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1950-10-07 第8回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月七日(土曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 原   彪君       尾崎 末吉君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    畠山 鶴吉君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    淺沼稻次郎君       中西伊之助君    飯田 義茂君  委員外出席者         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務次官  秋山  龍君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員会設置に関する件  運輸省機構改革に関する件  鉄道建設に関する件     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  運輸省機構改革に関する件を議題といたします。運輸省側より説明を求めます。関谷政務次官
  3. 關谷勝利

    關谷説明員 運輸省機構改革の件に対しまして、従来の運輸省希望と申しまするか、運輸当局といたしましてこういうふうにあつてほしいという希望を申し上げまして、なお各方面からいろいろ議論をせられております点が、なぜ運輸省としては同意いたしかねるかというようなことにつきまして、簡單に御報告並びにお願いを申し上げたいと存じます。  運輸行政は、私が申し上げますと釈迦に説法に相なりますが、すべて関連をいたしておるのでありますので、どの部面を取除くというようなことを考えてみましても、これは非常にむずかしいのであります。省内におきましていろいろと協議をいたしてみたのでありまするが、どこを縮小して、そうして廃合ができるかというようなことが、なかなかまとまらないのであります。いろいろ議論を闘わしました結果、もしこれが吉田内閣が企図いたしておりまするような、いわゆる三割の行政整理をやり、これによつて二百億の節減をはかるというふうな方針のもとに行われるのであるとしますならば、現在の運輸省といたしましては、いわゆる天引きと申しまするか、縮減に対しては応じ得られるけれども、現在の機構中これを廃止し得られる部面はまずない、このよう結論到達いたしまして、お手元に差上げてありまするような、行政改革に関する広川行政管理庁長官の照会に対する運輸省見解、こういうものを差出してあるよう状態であります。  いろいろ論議をいたされております点について、二、三点申し上げてみたいと存じます。まず第一番に問題になつて参りますのは、船員局海運局とを一つに統合したらどうか、こういうふうな意見があるのでありますが、海運局船員局あたりにおきましても、現在におきまして首脳部と申しますか、局長級以上が非常に多忙をきわめておるよう状態でありますので、もしこれを統合いたしましても、人員の節約というようなことにはならないのでありまして、海運局船員局を統合いたしますと、海運局次長制を設けるというようなことも考えねばならぬ。現在の事務の煩雑さから申しまして、どうしてもそういうことを行わなければならない、こういうことになつて参りますので、局を統合いたしましても、決して行政整理の趣旨に沿うというふうなことはでき得ないというふうに考えられておりますし、ことに船員局というものは、わが国の船員が非常に努力をいたしまして、こういうふうなものをつくり上げたのでありまして、現在の船員問題、労働問題あたりが非常にやかましくいわれております際、これを廃止いたしますということは非常に困難である、こういうふうに考えておりまするし、国際的に見ましてもこれは非常に難点がありまして、いろいろ論議をいたしたのでありますが、船員局廃止をする、こういうふうなことは現在のところではとうていでき得ない、こういうふうな結論到達をいたしておるのであります。  なおまた港湾局を、国土省ができた場合に国土省へ持つて行くとか、あるいは、建設省へ持つて行くとか申しておりまするが、これは港湾がどのようなものであるかということを解せない人の言う事柄でありまして、現在の港湾といいまするものは、新しく建設するという部面は非常に少いのでありまして、維持、修繕、管理というふうな面から考えなければならないのでありまするし、海陸輸送接続点でもありまするので、これは現在利用いたしておりまする運輸省がら離すことは、どのようなことがあつてもでき得ないというのが、省内全般意向でありまするので、これも外部からどのように申しましても、行政制度審議会等におきましても、非常に議論をせられたところでありまするが、結局これは、私たち委員になりまする以前に、一応港湾局国土省へ持つて行くということを答申いたしておりまする事実があるために、理論から申しますれば運輸省に置くべきもののよう考えられるが、一応答申した面子があるというふうなことで、あのよう答申案を出しておるのでありまして、少数意見をつけておりまするのは、私たちが将来この港湾局の問題が論議せられた場合に、委員反対をいたしておつた者はことごとく反対を続けるという意味合いから、あの通り少数意見をつけておるよう状態でありまして、これは決して委員会におきましても、港湾局というものをどうしても国土省なり、あるいは建設省へ持つて行かなければならないと強く主張する人はなかつたのでありまして、何と申しまするか、面子にとらわれたためにやむを得ずあのよう答申案ができた、こういうことが真相であります。おそらく多少なりとも運輸行政のわかつておりまする人は、この港湾局を他へ持つて行くというようなことを考えられる人はほとんどないであろうと存じます。  なお行政制度審議会におきまして、部制廃止するということになつておりまするが、これはすでに設置法その他の場合に、暫定的に部を置くというふうなことになつておりましたので、いろいろの部は廃止するということに対しましては、全般的の意向が一致をいたしておりまするので、運輸省におきましても、各省を通じまして部を廃止をいたしまする場合には、やむを得ないというふうな見解を、私たち行政制度審議会におきましても述べておるような次第であります。  また自動車行政地方に移管するというようなことを申しておりましたけれども、これは行政制度審議会におきましては、当初そのようなことがいろいろ議論をいたされたのでありまするけれども、これもその後おいおい業者意見、あるいは地方の輿論というものを総合いたしまする場合に、この自動車行政地方委讓すべきものではない。現在のような広域な行政をやらなければならぬ自動車行政に対しましては、どうしても国家が統合してやるべきものである、こういうふうになりまして行政制度審議会におきましても、一度はかような方向に議論はせられたのでありまするけれども、これは廃止すべきものではないという結論到達をいたしまして、自動車行政運輸省へ残すべきものというふうなことに相なつたのでありまして、現在もいろいろこれを地方に移管、委讓するというようなことが論議せられておりまするが、これをいろいろ專門的に研究をいたしました場合に、おそらくまた行政制度審議会の二の舞を繰返すのではないか、私たちはさよう考えておるものであります。  さよう考えて参りますると、現在の運輸省といたしましては、どの局を廃止するというような案が、現在のところ考え合せてみますと、どうしても出て来ないのでありまして、やむを得ず行政整理をするというようなことでございまする場合には、私は冒頭に申し上げましたような、何割かを天引きというようなことについて、他の省と歩調を合せることはやむを得ないといたしましても、現在の局というようなものにつきましては、廃止する局は見当らない、こういうふうなのが現在の運輸省見解であります。委員各位におかれましては、よくこの運輸行政につきましては通暁せられておりますので、こういうわれわれの希望をぜひ御採用していただきたいと思います。きわめて簡單でありまするが、現在の運輸省希望を申し上げて、お願いを申し上げる次第であります。
  4. 前田郁

    前田委員長 ただいまの政府側説明に対しまして、質問があればこれを許します。滿尾君。
  5. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいま政務次官から自動車行政に関しまして、大体現状の線を維持することになつたという御報告がありました。たいへん欣快にたえない次第であります。ただ私は現状を維持するという線だけでは、少しまだ不十分なのではないか。特に本省の自動車行政に関しましては大体けつこうでございましようが、現在の地方機構というようなものにつきましては、まだはつきりせぬような点がある。一応陸運局の線はよろしいのでありますけれども、さらにその末端の窓口行政をつかさどつておりまする地方自動車事務というものにつきまして、従来いろいろないきさつがあつてちよつと複雑な立場になつておるようでありますが、この際この性格をさらに明確にせられる御意思があるかどうか。実際の行政事務運営につきましても、現状のままではいろいろ支障があるのではなかろうか、かよう考えておりますので、御意向をお伺いしたい。
  6. 關谷勝利

    關谷説明員 大体以前の道路運送監理事務所でございましたか、道監廃止いたされました際には、当委員会といたしましても、これは廃止すべきものにあらずという結論到達をいたして、そのようにわれわれといたしましては進んで参つたのでありましたが、当時の政治的な取引と申しまするか、そういうようなことで、やむを得ずあのようなことになつておるのでありまするが、運輸省といたしましては、自動車行政の一元化の建前から、これは地方委讓すべからざるものであるとの見解は、いまなおとつておるのでありまして、もし政治的な情勢が許しまするならば、これは以前のよう運輸省はつきりと取返したい、このような気持は持つておるのでありまするが、現在の情勢ではあるいはこれが困難ではないかというふうに考えております。
  7. 滿尾君亮

    滿尾委員 運輸省の御意向はわかりましたが、私どもも今日各県の自動車事務所の主管しております事務は、国家事務であるという線で見まして、これを国の行政機構の首尾一貫するような態勢に組みかえることを、非常に希望しているわけであります。運輸省と御協力いたしまして、そういう理想的な状態をつくりたいと思います。さらにちよつと伺いたいことは、道路運送法上認められておりまするところの道路運送審議会というものがある。その委員がおりまするが、ただいま私が現状を拜見いたしますると、運輸省はこれらの委員待遇につきまして、はなはだ薄い。本来の給與の点は申すに及ばず、最も支障を来しているものは、その旅費であります。これらの委員会は各地域ごとにしばしば会合を開いて、民間から出まするところのいろいろな行政事務の諮問に当つておるのでありまするが、ほとんど旅費がない。従つて実際の仕事をする上において非常に困難がある。たまたま旅費がありましても、それは実費を償わないし、あるいは非常に旅費の支給が遅れる。従つてその間委員は、自己の負担においてこれらの出費を支えなければならぬ。ところが委員の中には、若干金持もおるようでありまするが、かなり多くの人はそれらの事務について非常に困難をなめております。現在のよう予算の裏づけでは、仏つくつて魂入れず、まことにその運営をはばんでおると思うのであります。一体二十六年度の予算におきましては、これらの委員予算はどういうことになつておりまするか、十分手当を出さなければ、自動車行政は明瞭にならぬと私は考えます。この点お尋ねしたい。
  8. 關谷勝利

    關谷説明員 この点私も同感であります。たいへん重要な仕事をしていただいておりまする委員方々に対しまする待遇が、きわめて悪いということにつきましては、まことにお気の毒であるとは存じておりまするが、非常に切り詰めた予算になつておりまして、この点は増額希望はいたしておりまするし、多少増額をいたすことになつてはおりまするけれども、これをもつてしても決して十分なものとはいえないのであります。お気の毒な点ごしんぼうを願わなければならないよう状態であります。さらに旅費の点でありまするが、私先般各地方をまわりました際に、各陸運局から、現在のよう状態でありまするならば、三箇月に一回しか審議会が開けないというふうな実情を、各委員の方並びに出先の陸運局長から聞かされまして、帰りまして、さつそく予算的な措置を講じなければならないというようなことで、来るべき臨時国会におきましては、これが増額をして、月に一回は開き得られる、こういうふうなところへ持つて行く状態になつておりまするが、しかしながら決してこれをもつても、滿尾委員の言われましたような十分な旅費とは申されませんので、この点まことにお気の毒でありまするが、現在の状態でごしんぼう願うよりほかしかたがないよう状態になつております。あしからず御了承願います。
  9. 滿尾君亮

    滿尾委員 政府の方におかれましても、旅費の少いこと、待遇の悪いことは、一応御認識があるようでありまするが、認識があつて、十分な予算的措置を講じないということは、これはますます私は都合が悪いよう考える。この制度がもし三月に一ぺんしか開かれぬということでございますると、民間からの免許等に関しての出願の処理が、それだけ遅れることになる。年に四回ぐらい開いて、その間民間の請願その他免許出願をためておくことになりますことは、これは国家行政機関の働きといたしまして、まことに言語道断の処置といわなければなりません。私はかよう事務簡捷化を促進いたしますために必要な経費は、国民は決して惜しんでおらぬと思う。しかるにその措置ができないということは、これとりもなおさず運輸省事務当局の怠慢のいたすところである。事理がわかつてつて、その措置がなぜできないのか、私はこの点はどうしても了解することができない。実はこの道路運送審議会なるものの功罪につきましては、いろいろの説がある。私どもも多少の意見なきにしもあらず、運輸省の広い意味行政機構考えるにあたつては、どうしてもこの審議会に対しても相当のメスを入れる必要がある。特にこの委員任命方針等につきましては、私は運輸省の今日までとつて来た方針に必ずしも賛成しない。大いに批判する余地があると思う。しかしながらすでにできておる委員会運営をなめらかにして、国民の便益と利益をはかるということにつきましては、十分応援したい。だから委員会の組織、権限、あるいは委員任命そのもの等につきましては、われわれは決して現状で満足しておらぬ。私は他日大いにこれは批判を加えたいと考えておるのでありますけれども、現在の委員会運営をなめらかにすることにつきまして、当局が十分の努力をせられぬということは、どうしても了解しがたい。いやしくもあの委員会を置いて、せつかく運輸行政を民主化しようとする志を立てられたのであるならば、その活動に支障のない程度の旅費は、絶対に計上しなければならぬ。これを不十分にいたしますれば、もつともつと大きな弊害が民間の方に及んで来るおそれがある、一体当局は来年度の予算で、どのくらいの全額を予定しておられるか、伺いたいと思います。
  10. 關谷勝利

    關谷説明員 大体日当といたしましては、委員長が一日八百円で、従来は月に十四日分しか出しておらなかつたのでありますが、今回からは二十日分を出すことにいたしておりますし、なお旅費も少いのではありますが、従来の倍額、こういうことに相なつておりますので、御了承を願いたいと思います。
  11. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの御答弁ではちつとも満足しないのでありますが、あまり事こまかな議論になりますので、本日はこのくらいにしまして、政府当局における十分なる御努力希望して、他日に質問を保留しておきます。
  12. 前田郁

