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1950-07-26 第8回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十六日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 岡田 五郎君 理事 坪内 八郎君    理事 米窪 滿亮君      岡村利右衞門君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    玉置 信一君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    木下  榮君       木村 俊夫君    清藤 唯七君       淺沼稻次郎君    江崎 一治君       石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (船員局長)  山口  傳君  委員外出席者         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 七月二十六日  委員坂本實君辞任につき、その補欠として黒澤  富次郎君同日米窪滿亮君が理事補欠した。     ――――――――――――― 七月二十五日  低性能船舶買入法案内閣提出第一七号) 同日  輸入食糧仲継港として八戸港利用に関する請願  (夏堀源三郎紹介)(第四五七号)  豊肥線三重、豊後荻両駅問大分鉄道管理局管  内に編入の請願永田節紹介)(第四五八  号)  湯木駅にこ線橋架設並びに東口昇降口設置の請  願(關内正一君紹介)(第四五九号)  尼崎改良工事促進に関する請願吉田吉太郎  君紹介)(第四六〇号)  尼崎港に臨港鉄道敷設促進請願吉田吉太郎  君紹介)(第四六一号)  古河、栗橋両駅間信号所停車場に変更の請願  (鈴木明良紹介)(第四六二号)  海運局大分支局津久見出張所海運支局昇格  の請願村上勇紹介)(第四六三号)  鹿屋市地内鉄道線路排水施設完備に関する請願  (前田郁紹介)(第四六四号)  荒海、滝の原間鉄道敷設促進請願菅家喜六  君紹介)(第五二一号)  野沢、西方両駅間鉄道敷設促進請願菅家喜  六君紹介)(第五二二号)  花咲燈台霧信号所設置請願伊藤郷一郎君  紹介)(第五二三号)  神津島に燈台設置請願淺沼稻次郎紹介)  (第五二四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  鹿兒島測候所地方気象台昇格に関する陳情書  (第八三  号)  東北、北海道の客車改善に関する陳情書  (第九一号)  上越経由上野急行列車の復活に関する陳情書  (第九二号)  三陸沿岸鉄道敷設促進陳情書  (第九三号)  西日本港湾施設拡充強化に関する陳情書  (第九八号)  東北地方資源開発に伴う幹線鉄道復線及び  電化に関する陳情書  (第一三八号)  長野鉄道局設置に関する陳情書  (第一  四八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長選任  低性能船舶買入法案内閣提出第一七号)     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  本日の議事に入ります前に、理事補欠選任についてお諮りいたします。去る二十日米窪理事委員を辞任されましたが、先般再び同君が運輸委員選任と相なつたのであります。この際米窪君を理事選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認め、米窪君を理事選任いたします。     —————————————
  4. 前田郁

    前田委員長 昨日付託になりました低性能船舶買入法案を議題に供します。まず政府より本法案の趣旨について説明を求めます。     —————————————     —————————————
  5. 山崎猛

    山崎國務大臣 低性能船舶買入法案提出理由説明いたします。本年四月以降わが国海運は、永年の船舶運営会による統制を解かれ、民営に還元されましたが、内航貨物荷動きの激減は民営による運航能率の増進と相まつて、内航において多大の過剰船腹を生じております。すなわち現在においてなお約九〇万重量トン船腹繋船されておる実情であります。これらの内航過剰船腹は、現在並びに将来の内地沿岸荷動き想定よりいたしまして、とうてい消化見込みがなく、現在のわが国海運に非常な重圧となつております。  最近朝鮮事変の勃発があり、ある程度日本船舶占領軍に使用されておりますが、過剰船腹消化にさしたる影響を生ずるに至つておらないのでありますが、事変朝鮮に局限されるならば、日本船舶の需要の増大は、これ以上あまり多くを期待できない状態であります。しかして現在繋船船舶に対しましては、繋船補助金が支給されておりますが、この繋船補助金は、右のごとき日本海運の病弊に対し、一時的、糊塗的方法であり、かつその補助金国家財政上の方針として、将来打切りを余儀なくされておりまして、現状のまま無為に放置すれば、わが国海運企業はきわめて財政的に危險な状態に陥り、目下日本経済復興にとつて焦眉の急である外航適格船整備拡充も不可能になるおそれがあると考えます。よつてわが国海運がんともいうベき、この異常な過剰船腹の問題を解決して、内航海運事業の正常な運営に資し、国際海運参加への素地を培養育成する必要があると信ずるものであります。低性能船舶買入法案は、この必要に応ずるものでありまして、その構想の概略は次の通りであります。  本法案は、過剰船腹を解消するために、戰時標準型船舶及び船齢三十年以上の老齢船、すなわち低性能船舶を、主要設備を撤去後の船骸の形で、政府船主申込みにより買い入れることができる旨を定めています。その買入価格は、五千総トン以上、五千総トン未満二千総トン以上及び二千総トン未満の三段階を設け、それぞれ一総トン当り四千六百六円、七千三十七円及び八千八百九十円と三段階に法定して買入総額は二十七億円を法定限度としております。これにより政府が買入れる過剰船腹量は約四十万総トン、すなわち六十万重量トンであります。  次にこの法律案は、政府の買い入れた船骸を、運輸大臣船主に保管させる方法をもつて最大限度昭和二十六年七月末日まで保管し、解撤大蔵大臣が、原則として解撤して使用する者に当該船骸を売危することにより、おそくとも同年九月末日までに実施することを定めております。  第三にこの法律案は、買入れ契約で定めるところにより、買入れ船舶の対価を売主別段預金とし、その使途を退職金支拂い及び債務の償還に制限することを買入れ契約に明記すること、売主に対し、政府に低性能船舶を売却したことを理由として、新船建造について、政府機関が特に有利な取扱いをしないこと、政府から、解撤して使用するため買い入れ船骸を譲り受けた者に対し、買い入れ船骸の転売を禁止すること等、本法案の目的を達成するため必要な立法措置を講じております。  最後に、本低性能船舶の買入れ措置は、現在の船舶運航令に基く繋船補助金制度の廃止を前提とし、買入れ資金も同補助金予算の残額の移用によつておりますので、本年九月一日以降、同補助金を廃止するために必要な同令の改正を行つております。本法案の要旨は以上申し述べた通りであります。会期切迫折柄でありますが、何とぞ御審議の上早急に御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  6. 前田郁

    前田委員長 これより質疑に入ります。質疑通告順にこれを許します。岡田五郎君。
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員 本法案わが国海運事業合理化の一方法として、私たちは非常に賛意を表するのでありますが、海運事業合理性につきましては、考えさせられる点がたくさんあります。特に外航配船適格船増船、あるいは外航に対する諸制約制限撤廃、あるいはこの法案のように、低性能整理また海運業界企業整備というような面があると思うのでありますが、本法案審議の都合もありますので、まず第一に、外航適格船新造計画というものにつきまして、一応概略説明を願いたいのであります。聞くところによりますと、本年の八、九月ごろに、大体外航適格船が七、八十万トンになるというお話をたびたび承つておるのでありますが、第六次造船といいますか、本年度造船計画はどういうような計画でお進めになつておるのか、この点まず御説明を願いたいと思います。
  8. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま御指摘のありましたように、わが国海運といたしましては、外航適格船を整備することが最大の急務でございます。目下年度のいわゆる第五次の建造計画として着手いたしましたのが、この七月ごろから竣工し始めております。さらに現在持つておりまする一万トン型戰標船、いわゆるA型の改造を進めておるのであります。六月末現在におきまして、外航に出得る、いわゆる外国の船級を持ちました船が三十三隻、三十四万重量トンでございます。これがこの年度の終りまでに八十五隻、八十万重量トンが増加いたしまして年度末には百十八隻、百四万重量トンに達するわけであります。うち貨物船は八十五万重量トン、タンカーが十八万重量トンでございます。なおこれをもつていたしましても、まだ日本に出入します貨物量の五〇%を運ぶ予定といたしまして、それに所要の船腹に対しましてまだ相当量不足するわけでございます。目下本年度建造計画として、いわゆる第六次の建造計画を樹立中でございます。目下関係方面と折衝いたしておるのでございます。近くこれは船主からの申込みをとりまして、計画の実施に落手したい、かように考えております。大体本年度分の対日援助見返り資金のわくの関係からいたしまして船価がどの程度にきまるかという関係もありますが、約十六万総トンから二十万総トンの間に落ちつくかと思つております。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 外航適格船新造と関連いたしまして、本法案によりまして低能船を売却いたしました船主に、いわゆろ外航適格船新造優先権を與えられますか。またいわゆる代船建造を許されますか。この外航適格艦低能船売却船主との関係につきまして、まず御説明を願いたいと思います。
  10. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この法律新造船関係は、全然ございません。この法律條文の中に、この法律によつて政府船舶を売却した船主は、それによつて新造許可等において特に優先あるいは特別の恩典を與えられることはないということを明記いたしておりまして、この法律新船建造に対する補助であるとかいう疑念を持たれることのないようにというために、そういう明文を設けておるのでございます。直接新造船には何ら関係はないのでございます。本法案はただ海運業界の健全なる立直りを企図して、海運業界が健全なる立直りをし、あるいはその見通しをつけることによつて、新造船建造が促進される、こういうことがねらいなのであります。
  11. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今の政府委員説明では、直接売却代金新船建造には使えないことに法律上なるわけでありますが、これによりまして、要するに船会社が今持つておる債務が弁済される。そのような関係からして、その船会社が新たなる立場で造船する場合に、金を借りるのに借りやすくなるから、新船建造に間接的ではあるが好影響を来す、こういう意味の御説明であるのでありますか。その点再確認をいたしたいと思います。
  12. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 大体そのような考えでございます。
  13. 岡田五郎

    岡田(五)委員 外航適格船につきましてはその程度にいたしまして、次に外航配船上制限についてでございますが、これは聞くところによりますと、総司令部の方も非常に考慮を持つてくれておりまして、あらゆる機会にこの制限解除につきましては、具体的な措置を講ぜられておるようでありますが、最近新聞紙上で拜見いたしますると、日本商社外国海運会社の直接代理店になることができるということが許されたとか、また紅海の諸港に日本船が自由に出入港できるようになつたとか、ごく簡單なことでございますが、ひんぴんと新聞紙上に現われておるのでありますが、最近における外航配船上制限解除につきましての処置を、この際御説明を願いたいと思います。
  14. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 外航配船につきまして、従来存しておりました制限は、この四月以降海運民営になりますとともに、漸次緩和されて参つております。  まず第一に、従来日本海運会社は、外国において直接代理店を持つことができなかつたのでございますが、それが認められて来ております。また定期航路開設も、まだ現実には認可されておりませんが、方針としては定期航路開設も認めるということに相なつております。これも近く正式な認可を得るであろうということを期待しておるのであります。  それからさらに日本船配船方面の問題でございますが、従来はフィリッピン、ビルマ、インド、こういう方面であつたのでありますが、最近におきまして南米のアルゼンチン方面にも参つております。またマレーからズングンの鉄鉱石も来始めておりますし、また仏領南太平洋諸島への配船も実現されております。最近では仏領南太平洋諸島、その他なお広く日本船就航区域が、近く大幅に拡大されるであろう、こういう期待を持つております。  さらにまた最近、日本船会社は直接外国船会社代理店になつてよろしい、こういう指令も参りました。これは従来日本船会社は、外国船会社の直接代理店になるのではありませんで、外国商社代理店になつて、そのサブ・エージエントの形で実際の仕事をやつてつた、それが直接代理店になる、こういうことになつたのであります。こういうふうにして漸次制限緩和になつておりまするが、日本海運が本格的に外航活動をいたしまするにつきましては、まだまだ制約を解いてもらわなければならない点が相当あるのでございます。これらの点につきましては、私どもより一層の努力をいたしまして、外航適格船が漸次増加いたして参りまする上から、この外航適格船を十分に活用し得るような情勢の開けることを、早く実現いたしたいと考えておる次第でございます。
  15. 岡田五郎

