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1950-10-20 第8回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月二十日(金曜日)     午後二時五分開議    委員長 若林 義孝君    理事 池見 茂隆君 理事 受田 新吉君       青柳 一郎君    伊藤 郷一君       門脇勝太郎君    菊池 義郎君       佐々木秀世君    庄司 一郎君       天野  久君    小林 信一君       岡  良一君    堤 ツルヨ君       高田 富之君    深澤 義守君  委員外出席者         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局長)    田邊 繁雄君         建設事務官   川島  博君         経済安定事務官         (経済安定本部         建設交通局次         長)      今泉 兼寛君     ————————————— 十月二十日  委員砂間一良君辞任につき、その補欠として深  澤義守君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  引揚者定着援護に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  本日は引揚者定着援護の件、このうちの引揚者住宅問題について議事を進めることにいたしますが、これについて先般来委員会におきましても、政府当局説明を聽取するとともに、過般の調査においてその状況もわかり、これについて早急なる対策を要するように思われますので、今日重ねて政府当局より説明を聽取いたしたいと思います。  最初に援護局長田邊君から、厚生省としてこれにとるべき対策の所見を聽取することにいたします。
  3. 田邊繁雄

    田邊説明員 引揚者住宅対策上、厚生省の今日までとつて参りました施策の概要について御説明申し上げたいと思います。  引揚者住宅問題は、申すまでもなく引揚者厚生援護の中で最も重要な問題でありますので、厚生省といたしましても、今日までできるだけの努力を拂つて参つておる次第でございます。終戰直後多数の引揚者内地引揚げて参りました際は、国内が御承知のような状況でありましたので、住宅を新設するという余裕もございませんでしたが、とりあえず既存の旧兵舍であるとか、あるいは工場の寄宿舍であるとかいうような、当時あいておりました建物に臨時收容いたしたのであります。ところが昭和二十三年の当初よりソ連からの引揚げが開始されまして、樺太からの引揚者がたくさん函館に殺到したのであります。ところが樺太引揚者は、御承知通り父祖伝来引揚者でございまして、内地にはほとんど縁故のない方が非常に多かつたのであります。従いまして函館の港に上陸いたしましても、行く場所がないという関係から、毎日函館の港にそういう方々がたまる一方であつたのであります。そこで厚生省といたしましては、これはどうしても各府県に割当ててお引取りを願うほかはない。そのためにはどうしても住宅を添えてやつて、各府県のお引取りを願わなければならぬということから、樺太引揚者のために、北海道及び東北六県に住宅を新設いたしたのであります。これが現在まで行われております住宅新設の発端でございます。二十四年度におきましても、また二十五年度におきましても、樺太の無縁故者と同じような引揚げ状況にあるものが予想されますので、政府におきましてはそのために必要なる予算を計上いたしまして、これを全国的に配分いたしまして、新しく帰つて来る引揚者受入れに備えたわけであります。しかし引揚げ開始以来、帰つて来た引揚者の中で、集団住宅に入つている者はもちろんのこと、集団住宅以外に住んでおられる引揚者の方も相当多数ありますので、こういつた人々に対する予算上の措置がまだできておらなかつたわけであります。しかし実際は、二十四年度及び二十五年度で計上しました予算をもちまして、これを全国に配分して、既往引揚者であつても、住宅に困つている方はこれに入れてやるという便宜の措置をとつてつたわけであります。集団住宅に関しましては、当初たくさんの引揚者を收容するためにつくつた施設は、衞生上、保安上から見て十分でなかつたので、昨年の補正予算で一億八千万円の予算を計上いたしまして、一応の措置を実施したのでありますが、非常に不完全であつたわけであります。そこでことしの七月に、今後の引揚者住宅対策をどうするかという問題につきまして、内閣に設置しております引揚同胞対策審議会を開きまして、いろいろ審議いたしました結果、決議をいたしまして、内閣総理大臣に報告をいたしたのであります。それによりますと、従来の引揚者住宅新築というものは、今後帰つて来る引揚げ縁故者受入れということに重点が置かれておつたけれども、今後はむしろ既往引揚者——すでに内地へ帰つて来ておる引揚者の中で住宅以外の施設に住んでおる者と、住宅事情に非常に困窮しておる者を重点として施策をしなければならない。もちろんこういつた方々に対しましては、住宅金融公庫という制度をつくられましたり、また庶民住宅という制度もあるけれども、こういつた制度はどうも家賃その他の償還金が高いので、一般生活の楽でない引揚者にとつてはとうてい入る余裕がない。従つてどうしてもこういう方々のためには、低家賃公営住宅というものを建設する必要があるということが決議されたわけでございます。しかし引揚者だけを対象として低家賃公営住宅をつくるということは、むしろ遠慮すべきであるので、引揚者を含めて、一般低額所得者と申しますか、生活困難者と申しますか、あまり收入の多くない方々のためにそれを実施してやらなければならない。こういうことが決議されております。ことに庶民住宅に対しては五割の国庫補助が出ておるのであるから、もう少し家賃が安い住宅——都道府県市町村建設する場合においても、少くとも国は五割の補助をしなければ、その均衡がとれぬではないかということが引揚者等から強く主張せられまして、対策審議会においてはその旨が決定されたわけであります。  第二に、既存集団住宅につきましては、よく実情を調べて、補修をすれば当分の間住宅として使えるという分については、この際徹底的に補修をして、今後相当期間それを継続して使用する。また調査をして、どうしてももうだめだ、金ばかりかかつてとうていものにならぬという施設は、この際これを疎開いたしまして、新しい住宅を建ててそれに移しかえをする。こういうことが適当だということが決議されたわけであります。そこで厚生省といたしましては、第一の引揚者を含めての一般の低家賃公営住宅の問題につきましては、来年度においてこれを実現すべく、安本当局に対しまして予算を要求いたしております。この点については、また後ほど安本当局からも御説明があると思いますが、建設省安本当局の御理解によりまして、だんだんこの話合いが進んでおります。  それから集団住宅の問題につきましては、来年を待たず、ことしの補正予算の機会に何とかしていただきたいということで、予算を要求しております。すなわち既存集団住宅の中で補修のきくものは補修をしたい。補修をしてももうむだである、経費の損だというものも予算を要求いたしまして、その若干を認められまして、目下政府補正予算の際に大蔵当局においてはこれを認めよう、こういうところまで話が進んでおります。まだ関係方面了解は得るに至つておりませんが、これが実現いたしますれば、ある程度既存住宅の改善がなされるのではないか、かように考えておる次第であります。これは引揚援護庁経費の余つたものを流用いたしまして、住宅補修新設に向けるということになつております。それから来年度つて参りまする引揚者、ことに中共方面等から帰つて来る引揚者等に対応いたしましては、従来通り引揚げ縁故住宅というものを安本当局に対して要求中でございます。以上簡單でございますが、御説明申し上げます。また御質問によりまして補足追加いたします。
  4. 若林義孝

    若林委員長 一応今日おいでを願つておりますのは、建設省住宅局住宅企画課建設事務官川島博君と、経済安定本部建設交通局次長経済安定事務官今泉兼寛君が見えておられますので、ただいまの田邊局長からの御説明に基いて質疑をしていただいたらと思います。
  5. 堤ツルヨ

    堤委員 ただいまの田邊さんの御説明で、今度の補正予算にもちよつと触れられたのでございますが、実はこの四、五日のところ、私たちのところへ相当陳情方々が見えておるのであります。と申しますのは、この補正予算で、自分の府県においてはあまりにもひどい引揚者住宅であるから、当然予算がもらえるだろうと思つてつた方方が、もらえないらしいというので、これはどうして知つたのか知りませんが、相当田邊さんのところなどへも行つているのではないかと思いますが、私たちのところへ来ておるわけなのでございます。大体今度の補正予算を組まれましたものをどういうふうに充当するように主眼を置かれたか、一応御説明を承りたいと思います。
  6. 池見茂隆

