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1950-07-28 第8回国会 衆議院 経済安定委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)     午後二時四分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 永井 英修君 理事 志田 義信君    理事 竹山祐太郎君       岩川 與助君    金光 義邦君       寺本  齋君    奈良 治二君       福井  勇君    渕  通義君       細田 榮藏君    宮原幸三郎君       村上 清治君    有田 喜一君       笹山茂太郎君    松尾トシ子君       川上 貫一君    中野 四郎君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員    奧村竹之助君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君  委員外出席者         経済安定本部官         房長      平井富三郎君         経済安定本部官         房次長     河野 通一君         経済計画室長  佐々木義武君         経済安定事務官         (経済安定産業         局長)     増岡 尚士君         経済安定事務官         (経済安定財政         金融局長)   内田 常雄君         経済安定事務官         (経済安定貿易         局長)     湯川 盛夫君         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君         大蔵事務官         (大蔵省主計) 谷川  宏君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 七月二十六日  価格差益金徴改延期に関する請願星島二郎君  紹介)(第六三八号)  労務用物資対策に関する請願柄澤登志子君紹  介)(第六四四号)  肥料値上げ反対に関する請願本多市郎君紹  介)(第六八六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  肥料値上げ反対に関する陳情書  (第一七四  号)  労務用物資価格設定に関する陳情書  (第二一一号) 同月二十七日  ヂーゼル自動車用軽油確保に関する陳情書  (第二七七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  経済現況朝鮮問題の影響に関する件     ―――――――――――――
  2. 圖司安正

    ○圖司委員長 ただいまより会議を開きます。  これより経済現況朝鮮問題の影響に関する件を議題とし質疑を行います。質疑通告順によりこれを許します。志田義信君。
  3. 志田義信

    志田委員 先般朝鮮動乱日本経済に対する影響につきまして、安本長官及び次官からいろいろとお答えいただいたのでありまするが、なお本問題は時々進行の過程にあると思いますので、本員はさらに引続いて政府に対して所感をお伺いしたいと思つている三、四の点について御質問申し上げます。  この朝鮮動乱は、六月二十五日を基準にいたしまして、もうすでに一箇月以上も経過しておるのでありまするが、物価が全般的に漸騰しておるということはいえるのじやないかと思うのであります。この前の安本長官の言明によりますると、再統制は避ける、総合的な施策によつて、これに適切なる施策を行うというお話でありました。政府輸入の促進を初め、経済財政全般にわたつて総合対策を講ずるというお話でありまして、その内容についてはいまだ詳しく拜聽する機会がなかつたのでございます。そこで私は、本委員会におきましては、新聞等によつて一、二漏れ承つておりまするが、新聞を通さずに、直接に責任ある安本当局よりお伺いしたい、かように思いまして今日の質問をいたしたいと存ずるのであります。  第一番に統制の問題でありまするが、再統制はしない、しかし総合的な施策考えておるのだというお話でありましたので、その総合的な施策とは、少くとも公団方式をもう一度とるというようなことを考えておるかどうか。あるいは国内補給金的な行き方でやるお考えであるかどうか、その点をまずお尋ね申し上げます。
  4. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘のように、最近の物価が漸騰の傾向をとつておりますことは事実であります。しかしこの問題もまた志田委員の御指摘のように、單に朝鮮動乱からの影響だけではありませんで、国際的な物価高背景といたしているものも相当あるだろうと思います。もちろんそれに最近の特殊需要関係もありますが、理由はいかにせよ、経済安定施策を遂行する上には、いろいろの影響もあると思いますので、その影響を除去して予定計画を推進いたしますために、私どもといたしましては日夜苦慮いたしておるところであります。そこで今御質問の再統制の問題でありまするが、前のような形の統制、いわゆる官僚統制というものをやるつもりのないことは、先般も申し上げた通りであります。しからばどういう形でやるのかということでありますが、この機会に、釈迦に説法になつて恐縮でありますが、私ども統制をほどいて、すなわち自由経済形式にもどして来ましたときにおける経済の総合的な考え方を、一言申し上げてからお答えに入りたいと思います。  私は少くとも自由経済というものと経済計画というものは抵触しないのであつて自由経済になつても、その背景には経済計画というものが総合的に立てられていなければならないものだ、よく統制経済がなくなると経済に対する計画なんかもいらないというようにおとりになつておられる方も少くないようでありますが、表面に官僚統制の形が沒し去りましても、その底流、背景には、しかるがゆえにますます経済計画——この場合計画経済という意味ではありません、経済に対する計画が必要なのであります。たまたま最近の物価高朝鮮動乱からの影響もありまして、その経済計画総合性を付与するということを、私ども考え方基本にいたしておるのであります。しからばその総合政策の中で、補助金のような形でやるか、あるいは公団形式をもう一ぺん積極的にやるかというような御質問でありますが、実はその二つとも私どもまだ考えておりません。根本的に考えておりますのは、輸出輸入とに対する総合的な施策で、今の段階は必ず切り拔けられるものだというふうに考えておるわけであります。輸出輸入調整するというふうなことになりますと、当然為替資金の問題が出て参るのでありますが、そういう形で一応輸出輸入に関する総合的な調整をやつて参りますれば、今御指摘になつたよう経済事情は、安定化の推進に支障なく切拔けられると考えておるわけであります。
  5. 志田義信

    志田委員 輸出輸入調整によつてやるというお話でありましたが、現在すでに動乱前に比しましては、電気銅とか亜鉛、電線、セメント、綿糸、スフ、人絹、米というようなもの、あるいはみそ、しようゆのようなものまで、一割から五割高の値上りを来しております。そういう場合に、いろいろ彼此勘案いたしまするときに、單に輸出輸入のバランスをとるということだけでやれるかどうか。すなわち日本に品物が不足なつた、品がすれになつたものを外国から入れるということだけで、調整がとれるかどうか。そういう需要給供の面でやるだけで、品不足国内価格の上るような重要資材については、政府が今後これを管理して、あるいはメーカーにもう一度割当配分するというふうな方法をとるかどうか、もしそういう方法をとらないとすれば、民間輸入方式を再検討する考えがあるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  6. 小峯柳多

    小峯政府委員 御懸念になつておりますような点は、私どもはまだそれほど実際上の影響、現実の需給の上における影響はないと考えておりますから、輸出輸入の操作、特に先般もお話がありました繰上げ輸入問題等の適切な運用によつて押え得られる、かように考えておるわけであります。なお物価の問題でありますが、自由経済原則を採用し、また貿易自由の原則を採用しております以上、国際物価にさや寄せするための動きというものを押えるような形をやることは、かえつて角をためて牛を殺すようなことになるだろうとも考えられますし、せつかくわれわれの安定計画の血路として考えて参りました輸出が、調子よく、やや調子のついて来たような感じのときでもありますので、御懸念のような点は、あるいはお持ちになるかもしれませんが、私はそういう点もにらみ合せまして、総合的な施策がやり得るし、また現在の状況では、やり得る段階だと確信いたして対処しておる次第であります。
  7. 志田義信

    志田委員 七月中に銑鉄やソーダーを除きまして、重要資材国内補給金の廃止を見ておるのでありますが、これを復活するとの声が最近あるのであります。はたして復活するお考えがあるかどうか、その点をお尋ね申します。
  8. 小峯柳多

    小峯政府委員 すでにやめましたものを復活するようなことは考えておりません。ありますものをとりますについては、環境環境でありますから、愼重を期したいと考えております。一ぺんとりましたものを復活するような方向には、当面考えておりません。
  9. 志田義信

    志田委員 さらにそれの基本となる石炭についてどういうふうにお考えになつておるか、これは考慮の外に置いておいていいかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  10. 小峯柳多

    小峯政府委員 産業合理化といいますか、輸出貿易の進展といいますか、その背景は一番根源であるところの石炭の問題にあることは、しばしば委員諸君から御指摘になつておられる通りであります。石炭の問題と申しましても、これは一般需要炭と超粘結炭——製鉄製鋼用材料になる粘結炭の問題は、また角度が違つておるように思います。一般問題といたしますと、すぐにはなかなかできかねますが、出の機械化の問題、あるいは切羽に対する合理的な施設等によりまして、コストを下げる以外に方法がないだろう、少くとも国際価格から見ますと、非常に割高になつておりますので、石炭の値段を下げることには、今後一生懸命努力しなければならぬと考えております。当面特に問題になります超粘結炭につきましては、これは船腹に対する影響などが、事変、動乱から起り得る場合もあり得ると考えまして、これが輸入に関しましては、七—九の輸入に重点を置く上に、さらに追加的にも粘結炭事前輸入には努力いたすつもりでおりまして、全体から見て、当面の粘結炭の問題には事欠かないつもりでおりますし、一般需要炭につきましても、産業合理化という広い立場から、施策を集中いたしたいと思います。
  11. 志田義信

    志田委員 経済現況報告によりましても、インフレーシヨンの収束その他による物資需給の緩和、あるいは自由経済の基盤の拡大、その他海外市況変化等によりまして、企業の競争が非常にはげしくなつていることは申すまでもないのでありますが、ようやく企業合理化の進捗を見ているときに、このたびの朝鮮動乱をわれわれは迎えざるを得なかつたのであります。この動乱国内的には需要の喚起にもなりましたし、あるいは滯貨の一掃、生産の増大に資する点は多くあろうと思いますが、一面——一面というよりも他面、労働不安が、一部賃金賃金高ということや、あるいは深夜業というようなことをもちまして、労働不安が襲うのではないかというような心配も、私は経営者立場からすればあろうと思うのであります。いま一つ原料手当の困難ということも考えてみなければならぬと思うのでありまするが、かような平和的な貿易量の減少を来して来るようなことに対して、安本当局はどういう御施策をなさるおつもりでおるか、お尋ね申し上げます。
  12. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘のように、動乱をきつかけに影響が出ておる面も少くありません。ことに貿易がようやく伸び始めまして、紡績のごときは最近の集計では、戰後初めて世界で一番輸出量も多くなつたというように、かつての王座、といつては語弊がありますが、立場をとりもどしているような状況であります、これが詰まるようなことになりますと、せつかく緒についた安定施策にもひずみが出て来るのでありまして、御指摘のように輸出を伸ばしますことは、目下の環境では非常に大切な問題になつております、幸い物価高などの影響も出ておりますが、これは先ほど申し上げましたように、世界的な物価高背景としておりますがゆえに、国内物価の特に割高というような現象にはなつていないのであります。また特需関係も、実は支拡い方法はいろいろありますが、結論的にはドル支拡いになるのでありますから、輸出の伸びたのと同じような関係になりまして、今御心配いただきましたような形における輸出の停屯はなくてやつて行ける。しかし問題は原材料確保の問題でありますが、これは先ほども申しましたように、七—九の輸入計画を、積極的な数字に高めております上に、なお追加いたしまして、繰上げ輸入というような一括的な言い方をいたしておりませんが、必要な原材料は必ず確保するという建前で、七—九の予算に追加するという建前で、原材料確保は必ずできると確信いたしております。
  13. 志田義信

