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1950-07-28 第8回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 足立 篤郎君 理事 池見 茂隆君    理事 小西 英雄君 理事 玉置 信一君    理事 受田 新吉君 理事 竹村奈良一君       青柳 一郎君    小川 平二君       近藤 鶴代君    佐々木秀世君       佐々木盛雄君    庄司 一郎君       中山 マサ君    堤 ツルヨ君       苅田アサノ君    松谷天光光君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         外務政務次官  草葉 隆圓君  委員外出席者         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局長)    田邊 繁雄君         厚 生 技 官         (厚生省医務局         歯科衞課長) 大西 榮藏君         厚生事務官         (引揚援護庁復         員局業務課長) 岡林 諄吉君     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中審査に関する件  海外同胞引揚問題に関する件  引揚者援護問題に関する件  留守家族援護に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  この際御報告を申し上げたいと存じます。前回の委員会、前々回の委員会におきまして、過般十八日から二十一日にわたります全国留守家族大会並びに奪還の国民蹶起大会が、その筋の命によりまして中止をせられて、すでに国元をお立ちになつてこ大会に参加せられんとするところの方たちが、中途においてその行を中止せられた向きもあり、この趣旨が徹底をせずして、車中などにおられました関係上、東京に御到着になつた方たち、この大会がせつかく熱意ある国民の要望によりまして、当事者当事者外方たちと打つて一丸となつた会が行われることを予想せられておつたにもかかわりませず、不幸にして中止になつたのでありまして、この問題に関して、前二回の委員会において、種々皆様方御論議が出たのであります。警視庁から警備課長出席を求めまして、その間の事情を聴取いたしたのであります。その結果に基きまして、本委員会意図をもつて関係方面からその事情を聴取し、また委員会意向を伝えるべく皆様方申合せがあつたのであります。その申合せに基きまして、昨日池見委員中山委員の同行を願いまして、公安課プリアム大佐を訪問いたしまして、委員会におけるところの意向を申し伝えたのであります。その結果、向う意向なり説明を聞いて参りました。その概要を御説明申し上げたいと存じます。プリアム大佐参謀本部の命を受けまして、公安中心になつておられる方であります。この問題に関しましては、終始わが政府との間に立たれまして、交渉を続けられた方であります。この大佐の申されますことは、これは参謀本部から出た事柄でありまして、はなはだ遺憾であつたけれども、まぎわにこの命令を出すことになつたと、遺憾の意を表せられておつたのでありますが、第一、この集会があのような結果になりましたことの理由といたしましては、朝鮮動乱が起りましたことが主なる原因でありまして、引揚げ方たちの要請するところは、ソ連大使館に、言葉は悪いのでありますが押しかけて、この現状をソ連大使館に訴えて、引揚げ促進をするというのが、目的でありますから、ソ連大使館中心としての運動になるわけであります。もとより平穏無事に、穏健に行動せられることは予想はいたしてをるのでありますけれども、万一感情を持つております人間集まりでありますから、不測事柄ソ連大使館中心といたしまして起るようなことがあるとするならば、その結果は第一引揚げ促進を阻害する口実に使われることになるおそれがあるということ、同時に、その迷惑は日本政府並び司令部関係に及ぼされるのでありまして、おそらく現在の状態においては、引揚げ促進にプラスになるよりも、マイナスになる事態が強く感知せられる事態があつたために、あの挙に出たのであるということであります。その取締りに対して、警視庁峻嚴をきわめてきびし過ぎた、その取締りの任に当る警官が、これに関係する引揚者の留守家族方たち感じからいつて、その取締りが嚴重過ぎたのではないかというこちらの申出に関しましては、ソ連大使館の周囲、ある一定の地点をきめまして、それ以上近寄ることのないようにということとなつてつたのでありますが、この警戒線を勢い余つて突破せられたために、警視庁としてはそれを阻止する行動に出たということが、峻嚴をきわめ過ぎたというような感じをもつて迎えられたのではないかというのであります。このことに関して、東京のこの種の集会禁止せられたと同様に、地方引揚げ促進運動に関する集まり禁止せられるのではないかという危惧を抱いておるのだが、これに対してはどういう考えを持つておられるかという問いに対しましては、もとより先ほど申しましたように、ソ連大使館中心として起るであろうと思う不測事柄を予想して禁止したのでありますから、地方にはソ連大使館はないのでありますから、司令部といたしましては、東京以外の各府県において、また東京におきましても、ソ連大使館中心としないところの集まりであるならば、これを禁止する意向は絶対にないのであると明言をせられたのであります。以上、過般の委員会におきます委員会申出に対しての、司令部といたしましての意向を概略して要点のみを申し上げたのでありますが、このプリアム大佐言々句々のうちに、引揚げ促進の一日も早からんことを念願する熱意が満みております。また留守家族方たち困苦欠乏に対して鬪つておられます様子を、一般の日本国民感情からいつて、ここまで考えておられるのかと思うほど熱心に憂慮しておる事柄が、この言々句々のうちに見えたのであります。その間私たちがそれを感知しました言葉を二つ三つ申してみますと、こういうことを言いました。引揚げ促進に関して、日本人は別であるけれども、この地球上において、マツカーサー元帥以上に引揚げ促進を熱心に考えておるものは、ほかにはないだろう。マツカーサー元帥こそ、日本人を除いた、だれよりも熱心にこの引揚げ促進をしておるのであるということを申されておつたのであります。あるいはアメリカ、イギリス、濠洲その他の政府中心になりまして、前回行いました国連を通じて、ソ連に三十七万人の人たちの詳細なる報告要求をせられておるのは、御存じの通りでありますが、また近くこれを国連を通じまして、ソ連政府要求をする準備を整えておるのである。そうしてソ連という国が、ほかの国とはかわつた政治組織感情とを持つておるということを世界に知らしめる。そうしてそのことによつて引揚げの数を確知すると同時に、引揚げ促進に資するつもりでおるということなのであります。なおこのプリアム大佐の手を見ますと、たまでもつて傷ついたあとが歴然としてあります。足にもあるそうでありますが、これは日本の戰鬪機によつて受けた傷である。けれども自分は、三十六年か軍人生活をしておるのであるが、戦い終つた今日、敵味方の区別はない。私は二人のおやじ——いわゆる親というのは、片一方アメリカ政府のことを言い、片一方日本政府のことを言うておると思うのでありますが、その間に立つて世界平和と日本の国の発展、特に今日おいでになつた趣旨に基き、この引揚げ促進のごときは、自分としては身命を賭してやりつつあるのであり、将来もやるのである、こういうような非常に強い話が出まして、この言葉のありのままを現地に抑留されておる方たち並び留守家族方たちが直接聞かれるならば、おそらくどなたも満足のお気持を持たれ、また心のなごやかになることに役立つのではないかという気持がいたしたのであります。私は事この引揚げの問題に関しますと、相当しやべれる口を持つております私でありますけれども、胸が迫り、言葉がすらすらと出て来ませんために、昨日のこの会見における様子の全部を御報告することのできないのを遺憾とするのでありますが、要点のみを申し上げまして御報告を終りたいと存ずるのであります。同行せられました池見委員の御出席を得ておりますから、私の足らざるところを池見委員から御報告を願えますならば幸いかと存ずるのであります。
  3. 池見茂隆

