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1950-10-03 第8回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月三日(火曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 米窪 滿亮君       尾崎 末吉君    黒澤富次郎君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       前田 正男君    滿尾 君亮君       淺沼稻次郎君    中西伊之助君       飯田 義茂君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁次         長)      大野木克彦君         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方行政調査         委員会議事務局         調査第二課長) 小熊  清君         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務次官  秋山  龍君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 九月二十九日  委員淺沼稻次郎辞任につき、その補欠として  松岡駒吉君が議長指名委員に選任された。 十月三日  委員坂本實君及び松岡駒吉辞任につき、その  補欠として坪内八郎君及び淺沼稻次郎君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸省機構改正に関する件  運輸省所管事業に対する地方税制に関する件     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  本日の日程は公報をもつてお知らせいたしました通り、一、運輸省機構改正に関する件、一、運輸省所管事業に対する地方税制に関する件の二件であります。  まず運輸省所管事業に対する地方税制に関する件を議題といたします。地方自治庁側より説明を求めます。地方自治庁小野政務次官
  3. 小野哲

    小野説明員 御指名によりまして私から御説明を申し上げたいと思います。地方税法が施行になりまして、その後御承知のようにシヤウプ使節団一行が参りまして、第二次の勧告が行われましたことは御承知通りであります。なおまた第八回国会において、運輸省所管事業地方税に関しまして、種種論議のあつたことも私から詳細申し上げるまでもないかと思うのであります。地方財政委員会におきましては、地方税法の中にある種々税正のうちで、非課税対象なつておるものにつきまして、検討を加えつつあるわけでありますが、その範囲をどうするか等ににつきましては、地方財政委員会がその調査の結果に基いて、国会報告をいたすこととなつておるのであります。たまたまシヤウプ使節団の第二次勧告が出まして、これらの問題につきましても触れておるような次第であります。その中で運輸関係影響あるものと考えられます点を申し上げてみたいと思うのでありますが、今回の第二次勧告の大綱についてはすでに新聞紙上発表なつておりますので、ごらん願つたことと思うのでありますが、この第二次勧告に伴いまして近く附録発表されることになるのでありますが、いまだ発表がない状態であります。今回のシヤウプ第二次勧告が、国家予算及び地方予算の点について触れておると同時に、国税地方税の諸問題についても触れておるような次等であります。  その中で地方税の問題について申し上げたいと思うのでありますが、まずこの第二次勧告が触れております中で問題になると思われますものは、いわゆる固定資産税における国有財産及び公益事業に関する取扱い方でありまして、この点につきましては日本における公益活動の多くが、政府によつて運営されているというような点から考えまして、特殊な取扱いをする必要があるであろう、かように申しておりまして、この内容につきましては附録書の中でかなり詳細に説明をする、かう申しているわけであります。従いましてたとえば国有鉄道に関する固定資産税の問題をどうするか、あるいは船舶等関係のある固定資産税取扱いがどうなるかということにつきましては、この第二次勧告の本文の内容のみから判断いたしましては、了解ができないわけでございます。ただ問題といたましては海運事業においては、船舶に関しては独立した船舶税を設定すべきである、こういう御意見も出ております。また国有鉄道あるいは地方鉄道軌道等におきましても、車両その他の固定資産につきましては、何らか特別な配慮をする必要があるではないか、こういうふうな御意見が出ておるわけでありまして、これら固定資産税関係につきましては、地方財政委員会といたしまして、第二次シヤウプ勧告附録書発表される場合において、十分な検討を加えて参りたい、かように考えておる次第であります。  第二の点は附加価値税の問題でありまして、御承知のごとく附加価値税実施期日を二箇年延期いたしまして、昭和二十七年一月一日から実施することになつておるわけでありますが、その間は暫定的に事業税を存続することになつておることは、私から申し上げるまでもないのであります。この附加価値税の問題に関連いたしまして、シヤウプ第二次勧告によりますと、料金統制事業及び公共企業体についての扱い方を明示いたしておるわけであります。特に問題となりますことは、日本国有鉄道課税をすべきであるかどうかということでありまして、現行地方税法におきましては、日本国有鉄道等のごとき公共企業体に対しては、非課税の扱いをいたしておるのでありますが、この第二次勧告によりますれば、日本国有鉄道附加価値税を支拂うべきであると、かように申しておるのであります。  大体第二次のシヤウプ勧告に表われておりまする中で、運輸事業関係のある事項は以上申し上げたようなところでありまして、地方財政委員会といたしましては、地方財政委員会設置法趣旨によりまして、非課税範囲、限度あるいは対象をどうすべきであるかということを研究いたしまして、これを国会報告をいたすことになつておりますので、目下これに関しまして種種協議を進めておるような次第でございます。以上簡單でございますが、一応御説明を終りたいと思います。
  4. 前田郁

    前田委員長 ただいまの御説明に対しまして質問はございませんか。
  5. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今の御説明によりまして、シヤウプ第二次勧告の骨子は大体了解できたのでありますが、国有鉄道に対しまして、附加価値税を課すということが、第二次勧告案に出ておる。幸いにいたしまして附加価値税実施が二年延期されておりますが、国有鉄道附加価値税を課すというこの決定といいますか、勧告案を創案された根本観念は、要するに受益者としての国有鉄道という点が、根本観念なつておるのではないか。すなわち課税根本観念は、応益主義に基いておるように感ぜられます。かような推論をもつていたしまするならば、国有鉄道固定資産税等につきましても、同じような応益主義といいますか、応益的な観念をもちまして国有鉄道固定資産税を課すべしという既成概念といいますか、観念があるように推測せられるのであります。附録書にいろいろとこまかく技術的に陳述されることと存じまするが、いかなる方法で課するかということで、無課税にするという結論を予想することは、私はあの勧告案をずつと読み通しますると、非常にむりのような感じがするのであります。その辺の感じをお聞きするのははなはだ申訳ないのでありますが、地方財政委員会における空気といいますか、気持といいますか、シヤウプ博士に接せられること頻繁であつたろうと私は想像するのであります。そのときの片言隻句からいたしましての御推論でもけつこうでありますが、私の推論が誤りであるかどうか、この辺のところをもしお漏らし願えるならばお漏らし願いたい、かように考える次第であります。
  6. 小野哲

    小野説明員 お答えいたしたいと思います。御承知のごとくシヤウプ使節団が参りまして、七週間にわたつていろいろの資料により、また各地を経めぐつて調査をして参つたのでありますが、その間においてシヤウプ使節団から何らかのヒントと申しますか、そういうようなものを得たかどうかというお話のようにも承るでありますけれども、その間におきましてはほとんど資料收集及びこれに基いた調査、あるいは関係方面皆様方との会見、懇談等が行われましたけれども、具体的な問題に関してシヤウプ使節団一行から意見を聞くという機会は、実はなかつたと申してよいかと思うのであります。ただ、ただいま岡川さんが御指摘になりましたように、第二次勧告の中から読み取り得る感じとしましては、固定資産税に関して国有財産及び公益事業を抽出して触れておるという点から申しまして、少くとも関心が持たれておる。同時にこの課税の問題は、技術的にも相当特殊な取扱いをする必要があるであろうということがうたわれておる点から申しまして、いかなる方法によつて課税をするか、あるいは全然課税をしないか、二者択一という関係から申しますと、私の感じとしては課税する方に多くが傾いておるのではないかと推測されるわけであります。しかしながら画一的に課税をするという建前をとるか、あるいはその方法において何らかのくふうをすることになるかにつきましては、附録書が出て見なければわからないというのが、今日の正直なところと申してよろしいと思います。
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今の小野次官の御説明によりますと、大体感じとしては課税対象というか、課税されるような感じがする、こういう御推論の御説明をいただいたのでありますが、この結果は先ほど御説明がありましたように附録書を見てから十分研究した上だ、こういう條件付の御説明のようであつたと思うのであります。ただ私は応益主義理論につきまして、国有鉄道地方税を課すべしという議論に一歩を譲りましても、現在国有鉄道財政状況、また国有鉄道経営状況からいたしまして、万々が一この理論実行に移すならば、必ずや運賃値上げという方向に持つて行かざるを得ないのではないかと私はひそかに憂うるのであります。ところが飜つて日本国有鉄道運賃体系考えてみますと、非常に社会政策的な、経済政策的な、あるいは文化政策的な、いわゆる国策的な見地から、今諸外国に例を見ない特殊な運賃割引方法というか、運賃逓減方法をもちまして、公共的な、また国策的な経営を続けて来ておるのであります。また一面日本の現在の物価事情、精神的また質的に占めるその運賃の要因といいまするか、幅からいたしまして、現在におきまして、国有鉄道運賃値上げということは、現在の国家事情からいたしまして、当然とるべからざることであることと私は考えるのであります。かようにいたしまして、地方税を課すという、いわゆる理論は正しきものといたしましても、これを実行に移す場合に反応として起り来るものは、日本の政策的な運賃方式を一擲し、また避くべきである物価騰貴の原因を招来いたしまする運賃値上げにしわ寄せされることを、非常におそれるのであります。かような実際的な弊害といいまするか、結果を考えますると、国有鉄道地方税を課すべし、課すべからずの理論の闘争はともかくといたしまして、これが実行にあたりましては、現在の世相を十分認識されて、これが方途を講ぜられんことを特に要望いたす次第であります。以上意見を付しまして、私の質問を終りたいと思います。
  8. 小野哲

