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1950-07-18 第8回国会 衆議院 経済安定委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十五日       志田 義信君    多田  勇君       永井 英修君    竹山祐太郎君       勝間田清一君  が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十五年七月十八日(火曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 勝間田清一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       寺本  齋君    福井  勇君       渕  通義君    細田 榮藏君       宮原幸三郎君    村上 清治君       森   曉君    有田 喜一君       笹山茂太郎君    松尾トシ子君       高田 富之君    中野 四郎君       黒田 寿男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         経済安定政務次         官       小峯 柳多君  委員外出席者         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         経済安定事務官         (経済計画室         長)      佐々木義武君         経済安定事務官         (産業局長)  増岡 尚士君         経済安定事務官         (民生局次長) 鵜崎 多一君         経済安定事務官         (財政金融局         長)      内田 常雄君         経済安定事務官         (貿易局長)  湯川 盛雄君         経済安定事務官 後藤譽之助君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月十七日  委員勝間田清一辞任につき、その補欠として  加藤鐐造君が議長の指名委員に選任された。 七月十八日  委員加藤鐐造君及び川上貫一辞任につき、そ  の補欠として勝間田清一君及び高田富之君が議  長の指名委員に選任された。 七月十八日  勝間田清一君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  経済現況朝鮮問題の影響に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより会議を開きます。  この際お諮りいたします。昨十七日、理事勝間田清一君が委員辞任されましたので、これより理事補欠選挙を行いたいと存じますが、先例によりまして委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。それでは本十八日、再び勝間田清一君が委員に選任されましたから、同君を理事指名いたします。  引続いてわが国経済現況朝鮮問題の影響につきまして、周東経済安定本部長官より説明を聽取いたしたいと存じます。
  4. 周東英雄

    周東国務大臣 まず最初に、このたび私経済安定本部長官を拝命いたしましたので、今後ともよろしくお願いいたします。  きようはいろいろこの前安本から発表いたしましたいわゆる経済白書なるものについての御説明を求められておりますので、後ほど係の方から、できるだけ簡明直截に御説明を申し上げたいと思います。これはかなりの労作でありますが、とにかく今までと違つてありのままを、主観を交えずに、客観的にこれを取扱つて、現在の経済状態をそのまま表わしてあるものでありますので、いろいろ御批判を伺いまして、今後の経済復興等計画を立てるにつきましての参考にいたしたいと思いますから、忌憚なき御意見を伺いたいと思います。  なおただいま委員長の方からのお話で、朝鮮問題——朝鮮事件が起りましたことと、わが国経済との関係についてのお尋ねでありますが、これはまだ今後における国際情勢進展いかんと密接な関係を持つておるのでありまして、今日から確たる見通しを持つて、いかなる影響を与えておるかということを申し上げるには、まだ少し早いかと存じております。ただおそらくは六月の何日でありましたか、きめられました朝鮮貿易、すなわち朝鮮に対する輸出入の関係合計三千五百万ドルぐらいを認められておりますが、これらに関しまして、相当今後日本からの輸出また日本への輸入というものに影響が起るかと思います。ことに米なんかにつきましては、月額として相当量輸入考えられており、これらにつきましても、今日まで相当部分が入つておりますが、この輸入について影響を受けるものと思います。しかし食糧に関しましては、たびたび農林大臣も申しておりますように、今日までのところ、たとい朝鮮の方から計画米等が入らないという場合がありましても、すでに今日まで貯蔵せられておるものが未曽有な数に上つておりまして、四箇月分もあるわけでありますので、今のところ朝鮮の米が予定通り入らないというようなことが起つたとしても、食糧事情心配はない、かよう考えておる次第であります。  ただ船舶関係については、六月の二十五日ですか、事件が発生して以来、一時船舶航行が禁止されておりましたが、七月一日にそれも解除されて、今日のところ従来通り船舶航行も許されておりますので、必要な物資輸送関係もやつておるわけであります。ただ今のところ朝鮮事件によつて内地就航その他について、海運影響があるかといえば、これは今のところ起つておらない。ことに今余つている船舶が六十万トンぐらいあるようであります。たとい今後の状況がどういうふうに発展するか見通しはつきませんが、しかし今くらいのところでは、海運影響を受けることもないかと思つております。こまかい問題ですが、漁業関係についてはやや影響があるじやないかと思つております。しかしこれも主として問題が東海黄海における底引トロールの問題でございまして、普通の場合ならば国内市場に供給される魚の約一割くらいが、東海黄海でとれるわけでありますが、御承知よう戰後マツカーサー・ラインによつて狭められているので、そういう事情から見ますると、たとい多少の影響漁獲方面において起りましても、全体の食糧計画の上に占むる割合からいつて、そう影響はないかと思つております。いずれにせよ今後事変の進展国際情勢の変転によつて韓援助物資購入軍需物資の新購入というようなことが活発に行われるとすれば、これはそのままただちに日本経済影響が起つて参ります。その間あまり日本の物が買い上げられて、金がよけいになつてインフレが逆行してもいけません。また日本物資があまり取上げられることによつて日本における必要物資の減少を来すということも困るのであります。そういう点につきましては、今後の国際情勢推移を注視して万遺憾なきを期するよう、あらゆる計画を総合的に立てるべく、目下安定本部において施策中でありますので、大体さように御承知を願つておきたいと思います。
  5. 平井富三郎

    平井説明員 六月の末に発表いたしました経済現況報告につきまして、簡單に御説明申し上げます。この報告書の作成に当りまして注意いたしました点は、特に客観的なデータによつて記述をいたしました点でございまして、主観的な記述というものはつとめてこれを避けた次第でございます。従いまして資料の収集につきましては相当苦心をいたした次第であります。記述はできるだけ簡潔にいたした次第でございまして、要しまするに、これは現況報告でございまして、政策の問題あるいは批判ということは避けまして、客観的事実をそのまま書き上げたものでございます。  この報告書の全体の構成簡單に申し上げますと、まずはしがき、目次をごらん願いたいと存じます。はしがきにおきまして安定計画構想と最近の一年間に起つた経済上の主要な経過的な現況となつております。次の安定計画進展、ここにおきまして、最近一年間におきます安定計画進捗状況、すなわちインフレ収束自由経済への移行という点におきまして、これが財政金融物価生産等にいかなる効果をもたらし、いかなる影響を与えたかというような点について、安定計画進展において述べておるのであります。第一のインフレーシヨン収束自由経済への移行企業合理化進捗国際収支の改善、これらがこの一年間における安定計画効果を主として述べているのでございます。  第二に、有効需要産業活動という面から、最近の生産が既往の有効需要によつて規制されるという状況からいたしまして、この需要の起りますソースである財政からの投資、あるいは民間からの投資及び貿易という面からの分析をやつております。  第三に農業と雇用につきまして、問題点を指摘しているわけであります。  第四に、二十四年度の意義といたしまして、これらの安定計画進捗様相をかいつまんで結論としているのであります。  第一の面は、主としてここ一年間におきます経済の動きを述べておりますが、第二の「経済回復の現段階」というものにおきましては、現在の経済水準がいかなる段階にあるかという点をこの章において記述しているわけであります。従いまして内容といたしましては、戰後におきます経済基盤の変貌といたしまして、現在の日本経済というものが、戰争によつてどういう変化を見るかという基本的な問題を掲げまして、(二)以下におきましてこれらを具体的に記述しているのであります。すなわち第一に、国民所得水準資本蓄積力、第二に国民生活水準がどうあるか、第三に貿易規模構成がいかなる構造をしているか、第四に生産企業面に現われた諸問題、五が価格構造分析、これは主として現在の経済水準というものがいかなる水準にあるかという点を記述しているのでありまして、結びはそれを受けまして、現在の経済段階といたしましては、インフレーシヨン収束によりまして相当効果をあげてはいるけれども、現在の経済規模そのものはいまだ満足すべき状態ではなく、ことに終戰後この数年間に十七億ドルに及びますアメリカの援助によつてようやくこの経済水準に達したのでありまして、今後経済自立につきましてこの経済規模の拡大ということについては、並々ならぬ困難というものが横わつている。そのために問題になります資本蓄積等につきましてのいろいろな問題を解決して行かなければならぬというように大体結びをしているのであります。  以上が大体この経済白書組み立て方でございます。内容につきましては、ただいま申し上げました構想に従いまして、ここにございますように、約六十一表の表を基本にいたしまして、最近一年間の推移を跡づけている次第でございます。この具体的内容自体につきましては、すでに大体ごらん願つていると存じますので、この点につきましては省略さしていただきたいと思まいす。
  6. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまの周東国務大臣並びに平井説明員説明に対しまして質疑の通告があります。順次これを許します。志田義信君。
  7. 志田義信

    志田委員 まず新しく長官に御就任なさいました周東安本長官に対しまして、この酷暑の折、なかなかたいへんな御苦労なされることだろうということを想像申し上げまして、特に敬意を表したいと思います。  お話を拝聽いたしましたが、朝鮮問題につきましては、長官は今後の国際推移を見た上で、総合的にその政策の樹立を行う、その施策を今考究中であるというお話でありますので、この問題につきまして、二、三簡單ではありますが、御質問申し上げたいと存ずるのであります。  まず第一に、動乱後三週間を経まして、ようやくこの朝鮮動乱はバトルからウオーにまで進展ようという見方を余儀なくされておるのでありますが、政府はこれらの施策につきましても、相当各般状況を勘案してなされておると思います。去る十三日の閣議におきまして、朝鮮問題に対する対策相当検討されたと承つておりますが、その内容を、できるだけ本委員会の劈頭において御開陳くださることをお願い申し上げます。
  8. 周東英雄

    周東国務大臣 お答えいたします。十三日の閣議対策が相談せられたということをお聞きになつたということでありますが、そういうことについて特別にまだ具体的には相談をしておりません。先ほど私が申し上げたように、現在までのところにおける影響については、さしたる状況ではない。ただ今後において対韓援助物資等購入、あるいは軍需物資買上げ等が活発に行われることになるということがあれば、それに対して、ドルの収入もふえるであろうし、また日本内地における物資不足を来すようなことが起るかもしれぬから、それに対しては、できる限り早く手持ちドルの増加を活用して、繰上げ輸入等、しかるべき措置を講ずる必要があるが、それらについてはなお各般情勢を見て、遺漏なき措置に出るよう考究するということに打合せただけであります。
  9. 志田義信

    志田委員 さらにお尋ね申し上げます。日本韓国との間の交易の途中において、本動乱が起きたのでありますが、この動乱によりましてアメリカは、一億ドルの対韓援助費をもつて日本物資を買付けをするということが伝えられているのであります。それに対するお見通しを承りたいと思います。
  10. 周東英雄

    周東国務大臣 お話ような点はまだ私は聞いておりません。
  11. 志田義信

    志田委員 対韓援助費の問題は、日本国内新聞ばかりでなく、外字新聞等においても非常に大きく報道せられておりまして、安本長官が正式にこれの報告を受け、ないしは了知しておらないということは考えられまするけれども、全然知らぬということはないと私は思うのであります。それはひとまずおきまして、今日までの間に、わが国産業復興経済復興の建前におきまして、昨年以来一番の難関は、滯貨処分の問題なのでありますが、この朝鮮動乱と引き合せまして、日本滯貨処分に対する安本当局のお考えをお漏らし願いたいと思います。
  12. 周東英雄

