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1950-07-29 第8回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 佐々木盛雄君    理事 竹尾  弌君 理事 小川 半次君       伊藤 郷一君    植原悦二郎君       小川原政信君    菊池 義郎君       近藤 鶴代君    仲内 憲治君       水田三喜男君    並木 芳雄君       山本 利壽君    武藤運十郎君       風早八十二君    中村 寅太君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  出席政府委員         外務政務次官  草葉 隆圓君         外務事務次官  太田 一郎君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (條約局長)  西村 熊雄君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 七月二十九日  委員尾関義一君及び渡部義通君辞任につき、そ  の補欠として柏原義則君及び風早八十二君が議  長の指名で委員に選任された。 七月二十六日  阿波丸事件見舞金に関する法律案内閣提出  第四号)(参議院送付)  在外胞引揚促進並びに留守家族援護に関す  る請願山手滿男紹介)(第六四八号)  同(坂本泰良紹介)(第六四九号)  講和促進に関する請願大石ヨシエ紹介)  (第六五五号)  在外資産補償促進に関する請願大石ヨシエ君  紹介)(第六五六号)  外地引揚警察官の復職に関する請願受田新吉  君紹介)(第七七一号)  同(井上良二紹介)(第七七二号)  同(堤ツルヨ紹介)(第七七三号)  全面講和促進に関する請願外二件(岡田春夫君  紹介)(第七八二号)  平和擁護に関する請願外二件(岡田春夫君紹  介)(第七八三号)  在外資産補償具体的促進に関する請願(坪川  信三君紹介)(第八〇七号) の審査を本委員会に付託された。 同日  海外胞引揚促進陳情書  (第二二一号) 七月二十七日  歯舞諸島千島列島及び南西諸島復帰に関す  る陳情書(第二四七  号)  在外公館貸付金返還促進に関する陳情書  (第二四八号)  沖繩諸島復帰促進に関する陳情書  (第二六四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  阿波丸事件見舞金に関する法律案内閣提出  第四号)(参議院送付)  閉会審査に関する件  委員派遣承認申請に関する件  国際情勢等に関する件   請 願  一 在外公館等借入金返還促進に関する請願    (世耕弘一紹介)(第四六六号)  二 同(藤枝泉介紹介)(第四六七号)  三 在外胞引揚促進並びに留守家族援護    に関する請願坂本泰良紹介)(第六四    九号)  四 講和促進に関する請願大石ヨシエ君紹    介)(第六五五号)   陳情書  一 海外胞引揚促進陳情書外二件)    (第    一六号)  二 同外三件    (第四〇号)  三 同    (第八五号)  四 同    (第二二一号)  五 在外邦人帰還促進に関する陳情書    (第一五〇    号)  六 講和條促進陳情書    (第五四号)  七 沖繩諸島復帰促進に関する陳情書    (    第一〇四号)  八 沖繩諸島復帰促進に関する陳情書    (第二六四    号)  九 奄美大島日本本土との交通復旧並びに同    島人戸籍事務所を鹿児島に移転の陳情書    (第一四三    号) 一〇 歯舞諸島千島列島及び南西諸島復帰に    関する陳情書(    第二四七号) 一一 小笠原島行政権停止解除に関する陳情書    (第一二四    号) 日程追加  奄美大島復帰に関する陳情書  (第一五一号)     ―――――――――――――
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより会議を開きます。  阿波丸事件見舞金に関する法律案内閣提出第四号、参議院送付議題といたします。別段もう質疑はないようでありますから、ただちに討論に入ります。並木君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 阿波丸事件見舞金に関する法律案につきまして、私は国民民主党を代表して賛成討論をいたします。その理由は、とにもかくにも見舞金を払うという法案でございますので、もし私たちがこれに反対いたしますと、見舞金を払うこと自体に反対するのではないかというような誤解を受ける点も考慮いたしまして、私どもはその内容について今後さらに当局の再考を促しつつ賛成いたすものであります。特に個人に対する見舞金にいたしましても、再三私たちが主張いたしました通り、当時の貨幣価値と今日の貨幣価値との変動を一つも考慮に入れてない。こういうばかな基礎の上に立つて計算した見舞金というものは、誠意のこもつておらないものであると思う。また実情に即しておらない点があるのであります。そういうことが前の国会から問題になつてつたにもかかわらず、当局がこの間無為に過し検討を加えなかつたということに対しては、私どもは残念に思つておるのでございます。ですからとにかく今度はこの法案を通しまして、さらに検討していただいて、できるものならば追加見舞金として今後御承認願うことを私は要望するものでございます。郵船阿波丸の件につきましては、与党の星島さんが紹介議員になつて、この前の国会請願が提案されておつたのです。星島さん自身この席に見えて、提案理由説明して、懇々と当局にお願いをしておいたにかかわらず、これまた何らの具体的措置がとられておらなかつたということは、国民の意思を代表する請願が軽視されたことにもなるという意味において、この法案通りましても、なお外務省関係当局と積極的に打合せをして、郵船要望が通るように御努力願いたいと思うのであります。  その他本件につきましていろいろ条件はございますけれども、今度の国会は会期が迫まつておりますし、私ども修正案を出したいという希望も時間的に無理な点もございますので、私どもは今回はこの法案賛成をしておきまして、そうして次回に再検討を加えた上の追加見舞金という線に対しては、できるだけ要望に沿うように努力してもらうということを強い要望条件といたしまして、私は賛成討論を終るものでございます。
  4. 守島伍郎

    ○守島委員長 ほかにございませんか——ないようでございまするから、これで討論を終局いたします。  採決いたします。阿波丸事件見舞金に関する法律案原案通り可決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議なしと認めます。よつて本案原案通り可決いたしました。  なお本案についての報告書の作成は、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  7. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に閉会審議に関する件についてお諮りいたします。  講和問題に関連する諸問題並びに国際経済に関する総合的調査は、閉会中もなおこれを存続する必要があると存じますので、前国会の場合と同様閉会中の審査議長に申し入れたいと存じます。  また最近勃発いたしました朝鮮事件は、今のところいかに進展するか予測を許さないものがあります。さらにまたほかにもわれわれとして予測できない問題が起ることがあり得ると存ずるのでありますが、これらの情勢いかんによつては、緊急に委員会を開き、委員諸君の御討議を願わなければならない事態に立ち至るやも知れないのでありまして、今回は前記二件に、さらに国際情勢の変転に処する諸問題を追加いたしまして、以上三件について国会法第四十七条第二項によつて閉会審議議長に申し出でたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 並木芳雄

    並木委員 この前の国会終りにもそういうことをわれわれは異議なしとして賛成しておいて、あの朝鮮事件が起る前でございましたが、閉会中に私は外務委員会を開いてくれ、こういう要望を出したのであります。これに対して委員長はうんともすんともお答えがありませんでした。またこの前の国会終り閉会中各地を調査視察するということをきめておきまして、これに対して処置をするということになつてつたにもかかわらず、とうとうこれがうやむやになつてしまつたのであります。これははなはだ残念です。今度もこれに対してわれわれはもちろん異議はない。異議がないのみならず、前回うやむやなつ調査視察というものも同時に提案していただきたいと思います。ただおざなりにこういうものをきめておいてもせつかく私たちがそれを要望したときに、委員長の方で馬耳東風と聞き流すならば、これはむだなことです。ぜひひとつこれは実行するということを約束していただかないと困ると思います。そういう条件を付して私は賛成いたします。
  9. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君にお答えいたします。  第一点についてのあなたの御希望を聞きまして、専門員の方からお答えをするように頼んでおきました私はその必要を当時認めなかつたから開かなかつた。法規に従つて相当数の方が御要求になればともかくとして、あなた御一人の御要求であれば、私は必要を認めない、そういうことを御返事するように言つておきました。  第二の点につきましては、この前は議長がなかなか渋つてつたというような状況でございますが、今度はなるべく議長に許してもらうように努力するつもりであります。  それでは御異議ないものと認めまして、さよう決定することにいたします。     —————————————
  10. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。ただいま閉会審査の件が議院の議決で本委員会に付託されました場合には、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。  なお委員派遣の期間、人選、派遣地等については、委員長及び理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。     —————————————
  13. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に請願日程審査に入ります。  日程第一及び第二の在外公館等借入金返還促進に関する請願議題といたします。紹介議員がおりませんので、紹介議員にかわつて専門員よりその趣旨説明を求めます。
  14. 佐藤敏人

    佐藤專門員 在外公館等借入金返還促進に関する請願(第四六六号)請願者、東京都中央日本橋茅場町一丁目十八番地中央起業ビル二階保仁会内在外公館等借入金支払促進同盟代表平島敏夫紹介議員世耕弘一君。  本請願要旨は、在外公館等借入金返還促進するため、次の事項を実施されたいというのである。(一)金額の即時現金支払い、(二)遠隔地または危険地区より持ち帰るべき証拠書類の不一致、あるいは不可能等事情に対する徹底的な実情調査と適切な証明手段、(三)円貨換算率等為替レートの公正な計算方法、(四)必ず金利をつけること、(五)法令の不徹底、または知識なきために起因し、あるいはやむを得ない事由による未申請者に対する特例等。  次に請願四六七号、これは前請願と同様であります。
  15. 守島伍郎

    ○守島委員長 これについて政府側から何か御意見はございませんか。
  16. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ただいまの請願は結局現金支払いを早くして、そうして交換率等を十分に考慮してくれという請願願意のように伺いましたが、在外公館等借入金整理準備審査会法を御議決願つて審査会を設置いたしまして、現在、在外公館等借入金についての準備審査を進めておる次第でございます。これが準備審査が終結いたしました上に、借入金いかようにするかという次の段階になつて参るのであります。この点御了承願いたいと思います。
  17. 小川原政信

    小川原委員 ただいま問題になりました点につきましては、概括的には了承いたしましたが、その内容にわたつてはあまりに御答弁が簡明でわからないのであります。ここに手紙をもつて問い合せられておるのでありまして、最優先的にこの金は支払うのだ、こういうことが本人どもに通知になつておるので、その手続をいたしておるけれども、何らのことがない、五箇年間実に生活に苦しんでおるが、その手続による支払い方法を早くやつてもらえぬかという手紙がここに来ておるのであります。もう少しく丁寧に、これらの人が非常に多いと思いますので、それらの人がいかにも納得できるような御説明を願いたいと考えます。
  18. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは御案内のように、まず第一着手といたしまして、借入金がどの範囲においてどのくらいあるかということを調査するために、審査会法が昨年の六月に実施されたのであります。これで借入金十分審査をいたします。その次に今度はどういうふうな支払い方法をすべきか、あるいはとるかということは、別な法律処置いたさなければならないのでありまして、現在では在外公館借入金はどういう状態でどの程度つたかというのを審査するという程度になつております。従つて実際お貸しされました方方々には、あの法律ですぐに支払いが開始されるかのごとくあるいはお考えになつておるかもしれませんが、現在の段階におきましては一応十分調査して、その上でそれに基いて、次にはどういう処置をするかということを、新しい法律をもつていたすとすると、いたすべき順序になつております。現在の段階ではさようなことに相なつております。
  19. 小川原政信

