運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-11-18 第8回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十八日(土曜日)     午後一時五十分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 足立 篤郎君 理事 池見 茂隆君       青柳 一郎君    伊藤 郷一君       小川 平二君    門脇勝太郎君       菊池 義郎君    佐々木秀世君       佐々木盛雄君    玉置 信一君       藤枝 泉介君    細田 榮藏君       南  好雄君    堤 ツルヨ君  委員外出席者         外務事務官         (管理局引揚課         長)      武野 義治君         大蔵事務官   小島 一郎君         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局援護課長) 山本淺太郎君         厚生事務官         (引揚援護庁復         員局業務課長) 井上 義弘君         厚生事務官         (引揚援護庁復         員局経理部長) 白井  勲君         建設事務官   川島  博君     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中審査事件報告書に関する件  中共地区残留胞引揚促進に関する件  未復員者給与法に関する件  引揚者定着援護に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 会議を開きます。  これより中共地区残留胞引揚に関する件、未復員者給与法に関する件、引揚者定着援護に関する件、以上一括議題として議事を進めて行きますが、本日までの審議経過につきまして、まず委員長より各件について順次御説明申し上げます。  中共地区残留胞引揚促進の件につきましては、去る十月十九日及び三十一日に外務省引揚援護庁初め各関係当局並びに特に最近における中共地区よりの個別引揚者四名、及び留守家族団体等民間団体代表者の御出席をいただきまして、中共地区抑留同胞引揚げ促進のため、種々きわめて熱心に御審議を煩わした次第であります。以上総合いたしてみましたる点を委員長より一言申し上げます。  まず中共地区に抑留せられておる同胞推定でありますが、これについては各参考人推定数並びに確実に把握したといわれる数もまちまちでありまして、的確な数字の把握は不可能であり、一概に推定するというのも困難ではないかと思いますが、相当数残留者がいることが想像されるのであります。  次にこれら抑留同胞生活状況であります。軍政府関係留用者は苦しいながらも一応の生活は成り立つているようでありますが、それ以外の者の生活は、さらにそれ以下であり、わけても流浪している難民、婦女子の生活はまつたく想像に絶するものがあると考えられます。今日一般的にこの人々帰国に対する希求は、抑留者全部にわたつて非常に強いのであり、それは必ずしも生活上の問題からのみでなく、たとえば最も生活が安定している人といえども子女の教育と将来とをおもんぱかつて、日本人としての生活に返るべく、一刻も早く祖国に帰国することを希望しているものであり、これは当然のことと考えられます。しからばこれらの人々帰還に関する見通しと、その方法可能性についてどうであろうかという問題であります。第一に考うべきことは、集団引揚げ、すなわち全抑留者中共政府によつて正式に帰還せしめられる方法であります。これについては政府当局は十分の努力をしていると、当日出席政府委員より言明がありましたが、この点は現在の朝鮮事件進行、国連における捕虜引揚げ問題討議進行等、種々国際情勢の推移を見ねば軽々に結論は下せないのであり、現在までの経緯にかんがみると、早急なる集団引揚げはきわめて困難なる状態にあるのではないかと考えられるのであります。しかしながら中共当局側の一部には、全面的に帰国せしめるの意向ありやにうかがわれるので、政府はもとより、われわれといたしましてもあらゆる手段を講ずべきことは当然のことであります。