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1950-03-09 第7回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月九日(木曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十五年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十五年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十五年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 山田佐一

    ○委員長(山田佐一君) 只今から会議を開きます。通告順によつて質疑を許します。堀越儀郎君。
  3. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 私は左の二点について文部大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。その一点は、義務教育費国庫負担が廃止されまして、一般平衡交付金に包含されることになるのでありまするが、この義務教育標準教育費というものを確保する途が講ぜられないときには、将来非常な禍根を残すと思うのであります。勿論この点については、地方民主化の上から地方自治方面からいろいろの反対意見もあると伺つておるのでありまするが、又一面教育重点をおいて非常に尊重する面から、又将来の日本を担当して行く青少年教育重要性から考えて、更に大きな要望が生れておるのであります。地方の声なり、或いは識者の意見を綜合いたしますと、万一この義務教育標準教育費というものが地方に交付される平衡交付金の中で確保されないときは、いろいろな欠陷が生ずる。その主なものを総合して見ますると、標準教育費というものは平衡交付金配分の單なる基礎に過ぎないならば、教育費として見込んだものが、政治力の強い土木保健衞生、或いは警察、勧業という面に食い込まれる可能性が非常に大きいのであります。又更に教育の妥当な水準を維持することが困難なばかりでなしに、教育機会均等が保障されなくなるのではなかろうか。何故かと申しますと教育費というものは相当に多額に上るのであります。  現在地方状況を見ましても、大体予算の二割五分乃至五割ぐらい、多いときには五割五分にも上つておるのでありますが、ところがこの教育というものは御承知のように直ちに効果が現れるというのではなしに、将来を見込んでのことであります。将来に非常に大きなる影響を及ぼすものでありまするが、その他の事業のようにその経費を投じたならば、その効果直ぐ目に現われるというようなものでないだけに、予算削減対象というものには最もなり易い、犠牲に上り易いものであるということを考えなければならないのであります。これは地方財政だけの問題でなしに、すでに六・三制の建築費補助の問題にいたしましても、中央の国家財政の上から非常な苦難を甞めて来たことは御承知のことと思うのであります。国家財政の上におきまして、本来ならば教育のために最低標準費を決めなければならないと我々は思うのでありますが、文教予算が常に僅かな費用しか組まれないという国家の現状から考えまして、地方においては尚更この点を確保しなければ教育費が削減される対象になるということは、これは一番我々憂えるところなんであります。  それから又国家が必要と認める教員数なり、或いは教員平均給與、旅費、或いは結核教員の枠外の計算などに要する最低経費が保証されないことになるだろう。その結果教育俸給の不拂、遅拂、更に府県給與による質の低下した教員を集めなければならないことになるのじやないか。これはすでに十五、六年前に幾たびも繰返され、哀れな境遇に追込まれた教員が沢山にあり、そのために教員の質が低下するのみならず、定足数を欠き教育に非常に支障を来たすために、義務教育国庫負担の件が論ぜられて、法律が制定されるようになつたことは御承知の通りであります。現在のこの標準教育費が、若し確保されないということになりますと、その過去の弊害を再び繰返すというような虞れが多分にあると思うのであります。  更に教員給與以外の学校経常的経費地方によりまして、又学校によりまして、二分の一乃至三分の一程度のものはPTAなどの寄附によつて賄われているという実情であります。而もこれが一層大きくなるような傾向にあるのであります。今度の税制改革においてシャウプ勧告によると、寄附金というものを廃してこれを税制体系に織込んでも、教育費用に盛り込まれるものが削減される虞れがあるために依然として寄附金に頼る習慣は残るであろうと思うのであります。シャウプ地方における寄附金というものを減じて百億円に止めることを勧告しておるのでありまするが、政府はこの線に副つて地方財政体系から睨み合せまして、地方寄附金というものを百億円に止めようとしているように思われるのでありまするが、若しこの標準教育費というものを確保されないならば、恐らくこの勧告は無視されるのじやないか、これが実情であります。実際に賄つて行けないものをどうしてその費用を捻出するか。結局寄附金というものに頼ることになりはしないか。政府は減税において国民負担を軽減すると声を大きくしているのでありますが、国家財政において多少の負担が軽減されましても、地方財政において非常に負担が大きくなるということは、これは一般に認めるところであります。政府は声を大にして如何にも国民負担が軽減されるかのごとく宣伝している。その裏面においては、地方財政において非常な負担が多くなるということは、これは国民に対する欺瞞でないかとさえ思われるのであります。而も地方における寄附金増額というものによつて、折角負担の軽減と政府は鳴物を入れても、国民負担は更に地方において膨れ上ることだけでなしに、教育の面から考えましてかかる情勢が更に続くならば、教育というものはPTAなどの外部勢力支配される虞れが多くなるのではないか。そうして自主的の教育活動というものが阻害されるだろうと思うのであります。  更に又文部省極東委員会指令第七十四号によつて全国教育の妥当な水準を維持すべき責任を持たされておる筈であります。万一この義務教育標準というものが確保されないときには、極東委員会指令に副つた文部省責任を果すことができなくなるのであります。このような事態に遭遇したときに、文部当局としては如何にその責任を果されるか、私は非常に憂えるのであります。文部当局のそれに対するお考えも篤と承わりたいと思うのであります。  更に又地方教育委員会というものが設けられたのは一般行政から分離して、教育自主性というものを確立しようとした点に根本の考えがあると思うのであります。つまり不当の支配には一切抑圧されないで本当に自由な、民主的な教育活動地方によつて盛り上らせようとするのが狙いどころと思うのであります。その教育委員会は常に財政的には何らの国家的の保障もないのであります。完全に地方公共団体理事者地方議会支配を受けて、万一この標準教育費というものが確保されないならば、現在よりも更に苦境に立つことは想像するに余りあるものであろうと思うのであります。かような教育委員会というものが如何に法文が整備されておりましても、その活動というものに対しては多くの期待はかけられないのじやないか。折角教育民主化というものを叫ばれその線に沿つて設立されたところの教育委員会というものが、存在の価値を失うことになりはしないかということを虞れるのであります。こういうような観点から又地方教育の実際を見、地方の声を聽き種々なる意見を総合いたしまして、我々はこの義務教育の半額の国庫負担というものは廃止され、平衡交付金に包含されるこの際に、文部当局は如何なる努力拂つてもこの教育費確保のために努力されたいと思うのでありますが、これに対する文部大臣の御所見なり、御覚悟なり、現在までの御活動状況を承わりたいと思うのであります。
  4. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。シャウプ勧告によつて新たに実行されることになりました平衡交付金制度と関連して、義務教育費確保について十分の考慮をしなくてはならないという点について、その理由を詳しく御発表になりましたが、お話になりましたような点は私も全く同感であります。従つて文部省といたしましては、この平衡交付金制度実施されるということになりまして以来、これを如何にして実行して行くかということについて愼重に研究をいたして参つたのであります。  そこで義務教育というものはお説にもありましたように、憲法に規定されております非常に重大な国家的な義務を判うものであります。国民にとりましても重要な義務であり又権利であります。従つてこういう重大な性質を持つた経費については、他の地方行政費とは別個に特殊な考慮を拂わなければならない、こういうような立場で以て義務教育費確保について何らか適切な措置購ずるという必要を痛感して準備を進めて参つたのであります。それで結局平衡交付金制度と関連して、新たに実行されることになりました地方標準的な行政費算定と関連いたしまして、義務教育についての標準的経費算定並びにその経費の支出の確保ということを、特殊な立法によつて嚴守するようにしよう、こういうことで義務教育標準経費確保に関する法案というものを用意いたしたわけであります。そうしてこの国会提案いたしまして皆さんの御審議御協賛を願いたいという考えでおります。すでにその法案閣議で決定いたしまして、只今関係方面に手続中でありますから、近く国会提案になると考えておりますから、それを一つよく御覧頂きまして御検討の上御協賛を願いたいと考えております。