    岡田(五)委員 最近の朝鮮動乱に関連いたしまして、いろいろと新聞紙及び雑誌の報ずるところによりますると、陸運関係のみならず、海運関係におきましても、方面によりましては相当活発になつておるかのように報じておるのであります。最近ある雑誌の報ずるところによりますと、MSTSといいますか、海上輸送部という名前らしいのですが、そこで第一次、第二次傭船はすでに三十一隻、十八万重量トンなつた、なお今後の見込みでは大体三十万トンくらいにはなるのではないか、あるいは事態においては、四、五十万トンまで傭船されるのではないかというような推論を下しておるようでありますが、過般の政府委員説明では、大したこともなさそうだ、また大臣提案理由にも、そう大きく期待はできないというような意味の御説明もあつたようでありますが、何だかこの大きな数字が出て来るような感じを、私しろうとでありますが持つておるのであります。また一面におきましては、かような感じは非常に警戒を要する面もあるかもしれぬと思うのでありますが、一面これを反映いたしておるせいでございますか、海上運賃も、過般の政府委員説明のときには、協定運賃から三割、三割下まわつて運賃ダンピングが、国内航路においても行われておるというお話でありましたが、最近ではむしろ公定海運料金をも上まわるかのごとき話もちらほら聞くのであります。またこういう動乱に関連いたしましての国際海上運賃値上りもあるかのようでありまして、かようなことも反映いたしておるのでありますが、海運会社の株なども二割、あるいは大きいものは五割、あるいは七割と値上りをしておるのであります。朝鮮動乱に関連しての船舶の需給の見通しにつきまして、もし許されるならばもう少し具体的な数字をあげて御説明を願いたいと思うのであります。
  16. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 朝鮮動乱日本船使用状況でございますが、これはアメリカの方で面接自由なる契約に基いて使用されておりまして、私の方では何隻、何トンが使用されておるかということは存じません。ただ繁船状況から言いますると、六月末当時は約百万重量トン繋船があつたのでございますが、現在それが約九十万重量トン程度にまで下つておるのであります。従いまして現在の状況では、日本の現在かかえておる尨大なる過剩船腹に対して、それほどの影響を及ぼしていないということが言えるわけであります。この繋船状況も最近ずつとそういう状況を続けておるのでございまして、それ以上繋船が減るということも見られないのでございます。従つて朝鮮状態が現在のようなところに限局されるならば、そう過繋船腹の増加ということに、根本的な影響は及ぼさないと考えておるのであります。お話のように運賃の面におきましては相当影響があるようでございますが、これは荷主船会社取引関係について、船会社の方が先行き強しというふうに見て相当強気に出ており、荷主の方が今まで非常に強気であつたのが弱気になつたというところからして、運賃が正常のところに帰つて来た、こういうふうに考えるのでございます。また株価が高いということも、船株というものはよく存じませんが、非常にこういう時局を反映して、変動の多いものと聞いておりまするが、そういう関係上、現状の実際を見た姿を現わしておるものではなしに、先を当て込んでのものであると、かように私ども考えておるのであります。
  17. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私、雑誌から得た知識でございますが、今度の動乱に関連いたしまして陸上輸送の面におきまして、ある程度貨車逼迫といいますか、また貨車の種類によりましては、非常に制限されておる。こういうような関係からいたしまして木材だとか石炭というような、いわゆる軍需輸送に関連して使用されるような無蓋車を使用する荒荷の荷物が、陸上関係貨車逼迫に関連いたしまして、相当海上の方に転移と申しますか、元へもどつて来ておるような気配を示しておる。従つて海上荷動きというものが、国内航路におきましても相当活発になつておるように報じておるのでありますが、最近の輸送状況では、そういう傾向が現われておりますかどうか、海運関係の面からひとつ数字でもありましたならばお示し願いたい。また数字がなければ概括論でもけつこうですから御説明願いたいと思います。
  18. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 内航におきまして、鉄道貨物海上に転移しておる結果であるか、あるいは一般的に荷動きが活発になつた結果でありますか、ともかく内国海上荷動きといたしましては、多少増加して来ているようであります。残念ながら四月以降民営還元になりまして、的確にその月の数字をただちにつかむということができませんので、推定でございまするが、大体三割程度ふえておるのでありましよう。四月、五月の内航の荷動き量がわずかに八十万トン程度でございましたが、これが百万トン程度になつておる、かように考えておるのでございます。昨年度の内航の荷動きは、小型汽船をも含めてでございますが百三十万トン大型汽船では百三十五万トン従つて大型汽船では百十万トンから百五十万トン連んでおつたのでございます。それにはまだ達していない、かように考えておるのであります。
  19. 岡田五郎

    岡田(五)委員 朝鮮動乱に関連しての問題はこの程度にいたしまして、次に戰後日本海運業者企業單位が、非常に私は小規模になつておるように聞いておるのであります。言葉をかえて言いますならば、群小船会社が非常にたくさん出て来ておる。かような結果、海運の健全なる回復といいますか、発達といいますか、そういう面におきましても非常に支障を来しておると考えるのでありますが、この企業單位をある程度適当な企業單位に集中すると言えば語弊がありますが、企業整備をするということもまた、私は海運の健全なる合理化態勢にもどす一つのゆえんではないかと考えるのでありますが、現在における船会社の数、またこういう船会社状態に対する政府の所見につきまして、一応お話を承りたいのであります。
  20. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御指摘通り現在の日本海運業界は、非常に弱小の業者が多いのでありまして、的確な数字を申し上げることができませんが、約三百近くあると思うのであります。従つて日本海運業が健全に運営される面から言いますと、そこに遺憾な点がないではない、かやうに思うのでございますが、しかし政府といたしましてはこういうものを積極的整理統合する、企業合同を促進するという考えは持つていないのでありまして、経済の必然の流れのうちに、合理的なる整理統合が実現されることを期待しておるのでございます。人為的にむりにある形に押しつけるという考えは持つておりません。
  21. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次にこの法案の各條につきまして、簡單に四、五お尋ね申し上げたいと思います。  まずお聞きいたしたいことは、どうして私はこの海運事業にだけ三十七億もの金を使つて政府が保護しなければならぬかという点につきまして、大臣からも先ほど提案理由の御説明の中にもあつたと思いますが、特に海運事業についてこういう保護政策をとらなければならぬという理由を、くどいようでありますが、もう一応お聞きしたいのであります。
  22. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの御質問でございますが、今度の買上げ法案は、ただいま実施しておりまする繋船補助金を打切りまして、その繋船に充てらるべく予定された金を、買上げの方向に振り向けようとするものであります。繋船補助金は御承知の通り、まつたく一時的な糊塗的な方法でございまして、これによつて何ら根本的に日本海運がんを取去るということにはならないのであります。従つて同じ金を使うならば、より有効に使うべきである、かような判断に基いて法律を出したのであります。またもう一つ日本経済といたしまして、どうしても維持して行かなければならぬ。日本海運業はこのまま参りますと、必ず崩壊に近い状態が来る。その状態をあらかじめ今から避けるということが、日本海運のみならず、日本経済の全体として特に必要である。かように考えて提案した次第でございます。
  23. 岡田五郎