    小川原委員 段階はよくわかりましたが、政府はどこまで熱意を持つておられまするか。なるほど政府のやられることは悪いとは言いません。その通りでよろしいのでありますが、もし民間の方から考えると、税金を納めなかつたらすぐ差押えするのだ、こういうふうな強権を持つておるが、民間には強権がない。しかもこれは借入金という、実に急々の場合、日本の同胞が引揚げて来るのにたいへんな迷惑をしておつて、これはある意味においては、税金よりもつと強い意味を持つておる。政府が金がないので民間から政府に金を貸すということは、どこにもあるべきことではないけれども、これは国民として一つ国家の非常時ということを考えまして、そうしてこれに金を融通したのであります。そうして、自分はこつちへ帰つて来て、食うに食われないという実情でおるのです。それを調査するのに、終戦後五箇年たつておる。一体その五箇年に日本役人がなかつたというなら、それはあなたのおつしやる通りでよろしいのです。役人大勢余つて、首を切らなければならぬというときに、今ごろ調査をしてやるというのだつたら、日本人にならなかつたがよかつたという考えを起させて、思想上よろしくない。けれどもこれは日本が三千年来初めてこういう大きな問題にぶつつかつたから、国民がまんをしておるのです。国家のありがたさを知つておるからだまつておりますけれども、もう少し親切な方法はないでしようか。まずとりあえずこういう手を打とう、こういうふうにしてひとつ救うてやろう、その上においてこういうことをして行かなければいかぬ、こういうことが一番必要だ。国に一厘も金がないかというと、金はあるのです。そこでとりあえず、たとえば公庫のようなものを設けて、それらのものに証拠があつたら、金を貸して、とにかく生活だけは維持さしておいて、それからやるというのなら話がわかるけれども生活も何もさせぬでおいて、金をゆつくりやるというなら、腹の減らない役人はいつまでもがまんができるけれども、腹の減つておる人はそういうわけには行かない。断然いけないと思う。その点を親切に、いかにも納得して、まことに国家のやられることはそうであるから、われわれもがまんできる。日本人ですから、そのくらいはがまんすると思います。その点もつと親切にやつていただきたい。
  20. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これはお説の通りだと存じます。終戦直後の、ほとんど国内との連絡の絶えておりましたときに、やむを得ざる処置として、また在留民政府に対する協力の現われとしてこの方法がかりになされたのでありまするから、これをそのまま認めるといたしましたら、当然ただいまのような処置をすみやかにとつて行かねばならないことはごもつともでございます。ただ実際上の問題といたしまして、これにはいろいろな関係が生じて参るのでありますから、なかなか簡単に行かないいろいろな要件があると思います。借入金といたしましても、具体的にそのときの情勢によりましていろいろ違いますから、まず一応すみやかに審査終つて、それから十分なる処置を講じなければならない。政府実情をもちろんよく承知いたしておりまするから、熱情を持つて進んでおりますが、具体的には、ただいまおつしやいましたようにすでに五年も経た今日なおこのような状態でありますけれども、この点はぜひひとつ御了承願いまして、最善な方法をもつて進みたいと存じております。
  21. 小川原政信

    小川原委員 よく事情はわかりました。そうすると、いつごろまでにこれをおやりになろうという御腹案がおありになりますか、質問したが、ただ御答弁だけというのでは満足いたしません。私どももそういうことを聞くよりも、いつまでにこれを完成してやろうという見通しがありましようか、そのお見通しをここで御発表願いたいと思います。
  22. 草葉隆圓

    草葉政府委員 出ております審査は、これはすみやかにいたしまするが、ただいまの請願にありまする願意のように、現金支払いをすみやかにしてくれというのはどういうふうなことかということは、ちよつとただいま具体的には申し上げかねると存じます。
  23. 小川原政信

    小川原委員 これ以上追究いたしましてもいたしかたがありませんので、私はある機会においてまた申し上げることといたしまして、なるべく早くこの支払いのでき得るように当局はお進めくださることを、非常な重大な問題として念のために附加いたしまして御記憶を願いたいと思います。
  24. 守島伍郎

    ○守島委員長 ほかにございませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  25. 守島伍郎

    ○守島委員長 日程第三、在外胞引揚援護促進並びに留守家族援護に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。——紹介議員がおられぬようですから、専門員から説明を求めます。
  26. 佐藤敏人

    佐藤專門員 請願第六百四十九号、請願者熊本県上益城郡大島藤岡末彦外十一名。紹介議員坂本泰良君。  本請願趣旨は、中共、北鮮ソ連地区脱出者については、英国並びにその他の外国船舶を利用し得る措置を講じ、船賃は日本帰国上陸政府において決済する方法を講ぜられたいというのであります。
  27. 守島伍郎

    ○守島委員長 これについて政府側から何か御意見ございますか。
  28. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ただいまの請願の問題でございますが、今までにもさようなふうなにして個人的に帰還されたような状態もあるようであります。政府におきましてもそういう具体的な問題を調査いたしておりますが、具体的に船会社等と契約をいたしましてそうして政府が後払いをするというふうなことは、いろいろの関係で簡単にできないような、事情もあるので、これは十分調査研究を進めたいと存じております。
  29. 守島伍郎

    ○守島委員長 委員諸君に何か御質疑はございませんか。
  30. 並木芳雄

    並木委員 この際ちよつと質問しておきますが、この間国際連合人権委員会の方で取上げて調査を進めるというような報道があつたと思いますが、引揚問題人権委員会で扱うとなると、どういうふうな段取りでどういう調査が進められて、どういうふうになるか、そういう点についての見通しをお尋ねいたします。
  31. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これはすでに新聞報道にありましたように、こちらの国際連合日本協会総裁から国際連合に対しまして、衆議院、参議院議決を送付いたしまして、これが取扱方を懇請いたしましたその返事に、六月八日付のその手紙を確かに受取つた。この上は規定に基いて、開会に際して人権委員会提出せられる通信文書表に記入いたしますから、さよう御承知を願いたいという意味回答であつたと記憶いたしております。具体的な取扱いのことにつきましては、今後いかように取扱われますかは現在はつきりと了承いたしておりません。さような回答でありました点は、ただいま申し上げた通りであります。
  32. 並木芳雄

    並木委員 人権委員会で前に取扱つたケースで、何かただいまの私の質問の参考になるものはありませんか。
  33. 西村熊雄

    西村政府委員 有名な世界人権宣言をつくつたということくらいしか存じておりません。別にこれに該当するような先例というものはございません。
  34. 守島伍郎

    ○守島委員長 ほかに御質疑はございませんか——なければ次に移ります。     —————————————
  35. 守島伍郎

    ○守島委員長 日程第四、講和促進に関する請願議題といたします。紹介議員がおられぬようですから専門員から説明を願います。
  36. 佐藤敏人

    佐藤專門員 講和促進に関する請願請願文書表第六五五号、京都府与謝郡宮津白柏宮津婦人団体連絡協議会委員長足立美枝外一名提出紹介議員大石ヨシエ君。  本請願要旨は、敗戦後、過去の日本が犯した戦争への大きな誤りは、日本人が背負わねばならない罪科であり、この罪科を償う意味においても平和の実現をひたすら期待している。憲法第二章に明示された「戦争の放棄」もポツダム宣言によつて日本に示された条件基礎としたもので、日本人が日夜求めてやまない平和への最も近道であるにもかかわらず、国際情勢は平和への道とは反対に再びのろわれた戦争への危機に追いやろうとしているが、この重大な時期にあたつて宮津婦人団体は、ポツダム宣言趣旨に忠誠を誓い、最も公正、妥当な「平和」への講和を実現するよう努力せられたいというのであります。
  37. 守島伍郎

    ○守島委員長 これについて政府側から何か御意見ございませんか——それでは委員諸君に御質問はございませんか。
  38. 並木芳雄

    並木委員 やはり講和に関連してですが、先般外務省が発行したいわゆる外交白書、「戦後日本移りかわり」についてただいまの請願は関連もございますから、二、三御質問しておきたいと思います。あの外交白書を読みますと、私は非常に当局国民をミスリードする点があるじやないかという点を感じたのであります。  その第一点は、第二ページにあります。「俗に『事実上の講和』とは、条約を結ばないで条約を結んだと同じような効果をもたらそうとするものである」こういう点なのです。これを国民が読んだときに、それならば講和を急いで結ばなくも、事実上講和ができればいいじやないかという感じをまず抱いて、ところが、第十ページに行きますと、「しかし全面講和を当てにして、占領管理の現状がいつまでも続いて行くことがいいのだなどというようなのんきなことは言つておれない。」こう書いてあります。そうするとこの間がいかにも飛躍しているのです。前の方で見ると、事実上の講和で十分とまで行かなくても、かなり間に合つて行くように感ずるにもかかわらず、全面講和という文字を出して占領管理が続いて行くことがいいのだというようなのんきなことは言つておられないという言葉まで使つて押えつけている。ですからこれをざつくらばんに読んで見て、一体どういうわけでそうなるんだというわけである。特にのんきなことであるかどうかというきめだまはどこにあるか。きめだまの書いてないところに当局の卑怯な点があると思う。この際その点をまずお伺いしたい。
  39. 太田一郎

    太田政府委員 外務省情報部から発表しました「戦後日本移りかわり」、全体としての気持はあれに書いてあるところを全体としてお読みになつていただきたいと思うのでありますが、あれに書いたところによりますと、第一点は、日本に非常に自主性がないじやないかという点に対してであります。その点に対しましては、降伏文書なりその趣意から申しますと、日本の統治権は占領国最高指揮官にサブジエクト・ツーであるということになつているのである。しかしこれを段階的にわけてみると、五年の間にほんとうは完全にサブジエクト・ツーであるものが、どういうふうに日本政府自主性が委譲されているかという経過をずつと書いた。すなわちりくつといたしましてはサブジエクト・ツーであるが、だんだん五年の間、年を経るに従つてという程度を、時の移りとともに比較してみていただきたいという趣旨があるのであります。すなわちそういうものを簡単に称しまして事実上の講和というように言つておるのであります。しかしながら事実上の講和というものが何もなくて、初めの通りサブジエクト・ツーで行つたところで、日本政府として降伏文書の上からいいまして、どうすることもできないのでありますが、それが長い間にこういうふうになつて来た。その経緯を事実上の講和だということで表わしておるのでありまするが、あれにも書いてあります通り、いろいろの面において日本政府に対する自主権が委譲されて来た。しかしながら何といつて占領管理というものと事実上の講和というものは違うものでありまして、今日五年の間に事実上の講和が進んで参りましたけれども、そこには限界がある。今日においては、大体そういう限界に近づきつつあるというふうに感ぜられる。そこでマツカーサー元帥も言われた通り日本ポツダム宣言の条項を忠実に守つて、そして今日は十分講和の資格がある。そういう段階に来たのでありますが、この事実上の講和というものが一定の限度に近づいたのであるから、かく相なる上は、われわれとしては占領管理の現状がこの上続きますと、そこにはいろいろ不便がある。精神的の不便もあります。それから特に対外面でいろいろ不便がある。経済の発展の上におきましても不便がある。すなわち事実上の講和をだんだん促進して行つてやろう、占領管理の形式を完全なるサブジエクト・ツーの形から、だんだん日本政府自主性を回復してやろう、そういう気持を持つている国との間におきましては、事実上の講和というものは割合に不都合なく、かつ相当広汎の限度まで及ぼし得るのでありますが、そういうことに反対する国——これはないこともないのでありますが、そういう国との間におきましては、事実上の講和というものはなかなかうまく行かないので、そういうことをあの「戦後日本移りかわり」の全体を通じてお読みとり願いたいと思います。
  40. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君にちよつとお諮りいたしますが、あとで国際情勢一般に関する件を議題といたしまして、そのときにあなたに発言を許しますから……。
  41. 並木芳雄

    並木委員 あと簡単ですから……。そこで第十ページに「わが国を独立対等の国として認めてくれる国との間に一日でも早く講和条約を結び、順次講和の相手国をふやして行くことがわれわれの進むべき道である。」こう書いてある。ここでまず私たちがこれを読んで「順次講和の相手国をふやして行くことがわれわれの進むべき道である。」ならば、順次ふやして行けるのかどうか。しばしば政府単独講和でもやむを得ないというときに、幾ら待つても不可能なんだ。吉田首相など不可能とまで言い切つております。不可能なことと、順次講和の相手国をふやして行くということとは、大きな開きがあると思う。順次相手国をふやして行くことができるならば、なぜ順次でなく、できるだけ早くふやして行くように努力をしないか。その努力を怠つて、そうして国民をして単独講和はやむを得ないという気持を起させようとして、そこに一方的な意図が盛れてあるという感じを受ける。ですから、この点について御説明をいただきたいと思います。
  42. 太田一郎

