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1950-09-27 第8回国会 衆議院 経済安定委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十七日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君       岩川 與助君    金光 義邦君       宮原幸三郎君    村上 清治君       森   曉君    森山 欽司君       川上 貫一君    中野 四郎君  委員外出席者         公正取引委員会         委員      横田 正俊君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局総務部         長)      内田 藤雄君         総理府事務官         (公正取引委員         会調査部調査         第一課長)   丸山 泰男君         厚生事務官   越田 得男君         農林事務官         (農政局農業協         同組合課長)  平木  桂君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   立川 宗保君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 曽根  徹君         通商産業事務官         (資源庁電力局         長)      武内 征平君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部協同組合課         長)      谷敷  寛君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  事業者団体法に関する件  協同組合制度に関する件  小委員長中間報告聴取     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 これより会議を開きます。  これより事業者団体法に関する件を議題に供し、公正取引委員会委員横田正俊君より説明を聴取いたします。
  3. 横田正俊

    横田説明員 御指名によりまして私から公正取引委員会取扱つております事業者団体法関係事件について、簡単に御説明を申し上げたいと存じます。資料といたしましてお手元にごく概略の一覧表を差上げてございます。この一々について御説明いたしますことは、きわめて小さな簡単な事件もございますので、この中から二十五年の一月以降の比較的最近の事件につきまして、そのおもなものの概要を、補足して申し上げることにいたしたいと存じます。なおその他につきましても、御質問に応じましてできるだけ御説明いたすつもりでおります。  二十五年になりましてからの問題では、二番目にございまする二十五年の二月に審判開始決定いたしました日本遠洋底ひき網漁業協会事件というのがございます。これは非常にめんどうな事件でございまして、御承知のように二十五年二月二十三日審判開始に決定いたしました。これはいろいろな事情からいたしまして、遠洋底ひき網漁業関係事業者減船をする必要があるということで、大体これは政府が指導いたしましてやつたのでございますが、これが厳格な解釈によりますと、やはり事業者団体法の漁船の割当に関する原案作成に、事業者団体関係をするということに相なるのでございます。これにつきましては、相当長い期間かかりまして、愼重審判をいたしております、そのうち何とか結論が出ると存じますが、事件事件だけにきわめて愼重審判をいたしております。  それからその次にございます二十五年第十五号のコークス払下げ事件、七交会以下十八名のガス会社等が被審人になつております。これはすでに新聞紙等でも御承知のように、コークス払下げに関しまして、七交会中心といたしまして、ガス関係業者割当についての計画をいろいろ立てまして、それを政府に提出した。これがやはり事業者団体法の一号、四号等に触れるということで審判開始になりまして、これもそのうちに解決がつくと思いますが、なおこのコークスばかりでございませんで、最近の傾向といたしまして、御承知のように政府または政府機関その他の手持ちの相当の分量のものが放出されますにつきまして、事業者いろいろ話合つてそれを買い受ける、あるいは払下げについていろいろ事業者の方で話合いをするということが、とかくに事業者団体法なり、あるいは独占禁止法の第四条あたりの問題に触れるおそれがございますので、このコークス払下げ事件どもその一例だと存じます。  それから次に、ことしの三月に審判開始になりました再保険機構事件がございます。これはわれわれの取扱つております事件といたしましては相当重要なる意義を持つた事件一つでございます。御承知のように、再保険機構としましては、東亜海上火災という再保険会社がございまして、この会社は株主がすべて保険会社であるという点で、この東亜社機構事業者団体法の問題になることと、その機構中心にいたしまして各保険会社の間に再保険に関していろいろな協定が古くからなされておりますものが現在も残つております。これが問題になりまして、われわれの方の事件としてとり上げられることになつたのでございます。もちろんこの問題は保険界に及ぼします影響も、また社会に及ぼします影響も、すこぶる重大でございますので、われわれといたしましては、なるべく悪い影響のない範囲内において、しかもわれわれの命ぜられております独占禁止法なり、事業者団体法なりの法律の精神を生かすというラインで行きますために、あまり表立ちました審判手続というものをとりませんで、会社側の方といろいろ相当長きにわたりましてお話合いをいたしまして、今は大体最後段階になりまして、これもそう遠くないうちに何とか解決いたされることと考えております。  一枚おあけいただきまして、その次のページにございまする二十五年の六月十三日に審判開始を決定いたしました事件が二件、東京酒問屋株式会社事件、及び中央酒販株式会社事件というのがございます。これもすでに大分前のことでよく御存じと存じますが、いわゆる酒の卸段階機関ができます際に、税法上のいろいろなむずかしい関係もありますところからしまして、いわゆる卸商と思われますもの、その他その関係業者株式会社等の形式で事業者団体と目されるものをつくりまして、それがわれわれの方の問題になつたのでございます。これもいろいろやむを得ないような事情も見られることは見られたのでございまするが、大体そのうちのあまりおもしろくないと思われまするものを、二、三こちらから取上げまして、事件にいたしましたものがこの二つでございます。これも大体会社側の方で納得していただきまして、最近に解決をいたすと存じます。中央酒販の方はすでに同意審結という形で事件が処理せられておると思います。  あとはそれほど取立てて申し上げるほどもないと思われますが、先ほど例の払下げ関係で申し上げました問題の一つとしまして、二十五年の七月十九日審判開始決定、おしまいから二枚目の表の最後事件でございますが、東京大阪石炭協同組合事件、これは協同組合事業者団体法に触れました事件一つでございますが、これは、御承知のように協同組合は本表は事業者団体法適用を除外されておりますので、この形でいろいろ小規模の業者が寄り集まりまして、いろいろなことをすることは、何ら事業者団体法、あるいは独占禁止法上問題はないのでございますが、たまたまこれらの協同組合には、小規模の事業者とは、どうしても認めがたい相当会社が入つておりますために、結局その組合のやつております行為は、すべての点において違反になるというような形になりますので、その点で問題になりまして、これもその後いろいろ組合側と私の方の役所と折衝いたしまして、大体あまり悪影響のないようなラインお話がつくことになつていると思つております。なお、ただいまの問題に関連いたしまして、御承知のように中小企業等協同組合法で、小規模の事業者とみなされるものの範囲が一応きまつておりまして、それ以上のものにつきましては公正取引委員会の認定によりまして、あるいは大規模と認められ、あるいは小規模と認められるということになるわけでございますが、そのラインを越えましたものが往々にしてございまして、この点はそういう大きなものの入りましたものにつきましては、一々届け出ていただきまして、それを拝見しまして、大きな方は出ていただく、何とかそこを善処していただくように、着々とその届出に基きまする一種の整理と申しますか、そういうことを、最近にいろいろやつております。その関係がだんだん片づきますると、あるいは今申しましたような不必要な混乱と申しますか、違反事実がよほど減るのではないかと思います。この石炭協同組合はあいにく事件になりました一つでございます。  それから最後の紙の、二十五年の九月八日にいずれも勧告書送達となつておりますが、このグリース同交会石油配給打合会、これは大体関連した事件でございまして、ここに内容が掲げてございますが、生産割当、その他割当具体的比率をきめたことであるとか、値引の防止の打合せをしたとか、石油の方で申しますと、配給数量割当基準方式を決定したとか、あるいは石油製品の元売業者販売統制価格維持申合せをしたというようなことが、いずれも問題になつておりまするが、やはり一方においてこういう統制がございまして、また他方においては自由競争範囲相当にあるというような問題につきまして、とかくいろいろ事件が起りますが、この二つもその範疇に属するものかと存じます。これについてはいろいろ御批判もあるようでございまするが、大体円満にお話がつく一応の見通しは持つております。  なお、このほかにこの表にあげてございませんが、載せました後に二件ほど、きわめて簡単な事件がございます。これはほとんど申し上げる必要もないくらいの小さな問題でございます。一応昭和二十五年一月以後に取上げました事件で多少かわつておりますものを二、三御説明申し上げました。なお御質問に応じましてお答えいたしたいと思います。  ただ最後に御承知のように、事業者団体法はきわめて難解の法律でございまして、これを文字通りに厳格に適用いたしますと、かなりの違反が出るわけでございますが、そこは私たちといたしましても、現在の日本のいろいろな実情も相当考慮いたして仕事をしておるつもりでございますが、しかし最近になりましてだんだん私どもの方の仕事といたしましては、全般に職員もかなりなれて参りましたような関係から、審判開始の数なども多くなりまして、多少皆様のお耳に触れる度合がふえたと存じます。しかしやはり事件取扱いますわれわれの態度といたしましては、よく諸般事情を考えて、あまりむりのないところでやりたいと考えておりますが、中にはいろいろな事情からいたしまして、必ずしもその通りに行かぬものもございます。心組みといたしましては、大体その気持を将来も続けて行きたいと考えております。はなはだ簡単でございますが、一応それだけの御説明を申し上げておきます。
  4. 岩川與助

    岩川委員 どうもわれわれ不勉強で、この事業者団体法についてはわからないのですが、これを調べる方法はどういうふうにしてやるのですか、取調べ方法についてお伺いいたします。
  5. 横田正俊

    横田説明員 取調べ方法といたしましては、これは大体独占禁止法と同じ調べ方になるわけでありまして、法律の規定も、そういうような関係は大体独占禁止法を準用しておるのであります。それで実際のやり方といたしましては、私ども事務局におきまして、常時、新聞なり、その他の刊行物を見て、よく調査をしておりまするし、また外からこちらの耳に入る場合も相当ございます。あるいは関係方面でその問題を取上げて行くというようなふうにもなつておりまして、発端はいろいろになつております。
  6. 岩川與助

    岩川委員 すると、たとえば経済違反があるということを聞けば、それを役所が積極的に調べて行くというような、積極的な調査方法をとつておるという程度ではないのですか。
  7. 横田正俊

    横田説明員 積極的という言葉いろいろ程度があると存じまするが、積極的でないということもはつきりは申し上げられないのであります。それは私の方の役所の中にやはり調査部というのがありまして、そこで非常に広汎な各種の事業にわたりまして一般的な調査、ことに独占禁止法なり、事業者団体法なりの観点に立つて、その事業関係をかなり業種別に調べております。これは何も積極的に違反を取上げるという立場ではないのでありますが、それを調べて参りますうちに、だんだんどうもあまりおもしろくないというような問題も、自然に出て来るというようなところからいたしまして、結果から申しますと、私の方で調べてどうもあやしいということで、審査部その他の審査の係りの方に問題がまわつて行くということもございます。そこはその問題によりまして、お言葉の積極ということも非常に違うだろうと思いますが、全然積極的でないとは申せないと思います。
  8. 岩川與助

    岩川委員 一番先にお話のあつた、たとえば東京海上火災保険会社事件は世界的に重大な問題だというお話があつたのですが、今こういうふうな法律があるから問題があるのであつて、もしなければ、それはどういうふうな影響があつたものか、どうも私どもはこの法律がよくわからぬものですからお尋ねするのですが、どういうふうな大きな事件か、お知らせ願いたい。
  9. 横田正俊

    横田説明員 これは結局日本も一時、いわゆる再保険機構というものが非常に貧弱でございまして、その関係から、その当時といたしましては東亜社のような、どこも引受けてくれないようなものでも引受ける、こういういわゆる再保険機構というものをつくる必要はある。しかもそういう会社をつくるのは、やはり一番身にしみて利害関係のある各保険会社であるということになると、自然にそこに各保険会社が株を持ち合つて一種のいわゆる事業者団体的な会社ができて来る。しかもそれに対してみんながある意味において協定いたしまして、ある程度のものは必ず再保険に出す、その再保険に出しますいろんな程度であるとか、順序であるとかいうようなものをお互いに話し合つて、そこに東亜社中心といたしまして、一つの再保険機構というものをつくることは、再保険機構のはなはだ貧弱であつたある時代には妥当なことであつたかと思うのですが、さて法律もだんだんかわつて参りまするし、最近の情勢を見ますると、再保険につきましても、必ずしも東亜社のような変態的な機構は必要でない。なお各保険会社の間に、相当競争させてもいいような状態も見えて参りました。外国保険会社も出て来る、あるいは外国保険会社にも保険がつけられるというような状態になつて参りますると、こういう機構がございますること自体が、日本保険業の発達に何らかのさしさわりがある。つまり独占禁止法なり団体法根本理念からいたしますると、あまりおもしろくないということからいたしまして、この保険問題を実は全面的に取上げて行きますうちに、やはり事件として取上げる必要ありということになつたわけでございます。
  10. 岩川與助

    岩川委員 事業者団体法ができて利益部面を伺うのですが、今のお話ちよつとわかりかねるのですが、この法律のために一体どこが今あなたの言われる大きな問題としての利益かということをお尋ねしたい。
  11. 横田正俊

    横田説明員 事業者団体法は、結局独占禁止法一種補助法律でございまするが、これはごく簡単に申しますれば、結局自由かつ公正な競争を、事業者の間に行わせるということが根本考え方だろうと思います。その意味におきまして、独占禁止法自体にいろいろな競争を促進し、不正な競争を排除するような措置が命ぜられてあるのであります。それをなお補足いたしまして、事業者団体法は、団体の形においてそういう競争を制限するようなことにならないように、その団体の結成なり、その事業活動につきましていろいろな規制を加えて行こうというのがこの団体法のねらいかと存じます。結局団体法のねらいも独占禁止法のねらいも、自由な、また公正な競争事業者の間に持ち来して、その結果非常に社会全体にも利益が行くということが、この二つ法律のねらいと存じます。結局保険につきましても、他の事業とはやや異なつた面もございますが、やはり競争の原則を保険事業の中に取入れることが、日本のためによろしいということが申されるかとも思います。
  12. 圖司安正

