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1950-02-16 第7回国会 参議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十六日(木曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   委員の異動 二月十三日委員田口政五郎君、森田豊 壽君、水橋藤作君及び平野成子辞任 につき、その補欠として小串清一君、 一松政二君、城義臣君及び鈴木清一君 を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○小委員会設置の件 ○小委員選任の件 ○派遣議員報告一般労働問題に関する調査の件   —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) これより労働委員会を開会いたします。  労働委員の方の変更がございましたので、御紹介申上げます。田口政五郎君、それから森田豊壽君が辞任になりまして、それから新らしく城義臣君、一松政二君、それから小串清一君、それから無所属懇談会水橋委員、諸派の平野成子君が辞任されまして鈴木君が新らしく委員になられました。御報告申上げます。  それで本委員会理事でありました民主自由党田口政五郎君が御辞任になりましたので、現在本委員会割当てられた理事の数が一名欠員になつたわけであります。参議院規則第三十條によりまして理事補欠互選を行いたいと存じますが、互選方法如何ように取計らいますか。
  3. 平野善治郎

    平野善治郎君 只今議題になりました理事互選に件につきまして、成規の手続を省略して理事の件は委員長に一任することの動議を提出いたします。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) 平野君の御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないと認めます。  それでは私から城義臣君を理事に御指名いたします。
  6. 城義臣

    城義臣君 只今委員長から理事に御指名がございましたが、努力をいたしまして責任を果したいと存ずる次第であります。  尚この際一言御挨拶して御了解を得たいと思いますが、前回乃至前々回にいろいろ党の事情もございましたり、御本人の都合で出席ができなくて、甚だその点当委員会の運営についていろいろと御迷惑をおかけしたのではないかと、その点誠に恐縮に存じております。この際一言御挨拶を申上げる次第でございます。   —————————————
  7. 山田節男

    委員長山田節男君) それから次に、この本国会におきまして、労働委員会に対する請願陳情が参つておりまして、請願三十件、陳情二件参つておりますが、これらの審査をいたしまするために、小委員会を設けたいと存じますが、小委員会を設けることにつきまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは御異議ないと認めまして、小委員会を設置いたすことにいたしますが、この小委員会委員互選につきまして如何いたしましようか。
  9. 平野善治郎

    平野善治郎君 小委員選任委員長に一任することの動議を提出いたします。
  10. 山田節男

    委員長山田節男君) 平野君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないものと認めます。それでは私から各会派に代表して頂くというような形式にいたしまして、緑風会から波田野林一君、民自党から城義臣君、民主党から平野善治郎君、社会党から原虎一君、無所属懇談会から鈴木清一君、共産党から中野重治君、この六人の方にお願い申上げたいと存じます。  それではこの小委員の方には、委員会が終りました後に、この請願並びに陳情審査方法、或いは小委員長選任等につきましてお集まりをお願いいたします。   —————————————
  12. 山田節男

    委員長山田節男君) それから一月休会中に、平野委員北海道労働事情を御視察にお見えになりましたので、その御視察の結果を概略御報告申上げることにお願いいたします。
  13. 平野善治郎

