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1950-07-18 第8回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    委員昭和二十五年七月十二日(水曜日)議長指名で次の通り選任された。       稻田 直道君    大澤嘉平治君       大西 禎夫君    岡田 五郎君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    玉置 信一君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       原 健三郎君    前田  郁君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    木下  榮君       木村 俊夫君    清藤 唯七君       原   彪君    淺沼稻次郎君       米窪 滿亮君    江崎 一治君       中西伊之助君    飯田 義茂君       石野 久男君 同日  前田郁君が議長指名委員長に選任された。 会議 昭和二十五年七月十八日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 前田  郁君       大澤嘉平治君    岡田 五郎君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    木下  榮君       木村 俊夫君    清藤 唯七君       原   彪君    淺沼稻次郎君       江崎 一治君    中西伊之助君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         海上保安庁長官 大久保武雄君  委員外出席者         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         経済安定事務官         (産業局燃料課         長)      芝原 忠夫君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      川上 為治君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事互選  国政調査承認要求に関する件  陸運行政海上保安等に関する説明聽取     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  今回運輸政務次官に新任されました關谷君のごあいさつがあります。
  3. 關谷勝利

    關谷政府委員 このたび運輸政務次官を命ぜられましたが、浅学菲才でありますから、十分その職責を盡し得ないかと心配をいたしておるのでありますが、皆様方の御支援によりまして、大過なきを期したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 前田郁

    前田委員長 理事互選を行いたいと思いますが、その方法についてお諮りいたします。
  5. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 理事はその数を五名とし、選挙の手続を省略し、委員長において指名せられんことを望みます。
  6. 前田郁

    前田委員長 ただいまの尾崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認めます。  それでは    岡田 五郎君  大澤嘉平治君    坪内 八郎君  原   彪君    米窪 滿亮君 を理事指名いたします。     —————————————
  8. 前田郁

    前田委員長 次に国政調査承認要求の件を議題といたします。  前第七国会におきましては、運輸、交通の実績を調査し、陸運並びに海運合理化、並びに振興対策検討して参つたのでありまするが、調査を終了するに至らなかつたのであります。また国政調査を実施いたしまして、行政当局を監視督励いたしますとともに、委員会の意思を行政面に反映せしめ、大いに効果があつたことと存じますので、前国会通り、すなわち陸運並びに海運に関する事項、第二点といたしまして、観光に関する事項につきまして、議長に対し国政調査承認を得たいと思うのでありますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 前田郁

    前田委員長 御異議がないようでありますので、承認要求書を提出いたします。申請書の内容を一応読みます。  第一、調査する事項   一、陸運並びに海運に関する事項   一、観光に関する事項  第二、調査の目的   一、陸運並びに海運実情及び行政調査し、その合理化並びに振興に関する対策を樹立するため   一、運輸に関して観光事業発達改善をはかるため  第三、調査方法   小委員会の設置、関係方面よりの意見並びに説明聽取資料要求等  第四、調査の期間   本会期中 以上であります。それではさようとりはからいます。     —————————————
  10. 前田郁

    前田委員長 それではこれからガソリン燃料値上げ問題を議題といたします。物価庁第三部長川上為治君に御説明を願います。
  11. 川上為治

    川上説明員 ガソリン値上げ問題につきましては、まだ物価庁としましては確定をいたしておりません。しかしながらガソリンのみならず、石油製品は全般的に改訂をしなければならない時期になつておるわけであります。これはどういうわけであるかと申し上げますと、現在の価格は昨年の六月きめた価格であります。その後いろいろな事情がありまして、まず第一としましては、今年の一月から石油関係物資原油として入つて来るようになりました。それまではほとんど製品として入つて来たわけでありまするが、一月からほとんど大部分が——もちろん製品も入つておりますけれども、大部分原油として入つて来るようになつたわけであります。従つて当然小売価格とか、あるいは元売価格とか、そういうような価格について改訂しなければならぬ事由が、そこから出て来るわけであります。第二としましては、ことしの六月に国産原油販売価格改訂いたしたわけであります。これはもちろん輸入原油価格と歩調を合せまして価格改訂をしなければなりませんのですが、輸入原油関係価格がまだはつきりしない点がありましたために、さしあたり国産原油の方の価格だけを六月一日から実施されておるわけであります。そして小売製品価格あるいは元売製品価格につきましては、昨年六月以降のものをそのまま現在におきましても踏襲されておるわけであります。従いまして今申し上げました原油で入つて来るようになつたということと、もう一つは国産原油につきまして、この六月若干改訂をしましたというような点から、どうしても近いうちにガソリンその他のものにつきまして、価格改訂をしなければならない状態になつておるわけであります。  そこで私どもの方といたしましては、目下ガソリンその他の製品価格について、どういうような価格にすべきかということを、いろいろ研究いたしておるわけであります。ただここで問題のあります点は、最近アスフアルトが非常に下つておる。マル公二万円程度のものが、現在一万円を割つておる。しかも原油として入つて来ますその油は、相当質が悪くて、アスフアルト分がよけいに出るというような関係もありまして、勢いアスファルトマル公を下げますと、ほかの方へかけなければならぬというような問題がそこに出て来るわけであります。それからたまたま昨年六月の製品価格につきましては、アスファルト、あるいはガソリン、あるいは重油軽油というような価格そのものに、若干アンバランスがあるわけでありまして、最近の情勢におきましては、今申し上げましたようにアスファルト相当下つておりまする関係から、どうしてもガソリン等につきましては、若干上げなければならぬというような問題が出て来るわけであります。私どもの方といたしましては、ガソリン引上げますと、現在ガソリンにつきましては一○○%の税が加算になつておりますので、結局二倍になるわけであります。私どもの方といたしましては、極力ガソリン価格が上らないように、何とかほかの方法措置をしたいというような考えで、今いろいろ研究をいたしておるわけであります。それはガソリン引上げないで、あるいは重油とか軽油とかそういうようなものである程度調整できないか、あるいはまた現在の精製費をもう少し切り詰めることができないかどうか、それから元売業者マージンをもう少し切る余地はないか、そういうような点につきましていろいろ検討をやつております。遺憾ながら現在に至るまでまだ十分な資料が出ておりませんために、どの程度にするかということははつきりしておりませんが、私どもの方としましては今申し上げましたように、極力ガソリンの値段を上げないように、何とかほかの方法措置をしたいと考えておりますが、ただそういたしましても、やはり精製費にしましても、あるいは元売業者マージンにいたしましても、あるいは小売業者マージンにいたしましても、勢い限度がありますので、どうしても若干はみ出すような場合が生ずるかもしれないと考えております。その場合は、ガソリンの若干の引上げにつきましては、あるいはやむを得ないのではないかというふうに今のところ考えております。ただ先ほど申し上げましたように、ガソリンにつきましては約倍の一〇〇%の税がかかつておりますので、税を何とかして少くしますならば、実際は元値が上りましても、ガソリン小売価格は上らないという結果にもなりますので、その方面につきましても、いろいろ大蔵省その他の方面折衝をいたしている次第であります。
  12. 前田郁