  13. 永井英修

    永井(英)委員 私どもが聞いております範囲では、公団の廃止の場合にいろいろな一時的便法として、たとえば酒類販売会社のようなものができたと思うのでございますが、こういつたようなものが違反になると、審判をして決定されております。しかしその場合多くは各省が慫慂してそういつたものをつくらしておると私どもは思うのであります。そうするとその役所自体が、事業者団体法というものがあるのは、むろん御存じのはずと思うのでございます。違反になる事件がわかつてつてかわからぬでかわかりませんが、とにかくそういう部面相当違反事件があるということで、私ども酒類販売会社について一ぺん意見を聞かれたこともありますし、非常に困つておるような状態であります。今後はこの点はないかと思いますが、これも私どもの考えから申しますと、もう少し酒のごときは安く大量にできるようになると、こういうものの必要もおそらくないのじやないか。それでこういつたようなものをあまりむずかしく取上げられるということは、結局酒のごときは相当今売れないで困つておるような状態ですから、こういう点はある程度手かげんをしていただく必要があるのではないか、これは商売の上から私どもは申し上げるのです。  それとこの石炭協同組合違反事件というのは、組合中に小規模事業者と認めがたい事業者の存すること、こういうのがありますが、私の聞いたところによりますと、大阪で、つまり支店でもつて、二十人以下であればこの協同組合に入つていいというようなことを言われたので入つた、こういう話を聞いておりますが、大体この小規模事業者というのはどの程度のものが認められるか、その点をひとつ……。
  14. 横田正俊

    横田説明員 前にお話しの、制度の切りかえのような場合に、事業者団体法適用を十分考慮してくれというお話につきましては、まことにごもつともに存じます。ことにお話通り行政庁の方で、いろいろそういうふうに、いわばし向けるというようなふうに見える場合もございまして、その点はわれわれの方に、事前に他の行政庁から連絡がございますると、いろいろこちらの見解もできるだけはつきり申し上げまして、そういう間違つたことのないように、いろいろ連絡をしておるのでございまするが、そこが必ずしも円滑に参りませんので、遺憾な事態になる場合も出て参ります。これらの点はなおほかの他の行政庁愼重なる考慮と相まちまして、委員会としましても十分善処いたしたいと考えておる次第でございます。  なお石炭協同組合小規模事業者範囲ということでございますが、これは実は事業者の方にはずいぶん御迷惑な場合もあると存じますが、一応のラインを、この前できました中小企業等協同組合法にあげてございまして、その解釈も大体注釈書などができまして、統一しつつあると思いますが、やはりその間にお話のような、多少の誤解等もある節もございまして、ときに違反ということになると思います。これはだんだんにもう少し私の方でも個個の業体につきまして、また個々の協同組合につきまして、この程度のものが小規模と見られる、それ以上は困るということを、いわゆるケース・バイ・ケース一つ審決例として皆様にお示しできるような時期が参りますると、非常によろしいのでございまするが、先ほども申し上げました通り、お届けのありましたものについて、現在なお鋭意調査中というようなことでございますので、外部の方から必ずしもはつきりおわかりにならぬ点もございまして、この点はごもつともと思うのでございます。ただ抽象的に申し上げますれば、ただいまお話支店従業員が二十人以下であれば、一応小規模と見てよろしいというような解釈はもちろんないのでございまして、たしかあの法律ができます際も、たとえば非常に大きな業者がいろいろな事業をやつてありまして、その中にきわめて少数の係を置いて、ある種の事業をやつている場合に、その事業だけ取上げますと、いかにも小規模である。ところがその大きな会社がその協同組合に入つてはたしてよいかというような問題が、たしかあの法律を制定されます際に議論になつたように思いますが、ただあの法律は、あの二十人とか百人とか申しますのは、会社の全体を見て一応きめまして、ただ特殊なものにつきまして、それ以上であつてもその他の諸般事情から見まして、小規模事業者同等の価値と申しますか、同等の地位しか、その組合の中で占めておらないということがわかりますれば、全体の数において二十人、百人のラインを越えておつても、それを小規模と公正取引委員会が認める場合があるというのが、ただいまの私たち考え方でございまして、ただ具体的事案につきまして、はたしてそれは何十人までよろしいかということになりますると、一概に申し上げられないのでありまするが、いずれこの点も、先ほど申しました私たち調査をもう少し深めまして、具体的事案についての事例を適当な方法をもつて外部に発表することによりまして、事業者はつきりしたよりどころを示したいと考えております。
  15. 永井英修

    永井(英)委員 ただいまの御答弁では、後ほどはつきりしたことを示すというお話でありましたが、実際に経済活動をやる場合に、そういつたような公正取引委員会解釈を急速に得られればよいけれども、それの判定までに相当の時間がかかるというようなことになりますと、とにかく経済活動が敏速にやれないということになつて業者は困る場合が相当多いのではないかと思うのであります。それで何かよりどころがあるようなことにならないと、とにかく事業者団体法にひつかかるか、ひつかからないかということについて非常な不安があるために、ある一つ仕事をもくろんでも、それをやれないということになつて来て、経済活動に非常に影響があるというふうに私は思うのであります。これは法そのものに不備があるかもしれませんが、こういう点は相当考慮されて、何らかの一定の基準を示さないと、支障を来す場合が非常に多いのではないかと思いますので、この点をひとつ十分に研究せられて、近い将来にある程度の具体的なものを出していただくように、これは私のお願いでありますが、そう考えております。
  16. 森山欽司

    森山委員 今まで事業者団体法の改正問題について、本委員会としてもある程度の案をつくり関係方面に提出しておつたわけでありますが、遺憾ながら今日まで実現することができなかつた。それについて先般帰国されたウエルシユ氏が、六月二十三日の新聞記者団との会見で、独禁法あるいは団体法を改正するということを主張する人々は、知識または誠実のいずれかを欠いている者であるという、きわめて強い言葉を吐かれて日本を去つたわけでありますが、その後における公取関係方面の一般的な情勢というようなものについて、おさしつかえなければ、ひとつお話を承ればけつこうだと思います。
  17. 横田正俊

    横田説明員 ただいまの御質問の趣旨にはあまり沿わぬかとも思いますが、御承知のようにウエルシユ課長がアメリカに帰られまして、そのあとにやはりあの関係仕事をしておられましたギリースという方が、今課長の位置につかれているわけであります。われわれといたしましては、その後日々の仕事関係を通じて見ますと、ウエルシユ氏の時代と現在とは、ほとんど何らのかわりがないように見受けております。
  18. 圖司安正