    平野善治郎君 只今委員長からお許しが出ましたので、北海道における労働調査報告簡單に申上げます。  本年の一月八日から十七日までの間、北海道労働調査を命ぜられまして行つて参りました。全体として労働関係官署及び道庁労働部は、その任務の遂行に非常に熱心であります。併しながら労働問題がその対処する幅と広さが急速に増して来ておる現況では、予算割当が少いために、必要なる活動が不可能の状態に置かれておるということは、非常に残念なことであります。特に北海道は広い地域を擁しまして、その上交通事情が非常に惡い場所であつたために一層の苦難に直面しておることを深く考慮する必要があろうと思います。  失業者は各地区共昭和二十四年夏から急速に増加をして参りまして、尚、今後もますますその数を増す傾向にあると見て参りました。従つて失業保險給付額も、昨年の一月より十二月までの経過を見ますというと、予想以上の増勢を示しておりまして、今後更にその度を高めることが予想されます。六ケ月間の給付満期になるものも相当出て来ておる現状であります。求職者各地安定所に行つて見ますというと、どこも一杯でありまして、その態度も非常に神劍であつて、聞いて見ますというと、去年の春あたり相当職種希望についても自分達でいろいろ言つてつたそうでありまするが、今では職種希望は余り申出ないで、就職さえすればいいというような気持ち、そういう人が非常に多くなつて来ております。日傭労務者就職は、行つたときにおいては除雪その他のことで、非常にやらなけれバならん仕事があつたせいかも知れませんが、一般には良好でありました。併しこれが永続性については、いろいろ安定所或いは労務者の方から聞いて見ましても、非常に不安な状態にあるようであります。一方求職の方は大口の工場会社等申込みは皆無と言つても差支えありません。従つて求職は一、二名、程度求人者安定所が開拓いたしまして、そうして就労の斡旋をしているわけであります。その最も多い就職先は、各地とも商業部門でありまして、今後中小企業の不振が具体化して来ると、これらの受入れ口がなくなるのではないかという心配があるのと、今までの就職者も或いは離職の止むを得ない結果に陷るのではないかという心配があります。  労働賃金金額について見ますと、一般には比較的良好な状態だと私は見ましたが、寒地特殊事情考慮に入れると、全国平均よりはやや低いように思われます。賃金の不拂い状況でありますが、各地とも相当にこれはありまして、私が予想したよりも多い件数がありまして、労政事務所や、基準局等努力の結果、昨年の末で或る程度整理各地ともいたしております。併し尚相当拂いのものが残つておりまして、而もそれは主として申告による件数だけが見られるのでありまして、申告しない件数相当あるのではないかということを各地官庁も認めております。この不拂いの中には、もう事業が破産いたしまして、支拂い絶望のもので、殆んど昨年の末で整理もできなかつた、そういう状態のものが多いことは注目されます。  労働争議でありますが、これは罷業を以て争議中のものは、昭和電工の豊里炭坑がやつておりまして、十一月二十七日から争議を開始しておりまして、私が現地に参つたときにはまだ継続中で、労資が完全に対立しておりました。その他の地区には罷業をして争議中のものはありませんでしたが、賃金値上、協約改訂等粉議中のもの、交渉中のものは相当数あります。併し全体としては企業を守り立てて行くことを考えながら、その主張を貫徹したいというような合理的な方向に労資とも向つて行くという傾向が見られます。又交渉お互いの理解の下に行われて、感情的にとらわれるという面は非常に少くなつて来ております。  現行の労働立法に対する経営者側意見は、一般基準法については改正希望を有する者が可なりありますが、併しながらこの基準法に対して、非常にこだわつて、これを改正しなければならんというような強い意思は余り大きな工場では聞きませんでした。小さいような企業ではやはりこれは直して貰いたいという意見が非常に多いように感じました。それから労働者の中にも労働時間の延長を希望している者もありますが、これは現在の定時間の給金では不足であるというようなことが根本原因なようでありまして、賃金の実質的安定が保てれば問題にはしておらないようであります。  労働組合法については、前回改正に対して経営者は概ね賛成しております。労働者側前回改正を、これは全く改惡と見ているのが殆んで全部でありまして、どこの労働組合、或いは労働者の人に聞きましても、改正とは言つておらないのであります。それから労働組合に対する使用者側の援助は全然その姿を消しております。このことについては労働者側も全部認めておりますが、一部の小さい組合においては專従者を置きますというと、給金負担が非常に組合が小さいと急痛なのでありまして、專従者を廃止するというふうになつておりますが、現在の労働行政から言つて、いろいろな不便がありまして、これには手を挙げておるということで、やはり関係官庁に出す書類の提出とか、その他がいろいろありますので、特別小さい組合に対しては、やはり何か経営者、或いは他から援助して貰うような便法がないものかというような意見各地相当ありました。  それから福利厚生施設につきましては、視察した場所が比較的に大きな事業場であつた関係もありますが、割合に内地よりはいいと思つて見て参りました。それから労働組合使用者側とのいろいろ粉議、或いは折衝の中心になつておるものは、労働協約改訂をめぐつて双方主張に可なりの差があるということであります。行きました事業場では、殆んど労働協約が大体切れまして、新規の更新ができないで、お互いがまだ意見の幅があるというままで交渉継続中のものが殆んどでありました。それらの中には組合構成員の問題、係長まで組合員でないとか、こういう構成員の問題、それから賃金ベースをどうするかという問題、それから特殊手当支給問題等が主でありまして、こういうことにつきましては、殆んど、どこも、日鉄、或いは苫小牧製紙日銅その他の事業場も全部交渉中でありました。  全道視察し得なかつたのでありますが、函館、小樽、札幌、旭川、美唄、苫小牧室蘭等を見まして、北海道における大きな炭坑を初めとする石炭業は全部企業合理化を望んでおりまして、でき得れば人員整理希望しております。不可能な場合でも、新規採用を全部見合せておりまして、自然減員方法をとつております。そうしてこれらが坑内坑外施設を改善して、そうして合理化に進んで行こうということをやつております。  それから製材、木工、合板等木材産業は非常な不況でありまして、そうして事業停止をしたものが沢山あります。こういう傾向でありまして、今後良好な業態に立直るということはなかかな予想がむつかしいのでありまして、失業者の数も相当増すのではないかと思われて来ました。製鉄、製鋼等もほぼ現状のような條件下にあるのでありまして、全部雇入停止をしております。産業の中で比較的良好なように見て参りましたのが、パルプ製紙の部面でありまして、これは今北海道で人も増して計画をしておるところもあるように存じますし、非常にいいのでありまして、従つて賃金條件等も他の事業場に比べては非常にいいようであります。中小企業等について聞いて見ますというと、これは北海道における石炭業木材業の二つが非常に惡くなつたということと、あすこの北洋の漁業が殆んど昔のようにならなかつたというようなことから、非常に町工場あたりを聞きますというと、炭礦が不拂をしたからこうなつたとか、木材産業が潰れて代金が取れないとかいう、そういう関係中小企業も非常に苦しくなつているような状況のように見えております。  農業の方面を聞いて見ましても、段段余裕を失つて来ましたので、この分で行くならば、本年は更に多数の失業者ができるだろうということが予想もできますし、又現地官庁も異口同音にそれを言つております。北海道庁の労働政策をいろいろ聞いたり見たりしましたが、非常に熱心でありまして、相当額予算を計上して、福利厚生施設労働教育失業対策等に積極的に活躍しております。特に労働会館各地に作りまして、そうして一般の宿泊の外に図書室を設けたり、いろいろなことをしておりますが、特に札幌には労働科学研究所を設立いたしまして、三十数名の人によつて労働の科学的な分析を行なつておることは非常に注目すべきものだと思います。ここには南さんが主宰されまして約四百万ばかりの資金でやつております。いろいろな資料を作つておりました。それから北海道特殊事情中で、労働行政が画一的な北海道に対しまして予算割当、そういうことをやつておることによつて、実際の労働省関係官庁が動きが取れないということが強く指摘されることであります。これはあの土地が非常に広いのでありまして、どこへ行きましても一官署受持地域というものが小さい県ぐらいのものを持つているのです。そうしてそれに対してやはり殆んどそのことを考慮に入れないでやつておるというような状況であります。そうして交通事情等も非常に不便でありますから、実際関係官が参つていろいろなことをやるにいたしましても、日数が非常に止むなくかかる、或る場所においては、どうしても行つて来ると三日かからなければ行つて来られないという極端なところもあるのでありまして、これにつきましては、各官署は極端に言いますというと、官署を置くなら最低の身動きの取れるような実質的な予算を増して貰わなければならんということを強く言つております、それが事実でありました。又庁舎のようなものも殆んど不完全なものが多くて、一時仮のものであるというのが普通でありまして、これでは急速にこの状態を或る程度改善しなければならんかと思います。又非常に相当多くなる傾向にある失業者救済のために、いろいろ各地意見を聞いて見ましたが、現在北海道内における私企業が、そういうような整理状況でありますので、到底これはできないというような意見が殆んど全部でありました。従つて非常に北海道といたしましては、北海道開発計画というものに重点を置きまして、そうして是非政府の力でやつて貰いたい。そこに公共性企業を実施して貰つて、それで北海道労働状態は勿論のこと、外の沈滯した北海道情勢を盛り返して行きたいということが、どこの座談会にでも言われることでありまして、この点につきましては全道を挙げて意見が一致しております。尚、各地区ごとや各事業場状態は別に資料を提出してありますから、機会がありましたら、詳細の説明をしたいと思いますが、以上簡單に御報告を申上げます。   —————————————
  14. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に、一般労働問題に関する調査でございますが、本日お見えになつておる鈴木労働大臣が、今関係方面に行つておられまして、その用事が済めば間もなくこちらの方にお見えになることになつておりますが、今新谷政務次官並びに齋藤政府委員等がお見えになつております。何か政府の方策につきまして御質問等がございますれば、お願いいたしたいと思います。労働大臣は間もなくお見えになるそうでございます。
  15. 門屋盛一

