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1950-08-31 第8回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年八月三十一日(木曜日)     午後二時三十一分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 足立 篤郎君 理事 池見 茂隆君    理事 小西 英雄君 理事 受田 新吉君    理事 竹村奈良一君       青柳 一郎君    伊藤 郷一君       菊池 義郎君    近藤 鶴代君       庄司 一郎君    中山 マサ君       細田 榮藏君    小林 信一君       堤 ツルヨ君  委員外出席者         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局長)    田邊 繁雄君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君     ————————————— 七月三十一日  海外胞引揚げ促進に関する件  引揚者定着援護に関する件  留守家族援護に関する件  在外資産調査に関する件  未復員者給與に関する件  在外公館借入金支拂に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  警察予備隊要員採用に関し引揚者優先採用の件  引揚者定着援護に関する件  未復員者給與に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。過日の委員会におきまして、警察予備隊要員採用に関し、引揚者採用について大橋法務総裁よりその意見を伺つたのでありますが、当時大橋法務総裁より、採用條件は未決定であるが、将来この意思を十分含むとの答弁であつたのでありますが、おそらく本委員会意思が生かされて、目下採用措置をとられておるとは存じますが、本委員会といたしまして、引揚者援護の見地より、引揚者優先的採用を望むものであり、これについて、ただいまお手元に配付してあります通り、要請を委員会決議として政府当局に要望いたしたいと思いますが、これを委員会決議といたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 若林義孝

    若林委員長 それではさよう決定いたします。  なお政府当局に対する送付等の手続については、委員長に御一任をお願いいたします。     —————————————
  4. 若林義孝

    若林委員長 本日は引揚者定着援護といたしまして、住宅問題の件と、未復員者給與に関する件を議題といたします。  まず住宅問題について、政府当局より説明を聽取いたします。
  5. 田邊繁雄

    田邊説明員 私から引揚者住宅問題につきまして、概要御説明申し上げたいと思います。  お手元関係資料を差上げてございまするが、この住宅問題は、引揚者定着援護の問題のうちで、資金の問題と並んで最も重要な問題でございます。昭和二十三年の五月、衆参両院決議せられました引揚同胞対策に関する決議の中でも、この問題は特に取上げられまして、少くとも二十万戸住宅建設決議がなされております。またこの決議におきまして設置を要望せられました引揚同胞対策審議会、これはその後国会の議決により、法律として制定せられまして、現在内閣設置してございますが、この審議会におきましても、住宅問題を引揚援護の最も重要な問題として取上げて、今日までたびたび決議をいたされておるのであります。この決議内閣総理大臣に勧告せられまして、関係大臣にそのまま実現方について要望がございました。現在までのところおおむねこの決議に沿うて政策実現せられつつあるような状況であります。ただ従来の引揚者住宅対策は、どちらかと申しますと、その場その場の応急的なものでありまして、根本的な対策についてはいまだ決定がなされなかつたのであります。御承知通り終戰直後、数百万にわたる引揚者海外より帰つて参りました。当時の状況からいたしまして、新しく住宅をつくるということは困難な情勢でありましたので、とりあえず既存の兵舎あるいは工場宿舎等を利用いたしまして、そこに入つたのであります。昭和二十三年に至りまして、ソ連からの引揚げが開始されました。樺太から多数のいわゆる無縁故引揚者——承知通り樺太にはおじいさんの代から向うに移住した方が相当ございますので、帰つて来る引揚者の方には、内地に全然縁故のない無縁故者相当多数ありますが、これが上陸港であります函館の港にたまる一方であつたのであります。そこでこれを受け入れるためには、各府県に割当てをしなければならない。割当てするためには、少くとも住宅だけは用意してやらなくてはならぬということで、当初予算を計上いたしまして、全額国費をもつて北海道及び東北六県に小さな家を設置したのであります。この政策は二十四年度、つまり昨年度においても踏襲されまして、樺太及び樺太以外の外地から帰つて来る無縁故者のために、全国的に救済措置をいたしたのであります。同様にまた本年度におきましても、所要予算が五億円計上されておりますので、全国にこの予算が配付されて住宅建設されつつある状況でありますが、何分にもこの予算の性質が、新たに帰つて参りまする引揚者受入れ施設、つまり緊急援護施設として計上されております関係上、既往引揚者であつて住宅に困つておる者に対する予算措置としては、きわめて不十分であるわけであります。たまたま引揚者が少いといつた関係上、その間におきまして余つた住宅既往引揚者も入つておる、こういう状況であるわけであります。  そこで先般開かれました引揚対策審議会におきましては、今後はむしろ重点を、帰つて来た既往引揚者住宅重点として対策を確立せねばならぬということが議題になりまして、活発に論議せられました結果、お手元に差上げてありまするような引揚者住宅に関する決議決定せられまして、内閣総理大臣に勧告せられ、内閣総理大臣の命によつて官房長官が、その急速実現方関係閣僚に要望して参つているような実情でございます。この案は、住宅に困つている者はひとり引揚者だけではなく、緊急受入れの問題としての住宅対策であるならば、引揚者だけということはわかるけれども、すでに帰つて定着している引揚者住宅であるならば、それと同様の実情にある生活困難者に対する住宅対策も同様に考えなければならない。これもあわせて低廉家賃公営住宅を大量的に建設する必要があるということが決定されたわけであります。その際に論拠として強く要望せられましたのは、現在の庶民住宅家賃が少し高過ぎる。また住宅金融公庫というものも、せつかくできたけれども、これも相当資金收入のある者でなければ、これにより自力建設ということは困難である。引揚者及び生活困難者の大部分はこの恩典に浴することができない現状であるため、現在の庶民住宅よりももつと家賃の安い、少くとも現在の引揚者住宅——大体これは家賃が三百円前後ということになつておりますが、この見当の低廉家賃住宅を大量に建設するということを目標決定されたわけであります。しかして現在の庶民住宅は御承知通り、国が五割の補助金を出しまして、都道府県ないしは市町村にその金が補助せられまして、そのうち都道府県ないし市町村設置主体なつてあとの五割を負担する、その五割は預金部資金から金を借りて建てるということであります。家賃預金部資金から借りたその元利の償還を元として計算されております関係上、一戸当りおおむね八百円ないし千円前後ということになつております。この程度では生活困難者及び引揚者の大部分は、家賃が高いために入れないという状況にあるわけであります。しかし考えてみますれば、この庶民住宅に入つておる人々は、国から五割という家賃補助があるわけでありますので、それとの均衡から考えましても、国としてはそれより低い階層低額所得者に対しても少くとも五割補助という恩典が及び得るような政策考える必要があるではないかということが強く主張せられたわけであります。この点につきましては委員各位も十分御了承になられまして、この決議決定されたわけであります。これに基きまして厚生省では、二十六年度予算といたしまして、公共事業費要求として四十八億の予算要求しているわけであります。この表の一番最後から二枚目のところにその資料が書いてございますが、今年、引揚者その他の生活困難者住宅困窮状況を調べてみますると、三十万戸程度措置をする必要がある。これを五箇年にわけまして、第一年度といたしましては六万戸、これを建設するためには八十億円の建設費がいるわけでありますが、その六割を補助いたしまして四十八億円と相なつているわけであります。庶民住宅は五割の補助でありまするが、これは生活困難者でありますので、もう少し補助率を上げてほしいということで、一割だけ増額になつているわけであります。なお家賃は、この残りの四割全部を基礎として決定するのではなしに、残りの四割のうち二割程度建設主体である地元府県ないし市町村負担するということが、当然條件になるわけであります。つまり厚生省といたしましては、この予算をもちまして地方の都道府県に対して、そういつた低廉家賃公営住宅建設を指導勧奬するということに相なるわけであります。それは社会救済、福祉といつた立場から、そういつた低廉家賃公営住宅建設を勧奨する、つまり地元にも二割負担するということを條件として、国から六割を出すということに相なるわけであります。この予算目下経済安定本部当局要求中でございまして、安定本部において御審議中と承知いたしております。  なお本件に関しましては、建設省厚生省との所管の問題があるわけでありますが、この点につきましては、われわれは根本前提といたしまして、こういつた政策が必ず確立されて実現されるようにということを第一の念願といたしております。低廉公営住宅実現ということをまず第一の目標にいたしております。第二に、できれば厚生省でこの行政所管したいという希望を持つておりますが、建設省としても所管の問題でございますので、これはよく関係当局と相談、折衝して善処して参りたい、かように考えております。  以上は新しく住宅をつくる場合の問題でありますが、引揚者住宅の問題につきましては、もう一つ終戰後多数引揚者受入れるために設置いたしました集団住宅施設があるのであります。この問題も先般の引揚同胞対策審議会で取上げられまして、現在の集団施設はきわめて不衛生であり、また保安上からもきわめて不十分な心配な点が多いので、至急実態を調査して、補修をすれば相当りつぱな住宅施設として当分使えるというものは、急速に補修をしてこれを改造するように、また補修をしてももう望みのないという腐朽しておる建物は、至急にこれを疎開する、つまりこれをこわして新しい住宅建設して、ここに入つている人を移住するようにということが決議されておるわけであります。これに関する数字もお手元に差上げてございますが、疎開を要する施設は三百九十三、約二万世帶と相なつております。補修に要する費用は約三億円余となつておりますが、本件につきましてはそれぞれ安本大蔵省要求中であります。すなわち補修につきましては、所要予算工事費の八割を目標としまして大蔵省に来年度予算要求中であります。疎開に要する費用につきましては、安定本部に対しましてこれまた新築の予算と同様に要求中でございます。  以上簡單に大要を申し上げた次第であります。
  6. 若林義孝