    池見委員 今の堤委員の御質問は私ども聞きたいと考えておるところなのですが、委員長お話のように、先に一応ずつと担当者の話を聞きました上で、総括的に御質問した方がよかろうと思いますが。
  7. 若林義孝

    若林委員長 それでよろしいですか。
  8. 堤ツルヨ

    堤委員 よろしゆうございます。
  9. 若林義孝

    若林委員長 では建設事務官川島君から……。
  10. 川島博

    川島説明員 建設省住宅問題を扱つておりますが、その全般的なことにつきまして御説明を申し上げたいと思います。現在わが国の住宅不足は、これはいろいろな過程がありまして、数字がいろいろ違つて来るのでありますが、ことしの三月末日現在で約三百四十万戸と推定しておるわけでございます。この三百四十万戸の住宅不足のうち、緊急に国あるいは地方公共団体において対策を講ずる必要のあるのは、約七十万世帯、正確に申しますれば七十七万世帯ぐらいのものに対しては、国ないし地方公共団体においてめんどうを見なければならないという状況にあると推定されるのであります。この住宅不足をいかに克服するかということにつきましては、終戰以来政府といたしましていろいろ考慮施策を進めて参つたわけでありますが、その中心をなすものは、現在までにおきましては、御承知と思いますが、半額国庫補助による庶民賃貸住宅都道府県ないし市町村事業主体となりまして、その住民に供給するという方策をとつて参つたわけであります。この国庫補助庶民住宅につきましては、入居者入居條件と申しますものは、当初は戰災者引揚者その他の勤労者で、住宅に困窮しておる者の中から公開抽籤によりまして入居者を選考して参つた次第であります。昨年の八月の調べによりますと、この抽籤方法によりまして庶民賃貸住宅に入居した者のうち、海外よりの引揚者は約二七%、それから戰災を受けた者が四七%、合せて庶民住宅の七〇%以上の入居者戰災者並びに引揚者で占められておるという実情でありまして、このことは庶民住宅引揚者住宅問題にも相当貢献していると考えられる次第であります。それでは今後引揚者なり戰災者なりというものに対する住宅問題はどう考えておるかと申しますれば、建設省といたしましては、今後の住宅問題はこれを三つにわけて考えておるのであります。すなわち今後の庶民住宅対策というものは、その住宅困窮者の生計の状態、すなわち具体的に申しますれば家賃負担能力というものを元にいたしまして、これによつて、たとえば千円の家賃支拂能力ある者に対する住宅対策、あるいは千五百円の家賃支拂い得る者に対する住宅対策、あるいは五百円の家賃しか支拂えない所得階級に対する住宅対策、そういうように家賃負担能力に応じまする住宅供給方策を考えておるわけでございます。そこで引揚者というものに対しましても、建設省といたしましては庶民住宅に特別のわくを設けるということはいたしませんで、引揚者の中にも、相当引揚げて来ましてから定着をいたしまして成績をあげている者ものは、相当家賃支拂能力もあるわけでありますし、また引揚げて参りましてから職もなく、收入従つて乏しいという者に対しましては、そういう低い家賃しか支拂えない階層に属するものとして、それに対する住宅供給方策を進めたいと、かように考えておるわけであります。御承知のように本年度から住宅金融公庫が開設されまして、同じ住宅に困窮している中でも比較的に所得の多い、すなわち住居費に支出し得る負担能力というものが比較的豊富であると考えられておる者に対しましては、住宅金融公庫からの財政資金の貸出しによりまして持家を建設させる。それから、その次に中位の所得階層、すなわち千円ないし二千五百円程度家賃支拂い得る能力ある者に対しましては、国庫補助庶民賃貸住宅というものを供給いたしますし、またいわゆる下層階級に属するところの、家賃負担能力が三百円ないし五百円という低い家賃しか支拂い得ない者に対しましては、また別な方策を講ずる。その方策といたしましては、建設省といたしましては、これを国営による低家賃住宅供給するか、あるいは都道府県に対する国庫補助住宅補助率を、現在の二分の一というのを引上げまして、三分の二ないし四分の三という高額にいたしまして、家賃を切り下げて安い家賃住宅供給するか、そのいずれかになると考えております。来年度におきましては、建設省といたしましては国営住宅という構想で、そういう低所得階級に対する住宅供給というものを考えまして、一万戸の予算安本並び大蔵省当局に要求している次第であります。かように建設省といたしましては、特に引揚者とか、あるいは戰災者とかいう者のわく住宅供給方策を考えることはなく、もつぱら住宅に困窮している者自体家賃負担能力所得の額によりましてそれぞれの住宅対策を講じている次第であります。以上。
  11. 若林義孝

  12. 今泉兼寛

    今泉説明員 経済安定本部といたしましては、公共事業予算編成にあたりまして、明年度予算にできるだけ住宅不足関係を緩和したいということで、総額は、先般の閣議一般公共事業費には一千六十六億六千七百万円という金額を一応当てるということで閣議の方で御決定願つたわけでございますが、それを建設省、農林省、あるいは厚生省関係各省それぞれの費目に配分するにあたりまして、災害復旧費をいくばくに見るか、それからそれ以外の一般公共事業費を幾ばくに見るか、さらに各省に対する配分関係をどう見るかという問題につきまして、まだ閣議においても最後的な決定を見ておりません。従つて一応われわれの事務局の考え方の案というのはございますけれども閣議で正式にオーソライズされた配分案がまだきまつておりませんので、今日住宅関係には何ぼ振り充てたということの政府決定の案というわけで申し上げることはできないことを、非常に残念に思いますけれども、少くとも昨年度よりは、相当この住宅関係につきましても増額した金額でぜひ閣議なり、あるいは関係方面の御了解をつけたいと考えております。従つてその範囲内で昨年は——昨年といいますか、二十五年度におきましては、特に低額家賃に対して公共事業費から配分したということはいたしませんでしたけれども明年度におきましては、厚生省建設省方面の切なる御要望もありますし、安定本部といたしましても、その必要性を認めまして、庶民住宅に充てられた金額の中から、まだどの程度ということは総額がきまつておりませんので、どのくらいの金額で何戸建てるという最後の数字は出ておりませんけれども相当程度この庶民住宅に充てられる公共事業費から、低額所得者に充てられる住宅関係の一応の目標というものを立てまして、それに対しては家賃の問題もまだ幾らにするという最後的な数字も出ておりませんが、大体低額家賃にするについても、先ほど建設省方面からも御説明かありました通り国庫補助率というものが現在二分の一になつておりますが、この補助率を増すか、あるいは国庫補助はそのままにしても、地方の二分の一負担ということをいま少し地方にごめんどう見ていただいて、地方負担関係を増していただくか、それから住宅規格を、もつと七坪あるいは八坪といつたような程度にまで規格自体を少し落して、それで家賃関係を引下げて行くか、いろいろな問題がございます。その問題につきましては、まず厚生省と、それから建設省がお話合いをいただいた上で、その御意見によつて安定本部といたしましてもそれを尊重して、低額家賃のものはできるだけこのわく内で相当程度考慮したい、こういうふうに考えておる次第であります。実はもつと早く閣議の方でも公共事業費配分関係を御決定いただいて、そうしてそれに基いて今の低額家賃関係をどの程度にするかということを早急にきめたいと、われわれ事務当局としてはそういう方面へ促進して参つたのでありますが、かんじんの総額配分自体がまださつきも申し上げましたような事情できまつておりませんので、今日明確にこれこれだということを案としてもまた御説明できないことを重ねて遺憾に存じておる次第であります。
  13. 若林義孝

