○
多田委員 事業者団体法に関する
調査の結果について
概要を御報告申し上げておきます。
ただいま
森山君から、
ウエルシユ氏の話としまして、
団体法を改正しようというような意図を持つ者は、知識のない者か、あるいは誠意のない者であるというようなことが言われてお
つたというような
お話がございましたが、福岡、名古屋、
大阪の三経済都市を
中心にしまして、いろいろ意見を聴取しました結果は、ほとんどの
団体の意見、経済人の意見が、
事業者団体法を廃止もしくは改正すべきであるという意見に一致しておるのが現実でございます。第七国会以来懸案とな
つております
事業者団体法の改正に関しましては、御
承知の
通り、本
委員会の起案にかかります改正案が有力筋の了解を得られなか
つたために、
委員会としましては、第八臨時国会においても継続して資料の收集をいたして参
つたのでありますが、去る八月初旬、
大阪、福岡、名古屋の三都市におきまして、商工
会議所を
中心に
関係団体と懇談会を催しまして、その意見を聴取して参りましたので、ここにその
概要を御報告申し上げたいと思います。
まず
大阪における懇談会の
概要から申し上げます。少し詳細にわたりますことは申し訳ございませんが、いろいろの
ケースを一応
お話申し上げたいという
意味で、詳細にわたることをお許し願いたいと思います。
大阪では八月四日に
大阪商工
会議所におきまして、商工
会議所主催のもとに、関西経済連合会以下二十
団体の参加を得て懇談会を開いたのであります。私から経済安定
委員会において今月まで努力して参りました
事業者団体法改正に関する経過を御報告いたしまして、参加各
団体の参考に資しました上、
団体法に関する懇談会参加者の忌憚のない意見を聴取いたしたのであります。そのおもなる意見の要旨は次の
通りであります。
まず関西経済連合会の意見としましては、貿易
業者の問題につきましては、独禁法並びに
事業者団体法では、わが輸出
関係業者や
団体が、貿易価格の協定や、生産販売の数量協定、あるいは技術、製品、販路、顧客の制限などの行為を禁止されておるのでありますが、海外
業者は事実上協定して取引しておりましたために、協定のできないわが国の輸出
業者がダンピングの非難を受けるという問題が起
つておるのであります。このために経済自立の重責を持つ輸出産業は、大きな痛手を受けるだけではなく、国際的には海外
業者に迷惑を及ぼす結果が生じて来ておる現状であります。よ
つてわが国の貿易伸張を阻害している一要因であると思われるところの
団体法第五条を改正して、海外市場の
割当協定あるいは価格、数量の協定ができるようにしてもらいたい。また輸出業法の制定を望んでおる。なお価格協定や市場
割当協定ができないために、いかに不利な貿易をや
つているかは、次のいろいろな事例が
はつきりと示しておるというようなことで、いろいろな例をあげられております。その例の第一としましては、機械の輸出について、たとえばインド、パキスタン、ビルマ市場では、アメリカ側は一流
会社が市場協定をしているらしく、電機の売込みにしましても、パキスタン市場には、国際入札の場合一社しかオフアーがない。ところが
日本側は一流
会社と貿易商社が同じ商品を
競争で売り込むので、三つの商品に十五のオフアーを出した実例があ
つたのであります。これでは相手国側が、
日本では機械をスクラツプなどの安物材料でつく
つているので、幾らでも安くできるのだと誤解してしまう。新市場に初めて出るのだから、秩序立
つた売込みをし、
日本全体として
競争によるむだをなくさなければならない。あるいは第二の例といたしましては、綿糸布の場合、パキスタン商社一社に対して、わが貿易商社十数社が
競争して安売し、そのため採算を割
つて売ることにもなり、海外渡航が許されて、かえ
つて不利な結果にも
なつた。また次の例としましては、シヤムの市場は小さいけれ
ども、例えばくぎの売込みにしましても、二、三十のメーカーがよ
つてたか
つて安売をする。くぎのメーカーは小規模経営なので、その当時金融的に苦しか
つたというような
事情もあ
つて、売り急いだこともあ
つたために、結局どんどん値が下
つて、最初の契約は全部キヤンセルになり、シヤム