シャウプ勧告一般平衡交付金による地方経費国庫補出という制度ができまして、まあこの制度趣旨地方自治を尊重する、地方財政運用を楽にするというような趣旨からできておることは事実でありますけれども、シャウプ勧告案でも教育に関する経費については特殊な條件を付する必要を認めるというようなことが書き加えてあるわけでありまして、シャウプ博士考えによりましても教育費については特殊な見方をしておるのであります。  それで、じやどういうふうにしてこれを確保することになるかと申しますと、結局義務教育費確保をするについては二つの点が重要だと思つております。第一は地方義務教育実施いたします場合に、その実施に必要な経費というものを合理的に実情に即しまして計算をされるということであります。これが地方々々によつて勝手に計算をされるということになりますと、義務教育実施地方的に非常に相違して来るわけでありまして、非常に立派に義務教育実施される所もあるが、地方においては甚だ不完全な義務教育実施するという結果にもなりますから、義務教育実施についての必要な最低経費というものはどのくらいになるべきであるかということを、合理的に精密に計算する方式が必要だと思うのであります。そうして各地方義務教育経費を計上する場合には、その方式従つて予算考えるということが第一に必要である。第二にはそのようにして計算されました標準的な義務教育経費というものを、各地方団体が固く守つて行くということであります、これを削減しないということ。この二つの点が重要なポイントでありまして、この二つがしつかり実行されれば、只今質問にありましたような心配がなくなるという考えで、そういう考えで、そういう要領でこの国会に提出しようと準備しております。義務教育費確保に関する法案を作つたわけであります。  これに対しまして皆さんのところにもいろいろ反対陳情も参つておるかと思います。市町村長知事方面では大分反対意向があるようであります。併し私共から考えますと、その反対意向は余り根拠がないように思う。反対陳情を見ますと、何かこの法律によりまして地方予算に対して文部大臣が非常に大きな権限を持つて干渉をすることになる、或いは地方財政文部大臣権限によつて撹乱するというような結果にもなるというようなことが言われております。併しこれは全く見当違いでありまして今度の法律ができますと、地方義務教育費用予算に計上する場合に、その法律に書いてあるような方式計算をするということと、そうしてそれを守るということがこの法律で書いてありますから、ただこの国会で承認された法律地方団体が守つて行けばいいわけなんで、この外に文部大臣から命令を受けるところは何にもないのであります。この法案文部大臣提案はいたしますけれども、閣議十分検討をされ国会で十分審議されてできる法律でありまして、文部大臣考えでやれるものじやありません。だからその点甚だ誤解が多いと思います。又地方財政を非常に苦しめる、撹乱すると申しますけれども、そんなことは絶対にありません。平衡交付金制度皆さんも御承知のように、今のようにして計算されました標準的な義務教育費用というものは、平衡交付金によつて確保されておるのであります。そのようにして計算された費用で、若し歳入が足りなければ平衡交付金によつてこれが補充をされておりまして、すでに金は確保されておるのであります。ですからこれがために金が足らなくなるなんということは絶対にない。ただそういうふうにして確保されました分について、土木その他に流用を認めないというところだけが、地方団体にとつて窮屈になるということだけであります。而も今度の法律ではその流用をしてはならないということについてはこれは原則でありまして、災害その他やむを得ない事情の場合を除くと書いてある。ですから災害その他によつてやむを得ない場合にはこれが削減され流用されても仕方がない、こういう除外例が設けてあるのでありますからして、地方にとつてそれが非常に財政運用上の障害になるなんということはないと私は考えております。  それから又地方反対します一つ理由は、教育費の外に地方土木費とか警察費とかいろいろあるわけでありますが、それらについても又教育費と同じような特別立法によつて嚴重な拘束が加えられるというようなことになつては、地方財政運用が全くつかなくなる、そういうような反対をしておる。けれどもこれは根拠のないことでありまして、現内閣といたしましては、義務教育の特に重要なることを認めて、これについてだけ特別立法をやる、その他の地方行政については決して立法しないということで方針を決めておるのでありますからして、そういう反対論も甚だおかしいと思うのであります。ですから今のところ地方からの反対陳情というものは、法律がまだできませんから法律をよく読んでおらない、地方知事市町村長がまだよくお読みにならない、だからよく知らないでただ無暗に反対をされるという点が一つと。又もう一つ地方知事市町村長の方々からいえば、まあ予算はできるだけ自分たちの自由にできるようにして置いた方が都合がいい、こういうこともあるだろうと思います。それらの理由から反対が起きておるかと思いますけれども、私共はさつき申上げたような理由によりまして、義務教育というものの国家的な重要性ということ、教育的見地から見ましてもこれからの日本国家建設については最も重要な仕事であります。これは特別な扱いをして来ておるということで、どこまでもこれを実行するという考えで進んでおります。  又PTA寄附金等についてお話がありましたが、私もその点全く同感であります。シヤウプ勧告によりまして、大体民間寄附金四百億という推定をされて、その中の三百億だけはこれから寄附によらないでいけるようにするということで、税金をそれだけ殖やしたわけであります。その四百億と推定された寄附金の大部分は、教育に対するものであつたと思う。ですから新たに殖やされた地方税教育にそれが廻つて賄われるということにならなければ、今までのPTA寄附金を減すことができない。ですからPTA寄附金を減らして税金を殖やしてそうして教育にこれを廻すという以上は、その予算土木その他に削減されるということは絶対に許されない筈であります。今まで教育のために寄附されておつた代りに、今度は税金でとるのでそれを今度は教育に使わないで土木に廻すなんということは、全く理窟に合いません。ですからそういうふうなこのないようにしたいということが、私共の主眼でありまして、そういう趣旨義務教育費確保に関する法案をこの国会提案し、文部省といたしまして、無論今までいろいろ議論が文部省以外に政府部内においてもありました、自治庁方面とはいろいろ折衝で問題がありましたけれども、自治庁方面意向も十分斟酌し、調整をして、一つ法案として提案することになつたのでありまして、内閣全体がこれを賛成し、自治庁担当国務大臣もこれに賛成をしてできた法案であります。ですからもう政府として、何ら異存はどの方面にもない筈であります。ですから国会におきましても、そのつもりで一つ十分御検討を頂いて、御賛成を願いたいと考えます。
  5. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 只今御答弁頂きました文部大臣お話によつて、非常に我々が憂えておることに対する御努力の点はよく分るのであります。只今承わりましたように、この義務教育の而も最低標準額というものを確保するためのこの法案に対して、地方において行政部門を担当する人々から相当反対の声が起つているようであります。只今大臣の御答弁によつてそれは全く誤解に基く、いわれなきものであるということはよく分つたのであります。そういう声があればある程、私共は更にこの標準教育費確保に対して重要な意義を持つと思うのであります。今若しこの法案が潰れて全く自由放任にされるというようなことになるならば、非常に将来に禍根を残すことになると思うので、我々もその点に努力をいたすのでありますけれども、大臣初め関係方面においてもその点十分な御考慮をお拂いになつて努力あらんことを希望いたしまして、この問題に対する質問を終ります。  第二点といたしまして科学振興に関する経費の問題であります。これは以前の国会において参議院が科学振興のために国家がもつと考慮拂つて、十分なる経費を支出すべきことを決議したのでありますけれども、今度の予算を見ますると、成る程昨年度においては四億五千万円であつたものが、五億万円に殖やされているのであります。国会意思表示をして、全会一致科学振興に対する経費というものを更に増大すべきものであるという、国民の代表としての声をお聽きになつ政府が、五千万円の増額によつて事足れりとお考えになつているのであるかどうか。以前にも通産省から科学技術白書というものを発表されましたが、日本科学技術が非常に世界水準以下になつているということを憂え、日本の文化のみならず産業その他の面においても、昨日緊急質問において同僚帆足君がストレプトマイシンのことで意見を開陳しておられましたし、ひとしく科学によるその進歩に負うところが大きいことを我々は痛切に考えるのであります。この国民の声を僅か五千万円で片付けようとされているのか、或いはこの国民の声を文部当局がお聽きになつて努力せられたけれども、止むなくかような事態に立至つたのであるか。これに関連して他の科学研究所との関係において、その欠陷を補うように予算を仕組まれてあるのであるか。更にこれ以上この面に考慮を拂われるつもりであるか。国会決議したあの決議案に応えて文部当局はどう立ち上られたか、国会決議すればそれでいいのだといような考えでいられるのか、国民の声としてお聽きになつたのであるか。その答えとしては余りにも少いと思いまするので、これに対する文部当局の将来のお考え、現在如何に努力をお拂いになつているか。これは国家再建の上において、日本科学技術というもを世界水準以上にどうしても持ち上げなければならない重要な点でありまするから、文部大臣の率直なる御意見を承わりたいと思うのであります。
