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1950-07-22 第8回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十二日(土曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 足立 篤郎君 理事 池見 茂隆君    理事 小西 英雄君 理事 玉置 信一君    理事 坂口 主税君 理事 受田 新吉君    理事 竹村奈良一君       青柳 一郎君    北川 定務君       近藤 鶴代君    佐々木秀世君       庄司 一郎君    中山 マサ君       小林 信一君    柳原 三郎君       堤 ツルヨ君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局長)    田辺 繁雄君         参  考  人         (警視庁警備課         長)      倉井  潔君 七月二十一日  委員井之口政雄君辞任につき、その補欠として  竹村奈良一君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十二日  竹村奈良一君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  抑留者奪還留守家族大会禁止に関する件  在外資産に関する件  引揚者援護問題に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りをいたします。先日理事竹奈良一君が委員を辞任せられておりますので、理事補欠選挙を行いたいと思いますが、これについては前例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 若林義孝

    若林委員長 御異議なきものと認め、それでは竹村奈良一君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 若林義孝

    若林委員長 本日は引揚者援護に関する件及び在外資産に関する件を議題とするのでありますが、お諮りいたしたいと思います。七月十八日の抑留者奪還留守家族大会における禁止について、その状況を聽取するため、参考人として警視庁警備課長より、その状況を聽取いたしたいと、思いますが、参考人として決定いたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 若林義孝

    若林委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  6. 玉置信一

    玉置(信)委員 前回の委員会におきまして、池見委員からの発言のありました団体集会禁止と、これが取締りに関しまして、警視庁警備課長の御説明があるということでありまするが、その前に私一言御質問を申し上げておきたいと思います。  池見委員、それから後刻受田委員も私の質問に関連して申し上げましたように、御承知のごとく、タス通信によつてソ連政府が、ソ連に残留するわれわれ同胞の送還を完了したと発表されたのでありまするが、最後引揚船二船で引揚げて来られた引揚者方々並びに通信等によりますと、まだまだ現実にたくさんの同胞が残留しておるという事実が判明しております。一方また政府並びに対日理事会と申しましようか、総司令部側発表によりましても、いまだに三十七万余の残留同胞がいるということを発表しておられる今日におきまして、留守家族といたしましては、今日の情勢下になりましてから、一層肉親の者の安否を気づかい、いかにすれば引揚促進され、肉親の者が帰つて来られるかと日夜悶々の情で暮しておるということは、すでに各位承知通りであります。従いまして留守家族といたしましては、十八日から二十一日の間におきまして、同胞奪還大会を催すべく東京に集合の途中において、解散命令により集会ができなくなつた。また二十一日は在留同胞引揚国民運動総本部の司会のもとに、全国大会を開くことになつておりましたのも、これまた禁止さるるのやむなきに至つたわけであります。この引揚者家族大会、すなわち留守家族大会といい、また全国引揚国民運動大会といい、この団体思想団体ではないのであります。従いましてこの運動そのものが、現下の思想的背景をもととする団体集合のように解されるということは、はなはだ遺憾に思います。私はこの機会警視庁当局の、禁止された根本方針がどこにあつたか。さらにまた取締りの面におきまして、伝えられるところによりますと、相当峻厳をきわめたということによつて、中には人権を無視したとさえ伝えられおる状況にありますので、こうした誤解を一掃するためにも、その内容をつぶさに御発表を願いたいと思うのであります。同時にまたかかる思想的背景のない団体行動に対しましては、よろしくその方針緩和いたしまして、将来この家族の心情を思い、適当の機会にさらに国民的な盛り上る運動をもつて世界の人道協会、あるいは国際赤十字社、国連等に真の国民意思を反映せしめて、引揚促進せしめていただくという一つの国民的の手段と申しますか、そうしたことにも今後この会合はぜひ必要であるのでございます。私はこの意味から、もし今日とられておりまする集会禁止方針なるものが、将来絶対緩和ができないものであるかどうか。でき得るならば緩和をして、前段申し上げたように、引続き国民運動のできるような措置政府としてとるべきではないかと思うのでありますが、これに対して当局の御意思を承りたいと思います。
  7. 若林義孝

    若林委員長 先刻御決定になりました警視庁警備課長倉井潔君が参考人としてただいま出席をせられております。ただいまの玉置信一君の御質疑に答えていただきたいと思いますが、委員長といたしまして、あの経緯からいたしまして、事きわめて微妙な影響があるものと思いますので、まず警備課長からさしつかえない範囲の御説明を承り、なおさしつかえるようなことがあれば、これを秘密会といたしまして詳しく承ることにいたしたいと思います。
  8. 倉井潔

    倉井参考人 警視庁倉井警備課長であります。ただいまの玉置委員さんの御質問内容につきましては、ほとんど全部の答弁内容が公用では申しにくいようなことになるのであります。ぜひ秘密会にしていただきたいと思います。
  9. 若林義孝

    若林委員長 このような事情でありますので、秘密会にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 若林義孝