    池見委員 昨日委員長を同行いたしましてその筋を訪問いたし、委員会申合せの結果を先方に伝えまして、その経過なりその事情はただいま委員長より詳細に御報告がありまして、その要点もつまびらかと思いますから、特に私から付言申し上げることはありません。
  4. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいま委員長の御報告になりました件に関連いたしまして、委員長に一、二御質問を申し上げます。  その前に大きな問題で外務当局質問を試みたいと思いますので、外務政務次官、もし外務政務次官おいでになれない場合は、局長の御出席を願えますよう、おとりはからいを願いたいと思います。  さて御質問の第一は、ただいまの御報告を聞いておりますと、先般私御質問申し上げ、さらに他の委員からもいろいろ御質問になりまして、結論として委員長ほか池見委員その他の方々が、ただいま御報告のように御折衝になつた結果を拜聴したりでありますが、そういたしますとソ連大使館に陳情に参つて、それがたまたま勢いのおもむくところ、大使館の中に入り込んで行くという事態があれば、そこにいろいろの、結論的に申しますとマイナスになる点があるので、これを禁止した、大使館のないところにおいてはかかる行動はさしつかえない、かかる行動と申し上げることは要するに留守家族大会等はさしつかえないというように拜承いたしたのでありますが、そうしますと、東京都において留守家族大会を開く場合、ソ連大使館の前に行きさえしなければ、どの地域においても大会を開き、さらにまた衆参議院において組織されておりまする同胞救出議員連盟が中核となつて海外胞引揚国民運動総本部の推進によつて行おうとする国民運動展開に対しましても、東京都においては何らさしつかえないというように了解できるのでありますが、この点重ねて委員長の御折衝になつた経過においてのお考えを承りたいと思うのであります。
  5. 若林義孝

    若林委員長 お答えをいたします。ただいま、私が先ほど申し上げましたことを基本として、理論的にこれを推し進めて参りますと、今玉置委員の御質問のような気持になつて来ると思うのでありますが、しかしその距離的の概念から言つて、すぐ一走りすればソ連大使館のところへ行けるという東京都内であれば、行くおそれがあるという気持が含まれて、これを判断せられるのじやないかと思うのです。あの大会増上寺の中で、あそこだけで行われるのにきまつておるならば、それ以外の行動をしないということになれば、あるいはあれも許可されたかもしれませとけれども、万に一つ、近いところですから、地方からおいでになると、ソ連大使館へも行こうという気持についなられるであろうと想像されるために、今の危惧をされたのじやないかと考えるのでありまして、東京都内では、少人数の人たち集まりならばよいと思いますけれども全国から集まつて来てやれば、ソ連大使館中心としての行動でなくても、これは何といいますか、非常に憂慮せられて禁止をされるのじやないかと思うのであります。しかし地方におきましての分は、その心配は毛頭ない。その運動自身が悪いというのじやないのでありまして、おもしろい言葉の表現もあつたのでありますけれども、公開の席上ですからちよつと言いにくいのでありますが、とにかく普通われわれが常識考えて、何事も想像でき得るような政府ならば、かくのごとき心配はないでしようけれども、万一これを逆にとられて、かえつて促進を阻害するようなおそれのあるように思われる政府を相手のことでありますから、これは避けた方がよい、こういうのが向う意向のように思われるのであります。だから東京で小さな小規模の集会ならばまだいいと思いますけれども東京中心としての全国的の集まりはできぬのではないか、こういうように思います。
  6. 小西英雄

    小西(英)委員 先ほど来の委員長司令部との折衝報告で、私委員の一員として非常に感銘し、また非常に理解ある連合国に対して敬意を表すると同時に、私がさらに委員長において、感情と申しますか、私たち留守家族皆様代理者としての立場から申し上げますならば、まず結論といたしまして、あの二十一日の増上寺救出大会中止された意図は、むしろそういうふうな大会において、かえつてソ連政府口実を与えて、促進を阻害するような状態になりはすまいかという、親心のある司令部意向つたと思うのでありますが、私個人として考えますれば、朝鮮事変が勃発し、今や国連が南朝鮮の事変に参画する、また一方北鮮進撃等、その他あらゆることが錯綜しておるので、これが中心となるために、これらの問題に悪影響を及ぼすために——これをかりに中止いたすならば、われわれ留守家族の前に何ら申し上げる点がなくなるので、私たちに言わしますならば、終戦満五箇年を迎えて、三十万に満つわれわれの同胞が、いまだ生死不明で、日本政府においてはこれに何ら折衝発言権を持たないこの際、国民的正義輿論をここに結集して、人類を愛する、真に平和を愛するところの、人道に基く世界輿論にうつたえようとする機関が、一朝鮮事変の問題のためにそういうことになつたとするならば、非常に遺憾でありますが、そういう点は今の委員長報告の片鱗から見まして、こうもないように思いますが、実際に待つ身の遺族は、生死不明、またソビエトの公式発表と申しましようか、タス通信においては引揚げ完了と言うし、今や引揚げ促進の朗報はいずれの方法によつても不可能というふうな、非常に悲壮な状態に追いつめられたかのように私は感ずるものでありまして、この事変が起つたために、引揚げ促進に責任あるところの方面が体をかわすというようなことがあつたといたしますならば、われわれポツダム宣言を忠実に守つておるところの日本国民として、非常に遺憾なのでありますが、今後ともわれわれが目先の問題のために、五年前に起つた——この八月十五日が来れば五年でありますが、これらのほんとうの家族気持に立ち返つて朝鮮事変と別途な考え方のもとに、関係方面引揚げ促進に努力するのが当然と思われるのであります。この阻止の内容の結論は、私が言うまでもなく、ただいろいろ刺戟するであろうというふうなことでしようが、もう刺戟のいろいろな面は超越してしまつていると言つても、私たちは過言ではないと思う。いかなる方法を講じよう。いかなる方法を講じようとも、具体的にわれわれの同胞がどうなつておるかということを早く確認することこそ、本委員会の重大な責務であるとわれわれは考えるのであります。しかも数字の点についても、政府の言うこと、あるいはタス通信その他いろいろな調査においても、まだはつきりしてないので、一日も早くこれらの数並びにいろいろな不明な点を明らかにしてもらいたいことを希望して、私の意見といたします。
  7. 若林義孝

    若林委員長 ただいま小西委員から御発言がありましたように、昨日われわれ参りましたものといたしまして感知せられましたものは、引揚げ未復員のいわゆる留守家族方たち国民国会のわれわれとが一致いたしまして、なお司令部において、先ほども申しましたような意向熱意をもつてこれに当つてくれております。九月にはあるいは予定せられておりますように、国連調査団の来朝もあることと存じますので、この期をはずさず、ひとつ全力をこれに傾注をして行きたいという熱意を強くいたしたのであります。本日はこの私の御報告中心といたしますことはこれにとどめます。     —————————————
  8. 若林義孝

    若林委員長 次に引揚者援護問題並び留守家族援護の件を議題として議事を進めたいと思います。
  9. 松谷天光光

    松谷委員 委員長のただいまの報告についてちよつと疑点がありますので、一応確かめさせていただきたい。先ほど集会禁止の件につきましての委員長の御報告は、大体了承いたしましたが、伺つておりますと、その禁止の目標と申しますか、その理由集会の持ち方にあつたように承つたのであります。大使館に参るということ自体が一つの危険を生むのではないかという懸念から禁止されたという点が重大な点だつたと思うのであります。そういたしますと、私ども常識で申せば、その集会ソ連大使館に対するデモ等、あるいはソ連大使館訪問等をいたしませんければ、全国代表者会合であろうと、その疑念はないように考えるのであります。さきの委員長報告によりますと、各地域における、たとえば東京都内における、留守家族集会ならばこれはよいかもしれませんけれども全国的代表会合であるならば、これはいかんというような御報告のように承つたのでございますが、そういたしますと、中心集会の持ち方ではなくて、やはりあそこに集まります数が相当問題されておるというような疑念が起つて参るのでございますが、これは両方が理由になつたのでございますか、なおその点の了解がつきませんので、さらに御説明をいただきたいと思います。
  10. 若林義孝

