○国務
大臣(
鈴木正文君) これは
門屋さんは一問一答でとその点だけをお聞きにな
つております。お答えとしては足りるとか足りないとか、こうお答えすれば一番
門屋さんの御
希望の通りで、答えとしては一番まじめであるかと思いますけれども、併し
考えて頂きたいのは、
失業救済の全体の
考え方が、必ずしも緊急
失業対策を軽視するという意味ではありませんけれども、いずれにせよ全額如何に拘わらず、あれを以て、あれのみを主力としてはこの戰後の大きな
失業対策はやれない(「それは分
つている」と呼ぶ者あり)これは誰でも
考えております。
従つて緊急
失業対策の二十五
年度に計上された全額自体は、他の條件と引合して
考えますれば、今のような
情勢の下においては多い程いいと、これは言えますけれども、それも併し
関係方面との折衝もあり、又全体の財政との振合いもあ
つて、なかなかそれだけで以てこちらの意図が十分に、
失業対策として達成せられるだけのものは、各般の……敢えて
失業対策に限らず、各般の財政に亘
つて盛り難い。そういう場合には総合的に
考えないといけない。例えば一例を申しますと、二十四
年度末、これは今御
質問のところに出ておりましたが、最初出て来た五億八百万じや少いじやないかということを、去年の国会に現に私自身が
門屋さんからしばしば痛烈な
質問を受けて、そうして最後に少いと思います。私も思います。併し
失業は……昨
年度のことでありますから、四月、五月というときに出て来るのでなくして、十月、十一月頃から出始めるのだから、そのときに異常な決心をいたします。それでその決心は何だと
門屋さんから更に疊みかけて聞かれた。そして現に
門屋さんが繰上支給をする覚悟があるか、こういうことまでお聞きにな
つたのであります。というようなことで以て九月、十月と差しかか
つたわけであります。その間に今お聞きしていますと、事務的に、或いは意識的にそれを少し押えて、その間に時間的のギャップを作
つた形跡もないじやないかというような御
質問の点もありました。私といたしましては極力急げ、少々無理があ
つても急げ、こういうことを
安定局長その他に命令はしておりましたが、細部の点につきまして、例えば或る年にこういう事実があ
つたということにつきましては、必ずしも私のや
つたことが万全に滲透してお
つたとは思いませんから、更にお聞きしますが、方向としてはそういう方向でや
つて来たのでありまして、そうして実は二十四
年度の
補正予算がまだ決定しないそのときに、もうすでに
門屋さんのおつしやるように、八億何千万円を思い切
つて繰上げてやらなければ危險だという
状態の方が先に来たのでありまして、あるときに私はよろしいから使
つてしま
つて下さいということを実は命令したのであります。その通りに
行政的にずつと行
つたかどうか知りませんが、可なりの危險も冒してや
つた。今に至ると十分とは思いませんけれども、
門屋さんも指摘されたような思い切
つたやり方をや
つて年末年始に来たと思います。その善後措置としてどうしたかというと、今度は
従つて一月以降はないじやないか、これも分
つておりますので、御承知のように八億何千万円から計上いたしました。それからこの
情勢の下ではまだ冬寒季危險だと思いましたからして、追加
予算の
公共事業の方に五億円というものを特に入れておいて呉れ、そうしてこれは普通の
公共事業は田舍で行われるけれども、これはそういう、本来ならば
労働省がやるべきところの緊急
失業対策の性格を持たせたいのだけれども、
予算の
関係上これを
公共事業費に入れて置いて、その代り
労働大臣と相談して、この五億円だけは緊急
失業の不安のないところと睨みし合たところだけを中心としてや
つて貰いたい、こういう話合いで
大蔵大臣も、建設
大臣も了承して、一度こつちへ入れてあるのを、但し別会計で入れたわけであります。そうして実際にやるということになりますと、これは
門屋さん一番御承知でしようが、どうも
公共事業というものは
予算もあり、方式も決ま
つてお
つて、而も時期的に遅れる
傾向があるということは事実でございます。この点につきましてはやかましく、第一番にこの五億円をそういう趣旨によ
つて急速に出して呉れということは、もう一月の初頭からやかましく安本にも
交渉をしておりますと同時に、これからがお答えになるのでありますが、二十五
年度におきましても、六億円を殖やして、とにかく四十億円を計上したのでありまして、これが多いか少いかという問題については、いろいろな議論がおありと思います。併し
考え方はこれと同時に五百億円が約千億円に引上げられたのであります。
一般の
公共事業の推移というものをこれに結び付けて、そうして今度は二十五
年度においては、思い切
つて公共事業というものの持
つておる、本来は持
つてお
つたのでありますが、持
つておるところの
失業者吸收性というものを高めて、そうして四十億円と結び付けてやるというより外あるまいと思う。このことは、
従つて今申すように、いつも五月、六月にな
つて公共事業費が出だすのじや駄目だ、今年は拙速でもいいから四月から出して呉れという折衝を安本を中心に今盛んにや
つておるところでございます。と同時に、
公共事業の中に何十%
失業者を吸收すべしという
法律的措置は、去年すでにでき上
つておりますけれども、私達はこういうふうな方式をも
考えておるのだと思います。
公共事業と、そうして
緊急失業対策事業と、都市で新らしい形で結び付けて行く。例えばここに新らしい
公共事業が出て来た。それに対して我々は労力は出せるのでありますから、普通の
労務者のような十分な能力は持
つておらない場合もあると思いますが、併し
事業主から言うば、ただの
労働力、ただに近い
労働力を使えるのだから、独立したどぶさらいというようなものは、今はや
つてないが、名もないような直ぐ消えてしまう
事業などに使うよりは、場合によ
つては
公共事業に結付けて、その労力の一部分としてや
つて行くという、こういう方式を強くや
つて行きたい。そうすれば、そこに
公共事業の方の
失業者吸收性も高ま
つて行きますし、
門屋さんの只今御指摘になりました
地方の
負担というものも、両方結付けることによ
つて、或る
程度、千人を要望したいのだけれども、資材その他が間に合わないから五百人きり要望できないという問題も、或る
程度片付いて行くのじやないかと思
つております。但し御
質問の一番根本に入りまして、全額国庫
負担はどうかという問題でありますれば、
考え方としては、それはそれが正しいのである、私もそう思
つておりますけれども、日本の財政、その他の
関係、現在の財政、その他の
関係より一挙にそこに行き得るということは、なかなかでき難いのであります。むしろ可能性が現在二つ、
門屋さんが挙げられた中で、可能性が、より多いのは起債の途をあけて置くという方、これは折衝しておりますが、まだ結論に至
つておりませんので、はつきり申上げられませんが、こういうことは
異議ないのであります。同感であります。もう一つは、
公共事業との密接な結付きにおいて、この問題を解決して行くという
考え方を持
つておるわけであります。