    周東国務大臣 今日の場合に即応するよう、適当な物資については、滯貨しているものについてこれを有効に活用することが必要でありますので、そういう面につきまして、どういう面を買上げて、それを必要な方面に持つて行くかということについての具体的処置は、ただいま考究中である旨を申し上げておきます。
  13. 志田義信

    志田委員 先ほど長官は、この動乱によつていろいろと政府輸入をやろうというお考えようであります。さような場合におきましては、あるいはインフレに逆行するのではないかということも考えられて、それに対する対策をお考えようでありまするが、どういう点で政府輸入してインフレ要因を防止しようとなされているのであるか、あるいは朝鮮に買い上げられる物資によつて日本国内物資不足を来すような場合におきましては、これに対する補充計画がなければならぬと思いますが、その点についてお伺い申し上げます。
  14. 周東英雄

    周東国務大臣 お話ように、もし対韓援助物資日本国内のもので買上げられるようなことがあれば、それに対して不足をすることのないように、これを補うことも必要であると先ほど申し上げたのですが、それらの点につきましては、まだ何を、いかなる時期に、どれだけの数量をということについては決定しておりませんので、それらの点についてただいま愼重考究を進めておるのでありますから御了承願いたいと思います。なおあまり買付けられて、一方においてインフレにならぬようにするためにも、また国内における物資を確保して行く上においても、得た金でさらに繰上げ輸入等をして、物によつて国内を固めて行くということについても、あわせて計画を立てつつあるということを申し上げておきたいと思います。
  15. 志田義信

    志田委員 インフレ要因を来すのではないかという御心配までなされておる長官でありますから、韓国のこのたびの戰争事故は、国内物価に対して相当影響を与え、あるいは労働賃金部分高を来すようなこともあるのではないかという点についても、さだめし御考究なさつておると思いますので、その点をお伺い申し上げます。
  16. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいまのところ、一般の労働賃金の問題については、まだ様相が現れておりませんが、先ほど申しましたように、何と申しましても海運界は活発に動いておりまして、船運賃等の上りそうな強気を示しておるということがいわれております。その他についてはまだはきつりと形の上に現われておりません。
  17. 志田義信

    志田委員 あまり具体的なことをお話になさらぬようでありまして、まだその段階までは至つておらないのかもしれませんが、われわれといたしましては、日本経済現況に照し合せまして相当すみやかに政策を樹立しなければならぬときに来つておると思うのであります。たとえば滯貨の問題においても、輸出滯貨は先ほど長官もちよつと触れておつたように、いろいろの点を調整あんばいいたしてやるというお話でありましたが、輸入滯貸についてはどういうお考えを持つておりますか。その点をお伺いいたします。
  18. 平井富三郎

    平井説明員 輸入滯貨につきましては最近の状況によりまして、原料的なものにつきましては逐次これがはけて行くのではないかと期待しておる次第であります。ただ輸入の際の時期的のずれと申しますか、輸入をいたします際には国内生産がなかつた、輸入をいたした後で国内生産相当上昇したというような点で、いわゆる国内市場関係ではけないものも相当額あるわけであります。これらは主として現在貿易公団がこれを保有しておる次第でありますが、できる限り国内生産の材料といたしまして、価格点等におきましても、国内市場とにらみ合せつつこれを早期放出したいと考えておる次第であります。
  19. 志田義信

    志田委員 ただいま官房長よりお話のありました経済現況報告によりましても、相当政府機関在庫が多いということ、ことにそれが一千億円にのぼつておるということがここに明記されておるのであります。今私が質問申し上げました輸入滯貨につきましては、特に鉱工品貿易公団在庫総額相当多いだろうと思うのでありますが、これに対しましてこのたびの動乱においてこういう滯貨を一掃するくらいう計画が立つかどうか、それをお尋ねしたい。
  20. 平井富三郎

    平井説明員 この白書に掲げてありますものは、御承知ように今年の四月の状況であります。特に滯貨の中で、その中の鉱工品公団の大部分を占めておりました繊維類につきましては、内地放出あるいは輸出進展によりまして、逐次在庫もさばけつつある状況であります。ただ先ほど申しました、たとえば一部の染料等について見られますように、国内生産がむしろ過剰的な様相を呈しておる。しかも時期的のずれで入つて来た、ころいうものはただちにこれを市場放出することが、国内市場を非常に圧迫いたすというような点もございまして、これらの事情とにらみ合せつつ早期放出をいたしたい、かよう考えておる次第でございます。なおその他の在庫品につきましても、逐次最近におきまする一般的な、何というか、経済活況ぎみと申しますか、そういう点から、逐次これらもさばけて行くのではないかというふうに期待いたしておる次第でございます。
  21. 志田義信

    志田委員 今のは持越しの貯蔵量、持越しのストツクですが、ランニング・ストツク、あるいはスロー・ムービング・ストツクようなものにわけてやられるという御方針のようでありますが、デツド・ストツクはどのよう考えておられるか、その点をひとつお尋ねいたします。
  22. 平井富三郎

    平井説明員 鉱工品公団の例で申し上げますと、たとえば終戰直後において輸出向けとして製造いたしまして、これを公団が買い取つたというような場合に、その品物の品質の点、その他から再びそれを転売できないというようなものも若干あると思いますが、その他のものにつきましては、問題は価格の点が一番キー・ポイントになるわけであります。値段ということにおきまして、ある程度の損失ということを覚悟の上でこれを処分して参りたい、かよう考えておる次第でございます。ただそういたしますことが、いたずらに国内市場を圧迫いたしますことは、ここにまた大きな問題が生じますので、これらの関係を調整しつつこの滯貨を処理して参りたい、かよう考えておる次第でございます。純然たるデツド・ストツクというものにつきましては、当分そのストツクがさばける時期を待つ、それに対する利用というものの生ずることを待つよりいたし方がないのではないかと思いますが、大部分のものはいわゆる価格操作と申しますか、によつて片づけ得るではないか。ただその際に国内市場を圧迫するということは、新しい生産を抑制することになりますので、それらのこともにらみ合せつつ、逐次処理して参りたい、かよう考えております。
  23. 志田義信

    志田委員 先ほど長官お話の中にも、繰上げ輸入をやるというよう考えもあるというふうなお話でありましたが、繰上げ輸入をやる場合には、消費財に対する繰上げ輸入をやるお考えがあるかどうか、消費財のうちでも、特に綿花あるいは羊毛、あるいは小麦等に対して繰上げ輸入をやるお考えがあるかどうかをお伺い申し上げます。
  24. 周東英雄

    周東国務大臣 大体は今原料品的なものが主に考えられております。しかし消費物資についても、問題は金の具合い、情勢見通し等から考えて、その点愼重に今研究しております。
  25. 志田義信

    志田委員 いろいろな方面国内経済とにらみ合せてやるというお話でありましたが、現に占領軍所要物資は、もちろんそれは終戰処理費をもつて特調しておるものと私も知つておるのでありますけれども、総司令部特需ドルで支払らということが新聞等に伝えられております。そういう場合、PDでないドルで支払うという場合に、業者に対しましては、ドル見合つた円貨をお渡しになると思うのでありますが、これと輸出振興との関係については、どういうふうにお考えになつておるかお尋ね申し上げます。
  26. 平井富三郎

    平井説明員 最近におきましての特需につきましては、ドル払いということに私ども承知しておる次第であります。その購入手続等につきましては、目下政府といたしましても至急立案中であります。
  27. 志田義信

    志田委員 滯貨につきましては、この滯貨が処分されますれば、大体千二百億くらいの処分について、副次的なものとして徴税が行われるのでありますが、第二・四半期でこれが整理可能であるといたしますならば、わが党の政策である、減税あるいは官公吏賃金ペースに対する影響が、非常に好影響をもたらすものと私ども考えておるのであります。つきましてはこの滯貸を処分してそれに対する徴税が行われる、第二・四半期において整理が可能であるという考え方を持つていいかどうか、その点をお尋ね申し上げます。
  28. 平井富三郎

    平井説明員 滯貨の処理につきましては、先ほど来申し上げましたよう事情がございますので、その全部が第二・四半期末に終結するということはむずかしいかと考えられるわけでございます。私どもの目途といたしましては、大体本年度中程度にこれを処理して参りたいと考えております。
  29. 志田義信

    志田委員 先ほど長官お話にもありましたように、総合的に政策を樹立するその検討の途中にあるというお話でありましたが、最近安本は電力の割当を決定しておるようであります。さらに聞くところによりますと、金融の規正もやるのではないかということが巻間伝えられております。その他あるいは物資の徴用もやるのではないかというようなことが、それぞれの筋に流されておるのでありますが、こういう再統制をやる考えがあるかどうか、韓国戰争とにらみ合してそういう考えがあるのか、そういう意味の総合的施策考えておるのかどうか、その点をお尋ね申し上げます。
  30. 小峯柳多

    小峯政府委員 ただいまの御質問のような懸念のことを私しばしば聞くのでありますが、今まで統制経済から来る欠点弊害を、よく熟知して最近の統制解除をやつておりますので、新しい事態が起りましても、そのままの姿で昔の統制を復活するというようなことは考えておりません。ただ経済計画といいますか、先ほど総合施策と申しましたが、その中に経済計画的な要素を織り込むような、前の統制を再演出しない形でやりたいと考えております。
  31. 志田義信

    志田委員 前の統制経済を再演出しない形において、何らかの総合施策をするというお話でありますから、私も安心してその施策の結果を待ちます。今電力の割当の問題は、安本において昭和二十五年六月十二日の査定において査定されておるものが私の手元に来ておるのでありまして、幸いに産業局長も見えておるようでありますからお尋ね申し上げますけれども、このたびの第二・四半期の、大口電力の第一次査定の状況をひとつお尋ね申し上げたいと思います。
  32. 増岡尚士

    ○増岡説明員 電力の割当については、まだ電力の需給関係がほんとうに改善されておらないという事情のために、相かわらず割当をしておるのでありますが、各産業間に対する割当につきましては、特に従来と根本的にかわつたやり方はやつておらないのであります。大体各需用官庁から所要の電力量の要望がありました場合に、これと供給力とをにらみ合せまして、原則としてその供給力と需用量との比率によつて割当をする。一部重点的に見るものは見ますが、大体において一律にこれを圧縮するという建前でやつております。ただ需用量が各需用官庁から出て参ります場合には、必ずしも足並みがそろつておるということもいえない点もありますので、その点はわれわれの手元で各需用官庁の所要量として出て来たものを、一応足並みをそろえるということで調整を加えております。そういう調整を加えた、足並のそろつた数字と供給力とをにらみ合して、各産業に対して、先ほど申しましたように、大体一定の比率をもつて、標準料金をもつて買えるところの電力量を割当てるという建前でやつております。
  33. 圖司安正

    圖司委員長 渕君。
  34. 渕通義

    ○渕委員 周東長官にお尋ねしたいのでございますが、先ほどのお話を承つておりますと、このたびの朝鮮事変というものが、日本経済に対してどういう影響をするかという問題については、相当愼重な態度をとつておられることはまことにけつこうでございます。しかし私をして言わしむるならば、朝鮮事変というものは、ただ朝鮮半島の一角に起つたできごとにあらずして、大きく申しますならば、北はアリユーシヤン半島から、西はドーバー海峡に至る、その長い間に横たわるところの冷たい戰争が、ぽつぽつ熱せられる状況にある。こういう考え方のもとに、この朝鮮牛島の事件というものをながめて、日本経済の行方をば考えなければ、少くともこの日本安本長官としての態度としては少し小さいのではないかというふうな感じがいたしますが、それに対する長官のお考えを承りたいと思います。
  35. 周東英雄