    小野説明員 ただいま岡田さんからきわめて具体的の考え方基礎としての御意見を拝聽いたしたのでありますが、この点については私もまつたく同感でございます。言いかえれば日本国有鉄道経営方針なり、あるいは経営形態その他の特殊な点を考えますると、いわゆる公共性経済牲とをどういうように調節して行くことがよいか、またその企業体として地方団体から受けておる利益、すなわち受益者の立場とともに、公益的な原則にのつとつた課税考え方から考えまして、その経営の実態との間にどうして調和をはかつて行くことができるか、こういう具体的な種々の問題があろうかと思うのであります。従いまして地方財政委員会におきましては、先般来運輸省当局並びに国有鉄道当局にも来て、もらいまして、国有鉄道財政の現状について詳細な説明を聞いておるような次第で、いずれ地方財政委員会におきまして、資料あるいは関係当局説明基礎といたしまして、調査研究をいたしました結果を国会に御報告いたしたく存じて、目下実は愼重に研究をいたしておるような次第でございます。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 国有鉄道に対しまする課税の問題は一応これまでにいたしまして、最近起りましたジエーン台風キジア台風に関連いたしましての運輸機関に対しまする地方税その他のことにつきまして、御質問を申し上げたいと思うのであります。  私から申し上げるまでもなく、先ごろのジエーシ台風に基きまして、近畿地区一帯は非常な災害を受けたのであります。幸いにいたしまして公共施設といいまするか、公共事業費をもつて施設いたしました国家施設につきましては、災害復旧費その他によりまして、もちろん十分ではないが、いろいろと補助されておるのであります。ところがこの運輸機関は、運輸省説明によりますると、国鉄は約二十億近くの被害をこうむり、地方鉄道は約五億近く、自動車その他も非常な被害をこうむつておるのであります。私から申し上げるまでもなく、運輸交通機関道路に比較いたすべきものでありまして、道路復旧なるとともに鋼材の輸送もでき、またあらゆる被害復旧も促進すると同様に、道路にもたとえるべき交通機関、特に私企業による地方交通機関補助、または災害復旧に対するその他のあらゆる援助が行わるべきではないか、かように考えるのであります。過般も、もう数年前になりまするが、福井震災その他の風水害の場合におきましても、京福鉄道その他の一二の私鉄国家補助金をもらつて、これが復旧にいそしんで復旧を早からしめ、また被害地復旧を早からしめた事例もあるのでありまして、ことに阪神地区地方鉄道被害復旧に対しましては、これが私鉄復旧に対する補助金というものを支給さるべきではないか、かように考えるのでありますが、この点につきましての政府のお考えをお聞きいたしたいということと、もう一つは万々が一私企業に対する国家補助ということができないというようなことになつた場合に、政府におきまして、各党においていろいろ研究し、また講ぜられております金融あつせんの処置というもの以外に、地方税その他の国税免除、特に地方鉄道災害地における運輸機関に対する免除ということにつきまして、政府当局はどういうふうにお考えなつておられるか、御質問を申上げたいと思います。
  10. 小野哲

    小野説明員 お答えを申し上げます。たとえば福井震災等において、国が特別な措置をいたしたということは、私も記憶があるわけであります。また今回のジエーン台風等において、これらの措置をどうするかということについても、先般来内閣に設けました災害対策協議会において種々協議をいたしたのでありまして、福井震災当時のごとき特別な措置を、今回の場合においてとり得るかどうかということにつきましては、検討が加えられて参つておると承知いたしております。ただこの点につきましては主務省の方から何らかの御答弁があろうかと思いますので、私からは省略させていただきたいと思います。  次に御質問になりました災害地における地方税減免の問題でありますが、御承知のごとく先般内閣といたしましては、閣議におきまして災害対策の問題について種々協議をいたしたのでありますが、もちろん一般の財政措置あるいは金融措置につきまして、一応の対策を立てておるのでありますが、同時に租税の減免措置につきましても種々協議をいたしまして、国税の場合と地方税の場合とにおいて、それぞれの減免あるいは徴收猶予措置を講ずる等のことが協議された次第であります。国税につきましては、御承知のごとく災害減免法規定による減免及び徴收猶予と、所得税法規定による雑損控除制度等の適切なる活用につきまして、実情に即した減免及び徴收猶予等措置を講ずることにいたしておるのであります。また地方税関係におきましては、御承知のごとく災害その他特別の事情がある場合におきましては、当該地方団体が個々の具体的のケースに応じて、当該地方団体議会議決によつて減免措置を講じ得ることが、地方税法の中に規定されておりますので、一律に減免をするという方法にはよらないで、それぞれの具体的の場合に応じて減免措置を講ずるということにいたしておるのであります。災害地方におきましては、すでに災害状況調査いたしまして、当該議会において減免議決をいたしておるところもあるようであります。これらの地方税関係における減免措置も、おおむね従来の慣例から申しまして、国税減免措置に準じた取扱いをして参つておりますので、今回におきましても大体各地方団体におきましては、これに準じて措置をいたしておるものであろうと考える次第でございます。
  11. 足羽則之

    足羽説明員 私設鉄道の今回の風水害に対する補助金補助についての岡田さんの御質問に御返答いたしたいと思います。岡田さんも御承知のように、二十三年の福井震災、同じくその同年の台風の害におきまして、公共事業費から補助金が出た先例があるのでありますが、たしか損害額の半額出た、金額にいたしまして約八千万円くらいかと思いますが、そういう前例がございます。今回のジエーン台風で関西の私鉄のこうむつ損害は、約六億二千万円くらいと思つておりますが、それに対して私たちも、そういう前例もございますし、また非常に影響が大きいというので、これに対する公共事業費からの補助をぜひ進めて参りたいということで、関係の安本なり大蔵省の方に、それぞれ内容を付していろいろ協議をして考えてもらつているわけでございます。ただ先般のこの補助がありましたときの考え方と現在と、大分考え方が違つておるようでありまして、補助ということは相当むずかしい、こういう空気であるのでありますが、しかしわれわれといたしましてはそうした前例もあり、また仕事性質並びに損害額相当影響が大きいのでございますので、ぜひ考えてもらいたいということを、実はいろいろ資料を提出して強く主張をいたしておるわけでございます。まだ実ははつきりした結論に達しませんので、これ以上ちよつとはつきりした点をお話申し上げかねますが、われわれとしてはそういう希望を強く持つておるわけであります。     ―――――――――――――
  12. 前田郁

    前田委員長 この際政府側より国家総動員法及び戰時緊急措置法を廃止する法律の一部を改正する政令につき、説明をしたいとの申出がありましたので、これを許します。
  13. 岡田修一

    岡田説明員 ただいま委員長からごひろう願いました政令は、御承知船舶運営会――四月一日以降改称いたしまして、商船管理委員会と申しておりますが、その商船管理委員会存続期間を十月一日以降六箇月間延長する、こういう政令でございます。前回国会で御説明申し上げましたように、前回の延長ではこの九月末日をもつてその存続期間が切れることになるのでございまするが、御承知通り商船管理委員会は、関係方面のいわゆる日本商船監督局の存続する間は、これを存続すべしという指令が出ておりますので、さらに六箇月間、本年度一ぱいこれを延長するようにいたしたい、これだけの政令でございます。よろしく御了承願いたいと思います。     ―――――――――――――
  14. 前田郁

    前田委員長 次に運輸省機構改正に関する件を議題といたします。行政制度審議会答申後、現在までの経過につき説明を求めます。
  15. 大野木克彦

    大野木説明員 行政機構改正の問題がどういうふうに取扱われますか、まだはつきりといたしていないのでございまして、運輸省機構につきましても、目下研究中の段階にございます。それで今日、はなはだ恐縮でございますけれども、まだはつきりしたことを申し上げる段階なつておりません。従つてただいまといたしましては、従来の経過と、それらを通じまして問題になりましたような点を申し上げまして、御意見を承るという程度しかできませんので、どうかあらかじめ御了承を願いたいと思います。  御承知通り昨年行政整理をいたしまして、政府機構全般にわたりまして簡素化が行われたのでございますけれども、なお趣旨の十分徹底しない点もあり、また時間の関係等もありまして、手直しを要する部分もあることと考えられましたので、ただいまお示しのありましたように、昨年六月から内閣に設けられました行政制度審議会で、機構全般について審議が進められて、本年の四月末に答申が提出されたのでございます。われわれといたしましてはその後その答申の線に沿いまして、事務的な研究を進めておるような次第でございます。答申が出ましたあとで、主管いたしておりまする行政管理庁におきましても長官の異動がありまして、現広川長官となりましてからも、さらにその研究を至急に進めるようにというお話で、これを研究いたしております段階でございます。従いましてまだ閣議等にも出ておりませんし、関係方面の御意向等も伺つておりませんので、まだまつたく研究中であるという段階でございます。それで全体の方針といたしましては、行政制度審議会答申にありましたように、戰時中並びに戰後を通じての行政機構の拡大、人員の増加等を、ただいまの国力に相応するような線に、漸次縮減して行くという大きな線に沿いまして、国民負担の軽減をはかるという方向で、作業を進めておるのでございます。具体的な方法といたしましては、なるべく行政運営の改善、合理化によつて、事務の重複、摩擦等を排除して、なるべく簡素な機構にするということ、それからたまたまシヤウプ勧告によります国家事務地方移管という問題が出て来ておりますので、それに沿う行政機構改正ということを考えておる次第でございます。この地方移管の問題につきましては、御承知のように地方行政調査委員会議勧告が近く出る予定になつております。それを十分勘案いたしまして、案に盛り込みたいと存じている次第でございます。  それでこれを多少具体的に申し上げますと、考えておりますところは、全体として総理大臣行政閣議に対する浸透力を強化する。そういう意味でただいまの総理府が、いろいろなものが寄せ集まつているというかつこうになりますので、なるべく総理府総理大臣のスタッフと申しますか、そういうような企画指導の補佐ができますように強化すること、それから行政組織法趣旨にありますように、現在あります各局の部の整理、それから統制事務の縮減に伴う経済統制関係機関の縮小というような点を勘案いたして考えておる次第でございます。それで特に運輸省機構関係につきましては、今回研究いたしましすにつきましても、結 局先般の行政制度審議会答申基礎となりまして、海運、陸運、さらに近ごろは航空等によります運輸関係を中心とする機関に整備いたしたい、こういうふうな観点から研究いたしておる次第でございまして、そういう線に沿いまして、いろいろな問題が出ておるわけでございますが、それらのうちで、審議会以来研究対象となりますおもな点を若干羅列いたしまして、いろいろまたお話を承りたいと存ずる次第でございます。  一つ観光関係の問題でございまして、この前の審議会におきましては、観光関係仕事を集めて、総理府観光庁を置くというような御方針なつております。ただここで問題になりますのは、なるべく行政機構簡素化したいというような気持から、外局というものを――外局というものは、実は行政組織法に出ておりますが、定義は必ずしもはつきりしておりません。仕事性質とか量とかいうようなもので、外局ができているのでございます。ただいま研究いたしておりますところでは、なるべく外局というようなものは、なくしたいという気持研究をいたしております。それから先ほど申し上げましたように、直接に行政指導に関係のないような仕事は、なるべく総理府からはずして行きたいという考えをもつてやつておりますので、これをどういうふうにつけるかということが一つの問題になります。観光ということが各省にまたがつておりますので、これをなるべくまとめたいという考えをいたしておる次第でございます。  次に港湾の問題でございますが、これにつきましては御承知のように行政制度審議会では別に国土省というようなものが、治山、治水を中心にして考えられておりまして、その一環として港湾建設に関した仕事は国土省に移すという考えが出ております。もちろんこれには反対意見もございまして、少数意見として、現在のままで運輸の一つの管轄内として、港湾というものをぜひ運輸省に置かなければという意見でございまして、大きな問題としてあげられている次第でございます。なおそれに関連いたしまして港湾部門と、ただいまの建設省、国土省になりますれば国土省の地方建設局との工事力を、なるべく合せるのがいいではないかというような考えもありまして、これも研究いたしておるところであります。次に港湾局関係では倉庫行政のことが問題になつたのでありますが、これは答申ではそのまま港湾関係に置き、運輸省に置くということになつております。ただ少数意見として通産省にこれをつけたらどうかという御意見もございましたけれども、多数意見はそのままということに相なつております。なおこれは審議会のときには問題になりませんでしたけれども、全体としまして海運関係の部局が、現在の海運力に比べて複雑になり過ぎておるというような説もございまして、これは審議会のときには問題になりませんでしたのですが、海運局と港湾局とを合せて簡素化したらどうかというようなことも議題なつております。これは港湾法ができまして、いわゆるポート・オーソリティーができれば、ただいまの港湾局の仕事が相当そちらの方へ移るであろうというような考えのようであります。  それからただいま申し上げましたような海運関係機構を縮小するというところから、審議会では、船員局を海運局に統合するというような答申なつております。なお船員保險を運輸省に移すということも、かねがね問題になつておるのでございますが、これは社会保障制度等の関係もありまして、相当研究を要する問題であろうと存じております。  次に審議会では大体電気通信省を公共企業体に持つて行くという考え基礎にいたしまして、ただいまのころ電気通信省に属しております航空保安庁は運輸省に移して、その内局とするというふうに答申されておりますが、その後に国内航空輸送の問題も出て参りましたので、国内航空の問題と一緒にして、この航空保安庁の問題が浮び上つて来ております。  次に中央気象台を先ほど申し上げました国土省に移すということが、審議会答申に出ておりますが、これには反対の少数意見がございました。その考え方は、要するにいわゆる地球物理に関する業務を一括したらどうかという意見から出て来た問題でございまして、治山治水等の関係からただいま建設省に属しております地理調査所と一緒にして、国土省に移すというのがそのときの考え方であつたのでございます。これらも航空関係等が浮び上つて参りますと、相当問題になる点ではないかと存じます。  そのほか機構をなるべく全体として縮小するという方針から、陸運関係を統合するというようなことも問題にはなつております。  それから船舶検査の関係で海上保安庁、これは運輸省内部のことでございますが、海上保安庁と船舶局その他にわかれておりまして、相当不便があるようにも承つておりますので、これを統合できないものであろうかということも研究されております。  そのほか地方の機関につきましては、ただいま申し上げました地方行政調査委員会議勧告に沿いまして、さらによく研究をいたしたいと存じております。  大体行政制度審議会等を中心にいたしまして、ただいままで研究しておりますあらましを申し上げた次第でございますが、いずれもまだきまつたことではございませんで、はなはだ不徹底で申訳ございませんけれども、お許し願いたいと思います。
  16. 前田郁

