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1950-03-26 第7回国会 参議院 予算委員打合会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十六日(日曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 只今から会議を開きます。通告順によつて発言を許可いたします。赤木正雄君。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は大蔵大臣治水問題についてお尋ねいたします。大臣災害復旧に非常に御苦心しておられること、これはよく存じております。又この治水の問題は、制度の問題でもなければ又思想の問題でもない。正しい本当原理に向つてこそ初めて治水ができるのであります。いわば原理に反していたしますならば、治水ができる筈はない。そこで今までの治水政策は正しい理論に乘つていたか否かというと、今までの実績がはつきり証明しておるので、一言言うならば、今までの治水事業本当治水原則に乘つていない。でありますからして災害が年々起る。これは無論降雨にも因るのでありますが、その一方において治水そのものが当を得ていないということは、はつきりした事実であります。それに関して先ずどういうところが惡いか、私は今までの実際の有樣を申上げて……、無論大蔵大臣はこの災害復旧には非常に御苦心しておりますからして、よく御承知とは思いますが、併し尚多少実際に触れていないような感じがありますから、それを申します。  第一、私の申上げたいのは、河川維持費の問題であります。御承知通りに、二十四年度に河川維持費といたしまして一億四千二百五十六万円を府県は計上しております。この金で二千六百三十九の河川維持しなければならない。従つて一つ河川当りに僅かに五万四千円の維持費しかありません。この五万四千円の維持費一つ河川維持ができよう筈はない。でありますからして、災害が起つてから、それで復旧する。これも一つ方法ではありますが、災害が起るまでに災害の起る状態になつている場所を維持修繕する。これが最も重大なことであります。ところがこういうふうに一向維持修繕が行われていない。これは主計局長は以前からよく御承知の筈なんであります、こういう実情は……。併しながら何十年経つてもそれが改められていない。これは私が内務省にいました時も……これをお考えにならない以上は到底日本災害根本からして全くなくすることができない。先ず維持修繕をお考えなさい。これは貴族院時代にも、又その後もたびたび私は申上げましたが、併し一向考えていない。つまりなぜ維持修繕費が少いかと申しますと、府県では維持修繕費には国の補助費がない。国の補費助のないものは起債対象にならない。であるからして府県起債対象にならないものは勢い沢山維持修繕費を計上しない。もう一つは、維持修繕費は全部府県の單独の費用であります。災害に持つて行くならば相当の国の補助費が出る。だから先程申しましたように、維持修繕費府県單独費用でありますから、できるならばこれをうつちやつて置いて、災害が大きくなつて災害対象になつてから国の補助を得る。そういう事態になるまで放棄している、こういう実情であります。甚だしいものになりましては、一つ河川で橋が腐つている。これを修繕して置けば非常にいい。併しこの維持修繕費は全部單独費用でありますからして、出水の際に橋杭に繩をひつかけて、その橋をひつくり返してしまう、そうして国の補助対象にした。こういう事実は実際にあるのであります。又これに類した事実は、申せとおつしやるならば申しますが、各府県に沢山あるのであります。又一面におきましては府県土木従業員費用は、この災害復旧費雜費から賄われていることが多いのでございます。でありますから、若しも災害費が取れんときには、勢い土木役人給料にも影響する。先ず災害のないときにおきまして雨が降ると、やあこれでやつと自分の首が助かつた、こういう実際の実情であります。そういうふうなことでありまして、実際災害のあることを、喜ぶと言つては非常に言葉が言い過ぎかも知れませんが、災害がないと困る。実際自分給料が足らない、雜費が足らない、こういう実態であります。これは誠に悲しいことである。こういう思想根本的に直さなければ日本災害がなくならない。だからして天然の降雨による災害原因もありますが、先ずすべての心から改めて行かなければならない。その心を改める前において、今申したような誠に好ましくないことがあります。ですから維持修繕費は国が補助する。これは多額費用になります。実際多額費用になりますが、併しそれが大きくなつていろいろ多額費用によつて災害復旧をする。それによつてはじめて国が補助する、そういうことになると誠に損であります。でありますからして、先ず大きな災害にならない、小さい維持修繕で済む場合に国の補助をなさる方法はないか。成る程来年の予算には少しは計上してあります。防災費の一部にあります。今こういう小さい河岸の僅か一坪、二坪が破壞している、或いは堤防が僅か一、二間壞れている、そういう極く些細な、些細でありながら今度雨があればそれが直ぐ大破する大きな原因になる、そういうところに対する維持修繕費が全然計上されていない。こういうものを集算すれば少し多額費用になりますが、それをお考えにならないと、災害根本は先ず救えん。こういう実情から申しまして、これに対する、財政上非常に困難かと思いますが、これをお考えにならないといけないと思いますから、先ずその点を……
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御尤もなお話でございまして、我々もお話のような点を見たり聞いたりしているわけです。できるだけ予防の方に力を入れたいと考えております。公共事業費の使い方におきましても、又地方財政平衡交付金につきましても、お考えのような点を重視いたしまして、できるだけ既定予算のやりくりをいたしたいと思つております。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 とにかく財政が許せば、大蔵大臣も大体私共の要望通りにお考え下さる、こういうふうに察せられますからして、この問題は打切ります。  次に治水根本問題であります。御承知通り、実はこの間この委員会安定本部長官治水のことを申しました。ところが私はその御答弁が実に不満です。と申しますのは、長官は二十五年度の治水はお考えになつております。けれども成る程今我々が将来何十年に亘つて費用をこの際計上することはできません。でありますからして、併し利根川なら利根川淀川なら淀川一つ河川ごとについてこの河川はどれ程費用が要るか、その費用を今出して見る。一つ河川を治めるには全体の計画がなくて治められる筈はないのです。私は無論ここに河川と申しますのは上流砂防、下流の堤防も加えてのことであります。そういう河川全体の計画がなくては治水はできよう筈がない。單に二十五年度だけの費用を以て治水を云々するというのは、殊にこれは目先だけの考え本当日本治水考えていない。併しその以前には、明治初年時代の初代の技監沖野博士なんかはやはり日本全体の治水考えておられる。これは明治中年からして政党政派の思わしくない争いの結果今日のような治水になつてしまつておる。この際治水計画を改めない以上は何十年経つて日本治水はできない、これは事実であります。でありますからして、一つ河川を治める計画をするには先ず上流の山地ならば、木を伐つた後には植林する。これは無論ですが、砂防河川、この三つを十分お考えなさらん以上は決して日本治水はできる筈はない。又砂防問題にしてもこれは世間で全然知らない。砂防というのは禿山に木を植えたらいい、明治時代砂防はそうでしたが今日の砂防は堰堤を作ることによつて、それを以て水力の引入れにも用いる、或いは水道の飮用水の源泉にもなる、非常に広範囲になつている、そうして御承知のごとく上流から土砂が流れて来なければ、今度は水の中に土砂はありませんからして、水の力は増して来ます。水の力が増して来るならば、今ある河床が、河床に近年は土砂が埋つておりますが、水の力で段々堀れて来る。無論人力も必要でありますが、これは長年のうちに水自体の力で堀れて来る。そうすると、大きな堤防作つてもそれでも洪水が氾濫する、そういうことをしなくても、水自体の力で段段河床が堀れて来る。例えて申しますと、明治四十二年頃に山梨県は御承知通り水害がありました。殊にあの際には勝沼を流れる笛吹川流域から釜無川流域、これは非常に大水害を受けて、笛吹川流域のごときは大部分の人が北海道に移住してしまつた。私は昭和十年に砂田重政さんを案内して行つた。それは昭和十年に山梨県に水害がありました。その際に日川釜無川、これは山梨県が治めていた所でありまして、その二つの河川に殆んど水害がなかつた。これに反して荒川、或いは塩川には大水害があつた。そこで砂田さんは自分は実は明治四十二年にこの日川水害に来て惨澹たる有樣を見た、今日ここに来て見ると殆んど河床が段々下つている、こういうふうに河床が下つている原因を見ると、これは日本治水根本的に考えなければならん、言い換えるならば上流さえ或る程度治めて置くならば、そこに堤防を築いて大きな工事をしなくても済みはせんか。そうすれば大きな利益という点から見ても、実際の事実なのです。又そうあるべきなのです。この状態を見て日本治水政策根本的に考えなければならん。昭和十三年に衆議院予算委員会において砂田さんが、丁度そのときの内務大臣末次大将でしたが、そのとき砂田さんは自分は第一に大臣に言うが、大臣はまだ土木行政は初めてだと思う、百聞は一見に如かずというから一遍山梨に行つて下さい、そうすると如何に上流を治めた所はよく治つておるか、それに反して治めていない所は惨澹たるかははつきりする、そこでこれを見れば土木事業が、治水事業が分るからというので、大臣は五月に自分から行かれた。大臣がそういう河川上流を視察されたのは日本では初めてです。その前に唐澤さんが昭和七年頃土木局長のときにも随分なさいました。併し大臣がそういう工事を見られたのは、実は昭和十三年が初めてです。その結果大臣が何故こういうふうなはつきりした事実があるのに今まで放棄しているのか。これは政党の弊害がある。言い換えますならば、上流の方に仕事があると言つても、そこには票はありません。それよりも眼先河川、道路、港湾、こういうようなものには幾らでも票が入つて来る。でありますから、必要な治水でありながら放棄してしまつておる。そこで大臣はここまで政党の弊が来ているとすれば、これは根本的に改めなければいかんというので、これは今主計局長がよく御承知と思いますが、昭和十四年に初めて砂防費を取つた、そのときは二億八千万円です。今日のは実はその流れなんです。ひとりそういう砂防のみならず、利根川にしても或いは淀川にしても、関門墜道にしても、実は末次大将のときに根本的に日本土木事業予算は変つてしまつた。そういうようないきさつがありますから、治水実体治水根本に触れないでは本当治水事業がある筈がない。主計局長がまだ河川を担当しておつたときにいろいろ議論をしましたが、結局議論をして予算をお取りになつて実施された所は、今日どこに行つて見ましても水害がないのであります。こういう事実は嚴然として日本至る所にありますから、今後の治水政策には一つ河川全体をお考え下さつて、そうして世間はかれこれ言うかも知れませんが、根本的に治水原理則つて将来の日本水害のない国にする、こういうふうな考を特に大蔵大臣にお願いしたい。これに対する大臣のお考えは如何でありますか。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 誠に御尤もなお話でございまして、今回公共事業費を増額し、又特に砂防の方にも力を入れておるのでありますが、今後におきましても、やはりその川というものの全体を考えまして予算を取る。又将来もそういう方向へ使つて行きたいと考えております。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 二十五年度の砂防に重視しておられる。それは二十四年度の七億に比べると、十八億という予算は確かに増しております。併しここにお考え願いたいのは、とにかく昭和十四、十五年の頃には、砂防の一に対して河川事業は一・五、こういう割合でした。それが段々比例が変りまして、最近では砂防の一に対して河川の六、私は決して河川事業を少くせよとは申しません。併しこの間も安本長官比率の上からの砂防は殖えたとおつしやいましたが、これは事実に反している、実態に反している。これは御承知通りに戰争中にセメントがないからして、砂防事業幾らやろうとしてもできないという観点からして、砂防はどんどん押込められて非常に予算が少くなつて来ている。でありますから、今日の予算が昨年よりは増した、又比率においても云々と言つても、これは本当治水実体から申しますと、理論と申しますか理論に反することは甚だしいのでありますから、折角大蔵大臣が先程私の申した治水のことをよく御承知下さることを了承いたしましたからして、これ以上申上げませんが、十八億に予算が増したということを以て砂防が殖えたとは受取れませんから、今後も特にこの点を御留意願いたい、これで私の質問を終ります。
  8. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 次は藤野君。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は最初に農家に対する長期金融のことについてお尋ねしたいと思うのであります。現在の余剩金及び貸出しの状況考えて見ますというと、余剩金は殆んど全国民から吸上げておるのにも拘わらず、貸出しは中産以上、殊に大企業者に対する貸付けが多いのであります。又貸出しは都会に多くて農山漁村に対して貸付けが少いのであります。又貸付けは大企業者に対しては無担保で貸付けが多いのであるが、農山漁村その他の中小商工業者に対してはこれが少ないのであります。これらのことは銀行の貸付けによつて明らかであるのでありますが、見返資金その他の貸付金も殆んど同樣であるのであります。従つて農山漁村中小企業者金融難に陷つておるということは毎日々々の新聞で報ずるところで明らかであるのであります。中小企業者に対してはこの間からのいろいろの問題があつた結果、最近においては積極的の貸付けがあるように新聞で報ぜられておるのでありますが、殆んど農山漁村に対する金融については考究をされていないような状況にあります。農山漁村金融といたしましては、毎日々々の仕事をして行く営農の短期資金が要ると同時に、長期資金として低利な金が要ることは御承知通りであるのであります。而して過去においてはこれらの長期低利資金というものは農家が持つておるところの田畑担保にしておつたのでありますが、農地改革の結果田畑担保権がなくなつたのであります。これは国家の政策として田畑担保権がないようになしたのであつて、又農家からとればこれが長期低利資金を得る唯一の途であつたのであります。この方法政府が力を以てなくなして来た以上は、これに対する対策を政府は講ずるのが当然であると考えるのであります。これに対して田畑担保にするだけの金を政府長期低利で出すところの具体的の策があつたならば、その策を伺いたいと思うのであります。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り敗戰後我が国の金融機関の在り方が変つて参りまして、従来農山漁村に対しまして、勧業銀行或いは北海道拓殖銀行を中心として短期貸付が行われておつたのでありますが、これらの銀行が普通の商業銀行に変つて参りました関係上、そうして又お話通り田畑担保力がなくなつた関係上、農山漁村に対しまする金融に或る程度の支障を来たしたことは見逃がし得ないのであります。私はこの点に鑑みまして、今後やはり従来通り農山漁村に対しまする長期資金調達を只今考えておるのであります。その方法はやはり農林中金或いは商工中金を拡充強化いたしますと同時に、勧業銀行或いは北海道拓殖銀行等をいたしまして増資により長期債券を発行し、これによつて農山漁村長期金融賄つて行きたいと考えておるのであります。御承知通り短期資金農業手形制度が相当拡充いたしまして、大体要求に応じつつあるのでありますが、長期の点につきましては今後の問題として、特に重点を置いて考えて行きたいと考えております。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 中金を利用して長期低利資金を貸出されるということでありますが、過去において田畑担保にすれば簡單方法で借ることができたのであります。中金を通じて貸出をして貰う場合には、現在の状況から言えば、従来よりも事務手続が非常に煩雑にして、借入れに困難の状態にあるのでありますが、若し中金を通じて貸出すということであつたらば、従来勧業銀行から貸しておつたように、田畑を出せば簡單に貸されるのであるから、その人の持つておるところの耕地面積に対しては簡單方法で、特別に貸すところの策を講ぜなくては、目的を達成することはできないと考えるのであります。何かそういうふうな、耕地に比例して簡單方法で貸出されることを考えておられるかどうか、お伺いしたいのであります。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 耕地担保になり得ない現状から申しますると、やはり家屋、宅地を担保にするより外にはないかと思うのでありますが、この担保の問題は、その資金が何に使われるかによりまして、おのずからそこに差があると思うのであります。私はその資金が使われる用途を見て担保の問題を考えて行くべきだ、又担保がどこにもないというような場合におきましては、やはり協同組合を利用するとか、或いは又全然担保がなければ貸出していかんというわけでもないのでございますから、やはり金の分量と用途によつて考えて行くべき問題と思つております。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次には、預金部資金は従来地方に相当額流れておつたのでありますが、現在においてはこの金が地方におけるところの長期低利資金として廻つて来ていないように考えるのでありますが、これに対するところの方針をお伺いしたいのであります。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 預金部資金運用につきましては、第一原則といたしましては地方債引受け、第二には食糧関係公団の貸付け、こういうふうに制限を受けておるのであります。最近銀行営業用としても行われるようになつたのであります。而して今までの運用実績を見ますると、これは長い間の結果でございまするが、国債並びに地方債併せて千数百億を運用いたして、その他の運用は微々たるものであるのであります。二十四年度におきましても、やはり地方債引受けを三百億円したしますし、又短期地方公共団体に百億程度貸付をいたしたような状況であるのであります。二十五年度におきましても大体この傾向で参りまして、即ち地方債を三百七十億、又必要に応じまして別に短期貸付地方にして行きたいとこう考えておるのであります。ただ二十五年度におきましては国債償還が行われますので、この償還の行われた金額を産業資金に向けたいと思うのであります。而して産業資金に向けまする場合におきましては、農林中金、或いは商工中金の出します債券引受けまでやつて行きたい、こういう考を持つておりまして、できるだけ地方公共団体の金繰りを賄つて、その次に企業の方へ乘り出して行く、こういう考を持つております。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に農業手形のことについてお尋ねしたいと思うのであります。一般農業手形によつて見ますると、農業手形償還期限が十二月末になつておるのであります。然るに新たに設けられた桑園及び煙草手形によつて見ますると、原則は十二月末であるが、東北六県に対しては二月末まで延ばすということになつておるのであります。煙草は特別な事情があるから東北六県では二月まで延ばしてよろしい、然るに米に対する農業手形は十二月末でなくちやできない、これはどういうふうな考えであるか私は分らないのであります。現在の供出状況から考えて見てましても、中国、四国、九州というような方面は二月にならなくては供出は完了せないのであります。供出が完了せなかつたならば、農業手形を拂おうとしたつて拂うことができないのであります。後から出たところのものに対しては、特殊の桑園及び煙草に対しては、長い間の期間を認め、米に対する手形償還期限を十二月に切つておるということは如何なる理由によつているのであるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  16. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) お答え申上げます。主食に関しまする農業手形につきましても、今月からはその始期を一ケ月早めまして二月からといたしたわけで、この期限は御承知通り十二月でございます。尚今年からは煙草及び桑園に関しまする資金の融通につきましても、農業手形制度を準用することにいたしまして、これを行なつておる次第でございますが、大体主食につきましては年末は以て手形返済資金調達が大体可能であろう、こう考えまして、只今申上げましたような仕組になつておる次第であります。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 可能であるということを考え作つたというお話でありますが、現実に供出は二月になつて漸く完了するのでなくて三月になつて完了しているのであります。そうしてみると、考と事実とは違つているのであります。考と事実が違つたらば、これは当然延ばすのが当り前と思うのでありますが、この点お伺いしたいのであります。