    志田委員 企業合理化もたいへん進捗いたして来た矢先に、こういう動乱が起きたのでありまするが、そこでお尋ね申し上げたいのは、この動乱政府が昨年来大いに声を大にして国民に公約しております外資導入という点において、どうなつておるか。外資導入が、このたびの動乱によつて石油業界方面に投資されておるものが、中には引上げを希望するような状態を見せておるという業界人の不安がございます。いま一つはセントラル・モーシヨン・ピクチユアーの映画——私も映画事業に携わつておりますが、映画使用料本国送金が実現された結果、日本に保留されるものがきわめて少くなつて来たのであります。こうした外資導入の希望が、日本に薄れている現状を見せてはいやしないかどうか、あるいは将来そういう方向を見せるのではないか、これに対する安本当局の御見解を承りたいと思います。
  14. 小峯柳多

    小峯政府委員 朝鮮動乱も世界的に見ましての全貌がはつきりしない間、ことにまたその方向姿等がつかめません間は、疑心暗鬼等関係で、いろいろな面で精神的な不安を与えておつたようでありますが、その後国際連合軍の毅然たる態度、及び日本国民といたしましこも、これは精神的にでありますが、落着きを取りもどしておるようでありますし、かたがた先般の国会外資導入に関して、技術的に支障になつていた面の改善等もありましたので、動乱始まつた当時、今御指摘のような不安があつたかもしれませんが、全体といたしましては、私どもはそのために外資導入がどうのこうのということは考えておりません。むしろ総理大臣指摘されますように、朝鮮動乱いかんにかかわらず、依然として早期講和の期待ができるのでありますから、その線に沿つて外資導入予定のコースで進み得るものだと、私どもはただいまのところ観察しておる次第であります。
  15. 志田義信

    志田委員 外資導入に関する安本当局の楽観的な御所見につきましては、なお今後の経済界産業界の推移をまつて、さらに御質問する機会があると思いまするから、これはこれでとめておきますが、伝え聞くところによりますと、輸出金庫というものが、どうもGHQとの折衝が思わしくなく、困難を来しておるということをけさほど私は承つたのであります。それでは政府貿易上の金融円滑化ということについて、どういう手を打つつもりであるか。見返り資金の援助で長期の貿易手形使つて、重工業的な輸出金融をやるということが、この輸出金庫の使命ではないかと私は思うのでありまするけれども、これがもしだめになつた場合には、どうして貿易上の金融円滑化をはかるつもりかということをお尋ねしたいのであります。
  16. 小峯柳多

    小峯政府委員 輸出金融金庫の問題は、すでに御承知の点もあろうと思いますが、問題はその担当する金融分野を、国内の長期的な輸出金融にまで及ぼすかという問題と、それから外国に対するクレジツトの問題、また機構の問題では、独立機関にするか、あるいは役所の機構実質上使つて、新しい独立機関をつくらないかというような問題もありまして、なお関係方面との折衝は続けておる真つ最中であります。私どもといたしましても、また通産省大蔵省にいたしましても、非常にその面で努力いたしておりますが、ただいまのところ、まだきよう、あすの問題という段階に至つておりません。私どもの主張しておるところはよく理解していただけておるように思いますが、結論は出ていない情勢であります。そこでそれではもしそれが遅れたような場合、万が一にもむずかしいような場合は、貿易金融はどうするかという問題であります。趣旨は了とされておると思いますが、その形が困難であります際には、見返り資金によつて銀行資金の補強をはかり、その資金でもつて、今輸出金融金庫でねらつたよう金融のまかないもできるようになりますから、実際上の支障はないようにできると考えております。
  17. 志田義信

    志田委員 その点よくわかりました。そこで貿易上の金融の点でもう一点お尋ね申し上げます。貿易手形を使わせるというような場合でありまするが、この貿易手形は、大体において今期間は三箇月くらいだと私は思います。プラントのエキスポートとする場合、こういうような場合には、一年半から二年くらいかかるというようなことで、今日ではたいへん困つているのであります。これは何らかの方法を講じて、その期間を今後、たとえば、特殊の銀行から借金するというような方向に振りかえて行くことができるかどうか。そういう方法をお考えになつておるかどうか、お尋ねいたします。
  18. 小峯柳多

    小峯政府委員 輸出金融金庫のねらいの一つに、それがあつたわけでありますが、今申し上げたような事情でありますので、そういう必要が緊急に起つたような場合には、各銀行間の協調融資のような形でこれをまかなわせるような方法考えております。現に沖繩の問題で相当の額が最近九大銀行協調融資で実現いたすことになつておりますのでも、その行き方一つの現われだと思つております。
  19. 志田義信

    志田委員 総司令部特需につきましては、この前委員会におきましても、私は御質問申し上げたのでありますが、今朝の一部の新聞によりますると、特需調整機関安本が引受けるというお話であります。その特需調整機関を、どんな機構と、どんな運営によつてお引受けなさるのでありますか。お尋ねいたします。
  20. 小峯柳多

    小峯政府委員 御質問趣旨のことは、私も新聞紙で拜見したのでありますが、新聞紙の伝え方がやや少しゆがんでおるのじやないかというような感じがいたします。昨日関係方面と私ども長官との話合いの中でも、その朝鮮動乱に関する特需の問題は出ましたが、そういう特別な調達機関といいますか、調整機関をつくるとか、安本がそれを引受けるとかいう問題でなしに、非常に断片的にしか情報が入つておりませんので、その情報安定本部が体系的に集めて、経済計画材料に使いたいということのお話をしたのでありまして、調整機関をつくるとか、どうとかいうふうな、本格的、そういう大げさなものではないのであります。
  21. 志田義信

    志田委員 今後そういうような特需に対する調整の何らかの機関をつくられるというような場合が生ずるのじやないかということも、私たちは予想しておるのでありますが、もしそういう場合におきましては、どうかわれわれにもひとつお漏らし願いまして、新聞を見なければ国会議員がそういうことがわからぬということでないように、当該委員会のわれわれにも、ぜひひとつお示し願いたいことを、この際御希望申し上げておきます。  それから今の円資金の問題でありまするが、結局これはドルで支払うものを、業者に対しましては、ドル見合つた円貨で出して行くだろうということは考えられるのであります。そういう場合に外国為替特別会計円資金調達について、特に何か方法を講じておられるかどうか、お尋ねを申し上げます。
  22. 小峯柳多

    小峯政府委員 特需関係は、いろいろな支払いの形式はあるようでありますが、ドルで払われて、そのドル為替銀行を通して外為に集まる。従つて為替委員会円資金の問題が出て来ることは御指摘通りであります。今のところ借入れ限度は五百億円になつておると思いますが、いまだ余力は多少押えております。しかし予想される今後の動き考えますと、その程度ではまかない切れないことが必ずあるだろうと考えまして、借入れ限度引上げ等につきましては、私どもといたしましてもせつかく検討中でありまして、拡大する方向に持つて参りたいと考えております。
  23. 志田義信

    志田委員 私たちも、まことにお話通り、この問題につきましては深い関心を持つておるのでありまするが、この特別会計円資金調達につきまして、特に預金部資金あるいは未払い資金のごとき、政府内部の余裕を活用するお考えがあるかどうか。あるいは債務償還等を削減して、これに当てられるお考えがあるかどうか、お尋ね申し上げます。
  24. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘見返り資金預金部資金等、そういう政府部門に集積された資金というものを、どう活用するかが、経済政策上の大きな問題になつておると思います。従つてその為替の問題だけでなしに、この資金をどういうふうに活用するかということは、私ども政策の根本の命題の一つであるわけであります。しかしこの問題はなかなか簡單ではありません。いろいろな見方もあるようでありますし、またこの扱い方どもありまして、はつきりいたしておりませんが、方向としてはそういう方向を、單に為替資金のためばかりではなしに、全体として考えたいと思います。ただ為替資金関係からだけで申しますと、むしろ多少困難があつて日銀借入限度をふやすというような方向——これもこのごろなかなか日銀の総裁はいろいろの御意見を発表しておるようでありますが、そういう方向の方が可能性があるのじやないか。ただ全体としましては、政府関係資金を動員することを、いわば下半期の経済政策の現実的な課題にしたいと考えております。
  25. 志田義信

    志田委員 通産次官も見えておるようでありまするから、通産次官にちよつとお尋ね申し上げます。肥料統制がこの八月で撤廃になるのでありまするが、そういう場合の資金需給につきまして、どういうふうにお考えになつておるか、お尋ね申し上げます。
  26. 首藤新八

    首藤政府委員 肥料統制は御承知通り来月一日から撤廃されることになつております。資金の面におきましては、大体農林省の方で統制を廃除されるものでありまして、通産省の方では今のところ大して、どちらの面からもあまり当つていないわけであります。
  27. 小峯柳多

    小峯政府委員 肥料金融の問題は、総合的にわたる関係で、安定本部でも施策しておりますので、特に先般この金融の問題を非常に重要視いたしまして、安定本部財政金融局が中心になりまして、町の第一線の銀行業者を集めて懇談しました関係もありますから、私から輪廓だけ御説明申し上げたいと思います。  肥料の問題に限らずに、統制をはずします場合に、一番やはり問題になりますのは、金融の点であります。統制というのはある意味政府保障金融を、その機関を通してやるというような形になつておりますから、統制をはずしますと、すぐにコンマーシヤル・べースの金融になるというので、金融に齟齬を来す傾向はいなむことはできません。そこで今度の新しい肥料市場に即応するような金融の体制をつくるために、先般来日銀日銀政策委員会、まは農林中金等々と折衝いたしておりまして、大体の成案を得たわけであります。もつともこれは新しい肥料市場がどういうふうにできるか。長い間統制をしておりましたものですから、それから離されて新しい市場が形成される、その姿がわかりませんと、はつきりした形にはなり得ないかもしれませんが、農林中金でその系統の配給機関に対する金融を見ることも、相当大きなウエイトになるだろうと考えております。それからまた一般金融業者市中銀行メーカーに対する金融をすることにしておりますが、その金融に対しましては、手形の再割引なり、あるいは日銀に対する再融資なりの方法で、メーカーの必要とする資金市中銀行を通して日銀から流すような、方法の根本的な話合いも成立しておるのであります。そういう関係でいろいろ懸念はされましたが、新しく発足するであろう肥料市場に対しまする新しい肥料金融というものは、大体見当がついて参るように考えております。但し先ほども申し上げましたように、しばらく統制をやつておりまして、コンマーシヤル・ベースの配給も、また金融もやつておりませんから、多少不安を感じておるものもあるようでありますが、現に今申しましたような線でメーカー銀行との間に、ぼつぼつ金融の話が始まつておるようであります。従つてその現状から申しまして、私どもとしてはまず大過なくやりおおせると考えておる次第であります。
  28. 志田義信

