プールと申しましても、そのプールやり方内容等相当にいろいろの段階があろうと思います。それらも検討いたしまして、ともかく運賃プールが、現在の段階においては容認されるようにぜひ考えたい。——これは私一個の個人的の希望に属するわけでありますけれども、もし現在の制度において、あるいは現在の法制において、それが困難であるということであり、しかも卸団体民営にせざるを得ないということであれば、特別の立法でもお考え願いまして、主要食糧配給についても、そういう場合においてはプールはできるという道を、これは法制上お開きを願いたい、かように考えておるわけであります。具体的の見通し等につきましては、今後の問題かと考えております。
  7. 多田勇

    多田委員 主食小売並びに卸を民間企業に切りかえるという考え方が、相当前にきめられ、しかもこれに関するいろいろな所要の手続がふまれ、かつ施行規則等が改正されまして、具体的に各地で、民間企業に切りかえるための態勢を整えているやに聞いておるのであります。それにもかかわらず、最も大事であるところの運賃プール作業方法が、まだ結論に達するどころか、どういうような方法でやるかという目安がついていないということは、非常に民間企業に切りかえるためにも、悪影響があるのではないかと心配しておるわけでありますが、民間企業に切りかえるために、民間でこれらのプール作業をすることが、独禁法並びに団体法で非常な制約があるということは、すでに前もつて承知のはずではなかつたかと考えておるのでありますが、この問題がまだ結論に達しない。しかも新聞によりますと、登録方法等についても、公正取引委員会からいろいろな警告が発せられたというように聞いておるのでありますが、独占禁止法並びに団体法と、主食民間企業に切りかえられるための考え方との間に起つたところの矛盾といいますか、そういつた点について、農林当局考え方並びに公正取引委員会考え方を、参考にお聞かせ願いたいと思います。
  8. 赤木曉

    赤木参考人 ただいまの問題につきまして、公正取引委員会立場から申し上げたいと存じます。  食糧管理法施行規則の一部を改正する省令案によりますと、その附則におきまして、食糧配給公団末端配給機構の切りかえにあたりまして、経過規程をつくつて食糧配給公団職員その他これに準ずる従業員等を優先的に登録せしめる、こういう趣旨が規定してございます。また卸売販売業者登録につきましては、前述優先登録を受けた小売業者のみの自由登録を行う、こういうことになつているように拝承したわけでございます。以上の措置は、おそらく公団職員完全就業ということと、主食配給機構の円滑な切りかえとを目的とされたものとは存じますけれども、それらの措置の結果といたしまして、公団職員が不当に小売及び卸の部面で、優先的の取扱いを受けるということになることは必至でございまして、長期にわたります米穀配給統制によりまして、転廃業を余儀なくされました多数の旧業者の復活、及び新規事業者の進出ということが、著しく阻害されるのではないかと存ずる次第でございます。食糧配給ということにつきましては、ただいまのお話にもございますように、相当特殊性はございますけれども、いやしくも民営に切りかえる以上は、当然自由競争立場に立つべきものではないかと、当委員会では存ずる次第でございます。従いまして当委員会といたしましては、事業者機会の均等と平等の競争條件を與えまして、公正かつ自由な競争を促進し、一般消費者の利益を確保しようとする独占禁止法趣旨からいたしまして、またさらに消費者並びに需要者意向を反映せしめるためにも、自由登録制による今国の民営切りかえの趣旨よりいたしましても、大体次のような措置が望ましいのではないか、こう存じて、農林省並びに経済安定本部の方に意見を提出しておるわけでございます。その内容は、小売販売業者に関する前述優先登録は、一応特殊の事情がございますので、やむを得ないといたしましても、優先登録の期間をなるべく短くして、消費者選択による小売販売業者自由登録を行い、優先登録弊害をなるべく早い機会に済ましてしまう、そしてその弊害最小限度に食いとめるということが必要ではないかということと、それから第二点は、即売業者につきましては、優先登録による小売業者のみの選択に基く自由登録でなくて、前項に述べました小売販売業者自由登録が全部終つた後に、消費者意向を反映した小売販売業者による卸売販売業者登録を行うということが望ましいのではないか、こう存じまして、意見を出した次第でございますが、承るところによりますと、この両者をお入れになつて省令をこの趣旨にかえて、すでにお出しになつたかと存じます。もしさようでありますれば、公正取引委員会といたしましては、その点については異論はない次第でございます。  なお運賃プールの問題でございますが、これはその内容が、十分まだ確定されていない趣でございますので、ここではつきり申し上げることができないのでございますが、一般的に見まして、運賃プール構想というものは、内容いかんにもよりますけれども、どうも事業者団体法に觸れるおそれがあるのではないか、こう存じておりますが、それは内容を十分拝承した上で、また私どもの方の御意見を申し上げたいと存じます。
  9. 立川宗保

    立川説明員 これは先般の当委員会でも申し述べたことがございますが、今度卸及び小売民営に切りかわりまして、公団のような單一の経理ということが不可能になつ参りますが、その際に、同時に、全国的に消費者価格を同じ水準に置くということも、あわせて実現するといたしますならば、少くとも卸の運賃の何らかのかつこうによるプールということは、どうしても必要である。それが実現いたしませんと、今申しました全消費者にわたつて、同一の主食配給価格水準を維持することは不可能であるというぐあいに考えております。そこでどういつたかつこうでその運賃プールを実現するかということでありますが、これはおそらく三つぐらい考え方が立つと思います。  その一つは、卸同士協定によりまして、その間に一種のプール組織をつくりまして、運賃だけをプールするという考え方であります。  もう一つは、輸送機関の間でプールをやりまして、あるいはもつと極端なことをいえば、單一輸送機関に頼んでしまう。かりに日通なら日通というものに全部頼んでしまつて、そこで日通の計算においてプールをやるということも、一つ考えられるかと思います。  それからもう一つ食糧庁小売のところまで運んでしまうということが考えられます。そして卸におけるプールはやらないで、いわば政府運賃プールをやるということが考えられるわけであります。その三者の利害得失を、いろいろ彼此検討しておるのでありますが、どうも私ども結論では、政府がそういうことをやるということは、第一卸の機能が全然ない。卸には黙つて小売から金だけとつておるのだ。政府小売の戸口まで持つて行かれるということにもなります。それからまた政府が、おそらく十万にもわたるそのこまかいところまで、配給運送の責任を負うということは、現在のような事態において、非常に困難であるということも考えられます。どうも結局、第一案の卸の間におけるプールというものがいいのではないかという考え方になつております。しかしながら先ほどのお話にもありましたように、多少卸の選定の時期もずれました関係上、念に念を入れて、検討を掘り下げておる状態であります。
  10. 多田勇

    多田委員 非常に愼重にやられたので遅くなつたという感じを受けたのでありますが、運賃プールが米の価格に及ぶす影響が非常に多いのでありまして、もし先ほど梶原さんの言われたような、あるいは公正取引委員会が言われたような、自由な形において小売から卸に登録するということになりますと、今まで公団がやつておりましたように、地域別輸送というものが相当乱れてくるという関係で、輸送費の面にも、幾分高くなるというようなおそれがあるのではないかというように考えるのであります。この主食配給についてもつと大きな部面を占める運賃プールというようなものを第二にしまして、民間企業に切りかえるための民間企業体形づくりを急速にされるということは、今後の米価影響があるのではないかということが心配されるのであります。そういう点について、もし今の考え方民間企業に切りかえる。しかも運賃プールは何らかの形においてやつて、たとえば一つの県で、非常に遠隔な地域小売業者から登録をとつて小売配給をするというようなことには、今公団がやつておる以上に輸送費がかかると思いますが、これらの輸送費が加重するための影響が、米の価格に及ぼさないかどうか、この点についての見通しをお伺いできたら聞かしていただきたいと思います。
  11. 梶原茂嘉

    梶原参考人 あるいは農林当局からお答えがあろうと思いますが、輸送費だけの価格の点から考えますと、民営になりまして、第一には、御指摘の交錯輸送と申しますか、卸の機関が輻湊しまして、それと結びつきます小売機関が、地域的の制約がなくなります関係上、重複して輸送が行われるということが、ある程度想像されるのであります。それからもう一つ運賃に関連いたしまして、民営になりますれば、当然に小売店舗数にいたしましても、相当数ふえることが想像されるのであります。小売店舗相当ふえますることは、勢い運賃増高になるわけであります。従いましてかような点から申しますと、現在よりはある程度運賃は増すであろう、かように考えておるわけであります。しかし一面公団という公的機関において輸送いたしておりますと、その性格から必然的に来る不円滑さと申しますが、そういう面がありまして、民営よりは場合によれば高くつくと申しますか、より安い運賃を追求し得ない性質が時期的にあるのであります。そういう面は民営機関においては、かえつて安くつくということも確かに言い得ると思います。しかし両々あわせて考えましても、全体の傾向としては多少増加の方向に行くであろう、かように想像しております。
  12. 多田勇