    若林委員長 ただいまの御説明に対し、これに関連しての質疑を行いたいと思います。この席へ経済安定本部建設交通局次長今泉兼寛氏が見えておりますから、これに関連してお答えがあると思います。
  7. 受田新吉

    受田委員 今の援護局長のお説の中で、終戰後のこの引揚者住宅対策は非常に綿密な計画のもとに行われたように伺つておるのでありますが、実際現在なお非常に困つておる数が、ここに書いてあるように十四万八千世帶が一時的な仮小屋に入つておる。そうして二十二万八千世帶がいろいろな條件住宅を必要とするものになつておるというこの痛ましい現実がまだころがつているのでありますが、政府対策の中に、従来の軍の施設を拂い下げて一時的な措置とつた場合と、そして軍の施設を買受けさせたような場合とがあつたと思います。つまり軍工場であつたその住宅を買受けるという措置とつたときがあつたと思うのです。これはどういうような結果が今生れているのか。昔の陸海軍の工廠その他の住宅引揚者に開放したとか、あるいは建物の一部を開放した場合に、それを一定の価格で拂い下げたような時代があつたのではありませんか。それをちよつと伺います。
  8. 田邊繁雄

    田邊説明員 引揚者住宅施設として旧陸海軍施設を開放したというのは事実でございますが、これはおおむね都道府県ないし市町村にそれを貸しまして、都道府県市町村がそれを施設として活用しておる、こういう状況であります。拂い下げたということは、特定のもの以外はあまりなかつたのではないかと考えます。
  9. 受田新吉

    受田委員 この軍の施設を今用いて、それを府県に貸付けたようなものの全部を除外して、現在非常に急迫している住宅のない世帶というものの数字が、ここへ出された十四万八千世帶になるわけですか、そうなるのでしよう。
  10. 田邊繁雄

    田邊説明員 そうでございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 それでこの世帶に対して、政府が今考えているところの住宅金融公庫による住宅建設資金の融通の場合と、庶民住宅建設の場合と、これらが引揚者住宅対策にいかように働きかけているか。これらは引揚者住宅と適当な調節をとつて政府は考慮を拂つてくれているのか、これらのわくの中へ引揚者の幅を——換言すればどのくらい入れるように努力を続けて来ておるのか、そこを伺いたいのです。
  12. 田邊繁雄

    田邊説明員 引揚者と申しましても、いろいろな階層がありまして、住宅自力建設する能力のある者もありますれば、また相当高い家賃の拂える能力のある者もあるわけであります。こういつた方々は、それぞれ住宅金融公庫に申し込んで資金を借ります。あるいは普通の公営住宅を申し込んで借りるなりということをやつております。われわれ引揚援護という立場から申しますれば、そういつた資金の中でわくをつくるということは望ましいことでありますが、しかし一方行政当局から見ますれば、特別の一つのグループを特権的に扱うということも困難でございますので、引揚者現実住宅に困つておりますれば、その現実が必ず申込み状況等に反映する結果になつておりますから、特別なわくということは原則として設置いたしておらないのでございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 引揚者のために特にわくをつくるということでなくして、引揚者と同じような條件にある者も一応同じ基準考えて行くという立場にさつきのお話でなつておるようでございます。従つて引揚者ということを特に取上げなくても、住宅対策はそうした住宅に困つておる者という基準でやつて行くということになりますと、引揚者に非常に條件の悪い人たちがいる場合に、非常に気の毒な場合が起る。こういうことを考えて、引揚者という特定わくを強く考えるようなお考えはありませんか。
  14. 田邊繁雄

    田邊説明員 ただいま御説明申し上げました低廉家賃公営住宅という問題は、まだ実現されておらないわけでございます。今後予算がとれまして、それを執行する面において御説のような問題が出て来るわけであります。われわれは目下かような予算を成立さすべく、できるだけ努力いたしておるのでありますが、成立したあかつきにおきましては、御説のように、実情に沿うて予算が執行されるように努めて行きたいと考えております。
  15. 受田新吉

    受田委員 特に政府引揚者のために取上げた対策として、無縁故者住宅がありましたが、これだけはちやんと対象をはつきり規定していると思うのです。これが昭和二十四年と二十五年を比較してみると、二十四年では六億一千七百三十万円が出されており、また二十五年ではこれが五億円に削られているのですが、既往引揚者新規引揚げ縁故者両方合せて、二十四年は特に樺太地区その他からの引揚者が多かつた関係で、こういうふうに数字が今年よりも多くなりましたのか、あるいは何かほかに理由があつたのか、お伺いいたします。
  16. 田邊繁雄

    田邊説明員 先ほども説明申し上げましたように、従来の引揚者に関する新しい住宅予算というものは、いわゆる新規引揚げ縁故者でございまして、これは新しく帰つて来る引揚者受入れるための施設でございます。定着援護としての施設ではなくして、これがなくしては引揚げ促進ということが困難ではないか、帰つて来てもこれを受入れることが十分ではないのではないか、こういう建前から認められている予算でございますので、それは対象引揚者であることは当然でございます。ただ今後の引揚者住宅対策定着後の引揚者住宅ということになりますと、引揚者と同様に必要である下層生活困窮者も同様に考えて行かなければならぬということになります。ただ二十四年度に特に多かつたのは、前年度途中において追加予算とつ関係で多くなつております。
  17. 受田新吉