    岡田(五)委員 これはどういう学者かよく知りませんが、海運というものはコンモン・キャリヤーといいますか、一般運送具といいますか、一般経済間のコンモン・キャリヤー一般運搬具として存在する以上は、できるだけ安いところへ流れて行くべきものではなかろうか。言葉は多少言いまわし方が悪いのですが、外国船でも安ければ外国船によればいいじやないか、安ければ内国船によつてもいいじやないか。経済は自由に安いところに流れさして行く。ことに船というような運搬具については、しかるべきではないかというような面からいつて、いろいろと国家海運に対する保護政策を非難する学者もあるようでありますが、現実にはアメリカにしても英国にいたしましても、これに反して相当保護政策を講ぜられておるようでありまして、日本政府もまた形をかえた保護政策意味をもつて、低性能船買上げというようなこと、あるいは繋船補助金というようなものを出されたのであり、またかような措置を講ぜられておると思うのでありますが、なぜ私はむしろ船主責任においてやれないか。また繋船補助金を出しておるのであるから、繋船補助金の範囲において船主に獎励金なり補助金を與えて、船主責任においてこれをくず鉄化させることができないのか。この辺御説明願いたいと思います。
  24. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 わが国のように特に貿易で立つて行かなければならない国が、海運を持たなければ貿易の発展ができないということは、いろいろ申し上げるまでもなく、いかに戰後日本海運外航制限され、自由に活動できない結果、日本貿易が不利な状態に置かれて来ておるかということで、十分わかると思うのでございます。従つて各国とも海運維持育成ということにいては非常なる力を入れ、また相当手厚い保護政策をとつておるのであります。日本としては保護政策は今後絶対にとらないという考えでございますので、保護政策をとらないで、かつ日本海運を何とか維持し、育て上げるということが、貿易の振興、経済の確立という点から必要である、かように考えるのでございます。ただもう一つお尋ねになりました、なぜ今日のこの保護政策船主の手でやらさないのかということでありまするが、一つは今日の船腹過剩を来しました原因、特に戰標船、あるいはその他の外国航路に出得ない船が増加いたしました主要なる原因の一斑は、政府責任にあります。御承知のことと存じまするが、終戰後輸送力が非常に不足し、特に石炭の積極的な増産に伴いまして、輸送力が非常に不足したことがあるのであります。それに対応いたしますために、相当船腹量の増加、外航に出得ない船に対する修腹というようなことも、獎励をしたことがあるのであります。そういうふうな点からいたしまして、今日過剩船腹が出ました場合、政府といたしまして、その責任の一斑をとるべき必要があるというふうに痛感するのであります。もつともその当時におきましては、それらの戰標船といえども、将来戰標船の使用し得る区域の拡大、いわゆる日本沿岸のみならず、その他の日本近海への配船が可能になるであろうという期待を、念頭に持つてつたのであります。それがいろいろの事情で困難になり、ほとんどそれらの船が日本の沿岸のみしか就航できない今日におきましては、当然これが整理合理化に対して、政府として手を盡さなければならない、かように考えております。
  25. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に法案の二條、三條に関連して、このたびの低性能船舶買入法案の対象になつておる船は、八百総トン以上の鋼製船舶、こういうことに制限されておるようでありますが、なぜ木造船、あるいは八百総トン以下の船、また第三條にありまする沈没船あるいは大修理を要する船舶というようなものを除外されたか、その理由を御説明願いたいと思います。
  26. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、今度の方策は、繋船補助を打切つてそれの金を使用して実施するということであるのであります。ところで繋船補助は八百総トン以上の船のみに適用されておるので、この法律も八百総トン以上に限定したのであります。木船、小型船にいたしましても、これによつて汽船の過剩船腹整理いたしますると、自然小型船、木造船も余沢を受けるわけであります。ことに木船は現在油が非常に多量に削減されておりますが、その主要なる理由としては、汽船腹の過剩というところに基いておるのであります。これにより汽船腹整理されますと、自然そういう面に好影響が来るわけであります。なお沈船あるいは大修理船等でございまするが、これは現在の海運事情から見まして無視してしかるべきものじやないか。特にそういうものを対象にして買い上げる必要はないという單なる理由からでございます。
  27. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に第三條の二項に、買上げ価格の総額は二十七億を越えない範図でされなければならない。買い入れる船舶の総トン教は合計四十万トン、こういうことが書いてあるのでありますが、朝鮮動乱に関連いたしまして、相当先行市場強、こういう船会社見通しからいたしまして、はたして六十万重量トン買上げ申込みがあるかどうか、こういう点を懸念いたすのでありますが、これも見通しの問題でありまして、政府委員見通しと私の見通しと、多少意見の相違があるかと思うのでありますが、もし四十万トン以内であり、またこれが二十億円見当になつた場合、要するに残額は、予算の残額ということで繰越されるのでありますか。その点愚問であるかしれませんが、御説明願いたい。
  28. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 二十七億に押えましたのは、これで買上げを予定しておりまするトン数が、御指摘通りに、四十万総トン重量トンで六十方重量トンでございますが、それの買上げ金額が二十七億に予定しておるのであります。今度の朝鮮の事態で、先ほど申しましたように、表面的には非常に景気が出ているというふうに出ておりますが、実際的にはそれほどでないということは御説明した通りであります。従いましてこの私どもの予定しておりまする量は、申込みがあるものと私ども考えております。しかしこれが実施されるまでにまだ二箇月近くあるわけでございます。その間の事態の変転によつては、あるいはその予定量に達しないこともあるかと思います。その場合にはもちろんその申し込まれた量をもつて打切るわけでございます。残額は国庫に返納するということに相なると思います。
  29. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に四條の買入れ価額の算定の基礎であります。総トン五千トン以上がトン当り四千六百六円、五千トン未満二千トン以上が七千三十七円、二千トン未満が八千八百九十円、こういうように船の形によつてトン当りの価格が違つておるようでありますが、この四千円なり七千円なり八千円を算定されました基礎、理論的根拠と数字的根拠をひとつ御説明願いたいと思います。
  30. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船の価格は、船の大きさに応じましてトン当りの価格が違う。すなわち大きい船はトン当りにいたしますると、その価格は安い。小さい船は高い。大体今対象となる船を大きさによつて分類いたしますと、五千トン以上のもの、それから五千トンから二千トンまでのもの、それ以下のものというふうにわかれておるのであります。従つて今度の船の買上げ価格をきめまする場合にも、今申しました三つの型があるわけです。この買上げ価格を算出いたします方法といたしましては、総トン数五千トン以上のものについては、その該当船の保險付保価額——保險につけております価額、しかもこれは船会社が実際つけております保險付保価額ではなしに、船舶運営会当時に傭船料を公定しておりましたが、その公定傭船料でとつてつた保險付保価額、その平均保險付保価額をとりまして、その付保価額の五〇%をこの買入れ価格にいたしておるのであります。中型の船あるいは小型の船につきましても、そのような方法をとつておるのであります。なぜ平均五〇%をとつたかと申しますると、その保險付保価額が、その船の一つの財産的価値であるというふうに言つております。ところが一方においてその船は、收益価値がゼロであるという点から、両方かみ合せて五〇%というところが出るわけであります。さらにまた船会社が銀行から融資を受けまする場合に、今申しました保險付保価額を勘案いたしまして、それの平均七〇%の融資を受けております。銀行に担保になつている関係からいたしましてこういう方法を実施いたします場合に、船主がこの方法に乘つて売り応じて来るという点を考えなければならない。従つて今申した銀行に担保になつている担保価額というものをも考えなければならぬ、それが今申しました七〇%になつておる。そういう点を考えましてその担保価額よりもやや低目の平均五〇%を採用した次第であります。
  31. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今の御説明によりますと、銀行の方の融資は、大体保險付保価額の平均七〇%見当をもつて融資をしておるというお話でありました。今度の買上げ価格は、その付保価額の五〇%ということで、銀行が融資している七〇%より二〇%低いところで買い上げられるようでありますが、この五〇%という数字が、今後船会社に対する銀行の融資の一つの標準になりはせぬかということを、船会社としては非常に心配するのであります。と申しますのは、融資する身になつてみれば、できるだけ安全性をとりたい、できるだけ少く貸したいという一面の心理も持つておるのでありまして、せつかく七〇%の融資を受けておるものを、五〇%で買い上げられる。この五〇%が今後の海運業者に対する船舶担保の融資の標準になりはしないかということを懸念するのでありますが、この点についての政府の所見をひとつ拜聽いたしたいのであります。
  32. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 融資をいたしておりまする銀行といたしましては、この船が、このまま行きますると、政府が買い上げようとしておる保險付保価額の半分の価値よりも、さらに減じて来るわけでございます。従つて担保価値と買入れ価格の間に二割の差がありますけれども、むしろ自分の債権を確保するという意味からいたしまして、たとい二割の差がありましても、これに乘つて来るものと考えておるのであります。なおこの法によりまして過剩の船腹整理されますると、残存の船舶の価値も実質的に増加して来るわけであります。従つて今御質問のような心配はないかと思います。
  33. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいま買入れ価格の算定について御説明がありましたが、保險なり銀行の担保価額をおとりになりますこと、ごもつともなことでありますけれども、ただ一つの要素として、この船は、買い上げられた後にスクラツプにして解体することになつておる。そのときの処分価額という要素を、この單価の計算上お考えにならなかつたものであるかどうか。また二十七億の金を出して、適当数量買い上げる。政府は結局においてこれを解体して処分して売却するわけですから、そのときに二十七億円に対してどのくらいの、数量にもよりますけれども、かりに全部買つた場合に、どのくらいの欠損になるかという計算をせられておるに違いない。そうしますと、この買入れ価格の單価の計算には、スクラツプとしての値段というものも、一要素にお考えにならなかつたのであるかどうか、その点をちよつとお伺いしたい。
  34. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この買入れ価格の中には、スクラツプとしての価格は考えておりません。買入船は一つの財産的価値を持つております。その財産的価値と收益価値をかみ合して考えております。ただこの船をスクラツプいたしました場合に、今日の日本のスクラツプの市価からいたしますると、相当量の收益が出ます。約六十万重量トンをスクラツプいたしました場合に、今日の市価から申しますと約十億の純收入がある、かように存じます。
  35. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はスクラツプの価格を、ただちに価格計算のベースにそのままとつていただきたいという意味じや毛頭ない。スクラツプの方の要素も、この価格決定の一つのフアクターとしてお考えなつたかどうかということを伺つた。ただいまの御説明によつて、六十万トンで十億円ぐらいの收益になる。そうすると、そればかりではありませんけれども、大づかみに言つて十七億ぐらいの欠損を来すという見通しで、計算をしておられるのであるかどうか。そのほかにまだ考慮せられておる要素がありましたかどうか、その点をお伺いしておきます。
  36. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 国家の財政的な面から言いますと、繋船補助金をこのまま継続いたしまする場合に、来年の三月末日までに繋船補助金として、約十五億の金が必要であります。さらにこのスクラップ価額を今申しましたような市価で売られます場合、約十億の收入があるわけであります。従つて国庫としてはほとんど持出しといいますか、繋船補助金考える場合には、あまり損失なしにやれる、かように考えます。ことにスクラツプの価格は、かりにアメリカで今実際行われておりますスクラツプの価格からいたしますと、むしろこの買上げ価格よりもスクラツプ価格の方が、ずつと高くなつておるという状況でございます。一トン五十ドル程度のスクラップ価格になつておるということでございますから、そういうことにいたしました場合には、大型船等につきましては、この買上げ価格よりも四割程度高い価格になるわけでございます。
  37. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう三、四簡單に御質問申し上げたいと思います。この法案では一応政府に売つた船主に対しまして、買いもどしができるのか、できないのか、その点は何も書いてありませんが、実態の推移に応じまして、一旦売つたが、またもう一ぺん船として使いたい、あるいはまた国家として使わせることが適切であるというような場合に、買いもどしができるのかどうか、この点御説明願いたいと思います。
  38. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今回の法案では、その点を考えていないのでございます。しかし将来事態の進展上、そういう必要が起りましたならば、また国会の御審議を願いまして、そういう事態に応ずるように改めるようにいたしたい、かように考えます。
  39. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に、売り渡す船主政府契約する場合に、公団の持分は一応簿価で買い取らなくてはならない。それから船にくつついた先取り特権あるいは抵当権というようなものを消滅してきれいなものにして政府に売却しなければならぬ。こういうことになつておるのでありまして、これは立法上当然なことであろうと考えるのでありますが、現在の一部の船主の実情から行きまして、運転資金その他に非常に枯渇しておる、金融の最も梗塞しておる現在におきまして、はたしてこういう抵当権なり、あるいは簿価買取りのことができるかどうか、あるいは買つてもらいたいが、きれいにできないために買つてもらえないというような実情がひんぴんとして起るのではないか、かように考えるのでありますが、その辺の実情はどうでございましようか。伺いたいと思います。
  40. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、このまま推移いたしますと、これらの船の担保価値がますます下るわけでございます。従つて債権銀行としては、その担保を握つて、船を売却する、債権の回收をはかるということについては、非常に賛意を表して来る、かように考えております。また国の方といたしましては、そういう担保になつているものを引継いで、非常にやつかいな関係になるということは、ぜひとも避けなければならないことでございまして、担保抵当権その他、その上に存する関係を清算して売り渡すという條件をつけておるのでございます。これによつてただいま御指摘のような心配な事態は特に起ることはないだろう、かように考えておるのであります。それから船舶公団の共有分でございますが、船舶公団として非常に多くの金をかけ、従つてその簿価が非常に高くなる。こういうものは船主としては売り応じて来ないわけでございます。売り応じて来ますのは、船舶公団の持分の非常に少いもの、この買入れ価格で得た金で船舶共有分を返して、なお相当の余裕が残る。こういう船だけがこれに売り応じて来る、かように考え、また私どもの方といたしましても、そういうふうな予定のもとに計画を立てておるのでございます。
  41. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に第九條でございますが、「運輸大臣は、買入契約の目的物たる船舶の引渡を受けた後に当該船舶の対価を支拂うものとする」こういうふうに書いてあるのでありますが、「受けた後に」というのを受けたときと、こういう意味に解釈してよいのか、受けた後政府の都合によつて、金のないときには支拂いを延期し、金のあるときには即刻拂うというような関係で、この「後」は時間的に相当政府が自由に解釈できるのかどうか。受けたと同時にという意味の受けたときという解釈をすべきかどうか、その辺立案者としての政府委員のお気持をお伺いいたしたいのであります。
  42. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 対価の支拂いは、受けた後でありますが、その受渡しと同時をも含めての意味でございます。
  43. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に十條でございますが、政府は「一の銀行に設けられた当該船舶政府に売却した者の別段預金の勘定に拂い込むものとする。」こういうことで、船主の勘定において別段預金を設けて、そこへ拂い込む。しかもこの預金の拂いもどしについては十一條で、職員の退職手当の方に拂いもどす、また船主の持つている債務償還に拂いもどす。これ以外は拂いもどさない。こういうことが十一條の反面解釈からしても出て来るのでありますが、「一の銀行」というのでありますが、船主によりましては関係銀行がたくさんあるだろうと思うのであります。また関係銀行におきましても、船主の非常に都合のいい銀行と、あまり都合のよくない銀行とあると思うのであります。この「一の銀行」は、船主運輸大臣にお願いいたしまして指定してもらえるのかどうかという点と、どうして別段預金という制度をとつて、そこへ拂い込んで、そうしてこの預金の使途についても、退職金債務の償還ということに割当てられたか、その立法理由をこの際伺いたいと思うのであります。なお第十一條の二号でありますが、船主債務といいましても、いろいろな債務があると想像いたすのであります。売り渡す船についた、船を担保としたり、船を対象としての買入金の債務、あるいはその他の船会社の建物を抵当にしての債務、いろいろ債務があると思うのであります。その船会社の持つているあらゆる債務の弁済に、この売渡し金を使つていいのかどうか、その辺のところを御説明願いたいと思います。
  44. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 銀行の指定でございますが、これは買入れ契約の中に明記させるのでございます。それは船主が選定したもの、かようになつております。それからこれの債務でございますが、その船に存する債務というのではなしに、その船主が持つている一般の債務、すべての債務をさしておるのでございます。
  45. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に経過規定を見ますると、繋船補助金は八月三十一日で打切られるようでありまして、買入れの申込みは九月一日から九月三十日、こういうことになるわけでございまして、船主によりましては、あるいは九月二十九日ごろに買入れ申入れをするような場合も、あるいはあるかもしれないと思うのでございます。ところがその船主は九月一日からは繋船補助金をもらわない、こういうことで一箇月空になつているように、この法案を逐條的に拜見いたしますと考えるのでございますが、繋船補助金を九月一ぱいまで延ばす意思があるかどうか、この辺のところをひとつ御説明を願いたいと思います。
  46. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 お説の通り繋船補助金を打切りましたときと、船主が買い応じてこれを売りますときとの間に、やや間隙ができるのでありますが、しかし九月からこの手続といいますか、買上げの方策を実施いたしまする以上、その間においてさらに繋船補助金を続けて行くということは、その買上げの実行を幾分鈍らすような懸念も出て来るのじやないか、一面におきまして繋船補助金はできるだけこれを早く打切つて、その金額によつて買上げ方法を実施したい、こういう意図でもありまするので、船主に対する影響等も、一箇月程度の空間があつたからといつて、格段の影響もないであろう、かように考えまして、八月一ぱいで打切る、かようにいたしたのでございます。これを政府としては、変更するという考えは持つておりません。
  47. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に十五條でありまするが、買入れ契約の目的物たる船舶政府に売却した者は、運輸大臣大蔵大臣に引継ぎするまで、船主が一応保管することに十五條ではなつておりますが、なぜ船主に保管の責任を持たせるか。また保管の責任を持たした場合に、船主の保管責任はどういう程度のものであるか。またその保管に対して、保管料というようなものも拂つてやられるのであるかどうか、その点御説明を願いたいと思います。
  48. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 政府が面接管理いたしますると、それに対して特別の人間、その他の費用がいるわけでございます。むしろこれはそういう方面の人、あるいは経験を持つている船主に管理させる方がよりうまく、かつ経費が安くて済む。かような観点から船主に管理をさせる、かようにいたしておるのであります。しかし船主に管理させましても、その管理するものが船骸でありますれば、ごく軽微な管理になる。従つて人間を一人程度配置すれば足りるという程度の管理責任を持たせたい、かように考えております。従つて船主に対する経費の支給も、せいぜい人間を一人配置するに必要な経費の程度にとどめたい、かように思つております。
  49. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次にこの買入法案に関連いたしましての船員関係でございますが、この前、大体繋船補助金をもらう船舶の予備員といいますか、過剰船員というものが、大体八千人くらいになるであろう、こういうようなお話を承つたとも思うのでありますが、この八千人というのが今度の船舶買上げ対象になつておる船舶の乘組員である、船員であると私は想定いたすのであります。この八千人の船員の退職手当の関係はどうなるのか。またこれらの船主が、あるいは間違つておるかもしれませんが、運営会時代から民営に帰つたときの退職手当が、まだそのまま保留されていたかのように私は考えておるのでありますが、この退職手当と今度の退職手当、その関係がどういうように拂われるのであるか。またこの過剩船員の今後の就職見通しといいますか、こういう船員に対する失業対策といいますか、そういうものに対する政府の所見を拜承いたしたいと思います。
  50. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 繋船の場合に下船する船員の数は約八千人と申しましたが、今度六十万トンの船が買入れ、スクラップされる場合に、その船に関連した船員は約九千人、かように踏んでおります。研しかしこの船員がそのまま職を離れるかどうかということは、ただちにそう言えないので、昨年度建造に着手いたしました新船が、先ほど申しましたようにこの七月以降漸次就航せんとしつつあるのであります。これが約四十万重量トン従つてこれに船員が吸收されるわけでございます。あるいはその他の今度の事態によりまして、相当量の船員の需要もふえんとしている状況でございます。その数字がただちに失業するというふうには断ずることはできない、かように考えるのでございます。それからそれらの船員に対する退職金でございまするが、今度の買上げ価格ではその船員の退職金ということを特別に考えて、それの退職金を織り込むというふうなことは考えてないのでございます。買上げ価格の中から船主と海員団体との間、あるいはその他の団体との間において十分と申しままるか、適当なる退職金を協定していただきたい、かように考えておるのでございます。買上げ価格のほかに、特に退職金とかいうことは考えているわけではございません。
  51. 坪内八郎