    前田委員長 大野木次長の御説明に対しまして、質問または御意見等はございませんか。中西君。
  17. 中西伊之助

    ○中西委員 ただいまの御説明は少し言語が不明瞭で、ときどきわからない点があつたのですが、しかしこの行政機構の改革で当然起こつて来るのは、人員の整理だと思いますが、この点について触れておられないし、また報告によりますとまだきまつていないというようなことでありますが、行政整理に伴つて当然配置転換あるいは首切りが予定されておるだろうと思いますけれども、それはどういうふうなことになつておりますか。その数あるいはそうした剰員を出す方針、その他についてお答えを願いたいと思います。
  18. 大野木克彦

    大野木説明員 それらの点につきましては、まだまつたくきまつておりません。ただ今機構の点を研究いたしております段階でありまして、人員の方をそれた伴つてどういうふうに縮減をして行くかというようなこと、並びにその方法等につきましては、まだ私どもまつたく成案を持つておりません。
  19. 中西伊之助

    ○中西委員 こうした行政機構の改革というものは、むろん行政の簡素化にあると思うのですが、同時に経費の関係もあると思うのです。経費の関係を節減する最も重要な部分は何かというと、人件費だろうと思います。そういうふうなものに対して何ら成算がまだないということは、すこぶる納得しかねるのですが、そういうことについては全然御方針がないのですか。どのぐらいの人員をここで整理して、どのくらいの経費を節減するというくらいのことは、最初から計画を立てられておるはずだと思いますが、ただ莫然とこれをああする、あれをこうするということは、非常に無成算だろうと思いますが、どういうものですか。
  20. 大野木克彦

    大野木説明員 それらの点について、むろん研究はいたしておるのでございますが、まだこういうような方針でやるとか――やる方針によりましていろいろ違つて参りますので、いろいろの場合を想像いたしまして研究はいたしておるのでございますが、どの方法で行くという点については、まだきまつていないのでございます。
  21. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 ただいま行政機構改革の御説明をいただいたのですが、私はこの御説明のうち、観光行政関係についてお伺いいたしてみたいと思います。  ここに行政機構関係が書いてありますが、この中にありますところの改正法を見ましても、本来の運輸観光行政にほとんどかわりがないような関係を見受けますので、今後の観光行政につきましては非常にむずかしいところがたくさんあるし、運輸省の観光行政については、外国を対象といたしましたところの観光行政ばかりに進んでいるようでありますが、現在外国の観光行政は必要でありますけれども、まず国内の観光行政を充実させるというところに観点を置いてもらわなければ、観光事業の推進はあり得ないということを、私どもいささか体験を持つておりますので申し上げたい。まだいろいろの点をお伺いしたいのでありますが、運輸省の観光行政につきましては、昭和五年以来歴史を持つている観光行政をやつておりますが、いつの場合でも、旅客のあつせんあるいは宣伝とかいうことが書いてあります。ことに観光連盟とか交通公社とかいうようなものを使つて、その省自体の行政というところに彈力性というものが少しもありません。言うまでもなくこの観光行政については、厚生省、建設省あるいは文部省、通産省等も関係がありますけれども、いやしくもこれだけ歴史を持つておりますところの観光行政を背負つて立つ運輸省におかれましては、もう少し具体的な、実際に推進力のあるような行政機構に改革してもらいたい。一例を申し上げますなら、現在内閣の外庁に観光審議会があり、また厚生省にも観光審議会があり、運輸省にもある。この審議会というものは一体どこで取り上げているものか。またどこで所管してこれを整理しているものか。いつになつても同じことを繰返しているような状態であります。観光行政にはいろいろありますけれども、まず第一番に日本道路問題、あるいは衛生問題を確立する。道路問題を確立する場合には、言うまでもなく建設省であり、衛生問題を確立する場合には厚生省であるというようなわけで、はなはだ私どもは遺憾に存じております。ことにこのたび運輸常任委員会及び観光小委員会が一緒になつて、北海道のはてから九州のはてまで一応私どもは視察さしていただきましたが、各地とも観光行政に対しには非常な熱を持つているわけであります。しかしこの熱を持つている観光業者の祖国再建に資したいというこの気持に対して、どういうふうに取扱つて行つたらいいかということについて、私ども委員は非常に苦慮したのであります。そこで私どもでありましたら、実際こういう方針でこういうふうにやるのだから、諸君ももう少し一生懸命でやつてもらいたいということを言いたかつたのですが、その目標というものがはなはだ薄弱なために、私どもは各地へ参りまして、とにかくサービスをよくしろ、衛生方面を確立しろ。所によつては、その風光名物を利用して、観光客に満足を與えるような施設をしてもらいたいということを、各委員一行とともに各地でお話したのでありますけれども、遺憾ながら行政面に薄弱な点がある。今後の日本の観光事業というものは重大であります。私はいつも申し上げるのでありますが、決して運輸省だからどうの、建設省だからどうのということでなく、どこでもいいからもう少し彈力性を持つた予算を持つて、この観光方面を促進してもらいたい。ただいまも内閣委員会へ参りましたところ、行政機構問題について、一体どうしたらいいのだ、どこへ置いたらいいのだ、一体だれが主になつてやるのだというような委員会の皆さんの御意見がありましたが、その通りであります。もし運輸省がこの観光事務を根本的に責任を持つでやるのなら、言うまでもなく各関係者とも話をつけていただきたい。同時に国有鉄道運輸省関係とが密接な関係を持つていただいて、陸と海と、交通面におきましても、施設面におきましても、また観光道路面におきましても、温泉問題にしても、この業者の営業面におきましても、これが確実に実施できるような方向まで進んでいただきたいことを、私どもはこの機会にお願いするのであります。また先ほどの御説明は、どうも薄弱な説明でよくわかりませんでしたが、ここに書いてありますところの行政事務関係は、在来書いてあるのとほとんどかわらない、彈力性がないということに見受けますので、これらの点について今後どれだけの御決心があるか、どういうところまでこの機構を持つて行くかということについてお伺いしてみたいと思います。
  22. 大野木克彦

    大野木説明員 観光行政につきましては、ただいまお話通りに、以前は国際観光局というものが運輸省にございまして、観光行政を一括してやつておられたのでございますが、それが戰時中に廃止されまして、ただいまは観光部になつておるような状況でございまして、やはり観光行政を一まとめにしてやるところができるということが、一番必要なのではなかろうかと存じます。観光関係の業務といたしましては、たとえば道路であるとか、衛生であるとか、これをみな一箇所でやるというわけにはもちろん参りませんけれども、しかしそれらの企画をいたしたり、方針を立てたりいたしますような責任のある部局があるということが、まず大事なのではなかろうかと存じております。そういう点で観光関係の業務をまとめるということが必要ではないかというふうに考えております。
  23. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 ただいまの御説明ではよくわかりませんですが、私の申し上げていることは、つまり運輸省にそれだけの決意があるか、また各省をとりまとめるだけの勇気があるかということをお伺いしたいのです。
  24. 關谷勝利