    前田委員長 どなたか質問はございませんか。
  13. 大澤嘉平治

    大澤委員 ただいまガソリン価格値上げがやむを得ないという段階に立ち至つているという御説明がありましたが、もちろんガソリン産業原動力であり、わが国再建に対して最も重要なる物資であることは申すまでもありませんので、これが値上げに対しては、政府といたしまして、最も重大なるわが国経済なり産業に大きな結果を来すということは、十分御承知のこととは存じておりますが、ただいまの御説明によりますと、そのガソリンに対しましてガソリン税がすでに一〇〇%の課税をされておる。これが、すでにガソリン値上げは現在やむを得ない段階に立ち至つているということでもありながら、このガソリン対策に対してまだ川上さんは、当局交渉中であるという程度のことであつては、将来わが国産業原動力として重要なる物資を担当しておる係の係官といたしまして、まことに心細い感じがいたすわけであります。従いまして、これが直接消費者に対しても価格が上げられないようにというようなお言葉がありましたが、何とか考えておられるということは一応は納得できるのでありまするが、すでにガソリン値上げを一割かりにしたとすれば、二割の消費者値上げになるという段階になつておりますので、いかにいたしましても、このたび値上げということを考えるならば、当然ガソリン税値下げということを第一に考え、しかる後に値上げの点を考えるべきではないかということを、一言強く要望をいたしておきたいと思うのであります。このガソリン税の問題は、他の税と比較いたしましてまことに過重にたえないところでありますので、物品税あるいはときによれば観覧税等に対しましてもすでに値下げをせんとしておる現段階でありまして、ガソリン税を一〇〇%課税しておるということは、わが国産業に対しましての認識当局はあまりに薄いのではないか。かように考えられますので、ガソリン税値下げの問題に対して十分検討をし、しかもこれに対して具体案を持つた上で、ガソリン値上げに着手していただきたい、かように強く要望いたしておきたいと思います。
  14. 川上為治

    川上説明員 ガソリン税引下げの問題につきましては、実は物価庁の所管ではありませんが、私どもの方としましては、先ほど申し上げましたように、ガソリン値上げをいたしますと、その値上げ分の倍ということに現在のガソリン税関係からはなりますので、極力大蔵省その他の方面に対しまして、税を下げてもらうように現在交渉をやつておりますが、なお今後におきましても努力いたしたいと考えております。
  15. 大澤嘉平治

    大澤委員 本日は物価庁等方々が見えませんから、強く申し上げてもどうかと思いますが、一応このガソリン値上げに対しまして、先ほど申しましたようにガソリン税の点だけは、ぜひともこの機会値下げすることを前提として、値上げに対する検討を加えてもらいたいということを、再びお願いいたしておきます。
  16. 川上為治

    川上説明員 ガソリン値上げの問題につきましては、先ほど極力いろいろな措置を講じたいということを申し上げました。その措置としましては、元売業者マージンをある程度切るとか、あるいは精製費を切り詰めるとかいうような方法によりまして、極力ガソリン値上げをしないように努力するということを申し上げましたが、何分この問題につきましては相当の日時を経ておりますし、かつまた関係方面からも、なるべく早くやつてもらいたいということを言つて参つておりますので、ガソリン税値下げがあつてから、あるいは引上げるというような、その時期について若干の食い違いが生ずるかもしれないと思いますけれども、極力今おつしやいましたような趣旨によりまして、私どもの方としましては、大体同時期になるように持つて行きたいと考えております。
  17. 大澤嘉平治

    大澤委員 なお一言この機会に申し上げておきますが、このガソリン値上げの問題がこの委員会に上程されましたとすれば、一応大蔵当局なり、あるいは物価庁なり、あるいは安本の関係方々なりを委員会に招聘をいたしまして、その上で十分検討をしておかなければならないと考えますので、これを委員長に要求いたします。
  18. 前田郁

    前田委員長 ただいま経済安定本部産業局燃料課長が見えております。なお自動車局長も見えておりますから、御質問があればこの機会にお願いいたしたいと思います。
  19. 大澤嘉平治

    大澤委員 そうしますとこの機会ガソリン値上げの問題の説明を承りましたが、本日これを質問を打切るというような委員長考えであるかどうか、お伺いいたします。
  20. 前田郁

    前田委員長 きようはとりあえず皆さんの御意見によりまして、一応の説明を承る程度にいたしたいと思います。なお御希望があれば今後何回でもやつてもいいと思います。
  21. 大澤嘉平治

    大澤委員 それでは自動車局長が見えておられるというお話でありますから、自動車局長一言お伺いをいたしたいと思います。  御承知通りわが国自動車におきましては、すでにわが国ガソリン使用数量の八四%を自動車だけで使用しておるということは、御承知のことと存じますが、かような数量わが国自動車消費をいたしておりますので、現在であつてさえもすでにガソリン価格があまりに高いので、自動車業者あるいは自動車関係の者といたしますれば、これに対して非常に苦心をいたしておるわけであります。特に現在の経済はデイスインフレであり、あるいはあらゆる他の物価とにらみ合せまして、ガソリンのみが値上げのみで何らの値下げを示しておらぬ。なお自動車の運賃とか、あるいは業者に入るところの收入というものは、すなわちガソリン使用するこの業界におきましてはまことに四苦八苦の状態でありまして、まことに窮乏のどん底に直面をいたしておるわけであります。かような段階に立ち至つておるにもかかわらず、再びこの機会わが国といたしましてガソリン値上げをしなければならない点に直面したということは、自動車局長といたしましてこれに対していかなるお考えを持つておられるかどうか、御意見を承りたいと思います。
  22. 牛島辰彌