  13. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 私は行政機構改革について、前の委員会観光部面につきまして、いささか所見を申し上げたのでありますが、この観光部面については日に増し増し国家の至るところで、観光という文字が強くなつておりますやさき、また本日も休会中である衆議院へ参つて見ますと、至るところにきれいなバスがあり、みな観光という文字が書いてある。こういうようなわけで、観光部面は非常に進んで参つておるやさきに、運輸省観光部といたしまして、今後十分なる措置を講じていただかなければ、この問題が解決できないということを率直に考えるものであります。ことに今ここに運輸省観光部から、ホテル法案に対しますところの通牒がこういうふうにきまつたという御通知をいただいたのでありますが、これは第六国会以来、このホテル整備法案をつくり、第八国会におきましてようやく主務大臣を、一応運輸大臣とすることに、きめていただいたのでありますが、その後まだまだ各省関係であまりすつきりした話ができておらないために、本日の通知を見ますと、次官会議によつてとにかく厚生省あるいは通産省と話合いの上、今後のホテル行政をやつて行く。結局運輸大臣が主管だという、ただ名前だけをもらつたような形で、はなはだすつきりしたところがないということは、この観光部面に対しまして、今後重大な問題があると思うのであります。しかし今度の行政改革によつて、一部においては内閣にこれを委讓して観光庁をつくり、またもう一歩進んでは観光省をつくるくらいの御意見があるのでありますが、しかし私ども運輸委員といたしましては、運輸省観光問題を根本的に取上げて、あらゆる方面のいろいろな問題を解決していただけるだけの心がまえがあるか、あるいはそれだけのお考えがあるかということを聞きたいことと、それからこれは話が別でありますが、毎日新聞の主催で、観光日本百選というのをやつております。初めのうちは非常に熱意が少かつたのでありますが、現在の日本観光を国内へ紹介することはもちろん、外国へまでも日本観光を紹介しなければならない重大時期であるという見地から、その各観光地人たちが非常に熱意を持たれまして、新聞紙上でごらんの通りになつたのであります。私も一昨日毎日新聞をおとずれまして、いろいろ状況を見せていただきました。実に熱心なものです。毎日新聞だけでも百数十人の人が、晝夜兼行でこの仕事にかかつておる。続いて私は山本郵政次官と二人で中央郵便局へ参りました。あの中央郵便局の大きな部屋が、この観光百選のはがきでもつて一ぱいになつておる。実際幾人かかつておるかというと、四百人の人がかかつておる。それでいつ終るかというと、今月の十日に終る。締切りは三十日に締め切つたものが、十日過ぎまでもかかるというような、大きな仕事になつて参つておりまして、郵政省におきましては観光面に非常に認識をされまして、局長を初め次長その他の関係者が、非常に熱心にこれを取上げております。そういう国外的にも国内的にも、観光事業重要性が叫ばれておりますときに、実際に運輸省がこの観光部面を背負つてつて、それだけの充実をはかつていただけるか。この際責任あるお考えを聞かしていただきたいと存じます。
  14. 秋山龍

    秋山説明員 毎回畠山委員より観光に関します御熱心な、かつ御熱意のある御叱責をいただきまして、私どもも非常にその責任を痛感いたしておるのであります。私どもの信念といたしまして、観光事業は今後の国の経済を支えるところの幾つかある大きな柱の一つであるという認識のもとに、日夜精励いたしておるのでございまして、観光に関する機構につきましても、一日も早く少くともこれを局にしたい、かよう熱意を持つておるわけでございます。ただいまホテル行政その他につきましての各省申合せにつきまして、御批判があつたのでございますが、今日の行政機構におきましては、やはり何らかの行きがかりがございますと、りくつというものはなかなかうまくつくものでありまして、りくつとりくつで解決するということは非常に困難でございますので、一応関係のあるところには関係のある範囲において、仕事の相談をしようということできめたようでございますが、私どもとしましては観光に関する行政責任は、一に運輸省にあるという認識でございますので、問題につきましてのイニシアチーブは必ず私どもの方でとりまして、主導的な立場において関係各省意見を調整するという意味において協議する、かようにいたしておるのでございまして、これによりまして決して主導性を失うというようなことはないのでございます。その点ひとつわれわれの熱心のほどを了とせられまして、御了承あらんことを希望するのでございます。  なお観光百選その他のいろいろな催しが行われまして、観光に関する熱意を非常にあおつてもらう。またこれによりまして各方面観光に関する認識が非常に上つておることにつきましては、私どもとしても非常に感謝しておるところでありまして、こういう催しなどについては、できるだけその線に従つて、適切な施策を講じたいと考えておる次第でございまして、今後ともわれわれの熱意を了とせられまして、御指導と御鞭撻を賜わらんことを御願いいたす次第でございます。
  15. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 御熱意のあるところはいつも伺つておりますので、その点はわれわれはよくわかつておるのですが、このホテル問題にいたしましても、ホテル整備法案が出るという当時は、業者もまたこれに関係ある方々は、非常な熱意をもつて期待しておつたのでありますが、その後資金面あるいはあつせん部面において、はなはだ貧弱なために、計画した人はほとんど捨てて、現在は計画を進める勇気がないよう状態に陷つております。これは現実の問題であります。しかしこのホテル整備法案責任を果すには、言うまでもなく金融面といろいろな物資その他のあつせんをいたさなければなりませんが、実際面において欠けておることは明らかでありまして、今御回答ような点で実際問題が解決していないということだけを私は申し上げておきたいと思う。今後これらの点についてはもつと積極的にやつていただきたい。それから今観光部面において、運輸省はいろいろお骨折りをいただいておるというお言葉をいただいたのでありますが、現在の運輸機構だけでは、とうていこの大きな観光事業を背負つて立つことはできない。言いかえますなら観光局でもつくるとか、あるいは観光庁でもつくるとかいうところまで行くのでなかつたら、この大きな観光事業は遂行できないということを私は言うのでありまして、現在の観光部としては、精一ぱい仕事をしておるのではないか。おのずから運輸省といたしましても、観光部がやつているだろうくらいのところで、こういう委員会になりますと、責任ある御回答をいただくのですが、実際面におきまして運輸省の中の観光部なんというものは、お客様の世話をしているくらいに省内の人は思つておるのである。こういうことでは実際私どもは少し物足りないのでありまして、今事務次官から非常に熱意のある御回答がありましたが、この御回答が実際に実施できればいいと思います。同時にただいま責任者でありますところの観光部長の間嶋さんが洋行されておるようでありますから、外国事情について帰つて来られたらお話があると思います。本日の新聞で私見たのですが、都長官がアメリカから帰つて来てその事情を発表した中に、何といつて観光問題の第一は道路である。観光施設というものはわれわれの想像したほどでない。親切なる観光事業を確立しなければいけない。日本人はとかくそういう方面に親切が欠けているような、その場当りの便乗主義が多いというよう言葉もありますので、私はこの機会にぜひ運輸省全部の方にここで心を寄せていただいて、どこから見てもはずかしくないよう観光行政を確立していただきたい。しかしそれができないというならば、日本天然資源を活用して、日本立場からしてまず彈力性のある方法をとらなければならないのじやないかということを、私ども運輸委員の一人といたしまして、また観光方面関係している私といたしましては、憂慮しておるものでありますから、どうかこの点を大臣初め次官の方々におかれましては、ひとつその場当りでなく、これを実地方面に現わして、まずこの次の本員会あたりには、こういう機構をこしらえて、こういうふうに進みたいからというくらいのところまで、御熱意を願いたいことを希望いたす次第であります。
  16. 秋山龍

    秋山説明員 ただいま御希望されました点は、まことにごもつともだと存ずるのでございますが、私実はアメリカに参りましても、観光の主管者である、その責任者であるということにつきましては、忘却いたしたことはないのでございます。私の参りました主たる目的は、州際商業委員会行政を勉強に行くという建前でございましたが、かたわら海運に関する事柄と観光に関する事柄につきましては、できるだけの時間を割いて行政を見たのでございます。特にニユーヨークの五番街といいますか、ニユーヨークの五番街のパーク・アベニユーと、その隣になつておるマジソン・アベニユー、四十二丁目から五十七丁目に至りますニユーヨークの中心部には、たくさんの観光に関する各国の宣伝機関と申しますか、機関が店を出しております。これを時間の許す限りほとんど全部巡礼いたしました。彼らがいかなる方法で、いかなる機構で、いかなる程度の予算を持ち、どういう熱意をもつて外客吸收に当つておるか。またそれを汽船会社なり、鉄道会社なり、あるいは航空会社なりという方面のサイドから見まして、一体どういうような働きなり、効果を上げておると見ておるのであるか。あるいはまた專門のトーマス・クツクとか、アメリカン・エキスプレス等のツーリスト・エイジエンシーというようなものが、日本観光に関する外客の吸收について、いかなる要求を持つておるかということにつきまして、実は全部当つて参つたのでございますが、その結果、アメリカの西部は東洋に関する理解が非常に深いのでございまして、比較的観光客は吸收しやすいのでございますけれども、東部の方は実は観光客を将来開拓するについて、最も大きな市場であるということも痛感いたしました。同時にまた本部から観光客を吸收するといよことは、欧州と比べまして、東洋はいかに困難であるかというような事態もつくづく見たのでございます。なおアメリカのプレシデント・ラインその他日本関係を持つております船会社、航空会社などがいろいろ宣伝、印刷をしたり、いろいろ映画などつくつてくれております。またそれぞれ見本をもらい、事実を見せてもらい、またわれわれの参考になるよう意見も申し述べて、将来ともにその方面に力を盡してもらいたいということも依頼いたしたのでございます。なお私の持つて参りました観光関係のいろいろな資料も、そういうようなところの最も適切と思われるところにはこれを呈上いたしまして、まず一応の連絡はつけて参つたのでございますが、その後私といたしましては、日本のそういうエイジエンシーをその地区に置くということが、最も大事だと考えたのでございまして、その点について今回の予算には、政務次官の御指導のもとに十分の努力をいたしておるのでございますが、何分そういう機関を向うに送るという方の許可がまだ出ておりませんので、仮定的に予算に載せることが困難であるのでございますが、許可が得られ次第に、その必要の費用については心配をさせない、こういう確約を得たような次第でございまして、今後はこの許可の得られるように、十分の努力をいたしたい、かよう考えておる次第でございます。  なお国内と申しますか、観光の受入れ政策という点におきましては、道路が中心問題であるということ、それにホテルというものが非常に大事でありまして、道路とホテルというものがなければ、いかに声を大にして観光を叫びましても、ほんとうに外客を誘致することはできないということをつくづく痛感いたしたのでございます。サンフランシスコでは一日二日忙しい日程を差繰りまして、友人にヨセミテの国立公園へ自動車で案内されまして、その道路、つまり国道と山に入る観光道路、それから国立公園内の道路といつたようなものが、自動車に対してどういうふうにできているか、いかに金がかけられているかといつたようなことを、つぶさに視察して参りまして、ますます道路行政重要性考えておるわけでございますが、この点については今後道路計画その他に対しまして、観光の見地からいろいろと要求を持ち出しまして、国力の範囲内においてなるべく観光に役立つよう道路を急いでつくつてもらうようなことに努力いたしたい、かよう考えておるのでございます。なお融資あつせん、これは御指摘のごとく一番大事な問題でございます。今までの実績におきましても、約二億円程度の融資あつせんの実績を上げておるわけでございますが、もちろん要求に対しては微々たるものであるということは事実でございます。  なお見返り資金による相当りつぱなホテルの建設ということも、最も大事なことだと考えまして、これは私帰りましてから、関係方面の了解を得べくいろいろと努力いたしまして、一時問題にならなかつたのでございますが、またこれを取上げてもらうという程度まで行つたのでございます。しかしながらこの観光事業は現在の情勢では、御承知の通り採算ベースに立たない。立ち得ないのが自然だろうとも思いますが、そういつたような問題に対して、事務的に多少の見解の相違がございまして、目下その件について意見の調整に努めておるというような事態でございます。まことに微力で、十分の実績をお認めいただくまでは参つておらぬとは存じておりますけれども、われわれとしてはそういうよう熱意をこの部門に対して持つておりますという衷情の一端を申述べまして、今後の御指導、御鞭撻をお願いいたす次第であります。
  17. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 ただいま政務次官にきつく当つたような感がありまして、まことに申訳ありませんでした。私は愛する意味におきまして、私の主張を申し上げたのですが、ただいま御回答によりますと、大体におきまして、国外の宣伝等にいろいろな手続の関係があるということでございます。もちろんその通りであると思います。ただ国内の道路とか、観光ホテルの問題につきまして御説明もあつたので、それらの点は了承いたしましたが、ただそのうちに現在二億円の融資の補填に対しまして、私どもとやかく言うわけではありませんけれども、これは四つのホテルに対しまして約三年がかりで、その融資の実現が得られた次第であります。現在各地の観光地というものは、観光百選というものを取上げるわけではありませんけれども、これだけでも百何十箇所ある。この百何十箇所の日本観光地に対しては、少くとも一つくらいのホテルをつくりたいのが、われわれ観光関係者希望であります。同時に国内のお客様には、もう少し日本の内地の観光だけでも見られるような方法を、運輸当局、また観光部におきまして心していただきたい。私がつくづく考えますことは、前田委員長と九州のすみずみをくまなく視察をさしていただきまして痛感しましたことは、あの九州は私どもの想像していないような実にりつぱな所があります。ここで言葉で言えないような所があります。これは前田委員長がよく車中で言われました。君は北海道を見てどうとか、あるいは東京附近を見てどうとか言うが、北海道の観光の雄大さというものは、君言葉で語れないようなりつぱなものがあるのだからと言われましたが、なるほど行つてみましたら、りつばなものがありまして、私は驚いたのです。しかし九州全部の人の意見を聞きましても、九州全体に観光ルートをつくつて、せめて本州の人たちに一度見てもらいたいという気持は、全体の人の熱望でありまして、まず国内観光ということに当分の間心していただくことがいいのじやないか。同時に私がまわつたというわけではありませんでしようが、運輸委員方々とまわつたついでに、私は観光問題をひつさげて歩きました。そのせいではないでしようが、このたび観光百選の問題で、今赤マルをつけてみますと、九州だけで約五十箇所ございまして、投票を熱心にされている。その中でもことに熱心にされておりまして、第一、二を争つておりますのは、長崎の九十九島、宮崎の日南海岸、あるいは霧島山とか、桜島とか、天草島とかいうようなぐあいに、優秀なものがうんと出て来ております。これらを見まして、日本国全体がこういうよう考えを持つているのではないかということが、ここに裏づけられております。国民観光というものは実に必要だということを認識されて、日本ように原料のない国は観光資源によつて外貨の獲得をはかるということは、ある程度まで認識している現状でありますから、どうかこういう点を、くどくど申し上げるようでありますが、私はこの観光でとるならば、金がただとれるというような、早く言えば餌でもつて魚を釣るのだ、観光によつて外貨をうまく取上げるのだというような見地から考えまして、この問題を重要に取上げて、ひとつ国内の関係も今後十分にやつていただきたい。それには予算問題がありますが、ただいま次官のお話の中に、見返り資金の問題も何とか目鼻がつくのじやないかというお言葉をいただいたので、たいへんありがとうございましたが、同時に預金部の資金あたりも相当遊んでおるようでありますから、これらも何かの形で利用させてもらうようになれば、この業の発展に非常にいいのじやないかということも考えますので、今後いろいろな点でなお一層の御努力お願いいたしまして、私の質問を終りといたします。
  18. 滿尾君亮