    ○關谷説明員 行政機構の改革につきまして、大体大野木次長からお話があつたと思いますが、私ちよつと欠席しておりましたが、あの委員会におきましても、運輸省においてこれを所管することは私たちは熱望いたしたのであります。その当時委員会におきましては、内閣外局として観光庁をつくるというふうな意見が非常に強かつたと思いますが、私たちといたしましては、運輸省が最も関連が多い、従来も運輸省がやつて来たのだということで、観光に対しまする強力なわれわれの所信を貫きたいというふうに存じたのであります。現在のところ委員会等の空気が、運輸省に対しては非常に不利な状態にありますので、この点まことに残念に思つておりまするが、もしこれが運輸省の所管になり、そうしてわれわれの希望通りに、局というふうなことに昇格でもしてもらえるというようなことになりまするならば、観光事業というものは急速に発展するのではないかと私は考えております。
  25. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 関谷次官の答弁は非常に当を得た答弁です。しかし要領のいいような答弁でよくわかりませんでしたが、内閣の外庁としてできる観光庁に対しては、私は賛成する者でもなく、反対する者でもありません。でき得ることでありましたならばこの運輸行政の中へ、もつと彈力性のある観光部面をつくりたいという希望をただいま持つております。この運輸委員会の中に観光小委員会をつくつていただき、それ以来この観光小委員会をどういうふうに運営したらいいかということに、私もいささか腐心をいたして参つたのでありますが、つかむところがないのであります。つかむところがないということは、要するに運輸省の観光部が、まるで宿屋さんの少し気のきいたような行政をやつているのにすぎなくて政府のやつておる機関としての根本が一つもないように見受けるのであります。私は微力ではありますが、観光小委員会で委員長の席を汚さしていただいている関係上、委員の方に対して衷心から申訳ないと思つております。しかし政府機構によつてこれが運営できるならば、その機構をとらえようと思つておりますが、何物もない。今後におきましても、この委員会を継続する上において、まず運輸省の根本方針を聞かない以上は、この小委員会の意義をなさない。また小委員会といたしましても、実際に運輸面が必要でありましたならば、運輸省へこれを置きまして、もつと彈力のあるものにしたいというのが私の希望でありますが、本日は観光部長もおりませんので、御答弁には支障がある点があるのじやないかと思いますので、この次の機会までに、私の今申し上げることはぜひ御回答できるように御配慮を願いたいと存じます。一言申し添えます。
  26. 關谷勝利

    ○關谷説明員 機構のつかみどころがないということでありますが、機構は観光部がありまするので、観光部の方で、皆さん方の御指示に従いまして、できる限りのことをやりたいとみんな心がけておるのでありますが、私たちといたしましても、この観光というものが局ということで運輸省に置いて、そうしてわれわれが考えておりますることを実現いたしたい、このように存じております。この行政機構審議会におきましては、そのような答申が出ておりますが、私どもといたしましては、将来とも極力運輸省が所管をいたすように努力いたしたいと存じます。  なおまたわれわれの方から強力に推進をしてもらいたいという御希望でありますが、せつかく小委員会ができておりますので、委員会の御決議をいただきまして、具体的にやつていただきますならば、われわれ執行面といたしましては、極力御趣旨に沿いたいと思つております。
  27. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 それではもう一度――。ただいま関谷政務次官から非常に熱のある御回答をいただきましたので、この機会にお願いやら私の希望を申し上げたいのであります。本日も私は毎日新聞の観光百選を扱つている所へ参りました。そうしますと三百人からの人が汗だくだくになつて、晝夜兼行でこれを整理いたしております。整理が済むのは八日ごろでなければできない。現在予想の投票総数は七千万、金にいたしますと一億四千万円に相当する。一新聞社の観光問題にいたしましても、とにかく一億四千万円という厖大な金を観光に使つておるのであります。日本の観光事業をいわば宣伝をしているような時代に、なまじつかなことをやつたのでは、この観光行政が確立しないということは明らかなのでありまして、かような点も社会面から比べていただきまして、今後の観光行政には一段の御協力を切望してやまないものがあります。
  28. 滿尾君亮

    滿尾委員 私ちよつと遅れて申しわけなかつたのでありますが、今観光行政を内閣直轄の方へ持つて行くということに、大体動いておるというお話でありますが、それはどういう考え方でそういうことになつておりますのか。その考え方をちよつと御説明願いまして、そしてなるほどもつともであれば、われわれも双手をあげて賛成いたします。どうもふに落ちぬということであれば、これはやはりよほど究明いたしまして、輿論のカに訴えて、もう少し努力しなければならぬように考えます。私はこのプリントを見て考えますが、たとえば外客誘致のホテルの保健衛生のことに関して、厚生省の所管のことやら、運輸省一つにはまかされぬというような論拠がありとするならば、私は非常に了解に苦しむ。それならば、観光客が日本へ上りましてホテルへとまる。観光地に行く。観光地には警察の力があつて、治安が維持される。それでは警察も観光事業に一席所管の発言権を持たさないとおかしい。およそ食物に対する営業行為があつて、それに保健衛生上の監督権のありますことは、空気のごとく水のごときものである。その空気のごとく水のごときものをもつて、具体的に業務所管とする論拠とするがごときことを聞くに至つては、実に奇怪しごくのことであつて、私は絶対に納得できない。結局観光事業そのものに、はたしてどれだけの知識なり経験を持つている要素があるか、過去における実績はどうであるか、将来においてこれを担当すべき能力がありやということを考うべきであつて、ただ各省が、論理的に観念的に関連性があるということで、りくつに走つてものをおきめになるということは、将来の日本の観光事業を生かすゆえんでないと考える。従つて保健衛生施設の監督をするから、厚生省が発言権を有する――そんなばかなことはないと思いますが、もしありとすれば、われわれは絶対に反対しなければならぬように考えます。国立公園にいたしましてもその通り運輸省の所管に置いてはまことにぐあいが悪いのだ、だからこれを改めねばならぬのだという、そのほんとうの理由を率直に教えていただきたい。われわれもなるほどと思えば双手をあげて賛成をする。この際一ぺん、委員会において論議をせられ、委員会の空気を支配したところのほんとうの原因というものをごひろういただきたいと考える。
  29. 大野木克彦

    大野木説明員 観光庁をそういうふうに持つて行くという考え方は、ただいまお話のありましたような、行政制度審議会の御意見でございまして、そのときの様子を申し上げるにとどまるのでございますけれども、大体気持としては、やはり観光関係が設置法におきましても、たとえば国立公園、温泉の観光客は厚生省の所管になつておる。それからバイヤーの宿舎等に関する事務は、通産省の所管になつておる。もちろん運輸に関しての観光部面は、運輸省の観光部の所管になつておる。そういうようなぐあいに観光ということに関しましても、それぞれその所管の範囲でもつて観光を扱うというような、現在状況に相なつておるものでございますから、一応これをまとめるとすれば、どうも実際問題としてどの省につけてもいろいろやりにくいというようなところから、結局どの省にも中立な総理府に移したら一番いいのではないかというようなことで、そのときは総理府というぐあいに、委員会ではおきめになつたようでございます。
  30. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は観光事業というものは二つの面があると思う。一つは観光に来る外人、人間に対する政策、一つ日本の国土、風土と申しますか、いわゆる観光資源の温存、保存といいますか、それに若干の施設を加える面、こういうことになるのであります。いずれが観光事業の実態であるかということでありますが、もとより日本の観光資源そのものを毀損せざるように、保護温存することは非常に必要なことであつて、それは観光のためだけではない。日本の天然記念物を温存しようという一つの大きなわくの中に入ることである。従つて観光事業としてこれを取出して考えた場合には、むしろ日本に来遊するところの人間に対する政策が、その重点になくてはならぬと思います。そこに皆さんのお考えに非常な誤解があるのではないか。外国から来る人間を相手とする事業でありますから、これに対する知識と経験とを持つたことを重く見なければならないのじやないかと思う。たとえばバイヤーに対するホテルの応接に関することとか、バイヤーに対するものは通産省が管理している。しかしこういう点は一時的な現象ではない。これは日本の講和條約が締結され、日本が通常の国際社会に復帰し、従つて日本の貿易関係が通常の状態になつた後におきましても、こういう制度を一体とられるのであるか。私はこれは、占領治下における日本の貿易が非常に特殊状態のもとに置かれてあるからこういうことができて来たのであつて、国家百年の立場から考えればきわめて変態的な一時的な現象であると思う。そういうことをとつて将来の大事な観光事業の性格をいろいろに曲げて考えられるということは非常に残念である。これは決してあなたに申し上げるわけではない。その委員会の連中のものの考え方が、非常に見当はずれであるということを深く感ぜざるを得ない。われわれといたしましては、ぜひこれはその蒙を開かなければならぬ。かようなばかな理由によつて、国の大事な政治が脱線するがごときに至つては、これはもうどうかしている。本日の御答弁によりまして、私は観光事業をどうしても運輸省に持つて行かなければならぬという信念を持つて来たのであります。どうかよろしくお願いします。
  31. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど現在いろいろ研究をしておられます各省局の併合につきましてのお話を承つたのでありますが、私はまず根本的に承りたいと思うのでありまするが、昔から各省の併合は、大臣の命とりといいますか、内閣の命とりになるというほど、非常にむずかしい問題であつたかのように、私は今まで聞き及んでおるのであります。また各局、各省を併合するには、それぞれ併合すべしという議論も抽象的に成り立ち、また実際的に併合すべからずという議論も成り立つのでありまして、これをいずれの線に治めるかということは、私は政治的にもまた行政的にも非常にむずかしい問題であると想像し、また考えておるのでありますが、政府におきまして行政の簡素能率化、こういう理想的な目途に向つて盛んに研究しておられまするが、大体こういう研究をお進めになるには、私は何か基準をお持ちではないか、かように考えるのであります。具体的に例を申し上げますと、たとえば昭和五、七年といいまするか、戰前の行政機構の状態に一応各省の行政機構を白紙のままにもどして、これを基準としてその後における情勢の変化というものをプラスして、行政機構の統合、廃止ということを考えておられるのか。ただぼやつとしてあらゆる抽象論を闘わして、そうして有勢無勢、いろいろ口角泡を飛ばして、とにかく何といいますか、声勢といいますか、声の勢いの盛んなる方向に向つて軍配をあげられるのであるか。その辺のところをどういうところに基準を置いておられるのであるか。もし基準を置いてといいますか、心中ひそかにわくをこしらえておられるならば、その辺のところをお示し願いたいと思います。
  32. 大野木克彦

    大野木説明員 これは私ども事務当局の方から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、研究いたしております立場から申し上げますと、この審議会におかれても、一応戰前の状況ということを基準に置かれまして、そのためには基準年次の、戰時態勢のまだあまり徹底しなかつた時代と申しますか、大体昭和七年の機構等を参考にせられたようでありまして、われわれも考えます際にはその線を一応目途に考えております。もちろんその当時に比べまして、引揚げその他により人口は非常に増加いたしておりますし、また新憲法のもとで行政の重点、運営の方法、その他以前とは重点が相当かわつて来ております。それらの点ももちろん考慮に入れなければなりませんけれども、必ずしも昭和七年そのままにもどるということは困難かと存じます。一応の目安としては昭和七年を基準に考えております。
  33. 岡田五郎