    牛島説明員 ガソリン消費の一番多いのは、ただいまお話のございましたように、確かに自動車輸送におきまして一番多いわけであります。現存割当量の八五%ないし九○%のものは、自動車輸送使用されておるのであります。しかもこのガソリンが、ほとんど九○%近いものが輸入にまつものでございまして、このガソリン使用につきましては、私どもといたしましては非常に関心を持つている次第であります。使用につきましては、事業をおやりになつている方、また実際に自動車使用される方には、相当嚴重な規正を設けまして、注意深く使用していただいているわけであります。それと同時にガソリン価格の問題は、事業者にとりましてはもちろん非常に重大なものでございまして、現在事業收支におきまして、燃料費が非常に大きな部分を占めているわけでございまして、現在のごとき経済情勢下におきまして、最近の自動車運送事業が非常に困つておられる実情はよくわかつております。しかもここに燃料費値上げのごときことが起りましたならば、事業をなさる方としてまことにお困りになることであろうと思つておるのであります。この点からいたしまして、前国会のときからガソリン税引下げ、従価一○○%のガソリン税を、少くも従価七○%程度にいたしまして、三○%の軽減をはかりたいということを考えておりましたところ、国会方面におきましても、共産党を除く各派のお方の御同意も得られたようでありましたが、これが実現に至らずして今日に及んでおるのでありまして、ガソリン税引下げにつきましては、私ども運輸省といたしましても十分に努力をいたしまして、大蔵省方面とも折衝して、これが実現をはかりたいと思つておるのであります。またこの話が起りましてその後に至りまして、ガソリン価格そのもの引上げという話も現在起つておることは、ただいま物価庁の方からお話があつた通りであります。私どもといたしましては、ガソリン税軽減もできない今日におきまして、ガソリン価格引上げになるという点につきましては、これまたまことに困つた問題であり、また事業をなさる上においても非常な障害を来し、やがては陸運行政の上において、種々の困難な問題に遭遇しはしないかと懸念いたしておるのであります。ガソリン使用を非常にたくさんやつておりまする陸運行政を所管しておる者といたしましては、重大な関心を持つておるのであります。この点につきましては物価庁方面とも十分に連絡をいたしまして、愼重に善処して参りたいと思つております。なおガソリン税ガソリン価格引上げの問題は、ともに相関連しておる問題であると思つておりますので、その点も十分に考慮いたしまして、運輸行政の円滑な遂行に支障ないように努めたいと思つております。
  23. 大澤嘉平治

    大澤委員 ただいま自動車局長の御説明で、一応は納得できたわけでありますが、自動車局長お話によりますると、自動車業界あるいは自動車経営者等が、不満だというようなお話でありました。これは経営者の困ることはもちろんでありまするが、経営者、すなわち輸送機関が大きな難関に直面し、しかもこれが現在の段階においてはすでに行き詰まつて、このまま放置しておくならば、向う数箇月の間にも輸送機関がとまるという程度にまで、業界が窮乏いたしておることであるのであります。業者のみがただひとり苦しいという問題でなく、国家産業あるいは経済にいかなる場合ができて来るかということを考えましたときに、まことに大きな問題に直面いたしておるということになるのであります。政府におきましては、ただ單に業者のお困りになるというような点のみでなく、これは国策として何とか救済しなければ、国家経済産業に大きな支障を来す。従いまして国家経済再建等は断じてでき得ないことになる段階にまで立ち至つておりまするので、かような点を十分考えていただきまして、これが対策といたしましては先ほどもお話がありましたように、ガソリン税値下げのまだ何らの見通しのつかない段階にもかかわらず、なおこれが値上げをしなければならないというような段階なつたといたしますならば、大きな経済の破綻を来すことを深く認識をしていただきたいと思うのであります。かかる点から考えまして、ぜひともこれが行政面を担当しておる自動車局長といたしましては、ただちにこれに対する方法をもう一歩進めていただいて、関係官省と十分お打合せの上、何分の具体案を次の機会までにお聞かせ願うように、この機会に要望いたします。
  24. 石野久男

    石野委員 川上第三部長にお尋ねいたしますが、御説明によりますと、ガソリン価格引上げが必至であるということであります。しかし消費者負担が、現在の税率によりますと価格引上げの倍の負担を受けることになるので、できることならば税率を改正した後に、価格の改正をしたいという御趣旨であつたと思うのであります。現在の情勢におきまして予想されて値上げが、どの程度行われるように見込まれておるかということを、第一にお伺いします。
  25. 川上為治

    川上説明員 ちよつと速記を……。
  26. 前田郁

    前田委員長 速記を止めてください。     〔速記中止
  27. 前田郁

    前田委員長 速記を始めてください。
  28. 石野久男

    石野委員 政務次官にお尋ねいたします。今このような事情のもとで、私どもは前の国会のときにも、ガソリン税課税軽減するように努力して来たのでございますけれども政府といたしましてはこのような事情のもとにおいて、税率軽減に対する御配慮はどの程度お持ちでございましようか。いろいろと關谷さんの方でも言いにくい点があると思いますけれども、私見でもよろしゆうございますからお聞かせ願いたいと思います。
  29. 關谷勝利

    關谷政府委員 まだ新米でありますので、政府がどの程度それに努力したかということにつきましては、まだはつきりと私承知いたしておりませんけれども、私運輸委員の一人といたしましては、いろいろその方面とも折衝をいたしたこともあるのでありますが、結局どうしてもこれはできないというようなことになつております。しかしながらそれが一応できないということになりましても、決してその運動をやめておるのではないのでありまして、現在岡田委員その他が中心になりまして、自由党の政調会あたりとも協議をいたして、努力を続けておるような次第でありまして、今後も努力いたしたいと存じます。
  30. 石野久男

    石野委員 關谷さんのただいまの御答弁によりまして、できる限り政府部内においても、困難はありましようけれども、御努力をいただけるものと確信いたしたいと思います。  それでいま一度お尋ねをいたしたいのでありますが、諸情勢のもとにおきまして、ガソリンが昨年来からの価格の問題として、今度どうしても値上げをしなければならないようなお話を承つたのでありますが、このガソリン値上げの問題より以上に、私ども考えなければならぬ問題といたしまして、最近の朝鮮におけるところの、諸事情が、日本国内におけるガソリンにどのように影響するかということが、非常に大きな問題であると思います。陸運行政を担当しておられる方面からいたしまして、運輸省といたしましても、この点は将来日本国民経済の上に及ぼして来る影響、特に私ども戰争及び戰争後において痛感いたしておりまする木炭車を走らせなければならないような事情が、今日の朝鮮の問題とからみ合せて、国内のこういう問題との関連性をどのように見通されるかという点について、一応どなたからでもよろしゆうございますけれども見通しの問題を承りたいと思います。
  31. 芝原忠夫

    芝原説明員 ただいま御質問の点、非常にむずかしい問題でございまして、ただいままでわかりました情報では、影響がございません。むしろ国内における精製設備の拡充と、それに伴う原油輸入計画の繰上げ増進という点について、目下関係方面打合せ中でございます。なお連日関係方面とは、今後の石油の問題につきましては密接な連絡をとつております。ただいまはつきりどういう影響があるかということは、まだ申し上げられない時期でございます。ただわれわれが一番心配いたしておりますのは、船舶、あるいは陸上のタンク車等が、相当行動が制限されるというようなけはいが若干見えておりますので、むしろ量的よりも、国内の物理的な面から行くというような点を相当心配しておるのでありますが、目下のところは量的には、供給力の面はむしろ増大する方向でございますので、その点で御了承願いたいと思います。
  32. 石野久男