    受田委員 引揚げ縁故者住宅分布状況は、国全体から見て北海道が最も多いと思うのですが、そのほかの府県ではどこが該当しているか、一応その分布状況をお伺いしたいのです。
  18. 田邊繁雄

    田邊説明員 これは資料は持つて参りませんでしたが、北海道が一番多うございます。これは樺太からの無縁故者を一番多く受入れ関係であります。二十五年度におきましては、全国引揚者住宅の困窮しておる数、その他今後帰つて来る人の分布状況はわかりませんので、ある程度将来を見越しましてやつておるのでありまして、特別にどこを多くするということはいたしておりません。
  19. 受田新吉

    受田委員 今日は安本関係官も来ておられるということでありますから、田邊援護局長の御説明にあわせてお伺いしたいのでありますが、戰後復興住宅建築の国の計画の中に、引揚者部分をどの程度考えておられるか。また引揚者住宅に対しての対策としては、先ほど田邊局長が言われました通り厚生省考える場合と建設省考える場合がある。そういう公営住宅を両省のいずれに置くかというような問題も起つて来るので、こういう引揚者住宅問題は国の建築総合政策の場合において、特に重点的に考えてこれを厚生施設と見る、あるいは一般建築と見る、こういうふうな考え方について、安本はいかなる態度をもつて臨んでおられるかということをお伺いしたい。
  20. 今泉兼寛

    今泉説明員 これは住宅政策全般とも関連を持つ問題ではございますが、私ども従来考えておりました点は、これは今後も大体同じような考えを持つておりますが、厚生省といたしましては、引揚げて来ての応急対策としての住宅施設、これは緊急援護建前でおやりになることですから、厚生省で当然見るべき筋合いのものと私は考えるのであります。しかしそれが定着しまして、一般住宅という問題になつて参りますれば、住宅建設所管全般は現在においては建設省、こういうことになつておりますので、一般の問題として考えるなら、やはり建設省の取扱うべき筋合いのものではなかろうか、一般論としてはそういうように考えておる次第であります。
  21. 受田新吉

    受田委員 経済安定本部が経済安定の角度から見た引揚者住宅問題については、引揚者海外に多数の財産を全部投げ捨てて裸一つでもどつて来た。そういう人たち国内でまず住居の安定を求めたい。こういうときに、今国全体は引揚者のために惠まれたような條件なつておらぬというので、非常に気の毒であるが、ほかの困窮者と同じ率でがまんしてもらいたい。こういうことになつて来ておると思うのであります。ところが実際は在外資産全部なげうつて、これにかわる補償さえできておらぬ今日、せめて引揚者に対する住宅対策などはまつ先考えてやつて、これらの不幸な運命になつた人たちに、ほかの困窮しているという立場の人とは、ちよつと趣の異なるこの事情をよく勘案した施策がいると思いますが、昭和二十三年ごろに一松厚生大臣建設大臣に切りかえされた当時、建設厚生両方の面からこの引揚者に対する住宅を特に考慮するように国会でも答弁をしておつたことがあるのですが、この経済安定の総合施策立場から、引揚者住宅対策にもう少し一般論のほかに、そうした更生的な、あるいは復興的な精神をみなぎらして景気づげてやるような関心を深める施策がとられる必要はないか。この点特に引揚者というわくを固執することは少しはばかられる点もあるのでありますが、心構えとして安本態度をお聞きしておきたいと思います。
  22. 今泉兼寛

    今泉説明員 国内でも国外から引揚げて来ても同じだということは、一応りくつとしてはあるいは成立つかもしれませんが、国内の戰災者と国外から無一物で引揚げて来た人とを、従来の縁故関係その他を考えてみまして、どちらが国としてよりよく見るべきかということになりますと、気持の問題としては、国外から引揚げて来た者をまず優先的に取扱うべきではないかと私は思います。そういう感じは御趣旨とまつたく同感であります。
  23. 受田新吉

    受田委員 ちよつと議事進行でお伺いしたいのですが、時間は全体でどのくらいで打切られるか。それからこの住宅建築結論最後にどこに持つて行つてこの打切りをなさるか。そこをお伺いしておきたいと思います。
  24. 若林義孝

    若林委員長 大体今日これを議題といたしましたのは、先刻理事会において大体の御決定を得ましたし、また前回の国会最終日に御決定をみました国政調査の件に関して、各方面へ調査にお出ましになるのに資料を得るのが第一であり、また目下明年度予算編成ちようどさ中でありますので、それに対して有力なる資料を得ていただくというのが目的で住宅問題を取上げたわけであります。
  25. 受田新吉

    受田委員 私、質問の結論を得たいと思います。今までお伺いしたいろいろの問題は、引揚者に非常に同情ある国の政策をとつてもらいたい、特に住宅対策関心を深かめてもらいたいという私の国民代表としての声なのでありますが、同時に、これから先に今までの不自由を早く解消させるために、何とか早急にこの現在の住宅に困つておる人の立場を明るくしてあげる必要があるのです。なお政府として、昭和二十五年度以降にいろいろ計画を立てておられると思いますが、特に引揚者の中で、過去に帰つて来た無縁故引揚者住宅がないのみではなく、たよる人もない、この人たちに対して全部住宅が與えられるような徹底的な対策がいると思うのでありますが、この既往引揚げ縁故者に対する住宅対策をお伺いしたいと思います。
  26. 田邊繁雄

    田邊説明員 私、最初に申し上げました住宅対策は、御説の通り既往引揚者であつて、無縁故者は今なお学校、公会堂その他の住宅外施設に住んでおられる、その方々重点といたしまして、先ほどの引揚げ対策審議会においての決定がなされたのでありまして、厚生省としては、明年度予算要求しております低廉家賃公営住宅というものは、無縁故引揚者を中心とした住宅対策だと考えております。これを来年度予算において実現されるかどうかということがわれわれの最も深い関心であるわけでありますが、この点につきましては、私どもといたしましてはせつかくその趣旨に沿つて努力しておるわけであります。
  27. 受田新吉

    受田委員 国庫補助金の割合が六割という点、あるいはこれに関連して住宅金融公庫の貸付の利率が五分五厘、あるいはこの庶民住宅補助が半額とか、こういうような、国の與えるところの恩惠を高めるような比率をもつともつと国家が責任を持つような方向へ持つて行くお考えはないか、この点をお伺いしたいと思います。特に住宅金融公庫の場合にも、頭金を負担するということで、この点に非常に困難を来しているのでありますが、生活困窮者負担を軽減するような対策を将来に対していかように持たれつつあるか、厚生省安本両方立場からお考えを伺いたいと思います。
  28. 田邊繁雄

    田邊説明員 従来の引揚者住宅は八割補助と相なつておりまして、地元の二割負担家賃計算基礎なつております。今度要求いたしまする予算におきましては、六割補助なつておりますのは、地元引揚げて一応定着された方々であるし、またその他の生活困窮者も含めておりますので、従来やつております引揚者住宅ほどその土地との関連性が薄いわけではないわけであります。そこで庶民住宅が五割補助でありますので、これを六割補助にいたしたのであります。なお現在の生活保護法によるいろいろの施設、児童福祉法によるいろいろの施設も、全部国は五割負担であります。なお六割負担補助の場合に、残額四割全部が家賃計算基礎になるかと申しますと、そうではないのでありまして、私ども考え方によりますと、四割負担のうちで、一部は地元の道府県負担してもらいたい、こういうことであります。従いまして従来の庶民住宅でありますれば、地元としては完全にペイする事業であります。これが庶民住宅であります。今度のように、低廉家賃公営住宅によりますれば、設置主体である地元都道府県といたしましては、ペイしない事業をやるわけであります。すなわち地元といたしましては、救済という立場から国家負担をするということになりますが、それで厚生省といたしましては、その事業を推進して行きたい、かように考えております。
  29. 今泉兼寛