    多田委員 多分増額されるであろうという御想像でありますが、米の価格影響はないかどうか。
  13. 梶原茂嘉

    梶原参考人 米の価格の点になりますと、運賃のみならず、全体の民営としてのコストを検討する必要があろうと思うのであります。運賃はもちろん大きな部分を占めておりますけれども、他面人件費の点でありますとか、設備の点でありますとか、他の面にも相当関係いたしますので、運賃の面からのみですぐに消費者米価影響が来るということは、ちよつと早いと感じます。
  14. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、運賃はやや上りましても、企業合理化によつて消費価格影響はなく、むしろ現在公団がやつておるよりも民間企業に切りかえることが合理的であるというような御意見と了承できるのであります。そこで先ほど食糧庁企画課長からお話のありましたプール作業方法として三つ方法がいわれておつたのでありますが、卸同士協定によるプールをするというようなことが、もしかりに許されるとした場合に、技術的にはたして可能かどうかという点と、この問題について公正取引委員会その他にどの程度の交渉をされたか。また公正取引委員会考え方及び見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  15. 梶原茂嘉

    梶原参考人 今のお話運賃米価の問題でありますが、運賃の点からのみ見まして、消費者米価にすぐにどれほどの影響があるかということは申し上げにくい問題だと申し上げたのであります。民営全体となりますと——詳細にこの数字を検討したわけではございませんけれども、一面においてはもちろん企業合理化が行われましようけれども半面相当取扱いの数もふえ、その間勢い物それ自体の損粍も増して参ります。資金にいたしましても、これは一般民間資金によることに相なります。相当程度の利潤ということも考えなければならない。かように考えて参りますと、また取引自体のリスクも勘定に入れなければならない。達観して考えますれば、現在の公団経費よりは、ある程度増高するであろうという考え方を私は持つております。
  16. 立川宗保

    立川説明員 ただいまのお話でありますが、運賃プールやり方につきましては、公正取引委員会の方には多少のお話はいたしておりますが、研究の結果をもつて、かくかくの点をかようにお願いをいたしますというようなお伺いなり、お願いなりはまだいたしておりません。それは問題が非常に技術的に複雑でもありますので、十分に検討を遂げまして、間違いのないところで公正取引委員会の方の御判断を願おう、かようなつもりで、まだ正式に話を申し上げているという段階には至つておらないのであります。
  17. 丸山泰男

    丸山説明員 ただいま農林省食糧庁企画課長からお話のございましたように、公正取引委員会に対しまして、ただいままでのところ、正式には運賃プールの問題につきまして、いろいろ資料なり結論なりをお示しいただくという段階にはなつておらないのでございますが、非公式には、いろいろ業者の方、公団方等から、この問題は非常に重要な問題であることを十分伺つておるのであります。ここで団体法の適用の問題もしくは立法措置が必要か不必要かの問題について、はつきり申し上げることはいたしかねるのでございますが、一応ごく抽象的に申し上げますと、自由登録制にするという建前になつております以上、この自由登録制が時期尚早であつたかどうか。この問題は私どもの問題ではございませんが、自由登録制にする以上は、それを通じて価格統制されておつても、消費者に対するサービス競争の面で、従来米穀配給につきまとつてつたいろいろの不満をできるだけ解消するようにして行くのが、当然自由登録制のねらつておるところでもあり、また独禁法自由競争考え方もそこにあると思うのでありまして、運賃プールという建前業者団体においてやるといたしますれば、これは当然事業者団体にならざるを得ないと思います。とくに多額の運賃がかかる所、それからごく少額の運賃で済む所というものがわかれて参ります場合に、これをただ單なる任意加入団体ということでは、所期の目的も達成いたしがたいのではないか、こういうふうに推察されるのであります。当然そこには強制的な加入ということが必要になつて来るのではないか。そうなつて参りますと、それが一つの公共的な性格を特ち、一つ統制的な機能を持たざるを得ない。これは少くとも自由競争建前から、でき上つておる事業者団体法理念とは、正面から衝突するわけであります。もしそういう事業者団体によつて運賃の差額を調整するという方式がとられるとすれば、そこでは何らかの立法的な解決が必要になつて来るのではないかとも推測されるのであります。私どももこの問題の重要性については十分に考えておりますけれども、何分にも先ほど申し上げましたように、資料その他において的確なるものを持つておりませんから、公正取引委員会のこの問題に対するはつきりした意見を申し上げることはできかねるわけであります。
  18. 多田勇

    多田委員 公正取引委員会として、もちろん食糧庁からまだ具体的な資料が出ていない関係で、いろいろ意見は言われないという点についてもわかるのでありますが、ただ物資が統制されておるという事実と、その物資を扱う企業体が民間企業であるということとは、やはり物資が統制されておるということが主眼でありまして、従いまして運賃プールをし、平等なチヤージによつて物が動くというような條件を自由企業体に與えるということは、やはり必要ではないかというような考え方からすれば、当然物資が統制されている以上は、こういつたプール的な作業は、民間団体に認めるべきであつて、もし民間団体でこういつたプール作業が困難だということであれば、何らかの措置を講ずることが必要であつて、これ絶対的にプール作業措置を講じなければ、円滑な配給ができないということは言い得ると思うのでありますから、この点について関係の各方面で、急速にこういつた措置を講ずるようにお骨折りをいただきたい、この点をお願い申し上げておきます。  それから先ほど総裁からお話がありました、民間企業になりました場合に、相当いろいろな経費が値上りをし、従つて公団でやつてつたよりも、いろいろな面で高い経費につくだろうというようなお見通しでございますが、なるほど運賃につきましては、先ほど言われましたように、相当重複した輸送が行われるというような点から、幾分高目につくというおそれはあると思いますが、これも現在公団でやつておりますような形よりも、こうした場合に、民間企業自体相当程度競争もするというようなことから、運賃についても必ずしも高いものになるということは言えないのじやないか、むしろ現在公団がやつておるよりも、安い料金で米の配達が行われるということになるだろうというように私どもは見ておるわけでございます。あるいはまたいろいろ資金にしましても、公団自体が預金部資金を使います場合でも、預金部資金に対する金利は当然支拂つておる。民間企業につきましても、あるいは高い金利を負担しなければならぬかもしれません。しかしながら資金の運用操作の面で、必ずしも公団よりも高い金利を負担しなければならないというようなことは、言えないのじやないか。要するに現在の公団なり、あるいは政府なりがやつておられるような操作を、さらに合理化することによつて民間企業体に移行することが、消費者相当大きな利益を與えるというようなことが言い得るという確信を持つておるのでありますが、今総裁が言われました民間企業になります場合に、ある程度経費、その他の増高はやむを得ないだろうという根拠をお聞かせ願えましたら、お答え願います。
  19. 梶原茂嘉