    石野委員 ただいま経済安定本部の方の御説明によつて、いまひとつ川上物価庁第三部長にお尋ねいたしますが、今の経済安定本部の見解によりますと、早晩急激な変化はガソリン面等においては来ないだろう。けれども量的にはふえて来るだろうというお話がございました。この量的にふえるということは、必ずしも価格改訂に対して、その価格を低廉化させることにはならない事情も、またよくわかつております。しかし今度の価格改訂が必至であるという御説明を承りましたことについて、すでに物価庁といたしましても、そういう諸事情をも含めての物価改訂であるのか、それとも改訂の要請であるのか、それともそういうこととは別個の最近の諸情勢で、別の要素としてまた新たに先ほど説明をいただきました物価改訂に加えられる要素になるのであるかどうかという点だけを、はつきり聞かしていただきたいのであります。
  33. 川上為治

    川上説明員 私どもが現存考え、また計算しておりますものは、最近の国際情勢は全然考えないで、三月、四月ごろの年度当初の物動計画を立てる線に沿つてつておるのであります。従つて今後情勢の非常な変化によりまして、また価格面につきましても相当かわつたことになるのではないかと考えますが、例を取上げますと、国産の原油につきましては、輸入のB重油とプールいたしております。従つてこのB重油が予定の通りつて来ないことになりますと、勢い国産の原油につきましては引上げなければならぬような問題が起きて参ります。そういうことになりますると、また石油価格改訂につきましても、根本的に考え直さなければならぬ問題が起きて来るわけでありまして、私どもはそういう問題についてまだ確たる見通しを全然持つておりませんので、従来のままの考え方で行つておるわけであります。
  34. 石野久男

    石野委員 これで一応保留します。
  35. 坪内八郎

    坪内委員 ガソリン価格問題並びにガソリン税の問題につきましては、先ほど同僚の大澤委員から強い要望がありましたが、私もまつたく同感であります。この際二、三川上説明員並びに自動車局長及び關谷政務次官にお尋ねしておきたいと思います。  私が申すまでもなく、ガソリン価格値上げの問題、あるいは税率の問題が、業界に大なる影響を及ぼすことは申すまでもないのでありますけれどもガソリン税というものは、考え方によつては生活必需品である。従つて消費税だというように考えられる点もあるのでありますけれども、こういつた税に対しまして高価な、奢侈的な貴金属とか、あるいはゴルフ道具類といつたぜいたく品の物品税にまさる一○○%の税率をかける点は、まつたく矛盾しておるのではないか。少くとも三○%以下にしてくれということが、前前からの業界の要望であつた。その税率をそのままにして、今さらにガソリン値上げをする、あるいはそういつた方針で進むというようなことを承つて、われわれはほんとうに驚いている次第であります。従つて私が川上説明員にお尋ねしたいのは、先ほどの御説明によつて大体税率を下げることを先にやつて、しかる後にガソリン価格値上げ考えておるというお話でありますが、その点をはつきり聞かせていただきたい。まず税率引下げを先に徹底的にやつて、もしそれがうまく行かないときに、ガソリン価格を上げることにする方針でおるのかどうか。それならばその税率大蔵省折衝して、どのくらいの税率引上げようと考えておるのかどうか。  第二点は、それが大蔵省との折衝によりましてできない場合は、やはりできないままでガソリン値上げを断行するのかどうか。  それから第三点、これは運輸政務次官並びに自動車局長にお尋ねしたいが、こういつたガソリン価格値上げ、あるいは税率をそのままにしてこれを行うならば、おそらく運輸業界というものは、今日の金詰まりその他のいろいろな関係から、事業ができなくなるだろう、採算がとれなくなるだろうということは、火を見るよりも明らかである。業界がこういつた危險な状態に陷つた場合に、自動車局長並びに運輸政務次官が、どういう監督をもつてこれを見守つて行くか。この点についてまずお尋ねしておきたいと思います。
  36. 川上為治

    川上説明員 ガソリンの値段をいつ引上げるかという、特に税の問題とからみましての時期の問題につきましては、先ほど私御答弁申し上げたのですが、私どもといたしましては極力ガソリン値上げをしないように、まず第一段として考えて、いろいろ措置を研究いたしております。しかしどうしてもやむを得ないというような場合におきましては、極力ガソリン税をある程度引下げをしましてから、ガソリン値上げをしたいというような気持でおりますが、何分この問題につきましては、ことしの四月以来いろいろ検討をいたしておりまして、それまでに税の引下げも行われておりませんし、時期も相当たつておりますし、かつまた関係方面からもなるべく早くということを言われております関係もありますので、はつきりとガソリン税引下げになつてから上げるのだということを、今ここで言明申し上げることはできないかと思つております。  それから税の引下げの問題につきましては、実はこれは私どもの方の主管ではないのですけれども、この前は大体三割程度というような話があつたのですが、私どもの方といたしましてはガソリン値上げをしまして、それでカバーできる程度くらいはどうしても引下げをしてもらいたいというような気持でおりますけれども、先ほどちよつと申し上げましたように、まだ詳細なデーターが出ておりませんし、ではどれくらい引上げたらよいかということも、はつきりきまつておりませんので、その点につきましては大蔵省との間にも、はつきりどれだけということもまだ別段きまつていない状況にあります。
  37. 關谷勝利

    關谷政府委員 ただいまのお尋ねでありまするが、ガソリン価格が上り、税率がそのままであります場合には、二倍の値上げとなり、たださえ困窮の状態にありますトラック業界あたりが、非常な迷惑をこうむり、壊滅に瀕するということは、私たちよくわかつているのでありますが、ただいまも川上部長から話がありましたように、まだどの程度上りますのか、ただいま説明がありました中にも、価格がつり上げにならないような方法考える、こういうふうな事情でありますので、この値上げというものがどの程度か決定して後に、愼重に考慮いたしたいと思います。
  38. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいま御答弁を伺つてつたのでありますが、もし速記がいけなければ速記をとめてでも、御答弁願いたいと思います。今の第三部長の御答弁の中に、なるべく早く上げるようにということなので、というお言葉がございましたが、なぜなるべく早く上げなければいけないということなのか、なぜというその原因。それからただいま政府がとつておる物価その他の安定政策と、ガソリン値上げをするということとは両立いたしません。これは大きな一つの矛盾になつて来ると思いますので、特になぜなるべく早く値上げをせよという事情があるのか、その点をもし速記がいけなければ、速記をとめてでもけつこうでありますから、はつきり伺つておきたいのであります。
  39. 川上為治