    太田政府委員 御承知の通り、今国際連合に入つている国は五十九箇国ございますが、今度の朝鮮事件に対して、あの決議案に賛成いたしております国が五十箇国もある。こういう世界に非常にたくさんの国があるということは、御承知の通りであります。それでは日本法律上の戦争状態にあるという国が幾つあるかというと、約五十あるのでございます。すなわちそういう約五十の国と、日本は全部戦争状態終了ということをやらなければならない法律上の立場にあるわけなのであります。従いまして、たとえばイタリアの条約の場合などでも、四大国の間で話をして、条約の草案をつくつて、そして話がつきますと、イタリヤと戦争状態にあつた二十箇国ばかりの国がこれに入つて行く、こういう趣旨であります。いわゆる単独講和というのは、言葉が必ずしも適当でないと思いますが、私どもはいわゆるマジヨリテイー講和、こういうことを言つております。すなわちアチソン国務長官が言つておられます通り日本と実際太平洋戦争をやつた主要な国々、今大体極東委員会の国の間で講和条約の草案をつくりまして、そしてそれに賛成する国が入つて行く、そして約五十箇国の国と日本との間の戦争状態というものが終了いたしまして、いろいろ講和条件がきまりまして、そこで初めて日本が国際社会の一員として全部の国との間にそういう状態ができる。ここで順次と申したのは、そういう法律日本戦争状態にある国が五十もあるのでありますから、その五十の国と全部一どきにやつてしまうというような、全面講和というのはなかなかむずかしいから、まず主要な国との間に講和条約をつくつて日本がほんとうの意味の民主主義が発達して行く、そして日本が独立と自主を回復して行くということによりまして、そういう条約ができましたならば、日本とこういう戦争状態にある大多数の国が、おそらく参加してくれるものであるというふうに私どもは確信いたし、またそういうふうに努力いたして、その第一歩として日本の自主と独立を尊重してくれる、そして日本を平和愛好の仲間に入れてやろうという国と話を進めて、順次、なるべく早く五十箇国にこれを持つて行きたい、こういう趣旨であります。
  43. 並木芳雄

    並木委員 ただいまの答弁を聞いておりますと、結局順次ふやして行つて、最後のところに行つて、どうしてもその中に入らないのだという対立した国のあるということを除いておるところに、私はやはり国民をミス・リードしていると思うのです。今日になつて、選挙が済んでから、ほとんど絶体的に不可能だからいつまでも待つていられないというように言つていることを見ますときに、この外交白書が六月二日ですか、選挙の真最中に出された点から見て、多分に私は政府が選挙対策に使つたということを感ずるのでございます。  特に最後にお聞きしたいのは、これには安全保障ということを全然触れていないのです。安全保障について触れておらないで、ただ講和を急げ、のんきなことは言つておられない、順次ふやして行くのだ、順次ふやして行くのならば、なるほど政府のおつしやることはごもつともだというふうに持つてつた点に、私は非常な不満を表するのでありまして、今日の段階において、政府として先般新聞で発表されたところによると、安全保障について腹をきめたように伺いましたけれども、ここであらためてどういう安全保障を要望するか、その点をはつきりしていただきたいと思います。
  44. 太田一郎

    太田政府委員 御指摘の通り、この前出しました「戦後日本移りかわり」の中に、安全保障の点が触れてないということは、その通りであります。その後朝鮮の問題その他が起りまして、日本の安全保障というものについても、ある程度見通しが想像されるようになつたということについては、この前の総理大臣の施政方針の中にある通りであります。
  45. 守島伍郎

    ○守島委員長 ほかに御質疑ございませんか。——なければただいまの日程第一より、日程第四までの請願について採決いたします。ただいまの四件の請願についてこれらを内閣に送付すべきものとして採択することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 守島伍郎

    ○守島委員長 異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  47. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に陳情書日程審査に移ります。日程第一、海外胞引揚促進陳情書より日程第五、在外邦人帰還促進に関する陳情書、ないし日程第六、講和条約促進陳情書を一括議題といたします。  お諮りいたしますが、ただいまの六件の請願は、先ほど審査いたしました在外胞引揚促進請願、ないし講和促進に関する請願とそれぞれ同趣旨のものでありますので、審査を省略し、本委員会において了承いたしたいと存じますが御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 守島伍郎

    ○守島委員長 異議なしと認めさようとりはからいます。     —————————————
  49. 守島伍郎

    ○守島委員長 日程第七及び第八、沖繩諸島復帰促進に関する陳情書を一括議題といたします。専門員よりその趣旨説明を求めます。
  50. 佐藤敏人

    佐藤專門員 陳情第一〇四号、沖繩諸島復帰促進に関する陳情、東京都千代田区有楽町石川ビル船越事務所内沖繩諸島日本復帰期成委員漢和憲和君外七名。  講和会議も、いよいよ軌道に乗りつつある今日、旧日本領土たる沖繩諸島復帰されるよう尽力されたい。  陳情第二六四号の趣旨は前陳情と同様であります。
  51. 守島伍郎

    ○守島委員長 御質疑ございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 守島伍郎

    ○守島委員長 ないようでございまするから次に移ります。     —————————————
  53. 守島伍郎

    ○守島委員長 日程第九、奄美大島日本本土との交通復旧並びに同島人戸籍事務所を鹿児島に移転の陳情書議題といたします。専門員より説明を求めます。
  54. 佐藤敏人

    佐藤專門員 陳情第一四三号、陳情者鹿児島県議会議長増田静。  奄美大島の現在人口は二十余万で、日本本土在住者もまた二十万あるが、昭和二十一年二月以降、日本本土とは政治的並びに交通的に遮断されている状態である。ために、本土にいた学生生徒は送金の道を断たれ、半ばにして学業を放棄し、ついては転落する者さえ続出している。ついては、すみやかに日本本土との交通を復旧されたい。また、同島を引揚げた島民の半数は、現在鹿児島県内に在住しているから、福岡県にある同島人戸籍事務所を、鹿児島県に移転されたい。以上であります。
  55. 守島伍郎

    ○守島委員長 御質疑ございませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  56. 守島伍郎

    ○守島委員長 日程第一〇、歯舞諸島千島列島及び南西諸島復帰に関する陳情書議題といたします。専門員より説明を求めます。
  57. 佐藤敏人

    佐藤專門員 陳情第二四七号、陳情者全国地方自治協議会連合会会長東京都知事安井誠一郎。  先般の知事会議における決議に基き、歯舞諸島千島列島及び南西諸島返還方連合軍最高司令官あて懇請したから御尽力を願いたい。というのであります。
  58. 守島伍郎

    ○守島委員長 御質疑ありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  59. 守島伍郎

    ○守島委員長 日程第一一、小笠原島行政権停止解除に関する陳情書議題といたします。専門員説明を求めます。
  60. 佐藤敏人

    佐藤專門員 陳情第一二四号、陳情者全国地方自治協議会連合会会長東京都知事安井誠一郎。  東京都管内小笠原諸島は、昭和二十一年一月二十九日付日本政府への覚書により、現在までその政治的及び行政的権限を停止せられているが、同島引揚民及び日本国民の熱烈な要望にかんがみ、すみやかにその行政権の停止を解除せられるよう連合国当局との折衝に努められたい。というのであります。
  61. 守島伍郎

    ○守島委員長 御質疑ありませんか。
  62. 山本利壽

    ○山本(利)委員 この第七から第一一まで、すべて私も陳情の意義を了とし、それを採択することに賛成するものでありますが、大体こういつた領土的な関係、沖繩にしても、千島にしても、奄美大島にしても、その点についてこういつた陳情や請願を採択すれば、当局は連合軍方面に対してどういつたようなはからいをされるのか、そして現在の見通しでは、そういうものが再びわれわれ国民要望に基いて、日本国領土となり得るものと思われるのかどうか、そこらのところをお伺いしたいと思います。
  63. 西村熊雄

    西村政府委員 御質問の点は、まつたく連合国の決定にかかるところでありまして、私どもはどういうふうになるかということについて、見通しは立て得ない状態であります。
  64. 山本利壽

    ○山本(利)委員 外務省当局の方がおられる席上で、われわれがこういう陳情書を採択したり、あれこれするわけでありますが、全然それではこういうことは意味のないことだ、と思われますが、どういうことですか。それから、先ほどの質問についてお答えのなかつたことは、こういう陳情や請願をわれわれが採択した場合に、その意をくんで、外務省当局においてはいかなることを連合軍方面になされるのか、全然なさないでほうつておかれるつもりか、その点についてのお答えがないのです。
  65. 太田一郎

    太田政府委員 日本の大きな島に進駐しておりますところの諸島の所属については、連合軍が決定することになつております。それからまた主義の問題といたしましては、講和条約というものは連合国が相談してきめるものと思われます。しかし最近日本に参りましたダレス顧問なども、なるたけ日本側の意向を聞きたいということを言つておられます。そこでいろいろ請願がありましたときは、私どももそれをよく勉強いたしまして、また日本国民全体として意のあるところ、またわれわれとして十分主張し得ると思われるようなことは、いろいろな角度からこれを研究いたしまして、そして日本国民全体の意のあるところは、絶えず関係方面に連絡説明いたしております。
  66. 山本利壽

    ○山本(利)委員 外務当局は、われわれの意を体して、その方面にしきりに連絡しておるということを言われたことを、非常に喜ぶのでありますが、最近の海外ニユースによると、英国方面では、台湾の領土権の問題は、講和会議が終るまでは、これは日本に属しておるものであるといつたような意味のことが報ぜられておるのでありますが、この台湾に関しての外務省の所見を承りたいと思います。
  67. 太田一郎

    太田政府委員 国際法上の理論としては、台湾に関しては、ただいまおつしやつた通りであるとこう考えております。
  68. 山本利壽

    ○山本(利)委員 そういうぐあいにはつきりと意見があるのに、今日まで日本政府は、台湾のことについてその希望を何ら公表しておられない。公表することが講和会議に悪影響を及ぼすということであれば別ですが、この台湾の問題についても、千島あるいは沖繩その他の諸島に関する問題と同じように、日本希望なり、意思を向う側に伝えられたことがあるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  69. 太田一郎

    太田政府委員 台湾の、先ほどお答えいたしましたことは、法律上の見解としてはそうである。国際法上の見解としてはそうであるということを申しました。ただカイロ宣言によつて台湾をどうするかということにつきましては、主たる連合国の間に話合いがある。そしてその話合いがあることはわれわれが降伏文書に調印いたします前に決定しております。そこで先ほども申しました通り講和条約は連合国の間で相談してきめるものでありますからして、われわれといたしまして、連合国が相談してきめられる場合に、もしその参考となるような意見日本側が言つてもいい、あるいは日本側に求めるということでありましたならば、その際にわれわれの意見を言う、こういう建前になつておる次第であります。
  70. 山本利壽

    ○山本(利)委員 今の御答辯で最初の私の質問に対するお答えと少し違つておることがあるからお尋ねいたしますが、初めは、われわれの希望を逐次向うへ申し述べてあるということであつたが、今のでは、講和会議は向うのものがきめることであるから、そのときに日本人希望を聞かれたら、そのときに言うというふうに今の答辯は聞えたのであります。これは前々回の外務委員会のときにも、私は吉田首相に対して御質問申し上げたときに、超党派的な外交の研究並びに審議の機関を設けてはどうか。政界の者のみでなしに、学界の者、その他各界の権威者を網羅して、そういう研究機関、審議機関を設けてはどうかということを提唱いたしましたのも、講和会議がいよいよ招集せられて、大体の条件がきまつたところへ日本の代表が呼びつけられても、それはちようどイタリアの講和会議の際におけるがごとく、ただ希望を聞かれるだけで、その講和条約条件に対しては、何らの影響力はないのではあるまいか。希望するならそれがポツダム宣言に違反しない限りにおいて、あるいは連合国側のいらざる神経を刺激しない程度において、非常な謙譲な意味で、われわれ国民のほんとうの希望と、そうして当然かくあるべしと信ずるところのいろいろな条件を、講和会議が招集され、あるいはいろいろな条件が向うさん側で内定される前に、われわれが言うことがほんとうによいことであつて、そのことがわれわれ民族、わが日本国の自衛権の発動の一つであると私は確信してこの問題を考えるのであります。いよいよとなつて向うが講和会議を招集して、何か希望はないかというときに言つたのでは、それは聞き流されるおそれがあるという意味で私は質問しておるのでありますから、この点に対してお答えを願いたいと思います。
  71. 太田一郎