    滿尾委員 本日は運輸大臣の当委員会に御出席なかつたことを、非常に遺憾と思います。この次のかような機会には、ぜひ大臣にもおいでをいただきまして、親しく私どもの意の存するところを聞いていただきたいと思います。委員長にこの点は必ずお願いをしておきます。  運輸省行政機構考えますときに、実は前回の委員会で私は自動車局長には質問をいたしておいたのでありますが、この陸運の総合的な把握という見地から考えまして、現在の運輸省機構は、私は非常に不十分だと思います。先ほど政務次官から、大体現状維持の線を確保できそうだという御報告があつて、その限りにおきましては御努力は多といたしますけれども、せつかくの千載一遇のこの機会に、運輸省機構そのものを現状以上の、もつと理想的なものにするという努力をしなければいかぬように私は考える。まずその面から申しますと、私は道路に対する所管を運輸大臣が把握することが非常に必要ではなかろうか、かよう考える。港湾局が先般来運輸省の所管になりまして、非常に都合がよくなつた。さらにこれは陸運の面におきまして、どうしても道路を把握する必要がある。従つてこの面に対して運輸省当局としてどういうふうに考えておられるか、どういう努力をなされつつあるか、伺いたい。もう一つ、自動車の製造工業に対する監督権であります。これは申し上げるまでもなく、運輸大臣の所管しておられます各種の運輸機関につきましては、船といわず、鉄道車両といわず、かつて飛行機のありましたときは、航空機の製作、いずれも交通機関は、その製作から運輸に至るまで、一貫した把握をしておつた。これで初めて私は運輸行政というものは全きを得ると考える。しかるに自動車だけが一つ取残されて、一般機械産業のわくに入つて、通産省の監督になつておる。通産省の立場からいえば、今日の軍艦をつくらなくなつ日本にあきまして、自動車製造工業というテイピカルな重要産業をドロツプさせることは、向う側としてはいかにも心さびしい次第でありましようが、ほんとうの自動車の発達、日本の陸運の発達という見地から考えますならば、やはり鉄道車両と船の製造を運輸省が監督しておられると同じに並べて、運輸大臣が監督すべきことがほんとうであろう。少くとも自動車を利用するもの、動かすものの見地を離れて、自動車の製造工業はあり得ない、かような見地におきまして、この面についてのお考えなり、また御努力はいかようなふうになつておりますか、まず伺いたい。
  19. 關谷勝利

    關谷説明員 ただいま道路に関してどのよう考えておるか、こういうお話でありますが、私たちといたしましては、道路建設省からはずして運輸省が管理いたしたい、このよう考えておりますが、いろいろ行政制度審議会等におきましても、私たちその旨を強力に主張いたしておるのでありますが、道路運輸省の所管とすることにつきましては、建設省あたりも非常な強い反対がありまするし、従来建設省でやつておりましても、建設省方面から申しますならば、道路はこれから開発すべきものが非常に多いので、建設というようなことに非常に重点を置かなければならないというようなことで、われわれの希望がいれられないよう状態であります。この点まことに遺憾でありますが、努力はいたしておりますが、現在のところそういうふうな見通しがいまだについておりません。  なお自動車の製造工業、これを通産省の所管にありますものを運輸省へと申します御意見、私たちまつたく同感でありますが、これまた現在の情勢といたしましては、なかなか簡單には参らない、このよう状態であります。
  20. 滿尾君亮

    滿尾委員 道路並びに自動車の製造工業に対するお考えは、非常に運輸省のお考えが萎縮しておる。これはもう少し広大に考えて、運輸省のほんとうの総合的な運輸の把握という見地から、いま一段と奮励されんことを私は切望してやみませんが、これは大臣御出席のとき、もう一ぺんこの意見をたたいてみたいと思いますので、これは他日に讓ります。  今度は観光部の問題でありまするが、これは関谷次官からいろいろ御陳弁があつて、それぞれの事情についてよくわかつたのでありますが、私はこれをなぜ観光局に上げないか、運輸省当局は局に上げられる考えはないのかどうか。考えてみますると、昭和の初めごろ、昔の鉄道省に観光局があつた。ところが、昭和五、六年ごろの日本の客観情勢において、観光事業が占めておりましたその関係的重要さと、今日の日本観光事業を必要といたしまするその関係的重要さは、比較にならぬほど今日の方が観光事業というものが、わが国にとつて大切な時期に相なつておると考える。しかるに昔でさえもすでに観光局であつたものが、今日観光部で小さくかじかんでおりますが、これは非常におかしい。また部といい、局といい、その役所の長官は一級官をもつて充てる。局長にいたしましても、部長にいたしましても、活字の相違にすぎない。何をわざわざかじかんで部長というような名前にするか。私はこれは当然局長にしてしかるべきものだと思う。また観光仕事は、省内の他の内部的な部局と比べますと、多少違つた色彩がありますから、これは海上保安庁と並んで外局とした方がいい。單なる内部の一局長にしないで、外局の大局長にする。このくらいの構想を持つて運輸省はお考えにならなければ、やはり観光事業には腰が入らぬように思います。もとより観光局仕事は、各種の船会社なり、あるいは国内の国有鉄道その他の私設鉄道、あるいは旅館の連盟といつたような、対外的な三本足、四本足の上に乗らねばならない。また国内にしましても、他官庁との関連が非常に高い。それやこれや考えてみますると、そういう方面を総合いたしまする一大委員会というようなものを踏まえて、その上に立つて活動しなければならぬ。そういう見地から見ましても、私はこれは大きな外局にせられることが最もふさわしいと考える。それを部内の内部の一局にもしないで、大臣官房の一部とするというようなお考えでは、もうここに観光事業が花を開かないで、しぼんでおるという感じがするのでありますが、観光に関する機構についてお考えを伺いたいと思います。
  21. 關谷勝利

    關谷説明員 現在ありまする観光部を局にいたしたいということは、運輸省全般が非常に熱望しておるところでありまするが、行政制度審議会等においてもいろいろ審議いたしまして、私たちも強硬に主張いたしたのでありまするが、現在行政の簡素化というようなこともいわれておりまする際でありまして、運輸省内の部を局にするということにつきましては、非常に反対がありますし、観光部を外局にするというふうな考え方も、運輸省といたしましては、現在行政制度審議会あたりでいわれておりまするように、内閣へ持つて行こう、こういうような線とからみついて参りますので、この点非常に微妙な関係がありまするので、その点は外局にするということは主張はいたしておりませんが、内局で部を局に昇格するというようなことは、強力に主張いたしておりまするが、行政制度審議会でもいれられなかつたのであります。今度運輸省設置法の部が廃止をせられるという時期が参りますると、これを局にするか、あるいは課にするか、いずれかにしなければならない時期が参りますので、その際にはどういたしましても局に昇格いたしますよう努力いたしたいと思います。
  22. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 九月十九日の本委員会で、荒木官房長から、運輸行政は一方においては事業の濫立による不当競争を防止する、また独占の弊害を阻止するということと、他方設立された事業を保護育成するところに目的があるというようなお話がありまして、これに対して同僚議員から、国鉄は非常に民業を圧迫しておるというようなことがある、それに対する御意見はどうだというよう質問があつたわけですが、これに対して中村業務部長でしたか、それから足習監督局長から、決して民業を圧迫するようなことはしないという御答弁があり、またその筋からもそれは差控えるべきだというようなことを言われておりますけれども政府当局としてはそうした意見として伺つてよろしいでしようか。
  23. 秋山龍

    秋山説明員 国鉄が民業を圧迫するきらいがあるではないかというような御質問だと思いますが、運輸省といたしましては、先ほど御質問の中にもお述べくださいましたように、あらゆる交通の民業及び官業を通じまして、不当競争による資本の浪費がないように、最高能率に、しかも独占による横暴がないようにということを、運輸行政の中心としてねらつておるということは、御質問の中にありました通りでありまして、国有鉄道の横暴というような問題もいろいろあります。また国有鉄道が独占体として強過ぎるために、他の民業を圧迫するという声は、しばしば聞くところでありまして、われわれはそういうことのないように、十分の注意をいたしておるわけであります。ただ他の交通業に比べまして非常に厖大でありますために、單なるある種の一部の当然なされなければならぬと考えような施設の改善、あるいはサービスの改善が、ただちに民業に響くというようなところがございまして、国有鉄道としてやらなければならぬサービスの改善が、民業との不当競争であるのかどうかというような点につきましては、いろいろと判断上むずかしいところがございますが、われわれの方針といたしましては、民業は圧迫しないように、しかしお互いに競争によりまして、施設なりサービスなりが適度の速度をもつて改善されるようにということを考えておる次第であります。
  24. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 いま一つ第二問の、できた事業を保育育成するという問題に対しては、どういうようにお考えになつておりますか。
  25. 秋山龍

    秋山説明員 この保育育成というような事柄も、いろいろな方法があると思うのでありまして、補助金を出すということが、最も端的なる保育育成であるというようにも考えますけれども、実はそれ以外にも保育育成といつたような事柄はある。それはたとえば法律に基かないいろいろな行政行為の中にもございます。いろいろと事業者間の争いがあります場合には、それを適当に調整するということも、やはり保育育成の一部になるよう考えます。また運賃その他認可制になつております料金を考えます場合に、運輸業者の必要な経費と外部の荷主等がとります立場とは、おのずからそこに対立的なものがあるのでありますが、そういうふうなものも、やはり運輸事業が成り立つて行くように、しかしまた一面全体の公益との調和を破らぬようにというようなところに、行政の目的を置いているというところにも、やはり保育行政的なものがあるわけであります。しかしどうしても行きません場合には、補助金の支出によるのもまたやむを得ないのでありまして、その点は離島に関する定期航路、これは海の上の道路ようなものでありまして、これなくしては離島の人と本土の人との間の交通はとまつてしまうわけであります。道路は国費をもつて、公共の資金をもつてやるのがいずこにおいても建前になつております。従つてこの航路の維持につきましては、私どもはそれと同じ考えをもつて、赤字のために経営できないという場合には国家の資金をもつて、あるいは公共団体の資金をいただき、ともにこの維持をなさしめるということは、これはもう当然のことであるという面を考えております。また鉄道につきましても、さような面がいろいろと考えられるのでありまして、たとえば北海道における鉄道のごときものは、開拓鉄道的色彩を持つておりますために、設立の当初からなかなか收支合うというわけには行きませんので、そういうようなものにつきましてはやはり補助金を考えておるわけであります。しかし補助金は税金で上つた金でございまして、国民の負担であります。またこれを貸し付けるにつきましはては、よほど注意いたしませんと、濫に流れるという危險もございますので、この間なかなか愼重にいたしておりますけれども、そういうふうに直接保護育成をはかつておるものもあるわけであります。大体かような事柄をもつて保護育成を考えておるような次第であります。
  26. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 国有鉄道の軌道とか、あるいはバスとか、トラックとかというようなもので、地方の私鉄とか、あるいはバス、トラックというものは、非常に收支が合わないで危殆に瀕してしるというようなところが、全国では数多くあるわけですが、さようなものに対しまして、たとえば私鉄を買收するとか、あるいは省営のバスの路線を廃止するとか、あるいは讓渡するとかいう御意思はありますか。お尋ねいたしたいのですが。
  27. 秋山龍

    秋山説明員 国鉄の力といいますか、そういうものによりまして、いわゆる保護的な作用を営ませるかということでございますが、これは国鉄の独立採算制という点から考えまして、なかなか愼重に考慮を要するものがあると思つております。あるいは多少数字が違うというよう意味の御批判もあるのではないか、またあるべきではないかというふうにも考えております。一般的に考えまして、どうしても経営ができないところでも、それが利用者の程度その他交通量といつたようなものから、社会的に維持しなければならぬということが非常に明確にいわれるものにつきましては、これを維持せしめるように、それ相当の措置を講じなければならぬかと思うのでありますけれども、個々の場合にあたりましては、なかなか困難な問題もあるよう考えております。
  28. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 建設の路線に対しましては、運輸省は来年度から着手したいというようなことで努力しておるのでありますが、以上の前段申し上げたような私鉄とかあるいはバスについては、まだ考慮しておらないように今お聞きいたしたわけですが、たとえば問題になつておる大澤委員などが調査に行きました草津から軽井沢に行つている電車は、長野原、澁川線が開通し、長野原、真田線が国営バスというもので経営されており、また上州三原から草津まではバスが通つている。なお最近では高速度バスを出して澁川、草津間をやつておる。またトラックにいたしましても、澁川の自動車区はおそらくあの線の貨物をさらつておる。もちろんそのトラックに対しましては、その電車が運び切れるというようなことを国鉄は申すでありましようけれども、まつたくさように八方から攻められて、気息えんえんというよう状態になつて、軽井沢、上州三原間を不採算線だからはずしてしまうという株主決議をして、運輸省に迫つているという状態もあるのでございます。また大分県の豊州線という鉄道も、先般私ども陳情を受けて、国鉄に買い上げてもらつたらどうかというような御意見もありますけれども、そういう鉄道に向つては何とかお考えはおありでしようか。
  29. 足羽則之

    ○足羽説明員 ただいまの草軽鉄道の問題でございますが、この鉄道は会社の方から今お話のように、軽井沢から上州三原の間の線を撤去いたしたいというふうに申出が参つておるのでございますが、いろいろ会社の内容を調べてみますと、経営の困難な事情もあるようでございますが、しかし簡單に撤去をするという結論を出しかねる事情もあるようでございます。いろいろ取調べまして、目下運輸審議会にこの問題は運輸大臣より諮問を出しております。運輸審議会では近く公聽会を開いて、諮問に対する答申の態度をきめよう、こういうふうに考えておるようでございますが、また結論が実は出ていないわけであります。
  30. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 今足羽監督局長からその成行きだけを聞いたわけですが、ああした線は国鉄の圧迫というように御解釈はできないでしようか。国鉄の方から申せば圧迫じやないと申されるでしようが、われわれ公正な立場から言いますならば、おそらく国鉄によつてあの線は不採算線であり、不適当と考えられますが、いかがですか。
  31. 足羽則之