    門屋盛一君 大臣が来られるまで、二三細かい質問をしたいと思います。新谷政務次官でも、安定局長でもいいのですが、現地及び本年度内の失業者の現われて来る、つまり顯在になつて来る見通しをどういうふうにお立てになつておるか。私の見るところでは、一月から各地区、各地方とも失業者本当に現われて来る、それは大体昨年の行政整理なり、企業合理化に着手して当然失業者になつた者が、失業保險法により保險金給付によつて今まで本当失業者にならないでおつたのが、失業保險の期限が切れたことと、それから何とかなるであろうというので、各企業体において本当人員整理にかかれなかつた、言換えると、企業体人員整備資金がなかつた。それがもう資金があつてもなくても、今平野委員の御報告にもあつたように、もう金が拂えないで事業が潰れるというような状態になつておるので、一月以降急速に失業者が殖える。これが労働省の方にどういうような数字で現われておるか、従つてその失業者に対する安定施策というものに対する方針の立て方が、本年度二十五年度予算を組んだところの七月、八月頃の情勢とは少くとも見通しが狂つていなければならない。若し見通しが狂つていないとしても……、その見通しが狂つているかいないかということをお尋ねしたい。そこでその次は、二十五年度予算に組まれたところの四十億という数字はどういう考え方から出たか、これが本当安定当局の自信を持つ数字であるか。率直に言うならば、労働省安定当局としては、これはもつと必要な、金額を言うならば百億くらい必要であつたのではないか、併しそれが均衡財政関係上抑えられたのか。何によつてこの数字が四十億という数字に決定されたのか、ということは、二十四年度予算を決定する上にも、この緊急失業対策事業法審議に当つても、緊急失業対策法というものの予算裏付けがなかつたならば、空文にひとしいものがあるということを我々は主張し続けています。それに対して鈴木労働大臣答弁としても、この法律ができておれば、大蔵省の方では、予備費からでも何からでも金が出せるというようなことでごまかし、又この委員会安定本部長官大蔵大臣を呼んで聞いた折にも、行詰つた金は直ぐ出すということを大きく言明しておつたにも拘わらず、二十四年度予算実施に当つては、当初予算の八億三千万円をまともに使えば、直ちに使い切る筈のものを、補正予算ができるまで地方要求を抑えて、つまり予算がないから、地方にその配付をわざと率を少なくしておるというような事実があるのです。そうすると緊急失業対策事業法というものをこの法律で決めておるにも拘わらず、行政当局はその法律精神を曲げて、緊急なる失業対策をやらなかつたという事実が二十四年度予算の実績においてはつきりと現われておる。これは否むことはできない。その結果、補正予算においても当初二十億を要求しながら、これが八億三千万円に減らされた。従つて現在各地方からの要求して来るところの失業対策事業費に対しては、恐らくその要求の半分にも応じきれておらないのじやないか、これを縮めて言うなら、二十四年度予算で実施したものは、地方要求の何パーセントグらいの要望に応じられて来たかどうか、これが私は二十五年度予算審議に当つては最も必要なことであり、立法府として見逃すことのできないのは、その法律精神をも沒却したところの行政が行われておるということは見逃がせない事実であります。それが第二点であります。  第三点としましては、私は大体この失業保險法は、失業対策事業費との関係をどういうふうにお考えになるか、私は失業者の出たものを失業保險で一時的に賄つて置くということは、余り労働者失業者の指導上から言うても面白くないのじやないか、むしろ失業保險法で支拂うべきものは失業対策費を増額して、失業認定をすると同時に、直ちに緊急に振替えられる事業を拵えて置かなければいけないのじやないか。現実の状況から行きますと、各都市とも失業者を主体とするところの日傭労務者が、これはまあ或る組合示唆もあると思うのですが、單に組合示唆ばかりではない、実際に食うことのできない者が、各自治体の市長なり、市町村長を取巻いて懇談をしておる。こういう状態に対して、政府はそれらの手を打つことができないことで以つて予算的の裏付けがないということに対してどうお考えになつておるか。それから又大体においてこの失業者の出るということは、この労働者の居住しているところのその地方自治体施策が惡くて失業者が出るのではなくて、均衡財政を堅持するという建前から出る失業者であるから、日本経済自主性を持つために企業合理化をやつて行く、その企業合理化から出る失業者なんであつて、言換えるならば、これは国の政策転換によつて出るところの失業者を、地方自治体がこの負担をしなければならんというところに不合理があると思うのです。現在予算に盛られているものは国の予算が四十億であつて、これに対して大体四〇%、五〇%くらいは見ている自治体がある。少ないところでも三〇%は見ているというと、この四十億のものを平均三〇%見るとしても十二億、五〇%見れば二十億の地方財政を苦しめることになる。国の政策転換によつて発生したところの失業者を、ただそこにその人がいるということで以て、その失業者の多く出たところの市町村は、現在地方財政が非常な困窮に陷つている中から、更にそれだけの負担を増さなければならんというようなことになるのです。これらに対して、この四十億という数字が決定したまでの経過及び今後の考え方、本年度これがこれで足りるのか足りないのか。先日の自由討議における新谷政務次官答弁によると、失業対策というものは、一般公共事業及び産業勃興によつて相当失業者は吸收されるから、そう沢山見て置かなくてもいい。これは一面我々もそれは考える。考えられる点であるけれども、公共事業費がですね。本当失業救済面の働きを起すのは早くて七、八月、遅ければ十月になる。それから産業勃興によるということは、今日のごとく長期資金が欠乏し、国民の蓄積力がないときに容易に望めないことであつて、現に二十四年度予算を実施する上において、ドツジ・ラインで穴のあいたところを見返資金で埋め合わせて行くという見返資金予定通りに放出されていない。であるから、もう一ケ年のバランスをとれば、それは公共事業費民間企業の発達によつて失業者は賄い得るということは言い得る。であるけれども、それは労働者が一つの貯蓄をしておつて、一年なり、半年なり食えるというような事態ならば、それは一ケ年平均だけでもいいけれども、失業したら……今日の状態では失業した者はもう翌日から生活に困る。生活に困るようなものを掬い上げて行くのが萩急失業対策法精神なんで、だが私は按ずるに労働者当局、並びに大蔵当局において、緊急失業対策法精神が体得されていないのじやないかと思う。それが体得されておつたならば、恐らくこの四十億というのは百億くらいになつて、そうしてこの失業保險の金を拂い出さなくて済むような状態にするのがいいんじやないか、こういうふうに考えておるんです。まあ大体その辺で一度御説明伺つて、又後の質問に入りたいと思います。
  16. 新谷寅三郎

    政府委員新谷寅三郎君) 門屋さんのお尋ねに対しましてお答えを申上げます。数字的な御説明は後で安定局長から申上げることにしたいと思います。又ず業対策費四十億円を政府内部で決定したことの経過につきまして、私は閣議における論議の内容は存じませんので、これは大臣が後程見えますので、閣議決定における経過につきまましては、大臣から御説明を申上げた方がよいと思うのであります。  非常に広汎な而も根本的な御質問でありますので、私のお答えするところで以つて盡せるとは思いませんが、私でお答え申上げられる範囲においてお答え申上げたいと思います。先般の本会議における御質問に対してお答え申上げました趣旨は、その緊急失業対策事業というものは、先ずこれが先頭に立つて失業救済に当るということよりも、公共事業の拡充ということもございますし、又一般産業が起つて来ませんと、こういう消極的な方法では全般的な失業救済にはならないことは勿論でありますから、そういつた点と睨み合せまして、そうしてそれでも尚且つ今お話のように、場所的に或いは時間的に出て参ります失業者というものを、機動的に失業対策事業費以つてつて行くというように動かすのが緊急失業対策事業法精神であろうかと思うのであります。そういう意味におきまして、労働省としましては、できるだけ各地の実際の失業者発生状況、それから失業深刻度等を見まして、実情に合うように努めて参つておるのであります。勿論二十四年度におきましても、御意見のように、これは十分に行つているとは必ずしも考えておりません。併し予算言囲内におきましては、只今申上げましたような趣旨で、できるだけ実情に合うように機動的に動かして参つたのでありまして、二十五年度におきましても、これで十二分であるかと申されますと、我我としましては、当初もう少し沢山な金額についての希望を持つてつたことも、これは事実でありますけれども、それは一般財政の点から、恐らく全般の財政方の見地から四十億ということになつたのだと思いますが、同時に公共事業或いは見返資金、或いは産業の振起というふうな面で、労働力がどのくらい吸收されるであろうかというような点と見合つて、これは決定されたものと考えるのでございます。  それから最後にお尋ねのございました地方財政との関係についてであります。この点は門屋委員も御承知かと思いますが、先般来労働省としましては、これにつきましても、地方財政が窮乏しておる際にその相当の部分を失業救済事業において県なり或いは市町村負担させるということが段々困難になつて来るのではないかという考えを以ちまして、関係方面とも折衝をいたしておるのであります。今日又これを変更いたしまして、つまり国庫負担部分を相当引上げる、或いは全額国庫負担にするとかいうところまでは決定はされていないのであります。併し労働省としましては、お話のように地方財政の窮乏というような点も十分考慮に入れまして、直ぐにその国庫負担分を引上げることが困難でありますれば、少くとも当面地方財政の窮乏を救います一助にもなると思うのでありまして、例えば失業対策事業裏付けになるような地方起債をやるというようなことにつきましても、只今交渉をいたしておる次第でございまして、御趣旨の点は私も十分に了承いたしておるのであります。只今はその段階までしか行つていないのでございまして、今後もその方向に向つて努力をしたいと考えておる次第であります。数字的な問題につきましては、安定局長からお答え申上げます。
  17. 門屋盛一

