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1950-11-20 第8回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十日(月曜日)     午後二時三十五分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 岡田 五郎君 理事 米窪 滿亮君       尾崎 末吉君    黒澤富次郎君       玉置 信一君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    堀川 恭平君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    清藤 唯七君  委員外出席者         文部委員長   長野 長廣君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         航空保安庁長官 松尾 静磨君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      川上 為治君         日本国有鉄道営         業局長     藪谷 虎芳君         日本国有鉄道自         動車局長    津田 弘孝君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 十月三日  委員江崎一治君が辞任した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員調査報告聽取  国営自動車転覆事件等に関する件  運輸省機構改革に関する件     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  国鉄輸送状況等聽取に関する件を議題といたします。  まず国内航空に関しまして、航空保安庁長官より説明を求めます。
  3. 松尾靜磨

    松尾説明員 本年の六月二十五日に、日本内国航空に関するスキヤツプ・イン二一〇六が出ましたことは御存じの通りでありますが、これの受入れ態勢といたしまして、外国資本でありますけれども、日本法人という形をとることになりましたので、普通ならば、外国人事業活動を律しております政令第三号で規律されるのでありますけれども、この航空輸送事業に関しましては、この政令第三号で律し切れない点があります。たとえば航空輸送運賃決定をやるというようなことは、この三号では律せられないのでありますので、十一月一日に、これの受入れ態勢としてポ政令を制定されまして、公布されたのであります。その概略を申し上げますと、その内容といたしましては、政令の目的、事業免許営業開始等の届出、事業計画の変更、旅客貨物運賃及び料金運送約款運賃料金等の経理、次に報告、検査、飛行場使用事業の停止なり、免許の取消し、運輸審議会への諮問等であります。  現在この会社はどういうぐあいに進んでおるかと申しますと、会社自体はごく小さい資本で設立をいたしておりますけれども、まだ事業計画その他が提出になつておりません。現在われわれが情報で聞いております航空路その他を概略申し上げますと、日本幹線東京大阪間が大体四往復程度大阪福岡間を大体一往復東京仙台青森札幌、これを一往復程度、こういうぐあいにやりたい状況のようであります。しかしこの定期航空路にどういう飛行機を使うかというようなことも、まだはつきりとは決定していないようであります。飛行機の機種によつて航空路施設、あるいは飛行場等施設に非常な影響がありますので、毎日関係方面では会議をやつておるようでありますが、まだ決定に至つておりません。従つて航空事業申請はまだ出て来ていない状況であります。
  4. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ごく簡單にお尋ねしますが、今度できます航空会社飛行機に、日本人がパイロツトその他の従業員として事業に従事できるのかどうか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  5. 松尾靜磨

    松尾説明員 終戰後出ました覚書の三百一号によりまして、日本人飛行機を操縦することは禁止されております。これはまだ解除になつていないのでありますので、日本人飛行機の乗員として勤務することはできないものと考えられます。但し地上従業員は可能だと考えられます。
  6. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次にお尋ねいたしたいのは、飛行場におけるサービス業、また飛行場鉄道との連絡輸送というようなことについての会社は、内地法人として日本人が設立できるのかどうか。今のいわゆる航空会社というのは、飛行場から飛行場というか、空中輸送だけのものなのか、その辺のところをお答え願いたいと思います。
  7. 松尾靜磨

    松尾説明員 今度設立されます航空会社は、仰せ通りこれは航空輸送会社でありまして、地上サービス、あるいは飛行場都市との連絡、こういうものは別の会社でやつてもさしつかえないと思います。
  8. 岡田五郎

    岡田(五)委員 いろいろ條文を見ますと、航空会社使用する飛行場というものはGHQの許可を経て使うようでありますが、あるいは民間団体飛行場会社というようなものを設けて、航空会社と提携いたしまして、そこを中心として発着をやるということができるだけの余裕があるのかどうか、その辺のところを伺いたい。
  9. 松尾靜磨

    松尾説明員 現在飛行場占領軍管轄下にありますので、航空会社使用いたします場合も、日本政府にその許可申請して、日本政府から関係方面了解を得て使用する、こういうことになると思うのであります。従いまして今御質問の問題は、飛行場日本政府に完全に返還されたあとに考えられる問題ではないかと思います。
  10. 岡田五郎

    岡田(五)委員 これもまだ御推定の範囲内だろうと思うのでありますが、陸上の鉄道運賃相当関係があると思います。今度の航空会社運賃が、いろいろ雑誌、新聞で見ますと、一マイル当り五セントぐらいではないかという記事もあるのでありますが、これが五セント当りになるか、三セント当りになるか、これによつて鉄道一等、二等運賃との競争関係において、相当重要な結果を来すと思うのでありますが、今の見通しでどの辺のところにおちつきそうか、御推測でもけつこうでありますからお聞かせ願いたいと思います。
  11. 松尾靜磨

    松尾説明員 仰せ通りアメリカにおける航空運賃は、マイル当り六セントか五セント程度かと思つております。東京大阪間の一等汽車賃は、換算いたしますとたしかマイル当り三・七セント程度になるのではないかと考えられますが、まだ事業計画その他、申請書が出ておりません。これは非常に重要な問題でありまして、まだその辺まで申し上げる程度まで参つておりません。
  12. 玉置信一

    玉置(信)委員 航空路の点につきましてお伺いいたします。前の委員会におきまして大体伺つたように思いますけれども、現在の航空路は、先ほどお話のありましたように、南部の方は東京大阪福岡、北部は仙台青森札幌、第一次計画はこの程度であるのですか。あらためてお伺いしたいと思います。
  13. 松尾靜磨

    松尾説明員 先ほど申し上げました航空路概要は、そういう情報でわれわれが想像しておるだけの話でございまして、会社側としても関係方面としても、最後的決定には至つていないようであります。大体われわれの想像なり伺つたところでは、そういうところでございます。
  14. 玉置信一

    玉置(信)委員 北海道札幌は前には、当局の御説明ではないように記憶しておつたのですが、このたびの計画内容——これは御想像でしようが、札幌は含まれておるのですか、その点重ねてお伺いしたい。
  15. 松尾靜磨

    松尾説明員 一応北海道日本幹線航空路としては考えられております。
  16. 玉置信一

    玉置(信)委員 先ほど岡田委員から御質問のありました飛行場サービス施設の点でありますが、これは別の企業においてなし得られるであろうというお話でございました。そうすれば、これは並行してその申請をすれば許可になるわけでございますかどうか。またその施設については、現在の想像では外国人が持つように見られるのですが、サービス施設の点については、日本側許可するというような見通しはないのですかどうですか、この点をお伺いいたします。
  17. 松尾靜磨

    松尾説明員 先ほども申し上げました通りに、飛行場占領軍管轄下に現在ございます。終戦前までは、飛行場国有国営経営しておりました。しかしアメリカその他欧洲飛行場の管理のやり方を見ますと、必ずしも全部国有国営ではやつていないのでありまして、たとえばアメリカでありますと、ワシントンの飛行場は、アメリカの首都にある飛行場でありますので、この飛行場だけはアメリカ政府国有国営経営しております。その他の飛行場は、その飛行場のために利益を受けるものは、その飛行場のある都市がおもに利益を受けますので、その都市なり、あるいは州が経営をしておる。あるいは州なり都市がその飛行場経営を、私立の飛行場サービス株式会社のようなものを設立して、それに経営委託をさせるという実情であります。この飛行場の問題は、非常にデリケートな問題でありまして、現在飛行場は何も日本政府に返還を受けておりませんので、これ以上申し上げにくいと思います。
  18. 前田郁

    前田委員長 他に御質問はありませんか。——なければ次に、四国における国営バス転覆事件につきまして、当局より陳謝したい旨の申入れがありますので、これを許します。津田国鉄自動車局長
  19. 津田弘孝

    津田説明員 本日は、今月の七日に高知県におきまして、国有鉄道経営しておりまする自動車運転事故を起しまして、非常にたくさんの死傷事故を起しましたことにきつまして、衷心国有鉄道としておわびを国民の前に申し上げたいために上つた次第でございます。同時にその当時の事故概要につきましても、若干御説明を加えたいというふうに考えております。  お手元に四国大栃線運転事故概況という印刷物をお配りいたしてございますが、事故の起りましたのは、本月の七日の十八時五十分でございます。  場所高知県の国有鉄道大栃線でございます。この大栃線は、高松から高知の方に向つて土讃線という鉄道が走つておりますすが、それの高知へ一時間ほど手前に土佐山田という駅がございます。この土佐山田の駅から東の方に向いまして、約三十キロ足らずの大栃という所まで、一本路線がまつすぐ徳島県の境の方に向つてつておるのであります。ここの開業昭和十年でございますので、国有鉄道自動車といたしましては、相当古い開業でございます。事故の起りましたのは、この土佐山田起点の七・九キロ、約八キロの美良布町橋川野という所で起つたのでございます。  事故の現場の概略について申し上げますると、この一番上の紙の第二図と第三図をごらんいただきます。この第二図は、左の方にS字型に曲つておりまするのが道路でございまして、その右の方に物部川という川が、徳島県の境の方から土佐湾の方に流れておる。これに沿つて自動車が走つておるのであります。この道が先年の台風により決潰しておりまして、一番狭くなつておりました三・六メートルの幅のところでございます。その次のページをめくつていただきますと、自動車が右の土佐山田の方から参り、反対側の方から自転車が参りまして、これをよけた。あいにく非常に道の狭まつた所でございますので、そこから左側の前輪と後輪が脱出したしまして、そのまま転落いたしたのであります。第三図、一番初めの紙にございますが、その道路から前後輪が逸脱いたしまして、そのまま途中崖にぶつかりまして、そのまま六十四メートルの物部川に転落いたしましたような事故でございます。  第三枚目のまん中ごろに死傷者の数がございますが、即死が二十六名、重傷死亡された方が七名、計死亡者が三十三名、また重傷者運転士、車掌を含めまして二十五名、軽傷の者が五名、計六十五名でございまして、これは国有鉄道におきましても最近にない重大な事故でございます。いわんや国有鉄道自動車におきましては、開業以来最大の事故でございまして、このような事故が出来いたしましたことにつきましては、衷心相済まなく恐縮に存ずる次第でございます。  原因につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろと悪い条件が重なつていたにいたしましても、結局直接の原因といたしましては、運転手がハンドルを切りそこなつた。しかもそこがたまたま道が狭まつていて、直下六十四メートルの谷底に転落したということでございますが、この事故を一層不幸にした直接の原因ではございませんけれども、世上いろいろと批評され、また当時高知附近あるいはその他のところの新聞紙上等において、運転士飲酒をいたしまして、その結果醉いどれ運転をして、かような事故を出来したということが、一部の新聞紙上に出ておつたのであります。もしさようなことでありましたならば、非常に遺憾きわまりないことでございますので、その点について嚴重に私ども調査をいたしたのであります。その結果は、当時この附近にお祭りがございましたので、お晝に当該の運転手も、ほんのわずか飲酒をしたそうでございますが、午後の仕業がございますので、すぐそれもやめまして、午後の仕業を一回やりまして、二回目の仕業のときに、今回の事故が起きたのだというようなことでありまして、飲酒というようなことが直接の原因であつたとは、とうてい考えられませんのでございます。こういうようなことがあつたことは事実であるということを申し上げざるを得ないのであります。  この事故が起りますと同時に、私は総裁の代理といたしまして、ただちに現地におもむきまして、なくなられました方々、また負傷をなさいました方々に対しましては、国有鉄道として、できるだけの遺憾の意を表して参つたのであります。とりあえずのおくやみとお見舞とは申し上げたのでございますが、不日なるべく早い機会において、現地に合同の慰霊祭を執行いたしたいと考えておりますが、それまでにはいろいろの弔慰方法、たとえば損害賠償というようなことにつきましても、国有鉄道として、できるだけのことをさしていただきたいというふうに考えておる次第であります。  なおこれを機会に、この大栃線道路が狭いので、大きな型の車が入れられないのでございます。従いまして通勤通学時等は、車を五両も六両も並べておきまして、同時に発車するというようなことをとつておるのでありますが、しかし道路の許す範囲内においては、大型と行かないまでも、中型の車をできるだけ入れたいというようなことも考えておりますし、また先ほどちよつと申し上げました従業員規律というような面においても、多少遺憾の面もございますので、そういつたような点は、これを機会に大いに嚴格にやるつもりにいたしております。いずれにいたしましても、このような事故を出来いたしたしましたことにつきましては、まことに申訳なく存ずる次第であります。重ねて国有鉄道としても、心からおわびを申し上げ、また弔慰につきましては、万全の方法を講ずるということをもちまして、私のおわびなり、御報告を終りたいと考えます。
  20. 前田郁

    前田委員長 質問に入る前に皆様にお諮りいたします。文部委員長長野長廣君より、委員外発言を求められております。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 前田郁

    前田委員長 それではこれを許します。長野長廣君。
  22. 長野長廣

    長野文部委員長 本月上旬に、ただいま局長から御説明になりました大栃線の惨禍がありましたが、まつたく一瞬にしてその地帶は死の町と化してしまいました。しかるに当局のいち早き拔かりのない御努力によりまして、地方民にはことさらなる怨嗟の声はありません。非常に円滿に今後あらゆることが進行、解決をせられるものと承つておる次第であります。しかし、ただいま局長からもお話のありました善後の処置の中で、私はこの問題を通して、全国の諸国営バスという問題について考えたいことは、第一に運転責任のある者に対する教育を今後一層徹底していただく。特に規律を守り、そうして責任感を重んずるとということに御配慮を願いたいと思います。もちろん今回の責任運転手は、平素非常に勤勉な人でありまして、かような点については、何ら非難は平素なかつたようであります。しかし何しろ一人が幾十名の生命を引受けておる関係からいたしまして、万人だれが見てもこの規律、この責任感をもつてするならば、という感じを今後十分に与えるような教育をしていただきたいというのが一つであります。もう一つは、非常な断崖絶壁が全国的に多いのでありますから、ただいま局長仰せられましたように、特にそれらの地帶には危險のないように、万難を排して早く施設をしていただきたいということであります。そのほか、すでに被害地町村長七名が集まりまして、局長その他係員の方々に対し希望も申し上げ、了解も進んでおるようでございますから、くだくだしいことは申し上げません。ただ一つここに申し上げないことは、この死傷者の中には、ちようど時刻柄からいたしまして、各家とも大切な青少年、ことに高等学校の男女の生徒が多多いる。それから最高学府を出まして、会社県庁等に勤めている人も相当にあつたのであります。たといその経歴なくとも、いずれも家庭におきましてはかけがえのない、一家柱石というべき人が多数にあるのでありまして、賠償等の問題につきましては、地方民としてはことさらなことは申しておりません。ただ責任を負うておる町村長議長などが、特にこの賠償の点に御心配を願いたいと言うことは、ただいま申し上げたような意味でございまして、事務的に計算するような形が見えましては、はなはだ遺憾なことと思いますから、ひとつ十分家庭関係、過去における本人の経歴——單に何才まで生きるというような計算のみでなく、将来における当人の責任、働きというようなものも考慮の中に加えられまして、万遺憾なきを期するようにお願い申し上げたいと思います。地方民としまして、当局の深甚なるいち早き御処置に対しましては、衷心感謝をいたしておりますが、以上申し上げまして、今後とも何分、従来の例を破つても、一般の納得の行きますような御処置をいただきたいということを、特にお願い申し上げる次第であります。
  23. 前田郁