    岡田(五)委員 なお中央官庁の各局各省の併合の具体的な問題につきましては、また次の機会に十分私たちの意見を述べさしていただくことといたしまして、次にお尋ねいたしたいことは、最近非常に問題になつております地方行政と国家行政の配分の問題であります。行政管理庁が、地方自治庁でございますか、その方面におきまして大体どういう基準というか、考え方でこれを配分しておられるか、具体的に申し上げますと、地方自治法の二十三條の二項でございますか、地方団体はこういう事項をやるのだということで、二十一項目か何か列挙的にあげられてありますが、今度いろいろと国家行政を地方行政に移管されるにあたつては、多分但書の特別の定めある場合はこの限りにあらずという條項に基きまして、地方自治強化という意味において、現在国家行政としてやつておるものを地方団体に委讓されることであろうと思うのでありますが、そのときの考え方でございます。私はまず地方自治団体にはこういうものを移管することによつて、地方民をその地方行政に参画せしめ、しかも地方住民をして、いわゆるその行政を認識させるということが最も適当であるという事項を、現在の国家が扱つておる行政から摘出して列挙主義にやられるのか。すなわちさように摘出して、残りは全部国家業務だ、こういう行き方をされるのか。それとも考え方として全面的に一応地方団体にまかせるのだという考え方にしておいて、そのうちどうしてもこれは国家行政として持たなくてはならないという、逆国に家行政を列挙主義で摘出される方法にもつて行かれるのか。ここに私は考え方いかんによつて、委讓する事務の量及び質というものが大きく違つ来ると思うのでありますが、その辺のところをどういうような考え方で行かれるのか。いわゆる地方行政にまかせるものを列挙主義で行つて、残つたものは国家行政として全部残すのだ、国家行政はこれだけしかやらない。残りは全部地方行政に委譲するのだ、こういう行き方に行かれるのか。前者であるか、後者であるか。もし御方針でもありますならばお聞かせ願いたい。
  34. 前田郁

    前田委員長 ちよつと岡田委員に申し上げたいと思います。今行政制度審議会の模様を聞いたわけですが、次に地方行政調査委員会議の問題をまた聞こうというわけです。今の地方委譲に対する問題は、地方行政調査委員会議事務局から小熊第二課長が見えておりますから、一応これを聞いてからにしてください。  それでは地方行政調査委員会議事務局の小熊第二課長から、地方委讓の問題につきまして御説明をお聞きしたいと思います。
  35. 小熊清

    ○小熊説明員 地方行政調査委員会議は、昨年末発足いたしました臨時の委員会でございますが、その任務といたしまするところは、現在の中央と地方を通じますところの行政事務の配分の調整を行いまして、その結果につきまして国会及び内閣に対して勧告をいたすということになております。現在調査委員会議はこの勧告の準備といたしまして、さしあたり重要な行政事務を抽出いたしまして、これに対して検討を加えておるという段階にありまして、何分にもその対象といたしますところの行政事務が、一応すべてにわたつております関係上、なお若干の時日を要すると思われます。また一応の検討を全部について終えましてから、さらに全体としての調整を加えるという必要を認めまするので、ただいまのところまだ個々の問題について申し上げるという段階に至つておりません。またただいま御質問事務の配分の調整を行いまする場合に、どういう方針といいますか、基準を立ててやつて行くのかという御質問がございましたが、これにつきましては、元来委員会の委員から御答弁申し上げるのが至当と思われますが、事務当局といたしまして、一応委員会の空気から推測いたしまして、配分の基準といたしましては、まず国に留保すべき事務を列挙的に取上げまして、それ以外のものは一応すべて地方団体に委譲するという建前で検討を続けておるというふうに感ぜられる次第でございます。
  36. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私この機会に運輸委員といたしまして、運輸省機構改正するにあたつて御注意を願いたいことを、ごく簡單に申し上げておきたいと思うのであります。これは中央官庁の各局の併合のみならず、現在の国家運輸行政といたしまして、運輸省が統括いたしております地方庁への事務委譲の問題に関連してでございます。先ほど地方行政の再配分についての御意見を承つたのでありますが、私から喋々と申し上げるまでもなく、運輸行政は非常に公益性が強いのであります。従いまして、行政として運輸省が掌握する必要があると考えるのでありますが、一面運輸事業というものの広域性というか、非常に範囲が広い。いたずらな行政区域によつてこれを区分すべきものではないということを、ごく簡單に申し上げたいのであります。要するに経済圏と交通圏は一致すべきであつて、行政圏と交通圏は必ずしも一致しないということを、十分念頭に置いていただきたい。もう一つは、運輸交通――海運、陸運及び自動車、あるいは空運、こういつたあらゆる交通機関が総合的に相互調整し、また総合一貫性を持つてこそ、眞に運輸行政の発達を期待し、また従つて経済の発達が期せられる、かような信念を持つておるのであります。いたずらな机上の観念論をもつて、この経済行政としての運輸行政を、現在の狭い行政区域内に分散、分裂させるということは、非常な過誤を残すものであると考えるのであります。  次に行政技術士の問題でありますが、私から申すまでもなく、運輸事業というものは近代科学の集積物であります。産物であります。すなわちあらゆる通信技術、あるいは機械技術、土木技術、その他のあらゆる技術の集合物でありまして、かような知識、経験を持つてこそ、初めて完全な運輸事業の監督行政ができるのであります。普通の作文行政ではなし得られない特殊な行政であると考えるのであります。かような特殊な技術的な色合いを持つた行政を、言葉は悪いかもしれませんが、作文行政をもつばらとする地方自治体に移管するということは、私は運輸行政を破滅に陷れるゆえんであると考えるのであります。  ごく簡單に申し上げましたが、かような重要な要素を十分お考えおき願いまして、いたずらな机上論、観念論にとらわれないようにされんことを特に希望申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  37. 前田郁

    前田委員長 委員の皆様にお諮りいたしたいと思いますが、この機構改正の問題は非常な重大な問題であります。ことにただいま承りますと、観光庁総理府に持つて行く、あるいは港湾の建設を国土省に持つて行く、あるいは海運関係において、海運、港湾を一つにする、あるいは船員局と海運局を一緒にするとか、気象台をどうするとか、いろいろ重大な問題があるわけでありまして、運輸省のほとんど全般にわたつての機構改正をしようというような問題だと思われるのであります。私どもはこれは非常に重大な問題と考える。ところが今日は責任者が一人も来ていない。これではいくら質問しても何にもならない。それで次会に広川行政管理庁長官を呼び、なお今内閣委員会において各省別に役人の方を呼んで聞いておるそうです。それだけでは役人の立場からの話を聞くだけであります。やはり国会があるのであるから、各委員会の意向を聞かなければ十分ではないと思います。これが相当な程度に進んで、もはや基準がきまつてからでは私はおそいと思います。早いうちに本委員会として行政管理庁長官も呼んで聞き、なお内閣委員会の小委員会ができておるそうですから、その小委員長もここに来てもらつて、われわれの意見を十分に通して、そうしてこの権構改革の参考にしてもらう、こういうことにしなければ、私は運輸委員会の皆さんの意見は何らの効果を現わさないと思う。そういうふうにしてやつたらどうかと思いますが、皆さんどうでしようか。
  38. 滿尾君亮

    滿尾委員 委員長の御心配になりましたことは、非常にけつこうな点でありますが、私は小委員会の委員長を呼び出しただけでは不十分だと思う。従つて運輸委員会から臨時に向うの審議に参画させるような道が開けないものかどうか。あるいはそれが開けないならば、両方の委員会の合同懇談会といいますか、お互いに十分論議を闘わせたい。委員長が一人ここに来まして、委員長にいろいろ私らが言いましてそれを委員長が持つて帰りましても、他人の意見で消化不十分でありまして、十分にこの委員会の空気を伝えがたいと思う。従つて少くとも内閣委員とひざを交えて、ここに接触するチャンスをおつくりくださいますようにお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  39. 前田郁

    前田委員長 どうでしようか皆さん、ただいま私の申し上げましたことと、滿尾委員の言われたことは大差ないのであります。私もその通り意見であります。なるべく内閣委員全体と合同審議をやるとか、あるいは懇談会をやるとか、そういうことで進まなければいけないと思います。そういうことで皆さんの御承認を得れば、私もひとつ段取りをしてみたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 前田郁

    前田委員長 それではさようとりはからいをいたします。  ほかに何かありませんか。
  41. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今度国内航空が運輸省の所管になつたように新聞で見ておるのですが、大体いつからどういう方法でそれをされるか、ちよつと御説明を願いたいと思います。
  42. 秋山龍

    ○秋山説明員 お答え申し上げます。国内航空に関する問題その他のことにつきましては、この前の臨時国会におきまして、政府委員よりすでに御説明申し上げておる次第でありますが、国内航空ができました場合にはもちろん、これは運輸の一部でございますので、われわれは運輸省としてこれが所管をなすべきが当然である、かように信じておるのであります。しかしまた一面、電気通信省の所管に航空保安庁というのがございまして、ここでは相当航空に関するエキスパート、つまり戰争前に日本が航空行政を持つておりました当時の、非常な経験者がおるわけであります。従つて航空行政をやります場合には、この人たちの経験を利用することも非常にけつこうなことであります。結局両方の立場をいろいろ勘案いたしました結果、将来なるべく早い機会に航空保安庁を運輸省に移す。これは行政制度審議会でもおきめになりました線でございますが、移すということを了解いたしまして、それまでには航空運送行政に関する諸般の準備義務等もございますので、これは航空保安庁をして当らしめる。しかし航空運送面における事柄は、運輸大臣の指揮、監督をせしめる、かような一応の申合せと申しますか、閣議決定をいたしまして、それでとりあえず推進いたしておるような次第であります。従いまして国会を開きました機会におきましては、大体われわれが所期いたしておりますような正当な姿に機構整理ができる、かように考えておる次第でございます。
  43. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ちよつと私のわかりにくかつた点でございますが、法律の改正ができるまで、一応航空運送に関する事務についても、電気通信省の外郭であります航空保安庁に取扱わしめて、これが監督命令は電気通信大臣ではなしに運輸大臣がやる、こういう申合せでございますか。確認をいたしますが。
  44. 秋山龍