    ○足羽説明員 草軽鉄道の毎期の営業内容を見て参りますと、初めからかなり採算の合わない線でありまして、従来私鉄に対する補助がございました時代、その補助によつて辛うじてやつて参つた鉄道なのであります。それに加えて今御指摘のありましたように、あるいは省営バスの開通、あるいは戰争中に長野原の鉄鉱を輸送するために、澁川から長野原線が開通されまして、これがあわせて旅客を取扱うようなつた。そういつたことの影響もあると思います。あると思いますが、しかし国鉄の圧迫のみによつて営業ができなくなつたとは、私たち考えておらないのでありまして、むしろ長野原線の開通なり、あるいは省営バスの開通によつて、経営が絶対にだめになるという状態であれば、その当時においてそういつた問題が強く論じられ、あるいはその処置が講ぜられておるべきはずのものであつたと思うのでありますが、必ずしもそのためのみによつて、あの会社の経営が立ち行かなくなつたというふうにも考えられない。むしろあの会社自体といたしまして、補助によつて辛うじてやつておつた。大体こういう性質の非常に濃い会社であると私たち考えておる次第であります。
  32. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 従来補助によつてつておつたというお話でございますが、先ほど秋山次官のお話によりますと、独立採算制と公共企業体は相矛盾するようなことに相なりますし、こうした機構改革なんである、公共企業体だからこうだというようなことを言つておられる。われわれから申しますならば、ああした鉄道は補助を出してでもやるべきものじやないか。もし補助を出してやらないとしたならば、バスを民営に拂い下げるなり、何とかして保護育成して行かなければ、とうていあの鉄道はやつて行けない。また軽井沢から上州三原まで廃止いたしましたならば、とうていあの省営トラックとか、省営バスのみでは、あの交通がやつて行けないというような私ども見解を持つておりますけれども、そういうものに対してどういう御処置をくださるか、御意見を承りたいと思います。
  33. 足羽則之

    ○足羽説明員 先ほどあの路線をただちに廃止しかねるよう事情があると申しましたのは、われわれといたしましては、ただいま運輸審議会に諮問をしておりますので、その諮問の答申の結果をまつて、公式にははつきりした態度をきめる、こういうふうにいたさなければならないかと思うのであります。しかし何らか、存続の方法なり、あるいはそれにかわる交通の機関をつくるか、何か窮通打開の道はないか、こういう考え方は、関係者のひとしく考えておる点であります。それらの点につきましては、あそこは長野県とそれから群馬県と関係しておるわけでありますが、県の当局の方でも、いろいろその点について関心は非常に深うございまして、もう少し何か考えてみたいからもう少し待つてくれ、実は内々の話でございますが、そういつた動きもあるわけであります。従つてもう少し審議会にも諮つて、それが手続が進行いたすわけでありますが、それと同時にそういつた点についてもう少し考慮したい。何かの方法を検討して参りたい。こういう気持を私たちつておるわけであります。従つてまだ早急には実は結論を出すことを控えておる、こういう事情であります。なお先ほどのお話のうちには、あるいは国鉄が買收をしたらというお気持があるように想像されるのでありますが、国鉄としましては、おそらく買收する意思はないように私たち打診をいたしております。
  34. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 その民営圧迫ですが、おそらく全国のうちには、きつとああしたようなところもあり、まだほかにも省営トラックというものもあり、またバスをやつておるところもあると思います。そういうところでだんだん民営自動車がたくさんになつて参りまして、先ほど秋山次官の言うような、不当の運賃でもつてつておるというようなところがあるわけです。その他最近区間輸送というものができましたけれども、きようは自動車局長がおりませんので、こまかく質問することは控えるわけですが、民間のトラックとかあるいは通運会社に対しましては、許可制というものがありまして、許可がなければ区間輸送はできないわけでありますけれども、省営トラックに対しましてはそうしたような規則はないので、かつてにいろいろに民営のやることに手を入れて、やつて行くというようなところが多々あるわけです。先ほど地方陸運事務所の窓口がどうこうというお話もありましたけれども運輸省とすれば、それらのことを監督いたして、末端の御意見をお聞きしたでしようか、どうですか。ちよつとお伺いしたいのです。
  35. 足羽則之

    ○足羽説明員 国営バスの監督につきましては、まず第一には、鉄道監督局でこれが監督をいたしておるわけであります。運賃の点につきましては、これは自動車局が直接監督をいたしておるわけでありますが、あるいは新規路線を始める、あるいは新しい自動車区を設置する、あるいはこれの運行回数をどうするかというふうな運営の問題につきましては、まず鉄道監督局の方に、国有鉄道から禀申がございまして、その内容について検討した上、あるいは新規路線を設定する、あるいは自動車区をつくるという場合には、これを自動車局と協議をいたします。そうしてその内容に応じて、あるいは私たちの方だけでこれを認可するものもあり、あるいは一般の自動車運送事業として許認可する必要があるものは、自動車局でこれを承認する。こういう手続をとりまして、国営自動車といえども、かつてに、自由な区間を自由に運行でき、あるいは自由に運賃をきめるというわけには参らないことを、御承知を願いたいと思います。
  36. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 自由に区間をきめることも、自由に運賃をきめることもできないというようなお話でありましたので、他日私はそうした事実があつたことを御指摘申し上げて、また御意見を承りたいと思います。さよう意味において、今日は自動車局長もおりませんので、質問を保留いたしまして、これで終ります。
  37. 滿尾君亮

    滿尾委員 私もただいまの黒澤委員質問に多少関連して、お伺いいたしたいのでありますが、運輸省の鉄道に関する政策というものが、私の拜見いたしますところでは、非常に貧困であると考える。ただいま黒澤委員の言われましたようなぐあいで、原因はいろいろありましようが、立つて行かないよう地方鉄道ができた。それを自然に衰亡するままにほつておく。それかといつて、線路の撤去もさせない。そうするとへびのなま殺しにあわしている。その間地方の人民も非常に迷惑する。私の郷里の方にもそれほど悪い状態ではないのでありますが、非常に力の貧弱な地方鉄道がある。地方民として見れば、この鉄道の規格を上げて、国鉄の大きな輸送の網の目の一環にしてもらいたい。あるいは運賃の面において、あるいは輸送力の面において、いろいろな面において、どうしても国鉄並の規格にこれを上げて、国鉄と完全な連繋をとつてもらいたい。できればこれを買收して、国鉄の一部にして、改良工事をしてもらいたいという要望が、非常に切なるものがあります。おそらくは全国にこういうものがたくさんあるだろうと思う。世の中にはただ何でも民営がいいのだ、国営はいかぬのだという議論も、相当あることはあるのでありますが、運輸大臣とされまして、これらの交通問題に対してどういうお考えを持つておられるか。それは経営主体が異なるのだからほつておくよりしかたがない。自然のなすがままにまかしておくという状態は、それでは国の鉄道政策としてあまりに無為無策に失するのではないか。もちろん一つの方法は、これの補助金を出すこと、しかし補助金を出すことができなければ、あるいはこれを買收することも一つの手だと思う。しかし国鉄の独立採算の点から、不経済線をむやみに買うわけには行かないという問題も、内部から抵抗として起つて来る。しからば国の政策としてどういう手を打つか、結局日本の陸運の交通機関というものは、彼此連絡いたしまして、どこを打つても大体似たような力を持つような網の目をつくり上げることが、究極のねらいではないか。地方鉄道というものは、お前たち企業意欲を満足して金をもうけろ、その結果として、地方民が便利になる。そういう貧弱なものではないと私は思います。国が一体地方鉄道を免許せられたゆえんのものは、すみやかなる交通網の確立にある。しかも同じ素質の交通の便益の提供にあるのじやないか。国営で手が延ばされぬところを、民間の資本でやるものがあればよろしいと言われるゆえんのものは、そこにねらいがあるのじやないか。従つて国の鉄道政策として、その輸送に対して孜々としてうまざるところの努力がなければならない。ただ運輸大臣の鉄道政策なるものは、あるがままの民営鉄道を、その運営だけを許認可して事足れりとするようでは、私は鉄道政策の貧困と言わなければならないと思うのであります。これらの方策についてどういうお考えを持つておられるか、お伺いいたしたい。
  38. 秋山龍

    秋山説明員 お答えいたします。大体交通機関は、応分の原則というものが基本にあると思うのでありまして、交通需要の程度に応じた交通機関があるべきであるというのが、大体経済的に見まして交通機関の持つ特殊性であると思うのであります。従いましてそういつたよう状態で起りました交通機関が、ある地方の発展の段階によりまして、とうてい従来のままではいけない。そこに脱皮を要する時期があるということが考えられるのでありますが、その時期には脱皮をせしめるように、相当の指導を加えなければならぬということも当然であります。またわれわれが鉄道あるいは自動車の許認可をしておるということ、同時にまた廃止をも許認可にかけておるということは、すなわち交通事業が非常に公共的な性質を持つておりまして、事業者のいわゆる純粋の私経済的な考え方によつて事業を開始し、また事業を終了せしめるということはできない。そこに公益との調和を考えなければならないというよう関係にあるということに基いておりまして、廃止を許認可にかけておるということは、ある交通機関がとうてい自力でやつていけないという状態になりましたときに、その経営を継続せしめる必要があるのか、やめさしてもよいのかということを判断する。継続せしめるためには、そこに何らかの継続を必要とする場合もあり得ると思うのでありまして、われわれはその判断をいたします場合に、これをぼう然手をこまねいて、自然の経済原則のあるがままに事が運んで行くのを見ておるというわけではないのであります。しかしながら一旦民営として、私有財産として発達しました事業が、なるべくその創意とくふうと責任において、維持、改善、進歩、発達するということをこいねがうことは、当然のことだと考えております。経済的に成立たなくなつた鉄道を国有鉄道で買收するということだけが、この解決策とも考えられないのでありますし、また国有鉄道を公共事業体にいたしまして、必ずしもまだ年数は古くないのでありまして、今後そういつたような場合に、国が直接鉄道を経営いたしておりました場合と、どの程度に政策上の差異を設けるか。これは確かに研究を要する問題であるということを、先ほどから申しておるような次第であります。ある交通機関が行き詰まつて廃止しなければならぬという場合には、その原因がなへんにあるかというのはまことに重大な事柄でありまして、それがもし経営の改善その他によりまして、何とかやつて行けるという目途が——経営上の失敗であるという場合には、もちろんその失敗を是正してもらつて、私営のまま経営を改善されるということが、国家全体の経済として最も望ましい次第であります。しかし経営にも何らの落度がない。最善の努力が拂われておる。しかしどうしても経済的に成立つておらない。そこには交通機関の応分の原則が少し行き過ぎておるかもしれないのでありますけれども、そういうことは別といたしまして、そういつた場合には何らかの事情で、経営を廃止すべからず、また公共的性格から廃止し得ないという事情にある場合には、そこに国として何らかの措置考えなければならぬということは、これもまた当然だと思つております。黒澤委員から御質問がありましたような具体的な問題につきましては、一体その原因なり事業なりがなへんにあるのか、またこれを廃止し得るのであるかどうか、廃止すべからざるものであるかどうかというふうなことにつきましては、いまだ調査が完了しておらないのでありまして、運輸審議会に諮問し、運輸審議会が現地について公聽会その他の方法によつてこれを明らかにし、そこで結論が出て来ると思うのであります。もちろん結論が出ます場合には、いかなる措置を必要とするかということの感覚も当然出て来る、かようなことも期待いたしておるような次第であります。
  39. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいま秋山次官から応分の原則というものを伺いましたが、私はその応分の原則なるものがよくわからない。これは交通量の少いところには、貧弱な施設で分に応じた施設をやろうというようなお話にも受取れるのでありますが、ものによりましては必ずしも応分の原則通り行かない。その線区がいかなる交通上の位置を占めておるかということによつて、非常に違つて来る。つまりふん詰まりの支線でございますればいかにもごもつともで、応分の原則もけつこうでありますが、沿線は割合に人口稀薄で、経済的に貧弱でありましても、それが突き拔けまして他の線区の交通の通路に当るような性格を持つた線におきましては、絶対に応分の原則は適用されない。環状線の網の目を形成しますような性格を持ちます線は、その沿線のみの経済力の問題ではない。全体の交通網の一環としての値打をそこに持つて参りますから、たとい貧弱の地域の鉄道でございましても、かように見て参りますと、一概に応分の原則なるものに行かない。また次官のお話を伺つておりますと、次官のお考えは、思想が分裂しておるように私は拜聽する。それは公共的な主人公に仕えるものと、私有財産として発達した私経済的な経営権を尊重したいというお考えと、二つの主人公に同時に仕えようとお考えになつておるのじやないか。私の考えまするところは、結局本来ならば鉄道のような交通機関というものは、公共的経営でしかるべきものではないかと思う。これはアメリカなどの考え方と違うのでありますけれども、本来ならば国家がやるべきである。私は交通機関は道路である、道路のバリユエーシヨンであると考える。そこで本来国がやるべきことを民間に特許した。こういうようなところに私は基本の考え方を持つておりますので、何かそこに鉄道を敷いたような場合に、それが私経済として経営がまずいために悪くなつたのならこれは問題ない。この場合にはそれは簡單にいろいろ方策を講ずればよい。しかし客観情勢がいろいろかわつて来て、そういう経営者の責任に基かずして、時勢の変化、その地域の経済上の客観的な大きな変化のためにどうしても立つて行かないような、あるいは衰えて行くようなものができる。そういう場合には運輸大臣としてどうしてももう少し積極的な態度をとられる必要があるのじやないか。ことに私たち考えますことは、相当幹線的性格を持つておる私設鉄道が、非常に貧弱なために、たまたまその鉄道がなかつたならば、国有鉄道が早くそこに進出しただろうと考える。ところが早くそれが何十年か前に占領しておるために、その地域の人民は、他の地方に比べれば国鉄のサービスを受けることができない。その鉄道がなかつたら非常に助かつたのに、なまじあつたために非常に不便をこうむつておるというような事態もたまにはある。そこで私の申し上げたいのは、どうしても相当発達した地域に対しては国有鉄道として、国家として同じ素質の交通の便益を提供する考え方を、交通政策の中に織り込む必要はないか。従つてそれらのものに対して許認可その他のいわゆる行政行為、行政処分をもつて足れりとして見ておるのでは、鉄道政策は貧困である。今日いろいろむずかしい制約がありますけれども、もつと積極的に国の鉄道網という全体としての交通のフアンクシヨンを上げるために、具体的な方策に一歩踏み出される時期じやないか。收入が最小限度の干渉をするのが、最良の政治だというような思想で、じつと構えておる時期ではない。ぜひひとつ鉄道政策について具体的な政策を今後持つて出ていただきたい。ある場合は国鉄への買收でありましよう、ある場合は国家がある程度経済的損失を補償して、国鉄に何かさせる。あるいはまた当事者に何らかの重大な改善命令を出すとか、いろいろな手を打つ時期ではないか。従来は遺憾ながらそういう積極的な動きはなかつた。そのために今申し上げましたような中途半端な私設鉄道ができたために、地方の発達が阻害されている部分が相当ある。草軽鉄道の場合は、気息えんえんとして瀕死の病人になりましたが、これは最も病状が悪化しているのでありますが、草軽鉄道まで行かないにしましても、同じようなものである。私は問題を具体化するために鹿兒島の南薩鉄道、これは四十キロばかりあるが、相当の幹線鉄道である。このために南薩地方の人民諸公はむしろ悲鳴をあげておる。私はぜひこれらの南薩鉄道につきましても、国が積極的な手をさしのべられんことを希望してやまない。
  40. 秋山龍