    前田委員長 本件に対して質問はございますか。
  24. 坪内八郎

    坪内委員 この高知県の大栃線事故につきましては、当時われわれも新聞によつてわかつたのでありますが、まつたく唖然といたしたのであります。なお今日当局から詳細にわたる説明がありまして、これまたわれわれといたしましては、相当考えなくてはならないという点が多々あるわけであります。ここに三十三名の者が死亡なさつた、その霊魂に対しましても、われわれは衷心より哀悼の意を表したいのであります。なお三十名にわたる重傷者方々が、一日も早くおけががなおられて、生業に復せられるように、これまた希望するところであります。ただいま当局説明がありまして、なおまた地元長野議員より、委員外発言といたしましていろいろなお話があり、また要望もありましたが、この際私は二、三点お尋ねいたしたいと思うのであります。  この事故が、当局説明あるいは長野議員お話によりまして、大体当局の臨機応変な処置によつて、適当に処置されたというようなことは、大体うかがい知れたのでありますけれども、私たちといたしましては、この事故についてはいろいろな面から検討を加えなくてはならぬ点があろうと思うのであります。そこで一、二まずもつてお尋ねいたしたいと思うのは、この報告書によりますと、香奠並びに見舞金を贈与したということになつておりますが、大体幾ばくの見舞金を贈与したのであるか、あるいは香奠を幾ら支給したのであるかということがまず第一点であります。  第二点に、この事故の発生は、運転手不可抗力事故ではなくして、悪道路であるがために事故が起きたのだ、酒を飲んでいたということは、従的な問題だというような説明がありましたけれども、われわれは過去における鉄道その他の交通事故におきまして、エンジン等不可抗力の点もありますけれども、ほとんど事故の大半は運転手が酒を飲んでおつたということが、常に起る事故の大きな原因のように聞いております。私の関係の長崎県におきましても、県営でバス公共事業として経営いたしておりますが、その間の事故は、運転手飲酒をした結果によつて事故を生じたということが、ほとんど大部分であります。しかもこの場合は、この運転手が常に往復しておつた路線であるか、たまたまその日に限つて当時のお祭りの騒ぎによつて、新しく運転手を任命しておつたのかどうか。その運転手が常にそこを往復しておつたならば、眠つてでも、いかに悪道路といえども運転ができるのが、普通の運転手技術なのであります。しかるにそういつた道路であつたために、たまたま事故を起したということは、どうも今の報告でわれわれは納得の行かない点がありますので、この点をもう少し詳細に御説明願いたいと思うのであります。まずこの二点をお尋ねいたしまして、さらに質問をいたしたいと思います。
  25. 津田弘孝

    津田説明員 先ほど長野代議士からのお話、一々ごもつともの次第でございます。そのときにお話のありました事項と、ただいま坪内委員からお話のありました事項につきまして、私から御説明を申し上げたいと思います。まず長野代議士から御注意のありました従業員教育、あるいはその責任態勢の確立という点につきましては、国鉄自動車といたしまして、平素最も力を入れている点でございまして、今回事故を起しました運転手も、これは年令は若いのでございますが、鉄道の教習所の自動車関係の所定の教育を受けまして、もう四、五年も自動車運転をやつておるのであります。技術におきましては相当優秀な青年でございました。しかしながら單なるそういつた技術だけの問題でなしに、自動車関係従業員、なかんずくたくさんの生命を預かりまするところの運転手といたしましての、いろいろなしつけというようなことにつきまして、一ぱいの酒でも飲むということは、たといそれが執務時間外でも——この場合は嚴格に申しますれば執務時間外ではありまするが、たといそうでありましても、不謹愼な次第でございまして、これを機会そういつた面につきましては、私から嚴重に管下の従業員に戒告をいたしておきました。なおこれが自動車事務所、並びにその下にありまするところの営業所自動車運転手一人々々に徹底するようにとりはからいをいたしておきました。  それから第二番目にお話のございました道路等施設の問題でございますが、これは自動車につきましては、道路とまつたく表裏一体の関係にございますので、今回の事故も、一つ道路が狭かつたこと、しかも先年の台風によりまして、そこがさらに削り取られていた。しかも普通ならばそこに木か何かありまして、そこに自動車がひつかかるところを、そういうものもなかつたために、直下六十四メートルまで落ち込んでしまつたということでありまして、その当時地元町村長並びに議長からもきついお話がございまして、道路の改善につきましては、関係当局に向つて嚴重に迫つてもらいたいということでございました。国鉄自動車道路使用いたしまするので、その道路使用の割合に応じまして、道路維持修理費を払つておるのでございますが、大栃線については、承るところによりますと、大栃よりさらに先の方に大きなダムができるそうでありまして、そういたしますると将来はたくさんのトラツクがここを通る。現在におきましても若干の材料を運んでおるようでございますが、そういうような関係からいたしまして、この道路をさらに広くする、改良するというような運びに至るようでございます。その際には国鉄維持修理費というようなものも、できる限りの額をそういう方に醵出いたしたいと考えております。  それから第三番目にお話のございました今回の死傷者、なかんずくおなくなりになりました方々は、ちようど高知に近いという場所柄、また通勤通学時の帰りであるというような時間の関係から申しまして、ことに若い青年の学生の方が多かつた、あるいは一家柱石であられる働き手の方が多かつたというような点から申しまして、残された遺族の方々の御愁傷は、一層はなはだしいものがあるというように考えております。先ほど注意もありましたように、單に形式的な損害賠償のはじき方でなしに、そういつた点も十分勘案いたしまして、国鉄といたしましてはできるだけの弔慰方法を講じさせていただきたいということを、重ねて申し上げたいと思います。  なお次に、坪内委員からお話のございました香奠、見舞等について、どれほどの額を出したかという点につきましては、お手元に差上げました資料の四枚目のまん中ごろに、弔慰関係といたしまして、その当時総裁の名前におきまして、あるいは四国全体の自動車を管轄しております自動車事務所長の名前、並びに現場の営業所長の名前におきまして、総額四十四万二千円のとりあえずのおくやみなり、お見舞のしるしを差上げてございます。これはそのとりあえずの寸志でございまして、今後損害賠償、あるいは医療に関する出費を補償するというような問題につきましては、先ほども申し上げましたように、できるだけの方法を講じたいというふうに考えております。  なお最後に、事故を起しました運転手の仕事の上の閲歴等でございますが、これはお配りいたしました印刷物の一枚目にも書いてございますように、昭和二十二年の四月の十日に現職運転手を拝命いたしたのでございまして、爾来すでに四年ほどの間この線を乘つておりまして、しかもこの篠という運転手は、非常に技術も優秀でございましたし、また性質も温良なる運転手でございまして、国鉄自動車といたしましては、全体の技術の向上のために、本庁主催で運転競技会を開催いたしておるのでありますが、その予選を四国でやりますような際にも、常に一等をとつているというような優秀な運転手でございました。今回の事故は、先ほど申し上げましたような運転の結果と思われるのでございますが、どうもせつかく優秀な運転手を配して、しかもこういつた事故を起したことにつきまして、非常に恐縮に存ずる次第でございます。
  26. 坪内八郎

    坪内委員 ただいまの御説明で大体了承いたしました。この香奠見舞金は、四十四万円というようなことでありましたが、大体これは国鉄の中に弔慰規程があつて、その弔慰規程に基いて出したものであるか、あるいは暫定的にこういうような処置をとつたものであるかということ、並びに死亡した者に一人当り幾らの支給をしたのか、それから重傷者、軽傷者についてどれほどの支給をしたのか、その点が具体的にわかつておれば、お知らせ願いたいと思います。  さらにこの運転手の職歴でありますが、お話によりますと非常に優秀な運転手であつて、しかも四箇年同一路線運転しておつた、こういうお話でございますが、この点から考えますと、大体同じ路線を四箇年運転しておれば——一日何往復したかよくわかりませんけれども、おそらく眠つていても運転ができる道路であつたのではないかと考えるのであります。しかるに道路が非常に悪道路のために、あるいは台風その他の事故によつて道路がいたんでおつたということも、ほぼ想像するのでありますけれども、その辺がどうも私は酒を飲んでおつたために、そういう事故を起したのではないかと考えられるのであります。その点は詳細な科学的調査あるいは捜査によつて、このような結論が出たのであろうということは想像いたしますけれども、その点もう少し詳細に、酒を飲んで運転したための事故ではなかつたということをお聞きしたいと思うのであります。さらにまた一つ事故によつてそういう面を反省して、国内全般に国鉄としてはどういうふうにこれを指令したのか。ただ單に高知県の大栃線事故であるから、その方面のみに何か嚴重な警告を発したとかいうようなことでなくて、国内全般に国鉄としてどういう処置をとつたのか。開闢以来の事故であることを反省して、国鉄では何かそういう事故防止のために行政的な指令を出したとか、何か注意を喚起するとかいうような措置はとられなかつたのか、お尋ねしたいと思うのであります。
  27. 津田弘孝

    津田説明員 ただいま坪内委員からお話の点につきまして、お答え申し上げます。まず第一にお話のございましたとりあえずのおくやみなり、お見舞金といたしまして、遺族なり、負傷された方々の家族に差上げましたのは、先ほども申し上げましたような四十四万二千円でございまして、これの支出方につきましては、大体こういつたような国鉄事故のございました際に、総裁なり、あるいは現地局長なり、事務所長なりが出します額というものは、基準がございまして、それによつて出したのでございます。個人別に幾ら幾らということになりますと、今手元に資料がございません。  その次にお話のございました今回の事故飲酒関係でありますが、これはその当時、先ほども申し上げましたように、お祭りではあつたのでございますが、本人は先ほども申しましたように酒を平生飲まない、国鉄自動車運転手としては優秀な運転手でございましたし、また午後の仕業もありますので、本人も非常に早く切下げている。本人の申立てによりますれば、ほんの普通の小さな茶わんに一ぱい程度を飲んだのでありまして、これが大体午前の十一時ごろでございます。事故の起りましたのは午後の七時でございます。その間に一ぱいの酒が、そのように長く作用をしていたということは考えられないのでございますが、なおお手元に差上げました資料の三枚目の左の下の方に、その当時この運転手のその日の乘務いたしました行路がございます。これは少し專門的になりますが、その当時の状況を解明する一つの手段になると思うのでありますが、これは自動車運転手のダイヤ、行路でございまして、まずその運転手は美良布の在勤でございますので、朝の六時四十分に美良布から乘り出しております。しかしこの自動車は代燃でございますので、一時間先の五時四十分にはもう車庫に出ております。従いまして本人が起床いたしましたのは午前の四時半ごろでありまして、六時四十分に乘り出しまして土佐山田に参りまして、土佐山田から今度は在所村という所までもどりまして、それからまた在所村から乘り出しまして十時五十七分、十一時に十佐山田に帰つて参りまして、十時五十七分からその次の午後の仕業が十六時二十分、この間に五時間ほどの時間があるのでございますが、本人がわずかに一ぱいの飲酒をしたというのは十一時ごろでございまして、午後の仕業もございますので、本人は非常に早く、もう十三時ごろには切上げまして、そうして十六時二十分の、午後の最初の神母木までの小区間の運転を完了いたしまして、それから十八時十五分に土佐山田を出る自動車に乘りまして、事故を起したというような関係でございまして、本人が非常に早く切上げておりますし、また午後の仕業もりつぱにやつて、七時間後に事故が起つておるという点から考えまして、たとい飲酒をいたしましても、それがこのように長く作用をしているというふうには考えられないのであります。しかもこの朝の十一時から午後の十六時二十分、この約五時間ほどの間は、いわゆる労働基準法に申しまする拘束時間の外でございまして、勤務時間中に飲んだということではないのでございますが、しかしそんなことを言いましても、これは始まらないことで、やはり午後の仕事を控えていて、たとい一ぱいの酒でも飲むということは、従業員、ことに運転手といたしましては、不謹愼な次第であるということは認めざるを得ないと思います。  なお坪内委員からお話のございましたこれを機会自動車関係従業員に対して、どういうような戒告、警告を出したかという点につきましては、とりあえず電報をもちまして管内にこういう事故の起りました点、今後十分に戒めて注意を喚起いたしたのでございますが、さらに去る十一日に当時の発生状況、並びにこれに伴いまして今後十分注意をいたすべき面を、運転上の注意あるいは車両の保守整備の点、あるいはダイヤの再検討、あるいはそういうふうに乘客が、この当時四、五台の自動車が一ぺんに——一ぺんと申しましても、順次発車いたしたのでございますが、たまたま事故を起した自動車が滿員でございまして、定員に対して七、八割もよけいに乘つていた。その次に参つた自動車は比較的すいていたというような次第でございまして、もつとこの通勤通学時には、技工でも何でも手のすいております者が、旅客の誘導に力を入れろというような点等々を内容に盛りまして、嚴重な警告を発し、このような事故が再び起らないようなふうに処置をいたしておきました。
  28. 坪内八郎

    坪内委員 まだあとにいろいろ議題もありますので、私の質問はこのくらいにとどめておきたいと思いまするが、この事故のことにつきまして、われわれ委員会といたしましても、十分今後の措置につきましては見守つて行きたいと思います。  なおこの際、国鉄省営バスの今日出席なさつている最高責任者の方に、一言御説明願いたいと思いまするが、今日の省営バスは、民間のいろいろなバスに比べて、サービスが悪いということが定評になつておる。省営バスはのみやしらみで乘れない。またすわるところは破れて、中からいろいろスプリングが出ているというふうに、非常に省営バスサービスという点が問題になつております。またこういつた事故の生じたことも、やはり従業員の勤務のいわゆる責任感といいますか、そういつた欠陷もあるのじやないかと思いますので、今後この省営バスをどういうふうな経営によつてつて行こうとするのか、また省営バスによるところの採算面、特に国内におきましては優秀路線を独占しておるような省営バスでも、採算がとれていないというようなことをわれわれは聞いておるのでありまするが、こういつた事故と関連いたしまして、将来日本国有鉄道の所管にあるところの省営バスの今後の運営、あり方、そういつた面についてどういうような大方針をもつて臨んでおるか。この際ちよつとお尋ねしてみたいと思うのであります。
  29. 津田弘孝