    志田委員 今手形お話に触れられましたので、お尋ねを申し上げます。金詰まりは相当に深刻である。そうしてことにこの貿易手形の割引が、一部には円滑を欠いておるという実情ではないかと思うのでありまして、そうした結果が経済の循環の不円滑を来すのではないかと思いますが、どういうふうにごらんになつておられるかお尋ねいたします。
  29. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは釈迦に説法で恐縮でありますが、一体今政府のやつております安定計画というものは、金融財政面の安定が入口になつておりますので、その面からの入り方がきついために、一般金融的な不便を予算自体の建前から来しておるように考えます。そこで金融的な施策でもつて、その欠を補うということが、安定計画を円満に推進するためには絶対に必要であると考えてまいりましたが、なかなかこの金融がいわゆるコンマーシヤル・ベースを基準としてやることを考えられておりますような関係で、また日銀の貸出しが非常に多くなつておりまして、預金と貸出しの割合もすでに九割を越えておるような状況でありまして、銀行屋さんの一般金融常識から言いますと、金融がしにくい。  さような関係日銀も足踏みをしておるようであります。しかし世界的な物価高時代といいますか、その時代をある程度まで反映いたしまして、輸出の実績も非常に伸びて参ります。また特需需要関係がありますので、そういうような動きをまかないますためには、よほど金融面にゆとりをつけなければならぬと考えまして、むしろ新しい構想のもとに、輸出産業資金には事欠かないような手を打ちたいと考えまして、私どもも熱心に主張し、また日銀とも折衝しておるような状況であります。
  30. 志田義信

    志田委員 昨年以来政府は通貨の安定政策をやつて来ておるのでありまして、ただいまのお話によりましてもその点がうかがえるのでありますが、安本当局としては、今後通貨の安定政策をさらに続行強化する考えがあるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  31. 小峯柳多

    小峯政府委員 経済の安定の仕方を、金融財政から入つたということは、結果から見てあの方法以外に、早急に効果をあげる方法はなかつた考えております。しかし安定は安定のための安定であつてはならないのでありまして、むしろ復興のための安定といいますか、形式的な安定から、内容的な安定に入らなければならぬ段階になつております。安定計画もそういう意味でそのときの経済的な條件によりまして、彈力性といいますか、味の変化はあつてしかるべきものだと考えております。そういうような見解で参りますと、むしろ財政金融的な安定から産業的な安定というか、事業活動を積極化するような方向に、多少ずつ重点をずらして行かなければならぬと考えておりますが、大蔵大臣が議会の答弁でいわゆるドツジ・ラインに彈力性があるという言い方をしておつたのも、その辺の消息を物語るものだと思うのでありまして、私ども安定計画を強力に推進して来たつもりでありますが、その政策の中で少し重点的な移動は考えていいのではないかと考えておるわけであります。
  32. 志田義信

    志田委員 このたびの動乱その他今後の政策によりまして、日本の滯貨が相当程度一掃せられるし、もその滯貨は御承知通り昨年から今年にかけましては、滯貨資金の問題をどうするかということが、日本経済界の大きな問題であつたのでありますが、これが一応片づくとして、そこで徴税が可能になつて来ると考えられますので、徴税を強行するという方法に行くとすれば、第二・四半期におきまして、この滯貨の徴税は全部入るお見込みであるかどうか、その点をお尋ね申し上げておきたいと思います。
  33. 小峯柳多

    小峯政府委員 私の方では税金の問題は、総括的な、経済的な角度からだけ見ておりますので、正確なことを申し上げる資料を持ちませんが、御指摘のような事情から税金の入り方もよほどよくなるのではないかと見ております。詳細なことはどうか関係当局からお聞き願いたいと思います。
  34. 志田義信

    志田委員 この機会外国為替管理委員会の奧村委員も御出席のようでありますからお尋ねいたしますが、外国為替の問題につきまして、外貨予算を追加するということが新聞に出ておりましたが、その内容を承りたいと思います。
  35. 奧村竹之助

    ○奧村政府委員 ただいまの御質問の要点は、将来の外貨予算の増加の問題だと思いますが、最近決定いたしました七月、九月の外貨予算は、大体合計二億五千九百万ドルくらいの使用計画になつております。これは貿易貿易外の合算をしての計画でありますが、そのうちの一部のものにつきましては、従来先着順によつて許可をしておつたものがあるのであります。それらの品目に対する需要旺盛のために、外貨予算の申請をしてもなかなか当らない。抽せんの結果が非常に運、不運によつて左右されることはよろしくない。主として製造原材料につきましては、必要なものだけどんどん入れるのがよかろうというような考えから、先着順として承認して参りました。輸入外貨は、原材料に関する限り、今後は申請したものは全部許可ができるような方法に持つて行こうという考えで、先般来いろいろくふうをしておつたでありますが、大体そのために二千五百万ドルないし三千万ドルぐらいの追加予算をして、そして原材料を豊富に入れよう、最近そういう方向に向つて作業しております。(以下削除)
  36. 志田義信

    志田委員 この朝鮮動乱ドルの雨を降らしてもらいたい。日本も大分爆彈や原子爆彈の雨で閉口した国民でありますので、ぜひこの際政府の御努力によりまして、ドルの雨をすみずみまで行きわたらしていただくように降らしていただきたいと考えます。朝鮮動乱でどのくらいのドルが降るつもりであるか、そういう計算をしておられるかどうか、あるいはそういうお見通しを持つてつておられるかどうか、これは輸入を増大する、繰上げ輸入をやるという問題につきましても、何といつてドルの問題が大きな問題でありますから、そのお見込みをお漏らし願いたいと思います。
  37. 奧村竹之助

    ○奧村政府委員 その問題につきましては、われわれも最も大きな関心を持つておるところでありまして、司令部に対しましても、いろいろこちらへ資料の提示を求めておるわけでございます。いずれは資料が入手されることと思いますが、ただいまのところはつきりした資料はまだ入手できておりません。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  38. 圖司安正

    ○圖司委員長 速記を始めて……。
  39. 志田義信

    志田委員 いろいろお伺い申し上げましたが、最後に安本当局にひとつお尋ね申し上げます。最近安本で出された経済月報のようなものによりますと、その巻頭に、たしか官房長であつたと思いますが、経済科学分野における最高司令官の任務と業績というものの、一文の内容を拔萃したものが載つておりまするが、その場合における日本国民生活の水準は、大体昭和七年から十一年程度の水準として、それに必要な貿易規模を十三億五千万ドルと見ておるということが書いてありますが、この司令官の見た見解と、安本当局の見解をお知らせ願いたいと思います。
  40. 平井富三郎

    ○平井説明員 経済週報でありますか月報でございますか、それに出ました数字は、過般ダレス氏が参りましたときに、総司令部から日本経済の見通し、概況につきまして報告をいたしました中のデータからとりました数字でございます。その内容は大体概括的にそこに書いてあります通り、十三億ドル余の輸出が必要になる。これは理論的に可能ではあるが、しかしドル資金の問題が残るという結論に相なつておる次第であります。安定本部といたしましても、從来からその作業とは全然別個に、援助資金の打切りあるいは減少が、しばしば伝えられる折からでもありますし、どういうような見通しになるかにつきまして、作業を進めつつあつた次第であります。ただいろいろな生活水準の前提のとり方その他につきまして、同じような傾向ではございますが、必ずしもそれと同一の結論には至りませんし。さらに最近の事変も勘案した上で検討する必要が生じましたので、現在調整をしておる次第であります。ただ大ざつぱに申し上げまして、日本輸出規模が十三億ドル内外は、日本の自立という上において必要であるという点につきましては、大体同じようなところに到達しておる次第であります。
  41. 志田義信

    志田委員 私はこの最高司令官の見解に対して今お尋ね申し上げておるのでありまするが、一体日本が一応収支のバランスを得て自立するという時期を、最高司令官が考えている一九五三年以降——これは米会計年度のようで、昭和二十七年度の七月からですから、その翌年にまわると思いますが、そういう間に日本が収支のバランスを得て、国民生活が安定し、自立するというふうな見方をしているのであります。これに対してはいかように考えておられるか。
  42. 平井富三郎

    ○平井説明員 ただいま申し上げましたように、その報告におきましても、理論的に十三億何千万ドル輸出規模に到達することは可能である。但し、ただ輸出規模が十三億何千万ドルになりましても、結局ドル資金不足ということが一番の問題になるわけであります。その点については非常に問題があるということを危惧いたしておる次第でありますが、これは総司令部側の一つの見通しであり、私どもも今後いろいろ施策を進めて行く上におきましての重要な参考資料と申しますか、指針と申しますか、そういう意味においてそれを考えておるのであります。
  43. 志田義信

    志田委員 理論的にはそういうことが考えられるというのでありますが、国民生活の自立ということは理論でなくして実際でなければならぬのであります。特にGHQの性格というものは、現在の占領下におきましては、ちようど猿芝居のようなものでありまして、官僚諸賢はその猿芝居の猿の役目を勤めている部分も相当に多いのだろうと思うのであります。從つて理論的に自立することのためには、相当裏づけがあることも考えられると思うのでありまして、ほんとうに一応収支のバランスをとることができるのかどうか。理論的でなく実際生活の面において、それが自立できると安本当局も見ておるのであるかどうか。それをお尋ね申し上げておるのであります。
  44. 平井富三郎