  6. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 科学技術振興につきまして、前国会決議がなされましたということと関連して、予算的措置その他についての御質問であると考えます。科学技術振興の必要ということは、私共の立場から申しましても無論、今日の日本状況から申しましても、極めて緊急に必要なることと考えております。それで国会としましても、その立場で以てその必要を御決議なつたわけでありますし、国会の外にも御承知日本学術会議におきましても同様の決議が行われておるのであります。私共としてはそういう考えで、予算的措置につきましてもできるだけの努力をしたつもりであります。併し只今指摘になりましたように、科学研究費という項目といたしましては、二十四年度が四億五千万円でありましたのを、二十五年度五億円と五千万円殖やすということに過ぎなかつたのでありまして、その点甚だ残念に考えております。  併し科学技術振興につきましては、この科学研究費という予算項目だけの問題ではございませんで、日本科学水準引上げについては、この外に大学における研究、それから大学附置研究所における研究ということが極めて重要な役割を果すわけであります。そこで二十五年度における科学振興についての予算的措置としてどこに重点を置くべきかということを、制限された予算の範囲内においていろいろと考えたわけであります。その結果といたしまして二十五年度予算におきましては、大学における教授研究、又大学附置研究所研究予算が制限されておる以上、一つ重点的に予算措置を講ずるという方針を取つたわけであります。そこで大学につきましては教授講座研究費というものを約六億円殖やしました、倍額近くにしたわけであります。それから大学附置のいろいろの研究所経費を約一億四千万円増加いたしております。それで大学方面での研究による科学振興については、不十分ながら相当効果が挙げられるだろうという考えでおります。そういうことから御指摘一般科学研究費として計上される予算、つまり科学者或いは科学者団体民間研究機関等に対する補助金として出します科学研究費予算の方は、遺憾ながら五千万円だけの増額の五億ということに算定されたのでありますが、この点は私共としては甚だ不十分と考えておるのでありまして、最小限度私共はその倍額十億くらいは是非とも必要だと考え努力したのでありますけれども、今日の日本経済財政が非常に制約をされるので、それで満足せざるを得なかつたという状況であります。従つて今後日本経済財政の回復に応じまして、これはできるだけ増額するように努力をして参りたいというつもりでおります。  尚科学振興につきましてはそういう予算的な措置方面だけでなく、文部省としては無論いろいろと考慮いたして努力しておるのでありますが、御承知のように最近科学技術輸入のための計画が進行いたしております。科学技術輸入のために日本科学者技術者外国相当多量に出しまして、約一ケ年間研究して来るようにできることになりました。これは今までの外国への留学派遣は多くは外国資金によつてつたのでありますけれども、特にこれは日本貿易勘定尻で持つておりまする貿易資金を或る程度使つて日本の金で以てやれるというふうになつて来ております。これも日本科学技術振興には必ず役に立つだろうと思つております。又これも御承知だと思いますが、日本学術会議会長、副会長、部長などが最近アメリカに参りました。これもアメリカ科学技術研究のためでありますし、その外留学生も昨年は五十名でありましたが今年度は百五十名を選衡しましたが、尚追加されるだろうと思つております。それから外国図書購入についていろいろ今まで不便があつたわけであります。日本科学振興については戰争以来すつかり外国との学術交流が杜絶しておりましたために非常に支障があつたわけでありますが、それを取返すためには外国に行くということと、外国図書を自由に買つて読むということでありますが、そういう外国図書購入につきまして、最近非常に楽に便宜が得られるというふうになつて参りました。それから大学での研究でのいろいろな器具、用具、これも非常に熱望したのでありますが、これも段々楽になつて来るということになりました。  それから研究者外国と交換するという制度も具体的に計画が進行しております。これらのいろいろな予算措置以外の方法によりまして、外国の非常に高度の科学技術水準というものを日本に取入れて日本科学技術振興に刺戟を與え、そうして研究者に便宜を與えまして、日本科学振興を図るという点は相当具体的に進行しておるという点は喜んで頂いてよいのではないかと思つております。  ただ予算的措置につきましては只今も申しましたように、二十五年度の予算におきましては、大学方面については不十分ながら或る程度増額ができましたけれども、一般科学研究費については僅かに五千万円の増額で、この点は文部省としても甚だ残念に思つておりますが、今後できるだけの努力をして参りたいと考えます。
  7. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 只今の御答弁で大体のいきさつは分つたのでありまするが、文部大臣の御答弁によりますると一般科学研究費が僅かに五千万円しか増額ができなかつたが、大学及び大学附置研究所のこの経費増額されて、その面において相当要望に応え得られるだろうというお考えであります。これは甚だ結構なことでありまするが、由来大学研究所というものは象牙の塔に立籠つて他の研究所との関連が非常に薄い憾みがあるのであります。折角大学及び大学附置経費増額して、これによつて関連性を持たせて科学技術振興に貢献しようとせられるお考えがあつても、以前のように象牙の塔に閉じ籠つておるあの考えで若し当局がおられるならば、このお考え効果が削減されるのではないかと思いますが、一般科学技術振興費のためには僅かしか計上されないが、大学の面においては相当経費を持たせた筈であるから将来に期待が持てるというお考えには、私は非常に危惧を抱くのであります。そういうことを万一大臣がお考えになつておるならば、以前の弊害を十分に考慮せられ、そういう割拠的な考えを捨てて日本の将来のため全部が協力して、日本科学技術振興のために努力せられるよう、大臣に御考慮をお願いいたしたいと思うのであります。
  8. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 大学研究活動につきましていろいろと御注意がありましたが、この点は私も十分に考えておるところでありまして、最近御承知のように地方に新制大学というものが沢山に国立でもできました。それらの新制大学活動地方実情に即し、地方の産業的の科学方面とできるだけ結び付いて、大学研究というものを実際界に十分利用されるようにできるだけ文部省としても勧奬しておるわけであります。大学としても終戰以来そういう空気が非常に強くなつて来ておりますので、御心配のごとき点は今までの大学活動よりは今後は少くなつて行くだろうという見込を持つておりますが、御注意のありました点は文部省も全く同感でありますから、今後はできるだけ大学方面と相談いたしまして御心配のないようにして行きたいと考えております。
  9. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 実はさつき堀越さんから質問されました標準教育費について私も質問してみたいと思い申込んでおつたのでありますが、堀越さんの質問されました要領は大分私の意見と同じでありますので、これに対して高瀬文相から御答弁があり我が意を得たる御答弁であつたとこう思いますので、これは時間の関係から重複を避けて止めたいと思います。ただ義務教育振興という立場から考えまして、私はどこまでも文部当局のお考え、御方針に共鳴するものであります。この法律案が出ましたならば当局におきましては最善の努力をなされて、これを通過するように一つつて頂きたいという所見を述べて置きます。  次に私は文部当局にお尋ねしたい問題は総合高等学校に関する問題であります。なかんずく実業学校の分離という問題であります。この問題につきましては先般どの議員でしたか本会議質問をされ、高瀬文相からも御答弁があつて大体の輪廓は分つておるのでありますが、具体的の例を上げまして一つお尋ねをいたしてみたいと思います。私の考えを率直に申上げますならば、従来の普通の中学校、それから農業、商業、工業、こういう中等学校がありましたが、これが一つにされていわゆる総合の高等学校が今日大分できておるのでありますが、併し地方実情によつては、この教育委員会の決定によつてこれが分離されておるのであります。私は従来の実業学校は分離してやつた方が実際的である又効果がある、こう考えておる一人であります。或る農業県の事情を申上げますと、県会議員大多数が超党派的な、農村に関係のある議員二十数名で農村議員連盟というものを作りまして、そうして県当局及び教育委員会に対して是非分離すべきものであるという運動を起しまして盛んにやつておるのでありまするが、県当局の方では、最初からこれは合併すべきものではなかつたのだ、併し教育委員会の方で総合高等学校がよろしい、これが理想的であるという見地からこう決つた、若し教育委員会の方でこれは分離して貰いたいというような意向があれば予算的措置はいつでもできる、大した経費はかかるものではないという意思表示をしておるにも拘わらず、又一方においてさつき申上げたように、農村に関係の多いところの議員二十数名でたびたび教育委員会に対して折衝をやつておる、交渉を重ねておりまするが、教育委員会の方では僅か実施後二年足らずというような面子のためにこれを拒否しておるという実情があるのであります。私の知つておる範囲では最初からこれをやつたところは非常にやはり効果が上つておるのであります。文部省教育委員会に対して監督権を持ちませんが、大体この実業教育系統を分離することに御賛成かどうかということを先ず第一にお伺いすると同時に、若しこれがいいとお考えならば、これは監督権がないから通牒などをお出しになることはちよつとむつかしいのでありましよう、私しろうとでよく分りませんが、何らかの有効適切な指導的立場の役割をお取りになる意思があるかどうか、先ずこれを先にお聽きして置きたいと思うのであります。