    津田説明員 今回の事故に関連いたしまして、ただいま坪内委員からお話のございました点、申し上げれば非常に長くなりますので、簡單に申し上げたいと思いますが、国鉄自動車国有鉄道に関連する事業といたしまして、鉄道の先行、代行、短絡あるいは補充というような意味におきまして、経営をいたしておるのでございますが、戰争の末期並びに終戰直後におきましては、経営の状態が非常に悪化いたしまして、経営内容を収支の関係から申しますると、支出が収入の四倍もあるというような最悪の年が昭和二十一年でございましたが、爾来部内におきましては、独立採算制という旗じるしを掲げまして、鋭意あらゆる経営合理化の方策を講じまして、業態の刷新をはかつておるのでございます。今日におきましてはまだ戰前には及びませんけれども——戰前と申しましても、戰前でも国鉄自動車は、民間では御経営にならないような、住民のあまりおりませんような山間僻地でありまするとか、あるいは戰争中におきますれば戰争の要請に基きまして、採算割れの運賃をもつて、輸送を強行したというような関係からいたしまして、こういう言葉が当りますかどうですか存じませんが、公共性に基くところの赤はこれはやむを得ない。さればこそ国有鉄道のような、国ないしは公共企業体が経営している値打があるのであります。しかしながら今日の国鉄自動車の赤字を分析して見ますると、必ずしもこういつた公共性に基く赤字ばかりではない。われわれの経営が必ずしも能率的でない、あるいは合理主義に徹底してない、こういつたような経営の不手際から生ずる赤字につきましては、これを一厘といえどもゆるがせにしないで、縮減しなければならないというような意味をもちまして、独算制の旗じるしを掲げまして邁進しているような次第でございます。ただいま御指摘のありましたような、国鉄自動車は全国的にサービスが悪い、のみやしらみのすみかであるというようなことは、たまたまそういつたようなこともございましたかもしれませんけれども、概して申しますれば、最近におきましては車両も相当更新を見ておりますし、また従業員一同、サービスの面につきましては十分に相戒めて、誤りのないようにいたしておるのであります。何分にも終戰後日本の姿の中で、自動車バス事業くらい復興の姿の著しいものはないのでありまして、全国的に、国鉄といたしましては、北海道から九州のはてまで自動車経営しております関係上、ある局部的にごらんになりますると、民間の自動車に比べましてはなはだしく車両の状態が悪いというようなことも、お気づきになると思うのであります。かすに若干の時日をもつてしていただくならば、われわれ従業員の努力と相まちまして、御期待に沿うことができるのではないか。その日の一日も早く来ることを希望しておるような次第であります。
  30. 岡田五郎

    岡田(五)委員 簡單に、これは運輸省の方にお尋ねいたしたいのでありますが、本年の初め熊ノ平に不祥事件の起りましたときにいろいろ質問いたしましたら、その節運輸省から、運輸大臣か次官名か知りませんが、国鉄に対しまして勧告ですか注意でございますか発せられて、また国鉄自身もこの勧告に基き、また国鉄自体の発意からいたしまして、事故防止緊急対策委員会というようなものをおこしらえになりまして、国鉄の各部門におけるあらゆる事故の防止につきましていろいろ具体案を研究されて、着々と効果を示すべく発足した、こういうお話もありまして、その後これがためか、いろいろな事故も事前に防がれておると私は信じて疑わないのでありますが、幸か不幸か、その後原因不可抗力ではございますが、室蘭線の錦多峰、社台間におきまして、鉄橋上から客車が二、三両落ちたために数十名の死傷者を出しまして、いまなお死体が発見できない者もあるかのように、聞き及んでおるのであります。またその後省営自動車におきまして、六十数名の重死傷者を出しておる。しかもまた、これは非常に事故は少くて終つたようでありますが、十月十五日でございますか、宇都宮発の省営貸切自動車が一メートル近くの崖から落ちかけて、死者は出たかどうか知りませんが、数名の負傷者を出して、大事に至らずして幸い終つたそうでありますが、今度の事故につきまして、運輸省はどういう措置を講ぜられたのか。また前の国鉄総裁に対する勧告にかかわらず、不幸にいたしまして、いろいろな原因によつてではございましようが、十数名の死傷者を出すような事故がひんぴんとして起りつつある。こういう事態に対しまして、国鉄総裁はどういうように考えておられるか。運輸大臣は監督の責任上、どういうような措置を講ぜられておるのか。ただ事故が起りましたという報告だけをお聞きになりまして、さようでございましたかということで、とにかくお納まりになつておるのかどうか。今度の事故に関して運輸省はどういう処置をおとりになつたか。その辺のところをひとつ御説明願いたいと思うのであります。
  31. 石井昭正

    ○石井説明員 四国におきます国鉄自動車事故について、運輸省はどういう措置をとつたかというお尋ねでございます。事件が起りますと、さつそく国鉄当局からの報告を徴しまして、その後の運行の実情、あるいは弔慰の実情等について聽取いたしました。事故の起りましたこと自体は、まことにやむを得ないと申しますか、起つてしまいましたことは遺憾なことでございます。ただちにその後事故を再び繰返さざるように、特に嚴重注意をいたしておる次第でございます。
  32. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今政府委員から通り一ぺんの説明を聞いたのでありますが、交通機関による死傷事故ほど、重要な問題はないと思うのであります。輸送の使命は、貨物にいたしましても、人命にいたしましても、安全に輸送するということが私は輸送の根本問題ではないかと思うのであります。かような事故が、先ほど申しますように熊ノ平の事件、また室蘭線の事件、また今度の省営自動車事件、とにかくこの一つ事故によつて、数十名の生命が損しておるのであります。かような事故に対しまして、運輸省がただ注意をしたというだけで、はたして運輸大臣の、国鉄の公共機関としての、大きな輸送機関としての国鉄に対する監督が、至れり盡せりと私は考えないのであります。今の政府委員のはなはだ抽象的な、はなはだ政府委員らしい説明には、はなはだ不満足の意を表する次第であります。私はかような説明では、なくなられた方々、また私たちは今後省営自動車なりまた国鉄の輸送につきまして、相当懸念を持ち、また運輸大臣の輸送機関に対する関心につきましても、疑わざるを得ないのであります。以上はなはだ簡單ではございますが、政府委員の答弁のはなはだ不誠意であり、また熱意の欠けておる点につきまして、遺憾の意を表しまして、私の質問を終ります。
  33. 前田郁

    前田委員長 ちよつと委員長から申し上げます。今回の問題は、日本国鉄バス始まつて以来の、非常に大きな問題でございます。こういうことに対しては政府としてできる限り、もつと親切な誠意のある御答弁をお願いいたします。
  34. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は国鉄当局並びに運輸省当局に対して御質問を申し上げ、さらに追い撃ちではないのですが、御警告を発しておきたいと思うのであります。それはただいま岡田委員から申されたことにつきましても、私いささか申し上げたいと思つておりましたが、時間の関係上重複を避けまして、ごく簡單に一回だけ申し上げて、所見をお伺いしたいと思うのであります。先ほど津田動車局長の御説明、御意見等を拝聽しておりますと、篠運転士国鉄自動車教習所を出て、しかも四箇年間いたし、技術におきましても、一等賞をとつた非常に優秀な者であるということであります。往々にして間違いを起すものは、技術に自信ができて大膽になつた結果、こうした間違いを起すということは、過去において私は幾多の事例を聞いておるのであります。従つて今回の事故のごときも、酒も飲んだことは飲んだが、時間的に見て酔いどれでやつていないという御説明から見ましても、この事故発生の原因というものは、優秀であるがために非常に大膽になつて間違いを起したのではないか、かように推察されるのであります。この問題はひとり国鉄に限りませんので、私はしばしば都営のバス、それから国会のバス等に乘つて経験してみましても、非常に大膽にはらはらするような運転をいたしておるのであります。これは間違いを起さなければいいがという気持を抱くことがたびたびあるのでありまして、こういう点から考えまして、先ほど津田局長が全国に訓戒を与えたということでありますが、どういう内容においての訓戒であるか。もしも單なる間違いを起してはいかないというようなことであつては相ならぬと思うのであります。先ほど委員外長野議員からの御意見によりますと、この事故が発生いたしまして、きわめて当局は適切な処置を講じたということでありますので、あまり責め立てをするようなことは申し上げませんが、とにかくそうした間違いというものが、必ず不注意から起つておることを岡田委員も申されましたが、北海道の室蘭線の事故のごときも、巡視者が気をつけて見れば、事前にこの事故を防ぐことができた。当局の調査によつても明らかにそれは明示されておるのでありますが、見るべきところを見ないで注意を怠つた結果が、かような大きな惨事を引起しておるのであります。従つて私は今回のこの大栃自動車事故におきましても、また最近ひんぴんとして起りつつある自動車事故は、ことごとく運転士の不注意による結果であろうと思うのでありますが、これに対して今後いかなる教育をするつもりであるか、いわゆる責任態勢の確立をいかにして求むるのであるか、こういう点をお伺いいたしたいのであります。  第二点は、これまた先ほど坪内委員からお話のありましたように、サービス国鉄の面においては、バスにいたしましても、列車にいたしましても、非常に悪い。サービスが悪いということは、結局精神上の問題でありまして、それはやがて責任感の問題に帰して来るのであります。これは列車のボーイ等におきましても、今日企業体になつております以上、やはり一つの商行為と見るならば、普通の商店においても経営というものは、そういうふうな官僚式な考えで経営しておるものはいない。できるだけサービスをよくして、自己の繁栄をはかろうとするのが商道徳であり、商売の筆法であるにもかかわらず、依然としてどうも国鉄経営におきましては、こうしたサービスの点において欠けるところが多々あるのであります。私は時間がありませんので、一々そのぶつかつた例を申し上げませんが、青函連絡船における食堂のサービスの点においても、私は数回経験いたしております。また列車におきましてもその通り、寝台ボーイの点においてもその通り、あげれば枚挙にいとまがない幾多の事実がございますが、これは省略いたします。かような点におきまして、国鉄並びに運輸当局の監督の任にあたる責任者は、いかなる考えをもつてこれに臨むのであるか。私はこの際警告を発するとともに、当局責任を伺つておきまして、後日これに対してさらに私は所見を申し上げて、当局のこれに対する経営方針等について、いろいろ申し述べることにしたいと思うのでありますが、一応これをもつて私の質問を打切つておきます。
  35. 滿尾君亮

    滿尾委員 国鉄の今回の事故につきまして、ちよつとお伺いいたしたいのでありまするが、私は国営自動車について多少皆さんに誤解もあるように思いますので、違つたことを言いたい。この大栃線というのは、昔から優秀な路線でありまして、この点よく私どもは認識しているが、たまたま間違いが起つた。起つた原因につきまして私がお伺いいたしたいことは、第三図の断面を見ますと、これは六十三メートルもある断崖の上を走つておる。しかも有効幅員が三・六メートルしかない。この場合この図面で見ますと、車どめが岩壁のわきにつくつてない。私は今回の事故原因はここにあると思う。これは人間のことでありますから、優良な運転士でも、ある瞬間天魔が魅いることもありますから、絶対に間違いのないことはないと思うのでありますが、間違いのあつた場合にもちやんとした車どめがありまして、車にシヨツクを与えましたならば、これは転落しないで済んだに違いない。根本の問題は、有効幅員の三・六メートルしかない、きわめて幅の狹い道である。そこに国営の自動車は割合大型の車を持つてつて、そして断崖絶壁のふちを走つてつたのですから、今日までこの路線開業してから十何年かになるのでしようが、よく間違いが起らなかつたものだと私は考える。従つてこの事故の対策といたしましては、かような地点に対して車どめを御設置になる御計画をお立てになることが、私は一番大事なことではなかろうかと考える。  それからいろいろ独立採算制を国鉄に強制せられ、さらにそれが響いて国営自動車に強制せられて、いろいろ合理化をおやりになつておる。その努力は十分認めるのでありまするが、その大きな運動が遠い原因、背影に多少響いたかどうかということが問題であります。私どもは国鉄の現在の路線というものは、非常に不経済線が多い。本来不経済線ばかり集めて省営自動車ができ上つておる。優秀な路線なんかほとんどありはしない。そのむりな命題を実行しようとするところに、いろいろむりがありはせぬか。そこまで考えてみると、この大栃線なんというものは、大体土佐山田で打切つておることが間違つておる。これは高知まで当然乘り入れなければ、自動車事業経営の形態をなさないと思う。昔はなるほど短絡培養線等々の標準で、それでよかつたのですが、今後の新しい独立採算制を強要せられておる国営自動車としては、かような線についてはすべからく路線の配布について、これを修正するだけの用意がなくてはいかぬだろうと思う。当局は一体どういうふうに考えておられるか。  さらにもう一つ、この国営自動車の最近の運営についての非難、それはお話通り、よその民間の自動車がたいへんきれいな、りつぱな自動車を使つておるのに、省営自動車は一向きたないかという非難は、私どもは往々にして伺う。これにつきまして私は自動車局長を責めるのは非常に酷だと思う。どうしても国有鉄道公社全体としての政策として、もつとこの国営自動車に新車を注入してやらなければいけない。ところが車の購入について、ほとんど手を縛り足を縛つておる状態でやつておる。これは私はどうも国鉄公社の本社、国鉄全体の責任だろうと思う。その面の考慮が非常に不十分だ。ひとり小さな部局である国営自動車の部門に対して、非常にかたきを求めているきらいがある。これは一体どういうふうにして打開せられるお考えがあるか。私は公社の本部の方にそれをひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  36. 津田弘孝