    梶原参考人 これは相当むずかしい問題でありますけれども、先ほど申し上げましたように、ある程度経費は、コストが増高するだろうという見通しを私は持つておるのであります。御承知のように従前自由の時代におきましては、小売段階、卸の段階を通じまして、いわゆる米の取引業者マージンというものは、一割二、三分から二割見当であつたと思います。少くとも小売段階におきましても、仕入れ価格に対しまして、一割見当のマージンをとつてつたと思われます。これは決してほかの生活必需物資の小売屋さんのマージンに比べまして、高くはなかつたと思います。現在公団におきまして食管から借りまして消費者配給するまでの全体のコストは七分台でございます。これが民営になりまして、小売卸売を通じて、仕入れ価格に対して七分か八分の見当でやつて行くということは、ほかの業界の実態から見ましても、まずなかろうと思います。これはきわめて、概括的な考え方ですれども、そうだと思います。内容的に申しましても、預金部の金利、あるいは食糧証券の金利、それでまかなつて参りまして、現在公団と食管との関係消費者関係は、消費者に米を配給いたしまして、代金をほとんど引かえ的にいただきまして食管に返して行く、その環流の間は、大体平均二週間程度でありまして、きわめて早いと思います。民営になりまして、先ほどもお話がありました消費者へのサービス、またいろいろの点から申しまして、そう早く金が消費者から公団時代のように環流して行くかどうか、これも私は問題だと思います。公団なるがゆえに、相当消費者方面なり、ほかから苦情は出ておりますけれども、その苦情をおかして、そういう点につきましては資金のコストの低減等には努力しておるのでありますが、民営になりまして、はたしてそう参りますかどうか疑問だと思います。それから店舗にいたしましても、これは現実の問題でありますが、公団が従前食糧配給所を一万数千箇所持つてつたのであります。これは全部公団の名において借りて参つたのであります。ほかの店舗に比べましてきわめて安いと申しますか、そういう借賃で来たのであります。これも非難を受けた点でありますが、いわゆる公定の家賃で参つたからであります。先般九月にこれを民営に一応移したのでありますが、民営になりますとたんに、ほかの理由もありますけれども、その店の権利でありますとか、あるいは家賃とか、いろいろの点で、店舗の費用というものが、非常に急に増高しつつあるのであります。  それからもののロスの点であります。これは非常に大きなウエートを占めておると思うのであります。多数の公団配給所でありますから、ものをおろそかにするというふうな面も、それはないではありませんけれども、全体的に見ますると、ロスは比較的少いのであります。これが店がふえまして、そうしてそれぞれその店自体がそのものを処理するから、おのずからロスはふえるであろうと思います。その他副産物の処理に対しましても、そのものがその人自体の利益と申しますか、收入にはなつて参りますようけれども、それがひいて表面的にコストが低くなつて、従つて消費者価格があるいは引下り得るというところまでは、私は行かないだろうと思います。お話の、なるほど輸送賃が合理化されて安くなるかわりませんが——私は必ずしも安くなるとは思いませんけれども、あるいは安くなる、それで安くなつたらそれだけ引下げるということがはたして可能かどうか、そこに問題があると思います。公団であれば、安くなれば安くなつただけ、それは下げ得るのであります。民党におきましては、安く合理化すれば、それはその業体と申しますか、その企業者の利益になるんじやないか、お前のところはこれだけ運賃を下げたからこれだけ安くしろというわけには、なかなか行かないのであつて、いろいろの点から見て行けば、一面において企業合理化は行われるであろうけれども、反面において、全体のコストは、利潤が入つて来るわけでありますから、現在よりは増高する。小売、卸を含めまして、おそらく七、八分ということは、公団切りかえ当時には、あるいはあるかもわかりませんけれども、ある時間が立てば、おそらくそれは昔の自由時代のように一割を越し、一割五分を越すというふうになるというふうに私は見通しをしておるわけであります。むしろそれが当然ではないかという感じがする。先般その末端の切りかえの場合に、マージンの問題につきましていろいろ検討したのでありますが、これは私見でありますけれども、当然の方法であろうというふうに考えておるのであります。
  20. 多田勇

    多田委員 この問題は見解の相違でございまして、あるいは総裁が何か十分いろいろな面を勘案されて言われておるのではないかというような感じもいたしますが、そういたしますと、民間に切りかえるよりも、公団でやる、あるいは公団組織でなくても政府自体がやるというようなことが、やはりこういつた主食統制の場合には必要なんだし、消費者にも有利だ、たとえば先ほど問題になりましたプール制度の問題にしましても、公団なりあるいは食糧公社なり、あるいは食管特別会計でやるというようなふうに、政府がやることによつて解決できるというような考え方から、何か食糧公団側の考え方としましては、民間企業に切りかえるという点について、小売を切りかえる点についてはさしつかえないけれども、卸までの面については新しい機関——食糧公社といつたような形の機関をつくることが必要だというような主張があるように聞いておるのですが、ただいま言われましたような考え方から、そういう主張は生れて来たのかどうか、あるいは食糧公社といつたような、公団にかわる新しい統制機構を考えておるかどうか、この点をお伺いいたします。なお今までのいろいろな経験から申しますと、かりにロスにつきましても、民間業者がやるからロスが非常に増大するというようなことは考えられないと思います。むしろ公団がやつておるから、公団の職員というような形でこの仕事をやつておるから、ロスが多くなるというような危險性はなかつたかどうか、たとえば一昨年の暮に、砂糖を主食代替として配給した場合の公団末端配給所あるいは全体的のものから見ましても、民間業者がやつておりましたときの砂糖の配給よりも、現実にはロスが出て来たというような事実もございますので、むしろ民間業者がお互いの創意、工夫、努力によつて、ロスを現在以上に圧縮することが可能だというような、ほかの物資から見ましても、そういつた感じがいたします。これは見解の相違でありますから、この程度でとどめておきますけれども、ただいまの食糧公社の問題について、要するに食糧公団総裁としての御見解をひとつ伺いまして、私の質問を打切ります。
  21. 梶原茂嘉

    梶原参考人 コストの問題についていろいろ御意見があつたのでありますが、民営公団を切りかえて参りまする理由が、その方がコストが安くつく。従つて消費者のためにもより安い米が配給されるというのが、私決して理由ではないであろうと思うのであります。もしそれが理由であるとすれば、むしろそれは逆のことになりはしないかというのが私の考えであります。しかし公団廃止をして民営にもつて行くのが、必ずしもコストの問題ではないのであつて、全体の日本の食糧の需給の事情が日を追うて改善されて行く。この傾向で行けば、主食統制自体も、漸次緩和の方向に進んで参る。そうすれば、それに応じていわゆる巨大な、また嚴格な統制でなくて、その緩和されて行く方向に沿つて、これを民営にもつて行くというところに、意味合いがあつたのであろうと思うのでありましてもし食糧事情が、昨年の夏以来一般的にいわれておりましたように、漸次緩和の方向に進んで来て、この夏からまた秋にかけて、より一層その方向に進むということでありましたならば、公団民営切りかえは、非常に時宜を得て成功であつたと思うのでありますが、その後御承知のように、この夏の朝鮮の問題以来、相当食糧事情につきましても愼重な検討を今後にわたつて要しはしないか。そういう面から末端の第一線の小売機関はよいのでありますけれども、卸段階における仕組みにつきましては、もう一度公社がよいかということは別として、この際にこれではたしてよいかどうか、現在の方針でよいかどうかを、虚心に再検討する必要がありはしないかというのが、いつわらざる公団考え方であります。よく各方面から再検討を願いまして、やはりこれがよいのだということであれば、その線に沿つてとつ作業を進めて行く。しかし統制は依然堅持される、あるいは事情によつては、一層これを強めなければなるまいというような見通しのもとに、これを民営にいたしまして、しかもそこに的確なプール組織ということを、他の理由でできないということでこれが民営に相なりますと、あるいは災いを今後に残しはしないかということを心配するのであります。少くとも米を中心にする主要食糧統制が堅持されておるのでありますから、卸段階においては民営でありましても、統制配給を担当する面において適正に行われ得るように、まだできなかつた民営自体が、やはり安心して十分やり得るような一つの仕組みというものを考えなければなるまい。それをぜひお考え願いたい。それがどうしても検討の結果、民営では困難であるということになれば、公社という仕組みでやりますか、あるいは食糧庁自体がやりますか、そういう点についても御検討お願いしなければならないというのが、大体今の公団というか、私の考えていることであります。
  22. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、先日の委員会食糧庁企画課長から、要するに政府でやるべきか、あるいは民営でやるべきかという点についていろいろ検討した結果、従来の方針通り民間企業体でやることが、あらゆる面で適当であるというような御答弁があつたように記憶しております。今の総裁お話だとやはり食糧公社といつたような形のものでよいのではないかというような感じを受けるわけでありますが、食糧庁として、あくまでも従業の方針通り進むというお考えが依然としてかわらないかどうか、この点をいま一応確かめておきたいと思います。
  23. 立川宗保

    立川説明員 農林省考え方といたしましては、すでに先般食糧管理法施行規則として省令で細目を示しております通りに、小売をつくり、しこうして卸をつくるという方向に進むべきものである、かように考えております。しかしながら今総裁がいろいろお話になりました点、この点は軽々に看過することはできない点でありまして、十分にそういうことは考えてみる必要があるのでありますが、私どもの現在における考え方といたしましては、民営切りかえの線を進むのが妥当である、かように考えております。
  24. 多田勇

    多田委員 農林省としては、そういう御答弁以外にないと思うのでありますが、どうも主食民間切りかえについての今までの経過から見ますと、何かあやふやな点がある。たとえば民間企業に切りかえて、卸と小売民間に移すといつたような規則をつくられる際にも、十分検討されておるはずだろうと思うのであります。それでプールをどうするかというような問題についても検討され、それぞれの方面に話をされた上で決定されただろうと思います。ところがプール作業については、私の聞く範囲では、配給の担当者といいますか、それは十分に承知していない。むしろプール作業をすることは考えていないというような考え方を持つておるのではないか。そこへ消費価格を一本にするということが、絶対的に必要だという考え方からプール作業を考え、プール作業方法としましては、最初に食管特別会計が末端までのプール作業をしようという考え方を持たれたところが、食糧庁が卸に販売することによつて食糧庁作業は中止するのであるから、その以後のプール作業まで——輸送まで、食糧庁が責任を持つということは不合理であるというような意見も出たようであるし、あるいはまた、さらに価格操作の面で、各民間業者個々の価格操作によつて、現実に実質的なプール作業をしようという考え方もあつたように聞いておりますし、あるいはまた今話が出ましたように、食糧公社によつてプール作業をしようというような考え方も起つたように聞いておりますが、これらの考え方が、すでに民間企業に切りかえるという線をきめられていながら、いまだもつてきめられていないということに、何か納得できないものがあるような気がするのでありますが、今さら民間企業に切りかえるという方針を変更されて、食糧公社等を考え、さらに主食配給機構の問題について、根本的な再検討をしなければならないというような考え方がどうして起つて来たのか、私どもは非常に了解に苦しむ点でございます。これらの点について次の機会に、私どもいろいろな資料をもとにしまして検討しますし、できますれば公団あるいは食糧庁から、これらに関する資料、それから価格等の問題に対する資料を御提出願いまして十分に検討させていただきたいと思います。きようは私の質問はこれで打切ります。
  25. 勝間田清一