    川上説明員 なぜという点につきまして、実は速記をやめていただきたいと思います。
  40. 前田郁

    前田委員長 速記をやめて。     〔速記中止
  41. 前田郁

    前田委員長 速記を始めて。
  42. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 もう一点であります。先ほど御説明の中に、元売業者マージンが高過ぎるという批評もある。それは元売業者が十数軒あるのだが、その中のおもなのはスタンダードとカルテツクスである。この二つの会社に対してのいわゆるマージンが高過ぎるということについての調査をやつておるが、これがなかなか十分に進捗しないということなのでありますが、なぜうまくこれらの調査が進まないのか。調査を十分に進めて、それらの資料をとつて、それらの計画と合せて値上げということは考えなければいけないので、そうした資料を十分にそろえてからものを運ぶということについては、関係筋も十分に御理解ができるはずだと思いますので、それらの点についての特に御盡力を願いたいのでありますが、今伺つたなぜうまく調査が進まないのか、そういうことについてもう一ぺん御説明を願いたいと思います。
  43. 川上為治

    川上説明員 これも速記をとめていただきたいと思います。
  44. 前田郁

    前田委員長 速記をやめて。     〔速記中止
  45. 前田郁

    前田委員長 速記を始めて。
  46. 坪内八郎

    坪内委員 川上第三部長に簡單にお伺いいたします。先ほどからの川上第三部長説明を聞きまして、大体わかりつつありますが、説明によると、ガソリン価格は、税金の引下げをやつてから上げたいという方針はよくわかるのですが、GHQ関係その他の関係から考慮して、どうもガソリン税はそのまますえ置きにして、ガソリン価格を上げるというような線が強いように私には受取れるのでありますけれども、その辺の見通しはどうでありますか。大蔵省あたりと折衝して、税率引下げはなかなか困難だから、おそらくガソリン値上げが断行されるだろうという見通しなのか。それとも税率引下げはある程度可能だという見通しであるのか。その辺をいま一応念のためにお伺いしておきたいと思います。
  47. 川上為治

    川上説明員 非常にごむりな御質問でありまして、私自身といたしましては、どうもはつきりした回答はできないと思いますが、いろいろな事情がありまして、この改訂の問題につきましても、資料の問題とかその他の問題で、非常に遅れておる。なるべく早くやらなければならぬのに、非常に遅れておる。しかも現在資料をとりつつありますけれども、それもなかなか十分には行かないというような関係から、相当この値上げについては遅れるのではないかというように実は考えておりますが、この税の引下げの問題につきましては、おそらく今度の議会でなければ、この次の議会ということになるのじやないかと考えます。そうなりますと、あるいはガソリン値上げの方がその先に来るかもしれないと私どもの方では考えております。ただガソリン価格を極力引上げないように、私どもとしましてはあらゆる努力を拂いたいという点を、御了承願いたいと思うのであります。  なお先ほど、ガソリンの値を引上げることは、現在の価格政策から言いまして、矛盾ではないかというお話がありましたが、御承知通りガソリン原油は、ほとんど大部分が海外からの輸入品であります関係で、その輸入品の価格によつて左右されることでありますので、輸入価格が上ります際は、当然それに従いまして価格引上げなければならない。もしそれをしないとすれば、ほかの助成金なり補給金なりで措置をしなければならない。その点が現在の価格政策においても矛盾ではないかと考えております。
  48. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御説明のあとの方をしつかり堅持していただきますように、いわゆるその他の方法価格政策に合うような手段をおとりになるという点に重点を置いていただくように希望します。
  49. 大澤嘉平治

    大澤委員 ただいまのガソリン値上げの問題に対して、当然問題になつて来ることは、先ほどもいろいろお話がありましたガソリン税の問題であります。なお先ほど自動車局長からも、自動車行政を担当しておる面からいろいろなお話がありましたので、こういう点を勘案してみますと、九〇%ないし八五%のガソリン自動車使用しておるという点から考えまして、自動車そのものはすでにガソリン税によつて百パーセントの税金を負担しておる。それで他の業者、他の業界から見まするならば、税金そのもの負担は、もうガソリン税だけで十二分である。これ以上の重税はないのであります。それにもかかわらず、なお自動車に対しましては自動車税もあり、あるいは道路損傷負担金もあり、あるいは今度の地方税改正によるところの事業税、あるいは固定資産税、その他のあらゆる部門から、一番過重の税金を課されておる現状であるのであります。特に今度の地方税改正によりまするところの固定資産税のごときにおきましては、他の業界は最も税率が低廉であるにもかかわらず、自動車に対しては最高の税率になつておるわけであります。こういう点からいたしまして、自動車局長あるいは他の関係行政官の方方の自動車行政に対しての考え方は、あまりに冷淡ではないかと考えられるわけであります。従いまして、かような困窮したるところの業界にありながら、最も過重の税金を負担して、しかも運賃におきましては、自動車局において運賃の許可制であるから、運賃を一つ改正するにおいても多くの書類の提出をして、その許可を得なければならない。しかも現在運賃の値上げの許可は一つもないのであります。それにもかかわらず、地方税の改正による自動車税あるいはガソリン税によつて、税の負担を最も過重にしておる。それにもかかわらず運賃の改正その他の施策について、何らの処置をとつていないという現状でありまするので、わが国の輸送行政の面に対しまして、まことに寒心にたえない点が多々あるのであります。かような点から、ただいま運輸大臣も見えられましたから、自動車行政の面をもう少し積極的に政府検討していただいて、何らかの処置をとつていただかなければ、わが国の鉄道輸送のほかの陸上輸送の面は、壊滅に瀕するような状態にあることを、十分認識していただきたいのでありますが、これに対して政府はどういう考え方を持つていられるか。これに対して、わが国ガソリンは海外からの輸入が九〇%であるから、日本政府においては何の打つ手もないという答弁で済ませることができるかどうか、運輸省当局の信念を伺つておきたいと思います。
  50. 關谷勝利

    關谷政府委員 ただいま大澤委員からお尋ねでありましたが、この値上げということに対しましては、物価庁におきましても目下愼重に検討中でありますので、もしその結果、どうしても上げなければならないということになりますれば、現在の業界事情等もしんしやくいたしまして、運賃の値上げというような方法もありまするし、その他いろいろとるべき方法がありまするので、善処いたしたいと思います。
  51. 中西伊之助