    今泉説明員 経済安定本部といたしましては、現在住宅不足で悩んでおる人口は、大体三百四、五十万世帶ぐらい全国で残るのではなかろうかというふうに一応予想しております。従つてこれらの人になるべく早く家を建てて、しかも引合うような家賃で入つてもらう、こういう施策を進めて参りたいということで、かねがね計画を立てまして、公共事業費といたしましては、昨年においてもそれから本年においても、相当の国費を出しまして、いわゆる国庫五割負担という庶民住宅を建てて今推進しているわけでございまするが、そのほかに今年住宅金融公庫というものができまして、七割五分まで貸し付けるということで、住宅政策建設省の方では進めているわけでございまするが、これは今御意見のありました通り、低額收入の者に対しては、今の家賃ではちよつと手が届かぬところがあるのじやないか。またそういつた階層相当あるということはわれわれも十分認めておるわけでございまするが、しかし一体これをどの程度まで広げればよろしいか、それからまた住宅政策としてどこまでそういつた補助の範囲を広げるのが適当か、こういう問題になつて参りますると、單に住宅だけで解決される問題ではなくて、もつとこれは社会保障なり、あるいは生活物資なり、あらゆる面で総合的に考えるべき問題じやなかろうか。一方国費の方にはやはり一応限度がございます。従つてあまりに補助率を多くいたしますれば、勢い国の予算に限度がある以上、戸数があまり建たぬ、こういうことにもなりますので、われわれの気持といたしましては、庶民住宅というのは、できるだけ自力でうちを建てることのできない人に、公共団体と国がそれぞれ半額を持つて建てるということになつておりますが、そういう範囲はできるだけ下の階層にまで及ぼしたいとは考えておりまするが、住宅政策だけからこれを考えるということでは、問題は解決されないのでございまして、その点はできるだけ多くのうちを建てるということと、それからもう一つは、矛盾するようでございまするが、できるだけ文字通りの庶民階層に入つてもらう。こういう点からのかね合いで、実は現在もつとこの補助率も高めたいとは考えておりまするが、五割補助ということで進んでおる次第でございます。それにかてて加えまして、本年度住宅金融公庫というような新制度が生れましたが、明年度施策といたしましては、私ども今日住宅金融公庫の応募状況その他から見て、ああいつた住宅金融公庫状況では、とてもいわゆる庶民階級という人は手が届かぬものである。ああいつたものを全廃するということは、まだ一年やるかやらぬかの状況においては、これは非常に検討を要する問題だと思いまするが、しかし明年度住宅政策の中心としては、私どもとしてはこの率をもつとふやして、この庶民住宅をもつと多くつくらなければならぬのじやないかということで、現在考えておりますることは、ことしの庶民住宅に充てられた予算明年度においてはもつとこれを増額して、もつと数多くのうちを建てたいと考えております。しかしその補助率をどういうふうにするという問題は、まだ結論を得ておりません。従つてこれを五割そのままのかつこうに置くか、あるいは六割といつたような、もつと補助率を多くするかという問題は、今申し上げました戸数をなるべく多くしたいという要請と、それからもう一つ、なるべくいわゆる庶民を入れたいという要請とのかね合いの問題になりますので、まだ予算がきまるまでは相当時間もございますので、十分われわれとしては検討した上で態度をきめたいと考えております。ただここに一つ申し上げられることは、今年の新規引揚者に対する住宅として、五億円をもつて七千五百戸を建てることになつておる住宅の問題でございまするが、今年は本年度に入つてから新しい帰還者はほとんどないという状況でございます。本来から申せば、こういつた予算の組み方から言えば、新規の引揚者に充てられた住宅だからということに相なるわけでございまするが、この問題は、安定本部といたしましては、もしも今年中に新しい引揚者があれば、もちろんその人たちは優先してこれに入つていただくが、もしかりにことし新しい引揚者がないにしても、従来の引揚者の中で、特に無縁故者で学校とか病院とかいつたところに入つておられる非常にお困りの方がたくさんあることを承知いたしておりますので、そういつた方面にこの七千五百戸をお使いになることについてはさしつかえなかろうと考えております。  それから明年の問題でございまするが、これも厚生省当局から、実はまだはつきり予定はできないけれども、来年度は中共地区その他から相当程度引揚げを予想されるのではなかろうか、しかしこれはいつ引揚げるという予想も今のところでは立たぬという御要望がありまして、それにあわせて予算の御要求がありました点についても、私ども愼重にこれを検討いたして、まだ最後的に結論は出しておりませんけれども、これに向つても、まだ予想が立たぬからというて、予算の計上を全然見ないということもいかがかと思いまするので、今の心組みでは、こういつたものはやはり一応予想いたしまして、帰つて来た際に、そろいつた新しい引揚者に対して何らの住宅建設費もないということで対策上に遺憾があつてはなりませんので、少くとも今年程度引揚げ住宅というものは考えて参りたい、こういうように考えている次第でございます。従つてこの引揚げ関係につきましては、新たなる引揚げ関係者、それから定着している引揚者の中の特に無縁故者、この二つが対象になると思いますが、後者のすでに引揚げ定着している方については、気持としては先ほど私が申し上げた通り、何もかも内地におつた戰災者の非常な困窮者と同一水準で考えるという考え方は持つておりませんけれども、しかし国全般の大きな政策として考えたときは、やはりこういつた人たちは、同じような生活困窮者あるいは庶民階級といつたラインにおいて、やはり大きく住宅政策の一環として考えざるを得ないのではないか。その際に、先ほど申し上げました通り、こういつた多勢ある人のうちですから、できるだけ早い機会に、できるだけ多くの人に住宅を與えるという政策を推進して参る際には、この住宅政策だけで解決できる面と、しからざる面とがあるということを御了承いただきたい。しかし御要望の点は、十分われわれも考えている点でございまするので、そのかね合いの問題について妥当と思われる点を、明年度住宅建設基準にいたしたいと考えている次第でございます。
  30. 受田新吉

    受田委員 これで私の質問を終りますが、今安定本部の御意向を非常に喜んで拜聽したのでありますけれども、今不足している住宅、特に引揚者の場合に二十二万八千世帶が一応粗末でもいいが家を持ち得るに至るまでの年次計画というようなものをいかように考えておられるか。これは安定本部の場合は、住宅全体の年次計画というものをお持ちでありましようし、厚生省の場合は、今の二十二万八千世帶人たちに、せめてあたたかい住み得る最低線の家を建て終る年次計画最後は、どこで打切つてこれを完成しようとしておられるか。そういうような一応の目標が必要だと思うのでありまするが、安本における今後の国全体の住宅の完成目標、それから厚生省が今企図していられるこれらの不幸な運命の人たちに対する住宅の建ち上る時期と目標をお伺い申し上げて、早くこの実現を期するように御努力をお願いしたいと思うのであります。この点を最後にお伺いして私の質問を終ります。
  31. 今泉兼寛