    ○勝間田委員 今多田さんからお話があつたので、私もそれで話は盡きていると思うのでありますが、どうもきよう朝来聞いておりますと、政府食糧政策というものがきわめて根拠がない。しかもどちらかというと、非常にイデオロギーにとらわれている。しかも独禁法なりあるいは事業者団体法との関係については、とうにわかつているはずのものが、少しも解決されておらない。それで今度の場合においては、公正取引関係をどうするとかなんとか、むしろ以前にさかのぼらざるを得ないという感じを私は多分に持つのであります。そこで私はこの委員会が、あるいは農林委員会との関連において、もう少しこの食糧政策の再検討をすべきだと思います。これは單に政府のあげ足取りということではなくて現実的に、実際民間取引にした場合に、利益が出て来るか出て来ないかというようなことも考えなければならぬので、今までのいきさつにとらわれずに、もう一度この委員会では、良心を傾けて研究してみる必要があるのじやないかと感じます。これは一応委員長の方で委員にお諮り願つて多田さんの言われるように、やはりもう一ぺん前にもどつて研究することをお願いしておきます。
  26. 圖司安正

    圖司委員長 今の問題はあとで理事会で御相談しましよう。     —————————————
  27. 圖司安正

    圖司委員長 引続き協同組合制度を議題としまして、質疑に入ります。
  28. 細田榮藏

    ○細田委員 中小企業と、協同組合の方の関係から先にお尋ねしたいと思います。  大体中小企業協同組合については、従業員数について、商業者においては二十人、事業者においては百人という制限ができておりますが、これは非常に今の現状から照してみると、不便な点がたくさんあるのでございますが、そういうことについて何かお考えを持つておられるかどうか、一応承りたいと思います。
  29. 谷敷寛

    谷敷説明員 ただいまの点につきましては、これは公正取引委員会の方と密接な関係に立つわけでございますが、中小企業庁といたしましては、百名、二十名という制限につきましては、決して満足しているわけではございませんので、何らかこの制限を拡張するようにしたいというふうに考えておるわけであります。ただこの百名、二十名という制限につきましては、商業につきまして二十人以下の従業員であれば、これは一応小規模事業者とみなされるという推定の問題でございまして、具体的の場合には、二十人を越えない場合でも、公正取引委員会の認定で、これを大規模事業者と認定されることがあるわけでありますし、それから二十人を越えましても、同じく公正取引委員会の認定で大規模事業者とはみなされないという場合もあるのでありまして、この二十人というのは一応推定である。それによつて挙証責任がわかれる推定なんだというふうに御承知願いたいと思います。
  30. 細田榮藏

    ○細田委員 もう一応その問題を検討して、事業者団体法関係との調整をはかつて、そして何とかもう少し、中小企業協同組合というものが健実な発展をして行けるような方法について、お打合せをなされたことはないか。何か事業者団体法との関係をなさるというお考えがありますか。
  31. 谷敷寛

    谷敷説明員 その点につきましては、ただいま公正取引委員会と折衝いたしておりまして、何らかもう少し安定するような措置を、とりあえず通牒なり何なりの形でとるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  32. 細田榮藏

    ○細田委員 次に自由届出制度になつておりますのは、これは各種の協同組合が共通の問題のように考えておりますが、このためにどうも実体を把握することができないばかりでなく、数の問題、あるいはどういう状態になつておるかというようなことがわかりにくいように思うのですが、この点について何かこれを改正なさる御意思がありますかどうか。
  33. 谷敷寛

    谷敷説明員 自由届出制度になつておりますのは、中小企業等協同組合法による組合だけでございまして、その他の協同組合は認可制になつておるわけであります。この中小企業等協同組合法のみが自由届出制になりました理由は、中小企業等協同組合法によります組合は、会社に準ずるような純然たる経済單位であるという考え方によりまして、会社などが準則制になつておるのと同じ意味で、行政官庁の介入を排除しまして認可制をとつたというような制定の経緯があるのでございますが、ただいま御指摘になりましたように、その実体の把握につきまして不便を感ずるという点は、われわれのみならず府県庁におきましてもそういう要望が相当強い現状でございますので、この点につきまして何らか法律の改正のような手段をとるかどうかということを、ただいま部内で研究しておる状態でございます。
  34. 細田榮藏

    ○細田委員 そういたしますと、今の自由届出制の関係から、事業協同組合並びに企業協同組合が最も多く設立されておるということなども、はつきりつかめておりませんのが実情ですか、どうですか。
  35. 谷敷寛

    谷敷説明員 その点は各府県庁のみならず、法務府その他のところにも連絡をいたしまして、極力その実体の把握に努めておりますので、相当正確な数字は、われわれの方で把握しておると考えております。
  36. 細田榮藏

    ○細田委員 今の中小企業協同組合の事業協同組合に関する問題から申しますと、この検査制度がいわゆる自由検査制になつております関係上、どうも今の製品などの統一及び技術的の指導その他についても、非常に不便な点があるのですが、この検査制度をもう少し確立いたしまして、もつと強制化してこれを指導するというようなお考えがありますか。
  37. 谷敷寛

    谷敷説明員 検査制度につきましては、これは統制組合時代には強制検査をやりましたので、御説のような弊害というかそういう事情はなかつたのでありますが、今度の協同組合は、先ほども申し上げましたように、統制的の色彩は全部なくしまして、純粋な経済的な性格ということを中心にいたしておりますので、検査につきましては、組合が強制をするということは、やはり適当ではないかと思われます。ただ組合員全体が検査の必要をお認めになるならば、自由にその検査をお受けになればいいことになるのでありまして、そういう意味で、何と申しますか、検査を必要であるというような認識のあられる方だけが、組合の検査をお受けになるというシステムでいいじやないかと考えます。
  38. 細田榮藏

    ○細田委員 どうも実際に照してみると、今輸出に対する問題については一応そういうことで、何らかの方法で自主的にやらなければならない立場に立たせられておりますから、その点については一応考えられるのでありますが、国内の物資についての問題になりますと、どうも検査制度の確立がないものは、組合の運営上にも非常に困るという事実を私どもたくさん知つておりますが、さらにそういうことばかりでなく、製品の統一の上からいつても困るのであります。何か法的措置を講じて、組合の運営、品物の統一の上から考えても、どうもそういうことをやつて行くべきではないかというふうに考えられるのですが、この点法的措置を何か講ずるようなお考えを今持つておられるのでありましようか、どうですか。
  39. 谷敷寛

    谷敷説明員 組合法七十條の事業の一部としまして、検査に関する事業というのが入つておるわけでありまして、ただ強制的にやらないというだけの問題であります。しかしこれは各組合の定款で組合員は検査については全部検査を受けるのだという定款をおつくりになればさしつかえないと思います。中小企業庁といたしましては、これ以上に検査を強制するような方向へ持つて行こうという考えは今のところございません。
  40. 細田榮藏

    ○細田委員 わかりました。  次に信用協同組合のことでありますが、今大蔵省の免許を受けておる市街地信用組合の変形をしたもの以外の組合で、全国的にどのくらい免許になつたものがありますか承りたいと思います。
  41. 谷敷寛

    谷敷説明員 信用組合の総数だけは、七月一日現在で六百二十になつておりますが、そのうち市街地信用組合の変形したものの数は、ちよつと今手元にございません。
  42. 細田榮藏

    ○細田委員 前国会のおしまいにも、免許申請の出ておるものは、極力早く許可するようにということを決議いたしたくらいなのでありまして、出ておるものについては、許可を進めておると考えられますが、ただ三百名以上という一つの範囲がございます。それは大きなものはけつこうでありますが、しかしもう少し小さいものをつくつたらいいじやないかという要望が、相当あるのであります。この点について、何かお考えになつたところがありますか。
  43. 谷敷寛