    ○中西委員 今政府委員の御答弁を聞いておりますと、どうも了解ができない。御承知のごとく地方における、ことにバスですが、これの負担のごときは、その他の交通機関よりもずつと上まわつておりまして、農民の負担というものは非常に莫大である。これは皆さんが御承知通りでありましようが、この上にさらにガソリン値上げをして、それが直接農民の負担になるということは、とんでもない話でありまして、今政府委員の答弁を聞いておりますと、もうすでに政府はそうした事業家を代弁しておるような答弁をしておられる。政府委員はそんなものじやなくしてこうした大衆の負担をいかに軽減すべきかという点に努力をしなければならぬのでありますが、輸入品は高いからという、高ければ安くするようにそつちの方で努力すればいい。農民は、その他においても肥料が高いが、輸入だから高い、こういうふうなことを言つておる。そんな高いものをどうして買うのかということが問題でありまして、政府がそれに努力をしないで、そうしてすぐ大衆に負担をかけている。今の答弁のごときはその通りである。一体政府は、ガソリン値下げについて、あるいは大衆の負担について、極力やつているのかどうかということさえ、われわれは疑わざるを得ない。一体努力しておるのですかどうですか。政府委員の今の答弁を聞いておると、実にけしからぬ、もう既定の事実のようなことを言つておる。こういうようなことは大衆の負担をさらに重荷することである。政府はそれに対して、極力これを防止するという立場に立つのがあたりまえである。ところが今の答弁は、もうすでに値上げはしかたがないとかなんとか言つて、なぜしかたがないかということについての答弁は、はなはだあいまいである。この点努力しておるのかどうか。ガソリンのごときは税金を値下げをして、さらに大衆の負担を軽くする、こういう方向に持つて行かなければならぬにもかかわらず、何とかかんとかと、すでに資本家の代表みたいなことを言つておる。とんでもない話だと思う。政府はそうしたことに努力しておるのか、大衆の負担軽減するために、いかに苦心をしておるかということについては、はなはだ疑わしい。この点答弁をしてもらいたい。
  52. 川上為治

    川上説明員 物価庁としましては、物価政策の根本的な考え方が、低物価政策ということで今まですべてやつておりますので、このガソリン値上げの問題につきましても、極力値上げにならぬようにということで、今日までいろいろ努力をいたしております。今非常なお叱りを受けましたが、実はこの問題につきましては、すでにこの一月ごろから、極力ガソリン等に響かないようにということで、いろいろ努力をしておりますということを申し上げる以外にないと思うのですが、今後におきましても、先ほどいろいろお話がありました元売業者マージンの問題とか、精製費の問題とか、あるいはガソリン以外のものにかけるとか、そういういろいろな措置によりまして、何とかして引上げにならぬように努力をしておりますということを申し上げるほかないと思います。     —————————————
  53. 前田郁

    前田委員長 この場合新任されました運輸大臣からごあいさつを申し上げます。
  54. 山崎猛

    山崎国務大臣 先ごろ不肖運輸大臣の重責を汚すことになつたのであります。自然この運輸委員会の席には、できるだけ多くの機会において臨んで、委員諸君の御鞭撻を願うことになりました。申すまでもなく私は、看板かけての議会人でありまして、役人ぶり、大臣ぶりはすこぶる不なれでありますから、率直に申し上げる通りに、また諸君におかれてもこの事情を了とせられて、率直にお話を願えれば、私の本意であると考える次第であります。野人としてはなはだ非礼の点もあるかもしれませんが、御了承を願いたいと思う次第であります。誠心誠意任務を盡すつもりでございます。一言であいさつを申し上げます。(拍手)     —————————————
  55. 前田郁

    前田委員長 次に、七月八日附マツカーサー元帥の、海上保安庁の現有海上保安力に八千名を増加するよう、必要な措置を講ずることを許可するとの書簡に基いて、その後の経過につき、海上保安庁長官より説明聽取いたします。
  56. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安庁は、朝鮮事件が勃発いたしますと同時に、諸般の起り得べき問題を考え合せまして、ただちに必要なる海域の警戒指令を発しておつたのでございますが、その後マツカーサー書簡を頂戴をした次第で、海上保安庁といたしましては、御承知のようにきわめて乏しき船艇と、きわめて装備不十分の現況におきまして、日本の沿岸一万海里になんなんとするこの海域を哨戒警備いたしますためには、きわめて困難なる條件下に置かれておる次第でございます。常日ごろ海上保安庁職員は、きわめて苦しい條件のもとに勤務をいたしておるのでございますが、特にこの事変後におきましては、全員ほとんど不眠不休に近い態勢で努力をいたしておる次第でございます。しかるに何分に申しましても、陸上におきましては、いろいろこれを援護し得る諸般の事情が伏在しておりますけれども、海上におきましては、あの広大なる海域において、点点として船を配備して哨戒しております関係上、海上保安庁の任務達成ということは、まつたく容易なことではなかつたのでございます。  この機会におきまして、マ書簡によりまして八千人の増員を許可されたのでございますが、皆さんも御承知通り、海上保安庁は何と申しましても、その船を整備し、これに配乗する人員を充当しなければならない次第でございます。海上保安庁の、マ書簡の趣旨にこたえ得る今後の課題というものは、実に広汎にして複雑でございます。そこで私どもの方といたしましては、今後の海上保安の責任を全ういたしますためには、この八千人をどういうふうに使うべきかということにつきまして研究を続け、また関係方面ともお打合せいたしておる次第でございますが、ただいまのところ、まだ研究をいたしておるという時期を出ないのでありまして、本日ここに具体的に内容を御説明する時期までに至つていないことは、はなはだ残念であると存ずる次第でございます。  なお海上保安庁の諸般の警備態勢といたしましては、目下海上保安庁は、六十二隻の巡視船を所有いたしております。皆様の御協賛を得まして、海上保安庁が一昨年出発いたしましたときには、わずか二十八隻の巡視船でございました。しかもこれは木造の百トン足らずの、わずか速力八ノツトの巡視船でございましたが、現在はその後逐次船艇を増強いたしまして、六十二隻を所有いたしておる次第でございます。ただこのうち三十五隻は木造船でございまして、まことに装備、性能とも不十分でございましたので、新造船を見返りといたしまして、昭和二十五年度初頭からこれを繋留いたしまして使用しない建前に相なつておりましたけれども、事態はかくのごとき船といえどもこれを全面的に活用する必要があると考えましたので、海上保安庁は即刻繋留しておりましたこの二十隻の木造船も、これを全面的に稼働配備をいたしまして、現在持つておりまする全船隊、すなわち六十二隻を全幅活用いたしますとともに、太平洋方面の比較的閑散でありまして、配置がえ可能であると考えました基地の船艇は、一部これを緊急なる海区に配置がえをいたしまして、新しい警備態勢を敷いておりますような次第でございます。なおまた海上保安庁の各基地の職員、各地方機関の職員は、ほとんど勤務態勢を強化いたしまして、いかなる事態におきましても、即応でき得る態勢を敷いておる次第でございます。ここに現在の段階における海上保安庁の状況を御報告いたしまして、御説明にかえる次第であります。
  57. 前田郁