    若林委員長 ただいま関係三局のお話を承つたのですが、総括的な御質疑があれば、それを先にやつていただきたいと思います。
  14. 堤ツルヨ

    堤委員 それではただいまの建設省の方の御説明は、引揚者のために特定わくをもつて住宅対策を考えたことがないという御説明つたと解釈してよろしゆうございますか。
  15. 川島博

    川島説明員 建設省といたしましては、大体本年度までは、厚生省の方で引揚者住宅ブロパーという問題は考えておられたようでありますが、大体引揚げ終つたようでありますし、一応今までに引揚げて来られた引揚者は、定着する者は定着するし、また脱落する者は脱落する、そしておのおの一応目安と申しますか、方向が落ちついて来たように感ぜられるのであります。そこで私ども建設省では、主として庶民賃貸住宅建設並びに経営の指導をしているわけでありますが、引揚者という特定わく考慮せずに、住宅に困つているものは引揚者であれ戰災者であれ、またその他一般生活困窮者であれ、その家賃負担能力によつて住宅の規模なり企画なりをわけまして、家賃でも千五百円の家賃を拂う人には千五百円の住宅供給し、千円しか拂えない者には千円の住宅供給する、またそれ以下の家賃しか支拂えない者には、さらにそれよりも家賃の安い住宅供給する、こういうふうに今後の住宅対策のあり方は区別して考えるべきではないかと考えておる次第であります。
  16. 堤ツルヨ

    堤委員 それではやはり私の解釈通りでございますね。私たち引揚者定着援護について、住宅問題を議題としておるわけでございますが、それを中心に考えますので、あるいは建設省住宅政策とポイントが違うことはもちろんでありますけれども、しかしその引揚げて来た人たち住宅がいかなるものであるかというようなことの状態については、そこに田邊さんがおいでになりますが、田邊さんの係の方からしよつちゆう建設省に対して、実情に即した希望を私たち委員会意向としてもお伝えになつたり、また田邊さんの管轄の方の希望も、そちらの方へ申し出ておることがあるだろうと思いますが、どうでございますか。そういうことがあつたにもかかわらず、全然お考えにならずにいらつしやつたのか、それとも田邊さんの方からそういう御希望が一度もなかつたので、何ら考慮しなかつたのであるか。もし私が考えますならば、田邊さんの方からしよつちゆう申出があつたにもかかわらず、引揚者住宅に対して特定わくというものは考えられぬとするならば、非常に建設省として片手落ちだと思いますので、こういう質問をするわけでございます。
  17. 川島博

    川島説明員 建設省の方といたしましては、折に触れて申出をされておることはございます。
  18. 堤ツルヨ

    堤委員 そうすると、それを建設省においては何ら考慮に入れられなかつたと解釈してよろしゆうございますか。
  19. 川島博

    川島説明員 いや考慮に入れないというわけではございませんで、われわれは引揚者という特定の人種があるのではなくて、それは引揚者でも戰災者でも、あるいはそのほかの……。
  20. 堤ツルヨ

    堤委員 それはわかつております。建設省の方の説明は……。
  21. 田邊繁雄

    田邊説明員 それでは私から少し補足的に御説明申し上げておきます。引揚者住宅問題は、従来引揚援護庁においてやつてつたが、来年からは——引揚げも大体終つたというようなお話がございましたが、誤解があるといけませんので申し上げます。引揚援護庁はもちろん引揚げ終つた思つておりません。中共等からの大量の引揚者に備えまして、来年度引揚者住宅予算は要求いたしております。引揚げ住宅と申しますといろいろ混乱するのでありますが、私どもの方から申しますと、大体三つ問題があると思います。一つは現在の引揚者集団住宅をどうするか、こういつた問題であります。このままほうつておかれない現状にあるので、これを至急に疎開する等のことが必要ではないか、こういつた問題が一つ。第二は今後帰つて来る引揚者受入れるために、住宅受入れ態勢が必要である。第三は既往引揚者であつて集団住宅にも入つておらないし、また住宅としてまだ措置ができておらない、たとえば学校、公会堂、病院あるいはその他住宅外施設におる者、こういつたような既往引揚者に対する住宅措置の問題、こう三つあるわけであります。今年も五億の予算をもちまして住宅新築をいたしておりますが、これは予算の性質といたしましては、今年帰つて来る引揚者受入れるための施設であります。既往引揚者住宅措置としてとつた予算ではございません。しかし現実には帰つておりませんので、安本当局の御了承も得まして、既往引揚者であつて住宅に非常に困つておる方を入れております。従つて現実には、過去の引揚者に対する措置引揚援護庁でやつておるようでありますけれども、それはそうではないのでありまして、建前といたしましては、どうしても今年帰つて来る引揚者住宅をやつておる、それを便宜上過去の引揚者にまわそうということであります。従つて過去の引揚者に対しては、住宅対策は今のところ何ら確立されておらないわけであります。そこで来年度においては、既往引揚者に対する住宅措置というものをどうするか、こういう問題が出て来たわけであります。その問題が先ほどから建設省安本から御説明になりました低家賃公営住宅という問題になつているわけでございます。引揚者だけにそういつた家賃公営住宅を提供する、これはちよつとむずかしゆうございます。従つて引揚者を含めた低所得者に対する公営住宅供給という問題にならざるを得ない。実際はその対象者のうちで引揚者占むる率が多いのでございます。住宅に困窮しております生活困難者というものを調べてみますと、引揚者相当割合を占めておるのであります。従つて家賃公営住宅ができますれば、結果として引揚者がその恩惠に浴するということが非常に多いと予想しております。そのために私ども公営住宅の問題に熱心であり、これを推進しておるわけであります。大体安本当局におきましてもこの点に力を入れておりますので、何とか来年度におきましてこれを実現させて行きたい、こういうふうにやつておるわけであります。それから来年度つて参ります引揚者に対する住宅は、これは受入れ態勢の問題としてどうしても欠くことのできない問題でございますので、これもこれとは別に厚生省予算として要求しております。それから集団住宅の問題につきましては、これは来年度予算には正式には計上されておりませんが、今年の補正予算の場合に、先ほど申し上げました流用によつて若干充実をしたい、これが今後今年中に措置しなければならない残された問題になつております。
  22. 堤ツルヨ

    堤委員 私は日ごろから田邊さんが引揚者のために特定わくを考えてくれという建設省への意向を、しよつちゆう言つていらつしやるものと解釈しておつたのであります。それは言つても通らないから、低家賃庶民住宅を推進するように統合してもらうという線でそれを支持している。支持していると言つてはおかしいですけれども、そういう御説明であつたのであります。私はこれはやはり引揚者の大多数の人が、現在いかなる住宅におるかということを、建設省自体がこれは御調査になつたかどうか知りません、おそらく援護庁を通して説明を聞いていらつしやるくらいではないかと思いますが、建設省におかれましては、今後ひとつ都道府県を何かのついででもよろしいから行脚されまして、いかなる住宅に入つておるかということを御調査になりましたならば、どうしても引揚者のために特定わくを考えなければならぬという私たちの今の切なる気持もわかつていただけると思います。でありますから、せつかく建設省の方もお見えになつておるのでありますから、私は引揚委員会委員といたしまして、今後特にその特定わくを考えていただくように——もちろん低家賃庶民住宅も推進していただかなければなりませんが、さらに補修しても追つつかない集団住宅でなく、たとい小さいものでも一戸建の家に順送りに出して行くべき性質のものがいかほど多いかということをよく御認識になつて、今後特定わくを、すでに帰つて來て、今新たなものを何とかしなければならない段階に立つておるものの処置について、建設省が特にお考えくださるように、私はここで希望しておきたい。と申しますのは、たとえば、私この間近畿地方の班で岐阜、京都、兵庫と視察して来たわけでございます。もちろんこのほかの近畿の県は見て来なかつたのでございますが、どこの府県に行きましても、折りに触れ、私たちは海外同胞引揚委員の一人として、あちらこちらに目を注いでいるわけでありますが、ほとんど私たちが視察して来たものとかわりません。たとえばはなはだしきに至りましては、岐阜の第十更生寮、それから京都の東舞鶴にありますところのたしか白菊寮と申したと思いますが、そこを見て参りましたが、そこに入つている人は、ほとんどこじき一歩手前の情ない寮に入つております。各府県にああしたものが幾つもあるということをごらんになり、引揚げて來た主婦などの立場もよくお考えになれば、私は当然特定わくというものを考えていただけると思うのであります。特定わく引揚者のために建設省としては考えられない。また考えるほどの余裕がないというのかもしれませんが、どうか私が今申しましたような、ほんとうに最低の引揚者の集団生活というものをよくごらんになり、御調査の上、私たち希望をいれてくださるように、特にお願い申し上げておきたいと思います。
  23. 若林義孝