    若林委員長 このソ連大使館中心としていろいろな事柄が起ることを危虞したわけです。それさえ絶対に起らないということが見きわめがつけば、その心配は理論的にはないわけです。私が先ほど敷衍して申しましたのは、地域的に東京の者だけが、ある事柄について留守家族がお集まりになつても、ソ連大使館に行くということはいけないそうだから、もうよいのじやないかという気持になるわけです。ところが全国からお集まりになつて来た方たちが、その約束で来ても、思い余つて、途中ソ連大使館のところを通るのはさしつかえないだろうという気持で通るのは困る、これを全国から数多く集まつて来ておると憂慮する、危惧する、これは杞憂になるかもしれませんが、そういうことを思われるのが禁止になつた理由のように私たち感知して参つたのであります。要はソ連大使館中心として、逆に向う引揚げを阻害する口実を与えるようなことが起ることをおそれておつた、これが禁止になつた主要なる原因であつたのであります。今私が言いましたように、感情を持つた人間のことでありますから、これをおそれられて、なお今日の段階においてソ連大使館に参りましても、ほとんど留守の者であり、この間予定せられておつたのは、私はつぶさにその位置は存じませんけれどもソ連大使館中心としてテントを張つて、そこで露営をして返答の聞けるまでがんばろうということが最初の計画の中に入つてつたものでありますから、ソ連大使館中心として起るであろうと思われる事柄危惧して禁止なつれ。だから地方におきましてはその危惧はありませんから、これは堂々とおやりになつても、決してこれを禁止するようなことはありません。逆に言えば東京で行われなかつた補いとして、より以上ひとつ盛大にやつていただきたいという気持も、向うの話の中にうかがわれたのであります。
  11. 松谷天光光

    松谷委員 たいへんくどいようでありますが、確かに今委員長が仰せになりましたように、各県からより多くの方たちがお集まりになりましたときに、一つのやむにやまれざる気持から、ソ連大使館の前に行つてすわつて返答のあるまで待ちたいというこの気持は、私も十分に了承いたしますし、そうしたお気持が、おそらく留守家族の人の心の中にもくもくとわいておるだろうと思うのでありますが、しかし少くとも今日の引揚げ促進を指導なさる方々のお考えの中には、もはやただ単にいかにすわり込みをソ連大使館の前にいたしましても、問題は解決しないということをはつきりとキヤツチしておられる事態になつて来ておるのだと私は考えます。そこでそれより一歩前進したところの具体策を、指導者方々は今日お持ちになつて考えを進められておられると思います。私はそうした考えを進められた指導者方々によりまして、より具体的な、よりよい対策を持たれて、その燃ゆるような気持を他の方法に転換して行くということがなされる場合においては、今委員長が御懸念になつたようなソ連大使館云々の問題は別といたしまして、他の方策を持つて全国代表者東京一堂に会して会議をするという場合には、これは先ほどからの危惧がない場合とみなして、開くことができるというふうに解釈をしてもよろしいかと思うのでありますが、なお一点念を押させていただきたいと思います。
  12. 若林義孝

    若林委員長 御質疑に対してお答えいたしますが、過般も二十一日に全国の各府県代表者地区別代表者一堂に会しまして、国会議員連盟と一体となりまして善後策について協議が行われておるのであります。だから先ほども申しましたような危惧を伴わない会合は、過般来あの禁止の期間内でも行われておつたわけでありますから、さよう御承知おき願いたいと思います。この事態を決して阻止するのではございません。その方法安心感を持たれる方法で行われますならばさしつかえないことだと思います。
  13. 堤ツルヨ

    堤委員 私もしつこいようですが、この間の警備課長説明と、きようの委員長報告とは少しつじつまが合わないと思います。今松谷委員がおつしやつたように、ソ連大使館の前で不都合なことをしないという約束をすれば許したらよいというのです。だのに私たちこの間警備課長報告を聞いておりましたら、これを中止するかもしれないということは、もうすでに十二日前くらいから内示がしてあれたというお話であります。委員長報告によるならば、その間に全国連盟の幹部の方、東京本部方々に、こういうことをやめて実施することにしようとか、いや、言うことを聞けとかいうような具体的な打合せをして許可されたと思うのです。そうしてこの間の警備課長報告を聞きましても、ああまで弾圧的な行動に出なくても、全然中止させるということでなくてもやれたのではないか、この辺、昨日お行きになつた代表は少しまるめ込まれて帰つて来たのではないかという失礼な感じを持つわけであります。ただいま松谷委員がおつしやいましたように、徴妙な空気にあるから、ソ連大使館に向つてとか何とかマイナスになるようなことは必ずしないということを約束するということで、この前も許されたはずだという結論が私の頭にありますから、私ども議員もこれに協力いたしまして、留守家族は切なる願いをもつて来ておられるのですから、各都道府県にわかれて勢力を分散するよりも、やはり東京において、国民の与論の上にこの引揚げ促進運動を持てるように努力すべきではないかと思います。ですから今後の司令部警視庁の間の問題におきましても、私たち国会議員として、国民代表として事前に承らせていただいて、その間に立つてたちお役に立つようなことがあるならば、たとえば不穏なことは起さないとか、こういう形にすればよかろうというような意見ども吐きまして、なるべくああした形で中止させられるような状態にないように持つて行つて、しかも引揚げ促進運動全国代表者方々東京でできるような形に一度持つて行く心要があるのではないかと思います。その点ひとつこの委員会としても十分御協力願いたいと思いますので、委員長に特に申し上げたいと思います。
  14. 受田新吉

    受田委員 この問題は実は十六日に中止命令を受けた。ところがその命令を受ける二日前までは、この大会を進めることに当局も非常に協力しておつた。それであるからこの動きが早くわかつておれば、地方から出て来る人にも、もう二日早く連絡すれば、こちらによこさなくても済んだのです。こういう点において、なぜそういう情勢を早くキヤツチして、これを連絡してくれなかつたかということを感ずるのです。私自身もこの運動総務部長の役目を持つてつて、その最高の責任者の一人であるから、特に大会中止命令を受けたその日にも、当局折衝に行つた。ところがそのときの話は、まだソ連大使館とか何とかいう問題ではなくて、この朝鮮事変が非常に重大な段階に達しておるという方が重大な意味になつてつたソ連大使館に行くことについては、この大会は、すでにソ連大使館などにはつぱをかけるよりも政府国会にはつぱをかけるということに方向転換がしてあつた。従つてあすこの近くにテント村を張るというような危険を感じたから、この大会中止したというような行き方は非常に時宜に適していない。少くともこういうことを中止させるならば相当日数前に——もうこの運動は三日も四日も前に事を起しておるのであるから、その前から手を打つておけばよかつた熱意のあるところは、大会中止になつてからもどんどん出て来る。あのとき中止命令を受けながら出て来た県が全国で半数以上あつて、その意気込みのものすごさには、国会政府のお互いさえも圧力を感じたほど、全国運動熱意は大きかつたのです。こういうことを考えて、この運動東京で行われるから危険だということになるならば、何も東京でなくても、神奈川とかもしくは付近の県で開くということで、臨時に会場変更の手も打てたのである。その臨時会場変更の許可もされないということを考えると、この問題は結局朝鮮事変の重大段階とあなたがさつきおつしやつた、あそこに重点があるのであつて大使館の付近でうろうろすると危険だというようなことはまことに微々たる問題だと思うのです。しかも国連の問題にしても、国連の勧告を聞くほどであるならば、あの朝鮮事変についても三十八度線にもう引いておらなければいかぬ。しかし国連の言うことを聞いておらぬ。だから国連に提訴して、実態調査といつても三十八度の線に引かぬようなのが、また国連の言うことをすぐ聞いて、調査団を受け入れるということは考えられない。こういうことを考えて、今や引揚げ問題というものは、この大会を持つことは一つの気休めにすぎないことになる。むしろ国民感情はこの重大段階において、ソ連大使館の前をうろうろするというような問題よりも、国民全部が留守家族の運命を早く切り開いてやるための総力態勢をしくことと、それから現在の国際情勢において一番可能な線で、在外同胞を一日も早く帰してあげる運動を具体的にどういう方向へ持つて行つてやるかということを考えることが必要なのであつて、今回の大会の動き方はそういう意味で、各個別々の運動をしたことはむしろ効果的であつて、これが大会を持つてなかつたからといつて、決して悲観すべきではないと私は思うておる。同時にこういう大会中止するときには、さつき申したように、少くともその二日前まではこれに協力するような態度を見せておつて、もう汽車に乗つたところもあるのに、それを中止するというようなことをやらないで、数日前にこれをやめるのだということにすれば、あれだけ莫大な金を使わないで済むし、もし大目に見て中止しないならば、熱意のある県はもう二十数県も二十日までにちやんと来ているのだから、そういうことを考え——今堤君からも話が出た通り、当時の行き方と、今御報告のあつた折衝の結果とが何だか矛盾があるような感じを私も持つのでありまして、大会中止するのに対して、常に関係当局は親切な行動をしてもらつて国民が迷わないように指導していただきたいということを、委員長としてその際によく折衝されたかどうか、こういうことを中止されるなら、なぜもう少し前にこれを知らせていただけなかつたか、こういうことに対して当局に御意見をお聞きになることはなかつたのですか。
  15. 池見茂隆