    周東国務大臣 まことにごもつともな御意見でありますが、私は先ほど朝鮮問題だけに限局して考えておるとは申しておりません。これは一つの契機であつて、あらゆる問題に対して、すべての国際情勢とにらみ合して根本的な、総合的な計画を立てるべきときであると申し上げた次第であります。
  36. 渕通義

    ○渕委員 国際的な條件を勘案して、総合的な計画を立てる、まことにけつこうでございます。そこで私の質問いたしたいことは、この国際的な問題にからみ合つて日本経済をながめ、それに対するところの安本当局は、機動性のある安本であるかどうかということを、私は質問せざるを得ないのであります。長官のお考えを伺いたいと思います。
  37. 周東英雄

    周東国務大臣 どういうふうな見方でお話になつているかよくわからないのですが、経済安定本部としては、朝鮮動乱が起るより前、すでに日本の今後の経済の立て方として、積極的に産業復興によつて国民生活の安定をはかつて行くという建前をとる上において、いかなる形に今後の経済を持つて行くかということについて、実は着々研究もし、素材を集めておつた最中であります。たまたま朝鮮事件が起きましたのが一つの動機と申しますか、促進される形にはなつておりますけれども、基本的には、今の安定本部においては、全能力をあげて、その方面に向つて、地味ではあるが、真劍に計画を立てるつもりで進んでいることを申し上げておきます。
  38. 渕通義

    ○渕委員 そうであるとすれば、安本長官は、このたびの事変というものは、今までの安本計画の中にあるであろうというような予想があつたでありましようか。もし予想がなかりせば、今突然起つたこの事変を目の前に置いて、急角度に安本政策の方向をかえるということは非常に困難だと思うのであります。たとえば現に戰争必要物資であるところの亜鉛、鉛のごときは三倍も暴騰をいたしている。しかもこれは世界におけるところの不足物資の一つである。こういうような問題、鉄鋼の問題にいたしましても、すべてが戰争物資としては、相当大きな経済的な影響を及ぼすものと思うのでありますが、そういうものに対して安本はどういう考えでおられたか、また銅の対策について長官としてのお考えを承りたいと思います。
  39. 周東英雄

    周東国務大臣 御承知ように銅等に対する施策は、すでに昨年から安定本部は、政府と一体になつて処置をつけておるのでありまして、今日の場合あらためて銅に対する施策をやるという必要はないまでに施策はできている。私が先ほど申しましたように、今の朝鮮の紛乱が始まるという見通しのもとにやつているのではなく、今まで政府がとりましたところのインフレ収束を主たる眼目において財政金融政策は立てられた。これは一応成功の段階に来た今日においては、積極的に産業の振興や復興に対する立場を主眼点として、金融財政政策が立てられて行くというところに進むべき段階に来ていると思う。これは大蔵大臣がたびたび言つておりますように、ドツジ・ラインにおいても幅のあるものであつて、だんだん着実にそういう段階を踏んで、経済復興に進むという線と同じであります。その意味において、一面においては輸出産業の振興により、一面においては国内資源の開発による一つの復興計画を立てなければならぬという段階に進んで来ていると思う。しかも輸出貿易等につきましては、二十四年度までは五億三千万ドル、二十五年度においては六億五千万ドル計画であるようであります。こういう面につきましては、戰争終結後今日まで十七億ドルの援助資金であつてさえそのくらいであつたのでありますが、来年、再来年あたりにはなくなるかもしれないという見通しのもとに、そういうものがなくなつたあかつきにおいても、自立できるような形においてやつて行くことができるという立場に立つて輸出貿易考える場合にいかにするかということは、今日当然安定本部においては計画は立てられて行くべきはずである。こういう問題については、安定本部を総動員してすでに計画は進んでおる。決して朝鮮事変が起きたために、あわてふためいて計画の変更をやるということは考えておらないのでありまして、当然の行くべき筋道として計画考え、案を練りつつあるということを申し上げておきたいと思います。
  40. 渕通義

    ○渕委員 まことにけつこうな決心を承りまして、私自身も意を強うしたものでございますが、ただ問題は、このたびのこの事変というものは、先ほど申したように、相当長期に、しかも広範な立場においてこれがなされるであろうということは、少くとも世界の輿論が一致しておるだろうと思います。そこで問題は、日本経済の基盤をなすところの農業に対する問題、食糧の問題であります。長官は四箇月もストックがあるからまず大丈夫と言われるのですが、私はかつて東南アジアに六年間、その專門のため派遣され、研究いたしておりましたその実情からながめてみますると、東南アジアの主たる食糧生産地というものは、御承知ように、今後おそらく大動乱に巻き込まれるだろうと思う。インド支那においてしかり、ビルマにおいてしかり、シヤムにおいてしかり。まして朝鮮のごときはすでにこういう状態になつている。そういうことを考えてみますると、はなはだ不安を感ぜざるを得ないのであります。特に戰争においては船舶は必要となつて参るのであります。今、日本の小さな船舶の問題が論ぜられておりますけれども、大きな観点から世界の船舶事情考えてみますと、おそらくアメリカにおきましては、戰争遂行第一の目的のために全船舶を動員するであろう、しかもヨーロツパに兵を派遣するのはともかく、太平洋のかなたの、このアジアまで大軍を持つて来るとしますならば、相当船舶を要する。そうすると食糧運搬に要する船舶は、はなはだ心細くならざるを得ません。現にそういう様相を呈しているではありませんか。こういうことを考えますと、少くとも安本としては、農林省のしりをたたいて、日本食糧自給の態勢を一歩突き進むべきじやないか。そうであるならば、今までのように單に食糧の自由ということでなくて、一歩進んで、食糧に対しましては統制を強化する——と言つては語弊がありますけれども、引締めて、そうして生産増強に邁進すべきではないかと考えるのでございます。従いまして、そういう方向に持つて行くためには、まず自給態勢を確立しなければならぬ。かつて日本の開拓政策終戰後におきましては、御承知よう食糧増産のための開拓政策であつた。しかるに二年、三年たちますと、失業問題の対策なつた、そういう様相を呈しておる。ここでまた元に返つて、ほんとうに真の意味の食糧自給態勢への角度に開拓政策を持つて行くべきじやないか。日本の将来のために、安本としては総合経済の立場から農政を考え直す必要があると思いますが、将来の自給態勢下における農業施策の推進に対する土地改良、こういう一番根本的な員題に対して、安本としてはどういう心構えでおられるか、お考えを承りたいと思うのであります。そうしなければ、国民すべては何だか不安の中に落されておる状況であります。現に米が一升百八十円、福岡あたりは二百円というような相場を呈しておるということは、真劍に食糧問題を再検討すべき段階に入つておると思いますが、ひとつそれに対する長官の御意見を承りたいのであります。
  41. 周東英雄

    周東国務大臣 えらく先走つた心配をされるのですね。先憂後楽ということがありますからけつこうでありますが、もう戰争が始まるような、世界が大動乱になるようなことを前提にしていると思います。しかしそこまでは発展しないことを望んでおりますし、そういうことを推測して話をすることは、少し飛躍するのではないかと思います。しかし政治というものはそこまでのことを考えてやる必要があるということでの御鞭撻ならばけつこうでありますが、戰争がそうなるということをあまりはつきり言うことは、かえつて国民を惑わすことになると思いますので、その点については将来の計画についての御警告として承つておきたいと思います。そういう点から見ましてただいまの御意見はもつともでありますが、その意味におきまして国内の自給度を高めるために、土地改良あるいは開拓という面について、でき得る限り大きな予算を組んで推進するということについては同感でありまして、二十六年度予算編成にあたつては、ぜひともそれが実現について、総合的な立場において、私ども及ばずながら力を盡したい、こう思つております。ただ申し上げたいことは、きのう本会議等でもおつしやいましたが、やれ、たいへんだから輸入なんというものはやめてしまうて、千四百万石の米をつくるようにせいという質問が出ました。これはよく考えていただかなければならぬ。自給度を高めることは必要でありますけれども、千四百万石の米がとれるようにするには、どれだけの土地を、何年かからなければでき上らないか。土地改良にしても、どのくらいの面積を、どれだけやらなければならぬかということを考えていただくときに、やはりある程度の輸入ということはあり得る。こういうことは考えていただかなければならぬ。ことにその点は私どもは非常に苦しいと思う。きのうもお話がありましたが、いまさら千四百万石を輸入してどうなるかという、あすの日でも自給ができるような質問でありますけれども朝鮮、臺灣を失つておる。内地はかつて朝鮮、臺灣から千五百万石ずつ入れて来ておつた。それを輸入できないならば、すぐ内地で増産されるような意見、これは困る。しかしどこまでも政府としては輸入の資金を払わないように、でき得る限り自給態勢を整えて、内地の食糧の増産について努めるために、開拓、干拓、土地改良については十分な力を注ぐ考えでおります。同時に私どもは、食糧といえばすぐに農業、土地改良、開拓ということをいわれますけれども、大きな国民的観点に立つて、やはり水産なり、畜産なりといつた総合計画によつて、農民の負担を軽くしつつ行くならば、今の内地の狭められた土地についても、かなりな自給度が高められるのではないか、こういうふうに考えております。
  42. 渕通義

    ○渕委員 先ほど志田委員の質問に対しまして、政務次官は長官を代表しまして、昔のよう統制にはならないということを申されましたが、新しい統制方式をひとつ承りたい。
  43. 小峯柳多

    小峯政府委員 先ほども申し上げましたように、必要な事態が起りますと、皆さんのお知惠も借りながら、せつかく愼重考えて行きたい。ただ大ざつぱに申し上げますと、こまかい、何から何まで末梢神経的なもので締め上げるようなやり方でなくて、大きなわくで筋が通りはしないかと考えております。私は計画経済でなしに、経済計画というものと、自由経済の調和をとることがあり得ると考えておりますし、その点でまたお知惠恵を拝借することがあると思います。
  44. 渕通義

    ○渕委員 計画経済と普通の経済との中間をとるということですが、どうも戰争態勢といわれますけれども、私は非常に心配しておる一人であります。おそらく予言が的中するとまことにさびしいのでありますが、心配いたしております。そこで計画経済に対して私は常に考えておりますが、計画経済を何だかはしかか何かのようにこわがる。ぼくは少くともアメリカ戰争中におけるところの経済方式は、計画経済を取入れると考えております。従いましてそういつた方向の統制方式を考えてもらわなければならぬ。たとえば日本の林業政策の面から考えてみますと、現に木材は、朝鮮半島の一つの事件でありますけれども、石六百円が八百円に値上りいたしておる。しかもこのまま放置しておつたならば、夏の中ごろはどこまで行くかわからない。これは戰争に要する最も必要な資材だ。こういつたような事柄が派生的に起つております。これは單に派生的のできごとにあらずして、このたびの事変というものは相当暗流がある、糸を引いておるということを考えますと、人間の心理はふしぎなもので、経済は心理作用によつて相当影響を及ぼされると思いますから、そういつた面に対しまして、思い切つたある程度の計画経済と申しますか、新しい方式の統制に入らなければならぬ段階が起つておると思いますが、その点に対し長官のお考えを承りたい。
  45. 周東英雄