    太田政府委員 先ほど申しましたことは、御答弁の中でもたびたび繰返しましたように、主義及び建前の問題を言つておるのでありまして、われわれが謙虚な気持でわれわれの意見を適当の機会に、また適当の筋を通じて申すということについては、連合国側もこれを可としてくれるものと私は考えております。
  72. 山本利壽

    ○山本(利)委員 連合国側も可としてくれると思われ、しかもそういう意思があるなら、逐次そういうことをしておられるかどうかということをポイントとして私は聞いておるのでありますから、ぼかさないでいただきたい。
  73. 太田一郎

    太田政府委員 われわれが適当と認める問題につきましては、逐次連絡いたしております。
  74. 山本利壽

    ○山本(利)委員 もう一つお尋ねいたしますが、第六国会終りから第七国会ころでありましたが、吉田首相はアメリカ以外の国々の対日感情は必ずしもよくない。場合によつては非常に険悪であるという意味のことを発言されたと思う。ところが最近では非常に日本に対して、率直に言えばソ連とか、中共とかを除いた他の国々は、非常に感情がよくなつておるから、それでそういう国々と講和を締結したいというような発言が多いと思うのでありますが、実際問題においてアメリカ以外の国、ことに東亜諸国における国、あるいはカナダ、濠州等の日本に対する最近の感情というものは、どういうものであるか。お聞きいたしたい。
  75. 守島伍郎

    ○守島委員長 山本君、ちよつと御相談いたしますが、その問題はあとで国際情勢に関する件を議題として出すことになつておりますから、そのときに答辯を求められてはいかがですか。
  76. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それではそのときでけつこうでございます。
  77. 並木芳雄

    並木委員 さつきの大田次官の答辯に関連してお尋ねをいたします。先ほど山本委員質問に対して、法律上はさように存じますという御答辯でありましたが、法律上という意味はどういう点なのでしようか。もう少し詳しく御説明していただきたいと思います。カイロ宣言は「満州、台湾および澎湖島のごとき、日本国が清国人より盗取したる一切の地域を、中華民国に返還することにあり。」と書いてあります。台湾において法律上、そういうことが言われるならば、満州及び澎湖島についてもやはり法律上、同断であるかどうか。後に大田次官は法律条約というものにわけて説明されましたけれども、その点私にはよくわかりませんので、十分わかるようにはつきりしていただきたいと思います。
  78. 太田一郎

    太田政府委員 日本の領土の問題につきましては、正式に最終的決定は法律上、講和条約によつてきまる……。
  79. 並木芳雄

    並木委員 それはわかつておる。山本さんが聞いたのは日本に属しているかということですよ。
  80. 太田一郎

    太田政府委員 満州は日本の領土ではない……。
  81. 守島伍郎

    ○守島委員長 簡単に願います。
  82. 並木芳雄

    並木委員 簡単にしますけれども、これは大事なところなのです。  そうすると領土については講和条約できまるということの中に、山本委員質問は、英国の方で発表がありました通り、台湾というものは、それまでは日本に属しておるのかどうかという質問つたのです。英国のあれに、台湾は日本に属しておるという発表があつたけれども、それに対する見解を聞いたのです。だからその点について法律上はさようでございますと言うから、それならばほかの点はどうだ、台湾についても間違いないのかということを聞いたのです。
  83. 太田一郎

    太田政府委員 私はその台湾という前の、日本の領土であつたものの帰属の問題の御質問があつたから、そういうふうにお答えしたのです。
  84. 並木芳雄

    並木委員 英国の新聞で報道されたものは、それまでは日本に属するというふうに出ておつたと思うのです。ですから山本委員質問があつたので、そうでなければそんなことを質問するはずはないです。だからその点についての外務省の見解なり情報なりをお伺いしておるのですが、その点はどうですか。
  85. 太田一郎

    太田政府委員 私はあくまでその日本の領土の帰属の問題について、そういう御質問に対してお答えしておる。
  86. 並木芳雄

    並木委員 では私はあらためてこの間の英国のあるスポークスマンの公式発表だと思いますが、講和会議までは日本に属するものということを、確かに新聞で私は拝見したのです。その点について御質問いたします。
  87. 西村熊雄

    西村政府委員 私はイギリス国務省が数日前の議会で答辯されたことを、今正確には覚えませんが、台湾は対日講和条約によつてその帰属が確定するまでは、法律上はという文字が入つていたと思います。まだ日本の領土である。こういう声明をしておられたように了解しております。
  88. 菊池義郎

    ○菊池委員 私は具体的の話ですが、先ほどの小笠原の行政権の停止を解除してもらう。その点について外務省のお骨折りを願いたいと思いますが、小笠原島につきましては私は数回論じております。アメリカが今日あすこを占拠しておりますけれども、アメリカの兵隊は一人としておりません。飛行場にもなりませんし、軍事基地にも全然役に立たぬ島であります。六千人の人がこちらに引揚げて来ておりますが、どうでありますか。われわれが引揚者と一緒に陳情折衝いたしました結果、六千人の人が帰れるようにきまつたのです。どうです。民間人の努力でもつてこれだけの目的が達せられておる。それをさらに行政権を回復いたしますために、もちろん民間人でも陳情いたしますが、外務省が運動いたしまして、この民間人の陳情の裏づけをしてくださいますと、力強いだろうと思うのであります。六千人を向うへ帰すことにつきましては、司令部ではこれを承諾いたしまして、どうして生活するか、その生活について食糧をどうするか、その食糧を買うのにどこから金を借りるか。その他の生活必需品を仕入れるのにどこから金を借りるのか。それを詳しく書いて出せといまでの段取りになつておるのであります。これにはもちろん倭島局長にもたいへんなお骨折りを願いました。骨折りさえすれば向うは話がわかるのです。大田次官のように向うから聞かれて初めてこれに答えるというような、そういう消極的なことであつては、とうてい日本人民の目的を達することはできないのでありまするから、積極的に陳情折衝していただきたい。たとい管理下にありましても、陳情折衝は自由自在である。講和会議になつて初めて日本の意思のあるところを彼らに示すという、そういうおそまきなことでは目的を達することはできませんから、事前において、今日よりどしどし陳情折衝していただきたいと思う。今まで並べて出されました陳情請願に対しまして、何とぞ積極的なお骨折りを願いたいと思います。倭島局長に対しましては小笠原帰還の問題についてのお骨折りを感謝申し上げます。     —————————————
  89. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは次に奄美大島復帰に関する陳情書日程に追加いたします。専門員より説明を求めます。佐藤専門員
  90. 佐藤敏人

    佐藤專門員 陳情第一五一号、陳情者鹿児島市鹿児島県議会議長増田静。  奄美大島ポツダム宣言によつて占領軍治下に入り日本政府より離れているが、同島は古来わが国の一部であり、一方経済的面より見ても、鹿児島の経済的繁栄は奄美大島に負うところが大きいから、講和会議においてはぜひ奄美大島日本に帰属せしめられたいというのであります。
  91. 守島伍郎

    ○守島委員長 御質疑はございませんか。——それではただいま審議いたしました日程第七より第一一及び追加日程第一の各陳情は本委員会において了承いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議なしと認めてさようとりはからいます。     —————————————
  93. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に国際情勢等に関する件を議題といたします。質疑を許します。菊池君。
  94. 菊池義郎

    ○菊池委員 過日の委員会におきまして、法務総裁より自衛の場合の義勇軍のことにつきまして答辯がありました。その答辯の内容は、自衛のためならば義勇軍の活動は何らさしつかえないということを言い切つておらるるのでありますが、私は自衛のためでありましても、いやしくも軍と名のつく以上は、明らかに戦争を放棄いたしました憲法に抵触するということを確信いたします。のみならずかくのごときことが、ひいて世界にどういう刺激を与えるかということも考えなければならないと思います。いやしくも義勇軍なるものを組織する以上は、他国の侵略を受けてただちに義勇軍が組織できるものでなく、無手でもつて戦うことはできないから、武器、弾薬その他を用意せんければならぬ。従つて義勇軍をつくりますには一朝一夕にできるものではないのでありまするから、不断の準備をせんければならないということを考えます。そういうことを考察いたしますと、かくのごときことが世界に対してどういう影響を与えるかということを私は恐るるのでありますが、これにつきまして、太田次官及び政務次官のお答えを願いたいと思います。
  95. 太田一郎

    太田政府委員 大橋法務総裁がどういうお考えを持つていらつしやいましたかよく存じません。いわゆる義勇軍の問題につきましては、あのときも問題がありましたように、日本から出て行く問題と自衛権の発動としてやる問題があると思うのであります。あのとき法務総裁も、義勇軍の問題につきましては、出て行く義勇軍の問題と、自衛権の発動としての義勇軍の問題があるというふうに言われたように記憶しております。それからさらにつけ加えて申しますると、そういう出て行く場合と自衛権の発動としての義勇軍の問題のほかに、その発動する場合が、すなわち日本が自主独立を回復したときの問題であるか、あるいは今のような占領管理のもとにあるときの問題であるか、こういうことも考えなくちやならないのでありまして、問題はそういうことをわけて考えなくちやいけないのではないかと考えます。いずれにいたしましても、自衛権と申しますものは急迫した、そして不正の侵略がありましたときにやむを得ずやるのでありまして、いかなる場合においても、あらかじめこういうことに対しては、こういう手を打つのだというようなことを想定してこれを議論することは、今日のような国際情勢並びに占領管理のもとにある日本といたしましては、政治的には慎重に考えなくてはならぬこういうふうに考えます。
  96. 菊池義郎

    ○菊池委員 アメリカの軍事基地である九州あたりでは爆弾を落すという情報が伝えられ、せんせんきようきようとして防空壕を堀つておるということであります。そういうわけで出て行く場合でなく、みずから守る場合において、義勇軍と名のつくものを自在に活動せしめてよろしいという法務総裁のお話でありましたが、私繰返して申し上げます。私はこういうことはやはり戦争放棄の憲法に抵触しやせぬかと思う。ですからこれを取消していただきたい。義勇軍を組織いたしますのは一朝一夕にはできない。相当の時日を要します。他国から侵略されて、ただちに装備にかかるということはできない。それでそういう言葉が伝わると、列国はふだんから日本では有事の際に備えるところの十分の準備を始めているという疑惑を抱きやすいのでありますから、この点について法務総裁のはつきりしたお答えを願います。
  97. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先般当委員会におきまして、私の御答辯いたしました事項につきまして、ただいま菊池君から重ねて御質問がありました次第であります。先般の委員会におきまして私の申し上げたことは、自衛権の行為として義勇軍はどういうものになるか、こういうお話でございました。これに対して御答弁をいたしたのでございます。申すまでもなく自衛権と申します観念は、これは国内法上の観念ではなく、一つの国際法上の観念でございます。従いまして、自衛権が発生しておるかどうかということは、国内法の上から申しましては何ら関係のない事項でありますから、その際私は、自衛権としての義勇軍というがごときものは、国際法上はあり得るものである、考え得るものである、こういうことをお答え申したわけであります。しかしながらこれはあくまでも国際法上の問題に対しまして、国際法上のお答えをいたしたものでありまして、国内法にこれを当てはめました場合におきましては、自衛権の発生ということは、憲法の上には何ら関係のないことであります。その場合におきましても、日本国憲法のもとにおいて義勇軍が可能であるか不可能であるかという問題は、国際法を離れた国内法たる日本国憲法上の別個の問題として取扱われ得るものである、かように私は考えておる次第であります。
  98. 菊池義郎