    池見委員 ただいま受田君の御発言は一応話はわかるようでありますけれども、私も昨日委員長と一緒に参りまして、その筋の話を聞いたのですが、しかし受田君は当時のいわゆる大会に対する総務部長であるといつたような資格のもとに、そのときもこの大会の開催ないしは禁止ということについて折衝をされた一員である。その場合においてその禁止した理由は、少くとも朝鮮の内戦に重点が置かれているから、この大会禁止されているということを明確にただいま言われましたが、昨日もその通りである。第一、朝鮮内戦の事情によつてこういつた大会を開催することを禁止した。しかしてこの点は最初委員長報告されたことは、少くともその要点以上のことを皆さん方に報告されていると思う。したならば、それは大使館の前でうろつくとか、あるいは大使館に押しかけるとかということは、これは私はただ意味はなくとも、一ぺんそのときに会合した群集の心理ないしは押えることのできない感情として、そういうふうなことをやつた場合において、それが非常なる日本政府マイナスになり、あるいは連合国としてこれらのことを処置する上について非常なるマイナスを招来するという意味合いのもとに、日本政府のためにそういうふうなことを先方では禁止しておるということを話された。この意味かる考えたならば、ソ連大使館に押しかけることはできない。しかしソ連大使館は、少くとも二、三人できわめて靜かに訪問することは、いつでも訪問なさいということも、きのう話があつたのであります。そういうような意味合いからすれば、決して私どもは占領軍のその言葉に追随するというわけではありませんが、少くともきのう交渉した範囲内においては、今日の事情から、そういつた方法をとることは、私は少くとも当を得たものではないという気持を持つておる。それがために、いわゆるそういつた大会禁止せられることによつて留守家族気持が萎靡し、あるいは将来私どものこの促進のためになお運動が阻止されるということは、まことに遺憾にたえないという意味合いから、地方的な話も聞いた、これは御報告の通りである。こういつた問題のためになされたことでありますがために、私は少くともその当時受田委員総務部長であり、その事情はつぶさに知つておられることであるがゆえに、きのう私どもが訪問したその結論と私は相反し、また相違するという点はごうもないということを根本的に考えるものである。
  16. 若林義孝

    若林委員長 受田委員の御質疑の中に、なぜもう少し事前にこれを阻止するべきものならとめなかつたか、こういう御発言がありましたが、これに関しては、プリアムという大佐も両者の間にはさまつて、多分に留守家族大会に好意を持つた気持折衝を続けられておつて、できればこれが穏便に行い得るような気持折衝せられたわけです。その折衝した結果の結論は不利ではあつたけれども結論の出る時期が遅かつたという気分が話の間にうかがわれております。私たち将来この運動を指導するにあたり、協力するにあたつても、常にこのプリアム大佐中心考えて行けば、この間のようなことを起さずに未然に防げるのではないか、こういう気持がいたしております。以後きわめて緊密な連繋をとつて行くべきではないかという気持がいたしております。
  17. 小西英雄

    小西(英)委員 今の委員長報告よりしてみると、国民救出運動の二十一日の大会は、当委員会がその中心になつておるような感を受けたのでありますが、実際においてこの特別委員会が何ら中心ではなくて、むしろ受田総務部長並びに北條事務局長並びに私たちも役員の一人でありますが、それらの者が中心になつて折衝いたして来たのでありまして、当若林委員長国民救出運動本部の常任委員でもなければ、理事でもないのであります。今話を聞いておりますと、当委員会中心になつてつたような印象を受けたので、ここで訂正いたしたいと思うのであります。今後ここが中心でやる場合には、そういう疎漏のないようにいたすが、まつたくこの委員会が主催者でないということを委員長においても知つていただきたい。と同時に、当時の総務部長である受田氏からの質問を聞いておると、私たち非常に意外に思つた。これは超党派的な委員会であり、また大会の総本部もそういう建前でやつておるので、むしろ委員長を責めるよりも、私たちあるいは受田氏自身に相当責任があるので、これを私の方から一言付言しておきます。
  18. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 議事進行に関して……。
  19. 若林義孝

    若林委員長 ちようどただいま岡崎官房長官が御出席になりましたから、時間の関係もあるでしようが、岡崎官房長官に対する質疑をお願いします。
  20. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 未帰還同胞引揚げ促進に関しましては、当委員会は可能なる限りの全幅の努力を各位とともに尽して参つた次第であります。そこで先ほど来問題になつております引揚者の大会に関連いたしましても、全国各地から留守家族の方が多数お集まりになりまして、先般は吉田総理大臣にも直接面会されまして、総理大臣からは万全の努力をするという力強き御答弁があつたのでありますが、留守家族皆様方は、ひたすら政府当局が今後どのように努力してくれるだろうかという政府の今後の措置に対しまして、非常な関心をお持ちのことと考えますし、留守家族皆様方のお気持に対しましては、われわれは涙をもつて衷心から御同情申し上げておる次第でもございますので、幸いにしてただいま官房長官もお見えでございますから、ひとつ吉田総理大臣にかわつて政府の最高責任者として、引揚げ問題に対する政府熱意のあるところを、この際多数の留守家族代表方々もお見えになつております絶好の機会でもございますから、本委員会を通して国民の前に明らかにされんことを、動議としてお願いを申し上げる次第であります。
  21. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 ただいま佐々木委員からのお話、まことにごもつともであります。先般もお話のように、吉田総理大臣は未帰還者の家族方々にお会いになりまして、長くお話を申し上げたのであります。今日ももしおられるならばお目にかかつたろうと思いますが、あいにく健康をちよつと損じまして、本日は国会にも出られないでおる状況でありますので、私からかわつて申し上げる次第であります。政府といたしましては、この問題に対する解決には、あらゆる手を尽しておることはしばしばここでも、あるいはその他の機会に申し上げた通りでありまして、司令部当局者にいろいろ懇請いたしますほかにも、あるいは赤十字を通じたり、あるいはローマ法王の手を借りたり、また最近は国会の決議に基きまして、国際連合の助力を求めたりいたしまして、単に日本の国一つのことでなくして、世界輿論を喚起いたしまして、この輿論の力によつて何とか引揚げ促進いたしたいと常々考えておるのであります。今後も同様の努力を継続することはもちろんであります。なお私自身も終戦当時以来、終戦後のいろいろの問題に携わつておりまして、佐々木委員と同様先般までは外務委員の席に連なりまして、御同様にこの問題の解決にはいろいろ努力したものであります。引揚げなさらないでまだ待つておられる、ここにおいでになるような方々の御胸中を察しますと、まことに御同情にたえずして、申し上げる言葉もないのであります。しかしながらただいま残念ながら日本政府が、これに対して非常に積極的に何かやるという立場にないものでありますから、今までもさぞ御不満はあつたと思いますが、司令部にしばしば懇請いたしましたり、あるいはその他の尽し得ると思われるあらゆる手を尽しまして努力しておるのでありまするが、今後もこういうふうにして、できるだけ引揚げ促進を実施いたしたいと考えることにおいては、何らかわつておりません。なおこの点につきましては、国民皆様の御協力によりまして、国の輿論として、政府の背後に力強い応援を得なければなりませんことは、もちろんでありまするが、なお当委員会のごときは、この問題に直接関係されておるわけでありまするから、国会側としても十分に政府を鞭撻して、この問題を解決しやすいように御援助願いたい、こう考えております。
  22. 玉置信一