    秋山説明員 議論の立て方等につきましては、いろいろ考え方もあるかと思うのでありますが、その点はおきまして、結論といたしましてお考えになつているところと、われわれが考えておりますことには、そう大差はないよう考えております。御注意になりました点は、種々の制約下におきまして、思う通りに行かない点が多いのでありますけれども、大体その方向に努力したいと考えておる次第であります。
  41. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 先ほど来畠山委員あるいは滿尾委員等から、観光事業の問題に対して種々質問があり、また秋山次官からもこれに対しての御見解を御答弁になつようでありますが、私はわが国の観光客というものの主眼を、運輸省はどこにそのポイントを置いているか。すなわち外客を誘致するのが目的であるか、あるいは国内の観光客を満足せしめるのが目的であるかというような点を、一言お伺いしておきたいと思います。
  42. 秋山龍

    秋山説明員 運輸省観光事業について、外客の誘致を主とするか、国内観光を主とするかといつたような御質問と了承いたしましたが、私はいずれも大事なことである、かよう考えております。国際観光事業がわが国の戰後に置かれました特殊な地位にかんがみまして、この経済を維持する上において、貿易、海運等と相並んで大きな支柱の一つであるという意味におきまして、外客の誘致というものは非常に力を入れなければならぬ事柄であると考えております。また他方国内の観光の開発及び観光資源の開発ということも、もちろん非常に大事なことでありまして、また必ずしもそれが両立せざるものでないというふうに考えておりますが、多少それの種類が違いますというふうな面から、施設その他を増進する方法等につきましては、おのおの違つた方策を持つて行かなければならぬと思いますけれども、いずれも大事なことだと考えております。
  43. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいまの秋山次官からの御説明によりますと、国内の観光客もあるいは外客も、同じく重要であるというような御答弁であつたように承つたのでありますが、私は現在の運輸省方針と申しますか、すでに観光ホテルをつくる場合、これに対しての特別の融資の面がある、あるいは租税の減免をするとか、運輸省観光部行政面について、外客に対してだけの面は特別の施策をこらしておる。国内の観光客に対してのそれらの施策は、何ら手を打つてないということが現実の姿であるのでありまして、ひいては現在の機構改革、すなわち陸運行政によりますところの陸運局の問題にも、十分これは考えなければならない問題であると思うのであります。すなわちわが国の陸運行政というものは、国内の陸運の行政でありますので、従いまして自動車とかあるいは道路というものが、陸運行政に対しては重要な問題でありますが、かような点を運輸省地方に委讓することは、われわれ初め最も反対でありまして、運輸省が国内交通の一貫性という面からいたしまして、当然運輸省の直属でなければならぬと考えることはもちろんでありますが、かような点から考えまして、陸運行政についてはすでに国内の観光客に対しての施設が、パーセンテージから考えますれば八〇%ないしは九十%あつたのではないか、そのうちの一〇%あるいは二〇%というような外貨獲得の面からいたしましてのみ、この行政面を運輸省考えたといたしますならば、先ほどの陸運局の問題に対しても、もう一歩検討を加えなければならぬということも考えられる問題でありますので、かような点について運輸省当局のつつ込んだ意見を一言お伺いいたしておきたいと思います。
  44. 秋山龍

    秋山説明員 私どもがやつておりますことが、少し国際観光に偏重してはいないかというふうな御質問ように存ずるのでありますが、運輸省方針といたしましては、国際観光、国内観光ともに重要であるという方針を堅持いたしておりますことは、かわりはないのでございますが、これが施設等を進めるにつきましては、やはり緩急がございますし、また限られた資源、資材等の関係もございまして、なかなか双方思うようにならないというのが実情でございます。その場合にはやはりどちらが現在よけいに欠けておるか、どちらがより緊急に要求されておるかというようなことが、結局判断の問題になると思うのでございます。私どもといたしましては、戰争前の国際観光が相当はなやかに、またやかましく努力もされたのでございますけれども、何と申しましても国防国家といつたよう考え方から、ある種の制約があつたということも事実でございます。やはり施設その他の面を見て参りますと、これは戰争のために、十年以上二十年近い文明のギヤツプが起つたというふうなことも、原因であると思いますけれども、あまり外客誘致施設というものが、向うに比べまして程度が劣つておるというふうに感ぜられますので、とりあえずこの方に力を注いでおるということは確かにあると思います。それは右のよう事情によつておるものでございまして、方針といたしまして決して軽重を考えておるというような次第ではないのであります。
  45. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 御説明の趣旨は一応は納得できたわけでありますが、わが国の観光地を一応見ますのに、すでに富士にいたしましても、箱根にいたしましても、あるいは他の観光地にいたしましても、大体その観光地として最も観光客を誘致するのに適当なるホテル等は、現在ほとんど占領されておりますので、わが国といたしまして、観光施設が非常に貧弱であるということは言えるのでありますが、これも運輸省観光行政の面から考えまするときに、永久にこれが占領されておるということばかりは考えられませんので、すでに大きな資本をこれに投じてやるだけの、国内の根本的な財政の面から見ても、そういうことができ得るならば、すなわち先ほど申しましたように国内の客を誘致するところの自動車とか道路とか、あるいは観光地に対するところのすべての施設の点をもつて改善しなければならない問題が当面の問題に迫つておるのではないか、かよう考えられますので、この点も十分外客獲得という面から、これに対して偏重であるということも言われておりますが、それを一応運輸省自体が承知いたしておるならば、一歩進んで、先ほど申しましたように国内の客を誘致するための施設等に対してもう一歩進んで、両々相まつところの行政考えるべきであるのではないか、かよう考えられますので、この点を一言当局の御意見を伺いたいと思います。
  46. 秋山龍

    秋山説明員 大澤委員の御意見まことにごもつともと存じます。ただ先ほど申し上げましたように、限られた国力の範囲内でどつちを先にするかという事柄の問題から多少御不満の点もあるやに拜察するのでありますが、当局といたしましては先ほど申し上げました根本的思想にかんがみまして、なるべく早く外客方面の施設の遅れておるところをとりもどすようにいたしまして、一日も早く両立的な行政のできますようにいたしたい、かよう考えております。
  47. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいまの御答弁によりますると、私のお伺いいたしましたところの、すなわち道路とかあるいは陸上運送によるところの自動車とか、あるいは国内観光に適当の施設等に対しても、外客の誘致の点と同じようにこれを行う。すなわちたとえて言えば税金の面とか、あるいはこれに対する見返り資金の貸出しの面とか、その他資金面に対しても、政府が積極的にこれに対して応援をするということに了承していいかどうかをお伺いいたします。
  48. 秋山龍

    秋山説明員 道路の整備あるいは自動車交通その他の整備につきまして、鋭意努力いたしますことはもちろんでございます。ホテル関係等につきましてのお話があつたのでございますが、ただいま日本のホテルの優秀なものが特殊の需要に充てられておりますことは、現下の事情からやむを得ないことであります。と同時にこれは永久的なことではないと考えておるのでございます。しかしただいまお話がございましたような具体的な問題につきましては、なかなか困難な問題もあると存じますので、十分研究いたしてみたいと存じます。
  49. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 私は最後に簡單に御質問を申し上げておきたいことがございますので、お許しを願いたいと思います。  観光面につきましては、各観光委員方々よりも観光面に対しまして非常に御協力の言葉をいただいたので、この点は厚く感謝を申し上げます。ただいま黒澤委員より鉄道問題の話が出たのにつきまして、きようはお話しを申し上げないつもりであつたのでありますが、話が出た関係から、私の地方に対しまする新聞記事が出ましたので、一言お伺いしてみたいと思うのであります。昨日の静岡新報に、伊東から下田間の国鉄を見返り資金三十億円によつて臨時国会にこれを提出して、そうしてこれを敷きたいという記事が、名前から何からそつくりありありとここに出ておるのであります。伊豆半島には、いつも申し上げる通り交通が皆無でありまして、何とかこれをしなければならないということを、第五国会以来国会に請願いたし、その都度採択になつております。私どもといたしましてはこの採択の見通しということについて、一度もお伺いをしておりませんのにかかわらず、突如として新聞紙上に、企画課の人が即時三十億円の見返り資金によつてこれをやると言つたのは、どういうところからこの記事が出たか。また鉄道当局といたしまして、実際にかような決心があるかいなや。私どもは決心があるならばこんなうれしいことはないと考えますので、御当局の御答弁をいただきたいと存じます。
  50. 足羽則之

    ○足羽説明員 ただいまの新聞記事につきましては、私ども実は何も承知しておぬ次第であります。ただ来年度の新線建設の問題につきましては、先般も御説明をしたかと思うのですが、初め公共事業費から新線建設に充てる金をぜひさいてもらいたいということで、いろいろ折衝を重ねたわけでありますが、これは話がうまく進みませんでしまつた次第でありますが、しかしなお見返り資金から来年度新線建設に向け得る金がありやいなやということで、なお折衝はいたしております。しかしただいまお話のような具体的な問題とは、決して結びつく意味の折衝ではございませんので、その新聞の記事に関する限りは、われわれといたしましては全然関知しない。またわれわれの今折衝しておりますこととも関係はない、こういうふうに御承知を願いたいと思います。
  51. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 ただいま足羽監督局長さんから御説明でありますが、国有鉄道はこれに対して考えもなければ関係もないということでありますが、はつきりと企画課の何々と何々と言われ、しかも伊豆半島の町村会長をしております稻取町の町長が、その懇談会の席上で念を押したということも入つております。もちろんこれは関係のない者が、ゆすりたかりに行つて話しことでないということははつきりしておりますので、国鉄関係におきましてこれを知らないということは、私は言い得ないと思いますが、私どもはこれを詰問するものでなくして、こういうことでありましたならば、こんなうれしいことはないのですが、しかし私の選挙地元といたしまして、かようなことが先に出てしまつて、私があとから行つて、そんなことはまだだめですと言つたのでは、ちようど食べかかつたごはんをあんたよしなさいと言うことになるので、私ども責任もありますと同時に、御当局もかようなことが新聞に出た以上は、これをはつきりさせてもらわないと、今後われわれの立場もなくなります。この伊豆半島の多くの住民が失望の限りにあるのでありまして、この点につきまして、もう一度御答弁を願いたいと思います。
  52. 前田郁

    前田委員長 ちよつと畠山委員に申し上げますが、実は機構改正の問題が終りましてから、新線建設に関する問題を議題に供します。それから当局説明を聞きますから、そのときに詳細にやつていただきたいと思います。  それではこの際お諮りいたします。運輸省機構改革の問題は非常に重大な問題でありまして、本日お見えになりました理事の各位と御相談いたしましたところが、小委員会を設けて愼重に協議をいたしたいということでございますので、小委員会を組織いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定します。なお小委員長及び小委員の指名につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  55. 前田郁

    前田委員長 次に鉄道建設に関する件を議題とし、当局より説明を求めます。足羽監督局長
  56. 足羽則之

    ○足羽説明員 新線建設の問題は、当委員会並びに本会議でも、前々国会、前国会で取上げられまして、しばしば御説明を申し上げたのでございますが、われわれといたしましても新線建設に対して、これを真劍に検討をいたす機運を十分に察知いたしまして、これについていろいろ考慮中でございます。来年度の予算におきましても、新線建設に関する経費を計上いたしたい。それの最も大きな問題といたしましては、新線建設に関する財源を公共事業費に求めて、そうして来年度の新線建設をいたして参りたい、こういう意味考え方に基いて、関係の官庁と折衝いたしたのでありますが、これは話がうまく進みませんで参つておるような次第であります。しかしなおわれわれといたしましては、ぜひ若干の新線を建設するような方向に持つて参りたいと思いまして、先ほどちよつと申し上げましたように、来年度の見返り資金の公共事業に充当する部分から、新線建設に充て得る方法はないかということで、目下折衝いたしております。なおこれがどういうふうに発展いたしますか、まだはつきりその見通しを申し上げる段階に至つておりませんが、せつかく努力をいたしておるわけであります。
  57. 前田郁

    前田委員長 ただいまの当局説明に対しまして、御質問はございませんか。
  58. 滿尾君亮

    滿尾委員 新線建設の御心配に対しては、非常にわが意を得ておる次第でありますが、私が思いますのに、鉄道の新線建設の重要な一つのポイントは、鉄道が年々歳々一定の計画を立てて、あまり波乱のないような建設の方針を立てることが必要じやないか。ある年はうんと建設をやる。また内閣がかわつて次の年は建設予算をうんと落す。またやる。やつてみたりやめてみたり、こう波動を持ちますということは、鉄道の建設というような事柄自体からみまして、非常によろしくない。従つて新線の問題を考えますときに、どうかして年々歳々三百キロなら三百キロ、五百キロなら五百キロ、あまり波動を持たせないで、計画的に着々として延ばして行くような方法を考える必要があるように思います。当局はそれらのことについて、一体どういうふうのお考えを持ち、あるいはまた具体案を御用意になつておるか、伺いたい。
  59. 足羽則之