    若林委員長 それではただいまから秘密会に移ります。      ————◇—————     〔午前十時五十五分秘密会に入る〕
  11. 若林義孝

    若林委員長 都合により速記をとめてください。     〔速記中止
  12. 若林義孝

    若林委員長 では速記を始めてください。これにて秘密会を終ります。     〔午前十一時三十六分秘密会を終る〕      ————◇—————
  13. 若林義孝

    若林委員長 次に先ほど秘密会で聽取いたしましたことに関して、委員各位の御意見を伺いたいと思います。玉置信一君。
  14. 玉置信一

    玉置(信)委員 先ほど私の質問に対して、秘密会における警視庁倉井警備課長の御答弁並びに懇談の形式において、私初め各委員からいろいろの質疑に対する御説明によりまして、大体事情了解することができました。但しこの機会に特に委員長にもお願いし、われわれ委員協力して次のようなことを今後やつていただきたいと思うのであります。それは先ほど秘密会において堤委員からいろいろ発言され、さらにまた池見委員からも御要望がございましたごとく、今後の引揚げ運動に対しましては、家族のこのやむにやまれない気持を私どもはどうしても傍観しているわけには参りませんので、従つて国会としても、海外引揚特別委員会としては、さらに一般留守家族はもちろん、国民全体とともに、この引揚げ促進をあくまでやらなければならない、かように深き決意を持つているのであります。先ほど私質問をいたしたのは、従来対日理事会等に対して、われわれ委員代表とし、あるいは個人の資格においてお会をし、御意見等を承つたところによりますと、非常に熱心に引揚げ問題を取上げてくださつた、しかも国連等にまでもこの問題を取上げて反映してくださるという、直接の対日理事会首脳者の御意見も聞いております。さらにまた吉田総理大臣が、衆参両院の決議に基いていろいろと要請されたことに対するマッカーサー総司令官措置も、きわめて積極的にわが同胞引揚げに対して御努力くださつているのにかかわらず、突如として集会禁止等が行われたことについて、いささか疑問を抱いたので先ほど質問いたしたのでありまするが、前段申し上げましたように、その内容等については、国際情勢その他によるやむを得ない関係でこの処置をとられたということも了解できましたので、今後は先ほど各委員お話のありましたように、ひとつ公式に委員長として、でき得れば関係筋に今後の国民運動展開に対する行事等についての進行ができまするように、格別の御尽力をお願いしたいと思います。私どもでき得れば御協力申し上げて、ともに関係筋参つてもいいと思いますので、この点重ねて委員長にお願いをしておきます。
  15. 堤ツルヨ

    堤委員 私が秘密会の中で申し上げました通り、また今玉置委員の御意見の中にもありました通り、もはや説明を聽取いたしまして、事は明らかになつておるのでございますので、この海外胞引揚特別委員会といたしまして、国民代表といたしまして、私たちが直接、今までよりももつと積極的に関係筋に対して詳しい説明をして、了解を求め、促進運動展開がさらにできるよう協力を得るようにいたしたいと思いますので、たとえば司令部であるとか、警視総監あて書類をつくりまして、でき得るならば、手わけをいたしまして、私たちが足を運んで、ひざを交えて、微に入り細をうがつた懇談をして留守家族要望にこたえたいと思いますので、即刻委員長におかれましてはおとりはからい願いたいと思います。
  16. 若林義孝

    若林委員長 それでは先ほど来の集会禁止に関して本委員会対策として、ただいま両委員から申し述べられました趣旨に基いて、委員長初め理事各位の御協力を得て、関係筋並びに警視総監に対してその意向を伝え、協力を懇請することにいたしたいと存じます。
  17. 庄司一郎