    ○平井説明員 今の問題は非常に重要な問題でありますので、安本当局といたしましても、先ほどから申し上げておるように、司令部の計算とは別箇に検討を進めつつあつたところであります。それによりましても、やはりドル資金不足という問題が一番大きな問題でありまして、これの解決のために、いかなる方策をとるべきか、あるいはいかなる点に問題があるかという程度のことを検討しておつた次第でございます。たまたま朝鮮事変が勃発いたしまして、それ以後の状況も考慮に入れることが、これらの諸計画を進めます上に必要であるという観点から、ただいま調整をしておるのであります。從いまして千九百五十三年までに、必ずドルのバランスの収支も合い、これで必ず自立できる、できないということは、今志田委員がおつしやいましたような意味においては、まだ結論に到達いたしておりません。
  45. 志田義信

    志田委員 私は少くともこの最高司令官の見解を理論的に分析いたしましても、あるいは実際生活の上で分析いたしてみましても、輸出の問題につきましては、輸出契約高でやつておる傾向が相当あるのではないかと思つておるのであります。この契約高は、申し上げるまでもありませんが、特殊事情によつて昨年は相当な変化を来しておるのでありまして、その特殊事情だけでもつて、これを分析し、あるいはそのデータによつて集積して行きますと、日本の一応の収支のバランスができる自立の年度の上にもずれが来るのではないかと思いますが、その点につきましては、今後なお安本におきまして嚴密な、検微鏡的な、立場でひとつ分析して、日本国民の自立、経済の自立のできる年度の把握につきまして、遺憾なきを期していただきたいのでございます。これは対日援助資金その他にも大きな影響があると思いますから、いたずらに最高司令官の見解だけに附和雷同することのないように、特にお願い申し上げておきます。  それから先程の質問でちよつと落したのでありますが、通産次官が見えておりますから、ちよつとお尋ね申し上げます。肥料の点でありまするけれども肥料は、御承知通り、われわれ農村出身の議員といたしましても重大な問題であります。生産は好調になつておる。そうして相当ストツクもある。春肥料から追肥料にかけて相当のストツクがあると聞いておりますが、農村の景気は、御承知通り、非常に後退いたしております。そこでその肥料の工場在庫が今どの程度にあるのか、それから公団の在庫がどの程度にあるのか。それで前年同期に比してどの程度増大しておるか。その点をちよつとお伺い申し上げておきたいと思います。
  46. 首藤新八

    首藤政府委員 御質問の数字は、ただいまのところ手元にありませんので、資料をあとからお届けいたしたいと思います。
  47. 志田義信

    志田委員 長時間にわたりまして質問申し上げまして、政府委員及び説明員から、それぞれ御懇篤な説明をいただきましたことは感謝にたえません。私は前回及び今回の質疑を通しまして、大体政府の意のあるところを把握することができたような感じがするのでありますが、まだ何か割り切れないものがあるのでありまして、今後における政府施策は、相当愼重を期さなければ、日本経済安定の施策を、将来とも維持してやつて行くことはできぬじやないかという心配を深く持つております。われわれもそういう点におきましては、民間の意のあるところは、随時安本当局その他各省にお伝え申し上げたいと思いまするが、どうか昨年来わが党及び現内閣がやつて来ておるこの安定政策を、退却せないで維持育成できるような、しかも日本経済界を不安に導かないような、よき施策を要望いたしまして、私の質問を終了いたしたいと思います。
  48. 川上貫一

    ○川上委員 私のお尋ねしたいことは簡單でありまして、そう長い時間は頂戴しないつもりでございます。まず一番初めに、現在日本に占領軍と作戰軍とが交錯しておられると思うのであります。從つて日本にこの占領基地があるわけでありますが、朝鮮作戰についての軍事行動のために、この基地の一部を使われておると考えるのであります。そうしますと、占領基地その他に対する修復、その他の経理の関係でありますが、これは今日どういう経費から出ておりますか。その点を第一に聞きたいのであります。
  49. 小峯柳多

    小峯政府委員 ただいまお話のような点で、あちらで作戰用に使いますものは、全然終戰処理費の関係ではございません。ECA、あるいは直接八軍の需要になつておりまして、ドルで払つておるような状態であります。多少円のものもあるようでありますが、それも八軍に所属しておる勘定でございます。
  50. 川上貫一

    ○川上委員 從来日本の占領のために必要だという、総理大臣なんかの御答弁も常にあつた、いわゆる占領基地でありますが、その占領基地に関する費用は、從来どこから出ておつたのでありますか。
  51. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは終戰処理費であると承知いたしております。
  52. 川上貫一

    ○川上委員 そうしますと、占領基地が朝鮮の戰争について、たとえばそこからたくさんの飛行機が発着することになりますと、その占領基地がいたむ。これを修理しなければならぬということになるわけであります。これは相当大規模なものではないかと思うのでありますが、そういう場合に、それは今日終戰処理費から出ておりますか、あるいはこの分はきつちりわけて、ドル資金から出ておりますか、この点をひとつお聞きしたい。
  53. 小峯柳多

    小峯政府委員 その点は非常にはつきりしておりまして、かりに特別調達庁で代行しているようなもの、一部の労務者のものも勘定はきつぱり振りかえて決済をするようになつております。占領基地の整備に関するようなものも、もし作戰上に使うようなことがあれば、当然ドルで払われるべきものだと考えております。
  54. 川上貫一

    ○川上委員 そこが非常にはつきりしないだろうと思います。たとえば占領基地が非常にいたむ、これを修復しなければならない。そのいたんだのが、一体何でいたんだのかということは、非常にあいまいである。そこで事実においてはこの占領基地の修復、拡張ということは、終戰処理費で行わなければ実際できぬのではないかと思いますが、この境がつきますか。これが占領基地でなく、朝鮮作戰のためにいたんだのだという境い目がつくものでしようか。これは非常に疑問なんです。その時分にどちらの費用でこれをまかなうのか。もし終戰処理費でまかなつておるということになりますと、朝鮮作戰のために必要ないわゆる占領基地、これが朝鮮作戰の見地からいえば、明らかに軍事基地だと思うのでありますが、その費用を終戰処理費からまかなうということになりますか。この点はどういうことになりますか。
  55. 小峯柳多

    小峯政府委員 終戰処理費は終戰処理費本来の建前があるのでありますから、その点は最大度限にきつぱりしていただきまして、もしそういうことがあれば、ドル勘定でいただくようにしてもらいたいと思つております。
  56. 川上貫一

    ○川上委員 どうもまことに名答弁だと思うのですが、おそらくこれは、はつきりせぬのだろうと思うのであります。終戰処理費から出ておるのではないかと思うのであります。しかしこれは終戰処理費から払うべき筋合いのものではないだろうと考えておりますので、お聞きしたのですが、小峯政府委員の方では、おそらくそれ以上答弁が困難だろうと思います。おおよそ腹の中はわかりましたから、この点はこれ以上聞きません。  第二の問題は、特別調達庁を通じて、朝鮮事件に関する物資が調達されておりますか、おりませんか。
  57. 小峯柳多

    小峯政府委員 現在までございません。
  58. 川上貫一

    ○川上委員 第三番目には、朝鮮作戰のために軍需品の輸送が行われておりますし、人員の輸送が行われておる。また通信なんかは非常に多くの動員が行われなければならぬし、また必ず行われておると思うのでありますが、これの費用はどういう形で出ておるかということが第一と、それからその清算関係はどういう形になるか。まとめてお聞きしますが、このために要員が非常な労働強化にもなれば、徹夜にもなるということになるのであります。そうすると、これに使用したところの要員の危險に対する手当とか、あるいは労働過重に対する手当とかいうものは、どういう形で計算され、清算されるかという問題です。つまり一口に申しますと、軍需品輸送、人員の輸送、あるいは通信、こういうものの清算関係、費用の関係は、具体的にどういうようになつておりますか。  ついでに時間を節約するためにつけ加えてお聞きしますが、そういう費用を日本の何かの機関で立替えておることがあるかないか。合せてお聞きしたい。
  59. 小峯柳多

    小峯政府委員 作戰軍の使つておりますものは、全部直接契約になつておるようでありまして、船なんかに関しましては、危險の手当などもその契約の中にうたつてあるようであります。
  60. 川上貫一

    ○川上委員 たとえば鉄道、逓信関係、それから私鉄ももちろん加わりますが、こういうものの清算はどういう形になるものでしようか。小切手が出ておるというように聞いておるのでありますが、それの処理の仕方なんかもどうもはつきりわかりませんので、この点をひとつお聞きしたいのです。ドル資金で払うといいましても、それは郵便なら郵便、鉄道なら鉄道に払われるのですか。
  61. 小峯柳多

    小峯政府委員 技術的な問題は政府委員から答弁いたさせます。
  62. 内田常雄

    ○内田説明員 ただいまの川上委員からの御質問は、小峯政務次官の答弁の通りでありまして、今度の事変関係の支払いは、原則といたしまして特別調達庁を通じません。從つて特別調達庁の歳入にもならなければ、歳出にもならない。鉄道、通信の場合にも鉄道と直接契約をいたし、また飛行場の補修、拡張等も、直接工事請負業者と契約をいたしまして、その代価は、原則といたしましては、ドルのノートを請負業者に渡しまして、請負業者はそのドルのノートを外国為替銀行に持つてつて円ととりかえ、そして円を受取る。從つてそのドル日本側の管理下に入る。こういう仕組みでありまして、一般会計の公共事業費でも、終戰処理費でもないということは、ただいままで御説明申し上げた通りであります。
  63. 川上貫一

    ○川上委員 そうしますと、それは作戰軍当局と、国鉄当局との直接的な契約ということになるのですか。
  64. 内田常雄

    ○内田説明員 その通りであります。ただ昨日の新聞でございましたか、今朝の新聞でございましたか、私ども司令部のESSの当局に参りまして、現在そのような方法でやつておりまして、財政的には全然わが国の負担にならないが、物資なり労務の調達というものが、軍から直接ばらばらに発生されるということは、先方の調達業務の便宜からいつても、またわが方のこれを受ける態勢からいつても、調達余力のないところにダブつて発注が来たり、あるいはそのために調達価格が非常に高くなり、その他国内経済にいろんな混乱が来ることがありはしないだろうか。そうした場合には、経済安定本部司令部側のESSと打合せまして、あらかじめ向うの発注の総量とか、物資の種類とか、労務の状況とかいうものを、向うはESSが握り、わが方は経済安定本部が握りまして、その辺の調達に、国内経済の混乱を起さないような方法を、お互いに研究しようじやないか。こういうことがいろいろ協議に上りまして、その一部が新聞にも上つておりまして、ごらんの通りだろうと思います。
  65. 川上貫一