もつとも根本的には、海外抑留同胞救出国民運動展開等による国民の本問題に関する関心を高めることであり、さらに中共政府を承認せる英印等の各国を通じての働きかけとか、毛主席に対する懇請状発送等各種方法があると思われるのであります。  次に個別引揚げでありますが、昭和二十二年春、同地区よりの集団引揚げが杜絶してより後、昨年九、十月の大連よりの引揚げを除く個別引揚者は、現在までにおよそ三百名を数えるのであり、さらに外務省調査によれば、なお相当数の者が旅費さえあれば帰国され得る状態にある旨の通信が、その家族に寄せられておるとのことであり、さらに各参考人の言によれば、適切な方法をさえ講ずれば、個別帰還の許可をとり得る状態にあるにもかかわらず、一般にはその方法すら知らざる者が大部分であるようであります。これら個別引揚げについて、政府当局はむしろこれを取上げることは集団引揚げが阻害せられるから、取上げぬ方がよいとの見解をとつているようでありますが、しかしながら現在の段階では、小規模ではありますが、個別引揚げ可能性は濃厚であると思われるので、何らかの手を打てば帰還せしめ得る人人を目前に置き、引揚げ促進方法についてただ原則的集団引揚げのみを考慮するということは、当を得た方策とは言えぬように考えられるのであります。この面で最大の隘路となつておるのは旅費の問題で、これが解決のためには何らかの方途を緊急に講ずる必要があろうかと考えられ得るのであります。大体以上のような点が前二回の委員会において明白にされた点であります。  次に未復員者給与法改正に関する小委員会におきましての未復員者給与法の一部を改正する法律案起草経過概要について、御報告をいたしたいと思います。去る十月四日、未復員者給与法改正に関する小委員会が設置せられ、本委員会としてかねてより懸案でありました、この法律の一部改正についての立案が付託せられまして、ただちにこれが審議を開始し、今日までその立案に鋭意力を注ぎ、愼重審議の結果、ただいまお手もとに配付いたしてあります通らの小委員会としての法律案起草を終了したのであります。この間小委員会を開きますこと二回、私が小委員長を兼任することになり、第一回の小委員会におきまして決定した改正の点につき、政府当局折衝を進めたのであります。その改正要点は、先般も中間的に報告いたしましたが、俸給月額三百円を千円とすること、遺骨引取経費千七百円を二千二百円とすること、遺骨埋葬費千五百円を三千円とすること、及び恩給を受けた後、病気を再発して療養を必要とするに至つた引揚げ患者療養を受け得るようにすることでありました。未復員者俸給は現在月額三百円となつており、これは先般の改正により百円より三百円に増額されたのでありますが、この三百円も、現下の経済事情より考えますればきわめて低額で、あまりにも未復員者に対する措置としては当を失すると思われるとともに、各地方公共団体並びにるす家族改正要望の声より、でき得れば公務員の給与ベースと対応した三千円程度増額を考えたのでありますが、予算等関係より見て、千円に落ちついたのであります。遺骨引取経費千七百円を二千二百円に増額するについては異論がなく、遺骨埋葬費については、千五百円では葬儀費としてはこれがまかない得ない状態で、政府当局との折衝を行いまして、予算上三千円が妥当であるという意見決定したもので、この間交渉の過程におきましては、他の意見もあつたのであります。  なお傷害給与については、障害一時金の給与を受けた者につき、三年以内に傷害程度が増進したとき、傷害一時金の過超支給の規定を設けること、療養については、同一の疾病または負傷が再発した場合、療養を受け得るように規定を改めることについての件は慎重に検討いたし、また大蔵省当局並びに引揚援護庁ともども考究を続け、これについては改正に及ばずとの意見もあり、現在のままで解決を得るとの見通しができましたので、一応これには手を加えぬということになつた次第であります。  以上予算並びに各種事情の許す限り、三点における金額につき、おもに改正の具体的な折衝立案が進められ、かくのごとき法律案の作成に至つたのであります。さらに同じ趣旨をもつてこれにつき審議を進めております参議院側とも数度にわたり打合せ及び連絡をいたして参り、その慎重を期したつもりでおります。  