    門屋盛一君 その数字説明に入る前に、緊急失業対策費に機動性を持たせる、それから本当公共事業産業勃興に間に合わないときに使うのがこの失業対策費だということは政務次官もよく御存じである、御存じであるが、私の聞いているのは、二十四年のこの緊急対策法が実施された初年度における実績はどうであつたか、果してその目的を達しているかどうか。こういうことをお尋ねしたんです。率直に言つて貰いたい、それから今年度予算におきましても、もう少し要求したのであるけれども、一般財政の都合から止むを得ないのであつたろうという締め的なお言葉が出ているようでありますけれども、私は本年度一般予算を見まして、千二百数十億の債務償還をやるだけの余力のある国家財政が、何がためにこれだけ窮迫している失業対策費が出せなかつたかというところに非常な矛盾があつたと思います。一口に言えば、私は労働省自体が今日の失業状態本当に把握しているのかどうか。又労働大臣労働政務次官、安定局長と、三人お並びになつて失業者のために職を賭してでも、日本の失業者を正しい方向に持つてつてやろうという考えがあるかないか、疑うようになつて来たのであります。初めは非常に信頼しておつたが、疑いを持つて来た。どう考えても、これだけの失業者を拘えて、二十四年度の緊急失業対策では、これは緊急失業対策法精神に戻るような結果になり、法の精神に副い得なかつた。二十五年度においては四十億で足れりというお考えか、足らないならばどういうようにやるか、大蔵省との折衝の熱意が足らなかたのではないか。仮に速記が惡かつたら、速記を止めて置いて、率直に聞かして貰いたい。これは本年六月、七月になれば、民間企業も多少興つて来ると思うから、楽になるかも知れないが、現在から半年、上半期においては、この緊急失業対策費で以て賄つて行く以外に方法がない事態に陥るのではないか。これつ一つ、数字のことはあとでいいですが……。それから今の最後の全額国庫負担であるべき性質のものを、何かこれをいつまでも地方に苫労をかけているという、起債をやるのならば、当熱二十四年度の起債の中に入つていなければならん。起債をやつたつて地方の者の孫子の代までも借金になる。起債は呉れるんじやない。それは全額国庫負担でなければならん。相当の理由があつて折衝すれば、関係方面と雖もおつかながることは要らん。この点も、大臣見えたようですから、はつきり一つ……
  18. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) 途中で、よく呑み込めませんから、もう少しお聞きしてから……
  19. 新谷寅三郎

    政府委員新谷寅三郎君) 二十四年度失業対策事業の実績につきましては、数字的にはあとで安定局長から御説明申上げますが、緊急失業対策法が施行されましてから、大体大きな流れを通観して見ますと、御承知のように、昨年の夏頃からの企業整備或いは行政整理等によりまして、失業者相当発生いたしまして、当初予定しておりました八億の金額では賄いきれなくなつて参りましたので、御承知のように関係省及び関係方面と折衝いたしまして、第三四半期までにおいて八億余の失業対策費を支出いたしまして、第四四半期におきまして、補正予算で以て八億五千万円でありましたかの失業対策費を計上いたしたのであります。結局結論的に見ますると、各地失業者発生状況が、当初考えておりましたよりも相当深刻であつたということは言えるだろうと思うのであります。併し緊急失業対策事業を施行いたします場合に、各安定所における窓口の状況を見て見ますると、いわゆるアプレと申しますか、緊急失業対策事業に吸收できない失業者の数というものは、これは実はそんなに大きな数ではない。併しこの枠を広めて参りますと、二ケ月乃至池ケ月はいいのでありますが、又直ぐに或る程度のものが出て来るというような状況を繰返しておるのでありまして、昨年の夏頃から漸次に枠の吸收量を引上げて参りましたが、併しそれが長い間、結局いわゆるもちませんで、只今でも的八万人程度失業者に対しまして、就労できるように措置しておるのでありますが、最近におきましては、引上げた直後にも拘わらず、或る程度の残りが出ておるというような情勢でありまして、これは只今農閑期であるということもございましようし、門屋委員御指摘のように、いわゆる潜在失業者が漸次顯在化するという傾向も現われておるのであります。それからもう一つの、それは直接に緊急失業対策事業関係のないことのように考えられますが、実際に公共事業方面失業者の吸收量というものを具体的に調べて見まするに、労働省においては、御承知のように二〇%乃至四〇%の失業者を吸收するようにということを指示いたしておるのでありますが、実際においては、これが十分に行われていないという傾向が見られるのであります。先般も申上げましたように、この点につきましては、労働省のみならず、関係の各省におきまして、この失業対策というものが現在の極めて重要な問題であるという認識の下に、やはり公共事業方面においてより多くの失業者を吸收使用できるように十分な協力をして貰わなければならんと考えておるのでありまして、この点につきましては、関係各省にも再々協力をお願いをしておるのであります。そういうことによりまして、現在のいわゆる窓口のアブレということは、実は数から申しますと、そう大きな数字ではないのであります。御承知のようにいろいろの関係からいたしまして、場所によりましては、少数のアブレの人達と合流して、職場を放棄しても就労者と一緒になつて騒ぐというような状況が出ておる。それは緊急失業対策事業だけの問題とも考えられませんが、この方面におきましても、やはり労働省としましては、先程申上げたような意味で、機動的に相当の雇用量をその場所に殖やして行くというような方法はとつているのであります。十二分だとは勿論私も考えておりませんが、そういう方面にできるだけの力を盡くしておる次第でございます。  それから次の地方財政関係でありますが、これは失業救済というような性質から言いまして、市町村等に過酷な責任を負わすということが不当であるということは了承しておるのであります。その意味におきまして、先程申上げましたように、でき得ればもつと国庫負担金を殖やして行く方向に向つて努力しなければならんということも考えておるのでありますが、ただこういう点もやはり一応考えなければならんと思います。と申しますのは、失業救済という点からだけ見ますると、門屋委員のお話のようなことになると思うのでありますが、一面やはり地方の公共団体におきましても、若干の受益する部分があるのであります。そういう点につきましては、地方公共団体の負担をゼロにしていいかどうかという点につきましては、多少の考究をする点があるのじやないかと考えておるのであります。言換えますと、全額負担がいいか、非常に国庫負担率を上げて行くのがいいかという点については、いろいろの又意見があるのであります。併し現在の労力費三分の二の補助、事務費の若干の補助というので十分かということになりますと、我々の率直な意見をというお話でありますから率直に申上げますが、今の国庫負担程度では、地方財政に対する影響も大きくなりますし、失業救済の本旨から見まして、もう少し国庫負担分を上げて行くべきであるという考えを以ちまして、只今折角折衝をしておるような事情でございます。
  20. 門屋盛一