    ○坪内委員 私のお尋ねは、岡田委員質疑と関連しておるのでありますが、この五條、九條、十條、十一條の第二号についてお尋ねしたいのであります。この点につきましては、同僚岡田委員よりお尋ねがありましたので、私は省略をいたしまするが、岡田局長のお話によると、このままの原案で行きたいというようなお話であります。すなわちその五條にうたつてある買上げ期間、申込み期間の関係から行くと、八月三十一日からいついつまでで繋船補助金が打切られ、実際の買入れ船舶の決定は十月一日ということになると、一箇月の空白をどうするかというような点でありますが、この点、附則を岡田委員の申されるがごとく修正する意思がないかどうか。この点は関係筋との折衝の問題も残つておるし、さらにまた同僚委員の意見もまとめなければならぬので、問題はあとに残したいと思います。とにかくこの五條、九條は、さつき岡田委員が申しました通り船舶の引渡しを受けた後にということになつておるのを、同時にというように修正をする関係であります。また十條は、政府側の一つの銀行というのを、船主側の指定する銀行というような修正の意見であります。さらにまた十一條の第二号は、買上げ代金の弁済方法でありますが、このままの原案にしておくと、債務の弁済の範囲が非常に広くなる。それで当該船舶債務に振り当てるような修正の意見をわれわれは有するわけでありますが、この点につきまして、関係筋の了解を得てわれわれ委員の修正意見がまとまれば、政府としてはこれを修正する意思があるかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  52. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 繋船補助金の打切り時期を一箇月延期することにつきましては、先ほど申し述べましたように、私どもといたしましては、そこに多少の空間ができましても、その影響はさしたるものでない、かように考えております。第九條に「船舶の引渡を受けた後」というふうにございますが、これも先ほど申しましたように、受けたとき同時ということをも含むのでございまして、これは政府支拂防止法によりまして、政府支拂いが遅滯をしてはいけないということに相なつておりまするので、今御懸念のような点は起らない。また私ども海運業者経済の実情を知つておりますので、御心配になるようなことは万々起さない覚悟でありますが、このことをここではつきりと申し上げておく次第であります。  それから銀行の指定でございますが、これは当然私どもも、船舶業者がその銀行を指定するというように考えておるのでありまして、その点は御懸念の必要もないかと思うのでございます。特に数銀行を指定するというようなことになりますると、非常にやつかいなことに相なりまするので、この点銀行を一つに特定すべきでないか、かように考えるのであります。  それから債務ですが、特に当該船の債務だけに限るということは、ほかの債務者との関係上非常に公平を欠く。ことに本船自体の債務につきましては、担保を拔く等の関係もあり、当然これは消滅されるのでございます。ほかの債務者と区別して、特にその点を明記するというところに、公平を失するという点があるというように考えます。
  53. 坪内八郎

    ○坪内委員 ちよつと岡田委員にお尋ねしたいと思いますが、先ほどあなたが指摘された五條、九條、十條、十一條の第二号の点につきまして、岡田委員は修正したいという御意見ですか。
  54. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今坪内君の方から私の意見を求められましたが、政府委員説明を聞きますと、なるほどこもつものようにも考えられるのでありますが、第十條の一つの銀行——先ほど私が質疑いたしましたように、船会社の取引銀行はたくさんあるのでありまして、船会社といたしますれば、できれば船会社の指定する数銀行、一つ以上の銀行であつてほしい、私はかように考えるのであります。また債務の償還につきましても、私の意見といたしましては、その売却する船にくつついた、いわゆる債務の弁済に充ててやる。従つてその船にくつついたきずを拂いのけてやつてこそ、船会社の新しい船をつくる意欲をつくり、つくる財源といいますか、元をつくるのではないか、かよう考えるのでありまして船会社が建物で非常な債務を持つておる、建物の方の債務の弁済に、せつかく船を売つた代金で拂つてしまうと、今度新しい船をこしらえる場合に——これは大きい意味から言えば、その船会社の借銭がどこかでなくなるのでありますから、信用を増すということは言い得るのでありますが、その船にくつついておる債務の弁済をしてやる方が、その信用の増大についても直接的ではないか、かように考えまして、私の意見としてはなるべく当該船舶にくつついておる債務の償還、また船会社の指定する一以上の銀行、こういうことにしていただくならばと、かように増えておる次第であります。
  55. 坪内八郎

    ○坪内委員 この五條、九條、十條、十一條の第二号については、まだ関係筋との折衝の問題もあるし、さらにまたわれわれ同僚委員の意見もよくまとめて検討したいと思いますので、この点については保留をしておきたいと思います。  次に局長にお尋ねいたしまするが、繋船補助金を八月三十一日で打切る。その買入れ総額が二十七億ということになつておりますが、この二十七億と、八月三十一日で打切るところの繋船補助金の総額と、一致しておるのであるかどうか。
  56. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 繋船補助金を八月一ぱいで打切りますると、私どもの計算では。約二十九億残る予定でございます。買入れ価格が二十七億でございますから、約二億の余剩を生ずる、かように考えておるわけであります。
  57. 坪内八郎