    谷敷委員 ただいまの御指摘の点につきましてはまつたくその通りでございまして、非常に免許基準が高いので困るという要望が多いわけでございます。中小企業庁といたしましては、大蔵省と連絡をとりまして、その点については、なるべく早い機会に改正の措置をとりたいというふうに考えております。
  44. 細田榮藏

    ○細田委員 それではなお信用組合についてお伺いいたします。今の信用協同組合では自己資金だけで、あの範囲内で貸出しをしておるということだけで、まことに機能の発揮がほんとうでないと思うのでありますが、これに対してぜひ商工中金なりから特別の融資、すなわち再割引をするとか、何か貸出しの方法が考えられる必要があると思うのですが、これに対しては何か具体的な事実がありますか、どうですか、承りたい。
  45. 谷敷寛

    谷敷説明員 現在のところでは、臨時国会に提出されますはずの信用保險基金に関する法律、この保險によりまして貸出しを円滑にしようという対策が進められておりますが、そのほかの点につきましては、さしあたつて具体的な問題はございません。
  46. 細田榮藏

    ○細田委員 今商工中金の実情を拝見して見ますと、一応商工中金の機能がまだほんとうに鈍いのじやないかという気がいたします。債劵発行の機能も與えられておりますので、もう少し大蔵省預金部の方で十分債券を引受けてもらう。そうして積極的にその方面に一層力を注いで行かなければならない。どうも鈍いような気がいたしますが、その点はどうですか。
  47. 谷敷寛

    谷敷説明員 商工中金の仕事は、実はちよつと所管が違いますので私は詳しく存じませんが、最近は御指摘のように債券の消化状況があまりよくないというようにも聞いておりますので、これは何らか今お述べになりましたような方法をとる必要があると考えております。
  48. 細田榮藏

    ○細田委員 それではさらに農協の問題に参りまして、農業協同組合の役員の任期が短か過ぎるということを所々で聞きますが、私も同感に思うのです。この弊害相当あると思いますが、これは改正される意思がございますか。
  49. 平木桂

    ○平木説明員 ただいまの御指摘の点につきましては、私どもも同感に存じておる面がございます。次回の国会には改正の措置をとりたいということで、関係方面ともいろいろ打合せしております。
  50. 細田榮藏

    ○細田委員 農協についても準組合と組合員と、二つにわかれておりまして、理事になることは準組合員でもできますが、理事長になることはできない。こういうことからしてたいへん不便しておるということを、かなり聞いておるのでありますが、この点はいかがですか。
  51. 平木桂

    ○平木説明員 ただいまの法律では準組合員も理事に選ばれました以上、組合長になることはさしつかえないことになつております。ただ組合がその定款をもちまして準組合員から選ばれておりますれば、組合長の指名ができないというような定款を自主的に設けておる組合が多いようですが、法律上は制限されておりません。
  52. 細田榮藏

    ○細田委員 各府県ともやや実情が似ておるように思うのですが、優良なものは半数以下で、末端の農業協同組合についてはきわめて薄弱なものが多い。こういうことで、これは対策協議会を開かれて一応の切拔けをなすつたということを聞いておりますが、それだけで他に何らかの方法が講ぜられないと、なかなか問題の解決ができないと思いますので、何かこの切拔け方についてお考えになつておるかどうか、伺いたい。
  53. 平木桂

    ○平木説明員 農業協同組合が昨年の暮れから本年の春にかけまして、経営が非常に困難になつたことがかなり大きな問題になりまして、新聞紙上あたりには非常に誇大にまで報道されたわけでありますが、これは事実であつたのであります。そこでこの春以来農林省におきましても、中央の各機関とともどもに、この農業協同組合の経営の刷新対策につきまして、いろいろ処置をとつておるわけであります。お話のように経営対策協議会を中央地方に設けまして、個々の組合の経営刷新に関する具体的な指導をやつて参りましたが、同時に制度的には協同組合の経営を健全ならしむる意味合いから、協同組合の債務の処理に関して一つの基準を設ける。同時に協同組合の経営を健全ならしめるようにして行くために、これに検査を施行するというような建前をとることにいたしまして、第六国会で法律の改正をお願いいたしたのでありまして、それに基いて検査を実施いたし、またその債務処理を適正ならしめるための基準を、政令をもつて定めることにいたしたのであります。なおそのほかに、さらに金融措置といたしましては、この春以来特に農村における資金の端境期を突破するための措置といたしまして、ことに農林中央金庫を中心に、單位組合の貯金の拂いもどしに支障を来さないような処置をとつて参りました。さらにそのようにいたしましても、なおかつ経済界の急激な変動等によりまして、固定し、にわかに流動化することの困難な資金に対しましては、これを流動化するための措置をとりたいと思つております。今後におきましては農業協同組合に対しては、もつと経営を健全ならしめるために必要な、資金的な措置を講ずる必要があるということで、その準備をいたしております。
  54. 細田榮藏

    ○細田委員 農協の資金対策については、肥料の問題が大分重要な問題になつておりますから、その面に重点的に農林中金の問題が行われて参りますために、ただいまのように、預金拂いもどしというような内容の事柄に対する積極的な方法が講ぜられないのではないかという、非常な危惧を持つておる点があるのですが、こういうことは何か預金拂いもどしに対する問題とは切離して、別に農林中金なら農林中金をどうするか、かなり大きな額のものが全国的にこげついておるわけでありますから、そのこげついておるものに対して、預金の拂いもどしが起つた場合の対策については具体的な問題があるかどうか、その点を承りたい。
  55. 平木桂

    ○平木説明員 預金の拂いもどし資金の融資ということは非常に重要なことでありまして、一般的に申し上げまして、これは申すまでもないことでありますが、金融機関から資金を流します限りにおいては、そのものがやはり金融ベースにのつとることを要求されるわけであります。従つて中央の機関といたしましては、拂いもどしに必要な資金を融通するための資金源の確保ということについては、遺憾なきを期しております。同時にその確保された資金が必要な部面に十分流れるためには、その対衆たる組合が金融を受け得るような態勢を、すみやかにとることが必要でありますので、そういう意味合いにおきまして経営対策協議会で、この春以来そのような組合に、特に重点的に指導をいたしまして組合の再建計画を樹立いたさせまして、少くとも金融の対象として、これらの資金を流し得る態勢を整えるということをやつたわけであります。その結果とも申すのでありましようが、この三月当時におきましては、農村の資金の端境期であります六月、七月は、貯拂いの停止ないし制限に至るであろうという組合が、三千程度に達するのではないかということさえ懸念されたのでありますが、幸いにいたしまして当時の開きがだんだん減少いたしまして、貯拂い停止、組合あるいは制限組合の発生が急速に進んで、いわゆる農業協同組合の事務に支障を来すということは免れたわけであります。今後におきましても、一層組合の経営の健全化をはかりますと同時に、組合に対して必要な資金を融資するような資金源の確保ということには、十分力を盡して行きたいと考えております。
  56. 細田榮藏

    ○細田委員 今の農業組合の組織から見ますると、県の連合会なども幾つにもわかれておりまして、そうした点については、経営上からも経費のかさむ点も非常に多いと思うのであります。なおこれらのことについて何か改正なさる御意思がございますか。
  57. 平木桂

    ○平木説明員 御指摘のように、農業協同組合連合会、特に府県区域の連合会におきましては創立当初いろいろ特殊の事情がありまして、行政方針をもつてこれを機能別に分離せしめることになつたわけであります。その結果といたしまして各県におきましても、各種の連合会が事業別に設立いたされました。しかしその後この当初の方針は漸次緩和されることになりまして、去る第六国会における法律の改正と同時に、今までの連合会における事業の兼営禁止の措置を解除いたしまして、最近になりましてぼつぼつと連合会の統合合併が開始されております。もうすでに今仰せられましたような措置とつたわけでありまして、その結果によりまして、現在具体的に連合会の統合が進められつつある事情であります。
  58. 細田榮藏

    ○細田委員 さらに農業協同組合は、今までの農業会の変形による協同組合が、多く各單位組合としてできておるのでありますが、従来の農業会は、実行組合のようなものを下部組織として持つていたわけでありますが、そういう下部組織のようなものにかわる一つ機関を備える方がいいかどうかという意見もかなりあるようであります。そういう点について何か法的な措置をお考えになるとか、その対策をお考えになるといつたようなことがありますかどうか。
  59. 平木桂