    周東国務大臣 今のお話でありますが、とにかく戰争が激化すればすぐに統制が頭に浮んで来る。また統制はやめろといいましても、そう一足飛びのものではないと思う。私は経済というものは口頭禪のものではないと思う。そのときの情勢、そのときの経済の実態に即応して、国家のために最本是なりと考えられるところがとられて行けばよい。それが主義の争そいで、あるいは社会主義的な計画経済がどうの、自由主義経済がどうのということの理論的な争いは、現実政治の上においては実につまらぬものだと私は考えます。
  46. 小峯柳多

    小峯政府委員 私の発言に関連してでありますから、つけ加えて申し上げたいと思います。先ほどお話がありまして、計画経済という言葉と経済計画という言葉とが、少しごつちやになつておるようにおとり願つたのじやないかと思いますが、もし非常事態が起りましても経済動員をすることが必要なんで、その動員する形としましては、統制経済がよいか、あるいは大骨に筋を通した経済計画がよいかということは研究する余地があると思います。その場合にもし必要があればお説の通りに動員することはぜひ考えたい。しかしその方式については、今まで経済状況が悪くて、かえつて経済動員を妨げておつたよう統制経済そのまま再現するつもりではないと、かように申し上げたのであります。
  47. 渕通義

    ○渕委員 長官に承りたいのでありますが、先ほど安本は非常に機動性のあるものをもつてがつちりと構えておる。こうおつしやいますが、私をして言わしめますれば、安本というものは御承知ように、国家公務員法によつて相当優秀な人材を集めなければならぬが、それがなかなか集まらない、ぼくは安本なんかの存在というものは、普通の官僚政治の機構であるからこそ、今まで社会党内閣時代に大分非難があつたと思う。そこで野におるところのりつぱな人物を入れて来る。そうして実際生きた経済を扱つておる人間を入れる、そういう立場に持つて行かなければこういう問題が起る。普通のデスク・プランだけの人では非常に心配だ、こう思いますから、思い切つて安本に対しましては、そのいつた公務員法を改正しまして、安本に関する限りは特殊なるところの人材を引入れるという、特別法くらいつくつてつて行かなければならぬじやないか。それが安本を民主化し、安本を機動性ある安本たらしめる第一歩だと考えますが、長官はそれに対してどうお考えになりますか。
  48. 周東英雄

    周東国務大臣 あなたは公務員法を改正して、公務員にならなければ能力を発揮しないお考えようでありますが、ただいま安本に立てこもつております七百人の人間は、決してデスク・プランだけの者ではありません。これを十分に活動せしめつつ、なお復興会議等を開く予定であります。ここに十分に民間の知能を集めまして、りつぱなものをつくり得ると考えますので、必ずしも公務員にして中へ入れなければ活用できぬというのでは、われわれのやり方がまずいということになりますので、中に入れぬでも大いに民間の知識を取入れることができる、かよう考えます。
  49. 渕通義

    ○渕委員 公務員にしなければならぬということを私は申したわけではないのでありますけれども、一般の人の理論は大いに付度して力強いところの委員会制をつくつてもらいたい。と申しますのは、どうも日本人の性質から推しまして、何だか官尊民卑といいますか、そういう寒気が非常に流れておる。それを打破する意味において現在の安本の各種の委員会を強化してもらわなければならぬ。ところが安本の各種の委員会というものが、いかにも力のない委員会のごとく見られておる、またそういう方向に流れがちであるという立場にいおて今のような質問を試みたのであります。決してむりやりにそういうものを入れよといつたのではないのであります。安本の各種の委員会を権威あるものにするためにそういうような意見を開陳したにすぎません。その点を長官は十分心得ていただきまして、権威ある委員会、権威ある白書というものを出してもらいたい、こう考えるのであります。
  50. 圖司安正

  51. 高田富之

    高田(富)委員 ただいま長官の前委員の質問に対するお答えはたいへん心強いものがありました。この点一般国民は、今までの経済安定計画について、それから今度の朝鮮の問題、その他見通し得る相当長期にわたる大きな問題に直面しまして、安定本部あたりがまつ先に相当あわてて来るのではないかというふうに常識的に考えておつたと思うのです。それがそうでないということは非常に力強いことなんですが、その点もう少し明確に御決意、御確信のあるところをおきかせ願えれば非常に幸いだと思います。というのは、この安定計画では、財政の均衡、そうして経済の安定をはかり自立の方向へ向つて行く。大蔵大臣もしばしば言つておるように、おかゆをすすつて、かゆ腹でいる今の日本経済が、ある程度支出をしめたり、あるいはこれをゆるめたりしながら、だんだんこわい飯が食えるようになつて行くよう計画を立てている。これがデイス・インフレで、これが安定計画だということで納得しておるわけであります。安定計画の進行の過程におきまして、こういう大きな問題に直面したということになりますれば、どうしてもそういう計画が根本的にひつくり返らなければならぬほどの、相当大きな影響を受けるのではなかろうかという心配を持つのは当然なのであります。もしそういうことがないというのでありましたならば、どうしてそういうことがないかという点を、さつき言明せられましたが、その言明を裏づける理由を、もうちよつと明確にしていただければ非常に幸いだと思います。
  52. 周東英雄

    周東国務大臣 先ほど答弁したのですが、私ども朝鮮事変が起きたので、あわててすべての計画なり施策考究し出したのではなくて、日本の過去五箇年における経済進展のあと、ことに最近一箇年間におけるインフレ収束、自由への移行という現実の問題を前提として、次に進むべき経済安定の方向は、何としても産業復興を元として諸政策が積極的に打たれなければならない。しかも第一には貿易にその中心を置き、第二には国内経済の開発という二本立てで行くんだが、その諸貿易に関しても、戰争前における日本輸出産業構想が、戰後の現段階における輸出産業の構想と必ずしも同じであつてよいというものでもない。これは一例でありますが、そういう点を考慮しつつ、日本輸出産業をいかなる方向に、どういうものを中心として向けて行くか、さらにそれに必要なる内地の鉱工業関係の設立等に関して、いかなる措置をとるかということが考えらるべきであつて、これに対する積極的な総合計画を樹立しつつあつたのであります。たまたま朝鮮事変が起きて、そこに新しい一つの條件が加わつた。先ほどお話になつたように、朝鮮事変の進展は、国際情勢によつてどうなるかという確たる見通しはまだつかぬにしても、少くともこの事変及びこの事変をめぐつて国際情勢のもたらすところの影響、また日本産業復興計画にも影響するだろう、こういうことを頭に置いて具体策を今立てつつあります。その中で、具体的の計画については、今後の施策によつて批判願わなくてはならぬが、その見通しの中で、われわれが将来に対して、これならば安定できるだろうと思う節をあなたが言えとおつしやるのですが、これは先ほど申しましたように、どうしたつて輸出入によつて日本経済の再建の基礎、安定の基礎をつちかわなければならぬのであります。それについて国民昭和九、十、十一の三箇年平均の生活水準を維持するには、大体十三億ドル輸出がなくちやならぬ。これだけのドルが入らなくちやならぬということになつているが、できるだろうかということが一つの心配でありました。二十五年度の輸出関係は六億五千万ドル計画でありますが、最近では五月は六千三百万ドル、六月は六千五百万ドルというように月に六千万ドルを超えて来ておる状況であります。事変なかりせばということで考えるならば、ことしはおそらく計画を上回つて七億ドル以上になるであろう。そういう状況で、来年は、同じよう計画を立てて行くと、十三億ドル輸出関係によつて受取勘定を多くすることが可能ではないか。来々年ごろ見返り援助資金が打切られるようなことがあつても、そういう傾向のもとに進むならば、一つの経済安定への道がつけられるではなかろうか、こういう計画を持つているわけであります。しかし、国際情勢の変化によつてこのことがどういうふうにかわるかということは、ただいま諸條件をつかまえて検討中であります。見方によりましては、対韓援助物資とか、あるいはその他の関係日本輸出がふえ、あるいはドルが得られるかもしれません。しかし、ドルだけ得たつて国民の安定はありませんので、場合によつてはそういう得たドルを有効に使つて原料を買うという措置もありましよう。いずれにしても最近の情勢の変化に即応しつつ、今言つたよう計画を進めて行くことができるではなかろうか。そこに一つの安定への見通しが立つのではなかろうかというのが、ただいまの現況であります。
  53. 高田富之

    高田(富)委員 ただいまの御説明ではなおちよつと不明確な点があるのです。今度はこういうことにぶつかりまして、本年度の予算の上に相当大きな影響がもう現に来ているのではないかと思う。特にこの問題につきましては、今日ではアメリカ政府といたしましても、相当長期にわたるというので、国家総動員計画ようなものを立てるというところにまで行つているということが報道されている。そうしてわが国におきましても、それに直結してやつて行くという政府の方針のもとにおきましては、この予算の方もおそらく根本的に改編を余儀なくされるではあるまいかというふうな心配があるのであります。具体的な問題としては相当たくさん現われていると思いますが、こういう点はどういうものですか。今度この問題が起りましてから、調達庁あたりで買上げる品物が急激にふえているというよう関係から、たとえば終戰処理費というようなものは、中でも最も目立つた大きな影響を現に受けているではないかと思う。これはそのうちのほんの一つでありますけれども、まずその点で、この事変直前あたりから事変後のごく最近における特別調達庁の支払いの状態、それから終戰処理費の現在の状況、こういうようなものをちよつとお話願いたい。
  54. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいまのところまでは今お話になつたようなことはまだないようであります。予算につきましては警察費の問題がどうなるかということだけでありまして、その他につきましては予算の変更をなすような必要は、ただいままでは起つてないようであります。
  55. 高田富之

    高田(富)委員 そこで終戰処理費は現在どのくらい使われておりますか。それから特別調達庁あたりの支払いの状況は、最近ぐつとふえておりますか。
  56. 平井富三郎

    平井説明員 調達庁関係の予算の執行に関しますデータは、調べた上で御報告申し上げたいと思います。
  57. 高田富之

    高田(富)委員 それでは調達庁関係の数字はわからなくても、大体の模様でもよいのですが、最近の支払いの模様、急速にふえているかいないか、そういうことをお伺いしたい。あわせて最近いろいろな各省関係のもの、あるいはその他民間のいろいろな産業方面から軍関係に特別に買い上げられるものが、相当ふえて来ておるのではないかと思うのでありますが、そういう協力態勢をとつて行く上で、向うからの調弁の要請と、これに対してこちらの方でこたえ得る産業界の態勢というものの間に、非常に大きなギヤツプはないのでありますか。
  58. 平井富三郎

    平井説明員 終戰処理費の使用の状況は、調達庁につきまして具体的に調査の上お答え申し上げたいと存じます。ただ最近事変が起りましてから、終戰処理費の使用の状況につきまして、さしたる変化はないというように聞いております。  次に朝鮮事変以後の買付の関係でございますが、ただいまのところまとまつた調達要求というようなものはまだ受けておりません。実際市中にいろいろ話がございますが、どこまで具体的に受けたかという点についても、不明確なものが多いようであります。現在のところ大して大きい量が買い付けられているというようには考えておりません。先ほど大臣から申し上げましたように、船の関係において、チャーターという問題がございますが、他の一般物資につきましては、まだ大きな量が買い付けられておるという話は聞いておりませんし、どの程度の物資を買い付けるかという、具体的な計画もまだ承知しておらないのであります。
  59. 高田富之