    玉置(信)委員 私もただいま佐々木委員から緊急動議の形式をもつて質問になられたことを、さらにその他の問題についてお伺いいたしたいと思つてつたのでございます。ただいま官房長官より政府代表しての誠意ある御答弁がありまして、これを了承するものでありまするが、さらにつつ込んでこの機会にお伺いいたしたい最初の一点は、きのうですか、きようですか、新聞によりますと、当委員会申合せによりまして、去る第七国会において決議をいたしました事項に基き、政府におかれては、関係筋を通して、関係筋の御努力によつて世界人道協会にこれが引揚げ促進に関しての申入れをしたということが報道されておるのであります。先般の委員会におきましても、私はこのことについて言及をいたし、国連に申入れをいたして、その結果国連から、いわゆる中立国による現地調査団が派遣されるやに承つておるのでありますが、このことが今日どういう過程にありますか、伺いたい。  次は先ほど委員長の御報告に基いて、関連質問として受田委員から、国連に訴えても、国連が今日の朝鮮動乱に対して三十八度線まで引下ることを要求しても引下つていない現状から、これにたよつてもたよりがいがないかのような口吻のもとに質問が行われておりましたが、私はあくまでも国連にたよりまして、この目的促進をはかるべきでないかと思うのでありまするが、これに対する御所見を承りたい。  次は一昨日韓国戦線基地UP通信の報道によりますると、在来抑留されておる同胞が、この朝鮮動乱に、しかも北鮮軍にかり立てられて、第一線で活躍されておるということが報道せられておるのであります。私どもは第七国会におきまして、ソ連地区、中共地区の引揚げ促進に関連しての質問の際に、中共地区においても、伝えられるところによりますと、中共内戦にかり立てられておるということが伝えられておる。これは家族として非常に不安を持つておるのであるからというところから、あの第七国会引揚げ決議案の中にも、この内戦にかり立てられておる同胞の救出に関しての一項を加えて、決議をいたしておるのであります。もしこれが事実とするならば、私は非常に家族の人ももちろん、国民全体が憂うべきことであろうと思うのであります。従いましてこの内戦にかり立てられておるものをどういう方法でこれを阻止することができるか。しかして政府はこれに対するいかなる手を打たんとするものであるか、この三点についてお伺いしたいのであります。
  23. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 ただいまの御質問の第一点につきましては、私も国際連合にたよることが一番よろしいと考えております。国際連合の世界輿論に対する力はたいへん大きいのでありまするから、国際連合にたよることは、この際非常に適切なる処置であろうと思つております。但しそれだからといつて、国際連合にさえ頼んでおけば、もうそれでいいのだというわけには参りませんから、ほかにもやるべきことがあれば、何によらず、わらにもすがりたいという気持で努力するわけでありまするから、またよいお知惠がありますれば伺いまして、できるだけのことはいたしたい、こう考えております。  なおただいまの朝鮮の内争につきまして、UP等のお話がありましたが、これはまだ確認されておりませんので何ともわかりません。私どもとしましてはさようなことがないことを祈つておりまするが、この点はできるだけ早くまず確かめることが大切だろうと思います。そしてそういう事実のないことを祈つておりまするが、もしかりにそういうことがあるとすれば、さらに手段を考究するよりいたしかたがない。そのときの情勢に応じまして、一番都合のいい、有効な手段と思われるものを構ずるよりしかたがない、こういうふうに考えております。但し外務省等に達したいろいろのの情報を総合いたしますると、今までのところはさような実証はなかつたようにも聞いておりまするが、いかにせん日本政府としましては、米国以外には在外の機関を持つておりませんので、実際上は何とも申し上げられない状況であろうと思つております。国連調査団につきましては、新聞に伝えられておることは私も承知いたしましたが、正式にはまだ何も聞いておりません。これは現在の状況では相当困難じやないかというふうに心配しております。
  24. 小西英雄

    小西(英)委員 いまだ帰らざるものの家族が、国民輿論世界に反映せしめて、何とか世界輿論に訴えようとして本年会合を開いたが、司令部の名において中止されて、もう引揚げ促進運動としての方法ちよつと行き詰まつたような感を抱いたのでありますが、私たちから考えますと、ソ連大使館責任者でも何でもなく、あくまでもマッカーサー司令部なるものがこの引揚げの総責任者であるから、この朝鮮事変のためにいろいろな輿論喚起大会というものを中止されるようなことは——日本は何ら朝鮮事変関係ないのでありまして、政府においてはかような集会をする場合に、日本には警察力がないような状態でなく、りつぱな警察力もあるのであるから、こういう輿論の喚起についての今後の会合は総体的に許してもらいたい。そういう点について政府の御所見はいかがですかということと、もう一つは、現在生きて残つておるところの同胞が、私個人の考えからいたしますならば、中共の勢力下に一番多いのじやないかと思つておりますが、それら中共を承認いたしておりまする現地の英国大使館等に日本政府としていろいろな引揚げ促進方を懇請するとか援助を願う方法とかいうものが、具体的に法的にできるかどうか。またそういうことをやつたかどうかということについての二点を、簡単に政府にお聞きしたいと思います。
  25. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 引揚げ同胞大会につきましては、私はこれは司令部側の意向によるものと考えております。この際司令部側の意図をいろいろとそんたくすることは差控えたいと思います。但しこういう会が無害であることはもちろんなんでありまするが、おそらく朝鮮問題等で国際関係が非常に微妙に動いている際に、何らか特別の刺激を与えることは好ましくないというような考えもあられたのではないかと推測するのでありますが、これはまつたく私の推測であります。なお将来につきましては、でき得る限りこういう面で政府もお手伝いをしたいというふうには考えております。  なお中共を承認しておる各国の大使館なり公使館なりを通じて、引揚げ促進の努力をしてはどうかというお話でありまするが、これは日本政府の現在の立場としては、直接に外国の政府に交渉するようになつておりません。これもやはり司令部を通じまして外国政府と交渉をするように依頼するわけであります。その点はやつておるわけであります。但しイギリスの大使館はまだできておりません。デンマーク等ごく少数のものが中国にあるように聞いております。     —————————————
  26. 若林義孝

    若林委員長 では先ほど申しました本日の日程になつております引揚者援護の問題並び留守家族援護の件を議題として、議事を進めて行きたいと思います。玉置信一君。
  27. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は政府に御質問申し上げる前に、委員長に対して所見をお伺いしてみたいと思います。委員長は今国会において新任されたのでありまするから、第五から第七国会における質疑の内容については、もちろんお知りにならないでありましようが、前委員長との引継ぎもあることでありましようし、またせんだつての本国会になつてあなたが委員長となつてからの質疑の中でも、いろいろとその問題が取上げられたことについて、委員長として政府側と何らか連絡、折衝されておられるかどうかということについて、三件をお伺いいたします。  私は項目だけを申し上げます。それは留守家族の援護に関する件、それから未帰還者の給与増額に関する件、第三番目には留守家族の住宅、母子寮、これらの家族の職業のあつせん等に関して、いかように御連絡、とりはからいをされておられたかということを、委員長にまずお伺いしてみたいと思います。
  28. 若林義孝

