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1950-07-31 第8回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月三十一日(月曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君 理事 原   彪君    理事 米窪 滿亮君       黒澤富次郎君    玉置 信一君       畠山 鶴吉君    前田 正男君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君       木村 俊夫君    江崎 一治君       中西伊之助君    飯田 義茂君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君  委員外出席者         運 輸 技 官 三上  恒君         運輸事務官         (国有鉄道部         長)      石井 昭正君         日本国有鉄道文         書課長     磯崎  叡君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 七月二十九日  委員黒澤富次郎辞任につき、その補欠として  塚原俊郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員塚原俊郎辞任につき、その補欠として黒  澤富次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  海運行政に関する件  国鉄の運営に関する件  国鉄役員任命に関する件     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  鉄道建設並びに電化に関する件につきまして、江崎君より発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 江崎一治

    江崎(一)委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりますところの鉄道建設並びに電化促進に関する決議案に対しまして条件を付しまして賛成の意を表するものでございます。  本決議案の趣旨によりますと、国土開発計画一環として、鉄道の新設並びに電化促進を主張しておるのでありますが、過去一年有半におきまするところの吉田内閣の政治の実績を見ますと、表看板とその内容が正反対であるとか、内容が質的にまつたく別ものであるというような種類のものがかなり多いのであります。前者の適例は、税制改革のごとく、国民税負担昭和二十四年度を峠として、著しく軽減されると宣伝しておつたのでありますが、昭和二十五年度の国民税負担は、地方税を含めて殺人的な大増税であります。後者の適例は、本年度の公共事業費の使途を見ればわかりますように、多数の失業者をこれに吸收して、国民福祉のために国土開発すると言いながら、その実は日本国民産業の発展のためには、何ら必要としないようなべらぼうな幅の広い道路の建設であるとか、厖大な港湾施設計画などをやつておるのでありまして、これは国民福祉に名をかりて、戰争を放棄した日本において、明らかに軍事的野望をもくろむものと断ぜざるを得ない建設行政であるのであります。本決議案吉田内閣の手によつて実施に移される場合、今申し上げたような、羊頭を掲げて狗肉を売る結果になる公算が非常に大でありますので、特にこの機会におきまして、本決議案が真に日本民族福祉のためにのみ実施さるべきであるということを強調いたしまして、本決議案賛成の意を表する次第でございます。     —————————————
  4. 前田郁

    前田委員長 次に海運行政に関する件を議題といたします。港湾関係全般につきまして政府側説明を求めます。三上説明員
  5. 三上恒

    三上説明員 現在の港湾修築事業状況と、昭和二十四年度の港湾事業につきまして、一応私から御説明を申し上げます。  昭和二十五年度におきましては、港湾予算は皆様の御尽力によりまして、一応国内的にはある程度の予算わくをいただいたのであります。ところがCTSの方から了解が得られずに、現在においては一般修築は二十三億、災害は二十億、合計四十三億のわくで現在工事をやつております。これは公共事業の全体からいいますと非常に少い率でありまして、十分な港湾修築はできない金であります。それで二十六年度におきまして港湾事業を続けるにあたりましては、次のようなことを考えてやつたのであります。港湾は御承知通り水陸連絡交通の場として非常に重要性が大きいにもかかわらず、案外その整備状況並びに復旧ということについて関心が薄いのではないか、再建日本の基盤をなす自立経済確立のためには、どうしても輸出振興産業合理化、または国土総合開発という見地から、港湾整備をしなければならないと思います。現在の日本港湾で取扱つております貨物の趨勢を見ますと、外国貿易においては、昭和二十一年度の取扱い数量を一といたしますれば、二十四年度におきましては四・一倍、二十五年には五倍、二十六年には六・三倍になると大体推定されます。一方内国貿易でも、同様に二十一年を一といたしますれば、二十五年は三・一倍、二十六年には三・六倍に達すると思われます。しかるに港湾は御承知通り日本戰災を受け、またその後地盤の沈下あるいは台風その他の災害を非常に受けております。そういう自然的条件による港湾機能減退、さらにここに特に注意をしていただきたいことは、進駐軍による港湾施設の專用は、非常に大きな数に上つております。そういう現況でありますから、現在の港湾取扱い貨物に対しても、施設が非常に不足し、かつ不便な不経済な荷役行つて、ようやくまかない得ておるという状態であります。そういう面から私たち港湾施設をぜひやつていただきたいと思います。  第二に、海上輸送の方法がかわつて来たことであります。つまり戰後におきましては、今までの海上輸送の経路がかわりました。大体戰前においてはアジア地域を対象としてできておつたのでありますが、戰後輸出輸入関係は大体アメリカに依存しておる。従つて大型の船がどんどん入るようになつております。また向うの船は、習慣的に見ましても、従来のように沖荷役でなしに、船を岸壁につけて荷役するという習慣を持つておりますから、どうしても岸壁設備が足らないわけであります。こういうふうに海上輸送の方式がかわつて来たと同時に、また荷役費軽減という面から見ましても、これは産業合理化一環をなすわけでありますが、水陸連絡交通、つまり港湾で要する諸掛りというものは、非常に大きな比率を占めております。たとえば石炭を例にとつてみますれば、輸送費の半分ほどが港湾諸掛りにかかつておる。従つて港湾設備をよくして、船をどんどん岸壁に接岸して荷役するようになれば、非常に輸送費軽減されるわけであります。この輸送費軽減されれば、これに伴つて生産コストも低下できるという次第でありますから、われわれは港湾施設の面においてもどんどん改善しまして、これによつて輸送費軽減をはかり、生産コストの低下をはかるということで、港湾整備をする必要があると思います。また日本港湾は従来海の方に伸びておる。従つて地形的に見ましてもそうでありますが、非常に日本気象条件から見ましても、台風その他によつて港内に碇泊しておる船が非常な被害を受けております。たとえば去年のキテイー台風におきましても、横浜港内においてあれだけの災害を起しておる。実に日本代表的港湾でありながら、そういう被害を受けておるという点から見ましても、港湾の補修という必要を認めております。さらに港湾につきましては、これは皆さん御承知通り港湾の果す機能としまして、地方開発のために果す効果が非常に大きいのであります。御承知通り先国会におきまして、国土総合開発法案ができまして、国土総合開発一環としまして、港湾開発、さらにまた離島あるいは後進地域開発を取上げた場合に、港湾整備開発というものは非常に大きな効果を見ます。従つてこういう事業をやるにつきましても、まずその初めにこれらの事業の基地となるこの港湾整備するという考えであります。  第四に防災並びに港湾機能減退防止でありますが、防災といいますか、災害が起らないように現在の設備を補強補修するという工事であります。また日本港湾裏日本港湾を見ますと、これは大体大きな河川の河口にありますが、年々河川の上流から流下いたします土砂は莫大な量に及んでおります。たとえば新潟港におきましては、年々八十万の土量を掘らなくては、将来の港湾は維持できないという状態であります。従つてこういう一日もゆるがせにできない工事を早急にやる、そしてややもすれば災害を起しやすい工事を、あらかじめ少い予算でもつてやれば十分に耐え得るようにできますから、そういう意味防災港として港湾の既存の設備整備したい。  さらに港湾整備計画が負います失業者救済という面であります。御承知通り港湾都市に大部分が存在しております。失業者都市に発生する。従いまして失業者群遠距離輸送が困難な現状においては、港湾関係公共事業を実施することによつて都市に発生します失業者を吸收することができる。  こういう課題を取上げまして、さらにわれわれ事務当局といたしましては、必要に応じて港湾整備計画を立てまして外国貿易振興、それから重要物資輸送するための必要な港湾整備計画、それから避難湾整備地方開発のための港湾整備計画、さらに北海道開発のために必要な港湾整備計画を含みます。それから港湾施設防災機能減退防止、それから重要産業合理化のための港湾整備、それらのものを取上げまして、昭和二十六年度におきましては、二百七十七億の公共事業費を要求しております。従来公共事業における港湾わくは、昭和二十三年度、二十四年度は一般公共事業費の八ないし九%を占めておりましたが、二十五年度にはわずかに四・六%と非常に低下しております。港湾整備輸送の面、さらにまた海難救助海難事故を減少するという面に及ぼす効果は非常に大きいのでありますが、その割に港湾が非常に一般の人に関心を持たれておらないという点を特にお考えいただきまして、二十六年度の港湾事業につきましては、本委員会として特に力を入れていただきたいと思います。  以上簡單ですが御説明申し上げました。
  6. 前田郁