    津田説明員 玉置委員お話並びに滿尾委員お話に対しまして、私の考えております点を申し上げたいと思います。玉置委員からお話のございました国有鉄道としては嚴重な戒告をいたしたそうであるが、具体的にはどういうことをやつたのかという点でございますが、これは結局こういう際の警告、戒告というものは、抽象的なことを申し上げても何にもならないので、きわめて具体的に運転上あるいは車両整備上の注意を与えておりますが、たとえば二、三の例を申し上げますと、この場合にも道路の幅員が狹かつたのでございますが、その際に運転士がもし一旦停止をする、あるいは車掌が危險な箇所を誘導して進んだならば、こういう事故は起らなかつたであろうというようなことも考えられますので、そういつたような危險な箇所においては、必ず一旦停止をしろ、そうして車掌等の誘導によつて進めというようなこととか、あるいはむりな回復運転——国鉄自動車は非常に鉄道連絡をしておる場合がございますので、鉄道の時刻に遅れないために、もしいろいろな事故等がありまして、自動車が遅れますと、その回復運転にある程度スピードを出す、そこで間違いが起るというようなこともございますので、そういつたむりな走り方をするなというような問題、それから二、三年来燃料の節約ということを非常にやかましく申しておりますが、その方面にばかり力が入りまして、運転の方がおろそかになるというようなことがあつてはいかぬ。あるいは自動車営業所でもやつておりますが、鉄道の機関区なり車掌区でやつておりますように、運転士なり、車掌が出発する前には、必ず点呼を受けて、所要の指示を受けて出るというようなことも、もしゆるがせになつているならば嚴重にやれ、その他十数項にわたりまして、こまかく具体的な項目を掲げまして、警告の内容といたしておるような次第でございます。  なお滿尾委員からお話のありました点は、今回の事項につきまして、私どもにとつては非常に御同情のあるお言葉でありまして、ありがたく存じます。仰せのように、もしここに普通の車どめでもありましたならば、今回のような事故は起らなかつたであろう。かりに起つても、その損害はこれほど悲惨ではなかつたであろうということは、当然のことでございまして、ここはたまたま先年の災害のために、道路が一番狹くなつていて、そこには何らの鉄柵もなし、また普通の路肩と申しまして、道路の表面と同じ高さの肩のところに、石が並べてあつたにすぎないというような状況でございまして、これらの道路の安全のための装置につきましては、道路当局の方にやかましく申入れいたしておるのであります。とりあえず本年わずかではございますが、約五十万円の——これは土木関係の工事の幾分の足しにしかならぬと思うのでありますが、その程度の金をもちまして、一番危險な所における防護装置等につきましては、早急にやつてもらうように手配をいたしました。なお車の購入のことにつきまして、いろいろ御注意があつたのでありますが、これは私も直接の責任者といたしまして、滿尾委員のおつしやいますように、車はもつと更新することがサービス上も必要であり、また経常的に考えましても望ましいことではありますが、いろいろ予算全体のやり繰りの関係からいたしまして、現在程度の車両の購入費用が計上されているにとどまるのであります。しかし最近におきましては、大体三百台までは至つておりませんが、二百五十台くらいのバスは買つております。大体現在の国鉄自動車全体のバスの車両が千五百台でありますので、これを大体五年で更新することになりますと、毎年三百台は少くとも買つて行かなければならぬのでありますが、これに対しまして、ここ二、三年来二百台前後しか買つていない。そのしわが現在非常に来ておりまして、民間の自動車に比べまして、外見上もまた実質的にも、非常に見劣りするということになつております。これは国鉄全体の問題といたしまして、自動車経営する上におきましては、国鉄といたしましても、予算のある程度の部分を、この自動車の購入費の方に振り向けてもらいたいというふうに考えておる次第であります。
  37. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 簡單に申し上げます。私はかつて長い間バス経営いたした経験がありますから、御参考に申し上げてみたいと思うのでありますが、先ほど滿尾委員が言われましたように、断崖絶壁でありますから、いわゆる車どめ等の設備がなかつたということが、この事故の大きな原因一つで、もう一つは、交通取締規則等について、深い考慮をしなければならぬ点があろうかと思うのであります。それは、かつて不景気時代にひかれ商売というのがあつて自動車が通るところにわざと立つていて傷を受けて、それで慰藉料をもらうというのですが、不景気時代にはひかれ商売をする者が非常に多くて困つた時代がありました。これは何かと申しますと、結局理由のいかんにかかわらず、通行しておつた人等をひいたり傷害を与えたりすると、ひいた方に責任がある、こういうような処罰のやり方をいたして参りましたがために、運転士の心理状態というものが、六十一人を乘せているそのバスが大事であるのか、向うからたまたまやつて来た自転車に乘つている一人の人に対して、バスをよけなければいけないという心理作用というものがあつた。いわゆる一人の人に傷を与えることがこわいか、今言つたみたいに、六十一人に対する事故を起すことの方がこわいかという、その判断に迷うというような心理作用も相当にあろうかと、こういうように私は考えるのであります。でありますから、大体この問題に対しましては、当局が非常に急速に善後の措置をとられ、従つて関係地方の代表者である——代表者と申しますか、関係地方出身の代議士である長野委員から、先ほどお話がありましたように、関係者一同はこの問題について不平を持つていない。言葉をかえて申しますれば、いたし方がないという、消極的ではありましようが、満足の意を表しているというのでありますから、それらの人々に対するこの後の処置については、十分のお手配を願いたいのでありますが、この問題に関しましては、大体当局の措置はそう間違つていないのではないか、こういうようなことを了承してよかろうと私は思います。しかしながら伺いますと、交通の事故防止に関する研究会等があるということでありますが、そういう研究会かあるいは調査会か知りませんが、そういうところで、一体交通事故に対しては、これを防止するためにはどういうような研究をし、どういうような方法をとつておられるか、そうした問題について適当な、早い機会にわれわれの方にも一応お知らせを願つて、そこで、先ほど申し述べましたような、一種の交通取締規則等に対しても、改むべき点があるならば深く掘り下げて研究して行く。なおまた一面、国鉄ばかりを責めるわけにも参りませんから、道路愛護の精神等を高揚することが必要だと思います。私の知つているあるバス路線等のごときは、バス会社が若干の経費を出し、県の方にも出してもらい、関係町村にも出してもらつて、これらの経費をバスの通行するその関係道路附近にある民家に対して与えて、道路が悪くなつたらその附近の人がすぐに道路の修繕をしてくれる、こういうようなことをやらせ、愛護運動等もやつて、相当のよい結果を見ているところもあるようですから、そうしたいろいろの角度のものを研究し、そしてこの事故防止に当つて行く、こういうところに深い努力を願いますれば、将来こういう問題が起ることは少かろうと思いますので、違つた角度のことを一、二例を申し上げまして、そういう方面について今回の問題を契機として十分に御研究を願いたい、こういう程度で、大体当局のいわゆる陳謝のお気持と申しますか、それは了承してよかろうかと思いますので、御参考に申し述べまして私の発言を終ります。
  38. 前田郁

    前田委員長 藪谷国有鉄道業局長より、本件に対しまして発言を求められておりますから、これを許します。
  39. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 先ほどから皆さんのいろいろ御熱心な、有益な御意見を承りまして、国鉄としても深く考えるところがございます。尾崎さんがおつしやるように、鉄道といわず、自動車といわず、交通機関は安全、迅速、正確に輸送するのが使命であります。ことに一番大事なのは、安全に輸送することかと思います。事故鉄道自動車等に起つた場合には、ただちにその善後措置を講じますとともに、尾崎さんの言われましたように調査会をつくりまして、その原因を究明いたします。線路状態あるいは車状態、乘務員の関係はどうであつたか、自動車ならば道路状態はどうであつたか、こういうようなことを技術的に精査いたしまして、ただちに他のすべての線区にその原因を発表すると同時に、再び同じ事故がないように注意いたします。  次には滿尾さんから、独立採算制を鉄道自動車別々にとつているではないか。新車をどうしたか。こういう御質問がございました。一応事業としては、国鉄の部分と国営自動車の部分とは、独立採算上の計算は別にいたしておりますけれども、予算上の措置につきまして、今後どういうふうに事故を防止し、あるいはどういうふうに新車を入れて行くかということにつきましては、やはり同じ鉄道と、その代行または先行あるいは培養等の役目をなしておりまする国有鉄道自動車につきましては、国有鉄道自身と同時に、一体として考えておる次第であります。先ほど動車局長から御答弁申し上げた通り、来年度もできるだけ予算の許す限り、国鉄自動車の部分を問わず、車両の改善に努めたいと存じます。  また玉置さんからサービスの点につきまして、船員あるいは寢台車のボーイ、駅員等の不適な点を御指摘になりましたが、われわれといたしましても、終戰直後からは、一般の社会とともに、あるいは先行して、多少サービスがよくなつたといわれるくらい努力はいたしておりますが、今後御注意の点を重々中心にいたしまして、従事員の教養に努めたい、こう存じております。事故及びサービスにつきまして、われわれといたしましても、十分今後注意をいたしたい。本日は貴重な御意見を拜聽しまして、ありがとうございました。
  40. 米窪滿亮

    米窪委員 今までどなたも質問しなかつた点を、私が質問したいと思います。それはこの自動車は縦がどのくらいあつて、幅がどのくらいあるか。それから、この自動車に乘る定員は何名であるか、それをまずお尋ねします。
  41. 津田弘孝

    津田説明員 ただいま米窪委員の御質問のありました点にお答えいたします。国鉄自動車には大体大きさの型といたしまして、大型、中型、小型の三種類を使つておると思いますが、先ほど来申しましたように、この線路は道路が狹いもので、この線には大体中型並びに小型の自動車を使つております。そうして事故の起りましたのは小型の木炭車でございまして、長さは大体五・五メートル、これはラジエーターの端から一番終りまでありますが、幅は二・五メートルということに相なつております。それから今回の小型の当該自動車の定員は三十三名でございまして、これに対しまして乘客が六十一名、運転士、車掌合せまして六十三名というような、満員の状態になつてつたような次第であります。
  42. 米窪滿亮

    米窪委員 そうすれば、この自動車は全体どのくらい使用した年齢の自動車であるか伺いたい。
  43. 津田弘孝

    津田説明員 お手元に差上げました資料の四枚目でございますが、そこに車両という條項がございますが、これは木炭車の一三一七〇で、小型の車でございます。新製の月日は二十二年六月でございまして、新製後六万一千八百キロすでに走つておる。国鉄自動車は、国鉄の機関車などと同じように、一定の走行キロを経ますると、一般検査と申しまして自動車工場に入りまして、そこでオーバーホールをいたすのでありますが、当該の自動車は二十二年六月にできて、二十五年八月にこの工場に入りまして、一般検査を受けております。一般検査後六千七百六十三キロ走つております。工場に入る以外に、車両の所属しておりまする営業所で、随時検査をいたしておるのであります。大体千五百くらいを單位といたしまして、中間検査をいたしております。中間検査は昭和二十五年十月三十一日にいたしておりまして、爾来六百四キロを走つておるような次第であります。なお車両の検査の結果、事故等の原因となるような不良箇所は、車両には認められなかつたということであります。
  44. 米窪滿亮

    米窪委員 これは事故が起る前に、天候が悪くて地盤が相当ゆるんでおつた。従つて路面は非常に狹隘である。従つて滿尾代議士の言う通り、車よけのようなものがあればそれに越したことはないが、それがなくても三・六メートルの路面があれば、そういう事故は起らない。そこで私はお尋ねするが、六十三名というほとんど倍の乘客を乘せて走つてつた。そうしてもしもそれほど乘せずに定員でもつてつておるならば、片方のタイヤがたといはずれても、ただちにある動作をとれば、こんな惨事を起さずに済むと思う。これは要するに土地が悪いということと、天候がいけないということにあるのでありますが、当局はこれに対してどういうお考えを持つておりますか。
  45. 津田弘孝

    津田説明員 ただいま米窪委員からの御質問でございますが、この大栃線路線は、三・六メートルから四メートルちよつとくらいあるのでございますが、たまたま事故の起こりましたところが、中でも一番狹まつていた。その狹まつていたのは、先般の台風によつてそこが削られておつたという状況でございます。まあ三・六メートルの道ならば、二メートルあるいは二メートル半くらいの幅を持つておる自動車ならば、普通ならば運転可能なわけでございます。また運転を常時いたしていたような次第でございます。たまたま先方から自転車が来た。それをよけるためにハンドル操縦を誤つたというようなことでございまして、どうしてそのような日ごろ技術の優秀な運転士がそういうことに相なつたか、非常に残念に思うのでございます。今お話のありました土質の、路盤の点につきましては、その当日は晴でございまして、道はかわいておりましたし、またその路線昭和十年に開業いたしまして、爾来十五年も同じ道を営業しておるのでございますので、路盤は狹いけれども、固まつていたというような状況であります。雨降りとか地盤がゆるんでおるというようなことは、なかつたように私どもは考えております。
  46. 米窪滿亮

    米窪委員 本日は藪谷さん、それから津田さんがお見えになつておるので、この当局の方にいろいろこの責任を問いますることはお気の毒でありますが、それで熊ノ平の問題もあり、それから京都駅の問題もあつて、最近国有鉄道は大分みそをつけているのであります。これに対して、本日は加賀山総裁は当然出て来て釈明すべきです。加賀山総裁は、監理局の問題でもわれわれ決議をしておる。そしてまた副総裁の問題においても決議をしておる。そして、しばしばその決議をわれわれが持つてつておる。しかるに事自分の局においてこういう問題が起つてつて、加賀山総裁は一ぺんも出て来て釈明しない。はなはだけしからぬと思う。だからして加賀山総裁が出て来て釈明をするのがあたりまえである。これに対して当局の御意見があつたら伺います。
  47. 藪谷虎芳

    藪谷説明員 今米窪さんから、加賀山総裁が事故の陳謝をすべきでないか、あるいはその他の重要問題について答弁すべきではないか、こういう御発言がありましたが、まことにごもつともと存じます。きようあいにく関係方面との折衝がございまして、呼び出されましたので、私その他関係局長が出て来て、事故の始末及びその状況につきまして詳しく申し述べまして、今後再びそういう重大事故を起さないように心がけておる次第でございます。その点御了解願いたいと存じます。     —————————————
  48. 前田郁

    前田委員長 次に、運輸省機構改革に関する件を議題といたします。機構改革に関する小委員会において、運輸省機構改革に関する意見をまとめ、小委員長よりその経過並びに結果につき報告いたしたいとの申入れがありますので、これを許します。小委員長代理岡田五郎君。
  49. 岡田五郎