    圖司委員長 事業者団体法に関し、小委員会における調査についての中間報告を、委員長多田勇君に求めます。
  19. 多田勇

    多田委員 事業者団体法に関する調査の結果について概要を御報告申し上げておきます。  ただいま森山君から、ウエルシユ氏の話としまして、団体法を改正しようというような意図を持つ者は、知識のない者か、あるいは誠意のない者であるというようなことが言われておつたというようなお話がございましたが、福岡、名古屋、大阪の三経済都市を中心にしまして、いろいろ意見を聴取しました結果は、ほとんどの団体の意見、経済人の意見が、事業者団体法を廃止もしくは改正すべきであるという意見に一致しておるのが現実でございます。第七国会以来懸案となつております事業者団体法の改正に関しましては、御承知通り、本委員会の起案にかかります改正案が有力筋の了解を得られなかつたために、委員会としましては、第八臨時国会においても継続して資料の收集をいたして参つたのでありますが、去る八月初旬、大阪、福岡、名古屋の三都市におきまして、商工会議所を中心関係団体と懇談会を催しまして、その意見を聴取して参りましたので、ここにその概要を御報告申し上げたいと思います。  まず大阪における懇談会の概要から申し上げます。少し詳細にわたりますことは申し訳ございませんが、いろいろのケースを一応お話申し上げたいという意味で、詳細にわたることをお許し願いたいと思います。大阪では八月四日に大阪商工会議所におきまして、商工会議所主催のもとに、関西経済連合会以下二十団体の参加を得て懇談会を開いたのであります。私から経済安定委員会において今月まで努力して参りました事業者団体法改正に関する経過を御報告いたしまして、参加各団体の参考に資しました上、団体法に関する懇談会参加者の忌憚のない意見を聴取いたしたのであります。そのおもなる意見の要旨は次の通りであります。  まず関西経済連合会の意見としましては、貿易業者の問題につきましては、独禁法並びに事業者団体法では、わが輸出関係業者団体が、貿易価格の協定や、生産販売の数量協定、あるいは技術、製品、販路、顧客の制限などの行為を禁止されておるのでありますが、海外業者は事実上協定して取引しておりましたために、協定のできないわが国の輸出業者がダンピングの非難を受けるという問題が起つておるのであります。このために経済自立の重責を持つ輸出産業は、大きな痛手を受けるだけではなく、国際的には海外業者に迷惑を及ぼす結果が生じて来ておる現状であります。よつてわが国の貿易伸張を阻害している一要因であると思われるところの団体法第五条を改正して、海外市場の割当協定あるいは価格、数量の協定ができるようにしてもらいたい。また輸出業法の制定を望んでおる。なお価格協定や市場割当協定ができないために、いかに不利な貿易をやつているかは、次のいろいろな事例がはつきりと示しておるというようなことで、いろいろな例をあげられております。その例の第一としましては、機械の輸出について、たとえばインド、パキスタン、ビルマ市場では、アメリカ側は一流会社が市場協定をしているらしく、電機の売込みにしましても、パキスタン市場には、国際入札の場合一社しかオフアーがない。ところが日本側は一流会社と貿易商社が同じ商品を競争で売り込むので、三つの商品に十五のオフアーを出した実例があつたのであります。これでは相手国側が、日本では機械をスクラツプなどの安物材料でつくつているので、幾らでも安くできるのだと誤解してしまう。新市場に初めて出るのだから、秩序立つた売込みをし、日本全体として競争によるむだをなくさなければならない。あるいは第二の例といたしましては、綿糸布の場合、パキスタン商社一社に対して、わが貿易商社十数社が競争して安売し、そのため採算を割つて売ることにもなり、海外渡航が許されて、かえつて不利な結果にもなつた。また次の例としましては、シヤムの市場は小さいけれども、例えばくぎの売込みにしましても、二、三十のメーカーがよつてたかつて安売をする。くぎのメーカーは小規模経営なので、その当時金融的に苦しかつたというような事情もあつて、売り急いだこともあつたために、結局どんどん値が下つて、最初の契約は全部キヤンセルになり、シヤム政府日本商人の滞在許可をしなくなつたという例もあつたということであります。さらにジヤワでは、五大蘭商が独占的に協定して商売をしているのに対して、日本では二千人以上の業者が無秩序に競争しているありさまであるというような、いろいろな実例をあげまして、公益的な事業の共同行為というようなものに対しては、事業の性格からいつても、ある程度の共同行為を承認してもらいたい。次に標準的な中小企業の共同行為に対しても許容してもらいたいというような意見があつたのであります。  次に港運業者団体であるところの港湾クラブの意見としましては、港運業者の不当競争が激しくなつて参りましたので、自衛的な措置が必要になつた今日、不当競争をブロツク別共同行為で防ぎたいけれども団体法があるのでできない。これでは作業量の少いときに、大事業者仕事が片寄る結果を生むから、団体法第五条の緩和によつて目的を達せられるようにしてもらいたいというような意見があつたのであります。  次に日本紡績協会の意見としましては、行為類型が違法になるのか、行為そのものが違法になるのか、その点を明示してもらいたい。第四条は第五条とダブるから、全面的に削除してもらいたい。第五条の禁止行為も、不当な場合に限定されたい。特に禁止を要するものは、逐次加えて行く方法をとつてもらいたい。対価を協定することも、公共の利益に反しない限り認めてもらいたい。先般の独禁法改正の線まで、せめて団体法を改正してもらいたい。国内業者に不当な影響を與えない限り、輸出貿易関係業者には団体法上特例を設けてもらいたい。紡錘が無制限となつた今日、ダンピングの汚名を着せられるおそれがあるから、それに備えて、国内での自主的統制手段をとることを許してもらいたい、というような意見があつたのであります。  次に化学繊維協会の意見としましては、紡績関係団体の要望には同感であること。禁止事項は一括禁止にして、行政官庁(物資所管官庁)の許容があれば何でもできるように、団体法を改正してもらいたい。第五条第一項第一号の、割当原案の提示などは、かえつて政府に便利なのだから、できるようにしてもらいたい。人絹、スフ糸の統制撤廃後の値上りに、七月中旬ごろより上るのはおもしろくないというような建前から、売惜しみまたは思惑の介在を懸念して、自粛指令で警告されたのでありますが、今日なお策がない。現在ダンピング認定のおそれはありませんし、団体法がなければ、値上りに備える価格操作の適切な策は立つのでありますが、団体法があるために、いわゆるきのうも問題になりましたところの協定勧告価格といいますか、一つの暴利取締令の一定の限界をきめるためにも、団体法が非常に大きな阻害をしておるというような意見があつたのであります。  次に絹、人繊糸布輸出商同業会の意見としましては、中小企業体が国内輸出入の両面に従事して激烈な競争をする、現状は、公正な競争とはいえませんし、海外市場にも悪影響を及ぼし、信用を失墜するから、輸出業者が相携えて海外市場を開拓し、商品の品質改善、共同施設の保有、ある程度の輸出価格の協定等が必要であるが、これは団体法の第五条で禁止されている。そのために貿易振興に支障を来し、時宜に適した処置がとられないから、団体法または独禁法の適用除外処置をとつてもらいたい。なお団体法による制限のために受けておる不利な点を上げると、不当競争により輸出価格、その他取引条件を切りくずし、そのために内外の非難を受けていること。第二にオフアーの濫発による品質、価格両面の競争が激化し、その結果、価格も品質も最低線に陥り、契約のキヤンセルされた例が、昨年のバンコツク市場のスフ、織物、インドの人絹等に起つて、取引を阻害していること。第三に、一部の悪徳業者のために、大部分の善良な輸出業者が信用を落し、日本商品の声価を落した例に、最近の人絹糸価の暴騰で、糸の手配がつかず、キヤンセルまたは納期遅延の手段をとつて信用を落した桐生地区の人絹織物、マフラーがあること。第四に、組織化された外国の大規模業者に不当に圧迫された例としましては、インド市場において、イタリア業者の、統一ある競争に、価格面で不当に圧迫されていることがあげられていること。第五に、クレームの解決またはバイヤーの無理な注文に対抗できないのは、輸出面に共同施設が欠けているためで、共同機関があれば取引も円滑にできること。というような意見があつたのであります。  その次に大阪雑貨貿易会の意見としましては、海外から貿易の引合いに見当違いな照会が来るが、それを協会でとりまとめてやることが団体法に牴触するおそれがあるので、こういつたことはひとつ認めてもらいたいというような意見がありました。  さらに兵庫県の砂糖卸商協同組合の意見としましては、団体法統制をなくするための法だから、統制がなくなれば団体法を廃止して、独禁法だけで行つてもらいたい。団体法を厳格に適用すれば、業者はほとんど違反になると思われる。小規模業者の共同は全部容認してもらいたい。営利団体事業をくろうとには許さないで、しろうとに許したのでは、うまく行くはずがないから、事業が立ち行くように団体を組織できるようにすべきである。国家統制でどれだけ効果があつたか反省してみる必要がある。当局の指令で砂糖組合がその昔組合価格による統制を行つたとき、違反には過怠金をとつたので、価格も目方もしつかりして来たことがありますが、このように価格の調整ができるようにしてもらいたいというような意見があつたのであります。  その次に鉄鋼連盟からの意見としては、第一に、団体法第四条、第五条の併記はおかしいから、明瞭な規定を望みたい。第二に、第五条の営利行為、販売協定等の禁止は考えねばならない。業界に適正基準を與え、業界自体がやつたら思惑は防げる。少くとも海外取引については、特に輸出業者には許すべきである。現にバイヤーは協定して来ている実情にあるのでありますから、わが国の輸出業者には第五条の適用を除外すべきである。第三に、鉄屑の年内の不足は三十万トンである。スクラツプ価格は騰貴し、收集業者は思惑価格のつり上げをやつている。これに対しまして共同購入ができるように団体法を改正してもらいたい。他に影響がなく、加工品が安く、購入者に利益を與えれば許してもさしつかえないではないかというような意見があつたのであります。  その次に、商工会議所の意見としましては、第一に、会議所は事業者団体法から適用を除外すべきである。第二に、中小企業は紡績程度までその規模を結合させることを認めるべきである。第三に、独占的公共企業体に対抗できるような団結を許すようにしてもらいたい、というような意見がございました。  以上が大体大阪における懇談会に現われた意見の概要であります。  その次に、福岡における懇談会の概要を申し上げます。福岡におきましては、八月の六日に福岡商工会議所において開きましたところ、日曜日にもかかわらず、九州石炭鉱業協会を初め、十七団体の参加を得たのであります。そのおもな意見の要旨を申し上げますと、福岡県貿易協同組合関係の意見としましては、貿易協同組合は、第五国会に法案を提出して、団体法から適用除外される話だつたけれども、いまだに実現しないでいるので、すみやかに除外してもらいたい。各種研究を共同で行い、その成果を共同で得られるようにしてもらいたい。共同研究を許しても民主化の妨げにはならないのではないかというような意見がございました。さらに外国業者は共同している。米国では貿易組合は除外しているのであるから、わが国でも貿易関係については、当然貿易関係の共同的行為を認めるべきであるというような意見がありました。  その次に、若松石炭協会の意見といたしましては、鉄道荷役の協力機関である若松石炭協会は団体法に触れるといわれ、先ほどもお話がありましたように目下審理中であります。問題となつている点は、石炭を分析することは、業者に便宜を与えることでいけない。統計雑誌を無料で配ることは材料を明示することであるからいけない。さらに汽車、はしけの荷役後の荷後炭を採取してはいけないというような三点でありますけれども、荷後炭は公団廃止後無料で協会にもらい受け、入札で売つて、その七五%は協会の費用に充て、残り二五%は公共の費用に使つていて、これで商売をしてはいないのであります。協会は代償として荷後炭をいただいているが、会費をとつていない。団体法の改正あるいは適用除外処置によつて、協会の事業ができるようにしてもらいたいという意見があります。  その次に、九州バス協会の意見といたしましては、事業者団体法違反で目下事件係属中でありますが、問題点は、第一に、既存路線と全面的に並行している特定乗客の免許をとつたが、資材割当時代なので、手持資材で特免営業をやる予定で既存会社に話を進めたことが、事業分野の数の制限をすることであるという点で問題になつたこと。第二に、長崎自動車と県営自動車とが感情的に競願して紛糾した問題をとりまとめようとしたこと。第三に、各業者が新規あるいは延長路線の申請をするとき、事前に打合せて利権のためにやらないようとの戒めに、心構えと手続を書いた申合せがいけないという点。これらの三点のために路線問題は統制がつかず、ますます混乱しているのであります。地方経済の混乱を起さぬように、団体法の改正によつて円滑に取運べるようにしてもらいたいという意見があつたのであります。  さらに南福岡新聞販売組合の意見としましては、目下団体法違反で中央の新聞販売協定が係争中でありますけれども昭和十六年から配達資材の配給を受けて新聞を配つていたもので、懇親融和機関であるが、集金をやつている。将来も現在のままやつて行きたい。現在共同輸送はやつていないが、輸送時間の協定はやつている。このままで仕事が継続できるように団体法を緩和してもらいたい。  さらに石炭鉱業組合の意としましては、第一に、組合組織の人数制限はやめてもらいたい。組合基準は人数、資本できめられるべきでなく、生産が何パーセントのものは組合をつくつてもよいということにしてもらいたい。独禁法で許されている範囲まではぜひ許してもらいたい。第二、四千二百万トンの安本計画のミスを、現在業者が負担しておりまして、それを守るためには、業者が詳しい調査資料によつてみずからの手で仕事ができるようにしたい。それができなければ、政府の責任ある方策を示してもらいたい。第三に、合理化のために共同施設ができるようにしてもらいたいという意見があつたのであります。  さらに酒造協会の意見としましては、第一に、現在販売面経済行為は協会でやらないで、陳情などの政治面の活動をやつている。そこで国税庁の指示によつて、生産者と販売者が入つて、独立した協同組合をつくつて販売をやつている、あるいは会社を組織していることが問題となつている。つまり従来一つの組織でできた仕事を、団体法関係二つにわけてやらざるを得ないというのが現状である。こういつた点でも団体法の改正で経済行為ができるようにしてもらいたい。  さらに福岡県冷凍事業組合の意見としましては、第一に、適用除外の製氷会社組合で福岡県内四十四社のうち、中小企業等協同組合法施行のために、組合加入が三十五に減つてしまつた。すなわち従業員百名以上のものは加入できなくなつたために、その打撃は非常に大きく、これでは組合を組織しても組合活動の効力がないというような点から、団体法による中小企業等協同組合法取扱いについても、制限の点を緩和してもらいたい。第二に、百名以内の小工場も、県内を合せて百名以上なるために加入できないのでありますので、電力割当、資材割当、その他強力な陳情のためにも、除外者をも一丸とした組合にしなければ、組合の機能を発揮できないというような意見があつたのであります。  さらに福岡県農業協同組合連合会の意見としましては、農業団体団体法から適用除外されているので問題はないが、ただ組合法に問題があるのであります。それは組合法の数の制限の問題でありますが、団体法との間に将来の問題として残つておりますので、この点に問題を提出しておきたい。  さらに福岡県商工会議所の意見としましては、商工会議所は、会議所法ができました当時その性格を明示しておりますが、団体法第六条で団体法に従うことを示しているのであります。この点適用除外団体に指定してもらいたいというような意見があつたのであります。大体以上が福岡商工会議所におきまする懇談会の意見の概要でございます。  少し長くなりますが、最後に名古屋におきまする懇談会の概要を申し上げますと、名古屋では八月九日、名古屋商工会議所におきまして名古屋、岡崎西宝、岐阜、大垣の各商工会議所を初め、十八団体の参加を得て開会いたしました。  まず名古屋木材商工協会からは、林業、木材関係業者は、中小企業等協同組合法の制定で、林産組合を解散して協同組合を設立しましたけれども組合は大小業者を離間させる結果となるために、できた組合は五、六種にすぎなくて、それも借金のための組合だが、資金が借りられないために共同販売も仕入れもできない。既設組合も運営困難で解散し、任意組合に移行しつつあるというような現状であります。ところが任意組合や協会は団体法の制約を受けて十分なる活動ができないから、団体法第六条の適用除外団体になるようにしてもらいたい。第二に、協会は団体法で活動に制限を受けるので、油の配給を受ける場合などは業者が個人として他の業者の委任を受けて一括購入をしているというような現状であります。第三に、組合には大企業の参加ができないので、組合と協会の二枚看板で中は一つという違法も起るから、大きな企業も組合に参加できるように、団体法の改正をしてもらいたい。第四に、もし団体法第六条の適用除外が許されないときは、第五条の改正で次の事項ができるようにしてもらいたい。すなわち、一として生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査その他組合員の生産に関する共同施設。二、組合員の福利厚生に関する施設。三、組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上または組合事業に関する知識の普及をはかるための、教育及び情報の提供に関する施設。四、前各号の事業に附帯する事業。これらの事業をこれらの組合もしくは協会が行うように認めてもらいたいというような意見があつたのであります。  次に社団法人中部産業連盟の意見といたしましては、連盟は中部五県の通産省管下メーカーの連絡をはかる団体でありますけれども、実行団体もつかず連絡機関もつかず、どつちつかずの形で困つているのが現状であります。目下学術研究の連絡に当つているが、これでは収入を得られないので、若干事業のお手伝いもし、手持資材等連盟を通じてあつせんして行きたいが、団体法に触れるので実施できない。この点団体法の緩和によつて、できるようにしてもらいたい。  さらに商工会議所の意見といたしましては、団体法の廃止提唱したいというような意見が非常に強かつたのでありますが、団体法があるために、貿易の国際的展開についても日本は非常な損をしている。ブラント輸出も、団体法があるのでうまくできない。その理由は、プラントは一箇所でつくつていたら時間がかかつて納められない。そのために共同で短期間にできる体系をとりたいが、団体法がじやまになつてそれができないからであります。また団体法は価格面にも逆効果を現わしておりまして、貿易面では、外国はみな保護政策をとつておる。日本はダンピングと言われぬためにも、世界市場の相場にさや寄せすべきで、そのためには協定も要するが、団体法があるためにそれができないのであります。これでは日本の産業は成立たなくなりまして、協定価格は業者できめて、公取で査定する方法をとつてはどうだろうかというような意見もあつたのであります。とにかく大企業国では団体法はあつてもかまわないけれども、中小企業育成の国では、団体法はむしろ弊害であつて、米国の負担軽減のためにも、日本再建のためにも、団体法は即時廃止すべきであるというような意見があつたのであります。  次に中小企業連盟の意見としましては、デフレ期に備えて団体法第五条第二号の価格の協定事項の緩和を希望したい。第二に、中小企業者の中には、団体法のことを知らないで仕事をしている者が相当あるが、これらはもちろん届出もしていないような現状で、団体法がいかに全般的に知られていないかというような点を指摘されたのであります。  さらに名古屋阜頭株式会社の意見としましては、会社の設立と最も興味と関心を持つている者は事業者であるから、業者以外からの株式は容易に集まらない。ところが団体法では、二以上の事業者を構成員に持つ会社は第五条で許されないから、新規設立、増資等に非常に不便を感じている。この点、業者の株式を集めてやれるように団体法を改正してもらいたい。  さらに東海繊維機械株式会社の意見としましては、価格協定ができるようにしてもらいたい。鉄鋼補給金の撤廃で生産原価に相当影響を及ぼしたが、需要家側に相談の余地がないので、メーカーで負担せねばならなくなつているのが現状であります。そのために協定を必要とするが団体法で許されないから、協定ができるようにしてもらいたい、第二に、大企業の限界はどこにあるのか明らかにしてもらいたい。第三に、団体法日本経済の弱体化をねらつたものかもしれないが、その考え方の基本、日本経済の規模、組織の違いを明らかにする要がある。  次に愛知県石炭協会の意見としまして、第一に、従来の団体は石炭代の支払いの悪い筋の情報などを会員に通知して非常に便宜を與えたのであるから、このような資料の提供を許してもらいたい。第二に、地区の業者が掲示することで、不良消費者をなくすることを許してもらいたい。第三に、石炭入札の場合、專門店の価格が、最高と最低とで二倍の開きがあるのでありますが、これは正当な利潤の範囲内で競争するのではなく、何らかの不正、不合理が想像されるので、このようなことができないように団体法の緩和改正を願いたい。第四に、さらに大局から見て、支払いの悪いものを公示することは皆のためであるから、結果からいつて、安本は悪質者を保護することにならないように、数量の制限その他について正確な解釈を示してもらいたい。  さらに知多織物同業会の意見としましては、綿織物專業者団体でありますけれども団体法の施行でやむなく協会をつくつたので原糸の供給が少く、供給の相手はいずれも有力紡績会社で、個々の業者が当つていたのではらちが明かない。このままでは、統制撤廃後には、おそらく半数の業者が原系面から操業不能に陥るだろうという心配があるのでありまして、その意味において、同業会としての一括購入ができるようにしてもらいたいという意見があつたのであります。  さらに名古屋青果物荷受連合会の意見としまして、親睦団体となつているのでありますが、取引場の改善も連合会ではできなくなつたし、集金も申合せもできなくなつたわけであります。小売商業者の紛争にも各単位組合で当らなければならないが、各組合協力して当れるようにしてもらいたい。小売商業組合との契約についても、団体法の緩和を望みたいという意見があつたのであります。  次に愛知県建設業協会の意見としまして、各專業の職別組合で、大中程度の組織と、中小の組織とで十程度あるが、不況期にはダンピング入札で共倒れであるから、団体法の緩和で協定できるようにしてもらいたい。  最後に中部自転車工業会の意見として、部分品工場だから一貫作業をやれるところはないのであつて、横の連絡がどうしても必要であるわけであるが、団体法に縛られてやりたいこともやれないような非常に苦境に立つておる現状であるから、この点を是正してもらいたい。さらに共同輸出をする努力をしておるけれども、二、三百人ぐらい使つておるところでないと輸出品はつくれないので、これは団体法に触れるのであつて、とても協同組合でやれないから、この点についても改正をしてもらいたい。さらに団体法は、むしろ改正よりも廃止を希望しておるのであつて、もし廃止ができないとすれば、大幅の緩和をしてもらいたいというような意見があつたのであります。さらに最後に、国家が育成しているような事業については、団体法適用を全面的に除外することを考えてもらいたいというような、非常に強い意見があつたのであります。  大体以上が名古屋商工会議所における懇談会に現われました意見の概要であります。  以上が大阪、福岡、名古屋の三大都市を中心とするところの、事業団体法改正に関する懇談会の概要でございます。以上御報告申し上げます。
  20. 圖司安正