  10. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 実業教育、特に農業教育について総合高等学校制度よりも独立の農業高等学校という方が教育効果が十分に上げられるだろう、それを総合制にすることは不適当だというようなところからの御質問だと思います。私も原則としては全く同意見であります。私自身実業教育と最も関係の深い人間でありますからして、これには相当実際によく経験しておるつもりでおります。従つて農業のみならず工業、商業等の実業教育につきましては、私は徹底した教育をすることについては、日本実情から申しますと独立校とすべきであるという考えを持つておるのであります。ですからその点は全く同感であります。ただこれを独立校としてやるか総合でやるかは文部省権限でございませんで、お話がありましたように地方教育委員会権限でありますから、文部省権限を以てどうするということは実際はできません。けれども私の考えはそういう考えでありますからして地方から聞かれればいつでもそう答えております。又地方に対してそういうような意見を述べております。ですから地方で若し文部省或いは文部大臣考えがどうだということをお聞き下されば、はつきりしておると私は思つております。文部省或いは文部大臣がそれについてそう曖昧な考えを持つておるとは思わないと思つております。ただ併し地方で何故今まで独立した実業学校であつたものを総合化するかと申しますと、一つはいろいろの関係もありまして、校舎を六・三制との関係考えなければならぬというようなところ、或いは外国の例から考え予算的に総合にした方が経費が少くて済むというようなところからいろいろ関係するところがありまして、教育委員会としてはその方針でやつておられるというところが多いのではないかと思うのであります。けれども今岩男さんがお述べになつたのは多分大分県の例ではないかと思いますが、私もこの一月大分県に参りましてこの話を聽きました。そうして私はどう考えるかという話でしたから独立した方がいいのだとはつきり答えたわけであります。ですからそれは分つておる。ただ実行上委員会としていろいろの関係があるという点は認めざるを得ません。けれども委員会が若し信念を持つてはつきりそうすべきであると言うならば相当できないことはなかろうと私は思うのであります。日本自体にも私はこういう点については今まで相当偏つた考え方が多いと思う。何かこう中学校よりは実業学校の方が地位が低いのだ、実業学校の方が軽蔑されるというような風潮が日本にもあつた、そういう習慣がまだ残つておるということが一つの重要な原因ではないかと思う。総合制になつて何故それじや農業とか工業の部門が駄目なのかと申しますと、これは今言つたような日本の今までの封建的な考えでありまして、何か上の学校に行けないでも中学に行つた方が偉そうに、上品に見える、農業学校や商業学校に行く者は何だか地位が低い、軽蔑されるというような風潮があるということが一つの大きな原因だと思つております。これは非常に間違つた考えだと思うのでありますが、そういう点を日本人みずからやはり十分清算する必要もあるだろう。そのようなこともいろいろありまして。総合制に転化されて来る部分が相当ありますが、私は予算上或いは校舎その他止むを得ざる必要のある場合を除きまして、総合制でない独立の実業高等学校でやつて行く方が適当だと考えておりますし、今後も私の意思を聞かれればはつきりそう答えるというつもりでおります。
  11. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 次にもう一点ばかりお尋ねいたしたいと思います。それは六・三制の建築費の助成金に関する問題であります。これは国の財政関係から一時政府は中止されました。ところが前国会でいろいろ事情をお考えなつた挙句でありましよう、十五億円だけ追加された、第七国会予算の見ますと四十五億ばかり計上しておるようであります。これは誠に結構であると私は敬意を表するものでありますが、ただここに一応六・三制の補助を打切るということになつて、その期間に建築をやつた市町村が相当あるのであります。これに対してはこの助成の恩典に浴することができないという文部省の御方針であるようでありますが、これは余りにも政治を知らないところの残酷な措置であると思うのでありますが、これに対する文部大臣の御所見を伺いたいのであります。
  12. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 六・三制の新制中学校建築費補助の問題でありますが、原則はやはり現在非常に不足して足りないものを先ず建てるというところに眼目を置かなければならないということは、これはどなたもお認めになるだろうと思うのであります。従いまして予算の建前といたしましては、最小限度生徒一人当り〇・七坪は教室のために必要である、その〇・七坪さえないようなところに先ず予算を出さなければならない、こういう原則は動かせないと思います。これはどうしても是非必要なことでありますからやらなければなりません。ただ併しその〇・七坪に現在達しておりますものにつきましても、いろいろの実際の事情が違つておると思うのであります。例えば〇・坪はあるけれどもほんの急に間に合せのための甚だ不完全なバラックで、それで〇・七坪になつておるというところもありましようし、相当しつかりした建築で〇・七坪になつておるというところもある。これはやはり違つた考慮が必要であります。それから又お話にありましたように、現在〇・七坪になつておるけれども、今までその〇・七坪に達するについて非常ないろいろな支障があつたにも拘わらず、その支障を越えて何とかそこまで行つておるのだという事情については、やはり特殊な考慮も必要であります。ですからすでにでき上つておるというものについては、原則としては、これは予算補助の割当はしないのでありますが、それらの実際の事情をよく考慮いたしまして、できるだけの調整を図り、又予算補助金だけでありませんので、地方のそういう建築助成については起債もあるわけでありますから、補助金の方でいけなければ起債の方ででも何とかしたいということで、できるだけの調整を図るという方針で行つております。
  13. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 大臣は今のできるだけの調整というようなことを一つ信用をいたしまして、この問題は打切ります。  尚これに関係しておりますが、実は私前の国会予算委員会における最後の討論のときでありますが、遺憾ながら賛成はする、併しそれに対し付けてた條件の中に六・三制の建築費の問題が入つてつたのであります。四十五億出るからこれで満足できるかということは、私の考えでは絶体承服できないのであります。尚これを継続して来年度もおやりになるおつもりかどうか、それを伺つて置きたいのであります。
  14. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 六・三制の建築費補助の計画につきましては、文部省は今まで幾度か計画を作りまして、五ケ年計画で以て完成しようというようなことも考えてやつたのでありますけれども、日本財政実情から申しますと、なかなかはつきり現在ではそう長い間の計画が立ちにくいという実情にありますので、そこで又今度は計画を立て直すということにいたしまして、とにかく〇・七坪というものを相当いい條件において完成をする、これを先ず第一の目標としております。そうすれば世の中でいろいろ心配されておりますような馬小屋教室とか、廊下の教室だとか、青空教室とか、これは完全に解消できますし、又二部教授、三部教授も解消できると、とにかく教室はあるということで行く、先ずこれを第一段階にしよう、これについては二十五年度四十五億で以て完成できると考えておる。併しそれで十分だということでは無論ございません。〇・七坪という程度は本当に教室があるというだけでありまして、校長室とか宿直室とか特別教室とか講堂とか或いは雨天体操場というものは一切含まれません。それではやはり教育上は甚だ不完全でありますから、今後それらを二十六年度予算以後において充実して行こうという考えでおりますから、決して建築費補助を打切るという考えは持つておりません。ただ併しこれを何年で実際完成できるかということは、今後の日本の経済、財政の回復して行きます速度と関連して来ます。その速度に応じて毎年相当補助を計上する、こういう方針であります。
  15. 小川友三

    ○小川友三君 この際に文部大臣にお伺い申上げます。今両先生から六・三制問題が取上げられまして、大臣の大体の経綸が分つたのでありますが、この六・三制問題に関連をしまして文部大臣は、特に明るい問題は、教育用品業者に対するところの低利資金を出して、いい本を売つて行くという御方針でありますが、これは大臣になられる前に盛に盡力せられたことでありまして、この請願、陳情に本議員は賛成しまして大いに応援しておりましたのですが、六・三教育教育用具用品問題でありますが、これにつきまして、この業者に対するところの低利資金なり或いは金融問題につきまして、具体的な案を特に文部大臣はお持ちであるという感じを持つておりますが、お漏しを賜わりたい。