  18. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 本年度の米の供出につきましては、いろいろ例年にない事情もあつて、延びた面もあるかと思います。これらにつきましては農業協同組合並びに県の連合会あたりにつきまして、本当に困つている場合には資金的には相当面倒を見ておることと考えます。原則といたしましては従来やつて参りました仕組でよろしいのではないかというふうに考えます。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、煙草は二月まで延ばすことができる、普通の食糧ではできないというその理由が分らないのであります。煙草で延ばすことができ、桑園で延ばすことができるということであつたらば、普通の米に対しても二月の特例を設くるのが当り前ではないかと思うが、そういうことには行かないのであるか、更にお尋ねしたいと思うのであります。
  20. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 大体現行のやり方で大部分の需要は満たしておると考えられるのでございますが、非常に困る地方等につきましては、尚研究の上改良いたして参りたいと存じます。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それでは米に対する農業手形も特殊の事情に対しては延ばすことができる、又政府は延ばすのであるということを承認いたしまして、この質問を終ります。  次には予算編成樣式、諸給與食糧費会議費交際費等についてお尋ねいたしたいと思うのであります。昭和二十五年度の予算を拜見してみますと、政府から出したところのすべての各目別明細書を読んでいないのでありますが、大体において目を通したのであります。これを見てみますると、各目明細が殆んど不一致と言つて差支ないように一致していないのであります。従つて私などがこの予算の正確なる数字を調べようと思つてでも、調べることができないところの現在の予算編成樣式であるのであります。近く財政法会計法等を改正するから、それによつて節は廃止するからという説明は書いてあるのでありますが、私などが予算を検討する場合においては、予算が検討することができるような形を持つておらなくちやできない、こう考えるのであります。政府給與ベースは変更しない、実質賃金の向上によつて然るべく取計いをするという、こういうふうな意見のようであるのであります。若し実質賃金の向上というようなことを考えて来て見まするというと、私は諸手当がどういうふうになつているかということを考えなくちやできないと思うのであります。各目明細書によつて見まするというと、手当には大略次のようなものがあるのであります。勤務地手当扶養手当超過勤務手当寒冷地手当石炭手当特殊勤務手当被服費公団手当、こういうふうなのがあるのであります。この一つ一つを検討して見まするというと、各省間に、又同じ省間においても、その取扱いが違つておるのであります。勤務地手当内閣総理大臣以下全部に支給しております。扶養手当内閣総理大臣その他幾らかの者には手当が出してないのであります。超過勤務手当は殆んど出ておるのでありますが、労働基準法第三十七條の規定するような予算が組んであるのであるかどうか。先ず超過勤務手当について、この点をお伺いしたいのであります。
  22. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 超過勤務手当には実質的にいろいろなものがございまして、一定の時間を残つた場合に支給する本来の超過勤務手当、その外日直、宿直というような超過勤務手当はございます。これは休日の日に出て来たり、或いは夜泊つたりするような手当でございます。日直、宿直の超過勤務手当につきましては、これは泊る日数その他も決まつておりますのでありますが、一般的に従来いろいろ問題になつておりまする超過勤務手当一般的な超過勤務手当におきましては、各省の実情に応じまして、明年度の予算におきましては大体適正な額が組んである、こういうふうに考えております。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 予算に組んであるというお話でありますが、今予算書を拜見して見まするというと、超過勤務手当が組んでないところもあるのであります。組んでないところは、超過勤務をさせないという考えであるかどうか、お伺いしたいのであります。
  24. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 超過勤務手当の貰える官職と貰えない官職があるのであります。例えば裁判官、検察官或いは学校教員等におきましては、これは超過勤務でなしに、いわゆる特別の職務階級と申しますか、新給與実施法に基くその方法によりまして給料が高くなつております。そういうところにつきましては超過勤務手当を組んでおらないので、支給することができないという建前になつております。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そういたしますというと、現在の超過勤務手当予算で大体において支障がない、超過勤務手当は労働基準法第三十七條に該当するだけの金額は計上してあると、こう考えていいのであるか、この点お伺いしたいのであります。
  26. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 各省の勤務の実情に応じまして計上いたしてあるのでございまして、各省の勤務の状況からしますれば、この程度を以て十分であろうと考えております。
  27. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に、被服費のことについてお尋ねしたいと思うのでありますが、被服費を調査して見まするというと、私の今調査したところによれば、一番大きい金額が九千四百三十五円であります。一番少いのが六百円であります。又同じ階級の同じ仕事の人に対して、被服費を出しておる所と出していない所とあるのであります。又同じものに金額の差があるのであります。同じ仕事をしておるのに金額の差があるし、同じ仕事をしてみるのに出したり出さないということは如何なる基準によつて被服費を出しておるのであるか。この点お尋ねしたいのであります。
  28. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 大体において被服費一般の公務員にはないのが普通であります。ただ給仕でありますとか、タイピストでありますとか、各省所管において多少勤務の実情によつて貰える者もございます。今おつしやいました九千何百円と言いますのはどうか存じませんが、刑務所でありますとか、或いは鉄道の職員でありますとか、それから警察官でありますとか、こういう者は法制上被服を貸與するという建前になつておりまして、一定の年限、夏服は何年間で一着、或いは冬服はどう、或いは帽子はどうというふうに、一定の法制上の支給し得る範囲が決まつております。従つて勤務の状況、或いは職員の状況によつて、被服手当は各省所管でいろいろ違うというのが実情でございます。
  29. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に食糧費会議費のことをお尋ねしたいと思うのでありますが、食糧費というものは如何なる種類であるか、如何なる基準によつて算出したのであるか、具体的に申上げて見まするというと、人事院には食糧費はなく、会計検査院には食糧費がある、こういうふうなことにもなつておるのであります。又公団には食糧費がなくて会議費がある。一体会議費食糧費というものはどういうふうなものであるか、この区別はどうなのか、先ずこれをお尋ねしたいと思うのであります。
  30. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 食糧費の一番大きなものは、刑務所の囚人の食糧費であろうと思います。これが食糧費の大部分であります。その外に各省にいろいろございます食糧費は、例えて申しますには、夜勤なんかやられますときに夜勤の食糧を出すとかという、各省の所管の実情によりましておのおの違うのでありまして、公団におきましては会議費というものがございますが、公団予算は多少一般会計、特別会計の予算と組み方が違つておりまして、多少目的別の色彩がありまして、対象別と違いますので、必らずしも会議費即ち食糧費というふうには対応しておらないわけでございます。
  31. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に交際費についてお尋ねしたいと思うのでありますが、交際費を一体如何なる基準によつて算出したのであるか。例えて申しましたならば、国会所管の中で、国立国会図書館には交際費があるのであるが、訴追委員会、彈劾裁判所には交際費がないのであります。この二つのものには交際費は要らないのであるかどうか。或いは食糧費で交際費を賄なつておるのであるかどうか。又人事院と会計検査院とを比較して見まするというと、人事院の人事官は三人であります。この交際費は三十万円であります。会計検査院の検査官は三人であります。この交際費は十五万円であります。同じ三人と三人でありながら、一方の交際費は三十万円、一方の交際費は十五万円であります。又更に人事院の事務総局と会計検査院の事務総局を比較して見まするというと、人事院の方は定員が千三百二十一人、会計検査院の方は千二百五十三人、その差は六十八人であります。然るに交際費は一方の方は六十万円、一方の方は三十万円、その差が三十万円であります。又食糧費について考えて見ましても、人事院は四百十三万七百四十円、会計検査院は四十八万二千七百七十円、その差は二百六十四万七千九百七十円、こういうふうに殆んど比較になるような同一の程度であるところの人事院と会計検査院の食糧費、交際費、こういうふうなものが雲泥の差があるということは如何なる理由であるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。又運輸省に例を取つて見ますると、運輸技術研究所、海技專門学院、航海訓練所というようなものには交際費があるのでありますが、同じ性質を有するところの商船学校、海員養成所には交際費はないのであります。こういうふうなことを考えて見ますると、交際費或いは食糧費というものは何を基準として作つたのであるか、殆んど不可解な状態になると私は考えるのであります。この点お伺いいたしたいのであります。
  32. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 交際費は大体前年と同額程度に組んでおります。交際費はこれは各省々々の実情によつて違いまして、單に人数割りというふうなわけには参らないのでございます。交際費は必ずしも食糧費と違いまして、いわゆる諸種の交際のために出すのでありまして、食糧費とは相当性質が違います。従いまして各省の実情によつてこの交際費が組まれているのでございます。  それから人事院と会計検査院の問題がございましたが、同じような役所であり、人数も同じでありながら、非常に食糧費が違うじやないかということでありますが、これは確か人事院におきましては人事関係職員の研修をやつております。その関係におきまして、食糧費が会計検査院より人数の割合に多いかと考えます。
  33. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いろいろ事情はあつて、前年度踏襲ということでありますが、私が予算案を拜見して見ますると、殆んど予算案は前年度踏襲というようなことになつた結果、必要な所にも交際費が組めないし、前に大きく組んであつたらば次の年度も大きく組んであるというようなことになつておるのじやないか、この点から考えて来て見ますると、私は諸手当食糧費会議費、交際費というものに根本的に再検討をせなくては予算の完全なるところの編成にでき上らないと、こう私は考えるのであるが、この点大蔵大臣の御意見を拜聽したいと思うのであります。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 交際費につきましては、なかなかいろいろな問題があるのでありまするが、大体今までのやつて来たところを変える必要があるときは勿論変えますが、大体今まで通りで大した支障はないと思いまして、交際費は前年度を踏襲したような次第であります。食糧費につきましては、その性質が違いますので、やはりその年々によつて検討を加えてやつておるのであります。
  35. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は公団廃止後における退職者の手当であります。公団はいろいろ廃止されるものがあるのでありますが、この公団の職員は公団在職中は最善の努力をして国策の遂行に協力したものであります。然るにこの公団を今回退職するところの者に対して手当がこの前に退職した者の手当と異るというようなことがあつては面白くないのであります。今回退職されるところの職員に対しては政令第二百六十三号を適用される考であるか、二百六十四号を適用される考であるか、或いはその他何かの方法があるのであるか、この点お伺いしたいのであります。
  36. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 公団の職員の退職手当の問題でございますが、御承知のように昨年九月末日までの退職者につきましては、一年について三十日分ということになつておるのでありまして、その後の者につきましては一年について二十五日、その間において多少の差があることは事実であります。ただ九月までの問題につきましては、御承知のように行政整理の大量整理の関係もありまして、特にその点を考えた点もありまして、いろいろ検討しておる段階でありますが、現在の法制といたしましては、一年につき二十五日ということに相成つております。但しこれにつきましては公団手当か何かで考えるというふうな取扱で考えております。
  37. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今考えておるとの話でありますが、私は公団予算を拜見して見ますと、二百六十三号によつて支出するだけの予算があると考えるのでありますから、二百六十三号によつて支出ができるようにお取計らいをお願いしたいと思うのであります。  次は食糧庁の定員増加の問題であります。食糧事務所の末端の検査員の仕事はいろいろの仕事をしなくちやできない関係上、非常に事務が多いのであります。然るに昨年の行政整理の結果、非常に沢山の人員が整理されたのであります。昨年の九月の行政整理で六千六百三十五人の減員となつたのであります。併し食糧供出は絶対国家が要求しておるのであります。供出のためには絶対に検査をせなくちやできないのであります。検査をするのに六千六百三十五人削減せられた結果、検査ができないというようなことになつた結果、臨時に職員を雇つて、臨時職員として仕事をさせ、或いは他の方面から臨時に雇つてその仕事をやらして、漸くその仕事ができておる、こういうふうな状況であるのであります。然るに臨時の職員が身分の保障もないために完全に仕事ができないということは申上げるまでもないのであります。その結果はどういうふうなことになつたかと申しますと、昨年の十一月四日に三好議員の質問に対して政府から答弁しておるのによつて見ますと、臨時職員があつたために検査が間違つて、七月十日現在で誤拂になつておるところの全額が三億円以上になつておるのであります。こういうようなことは行政整理のためにも沢山の人間の削減し、検査が完全に行かないようになつた結果、政府にこれだけの損害を、三億円の損害を来たした、こういうような結果になつて来るのであります。そうして見まするというと、私などはこういうようなことで臨時職員を雇つてつたために、三億円の誤拂があつて政府にも農民に対しても非常に迷惑を感じさせておるというようなことであつたらば、この際こういうふうな誤拂がないように定員を増加するのが適当であると、こう信じるのであります。そのためには私の計算によつて見まするというと、支所の人員が五百七人、出張所の人員が四千三十三人、合せて四千五百四十人の増加をせなくては、食糧の完全なる供出検査は不可能であつて、ために政府の蒙るところの損害が大きい、こう考えるのであります。この点について大蔵大臣の御意見を聞きたいと思うのであります。
  38. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 議事進行について……定足数をお調べ願います。
  39. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 定足数はお説御尤もと思いますが、今までの慣例上、理事会において質疑のうちは定足数は左程言わんということになつておりました。併し法制上定足数に足らなくとも会議終了までに定足数に達すればよいと私は心得ております。会議終了までに定足数に達する見込で今日開いております。
  40. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 本日の会議委員会であるのか。先程お伺いすると懇談会だというお話ですが、どちらかはつきりして頂きたいと思います。
  41. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 委員会のつもりでやつております。併し定足数の関係であなたの方から異議が出れば、懇談会に移してもよいという肚を持つております。
  42. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 昨日の理事の打合会において、定足数未満でも会議を開くということを決定されたというお話でございますが、いつそういう御決定をされたのか、昨日の理事会においてはなかなかそういうふうに話がまとまらずに物分れのような状態だと私承つております。私旅行中で昨日出席しませんでしたから、一向その辺の成行きは承知しておりません。併し本日参りますと、野党各派の議員が一名も見えておらないというのに、どうもそれに会議を続行されるのは不穏当ではないかと、かように考えます。
  43. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 野党というと分りませんが、小林君も野党じやないかと思いますが、今お見えになり、又今後も出て見えるのだろうと思います。今までの慣例上直ちに十時に定足数に達して会議をいたしたことはないのであります。これは理事会はとうから慣例でやつておりまして、あなたの方の人の御質問のときも定足数に足らなくともそのままやつてつた、慣例は沢山あるのであります。今日あなたが、昨日おいでにならずにそういう御発言をなさるということは、今までの慣例を無視したお言葉だと思いまするが、(「その通り」と呼ぶ者あり)或いは法制上あなたがそうおつしやればさようになるかと思います。これは委員各位に諮つて見ます。今日開会するということは昨日懇談をいたしまして全会一致で今日やるということになりました。退場なさつた方もありましたが、これは審議権を放棄して行かれた方でありますので、私は残つた人は満場一致今日会期切迫の折からいたすということで、そのつもりで今日の委員会を招集いたしました次第であります。
  44. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 その前のこと、その他を言つておるわけではありません。今日ここで会議が正式に認められるかどうか、私としましてはこの会議は認められないとかように考えるので四十九條違反と考えますのですが如何ですか。
  45. 山田佐一