    門屋盛一君 大変御丁寧な御説明で非常に有難いのですけれども、中心をはずされちやつておるので、その点は不満なんです。私の尋ねておるのは、二十四年度の緊急失業対策の実施に当つて、当初予算の八億三千万円を大事に温存するために、できて来たところの失業対策の通牒を遅らしたり、いろいろして抑えておつて地方からの要望に対して直ちに応ずることができなかつた。あとの補正予算の決まるまで、安定局の方で通知ができなかつた。当初二十四年度予算大蔵大臣労働大臣がここで説明した折には、その金を使い切つた折はいつ何時でも出して、失業者で出て来ればそれを使いますという言明をしておつたにも拘わらず、実際の運用に当つて行政当局が、立法府で作つたものをまじめに動かして貰いさえすればいいが、それを立法府において言明したところの運用をやらなかつたのじやないか、というより、やれなかつたのじやないかということに対して率直に聞きたい。それも数字的に言えと言うのじやない。実際そういう事実があつたかなかつたか。それがあつたとすれば、二十五年度ではもつと考えなければならんのじやないか。それから今新谷次官の説明の中に、昨二十四年度において、現在年度は今年ですが、去年の年末までの失業者は意外に多かつたと言われるが、実績から言うと、我々の予想よりは意外に少なかつた。その理由は、行政整理にもブレーキをかけたし、民間でも、整理するにも整理資金がないから、給料の遅配、欠配で繋ぎ止めておる。もう今日となつて整理資金もなく、遅配、欠配も続かなくなつたから、自然に堤で切れるように失業者が出て来るから、一月、二月になつて失業者がぐつと殖えて来ておる。こういう点は、労働者の流れというものをよくお考えになれば、去年は意外に多かつたのではなく、意外に少なかつたものさえも完全に吸收できなかつた。それからあとの地方財政の問題ですけれども、地方財政は、これは全額国庫負担にすべき性質のものであるが、受益率は確かに起債か何かでカバーしてあるものはよいと思うけれども、よい方面に道を開けておいてやらねば……現在、地名だけは遠慮しますけれども、私の視察による都市でも失業者は二千人から出ておる、失業対策事業費を二千人分要求して、若し二千人来られたら市の負担が重くなるというので、事業を縮小して出しておる。だから実際に三百か四百しか失業者は吸收できない。今新谷次官は職場を放棄した者も混つて市長をいじめたというけれども、それはその通りです。私もここどさつき言つたように、それは組合等のいろいろな指示があつておる者もありますけれども、大体において発生したところの失業者を賄うだけの計画がない。事業も幾らもあるけれども金の出場がない。起債なら起債のみでやる。或いは全額国庫負担なら全額国庫でやつてやるとすれば都市は楽になる。これは一般公共事業の方に四〇%人を使えとか、いろいろな指示がありますが、一般公共事業、殊に土建なんかは都会地の失業者は好まない、行かない。地域関係でそこまで行けない。だからどうしてもこれはもう少し吸收できるように、大都市を中心にこの緊急失業対策というものを立てなければならん。そうすると都市の負担が堪えられないということになり、お考えは結構でありますが、全額国庫を八〇%までして、あとの二〇%を地方債でやるならやる、起債の途をあけるならあけるかして、千人なら千人の失業者が出たら、その割でそれを直ちに事業計画地方当局から立て易いようにしてやらないと、法の精神を壞してしまうのではないか、こういう質問なんです。
  21. 新谷寅三郎

    政府委員新谷寅三郎君) 今の質問に対してお答え申上げます。二十四年度失業対策事業を止むを得ず起したのではないかということですが、私の携わつておる範囲では、二十四年度から実施いたしまして、多少いろいろな手続が遅れた関係もあつたかと思いますけれども、地方からの要求の全額を容れることは、予算関係でもできなかつた点もございましよう。
  22. 門屋盛一

    門屋盛一君 予算関係で容れなかつたという、そこがこの法案の精神には合わない。
  23. 新谷寅三郎

    政府委員新谷寅三郎君) その点もあつたかと思います。殊に先程申上げましたように、夏から秋にかけては、そういうふうな傾向が認められたことはこれは事実だと思います。併し一方で、こういう点も門屋委員各地をお調べでございますから、御承知かと思うのでございますが、二十四年度公共事業費というものが非常に少なかつたという関係でございます。結局本来ならば公共事業費で賄うべき仕事、そういう仕事も何とかして事業そのものをやりたいというような一団体の希望がありました。失業状況から言いますと、まださまで失業者相当集団的に現われて来て、そうして放つて置くと社会不安を醸成するというような事態になつていない場所でありましても、失業救済事業によつて、本来公共事業でやるべき仕事を割つて行こうというような傾向が多分に見えたのであります。この点は私らの方で失業状況を窓口を通じましていつも見ておるわけであります。そういう地域におきましては若干の、それ勿論失業者はあつたでありましようが、それを後の方に延ばしたというような事実もあつたかと思うのでありまして、結論としまして、あれで予算が十分でなかつたということも言えましよう。併し地方から持つて来たものを全部それを失業事業で一刻も放つて置けない状況ばかりあつたかというと、当初はそうでないものも相当含まれておつたので、この点は緊急失業対策事業の本来の精神から見まして、地方の方でそういう傾向にありますと、これは先ず失業救済という点から見ると第三義的に考えていたのではないかということも言い得るのであります。
  24. 門屋盛一

    門屋盛一君 その点が一番大事な点なのです。それはあとの地方負担のものがはつきりしてないために、むしろ失業者を多く持つている都市に、失業対策事業を多くしたいと思つても、それは今次官の言われる通り、財源を捻出するのに或いは市会とか、その他に非常に議論がある。むしろどうでもやらなければならん性質の公共事業を持つている都市は負担額の三分の一というものを簡單に早く認めている。だからここに現われて来たものは法の精神と異なつた事業が現われて来て、途があけてないために法の精神を生かして行くことがとれなかつたのではないかと思う。それでよく分りました。だから今後一番大事なことは、失業者の発生しておる都市の周辺に、その都市の責任においてやる事業は全額国庫負担にしてやるか、地方費の負担を極めて低廉にして、而も低廉なものに対して幾らかの受益者負担のみで起債を認めるか、この途を早くあけて置かないと、今年度予算を組むに当つても、この法の精神に異なつた公共事業費においてやらなければならんことになる。狡い市町村では失業対策の方に切換えて来る。本当失業者を持つているが公共事業費に振替える財源のないところでは安定局の方に要請して来ない。要請して来ないから安定局は地方の要望はないという結果なんだけれども、実情はそうでない。要請して来ないときにも相当の要望があるということをお調べになつているかどうかという問題なんです。安定局長でもいいですから……
  25. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 失業対策事業の起債の件でございますが……
  26. 門屋盛一

    門屋盛一君 簡單にやつて下さい。
  27. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) これにつきましては、昨年の暮でありましたが、地方自治庁の方で事業種目によつて地方起債を認めるという大体の方針を決めまして、昨年度失業対策事業による地方起債の枠をどの程度にするかという問題はまだ決まつておりませんが、原則的には起債は認めるということにいたしまして、昨年の十二月の暮だつたと思いますが、そういう通牒を全国的に出しまして知らせてあります。その失業対策事業による起債の枠を十億にするか、二十億にするかという問題は目下折衝中でございまして、額はまだ決まつておりませんが、原則的には一応承認を受けているような次第でございます。
  28. 門屋盛一