    若林委員長 元来この住宅問題を除きましては、本委員会において各位の熱意ある御発言があり、またその御発言の要望を満たし得る機運が醸成せられておることを当局から御説明があつたのでありまして、それによつて今まで本委員会において重視せられ論議せられました問題の進み方を承知いたしたのであります。近く住宅問題、あるいはただいまお話にありました母子寮の問題、あるいは留守家族の職業の優先的あつせんなどの問題につきましては、国政調査の事項の中に加えまして、本国会閉会後も委員各位の御協力を得まして、その達成を期したいと存じております。さよう御承知置きを願いたいと思います。
  29. 玉置信一

    玉置(信)委員 それでは政府側に質問を申し上げたいと思います。  第三番目から逆に質問して行きます。生業資金をさらに増額する意思がないかどうか。この前の第七国会に御質問申し上げました生業資金の貸付が、今日やはり非常に手間取つておる実情にあるのでありますが、これをもう少し簡易化して、手続等ももつと簡易にして、申し込んですぐ借れるというような、何とか改善の道があるかどうか。  それから次は、母子寮の問題と職業あつせんの実情は、今日までどういう経過になつておりますか、この点を先にお伺いしたいと思います。
  30. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 お答えいたします。生業資金の増額でございますが、生業資金と申しましても二通りございます。現在国民金融公庫で貸しておる資金を生業資金と申しておりますが、これは公庫本来の資金で貸しております生業資金と、それから引揚援護庁から国民金融公庫に金を流しましてやつておりまする生業資金、これは更生資金といつております。この二口ございます。額は、生業資金の方は最近五万円から十万円に増額になりました。原則として五万円、特別の必要があつた場合には十万円までというふうに増額になりました。それから更生資金の方は、最近一万五千円を限度とし、特別の必要ある場合には、三万円まで貸し付けることができる、こういうふうになつております。  次に貸付の手続の簡易化でございまするが、従来からもさような御要望が各方面からありましたので、極力簡易化と貸付の迅速化に努めております。但し更生資金につきましては、借受け希望者が散在しております関係から、地元の市町村でよく調べて、公庫の方に信託するという手続は、最小限度とつておるのであります。大体において貸付は順調に行われていると思いますが、なお関係方面にその旨を一層督励するようにいたしたいと思つております。引揚者の就職あつせんは直接厚生省で担当している事項でございませんが、われわれといたしましては常に労働者と緊密な連絡をとりまして、引揚者の就職あつせんについて積極的に努力して行きたいと思つております。職業安定法の建前から、御承知の通り優先的な取扱いは禁ぜられておりまするが、しかし積極的に就職をあつせんするということで、極力努力されておるのであります。なおわれわれといたしましては、職業紹介機関を通ずるほかに、地元々々で縁故者をたよつていろいろ就職あつせんのおせわができるように、市町村その他の方面に対しまして、国民的な援護としてこれを勧奨いたしております。
  31. 竹村奈良一

    ○竹村委員 大体現在までに生業資金でお貸しになつた国内における全額は幾らであるか、あるいは、更生資金としてお貸しになつた全額は幾らであるかということが一つと、もう一つは、引揚者に対するところのいわゆる就職あつせんについては、労働省とよく相談してやつておるということでありますが、私の調査したところによりますと、それはもう都会のほんの一部分でありまして、農村におきますところの引揚者に対する就職のあつせんということは、おおむね放置されている。しかもそれはそこの家が三反百姓をしておる、あるいは四反か五反くらいの百姓をしておるということで、その二男、三男ということであるにかかわらず、農家であるから何とかなるということで、大体放置されているのであります。それに対して政府はどういうようなあつせんの方法をとられたか。この二点だけお伺いします。
  32. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 更生資金で現在貸し付けられた金額と人員でありまするが、ことしの四月三十日の調査によりますと、貸付資金累計額の総額は二十九億三百四十万円となつております。貸し付けた人員は五十二万四千三百七十一人と相なつております。  それから農村の子弟である引揚者に対しまする就職あつせんについて御質問がございましたが、この点につきましては私詳しい事情は知りませんが、労働省でできるだけの努力はしていると思います。なお今後も労働省方面に対しまして、積極的に連絡をとつて行きたいと思つております。
  33. 玉置信一

    玉置(信)委員 更生資金の方の一万五千円は、昨年の初めは七千円だつたと思うのですが、これが約倍以上になつて大分助かつたのですけれども、今日の現状からすると、一万五千円ではまだまだ足りない。もう少し国家としても増額してやらなければならぬ実情にあるのです。しかし一面超均衡予算の建前から、予算面において相当難点はあると思うのでありますが、せめてもう一万円もこれを増額してやると相当助かるのですが、そうする見通し、あるいは意思等はあるかないか、この点と、次は住宅の問題ですが、住宅は全国的に見て、昨年の秋までに相当建ちました。私の地方も相当建ちましたが、まだまだ前々回から申し上げておる通りに、非常に住宅不足で困窮を来しておるわけなのです。二十六年度において相当な建築を増してやらなければならぬと思うのですが、政府としてはこれに対してどういうようにお考えになつているのですか。
  34. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 更生資金の増額でございますが、これはずいぶん努力をいたしまして、つい最近ようやく関係方面並びに財務当局の承認を得まして、三万円まで増額になつたのであります。実は更生資金は生業資金より若干貸付條件が緩和されております。そのほか本来の更生資金は五万円ないし十万円でございまして、これは回收見込みの確実なのは、事業計画が完全なものでありますれば、国民金融金庫でこれも合せて貸付を受けることができるのであります。  それから住宅問題についての御質問でございますが、まことにごもつともでございます。実は今日引揚者問題で一番重大な問題は住宅問題であると存ずるのであります。先般引揚同胞対策審議会で引揚者定着援護を論議したときも、住宅問題を一番大きく取上げまして決議をいたしました。関係各省と民間関係者その他の方の御承諾を得まして決定がなされまして、内閣総理大臣の方に勧告がなされたのであります。その際の議論をかいつまんで申し上げますと、従来援護庁でやつております住宅は応急援護としての住宅であります。外地から帰つて来ます方々の受入れ態勢の形として家を建てる、こういう建前であつた。しかし住宅に困つておられる引揚者は、今後帰つて来られる方ばかりでなく、すでに引揚げられた何百万という大部分が住宅に困窮しておられる。こういう点まで政策において手を伸ばすということになりますと、ひとり引揚者のみならず、引揚者と同様の実情にある生活困難者に対しても、住宅の措置をしなければならぬということう相なつたわけであります。ところが一方現在庶民住宅という政策を建設省でなされておりますが、これは家賃があまり高過ぎる。また住宅金融公庫というものができた今日といたしましては、庶民住宅の政策に再検討を加える必要があるじやないか。むしろ庶民住宅の恩典を受け得られないもつと下の低收入の人々に対して、こういう恩典を及ぼすべきではないかということを強く主張されまして、その点が各委員に一致して認められたわけであります。従いまして来年度におきましては、厚生省といたしまして引揚者その他の生活困難者に対しまして、低廉な家賃の住宅を大量的に建設したい、かような意向で予算の折衝をいたしたいと思つております。但しこの点に関しましては、住宅の所管が建設省になつている関係もありますので、所管の問題はあろうと思いますが、引揚対策審議会の勧告もある次第でありますので、どこでやるにせよ、こういう政策を強く推進して行きたいと、かように考えております。
  35. 苅田アサノ