    圖司委員長 何か報告に基いて質疑がありますか。
  21. 多田勇

    多田委員 報告について公正取引委員会にいろいろ相談したいのでありますが、先ほどいろいろ問題になりました点、これはただいま御報告申し上げましたように、各地でいろいろな協定等が非常に問題になりまして、協定すること自体が日本の経済を振興させる一つの大きな原動力になるというような意見が、非常に多かつたのであります。協定すること自体が、団体法に牴触するというようなことで、協定を排除するということが、公正取引委員会考え方のようであります。先ほど問題になりました火災保険の再保険の問題にいたしましても、再保険をすること自体が、保険者あるいは保険会社、いわゆる日本の経済、日本の全般的な利益になるように考えるのでありますが、これらの点について、単に団体法上に現われた明文だけでなしに、日本の経済を振興させるため、あるいは日本の経済の安定をはかるという一つの行き方、はつきり申し上げると、独占禁止法の精神に及しない限度の企業者の協定、その他の点については、当然認めるべきだと思うのであます。この点についての御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  22. 横田正俊

    横田説明員 御承知のように、事業者団体法は、独占禁止法に比べますと、その規定してございます禁止活動等がきわめて厳格でございますために、独占禁止法上必ずしも違法でないものが、団体法上取上げられるという事態が出まして、これがまさにただいま御報告のございました団体法改正問題の中心をなしているかと存ずるのでございます。私どももちろん自由公正取引を促進するという独占禁止法の精神は、あくまでも堅持いたしたいと存じますが、しかしいろいろその他の重要政策も、もちろんいろいろな面においてあるわけでございまして、なお独占禁止法適用除外なり、事業者団体法の改正、あるいは適用除外というようなことが、ある範囲において考えられるのだろうと思うのでございます。ただ、ただいまお話の協定ということになりますと、これは実際問題としてなかなかむずかしい限界があるかと思いますが、火災保険の場合につきましても、各事業者が個々に話し合つて、いろいろな再保険に関する契約をいたしますることは、もちろん問題として取上げられるわけではなくて、今私どもが攻撃しておりますようなあの形は、広汎な全社がうつて一丸となつたような協定をいたすことを、主としてあの事件では攻撃をしておるのでございます。  なお、どこまで行けば、それがいわゆる事業者団体法なり、あるいは独占禁止法上の違法な協定になるかという点は、これは法律問題とするといろいろむずかしい点もあるかと存じまするが、その点は協定という言葉を使いますと同じようになりますが、もう少しゆるやかに私たちも考えておるわけであります。
  23. 多田勇

    多田委員 横田さんの話はよくわかるのでありますが、要するに公共の利益を害さないというよりも、公共の利益を保護するような意図を持つたところの、あるいは現実に公共の利益を保護するといいますか、助長するような協定というものは、当然認めるべきであつて、これらの協定を阻止することが、むしろ経済の民主化を阻害するような結果になるだろうということは、はつきりしておると思うのであります。最近横田さんはアメリカに相当長く行つておられまして、向うの事情も十分に視察されて来たと思うのでありますが、アメリカにおいてはこれらの問題について、どういうような扱い方、どの程度の限界で取扱いをしておるか、その点についてお聞かせ願えたら仕合せだと思います。
  24. 横田正俊

    横田説明員 私、三箇月ほどアメリカの視察を命ぜられまして、最近帰つて参りました。期間がはなはだ短かかつたのと平生の不勉強の結果、大した收穫がなく帰つて参りましたが、ただいまお話の、いわゆる公共の利益という問題は、向うのいわゆる反トラスト法上も非常に重要視されておるようでございます。ただ御承知のように、向うの法律日本と違いまして、ややゆとりのあるような形をもつて規定されておりますものがあります結果、たとえば公共の利益というようなことにつきましても、その事件々々につきまして、かなり幅のある取扱いを実際しているように感じて参つたのでございます。従つて日本におきましても、あるいは私どもももう少し勉強いたしまして、御承知の第三条なり、その他の規定のところにございます公共の利益というものについての解釈に、ある程度のゆとりを持たせますことによつて、ある程度の緩和が得られるのではなかろうか。なお全然ゆとりのないものについて、しかも多少不都合と思われるものについては、法律の改正なり、あるいは適用除外なりということも、考えていいのではないかと思つて、帰つてつたのでございます。  ただこれは余談になりますが、私が向うへ行きます際に、まだウエルシユ課長はこちらにおられまして、自分もいずれ向うに帰るのだがということで、ただ行くについて私たちの心構えとして、これだけは忘れてくれるなということを言われたのです。それは結局アメリカではいわゆる独占禁止、反トラストの思想は、相当国民にしみ込んでおつて、何がいいか悪いかということは大体わかつている。従つて向うの法制上では、大体司法省なりFTCなりは、すでにその確立された制度を運用しておればいいのであつて日本においては経済民主化なり、あるいはデモクラシーということが、まだ国民に徹底していない、新しい考え方なり制度であるから、その点において日本では独占禁止法制をより強力に、かつ急速にやる必要がある。それだけの差があるのだから、向うへ行つても、あまり向うの法律のゆとりのある弱い面ばかりを見ないで行つて来いということを、特に注意されて参つたような次第でございます。  どうもそういうことを考えてみまして、日本の現状においてはきわめてむずかしい問題が、その根本にあるように考えられます。私の率直な感じを申し上げますと、最初に申し上げましたように、向うではすでに確立した制度であるせいか、ある程度のゆとりをもつて事務を処理しているような感じを受けた次第でございます。
  25. 多田勇

    多田委員 アメリカの経済の実態と日本の経済の実態との隔たりを、どうも考えなさ過ぎる傾向があるのじやないか。これは横田さんでなくして、その筋にあるのじやないかという感じを、非常に強く受けるのでありまして、なるほど今お話のように、日本の経済の民主化は、まだ民主化の途上にあるということは言い得ると思うのであります。しかしながらこれらの協定なり、あるいは団結なりをするということ自体が、公共の利益に反しない、むしろ公共の利益を促進するためであるというような意図のもとに行われるものとすれば、これは当然認めるべきものではないか。そこで私はお伺いしたいのでありますが、きのうも電力の問題でお伺いしました際に、係の方がおられませんので、はつきりした考えをお伺いできなかつたのでありますが、公益事業法の第四十四条と第四十五条とに、独占禁止法並びに事業者団体法から適用除外するというような法案が、第七国会に提案されたのであります。公益事業法の第四十四条並びに第四十五条は、要するに電力の調整並びに電力の価格の調整といつたようなことを考えた条文でございまして、これらの電力の需給の調整並びに価格の調整というものを、民間の企業体であるところの配電会社、電力事業者が相互に協定することによつて電力の価格を公正にし、電力の需給を調整するというような大きな役割を果すために、これらの協定をすること自体を、独禁法並びに団体法から除外しようというような意向で、公益事業法案が提案されたように記憶しているのでありますが、このように、少くとも公共の利益に反しないような協定というものは、当然独禁法並びに団体法から適用除去すべきであるというような考え方を持つておる際に、公益事業法の中に、こういうような取扱いをされたということについては、非常に私ども大きな指針として、むしろ団体法並びに独禁法の扱い方の将来について、明るい希望を持つておるのであります。公正取引委員会は、これらの点について、公益事業法によつて認めたと同じような形において、たとえば現在食糧庁で問題になつておりますように、主食の配給を民間企業体に移行する、その際に、価格並びにチヤージのプールを、どういうような形ですべきかということが非常に大きな問題になつて、むしろ主食の民間企業体移行を実現させないための、一つの大きな要因になつておるのでありまして、これらの点についても公益事業法によつて認められたと同じような方法で、主食の価格調整並びにチヤージの調整が、民間企業体によつて認められるというようなことができるとすれば、これらの問題も当然解決すべきであつて、要するに統制されている物を扱つているところの企業者は、統制されておるその趣旨並びに統制すること自体の公共の利益をまず増進し、公共の利益に反しない限度の措置を、当然団体法から除外すべきであると考えておるのでありますが、この取扱いについて公正取引委員会の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  26. 横田正俊

    横田委員 ただいまのお話の公共事業体については、独占禁止法上特殊の取扱いをすべきではないかというお話につきましては、先ほど私申しましたように、私どもの立場からいたしますると、あくまでも自由競争、公正取引ということの促進を強調いたしたいのであります。しかし何も独占禁止法の理念だけが国家に大事なものでないことはもちろんでございまして、この点は他に重要なる政策なりその他の関係がありまして、独占禁止法の緩和しなければならぬものにつきましては、私ども納得します場合においては、その適用除外その他につきましても、相当の理解を示して参つたつもりでございます。御承知のように電気ばかりではなく、適用除外に関する法律がいろいろ運送関係その他本来独占禁止法上は違法となつておりますものを、いろいろ幾つも掲げまして、適用除外の取扱いをいたしておりますのも、まつたくその趣旨から来ておるものと思うのでございます。また今お話の食糧の問題でございまするが、この点につきましては、私不勉強でまだその実態について十分の認識を持ちませんので、公正取引委員会としての、これに対する態度というようなものを申し上げることができないのでございます。しかしこの点につきましてはいろいろ私ども事務局の方でも、前々から愼重に研究はいたしておりますが、ただいま申し上げましたラインに沿うものでございますれば、私どもは十分にその点を考慮して日本のためになるような制度の確立に協力はいたすことになると存ずるのであります。
  27. 多田勇

    多田委員 電気と同じように価格統制がある以上、主食あるいはその他の末端価格を一本にしよう、公共の利益に即するような価格統制を行つている物資については、当然その価格を維持するための一つのプール機関が必要になつて来ることは、はつきりしておると思うのでありまして、団体法並びに独禁法が、自由企業体に対する一つの制限的法律としての役割を果す意味においては、現在の団体そのものにつてはいろいろ疑義があるのであります。これらの自由企業の独占禁止的な傾向を除去して、経済の民主化をはかるという意図のもとに法律ができていることは了承するのでありますが、少くとも国家が統制し、その統制によつて物が流れ、価格ができ上つているものについては、当然団体法から適用除外すべきである。あるいは独禁法から適用除外すべきであるというように考えておるのであります。この点について電力局からお見えになつておりましたら、公共事業体がどういうような趣旨で事業者間の協定を認めることになつたのであるか、また食糧庁からお見えになつておりましたら、食糧庁は主食のプールについてどういうような考え方、どういうような方法をとつて行こうというお考えであるか、ことに主食はすでに小売面については民間企業体に移行する。さらに卸売部門についても、民間に移行するための準備期間はすでに過ぎているように思うのでありますが、ただ問題になつております価格調整並びに運賃調整については、まだその結論を得ていないというように聞いておりますので、もし民間企業体に移行するための準備が整つておりながら、しかも最も重要である価格調整、運賃調整が、いまだ結論が出ていないということは、民間企業体に移行するために非常に大きな障害になるという危険もございますし、今後の統制物資が扱いについても大きな問題になる危険性がありますので、この点について電力関係では、公共企業体事業者の協定を、どういうふうな趣旨で認める考え方になつたのであるか、食糧庁については主食の価格並びに運賃の調整についてはどういうような方法をとつて行く意向であるか、その点について一つお示し願いたいと思います。
  28. 武内征平

    ○武内説明員 御承知のように、電力につきましては、昨年の十二月の電力料金の改正によりまして、それ以前におきましては、ほとんど全国各地、あまり大きい地域差のない料金で電力を供給しておつたのでありますが、十二月の経済十二号改正によりまして、相当程度の地域差が現在ついているわけであります。ところが再編成によりまして分割いたしまして、全然裸原価で電気を販売いたすということになりますと、現在の地域差以上に地域差が出るのであります。しかしながらもし裸原価で販売するといたしますれば、日発が昭和十四年に設立せられましてこの方、水力電気の豊冨なる地域におきまして電気を買う場合、あるいは需要地——比較的電気の高くあるべき地区で電気を買う場合におきましても、ほとんど同じような料金で供給せられた。またさような電気の供給状況において、新たに発生した工場等もあるのであまりまして従いまして、この再編成によりまして、裸原価で卸すということになりますと、経済界に大きい影響を与えるというようなことがおもな原因となりまして、現在の地域差以上に地域差を出さないということのためには、水力発電所の発電能力、あるいはキロワツト・アワーに一定の調整金を賦課いたしまして、そして火力地帯の火力発電に対しまして、キロワツト・アワー当り幾らくらいできめるか、調整金を与えるかということによりまして、現在程度の地域差にとどめるということが、これは経済社会一般に必要なところであるというような見地からいたしまして、先般第七国会に提出いたしました公益事業法案の四十四条、四十五条におきまして、会社間の契約あるいは認可ないしは契約の締結を命ずる。あるいはそれでも契約しない場合におきましては、契約にかわるべきものを公益事業委員会がつくる。こういうようなことで、これは先ほどもお話のありました事業者団体法、あるいは公正取引法等の法律に牴触するおそれがありますので、この除外規定を設けたというのが、趣旨でございます。
  29. 立川宗保

    ○立川説明員 食糧庁の企画課長であります。御承知通り来年の三月末日をもつて食糧配給公団が廃止になりますが、それに備えて卸及び小売の民営組織を創設しつつあるわけであります。そこで今御指摘のありましたように、非常に問題になりますことは、現在は食糧配給公団が全国を一本に配給しておりますから、全国四千万の受配者が、みな同じ価格の米を食つているわけであります。一升六十二円という米を食つているわけであります。ところがこれがそれぞれ民営に切りかえられまして、卸が独立をし、小売が独立をするということでやつて参りますと、同じたとえば長野県なら長野県の例をとりましても、そこで卸業者が十も十五もできるわけでありますから、その卸業者によつて担当する地域が非常に違うわけであります。ある業者は非常に不便な地域を担当し、ある業者は非常に便利な地域を担当するということになる。そこで必要になりますのは、卸売業者同志が協定をいたしまして、少くとも運賃及びその諸掛につきましてだけはプールをするという組織が、どうしても必要なわけであります。それがありませんと、これは一々四千万人の一人々々に対する、いわば価格及び運賃諸掛を規定いたしまして、その売渡し価格をかえて行くということは、言うはやすくして、とうてい不可能なのでありますから、結局非常に不便な地域を担当する卸業者は経済的に参る、あるいはそういうところには業者の志望者がないということにすらなるのであります。それをもし避けようとしますと、一定の売渡し価格をつくりまして、あと不便なところは高くもしようがない、高い米を食べなさいということにせざるを得ない。現在もしそういうことをいたしますと、たとえば同じ東京都をとりましても、われわれのように都内に住んでいる人と、島に住んでいる人と、非常な違いがありまして、八丈島とか伊豆大島というようなところに住んでいる人は、六十二円の米を百円以上も出さなければ食えないということになります。北海道についてもしかり、各県についてもみな同じような問題があるわけであります。またそういう消費者価格をかえてしまうというようなことになりますと、それぞれ賃金ベースを本質的にかえなければならぬではないかといつたようなことなりますし、いろいろな物価体系にも大きなひびが入つて参るというようなことになりますので、何とかいたしまして、この辺は価格運賃のプールをいたしまして、やはり全国同じ消費者価格で食べられるようにしたいというぐあいに、主食の統制の建前上考えているわけであります。しかしやはり問題になりますのは、少くとも卸売業者についてそのような協定をいたし、プールをして、運賃を同一なレベルに置くというような協定が適当であるか、違法でないかといつた問題であります。この点については、まだ実は公正取引委員会の方に正式にお伺いいたしておらないのでありますが、大体その実施の細目といいますか、資料もほぼ集まりましたので、近日中に公正取引委員会にお伺いいたしまして、そういうことのお願いかたがたお伺いいたしたい、かように考えておる次第であります。以上であります。
  30. 多田勇