    高田(富)委員 聞くところによりますと、通産省の関係で、何でも電話器を十万箇でしたか、相当多数のものを一年間に調達する予定であつた。ところが、現在その一年間の予定のものを、全部調達済みであるというようなうわさも聞くわけですが、そういうふうなことで各省関係で、ここに来てやはり急速にそういう特殊な物資の調達が、繰上げて実行されておるというようなことは相当あるのですか。
  60. 平井富三郎

    平井説明員 私どもも各省その他民間の方からの情報の収集に努めておるわけでありますが、ただいまの電話器の話は私ども承知いたしておりません。先ほど申し上げましたように、事変以後の物資の買付けにつきまして、需給関係相当影響を与えるという程度の買付はまだ具体的に起つておらぬと考えております。
  61. 高田富之

    高田(富)委員 今のところどうもわからないとか、具体的には出ていないというような御答弁が大分多いようなんですが、それならば今も申し上げましたように、少くともアメリカでも、これから相当長期にわたつて全国的な動員計画までやるといつておるときでありますから、当然日本政府とされましても、産業の再編成の問題なり、韓国へ十万人の軍隊がこれからどんどんやつて来るというようなことにつきましても、日本の協力態勢をつくる政府の方針からすれば、産業計画その他輸送計画すべてにわたりまして、相当急速に、思い切つてアメリカ本国の計画に呼応した編成がえを計画していなければならないはずだと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  62. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいまのお話でありますが、まだ政府としては、績極的にアメリカ軍事動員に対して協力するとかなんとかいうことは考えておりません。われわれは自然そういうふうな関係から、アメリカが国際的政策として動くのに対して、日本の物を買い上げるということから起る影響を、国内的に悪い影響にならぬように、われわれ政府として対策を立てよう、また積極的には、日本産業復興のために計画を進めようというのが現段階であつて、あなたのお話ように、あたかもアメリカの動きに対して、積極的に援助するために産業構成をかえてやるようにしたらどうか、という御忠告はけつこうでありますが、そういうことは考えておりません。
  63. 高田富之

    高田(富)委員 この間本会議の答弁でも、総理大臣はでき得る範囲で協力するということを言つておられるわけであります。これは政府当局のおつしやるところによれば、戰争に協力しているのではない、戰争に協力するのはいかぬけれども、国連の警察行為であつて、これに対し賛意を表し、これに協力するのは当然のことであるという建前から、協力するというのははつきりした吉田内閣の方針になつているわけであります。はつきり総理大臣もそう言つているわけでありますが、それをあなたが否定されるということになれば、これはたいへんな問題になるので、おそらくそういうことは相当程度考えておられなければならないと思うのです。そういう問題について抽象論議をしてもしようがありませんから、具体的なを申し上げますが今度警察力の増強、海上保安庁の八千人の増員というような問題が起りました。これにいたしましても、そういう角度からの国内治安とか、いろいろなその他の観点からしまして、これに協力する一つの態勢ということにもなるわけでありましようが、政府としてはこれを積極的にやるということをはつきり決意しておられる、いろいろ準備しておられるわけであります。この警察力の飛躍的な増強ということになりますと、新聞紙上伝えるところによれば、数百億の金が出て行く、しかもこれを一般会計の債務償還費の中から出すのではあるまいかというようなことになつております。こういうようなことも、財政の今までの方針を根本的にといつてもいいくらいに、大きく変動させる重大な問題になつて来るわけであります。でありますから、こういうこともちつとも何でもない、今まで通りだということでいるとは思わないのでありまして、従来の財政計画の中での予期しない、非常に大きな変革ということに当然なると思います。この警察力の増強と、これを債務償還費の中から出して行くということについて、遺憾ながらまだ新聞報道程度しかわれわれは知らない、まことに残念な次第でありますが、幸いこの機会に長官から大体の政府構想をお聞かせ願いたい。
  64. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は今日も参議院で大蔵大臣が申しておりましたが、まだお話をする段階に至つていないから、私からお話できません。あなたは誤解されておるようです。今積極的に——に協力すると首相が言つたようお話ですが、そういうことは言つておりません。可能な範囲というのは、国連の動きに対して可能な範囲においてとおつしやつたようです。それは今のように向うから、国連の動きについて内地の物を買入れるということに対して、売らぬというわけに行かぬということであります。あなたの先ほどの御質問は、前提を、——に対して積極的に援助するために、産業構成をかえるようなことをして援助する意思はないかということでありますから、そんなことありませんと言つたのであります。  さらに警察費であります。警察官を七万五千人ふやして、それで協力するのじやないかという御質問であります。どこまでもわれわれは、国内におけるこれらの状況にかんがみて、国内治安維持のために強化することを認められたのでありまして、決して国連の行動に協力するために、警察をふやしたということでないことをはつきり申し上げておきます。
  65. 高田富之

    高田(富)委員 ただいま国連の——のためにということを言われますが、これははなはだ心外なんで、実は私も委員会で——という言葉を使いまして、速記録から削除を命ぜられました。国連の——じやありません。大臣は、国連の——と言いましたが、——じやないそうです。これは政府御当局の御見解でありまして、——でないのだから協力している。これは国際連合の警察行為である。これに対して全力をあげて協力するのは当然のことなんだということで、でき得る範囲で協力するというのが政府の方針、こういうことであります。ですから、——ならば協力しないけれども、——でないから協力しているというのであります。今のあなたのお話によりますと、物を買うというのに売らぬというわけにはいかぬから、買うと言えばある物を売るのだというのでありますが、これでは国連の行動に対しまして、でき得る範囲で、当然のこととして協力する態度にはならぬと思うのです。吉田内閣の態度といたしましては、やはりもつと積極的に、国連の行動に対して協力しておるということを、堂々と、何もはずかしがることはないのでありますから、はつきり言明されて、そうしてその態勢はこうなるということを明示されなければならぬと思うのです。  それではこの機会に——経済安定委員会は、よけいなことを申し上げるようで恐縮でありますが、私も前からごやつかいになつております。この委員会は、他の委員会と違いまして、どういうことでも非常に親切に、政府委員の方もお答えくださるし、われわれとしましては、非常にこの委員会には感謝しておる次第でありますが、どうか新大臣並びに次官になられた方々におきましても、ぜひひとつ、ざつくばらんにお考えを述べていただきたいと思います。  この警察問題は、何といいましても現下の一番大きな問題だと思います。当然国会としましては、全国民の注視の的になつておるこの警察力増強をめぐる問題、特に予算の問題などは、経済安定委員会としては、当然詳細に政府のお考えをお伺いしなければならない立場にあるのであります。しかし聞くところによりますと、これを国会の方へは相談かけないでやつてしまおうというような、空気があるやに伝えられておるのであります。しかし私ども常識的に考えまして、いやしくも政党内閣であり、今日の民主日本再建の責任者である政府において、そういうことを考えておるとは考えたくないのであります。これはデマじやないかと思うのです。もし議会に相談しないでこれをやつてしまうということになりますれば、もはや議会も何もいりません。安定委員会も予算委員会もいらなくなつてしまうのでありまして、憲法そのものがめちやくちやになつてしまうのであります。そういうことは絶対ないと思いますけれども、巷間伝えられておりますので、ぜひその点についての大臣の所信を、ひとつはつきりお述べ願いたいと思います。
  66. 周東英雄

    周東国務大臣 なるほどいい御注意であります。さつきの点、私聞違いました。——ということは取消しておきます。  それから今のお尋ねでありますが、まだはつきりきまつておるように私も聞いておりませんから、これは主管大臣にお聞きを願いたいと思います。
  67. 高田富之

    高田(富)委員 どうもせつかくの安定委員会にそういう態度で臨まれますことは、はなはだ遺憾であります。これは主管大臣云々の問題ではなく、現在の吉田内閣の閣僚とせられまして、当然この大きな問題について、違憲論も相当強く叫ばれておるような問題でありますので、そんなことはないのだということを、当然はつきりさすべきだと思うのです。もしそれができないということになりますと、やはり巷間伝えられておるように、政府は議会なんというものは問題にしないで、何百億の金でも、警察力増強のためには、かつてに政令かなんかでやつてしまうのだというふうにとらざるを得なくなつてしまう。これはまことに遺憾であります。だからぜひひとつそういうことのないように、そんなことはないのだということをはつきりしていただきたい。もしそれができないということになりますれば、遺憾ながらやはりこれは政令でやつてしまうのだ、もう財政法も憲法もあつたものじやないということを公言されたると同様であると私ども承知したいのです。重ねてこの点をお尋ねしたいと思います。
  68. 周東英雄

    周東国務大臣 まだきまつておりませんから、主管大臣の方に時期を見てお尋ねを願います。
  69. 高田富之

    高田(富)委員 きまつていないと言いますけれども、金額の問題なんかについてはこまかい点はいざ知らず、こういうことをちやんと国会にかけて、財政法の規定に従い、憲法を尊重してやるということだけは、内容のいかんにかかわらずはつきり当然言うべきことなのであります。それがまだきまつてない、きまつてないと言つておるうちに、議会は終つてしまうのであります。そういうことでは公然と日本憲法に挑戰し、日本の民主主義を破壊するものであります。この警察力増強の最も重大な問題、これは今まででも、国際的にも日本において警察力増強の必要なしという意見は相当強かつたし、もしそういうことになれば警察国家が復活する、あるいは軍事力が復活するのではないかというような疑惑を、蒋政権の中国などにおきましても、前々から強くいわれておることであります。そういう重大な問題について、ついにこの国会の席上においても答えられないということは、明確にこれを議会の議にかけないことを、積極的に意思表示したも同様である。こういうような今の態度によりまして、私ども政府の態度は非常に明確になつたと思う。これは共産党ばかりの問題でありません。こういうようなことはなお会期中、何回となく野党から必ず出ると思います。もしもただいまの態度をすみやかに改められないならば、私ども日本にとつて最大の危機であると思います。この点を重ねて強調し警告いたしまして、政府当局が、すみやかにその態度を改められんことを強く要望しておきたいと思う。  それからこの機会にさらにもう一つ、今度の事件関係で、私どもが特に経済計画につきまして心配される点をお伺いしたいのであります。従来この委員会においても、国土の総合開発計画ということについては、いろいろと政府当局から詳細説明を受けたことはあります。なお特に最近では、只見川の電源開発の問題、あるいは熊野川とかその他の電源開発を中心とするところの、今後の電力の再編成、それから電力事業を中心とした化学工業を初め、諸産業の復興をはかつて行く。これを日本産業復興計画の中心点と言つてもいいくらい重視しておつたわけであります。ドレーパー氏も参りまして、いろいろとこの只見川等につきましては、話が具体化して、相当の見返り資金もこれにつぎ込んで、企業形態も再編成をし、そうしてこの大目的に向つて邁進するということになつておつたのでありますが、これがどうも最近は電力分割問題もどうなつたかわからないようなことになつておるし、見返り資金の方もどうやら今までのところ出ておりませんし、これは一体どういうことになるか。この国土の総合開発計画、ことに電力の開発計画につきまして、これが今度の事件関係のないものであるか、今度の事件に関連いたしまして、今後の見通しに関連いたしまして、一応この計画が保留あるいは変更になつたのかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  70. 周東英雄