    ○苅田委員 今日一家の働き手をまだ外地に残しておられる未帰還者の家族に対する政府の援護事業は、大体特別未帰還者給与法あるいは未復員者給与法がその中心になつておりますが、給与の点につきまして、今日まだはなはだ遺憾な点が残されているのではないかと思うのであります。未復員者に対する給与のごときは、今日なお三百円というような低額になつておるのであります。これが他の諸物価の騰貴と比べまして非常に矛盾しておるじやないか。今日大多数の未復員者の家族の方が強く望んでおられるのは、これをどうぞ三千円程度の普通の給与に直して、これを直接留守宅に渡していただきたい。こういうことにつきまして非常に強い要望を持つておられるのでありますが、この点につきまして、援護局長はどのような御意見であられますか、お伺いいたしたい。
  36. 岡林諄吉

    ○岡林説明員 ただいま未復員者給与法の給与は、昨年上りましてなおかつ三百円という額は、現在の物価情勢から見てはなはだ低過ぎるということは、まつたくごもつともであります。ただなぜそれがもつと上らないかというのでありますが、私どもといたしましては、もう少し現状に合うように増額をしたい気持はやまやまでありますけれども、要は予算の関係で縛られまして、残念ながら現在の三百円で押えられているというやむを得ない状況にあります。
  37. 苅田アサノ

    ○苅田委員 ただいまの御答弁では、三百円を増額しなければならないということは、御当局の方としては十分その必要を認めておられるけれども、予算がないというのでありますが、これは私ははなはだ承服しかねる御答弁だと思います。なぜかと申しますと、従来とも国会において、たとえば公団等の不正に対する赤字補填等につきましては、毎回ごとに数十億という厖大な予算の議決が行われておるのであります。あるいは今回の二十五年度の予算におきましても、たとえば償還を急がないところの債務等に対しまして、一千三百億円というような予算も出ておる。そのほか私どもとして、今すぐに必要としない、あるいは道理から考えて、そういうところに差向ける必要がないと思われるところに予算がたくさん参つておるのであります。そうだとすれば、外地に残つてつて今なお行方も知れない。しかもその働き盛りの若者を非常にあてにして待つておられる家族のお気の毒な状態考えますれば、こういうものに対してこそ今後はまず第一番に十分な予算をとつて、その御家族の窮状に対する援護をしなければならないと思いますので、この点につきまして再度お考え直しを願つて、援護の手を差延べられるよう、援護庁としては十分な御努力を願いたいと思いますが、この点に対しまして、どのようなお考えを持つておりますか。
  38. 岡林諄吉

    ○岡林説明員 ただいま苅田委員の申されましたことは、まつたく私どうも同感でございますので、引揚援護庁といたしましては、さらに努力を傾注いたしたい考えでございます。
  39. 竹村奈良一

    ○竹村委員 先ほど玉置委員質問のときに関連して私伺いますと、大体今まで生業資金等の貸し付けられたのが四月三十日までに二十九億何ぼで、人数にして五十二万四千何百人というふうに御答弁になつたのであります。そこで伺いたいのは、大体四月三十日までに引揚げられた戸数は何戸であるか、わかつておるならば聞きたいのです。
  40. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 今詳細な数字を持つておりませんが、人員にいたしましてたしか六百万以上だつたと思いますが、これは復員者と一般邦人とを合せたものでございます。戸数は詳細に調べたものが今手もとにございませんので、わかりましたらお知らせいたします。
  41. 竹村奈良一

    ○竹村委員 大体の予想でありますが、人員にして六百万といたしますと、五十二万は大体一割に当るが、この人が生業資金を利用している、こういうことになつておるわけですが、戸数はわからぬとおつしやられるので、これ以上は申しませんが、そういたしますと、現在の生業資金あるいはその他の貸付に対しては、相当綿密ないろいろな條件があつて、はなはだ借りにくいのではないかということを数字の上からも私は考えるわけであります。なぜならば今日引揚げて来た人の一割に満たぬ人だけが生業資金、更生資金を受けて、それ以外の人は必要ないのではないかというようなことになつておるのではないかと考えるわけです。そうするとこの貸出しあるいは借入れに対しても、相当な困難性を感じておられるのではないかと考えますが、その貸出しに際して、申込者の何割にこれを貸しておられるのか、そういう点がわかりましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。
  42. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 引揚げて来られた方が全部更生資金の申込みをなさつておるわけではございません。ただいま詳細な資料は持つておりませんが、申込者の約半数は貸付を受けておると思います。これは援護の精神は入つておりますが、性質はどこまでも資金の融通でございますので、将来資金の償還がある程度可能な者でなければなりません。そういう点を調査いたしまして、普通の金融では大まかに見ておりますが、全然事業計画のなつていない者、ある程度の見通しのない者には貸出しをしない関係上、申込みに対する査定とか、いろいろ審査した結果、大体において半分くらい貸出しをしておるように承知いたしております。
  43. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、これは生業資金だから、大体将来返す見込みがないからという関係で半分はお断りになつているのか。あるいは予算の関係で生業資金に貸し付ける金がないから——全部がそうではないでしようけれども、むりして貸してやつてもいいのだけれども、資金の関係もあつてこの辺に一線を引いて、それ以上は断つているというふうに考えておられるのか。
  44. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 それは事業計画が貸付には不適当であると認められた結果ではないかと思つております。貸付を適当と認めながら、資金が足りないために貸付を留保しておるというのは入つておらないと思います。
  45. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうするともう一ぺん聞きたいのでありますが、現在考えておられる更生資金、生業資金、あるいはその他の貸付の資金というものは、これで十分であると考えておられるか。先般も大蔵委員会で大蔵大臣に聞きますと、大体この九月の末か十月に臨時国会を開いて、そうして十五箇月予算を組むのだと豪語せられていたわけなんですが、そういう場合にも、あなたの方では資金は十分だから、これの増額を要求する必要はないと考えておられるのかどうか、それもお伺いしたい。
  46. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 具体的に申しますと、去年は当初予算が三億でございます。その後ソ連からの引揚げが始まりまして、これの援護ということを重点といたしまして、二億円を臨時国会で増額していただきまして、合計五億、それに昨年度において償還された金約二億を加えて貸付を行つたのでございます。そのうちで貸付が去年中に済まないで、本年度に繰越された分もございます。今年は当初から予算は五億組んでおります。なお償還金が約三億予定されております。現在の状態ではこの程度で各方面からの申込みに応じ得るのではないかと考えております。なお来年度も同様な事情で、そういう政策を継続して行きたいと考えております。
  47. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、今後おそらく国会議員の皆さんが各方面に参られて、援護の問題でいろいろな御相談を受けられると思いますが、その御相談を受けた場合においても、資格があれば、資金がないために貸してもらえないということは絶対起らないということを引揚者の方に言うことができると思いますので、われわれはなはだ意を強うするものでございます。生業資金で、今後もし返済する見込みがあるならば必ず借りられるものだというふうに言つてさしつかえないと、私たちは意を強うして、この問題についてはこれで打切りますが、ついでにもう一点伺います。  先ほど質問いたしましたときに、たとえば農村におけるところの失業者の問題については、労働省とよく相談してやると言つておられたのですけれども、今日都会においては失業者が洪水のように出ている。あるいは新聞紙上でも御承知のように各職業安定所に対して仕事をよこせというような要求が高まつており、ひどいところになりますと、失業手帳をもらつてつても、一週間に一日も仕事が当らないというような状況に置かれておるわけであります。従つて農村方面では、この失業救済の事業を労働省の方におまかせになつてもできないわけであります。ここで問題になりますのは、農村に失業者がどんどんふえて参るという事態は、日本の平和国家としての基礎を危うくするものであるということは、識者の論をまたないところでありますが、この問題については、労働省だけにおまかせするのではなしに——労働省にまかせるということもそうでありましようが、もつと積極的な何かの方法をとり、あるいは特にその人たちに対する就職のあつせん等についての特別の配慮をおやりになる考えがあるかどうか、この点だけをお伺いいたします。
  48. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 先ほどの厚生資金の問題でありますが、何ぼ申し込んでも、資金がたつぶりあるというふうには申し上げていないわけであります。この点を御了承願います。  それから就職あつせんということは、竹村委員もよく御承知の通り、各省設置法においては労働省の所管になつております。職業安定所というものがありまして、あそこ以外において就職のあつせんをするのはきわめて困難であります。実は私の方で国民的援護ということが必要である、政府の手の及ばないところは隣近所で長年の間外地で苦労された方にお手伝いしてお報いすることが大切であるというので、昨年そういつた仕事を計画したのでありまして、地元あつせん縁故あつせんということをわれわれ極力主張したのでありますが、やはりそういう職業安定機関の権限の問題に触れますので、そこは地元において適当にあつせんすることにして御了承を得まして、各方面に督励いたしたのであります。その問題につきましては、今後とも極力継続して行きたいと考えております。
  49. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一点。今生業資金の問題については、生業が立つならば幾らでもということではないと申されますが、しかし先ほどの御答弁によりますと、大体これはみなが申し込むわけではないし、しかも申し込まれたうちの五割は見込みが立なぬから、残りの五割は現在の予算では大体満足だ、こうおつしやつたから、大体生業の見込みの立つものならば、生業資金として今後申し込んでも、これは予算が不足だからというのでお断りにならないだろう。こういうふうに解釈して申し上げたので、もしそういうふうに生業の見込みが立つものが申込んでも資金が不足だとお考えになるならば、これは厚生省の方でどんどん大蔵省の方に要求されたらよいと思います。私たちとしては、今のあなたの御答弁から、少くとも生業の見込み、返還の見込みが立つならば借りられる、こういうふうに承知したいと思います。
  50. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 実は厚生資金の制度の出発点は、引揚者ということが重点であります。しかし引揚者だけに限定するわけには参りませんで、最近は未亡人、傷痍者に対しても強い要望があるのであります。しかし予算の基礎は引揚者ということになつております関係上、実際の貸付は限定して貸し付ける事情もあることと、われわれは考えておるわけであります。
  51. 若林義孝