    ○菊池委員 国内法、国際法そういう区別は大して意味はないと思います。とにかく軍と名のつく自衛権の発動は、竹やり、なぎなた何でもよろしいのでありますが、とにかく軍と名のつく以上は軍隊組織、組織を連想するものであり、また事実その通りなのであります。装備が必ずいる。そういうわけでありまして、どうもこの前の御答弁は憲法に抵触すると私は考えております。その点もう一度承りたい。
  99. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 日本国憲法第九条によりますると、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない、こう明らかに原文をうたつてあります。従いまして陸海空軍その他の戦力と認められるような部隊を日本国の政府が保持するということは、これは国際法上自衛権が認められるといなとにかかわらず、憲法上制限された事項である。これは間違いのないところであろうと存じます。
  100. 菊池義郎

    ○菊池委員 その点はわかつておりまするが、かくのごとき答弁が世界的にどういう影響を持つか、これを私は非常に恐れる。これは総理の意見とも大分食い違つているように考えられる。ただいま申しましたように、義勇軍なるものはこれを義勇団、あるいは自衛団と言うならば、何ら問題はないのであります。いやしくも軍という言葉を使われることは不穏当であると私は思う。
  101. 守島伍郎

    ○守島委員長 関連質問ということになると、皆さんから関連が出ますから、順序にやりたいと思います。次は竹尾君。
  102. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私はこの間の理事会で何かきまつたテーマにおいて野党と討論をするというようなお話であつたので、その意味で、討論者として通告しておつたのです。国際情勢については私通告しておりません。やめます。
  103. 守島伍郎

    ○守島委員長 ちよつと竹尾君に御説明申し上げますが、この前の理事会で、討論もいいが政府に対する質問を大いにやりたいということで御通告になつたのであります。
  104. 竹尾弌

    ○竹尾委員 これは佐々木委員あたりからも主張しておつたのですが、十分の時間をとりまして、たとえば講和問題であるとか朝鮮問題であるとか、一つの題目をきめて野党の諸君と大いにやろう、こういつたお話であつたものだから、私はその討論者の一人に加わりたいということを通告しておいたので、一般の国際情勢ということについては、いろいろとありますけれども、きようはやめます。その意味であります。
  105. 守島伍郎

    ○守島委員長 佐々木君。
  106. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 先ほど菊地委員から御質問になつていることに関連して承つておきたいと思いまするが、新憲法によりまして一切の軍備を放棄した日本の平和と安全をどうして、保障するかということに対しましては、憲法第九条の解釈をめぐつて自衛権の問題が相当長期間にわたつて活発に論議されて来たのであります。私は菊池委員とはまつたく別の見解を持つものでありまして、前回の当外務委員会におきまして、大橋法務総裁から自衛権の発動としての今度の防衛軍ないし義勇軍といつた種類のものが、当然自衛権の持つ本来固有のものとしての特殊なる性格から言つて、認めらるべきであるという主張をなさつたことは、今日朝鮮の事態が国民の重大な関心となり、とりわけこの危機がまさにいつわが本土に迫り来るかもわからぬというような脚下に迫つた緊急問題となつておりまする今日といたしましては、国民がこれによつてむしろ非常な安心感——決して絶対的な安心感とは申すことができませんが、私はかなり大きな安心感を国民に与えたのではなかろうかと考えるわけであります。そこで私は菊池君の考えとはまつたく別に法務総裁の言明を非常に評価するものであります。そこでこれに関連して承つておきたいのでありますが、     〔委員長退席、竹尾委員長代理着席〕 この自衛権の発動としての防衛、自衛、外敵によつて不正な被害が加えられた緊急の場合に処するための防衛軍ないし義勇軍といつたものは、決して私は憲法第九条に言うところの軍備ではなかろうと考えます。軍備というものは、申すまでもなくこれは常に常置絶えず訓練をする建前でございますけれども、必要な場合に、にわかに緊急な場合に防衛の措置としてとることは、決していわゆる憲法に規定したところの第九条に言うところの軍備というものではなかろうかと私は考える。従つてこれは決して憲法の条章にも抵触するものではなく、またポツダム宣言やその他の日本の占領に関する各種の指令や命令にも抵触するものではないと思う。おのずから軍隊というものとの間には天地霄壊の相違があるということを私は考えるのであります。この点についての見解を求めたいことと、それからもう一つは、その防衛軍ないし自衛軍というものの組織並びに行使が認められますならば、決してその結果というものは、憲法第九条に規定しておりまするところの国権の発動たる戦争と武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄するという項目の中には、自衛戦争というものは決して含まれたものではない、私はかように、解釈をいたすのであります。帝国議会におきまして新憲法を審議するにあたりましても、この自衛権並びに自衛戦争というものについては、いろいろな論議が闘わされておりまして、決して明確ではなかろうと考えます。しかし当時の憲法改正の委員長でありました芦田均君が、新憲法についての解釈と題するパンフレツトを出しておりまするが、これを見ましても、自衛戦争というものは決して否定するものではないという趣旨のことを明らかにうたつております。こういう点から見ましても、私は自衛戦争というものは、決して新憲法によつて放棄されたものではない、このように考えまするが、これらの点につきましては、政府側においてどのようにお考えであるか承つておきたい。
  107. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 憲法第九条におきまして、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない、こういうことになつております。従いまして、国内における切迫いたしましたる事態に即応して立ち上りました義勇軍なるものは、政府によつて指揮され、しかもそれが今日の各国の通念上、戦力というものと認められる程度の武力を備えておりまする場合は、これは憲法のこの趣旨の条項から見まして、違反の事項であると考えなければならぬのであります。しかしながらいかなる程度に達すればその戦力と認むべきであるかどうかということは、今日の世界の戦争の常識に照して判断する以外にはなかろうと存ずるのであります。  それから自衛権の場合において、自衛上の戦争は許されるのではないかという御質問の第二点でございまするが、この点につきましても国際法上自衛的な手段が許される場合はもちろんあり得るわけでありまするが、その場合に戦争というような程度の対敵行為を遂行するためには戦力が必要になると思うのでありますが、この戦力の保持というものが国内法上あくまで許されておりませんから、はたしてそれが自衛戦争というごとき名前をつけられ得る程度の対敵行為になるかどうか、この点は疑問であろうと存ずるのであります。要するに自衛権の有無にかかわらず、憲法の第九条第二項の戦力の保持ということは、この規定のあります限り禁止されておる、かように私ども考えております。そしてその戦力はただいまも申し上げました通り、今日の戦争技術の常識から、戦力という程度に達しておるかどうかということを判断する以外にはなかろう、かように考えておる次第であります。
  108. 竹尾弌

    ○竹尾委員長代理 小川原委員
  109. 小川原政信

    小川原委員 私よくわかりませんからその実情の御報告を願いたいのであります。  二十五日の朝北九州が爆撃されたといううわさを聞いた。また二十六日でありましたか二十七日でありましたか、対馬を爆撃されたという話を聞いたのであります。これはデマであろうとは想像しますが、その真相を私はここで御報告願いたい。デマならデマ、デマでなかつたらでまでないということを御報告願いたい。     〔竹尾委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 二十五日及び二十七日におきまする爆撃ということにつきましては、私は何ら報告を受けておりません。
  111. 小川原政信

    小川原委員 それでは政府としましては事実ないということですね。
  112. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 さように存じております。
  113. 小川原政信

    小川原委員 それでよろしい。これに関連してお話を続けたいと思いましたけれどもこれに関連すると、もし誤りが起るようなことがあると悪いですから後日に譲りまして今日は質問をいたしません。
  114. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。
  115. 並木芳雄

    並木委員 この前の法務総裁からの御答弁によつて、私どもはあのままで行きますと自衛権の発動というもとに、再軍備をするんじやないかというおそれ、そういう感じを外国に与えるのではないかと非常に心配したのでございます。しかしきようは大橋さんもずいぶん用意周到にやつて来られまして、私どもが聞きたいと思つたことは、特に与党の方が仲間割れいたしまして、はしたなくも質問が出ましてかなり意は尽したのであります。なおお聞きしておきたいことをつつ込んでおきたいのですが、先ほどどういう状態をもつて国際法上自衛権の発動するとき、あるいは場合であるかという判断は、常識によつて判断するということを答弁されております。この常識というようなことを言われますと、また日本国民は相当に迷うだろう。一体この常識はどういうところからきまつて来るのか。つまりいよいよ日本の自衛権発動の時期だ、正当防衛のようなものですから、あらかじめ想定することは困難かもしれません。その場に突発的に起り得るものであろうから、困難ではあろうけれども、常識的ということはどういう機関できめて来るか、こういうことがはつきりして来ませんと、国民個々の部分的な状態によつて、それ来たと言われますと、これは相当また誤解を起しますし、国民の間に混乱も起しますので、この際はつきりその点をお伺いしたいと思います。
  116. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先般の並木君の御質問に対しまする私の答弁が不十分なために、いろいろ誤解を生じましたことはきわめて遺憾であります。  ただいま並木君から御質問がございましたが、私の先ほどお答えいたしました点は、自衛権の発動し得る時期は常識で判断すべきものである。こう申し上げたわけではございませんので、自衛権が発動し得る場合においても、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないと規定いたしてありまする憲法の第九条の規定は、厳として存在しておるからして、いかなる場合においても、この規定にあるところの戦力という程度に装備されたところの国防のための部隊を日本政府が持つことは許されない。そうしてその戦力というものは、それならばいかなる程度の装備に達したならば戦力と認められるべきであるかという点につきましては、今日の戦争技術の常識から考えまして御判断を願う以外にはなかろう、こう申し上げた次第であります。
  117. 並木芳雄

    並木委員 わかりました。とかくこの自衛権の発動の時期ということがかなり混乱を生ずるのじやないかと思うのです。ところで各個人の判断にまかされるべきものではないと私は当然考えております。  今度の警察予備隊の場合に、国家非常時宣言でございましたか、非常時態宣言の場合に出動するというようなことが目的にあつたと私は理解しておりますが、国家非常事態宣言の場合には、同時に自衛権も発動し得るものと考えていいかどうか、こういうような点についての御判断をお聞きしたいと思うのであります。
  118. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 さようには考えておりません。
  119. 並木芳雄

    並木委員 要するに、かりにその自衛上自衛があるといつても、先ほども竹やりとかなんとかいう話も出ました通り、ほんとうにわれわれは裸一貫、武器も何もないのですから、恐れますのは自衛権があるということによつて、われわれは再び外敵に対して体当りをやるのだとか、あるいは武器を持たせられて対抗して行くのだというというような意識を国民が持つことを、むしろ私は恐れているのです。ですからそういう場合に、政府としては自衛権発動というような場合には、どういう機関によつて国民に知らしめるとか、何かもう少しはつきり具体的な基準がないと困る。個人の場合の正当防衛ならこれはわかりますけれども、先ほども国際法上の観念における自衛権だと言われますので、とにかく歴史始まつて以来の初めての状態にわれわれは置かれているので、どういうふうな処置をすべきかということをもう少し具体的に御説明願いたいのであります。
  120. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 自衛権に基く措置というものは、これは国家の行為であります。従いまして国家がその場合にいかなる行為をなすかということは、憲法の条章に照しまして、民主的な方法によつて決定せらるべきでありまして、卒然として自衛権の行動として義勇軍に国民がかり立てられるというようなことは、日本国憲法のありまする限りあり得ないかよう考えております。
  121. 並木芳雄

    並木委員 もう一点お伺いします。そこで要するに私どもは先ほどもちよつと話の出ました通り、安全保障の問題というところに帰着して来ると思う。この機会に法務総裁並びに外務当局政務局長がおいでになりますから、あるいは島津さんにお伺いした方がいいかと思いますが、できれば大橋総裁と島津局長に、政府の今抱いておるところの安全保障方法というものを、具体的にこの機会に示されて、そうして国民にその旨を知つてもらいたいと思うのです。いかなる安全保障を念願しておるか、はつきりしていただきたいと思います。
  122. 太田一郎