なお、あとでこの法律案については皆様の慎重なる御審議、御検討を願うことといたしまして、はなはだ概観的ではありますが、小委員会立案経過並びにその要点についての、小委員長といたしましての報告を終ります。  次に引揚者定着援護に関する件につきまして、引揚者住宅問題について八月三十一日に引揚援護庁田邊援護局長並びに経済安定本部今泉建設交通局次長より詳細にわたつて説明を聴取し、また九月五日より十日間九州、中国地方へ、九月十日より十日間東北、中部、近畿地方へそれぞれ委員を派遣いたしまして、定着援護全般にわたる実践を調査いたし、その調査結果の詳細なる派遣委員各位の御報告が十月三日及び四日の本委員会において行われたのであります。その後この調査報告を総合いたしまして、引揚者住宅問題については早急に解決対策の樹立を必要とすると考えまして、特に十月二十日この問題について再び引揚援護庁大蔵省経済安定本部建設省当局よりその説明を聴取し、すみやかなる結論を得べくその結果をとりまとめつつおりましたが、その結論を出すについては、臨時国会の召集を二十一日に控えまして困難であると思いますので、一応前回の委員会までに現われました問題の点をまとめて報告いたし、この問題の解決に少しでも近づけておきたいと思うのであります。  まず引揚者住宅問題でありますが、全国的に見て各地とも相当住宅は困窮しておりまして、引揚者であつても今日もなお学校、公会堂、国立病院隔離病舎等公設施設に一時收容されたまま、あるいは神社、仏閣、壕舎、仮小屋、物置き等、本来の住宅以外の場所に仮住している者、及び同居、間借りの形でいる者、やむを得ぬ事情のために立退きを追られている者等、合せますと約六十万が極度に住宅に困窮して、ただわすかに雨露をしのぐという状態でありまして、各地としてもこれを收容すべき何らの施設さえ今や余地のないことは察するにあまりあるものがあり、このままかかる状態で放置することは許されぬことで、ことに生活の基盤を持たない多数の引揚者については、生活の不安定を来すと同時に、社会上、人権上より大きな問題を起すことは必然となるであろうと思われます。引揚者集団收容施設につきましては、この中にすでに腐朽に近く、大規模補修か、あるいはむしろ疎開を必要とするものがあり、約二万世帯が疎開を要するもので、現在このうちさしせまつた状況にある住宅が四千世帯あり、悲惨な状態の中に生活して、ある所では一家全部が結核患者になり、病院に收容されておるということが派遣委員報告中にもありまして、厚生上放置できぬ事態に至つており、今後住宅政策に関しまして、厚生社会政策という面をさらに強く打出して行かなければならないと思うものであります。本年度五億円の予算は、本年度中に帰つて来る引揚者に対して新築される予算でありますが、現在までほとんど帰国のない状態でありますので、既引揚者をこれに收容することになりましたのですが、これが約三万七千人を收容し得るもので、現在工事が進行しておるのであります。もちろん既引揚者中には約五十一万人が昭和二十四年度までに国で設けました施設に收容されておるのでありまして、これらの住宅、主として七坪程度個別住宅に入つておる者は、他より生活の安定を得ておる者が多いので、ぜひともこれらの厚生住宅に悲惨な状態にある者を收容したいと思うのであります。  次に住宅補修について調査いたしましたところが、現在七百六十三施設に上る補修を要するものが既設の引揚者收容施設中にありまして、これも年年その破損箇所がふえ、弱つた住宅が多々あり、これに加え、過般のジエーン台風キジア台風及びその他風水害による損害を見積れば、相当補修の度が加重されると見なければなりません。このことは先般の派遣委員報告に実態が詳細にわたつて述べられてある通りであり、各地要望は痛切で、ぜひこれが対策の早急を要するものと考える次第であります。  以上大体におきまして引揚者住宅問題について取上げられる状況概要でありますが、先般も中間報告で申し上げました通り、この状況に対しては本年度内にさしあたつて引揚者集団住宅疎開補修をとり急ぎ実施するため、二十五年度補正予算中に補修一億八千万円、疎開一億五千万円、合計三億三千万円が見込まれるようになつております。