    周東国務大臣 お話ように一応電源開発については、水力については二十一箇所、火力が七箇所そいうよう計画に進んでおりますが、そのうちで大体火力、水力とも合せて、今までのところ七箇所くらい進行しております。ちよつと今その他のところはとまつたような形であることは御承知の通りであります。しかしこれは今の事変の関係でとまつているものではありませんで、目下それぞれ推進方について私就任以来話を進めておりますから、御承知願いたいと思います。
  71. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、事件関係とは別にこれはとまつているという御答弁のようですが、これはかなり大きな日本の国土開発計画の事業がとまつたということになつて、どうもふに落ちない。さつきもあなたの御説明では別に大した変化はない、前と同じようにずつと来ているという話でありますが、それならばこの国土総合開発計画、特に電力開発を中心とするこの計画がとまつた原因はどこにあるか。これをひとつはつきりしていただきたい。
  72. 周東英雄

    周東国務大臣 とまつたという言葉は少し悪いのですが、今まで継続しているものは継続している、新規の開発の箇所については、まだ計画その他が十分完備しておらないから着手しておらない、こういうことであります。
  73. 高田富之

    高田(富)委員 そうしますと、今まで計画を着手したところよりも、これから着手しようとするところの方が重要な点があつたろうと思うのであります。ですからこれは相当大きい計画のストップというか、破綻というか、そういうものを来したよう考えざるを得ないと思うのです。それでは一体この見返り資金の方は、電力関係に予定されておつたものは、現在どういう方面へまわつたのですか。
  74. 内田常雄

    ○内田説明員 私からお答え申し上げますが、電力につきましては御承知ように、昨年度において日発配電だけで九十七億円の見返り資金が出ております。これも昨年は見返り資金の出方が遅れまして、本年の三月近く、すなわち年度末近くになりまして一ぺんに金が出ましたために、日発等は正直に申し上げまして、事業の進行度以上に、ある程度の現金を持ち越して本年度に入つております。昨年度の九十七億円の見返り資金事業を本年度に続けるためには、これもすでに新聞等で御承知ように、本年度としては約百五十億近い金がいることになりますが、今申しました通り、会社としては見返り資金を持ち越して参つておりますから、その工事を続けるために八月一ぱいくらいまでは金の心配は現実にないわけです。ただ九月以降にはたして継続分の見返り資金が出されるかどうかということは、これは会社のみならず、私どもも今日からすでに機械の発注等もしなければならぬ関係もありますので心配にはなつておりますが、現実には今支払いに窮しているようなことはありません。今年度の継続分の見返り資金に対する具体的な申請書は、やつと最近日本銀行、大蔵省の手を離れまして司令部に出されております。ただいま大蔵省及び資源庁からその説朗に行つております。この説明によりまして、巷間心配されますように、電力再編成等の問題が片づくまでには、この百四十何億の継続事業分の見返り資金の解除が認められるかどうか、もう少したたないとわかりませんが、私がこれまで司令部に当りました見解としましては、今あなたがおつしやる今後の新規事業を見返り資金でやるかどうかということにつきましては、電力再編成の問題と大きく関係がありますが、継続分の百四十何億については、何とかその金が出されるようになるのではなかろうかと、むしろ楽観しております。長官からお答えのように、朝鮮動乱に関する関係は、この電力についてはどうもございません。なお申し添えますが、私ども安定本部といたしましては、電力開発の新しい部分もぜひやりたいと思つておりまして、この新しい分については約三十億くらいの事業費が本年度分として認められるように懇請しておるのであります。今まで申しましたように、昨年九十億余りの見返り資金の事業に手につけると、電力開発工事は三、四年間続くものですから、本年度としても百五十億近い金が必要であり、さらに新規のものを三十億加えて本年度百八十億くらいの金を使うと、本年度、再来年度以降にも、やはり本年度以上の非常に巨額な金が電力に対して支出を要する。こういうかつこうになりますから、本年度においてやりたいことはやりたいけれども、あまり大きい負担を背負い込むと、来年度以降その継続資金にも困つて来る、こういう問題が現実にございます。  なお先ほど答弁を留保いたされました最近までの終戰処理費の支出状況いかんということであります。安定本部は御承知ように総括はいたしますが、直接大蔵省主計局のように主計簿は持つておりません。なおこの終戰処理費は特別調達庁が帳面を持つて支出に当つておるのでありますから、動乱が起りまして以後、ごく最近の計数はわからぬのでありますが、ここにたまたま私が六月末に締め上げたものを持つて来ておりますから、これによつて説明いたしますと、本年度に入りまして四月中の終戰処理費の支出が七十七億、五月中の支出が五十六億、六月中においては、動乱は二十五日に起つておりますが、六月中の支出が六十九億、大体各月六、七十億円程度でありまして、この第一・四半期の六月までの合計は二百二億であります。従つて六月で締め上げる限りこの支出は平常でありまして、朝鮮動乱影響は出ていないということでありまして、その後の計数が安定本部にわかりますまでには、なおしばらくの時をお貸し願いたいと思います。  なおこれに関連いたしましていろいろな御心配があるようでありますが、今度の動乱に伴い、国際連合、米軍当局等から、日本での物資の調達につきましては、終戰処理費わが国財政負担になるという形は、今のところ現われておらないのであります。それは御承知ようにECAの朝鮮援助資金あるいは今回の対韓軍事援助資金等、米国政府の直接の予算において買付が行われるのでありまして、その関係だけから申しますと、ちよう日本の国外輸出というかつこうで、わが国としてはドルを受取り、そのドルを外国為替特別会計に入れて、そこから円を支払うというかつこうになるのであります。なおこの調達方法につきましては、動乱は別にわが国で予期しておつたのではありませんから、今のところ特別な方式はなく、いろいろなルートで買いつけられておるようでありまして、今申すよう終戰処理費としては使いませんが、連合軍関係の調達任務に当つておる特別調達庁の調達機能を、ある場合には利用するということはあり得るだろうと思います。但しこれも今申し上げるように、終戰処理費日本の負担において使うという形ではない。おそらく今後も同じ形で行くので、ただいま高田委員の御心配ようなことにはなるまいと思います。なおこれらも非常に複雑しておりまして、今司令部と大蔵省、日本銀行等とこの調達方式、代金の支払い方式等について、技術的の打合せをいたしておるようでございまして、まだ私どもは細目を詳細には承知しておりません。
  75. 高田富之

    高田(富)委員 先ほども大臣が言われましたように、今度の事件が起つても別に計画の根本がかわらない。同じことでやつておるので驚くことはないというような、非常に力強いお話であります。たとえばさつきも御質問がありました食糧の問題なんかにいたしましても、これは前国会において相当問題になつた点でありますが、どうも非常に輸入が多くて、何のためにこんなに輸入するのかわからぬということでずいぶん質問いたしました。ところが大臣はどうも将来のことはわからないからというようなことで、ぴんと来ない御返答が多かつたのです。今日にしてみますと、先ほどの御説明では、まだ四箇月分ぐらい米はあるから心配いらないというお話でありますが、これは急にここへ来て計画ががたがたすることはないので、前から十分事態を予想してたんまりとつてあつたということになるわけであります。そのほか鉛のお話もありましたが、いろいろな物資についても、あるいは産業につきましても、相当用意周到な御準備があつたと私解釈いたしまして、非常に力強く存ずる次第であります。そこで食糧の方は、今はとにかく四箇月分あるということでありますが、今後、今の事態はさらに深刻化し、長期化するというふうにいわれておるやさきでありますので、今後も相当程度の貯蔵をしておかなければならないことは当然でありすから、食糧については、今後は輸入等関係で、従来のように円滑に行かないということも想定しまして——もちろんこれからでもどんどんできるだけやる、しかし輸入一本では、こういう事態になりましてはあぶない。従つて国内においては、供出を緩和して行こうという傾向が一時あつたけれども、それはひとつやめにして、やはり集荷を相当強力にやつて食糧供出制度は厳格にやつて行かなければならぬだろうというようなことに、おそらくなると思うのでありますが、そこら辺の見通しはいかがですか。
  76. 周東英雄

    周東国務大臣 あなたはほかの人の質問のときにお聞きになつておつたはずであります。答辯はすでに先ほど申し上げましたが、繰返して申します。私は、四箇分あるから、ただいまのところあわてぬでもよろしい、ということを申し上げた。将来に向つては、でき得る限り国内における自給度を高めるために、土地改良その他によつて国内の増産をはかるけれども、国としては、かつて朝鮮、台湾を保有しておつた当時でさえ、よそから千五百万石の米を入れてようやく内地は生きておつた。その後状況はいろいろかわつておりますけれども、ある程度やはり輸入にまたなければならない。そうして先ほどの御質問に対してお答えしたのは、今後繰上げ輸入等をできるだけ確保することについても考慮いたしておりますことを、御返事申し上げておく次第でありますから、御承知を願いたいと思います。  さらに統制問題につきましては、j昨日も本会議で廣川君がお答えを申し上げたように、ただいまのところ諸情勢の変化というものがあるので、当分の間、米麦については、今の供出制度というものは続けて行くということを答弁しておるはずであります。
  77. 中野四郎

    ○中野(四)委員 ちよつと関連して。今の朝鮮から入つておる米の輸入量、それから事変々々と言うが、大邱まで政府が引揚げて来るというわけで、もうすぐうしろ慶尚南道で、釜山のそばまで来たのだが、将来の輸入見通しについて、ひとつ長官から聞いておきたい。
  78. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいまのところ、本年度の朝鮮からの輸入の予定数量は、米十万トンであります。しかるに今日はすでに九万トン余入つておりますから、ことしの朝鮮からの米の輸入は、大体もう終つておると見てよかろうかと思います。今年の四月から来年三月まで二十万トンの予定にいたしておりますが、これは今のよう状況で、ちようど植えつけ最中にあの辺であばれまわられたら、ちよつと生産はどうかと思います。輸入関係についてはかなり影響を受けるのではなかろうか、かよう考えております。
  79. 高田富之

    高田(富)委員 もう一点伺います。見返り資金の今後の運用の計画は、こういう事態になりましたので計画通りに行かなくなり、やはり相当重点的に使用されて行くのではないかということは当然考えられることなんです。たとえば農業水利関係の二十七億五千万円、それから結核療養所の五億、こういうようなものが保留になつて、そうして道路費のようなものはどんどん出て行つておる。あるいはまた保留分になつておつた六十三億は、造船の方へまわつたというようなことも、不確実な話でありますが、聞くのであります。こういうふうに從来計画され、予定されていた分が、造船関係、道路その他の、直接的に協力態勢に必要な方面へ、これから相当流れて行くのではないか、そのきざしが現在現われているのではないかと思うのですが、現存現われている範囲ではどういうのがあるのか、それからこれからの見通しはどうかということをちよつとお伺いしたい。
  80. 内田常雄