    ○坪内委員 余剩二億はどういうような形になりますか。
  58. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これは当然国庫に返納されます。
  59. 坪内八郎

    ○坪内委員 それでは次に、先ほど岡田委員のお尋ねの中に、国際情勢の変化によつて将来船価なんかの暴騰を予想して、この買入れにかみついて来ないだろう。そういうときはいたし方ないというようなお話でありましたが、今後この買入れ決定が十月一日だということになると、かなりの期間がありますので、その間急激な国際情勢の変動によつて、どういうような事態を惹起するか、予想がつかない次第であります。そのときにもしかみついて来ない場合には、その繋船補助金を打切つて剩余金というものを国庫に返金するのだというようなお話でありましたが、この剩余金をただ国庫に返納するというか、そういうことではなくして、海運業界の正常な運営のために、合理的に他に流用する意図はないのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  60. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもといたしましては、海運業界が何とか自分でやつて行けるならば、国からの支出はできるだけ少くしたい、かように考えるのであります。特に海運業界が危機に瀕するとか、あるいは特別の状態になるおそれがないのに、国家の金を出すということは避けるべきであろう、かように考えておるのでございます。従つて先ほど申しました繋船補助金打切りの場合と、今度の買上げの場合の差額の余剩金、さらに船主が売りに応じて来ないために生じます予算の余剩、こういうものにつきましては、これをさらに他の海運の目的のために使用するということは、現在のところ何らないのでございます。
  61. 坪内八郎

    ○坪内委員 局長のお話よくわかりますが、海運業界の正常な海運行政の運営の面から考えまして、たとえば一例をあげますと機帆船のごときは、戰争前あるいは戰争中でも、御承知の通りの役割りを果して、ほとんど日本海運業界の中堅的存在であつたわけであります。この機帆船がことごとくなま殺しにされて、三千数隻の船がそのままになつておる。その機帆船に対しては何ら一銭の繋船補助料もない。なお当時政府の強い要請によつてこれは造船されたものである。その造船代金も拂うことができない。あるいは船舶運営会に拂込むところの返済もできないというような、非常に窮迫したる事態に置かれていることは御承知の通りでございますが、提案の御趣旨から行きましても、海運行政の正常を期するという意味から行くと、私は機帆船の問題についても平等に取扱うべきである。むしろこの機帆船こそ、何らか当局が手を打つて救済しなければならないというような考え方もあるわけであります。しかるに御承知のごとく油が打切られ、その他いろいろな状態において瀕死の状態に置かれておるのでありますから、将来の国際情勢の意外な進展に伴つて、こういつた船舶の買入れがうまく行かないときは、こういつた面も考慮に入れて、十分に運輸行政の平等化を期してもらいたいということを要望いたしたいのであります。  次にこれは滿尾委員からも先ほどお話がありましたが、大体これが十億円程度で売却されるだろう。スクラツプとしての価格は考えていないというようなお話でありましたけれども、運輸省としては、この買入れを終つてしまつて、大蔵省にその責任を譲渡したならば、大蔵省がこれをいかに償却しようがしまいが、その点の責任は何か法案にうたう必要はないのかというようなことを私は考えるのでありますが、その点についてはどうお考えになりますか。
  62. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 買入れましたあとの保管は、運輸省がやるのであります。しかしこれを、いつスクラップにするか等の判断は、運輸省でやるのでありますが、その判断をしてスクラツプにするということになりますと、それは大蔵省の方に渡すのであります。従前とも大蔵省におきましては、艦船の解体その他の仕事をやつておるのであります。特に今度のこういう仕事が新たなことではないのでありまして、さらにまた普通財産として当然大蔵省でそういうものを処分すべき筋道でありますので、その筋道に沿つて大蔵省に渡すということであります。特にその処分についての運輸省の責任を明記するとか、あるいは、運輸省が介入するとかいうことを規定する必要はないと考えております。
  63. 坪内八郎

    ○坪内委員 その点はこれで終りにいたしますが、先ほど私が申し上げました五條、九條、十條、十一條の第二号の点につきましては、私も岡田同僚議員とまつたく同意見でございますので、この修正的意見を保留いたしまして、私の質疑を打切りたいのであります。
  64. 前田郁

    前田委員長 午前の質疑はこれをもつて打切ります。午後一時半より続行いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時五十九分開議
  65. 前田郁

    前田委員長 休憩前に引続き、低性能船舶買入案につき質疑を続行いたします。木村俊夫君。
  66. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 大体私のお尋ねしたいことは、午前中岡田委員からお尋ねいたしました点でほとんど了承しておりますが、二、三疑問といたします点について、再確認という意味でお尋ねいたしたいと思います。  まず第一の点でありますが、政府が買入れする場合に、主要設備を撤去して、單なる船骸として買入れをする、こういうことになつております。先ほど岡田海運局長から伺いますと、あるいは情勢の変化によりまして、船主が買いもどしをすることがあるかもしれないということを予想しておられます。そうなりますと、主要設備を撤去して船骸として買い入れるということについては、非常なむだを生ずることになりはしないか、こういう感じがあります。この点についてまず伺いたいと思います。
  67. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この法律はあくまでも船骸を買い入れることを目的といたしております。それは政府が動かし得る船、また動かし得る船にかわる船を持つということになりますると、国家船舶を所有するということ、船舶国有主義というふうなものに抵触といいまするか、疑いを持たれる懸念もございまするので、あくまでも船のからを買う、こういう建前であります。先ほど情勢の変化に応じて、国会の御協賛と御審議を経て、再び船主へ売りもどすことがあるだろうと申し上げましたが、本法案におきましては、あくまでも売りもどしということは考えていないのでございます。本法案ではあくまでも買い上げた船はスクラップにする。しかし実際スクラップにするまでに、情勢が非常に急変いたしまして、その船骸でも船主が買い取つて再び船にするのが経済的であり、またそのときの情勢に適応する、こういうことでありますれば、その船骸を再使用することにつきまして、新たに法律を設けて、それに適応し得るような施策を講ずべきだと、かように考えております。
  68. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 ただいまお尋ねした点については了承いたしました。この海運について政府補助政策をとつてはいけない、そういう船の買取りを一時的にせよ政府が持つてはいけない、こういう点については、個人的には非常に私自身も疑問を持つておりますが、それにつきましても第一條の目的に、この前非公式に私どもがいただきました原案には、「内航における過剩の船腹を減少させ、もつて航海運事業の正常な運営に資することを目的とする。」この「内航」という字がなかつたのでありますが、本日いただきました法案には「内航」という字が入つております。この「内航」という字が入りましたいろいろないきさつについてはほのかに承つておりますが、この際われわれがこの法案審議する上におきましても、かつこの法案の修正の態度をきめます上におきましても、もしおさしつかえなければこの法案の、何と申しますか、作成のいきさつと申しますか、特に関係筋との御交渉の経緯なんかをお漏らし願えれば、非常にけつこうだと思います。
  69. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御指摘の点はまことにごもつともなことでありますが、ちよつと速記を……。
  70. 前田郁

    前田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  71. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。
  72. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 次にお伺いいたしたいのは、坪内委員からも御指摘がありました第九條の、運輸大臣は、その引渡しを受けた後に当該船舶の対価を支拂う。この「後に」という字句が非常にあいまいだというお話がありました。あるいは同時その他の規定を必要とするのじやないかという御指摘があつたのであります。この点につきまして、第七條の買入契約の内容の第三号、「当該船舶の引渡の時期及び場所」引渡しの時期については規定がありますが、その対価の支拂いの時期及びその方法については内容になつておりません。これは何かほかに理由がありますかどうか、お伺いしたいと思います。
  73. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御指摘通りに対価の支拂い方法及び場所についての、契約上明記しなければならないというふうな條項がないのでございますがこれは政府が一般に物を購入する場合の例によつてやりたいというように考えておるのでございます。第九條で「引渡を受けた後」という言葉が非常に問題になつておりまするが、私どもはこれを引渡しを受けたとき同時に拂う場合もあるし、また何かの事情によつて多少遅れる、物理的に遅れざるを得ない場合がある、かような場合をも考えまして、「引渡しを受けた後」というふうに書いたのでございます。ただ同時にということになりますると、物理的にどうしても支拂いできないというふうなことがありましたときに、法律に違反しなければならないという苦しい事態になりまするので、原案の通りにいたしたのであります。ただ午前中も申し述べましたように、政府契約の支拂遅延防止等に関する法律で、支拂いが三箇月以上遅れました場合には、担当官が処罰を受けるというふうなことがございまするので、その点は御心配になるような事態は起らない。また私ども海運業者を助長する立場にある者といたしましては、海運業者経済状態を十分考慮に入れまして、御心配になるようなことのないように、十分努めたい、かように考えます。
  74. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 午前中も問題になつたのでありますが、この繋船補助金と申しますか、これが八月末でもつて打切ります。それについてこの買入れに伴う対価の支拂いが、少くとも一箇月間遅れるという点であります。この点につきましては午前中運輸当局の御説明を承つたのでありますが、これはおそらく大蔵省から見た予算財源その他の御説明を承つて、その上でこの委員会の態度を決定したらよいではないか。この点について委員長の御意見を承りたい。
  75. 前田郁