しかしこれをもつてしても老朽の建物及び風水害による損害を合せれば、いまだその補修疎開に事を欠く状態相当補正予算増額をいたさねばならぬのであろうと思います。なおぜひとも明年度においてはより多く予算中に盛り込まれることを希望しているものであります。委員会といたしましては、以上申し上げましたごとく、現在までの調査基礎として積極的にその具体策促進に力を尽し、各地要望にも沿いたいと念願いたしておるのであります。  以上で大体御報告終つたのでありますが、この御報告に基きまして質疑に入りたいと思います。御出席なつている政府当局方々外務省管理局引揚課長武野義治引揚援護庁復員局業務課長井上義弘大蔵省給与課小島事務官建設省住宅局川島事務官でありますので、以上御報告の三件に関しまして質疑のある方は御発言を願いたいと思います。
  3. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいま懸案につきましてるる委員長から御報告がありまして、大体今その内容を了承したわけでありまするが、未復員者給与法の一部を改正する法律案は、小委員会において慎重に審議されたものでありまして、この内容によつて委員会においてこれが法律化するようにしかるべく御手配賜わりたい、こう考えます。この小委員会決定案に対して委員会としてこれに全面的に賛成するものであります。  なお引揚者住宅問題につきましては、先般行われました各地委員視察報告によつて見ましても、きわめて現在悲惨な状態でありまして、速急にこれらに対しまして相当大巾対策を講ずべきであるということは、これは議論の余地のないところであります。住宅問題は国民全体の問題でありまするが、特に経済的基礎のない引揚者等に対する場合は、国家としましては一般国民に率先して、これらの方々の難境を打開すべきであるとこう考えますが、昭和二十六年度予算が現に政府において編成されつつあるのでありますが、この現在の編成されつつある予算に対して、政府当局はこの引揚者に対してどういつたような金額を今配置されておるかということを政府委員方々にお伺いいたしたいと思います。  なお中共地区引揚げ問題につきましては、先般も引揚者方々のいろいろのお話伺つたのでありますが、現在残つておる方々数字等につきましても、大分見解によつて巾があるのでございます。現在の情勢からいいまして、政府としましても、これに対して今後いかように具体的な方途を講ずるかということにつきましても相当至難な事情があるということは十分に察しられるのでありますが、どうもちよつと現在これらの方途が漠然としておるきらいがあります。もう少し積極的に、具体的に方法を講じてもらいたいということを、おそらくこれは国民すべての人がそういうことを希望しておると存じます。それらにつきまして政府の方で具体的に、どういうぐあいに、考えておられるかということも、この機会にあわせてお伺いいたしたいと思います。
  4. 川島博

    川島説明員 二十六年度住宅問題について、政府はどういう予算を組んでおるかというお尋ねでありますが、建設省といたしましては、当初経済安定本部並びに大蔵省に対しまして要求いたしました数字といたしましては、大体戸数にいたしまして七万戸、金額にいたしまして百六億円ばかりの国庫補助公営庶民住宅予算要求いたしたのであります。この要求に対しましては、経済安定本部並びに大蔵省におきまして種々検討されまして、まだ具体的な結論は出ておらないようでありますが、大体お聞きするところによりますと、経済安定本部におきましては、ただいまの千六十億の公共事業予算わくにおきましては、五十一億円というものが大体住宅に向けられる予算として今内定を見ておるというお話を聞いております。この五十一億案によりますれば、国庫補助住宅は三万七千六十戸を建つという計画なつております。この三万七千六十戸の計画の中には、もちろん木造住宅以外に、鉄筋コンクリート住宅、あるいはコンクリート・ブロツク造住宅が含まれておるわけでありますが、このうち木造住宅について申し上げますると、約二万六千戸程度建てたい、そのうち従来は大体十坪平均ということで一律の規模住宅を建てておつたのでありますが、二十六年度におきましては、これを甲乙丙と三つの形にわけまして、それぞれ一戸当りの坪数を八坪、十坪、十二坪、この三種にわけるような意向に関しておるのであります。