政府は
日本商人の滞在許可をしなく
なつたという例もあ
つたということであります。さらにジヤワでは、五大蘭商が独占的に協定して商売をしているのに対して、
日本では二千人以上の
業者が無秩序に
競争しているありさまであるというような、いろいろな実例をあげまして、公益的な
事業の共同行為というようなものに対しては、
事業の性格からい
つても、ある
程度の共同行為を承認してもらいたい。次に標準的な中小企業の共同行為に対しても許容してもらいたいというような意見があ
つたのであります。
次に港運
業者の
団体であるところの港湾クラブの意見としましては、港運
業者の不当
競争が激しくな
つて参りましたので、自衛的な措置が必要に
なつた今日、不当
競争をブロツク別共同行為で防ぎたいけれ
ども、
団体法があるのでできない。これでは作業量の少いときに、大
事業者に
仕事が片寄る結果を生むから、
団体法第五条の緩和によ
つて目的を達せられるようにしてもらいたいというような意見があ
つたのであります。
次に
日本紡績協会の意見としましては、行為類型が違法になるのか、行為そのものが違法になるのか、その点を明示してもらいたい。第四条は第五条とダブるから、全面的に削除してもらいたい。第五条の禁止行為も、不当な場合に限定されたい。特に禁止を要するものは、逐次加えて行く
方法をと
つてもらいたい。対価を協定することも、公共の
利益に反しない限り認めてもらいたい。先般の独禁法改正の線まで、せめて
団体法を改正してもらいたい。国内
業者に不当な
影響を與えない限り、輸出貿易
関係業者には
団体法上特例を設けてもらいたい。紡錘が無制限と
なつた今日、ダンピングの汚名を着せられるおそれがあるから、それに備えて、国内での自主的
統制手段をとることを許してもらいたい、というような意見があ
つたのであります。
次に化学繊維協会の意見としましては、紡績
関係団体の要望には同感であること。禁止事項は一括禁止にして、行政官庁(物資所管官庁)の許容があれば何でもできるように、
団体法を改正してもらいたい。第五条第一項第一号の、
割当原案の提示などは、かえ
つて政府に便利なのだから、できるようにしてもらいたい。人絹、スフ糸の
統制撤廃後の値上りに、七月中旬ごろより上るのはおもしろくないというような建前から、売惜しみまたは思惑の介在を懸念して、自粛指令で警告されたのでありますが、今日なお策がない。現在ダンピング認定のおそれはありませんし、
団体法がなければ、値上りに備える価格操作の適切な策は立つのでありますが、
団体法があるために、いわゆるきのうも問題になりましたところの協定勧告価格といいますか、
一つの暴利取締令の一定の限界をきめるためにも、
団体法が非常に大きな阻害をしておるというような意見があ
つたのであります。
次に絹、人繊糸布輸出商同業会の意見としましては、中小企
業体が国内輸出入の両面に従事して激烈な
競争をする、現状は、公正な
競争とはいえませんし、海外市場にも悪
影響を及ぼし、信用を失墜するから、輸出
業者が相携えて海外市場を開拓し、商品の品質改善、共同施設の保有、ある
程度の輸出価格の協定等が必要であるが、これは
団体法の第五条で禁止されている。そのために貿易振興に支障を来し、時宜に適した処置がとられないから、
団体法または独禁法の
適用除外処置をと
つてもらいたい。なお
団体法による制限のために受けておる不利な点を上げると、不当
競争により輸出価格、その他取引条件を切りくずし、そのために内外の非難を受けていること。第二にオフアーの濫発による品質、価格両面の
競争が激化し、その結果、価格も品質も最低線に陥り、契約のキヤンセルされた例が、昨年のバンコツク市場のスフ、織物、インドの人絹等に起
つて、取引を阻害していること。第三に、一部の悪徳
業者のために、大部分の善良な輸出
業者が信用を落し、
日本商品の声価を落した例に、最近の人絹糸価の暴騰で、糸の手配がつかず、キヤンセルまたは納期遅延の手段をと
つて信用を落した桐生地区の人絹織物、マフラーがあること。第四に、組織化された
外国の大規模
業者に不当に圧迫された例としましては、インド市場において、イタリア
業者の、統一ある