    前田委員長 ただいまの報告に対して何か発言はありませんか。
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今大体政府委員からの御説明を承つたのでございますが、この際ひとつ政務次官のお考え方を承つておきたいと思います。またお考えを承るとともに、政務次官に今後とも大いにこの方面において御尽力をお願いいたしたい、かような意味におきまして質問を兼ねまして、お願い申し上げる次第であります。  申すまでもなく四面海をめぐらしました島嶼のわが国でありまして、何といいましても輸出立国といいますか、輸出によつて国を建てて行かなければならぬ輸出立国海運立国であり、海運立国即私は港湾整備である、かように考えるのであります。一々具体的な例を申し上げるまでもなく、港湾鉄道における停車場、あるいは貨物駅のごとき、いわゆる門戸であります。この門戸設備が非常に悪いということは、要するに経費を増大する、経費を増大するということは、海運振興妨げになり、海運振興妨げは要するに輸出振興妨げになる。私はかように帰納的に、また演繹的にも考えるのであります。かような意味合いにおきまして、私は日本港湾設備整備ほど、輸出振興の上において重要なものはない、かように考えるのであります。ことに輸出のみならず、島国である関係上、沿岸貿易といいますか、沿岸海運といいますか、この港を利用する点は、陸上における鉄道停車場施設を利用するのと、私はほぼ同一的に評価していいと考えるのであります。かような状態港湾が、しかも戰災によりまして、特に重要港湾設備に対する戰災の程度は、ほかの鉄道施設その他に比較いたしまして、甚大であつたと私は想起いたすのであります。その重要港湾戰災復旧も、今承りますと遅々として進まず、しかも経済復興がますますその途に上つておるにもかかわらず、逐年修築費または補助費が逓減をしておるということは、私はむしろ時代逆行の傾向にあるのではないか、かように考えるのであります。聞くところによりますと、二十五年度港湾の新築、修築及び補助費が二十三億、このほか災害費が二十億一応割当てられておるにもかかわらず、関係方面といいまするか、予算事情に応じまして、この四十三億でさえも使うことができないような現状にあるかのように聞き及んでおるのでありますが、この間の事情がどういうように進んでおるか、ひとつ承りたいのであります。  次に二十六年度ははたしてどういうような見込み関係方面折衝し、関係官庁折衝しておられるのか。また過失はともかくとして、二十六年度はどういうような意気込みで、この港湾関係につきまして、運輸省として対処せられておるか、その辺の決意のほどをお聞かせおき願いたいことと、私は自説をぶちまきましたが、政務次官は私と同じような意見をお持ちになつて港湾重大性を強く認識しておられるかどうか、この点再確認の意味をもちまして質問を申し上げたいと思います。
  8. 關谷勝利

    關谷政府委員 ただいま岡田委員が述べられました御意見に対しましては、私も全然同感であることをまず申し上げたいと思います。昨年の予算が当初閣議で決定いたしましたのより非常に削減をせられたことは、まことに遺憾に存じております。なおまたその経費が十分に支拂われていない、四半期ごとにわずかずつ支拂われており、それも早急に支拂われていないで、二期分ずつやることができる状態になつておりまして、そこに非常に遺憾な点があるのでありますが、二十六年度におきましては、昨年度当初計画いたしました分を含めまして、相当な金額を要求する決意でおりますので、その点われわれの力の足りませんところは、御援助のほどをお願いいたしたいと思います。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一つ簡單経過を承りたいのであります。重要港湾指定のことでございますが、聞くところによりますと、政府は六十幾つか、七十何港かをお考えになつておるようであります。また違つた方面では、二十くらいだというようなお話も出ているとか出ていないとかいうことでありますが、その辺の経過を御説明願いたいと思います。
  10. 三上恒

    三上説明員 ただいまの岡田議員質問に対してお答えいたします。御承知通り港湾法先国会において可決公布になりましたが、その後それに基きます政令としまして、重要港湾避難港につきまして、重要港湾は七十三港、避難港は十九港を選定いたしまして、閣議通つたのであります。ところが関係筋の方から重要港湾、英語で言いますとメイヂャー・ポートでありますが、メイヂヤー・ポートというものは七十三もあるべきでない、自分たち考えでは五つか三つにすぎないはずだ、つまりアメリカ感覚をもつてそう言われるのであります。重要港湾と、それ以外の地方港湾になりますと、負担率も違いますし、また地方民の受ける感覚も非常に違いますので、われわれといたしましてはどうしても七十三港を選びたい。七十三港というのは今までにありました第一種重要港湾、第二種重要港湾を加えました数に、あと若干の指定港湾を加えた数であります。関係筋ではこれは多過ぎるということも言つておりますが、われわれの方では、どうしても七十三港は重要港湾として押して行きたいという意味で、現在もなお折衝を続けております。ここで一歩引くことは、その負担から、地元民に及ぼす影響港湾開発に及ぼす影響が大きいと考えますので、この七十三港についてはさらに現在折衝を続けておる状態です。避難港の十九港は問題はないという状態であります。以上であります。
  11. 前田郁

  12. 江崎一治

    江崎(一)委員 本日は特に運輸大臣に対して御質問したいと思つてつたのでありますけれども、運輸大臣が時間の繰合せがつかぬということでありますので、次官より最近の海運行政について、政府の根本的な所信をぜひ隠すことなく御説明願いたいと思います。日本国民は、敗戦後戦争を放棄したと信じておりますけれども、最近の情勢、特に海運関係を見ますと、ただならぬものを感ずるわけであります。最近の外電によりますと、朝鮮海域内には米国船舶の立入りは禁止されており、これにかわつて日本船舶軍事的運輸に従事しておるというのであります。たとえば七月二十日の読売新聞によりますと、アメリカ軍浦項上陸作戦に、日本人船長がLST型の船を操船いたしまして、これに参加しておる、こういうことが載つておるのでありますが、大臣次官もおそらくこれを知つておられるだろうと思います。これは米国軍日本人個人、あるいは日本会社、これの商業的な取引か、あるいは船の徴用とか、占領政策一環として行われたのか。この点について明白にお答えを願いたい。次には、現在どれくらいの日本人徴用あるいは契約の形で軍に協力しているか、アメリカ軍仕事をしてるか。また船舶がどれくらいアメリカ軍の直接指揮下に動いているか。この点をお知らせ願いたい。これは日本国民が非常に知りたがつておることでありますから、明白に御答弁を願いたいと思います。この二点をお伺いいたします。
  13. 關谷勝利

    關谷政府委員 米国船朝鮮海域への出入を禁止になつているというようなことは私聞いておりません。その点おそらく大臣御存じないと思います。大体日本船の使用は商業的な取引で、会社とGHQとの関係でやつておるのでありまして、政府は全然関与しておらぬということをはつきりと申し上げておきます。なおこの隻数並びに乗船の人員でありますが、これも政府が一々関与いたしておるのでないのでありまして、的確な数字はわかつておりません。
  14. 江崎一治

    江崎(一)委員 そうしますと、船が徴用ではない。また船員も決して占領政策によつて動かされておるのでないとすれば、この船が徴用だと言われたときに、これは私その軍の御命令に服しかねるということを船主が言うならば、これは占領政策に違反しないのだということの証言をされるかどうか。それからまたこの乗組員が、この軍事的な輸送に反対するということを言えば、これは占領政策違反にならないということを政府は言われるかどうか、その点をお伺いします。
  15. 關谷勝利

    關谷政府委員 これは会社アメリカとの契約でありますので、徴用を拒否いたしましても、占領政策違反にならぬ、このように解釈いたしております。
  16. 江崎一治

    江崎(一)委員 今後政府は、日本人が今御説明のような条件のもとに、朝鮮危険水域に、日本人危険負担のもとで航行するということを、政府は認められるかどうか、その点も御説明願いたいと思います。
  17. 關谷勝利

    關谷政府委員 これは会社アメリカとの契約によるものでありまするので、政府として認める認めぬということは介入いたしません。
  18. 江崎一治

    江崎(一)委員 それでは、この危険水域へ航行する船舶保険については、政府はどういうように考えておられるか。民間の各保険会社はこれの引受けを拒否しておりますが、その点はどういうお考えですか。
  19. 關谷勝利

    關谷政府委員 これはその契約によりまして、その危険負担はことごとくアメリカ政府負担することになつておるのであります。
  20. 江崎一治

    江崎(一)委員 最近釜山へ参りました日本船員上陸後の話でありますけれども、非常に危険であると言つております。一口に言うと非常に危険である。たとえば玄海へ出るとすぐ空中戰が行われておるので、いつドシンとやられるかわからぬということです。しかも玄海御存じ通り、これは非常に水温の低い海域であります。しかも流れが非常にはげしいので、泳がされると生命の危険が非常に大きい。特に夜間なんかやられますと、助かる見込みはない。これは、四回ぐらい第二次世界大戦で泳がされた船員が言つておるのであります。死の海であります。こういうような箇所を航行する船員に対する生命の保障ということについては、日本政府は何か考えておられますか。またアメリカだといえば、アメリカはこれに対してどういうふうに考えておられるか。もしも御存じの点がありましたらお話を願いたい。
  21. 關谷勝利

    關谷政府委員 江崎委員はまことに危險なと言われておりまするが、今までにそのようなことに、実際遭遇いたした例はないのでありまして、なおまたこれらの船員に対しまする危険に対しては、アメリカ政府危険負担を出しておるのであります。
  22. 江崎一治