    庄司委員 私はもとよりただいまの委員長の御相談なさつたことについては、まつたく賛成するのでございます。ただこの際代表として委員長ほか理事各位がおいでくださる場合に、ただ懇請だけではいけませんので、ある程度建設的な意見をもたらして行つていただきたいのでございます。すなわち時局柄全国代表者がお集まりくださる場合等におきましては、大体全国四十六都道府県において一県平均何名であるとか、全体で何百名であるとか、その集会の場所は、たとえば第一議員会館の一番大きなホールであるとか、そういうようなことにおいて、われわれもある程度その集会について協力し、あるいは責任の一端を持ち得るよう建設的な意見をもたらすことが、その筋の御了解を受けるにはなはだ都合がいいのじやないかと考えます。ただ要請だけでなく、積極的な建設的な意見をも御考究の上もたらして行つていただきたいということでございます。かような希望意見を申し上げて、ただいまの委員長の御報告には賛成であります。  終りに、本員は議事進行について申し上げたい。それは竹村委員秘密会における行動の問題であります。秘密会におきまして行われたことであるから、速記録はございませんけれども竹村委員はその党籍は日本共産党であることは言うまでもない、しかして一応委員長許可を得て発言をいたしましたけれども竹村委員発言は、当面のただいま与えられているわれわれのこの時間おける日程外質問にわたつたことは、われわれの認識するところであります。たとえば引揚げ委員会においてはふさわしいような論点に触れたようでございますが、ただいま協議中の問題とはよほどかけ離れたお話であり、そこで委員長議題外である旨の意味を申されまして反省を促されたのでありますが、竹村委員はどうしてもきかなかつた。その結果竹村委員は、こんな委員会というものはあつたものじやない、その他いろいろ興奮的なお話があつたようですが、同委員がすてばち的に最後に残したせりふは、この委員会全体を侮辱したところの言辞であつたと本委員は憤慨しておるものであります。同胞揚引げのために積極的な協力をなし得ないような心境の同委員は、本委員会においてはいりません。どうか委員長は適当なる処置を同委員にとつていただきたい。私は竹村委員がここにおられるならば、委員長を通じて同君心廃を聞きたいのでありますけれども、ああいう引かれ者の小うた的なすてばち的な言辞を弄して、本委員会全体を侮辰するような言辞を弄し、しかも国会法あるいは委員会議事関係規則等に背反いたしまして、委員長許可、認可なく彼がこの委員会を立ち去つたというような言動は、われわれの尊敬しあたわざるところであります。よつて委員長におかれましては、ひとつ考究の上適当なる処置竹村委員に対してとつていただきたい。私は同君出席しておられるならば、同君が自発的にこの委員を辞退されることを勧告する考えで自分一個はおるのであります。以上御参考のために申し上げておきます。
  18. 若林義孝

    若林委員長 ただいまの庄司一郎君からの御発言に対しましては、委員長といたしまして、適宜の措置考究いたしたいと思います。そして委員会にお諮りして決定をしたいと思います。
  19. 堤ツルヨ

    堤委員 ただいまの庄司委員の御発言に関連して、私は開かれます委員会ごと共産党がああした態度をおとりになるということに対して、遺憾に思うのは同感でございます。私たちはやはり留守家族が、事実厳然としてあるという信念のもとにやつておりますけれどもしばしば共産党委員方々の御発言の中には、タス通信は信ずべきものであつて留守家族未復員はもうないのだという信念の上に立つてこの委員会に出て来られたことが見えるのであります。従つてお出ましになりましても、この委員会を惑乱するばかりでありまして、私たち目的違つた目的をもつてこの委員会お出ましになつているように考えるのでございます。これに対しましては、一度各党の理事会でもつてこれを検討され、日本共産党のこの委員会に対する徹底的な究明をするとともに、もしまじめな御協力を得ないとするものならば、何かこの委員会として、理事会の名においてでもよろしゆうございますから、手を打たれてはどうかと思うのでございます。そうでなければ、手紙や通信をやりとりしながら待つているところの留守家族は、ほんとうに胸のいえないものがあると思うのであります。私は国民代表としてそういう気持を持つておりますので、ひとつ日本社会党の名においても考えていただきたいということをもあわせて申し上げます。
  20. 若林義孝

    若林委員長 委員長におきましても同感でありますが、先ほど申しましたように、適宜理事会その他に諮りまして、適当なる措置を講じたいと思います。
  21. 受田新吉

    受田委員 この委員会性格は、引揚げ促進という点におかれてある。参議院が従来とつて来たごとく、定着援護の問題については、これを二次的に考えて行くというような線で行くならば、共産党の諸君はもはや一名もいないと言うのであるから、共産党引揚げは完了した、むしろ喜ぶべきことであると言うておるのだから、共産党にはこの委員会の存在はもはや消滅した、任務が消滅したと見てもよいような形になつていると思うのです。この委員会性格引揚促進という点にあり、共産党が考えておるごとく、引揚げるべき対象がいないという立場からすれば、共産党に言わせれば、もはや任務は完了している。われわれは今その線を中心に考えて行くのであるが、同時にこの引揚げ促進が、今後国際情勢の上から非常に困難な状態に立ち至つているという実態を、われわれがいろいろな情勢を考えてつかめた以上は、一方で引揚げ促進運動を続行すると同時に、この引揚げ援護の問題、定着後の援護、同時に留守家族援護の問題にこの委員会性格を持つて行き、さらに広くはやがて戦死者もしくは死亡者として発表されるであろう多くの留守家族の身の上にも、われわれが常にその将来の対策をちやんと立てておいて、一朝事あるごとに悲痛な運命にならせぬように持つて行かせることも必要であろうと思う。そういう点で、この委員会性格そのものをもつとはつきりさせておいて、この国会特別委員会を持つた以上は、そこを効果あらしめるような方策がいるのであるから、特に早急にこの委員会性格をどう持つて行くか、従来のような引揚げ促進に重点を置いて行くか、今申し上げたような線にも範囲を拡げて、各委員会に超越して、関係各省の間に超越した超党派的な線へ本委員会性格を持つて行くかということについては、とくと研究する要があると思います。この点委員長において、しかるべく理事会その他において特にこの対策考究し、また運営委員会においてもその線をはつきりさせておき、この委員会を存置するわれわれの熱望を実現させるためには、大いに今申し上げたような線を委員長みずから御努力いただくことをお願いしておきます。
  22. 若林義孝