    岡田(五)委員 本日小委員長大澤代議士欠席のため、私かわりまして御報告申し上げます。  本月一日、七月及び十五日の三回にわたり小委員会を開きまして、政府当局から行政制度審議会の答申、及び行政管理庁の試案による運輸省機構改革案、並びに地方行政調査委員会議の中央権限の地方移讓に関する試案について説明を聽取し、これに対する質疑応答を重ね、愼重審議いたしたのであります。  まず行政制度審議会の答申による運輸省行政機構改革案について申し上げますと、大要次の通りであります。  一、観光関係行政を統一するため、総理府に観光庁を設置し、厚生省の国立公園部、運輸省の観光部その他各省の関係事務をこれに統合すること。  二、建設省を国土省に改め、運輸省の港湾局(倉庫に関する事務を除く)を国土省に移して道路局と合せて一局とし、港湾建設部を国土省の地方建設局に統合すること。  三、船員局を海運局に統合すること。  四、航空保安庁を電気通信省から運輸省に移し内局とすること。  五、中央気象台を国土省に移すこと。  なお少数意見として、  イ、港湾局は現状通り運輸省に存置すること。  ロ、港湾局の事務中、倉庫に関する事務を商工省(現通商産業省)に移すこと。という意見があるのであります。これに対する小委員会における意見を総合いたしますと、第一の観光庁設置案に対しましては、観光事業は旅客輸送と密接不可分の関係にあるから、運輸行政とは切り離せないこと、観光輸送、観光道路のような各省の所管に属する観光関係行政は、その性質上大部分は各省から切り離せないから、観光庁は浮き上り、その効果を期待し得ないこと、諸外国にも各省から独立した観光関係行政を総合的に所管する観光庁のような存在はないこと等の理由で、観光行政は運輸省の所管とし、外貨獲得並びに国際親善増進のため、観光事業の重要性がいよいよ高まつた今日、外客の受入れ態勢の整備、対外観光宣伝の積極化等をはかるため、観光部はこれを庁に昇格すべきであるという意見でありました。  第二の港湾局を国土省に移す案に対しましては、港湾は海陸輸送の接続点であり、かつ建設期、整備期を経て経営期に入つたわが国の港湾は、その利用者たる海陸運輸と切り離しては考えられないこと、さらに港湾管理と港湾建設とを切り離すことは、港湾関係行政を複雑にすること、港湾建設技術道路河川建設技術と異なり、特殊なものが多く、技術上、資材上、相互融通は困難で節約にはならないこと、わが国海運再建のためには、海運、船舶、船員及び港湾の四要素の統一的、総合的施策の推進が必要であること等の理由で、港湾の建設及び管理行政は、あわせて運輸省で所管すべきであるという意見でありました。  第三の船員局を海運局に統合するという案に対しましては、企業助長行政と労働保護行政とは本質的に相違すること、船員行政は労働組合、労働関係の整備、労働基準、失業対策、職業安定、福利厚生及び教育等にわたり、きわめて複雑多岐で、專任の局長を必要とすること、国際労働総会においても、各国政府が船員労働行政を所管する独立の一部局を設けるべき旨を決議していること等の理由で、反対であるとの意見でありました。  第四に、航空保安庁を電気通信省から移すという案に対しましては、交通行政の一元化をはかる見地から、航空行政はあげて運輸省の所管とすべきであるとの意見でありました。  第五の中央気象台を国土省に移す案に対しましては、気象は一般民生にはもちろん関係はあるが、海陸空の交通保安、特に航空保安業務とは関係が密接で、現に航空気象業務を実施している等の理由で、反対であるとの意見でありました。  次に倉庫関係事務を通産省に移すという案に対しましては、倉庫は輸送量の較差を調節する機能を持つもので、海陸運輸業と不可分な関係にあることは、倉庫業者の多数がはしけ、トラツク及び鉄道引込線等の海陸運輸施設を所有して、一貫的運輸業を兼営している事実に徴しても明らかで、倉庫行政と輸送行政とを切り離すときは、運輸行政の一貫性を阻害する等の理由で、これまた反対の意見があつたのであります。  このほか、行政管理庁の試案といたしまして、海湾局と海運局とか統合して一局とする案、自動車局と鉄道監督局とを併合する案がありますが、港湾局と海運局とを統合するという案は、港湾法の制定に伴い、港湾行政に対する中央の責任が著しく減少し、かつその業務量もまた減少したという点から着想したもので、あくまで、試案の範囲を出ないものでありまして、深く検討するまでもないとの意見でありました。次に、自動車局と鉄道監督局とを併合するという案に対しましては、鉄道輸送と自動車輸送との本質的差異から、当該行政はそれぞれ專門的分野をなしているから、併合することは不合理であること、鉄道及び自動車相互の発達並びに適性な調整が期せられないこと、米国における貴重な体験を無視し、時代に逆行する等の意見がありました。  以上申し上げました通り、今回の行政機構改革案につきましては、いろいろな角度から検討したのでありますが、小委員会としては賛成いたしかねるという結論に到達したのであります。行政制度審議会の答申によりますと、行政機構が現在のように膨張した理由のおもなるものとして、戰争中及び戰後の経済統制によるもの、行政の民主化が行われた際、個々の行政組織が政府全体の調和を顧慮することなく、無統制に拡大されたことによるものの二つをあげ、経済統制が全面的に解除されつつあり、また終戰後五年をけみしようとしている今日、政府行政機構に根本的な検討を加え、これを真にわが国今日の国力と国情にふさわしい規模に縮減する必要があると説いているのであります。われわれといたしましても、この趣旨に賛意を表するにやぶさかではないのでありまして、経済統制撤廃に伴い、経済官庁の再編成ということは、当然考慮されなければならないと思うのでありますが、運輸行政は主として運輸事業を対象として行うもので、他の経済事情の多くが自由企業であるのに比し、運輸事業は公益事業の色彩が濃く、その大部分が許可事業である点から申しまして、他の産業とは性格を異にするということが言えると思うのであります。今後経済統制が全面的に解除されたあかつきにおいても、運輸事業は自由企業として放任すべきではなく、公共の福祉と公益とを保障するため、依然国家的見地よりする規制と保護育成とを行い、一方において事業の乱立による不当競争、または独占の弊害を調整阻止するとともに、他方既存事業を保護育成する必要があるのであります。運輸省の機構は、一見厖大のような感じがないではないのでありますが、交通行政の合理化、一元化という必要性から、紆余曲折を経て今日に至つたもので、その歴史について深く考察せずして、無統制に拡大されたというのは当らないと思うのであります。不要不急の事務を整理し、最小限度の人員をもつて事務処理の簡捷をはかり、能率の向上、経費の節減を行う必要あることは申すまでもないのでありますが、いたずらに局の廃合整理を行つてみても、形式的な行政機構の改廃に終り、かえつて事務の分担、責任の所在を不明確にし、能率の低下を来すおそれが多分にあるのでありまして、すでに過重になつている統率者の業務量を累加し、部長制をしなければ事務の円滑なる途行が困難になるような、反対の結果を生ずるのではないかと思われるのであります。行政機構改革の要諦は、むしろ各省の権限を明確にし、重複事務を根本的に整理することに重点を置くべきで、この意味におきまして道路行政、軌道行政、観光行政、航空行政のごとく、他省と権限が錯綜しているもの、船員保險行政、專用漁港を除く漁港行政、漁船造修行政、鉄軌道に対する電気保安行政、自動車生産行政のごとく実情に即しないものは、この際運輸省の專管とし、交通行政の総合一元化をはかるべきであると考えるのであります。  次に中央権限の地方委譲について申し上げます。これについては目下地方行政調査委員会議で調査研究中でありますが、地方自治の確立強化と行政責任の明確化を目標とし、地方公共団体に配分するのが適当である行政事務として、  一、地方公共団体の住民の日常生活に直接の利便を供するもの、すなわちいわゆるサービス行政の事務といわれるもの。  二、主として地方的單位において行われるもの、すなわち全国的規模において画一的に行われることが必ずしも必要でないもの。の二つをあげているのであります。これに基いて立案せられたのが、行政事務配分に関する試案でありまして、二府県以上にわたる運輸事業に対する行政事務はこれを運輸省に残し、一府県以内のものは地方公共団体に委譲して、地方海運局及び陸運局を廃止しようとするものであります。  これに対し、かかる案は交通行政の本質からいつて、むりがあるという意見でありました。すなわち現在経済活動ないし交通需要は、時代の要求により漸次広域的となり、これに伴い運輸事業の活動範囲はますます拡大化し、一部府県の区域を超越しつつあり、しかも鉄道自動車、船舶等は相互に依存し、相互に競争関係に立つているので、これに対応する行政も、中央において一元的かつ有機的に行う必要がある。しかしながらその行政事務のすべてを中央で行うことは、行政能率を阻害し、国民にとつても不便なので、比較的軽微な事項を処理せしめるとともに、適正かつ公平な行政を行うに必要な調査統計を行わしめるため、地方出先機関設置の要があり、これら機関にはその業務の特殊性から專門的知識技術を有し、中央に直結する職員を配置すべきであるというのであります。小委員会といたしましても、これら交通行政は、地方公共団体に区々に行わせる性質のものではなく、国として一元的に行うべきもので、従つて地方出先機関は廃止するよりも、むしろ確立をはかるべきであるとの結論に達したのであります。  以上を総合いたしまして小委員会といたしましては、お手元に配布いたしましたような運輸省機構改革に関する意見を決定した次第であります。  小委員会の意見では、運輸省の機構は縮小ではなく、拡大であるとの批判もあるいは出ることも予想せられるのでありますが、交通行政一元化という建前から勘案いたしました結果、運輸省のあるべき姿としてかように決定いたした次第でありまして、国全体として改革の実を上げ得れば、行政機構改革の目的はすなわち達せられることになると思うのであります。  最後に、右委員会において決定いたしました運輸省機構改革に関する意見につきまして御審議の上、これを運輸委員会の意思として御決定を願い、適当な時期において関係委員会及び政府に申入れを行うよう、希望いたす次第であります。  以上報告をいたします。
  50. 前田郁

    前田委員長 ただいまの小委員長報告に御質疑はございませんか。
  51. 坪内八郎

    坪内委員 ただいま小委員長代理岡田委員から御報告がございましたが、その中で運輸省機構改革に関する意見書が、各委員のお手元に配付されておると思うのであります。その意見書の項目の中に、次のような項目を挿入する動議を提案いたしまして、各委員の御賛同を願いたいのであります。まず案文を朗読いたします。「国有鉄道に対する運輸大臣の監督権を強化すること。」この項目をただいまの意見書の適当な項目の中に挿入願いたいのであります。  そこでこの動議の提案理由を、簡單に御説明申し上げます。申すまでもなく交通行政の総合一元化とあわせ考えるべきは、いかにしてこれが運営の妙を発揮して、公共の福祉の増進に寄与するかという問題であります。昨年六月国有鉄道の公共企業体化に伴い、運輸省は六局三外局となり、国有鉄道は運輸省から分離して、国鉄経営に專念することになつたのであります。国有鉄道に対する運輸大臣の監督権は、日本国有鉄道法、国有鉄道運賃法等によつて定められ、予算の審査、運賃の設定変更、新線の建設、営業の休廃止の許認可等を行つておるのでありまして、国有鉄道事業に対する最終的責任は、依然運輸大臣にあるのであります。申すまでもなく国有鉄道は、国内における最大の事業で、国内交通上占める地位もきわめて大きく、その運営のいかんはただちに民生に重大な影響を及ぼすものでありまして、国鉄を除いて交通行政の総合一元化ということは、とうてい考えられないのであります。従つてかかる重要な事業に対する運輸大臣の監督権は、明確を欠いておる点はないか、また現在のままで十分であるかどうか、若干の疑問なしとしないのであります。海運、陸運に対する監督権の比重、公共企業体として国有鉄道が発足してから現在に至るまでの運営状態等を検討してみますと、運輸大臣の国有鉄道に対する監督権は再吟味を行い、これを一層明確にし、かつ強化する必要があるのではないか、かように考えるのであります。  以上の提案理由でございますが、ただいまの動議の御採択に御賛成あらんことを願う次第であります。
  52. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 小委員会の本問題に対する御盡力は、まことに多とするのでありますが、問題がきわめて重要性のあるものでありますから、今御報告をなさつて、すぐにこれを了承とか承諾というような、そういう軽卒な態度をとらずに、もう少し小委員以外の者にも研究をし、考慮する余地を与えられることが必要であろう、こういうふうに私は思うのであります。従来この種の問題で、あとになつてからその当時のことはよくわからなかつたとか、その当時のことはそうではなかつたというような議論が出まして、ややともすれば今日までの数年間における論議の中には、こうした問題の取扱いの愼重を欠くところから出て来ておる事柄が再々あるようでありますから、小委員の御努力はまことに多とするのでありますが、本日ただちにこれの決をとらないで、しばらく時日をかしてもらつて、次の委員会まで研究して、そうして決をとるということを私は希望したいのであります。
  53. 前田郁

    前田委員長 尾崎委員ちよつと御相談申し上げますが、実はこれは第八国会で決議した小委員会であります。明日からは第九国会になりますから、先ほどの決議は今日一応結論をつけなければならぬわけであります。なお内閣委員会の方でも、この委員会の結果を毎日待つていてくれて、たいへんおそくなつたので、実はちよつと責められておるわけでありますので、一応第八国会で決議した小委員会の結末を今日つけて、第九国会になつた場合に、あらためてひとつそれを提案していただきたいと思います。
  54. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 継続審議ということで、この国会中のものを次に持ち越すことは不可能でしようか。決して私は自説を固持するわけではなく、言うところのものは、さつきも申しましたように事がきわめて重大でありますから、本委員会としては各委員が十分腹の中に納得し、十分に批判しておいて、少くともこれを決議、あるいは申合せをいたしますならば、強力にこれを推進して行くことが必要であろうと思いますので、あえてさつきの意見を申し述べた次第でありますが、継続審議でやることは不可能でありますか、絶対本日までにやることが必要であるというのでございますか、その点御研究を願いたい。
  55. 坪内八郎

    坪内委員 この小委員会の結論につきましては、委員長とまつたく同意見でございますので、ただいまのような意見で処理していただきたいと思うのであります。なお尾崎委員の言葉じりをとらえるのではないのでありますが、この小委員会におきましては、運輸省の機構改革についてそれぞれ関係当局説明を聞き、かくのごとく結論を出したのであります。申すまでもなくこの問題は重大な問題でありまして、相当愼重審議しなければならぬことはもちろんでありまして、尾崎委員の申されることは十分わかるのでありますが、この委員会の結論が軽卒に取上げられたというようなお言葉のようでありましたが、軽卒という言葉はひとつ削除していただきたいと思うのであります。われわれは軽卒にこれを審議したのではなく、愼重審議検討した結果、一応小委員会の結論はかくのごとくに達したという愼重な結論でございますので、ひとつお取消し願いたい。
  56. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 今の坪内委員の御発言には承服できませんと。というのは、私は軽卒にということは申しておりません。従来ややともすればこの種の問題を軽卒に取扱つた結果、事後に至つていろいろの問題が起きたことがある。だから本問題に関しましては、小委員会の御努力は十分に謝するところであるが、いわゆるこの問題の重要性にかんがみて、お互い委員が十分に腹の中に入れておいて、決議なり申合せなりをした以上、強く、これを他に向つて推進しなければいけない。だから委員会全体としての腹の中によく入るように、そういう目的のために時間をかけないか、こういうのでありまして、ただいま坪内委員の述べたことと私の述べたこととは、およそ見当違いがありますので、取消す必要を認めません。この点よく御了承願いたい。
  57. 岡田五郎

    岡田(五)委員 尾崎委員の言われたのも一応ごもつともでございますが、運輸省の機構改革については、休会中におきまして小委員会が開設される前、二回にわたりまして詳細に聽取いたしまして、二回の委員会を経て、小委員会を設けられまして、專門的に三回にわたりまして詳細に質疑応答を重ねました。またここに盛られました大きな主眼点は、自動車行政の中に自動車の生産行政を含めるということと、道路に関する行政を運輸省で所管する、観光部を観光庁に入れて、総理庁に持つて行くのを運輸省に入れるという問題がおもなるものでありまして、この問題につきましては運輸委員会におきまして、あらゆる機会委員として発言もあり、また政府委員としての見解も発表されておるのであります。すでにこの問題につきましては、運輸委員の私たちとしては承知しておる問題でございます。もちろんこの可決しました小委員会の決議が、はたして実行性ありやいなやという問題につきましては、ほかの委員会との関係もあり、その他の政治的な関係もありまして、これが全部通ることをわれわれは期待いたしておりまするが、必ずしも通るという自信を持つておるかと言われれば、多少懸念なきにしもあらず、ただ私たち運輸行政に比較的知識を持ち、関心を持つております運輸委員会といたしましては、一応今のような意見が最も妥当なところではないか、かように私は考えるのでありまして、一応経過を御説明申し上げるとともに、私の意見を申し上げた次第であります。
  58. 前田郁

    前田委員長 まずただいま坪内委員から動議が出されておりますが、国有鉄道に対する運輸大臣の監督権を強化することという案に対して御意見ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 前田郁

    前田委員長 ではさよう追加することに決定いたします。  次にただいまの尾崎委員の御提案でございますが、どうでしようか。一応今期国会の小委員会はこういう結末がついておりますから、これを認めていただいて、さらに第九国会においてあらためて小委員会をつくる必要があればこれをつくるという提案をしていただいて、一応第八国会でつくつた委員会の結論は今日御承認願う、こういたしたらいかがでございましようか。
  60. 玉置信一

    玉置(信)委員 小委員長お伺いしますが、この小委員会の意見書の第八項の「一般港湾行政と漁港行政との調整をはかること」という第八項の内容が、従来とり行われて来ました一般港湾行政との内容において、相当改められた点があるのでありましようか、どうでしようか。この点をお聞きしたいと思います。
  61. 岡田五郎

    岡田(五)委員 御承知のように港湾法におきましては、もつぱら漁業の用に供する港は別の法律、すなわち漁港法に讓られておるのでありまして、この一般の、もつぱら漁業の用に供する港であるかないかということにつきましては、運輸大臣と農林大臣が協議されてきめられることになつておりますが、かような行政措置はともかくといたしまして、運輸省において所管すべき漁港につきましては、いわゆる漁港法に定められた、もつぱら漁業用に供する港を除きました、漁港だか商港だかはつきりわからぬという一般港、商港ともいえませんし、漁港ともいえません一般港湾についての管理行政は、運輸省が一所管する。しかもこの港湾の建設につきましては、漁港法に定められた、もつぱら漁業用に供するいわゆる漁港の建設についても、運輸省の持てる優秀なる港湾建設能力をもつて、一括的にこれを処理することが国家的に、また資材的に、技術的に最もとるべき策ではないか。かような意見もありまして、なお要約いたしますならば、漁港法にいわゆる漁港を除きまする一般港につきましては、港湾の管理建設は運輸省の所管とし、また漁港法にいわゆる漁港の建設は委託になりますか何になりますかは知りませんが、その具体的な手続につきましては目下研究中でございますが、一応一般漁港の建設については、運輸省が所管する。こういう考え方で第八項を一応委員会としてきめたようなわけであります。
  62. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいまの委員長代理さんからの御説明で了承いたしました。次の第九項の「漁船の造修に関する行政を運輸省の所管をすること」この一点につきましては、たしか第六国会あたりでしようか、相当水産委員会との問題もあつたようでございますが、しかしただいま岡田委員坪内委員の御発言の内容委員長よりの懇切なる御説明等によりまして、この小委員案を一応結論づけて、次の国会にさらにあらためて委員会を設けることができるということでありますので、私はこの第九項がかつて問題になつておりました関係上、関係委員会委員長理事各位において一応了解を求めて、本案がスムースに成立の度を進めて行くように希望いたしまして、これに賛成いたします。
  63. 前田郁