    ○秋山説明員 今のお話通りの線であります。
  45. 前田正男

    前田(正)委員 ちよつと他の問題で一つ、少し遅れて出ましたけれども、委員長質問させてもらいたいと思うのであります。委員長から御報告があつたかどうか知りませんけれども、前回委員会におきまして機構改革問題に伴いまして、運輸省自体の管理局の機構改革の問題も、われわれ委員会としての決議をいたしたのでありますが、その決議をいかに実行されておられるか。あるいはまた休会になる前にわれわれ運輸委員会といたしまして、国鉄の副総裁及び理事の問題等についての申合せをいたして、要望もいたしたと思いますが、こういう問題についていかに取扱つておられるか。あるいは現在まだわれわれに対しまして説明する段階に至つていないのかどうか。幸いに運輸政務次官も出ておられますから、運輸政務次官の方から御説明を願いたいのでありますが、現在の交渉の段階をもし御説明できるならば、御答弁願いたいと思います。
  46. 關谷勝利

    ○關谷説明員 ただいま前田委員からお尋ねのありました点について、いろいろその中には進めておるものもありますし、まだその緒についておらないものもありますので、いましばらく御猶予願いたいと思います。近い委員会の席上で御報告を申し上げるようになるかと思います。
  47. 前田正男

    前田(正)委員 その交渉を進めておられない方はどの方ですか。
  48. 關谷勝利

    ○關谷説明員 まだ話の進んでおらないのは副総裁の問題であります。これもやがてまた御報告申し上げ得るようになると思います。
  49. 前田正男

    前田(正)委員 本日は委員の御出席も少いことでありますので、私は中間的な御報告を求めた程度にいたしておきますが、委員会の御承知通り、われわれ運輸委員会の意見というものは、国民代表の意見でありますので、せつかく全員一致した要望がありまして、それが遅々として進まないということでは、国会の面目にも関することであります。われわれ国会議員としての将来の責任問題も起つて来ると思いますので、委員長におかれましても運輸当局を督励せられて、せつかく委員会から申し出た事項は、なるべく早い機会に必ず実行されるようにお願いいたします。そうして次回の委員会、あるいはまたなるべく早い委員会におきまして、委員長は督励された結果、また運輸当局のやつておられます結果について、御報告をお願いいたしたいと思います。ただわれわれが何でもかでも要求して、そのままにして置けというような慣例が起りますと、われわれ国会議員の権威の問題にも影響することでございます。これは與党、野党を含めました一致した要望でございますので、特にその点につきましても委員長もよくお考え願いまして、当局を激励して実行されんことを特にお願いいたしまして、質問を終ります。
  50. 前田郁

    前田委員長 ただいまの前田委員の御意見に対しまして、委員長としてお答えいたします。実は私は四、五日前に帰京いたしましてすぐ運輸大臣にお目にかかりまして、管理局の四箇所の設置問題は、ちようど私の留守中にも委員会として決議されまして、まだ書類が着いていない、こういうことであります。ちようど秋山次官もその席におられたのでありますが、それから翌日私は調べましたところが、監督局長の手元に正式の書類が来ている、至急運輸大臣の方に届けてもらいたい。こういうことで届けてもらつたわけであります。運輸大臣の方から、本問題は非常に政治性も含んでいるわけである、委員長もひとつ協力してくれ、こういうことでありまして、ただいまその実現につきまして大いに協力してやつておる最中でありますから、しばらくお待ちを願いたい。
  51. 米窪滿亮

    米窪委員 ただいま前田委員が言われるように、議題が誤解を招きやすく書かれておる、国鉄機構の内部の問題に触れておるようになつておるのですから、ああいう質問が出る。だから議題がそういうことであるならば、それをそういうことのないようにひとつお聞きを願いたい、こう考えておるのであります。今日の傍聽者の大部分の方は、そういう問題が出て来ると思つて傍聽に出て来られたと思う。
  52. 前田郁

    前田委員長 ほかに何か御意見はございませんか。
  53. 滿尾君亮

    滿尾委員 運輸省機構改正の問題で、特に自動車局に関連した問題について、自動車局長の見解をお尋ねしておきたい。私はわが国の現在の自動車行政のあり方は、きわめて跛行的である。決して現在の自動車行政のあり方は、満足すべき状態でないと思う。従つて事務当局としては、現在の自動車行政で満足されておるのであるかどうか。最近の動きから見ますると、さらにこれをいろいろ縦にも横にも切りさいなもうというような形勢が動いておる。これでは自動車行政は壊滅してしまう。少くとも私は自動車行政が、もう少し包括的形態で進展しなければならと思う。従つてわれわれ野にある者がそういうことを考えるだけでなしに、その責任の衝にある当局として、どういうふうに考えておるか、見解を伺いたい。  第一は、自動車の製造事業に関する問題について、当局はいかように考えておられるか。これは他の運輸機関がことごとく運輸省の管轄にあつた。たとえば船のごとき、あるいは鉄道車両のごとき、あるいはかつては航空機までもそうであります。ひとり自動車だけが、なぜ一般機械産業として区別されなければならぬか。この点が首尾一貫しませんければ、私は自動車行政は全しとは言えないと思う。  第二は道路に関する問題、道路にも実はピンからキリまでありますが、少くとも国道及び指定府県道、自動車交通の主たる道路につきましては、これは一貫した行政で行かなければいけない。従つて道路政策と自動車政策との融合点を求めなければならぬ。これらの点につきまして私は当局におきまして、ぜひ積極的な動きをもう少し見せていただきたいような気持を持つておるのでありますが、これなくしてはわが国の自動車行政は落第点であると考えておる。御見解をもう一ぺん伺いたい。
  54. 牛島辰彌

    ○牛島説明員 ただいま御質問のございました自動車の生産事業に対する行政並びに道路法に基くところの道路行政につきましては、運輸省といたしましても、先般来行政管理庁次長から御説明のありました行政制度審議会から意見を求められた場合におきましても、これを運輸省の所管といたしまして、一括して自動車行政として運輸省において行うことが、交通行政の本旨にかんがみて最も適当であるという主張をいたしたのでありますが、行政制度審議会におきましては、これが御採択にならなかつたのであります。御説のように、確かに自動車の生産行政は現在通産省の所管になつております。ただ自動車の生産行政というものは、伺いますと非常に小さい部分品の集合、すべての基礎産業からできました非常にこまかい、たくさんの部品から成立つ生産行政でございますので、單なる生産事業そのものの監督だけを移管いたしましても、実際に自動車生産そのものの実態をつかむ。またそのことによりまして、実際的な効果を上げるということはむずかしいということが、反対の根拠であろうと思つております。しかしながら航空機にいたしましても、実際に能率のいい航空機をつくる場合におきましては、利用者――ユーザーの立場からも十分に意見を取り入れてつくるということが必要でありますと同様に、自動車におきましても、ユーザーの立場、すなわち運輸省において輸送管理行政を行つております立場に置きまして、生産行政を行うことが最も望ましいと考えております。  また道路行政でございまするが、御承知のように現在におきましては非常に自動車が発達して参りましたし、次第に高速度になり、また大型となつて参りましたにかかわらず、通路は戰争以来非常に荒れておりまするし、また規格そのものも、自動車の発達に遅れておるような状態でございまして、また交通網と申しますか、それの完成の点からいたしましても、これを輸送の面からあわせて完備いたして参ることが、日本の交通行政を円滑に、また最も能率よくするゆえんであろうと考えておる次第であります。
  55. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 おそく参りまして、あるいはお聞きになつた点もあろうかと思うのですが、ひとつお伺いしておきたいと思います。国鉄から提出された予算のことですが、日本国有鉄道の方から予算を組んで運輸省の方に提出されておるようでありますが、この中にある賃金ぺースは、大体八千二百円かに組んでおられることだろうと思うのです。この予算案についてどういうような検討をし、どういうような意向を持つておられるのか、この際承つておきたいと思うのであります。  それから最近運輸省のやり方を見ておりますと、東海道中心主義というか、主としてそういうような傾向が見えまして、いわゆる文明の公平なる分配が行われないというような気がします。私は最近になりましてからよく地方を歩くわけですが、山陰線を歩いてみると――この間は高知に参りまして、高知県から宇和島に拔けてみようと思つたのでありますが、途中まで線路が行つておりますが、あとをパスで連絡しておる、こういうような状況でありまして、こういうようなところにはもつと力を入れていいのではなかろうかと私は思うのであります。従つて日本の国全体から運輸行政を考えてみまするならば、東海道中心主義、あるいは一定地域に対して幾分なりとももうけ主義というか、金の余裕のとれるところにはうんと力を入れるが、そうでない方は放置して行くという姿は、改正しなければならぬと思う。現在日本の国で、日本海沿岸と太平洋沿岸と比較してみれば、これは不公平なる文明の分配が行われておるのでありまして、この点はやはり運輸行政にも現われておると思うのであります。  ところが本年度におきまして、新線計画が全部中止になつて、そのかわり予算の点で特別の審議会を設けて、そこで納得をしたというような形で、運輸省側の御奮闘の点は大いによく私どもわかるのでありますが、結果から見まするならば、運輸の予算全体というものから見れば必ずしも妥当性のあるものではないと思うのであります。そういう点についてどういうお考えをもつておるのか、この際承つておきたたいと思うのであります。
  56. 足羽則之