    門屋盛一君 細かい質問はこのくらいにしまして、大臣がお見えになつておりますから、二十五年度予算の編成に当つて、今現われて来た四十億というものを、労働大臣は良心的に四十億あれば足りるとお考えになつておりますかどうですか。一問一答の形式で行きます。
  29. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) これは門屋さんは一問一答でとその点だけをお聞きになつております。お答えとしては足りるとか足りないとか、こうお答えすれば一番門屋さんの御希望の通りで、答えとしては一番まじめであるかと思いますけれども、併し考えて頂きたいのは、失業救済の全体の考え方が、必ずしも緊急失業対策を軽視するという意味ではありませんけれども、いずれにせよ全額如何に拘わらず、あれを以て、あれのみを主力としてはこの戰後の大きな失業対策はやれない(「それは分つている」と呼ぶ者あり)これは誰でも考えております。従つて緊急失業対策の二十五年度に計上された全額自体は、他の條件と引合して考えますれば、今のような情勢の下においては多い程いいと、これは言えますけれども、それも併し関係方面との折衝もあり、又全体の財政との振合いもあつて、なかなかそれだけで以てこちらの意図が十分に、失業対策として達成せられるだけのものは、各般の……敢えて失業対策に限らず、各般の財政に亘つて盛り難い。そういう場合には総合的に考えないといけない。例えば一例を申しますと、二十四年度末、これは今御質問のところに出ておりましたが、最初出て来た五億八百万じや少いじやないかということを、去年の国会に現に私自身が門屋さんからしばしば痛烈な質問を受けて、そうして最後に少いと思います。私も思います。併し失業は……昨年度のことでありますから、四月、五月というときに出て来るのでなくして、十月、十一月頃から出始めるのだから、そのときに異常な決心をいたします。それでその決心は何だと門屋さんから更に疊みかけて聞かれた。そして現に門屋さんが繰上支給をする覚悟があるか、こういうことまでお聞きになつたのであります。というようなことで以て九月、十月と差しかかつたわけであります。その間に今お聞きしていますと、事務的に、或いは意識的にそれを少し押えて、その間に時間的のギャップを作つた形跡もないじやないかというような御質問の点もありました。私といたしましては極力急げ、少々無理があつても急げ、こういうことを安定局長その他に命令はしておりましたが、細部の点につきまして、例えば或る年にこういう事実があつたということにつきましては、必ずしも私のやつたことが万全に滲透しておつたとは思いませんから、更にお聞きしますが、方向としてはそういう方向でやつて来たのでありまして、そうして実は二十四年度補正予算がまだ決定しないそのときに、もうすでに門屋さんのおつしやるように、八億何千万円を思い切つて繰上げてやらなければ危險だという状態の方が先に来たのでありまして、あるときに私はよろしいから使つてしまつて下さいということを実は命令したのであります。その通りに行政的にずつと行つたかどうか知りませんが、可なりの危險も冒してやつた。今に至ると十分とは思いませんけれども、門屋さんも指摘されたような思い切つたやり方をやつて年末年始に来たと思います。その善後措置としてどうしたかというと、今度は従つて一月以降はないじやないか、これも分つておりますので、御承知のように八億何千万円から計上いたしました。それからこの情勢の下ではまだ冬寒季危險だと思いましたからして、追加予算公共事業の方に五億円というものを特に入れておいて呉れ、そうしてこれは普通の公共事業は田舍で行われるけれども、これはそういう、本来ならば労働省がやるべきところの緊急失業対策の性格を持たせたいのだけれども、予算関係上これを公共事業費に入れて置いて、その代り労働大臣と相談して、この五億円だけは緊急失業の不安のないところと睨みし合たところだけを中心としてやつて貰いたい、こういう話合いで大蔵大臣も、建設大臣も了承して、一度こつちへ入れてあるのを、但し別会計で入れたわけであります。そうして実際にやるということになりますと、これは門屋さん一番御承知でしようが、どうも公共事業というものは予算もあり、方式も決まつてつて、而も時期的に遅れる傾向があるということは事実でございます。この点につきましてはやかましく、第一番にこの五億円をそういう趣旨によつて急速に出して呉れということは、もう一月の初頭からやかましく安本にも交渉をしておりますと同時に、これからがお答えになるのでありますが、二十五年度におきましても、六億円を殖やして、とにかく四十億円を計上したのでありまして、これが多いか少いかという問題については、いろいろな議論がおありと思います。併し考え方はこれと同時に五百億円が約千億円に引上げられたのであります。一般公共事業の推移というものをこれに結び付けて、そうして今度は二十五年度においては、思い切つて公共事業というものの持つておる、本来は持つてつたのでありますが、持つておるところの失業者吸收性というものを高めて、そうして四十億円と結び付けてやるというより外あるまいと思う。このことは、従つて今申すように、いつも五月、六月になつて公共事業費が出だすのじや駄目だ、今年は拙速でもいいから四月から出して呉れという折衝を安本を中心に今盛んにやつておるところでございます。と同時に、公共事業の中に何十%失業者を吸收すべしという法律的措置は、去年すでにでき上つておりますけれども、私達はこういうふうな方式をも考えておるのだと思います。公共事業と、そうして緊急失業対策事業と、都市で新らしい形で結び付けて行く。例えばここに新らしい公共事業が出て来た。それに対して我々は労力は出せるのでありますから、普通の労務者のような十分な能力は持つておらない場合もあると思いますが、併し事業主から言うば、ただの労働力、ただに近い労働力を使えるのだから、独立したどぶさらいというようなものは、今はやつてないが、名もないような直ぐ消えてしまう事業などに使うよりは、場合によつて公共事業に結付けて、その労力の一部分としてやつて行くという、こういう方式を強くやつて行きたい。そうすれば、そこに公共事業の方の失業者吸收性も高まつて行きますし、門屋さんの只今御指摘になりました地方負担というものも、両方結付けることによつて、或る程度、千人を要望したいのだけれども、資材その他が間に合わないから五百人きり要望できないという問題も、或る程度片付いて行くのじやないかと思つております。但し御質問の一番根本に入りまして、全額国庫負担はどうかという問題でありますれば、考え方としては、それはそれが正しいのである、私もそう思つておりますけれども、日本の財政、その他の関係、現在の財政、その他の関係より一挙にそこに行き得るということは、なかなかでき難いのであります。むしろ可能性が現在二つ、門屋さんが挙げられた中で、可能性が、より多いのは起債の途をあけて置くという方、これは折衝しておりますが、まだ結論に至つておりませんので、はつきり申上げられませんが、こういうことは異議ないのであります。同感であります。もう一つは、公共事業との密接な結付きにおいて、この問題を解決して行くという考え方を持つておるわけであります。
  30. 門屋盛一