    ○足羽説明員 実はたびたび御説明申し上げましたので、前提はすつかり省略をいたしたわけでございますが、大体戰争前からの、昭和二年ごろ、昭和年代に入つてからの建設線の多い年は約六百キロ、少い年もございますが、約二十年ぐらいの間に、平均して一年間に二百五、六十キロ程度の新線を建設いたしております。終戰後は新線の建設と申しましても、ほとんど目ぼしいものがございませんので、この十月に来て、最近十月に開通をいたす予定の釜石線、これがまず新線の建設としては唯一のものと申し上げてよろしかろうかと思う程度にしか、新線の建設はいたしておらぬ。もつばら戰災の復旧、現在線の保守ということに、非常に力を入れてやつて参つておるわけでございます。但し新線の建設ということが、非常にその機運に向いまして、われわれといたしましてもその点について、十分検討をいたさなければならぬ時期になつて参つておるのであります。現在新線の建設線として、どういうものがあるかという問題でございますが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、現在の鉄道敷設法にある線全部、これは必ずしも早急を要するものというふうにも申し上げるわけにも参らぬかと思います。敷設法の別表に上つております線にいたしましても、長い間の経過、事情の変化によつて、これを検討いたさなければならぬということは、当然考えられることでございます。しかし敷設法の別表に上つております敷設線にいたしましても、相当なキロ程になる。約七千五百キロ内外のものかと考えられるわけであります。従つて少くともこれの半分くらいを考えてみましても、相当な建設線というものが考えられる。あるいは最近の国土開発法、あるいは最近の国土開発法、あるいは北海道に対する特別な立法、そういつたことを考慮いたしましての要請から考えても、敷設法の別表に上つておる以外の線でも、やはり線として今後検討を要するものがあるのではないか。従つてそういう面については今後十分検討いたして参らなければならぬ、こう考える次第であります。しかしながら現在としてさしあたつて経済開発、あるいは経済再建と申しますか、そういう点から緊急に敷設をしたいと考えられる希望が相当あるように思いますので、さしあたつてわれわれといたしましては年に百四、五十キロか、あるいは二百キロ程度——まだそのキロ程についてのはつきりした具体案は持ち合さないわけでございますが、大体そのくらいな考え方でお話のように年々建設する線の長短がない。——あることも実際望ましいことでもございませんし、大体そういつた程度の規模の考え方で一応スタートして、なお障害がとかくある線などについては、引続いて十分検討いたしたい、そういうふうな考え方を持つておるわけであります。
  60. 滿尾君亮

    滿尾委員 いろいろ御説明いただきまして、ありがとうございました。ただ私のお尋ねしたい要点は、ちよつと違つておるのであります。私のお尋ねしたいことは、年々歳々平均した仕事を計画的にやつて行く。もしこのお考えに御賛成いただくならば、それを実行する方策について何かお考えがあるかどうか。さらにそれをパラフレーズいたしますならば、一体收益勘定の方面では、独立採算制を強要せられておる国有鉄道である。金を一体どうして捻出するか。年々歳々建設する費用をどこから捻出して来るか。それを收益勘定の益金でやるか。益金というものはもうかる年もあるし、もうからぬ年もある。もちろん益金というものを一部繰入れるのは当然ですけれども、何かそのほかに恒久的な財源を求める方法はないかどうかということであります。たとえば年々歳々一定の鉄道債券を発行する、そういう行き方もあるわけであります。また公共事業費を使う手もあるのであります。しかし公共事業費というものの性格は、今年、来年くらいはありましようが、将来は一体どうなるかということも考えなければならぬ。そういう恒久的財源を捻出する方策いかんということが、一つの問題であります。もう一つは、新線の必要なことはもうみな賛成なんです。しからばどの線に先に手をつけるか、これはなかなか大きな政治上の争いになると思うのであります。みな自分の選挙区をやつてもらいたいというのが、われわれ一統の偽らざる真情である。せり合つたところでどうにもならぬのである。そこでこれを選ぶ方式を国有鉄道の当局考えさせて、運輸大臣に申請させる方式をとる。そうして運輸大臣は適当に、普通の行政事務としてこれを処理して行く。そうして順番をつけて行く。運輸大臣が自己の責任において取上げるのがよいのではないか、こういうお考えでおられるのか。おそらくはもうせり合つてせり合つてしかたがないから、ある種のこれを選定する一つの方式を考え出す必要はないかというようなことを私は考える。資金を恒久的に捻出する方策はないかどうか。それから建設線そのものの選定の方式を考え出す必要はないかどうか。それらについて何かお考えがあれば伺いたい、こういうことであります。
  61. 秋山龍

    秋山説明員 滿尾委員のただいま御指摘になりました点は、まつたくこの問題の核心でありまして、私ども一々御同感の意を表するわけであります。ただ従来までの国有鉄道は、戰争における災害の整備、復旧というところに力点を置いて参りまして新線建設ということが取上げ得なかつたような段階にあつたのでありますが、私どもといたしましては、その状態が今完全に緩和しておるとは考えておらないのでございますけれども国会方面の非常な御要望もございますし、またわれわれから見ましても、そういうふうなことも真劍に考えなければならぬ時期に来ておるのだ、かよう考えておる次第でございますので、目下何らかの形においてこれを実現したいという熱意をもつて努力いたしておる次第でありますが、関係方面等につきましても、まだ十分の打合せが済んでおるわけでもございません。とりあえず日本政府としてこの問題をどう考えるかということに対しまして、一案を呈示して、これが決定を求めておるという次第でございますが、一応日本側の方針が定まりましたならば、全力を盡して、また関係方面にも実情を納得してもらうよう努力したい、かよう考えておる次第でありますが、その場合に御指摘になりましたように、安定せる計画ということは確かにキイ・ポイントでありまして、建設に関する組織あるいは人力その他を相当に使わなければならぬ。そういう組織を設けることは、必要避くべからざることであると思うのでありますが、その場合にその年その年の都合によりまして、工事量が著しく増減するというようなことでは、職員も不安でありましようし、また経費の非常なむだもあると思うのであります。従つてこれを始める以上は、何らかの形において安定せしめる必要があるということを考えておるのであります。財源の問題といたしましては、ここに幾多の考慮しなければならぬ点があるのでありますが、一応独立採算制というものをとりました場合に、なおその範囲内においても事業が増進し、能率が上ることによりまして、経費が節減され、そこに余剰が出ます場合において、それ自身を建設に充てるということではなくして、かくして得られました收益勘定の力をもつて、採算のとれない線路の建設をして、これが経営に充てる、こういうことが考えられるのであります。その場合にはもちろん外部より鉄道公債、あるいは預金部資金、その他いろいろの方法による金を調達するということが考えられて参るのでありますが、現在のところ新線を調べてみましても、まず当初より收益——いわゆる利子と元金の償還をしながら、どうにか採算がとれるという線が、ほとんど考えられないよう状態であります。この点につきましては、先ほどいろいろお話の中にありましたように、鉄道は道路の一変形ではないか、あるところに道路をつくつて、そこに自動車交通を設けるのがよいのか、それとも鉄道を敷いて、その上を鉄でつくつた車を走らせるのがよいかということは、一国の利益から申せばまつたく同じ問題であります。但し土地の状況その他、どちらが経済的であるかということが、結局問題になるよう考えます、しかもそれは現在すでに既設の鉄道網がある程度完成しておるといつたような場合には、当然その欠けております部分を満たすものは鉄道であると考えなければならぬ問題もありますし、いろいろな事態があると思いますが、要するに鉄道をつくる、道路をつくるということは、特に今後の開発的な性質を持つ鉄道におきましては、同じような考慮を持つていいと考えます。しかるがゆえにこそ、開通当初より收益の上らぬものが多いという事態になると思うのでありまして、その意味からいたしますると、国としては道路を公共事業費でつくる以上は、鉄道も公共事業費でつくつてもさしつかえないのではないか。従来の鉄道といえども全部国がつくつて、これを国有鉄道に現物出資いたしておる。従つて今後の新しい部分も、国が公共事業として道路政策と考え合せて、鉄道がいいというところに鉄道をつくつて、これを現物出資するという考え方をとつても一向さしつかえないのではないか。これは滿尾さんが先ほど論じられましたところとまつたく同じ結論から、私どもはそういうふうに考えるのでありまして、この問題が積極的に一つの政策として確立いたしまするならば、滿尾さんがいろいろ御心配になつておりましたような先ほどの問題も、やはりその一環として解決し得ることになるわけです。しかしながら現在まだそこまで立ち至つておりません。とりあえず一石を投じ、若干でもいいから来年度から現実に着手し得るような財源を、私ども考えておりますような思想から確保したい、かよう努力をいたしておるわけでございます。もちろん建設を長らく休んでおりますので、今急に大きな建設計画をやつて、建設工事をやれといわれても、事実上不可能でございまして、やはり一定の方途が確立いたしましたときに、それに応ずるように逐次工事量はふやして行く。実際問題としてかようにならざるを得ないと考えておるのであります。従つてただいまは国会も休会中でありまして、法律を要するような事柄はできないのでありますからして、そこでとりあえず事務当局限りの力で、一応の、若干でもいいから、来年度からはほんとうに着手するのだという財源を確保し、その頭を出したいという努力をいたしておるのであります。なお線路の選定等につきまして、これは非常にむずかしい問題であるということは御指摘の通りでございます。従つてわれわれは現在の折衝におきましても、一般的に建設線の必要、あるいはこういうところがある、こういうところがあるということを一般的資料をもつて説明いたしておりまするが、具体的にどれをどうということは差控えております。そして何らかの方法によつて、ただいま御指摘のありましたような争いという言葉ははなはだ悪いのでありますが、どこからどこをきめるかという順序等につきましては、これは最も適正に、また能率よくきめていただくような構えをつくらなければならぬ。これはやはり法律をもつてする必要があるという考え方を持つておる次第でありまして、御指摘になりました点については、まつたくわれわれとしては同感同意でありまして、それに対しまする対策を今考え中でございます。
  62. 滿尾君亮

    滿尾委員 大体次官も私の考え方に御同感でありまして、ありがとうございました。ただ私もう一つ申し上げたいことは、もう一歩つつ込んで申しますと、将来、現在以後に建設する線路は、非常な不経済線であるということである。この不経済という言葉の中には、私は二通りあると思う。一つ運営だけ考えてみても赤字が出るというのが不経済、もう一つ運営はどうにか何とかなるだろうが、資本の償却、資本の負担にたえないという不経済、この二段にあると思います。あるいは今後の不経済線は、ことごとく資本の負担にもたえないし、普通の運営だけでも赤字が出るという、こういう折り重なつた不経済線であるかもわかりません。ここで非常に大きな問題は、私は鉄道の投下資本に対するものの考え方を、どうしても統一する必要があると思う。私の率直な意見を申しますと、将来国有鉄道は、現在持つておりまする線路を動かしてある程度の收益が出た、その益金を建設線に投ずるよう考えて行くか、あるいはもつぱら改良費に投ずるかという点に、一つの問題がある。私の希望を申し上げれば、收益勘定によつてプラスになつたものは、全部これを改良費に投ぜよということです。ある年非常な景気で、うんともうかつたとします。しかし二年、三年、四年後に景気が循環いたしますから、それほどもうからぬ年がある。鉄道の改良工事というものは、年々歳々大きな波動があつてはいかぬ、平均化させねばならぬ。そこでもうかつた年は改良費平衡資金へこれを積み立てろ、そうしてこれは改良費にもつぱら使うということにして、建設線は一般会計と申しますか、あるいは公共事業費と申しますか、他に財源を求めるくふうを考えるということが適当だというふうに、朝野の皆さん方の考え方をまとめてやれば、非常によろしいと思うのであります。ただ鉄道債券を発行するということ、鉄道債券の負担はだれがするか、これを收益勘定の国有鉄道がやるということでは、これは何にもならない。だから鉄道債券という形式は非常にむずかしいと思いますけれども、その元利の負担をどの会計が背負うかという点に問題がある。だから率直に申せば、やはりこの收益勘定に属せざる資本金を求めるくふうはないかということが、問題だろうと思います。そこで改良工事につきまして、改良費平衡資金制度を設けて、既存設備の能率を時々刻々に改善して行かなければならない。それには現在の鉄道国有法の法律が非常に悪いのです。もうかつたら政府に納入すると書いてある。政府は必要あるときは国有鉄道に補助を出すことができると書いてある。これはまさに間違つた法律でありまして、もうかつたら平衡資金に積み立てさせるというふうに法律をかえなければいかぬ。また国有鉄道側でも、收益勘定の方で赤字を出したしりを、国民の税金でぬぐつてもらうというようなことが、そもそも間違いであります。従つてこのしりをぬぐつてもらう條文も、国鉄の責に帰すべからざる他の理由によつてのみ、補助金をもらうという法律にかえねばいかぬ。私は建設並びに改良に関連いたしまして、かよう考えを持つておるのでありますが、御当局の御見解を伺いたい。
  63. 秋山龍