    若林委員長 ほかに質疑はありませんか。
  24. 小林信一

    ○小林(信)委員 今の堤先生の御質問に関連して、お伺いするのですが、今の援護局の方からの三つの問題の中に、集団住宅の問題があるというようにお話になつたのですが、その集団住宅に対して、援護局としてどういうふうに考えておられるか、なるべく詳細にお伺いしたいと思います。これは建設省にしましても、また安本にしましても、住宅問題としては、やはりおそらく重大な問題だ、こう考えますから、両者の御意見も承りたい。
  25. 田邊繁雄

    田邊説明員 お答えいたします。引揚者集団住宅は、現在約千二百ございます。入つておる世帯数が約四万六千世帯であります。先般の引揚同胞対策審議会におきましては、先ほども申し上げました通り、この施設をよく調査をして、今後補修をすれば使えるものと、補修しても使えないものをわけて、補修を要するものは徹底的に補修して、今後相当期間にわたつて引揚住宅として使つて行く。そして補修をしてもむだなものは、この際疎開して、新しい住宅建設すべきである、こういうふうに決議されたわけであります。引揚援護庁では、この線に沿つて今後施策を進めて参りたいと考えております。  われわれの調査によりますと、集団住宅千二百、世帯数にして四万六千世帯のうちで、疎開を要する世帯が二万世帯もあります。つまり疎開をした方がいいという施設に入つている世帯が二万ございます。そのうちで特に緊急を要する施設が四千戸であります。このくらいはぜひ緊急に疎開をいたしませんと、何か災害その他があつた際に危險である。こういう施設でございます。疎開以外の補修費はどのくらいかかるかということを調べて見ますと、一応の金額として三億五千万円程度あれば相当補修ができるのではないか、この数字が詳細な調査によつてでております。従いまして、四千戸分の疎開に対する住宅設建の経費と、それから補修に要します三億五千万円に対する国庫の補助金というものを、今年の補正予算の際にわれわれは要求したわけであります。しかし財政当局の都合によりまして、認められるに至つておりませんけれども、そのうち若干の金額は、われわれの要求する趣旨によつて認められておるわけであります。従いまして、われわれの仕事はまだ終つておりませんで、来年度もこの事業はぜひ継続して行きたいと思つておりますが、来年度の当初予算においては、こういうた経費は計上されておりません。従いまして、来年度において補正予算等の機会に、また今年と同じようにこういつた要求をして行きたい。かように考えております。
  26. 小林信一

    ○小林(信)委員 集団住宅の問題は、やはり住宅問題として一般的に考えられるわけなのですから、建設省、それから安本、こういうところに何か御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
  27. 今泉兼寛

    今泉説明員 一般公共事業費で建てます住宅は、住宅の新営で、庶民住宅というわくで従来考えておりました。今の集団住宅の修繕の費用、これは一般行政部費の方に入つておりますので、安定本部としては関與いたしません。大蔵省関係ということになつております。それから今の、修繕では間に合わない、やはり疎開のための新設を要するという問題は、今年起きた問題でございますが、この所管は一般行政部費で見ても、あるいは一般公共事業費で見ても、どちらでも見える問題でございますが、今度の補正予算に関する限りにおいては、大蔵省の一般行政部費の方から見ようということになつておりますので、集団住宅費に関する関係経費は、大蔵省所管において、これを一般行政部費から見ることになつておりまして、安定本部といたしましては、この方は公共事業費の方には組んでおりません。一般行政部費以外の公共事業費として見るものだけを、安定本部としては考えておる、こういう現状でございます。
  28. 小林信一

    ○小林(信)委員 私たちはこの集団住宅に住んでおる人たちが、どういうふうな生活状態に今置かれておるかということをつぶさに見せてもらいまして、單に引揚者の応急措置としてあそこに住まつてもらうんだ、それですぐその問題は解消できるのだというように考えておるのではないかというような点から、この問題を強く関係当局に取上げていただきたい、こういう面から申し上げるのですが、今援護局の方方の御説明でも、主として住むところというこのお話になつておられるのですが、あすこの実情というものは、住むことのできない條件の中に、むりに住まわしておるということが、一番重大問題だと思うのです。従つて補修というところに当局は重点を置かれるかもしれませんけれども、今日の財政状態からして、ともすればそうなりやすいと思いますが、やはりこれは新しく建てて、この問題を解決してやらなければならない点がたくさんあると思います。その一つ衞生の点だと思いますが、この点は当局として、また社会問題として非常に考慮されなければならない問題であります。そして災害の問題は、これは何ら防火的な施設がなくて、危險な状態で火をいじつておるのでありますから、一旦火を出したら、そこに集団しておる二百世帯とか、あるいは三百世帯というものは、元の裸一貫になつて、今までの努力が一切烏有に帰する状態なのであります。これを放置しておくということは、政治上の重大な問題である。こういう点からして、応急措置としての修理というようなことで考えられて行くのではなくて、どうしてあれを疎開するかというところに重点を置いてもらわなければならぬと思うのですが、この点は委員長もわれわれに言いつけて、三班にわかれて全国の状態調査さした事実からしても、委員会意向として、重大にこの問題を取上げてもらつて関係当局と協力して解決してやらなければならぬ問題だと思うのでありますが、しかし来年度の当初予算にもそういうふうなものが計上されないということは、非常に遺憾なことであります。それから補正予算も、お聞きするところ地方の要望は満足されない程度のものでありまして、私たち現状を見た者としては、遺憾にたえないのであります。この問題は、單に厚生省だけの問題だというふうに考えられるのですが、私たち地方へ行きますと、そのためによく聞いたことです。実際建設省を恨むことがはなはだしい。何とかしてこれを一方にまかしてもらうことができないか。二つの省が関與するために、ともすれば仕事がうまく行かないことが往々にあるというようなことをいわれるのですが、やはり二つの省があることによつて、この仕事はうまく行くのだという私たちの考えからして、何かそこに障害があるのではないかと思いますが、そういう点も当局としては、相当考慮されて行かなければならぬと思います。  何にしても、目下地方の財政が非常に苦しいことはよくわかつておるのですが、その中でも集団住宅の問題に対しては、担当に考慮されておりまして、犠牲を拂つておるようですが、しかしそこに住んでおる人たちから、いろいろな訴えをされて、この地方のこれに対する係の人たちの表情を私たち聞きまして、まことに政府として、何とかこの際善処してやらなければならぬということが痛感されて来たのですが、ぜひとも十分なる御考慮をお願いしたいと思います。委員長もその点を委員各位に諮つていただきまして、大きな問題にしていただきたい、こういうことを要望するものであります。
  29. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 今年度補正予算引揚者住宅費として、援護局から出してあるというお話でしたが、どのくらいの金額ですか、それをお聞きしたいと思います。
  30. 田邊繁雄