    若林委員長 了承いたしました。ただいま受田委員からの御発言もありましたが、従来本委員会は両者の合した目的で邁進して来たと思うのでありますが、いろいろの国際情勢の変化に伴つて雑音を入れられるものですから、相当明確を欠くに至つた懸念もあると思います。特に先ほどの御発言もありますので、これを明瞭にし、より以上これに拍車をかけて行くべき使命をになわされておることを明確にいたし、何らかの措置を講じたいと存じます。     —————————————
  23. 若林義孝

    若林委員長 次に在外資産に関する件を議題といたします。受田委員
  24. 受田新吉

    受田委員 在外資産調査機関を設けることについて、前国会において請願採択されているのですが、この在外資産補償に関しての調査機関設置見通しをお伺いしたいのであります。
  25. 酒井俊彦

    酒井説明員 ただいまの在外資産補償の問題につきましては、講和条約が締結されます際に、在外資産がどういうふうな処理がなされるかということが決定されるものであります。そのための調査会が設けられるかどうかという点につきましては、国会におきまして御採択になりました請願の御趣旨もございますので、なお研究中でございます。
  26. 受田新吉

    受田委員 今の在外資産補償の問題についての補償そのもの見通しはいかがでございますか。
  27. 酒井俊彦

    酒井説明員 補償そのもの見通しでございますが、これは私どもにまだ何もわかつておりません。ただ御承知イタリア平和条約というのが御参考になるかと思いますが、イタリア平和条約におきましては、原則として連合国所在在外資産は一応収用する。しかしそれに対して国が補償しろという条項がございます。その補償経過等につきましては、まだつまびらかにいたしておりませんけれども、これを日本の場合に当てはめて、そうなつたらどう処置するかということは、そのときの財政状況その他を勘案いたしまして決定さるべきものと考えております。いずれもわが国の講和条約が成立いたしませんと、その辺のことがはつきりいたしませんので、見通しそのものにつきましても、私から何とも申し上げられない状態にあるわけでございます。
  28. 受田新吉

    受田委員 今の大蔵当局の御説明で、おそらく在外資産をなげうつて帰つた多くの同胞は非常に不満であり、不安であると思うのです。講和条約を結ばなければ、これが解決できないという情勢もある程度うなずけるのでありますが、しかし、海外のあれだけのものをほうつてこつちに帰つた人で、無一物で再起不能になつている人たち保護対策が今何らされていない、もちろん生活保護とか引揚者のたとえば更生資金という面で多少の道があるけれども、その道はまことに燒石に水というくらいの程度であります。こういうことではこの在外資産をなげうつて帰つた人たちの救済ができないので、先国会であれだけ猛烈な請願運動が起つて在外資産補償に関し特にその調査機関を設けるということについて、当局説明を聞いて請願採択をしてもらつたわけですが、この点ひとつ、何らか在外資産にかわるこれらの援護対策について、大蔵当局意向をお伺いしたいのであります。
  29. 酒井俊彦

    酒井説明員 お話まことにごもつともでございまして、引揚げて来られた方々があれだけ長い海外生活で築き上げられた財産を現地に放擲して来られたという実情に対しましては、われわれも非常にお気の毒に思つておるわけでありまして、この援護対策につきましては、もちろん十全の措置を講ずる必要があると思つております。ただいまとられております援護対策がはなはだ不十分であるというおしかりでございますが、できるだけの努力は今後も続けて参りたいと思つております。はなはだ御期待に沿う程度のものでないかもしれませんが、当局といたしましても、相当努力しておるということを御了承いただきたいと存じます。
  30. 受田新吉

    受田委員 在外資産の問題について、何かこれにかわるところの手を打つて、今努力しておるということを言われましたが、具体的にはどういうように努力されようとしているのか、政府意向と、それからこれを調査する機関を設けることの請願採択されたが、この請願採択に基いて、調査機関を近く設けるように運ばれつつあるかどうか、そこをひとつお伺いしたいのであります。
  31. 酒井俊彦

    酒井説明員 ただいまの在外資産補償にかわるべき措置を何か手を打つておるかという御質問でございますが、この問題につきましては、引揚者生活援護的な、つまり引揚げて来られたあとでの生活を最小限保障し、それからまた国内において将来の計を立てられる道を何らかの形で援護して行くというようなことで、ただいま考えておるわけでございます。補償そのものがどうなるかということは、それはどうも講和条約ができました将来のことになるかと思うのでございます。なお調査会等の件でございますが、これはまだ具体的に進んでおる状況ではないように伺つております。
  32. 受田新吉

    受田委員 今のその伺つておるというのは、どちらがすることを伺つておるのでしようか。こちらの熱意でなしに向うからの何かの動きでやつておられるのでありましようか。その点をお伺いしたいのです。
  33. 酒井俊彦