    多田委員 主食を民間企業体に移すということがきまつておるにもかかわらず、運賃諸掛の調整ができない、調整についての見通しがつかないということは、非常に不見識ではないかというように考えるのでありますが、これは何か最初から運賃諸掛についてどういうような扱いをするというような一つ考え方があり、しかもその考え方が実現できなかつたために、公正取引委員会等について、今後打合せをして行くというようなことになつたのであるか、その間の事情説明できたらひとつ……。
  31. 立川宗保

    ○立川説明員 実はその点は、現在公団があるので委託いたしておりますから卸小売の発足は小売の方が先に発足いたしております。公団の委託販売というかつこうにさしあたりのところではなつております。この十二月末日までは、食糧配給公団から、全国三万の小売業者が委託販売を受けるということになりますので、これは公団が卸の機能を果すことになりまして、これは全国一本の一公団でありますので、完全にそのプールの機能を果すという見通しがあるわけです。そこで問題になります時期は、卸が創設されまして、来年の一月一日から活動を開始するというその時期に、この問題が具体的に台頭して来るわけであります。卸はまだ創設されませんで、十一月かあるいは十二月ごろにつくるということになつておりますが、その卸をつくります前に、運賃プールの見通しをつけておくという必要が出て来るわけであります。場合によりましたら法制化をするという必要も考えられるかと思います。そういう関係がございまして、当面はまず小売段階では問題にならない。卸の段階に立つて初めて問題になるというので、実は問題を少しあとにずらしておつたわけであります。小売の創設ということに当面の主力を注ぎましたので、この問題をまだ公正取引委員会の方に持ち出していないわけでありまして、そういう意味からであります。
  32. 多田勇

    多田委員 私ども聞くところによると、卸の創設はもつと近い時期に民間企業に移すという考え方で、食糧庁でもあるブロツクの説明会でそういう説明をされておつたように聞いておりますが、それがだんだんずれておると聞いております。そのずれた原因は、プールの問題が大きな原因になるのか、その他いろいろ準備の都合があつたのかわかりませんが、とにかくプールの問題が大きな理由になつておるということは一応考えられるのであります。そのプールについて食糧庁として、はつきりした自信を持つた見通しを持つておるのかどうか。あるいは一説には、プールができないので、食管特別会計を廃止して食糧公社を新しくつくり、その食糧公社によつて卸段階まで一切の業務を担当するという方法でこのプールの問題の解決を見つけ出そうというようなことが、農林省の企画課あたりで考えられているという話も聞いておりますが、これは最初の方針通り、卸を民間企業に移す、しかも民間企業に移すことによつて生ずる問題であるところの価格運賃の調整をし得るような、はつきりした見通しを食糧庁として持たれるのであるか。あるいは一応卸は民間企業に移すという考え方であるけれども、現在の段階においては、やむを得ない場合には、食糧公社なりあるいは現在の食管特別会計を使つて卸段階まで国の力によつてやろうというような、二段構えで考えられておるのか、その点をひとつ……。
  33. 立川宗保

    ○立川説明員 私どもは端的に申しますと、卸の運賃プールという組織が最もよろしい、これがまた最も能率的であるというぐあいに考えております。絶対にそういう方向が不可能であるということになりますと、また別の考え方をしなければならないのでありますが、今御指摘のありましたような、あるいは公社案とか、あるいは食糧管理特別会計でその辺の操作をするということは、いろいろ比較検討いたしましたが、むしろ弊害の方が非常に多いのではないか。やはり一番いい考え方は、卸のプールであるというぐあいに結論をいたしております。
  34. 多田勇

    多田委員 農林省の考え方は、民間企業体のプールを一応考えられているのでありますが、公共事業法と同じような行き方で、ことに主食については、国民生活に及ぼす影響が非常に大きいという見地から、どうしても末端価格を一本にすることが絶対的に必要であるという事情にありますが、こういつた場合、要するに統制物資についての民間企業体の共同行為を団体法から除外するというか、まあこれはその物資ごとに単独法によつて除外するか、あるいは団体法を改正して除外するか、いずれにしましても団体法並びに独占禁止法から適用除外すべきであると私どもは考えておりますが、それに対して公正取引委員会の御見解を伺いたい。
  35. 横田正俊

    横田説明員 その点は先ほどちよつと申し上げましたように、実はまだ農林省の案も拝見しておりませんし、私ここではつきりしたお答えをするのに苦しむのでございます。他に適当な方法がないということについて、私どもが納得するような実情でございますれば、いたずらに独占禁止法一点張りで、あくまでも私たちがその御案を阻止するというようなことにはならぬと思うのでございます。ただ私たちとしましては、この問題は別にしましても、統制の問題につきましても、統制の趣旨にも沿い、また私どもの考えております自由公正取引の基本的な考え方を生かすために、統制のわくの中でも、実態に即したやはり競争の面というものは常に考えて、ほかの者の案なり、その他いろいろな問題について今まで処理して参つております。問題は具体的の各場合々々の実態でございまして、抽象的にここではつきり、ただいまの御質問にお答えできないことを残念に思います。いずれ農林省の御案を拝見いたしましてから十分検討いたしたいと思います。
  36. 多田勇

    多田委員 具体的に米の問題について、協定を認めるかどうかという質問に対してお答えできないのはよくわかりますが、そこで現実に事業者の協定を認めるという段階に来ているところの電気事業者の協定、この協定が電力局からのお話では、要するに裸原価であつては経済界に及ぼす影響が非常に大きい、従つて一般国民の生活に及ぼす影響も非常に大きくなるという見地から、事業者同士の協定を認めておくという線に了解がついたように、ただいまの御説明で伺つたのでありますが、公正取引委員会として、公共事業法についての独禁法並びに団体法適用除外に賛成されたというその趣旨を、はつきりとひとつ御説明願えれば、これからの問題についての見通しもつくのじやないかと考えますので、この点についての公正取引委員会の見解をひとつ伺います。
  37. 丸山泰男

    ○丸山説明員 公益事業法案の問題につきましては、先般国会に提出になります前に、私どもの方の委員会にも内容につきましていろいろ御説明があつたのであります。独占禁止法の建前から、もちろん自由競争で行くべきでありますが、これは独占禁止法におきましても電気事業、水道事業、ガス事業というような、公益上非常に重要な関係にある事業部門につきまして、それが自然的に独占になるというような場合には、これについて独占禁止法適用しないということが、現行独禁法にも規定されているわけでありまして、電気事業が独禁法上特殊な業態であることは、すでに確認されている原則であるわけであります。ところが、今度の電力事業再編成に関連いたしまして分割を行い、それぞれの地方において電力を供給して行く、そういう関係から今までの態勢とかわつて来るわけでありまして、そこに電力料金の調整という問題が出て来ているわけでございますが、これにつきましては、おそらくは将来の理想としては、やはり地方の電源の開発ということに、その地方の経済人、それに深いインタレストを持つている人たちがやつて行くということは、将来の理想であるけれども、現在の状況下において、そういう理想を一挙に達成することは、非常に大きな混乱をまき起すというところから、そういうような調整規定が永久的に必要であるというふうな見解ではなかつたと思いますが、さしあたり、しばらくの間、そういうものが必要じやないかというようなことは、公正取引委員会におきましても十分了承いたしたように考えております。ただあの法案は、御承知のように通過成立を見なかつたのでありまして、あれについてもいろいろ問題はまだ残つておる点も若干あるかと思いますが、その点は今後のいろいろな検討にまつ点も若干あるのではないかというふうに承知いたしております。
  38. 多田勇

    多田委員 電気事業が独禁法並びに団体法から特別の扱いを受けておるという点については、そういうような理由で電気事業者の協定を認めて行くという考え方なつたということでありますが、公益に関係のある、しかも非常に大きな影響のあるものについて電気事業が取上げられ、そうして独禁法並びに団体法から適用除外を受けているというようなことになつたと思います。それと同じように酒類につきましても、その他の物資につきましても、とにかく統制されている物資の取扱いに関するところの事業者の協定というものは、公益に反しない限度においては、当然これらの団体について、これらの事業者についての協定なりを認めて行くべきだというように考えております。ただいまのお話だと、単に電気については前々からの扱いであるからというような、一つの延長的な考え方のように聞きとれますが、この点いま一応はつきりお話願いたいと思います。
  39. 丸山泰男

    ○丸山説明員 統制物資と独禁法との関連の問題は非常にむずかしい問題でありまして、御承知のように現行の法制のもとにおきましても、臨時物資需給調整法及びポ勅に基く物価統制令、こういうような統制法規のある部門につきましては、それぞれの法制の必要とする範囲において、独禁法、団体法適用除外が、現在においてもはつきりうたわれておるわけであります。しかしながら先ほど横田説明員からも話がありましたように、統制されている物資であれば、全然自由競争をやらなくていいのだ、競争的要素が皆無であつてよろしいのだということには、必ずしもならないのではないか。たとえば御承知のように戦後の統制方式の中では、やはり民主化された統制方式ということがうたわれておりまして、たとえば自由登録制というふうに、消費者の意向が、その統制の運営の中に反映して行くようなシステムということが考えられておるのじやないかと思うのです。その限りにおいては、やはり価格面で競争がなくても、サービス面で競争をして、消費者の満足を高めて行くという努力がなされなければならないのじやないか。そういう意味統制されている物資は、独禁法に全然触れないのだということにはならないのじやないかと思うのです。しかしながら、もちろん統制という需給調節本来の目的から、どうしてもやらざるを得ないいろいろな協同行為か、そういうものについてはそれの必要性、もしくはその弊害の有無等について、慎重な検討を加えた後に、それぞれ適当な法制的な措置を講じて解決して行くべきではないか、こう考えております。はなはだ抽象的でありますが……。
  40. 多田勇

    多田委員 これ以上はお聞きするのはむりかと思いますが、独禁法並びに団体法の扱いの根本的な考え方として、ただいまお話のように、もちろん統制物資についても、なるべく自由な競争によるところの公益の促進ということは当然考えるべきだと思うのでありますが、ただ統制物資であるがために、統制しているがために、どうしてもある程度事業者間の協定なりが必要である物資、そういつた協定がなければ公益に反するというような事態のあるものについては、当然独禁法並びに団体法上から、取扱いを別途に考えるべきだというような、根本的な考え方を現在持たれておるかどうかお聞きしたい。
  41. 横田正俊

    横田説明員 その点は先ほど私もはなはだ言葉が足りませんではつきりいたしませんでしたが、御承知独占禁止法令の適用除外に関する法律に、たしか八つくらいいろいろあげてございまするが、あの適用除外の一つ一つを掘り下げてお考えいただきますと、大体今まで多田さんのおつしやつたラインであれらの規定ができているように思いますので、あの適用除外につきましては、もちろんわれわれに一々相談もございますので、あの法律の精神から同様の他の問題に押し及ぼしていただきますと、大体公取の考え方もおわかりいただけるんじやないかと思います。
  42. 多田勇

    多田委員 時間が大分たちましたので簡単に最後一つお伺いしまして、あとは午後にいたしたいと思います。大体今の横田さんのお話一つの線がはつきりしたように感ずるのでありますが、最後一つ、私どもにとつてはちよつと不可解な点といいますか、今までの行き方と異なつた点が、今後の問題に大きな影響があると思います。というのは、石油配給打合会に対する独禁法等の違反事項でありますが、石油打合会に対する独禁法等に対する違反事項につきましては、公正取引委員会は従来審判を開始する、要するに審判をするという一つの原則を破つて、こういうようなことにすべきであるというような勧告を出しているように聞いておるのでありますが、今までここにあげられております、たとえば団体法違反にしましても、ここにあげられておりますような中には、相当軽微な問題、むしろ審判まで持つて行くべきでないというような軽微な問題もあるような感じがするのであります。これらの問題については当然勧告措置をし、あるいは正式の勧告でなくても、そういつた同じような形においてこうすべきであるというような、一つの示唆を与えるというような行き方を、公取が当然とるべきだというように一応考えておつたのでありますが、たまたま私どもが考えておりましたような行き方で、石油打合会に対してこのたびは公取が勧告された。これは法的根拠があるように聞いておりますが、今後もこういつた勧告的な行き方をどんどんとつて行くのであるかどうか。あるいはまた石油については、特に外社が入つているような関係で、特別な扱いをされたというような感じを一般に与えておりますけれども、この点は今後公正取引委員会が、独禁法並びに団体法の扱いについて一般から誤解を受けないように、すなわち外社が入つておるために審判にかけずに勧告をするというような措置をとつたということでなしに、今後公正取引委員会審判を開始する程度の事犯でないものについては勧告的な措置をとることに、方針がかえられたのであるかどうか、この点をはつきりひとつ御説明を願いたいと思います。
  43. 横田正俊