    足羽説明員 実は突然の御質問でありまして、資料を持つて参りませんので、きわめて粗雑ではありますが、記憶をたどつて御説明を申し上げたいと思います。  来年度の予算では、ただいま御質問のありました給與ベースの点は、八千二百円べースで組んでございます。  それから予算の大体の姿でございますが、予算の前提になりまする運輸数量でありますが、旅客も貨物も、大体において二十五年度と大差がない。たしか旅客がほんのわずか少くて、貨物が少し多かつたと思いますが、大体現在の、二十五年度の姿と運輸量においてはかわりがないという姿であつたかと思います。運輸收入におきましても、今年度より少し増加した姿でありますが、実は資料を持つておりませんし、はつきりした数字を記憶しておりませんので、ちよつと数字はあげかねますが、全体として損益勘定でたしか千三百五十億見当の收支かと思つております。工事勘定の方も大体本年度と同じ程度の額を計上いたしまして、これを国鉄から運輸省に提出になり、運輸省でその内容検討して大蔵省に出す。大体国鉄の提出いたしました予算案については、大蔵省の了解も得て進んでおると、大体こういう程度であり、内容でございます。  それから第二点の国鉄の経営方針が東海道中心主義であつて地方は不便なままに、サービスが非常に悪いままに、顧みられないのではないかという御質問でございますが、事実現在そうした非難、あるいはそうした言い方をしばしば耳にするわけでありまして、事実また優秀な設備の列車は、東海、山陽線に非常に集中いたしております。しかし戰前も特急は東海道線だけ走つておつたわけでありまして、いわば特急程度まで進めて行くということは、国鉄としては一つの進め方としての夢であり、一つのシンボルでもあるだろうと思うのでありますが、そうした意味で特急が今回の時刻改正によりまして、戰前に近い姿で動くようになつて参つた。一例をスピード・アツプで申し上げたわけでございますが、そういう姿で実際問題として東海道線が中心になつてよくなつているではないかというお考えも、ある程度までは外見上当つておるかと思います。しかしながら全体として鉄道をよくして行こうという考え方は、これは当然なことでありまして、国鉄としてもほかの線をおろそかにするという考えは毫末もないわけであります。二、三の例をあげてお答えにかえたいと思うのでありますが、たとえば今の客車の例なんかを申しますと、現在木製客車が相当数ございまして、これは運転の保安の点から申しましても、ぜひ鋼製の客車にかえて行きたいということで、たしか今年度から着手をいたしまして、五年間に全部鋼製客車にかわるはずでございます。従つてそれまでの間現在の木製客車の補強と申しますか、手を入れることには少し手控えをしておるという状況でありますために、できたものから逐次使用されておるために、悪い木造の未修理の客車が地方に多く走つておる、こういう姿が、実はいい車が東海道線を走り、いなかの方は非常にだめではないかと言われる例の一つの実証になるのではないかと思うのでありますが、決してそういうわけではないので、逐次そういうように質の充実をもつてかえて行きたい、こういう考え方で進めておるわけであります。  なお時刻改正のたびに内容的に見て努力しておりますことは、急行列車の増加ももちろんでございますが、ローカルの列車の増加、これは地方交通のためには非常に欠くべからざるものでございまして、ローカルの列車キロの増加ということも、時刻改正をする場合の主要な項目であります。従つて單に客車がきれいになるとかならぬとかいうことでなくて、列車の回数を多くするという点についても、決して地方の線をおろそかにしておるわけではない。ただしかし非常に交通量の多い東海、山陽線なんかを地方と比べます場合に、おのずからそこに交通量の需要という点を考えます場合に、列車回数の多寡に照応して開きがあるということは、ある程度までは御了承を願わなければならぬことじやないかと思うわけであります。  なお来年度の予算で計画しております一つの例を申しましても、来年度はディーゼル・カーを相当数つくりたいということで、計画を来年度の予算には考えられておるわけであります。そういつたものは一車両單位の輸送量の少い線区にディーゼル・カーを運転いたしますと、運転費が安くて済みますので、結局現在よりも頻繁に回数を多く運転ができるというので、そういう方向に持つて行くように、デイーゼル・カーをできるだけたくさんつくりたいということが、一例ではございますが、来年度の予算にも盛つてある。あるいは今度の時刻改正で、御承知の東海道線に動いておりますリクライニング・シート、特別二等車であります。それも東海道線でなく、全国の急行につくように逐次できるはずでございますが、両数の充実をまつて、現在よりも各線全国にだんだん充実して参ることと思います。従つて現在の姿におきましては、ただいま淺沼さんから御指摘になりましたようなことが現象的にはあると思いますが、しかし考えております点は、決してそういう意味でそういうようにやつておるわけではないのでございます。その辺についてはただいま御説明申し上げましたように御了承願いたいと思います。
  57. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 あとの方から申し上げてみたいと思うのでありますが、国土開発のために必要であるということから、運輸省が非常に努力された姿に私どもは敬意を拂うものであります。ところが今当局の答弁を聞きますと、それとは逆のことを答弁されておるのでありまして、やはり私はこの予算を政府に要求した態度をわれわれに明白にしてもらつた方が、なるほどそうだという考えになるので、ただ私はたまたま東海道線中心主義を言つたために、案外そうでないという弁明で、ほかの方は劣つていてもやむを得ぬというような答弁であるけれども、それではこの間予算を要求するときに、新聞を通して運輸大臣が努力した姿が逆に私に移るような気がします。やはりそうでなく、国土開発のために必要である、狭い日本の国に多い人口が住んで行くためには、これだけのものをとらなければだめだということを主張されたことを、やはりここで言つてもらいたかつたということを私はつけ加えたいと思うのであります。  その次は八千二百円の賃金ベースでありますが、大蔵省の了解を得たということでありますが、そうすると、こう了解してよいのでしようか。独立採算の予算であるから、来年度の予算においては政府原案としては八千二百円の賃金ベースが出て来る、こういうぐあいに了承してよろしゆうございますか。
  58. 秋山龍

    ○秋山説明員 お答え申し上げます。先ほど監督局長がいろいろと御説明申し上げました点は、われわれは東海道線中心主義でなく、今回に便益をあまねくなるべく行き渡らせたいという考えでやつておるのだ、但し一ぺんにできないものですから逐次及んで行くようになる点を御了承願いたい、かように申し上げた次第でございます。いろいろ申し上げましたように木製車の改造とか、あるいはリクライング・シートにするとかいうことによりまして、逐次及ぼして行く、かような決心でおるわけであります。従いまして地方税課税問題その他にいたしましても、国有鉄道というものは採算本位ではないのだ、国有鉄道というものはもうかるところともうからぬところを一緒にして、なるべく広く便益を国民全体に普及し、また国土の開発に資したいのである、これが根本だということを、地方税課税問題につきましても、関係方面に了解を求めるようにいたしておる次第でございます。従いまして新線の問題がここしばらく中止になつておりまして、まことにわれわれとして国鉄本来の使命にかんがみまして、遺憾に存じておる次第でございます。何とかしてこれをひとつ切り開いて行きたいという熱意に燃えておる次第でございますが、いかにも独立採算制になりました今日におきまして、赤字を累積して行くような新線を建設して行くということは、どうしてもできないのでございます。従いまして何らかそこに新しい意味を考えたらどうかということで、いろいろ考えてみたのでございますが、そういたしますると、結局今まで全部国費でこしらえたものが、国鉄という形に整理されているような次第でございます。従いまして今後の新線も、考え方によると、国が公共事業としてある一つの線路を開き、そうしてこれを国鉄に経営せしめていくというような考え方があつておかしくないのじやないか、こういうように考えるわけでありますが、そういうような考え方に立ちますと、まだまだいわゆる独立採算制の範囲におきましても、経理的に建設し得る線路があり、またそれによつて地方の便益が非常に増し、また循環線の完成等によりまして、交通上の便益も非常に増すのではないか、かように確信いたした次第でありますが、いささか考えが一般の御認識を得るという段階に至りません上に、多少唐突なきらいもございまして、今年度の予算にすぐに間に合わなかつたような次第でございますが、こういつたようなものは今後の当委員会、または設けられるかもしれません審議会、いろいろな方面におきましてひとつお取上げ願いまして、そうして国鉄本来の使命を達成するように進めさせていただければ、たいへん国民全体として仕合せではないか、かように考えておる次第でございます。  なおべ一スの問題につきましてただいま御質問ございましたが、六千三百円べースというような言葉がいろいろいわれておつたのでございますが、ベースということがきまりましてからもう三年にもなりますし、いろいろとその間に昇給その他のことも行われますものですから、現実の平均給というものは必ずしも六千三百円ではないのでございますが、それに対しまず一千円平均増額する、そうすると六千三百円に一千円やるとすれば七千三百円べースではないか。いわゆるべースという言葉に関連して、やつて行くと、そういうような考え方になるわけでございますが、たまたま国鉄といたしましては平均給から考えまして、八千二百円の平均給に予算を盛つた。それがたまたま一般官吏の現状に対する一千円増給と同じことになる、こういうふうに了解しておる次第でございます。従つて八千二百円べースであるということになりましては、べースということはちよつと申し上げかねる。これはべースという用語の問題でございますが、ベースという用語ではちよつと説明がいたしかねるような次第であります。
  59. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 どうもベースの問題はちよつとはつきりしませんが、国鉄の実收入が幾らだということになれば、おのずから別であろうと思うのでありますが、やはり予算の單価というものは、べースに組まれるのではないかと思うのであります。従いまして八千二百円になることは、予算單価としてそれが出て来ることになつておれば、われわれはこれをべースと了解しますから、予算單価を八千二百円で組んでおるのだ、そういうふうに了解すれば、それであとのことはまた案が出たときに、私どもいろいろ検討したいと思うのであります。ただこれだけのことは、つまり独立採算制に立つており、なおかつ国家の公務員でなくして、公共企業体の従業員であるという観点から、いわば七千三百円と国家公務員がきめられても、その制約は受けないで、その賃金べースは專売公社におけると同様、独自的にきめて行く、こういう観念には間違いないか、これだけ御回答願えばけつこうです。
  60. 秋山龍

    ○秋山説明員 ちよつと先ほどべースの問題がいろいろ出ましたのですが、一般の公務員の方も六千三百円べースと申しました当時は、六千三百円であつたのでありますけれども、それも各官庁によりまして平均給の比較的高いところ、と申しますのは、職階級別に申しまして、高い級の人が比較的多い構成と、そうでないいわゆる事務員的な者の非常に多い構成と、いろいろその組織によりまして変化がございますので、その当時から、各組織々々を見ました場合には、全部が六千三百円になつておつたわけではないのでございます。全体を平均して六千三百円べースということを申したのであります。その後昇給がございます。そのかわりまた一方行政整理がございます。行政整理のやり方も、あるところでは一定の年齢以上の人が多くて、それをやめてもらつたようなところもございますし、またあるところでは比較的新しい採用者が多く、能率の関係上、その比較的給料の安い、新しい採用者にやめてもらつたところがある。また一定の期間がたちますると、昇給もしなければならないというようなことで、実際に現在の平均給が六千三百円になつておるかというと、そうではないという意味におきまして、平均給とベースとは違う、そういうことを申し上げたわけでございます。従つてこの国鉄の方も官吏と両じ考え方で、考え方のベースを同じにして計算した場合に八千二百円になつておる、こういうことでございます。これはどうも政府部内におきましても、一つのスフインクスのなぞみたいなことで、妙なものだとみなで言い合つておるのでございますけれども、考え方の基準、つまり一斉昇給したときの基準が六千三百円、それが時日のたつに従いまして、いろいろと昇給あるいは個々の人間の配置等によつて平均給がかわる、こういうことでございます。
  61. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 これはスフィンクスのなぞならやむを得ぬことです。やむを得ぬことですけれども、どうも説明を聞いておりますと、われわれは賃金ベースといえば、予算單価を賃金ベースを考えてしかるべきだと思うのですが、そうなれば予算單価として八千二百円を組んでおれば、それを賃金ベースということに考えるのでありまして、その中の操作がどう行われようと、これは行政の方の役割でありますからかまわぬと思うのであります。そうすると六千三百円のものが上つたということになれば、政府は予算操作の上において、そのベースを越えた行為をやつておるということになつて、そこに一つ問題が残るような気がするのです。われわれは高くなることについては反対はいたしませんけれども、しかし高くなつても、法律はやはりわれわれは無視してはならぬのであつて、そのときには合理的な解決が見出されて来なければなりぬと思うのであります。それを案外なぞのようなことにしておいて、政府においてかりに違法的な行為があるようなことがあつては、私はならぬと思うのであります。しかしせつかく上つておることでありますから、これ以上とやかく申し上げることもいかがかと思いますが、ただ予算單価が八千二百円になるということは間違いないことですね。
  62. 秋山龍