    田邊説明員 現在大蔵省との話会いでは、今度の補正予算の機会に、引揚援護庁の不用額から住宅方面にまわしてもよろしいというような一応の話がついております。金額補修が一億八千万円でございまして、疎開、新築が一億五千万円でございます。疎開、新築の金を戸数になおしてみますと、約二千三百戸になるわけであります。
  31. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 補正が一億八千万、あとの二千三百戸の一億五千万円、こういう金額でありますが、先ほど現在の集団住宅から考えて、三億五千万円あれば大体補修ができるではないかというような御説明のように承つたのですが、先ほどから小林君が言われておるように、補修とか修繕とかいつても、その修繕補修の度合いによつて非常な違いがあると思う。私たちはただ單に現在入つている集団住宅のいわゆる建物の天井を直すとか、ただ板を張り直すというような補修では満足できない。堤君からも岐阜のいわゆる第十の話もありましたが、全国私は歩いているので各方面を見ておりますが、こういうような現在の集団的に入つているところは、たつた一間に家族を七人も八人も入れておるというだけの住宅で、われわれは火防あるいは衞生、こういう方面のことも考えますがもう一つ大きな問題として取上げられなくちやならぬことは風紀の点であります。夫婦生活をしている。そこに相当な年輩になつている子供がありながら、たつた一つの部屋だというのが全国至るところに見られるのであります。この実情を、修繕補修するのに今の一間のままの状態補修するのか、それとも夫婦生活をして家族のある者には、少くとも二間くらいは與えるという最低のいわゆる住宅としての形成を考えなければならないじやないか、こう考えるのですが、まずその点につきましての補修の限度、その考えを承りたい。
  32. 田邊繁雄

    田邊説明員 ごもつともであります。従來の補修と申しますると、ただいまお話のありましたように、一応の手直しをする応急的な集団住宅というものを頭に置いて雨漏り、便所の手直しという程度補修を考えておつたのであります、先般申し上げました対策審議会の決議の趣旨はそうでなくて、やはり恒久的住宅として使える程度補修しろという趣旨のように承つておりますので、本年度のわれわれ補修の方針といたしましては、集中的に使つてほしい。つまり金額は全部の施設を徹底的に直すほどの金がございませんので、全部の施設に対して広く浅くやるか、あるいは重点的にこの住宅を取上げたらこの住宅を完全に直すというようにやるか、われわれの気持としては重点的にやつてほしいということを各県に言つているわけであります。ただ必ず二間を提供するという程度まで直せますかどうか、この点はまだお約束はできませんが、われわれは現在の集団住宅の中に、基礎のしつかりしているものはできるだけ手をかけて直して通風、採光その他衞生状態からいつても保健上からいつても、相当ぐあいいいように直してほしいということを言つているのであります。先ほど三億五千万円と申しましたのは、その程度の仕事をして、はたしてその全額でわれわれの希望する仕事ができるかどうか、われわれ疑問を持つております。從いましてさらに一層調査をいたしまして、この程度をもつと徹底した、補修をすればどのくらいの金額がいるかということは、もう一ぺん再調査したいと考えております。お話通りでございますので、ことしの一億八千万円のとれた予算の使い方については、できるだけ重点的に使つて行きたい、かような考えであります。從いましてその間疎開をしなければならぬような施設はしばらくごしんぼういただきまして、その方面にはあまり金をかけて行けない。かような考えであります。
  33. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 お話でわかりましたが、やはり二間にするところの希望に沿うかわからぬというお話でありましたが、少くとも二間を與えなければならぬということを私たちとして強く要望するものであります。同時にまた、御承知通り引揚者のうち最も悲惨なのは、樺太等から参りました無縁故者状態であります。無縁故者が大体において入つている住宅は、ことごとく集團住宅でありますが、その大部分の引揚受入は北海道じやないかと考えます。私は北海道の各地の集團住宅方面を見て参りましたのですが、ことに旭川等における今まで軍隊の入つていた建物の例などを見ますともちろん岐阜も相当ひどかつたのでありますが、旭川等の状態もまつたく家の中で炊事をやり、そこで寢起きをし、お客さんが来てもそこで応待し、子供の遊び場所も勉強間も全部そこだというように、旭川師團の人はことごとく一間であります。大多数の無縁故者を收容しておる、こうした北海道の状態をもつと十分に御研究願いたいということと、全国のいわゆる引揚者住宅を考える場合において、この北海道のような零下三十度という非常な寒いところに住まなくちやならぬことを考えまして特に北海道方面の坪当りのいわゆる予算的な処置につきましても考慮しているかどうか、防寒という方面に対しての考慮を拂われて予算を組まれているかどうかということをお聞きしたいのであります。
  34. 田邊繁雄

    田邊説明員 北海道は御承知通り樺太方面から引揚げたために非常に住宅事情はよくないのであります。そのために北海道庁には非常に御迷惑をかけておるのであります。われわれもその点には十分留意いたしまして、北海道の住宅の割当につきましては、北海道庁の希望に合うやうにできるだけの努力をいただいておるわけであります。もちろん、不十分ではありますか、できるだけ考えております。なお北海道における住宅新築の場合の坪單価は、全国でも一番高く見ております。
  35. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 どのくらいですか。
  36. 田邊繁雄

    田邊説明員 從来の單価から申しますと、全国平均が一万二千円でございますが、北海迫は一万三千円となつております。それから今度予算がとれました際に配る金は全国平均が一万三千円、北海道は一万四千円以上になると思つております。
  37. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 建設省の方に承りたいのですが、これは專門的なことになるので、援護庁から單価を聞くということも、また援護庁に申し入れるということも道が違つているのじやないかと思うのでありますが、庶民住宅にいたしましても、また住宅金融公庫の創設等に当りましても、北海道の住宅ということに対して、建設省が根本的な考え方をどこに置いておるかということを、この際承つておきたいと思うのであります。たとえば庶民住宅の大部分がいわゆる引揚者あるいは戰災者も利用するのだ、先ほどお聞きいたしますと、七〇%ぐらいは戰災者引揚者によつてこれが利用されておるということであります。ただいま田邊さんのお話を聞きますと、坪当り千円の違いではとうてい零下二十度、三十度の寒い土地の建物ということにはできない。はつきり言うならばガラス一つ使うのにも二重ガラスにしなければ零下三十度は防げない、そういうふうな寒地住宅に対しての根本的なお考えを建設省が持つておられるかどうか承りたい。
  38. 川島博