    江崎(一)委員 そうしますと今まで船員は、生活上の問題から、乗船をさせてもらいたいという闘争をやつてつたのであります。近ごろはちよつと逆になつておる。非常に生命の危険を身に感じておるのでありますので、下船させてもらいたいという闘いをやつておる。このときに、下船させてもらいたいという希望の者が、そういう運動をやつたということの理由で、政府は弾圧するようなことは考えておるかおらぬか。その点もあわせてお伺いいたしておきたい。
  23. 關谷勝利

    關谷政府委員 そういうふうなことは契約のことでありますので、別に政府の方がこれに対して関与するような気持を持つておりません。
  24. 江崎一治

    江崎(一)委員 問題は前へもどりますが、先ほど日本政府は、どれくらいの日本船舶アメリカ軍指揮下に入つておるかということは知らぬと言つておられましたが、これは実にとんでもない話で、むしろ事実に対して目をおおつておるものだと思いますが、こういうような政府答弁の仕方は、まつたくわれわれ不可解と思うのでありますが、真実をぜひ御説明願いたい。
  25. 關谷勝利

    關谷政府委員 大体これに従事いたしておりまする船は、絶えず隻数その他がかわつておりまするし、ことに会社アメリカ直接の契約でありますので、一々報告が來ておりませんので、その点的確にはわかりかねます。
  26. 江崎一治

    江崎(一)委員 的確にわからないなれば、大体のアブストラクトでもおわかりにならないか、その点をお話願いたいと思います。
  27. 關谷勝利

    關谷政府委員 この点はあまりはつきりいたしておりません。
  28. 江崎一治

    江崎(一)委員 運輸次官に対する質問はこれくらいにいたしておきまして、次に簡単にお伺いいたしておきますけれども、交通公社の直接の監督官庁はどこか、ひとつそれをお教え願いたいと思います。
  29. 足羽則之

    足羽政府委員 交通公社に対する監督は、財団法人でございまして、運輸省がこれを監督いたすことになつております。
  30. 江崎一治

    江崎(一)委員 しからば伺い申し上げますが、交通公社自分財団法人としてやるべき権限以外に、大きな投資的な事業をやつておる。しかもこれに関する非常な悪臭ふんぷんたるうわさを聞くのでありますが、それについて政府は知つておられるかどうか、それをお伺いしておきます。
  31. 足羽則之

    足羽政府委員 交通公社のする仕事は、その定款に定めてありまして、交通公社としてはその定款の定めるところの仕事をいたしておる、こう考えております。
  32. 江崎一治

    江崎(一)委員 交通公社が扱つております國鉄乗車券、その他の売上げをどれくらいで、幾日ぐらい期間を置いて国鉄に納入することになつておりますか。
  33. 足羽則之

    足羽政府委員 大体一箇月でございます。
  34. 江崎一治

    江崎(一)委員 最近の新聞の報道によりますと、この国鉄に当然納入すべき金を流用いたしまして、一例でありますが、ロマンス社というような出版会社に、べらぼうな金融をしておる。しかもこのロマンス社が、借り受けた金額をべらぼうな使い方をいたしまして、こげつかしてしまつた。そのために八千万円からの金額が回收不能であることを聞いておりますが、それらについてどういうように監督官庁として処置されたか、また今後処理をされようと思つておるか、それについて御説明を願いたい。
  35. 石井昭正

    石井説明員 交通公社がどういう事業をしておるかと申しますと、これは一つ国鉄関係乗車券代売、いま一つ旅行あつせんの事業、それからいま一つ海外宣伝、観光に関する事業をやつております。それでこの旅行あつせん関係事業といたしましてはかなり多角的にいろいろな事業をやつておるのでありますが、そのためにいろいろの資本金を持ち、また銀行から融資を受けてやつておるわけでございます。従つてただいまお話のありましたようなものが、はたして国鉄の納金を使い込んでいるかどうかという点は、実際において国鉄の納金が確実に行われております限り、さようなものであると判断するわけには参りかねるかと思うのであります。なお運輸省の法人の監督は、民法に規定してあります通りでございまして、必ずしも事業内容にわたりまして、一々認可制をとつて何とかいうような事柄の監督ではございませんので、必要に応じて随時会計監査等もいたしまして、運営の適切であるかどうかを期しておるわけでございます。ただいまお話のありましたような事柄は、いろいろ新聞紙上にも出ましたので、目下詳細に公社の経理状況を調査いたしておりまするが、しかしながらそれによりまして、もし公社の運営よろしきを得ないようであるならば、いろいろ嚴重な戒告もいたさなければならないかと思つておるのでございます。まだそこまで私どもの方で、はつきりした事実をつかんでおるというような状態にはなつておらないのであります。
  36. 江崎一治

    江崎(一)委員 国鉄公社並びに国鉄との貸借対照表の詳しいデーターを、ぜひお示しを願いたい。これは新聞においても報道しておりますように、非常に大きな不正があるというように、大体われわれの調査においても見ておりますので、この点確実な資料をぜひわれわれの手元まで御送付を願いたいと考えております。
  37. 前田郁

    前田(郁)委員長 政府の方から資料はどうですか。
  38. 石井昭正

    石井説明員 お求めになりました資料は、国鉄との代売乗車券の貸借関係と申しますか、つまり支拂い、納入関係の資料でございますか。
  39. 江崎一治

    江崎(一)委員 今言われた資料と、でき得るならば監督官庁として、交通公社の会計監査をやられると思いますが、その資料についても同様でございます。
  40. 石井昭正

    石井説明員 過日当院の大蔵委員会からも、御同様な要求がありましたが、運輸委員会におかれましても、御要求がございますれば、同じものをただちに御提出申し上げます。
  41. 前田正男

    前田(正)委員 本日お配りになつ電化計画について、ごく簡單内容をお伺いしたいと思うのですが、この自家発電計画というものが出ておりますが、これは現在どの程度の計画中のものでありますか。それとも二十六年度からでもやるおつもりでありますか。あるいはまた現在どういうふうな進行状況になつておるのか、ちよつと御説明を願いたいと思います。
  42. 足羽則之

    足羽政府委員 実はこの前電化に関する御質問がありまして、その際に準備をしてお配りをしたつもりだつたのでございますが、遅れて実はきようお配りをいたしたようになつておるのでございます。これに載つております最後の電源の開発計画は、十津川とそれから天龍川筋に、国有鉄道といたしまして自家発電するため、いろいろ研究をいたしておるので、その内容についての表をお手元まで差上げたのでございまして、それをいつからどういうふうに実施するかというような点につきましての、具体的な進行までにはまだ至つておらないのでございます。目下そういうことについての検討中でございます。
  43. 前田正男

    前田(正)委員 検討中というお話ならば、大体わかるのでありますけれども、実はこういうふうな資料になつて出て来ますと、多少問題があるのじやないかと思います。特に十津川水域の方は私の県でありまして、実はこの問題は御承知の、奈良県におきますところの分水計画と、非常に関係があるわけであります。奈良県と鉄道省との間で、相当の御折衝がなければならぬと思つておるのですが、この点につきましては、どの程度お話を進めておられるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  44. 足羽則之

    足羽政府委員 詳しくはわかりかねますので、もし御必要でありますれば、後日詳しく調べて御説明申し上げたいと思います。
  45. 前田正男

    前田(正)委員 実はこの問題につきましては、すでに御承知かもわかりませんけれども、念のために私から運輸省の方に一言お話しておきたいと思うのでありますが、これは奈良県といたしましては、ぜひ鉄道にやつてもらいたいというような計画もありまして、交渉をしたこともあるのでありますけれども、鉄道と奈良県との間の話合いがまだついていないようでありまして、その辺においては相当問題があると思つております。しかしながらこの地方におきましては、ぜひ鉄道にやつてもらいたい。それはなぜかというと、ここに五新緑という鉄道の未完成線がありまして、この工事をやるならば、未完成線を利用して工事をやるということになりますので、地元の方ではそれを非常に希望しておるようであります。それで鉄道から調査に来たということを聞いておるのでありますが、その点は地元としては協力するような態勢でおるのでありますけれども、問題は運輸省と奈良県の当局との間で、もう少し話合いを進めていただく方がいいではないか。こういうふうな計画書を出されるにつきましては、ある程度話合いがついてからの方が、私は問題が起らぬでいいのじやないかと思いますので、その点今検討中の計画であるということでありますので、参考までに意見を述べておきます。  なお私は自家発電計画のほかに、いろいろと資料をせつかくいただきましたけれども、この自家発電計画だけありまして、その他の電化に必要なところの電源をどこから求めるかということは、これに全然書いれないのであります。実は最近御承知通りやかましく電力の再分配の問題が出ておりますし、あるいはまた見返り資金等によりますところの新しい電源開発計画もある。あるいはまた建設省その他で総合開発計画のもとに、大規模な発電計画も相当あるのでありまして、それと鉄道電化計画というものは、どういうふうに関連するかということも、またはなはだ大きな問題であると思うのでありますが、それがこの表によりますと、自分のところでつくるものだけは出ておりますけれども、その建設省の方で考えております総合計画と、それがマツチして行くかどうかということについては、一つも資料がありませんので、できましたら運輸省としては、どういうところに電源をつくつて行くのか、どういうものを希望しておるのか、そういうような資料をぜひいただきたいと思うのでありますが、そういう資料が出せるかどうか、簡單に御説明願いたいと思います。
  46. 足羽則之