    今泉説明員 安定本部といたしましては、こういつた特に困つておられる方の住宅不足は一日も早く緩和したいということで、建設省なり厚生省なりのそれぞれの御計画に対しましては、はなはだ妥当な言葉でありませんけれども、同情的な立場でこの公共事業のなかんずく住宅対策に対して十分推進して参りたいと考えている次第でございます。そういう意味から今予定いたしましたのは、二十六年度においては相当大幅に、九十億くらいはぜひやりたい、こう考えております。従つてことしの延び方で、また来年、再来年等にも延びるとすれば、この九十億程度で私たちの所期するほんとうに困つている方の住宅不足ということは、大体あと五年くらいしたならば一応の目途がつくのではなかろうか。しかしこれをもつてとうてい解決はつきません。今言つたように三百七十万戸もございますし、それに年々人口の増加によつて増す関係もございますし、それから腐朽して来るものの関係もございますので、そうした更新聞係から申しますと、今の九十億や百億くらいの毎年の予算住宅を建てましても、五年ですべてが解決するとは考えておりませんけれども、今の延び方で行つたならば五年くらいたつたら、ほんとうに困る関係が一応解決するのではないか、しかしこの住宅不足ということは、今後諸般の事情からいつて根本的にほんとうに解決するためには、少くともやはり最低十年はかかるのではなかろうか。しかしながら今まで食糧の関係終戰後一番重大問題でございましたが、食糧の関係がやや安定している今日におきましては、衣食住と申しますうちの住居の問題が私は当面の一番重要な問題になつて来ておると思うのです。従つて今後われわれとしては、特に公共事業として取上げる重点といたしましては、住宅政策ということが最重点だ、こういう意味において、二十六年度予算も九十億といえば相当思い切つた倍率になつております。ぜひこの関係明年度予算においで実現したい、その場合また公共事業の予算のふえ方いかんによつては、あるいはもつと増額までして考えたい、こういうふうに考えている次第であります。     —————————————
  32. 若林義孝

    若林委員長 他に御質疑はありませんか——なければ次の問題として、未復員者の給與に関する件を議題といたします。過般来たびたび議題となりました未復員者の給與増額に関する事柄について、予算関係その他の説明政府から聽取することにいたしたいと思います。
  33. 田邊繁雄

    田邊説明員 お手元に未復員者給與法の参考資料を差上げてございますが、その中の予算及び俸給を現在の三百円から千円、または三千円に増額した場合に要する予算、その他につきまして御説明いたします。  未復員者給與法の給與は、現在三百円と相なつております。これは先般の未復員者給與法の改正によりまして、百円を三百円に増額されたのでありますが、三百円という俸給も、今日の各般の情勢から考えますればきわめて低額であつて、未復員者に対する処遇として当を失したものじやなかろうかという各方面からの声もございますので、私の方でも二、三財源等をにらみ合せまして、いろいろ研究はいたしておるわけであります。これはほんの参考でありますが、現在の三百円をかりに千円に増額した場合においてはどのくらいの財源がいるかと申しますと、二十五年度におきましては、九月以降の分といたしまして一億四千四百万円、二十六年度におきましては、十二箇月分にそれが引延ばされますが、その金額が十五億八千万円と相なるわけであります。もし俸給を一箇月三千円に増額するといたしますと、二十五年度におきましては九月以降五億五千万円、二十六年度においてはこれが三十一億というふうに多額の経費を必要とするわけでございます。なお引揚同胞一対策審議会におきましては、先般来復員関係委員会を開きまして、未復員者給與法の改正の問題についていろいろ議論をいたしたのでありますが、究極の結論に到達いたしませんので、次会に持ち越してもう一ぺん研究するということに相なつております。
  34. 受田新吉

    受田委員 未復員者給與法が生れてからまる三年に近づいておるのでありますが、現在未復員者給與法によるところの手当を受けている者の数字を発表願いたいと思います。
  35. 田邊繁雄

    田邊説明員 未復員者給與法による、いわゆる留守宅手当を支給している件数は約三万世帶でございます。それから特別未帰還者給與法によつて、いわゆる留守宅手当を渡しております世帶数は四千余世帶でございます。
  36. 受田新吉

    受田委員 今の陸軍関係と海軍関係の分類はどうなつておりますか。
  37. 田邊繁雄

    田邊説明員 ただいまちよつと細別した資料を持ち合せておりませんので……。
  38. 受田新吉

    受田委員 今の援護局長の御説明の中に、これが増額した場合の見込み額があげられたのでありますが、援護庁より出された資料によりますと、未復員者給與関係予算としてここに二十五年度成立額と、二十六年度要求額が掲げられておる。その中に陸軍関係と海軍関係が分類されておるのであります。ここにははつきりとした根拠があると思うのでありますが、今日関係者のどなたかからせつかくこの法律案の改正を取扱おうとするときでありますから、はつきりしたものをいただきたかつたのでありますが、やむを得ないといたしまして、第二の俸給を改正した場合の予算増加見込額、一月千円に増額した場合の見込額と、三千円に増額した場合の見込額とがここに書かれておりますが、これは数字を該当者何人として書いたのでございましようか。十五億一千万円二十六年度には行くことになつているのですが、この基準をどこへ置かれたか。資料がなければ、私は次に移りますが、この未復員者給與法の予算措置について、政府予算額の中にはどのくらいを昭和二十五年度に見込んでおるか、増加額はどのくらいに考えておるか、こういうような的確な資料をお聞きしたいのであります。これは予算の方と関係を持ちますので、大蔵省と連絡がいると思うのでありますが、適当な機会にこの法律の改正をしようと試みる場合は、この予算とのにらみ合せをしなければなりませんので、詳細な御報告を願いたいと思います。  なお私がここで特にお尋ね申し上げたいのは、これを千円にするか三千円にするかという場合に、予算があるかないかを見てこれを改正するかせぬかを考えるべきか、一応給與の体系の立場から、未復員者といえども六三ベースに順応した待遇をすべきであるという基準から、原則論に基いてこれを考えるべきかということが言えると思うのであります。わけて未復員者の場合を、終戰後五年たつてもまだ故国の土も踏まないような、非常に気の毒な方方である。そういう方々に対して、内地ではもう給與が六三ベースに切りかえられておるのに、依然として百円が三百円に引上げられたという、何といいますかまことにすずめの涙のような手当を出して——今までだんだんと増額して来たような形にはなつておりますが、こういうようなものを切りかえて、未復員者といえども国内に勤務していると同じだという立場から、給與体系の本筋へもどつて、それらに六三ベースに全部を切りかえたつて予算の上では大した問題ではない、国の予算を脅かすほどの問題にはならないのですから、この際原則論でこの給與問題を考えて行くべきか、法律の改正を考うべきか、大蔵省でわずか三億か五億のものをどうするか、千円にするか三千円にするか、そういうことを考えるべきか、これは非常に重大な問題であると思うのでありますが、今度法律改正に関するわれわれの重要な算定の基礎として、政府の給與法の改正に対して未復員者の給與をいかに見るかという根本的態度をお聞きしたいと思うのです。
  39. 田邊繁雄