    前田委員長 何か御質問ございませんか。
  58. 坪内八郎

    坪内委員 大久保長官にちよつとお尋ねいたしたいと思います。  私は長崎県の選出でありますが、すでに御承知通り朝鮮の内乱を契機として、長崎県の対馬というあの離島が、大きくクローズ・アツプされて来ましたことは御承知通りでございます。そこでこのたびの八千人の海上保安庁の増員については、今のお話によると、具体的な案をまだ持つてないというようなお話でありますが、具体的な案でないからまた幸いでありまするが、現在の対馬の状況は、すでに新聞紙上やいろいろな情報によつて承知のことと思いまするが、島民は実に太平洋戰争以上に緊張した生活をいたしておるのであります。わずか四時間そこそこで朝鮮の釜山に到着する、あるいは場合によつては、風向きの関係で砲声が聞えて来るというような状態で、島民はあげて緊張した生活をいたしておるのでありますが、この対馬に対する海上保安庁の海上警備、あるいはそういつた関係が、今日どのような状態に置かれておるか。これはもし速記をとどめていただいてお話つてもいいのでありますが、非常にわれわれは東京におつて心配をいたしておる。同時に今までは御承知通り海上保安の行政というものは非常に微々たるものであつて、実績が上らなかつた。特に対馬におきましては、密貿易あるいは密入国、そういつた関係があつて、島民といたしましてもいろいろな観点から、政府の強力な行政を望んでいる。こういう関係でありますので、このたびの八千名の増員について、海上保安庁の事実上の本拠といいまするか、あるいは本部というようなものを、長崎県の適当な所に存置して、強力な態勢、強力なこの運営をはかる意思があるのかどうか、あるいはそういう方向に向いつつあるのかどうか。もつともこの八千名の増員というものが、朝鮮の内乱に関係して動員されたことは申すまでもないのでありまして、その点重点的にひとつ考えていただきたい。同時に御承知通り、対馬はただ天然の港を利用して船が出入りしておるわけでありますが、こういつた方面に海上保安庁の船が十分に出入りして、一朝暴風雨の際なんかに避難する港もないという実情であるから、大久保長官としては、将来そういつた避難港とか、あるいは防波堤の増築とかいうものを、政府に希望する意図がないかどうかという、この二点についてちよつとお伺いしておきたいと思います。
  59. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 坪内委員にお答えいたします。対馬の重要性はただいまの御説の通りでございます。私どもの方は日ごろから対馬には相当の船艇をさいて、配備、警戒をいたしておりますけれども、事変勃発以来若干の船艇を同方面に強化をいたしまして、朝鮮海峡の警戒に任じておるような次第でございます。事変以来嚴重なる哨戒によりまして、あるいは密航、密輸船の取締りに当り、あるいは遭難船、遭難機等の救助に当つて、連日活躍をいたしておる次第でございます。事変後におきまする一般密航、密輸の状況をこの際申し上げますと、事変勃発後は、南鮮方面の警戒も嚴重でありまするのと、海上保安庁の沿岸哨戒も嚴重でありまするために、むしろ密航、密輸はきわめて減少しておるような状況でございます。この点は目下の事態においてはたいへん幸いだと考えておりますけれども、私どもは常に警戒はこれを怠らないという態勢をとつておる次第であります。  次に長崎県の適当な地に、相当重要なる本部を置く意思はないかという御質問であつたと存じまするが、ただいま海上保安庁の全船艇のうち、約四割近くを九州に配属いたしております。これをもつていたしましても、いかに九州近海を重視しておるかということがおわかりであろうかと存ずる次第でございます。特に、長崎県は、対馬はもとより、五島列島その他幾多の重要なる島嶼を持つておりまするほか、佐世保、長崎等の重要なる港湾もございますので、私どもはこれらの基地、特に佐世保等におきましては相当の船艇を増強いたしまして、その基地の強化に努めておる次第でございます。なお対馬方面の避難湾その他の施設に対して、強化する意図はないかというお尋ねでございましたが、私の方の所管内の問題だけからとりましても、海上保安の立場からいたしまして、まことに対馬の状況は今まで手が打たれていなかつたということを感ずる次第でございます。船艇の配備強化はもちろんのこと、諸般の燈台、その他の航路標識、あるいは無線施設等の面におきましても、これを急速に改善いたさなければならないという考えを持つておる次第でございまして、私は事変勃発の一週間前に対馬に参りまして、つぶさに現地を見て参りました。諸般の事情は痛切に私は認識をいたしております。対馬の強化につきましては、今後とも十分努力いたす所存でございます。
  60. 江崎一治

    江崎(一)委員 海上保安庁から、職員八千名の増加ということが報告されておりますが、これはどういう海上勤務員であるか、陸上勤務員も含むのかどうか。またそれに要する予算はどれくらい必要なのであるか。また船はどれくらいふやさなければならぬかということについて、大体の目算がおありになると思いますが、それについて御説明を願いたいと思います。
  61. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 江崎委員にお答えをいたします。八千人は陸員であるか、海員であるかという第一点のお尋ねでございますが、私どもは八千人は海上保安官及び船舶乗組員であつて、巡視警戒に任ずるものである。かように解釈いたしておる次第でございます。かような次第でございますから、その大多数は海上勤務に服するものと存じまするが、その一部は陸上の基地その他において働くことになる、かように考えておる次第てございます。  第二点の予算はどうかというお尋ねでございまするが、これは目下研究の途上でございまして、的確にここでお答えするまでに立ち至つておりませんが、ただいまの概算では数十億はいるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。  次に船はどうするのだというお尋ねでございますが、これは最も問題の焦点でございまして、私どもはその点をどうしたらいいかということを、目下研究の途上にある次第でございます。今日までまだお答えするまでに至つていないことは、はなはだ残念に存ずる次第でございます。
  62. 江崎一治

    江崎(一)委員 これは日本の民主化ということ、その他非常にデリケートな国際情勢の間にありまして、海上保安庁の問題は、非常に大きな、世界の民主陣営からの注視の的になつております。特に海上保安庁の要職にある責任者が、旧海軍の佐官、将官クラスの人たちがポストにあるということを、非常に強く指摘されております現状におきまして、これが再び日本の海軍の再建になるということになると、非常にまずいと思いますので、今御説明なつた計画を文書にして、われわれにひとつ御配付を願いたい。そのことをお願い申し上げておきます。
  63. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安庁の職員に海軍の軍人があると御指摘でございましたが、この点は海上保安庁の創立の際にも、スキヤツプ・インに、ごく一部の業務に限りこれを許可されている次第でございます。その範囲を出でていない次第でございます。なおまた準士官以下の旧海軍軍人につきましては、これは一般の人々と同様に機会均等であるということに相なつております。この点は御了承を願いたいと考えます。  次に文書によつて提出するようにという御要望でございますが、いずれ海上保安庁もその時期を得ましたならば、さようなとりはからいをいたしたいと存じます。
  64. 江崎一治