    ○平木説明員 村の協同組合がその事業を活発に行つて行きますためには、何と申しましても組合員との密接なつながりが保たれなければなりません。そのためにはやはり部落的な組合員の結合というものがその中間に介在いたしますることが、きわめて適切であるわけであります。そのようなことから産業組合あるいは農会におきましても、部落的な組合というものが、その組合と町村的な組合との間の結節点になつてつたわけであります。農業会時代にもそうでありましたが、農業会時代には、実は特別な理由をもちまして農事実行組合というものが存在いたしましたが、法的には農業会とつながりを持つことは禁ぜられておつたのであります。具体的に申しまするならば、町村の農業会の会員として実行組合が加入することは禁ぜられておつた。それはそれといたしまして、新しい農業協同組合におきましても、おのずからそういう部落的な組織というものは組合活動の基礎の組織として確立されることが望ましいという考え方はとられております。現に個々の組合におきましても、部落的な何らかの機構を持つておると思います。しかし別にそれを制度化するということは今日のところ考えておりません。考えておりませんけれども、私どもといたしましては、部落的な組合——これは法人格を持たない任意組合でもよろしうございますし、あるいは法人格を持つた小規模な農業協同組合という形でもよろしいのでありますし、あるいはまた組合の支部という形でもよろしいのでございますが、何らかの形において部落的な結節点というものが形づくられ、それが組合と組合員との間にあつて、活発な活動をすることを期待しておる。またそのように奬励もしておるわけであります。
  60. 細田榮藏

    ○細田委員 農業協同組合のことにつきましてはその程度にいたしまして、漁業協同組合のことについてお伺いいたしたいのですが、これまでの漁業権の問題が大分むずかしい問題であると思います。従来の漁業権がどんな状態になつておるか、それを詳細に承つてみたいと思います。さらに従来の漁業権を整理するとか、また何かの改革をする必要があるのではないかというようなことが考えられるのでありますが、何かそれらについてどういう措置を講じておられるか、その点を承りたいと思います。
  61. 曽根徹

    ○曽根説明員 漁業権のことにつきましては、先般新しい漁業法が施行されまして、本年より来年の二箇年にわたりまして、旧漁業権は全部取消しをすることになりました。二箇年後にただいまの漁業権を御破算にいたしまして、新たに漁業権を免許し直すという、新しい漁業法が目下施行されておるわけであります。旧来の漁業権はただいまのところ漁業会がそれを管理しておるわけであります。漁業会は昨年の十月十四日に経済行為は禁ぜられたわけでありますが、漁業権を持つているものは清算に入るわけには行かなくて、漁業権を管理してなお残存しておるわけであります。二箇年後にはこの漁業権が全部取消しになりますので、それと同時に漁業会は清算に入るわけであります。新しい漁業権におきましては、今までの漁業権とは全然関連なく、漁業調整委員意見によりまして、新しく漁場計画を立てまして、その漁場計画のもとに漁業権を免許されるわけであります。その際に協同組合は従来の專有漁業権に似ておりますが、それよりも幾分範囲を小さくされました。ごく地付の——簡單に御説明いたしますれば、貝類とか藻類とか、——てん草のようなもの、貝のようなもの、ごく小さい定地漁業のようなもの、こういつたものを含めまして協同漁業権と申しておりますが、この協同漁業権に関する限りは、協同組合が、組合でその協同漁業権のおおいます漁場を管理するという立法になつております。協同漁業権のみは協同組合以外は免許されないわであります。その他の漁業権につきましては、協同組合が自衛する場合に、最も優先されて免許するというような方針のもとに立法されております。それは二箇年後に調整委員会意見によりまして、協同組合もしくはその他のものに、これが免許されるという運びになつております。
  62. 細田榮藏

    ○細田委員 どうも漁業協同組合は、部落的な小さい組合が非常に多いので、従来の漁業権を引継ぐ場合についても、非常に困難があるのではないかというようなことも聞くのでありますが、さらにいろいろの港湾施設であるとか、漁船、漁網というような面で多少の資本がいるが、それがどうも部落的なものでは小さ過ぎるではないか、それがために非常に困難があるのではないか。それに特にああいう投機的なことですから危險負担も多い。そういう点についても弱小組合では非常に困るのではないか、こういうことがいわれておりますこともしばしば聞きますが、そこでそういう点について実はどんな実情になりつつあるかの見通しなどを伺つてみたいと思います。
  63. 曽根徹

    ○曽根説明員 ただいま漁業協同組合は部落組合であるというような御意見、まことに私も同感に存ずるのであります。全国の平均が百八十七名かになつておると思います。一年後の統計によりますと、その二百名以下の組合が半分以上に及んでおるというふうに記憶いたしております。そのような小さな組合であるということは、経済上からも現在非常な困難に当面いたしております。将来もこれが漁業協同組合の最も当面する問題だと考えております。しかしながらその発達の経緯から考えまして、御承知のように非常に辺鄙な突角であるとか、あるいは非常にうしろの切り立つた山のところに点々と点在する部落の、ことに船のつけやすいところに部落の密集したというようなところから、そういう団体が発生しておりますので、農業協同組合もしくは中小企業と違い、その地域的な関係は、非常に特殊的な形態を持つております。なおまたところによりますと、根拠地というふうに漁港に制限されております。そういうような事情からただちにこの部落的な性格を解消するということは困難かとも思います。しかしながら経営上の問題等からは、当然これがだんだん併合されて行くべきものと私どもは考えておるわけでありますが、ただいまのところ、まだこれが併合されて、大きな組合になつて行くというような傾向は顯著には現われておりません。
  64. 細田榮藏

    ○細田委員 どうもそういうふうに小さくなるものは、これは地域的にやむを得ないといたしましても、もう少し漁業協同組合というものに力をつけて参りませんと、その経営も非常に困るのではないかというようなことも考えられるのです。さらに農業方面などに対しましては、政府も非常に助成をいたし、地方自治体としても援助をいたして参つたのでありますが、しかし漁業の方面に関しては、幾らか閑却されておる感じがあるのではないかということを一応耳にするのでありますが、これらについてぜひ助成をして行く方法について、何かやはりお考えになつておりますかどうですか。
  65. 曽根徹

    ○曽根説明員 従来の漁業協同組合もしくは漁業会当時でありますと、その共同施設、たとえば魚揚場であるとか、あるいは製氷場であるとか、そういう共同施設につきまして、政府の助成金が相当つたわけであります。しかしながら目下のところ政府の助成によるそういう共同施設は、各般の経済事情から行われがたいのであります。将来国家の財政事情が許すならば、漁業協同組合のそういう経済的な欠陥を補つて政府の適当な助成があつてしかるべしというふうに、将来の国家の財政が好転することを期待しておるわけであります。
  66. 細田榮藏

    ○細田委員 いま一つ伺いたいことは、この漁業会の方に漁業権は全部移つてしまつて、個人的に漁業権をお持ちになつておるというものが今はないのでございますか。
  67. 曽根徹

    ○曽根説明員 全般的に申しますと、七八%であつたかと思うのですが、漁業会が保有しておりまして、残余は個人が現在のところ保有しております。
  68. 細田榮藏

    ○細田委員 そういたしますと、個人で漁業権をお持ちになつているということになりますならば、今後協同組合以外の漁業権が持てないことになると、その個人の漁業権は投資の形か、あるいは貸與の形か、あるいは讓渡の形において、全部これは協同組合に移管されるもののようにも考えられるのですが、そういうものについては資金的にはどうなのですか、また実情はどんな状態になつていますか。
  69. 曽根徹

    ○曽根説明員 ただいまの漁業権に二箇年後には全部御破算になるのでありまして、新しく漁業権が免許される、その場合にそれを直接経営することが第一の要件であります。従いまして協同組合といえどもそれを組合が経営しない場合には、その免許は得られないわけです。個人でも当然それを経営する者につきましてはこれが免許されるわけでありますが、しかしながらその免許される場合には、その漁村の地域的な地元関係を最も重視いたしまして、一方法律にはこまかい優先順位が規定されております。それによりまして免許されるのでありますが、その際に協同組合が自営する場合、最優先されるのであります。共同漁業権の方は、これはごく漁村の地つきの問額でありますので、これの管理は調整委員会にはまかせないで、協同組合が組合管理をする。これはごく小範囲の漁場の管理でありまして、一般的にはただいま御説明申し上げましたように、その経営する者は免許する、従来のように漁業権は賃貸は許されないというのが新しい法律改正の最も大きいものであります。
  70. 細田榮藏

    ○細田委員 最後に生活協同組合のことをちよつと承りたい。だんだん統制が解除されて参りまして、ことに最近の状態では、物資が非常に豊富になつて参りました関係上、生活協同組合というものは特殊な生活協同組合で、何か事業でもやつておるような協同組合以外には、どうも活発なる動きはないのではないかというようなものにも考えられるのであります。ことにまた生活協同組合を悪用すると申しますか、そういうふうな点について、まことにおもしろくないものが、相当全国的にあるものではないかと思うのですが、こういうものに対して今どういうふうに見ておりますか承りたい。
  71. 越田得男