    ○委員町(山田佐一君) 私は慣例上達するという見込を持つております。
  46. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 達する見込で、現実にここにおらないのをおるというふうに考えられるのはおかしいじやないですか。
  47. 山田佐一

    委員長山田佐一君) そういう慣例は沢山ありますが、昨日、一昨日以来の本委員会の雲行が微妙なんであつて、いろいろなことを私共は耳にしておるのでございまして、今委員長の言われるように、そう普通の慣例とちよつと訳が違うのじやないか。恐らくいろいろな情勢から判断いたしまして、これを円滑に委員長が遂行なさろうとするならば、もつと円満に社会党、民主党、その他の各位の御出席を求められるのが、当然じやないか。現に今申上げる野党各派の理事諸公は一人も見えておらない。こういうのに会議を続行されるというのは不穩当じやないか、かように考えます。
  48. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 私は公報を以て御出席を要求しておりまするし、いたしておるのであります。併し御出席のないのはいたし方がありません。私は敢て不穩当と認めませんのであります。    〔「議事を続行して下さい。」「議事続行、議事続行」と呼ぶ者あり〕
  49. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 議事続行できないと思います。四十九條をよく読んで下さい。これで会議が成立しますか。委員長、善処願います。
  50. 山田佐一

    委員長山田佐一君) いや、成立いたさんければ懇談会にいたしますと申しております。    〔「懇談会にしなくてもいいぞ」と呼ぶ者あり〕
  51. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 懇談会で今の速記を取り……先程からおつしやるように委員会にするか、懇談会にするか、異議があれば懇談会にするという、そういうことができるのかどうか説明願います。
  52. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 私はできると信じてやつております。    〔「続行々々、」「続行して下さい」と呼ぶ者あり〕
  53. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 藤野さんの食糧事務所の定員についての御質問でございますが、昨年は御承知のように……    〔小林勝馬君「委員長、おかしいじやないか。議事進行のときに……」と述ぶ〕
  54. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 発言を許しました。
  55. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 支拂証書の発行事務が新たに附加せられましたのでありまして、それには実は不慣れな、野帳を以て検査にのみ従事しておりました検査員諸君が、この経理の仕事まで担当するということになりましたために、少しく間違いを生じたということも聞いておるのでございます。併しこの経理計数の事務は、熟練いたしますと非常に能率が違うのでありまして、これは経理の專門家と素人では数倍の開きを生じて来るのでございますが、昨年一ケ年の経験によりまして、この検査員諸君も相当熟練して参りまして、今日ではそういう誤ちは余り生じないことになつていると考えられます。又それにしても定員が尚過少ではないかという、無理ではないかという議論もよく聞くのでございますが、政府はでき得る限り定員を縮減して行きたいという方針を採つておりまするし、これは国民負担の軽減のためにも努力して行かなきやならんところでございます。更に一方供出制度についてでございますが、この供出も、配給米にその日その日これが事を欠くのじやないかという心配のありました時代と、今後の供出考えてみますと、その最盛期というときに集中して出すというようなことは、今後相当緩和されて行くのではなかろうかと思います。如何せん、この食糧事務所の検査事務は非常に時期的に繁忙を極める仕事でございますので、そのときには誠にこれは手が廻らないというくらいに忙しいだろうと思います。そういう関係から数千名の臨時雇上げ職員を以てこれを補佐さしておるのでございますが、これも大変数千名と申しますと多いようでありますけれども、市町村の数は一万以上ありまして、食糧事務所の数も数千でありまして、ほんの一つの事務所に一人くらいの臨時職員を雇い上げることによつて、数千名という数字になるのでございまして、こうした食糧事務所の職員の熟練、更に計画的な検査の遂行、更に又食糧供出事務が最盛期と申しますか、一時的にこれをやらなくても、相当緩和して実行することができるという点、更に政府買上量の総量においての減少、「いも」の買上量の減少、今後の雑穀等の統制の緩和撤廃をも勘案し、無理のないように決定いたしたいと思いまして、只今研究中でございます。
  56. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 藤野君。    〔小林勝馬君「議事進行、議事進行」と呼ぶ〕
  57. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 藤野君に発言を許しました。
  58. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 昭和二十五年度の予算を拜見して見まするというと、臨時職員の費用も計上されてあるし、予算案には予備費も相当計上されてあるのでありますから、今本多国務大臣が相当必要な人間については考慮中というようなことでありますから、現在の予算運用によつてこの不備を補うことができると考えるのでありますから、然るべく一つこの点については御考慮をお願いしたいと思うのであります。  次に、全国農業会の清算事務に関係してであります。農業団体法は政府の命令によつて廃止され、そのためすべでの農業会は清算の段階に入つておるのであります。而して私などは一日も早く清算が完了することを希望しておるのであります。又私としては全国農業会の幹事として、一日も早くこの事務の清算をするべく急いでおるのでありますが、思うように進んで来ないのであります。ただ問題となつているのは、全国農業会に相当の赤字があるのじやないか。この赤字については、政府は交付公債を交付して、一定の金額を負担するというようなことに大体内定しているようでありますが、ただ数字が決定しないために清算が結了しないというのが現在の状況であるのであります。私は一日も早くこの政府から、負担されるところの金額を決定して頂いて、全国農業会が速かに清算を結了し、真に農民が活動することができるように仕向けて頂きたいと思うのでありますが、これに対する大蔵大臣の御意見を拜聽したいと思うのであります。
  59. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 農業会が解散いたしまして、農業協同組合に移り変る場合の金融につきましては、いろいろ陳情を受けておるのでありますが、どれだけの金額の必要があるか、今検討を加えておるのであります。而してお話のありましたような、農業会の赤字を政府が交付公債によつて補填するということは、私はまだ聞いておりません。
  60. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 赤字を補填するということじやなくて、政府のいろいろの方針のために、戰災その他によつて損害を全国農業会が受けたのでありますから、それは当然政府の方において負担すべきものであると考えられるのであります。而してこの点についてはすでに或る程度国債を交付しておられるのでありますから、現在においては或いはそれ以上の金額に損害がなるんじやなかろうかと思うのでありますが、その損害というものを政府の方において負担して頂くようにしなくては精算が結了せないではなかろうかというふうに考えるのであります。又一方の方においては、農林省が使用しているところの建物に対しては、政府は相当の予算を組んでおられることであろうと思うのでありますが、全国農業会に対してどのくらい使用料を出しておられるのであるか、こういうふうな点もお伺いしたいと思うのであります。
  61. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 農業会の損失につきまして、政府が交付公債を出して補償したというふうなことは私は聞いていないのであります。又補償の話も聞いておりません。ただ農林中央金庫から農業会の方に或る程度融資はいたしていることは聞いております。尚農業会の建物を農林省が使つている場合の借賃につきましては、調べましてお答えいたします。
  62. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次はこの肥料の補給金問題についてお尋ねしたいと思うのであります。これは別な委員からも質問があつたのでありますから、私は詳細なことを略して簡單質問したいと思うのであります。  肥料の価格補給金がなくなつたといたしますと、減ずるといたしますというと、又八月からは七割の補給金がなくなるということでありますが、こうなれば肥料の値段が当然上つて来る。当然上つて来たならば、農業は現在においても肥料を購入するところの金を持たないような状態であるから買うことができない。肥料を買うことができなかつたならば、肥料はストックしなくてはならない。丁度纖維が現在ストックしているのと同様な結果になると思うのでありますが、この肥料の補給金を減ぜないようなことに考えておられないかどうか、又肥料の補給金を減じた結果、肥料はどういうふうな状態で配給ができるとお考えであるか、現在の予定計画が殆んど私は半分ぐらいになつて、先も申上げるように肥料はストックになりはせんかと心配しているのでありますが、この点についてのお考えをお願いしたいと思うのであります。
  63. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 従来各種の物品に価格補給金を出しておつたのでありますが、我々はこの価格補給金政策はよくないという考えの下に撤廃いたしまして、只今は鉄と肥料とソーダだけに相成つたのであります。肥料につきましても、お話しの通り今年の秋肥から外して行く計画であるのであります。それによりまして、肥料の値段は上つて参りまするが、私は米の生産者価格を上げることによつて農家の負担を少くいたしまして、尚又値段が上りました場合においては、農業手形によつて途を付けて行きたいと考えております。而して値段が上つたために農家が肥料を欲しがらないというようなことが起る、折角肥料を作つても滯貨になるのでないかというお話でありますが、私が見通すところによりますと、肥料を多数の方が断わるというふうには考えておりません。
  64. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今お話によるというと、肥料の値段が上つただけ食糧の値段を上げると、こういうふうなお話でありますが、私は輸入食糧を或る程度減じて生産者の価格を引上げたならば、これでバランスは取れるのじやないかと思うのでありますが、今大臣お話のように生産者の価格を引上げて輸入補給金の減額をするような考えは持たれないのであるかどうか。この点お伺いしたいのであります。
  65. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 段々今までもそうなつて来ておるのであります。即ち国内の米麦の価格と、輸入の麦米の価格との差を補給金で出しておるのでありますから、国内の米麦の価格が上つて来、そして外国の米麦がそのままであるという場合におきましては、補給金はそれだけ減つて来るのが当然であるのであります。
  66. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 食糧の増産については今大蔵大臣お話になつたのでありますが、私の知つたところによれば、昭和二十四年度で土地改良、或いは干拓のような方面で補助金から落ちたところのものに対しては、何とか資金方法を講じて食糧の増産を図る、こういうふうなことを政府は声明しておられるのであるが、その融資の方法が現在においてまだ目的を達していないのであります。又昭和二十四年度の見返資金状況考えて見ますというと、最初十九億の金を出すという約束であるが、現在においてまだ土地改良方面に対して見返資金は一文も出ていないのであります。これはいろいろ事情があるのであろうと思うのでありますが、これでは全く食糧増産の土地改良というものはできないということになつて来るのであるが、十九億の金の中に幾らの金を政府昭和二十四年度中に出される見込みであるか。この点をお伺いしたいのであります。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 土地改良に対しまして、見返資金から出したいという考えは持つてつたのでありまするが、御承知通りに実現に至らなかつたのであります。又今年度余すところ二週間でございまするが、これの間に土地改良に見返資金が出ることはございません。ただ私は少しでも農業の方に使いたいという考えの下に今年度におきまして、九千万円程度の見返資金を甘藷の方に出したいということで今折衝を続けておりまするが、遺憾ながら二十四年度におきましては、農業関係の方に直接に見返資金が出ることはできなかつた、出すことができなかつたのであります。二十五年度におきましては、できるだけ農業方面にも見返資金を使うように只今計画を立てておるのであります。何分にもこの見返資金の使用につきましては大蔵大臣一存でできないのでございまして、努力はいたしまするが、はつきり約束をすることはできない状況にあるのであります。
  68. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 見返資金が農業方面に出ないということは、土地改良方面に殊に出ないということは、手続きが余りにも煩雑であるからじやないかと思うのであります。して見れば、食糧増産は我が国において必要なものである。必要なものには資金を投ぜなくちやできない。その資金は手続きが煩雑のために出ないということであれば、その手続を簡單にするような方法考えなくちやできないと思うのでありますが、見返資金の融資の方法について簡單にされるような意思はないのであるか。この点をお伺いしたいのであります。  又二十五年度の予算を拜見して見ますというと、土地改良事業には大体八十五億円、耕地災害復旧には七十二億円、合計百五十七億円の融資をされる、或いは補助をされるところの計画であるのでありますが、補助された残りは地元で負担せなくちやできない。その地元の負担金が七十七億円ぐらいあると思うのでありますが、こういうようなものに対しても現在においては全く金融的の措置が講じてないと考えるのであります。これでは折角の土地改良も、災害復旧事業もこういうことによつてはその目的を達成することはできない。別な言葉で言つたならば、結局食糧は増産することができずして、外国の食糧に仰がなければできないということになつて来るのではないかと思うのであります。その点についても如何なる方法によつて地元負担金の七十七億円の金融措置を講ぜられるか、お伺いしたいのであります。
  69. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 食糧増産は最も重要な政策でありますので、できるだけこれに向つていろいろな手を講じて行きたいと考えております。見返資金におきましては、二十五年度におきましては先程お答え申しました通り、農業関係にできるだけ出したいと考えておるのであります。尚政府で施策いたしました農地改良その他に対しまして、地方で負担いたします金額等につきましては、預金部資金の活用とか、或いは将来期待できまする農林中金の増資、債券発行によりますものを充てて行きたいと考えております。
  70. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、法人税についてお尋ねしたいと思うのであります。協同組合農業協同組合法、生活消費協同組合法、中小企業協同組合法及び水産業協同組合法というような特別法人によつてできておるのであります。而してこれらの法人は営利を目的としておるのではなくて、私法人ではあるけれども、社会的政策を以て殆んど公団や公社がやつておるのと同樣の仕事をやつておるのであります。従いまして、これらに対しては法人税としては特別の優遇を図らなくちやできないのでありますから、従来においてはこれについては第二次世界大戰前は非課税とし、昭和二十三年の税制改革の際には特別法人として税率を二五%に下げておるのであります。然るに今回の改正には三五%の同樣にしようとしておるのであります。又協同組合の中には組合員から賦課金を取つて組合員の生産指導、或いは組合の経営指導、教育情報というようなものをやつておるところの協同組合もあるのであります。これらの組合は民法第三十四條の規定による公益法人と何らその目的は変らないと思います。これらの法人は当然非課税法人としなくちやできないと考えるのでありますが、一般協同組合に対する税率を二五%に従来のように据置くことと、それからこういうふうな後段で申上げた賦課金によつて仕事をしておるところのものに対しては、非課税法人税として取扱うのが適当であろうと考えるのでありますが、これに対する考えはどうであるか、お伺いしたいのであります。例えて申しましたならば、全国或いは県の指導農業協同組合連合会或いは新聞情報の連合会、或いは家の光、或いは非出資の組合、こういうふうなものが賦課金によつてつている。こういうふうな状態であるのであります。
  71. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通りに、従来法人税は営利法人にだけ課税しておつたのでありますが、昭和十五年度の税制改正から純然たる営利法人でない、いわゆる中間法人、お話農業協同組合等中間法人にも昭和十五年から課税することになつております。而して純然たる営利法人よりは税率の差を相当設けておつたのでありますが、段々近寄せて来たのであります。今回の税制改革におきましては、従来特別法人税として取つておりました中間法人に対しましても、所得がある場合におきましては一般法人と何ら択ぶところがない。ただこれが組合であります関係上、事業分量に応じて組合員に配当いたしますような組合の本質から来るものに対しましては、従来通り課税いたしていない、その他の経済行為に対しましては課税することにいたしたのであります。又中間法人ばかりでなくて、一般の公益法人につきましても、所得のあるところにはやはり法人税を課税するのが至当だという考えの下に課税することにいたしたのであります。中間法人に対しましては、負担が増加することになるのでありまするが、所得税、法人税の性質上、私は止むを得ないのではないかと考えております。
  72. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 公団の問題に対して一つ答弁をお願いします。賦課金によつて組合員の生産指導、或いは経営指導、教育情報をやつてる法人は非課税とすべきものであると思うが、この点はどうか。
  73. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話の点、実体が分りませんので、ちよつとお答えに苦しむのでございますが、公団には課税いたしておりません。組合でもそれが経済行為をいたしており、そこに所得が発生すれば課税いたすことにいたしておるのであります。
  74. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、附加価値税についてお尋ねしたいと思うのでありますが、附加価値税をまだよく調査しておらないのでありますが、剩余金のみでなく、人件費に対しても税金がかかるように考えられるのであります。協同組合の中には賦課金によつてさつきも申上げた生産或いは文化、教育情報というような仕事をやつてるところのものがあるのでありますから、これらのものに対しては附加価値税は課くべきものではないと考えるのであります。これに対する大蔵大臣の御意見をお伺いしたいのであります。
  75. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 地方税につきましても、協同組合に対する課税というその方針には、大蔵大臣から只今答弁された通りでありますが、附加価値税はこれは所得を捉えて課税するのでありませんで、その事業団体の段階において附加された附加価値を捉えて課税標準といたします。その関係からその附加価値の分配の方面からこれを見ますと、勿論人件費というものが含まれることになります。    〔委員長退席、理事田村文吉君委員長席に着く〕
  76. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 人件費に附加価値がかかつてくるということであれば、会費を以て経営しているところの協同組合は、附加価値税を負担しただけ、それだけ経費が増加して来るのでありますが、現在においても協同組合は殆んど経営が困難に陷ろうとしており、又負担金の負担に困つておるような状態であるのでありますが、附加価値税によつていろいろの中小産業者が自営的の団体ででき上つたところのこれらのものを、政府は然らば発達を阻害させようという考えで附加価値税を出されるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
  77. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 発達を阻害するというような目的で出発しておるのでないことは申上げるまでもないのでありますが、協同組合に対する課税ということにつきましての根本方針である、大蔵大臣の言われましたやはり課税すべきものであるというその立場に立ちますと、これは課税しなければならん。その点からは只今人件費というものについて特にお話があつたのでございますが、最前も申上げました通りに、これは総売上金額から他の事業から購入したものの代金を引いたものということになつておりますので、それは必ずしも所得ではない。その段階において価値の附加された部分をとるのでございまして、その部分の中から勿論いろいろな経費等が支拂われるものと存じます。地代、家賃、利子或いは人件費、こういうものになるのでございますが、これは決して協同組合の発達を阻害するという趣旨からではありませんけれど、そこまでが課税するということが地方財源の確保の上からも必要なことであり、又課税の均衡化という点からも必要であるという観点から、そうなる次第でございます。
  78. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 普通の協同組合に対する附加価値税をかけられるのは、これはいたし方がないと思うのであります。併し賦課金によつて経営している生産、文化、教育情報というようなものをやつている農業協同組合、その他の協同組合は非課税とすべきものじやないか、その点をお伺いしておるのであります。
  79. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 只今お話の問題につきましては、研究を要する問題ではないかと思いますので、更に急速に研究して見たいと存じます。
  80. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に固定資産税についてお尋ねしたいと思うのであります。協同組合は微力の者の集まりであるのでありますから、すべて協同で或る施設をせなくちやできないのであります。又政府も協力して協同施設をするように奬めておるのであります。然るに今回固定資産税をこの協同施設にかけるということであつたらば、一方の方においては奬励し、一方の方においてはこの協同施設が発達しないような矛盾したところの政策ではないかと思うのであります。従つて協同組合がなさるところの協同施設というものは、これは非課税とするのが当り前と思うのでありますが、政府は一方の方においては奬励し、一方の方においては協同施設が発達しないような政策をとられるのであるか、この点お伺いしたいのであります。
  81. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) これもやはり本質的には協同組合を非課税にすべき性質のものであるかどうかという点が根本になると思うのでございますが、地方財政の強化を図りましためには、今回の固定資産税は、地方団体の地域内にある固定資産は漏れなく課税する、これが直接地方公共団体のもの、国のもの以外のものは漏れなく課税するという建前を取つております。これは地方の財源を確保するという意味から止むを得ない適切な処置であると考えております。只今の協同組合について特に非課税にすべきではないかという御意見でございますが、いろいろと非課税の範囲を決めるについては、公益性の最も大なるもの、その大なるものと小なるものとにおいて、そこで限界が生れて来ることと存じますけれども、大体において漏れなく取るというのが、只今の方針でございます。
  82. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 法人税、附加価値税、固定資産税について大体の方針を承つたのでありますが、これらの協同組合仕事はさつきも申上げたように、或る程度の公共性を持つて仕事をしておるのであつて、これらの団体は極力奬励しておられるのでありますが、税の負担によつて発達を阻害することがないように、最善の御努力をお願いしたいと思うのであります。これを以て私の質問を終ります。
  83. 田村文吉