  16. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 教育上必要な学用品等の品質の向上、増産等が現在日本で必要であるということは全く同感でありまして、できるだけその方を推進したいというつもりでおります。それについては物品税その他税金の減免、金融上の便宜というような点が非常に重要でありまして、以前には資材の配当関係で特殊な考慮が必要でありましたが、現在は資材方面は割合に豊かになりまして、そこで税金関係の問題になりますが、これも新らしい税法で物品税等が非常に枠を外されまして大変楽になつて来たと思います。金融関係は中小企業の問題でありまして、学用品生産等は多くは中小企業でありますから、金融的に現在は最も困つておるのではないか、それについて何らかの特殊な考えが必要だという点は同感でありますが、特に学用品を造る企業に対する金融ということについてはまだ具体的には何にも進行いたしておりません。一般金融についてと同じ考えでできるだけ政府としては中小金融を考慮して行くというつもりでおります。今までは併し学用品の金融について、いろいろ金融統制の上の順位の関係から特殊の考慮をしたいということで、金融順位を引上げるというようなことは努力して参りました。相当改善されて来たかと思います。  尚御承知のように、前の国会でもいろいろ論議がありましたが、教育金庫というようなものができますと、お話のような金融についても或いは特殊な考慮が行われるということになるかも知れませんが、これがまだ具体的に進行しておりませんからその点は直ぐには御期待に副い得ないと考えます。
  17. 小川友三

    ○小川友三君 教育金庫の問題がちよつと出ましたが、特にこの教育金庫問題は大臣の方から御提案を賜わつて、そうしてこれは達成したい。これは教育用具の問題とそれに又もう一つ私立大学の問題がありますが、私立の大学資金難で非常に困つておる。国立大学補助金がどしどし出るが、私立大学補助金がないというので非常に困つておる学校が多いのでありますが、殊に私立大学を援助する方面資金問題につきまして大臣の御所見をお伺いいたしたい。
  18. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 私立大学が現在財政的に非常に苦しい立場にあるということは、私もよく存じております。私立大学日本教育界で以て非常に重要な役割を果しておるということも事実でありますからして、文部省としてはできるだけ私立大学の経済的窮境を軽くするというために、予算的にも努力をいたしておるのであります。御承知のように二十五年度予算におきましては、私立学校の復旧費の予算といたしまして、二億七千五百万円計上いたしております。それだけは補助できることになります。けれども日本全国の私立学校というものは非常に沢山ありますから、二億七千五百万円ばかりでは実は甚だ不十分であります。但しこれは官立の学校の戰災或いは災害から復旧する比率というものと大体調子を合せておるわけであります。官立学校の復旧の比率というものと合せて私立学校災害補助費というものを計算して、予算に計上して行くというような立場から二億七千五百万円になつたわけであります。できるならば無論もつと私立学校も戰災等による被害が非常に大きいのでありますから、これはもつと補助したいのでありますけれども、今の経済状態からして思うように行きませんで、この程度でとにかくそれだけは出せるということになつております。  尚先程の教育金庫等の計画が具体的に若し実行できるということになりますと、私立大学に対する金融的な途も楽に相当大きな金額が出るというようなことになりますからして非常に便宜が得られるという結果になるのじやないかと思います。
  19. 小川友三

    ○小川友三君 もう一つ文部大臣にお伺いいたしたいのですが、これは埼玉県のことですが、不動岡の高等学校が去年燒けまして、そうしてこの前の国会のときに本議員は、予算委員会で二千万円の起債を許して貰いたいというので許して貰つた。二千万円の起債を国会では許してくれたが、ところが今手続をしてもなかなか二千万円の起債を許されないというような出先金融機関の状況ですが、高等学校が全燒しましてそうしてあとは幾らも金が集まらないで困つている、バラックで教育しておりましてこの〇・七坪どころの騒ぎじやない。〇・一%くらいの狭い廊下で勉強を高等学校の生徒がしておるのでありまして、臨時国会では通つておるのですが、これは手続上の何かの手落かと思いますけれども、御調査をあとでたまわりたい。  もう一つ国宝の保存問題ですが、これには前大臣が、法隆寺が燒けまして辞職問題まで起きた大きな問題ですが、国宝が燒けないように文部大臣は、文部大臣の椅子にまで影響するほどの前例がありますので、国宝保存という点につきまして、夜は監視をつけて置くべきであると私は思う。木造建築物の国宝に対しては特に大臣は国宝であるが故に注意をして頂きたいと思いますが、この点につきましてどういう監視をせられておりますか。又保存問題につきまして、極めて重要な国宝でありますからして、高瀬文部大臣は手ぬかりはないと思いますけれども、現在木造の国宝建築物を、特に国家の所管に属するものに対しまして、どういうような保管方法をとつておられますか、この問題についてお伺いいたします。  もう一つ、この六・三制の学校の進行のために、全国のPTA会長並びに役員さん、会員さんが非常な努力をして現在やつておりますが、文部大臣は特に優秀なPTAの役員に対して表彰をして、いわゆるPTAの発展、学校の発展を図るべきであると思いますが、文部大臣はどういう工合な手を今後お打ちになりますか、御所見をお伺いいたします。
  20. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 第一の御質問の、埼玉県の高等学校燒失の復旧についての起債の問題でありますが、これは自治庁と県との関係の問題でありまして、文部省は直接関係がありません。それで若し起債が許されておるとすれば、県と自治庁と相談されて、自治庁の方からの指図で許可が得られるということになると思います。この前の国会での問題は多分請願ではないかと私は考えますが、国会でその問題が具体的に議せられることにはならないのではないかと私共は思います。併し直接文部省とは関係がない、地方自治庁との関係であります。  それから国宝の保存についての問題でありますが、文部省としても無論日本の文化財保存については責任を持つておりますから、できるだけ考慮拂つておるわけでありますけれども国宝というものは国家の所有ではありません。それぞれの所有者があつて、それの保存について文部省は外からこれを考慮しているわけです。或いは大部分は、建物なんかでありますとお寺とか神社が持つている。或いは市が持つている。或いは県が持つている。直接の保存についての、火災の予防だとか、その他の災害の予防というものの責任は、ですから所有をしております市とか県とか寺社が当るということになつておりまして、文部省が人を出してこれを防ぐというようなことにはならない。文部省は、ですからそういう点について、県とか市とか寺社に対しましてできるだけの注意をして貰いたい、できるだけの予防を講じて貰いたいということは始終通達その他で以て要望しております。けれども実際直接そういうことをやる責任は所有者でありますから、文部省が当るというわけではありません。ただ保存について、修理の必要があるというような場合は、これも修理の責任者は所有者なんです。県とか市とか寺社なんです。文部省予算でこの修理についての必要な金を半額とか三分の二とか補助してやる。で、補助した場合にその金の使い方、工事の状況等を外から監督しているのでありまして、実際その修理の仕事をやる者はやはり文部省でなくつて、市とか県とか所有者がやるわけであります。それで文部省はそういう立場からは、できるだけの保存についての注意監督はいたしておりますが、直接のその責任はやはり所有者である市或いは県、寺社等が十分に気を付けて貰うというより外ない状況でございます。  それからPTAの功労者等について、何らかの方法で表彰するというような途を作らないかというようなことでありますが、無論文部省としてPTAは重要視いたしておりますし、十分の活動をして頂きたいというつもりでおりますから、PTAのために非常に功労のある方々に対しては、文部省は感謝しておるわけで、そういうまあ表彰の必要があるというようなことについては尚今後検討をいたしてみるつもりであります。
  21. 木下源吾

    ○木下源吾君 文部大臣に二、三お伺いします。学芸大学の附属の先生方が、地方教員と非常に待遇、給與関係が下廻つておる場合がある。これに対する一つ何らかの対策を講じなければならんじやないかと、かように考えるのですが、当局はこれをどういうようにお考えになつておるか。  次には給與関係ですが、昨年の暮に年末給與などを出す場合に、地方大学などに対して、自賄いで節約してやらせておる場合がある。その当時においては幾らか人件費が剩余があるように見えておつても、年度末になれば実際はなくなるのであるが、その当時の面でこれを捻出しておるわけであります。従つてこの年度末は非常に人件費が不足になつておる所があり、それに対して文部当局かどうか知りませんが、物件費の流用などでやつたらどうか、やれ、というようなことを言つておるのでありますが、そのために却つて物件費というものが不足いたしまして、それで非常に困つておるという実情です。でありますからやはり今後も一つのそういう給與をやる場合においては、地方実情等を調査せずに、実際見通しもせずに、そういうことをやられたのでは、全く困るではないか、ただ苦しまぎれに地方の方に押付けては、そういうことをやつちや困るではないか。こういうふうに考えられるので、それらの点について一つ方針などを承わりたいと思うのであります。もう一、二点お伺いしたいのですが、先ずそれから先に一つ……