    酒井説明員 その請願を御採択になりました点につきまして、実は私事を申し上げて恐縮でありますが、私最近理財局次長にかわりまして、いろいろ話を伺つておるのでございますが、そういう具体的な動きはまだないというふうに先任者から伺つたという程度で、伺つたという言葉を使つたわけでございます。
  34. 受田新吉

    受田委員 これは賠償庁長官を兼務している国務大臣にいずれ来ていただいて、この問題の早急解決意向をお聞きしたいと思いますから、適当な機会賠償庁長官兼務国務大臣を来ていただくようにお願いいたします。
  35. 若林義孝

    若林委員長 承知いたしました。  では次にただいま法務総裁が見えましたので、最近特に国内的にも警察予備隊創設という問題が起つておりまするので、これに関連いたしまして、法務総裁への質疑をいたすことにいたします。
  36. 小西英雄

    小西(英)委員 今の問題に対しまして、法務総裁国家警察予備隊最終責任者であるかどうかという点をお尋ねしたいのです。
  37. 大橋武夫

    大橋国務大臣 責任と申しますると、これは結局法律的の問題だろうと思うのでございますが、実は国家警察予備隊創設につきましては、マツカーサー元帥より書簡がありまして、現在この書簡に基きまして創設準備事務進行いたしておるような状況でございます。従いまして国家警察予備隊についての担当をどの国務大臣がするかというようなことは、別に決定はいたしてございません。ただこの内閣改造に際しまして、国家公安委員会に関しまする内閣における事務を担当するようにと、こういう命を受けておりますので、自然その関係上、この仕事について実際的に現在お手伝いをいたしておるようなわけであります。でありますから、法律上から申しますと、今日この書簡を実施するための創設準備仕事は、各省及び他の府の仕事にはございません新しい仕事でございますから、総理府の当然の仕事である。従いまして、これにつきましては内閣総理大臣みずからの責任においてやつて行かなければならぬ。この問題に対しましては、別に現在まで担当大臣を指定されたとは聞いておりませんから、さような意味におきます担当大臣としての責任者は現在ないと存じます。
  38. 小西英雄

    小西(英)委員 前殖田法務総裁はやはり法務総裁の地位にあつたが、国家警察の面については国務大臣の樋貝詮三氏がやつておつたと思うので、実はお尋ねしたのであります。今はつきりきまつてないということでありますが、そうするとここで質問いたしますことについての責任ある答弁はおできにならぬわけですか。
  39. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府としての責任ある答弁をいたしたいと思います。
  40. 小西英雄

    小西(英)委員 マツカーサー元帥の吉田総理に対する書簡に基きまして、国家警察予備隊創設が明らかにされましたが、それにつきまして、海外より引揚げられた者の中には警察事務並びに実務に非常にたんのうな人が多いのでございますので、これを創設せられるにあたつて、わが委員会といたしましては、これらの経験に富んだ朝鮮、満州、台湾、千島、樺太等において実務に熟したところの警察官をぜひ採用してもらいたいのでございますが、これらについて、優先的に法務総裁は扱う意思があるかどうかお尋ねしたい。
  41. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊に関しましては、他の機会におきましても申し上げた通り、現在政府といたしましては、関係当局と密接なる連絡をとりまして、この計画の具体化について準備を進行いたしておる次第でございます。従いまして、創立せらるべき警察予備隊に採用すべき人の資格、あるいは条件、あるいは採用の方法、これらはすべて今後の研究によつて定まるべきものと思うのであります。幸いにしてその結果、警察の実務にたんのうな方々を多数この新しい警察予備隊に採用することができるというような線において具体的な計画が定まりました場合におきましては、ただいまお話になりました引揚げの諸君のごときは、当然優先的に考慮さるべきものと考える次第でございます。
  42. 小西英雄

    小西(英)委員 まだ採用については、具体的な責任者もきまつていないようですが、この委員会といたしましては、外地におつて非常に精勤して各職務にあつた者が今日非常に悲境の状態に追い込まれておるという実情に照しまして、優先採用をお願いすると同時に、その官等におきましても現在は二階級とか、相当下げられて、非常に不遇になつて、実際の実力を発揮することもできないということも間々聞いておりますので、そういう点も十分御考慮くださいまして、たんのうな人々を予備隊にぜひ早く採用していただきたいということをお願いしておきます。
  43. 玉置信一