    秋山説明員 一々ごもつともな点ばかりでございまして、私どもがあの法律をつくりましたときにも、そういつたような準備的積立ての金を持ちたいということをいろいろと考えたのではございますが、何しろ戰時経済から戰後経済に移ります非常な変動期でございまして、国有鉄道の運賃も、物価政策その他広い意味の経済政策上の要請から、当初考えておりましたような事態に落ちつけ得なかつたよう状態でございまして、いまだ黒字が出るのか赤字が出るのか、その安定の見すかしもなかなかつかない。むしろ国としてはある種の税金からとつた金で埋めても、一般の物価政策を維持しなければならぬのではないかといつたよう状態のときにこしらえまして、ああいうふうな状態になつたのでございますが、幸いに今年の初めから運賃の値上げを認めていただきまして、その後の経営の状況を見ておりますのに、目下のところ現在の経済情勢に急激な変化がない限りにおきましては、やや安定せる状態になつておるかと思つておるのであります。しかしながらそこになお考えなければならぬことは、いわゆる原価料金というもの、まずこれは公共事業体としてとらなければならぬ点と思うのでありますが、その原価料金のうちに、幾ばくのそういう改良費的なものを見るべきかという問題は、まだこの前の運賃改正では議論も盡されておりませんし、またそこまで見るような余裕もなかつた次第でございます。幸いに景気が非常によくなりまして、国有鉄道に黒字があつたような場合には、今のところこれを一般会計に納入する以外は、法律上には方法はございませんけれども、そういうよう状態が恒久化し得る状態になりまして、現在の運賃でもなおそういつたものが自然に入つて来るというよう状態が起りました場合には、もつと真劍にこの問題を取上げなければならぬというふうに考えておるのであります。なおこの問題を解決します場合には、資産の再評価、従つてもつと合理的な減価償却というものが解決され、そして改良費平衡資金の問題が考えられて来ると思うのであります。なお新線の建設につきましては、御指摘の通り資本費だけが償えないという赤字もございますし、また経営費が償えないという程度のものもあるかと思いますが、さしあたりわれわれはいろいろと新線の計画もございますが、そういつたものの趣意によつて検討してみますと、まだ経営費が償えないというところまで新線が延びるというようなことは、よほど先のことに考えております。とりあえずは資本費がまかなえないということが、まず問題であろうと思います。従つて借入金でありますとか、鉄道公債でありますとか、自然その利子並びに元本の償却の負担が、收益勘定にかかつて来るような財源では、なかなか経営の目途がないのであります。もししいてやりますれば、現在の法律であれば補助金制度というものがあるわけでありますけれども、私は国有鉄道が公共企業体になりました根本の考え方に基きまして、独立採算制、すなわち收益勘定におきましては補助金につながらないで独立的にやつて行く。そのかわりにそれによつて得たところの收益勘定の余裕あるいは收入の金で、新線建設の問題が起つて参りました場合に新線建設を、それのまかなえる範囲におきまして元本償却の金でやつてもよいのではないかと思いますが、さしあたつてそういう状態にございませんが、さしあたつて外部から資本を求める必要がある。それには先ほど申し上げましたよう考え方で、公共事業費というところが最もいいのではないかというような見当をつけた、こういうよう状態でございます。しかしこういう事態は経済上の情勢に従いまして、そのときそのときによつてかわると思うのでありますが、まず現在の運賃制度、輸送力、輸送需要といつたようなもの、また経済のおよその安定せる見通しというものから見ますと、私はそういつたような公共事業費というふうなところに、理論的にもまた実際的にも財源を求める可能性があるのではないかというふうに考えております。
  64. 滿尾君亮

    滿尾委員 もう一言お伺いしておきたいのは、現在の国有鉄道はかようなぐあいで、終戰以来の経過をもつてここまでに復興して来て、新線建設のほうはいたる希望が出ておる。こういつた内外の情勢下における国有鉄道の現状を見、收益勘定の運営方針を見ましたときに、私は少しバランスを失しておる経済方針をとつておられるのではないかという疑いを持つておる。ということは、東海道線の復旧が非常にりつぱになつた。りつぱになつたことに物言いをつけるのははなはだぜいたくで、申訳がないのですが、しかし内外の客観情勢下における国有鉄道としては、力こぶの入れどころが少し違つておるのではないか。なるほど観光客の誘致、外客誘致には、サービスの提供をしなければならぬのでありまして、実際の運営面でりつぱなサービスをせられ、スピード・アップもし、車両もりつぱな車両をつくるというようなことに一面においては行つておりますが、しかし日本全体の鉄道の動き方としては、考えてみなければならぬいろいろの問題がある。どうもサービスがよくなつたのを悪口を言うのは変なようでありますが、もう少し運営の重点をしつかり考えていただきたい。最近の動きはちよつと末梢感覚的運営に堕しておるきらいがありますので、これを当局はどう見ておるかということを一ぺん伺つて、私の質問を終ります。
  65. 足羽則之

    ○足羽説明員 東海道線が非常によくなつたことについての御指摘を受けたわけでありますが、最近そういうふうに御観察になるような点もあるいはあろうかと思います。ことにデクライニング・シート——例の特別二等車は、東海道線をまずまつ先に走りますし、あるいは特急のスピード・アツプにいたしましても、走つているのは東海道線であります。従つてあるいはそういつたふうな観察をされるような点もあろうかと思うのでありますが、しかしやはり日本全体の交通網となつておる国有鉄道としては、全体の水準が上つて来なければいけないのでありまして、その点についてはあるいは不十分という御指摘をこうむるかもしれぬと思うのでありますが、十分に気をつけてやつておるように、われわれとして感じおります。ただいろいろ予算の制約もあり、あるいは全体としての水準が上るのに、時日の経過ということも必要といたす次第でありますので、それが十分にそうした水準にも気を配つてつておるということの御認識が、今すぐのところいただけない、こういう面もあろうかと思うのであります。しかしある主要な幹線をまず整備して行くということが必要であると同時に、それぞれの各地方の支線に対しても、十分に全体の水準を上げて行くということについて、それぞれ気を配つておるということは、私申し上げてよろしかろう、こう思うのであります。その一例といたしましては、この前の委員会でも簡單に例として申し上げたかと思うのでありますが、あるいは時刻改正の場合に、支線の列車のキロの増加という点は、支線についても十分考慮しておるようでございます。あるいは全体の支線の点につきまして、来年度の予算にはデイーゼル・カーを相当両数つくりたいという希望が盛り込んであるようでありますが、それらの点も支線の運転の改善、旅客に対するサービスの改善ということを十分に考えての問題と考えております。  なおしばしば東海道線のいいのに対して非難される、支線の列車が非常に悪い、客車が非常に悪いとうことを言われるのでありますが、これは御指摘のような点がまさにあろうと思いますので、現在木造車を鋼製車にかえるということを、五箇年計画でやつております。今年度もたしか五百五、六十両かえるかと思うのでありますが、大体五箇年間に現在の全部の車が逐次鋼製車にかわつて参る。その経過の間においても、現在の木造車に修繕を加えることを実は手控えております。従つて悪い車が地方のローカル線に走つておりますので、東海道に比較して非難される。それはまさにその通りでありまして、そういう点については現象的には非常に御批判をこうむる点があろうかと思うのでありますが、しかし全体の改善としては、全体の水準をよりよく持つて行く。もちろん多少幹線と支線とについて差はありますが、しかし全体としてできるだけそういうふうに水準を上げて行つて、そうしてその水準に近からしめる、こういう努力はいたしております。この十月の時刻改正から、特別二等車を各線の急行につけるということになつておるようでございますので、非常にスピードはおそいようでありますが、逐次そういう考え方で努力しておる点はあろうかと私ども考えております。
  66. 滿尾君亮

    滿尾委員 私の質問の仕方が悪かつたために、御当局の答弁が私の質問のポイントに触れなかつた。私の申し上げたいことは、国鉄の国民に対するサービスのエツセンスは、運賃の低廉が第一、輸送力の拡充が第二、これには一、二はないので、車の両輪のごときもの、従つて運賃を相当に上げて、非常に高価な列車を走らせることは、私は国民の真意でないと思う。運賃は安くなければならない、それは国鉄の第一の使命、それから輸送力が大きくなければいけない。輸送力が大きいということは、單位当りの輸送力が大きくなること、スピードが早くなること、及びフリケンシーの増すことであります。これが成就しないで、アコモデーシヨンをりつぱにするごときことは、私はサービスの解釈違いだと思う。かつてわれわれのおりましたところのドイツの三等車は、板張りです。日本は三等車といえども、クツシヨンがあります、これは国際的水準から見ても日本の三等車は非常に優秀なものであります。でありますから私は国有鉄道というものは、もつと質実剛健に発達してもらいたい。女の子がサービスしたりするようなぜいたくなまねをしているのでは、国民の期待にピンと来ないと私は思う。その点について監督官庁としての運輸大臣は、国鉄の運営に対していかなる見解を持つているか。国民が国鉄にほんとうに要望するものは、運賃が低廉でなくちやいけません。フリケンシーが高くなくちやいけません。輸送力が大きくなくちやいけません。だから機関車の改造をして、その技術的水準を高くすることは努力されることが大切だ。線路や枕木や橋梁をりつぱにすること、そういう本質的な問題に対してどんなに御努力になつても、われわれはかつさいを送ります。しかし今の努力が上つつらをなでまわして、こきげんをうかがような方向に走り過ぎていはせぬか。私は敗戰後日本が立ち上るこの段階において、日本の鉄道は質実剛健な気風において立ち上つてもらいたいと思う。そのサービスのポイントを取違えている点をひとつ運輸大臣は是正していただきたいと考えておるのでありますが、御見解を伺いたい。
  67. 秋山龍

    秋山説明員 まことにごもつともな点と存ずるのであります。先ほど監督局長が申しましたように、木造の車なんというものはどうしても早く解決しなければならぬものでありますが、こういつたものも解決できなかつたという点は、この程度の施設改善でお許し願えると思いますが、生命の安全に関することでありますから。——それからデイーゼル・カーの増加ということは、いわゆるあなたのおつしやるフリケンシーの増加という点で、御指摘の点に非常に沿つておると思いますが、ただ東海道線の問題につきましては、これはいろいろと御批判の点もございましようし、また考え方もいろいろあることと思いますけれども、たまたまアメリカあたりの——アメリカのまねをするということはけしからんじやないかという根本問題もございますけれども、これに比べますと、まだまだ程度は低いものでございまして、われわれとしましても質実剛健、低廉ということは、もちろん方針としては同感の至りでございますが、さればといつてあの程度のことはというふうな考え方もあるわけであります。なお御批判の点については、十分考慮して見たいと思います。
  68. 中西伊之助

    ○中西委員 新線は非常にけつこうでありますが、今まで戰争によつて中止された線が大分あるようでありまして、私が国政調査で参つたときにもそれを痛切に感じたのですが、国の費用がずいぶんかかつておる。隧道その他橋脚に非常に金がかかつておる。またある線によりますと、すでに土地が買收されてしまつて、一向それが使つてない。農民が使わなければ返してくれというので、今それが畑になつておる。あるいは上田の何とか線その他のごとき、そうしてずいぶん国の費用をかけておいて、途中でほつたらかしておるのがある。新線まことにけつこうでありますが、こういうふうな路線に対してはどういうような御方針でありますか。
  69. 秋山龍

    秋山説明員 ただいま御指摘になりましたような問題を解決することが、すなわち新線問題として今論議しておる問題でございます。
  70. 足羽則之

    ○足羽説明員 なお先ほどの次官の説明に補足させていただきますが、今般の時刻改正においても、もつぱら主眼点は列車キロの増加、すなわち輸送力の増加ということが、相当大きな点でございまして、スピード・アツプもちろんでありますが、そうした点も十分考えております。またきれいな列車が東海道線を走つていることを御指摘になりましたが、全体としての車両の増強なり、そうしたものが各地方に走つて参る、こういうふうな実質的な、一般の一番利用される層に対する鉄道の内容の向上、こういう点は決して忘れておるわけではありませんので、その点御論議の中に入れていただきたい、こう考えております。
  71. 中西伊之助

    ○中西委員 そうすると、今私の申し上げた未定線ですか、中止線ですか、そういうもは優先権を持つておるのでありますか。
  72. 秋山龍

    秋山説明員 戰争前と戰争後と、いろいろ経済事情がかわつておりますので、原則として今まで着手したものが優先権を持つということは、言い切れないのでございます。その後の国家の産業の原料の依存状態というものがかわつて来ております。そうした場合には、これらの原料を開発するというふうなことも、どうしても経済を維持して行くために必要だといつたようなことも起つて参つております。しかしながら今までにある種の経費が投下せられ、着手せられておるものは、相当当時としては需要は高かつたのが原則でございますし、また現在においても必要度が高いというのが、一応の原則であります。のみならずすでに投下しております資本が、今まで寝ておるわけでありますから、それを差引いて一体收益があるかどうかということを勘定しておりますので、今後といたしましても、そういう問題は当然新線の一部の最も大きなフアクターとして考えなければならない、こういう状態であります。
  73. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 たいへんおそくなつてまことに恐縮でございますが、私先ほど国鉄の機構改革につきまして、伊東、下田間の国鉄施設の問題をお尋ねしたのですが、新線計画のときお尋ねしろという委員長のお言葉でありましたから、最後に一言だけ、新聞に出た理由についてお伺いしておかなければならないのです。ここに出ておりますことは、見返り資金三十億円、これを臨時国会に提出して、これを敷設するということをはつきり書いてありますと同時に、この賀茂郡という伊豆半島二十三箇所の町村が、十日の日に集まつて、この善後策を講ずるということがこの新聞に書かれておりますが、この外岡会長というのは、賀茂郡二十三箇町村の連合会長でありまして、それが集まつて、かようなことが実際できるようなことを言つて今後騒がれますと、大きな問題になりますので、この機会にひとつ御当局のお考えはつきりと伺いたい。  それからただいま滿尾委員から、東海道へばかり力を入れているというおしかりみたいな、お小言みたいな、どつちだかわかりませんが、お話を伺つたのですが、私ども東海から出ております議員といたしましては、どうもはなはだ片腹痛いのです。今日の東海道線を見ますと、なるほど国鉄は非常に協力していただいているので、私ども感謝しておりますが、このごろ改良されましたあの汽車の中には、外人がたくさん乘つて、あの外人が非常に喜んでおります。こういうようなところを見ましたとき、私はせめて日本は敗戰したりといえども、東海道本線ぐらいはあのくらいの汽車を運行して、そして日本の度量を見せてやるというような見地からして、これはぜひ——ほかの方には御不満の点が多々あると思いますが、徐々にああいう汽車を運行すると思いますので、しばらくどうぞお見のがしを願いたいと思います。同時に、自慢を言うわけではありませんが、独立採算制の関係からいたしまして、あれは俗にいう国鉄のドル箱——と言うとまたしかられるかもしれませんが、そういうよう立場にもありますと同時に、また観光面におきまして、ああいうりつぱな汽車でもできなければ、バスの百人乘りがあのりつぱなところを走つているのに、国鉄としても、実際において営業量といいますか、利潤的に考えましても、遅れるようなことになりますので、私はあながちあのりつぱな汽車を運行することは、悪いことではないということを考えますし、同時にこれに相反して收入を多くして、国鉄はぜひ黒字を出して、列車の改善その他に全力を注いでいただきたいことを希望申し上げます。  余計な道に移りましたが、伊東と下田間の国鉄の問題につきまして、私は地元の議員といたしまして、何らか回答してやらなければなりません関係上、最後に一言お伺いしてみたいと思います。
  74. 秋山龍