    川島説明員 お説のように、北海道は非常に内地と事情が違いまして、冬季の気候が非常に激しいのであります。そこで庶民住宅におきましても、北海道の建設費の單価は一番高くしてありますし、また現在北海道の住宅をごらんになりますとわかりますように、従来からある住宅にいたしましても非常に質が悪いのであります。これはやはり北海道が開けて以来新しいために、移住者が住宅という問題にはあまり熱を入れなかつたという原因もあるのでありますが、実際行つて見ますと、一般住宅でさえ非常にひどいのであります。この寒地住宅の建築につきましては、ただに金の問題でなく、その構造にいたしましても、多分に研究を要する点があるのであります。特に樺太に行かれますと、わかりますが樺太におきましてはあまり金もかからずに、非常に防寒的な住宅が建築されているのでありまして、この工法を北海道の住宅にも取入れようと従来も種種努力して参つたのでありまするが、どういうものか北海道には、樺太式の寒地住宅というものの工法がなかなか受け入れられなかつたのであります。そこで私どもといたしましても、これからの北海道の寒地住宅の設計につきましては、北海道庁並びに北大とも連絡いたしまして、種々研究をいたしております。庶民住宅につきましても、今後新しい研究方法の結果を取入れまして、北海道の気候に合つた快適な住宅構想を取入れて行きたい、かように考えておる次第であります。
  39. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 大体北海道の寒地住宅に対しても、建設省がようやく積極的に乗り出しておるということを聞いて、私も非常に心強く思うのであります。いろいろ質問したい点もたくさんあるのでありますが、要するに技術の部面と金の部面とありまして、いつも補正予算だけで引揚者住宅費をとらなくてはならぬということは、どうもわれわれとしては遺憾でありまして、何とかしてこれは当初予算にはつきりとるように、建設省も積極的に乗り出して——もちろん建設省引揚者だけの住宅ということは考えられないと言われますが、それは建設省全般から見れば当然であろうと思います。実情は同じ住宅に困るといつても、非常に困り方がひどいのでありますから、引揚者戰災者という特定わく建設省安本も、あるいは援護庁も一致してとつてもらいたい。これで終つたと考えるようなことは間違つておるのであつて、ようやくただ押し込めたというのであつて引揚者住宅問題はこれからだと思うのであります。どうかこの点に対して、当初予算に何とかして入れるように進んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  40. 庄司一郎

    ○庄司委員 ただいまの佐々木君の御質問に関連いたしますが、佐々木君は北海道だけに限定されておるようでございますが、寒冷地帯、雪害地帯ということもついでにひとつ考慮に入れていただいて、当局の御善処をお願いいたしたいここは、あらためて申し上げるまでもないのであります。そこでたとえば宮城県の宮城郡広瀬村——これは多分同僚の菊池義郎君御一団に御視察を願つたと思いますが、そこには樺太の無縁故者が百二十戸入つておる。それは宮城県の農務課が所有しておる農学寮というところの種牡豚場——豚小屋であります。この豚小屋に無縁故の諸君が收容されておる。昨年庶民住宅を七十戸だけお願いしたいというお申出厚生省にも建設省にも当該町村の村長並びに村会議員諸公が来られて、不肖私が御案内役をやつてお願いしたが、本年配当を受けた庶民住宅は驚くなかれたつた四戸であります。元の兵舍、元の学生の通年動員の勤労奉仕というような急造バラツク、今荒廃し果てたようなところに收容されておる引揚者の諸君は非常に多いが、豚小屋に入つているというのは、日本では広瀬村以外に私はないと思います。七十戸村長が願つて四戸だけ配当を受けました。どうか厚生省におかれても、建設省におかれても、仙台よりわずか三里の山手の村でありますから、そういうところはどうかひとつ御視察を願つて、人間的な待遇を與えるために一層の御善処を願つておきたいと思います。また過般来本年の八月の三日、四日の水害、その後また京阪地方における水災害等によつて、全国おそらく十二、三の府県が非常な災害をこうむつた、その中でもつばら住宅としての災害をこうむつたのは、言うまでもなく引揚者が收容されているところの、荒廃し切つているバラツクであります。これらに関するさしあたり応急の補正予算等について、どうか安本においても一層の御理解と御同情をもつて御善処をお願い申し上げたいと思うのであります。また引揚者か中共方面よりさらにお帰りくださる。われわれはそれを待望して、それを歓迎するのでありますが、その受入れ態勢住宅はほとんどない。予算措置を通してまだ見通しがついておらない。そこでこの際どうか内閣各省はなわ張り争いはおやめ願つて、あたたかいほんとうの愛の心で関係各省が一致されて、たとえば引揚者住宅法というような法律、こういう法律を御制定くださるところの御意思はあるかないか。もしなければわれわれの関係委員会におきましてそういう法規の草案を作成して、これこそ各政党超越の政党派的な心持ちをもつて善処してみたいと考えておるのでありますが、いかがでございましようか。引揚者のために特に住宅法、あるいは過般十日ほど前の新聞であつたと思いますが、厚生省におかれては厚生住宅というようなかりの名前で、気の毒な生活困難者、特に引揚者、あるいは戰災者その他一般生活保護法等の対象となり得るような諸君まで含めていただいて、厚生住宅法というような意味の法案を御用意なされて、いわゆる厚生住宅相当たくさん建築してくださるというような意味の理想でありますか、あるいは真劍に御着手願つておる問題であるか、また拜聽しておりませんが、社会保障の一環として、わが新しい憲法の中にうたわれておる、この文化生活を與えるという意味において、かりに厚生住宅法、あるいはこまかくいえばいろんな生活安定上の住宅法、あるいはさらにわれわれの委員会の面からいえば引揚者住宅法、そういうような意味の立法をお急ぎくださる御意図があるかないか、願くはさような措置に出ていただきたいという念願をもつて、再度田邊さんにお答えを願います。
  41. 田邊繁雄

    田邊説明員 住宅問題を解決するために引揚者住宅法というものをつくつてみたらどうかという御意見でございますが、法律となりますると、引揚者だけを特別のわくと考えて、一つの特別の恩典を與えるという考え方につきましてはいろいろの困難が伴うのではないか、むしろ引揚者を含めた、お言葉にあります厚生住宅というような構想が適当ではないかと思うのであります。実はこの点につきましては、われわれとしても引揚者住宅問題を解決する意味合いから研究はしたことがありますが、庶民住宅の法律措置に関連する問題でございます。建設省では庶民住宅法といつた法律について研究しておるということも伺つておりまするので、このような法律の制定に歩調を合せまして、厚生住宅の問題につきましても考えてみたらどうか、こういうような気持を持つております。なお今後とも十分考えて見たいと思います。
  42. 若林義孝

    若林委員長 先日災害復旧費について御質問があつたのですが、これについてお答え願いたいと思います。今泉君。
  43. 今泉兼寛

    今泉説明員 昨年も非常に各地に災害が多うございましたのですが、ことしも非常な災害、しかも京阪地区を襲いましたジエーン台風、これが非常に住宅関係に大きな被害を與えまして、特に大阪、兵庫あたりの住宅関係の被害は非常な甚大なものが、そのほかにも東北関係、九州関係にかなり住宅の被害が続出しておる状況でございます。從つてことしのそういつた災害の予備費といたしまして百億計上してあつたわけでございますが、すでにそのうち五十億は支出済みでございます。あとの五十億でもつてまかなわなくちやならぬという状況でございますが、われわれといたしましては、あとの五十億だけでは不十分であるという見地から、先般来大蔵省とも協議いたしまして、公共事業としてことしの補正予算に四十億さらに追加することに閣議の方で内定いたしまして、その案で目下司令部の方と交渉しておるわけでございます。從つてその案がこのまま認められれば、今後の災害関係の費用といたしましては、五十億と四十一億の九十一億という金が本年度内において出し得る、こういうことに相なりまするので、それぞれ被害に応じまして、住宅関係等においても政府としてもできるだけの補助をして、住宅を一日も早く復興できるようにいたしたい。補正予算関係は今度の臨時国会の関係になりますが、五十億の問題はすでに予算に計上されてある問題でございますからできるだけ早く査定を終り次第五十億の支出は急ぎたい、こういうように考えております。
  44. 受田新吉