    ○秋山説明員 どうもなぞという言葉を申しましたのは、少し説明として不適当であつたかと思いますが、要するにいわゆるベースとしてものを講じられた場合と平均給とが、いろいろな事情で違つて来ている。それは決して違法ではない。合法的に違つて来ておる。その食い違いが出るということでありますから、どうぞ御了承願いたいと思います。なお八千二百円に平均給を組んでいるという事実は、間違いございません。
  63. 坪内八郎

    坪内委員 議事進行について……。委員長にちよつとお尋ねいたします。本日の委員会の招集は、もちろん委員長の責任のもとにわれわれ委員を招集したのだろうと思います。もつとも議事進行につきましては、理事の立場にあるわれわれも責任があることは、出すまでもないのでありますけれども、私たちははるばる南の九州の長崎からやつて来たのでありますが、今日の議事進行の運営ぶりを見てみますと、大体の議題運輸省機構改正の問題である。次に運輸省所管事業に対する地方税制に関する件を審議するのであるということよつて、われわれは招集にはせ参じたのであります。本日運輸省側は次官、関谷政務次官を初め、各局長まで参り、あるいは行政管理庁、あるいは地方自治庁、あるいは地方制度調査会の事務局から見えたようでありますが、先ほど委員長お話によりますと、本日は責任者も来ておらないし、だめであるから、本日はこの程度のことでやめるというようなお話でありました。そこで本日のこの委員会は、委員長が何らかの目的のもとに招集したものであるか。あるいは運輸省側なり地方自治庁の要望によつて委員会を招集したものであるかどうかを、まずお尋ねいたしたいと思います。
  64. 前田郁

    前田委員長 ただいまお尋ねの点についてお答えいたしますが、きようの招集は、この間から、私どもがまだ施行中から問題のありましたこの行政機構改正の問題につきまして、留守中いろいろおせわをいただきました理事の方々から、ぜひ開いてもらいたいという要望があるという委員部の話でありまして、その委員部の話によつてきようは招集したのであります。
  65. 滿尾君亮

    滿尾委員 委員長は忘れておられますが、私が前回委員会で、機構改正に関するこういう関係の人を呼んで、一ぺん案が熟せざるように、どういうお考えをもつて今進行中であるか。またその過程において、われわれの質問を通じて、われわれの意見を聞いていただいて、ものが定まらぬうちにわれわれの気持をくんでいただくような委員会を開いていただきたいという動議を出した。その動議によつてきようは開かれた。そのいきさつだけを当事者として申し上げます。
  66. 前田郁

    前田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  67. 前田郁

    前田委員長 速記を始めて……。
  68. 中西伊之助

    ○中西委員 今淺沼君が言われた通りの東海道第一主義で、実に北陸から長野はひどい。列車に乗つていても、その駅ごとに町村の人たちが出て来て陳情される。それは主として電化の問題でありまするが、ことにトンネルのごときは非常に危險だ。よく聞いてみますると、六十五年以上も修築をしていないという、こういうふうなあのたくさんのトンネルの中にくずれかかつているのがあるそうで、われわれが旅行するにさえも非常に気味の悪い旅行をして来たのですが、ことに本日は大糸線について陳情に来られているようでありますが、ああした電化問題なり、トンネルの修築その他については、一見しますると放任されているような感じがする。六十五年以上何らの考慮をしていない。だからあのアーチのバランスがとれなくなるとくずれて来るそうでありますが、そうした危險なのがローカル線にある。ところが東海道線はああいうふうでいろいろと改良されて、スピード・アップしたり、客車を改良されたりしておりますが、その今申し上げた方面の線は非常にひどいのですが、政府当局はそれをどういうふうに考えておられるか。大体予算といたしましても、大した予算はいらない。これは独占資本の方へは実に何十億という金を予算の中からどんどんで出してやつているにもかかわらず、国民生活に最も重大な、地方の国民の生活を考慮しなければならぬ運輸事業に対しては、ほとんど放任されておる。私は予算の委員でありませんが、その方ではどういうふうになつておるのか。われわれは今度行つて初めて運輸の方を見せてもらつたのですが、実にひどいと思う。こういう点はわずかの予算で済むことであつて、安心してその地方の人たちが住むことができるにかかわらず、そういうところがうつちやらかされておる。この点について当局はどういう予算を組んで、どういうふうな改善をされるのかという点を、ひとつ御答弁を願いたいと思う。
  69. 足羽則之

    足羽説明員 ただいまの御質問は電化の点と、いろいろな鉄道の、ことにトンネルを主にしての施設の維持について、地方を放任しているのがけしからぬ、こういう御質問のように思いますが、まず崩壊に瀕しているようなトンネルを放任しているのはけしからぬという御質問に対しては、従来鉄道は、ことに終戰後全般に対しての財政が十分でありません。終戰後におきましては、現状の施設の保持ということに主眼を置いてやつて参つたわけでありまして、多少余裕のある建設をやつておりました時代におきましても、現状の施設の維持改良ということに、非常に重点を置いてやつて参つたわけであります。これは鉄道が人なり貨物なりを運ぶ輸送機関として、その輸送機関の安全性ということが、まず第一番に大事なことでありますので、その点については十分にカを入れてやつて参つておる。従つてただいま御指摘のありました崩壊しかけているトンネルが北陸地方にあるというお話は、実は私そういうトンネルがどこにあるかということを具体的に知らないのでありますが、万々そういうことはない、こういうふうに確信をいたしております。なお予算における数字を私はつきり記憶いたしませんが、施設の修繕費は相当額を計上して、その点については御心配をおかけしないで済むように十分やつておるはずであることだけは、申し上げてよろしいと考えております。  それから電化の問題でございますが、電化は従来いろいろな機会に御説明申し上げましたように、電化をしたい区間、いろいろな相当大きな計画がございますが、まだその緒についたばかりでありまして、全体としてもなかなか進んでおらぬのであります。トンネルが非常に多い、あるいは勾配が非常にたくさんある、運転に困難な区間というような所も、有力な電化区間の候補になるわけでありますが、まだ電化が緒についたばかりでありまして、なかなか各地方にも行きわたりかねるというのが実情であります。その点御了承願いたいと思う次第であります。
  70. 中西伊之助

    ○中西委員 いつも鉄道の荒廃について、われわれは実際見て来て、しかもその地方の專門家の人たちに打明け話を聞くのです。ところが帰つて来て当局に質問をすると、いや大丈夫でありますというような、実に無責任な答弁をされる。これは非常に不勉強だと思います。誠意がないと思います。もつといなかへ行つてよく御研究なつて、專門的な立場から十分に国民の生活の幸福を考えてもらいたい。ただ盲判を押すばかりが能じやないと思う。やはり地方へ行つて詳しくそういう実情を調べてもらいたい。われわれがほんの一日か二日まわつただけでも、やはりそういう技術面からいろいろと説明をされる、こういうことをあなた方は御存じないようである。とんでもない話である。そんなことでその職務が遂行されるかいなやということは、はなはだ疑問だと私は思う。その点嚴重に御警告いたします。
  71. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 一ぺんきまつたことでありますから、それはそのままで進行願いたいと思うのですが、私は行政機構の改革については少し自分みずからも興味を持つておるものでありまして、この間内閣委員にちよつとかわつて、内閣委員会でどういうぐあいに審議しておるか、また機構の改革についてなくしてならぬものをなくすような傾向にあるから、政府当局意見を聞きたいと思つて出たわけです。あそこの小委員会でやつておる傾向は、各省から――運輸省なら運輸省の方から、行政機構改革についての要領を持つて行つて、説明を聞いておるという程度のものであつて、それ以上は何も発展をしていないので、できれば運輸省としては一体どういうような機構の改革をするのがいいかということを自主的に考えて、これでどうだといつて相手方に話さなければ、ほんとうは運輸省意見というか、お互いの意見というものは、機構改革の中に入れられない結果になつて、結局行政管理庁から来たものをのまざるを得ぬということになるのではなかろうかと思いまして、できればもつと割つた、運輸委員会として、一体運輸省行政機構に対しては、どういうような改革をやつたらいいかという基本的なものをつかむようなことにした方がいいのではなかろうかと私は思うのであります。もちろんそれをやるために合同審査をやることは、私は決して悪くないと思いますが、これに関連してまた、委員長にひとつ御要求しておきたいと思いますことは、運輸省行政機構改革を考えるときには、日本内閣行政機構全般の中の一翼としての運輸省をどうするかということを考えて来なければ、これだけでやつたところで――これだけやると、セクシヨナリズムに陥る可能性が強いと私は思うのであります。従つて行政管理庁から来たときには、運輸省の改革のことを聞くよりかも、一体行政機構全体としての改革に対してはどういう考えを持つておるのか。たとえば大蔵省の問題についても、一体大蔵省の持つておる予算に対する審査といいますか、作成の役を内閣に移すかどうかということまでもやはり聞いて、だんだんやつて行かなければいかぬのではなかろうかと思うのです。そういう意味で、今日はおそく来てこういうことを申し上げてはなはだ相済まぬと思うのですが、もし今度何か機会がありますならば、一ぺん行政機構全体としてはこういうものだ、しかしそれば説明まで求めなくても、資料を出していただけばわかるわけですから、その資料を出してもらうことをお願いしておきたいと思うのです。その資料に基いて、運輸省についてはこういうことだということを言うわけでありますから、これは何か機会があれば、この中で小委員でもつくつて、大いに練つていただいて、これはどうだといつて折衝することが必要だと思うのですが……。
  72. 前田郁

    前田委員長 今内閣委員長が見えましたから、ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  73. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。  それでは本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時十六分散会