    ○理事(田村文吉君) 皆さんにお諮りいたしますが、休憩いたしたいと思います。午後は一時から再開いたしたいと思います。    午後零時九分休憩    —————・—————    午後一時三十五分開会
  84. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 只今から会議を開きます。
  85. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 本日の会議は先程から委員長委員会と称しておられるようでございますけれども、先程私が提案いたしましたように、四十九條違反であると、かように私共は断定せざるを得ないのでございます。私共といたしましては、かような重要な法案に対しまして、衆議院のごとく数を以て押し切るということは如何かと思われるのでございます、恐らくこの大事な法案を我々としましては審議を遅らかすとか、故意に延ばすとか、そういうことは毛頭ないのでございまして、できるだけ愼重に、円満にこれを進めて行きたい、かように考えております。で、現在見渡しましたところ、十四、五名でやはり定足教を欠いているようでございますから、委員会としてこれをおやりになるということは不穏当じやないか。かように考えられますので、委員長において善処せられんことを申上げます。
  86. 山田佐一

    委員長山田佐一君) お答えいたします。本日の委員会を招集いたしましたのは、委員長に名において招集をいたしました。お説の通り現在見ますところにおいて二、三名定員が不足していると思います。併し今までの慣例上は、定員数を言わずに審議だけは進めるということになつてつたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)又今日の状態から見ましても、この予算を是非本月中に上げたいというのが我々の希望であります。又予算は三月三十一日中に終了するということが本則だと存じますのであります。併し委員会の現状を見まするというと、未だ質疑通告者が多数残つておるのであります。この質疑通告者のお方に十分に審議をして頂きたい、質疑をして頂きたい、その下におきまして誠に御迷惑ではありまするけれども、日曜も出て頂いて、そうして審議の続行をして頂きたいというのが、本日開催いたしました真意であります。これはあなたの方が法令上違反じやないか。できないじやないかというお説でありますれば、それはあなたの方の仰せになることが純理でありまするから、お説に従いまして本日は打合会として今後進めて行きたいと存じます。本日開いておりまする中に或いは定足数に達するかと思いまするが、そのときにはそのときの処置を取るとして、今後これから先進めまするのは打合会として行くということにおいて御了承を願いたいと思います。
  87. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 今も申上げましたように、私共はこの審議を遅らせるとか、そういうような意思は毛頭ございませんが、これまでの運営がうまく行かなかつたというのは、政府の提案の遅かつたこと、いわゆる地方税法の提案の遅かつたこと、その他いろいろな條件があると思います。併しこれを今とやかく申上げるわけじやなくて、とにかく今言つておるように、打合会といたしましても、私共は正式に打合会なら打合会と最初からはつきりして頂くのが当然じやないかと、かように考えますので、私共といたしましては、今急に打合会と言われたのに対し賛成はでき得ないのでございます。以上申上げます。    〔小串清一君発言の許可を求む〕
  88. 山田佐一

    委員長山田佐一君) ちよつとお待ち下さい。私は本日委員会を招集いたしましたのは、定対数の不足を予想しておりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)委員諸君が御熱心に御出席下さることという予想の下にいたしました。不幸にして定足数に足りないのであります現状において……。こういう例は今までに幾らもあります。而して又先刻仰せになりました平衡交付金或いは地方税法、この提出の遅れたということは甚だ遺憾であります。本委員会におきましても、常に総理及び何に催告をいたしております。又総理の方も、甚だ遺憾であるという意思表示があつたのであります。併しそれは過去のことであります。それを捉えていつまでも審議を遅らかしておりましては、御承知のように衆議院は通過いたしております。来月の八日になりますというと、参議院は決議いたさなくても衆議院の決議通りになるのであります。その辺を思いまして、私は参議院の名誉のために、権威のためにも審議は進めて行つて結論を出すべきものと存じております。(拍手)併し今日のところは小林君の御意思を尊重いたしまして、委員会はこれを以て打切りまして、あと懇談会でも打合会でも別に御異議はないと存じまして、進めたいのでございます。(「賛成」呼ぶ者あり)
  89. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 私共は今申上げたように、これを拒否しておるわけでなく、どこまでも進めて行きたいという念願であります。併し法令の定めるところ、参議院がそれを違反しておるということになるので、先程から申上げておるように、それを委員会として継続することはでき得ないということだけ申上げます。   (「與党も出て来いよ」「続行々々」と呼ぶ者あり)
  90. 田村文吉

    ○田村文吉君 只今小林君の議事進行に対する発言がありまして、定足数に足りませんから、委員会が成立しないというような御趣旨でありましたが、暫く委員会を休憩いたしまして、休憩中に御出席の諸君を以て懇談会、或いは打合会なりをお決め下さることを提議したいと思います。
  91. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 田村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 山田佐一

    委員長山田佐一君) ではさように決しました。
  93. 小川友三

    ○小川友三君 只今田村先生の御発言も御尤もであります。併し続々と議員は来ると思います。足りないのは僅か数名でありますから、参りましたら直ぐこれを委員会に切換えることの動議を提出いたします。
  94. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 承知いたしました。それでは通告順によつて発言を許可いたします。松村君。
  95. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 私は運輸大臣にお伺いいたしまするのは、小運搬というものについてどのくらい運輸省が平生調査もし考究もし、これに対する行政を運営しておられるか、取敢ず私は資料の提出を求めたのでありましたが、この前予算委員会の初めに提出を要求したに拘わらずなかなか出て来ない、簡單な資料しか御提出になつておりませんのでありますが、かかる簡單な資料と雖も、何遍か催促をしなければ出ないという事実を以て、小運搬というものについて何ら平素考究も調査もしておられないということを証明しておられると思うのであります。非常に遺憾と考えます。出ました資料は皆さんのお手許にあるのでありますが、極めて不完全であつて要領を得ない、大綱は掴むことはできますけれども、論理的に一貫をちつともしていない、かくのごとき資料で私共が質問をしなければならんというような状況では、運輸省としては極めて運輸行政全体に対して熱意のないものと私は深く自分で感じたのであります。そのことを先ず前提として運輸大臣に申上げます。そこで、出ました資料を見ますと、こういうことがあるのです。この小運搬というものと国鉄との輸送実績がどうであるかという私のお尋ねに対しまして、出ました資料にはこうなつておる、昭和二十二年度において国鉄の輸送実績というものは一億一千万トンでありまして、それに対しまして小運搬は一億六千四百万トンというものを取扱つておる、それから昭和二十三年度においては、国鉄は一億三千万トンであります。それに対して小運搬は一億八千四百万トンというものを輸送しておる。量において国鉄よりも多いのである、この小運搬の中の八割というものは挽牛馬で、荷馬車で運送しておる、それが八割と見ても尚国鉄全体よりも多いという数量を示しておる、輸送力に対して世間で余り関心を持つていないところの牛馬の貢献しておるところが非常に多大であるということは分つておる、ところがそういうものに対して平素どのくらいの注意を持つてそういう業者を指導しておられるか、保護しておられるか、いろいろな調査料を與えてそういう業者の運営の上においてどんな援助をしておるのでありますか、私の要点は、この輸送の機関が段々世の中の推移によりまして変つて来る、トラックというものが出て来る、トラツクと荷馬車とか従来の軽車輌との関係がどういうように推移して行くかということも考えなければならん、そのトラツクとの関係についてこの運輸省の答弁としてはこういうことを書いておる、この国道、府県道の延長が十二万余キロである、この中自動車交通可能道路は六万余キロである、半分であります。その外に市長村道及び準地方費道というものが八十万キロあるのでありまして、八十万キロの大部分というものは自動車交通が不可能である、そういたしましたならば、この軽車輌によつて輸送しておる分量というものは非常に多いということがここに分つて来る、その現状に対してどのくらいの考慮を拂つておられるか、ところがトラツクというものよりも今軽車輌の方の輸送量が多い、ところがその軽車輌の中でいろいろな今後の輸送の機構の変化によりまして変遷が起つて来るわけであります。小型の自動車が発達すれば荷馬車はそれに置き換えられるというようなことになつて来る、そうしますと、事業者の転換ということを考えなければならん。今日まで非常に貢献しておつたところの業者は新らしい車輌ができて来るがために失業するという問題が起つて来る。ただそれを失業のままに任せて置いてよいのであるか。それはやはり同じ運輸業に従事しておるのであるから、十分に理解を與えてその方に順次転換せしめて行くような工合に指導方針をとるべきではないか。そういうふうなことを考えるようにならなければ私はいけないと思う。中小企業について先達つて以来いろいろ議論されております。ところがそれは通商産業省の中小企業のことを論ぜられておる、日本全体に亘つて中小産業者が大多数である。ひとり通商産業省だけの問題ではありません。そこで農林省の中にも中小企業に対する行政の経費があるのですが、ここでちよつとこの際大蔵省にお伺いいたしますが、中小企業に対する経費は各省に亘つてどのくらい取つておるのでありますか。
  96. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 中小企業の経費ということでありますが、どの程度に上りますか、中小企業庁の経費は中小企業関係だろうと思いますが、全体を通じましてどの程度になりますか、只今のところ手許に資料を持つておりません。
  97. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 それであると、非常に世間で注意しておるところの全般の中小産業に対して、政府は余り大した政策を持つていないということになる、ただ通商産業省所管の中小企業だけを考えておる、日本全体の中小産業であるそれに対して何らの方策を考えていないというような考え方では、日本の大多数を占めておるところの中小企業者に対して行政の不行届であるということを私はここに申上げてよろしいと思う。それでは農林省についてだけ中小企業ということが書いてあるのはどういうわけでありますか。農林省において中小企業というものに八十四万二千円というものが計上してある、前年度においては百十万七千円になつておる。この減少になつておる理由はどういうことであつて、なぜ農林省だけこういうものが出ておるのか、農林省の中小企業というものは何をしておるのであるか、これを伺いたい。
  98. 河野一之

    政府委員(河野一之君) おつしやる所はどこですか。恐入りますが場所を……
  99. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 一般会計の書類の五百五十三頁です。農林大臣官房の所にあります。農林本省という所にある中小企業等指導に必要な経費」、世間では問題を通商産業省ばかりに向けて議論しておる。そうでない。農林省にもこういうことがあるのです、その外の省のどこにあるかということを伺つておる。
  100. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 農林省関係の農産食品、その他こういつた関係の中小企業協同組合に関する経費であります。中小企業に関する経費の大体大部分は通商産業関係の中小企業庁にあるのでありますが、外の省にも多少はございます。特にこれを区別してどこにあるか、どれだけというふうに只今調べておりません。
  101. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 その答弁で分つておるのです。通商産業全体に通じての相関的な政策が立つていないということが分つておる。それは甚だ困るということを、これは大蔵大臣に申上げます。こういう状態であれば、通商産業全体についての御考慮がないのであります。小さな問題になればそれは閑却してもいいということになるわけでありますが、尚十分大蔵省の方においてお調べの上、予算全体を通観した通商産業に対する現政府のお考えを示して頂きたい。
  102. 池田勇人