    ○受田委員 田邊さんが先ほどいわれた数字の中に、引揚者集団住宅は非常に危機に瀕して、危險率の高いものが大体四千戸ある、それに基いてさしあたり疎開施設を要するものが二万世帯ある、これを今度の予算で疎開及び新築の方で一億五千万円、補修で一億八千万円という見通しまでついておるということでありますが、非常に危險を感じており、疎開し、新築するという早急の要望にとらわれておるもののきわめて一部が実現して行くというのでは、これは非常にゆゆしい社会政策の大失敗だと思うのでありますが、とにかくこうした危險信号が上つており、事実私も先般来中国、四国を見て、もうちよつとした台風にも屋台ごみ倒れそうなのがずいぶんたくさんありましたが、こういう集団住宅については、とにかくその一部分ということでなしに、必ず一両年のうちに手をつけなければ、その腐朽度から言つて御説の通り実に危險に瀕しておるものがあるのです。終戰直後のどさくさに軍の施設などを利用したものなどは、ほんとうに場あたり的にこれを利用しておるので、恒久的な措置は全然とれておらない。こういう危機に瀕しておるものについては、何かその場を濁すというやり方でなくして、ひとつ根本的に早急にこれを予算化する必要はないか。今二千三百戸で一億五千万というお話でありますが、そうすると一戸につき七万円くらいの見当です。そのような少い金ではとうてい間に合わないと思いますし、また地方公共団体にしても、財政が現在非常にきゆうくつなのでありまして、これに応援するということもほとんど不可能なのではないかと思いますので、この際国家的な一つの大社会政策を遂行するという意味からも、目前の小手術でなくして、大手術をこの際やつてみる必要があるのではないかと考えるのであります。この点局長の説明されたことに対する私の意見に対しての御答弁を願いたいと思います。
  45. 田邊繁雄

    田邊説明員 現在の集団住宅の中で、疎開をした方がよろしいというのが二万と申しましたが、これは住宅の構造その他から見まして、恒久的な住宅としてはどうも適当でないと考えます。四千六百というのは本省の方でいろいろの考慮をいたしまして、危險にさらされておるもの、危險にはさらされておらなくとも、今年の冬には補修するものを含めまして、一億五千万円一応予算を計上いたしたわけでありますが、その中の約半分程度しか認められなかつたわけでありまして、われわれは非常に不満を感ずるものでありますが、財政事情ということでこれで切られたわけであります。今後こういう集団住宅措置は一層強力に進めて行かなければならないという御説に対しては、まつたく同感であります。来年度の当初予算には、疎開に要する経費及び補修に要する経費というものは計上されておらないのでありますが、少くとも疎開に要する経費は何とかしたい、これは来年度の当初予算からでも何とかやつて行きたいと思つておりますが、もし来年度引揚援護庁に関します予算、来年度つて参ります新規無縁故者住宅予算は、われわれの方で公共事業費に計上されるのではないかと思つておりますが、その経費の使い方をどういうふうにするかというような問題にも関連する問題と思います。この点はもう少し引揚げの情勢を見た上で、この使い方をきめて参りたいと考えております。また来年度補正予算の機会には、補修の問題もまた大きく取上げて要求して行きたいと思つております。できるだけやつておりますが、無力で皆さんの御要望に沿い得ないのを遺憾に思いますが、できるだけ努力して参りたいと思いますので、今後とも御後援を願いたいと思います。
  46. 受田新吉

    ○受田委員 厚生当局で非常に努力された結果、今の程度予算が考えられておるということも一応うなずけるのでありますが、私が特にここで主張するのは、目前に危險にさらされておる、今田邊さんが言われたように、厚生省で調べたところでは、とにかくすぐ手をつけなければならぬという重大な危機に瀕しておるものが、予算の都合でこれが認められなかつたということなんです。これは私は問題だと思います。しかも一億五千万円、四千戸としてもその倍の三億出せば目前の危機に瀕しておるのが救われる、たつた一億五千万くらいのわずかの予算措置が、何らか他の方の差繰りでつかないということはないと思いますが、新憲法第二十五條の健康にして文化的な生活を営む権利を保障する一番の根元は住宅であつたはずでありますが、この住宅が根こそぎぐらついておるときに、わずか一億五千万円の予算でそれが何とかできそうだというときに、これが削られるということは非常に遺憾だと思います。厚生当局として非常に努力されておることは認めますが、何らかここに大蔵当局との折衝において、一般行政部門の費用においてこの重大なる社会政策を遂行するのにひとつ骨を折つてもらいたいということで、大蔵当局にも猛烈な反省を促し、さらに努力する余地はないか。それから先ほど経済安定本部政府委員の方から申された一般公共事業の中で、この疎開の建物は入つてないということでありますので、この点経済安定本部の立場からの計画にこれが入れられないということになるのでありますが、このような根本的な問題について、ひとつ国の住宅対策として、今庄司さんからも御説が出ましたような厚生住宅法というようなことも非常にけつこうであると思いますし、これらを含めた根本的な住宅法というような基本方向が必要ではないか、こういうようなことも考えておるのです。そういうふうな立場から、ひとつこうした社会事業的な性格を持つ住宅の問題を、そうした大きな線で取入れて行くというおおらかさをもつて経済安定本部においてもこの計画を進めていただきたい。とかくこうした弱い立場に立つ人の主張は、忘れられ抹消される傾向が多分にあるのです。この点特に引揚特別委員会のごときは党派を越えてこうした問題について努力しておるのでありますから、われわれ委員の主張は強力しこれを取入れていただいて、これを他の経済関係委員会に劣らない、いやもつとそれを凌駕するくらいの大きな愛の手を差延べた措置をとつていただきたいと思います。この点大蔵省と同時に安定本部としても、そうした一般公共性を主張する立場からの根本的なお考えをお持ちであるかどうか、これを伺いたいと思います。今の補修とか疎開、新築とかいう厚生住宅関係のもの、これも大臣でなく、事務当局であるから責任のある御答弁はむずかしいかと思いますが、それは一応拔きにして、住宅法という基本的な法律をつくることについてのお考えを安本の係の方にお聞きしたいと思います。
  47. 今泉兼寛

    今泉説明員 そういう法律をつくる問題は、経済安定本部としてではございませんで、むしろ建設省あるいは場合によつては所管の問題等で厚生省ということに相なろうと思います。安定本部としては、予算を編成する立場から、そういつた法律ができた場合に、それに対してどういうふうな構想で予算を考えて行くかということですが、われわれとしては、どちらかというと所管の問題といたしますと受身の立場になります。そういつた法律が出たとき、それじや経済安定本部はどういうふうに考えるかということであれば、われわれも考え方を持たぬわけじやありませんけれども、私どもといたしましては、特にそういつた法律ができたから、よけい予算をつける。法律がなければ予算はつけられない。こういう問題ではなく考えておりますので、われわれ公共事業の予算編成を扱つております者といたしましては、そういう特別法ができたできないにかかわらず、事の重要性ということから考えて、公共事業の配分を考える際に、財政の許す限りにおいては、ごく重点的にひとつ考えて参りたい。住宅等も現下の問題としては非常に重要な問題でございますので、私どもこの一応定められた千六十六億という予算の中では、住宅の問題について相当大きなウエイトをつけて参りたいとこういうことで事務局案を練つております。千六十六億の一応の公共事業のわくがきまる以前においても、われわれといたしましては、できるだけ公共事業関係に多くの財源をまわして、少くとも千二百億あるいは千三百億ぐらいの数字は、ぜひ公共事業にまわして、そういつた一般の災害復旧ももちろんでありまするければも、一般の公共事業関係において、より多くの建設事業をやりたいというわけで、実は考えておつたわけでございますが、閣議の結果千六十六億ということになりました。  なおついでながら申し上げまするが、私ども住宅政策といたしましては、現在公共事業でやつておりまする庶民住宅の問題と、それから住宅金融公庫でやつておりまする例の貸付の問題とがございまするが、まだ住宅金融公庫が始まつて問もないので、今日住宅金融公庫の短かい実績を見てだけで批判することは少し早計かとは思いますが、しかしながら現状においては、私どもはああいつた貸付に重点を置くよりか、やはり国の補助でこういつた低額あるいは厚生宅住と申しますか、低額所得者住宅をやつぱり国がめんどうを見てつくつて行くことが、より重点的に考えられてしかるべきではないか。そういう意味からことしの予算編成においても、事務局案として考えて参つたわけでありますが、その案はある程度われわれの案に盛られておると思いまするが、われわれが当初考えておつたほど徹底した案になつておりませんことを非常に残念に思うわけでございます。安定本部といたしましては、従来も、現在においても、特別法を安定本部自体として組むという考えは持つておりません。
  48. 若林義孝