    ○内田説明員 お答えいたします。高田委員の御質問でありますが、御承知ように見返り資金の問題は、使う方を大きくわけて、公企業の方に使う分と、私企業に使う分があるわけです。私企業の方は予算で御承知ように四百億になつておりまして、これは安定本部司令部と打合せて、大方の使い方がきまつておるのであります。ただその中で今御指摘になりました六十三億円というものが、使途未定になつております。これはその経過からありていに申しまして、さつきの電力の問題に触れるのでありますが、電力は継続分の百五十億以外に、新規の分を三十億くらいやりたい。それから船舶は、昨年約八十五億円出ているのでありますが、これを継続するために七十二億円、そのほかにこれまた新しいものをやるために三十億円あまりを出したいということを、一応懸案にして考えたのであります。電力の方は、先に申しましたように、今年はあまり金を使うと、来年、再来年に背負い切れぬという問題があるほか、船舶の方については、昨年八十四億円で新造船約二十七万トンあまり、それから戰時標準型の改造を二十万トン近くやつたのですが、これが今年の夏から秋にかけて大がい進水して、船台をすべつてしまう。そうすると造船所の方が仕事がまつたくなくなつて、造船所の工員、関連産業、中小企業等も手を上げるという事態が秋ごろ起り得るわけです。そこで、この船舶の方に三十億くらいつけたのでは、御承知ように船一隻つくると、一トンで七、八万円かかるのでありますから、三十億くらいでは、来年度にまたがつて二箇年計画でやつても、せいぜい四、五万トンの船しかできぬ。それではさつき申したように、造船所の関連産業や労働者がもたぬというので、むしろ電気の方は、一応百四十五億余に少し色をつけて百五十億程度にとどめて、残りの五十億くらいは船につけた方が、日本の産業の全体のためにいいのではないかというので、むしろ国内産業部門だけで考えております。これも朝鮮動乱と全然関係がございません。船の方では今まで百万トン遊んでおつたのが、せいぜい三千トンとか四千トンの内航船が用船されるようになつて活気を呈したという以外には、見返り資金には関係がございません。それから公企業の方に対しましては、百十億円が、農業水利とか、結核病院あるいは河川改修等に予定されておりまして、今司令部とせつかく計画案を立てつつあるわけであります。農業水利の方の十六億は、一部は少し怪しいという段階ですが、日本政府としてはそれを押し通すことにいたしまして、見返り資金の解除申請を司令部に持ち込んでおります。結核病院は十億ではなく、たしか五億であつたと思いますが、これは今盛んにもんでおりまして、最終的決定に至つておりません。その趣旨は、朝鮮動乱が起ります六月二十五日以前から、別の意味からもみ合つているのでありまして、結核病院がきまりましてもきまらなくても、百十億円の中からはまだ若干予備が出ると思います。その予備につきましては、これはきまるかどうかわかりませんが、たとえば漁港であるとか、経済全体の運用のために必要なその他のものを、百十億に達するまで押し込もうと思いまして、いろいろ計画を立てております。朝鮮動乱とはまつたく関係がございません。
  81. 圖司安正

  82. 勝間田清一

    ○勝間田委員 今まであまり活況でなかつた経済安定委員会も、今度新大臣、新政務次官を迎えて、なかなか元気なようでございまして、たいへんけつこうであります。それもしかし時局を反映しているのかもしれませんが、若干きようお話を聞いてみたいと思うのであります。  今まで四回ほど経済白書を拝見させていただいて、非常に私どもも裨益するところがあつたのであります。ただその経済白書の中に毎回々々一つの結論になつておつた事柄は、明るい面と暗い面のあることでございます。その暗い面についての見通しというものが、漸次よくなつておるというのであれば、私どももそう大して心配はしなかつた。しかし失業の面をとつてみても、どの面をとつてみても、從来暗いとされておつた分というものは、どちらかというと漸次悪くなつて行く。白書が單に單なる参考資料ということであれば別問題といたしまして、この中から一つの新しい経済施策が行われて行くということでありますならば、おそらく新大臣はこのところに目をつけて、農村恐慌の問題にしても、失業の問題にしても、何の問題にしても、暗い面をいかにしてカバーして行くかということについて、所見があつてしかるべきだと私は実は思うのですが、今後この経済白書の中からどういうことを汲取つて、新しい改造内閣の政策にして行くか、ここに政策の転換というものを織込んで、この前のいわゆる公約の問題もあることでありますから、この際にひとつ、新しい考え方と所信を伺わしていただきたいと思います。
  83. 周東英雄

    周東国務大臣 たびたび繰返しますように、過去一年間において、インフレ防止のためにとられた諸政策の結果、この面が一応の収息を見たのであります。ついては今後われわれの立てるべき方策としては、積極的に産業の復興であり、積極的に生産の増加を期することによつて国民生活の安定への道をとりたいと考えております。從つて積極的に産業の面を興すということは、これによつて、今お話ように、失業者に対する消極的救済の面でなくて、雇用量の増大をはかる面にそれを持つて行きたい、かよう考えております。從つてこの際——あなたはおいでになりませんでしたが、先ほど申し上げましたように、このときこそ積極的に総合計画を樹立すべきであつて、一面は貿易の振興策と、他面においては国内資源の総合的開発とによつて、一層振興せしめ、かつまた内地における産業の振興をはかる、こういうことを考えております。しかも輸出面に関しては、戰前における軽工業関係にして、戰時中に重工業に転換して、軽工業をやめてしまつた、輸出軽工業方面というものを主として押えつけた。これらに対して、新しい見地に立つて、いかなる軽工業が新しい輸出産業構成としてとらるべきかというような事柄も含めつつ、輸出の面において大きく施策を進めたい。しかも私どもの方で第三次吉田内閣時代やられておりました、輸出に関しては需要事情、つまり外国市場における新しい需要状況なり、商品の状況というものを調べるために、むしろ日本人の手によつての商権の獲得ということが最も大事なのであるが、それに対してアメリカにかなり商務官的なものが派遣されたことは御承知の通りでありますが、むしろ進んで、今日としては日本のお得意先であるアジア方面に対しても、その面を次の段階に進むつつ、先ほど申したような、新しい面における輸出産業構成をどうするかということを考えて行きたい。いずれにいたしましてもこういう面を考えつつ、積極的に産業の復興に対して、財政並びに金融施策が集中的に行われることを考えております。しかもその中で、御指摘のよう産業復興の基盤をなし、しかも日本の産業の大きな部面であるところの農業に対する施策においては、その生産手段の改善等によつて、積極的に收益量の増大をはかつて、農民の経営の安定をはかるということが一つの問題であり、同時に農業というものをして、他の産業への貢献を高める方面に、新しい農業の施策を講じて行くことが必要であろう、これらの面をすべて総合的に計画を立てて、近く復興会議——これは仮称でありますけれども、復興に関する委員会を起しまして、民間の意見を聞き、それぞれ具体的な計画に進みたい、かよう考えております。
  84. 勝間田清一

    ○勝間田委員 結局そういうお話だろうと思うのでありますが、それは從来も大蔵大臣からも、前安本長官からも再々御意見があつたのでありまして、むしろそういうことを妨げておるところの基本的な條件、それはどこにあるかといえば、現在の財政金融関係の中にあるわけであります。結局財政がしわ寄せをして金融にのしかかつて来ておる。その金融がいろいろの面から見て、これもまた行き詰つて来ておる。だからもしその政策を行おうとするのには、現在の財政金融政策というものをかえて行かなければならぬはずである。それをやるかやらないかという結論に從つて、今の長官のおつしやつた政策ができるかできないかということになるのではなくて、この面についてどういう策をとるか、これももうすでに今までの各与野党を問わず、一様に指摘されて来た点なのである。この結論に対してどういう政策をとられるか、これを明らかにしてもらいたい。
  85. 周東英雄

    周東国務大臣 その点はただいまのお答えの中に、抽象的でありますが入れてありますのは、今までは何と申しましても、インフレ防止のために財政金融政策がとられたことは事実であります。しかしその政策の目的を一応達したようなかつこうになつておることは、勝間田君も御承知の通りであります。それから次は、財政金融政策は、主として積極的に生産産業を興すために、考えられなければならないということを考えたわけであります。私どもはそういう面に向つて政策の発展を考えておりまして、よくあなた方から、この際ドツジ・ラインを変更するかという御質問がありましたが、大蔵大臣も変更という意味でなくして、経済が安定する、インフレ収束せしめる、次には積極的に生産増強に対して進み、終局において国民生活の安定をはかることが、一貫してのドツジ・ラインの考え方であるということを言つておりますが、私どももかくあるべしと考える。政府部内におきましても、このときこそ安定本部における積極的な産業計画の樹立に伴つて、その遂行に関しては、財政金融政策をそういう面に向つて発展さしてもらいたい、かよう考えております。発展さして行くべきだと考えております。
  86. 勝間田清一

    ○勝間田委員 どうあろうとも、とにかく今までのドツジ政策の転換をやろうというわけでありますが、それはいつからおやりになるのですか。この点をお伺いしたい。
  87. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいま総合的な計画の樹立に関して、着々施策を進めつつあります。これらの実行にあたりましては、政府部内においても相談いたしまして、はつきり申せば、これは来年度あたりから実行に移りたいと思つております。
  88. 勝間田清一

    ○勝間田委員 しかしその問題がはつきりわかつている以上においては、現在の見返り資金の出し方なり、あるいは現在の日銀の操作なり、いろいろの問題がすでに出ておるわけであります。また最近の警察費の問題とか、いろいろの問題が同時に具体的に出ております。だからもしその問題をおやりになるということであれば、即刻始めらるべきだと私は思う。特にその問題については、今国会において補正予算なり、あるいは次の臨時国会においての補正予算なり、ただちにそういう財政的な措置がとらるべきだと私は思うのであります。現在の政府はどう考えていらつしやるか、伺いたい。
  89. 周東英雄

    周東国務大臣 今国会において補正予算をそれに関して出す意思はありません。しかしながら事柄の実施すべき面に対しては、本年度におきましても金融の面等につきましては、積極的に進展させて参りたい、たとえばあなたの今御指摘になつたような点について、金融の梗塞面について、なるほど一・四半期においてはかなりの引上げ超過になつておる。このことが金融市場を壓迫しておることは事実であります。しかし二・四半期以後におきましては、あるいは供出代金の支払いその他の関係において、かなり撒布超過になつておる。第三・四半期においてはとんとんになるというようなかつこうに、数字的には説明ができますが、その間において最も大きな問題は、私どもの関心は、預金部資金の運用を積極的にやりたいと考えております。これは何と申しましても、このままずるずる締めるばかりであつては、十二月までに千億くらいになるような予定であります。御承知の通り戰前における預金部資金というものは相当に農村または中小企業、その他一般に還元されておる。今日これはいろいろな事情において、一応引上げ超過のかつこうになつておりますけれども、この際たまつておるこの金を遊ばせておく手はなかろう。インフレの問題について逆もどりを始める面においては、積極面においてこれを有効に出してもらう、これが一つの行き方ではないかというふうに考えておつて、目下それは大蔵当局とも相談し、関係方面とも積極的に折衝中であります。これらの手段も必ずしも予算的措置をとらずしてなし得ることはなしたい、こういうよう考えておる次第でありますし、見返り資金の運用等につきましても、先ほど内田局長からお話になつたように、最近においては遅れてはおりましたけれども、どんどんこれが決定を見て、出る運びになつておる。こういう面は、少くとも撒布超過と申しますか、資金をもう少し民間に流すことによつて、積極的に事業が推進することになるのであります。かよう考えておりまして、百十億の見返り資金等に関しましても、すでに八十五億決定いたしております。着々これは民間に出されることと思います。こういうことは、ある程度二・四半期以後における金融市場の緩和になると私は考えております。こういう面については、予算的措置がなくても、できるだけ積極的な努力をいたしたい、かよう考えております。
  90. 勝間田清一