    大蔵大臣池田勇人君) 中小商工業者の育成に対しての費用は、主として通産省の中小企業庁の方に盛つてあるわけであります。従来は非常に少なかつたのでありまするが、御承知通り競輪その他で上つて参ります金額を主としてこの方面へ持つて行きました関係上、今年は一億円余りが中小企業庁の方に載つておるわけであります。我々といたしましては、中小企業に関する予算といたしましては、その育成指導に金を向けておるという状況であるのであります。
  103. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 育成指導と言われますが、今度は私は運輸省について伺います。運輸省におきましての調査資料によりますというと、我が国の経済は中小企業が多いからして、輸送を頼む荷主の方の側です。荷主に中小企業者が多いから、従つて輸送單位も小口が大部分である。だから軽車両の運輸というものが大変に重要視せられておるということが書いてある。この中小企業者というのは、單に商工業のみを指しておるのではないと私は思います。ところがこれは荷主の方を見ておるのであつて、この軽車両の輸送を運営しておるところの業相それ自身が中小企業であるということは、どういうように運輸省はお考えになつております。荷主は中小企力者でありましよう。併しながら軽車両を行なつておる者はこれは中小企業者なんで、その方面の考慮をどのくらいの程度考えておられるか。実際行われておるかということをお伺いしたいのです。
  104. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 松村君の御質問ですが、先ず第一に、劈頭の運輸省に対する小運搬の資料の提出方につきまして督促がありましたが、以後これは注意いたします。ところでこの運送の面における小運搬業の非常に重大であるということは松村君もよく御承知で、又只今の御質問中にもその重要性を謳われておりました通りでありまして、御承知のようにこの国鉄による運搬、或いはトラツクによる運搬に比ベまして、この小運搬のつまり荷牛、或いは馬車というようなものによりまする運搬が、昭和二十三年度におきましては一億八千万トンにも及び、そのときの国鉄の運搬量が一億三千万トンであつて、如何にこの小運搬業が全体の荷物を運搬する上における比重が大きいかということは、すでに御承知でありまするが、さて、即ちこれらの運搬、小運搬に従事いたします者の性質が即ち中小企業者であるという御説に対しましては、全くこれは大企業者にあらずして、專ら小企業者である。或いはその中の幾分が中企業者であるということは松村君御説の通りでありまするが、これがいわゆる育成行政に関しまして、運輸省といたしましては決してこれを閑却いたし、或いはこれを軽視しておるようなことは絶対にございませんので、具体的には御質問に応じましてお答えをいたします。
  105. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 元来荷馬車とかいうようなものになりますというと、それを継続して経営するためには、どうしても飼料という問題が起るわけです。生き物を使つておる。飽料に対してどのくらい従来力を入れられたのでありますか。飼料を取得する上において、それから荷馬車に使うところの馬ならば馬です。それがどのくらい、何年更新の考えを持つておるか。それを更新する場合においての金融などについての考慮をされたかどうかというような点をお伺いしたいと思います。
  106. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) この荷馬車の牛や馬に対する主たる資料の配給関係は、農林省がそれを受持つておるのでございますが、運輸省と十分の打合せをして従来やつております。又今回関係方面の意向によりましてこの資料関係は、乳牛や種畜等を除きました外のものに対する飼料関係の統制が自由販売となる見込でございますので、自由販売になつた場合には、或いは従来よりも却つて高い飼料をあさらなければならんというような虞れがあつてはいけませんので、この点は飼料の中でも特に濃厚飼料が大事でございますので、その濃厚資料の確保につきましては、農林省が自由販売に相成りました場合にも差支えないように、十分注意をするという打合が運輸省と農林省の間にできておるということを御承知を願いたいのであります。又この飼料以外の油関係、或いはその他の運搬業に関します資材並びに牛馬車、荷車、或いはリヤカーというようなものの量は現在十分でございます。  尚御質問金融関係については、政府委員をして答弁いたさせます。
  107. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 馬の更新の御質問でございますけれども、戰争中は大分馬が詰りまして、三年、四年で更新するために非常に要望が多かつたのでございますけれども、戰後はそういうふうな余り要望も来ていないものですから、それらについての斡旋は実はいたしておらないわけであります。併し飼料の購入資金とか、或いは牛馬の購入資金とか、車の購入資金というような金融の問題につきましては、先程からいろいろ御質問がございましたから、通産省の中小企業庁によく御連絡をして、そちらから資金を出して頂くようにお願いをしておりますし、又見返資金の中小企業に対する金融からも、又商工組合中央金庫あちらの方からの資金の斡旋もお願いするようにしておるのでございますけれども、何分にも地方的に極めて零細な事業でございますので、中央本省で一々この際斡旋をするということもできかねるものでございますから、府県庁の中に運輸省の地方機関として陸運事務所というのがございますが、そこで斡旋の労をとつておるという状況でございます。
  108. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 例えば輓馬について申しますと、都市輓馬というものはこれは農林省の所管じやありません。都市輓馬、輸送をするものはこれは全く運輸省の所管なのです。その所管である牛馬などに対しましてどのくらい平素考えておられるかということの一つの現れとして、元は家畜保險というような制度があつて政府が再保險をしておつたのであります。ところが農業災害補償法という法律によつて、家畜保險というものと農業保險というものは合体して新らしい法律ができた。その結果都市輓馬の政府の再保險というものはなくなつておる。そうしますと、都市輓馬については保護がなくなつておるというような事実に対してどういう御考慮を持つておられますか。非常に損耗の多いそういう家畜に対して何ら訴えるところがないからというので、そういう従来政府が與えておつた保護がなくなつたのに対して、それに対してどういう考慮をされておりますか、それを伺いたい。
  109. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 都市輓馬の保護の問題でございますけれども、実はその点については戰争中はいろいろと斡旋もしましたけれども、最近におきましてはそれだけの要望が実は余り聞えていなかつたものでございますから、それ程の手を打つておりません。併し今のようなお話、今後要望が出るといたしますれば、我々としても十分研究して善処いたしたいと考えております。
  110. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 要望がないからというようなやり方は、これは私は不親切な行政の方針だと思う。要望することもできないという者が国民の中には沢山ある。何故かと申しますと、輓馬業者のごときは団体交渉をするようなそういう大きな組織ができていません。できていなければ作らせるような工合に指導しなければならん。默つておるから打棄てて置くということになると。民主主義政治の国民全般の福利を増進するということに非常に齟齬をして来ると思う。やかましく言うものは段々発達して来るが、默つてつて言うことの途を知らないというものはそのままますます落伍して行くということになり、それは国民の間に非常に溝ができることになる。一方におきましては、国鉄級というものに対して賃金ベースを上げなければならんという問題を力説しており、そうして労働基準法によつて労働保護がある。ところが輓馬業者というものはどういうことになるか、自分が労働者であると同時に経営をしておる。このように一人でやつておる者には労働基準をどこに根拠を置きますか。他人を雇つた場合についてはその身体の保護のために法がありますが、自分が労務を提供しておる者は労働基準法以上の労働を私はやつておると思う。非常に身体を酷使しておると思う。そういうものを保護する途が今日ない。默つておるから保護しない、要望があるならこれからやるというようなやり方は本当の民主主義の政治ではないと思う。それが要望することのできるような工合に資料を提供して、そういうものに報告してやらなければならん。そうすればそれを見ておのずからそういう人が要望することになるわけです。そんなふうな考慮が極めて不行届であるということを今の御答弁が証明しておる。運輸省としては国鉄というような大きな団体について注意が集中し過ぎて、惠まれざるものに対する態度が極めて冷淡であるということは今の御答弁で明瞭でありますから、これは運輸大臣に申上げます。十分そういうことについてもお考え願いたい。且つもう一つ言わなければならんことは、荷馬車というようなものは自動車の交通が可能になるに従つてなくなるとお考えになつておりますか、どういうふうにお考えになりますか。
  111. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 前の松村君の御注意は篤と了承いたしましたから、将来十分注意いたして研究もいたします。  次に、自動車が発達いたしましても道路がこれに伴わなければいけないので、ところが自動車の発達のスピードと道路の改善発達のスピードとはおのずから限度がございますので、特に我が国の現状におきましては、この小運搬が将来とも非常に重要視せねばならんと考えておる次第であります。
  112. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 そこで本質的に荷馬車というようなものが必要であると考えられるのか、道路が段々開発して行つて、トラックや小型自動車が自由に動く場合には小型自動車の方が発達して、荷馬車というようなものはなくなつてもいいという思想であるのか、若しそうであるならば、今まで輸送に貢献された業者が段々小型の自動車の輸輸に移り変つて行けるように指導をされて、失業者が起らないように御考慮が必要と考えるが、ところが本質的に荷馬車というものは、たとえ道路が発達してもやはり必要であるというようなことであれば、その御心配の程度も軽くて済むと思う。こういうようなことについての御見解を伺いたい。
  113. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 道路なりトラックが段々発達して行きます場合は、この小運搬の方が減るということは事実でありますが、我が国の地勢上から考えて見まして、非常に山間僻地などの山道まで四通発達的に近い将来自動車が完全に行き渡るとは考えられませんので、我が国の実情からいたしましたならば、道路及び自動車が発達いたしましても、小運業の重要性というものは今後も重大な地位を占めると考えておる次第であります。
  114. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 大臣の今のような御意見であれば業者も或る程度安心して仕事をするとも思いますが、併しながら私はどうしても世の中が機械化して来るから小型自動車というようなものが発達して来ると、輓馬というものはやはり段々或る所においては減退して来ると思うが、山間僻地になると車も入りませんから、そこで荷馬車のようなそういう登載輓曳というようなことが引続き残る。こういうふうに段々後退して行きまして、中央で仕事をしておられる方々の目前から段々遠ざかるに従つて、従来のような御態度であればそういう人は段々落伍して行く、落伍して行くということは官庁の行政から落伍して行くことである。こういうことのないようにどうぞ国民全体の福祉増進のためにそういう惠まれざるものに御考慮がないと、全般の民度は開発しないと思う。尚ここに御注意すべきことは、この都市輓馬というようなことになりますと、一方においては運輸省の所管である。併しながら飼料という問題は農林省の所管である。その業者が両方の役所の保護を必要とする、従来の行政庁の態度でありますと、一つで事業の全体を保護するとか、監督する場合には非常に熱意があるが、併しながら両方の所管になつておると両方とも世話しないというのが従来の弊であります。只今の御答弁によりますと、農林省と十分協調しておるということをおつしやいますが、それはいつも政府側の答弁ではそういうことを言います。併しながら事実においてはこれは消極的の権限争議になるわけです。積極的権限争議の場合は両方鎬を削つて、これは自分の所管だというようなときには国民はまだむしろ幸福である。ところが両方ともうつちやらかして一向保護しないというような場合は、置きざりにされた弱少の人は何ら救われるところがない。そういうものは少数であるが故に何とも言わないからうつちやらかして置くという、そういうことはいい政策でないから消極的権限争議ということのないように、あなたの方から申すとどうぞ農林省を十分鞭撻して頂きたい。農林省から言えばそういう輓馬業者が成立つようにやはり運輸省に対しての御援助を願うように強調して貰いたい。両方が鞭撻し合つておるかというと、今日は両方閑却し合うということは先程申上げました家畜保險の制度において分つておる、農業災害補償というものはできないならば、輓馬の保險のことを考えておる人は速かに問題を提供しなければならない筈である、我々はそういうことに関係しておるから、そのときにはよく議論しておりますけれども、運輸省からは何らそういう議論をされたことはないのであります。そういうようなわけでありますから、私の質問はそういう意味において将来そういうところを十分御考慮願いたいということを申上げて置くのであります。無理に衰え行く産業を保護せよということは言わないのであります。衰え行く産業であるならば、その転換についての親切な御考慮が必要であるということを申上げておるのであります。
  115. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 前段の小運搬業が小さな小型の自動車によつて段々衰えて行く場合におきます関係は、すでに大都市の近郊におきましてはオート三輪というようなものに従来の馬車、或いは牛車が置き換えられて行くという傾向はすでに出ております。将来は只今松村君の仰せられた通り、この勢いが更に顯著に相成つて行く趨勢にあると考えられますので、その際におきまする失業問題、或いは職業の転換というようなことに対します御注意を篤と了承し、万全を期する次第でございます。尚又農林省との関係の行政の面におきましても、御注意を篤と尊重いたすつもりであります。
  116. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 分りました。
  117. 田村文吉

    ○田村文吉君 運輸大臣に極めて常識的の問題からちよつと一、二お伺いしたいのでありますが、それは今度鉄道運賃二等の三倍が二倍に下るとか、遠距離の運賃が下るという話でありますが、そういうことによつて国鉄はどのくらいの收入を失うことになるのでありますか、それが先ず第一。それからさようなことは理論的には正しい方法かとも考えますが、今日国鉄が赤字で始終お苦しみになつているような時代に、不均衡であるから暫くこういうものは手を付けないで、それの剩余金があるならば今問題になつている国鉄の従業員の給與等に廻してやるということは常識的に考えられるのでありますが、そういう点の行かない事情はどういうわけでありますか。
  118. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 大体今回のこの運賃値下の措置は、三等料金に課せられました通行税が撤廃に相成りまして、その金額が大凡三十億、国鉄に関する分が三十億ございますので、それを見返りに国鉄の運賃の引下げをいたす、こういうことにいたしまして、尤もそれは只今田村君の仰せのように国鉄の従業員にそれを還元する、分配するというよりもむしろ前に、これは鉄道の旅客の運賃を昨年に上げておりますので、むしろ通行税の廃止から出ます財源の三十億はこれを鉄道運賃の値下に使う方がいいじやないか、そういう考え方で実はやつた次第であります。
  119. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の通行税の赤字をそつくり二等運賃の値下及び遠距離に使うということでありますが、鉄道の運賃自体が外の物価に比べまして著しい高率のところにあるものならばこの議論もいいのでありますが、現在の鉄道運賃は諸物価の釣合いから言いますと、高いところでない、まだ実は低いところにあるのであります。私の恐れますのは、均衡は直したが、やがて收入が上らないから少し上げなければならないというようなことが起る心配があるのではないか、こういうことを考えますので、これは極めて常識的なことでありまするが、かような收入があるならば、これを以て今問題になつているようなものに一応充当するようなことが国民としても納得の行きやすい問題じやないか、こう考えましたのでお尋ねいたすのでありますが、併しそれについては御見解の相違で止むを得ないとすれば水掛論になりますから、私の質問は止めます。  第二にお伺いいたしたいのでありますが、今度船舶運営会が解散になりますようでありまして、五千トン以上の船も、全部民間にお帰しになるようであります。さような場合に、船舶界では非常に困乱をいたしておりまして、今後の処置について寄り寄り協議もしておるようでありますが、まかり間違うといわゆる集中排除とかいうような問題にも関係いたしますので、業者としては自営の方法を取るにも困難を感じておると思いますのでありますが、これに対して大体どういうふうな御見通しでございますか、又併せて外航船の問題についても、現在の余剩船舶を外航に向けることについて昨年から十分関係方面とも御折衝に相成つてつた考えますので、若し幸いに今の余剩船舶が外航方面に十分運用することができれば、この問題は一挙両得の問題にもなるのでありまして、この辺につきまして大臣のお考え方を伺つて置きたいと思います。
  120. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 御承知のように今回四月一日から実行いたしますることとしまして、日本の八百トン以上の船舶がすべて船主に還元されて、船主の自由営業という建前に相成つたのでございまするが、田村君もよく御承知通り、この統制経済から早く自由経済に移行したいというこの一般の希望がこれで叶えられたわけでありまするが、過去の我々の経験によりまするというと、統制経済から自由経済に切替えまするこの端境の期間におきましては、いろいろな障害、困難、不採算というような事実が招来して参ることは田村君もよく御承知通りであります。ところでこの船舶の問題がその例に洩れない最も大きなこれがショツク、影響を来さんとしておることは田村君御心配の通り事実でございます。ところが現在日本の船舶というものが大体において百七十万重量トンございまするが、先ず外航に可能であると考えますものが大体三十万トン。そうしまするというと、この残り百四十万トンということになりまするが、そのうち内航で動きます貨物を考えまする場合には、この残りの百四十万トンの中で約七八十万トンの船舶が大方過剰になるのではないかと考えられます。ところが今回のスキャツピンの処置によりますと、内航において過剩を来たす場合におきましては、この船舶を繋船する場合にはこの繋船料を国家の費用においてこれを與えるということに相成つております。ところがこのスキャツピンによつて命令されておるこの繋船料金が非常に僅少であると推定されるのであります。即ち八百トンから二千トンまでの船が繋船された場合にはその船員費はこれを四人だけしか認めない、更にこの保險社或いは燃料というようなものは極軽少なものしか認められない、今これの詳細につきましては先方といろいろ協議をいたしておりますですが、要するに繋船しましても貰う繋船料は非常に少い、従つて船主はこれでは算盤が取れない、従いまして安い賃金でも赤字を覚悟で運航せざるを得ないというようなことで海運界が混乱をする虞れがあるということに相成つております。これは内航の場合、外航の只今三十万トン外航に考えられると申しましたが、これも一文の補助金もないので自己の採算によつて自己の商売をやるわけでありまするが、ところが御承知のように、かように外航に自由に乘り出せる体制にしては呉れましたが、御承知のように我が国は現在通商航海條約がまだ結ばれておりませんので、一々外国に出る場合にも、各港々に寄航いたす場合にも、一々一船ごとにGHQの許可を受け、又相手国の許可を一々とつて、クリアランスを一々のケースによつてつて行かなければならんというような事柄、それから又いわゆる自己の代理店を海外に設置するというような自由が認められていないというような事柄、尚又ここに大きな障害は世界の運賃市場が非常な下り坂になつている、ダウンワード・テンデンシーをとつておるという、即ち制限はそのままに放置して船主が資格だけをとる、運賃マーケットは非常に惡いということで外航の方もいろいろ考えて見ますると、なかなかイージーゴーイングを許さないというような事柄に相成つております。そこでこれらを何とかして採算的に潰れないで、而も日本の海運業が如何にして維持できるかということにつきましては、それぞれ目下海運業者、運営会、労働組合、運輸省、又GHQ関係方面全部がそれぞれ今盛んに研究をやつておりますのですが、先ず繋船をする場合におきましても、日本の海運業者全部が十ぐらいのカテゴリーに分けまして、その一つ一つの中で団体等規制令等に牴触をいたさないという範囲内において十ぐらいのブロックに分けまして、それぞれ繋船をして行こうじやないかというようなことで、この難局切拔の一つの例でございますが、そんなようなこともまあ今やつていろいろ対策を考究中でございます。
  121. 田村文吉