競争に、価格面で不当に圧迫されていることがあげられていること。第五に、クレームの
解決またはバイヤーの無理な注文に対抗できないのは、輸出面に共同施設が欠けているためで、共同
機関があれば取引も円滑にできること。というような意見があ
つたのであります。
その次に
大阪雑貨貿易会の意見としましては、海外から貿易の引合いに見当違いな照会が来るが、それを協会でとりまとめてやることが
団体法に牴触するおそれがあるので、こうい
つたことはひとつ認めてもらいたいというような意見がありました。
さらに兵庫県の砂糖
卸商の
協同組合の意見としましては、
団体法は
統制をなくするための法だから、
統制がなくなれば
団体法を廃止して、独禁法だけで行
つてもらいたい。
団体法を厳格に
適用すれば、
業者はほとんど
違反になると思われる。小規模
業者の共同は全部容認してもらいたい。営利
団体の
事業をくろうとには許さないで、しろうとに許したのでは、うまく行くはずがないから、
事業が立ち行くように
団体を組織できるようにすべきである。国家
統制でどれだけ効果があ
つたか反省してみる必要がある。当局の指令で砂糖
組合がその昔
組合価格による
統制を行
つたとき、
違反には過怠金をと
つたので、価格も目方もしつかりして来たことがありますが、このように価格の調整ができるようにしてもらいたいというような意見があ
つたのであります。
その次に鉄鋼連盟からの意見としては、第一に、
団体法第四条、第五条の併記はおかしいから、明瞭な規定を望みたい。第二に、第五条の営利行為、販売協定等の禁止は考えねばならない。業界に適正
基準を與え、業界自体がや
つたら思惑は防げる。少くとも海外取引については、特に輸出
業者には許すべきである。現にバイヤーは協定して来ている実情にあるのでありますから、わが国の輸出
業者には第五条の
適用を除外すべきである。第三に、鉄屑の年内の不足は三十万トンである。スクラツプ価格は騰貴し、收集
業者は思惑価格のつり上げをや
つている。これに対しまして共同購入ができるように
団体法を改正してもらいたい。他に
影響がなく、加工品が安く、購入者に
利益を與えれば許してもさしつかえないではないかというような意見があ
つたのであります。
その次に、商工
会議所の意見としましては、第一に、
会議所は
事業者団体法から
適用を除外すべきである。第二に、中小企業は紡績
程度までその規模を結合させることを認めるべきである。第三に、独占的公共企
業体に対抗できるような団結を許すようにしてもらいたい、というような意見がございました。
以上が大体
大阪における懇談会に現われた意見の
概要であります。
その次に、福岡における懇談会の
概要を申し上げます。福岡におきましては、八月の六日に福岡商工
会議所において開きましたところ、日曜日にもかかわらず、九州石炭鉱業協会を初め、十七
団体の参加を得たのであります。そのおもな意見の要旨を申し上げますと、福岡県貿易
協同組合関係の意見としましては、貿易
協同組合は、第五国会に法案を提出して、
団体法から
適用除外される話だ
つたけれ
ども、いまだに実現しないでいるので、すみやかに除外してもらいたい。各種研究を共同で行い、その成果を共同で得られるようにしてもらいたい。共同研究を許しても民主化の妨げにはならないのではないかというような意見がございました。さらに
外国の
業者は共同している。米国では貿易
組合は除外しているのであるから、わが国でも貿易
関係については、当然貿易
関係の共同的行為を認めるべきであるというような意見がありました。
その次に、若松石炭協会の意見といたしましては、鉄道荷役の協力
機関である若松石炭協会は
団体法に触れるといわれ、先ほ
どもお話がありましたように目下審理中であります。問題とな
つている点は、石炭を分析することは、
業者に便宜を与えることでいけない。統計雑誌を無料で配ることは材料を明示することであるからいけない。さらに汽車、はしけの荷役後の荷後炭を採取してはいけないというような三点でありますけれ
ども、荷後炭は公団廃止後無料で協会にもらい受け、入札で売
つて、その七五%は協会の費用に充て、残り二五%は公共の費用に使