    前田委員長 ほかにもいろいろ大蔵省の意見を聞かなくてはならぬ問題がありますので、あとで出席してもらう考えであります。
  76. 坪内八郎

    ○坪内委員 局長に一つお尋ねいたしますが、一箇月間の空白の間における船主側の保險料その他雑費というものが、まあ買入れに応ずる船舶関係見通しがどうなるかわかりませんけれども、どのくらいの概算費用になりましようか、その点を伺いたい。
  77. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 繋船補助金を一箇月繰延ばしますことによつていりまする金は、大体二億円から二億二千万円、かように考えております。もちろんその間における繋船料がいかほどになるかということによつて違うのでありますが、百万重量トン繋船されると二億二千万円、現在九十万トン程度でございまするから、その分だけ減つて、それが二億円ということになるのじやないか、かように考えておるのであります。この繋船補助金が、すなわち船主繋船するに要する実際の経費、すなわち繋船のための経費並びに繋船中の保險料、繋船のためにおりた船員の給料、すべてを含んでおります。
  78. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 次にお伺いいたしたいのは第十一條でありますが、第十一條によりますと、当該船舶政府に売却した者が、拂いもどしの制限を受けることになつております。そうして左に掲げる債務を完済した場合に限つて云々という字があります。左に掲げる債務の完済という内容と申しますか、たとえば船主が現在まで有するすべての債務という意味か、あるいは当該船舶について有しておる債務という限定的意味か、どちらでありますか。
  79. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この場合は、当該船主が有するすべての債務でございまして、当該船に関する債務には限定していないのであります。
  80. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 そういたしますと、これはおそらくはほとんど大部分の場合にあると思います。せつかく船舶を売却いたしまして得た資金が、ほとんど船員の退職金にも渡らないという場合が生ずるおそれがないとも限りません。そういうことになりませんか。
  81. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 売却しました金は、船員あるいは陸上の職員の退職金と、それから債務の弁済に充てるわけてございまして、当然退職金支拂い等が優先的に支拂われることになる、かように考えております。
  82. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 しかしながらこの條文だけ見ますと、どうもそうとりにくいような気がいたしますが、この買入れ契約の内容は、いかなる債務優先的に弁済するということが規定されるわけでありますか、その点についてお伺いいたします。
  83. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 別に買入れ契約は、その債務を特定する考えはございません。十一條にありまするように、使用人の退職金と、その船主が持つている債務優先的に支拂い、または弁済する。そうしてそういう債務がなくなつた場合には、自由に拂いもどしを請求していい。あるいは初めから退職金支拂いとかあるいは全然債務を持つていない場合には、これまた自由に支拂う、こういうことでございます。債務につきましては、どの債務を弁済したらそれでよろしいとか、そういうふうな考えはないのでございまして、この場合にはすべての債務を支拂つた後にこの金が自由に使える、こういう考え方でございます。
  84. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの点でありますが、第十一條に書かれてあります一号と二号は、ただいま木村委員からも質疑がありましたように、「労働組合との間に使用人に対する退職金の支拂のための労働協約を締結した場合におけるその退職金債務」ということが第一号に書かれてありまするけれども、実質的にはやはり第二号に書かれておりまするいわゆる一般の債務といわれるものの方が、優先的にこの売上げ価格の中から拂われてしまうという危險性を感じるのでございまするけれども、特に船の売却価格、買入れ価格についての制限がされておりまして、総トン数におけるところの最高価格は、そう大して大きい金額でないということからも、特に労務者に対する退職金の問題は、非常に重要だと思います。従いまして、本法におけるその優先順位ははつきりしませんが、他に優先的に労務者に対する退職金を支給するのだという基準は、当局としては、求められる点があるのでしたら、はつきりと御明記願いたい。
  85. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 商法の規定によりまして、当該の船に乗つている船員に対する支拂いは、先取特権があるわけでございますけれども、それ以外の船につきましては、特に優先的にという規定はございません。この法律によりまして御指摘通りに、一般債務と使用人に対する退職金とが同列でございまするけれども、これは私ども法律問題は別として、実際の扱いとしては、この退職金優先的に支拂われるもの、またそういうふうに指導しなければならない、かように考えておるのでございます。
  86. 石野久男

    ○石野委員 いま一つお伺いしますが、ただいまも御意見がありましたように、この法律においては、やはり一般債務とこの退職金の問題とか同列に置かれるのであつて政府当局ではこれをできる限り退職金優先的に行くように指導したいという御意見ではありまするけれども、実質的に今日の船主の経営が困難だという実情から申しますると、ただいまの労働事情等と勘案いたしまして、非常にこの退職金問題が重要になつて来ようと思うのでございまして、むしろ当局としては、この際それをはつきり法文の中に明示するということの方がよろしいというふうにお考えになりませんでしようか。
  87. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 端的に申しまして、私ども今日の海員の組織しております日本海員組合の活動を信頼しておりますし、また船会社の従来の労働問題の扱い方等からいたしまして、特に法律にそういう旨を記載しなくても、十分退職金の確保はなし得る、かように考えておるのであります。政府といたしましても、さらに力をいたしまして、これによつて船を政府に売り拂う、一方において船員は退職したけれども退職金がもらえない、こういうふうな悪い事態が絶対に起らない、こういうふうに私ども確信いたしておるのであります。
  88. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 ただいま石野委員のお尋ねによりまして、この第一号の退職金と、第二号の船主の持つておる債務、この優先順位のところは了解いたしましたが、この第二号の債務の中で、たとえば船主が、各債務を、生じた原因によつて二、三の債務を持つてつた場合に、そのすべての債務を完済しなければ、拂いもどしの制限があるのか、あるいはその中で船主の売却したものが、選択する債務について完済すれば、それで足りるのか。非常にこまかいようですが、その点について一応お伺いしておきます。
  89. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 債務がたくさんありまして、その売上げ代金で、そのうちの二つあるいは三つを完済したことによつて、売上げ代金がもうなくなつてしまうというふうな場合は、その二つあるいは三つのものを選択して、船主は支拂つてよろしいのであります。しかしある特定の債務を返済したけれども、なお売上げ代金が残つているという場合には、その残りの金でもつて他の債務の弁済に充てなければならないわけでございます。なぜ当該船についている債務を弁済するというふうにしなかつたかと申しますると、午前中も申しましたように、その船主にくつついている債権者というものは、平等に扱わなければならない。特に法律の上において、ある債権者だけを有利に保護するような規定をすることは、法制の建前上はたしてどうか、こういうふうな法律的観点からいたしまして、すべての債務者を同一に取扱う、かようにいたしております。
  90. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 最後の一点でありますが、この買入れ実施によつて相当船員の退職者が出るという場合には、これは後ほど米窪委員からも御質問があると思いますが、この売却代金の使い道について、退職金支拂いについても、船主と海員組合その他との間に、ある協定ができるだろうと思います。これについて運輸当局が何らかのあつせん措置に出られる御意向があるかどうかをお伺いしたいのであります。
  91. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 退職金をいかほどに支拂うか、またその支拂い方法をどうするかということは、船主と海員組合、あるいは陸上職員でありますと、その他の団体との間の交渉にまつことにいたしておるのでございます。政府といたしましては、特に最初からそれをあつせんして、どうこうするという考えは持つていないのであります。従来船主協会と日本海員組合との交渉の事例を見ましても、日本海員組合の秩序ある、かつ力ある行動と、また船生協会の理解ある態度によりまして、非常に円満に、かつ合理的なる解決を見ておるのであります。従つてこの場合におきましても、私どもはこの両者の最も合理的な、効果ある交渉によりまして、最も妥当なる結論に達し得るものだと思います。なまじつか政府が先に立つていたしますると、あるいは政府職員の退職、その他政府という立場に立つがために、一般が考えまして、非常に不合理、あるいは妥当を欠くと思われるような、内容を持たざるを余儀なくされるということもありまするので、むしろこれは政府が先に立たないで、両者の自由なる交渉にまかす。もし両者が交渉して、そこに円滑を欠く、あるいは停滯するという場合に、政府があつせんに乗り出す、こういうのが最も賢明にして合理的なる單法である。かように考えております。利
  92. 米窪滿亮

    米窪委員 すでに幾多の委員から御質問があつた後ですから、ごく簡單に一、二点お尋ねをいたします。ことに岡田委員からは詳細なる質問があつたので、略してお尋ねしたいのであります。  第六次のときに、実はその筋のCTSの方に行つて外航船の問題についてお諮りしたときに、非常に意外なことをわれわれは聞いたのであります。すなわちこの船の問題については、もとはやはり荷物が動かなければならなかつた。それでブランクド・クリアランスというものがなかなか得られない。そこで、それを得なければ、結局シーワージネスの証明を得る道を講ずるとかいうことをしましても、どうしてもそれはいかぬ。今日の日本の実情から言えばそれを運ぶところの荷物がないということであれば、たくさん船をつくつてもだめだということであつたのであります。そこでこれは内航の船を一掃すれば、そういうことになるでしようが、六十万トンの船をつぶしてしまうということになるのであります。しかし外航に出て行く船がそれに伴つて出て来ないために、結局船の荷動きというものはうまく行かぬと思うのでありますが、政府はこの外航船の全部、これによつて、いわゆるかつての戰標船等が一掃されるのであるかどうかということについての、何か御決定か、見通しがついておられるかどうかをお伺いいたします。
  93. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この買入法案によりまして、戰標船を一掃するまでには至らないのでございます。現在八百総トン以上の船で、日本として動かしておりますものが二百二十万重量トンございます。そのうち、現在改造中の戰標船、いわゆる外国の船級をとり得る船、あるいは新造船その他を除きまして残るものが百五十万重量トンございます。ところがこの百五十万重量トンというものは、特別の了解のもとに一部外へ出ておるものもございますが、将来これは日本の沿岸以外に出ない。しかも日本の沿岸で需要されるものは、現在におきましては約六十万重量トン、四月、五月ごろの動きですと、五十万重量トンでございます。戰前の実績を見ましても、七十万重量トンから七十五万重量トンで、どうしてもそこに戰標船のあれが残るのであります。これら六十万重量トン解体いたしましても、なおまだ相当の戰標船が残る。かつ国内の需要から見ましても、朝鮮動乱という異常状態がありませんと、やはり戰標船はなほ多少のよけいなものがあるわけです。そのよけいなものは、この買い上げたあとに残る。なお余剰の戰標船は、船主の手で処理してしかるべきである、かように考えております。
  94. 米窪滿亮

    米窪委員 どうも非常に含蓄のある言葉で、この通りに行くかどうかということについては、私どもその点に疑いを持つております。  次に第五條の点ですが、これは九月一日から同月三十日までとするのでありますが、これは要するに八月三十一日に切れてしまうという形をとるわけであります。その点は附則において訂正ができておるのでありますが、なるべくこれはその筋の了解を得られるならば、十月の一日から十月の三十一日までとすることがよくはないか、こういうぐあいに考えておるのでございます。これに対して、たびたびでございますが、政府の御意向をお伺いしたいと思います。
  95. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これの買入れの申込み期間を一箇月延長することでございますが、私どもできるだけ早く繋船補助金を打切つてその金を有効に使つて、買入れ方法の実施に乗りかえたいという考えでございますので、原案通り九月一日から三十日までやるのが適当と考えておるのでございます。午前中にも申し述べましたように、繋船補助金を八月一ぱいで打切り、九月一ぱい申込みをとつて、そのあとで船を買い入れるということになりますので、一箇月あるいはそれ以上の空間ができる、この間の処理をどうするかということでございましたが、私どもそこに多少の空間ができましても、海運界にさほどの影響がない。そういうわけで、八月一ぱいに繋船補助金を打切りたいと考えております。
  96. 米窪滿亮

    米窪委員 最後に伺いたいことは、第十一條の二において、「当該船舶政府に売却した者が、この法律公布の際有する債務」こういうことになつておりますが、この辺は少しあいまいでありますから、この法律の公布の際に当該船舶に関して有する債務とすれば、明らかであると思うのであります。この点はそういうことに御訂正願えればよいと思いますが、これについての政府の所信を伺います。
  97. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもこの原案をつくりましたときの考えは、先ほど申しましたように、他の債権者と当該船舶に関して持つている債権者との間を区別することが、一般の公平理念に照して妥当でない、こういう考えから来たのでございまして、実際的に申しますと、当該船舶における債務ということに限定されましても、私どもとしては別段の異議はないわけでございます。ただ私の申しました公平という観念からしてどうかという疑念を持つわけでございます。
  98. 米窪滿亮