    門屋盛一君 より分りましたし、又大体私の考えておる構想と同じなんですが、先程政務次官にも要求しましたように、起債の枠の決定を早くして置かないと、地方事業計画というものが立たない。事業計画が立たないと、時間的ズレが、どんなに急いでも、公共事業費とか、民間企業の起つて来るのに時間的ズレによつて失業者が出る、そのときに遊ばせずに持つて行く。少し妙な言い方になるが、失業保險給付をやらなくても、この法律によつて遊ぶ人間を拵えない、失業保險給付でやつてるのは面白くない。であるからこの法律精神を生かして、失業対策事業を急速に運べるようにするためには、是非強く、熱意をもう一層出されて起債の枠を先きに拡げて置いてやる。それから正確に言えば、失業救済事業とは言えない、実際上は地上の純然たる地方事業費でやらなければならんものも失業事業に便乘するものも出て来るから、そういうものに対しては、地方負担でやらしていいと思う。特殊の都市においては、そういう意味でなしに、本当失業者を救うために事業を起したものは全額国庫負担とする。その二本建てで結構だと思いますが、今行政手続で直ぐ扱えるところの起債の枠を早く決めるということに骨折つて貰いたいことと、それから質問の四十億は、私は今年の見通しから行けば、四十億では足りないと思うのですが、これは大蔵省を呼んであるのですけれども、主計局が出て来ないので仕方ないのですけれども、何かこれは補正、四十億を使つても、簡單補正予算も組めるのでありますけれども、二十四年度末みたいに補正予算のできるまでの間で、又はつはつと思うことのないようにやつて貰いたいと思うし、それから今年の労働情勢見通しから行きますと、或いは四十億で足りるから知れんと思うのです。これは公共事業一千億ということを今労働大臣が言われたけれども、一千億の公共事業は画期的な数字になつたけれども、災害復旧は全額国庫負担ということになるので、事業量が必ずしも倍になつたというのではない、だから公共事業費に依存することは私は余りに期待をかけていないのであるけれども、民間企業というものがあらゆる形で起つて来ておるから、本当のこの失業対策でやるものはこの四十億で賄い得るかも知れない。これに対して私はこれで足らないということを断言するだけの何もないのだけれども、千二百億の債務償還をやるという建前から行くならば、まあこれは或る程度もう少し取れたのじやないか、私はこの四十億の失業対策事業量をもう少し殖すというのは私の考え方は違うのです。これで失業者になつたものに労働の再教育をやる、大臣も言われましたように、どぶの中に放り込んだような、ただの人間を借りて使うのだから、ただの人間を公共事業と結び付けて使わせるのだからいいけれども、それではいつまで経つても真の有能な労働者が出て来ない。大体今年出るところの失業者は配置転換で出るのが多い、配置転換で出るのだから、その失業対策費を百億くらい取つて置いて、四十億を実際に地方自治体に廻してやつて、あとは労働大臣が自由に使える金を相当つてつて、直接の仕事を、労働大臣の方で労働再教育の費用で以てやつて行く、教育費は余計に必要であるが、教育費が余計取れていないのだから、失業対策の方で取つて置けば、失業対策事業を国がじかに起すわけだ。そこに皆都市周辺のものを集めて新らしく作る道路でもいい、それが高く付こうが安く付こうが遊ばして置くよりいい。仕事は必ずしも土木事業に限つたことではないのである。若し千二百億という債務償還をやる余力があるならば、直接そういう方面に……もつたいない金です。これは使わぬで済めば結構なんですけれども、使い得るその途をあけて置くという意味において……。四十億というものは、労働大臣閣議で折衝負けしておるような気がしてどうもならん。そんなことはないですか。
  31. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) 四十億が多いか少いかということになりますと、五十億でも少いということになりましよう。併し折衝の推移及び基礎は、当時計算したのは、今言つた通り二十四年度は十二月まで八億使つた。それで次の一月からどうするんだ、それで一月からあのときの追加予算で八億になつております。従つて三ケ月で八億、それで十分かどうか、とにかくやつてつて、大体それで以て今の公共事業その他と睨み合せてやつて行こうということになれば、当時私達の考えでは少くとも最小限度それを年間に延ばした、つまり三十二億という数字が一応出て来たわけです。その際に三十億では足りない、あと十億殖せという要望で、一応それが通つて四十億というのが出て来たのでありまして、この見通しは甘いとか、いろいろな考え方があるでしようけれども、飽くまでも緊急失業対策自体にそうやたらに頼まれないという考え方が一方にありましたので、この四十億はこれは私の言つた通りに取れたのでありまして、あとになつてもう少し取ればよかつたということをおつしやるかも知れませんけれども、私はその基礎となつた二十四年度の一—三月八億という数字から見て、先ずこの辺で抑えて置いて、公共事業と結び付けるという考えで行つて然るべきであると考えたわけであります。それから途中からどうするか、これはまあ情勢次第でありまして、今私が昨年と同じようなことをいたしますというお約束ができるわけはございませんし……
  32. 門屋盛一

    門屋盛一君 それは予算経過はよく分りましたが、大臣失業対策失業保險との関係で、大臣の所信をちよつと伺つて置きたいのは、私は失業保險経済は、飽くまで一つの安定政策として、失業保險を使わずに残して置くぐらいの状態になつてつた方がよいのではないか。というのは、失業保險を実施しました結果、失業認定というものは、安定所の機構が不備のために極めて杜撰な失業認定の下に失業保險給付を受けておる。給付を受けた者は六ケ月ならば六ケ月、三ケ月ならば三ケ月、自分の権利のある間貰えるのだ。職があつても十分職を選択しておる。今年出て来るところの失業者は配置転換の性質を持つておる失業であるに拘わらず、元の職種に帰ろらという気はあつても、職を変えようという気が起つて来ない、六ケ月間無意味に過ごすという結果に陷つておると思うのでありますから、失業保險によつて失業者を暫定的に吸收するという考え方よりも、失業対策費をもう少し新たに殖やして……今から研究なさつてもよい。そうして国が直営の補導施設を拵えて、その六ケ月間の給付期間と同じ六ケ月に国が補導するような、その六ケ月の間に転換できる職業教育をやられる意思があるかないか。これをお伺いいたします。
  33. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) 国策全体の考え方としては、それはどうしたつて根本的に失業対策、配置転換を中心とする失業対策という意味から言われますというと、国全体の経費の使い方は、それは門屋さんの考え方の方が本格的だと私は思います。思いますけれども、今失業対策的な補導というふうなものは、一方において補導所を殖やしてやつておりますけれども、あの大量に出て来た人達に実際に応じ得るだけの、急速に補導所を殖やして行くということは、そうあり得れば結構ですけれども、予算の振合上からも、又現実に時間的関係から言つてもなかなかできないと思います。そういう場合にやはり時間的ズレに対しては最良な方法でないけれども、こういう段階では失業保險の制度というものは強力に援用されるということはあり得ると思います。そういう意味で失業保險自体は、門屋さんのおつしやる通り惡いとは思いませんが、御質問の中心の失業保險でやつておる方法相当大幅に肩代りして、緊急失業対策の方を殖やすというふうな行き方は、今までの折衝の点から行きましても、十分それをやり得るまでにはなかなか一挙に行けない実情にあると思います。従つて最良の方法だとは決してうぬぼれたこともございませんけれども、幾つかの方法を総合してやつて行く。そうして一方で門屋さん御指摘になつておる通り、本当の意味の経済政策によつて庸用が別に充実して生れて来るということを待つのではなくて、積極的にやらなければならんと思います。
  34. 門屋盛一