    太田政府委員 自衛権云々の問題は、結局警察予備隊の問題に関連して、この前の委員会に起つたのではないかと思いますが、先ほども申しました通り、自衛権というようなことはほんとうに窮迫した、そうして不正の侵略があつたときにやむを得ずやるということでありまして、今日からそういうことをいろいろ想定するということは、占領下にある日本として愼重にやらなければならない問題であると考えておるのであります。そこで先ほども申しました通り、現状におきましては日本占領管理のもとにある、そうしてここにアメリカ連合国の軍隊がおるわけでありますからして、その場合におきまして、この日本に御心配のような事態が起るというようなことは、私どもとしては想像もできないところであります。それからまた、それでは講和条約ができまして、日本が一本立ちになりましたときにどういうふうになるかという問題につきましては、先ほど法務総裁からお話がありました通り、これは憲法と国際法の許す範囲において、日本は自衛権を持つておるということではつきりいたすと思います。そうしてまたそれではその場合の日本の安全をどういうふうにして保障できるであろうかということになりますならば、憲法によつて軍備を完全に放棄したこの日本というものの安全保障という問題は、単に日本だけの問題ではなくて、世界の平和全体に関連する問題でありますから、今度の朝鮮におきます事態からも推察いたしまして、そのときは必ず世界の平和愛好国が、世界平和という見地から日本の安全保障に対して十分考慮をしてくれるものであろうということは、今回の朝鮮の問題についてとられた措置によつても示唆されるところではないか、こういうふうに考えます。
  123. 並木芳雄

    並木委員 先般、国際連合にその安全保障を求めたいというふうに発表があつたと思つておりますが、その点はどうなのですか。
  124. 太田一郎

    太田政府委員 要するに平和を愛好するところの国々の集団的保障、たとえば国際連合の今度のような措置ということによつて、十分日本の安全に対して懸念のないように民主国が考えてくださるものというふうに考えております。
  125. 守島伍郎

    ○守島委員長 風早君。
  126. 風早八十二

    風早委員 時間もあまりないことでありますから、二点だけお聞きしておきたいと思います。  第一点は、占領軍の命令と、今とられております朝鮮の問題に対する、いわゆる朝鮮作戦に関するいろいろな政策がありますが、それに関連する命令と、こういうものとがやはり区別されなければならないと思うのでありますが、この点が事実上非常に混同がある。これらの点について政府がどこに明確なる限界を置いておられるか。またこれが区別されて、その限界が明示された場合において、固有の意味の占領軍の命令以外の命令に対しましては、どういう態度をとつておられるか。これについて政府の所見を伺いたいのであります。この点は多少説明を要すると思いますが、たとえば占領基地と軍事基地というようなものにつきましても現在はなはだあいまいである。最初吉田総理は今日本に軍事基地はない、占領目的のために占領基地があるだけだというようなお話があつた。しかしながら現実にこれらのいわゆる占領基地と言われておるものは、軍事基地として使われている。こういうところから見ましても非常に問題がこんがらがつて来ている。また占領軍なるものと国連のいわゆる朝鮮作戦をやつている国連軍なるものとが大体同一である。特に占領軍の最高司令官と国連軍の司令官とが同一人である。こういうところからいろいろ不明確なる点が生じて来る。国民はこれらの不明確さによつて非常な迷惑をこうむつている。この点は実際の政策の上に非常に混同がありますが、これがこの点に関連して現われている。最近におきまして、たとえば新聞なんかに対していろいろな圧迫があるということは伝え聞いておるわけでありますが、特にたとえば朝日新聞というようなものの編集方針がどうである、こうである、その編集方針を批判する、判断する基準が何であるか、結局朝鮮の作戦計画というものに非常に関連しておる。そういうものに対して非協力であるというふうなことが同時に占領政策違反である、こういうふうな方向へ持つて行かれようとしておる。またたとえば大日本印刷という会社がありまして、そういう印刷所で朝鮮向けの、明らかに朝鮮作戦に必要な宣伝文書を印刷し、これを拒否する、これはただちに占領政策違反として団体等規正令にひつかかる。こういつたような事例がぼつぼつ出て来ておるわけであります。これは私ども通産委員会などで、今の産業経済方面の諸政策を検討しておりますと一つ一つそれである。たとえば最近いろいろな軍需品の注文があります。しかしこの注文は生産能力の限度を越え、その価格についても一方的にきめられ非常に迷惑しておる。最近特に著しい例は、たとえば八幡の製鉄所でありますが、橋梁用の型鋼でありますとか、あるいは有刺鉄線の注文がありますが、これはたいへん喜ぶべきことであるように見えますが、事実八幡製鉄所当局では少しも喜んでおらない。これは困つたことだ。また受付けかねておる。なぜならば値段が第一合わない。そしてその生産能力の限度を越えている。これをむりしてつくつても先行きどうなるかわからない。これは明らかに今度の朝鮮作戦用の製品であることは間違いない。そういう場合にこれはやはり聞かなければならないものであるかどうか。非常にこの点に異論があるわけであります。たとえば最近自由党の発案といたしまして、前国会から続いておりました商品取引所法案などというものがありましたが、あれがとうとう通りました。これは自由経済について商品の価格をここで自然の需給関係でもつて決定する機関であるというふれ込みでこの法案が通つた。しかしこれもわれわれがその際にも追究いたしましたが、実際にはそこに上場される商品の中にも、てんで実際の需給関係でもつてやられるようなことじやない。たとえば梳毛糸、毛糸でありますが、こういつたようなものの値段は、これは勧告価格である、そして、それでもまだこの梳毛糸の値段を引下げるということはできないものであるから、従つて今度は生産統制までやる。それは何のためにやるのかといいますと、今軍服がたいへんいる、つまり朝鮮向けの冬服でありますが、こういうものが百五十万着も鐘紡に注文されておる。そのために必要な梳毛糸の値段を下げれば安上りで、そうしなければ戦争ができない。そういつたような必要から、こういうふうな非常に不自然な政策が行われようとしている。そういう場合にも、われわれはどうしてもこの占領政策という固有のものと、いわゆる国連軍なるものの朝鮮作戦に関する政策から来たこの命令というものとが、非常に混同せられて、そのために国民生活が非常に混乱を起している。こういう事実があると思うのでありますが、これらにつきましても、私どもはその限界を明確に示していただきたい。われわれは聞くべき命令は聞かなければなりません。しかし占領軍の命令というものは、これはポツダム宣言並びにさかのぼつてはカイロ宣言にもさかのぼるでありましようが、とにかくポツダム宣言以来いろいろ極東委員会関係の重要な決定があります。この決定に基きまして、この方針のわく内でわれわれは占領軍にどこまでも服従する義務がある。そこでそれを越えてこういう新しい、日本関係のない、朝鮮作戦に必要である政策から来る命令というものに対してわれわれがはたしてこれは聞かなければならぬものか、何よりもかよりも、これを聞くことによりまして日本民族の経済が非常な迷惑をこうむる、国民生活がいよいよ重圧をこうむる、こういつたような事実に関連しまして、やはりこの限界を明確に示していただくということが、この際ぜひとも必要であると考える。
  127. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 風早君にお答えいたしまするが。連合国最高司令官の発する一切の指示に対しましては、誠実かつ迅速に服するものであるということが、一九四五年九月二日付の一般命令にうたつてあるわけであります。従つて連合国最高司令官が、その資格において発せられましたる一切の指示には、これは服従すべきものであることは申すまでもありません。  なおまた連合国最高司令官が同時に国連軍の最高指揮官を兼ねておられます結果、国連軍最高指揮官として発せられた命令があるわけであります。それに対してはどうであるか、こういう御質問でありますが、国連軍最高指揮官は日本国内においていまだ命令を発せられた事実は私聞いておりません。連合国最高司令官の資格において発せられた命令である、かように考えております。
  128. 風早八十二

    風早委員 もちろん形式上は連合軍の最高司令官として出すのでありまして、いわゆる国連軍の最高司令官として出されるわけはないと思います。問題はその実質でありまして、実質に対して政府がはつきりしたその限界を認識しておられなければ、これは何といつてもその形式で来ればみんな聞く、その結果は、結局現在のようないろいろな混乱を生ずるということになるのであります。政府としては当然その限界があるはずである。私どもはその実質的な限界について聞いておるわけです。その場合に政府はどういう態度を一体とられるか、これについて聞いておるわけであります。
  129. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私どもは形式によつてのみこれは判断すべきであつて、実質的にこれを判断する余地を残すものではない、かように考えております。
  130. 風早八十二

    風早委員 驚くべき御答弁でありまして、それで一体政治家かと言いたいのです。それは大体今の政府、特に大橋法務総裁の立場を十分明らかにされたものだと考えるだけでありまして、私どもはそれ以上は追究いたしませんが、政府は、しからば進んでいわゆる朝鮮作戦に必要である諸政策に協力せられるいわれはなかろうかと思うのです。その点で私はあらかじめ実質上の限界はどこにあるか、これに対する政府の態度はどうであるかということを聞いたのであります。政府は今や、たとえば警察予備隊にしましても、明らかに朝鮮作戦に便乗して、こういうものをもう日本政府の側から盛んに要請しておる。そしてこれをもつて今回国債償還費といつたようなものを、これへそつくりそのまま持つて行くというような、そういうポツダム政令を出し、憲法や国会を完全に蹂躙して、こういうものを出すというところまで、みずから追い込まれているのか、追い込んだのかしりませんが、とにかく政府自身がみずからそちらの方へ誘導するような形をとつておられる。その点私ははなはだ問題にしたいと思うのであります。その点について大橋法務総裁はどういう御所見でありますか。
  131. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 朝鮮問題に関して、国連に精神的に協力をするということは、これは一般命令による指示を実行するということとは全然違いまして、これは日本政府の義務ではなく、日本政府一つの政策である。かように考えております。
  132. 風早八十二

    風早委員 そういう日本政府の義務でなく、自発的な政策は、一体だれに断つてそういうことをやられたのか、われわれはこの国会として、そういうことを政府から相談を受けた覚えはない、全然そういうふうな相談を受けておらない、かつて政府がやられている。政府にそれだけの権限があるのか。(「ある」と呼ぶ者あり)ない、そういうふうな権限は政府にはない。行政の権限ではない、これは最高の政策に関係する問題であつて政府がかつてにやることは、これは越権であります。私どもはそういう意味で、そういう政府の責任を追究しなければならない。この占領軍の命令と、それから朝鮮作戦に関する命令に、非常に事実上混同があり、その混同されたままで、これが一つの占領軍の命令として発せられておるという場合に対して、われわれはどこまでもこれに対しては、政府がはつきりそのけじめをつけて国民の利益に従つて日本の民族の独立、日本の民生の安定の見地から、独自な判断でこれはやつていただきたい。この点は切に政府に対して要求するものであります。  第二点としては、外交白書の問題でありますが、先ほども並木委員から発言がありまして、この外交白書というものは、はなはだ日本の輿論をミスリードする危険があるというお話がありました。私もこの問題についてひとつ御質問してみたいと思います。この外交白書というものは、ただ情勢をだらだらと述べたというようなものではなくして、明らかにこれは単独講和という線をはつきり内外に宣明した。吉田内閣は単独講和をとる、そして単独講和のためのいわゆる講和会議なるものを歓迎する、そういう趣旨のものが徹頭徹尾流れておる。これはたとえばUPのホーブライト支局長が六月三日、この外交白書に関して本国に長文の電報を送つておりますが、その中に、今回日本のとつた立場は、諸外国に対し単独講和会議を開催するよう招請したものにひとしいものである、こう言つておる。しかもこの外交白書が、ダレス氏一行が先般来日された、それに先だつて出されておるというところに、非常に大きなねらいがあることを特に問題にしておる。ニユーヨーク・タイムズの同じく六月三日付の社説でも、さつそくこの問題を論じまして、この文書で、日本が単独講和締結に進む用意のあることを公式に表明したものである、こういうことを言つておる。この点につきましても今と同様な問題が政府の態度にある。一体この吉田政府が、だれに断つてこういうかつてなことを発表しておるか。単独講和とか全面講和とかいうことは、これは日本の輿論としても、国会としてもきまつておるわけじやない、それをかつてにその一方である、しかもこれはどつちかであつて決して一方から他方へといつたような問題ではない。そういう非常に選択しなければならないこの問題に対しまして、はつきりその一方を政府国会に断りなしにきめて、かつてな宣伝をやつておる、こういうことを暴露している。私は一体こういう点を断りなしにやられるという政府の責任を追究したいのであります。日本国民の多数は、これは単独講和、いわゆる軍事基地提供ということには反対しております。全面講和ということをみな望んでおる。自由党の諸君の中にも、全面講和でなければナンセンスであるということを言つておる人もある。(「ない」と呼ぶ者あり)ある。ことにソビエト同盟や中国なんかを拔きにした講和というものは、ナンセンスだということをはつきり言つている人たちが、中日貿易促進議員連盟の中にもたくさんある、その中に自由党の諸君もたくさんいる。これはわれわれと一緒にやつておる。そういう事実があるのであつて、幾らここでないと強弁されても事実ある。これは国民の間に、全部とは申しませんが、多数こういう意見がすでにあるわけであります。こういう次第でありますから、政府がかつてにこれを断りなしにやるということは、はなはだこれは問題である。  要するに、吉田内閣が従来小刻みに切り売りしておつた日本国土を、今度は外交白書というふうな正札付で——これは問題になつた言葉でありますが、まさしく売り渡さんとしておる。こういうことを外交白書が白昼堂々と暴露しておるのでありまして、この点について、私はあらためて単独講和ということをなぜ断りなしに、この文書を通じて宣伝したかということについて、まず政府の所見を伺つておきたいと思います。
  133. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま風早君がいろいろな問題を政府が処理するのに、なぜだれにも断らずにやつたかというような御質問でございまするが、政府はもとより憲法、法律その他の命令、国内法規に準拠いたしまして、これらの事項をやつておるのでございまして、いずれも憲法に根拠を有しまするこれらの諸法律によつて、与えられた権限を行使しておるのであります。別にだれに断るという必要は、私どもはそれ以外にはない、こう信じております。
  134. 守島伍郎