    米窪委員 その点をなぜ私どもは固執するかというと、船舶の傭船料という問題において、これを限定することによつてのみ、われわれは明らかになるのであつて、それが限定されないということになると、どうも拂えない危險が起きてきはしないかということを考慮して、申し上げたのであります。  私の質問はこれで終ります。
  99. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 海運界の日本における総船舶トン数のうち、どれだけが外航に就航し得るものがあるか、その点を伺いたいと思います。
  100. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 八百総トン以上の貨物船、貨客船並びにタンカーは、六月現在におきまして六百三十隻、百四十六万総トンであります。重量トンにいたしまして、三百二十六万八千重量トン、そのうち現在外航につき得る船は三十三隻、重量トンで二十四万重量トンでございます。これが来年の三月になりますと、これに八十五隻、八十万重量トンが加わることに相なります。
  101. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 現在買上げ予想の対象の船舶に対しまして、金融会社はどれくらい金融しておりますか。これがわかりましたら、ひとつお聞きしたいと思います。
  102. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これは正確にはつかめません。何分船主並びに銀行方面が多数にわたつておりますので、正確には申し上げかねますが、対象船舶で四十三億と押えておる、かように見ております。
  103. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 政府がこの該当の船舶を買い上げまして、これをスクラツプにしますと、大体どれくらいの欠損が行きそうか、その数字をお知らせ願いたいと思います。
  104. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これはスクラツプの値段にもよりまするが、現在一般市中におけるスクラツプの値段をとりますと、六十万トンの船を解体することによつて生じまする純收入と申しますか、スクラツプの費用を除いたあとの手取りが約十億に相なつております。
  105. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 この買上げ対象船のうちで、戰後建造されたものがあるかどうか。大体平均船齢はどのくらいになつておりますか。
  106. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 買上げ対象船は、戰争中につくられましたボロ船、戰標船と、それから船齢三十年以上の老船だけが対象となつております。新造船はございません。
  107. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 八百トン以上というと、大体大海運会社でないと持てないところの船であります。また船齢三十年というと、もうすでに投下資本は十分に回收してしまつたものだ、こう考えられるのですが、そういうようにいまさら大海運会社に特に政府が手厚い保護を加えるということに対して、非常に疑義が起つて来ると思うのであります。そういう点について先ほども説明があつたようですが、どうもその点が納得できないのですが、もう一ぺんわかるように御説明を願いたいと思います。
  108. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 八百総トンの船といいますると、船の中ではいわゆる小型でございます。汽船海運業としては八百総トンの船は小型でございまして、八百総トン以上にしたからといつて、特に大海運会社を保護するということにはならないと思うのであります。船齢三十年以上と申しますが、なるほど戰争中につくりました船は、船齢は若うございますけれども、能率の点からいいますと、どつちどつちでございまして、特にスクラツプにした場合の価格等からいたしますと、いわゆる光物といいますか、そういうものを在来船が多く持つております関係上、スクラツプ価格としても在来船の方がいいのであります。特にそういう老齢船、戰標船が非常にたくさんある。これが日本海運がんをなしておる。そのがんを切取る手段でありまして、特に老齢船だから保護を加える、そういう観念からではないのであります。
  109. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 今度四十万総トン数の船をつぶすということになりますと、大体九千名くらいの船員が就労不能になるだろうということを言われておりますが、これがそのまま失業者になつてしまうということは、あるいはないかもしれませんけれども相当の数の失業者が出る、首切りが出るというふうにわれわれは考えておりますが、その点はどういうふうに政府考えておりますか。
  110. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これは実際その事態になりませんとわかりませんが、あるいは相当程度の退職船員が出ると思います。現在繋船の結果、約八千名の船員がやはり退職状態にあるわけであります。あるいはそれ以上従来から船主がつないでおりました過剰船員もございますので、あるいは一万名程度以上になるかと思いますが、こういう船員は現在繋船中の非常に薄い給料を受けておるわけであります。従つてそういう薄い給料を受けるよりは、この際まとまつた退職金を一時受けるということの方がより望ましい、こういうふうに考えられる船員も相当あるのじやないか。そういう船員の希望に応じ、かつ船主としてもその方が経営の合理化という点から言つて望ましいのですが、それに対して船主は金がないというようなことからいたしまして、そういうことも実行できないという状況にあります。従つてこの措置によつて船主が退職に必要なる資金相当得る、そうしてむりなく退職等の措置を講ずる、こういうことが実行できると思います。ことに船員の就職の機会につきましては、これで六十万トンつぶしまするが、来年三月末ごろまでに就航する船が四十万重量トンあるわけです。それから本年度建造に着手するものが三十万重量トン程度あるわけであります。従つて今つぶすよりも、これからつくられる船が、少くとも一年半以上にはそれよりもオーバーするかつこうになるので、船員としては再就職の機会はそう遠くないと考えておるのであります。
  111. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 現在の朝鮮問題をめぐりまして海運界では相当影響があると思うのですが、これにつきまして政府当局は、海運行政について何か方針を訂正するとか、変更するとかいうようなことがありますかどうか、この点をお伺いいたします。
  112. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 朝鮮動乱の結果、目下のところその影響するところそう大きいとは考えておりませんし、また今後の見通しも予断を許しませんので、現在のところ何ら方針をかえる考えはございません。既定方針通りであります。
  113. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 現在どのくらいのトン数の船が徴用されておりますか、その点お聞かせ願えれば伺いたいのであります。
  114. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 午前中にも同様の御質問がありましたが、現在アメリカ側におきましては、日本政府を介しないで、徴用ではなく、直接自由なる契約に基づきまして船を雇い上げて、使用されておるのであります。従つてどもにはその正確なる数字はつかめないのでございます。
  115. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 傭船の料金については、政府はおわかりになつておるかおらぬか、その点もあわせてお聞かせ願いたいのであります。
  116. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 傭船料をいかほどにするかということにつきましては、私どもの方にも通知がありまして、承知いたしております。最初きめられましてその後また最近改訂になつたようであります。これは先ほど言いましたように、自由にアメリカ側でおきめになるその料率で契約するので、これによつて強制されるという点は一切ないのであります。
  117. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 トン当りの金額をお示しにならなかつたようでありますが、わかつておりましたならばお知らせを願いたい。
  118. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 傭船料のトン当りの金額ですが、傭船料というものは船の大きさによつて違うわけでありまして、その大きさによつてそれぞれ違つた傭船料がきめられておつたのでございます。それで数字はちよつと間違つておるかもしれませんが、最近は一重量トン当り一ドル五十セント、こういう数字かと思います。
  119. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 終戰当時駆潜艇という船がありましたが、これがそのままずつと保管されておるように思いますし、あの駆潜艇なんかも最近海上保安庁なんかで使われておるように聞きますが、そういう点について何かわかつておりましたら話していただきたい。
  120. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私ども海上保安庁の問題は一切わかりません。
  121. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 大体これで終りました。この次にやります。
  122. 石野久男

    ○石野委員 二、三質問いたします。この法案の目的によりますと、内航における過剩の船腹を減少させて、内航海運の正常な運営に資するということになりますが、法案説明の主たる点は、この八月の末に繋船補助金というものが切られることに伴つて日本海運に及ぼす影響が非常に大きい。それがまた同様に外航適格船整備拡充をも不可能にするということが、立法の主たる眼目であつた。こういうふうに理解するのですが、そういうふうに理解してよろしいでしようか。
  123. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今御指摘通りであります。
  124. 石野久男

    ○石野委員 なぜ法案の目的の中にそういうことがはつきり明記されないで、正常な運営という言葉で現わしておるかということについて、若干の疑義を持つのでありますが、その理由としましては、この法律を施行することによつて、内航海運事業というものがどの程度直接的に改善されて来るかということについて、私は朝から今までずつと海運局長の御説明を聞いておりましても、ぴんと来ないものがあるのであります。ただ私の理解するところでは、過剩船腹が減少されたということによる荷が軽くなつたという程度にしか了解されないのですが、それよりももう少し積極的な内航海運事業の正常な運営に資する面があるのでありますかどうか。
  125. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御質問に対する答弁、非常にむずかしい点でございますが、要するに朝鮮動乱が起つた後におきましても、九十万重量トンからの過剩船腹がある。これが六千万トン買い上げられまして、その過剩船腹の量が少くなりますと、それだけ海運業の経常が非常に安定して来るわけであります。一面において先ほど申し述べましたように、海運会社としては非常に多額な金を銀行から借りておる。これが今日の海運経営の不良からいたしまして返済はおろか、運転資金等も相当借りなければならぬというふうな状況であります。その運転資金の借入れすら非常に困難であるという状況でありますので、これの売却資金によつて相当程度返却される。こういうことからして海運会社の信用力が回復する、経常の円滑なる運営、それからさらに海運会社が今後こういう古船を手放して優秀船を手に入れるという、その措置が比較的円滑に遂行し得る。こういうことをねらい、またそういう効果があるものと、かように考えております。
  126. 石野久男

    ○石野委員 経営が非常に軽くなるという面は、説明によりまして理解はできるのでありますが、しからば政府といたしましては、こういうような状態のときに、こうした買上げをすることによつて、過剩船腹を少くするということに伴いまして、日本海運の総量が縮小されて行く傾向になつて来ることに対して、行政的な面からする見解といいますか、それでいいのか悪いのかという点について御説明をお伺いしておきたい。
  127. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 日本海運といたしましては、ただ量だけふやせばいい、こういうものではないと思うのであります。量と同時に質を求めなければならない、かように考えます。今日本の保有船腹が、貨客船その他を入れまして百六十万総トン以上ございますけれども、そのうち実際上将来使い道の困難な船をかかえておりましては、かえつてこれが足手まといになる。また相当船腹を持つておるじやないか、こういう誤解をも與えるわけでございます。こういうふうな船は早く整理をして行く。船腹量としては收縮いたしますけれども日本海運としての所要量というものは、日本を中心とする荷動きからいたしまして、一定量が想定されるわけでございます。さらに收縮したその量から、その必要とする一定量まで拡大整備するという方策をとつて行かなければならない、かように考えるわけであります。
  128. 坪内八郎

    ○坪内委員 ちよつと関連して……。第五條に関連して各委員から、一箇月の空白の関係についていろいろな質疑がありましたが、結局局長のお話によると、買入れ総額が二十七億である、そこで八月二十一日から繋船補助金を打切る補助金の残額が二十九億である、その間二億という金が残る、この金は剩余金として返金するだろうというお話がありまして、その後、この一箇月の空白の間におけるいわゆる繋船側の予備船員費、あるいは保險料その他の経費は大体二億であるというようなお話があつたのですが、円満なる海運行政の建前から、こういつた繋船に対する適当な育成をやるのだというお考えからすると、この二億の剩余金も、一箇月間の空白によつて船主側がそういつたいろいろ経理上の支拂いに財源がないというような状態に立ち至るので、剩余金としてこれを返金するよりも、ここのところをある程度考慮して、二億円をその方にまわして行くというような考慮は拂われないのであろうか。その点の考え方をちよつと関連してお尋ねいたしたいと思います。
  129. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 午前中も御答弁申し上げましたように、まずまずその空白期間は、何とか船主の方で切り抜け得るのではないか、かように私どもとしては考えておるのでございます。船主側としてはその間非常に苦しいというので、盛んに話はありますけれども、一応政府側としてはそういう見解をとつているわけであります。
  130. 石野久男