    門屋盛一君 少し違つておるのですが私は失業保險を実際給付しなければ国の負担は自然にこれは出さなくて済むのですから、失業保險給付によつて生ずる国の負担額に相当するぐらいなものと……、失業保險は全然止めてしまえというのではない。失業保險給付によつて生ずる国の負担から生じて来るところの財源と……、失業保險給付しないで済むようにすれば、それだけ少くて済むわけであります。その財源と更に失業対策費の増額によつて職業補導をやつて転換させる意思があるかないか。極めて政策的な問題なのであります。労働政策では重要な問題でありますし、それでその職業補導の方の政策として、これは国の直営という簡單な言葉で言い現わしておるのでありますけれども、それは必らずしも今のような官僚式の補導所を作つたのでは、これは余り能率は上ならいので、民間業者の中の善良なものを選考して委託してもよいのではないか。そうしたならば施設も要らん、直ちに熟練工の下でそれが吸收され訓練されて行くことになる。そういうふう、労働大臣としてこの画期的な失業時代に即して、職業教育をして転換させるお考えがあるかどうか、そういうお考えがあるかないかということをお伺いしているのであります。そういう御意思はないですか。
  35. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) 職業補導自体の問題として、これを財政の許すかぎり拡充して、そうして充実して、この際役立てて行くということは、考え方は勿論これで十分かどうか知りませんが、或る程度予算にも盛られております。ただ御質問の趣意にある失業保險の国庫負担をお指しになるのではないかと思いますけれども……
  36. 門屋盛一

    門屋盛一君 いや、そういう施設をすれば、失業保險給付者が減るわけなんです。減るから、従つて国の負担が少くなるのだから予算面には現われて来ない、予算面には現われない。
  37. 城義臣

    城義臣君 関連してちよつと……。私は最近内閣委員として出ておりましたので、地方視察に参りました。職業安定所で同じような感じを持つたのであります。只今門屋君の言われたような点は、たまたま社人党のカニエ君も同行して、金沢の職業安定所予算を見まして、一週に一遍ずつ、ただ失業しているという証明をわざわざ届けて来て、そうしてそれで給付を受けに来る。それが事務的に煩瑣だから一度にしていいじやないかということで、最近一度にしたというようなことでしたのですが、そういう人達が窓口へ長蛇の列をなしているのを見ますと、これだけの莫大なる金を、ただこうして拂うだけならば、もう少し何とか組織的に生かす途はないかというアイデイアを実は我々も持つたのであります。そういう意味での御質問だと思うので、その点では私共はやはり、政府当局考えて頂きたいというような考えを持つたのであります。その点、そういう御質問だろうと思うので、別の委員会から視察した私共のアイデイアを参考までに……
  38. 門屋盛一

    門屋盛一君 全く全く。それで今の私の言いようが惡かつたから、保險給付の金を減して、その金を持つて行けと労働大臣はおとりになつたが、そうじやないのです。一方に建設的の予算を組んでおれば、消極的に国家施設が減るからいいじやないか、そこまで進んだ労働政策を、職業補導政策ですか、お立てになるお考えはないかと、こういうのであります。幸い千二百億という債務償還の財源があるのですから、その意味においては、この四十億が多い少いというのではない。もう少し労働省で活溌な施策を立てて、予算面にもつと食い込んで貰いたかつた
  39. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) それは基本的の、又本格的の考えだとして傾聽いたしますけれども、実際の予算の組替えとか何とかという点になりますと、非常に関係も多いことでございますからして……
  40. 門屋盛一

    門屋盛一君 この予算じややれん……
  41. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) 将来に亘つて、有力な御意見として承つて置きます。
  42. 門屋盛一

    門屋盛一君 一つ事務当局の方でも資料を出して、これは勿体ないですよ。プラス面の事業を起せばマイナスが減るわけなんです。何%減るか、さあ言えと言つても、こつちでも調査しておらないから……確かに減る。補導所を作るのでも官営の補導所だけではとしても間に合わない。民間の優秀な企業に委託する委託制だ。
  43. 原虎一

    原虎一君 私は失業問題について外の点を一点伺いたいのです。いずれ失業問題について外の点から伺いたいと思います。やはり失業問題にも多少関連ないとは申せませんが、主として賃金問題に影響がある。と申しますのは、法律第百七十一号によりますと申せば分ると思いますが、政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律、これを廃止するということになつて、只今審議中かと思いますが、その結果起つて来ますところの問題は、労働大臣も御承知のことと思いまするが、職種賃金制度が廃止になれば、法律第百七十一号が廃止される関係上、自然的に自動的に職種賃金がなくなる。即ち進駐軍労務者にとつては重大なる待遇改惡になる虞れが多分にあるので、三十万に近い或いは請負事業者の関係から行きますれば、六十万にも及ぶかも知れないが、労働者賃金改惡の結果、これは非常に関係労働組合が反対運動を起し陳情をやつておるのでありますが、これについての労働大臣のお考えと対策、その後どういう経過になつておりますか、御報告を願いたいと思います。
  44. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) 結論的に申上げます。プリヴエリング・ウエイジ制度は、実際的には廃止する方がいいという考え方を最初から持つておりました。従つてその只今の法律の廃止の法律が出て来た際に、外のところの点については全部賛成……外の閣僚は全部賛成でありました。それから今の御指摘になりました第二條の終いの方に三四行書いてありますここのところは、反対だというよりは保留して呉れ、労働省にも考え方があるし、組合の方からもいろいろ言つて来ておる。それから特別調達庁の方にも恐らく考えがあるだろうというので持つてつて来て閣議で保留して貰いましたが、併しあの基礎となつたところのデイレクテイヴが廃止になつてしまつたのだから、どうしてもあの法律自体を保持することはできないと言う大蔵大臣の言い分も御尤もでありまして、それならば、而も国会の方でどんどん法律を出せ、早く出さないと審議してやらないぞというので、大蔵大臣もこれを三月になつて持込んだのじや困る、何とかして呉れ、こういうようなお話合いでした。そこで大蔵大臣とは、それじや私と約束して呉れ、実質的に今のプリヴエリング・ウエイジの問題を適宜に処理するという態度で私と善処して呉れ、こういうお話合いで持つてつたある法律は一応廃止というので、私は閣僚の一人として賛成いたしました。もう一つよく読んで行きますと、私より原さんの方が御存じかも知れませんが、法律には労働大臣が決めたプリヴエリング・ウエイジ以上を拂つてはいけない、これを拂うというような精神はどこにあるのかと探して見ると外にないのでありますが、それはむしろデイレクテイヴの方にある。今のデイレクテイヴと両方で生きていて、実質的にプリヴエリング・ウエイジの方が生かされて来た。ここで以てデイレクテイヴを廃止するかしないかというのは論外のことでありますので、デイレクテイヴの一部を残すことはあり得ないといのことになると、法律の頭の方で、これ以上拂つてはいけないというところだけが残つてしまうと、あとは何にもならないのじやないかという……私は唐突の間の見当だつたから不十分かも知れませんが、こういうことがあつたのであります。これはどうしても一応あの法律自体は士止して置いて、実質的に生かすという方法で進むべきだという考えで、大蔵大臣も賛成しておりました。速記を止めて下さい。
  45. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を止めて……    〔速記中止〕
  46. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて。
  47. 原虎一

    原虎一君 單独法にするより外に途はないのではないかという予感がするのです。そういう場合において、急速に原則的には、大蔵省にいたしましても、特別調達庁にいたしましても、賛意は表しておれば、法律化するためには技術的にはそう困難はないと思いまするが、その点については労働大臣のお考えはどうでございますか。
  48. 鈴木正文

    ○国務大臣鈴木正文君) ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
  49. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  50. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて……。それでは本日の労働委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時三十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            城  義臣君            平野善治郎君            波田野林一君    委員            原  虎一君            村尾 重雄君            小串 清一君            一松 政二君            門屋 盛一君            鈴木 清一君   国務大臣    労 働 大 臣 鈴木 正文君   政府委員    労働政務次官  新谷寅三郎君    労働事務官    (職業安定局    長)      齋藤 邦吉君