    足羽政府委員 このお配りしました計画は、電化計画といたしましては、かつて国鉄道が公共企業体として分離いたします前の運輸省国鉄審議会というものがありまして、そこで扱つた電化計画、いわゆるよく三千四百キロの計画と申しておりますが、その計画と、それから電源に関しましては、従来十津川の電源の計画にいたしましても、あるいは天龍川の計画にいたしましても、国鉄でずつと以前から引続いていろいろ調査をいたしておるものでございまして、ただこれが現実に具体的にどう実現されるかという問題は、まだはつきり具体的にこれをどうするという段階には至つてない、こう承知いたしております。たとえば電化計画にいたしましても、あるいは電化五箇年計画としては、先般もこの委員会で御説明申し上げましたごとく、国有鉄道としては約八千百キロでございましたかの電化計画というものを五箇年計画として持ち、あるいは安本としてもそれより少し下まわつた計画を別に立つておる。そうしたもので三千四百キロ計画と申しますものは、国鉄審議会の電化部会で立てました一番基本的な最初の計画でございます。従つてこれらの電化計画にしろ、あるいは自家発電の計画にいたしましても、これをいかに具體化してやつて行くかという問題につきましては、なお多少の余白と、それから具体的な検討を必要とすると思うのであります。従つてただいまの御質問も、それらの点についての検討がもう少し進められるにつれて、逐次もつと全貌が具体化される、あるいはさらに周密なる検討が進められ、研究が進められる、こういうふうに御承知を願いたいと思うのであります。
  47. 前田正男

    前田(正)委員 この電化には自家発電の電気以外に、どうしても今回政府でやかましく言つておりますところの総合開発計画の電源を使わなければならないだろうと私は思うのでありますが、それとマツチしてどこを電化して行くかという事柄は——総合開発計画の方は法案が通りまして、総合開発計画審議会が発足いたしますので、相当具体的に進むと思いますので、それに必要なるところの鉄道電化計画というものは、それに応じて急速に御計画を立てられる必要があるのじやないかと思います。大体の御計画が立ちましたならば、ひとつ資料を出していただきたいと思います。  それからこれには拔けておるようでありますけれども、私どもの聞いておりますところでは、関西方面におきましては、すでに運輸省としては大阪近辺の、関西線から始まりまして、あの近所の路線を全部電化するというふうなことでありまして、関西側の者は非常に喜んでおるのでありますが、これには名古屋、湊町間というように、関西本線を書いてあるように思うのであります。これはその後計画の変更があつたのかどうか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  48. 足羽則之

    足羽政府委員 現在着手をいたしております電化しておる区間の、それの附帯工事とか、あるいはごくわずかのそれに関連する工事とか、そういう具体的なこまかいものは、この表には載つておりません。
  49. 坪内八郎

    ○坪内委員 私はこの際日本国有鉄道の役員の任命に関する動議を提案いたしたいと思うのであります。この動議につきましては、理事会にもお諮り願つて御了承をいただいておるのでありまするが、各委員におかれましては、御研究、御審議の上、強力なる御賛同を願いたいと思うのであります。そこでまず決議案の案文を朗読いたします。   国鉄役員任命に関する決議案 国鉄の能率化をはかるためにこの際  一、副総裁をすみやかに補充すること。  一、副総裁は民間人を起用されたきこと。  一、理事その他役職員は民間人よりも起用されたきこと。  右決議する   昭和二十五年七月三十一日  以上が決議案の案文でありまするが、その決議案の提案理由の要点のみを御説明を申し上げたいと思うのであります。  日本国有鉄道の経営面におけるところの合理化、あるいは能率化ということにつきましては、ひとしく国民が重大なる関心を持つておるところでありまするが、御承知のごとく敗戰以来日本の国内事情、あるいは種々客観的な諸情勢におきまして、国鉄が真に合理的にあるいは能率的に運営されておるかということにつきましては、現在の国鉄の従業員のあらゆる努力にもかかわりませず、まだ幾多の研究課題を残しておりますることは、御承知通りであります。そこで国鉄も先般来完全なる独立採算制を建前とする企業体として発足させ、さらにまた八月一日からは国鉄開闢以来の機構改革をいたしまして、そうして企業体としてのほんとうの公共性を十二分に発揮しようという建前から、大機構改革がまさに断行されんといたしておる矢先でございますが、先般来国鉄の機構改革につきましては、まだそれらの機構はさることながら、もつと国鉄の能率的な運営面を考えるならば、国鉄を運営するところの大根幹とも称すべき役員の関係を十分に考慮に入れて、この機構改革を断行しなければならないということが、各委員から異口同音に要求された点であつたのであります。しかるに今日の国鉄の役員の状態を見て参りますると、まだまだ現在の状態では、ほんとうに国鉄がその本然の公共企業体としての独立採算制を発揮するところの、役員の構成が十分でないということは、ひとしく申されておる通りであります。御承知のごとく官庁の民主化をはかるために、最近では、ことに人事院などでは、公務員の採用にあたりましては、大いに民間人を起用して、そうしてその官庁の民主化をはかろうとしている矢先なのであります。かかるがゆえに特に国鉄のごときこういう公共企業体の性質におきましては、もつと民間人を大いに起用いたしまして、そうして国鉄の能率、あるいは合理化をはからねばならないというのが、一般的な常識論でもあるのでありますけれども、今日の国鉄の役員の構成を見てみると、まだその点が満たされていないように思うのであります。そこでこの際私どもは、長らく欠員中の副総裁を将来起用いたしますならば必ずひとつ民間人を起用してもらいたいというところの強き熱望を持つておるわけであります。さらにまた国鉄理事その他役員におきましても、その過半数ぐらいは民間人を漸次起用してもらうようにというような強い意見を持つておるわけでありますが、こういう点を十分委員各位も御了承くださいまして、この際この決議文に委員各位の強力な御賛同を願いたいと思うのであります。従つてこの決議文をそれぞれの関係であるところの運輸大臣、あるいは国鉄総裁、あるいは国鉄監理委員会の鈴木委員長、あるいは議長に、われわれ委員がこれを手交いたしまして、実現を期したい、かように考えておる次第でありまするが、どうぞ委員各位におかれましては、御賛同をお願いいたしたいのでございます。
  50. 前田正男

    前田(正)委員 この際次官にこの問題に関連いたしまして質問いたしたいと思います。過般来機構問題あるいは鉄道建設問題、いろいろな面におきまして次官が御答弁なつたことと事務当局答弁との間に、多少食い違いがあつたようでありますが、運輸省としては国鉄公社に対しての相当の監督権を持つておるという次官答弁を、私たちも了とするのであります。ところで今回こういうことをわれわれ国会の意向として申入れをいたしますについては、われわれの意向を国鉄に相当尊重すべきであると思いますけれども、それに対しまして、ただちにそれを実行させるようにするのが、運輸当局の責任であると思いますが、そういう責任を果して行くだけの権限を持つておるか、またそれを果せる自身があるかどうかということを、ひとつ責任ある御答弁を願いたいと思います。
  51. 關谷勝利

    關谷政府委員 以前に私が御答弁申し上げた方がほんとうの解釈であると、国鉄総裁にも申しておりますし、相当強力に実現せしめ得る権限があることと考えます。またそういうふうにいたしたいと存じております。
  52. 前田郁

    前田委員長 お諮りいたします。坪内君の動議のごとく、本委員会として関係当局に意思表示することに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。
  54. 坪内八郎

    ○坪内委員 この前の委員会のときに、過般行われました参議院選挙に際して、国鉄の外郭団体であるところの弘済会が、特定の候補者のために選挙運動を行い、しかもその弘済会の資金一千万円を選挙に流用して、幹部であるところの理事数名が、刑務所に收容されておるというような事態を惹起いたしておつたのでありますが、この点につきまして、その責任の所在、あるいは財源の出どころ、あるいは役員、理事関係が何名くらい收容されておるのか。これが結論として法の制裁を受けたあかつきに、国鉄として監督の地位にある総裁は、責任を負うのかどうかというような諸点につきまして、私が質問を申し上げておつたのでありますけれども、まだ十分調査していないというような政府側の御答弁でございましたので、この際それらの点につきまして御説明を伺つて、さらに質問を続行いたしたいと思うのであります。
  55. 石井昭正