  22. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 学芸大学の先生の中で、附属小学校の先生の方方中学の先生の方々と地方の公務員である小学校、中学校の先生方との間に、待遇の違いができて、学芸大学というような国立大学の附属であるために、待遇が悪くなつておるという点をどうするかという御質問だと思いますが、この点については無論同じような仕事をしておつて、待遇が一方がよくて、一方が悪いということは確かに考えなければならんことだと思つております。併しただ制度の上から行きますと、一方は国家公務員であり一方は地方公務員であるというような建前からして直ぐさまそれを同じようにするというようなことは、なかなかできないという状況であります。今後教員につきましての給與を他の一般公務員とは別個にいろいろ考えて行きたいということで、人事院ともいろいろ相談をいたしております。そういうような点と関連して考慮して行くより外ないだろうというつもりでおります。  それから年末手当の支給と関連して、各地方大学等の物件費等まで非常に節約をさせられて、経営上困るというような状況もある、だからそういう点を今後ないようにしなければいかん、こういうような御質問であつたと思います。文部省として無論年末手当を算出いたしました場合に、そう勝手に独断でやつたわけではございませんので、やはり各大学の事務局長の方ともよく相談をいたしまして、そうして非常に無理なところには或る程度文部省内での調整を加えてやつたことであります。ですから、そういう独断で無理な事を押付けたわけではございませんけれども、何にしてもこれを予算で予定されたものを相当無理に捻出して来るということになりますから、いろいろの不便もあつたかと思いますが、今後はあういうやり方でもつて手当などを出さないで済むような方法を無論取つて行かなければならないことは勿論であります。
  23. 山田佐一

    ○委員長(山田佐一君) 木下君、余り長いようでございましたら、休憩にしたいと思います。
  24. 木下源吾

    ○木下源吾君 短いです。室蘭の工業大学が燒失しておりますが、当局はこの復旧に対して、どういうように考えておりますか。  それからもう一つ教員給與は、その特殊性があるにも拘らず非常に現在の給與ベースでは少い、こういうような事情にあるので、当局もこれに対しては何らかの手を打つていると考えますけれどもが、現内閣一般給與ベースを改訂しないとこう言つているんですが、これに対して文部当局は、何か外の方法を考えているのか、或いは政府内においてそういうことを具体化している何か事例があるのか、そういうことについて承わりたいのであります。実は新聞等で拜見しますと、教員のいわゆる遵法闘争といいますか、時間ぎりぎりであとはやらんというような一つの方法がとられるのでありますが、こういうようなことになると実際教育上非常の支障があると思うんです。併しよつて来るゆえんは今のベースが非常に安い、現在の実情に副わないというところであつて、而も一般がこれに対してやはり同情をしているというこの実情に対しまして、政府はこれを傍観しているときではないではないかということを考え質問申上げたいのです。その他給與に関しましては、教員の場合は特にまだお聞きしたいのでありますが、非常に急いでいるようですから別の機会に讓りますが、只今お尋ねした点を一つお答えを願いたいと思います。
  25. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 北海道の室蘭工業大学が火災に遭いまして、その復旧が今重要な問題になつております。ただ併しこれが最近に起きた事件でありますために、二十五年度の予算の中にはこれが含まれておらない。ですから差当り授業の差支がないように応急の何の措置をするということで今はやつております。そうして今後補正予算なり或いは二十六年度予算なりで、復旧については計画的にこれを計上して行きたい。こういう方針でやつております。  それから教員給與ベースの問題でありますが、これは教員だけの問題でなく、一般的な問題として考えて行かなければならない問題であります。教員につきましては大体いろいろな事情を考慮いたしまして、その給與一般の事務職員、事務の公務員よりは二号俸乃至三号俸高くしてある筈であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)この点は無論今日の経済状況からいいまして大した足しにならない。それで生活上非常に苦しいということは私も認めております。けれども一般公務員との関連で、教員だけを現在の制度の下で以て切離して特別に給與ベースをどうするということはできないと私は考えておる。ただ今までも私が述べましたが、教員の仕事というものは特殊な性質を持つております。従つて給與表についても特殊な考慮が必要であるということは認めておる。それで人事院も或る程度は認めておるのですから、何か特殊な俸給表というようなものを作つて、優遇の途を講じて行きたいということは今具体的に相談をしておるという状況でありますが、現在の制度の下ではやはり一般的な問題としてこれは扱うというより外ないと思つております。
  26. 山田佐一

    ○委員長(山田佐一君) それではこの際一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩    —————・—————    午後二時三十三分開会
  27. 山田佐一

    ○委員長(山田佐一君) 只今から会議を開きます。先ず通告順によつて発言を許します。
  28. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私は気象問題についてお伺いしたいと思うのであります。  先ず昭和二十四年における気象に原因した損害額がどのくらいだつたか、これをお尋ねしたいと思うのであります。私の調査したところによつて見ますると、風水害その他による大きいところの損害の回数が十七回あつたと考えるのであります。その外に突風その他によつての被害は相当甚大であると考えるのでありますが、この被害額の大体の数字をお示しを願いたいと思うのであります。
  29. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) この台風等によりまする損害は、これは建設省、農林省或いは運輸省と、各省の管轄に跨つておりまして、只今私からそらで申上げる準備がございませんので、又いずれ書面に認めまして、私の運輸省の管轄の分は、港湾施設その他に関する分は御報告申上げます。
  30. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 数字はあとで頂戴することにいたしますが、然らばどうすればこの気象に原因したところの災害を防除することができるかということについてお尋ねしたいと思うのであります。
  31. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) 私は中央気象台の予報部長でございます。  気象災害の防止につきましては、予知し得る気象現像を学問的に常時研究し、或いは気象機関、観測所、測候所といつたような観測網を整備いたしまして、それによる資料というものを学問的に予察をして、できるだけ予めこれを広くお知らせいたしまして、万全の手配をするというふうに行くのが至当だろうと思います。
  32. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 然らば現在の中央気象台、管区気象台、海洋気象台の設備は、完備しておると考えておられるかどうか、設備が不完全であつたならば調査はできないのであります。私の知つておる範囲内で申上げたならば、海洋気象台について申上げれば、神戸の気象台の外は殆んど設備が不十分である、こんな不十分な設備では、気象台の調査ということは絶対にできないものと信ずるのでありますが、この点についてお伺いしたいのであります。
  33. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) お説明の通りまだ開設間がございませんし、十分な設備を持つておることは言えない状態にあるのでございます。併しながら少い設備、乏しい設備、少い人員におきまして、できるだけ最善の努力をいたしまして、海難の防止にできるだけ努めたいと思つて現在業務を遂行いたしております。長崎を例に取りますれば、先般海難防止に関する審議会が現地において開催いたされたのでありますが、その節長崎の海洋気象台におきましては、漁業をやつておられる方々と懇談をいたしまして、向うから東支那海方面に出ております漁船に観測を依頼いたしまして、その資料を長崎漁船局を通じまして入手をいたし、それを総合いたしまして、又無線局から今危險な状態になつているぞというようなことを船にお知らせするといつたようなことを計画いたしまして実施に着手をいたしているのであります。すでに昨今毎日五、六通の電報も中央までも入つて来ておりまして、漁業をやつておられる方々が非常に熱心に御協力を下され、又その知らせを基にして、海難の防止ということに緊密に連絡を取つてやるという運びになつておりまして、これからその方面に十分力を入れて行きたいと思つておるのでございます。併しながら予算の裏付もございませんために、施設その他に改善の余地がこれから十分まだあるものと考えております。