    若林委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕     〔委員長退席、池見委員長代理着席〕
  49. 池見茂隆

    池見委員長 速記を始めてください。ただいま委員長お話状況によりまして、しばらく代行いたします。
  50. 川島博

    川島説明員 御承知のようにただいまの引揚者の收容施設の腐朽、老朽の問題は、戰後一般に戰災復旧応急住宅として庶民住宅建設いたしました昭和二十年度、二十一年度住宅とも関連いたしますが、これが全面的に現在もうすでに参つて来ております。それと、そればはかりではなく戰前からありましたところのスラム、いはゆる貧民窟と申しますものが、やはり相当だめになつて来ているのがあるのであります。そこで從来不良住宅地区改良法という法律がございまして、そういう不良住宅の密集した地区を改良するために、国庫補助金二分の一を支出する道が開かれているのであります。しかし先ほども説明申し上げましたように、二分の一の国庫補助では、とても低家賃の賃貸住宅というものを供給することは不可能でございまして、この不良住宅地区改良法も、現在では動いておらない状態であります。そこで建設省といたしましては、これはまだほんの事務当局として考えている程度にすぎないのでありますが、昨年、一九四九年にアメリカにおきまして、ハウジング・アクトという法律が出たのでありますが、このアメリカの住宅法は、いわゆる不良住宅地区の改良とか、あるいは低家賃公営住宅、あるいはさらに農村の住宅、あるいは住宅調査というような、広範な問題を取入れた総会的な住宅立法となつているのであります。私どもにおきましても、このアメリカの法律をそのまま取入れるということは、国情の相違からできませんが、このアメリカの住宅法を参考にいたしまして、現在の住宅政策、あるいは将来考えられる住宅政策というものを、わが国の現状に照しまして総合的にまとめた法律をつくりたいと考えておる次第でありまして、その中にはいわゆる不良住宅地区の改良問題も含めたいと思つております。もしこの案が日の目を見るという時期が参りましたならば、引揚者、その他軍用建物等に入つておりますところの悲惨な状況にある居住者の居住状態は非常に改善される時期が参るのではないかと考えておる次第であります。
  51. 受田新吉

    ○受田委員 今泉さんから今住宅金融公庫の問題がちよつと出たのですが、これは大した効果がないとは言わぬが、これよりは補助金政策の方がいいというお説があつたのでありますが、それに関連して、私はこの間から第一線を歩いて住宅金融公庫の融資、住宅の利用状況が非常に片寄つておることを事実から見拔いた。それは特定の町に限定して割当して行くということになるから、割当を受けないところで融資を希望しておる者が恩惠に浴することができない。これは二回、三回とやつて行くうちにだんだんと是正されておるようでありますが、こういう点について、なんだか非常にへんぱに措置されるような傾向があるのですが、この住宅金融公庫の活用を公平ならしめ、実情に即してこれを均霑させるような対策に事を欠いておるんじやないか、この点当局の対策についての反省的なお言葉を聞きたいと思う。
  52. 川島博

    川島説明員 御指摘のように、住宅金融公庫の運営方針につきましては、世上かなりの批判のあることは私どもも重々存じております。大体住宅金融公庫の貸付対象地域の決定はどういうふうにいたしましたかと申しますれば、昭和二十三年に建設省におきまして、全国の住宅の悉皆調査をいたしたことがあるのでございますが、その調査の結果に表われました住宅の不足戸数が特にはなはだしい町村というものを対象にいたしまして、上からその最もはなはだしい所から選んで行つたわけであります。御承知のように住宅金融公庫予算は国庫から支出する五十億円、見返資金特別会計から支出される百億円、合せまして百五十億の予算で約八万戸の住宅を建てる計画になつておりますので、全国津々浦々の、そういう住宅の融資を受けたいという人人の御希望にまつたく沿うということは、本年度は遺憾ながらできなかつたわけであります。しかし実際に公庫の運営におきましては、あるいは融資の場合の現地の建築の審査がきはめて煩瑣な手続を踏まなければならぬ。また書類上も非常に複雑な手続を通して申請をしなければならないというような状況もありまして、公庫の融資の運営には多々改善を要するところがあることは御指摘の通りであります。これにつきましては住宅金融公庫当局並びに建設省におきましても、種々検討を加えまして、最近においてはその二、三の点につきまして、大幅な改正を加えたことは御承知のことと思いますが、今後ともに住宅に困つておる人が借りやすいように、その運営方式については十分改善を加えて行きたい、かように考えております。
  53. 池見茂隆

    池見委員長代理 ほかに御質問ありませんか——それでは一言お尋ねしたいのですが、実は今度視察にまわりまして感じたことは、引揚者の大多数の方が一応最低生活でも営み得るという態勢になつておられることは、非常にわれわれとしてはうれしく感じたわけであります。この点から考えたならば少くともこれから先は一軒の家に住みたい。一つの住居に入りたいということが、これが人情の常であるということを私は痛感したのであります。そういう方面から引揚者住宅建設を促進することはもちろんですが、さつき建設省からお話があつた庶民住宅入居者のパーセンテージが二七%は引揚者が入居しておる。こういつた面から、これは少くとも家賃という問題において非常に入居に困難を感じているのじやないか、これから先のいわゆる建設省住宅対策としては、家賃負担能力において家の種別をかえるといつたように聞いたのですが、それであつたならば、從来援護庁と厚生省建設省の間において、少くともいろいろと協議されたそのことを、さらにより深く掘り下げてもらつて、そうして、建設省におけるところのこの庶民住宅、低額住宅というものをまず早急により多く建てるということは、勢い引揚者に対するところの、ないしは引揚住宅一つ対策ではないか、こういつたことを考え、かつそれを建設省に対して強く要望するものであります。と同時に、その場合において、来年度においては一万戸の国営住宅建設するというお話があつたが、その一万戸の国営住宅というものの内容はわかつておりますか。
  54. 川島博

    川島説明員 先ほど国営住宅一万戸予算要求中と申しましたが、これ以外に実は建設省といたしましては、不良住宅の改良のために一万戸、それに低家賃国営住宅というものを一万戸、合せて二万戸を現在安本当局並びに大蔵省に要求しているわけであります。しかしながら聞くところによりますと、この予算は来年度の財政全体のわくからはむずかしいというように聞いております。しかしながら現在の庶民住宅には入れないということが明らかな階層相当にあるということは明らかなわけでありまして、これにつきしては公共事業費あるいは行政部費、いずれでもさしつかえないのでありますが、いずれにいたしましても、安本当局並びに大蔵省当局の御理解と御同情によりまして、何とか実現したいと建設省としては考えておる次第であります。なお不良住宅の改良問題につきましては、来年度事業の予算はむずかしいといたしましても、その調査に要する経費、わずかでございますが、百万円程度は大蔵省の了解を得るに至つております。
  55. 池見茂隆

    池見委員長代理 ほかに御質問はございませんか——それではさつき委員長の申しましたように、きよう各委員の御発言の内容なり、さらに当局から説明のありましたこと等のことを総合いたしまして、住宅対策に対する委員会として適当の時期にその結論を出したいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十七分散会