つていて、これで商売をしてはいないのであります。協会は代償として荷後炭をいただいているが、会費をと
つていない。
団体法の改正あるいは
適用除外処置によ
つて、協会の
事業ができるようにしてもらいたいという意見があります。
その次に、九州バス協会の意見といたしましては、
事業者団体法違反で目下
事件係属中でありますが、問題点は、第一に、既存路線と全面的に並行している特定乗客の免許をと
つたが、資材
割当時代なので、手持資材で特免営業をやる予定で既存
会社に話を進めたことが、
事業分野の数の制限をすることであるという点で問題に
なつたこと。第二に、長崎自動車と県営自動車とが感情的に競願して紛糾した問題をとりまとめようとしたこと。第三に、各
業者が新規あるいは延長路線の申請をするとき、事前に打合せて利権のためにやらないようとの戒めに、心構えと手続を書いた
申合せがいけないという点。これらの三点のために路線問題は
統制がつかず、ますます混乱しているのであります。地方経済の混乱を起さぬように、
団体法の改正によ
つて円滑に取運べるようにしてもらいたいという意見があ
つたのであります。
さらに南福岡新聞販売
組合の意見としましては、目下
団体法違反で中央の新聞販売協定が係争中でありますけれ
ども、
昭和十六年から配達資材の配給を受けて新聞を配
つていたもので、懇親融和
機関であるが、集金をや
つている。将来も現在のままや
つて行きたい。現在共同輸送はや
つていないが、輸送時間の協定はや
つている。このままで
仕事が継続できるように
団体法を緩和してもらいたい。
さらに石炭鉱業
組合の意としましては、第一に、
組合組織の人数制限はやめてもらいたい。
組合基準は人数、資本できめられるべきでなく、生産が何パーセントのものは
組合をつく
つてもよいということにしてもらいたい。独禁法で許されている
範囲まではぜひ許してもらいたい。第二、四千二百万トンの安本計画のミスを、現在
業者が負担しておりまして、それを守るためには、
業者が詳しい
調査資料によ
つてみずからの手で
仕事ができるようにしたい。それができなければ、
政府の責任ある方策を示してもらいたい。第三に、合理化のために共同施設ができるようにしてもらいたいという意見があ
つたのであります。
さらに酒造協会の意見としましては、第一に、現在販売面経済行為は協会でやらないで、陳情などの政治面の活動をや
つている。そこで国税庁の指示によ
つて、生産者と販売者が入
つて、独立した
協同組合をつく
つて販売をや
つている、あるいは
会社を組織していることが問題とな
つている。つまり従来
一つの組織でできた
仕事を、
団体法の
関係で
二つにわけてやらざるを得ないというのが現状である。こうい
つた点でも
団体法の改正で経済行為ができるようにしてもらいたい。
さらに福岡県冷凍
事業組合の意見としましては、第一に、
適用除外の製氷
会社の
組合で福岡県内四十四社のうち、
中小企業等協同組合法施行のために、
組合加入が三十五に減
つてしま
つた。すなわち
従業員百名以上のものは加入できなく
なつたために、その打撃は非常に大きく、これでは
組合を組織しても
組合活動の効力がないというような点から、
団体法による
中小企業等協同組合法の
取扱いについても、制限の点を緩和してもらいたい。第二に、百名以内の小工場も、県内を合せて百名以上なるために加入できないのでありますので、電力
割当、資材
割当、その他強力な陳情のためにも、除外者をも一丸とした
組合にしなければ、
組合の機能を発揮できないというような意見があ
つたのであります。
さらに福岡県農業
協同組合連合会の意見としましては、農業
団体は
団体法から
適用除外されているので問題はないが、ただ
組合法に問題があるのであります。それは
組合法の数の制限の問題でありますが、
団体法との間に将来の問題として残
つておりますので、この点に問題を提出しておきたい。
さらに福岡県商工
会議所の意見としましては、商工
会議所は、
会議所法ができました当時その性格を明示しておりますが、
団体法第六条で
団体法に従うことを示しているのであります。この点
適用除外
団体に指定してもらいたいというような意見があ