    石井説明員 ただいまの御質問の点でございますが、弘済会の現況等につきまして、いささか用意いたして参つたのでありますが、過般の参議院選挙におきまして、弘済会の役員中、公職選挙法違反の嫌疑をもちまして、司法当局の取調べを受けておる者があるかということに対しましては、これはまことに遺憾な事実でございます。しかしながらそれは弘済会が会自体として選挙運動をいたしたということではなくて、その当該役員なり職員でありました個人の行為であるというふうに、私どもは聞いておるのでございます。またその選挙違反行為の内容が、いかなる事項に該当いたしておるか、またその取調べの内容等につきましては、司法当局の手によつてなされておりますので、私どもといたしましては何らつまびらかにしておらないのであります。もしこれが将来司法権の手において裁判を受けて、有罪等のことがあればどうなるかということでございますが、これは個人の場合と会そのものの、たとえばお話のように会の資金を使つたというようなことになりますと、事柄は大分違つて参るかと思うのでございます。もし個人的な責任においてなされたことでございますならば、これは当該個人に対して弘済会の役員あるいは職員の地位から、ある程度遠ざかるというようなことをもつて足りるのではないかと思うのでありますが、会そのものを選挙運動に利用したということになりますならば、またおのずから考え方をかえなければならぬと思うのであります。ただいまのところ私どもの承知している限りでは、すべて個人的な責任においてなされた行為のように、これもはつきり承知しているわけではございませんが、そういうふうに大体見ている次第であります。
  56. 坪内八郎

    ○坪内委員 この問題は政府当局において、十分な調査といいますが、そういう面の考え方がまだ足りないようでありますので、引続き私はこの問題をあとに残しておきたいと思います。先ほどの部長の話によりますと、大体この弘済会の金一千万円を選挙運動に利用し、そうして理事長である堀木君のために弘済会の幹部すべてが、各細胞といいますが、機構に対して、末端の弘済会のすみずみまで選挙運動の関係を指令して、それによつて堀木君の当選を有利に導いたというようなことのために、司直の手によつてこれが追究されておる。ひとしく国民に与えたところの印象は、弘済会の理事長である堀木君のために、弘済会が選挙運動をなし、そして弘済会の金を利用し、公職選挙法に違反したというような印象を与えておるのでありますが、この点については、いずれ司法関係において結論が出ると思うのであります。ただ、だたいまの御説明によると、この問題は個人として行つたのであつて、弘濟会としてやつたのではないというような御答弁でございますが、しからば個人でやつたということにつきましては、何か根拠があるのかどうか、この点をまずお尋ねいたしておきたいと思います。
  57. 石井昭正

    石井説明員 私は個人でやつたのだと、こう申し上げているわけではないのであります。すべて個人の責任においてやつたことのように、ただいまのところは聞いているというだけでございます。別に確たる証拠をもつて申し上げているのではないのでございます。その点たいへん不用意なことを申し上げまして申訳ありません。あしからず御了承願います。
  58. 坪内八郎

    ○坪内委員 この弘済会の参議院選挙における動きが、はたして弘済会の組織を使つてつたものであるかどうか、個人でやつたものであるかどうかは、わからないというような御答弁でありますので、この点につきましてはいずれ公職選挙法の違反として、やがてその結論が出るであろうと思いますので、その結論によつて——国鉄総裁も先般私の質問に対しまして、結論によつては相当の責任を感ずる、また適当な処置を講じなければならぬというようなことを言明されたのでありまして、私もこの問題を見守つているというような次第であります。さらにまたこの弘済会が先ほど申し上げました通り、一千万円の選挙資金を流用し、かつまた弘済会の幹部から末端の職員に至るまで、堀木君の選挙運動に走りまわつて、そうしてそれが選挙違反にひつかかつたというような印象を国民全部の者に与え、国鉄の外郭団体として大きな、いわゆる独占事業と申しましようか、こういつた関係にある弘済会が、国鉄監督の不十分によつて、このように選挙に流用されたということは、当局としてもまことに遺憾である。この点については十分注意を拂つていただきたい。と同時に、今度の機構改革につきましてもこういつた面を考えて、そういう重大な事件を起し、法律に違反した弘済会は、この際他の機関ととりかえる意思はないのか。あるいは機構改革を伴うて、そういうことを考えあわせなかつたかという私の質問に対しましては、まだそれが十分結論が出ていないから、そのところまで考えていないといつたような趣旨の御答弁が、国鉄からあつたのでありますが、部長はかりにそれが弘済会として公的な組織を使い、あるいは個人的に組織を使つたとしても、少くともこういつた選挙一般によつて、弘済会の幹部数人がそれぞれ選挙違反で、今收容されているというような事態は、まことに国民がいろいろな点において疑惑を抱くことは当然でありますので、この点の道徳的な責任を感じておるかどうか、その点についての政府の責任感といいますが、そういうことについて御答弁を伺いたいと思います。
  59. 石井昭正

    石井説明員 犯罪の容疑がありましたからといつて、ただちにそういう犯罪を構成しているとは考えられないのでございまするが、お話のように公益的な事業を目的としております弘済会の役員が、挙選法違反の疑いを持たれたということにつきましては、まことに道義的に相当の責任を感じなければならないことは当然であろうと存じます。ただしかしながらこの道義的の責任をどうするかという問題につきましては、必ずしも今日弘済会の組織なり機構なり等を変更することが、妥当であるというようなところに結論が出るかどうかということにつきましては、なお時日をかしていただかなければならないのではないかと思うのであります。なお弘済会が独占的なこととを行つておるという点についていろいろお話もありました。この点につきましては弘済会といえども、その目的といたしております公益事業を推進いたして行くに足るだけの経済的基礎は必要でありまするが、何でもかでも独占であるということは、必ずしも旅客に対するサービスの上から行きましても適切ではないと思うのでございます。適当にこの点は調整いたして行く方針で、現に進んでもおりますし、今後もその方針を徹底して参りたいと思つております。
  60. 坪内八郎

    ○坪内委員 今の御説明は、その御説明として聞くことにいたしまして、私は国民の一人といたしまして、このような事態を惹起した弘濟会につきましては、相当将来検討を加える必要があろうかと思うのであります。従つてこの問題が司直の手によつていずれかの結論が出ると思いますので、その結論が出るまで、私の質問を保留していただきたいと思うのであります。なおこの際こういつた事件を起した弘濟会に対し、将来当局といたしましては反省いたしまして、何らかこの経営の面をかえるというか、あるいは会計監査の面をもう少し十分把握ができるような監督の立場に置くようにするか、何らかの機構の改革を考えていないかということを、第一点としてお尋ねいたしたいと思うのであります。  さらにまたこの際でありますから、この点も考慮していただき、かような事実がありとするならば、指導していただきたいと思うのでありますが、これは簡單なことでありますけれども、われわれが旅行するときに、樂しく食堂車に入つて旅行気分を味わうとか、あるいは必要に応じては食事をするということがあるわけでありますけれども、この弘済会の行つている事業の重要な一つとして、食堂車があるわけでありますが、何でもその事実のほどは私はわからないけれども、各旅客の話によると、食堂車が朝ないし晝近くに食券を出して、食事を注文する。そのときにあまりにも利益一本に走り過ぎて、国民の福利というものを考えないで、もう食事は米は品切れだと言つて、高い一品料理を買わせるというような傾向があるということを、われわれは聞いておるのであります。私もたまたま九州、長崎の方から上京するときに、十二時半ころであつたと思いますが、食券を出して飯を食いたいと思つて注文しましたところ、もう米は品切れだと言う。常識で考えまして大体晝食というのは、十二時から一時ころまでの間に食事を行うべきでありまして、その間に食事が切れるということは、どうも私は合点が行かなかつたのであります。そこでこれはそういつた場合もあり得るだろうという考え方で、そのときはそのままにして他の料理を注文いたしたのでありますが、各旅客の話によると、そういつたことを最近やつているというようなことを聞くのでありますが、この点もあるとするならば、十分この点は指導していただいて、もつと便宜をはかるようにとりはからつてもらうように監督していただきたい。この二点についてお尋ねいたしたいと思います。
  61. 石井昭正

    石井説明員 第一点の、弘済会の会計監査の点でございまするが、これは運輸省といたしましても今後十分、弘済会の会計内容が把握できまするような監査を実施いたしまするとともに、また必要に応じましては臨時にそういう監査を施行いたしまして、常に財政状況が明確に把握できるように処置し、その間に不適当な経営等の事実がわかりましたならば、ただちに警告を発して改善の策をとらしめたい、かように考えております。  第二点の問題でございますが、列車の食堂車は、これはお言葉ではございまするが、弘済会の経営ではございませんで、日本食堂株式会社が経営しておるとただいまでは承知しております。しかしながらお話内容はまことに、ごもつともでありまして、そういう不都合な、特に高価な品を半強制的にお客に買わさななければならないというような経営をいたしておるとすればこれは重大なる問題でございますので……。(「実に不親切だ」と呼ぶ者あり)よく実情を取調べまして、警告を発しまして改善をさせる。なお改善の実効の上らないときは、営業を取消すという措置までいたさなければならないと思いまして、さつそく関係の向きに調査いたさせまして、なるべく御満足の行くような改善方法を講じたいと思つております。
  62. 坪内八郎