    秋山説明員 実は御質問を受けまして非常に驚いたのでありまして、そういう事実をまつたく運輸省といたしましては関知いたさないのでございます。なおただいま詳細に新聞記事を拜見いたしたのでございますが、そのうちで見返り資金三十億をもつて臨時国会に要求する準備を進めているということが書いてございますが、その点は運輸省に関する限り、まつたくその事実はございませんということを明言いたします。しかしなおさらにその内容を見ました場合に、もしもそこに書いてある事柄がほんとうといたしますと、まことに私としては遺憾千万な事柄が多いのでございまして、この点は嚴重にひとつ真相を取調べまして、注意すべきものは十分に注意いたしたい、かよう考えております、     —————————————
  75. 前田郁

    前田委員長 それでは次に、第六次造船について政府側説明を求めます。秋山次官。
  76. 秋山龍

    秋山説明員 第六次造船の問題が新聞にいろいろ出ておりまして、皆さんにもいろいろ御心配を願つておると思うのであります。新造船計画の必要なこと、また特にわが国の戰後の海運界におきまして、大型の遠洋鋼船が必要であるということにつきましては、しばしば御説明申し上げたところでございます。われわれといたしましてはその事態にかんがみまして、見返り資金の融資をなるべく多額に受けまして、そしてできるだけ急速に遠洋適船を建造いたしたい、かよう考えまして、およそ二箇月ばかり前から、金融情勢をいろいろ考えました。ところがなかなか一般の金融政策の結果といたしまして、現在民間資金が非常に枯渇いたしておりますので、もし見返り資金からよほどたくさん出なければ、船が十分につくれないという事情がございますので、去年は五割見返り資金、五割民間資金ということで建造計画を進めたのでございますが、今年はどうしてもこれを見返り資金七割、民間資金三割ということで行かなければ、とうてい所期の造船ができない、かよう考えた次第でございます。従いましてまずとりあえず第一段階といたしまして、見返り資金の計画の中に予備費六十三億がございましたので、この六十三億を全部海運造船に使わしてもらいたい、かようなことに折衝いたしまして、了承を得て、六十三億全部を造船に使う。その七割を見返り資金から出し、あとの三割を民間資金から出す、かように計画いたしたのでありまして、その場合に建造いたすことのできます船腹は、大体約十七万総トンであつたのであります。しかしながら現在アメリカの港も開かれまして、また各方面の国々から日本船を入れてよろしいという承諾を逐次得ておりますので、それではとても足りませんので、何とかして、少くとも造船所の能力のあります限度、およそ現在能力と考えております三十万トン程度までこれをふやしたいと考え、また第二次の見返り資金から二十九億を出していただきまして、これまた七対三で融資して、三十万トンのうちに、小船が二万トンほどございますので、残りの二十八万トンを建造いたしたい、かように要請いたしておつたのでございます。なぜ民間資金が十分でないかというお話でございますが、これは現在の財政の方針からしまして、見返り資金及び郵便貯金、こういうところへ非常に多額の資金が吸收せられるのでございまして、一般の民間銀行に対する預金が非常に少くなつているのでございます。しかもこの見返り資金の使い方に対しましては、非常に嚴重な制約を受けておりますし、預金部資金のごときは産業資金には放出できないということになつておるわけでございます。従いまして民間の預金がふえないで、そして資金の需要が非常に多いものでございますから、民間の銀行といたしましては経済を維持するために、預金の増加の限度を越えるという言葉は少し強過ぎるのでございますが、預金の増加のうちから適当と一般に考えられている割合よりも以上に資金を供給して貸出しをしまして、ようやく金融をつないでおるという情勢になつております。従つて民間資金が非常にきゆうくつなのでございます。そういつたよう事情をもちまして、いろいろと相談いたしたのでございますが、最近に至りまして、一箇月余にわたり愼重討議をしてみたけれども、七割金融するということと五割金融することについては、いろいろと利害がある。七割の融資というのは、大体政府資金で七割を持つた商船隊をつくるということは、民間の商船に対する保護が厚きに過ぎるということで、諸外国批判もいかがかと思われる。また国家資金で船をつくりますと、何といつても船主の方の責任感も比較的軽くなりますし、また造船所の方におきましても、どうもやはり甘えた気持が出まして、造船価格も高くなるというようなきらいがある。従つて見返り資金を七割出すということはどうも適当でないと思う。なお当初この案を立案しました当時に比べまして、外国航路の再開で、日本の船がアメリカ方面へなかなか忙しいのでございます。実は向うのカーゴ・フオーアーに十分船がまわりかねるという事態になつておりまして、運賃も他の方に比べますと割合によろしいものでございますから、海運界としても割合に採算がよろしいのであります。また米国以外の各国からもいろいろとクリアランスが来ておりますので一般に見て海運界の前途が非常に明るくなつて来ている。従つて当初想定したよりも民間銀行の海運に対する見方も非常にかわつておるのではないか。従つて当初に見積つている考え方よりも、もつと民間から資金の出る可能性もあるのではないか。こういつたような理由で、五割にとどめるべきであるという有力意見が示されたのであります。わが国といたしましては、金融の面から申しますと、まつたく私どもは金融の專門家ではごじいませんし、また責任者でもないのでありますから、この点につきましてはそれぞれ金融方面責任者なり、またエキスパートなりにこれを移しまして、民間の造船所方面あるいは船主方面等に、五割でやらないかということを強く示唆いたしまして、反応を見ておるのでございますが、どうも銀行筋ははなはだ悲観的でごじいまして、この五割五割ではとうてい融資ができない。従つて今の六十三億で五割五割で融資をいたしますと、約二十万トンの船ができるのでございます。全体として今年、来年を入れまして、海運資金が九十億ほど民間から調達されるほか、見返り資金から九十億で、合計百八十億ということになるのでありますが、とうていそれだけの見込みはないという、非常に悲観的な見解が強いのでございます。もしもこの金融界の申しますように、資金の供給がかりに十分でございませんと、今度は見返り資金がいくらありましても、五〇%しかつけられないわけでありますから、従つて六十三億のうちに多額の使えない金ができて来る。しかも造船が非常に少いと、造船業者としましては、たくさんの人を抱えましてとうていやつて行けませんから、従つてそこに能力を落すという事情も起つて来るようなことになりまして、非常にその結果が憂慮せられるわけでございます。目下政府の上局におかれましても、この問題について愼重に御考究くださつているのでございますが、私といたしましてもいろいろと実情を申し述べまして、どういうふうに進むかということを関係者並びに政府責任者におきまして御考慮を願つておる、こういつたような段階になつておるのが、新聞に出ております第六次造船に関する問題の概要でございます。
  77. 滿尾君亮

    滿尾委員 造船資金のうち、民間資本の金利はどのくらいになつているか、見返り資金の方はどのくらいになつておりますか。それと外国の金利との比較をひとつお伺いいたします。
  78. 秋山龍

    秋山説明員 民間金利は約一割一分だと思います。これは業者により銀行によりまして多少の差がございます。ですから一割ないし一割一分くらいと思います。それから見返り資金は七分五厘でございます。外国は、もちろん国によりましていろいろな差がございまして、一概には申し上げられないのでございます。アメリカは市中金利は大体二分二、三厘であります。このごろつくつているあの特別な近代的な列車に対しては、エクウイツプメント・トラスト・フアンドといつておりますが、ああいう比較的長期資金で二分二、三厘であります。しかしアメリカの海運は、船をつくります場合にはほとんど民間資金を使つておりませんで、大体政府造船の形で行つております。もちろんその中には政府でつくりましたものを拂い下げてもらう人もございますが、その場合にはそういつたような金利が適用されると見るべきが適当だと思います。また政府が拂い下げる場合にも、年賦的な契約もいたすようでございます。それから欧州方面では、イタリア方面は金利が大体六分程度でございますが、しかし特殊な助成方法も講じまして、この金利を三分ないし三分五厘に下げているような施設も講じているようであります。それからイギリスは大体三分程度ではないだろうかと思つておりますが、これはし多少的確を欠くようでございます。
  79. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はしろうとでよくわからぬのですが、雑誌などを読みまして考えますと、結局日本の金利が高い。これはひとり造船だけの問題ではない。日本の産業活動全体の癌だと思う。造船に局限して考えてみましても、市中銀行の金利は他の産業とせり合つているわけですから、これは簡單に下げるわけにはとても行くまいと思う。まあ全体の問題であろうと思いますが、さしあたり見込む道は、見返り資金の七分五厘を外国国家資本の金利と同じに下げないまでも、七分五厘では高過ぎる。結局すでに七分五厘の金利を負担して造船したのでは、日本の造船業は太刀打ちができないだろう。またその船を動かしたのではなかなか骨が折れると思う。従つてこの七分五厘を造船に関しては三分なり四分なりに下げる道はないか。そういう御努力をなさつていないのか。これは一応理論としては立つと思うのでありますが、御見解を伺います。
  80. 秋山龍

    秋山説明員 わが国の金利が非常に高くて、それがために産業、特に輸出産業等につきまして非常な障害になつておりますのは、御指摘の通りでございます。しかしながら海運は公海において外国と直接競争をする、ぶつかることになつておるのであります。従いまして各国とも海運というものにつきましては、国家主義的な保護主義的な色彩が非常に強いわけでございます。特にわが国はいわゆる海運国という中では、最も生活水準が低くて、従つて賃金あるいは賃金を相当大きな構成要素とするところの造船並びに船舶修繕というようなもののコストの低い国でありまして、しかも戰前海運が非常に世界的に活躍いたしまして、いわゆる高生活水準の国々の海運を撃退したという、言葉は非常に悪うございますが、そういつたような形を示した時代があるのであります。そういつたような見地から、敗戰国たる日本海運の復興ということにつきましては、日本が島国であるという地位、並びに原料の賦存状態が悪くて、原料をたいがい全部外国に依存するという特殊状態考えまして、日本に海運を持たせるということは、漸次各方面の了解を得つつあるように見られるのであります。しかしながら海運を補助するかどうかということにつきましては、非常に鋭い批判の眼をもつて見られている。鋭い監視のもとにあると申し上げた方が妥当であると思うのでありますが、そういう状態にあるのであります。従いまして日本の産業水準、金利の水準がある程度のところにあつて、それで各貿易産業がやつて、おります場合に、特に海運にだけ低金利を適用するということは、一種の海運に対する補助政策——特にそれが国家資金であります場合においては補助政策ではないか、こういうことになるわけでございます。従いましてわが国が置かれました特殊な状態にかんがみましても、私はこの点はやはり相当注意をして行かなければならぬところではないかと思うのであります。しかしながら金利全般が下ることは非常にけつこうなことであり、それが特に一般の市中金融において下げることが困難であるとしまするならば、見返り資金につきまして全般的にこれを下げていただくということは、まことにけつこうなことと思うのでありまして、これは主管の省を通じまして絶えず努力を続けておるところでございますが、遺憾ながら現在まだ実現し得ない事態でございます。
  81. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 ただいまいろいろ造船のお話をお聞きしたのですが、大体日本の造船は、ただいま外国から請負しておる程度は、貨物船ならトン幾ら、客船なら幾ら、またこれに対する外国の造船の価格はどのくらいであるか、お聞かせを願いたいと思います。
  82. 秋山龍

    秋山説明員 朝鮮事変が勃発いたしましてから、鉄鋼の価格が非常に上つておるのでございまして、従つて現在の鉄鋼価格でどのくらいであるかということは、ちよつとお答えすることができないのでございますが、朝鮮事変前の状態におきまして、イギリスの船価が七万五千円程度、貨物船でございますが、これは速力その他の関係もございますけれども、およそ普通標準型の船で七万五千円程度であつたのでございます。それからアメリカ方面が、ほとんど最近において貨物船の建造実績がないのでございますが、一般常識的にいわれておりますところは、二百ドルから二百二十ドルですから、七万二、三千円から約八万円程度になると思いますが、そのくらいにいわれておつたのでございます。わが国の造船価格は、朝鮮事変前の鉄鋼価格水準ですから、七万二、三千円程度と思つております。それが鉄鋼価格が上りますと、八万円弱、七万八千円程度でございます。これでは困るというので、造船合理化審議会というものを組織して、合理化を推進するという態度をとつておるのでございまして、その場合には一応七万二千円程度にひとつ努力よう。もちろん鉄鋼価格が戰争前の水準でこういうことであつたのであります。今後第六次造船が幾らになりますか、これはまだ契約が済んでおりませんので、十分に把握いたしておらぬのですが、やはり八万円を少し越えるのではないかというよう考えを持つておりますが、これはもちろん船主と造船主との契約によつてきまるわけであります。
  83. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 ただいま各造船所で外国船を注文されてつくつておる会社があると思うのですが、七万円程度で三百六十円の為替で換算して大体黒字になつておるのですか、赤字になつておるのですか。その辺もお知りだつたらお聞かせ願いたい。
  84. 秋山龍

    秋山説明員 輸出船のうちの大型船約十万トンほどの船は、為替がまだ複数制でありましたときに、つまりものによりまして、商品ごとに為替レートをきめておりました時代に注文を受けたものであります。従いまして為替換算率が一ドル対五百円程度になつておつたかと思います。そういつたような形でできておるのでありますが、為替が單一になりましてから注文を受けましたのは、小型のタンカーを数隻受けております。その採算内容につきましては、十分的確なところは知らないのでございますけれども、赤字になつて困るという苦情といいますか、そういうような陳情は今まで受けておりませんから、どうにかやつておるのではないかと思つております。現在の注文引合い状況はどうかといいますと、非常にたくさんの引合いが来ております。しかしながら鉄鋼価格の先行きが非常に不安であり、特に先高見越しでございますので、従つて造船所も大事をとりまして、相当に高い価格を申しております。特に外国注文船は日本の船と違いまして、規格が非常にやかましゆうございまして、居室その他の附属設備に非常に金がかかりますので、ただいま申し上げました価格よりも大分高くなると思います。そういつたよう関係で現在は引合い成立困難な形になつております。
  85. 前田郁

    前田委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時四十七分散会