    玉置(信)委員 この機会法務総裁にお伺いしておきたいのであります。ただいま小西委員から外地に勤務された警察官の優先採用の問題についてお話がありましたが、すでに終戦当時外地に勤務した警察官の人員等については、政府においてお調べになつておるとは思いますが、私の手先にあたるデーターは、これは同胞救援議員連盟において調べたものでありまして、旧日本領土及び外地警察官調べでありますが、それによりますと終戦当時の警察人員は、樺太庁関係が一千二百九十一名、台湾総督府関係が六千八百四十九名、朝鮮総督府関係が一万六千三百三十名、関東局関係が一千六百六十五名、南洋庁関係が百八名、外務省関係が三千五百名、旧満州国関係が四万名、合計六万九千七百四十三名となつておるわけであります。引揚げの推定数は、詳細は省きまして、合計四万五千六百四十六名ということになつておるわけであります。そこでこの警察官のうち今日失業しておる者は、これも内訳を略しまして合計で申し上げますと、二千八百八十三名となつておるわけであります。しかして警察官としてその復帰を希望しておる推定数は、これも内訳は省略して合計数を申し上げますと、二万三千百名あるわけでございます。私ども引揚委員会といたしましては、ただいま小西委員お話のありましたように、特にこの引揚者の警官を優先的に採用していただきたいと念願しておりますが、同時にまたこの採用の面につきましては、ただいま法務総裁の御答弁がありましたように、いろいろ資格その他の条件を審査されるでありましよう。失業者を救済していただくという、最終の目的として強い希望を持つておりますが、しかしここに相当考慮を要すべき点は、もちろん警察官でありまするからそうしたことはなかろうとは思いまするが、何しろソ連勢力圏内におられた人となれば、相当思想的に変化を来しておる者がありやしないか。特に先般の徳田要請による考査委員会の証人喚問等における内容から判断いたしましても、かなり思想的に変化を来しておる者があるわけであります。内地に引揚げまして、本国のこの環境から相当それがまた本然たる日本人の気持に返つた者もたくさんあるようには思うのでありますが、しかしこの思想的の問題につきましては、政府として相当考慮を要すると思うのであります。引揚げ警官の優先採用を希望すると同時に、思想的面に対する対策も相当考慮を要すると思いますので、この機会法務総裁の御見解を承つておきたいと思うのであります。
  44. 大橋武夫

    大橋国務大臣 先ほど小西君からお述べになりました御趣旨は、まつたく同感でございまして、その線に沿うて善処いたすようにいたしたいと思います。またただいま玉置君からお述べになりました点、これまたまことにごもつともでございまして、この点は将来十分に注意をいたしまして、新しく創設せられまする警察予備隊というものが、真にわが国の治安を確保するにふさわしい人々によつて構成されるべきものである、そういう線に沿うて隊員を選考して行く。特に引揚者の採用については、この点は最も大きな問題となるべき点であるという御意見については、まつたく同感でございます。
  45. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいまの法務総裁の御答弁で満足するわけでありますが、さらに次にお伺いしておきたいことは、新聞等により、また他の本会議あるいは委員会等における法務総裁の御答弁によつて大体了承してはおりますが、この委員会として正式にお伺いしておきたいことは、この予備隊の定員数の問題と、それから本部創設の点におきまして、現下の国際情勢からして、北端の領土北海道地区には本部が創設されないやに承つておりますが、これは相当考慮すべき問題じやないか。前段申し上げましたように、国際情勢の緊迫せる今日におきまして、特に北方地区は警備の点において意を注がなければならないと思うときに、北海道に本部がないということは、いかなる理由のもとにそうした方針を立てられておりますか。またこの方針を変更されまして、北海道にも創設すべきであると思うのでありますが、この点に関して御意向を伺いたいと思います。
  46. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊の定数につきましては、元帥書簡におきまして七万五千と言われております。すなわちこの予備隊の基幹となるべき警察官の数が七万五千であると、かように私ども了解いたしておるのであります。なお従いましてその他の人員を含めました総員数につきましては、今後研究の結果きまるべきものと考えております。  またいかなる場所にこの予備隊の活動を指揮すべき本部を置くかという点でございます。これはまだ具体的に決定いたしておるわけではございませんが、いずれにいたしましても、治安上重要なる地点にはあまねくこの人員が配置せられまして、全国の治安を確保するに遺憾なからしめるという根本方針のもとに、今後研究、決定せられるべきものと存じますので、いかなる地方に本部が置かれましても、国土のすべての治安は完全に維持され得るというふうなものとなるべきことを予想いたしております。
  47. 玉置信一

    玉置(信)委員 警察予備隊ができましての治安維持に関してお伺いいたしまするが、実は最近の運輸委員会におきまして、鉄道公安職員の取締りに関して、すでに拳銃等の相当の銃器といいますか、武器というものを携えて、真に公安の立場から、取締りの徹底を期するということになつておるわけであります。従いまして予備隊といたしましても、相当そうした取締りの面に対しては、具体的な構想のもとに着々進んでおられるとは思うのでありますが、最近各地に頻発せるいろいろな事故等から勘案いたしまして、しかも思想的にあるいは地下運動から表面化して、将来相当な暴力行為も出ないとも限らないほどの今日の情勢下においては、相当徹底した警備隊の活動を必要とすると思うのでありまするが、この警察予備隊の取締りに対しての銃器その他の所持に対しては、いかなる構想を持つておられますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  48. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今日すでにわが国の国家地方警察並びに自治体警察に属しまする大部分の警察官は、拳銃を与えられております。今回の警察予備隊は、当然少くともこの程度以上の装備を与えられるものであろうと予想いたしておる次第でございまするが、具体的な点につきましては、ただいま折衝中の重要なる項目でございまするので、まことに申訳ない次第でございまするが、お答えを保留させていただきたいと思います。
  49. 受田新吉