    ○坪内委員 最後に、ただいまの食堂車の件は、われわれは弘済会が経営しているものだということを、過去において聞いておつたのでありますが、いずれにいたしましても弘済会であろうが、日本食堂株式会社であろうが、国民に与える響影はひとしいのでありまして、ただいま委員から実に不親切だというようなお話がありましたが、まつたく私たちもそういうことによくぶつかるのでありまして、強制的とか半強制的とかいうことでなくして、もう食事は品切れということになると、必然的に他の一品料理を買わなければならぬというようなことになりますので、これが強制的というようなことではなくして、自然にそういつた形に持つて行つて、高い料理を旅客に食べさせる。そうして利益のみに走るというようなことが事実あるといたしますならば、これはただいまの御説明通り容易ならざることでありますので、嚴重にひとつ指導していただきたいと思うのであります。  さらにまた、この前国鉄総裁に私が注文いたしておきました弘済会に対する設備、そういうような国有鉄道として弘済会にいろいろな便宜を与えておる面につきまして、国鉄として相当收益があるであろう。その收益の額についてはどのくらいであろうかということを質問しておつたのでありますが、その点がわかりますか。
  63. 石井昭正

    石井説明員 ただいまのお尋ねでございますが、ちよつとわかりかねます。調べればすぐわかると思いますが、しばらく時間を拜借いたしたい。
  64. 坪内八郎

    ○坪内委員 この弘済会の公職選挙違反に関連するいろいろな関係につきましては、まだ司直の手においてその捜査が継続中でありますので、問題はあとに残して、このくらいで打切つておきたいと思います。  次にこの前の委員会のときに、請願の審議の際でありましたか、無賃乗車証の再発行をしないという、傷痍軍人に対する請願に関連いたしまして、私が国鉄に起つた事項につきまして御質問申し上げておつたのでありますが、それは昭和二十五年七月二十七日の夕刊中外に、その記事が記載されておつたのであります。当時質問申し上げましたときには、石井部長並びに関谷政務次官も、この新聞記事を読んでいないということであつたので、この新聞記事が事実であるかどうかはわかりませんけれども、俗にいう火のないところに煙は立たないというようなことがありますので、次の機会に質問申し上げることにいたしておつたのでありますが、この際その新聞記事は簡單でございますから、ちよつと朗読をしてみます。「こつそり無料パス登場、幹部が祕密発行?奇怪な国鉄に非難の声」こういうような見出しでありますが、その内容には「国鉄ではさきに職員その他鉄道関係者に無料パスを濫発して世論の非難に会い、発行を一時中止するのやむなきに至つたが、最近また人目につかないような無料乗車券(普通の乗車券と同形)を発行するようになり、一部職員から早くも非難の声が上つている。それら職員の話によれば、特定の鉄道関係者だけに無料乗車券を発行、この乗車券鉄道規定によると第五種無料乗車券となつており、二、三等乗車券がある。特にこの乗車券を用いるようになつたのは、パスでは車内で人目につき、ただちに無料パスであることがわかる。しかし今度の無料乗車券は普通乗車券と同種類のもので、ただ違う点は裏面に使用者の名前と年齢が記入してあるだけである。使用期間は二日でも三日でも、あるいは一週間、一箇月でも自由に記入できる。なお目下のところ一部幹部が極祕で発行を指示しているといわれる。」こういうのが新聞記事でありますが、申すまでもなくこの無賃乗車証につき、あるいは乗車券につきましては、詳しい規定があると思いまするが、この乗車証につきましては、昭和二十四年十一月二十九日達の日本国有鉄道乗車証規程に、いろいろ規定があると思いますが、この規程によつてあるいは発行したのではないかということも考えられるのでありますけれども、この規程に基くところの乗車証というものは、こういつた新聞記事に書いてあるような乗車券でなくして、相当大きな形の、いわゆる普通にいうパスのような形になつておる。ところがこの新聞記事においては、まつたく普通の二、三等乗車券と同じような、ああいつた形のものである。しかも名前が乗車券ということになつて乗車券というものは、日本国有鉄道乗車証規程によつても、発行ができない建前になつておるだろうと思うのであります。この点につきまして一応の当局側の御説明を聞いた上で、質問を続行いたしたいと思います。
  65. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまの坪内委員の御質問に対して御説明いたします。ただいまお読上げになりました新聞の記事につきましては、若干間違つておる点もございますので、それらを私から御説明いたしたいと思います。乗車証につきましては、昨年六月御承知通り公共企業体になります際に、ほとんど大部分整理をいたしました。御承知通り会議員等、法律できまつている者のほかは、たとえば私どもの職員にいろいろ御講演願う講師とか、あるいは事故がございます際、事故の死傷者の家族、あるいは荷主を私どもの方で招きましていろいろ御相談申し上げる。そういつたごく特定された場合にのみ発行していることは、御承知通りであります。ただいまお読みくだすつた私どもの乗車証規程の中にも、その旨をはつきり書いてあります。その内容につきまして、実は一般の私鉄会社でございますと、いろいろ用事の内容によりまして、ただいまお話のございました大きいパスのようなものを発行する場合もございます。また非常に内容の軽易な場合等におきましては、普通の会社では一般の回数券を差上げたり、あるいは一般の切符を差上げたりしておるわけでございます。ところが私の方では、御承知通り收入の面が会計規定上やかましいので、一般の駅で売つている乗車券を、ただいまのお話のように私どもが発行することはできない。従いましてそれらの場合に該当する、私鉄が回数券切符を発行すると同じような場合に、私どもといたしましては鉄道乗車証を出しまして、大体大きさ等も現在の乗車券と同じようなものを発行いたしております。ただ発行いたす場合につきましては、先ほど申し上げましたように非常に限定をいたしておりまして、そういう乗車券でございませんが、一般のパスよりももつとほんとうにそのとき限りというようなものに使つております。
  66. 坪内八郎

    ○坪内委員 御説明がいろいろありましたが、ちよつと納得が行きません。しからばこの新聞記事は事実であるかどうかということが第一点、それから現在国鉄で発行しておるパスは、ただいま御説明がありましたが、法律の規定によるところの国会議員のものと、さらにまた日本国有鉄道乗車証規程、この二つの規程のみに基いて、そういつた合法的な乗車証というようなものが発行されるのであつて、この規程以外は何もないのであるかどうか、この二点をお尋ねいたしたいと思います。
  67. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまのお尋ねでございますが、前段の新聞記事が事実であるかどうかということにつきましては、先ほど申し上げました通り、そういう乗車証があることは事実であります。それは先ほどお話のありました乗車証規程の中に入つている正式なものでございます。それから発行いたします責任者は、本庁におきましては文書課長、各地方におきましては鉄道局長というように、全部責任者がきまつております。それは責任者は乗車証規程に基いて発行いたす以外には、一切のものは発行いたしておりません。国会議員につきましても先ほどお話がございました通り、法律に基きまして発行いたしております。それ以外に一切発行いたしておりません。そういうものの場合も、部内の無賃乗車証規程に基いて発行いたしております。
  68. 坪内八郎

    ○坪内委員 ただいまの政府の御説明によりまして、まず第二点の分からお話申し上げます。大体国鉄乗車券というものは、政令に基く国会議員の場合と日本国有鉄道乗車証規程以外にはないのだというお話でありますが、この新聞によるこういつた事項は、日本国有鉄道乗車証規程に基いて文書課長あるいは責任者が発行するのだというお話であつたのでありますが、この新聞によりますと、今説明のごとく乗車証であつて、券は発行できないというようなことを申されておるのでありますが、この記事によると、乗車券が普通の二、三等乗車券と同じ形のもので、裏に使用期間あるいは氏名を記入した点が、普通の乗車券と違う点である。あとはまつたく形も同類のものであるということが記載してあるのでありますが、その点、こういう券を発行した事実があるのかどうかということを、まずお尋ねいたしたいと思うのであります。
  69. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま御質問の第五種の乗車証を発行していることはございます。それから第五種につきましては、乗車切符と全然違つた性格のものであるということは、一応つけ加えさせていただきます。
  70. 坪内八郎

    ○坪内委員 私の質問がまずいのかもしれませんけれども、この新聞記事にあるような券を発行したのかどうかということにつきましては、ただいまの説明によりましては、この規程に基く乗車証を発行したというようなあなたのお話でございまするが、この新聞記事によると、券を発行したということになつているが、この券を現在東京における国鉄で発行したのか、あるいは出先で発行したのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  71. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 やはり乗車券は駅その他正当な——正当なというか、收入を対価として受取る以外は、乗車券は総裁といえども一切発行できません。
  72. 坪内八郎