    ○川上委員 どうもそこがはつきりわからぬのです。そういたしますと、こつちには負担がかからぬということでありますが、たとえば鉄道なら鉄道について非常に労働強化になつてつて、それの手当もしなければならぬ。船員に対しても出さなければならぬ。こういうものが日本の鉄道なら鉄道、あるいは逓信なら逓信の負担になるのだろうと思う。そこでこれが請負契約になりますと、実際問題として国鉄なら国鉄にその契約が来た場合、国鉄には拒否権がありますか。請負いませんということが言えるかどうか。普通の商行為なら、それが言えなければならぬが、これはどういう関係になつておりますか。
  66. 谷川宏

    ○谷川説明員 かわりまして御説明申し上げます。国鉄あるいは電通省との間に、軍が契約を結びますと、契約の内容によりまして、その契約期間におけるすべての経費を軍が支払うということになるわけであります。從いまして、ただいま御質問になりました超過勤務手当、その他の特殊手当も、その契約によりまして、国鉄あるいは電通省の収入になるわけであります。一方その実際の勤務をいたしました者に対する支払いにつきましては、当然政府が規定に從いまして、規定通りに支払われることになるわけであります。
  67. 川上貫一

    ○川上委員 その点の御答弁は非常にはつきりしておりますが、そういたしますと、最近こういう問題が出ておる。たとえば部分的に軍需輸送反対という闘争が起つております。これは商契約でやつておるのでありましたならば、占領政策の違反でもなければ、占領軍に対する、日本の占領管理に対する反抗でもないと思います。これは商契約の上における問題だと思うのでありますが、これはどういうぐあいに取扱いになりますか。安本関係ではないので、質問としては、安本に御質問するのはちよつとどうかと思いますけれども、ついででありますから、御意見を承りたい。
  68. 小峯柳多

    小峯政府委員 お話のような趣旨は、私どももわかるのでありますが、ただ先般来総理が申されているように世界の平和を愛好する国連軍に対して、精神的に協力するというように言うておりますので、その精神から判断してみたいと考えております。
  69. 川上貫一

    ○川上委員 精神的に協力する線というのはこちらの考えでありまして、それが占領政策に違反になるのかならぬのか、占領政策関係があるのかないのか、作戰の問題と日本の占領の問題、これがはつきり区別がつかなくちやならぬと思います。具体的な問題から言いまするならば、こういう輸送は困る、戰争反対である、われわれは困る、こういう反対が起きた時分に、これは日本の占領軍に対する反抗ということになるのでありますか、作戰軍に対する問題であつて、占領行政に関係がないのであるかというこの点であります。
  70. 小峯柳多

    小峯政府委員 国際法などにも触れる問題だと思いますので、どうか外務当局の関係についてお尋ねを願いたいと思います。
  71. 川上貫一

    ○川上委員 安本の方としてはそうお答えになるだろうと思つたのですが、先に御答弁になりましたような商契約、請負契約ということのような御答弁でありましたが、実際話を聞きますと、船には徴用が来ておる。この事実は、たとえば日本輸送株式会社の富士丸なんか、七月八日だかに、突如として徴用命令が来ておる。その徴用されたということは本社に通電しております。そうしたら本社は非常にびつくりしたということを承つております。これは私は事実承つておるのでありますが、普通の契約であれば、こういうようなことはありそうもないのですが、こういうことが実際あるのでありますか。またあるとすれば、どういう形になつて、こういうことが行われておるのであるかということをお聞きしたい。
  72. 小峯柳多

    小峯政府委員 今お話のような点はまだ伺つておりませんし、事実純然たる契約に基いてやつたのだと私ども承知いたしております。
  73. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば、徴用というようなかつこうに受けとれることはないはずである。かようなことは今の政府考えでは、占領軍との関係が、法的関係の上にあり得ないことだし、あつたら違法であるということになる。そう考えていいのか。
  74. 小峯柳多

    小峯政府委員 そういうことはあり得ないものだと考えております。
  75. 川上貫一

    ○川上委員 その問題はその程度にいたしておきます。  なおそれにつけ加えて今一応伺つておきますが、船などの問題になりますと、いろいろお話を聞きますと、一旦契約が結ばれた場合には、下船もなかなかできない。またそれをやめることもなかなかできないらしい。実際において、行く人は、もうどうせ死ぬんだと言つているという話があつたということも聞いておるのであります。そうすると、これは戰争でありますから、当然危險な状態も予想をしなければならぬ。船があるいは衝突したり、そのほかのことで沈沒するというようなことがあり得るわけで、この危險負担に対する保障はどういうぐあいになるか。
  76. 小峯柳多

    小峯政府委員 直接の契約の中に、危險負担などが入つておると承つております。詳細はまだ存じておりません。
  77. 川上貫一

    ○川上委員 いま一つ見返り資金から特需の立てかえが行われておるということを聞いておりますが、そういうことがありますか、ありませんか。
  78. 小峯柳多

    小峯政府委員 そういうことは今までのところ絶対にありません。
  79. 川上貫一

    ○川上委員 これは一緒に聞けばよかつたのですが、地方庁が立かえているようなことがあるのではないかということを聞いておりますが、さようなことは全然ないですか。
  80. 小峯柳多

    小峯政府委員 そのこともまだ伺つておりません。
  81. 川上貫一

    ○川上委員 それに関連いたしましてたとえば鉄道、船舶その他特需の契約がありますが、それは小切手の形で出されておるように聞いておるのですが、それがただちに出され、それからただちに円資金にかわるという、そういうぐあいに行われておりますか。あるいは計算のずれがあるかということと、いま一つは、それの会社の清算であります。これはどういう形になりますか。
  82. 小峯柳多

    小峯政府委員 ドルの支払いでやられておるようでありますが、その支払われる時期やなにかが、取引の内容によりまして、分割して払われておるようなものもあるように聞いております。払われたドルは、外国為替銀行において円とかえており、そのドル為替は外為委員会に集まつて来るように承知しております。
  83. 川上貫一

    ○川上委員 そうしますと政府としては、どれだけの特需があるか、どれだけの発注があるかということはキヤツチできないと思う。ただドルが外為委員会に来ることによつて、その数字はわかりますけれども、そのほかにはどういう形になつておるのかあるいは国鉄、全逓にしましても、その他の船会社にしましても、どういうかつこうでドルが入つておるのか、どこでどういう契約が結ばれておるのか、実際の契約の内容はどういう形になつておるのか、こういうことは政府にはわからぬのではないか。またこの形を通じまして、どうしても軍需産業が復活せざるを得ない特需がありましよう。そうしますと、政府としては、ある会社が軍需品をどんどんつくつておるかどうか、それもわからぬ、注文があつたらやりましようから……。ところが日本産業は、軍事的潜勢力を養つてはいけない、軍事的復活をしてはいけないという重大な義務を負うておるわけなのです。ところが政府がそれに一切タツチしない間に、特別なそういう関係で、たとえばある会社は戰車をつくるかもしれない、ある会社は火薬をつくるかもわからない、そういうことを政府はどうして監督するか、またそういうことがどんどん行われてもポツダムの降伏條件の違反にならないのか、またどれだけの注文があり、どういうかつこうになるかということを政府はキヤツチできない。特需を受けて軍需品を生産しておつたことをあとから知つても、その監督が全然できないことになる。政府の知らぬ間に、日本の軍需的復活が必然的に行われる。また知つてつて行われる場合もあるかもしれないが……。こういうようなことについては、どういうようにお考えになつておりましようか。この形でけつこうだとお考えになつておりますか。またこういう形で政府がタツチしないということになれば、軍需産業の復活、軍事潜勢力の復活というものは、底なしにふとつて行く、この点についてどうお考えになつておりましようか。
  84. 小峯柳多

    小峯政府委員 実は、特需関係につきましては御指摘のようなことがありまして、総括的に日本政府がつかめないことは、先ほど来の個別の取引内容でも御承知願えると思います。実は私どもそれは困つておりまして、今も内田説明員から説明がありましたように、昨日関係方面との会談の際にも、私どもが中へ入つて聽取するわけではありませんが、日本経済産業に及ぼす影響を的確に承知いたしたいために、情報の交換をしていただきたい、大体の見当もお知らせしていただきたいという申入れもいたしております。その点はお説の通り、これをつかんでおりませんと、安定計画にも齟齬を来しますので、非常に苦慮いたしておりますから、総合的につかむように努力を続けるつもりであります。  なおポツダム宣言に関する問題でありますが、これは当然忠実に実行すべきものでありまして、法にはずれるようなことをやつておりましたならば、一々政府に報告がないから監視ができないということでなしに、一般の違法事件と同じように、そういうものがありますならば、政府は忠実に、これを発見してとめるようにしなければならぬと考えております。
  85. 川上貫一

    ○川上委員 小峯政府委員の御答弁はよくわかりますが、朝鮮問題に積極的な意志をもつて——精神的かなんか知らぬが、これに関与すると総理大臣は言われておる。精神的と言われますけれども、軍需品だろうが何だろうが、これは積極的に協力しなければ、精神的協力もできはしない。それと今言いますように、日本の降伏條件に反するようなことがあれば何とかするとおつしやいますけれども、そんなことはできつこないと思う。これを精神的あるいはその他で協力して、そうして国際警察に割り込んで行くという考えを持つておられますれば、それは戰争のためには、軍需生産あるいは軍需のための輸送量、あるいは軍需のための孤島の建設等をやらなければならぬ。これはどうも降伏條件に間違つている。一方では積極的にこれに割り込んで行くというのでは、らちが明かぬと思う。予算委員会でよく知つておりますが、小峯政府委員は非常に頭がよいのでありますから、この点はひとつ明快に御答弁願いたい。
  86. 小峯柳多

    小峯政府委員 私は総理の精神的に協力するという言葉は、積極的に世界平和を希望するのが日本の精神だというふうな意味に解釈いたしております。具体的に降伏條件に抵触いたしますものは、これは降伏條件の性質からいいましても、また私どもの国の将来から考えましても微塵も触れてはならぬものだと考えております。
  87. 川上貫一