    ○勝間田委員 この前からも新聞紙を見ておりますと、たとえば日銀の考え方と、大蔵大臣の考え方との間に相当の開きがあるようであります。しかしわれわれは何と考えてみても、やはり預金部資金なり、見返り資金なりのそういう支出というものを、もつと早くやるべきであると考える。そこにおいて実に不満にたえないのは、一体そういう資金がほんとうに的確に支出されることを阻害しておる條件は何であるかという点を、ひとつはつきりする必要があると私は思う。  それからもう一つは、いろいろ最近平和その他の問題が実際論議されておりますけれども、私はこの問題もさることながら、やはり日本の自主権というものが、政治の面においても、経済の面においても、漸次認められて来つつもありましたが、しかし非常な重大な問題としてわれわれが今後見て行かなければならぬのは、為替資金の問題もありましようし、それから今言つたような見返り資金の問題もあろうと思う。こういう問題についての自主性の問題について、政府は一体どう考えておるか、この点をはつきり承つておきませんと、日本経済のほんとうの運営というものは私は困難になると思う。この点についての大臣の御所見を承りたい。
  91. 周東英雄

    周東国務大臣 勝間田君のお話は、琴線に触れての点ではありましたが、私どももそういう点については、だんだんとこれが終戰後五箇年以上にもなりまするので、ある大きな幅において、大綱において、いろいろな関係が制約されても、個々の具体的な問題については、でき得る限り自主権と申しますか、もう少しゆとりのある行き方にしたいものだと考えております。
  92. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それから先ほど私はちよつと遅れて来て、大臣にたいへん申訳ないのでありますが、新聞にも明らかになつておりましたし、きようも大体その話が出たようでありますが、総合的な長期計画を立てて行くという場合において、現内閣が一番ねらいとするところは、一体どこにその中心があるかということを伺いたい。
  93. 周東英雄

    周東国務大臣 いうまでもなく自立切な経済の確立にねらいがあると思います。
  94. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その場合における雇用なり生活水準といものを、一体どの程度に置こうとして考えていらつしやいますか。
  95. 周東英雄

    周東国務大臣 さしあたりのねらいといたしましては、從来の考え方といたしまして、昭和九、十、十一の三箇年の平均の生活水準を一応のねらいとして立てたいと思います。
  96. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その水準で、輸出のわくは先ほどは十三億ドルとか言われましたが、その点は確かでございましようか。
  97. 周東英雄

    周東国務大臣 大体今のようお話でありますが、その点についてはさらに検討をいたしたいと思います。
  98. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それを一体何箇年に遂行されようといたされますか。
  99. 平井富三郎

    平井説明員 ただいまの生活水準をどの程度に置くか。あるいはその場合に輸出額といいますか、規模がどの程度になるかというような点に関しましては、現在安定本部といたしましても検討を開始いたしております。今後の復興計画審議会におきまして、生活水準をどの程度に置くか、あるいはそれに伴つて国内生産あるいは貿易等がどういう関係になるかという点につきまして、大いに検討をしていただきたい、かよう考えておるわけであります。大体現在考えておりますところは、從来の援助資金の問題もございますし、大体三年程度が適当ではないか、かよう考えておるわけであります。
  100. 勝間田清一

    ○勝間田委員 大体わくはわかつて参りましたが、先ほど明年において十三億ドルということを一つ言われておりました。その中に十三億ドルという数字が出たからは、おそらく相当見通しがあられると私は思うのでありますが。その場合におけるドル、ポンドあるいはアジア、アジア以外、そういうような大きなわくでよろしいと思いますが、一体アジアにどの程度の貿易の依存性を置いておるのか、その点をはつきりしていただきたいと思います。
  101. 平井富三郎

    平井説明員 それらの点につきまして、先ほど大臣から安定本部において検討を進めつつあるというお話がありましたが、なお今後朝鮮問題その他の関係から、それらの点も調整をいたして進めて参りたい、かよう考えまして、現在検討を進めておりますので、内容的な点については今しばらく御猶予を願いたい。  大体御参考までに申し上げますと、かつて司令部で約一月くらい前でございますが、発表いたしました数字におきましても、やはり十三億ドル程度の貿易規模を予想しておるようであります、ただ、ただいまのいろいろな国際情勢その他も考慮に入れまして、どの程度の規模、どの程度の地域別の貿易になるかということを再調整中でございます。この点しばらく御猶予を願いたいと思います。
  102. 勝間田清一

    ○勝間田委員 これは私のほんとうの見当でありますが、二、三年後の十三億ドルということを考えて行く上においては、おそらく私はドル地域だけでは、この始末がつかないだろうと思います。そこにそういう案をほんとうに立てて行くということになれば、これは非常な真劍な問題でありますが、現在の朝鮮なりの問題について、現内閣のとつて行くべき態度というものは、おそらくかわつて行くべきはずだと私は思う。だからこの点については私は架空な講和論というものは、非常に現在多いのでありますけれども、そういう面から見て行つた今後の外交政策というものを、安本などでは大いにひとつ研究をしていただきたいと私は思う。これは私の希望で、むしろ質問するのはかえつて恐縮でありますからいたしませんけれども、そういう点をむしろ真劍に考えていただきたいと私は思うのであります。  それからもう一つお尋ねしたいと思いますのは、最近の情勢の問題でありますけれども、なるほど特別調達庁がPDを通じての買上げというものは、現況はおそらく少いだろうと私は思う。しかしドルによつて相当広範囲に、やはり調達というか、購入というものが行われておることは、これはごく最近の情勢はいなめない事実だろうと私は考えるのであります。この情勢がもし長期に続くということであれば、また長期に続くということは最近相当いわれておるのでありますが、これが内地に及ぼす影響というものは非常に大きい。そこで問題は、そういうものをばらばらに購入するという形ではなくて、一つの調達する機構といいますか、統一の機構というものをやはり政府は設けていないと、日本経済に及ぼす影響は非常に大きいと私は思う。だからこれについてはすでに安本はお考えだろうと私は思うのでありますが、これらの購入に対する一つの調達機構というようなものを、将来どうされて行こうとするのか、その案をお尋ねいたしたいと思います。
  103. 平井富三郎

    平井説明員 朝鮮問題以後のアメリカ物資の調達については、ただいまのところさしたる量に達しておらぬ模様であります。今後長期化いたしました場合に、どの程度の物資日本において調達するかという全般的な見通し自体につきましても、まだはつきりいたしておらない状況であります。從いまして今後の情勢進展に從いまして、それらの見通しの明確化とともに、その物資の調達が、日本の現在の物資の需給関係その他物価の問題等に対する影響を最小限度にするよう措置はとつて参りたい、かよう考えておる次第でございます。ただいまのところまだその規模その他について明確になりませんので、それらの情勢を現在待つておる次第でございます。
  104. 勝間田清一

    ○勝間田委員 今そういつた鮮朝の新しい事態に対して、一体総合的にその問題を扱つておる機構というものは政府にできておるのですか。今どこでそれを総合的に扱つておりますか。
  105. 平井富三郎

    平井説明員 物資の調達が相当の程度に達して参りますれば、やはりある程度の計画を持ちまして、調整を行う場合も予想されるわけであります。その場合における担当の機関は安定本部だろうと考えております。
  106. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それからもう一つの問題は、相当ドルで買われておるようでありますが、これがだんだんやはり円資金をここに出して行かなければならぬと私は思う。この円資金の問題というものが、政府ではもうきまつておりますか。どういうところで出すということを一応……。
  107. 内田常雄

    ○内田説明員 勝間田さんのおつしやることに、ちよつとそれるのでありますが、私どもが真劍に考えておることは、ドルで買いつけられるとしても、ドルがたまるわけでありまして、現にその他の原因もあつてたまつておるドルを、いかに有効に使用するかの問題であります。先ほど長官からお話がありました経済再建等の対策としても、このドル資金をすみやかに有効に使うということについて、まず計画を立てる場合には、このドルを使うための円資金操作の問題が生ずる。今お尋ねの点はその点だろうと思います。またこのドルを使つて必要な資材などを輸入する場合にも、だれが輸入するのか。現在の取上げられつつある資材の繰上げ輸入をするとしても、民間の商社が金を借りて、民間の責任において繰上げ輸入をするのか、あるいは政府みずからの機関を通じて輸入するか、こういう問題も考えられるわけでありますが、そのいずれかによつて、その円資金調達の問題も違つて来るわけであります。いずれにしてもその場合円資金は、いわば一種の見せ金であつて輸入為替の購入資金として一旦外へ出ても再び為替特別会計に入つて来る金でありますから、インフレになる金ではないのであります。そこで今日経済界一般の産業金融が非常に逼迫しておる。こういう状態においてその輸入為替を買うための円資金の供給を、民間の金融機関だけにさせることは非常にむりがあると思います。そこでかりにそれを押し切つてやりますと、今日問題とされておりますように、日銀の通貨信用が非常にふえる。政府資金の引上超過がまた大きいことになる。そこでまたアンバランスが起つて来る。こういう問題がある。そこででき得べくんば預金部資金がかりに放出が認められ、その資金で輸入為替を買わせれば、預金部から財政資金が外に出て、為替会計に財政資金が入るということで、とんとんになるという形になると思います。この資金の操作をどういう機構を通じて、何をどういう地域から購入するかということを、実は今安定本部を中心にして、せつかく研究をいたしておりますので、その成果につきましてはもうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  108. 勝間田清一

    ○勝間田委員 もう一つだけ……。さつき言つたような産業のいろいろの拡張の面を考えて、そのためには財政金融政策をいろいろかえて行かなければならぬということも、大臣から御答弁があつたわけであります。同時に新しく起きて来ておる最近の情勢というものが、またやみ価格が上る。どうも米などもう二百円を突破するという状態のところも相当見受けておるようでありまして、それから物資によつては、これは伝え聞くところでありますから真実かどうかわかりませんけれども、いろいろの物資が買入れられるというような面から行きますと、その価格もかなり大きな変動を見つつあるようであります。現在のままならともかくといたしまして、このまま進むということでありますれば、おそらくそこに物資のある程度の統制なり、あるいは価格のある程度の統制なり、あるいはそれについた若干の計画性なりというものが当然持たれて来るように実は私は考えるのでありますが、こういう問題について今安本ではどう処して行かれようとするのであるか、その点をお尋ねいたします。
  109. 周東英雄

    周東国務大臣 ごもつとものお話でありますが、ただいまのところ、急速にまた昔に帰つて統制を強化するというような形には考えておりませんが、しかし先ほど申し上げた総合計画の一環として、今後の推移と合せて、そういう点については愼重考えをめぐらして行きたいと思います。
  110. 圖司安正

    圖司委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本日はこの程度で散会いたします。次会は来る二十一日金曜日午後一時より、本委員室で開会いたします。     午後四時九分散会