    ○坪内委員 そうするとこの新聞記事は、でたらめな記事であつて、何か誤解をして記載されたものであるというふうにわれわれ了解していいのかどうか。さらにまたこの新聞には、実際新聞記者がこういつた乗車証規程があるにもかかわらず、それを知らずしてこういうような記事を書いたものかどうか、われわれは一体それをどういうふうに考えたらいいのか、その点を御説明願いたいと思います。
  73. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その新聞記事については、私も出どころその他くわしく存じておりませんが、乗車券を発行したと書いてございますれば、それは誤りでございますから、その点はつきり申し上げておきます。
  74. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 鉄道弘済会の選挙違反事件につきまして、今坪内さんからいろいろ説明があつたようですが、過般の選挙に対しまして、弘済会ばかりでなく、弘済会の理事長堀木鎌三さんが各地方をまわつて歩きまして、鉄道職員と酒食をともにした。なお駅長あるいは現場長などに名刺を配らしたり、あるいは弘済会理事長というようなマツチを配らしたようなことがある。それがために二、三の鉄道職員が調べられ、現場の駅長なども地方の警察で取調べられたというような新聞記事があるわけですが、国鉄職員にさようなことがありましたかどうか。あるとしますればどんな事情でございますか。ちよつとお伺いしたいと思います。
  75. 石井昭正

    石井説明員 弘済会の理事長が各地をまわつた際に、鉄道の職員、鉄道局の幹部等と会合した。これは選挙運動という意味ではなくして、当然あり得ると思います。鉄道と非常に密接な関係仕事をしております弘済会の仕事について、国鉄の地方の当局者と会合して打合せをいたすことは、あり得ることと思います。そうでなくとも、堀木さんは御承知のように鉄道の先輩でもございますので、後輩の者が先輩に敬意を表するということは、あつて一向さしつかえないことではないかと私は思います。ただ選挙運動ということになると、これは話は別でありますが、そういうことはあり得ないと思うのであります。ただ御承知のように公職選挙法の許す範囲におきまして、個人として適法な選挙運動をすることは許されていることでありまして、公務員の場合と違いまして、国鉄職員につきましては、公務員法の適用がございませんので、適法なる選挙運動はさしつかえないと思います。もし違法なる選挙運動をいたしておれば、これは当然選挙違反として、司法当局の取調べを受けるというこに相なると思うのであります。それから一、二の局で、実際に鉄道職員がそういう取調べを受けたかということでございますが、私の承知いたしておりますところでは、ある局におきまして幹部がさような意味合いをもつて、一応取調べを受けたことはございますが、しかしこれはその程度で終りまして、起訴とかあるいはそれ以上警察当局において取調べを受けるというようなことには至らないで、一応事情を聽取されて事が済んだというふうに聞いております。
  76. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 それでは逮捕状によつて留置されたとか、あるいは送検されたというような事実はありませんか。
  77. 石井昭正

    石井説明員 今回の参議院選挙に関しまして、国鉄職員が、選挙違反をもつて逮捕状を出されたというような事例は、私まだ聞いておりません。
  78. 坪内八郎

    ○坪内委員 国鉄の幹部の乗車証といいますか、パス発行についての疑義につきまして質問中、黒澤委員より弘済会の関係につきまして関連質問があつたのですが、また前の国鉄幹部のパスの発行のことにつきまして、結論的に最後に御質問申し上げまして終りたいと思います。先ほどから説明員との間にいろいろ質疑がありましたけれども、あまり納得されないのであります。大体において話はわかつたのでありますけれども、パスの場合はこの国会議員の場合、さらにまた日本国有鉄道乗車証規程以外は、パスは発行しないのだというようなことであつたのでありますけれども、新聞記事はあのような状態になりまして、二、三等乗車券と同じ乗車証を、国鉄の幹部がひそかに発行しておつたということでありますが、その点がなかなかはつきりしなかつたのであります。とにかくこういつた規程に基く乗車証は——この規程を詳しく私は読んでないのですけれども、大体においてこういつた乗車証を発行する場合は、公務の場合に限るのじやないかというようなことが、まず規程を読まないでも想像がつくのであります。従つてこういつた新聞記事も出たのでありますが、おそらく責任者であるところの文書課長とか、あるいはそういう乗車証を発行する国鉄の幹部は、濫発行しておるのではないかということを私は考えるのであります。そういうことがないかということについてお尋ねいたしましても、ないと申されましようから、その点は質問申し上げませんけれども、将来こういつた国民に奇異の念を与え、そうしてこういつた乗車券とまぎらわしいような乗車証を発行したというようなことが、新聞記事にも大きく出るようなことは、何らかそこに発行の手続なり、あるいは発行の性質なりに、多少食い違い、誤解を生ずるような事実があつたのじやないかということを想像いたしますから、将来十分そういつた非難が起らないような方法をとつていただきたいと思うのであります。  話は別でありますが、また所管も違いますけれども、鉄道職員によつてある種の荷拔きとか、その他の犯罪が行われましても、鉄道公安官は、このたびあのような法律によつて、さらに司法捜索権まで与えられるというような関係に相なつたのでありますけれども、この公安官が、取締り関係におきましても、鉄道従業員に対しては、何か手心を加えるようなことをわれわれ聞くわけであります。そういつたいろいろな関係からいたしましても、国鉄部内のそういつた面に対しましては、何か嚴正といいますか、あるいは秩序といいますか、あるいは法規の嚴粛なる執行というか、そういう面から言つて何らか手かげんが加えられるようなこと——人情的にはあるいはそういつた面もあるかもしれぬけれども、真の目的に沿つて、嚴正、公平に乗車証を発行するというような建前でなくて、何か情実関係でそういうものを濫発すする印象をわれわれに与えるわけでありますが、この上ともこういう点は十分御注意の上に、そういう誤解を生じないよう、強く要望いたしまして、一応私の質疑を終りたいと思うのであります。
  79. 中西伊之助

    ○中西委員 昨日貨車が二十五台、東海道線で転覆したという事実が新聞に出ておりますが、あれはどういう原因でありますか。
  80. 石井昭正

    石井説明員 昨日午前九時四十二分でございますか、東海道線の茅ヶ崎、平塚間におきまして、貨物列車が脱線転覆して、上下線を支障いたしまして、旅客並びに貨物輸送に支障を及ぼしたことは、まことに申訳ないと思つておるのでありますが、この脱線の原因につきましては、まだ調査中でございまして、はつきりしたことを申し上げられないのでございますが、ただいまのところでは、やはり何か従事員の過失ということでなくて、技術上の原因ではなかろうか、こう認められておるようであります。正確にわかつておりませんので、ひとつこの程度で御了承いただきたいと思います。
  81. 中西伊之助

    ○中西委員 この原因は今わからない、まだ調査中のようでありますが、今度は共産党員がやつたというようなことは新聞に出ておりませんが、大体新聞記事を見ましても、レールが磨滅していたということが事実のようでありますが、そういうような点はお認めになりませんか。
  82. 石井昭正

    石井説明員 ただいま申し上げました通り、いろいろ推測の説が出ておりまして、新聞記者諸君は非常に敏腕を誇る関係から、推測記事を取上げてお書きになるようでありますが、これが原因であるということは、正確にはわかつておりませんので、ひとつただいまの御質問に対する御答弁は御容赦を願いたいと思います。
  83. 中西伊之助

    ○中西委員 昨日転覆したのにまだ原因がわからないのは、相当怠慢だろうと思いますが、そういう原因がわからない限り、ことにこうした交通の頻繁な線では、今になつても原因がわからないというふうな、実にあいまいな当局の態度は、われわれに不安の感じを起させるのでありますが、磨滅をしていたというふうな記事がありますが、それは否定されますかどうですか。
  84. 石井昭正

    石井説明員 私は現地を見たわけでもありませんし、また本来の技術の方の関係官でもありませんので、その点のお答えはいたしかねます。ただいま、今になつても原因がわからないのは怠慢であるというようなお話でありましたが、かような事故が起きましたときには、結局一應その現場を開通させることに主力を注いで、輸送の道の回復を第一義といたしまして、事故の原因につきましては、それぞれ故意あるいは過失のありました際には、責任者を出して相当の処分をし、あるいは刑事上の責任も負わなければならない問題もありますので、やはりわかりにくいところはわかりにくいので、愼重に調査いたすことは止むを得ないと思います。もちろん早くわかつて、それに対する対策ができ得るような事故でありますれば、すぐお答え申し上げられると思うのでありますが、たとえば従事員の過失、あるいに列車妨害であるというようなことがはつきりわかつておりますれば、即座に原因を御披露申し上げられるのでありますが、昨日のような場合は、どうしても技術上の問題であるようでありまして、いろいろの運転上の問題あるいはレールの状況、いろいろの点から研究いたさなければ結論が出ないのではないか、かように存じております。
  85. 中西伊之助

    ○中西委員 これもやはり新聞記事なんですが、空車を二台連結していた、それで急カーヴであつたというようなことでございます。そうするとわれわれしろうとでも、これはレールが磨滅していたというふうな感じもするのでありますが、もうすでにあの線路は非常に老朽していたということはわれわれも認めておるのです。運輸省は人件費は盛んに削減されておるようでありますが、物件費は一向削減されていないというのが、今までの予算のようであります。こういう点で人を減らして、そうして物件費でもつてレールをぐんぐんと新しくするということは、われわれ国民の不安を非常に除去するわけなのでありますが、一体レールの使用期間というものはどのくらいに算定されておるのですか。その点をお聞きしたいと思います。
  86. 石井昭正