  34. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に昭和二十四年度の補正予算で、人員を四百四十七人増加されたのでありますが、これだけの増員で完全に気象の観測ができるとお考えであるか、この点お伺いしたいのであります。
  35. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) ちよつとお尋ねいたしますが、二十五年度でございますか。
  36. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 二十四年度の補正予算では四百四十七人の増加するということで、予算が通過したのであります、これだけで完全であるかどうか。
  37. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) 気象の事業と申しますものは、学問の本当の研究面から災害防止の非常に細かいところまで、非常に複雑多岐に亘つているのでございます。従いまして嚴密に幾ら幾らあれば気象事業を完全に遂行できるかという計算はなかなかむずかしいのございまして、現在與えられた人数で最善の努力をしているのでございますが、我々実際仕事をやつております者から見ますれば、もう少し余裕があればもつともつとよく行くのじやなかろうかと考えております。
  38. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 気象台を拡充するといたしましたならば、どんな点に主力をおいて拡充する必要があるのであるか。又日本の気象台の最も欠点であるというところは、どこの点にあるのであるか、この点お伺いしたいのであります。
  39. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) これもなかなかむずかしい問題でございますが、現在一番遅れております点は、日本の気象機関というものがその業務を運営いたします場合におきまして、アメリカ等に比べますと機械化の点が非常に遅れておるのでございます。例えて申しますれば、或る測候所で予報を出す、そこには予報者が三人おる、監督気象台には何人おる、地方気象台には百人もおるといつたような状態でございます。併しながらその連繋が非常にうまく取れないと、三人は三人だけ、百人は百人だけのことしかできないといつた結果になるのでございまして、私達の理想としいたますところは、中央気象台が地方の優秀な技術と大勢のスタッフでやつております仕事が、機械的な操作によりまして幾ら少い人数の測候所にもその結果が直ぐに到達して、そうしてそれが予報その他に役に立たなければいけないと思います。そのためにはどうしても機械化が必要だと思つております。
  40. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 天気は西の方から段々と移動して来るのでありますから、私の考えとしては現在の日本の気象状態から考えると、中共その他の気象状況を入手することが困難であるのでありますから、この方面の気象を入手するということを最も速かにやらなくちやできないところの問題であると考えるのであります。さつき過日の長崎の会の模樣をお話になつたのでありますが、そういうようなことを更に拡充しなければできないと思うのでございますが、この点について更に一つ御説明を願いたいと思うのであります。
  41. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) お説の通りでございます。只今それに代るものといたしまして、代ると申上げますと語弊があるのでございますが、更に研究しておるのでございまして、それはずつと西はヨーロッパの端の方に至るまでの資料を全力を挙げて蒐集しておるのでございます。大体集つておる区域はヨーロッパ全部、シベリア、それから南の方は印度その他まで全部集めております。それを総合いたしまして一週間乃至十日先の変化の状況、今中共地区とおつしやいましたが、更にヨーロッパ辺りからも変化をずつと追求をして参りまして、そうして先の見通しを立てるという方法を全力を盡して研究をいたしておりまして、着々と効果を挙げて、中共地区がなくなつた困難性を補うということに努力をいたしております。それからもう一つは確かに中共地区その他が要るのでございまして、気象の問題は非常に国際性を持つておりますので国際会議がございますが、その国際会議を通じまして成るべく向うの資料がこちらに手入できるようにという申入れも、国際会議の方に出しております。あらゆる努力をいたしたいと思つております。
  42. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今あらゆる努力で欧洲方面の気象現象まで入手しておるということでありますが、最も必要なのは中共方面の気象であるのでありますから、これをできるだけ得るためには観測船を送りまして、その観測船によつて得られるだけの気象現象を把握するのが最も簡單でないかと考えるのであります。この点からいえば西日本の海洋気象台に適当なるところの観測船が必要であると考えるのであります。然るに現在西日本の観測気象台には、六十余トンのものと二十余トンの小さい船だけでこの理想の観測をすることが困難であるのであります。従つてお尋ねしたいのは、そういうふうに西の方の気象を把握することが必要であるといたしたならば、西日本の海洋気象台に相当な観測船を備うる必要があると思うのでありますが、これに対してどんなお考えを持つておられるか、お伺いしたいのであります。
  43. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) 全くお説の通りでございまして、国の予算が許しまするものならば是非そういたしたいと考えております。
  44. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 更に気象を調査するのについては、高層気象の観測が必要であると信ずるのであります。現在日本全国に九ケ所あつて、九州には鹿兒島と福岡とあるのでありますが、西の果てであるところの長崎県において高層気象の観測をすることが最も必要であると感ずるのでありますが、この点についてお伺いしたいのであります。
  45. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) 確かにそうでございます。併しながら実際のところ高層気象の観測につきましては、現在日本の内地でやつておりまするのは気象台の手でやつておりますものと、アメリカ自身がやつておりますものと両方を勘案して配置されておるのでございまして、アメリカ側とよく打合せないとそれができないような現状になつておるのでございます。
  46. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に西日本の海洋気象台が必要であるということは、今申上げた通りであるのでありますが、対島の嚴原であるとか五島の富江であるというような所に測候所があるものの、これとの連絡が十分につかないために、予報は完全に出すことができない、こういうふうな不備の点があるのでありますが、これらのすべての方面に、有線、無線の連絡を完備して行く必要があると思うのでありますが、急速にこういうふうな設備を完備される考えであるかどうか、お伺いしたいのであります。
  47. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) 確かに富江その他に通信設備を完備する必要がありますことを痛感しておりますので、予算その他は確か通つたと思つておるわけであります。併しながら通信につきましてはこれCCSもの許可が要るのでございまして、昨年実は無線の申請をいたしましたところ、実際にそれじや現在の有線関係の疏通状況がどんなであるかテストをすると申しまして、一週間向うでテストしたのであります。その結果つける必要なしという判定を受けまして、非常に遺憾に思つて更に再三向うに折衝中でございます。
  48. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今西日本の海洋気象台の状況を拜見してみますると、気象台の主なる建物は大蔵省の職員の住宅になつておるのであります。従つて気象の観測に非常に支障を来たしておるのであります。これは海洋気象台でありますから大蔵省の所管から運輸省の所管に移管される考えがあるかどうか、この点お伺いしたいのであります。
  49. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) 大蔵省の方の都合もあることでありますので、できるだけ円満に気象台の方で全部早急に使わさして頂くように折衝いたしたいと思つております。