    ○田村文吉君 段々御説明頂いて了解したのでありますが、運賃の問題は世界的にダウンワード、下落の方向に向いている、私は当然そうあるべきだと考えます。従いまして現在の日本の海運運賃、先般値上をお決めになりました海運運賃が将来行われるということは非常に困難な状態に私はなると思います。従つて仕事がフルに、いつぱいに運航ができるとすれば、相当船の運賃も下げても引合うでありましようが、現在のように余剩の船舶を以てやつております場合には、繋船費の補給という措置のために可なりに業者としては苦しまなければならないのでありまするので、何とか大切な日本の海運を維持して参ります上から申しまして、又今後の日本の貿易が相当に発展させられなければならないその大事な船であることを考えます場合に、関心の拂われるのは当然でありまするが、今お話の団体等規制令或いは独占禁止法等によりまして、或る程度の申合せによつて船を繋船するというようなことは差支えないように、こういう場合であつて特別の事情でありまするから、かような場合にはさような申合せをすることを計されて行くべきであると私は考えるのでありますが、ただ法規の末に捉われてさようなことができないということでありますると、今後の船舶業者としては非常な混乱を起すのではないかと心配しておるのであります。さようの団体等規制令ですか、申合せ等するということが不可能になつておるのか、或いはそれらは特に許されて行けるのでありますか、その点一つ考えを伺いたいと思います。
  122. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) その行き方に対しまして、いろいろな規則に牴触しないような工合に今それぞれ工夫をいたしておりまするが、やり方次第では可能であるという見通しの下に実はそういうような仕組考えておるわけでございます。
  123. 田村文吉

    ○田村文吉君 これはむしろ分科会でお伺いすべきが順序でありまするが、分科会では機会がないと考えますので、甚だ細かいことを伺つて恐縮でありまするが大蔵省で示されました二十五年度予算の説明の中にあります鉄道公社の国有鉄道予算の作り方なんでありまするが、これは大臣は実業人でおいでになりまして、簿記のことは少くも私よりはよく御承知だと考えておりますが、問題の工事資金の繰入が百九十九億、即ち二百億の工事資金の繰入があるのでありますが、これは收入の部にあれば支出の部にあるのはこれは分るのでありますが、そういると旅客收入とか貨物收入とかその他の收入からこれだけの金高が減らされて、一つの項目として工事資金繰入の二百億が計上されておるのでありましようか、これは実業人である大臣は私共の了解のできるように御説明が願えるかと思うのでありますが、随分この点については主計局長さんに伺つたので、局長さんはお分りか存じませんが、私にはどうも分りずらいのでありますが、実業人として分りやすいように貸借対照の意味で一つ御説明願いたい。
  124. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 田村君に簿記のことを余り褒められたので、却つてすくんでしまいましたので、これは一つ正確を期するために政府委員をして説明いたさせます。
  125. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 鉄道の予算の組み方でございますが、一般会計、特別会計では予算の組み方が現金收支の恰好になつておるわけであります。ところが鉄道通信等におきましては、こういう企業会計は債務の発生主義と申しまして、現金ということでなしに、契約によつて債務が発生したものを抑えるというふうに、かように特別会計の方に載つておるわけであります。従いまして御指摘になりましたものでありますが、旅客收入の中には勿論それによつて減価償却というような経費まで含めて旅客收入として、或いは貨物收入も抑えるのでありますが、損益勘定、それから建設勘定の関係におきましては、御承知のように鉄道におきましては業務勘定の外に沢山の建設、工場、病院、その他いろいろの中間勘定を持つておりますが、中間勘定間に起きまする債権債務の関係はおのおの歳出として出ておるしいう関係になつております。建設勘定が丁度損益業務勘定の方に対してそれだけの債権を持つておるというような関係になりますので、その債権の形を予算上は收入の形で現わしております。そうしてその損益勘定から建設勘定に入れます減価償却になるものを債務として向うの業務勘定の方から建設勘定の方に繰入れる、こういう発生主義の予算をとりました結果、多少分りにくいような形式に相成つておるわけであります。
  126. 田村文吉

    ○田村文吉君 同じような説明をプライベートに伺つてつたのでありますが、それでも私よく分らないのであります。即ち旅客收入とか貨物收入とか、各收入を一部だけ減らして御計上になつておるのかどうかということが分らないのであります。
  127. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 減らしておらないのであります。重複いたしております。旅客收入、運輸收入の中から更に減価償却費として建設勘定の方に入れる、こういう恰好になるわけであります。非常に分りにくいのですが、この関係は一応控除して予算を組んでもよいのでありますが、お互いの勘定がおのおの独立して勘定同志が債権債務の関係に立つてつて非常に重複して立つておる。こういうことになります。
  128. 田村文吉

    ○田村文吉君 これは大臣から、私共と同じような頭を持つていらつしやる、大臣から説明して頂くと大変分りいいと思うのですが、大臣から一つ
  129. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 鉄道の方から説明いたします。
  130. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 或いは私の御説明でも御滿足が行きますかどうですか知りませんが、鉄道の会計では損益勘定とそれから工事勘定と、中間勘定と三つになつております。でこの中間勘定は損益勘定或いは工事勘定間の通拔け勘定でございますから、これは国会には提出いたしておりません。全然つまり予算の上に出ない勘定でございます。そこで損益勘定の中に收入がございます。運輸收入なり或いは雑收入がございます。その会計がその支出と見合うわけです。その支出の中にはこの経営費なり或いは利子及び債務取扱諸費とかいろいろ分れておるわけでございますが、その中に減価消却費と特別補充取替費というものが合計百九十九億九千六百万円ございます。それも含めて損益勘定で全部支出にとつておるわけであります。そこでこれを工事勘定の方には、更にこの資金といたしまして損益勘定の中からの、今の百九十九億という金が資金として入りまして、その他のいろいろ項目がございますが、それらの合計が工事勘定の資金として二百三十九億九千万円、約二百四十億あるわけです。そうしてそれが工事勘定の資金として、支出としてはその同額が、工事をするための見合いの金として支出になる、従つて、損益勘定の中から出ますものと損益勘定から出ないものとの合計が、工事勘定の資金として勘定としては別になつておるわけです。
  131. 田村文吉

    ○田村文吉君 大体分りそうですが、そうすると今の償却費は鉄道経費という営業費の中に入つておると、こういうことですね。
  132. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 別になつております。
  133. 田村文吉

    ○田村文吉君 鉄道営業費の中に損益勘定なら損益勘定として、償却費として、経費の中に当然入つていなければならん、それが営業費の中に入つておれば、辻褄が合うわけでありますが、併し数字の問題で大変貴重な時間を費やしてもどうかと思いますが、お間違いはないだろうと思いますけれども、あまりにこの点が分り辛いのでありまして、経費の中に入つておるわけじやないのですか。
  134. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 経費の中には入つておりますが……
  135. 河野一之

    政府委員(河野一之君) お分りにくくて、甚だ恐縮なんでございますが、鉄道の事業費或いは営業費の中には入つております。ただその中に消耗的なものと資本的なものと二つに分れておるという意味であります。
  136. 田村文吉

    ○田村文吉君 明瞭いたしました。経費の中に入つておるとおつしやればそろでよろしいのであります。入つていないとおつしやるから面倒になつてしまうのであります。私の国務大臣に対する質問はこれで終ります。
  137. 小川友三

    ○小川友三君 同郷の先輩の大屋先生にお伺いいたしますが、三等車のサービスが非常に惡いですが、東海道は幾らかいいですが、外の線になりますと待遇が非常に惡いので、これは何か捕虜になつておる気持がいたしますですが、三等車の改善に対しまして大臣は具体策を持つておられると思いますが、帝国人絹のスフでもいいですから張つて貰いたいと思いますですけれども、この点につきまして御所見を御伺い申上げます。
  138. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 鉄道のサービスが非常に、特に国鉄に切り換えましてから注意をいたさせまして、うんとよくなつたと運輸大臣考えておりまするが、只今小川君の御指摘のように三等のサービスが惡いと、こういう仰せでございますので以後注意いたすことにいたします。
  139. 小川友三

    ○小川友三君 それから先程運輸大臣から道路問題がありましたですが、道路をもう少しよくしまするように、建設省と連絡を取り又大蔵大臣と連絡を取りまして、道路の改修にはその筋でも力を入れておるようですから、相当予算が取られると思うのです、この点につきましての対策を一つと。もう一つ私鉄との並行線の国鉄が、今凋落のまあ状態になつていますが、私鉄は非常なサービスをしている、国鉄はサービスはすつかり忘れちやつておりますから、並行線においてつまり收入減を来しておりますが、これに対しまして運輸大臣は相当な決意を以て私鉄の並行線に対する競争をやつて行かなくちやならないので、いわゆるサービスをよくするという点につきまして一つと。それから先程松村先生からの質問のちよつと繋がりになりますけれども、トラック業者がガソリンの配給が非常に少くて、闇でガソリンを買つておるという状態ですが、トラック業者に対してガソリンを幾らか殖やして貰いたい、沢山殖やして貰いたいという考えを持つておるんですが、これに対する御所見を。それから国鉄の公務員に対して、この間の新聞の工合では六百円から千円ぐらい出そうでしたけれども、今朝新聞を見ますと出そうもなくなつちやつたということに対しまして、運輸大臣は運輸円転闊達居士ですから、どうかこの点につきましてその筋と連絡を取つて頂いて、大臣のいわゆる同志、子分であるところの国鉄の従業員に対しまして、たとえ幾らかでも御盡力をその筋と連絡を取りまして出して頂きたいと、こう思うんですが、大屋先生の偉大なる政治力と外交力と又測り知れないところの魅力で何とかならんものでしようか、この点につきまして一つと。それから私は片山内閣のとき芦田内閣のときずつと質問しているんですが、今鉄道弘済会というのは非常な成金です、これにまあボスが非常におりまして、弘済会の幹部というのは百万長者、千万長者続出という状態ですが、いわゆる現業の労組に対して第二弘済会のような営業を特別にお目こぼしでやらせるかして、そうして收入を幾らかでも殖やしてやるという問題に対しまして、特に実業家御出身の大臣はその方面にも活路を見出して頂きたいですが、大臣はどういう御所見を持つていらつしやいますかということです。それからもう一つ、国鉄の従業員は私鉄の従業員よりも大体待遇が三割から五割ぐらい惡いです。殊に国鉄と東武線とでは大体三割国鉄は惡い、安月給で追廻しているというような点があつて、私は東武線と国鉄と使つておりますが、非常な苦情を受けておりますが、大屋大臣ならどうもその点はやつてくれると思うんだけれども、とにかく一応質問をして……小川友三が一度質問すれば大体念願が叶うんだからと、労組から期待されているんですが、この点につきまして大臣一つこれに対する御所見を拜聽申上げたい。もう一つは国鉄の駅長さんが時間外手当を一銭も貰つてないんです。ところが駅長というのは駅の收入を増大するために方々え駈けめぐりまして、時間外三時間も五時間も浪費しましていわゆるそのサービスをして收入の増大を現在図つております。ところが時間外手当は一銭もくれない、上野の駅長さんはサラリーにおいては十七番目、東京駅長さんは二十五番目ぐらいだし、どこの駅長さんも駅の收入においては駅員よりも少い、收入が下であつて、サービスはそれ以上やつておるという状態です。何か鉄道の区長には手当が来るんだけれども駅長には来ないんだという。駅長は一番骨折つているのだから時間外手当とか或いは何とか名目をつけて支出をして貰いたい。二十五年も三十年も三十五年も駅でやつているのに收入は非常に少いんだから、何とかこれを国民の代表として運輸大臣に頼み込んで貰いたいという声が、どこの駅に行つても駅長さんからあるのですが、運輸大臣はこの点につきまして、特に駅長はいわゆる練達堪能の士であり、最も真面目な大屋先生の子分なのですから收入を殖やして貰いたい。たとえ毎月五百円でも千円でも結構です。この点につきまして御高見を承わりたいというわけです。それから各駅長が今競争をして温泉地の遊覧の見学団を募集しております。これは非常に国鉄全体の收入を増大しておりますが、これに対しましてももつと奬励をして頂いていわゆる国鉄の職員の收入を幾らかでも殖やして貰いたいのですが、何百人募集しても一銭の手当もない。生命保險でもいわゆる政府がやつている簡易保險でも沢山募集をすれば歩合を貰えるのです。ところが大屋先生の主宰する国鉄では幾ら骨を折つても一銭も呉れない。これはサービスが非常に惡いと思うのですけれども、成るべく出して頂きたいと思うのです。大屋先生のいわゆる経営哲学と申しますか(笑声)その点から割出しまして、骨を折つた者には幾らかでもやるということにつきまして、大屋先生の御高見を拝聽いたしたいわけでございます。
  140. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 先ず第一の道路の問題でありまするが、小川君も御指摘の通りこれは建設省の主管でございまするが、運輸省もこれを利用いたしトラック、自動車を走らせるとかいろいろな点につきまして大いに関係がございますので、御趣旨を尊重いたしまして、道路の建設に万全を期したいと思います。  第二点の御質問は私鉄並行線の経営が非常にまずくなつている、これに対して何か対策はないかというお話でありますが、この私鉄は我が国に百八、九十ございまして、いろいろな面で目下経営困難に陥つているのでありますが、これに対しましては能率の改善、或いは運賃の値上げ、いろいろな点で一つ私鉄の事業の育成に努力いたしたいと考えております。  第三点の国鉄の職員に対する問題、それから最後の問題は上野の駅長や何かを例にお出しになつて、超過勤務を一生縣命やつている、或いは又温泉の遊覧列車に客を沢山吸收すべくうんと努力しているが、一銭の加給もないというような三問題程一諸にしてお答えいたしまするが、これは私といたしましても小川君は非常に平易にお説きになりましたが、これは国鉄の性格上から見ましても、昨年御承知のように政府仕事からコーポレーションという形に切換えてやつておるのでありまするが、コーポレーションはいうまでもなく公務員じやない、さればといつて民間のフリーないろいろな会社の形態でもないので何か中間の形態で、我が国の実情にはぴつたりまだ来ない、最も経験が少い、スタートいたしまして日が浅いのでありますからして、無理がないかも知れませんが、私は少くともこの点は、一面においては公共的な事業であると共に、一面におきましてはやはり一生懸命働いて能率を上げ、利益を上げたならば、その利益が即ち国鉄の施設の改善に向けられる、或いは従業員の給與にこれが還元されるというような途が自由に……、現在のように運輸大臣又は大蔵大臣、場合によりましては又関係方面と、一々いろいろな関門がありまして、国鉄の総裁はそういう経理面や何かにつきましては権限が殆んどないというような状態ではまづい。而も現実に職員は只今小川君の言われたようにいろいろやつておりながら報いられないというような面に関連いたしまして、どうしてもやはり国鉄のコーポレーションの経理の面を改善いたしたいと思つております。私といたしましては、まだこれは私の属しまする党にも、或いは政府にも何ら相談いたしておりませんが、この性格を私はやがて変えたいと考えております。その暁にはこれが大きく今小川君の言われたようにサービスを提供して能率が上れば、それがやがて戻つて来るというようなふうに相成ろうかと思います。  又現実の問題といたしまして、この国鉄の従業員に対しまして、第二の弘済会みたいなものを作る考えがあるかどうかというお問でありまするが、只今のところでは差詰めさような施設をいたそうとは考えておりません。もうこれで洩れたことはございませんでしたかな。
  141. 小川友三

    ○小川友三君 どうも大屋大臣は頭がよいので驚きましたが、もう一つ財政面ですが、今の国鉄に広告をする、もつと車内の広告、外側の広告をやれば五億なり十億ぐらいの増收はあると思うのですが、その広告の收入を国鉄の従業員の待遇の改善に向けて頂きたい、外側に何々という広告、帝国人絹なり第一銀行なり外側と中側をやれば、十億くらいの收入はあると思うのですが、これをやつてその財源で待遇の改善をして頂きたいと思うのですが、少しは汽車の中に広告があつた方が無聊を慰めるわけですが、この広告をもつとつけて貰いたいのですが大臣の御所見を伺いたい。
  142. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) やはり国鉄の経営方針は、一面においては非常にサービスを提供してお客樣に気持よく旅をして貰つて、自然々々に増收を上げるという角度に発展さして行くことが重要なる一つの狙いであります。そこで今小川君の言われる広告は私は同じ考えを持つておりまするので、今までのような殻を脱却して、相当飛躍的にすばらしく一つつて見たい考えを私は持つております。而してこれが收入が入れば現在でもこれは差支えないのですが、雑收入という勘定科目に入れて国鉄の一応收入になります。併しただ民間の株式会社のように、某々個人の考えによつて幾らの広告の余剩の收入があつたからそれを直ちに従業員に廻してやるというふうな、融通自在な民間会社のような経営はコーポレーションの会計制度関係からできませんが、やはり国鉄の收入を上げれば結局給與もまあ余計見て貰えるという結果に間接にはやり得るのでございますから、小川君の今の御注意を更に活かしてうんと一つ新生面を開きたいと考えております。(「賛成々々」と呼ぶ者あり)
  143. 田村文吉