つたのであります。大体以上が福岡商工
会議所におきまする懇談会の意見の
概要でございます。
少し長くなりますが、
最後に名古屋におきまする懇談会の
概要を申し上げますと、名古屋では八月九日、名古屋商工
会議所におきまして名古屋、岡崎西宝、岐阜、大垣の各商工
会議所を初め、十八
団体の参加を得て開会いたしました。
まず名古屋木材商工協会からは、林業、木材
関係業者は、
中小企業等協同組合法の制定で、林産
組合を解散して
協同組合を設立しましたけれ
ども、
組合は大小
業者を離間させる結果となるために、できた
組合は五、六種にすぎなくて、それも借金のための
組合だが、資金が借りられないために共同販売も仕入れもできない。既設
組合も運営困難で解散し、任意
組合に移行しつつあるというような現状であります。ところが任意
組合や協会は
団体法の制約を受けて十分なる活動ができないから、
団体法第六条の
適用除外
団体になるようにしてもらいたい。第二に、協会は
団体法で活動に制限を受けるので、油の配給を受ける場合などは
業者が個人として他の
業者の委任を受けて一括購入をしているというような現状であります。第三に、
組合には大企業の参加ができないので、
組合と協会の二枚看板で中は
一つという違法も起るから、大きな企業も
組合に参加できるように、
団体法の改正をしてもらいたい。第四に、もし
団体法第六条の
適用除外が許されないときは、第五条の改正で次の事項ができるようにしてもらいたい。すなわち、一として生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査その他
組合員の生産に関する共同施設。二、
組合員の福利厚生に関する施設。三、
組合員の
事業に関する経営及び技術の改善向上または
組合事業に関する知識の普及をはかるための、教育及び情報の提供に関する施設。四、前各号の
事業に附帯する
事業。これらの
事業をこれらの
組合もしくは協会が行うように認めてもらいたいというような意見があ
つたのであります。
次に社団法人中部産業連盟の意見といたしましては、連盟は中部五県の通産省管下メーカーの
連絡をはかる
団体でありますけれ
ども、実行
団体と
もつかず
連絡機関と
もつかず、どつちつかずの形で困
つているのが現状であります。目下学術研究の
連絡に当
つているが、これでは収入を得られないので、若干
事業のお手伝いもし、手持資材等連盟を通じてあつせんして行きたいが、
団体法に触れるので実施できない。この点
団体法の緩和によ
つて、できるようにしてもらいたい。
さらに商工
会議所の意見といたしましては、
団体法の廃止提唱したいというような意見が非常に強か
つたのでありますが、
団体法があるために、貿易の国際的展開についても
日本は非常な損をしている。ブラント輸出も、
団体法があるのでうまくできない。その理由は、プラントは一箇所でつく
つていたら時間がかか
つて納められない。そのために共同で短期間にできる体系をとりたいが、
団体法がじやまにな
つてそれができないからであります。また
団体法は価格面にも逆効果を現わしておりまして、貿易面では、
外国はみな保護政策をと
つておる。
日本はダンピングと言われぬためにも、世界市場の相場にさや寄せすべきで、そのためには協定も要するが、
団体法があるためにそれができないのであります。これでは
日本の産業は成立たなくなりまして、協定価格は
業者できめて、公取で査定する
方法をと
つてはどうだろうかというような意見もあ
つたのであります。とにかく大企業国では
団体法はあ
つてもかまわないけれ
ども、中小企業育成の国では、
団体法はむしろ弊害であ
つて、米国の負担軽減のためにも、
日本再建のためにも、
団体法は即時廃止すべきであるというような意見があ
つたのであります。
次に中小企業連盟の意見としましては、デフレ期に備えて
団体法第五条第二号の価格の協定事項の緩和を希望したい。第二に、中小企
業者の中には、
団体法のことを知らないで
仕事をしている者が
相当あるが、これらはもちろん届出もしていないような現状で、
団体法がいかに全般的に知られていないかというような点を指摘されたのであります。