    若林委員長 時間の関係がありますので、引揚者援護の問題、留守家族の援護の件については、一応この程度にとどめておいて、この際一応御決議願つておきたいことがありますので、お諮りいたします。     —————————————
  52. 若林義孝

    若林委員長 この際閉会中の委員会の運営についてお諮りいたしたいと思います。本委員会はその使命にかんがみまして、引揚げ促進に関しては、あるいは現在困難な段階にあるのでありますが、事態の好転もあるやも知れないのでありまして、また引揚者及び留守家族の援護につきましては、一日もゆるがせにできぬ問題であると考えまして、国会法第四十七條の二によりまして、閉会中も継続して審査いたして行きたいと思いますが、閉会中審査を行いますにはその旨を議長に申し出で、許可を得なければなりませんので、閉会中の審査要求を議長に申し出たいと思います。それにつきましての案件は、海外同胞引揚げ促進に関する件、引揚者定着援護に関する件、留守家族援護に関する件、在外資産に関する調査の件でありますが、以上の手続をいたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 若林義孝

    若林委員長 御異議なきものと認め、さようとりはからいたいと思います。     —————————————
  54. 若林義孝

    若林委員長 次に継続審査の件に基き、その実地調査を必要とする場合におきましては、委員を派遣いたし、調査いたしたいと思いますが、委員派遣の手続等に関しましては、委員長並び理事に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 若林義孝

    若林委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  56. 若林義孝

    若林委員長 なお御質疑がありますか。
  57. 苅田アサノ

    ○苅田委員 前会お伺いしておきました点につきまして、次の機会に御答弁願うことになつてつたのでありますが、つまり現在各府県にわたつて未復員者あるいは未帰還者の家族数を府県の世話課では厚生省からの命令によつて一般に発表できない、かようなことを言つておるのでありますけれども、この点につきまして厚生省側といたしまして、未帰還者数でなくて、現在の未帰還者給与法あるいは未復員者給与法で渡しておる家族の数まで何がゆえにこれを発表させないのか。もしもその必要があるならば理由を申し出ていただきたい。あるいはもしそれが間違つて伝わつておるのであれば、これについての訂正方をお願いしたいということを、前委員会でお願いしておつたのでありますが、これにつきましてのが御答弁をお願いいたしたいと思います。
  58. 若林義孝

    若林委員長 委員長といたしまして、まだそれに対しての何らの報告も受けておりませんが、これは外務省関係じやないかと思いますので、次会には必ず何らかの御答弁を願えるようとりはからうことにいたします。
  59. 玉置信一

    玉置(信)委員 委員長にお伺いしますが、今国会中にまだ委員会をお開きになる予定を持つておりますかどうか。
  60. 若林義孝

    若林委員長 それぞれほかの委員会に付託せられております引揚げに関する請願その他の件があるのでありまして、各委員会独自でお考えになることもあると思いますが、本委員会としても、もし時間的に余裕がありますれば、皆様方にこれをお諮りして、それぞれ意見をまとめ、その委員会に申し出ておいたらとも思うのでありまして、理事諸君にお諮りして、会期も迫つておりますから、決定をいたしたいと思つております。
  61. 玉置信一

    玉置(信)委員 もしできればもう一回くらいお開きになりまして、この前私からも要望いたしましたし、受田委員からもたしか要求されたと思いますが、留守家族の実態調査の件に関して外務省当局要求をいたしたいことがありますので、次会お開きの場合は、外務省当局の責任のある方の御出席を求められるようおとりはからいを願いたいと思います。
  62. 若林義孝

    若林委員長 承知いたしました。
  63. 受田新吉

    受田委員 次会の委員会に外務大臣に出席してもらえるように、先般岡崎官房長官より答弁があつたと思いますが、ぜひひとつ外相としての引揚げ問題に関する見解をこの委員会で伺いたいと思います。いまだかつて一度もこの委員会出席をしない吉田さんに、引揚げ問題に重大な関心を持つておると言われる吉田さんに、われわれの要望にこたえていただくために、ぜひとも出席してもらう。もしいつまでたつて出席できないようでしたら、国会法に基き出席要求をしてもらう。こういうことをひとつ委員長を通じてやつていただきたい。これをお願い申し上げておきたいと思います。  次は、この前私引揚者の在外資産の問題について発言をしたのでありますが、当局にはまだこれに対する具体的な調査機関を設ける用意もないような様子でありましたし、在外資産にかわるところの引揚者の援護対策も十分立つていないような様子であつたのです。ところが今やこの委員会は、一方に引揚げ促進という大きな仕事が残つておるほかに、引揚者の問題から留守家族の援護の問題にも重点を置かなければならぬ時が来ておると思いますので、この際この委員会に、在外資産に関係して特に賠償庁長官の出席の要望を私は委員長にお願いしておいたのです。そのほかいろいろな関係官、特に田邊援護局長にはこの問題について全般的な統制をはかつていただき、あわせて引揚同胞対策審議会の事務長の立場でこの委員会全体の空気を知つてもらわなければならぬので、毎回この委員会に出てもらうよう委員長よりおとりはからい願いたいと思います。特に在外資産の問題については、先国会で多数の請願が通つているのでありますから、これを何とか具体化してやらなければならぬし、在外資産にかわる方法としていろいろ援護対策も考えてやる必要があると思いますので、できれば在外資産の取扱いに関して、項目を設けて委員会を開いていただくことを、委員長要求いたしたいと思います。
  64. 若林義孝

    若林委員長 本日はこの程度で散会いたします。     午後三時五十三分散会