もちろんこれらの住宅規模に差を設けましたゆえんは、この国庫補助庶民住宅入居することを希望する国民の階層の中にも、その家賃負担能力いろいろ差がありますので、その家賃負担能力限界と申しますか、程度に応じまして、八坪、十坪、十二坪というふうにわけまして、比較的所得の少く、従つて家賃負担能力のない者については八坪の住宅に入れさせる、比較的收入が多くて家賃負担能力も多いと思われる者は、一番大きな十二坪の住宅に收容するということで、この木造住宅規模を三段階にわかつたというように聞いております。しかしながらこの案はまだ安本の事務当局の試案でありまして、まだ確定を見ておらないというように聞いております。もちろん建設省といたしましては、もしこの案が実現いたしますれば、いわゆるこの中の甲型住宅と申しますのは八坪の住宅でありまして、従いましてこの住宅につきましては家賃相当安くいたしたい、高くても五百円を上まわることはないと思うのでありますが、もしこの五百円内外に家賃がきまるということになりますれば、当然引揚者戦災者、その他のいわゆる低額所得者方々入居希望にも応じられることになるのではないかと考えておるのであります。大体以上であります。
  5. 若林義孝

    若林委員長 なおこの問題について引揚援護庁援護課長山本淺太郎君が御出席なつておりますから、厚生省住宅のお世話を願つております立場から御説明を願います。
  6. 山本淺太郎

    山本説明員 厚生住宅につきましては、ただいま建設省の方から御意見が出ましたが、厚生省では、実は私の方ではなく、社会局でやつておるのでありますけれども、便宜私から知つておる限りのことを申し上げます。  ただいまお話のありましたようなことで、建設省厚生省経済安定本部、寄り寄り話を進めておるのでありますが、ただいまお話がありました通り、現在までのところでは最終的な段階には至つておりません。ただ私の方といたしましては、内閣に引揚同胞対策審議会というものがありまして、この審議会で、七月十日に、現行庶民住宅では家賃の額があまりに高過ぎて、引揚者住宅に困窮しておるものの解決にはならない、従つて早急に低額家賃公営住宅をつくらなければならないという決議をせられた次第もありますので、厚生省社会局と協同いたしまして、いろいろ資料を持ち寄り話を進めておりますが、その所管がいずれになるということはともあれ、ともかく低家賃住宅がたくさんに、しかも速急にできるということがわれわれの念願であります。従つて建設省所管になりましても、厚生省意向が十分にこの住宅建設、運営に反映するような仕組みをとつて行きたいということで、細部につきましては今後さらに建設省に具体的な意見を申し入れるということになつております。これは先ほどお話のありましたように、單に引揚者だけではありませんが、相当引揚者がその対象として、この住宅恩恵に浴することを期待しておるのであります。  次に本年度まで継続せられております一般の純粹の引揚者住宅でございますが、これにつきましては、現在安定本部と話が進んでおります段階では、本年と同様の戸数、すなわち七千五百戸程度で、五億円程度を計上してもらうように現在話が進んでおります。なお御指摘のように、集団住宅の中には相当ひどいのがたくさんあるのでありまして、これにつきましての疎開経費要求いたしたのでありますが、これは当初予算において見ることは困難であるということでございます。今年度も先ほど委員長からお話のありました通り補修並びに疎開について大蔵予算補正措置をとつて参つたのでありますが、われわれといたしましては、明年度何らかの形において同様の措置をやるべく努力するつもりでおるのであります。
  7. 門脇勝太郎

    門脇委員 先ほど建設省の方の御説明によりますと、本年度千六十億円の公共事業費わくの中で、三万七千六十戸の庶民住宅が建つということでありましたが、この中で引揚者用というようなわくがとういう関係なつているかということをちよつと聞き落しましたのですが、ただに庶民住宅ということは、これは引揚者ということの区別がないように感じます。引揚者はこのうちどういつたようなことに扱われるかという、一つの法規上の限界を伺いたいと思います。  なおこの引揚者住宅所管が、従来の厚生省から建設省の方に移管されるようなお話を今承つたのでありますが、これは今年七千五百戸、五億円の予算でできた、また引続き来年度もそういうような予定だという引揚者住宅が、全面的に建設省の方に移管されるという意味であるか、もう一ぺんそこのところを両方からお伺いしたい。
