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今泉説明員 経済安定本部といたしましては、現在
住宅不足で悩んでおる人口は、大体三百四、五十万
世帶ぐらい
全国で残るのではなかろうかというふうに一応予想しております。従
つてこれらの人になるべく早く家を建てて、しかも引合うような
家賃で入
つてもらう、こういう
施策を進めて参りたいということで、かねがね
計画を立てまして、
公共事業費といたしましては、昨年においてもそれから本年においても、
相当の国費を出しまして、いわゆる国庫五割
負担という
庶民住宅を建てて今推進しているわけでございまするが、そのほかに今年
住宅金融公庫というものができまして、七割五分まで貸し付けるということで、
住宅政策を
建設省の方では進めているわけでございまするが、これは今御意見のありました
通り、低額
收入の者に対しては、今の
家賃では
ちよつと手が届かぬところがあるのじやないか。またそうい
つた階層が
相当あるということはわれわれも十分認めておるわけでございまするが、しかし一体これをどの
程度まで広げればよろしいか、それからまた
住宅政策としてどこまでそうい
つた補助の範囲を広げるのが適当か、こういう問題に
なつて参りますると、單に
住宅だけで解決される問題ではなくて、もつとこれは社会保障なり、あるいは生活物資なり、あらゆる面で総合的に
考えるべき問題じやなかろうか。一方国費の方にはやはり一応限度がございます。従
つてあまりに
補助率を多くいたしますれば、勢い国の
予算に限度がある以上、戸数があまり建たぬ、こういうことにもなりますので、われわれの気持といたしましては、
庶民住宅というのは、できるだけ自力でうちを建てることのできない人に、公共団体と国がそれぞれ半額を持
つて建てるということに
なつておりますが、そういう範囲はできるだけ下の
階層にまで及ぼしたいとは
考えておりまするが、
住宅政策だけからこれを
考えるということでは、問題は解決されないのでございまして、その点はできるだけ多くのうちを建てるということと、それからもう
一つは、矛盾するようでございまするが、できるだけ文字
通りの庶民
階層に入
つてもらう。こういう点からのかね合いで、実は現在もつとこの
補助率も高めたいとは
考えておりまするが、五割
補助ということで進んでおる次第でございます。それにかてて加えまして、本
年度は
住宅金融公庫というような新制度が生れましたが、
明年度の
施策といたしましては、私
ども今日
住宅金融公庫の応募
状況その他から見て、ああい
つた住宅金融公庫の
状況では、とてもいわゆる庶民階級という人は手が届かぬものである。ああい
つたものを全廃するということは、まだ一年やるかやらぬかの
状況においては、これは非常に検討を要する問題だと思いまするが、しかし
明年度の
住宅政策の中心としては、私
どもとしてはこの率をもつとふやして、この
庶民住宅をもつと多くつくらなければならぬのじやないかということで、現在
考えておりますることは、ことしの
庶民住宅に充てられた
予算を
明年度においてはもつとこれを増額して、もつと数多くのうちを建てたいと
考えております。しかしその
補助率をどういうふうにするという問題は、まだ
結論を得ておりません。従
つてこれを五割そのままのかつこうに置くか、あるいは六割とい
つたような、もつと
補助率を多くするかという問題は、今申し上げました戸数をなるべく多くしたいという要請と、それからもう
一つ、なるべくいわゆる庶民を入れたいという要請とのかね合いの問題になりますので、まだ
予算がきまるまでは
相当時間もございますので、十分われわれとしては検討した上で
態度をきめたいと
考えております。ただここに
一つ申し上げられることは、今年の新規
引揚者に対する
住宅として、五億円をも
つて七千五百戸を建てることに
なつておる
住宅の問題でございまするが、今年は本
年度に入
つてから新しい帰還者はほとんどないという
状況でございます。本来から申せば、こうい
つた予算の組み方から言えば、新規の
引揚者に充てられた
住宅だからということに相なるわけでございまするが、この問題は、
安定本部といたしましては、もしも今年中に新しい
引揚者があれば、もちろんその
人たちは優先してこれに入
つていただくが、もしかりにことし新しい
引揚者がないにしても、従来の
引揚者の中で、特に無
縁故者で学校とか病院とかい
つたところに入
つておられる非常にお困りの方がたくさんあることを
承知いたしておりますので、そうい
つた方面にこの七千五百戸をお使いになることについてはさしつかえなかろうと
考えております。
それから明年の問題でございまするが、これも
厚生省の
当局から、実はまだはつきり予定はできないけれ
ども、来
年度は中共地区その他から
相当程度引揚げを予想されるのではなかろうか、しかしこれはいつ
引揚げるという予想も今のところでは立たぬという御要望がありまして、それにあわせて
予算の御
要求がありました点についても、私
ども愼重にこれを検討いたして、まだ
最後的に
結論は出しておりませんけれ
ども、これに向
つても、まだ予想が立たぬからというて、
予算の計上を全然見ないということもいかがかと思いまするので、今の心組みでは、こうい
つたものはやはり一応予想いたしまして、帰
つて来た際に、そろい
つた新しい
引揚者に対して何らの
住宅建設費もないということで
対策上に遺憾があ
つてはなりませんので、少くとも今年
程度の
引揚げ住宅というものは
考えて参りたい、こういうように
考えている次第でございます。従
つてこの
引揚げ関係につきましては、新たなる
引揚げ関係者、それから
定着している
引揚者の中の特に無
縁故者、この二つが
対象になると思いますが、後者のすでに
引揚げて
定着している方については、気持としては先ほど私が申し上げた
通り、何もかも内地にお
つた戰災者の非常な
困窮者と同一水準で
考えるという
考え方は持
つておりませんけれ
ども、しかし国全般の大きな
政策として
考えたときは、やはりこうい
つた人たちは、同じような
生活困窮者あるいは庶民階級とい
つたラインにおいて、やはり大きく
住宅政策の一環として
考えざるを得ないのではないか。その際に、先ほど申し上げました
通り、こうい
つた多勢ある人のうちですから、できるだけ早い機会に、できるだけ多くの人に
住宅を與えるという
政策を推進して参る際には、この
住宅政策だけで解決できる面と、しからざる面とがあるということを御了承いただきたい。しかし御要望の点は、十分われわれも
考えている点でございまするので、そのかね合いの問題について妥当と思われる点を、
明年度の
住宅建設の
基準にいたしたいと
考えている次第でございます。