    前田委員長 それではただいま小委員長報告の意見に、坪内委員よりの動議により一項を附加し、本委員会の意見として内閣委員会、地方行政委員会及び関係当局に申入れいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  65. 前田郁

    前田委員長 次に自動車燃料に関し、滿尾委員より質疑の通告がありますので、これを許します。滿尾君。
  66. 滿尾君亮

    滿尾委員 自動車の燃料に関しまして、仄聞するところによりますると、石油製品一般について値上げを考慮中だということを聞いておるのであります。ところがわが国の現状におきまして、自動車使用いたしますものは、営業車といわず、自家用車といわず、なかなか苦しい立場におりまするので、この上燃料の上りますることは、非常に望ましくない。ことに先般のガソリン税の創設以来、従価一〇〇%というような、まれに見る高率の税金を負担しておる。いろいろその間の事情を研究いたしまして、ようやく来る一月から三割減ということに話を進めて準備しておるわけでございまするが、そのやさき、やがて三割とか伺いまする値上げの案が進行中であるということを聞きまして、それではせつかくの減税の効果がまつたくなくなつてしまう。ガソリンは元の値段のまま、従価一〇〇%の価格のままで行くということになります。そこで私どもといたしましては、これはわが国の燃料問題、つまり私の考えるところによりますと、石油製品というものは一つの動力源である。水力電気と石炭と石油製品と、この三つがエネルギーの根源でありまするから、国家の産業経済の建前からいたしまして、特別にこれは優遇しなければならぬものである。かように考える次第であります。それでどうしてもこの点につきまして、どういうお考えをもつて燃料の価上げが行われるものであるのか。まず第一点におきましては、私は物価庁が価格の改訂、価格の構成というものをどういうふうに考えておられるのか。その一般論からまず手ほどきに教えていただいて、さらに石油製品の場合には何ゆえにかような段取りになるのかということを伺つてみたい。
  67. 川上為治

    ○川上説明員 石油類の価格の改訂の問題につきましては、すでに今年の一月過ぎから、どうしても現行の価格を調整しなければならない問題が発生いたしていたわけであります。しかしながらその後原油がどの程度、どういうような価格によつてつて来るかというような点のはつきりしない点もいろいろありますし、また今年の一月から製品輸入がほとんど原油輸入ということになりまして、その精製費がどの程度になるかというような点につきましても、はつきり見通しはつきませんでしたので、大体今年の一月ごろ一応の見通しをつけまして、調整をはかろうということになつておりまして、当時開会中の国会におきましても、この委員会におきまして、いろいろこの問題が上程されましたことは、御承知の通りであると考えられます。その後また当時の情勢といたしまして、朝鮮事変等が起りまして、また石油の価格がどうなるだろうかというような問題もありまして、これまた延び延びになつていたのでありまするが、最近におきましていろいろな点から、今申し上げますが、改訂をしなければならないのではないかというような結論に、物価庁としましてはなつておるわけであります。  物価庁におきまする——これは石油だけの問題ではありませんが、石油のいろいろな価格をきめます場合におきましては、主として原価主義というものを中心にやつております。しかしながらそれが他の産業なり、あるいは一般大衆に対しまして、非常な影響を及ぼします場合は、もちろんその原価主義に対しまして、ある程度の調整なり修正を加えることになつておるわけであります。今回の石油類の価格改訂につきましては、三つの点が大きな問題であると私どもは考えております。まず第一点は、先ほど申し上げましたように現在の石油類の価格そのものは、昨年の十二月までに入つておりまた製品価格、すなわち製品でほとんど大部分が輸入されましたものに対しまして、運賃とか、あるいは元売業者の口銭とか、あるいは販売業者の口銭をプラスいたしまして、現在の石油製品の価格ができているわけであります。ところが今年の一月から、根本的に問題がかわつてつております。それは先ほど申し上げましたように、製品輸入という考え方ではなくて、ほとんど一月からは原油の輸入というのが中心になつてつておるのであります。従つて今までは製品価格でありますと、たとえばアスフアルトのごときはドラムカンへ入れて入つて来ておる関係から、非常に高い値段に製品としてはなるわけでありますが、原油として入つて来て、それからアスフアルトをつくることになりますと、アスフアルトの原価というものは相当低く相なるわけであります。そういうふうに従来現行価格そのものは製品価格できめられておつたが、一月から原油で入つて来るようになつたために、どうしてもいろいろな種類の石油製品の価格を、原油で入つて来るという観点に立つて、改訂しなければならないという問題が一つ生じて来るわけであります。そういういろいろな製品についての価格のアンバランスを、調整しなければならないという問題が起つて参るわけであります。  第二の点は、あの朝鮮事変が起りましてから、最近におきまして原油の価格そのものが相当上つてつております。特に最近におきましては、これはガリオアで入つて来ましたものが、民貿に相当量切りかえられました関係から、この原油の価格というものが、現在の石油製品の中に含まれている原油よりも、少くとも最低一割五分、あるいはそれ以上の値上げに現在なつているわけでありまして、その程度で買わなければ、民貿としては買えないというような状態に相なつておるのであります。すでに民貿は実施されておりまして、大体アラビアものは一割五分程度つておりますが、アメリカその他の方面から入ります原油は、それ以上に上つているわけでありまして、そういう面からいたしましても、どうしてもこの際石油製品の価格改訂を考えなければならぬという問題が起つて来るわけであります。  第三点は、海上運賃の問題でありますが、朝鮮事変までは相当海上運賃も安かつたりでありまして、しかもその三割程度割引になつているというような状態になつていたのでありますが、最近これまた相当値上り気味になつておりまして、国際の標準海上運賃よりも、現在におきましては五〇%程度、あるいはそれ以上上つているというような状況になつております。  そういうような三つの点からいたしましても、どうしても近いうちに石油類の価格を改訂し、ある程度値上げをしなければならぬというような情勢になつているわけであります。私どもの方といたしましては、値上げをいたしました結果、これが各方面の産業にも、きわめて重要な影響を及ぼさないように、極力調整をいたしたいと考えておりますが、遺憾ながら原油が上りましても、それに対しまして助成金を出すとか、あるいは補助金を出すとか、あるいは価格をプールするプール資金を何なかの財源で得まして、それで調整するというようなことが非常に困難でありますし、ほとんど不可能に近い関係にありますので、勢いある程度の製品の価格が上りますことは、やむを得ないのではないかというふうに考えております。ただガソリンにつきましては、従来からいろいろ問題もありましたので、極力これを調整したいと考えております。幸いにしまして、従来大体従価一〇〇%のガソリン税が、——まだ私がここではつきりきまつておるということは申し上げられぬと思うのですけども、少くとも一月ごろから、これがある程度軽減されることになつておるように聞いておりますので、それを考えますと、現行の石油、ガソリンの価格よりも上げないというようなことで、調整をいたしたいというふうに考えております。今申し上げましたように三つの点から、この際どうしても石油の価格を改訂しなければならぬ状態になつておるということを申し上げたいと思います。
  68. 滿尾君亮

    滿尾委員 物価庁における物価についての考え方、物価の構成というものは、大体原価主義にのつとつておるというお話を伺つたわけであります。そこでこの原価主義ということは、一応りくつに合つているのでいたし方のないことでありますが、石油の場合に引きかえて考えてみますると、一月から原料の原油を輸入して国内精製の方針にかえた。従つてそれに伴うところの製品価格が上つて来たというお話である。しかし私は、この原油輸入の政策に切りかえること自体は、当然将来の石油が上るようになるために切りかえられたものではなかろう。ガソリンを製品で輸入しているのを原油で輸入すると、日本のガソリンが従来より高くなるということを予定して、そういう制度をおとりになつたものではあるまいと思う。従つてアスフアルトとガソリンとの比率をかえることについての、品目間のバランスにつきまして、若干改訂の必要は生じますが、お話のごとく製品で入れた場合と、国内で生産した国産品との場合は違います。そのバランスはよろしい。しかしながら石油製品の一般の基準を、将来値段を上げてやろうと思つても、まさか原油輸入制度にお切りかえになつたものではあるまいと考えますが、この点をひとつ伺いたい。  それから朝鮮事変が始まつてから原油が高騰したというが、私の乏しい知識をもつてすれば、大体世界の石油の産額というものは、近年非常にふえている。なるほど世界の軍拡の風潮で、戰略物資は上つてはおるようでありますけれども、その上り方が一割五分くらいのものであれば、世の中の経済物資に関して一割五分くらいの値幅の動きというものはざらにあるし、かつその上つて行くことの持続性と申しますか、時間の要素はどうなつておるのか知らぬが、上り出してから二月か三月ですぐ製品を上げなければならぬということも、少し極端な話だと思う。これは国際的製品でありますから、私は上る場合もあるだろうし、下る場合もあるだろうと思いますが、これを一路坦々として上るという見通しは、一体どういうふうにしてお立てになつたかを聞きたい。私の見るところでは、石油の絶対量は相当な増産をしていると思う。かような事情のもとにおいて、今後原油の値段は上る一方だというふうなお考えで、かようなことをごらんになるのは、少し早計だという気がするのであります。  なおさらにお伺いいたしたいことは、海上運賃のことでありますが、これは海運局長が来ておられますから、特に局長からお聞きいたしたい、一体日本に入つておりまする原油の運賃でありまするが、これは一体どういうことになつておるのか。また日本に入つております原油の何割ぐらいを、日本の船舶によつて輸送しておるのであるか。何割ぐらいを外国の船によつて輸送しておるのであるか。また日本の船舶が現在並びにごく近き将来において、外国の原油の輸送、外国の港間の外国の原油輸送に割込む余地があるかどうか。あるいはあべこべに、現在以上に外国の船舶が、日本に入つて来る原油の輸送により多く携わらなければならぬ立場にあるのかどうか。私の言いたいことは、もし日本のタンカーの船腹が、外国間の原油の輸送にしいて割込む余地がないとすれば、あるいは現在何割か外国の船によつて原油が日本に入つていると思うのでありますか、それ以上に外国のタンカーが日本向けの原油輸送に携わる余地がないとすれば、外国と日本のタンカーの勢力については、ある程度安定を保つておる状態であるとすれば、日本船のタンカーの運賃が何割か安くても一向さしつかえない。これは何ら運賃のダンピングにならない。むしろ日本のタンカーが安く輸入すればこそ、われわれは国家の力と政策を傾けて、日本海運の助長をしておる。ところがまつたく同じレベルでこれを立てようというならば、何のために造船の補助をするか、何のために海運政策があるか、まつたく意味をなさぬと私は思います。日本船舶というものは当然、日本に入つて来る原油を国際価格より安く運んであたりまえだと思う。この点について、この事情をひとつ教えていただきたい。  要するに結論といたしまして、なるほど原価主義に立つて見て、基礎になるフアクターに若干の変動は起りつつあるかもしれませんが、それをもつて、今ただちに価格改訂のところまで響かせる程度のものであるかどうか。かりに若干響かせなければならぬといたしましても、その響いたあげくの負担を、ガソリンの消費者、石油製品の消費者のみにこれをかけるということは、はなはだ不公平であつて、ぜひ関係者全体の間における機会均等といいますか、負担の均衡というような点について、どういうような御考慮を払つておられますか伺いたい。実はきよう午前中に、ガソリンの消費者の大会を開きまして、お手元に配つたような決議をいたしたような次第であります。その席に郡政務次官がお見えになりまして、相当考慮するというお話があつたのでありまするが、私は郡次官のお話を伺つて、実は率直に申し上げて、あまり御同感を申し上げることができなかつた。それはどういうわけかというと、次官のごあいさつが、ガソリンの消費者の皆様も十分考慮してきめる、こういうごあいさつでありました。ところが私はこの考え方は間違つているのじやないか。ガソリンのような、つまり單なる消費物資ではない、いわゆる生産的物資に関しまして、その価格をお考えになるときに、消費者の利益といいますか、国民の利益、国家の利益を土台にしておきめにならなければならない。第一の指導原理というものは、国民の利益でなければならぬ。国民の利益ということは、つまり消費者の利益であります。消費者はこれを飲んだり食つたり、消耗的目的にガソリンを使つておるのではない。わが国のガソリンは嚴格なる統制下にありまして、大体物見遊山にガソリンを使つておらぬ。ことごとく現在のわが国のガソリンの消費目的というものは、国家の産業的目的のためにのみ消費されておると言つても過言ではないような、かような立場において考えましたときに、私は物価庁の方がお考えになるときに、このガソリン価格が国民経済の上にいかなる影響を及ぼすかということが、第一の命題でなければならぬと思います。従つて販売業者であるとか、精製業者とか、あるいはいろいろな業者が書いてありますが、これらの人の利益を無視せよとは言わない。しかしこれらの人々の利益を確保するということは、めぐりめぐつて消費者ないしは国民の利益を擁護するために、それらの人を健全なる基盤に置きたいという意味で擁護する。従つて逆に取扱い業者の利益の方から割出して、今年原価がこれだけ上つて来たのだから、これを改訂すればいいのじやないかというようなお考え方では、私はかような国民生活の重要なる生産的消費といいますか、はなはだ矛盾した言葉のようでありますが、かような性格の物資の価格のきめ方、いわゆる統制をやつておられる価格の決定につきましては、考え方の重点が少し違つておるのじやないかという考えさえ持つておる。物価庁のお考え方について、一段とひとつ掘り下げてお考えをいただきたいと考える次第であります。
  69. 川上為治