    ○守島委員長 風早君、まだ質疑の通告がたくさんございますから、簡単に願います。
  135. 風早八十二

    風早委員 今のこれが第二点で、それの続きですから簡単にやります。大橋法務総裁になられたといつて、すべて問題を形式的な法律論で、しかもきわめて形式的な法律論で片づけられなくてもいいと思う。今実際に重大な時機に際会しておつて、われわれが実質的にこれらの問題、並びにそのやられることの影響ということを考えて、ひとつやつていただきたい。この外交白書がかつてに、一方的に、外務委員会でも全面講和、単独講和、この議論ははつきりしておらない、そのために委員数もふやそう、特別委員会を設けようというようなこともあつた。それを全然やらないでおいて、そして行政措置としてかつてにやつたということは、事重大な問題に関する限り、これは非常に責任があると思う。なおこの文書の中で、対日講和を遅らして来たのはソビエトであつて、ほかの旧敵国ではないというようなことが意思表示せられております。これははなはだしく事実をしいるものであるとわれわれは考える。ソビエト同盟は最初から一貫してポツダム宣言に基いて、全面講和ということを主張しておるが、またこのことは特に中ソ同盟条約の中で、はつきり公式に表明している。これはできないのだ、できないし、また向うがじやましておるのだというようなことは、はなはだしく事実をしいておる。この点について大橋法務総裁の御答弁を願いたいと思います。
  136. 太田一郎

    太田政府委員 「戦後日本移りかわり」に書いてありますことは、総理大臣兼外務大臣が施政方針の演説の中でもたびたび言われたところを敷衍して説明してあるのでありまして、客観的国際情勢というものを一般によく了解していただくということは、これは外務省に認められた権限である、そういうふうに考えております。  それから、第二点の御質問については、これは各人の解釈は各人のかつてでありますが、私どもは断じて今までの客観的情勢からそう思つていない、ですからそういうふうに書いたのであります。
  137. 守島伍郎

    ○守島委員長 ごく簡単に願います。ほかの方もたくさんございますから……。
  138. 風早八十二

    風早委員 わかりました。先ほど関連質問をみな控えておりましたので……。
  139. 守島伍郎

    ○守島委員長 風早君に申し上げますが、皆さんたくさん残つておりますので、あなただけに時間を差上げるわけには行きませんので……。
  140. 風早八十二

    風早委員 それでは一言だけ申し上げておきますが、こういう外交白書をせつかく政府が出されたのですが、これがやはり国民のわれわれとしてはなはだ迷惑千万であるということは、これに対してさつそく国際的な非常な悪い反響があるのです。たとえば英国の外務省あたりでも、六月二日の通信によれば、やはりこれは危険なものであつて、こういう問題は全連合国のみが決定し得る問題であるという警告を発しておる。世界の何十億の人民が一致してポツダム宣言に基く日本の非軍事化、民主化の徹底ということを要求しておる。平和民主主義日本の建設ということを要求しておる。こういう一致した要求というものに対して——これはわれわれまた国民の多数も同様に、これと相呼応して要求しておるのでありますが、これをかつてに蹂躙しておるという、こういう点がはなはだ問題であると考えます。英国の外務省のスポークスマンが、単独講和を拒否した声明の中で、こういうことを言つております。日本政府日本の独立を認める連合国との単独講和締結に調印する用意があると正式に発表したと伝えられるが、英国は他の連合国と離れたいかなる協定にも調印する意思はない、こういうことをはつきり言つております。これはやはり単独講和ということに対して英国自身が、西欧連合の大国である英国自身が、決して賛成しておらない、こういうことを十分に知り得るわけであります。なおこれに対しては、フイリピンのロムロ外相なども、口をきわめて非難しておる。フイリピンの新聞などもこれと軌を一にして非難しておる、こういつたような実情がある。日本全体に対するこういう印象を政府がかつてに与えるようなものを振りまわすということは、はなはだわれわれとしては迷惑千万だ。しかもこういうふうにして外国から総スカンを食いながら、結局一国にだけすがりついて行くという結果が、一体どうなるか、われわれは今日の朝鮮の戦局だけを言つておるわけではありません。しかしこれから一体こういう一方的な政府のやり方によつて日本が一体どうなる。この見通し政府は一体持つておられるのか。これについて外務省当局に一応承つておきたい。
  141. 草葉隆圓

    草葉政府委員 「戦後日本移りかわり」につきましては、最も正しく誠実に外務省の情報部が発表いたしたのでありますから、今後も正しき影響のあることと存じます。
  142. 守島伍郎

    ○守島委員長 皆さんに申し上げますが、実はさつき阿波丸の問題のときに仲内君から発言を求められておつたのでありますが、安本の方が来ておられませんから一時留保しておりましたが、今参りましたから、ごく簡単にお願いいたします。
  143. 仲内憲治

    ○仲内委員 先ほど阿波丸事件見舞金に関する法律案が本委員会において可決されたのでありますが、それに関連して去る第七国会において日本郵船会社から代船取得に対して援助せられたい旨の請願書が提出せられまして採択せられておつたのであります。その際本委員会の席上において、政府委員郵船会社が阿波丸の代船を建造する場合、見返り資金融資等の方法による適当な便宜を与えるよう考慮する旨を回答しておられたのであります。この点につきましては他の委員からも政府の注意を喚起し、外務省政府委員よりは一応の答弁があつたのでありますが、聞くところによりますと、郵船会社は本年度阿波丸代船として七千トン型の貨物船一隻を建造したい希望を明らかにし、その条件として建造費より見舞金額を差引いた金額に対し、二十年等額償還、金利年三分以下をもつて見返り資金より融資を受けられるよう当局に陳情しておる由であります。つきましては本法律案との関連におきまして、右の陳情は早急処理を要すると思うのでありますが、本年度見返り資金計画上この問題はいかに考慮せられておるのか、大蔵及び安本当局の御所見を承りたいと存じます。
  144. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 お答えいたします。国会請願採択の趣旨に沿いまして、見返り資金から出しますことと私ども方針を決定いたしまして折衝中であります。まだ私企業同士の中で使い方の決定に至らない分が六十三億ございますが、その中から御趣旨に沿つて善処するつもりでおります。但し金額と金利の問題につきましては、多少振合いの問題もありますので、部内でせつかく検討中であります。
  145. 守島伍郎

    ○守島委員長 山本君。  ちよつと申し上げますが、実は一時からこの部屋をあけなければなりません。会期末で大分各委員会とも込み合つておりますから、ごく簡単に五分間くらいでお願いします。
  146. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それでは委員長の御趣旨に沿いまして簡単に申し上げます。先ほど私の質問に対する答弁が保留されていた分があるのですが、その点をお答え願います。昨年あたりでは吉田総理もアメリカ以外の国の対日感情は必ずしもよくないということを繰返しておられた。ところが最近になりますと、ソ連中共等を除いては非常に日本に対する感情がいいから、そういう諸国と講和条約を結びたいといつたような意思表示があつた。ところが最近また朝鮮の動乱に対しては、日本から義勇軍を送るかどうかというような話があつたときに、これは先ほども法務総裁がおつしやつたように、送るべきではないように私ども思いますが、そういうような話があつたときに、朝鮮は、われわれの想像では非常に喜んで迎えるであろうと思うのに、朝鮮人の日本人に対する感情はきわめて悪いから、この際日本から義勇軍を送るということは考えものだというような意見も新聞紙上に報道されておつた。だからこの際米国を除いたその他の国々の日本に対する国際感情が、どういう点にあるかということをお知らせ願いたいという点であります。
  147. 太田一郎

    太田政府委員 お答えいたします。ただいまの問題は「戦後日本移りかわり」にも書いてありますところの自主権譲渡というような問題と同じように時間的要素の問題であります。すなわち大局論として、だんだん日本の非軍事化及び民主化が進みますにつれて、日本の自主と独立を認めてやろうという国の間においては空気がよくなつておると存じます。同時にこれは時間の問題であると同時に、程度の問題でありまして、日本側が与えましたところの被害、そういうものに応じていろいろの国によつて対日感情というものは違つております。     〔委員長退席、佐々木(盛)委員長代理着席〕  それからまた問題によりましても、神経を刺激する問題と割合に刺激しない問題があると思います。そういうふうにいろいろの要素がその中に含まれておるだろうと思いますが、大局論といたしましては、日本の非軍事化と民主化が進むにつれて、対日感情がよくなりつつあるということが言えると思いますが、しからばどういう国においてどういう問題について対日感情はどうかという具体的の問題になりますと、私どもといたしましては、新聞その他によるほか的確な情報を持つておりませんので、この際はお答えを差控えたい、こういうふうに考えます。
  148. 山本利壽

    ○山本(利)委員 長々と前置きを言われましたが、その程度はみな知つておるので、具体的なことを事務当局にお伺いして、そうしてわれわれは外交問題についてのいろいろな策を立てようというのでありますが、かんじんのその点についてはお逃げになりましたけれどもそれでは、われわれまことに困るのでありまして、もう終戦以来五年たつておる。それでその点についてなお感情が悪いという点は、はつきりしておかなければならないと思うのであります。一体各国の日本に対しての感情をよくするために、外務当局はどういうことをしておられるか、私は第七国会であつたと思いますが、予算委員会において吉田総理大臣に向つてその外交問題について、とかくアメリカに向つてはいろいろな使節が送られる。政治家も送られればスポーツマンも送られる。いろいろな点においてその都度日本に対する感情は好転しつつある。他の国々に対してもそういうようにすべきではないか。視察団を送り、そうしてその国々に与えた日本人の被害状況が、どういう程度であるかということを知ることも、われわれの反省する材料になる。その国の復興状況を見て来ることも日本の復興に資することてある。また日本終戦以後においては、ほんとうに民主主義あるいは文化主義の国家としてあらゆる点から努力しつつあるということを、国民の代表としてその土地へ行つて言うて来る。しかもその土地の為政者の首脳部に会うて、そのことを申し上げるということが対日感情を緩和し、今後の日本に対する感情を有利にすることである。だからそういう方面に向つてあらゆる面からの使節を送るようにしたらどうかというような発言をいたしたのであります。吉田総理も山本議員の御意見には非常に同感であるということを言われたのでありますが、その後一体そういう点についての努力をしておられるのか。何もしないでさつぱり自分たちはわからないと手をこまねいておられるのか、事務当局にこれらの点に対する御努力についての御報告を承りたい。
  149. 太田一郎