    横田説明員 ただいまのお話の、勧告による事件の処理ということにつきましては、実は私どもも前からできるならば、公式な審判等を開始しないで、事件が処理せられるということを最初から欲しておつたのでありまするが、いろいろな事情からいたしまして、必ずしも私どもの考えた線に行かずに、むしろはなはだ小さい問題につきましても、一応審判を開始するというラインを、ずつと今まではとつて来たようでございます。最近におきまして、いろいろ関係方面とも折衡し、事案によりましては勧告で処理するということについての、一応の私どもの態度がきまりまして、実はあの二つの特別な事件ばかりではなく、最近におきましては、この勧告による事件の処理の数も相当つたように聞いております。もちろんそれは株式の保有であるとか、比較的簡易なものが多いのでありますが、必ずしもそういうものばかりではなく、この勧告の方式を取入れるような態度に立ちましたので、多少取扱いの方針がかわつたのではないかという御指摘の点もごもつともなふしもあると思います。今後も私どもとしましては、できるだけ公正な立場に立ちまして、外国法人であるからどうというようなことにあまり拘泥いたしませんで、その事件々々の性質等をよく見まして、勧告に持つて行くべきものはどしどし勧告に持つて行くということで、事件を処理して行きたいと考えております。
  44. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質疑がなければ、午前の会議はこの程度で休憩いたします。午後は二時半り再開いたします。     午後一時十五分休憩      ————◇—————     午後二時五十四分開議
  45. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより再開いたします。  午前中に引続き、事業者団体法に関する件を議題に供し、質疑を続行いたします。多田勇君。
  46. 多田勇

    多田委員 二、三の問題についてお伺いいたします。中央酒販株式会社事件で、その審決が事業者である株主に対して株式の処分を命じた、事業者である役員に対して辞任を命じ、将来の類似行為の禁止という同意審決があつたようでありますが、酒の販売会社、すなわち卸売機関としての酒販会社が、各府県にほとんど一社ないし二社できておるというふうに聞いております。これは単に中央酒販のみでなく、各府県の酒の販売会社にまで及ぼすものであるかどうか、その点……。
  47. 内田藤雄

    ○内田説明員 多田さんの質問にお答え申し上げます。ただいまの御質問意味が、この審決の結果が法律的に他の同様のものに及ぶかどうかという意味でございましたら、及びませんとお答え申し上げます。事実問題といたしまして、但しこういつた審決があつた以上、他の同様な会社においても、審決と同様な措置をとつてもらいたいという希望は含まれておるものと存じますが、法律的に申します意味では、その効果は及びません。
  48. 多田勇

    多田委員 そうしますと、先ほど言われたような勧告の形で、今のような措置をとられるのですか。
  49. 内田藤雄

    ○内田説明員 今後でございますか。
  50. 多田勇

    多田委員 他の会社に対して……。
  51. 内田藤雄

    ○内田説明員 今後どういたしますかということについては、ただいま私何ともお答えいたしかねます。
  52. 多田勇

    多田委員 中央酒販の同意審決に対して、同意審決の内容については別に御質問する点はないのでありますが、ただ中央酒販の問題を取扱つて調査された結果、二以上の事業者の結合によつて共通の利益をはかることをもつて目的にしたというような、一つはつきりした見解が出た結果、こういう同意審決が出たのだろうと思うのでありますが、実際問題として中央酒販が設立され、中央酒販としての機能を発揮するために、この構成分子としての酒の販売業者が、中央酒販の株主になつておるというような点だけを取上げられたのか、あるいはまた酒の販売業者が集まつて中央酒販という会社をつくつたことによつて、不公正な競争を助長したり、あるいは独占禁止法の精神に反するような、公益に反するような行動があつたというような認定があつたのかどうか、要するに中央酒販の活動の内容が、独占禁止法の精神に反するというようなことが、単に二以上の事業者が株主の構成分子に含まれておるという点だけのものか。この点について見解をひとつお伺いいたします。
  53. 内田藤雄

    ○内田説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げますが、第一には、この中央酒販株式会社というものは事業者団体法にいわゆる事業者団体であるという認定を基礎にせられておることは申すまでもないことであります。そこでその事業者団体であるならば、事業者団体法の禁止行為に触れる行為をなし得ないということから、第一に事業者団体法の五条一項の九号の、営業用の施設を所有し、もしくは経営し…てはならぬという項、及び十三号の購買、販売、生産その他配分、その他の営業に従事することができない、というこの条項に違反するというのが第一の点でございます。  それから次にこうした形態の会社が存在することによつて、卸売業者間の競争が制限せられるという意味におきまして、次の独禁法四条、三条にも違反する、こういう見解をとつた次第であります。
  54. 多田勇

    多田委員 ただいまの御説明で、団体については事業者団体であるという認定のもとに考えられたという点と、独禁法の関係では、卸売業者間の取引の制限をするということが、独禁法四条の違反というような考え方のようでありますが、酒の場合につきましては、酒の販売は大蔵省の認可を必要とするという一つの条件があるはずであります。しかも酒につきましては、税金の関係等によりまして、大蔵省自体がこういつた中央酒販のような形の卸売機関を持つことが、酒の税金を取立てるために必要であるという考え方で、むしろ大蔵省自体が勧奨してつくらせたというようなことを聞いておりますし、この会社自体が、ただいまお話のような取引の制限をするという点については、酒そのものの企業体からして、はたして取引の制限があつたかどうかという点は、相当問題になる点だろうと思うのでありますが、ただそれだけではなしに、こういつた形のものが現にできつつあるというようなわが国の経済情勢、すなわち公団廃止後の、統制撤廃後の新しい企業体をつくるためには、どうしても事業者中心としたところの、新しい企業体が生れるという経済の実態からすれば、こういつた企業形態に対して、強い制限を加えるということは、むしろわが国の経済の民主化を阻害する結果になりはしないかということがおそれられるのであります。事業者団体法が立法されました当時の公正取引委員会の提案理由の趣旨と、現在の経済情勢とが相当かわつておるという点と、さらに委員会における公正取引委員会との質疑の内容を見ましても、こういつた株式形態によるもの、すなわち事業者が株主の構成分子であつても、その株主の構成分子である事業者が、事業者として分離した、独立した法人格を持つ会社に対しては、団体法適用しないのだというような見解を、その当時とられておつたように私ども承知しておりますが、そういつた点から見ましても、こういつた会社に対して、独占禁止法の精神に反するような点、すなわち経済の民主化を阻害するような行動があつた場合は別でありますけれども、単に事業者の結合体である、事業者団体であるという認定のもとに、こういつた業体を抹殺しようという考え方をとられることは、事業者団体法の精神にも反しはしないかという点が一応考えられると同時に、こういつた考え方で進むことによつて、現在日本の数多くの企業体が非常に大きな不満を持つておる。ただいまお話の点では、各県にあるところの酒販会社については、特別に考えられていないようでありますが、しかしながら各県にあるところの同じような酒販会社の場合、あるいは石炭の会社のような場合、あるいはまたその他の企業体の場合であつても、二以上の事業者が、とにかく株主の構成分子に含まれておるというような場合には、当然団体法事業者団体としての認定のもとに、それぞれの処置を受けるという危険性が多分にあるわけでありまして、そういつた不安を毎日感じながら企業を運営して行くということは、企業者にとつては非常に大きな負担である、こういうように思うのでありますが、こういつた点からしまして、一応日本の経済の実態に即した形において、事業者団体としての取扱い、さらにそれに対する制限の仕方、そういつたものを当然新しく考え直すべきではないか。事業者団体法が制定されました当時の経済状態と現在の経済状態との間には、相当大きな隔たりがあると思うのでありますが、現在の経済情勢からいたしまして、当然団体法の改正といいますか、団体法取扱いについても、公正取引委員会として十分新しい考え方を持つべきである。この点については先ほど石油打合会に対する勧告措置といつたような措置を今後とられるとすれば、一つの進歩であろうと思いますが、さらに一段進められまして、一応こういつた問題に対して再検討していただくことによつて日本の企業体をほんとうに民主化するような線に進めるという、一つの経済政策的な見地に立ち得るような考え方がないかどうか、それはお聞きするのは非常にむりな質問だと思いますが、お答えできましたら御見解を伺います。
  55. 内田藤雄

    ○内田説明員 ただいまの御意見まことに十分われわれとして考慮いたさなければならぬ点があると存じております。しかし実情を申し上げますと、われわれとしましても、実際いわゆるポリシーの問題をどの程度までくみ入れるべきであるかという点については、実は絶えずわれわれ自身の間でも論議をいたし、苦慮いたしておる点であるのでありますが、とにかく一応われわれに與えられておる最後のよりどころと申しますか、同時に義務と申しますか、もちろんその実情というものを、まつたく無視するわけではございませんが、とにかく法律の規定にわれわれはやはり縛られておるのだと考えますと、あまり專断的なことになつては、かえつて悪いのではないかというようにも考えておる次第でございまして、また十分ただいまの御趣旨の点は、今後ますます考慮して行動したいとは存じますが、その辺も、私どもの立場といたしましては、いろいろ苦慮するところのあることも御了承願いたいと思うのであります。  それから今後の法律改正の問題につきましては、私からそう軽率なる意見とか見通しを申し上げるのもいかがかと思いますが、これは繰返して申し上げません。
  56. 多田勇

    多田委員 三時までというお話しですが、先ほど永井委員から協同組合の比較の問題につきまして質問がありまして、それに対して御答弁があつたようであります。これはお聞きしてもおお答え願う点はかわつておるのでありますが、ひとつ今後の扱いとしまして御希望申し上げる点は、協同組合組合員たる資格条件として協同組合法に規定されている一つの線があるようであります。しかし協同組合法にもそれ以上の線を越えたものであつて公正取引委員会が、それに対していかんというような判定を下さない場合はよろしいというような、内容の条文があるように記憶しております。従つて事業者団体法違反として取上げられた中にも、協同組合相当あるようであります。これらの協同組合の中にも、要するに組合員の資格のない者が組合員となつておるということで、適用除外団体でなんという認定のもとに取扱つておるのでありますが、これらは協同組合の個々の内容をよく検討して行きまして、これらの組合員が組合に加入しなければ、その組合の存在理由もなくなるということもありましようし、あるいはその大規模業者あるいは中規模業者が入ることによつて、これらの業者がむしろ協同組合としての機能を発揮すると同時に、組合員全体の利益になるというような事情もあるように思うのでありますが、これらの点についての今後の取扱いは、その組合団体に即応した行き方をひとつとつていただきたいという点を、お願い申し上げまして私の質問を打切ります。
  57. 圖司安正

    圖司委員長 引続き協同組合制度に関する件を議題に供し、中小企業庁協同組合課長谷敷寛君より説明を聴取いたします。
  58. 谷敷寛

    谷敷説明員 私中小企業庁の協同組合課長でございますが、中小企業等協同組合法の現況につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。  御承知のように事業に関しまする組合につきましては、従前より二つの型がございまして、一つ事業者の内部の統制を行います組合、もう一つ事業者の協同経済事業中心とします組合という二つの系列があつたわけでございます。ところが終戦後統制を内容とします組合はその必要がなくなりまして、昭和二十一年に商工協同組合法という法律ができまして、これは事業者の協同事業中心とする協力を目的とする組合でございましたが、さらに昨年中小企業等協同組合法という法律ができまして、この法律には従来の商工業関係組合のほかに、林業関係、運送関係あるいは塩業関係等々、要するに農業関係と水産業関係、それから生活協同組合関係、これを除外いたしましたすべての事業を包括する事業につきましての協同組合組織の基本法となつたわけであります。それで中小企業等協同組合法の対象は、今申し上げましたように、農業と水産業と生活協同組合以外のものは、すべてこの中小企業等協同組合法を活用できるということになつております。この中小企業等協同組合法は、その性質が純然たる経済事業中心とするものでございまして、従いましてその内容も極端に申し上げますならば、会社に準ずるように、経済の一つの単位として働くという点が大体主眼となつておるわけであります。この中小企業等協同組合法に基きます組合には、大体事業協同組合、信用協同組合、それから企業組合という三種類がございまして、事業協同組合は独立の事業を営んでおります事業者が協力いたしまして、いろいろな協同事業を行うというのが中心でございます。信用組合は信用事業を行う。もう一つ企業組合というのは、新しくできた制度でございますが、これは従来のいわゆる合作社制度というようなものを法制化したものでございまして、これはむしろ事業を行つているものと申しますよりも、これから事業を行おうとするというような方々が相集まりまして、企業組合をつくり、その企業組合一つの企業体として、有限会社のような単位の事業体として事業をやつて行くという形の組合でございます。この今度の中小企業等協同組合法の一番の特徴は、これが非常に自由な組織になつておる点でございまして、従来の組合、あるいは現在の他の協同組合は、いずれも行政官庁の認可を必要とするということになつておりますが、中小企業等協同組合につきましては、全然行政官庁の認可のようなものは必要ではないのであります。従いまして任意にこれをつくりまして、定款の認証を受けて登記をいたしますれば、それで一つの法人として活動ができるということになつておるわけでございます。従いまして、その事業の内容につきましても、行政官庁が積極的にタツチをし、監督をしまして、いろいろ口を入れるということもなくなつておりますし、加入、脱退も自由でありますし、また組合の運営が、全部総会を中心組合員の総意に基いてやるということになつております。いわば会社法のように非常に自由な組織になつておるというのが、中小企業等協同組合の特徴になつております。現在この法律は、昨年の七月一日に施行されまして、約一年ちよつと経過したわけでありますが、その創立状況を簡単に申し上げますと、企業組合が約三千、事業協同組合が約一万、それに連合会が五十ばかりございまして、ほぼ一万三千あまりの組合ができております。この数は大体中小企業等協同組合法ができまする前の、商工協同組合法に基く組合の数と大体匹敵するかと思われますが、現在さらに組合の数はふえつつある次第であります。  そこで次に現在中小企業等協同組合法の運用につきまして、問題になつておりまする若干の点を御説明申し上げますと、第一に独占禁止法との関係がございます。これは先ほどもお話がございましたようですが、要するに工業者組合につきましては、従業員の数が百名以上の人、商業者につきましては従業員の数が二十名以上、こういう方が組合にお入りになりますと、その組合独占禁止法の除外を当然に認められることにはならないのでございまして、事情によりましては、何どき公取の方から組合の脱退なり、あるいは組合の解散を命ぜられるかもわからぬという状態にあるわけであります。実際の問題としましては工業者で百人以の従業員を使つておられるという事業は、事業の種類によりましては相当大きなものもございますが、わが国のように割合機械化の進んでいないところでありましては、百人の従業員を使つておりましても、必ずしも大きな企業とは言えないものが相当あるわけであります。現に二百人あるいは三百人という従業員を持つている方が、相当協同組合に入つているわけでございますけれども、こういう方々は何どき公取から組合脱退を命ぜられるかわからないということで、非常に不安な気持を持つているわけであります。この点をさらに何らか安定できるような措置がとられれば非常にけつこうだと思つて、今研究はいたしているところでございます。  それからそのほかの問題としましては、組合の実体の把握という問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、行政官庁の認可ということを全然なくいたしまして、ただ届出をすればいいということになつておりますので、行政官庁としましては、その届出が必ずしも十分正確に励行されておりませんので、実体の把握についてあるいは現在できて運営されております組合の指導上、若干の不便を感ずるのでありまして、何とかもう少し実体把握ができるような制度がいいのじやないかというふうにも考えられる次第でございます。  それから次に大きな問題といたしましては、信用組合の問題でございます。これは中小企業等協同組合法ができまするときに、従前ならば普通の経済事業と信用事業を一緒に行うことができましたが、今度の法律では、信用事業が切り離して独立に信用協同組合という別の組合をつくらなければならないということになりましたので、一応信用事業だけの組合ができるわけでありますけれども、これが信用協同組合のみにつきましては、この事業を行いますのに大蔵省の免許が必要とされておるわけであります。そこで大蔵省の免許基準といたしましては、相当大きな組合でなければ免許しないという方針になつておりますので、小規模業者が相互に金融をするために、信用協同組合をつくりたいと要望がありましても、免許の上で若干ひつかかるという点もあるわけであります。この点につきましては、仄聞するところによりますと、大蔵省当局におかれましては、金融業法なりあるいは他の法律を考えまして、相当大規模な、しかも事業者だけではなく、一般の市民も含めましたいわゆる前の市街地信用組合というようなものは、別個の法制によりまして大蔵省が專管してこれをやつて行く、その他の事業者中心としまして、小規模の信用組合については、これを中小企業等協同組合に譲りまして、免許基準云々の問題についても必ずしもタツチしなくてもいいという意向もあるやに伺つておりますので、この点がはつきりいたしますれば、小規模事業者の信用事業というものも円滑に行くのではないかというふうに考えております。  それから時間が参りましたが、もう一点だけ申し上げますと、現在相当政治的にも問題になりつつある問題に、企業組合の税金の問題がございます。これはちよつとこまかくなりますけれども中小企業等協同組合法の八十一条という条文がありまして、これには企業組合の「組合員が組合の行う事業に従事したことによつて受ける所得のうち、組合組合員以外の者で組合の行う事業に従事する者に対して支払う給料、賃金、費用弁償、賞与及び退職給与並びにこれらの性質を有する給与と同一の基準によつて受けるものは、所得税法の適用については、給与所得又は退職所得とする。」こういう条文がありまして、企業組合をつくりまして、その従業員として働いておる人の受ける給与のうち、一般の勤労所得と大体同一に見られるものは、これを給与所得と見まして勤労控除を行い、勤労所得と同様の課税をするということになつておるわけでございます。ところが最近所得税法の施行規則というものが改正になりまして、それによりますと企業組合従業員の受ける給与のうち、いわゆる従来の実績に基いて支給するような所得は、これを給与所得とみなさないという条文ができたのであります。そうなりますと給与所得とみなされなければ、これは事業所得ということになりまして、普通の事業所得並の所得税を徴收されるということになりまして、その間に相当税額の上の相違が出て来るわけであります。そういうことになりますと、企業組合というものの存在の意義なりが非常に減殺されますので、この点について目下大蔵省、国税庁当局と中小企業庁の間で交渉を行つております。大体大きな問題は以上のようなものでございます。
  59. 圖司安正