    ○川上委員 まだ少しお聞きしたいことがあるのでありますが、私はあまり時間をとるのも失礼だと思いますのでもう一つ安本長官が来られないので——政府委員の方でどうもこれでは困るという意味ではありませんけれども、ことに朝鮮問題というものはわが日本にとつて、單に経済上の問題だけでなく、日本の国連に影響の及ぶような重大問題であると思います。これの説明なり、なお多少の御意見をお聞きしたいのでありますが、安本長官がおいでにならぬのはいけないと思います。だから今度の次の機会には安本長官の御出席を、委員長よりぜひ御要求願いたい。安本長官がおいでになりましてから、いま少しお聞きしたいことがありますが、今日はこれで私の質問は打切ります。
  88. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 周東長官に若干伺いたいと思つたのですが、本日お見えになりません。従つて少し政治問題を拔きにいたしまして、若干小峯政府委員に伺いたいと思います。  今回経済安定本部としては産業復興計画というか、いわゆる総合計画を樹立された。これは昨年あの計画を放棄されて、国民は非常に経済復興の目標を、失つて失望しておつた際に、確かにこれは一つの現内閣の進歩であると私はさように考えまして敬意を表するものであります。そこでその具体的なことはまだきまつておらないと思いますが、確かに構想はあるだろうと思います。この間もちよつと出ただけでありまして、よくわかりませんでしたが、たとえば生活水凖は戰前、すなわち九、十、十一年のところまで持つて行くのだというようなことがいわれておつたようでありますが、さようないわゆる構想について一体何箇年の計画であり、どういうところまで持つてつて、復興するのかというような、大体の構想なり、その方向というようなことについて、概略御説明願いたいと思います。
  89. 小峯柳多

    小峯政府委員 足りないところは他の政府委員から補つていただきますが、私ども考えておりますものの輪郭だけを申し上げたいと思います。非常におほめをいただきましたが、実は前のものをやめましたときも、非常にまだ知られない條件がたくさんありましたことと、国際情勢その他に関しましてもまだ固まらないときに、五箇年の計画を立てることがどうかというような問題がありまして、かたがた通貨の価値もまだ非常に浮動のときでありましたので、一応伏せておつたのであります。大体行き方は同じ構想でありますが、今のところ五箇年というのは少し長過ぎやしないかというような考え方も加わり、一応三年くらいでやつたらどうか。そうしてその目標にいたしましても自立経済を目標にするか、あるいはまた生活水凖を相当上げることを一応目的に置いて計画を立てるか、また完全雇用、フル・エンプロイメントというものをねらつて行くかといういろいろのねらい方がありますが、今私どもでやつておりますのは、その行き方方法論については、せつかく今度改訂をやるのでありますから、万遺漏なきを期しますために、今小委員をあげて、御質問のありました期間の問題、目標の問題を練つておるのであります。ただ大体私どもの腹構えといたしましては、五箇年はやや長きに失するから、三年くらいのものをやつてみたいということで、一応自立経済をねらいますが、その中には当然民度、生活水凖の引上げ、完全雇用の要素も考えるという、やや彈力性あるものを目標として考えてみたい。かように考えておる次第であります。
  90. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 三箇年というのは本年度を加えてのものでございますか。どういうものでございますか。
  91. 小峯柳多

    小峯政府委員 今考えておりますのは、何月から三箇年という意味でなく、一応今年度を含めて二、三年くらいのものを目標としてみようじやないか。こういうわけであります。
  92. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 それで先般これもちよつと聞いただけで私の記憶が違つておるかもしれませんが、周東長官輸出につきましては、大体目標を十三億ドルというようなことを言つたように思いますが、そういたしますともちろんその間に船の問題がどうなるかということは織り込まれておるだろうと思います。その目標達成の時期における日本の海運の規模というものを、政府はどういうふうにお考えになつておりますか、なおあわせて電力はどういう規模を持つか、あるいは石炭、鉄鋼というような基礎物資はどういうところまでお考えになつておりますか。
  93. 小峯柳多

    小峯政府委員 ただいまの御質問では——前の計画では一応その目標があると思いますが、今改訂版でやろうといたしておりますのは、今申し上げましたような意味で、まだその目標まで至つておりません。前の制度の目標でよろしいようでしたら、これは説明員が見えておりますから答えていただくようにいたしたいと思います。
  94. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そういたしますと大体前の程度の目標、今後の研究の結果はわかりませんでしようが、大体前の計画の目標ぐらいを考えておられると解していいでしようか。
  95. 小峯柳多

    小峯政府委員 前の案が非常に良策であつた承知いたしておりますので、衆知を集めてやりました以上、改訂版にそう変化のあるものだと考えておりません。但しこれは私個人の意見であります。
  96. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 なお安定本部におきましては、日本の自立経済ということをお考えになつて用意されておると思いますが、今日講和問題がいろいろと論議されておりますけれども早期講和けつこうである。しかし最も大事だと思うのは、講和問題をめぐつて、單に形式的な全面講和とか、單独講和を論ずることもけつこうですが、やはり日本の自立経済を達成するために、産業機構をどう持つて行くか、あるいは経済の構造をどう持つて行くかというような、実質方面の検討が私はきわめて大切だと思います。政府は、もちろんそれに対する準備と対策に怠りたいとは信じまするが、もしおさしつかえなければ、さような準備の程度並びに概要を、こういうように、考えておるというようなことをお示しくだされば非常に仕合せだと思います。
  97. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘の点はまつたくその通りでありまして、特に経済安定本部立場といたしましては、講和の外郭の問題よりも、中身の経済をどういうふうに持つて行くかということが、施策の一番中心にならなければならぬと思います。かような問題、特に有田さんは非常にお詳しいようでありますが、この重要性のことは申し上げるまでもなく、たとえば国会で問題になりましたようなスクラツプ・アンド・ビルトの問題なども、積極的に取上げるようにいたしております。ただ詳細の内容は一応前の制度の中でうたつてあると思いますので、これも後ほど説明員をして答弁させることにいたしたいと思います。——事務当局のいろいろの都合もあるようでありますから、ひとつ時期を見て詳細に申し上げることにいたしますが、しばらく保留願いたいと思います。
  98. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 今の問題は私は相当重大だと思います。しかしまた政府部内の都合もあると思いますので、今ただちにそれを発表しろというところまでは私は迫りませんが、どうか愼重に検討せられまして、万遺憾なきを期するとともに、機会があるならば、さしつかえのない限りわれわれ委員にもこれは諮つてもらいまして、衆知を集めて対策を講ずるようにしてもらうことを私は切望いたします。  なお先ほど来いろいろ問題になつておりますいわゆる特需の問題であります。特需関係でいろいろと産業が興隆して行く面もありましよう。そこでまず大事なことは、私は電力問題だと思う。せつかく生産を増強しようといたしましても、電力が不足すれば何にもならぬ。ところが昨年は御承知通り、比較的惠まれたいわゆる異常豊水である。割合に電力の不足が少なかつたのでありますが、本年は必ずしもそうは行かないと思う。また一方今日の失業問題を考えましても、いわゆる有効需要の喚起の面からいたしましても、あらゆる角度から見まして、電力の開発は日本にとりましても最も急を要する。ところが最近新聞紙上等によつて伺いますと、どういうわけか、せつかく昨年度から開発しかけたところの問題について、見返り資金を中止するというようなことを漏れ承るのでありますが、しからばいかなる理由によつて見返り資金を中止するのか、またそういう事実があるかないか、それを詳細御説明願いたいと思います。
  99. 小峯柳多

    小峯政府委員 電力に関する見返り資金の問題は、ときどき新聞にもいきさつが伝わるようでありますが、御懸念のようなことはあるまいと思つております。継続事業でありますし、当然これを継続しなければなりませんものが予定された額でありますから、これは必ず実現するものだと存じております。ただその出す時期等につきましては、多少関係方面にも意見があるようでありまして、その放出が遅れておるようであります。しかしよほど理解が進んで来たものだと私ども承知いたしておりますので、もうしばらくの間に必ず実現する、また実現させなければならぬ問題であると考えておりまして、特に熱心にこの問題の打開に努めるつもりでおります。
  100. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 もちろんそうあるべきだと思いますが、何でも電力再編成とからんで相当むずかしいという面を私は聞くのです。もう少し詳細に、今までこうだつたが、今日の折衝の現状では、こう見通しがついたならついたということを、はつきりさせていただきたい。と申しますのは、この電力の開発が万一中止されるということになれば、これは基礎産業として日本経済界に及ぼす影響は重大であるのみならず、各方面に非常な深刻な面を生じますので、もう少し関連産業も安んじておられるように御説明願いたい。
  101. 内田常雄

    ○内田説明員 ただいまの電力問題、継続事業の見返り資金に関するお話でありますが、詳細申し上げますと、昨年度電力の開発資金として電力に出されましたものが、約九十七億あつたのであります。御承知のように昨年度におきましては、見返り資金の出方が非常に悪くて、年度しまいに押し詰まつて出ましたために、ただいままでの実情を申し上げると、日発等の電力会社は、相当の現金を今年に持ち越しておつたという事情にあるわけであります。ところでその昨年度の九十七億円くらいの事業を本年度継続いたしますためには、私どもの計算によりますと、約百四十億くらいの金が、二年度として必要となるわけであります。この申請は先般司令部に出しております。しかるところしばしば伝えられるように、電力再編成の問題ともからみまして、現在までのところ今年の百四十数億円の金の使用許可は得ておりません。しかし先ほど申しましたように昨年度から持ち越した金が、大体八月中くらいは、今の工事を続けるために支障ない程度残つておる計算になつておりまして、問題は九月以降金の支拂いに支障なく工事が続けられるかどうかということになるわけであります。従いまして私どもとしましては、再編成の問題とからみまして、九月以降には本年度の資金の百四十数億円が使用許可になるように努力をいたすつもりでおります。しかし再編成の問題と申しましても、私の見解では、本年度の電力開発につきましても、本年度新たに着手することを私どもは事務的に希望いたしておるのであります。これはしばしば三十数億円といわれておるのでありますが、先ほどの継続事業に要する百四十数億円とは別であります。この新しい開発の分につきましては、これは再編成の関係もあつて、非常にむずかしかろうと思いますが、小峯政務次官からもお話がありましたように、継続の分につきましては、九月以降金が出せるように、何とか間に合わせられるのではなかろうか。ことに私どもが伺つておりますところによりますと、再編成に関する法律案も次の国会には出されるという情勢にあるわけであります。それとのつり合いにおいて関係方面の了解を得られるようにいたしたい、かような事情にございます。
  102. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 この問題が電力再編成とどういう関係にありますか、私どうも了解に苦しむのであります。もし再編成と関係があるというならば、昨年どうしてこの見返り資金から出したのか、再編成を出されて電力開発のために見返り資金を出さなかつたということは、どうも合点が行かない。政府もおそらくそういう気持で折衝されておるのだろうと思いますけれども、どういうようなことを説明され、またどういうことをそういうことにからめて申しておるのでございますか。さしつかえなければ承りたい。
  103. 内田常雄