    ○石野委員 この法律で約六十万重量トン買上げを、二十七億の限度においてするということになりまして、現在繋船トン数としましての九十万トンになお三十万トンが残されるわけでございます。この三十万トンにつきまして、当局としては一応繋船を解いて、何らかの形で内航に就航せしむる見通しをもつて、この三十万トンについては、法においては触れないということにしたのでありましようか。
  131. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 政府船舶を買い上げます場合に、目前を見まして、その過剩船舶をすつかり処理するというのは、政府として行き過ぎではないか。そこに三十万トン程度の過剩船舶が残りましても、これは船主の手で処理すべき問題である。一切を政府が処理するというのではなしに、船主でなし得るものは、できるだけ船主の手でやらして、政府としては考え得る最小限度の手の差延べにとどめたい、こういうのが私ども考えでございます。
  132. 石野久男

    ○石野委員 六月末現在において約二百二十六万重量トンの船があつて、そのうち二十四万重量トン外航に就航している。残りの約二百万重量トンの中で九十万トンという繋船がある。これは日本海運界にとつては大きな問題だということは、もうわかりきつておるのでございますが、ここでかりに六十万トンを法によつて買上げをしましても、三十万トンというものは、やはり百四、五十万トンの中での三十万トンということになりまして、やはり荷としては重いことになろうかと思う。特に法の第一條、目的において、内航海運事業の正常な運営のためにということが目的にされておるという観点に立ちまして、私はこういう三十万トンをなお残すということでは、法の目的にピンと来ない。むしろ趣旨説明をされましたような事項を、なぜ法の目的として明示しないかという点について、はつきり御説明をいただきたい。つけ加えますれば、法の説明におきましては、この補助金が打切られることによつて云々ということが、おもにその重点になつているというふうに、先ほど確言されております。そういう点がなぜ法の上には明示されないか。
  133. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま御指摘の点は、補助金打切りの場合における混乱を防止するためにこういうことを明記すればいいじやないか、こういう御趣旨でございますか。補助金打切り云々は、これはまあ実際の手段としてとつているわけでありまして、法文の上にそういう実際とり得る手段を明記いたしますことは、法律の形からいいまして、またそういうことを規定することによつて、よけいな誤解を招く、こういう懸念がございます。先ほど速記をとめて御説明申し上げましたように、私どもがこういうふうに非常に限定した書き方をしなけなばならない、そういうことに非常に神経過敏になつておるということが、日本海運の現在置かれている立場を物語つているということで、ひとつ御了承願いたい。
  134. 石野久男

    ○石野委員 先ほど局長の説明によりますると、三十万重量トン繋船がなお残るということについては、それは個々の船主によつて打開すべきものだ、こういうような御答弁であつたのでありますが、局長としては、あるいはまた政府当局では、早晩そういうような船主の自己開拓によつて繋船を解除して行くという見通しを持つてでの御答弁でございましようか、どうでしようか。
  135. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 国内の現在までの荷動きが、一般的な荷動きというふうにはとれないのではないか、それよりも相当少いものである。ことに日本経済が今後ずつと発展いたしますと、さらに国内的な荷動きというものは増加する。そういう将来の荷動き増をも考えて、やはり政府は施策しなくてはならない。一応私どもで中間経済安定年次、これは経済復興五箇年計画で取上げた数字でございますが、その中間安定計画当時の国内の荷動き量を想定いたしました場合に、この過剩船舶というものは約七十万重量トン程度になる。そういう一年あるいは二年後の普通考え荷動き考えましても、七十万というような程度のものになる。その間船主としては、相当苦しい目にもあいますけれども、これは船主として、ことにまた今日のような事態、また外航が今後どんどん開けるということになりますと、外航方面からする海運の経営のやりよくなつたこと、こういうことからして、内航の不利も自分でカバーするように努力する、かように存じております。
  136. 石野久男

    ○石野委員 この繋船九十万重量トンというものは、どのくらいの船主があるのでございまようか。
  137. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 八十六社が関係しております。
  138. 石野久男

    ○石野委員 八十六社が四十万トン買上げをいたしましたときに、どの程度に減ずるかわかりませんか、ここで朝鮮問題が今起きておることと関連いたしまして、さきにスキヤツプインが出まして以後、日本海運におけるところの統制が解かれたのでございますけれども、こういう問題と関連いたしまして、早晩日本海運界の上に、いま一度統制が行われるような見通しはございましようか。
  139. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 海運に関して再び統制を復活するという考えは全然持つておりません。
  140. 石野久男

    ○石野委員 政府としては持つていないでありましようが、客観的な諸情勢の推移に伴つて、そういう事態が起きるという見通しはありましようかどうか。
  141. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 現在の情勢から判断いたしまして、私どもはなかろう、かように考えております。それからちよつとつけ加えて説明さしていただきます。沿岸の輸送力といたしまして八百総トン以下の小型船、それから機帆船の輸送力がある。そうして小型船の方も相当輸送に余力がありまするし、また機帆船の方は汽船が大量に繋船されております結果、御承知の通り燃料油が非常な削減を受け、昨年の五月以来文字通り塗炭の苦しみをなめております。もし沿岸の輸送力が、かりに汽船の面からして逼迫するということになりましても、この機帆船の輸送力を動員いたしまするならば、相当の輸送力が出て来る。私どもとしては機帆船業界を元の状態に、むりな燃料油の削減を早くやめるように持つて行くということが、これが道義的に考えてもぜひとも必要である、かように考えております。
  142. 石野久男

    ○石野委員 今局長から機帆船を十分に活用しようということの御意向が、特に燃料油の点と関連して述べられ、よくわかりましたのですが、しかし私はこの国内事情、国外事情、内外の情勢から考えまして、日本の国内におけるところの荷動きが、少量ではありますけれども相当に敏速に処理されなければならない情勢が差迫つておるのじやなかろうかと思うのでございます。その意味におきまして、陸運、海運ともにとにかくピツチを上げなければならないという状態が出て参りますると、必ずしも機帆船そのものが、局長が意図されるように活用されるかどうかということについて疑問を持ちますけれども、その点についてはどうなんでございましようか。
  143. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 沿岸輸送につきましては、むしろ汽船よりも機帆船の方が能率的な面が多いのでありまして、ことに九州炭輸送につきましては、機帆船でなければならない、あるいは機帆船の方がより迅速に行くという面が非常に多いのであります。従来九州、山口炭等は約六十万トン程度、機帆船もしくは引船で運ばれておつたのであります。現在それが引船等を入れまして二十万程度になつております。こういう機帆船業界の復活といいますか、機帆船の利用ということも、一面において考えなければならないと考えております。
  144. 石野久男

    ○石野委員 條文の第二條によりますと、大修繕を要することとなつたという船は、一応買入れされるものから不適格になるようになつておるのでありますが、いずれスクラップにしなければならない船であるのに、なぜ修繕を必要とするようになつたからというので、それに適格しないようにするのかどうか、御説明を願いたいと思います。
  145. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 大修繕を要する船は、どうせ船主の方で捨て去ると申しまするか、スクラップをする船であります。それは特に国家が買い入れて船主の立場を救うという必要はない、かように考えております。
  146. 石野久男

    ○石野委員 先ほどちよつと十一條の点で、退職金問題と一般債務との問題について、関連質問をしたのでございますけれども、まだ十分にやはり納得の行かないものがあるのでございますが、ここではその第一号に、「労働協約を締結した場合におけるその退職金債務」こういうことになつておりますので、当局としてもあらかじめ退職金の問題に関する協約を結ぶ」とを、予定したものというふうに思うのでございますけれども、従来船員組合とか、あるいは労働組合というものは、退職金に関する協約は、こういう買上げの事態が起きないにかかわらず、それぞれ協約を持つておるものと予想されるのでございます。従つてここに書かれておりまするところの労働協約というものは、あらためてこの買上げをするということについて持つ労働協約のことを意味するのでございましようか。それとも従来ある労働協約を意味しておるのでございましようか。どちらの意味なんでございましようか。
  147. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ここで予定しておりまするのは、従来ある労働協約であれば、とにかくこの退職の場合に適用される労働協約を言つております。それから労働協約のない場合は、これに関連して労働協約が結ばれるもの、かように予定しております。ただ海員組合と船主協会の間におきましては、まだ退職金に関する協約が締結されていないのであります。目下交渉中でございます。
  148. 石野久男

    ○石野委員 海員組合の退職金に関する協約がまだ結ばれてないということは事実でありまして、従つて買上げが早晩行われることになつて来る。そういたしましたときに、この協約が十分にできない前に、この第二号に書かれておりますところの一般債務の請求が、この買上げ価格の中からなされることが予想されるのでありまして、先ほど私どもが心配しました、買い上げた金が退職金にまわつて行かないという憂いが、どうしても出て来ると思うのでありますが、その点について何かあらためて措置するお考えはありませんでしようか。
  149. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほど申し述べましたように、海員組合の組織の力、それから船主協会の理解ある態度によりまして、十分退職金の確保はなし得るものというふうに私ども考えるのでございます。また実際の措置といたしましても、政府として退職金に充填し得る金がなくなつたというようなことにならないように、十分注意をいたしたいと考えております。
  150. 石野久男

    ○石野委員 今の点は非常に重要だと思つております。この問題は将来トラブルを生むだろうと思います。ことに船を売り拂わなければならないという事態が生じて来るということ、それから先ほど聞きました九十万重量トンが八十六以上に及ぶところの船主によつて持たれておるということは、いかに零細な船主であるかということがわかると思います。このような意味合から申しますと、おそらく船を売つてしまえば船主でなくなつてしまう人も、場合によれば出て来るのではないかと思います。こういう場合に、退職金問題は投げ捨てになつてしまうおそれを、十分私ども察知できるのでございまして、従つて私はこの法案が今後審議される場合におきまして、この問題についてのはつきりした点を政府においても記録にとどめてほしいし、またわれわれはむしろ法文の中に組み入れることの努力をしなければならぬと思うのでございます。いま一度はつきりとその点についての明快なる御所見を聞かしていただきたい。
  151. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの御懸念を持たれました点、まことにごもつともと存ずるのでございます。政府といたしましてはこの売去契約が締結される際その他におきまして、十分御指摘の心配のないように措置いたしたい、かように確言いたします。
  152. 前田郁

    前田委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  153. 前田郁

    前田委員長 昨日設置するに決しました観光並びに鉄道電化促進の小委員を指名いたします。  観光小委員会   小委員長 畠山 鶴吉君    大澤嘉平治君  黒澤富次郎君    玉置 信一君  坪内 八郎君    滿尾 君亮君  木下  榮君    清藤 唯七君  米窪 滿亮君    中西伊之助君  飯田 義茂君  鉄道電化促進に関する小委員会    小委員長 岡村利右衞門君    稻田 直道君  岡田 五郎君    尾崎 末吉君  片岡伊三郎君    山崎 岩男君  木村 俊夫君    淺沼稻次郎君  江崎 一治君    石野 久男君 以上であります。  本日はこれにて散会いたします。明日午後一時より開会いたします。     午後三時二十六分散会