    江崎(一)委員 八千名の職員の増加の内容は、大部分が海上勤務員であるとしますれば、それ以外に陸上勤務員が相当いるだろうと思います。あるいはわれわれの考えでは、倍以上いるのではないかと思いますが、その点陸上勤務員の人員関係はどれくらいにお考えでございますか。
  65. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 船を活動いたさせますためには、船の隻数が少い時期は、乗組員と陸上勤務員との比例は、比較的に陸上勤務員が多いのでございます。しかし船がふえました割合には、陸上勤務員はふやす必要はないのでございます。今後海上保安庁の船がふえましても、それと相対的には陸上勤務員はふえないと考えております。かような次第でございますので、八千人の大部分は海上勤務員であると、かように考えている次第であります。
  66. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 この海上保安庁要員の増大ということは、警察力の増強の問題と一緒に論議されているような気がするのでありますが、しかしこれは別な問題であろうと私は思うのであります。従いましてその立法的な措置というものは、警察力増強に関してはまだ政府の態度が、立法的措置をとるのか、あるいは政令によるのか、はつきりしないようであります。また予算的措置についても、予算を提出するか、あるいは何か緊急措置をするか、これもきまつておらぬようであります。この海上保安庁に関する限り、これはきまつているのではなかろうかと思うのであります。どういうような立法的措置をとられるのか。たとえば海上保安庁設置法案といいますか、そういうようなものを提出になるのか、あるいはこの改正案を提出になるのか、あるいは定員法を改正されて、八千人の増員を盛られるのか、さらに予算的措置というものは、これは更正予算その他によるのか、こういう点についてはどういうお考えか、この際承つておきたいと思います。
  67. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安庁は今回の八千名の増員によりまして、海上保安庁法に規定してありますところの一万人の職員の限定範囲が、拡張せらるべき状態にある。かように考えている次第でございます。かような関係からいたしまして、何らかの法的措置を要する。かように考えておりますし、また必然的に予算的措置も必要であると考えておりますが、これがいかなる形式で今後進むべきかは、まだ研究の途上にございます。お答えするまでに至つていない次第でございます。
  68. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 そうすると、やはり警察力増強、警察予備隊の取扱いなどと同じような取扱い方で、立法的措置及び予算的な措置がとられる、こう理解してよろしゆうございますか。それともこの問題に限つては、警察力増強の問題とは別に、海上保安庁に関するだけの形で取扱う、こう理解してよろしいでしようか。
  69. 山崎猛

    山崎国務大臣 ただいまの淺沼君のお尋ねでありますが、警察力の増強と保安庁の人員の増加とを、はつきり違えた形に御了解になつての御質問でありましたが、実は私もその根本の考えは淺沼君と御同様であります。これは海上保安庁の増員ということに考えて、今後の法的あるいは予算的措置を講じて行くのが当然ではないかと、こう考えておる次第であります。但し連合軍最高司令官の覚書の精神の次第もありますので、今日の日本段階においては、この趣意にどこまでも沿うて、憲法のもとに、法律のもとに、政府の方針を処置して行かなければならないことは、申し上げるまでもないのであります。それについて目下政府におきましては、ただいま保安庁長官のお答えする通りに、これはぐずぐずしておるべき問題ではないことは、常識ではつきりしているのであります。大急ぎでこの組織、計画等も整えまして、なるべく早く発表をして、国民をして向うところをはつきり了解させるようにすべきであろうと考えている次第であります。この点御了承願います。
  70. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 そうすると、こう了解してよろしゆうございますか。警察力増強に関しましては、官房長官を中心にして一つの案が練られているようでありますが、保安庁の拡大の問題につきましては、保安庁及び運輸省を中心として案が練られている。しかしその処置においては、勧告の内容に盛られておるものを生かさなければならぬということは考えておるが、問題は取扱いをする場所においても、内容においても、別であるというぐあいに理解してよろしいでしようか。
  71. 山崎猛

    山崎国務大臣 お答えいたします。今申し上げた通りに、連合国最高司令官の覚書に基いて、これを政治的に処理して行かなければならない関係にありますので、その点はもう少し時期が進んで、はつきりお答え申し上げる時期があろうと考えます。
  72. 江崎一治

    江崎(一)委員 地方における私鉄、それからバス事業、こういつたものは本国会に提案されております地方税法案に、非常に影響されるところが多いと思いますので、当委員会といたしましても、この地方税法案に関し、地方行政委員会と、合同審査会を持たれんことを望みます。委員長はこれに対してどういう御見解でしようか。
  73. 前田郁

    前田委員長 その問題は理事会に諮りまして、一応決定いたしたいと思います。
  74. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 一つ注文があるのですが、それは本州及び九州における国鉄の機構改革に関する事項でありまして、この事項はいわば日本国有鉄道公社が独自的に行われることがよろしいことかもしれませんが、しかし勧告の地位にある運輸省が、一体どういう考えを機構改革に対して持つておられるのか。また現に公社の方ではどういう機構改革をするのであるかという根本理念、あるいは機構改革の方針その他のことについて伺いたいと思います。というのは、八月一日からこれを強行するようでありまして、強行するようなことになりましたならば、自然その業務に携わつている従業員の方からも、いろいろな考え方が出ているようでありますし、さらに国民の中からもこれについては相当批判があるようでありまして、改革をしたために、かえつて運輸の能率を下げるような結果になつてはならぬと思うのであります。なおかつ現存日本の置かれている立場から考えてみまするならば、こういう問題は真劍に考えなければならぬ問題だろうと思うのでありまして、できますならば、次会に公社の方面関係者並びに運輸の方からも出てもらいまして、この方針並びにこれに協力を與えました運輸省考え方についても承りたいと思うのでありまして、そういう点の便宜をはかつてもらえれば、まことに幸いと思うのであります。
  75. 前田郁

    前田委員長 ただいまの淺沼君の申出に対しましては、次会にさようとりはからうことにいたします。
  76. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 淺沼君の御希望に関連いたしまして、次会にこういうことをおやりを願いたいと思います。それは海上のことは非常に重大であつて、先刻から長官その他からも御説明を伺つたのでありますが、陸上の鉄道の問題で、最近新聞紙等を見ますと、いわゆる鉄道事故と申しまするか、鉄道妨害と申しまするか、こういう問題があつたり、あるいは最近ことに列車中における盗難事件等が頻々としてまた起つてつておりますから、この鉄道公安官の実情、及びさつき申し上げました鉄道事故並びに妨害等に関する問題等につきまして、至急にこれはわれわれ承知をいたしておく必要があると思いますので、それらの方面方々も次会にお呼びをお願いいたしまして、御説明を願うように、なるべく早い機会に希望いたしておきます。
  77. 前田郁

    前田委員長 ただいま尾崎君の御要求の件も、淺沼君の問題と同一に、次会においてとりはからいたいと思います。  それでは次会は公報をもつて通知いたします。本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時十五分散会