    圖司委員長 続いて農林省農業協同組合課長平木桂君の説明を聴取いたします。
  60. 平木桂

    ○平木説明員 農業協同組合概要についてお話申し上げます。時間もございませんし、すでに農業協同組合制度成立の沿革なり、あるいは制度の内容につきましては、概要承知のことと思いますので省略いたしまして、この新しい農業協同組合制度に関して、農林省がとつて参りました行政の内容といつたものについて簡単にお話申し上げます。  申すまでもなく農業協同組合は、いわゆる協同組合の原則にのつとつて、組織者の自由あるいは自主性ということを、中心の基調といたしまして生れておりますので、これに対して行政庁は、いたずらなる干渉をしないという建前をとつております。そこで行政の内容としては、協同組合の趣旨をその組織者たるべき農民に十分に徹底させるという普及宣伝の仕事が第一。第二にはこの協同組合の設立につきましては、今お話のありました中小企業協同組合の場合と若干異なりまして、この組合法律に基いて正当に成立したものであるということを認証する意味において認可制度をとつております。すなわち設立なり定款変更あるいは解散、合併等について認可の制度をとつている、その認可に関する事務というようなことが第二点であります。それから第三点には、この新しい協同組合を合理的に運営して参りますためには、役職員に、それに必要な十分な知識、技能を與えて参らなければなりません。そこで役職員の養成、再教育というようなことを第三の大きな仕事としてやつております。それから第四には、個々の組合員につきまして、具体的な経営の個別指導をやつております。さらに第五には、組合組合の経営内容については特別な干渉をいたさないと申しましたけれども、この協同組合の行動が法令等に違反している場合には、これを匡正しなければなりません。そういう観点からごく軽微な程度の検査という責任を持つております。この協同組合の検査をやつております。しかして最後に、こうした農業協同組合に関する諸行政をやつて参りますについては、協同組合の実態を常時把握しておらなければなりません。そこで協同組合に関する諸種の調査をやつております。大体このような内容の行政をいたしているわけでありますが、そのために農林省におきましては農業協同組合部及び部の中に課が設置されております。それから各府県には、大多数の府県に農業協同組合課がやはり設置されておりまして、その他の県におきましては、農政課あるいは農業経営課、農業経済課といつたようなところで、協同組合の事務を取扱つております。従来は大体そのような内容の行政をやつてつたわけでありますが、さてそうした農業協同組合の現況について簡単に申し上げますと、お手もとに資料を差上げてございますが、現在設立されております組合の数は、いわゆる単位組合におきまして総計三万三千三百ほどになつております。もつともすでに設立が認可になりました数は三万三千九百でありまして、その差の六百程度のものはその後において解散しておるわけであります。この三万余の組合のうち、約半数の一万七千が出資制度をとつておりまして、他の一万七千が非出資制度であります。この組合の組織についてはまつたく自由でありますので、地区はいろいろになつております。表にありますように、全国段階のもの、県段階のもの、あるいは県以下のもの、いろいろあります。そうしてそれらがやつておる事業の内容も区々であります。これもお手元の資料に出ておりますが、そのうち特に信用事業以下各種の事業を兼営をいたしております組合、これは村を中心にして大体町村に一つ、例外的には二つ、あるいは三つ存在する場合もありますが、大体は一町村に一つ存在しておるわけでありますが、これが最も基本的な組合であり、また最も重要な活動をいたしております。その数は約一万三千であります。この一万三千の組合を基本にいたしまして、あと部落的な組合、あるいは郡的な組合、例外的な県区域、あるいは全国区域といつたような単位組合が、それぞれの特殊の事業をいたしておるわけであります。  さらにこうした組合をもつて組織いたします連合会の数は、今日すでに一千余を越えております。この一千余の連合会のうち、やはり基本的なものは、府県を区域とした連合会でありまして、そのおもなものは信用事業を行う連合会、それから販売事業を行うもの、購買事業を行うもの、そのほか各種の連合会が存在しております。このように協同組合の組織は、各種各様のものが、さまざまな地区において設立されておるわけであります。こうした組合が設立されますと同時に、他面におきましては、従業存在しておりました農業会、町村にあります市町村農業会、さらに府県の農業会、さらに全国農業会、これが解散いたしたわけでありまして、その解散に基く清算はほぼ結了しております。この農業会と同時に解散いたしましたもののうちに、従来農事実行組合、あるいは養蚕実行組合といわれておつたものがあります。これもすでにすべて解散し、清算をほとんど結了しておるわけでありますが、ただいま申しました農業会が果しておりました機能を新たに行うような形の協同組合は、ほとんどくまなく各地に設立されたわけでありますけれども、この実行組合にかわるような農業協同組合は、まだきわめて設立が進んでおりません。養蚕関係の実行組合にかわるものとしての、部落的な小規模の農業協同組合は若干できておりますが、その他の農事実行組合にかわるような組織は、まだほとんどできておらないわけであります。  以上が組織の概要でありますが、さらにその経営内容について見ますと、お手元に表がございます。これをごらんになつていただくことにいたしまして、詳細な説明は省略いたしますが、要するに昨今農業協同組合の経営の内容は非常に悪化して参つたわけであります。その原因といたしましては、一部には外部的な原因もあるわけでありまして、一方経済界の変動に伴いまして、協同組合の保有しております各種資産の減価、これが協同組合に大きな圧迫を加えております。同時にまた、一方に農家経済の窮迫化と申しますか、これに伴う協同組合の資金の蓄積の消耗ということもございます。また逆に新たに協同組合の行つて行きます事業に関して言えば、農家の購買力の減退等のため、協同組合事業がいわば縮小する方向にあるというような関係もありまして、それらの外部的な原因が、協同組合の経営をかなりきゆうくつならしめておりますが、同時にまた協同組合の内部にも各種の欠陥があるわけであります。第一には、新しい協同組合に対してとられております、当初に申しましたような基本的な考え方から申しまして、従来の農業関係団体に対するいわゆる保護政策、これが大幅に縮減されたわけでありまして、そのために依然としていわば保護に依存する経営観念というものが、その後の経済情勢にマツチせず、協同組合の経営を、いわば下向きならしめておるということもあります。また長い間農業会以来の統制経済のもとにおきまして、農家に対する統制諸物資の配給、あるいは統制されております主要農産物その他の生産物の取扱いというようなことをやつております。そうした統制経済下における団体事業、その観念になれまして、いわゆる自由経済下における自由市場への適応性といつたような点において、役職員の経営能力に欠くるところが少くありません。そういうことも大きな原因になつておりますが、さらに一般的に言えば、役職員の経営能力の不足ということが一つの大きな原因にもなつておると思います。その最も重要な事項といたしましては、組合にあります資金運用の不適正ということであります。資金がいわゆる合理的に運用されておらない、またこうした各種の原因が内部にありまして、そのために、いわば組合の企業体としての合理性が失われたというようなことがございます。またそれと関連いたしまして、組織者の組合における結合の強度が弛緩したと申しますか、そういう面もあります。あるいは弛緩したと申しますか、この組織がきわめて脆弱なところに、そのような欠陥が表面に出て参りましたために、一層組合の組織力を弱めたというような関係もありまして、この経営の悪化ということが、昨年の暮以来だんだんに表面に出て参つたわけであります。そこでこれに対する対策といたしましては、旧臘来いろいろ考慮いたしまして、一つにはいわば今までの極端に自由放任の協同組合に対する政策、これにある程度の改正を加える必要があるのではないか、要するに自由放漫ということから来るところの対外信用力の失墜、これに対しては行政庁が若干の手を入れることによりまして、その挽回をはかることが必要なのではないかという意味合いをもちまして、先々国会におきまして法律の御改正を願つて一つには協同組合に対しまして毎年一ぺん定例として検査を実施するということにいたしたわけであります。もう一つには、この協同組合の財務の処理につきまして、役職員がよるべき基準を定めて、資金の運用等が放漫になることを防止するというような措置をとつております。これを基点にいたしまして、もつぱら協同組合の経営の健全化というための指導をいたしておるわけでありますが特にこの三月ごろになりまして、一部の組合におきましては、貯金の払いもどしに窮するというような事態が発生いたしました。新聞等で御承知通り、この六月の農村の資金の端境期において、協同組合の危機が到来するであろうというような唱道も行われました。そのような事態の発生を防止いたしますために、この協同組合の健全化のための具体的な措置をいろいろとつたわけであります。その一つといたしましては、金融措置であります。この金融につきましては特別融資ということがいろいろ考えられたのでありますが、客観的な事情が許しませず、一応現在協同組合の内部に蓄積されております資金を、できるだけこの貯蓄払い停止あるいは制限といつたような事態の発生を防止するために、円滑に使うという措置をとりました。さらに個々の組合に対して、組合の健全化をはかるために、その集中的な指導に乗り出すことになりまして、中央におきましては農業協同組合の経営対策協議会というものを設置いたし、また各府県にもそれぞれ関係機関をもつてそのような協議会を設置いたしまして、ここでいろいろな対策を練りまして、これを順次末端の組合まで押し及ぼして、個々の組合の経営健全化指導を、実際にやつておるわけであります。そうしたことの現われかどうかは断言できませんが、一面におきましては、農家の収入期に入るとともに、当初懸念されましたような危機状態というものは一応乗り切つた形になつております。しかしこの農村の金融の端境期を一応乗り切つたといたしましても、またふたたび来年の同期にこのような事態が発生することがあつてはならないということから、この秋の農村の収穫期を機といたしまして、この協同組合の経営の健全化工作を、より徹底的にやろうというので、目下いろいろ準備を進めておる次第であります。と同時に、他面におきましては、組織の整備ということも進められておるわけでありまして、先ほど申しましたように、連合会は一千以上設立されておりますが、この連合会の統合というような問題も前々国会の法律改正を機にいたしまして、順次進捗しつつあるわけであります。またさらに現在の法律の中にありますところの若干の問題も解決しなければならないと思いまして、目下次の通常国会において、一部の法律改正をいたしたいということでその準備をいたしております。それはこまかい点を申し上げれば多々ございますが、その一点だけ申し上げますると、現在の役職員の任期が、あまりにも短いということであります。従つて協同組合の役員に選ばれましても、この役員がほんとうに腰をおちつけて、組合事業経営に従事できないというようなことが、経営を不健全ならしめる一つの原因になつておるということから、役員の任期を若干伸張いたしたい。それに伴つて役員の選出方法等にも、若干の改訂を加えたいということを考えております。  その他こまごましたことはいろいろございますが、時間もございませんので、あとは御質問にお答えすることにいたしまして、一応御説明はこれで終りたいと思います。
  61. 圖司安正