    田邊説明員 末復員者は他の一般政府職員と違いまして、現実政府との間に勤務関係があるものではないのあります。ざつくばらんに申しますと、かつて軍人軍属として政府、国に勤務しておつたという身分にある人というのでありまして、現実には勤労の提供がない特殊の身分関係にある方々であります。俸給は当初すなわち昭和二十二年七月未復員者給與法ができましたときに百円といたしましたのも、別段根拠があつて百円となつたのではないのでありまして、上は大将から下は兵卒に至るまでの中間をとつてきめられたというふうに承つております。それでは当時の物価事情を最近の物価事情に比べましてあまりに低過ぎるということで、先般の国会におきまして三百円と増額になつているのであります。三百円に増額になつたときから今日までの情勢を考えてみますと、実はまだ上げる時期ではないということから、もつとさかのぼつて百円ときめた根拠が薄弱なものでありますので、この際一層立ち入つて、いかほどの給與を出すことが適当かという論拠につきまして、いろいろ議論しているのでありますが、先般も対策審議会におきましては、まだ結論に到達しなかつたような情勢でございます。われわれもその後いろいろと研究はいたしておりますが、関係方面の役所の方々予算の時期でありまして、手が離せない等の関係もありまして、延び延びになつておりますが、できるだけ早い機会に結論を出すようにいたしたいと考えております。
  40. 受田新吉

    受田委員 これは旧軍人であつたというので、待遇が政府職員と同じでないように考えられているのであるというふうな気もするわけですが、しかし事実こちらへ帰つて来ない人たち、国家がこれを召集し、徴集したものであつて、それを国家はまだ未復員としての取扱いをして、国家の権限の中へこの人たちをまだ入れているのでありますから、六三ベースということに給與体系ができている今日、その家族たちの生活保障という線から行つても、本人がこつちにおれば、そういう国家の機関にいるものはもう六三ベースの待遇を受けているのですから、それらと相対応するような待遇に切りかえるのが国家の責任であると思う。それでその数が非常に多いというなら別ですが、今これを入れたつて、三万と四千とかいう、両方合せても三万四、五千くらいの数でありまして、その人たちにこの給與体系を切りかえて行つたつて、国全体の予算を脅かすおそれもないと思いますので、この点ひとつ引揚同胞対策審議会は、田邊さんも事務長でやつておられるのでありますから、もつと給與体系の原則へ立ち返つて、国家が召集して、国家がこれを第一線に連れて行つて、そうして国家がまたこつちへ連れて来ることに対して責任を果しておらないのですから、この際政府職員と同等もしくはこれに近い待遇に切りかえるように、根本的態度を切りかえていただきたい。特に百円という算定基礎が、何やらわからぬ大将と兵卒との中間というような、そういう根拠のないいいかげんな数字をきめた以上、この際基本的人権を尊重する立場から、ぜひ厚生省にがんばつていただいて、そうしてわれわれ国会はもう原則論に立つて行くようにお願いしたいと思います。大蔵省の折衝におきましては、わけて同胞引揚費が五十何億というあれだけのものがあつても、今度などはほとんど帰つて来ない以上は、その予算を実際使わないことになるのですが、その部分を未復員者給與に振り当てるとか、あるいは帰還促進の運動を展開する者に対して何らかの予算措置をとつてやるとかいうような、この引揚げに関連するいろいろな問題にこの予算を使うような努力は、厚生省としてなし得ないものかどうか。こういうところを政治折衝でひとつがんばつてもらつて厚生予算、特に同胞引揚げ関係予算を他へまわさぬように、その予算の流用をすることは許されていないのですけれども、しかし根本的態度において、厚生省が獲得した同胞引揚費は厚生省がこれを使うというふうにがんばつていただきたいと思うのでありますが、引揚援護庁の最高責任者である田邊さんの御意向を承りたいと思います。
  41. 田邊繁雄

    田邊説明員 お説ごもつとも、御同感でありまして、至急対策審議会結論を求めまして、その結論によつてできるだけ御趣旨に沿うて行うように努力をいたしたいと考えております。
  42. 小林信一

    ○小林(信)委員 今の御質問の中で、ちよつと私初めてですから納得できないところがあるのですが、その中間をとつたということですね。これはその当時未復員者に対して何か支給するものが、上は大将から下は兵卒に至るいろいろな種類があつたわけですね。だから中間をとつたというか、その平均をとつた、しかもその平均を算定する基礎は、今は勤務関係はないにしても、その人たちの何か生活的なものを救済するというふうな観点に立つての算定だつたわけですね。
  43. 田邊繁雄

    田邊説明員 未復員者給與法と特別未帰還者給與法というものは、つまり援護とか救済という精神は入つておらない。法律の建前は援護でありますれば、援護を要する人だけに限定して施策を施すということになりますが、これは一定の身分関係があつて、いわゆる貧富の差を問わず、全体に対して給與を出すという給與として出しております。先ほど中間をとつたというふうに申し上げましたが、これはこの当時の事情を間接に聞いたことをそのまま申し上げたのでありまして、生活保障という精神を基礎にして給料が算定されたものでないということを承つております。今日においても、留守家族の生活を保護するという見地からでありますれば、一方生活保護法という無差別中等の精神に基く法律があります。そのほか特別未帰還者給與法、未復員者給與法を制定する必要がどこにあるかということになりますが、この法律は、先ほど申し上げましたように、かつて軍人、軍属であるという特殊な身分関係に立つ人に対する給與体系によつて生れた法律でございますので、生活保障という趣旨は全然ないわけではございませんけれども、その点は必ずしも給與の算定において基礎にはなつておらないのじやないか、こういうふうに考えておるのであります。
  44. 小林信一

    ○小林(信)委員 大体わかりましたが、そうしますと、現在援護局長は、三百円に対してどういう見解を持つておられるのですか。三百円は何ゆえに支給するか、どういう目的で支給するかという当局考えをお聞きしたいのです。今までの説明では、どうもどういう意味で與えておるのかわからぬというふうにわれわれはくみとるのです。
  45. 田邊繁雄

    田邊説明員 私の申し上げましたのは、留守家族の生活を保障するという見地から、それを基準として給與が算定されておるのではないということを申し上げた、それが重点なつて給與が支給されておるものではないということを申し上げたのであります。但し現実に勤労の提供をされておる方々に対しましては、政府職員のベースというものがあるわけでございますが、こういう方々現実には政府に対して、国家に対して勤労の提供がない特殊な関係であります。その俸給をいかに見るかということが非常にむずかしい問題であると考えております。
  46. 小林信一

    ○小林(信)委員 ついでにちよつとお伺いしたいのですが、引揚者は一応住宅等が政府などの補助によつてできたのですが、最近非常に災害が大きいわけです。そういう災害等によつてそういうふうなものが失われた場合、耕地を失つたとか、あるいは住宅その他のものがそれによつて影響を受けるということがあるわけです。ことに今住宅の問題が出ましたからお伺いしますが、そういう場合に再度建設するという場合、引揚者としての待遇を受けられるかどうか、もし住宅以外のことについてもお知りでしたらお伺いいたしたい。
  47. 田邊繁雄

    田邊説明員 引揚者住宅として設置いたしましたものが災害によつて滅失したような場合には、災害復旧費としまして、予算要求いたしまして、それをその当該府県なり、市町村補助いたして復旧するという措置を講じておるのであります。
  48. 小林信一

    ○小林(信)委員 そうすると災害復旧費というものは、やはり引揚者に対する災害補助という名目でとるのですか。一般の災害対策費の中からとられるのですか。
  49. 田邊繁雄

    田邊説明員 これは一般の災害復旧費の中から引揚者住宅関係の復旧費として私どもの方でちようだいいたしまして、それで措置をいたすわけでございます。
  50. 小林信一

    ○小林(信)委員 そうすると何かやはり特別なものがあるわけですね。一般の災害費と区別されるものがある、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。
  51. 田邊繁雄

    田邊説明員 これは引揚者住宅の問題ではございませんが、一般の災害復旧費の中から、私の方で要求をいたしますと、それからわけてくれるわけですから、結果においては区別して扱つておるということになるわけでございます。
  52. 受田新吉