    ○越田説明員 ただいまの御質問に対しましては、終戰直後のやみ値が横行しておりましたときに比べますと、今日のごとくにだんだん物価が安定して参りますと、今までほど、特に生活必需物資の配給などにつきましては、組合の魅力がやや減つたという感じはあるかと見ております。しかしながらこの生活協同組合というものは、すでに明治三十三年の産業組合法に始まるのでありまして、また国際的に見ましても、イギリス、デンマークなどには、非常に活発に行われておるのであります。従つてこの戰争の前後の、いわゆるインフレのときにのみ生活協同組合の必要性があるという考え方は成り立たないと考えております。ただ問題は、やや物価が安定して参りますと、生活協同組合の経営の方針が、幾分変更されることにはなると思います。たとえば終戰直後のやみ値の横行しておりましたときには、生活必需物資を安く提供するということが、最も組合員に喜ばれたことでありましたから、その方に重点が置かれておりましたが、今日のような情勢になりますと、そうしたこと以外に共同の利用施設、たとえば浴場とか、理髪店、あるいは小さな診療所を経営するとか、そういつた方面に、相当な重点を置いて経営をして行くこととなると思うのであります。なお全国的に、あまり芳ばしくないという生活協同組合が相当できて来ておるのではないかというような御質問でございました、この点につきましては、われわれも多少そういうことは耳にいたしておりますが、これについては直接の指導監督官庁たる各府県において、または二府県以上にまたがる組合につきましては、厚生省において十分注意しておりますので、そういつたものは、今後はびこつて来るという懸念はないと考えております。
  72. 細田榮藏

    ○細田委員 これからはびこるということはないのですが、従来看板だけ掲げて、ほとんど大したこともしてないじやないか、またそれをある特殊な方面にだけ利用しておるんじやないかというような考え方をされる組合を、しばしば見受けるように私ども思いますが、そういうものについては、十分な監査とか、指導という面について、今何かお考えになつておりますか。
  73. 越田得男

    ○越田説明員 ただいま御指摘の通り、こうした弊害を除く最も適当な方法は、監査とその実際経営の指導であるとわれわれも考えております。監査につきましては、何分この法律施行後、ことしの十月でようやく二年になりますので、今まではややその点を控えておりましたが、ことしの初めから各府県とも連絡いたしまして、監査を嚴重に行うようにいたしております、また経営の指導という面につきましても、專門家、組合経営について、相当知識を持つておる人々を動員いたしまして、各府県あるいは厚生省において経営の指導をいたしております。
  74. 細田榮藏

    ○細田委員 どうも生活協同組合は、もとから奉仕的な仕事のような形になつておるために、経済内容が充実しておらないところがずいぶん多いために、大きな消費の面なんかを契約をしようということになりましても、おそらく生活協同組合は信用ないと思う。そういう点について、そういうふうなものをもつと強力に推進するというようなことを財政的にお考えになつておりますか。
  75. 越田得男

    ○越田説明員 世間的な信用、従つてその根本たる組合の内容ということについて、もつとこれを促連向上させる方法が必要であるということにつきましては、ただいま仰せの通り、われわれも同感でございます。特に産業組合から組織変更して参りました組合は、相当歴史も古く、内容も充実したりつぱなものがございますが、最近新しい法律施行後に生れました組合には、まだ経験も浅く、内容もそれほどでないものがございまして、これらが世間に対する生活協同組合の信用を、相当悪くしておるとわれわれは考えております。これが充実の方法として、財政的な面につきましては、特に助成金というふうなものは、今のところ考えてはおりませんが、金融の面につきましては、もう少し何とか道をはつきりしたいということをいろいろ考えております。この生活協同組合は、ほかの協同組合と比べまして、金融の道において最も不遇な状況にありまして、たとえば農林中央金庫というようなプロパーな金融機関をお持ちになつておられる農業協同組合や、水産組合とも違うし、あるいは商工中金をお持ちになつておられる中小企業等協同組合とも違うし、プロパーな金融機関としては何にもないのであります。これはわれわれといたしましても、まことにまずいことであると考えておりまして、いろいろ対策を内部で研究いたしておるのでありますが、今のところは、プロパーな金融機関を設立するというようなところまでにはまだ参りません。ただ、そこまでには至りませんが、手がかりの道といたしましては、国民金融公庫と種々折衝いたしまして、これが本支店、代理店を通じまして、生活協同組合の堅実なものに対して貸付をする。それから中小企業等協同組合法によるところの信用組合を、生活協同組合並びに労働組合が集つて設立する。そうして自分たちの金を預け入れるとともに、必要なときにはこれから金融を受けるという道を、いろいろ奬励しております。これは通産省並びに大蔵省ともいろいろ関係の深いものでありますが、生活協同組合並びに労働組合が設立する場合につきましては、厚生省も大いに関係がございますので、関係方面にもお願いをいたしまして、これが設立を促進しております。現在岡山県にはすでにでき上つておりますが、その他兵庫県ほか二、三府県にもこの準備が進められております。そのほかに幾つかの金融の道をいろいろ考えておりますが、まだここで申し上げるほどのはつきりした結論にまでは達してはおりません。
  76. 細田榮藏

    ○細田委員 中小企業庁の問題について……いろいろの話を私ども聞きますが、組合の取扱いについても、一番問題である資金面のあつせんというような問題については、おそらくタツチしておられないじやないかというふうに思いますが、その点はいかがでございますか。
  77. 谷敷寛

    谷敷説明員 中小企業協同組合につきましては、商工中金というのが、大体親系統の金融の形になつておりまして、組合金融につきましては、主として商工中金を通じまして金融をするように、いろいろあつせんをやつております。
  78. 細田榮藏

    ○細田委員 それはもとよりその通りでありますが、それに対してもう少し中小企業庁としては、積極的な態度であつせんする方法なり、あるいは指導なりの面をやつて然るべきではないかというふうに考えられるのですが、その点どうですか。
  79. 谷敷寛

    谷敷説明員 中小企業庁といたしましては、商工中金は、大蔵省と中小企業庁の共管にありますので、中金に対しては相当強力に指導はいたしております。
  80. 細田榮藏

    ○細田委員 大体この程度で終ります。
  81. 多田勇

    多田委員 時間がありませんので、中小企業協同組合法について三つだけお伺いしたいと思います。  第一に、先ほど細田委員から質問がありました組合の資格の問題ですが、商業では二十名、工業では百名ということを一応基準にしておりますが、それ以上のものでありましても、特に以上のものを加入させてはならぬということでなしに、加入させた場合には、公正取引委員会に届出をして、公正取引委員会がそれに対して判定をするというような取扱いをしておりますが、もし公正取引委員会がそれに対して、中小企業等協同組合法による組合員としては、大企業であるというような判定を下しました場合には、その組合が設立されました当時までさかのぼつて、その組合の活動に対する制約が加えられるように聞いておりますが、そういたしますと、結論におきましては、協同組合法で規定されております使用者の数を越えるものは協同組合にすることが、実際問題として不可能だというような結論になるのではないか、こういうように考えております。そういたしますと、現在できておりますいろいろな組合の実情を見ますと、使用人で制限されました場合には、組合活動が非常に困難になるというような組合、あるいは組合の結成の目的を達することが困難だというようなものが相当あるように聞いておりますが、これらにつきまして、先ほど何らかの措置をとるために、公正取引委員会を交渉されているというようなお話でございましたが一応組合を設立いたしました当時の組合員が、その基準以上の人が入つておりましても、もし独占禁止法に反するような形のもの、いわゆる独禁法二十四條の第一項によるところの、中小企業の相互扶助を目的とした組合でないというような断定を下されました場合でも、その組合員の排除措置を講ずるという程度で、その組合活動の過去にさかのぼつて処置をするようなことのないような措置を十分考えられて、交渉していただくようにお願いしたいということと、それに対するお考えを伺いたい。  第二に連合体の問題でありますが、一応連合体の活動の範囲としましては、商業にありましては、通産局の範囲を区域にいたしておりますが、中小企業者をもつて組織いたしました協同組合の連合体の活動に対しまして、通産局の区域を一つの区域として線を引かれたという趣旨がどうもはつきりしていない。中小企業者の組合である以上は、その連合体でありましても、全国的な連合体でありましても、同じように同一の扱いをすることが当然じやないかというように考えておりますが、それに対して中小企業庁としてどういうような考え方を持つておられますか。  第三の点は、企業協同組合の課税の問題でありますが、現在企業協同組合に対する課税が組合員の取得といいますか、それに対して勤労所得でなしに、事業所得というような見解を取つているように聞いておりますが、そういたしますと、せつかく企業協同組合をつくりましても、税の問題で非常に大きな負担を背負わなければならぬというようなことになりますと、企業協同組合をつくりました趣旨にももとると思いますし、企業協同組合の存立価値がないというような極端まで現在出ておるのでありますが、この企業協同組合に対する課税の問題について、中小企業庁はどういうような考え方を持つておられるか。  その次には信用協同組合の問題でありますが、信用協同組合につきましては、いろいろ立法当時にも問題があつたのでありますが、最近聞くところによりますと、信用協同組合については中小企業等協同組合法から切り離して、新しい一つ立法的な措置を講ずるというような考えがあるやに聞いておりますが、そういつた考えがあるかどうか、その見通し等について、簡單でけつこうですからお答え願いたい。
  82. 谷敷寛