    ○田村文吉君 ちよつと運輸大臣に伺い洩れがあるのでありますが、先刻の二百億の減価償却でありますが、資産再評価で鉄道の財産は如何程の計算になつておりますか。又償却率は建物、軌道、車輛等いろいろありましようが大体平均いたしまして耐用年数をどのくらいになつておりますか。
  144. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 鉄道の現在の資産を再評価いたしますと、いろいろに言われておるのでありますが大体約七千億前後かというふうに計算をいたしております。それから減価償却がどのくらいな耐用年数かというような御質問でございまするが、これは種類によりましていろいろその標準が違つております。ものによつて非常に違いますので平均といつてもちよつとお答えいたしかねますが、建物は五十年だそうであります。それからいろいろな工作物が確か四十年だと思いました。それから車輛が二十五年だと思いました。一応ただ例として申上げるだけで平均はちよつと申上げかねますが、各種の財産によつて皆違つております。
  145. 田村文吉

    ○田村文吉君 それは分るのですが平均勘定はここに出て来るわけですが今の七千億という御計算であれば、それに対して二百億ということになると逆算が出るわけですがそれでよろしうございますか。
  146. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 大体平均三十年弱でございます。
  147. 田村文吉

    ○田村文吉君 よろしうございます。
  148. 寺尾博

    ○寺尾博君 私は主として農林大臣にお尋ねしたいと思うのですが、ちよつと小さな問題で大蔵大臣に意見をお尋ねしたいと思います。  私は我が国の農業生産はまだまだ大いに増産の余地があると思う。ひとり食糧だけではない、従来は生糸というものが輸出の大宗になつてつたのであるが、今後従来のようには行くまいが、尚輸出に向けるものも相当農業生産にある。で終戰後の混乱におきまして、殊に食糧の欠乏ということで食糧食糧食糧が第一ですからして、政府としても非常な努力をされて代々の政府が非常にその食糧需給の問題にお骨を折つて来られたのでありますが、従つてその場合には農業経営が随分無理になることもある。又農家として非常な労働過重になる。が、そういうことを殆んど問わずに食糧供出主義で專ら供出に努力して来たのでありますが、最近は国際関係もありまして食糧輸入というものが激増する傾向になつて来た。そこですでに他の委員の方々からも再々このことが問題に上げられておるわけでありまするが、ここで一方では我は国の農産物の増産の余地が、その方針を取れば非常にあり実現するということ、又一方では農村が経済的に非常に苦境に陷つている、で将来この輸入食糧関係、殊に現在でも諸外国におけるところの食糧の過剩、又本来昔から南方地常におけるところの米の生産、こういうものが自然日本内地の農業に重大な圧力を加えて来る、そういう見方から将来に相当不安も感じて来ているわけです。で現在も苦境に陷つており将来も不安に陷つているこの日本農業を強固なものに築き上げて、又それは一方国土の農業的の生産を大いに強化することになる。この点につきまして従来は混乱時代でありましたからして、そういう積極的の政策も十分にとり得なかつたことも無理なかつたと思いますが、今日はすでにそういう生産助長と日本農業の強化ということに対しての積極的方針を立てて然るべき時期に到達しているのではないかと思うのであります。で、今は将来の計画というものは立てらない、こういうような御説明を総理大臣からも他の政府の方からもしばしば承わつておるのでありますけれども、成る程そういう見方もあり又それが正しい面も少くないとは思いますが、とにかく今日の農村の現実、又一方で只今申しますような国の農作物の増加の可能性があるということ、これを考えましてここに日本農業の再建設という積極的な方策を考えて然るべきだと思う。なお混乱の時期を脱しないからして先の計画は立たないというようにばかりは言われないと思う。そこで来年度の予算についた見ましてもそれらの方面の問題につきまして見ますと、成程公共事業費として土地改良その他に相当の増額があるのであります。これは誠に結構だと思います。ただその他の方面と農林方面との割合を考えてみて多少どうかと思う点がないのではありませんが、この方面に土地改良というような農業の基盤を強化することを重要視されていることは誠に結構と思うのでありますが、その以外において私が特に重要と見られるものが、水稻單作地常の対策費として約一億四千万円、農業改良普及事業費として一億五千万円、積極的の施策としては土地改良の外にこの約三億足らずのものしかないと思うのです。でこれによつて見まして、まだ私が希望するような日本の農業を非常に強化し、或いは日本の農業生産をずつと高めて、その生産の可能性を発揮するというような積極的な方策とこれを見ることができないと思うのでありまするが、農林大臣はしばしば今日の農業の改良に対して畜産を一般的に入れるとか種々のそういうことはとき折お話がありますけれども、概してまだ観念的であるような感じがします。又ここに予算等に現われたところは断片的にすぎないような感じがあります。もつと大きな全面的且つ総合的な農業再建設の政策をお立てになり、或いはそれに対する積極的の調査研究を高めるというような意思は今日のところおありでないかどうか、この問題に対しまして先ず概括行に政府の方針を承わりたいと思うのであります。
  149. 森幸太郎

    国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。食糧増産ということが第一義として現在考えておるわけであります。これは寺尾委員も專門的のお立場からいろいろ御研究もいたされておることと存じますが、日本の農産物の増産いわゆる食糧の増産ということは総合的に考えて行かなければならんと存じます。あれもしたい、これもしたい、したい仕事は沢山あるのでございますが、一面国家の財政関係にも拘束されるわけでありますが、今日の場合におきましてはこの予算の許す範囲内におきまして総合的に食糧増産の政策を立てているわけでありまして、まだまだ日本の農産物の生産につきましては将来性を持つておりますので、土地改良におきましても或いは品種の改良におきましても、又耕地の技術の改良滲透につきましても、又一面においては再三申しまする耕作の安全性を高めるということの、消極的、間接的の面ではありますが、そういう方面に力をいたし、又食糧増産いわゆる農産物の生産増加ということが、農家の経営の上から経済的に行われなければならないという考え方から政策を立てて、今日は一に食糧増産面に進んでいるようなわけであります。いろいろと部分的に考えましてはまだ物足らん点もあろうと存じますが、有畜農業を奬励するということが必要でありましても、それのみに重点を置くということも考えなければならんと思います。又土地改良に伴つて又外の政策もこれを考えて行かなければならんというふうに、総合的に進んで行くということが今日取るべき政策と、かように考えておるわけであります。
  150. 寺尾博

    ○寺尾博君 私は只今農林大臣がおつしやいました食糧を第一とするということは誠に当然であります。併し農家の経営と生活から見ても、どうしてもこれはその土地條件やいろいろな、その地方的、地理的の関係におりますけれども、概して普通の農事の食糧生産以外に何らかの金銭收入を得る適当なる副業というものが必要でありまして、昨日松村委員も、この労働一点張の農業では進歩がない、牛馬の代りを人間がしているというようなお考えがありまして、私もその点においては非常に同感であります。どうしてもこの労働偏重主義を訂正して行かなければならん。それには幸い稻作というものは労働節減の可能性がある、而も最近はいろいろ増産の要素が沢山ある。即ち労働過重に至らざる労働過重と無関係な増産の要素が沢山ある。で一方では、この日本の経営に適当なるところの農具、殊に畜力農具によつて遥かに労力を省ける。それによつて頭で考える身体の余裕もでき、時間もでき、現にそういう事例が少からずある。そういう余裕によつて何らかの副業的金銭收入の新らしいものを考えるということによつて、この労力節約の意義があると思うのでありまして、殊にこういう労働節約ということができるような指導又それに対する措置というものが非常に必要である。同時にその副業の育成というようなことを一つ政策として、それを重要視して行くということが非常に意義があることである。が農林予算の上においてそれらのものは一応出て来ておりますけれども、今日の疲弊して弱つて来ている又前途に不安を抱いている農村に対しては相当それを強化することが是非必要である。それで日本はそれらの副業の中でもいろいろ園芸的なものも酪農的なものも多多ありますけれども、これは一つの新らしい副業として日本の気候と又農業事情等から考えまして、作物殊に蔬菜、花等の種の改良及び家畜の種類の改良によつて、最も優秀なる作物の種苗及び家畜又は動物の優秀なる供給地となり得る可能性がある。これが外貨獲得に効果し又農家の副業を築き上げることができるのである。こういうような積極的な産業、副業を築き上げるというような熱意を持つて農林政策を立てて行くということが非常に必要であると思うが、そういうような面においてのことが、従来ではまあ大体惡くいえばお座なり式にしか見えない、非常に積極的に態度は見えない。余程国が強力に農村建設の方針を立つてない限りにおいては、この弱点の多い日本農業はただ土地改良をやつたくらいだけで行けるものじやない。かような意味におきまして私はもつと、これは勿論予算も要りますけれども必らずしも予算だけの問題じやない、とにかく農林当局又政府全体が、そういうような気概、意気込を以て処して行くのでなければ、なかなか将来の困難な農業を救うということはむずかしいと思う。こういう私の考えに対しまして政府の御所見を伺つて置きたいと思うのであります。
  151. 森幸太郎

    国務大臣(森幸太郎君) お説誠に御尤もと拜聽いたしたのであります。従来日本の農業が惡口をいえば無計画にあつたともいえるような点もあるのであります。これは大いに反省しなければならんと存ずるのでありまして、殊に農家は技術的な科学的な研究をする余裕がないのであります。どうしても国家の力によりまして科学的な研究を進め、品種の改良或いは薬剤の研究等その成果がはつきりしないいわゆる非常な犠牲を拂わなければならんような問題は、国家の力によつてやらなければならんのは当然であります。これが従来試験場等によつていろいろと各般の研究を進められておつたのでありますが、この試験場が総合的な連絡がとれていなかつたという欠点を認めまして、昨年来その農事試験場等の総合的縱横の連絡を付け国家的な研究を進めるような組織に改めるということが最も基本をなすべきものと考えまして、その総合統一を計画して御審議を願つているようなわけであります。尚今日海外貿易の立場から申しましても日本からこの農業方置として輸出するものは相当あるのであります。殊に近時花卉類等も相当の輸出を見ているのでありまして、今回種苗法の改正をいたしまして花卉の登録制を作つたのであります。従来日本は專門的に一つの新らしい品種を発見する、その発見するまでには非常な犠牲を拂つているのでありますけれども、その犠牲に対して国家が報いることが甚だ少いのであります。これであつては、その国家的立場でいろいろと研究をしておられるところの科学者に報いる途がないのでありますが、すでにいろいろの農業方面その他の方面でありますけれども、こういう殊勳者に対しましては褒賞授與の途も開きまして、そうしてその折角研究されたことを国家で御用立して貰うということを考えまして、殊に花卉類のごときもいろいろと研究されたのでありますが、それが遂に報いられずして一般に普及してしまう、こういう点がありますので今回花卉も登録制にいたしまして、今後ますます輸出向の種苗の生産に努めたいとかように考えているわけであります、今お話のように地方税にいろいろの種苗を取入れて行くということが必要でありまして、曾ては輸出の大宗といいました養蚕も非常に今では退歩いたしているのでありますが、漸次自由経済に戻しましてこれが好転の一路を辿つているのであります。併しまだまだ品種の改良、種苗栽培法の研究等も進める余地がありますので、ますますこの方面の研究を進めまして、そうして農家の労力の按配ということが農業経営の上において最も重大なことでありますので、農家の副業としてこの養蚕業を取入れ、或いは花卉栽培を取入れるというようにしてできるだけ労力の分配を広め、そうして昨日も松村委員から御意見等もありましたが、この過重なる労力をできるだけ薄めて行くということに指導して行きたいとかように考えておるわけであります。
  152. 寺尾博

    ○寺尾博君 只今の農林大臣の御趣意は大体私も了承いたしました。尚少し二、三の問題を一括してお尋ね申上げたいと思います。只今農業試験研究機関の整備統合のことをお話になりましたが、これについてお伺いしたいと思つてつたのでありますが、この農業研究機関の整備統合の理想は、只今大臣が仰せられたように誠に結構であります。併しながら実際において見るところは結局経費の節減に過ぎない。で、今後この困難なる日本農業に強い力を授けるには農業研究機関というものをもつともつと強化しなければならん。勿論整備統合、今回取上げられましたところの再組織、再編成は、非常に結構であります。併しそれをその機関において機能を発揮し得るには、今日のところでは誠に弱体であつた、十分な機能を発揮できない、これをもつともつと強化するような努力をして頂きたい、これが一つ。尚今回中央におましては、従来の農林省、農事試験場、畜産試験場、園芸試験場、開拓研究所等が一つの組織になつてて中央農業研究所となつたのであるが、又それに伴つて地方においては各地方東北農業試験所というようなものが地方々々に出来ているわけでありますが、これが一つの組織になつたということは有機的の連絡がつく筈とお考えになるかも知れませんが、これは專門研究家の特質として、各畜産と園芸と普通の農事とが有機的に結合されるようなことはなかなかむずかしい。私はここに一つ、これらのこういう研究機関におけるところの国家の重要農業政策の線に乗つたところの研究問題等を審議する、そうしてその研究問題について各專門家がそれぞれ分担してその能力を発揮し得るために、いわば農業技術審議会というようなものを設けて、この專門家の諸君の研究した研究を最も国策の上に乗るようにして行くのが適当ではないか、こう思うのでありますので、この点に対しての大臣の御意見を承わりたいと思うのであります。  尚続いてお伺いいたします。こういう方面の一方研究機関が充実されると共に、農業改良助長法によつて従来の古来伝統の農業に近代の科学と技術とを注入するところの役割をする技術者として、農村に農業改良普及員というものを設けられて、今回の予算におきましてもそれが増員になりまして、その人件費が一億五千万円増額になつておることは誠に結構であります。併しまだこれでは足らんのであります。聞くところによりますと、来年又同程度の増額をすることによつて各市町村に少くとも一人の普及員を置く方針であるという、これは誠に結構である。併しながら普及員の実際の活動を見ますと、指導上必要なるところのいろいろな技術的な施設又は活動に要するところの費用というものが殆んどないので、自然その町村からの寄付が要求される、どうにか寄付金の出るところは活動するが、そうでないところは十分活動ができない。従つて普及員に対するところの批評が、普及員は何もせんという批評と、普及員は非常に有効である、これは大切なものだ、こういう二つの違つた見方があるくらいです。この普及員というものは非常に有効で、これからの新らしい農業建設の上において非常に重大な役割をするのでありますから、この方面に積極的に今後の施策を用いて行くことを希望するのであるが、この点についても御意見を伺いたいと思います。  もう一つ、やはり同じ方向で大事なことは、地方によりまして近年まじめな農村の青少年の間に農業研究会、或いは農業技術研究会というものを組織している、これは自然に放置されているようなものであります。幾らか改良局の事業としていわゆる四Hクラブというものを設けて指導するというが、本来この四Hクラブは少年に対するものである。名前はどうでもよろしいがとにかく農村のまじめな青少年の熱心なる研究会のようなものに対しては、政府として何らか積極的な保護政策を取るということは、今後の日本の農業の実態実質を強化する上において非常に有力な場面である。この点に対して十分な処置を考えて行くことを熱望せざるを得ないのであります。  最後にもう一つこれと連関いたしまして、この農業の統計的調査の事業であります。これは農家からしばしば嫌われている、供出が重くなると言つて農家が非常に嫌つているというような点がありますが、これはまだこの事業に対するところの農家の理解が十分でない。今後の農家政策は正しいところの信頼できる統計が成り立たなければできないわけでありますから、又供出その他も正しい供出、課税等もこの農業統計の基礎の上に初めてできるのであります。これは実に大事業である。幸いにして今年度は政府もこれに関して、災害調査費という名目を以て若干の増員をしている。これは非常に有効であり又必要であると思うのであります。ところが予算には増員になつているが、この行政庁ではとにかく公務員の数を減すという一般的の方針を強くして、折角増員になるものが減らされると、こういう実現しないというような虞れを感じているのでありまして、この事業の非常な重要性に鑑みまして、この機械的の定員削減ということは余程考慮して、こういう事業に対しては特に意を用いて頂かなければならないと思うのでありますが、これに対して農林大臣はどういうふうにされておるか。政府の全体の方針なりとしてそれに従がう、或いは又行政庁におきましてはこれをどういうふうに御了解になつておるか、これは目立たない問題でありますけれども、非常に大切な問題である。特に私はこの点に対するところの希望を述べまして、御意見を伺う次第です。
  153. 森幸太郎