    受田委員 総裁がおいでの機会にちよつと御意向を確かめておきたいと思いますが、こうして吉田総理の信頼を得られた大橋さんは、祖国日本再建の法務一般に関する最高指揮官になつておられる関係上、非常に責任ある立場で、御奮闘願いたいのであります。  この間からの留守家族の上京に際してとられたところの警察側の措置について、われわれは十分了承する点もあるのです。また警察官が泣いて任務を遂行したという点も見られるのでありますが、あのソ連大使館の中へ陳情に行つた一部の人たちが、ソ連大使館員の誘導で中へ入りかけているものを、さらにあとから警察官がなだれ込んで、それをひつぱり出したという事件があります。これなどは少し行き過ぎじやないか、今度の留守家族などは暴力を振うという人間もいなければ、まつたく純粋な気持であつたのだから、ああいう点は大目に見てもらうようにしていただきたかつたのですが、その点いま少し寛大な措置をとつて、暴力を振うような危険のない者に対しては、あえてこれを制止することのないような、そういう適宜、適所なる措置がとつていただけるように、総裁の警察官に対する訓示その他においてお願いしたいのであります。  それからもう一つは、たいへん遺憾なことでありまするが、二十日に留守家族代表者が総理官邸の応接室で会見をしている最中に、総理の秘書官が、日本経済の若い記者が、足立ての上に立つて写真をとつているところを、暴力をもつて足立てをひつくりかえして転倒せしめた事件があるのです。これはすでに告訴されておるので御承知だろうと思いますが、総理の秘書官が、この新聞記者が任務を遂行している最中に、足をすくつて転倒せしめ、そうして一週間以上の負傷を与え、みずからもまたそのカメラによつて顔面に負傷したというような事件が、大衆の代表者がおる前で行われたのであります。これはもうだれも否定することができない事実でありまするが、この事実に対しまして、総裁は政府の側の責任者として答弁するとおつしやつたのでありまするが、このような暴力を行うような秘書官が総理の身辺におるということが、総理としてあのように非民主的にさせるのであつて、私たちは総理みずからは留守家族に会いたいという意思があるにかかわらず、周囲を取巻いておる人たちに、どうも非民主的なところがある人間がいる、自由党の同僚諸君も、それをひとしく認めておるのでありまするが、総理の身辺にはべつておる多くのこれら非民主的な人たちに対しての制裁を加える道は、総裁がこれをなされなければならないと思いますが、総裁としてこういう秩序の維持という点については、どうか閣内においても主張していただいて、政府の威信を傷つけることのないように、また民主的な運営を傷つけることのないようにがんばつていただき、特に総理の秘書官ともあるものが、傷害事件を起すものがあるならば、よろしくこれを総理に進言していただいて、閣内の秩序の維持、国内の秩序の維持に範を示すべき政府内部の秩序の確立についてひとつ総裁としての御意見を伺いたいと思います。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 受田さんのお話はよく伺いました。
  51. 小西英雄

    小西(英)委員 今受田委員質問に対して、私もその日は玉置君並びに池見理事と同席いたしておりましたので、多少私たちの見ておつた見解と違う点を指摘いたしておきます。私たちがあの総理の会見について十分なる考慮を払い、全国各地から来ておるところの引揚げ代表に対して親しく総理が十二、三分間にわたつて過去、現在に至るまでの総理個人としての見解並びに外務大臣、総理大臣としての見解を親しく話しておる最中のできごとでございまして、写真も総理が来て大体二、三分間相当多くの写真班が来ておつたために、いろいろ電球が割れてぱんぱん音が非常に激しかつたのでありまして、それを初めから秘書官並びにそこについておつた者が阻止したわけではないのでございますが、最後にもう写真のとり終つた後に、ただ一人経済新聞の若い写真班員が私のすぐうしろにおつたのでありますが、足立てを立てておるので、賀川という若い秘書官と思いますが、もう済んだじやないかということを再三注意したにかかわらず、またそれを広げて上ろうとしている瞬間に本人をひつぱつたわけではありませんが、あの足立てに手をやつたのが、十分に開いてなかつたために、上からころがり落ちたのが私が見ておつた現実のあれでありまして、この問題は、暴力的にあれを阻止したということは少し大げさではないかと思うので、これは写真班も相当の時間をとつておつた。そうして一方に私たちの考えでは、総理は声が非常に小さいので、そういう写真班がおると、うしろの方まで聞えないので、何とか個人といたしましても、せつかくの総理のこの言葉を十分向うまで聞かせてやろうというときに起つた問題でありますが、きようの新聞を見ますと、あたかも一方的に暴力ざたによつて行つたというような感じを抱かすような新聞記事が出ておりましたが、これは私たちも公平な見地から、秘書官にもそういうことについて十分忠告もいたしますが、言論の自由、また言論の機関を持つている諸紙が、一方的にあまり拡大して書くのもどうかと思うので、こういう点公平なる判断を私たちいたしておるわけで、こういう点については法務総裁においても、たくさんおりましたのですから、ときの状況を公平に聞いて、今後の注意の資料にして、そういうことが起らないように今後十分注意していただくことを特に望んでやみません。
  52. 大橋武夫