    ○内田説明員 これは私の見解が誤つておるかもしれませまんが、電力の再編成と申しますのは、申すまでもなく過度経済力集中排除の一環として、いわば司令部の占領政策の一環としてやつておることと思います。一方見返り資金の制度、それによる経済の再建ということも、これもかりに過度経済力集中排除の方を、消極的意味を持つ占領政策とするならば、見返り資金の方は積極的意味を持つ占領政策であつて、事は積極と消極とは違うけれども、ひとしく占領政策というものの一環だということで、かような思想のもとに、今日まで司令部方面も釈然としていない、こういうわけでありまして、日本経済再建復興のために電力はいらないというような意味のことではあるまいと思います。ただ一応の姿といたしましては、これは先般お尋ねがございました経済復興計画等を見ればわかるので、今後のわが国の経済復興のためには、まだ何百億キロワツトアワーかの電力がほしいのでありますが、今日までの電力復興の状況を見ますと、他の生産材が平均して九割程度までしか復興していないのに、電力方面はすでに百六、七十パーセントくらい、戰前の水準まで行つておるというようなことも、これはそういう数字の現われた面からいわれておつたこともありますが、そういう点については、これは私ども今後の経済復興の姿を計算してみましても、先方の調査企画担当の部門が計算せられましても同じでございまして、向うがだんだんわかつて来てくれている。過度経済力集中排除、あるいは占領政策に関する政策の一貫性という問題にすぎないと私は思つております。
  104. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 過度経済力の集中排除ということは、表面的にはわかりますけれども、御承知通り、電力は自然独占事業でありまして、これを分断しても、やはり一般需要家に対しては少しもかわりがない。従いまして向うさんのおつしやることが、必ずしも私は至当であるとは思わない。ことに最近特需関係から、電力は需要が非常に旺盛になると思います。しかるに分断をやるならば、電力の合理的融通ができなくなつて、いろいろな調査によりますと、やはり一割以上の水力をむだに流してしまうといつたようなことも出て来るのであります。そういうことをやつて電力界を混乱せしめるということは、今日必ずしも時宜を得たものではないと私は考える。なるほど今の電力機構の上におきましては、ある程度の欠陷はあります。しかし根本的の再編成といいますか、政府が前の国会に出されたようなことをやらなくても、現在の欠陷を是正するということでやるならば、電力の不足も生じないのみならず、ことに地域的な料金差によるところの、非常な産業界の混乱ということも免れる。そういう点は今回の朝鮮動乱で、相当政府も反省し、再検討する必要があるのではないか、かように考えます。これは司令部と御交渉になつて、新しい時局に対処する意味において、再検討していただきたいと思う。これは私の要望であります。先ほど言いました見返り資金の問題は、これは九月とおつしやいましたが、もうすぐ来るのです。もうすぐ八月になつてしまいますから、早く目鼻をつけられまして、そして関連産業が、安心して従来の仕事を継続できるように、ひとつ一層の御努力をお願いいたしたい。  それから次にちよつとお伺いしたいのですが、今までデフレとかインフレということがやかましく論ぜられまして、見返り資金とか預金部資金ということが、やかましく問題の焦点となつておりましたが、今回の朝鮮動乱をめぐつて、多少様相がかわつて来たと私は考えます。しかし政府の御答弁によつては、またこれが問題となるかもしれぬと思います。従いましてこの問題はひとまずあとに残しまして、まずお伺いしたいことは、今回の警察費の問題であります。これは内容的にここに詳しく聞こうとは思いませんが、大体何百億というような見当は、もうすでについていると思うのですが、どの程度になるか、これをまずお伺いしたい。
  105. 小峯柳多

    小峯政府委員 警察の問題は、まだ最後の案まで行つていないようでありまして、数字のこともまだ私関知いたしておりません。
  106. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 これは経済安定の面からいいましても、相当重大な影響があります。もちろん私はこまかくこの警察の内容を聞こうというような、そういうやぼなことは申しませんが、大体七万五千、海上保安隊が八千、それに対して裝備費、ことに海上保安庁の関係においては、船の関係もあり、大ざつぱに私はやはり二、三百億はいるのではないかと見当をつけるのですが、安本当局としては、大体どのくらいの見当でやつておられるか。これは経済にも相当影響するという観点から、大体の見積りを承りたい。
  107. 小峯柳多

    小峯政府委員 金額の点は、今申し上げましたように関知いたしておりませんが、大体全体の安定計画に齟齬を来さない範囲でやれる程度のものではないかと考えております。
  108. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そこでお伺いしたいのですが、特需関係で相当ドルの手持ちがふえて来た。今日二億五千万ドルあるいは三億ドルというようなものを、自分としては大体想定しているのですが、これを利用して輸入を促進したい。これは一面デフレの緩和というか、あるいはさらに進んで、インフレを起すおそれがある。今日日本としてはことに原材料が少い。これはすぐ日本の生産増強が行き詰まるおそれがある。輸入の促進ということは、きわめて重要なことであり、政府ももちろんこういう点について案を進められているように思いまするが、なかなか順調に進んでいないように漏れ承つております。いかなる対策を持たれ、またそれがどういう経過になつておるかということをお伺いしたい。
  109. 小峯柳多

    小峯政府委員 有田委員の御出席になりません前にも、輪郭だけは触れたのでありますが、この特需、あるいはまた最近非常に輸出が伸びておるというような点から、安定計画に齟齬でも来すようなことがあつてはたいへんでありますから、輸入調整でその間のかじをとろうと私ども考えておりますから、この問題は特に重要視しておるわけであります。そこで七—九の為替資金の勘定を、御承知のように先般新聞でも発表いたしましたように、二億五千万ドル以上に予定いたしまして、これは四—六の倍額以上になるのだと承知いたしております。そこでその七—九の二億五千万ドルを、適切に、効果的に実施いたしさえしますれば、特需その他から来る影響は、ある程度緩和できるという見通しであります。しかしなお新しい世界的な経済情勢の変化なども読み込みまして、それに加えて、今御指摘のような為替資金のゆとりの中からプラスして、七—九の予算を修正して——よく新聞などには繰上げ輸入などと大きな題目で掲げられておりますが、私どもはその大きな名前よりも実をとりたいという考え方で、七—九の予算に、物によつて加え得られるものは加えて参りたい、七—九の予算を二億五千万ドルから修正して増額して参りたい、かような考え方でやつておるのでありまして、為替資金に余裕のつく限り、その方法で目立ちませんように、宣伝ではなくて、実質上に、原材料確保する方向に進みたいと考えております。
  110. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 その方向で進まれつつあることは、至極同感でありますが、現実の問題はなかなかそう行つていない。そこに私は非常な不安を感ずるのであります。  そこでもう少し率直に伺いたいのでありますが、輸入が順調に進まぬその根本は、どこにあるか、ある人はこれは船舶の関係だと言う人もあります。またいろいろな国際関係の問題もあると思いますが、率直に輸入がうまく行かない理由——これは必ず減るのだ——希望じやなくて、ここまで確信をもつて関係方面と了解ができているというようなことがあれば、それを説明していただきたいと思います。
  111. 小峯柳多

    小峯政府委員 ちようど外為委員がお見えになつておりますから、補足していただきますが、何にしましても輸入の数字が急激にふえるとすれば、今まで閉された貿易関係でありますから、そう簡單ではなかろうと思います。また品物によりますと、季節的な市場関係どもありまして、お説のように必ずしもうまく行かない点もありましよう。もちろん船の関係から、自国船を使つていないので、そういう点もありましよう。また円資金などの関係もありましよう。そういう点では総合的に、必ずこの七—九だけは、またそれに若干加えるものだけは、確保するような手を打つておりますし、御懸念のないように努力できる確信でいるわけであります。
  112. 奧村竹之助

    ○奧村政府委員 ただいまの御質問はつきまして、今までの輸入状況を少し補足して御説明申し上げます。  本年の一月から、輸入許可は全部日本側に移つたのでありますが、その関係で、いろいろ最初の間はなれないことでありまして、一—三の輸入許可は、期待したよりも少額の許可しか出なかつたわけであります。でありますが、その間、昨年の十二月末までに政府輸入といたしまして、司令部のヴアリデーシヨンに基いて通産省から出しました輸入の許可が、年末に至りまして相当厖大なものが残つておりました。それに従つて輸入が一月から順次入つて来ておつたのでありますが、非常に過少に伝えられております一つの原因は、日本政府によつて一月以降許可した輸入の金額が、予算に比較して非常に少かつたのであります。一例を申し上げますと、一—三の予算は、大体一億三千万ドルの予算を計上しておつたのでありますが、実際輸入の許可が出ましたのは六千万ドル見当である。その理由は、多くのものが十二月末までに、つまり日本側が予算をつくつております間に、司令部のヴアリデーシヨンで許可が出たものがありました。これはあとから輸入をする必要はないとわかつたものもございます。それからもう一つは、二月、三月ごろに至りまして、日英通商協定が、昨年度締結が遅れましたので、前年度にポンド地域からの日本輸入が非常に少かつたために、英国側におきまして、日本からの買入れを少ししぼりました。そのためにわが方のポンド資金が非常に不足を来しまして、ポンド地域からの輸入を一時押えたというような結果で、一—三の予算に対しては非常に輸入許可が少かつたのであります。この事実にかんがみまして、四—六の四半期におきましては、最初の予算は一億四千万ドルばかりの予算でありましたが、これを一億八千万ドル程度に追加予算を加えまして、そうして現実には約一億五千万ドルくらいの輸入許可を、本年度の第一・四半期には出したことになろうと思つております。まだ最近最後までの統計は手元に参つておりません。さらに今後の七—九の第二・四半期につきましては、今小峯政府委員から説明がありましたように、二億六千万ドル近くの予算をもちまして、そのうち大部分は大体通産省から発表いたしまして、ただいま続々輸入許可を承認しておるという現状であります。現在輸入許可が出ておるものを全部合算いたしますと、一月から六月までの間に輸入許可が出ておりまして、現在すでになおアウトスタンデイングになつておるものが、概算一億六、七千万ドルございます。それに加えて二億六千万ドル足しますと、合計四億ドル輸入許可というものが出ることになつております。これは業者の今後の努力によりまして、どしどし輸入が入つて来るとわれわれは期待しております。ただこの輸入を促進する点につきましては、輸入金融、融入手形に対する期限つき手形金融の問題が、一番業者にとつては実質的にこたえる点でございまして、この点につきましては各省と御相談いたしまして、われわれの外国為替特別会計の円貨資金を入手することにつきまして、目下せつかく努力しておるわけでございます。これができますれば、今申しましたように、輸入許可の発行につきましては、今年の初めに比べまして非常に加速度的に発行しておりますから、貨物の輸入が続々実現されるものと期待しております。
  113. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そう輸入が続々と出て来るとは、これはなかなかそう簡單には行かないのです。よほど政府は締めてかからないと、よほど努力されないと、私は非常にこの点を心配するのです。そこで大体の見通しとしまして、特需を含めてのいわゆる広い意味輸出、それから今の輸入の見合いが、大体第三・四半期あたりでどういう程度になるか。第三・四半期がむずかしければ、第二・四半期でもよろしゆうございますが、大体どういうような見込になるか、それをちよつとお伺いしておきます。
  114. 奧村竹之助