    石井説明員 レールの使用期間についてのお話でありますが、レールはたとえば本線とか側線とか、あるいは同じ本線にいたしましても、東海道本線というようなきわめて高速度で走る列車区間、あるいは支線のごとき速度の低い、軽い列車の走る区間等によつて、おのおのその性能を異にいたしております。従いましてレールをとりかえますのも、一定の許容された磨耗限度を越えます場合はもちろんとりかえますが、何年使うということでとりかえるわけではないのであります。平均してどのくらいでとりかえるかということについては、線区とレールの大きさと、その線区を走つておりますスピード、回数によつて違いますので、具体的な数字を取寄せてお答えしなければなりません。今日すぐわかりかねる問題であります。
  87. 中西伊之助

    ○中西委員 それは今の御説明通りだろうと思いますが、最も交通の頻繁な東海道線のごときは、現在のレールでは使用に耐えないような感じもするのでありますが、当局のお考えはどうですか。それで完全だ、りつぱなものだというふうにお考えになつておりますか。
  88. 石井昭正

    石井説明員 戰争中資材入手に相当難儀いたしましたために、施設の荒廃したことは事実でありますが、終戰後の経済情勢に応じまして、着々そのとりかえを促進いたしておりますので、今日では御承知のように特急も復活いたしまして、さらにできますならば次の時刻改正におきましては、特急の運転時間も戰前と同じような状態にまで高めたい、かような計画をしております。もちろん多数の生命を預かつております。列車を高速度で運転いたすわけでありますから、当然レールの修理の観点から十分に検討を加えられて、そういう計画をいたしておることと思います。そういう点から見ますと、一分のすきもなくりつぱだというふうにほめることはどうかと思いますが、少くとも安心の行くだけの保安度は持つておる、かように存じております。またこの保安度を確保するだけの必要な法的措置も、今後運輸省としては考えて参りたい、かように存じております。
  89. 中西伊之助

    ○中西委員 私たちが常に考えておることは、鉄道は特急をつくつたり、スピード・アツプを盛んにやるが、そういう計画を立てるごとに、レールは確かだろうかというような不安が非常にあるのでありますが、これは希望ですけれども、今後その点を十分に注意をして、新しいレールになるべくとりかえるようにしていただきたい。物件費は、これはもうやむを得ないことでありまして、その方は予算の上では削減されていないにかかわらず、ああした脱線、それから新聞では磨滅、老廃したということをいわれております。当局ははつきりそれを重視しないようでありますけれども、事実はその通りだと思う。だからスピード・アツプすることはけつこうだけれども、レールをしつかりやつてもらわないと、われわれは安心して汽車に乗れないという結果になると思います。この点希望的ですが、お願いを申し上げたい。
  90. 坪内八郎

    ○坪内委員 簡單な問題ですが、先ほどの弘済会の問題で、弘済会から国鉄側に納められる経理勘定のことをお尋ねいたしておきたいのですが、その額がわかつたらお答え願いたい。弘済会の関係のことにつきましては、私は質疑を保留しておるのでありまして、先ほど弘済会から国鉄側に納入されるところの経理面につきましてお尋ねいたしておるのでありますが、資料は今つくれないということでありますから、ぜひひとつ私の手元に提出していただきたいと思います。従つてその資料に基いて具体的な質疑をいたしたいと思うのであります。
  91. 江崎一治

    江崎(一)委員 先日加賀山総裁がお見えになつたときに質問したのですけれども、十分なお答えがなかつたので、重ねてお伺い申し上げたいと思いますけれども、新鶴見操車場並びに川崎地帯、それから横浜地帯、大船地帯におきましては、非常に国鉄従業員の労働強化がはげしくなり、まつたく監獄以上だといわれておるのですが、その実情について御説明願いたいと思います。
  92. 石井昭正

    石井説明員 私、地獄を見たことがないので、何とも申し上げかねるのでございますが、国有鉄道といえども、労働基準法を遵守されまして、労働基準法の法規にのつとつて従事員の勤務を定めておることは、はつきり申し上げられるのであります。従いまして基準法の法規を遵守する範囲内におきまして、どういうことをやつておりますか、本日そういう御質問の出る通告を受けておりませんでしたために、具体的な御説明ができないのをまことに残念に思います。ただいま私が申し上げられますのは、京浜工場地帯の方におきましては、どちらかと申しますと、貨物の入れかえが多いようであります。従いまして他の旅客駅の作業に比較いたしますると、仕事内容が非常にじみでございまして、はなやかさがないというような点が、心理的にほかの旅客駅などに勤務しておる従事員に比較いたしますと、大分影響が違います。そういう点については、なるべくそういう方面の職場関係を明るくするような方法を、逐次講じておるように聞いております。まだ十分行つていないかと思いますが、そういう心理的な影響が相当あるのではないかと思います。
  93. 江崎一治

    江崎(一)委員 現実を御存じないようですけれども、実際の現場に行きますと、慰労休暇もとれない、慰労休暇をぜひほしいと言うと、お前首だということになる。こういうような労働強化が行われておるのです。公然と労働基準法なんかが蹂躙されておるということは、枚挙にいとまがない。そういう実情であるとすれば、政府はどういうように考えておられるか。これに対して監督官庁運輸省はどういうように処置されるのか、それをお伺いしたい。
  94. 石井昭正

    石井説明員 労働法規に違反しておる事実はないと思いますが、もちろん事実がありますれば、それは矯正させるようにいたさせます。
  95. 江崎一治

    江崎(一)委員 また同方面には、新しくアメリカの軍隊の要請によりまして、新線が敷設されておりまするが、こういう新線敷設の費用は、一体どういう勘定科目で支拂いされるのか、その点をあわせお答え願いたいと思います。
  96. 石井昭正

    石井説明員 私、具体的にどこのことをおつしやつているのかわかりませんが、アメリカの軍隊の要求と申しましても、二通りあると思います。占領軍としてのアメリカ軍でございますならば、その米占領軍が業務を施行するに必要な施設の要求は、いわゆるPDがありまして、それに基いて施行いたしまして、終戰処理費から支拂われることに相なるわけであります。それから最近の朝鮮問題に関連する輸送に伴う施設は、これは直接米国から支拂われる、かように考えます。輸送につきましては、そういう指令があつたように聞いておりますが、施設につきましては、まだ私つまびらかにいたしておりません。輸送費につきましても同じことでございます。占領軍としての業務と、今回の朝鮮問題に関するものとは、まつたく区別いたしております。
  97. 江崎一治

    江崎(一)委員 新鶴見の保線班では分区長会議でこういうことがきまつたということが、われわれの耳に入つておるのです。朝鮮問題について話してはいけない。特に南朝鮮を悪く言わぬこと、それからアメリカ軍が負けたと言わぬこと、朝鮮問題についての宣伝は絶対にやつてはいかぬ、こういうように分区長からのきついお達しだそうです。これに違反してこの問題について言及した者は、さつそく管理局長から首にする、こういうように言つておるそうでありますが、そういうことを一体運輸省は言つておるのかどうか。そういう指示をしたことがあるのかどうか。またそういう事実に対してどういう見解を持つておられるか、これをちよつとお伺いしたい。
  98. 石井昭正

    石井説明員 運輸省がさような指示を出したことはございません。また国鉄当局としては、そういうことは申しておられらないのであります。私どもは区長がさようなことを指示しておるというようなことも、事実とは存じておりません。
  99. 江崎一治

    江崎(一)委員 区長がそういうことを言つてつたとすれば、これは運輸省としてはどういう見解をとられますか。
  100. 石井昭正

    石井説明員 そういう常識で考えられないことを申しておるとは思いません。それに対する処置というようなことを御答弁申し上げる必要はないと思います。
  101. 江崎一治

    江崎(一)委員 答弁する必要がないとは、きわめて不謹愼じやないかと思います。こういうように実際言つておるのです。それに対して、しかも運輸委員会においてこの問題が取上げられたときに、答弁する必要がないとは何だ。はなはだ不謹愼ではないかと思います。はつきり意見を述べてもらいたい。
  102. 關谷勝利

    關谷政府委員 もしさようなことがあつたとしたらという、仮定的のことでお話がありましたので、仮定的のことについてはお答えができないというわけであります。
  103. 江崎一治

    江崎(一)委員 決して仮定ではなく、これは現実にあつた問題で、われわれの方に来ておる。仮定ではありません。
  104. 前田郁

    前田委員長 これにて第八国会におきまする運輸委員会を終了いたします。酷暑の折、委員各位の御精励により、大過なく委員会の職務を行い得ましたことは、深く感謝いたすところであります。閉会中におきまして、本委員会として審議する事案が起ることも当然予想されますので、その折は何とぞ御出席のほどをお願いいたします。  これにて散会いたします。     午後四時一分散会