  8. 山本淺太郎

    山本説明員 引揚者住宅には、もう御承知と思いますが、新規に帰つて来ます引揚者を受入れるために、本年七千五百戸といつたような純粹の新規引揚者を受入れる住宅がございます。これは従来も引揚援護庁でやり、将来も引揚援護庁がやる。それから元の軍兵舎等を改造しました集団收容施設がございますが、これは従来引揚援護庁がやり、今後も引揚援護庁がやるものでございます。ところが既往の引揚者の中では、これらの住宅恩恵に浴し得ないで住宅に困つておる者がたくさんあるわけでございます。これらの者につきましては、能力のあります者は、また抽籤等入戸のチャンスを得られる者につきましては、引揚者でも庶民住宅に入つておるわけでございますが、大部分引揚者にとりましては、現行庶民住宅では家賃が高過ぎて入り切れない、従つてもつと安いところの住宅をつくつてもらいたいというのが、厚生省経済安定本部に対する要求であつたのであります。一方これをわれわれは厚生住宅と仮称しておつたのでありますが、たまたま建設省の方からも、現行庶民住宅では非常に家賃が高いので、引揚者その他戦災者一般国民相当下層の多数の入戸希望者には、恩恵が事実上まわらないという点に着目せられまして、安い家賃公営住宅をお考えになつたわけです。従つてそれは引揚者ばかりでなく、その他の一般住宅困窮者対象にせられるものでありますから、引揚者対象とした住宅とは言い切れないと思います。しかし事実上住宅に困つておる者の中には引揚者相当多いわけでありますので、実際入戸する者の中には引揚者相当入るということを期待し、特に厚生省から出しました案には、入居決定をするにあたりましては、相当詳細な入居基準を設けまして、具体的にだれを入れるかというような場合には、最も住宅に困窮しており、かつそのような住宅に優先で入れなければならないというものを詳細に検討した上で入居せしめるという、社会福祉をねらいとした施設として考えておつたのであります。  それから今御質問のような、住宅行政を新たに建設省に移管するというような事実はないのでありまして、従来引揚援護庁のやつて来た住宅施策では十分ではない、従つてそれの補いを量的にするという意味におきまして、建設省意見が提出され、その案がもし通りますれば、厚生省としても相当の発言権を持ちまして、どこに何戸建てるとか、あるいはどういう人を入れるとか、あるいはどういう家賃にするとか管理にするとかいう点について、十分厚生省意向が通るような仕組でやつてもらうべく、現在事務当局の間で交渉しておるという状況でございます。
  9. 川島博

    川島説明員 ただいま木造住宅については、引揚者を特別に考えておるかどうかというお話でありまして、厚生省の方から御答弁がありましたが、補足して御説明申し上げますと、それらの木造住宅の八坪、十坪、十二坪という三つの型の内訳は、八坪住宅が五千二百戸、十坪住宅が一万五千六百六十戸、十二坪住宅が五千二百戸、こういう内訳になつております。もちろん引揚者につきましては、おそらくこの八坪の五千二百戸という住宅に入られる方が多いと思われるのでありますが、私どもといたしましては、別に引揚者だから優先する、あるいは戦災者だから優先するという特別な方針はとりませんで、いやしくも一定の所得以下の低額所得者については、一様に八坪住宅への入居資格を認め、もしそれが建設戸数を上まわるという場合には、厳正なる抽籤によつて入居者を決定する、というふうに考えております。終戦当時は、建設省といたしましても、この入居資格の選定には、戦災者あるいは引揚者という特別のわくをも相当考慮に入れて参つたのでありますが、新規引揚者は別にいたしまして、定着した引揚者ないし戦災者と申しますは、終戦五箇年を経過した今日におきましては、特別に別わくを設けて扱う必要はない、それよりもむしろ入居希望者の個人の收入状態に従いまして、家賃負担能力というものを標準にいたしまして、家賃負担能力の点から入居者の選定の基準を求めたら一番合理的な入居選定方法になるのではないかと考えまして、ただいま申し上げましたような方法によりたいと考えておる次第であります。