  50. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今、西日本の海洋気象台の状況を更に拜見してみますると、海洋気象台としては現在の所が必要であるのであります。然るに一方一般の気象を観測するためには、元の測候所の所が必要であるのであります。従つて同じ海洋気象台の中に二つの建物があつて二つの連絡をとらなくてはいけないのであります。この連絡をできるだけ密接にするのが必要であるのでありますが、現在はその設備がないために完全なる連絡がとれていない。従つて職員その他が非常に苦しむ状態に落込んでいる、こういうふうな状態であるのであります。でありますからこの二つの建物の連絡を十分にとるためには、何らかの設備がなくてはいけないと思うのであります。そういうふうな設備を速かにせられる計画があるかどうかお伺いしたいのであります。
  51. 土佐林忠夫

    ○説明員(土佐林忠夫君) その事情も重々承知いたしております。それで長崎だけでありませんで、現在庁舎のある所と観測する所と非常に都合の悪いという所があるのでございますが、それも機械化することによりまして、必ず山の上で観測したものが、そのまま下の庁舎に、その資料が目の前に現われるといつたような設備をやりたいと考えておりまして、これは中央気象台の気象研究所の方でその機械を研究いたしまして早急につけたいというので、研究にはもう着手いたしておるのでありまして今試験をやつておりますので、できるだけ早くそういう設備をやりたいと考えております。
  52. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私の知り得た範囲によつて見ますると、熊本県の牛深に臨時の観測所を作つたために、台風その他の被害が毎年々々あつたのが皆無になつたというような状況であるのでありますが、私は気象観測の完備によつて日本の絶えざる災害を防止することができると思うのであります。現在政府のやつているのは災害が起つたならば復旧すると、こういうふうなことであるのでありますが、災害を未然に防止するために気象官署を十分に拡張して、積極的な予算を組んで災害の損害を未然に防止されるところの計画があるかどうか、又こうしなくては日本は毎年々々予算として災害復旧費を出さなくてはいけないという状況にあると、こう思うのであります。この点について責任ある大臣の御答弁をお願いいたします。
  53. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 只今の御質問の御趣旨は私においても全く同感でございますので、二十五年度の予算は一応出しておりまするが、その趣旨に副いまして将来は進みたいと存じます。
  54. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 二十五年度の予算はいたし方はないといたしまして、近く選挙があつたならば臨時国会も開かれることであるのでありますが、その際においては思い切つた予算を作つて頂きたい、こういうふうな希望を述べて私の質問を打切ります。
  55. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 私は運輸大臣にこの前の国会から関連したことについて、もう一度御答弁を得たいと思います。  鉄道のパスの問題で以前に非常に濫発をされているということで、これが非常に論議の的になつたのであります。その後十分整理をせられたというお話を承わつていたのでありますが、その後も引続き種々のパスが何らかの名目において発行されているということについて、私は運輸大臣に御意見を伺つたのであります。ところが大臣としては、そのようなことは絶対にない、はつきりと整理をしてそのことは公表しているのであるから、そういう筈は決してないと言明されたのでありまするが、私は重ねて、そういう話が随分方々に出ているのでお取調をして頂く必要があろうとこう申上げておいたのでありますが、その後何らの措置をせられたように承わつておりませんが、最近に又そういうような話をたびたび聞くのであります。これは運輸大臣が直接認めて発行されておらないかも分りませんし、或いは運輸大臣は最初に声明された通り励行しておられるかも分りませんが、運輸省内に不正と思われるパスが盛んに発行されているということが新聞でも盛んに書き立てられたことを御記憶と思うのであります。二等、三等というパスの代りに二級、三級というような名称で用いられている、それが公然と通用しているのであります。事些細なような問題に考えられまするが、この前の国会で私が強く御意見を伺い、又反省を求めたのでありまするが、断然そういう事実はないと押切られた、その運輸大臣の管内において、すでにそういう事実が横行しているということは、運輸省の綱紀紊乱にも関係がある。もう一つは又そういうようなことをさせるということは、職員の待遇の問題に私は関連して来るのでやないかと思う。前の国鉄裁定の一つ意見としても、従業員が実質的には給與を引下げられているというようなことが裁定の理由になつていたように思うのであります。つまりこのパスの問題はかかつて運輸省の一つの綱紀の問題であり、又一つにはかかつて給與裁定に関する大きな示唆をなすものではないかと思うのであります。毎日自分の関係している仕事に関連してそういうことがありがちだ、よく世間でいう役得というようなことが認められるとするならば、これは運輸省だけでなしに他の省において、或いは他の民間企業においても、非常に大きな影響を及ぼすことになるのでありますから、この点運輸大臣として、前にはつきりと私の質問に対してそういう事実なしと押切られた、その運輸大臣から直接今度の事態に対して御答弁を伺いたい。更に又どういう善処をされるかということをば併せてお聽きしたいと思うのであります。
  56. 大屋晋三

    国務大臣(大屋晋三君) 只今堀越君の御質問でありまするが、昨年の議会でも正にさような答弁を申上げたのですが、現在の状況は基本的には何ら変つていないのであります。即ち昨年の五月一杯で既発のパスの大整理をいたしまして、一部国鉄の従業員に関する分だけが残されまして、あとは全部廃止をいたしたのであります。ところが、その既発の分で実は十一月一杯まで有効の分が沢山ございましたので、従いまして、昨年の十一月が過ぎて十二月一日からはもう殆んど五月三十日限りで整理いたしましたものは全部無効に相成りまして、それ以来はつまり有効なものは結局六月一日からは一つも発行しておりませんし、既発のもので十一月まで有効であつたものがそこで切れましたから、即ち十二月一日以降は、国鉄の従業員が貰つておるパス以外にはパスは絶対に出しておらんのであります。只今でもさようなんであります。さよう御了承を願いたいのであります。  然るに御指摘の事実が遺憾ながら、この国鉄のいわゆるコーポレーションで、発行は勿論しておらんのでございますが、この運輸省関係のいわゆる地方にそれぞれ陸運局、或いは港湾局、工務局というようなところにその組合がありますのですが、その組合でいわゆるパス類似の証券を発行いたして、それを携帶して汽車に乘つておる者がありました事実がありまして、それを嚴重に取締つて現在おる次第でありまして、只今堀越君の御指摘になりました分は多分そういう事実があつたことをおつしやるのではないかと思うのでありまするが、又その事柄は新聞にも載つたことがございます。併しさような事実を発見しまして以来はその根源を突き止めて、一切さようなことはさせないことにいたしておりますので、それを差止めました以前即ち現在においては、私の従来報告を得ておりまする範囲内においてはもう出しておる事実はないと、さように信じておる次第であることを承知を願います。
  57. 山田佐一

    ○委員長(山田佐一君) そういたしますと運輸大臣はちよつと退席せられますが、本日はどうですか、この程度で散会いたしまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 山田佐一

    ○委員長(山田佐一君) それでは本日はこの程度にて散会いたします。    午後三時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     山田 佐一君    理事            岩木 哲夫君            田村 文吉君            寺尾  博君            堀越 儀郎君            岩間 正男君            岩男 仁藏君    委員            木下 源吾君            羽生 三七君           池田宇右衞門君            岡崎 真一君            小林米三郎君            平岡 市三君            深水 六郎君            堀  末治君            小林 勝馬君           前之園喜一郎君            赤木 正雄君            飯田精太郎君            藤野 繁雄君            帆足  計君            松村眞一郎君            川上  嘉君            小川 友三君   国務大臣    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君    運 輸 大 臣 大屋 晋三君   政府委員    文部事務官    (大学学術局    長)      剱木 亨弘君    運輸事務官    (大臣官房会計    課長)     粟澤 一男君    運輸事務官    (鉄道監督局国    有鉄道部長)  石井 昭正君   説明員    運 輸 技 官    (中央気象台予    報部長)    土佐林忠夫君