    ○川上説明員 ただいまお話がありましたように、私どもの考え方は、決しておつしやつておるような考え方と矛盾しておるというふうには考えていないのであります。おつしやいます通り国民経済的な、しかも石油類は動力源としてきわめて重要なものでありまして、産業経済全体に対しまして及ぼす影響がきわめて多いということは、重重考えておりますので、その点も考えましたあげく、やはりどうしましても、この際原油の値上り及びタンカー運賃の引上げというような問題等から、この際ある程度上げなければならないのじやないかというふうに考えておるわけであります。それから最初にお話のありました原油の価格が今後どの程度上るであろうか、下るであろうかという問題でありますが、先ほど申し上げました通り、現在の価格の中に織り込まれておる原油の価格よりも、大体一五%アツプのところで、私の方では一応今度の価格改訂の要素にしましたということを申し上げましたが、この一五%というのは、もうすでに九月ごろからそういう線まで来ておるのでありまして、しかもそれ以上に二割五分とか、そういうところまで行つておるものも相当あるわけであります。しかしながら平均いたしますと、一割五分程度ではなくて、もつと上つた線をとらなければならないということに相なるわけでありますけれども、私どもの方といたしましては、一応最低の線をとる。しかもそれはアラビアの油でありまして、これは現在におきましては一番安いし、かつまた最も大量に入つております関係から、一応その線をとりましたが、この線は、すなわち現在においては最も低い線であります。     〔委員長退席、岡田(五)委員長代理着席〕 これがまたどういうふうになつて行くかという問題につきましては、これは見方によりましていろいろ違うと思うのでありますけれども、私どもの方といたしましては、これがそう急速に下るであろうということは、国際情勢から見まして予想できないのではないか。むしろある程度上りこそすれ、これが下るということはちよつと考えられないのじやないか。それから石油類の価格というものは、一ぺんきめますと、それを少くとも半年ぐらいは、私どもの方といたしましては強襲して行きたい。毎月かえるとか、あるいは二月ぐらいでかえるというような行き方でなくて、少くも半年あるいは一年というものは、持続せしめたいというような考えを持つておりますので、このとり方についてはきわめて愼重な考慮を要しなければなりませんのですが、いろいろ各方面と折衝し、各方面の資料を入れて考えました結果は、一割五分程度はどうしてもこの際見ておかなければいかぬのじやないかというふうに考えたのであります。それから原油で入るようになりましてから、何も原油で入つたからといつて、製品価格を引上げる必要はないじやないか。それはまことにその通りでありまして、六月ごろまでの情勢としましては、私どもの方としましては、製品の平均価格を上げようという意思は毛頭持つておりませんけれども、どうしても平均価格を上げなければならぬという事態が生じましたのは、先ほど申しましたように原油の価格の問題と、それから海上運賃の問題、この二つが要素をなしておるわけであります。それはおつしやる通りでありまして、原油に切りかえるからといつて、製品の価格をすぐ上げるというようなことは、現在においても毛頭考えていないわけであります。
  70. 岡田修一

    岡田説明員 滿尾委員からの海運に対する御質問に対して御答弁申し上げます。日本に入りまする石油類のうち、日本船がどの程度関与しておるかという、御質問の第一点でございますが、詳細はあるいは物価庁の方がよくおわかりかと思います。私の手元にあります資料によりますと、大体年間に輸入される油類の量が、本年度二百七十万キロトンでございます。そのうち四月から九月までの上半期に日本船で運びましたのが、四十八万キロトンであります。ほかに琉球方面に参りますもの十三万九千、約十四万キロトン運んでおりまして、日本船全体として上半期には約六十二万キロトン運んでおりますが、上半期に日本にどの程度油類が入り、どの程度外国船にたよつたかというのは、ちよつとただいま資料を持つておりませんので、御答弁いたしかねます。  それから運賃の点でございますが、日本船は外国船並にしなくても、少し安くてもいいではないか、こういう御質問でございますが、現実はそういう形になつております。九月末までの契約運賃が、先ほど物価庁からお話がありましたように、アメリカの海事委員会で設定した運賃を標準にいたしまして、それの三割引、七ドル十セントぐらいでやつておるわけであります。これは朝鮮事変前の一番安いときのレートでございます。これが七月の中ごろから急に上りまして、八月の中ごろにはUSMCレートの一〇%レス、下旬にはUSMCレートまで回復しておるわけであります。九月の中ごろになるとこれがUSMCレートの三〇%アツプ、十月の初めには六五%アツプになつております。これは十月で契約が切れますので、十月以降運賃の改訂を願いたいということを、通産省に交渉しておるわけであります。これが今度の石油価格の改訂にからんで来るわけでありますが、物価庁の方で考えておられるのは、現在のマーケツト・レートに比べまして非常に安いわけであります。まだはつきりきまつておりませんので申すわけには行かないのかと思いますが、今のマーケツト・レートに対して三〇%、もつと安いのではないか、二〇%か三〇%ぐらい安いのではないか、これが先に下る見込みがありますならば何ですが、先に行くほど強くなるのではないか、こういう見込みであります。しかし日本の業者の方としては、今のマーケツト・レートに比べて、相当安いレートでもやりましよう、こういうことを言つておるわけであります。先ほど日本の海運業に対して相当援助をしておるから、安くてもいいではないかというお話でしたが、私の口から言うのも何ですが、政府として今海運業者に何ら恩惠を与えておりません。むしろ日本の現在のいろいろな情勢あるいはやり方は、外国の海運業者に比べて、日本の海運業者が非常に不利になる事柄が多いわけであります。たとえば地方税の問題につきましても、外国ではほとんど船舶に対しては税金がかかつていない。ところが日本では非常に重い税金がかかつている。それから新船を建造するにしましても、御承知のように非常に金利負担が重い。むしろわれわれは、普通の運賃がとれるならばとらしてやるべきではないか、今かように考えるのですが、現実はただいま申しましたように、市場レートに比べて相当低いところでもやりましようという現状でございます。それからもしこれをあまりに低く押えた場合に、この船が逃げるのではないか。先ほどの外国諸港間の航海ができるかどうかということでございますが、現在では御承知のような制限があつてできません。しかし外国からの引合いは相当あるわけであります。日本船を傭つて、外国諸港間のタンカーを傭つて、外国諸港間の輸送に従事せしめようという引合いはあります。しかしながら制限がありますために、そういう航海はいたしておりませんが、これが制限が解けましたら、日本関係運賃が非常に安いと、業者は商売人ですから、有利なことに動いて行くということは自然あるわけであります。現実に、ある外国から輸入する石炭運賃——これは日本船はタツチしておりませんけれども、非常に安い運賃できめられたがために、石炭が入つて来ない。製鉄所に非常に有用な石炭が入つて来ないという事実もあるのであります。従つてあまりに市場レートに比べて、安い運賃でフィックスした場合、日本の石油輸入ということが、将来非常に困難になる事態が起るであろうということを、一応御認識願いたいと思います。
  71. 滿尾君亮

    滿尾委員 物価庁説明員に、さらにお尋ねしたいのであります。原油の価格問題につきまして、これは見通しの問題でありますから、だれがどうと言つても保証はできない問題だ。それにそういう物の価格が、一割五分あるいは二割五分のものもあるという場合ですが、大部分のものが一割五分の線であれば、そうあわてて価格を改訂する段階ではない。世の中のいわゆる原料物資というものを考えた場合には、一割五分や二割五分の値上りはざらにある。その都度価格を改訂したのでは、たいへんなことになる。持続性ということが将来問題ですけれども、生産量は確かにふえておるのでありますから——これは戰争気構えのおもわくなどもあるでしようが、この点についてそうあわてることはないという感じがするのです。それからかりに若干の値上げがやむを得ないにいたしましても、その値上げを全面的に消費者のみにかぶせるということはおかしい。一体その損失を各段階において適正なる配分をするという考慮がなければ、これはなかなか納得はできない、かように私は考える。この点についての御答弁がなかつたので、あらためてお伺い申し上げたい。  それから海運局長お話で、なるほど運賃の変遷——海上運賃が強くなつて行くということはよくわかりましたが、さてここで、なるほど日本の海運政策におきまして、補助金をやつたり免税の特権を与えたりすることはない。しかしながらあなたは、外国の海運政策と比べて、日本の海運政策が保護をしておらぬという見地に立つてお話だろうと思うが、われわれはもつとすなおに、素朴な考えに立つて考えてみれば、少くとも造船について国家は相当の援助をしている。これは外国の造船の金利に比べれば、著しく高いものでありますけれども、野放しの普通の自由産業よりは、海運業が国家の庇護を受けていないとは考えない。従つて、それだからというわけでもありませんけれども、日本へ入る物資、日本の国民経済の上において必須欠くべからざるものの運賃につきまして、まつたく外国の普通のマーケツト・プライスになるということは、われわれとしてはどうも了解しがたい。これはやはり適当に考えるべきものではなかろうか。われわれが日本の海運を一生懸命にやろうということは、もちろん将来外国運賃をかせいで、貿易外収入をよくしてもらいたいということもありますけれども、何といつて日本から出て行くもの、日本に入るものは、自国船主義をとりたいとわれわれが考えているゆえんのものがあると思う。従つてこれはやはり御当局としては、少し考えを改訂していただいて、日本国内におけるごくすなおなバランスで考えれば、やはりわれわれは海運につきましては、他の産業に対するよりも特別な気持をもつて見ておる。こういうガソリンの運賃といつたような——他の奢侈的な性格のものの運賃は、これはいろいろあつていいと思いますけれども、日本の国民経済をささえる上において、絶対的な立場にある物資の運賃につきましては、やはり米の統制をしておる現段階においては——いつまでも統制するわけには行きませんけれども、ある程度めんどうを見てしんしやくをしなければならぬ問題と私は考えております。本日は時間も非常に長くなりましたので、もうこれ以上さらに質疑を重ねて行くつもりはないのでありますが、他日に譲ることにいたしまして、今の値上りの負担の分配について政府委員お話を伺つて、本日私の質問を打切りたいと思います。他日にこれを保留しておきます。
  72. 川上為治

    ○川上説明員 原油の価格がわずか一割五分程度であり、かつまたそれもごく最近始まつたばかりであるから、この際あわてて改訂する必要がないのじやないかというようなお話なのですが、私どもの方としましては、もうこの原油が上つて来ましてからすでに三月くらいにもなつておりますし、かつまた十月から民間貿易になつておりますから、われわれの方で押えようとすれば、かえつて油の方は入つて来ないというようなことにもなりますので、やはりこの際ある程度の値上げを考えなくちやいけないのじやないかというふうに考えます。なお一割五分は、そう大きな影響はないのじやないか、というようなお話でありますが、石油類の価格につきましては、原油の価格そのものが相当分を占めておりますので、一割五分と申しましても、相当な幅になると考えております。  第二の点は、消費者だけにかぶせるのは酷じやないかというようなお話でありますが、まことにごもつともでありまして、最近石油類の生産量もふえておりますので、勢い製糖業者なり、あるいは元売業者なり、あるいは小売業者の方に、ある程度これをかぶせるべきであるというふうに考えますが、元売業者につきましては、私どもの方といたしましても、従来の口銭をこの際ある程度切りたいというふうに考えております。これもすべて元売業者の最近の状況を詳細に調べて参りまして、それである程度削減したいというようなふうに考えておりますし、製糖業者につきましては、現行価格に織り込んでおります製糖費に比較しますと、大体千円程度大幅な切下げをやることに相なつております。そういうような関係でありますので、決してそういうものを問題にしないで、需要者だけにこれを振りかけるというようなことは毛頭考えておりません。以上申し上げます。     —————————————
  73. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それでは次に、派遣委員より報告聽取の件を議題といたします。  九州班の報告坪内委員にお願いいたします。
  74. 坪内八郎