  10. 門脇勝太郎

    門脇委員 どつちも非常に誠意のこもつた御親切な御答弁でありますが、厚生省の方のお話と、建設省の方のお話と、この場合ずれがあるようでありまして、別にそれをとやかく申し上げるほどのこともありませんがひとつ双方ともなるべく協調して、それは一般国民対象にされるのでありますから、困窮者ということがひとつの条件ではありまするが、特にこの引揚者等は従来内地に経済的な関連を持たぬものでありますからして、その点が精神的にもまた実質的にも一段と不遇なわけでありまして、十分こういうことには引揚援護庁あたりの意見もひとつ参酌されて、万事おとりきめを願いたいというように希望を申上げておきます。なお先刻申し上げました中共の引揚問題につきまして、いま少し具体的な方途がありましたならば、政府当局からお伺いしたい。
  11. 武野義治

    武野説明員 御質問のもつと積極的に具体的な方法はないかということに関しまして、いかにも御期待に沿うような御返事を申し上げたいところではございますけれども、従来私どもの政務次官がしばしば申されたように、中共からの引揚げについては、いろいろできるだけの方法を打つてやることにしておるし、またその努力をしておるという抽象的なお答えになつていたもので、さらにこれを敷衍して申し上げるという具体的なものはまだないのであります。御承知のようにわれわれが直接政府としての通信の自由もございませんので、総司令部に屡次懇請いたしまして、特に数万といわれておりまする引揚者集団引揚げについて、懇請して参つたわけでございます。この集団引揚げにつきましては、司令部の係官も非常に同情を示しまして、適当と考えられる方法によつて、確かに中共の当局に対して、こういつた日本側の希望が伝達されたものと私どもは推察しておるのであります。しかしながらそういつたことに対しまして、まだはたして中共側からどういう回答が与えられたかということについては、一切不明なのであります。私どもといたしましては、あるいはまだ中共の方は、何らの意思表示をしていないのではないかというふうに推測せざるを得ないのであります。司令部に協力されまして、確かにほかの連合国の方々も御努力はしておられるのだろうと思いますけれども、何ら具体的な成果は現在まで入手しておらないのであります。数につきましては、われわれ六万若干余の数を従来発表して参りましたけれども、巷間あるいは十三万、あるいはそれに近い数字を述べておりまして、なかなか捕捉することは困難でございまして、鋭意その残留者の氏名把握に努力しておりますけれども、なかなか外地のことでありますし、また限られた通信の関係から、十分には調査のしきれないうらみが現在もございます。しかしながらわれわれといたしましては、とにかく国内であらゆる具体的な資料を收集いたしまして、さらにそれが利用できまする段階においては、これを具体的に要求の条件の中に入れまして、引揚げ促進を懇請するという目標に向つて進んでおります。  もう一つは、現在われわれの非公式の代表が、国連の総会期間中滞在いたしておりますから、その審議が行われましたならば、あるいはどういう形になりますか、とにかくある程度報告をすることとなろうと思います。この報告並びに審議を通じまして、国際的に引揚げ促進の問題について世界的輿論、あるいは同情をお願いする。世界的な規模においてやはりこの問題も処理の促進をやつてもらう。日独のみならず、方々の国の捕虜がまだ各国にはあるようでありまして、数多い日本、ドイツは一緒にいたしまして、全体の問題として取上げられるのではないかと思いますが、とにかくこうした国際機関の審議を通じまして、この問題が一つでも具体的に、積極的に進められることを、われわれは確信しつつあるものでございます。現在においては、その程度の御報告を申し上げるよりほかはないのであります。
  12. 門脇勝太郎