    圖司委員長 続いて水産庁協同組合課長曽根徹君の説明を求めます。
  62. 曽根徹

    ○曽根説明員 お手元に水産業協同組合設立状況、信用事業調査、それから一部の信用事業をやつております協同組合の主要勘定、それに法規、引継ぎ資金に関する資料、この五つの資料をさし上げてありますが、法律につきましては先般御承知のことでございますので省略いたします。ただ一つ、農業協同組合等と非常に違つております点は、漁業権のことについてでありますが、漁業法が新しく制定されまして、その漁業法によりましと、漁業権の免許を受ける場合に、協同組合が自営する場合を最も優先しております。もう一つ地先の協同漁業権は協同組合が免許を受けるということになつております。この漁業権の自営によりまするところの管理、あるいは協同漁業権の管理というような、協同組合が一方的な経済事業を営むほかに、協同組合によりまして、漁場を漁業権によりまして管理するという役割を、協同組合が持つている点であります。なおそのほか農業会、県農等の解散に伴いまして農業協同組合ができましたと同じように、県水産業会、漁業会というものがございまして、その解散に伴いまして、——協同組合法の制定に伴いまして、これらの団体は解散するということになつております。しかしながらただいま申しました漁業権が——現在あります漁業権は、漁業法の施行後二箇年のうちに新しく切りかえるのでありまして、漁業会が漁業権の八〇%を持つておりますので、その間旧漁業権を管理する管理団体として残つておりますので、その解散は文字通りには行われない。経済活動を停止し、漁業権の管理体となつてなお二箇年間存続するわけであります。そのような状態になつております。  現況についてかいつまんで御説明申し上げます。漁業協同組合、漁業生産組合、水産加工業協同組合の三種を合せまして、認可数が四千四百四十九になつておる。そのうち解散で三十組合解散し、十組合は合併されまして、八月三十一日現在では四千四百九になつております。そのうち漁業協同組合が三千九百八十五で、大部分であります。九〇%は漁業協同組合でまります。その漁業協同組合の設立の細部につきましては、資料によりごらんを願いたいのでございますが、一漁業協同組合の平均の組合員が百九十一名、平均出資が二十一万六千何がしということになつております。このように百九十一名、二百名足らずの部落組合であるというのが、漁業協同組合の非常な悩みでございます。もちろんこれは平均数でありまして千名以上のもの、二千名近いものもございますが、平均数にいたしまして百九十一名というような、非常に零細な経営になつておる。それは漁港、船だまり等の、漁業の根拠地を基礎にしておる点等がおもな原因であります。同時にかつて漁業組合、漁業会等を通じ、漁業権の管理団体であつたというような旧来の惰性をも含めて、このような部落組合であるわけであります。これが新しく経済事業を行う上におきまして、非常な困難に直面しております。しかしながらこの三千九百八十五の部落組合というのは、新しく協同組合ができましからこのようになつたのではなく、漁業会当時でも三千二十二、それ以前にも三千八百、三千七百というような部落的な性格を持つてつたのであります。なお細部の設立現況につきましては、資料によりましてごらんを願いたいと思います。  当面の問題でございますが、ただいま農業協同組合課長から農業協同組合の御事情の御説明がございましたが、水産業協同組合、ことに漁業協同組合につきましては、さらに経営についてただいま申しましたような性格から、経営能力が非常に欠如しておりまして、その経営に非常な困難を来しております。なおかつての漁業会あるいはそれ以前の漁業組合時代には、漁場の賃貸料等のおもな収入がございまして、なお漁業会当時には、鮮魚の統制機関として長い間それによる収入等もありまして、自由な経済団体としての経験は、極端に申しますれば、新しき協同組合法によつて乗り出したといつても言い得られると思うのであります。なおさらに経営につきまして困難をしておりますのは、一般の漁業経営は、統制撤廃後魚価は急激に暴落したにもかかわらず、燃油であるとか、そのほか綿漁網等の統制物資等の価格は、補給金の撤廃等によりましてむしろ値上りをしておるために、その経営上非常な困難を来しております。所によりましては、相当急殆に瀕しておるような状態に立ち至つております。そういうような事態が反映いたしまして、協同組合の経営は非常に困難になつております。  さらにもう一つお聞きとり願いたいことは、漁業会の解散に伴いまして、その資産を協同組合が引継ぐ必要があるのであります。特に船だまりにおきましては、あるいは漁港等において、最も重要な点に、たとえば魚の水揚場であるとか、あるいは冷蔵、冷凍施設であるとか、あるいは機関修理工場であるとかいうような、別の地点に新たにこしらえては大して意味のないような、重要な、いわば漁民の長い間の蓄積である資産があるわけであります。それを引継ぐわけげでありますけれども、かつての漁業会あるいは県水の時代の経営に非常なむりがありまして、そのむりには、またいろいろな事情もございますが、そのために相当の赤字を生じ、ためにそれらの資産を相当評価増をしなければならない、相当高い価格に見積らざるを得ない事情にあります。それを引継ぐとなりますとその引継ぎに対しまして相当の資金がいるわけでありますが、その資金について非常に困難をしております。また引継ぐ場合に資金がない場合には、経営から生じました負債を引当てに引継ぐわけでありますが、その負債によるところの金利の重圧等が非常にかかりまして、引継ぎをそういうような形で終つても、その金利のために非常な苦労をしております。さらにそれの償還の不成績等から信用の低下を来し、必要な事業資金、運転資金等の借入れには、その信用の低下のために借入れが困難になつておるようなわけであります。このような事態で引継ぎの終つておりますものも、その借入れの金利の重圧、信用の低下等から、ただいま申しました経営の困難に、さらに大きな経営の困難を感じておるわけであります。またそのために引継ぎについても非常に問題がございまして、お手元に差上げました資料に書きました通り、四十三の県水中、引継ぎが完了いたしましたのが二十でございます。単位の協同組合につきましては、連合会ほどの困難さは持つておらないのでありますが、大体ただいまのところ六十%程度の引継ぎを終つております。引継ぎが終つておりまするが、ただいま申しましたような経営の困難に直面しております。この点が私ども事務当局として最も善慮している点でありまして、何らかこの引継ぎ資金、あるいはこの借入金の利子補給等の処置を講ずる必要がある。しからずんばこの困難な経済事情のもとにおきまして、新しい漁業協同組合の経営の立ち直りには、非常に苦しい点があると思うのであります。  なお第二に、ただいま農業協同組合課長から御説明がございましたような検査、財務基準等を示すための法律改正をいたしたいというふうに考えております。その目的は、農業協同組合について御説明がありましたと同様なふうに、前の農業協同組合を兄とし、ならつて行きたいと考えているわけであります。さらに加えて、漁業におきましては、先ほど申しましたような漁業の管理、ことに自営についての管理等がございますので、この検査等は特に必要だと考えているわけであります。行政官庁による検査の義務づけがある程度必要だと考えております。大要以上御説明を終りましたが、細かい点についてはまた御質問に応じてお答えいたします。
  63. 圖司安正

    圖司委員長 続いて厚生省社会局生活課越田得雄君の説明を聴取いたします。
  64. 越田得男

    ○越田説明員 それでは生活協同組合の御説明を申し上げます。生活協同組合は、御承知のように消費生活協同組合法が昭和二十三年十月一日に施行されまして、それによつて組合がつくられておるのでありますが、しかしながら、その沿革をさかのぼりますると、国際的には一八四四年に、イギリスのロツチデールにつくられたものが源になりまして、今日世界各国に多くの生活協同組合が生れておりますが、わが国におきましては、明治三十三年につくられました産業組合法が、その起源となつておるのであります。この産業組合法が消費生活協同組合法によつて廃止されまして、ここに新しい時代にふさわしい、新しい衣をつけた生活協同組合が生れることとなつたのであります。しからばこの産業組合法と生活協同組合法と、どういうふうに違うかと申しますと、第一には、きわめて民主的な色彩を帯びて参つたということであります。これは具体的な例をもつて申し上げますれば、産業組合のときには無限責任、保証責任、有限責任という三つの種類の組合がありまして、組合員は、無限責任の場合には、組合の債務に対して無限の責任を負わなければならない。保証責任の場合には、その出資額にある金額を附加した責任を負わなければならない。有限責任の場合に、初めてその出資額だけの責任で足りるということになつてつたのでありますが、生活協同組合におきましては、この有限責任の形だけになつており、従つて組合員の責任は非常に軽いのであります。これと関連いたしまして、生活協同組合は加入、脱退の自由ということを認めておりますが、産業組合のときには、無限責任の組合員は、全組合員の同意を得なければ脱退ができないというふうな規定があつたのであります。また行政官庁の認可におきましても、産業組合のときには、行政官庁の許可を得なければならないという、幅のある規定が設けられておりましたが、消費生活協同組合法におきましては、根本的な組合の性格に違反しない限り、また法令に違反しない限り、行政官庁がこれを認可しなければならない。しかも認可の申請後二箇月間これを認可しないときには認可があつたものとみなすというふうな、きわめて準則主義的な内容にかわつておるのであります。これが民主的な点における相違点でございますが、同時にその実際の経営の面において、産業組合のときには農林中央金庫というプロパーな金融機関が設けられていたにもかかわらず、生活協同組合になつてこれと切り離されてしまつたということ、さらに産業組合の当時には信用事業が行い得たにかかわらず、生活協同組合になるとこれができなくなつたということ、また課税の面におきまして、産業組合の当時には、相当大幅な減税の規定がありましたが、消費生活協同組合になりましてこの減税の幅がきわめて狭くなつた。これらの点は産業組合と比べまして生活協同組合が不利になつた点であり、同時に現在の生活協同組合の運営に相当支障になつておる点であります。生活協同組合はその事業といたしましては、消費生活全般にわたる事業を行うのでありますから、今まで御説明のありました中小企業協同組合、農業協同組合あるいは漁業協同組合に比べまして、その仕事範囲はきわめて広いのであります。大体生活必需物資の供給が主たる事業ではありますが、そのほかにたとえば理髪の設備、浴場の設備などを設けまして、これを安い料金で組合員に利用せしめるようなことも行われておりますし、また昨今の住宅の払底している折柄、組合で格安な住宅をつくつて組合員に分譲するというような事業も行われております。また組合員が各自掛金をいたしまして、組合員の中に災害に出会つた者がある場合に、これに一定の見舞金を贈るというふうな事業も行われておるのであります。その他この生活協同組合の行う事業は、いろいろ考えることができるのでありまして、現在は数はごく少いのでありますが、病院を経営するというような実例もあります。かようにしてこの生活協同組合の現在の設立状況は、お手元に配付いたしました資料の二枚目の初めに載つておりますが、八月の末で千二十三組合、それから連合会が十一になつております。なお旧産業組合法による組合は、今月の末までにこの生活協同組合に切りかえられることになつておりますので、この数字の中には、その切りかえられた組合も入つておるのであります。この生活協同組合は、特にこの法律が施行になりました一昨年の十月一日から今日まで、ただいま申し上げましたように千二十三の組合、十一の連合会ができておるのでありますが、これが社会的にどういうふうな影響を与えておるかということを一言申し上げますと、特にこの終戦直後の混乱期におきましてはやみ値の追放、物価の安定ということに少からぬ貢献をいたしました。具体的な例はいくらでもございますが、町の商店が、この生活協同組合の商品の価格を見てから自分の店の商品の価格をきめるというような実例はたくさんあります。なお元来民主的な機構になつておりますから、一般国民の民主教育ということには、相当力を及ぼしております。特に戦後における婦人の地位の向上、婦人の社会的な訓練ということにも、見のがし得ない効果を及ぼしております。元来この組合は婦人の協力、婦人の助力をきわめて必要とするものでありますから、婦人がこの組合に参加し、あるいは婦人だけで組合をつくりまして、自分たちの生活を改善するという仕事をやつておるものが相当ございます。しかしながら組合の現在までの歩みが、きわめて順調であるかと申しますと、決してさようなわけではないのであります。これは今までの各協同組合お話にもありましたが、生活協同組合につきましても、一言にしていえば大体これと似た幾つかの隘路があり、そのために組合の歩みはきわめて多難なものがあります。特に最近できました、すなわち産業組合当時から長い間の地盤の上につくられて来た組合は別といたしまして、戦後新しく生れた組合は、その経営の上にかなり困難をいたしております。にもかかわらず組合の数は、大体一箇月二十組合程度ずつ増加いたしており、しかもその多数のものは、生活協同組合の精神にのつとつて、これが国民の、またみんなのためになるのだということで、利害を超越した精神で努力いたしておりますが、それにしてもこの隘路をとり除いて、もつとこれを育成、助長することは、われわれとしても十分考えなければならないところであります。現在考えております対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、産業組合の当時よりは、金融の面がきわめて窮屈になつておりますので、これをもつと打開することが第一の問題であります。最近国民金融公庫あるいは中小企業等協同組合法による信用協同組合を、生活協同組合並びに労働組合が一緒になつてつくる、そうして生活協同組合に金融の道を開く、あるいは各都道府県におきまして、全部ではございませんが、そのうちの幾つかが、府県の予算で生活協同組合のうちの優秀なものに対して融資をするというふうなことをいたしておりますが、どうしても生活協同組合に対しては、たとえば農業協同組合あるいは水産業協同組合に対して、農林中金というようなプロパーな金融機関があるように、これに対してもプロパーな金融機関を与えることが必要であると考えるのであります。また税金の問題にいたしましても、営利を離れた組合事業であります以上、もつとこの税金の減額ということを真剣に考えなければならないと思つておるのであります。そのほかこれらの点につきましては、われわれはそれぞれ関係当局と折衝をいたしておるのでありますが、そのほかに経理面の充実向上、これは申すまでもないことでありますので、最近経理様式を一定いたしまして、これを漸次各組合に及ぼして行くということを実施いたしております。また普及宣伝の必要を考えまして、生活協同組合のテーマを取上げた映画を作成することになりまして、これは来月早々完成上映し得る運びに至つているのであります。そのほか生活協同組合の簡単なパンフレツトのようなものを、月に一回ないし二回ぐらい発行いたしまして啓蒙に資したい。これは来年度あたりから実施することにいたしたいと思つているのであります。  以上をもちまして私の説明は終ります。
  65. 圖司安正

    圖司委員長 これをもつて協同組合制度に関する説明聴取を終了いたします。なお本問題に関する質疑は次の機会に譲ることといたしまして、本日はこの程度で散会いたします。  次会は公報をもつて御通知申し上げます。     午後四時十三分散会