    受田委員 私は田邊さんに特にこの問題、未復員者給與法の改正問題にとどめてお尋ねしておきたいと思うのですが、これを給與体系の原則に立ち返らすべきものだと私は思うのです。未復員者給與法という給與、これは特別な身分関係があるけれども、しかしながらこれは国家の責任で、現にまだ解雇に至つていない用員は、契約をしたものと見るべきですから、その意味から従つて私は全額ということには——やはり国内で勤務をしている政府職員と同額ということには、これは主張しないのですが、それに近い線で、これに準じた取扱いをするというところまではこれを持つて行くべきである。そういう意味から、少くとも三百円の基準にはその根拠がない向きがあるのであるから、これをせめて六三ベースの給與の半額を出してやるというので、三千円くらいの線までは持つて行くということを私は主張したいのです。従つてこれの法律の改正にあたつて、三千円の給與を支給することにおいて、政府当局に支障がないかどうか。そこをひとつ念を押しておきたいので、これに対して政府が十分の用意があることになれば、われわれこの際思い切つて手を打つて改正に乗り出して行きたいと思います。
  53. 田邊繁雄

    田邊説明員 未復員者の給與につきましては、御説の通り一つの給與体系の中で特殊な地位にあるもの、こういう考え方が一応の筋ではないかと私ども考えております。なおこの点につきましては、この法律の所管省であります大蔵省当局の御意見も十分拜聽しなければなりませんので、いずれ先ほど申し上げましたような審議会におきまして十分検討いたしまして、考え方をきめて参りたい、かように考えております。
  54. 受田新吉

    受田委員 それで田邊さんの今の御答弁に関連するのですが、特別未帰還者の中で、こちらの官吏であつた者が向うへ連れて行かれた場合は、これらはまだ官吏の身分のままで解雇されていないのですから、その給與は一昨年当時大蔵省の今井給與局長に私がここで質問したときに、はつきりと政府職員と同じ待遇にするという答弁があつたわけです。これは未復員者のうちで政府職員であつた者は、召集でまだ未復員の者にもこれが適用するようになつていたのです。そういうところから、こちらでまだ政府職員の身分をもつて、未復員の者に対する給與を政府職員と同じ並に考えられておる。しかし事実支給は相当下まわつておりますが、この者と、それからほかの場合における未復員の者とのつり合いなども考えて行かなければならぬと思いますが、この点何かこちらの政府職員であつて未復員の者に対する給與が、最近くぎづけにされて行くおそれはないのですか。今井給與局長の答弁と食い違つておるところがあれば是正しなければならないと思います。
  55. 田邊繁雄

    田邊説明員 政府職員で、未帰還の人に対する給與については、政府として一定の規則をきめてございます。これは独身者である場合と、家族持ちの場合とでは、給與の基準を非常に違えております。独身者の場合には非常に少額でございますが、家族持ち、つまり家族が内地の留守宅にある場合には相当高くなつております。但しそのべースは、現在では六千三百円ベースの給與は改訂になつておりませんので、基礎はこの前の三千七百円ベースで計算されております。その点につきましては、私の方から人事院当局に対しまして、至急善処、研究方を要望しておきました。その点も対策審議会におきまして、あわせて研究中でございます。
  56. 受田新吉

    受田委員 この未復員者給與法の給與の問題は、一方で給與体系を特殊関係における考慮を拂いつつ全うして行くという、非常に国家の使命の上からも大事なことだと思いますし、それからこちらで政府職員であつた者が、まだ未帰還である場合に、その給與が三七ベースからまだ切りかえられていないことに対して、援護局長より特に審議会の名において、人事院に交渉せられておることに対しましては、これは非常に喜ぶものでありますが、これはおととし、はつきり今井給與局長から同様に取扱うということを言明されております。給與改訂がある都度、これにスライドしてやると、今井給與局長はこの委員会で言明されたのです。この点ひとつ当時の大蔵省の責任者として、六・三ベースに切りかえるということの給與局長の言明があるのですから、私どもとつたてにとつていただかなければならぬと思う。これは昭和二十三年の十一月の特別委員会で、政府答弁としてなされたことです。  それからもう一つ、未復員者給與法に、未復員の人で療養を受けておる者とか、それからまた帰つて来た場合に、遺骨埋葬費あるいは遺骨引取りの旅費として渡すことも合せて考えなくちやならぬことで、こつちへ英霊となつて帰つた場合に、わずかに埋葬費が千五百円であるということは、これはどう考えつて死骸を燒くのでも千五百円かかるのです。そしてそれを納骨するのにお布施その他を合せると、千五百円じや骨の処理をするだけでも足りないのですが、この点、関係方面の折衝もあると思うのでありますが、普通の場合においては、労働者災害補償法などでは、遺族の補償に千日分の給與を與えることになつておるのです。これはもう十万円以上です。それと比べて、英霊となつて帰つたら千五百円の金でこれを簡單に処理しているという現実は、これは実に冷たいと思うのですが、この点を思い切つて遺骨引取り旅費の増額と、それから埋葬費の増額ということへ考えを及ぼさなくちやならぬと思います。この点思い切つた大幅増額を、少くとも遺骨埋葬費を一万円くらいに引上げるような対策が私はいると思うのですが、これは今のところ、渉外局発表の三十七万余名が不幸にして、そのうちの何割かが死亡者となつてこつちに帰つて来たというような場合において、国が非常に大量に負担をしなくちやならぬという危險がひそむという憂いがあるかもしれませんが、しかしいかに大量の死亡者の発表があるにしても、千五百円の埋葬料というのは、これはちよつとわれわれ想像のつかない現実でありますから、ひとつこの点政府として埋葬費の大幅増額に対しての心構えというか、決意をお聞きしたいと思います。
  57. 田邊繁雄

    田邊説明員 御説の通り、埋葬費も給與と同じようにきわめて少額でございまして、英霊となつて帰られる未復員者の処遇として遺憾ではないかという御意見であり、われわれもまつたく同感でございます。この点につきましても、対策審議会としましては、相当大幅に増額するようにという心構えで、目下審議いたしております。この点につきましては、今後われわれとしてもできるだけ増額するように努力をいたしたい、かように考えております。
  58. 受田新吉

    受田委員 最後に、この法律に関連して、この委員会態度もきめておきたいと思うのであります。前第八国会の末期において、この法の改正の空気が釀成されていたといういきさつもあるし、すでに一般の給與体系も、ベース改訂がなされようとする空気が濃厚に動いておるときに、未復員者給與法の今申し上げた点の改正に、政府重点的な努力がいる。同時にわれわれ国会としても、これをわれわれの名においてでも改正しようという意図を持つておるのでありますから、ひとつ両者相まつてこの問題の解決にあたりたいと思います。同時に、この法の適用者——未復員者給與法の中にも漏れておると思うのでありますが、特別未帰還者給與法の中にも相当の数が漏れておるということは、調査が十分できないからとか、何らの証拠がないとか、いろいろな点で該当者と目さるべき人物で、これに落ちておる人たちがあるようであります。こういう点で、少くともこの際ある程度のはつきりとした確証があがつておるとすれば、そのほかの條件に不備な点があつたにしても、向うから帰つて来ぬということがわかつておる以上、これらをこの給與法の該当者として取扱うような幅の広い線を、地方世話課などへ適当な指示をしてもらつて、この恩惠を受ける人が多数できるように、恩惠を受ける人と恩惠を受けない人との差があまりに違い過ぎては、人道上もゆゆしい問題でありますので、この点未復員者給與法の適用について、常に責任を持つておる引揚援護庁としても復員局としても、末端に対して、この解釈を嚴密に過ぎて、せつかくの該当者がその線に漏れることがないような措置をとつていただきたいと思います。
  59. 田邊繁雄