    谷敷説明員 第一点につきましては、百人を越える従業者が入つている場合に、それが大規模事業者公正取引委員会が認定される可能性はあるわけでありますが、現在のところまだ公正取引委員会は、大規模事業者であるという審決をやるまでに立ち至つた事例はないのでございまして、今後起つて来るだろうと予側されますので、われわれの方といたしまして、公正取引委員会と連絡をとりまして、百人以上であつても、業種なり事業内容というものによりまして、一定の基準のようなものを——事務的な審査基準のようなものをつくりまして、この基準によりまして、公正取引委員会に、ある程度判断していただくようにするというふうに考えまして、ただいまいろいろ折衝中でございます。  第二の連合体の事業の制約の点でございますが、これは一応広い地域にわたります連合会に、経済事業を認めるということは、独占禁止法の精神と相反するのじやないかというような意見がありまして、一応連合会の事業の制限が立法化されたわけでございますが、この点は、お説のように中小企業体であるならば、連合会だからといつて制限するのはおかしいじやないかという意見相当ございますので、この点の改正をするのが妥当であるかどうか、ただいま研究中でございます。  企業組合の課税の問題につきましては、国税庁といろいろ折衝をいたしておりますが、ようやく国税庁との了解点に到達しまして、近く国税庁から税務署に対して、正式の取扱い通牒が出まして、企業組合であつても、真に組合員が組合に解け込みまして、一体となつて事業をしているような企業組合につきましては、その組合員の受ける給與について、これを一定の基準によりまして勤労所得として取扱うというふうに話がつきましたので、この線によりまして、われわれとしても今後指導して行くつもりでございます。  最後に、信用組合の問題でございますが、これは大蔵省側といたしましては、中小企業等協同組合法から切り離そうと考えておりますのは、市外地信用組合的な性格を持つた、いわば專門の金融機関に近いような大規模の信用組合を切り離そうというふうに考えているようでございますが、小規模の信用組合につきましては、これも切り離そうというような考えはないように聞いております。結局小規模の信用組合は中小企業等協同組合法から切り離さないことになるだろう、こういうふうに考えております。
  83. 多田勇

    多田委員 ただいまのお話大体わかりましたが、ただ協同組合の資格の問題ですが、なるほど新しく中小企業等協同組合法によつて設立された、あるいは組織変更になりました組合に対しては、公正取引委員会が正式にこれを取上げ、これに対して排除措置とつたというような事例はないようであります。しかし現実の場合には、中小企業等協同組合法が公布になりまして、一応の暫定期間があつたのでありますが、その期間において商工協同組合法によつて組織されました組合のうち、大阪の砂糖卸売組合及び山梨の菓子の組合等は、中小企業等協同組合の組合員になる資格を持つていない者を組合員にしているという断定のもとに、審判が開始され、それに対する排除措置が決定され、特に山梨の組合のごときは、解散命令まで出ておる事実があるのでございますので、その判定の基礎になりますものは、中小企業等協同組合法によるところの組合員になる資格のない者を組合員にしておるという事実を取上げまして、従つて独禁法二十四條の中小企業、小規模業者団体でないという断定、あるいは団体法の適用除外でないという断定を下されまして、非常に排除的な措置を講じられている事実がございますが、今後そういつたことになりますと、せつかくできました中小企業等協同組合が完全に発展するということに対する大きな障害となりますので、その点十分に公正取引委員会と打合せの上で、中小企業協同組合の発展のためにお骨折りを願いたいと思います。  なお連合体については、農業協同組合あるいはその他の組合が全国的な連合体を持つて活動されておる——独禁法の精神に反するという心配はあるかもわかりませんけれども、他の協同組合が全国的な連合体を持つておる。なお中小企業等協同組合におきましても、連合体については地域の制限はついておりまするけれども、組合については地域的な制限を認めておるというような事実も現実にありますので、連合体に対する措置につきましては、單に研究するというのでなしに、中小企業庁としては、中小企業が今後発展するためにも、どうしても強力な全国的な連合体が必要であるという現実を、十分御調査、御認識願いまして法的措置を講ずるための努力をしていただきたい。  いま一つ、課税の問題でありますが、事業協同組合につきましても、最近出先の税務署等では、事業協同組合の利益に対しまして、組合員の利用率によつて還元しますところの利益に対しましても、これは当然組合の利益である、あるいは利益配当であるというような見解のもとに課税を行つておるという傾向があるやに聞いております。そうなりますと、せつかく課税の面で優遇的な措置とつたところの協同組合の精神にも反しまするので、そういうことのないように十分に各省と連絡の上、御処置願いたい。  最後に、中小企業庁は、団体法あるいは独禁法、いわゆる公正取引委員会との連絡がどうも薄いというよりも、団体法を強化する線に動いているというような感じがいたしておりますし、団体法の緩和等についても、どうも積極的でなく、むしろ消極的だというような印象を一般に與えておりますので、これらの点についても、十分中小企業あり方等について検討されまして、單に中小企業等協同組合法の問題だけでなしに、それに関連のある各種の法律等についても十分検討して、中小企業者が生き得るような道、それを阻害するようなものを排除するための努力をひとつ御心配願いたい。この点をお願い申し上げまして私の発言を終ります。
  84. 森山欽司

    ○森山委員 農協の問題についてお伺いしたいと思います。最近肥料商の復活ということがあるのでありますが、その一例といたしましても、商業資本の農協に対する攻勢は、今後相当激化して来ると思うのであります。それにつきまして、農地開放と並んで協同組合法が実施され、またその趣旨から考えまして、今後の商業資本の攻勢激化というものは、農業協同組合の存立の基礎である経済基礎を、相当脅かす可能性もあると思います。そういうことと、最近の農村の経済的に苦しくなつてつた事情等とをにらみ合せて、最近の商業資本の攻勢によつて、農協の今後がどういうふうになつて行くかという、大よその見通しと、政府がそれについてどういうような対策をお持ちになりますか、ちよつとお伺いいたします。
  85. 平木桂

    ○平木説明員 従来、農業会以来、農業協同組合の段階に入りましてもそうでありますが、肥料については一元統制が行われている関係で、これはまつたく組合がいわば独占的な取扱いをやつてつた。今回肥料の統制が撤廃されますると、当然そこに他の業者の方々も、肥料取扱業者として加わつて来られるわけでありますが、そうした事態をもつてただちに商業者の攻勢によつて協同組合が後退しつつあるということを言わなくてもいいのではないかと私ども考えておるわけであります。問題は協同組合が農民に対して真に必要な肥料を一般配給し得るというような態勢を確立することが必要なのでありまして、そのためにこそ、今まで統制下にあつて一元的に與えられておつた肥料の配給権を維持するということに汲々することなく、業者が肥料の取扱いをいたしましても、業者以上に農民に対して有利な肥料の配給をなし得るような経営をやつて行くように、従来の統制下における経営管理を根本的に改めて、いわゆる自由経済下における協同組合としての本来の機能を発揮し得るようにし向けて参りたいということで、指導しておるわけであります。その間におきまして、協同組合側においても、特に肥料につきましては、農民の最も重要な生産資材でありますので、協同組合は最近その経営不振を唱えられておりますが、肥料だけは農民の不利益のないように配給してもらいたいということで、この夏以来、肥料取扱業者の経営の合理化について、十分な措置をとつて参りました。協同組合系統の全組織をあげて、この肥料の合理的な配給がなし得るような態勢が確立し、目下着々とその方向に進んでおるわけであります。しかしながらまた他面におきまして、協同組合は主として農民の必要とする重要物資の取扱いについては全力をあげますけれども、従来のように何から何まで農業協同組合が扱うというような考え方は、この際改め、真に農民に必要な事業を、重点的に行うという意味において、今まで取扱つておりました物資の取扱いは、むしろ業者にこれをまかせるといつた方がいいのではないかというようなことを考えまして、いわば協同組合における事業の取捨選択ということについても、これが適正に行われますように指導しているわけであります。従いまして、形の上での後退は、必ずしも農業協同組合の本来の機能の喪失ということを意味するものではないというふうに考え、そのように指導しておるわけであります。
  86. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にて散会いたします。     午後一時二十分散会      ————◇—————