    坪内委員 先般国政調査のため四国、九州地方へ派遣せられました委員を代表いたしまして、調査の概要を御報告申し上げますと同時に、所見の一端を述べさせていただきます。まず最初にお断りいたしておきます。当班には下関鉄道監理局設置問題も含まれていましたが、先般九月十八日の委員会において御報告申し上げましたので、省略させていただきます。  調査班の一行は、四国一円と下関までは前田正男委員黒澤富次郎委員の二人でありましたが、下関にて前田委員長、畠山委員と合流、長崎県の志佐にて私が参加し、都合五人となりました。御報告は視察順序により申し上げたいと存じます。  視察第一日は、四国高松港を視察いたしましたが、当港は瀬戸内海における航路の要衝を占めておりまして、四国の位置そのものが島であり、宇高の鉄道連絡以外はほとんど海運に依存しておりますので、従いまして四国全土の移出貨物のほとんどが、一応高松に集貨される状態でありますので、小型船舶の出入港はおびただしい数であります。従いまして港湾諸施設も、自然これら小型船舶に対応して築造されたように認められます。その設備は狭隘にして、しかも年々時代の進運とともに、貨客の激増はそのとどまるところがありませんので、これに対応してすみやかに港湾諸施設の完備、港内主要部の浚渫、防波堤の拡張あるいは延長、及び棧橋の建設等、これらの工事は現在四国鉄道監理局において施工中の第一バースの新設工事と並行して、実施する必要があると思うものであります。四国鉄道監理局におきましても、従来宇野港との間に貨車航送を実施していますが、昭和二十三年第二バース及び可動橋の新設工事に着手して、昭和二十四年三月に完成、さらに引続き一億円を投じて第一バース建設中でありますが、これが完成のあかつきは、本土、四国の輸送に関するすべての障害は一掃されるものと確信いたします。またこれと関連いたしまして、倉庫は相当数戰災により焼失いたしまして、優秀なる臨港倉庫はほとんど進駐軍に接収され、戰後の重要物資保管のため倉庫の払底を告げましたので、非戰災倉庫の採算良好であつた影響を受け、企業欲がこの方面に集中した関係か、戰前に比し臨港倉庫は増加の傾向でありますが、最近の新企業者は、コスト高と信用薄弱または海運界の不況を反映いたしまして、その経営も不振のようであります。  次に海上警備状況について、当地海上保安部長の説明を聽取いたしましたが、ただいま御説明申し上げました通り、当港は小型船舶の出入港が頻繁で、従いまして犯罪も相当数あります。大体密貿易が主でありますが、いずれにしても現在の船艇は老朽船で、海上における完全なる警備は困難でありますので、これが増強方の強い要望がありました。また犯行現場に急派された際、武器が不十分のため、上下の熱意にもかかわらず、所期の目的を達せられない場合が往々あり、従いましてせつかくの犯人も逮捕できないことがあります。警備船の増強と、あわせて銃器携帶のできるように御協力願いたいと強く要望されました。  次は四国中央を横断する土讃線の電化について、高松鉄道監理局長説明を聽取するとともに、詳細に全線を視察いたしましたが、この線は香川、徳島高知三県を貫く大動脈で、しかもこの間は吉野川に沿い、阿讃国境を経て四国山脈を貫通するため、隧道は百十数箇所もありまして、その上意勾配の連続で重要物資の輸送をはばみ、かつ石炭の消費量も多く、勾配のある隧道内にては速力は低下して、間断なく侵入する煤煙と高温度の蒸気の悪臭は、旅客並びに乗務員に甚大なる苦痛を与えている状態であります。本線を電化いたしますれば、輸送力の増強はもちろん、石炭の節約、観光文化の促進、あるいは保健衛生の面から考えましても、すみやかに本線を電化する必要があると認められます。  次は高知港及び松山港を視察いたしましたが、両港とも高松港とは異なり、あまり荷動きは活発ではありません、従いまして船舶の出入港も少いようであります。高知港は戰前、防波堤、岸壁その他港湾諸設備工事に着手したのでありますが、戰争の影響を受けまして工事も中止のやむなきに至りました。松山港は、内港の小型船舶船だまり及び浚渫工事はおおむね完成に近づきつつありますが、外港工業地帶の防波堤、本船岸壁、補修工事は、二十三年度において一部を起工したのみで、予算の関係上これまた高知港と同じように中止しておりますが、両港とも天然の良港でありますので、今後飛躍的増加を予想せられる外国貿易に対応するよう、浚渫防波堤の延長、その他港湾諸設備を早急に施す必要があると認められます。  次は別府港を視察いたしましたが、当港は延長六十五メートルの関西汽船專用の棧橋と、北防波堤の二百五十八メートル、南防波堤十一メートルにして、現在は大阪を起点とする関西汽船及び四国八幡浜行き、広島行きが毎日入港しております。その他機帆船も出入港しておりますが、これらによる取扱い貨物は年間二十万トンを下らないということでありますが、港湾諸設備が不完全なるため、ほとんど貨物が舷側扱いでありまして、船主及び荷主は一方ならぬ不便を感じている実情であります。市当局といたしましては、別府国際観光温泉文化都市建設法案が通過した現在、莫大なる経費を投じ、観光港及び港湾諸設備の整備計画もあるたうでありますので、これが完成のあかつきは、これらの障害も一掃されるるものと確信いたします。  引続いて別府港の東南方十キロの大分港を視察いたしましたが、この大分港は、中国、四国、近畿地方の瀬戸内海に面する各港と九州とを直通連絡する最も好適の位置を占めておりまして、港湾設備といたしましては、岸壁には三千トン級四隻を、浮棧橋には二千トン級二隻を同時に繋留することができまして、臨港倉庫は三十棟が立ち並び、大分市民の多年の宿望でありました臨港鉄道も本年四月に完成、当港は門司、大分、宮崎に通ずる日豊線、久留米より大分に通ずる久大線、態本より大分に通ずる豊肥線の分岐点でありまして、この臨港鉄道の完成により、海陸の連絡は一層便利となつたようであります。つきましては、従来九州の豊富なる資源、ことに石炭、鉱石等を四国に輸送するにあたりましては、関門トンネルを経て山陽線岡山、宇野より高松に至る一大迂回路によるのほかなく、四国の貨物を九州に輸送する場合もまた同じようで、これがため輸送の輻湊、運賃の増高は想像以上に思われますので、国民大衆の利便のためにも、すみやかに九四連絡国営航路を開設し、この場合四国の最短距離にある大分港を連絡起点として利用するが、最も有効適切なる計画と思うものであります。  次は永用代議士の案内にて、大分交通株式会社経営国鉄日豊線豊前、善光寺駅を起点とする二日市に至る一五・五三キロの豊州線を視察いたしましたが、本線は経営不振にして採算がとれないため、車輛・軌道とともにはなはだしく荒れ果て、定時の運転もできかねる悲惨な実状であります。この沿線は、農産林産物の宝庫でありますが、これらの重要物資の開発のためには、当地方の唯一の交通機関である本線をたよらなければならないのですが、現在の軌間〇・七六二メートルでは、とうていその目的を達し得られませんので、これを国鉄並の一・〇六七に改めるとともに、サービスの改善をはかり、沿線地方の産業文化の発展並びに地方民の利便をはかるよう、地元民を代表いたしまして永田代議士から強い要望がありました。現在は経営者も採算上健全なる運転を持続する意思はないように見受けられますが、もしそうであれば、沿線住民の死活に影響する重大問題であると思います。これはただ豊前鉄道のみに限らず、国家経済上運輸交通行政の発達をはかる意味においても、経営の合理化をはかり、当局の援助により、沿線住民の強い要望にこたへ、ますます健全なる運転のできるようにすべきであると認められます。  次に、長崎県松浦線の吉井、志佐間の鉄道敷設計画について、現地を視察いたしましたが、本計画線は、既設吉井駅より世知原までを三キロ余り利用して左折、上志佐より志佐川の左岸に沿い北に進みまして、栢木上野を経て既設志佐駅に結ぶこの延長十五キロにして、この一帶は北松炭田として石炭に惠まれ、佐々、志佐をつなぐ断会を境として、西部国内唯一の強粘結炭の産地として重要視されています。なおこの地方には林産物も豊富でありますので、この線が開通したあかつきは、沿線資源の開発並びに産業文化の振興に寄与することは申すまでもありません。予算の而も考慮いたしましてこの鉄道敷設はぜひ必要と認めます。  次は江迎港を視察いたしましたが、当港は佐世保を距ること十キロ、北松浦郡の中央にありまして、南北丘陵に囲まれ、風浪平穏で、荒天の際理想的な避難港でもあります。なお当町小林町長を初め、関係町村民が一致して、具体的な港湾建設につき研究し、臨港倉庫及び臨港鉄道の敷設、その他港湾諸設備計画中であるが、これが完成によつて得られる利便は大なるものがありまして、また貿易港としての理想的な施設計画をなすことも、天然の良港を生かす最も有意義なことであります。なお将来における大陸との貿易の再開に備えて、岸壁の設置、浚渫、港内諸設備を施す必要があると思います。  引続いて佐世保に至り、戰時中は要塞区域として、哨兵はもちろん、鉄柵に張りめぐらされ、一切立入り禁止の立札されていた高台に登り、港湾の概況を視察いたしました。当港は三万山に囲まれ、南方より広く深く湾入して、港内は常に靜穏でありまして、水深く、しかも数知れぬ小港があり、いかなる大船、巨船も潮の満干を問はず出入港可能であると見受けられます。元来当港は軍港として役割を果していた関係上、地勢上の孤立と、小型船舶用施設がまことに貧弱で、しかも長崎、門司等のごとく数十年来商港としての伝統と、確固たる規模に基く後方地域との連絡薄く、商港としてはやや立ち遅れの感じがいたしました。港湾設備としては、日本政府が巨額の国幣と多年の年月を費して建設した完全なる棧橋、倉庫、臨港鉄道、その他荷役設備の完備は驚くのほかはありません。ゆえに将来商港として転換するにも、低廉なる建設費で十分なる目的を達することができるのであります。昭和二十三年一月一日付をもつて、貿易港として指定せられましたが、貿易港として唯一の拠点が、全部旧軍用財産の臨港地帶の諸設備であるからには、その処分方法いかんが佐世保の死命を制するものでありまして、この点については関係当局は十分考慮する必要があると思います。さらにまた佐世保港の枢要な地域各所が、いまだ占領軍の管理下にありまして、これが将来の処置がまつたく不明でありますので、せつかく貿易港には指定せられましたものの、佐世保港転換の詳細計画樹立はきわめて困難なる実情にありますが、これに対しては御同情は十分いたしますが、日本政府としては何ともいたしがたき連合軍の処置でありまして、ただ講和條約締結後、進駐軍の駐在方針決定をまつて、これらの諸計画を樹立するのほかはないと思うのであります。  次は長崎、諌早間の電化について沿線を視察いたしましたが、長崎本線の輸送力はきわめて貧弱で、とうてい出荷の需要を満し得ず、滯貨をなし、鮮魚のごときは乏しい魚獲用燃料を使用して海上輸送している状態であります。現在の蒸気機関車では、長與、大草間の急勾配を突破するだけの牽引力なく、毎日相当数の滯貨があるようであります。長崎、諌早間には数箇所の隧道があり、輸送力を減殺しており、また旅客に対しても煤煙により不快を与えているのみでなく、沿線各市町村の美化清掃を阻害し、聞くところによれば、隧道内にて煤煙のため窒息死した実例もあつたようでありますが、今この鉄道電化が実現するならば、以上述べた障害は一掃され、牽引力の増加とともに、スピード・アツプにより輸送力は増強せられ、関係地方の生産の拡充、貿易、観光事業の振興は莫大なるものがあります。わが国経済文化の発展に資するところまた大なるものがあると思いますので、すみやかに予算電源等を考慮して、本線を電化する必要があると認められます。  次は長崎港を視察いたしました。本港は本邦中最西端にありまして、貿易港としては最も古い歳歴を持つている港であります。従来当港は水産港として、年々相当なる水揚げをしております。従いまして漁船の船だまりは、やや完備しているようでありますが、貿易港としての施設はまだまだ貧弱であります。臨港倉庫、上屋臨港鉄道の延長工事も最近完備しました。特に本港は背後に風光明媚なる雲仙国立公園または阿蘇の秀峰がありますので、将来、大陸より観光、保養、慰安のため来港、または外国貿易の増加を予想するとき、これらに対応するよう棧橋の建設、浚渫、防波堤の延長、その他港湾諸施設を早急に施す必要があると認められます。  次は国鉄長崎本線中、喜々津駅より古賀、矢上、日見、茂木を経て長崎に至る改良線建設計画についてでありますが、今回は日程の都合によりまして、現地視察はでき得ませんでしたが、途中関係者から強い陳情がありましたが、この計画は昨年の国政調査に際し詳細に視察いたしましたし、またたびたび請願も採択してあるので、この資料に基きまして御説明申し上げたいと存じます。この改良線は、喜々津駅より古賀、日見、茂木を経て長崎に至る計画でありますが、この沿線は重要農産物の集散地であるばかりでなく、北高木郡戸石、田結、江の浦の石炭の埋蔵量は数千万トンともいわれ、ことに茂木町は全国に名高い茂木びわの特産地で、年産百二十三万六千トンともいわれます。現在の既設線長崎、喜々津間中、長與トンネル延長四キロを中心としての千分の二十急勾配は、著しく輸送力の減退を来し、重要物資の輸送に大なる支障を与えている実情であります。従いまして他の平坦線に比べますと、毎年五千万円以上の燃料を余分に消費しているともいわれ、かつこれに基く列車の一時運転不能、または列車不通の事故も決してまれではありませんので、一般旅客に対しましても不快と不安の感を起させ、国際文化都市建設途上にある長崎として、まことに遺憾と思います。以上に対しては一応電化も考慮されますが、改良線の計画はこの問題も解消されます。また單に燃料費の節約のみでなく、採算上から考えましても、この改良線は当然なる計画と思うものであります。以上の理由によりまして、この改良線の敷設は、産業の発展、国際観光施設の助成並びに燃料の節約、輸送力の増強の観点からして、日本再建途上における緊急の事業と認め、ことに地元民も物心両面から最大の協力は決して惜しまないと申しております。当局国鉄田中技師長を初め、関係者はたびたび来県、調査されているとのことでありますが、予算及び資材等を考慮いたしまして、地元民の強い要望にこたえ、早急に実現する必要があると認められますと同時に、態本県天草郡六十箇町村の関係町村が、この線の茂木に海路一時間にて達する関係にあるので、右六十箇町村がこの実現を直接地元同様熱望していることをつけ加えたいと思います。  次は、鹿兒島県市連合懇談会に出席いたしまして、一、鹿兒島駅改築に関する予算増額について。二、門司行夜行急行列車復活の件。三、日豊線準急行列車都城、鹿兒島間延長の件。四、西鹿兒島駅の本駅化実現方の件。五、監理局舍建設の件。六、鹿兒島港に船員職業安定所設置の件。七、山川、枕崎間鉄道敷設促進に関する件。八、鹿兒島測候所を地方気象台へ昇格に関する件。九、日本、琉球間定期航路の船荷運賃を距離に基く差運賃に改訂することに関する件。十、臨港鉄道を営業線に編入に関する件。十一、鹿兒島港を第八軍指定港指定の件。十二、鹿兒島税関支署移転に関する件。十三二、臨港道路を二十五メートル延長に関する件。以上十三項目を重成知事及び勝目市長より強い陳情がありましたが、この内容の詳細につきましはて、書類をもつて報告申し上げます。  次は垂水で開催されました隼人、大泊間鉄道期成同盟大会に出席いたしまして、田平会長を初め関係者がこもごも、この鉄道敷設について猛烈なる要望がありました。この線は毎国会ごとに陳情され、ことに一部根占までは三十年前国会においても予定線とされており、当局もよく御承知のことと存じます。このたびは不幸にして日程の都合によりまして現地視察はいたしませんでしたが、昨年詳細に視察した資料に基きまして簡單に御説明申し上げますと、日豊線隼人駅を起点といたしまして、姶良郡国分、敷根、福山、本郡、垂水、古江経由、大根占、根占、伊座敷、大泊に達する全長約百十三キロにして、大隅地方交通、文化、経済上、ぜひ必要なる路線でありまして、この沿線は農産、水産、林産物等の宝庫であります。これが敷設は産業文化の面に活気を注入し、新転換を与えるものでありまして、将来観光ルートとして、かつまた南西諸島方面との幹線交通路の一環として、重要意義を有するものでありますから、沿線需要者の強い要望にこたえ、早急に敷設する必要があると認めるものであります。  次は種子島及び屋久島の港湾関係を視察いたしましたが、各港ごとに港湾の概況を御説明申し上げます。  一、西之表港、本港は種子島西北岸にありまして、海湾の形態を整え、小型汽船の出入し得る本島唯一の良港でありまして、内港は面積六万五千平方メートル、水深は干潮面三メートルにして、最大一千トン級船舶は満潮時を見はからい出入し、機帆船及び漁船の出入も頻繁でありまして、本土との交通、物資の移出入及び漁獲物の陸揚げは、ほとんど本港により行われている。外港としては大型船舶、漁船の避難等にも相当利用されている。港内の利用面積は五分の一にして、残余はほとんど干潮時には岩盤露出するの現状でありまして、浮棧橋工事及び浚渫は継続事業として実施しています。  二、浜津脇港、当港は種子島中央西岸に位置し、本島中部方面の交通機関の唯一の港湾で、漁港と兼用でありますが、水深淺く、最近の災害にはなはだしく破損いたしまして、利用度も極度に減じられ、機帆船の出入もきわめて困難なる状態であります。南防波堤も本年度の災害によつて、これまた利用度が減じられています。  三、一湊港、一湊港は上屋久村北西岸にありまして、自然の良港にして、漁港基地であります。漁船の出入頻繁で、特にさばは有名であります。従来港湾の敷設は何ら施したことなく、港の利用上はなはだしく支障を来している状態でありましたが、昨年度防波堤五十メートル築造いたしましたが、本年度の災害に全部破損いたしまして、利用はまつたく不能であります。  四、宮之浦港、宮之浦港は上屋久村の北岸にありまして、宮之浦川の河口港であります。種子島及び鹿兒島航路の寄港地にして、屋久島の門戸ともいうべき港であります。当港も一湊港と同じく、漁港の基地でありますが、港湾の施設を施したことなく、港は遠浅のため、定期船は沖合いに停船し、風浪の靜まるのをまつて、辛うじて荷役及び乘客の乘降をなす状態であります。冬期荒天が続く節は、定期船の欠航が多いため、利用者の不便と貨物の滯貨はなはだしく、屋久島開発に一方ならぬ支障を来している状態であります。  五、安房港、本港も定期船の寄港であるが、一湊港及宮之浦港と同じく港湾の施設はまつたくなく、地元民は不便を感じています。  以上、種子島、屋久島の主要港の概略を御説明申し上げましたが、西之表港を除き、その他の港湾はいずれも港湾諸施設はほとんど皆無で、原始時代そのままの港であります。この事実は、文化の恩惠に浴せざる不遇は実に同情にたえません。ことにはなはだしいのは一湊港及び宮之浦港でありまして、一隻の船舶をつなぐ施設もない実情であります。住民は幾年かの久しきにわたりて、拱手傍観の姿を続けております。その苦境はひとり住民の不幸ばかりでなく、邦家のためにも遺憾にたえぬ次第であります。ことに屋久島には電力問題も取上げられている今日、これらと並行して関係各省と協議の上、救済措置をとる必要があると思われます。  以上簡單でありますが、御報告を終ります。
  75. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 この際お諮りいたします。去る七月三十一日閉会中審査案件として付託されました国鉄経営合理化に関する件外五件につき、本日まで七回の委員会と小委員会三回を開きまして、審査並びに調査をいたして参りましたが、本日をもつて閉会中の期限も切れますが、衆議院規則第九十一條により、閉会中その審査を終らなかつた事件については、次の会期の初めにその旨の報告書議長に提出することになつておりますので、国鉄経営合理化に関する件外五件は、審査を終了するに至らなかつた報告いたすことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それではさように決します。  では本日はこれをもちまして散会いたします。     午後五時五十一分散会