    国務大臣(森幸太郎君) お答いたします。農事研究所の統合につきましては、今後相当の時日を藉さなければ当初の目的達成の位置までは達せんと存じます。従来は経費が非常に少くしてそして研究の面が広過ぎたのであります。従つてこの弊害を除去するためにできるだけ各試験研究所の連絡を図つて、そうして総合的な立場から特に重点的に研究を進めて貰う、こういうふうな方針をもつて進んで行きたいと考えるのであります。経費の面におきましてもできるだけこれを増額いたしまして、その研究が一日も速かに而もはつきりした結果の挙がるようにいたしたいと考えます。それにつきましては各研究所が研究をする場合におきましては、今お説の通り審議会という名前がいいか惡いか存じませんが、協力して一つの国家目的に副うような態度を決めてそれぞれ研究に携わるということは最も重大なことと存じます。それにつきましては当者事のみならず、あらゆる角度から考えましていわゆる最高的な方針を定めるという審議会というようなものを作ることは、誠に妥当なことと考えております。そういう方針に進めたいと存じております。  次に普及員の問題でありますが、これは今一出張所に四名となつておりますので、これは一出張所が五ケ町村を平均持つておりますので五ケ町村に四人と、こういう普及員になつておるのであります。今後におきましては少くともお説の通り一ケ町村平均一名ということに置きたいと存じます。それにつきまして関連して考えられるのは、農業協同組合の指導連においてこの技術者を持つている組合があるのであります。この協同組合が指導組合としてこの技術員を置くことがいいか。これは昔の農業会の関係でそういうふうなしきたりになり、そういうふうな今日まで続いているのでありますが、私はむしろこの協同組合がその町村自治体と協力して国家の普及員を鞭撻し、協力し、指導して貰うということが妥当でないかと、それが適切であろうと、かように考えておるのであります。これは協同組合方面等もよく指導いたしまして、いわゆる指導普及の方針が一途に出るということに私はいたしたいと考えております。  青少年のこの自発的な研究の問題でありますが、これは寺尾委員も御研究下さつておると存じまするが、今日の学制改革の結果、地方における甲種、乙種と申しました專門的な農学校がなくなつてしまつたのであります。農家の子弟がどこで專門的な技術や学力を得られるかという問題は、非常にこれは農村として悩んでおります。これは何とかしなければひとり農業だけではなく、工業におきましても漁業におきましてもそうであろうと思いますが、この学制改革の結果、そういう甲種專門学校がなくなつてしまつて、どこで学んでよいかというようなこれは過渡期とは申しながら、速かにこれは何とか是正いたしたい、かように考えております。中学校を卒業しましたものがこの農業研究所によつて修めるというより途がないのでありますが、そういう資力のないものにおきましてもこの農家の中堅となつて活動して貰おうということが必要でありますので、政府におきましては今お挙げになりました四Hクラブと連絡を取りまして、この方針を農村にもつて行くということが私は一つの方策と考えておるのでありますので、こういう方面と協力いたしまして青少年の農村における研究発達、自治的なその進歩を促したいとかように考えておるわけであります。  次にこの統計調査でありますが、今更申すまでもなく統計ということの重要なことは御了承の通りでありまするが、これが今までは非常に嫌われたのであります。嫌われているということは供出制度の基礎をなすために、農村から非常に惡まれまして、作報の職員は実に鬼か蛇のごとくに見られまして誠に気の毒な立場におつたのであります。併しこの食糧事情が非常に緩和して参りますと、今後むしろこの本当の姿を統計に現わして貰いたい、実際を見て貰いたいというような気持も相当この農家の方面にも出て来ていることで、誠にこれはよい傾向と考えておるのであります。特に農村といたしましては、いろいろ課税の方面において無理があるというような、いろいろなことが起つておりまするが、併し私は農業者にしましても、商業者にしましても、工業者にしましても、自分の收入のあるものに対して納得し得る課税を受けることは国民の義務である、こういう気持を持つべきであると存じます。従つて農林省におきましては統計方面においても農家に家計簿を作らせまして、又地方に標準な農家を求めて收支計算をとりまして、そうして自分の農業経営がうまく行つているかいないかということを実際自分で知るということが、農業経営改善の上においても重大なる点と考えてさように指導いたしております。従つて従来のように作報という名もあまり面白くないので、今度は農業調査所という名前に変えたわけでありますが、この人員につきましては、今お挙げになりました行政庁の方面からさように増員をする必要がないではないかというような意見もあるのであります。併し本年度はすでに御承知通り災害調査もやらなければならん、又漁獲調査もやらなければならん、又蚕糸類の調査もやらなければならん、いろいろな調査が重課されまして、今までのような作柄調査、実收調査というような單純なものでないのでありまして、非常に仕事が殖えて来たのであります。而もこの調査は世界の統計調査と繋がるものでありますので、日本の体面といたしましても完全な統計を作るということは必要でありますので、一層この統計調査に対しましては重点をおいて進んで行きたい、これはあらゆる政策の基礎になるのでありまするから、重きを置いて考えて行きたいと存ずるのであります。但しお挙げになりましたこの際行政庁におきましてはさように増員する必要がないではないかという意見もあるのであります。これは事実であります。併しこの定員の設置につきましてはまだ政府として結論を得ておりませんが、農林省といたしましては飽くまでも統計調査の重要性から考えまして、是非ともその調査の完璧を期すべくその内容の充実を望んで止まない次第でありますので、今後ともその方針に努力するつもりであります。
  154. 寺尾博

    ○寺尾博君 殊に最後の今の問題の作物報告事務所の定員の問題は、非常に重要問題であります。今日までも作物報告事務所の職員というものは、非常か過労に陷つて、殊に夏の数ケ月というものは非常に超過勤務をやつている。従つてかなり多数の病人が出ている、これによつて重要なる仕事が完遂されない虞れがあるのであります。これはあくまでも只今の農林大臣の御方針のごとく、政府におかれましてもこの点を、この事業の重要性を十分にお考えになつて、千遍一律な定員制ということのないことを、是非とも実現して頂きたいと思うのであります。私は農林大臣の御努力と御手腕に信頼いたしましてこの点御了承を申上げるのであります。  次に大蔵大臣に小さな問題を一つお伺いいたしたいと思います。これは青色申告の問題であります。是非農村でも青色申告をさしたいというので、協同組合とかいろいろなところで骨折つて農家を集めて講習会のようなことをあちら、こちらでやつておるようであります。先頃或る地方へ行つて様子を聞きますと初め五十人ぐらい出席している、神妙に聽いておつたが、二、三回やると半分ぐらいになる。又経つと数名になつてしまう、段々非常にむつかしくて歯が立たなくなつてしまうということで、これでは折角の理想の青色申告がなかなか徹底することはむつかしいと思う。何とか殊に農業者はそういう面倒なことは不得手でありますからして、結局そういう意思を持つてつてもついどうもできそうもない、結局税務署の査定、更正決定によつて又悶着を起すというのが、大多数の実情であるように思います。何とか政府の方針が実現するように大蔵省は適切な措置を講じて頂くことが、実際上必要であると思うのであります。これに関する大蔵大臣の御所見を承わりたい。
  155. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 寺尾委員のお話通り、なかなか普及がむつかしい点があることを聞いておるのであります。私といたしましては青色申告の制度は、将来課税の適正を期する上において是非必要なことであると思うのであります。農家の方々又中小工業、商業者の方が呑込めますように、できるだけ簡素にして行きたいと考えております。今私、具体的にどういうような書式にしているか、まだ見ていないのでございますが、私の考えとしてはそういうような方向であるように思うのであります。今までの状況を見まして又もう一段考慮してもいいと考えております。
  156. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 私は一つ動議を提出いたしたいと思います。今朝来同僚諸君が極めて熱心且つ真劍に予算に直結せる各種の問題を審議せられたことは、非常に私共愉快に拜聽いたした次第であります。併し日本は特に開会したことでもありまするしこの程度において打切られんことをお願いいたします。御賛成を願います。
  157. 小川友三

    ○小川友三君 質問の通告がしてあるのですが、私のは簡單ですから大臣が折角お見えになつているのだしちよつと申上げて、私がやつてから終つて下さい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  158. 山田佐一

    委員長山田佐一君) どうぞ小川君。
  159. 小川友三

    ○小川友三君 極めて簡單にかいつまんで大蔵大臣と農林大臣と官房長官にお伺いいたします。官房長官はいないか……  農林大臣からお伺い申上げますが、農林大臣は農業政策の專門家でいらつしやいますからちよつとお伺いいたしますが、この予算は或る程度結構ですが、これを施行するに当りまして食糧の輸入が非常に多い、食糧は最近に池田大蔵大臣がアメリカに行かれまして分ると思いますが、大体日本では人糞を非常に使つている、これはいつ頃人糞を肥料に使わない時代を農林大臣はお作りになりますか、先ずその点について簡單にお伺いいたします。
  160. 森幸太郎

    国務大臣(森幸太郎君) 極めて適切な御質問でありますが、農家といたしましては肥料に対しての考えを今持つているのとは変えて行かなければならんというようなことも考えるのでありますが、人糞尿というものは農家において最も有利な肥料であります。而も自家生産でもあり(笑声)この利用の方法によりましては農業経営の上から見ましても逃してはならないのであります。実はこういう話はあれでありますが、都会が水洗便所でこれを水に流してしまうことは勿体ないと思つております、アメリカではこれを全部乾糞にいたしまして、そうしてこれを還元いたしているのであります。水洗便所というものは実に簡單で衞生上結構でありましようが、この農家の農業としての経済から見れば実に勿体ないことをやつているわけであります。それだけ海の魚が肥えておるか知れませんが(笑声)成るべくならばこれを農村に乾糞として還元して欲しいぐらいに思つているのであります。ただ農業経営の上におきまして余りにも人糞に対する措置が誤つている。これは曾て内務省のあつた時分に改良便所というものを奬励されまして、このアンモニアの発散することを防いで、そうして日本人の九〇何%が持つている蛔虫を駆除するということに重きを置かれて相当これは普及して参りました。併しなかなか日本農家の便所を全部改良することは不可能でありますが、農家が人糞尿に対してどういう態度を持つか、あれは有効なアンモニアが発散するのでありますが、あれを発散しないような処置をとるということを考えるならば、実に最大有利な肥料である。  ただもう一つは、日本で恐ろしいのは蛔虫であります。農村においては大方九〇何%ぐらい統計に出ているか知りませんが、皆蛔虫を持つているのであります。これは食糧問題からいうても折角の貴い食糧で蛔虫を養つているわけでありますから、これは実に勿体ない話であります。併し今戰争に負けまして駆虫剤もありません。サントニン、海人草が十分に手に入らんときでありますから、改良便所をやりますならば全然蛔虫が駆除される。それでありますから蛔虫駆除の方法といたしましては改良便所をやるより今では途がないと考えております。外の薬剤をやりますと肥効分を落しますから、成るべく改良便所にいたしたいと思いますが、なかなかこれは全部の農家に普及することは容易でないのであります。私は人糞尿につきましては、最も有効な肥料であり今後もその措置について十分なる指導をいたしまして、そうしてその効果を上げて行くようにしなければならん、かように考えております。
  161. 小川友三

    ○小川友三君 どうも人糞問題等になりますと……大体これはこれど終でありますが、人糞の効能は今農林大臣に初めて承わつたのでありますが、大体アメリカでは人糞を使つていないということですけれども、この点について、人糞で取つた食糧は大体蛔虫が食つてしもうてイクオール零、それですから化学肥料の増配をして頂きたいということについてお伺いを申上げたいと思つたのですけれども、私よりも農林大臣の方が農業行政のその道の專門家でいらつしやいますから、この辺で一つその方面は農林大臣に兜を脱ぎまして打切りまして、今度は大蔵大臣にお伺いいたします。  折角最近アメリカへいらつしやるそうでございますから親米政治家として満腔の敬意を表しながら一つお伺い申上げます。これも簡單ですから大蔵大臣に堅くならないで一つお答え願いたいのですが、今度の中小企業者の救済問題は中小企業の資本を十二億出し、或いは中金或いは與銀等の資本を増大して、融資面の斡旋をしているという大蔵大臣の非常なる努力に対しましては、これは識者はその効果を認めております。そこで今度は大蔵大臣に一歩進んで頂いて、中小企業金融の面の一つである国民金融公庫問題に対しましては、折角三十億円に大増資をしましたが、将来帯時国会あたりにそれを二倍くらいに増資する案がございますかどうか、大蔵大臣の御所見を承わりたい。
  162. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国民金融公庫への出資につきましては、補正予算で五億円を殖やし、又来年度予算を十二億円を計上いたしておるのであります。今の現状から見ましてお説誠に御尤もでございます。先達つて大蔵省の者を呼びまして、何とか本国会でも実は手はないだろうかというので検討をしたのでありまするが、なかなか今のところむずかしいのでございます。併しできるだけ早い機会にこの十二億円を殖やすような方法を講じたい。従いまして臨時国会があるかどうか分りませんが十二億円を成るべく早く使つてしまおう、そうして次の国会の劈頭には増額案を出す、或いは又別に借入金をし得る制度を開き、いろいろなことでとにかく国民金融公庫の融資運転資産を殖やして行こうということを研究し、努力いたしておるのであります。
  163. 小川友三

    ○小川友三君 郵政大臣がいらつしやいますから序でに……。郵政大臣の方の預金の余つたやつで中小企業の方に廻す幅は大蔵大臣と相談してございますかどうか。それだけ一つ
  164. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 預金部の資金運用につきましては両院の決議もありますし、又閣議の決定もございまして、簡易保險或いは厚生年金につきましては、別途運用するように関係方面と今折衝を続けている状況であります。併し今預金部資金となつておりますこの金を分けましても、その使い方につきましてはそうひどい変革は今のところではむずかしいのではないかと思つております。
  165. 小川友三

    ○小川友三君 法務総裁がお見えになつておりますので……。今朝新聞を見ますとお巡りさんが兄弟を殺して自殺した、このピストルをやたらお巡りさんに持たすということは、ああした弊害が今後も起きると思いますが、ピストルをもう少し三人に一人ぐらいに減らしたら如何でございましようか。この点につきまして法務総裁の御所見を……
  166. 殖田俊吉

    国務大臣(殖田俊吉君) ピストルはお巡りさんが持ちますとときどき過ちをいたします。併しながら日本で武器を持つております、本当に治安維持の責任の果せる者は警察官のピストルだけであります。でありますから私共治安維持の面から申しますと、できるだけ精鋭なるピストルを全部のお巡りさんに持たせたいのであります。その中にたまに使用を誤ることがありましようけれども、それは大きな目的のためには最少の犠牲に止める外ないのであります。ピストルの使用の方法等につきまして十分に訓練をいたしまして、さような過ちのないようにしてそうしてピストルを全部に持たせたいと思います。
  167. 小川友三

    ○小川友三君 終り。
  168. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 本日の打合会は以上を以て終了いたしました。本日は定足数の関係委員会となるに至りませんでした。よつて打合会として取扱いますことを念のために申添えて置きます。本日はこれを以て終了いたしました。    午後三時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     山田 佐一君    理事            田村 文吉君            寺尾  博君    委員            石坂 豊一君            小串 清一君            岡崎 真一君            城  義臣君            團  伊能君            堀  末治君            小林 勝馬君            赤木 正雄君            飯田精太郎君            井上なつゑ君            西郷吉之助君            伊達源一郎君            玉置吉之丞君            藤野 繁雄君            松村眞一郎君            小川 友三君   国務大臣    法 務 総 裁 殖田 俊吉君    大 蔵 大 臣    通商産業大臣  池田 勇人君    農 林 大 臣 森 幸太郎君    運 輸 大 臣 大屋 晋三君    郵 政 大 臣    電気通信大臣  小澤佐重喜君    労 働 大 臣 鈴木 正文君    国 務 大 臣 青木 孝義君    国 務 大 臣 本多 市郎君    国 務 大 臣 増田甲子七君   国 務 大 臣 山口喜久一郎君   政府委員    内閣官房副長官 菅野 義丸君    大蔵事務官    (大臣官房長) 森永貞一郎君    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君    大蔵事務官    (主税局長)  平田敬一郎君    大蔵事務官    (理財局長)  伊原  隆君    大蔵事務官    (日本銀行政策    委員代表兼銀行    局長)     舟山 正吉君    通商産業事務官    (大臣官房長) 永山 時雄君    運輸事務官    (大臣官房会計    課長)     粟澤 一男君    運輸事務官    (海運局長)  岡田 修一君    運 輸 技 官    (港湾局長)  後藤 憲一君    運輸事務官    (鉄道監督局    長)      足羽 則之君    運輸事務官    (鉄道監督局民    営鉄道部長)  唐澤  勳君    運輸事務官    (自動車局業務    部長)     中村  豊君