    大橋国務大臣 よく承知いたしました。
  53. 池見茂隆

    池見委員 大橋法務総裁が予備隊警察のことについて中心となつて活動せられておりますことは、非常に敬意を表しますが、本委員会あるいはまた海外抑留者引揚国民運動本部、こういつた面より引揚者の中のいわゆる警察官の予備隊に対するところの採用ということを取上げました以上、これらの警察官の経験を持つ人々は相当に大きな希望と光明を見出したような気持になるであろうことを想像するのであります。この場合におきまして、それらの人々は一刻も早くそういつた職に就職して、もつてお国のために御奉公申し上げたいというような念願にあふるるであろうことを考えますときにおいて、本警察予備隊がいつごろから実際活動を起す段階に到達するかという時期の問題、これらのことにつきましてはまだ明確でないと思いまするけれども、大体においてこれらのものに対する予算関係、それらの人々に対する待遇の点等がおよそわかつておりましたならば、お聞かせ願いたい。
  54. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまお尋ねになりました点は、すべて現在考究中に属する点でございまするが、書簡趣旨からみまして、できるだけこれが整備は急速にしなければならぬものと考えております。また予備隊に属する諸君の待遇につきましても、少くとも現在の警察官以上のものでなければならない、かように考えております。
  55. 足立篤郎

    ○足立(篤)委員 法務総裁がせつかくこの委員会にお見えでありますので、この機会に一点警察予備隊の問題につきまして伺つておきたいと思います。本来農林委員会においで願つて伺うのが至当かと思いますが、お忙しいときにわずかな問題でわざわざお招きするのもどうかと思いますから、この機会に聞かせていただきます。  警察予備隊の要員の任用につきまして、特に御考慮いただきたいと思いますのは、農村における次男三男の対策をあわせて御考慮いただきたいという問題であります。申し上げるまでもなく、きわめて純朴な農村の青年をこの予備隊にお使いになる、国の治安を守る中核として行くということはもとより望ましいことと私考えておりますが、さらに現在引揚者その他によりまして、農村は過剰人口に悩んでおります。いわゆる潜在失業者というのが農村に多数吸収されておりまして、これがいわゆる俗語で申しますと、かかりうどというものになつております。もちろん労働力の供給源にはなつておりますが、これはきわめて過剰であるという実情にかんがみまして、のみならず農地開放のあとを受けまして、次男三男の問題が大きな問題として浮び上つております際、ぜひ今申し上げたような観点から、この予備隊の要員につきましては、農村の純朴なる青年を御採用願います。これがやがて退官いたしました後は、地方に帰つて愛国的な中核になつて行くという考え方で御指導願えれば、国家百年の治安の大計のためにもきわめて望ましいことであろうと私信じておる次第であります。この点につきましてぜひ御考慮を願いますと同時に、法務総裁の御所感を簡単に伺つておきたいと思う次第であります。
  56. 大橋武夫

    大橋国務大臣 わが国の警察官といたしましては、従来から地方の農村からたくさん優秀なる方を出しておられるのでありまして、このたびの警察予備隊の創設に当りましても、やはり私どもは同様多数の優秀なる方々が農村から出て来られることを期待いたしておるわけであります。ただいま足立君のお述べになりましたことにつきましては、まつたく同感の意を表する次第でございます。
  57. 若林義孝

    若林委員長 なお今日田辺引揚護局長、それから外務省の管理局長も、それから先ほど御説明をいただきました大蔵省の理財局次長、かく見えておるのでありますが、本日はこの程度にして、あと次会にしたいと思いますが、いかがでございましよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 小西英雄

    小西(英)委員 受田委員の先程来の質問に答えた大蔵当局意見を承ると、どうも在外資産の問題はあまり日本政府においては問題にされていないというふうな観が多いのでありまして、私たち外地におりました者としては非常に心細く思われるので、この次の機会在外資産並びにそれらの補償に関する責任ある答弁のできる方をお願いすると同時に、第一次欧州戦争、第二次の戦争に当つてイタリアあたりはどうしておつたか、またおるかという具体的な資料をほしいのであります。国が持つておつた財産、あるいは法人の持つておつた財産並びに個人財産というふうなものも同一に扱つているかどうか。さような点について資料をお願いします。
  59. 若林義孝

    若林委員長 承知しました。  それでは本日はこの程度で散会をいたします。次会は公報をもつて御通知申し上げます。     午後零時三十八分散会