    田邊説明員 御趣旨つたく同感でございます。私どもも未復員者給與法、特別未帰還者給與法の処遇を上げるたびごとに感ずるのでありますが、この法律の適用を受ける未帰還者の留守家族と適用を受けない未帰還者の留守家族の待遇が、あまりにも違つて来るという点について、実は心配いたしておる一人でございます。御承知通り復員者給與法につきましては、未復員者ということがはつきりいたしておりますれば、必ずこの法律は適用になるのでありますが、特別未帰還者の方は、その認定の標準が限定されております。従つてすべての未帰還者にこの法律を拡充するということは、今日の法律の建前としては不可能でございまして、法律の建前がそういうふうになつておる関係上、われわれとしてもそれをむやみやたらに広げて解釈することはできない事情になつております。特に特別未帰還者給與法の将来拡充されます際には、中共地域におります未帰還者の状況は千差万別でございまして、中には自分の意思で残つた者もありまして、ソ連地域における未帰還者とはまつた状況がかわつておりますので、それのどれを押えて、どこまで拡充するかという問題は、きわめてむずかしい問題であるわけであります。私の方といたしましては、あまり嚴格に流れないように、またあまりにもルーズにならないようにということを心構えとして運用して参ります。この点につきましては、資料のはつきりしている者につきましてはすみやかに適用する、こういう建前で、できるだけ整備を急いでおります。しかしこの法律の建前をかえまして、未帰還者給與法とでもしない限りは、全部の未帰還者にこういつた恩典に浴せしめるということは、きわめて困難であるということだけは御了承願いたいと思います。
  60. 池見茂隆

    ○池見委員 一点だけお尋ねしておきますが、引揚委員会で問題になりましたところの三十七万何名という未帰還者があつたが、それに対しまして、未帰還者給與法の先ほどの局長の説明では、特別未帰還者が三万四千名というものが給與を受けておるということになりますと、この未帰還者の数と、いわゆる給與を受けておる現在数というものとに対して、非常な相違があるという点につきまして、さらにわれわれとしては——この根拠のある数字と、現在われわれが叫んでおるところの三十七万数百名というこの相違に対しまして、非常にわれわれとしても説明その他のことにつきまして考えざるを得ない点があるのであります。この三万四千名という数字は現在常に異動しておりますか、その点をお聞きしたい。
  61. 田邊繁雄

    田邊説明員 まず三万四千名と申し上げましたのは、未帰還者のうちで内地に扶養留守家族を持つている家庭だけであります。六十歳以上の両親と十八歳未満の子供とそれから妻、大体こういつた留守家族を持つた方だけに限定して扶養手当を出しているのであります。従つてこの数字以外に内地に留守家族を持つておりましても、先ほど申しました範疇に属さない方が相当ある。また内地に全然留守家族を持つておられない未帰還者も、引揚者状況から判断いたしまして相当あるように考えられる。なおこの数字の異動状況につきましては、未復員者の方は死亡処理をいたしております関係上、漸次減少して参るわけであります。死亡処理をいたしますれば、留守家族の支給が打切られます関係上、だんだん減つて参ります。それから特別未帰還者給與法の方は、だんだんにふえて参るわけであります。特別未帰還者としていたものがだんだんとふえて、それに留守家族が加わり、だんだんふえるわけであります。
  62. 池見茂隆

    ○池見委員 それではこういつた数字は、各都道府県の世話課において常に調査をしてこちらに連絡するわけでありますね。
  63. 田邊繁雄

    田邊説明員 そうです。
  64. 池見茂隆

    ○池見委員 わかりました。
  65. 若林義孝

    若林委員長 関連の質疑はありませんか。  前委員会におきまして、先ほど受田新吉君から発言がありましたように、未復員者の給與に関しても増額の機運が各所に起つておるわけでありまして、本委員会においてもこの問題を取上げて成果を收めたいと思うのでありまして、今日質疑を行いましたのを基とし、また次会においては大蔵省関係の意見をも伺い、この措置を急速に進めてみたいと考えるのであります。  なお本委員会といたしまして、ソ連地区に抑留せられております同胞の引揚げに関して、対日理事会から国連総会にこの調査を依頼しておることが、来月十九日の国連総会の議題となるのであります。対日理事会がこの問題を再度取上げられまして、遂にこれを国連に持出されたということに関して、本委員会といたしましても司令部のこれに対する厚意を感謝し、また将来の一層の協力をお願いするという意味で司令部へ感謝とお願いにまかり出たいと思いまして、今日その都合を伺つたのでありますが、きようは時間的にその余裕がありませんので、日を改めて委員会決議といたしまして、委員長とともにもし余裕のある方がありましたならば同行願つて、この意思を伝えてみたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 若林義孝

    若林委員長 ではさようとりはからいます。時日がきまりましたならば連絡をいたしますから、万障繰合せて委員長と行をともにせられんことを希望いたします。
  67. 受田新吉

    受田委員 国際連合の総会が開かれることについて、今委員長から発言されたことは非常に適切なことだと思います。特にこの委員会は、その総会を開く前には再び開かれないかもしれませんので、在京の委員諸君はいつも連絡をとり合つて、国連に対するわれわれの陳情その他に万遺憾なきを期しなければならぬと思いますが、あわせてこの国連総会を前にして、国民運動の展開されている抑留同胞引揚げ問題の成果があがるように、ひとつわれわれの委員会としてこの運動に協力して行かなければならないと思つております。特にこの委員会においてこの国民運動を側面より援助して、同時に国連総会をして引揚げ問題を徹底的に糺明してもらつて調査団の派遣が必ず実現するように輿論の引立てをする最高の責任機関として立たなければならぬと思いまするので、われわれの特別委員会が、この際最も重きをなすようないろいろな対策委員長を中心に常に打立てるように、閉会中であつても強力な動きができるように、きようこの委員会が散会するにあたつてわれわれ決意を固めておきたいと思います。この点もひとつお含みおき願いたい。  それからもう一つ最後委員長を通じてお願いしておきたいことは、未復員の人たちの国勢調査の問題であります。今特に総理府の統計局長にここへ出てもらいたいと思つて呼んでもらつたのですが、どうも連絡がとれなかつたようであります。国勢調査の中に、未復員者の調査をあわせて行えるような要望を続けて来たのでありますが、それが今実現をしないような空気にあるようであります。未復員実態調査をするために、やはりこの国勢調査を利用するのが最もいいと思いますので、政府に対して、未復員者の実態が明らかになるような調査について、何らか府県においてその処理の上における便法はないか、念を押していただくようにお願いをしたいと思います。この点の御連絡方をお願いをして、私の意見を終りたいと思います。
  68. 若林義孝

    若林委員長 国民総蹶起運動の本部が衆議院内にもあるわけでありまして、この運動はまさしく衆参両院の特別委員会が中心になり、また先頭に立たなければならぬということについては、どなたも御異議はないことだと思うのであります。御趣旨のごとく決意を固めて、推進をいたしたいと思うのであります。  なお未復員の国勢調査に関して関連する御発言の議は、しかるべく委員長におきましても善処し、あとう限りこの機会に国勢調査に結びつけた未復員の調査をすることに申入れをいたしてみたいと思います。  今日はこの程度で散会いたします。     午後四時十一分散会