    門脇委員 中共の引揚げ問題につきまして、ただいま御説明を拝聴したのでありますが、非常に漠然たるものであります。しかし現状としましては、これより以上に突き詰めた、詳しいことは申されぬということも十分に私どもは了承するものであります。ただ国内の多数の留守家族方々の気持は、非常に突き詰めたものでありまして、一に政府の今後の処置ということに、全面的にこれを期待しておるわけでありまして、この多数の留守家族の期待ということを、政府当局におかれましては一日も忘れることなく、やはり政府の担当者が留守家族の気持になつて、ひとつ自分の家族を救い出すのだという突き詰めた気持で——これはえらく失礼な申し分でございますけれども、單に俸給をもらつている役人ということではなしに、ほんとうに自分が留守家族の一員だという、こういう突き詰めた気持で何とか解決策にもつと挺身していただきたいと思います。われわれ議員としましても、国民を代表する意味において、国民多数の切実な気持をそのまま政府当局に移したい、この熱意に燃えておるわけであります。大分国際情勢も展開しつつありますので、こういつた問題は一日もすみやかに解決されるようになお一層の御努力を切にお願いするわけであります。
  13. 若林義孝

    若林委員長 なお引揚援護庁復員局経理部長の白井勲君が御出席なつておりますので、先ほど未復員者給与法の一部を改正する法律案に関する小委員会決定に対して、門脇君から賛意の御発言があつたのでありますが、なお質疑がございましたならば、白井経理部長に対して質疑を許します。
  14. 門脇勝太郎

    門脇委員 先ほど小委員会決定に対しまして、私ども委員会としまして、これに全面的に賛成をしたのであります。これは政府におかれましても責任を持つて案行に移していただけると考えております。これに対しますところの見解をひとつお伺いしたいと思います。
  15. 小島一郎

    小島説明員 未復員者給与法改正につきましては、予算等の見地から、最初お話がございましたまでの改正をすることはできませんでしたけれども、従来に比しまして、先ほどお話がございましたところまでの引上げ等を行い得るという見通しがございますので、委員の方から出されることになると思いますが、法律案が上程可決されました上は、大蔵省といたしましてこれの一切の実施につきまして、できるだけの処置をとりたいと思つております。     —————————————
  16. 若林義孝

    若林委員長 別に質疑はございませんか。——ではこの際閉会中審査に関する報告についてお諮りをいたします。先に閉会中の審査事件として、海外同胞引揚促進に関する件外五件の審査を付託されておりまして、各般にわたつて調査を進めたのでありますが、なかんずく引揚者定着援護に関しましては、委員各地に派遣し、実情の調査等も行い、派遣委員より詳細にわたり御報告を受けたのであります。ついてはなお調査、検討を要する点が多々ありまして、全部にわたり結論を得ること困難と感ぜられるのでありますが、委員派遣の実情調査、その他未復員者給与に関する件、中共地区引揚げに関する件については、これを委員長理事においてとりまとめまして、参考として議長まで、これに関する報告書を提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 若林義孝

    若林委員長 御異議なきものと認め、さよう報告することにいたします。  本日の議題は委員各位の慎重審議によりまして、みごとな、おそらく有効適切なる報告書が議長あてできることと喜ぶものであります。  つきましては、本日はこれにて散会するのでありますが、第八回国会を通じまして、本委員会が、特に講和条約が間近に差迫り、また朝鮮動乱という特別な事態が惹起いたしました国際情勢の中におきまして、委員各位の御熱誠をもちまして、本委員会の設置せられました目的を、十二分とは申しかねますけれども、有効適切なる、いろいろなる発言、措置によりまして、効果をあげ得たことを喜び委員各位に対して深甚なる敬意を表するのであります。  なお問題となつておりました未復員者給与に関しまする問題について、有効適切なる決定を得ることができましたことは、特筆すべきことであり、留守家族その他者係者も、この希望達成を喜ばれることだろうと思います。第八回国会におきまして設置されました本委員会の使命は、この委員会をもつて一応終ることになるのであります。委員各位の御熱誠を感謝いたしまして、委員長のあいさつといたします。  それではこれにて散会いたします。     午後二時四十九分散会