さらに名古屋阜頭株式
会社の意見としましては、
会社の設立と最も興味と関心を持
つている者は
事業者であるから、
業者以外からの株式は容易に集まらない。ところが
団体法では、二以上の
事業者を構成員に持つ
会社は第五条で許されないから、新規設立、増資等に非常に不便を感じている。この点、
業者の株式を集めてやれるように
団体法を改正してもらいたい。
さらに東海繊維機械株式
会社の意見としましては、価格協定ができるようにしてもらいたい。鉄鋼補給金の撤廃で生産原価に
相当の
影響を及ぼしたが、需要家側に相談の余地がないので、メーカーで負担せねばならなくな
つているのが現状であります。そのために協定を必要とするが
団体法で許されないから、協定ができるようにしてもらいたい、第二に、大企業の限界はどこにあるのか明らかにしてもらいたい。第三に、
団体法は
日本経済の弱体化をねら
つたものかもしれないが、その
考え方の基本、
日本経済の規模、組織の違いを明らかにする要がある。
次に愛知県石炭協会の意見としまして、第一に、従来の
団体は石炭代の支払いの悪い筋の情報などを会員に通知して非常に便宜を與えたのであるから、このような資料の提供を許してもらいたい。第二に、地区の
業者が掲示することで、不良消費者をなくすることを許してもらいたい。第三に、石炭入札の場合、專門店の価格が、最高と最低とで二倍の開きがあるのでありますが、これは正当な利潤の
範囲内で
競争するのではなく、何らかの不正、不合理が想像されるので、このようなことができないように
団体法の緩和改正を願いたい。第四に、さらに大局から見て、支払いの悪いものを公示することは皆のためであるから、結果からい
つて、安本は悪質者を保護することにならないように、数量の制限その他について正確な
解釈を示してもらいたい。
さらに知多織物同業会の意見としましては、綿織物專
業者の
団体でありますけれ
ども、
団体法の施行でやむなく協会をつく
つたので原糸の供給が少く、供給の相手はいずれも有力紡績
会社で、個々の
業者が当
つていたのではらちが明かない。このままでは、
統制撤廃後には、おそらく半数の
業者が原系面から操業不能に陥るだろうという心配があるのでありまして、その
意味において、同業会としての一括購入ができるようにしてもらいたいという意見があ
つたのであります。
さらに名古屋青果物荷受連合会の意見としまして、親睦
団体とな
つているのでありますが、取引場の改善も連合会ではできなく
なつたし、集金も
申合せもできなく
なつたわけであります。小売商
業者の紛争にも各単位
組合で当らなければならないが、各
組合協力して当れるようにしてもらいたい。小売商業
組合との契約についても、
団体法の緩和を望みたいという意見があ
つたのであります。
次に愛知県建設業協会の意見としまして、各專業の職別
組合で、大中
程度の組織と、中小の組織とで十
程度あるが、不況期にはダンピング入札で共倒れであるから、
団体法の緩和で協定できるようにしてもらいたい。
最後に中部自転車工業会の意見として、部分品工場だから一貫作業をやれるところはないのであ
つて、横の
連絡がどうしても必要であるわけであるが、
団体法に縛られてやりたいこともやれないような非常に苦境に立
つておる現状であるから、この点を是正してもらいたい。さらに共同輸出をする努力をしておるけれ
ども、二、三百人ぐらい使
つておるところでないと輸出品
はつくれないので、これは
団体法に触れるのであ
つて、とても
協同組合でやれないから、この点についても改正をしてもらいたい。さらに
団体法は、むしろ改正よりも廃止を希望しておるのであ
つて、もし廃止ができないとすれば、大幅の緩和をしてもらいたいというような意見があ
つたのであります。さらに
最後に、国家が育成しているような
事業については、
団体法の
適用を全面的に除外することを考えてもらいたいというような、非常に強い意見があ
つたのであります。
大体以上が名古屋商工
会議所における懇談会に現われました意見の
概要であります。
以上が
大阪、福岡、名古屋の三大都市を
中心とするところの、
事業団体法改正に関する懇談会の
概要でございます。以上御報告申し上げます。