    ○奧村政府委員 輸出は、今度の第二・四半期の外貨予算では、大体二億五千万ドル見当を予想しております。実際の実情を見ましても、六月は輸出承認書の統計によりますと、六千数百ドル輸出が実現されておりますし、七月の最初の二十日間の結果から見ましても、七月はさらにそれを上まわるという状況でございまして、今申し上げましたような輸出の実現は大体可能であろうと考えております。特需の点につきましては、これは先ほどから御質問がございましたように、予測は非常に困難でございまして、目下安定本部の方で、先方から資料の入手に非常に努力いたしておりますが、現実に外貨の収入として実現されるものは、この第二・四半期、つまり九月末日までには、大した金額はないだろうとわれわれの方では考えております。
  115. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 よほど輸入に努力されましても、これは私見が入るかもしれませんが、特需を加えての輸出という面からいえば、これはよほど輸出超過になる。そうなれば、それだけ日本のものがなくなつて——おそらく通貨は現状で今の政府はやつて行かれるだろうと思うので、この想像が違つておれば御訂正を願いたいと思いますが、そうなつて来ると、ここにデフレ緩和以上の、いわゆるインフレ傾向という懸念が多少ある。そこで私は今の外国為替特別会計の五百億、これが大体千億円あるいは千五百億円というように、この借入金の限度をふやさなければならぬと思うのですが、そのふやす方途をどうするか。それによつて相当インフレの傾向が強くなるか、あるいはデフレ緩和の程度で済むかという見解が違つて参ります。その方途を政府はどういうようにお考えになつておるか。要するにかりに千億円まで限度をふやすとすれば、それは見返り資金とか、預金部資金から持つて来ることは、これは常識です。そこでさきの警察費の問題に関連して、見返り資金もだんだん相当出る。預金部資金も、條件が大分ありますが、限度がそこまでで収まつてしまうのか、それ以上出るのか、あるいは日銀券をもつてそれを埋めるところまで行くのか、それによつては非常に日本経済の動向がかわつて来ると思うのですが、そのお見通しをひとつ聞かしていただきたい。
  116. 奧村竹之助

    ○奧村政府委員 お説の通り外国為替特別会計といたしましては、特需等の外貨収入を考えますと、円資金がどうしても千億から千五百億程度まで必要なことに将来はなろうと考えております。ことに輸入の期限つき手形一般に適用するということにいたしますと、輸入ビルに対する円価の回収がそれだけ遅れるわけであります。どうしてもそれくらいの余裕がいるだろうと思つております。これに引当てるためには国庫剩余金の繰入れとか、それから貿易特別会計から収入すべき金額の回収とか、日本銀行の買入れとか、さらに金融証券の発行等が当然なされるべき措置であろうと考えております。それに加えまして、先日大蔵大臣からもお話がありましたように、ドル価の一部を日本銀行に売り渡すというような方法等をもちまして、何とか必要な円資金をくめんしたいと目下鋭意研究中でございます。
  117. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘の点は、実は安定政策の実行上、非常に重要な問題でありまして、まつたく同感であります。そこで今外国為替資金調達方法につきましても、日銀で借り入れる方法もあれば、あるいは政府部門資金を使う方法もありますし、先ほど御指摘の警察の問題等もあります。そういうものを総合的に考えまして、安定の政策に齟齬を来すようなことのないような、彼此相はかつての策をとりたいと考えております。また輸入の仕方は、お説の通り輸入のできぐあいによつても違つて参りましようし、また生産の潜在量と申しましようか、ストツクの問題等もありまして、一方はあるいは一つ二つの原因で判断すべきでなく、しばらく様子を見ながら、総合的な手を打ちたいと思つております。御指摘の点はよく承知いたしまして善処いたしたいと考えております。
  118. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 小峯政府委員の実に名答弁でありますが、その通りつていただければけつこうだと思います。ただそれが抽象的で、まるで雲をつかむようにも見えるのですが、要するに日銀からの借入れはあとまわしにするとか、あるいはやらない。まず預金部なり見返り資金を先にやるとか、その方向さえはつきりしてもらえば私の方もわかるのですが、どうも大蔵当局と日銀当局との見解が多少違うのではないかと思います。そこで安定本部といたしましては、ここで最も重要なる役割を持つておられると私は思うのですが、こういう意味合いにおきまして、安定本部としては、さつき指摘した点は、どちらを先に手をつけるかというような方向だけでけつこうですから、お示しを願いたいと思います。
  119. 小峯柳多

    小峯政府委員 預金部資金見返り資金とは非常にはやりつ子で、たいがいの場合にひつぱり出されますので、もしそれだけの金を使うとすると、たいへんな数字になつてしまうと思います。そこでいろいろのお話もありますが、実際の数字をサム・アツプしまして、今御注意のような点を考えまして、一方を片づけるのではなくて、両方かね合せて使うようなことも考えられましようし、あるいはまた資金の面等につきましても、安定の施策に逆行するようなことはある程度まで押えなければならないということも考えられますので、まだどちらの方向だということを明確に申し上げるわけには参りませんが、御指摘のように、インフレにはしない。せつかくここまで骨を折つてつたのでありますから、インフレにしないように、ただ世界の物価高などを反映しての物価高などは、必ずしもそう神経質に考えないでもいいと思いますが、インフレにならないようにやつて、この特需輸出関係で、今までの行き過ぎた点があれば当然直つて来るものだと考えますから、お智慧も拜借して、遺漏なきを期したいと考えております。
  120. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 先ほど来言いますように、特需関係も加わつて輸出超過になつて、手持ちのドルが多くなる。それだけでインフレの要素が加わつて来る。しかしまあそのギヤツプは忍ぶにいたしましても、そのあとの外国為替特別会計の借入金を日銀券で借り入れるということになれば、これによつて倍のインフレ要素が加わつて来る。そこでその間の措置は、小峯さんもよく理解されて、万遺憾なきを期せられるものと私は信頼はいたしますものの、これが相当気になるのであります。もし今の財政資金といいますか、預金部資金とか、あるいは見返り資金の方は、警察費とか海上保安費の増加、それに今の外国為替特別会計の借入金の方にまわして行くならば、われわれが心配していた点は吹き飛んでしまうような気もいたしますが、日銀券の方に食い込まれて行つて、しかも預金部資金が今日のような財政資金としての扱いをなされて、余裕金があつて産業投資がなされないというようなことでは、どうもこれはおかしいのであります。これを言いますると時間がかかりますのでやめますが、今日までの預金部資金運用のやり方は、だれが考えてもあれはおかしいのです。いわゆるインフレ抑制という意味から制限することは意味があつたが、これを財政資金として取扱つて来た從来のやり方は、今日ではなんぼ大蔵大臣が詭弁を弄されても、だれもうなづく者はないのです。小峯さん自身もこれはおかしいと思つておるだろうと思う。ただ先ほど述べましたように、特需関係で手持ちのドル資金が増加するため、外国為替特別会計の借入金の限度を増加するようにしなければならない。その資金見返り資金預金部資金から入れる。そうなれば、見返り資金預金部資金の問題は、比較的重大視する必要がなくなつて来る。從いまして、今の方向によつてまず日銀券の方をあとまわしにするということでありましたならば、この問題はあまり論じませんが。今後の政府の出方によりまして、また論ずることにしましよう。  そこで最後に、今申しましたようなところを、御如才もないでしようが、相当勘案をしてもらつて、万遺憾なきを期していただくこと、それから、もう一点申し上げたいことは、ややともすると、この朝鮮景気といいますか、特需景気といいますか、これによつて日本産業合理化がゆるめられることになりはしないかと懸念されるのであります。もしこの合理化がゆるんでしまつては、将来の日本経済の安定とが、国際競争という観点から見ても、日本経済のためにほんとうによくないことだ。産業合理化を進めるには今こそ絶好のチヤンスである。今までの合理化は労働者の首を切つたり、その他労働者の犠牲によつて合理化が進められておつたが、今こそ真の意味合理化をやつて、そして講和会議とともに日本が世界に伍して自主経済が維持できるようにする。そこに初めて日本の安全が保持できると思う。——私は安全保障ということは、いわゆる軍事的の安全保障も大事だと思いますが、それにもまして大事なのは、やはり経済の安定をはかつて業者をなからしめることにあると思う。共産党によるいろいろな撹乱がありますが、しかしこれが防止の第一要件は、経済の安定をはかるということが一番大事なことであります。そうなれば必然的にいろいろな撹乱も防げると思うのですから、ひとつ産業合理化も徹底的にやつていただき、そして日本再建のために努力されんことを切望して、一応質問を打切ります。
  121. 小峯柳多

    小峯政府委員 非常にいい御注意をいただきましたので一言付言いたしたい思います。輸入の問題がなかなかはかばかしく行かぬだろうという御懸念もありましたので、今御指摘のような点をもあわせ考えまして、非常にいい機会でありますから、單に原材料だけでなしに、たとえば新しい技術だとか、あるいはいろいろの新しい機械などについても考えまして、この特需景気といつては言葉は悪いでしようが、この起つた事件を日本経済の基盤の確立のために使うようなことも、ぜひ考えたいと思いますので、何かにつけてまた御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。
  122. 圖司安正

    ○圖司委員長 先ほど奧村政府委員より答弁の発言中特需見込額に関する部分は、関係方面との関係もあり、速記録より削除願いたいとの申入れがありましたので、この部分は速記録より削除することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 圖司安正

    ○圖司委員長 御異議なしと認めます。よつてそのようにとりはからいます。なお傍聽の新聞記者諸君におかれましてもその点をお含み置き願いたいと思います。  ほかに御質疑もないようでございますから、次会は明二十九日午後一時より、本日と同議題について一万田日銀総裁から参考意見を聽取することにいたします。  本日はこの程度で散会いたします。     午後四時九分散会