    太田政府委員 御承知の通り日本人海外に出かけますのは今日の占領下におきましては、連合軍最高司令官の了解を求めるわけであります。それからまた同時に行きます国が、日本人を入れてくれるかどうかという問題もあります。それからまた行つて見まして無事に帰れるかどうかというようなことも考えなければならないと思います。そういうような点でいろいろの制約がありますが、たとえば在外事務所の例をとつてみますと、これはたびたび私どもから御説明いたしました通り、アメリカに五つの在外公館ができた。それはアメリカが置いてもよろしいということで置いているわけであります。そういうふうにしてまずアメリカに在外事務所ができましたならば、引続き今度は日本在外事務所を自分の所に置いてやろうという国に交渉しているわけでありまして、そういうような国々がだんだんとふえて来ている。すなわち一挙にどこの国へでも在外事務所を出すということはできないのであります。要するにそういう在外事務所を出して、日本との貿易を促進し、また日本のいろいろな事情を聞きたいという国に対して順次出している。そうしてその数をふやして行く。こういうふうにあらゆる努力をいたしているわけであります。
  150. 山本利壽

    ○山本(利)委員 今の御答弁考えますことは、日本の外交はよい方面に向つて積極的でなければならぬ。在外事務所が漸次設置せられるということは喜ぶべきことであるけれども、向うさんからうちにも置いてよかろうと言われたところに置くという程度でなくて、われわれの方からここには必要だと思うところへ、どんどん置いてもらいたいという働きかけをしておられるのかどうか。そしてそういう場合に、いや自分の国では対日感情が悪いんだ、お前はまだ置くわけに行かないというならば、それではその対日感情の悪い点、日本に対して五年もたつてまだ悪い点は、どういうところにあるかということを一々折衝して行くのが、私は事務当局の任務であると思う。そういう点に対しての努力がなされつつあるのかどうかということを承りたいのであります。
  151. 太田一郎

    太田政府委員 今外交権がありませんから、直接その国に対してお話のようなことを願うということは、まだその運びになつておりませんが、われわれといたしましては、貿易増進、それから日本人の保護というような見地から、アメリカ以外にこういうところに置いたならば、日本の貿易増進にもなるし、また日本人の保護にもなるというような点につきましては、十分検討いたしまして、具体的にこういうところに置いてほしいということを総司令部を通じて熱心に話している状態であります。
  152. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それでは私は非常に不満足な答弁であると思いますが、われわれは一生懸命外交問題について研究しつつあるものでありますから、一々マツカーサー司令部を通じて御照会になりましたことについて、連合軍司令部はどういう答弁をするのか、具体的な事実をここにいろいろお調べになりまして、われわれに許される範囲内において御報告願いたい。これで打切ります。
  153. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員長代理 小川半次君。
  154. 小川半次

    ○小川(半)委員 私は重要な問題を二点だけごく簡単に結論を申し上げまして、政府の立場を明らかにしておきたいと思います。先ほどから自衛権の発動と時期に対する政府答弁を聞いておりますと、政府の立場が非常に不明確であります。何と申しますか、態度あいまいなる答弁をしておられますが、こういうことは非常に誤解を招きますから、この点を明らかにしておかなければならぬと思います。自衛権に対する不正行為とかあるいは不正侵略の判定というものは、現下の国際社会においては国際連合の判定にまつ以外に方法はないと私は解釈している。政府自身もおそらくそういう答弁をすることが最も日本政府の立場として正しいのではないかと私は思つているのですが、先ほどからの政府答弁は非常にあいまいでならないのですが、この点重要な問題ですから、はつきりしておかなければならぬと思います。
  155. 太田一郎

    太田政府委員 いかなる事態が不正の侵害であるかというようなことは、その侵害が具体的に起つてみないとわかりませんが、今までの通念としては、もしそういう事態が起つた場合に、それを判定するのは、その被害を受けた国が判定するものであろうと考えております。但しその場合に世界の公正な与論がそれは行き過ぎであるというふうなことのないように、先ほど法務総裁が言われました通りに、常識から考えて行き過ぎだというような国際の与論が起らないようにしなければならぬことは当然なことであろうと思います。なおこれはたびたび申し上げましたが、日本の安全保障というようなものにつきましては、結局今度の朝鮮事件に対して国際連合がとつた措置が、一つの示唆を与えるものではないかと思うのでありまして、今回の北鮮軍の行動に対しては、国際連合におきましては、これは北鮮軍が先に侵害したものである。こういうふうに判定いたしまして、必要な措置をとつている。こういうふうに考えます。
  156. 小川半次

    ○小川(半)委員 あなたのその自衛権の考え方は私は非常に誤解を受けるおそれがあると思うのです。だからここで自衛権の問題が重要になつて来るのですが、たとえば国対国の争いの場合、向うが非常に不正侵略して来たとか、受ける方はそう解釈しますけれども、攻めて行く国としては、そうじやなくして自分たちの方は自衛権の発動を行つたのである。お前の方が挑戦して来たからおれの方は自衛権の発動をしたのだ、こういう水かけ論になりますと、どちらが自衛権の発動をしたか、どちらが侵害したのかわからぬことになります。少くとも自衛権の発動ということは、現下の情勢においては国際連合の判定にまつよりほかにない。日本はこの立場を堅持しなければならぬ。あなたの説から言いますと、自衛権の発動に名をかりて侵略行為、戦争行為を行うことができるという解釈になつて来る。要するに国際連合の判定をまつことがあなたはよくないとおつしやるのですか。これが一番正しいじやないですか。
  157. 西村熊雄

    西村政府委員 小川委員から提起された問題は、国際連合憲章それ自身が五十一条で回答を与えているわけであります。この憲章のいかなる規定も、国際連合の加盟国に対して、武力攻撃が発生した場合において、安全保障理事会が国際平和及び安全を維持するに必要なる措置をとるに至るまでの、個別的または集団的な固有の自衛権を害するものではないというようにありまして、自衛権を発生する場合があるかいなかということは、被害を受けた国の判定にまつべきものでありまして、その国以外の第三者の機関によつて発動し得べきような性質の件ではないということを御了解願いたいと思います。
  158. 小川半次

    ○小川(半)委員 それじや自衛権に名をかりて侵略行為が将来も行われると思うのですが、そういう場合にも国際連合というものは発動の権利はないのですか。あなたのその条文で行きますと……。
  159. 西村熊雄

    西村政府委員 そういうふうな事変が起りまして、自衛権と称してある行為を発動した加盟国は、すぐ安全保障理事会に通告をしなければならないということになつております。そうして安全保障理事会がその通告を受けてある一定の措置、第六章または第七章によつて規定された措置を発動したときは、自衛権の発動は停止しなければならない、こういうことになつておりますので、御懸念のような事態は生じないのであります。
  160. 小川半次

    ○小川(半)委員 それではその点は了承いたします。  次に大橋法務総裁に再確認をしておかなければならぬと思うのですが、この間の本委員会において、大橋法務総裁は、自衛権の発動の場合は、義勇軍の可能性も認めることができるという御答弁で、きようはそれを訂正されまして、自衛権の発動の場合といえども、わが国においては憲法の精神上、義勇軍を認めることができないという御答弁ですか、これを再確認してよろしいですが。私はこうあるべきが憲法の立場上当然であると思います。要するに自衛権の発動の場合といえども、わが国においては義勇軍は認めることができないというのが、わが国の憲法の精神だ、私はかように解釈しております。
  161. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 小川君の御質問は、先般私の答えましたところ、多少重要なる部分において聞き漏らされた結果ではないかと思いまするが、私の申し上げましたのは、自衛権というものは、元来国際法上の観念である。従つて国内法において許される限りにおいては、国際法上自衛権の認められる場合に、その自衛権の行使方法については、国際法において特別の制限がないから、従つて義勇軍というような措置も許され得るであろう。こういうことを申しました。これはあくまでも国際法上の問題でありまするから、私は国際法上許されるであろうということをお答えいたしたわけであります。     〔佐々木(盛)委員長代理退席、委員長着席〕  今日は憲法上の御質問でございまするから、憲法上の問題といたしましては、この義勇軍というものの実態が、政府において戦力と認められるようなものを保持する状態になるとすれば、それは憲法第九条によつて許されないことである。しかしながらその程度に達せざる場合においては、憲法上の問題を生ずる余地はないということは明らかであります。このことをお答えいたしたのであります。
  162. 小川半次

    ○小川(半)委員 要するに軍備とか、兵器を持たない場合でも、義勇軍と名のつく場合は、これは私は認めるべきものではない。かように私は解釈しております。
  163. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私のお答えいたしましたのは、義勇軍と一概に申しましても、その装備その他の点から見まして、これが憲法第九条にいわゆる陸海空軍その他の戦力を保持するものであるかどうかという段階に達しておるかどうかによつて、憲法上許されるか、許されないかということがきまるべきものである。こういうふうにお答えをいたしたわけであります。
  164. 北澤直吉

    ○北澤委員 時間もありませんから、一点だけ政府に明らかにしておきたいと思うのであります。それは先ほど並木委員からの質問は、日本の安全をどうする、講和条約締結までの占領下における安全保障を講和締結後の日本の安全保障をどうするかという質問でありまして、これに対して外務次官からは、占領下においては占領軍が日本の安全を保障する。それから講和条約ができまして、占領がなくなつたあとにおいては、今回の朝鮮事件に対する国際連合措置から見れば将来は国際連合の集団的な安全保障、これに依存するようになるだろうというふうな御答弁であつたと思うのでありますが、今回の朝鮮事件に対する国際連合の安全保障理事会の設置は、たまたまソ連が欠席した、ことしの一月以来ソ連が安全保障理事会をボイコツトしてそれができなかつた従つてソ連は拒否権を行使することがなかつた従つてソ連の欠席で安全保障理事会がああいう決定をして安全保障理事会の決議となつたのであります。ところがきのうあたりの新聞によりますと、ソ連はまた安全保障理事会に帰つて来て、八月から安全保障理事会の議長になるということになると、将来もし安全保障理事会が行動をとる場合には、ソ連は自己の見るところによつて拒否権を行使することがあると思うのであります。そうしますと、万が一将来こういう事変が日本関係して起つた場合、もしソ連がこの拒否権を行使する場合は、安全保障理事会は今回の朝鮮事件にとつたような行動をとることになると思う。従つてそういうふうにもし将来ソ連が安全保障理事会において拒否権を行使するという前提に立つて、しからば日本はいかにして安全保障をするかということをはつきり御答弁を願いたいと思うのであります。
  165. 西村熊雄

    西村政府委員 ただいま北澤議員の御指摘になりました点は、まことに同感の点でございます。でありますから私どもといたしましては、日本の安全保障という問題を考える場合に、大原則は、国際連合憲章による保障を受ける。それに対して応分の義務を果すと同時に、その大原則のもとに、いわゆる平和愛好諸国との間に、国際連合憲章の精神に従う集団的安全保障態勢というもののうちに、日本の安全を求むべきものではなかろうか、こう考えておるのであります。
  166. 風早八十二

    風早委員 今の政府答弁はさつきのとは少し矛盾していますが、今のような場合があるから、全面講和、單独講和という、この問題ですね。あなたは今平和愛好諸国と言われましたが、平和愛好諸国というものを何かどれとどれというふうにきめておられるのですか。その点をあらかじめ伺つておきたい。
  167. 西村熊雄

    西村政府委員 平和愛好国というのは、憲章第一条、第四条で使つております平和愛好国というふうに解釈していただきたい。
  168. 風早八十二

    風早委員 平和愛好国でない国を具体的にあげていただきたい。いずれにしてもそういう次第であるから、外交白書のようなものをかつてに出されたということが、今の北澤さんの質問に対しても答弁のできないようなそういう状況に実際追い込んでおるわけです。そう状況がすぐ来るのです。そういう場合のことを考えて、もう少し慎重にやつてもらいたい。外交白書のようなものは早く撤回してもらいたいのです。
  169. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後一時八分散会      ————◇—————